ガヴリール「私が二人とか何の冗談だよ…」
- 2017年04月05日 01:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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ジリリリリリ……
「起きてください、朝ですよ」
ガヴリール「んん……もう少し寝かせてくれ…」
「駄目です、早く起きないと朝ご飯抜きですよ?」
ガヴリール「んむ……それは困るな……」
「もう、私はヴィーネさんほど甘くないんですからね……?」
ガヴリール「……何言っていんだよ、ヴィーネはお前だろ…?」ムクッ
天使ガヴリール「いえ、私はヴィーネさんではありませんが」
ガヴリール「…………は?」
天使ガヴリール「あなたがあまりにも自堕落な生活を送っていたので、流石に私も見過ごせなくなりました」
ガヴリール「いや、どういうことだよ、見過ごすも何もお前は私なんだけど」
天使ガヴリール「あなたみたいな駄天使と私を一緒にしないでください」
天使ガヴリール「今日からは私が、あなたを元の私に戻すために再教育します」
ガヴリール「いや意味わかんねえよ、そもそも昔の私はそんなに厳しいこと言わないし…」
天使ガヴリール「…認めたくはありませんがあなたは私自身なんです、更正させるためには、私だって心を鬼にします」
ガヴリール「そもそもどうやって二人に増えたんだよ…」
天使ガヴリール「細かいことはいいんです!早く顔を洗って着替えてください!」
ガヴリール「……へいへい」
天使ガヴリール「ふふふ、今日の朝ご飯は頑張っちゃいました!」
天使ガヴリール「あさりのお味噌汁とほうれん草のお浸し、焼き魚と大根おろしと白いご飯…」
天使ガヴリール「んんー、これぞ日本の朝ご飯ですね!」ニコニコ
ガヴリール「こ、これ、全部お前が作ったのか…?」
天使ガヴリール「そうですよ」
天使ガヴリール「というか、私に作れるんですから、あなたにも作れるはずですよ?」
ガヴリール「信じられん、私なんていっつもカップ麺だぞ…」
天使ガヴリール「…あなたはやればできる子なんですから、もうちょっと自分に自信を持つべきです」
ガヴリール「……なんで自分に励まされなきゃいけないんだよ…」
天使ガヴリール「ごちそうさまでした」
ガヴリール「ふうー、ごちそうさん」
ゴロッ
天使ガヴリール「もうっ、食べてすぐに横になったら体に悪いですよ?」
ガヴリール「いいじゃんか、まだ学校いくまで時間あるし」
天使ガヴリール「時間があるんだったら、寝癖くらいなおしてくださいよ!」
ガヴリール「ふん、そんな面倒なことしないよーだ」
天使ガヴリール「むぅー………」
天使ガヴリール「じゃあ、私がなおしてあげますから、せめて上半身だけでも起こしてください」
ガヴリール「はぁ?だからそんなのいいって……」
天使ガヴリール「はやく!!」ペチッ
ガヴリール「あうっ………お尻叩かなくてもいいじゃん…」
ガヴリール「わかったよ、起こせばいいんだろ起こせば…」スッ
天使ガヴリール「ふふ、わかってくれればいいんです」
ガヴリール(なんかヴィーネより厳しいんだけど…)
天使ガヴリール「お弁当は持ちましたか?筆箱は?」
ガヴリール「んー」
天使ガヴリール「ハンカチは入れてますか?あと今日は体育なので体操着も…」
ガヴリール「わかったっての、お前は私の母親かよ」
天使ガヴリール「だって、これくらい言わないと何も確認せずに学校に行っちゃうじゃないですか」
天使ガヴリール「私知ってるんですよ、今週だけで4回も忘れ物してますよね?」
ガヴリール「…うっ」
天使ガヴリール「いつもいつも適当に生活して、天使としてどうなんですか?心配してくれている友達の事を気にもかけずに遅刻ばかりして……」
ガヴリール「あーもうわかったわかった、もう学校行くからお説教タイムしゅーりょー」
天使ガヴリール「本当にわかったんですね?」
ガヴリール「ああ」
天使ガヴリール「わかればいいんですよ、今日も一日頑張ってきてくださいね」ニコッ
スタスタ
ガヴリール「はぁ……私が二人とか何の冗談だよ…」
ガヴリール(いきなり現れたと思ったら私の生活態度にまで口出ししやがって、言っておくけど私はお前の未来の姿なんだからな)
ガヴリール(いつまであいつがいるのかは知らないけど、絶対に更正なんてしてやるかよ)
ガヴリール(まぁでも、朝ご飯は美味しかったな……)
ヴィーネ「あれ?ガヴ?」
ガヴリール「ああ、おはよう、ヴィーネも今から学校?」
ヴィーネ「いやいや、私は今からあんたを起こしに行こうとしてたんだけど…」
ヴィーネ「…ていうかどうしたの?今日のあんたやけに綺麗ね、寝癖もしっかりなおしてあるし…」
ガヴリール「はぁ………まぁ、色々あったんだよ」
ラフィエル「あ、あのガヴちゃんが…」
サターニャ「ま、まさか………」
サターニャ「私よりも先に学校に来るなんて!!」
ガヴリール「うるせえな、たまにはそういう時もあるんだよ」
サターニャ「そ、それにどうしたのよあんたその髪型!」
ラフィエル「サラッサラのストレートです……信じられません…!」
ガヴリール「お前らさっきから失礼すぎんだろ」
…
ガヴリール「それにしても、今日は無性に暑いな、喉が乾いてきた…」スッ
ガヴリール「お茶でも飲むか…」
ラフィエル「ガヴちゃんがペットボトルにドリンクカバーをつけてる!?!?」
サターニャ「それもうさぎさんの可愛いやつ!!!」
ガヴリール「言っておくけど、私の趣味じゃないからな」
ヴィーネ「ガヴー、お昼皆で食べましょ」
ガヴリール「んー」
サターニャ「どーせあんたの事だから今から売店に走るんでしょ?なんなら私も一緒について行っ……」
ガヴリール「いや、いい、今日は弁当あるし」スッ
サターニャ「!?」
ヴィーネ「えっ、嘘っ!?ガヴがお弁当…!?」
ガヴリール「なんだよ、そんなに驚く事でもないだろ……」
パカッ……
サターニャ「しかもキャラ弁!?」
ヴィーネ「メチャクチャ手が込んでるじゃない……!!」
ガヴリール「畜生、私好みの弁当作りやがって……あ、このタコのウィンナー可愛いな……」
ヴィーネ「ふーん…」ニコニコ
ガヴリール「…………」モグモグ
ガヴリール「……何だよその顔は」
サターニャ「いやぁ~、あんたでもお弁当とか作ってくるのね~」
サターニャ「しかもそんな可愛いやつ…」
ガヴリール「いやだから、これは私の趣味じゃなくて………いや」
ガヴリール「確かにの弁当はちょっと可愛いけど…」
ヴィーネ「ガヴもやっぱり女の子なのね」ニコニコ
ガヴリール「…は?」
サターニャ「どうしちゃったのかしらね?今日はやけに小綺麗にしちゃって…」
サターニャ「まさか、ちょっと遅めの高校デビューかしら?」ニヤニヤ
ガヴリール「うっさい、そんなんじゃないから」
キーンコーンカーンコーン…
ガヴリール「っ!!」ガダッ
ヴィーネ「ちょ、ちょっとどうしたのよ!そんなに急いで!」
ガヴリール「明日は土曜だからな、今日は徹夜でネトゲだ!!」
ガヴリール「時間は1秒たりとも無駄にできない、そういうわけだから!じゃあなヴィーネ!!」
スタタタタタッ…
ヴィーネ「せっかく一緒に帰ろうとおもったのに……」
サターニャ「わ、私が一緒に帰ってあげてもいいけどっ!?」チラッ
ガチャッ
ガヴリール「よっし!!帰宅!!」
ガヴリール「早速ネトゲだおらぁぁーっ!!」ヌギヌギッ
天使ガヴリール「ちょっと、服は洗面所で脱いでくださいよ!」
ガヴリール「ってあああ!!お前まだいたのか!!」
天使ガヴリール「当たり前じゃないですか!あなたが更正するまで、ずっとこのままですよ!」
ガヴリール「ふん、更正とかどうとかしらないけど、これがありのままの私なんだよ!」
ガヴリール「そんなことより、ネトゲだネトゲ!!」スッ
ガヴリール「……………………あれ?」
天使ガヴリール「あなたが学校に行っている間、お部屋を綺麗にお掃除しておきました」
ガヴリール「………私のパソコンは!?」
天使ガヴリール「隠してます、あなたのためになりませんので」ニコッ
ガヴリール「」
ガヴリール「ふざけんな!何勝手なことしてんだよ!」
天使ガヴリール「このままではあなたはずっと堕落したままです、まずはゲームの時間を減らすことから始めましょう」
ガヴリール「やだよそんなの!何しようと私の自由じゃんかー!」
天使ガヴリール「だーめーでーすー、まずは手を洗って制服を洗濯機に入れて、それから宿題をして…」
ガヴリール「ああもう!!お願いします!!何でもしますから!!パソコンを返してください!!」
天使ガヴリール「ちょ、ちょっと!そんな事で土下座しないでください!」
ガヴリール「あれがないと!あれがないと生きていけないんだよぉ…っ!!」
天使ガヴリール「えぇ………」
天使ガヴリール(本当にこんなのが私なんでしょうか…?もしかして私って二重人格だったんじゃ…)
ガヴリール「うう……ぐすっ……」
天使ガヴリール「泣くほどですか!?」
カタカタカタカタカタ……
ガヴリール「ふんふんふーん、お前もわかってんじゃん」カチカチッ
天使ガヴリール「うぅ…………」
天使ガヴリール(泣いてる姿があまりにもかわいそうだったのでパソコンを返してしまいました、私もまだまだ甘いですね……)
天使ガヴリール「…ちゃんと宿題もやるんですよ?」
ガヴリール「わかってるってー」カチカチッ
ガヴリール「やっぱりお前優しいな、流石私、愛してるぞー」カタカタ
天使ガヴリール「あ、愛してるって……」
ガヴリール(ふふふ、お前が私に情けをかけてくれることなんて知ってだよ、なんたって自分自身だからな!)
ガヴリール(そして、こいつを上手いこと使って生きていけば、私は一生遊んで暮らせる!)
カタカタカタカタカタ、カタカタカタカタカタ
天使ガヴリール「あのー、晩御飯できましたけど…」
ガヴリール「んー、もうちょい待ってくれー」カチカチッ
天使ガヴリール「ふふふ、今日の晩御飯は奮発しちゃいました!」
天使ガヴリール「あなたが大好きな焼き肉ですよ!それもちょっといいお肉です!」
ガヴリール「おおー、そりゃ楽しみだ」カタカタ…
天使ガヴリール「…あの、一緒に食べませんか…?」
ガヴリール「ラップしといてくれ、あとで食べるから」
天使ガヴリール「…はい」
…
カチャッ
天使ガヴリール「…いただきます…」
カタカタカタカタカタ、カチッ、カチッ
ガヴリール「くっそ、なんだよこいつら使えねーな…」カチッ
ガヴリール「大体なんでこのレベルでこんなダンジョン潜ってんだよ、寄生か?」
バシュッ
ガヴリール「げっ、死んだし……デスペナだっる……」
ガヴリール「はぁ、萎えたわ、今日は寝よう…」ムクッ…
ガヴリール「……ん?」
天使ガヴリール「……」スヤスヤ
ガヴリール「…なんでこいつ床で寝てるんだよ…」
ダキッ…
ガヴリール「ふんぬぬぬぬぬ……!!」ググ
ガヴリール「ダメだ、持ち上がらん…」
チュンチュン……
天使ガヴリール「ふわぁぁぁ……」ムクッ
天使ガヴリール「んん……今日もいい天気ですね…」
天使ガヴリール「って、あら?」
天使ガヴリール(私は確か床で寝ていたはずなんですが……)
ガヴリール「………んむぅ…」スヤスヤ
天使ガヴリール「…………あらあら」
天使ガヴリール(やはり、堕落してしまった私にも、まだ天使の心が残っていたのですね、少し嬉しいです……)
ピンポーーン…
天使ガヴリール「…あら?」
ガチャッ
ヴィーネ「ガヴー、遊びにきたわよー」
天使ガヴリール「おはようございます、ヴィーネさん」
ヴィーネ「……ってあれ?ガヴがこの時間に起きてる…?」
天使ガヴリール「いつも私がお世話になってます、でも、残念ながら本人はまだぐっすりですよ?」
ヴィーネ「いや、何言ってんのよあんた、今まさに私と会話してるじゃない…」
天使ガヴリール「まぁ、これには色々と事情がありまして……」
天使ガヴリール「立ち話もなんですし、中でお話しましょうか」ニコッ
ヴィーネ「ガヴリールが二人!?!?」
天使ガヴリール「はい」ニコッ
ヴィーネ「い、いやいや!いくらなんでもおかしいでしょ!何でガヴが二人いるのよ!」
天使ガヴリール「ここ最近の私はずっと堕落した生活を送っていまして、このままじゃ駄目だと思ったんです」
天使ガヴリール「そう思っていると、ある朝私が二人になって…」
ヴィーネ「え、えぇ……理由はわかったけど原理がわからないわね…」
ヴィーネ「……」チラッ
ガヴリール「むにゃむにゃ…………」
ヴィーネ「本当に二人いるし…」
天使ガヴリール「そんなことよりヴィーネさん!私、ずっとあなたとお喋りしてみたかったんです!」
ヴィーネ「えっ?そうなの?」
天使ガヴリール「はい、普段の私はいつもヴィーネさんにお世話になっているのに、少しも感謝の気持ちを伝えられなくて…」
ヴィーネ「か、感謝だなんてそんな…っ!私だって好きでやってるんだし…」
天使ガヴリール「…やっぱりヴィーネさんは素敵な方ですね、まるで天使のようなお方です…」
ヴィーネ「…それはちょっと複雑ね…」
ヴィーネ「でさー、ガヴったら私が部屋から出ようとすると服の裾を引っ張ってきて…」
天使ガヴリール「ふふふ、なんというか、放っておけない感じかしますよね」
ヴィーネ「そうなの!私が傍にいてあげなきゃーっていうか…」
ムクッ
ガヴリール「ん……」
天使ガヴリール「あら、おはようございます」
ガヴリール「んー………」
天使ガヴリール「もう、上着がはだけてますよ、ちゃんと着てください」グイッ
ガヴリール「…ん」
ヴィーネ「ふふ、何だか姉妹みたいね」
ガヴリール「んで、何でヴィーネがいるんだよ」
ヴィーネ「昨日遊ぶ約束してたじゃない、あんたこそいつまで寝てんのよ…」
ガヴリール「昨日は長期戦だったからな、疲れが出てしまった」
天使ガヴリール「もう、少しは体調にも気を使ってくださいよ?」
ガヴリール「はいはい、気を付けますよー……」
ガヴリール「………それとさ」
天使ガヴリール「…はい?」
ガヴリール「昨日はありがとな、ご飯
、美味しかったよ」
天使ガヴリール「……!」
ガヴリール「まぁ、あれだ、私も少しは手伝うからさ、今度からは二人で作ろうな」
天使ガヴリール「…はい!」ニコッ
ヴィーネ(なるほど、昨日の弁当の謎が解けたわ…)
それからしばらく、私ともう一人の私との奇妙な同居生活は続いた。
最初はただ口うるさいだけで、早くどこかに行って欲しいと思ってはいたものの、一緒に住んでしまうとどうしても愛着というものが沸いてしまう。
真面目で堅実で、それでいて面倒見のいい彼女の事を、いつの間にかに私は姉のように慕っていた。
今でも私の身の回りのお世話や、家事、炊事、全てを担当してくれているが、ここ最近は私も積極的に手伝うようにしている。
別に私は更正した訳ではない、家事や炊事が好きになったわけでもない。ただ一つ、たった一つ理由をあげるとしならば、私は彼女の喜ぶ顔が見たかったのだ。
ガヴリール「今日は私が晩御飯に挑戦してみたぞ」
天使ガヴリール「わぁ!美味しそう!これ全部ガヴちゃんが一人で作ったんですか?」
ガヴリール「ああそうだ、たまには姉ちゃんに私の実力を見せてやろうと思ってな」
天使ガヴリール「ふふふ、とっても美味しそうです!」
ガヴリール「ふぅ、もう食えん」
天使ガヴリール「ごちそうさまでした、とっても美味しかったです」
ガヴリール「だろ?もっと褒めてくれてもいいんだぞ?」
天使ガヴリール「はいはい、まずは食器を片付けてからですね」ムクッ
ガヴリール「ああ、いいっていいって、私がやっとくから」
天使ガヴリール「いや、でも……」
ガヴリール「いつも姉ちゃんには世話になってるからさ、たまにはゆっくりしててよ」
天使ガヴリール「ふふ、じゃあお言葉に甘えちゃいますね」ニコッ
……
天使ガヴリール(…ここ最近のガヴちゃんは見違えるほどに成長しました、ゲームをやめたわけではないですが、規則正しい生活を心がけ、学業にも力を入れています…)
天使ガヴリール(これはもう、更正した、と言ってもいいのではないのでしょうか…)
天使ガヴリール(もう、私がいなくても、一人でやっていけるのではないでしょうか…)
ガヴリール「今度ヴィーネ達とお花見に行くんだけどさ、姉ちゃんも一緒に来るよな?」
天使ガヴリール「お花見ですか、楽しそうですね…」
ガヴリール「ああ、その時にはさ、ヴィーネだけじゃなくて、サターニャやラフィエルの奴にも姉ちゃんを紹介しようと思うんだ」
ガヴリール「あいつら、どんな反応するかな、サターニャなんて驚きすぎて尻餅ついたりして…」
天使ガヴリール「ガヴちゃん」
ガヴリール「ん?」
天使ガヴリール「ガヴちゃんには大事なお話があります」
ガヴリール「どうしたんだよ、そんな真剣な顔して…」
天使ガヴリール「まず、最初に一つ」
天使ガヴリール「私の目的はあなたを更正させる事です、そのために私は生まれました」
ガヴリール「ん、ああ、そうだったな」
天使ガヴリール「そしてガヴちゃん、あなたは更正した、私がそう判断しました」
ガヴリール「…えっ」
天使ガヴリール「はい、目的は達成しましたので、私はいずれ消えてしまうでしょう」
ガヴリール「な、なんでだよ!消えるとかそんなの、聞いてないぞ!」
天使ガヴリール「…私はあなた自身なんです、あなたから生まれ、あなたの元へ帰る…」
ガヴリール「意味わかんない事言うなよ!大体私はまだ更正なんてしてないし!」
ガヴリール「学校から帰ってきたら服を脱ぎ散らかすし、ご飯を食べるときだって手を洗わないし、休日の前なんて徹夜でネトゲするし!」
ガヴリール「私はまだまだ駄天使なんだよ!姉ちゃんと初めて会ったときと同じ、ぐうたらで怠惰な駄天使なんだ!まだまだ姉ちゃんに面倒見て貰わないと生きていけないんだよ!」
天使ガヴリール「ガヴちゃん!」
ガヴリール「……っ」ビクッ
天使ガヴリール「…あなたが一番わかっているはずです…」
ガヴリール「……」
天使ガヴリール「…私が初めて出会った時のガヴちゃんとは見違えました…」
天使ガヴリール「一人で起きることも、一人で宿題をすることも、一人でご飯を作ることもしなかったガヴちゃんが、今ではこんなに自立し、立派になって…」
ガヴリール「ちがう、それは全部姉ちゃんのおかげで…」
天使ガヴリール「違います、あなた自身の力です」
ガヴリール「……」
天使ガヴリール「このまま堕落したままで本当にいいのだろうか?天使である私がこんな生活を続けていていいのだろうか?」
天使ガヴリール「このまま堕天使として生きていけば、天界から追放されてしまうのではないか?友達として仲良くしてくれている皆は、呆れて私の元から去っていってしまうのではないか?」
天使ガヴリール「…そんな不安な気持ちに魂が宿り、私という存在を作り出したのです」
ガヴリール「……」
天使ガヴリール「…ですが、あなたと暮らした一ヶ月、私はずっとガヴちゃんの事を観察していました」
天使ガヴリール「あなたは正真正銘、間違いなく天使です、その心に、一点の雲りもありません」
ガヴリール「そんなはず……」
天使ガヴリール「私の存在がその証明です、あなたの綺麗な心だけを集めたら、魂だって宿るんですよ?」
ガヴリール「……」
天使ガヴリール「ですから、もっと自信を持ってください!あなたは一人じゃありません、ヴィーネさん達だってついています!」
天使ガヴリール「だから……」
天使ガヴリール「私を受け入れてください…」
ヴィーネ「おはようガヴ、最近は朝早いわね」
ガヴリール「おはようヴィーネ、まあ、最近は早寝早起きを心がけているからな」
サターニャ「ふん、ここ最近遅刻して来ないと思ったら、随分と健康的じゃない?ガヴリール」
ガヴリール「お前は最近私より来るのが遅いもんな、やっぱりサターニャじゃ私には勝てないか」
サターニャ「むきーっ!!なんですって!?」
サターニャ「そこまで言うなら勝負よガヴリール!明日の朝、どっちが早く学校にたどり着けるか!!」
ガヴリール「だるいからやだ」
サターニャ「なんでよ!」
ラフィエル「うふふ、最近のガヴちゃん、なんだかちょっぴり大人ですね」
ヴィーネ「そうね、今では私がお世話しなくても一人で学校にきて……ぐすっ」
ラフィエル「あらヴィーネさん、嬉し泣きですか?」
ヴィーネ「……」
ラフィエル「あっ、それとも…」
ヴィーネ「もう!意地悪しないで!」
ラフィエル「うふふ、ごめんなさい」ニコニコ
ガヴリール「もしもし?あーうん、私」
ガヴリール「えっ?あー、うん、うん、大丈夫だって…」
ガヴリール「いやー、知ってるだろ?私はもう前の私じゃないんだってば…」
ガヴリール「うん、うん、わかったわかった、お説教はもういいってば」
ガヴリール「ていうか、もう昼休み終わるから切るよ?うん、じゃあ、また……」
ヴィーネ「…ガヴリールが電話なんて珍しいわね、誰から?」
ガヴリール「んー、まぁちょっとな」
ヴィーネ「なによー、教えてくれてもいいじゃない……」
ヴィーネ「……はっ」
ヴィーネ「もっ、もしかして恋人とか!?」
ガヴリール「あーうん、もうそれでいいよ」
ヴィーネ「ええええええっ!?!?だ、誰よそれ!!どこのどいつよ!!」ユサユサ
ガヴリール「あーもう、鬱陶しいってば……」
ヴィーネ「いいじゃない!私とガヴの仲でしょ!?教えてよー!」
ガヴリール「……まぁ、あれだ…」
ガヴリール「大事な人だよ、恋人なんかよりもっと大事な人」
完
元スレ
ガヴリール「私が二人とか何の冗談だよ…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491300753/
ガヴリール「私が二人とか何の冗談だよ…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491300753/
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コメント一覧 (18)
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- 2017年04月05日 01:18
- ガヴ×ガヴのカップリングとか新しすぎる
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- 2017年04月05日 01:22
- うまいと思う
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- 2017年04月05日 01:29
- 素晴らしい可能性を見た気がする!
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- 2017年04月05日 01:37
- 新しい!!
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- 2017年04月05日 01:43
- 天使ガヴのヒモになる駄天使ガヴかと思ったらいい話だった
-
- 2017年04月05日 01:45
- ガヴガヴ、新境地だ
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- 2017年04月05日 02:44
- いいゾ〜これ!
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- 2017年04月05日 04:31
- 素晴らしい
ちゃんとハッピーエンド?だし、こういう話大好き
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- 2017年04月05日 04:54
- Excellent fuuu↑↑↑
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- 2017年04月05日 08:38
- 素晴らしい可能性を見た
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- 2017年04月05日 12:11
- ゼルエルってやっぱ無能だわ
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- 2017年04月05日 13:21
- でかくなったハニエルはこんな感じなんだろか
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- 2017年04月05日 14:44
- やばいwwニヤニヤが止まんない
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- 2017年04月05日 18:41
- ゼルエル姉さんの反応がめっちゃ気になる
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- 2017年04月05日 20:28
- ゼルエルの立つ瀬がないなこりゃw
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- 2017年04月05日 23:07
- 不覚にも少し泣きそうになった
天使ガヴがご飯作って食べてもらえなくてシュンとして、駄天ガヴが布団に運ぶあのシーン大好き。
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- 2017年04月07日 02:00
- 可能性って無限なんやな
俺も俺に恥ずかしくないように頑張ろうって思えた。ありがとう。
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- 2017年04月08日 12:47
- これは良いガヴリング