QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」ガヴリール「はあ?」
- 2017年03月21日 03:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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ガヴ「なんで食べ物って食べたら無くなるんだよ…神様も手抜くなよな…」
ガヴ「さて、帰ったらゲームしてゲームして飯食ってゲームして…ゲームしようかな」
ガヴ「……ん?」
ガヴ「どこだ?ここ」
ガヴ「…なんか、嫌な雰囲気だな」
ガヴ「」
ガヴ「な、なんだなんだなんだなんだこれっ!」
ガヴ「に、逃げなきゃっ…」
「GYAAAAAAAA」
ガヴ「くそ、クソッ!!成功してくれよ…」
ガヴ「神速通!!!」シュン
ガヴ(…成功して、良かったあ……)
QB「…驚いたな、魔女の結界から脱出できる人間がいるだなんて」
ガヴ「!?」
ガヴ「な、なんだ、お前は…」
QB「僕の名前はキュゥべえ。天真=ガヴリール=ホワイト、今日は君にお願いがあって来たんだ」
ガヴ「な、なんだよ、なんで私の名前…」
QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
ガヴ「は!?」
ガヴ「魔女…?」
QB「さっき君を襲った怪物だよ。彼らは、放っておけば世界に災いを振り撒き続ける。不自然な自殺や行方不明、殺人事件といったものは、大体がこの魔女によるものなんだよ」
ガヴ「…そんなおっかないもんを、倒せって?」
QB「君には魔法少女の素質がある。僕が見えるということは勿論、魔女の結界から無傷で脱出できる程の力…少なく見積もっても、君は間違いなく最強の魔法少女になるだろう」
ガヴ「なんで私がそんなわけわかんねーもんにならないといけないんだよ。ただでさえ私はネトゲで忙しいんだ…」
ガヴ「悪いが、私にボランティアの精神はない。どうして自分の知らない奴のために戦わなきゃならないんだ」
QB「もちろんタダでとは言わないよ。魔法少女になるための契約をしてくれるなら、君の願いを何でも一つ、叶えてあげる」
ガヴ「」ピクッ
ガヴ「……なんでも?」
ガヴ「……一応聞くが、それは『魔法少女』とやらになる、という契約さえすれば、叶えてくれるんだよな…?」
QB「?もちろんだよ。あくまで僕の目的はそれだけだからね…」
ガヴ「…わかった。じゃあ契約してやる」
QB「本当かい?じゃあ早速、君の願いを聞かせてもらえないかな」
ガヴ「私は……飯も食わず、睡眠も取らず、一生ネトゲで遊ぶことが出来る…課金もいくらでもすることが出来る…そんな生活を送りたい」
QB「なるほど。…君の願いは、エントロピーを凌駕した」
パァァァァ
ガヴ(っ!?な、なんだッ…これっ……)
QB「受け取るといい、それが君のソウルジェムだよ!」
QB(これまで僕が契約してきた子たちとは明らかに違う……)
QB(でも、彼女は間違いなく人間だ。僕たちの持つデータでは、彼女を人間としてカテゴライズする他に方法はない…)
QB(…彼女の持つ、多大なる素質が、魂に何らかの影響を及ぼしたのか)
QB(わからないな……まぁいいさ、どうせ宇宙のエネルギーに収束する魂だ)
QB(僕たちの目的は、あくまでこの宇宙の延命だからね)
ガヴ「……ゆ、夢?」
ガヴ「ん……あれ、起きたばかりなのに、全然眠くない…」
ガヴ「……なんだ、この宝石」
ガヴ(金色に光っている……なんだろう、見ていて心が安らぐような……)
ガヴ「……あ、そうか」
ガヴ「私、魔法少女になったんだ」
ガヴ「………」
ガヴ「こんなの……一生遊んで暮らせる金じゃんか……」ワナワナ
ガヴ「ほ、本当だったんだ……!」
ガヴ「あの化け物も、魔法少女も、謎生物も、願い事も…!」
ガヴ「…ククク、爪が甘いな、キュゥべえ」
ガヴ「私は絶対に魔女退治なんかしないぞ。願い事さえ叶えてもらえれば、あとはこっちのもんだ」
ガヴ「このまま一生遊んで暮らさせてもらうよ。はっはっはっは!!!」
ヴィーネ(休みの連絡も来てないし……もしかして、何か事故にでもあったのかしら……)
ヴィーネ(…だとしても大丈夫よね、腐っても天使なんだし)
ヴィーネ「はあ」
サターニャ「ヴィネットヴィネット!!」
ヴィーネ「何よ、来るなり騒々しいわね」
サターニャ「ククク……全く、気合が入ってないわね!こんな記念すべき日に…!」
ヴィーネ「何があったの?」
サターニャ「聞いて驚きなさい!!新しい使い魔を手に入れたわ!」
ヴィーネ「へえ、使い魔?」
ヴィーネ(また何かに影響されたのかしら…)
サターニャ「あっ、ちょっ!出てきちゃダメじゃない!先生に怒られるわ!」
ヴィーネ「!?さ、サターニャ!?どうしたのその子!?」
ヴィーネ(というか、なんて生き物!?)
QB「大丈夫だよ、僕の姿は素質のある子にしか見えない。そしてそれは、この学校の中じゃ、君たち二人と…あと一人だけのはずだからね」
サターニャ「ああ、なんかまた幻聴が聞こえるわ…どうしちゃったのかしら」
ヴィーネ「…サターニャ、たぶんこれ幻聴じゃない…」
QB「…君は話がわかる人みたいだね、助かるよ、月乃瀬=ヴィネット=エイプリル」
ヴィーネ「……あの、諸々説明してくれない?ちょっと頭混乱してるから…」
QB「理解してもらえたかな?そして、ヴィネットとサターニャ、二人には、その魔法少女としての素質がある」
サターニャ「」ホエ~
QB「…特に、サターニャの持つ潜在能力は素晴らしい。彼女が契約すれば、すぐにトップクラスの魔法少女になれるだろう」
サターニャ「と、とっぷくらす?それって大悪魔って意味よね!!」
サターニャ「当然よ!私は全ての魔界を統べるもの…胡桃沢=サタニキア=マグドウェルだからね!」
QB「うん、まあ、そういうこと」
ヴィーネ(というか、人間に災厄をもたらす存在って…悪魔のことじゃないの?)
ヴィーネ(でも、この人?は私たちにも魔法少女としての素質があると…)
ヴィーネ(…ううん、人に迷惑をかけてるなら、手伝ってあげないといけないんだろうけど…魔界への謀反という扱いをされないかどうかが心配だわ…)
サターニャ「なんかよくわかんないけど、魔法少女?になったら、何でも一つ願いを叶えてくれるのよね!」
QB「うん。魔女との戦いは苛酷なものだ。無償でお願いするわけにはいかないよ」
サターニャ「だったら、なってやるわよ!ククク…人間の味方をするのは癪だけど、あくまで私は自分の願いのためにっ!力を行使するわっ!これぞ悪魔的行為-デビルズアクション-っ!!」
ヴィーネ「ちょ、ちょっとサターニャ!」
QB「その気になってくれて嬉しいよ。なら、早速願いを」
ラフィ「あらあら~?皆さんお揃いでどうしたんですか~?」
ラフィ「?どうしたんですそんなに慌てて…あら、可愛い猫ちゃんですね」
QB「…何の用かな?白羽=ラフィエル=エインズワース」
ラフィ「何と言われましても…ただちょっと、サターニャさんにお話があっただけですよ」
ヴィーネ「サターニャに?どうしたの?」
ラフィ「ええ。サターニャさん、これに見覚えはありませんか?」サッ
サターニャ「!!そ、それはっ…!私が買おうと思って棚に戻した、究極メロンパンっ……!」
ラフィ「実は私間違えてこれを買ってしまって…欲しい人を探しているのですが」
サターニャ「はいはーいっ!欲しいっ!それちょーだいっ!」
ラフィ「うふふ、ならゲームをしませんか?」
サターニャ「げ、ゲーム?」
ラフィ「ルールは簡単です。私を捕まえることが出来たらこれを進呈します」ダッ
サターニャ「あ、ちょ、待ちなさいっ!」ダッ
QB「あ、ちょっと、サターニャ!」
ヴィーネ「全く、またラフィったら…」
ヴィーネ「え、うん。私は契約してあげてもいいと思ってるけど…」
ヴィーネ(ラフィはどうするんだろう…?あの子にも、キュゥべえのことは見えていたはずだけど…)
QB「そうかい、それはとても嬉しいよ!この街に来て二日で、二人と契約を結ぶことが出来るなんて…」
ヴィーネ「二人…?」
QB「昨日も一人契約したんだよ。君が魔法少女になったら、その子と協力して、魔女を退治するといい」
ヴィーネ「わかったわ。…でも、魔法少女になるのは、少し待ってくれない?」
QB「?…どうしてだい?」
ヴィーネ「少し、考えたいのよ…自分の願い事について」
QB「…そういうことなら、構わないよ。じっくり考えてくれ」
QB「……ま、サターニャがいる限り、間に合わなくなるなんてことはないだろうしね」ボソリ
ヴィーネ「……?何か言った?」
QB「じゃあ、僕はまた別の素質を持つ女の子を探しに行くよ。覚悟を決めたらいつでも呼んでね、待っているよ」
ヴィーネ「……行っちゃった」
ラフィ「捕まっちゃいました」ニコニコ
サターニャ「ってあれ!?私の使い魔はどこ!?」
ヴィーネ「サターニャが鬼ごっこしてる間に、他の女の子を探しに行ったわよ」
サターニャ「はあ!?主人である私を差し置いて、生意気~!」
ラフィ「そもそもサターニャさんはあの猫さんの何でもないですから…」
サターニャ「むううっ!こうなったら、使い魔を探しに行くわよ!」
ラフィ「ダメですよ~、授業が始まっちゃいます。さ、席について」
サターニャ「ううっ!アレキサンダー二郎ーーーっ!」
ヴィーネ「あの子にはキュゥべえって名前がちゃんとあるのよ…」
ヴィーネ(…先生に休みの理由を聞いてみても、何も聞いていない、とのこと)
ヴィーネ(全く…何をしているのよ、ガヴ)
ヴィーネ(まさか、本当に事故にあったりしてないでしょうね…)
ヴィーネ(……ううっ)
ヴィーネ(…家に行ってみよう)
ヴィーネ「…開かないわね」
ヴィーネ「合鍵合鍵っと…」ガチャ
ガヴ「げ」
ヴィーネ「げ、とは何よ…」
ガヴ「いや、まぁ来るかな~とは思ってたからさ…」
ヴィーネ「来られたくない事情でもあったわけ?」
ガヴ「まぁ、そりゃあ、ね」
ヴィーネ「学校にも行かずずーっとゲームしてたの?」
ガヴ「……うん」
ヴィーネ「ダメじゃない。ガヴがゲームをやるのには今更とやかく言わないけど、せめて学校くらいは…」
ヴィーネ「……え?」
ガヴ「これを見てくれよ」
ヴィーネ「何これ、通帳?………っ!??」
ヴィーネ「ちょ、アンタ、何したの、これ!!」
ガヴ「信じられないかもしれないけどさ…私魔法少女になったんだよね」
ヴィーネ「!!……え?ま、魔法少女?」
ガヴ「なんかそれになったら願いを叶えてくれるっていうから…あ、これその証拠。ソウルジェムって言うんだって」
ヴィーネ「…う、うそ」
ヴィーネ「ガヴが、昨日契約したっていう、魔法少女…?」
ガヴ「…どうやらお前も知ってるみたいだな」
ガヴ「願いは叶えてもらえたからな。『一生ゲームして暮らしたい』っていう…」
ヴィーネ「ちょっと待って、つまり、ガヴは…」
ガヴ「ああ、今までありがとうな。私はこの家で、ずっとゲームをして暮らすよ」
ヴィーネ「そ、そんな…そんなの」
ガヴ「学校なんて行かないし、魔女退治なんてしない。私はこうして生きていくって決めたから…」
ヴィーネ「ふ、ふざけないでよ!」
ガヴ「…相談?これは私のことだ。なんでお前らに相談しなくちゃならないんだよ」
ヴィーネ「っ…」
ヴィーネ(…ああ、そうか。ガヴにとって、私たちって…結局それだけの存在だったんだ)
ガヴ「ラフィとサターニャにもよろしく言っといてくれ。あとキュゥべえにも。見えるんだろ?」
ヴィーネ「……もう、知らない」
ガヴ「ん?」
ヴィーネ「ガヴなんてもう知らないっ!アンタなんて、一人寂しくゲームだけしてればいいんだわ!!」
ガヴ「…言われなくてもそうするつもりだよ。じゃあな、ヴィーネ」
ヴィーネ(友達だって、思ってたのに…)
ヴィーネ(どうして、こんな…)
ヴィーネ「……どうすれば、いいのよ」
ヴィーネ「こんな別れなんて、絶対に嫌だ…」
ヴィーネ「でも、私にはもうどうすることも……」
QB「やあ、どうしたんだいヴィネット」
ガヴ「……なんで、ヴィーネが怒るんだよ」
ガヴ「…私なんかのことなんて、どうだっていいだろ。こんな、駄目で、どうしようもない天使のことなんかさ…」
ガヴ「私は……アイツに何かしてやったことなんてないのに」
ガヴ「………ちっ」カタカタカタカタ
ガヴ「……寝よ。なんか気分乗らない」
ヴィーネ「ガヴの奴、本当信じられない。私がこれまで、どれだけ…」
QB「魔女を退治してくれないと、僕たちとしても困るんだよね。今この街には魔法少女がいない。浄化しないと、呪いはすぐに飽和してしまうよ」
ヴィーネ「……ねぇ、キュゥべえ」
QB「なんだい?」
ヴィーネ「願い事って、本当になんでもいいの?」
QB「願い事という定義は無限にあるから、本当に何でも、というわけにはいかないと思うけど…」
QB「君たち人間の価値観の範囲内でなら、『何でも』と形容して差し支えないだろうね」
ヴィーネ「……そう、なら」
QB「!」
ヴィーネ「さ、サターニャ?」
サターニャ「あなたは私の使い魔なんだから、勝手にどっか行ったりしちゃダメじゃない!」
QB「だから、僕は使い魔じゃないって…」
ラフィ「全く…サターニャさんもいい加減にしましょう?猫さんも困ってますよ」
サターニャ「うげ、ラフィ!なんで?撒いたはずなのに…」
ラフィ「サターニャさんの行動パターンはもはや全てお見通しなんです~♪」
サターニャ「怖いこと言わないでよ!」
ラフィ「お取り込み中失礼しました。じゃあ帰りますよ、サターニャさん」
QB「あ、ちょっと…!」
サターニャ「ちょっ、ラフィ!離しなさいよぉっ!…くうっ、アレキサンダー2号、待っててね!すぐ迎えに行くから!」
QB「…アレキサンダー2号?」
QB「…はあ。彼女は一体何者なんだ」
ヴィーネ「何者かって言うなら、悪魔かしらね…」
QB「悪魔、か…」
ヴィーネ「…ごめん、キュゥべえ。やっぱり、もうちょっと考えさせて」
QB「…うん、それは構わないよ。一生に一度の機会だ。是非悩んでくれ」
ヴィーネ「ありがとう」
ヴィーネ(一生に一度しかない機会を、ガヴのために使ってしまっていいんだろうか)
ヴィーネ(…だって、ガヴは、それを望んでいないんだ)
ヴィーネ(これまで通りにしたい…そう思っていたのは、実は私だけで)
ヴィーネ(…そのエゴに、魔法という反則技を用いて、ガヴを巻き込んでしまっていいんだろうか)
ヴィーネ(……わからない)
ヴィーネ(でも……このままなんて、絶対に嫌)
ヴィーネ(…明日も、ガヴの家に行こう)
ヴィーネ(動かないと、何も始まらないもの)
ラフィ「おはようございます~♪」
ヴィーネ「…どうしたのサターニャ」
サターニャ「」
ヴィーネ「?何を?」
ラフィ「だからあの猫さんとはお話しちゃダメって言ってるじゃないですか。あの子は忙しいんですよ」
サターニャ「じゃあなんでキュゥべえは私のところに来るのよ!」
ヴィーネ(あ、誤解解けてる)
ラフィ「いいですか、サターニャさんがあの猫さんのことを忘れるまで、私はずっとサターニャさんに付き纏いますからね」
サターニャ「何よそれ!?」
ヴィーネ「ちょ、ちょっとラフィ!さすがにそれはやり過ぎじゃ…」
ラフィ「あ、そういえばヴィーネさん、ガヴちゃん知りませんか?」
ヴィーネ「っ!!」
ラフィ「SNSで連絡を取っているのですが、反応が無くて…親友のヴィーネさんなら、何か聞いてませんか?」
ヴィーネ「…ぅ、…いえ、聞いてないわ」
ラフィ「そうですか…ガヴちゃんが、ヴィーネさんにすらも何も言わないなんて余程のことがあったんでしょうね」
ヴィーネ「………」
ラフィ「心配です…ヴィーネさん、今日みんなでお見舞いに行きませんか?」
ヴィーネ「……ええ、そうね」
ヴィーネ(……何なの?この違和感)
ヴィーネ(よく考えると、最近のラフィ、何かおかしい…)
ラフィ「いくらガヴちゃんといえど、何の理由もなく休むはずがないと思うんですが…」
ヴィーネ「………」
ヴィーネ(…どうして、言えないんだろう)
ヴィーネ(ガヴリールのことについて…どうせ、いつかは言わないといけないのに)
ヴィーネ(…認めたく、ないから?)
ラフィ「…ヴィーネさん、顔色悪いですよ?」
ヴィーネ「っ、そ、そう?」
ラフィ「…悩んでいるなら、すぱっと決断してしまうのも手ですよ」
ヴィーネ「……」
ラフィ「一応アドバイスです。何か思いつめているような気がしたので…」
ヴィーネ「…ありがとう」
サターニャ「…なんかこのドア見ると、トラウマがフラッシュバックしてくるような…」
ヴィーネ「……ガヴ、入るわよ」
ガチャリ
ガヴ「……ヴィーネ。ラフィに、サターニャも」
ラフィ「どうしたんですか?学校にも来ずに、こんなところで…」
サターニャ「ちょ、ちょっと何よこの部屋!?足の踏み場がないじゃない!」
ヴィーネ「………」
ガヴ「…ヴィーネから聞いてないのか?」
ラフィ「ええ。…何も」
ガヴ「ま、そういうわけだ」
ラフィ「……ですよね」
ガヴ「ん?…どういう意味だ?ラフィ」
ラフィ「ただの独り言です」
サターニャ「というか、魔法少女になるのと学校サボんのと何の関係があるのよ。その様子だとまじょたいじ?ってのもしてないみたいだし…」
ガヴ「…『一生遊んで暮らしいたい』、これが私の願いだ」
ヴィーネ「………」
ガヴ「私はこれから、一生ここで、ゲームをする。そう決めたんだ」
サターニャ「…ちょ、っと、待ってよ。それどういうこと…?」
サターニャ「嘘、嘘でしょ!?アンタ今まで私たちと楽しそうにやってたじゃない!」
サターニャ「あれも全部嘘だったっていうの!?」
ガヴ「…そうだ」
ヴィーネ「……っ!」
サターニャ「そ、そんな……」
サターニャ「…嫌よ、私は。こんな形でガヴリールとの関係が終わるなんて絶対に嫌…!」
ヴィーネ(ああ、強いな、サターニャは)
ヴィーネ(私はそこまで素直になれない)
ガヴ「………うるさい、お前らがなんと言おうと、私は」
ラフィ「じゃあ、どうしてガヴちゃんはそんなに辛そうなんですか?」
ヴィーネ「ら、ラフィ?」
ラフィ「おかしいですよね、ゲームをして暮らしたいと言っていた割には、先程までゲームをしていたような節はありませんし……」
ラフィ「サターニャさんやヴィーネさんと…全く目を合わそうともしませんよね?」
ガヴ「………」
ラフィ「……これは私の推測ですが」
ラフィ「ガヴちゃんは、今すっごく後悔してるんじゃないですか?」
ガヴ「……」
ヴィーネ(……ガヴ、が?)
ガヴ「……」
ラフィ「ヴィーネさんの気持ちを知って、その行動の軽薄さに気付き…」
ガヴ「……やめて、くれ」
ラフィ「一晩中悩んで……自分がどうすべきなのか分からなくなって…」
ガヴ「…やめろって言ってんだろ!!」
ラフィ「………」
ガヴ「……あ」
ガヴ「…違う、違うんだっ……」
ヴィーネ「!…が、ガヴ?」
ガヴ「私はっ……!こんな、こんなっ…」
ガヴ「ぐ、うううぅうぅうっ……」
ヴィーネ「ちょっと、大丈夫!?」
サターニャ「!?み、見て、アレ!」
ヴィーネ(……な、何、あれ)
ヴィーネ(宝石?…いや、あんな輝きの宝石なんて、見たことない…)
ヴィーネ(黒く、全てを塗りつぶすような…そんな輝き)
ガヴ「……ぅぐ、ぁあ、あぁあぁっ」
ヴィーネ「…まさか、あれのせい!?」
ヴィーネ(待って、あれって確か…ガヴが魔法少女の証だとか言ってた…ソウルジェム?)
ヴィーネ(まさか……あれが黒く濁りきったら)
サターニャ「が、ガヴリール!しっかりしなさい!」
ラフィ「サターニャさん、一緒にお医者さんを呼びに行きましょう!」
サターニャ「!わかったわ、ラフィ!」
ガチャ
タッタッタッタッ
ヴィーネ「!?きゅ、キュゥべえ!」
QB「近いうちにこうなるだろうとは予想していたけど…まさか、こんな早く来てしまうとは」
ヴィーネ「待って、どういうこと!?あなたはガヴに、一体何を…!」
QB「勘違いしないでくれよ、僕は彼女に一切の害を与えていない。あれは…言わば自業自得と言う奴さ」
ヴィーネ「……?」
QB「ソウルジェムは、魔法少女の分身とも言える存在だ。魔法少女はこれの中に溜められた魔力を使って魔法を行使し、魔女と戦う」
QB「魔力は魔法を使う時だけでなく、生命維持や、精神安定にも使われる。だから、生きているだけでソウルジェムは段々とその輝きを鈍らせてしまう」
ヴィーネ「…ガヴの調子が悪くなったのは、それのせい、ってこと?」
QB「本来なら、魔女を倒した時にドロップするグリーフシードというアイテムを使ってソウルジェムを浄化しないといけないんだけど、彼女は魔女狩りを放棄したからね…」
ヴィーネ「そ、そんな…」
ヴィーネ「…キュゥべえ、私の願いを使って、ガヴを助けることは出来る?」
QB「ソウルジェムの浄化、ということかい?勿論構わないけど…君はそれでいいのかい?」
ヴィーネ「ええ。…難しいことを考えるのはやめにするわ。悩んでたって、どうしようもないもの」
ヴィーネ「私は今自分に出来ることをする…!お願い、ガヴを助けて!」
QB「わかったよ。君の願いは、エントロピーを凌駕した」
パァァァ
ヴィーネ(……っ!な、なに、これっ)
QB「受け取るといい、それが君のソウルジェムだ!」
ガヴ「……」ガクッ
ヴィーネ「……ん、ぅ」
ヴィーネ「…が、ガヴ、ガヴ!」
QB「安心して、気を失ってるだけだよ」
ヴィーネ「そ、そうなの……」
ヴィーネ「良かった、良かった……」
バタン
サターニャ「よく考えたらお医者さんって電話で呼べばいいじゃない!」
ラフィ「それもそうでしたね~」
サターニャ「こんなときによくふざけてられるわね!?」
ヴィーネ「あ、サターニャ、ラフィも」
ラフィ「ヴィーネさん。…あら?ガヴちゃんは、もう大丈夫なんですか?」
ヴィーネ「ええ。…お陰様でね」
サターニャ「そ、そうなの…?よ、良かったあ…」
QB「さて、ヴィネット。早速だけど、お仕事を頼んでもいいかな?」
ヴィーネ「え?」
サターニャ「?ヴィネットがどうしたの?」
ラフィ「……」
ラフィ「随分と都合のいい展開ですね~」
ヴィーネ「何これ……まさか、これが?」
QB「さ、来るよ。サターニャ、ラフィエル、君たちは安全な所へ避難するといい。ガヴリールを連れてね」
ラフィ「……はい、分かりました」
魔女「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
ヴィーネ「…な、何これ」
QB「さぁ、ソウルジェムに語りかけるんだ、ヴィネット」
QB「君の力を…希望を、絶望を、…感情全てを、解き放て」
ヴィーネ「………っ!」
サターニャ「!?なにあれ、かっこいい!」
ラフィ「…ガヴちゃ~ん、起きてくださ~い」
ガヴ「……ん、ぅ…」
ヴィーネ「うあああああああああっ!」
ザシュ ザシュ ザシュ!
サターニャ「な、何よあのバケモノ!」
QB「あれが魔女だよ。魔法少女はその願いを叶える代わりに、魔女を倒す使命を帯びるんだ」
サターニャ「……そ、そうだった、の」
ラフィ「そうですよ、魔法少女はとっても危険なお仕事なんです。だからなりたいだなんて思わないことですね」
QB「ヴィネットはさすがだね、初陣にしては上出来じゃないか」
サターニャ「え…?でもだいぶ辛そうだけど…」
QB「やっぱりソロは厳しいね。もう1人くらい、魔法少女がいたらいいんだけど…」
サターニャ「っ…!だったら、私が」
ガヴ「……ったく、しょうがねぇ」
サターニャ「え?」
ラフィ「やっと起きましたか」
ガヴ「……」
ヴィーネ「が、ガヴ……」
ガヴ「…なんかよくわかんないけど」
ガヴ「私は、お前のおかげで助かったみたいだな」
ヴィーネ「ガヴ…あなた、魔女退治なんて、しないって…」
ガヴ「…さすがに状況見て決めるわ。お前が戦ってんのに、見殺しになんて…出来るかよ」
ヴィーネ「………っ」
ガヴ「……すまん、ヴィーネ。私は、大切なことが何一つ見えてなかった」
ガヴ「…迷惑かけた。でも、お前らのおかげで気付けたよ」
ガヴ「ありがとう」
ヴィーネ「ガヴっ、ガヴううっ!!」
サターニャ「……まぁ、いいわ。みんな助かったみたいだし…」
QB「………」
ラフィ「そうですね…みんな無事です。ガヴちゃんも、また学校へ来てくれるみたいですし…」
ヴィーネ「お待たせ、2人とも」
ガヴ「……サターニャ、ラフィ。ありがとな。さっきまでの私はどうかしてた」
ラフィ「うふふ、いいんですよ」
サターニャ「もう逃げたりしないわよね!これでお別れなんかじゃないわよね!」
ガヴ「ああ……逃げないよ。約束する」
ヴィーネ「…!ガヴ」
ラフィ「嬉しそうですね、ヴィーネさん」
ラフィ「そうですよね。大切なものを失うことって、辛いですよね」
ヴィーネ「…そうね。ガヴは、私にとってかけがえの無い存在よ」
ガヴ「……恥ずかしいこと言うなよ」
ヴィーネ「あっ、勿論変な意味じゃないわよ!?友だちとしてっ…」
ガヴ「ははっ、わかってるっt」
パリン
ガヴ「」
ヴィーネ「…ぇ」
ラフィ「…ふふ」
サターニャ「…………?」
QB「……君は」
ラフィ「『魔法少女の魔女化を防ぐためには、魔女化する前のソウルジェムを破壊すればいい』」
サターニャ「ラフィ、何言ってるの?…ガヴリールに、なにをしたの?」
ラフィ「『魔法少女を急速的に魔女化させるには、何物にも替え難い、深い絶望を与えればいい』」
QB「…君は、何者なんだ」
QB「君は何が目的なんだ、白い悪魔」
ラフィ「…『魔法少女の契約を阻止するためには』」
ラフィ「『真実を、突きつければいい』」
ヴィーネ「ガヴを、返して」
ヴィーネ「かえして、よおおおおっ!」
サターニャ「っ!?ヴィネット!?」
ラフィ「…いいですよ、ヴィーネさん」
ラフィ「思う存分、暴れてください。その様を…サターニャさんに、見せつけてあげてください」
ヴィーネ「ぁ、ぁあ、あぁああっ、AAぁAAあぁぁあAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
ラフィ「さて…この時間軸では初めての戦闘ですが…」
ラフィ「相手はヴィーネさんですし、問題は無いでしょう」シャン
QB「!?君は……魔法少女!?でも、おかしい…僕は君と契約した覚えは」
サターニャ「ヴィ、ヴィネット!?ヴィネットなの!?なんで!?何がどうなってるのよ!?」
魔女ヴィーネ『AAAAAAAAAAAA』
ラフィ「…やっぱり楽ですね」
ラフィ「ガヴちゃんや、サターニャさんとやり合った時の方が、数百倍も辛かったですよ」
バキッ
魔女ヴィーネ『GYAAAAAAAAAAAAAA』
サターニャ「よくわからないけど…それ、ヴィネットなんでしょ!?これ以上傷付けるのはやめてあげてっ…」
ラフィ「違いますよ、これはヴィーネさんであってヴィーネさんではありません」
サターニャ「っ……」
ラフィ「夢を叶えた代償……魔法少女の成れの果て、それがこの、魔女と呼ばれる怪物です」
ラフィ「キュゥべえ…インキュベーターの目的は、魔女を退治することじゃない…魔女を生み出し、その際に生まれた感情エネルギーを回収すること」
QB「……君は、なんなんだ」
QB「どうして、そこまで」
ラフィ「…うふふ♪そんなことはどうでもいいじゃないですか」
ラフィ「私は、この光景をサターニャさんに見せることが出来ただけで、十分です」
サターニャ「……わからない」
サターニャ「ラフィエルが、何を言ってるのか、さっぱりわからない……」
魔女ヴィーネ『……GUUUUU…』
ラフィ「…ごめんなさい、ガヴちゃん、ヴィーネさん」
ラフィ「サターニャさんを救うには、もうこれしか方法は無かったんです」
ラフィ「さようなら」
魔女『AAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』
サターニャ(目の前で、二人の友だちが、友だちに殺された光景を見せられた私は)
サターニャ(もう、何も考えられなくなった)
サターニャ(頭の中で常に奇怪な音が響くようになって)
サターニャ(夜も眠れないし、何も食べる気が起きない)
サターニャ(今私は、魔界の精神病院で治療を受けている)
サターニャ(…あの日のことは、もう遠い夢の中の出来事のようにしか思えない)
サターニャ(けれど、最後に見た、ラフィエルの顔だけは、忘れられなかった)
サターニャ「……ぁ、ぐぁ」
サターニャ「…なんで、どうして」
サターニャ「……ぁあぁあああっ!!」
ラフィ「サターニャさんの精神の問題は考えていませんでしたね」
ラフィ「ですが、まだ大丈夫です」
ラフィ「失敗しても、何度でもやり直せばいい…」
ラフィ「ガヴちゃんの契約前に戻れないのは非常に難点ですが、仕方ありません」
ラフィ「…次のループで、サターニャさんを救ってみせる」
ラフィ「私は、諦めません」
end
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コメント一覧 (6)
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- 2017年03月21日 03:35
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- 2017年03月21日 04:04
- 誰か、私と契約してネトゲ手伝ってよ
二人の方がレベル上げがはかどるからさ
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- 2017年03月21日 04:05
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ヴィーネ…サターニャ…
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- 2017年03月21日 07:56
- ガヴリールが「一生」じゃなくて「永遠に」って願いにしておけば魔女化せずにすむのに(多分)
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- 2017年03月21日 20:21
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多分魔女になってもゲームできる性質になるだけだと思う