二宮飛鳥「一陣の風、サクラ色」
村上巴「ふむ……」スッ
飛鳥「っ……」パチン
巴「…」パシ
飛鳥「…!……」カッ
巴「ほう…」タシッ
飛鳥「………」ススッ
飛鳥「……」パシッ
巴「……」ススッ
飛鳥「……クッ…」パチ
巴「……ほれ」カツッ
飛鳥「……」
飛鳥「……した」
巴「聞こえんの」
飛鳥「…参り、ました」
巴「うむ。良い試合じゃった」
巴「フン、盤を挟めば真剣勝負じゃ。手なんぞ抜かんわ」
飛鳥「ボクもまだまだか…」
巴「始めて間もない弟子に負けるなんぞ村上の名がすたる。当然の結果じゃけ」
飛鳥「…」
巴「じゃが流石、飲み込みは早いのう。一瞬ヒヤッとしたわ」
巴「勝負を焦るからあがぁなるんじゃ。王より飛車を可愛がるんはへぼ将棋じゃぞ」
飛鳥「…降参だよ。ぐうの音も出ないな」
巴「精進するんじゃな。うちはいつでも相手してやるけぇ」
飛鳥「ああ。次こそは…」
飛鳥「気に入ったんだよ、コイツが」
巴「生粋の居飛車党のつもりじゃったが…うちもたまには振ってみようかのう」
飛鳥「ボクにはまだ、戦略の細やかなイロハは理解らないけれど。いつか、盤上を支配してみせる…飛龍と共に」
巴「…楽しみじゃ」
「(…よし今だ!悠貴ちゃん、ゴー!)」ヒソヒソ
「(は、はいっ!いきますっ!)」ヒソ
ガチャッ
飛鳥「?」
巴「あん?なんじゃ?」
姫川友紀「飛鳥ちゃん、巴ちゃん!やっほー!」
巴「なんじゃ、誰かと思うたら。友紀に悠貴か」
飛鳥「(ゆきゆうき…)どうしたんだい?2人揃って」
友紀「いやー、さっきから入るタイミング伺っててさ」
悠貴「すっごい緊張感で…なかなかドアを開け辛くてっ!」
巴「気にせんで入ってくりゃあええのに」
友紀「2人の真剣勝負、邪魔しちゃ悪いなーって思って!」
巴「…む、そうかの。言われて悪い気はせんな」
飛鳥「あぁ、そう思ってもらえたのなら光栄だよ。…ボクは負けてしまったけれど」
友紀「…大事なのは勝ち負けだけじゃないと思うよ、飛鳥ちゃん」
巴「そうじゃぞ。向かい合うて、相手を見る。思考を交わす。…そして、相手を知る。その過程こそが、将棋の醍醐味じゃ」
悠貴「おぉーっ…」
飛鳥「…そうだったね」
飛鳥「ああ、最近巴に教えてもらってね。修行中の身さ」
友紀「あたし、ツツゴウなら知ってるよ!」
巴「?つつ…なんじゃと?」
飛鳥「…それ、もしかして"香車"のことかい」
友紀「それだ!頼れるバッターになったよね!」
飛鳥「全然違う。香の字しか合ってないじゃないか」
友紀「違ったかー」
悠貴「私、将棋はやったことなくって…む、難しくなければっ!」
巴「なに、そう難しいことなぞないわ」
飛鳥「駒の動かし方さえ覚えれば、後は経験だよ」
悠貴「なら、少しだけ…。あっでも、やっぱり将棋はまた今度にしてもらえますかっ?」
悠貴「はいっ!公園にキャッチボールしに行こうって、友紀さんがっ!」
飛鳥「…へぇ」
友紀「そうそう。他にも誰か誘おうと思ってさ!」
悠貴「もう少し長引くようだったら、お2人は誘わずに行くつもりだったんですっ」
巴「なるほどの」
悠貴「どうですか?飛鳥さん、巴さんっ!」
巴「断る」
飛鳥「ボクも」
悠貴「えーっ!」
友紀「ありゃ」
飛鳥「あいにく、ボクは今そんな気分じゃないんだ」
悠貴「そんなぁ…」
友紀「まあまあ。この2人には、何度も断られてるし。あたしは慣れちゃったかな!あはは!」
悠貴「…飛鳥さんはともかく、巴さんは野球好きじゃないんですかっ?」
飛鳥「(ともかく…)」
巴「あぁ、野球はよう観とるぞ。実家でも、地元の中継を親父たちと一緒に観ていたもんじゃ」
友紀「そんなに固っ苦しく考えることないと思うんだけどなー」
巴「じゃかぁし。友紀の球遊びになんぞ付きおうてやれん、やるんなら真剣勝負じゃ」
友紀「はいはーい。じゃあ巴ちゃん!次のキャッツ戦の時は、一緒に応援しようね!」
巴「…考えとくわ。うちらが負けるハズないがの」
友紀「ふふっ。…ね?いっつもこんな感じなんだ!」
悠貴「そうだったんですか…」
飛鳥「(ゆうきゆき…)確かに、無理強いは良くないな」
友紀「むー。どういう意味さそれー!」
悠貴「い、いえっ!無理だなんてそんなっ」
友紀「そうだよ!無理矢理なんて誘ってないもん!」
巴「…」
悠貴「それでも、友紀さんに誘ってもらえたのが嬉しくてっ!ランニングだけじゃなくって、たまには別のスポーツで汗を流すのも良いなって思ったんですっ!」
友紀「悠貴ちゃん…」
悠貴「無理なんてしてないですよっ、友紀さんっ!キャッチボール、私に教えてくださいっ!」
友紀「うん、任せてよ!ありがと悠貴ちゃん!」
巴「…ほうか。いらん節介じゃったな。すまん」
悠貴「大丈夫ですよっ!謝らないでください、巴さんっ」
悠貴「ふぇっ?い、妹ですかっ?」
友紀「うん、妹!悠貴ちゃんが妹だったら、毎日キャッチボールに誘ってるのになぁ…」
悠貴「ま、毎日はちょっと…。ランニングなら、毎朝やっていますけどっ」
友紀「あたしも付き合うよ?野球と走りこみの日々だねっ!」
友紀「もっちろん。アイドルは、体力も大事だもん!何でもバッチ来いだよ!」
悠貴「わぁっ!…私、友紀さんの妹でも良いような気がしてきましたっ」
友紀「ホント!?」
悠貴「はいっ!友紀さ…友紀お姉さんっ!」
友紀「はうぅっ!な、なんて破壊力…悠貴ちゃん!」
悠貴「何でしょうっ、お姉さんっ!!」
飛鳥「…悪かったね、素直じゃない年下で」
巴「全くじゃ」
友紀「よーし悠貴ちゃん!公園までダッシュだ!」
悠貴「はいっ!」
友紀「闘魂を、込めろー!!」
悠貴「おーっ!」
バタバタ…
飛鳥「…そうだね」
巴「年上が一番騒がしいんはどうなんじゃ」
飛鳥「元気があるのは良いことさ」
飛鳥「ああ」
巴「次は見よう見真似で振ってみるか…いやしかし、下手な将棋は指せんし…むむ」
飛鳥「チェスならそれなりに勝つ自信があるんだがな…」
巴「…なんじゃ、やる前から負け惜しみか?」
飛鳥「いいや、そんなつもりではないよ」
巴「…なるほどの。今度はそちらの土俵で、と言いたい訳か」
飛鳥「さて、どうだろうね。ボクはいつだってウェルカムだけれど」フフッ
巴「面白い…」
乙倉ちゃんCD&ボイスおめでとうございます。今後の活躍にも期待しています
ユッキじゃないけど、自分の好きなものが他の人にも伝わるのってとても嬉しいことですよね。最後のチェスに関してはあくまでイメージですが
元スレ
二宮飛鳥「一陣の風、サクラ色」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488276751/
二宮飛鳥「一陣の風、サクラ色」
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コメント一覧 (4)
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- 2017年03月01日 18:28
- 未央ちゃん、ただいま。。。
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- 2017年03月01日 18:47
- ねむみを感じる...
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- 2017年03月01日 19:36
- 田中きなこです(乙倉)
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- 2017年03月03日 01:05
- 対局じゃなくて試合、コウダやカツキじゃなくてツツゴウが出てくるあたり
将棋も野球もイメージだけなんやろなぁ