ラフィエル「ナイスマクドウェル!」サターニャ「サンキューエインズワース!」
- 2017年03月21日 09:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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ラフィエル「ナイスマクドウェル!」
控え室
サターニャ「この戦いが終われば、私が世界一のマクドウェル使い……!」
少女は十字架をモチーフとした髪飾りを握りしめるーー今は亡き戦友(とも)の遺品であった。
サターニャ「さ、決めてくるわ!」
事の始まりは、ほんの些細な出来事ーー。
300年前 学校
サターニャ「レッツマクドウェル!」
ラフィエル「カモンエインズワース!」
それは子供のごっこ遊びのようでーー。
ラフィエル「いえいえ、サターニャさんこそナイスマクドウェルでしたよ!」
ラフィエル「そうだサターニャさん、よければマクドウェルのコツとか教えて頂けませんか?」
サターニャ「なんでよ!あんたにはエインズワースがあるじゃない!」
ラフィエル「マクドウェルも魅力的ですので~」
サターニャ「そ、そう?」
ラフィエル「なるほど……では、この時の右上は、こうですか?」
サターニャ「もうちょい下」
ラフィエル「……こう!」
サターニャ「惜しい」
ラフィエル「……こう?」
サターニャ「ナイスマクドウェル!」
サターニャ「せっかくだから私にも教えてよ、エインズワースのコツ」
ラフィエル「いや~、サターニャさんにはまだ早いのでは?」
サターニャ「なんでよ!私だって……」
マスター「君達、もしやマクドウェル使いなのかい?」
ラフィエル「はい?」
サターニャ「誰よあんた」
マスター「通りすがりのマクドウェル使いさ……私の目に狂いがなければ、君達にはマクドウェルの才能がある!」
ラフィエル「マクドウェルの」
サターニャ「才能⁉︎」
数ヶ月後 道場
マスター「右上!右下!はい!ターン!かーらーのー前!」
サターニャ「ほっ、はっ、せーのっ、はい!」
マスター「うむ、やるな胡桃沢……ナイスマクドウェル!」
サターニャ「サンキューマクドウェル!」
マスター「……白羽は、少し休もうか」
ラフィエル「……!」
ラフィエル「いえ、ワンモアマクドウェル、です」
サターニャ「……ラフィエル」
達人にしか分からない高レベルで、しかし確実に、実力差は開いていったーー。
サターニャ「ラフィエル」
ラフィエル「!」
サターニャ「あんた、泣いて」
ラフィエル「ません!」
サターニャ「……そうだ、久しぶりに見せてよ、エインズワース」
ラフィエル「え?だって、今の私はマクドウェル使いですし」
サターニャ「エインズワースしてる時のあんた、すっごく楽しそうだったもの……少しだけ、ね?」
ラフィエル「……では、少しだけ」
しかし、これが大きな過ちであったーー。
サターニャ「!」
ラフィエル「……どうでした?」
サターニャ「今、分かったわ」
ラフィエル「はい?」
サターニャ「あんたにはエインズワースの才能がある!いえ、マクドウェルを磨いたからこそ、エインズワースのレベルも上がったと見るべきね!」
ラフィエル「……!」
サターニャ「そうだ!私にも教えてよ、エインズワース!」
ラフィエル「し、仕方ないですね~」
ラフィエル「もう少し上ですね、あと左下は……こう!で、こう!」
サターニャ「え?それって私から見て?あんたから見て?」
ラフィエル「あ、私から見てです」
サターニャ「どおりで」
ラフィエル「ではもう一度……こうしてこうして、回して……はい!」
サターニャ「よっ……はっ……てい!……どう?」
ラフィエル「うーん、初めてにしては良いエインズワースですね」
サターニャ「ぐぅ……悔しいけど、やっぱりマクドウェルで我慢するわ」
ラフィエル「サターニャさん!」
サターニャ「な、なによ⁉︎」
ラフィエル「マクドウェルにはエインズワースに無い素敵な部分がたくさんあります!」
サターニャ「……そうね、マクドウェルとエインズワース、どっちが上とかじゃないものね!」
ラフィエル「です!」
サターニャ「そうだ、昔みたいに勝負してみない?私はマクドウェル、ラフィエルはエインズワースで」
ラフィエル「望むところです!」
サターニャ「では、レッツマクドウェル!」
ラフィエル「カモンエインズワース!」
マスター「おい!何をしている!」
サターニャ「ま、待ってマスター!ラフィエルは」
ラフィエル「サターニャさん!!!!」
サターニャ「ラフィ、エル……?」
ラフィエル「そうです、私はエインズワース使いです」
マスター「……分かってるな」
ラフィエル「はい……今までお世話になりました」
マスター「……さっさと出て行け」
サターニャ「……ラフィエル……!」
サターニャ(私を巻き込まないように……?)
二人の少女の決別は、突然の悲劇ッ!
少女はマクドウェル使いとしての実力を高めていった。
そして、最後の試練の時ーー。
決別から200年後ーー試練の間。
マスター「私を殺せ……それでお前のマクドウェルは完成する」
サターニャ「……」
マスター「レッツマクドウェル」
サターニャ「カモンマクドウェル」
ーー
マスター「……実力ではお前の方が上だ、胡桃沢」
マスター「なぜ、なぜ殺せない」
サターニャ「……」
最後の一歩を踏み出せずにいた少女ーーその背中を押したのは悲しき訃報ッ!
そう短く綴られた手紙、そして封筒には血の付いた髪飾りが入っていたーー。
その日、最強のマクドウェル使いが誕生したーー否。
最強を決める舞台は100年後ーー《マクドウェル世界大会》である。
実況『さぁーやってまいりました!お待ちかねマクドウェル世界大会、その決勝戦だァーーー!!!!』
ワァァァァアアァァァアア!!!!!
実況『コロッセオを満員にする観客の熱気!心臓の鼓動まで聞こえてきそうだァーーー!!!!』
ワァァァァアアァァァアア!!!!!
実況『それでは降臨して頂こう!赤コーナー!マクドウェルマスターの唯一の愛弟子!“大悪魔”胡桃沢=サタニキアぁーーー!!!!!』
ワァァァァアアァァァアア!!!!!
サターニャ(唯一の愛弟子、ね……そりゃそうか、誰も知るわけない)
ワァァァァアアァァァアア!!!!!
ホワイトウィング「……」
サターニャ「……ホワイトウィング?知らない名ね」
実況『さァ両者!ステージに上がりィ……いくぜ野郎どもォーーー!!!!!』
観客「「「レッツマクドウェル!!!!!!」」」
観客「「「カモンマクドウェル!!!!!!」」」
カァーーーン!!!!!!
実況『さぁゴングが鳴ったァーーー!!!!!!』
ワァァァァアアァァァアア!!!!!!!
ホワイトウィング「……うふふ♥︎」
サターニャ「……?」
ホワイトウィング「ずぅーっと、会いたかったんですよぉ♥︎」
サターニャ「……え、その声」
ホワイトウィング「サターニャさァん♥︎」
サターニャ「……嘘、だってラフィエルは、100年前に、死んだって……!」
ホワイトウィング「うふふぅ♥︎」ユラユラ
実況『どうしたことだァーーー!両者向かい合ったまま動かなァーーーい!』
ホワイトウィング「ほぉらぁ、サターニャさんがぁ、マクドウェル使いになりたいって両親に伝えに行った時ぃ……」
300年前 魔界ーー胡桃沢家
サターニャ父「ガハハ、何を言っている我が娘よ!マクドウェル使いなど、食っていけるわけがないだろう!」
サターニャ母「そうね、真面目に大悪魔になるべきだわ!」
サターニャ「お父様、お母様……!」
サターニャ弟「いやいや、姉さんの目を見れば本気だって分かるだろ?」
サターニャ「弟!」
ーー再び現在
ホワイトウィング「あの時の弟さん、素敵でしたよねぇ」
サターニャ「な、んで、その話はサタニキアファミリーと、ラフィエルしか知らない……!」
ホワイトウィング「うふふ♥︎」カチャ
ラフィエル「死にましたよ、ラフィエルは……そして最強のマクドウェル使いとして生まれ変わったんです」
サターニャ「そう、いうことね……」ザッ
実況『両者、動……ッ!いや!どうした胡桃沢ァ!急に膝を着いたァーーー!!!!』
サターニャ(ぐっ……この動き、ただのマクドウェルじゃない……!)
ラフィエル「私は、マクドウェルにエインズワースをガヴリールしたんです♥︎」
サターニャ「ま、さか……そんなこと不可能よ!」
ラフィエル「できちゃいましたぁ♥︎」
ラフィエル「はい?」
サターニャ「……約束したのよ」
ラフィエル「はぁ」
サターニャ「……マクドウェルオブマクドウェルになるって」
ラフィエル「……誰と?」
サターニャ「あんたよ!!!!白羽=ラフィエル“エインズワース”!!!!!!」
ラフィエル(サターニャさんーーー魔力の波動が変わっ)
実況『どうしたどうしたァーーー!!!!!今度はホワイトウィングが吹っ飛んだァーーー!!!!!』
サターニャ「あんたがマクドウェルとエインズワースをガヴリールするってんなら!」
サターニャ「私は!マクドウェルとエインズワースを!ヴィネットする!!!!!」
ラフィエル「まさか!いえ、理論上は可能だけれど、そんなの人間の身体が耐えられるわけーー」
サターニャ「私は“大悪魔”よッ!」
ラフィエル「よけ切れなーー」
実況『……』
ラフィエル「」
サターニャ「……」グッ
実況『決着ゥーーー!!!!!』
実況『勝ったのは!“大悪魔”胡桃沢=サタニキア“マクドウェル”だァーーー!!!!!!!』
ワァァァァアアァァァアア!!!!!!!
ラフィエル「……ナイス、マクドウェル」
サターニャ「サンキュー、マクドウェル」
ワァァァァアアァァァアア!!!!!!!
サターニャ「……勝った」
サターニャ「私が、世界一」
サターニャ「これで、終わっーー」
ーーー
ーー
ー
サターニャ「……」パチッ
サターニャ「……なんで負けたあんたが先に起きてるのよ」
ラフィエル「うふふ、そりゃあサターニャさん、マクドウェルとエインズワースをヴィネットしたんですもの」
サターニャ「……言いたいこと、たくさんあったけど……もういいわ」
ラフィエル「……」
サターニャ「表彰式、これからなんでしょ?行くわよ」
ラフィエル「はいっ♪」
そして二人のマクドウェル使いのマクドウェルは、エインズワースとの関係を変えるものでもあったーー。
マクドウェルとエインズワースをガヴリールする、ヴィネットするーー誰もが思い描きながらも、決して到達することの出来なかった境地。
それが可能と示された事でマクドウェル、そしてエインズワースは更なる発展を見せ、そしてーー!
ガキ「ねぇばぁちゃん!ばぁちゃんって、昔マクドウェルやってたって本当⁉︎」
サターニャ「そうさねぇ、ずーっとずぅーっと昔にねぇ」
サターニャ「うるさいガキだねぇ……でもね、マクドウェるには相手が必要さねぇ」
ラフィエル「ちょっとそこのばぁさんや」
サターニャ「あんたこそばぁさんじゃないの」
ガキ「どっちもばぁちゃんで、よく分かんね」
ラフィエル「どなたか知らんが、マクドウェるかいのォ?」
サターニャ「……せっかくじゃのォ、いっちょマクドウェるかのォ」
ラフィエル「ワシらのマクドウェル」
ガキ「……」
ガキ「……すっげぇや!俺、マクドウェル使いになる!」
サターニャ「ほほっ」
ラフィエル「うふふ」
そんな未来を生きるであろう君に、この言葉を贈ろうーー。
困難にぶつかった時、どうしようもなくて泣きたくなった時ーー君の支えになりますように。
『ナイス、マクドウェル!』
ーーーー胡桃沢=サタニキア=マクドウェル著『サターニャ論』より
おわり
ありがとうございました
サターニャが最強のマクドウェル使いになったのと同時にラフィエルも最強のマクドウェル使いになった事を表す叙述トリックになっています
元スレ
ラフィエル「ナイスマクドウェル!」サターニャ「サンキューエインズワース!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490027215/
ラフィエル「ナイスマクドウェル!」サターニャ「サンキューエインズワース!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490027215/
「SS」カテゴリのおすすめ
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コメント一覧 (7)
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- 2017年03月21日 09:45
- すごい(こなみかん)
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- 2017年03月21日 10:28
- 叙述トリックを説明したらあかんだろ
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- 2017年03月21日 16:17
- なんやこれは涙が止まらへん
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- 2017年03月21日 20:24
- なんだこれ…
なんだこれ…?
とりあえずナイスマクドウェル
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- 2017年03月21日 20:47
- マクドウェルって動詞なのか名詞なのかどっちなんだ…?
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- 2017年04月07日 03:09
- 「ヴィネットする」という変に語呂はいいパワーワード
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- 2017年04月08日 18:31
- ちょっとなにいってるのかわかんない