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舞 「ふたりはプリキュアSplash☆Star」 咲 「星空のともだち!」

2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:35:02.21 ID:H9ECZtsNo

………………海原市夕凪 海岸

満 「…………」

ザザー……ン……ザザー…………

満 「……もう、秋も終わりね」 ブルッ 「海風が肌寒いわ」

満 「絵はもう少しで仕上がりそう?」

薫 「…………」

満 「…………」 ハァ 「……あなたも大概、舞に似てきたわね」

薫 「…………」

満 (きれいな絵……柔らかくて、温かくて、この緑の郷そのもののような、そんな絵)

満 (薫は、そんな絵が描けるようになった)

満 (そして私は、そんな薫が描いた絵をきれいだと、温かいと、思えるようになった)

満 (それもこれも、全部……――)

? 「――おーい! 満ー! 薫ー!」

満 「? あっ……」 ニコッ 「咲!」

咲 「はぁ……はぁ……はぁ……。走ってきたから疲れたよ……」



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:35:46.48 ID:H9ECZtsNo

満 「どうしたの? そんなに急いで」

咲 「えへへー、みんなお腹すかしているかな、って思って」 スッ

咲 「じゃーん! お父さんに言って作ってもらった、焼きたてパン詰め合わせだよ!」

満 「まったく、咲ったら、またお父さんに無理を言って作ってもらったの?」

咲 「む、無理なんか言ってないよー。ちょっと頼み込んだだけだよ」

満 「そういうのを無理って言うのよ」

咲 「むぅー」 プクゥ

満 「それに、急いで来たのだって、咲が早く食べたかったからじゃないの?」

咲 「うっ……」 プイッ 「い、いいよ! そんなこと言うなら、満にはあげない!」

満 「!? ち、ちょっと待ちなさい! 誰もいらないなんて言ってないでしょう!?」

咲 「…………」 ツーン

満 「…………」 ウルウル

咲 「…………」 クスッ 「……ぷっ……ふふ……ははははっ」

咲 「満ったら、涙ぐまないでよ。どんだけうちのパンが好きなのよ」

満 「さ、咲! からかわないで!」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:36:41.84 ID:H9ECZtsNo

咲 「ごめんごめん。さ、みんなで食べ――」

薫 「――だめよ。まだ舞とみのりちゃんが戻って来てないわ」

咲 「わっ、びっくりしたぁ!」

満 「あら、薫。もう描き上がったの?」

薫 「ちょうど今、描き上がった。あとは細かいところを直して、彩色をするだけ」

咲 「どれどれ……わっ、すごくきれい! なんか、海岸線が幻想的だね」

薫 「ありがとう、咲。けど、本当はもっと写実的に描きたいんだ……舞のように」

薫 「見たままを、ありのままを、そのまま紙に描きたいんだ……」

咲 「うーん……でも、わたしは舞の絵も好きだけど、薫の絵も好きだよ」

咲 「だってどっちも、見ていて心があったかくなる、素敵な絵だから!」

薫 「咲……」 ニコッ 「ありがとう。そう言ってもらえると、うれしい」

咲 「えへへー、と、いうわけで、パンを……」

薫 「だめよ。海岸の奥までスケッチに行った、舞とみのりちゃんを待ちなさい」

咲 「あぅー」

満 (……それも全部、そう……あなたたちのおかげだものね)



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:37:11.41 ID:H9ECZtsNo

?1 「咲ー! 満さーん! 薫さーん!」

?2 「おねえちゃーん!」

薫 「あら、噂をすれば、来たみたい。舞! みのりちゃん!」

みのり 「薫おねーさーん!」 タタタタ

舞 「あっ……だ、だめよみのりちゃん! 海岸で走ったら危ないわ!」

みのり 「ふぇ?」 コケッ 「わっ……わわわっ……!」

咲 「!? みのり……!!」

満 「ッ……!」 (ここら辺は砂に混じって石がある。こけたら、危な――)

――――タッ……!!

満 「え……?」

――――――――ットン……

みのり 「はぇ……? 痛く、ない……?」

薫 「……大丈夫? みのりちゃん」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:37:50.15 ID:H9ECZtsNo

みのり 「あ……薫おねーさん!」

薫 「よかった……怪我はなさそうね。ここら辺は、小石が多いから、危ない……」

咲 「みのり! 大丈夫!?」

みのり 「あ、おねーちゃん! うん、みのりは平気だよ。薫おねーさんが、抱きとめてくれたの!」

咲 「もう、だめじゃない、みのり! こんなところで走ったら、怪我しちゃうよ!」

みのり 「あぅ……ごめんなさい……」

薫 「……みのりちゃんだけを責めるのは、おかしい。咲」

咲 「えっ……? ど、どうしてよ」

薫 「咲もこういう場所で平気で走るだろう? それをみのりちゃんだけ責めるのか?」

咲 「あ……」

薫 「咲は、みのりちゃんのお姉さんだろう? だったら、みのりちゃんが真似したらいけないことは慎むべきだ」

咲 「うぅ……」 ショボン 「ごめんなさい……」

薫 「それから、みのりちゃんも、もう、危ないことはしないこと。分かった?」

みのり 「うん。ごめんなさい、薫おねーさん!」

薫 「ん。分かってくれれば、嬉しい」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 11:38:17.54 ID:H9ECZtsNo

満 「…………」

舞 「ふふ、変われば変わるものね」

満 「舞……」 クスッ 「そうね。緑の郷のことをほとんど知らなかった薫が、今じゃ咲を叱っているわ」

舞 「そうね。なんか、薫さんが咲とみのりちゃんのお姉さんみたい」

満 「うん、そうね」

舞 「……けど、薫さんだけじゃないわ。満さん、あなたも」

満 「えっ……?」

舞 「そんな素敵な笑顔で、笑うようになった」 ニコッ 「ね?」

満 「……そうね。ふふ、敵わないわ、舞には」

咲 「舞ー、満ー、ほらほら、早くパンを食べようよー!」

舞 「あ、いま行くわ、咲! ……さ、行きましょう、満さん」

満 「……ええ」

満 (……ダークフォールとの決着から、一年ほどの月日が流れた)

満 (緑の郷は相変わらず美しく、そこで暮らす人々の心は温かい)

満 (私と薫は、そんな世界で、咲と舞と共に、幸せな今を生きている)



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:28:15.44 ID:H9ECZtsNo

………………

咲 「うーん、美味しいぃぃいいい!! 今日も絶好調なりー!」

満 「お父さんのパンの味が、ね」

みのり 「ぜっこーちょーなりー!」

舞 「あらあら、みのりちゃんったら、どんどん咲に似ていくわね」

薫 「似なくていいところまで似ないか、少し心配……」

咲 「ち、ちょっと!」 モゴモゴ 「それどういう意味よ、薫!」

薫 「あんな風に、ものを口に入れたまま喋るような中学生になっちゃだめだよ、みのりちゃん」

みのり 「うん!」 モゴモゴ 「みのり、気をつけるね!」

咲&薫 「「…………」」

満 「ふふ……」 モグモグ 「……バターの香り、味わい深い小麦粉、ふっくらとした食感……すべてが美味しいわ」 ホワーン

舞 「本当ね。PANPAKAパンのパンは、いつ食べても昨日より美味しくなっている気がするわ」

咲 「それはもちろん」 エッヘン 「お父さんは日夜、パン作りを研究しているんだから」

咲 「あ、そうだ、満。お父さんが、またぜひパンを作りに来なさいって言ってたよ」

満 「本当に!?」 ガバッ 「いつでも行くわ!! それこそ、明日にでも! ううん、今からでも!」



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:28:48.53 ID:H9ECZtsNo

咲 「い、いや、そんな急がなくても……」

満 「はっ……ご、ごめんなさい。つい……」

薫 「ふふ……満はもう、咲のお父さんに、弟子入りした方がいいわ」

満 「で、できれば……そうね。本当に、弟子入りさせてもらいたいくらいよ」

咲 「お父さん、それ聞いたらすごく喜ぶだろうなぁ」

みのり 「わーい! みのりも、満おねーさんと一緒におとーさんに弟子入りするー!」

舞 「いつか、満さんとみのりちゃんが作ってくれたパンを、こうしてみんなで食べてみたいわね」

咲 「うわあああああ、それ、すごくいい! 楽しみ!」

満 「…………」 ニコッ 「……ええ、いつか、きっと」

薫 「そうね。いつか、きっと……」

――――キャッキャッ……

薫 「……? 声……?」

舞 「? あれは……小さい女の子と、そのお父さんかしら?」

咲 「浜辺で遊んでるみたいだね。懐かしいなぁ、わたしもよく、お父さんと遊んでもらったっけ」

満 「…………」 (……お父さん、か)



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:29:29.96 ID:H9ECZtsNo

薫 「…………」

満 「? 薫……?」

薫 「……ごめんなさい、少し、絵の続きをする」

咲 「えっ? さっき、一区切りがついたんじゃないの?」

薫 「いや……描きたいものが、増えたんだ。ごめん」

舞 「……いいわ。待っているから、好きなように描いて、薫さん」 ニコッ

みのり 「うん! 描きたいものをよく見て、描きたいように描く、それが大事なんだもんね!」

薫 「うん。ありがとう、舞、みのりちゃん」 タタタ……

咲 「……でも、絵の続きって、一体何を描き忘れたんだろうね?」

舞 「さぁ? でも薫さんは、あんまり見落としとかをするひとではないと思うんだけど……」

満 「描き忘れ……? 見落とし……?」 (……違う。きっと、薫は……増えたものを、描き足しているだけ)

女の子 「おとうさーん! こっちに大きい貝があるよー!」

お父さん 「おー! これはすごいなぁ! よし、掘り出してみようか」

舞 「……ふふ。それにしても、あの女の子とお父さん、楽しそうね」

咲 「そうだね。よし、今度、わたしたちもみんなで、貝探ししようよ!」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:29:57.81 ID:H9ECZtsNo

みのり 「わぁあああ、さんせーい! おもしろい貝が出てきたら、みんなでお絵かきしようよ!」

舞 「かわいい絵がいっぱい描けそうね」

みのり 「うん! それでね、貝を持って帰って、その形のパンを、お父さんに焼いてもらうの!」

みのり 「そうだ! 満おねーさんも、そのときに、お父さんと一緒にパンを焼こうよ!」

満 「…………」

みのり 「? 満おねーさん?」

咲 「満?」

満 「えっ……? あ、ご、ごめんなさい。少しボーッとしていたみたい」

咲 「えーっ、どうしたの? なんからしくないよ。大丈夫?」

満 「そ、そうでもないわよ。大丈夫。大丈夫だから」

女の子 「うわああああ、土の中に、こんな大きな貝が埋まってたんだぁ!」

お父さん 「大きいなぁ。お、こっちにもあるぞ」

女の子 「わぁ、こっちも大きい!」

薫 「…………」 サッ……サッサッ……

満 「…………」 (薫……あなた、やっぱり……)



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:39:50.38 ID:H9ECZtsNo

………………夜 満と薫の家

薫 「…………」 サッサッサッ……

満 「……精が出るわね。まだ描き上がらないの?」

薫 「…………」 ピタッ 「……ああ、けど、もう遅い。続きは明日にしよう」

満 「ええ、それがいいわ。……ねえ、薫」

薫 「なに?」

満 「絵、まだ見せてくれないの?」

薫 「……まだ、未完成だ。見せられない」

満 「さっきは見せてくれたのに? 咲たちも不思議がってたわよ?」

薫 「…………」

満 「……まぁ、いいわ。寝ましょう」

薫 「…………」

満 「薫?」

薫 「……こんなことを言ったら、満に笑われるかもしれないけど、」

満 「うん?」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:41:00.87 ID:H9ECZtsNo

………………夜 満と薫の家

薫 「…………」 サッサッサッ……

満 「……精が出るわね。まだ描き上がらないの?」

薫 「…………」 ピタッ 「……ああ、けど、もう遅い。続きは明日にしよう」

満 「ええ、それがいいわ。……ねえ、薫」

薫 「なに?」

満 「絵、まだ見せてくれないの?」

薫 「……まだ、未完成だ。見せられない」

満 「さっきは見せてくれたのに? 咲たちも不思議がってたわよ?」

薫 「…………」

満 「……まぁ、いいわ。寝ましょう」

薫 「…………」

満 「薫?」

薫 「……こんなことを言ったら、満に笑われるかもしれないけど、」

満 「うん?」



16:>>15誤爆 2011/11/03(木) 14:42:05.56 ID:H9ECZtsNo

薫 「……私はさっき、絵にあるものを描き足していたんだ」

満 「ええ」

薫 「……ねえ、満」

満 「なにかしら?」

薫 「咲とみのりちゃんには、お父さんがいる。舞にも、お父さんがいる」

薫 「そしてきっと、クラスのみんなにも……」

満 「……そうね」

薫 「けれど、私たちには、いない」

満 「…………」

薫 「こんなことを言うのは、情けないことだって、分かってる。でも……」

薫 「……私は、それが……たまらなく、さびしい」

満 「薫……」

ギュッ

薫 「満……」 ギュッ 「……ごめんね。ごめんなさい」

満 「いいのよ。だって、私たちはずっと、こうして支え合ってきたじゃない」



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:43:11.72 ID:H9ECZtsNo

薫 「うん……」

満 「……ねえ、薫。たしかに私たちには父親と呼べる人も、母親と呼べる人もいないわ」

満 「けれど、私たちには、私たちがいる。そして、かけがえのない、友達がいる」

満 「家族がいないことはさみしいけれど、今こうしていられるだけで、私は幸せよ?」

薫 「そう……そうだね」

薫 「私には、満がいる。満には、私がいる。そして、咲、舞、みのりちゃん、クラスのみんなもいる」

薫 「……だから、さみしいけれど、幸せ。そうだね。満の言うとおりだ」

満 「ええ。だから、あなたがいま描いている絵、仕上がったら、ぜひ私に見せてね」

満 「さみしがること、欲すること、それは決して、恥ずべき事ではないと、私は思うから」

薫 「……うん!」

満 (……そう、だって、私たちはダークフォールで生まれた存在。アクダイカーン様の一部)

満 (本当なら、あの最後の戦いの後に、消えているはずだった)

満 (だから、精霊とフィーリア王女の力添えで、今ここにいられること。それだけで十分幸せなんだ)

満 (私たちに親はいない。けれど、大切な友達がいる)

満 (それだけで……私は、十分すぎるくらい、幸せだから)



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:44:47.59 ID:H9ECZtsNo

………………???

?? 「………………」

?? 「……霧生満、霧生薫」

?? 「なるほど。あなたたちにも、そんな弱みがあるのね」

?? 「なら、簡単なこと。そんな分かりやすい餌で良いというのなら」

?? 「元ダークフォールの戦士。本当ならば一年前、消え去るべきだった存在」

?? 「そう……」



?? 「あなたたちは、この世に存在していてはいけないのよ」



?? 「……さぁ、始めましょう。宇宙の理を正す作業を」



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:45:33.82 ID:H9ECZtsNo

………………同時刻 咲の家

咲 「…………」

みのり 「ふんふんふーん~~~~~♪」 カキカキ

咲 「…………」 (……一体どうしたんだろ、薫と満。少し様子がおかしかった)

咲 (なんだろう……わたし、不安なんだ。何かわからないけど、とっても)

―――― 『あなたたちと友達になれて、楽しかった』

咲 「っ、あ……!」 (やだ……わたし、なんであのときのことなんか……)

みのり 「? おねーちゃん?」

咲 (どうして、満と薫が消えてしまったあのときのことなんか、思い出してるの……?)

フルフルフル

咲 (……関係ないんだから。満も薫も、もういなくなったりしない。絶対に)

みのり 「おねーちゃんったら、どうしたの?」

咲 (そう、絶対に……)

みのり 「むぅ……おねーちゃんったら!!」

咲 「わひっ!? お、大声出して、どうしたのよ、みのり!」



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 14:48:10.68 ID:H9ECZtsNo

みのり 「何度呼んでも、おねーちゃんが返事してくれないからでしょっ!」

咲 「あ……ご、ごめん。ちょっと考え事してたの」

みのり 「? なにか、心配なことでもあるの?」

咲 「……ううん。そんなことないよ」 ニコッ 「ところで、絵はどう?」

みのり 「うん、あとちょっとでできるよ!」

咲 「どれどれ……あ、わたしたちがパンを食べている絵ね。可愛く描けてるじゃない」

みのり 「えへへー、ありがと、おねーちゃん」

咲 「あれ? でも、舞と一緒に海岸の奥に絵を描きに行ったんじゃないの?」

みのり 「うん。そうだよ。それは、こっちの絵」 ペラッ

みのり 「まだ描き途中だけど、先にこっちの絵を描き上げたかったから」

みのり 「みのりね、風景を描いてるより、みんなを描く方が好きなんだ!」

咲 「そっか」 ニコッ 「わたしも、みのりが描くわたし、舞、満、薫が大好きだよ」

みのり 「わーい! ありがとう、おねーちゃん!」

咲 (大丈夫……大丈夫だよね、満、薫)

咲 (ふたりとも、もうどこかにいなくなったり、しないよね……?)



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:07:22.48 ID:H9ECZtsNo

………………翌朝 市立夕凪中学校

舞 「――え? 満さんと薫さんがまたいなくならないか心配ですって?」

咲 「……うん」 ドヨーン

舞 「そ、それはそうと、どうしてそんなに体調が悪そうなの?」

咲 「昨日、不安でなかなか寝付けなくて、結局三時間くらいしか寝てないから……ふぁーあ……」

舞 「そうだったの……うーん、たしかに、昨日の満さんと薫さんは、少しおかしかった気がするわ」

舞 「満さんはどこか上の空だったし、薫さんは絵を見せてくれなかったし……」

咲 「そうそうそう、そうなんだよ。薫、最初は絵を見せてくれたんだよ?」

舞 「うーん……やっぱりなにか変ね」

咲 「絶対そうだって!!」

? 「何が変だって?」

咲 「わっ!」 ガバッ 「……ってなんだ、健太かぁ」

健太 「って、なんだとはなんだよ! 失敬な奴だな」

咲 「べつにあんたにはカンケーないでしょー! 朝っぱらからうるさいわね」

健太 「なんだとぅ!?」



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:08:02.35 ID:H9ECZtsNo

舞 「ま、まぁまぁ、ふたりとも落ち着いて落ち着いて」

咲 「ふん!」 健太 「けっ」

舞 (このふたりも相変わらずね)

健太 「……って、そんなことより、咲、ちょっといいか?」

咲 「何よ、なんか用? いま、舞と大事な話をしてるとこなんだけど」

健太 「ばっか。何の話をしてたのかは知らないが、もっと大事なことがあるだろうが」

咲 「なんですって!? あんた、満と薫のことをなんだと思ってるのよ!!」

健太 「はあ? 霧生たちがどうしたんだ?」

満 「それは私も気になるわね」

薫 「私たちがどうかしたの、咲?」

咲 「わっ! い、いたの? 満、薫」

満 「いま来たところよ。いったいどうしたっていうの?」

咲 「い、いやあ、べ、べっつにぃ、なんでもないよ」

薫 「……そう」

健太 「まぁ、なんだかよく分からんが、霧生たちも来たならちょうどいいや。ほら、三人ともちょっとこい」



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:08:59.52 ID:H9ECZtsNo

舞 「? 星野くん、わたしは?」

健太 「いやいやいや、美翔はいいんだよ美翔は。ちょっと咲たちを借りてくぜぇ」

舞 「???」

健太 「ほらほら、三人ともさっさとこっちに来い」

グイグイグイ

咲 「な、何よ! 引っ張られなくたって行くわよ」

満 「それで、星野くん。舞だけ置いてけぼりにして、私たちだけ呼び出して、何の話なの?」

薫 「舞、さみしそう」

健太 「そう言うなって。仕方ねえだろう? まさか本人の前で話をするわけにもいかないし」

咲 「で、どこまで行けばいいの?」

健太 「廊下だよ。伊東と太田、それから委員長と宮迫も待ってるんだぜ?」

仁美 「あ、来た来た。マジ遅いってばー」

健太 「わりぃわりぃ、咲の奴が駄々こねてさぁ」

咲 「健太うっさい。仁美、優子、わたしたちに何か話でもあるの?」

優子 「うーん、分からない? 美翔さんがいるとできない話なんだけど」



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:10:45.47 ID:H9ECZtsNo

満 「? 何かしら」

加代 「ヒント。誕生日」

薫 「……ああ、なるほど。舞の誕生日ね」

仁美 「大正解! 今年も、しっかりお祝いしてあげなくちゃね!」

咲 「……わたし、舞の親友なのに、すっかり忘れてた」 ズーン

宮迫 「ま、まぁまぁ。元気だしてよ、日向さん。そういうときもあるよ」

咲 「……宮迫くんに励まされた」 ズズーン

宮迫 「それはちょっといくらなんでもひどすぎない!?」

咲 「ごめんごめん、冗談だよ。でも、みんな、思い出させてくれてありがとう」

薫 「……去年は、私たちは祝うことができなかったから、今年はしっかり、お祝いしてあげたい」

健太 「あれ? そうだったか? てっきりおまえらも一緒だったと思ったんだが……」

満 「少し、用事があったのよ。だから去年は、お誕生会に行ってないわ」

咲 「………………」 (そうだよね。だって、そのとき、ふたりはまだ、ダークフォールに囚われていたんだから)

仁美 「それでさ、咲。去年と同じように、マジたくさんの人でお祝いしてあげたいからさ、」

優子 「美翔さんのお母さんとお父さん、お兄さんに話通しておいてもらえないかな?」



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:11:20.96 ID:H9ECZtsNo

咲 「うん! そういうことなら咲ちゃんに任せなさい!」 ドン! 「舞のお父さんとお母さんと……」

ニヘラ

咲 「和也さんにぃ、しっかりお話しておくからぁ」

満 (……舞のお兄さんの名前を出したとたんにこの顔)

健太 「……けっ」

満 (……そしてこの顔。よく分からないけど、ほんとに面白いわね)

加代 「ありがとう。助かるわ、日向さん」

宮迫 「さて、じゃあ僕らもはりきって準備をしなくちゃね」

健太 「おうよ、さこっち! また新ネタしっかり考えるぞ!」

仁美 「私たちは何を用意しようか?」

優子 「そうだなぁ……また絵に関係したものがいいんじゃないかな?」

満 「誕生日、って……どんなものを送ったらいいのかしら?」

薫 「うん。分からないわ」

加代 「えっ? それ本当? 満さん、薫さん」

満 「うん。だって、いままで誕生会なんて、行ったことないもの」



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:12:53.51 ID:H9ECZtsNo

咲 (あわわわわわ……)

健太 「一度も!? ひゃー、そりゃ大変だ」

仁美 「でも、お父さんやお母さんに誕生日をお祝いされたことくらいはあるでしょ?」

満 「………………」 薫 「………………」

仁美 「えっ……あ、ご、ごめん。もしかして……」

―――― 『お前たちは、我が願いを叶えるためだけに存在しているのだ』

薫 「……そんなこと、一度も、なかった……っ」

咲 「あ、あれだよ! 満と薫は、少し特殊な家庭環境だったからね!!」

仁美 「……そうだったんだ。マジ、ごめん」

満 「…………」 フルフル 「いいわ。伊東さんが悪いわけではないから」

咲 (満、薫……また、寂しそうな顔してる……)

咲 「……ごめん、満、薫。いつまでもみんなでいると、舞が不審がっちゃう」

咲 「せっかくお祝いするならサプライズにしたいし、ちょっとふたりだけ舞のところに行ってくれない?」

薫 「それはいいけど……」

咲 「安心して。プレゼントについては、今日の放課後、わたしも一緒に考えるから」



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:13:23.89 ID:H9ECZtsNo

満 「……そう。分かったわ」

薫 「私たちは、舞のところに行っている」

咲 「うん。お願いね」 ホッ 「……よし、ふたりは行ったね」

仁美 「? 日向さん、どうかしたの?」

咲 「……ねえ、みんな、少し話があるんだ」

健太 「話?」

咲 「うん。舞のお誕生会と関連して、なんだけど……」

咲 「――ひとつ、みんなにお願いしたいことがあるんだ」

一同 『???』



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:15:24.01 ID:H9ECZtsNo

………………放課後

舞 「じゃあ、わたしたちは部活に行くね」

咲 「うん。教室で、終わるの待ってるから」

舞 「いつもごめんね。咲はもう、ソフト部を引退してるのに、待たせちゃって……」

薫 「私も、ごめんなさい」

咲 「べつにいいよ。だって、教室に残ってれば、満に勉強を教えてもらえるし」

満 「そういうこと。だから、舞と薫は気にしないで、最後の展覧会に向けた絵、がんばって」

舞 「うんっ」  薫 「がんばる」

薫 「……満と咲も、プレゼントの話し合い、がんばって」

舞 「? プレゼント?」

咲 「わぁわぁわぁ!! なんでもないなんでもないなんでもない!! ふたりとも行ってらっしゃい!!」

舞 「きゃっ、いきなり押して、どうしたのよ、咲」

満 「ほら、薫ももう行きなさい」

薫 「……ごめん、つい」

ガラガラ………………ピシャッ!!!



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:16:23.79 ID:H9ECZtsNo

咲 「……はぁ、まったく、薫はときどきああいう天然をやらかすよね」

満 「あの子はあれが素なのよ。私も、ダークフォールとしてこの学校に潜入したときは苦労したわ」

咲 「まぁ、いいや。さて、舞にあげるプレゼントの話をしようか」

満 「ええ、お願いするわ。私も薫も、誕生日のプレゼントなんてあげたことももらったことも、一度もないから」

咲 「満……」 (やっぱり、なんか寂しそう……)

満 「どんなものをプレゼントしたら正解なのかしら?」

咲 「……えっ? 正解?」

満 「? 正解があるんじゃないの? その正解のものをあげないと、いけないんじゃないの?」

咲 「ち、ちがうよ! 誕生日のプレゼントに、正解も間違いもないよ」

満 「??? よく、わからないわ……」

咲 「うーん……じゃあさ、たとえばの話だけど」

満 「ええ」

咲 「満が、わたしからプレゼントをもらったらどう?」

満 「え? それは……とても嬉しいわよ」

咲 「たとえば、そのプレゼントされたものを、満がもう持っていたとしても?」



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:16:50.04 ID:H9ECZtsNo

満 「うーん……そうね、それでも、やっぱり私は嬉しいと思うわ」

咲 「どうして?」

満 「どうしてって……だって、咲がくれたものだもの。当然、嬉しいわよ」

咲 「……でしょ?」

満 「えっ?」

咲 「分かってるじゃん、満。その通りだよ。わたしだって、同じ。もし満から何かをもらったら、嬉しいよ」

咲 「何をもらったって、嬉しい。だって、大事な友達がくれたものだから」

満 「あ……」

咲 「だから、プレゼントに正解なんてないんだよ。相手が何をあげたら喜ぶか考えて、考えた結果をプレゼントすれば」

咲 「大事なのは、相手のことを考えて、悩んで悩んで、何をあげるか決めることなんだから」

満 「何をあげたら、舞が喜ぶか……」

咲 「うん。それを考えて、プレゼントするの。すごく悩むけど、とっても楽しいんだよ」

満 「そうか……うん、きっと、悩むけど、とっても楽しいんでしょうね」

咲 「うん!」

満 (何をあげたら舞が喜ぶか、か……)



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:17:17.04 ID:H9ECZtsNo

………………美術室

舞 「ねえ、薫さん、プレゼントって、いったい何の話だったの?」

薫 「いや、なんでもない。舞は気にしない方がいい」

舞 「“わたしは” ? それって、いったいどういう意味?」

薫 「…………」 ダラダラ (……ど、どうしたらいいかしら)

薫 (こ、こうなったら、無理矢理にでも話を逸らすしか……!)

薫 「そ、そんなことより、舞。まだ描き途中なんだけど、この絵、どう思う?」

舞 「?」 チラッ 「ああ、昨日、海岸で描いていた絵ね? とても幻想的でいいと思うわ。……あら?」

薫 「どうかした?」

舞 「いえ……あの、間違ってたらごめんなさい。この絵のここに描いてあるのって、もしかして……」

薫 (あっ……この絵は、そうだ……あのとき、描き足したものが……)

舞 「……昨日、浜辺で遊んでいたお父さんと、女の子?」

薫 「…………」 コクッ 「……うん。そうだよ」

舞 「やっぱり……昨日描き足していたのは、これだったのね」

薫 「…………」



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 15:17:46.63 ID:H9ECZtsNo

舞 「……とってもいいと思うわ、薫さん。幻想的な絵の中で遊ぶお父さんと女の子」

舞 「線もきれいにまとまっているし、きっと色をつけたらもっと映えるわ」

薫 「……そう、かな」

舞 「そうよ。薫さんの心の純真さがにじみ出ているみたい。とってもきれいだわ」

薫 「……うん。そう言ってもらえると、嬉しい」

薫 「昨日、遊んでいたこのふたりを見かけて、どうしても描き足さずにはいられなかった」

薫 「だから、気づいたら描いていた……恥ずかしい話だけど」

舞 「恥ずかしくなんてないわよ。わたしも、無意識のうちに何かを描き足してしまうこと、あるもの」

舞 「春がテーマの絵を描かなきゃいけないのに、人の顔をいっぱいに描いてしまったりとかね」

薫 「……舞って、意外とおっちょこちょいなのね」

舞 「ふふ、そうかもしれないわ」

薫 「…………」 コクッ 「……うん、やっぱりこの絵は、このまま描く。浜辺で遊ぶお父さんと女の子を、描きたい」

舞 「うん! それがいいと思うわ」

薫 (……やっぱり、否定することはできない。私は本当に、憧れているんだ。こんな、親と子の関係に)

舞 「…………」 (やっぱり薫さん……さびしそう)



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:08:10.48 ID:H9ECZtsNo

…………同日 夕方 咲の家

咲 「――ごめんねぇ、わざわざ家にまで来て勉強見てもらっちゃって」

満 「気にしないで。みんな一緒の高校に行くんだから、力を合わせないと」

薫 「べつに、私たちが咲のレベルに合わせれば済む話なのに……」

咲 「そ、それはダメだよ! みんなにそんなことさせるわけにはいかないよ!」

満 「ふぅん。私たちにはよく分からないけど、咲がそうしたいっていうんなら、がんばってもらうしかないわね」

舞 「わたしも、もう少しがんばらないと……」

薫 「舞はもう十分だと思うけれど……」

――バタン!!

みのり 「舞おねーちゃん、薫おねーさん、満おねーさん!! やっぱり来てたんだ!」

薫 「みのりちゃん、そんな勢いよくドアを開けたら、危ないわ」

みのり 「あ、ごめんなさい……」

薫 「うん。次から気をつけようね」

みのり 「うん!」

咲 「ははは、まったくみのりは……」 ハッ 「って、なにナチュラルに入ってきてるのよ! いまは勉強中だからだめ!」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:08:48.23 ID:H9ECZtsNo

みのり 「うぅー! でも、みのりもおねーちゃんたちと一緒に遊びたいよ!」

咲 「だから、今わたしたちは遊んでるわけじゃないの! 必死に受験勉強をしてるの!」

満 「必死に勉強をしているのは咲だけだと思うけど……」

咲 「うっ……」

薫 「……わかったわ。じゃあ、みのりちゃん。あっちで一緒に絵を描こう」

みのり 「!? 本当に!? やったー!」

舞 「薫さん?」

薫 「咲の勉強を見るのは満と舞がいれば十分でしょう? 私はみのりちゃんの相手をしているわ」

咲 「薫、ごめんね……」

薫 「謝る必要なんてないわ。みのりちゃんと遊ぶことは、私にとってとても楽しいことだから」

薫 「さ、行きましょう。居間でいいかしら?」

みのり 「うん! じゃあ、おねーちゃんたち、お勉強がんばってね!」

舞 「うん。ありがとう、みのりちゃん」

咲 「……はぁ、少し妬いちゃうなぁ。みのり、最近は薫にべったりだし」

満 「妬く?」



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:09:16.91 ID:H9ECZtsNo

舞 「咲が、薫さんに嫉妬してるってことよ」 クスクス 「みのりちゃんが薫さんに取られそうって心配してるの」

満 「そ、そんな! 薫はそんなことしないわ!」

咲 「いや、そんな本当の意味で取られるってことじゃなくて、わたしより薫の方が好きなのかなーって、ね」

満 「……? よく、分からないわ」

咲 「薫の方がしっかりしてるからさ。なんか、わたしってやっぱりダメな姉だなって」

満 「…………」 フルフル 「そんなことは、ないと思うわ」

舞 「ええ、その通りよ。咲はすばらしいものをたくさん持っているわ」

舞 「それはきっと、みのりちゃんにもたくさんの良い影響を与えているわ」

咲 「そうかな……」

舞 「もちろんよ」 ニコッ

満 「…………」 ボソッ 「……家族、か」

咲 「? 満、なにか言った?」

満 「……いいえ、なんでもないわ」

咲 「……?」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:09:48.49 ID:H9ECZtsNo

………………

みのり 「ふんふんふーん♪」 カキカキ

薫 「昨日、海岸でみんなでいたときの絵ね」

みのり 「うん!」

薫 「ふふ、咲はまた口いっぱいにパンを食べてる」

みのり 「だっておねーちゃん、食いしん坊なんだもん!」

薫 「そうね」

薫 「……そういえば、みのりちゃん。そろそろ舞の誕生日なんだけど、知ってる?」

みのり 「うん! みのり知ってるよ!」

薫 「何をプレゼントするか、考えた?」

みのり 「うーん……わかんない。どうしようかなぁ」

みのり 「薫おねーさんは何をプレゼントするの?」

薫 「私も、みのりちゃんと同じ。まだ決まってないの」

みのり 「そっかぁ。うーん……どうしようかな」

? 「――そんなに深く考えることでもないと思うけど」



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:10:14.22 ID:H9ECZtsNo

みのり 「? あ、おかーさん!」

薫 「お邪魔してます」 ペコリ

沙織 「いらっしゃい、薫ちゃん」

沙織 「いつもいつも、咲の勉強とみのりの相手をさせてしまってごめんなさいね。ありがとう」

薫 「いえ、私も楽しいですから。それでお役に立てているのなら、嬉しいです」

沙織 「ありがとう。本当にしっかりしてるわねぇ。うちの咲にも見習ってもらいたいわ」

薫 「……あの、すいません。さっき言っていた、深く考えることでもない、って、どういう意味ですか?」

沙織 「? どういう意味って、そのままの意味よ。舞ちゃんへのプレゼントでしょう?」

沙織 「深く考えずに、舞ちゃんがもらったら喜びそうなもの、自分があげたいもの、そういうものをあげればいいのよ」

薫 「舞がもらったら喜びそうなもの……」

みのり 「みのりがあげたいもの……」

沙織 「そうよ。そうしたら、自然とプレゼントの悩みは、楽しい悩みに変わっていくはずだわ」

沙織 「……おっといけない。早くお店に戻らなくちゃ。それじゃ、薫ちゃん、ゆっくりしていってね」

沙織 「後で焼きたてのパンを持ってくるわ。みのり、薫ちゃんにわがまま言っちゃダメよ?」

みのり 「うん。お仕事がんばってね!」



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:25:31.90 ID:H9ECZtsNo

………………

舞 「…………」

咲 「……わたし、ちょっとお茶いれてくるね。満、手伝ってくれる?」

満 「? 分かったわ」

舞 「あ、じゃあわたしも……」

咲 「ふたりいれば十分だよ。舞は、ゆっくりしてて」

舞 「??? そう?」

咲 「じゃあ、ちょっと待っててね、舞。行こう、満」

満 「ええ」

ガチャッ………………パタン

満 「ちょっとわざとらしかったんじゃないかしら」

咲 「仕方ないよ。プレゼントのこと、舞の前じゃ話せないでしょ?」

咲 「誕生日までもうすぐなんだから、早く決めないと。とりあえず、お茶をいれる時間だけでも、考えようよ」

満 「そうね」



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:25:58.26 ID:H9ECZtsNo

………………

コポコポコポ……

咲 「……って言ってすぐ思いつくなら、苦労はないんだよね」

満 「……やっぱり、私には分からないわ。咲が悩むことが、私に分かるはずないもの」

満 「誕生日プレゼントなんて、一度ももらったことのない私には、プレゼントのことなんて、分からない……」

咲 「満……」

? 「そんなことはないさ。分かる。絶対に、分かるはずだ」

咲 「えっ……? お、お父さん!?」

大介 「いやあ、ちょっと店の奥から声が聞こえたからな。顔を出したんだ。いらっしゃい、満ちゃん」

満 「お邪魔してます。咲のお父さん」

大介 「いつもいつも、咲の面倒を見させて悪いねえ。ありがとう」

咲 「ちょっとお父さん! それどういう意味よ!」

満 「そんな、とんでもないです。いつもお世話になってるのは、私の方です。今だって……」

満 「……そういえば、咲のお父さん。さっき言っていた、絶対に分かるって、どういう意味ですか?」

大介 「うん? べつになんてことはないさ。プレゼントを贈る気持ち、満ちゃんに分からないはずがないってだけの話だよ」



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:26:34.67 ID:H9ECZtsNo

満 「どうして、そう言えるんですか?」

大介 「そりゃあ、分かる。だって、満ちゃんはうちでパンを焼いたじゃないか」

満 「えっ……?」

大介 「咲の引退試合を応援するんだって言って、がんばってパンを作っていたじゃないか」

大介 「あのとき、満ちゃんは何を思ってパンを焼いていたんだい?」

満 「それは……少しでも、咲を応援できたらって……少しでも、咲が笑顔になってくれたらって……」 ハッ 「……あっ」

大介 「分かったみたいだね。それと同じことさ。咲のためにがんばってパンを焼くことができた満ちゃんだ」

大介 「誰かのためのプレゼントを選ぶ、それが分からないはずはないさ」

咲 「おお、さすがお父さん! 良いこと言う!」

大介 「ふふふ、そうだろうそうだろう?」

咲 「でも、お店はいいの?」

大介 「あっ、いけない。もう戻らないと! それじゃあ、満ちゃん、ゆっくりしていってね!」

ドタバタドタバタ

咲 「まったくもう、お父さんはきまらないなあ」

満 「…………」 (あのとき……咲のためにパンを作った気持ち……)



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:27:03.98 ID:H9ECZtsNo

………………

みのり 「あ、そうだ!」

………………

咲 「!! そうだ!!」

………………

薫 「? どうしたの、みのりちゃん?」

みのり 「ねえ、薫おねーさん! 一緒に絵を描こうよ!」

薫 「絵?」

みのり 「うん! ふたりで一緒にきれいな絵を描いて、舞おねーちゃんにプレゼントするの!」

………………

満 「咲、どうしたの?」

咲 「ねえ満! 一緒にケーキを焼こうよ!」

満 「ケーキ?」

咲 「うん! ふたり一緒に舞のバースデーケーキを作って、プレゼントするの!」



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:57:43.00 ID:H9ECZtsNo

………………少し後 咲の家 玄関

咲 「今日はありがとね、満、薫」

満 「ええ。また明日」

みのり 「薫おねーさん、一緒にお絵かきしてくれてありがとー!」

薫 「みのりちゃんも、またね」

満 「? 舞、あなたは帰らないの?」

舞 「え、ええ。ちょっと用事があるのよ」

舞 (本当は、咲にちょっとだけ残ってってお願いされたのだけど)

満 「そう。じゃあ、失礼するわ。咲、パンをご馳走様でしたって、お父さんとお母さんに伝えておいて」

咲 「うん、わかった。また明日ね、満、薫」

薫 「ええ。じゃあ、また明日」

みのり 「ばいばーい!」

咲 「……さて、ふたりとも帰ったことだし、舞、ちょっといい?」

舞 「ええ。でも、ふたりがいるとできない話って?」

咲 「うん、朝の話とも関係してると思うんだけど、ちょっと、舞にお願いしたいことがあるの」



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 18:59:02.33 ID:H9ECZtsNo

………………少し後 咲の家 玄関

咲 「今日はありがとね、満、薫」

満 「ええ。また明日」

みのり 「薫おねーさん、一緒にお絵かきしてくれてありがとー!」

薫 「みのりちゃんも、またね」

満 「? 舞、あなたは帰らないの?」

舞 「え、ええ。ちょっと用事があるのよ」

舞 (本当は、咲にちょっとだけ残ってってお願いされたのだけど)

満 「そう。じゃあ、失礼するわ。咲、パンをご馳走様でしたって、お父さんとお母さんに伝えておいて」

咲 「うん、わかった。また明日ね、満、薫」

薫 「ええ。じゃあ、また明日」

みのり 「ばいばーい!」

咲 「……さて、ふたりとも帰ったことだし、舞、ちょっといい?」

舞 「ええ。でも、ふたりがいるとできない話って?」

咲 「うん、朝の話とも関係してると思うんだけど、ちょっと、舞にお願いしたいことがあるの」



46:>>45ごめんまた誤爆 2011/11/03(木) 19:00:24.33 ID:H9ECZtsNo

………………帰り道

満 「……へえ、それじゃあ、薫はみのりちゃんと一緒に絵を描いて、舞にプレゼントすることにしたのね」

薫 「うん。それにしても、満が咲と一緒にケーキを焼くことになるなんて、なんか不思議ね」

満 「ええ。さすがは姉妹。咲もみのりちゃんもよく似ているわ」

薫 「そうね。本当に……」 ギュッ 「こっちの心まで温かくしてくれる、素敵な姉妹だわ」

満 「……家族。私たちにはよく分からない概念だけれど」

薫 「とても素敵なことだというのは、分かるわ。咲や舞を見ていれば、否応なしにそう思うもの」

満 「……うん」


―――― 「あら、そんなわけないじゃない」


満&薫 「「!?」」

満 「だ、誰!?」

薫 「なんだ……?」 (唐突に目の前に現れた……この女は、一体……)

?? 「あら、驚かせてしまったかしら。ごめんなさい」

満 「っ……! 誰だと訊いているんだ!」



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 19:01:20.25 ID:H9ECZtsNo

?? 「あら怖い。さすがは、元ダークフォールの実力者ね。霧生満」

満 「な……なぜ、ダークフォールのことを!?」

薫 「この女……何者だ……」

?? 「私が誰かなんて、それこそあなたたちには関係ないことよ」

?? 「それより、さっきのお話の続きをしましょうよ」 ニコッ

満 (この女、私たちの言葉をまともに取り合ってはいない……)

薫 (無視してしまいたいが、ダークフォールを知っている者を無下にすることもできない)

?? 「あなたたちにはできるわけがない。家族の温かみなんて、分かるはずがない」

満 「っ……! 何を――」

?? 「――だってそうでしょう? あなたたちを生み出したアクダイカーンはただの傀儡だった」

薫 「ッ!」

?? 「……せめてアクダイカーンに意志があったならまだ救いがあったのに」

?? 「本当に哀れだと思うわ。ええ、本当に」

満 「ッ……」 ギリッ 「黙れ……!!」

?? 「……だからこそ、知りたいとは思わないかしら?」



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 21:11:31.72 ID:H9ECZtsNo

薫 「なんだと……? 知りたいって、何の話だ」

?? 「あなたたちが生み出された意味。あなたたちが生まれたその理由」

?? 「親も家族もいないあなたたちが、生まれたその運命……宿命……その、意味を」

満 「私たちが生まれた意味……? そんなの……決まっている!」

薫 「アクダイカーン様のため、ただ、それだけのために……私たちは生まれた」

?? 「本当にそうかしら?」 フルフル 「……いいえ。本当に、“それでいいの” ?」

満 「っ……」

?? 「……まぁ、いま答えを出す必要はないわ。五日後、世界樹の前で待っているわ」

満 「世界樹……大空の樹ね」

?? 「生まれた理由がないのなら、どうしてあなたたちは存在しているのか……」

?? 「あなたたちの運命を知りたいのなら、来なさい。私が教えてあげるから」

スーッ……

薫 「!? ま、待って!」

?? 「また会えるよう、祈っているわ。ごきげんよう、霧生満、霧生薫」

満 「……消えた」



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 21:12:10.28 ID:H9ECZtsNo

薫 「…………」

満 「…………」

薫 「……どう思う? 満」

満 「分からないわ。ダークフォールの気配は感じなかったけれど……」

薫 「フラッピたちとも異質な気配だったわ。あの女は、いったい……」

薫 「それに、私たちの運命、宿命って……どういうことなの?」

満 「分からない。何も分からないわ。けれど……」

薫 「……ええ。気になる。どうしても、頭から離れない」

満 「……生まれた意味もない私たちが、存在している理由……」

薫 「私たちは……本当なら、あのとき……――」

満 「――やめましょう。気が滅入るだけだわ」

薫 「ええ……けど、五日後……どうする?」

満 「……ゆっくり考えましょう。まだ、時間はあるわ」

薫 「…………」

満 (私たちの運命、宿命……それって、一体……)



50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 21:12:37.33 ID:H9ECZtsNo

………………泉の郷

トテトテトテトテトテ

フラッピ 「チョッピー、待つラピー!」

チョッピ 「フラッピー、チョッピを捕まえてほしいチョピー♪」

フラッピ 「ラピー! フラッピがんばっちゃうラピー!」

タタタタタタ

チョッピ 「こっちチョピー♪ 早く捕まえてほしいチョピー♪」

フラッピ 「待つラピー♪」

ムープ 「……あれから、フラッピとチョッピはずっとラブラブでつまんないムプ」

フープ 「いいことププ。ふたりが幸せそうでフープは嬉しいププ」

フィーリア 「ふふ、そうですね。見ているこっちも幸せになってきます」

ムープ 「ムプ! フィーリア王女!」

フープ 「いらしていたのですププ!?」

フィーリア 「世界樹は順調に枝を伸ばしています。私も、少しだけ自由な時間ができましたから」 ニコッ

フラッピ 「ラピ!? チョッピ、フィーリア王女がいらっしゃっているラピ!」



51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 21:59:10.39 ID:H9ECZtsNo

チョッピ 「チョピ! 本当チョピー!」

トトトトト

フラッピ 「フィーリア王女、お久しぶりですラピ!」

チョッピ 「お久しぶりですチョピ!」

フィーリア 「はい。みんな元気そうで何よりです」

フィーリア 「その後、咲たちも変わりありませんか?」

チョッピ 「時々会っていますが、みんな元気チョピ!」

フィーリア 「そうですか。それは何よりです」

フラッピ 「フィーリア王女、少し疲れているように見えるラピ。休んだ方がいいですラピ」

フィーリア 「せっかくプリキュアたちが救ってくれた世界ですもの」

フィーリア 「その世界のために、休んではいられませんよ」

ムープ 「でも……」

――――――――ジジッ……――

フィーリア 「……? 今、何か……」

フープ 「? どうかしたですププ?」



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:03:16.42 ID:H9ECZtsNo

フィーリア 「い、いえ……」 (今の感じは……私とも違う。フラッピたちとも違う……)

フィーリア (まさか……あの方が……)

フラッピ 「……? フィーリア王女、やっぱりお疲れみたいラピ!」

チョッピ 「そうチョピ! 少し、泉で骨休めをした方がいいチョピ!」

フィーリア 「……そうですね。そうさせてもらいましょうか」

ムープ&フープ 「「やったムプー!」 ププー!」

フィーリア (……気になる。もし、本当にあの方の気配なのだとしたら……)

フィーリア (まさか……満と薫に……?)

フィーリア 「…………」

フィーリア (……いえ、まさか、そんなはずは、ないですよね)

フィーリア 「……だって、あの子たちは、自分たちで運命を切り開いたのですから」

フラッピ 「? フィーリア王女、何かおっしゃったラピ?」

フィーリア 「……いえ、なんでもありません」

フィーリア (どうか、緑の郷のすべての生きとし生けるもの、そして、満と薫に、)

フィーリア (……世界樹、泉、緑の……すべての祝福が降り注がんことを)



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:07:14.12 ID:H9ECZtsNo

………………翌日(舞の誕生日四日前) 市立夕凪中学校

咲 (昨日のうちに、お父さんに厨房を借りられるように頼んでおいたし、)

咲 (和也さんにも、お誕生会の話を伝えておいたし、)

咲 (……舞にもしっかり、話を通しておいたし)

咲 (二重で秘密を抱えるのはちょっと大変だけど、がんばらなくっちゃ)

グッ

咲 「わたしは、舞と満と薫の、大親友なんだから!」

舞 「? うん。わたしも咲のこと、大親友だと思ってるわ」

満 「ええ、私もよ」

薫 「私も」

咲 「!? しまった、声に出してた!?」

舞 「??? 変な咲ね」

篠原 「……うん、まぁ、親友がいるのは大変いいことだぞ、日向、美翔、満、薫」

ニコッ

篠原 「だが、今は授業中だ」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:07:40.63 ID:H9ECZtsNo

………………

咲 「うぅ……篠原先生に特別に宿題を出されちゃったよ」

舞 「咲ったら、どうして授業中にあんな声をあげたりしたの?」

咲 「あはは……いや、ちょっと考え事をしてて……」

舞 「まったくもう、咲ったら……」

満 「…………」

薫 「…………」

舞 「? 満さん? 薫さん?」

満 「えっ? あ、ご、ごめんなさい。ちょっとボーッとしていたわ」

薫 「ごめん」

舞 「べつにいいけれど……どうかしたの?」

薫 「…………」 フルフル 「……いや、なんでもない。昨日、ちょっと寝付けなくて」

舞 「そうだったの。ならいいんだけど……」

舞 (どうしたのかしら? 咲も、満さんも薫さんも、どこか上の空のような……)

舞 (やっぱり、満さんと薫さんは、きのう咲が言っていたとおり……)



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:08:33.66 ID:H9ECZtsNo

………………誕生日三日前

健太 「で? どうなんだ? 手回しは完ぺきなんだろうな?」

咲 「当然よ。昨日も和也さんと連絡取ったんだから」

咲 「舞のお父さんもお母さんも、準備に協力してくれるって」

健太 「へぇ、咲にしてはうまくやったみたいじゃないか」

咲 「ふん。わたしはあんたとは違うのよ」

健太 「よし、そうと決まれば、宮迫! 練習、張り切っていくぞ!」

宮迫 「うん! 今度こそ、美翔さんにも笑ってもらえるようにがんばらないとね」

仁美 「あたしらもマジがんばってプレゼント用意しなきゃね」

優子 「今年も、美翔さんに喜んでもらいたいもんね」

咲 「……みんな、悪いけど、わたしが頼んだことも忘れずにお願いね」

加代 「もちろんよ。しっかり準備しておくから、安心して」

加代 「ところで、日向さんは美翔さんに何をプレゼントするつもりなの?」

咲 「ああ、わたしは……――」

満 「――咲? ああ、こんなところにいたのね。早く行きましょう」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:09:01.89 ID:H9ECZtsNo

薫 「あ、みんなもいる。舞へのプレゼントの相談でもしてたの?」

咲 「ちょうどいいところに! あのね、みんな。わたしは、満と一緒にケーキを焼いてプレゼントすることにしたの」

仁美 「へぇー! 霧生さんのパン、マジ美味しかったから楽しみね!」

咲 「ちょっと仁美? それって、わたしのこと無視してない?」

仁美 「あ、あはは……ごめんごめん」

咲 「まったくもう。それから、薫は、うちのみのりと一緒に絵を描いてプレゼントすることになったんだ」

薫 「うん。みのりちゃんに頼まれたし、私も、できる限りやってみたいから」

優子 「うわぁああ、美翔さんじゃないけど、私も早く見てみたいな、ふたりの描いた絵」

薫 「ありがとう。がんばる」

咲 「舞は美術室で少し居残ってから帰るって言ってたし、問題なし」

咲 「さ、みんな! 舞の誕生会に向けて、それぞれがんばろー!!」

一同 『おー!!』



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:09:41.49 ID:H9ECZtsNo

………………咲の家

満 「……こんな、感じかしら?」 カキカキ

咲 「うーん……ちょっとバースデーケーキっぽくないかな」

咲 「と、いうか……このデザイン、メロンパン……?」

満 「!? わ、私、もしかして無意識のうちに……?」

満 「じゃあ、こんなのはどうかしら?」 カキカキ

咲 「……これじゃあチョココロネだよ」

満 「!? そ、そんな……」 ブルブル 「まさか私……パンしか考えられないの!?」

咲 「いや、まさかそんな……」

満 「そ、そうよね。じゃあ、今度は……」 カキカキ 「こんなのはどう?」

咲 「……クリームパン」

満 「!?」 ガーン!!

咲 「……でも、面白いと思うな、わたしは」

満 「ふふ……いいのよ、慰めなんて……」

咲 「違うよ。満はこれだけパンのこと好きなんだから、このデザインを突き詰めていこうよ」



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:10:09.08 ID:H9ECZtsNo

………………

みのり 「どんな絵にしようかなあ」

薫 「そうね。みのりちゃんはどんな絵が描きたい?」

みのり 「舞おねーちゃんが喜んでくれるような絵!」

薫 「そう……。難しいわね」

みのり 「うーん……どんな絵を描いたら、舞おねーちゃんは喜んでくれるかな」

薫 「……多分だけど、舞は、どんな絵でも喜んでくれると思う」

みのり 「?」

薫 「だから大切なのは、みのりちゃんが、私が、どんな絵を描いて舞にプレゼントしたいかじゃないかな」

薫 「舞はきっと、描きたいと心から思った絵を、見たいと思うから」

みのり 「……うーん、じゃあ、みのりはねぇ……みんなの絵が描きたい!」

薫 「みんな? 咲や舞、満たちの絵?」

みのり 「もっとたくさん! たくさんの人の絵を描いて、舞おねーちゃんにプレゼントしたい!」

薫 「……うん、わかった。私も、みんなの絵を、描きたい。がんばろう、みのりちゃん」

みのり 「うん! 一緒にがんばろうね、薫おねーさん!」



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:55:48.07 ID:H9ECZtsNo

………………誕生日二日前

健太 「いやいやいや、そうじゃないだろう、さこっち」

宮迫 「そうかなぁ。こっちの方が面白いと思うけど」

健太 「そうかぁ?」

優子 「こんなのどうかな?」

仁美 「うーん……それもいいけど、これもよくない?」

加代 「こっちもいいんじゃないかしら?」

舞 「??? みんな、いったい何を悩んでいるのかしら?」

咲 「さ、さぁ……?」

満 (……? 舞の誕生日のこと、みんな真剣に考えているのは分かるけど)

薫 (ちょっと悩みすぎなような……気のせいかしら?)

咲 「さ、それじゃ、満、薫、行こう!」

満 「ええ」

咲 「それから、舞」 コソッ (この前頼んだこと、よろしくね)

舞 (もちろん。任せておいて)



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 22:59:32.03 ID:H9ECZtsNo

………………同日 夕方

咲 「……よし! ケーキのデザインはこんな感じでいいね。あとは明日、がんばって作るだけだよ」

満 「ええ。なんか、すごくわくわくしてきたわ。舞にあげるものだっていうのに、私が楽しみだわ」

咲 「当然だよ。友達のためにケーキ作りができるなんて、楽しくないわけがないよ」

満 「……ええ」 ニコッ 「まったく、そのとおりだわ」

満 「…………」 (こうやって、友達と笑いあって、それだけで私は満たされている……なのに)

―――― 『あなたたちが生み出された意味。あなたたちが生まれたその理由』

満 (どうしてこんなにも、あの女の言葉が気になるの……?)

満 (私は、やはり……)

咲 「…………」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:00:29.40 ID:H9ECZtsNo

………………

薫 「――下書きは、あらかた仕上がったわね」

みのり 「うん。あとは、どきどきの色塗りだね」 ドキドキ

薫 「大丈夫。きっとうまくいくわ」

みのり 「えへへー、みのりも、そう思うの! だって、薫おねーさんと一緒だから!」

薫 「私と、一緒だから?」

みのり 「うん! みのりね、薫おねーさんが一緒だと、なんでもできる気がしてくるの!」

薫 「……ありがとう、みのりちゃん」 ナデナデ

みのり 「えへへー」

薫 (……こんなに幸せで、心が温かい。けれど、だからこそ、怖い)

―――― 『 あなたたちの運命を知りたいのなら、来なさい。私が教えてあげるから』

薫 (こんなにも温かい人たちと一緒にいて、本当にいいのだろうか)

みのり 「? 薫おねーさん? どうかしたの?」

薫 「……いいえ、なんでもないわ。さ、もう少しだけ、続きをやりましょう」

みのり 「? うん……」



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:06:52.42 ID:H9ECZtsNo

………………同日 夜

薫 「ねえ、満。私、やっぱり……」

満 「そうね。私も、同じだわ」

ガサッ

満 「また、咲のお父さんにパンを持たされてしまったわ。美味しい美味しい、パンを」

薫 「誰も彼も温かい。だからこそ、私たちは、私たちのことに、決着をつけなくちゃいけないわ」

薫 「咲と舞は、私たちがおかしいことにきっと気づいてる。そしてきっと、みのりちゃんも」

満 「心の中の杞憂は消えない。けれど、みんなに心配をかけるわけにはいかない。だから、」

薫 「……行きましょう。明後日、舞の誕生日……大空の樹に」

満 「……ええ。そして、迷いも、心配も、悲しみも、すべて、捨てる」



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:07:47.99 ID:H9ECZtsNo

………………翌日 誕生日前日

咲 「ふわぁああああああ……!!」

満 「……すごい。本当に、できたのね」

咲 「やったよ満!! できたよ!! クリームメロンチョココロネケーキ!!」

満 「スポンジとパン生地を組み合わせるのに苦労したわ……でも、予想以上に……」

咲 「うん!! すごく美味しそう! 食べちゃいたい!」

満 「だ、だめよ咲! 明日までとっておかなくちゃ」

咲 「あぅ……」 ニコッ 「早く、舞に見せたいね!」

満 「……そうね。早く、舞の喜ぶ顔が見たいわ」

満 (そのためにも……薫と一緒に、明日、この寂しさの理由を、つきとめる)

咲 「……?」



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:08:17.04 ID:H9ECZtsNo

………………

みのり 「できたー!!」

薫 「……きれい。本当に、とっても」 グスッ 「本当に……」

みのり 「薫おねーさん……?」

薫 「あっ……ごめんなさい。ちょっと、感極まってしまって」

みのり 「…………」 ニコッ 「……じゃあ、今日は逆」

薫 「えっ……?」

ナデナデナデ

みのり 「どう? 元気になる?」

薫 「…………」 ニコッ 「……ええ。とっても。ありがとう、みのりちゃん」

みのり 「えへへー。明日、この絵を見せたら、舞おねーちゃん、喜んでくれるかな?」

薫 「もちろんよ。とってもきれいで、きっととっても喜んでくれるわ」

みのり 「楽しみだなぁー。早く明日になるといいね、薫おねーさん」

薫 「……ええ。早く明日になって、舞のお誕生会になったら、いいわね」



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:09:05.14 ID:H9ECZtsNo

………………夜

咲 「うーん……やっぱり、何かおかしいよ。ここ最近の満と薫は」

舞 『やっぱり、咲もそう思う? どうもおかしいのよね』

舞 『ここ数日、毎日のように星野くんたちと話しているし、かと思ったら、わたしが近づくと話すのをやめちゃうし……』

咲 「あ、いや、それは……」 (舞の誕生日の話をしていたんだと思う……なんて言えないよね)

舞 『咲、どうかした?』

咲 「ううん、なんでもない。とにかく、満と薫はどうも、最近わたしたちに隠し事をしているように見える」

舞 『……隠し事。いやだわ。なんか、初めて出会った頃のふたりを思い出しちゃうもの』

咲 「……最初、満と薫はダークフォールの刺客として、わたしたちを探るために学校に潜入してきた」

舞 『けれど、わたしたちはふたりと友達になった。そしてふたりは自分たちの運命を変えるために、アクダイカーンと戦い



咲 「……わたしたちを守って、わたしたちの前からいなくなった」

ブルッ

咲 「……もう、やだよ。わたし、あんな悲しくてつらい思いをするの、もうやだよ」

舞 『わたしもよ、咲。みんなが満さんと薫さんを忘れてしまった。あのときの気持ち……きっと一生忘れないわ』



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:09:38.21 ID:H9ECZtsNo

咲 「だから、もしふたりが何か悩んでいるのなら力になってあげたい。わたしは……あのふたりの親友だから」

舞 『ええ。わたしも同じ気持ちよ。ふたりが悩んでいるのなら、力になってあげたい』

舞 『力になることができなくても、せめて一緒に悩んであげたい。一緒に考えてあげたい』

舞 『明日は、そんなきっかけになる一日になるといいわね』

咲 「あ……そ、そうだね!」 (そうだ……舞にはわたしの頼みごとの話しかしてないんだ……)

咲 (誕生日のことは舞に内緒だし、頼みごとのことは満と薫に内緒。うー、ややこしくて頭こんがらがりそう)

咲 「とにかく、明日の午前中で、それを仕上げちゃおうよ。舞にやらせてばかりだから、申し訳ないし」

舞 『仕方ないわ。咲、お店のお手伝いで忙しかったんでしょう? 明日の午前中、一緒にがんばりましょう』

咲 (本当は舞の誕生日の準備をしていたって知ったら、舞はどんな顔をするかな)

咲 「うん! じゃあ、明日、家で待ってるね」

舞 『ええ。それじゃ、切るわね。おやすみなさい、咲』

咲 「うん。おやすみ、舞」



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:10:26.52 ID:H9ECZtsNo

………………翌日 舞の家

弘一郎 「――みんな、今日は舞のために集まってくれてありがとう」

弘一郎 「あの子の誕生会をやってくれると聞いて、私は本当に嬉しかった」

弘一郎 「一年前、君たちの学校に転校してから、あの子はますます明るくなった。毎日が楽しそうだ」

弘一郎 「本当にありがとう。父親として、心から感謝している」

仁美 「そんな……あたしたちも、美翔さんと会ってから、ますます学校生活が楽しくなりましたし」

優子 「大切な友達ですから、当たり前です」

加代 「今日は、よろしくお願いします。準備、私たちもがんばります」

可南子 「ありがとう。本当に、舞はいいお友達に恵まれて幸せね」

和也 「うん。まったくだね、母さん」

健太 「……? そういえば、美翔と咲がいないけど、どこに行ったんだ?」

宮迫 「星野くん、美翔さんの誕生会なんだから、美翔さんに準備を見せるわけにはいかないでしょ」

仁美 「そうそう。美翔さんは、いま咲の家にいるの」

健太 「なるほどなぁ……」

みのり 「あれ? でも、薫おねーさんと満おねーさんもいないよ?」



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:10:53.65 ID:H9ECZtsNo

優子 「ああ……ふたりは昨日、少し遅くなるって言ってたよ。でも、誕生会には遅れないように行くって」

加代 「何か用事でもあるのかしら?」

優子 「さぁ? 教えてくれなかったから。でも、準備がんばってって言ってたから」

仁美 「ふたりの分まで、マジあたしたちががんばらないとね!」

可南子 「ええ。じゃあ、まずこの飾り付けを……」 コケッ 「きゃっ!?」

――――ガシャーン!!!

和也 「か、母さん!? 大丈夫?」

健太 「は、話には聞いていたが……」

仁美 「マジ、すごいね、美翔さんのお母さん……」

加代 「あ、あははは……」



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:12:11.79 ID:H9ECZtsNo

………………咲の家

咲 「……うぅー、うまくいかないよぅ」

舞 「あとちょっとよ。がんばって、咲」

咲 「うん……」

チクチクチク……

咲 「……今ごろみんな、準備がんばってるかなー」

舞 「準備?」

咲 「あっ……な、なんでもない!」

舞 「? ところで、満さんと薫さんには連絡は取ってあるの?」

咲 「うん、もちろん。午後に、舞の家にきてもらうことになってるよ」

舞 「でも、なんでわたしの家なの? このまま咲の家でもいいんじゃ……」

咲 「そ、それは……あはははは……ちょっと、事情があって」

舞 「???」

咲 「あはははは……」 チクッ 「――痛っ」

舞 「咲!? 大丈夫!?」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:12:49.13 ID:H9ECZtsNo

咲 「いたたた……ちょっと刺しちゃった……」

舞 「血が出てるじゃない! 咲、早く指貸して!」

咲 「へ……?」

パクッ

咲 「……!? ま、舞!?」

舞 「ひっほひへへ!(じっとしてて!)」

咲 「あ、う、うん……」 (って言ったって、さすがに指をくわえられるのは恥ずかしいよ……)

舞 「……はい、これでもう大丈夫。血はもう出ないわ」

咲 「う、うん……あ、ありがと……///」

舞 「咲? どうかした?」

咲 「な、なんでもないなんでもない! それより早く仕上げないと……」

チクチクチク

舞 「???」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:13:19.09 ID:H9ECZtsNo

咲 (分かってないみたい……やっぱり、あのお母さんの子どもなんだなぁ、舞って。……ん?)

舞 「咲? どうかしたの?」

咲 「……ねえ、舞。あれって、満と薫だよね?」

舞 「え……? あ、本当……」

咲 「どこに行くんだろう?」

舞 「あっちは……森の方ね。何か用事でもあるのかしら?」

咲 「……ねえ、舞。なんか、満と薫、すごい怖い顔してた」

舞 「……ええ。なにか、すごく嫌な予感がする」

舞 「満さんと薫さんが、勝手にダークフォールに行こうとしたときのような……」

咲 「…………」

チクチクチクチク……!!!

咲 「……よし! 完成! 舞、行こう!」

舞 「うん!」



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:13:45.66 ID:H9ECZtsNo

………………森

満 「……ねえ、薫。覚えてる? 大空の樹の下で、初めて咲と舞と出会ったときのこと」

薫 「……もちろん」

満 「木に願うなんてばからしいとか、色々失礼なことを言ったわよね」

薫 「うん。あのときは、何も分からなかったから。咲と舞も、ただの敵だった」

満 「枯れ果てた空の泉から出て、緑の郷へやってきて、そして、私たちはふたりに出会った」

薫 「クラスメイトになって、何も知らない私たちを、温かく迎えてくれた。たくさんのことを教えてくれた」

満 「喧嘩の仲裁をしてくれたりね」

薫 「……あのときは、伊東さんにも悪いことをしてしまったわ」

満 「そうね。でも、今も友達でいてくれる。緑の郷の人間は、みんな温かい」



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:15:38.76 ID:H9ECZtsNo

薫 「うん……」 コクッ 「だから、これ以上心配なんてかけられるわけ、ない」

薫 「もしも私たちが、『家族がいなくて寂しい』 なんて思ってることを知ったら、」

満 「きっと、自分のことのように悲しんでくれるでしょう。けれど、それは私たちの本意じゃないわ」

薫 「ええ。私は、咲と舞には、ずっと笑顔でいてほしい」

満 「そうね。私も同じ気持ちよ」

薫 「だからこそ、私たちは、自分たちで、」

満 「私たち自身のことを、解決しなければ」

薫 「行きましょう、満」

満 「ええ。けれど、すぐに戻ってくるわ」

薫 「うん。そして、舞の誕生日を、みんなと一緒に祝う」



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:16:40.38 ID:H9ECZtsNo

………………物陰

咲 「……やっぱり、寂しかったんだ」

舞 「ええ……」

咲 「ふたりとも、わたしたちに相談してくれればいいのに」

舞 「言いにくかったのよ。言っていたじゃない。わたしたちに心配をかけたくないって」

咲 「でも……」

舞 「あのふたりは優しくて、強くて、だからこそ言えなかったのよ……」

咲 「…………」

舞 「……それより、ふたりともどこへ行くのかしら?」

咲 「そういえば、どこに行くのかな。なんか、すごい怖い顔してたけど……」

舞 「“自分たちのことは自分たちで解決する” ……」

舞 「ねえ、咲。分からないけど、なんかとても嫌な予感がするわ」

咲 「うん。満と薫には悪いけど、ちょっと……」

舞 「ええ。後をつけてみましょう」

咲 「うん!」



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:17:12.13 ID:H9ECZtsNo

………………大空の樹

満 「……来たわよ! どこにいるの!」

薫 「私たちには大切な用事があるの! 早くしてちょうだい!」



咲 「……? ふたりは誰に話しかけているんだろう?」

舞 「あの口ぶりだと、どこかに隠れて……あっ!」



ザザッ…………ザザザッ…………

満 「……現れたようね」

薫 「呼び出しておいて待たせるなんて、随分と横柄じゃない」

?? 「ごきげんよう。来てくれて嬉しいわ、霧生満、霧生薫」

満 「白々しい。私たちが気にするような言葉を投げかけて、くるようにし向けたくせに」



咲 「!? なにあの女の人!? 突然現れたよ!」

舞 「……何者なのかしら? ダークフォールのような、嫌な感じはしないけれど」

咲 「でも……なんか怖い」



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:18:42.03 ID:H9ECZtsNo

?? 「どうであれ、あなたたちは来た。それは事実よ」

薫 「……答えて。私たちの運命って何? あなたは私たちに何が言いたいの?」

?? 「……ついてきなさい。あなたたちの運命、宿命、未来……あなたたちが存在する意味」

?? 「それを、私が占って差し上げましょう」

満 「……薫」

薫 「うん。行こう、満」

?? 「よろしい。では、道を開きましょう。……世界樹よ、我が呼び声に応えよ」

パァァアアアアアア……!!!!

満 「……!? そんな、ばかな……! 大空の樹が光り輝いて……」

薫 (呼応しているというの……!? この女の呼び声に……)

?? 「ふふ……フィーリア王女ほどではないけれど、私もこの樹とは縁が深いのよ」

満 (ダークフォールのことだけじゃない……この女、フィーリア王女のことまで知っている)

?? 「運命、理の女王の名の下に、その道を開きなさい。“理の郷” への道を!」

…………キィイイイイイ……



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:19:17.37 ID:H9ECZtsNo

満 「穴……? これは、ダークフォールの入り口のような……」

?? 「一緒にしないでほしいわね。これは、理の郷への道よ」

薫 「理の郷……?」

?? 「私の居場所。そして、あなたたちが運命を知る場所よ」

?? 「……私に続きなさい」

スッ……シュン……

満 「穴の中に消えた。……薫」

満 「ええ」 ギュッ 「……一緒なら、怖くない」

満 「行くわよ!」

スッ……シュン……

ガサゴソ……ガサガサ……

咲 「……舞」

舞 「ええ。ついていきましょう、わたしたちも」

咲 (……ごめんね、満、薫。でも、もう絶対に嫌なの)

舞 (あのときのように、ふたりがいなくなってしまうなんて、絶対に……)



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:20:07.31 ID:H9ECZtsNo

………………???

満 「……? ここは……」 (上にも下にも横にも……扉がいっぱい……)

薫 (……明るい。けれど、どこか無機質な場所。無地の高層ビルのいたるところに、扉がついているような……)

?? 「……ここが、理の郷。私の居場所。そして、あたたちの運命を知る場所」

?? 「では、改めて自己紹介をさせてもらいましょうか」

?? 「私の名は、“理の女王リール” 。世界すべての理――運命を司る者よ」

満 「理の女王……リール。聞いたことがあるわ」

薫 「……すべての運命を見通す者。故に、理の郷から一歩も外へ出ることはない、と」

リール 「ええ、その通りよ。私は何もかも、手に取るように分かる」

リール 「だからこそ、私は必要以上に世界に干渉してはならない。そう決められているの」

満 「しかし、あなたは緑の郷へやってきた。そして、私たちをここまで連れ出した」

薫 「何故……?」

リール 「……たしかに、私は必要以上に人々に関わってはいけない」

リール 「なぜなら、私の一言で、世界の進む道が一気に変わってしまうこともあるから」

リール 「私の言葉はそれだけ重い。全ての運命を知っているが故に、ね」



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:21:43.86 ID:H9ECZtsNo

リール 「……けれど、看過できないこともある」

満 「それが私たちだと言うの?」

リール 「ええ」

薫 「ならば、教えてほしい。私たちは、なぜ生きている?」

薫 「私たちの運命とはなんだ! 私たちは……」

リール 「…………」

スッ……

リール 「……これが、その答えよ」


――――――――ッッッゴォオオオオオッ……!!!!


満 「ッ……!?」 (なんて、凄まじい力……!!)

薫 「ぐっ……」 (それに、この敵意は……ッ!)

リール 「……分かってもらえたかしら?」

リール 「あなたちは今ここで私に消滅させられる。それが、あなたたちの運命よ」

満 「なっ……」

薫 「なんだと……!?」



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:22:16.12 ID:H9ECZtsNo

満 「どういうことだ!! あなたは、私たちに運命を教えてくれると、そう言ったじゃないか!」

リール 「ええ。だから教えてあげるの。あなたたちの運命を、今から」

薫 「私たちを騙したのか……! 運命なんて言葉も、私たちをおびき出すための罠だったのか!」

リール 「いいえ。私は、緑の郷を破壊することが本意ではないというだけのことよ」

リール 「そのためにあなたたちをこの理の郷まで連れてきた。ここなら、いくら暴れても問題はないから」

満 「答えてくれ! なぜ、私たちがあなたに消滅させられなければならないんだ!」

リール 「……決まっているでしょう? あなたたちが、緑の郷で生きていていい運命にないからよ」

薫 「……!?」

リール 「あなたたちも分かっているはずよ、霧生満、霧生薫」


リール 「――あなたたちは本当なら、一年前の戦いの後、消滅しているはずだった」


満 「っ……そ、それは……」

薫 「だが、フィーリア王女と、緑の郷の精霊たちのおかげで……――」

リール 「――……そう。それが、すべての運命を、宿命を、理をねじ曲げた」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:23:27.26 ID:H9ECZtsNo

リール 「フィーリア王女も余計なことをしてくれたものね。そのおかげで、私に仕事が回ってきてしまった」

リール 「フィーリア王女のしたことは、世界のルールに反すること。理をねじ曲げる行為だったのよ」

リール 「ダークフォールの滅びの力によって生み出されたあなたたちは、」

リール 「ダークフォールの滅びの力が完全に消滅したあのとき、あの瞬間、消滅していなければならなかった」

リール 「それを、フィーリア王女が無理矢理にルールをねじ曲げ、あなたたちを緑の郷の存在に組み替えた」

リール 「さすがは世界樹の精霊ね。緑の郷の精霊と合わせた力で、そんな無茶を可能とした」

満 「な、なら……!」

リール 「けれど、それは明確なルール違反。理の女王である私は、それを看過するわけにはいかない」

リール 「私は、あなたたちという存在を、許しておくわけにはいかない」

リール 「……あなたたちふたりは、世界に存在していてはいけないのよ」

薫 「っ……」

リール 「……それに、おかしいじゃない。自分たちでもそう思っていたんでしょう?」

満 「……!? や、やめて! それ以上、言わないでッ!」



リール 「だってあなたたち、親も家族もいないじゃない」





82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) 2011/11/03(木) 23:24:17.41 ID:iqxyFipLo

薫 「っあ……」 ブルブル 「いや……だって、……」

満 「理の女王……あなたはッ……!」

リール 「あら、予想以上の反応ね。けれど、本当のことよ」

リール 「どんな生まれでも、どんな育ちでも、親のいない子どもはいない」

リール 「ダークフォールが滅びた世界に、あなたたちの親はいない」

リール 「そんな特異な存在が、悠々と緑の郷で暮らしている? そんなの、おかしいに決まっているじゃない」

薫 「っ……やめて……」

満 「やめろ……それ以上言うなッ!!」

リール 「親がいない。家族がいない。けれど、親に憧れて……ふふ、滑稽ね」

満 「やめ、ろ……やめて……もう……」

リール 「……ね? 自分たちがおかしな存在だって気づいたでしょう?」

リール 「あなたたちは、緑の郷に……いいえ、世界に存在していてはいけないのよ」

薫 「いや……やだ……私…………――――――」


                        ―――――― 「そんなことない!!」



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:25:19.25 ID:H9ECZtsNo

リール 「……!? この理の郷に侵入者ですって!?」

?1 「ふざけないでよ……ふざけたことばっか、言わないでよ!」

?2 「そうよ…… “何が存在していてはいけない” よ……!!」


  「「私たちの友達に、そんな酷いこと言わないで!!」」


リール 「お前たちは、まさか……まさか……!?」

薫 (この、声は……)

満 (この、温かくて頼もしい、声は……)

リール 「――――……なぜ、ここにいる!? 日向咲! 美翔舞!」

咲 「なぜって、そんなの当たり前でしょう!!」

舞 「友達が深刻そうな顔でどこかに行ってしまったら、当然ついていくわよ!」

咲 「もう、嫌だから……あのときみたいに、ふたりでいなくなってしまうなんて、絶対に嫌だから!」

舞 「あなたが何者かなんて知らない。けれど、満さんと薫さんを消すなんて、絶対にさせない!」



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:26:02.24 ID:H9ECZtsNo

満 「咲……!」

薫 「舞っ!」

咲 「……後でお説教だからね、満、薫」

舞 「また勝手に悩んで勝手なことしようとして……覚悟しておいてね、満さん、薫さん」

リール 「っ……ふざけたことをしてくれたわね。理の郷に、勝手に侵入するとは」

咲 「どっちが! 満と薫にひどいこと言って、ひどいことしようとして……!」

舞 「わたしたちの友達にそんなことをするなんて……」


咲&舞 「「絶対に許さない!!」」


リール 「ふん……どうであれ、関係ない。せっかく緑の郷に影響を与えぬよう気を遣ったというのに」

リール 「まさか、緑の郷の人間がまぎれこむとはね。まぁいわ」

咲 「何よ! 満と薫をどうにかしようっていうんなら、まずわたしたちをどうにかしてみなさいよ!」

舞 「フラッピ、チョッピ、変身よ!」

………………シーン…………

咲 「あ、あれ……? フラッピ? チョッピ……?」



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:26:57.65 ID:H9ECZtsNo

舞 「あっ……よく考えたら、フラッピとチョッピは泉の郷にいるはずよ?」

咲 「あ……」 ハッ 「あああああああああああああ!!!」

リール 「っ……」 (この子たち、一体なにを考えているの……?)

リール (精霊がいないことにも気づかずに、後先考えずに乗り込んできたっていうの?)

リール (ただ、友達が心配だったから? ……ッ)

リール 「……くだらない。何も変わりはしない。運命は覆りはしない」

満 「!? ま、待って! ふたりは関係ないわ! ふたりにひどいことをしないで!」

リール 「……ふん。泣かせる友情ね。安心しなさい。このふたりを傷つけることは、私の本意ではないから」

リール 「理の回廊よ! 理の女王の名の下に、滅び行く運命を決したまえ!」

ゴゴゴゴゴゴ…………!!!!

咲 「えっ……? な、何? 理の郷が揺れているの?」

リール 「違う……揺れているのは、この扉だけよ」

舞 (女王の後ろのひときわ巨大な扉……あれが……)

――――――バタンンンンッッ!!!!!

舞 「……!?」 (開いた……!?)



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:27:28.06 ID:H9ECZtsNo

――――ゴォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

満 「なんて、風だ……! これは、あの扉に吸われているの!?」

薫 「満!」 (手を、つなげば……!)

満 「薫!」 (お願い……届いて……)

――――スカッ……

満 「っあ……薫ぅううううううううううう!!」 (だめ、離れて……!)

薫 「満……満ううううううううううう!!」

咲 「満と薫が扉の中に……!」 ゴォオオオオオ!! 「きゃっ……!!」

舞 「咲!!」 (このままじゃ、咲も、わたしも……!)

咲 「舞!」 (手を、届か――――)

――――――――ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

咲 「きゃあああああああああああああああああ!!」

舞 「咲ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

……………………………………………………――――――――――――――――――――



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:28:09.26 ID:H9ECZtsNo

――――――――――――――――――――……………………………………………………

………………泉の郷

ムープ 「!?」

フープ 「ププ!!」

フラッピ 「咲……?」

チョッピ 「舞?」

フィーリア 「!! いけない……!」

ムープ 「フィーリア王女! なにか……何か、とても嫌な感じがするムプ!」

ムープ 「いま、一瞬だけ満の鼓動が、感じられなくなったムプ!」

フープ 「フープもププ! 今も、薫が……薫が、何かおかしいププ! フープには分かるププ!」

フラッピ 「フラッピも感じたラピ! 何か……咲によくないことがあったラピ!」

チョッピ 「チョッピも感じたチョピ!」

フィーリア 「ええ……私も感じました。おそらくは……」

フィーリア 「……みんな、力を貸してくれますか?」



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:28:35.41 ID:H9ECZtsNo

フラッピ 「当たり前ラピ! 咲たちに何かがあったら、フラッピは心配ラピ!」

チョッピ 「チョッピも心配チョピ! 舞……」

ムープ 「ムープもムプ! 満が心配チョピ!」

フープ 「フープは、薫に何かがあったら嫌ププ!!」

フィーリア 「……分かりました」

コクッ

フィーリア 「――みんなで向かいましょう。“理の郷” へ」

フィーリア (理の女王、あなたは……何も分かっていない)

フィーリア (……もし、あなたが満と薫の存在を認めないというのなら、)

フィーリア (すべての生命を司る私が、あなたを止めて見せましょう……!)

フィーリア (満と薫もまた、私が守るべき、大切な生命のひとつなのだから……)



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:30:05.72 ID:H9ECZtsNo

………………???

咲 「…………」

ピクッ

咲 「……ん……あっ……うーん」

咲 「ここは、どこ……? 満と薫……舞も、いないの……?」

カツン!

咲 「透明の壁……? なんだろう、いやに明るいけど……」

咲 (狭くて丸い床から、上に向かって変な形をした透明の壁が伸びて……上は……)

咲 「……? 天井はなくて、空いているの? ん? これって、どこかで……」

―――― 『花瓶よ』

咲 「!? この声は……理の女王!?」

リール 『そう目の敵にしないでほしいわね』

咲 「どこにいるの!?」

リール 『少なくとも、そこにはいないわ。声だけをあなたに届かせているから』



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:31:07.21 ID:H9ECZtsNo

咲 「ここはどこ! 満と薫、それから舞はどこにいるの!?」

リール 『あなたたちは全員、理の回廊の扉に飲み込まれたのよ』

リール 『そこは花瓶の牢獄。少しの間、あなたはそこに閉じ込めておくことにしたわ』

咲 「なんですって……!?」

リール 『霧生満と霧生薫は、理の回廊へ送られたわ』

リール 『そして美翔舞は、あなたと同じように鳥籠の牢獄に閉じ込めてあるわ。邪魔ができないようにね』

リール 『まぁ、もう邪魔をしませんっていうなら、今すぐにふたりとも、出してあげてもいいのだけど』

咲 「誰が!! 早く私たちを緑の郷へ帰して! もちろん、満と薫も一緒に!」

リール 『それはできない相談ね。あの子たちは、運命をねじ曲げすぎた。それは、必ず悪影響をもたらす』

リール 『あの子たちの存在は私が抹消しなければならないのよ』

咲 「そんな勝手なこと……!! わたしと舞が絶対に許さないんだから!!」

リール 『勝手にするといいわ。べつに、あなたたちの感情までどうこうする気はないもの』

咲 「満と薫はどうなったの!! 理の回廊って何!!」

リール 『ふん。まぁ、いいわ。教えてあげましょう』

リール 『――……理の回廊。それは、消えゆく定めにある者が、消滅する場所よ』



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:32:26.44 ID:H9ECZtsNo

………………理の回廊

薫 「ここは……」 (何もない、薄暗い場所……)

薫 「満……大丈夫かしら。それに、咲と舞も……」

薫 「ふたりを、巻き込んでしまった……。また……」

―――― 『そんなことない!!』

薫 「…………」 (……でも、嬉しかった。あのふたりの言葉だけで、助かった)

薫 「満……咲、舞……待っていてね。今、助けに行くから――――」

「――――人の心配をしている場合じゃないんじゃないかしら?」

薫 「ッ、だ、誰!?」 バッ 「……!? そ、そんな……どうして、あなたが……!?」

? 「何故、ね。正直、わたくしにも詳しい理由は分からないのですけれど、なんとなくでよろしければ」

? 「……おそらく、運命を決定するために、理の女王に目覚めさせられたのでしょうね」

? 「あなたの状況も、手に取るように分かりますわ。なにか、不思議な気分」

薫 「……なるほど。それが、理の女王の真意。あなたが、私を消すということなのね」

薫 「――――ミズ・シタターレ……!」

シタターレ 「ええ」 クスッ



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:33:28.77 ID:H9ECZtsNo

………………

満 「……だからって、こんな。眠っていたものを無理矢理揺り起こして使うなんて」

? 「いや、女王そのものにその意志があるとは思えん。これは、おそらくこの場の判断だ」

? 「お前を消すのに、私が適任であると判断したのだろう。この、理の回廊が」

満 「……消え去るべき運命にある者を消す場所……理の回廊」

満 「それが、あなたという存在を、私に差し向けることを選んだのね、」

満 「――――キントレスキー……」

キントレスキー 「ああ。すまないが、それが私の役目のようだ。全力でいかせてもらうぞ」

満 「……全力も何も、今の私はただの人間よ? ダークフォールの滅びの力はもうないわ」

満 「そんな私を消すくらい、あなたには造作もないことでしょう?」

キントレスキー 「いや、消え去った私がよみがえったのだ。おそらくは、お前も同様だろう」

キントレスキー 「ダークフォールの力がよみがえっているはずだ」

満 「……?」

スッ……パァアアアアアア……キン!!!

満 「!? 変身できた……!?」



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:34:20.04 ID:H9ECZtsNo

キントレスキー 「そのようだな。懐かしい。昔のお前そのものだ」

満 「……失礼なことを言わないで。私はもう、ダークフォールの者ではないわ」

キントレスキー 「そうか。そうだな。そんな明るい瞳を持つ者は、ダークフォールにはいなかった」

キントレスキー 「ならば見せてみろ!! お前が得た力を!!」

満 「っ……」 (くる……!)

キントレスキー 「行くぞ、霧生満!! いざ、正々堂々と、勝負!!」

――――――――ッッッダンンン!!!!

満 (速い……!?) 「くっ……」

ザッ……!!!!

キントレスキー 「……ほう? よく避けたな」

満 「……相変わらずね、あなたは。理とやらに呼び起こされた今の状況すら、楽しんでいるように見えるわ」

キントレスキー 「当然だ。消滅した私に、こんな戦いの機会を与えてくれた女王に感謝したいくらいだ」

ニヤリ

キントレスキー 「……次はもっと速いぞ? せいぜい私を楽しませるのだな! 満!」

満 「っ……」 (ダークフォール最強の戦士……私ひとりで、勝てるの……?)



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:35:17.41 ID:H9ECZtsNo

………………

薫 「っ……」

ドドドドドドドドドド…………!!!!

薫 (水の嵐……近づくどころか、避けるだけで精一杯だわ……!)

シタターレ 「オホホホホホ!! いつまで避け回るつもりですの?」

薫 (っ……この水の弾丸をなんとかしないと、このままじゃじり貧だ……)

ザッ……!!!

薫 「避けてばかりだと……!!」

キィィィィイイイイ……!!!

薫 「思わないでッ……!!」

――――――ッッッッッッドンンン!!!!

シタターレ 「あら、お得意の光弾じゃない。怖い怖い」 クスクス

……ドバン!!!!

薫 「なっ……」 (まるで、虫を払うように、簡単にはじかれた……)

シタターレ 「……弱いわねぇ。その程度で元ダークフォールの戦士だっていうの?」



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:36:28.04 ID:H9ECZtsNo

………………

満 「っ……ああああああああああああ!!!」

ドンドンドンドンドンドンドンドドンドン!!!!!

キントレスキー 「…………」

満 「……はぁ、はぁ……」 ギリッ 「……どうして、効かないの……」

キントレスキー 「当然だ。その程度の光弾で、私をどうにかできると思ったのか?」

満 (っ……さすがに、強い……)

キントレスキー 「……お前も、元ダークフォールの戦士だというのなら、」

――――――ザッ……!!!!

満 (――!? そんな、瞬間的に……ッ!!)

キントレスキー 「己の拳で戦ってみせろ……!!」

ズドンンンン!!!!

満 「がッ……!?」 ガクッ (なんて、重い……拳……)

キントレスキー 「……ふん、他愛ない。この程度で倒れるか、満」

満 (こん、な……圧倒的な、力……こんなの……)



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:39:02.45 ID:H9ECZtsNo

………………鳥籠の牢獄

舞 「そんな……満さんと薫さんが消えるなんて、そんなはずないわ!!」

リール 『いいえ、それが運命だもの。決まっている定めだもの。覆せはしないわ』

リール 『今ごろ、強敵とでも戦っているんじゃないかしら?』

リール 『自分たちの無力を呪いながら、苦しみながら、消えていくのよ』

リール 『……そう。あなたたちが乱入したせいでね』

舞 「!? な、なんですって!?」

リール 『だってそうでしょう? もし、あなたたちがやってこなければ、』

リール 『私は少しの苦しみも与えずに、瞬間的に満と薫を消し去っていたもの』

リール 『けれど、あなたたちが近くにいる状態で、そんな強大な力を使うわけにはいかなかった』

リール 『だから私はあのふたりを理の回廊へ送ったのよ。仕方なく、ね』

リール 『あなたたちを傷つけることは、私の本意ではないから』

舞 「…………」 ギリッ 「……あなたは、とても優しい人なんですね」

リール 『……?』

舞 「でも、だったらなんでこんなことをするの!? こんな、ひどいことを……!」



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:39:32.19 ID:H9ECZtsNo

リール 『優しくなんてないわ。私は、私がすべきこと、しない方がいいこと、それを弁えているだけよ』

リール 『……ねぇ、美翔舞。もう霧生満と霧生薫のことは忘れなさい』

舞 「嫌よ! そんなの、絶対に嫌!」

リール 『あなたには、緑の郷にたくさんの友達がいるでしょう? ふたりにこだわらずとも、他が――』

舞 「――――他なんてない!!」

リール 『……!?』

舞 「満さんは、満さんよ! 薫さんは、薫さんよ! 他なんてないわ!!」

舞 「ふたりの代わりなんていない! だって、ふたりはふたりだもの!!」

リール 『っ……強情ね。あのふたりは運命に逆らっているの! 理に背いているの!』

リール 『あのふたりは、存在自体がルール違反、存在自体が禁忌なのよ!』

舞 「……なんて言われようと、私は、あのふたりを守りたい! あのふたりと一緒にいたいの!」

リール 『……無駄よ。もう、あのふたりのことなんて、あなたたち以外覚えてはいない』

舞 「!?」

リール 『理の回廊で相当苦しんでいるようね。あのふたりの存在が今にも消えそうだわ』

リール 『そして、緑の郷では、もうあのふたりの存在なんて、なかったことにされているわ』



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:40:39.67 ID:H9ECZtsNo

………………緑の郷 舞の家

みのり 「ふんふんふーん♪」

健太 「おっ、みのりちゃん、飾り付けがんばってるな」

みのり 「うん! みのり、おねーちゃんと、薫おねーさんと満おねーさんの分もがんばるの!」

健太 「おう! ……ん?」

健太 「ちょっと待ってくれ、みのりちゃん。おねーちゃんってのは、咲のことだよな……?」

みのり 「? そうだけど?」

健太 「それで、そのあとに何て言った?」

みのり 「何て言ったって……薫おねーさんと、満おねーさんの分もがんばるって言ったよ?」

健太 「……ちょっと待ってくれよ。薫おねーさんと満おねーさんって誰だ? 親戚か何かか?」

みのり 「えっ……?」 ゾクッ 「……ち、ちょっと待ってよ、健太おにーちゃん」

みのり 「薫おねーさんと満おねーさんは……」

みのり (あ、れ……? 薫おねーさん……? 満おねーさん……?)

みのり (――それって、誰、だっけ……?)

健太 「? どうかしたのか、みのりちゃん?」



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:41:53.54 ID:H9ECZtsNo

みのり 「ち、ちょっと待って……!」

健太 「???」

みのり (薫おねーさんと、満おねーさん……? そんな、人、いなかっ……――)


―――― 『よかった……怪我はなさそうね。ここら辺は、小石が多いから、危ない……』


みのり 「……!! ちがう……ちがうよ! いたよ! 薫おねーさんも、満おねーさんも!」

健太 「わっ! い、いきなりどうしたってんだ?」

みのり 「ね、ねえ、健太おにーちゃん! 本当に薫おねーさんと満おねーさんのこと、覚えてないの?」

健太 「えぇ? 覚えてないのって言われても……俺は知らねぞ、そんなやつ」

みのり 「!?」 ガバッ 「ちょっと待ってよ! 何を言ってるの、健太おにーちゃん!?」

健太 「わわっ! 飛びつくなよ、危ないだろ?」

優子 「? 星野くん、みのりちゃん、どうかしたの?」

健太 「いや、みのりちゃんがいきなり……」

みのり 「優子おねーさん! おねーさんは覚えてるよね? 薫おねーさんと満おねーさんのこと!」

優子 「薫おねーさんと、満おねーさん……?」 ウーン 「……ごめん、ちょっと分からないなぁ」



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:42:41.89 ID:H9ECZtsNo

みのり 「そ、そんなぁ……」

優子 「??」

仁美 「なになに、マジどうかしたの?」

加代 「どうしたの?」

宮迫 「また、星野くんが無神経なことでも言ったの?」

健太 「おい宮迫! そりゃどういう意味だ?」

優子 「いや、それがね、みのりちゃんが……」

みのり 「ね、ねえみんな! みんなは覚えてるよね!? 満おねーさんと薫おねーさんのこと!」

仁美 「えっ……?」  加代 「???」  宮迫 「満……? 薫……?」

みのり 「うそ……うそ、だよね……?」

仁美 「えーっと……もしかして、咲の親戚の人? 今日来るの?」

みのり 「っ……!!」

ダッ……!!!

仁美 「あっ……!! みのりちゃん!?」



101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:43:19.22 ID:H9ECZtsNo

和也 「……ん?」

みのり 「うそだうそだうそだ……!!」

タタタタタタ!!!

仁美 「みのりちゃん!! 待って!!」

和也 「……! みのりちゃん!」 ガシッ

みのり 「!? あ……舞おねーちゃんの、おにーさん……」

和也 「どうしたの? 走ったら危ないよ?」 ニコッ

みのり 「…………」

仁美 「あっ……美翔さんのお兄さん! ごめんなさい、なんか、いきなりみのりちゃんが走り出しちゃって……」

和也 「……うん、何かあったんだね。僕が話を聞いておくから、君たちは準備を続けて」

仁美 「す、すみません……お願いします」

和也 「気にしないで」

みのり 「…………」

和也 「……それで、どうしたのかな、みのりちゃん?」

みのり 「……みんなが、意地悪するの」



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:43:56.09 ID:H9ECZtsNo

和也 「意地悪……? みんな、そんな子たちには見えないけど」

みのり 「……だって、満おねーさんと薫おねーさんのこと、覚えてないなんて言うんだもん」

和也 「満おねーさんと、薫おねーさん……?」

みのり 「!? おにーさんまで、覚えてないって言うの……?」

和也 「……ごめん。嘘はつきたくない。僕は、そのふたりのことを、多分知らない」

みのり 「……っ……」 ブワッ 「うそだよ……っ……だって、ふたりとも……」

みのり 「ふたりとも……ふたりとも……」

みのり 「うっ……ぐすっ…………うわあああああああああああああん!!」

和也 「……?」 (なんだろう……この子は、何かを勘違いするほど幼くはない……)

和也 (咲ちゃんに似て、とても明るくて、前が見通せる子……)

和也 (うそをついているわけでもないだろう……だとしたら……)

和也 「……みのりちゃん、泣きながらでいい、僕の話を聞いてほしい」

和也 「残念ながら、僕はみのりちゃんが言っているふたりのことを、覚えていない」

和也 「申し訳ないけど、そんな人たちがいたことを、にわかには信じられない」

みのり 「……っ……」



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:44:23.76 ID:H9ECZtsNo

和也 「……けど、みのりちゃんがうそをついているとも、何かを勘違いしているとも思えない」

みのり 「へ……っ?」

和也 「だから、信じてみたい。みのりちゃんの言うことを、信じよう」

和也 「満さんと薫さんという人が本当にいて、僕もよく知っていたのだとしたら、」

和也 「――――きっと、僕はそのふたりのことを、何かが原因で忘れているんだ」

みのり 「…………」

和也 「だから、思い出したい。僕に、そのふたりのことを思い出させてくれないか?」

和也 「なんでもいい。そのふたりに繋がる手がかりを、ふたりで探していこう?」

みのり 「……!」 ゴシゴシゴシ!! 「うん! みのり、がんばる!!」

和也 (……強い子だ。もう泣き止んで、笑っている……すごいな)

みのり 「そうだ! みのり、薫おねーさんと絵を描いたの! そこに、ふたりが描いてあるよ!」

和也 「それは、舞へのプレゼント?」

みのり 「うん!」

和也 「よし、分かった。その絵を僕に見せてくれるかい? もしかしたら、何かを思い出すかもしれない」



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:45:38.37 ID:H9ECZtsNo

………………理の郷 理の回廊

薫 「…………」

バタン……

薫 「っ……あ……」 (だめ……もう……)

シタターレ 「あら? もう倒れちゃったの? つまんない人ですこと」

シタターレ 「それとも、もうあきらめがついたってことでいいのかしら?」

薫 「なんとでも、思えばいい……私は……」

シタターレ 「……まぁ、所詮この程度でしょうね。あなたなんて」

シタターレ 「ねえ、薫。あなたは弱い。ひとりでは何もできないものね」

薫 「…………」

シタターレ 「ひとりじゃ、わたくしを倒すことなど叶わない」

シタターレ 「ひとりでは、運命を変えることなんてできない」

シタターレ 「あなたはこのまま、理に押しつぶされ、わたくしと同じように消滅の道をたどるのよ」

薫 「…………」

薫 「……私は……」



105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:46:07.41 ID:H9ECZtsNo

………………

満 「…………」

キントレスキー 「……まぁ、そこまで悪いものでもない。消滅した後も、な」

キントレスキー 「我々はあるべき元の姿に戻るだけだ。人間も同じ。いずれは向かう」

キントレスキー 「いま行くか、後で行くかの違いだけだ。そう気を落とすな」

キントレスキー 「お前は弱い。ひとりでは何もできない。私とは違うのだ」

満 「…………」 クスッ 「……ふふ」

キントレスキー 「……? 何が可笑しい?」

満 「あなたの言う通りよ。そう、私は弱い。ひとりきりでは、何もできない」

満 「そう……ひとりでは、何もできない。あなたを倒すことも、運命に立ち向かうこともできない」

満 「本当に……私は、弱いから」

キントレスキー 「……ふん。くだらん。己で弱さを認めてどうする」

キントレスキー 「強さとは、弱さを認めず、己を磨き続け強くなることだ。この軟弱者が」

満 「……違うわ。本当の強さは、そんなものじゃない」

キントレスキー 「なんだと……?」



106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:47:26.31 ID:H9ECZtsNo

………………

薫 「本当の強さとは……そんなものじゃない。私は、それを “あのふたり” から教えてもらった」

シタターレ 「へぇ……? なら、何だって言うの?」

薫 「簡単なことよ。弱さを認めて、一緒に手を取り合う。そうすれば、人はどこまでも強くなれるの」

シタターレ 「手を取り合う……?」 プッ 「ふふ……あーっはっはっはっは!!」

薫 「…………」

シタターレ 「笑わせないでちょうだいよ! くく……これは傑作だわ!」

シタターレ 「弱い者同士、手を取り合えば強くなれるって? ふふ……たしかに、少しはそうなるかもね」

シタターレ 「けれど、回りを見てみなさいな! ここに誰がいるっていうの?」

薫 「…………」

シタターレ 「いないわよねぇ!? いないのよ! 手を取り合う仲間はいないのよ!」

シタターレ 「満も! プリキュアも! ここにはいないのよ!」

薫 「……その通りだ。ここにはいない」

シタターレ 「ふふ……なら、どうしようもないじゃない。あー可笑し――――」

薫 「――――ここにはいない。だったら、呼ぶまでのことだ」



107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:49:04.47 ID:H9ECZtsNo

………………

キントレスキー 「なん、だと……?」

満 「……薫……」

………………

薫 「満……」

シタターレ 「!? とうとう気でも違ったのかしら!?」

………………

満 「……薫!」

………………

薫 「満……!!」

………………

キントレスキー 「っ……!! くだらぬ!! そんな世迷い言に付き合っている暇はない!」

ズドンンンン!!!!

キントレスキー 「この一撃で終わらせよう!! 喰らえ、我が鍛え上げられた拳!!」

ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!



108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:51:07.46 ID:H9ECZtsNo

満 「…………」

ニィイ

キントレスキー 「!?」 (な……笑った……!?)

キントレスキー 「戦士を、バカにするものではないッッッ!!!!」

満 「バカにしているのは……どっちだッ!!!」

ズザッッッ…………!!!!!

キントレスキー 「!? ば、バカな……!!」 (あの体勢から、避けた……!?)

キントレスキー (しまった、このままでは、壁に、拳が……!!)

――――――――ズドンンンンンン!!!!!

                      ヒュゴォオオオオオオオオオオオオオオ!!!

キントレスキー (壁が破れた……そして、これは……ミズ・シタターレの、水の弾丸……!?)

キントレスキー 「ま、まさか……!! 我々の攻撃を利用して……!!」

シタターレ 「合流するつもりで……!?」

満 「……だから、バカにしているのはどっち、って言ったのよ」 ニコッ

薫 「あなたたちの攻撃は音が大きいもの。ずっと前から、私たちが壁を隔てたすぐ隣で戦っているということに気づいていたわ」

満 「そして、お互いがそれに気づいているであろうことも、予想していた」

薫 「だから、名前を呼び合ったのよ。それが、お互いの合図。相手の攻撃を利用して、壁を破る合図だったのよ」

キントレスキー 「っ……!」

満 「ふふ。ごめんなさいね、キントレスキー、ミズ・シタターレ」

薫 「二度も復活した私たちのしぶとさを、あまり舐めない方がいい」



109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:51:49.16 ID:H9ECZtsNo

………………花瓶の牢獄

咲 「そ、そんな……みんなの記憶から、満と薫が、消える……?」

―――― 『薫おねーさんって、だぁれ?』

咲 「!?」 ブルブル 「いや……!! あんな苦しい思いは、もうしたくない……!!」

リール 『そうね。でも、事実、緑の郷ではそうなっているのよ』

咲 「そん、な……」

リール 『……でも、安心しなさい。あなたと美翔舞が霧生満と霧生薫をあきらめればいいのよ』

咲 「な、何を……!!」

リール 『話は最後まで聞きなさい? そうすれば、あなたたちはあのふたりのことを忘れられるのよ?』

咲 「……!? わたしたちも、ふたりのことを忘れてしまう……?」

リール 『ええ。だから苦しむ必要はないの。誰も霧生満と霧生薫のことを覚えていないのだから』

リール 『みんな忘れる。あなたたちも忘れる。苦しむひとなんていないわ』

リール 『あなたたちがそうして忘れずいるから、満と薫は消えることができないの』

リール 『あなたたちのせいで、ふたりは今も苦しんでいるのよ?』

咲 「……っ」



110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:53:16.62 ID:H9ECZtsNo

………………理の回廊

キントレスキー 「……ふん。大したものだ。お前たちの信頼関係の強さには、すさまじいものがあるな」

キントレスキー 「だが、手を取り合えば勝てる、か。弱者の発想だな、満、薫」

シタターレ 「弱い者同士が協力し合ったって、どうせ強い者には勝てないのよ」

シタターレ 「一対一で敵わなかったわたくしたちと、二対二。結果は見えていると思うけれど?」

満 「……あなたたちに上手い連携が取れるとは思えないわ」

薫 「けれど、私たちの連携は完ぺきよ」

ザッ……!!!

満 「咲と舞が心配だわ。さっさと終わりにさせてもらうわよ、キントレスキー! ミズ・シタターレ!」

薫 「はぁああああああああああああああ!!」

――――ザリッ……!!!

キントレスキー 「!?」 (背後に回られた……? 大したスピードだ)

キントレスキー 「しかし……!!」

――――ドバン!!!!!

薫 「っ……!!」 (拳同士がぶつかり合っただけで……なんて衝撃なの……!?)

キントレスキー 「ほう?」 (いい拳だ。腕を上げたようだな、薫)

シタターレ 「ふん、スキありよ、薫!!」

ザッ……!!!!

満 「――――へぇ、わざわざ自分の隙を教えてくれるなんて、親切なのね」

シタターレ 「なっ……!!」 (いつの間に、わたくしの背後に……!?)

――――ズドンンンン!!!

シタターレ 「きゃあああああああああああああああ!!!」



111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:55:41.79 ID:H9ECZtsNo

キントレスキー 「ミズ・シタターレ!!」

薫 「――――戦闘中によそ見とは、余裕ね」

ザザザッ……!!!!

キントレスキー 「!?」 (しまった、懐に入られ―――)

薫 「―――吹き飛びなさい!!!」

ドバンンンン!!!!!

キントレスキー 「がッ……アアアアアアアアアアアアア!!!」

満 「……どう?」

薫 「これが、私たちの連携。私たちの、絆の力よ」

シタターレ 「ぐっ……やって、くれましたわね……!!」

キントレスキー 「なかなか、良い拳であったぞ、薫……」

ギリリッ……!!!

キントレスキー 「だが!! その程度で、我々をやれると思うなッ!!」

シタターレ 「キントレスキー!! わたくしの氷をお使いなさい!」

キントレスキー 「ああ、本当ならばひとりで戦いたいところだが、ここは借り受けよう!」



112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:56:15.80 ID:H9ECZtsNo

ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

満 「な、なに……?」

薫 「キントレスキーが、ミズ・シタターレの作り出した氷をまとって……!!」

シタターレ 「あら? 戦闘中にそんな棒立ちをして、余裕じゃない」

ピキッ……ピキピキピキッ……!!!

薫 「!? しまった! 足を凍りづけに……!?」

満 「動けない……ッ! このままじゃ……――」

キントレスキー 「……行くぞ!! 満! 薫! 受けてみろ、我が全力のタックルを!!」

キントレスキー 「ミズ・シタターレの氷をまとった私は、本物の最強だ!!」

ズドドドドドドドドドド……!!!!!!!!

薫 「まずっ……!!?」

       ――――――――ドッッッッッ!!!!!!

満 「っか……!? あ……」 (なんて、衝撃なの……)

薫 (これが……ダークフォールで一、二を争う戦士の、連携……)

――――パタリ……………………



113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:56:52.04 ID:H9ECZtsNo

………………緑の郷 舞の家

みのり 「……そ、そんなぁ」

和也 「……満さんと薫さんみたいな人は、描かれていないみたいだね」

みのり 「でも、そんなはずないの! だってみのり、薫おねーさんと一緒にこの絵を描いたんだよ!?」

和也 「…………」 ハッ 「……!?」

和也 「……みのりちゃん。ひとつ聞いてもいいかい?」

みのり 「えっ……? なぁに?」

和也 「もしかして、満さんと薫さんは、このスペースに描いたんじゃないのかい?」

みのり 「!? な、なんで分かったの!? 消えちゃってるのに……」

和也 「…………」 (……おかしい。何かが頭に引っかかる)

和也 (絵に明らかに無駄なスペースがある。いくらなんでも不自然すぎる)

和也 (皆が笑顔のこの絵で、一箇所だけぽっかりと空いた空白……これは、まさか本当に……)

みのり 「和也おにーさん……?」

和也 「……ごめん、みのりちゃん。もう少し満さんと薫さんについて知りたい」

和也 「君が考えつく限りで、ふたりの手がかりになるものを見せてほしい」



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:57:29.86 ID:H9ECZtsNo

みのり 「……まだ、信じてくれるの?」

和也 「うん。明らかに何かがおかしいからね」

和也 「まるで、何か巨大な力がはたらいて、僕ら全員の記憶が奪われてしまったようだ……」

みのり 「おにーさん……ありがとう!!」

みのり 「……えーっとね、みのりの家に行けば、まだまだ絵がたくさんあるよ」

みのり 「それに、お父さんとお母さんなら、何か覚えてるかもしれないし!」

和也 「よし、分かった。急いで行ってみよう!」

みのり 「……それに、家にはきっとおねーちゃんと舞おねーちゃんがいるもん!」

みのり 「ふたりなら絶対に覚える! おねーちゃんたち四人は、星空のともだちなんだもん!」

和也 「星空の、ともだち……そうか。なら、きっと大丈夫。大丈夫だよ」

和也 「星空はうそをつかない。ありのままを伝えてくれる」

和也 「咲ちゃんと舞なら、きっと覚えていてくれるさ。さぁ、行こう、みのりちゃん」

みのり 「うん!!」



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:57:58.85 ID:H9ECZtsNo

………………鳥籠の牢獄

リール 『だから、あきらめなさい。あなたたちには何もできない』

リール 『あなたたちのそのがんばりが、無為に霧生満と霧生薫を苦しめているのよ?』

舞 「…………」

リール 『……分かるでしょう? あなたたちもプリキュアなら』

リール 『あなたたちがダークフォールを打ち倒したように……』

リール 『私もまた、霧生満と霧生薫の存在を抹消しなければならないのよ』

舞 「……それが、同じだっていうの?」

リール 『?』

舞 「わたしたちが、世界を滅ぼそうとするダークフォールを倒したことと……」

舞 「一生懸命、緑の郷で生きている満さんと薫さんを消し去ろうとすることが……」

舞 「……同じだって、あなたはそう言うの!?」

ゾワッ……!!!

リール 『なっ……!!』 (なんだ、この、得体の知れない気配は……!?)

舞 「……違う。絶対に違う!! あなたのやっていることは、正しくなんかない!!」



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/03(木) 23:58:50.73 ID:H9ECZtsNo

舞 「満さん薫さんはまだ、生きている。生きようとしているの!!」

舞 「その存在を消し去ろうとするなんて……そんなの、絶対に間違ってるわ!」

リール 『……っ、だが、あのふたりは間違いなく世界に影響を及ぼす!!』

リール 『世界のバランスを崩しかねないのよ!?』

舞 「だったら!! わたしたちは違う道を探る!」

舞 「あなたのように、一方的にあのふたりを消そうなんてしない!!」

リール 『っ……違う道なんてありはしない!! そんな詭弁でどうにかなる問題ではないのよ!』

舞 「……それでも、わたしは信じる。わたしは、信じてる」

舞 「あのふたりが、今も懸命に生きようとしているって。今も、運命に立ち向かおうとしているって」

リール 『それで霧生満と霧生薫は苦しんでいるかもしれないのよ!?』

舞 「――――たとえ苦しんでいたとしても!!」

リール 『……!?』

舞 「わたしがそれを信じないで…… “わたしたち” がそれを信じないで、一体誰が信じるっていうのよ!」

舞 「あのふたりがまだあきらめていないのに……それを勝手に、わたしがあきらめられるわけがないでしょう!」

舞 「わたしは…… “わたしたち” は信じてる。満さんと薫さんのことを、信じてる」



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:00:43.25 ID:S+yJSzvCo

………………理の回廊

シュゥゥウウウウウウウ……

キントレスキー 「……うむ。この氷の鎧はたしかに強力だが……」

キントレスキー 「一度タックルに使うと、私の熱ですべて溶けてしまうのが難点だな」

シタターレ 「あんたが熱すぎるのよ」

キントレスキー 「ふむ。それは私にとっては褒め言葉でしかないな。ふはははははは!!」

シタターレ 「……それにしても、情けないことね、満、薫」

満 「…………」

薫 「…………」

キントレスキー 「ピクリとも動かんな。つまらん。もう役目が終わってしまったではないか」

シタターレ 「また、ただの水と金に戻るのね、わたくしたち。退屈ですわ」

キントレスキー 「ふん……」

――――……ピクッ…………

キントレスキー 「む……!」

シタターレ 「……?」



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:01:21.16 ID:S+yJSzvCo

満 「…………」

グッ……ググッ……

満 「……か、おる……」

薫 「…………」

グッ……グッ……

薫 「……みちる……」

キントレスキー 「なるほど。まだ動けたか。存外しぶといな」

シタターレ 「最後の悪あがきといったところでしょう。無駄なことなのに」

満 「……薫……」

薫 「満……!」

グッ……ググググッ……

満 (お願い……!)

薫 (……届いて!)

シタターレ 「ふふ……はははははは!! 傑作だわ! そんなボロボロの身体で、手を伸ばしあうのね!」

キントレスキー 「…………」



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:01:49.19 ID:S+yJSzvCo

シタターレ 「手を伸ばして、手を取り合って、それでどうなるというの?」

シタターレ 「あんたたちが力を合わせたところで、わたくしたちを越えることなどできはしないのよ」

満 「……たしかに、そうかもしれない」

薫 「私たちは、弱い。ダークフォールで一、二を争うほどの実力者である、あなたたちに比べれば」

キントレスキー 「…………」

満 「けれど……私たちは、それでも、手を取り合う。手を取り合って、戦う」

薫 「あきらめたくないから……運命なんかに、負けたくないから……」

シタターレ 「ふん。惨めねえ。それがダークフォールの戦士の末路だというのだから、笑わせてくれるわ」

シタターレ 「無様に大地を這いずって、弱い者同士手を繋ごうと必死に手を伸ばす」

シタターレ 「本当に無様だわ。見ていられないくらいよ」

スッ……

シタターレ 「……元ダークフォールの戦士、満、薫。せめて誇りを失わないまま、消し去って差し上げますわ!!」

キントレスキー 「――――待て。ミズ・シタターレ」

シタターレ 「? どうかしたというの、キントレスキー。もうトドメを刺してしまいましょう」

シタターレ 「それは、あのふたりのためにもなる。あのふたりの、戦士の誇りのためにもなるのよ?」



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:02:29.46 ID:S+yJSzvCo

キントレスキー 「……否」

シタターレ 「えっ……?」

薫 「戦士としての誇り……そんなもの、いくらだってくれてやる……」

満 「……たとえ、無様であったとしても……醜かったとしても……」

薫 「それでも私たちは、あきらめたくない……運命なんかに、負けたくない……!」

満 「地を這いずってでも……私は……私たちは……!」

グッ……グググッ……グッ……

キントレスキー 「……あれもまた、強さだ。お前も知っているはずだぞ、ミズ・シタターレ」

シタターレ 「…………」 ギリッ 「……何度倒れても立ち上がる……プリキュアの強さ」

キントレスキー 「そう。そして、何度倒れても立ち上がり、手を取り合い、戦う強さだ」

キントレスキー 「我々はその強さに負けたのだ。慢心はなしだ。全力でかかるぞ」

シタターレ 「……分かったわ。わたくしの氷をお使いなさい、キントレスキー!」

ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

満 「おね、がい……!」

薫 「届いて……!」

            ――――――――――――ギュッ……!!!!



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:02:58.24 ID:S+yJSzvCo

キントレスキー 「……行くぞ!! 満、薫!!」

キントレスキー 「我々の連係攻撃! これを突破せねば、お前たちに未来はない!!」

キントレスキー 「運命とやらに屈したくないというのならば、お前たちのその力、見せてみろ!」

ズドドドドドドドドドドドドド……!!!!

満 「……私たちは」

薫 「ひとりじゃない……」

――――キィ……キィィ……

満 「たとえ、ひとりひとりの力が弱くても、」

薫 「単純な足し算で、あなたたちふたりに敵わなくても、」

満 「……ならば、私たちはふたりで強くなる。1+1を、10にも、100にも、1000にも!!」

薫 「何倍にだって、してみせる!!」

キィ………………キィィィイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!

シタターレ 「!?」 (手を取り合い、立ち上がった満と薫から、凄まじい光が……)

シタターレ (そんな馬鹿な……! ボロボロのあのふたりの、一体どこにそんな力が残っていたというの!?)

キントレスキー 「上等だ!! この氷の鎧をまとった私を、止めてみせろ!! 満! 薫!」



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:03:28.34 ID:S+yJSzvCo

満 「言われなくたって、やってやる!!」

薫 「満!!」

ギュッ……!!!!

満 (……ずっと一緒だった、唯一無二の家族)

薫 (温かくて、なじみ深くて、何より優しい、私の理解者)

――――――――キィィィイイイイイイイイイイイインンンンン!!!!!

満 「……ふたりなら、いくらでも強くなれる」

薫 「……ふたりなら、運命にも立ち向かえる」


満&薫 「「私たちはひとりじゃないッッッ!!!」」

                   ――――――――ッッッッッッッドンンンンン!!!!!


キントレスキー 「!?」 (なんて強大な光弾だ……ッ!!)

キントレスキー 「これは、ダークフォールの力などではない……これは、もはや……!!」

―――――― 『プリキュア・ツインストリーム・スプラッシュ!!』

キントレスキー (かの者たちと同じほど、強大な光の力……!!)



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:04:15.50 ID:S+yJSzvCo

キントレスキー 「……だがしかし! 私は退かぬ!! ミズ・シタターレ!!」

シタターレ 「……ええ!! 私たちの底力、小娘たちに見せてあげましょう!!」

――――ズゴォオオオオオオオオオオオオ!!!!

満 (不思議……。さっきまで、あんなにボロボロだったのに……)

薫 (今は……相手がどうであろうと、負ける気がしないわ)

キントレスキー 「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

――――――ズドンンンンンンン!!!!!!

キントレスキー (ぐっ……! この光弾、真正面からぶつかり合って初めて分かる……)

キントレスキー (なんという強度だ……!!)

キントレスキー 「しかし……負けん……負けんぞおおおおおおおおおお!!」

満 「……っ、さすがはキントレスキー。大した力だわ」   薫 「けれど……」

満&薫 「「――――私たちは、絶対に負けない!!」」

キィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!

キントレスキー 「!? なおも……なおも強くなるというのか……!?」

シタターレ 「ぐっ……わたくしの氷も、もう限界ですわ……!!」



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:04:51.17 ID:S+yJSzvCo

満 「キントレスキー! ミズ・シタターレ!」

薫 「ごめんなさい! 私たちはまだ、あなたたちのところへ行くわけにはいかないの!」

キントレスキー 「!?」

――――ピシッ……!!

満 「いずれ行くわ……けれど、今はまだ……運命に屈するわけにはいかないのよ!!」

シタターレ 「っ……」

――ピシッ……ピシピシッ……!!!

キントレスキー 「…………」

シタターレ 「…………」

スッ……

満 「!?」 (ふたりが、力を抜いた……?)

キントレスキー 「……そうか。それが、自分たちで道を決めた、お前たちの答えか」

シタターレ 「仕方ありませんわね。今のわたくしたちでは、敵いそうにもありませんし」

ピシッ……!!!!

        ――――――――ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:05:31.32 ID:S+yJSzvCo

キントレスキー 「……素晴らしい強さであった。満、薫」

シタターレ 「とても温かい光の力でしたわ。精霊の力を借りずとも、こんな力が使えるのね」

キントレスキー 「つまり、それがお前たちの得た力というわけか」

キントレスキー 「元がダークフォールであろうと、なんであろうと、ひとは変わることができるのだな」

満 「……ええ。そしてそれは、きっとあなたたちも」

シタターレ 「もう、遅いけれど」 クスッ

…………サラサラサラサラ……………………

薫 「!? あなたたち、身体が……!!」

キントレスキー 「我々もそろそろ消えるようだ。ふん、最後にそれなりに楽しめたな」

キントレスキー 「……お前たちの強さ、しかと見届けた。これからも、草葉の陰から見守っている」

満 「え……?」

シタターレ 「……あんたたちは気に入らないけど、その強さだけは認めて差し上げますわ」

シタターレ 「せっかくわたくしたちを倒したんですもの。せいぜいがんばって生きることですわね」

薫 「ミズ・シタターレ……」

サラサラサラ……………………………………――――――



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:06:04.38 ID:S+yJSzvCo

………………理の郷

リール 「信じている、ですって……!?」

ギリッ

リール 「信じていたらなんだというの!? 信じていたら、あのふたりの苦しみがなくなるとでもいうの!?」

咲 『違うよ。そんなわけないじゃない』

舞 『あのふたりを信じても、きっとなにも変わらないわ』

咲 『でも、信じなければ、そもそも始まらない。なにも、始まらないんだよ』

舞 『わたしたちが勝手にあのふたりのことをあきらめたら、それだけで全てが終わってしまうのよ』

リール (な……なんなの、この子たちは……!?)

リール (花瓶・鳥籠、それぞれの牢獄間にコミュニケーション手段はない)

リール (それなのにどうして、こんなにも同じ事を考えることができるの……!?)

咲 『舞だって、』 舞 『咲だって、』 『『絶対に同じ気持ちだもん』』

リール 「っ……」 (この子たちは……!!)

リール 「それでもなにも変わらないのよ!! あのふたりが理の回廊から戻ってくるわけがない!!」

咲 『それでも信じる。“わたしたち” だけは、絶対に満と薫をあきらめない』

舞 『“わたしたち” は、満さんと薫さんの強さを知っているもの。友達だから』



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:06:47.00 ID:S+yJSzvCo

リール 「ッ……理の回廊は、そもそも迷宮になっているの!」

リール 「たとえ苦しみから逃れたとしても、理の回廊から出ることすら叶わないのよ!」

リール 「あなたたちも、いい加減あきらめて、あのふたりを楽に――――」

咲 『――――だったら、呼ぶよ』

リール 「なっ……ん、ですって……?」

舞 『呼ぶわ。わたしは、あのふたりの名を。そうすればきっと、』

咲 『ふたりに届くから。ふたりに届いて、わたしたちを見つけてくれるから』

リール 「ばっ……ばかなことを!! そんなわけないでしょう!?」

咲 『……満、薫』

舞 『満さん、薫さん……』

リール (なにを、馬鹿なことを……! そんなことをしたって、なんの意味もないのに……)

リール (なんの意味も……――――――)

                  ――――――――――ズドンンンン!!!!!

リール 「なっ……!?」 (大きな、音……? 今のは、まさか……!?)

リール (理の回廊の扉が、揺れ動いた音……!?)



128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:07:20.95 ID:S+yJSzvCo

………………理の回廊

満 「…………」

薫 「…………」

 ふたりはただ、手を取り合ったまま、まっすぐに上を見つめた。

 そこは理の回廊。薄暗く、陰鬱な、何もない場所。けれど――、

薫 「……ねえ、満。聞こえる?」

満 「もちろんよ。咲と舞が、わたしたちを呼ぶ声」

 出口どころか、上と下すらも怪しいその場所で、けれど明確なものがひとつだけあった。

 ――――大好きな友達の、呼び声。

満 「……行きましょう、薫」

薫 「ええ。この声があれば、それだけで、私たちは迷わない」

満 (ダークフォールを逃れたあのときと同じ)

薫 (このふたりの言葉で、声で……私たちは、迷わず運命と立ち向かうことができた)

 だからふたりは、ぎゅっとぎゅっと手を握ったまま走り出す。

 ただひとつ、大切な友達の声をたよりに。



129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:07:54.03 ID:S+yJSzvCo

………………花瓶の牢獄

咲 「満……薫……」


………………鳥籠の牢獄

舞 「満さん……薫さん……」


………………

咲 「満……!! 薫……!!」


………………

舞 「満さん!! 薫さん!!」


………………理の郷

リール 「そ、そんな……どうして……!? まさか、本当に……!?」

リール 「本当に、このふたりの声を、聞き取ったとでも――――――」

                             ――――――――――ズドンンン!!!!

リール 「ッ!?」 (扉が、内側から……破られたですって……!?)



130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:08:37.24 ID:S+yJSzvCo

………………スタッ……スタッ……

リール 「っ……霧生満……霧生薫……!!」

満 「…………」 キョロキョロ 「……?」

薫 「……理の女王。咲と舞はどこ?」

リール 「……大した余裕じゃない。出てきてそうそうあのふたりの心配?」

満 「答えなさい。あのふたりに何かしていたら、ただじゃおかないわよ?」

リール 「ふん、安心なさい。あなたたち以外の者を傷つけるのは私の本意ではないわ」

リール 「日向咲と美翔舞なら閉じ込めているわ。邪魔ができないようにね」

満 「そう。良かった」 ホッ

薫 「その点に関しては感謝するわ、女王。ありがとう」 ペコリ

リール 「……そんなことを言っている余裕があるの?」 スッ

リール 「理の回廊があなたたちを消しきれなかった以上、私が直々に消すしかなさそうね」

リール 「覚悟はいいかしら? 霧生満、霧生薫」

満 「……どんな運命にも、私たちはまっすぐ立ち向かってきた」

薫 「だから今回も……逃げない!!」



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:09:22.22 ID:S+yJSzvCo

リール 「いい覚悟ね!! ならばそのまま、ふたり仲良く消えてしまいなさい!!」

ギィィイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

満 「ッ……!」 (さすがは理の女王……なんて凄まじい力の奔流なの……!!)

リール 「あなたちの存在は、私がこの手で、きれいさっぱり消し去って――――――」


―――――― 「待ってください!!」


リール 「!?」 (こ……この、声は……!!)

満 「!?」 薫 「そ、そんな……な、何故……!?」

リール 「っ……。やはり来たのですね、と言うべきなのでしょうかねぇ……」

リール 「――――フィーリア王女……!!」

フィーリア 「……理の女王。それ以上、満と薫を傷つけるのはやめてください」

ムープ 「そうムプ!!」   フープ 「ふたりに意地悪するのをやめるププ!!」

満 「ムープ、フープ!! あなたたちまで……!!」

薫 「そ、そんな……! 危険すぎるわ!」

フィーリア 「私が頼んだのです。この理の郷に入るには、どうしても精霊の力が必要だったので」



132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:10:05.86 ID:S+yJSzvCo

フィーリア 「……まず、無断で理の郷に侵入したことをお詫びします。理の女王リール」

リール 「行為の是非はともかくとして、よく侵入することができましたね」

フィーリア 「もちろん、私ひとりの力では無理でした」

フィーリア 「泉の郷、緑の郷……そこに住まうすべての精霊の力を借りて、ようやく……」

リール 「なるほど。さすが、すべての生命の源たる精霊ね」

ギリッ

リール 「……けれど、いかに命の精霊といえど、理をねじ曲げることだけは許されない」

リール 「私が許さない。許すわけにはいかない。世界が、許すはずがない」

フィーリア 「しかしっ……――」

リール 「――そもそも、すべてはあなたの無茶から始まったのですよ?」

フィーリア 「!?」

リール 「命の精霊としての力、そしてキャラフェの奇跡の力……」

リール 「加えて、緑の郷の精霊たちの力……すべての力を合わせ、」

リール 「消え去るべきだったふたつの命を緑の郷に縛り付けた」

リール 「……それを、あなたは正しい行いだったと言うつもりですか!?」



133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:10:32.70 ID:S+yJSzvCo

フィーリア 「……たしかに、わたしがやったことは無茶だったかもしれません」

フィーリア 「命の精霊としてのわがままも、入っていたかもしれません」

リール 「…………」

フィーリア 「……けれど、たとえどうであったとしても、私は……私には、」

フィーリア 「満と薫が、消え去る運命にあるとは思えないのです……!」

リール 「ッ……!! 何を言い出すかと思えば……!! ヌケヌケと、何を……!」

フィーリア 「あなたも薄々は分かっているはずです!!」

フィーリア 「満と薫が、あなたが看過してはならない存在なのか、否か!!」

リール 「ばかなことを!! そのふたりは、存在していてはいけない者たちなのですよ!!」

フィーリア 「ならば!!」 ギュッ 「ならば何故!! 満と薫は、理の回廊を出ることができたのですか!!」

リール 「!?」

フィーリア 「……消え去るべき運命にある者。世界に存在していてはいけない者」

フィーリア 「満と薫が本当にそんな存在だったのなら、理の回廊で果てていたはずでしょう?」

フィーリア 「けれど、満と薫はいま、生きている。生きてこの場にいる」

フィーリア 「それ以上の証明が、一体どこにあるというのです!?」



134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:11:38.47 ID:S+yJSzvCo

リール 「…………」 ギリッ 「……そんなこと、関係ない!!」

ギィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!

フィーリア 「!?」

リール 「霧生満と霧生薫は、本当ならば消えているはずの存在なのよ!! 私には分かる!!」

リール 「無理矢理に理をねじ曲げられた霧生満と霧生薫は、必ず周囲に悪影響をもたらす!!」

満 「……!?」

リール 「それは、緑の郷……延いては、ふたりの一番大事な者達にも影響を及ぼす!!」

薫 「っ……!」

リール 「世界が歪む! 世界の理が歪む!! その影響を真っ先に受けるのは、」

リール 「――――そのふたりが愛する、日向咲と美翔舞なのよ!?」

フィーリア 「…………」 キッ 「……それでも、私は信じています」

フィーリア 「私は、満と薫を!! 咲と舞を!! 緑の郷の強き光の力を、信じています!!」

リール 「ッ……生命の源……すべての命を司る精霊が……勝手なことばかり……!!」

ギギギギギ……ギィイイイイイイイイイインンンンンン!!!!

フィーリア 「!?」



135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:12:19.61 ID:S+yJSzvCo

薫 「ッ……!!」 (いけない……!!)

満 (このままでは、フィーリア王女たちに、我を忘れた女王の攻撃が……!!)

ザッ……!!!!

フィーリア 「!? 満!? 薫!?」 (そんな……私たちの盾に……!?)

ムープ 「満!!!」  フープ 「薫ぅうううううううううう!!」


                    ――――――――ズドンンンンンンンン!!!!!


満 「ッ、か……ァ……!?」

薫 「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!」

リール 「……!?」 ハッ (私としたことが、何を……フィーリア王女を傷つけようとするなんて……)

満 「…………」 ガクッ

薫 「……ぐっ……うぅ」

ムープ 「満ぅうううう!! 薫ぅうううう!!」

フープ 「しっかりするププ!! しっかりするププーーー!!!」

リール 「……感謝するわ、霧生満、霧生薫。おかげで、精霊と王女を傷つけずに済んだ」



136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:13:02.05 ID:S+yJSzvCo

ムープ 「!? この……このこのこのーーー!!!」

フープ 「満と薫を傷つけておいて、よくそんなことが言えるププね!!」

――――ガシッ……!!!

ムープ&フープ 「「!?」」

満 「だめ、よ……あなたたち、まで……女王と、敵対する、必要はないわ……」

薫 「ふふ……ばかね、私たち。ダークフォールの力は、回廊の中でのみ、復活していたのに」

フィーリア 「うそ、です……あなたたちは、力がないことを自覚しながら、私たちの前に躍り出た……」

ポタッ……ポタッポタッ……

フィーリア 「力のない、私たちを守るために……あなたたちは、自分の身を投げ出して……っ」

フィーリア 「ごめんなさい……助けに来たはずなのに……私は……守られてしまった……」

満 「……買いかぶりすぎ、ですよ、フィーリア王女」 ニコッ

薫 「どうか、泣かないでください……私たちは、私たちの、したいことをしただけですから……」

ムープ 「満!! 薫!! そんな悲しそうな顔をしないでムプ!!!」

フープ 「痛いププ!? 苦しいププ!? フープたちにできることはないププか!?」

フィーリア 「……ッ!!」 キッ 「理の女王・リール!!」



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:13:42.99 ID:S+yJSzvCo

フィーリア 「あなたは、これを見てもなお、このふたりを消すというのですか!?」

フィーリア 「私たちを守り、私たちには戦う必要も、涙を流す必要もないとさえ言った、このふたりを!!」

フィーリア 「あなたはまだ、この世界から抹消するつもりなのですかッ!?」

リール 「…………」 ギリッ 「……関係、ないわ」

ムープ 「なっ……!!」 フープ 「女王! あなたは……!!」

リール 「理は絶対よ。この世界を回すために必要なもの。未来のために必要不可欠なもの」

リール 「それを破る者を、私は許さない。絶対に」

ムープ 「分からず屋!! どうして分かってくれないムプ!!」

リール 「……あなたたちが来たところで、何が変わるのよ」

リール 「日向咲と美翔舞は、花瓶と鳥籠の牢獄に閉じ込めてあるわ」

リール 「あなたたち精霊がやってきたところで、プリキュアになることは叶わな――――」

リール 「――――……!?」 (待ちなさい……精霊……? 命の精霊、月の精霊、風の精霊……)

リール 「ッ……!! 花の精霊と、鳥の精霊は……!?」

リール 「ま、まさか――――――――」

                ――――――――ズドンンンンンン!!!!!



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:15:40.23 ID:S+yJSzvCo

リール 「!? 扉がふたつ、揺れて……!? あの、扉は……!!」

リール 「花瓶と、鳥籠の牢獄へ繋がる、扉……!!?」

                   ――――――――――ッッッッッドォオオオオオオオンンンン!!!!!

満 「!? な、何が起きているの……?」

薫 「分からない……けど、まさか……」

リール 「っ……牢獄が、内側から破られた……まさか、そんな……どうやって……!?」


?1 「……花瓶の牢獄なんて……!!」

?2 「鳥籠の牢獄なんて……!!」


リール 「!?」

?1 「花の妖精であるフラッピには!!」

?2 「鳥の妖精であるチョッピには!!」


フラッピ&チョッピ 「「破ることなんてわけないラピ!!」 チョピ!!」


リール 「ッ……」 (しまった……花の妖精と鳥の妖精……!! 見過ごしていた!!)



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:18:17.91 ID:S+yJSzvCo

リール (フィーリア王女は、最初からこのつもりで……ふたりの妖精をプリキュアの元へ……!)

ユラリ……

リール 「!?」 (扉の奥から……あれは……)

ユラリ……

リール 「っ……な、何なの……この、圧迫感は……!!」

  「――――さない……」

  「……許さない……」

  「満さんと薫さんを、こんなに傷つけて……ひどいことを言って……」

満 「咲……」

薫 「舞……っ」

咲 「……わたしたちの、大事な友達に、ひどいことをして……」

舞 「フィーリア王女や、ムープ、フープまで傷つけようとして……」

キッ

咲&舞 「「絶対に許さない!!」」



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:19:25.23 ID:S+yJSzvCo

フラッピ 「咲!」  チョッピ 「舞!」

フラッピ&チョッピ 「「変身ラピ!!」 チョピ!!」

咲&舞 「「ええ!! 変身よ!!」」

パァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!!

リール 「ぐっ……」 (泉の郷の、伝説の戦士……それが、本当に私に敵対するというの……!?)

リール 「プリキュア……あなたたちは、理を乱す者を守ろうとしているのよ!?」

リール 「あなたの行いは、緑の郷の全ての生命を敵に回す行為なのよ!? それを分かっているの!!」

咲 「そんなこと、知らないわよ!!」

リール 「!?」

舞 「わたしたちは、満さんと薫さんを守りたいだけよ! あなたにこれ以上、好き勝手をさせたくないだけよ!!」

咲 「わたしたちは、もう止まらない。大切な友達を守るためだったら!!」

舞 「運命とだって……世界の理とだって、戦う!!」



―――――― 「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!!」」



                              ――――リンリン……リン……!!!!



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/04(金) 00:20:49.54 ID:S+yJSzvCo

――――キィィイイイイイイイイイイイイイイ!!!!

フィーリア 「……こうするしか、ないのですよね」

フィーリア 「こうするしか……」 ギュッ

リール 「どこまでも清浄な光……伝説の戦士、プリキュアが……復活する!!」



                       カッ……!!!!


咲 「花開け、大地に!!」

舞 「羽ばたけ、空に!!」



満 「咲……」 (だめ……変身をしたら、あなたたちまで……)

薫 「舞……」 (……世界の決まり、ルール……理そのものの、敵になってしまう……)



咲 (たとえ……世界を敵に回すことになったって……!!)

舞 (わたしたちは迷わない……わたしたちは、満さんと薫さんを守りたい……!!)

咲 (満と薫は、わたしたちの大切な友達だから……!!)

舞 (そんなふたりと、これから先も、ずっと一緒に生きていきたいから……!!)

咲&舞 ((だから……――――――――))


―――――――――― 「輝く金の花! キュアブルーム!!」

―――――――――― 「煌めく銀の翼! キュアイーグレット!!」



              「「ふたりはプリキュア!!」」



イーグレット 「……たとえ、泉を守るプリキュアの使命に背くことになろうとも、」

ブルーム 「わたしたちは、満と薫を守るために戦う!!」



145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:19:43.53 ID:FOWnKpgFo

………………緑の郷 PANPAKAパン

みのり 「――おかーさん! おとーさん!!」

沙織 「? あら、みのり。どうしたの、そんなに慌てて?」

大介 「舞ちゃんの家に行っていたんじゃないのか?」

和也 「あ……どうも、こんにちは」

沙織 「あらあら、和也くんじゃない。ふたりしてどうしたの?」

沙織 「そろそろ私たちもお店をしめて、お宅に伺おうと思っていたのだけど……」

沙織 「まさか、みのりが何かワガママでも言ったのかしら?」

和也 「いえ、違います。すいません、舞と咲ちゃんは……?」

大介 「咲たちなら、さっきまで外にいたんだけど……いなかったかい?」

沙織 「おかしいわね。部屋に戻った様子はないし……。ふたりでどこかへ行ったのかもしれないわね」

和也 「……そうですか。ありがとうございます」

大介 「? 本当に、一体どうしたんだい?」

みのり 「……ねえ、おとーさん、おかーさん。ひとつ聞いてもいい?」

沙織 「? どうかしたの、みのり?」



146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:21:23.73 ID:FOWnKpgFo

みのり 「……おかーさんとおとーさんは、薫おねーさんと満おねーさんのことを覚えてるよね?」

沙織 「えっ……? 薫お姉さんと、満お姉さん……?」

和也 (やっぱり……)

大介 「……? ちょっと分からないな。いったい誰のことだい?」

みのり 「…………」 グスッ 「……どうして、誰も覚えてないの」

沙織 「!? み、みのり? あんた一体どうしたの!?」

和也 「……霧生満さんと、霧生薫さんという、舞たちのクラスメイトです。覚えはありませんか?」

大介 「うーん……まったく覚えていないな」

和也 「そうですか……」

みのり 「どうして……みんな覚えてないの……? どうして!」

みのり 「おとーさん、おかーさん! 満おねーさんは、ここでパンを作ったんだよ!?」

大介 「……? ここで、パンを作った……?」

みのり 「お店が忙しい日は、ふたりでお店を手伝ってくれたんだよ!?」

沙織 「お店を、手伝ってくれた……?」

みのり 「どうして……っ! どうして覚えてないの!!」 タッ……!!

沙織 「あ……みのり! どこへ行くの!」

みのり 「部屋! 絶対に、薫おねーさんと満おねーさんのこと、思い出してもらうもん!」



147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:22:56.17 ID:FOWnKpgFo

沙織 「みのり……」

和也 「すみません。僕も、咲ちゃんたちの部屋に入らせてはもらえませんか?」

大介 「…………」 コクッ 「……すまない、和也くん。何か、心の隅で引っかかっているんだ」

大介 「何も覚えてはいない。けれど、たしかに……この店でパンを焼いた子が、いたような……」

大介 「何か……思い出せないんだ。何かがあやふやで、今にも消えようとしているんだ……」

沙織 「……私も。何かが思い出せそうで、思い出せない。なんだろう、これ……」

沙織 「……ついてきて、和也くん。咲とみのりの部屋に案内するわ」

和也 「すみません。ありがとうございます」

和也 (舞、咲ちゃん……)

和也 (頼む……早く戻ってきてくれ……!)



148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:24:29.45 ID:FOWnKpgFo

………………理の郷

リール 「…………」

スッ……

リール 「……分かったわ。もう、あなたたちに言葉は届かなそうね」

ブルーム 「…………」

リール 「少し、痛い目を見てもらうわよ?」

――――――――――――シュンンン!!!!

イーグレット 「……ッ!!」

フラッピ 『すごい数の炎ラピ!』

チョッピ 『ブルーム! イーグレット! 気をつけるチョピ!』

リール 「受けてみなさい!! これが、理を司るわたしの、炎の力よ!!」

――――ッッッッッッッッッッッッッドドドドドドドドドドドドドド……!!!!!!!

フィーリア 「なっ……!!」 (すべての炎がふたりに……!!)

満 「いけない……!! ブルーム!! イーグレット!!」

ムープ 「フラッピ!! チョッピ!!」

薫 「ブルーム……? イーグレット……? そ、そんな……」



149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:25:31.43 ID:FOWnKpgFo

リール 「……ふん。たとえ泉の郷の伝説の戦士であろうと、理の力の前には――――」


  「――――警戒して損したよ。理の力っていうのは、この程度なんだね」


リール 「……!?」 (ばっ……ばかな……!!)

イーグレット 「……そうね。それに、精霊の加護の力が、どこまでも強くなりそうな気がするわ」

イーグレット 「今なら、なんでもできる気すらするもの」 ニコッ

   キィィイイイイイイ……………………

リール 「精霊の守りの力……!! まさか、これほどまでとは……」

リール 「……少し、舐めすぎていたようね」

ブルーム 「……悪いけど、今度はこっちから行くよ?」

ズザッ……!!!

ブルーム 「っ……はぁああああああああああああああああ!!!」

――――ブゥン……!!

リール 「っ……」 (この立ち振る舞い、拳、蹴り、全てが……歴戦の勇士を思わせる……!)

リール (これほどの強さを、この少女は秘めているというの……!?)



150:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:26:20.97 ID:FOWnKpgFo

イーグレット 「――――――あなたの相手は、ブルームひとりだけじゃない!!」

――――――ザッッッッ……!!!

リール 「っ……!?」 (背後、ですって……!?)

リール 「くっ……」 (なんて素早い身のこなし……これは、避けきれない……!)

――――――ズドンンンン!!!!

リール 「ぐぅ……!!!」 (一度、後退して体勢を立て直さなければ……)

ブルーム 「…………」 グーパー……ギュッ 「……うん。久しぶりの変身だったから不安だったけど、」

イーグレット 「問題はなさそうね。わたしもブルームも、戦い方が身体に染みついているみたい」

ブルーム 「あんまり嬉しいことじゃないけどね」

イーグレット 「けれど、今ばかりは嬉しくてたまらないわ」

ブルーム 「うん! そのおかげで大事なともだちを守ることができるんだもん!」

満 「だ、ダメよ!! ブルーム、イーグレット、やめなさい!!」

薫 「あなたたちはプリキュアなのよ!? 泉を汚す者と戦うべき戦士なのよ!?」

フィーリア 「…………」

満 「その清浄な力を、理の女王に対して使うなんて、そんなことをしていいはずがないわ!」



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:31:34.52 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「…………」

薫 「お願い、考え直して、ブルーム、イーグレット! 私たちは、あなたたちに手を汚してほしくない!」

満 「私たちなんかのために、あなたたちにこんなことをしてほしくはないの!!」

薫 「お願い……ブルーム! イーグレット!」

ブルーム 「…………」 フルフル 「……ダメだよ、満、薫。そんなことを言ったら。訂正して」

イーグレット 「たとえ本人であったとしても、わたしたちの大事なともだちを、“なんか” なんて言うことは許さないわ」

満 「……!」

ブルーム 「わたしたちに手を汚してほしくないなんて、そんな想いなんか知らない。興味ない」

イーグレット 「あなたたちが救えるというのなら、プリキュアとしての誇りも、誉れも、何もいらないわ」

ブルーム 「一年前の戦い、覚えてる? 世界を守る? 泉を守る? たしかに、とっても大事なことだったね」

イーグレット 「けれど、わたしたちはそれ以上に、満さん、薫さん……あなたたちを救いたかったのよ」

薫 「…………」

ブルーム 「わたしたちは、一度ダークフォールで失ったあなたたちを、二度と失いたくない」

イーグレット 「もう二度と……絶対に!!」

ギュッ……!!!!



152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:32:35.05 ID:FOWnKpgFo

リール 「っ……!! 黙って聞いていれば、勝手なことばかり!!」

リール 「一個人のわがままで、世界を乱すつもりなの、あなたたちは!!」

ブルーム 「違う!! わたしたちは一年前、満と薫を救って、世界も救った!!」

イーグレット 「それと同じことができないなんて、そんなこと言わせない!!」

ブルーム&イーグレット 「「わたしたちならできる!!」

――――――――――――キィィイイイイイイイイイイイ!!!!!!

満 「精霊の光が……」  薫 「ふたりの想いに呼応している……」

リール 「っ……誰も彼も……!」

ザッ……!!!

リール 「ならばあなたたちは、無駄という言葉を知りなさい! 何者も、世界の理からは逃れられないのよ!!」

ブルーム 「……イーグレット!」

イーグレット 「ええ、ブルーム!」

フィーリア (プリキュアの光……精霊の光……どうか、満と薫を、守って……!)

――――――――ギュッ…………!!!

イーグレット (いつでも一緒だった、大切な友達の手) ブルーム (手を取り合えば、なんだってできる!)



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:33:11.81 ID:FOWnKpgFo

リール (光が高まっていく……これが、泉の郷の、精霊の力……)

――――――――パァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

リール (温かく、強い光……!)


ブルーム 「大地の精霊よ」

イーグレット 「大空の精霊よ」


ムープ 「精霊の力が高まっているムプ!」

フープ 「ふたりのまっすぐな想いを、精霊たちが聞き届けたププ!」


イーグレット 「今、プリキュアとともに!」

ブルーム 「奇跡の力を解き放て!!」


リール 「ッ……」 (くる……! けれど!!)


―――――― 『プリキュア ・ ツインストリーム ・ スプラッシュ!!』


           ――――――…ザァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………………!!!!!!



154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:33:49.34 ID:FOWnKpgFo

フラッピ 「やったラピ! 女王は清浄な泉の中ラピ!」

チョッピ 「これで、女王も浄化されるチョピ!」

ブルーム 「……うん? 浄化……?」

イーグレット 「……ちょっと待って。そもそも、女王はダークフォールの手先でもなんでもないわ」

イーグレット 「どちらかといえば、世界を守る立場にあるはずよ? そんなひとが浄化って……」


―――――― 「そのとおり。私は、浄化されなければならない謂われなどない」


ドバンンンン!!!!!!

フラッピ 「そ、そんな……! スプラッシュが吹き飛んでしまったラピ!」

チョッピ 「チョピ……」

ブルーム 「ち、ちょっと待ってよ! これって、どういうことなの!?」

リール 「どうして分からないのか、こっちの方が不思議だわ」

リール 「私は理の女王よ? 泉を汚した覚えも、悪いことをした覚えもない」

リール 「そんな私を、光の力で攻撃できるはずがないでしょう? ましてや浄化なんて……」



155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:34:54.28 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「そんな……!! でも、あなたは満と薫にひどいことをしたじゃない!!」

イーグレット 「……その行いもまた、あなたにとっては正義ということなのね」

リール 「……あなたたちのように生きられれば、どんなに楽でしょうね」

リール 「プリキュアとしての使命に背いた行いを平然とやってのけるあなたたちのように、なれたら」

ブルーム 「っ……満と薫を守ることのどこが、プリキュアの使命に背いているっていうのよ!」

リール 「あなたたちは、泉の郷、緑の郷、そしてそこに住まうすべての生きとし生けるものを守るためにいる」

リール 「それなのにあなたたちは、緑の郷に影響を及ぼす霧生満と霧生薫を守ろうとしている」

リール 「それは、使命に背いた行為以外の何物でもない!!」

イーグレット 「っ……」

リール 「……そして、あなたにも失望しました、フィーリア王女」

フィーリア 「…………」

リール 「私を説得するために理の郷に侵入したくらいならいいでしょう」

リール 「しかしあなたは、私を騙し、プリキュアをこの場に現出させた……」

リール 「己が守りたいふたつの命のために、伝説の戦士という存在を利用したのですよ!?」

リール 「それがいかに自分勝手な行いか……分からないあなたではないでしょう!!」



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:35:51.72 ID:FOWnKpgFo

フィーリア 「…………」

ブルーム 「…………」

イーグレット 「…………」

フープ 「みんな……」  ムープ 「お願いムプ……みんな、黙らないでほしいムプ……」

満 「…………」

薫 「…………」

          ――タッ………………

ムープ 「!? 満、薫、立っちゃだめムプ!」

フープ 「まだふらふらププ! 危ないププ!」

満 「……ありがとう、ムープ、フープ」

薫 「あなたたちが来てくれて……本当は、すごく嬉しかった」

フィーリア 「満、薫……?」

満 「そして、フィーリア王女も。ありがとうございます」

薫 「私たちのために、尽力してくださったこと、忘れません」

フラ……フラ……



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:36:38.76 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「!? だ、だめ!! こっちに来ちゃだめだよ、満! 薫!」

満 「咲……ありがとう。あなたのおかげで、私はたくさんのことを知ることができた」

満 「ダークフォールから完全に解放されたこの一年間……本当に楽しかったわ」

ブルーム 「やめて……!! そんなこといわないで……!!」

薫 「舞、ありがとう。あなたに絵を教わって、一緒に絵を描いて……本当に楽しかった」

薫 「あなたに絵を褒められたとき、本当に嬉しかったわ」

イーグレット 「やめてっ!! そんな、お別れの言葉みたいなこと、いわないで……!!」

ギュッ……

ブルーム 「……満? 薫?」

満 「ふふ……最後に、こうして四人で手を繋ぐことができて、よかった」

イーグレット 「!? 最後なんていわないで! これからだって、ずっと……!」

薫 「……いいえ、最後よ。私たち、もう耐えられないもの」

満 「……ええ。これ以上、あなたたちに傷ついてほしくない」

薫 「そして、これ以上あなたたちが迷う姿も見たくない」

ブルーム 「満……」  イーグレット 「薫さん……」



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:37:13.62 ID:FOWnKpgFo

満 「もう、私たちは十分よ。この一年を、人間として、とても楽しく過ごすことができたもの」

薫 「本当に、楽しかったわ。私たちに眩しかった緑の郷が、ますます美しく見えたもの」

満 「世界が輝いていた。その中心に、いつも、咲と舞がいてくれたから」

薫 「私たちのそばで、私たちを見守って、支えてくれたふたりがいたから」

満 「……だから、私たちはもう十分よ」 ニコッ

薫 「あなたたちの気持ちは、本当にありがたいけれど、もう、大丈夫だから」 ニコッ

ブルーム 「…………」

イーグレット 「…………」

リール 「……お話は済んだかしら?」

満 「……ええ。わざわざ待ってくれて、ありがとう」

薫 「感謝するわ。咲と舞ときちんとお別れすることができた」

リール 「……そう」

スッ……………………ギィィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

リール 「ならば、もう思い残すことはないわね?」

満 「ええ」  薫 「……大丈夫」



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:38:02.35 ID:FOWnKpgFo

満 (すごい数の炎……ひとつひとつが、とてつもない力を秘めているわ)

薫 (あの炎が、私たちを消滅させる。そして私たちは、無へと帰る)

リール 「……さようなら、霧生満。霧生薫」

        ――――――――ッッッッッッッッッッドッッッ……!!!!

満 「……薫、今までありがとう」

薫 「ううん。こちらこそ、ありがとう、満」

満 (これで、終わり……私たちは消えて、)

薫 (それでおしまい……――――)

                    ――――……ザザッッッ……!!!!

満 「なっ……!?」 (人影が、ふたつ……!)

薫 「!?」 (どうして……どうして……!?)

ブルーム 「……やっぱり、嫌だ!!」

イーグレット 「ふたりがいなくなってしまうなんて、絶対にいや!!」

パァァアアアアアアアアアアアアアア……!!!!



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:38:59.58 ID:FOWnKpgFo

満 「ど、どきなさい!! あんな攻撃を受けたら、いくらあなたたちだって、ただでは済まないわ!」

ブルーム 「どかない! どいてたまるもんか!」

イーグレット 「わたしたちが、満さんと薫さんを守るんだから!!」

            ――――――ズドドドドドドドドドドッッッッッッッ!!!!!!

ブルーム 「!?」 (なんて威力なの!? これじゃ、押し返すどころか……)

イーグレット (精霊の守護の光が、すごい勢いで削られていくわ……!)

リール 「…………」 ギリッ 「……最後まで、ばかな子たちね。プリキュア」

ギィィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

ブルーム 「まだ来るの……!?」

イーグレット 「だめ、これ以上は……――――」

                        ――――――パリン………………

    ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

ブルーム&イーグレット 「「きゃあああああああああああああああああああああああ!!!」」



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:40:02.77 ID:FOWnKpgFo

満 「咲!! 舞!!」

タタタタタ……ギュッ……

薫 「こんな、ボロボロになって……どうして私たちを庇ったりしたの!!」

ブルーム 「…………」 ゼェ、ゼェ…… 「やっぱり、いやだよ……」

イーグレット 「……わたしも、同じ……っ。ふたりが、いなくなるなんて、いや……だから……」

満 「そんなの……仕方ないじゃない! 私たちは、もう心を決めたのよ!」

薫 「これ以上あなたたちが傷つく必要なんてないのよ!!」

ブルーム 「……ねえ、それって本当?」

満 「え……?」

イーグレット 「ふたりは本当に、それでいいの? 本当にもう満足なの?」

薫 「そ、そんなの!! 当たり前じゃない……!!」

満 「私たちには手に入れられるはずのなかったたくさんの幸せ……」

薫 「私たちはそれを手に入れることができたんだもの……もう、十分よ……」



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:41:09.03 ID:FOWnKpgFo

満 「咲の試合を応援したり……パンを焼いたり……」

―― 『いつか、満さんとみのりちゃんが作ってくれたパンを、こうしてみんなで食べてみたいわね』

薫 「舞と一緒に絵を描いたり……みのりちゃんと遊んだり……」

―― 『うーん……でも、わたしは舞の絵も好きだけど、薫の絵も好きだよ』

満 「他にもたくさん……たくさんのことがあった。だからもう、それだけで……」

ポタッ……ポタッ…………

薫 「それ……だけ、で……っ」

ブルーム 「…………」 ギリッ 「……少なくとも、わたしたちは十分じゃない……!」

満 「!?」

イーグレット 「わたしたちはまだまだ、満さんと薫さんと一緒に生きていたいのよ」

薫 「咲……舞……っ」

ブルーム 「……ねえ、やっぱり迷惑? もうこれ以上、わたしたちに戦ってほしくない?」

イーグレット 「お願い。聞かせて。満さんと薫さんの気持ちを。ふたりの想いを」

ブルーム 「そうすればわたしたちはもう迷わない……」

イーグレット 「まっすぐ前を向いて、胸を張って、戦うことができる……!」



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:41:56.09 ID:FOWnKpgFo

満 「わたし、は……」 (咲と舞に、これ以上苦しんでほしくない……)

薫 「わたし、たちは……」 (でも……でも……っ)



       ―――――――― 「「生きたい……っ」」



ポタッ……ポタポタッ……

フィーリア 「満……薫……」

満 「そんなの……決まってるよ……」 グスッ 「生きたいよ……消えたくなんて、ないよ……!」

薫 「今までだけじゃない……これからも、ずっと……ずっと、咲と舞のそばで、笑っていたい……」

満 「消え去りたくなんてない……生きていたい!」

薫 「ルール違反でも、理を乱す存在だと罵られようと……生きていたい……!!」


満&薫 「「みんな一緒の未来を、夢見ていきたい……!」」


ブルーム 「…………」 ニコッ 「……うん! わかった! それだけ聞ければ十分だよ!」

イーグレット 「わたしたちに任せて」 グッ 「もう、迷ったりしないから」



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:51:37.29 ID:FOWnKpgFo

リール 「…………」

ザリッ………………!!!!!

リール 「いいでしょう。私ももう、言葉を投げかけるなんて野暮な真似はしないわ」

リール 「使命を忘れたプリキュア……そして、意地汚くいきることを望んだ消え去るべき者たち……」

ギィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!

リール 「世界を乱す者! ルールを破る者! 理を踏みにじる者!」

リール 「私はそんな存在を許しておくわけにはいかない!!」

         ――――――――――――ゴォォォオオオオオオオオオオオ!!!!!!

ブルーム 「たとえ何と言われようと、わたしたちはもう迷わない!」

イーグレット 「満さんと薫さん、そして世界! そのすべてを救ってみせる!」

         ――――――――――――パァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!

リール (ボロボロの身体でなおも立ち上がる……これが、伝説の戦士……)

リール 「けれど、容赦はしない! まずはあなたたちを、どうにかしなければならないようだから!!」

ブルーム 「上等だよ!」  イーグレット 「わたしたちを倒せるものなら、倒してみなさい!」



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:52:06.28 ID:FOWnKpgFo

満 「……咲と舞が、また……」

薫 「私たちのために戦っている……」

フィーリア 「……あのふたりは、あなたたちのためだけに戦っているのではありません」

満 「えっ……?」

フィーリア 「咲と舞は、あなたたちと一緒に生きる未来のために……」

フィーリア 「そんな未来を求めてやまない自分たちのためにも戦っているのです」

薫 「…………」

フィーリア 「あなたたちと一緒に生きていきたいという自分たちの想いを貫き通さんと、戦っているのです」

フィーリア 「咲と舞は、もう止まらない。そして、それは女王もまた同じことのはず」

満 「でも、世界の理に敵うはずないわ……」

フィーリア 「太刀打ちできようが、できまいが……あのふたりは止まらないでしょう」

フィーリア 「それは、誰よりも近くであのふたりの背中を見てきたあなたたちなら分かるはずです」

薫 「そんな……」

フィーリア (私は、ひどいことをしている……けれど私は、それでも、満と薫を……)



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:52:59.45 ID:FOWnKpgFo

リール 「はぁぁあああああああああああああああああ!!!」

ギィイイイイイイイイイイイイイイ…………ッッッッッッッッッッッドッッッ!!!!!

ブルーム 「くっ……」 (なんて量の炎なの!? あんなの、全部受けたら……)

イーグレット (この世の理そのもの……これが、女王の力……!)

ブルーム 「でも……負けるわけにはいかないんだからぁああああああああ!!」

ザッ……!!!

ブルーム 「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」 (距離を取ったらこっちが不利になるだけ!)

イーグレット 「はぁあああああああああああああああ!!!」 (距離を詰めれば……!)

リール 「…………」 クスッ 「……いいわ。相手になってあげる」

ブルーム 「!?」 (炎を止めた……?)

イーグレット 「っ……」 (わたしたち、遊ばれているというの……?)

ブルーム 「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ドドドドドドドドド!!!!!!

ブルーム 「伝説の戦士を……あまり舐めないで!!」

――――――ズドンンンン!!!!!



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:53:47.67 ID:FOWnKpgFo

ブルーム (乱打に、最後のストレートもしっかり入れた。これなら……――)

リール 「――……重くて、速い。良い拳だわ。けれど、それだけね」

ブルーム 「!?」 (そんな……拳がひとつ残らず止められたっていうの!?)

イーグレット 「いけない! ブルーム、避けてッ!!」

ブルーム 「ッ……!」

リール 「ふん……」

         ――――――――ドガッッッ!!!!

ブルーム 「っ……!?」

イーグレット 「ブルーム!!」

ブルーム (蹴りだけでこの威力だっていうの……!?)

イーグレット 「っ……はぁあああああああああああああ!!!」

  ――――――――ッッッッッッドッッッ……!!!!

リール 「…………」 クスッ 「……鳥の精霊の力を利用した、良い蹴りだわ」

イーグレット 「!? そんな……片手で止められたっていうの……?」

リール 「けれど、何もかも無駄よ。私は理の女王。この世界の理は、そんなもので揺らぎはしないわ」



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:54:43.37 ID:FOWnKpgFo

――――――――ブゥンンンンン!!!!

イーグレット 「きゃっ……!!」

ブルーム 「イーグレット!!」

  ………………ッタン……

イーグレット 「あ……ありがとう、ブルーム」

ブルーム 「スプラッシュは効かなかった……それに、直接攻撃も……」

イーグレット 「わたしたちじゃ勝てないの……? 世界のルールは、やっぱり絶対なの……?」

ブルーム 「…………」 ギリッ 「……違う。満と薫が、消えてしまっていいはずがない!」

ブルーム 「何度蹴り飛ばされたって……何度投げ飛ばされたって……」

ブルーム 「何度倒れたって……立ち上がる! わたしは絶対に、満と薫をあきらめない!」

ブルーム 「“理” なんてもので消されてしまう命なんて、あっていいはずがないッ!!」

リール 「……あなたたちの意志なんかどうでもいい。私は私の使命を果たすだけのことよ」

リール 「気に入らないのなら何とかなさい。世界の理そのものである私を、倒せるのならね」

ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ……!!!!!!

ブルーム 「な……何、この嫌な感じ……?」



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:55:22.18 ID:FOWnKpgFo

リール 「あなたたちをあまり傷つけたくはない。けれど、そうも言ってはいられないようね」

リール 「どんなに痛めつけても、あなたたちは立ち上がってしまう。それではいけない」

リール 「あなたたちの傷が余計に増えて、苦しみが増大するだけだわ」

リール 「……だから、この一撃でおしまいにしましょう。安心なさい。死にはしないわ」

リール 「少しの間、地獄の苦しみを味わうことになるでしょうけれど、ね」

イーグレット 「な……何なの、あの巨大な炎は……?」

リール 「理を司る女王である私の持つ、運命の炎。その本質の一部分よ」

リール 「運命に背こうとする者を、ルールを破ろうとする者を、消し去る炎」

リール 「……あなたたちは理に背きすぎた。死ぬことはないでしょうけど、相応の苦しみは覚悟しておきなさい」

リール 「そしてあなたたちがもがき苦しんでいる間に、霧生満と霧生薫を消しておきましょう」

ギギギギギギギギギギギギギギギギ……………………!!!!

ブルーム 「あ……あんな炎! わたしたちの精霊の光でかき消してやる……!!」

パァァアアアアアアアアアアア……………………シュン……

イーグレット 「……!? だ、だめ……精霊の光が弱まっているわ」

ブルーム 「そんな……!」



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:57:10.48 ID:FOWnKpgFo

………………

満 「……このままじゃ、咲と舞が……」

薫 「…………」

ギュッ

満 「薫……?」

薫 「……ねえ、満。私、やっぱり生きたいよ。咲と舞が言うからじゃない。自分でそう思うんだ」

満 「…………」

薫 「もがいてもがいてもがいて、世界の理と戦ってでも、生きたいよ」

薫 「いま、がんばってくれている咲と舞のためにも。そして、自分自身のためにも」

フィーリア 「…………」

薫 「自分で生きたいって思えるんだ……こんな幸せなことを、失いたくないって思えるんだ」

薫 「“咲と舞が戦っているから” じゃない。私たちは、自分たちで生きたいと望んだんだ!」

薫 「だったら……だったら!!」

満 「…………」 コクッ 「……私たちは、ただ見ているわけにはいかないわね」

薫 「満……!」 パァアア



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:58:01.57 ID:FOWnKpgFo

満 (私たちの手に、ダークフォールの力はない)

薫 (けれど、戦うための力がほしい……何より、自分たちのために)

満 「……ムープ」

薫 「フープ……」

ムープ 「ムプ!!」

フープ 「ププ!!」

満 「お願い……!」

薫 「力を貸して!」

満 「咲と舞を……ブルームとイーグレットを助けるために!!」

薫 「そして……私たちが生きるために!!」

―――――――― 「「あなたたちの力を貸して!!」」

ムープ 「……ずっと、想っていたムプ」 グスッ

フープ 「満と薫が、フープたちを助けてくれた、あのときから、ずっと……!」

―――――――― 「「命の恩人である満と薫に、恩返しができたらって!!」」

………………パァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:58:47.18 ID:FOWnKpgFo

満 「光……清浄で、何より美しく、神聖な……」

薫 「温かい……私たちを救ってくれた、精霊の光……」

フィーリア 「咲と舞が、大地と大空に選ばれたように……」

フィーリア 「――――あなたたちは今、月と風に選ばれたのです」

満 「月と風に……? それって、まさか……」

薫 「私たちが……プリキュアに……?」

ムープ 「……分かるムプ。今のムープたちなら、できるって!」

フープ 「受け取ってほしいププ! クリスタルコミューンププ!!」

ポン!!!!

満 「ムープ……!」

薫 「フープ……ありがとう」

フィーリア 「あなたたちは、自分たちの意志で生きたいと望みました」

フィーリア 「理であろうが、なんであろうが……その意志だけは消すことができません」

フィーリア 「さぁ……今こそ、あなたたちが変身するときです!!」

満 「……薫!」   薫 「ええ!」



173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 21:59:25.28 ID:FOWnKpgFo

ギュッ……!!!!

満 「大事な友達を助けるために……!!」

薫 「私たちの未来のために……!!」


―――――――― 「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」


パァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

満 (温かい精霊の光……)

薫 (最終決戦のときと同じ……光……)


満 「未来を照らし!」

薫 「勇気を運べ!」


満 (わたしたちがもう一度……)  薫 (運命に打ち勝つために……!!)


―――――――― 「天空に満ちる月! キュアブライト!」

―――――――― 「大地に薫る風! キュアウィンディ!」

            『ふたりはプリキュア!!』



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:07:28.03 ID:FOWnKpgFo

………………緑の郷 咲の部屋

ゴソゴソ……ゴソゴソ……

みのり 「ない……ない……ない……」

ガサゴソ……ガサガサ……

みのり 「……どうして。全部の絵から、薫おねーさんと満おねーさんが消えちゃってるの?」

和也 「……やっぱり。写真もだめだ。明らかに不自然な形で、ふたりの形跡が消えているね」

沙織 「なにこれ……? こんな写真、明らかにおかしいじゃない……」

みのり 「…………」 グスッ 「……おねーちゃん。舞おねーちゃん。お願い、戻ってきて……」

みのり 「みのり以外、誰も覚えてないよ……誰も、薫おねーさんと満おねーさんのこと、覚えてないよ……」

ポタッ……ポタッ……

沙織 「みのり……」

和也 「…………」

ギュッ

みのり 「……? 和也おにーさん……?」



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:08:46.44 ID:FOWnKpgFo

和也 「……泣き言を言って、それで君の大事な人は帰ってくるのかい?」

みのり 「!?」

和也 「ここに、君が大好きな咲ちゃんはいないんだ。頼れるお姉さんたちはいないんだ」

みのり 「……それは、そうだけど……でも、みのりは、もう……」

和也 「何もできない? 本当に? みのりちゃんは、それでいいの?」

みのり 「っ……」 キッ 「よくなんて、ないよ! さみしいよ! みんなに思い出してほしいよ!!」

和也 「――なら探してくれ! 何か方法がないか! 頼む、僕も思い出したいんだ!」

みのり 「えっ……?」

和也 「頭をついて離れないんだ……違和感のような、あいまいなものだけど……」

和也 「誰かが足りないんだ……いつも、舞と咲ちゃんの隣で笑っていた、ふたりの姿が……」

和也 「僕にはそのふたりの名前も、容姿も思い出せない……けど、いた。そんな気がするんだ……」

和也 「みのりちゃんが彼女たちを覚えているというのなら、教えてくれ……彼女たちを思い出す方法を……!」

みのり 「…………」

ゴシゴシ……!!!

みのり (……そうだよ。みのりが泣いても、仕方ないんだ……。みのりががんばらないと)



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:09:39.52 ID:FOWnKpgFo

みのり (でも、どうしたらいいの? どうしたら、ふたりをみんなに思い出してもらえるの……?)

みのり 「……絵にも、写真にも、残ってない。どこにも、ふたりは残ってない……」

みのり 「……どこにも?」 ハッ 「…………」

沙織 「みのり……?」

みのり 「……あったよ。ひとつだけ。薫おねーさんと、満おねーさんが、残っている場所」

和也 「!? 本当に?」

みのり 「うん! 大丈夫、ぜったいに、みんなにふたりのことを思い出してもらうんだから!」

みのり 「おかーさん!」

沙織 「は、はい!」 (? どうしたのかしら? いつもと、少し様子が違うわ)

みのり 「もうお店を閉めるんでしょ? そしたら、すぐに舞おねーちゃんのお家に行くよ」

みのり 「おとーさんにそう伝えて。できるだけ急いでお店を閉めてね」

沙織 「え……あ、う、うん! 分かったわ」 タタタタ……

和也 「みのりちゃん……?」

みのり 「……ありがとう、和也おにーちゃん」 ニコッ 「みのり、もう泣かない」

みのり 「おねーちゃんも舞おねーちゃんもいないなら、みのりががんばるしかないもん!」



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:10:19.39 ID:FOWnKpgFo

………………理の郷

リール 「少しの間、地獄の苦しみを味わうことね」

リール 「そして理解しなさい。もう二度と、理に背いてはならないということを!!」

――――――ッッッッッッッドンンン!!!!

ブルーム 「来る……!!」

イーグレット 「だめ……あんなの、防ぎきる力なんて、もう……」

ゴォォオオオオオオオオオオオオオオ――――――――

               ――――――――ヒラリ…………

ブルーム 「へ……?」 (な、何……? 誰……?)

イーグレット (天女様……? ちがう、あれは……!!)

―――― 「月の光よ!!」

―――― 「天空の風よ!!」

ゴォォオオオオオオオオオオオオオオ……………ズドンンンンン……――――――

                                    ――――――――ドバンンン!!!!



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:11:08.76 ID:FOWnKpgFo

リール 「!? そ、そんな……運命の炎が、相殺されたというの……!?」

ブルーム 「満、薫……その姿って、もしかして……」

イーグレット 「キュアブライトとキュアウィンディなの!?」

ブライト 「ええ」 ニコッ 「なんだか、私たちも精霊に選ばれたみたい」

ウィンディ 「あのときとも、服が違う……少し、恥ずかしいな……」

リール 「そんな馬鹿な……」 ギリッ 「フィーリア王女!! あなたは……!!」

フィーリア 「……私は、奇跡を信じています。その四人なら、奇跡を起こすことができると」

フィーリア 「信じてください、女王。あなたはプリキュアになれた満と薫すら消すというのですか?」

リール 「世迷い言を……! 一体どこまで墜ちれば気が済むのですか、あなたは!!」

ブライト 「……墜ちてなどいない。フィーリア王女は、私たちにチャンスをくれたんだ」

ウィンディ 「生きるチャンスを。自分たちで自分たちを救う……運命に立ち向かう、最後の希望を」

リール 「っ……」

ブライト 「……お願い。ブルーム、イーグレット」

ウィンディ 「これは私たちのわがままだ。けれど、私たちは生きたい。だから……」

ブライト&ウィンディ 「「ふたりの力を貸して……!!」」



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:11:41.03 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「うん!!」 ギュッ 「そんなの、当たり前だよ!」

イーグレット 「ええ!」 ギュッ 「四人なら……もう何も怖くない!」

ブライト 「ブルーム、イーグレット……」

ウィンディ 「ありがとう……!!」

ザッ……!!!

ブルーム 「そうと決まれば……」

イーグレット 「ここからがわたしたちの反撃よ」

ブルーム 「行くよ、ブライト!!」

ブライト 「ええ! ブルーム!」

――――タン……!!!

イーグレット 「わたしたちも行きましょう、ウィンディ!」

ウィンディ 「うん! 四人で、力を合わせるんだ!」

――――タッ……!!!

リール 「っ……まだ戦うというの? まだあきらめないというの?」 ギリッ

リール 「もういい。フィーリア、精霊、そしてプリキュア……お前たちは、私がまとめて断罪する……!!」



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:12:22.80 ID:FOWnKpgFo

 新生ブライト、そしてブルームは駆けた。
 大地の力と月の力を持つふたりのプリキュア。

 かつて咲の身体にあった大地と月の力、その片方はいまや、満の身体にある。
 強く満のことを想ったムープが、満に与えた満月の力。

 健やかなる大地と、燦然と輝く満月のプリキュアが、大地を踏みしめ、駆ける。

リール 「……お前たち全員、世界の敵だ。全員この場から消し去ってやる!!」

ブルーム 「できるものなら!」

ブライト 「やってみなさい!!」

ブルーム 「花を照らす!!」  ブライト 「月の光よ!!」

 理の郷。その無機質な場を、圧倒的な光が埋め尽くす。
 それは、華やかに咲き誇る花を照らす、慈しみ溢れる満月の光。

 その光が巨大な弾丸を成し、駆けるブルームとブライトの手から放たれる。
 轟音を立てて、光弾が女王の体力を抉る。

リール (ぐっ……な、なんて威力なの……!?)

 よろめく女王はしかし、まだ倒れるわけではない。

リール 「まだだ!! わたしはまだ倒れてはいない! この程度で――――」

イーグレット 「――――まだよ!」



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:13:17.44 ID:FOWnKpgFo

リール 「!?」

 そう。まだ、ふたりのプリキュアがいる。

 それは、空を駆けるように飛ぶ、ふたりのプリキュア。
 大空と風の力を持つ、美しきプリキュア、イーグレットとウィンディ。
 薫のことを想い、願い、望んだフープが与えた、風の力。
 精霊の力を纏い、ふたりのプリキュアは天女の如く空を駆ける。

ウィンディ 「私たちは負けない……負けたくない!」

イーグレット 「守りたい……夢見ていきたい、未来があるから!!」

イーグレット 「鳥が舞う!!」  ウィンディ 「天空の風よ!!」

 ――――瞬間的に、風がその場を支配した。
 それは、鳥が軽やかに大空を舞う、天空を流れる導きの風。

 その風がウィンディの手の中で生まれ、収束し、
 イーグレットの手から、大空を駆ける鳥の如き速度で放たれる。
 竜巻のような強大な風の奔流が、女王の身体を撃ち貫く。

リール (ぐ……あ……ッ)

 圧倒的。絶対的。そんな理の女王が、初めて揺らぎを見せる。
 それはほんのかすかな揺らぎ。けれど、間違いない確かな隙だった。

 ――――そこに、四人のプリキュアが殺到する。



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:13:58.83 ID:FOWnKpgFo

リール 「ッ……!?」 (まずい……ッ)

 四人はためらうことなく女王の身体にとりつき、その両腕を取った。

ブルーム 「わたしたちは、」

ブライト 「絶対に、」

 ブルームとブライトは女王の右腕を。

イーグレット 「あきらめたり、」

ウィンディ 「しない!!」

 イーグレットとウィンディは女王の左手を。

リール 「ッ……!!」

「「「「はぁぁあああああああああああああああああああ!!!」」」」

 四人同時に力を込める。そして、揺らぐはずのない理そのもの――女王の身体が、浮いた。

リール (ばかな……!! この私が……!?)

「「「「これが……プリキュアの力だぁああああああああああああああああ!!!」」」」

 気合い一閃。プリキュアの身体が輝き、精霊の力が発露される。
 浮き上がった女王の身体が投げ飛ばされる。
 ――プリキュアが、世界のルールそのものを塗り替えるかの如く。



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:28:09.41 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「ブライト!」

ブライト 「ええ、ブルーム!」

イーグレット 「ウィンディ!」

ウィンディ 「うん、イーグレット!」

 ふたりはプリキュア。その本質を示すように、手を取り合う。
 相手を求めてやまない絆の力。手を繋ぐことで、その力が現れる。

 精霊の光が、理の郷に光り輝く。

ブルーム 「大地に咲く花よ」 (ふたりとふたりの、)

ブライト 「満月の光よ」 (力を合わせて、)

ブライト 「今、プリキュアと共に!」  ブルーム 「奇跡の力を呼び起こせ!」

イーグレット 「大空を舞う鳥よ」 (運命なんか、)

ウィンディ 「緑薫る風よ」 (吹き飛ばしてやる)

イーグレット 「今、プリキュアと共に!」  ウィンディ 「奇跡の力を呼び起こせ!」


―――――――― 『プリキュア・ブライティ・ブルーム・スプラッシュ!』

―――――――― 『プリキュア・ウィンディ・イーグレット・スプラッシュ!』



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:29:25.54 ID:FOWnKpgFo

 投げ飛ばされ、地に叩きつけられた女王は、見た。
 泉を守る伝説の戦士。本来ならばふたりあって然るべき伝説の戦士が、四人いる。
 それは、理――世界のルールそのものすらねじ曲げる力を持っているのだ。

リール 「危険すぎる……その力は、危険すぎる……!!」

リール 「日は昇り、落ちる。月は昇り、落ちる」

リール 「そして、生きとし生けるものたちは皆、いつかは死ぬ」

リール 「……お前たちがやろうとしていることは、その理を崩す行いなのだぞ!!」

 ――その言葉は、届かない。
 大地と月光、そして大空と薫風の力が、女王を直撃する。

リール 「がっ……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

リール (負けると、言うのか……この私が……?)

リール (理の女王である私が……? 私が負けたら、どうなる……?)

リール (世界は理を失い、ルールを失い、秩序を失い――混沌へと帰る……)

リール (それは即ち……宇宙が生まれる前……ダークフォールが望んでいた滅びの世界に他ならない……!!)

 女王の目に生気が宿る。圧倒的な力を持つ四人のプリキュアを前に、失われかけていた闘志がよみがえる。

リール 「――私は、理の女王! 私は……そんな未来を、許すわけにはいかないのよッッ!!」



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) 2011/11/05(土) 22:30:39.71 ID:FOWnKpgFo

ブルーム 「なっ……!?」

 その瞬間、四人のプリキュアたちは見た。
 女王が、四人から放たれた絶対とも言える精霊の力を、はねのけようとしている姿を。
 使命に突き動かされ、精霊の力を押し返さんとする凄まじい闘志を。

ブライト 「なんて力……!」

 スプラッシュ越しにも感じられる女王の圧倒的な力。
 それは段々と、少しずつ、四人の放ったふたつの螺旋を押し返していく。

イーグレット 「どうして……?」

 なぜこんな力が女王にはあるのか。そして、どうして自分たちはそれに敵わないのか。
 分からない。

ウィンディ 「お願い……」

 ――願いは、届かない。

リール 「はぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 凄まじい音が理の郷を震わせた。
 そして、プリキュアから放たれた光の螺旋が、消えた。

リール 「……っ……はぁ……はぁ……」

 女王は息荒く、立ち上がる。そして、見据えた。
 ――――己が消し去るべきふたりと、それを守らんとするふたりを。



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:07:37.61 ID:ivirSs78o

リール 「はぁああああああああああああああああ!!!」

 女王の手の中に、瞬間的に炎が集約される。それは先と同じ、巨大な炎を成す。
 運命と世界の理を司る女王リールだからこそ使うことができる、異端を消し去る炎。

ブルーム 「ッ……だめ! あれがブライトとウィンディに当たったら――――」

 守らんとする意志。
 駆け出す足。
 庇う身体。
 抱きしめる腕。

 しかし――――、

リール 「まとめて……苦しみ、消え去りなさいッッ!!!」

 女王の手から無慈悲な炎が放たれる。

フィーリア 「……ッ!!」

 四人の伝説の戦士の前に、躍り出る小さな影があった。
 それは、すべての健やかなる命を象徴する、世界樹の精霊フィーリア王女。
 しかし女王はそれすらも意に介しはしない。

リール 「いいでしょう……あなたにも、お灸を据える必要がありそうだから!!」

イーグレット 「フィーリア王女!!」

 ――――炎が、フィーリア王女を直撃する。



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:08:57.78 ID:ivirSs78o

フィーリア 「……だい、じょうぶ……です……!!」

 フィーリア王女が、炎が直撃する寸前に展開した精霊の守護の力。
 しかしそれは、理の炎の前には、あまりにも貧弱で拙い壁だった。
 みるみるうちに光の壁が――精霊の守護が削られていく。

 今の女王にとっては、消え去るべき満と薫を守る精霊そのものまでもが、運命に背く異端者なのだから。

ブライト 「ッ……!」  ウィンディ 「……!」

 動いたのは同時だった。

ブルーム 「えっ……?」  イーグレット 「ウィンディ……!?」

 ブライトとウィンディは傍らのブルームとイーグレットを突き飛ばし、
 その勢いのまま、今まさに炎に飲み込まれようとしているフィーリア王女をふたりで抱え込んだのだ。

ブライト 「ッア……アアアアアアアアアアアアア!!!」

ウィンディ 「ぐッ……アア……ブルーム……イーグレット……ッ!」

 呻きながら、ウィンディはフィーリア王女をブルームとイーグレットに向け、投げる。
 ブルームはぐったりとしたフィーリア王女を抱き留め、優しく寝かせた。

ブルーム 「ブライトッ!! ウィンディッ!! いま行くか――――」

ブライト 「――――来ちゃだめッッ!!!」

イーグレット 「!?」



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:10:25.42 ID:ivirSs78o

ブライト 「がッ……アアアアアアア……!! 痛い……苦しい……」

ブライト 「こんな……苦しみを、痛みは、あなたたちには、いらない……ッ」

ウィンディ 「私たちは、きっと……このまま……ッ、消える……」

ウィンディ 「だから、お願い……あなた、たちは……私たちの分も、生きて……!」

ブライト 「そして……厚かましい、お願いかもしれないけれど……」

ウィンディ 「あなたたちだけでも……わたしたちの、ことを……」


―――――――― 「「忘れないで、いて……」」


ブルーム 「ブライト……」

イーグレット 「ウィンディ……っ」

 動くことはできた。炎の中で苦しみ、しかし必死に笑顔を作るふたりの元へ、走ることはできた。
 しかし、ブルームとイーグレットの身体は動かなかった。
 怖かったからではない。苦しみたくなかったからではない。

 ブライトとウィンディの顔が、言葉が、すべてが、ふたりに訴えていたから。
『わたしたちのことを忘れないでいて』 と。そう、訴えていたから。
 
リール 「……呆気なかったわね。さようなら、霧生満、霧生薫」

 世界からふたつの命が失われようとしていた。
 それでもその命たちは、苦しみの中、笑みを絶やすことはなかった。



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:11:34.43 ID:ivirSs78o

ブライト 「……さようなら……咲。さようなら、舞」

ウィンディ 「ありがとう……咲。舞」

ブルーム 「満っ!! 薫……っ!!」

イーグレット 「いや……満さん、薫さん……いやあああああああああああ!!!」

 凄絶な悲鳴が響く。悲しみの色を帯びた声は、しかし何にも届かない。

イーグレット 「いや……お願い……お願い!! 誰でもいい……あのふたりを助けて!!」

リール 「……かわいそうに。けれど、誰も助けてくれはしないわよ」

リール 「これが、この世界の決まりなのだから。なるべくしてなった、運命なのだから」

リール 「あなたたち伝説の戦士に守れないものを、他の誰が守ってくれるというの?」

イーグレット 「お願い……お願い!! 誰か……誰か、満さんと薫さんを助けて!!

 しかし――、

ブルーム 「……? あれ、何……!?」

イーグレット 「えっ……?」


 ――――――声が届かずとも、想いは届く。願いは届く。望みは、届く。
 その想いの返事は、緑色の光として、福音の如く、理の郷に降り注いだ。



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:12:40.53 ID:ivirSs78o

………………緑の郷 舞の家

みのり 「…………」 コクッ 「みんな集まったね」

みのり 「じゃあ、今から始めるよ?」

健太 「えっと……結局、なにが始まるんだっけ?」

宮迫 「だから、みのりちゃんが、僕たちが満さんと薫さんって人を忘れてるから、思い出させるって……」

仁美 「でも、満と薫なんて人、マジ知らないんだけど……」

和也 「まぁまぁ、とにかく話を聞いてみてよ。僕もふたりのことは覚えてないけど、少しおかしいと思うんだ」

加代 「まぁ、和也さんがそう言うなら……」

和也 「それで? みのりちゃん、ふたりは何に残っているんだい?」

みのり 「そんなの、ひとつだけに決まってるよ」 ムフー 「ここだよ」

コンコン

優子 「みのりちゃんの、頭?」

みのり 「うん! 誰も覚えてないし、絵も写真も残ってない。もう、みのりの中にしか薫おねーさんたちは残ってない」

弘一郎 「しかしみのりちゃん、君の頭の中にしか残っていないふたりを、どうやって私たちに思い出させるんだい?」

みのり 「……うん。それはね、」 ゴソゴソ 「舞おねーちゃんだったら、こうすると思うの。だから、みのりも、これを使う」



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:13:30.55 ID:ivirSs78o

可南子 「スケッチブックと、えんぴつ……?」

大介 「それで一体どうするって言うんだい?」

沙織 「あっ……もしかして……」

みのり 「……見てて。今からみんなに、しっかりと薫おねーさんと満おねーさんを思い出してもらうんだから!」

 大好きなお姉さんふたりを、自分以外誰も覚えてない。
 そんな中でしかし、みのりはあきらめなかった。

 大好きなお姉さんたちを、みんなの中に取り戻したいから。
 そして、大好きなお姉ちゃんたちなら、絶対にあきらめないだろうからだ。

 大好きなお姉さんたちを取り戻すために。
 憧れるお姉ちゃんたちの背中をいつも見ていたみのりが。

 えんぴつを取り、スケッチブックに描き記す。

みのり 「……覚えてるもん。みのり、全部覚えてるもん」

みのり 「みのりは、薫おねーさんと満おねーさんのこと、全部覚えてるもん」

 忘れるはずなどなかった。忘れられるわけがなかった。
 あのふたりは、あまりにも深くみのりの心に残っているのだから。

 そんなふたりを描くことなど、みのりにとっては訳ないことなのだから。



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:14:38.29 ID:ivirSs78o

みのり 「みのりは全部覚えてるよ。満おねーさんが、うちを手伝ってくれたときのこと」

 一枚の絵がすぐさま描き上がる。
 それは年相応な、拙く、足りない絵。
 ――しかし、想いのこもった、たとえ何であろうとも口出しできないであろう、絵。

沙織 「これって……うちのお店……? この女の子は……?」

みのり 「満おねーさんだよ。まだ、笑うのが上手じゃなかった頃の、満おねーさん」

 みのりは応えながらも、次の絵を描き始めている。
 誰が忘れても、世界が忘れても、世界が否定しても、みのりだけは、覚えている。だから、

みのり 「……だから、描くよ。みんなが思い出してくれるまで、何枚だって、描くよ」

みのり 「みのりが、薫おねーさんと初めて会ったときのことだって、しっかりと覚えてる」

大介 「……?これは、うちの表のテーブルかい? もしかして、この髪の長い子が……」

みのり 「薫おねーさん。みのりに、とっても大事なことを教えてくれたんだ」

 描く。描く。描く。描く。
 みのりの心にしっかりと息づいている、満と薫という名の生命を、絵に描き記す。

 この世にその魂を、丁寧に丁寧に縫いつけるように。

みのり 「一緒にアジサイをスケッチしに行ったこと。一緒におねーちゃんの練習を見に行ったこと」

みのり 「一緒にお絵かきをしたこと。一生懸命パンを作っていたところ。みんなでおねーちゃんの試合を応援に行ったこと」



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:15:19.59 ID:ivirSs78o

 何かが宿ったかのようだった。
 みのりはただ真剣な表情でスケッチブックに向けえんぴつを走らせ、そして描き上げた先から切り取り、皆に渡す。

健太 「なんだろう……」

宮迫 「……何か、ちがう」

仁美 「……うん。マジ、ちがう」

優子 「何かが、おかしい……?」

加代 「私たち……何かを、忘れてる……?」

 皆の頭の中に、明確な違和感が生まれた。

みのり 「うん。みんな忘れちゃってるだけだよ。だって、ふたりはきちんといたんだもん」

和也 「っ……なんだ……!! 何で思い出せない……!? 僕はたしかに、このふたりを知っているのに!!」

みのり 「……大丈夫だよ、和也おにーさん」

和也 「えっ……?」

 狼狽する和也に、みのりは絵を描きながらなだめる声をかける。

みのり 「大丈夫。絶対に、みのりが思い出させてあげるから」

 みのりの手は止まらない。ただ、描き、紡いでいく。
 満と薫とともに過ごしてきた日々……その物語を。



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:16:24.55 ID:ivirSs78o

みのり 「……楽しかったよ。みのり、とっても楽しかったよ……っ」

みのり 「だから……!」

 ぽたっ、ぽたっ、と。小さな水音が響いた。

弘一郎 「みのりちゃん……」

みのり 「っ……!」

 みのりは袖で思い切り目元を拭う。
 大丈夫。涙なんか流してない。

 大好きなお姉さんたちが帰ってくるまで。
 憧れのお姉ちゃんたちの代わりに、がんばると決めたのだから。

みのり 「……満おねーさんと一緒で、楽しかった。薫おねーさんと一緒で、楽しかった」

みのり 「みのりはまだ、ふたりと一緒にいたいよ! ふたりと一緒に、これからたくさんのことがしたいよ!」

みのり 「満おねーさんとは、一緒にパンを焼くって約束をしたもん」

みのり 「薫おねーさんとは、これからもずっと、一緒に絵を描くんだもん」

 真摯な想いは、そして――、

みのり 「だから……だから……! お願い、みんな!! ふたりを思い出して!!」

 ――最後の一枚として、描かれ、紡ぎ出される。



197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:19:23.40 ID:ivirSs78o

みのり 「…………」

可南子 「この絵は……?」

 拾い上げ、皆の目に入ったその絵。
 みんなが笑っていた。楽しそうに笑っていた。
 誰ひとり欠けることなく、そこで楽しそうに笑っていた。

和也 「これは……もしかして、これから始まるパーティの絵……?」

 それは、未来の絵。
 あるべきだった、あるはずだった、そんな未来の出来事。

 そしてそれはきっと、これからずっと、未来へ繋がっていく。
 そんな、素敵な素敵な、一枚の絵。

みのり 「……みのりは、薫おねーさんと満おねーさんと、これからもずっと一緒にいたい」

みのり 「これから、たくさんのことを一緒にしたい。たくさん遊びたい。だから……」

みのり 「だからっ……!」


―――――――― 「思い、出した……」


みのり 「へ……?」

仁美 「そうだよ……私たち、なんで霧生さんたちのこと忘れてたりしたの!?」

優子 「訳が分からないよ。なんで、ふたりのことを忘れてたんだろ……」

健太 「俺たちの大切な友達じゃねぇか! なにやってんだ俺!!」

宮迫 「どうかしてるよ、僕たち……」



198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:20:06.45 ID:ivirSs78o

加代 「……何で、ふたりのこと忘れてたんだろ。今は、どんどん思い出がでてくるのに」

和也 「そうだよ……あのふたりは、うちにも遊びに来たじゃないか……」

弘一郎 「星を一緒に見た……」

沙織 「うちもそうよ。お店を手伝ってくれた。お父さんにパンの作り方を習ってたわ」

大介 「どうして……忘れたりしたんだ。あのふたりのことを……」

みのり 「みんな……っ」

 今度こそ、涙が出てきた。
 けれどそれは悲しくて出た涙ではない。嬉しくて嬉しくてたまらなくて、出てしまったうれし涙だ。

みのり 「みんな、ふたりのこと……」

健太 「安心しろ、みのりちゃん」

和也 「みんな……もう忘れたりしない! しっかり思い出したから」

和也 「……しかし、どうして僕たちはふたりのことを忘れたりしたんだ……?」

仁美 「なんか、怖い……。無理矢理、記憶を奪われたみたい。霧生さんたちがマジ心配だよ!」

優子 「でも、ふたりは一体どこにいったの……?」

加代 「わかんないよ。でも……何か、すごいことに巻き込まれているのかも……」



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:20:57.95 ID:ivirSs78o

大介 「!? もしかして、うちの咲と舞ちゃんは、満ちゃんと薫ちゃんと一緒にいるのか!?」

弘一郎 「分かりませんが……可能性はありますな。ふたりが顔を見せないのはそのせいかもしれません」

可南子 「そ、そんな……四人は一体どこにいるの!?」

沙織 「どうしよう……みんなにもしものことがあったら……」

 場が一気に浮き足立つ。しかし、それでもなお、その場に落ち着いた声が響いた。


―――― 「大丈夫。大丈夫だよ」


和也 「みのりちゃん……?」

みのり 「みんながきちんと戻ってきますようにって、お祈りしよう?」

みのり 「そうすればきっと、大丈夫だから」

 言うと、みのりは手を顔の前で合わせ、目を閉じた。

みのり 「どうか、みんながきちんと帰ってきますように」

 一言、一言、大切なお姉さんたちのために、祈る。
 それは、子どもじみた願掛けだったかもしれない。無為な行為にしか見えなかったかもしれない。

 しかし、その場にいた誰ひとりとして、みのりのその行いを否定できなかった。
 小学生の少女の言葉が、その場の誰よりも、四人の身を案じていることが分かったからだ。



200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:21:37.41 ID:ivirSs78o

和也 「……みんなが、無事に帰ってきますように」

 やがて、ひとり、

健太 「……っ、咲たちが無事に帰ってきますように!」

 また、ひとり、

優子 「みんな、すぐに帰ってきますように!」

 ひとりと、手を合わせ、目をつぶり、祈り始めた。
 ただそれだけが、四人の無事につながる行いであると、分かったからだ。

 だから、それを見た者はいない。


 ぱぁ、と。

 ひとりひとりの身体から、小さな緑の光が生まれ、集まったことを。
 その温かい緑の光が、少しずつ大きくなっていったことを。

 そして、その光がやがて、空へと飛び立ったことを。

みのり (……おねーちゃんたちが、無事に帰ってきますように……)

 言葉が届かなくても。手を差し伸べることができなくても。それでも、人と人は想いで繋がり合うことができる。
 どんなに遠く離れていても、想いは届く。気持ちは届く。望みは届く。
 その想いが力となり、理の郷へと飛び立った。



 ――――――それは、小さな少女が起こした、奇跡なのかもしれない。




201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:23:29.17 ID:ivirSs78o

………………理の郷

リール 「何だっていうの……!? こんな光、見たことがないわ……!」

ブライト 「えっ……?」

ウィンディ 「あたた、かい……?」

 緑色の光がブライトとウィンディを優しく包み込む。
 その温もりに、ふたりは覚えがあった。

ウィンディ 「みのりちゃん……?」

ブライト 「みんな……? どうして……」

 感じるのは、なつかしいなつかしい、大切な人々の想い。
 息づかいさえ感じられるほどに、温かい。

ブルーム 「この光って……なんか、緑の郷みたい」

イーグレット 「……わたしも、そう思っていたわ」

フラッピ 「……精霊の力じゃないラピ」

チョッピ 「でも、すごい力チョピ」

ムープ 「すごく温かくて、」

フープ 「とてもきれいな光ププ!」

 そして、光が弾け飛ぶ。


 ――――ブライトとウィンディを苦しめ、消し去ろうとしていた理の炎とともに。




202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:24:02.27 ID:ivirSs78o

リール 「!? 私の炎が……!?」

ブライト 「……なんだろう。分からないけど、不思議ね」

ウィンディ 「力があふれてくる。心の底から、みんなの想いが流れ込んでくる」

ブルーム 「うん。何も分からないけど、なんとなく分かる。この光は……」

イーグレット 「みんなが……みのりちゃんたちが、送ってくれたのね……っ」

 そして、四人の手が、当たり前のように、それが宇宙の理であるかのように、結ばれる。

リール 「っ……何度やろうと、あなたたちに勝ち目はない! 宇宙創造から世界を見守る私に、勝てはしない!」

ブルーム 「宇宙が始まった頃からこの世界を見守っていたというのなら、」

イーグレット 「わたしたちは、今ここで宇宙創造の光を放つ!!」

リール 「!? ま、まさか……!!」

ブライト 「ブルーム、イーグレット!」

ウィンディ 「行くわよ……私たちの “星空の友情” の力、受けてみなさい!!」



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:24:54.40 ID:ivirSs78o

 世界が救わないのなら、人が救う。


ブルーム 「――――花は咲き――――」


 大切な人を守るために、戦士は戦う。


ブライト 「――――月は満ち――――」


 伝説の戦士は、大切な誰かを守るためなら、どこまでも強くなる。


イーグレット 「――――鳥は舞い――――」


 ひとりでは弱くても、ふたりなら強くなれる。四人なら、もっと強くなれる。


ウィンディ 「――――風は薫り――――」




 だからプリキュアは、ひとりではないのだ。





―――――― 『すべての恵みが、緑に降り注ぐ!!』


 それは、混沌たる滅びに、恵みをもたらした宇宙創造の光。

            「「「「スパイラル・ハート・スプラッシュ・スター!!!!」」」」

………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――



204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:25:44.69 ID:ivirSs78o

――――――――――――――――――――――――………………………………………………………………

リール 「…………」

 女王が倒れる音が、理の郷に響いた。

リール 「なぜ……なぜ、こんな力が放てるの……?」

リール 「あなたたちは、消え去るべき存在だというのに……」

満 「……決まっているわ。みんなが、私たちに戻ってきてほしいって願ってくれたからよ」

リール 「なん、ですって……?」

薫 「緑の郷の友達の鼓動を感じたんだ。それが、私たちに炎を振り払い、スプラッシュスターを放つ力を与えてくれた」

リール 「……緑の郷の人間が、あなたたちのことを忘れていない……?」

リール 「そんな、ばかな……あなたたちは、本来なら緑の郷に存在しているはずのない者たちなのよ?」

リール 「そんなあなたたちが緑の郷を離れたのだから、皆、あなたたちのことを忘れているはず……」

咲 「……みんな、忘れてなかったんだよ、きっと」

舞 「忘れることなんてできなかったのよ。大切な友達のことだもの。たとえ忘れたとしても、何度だって思い出す」

リール 「……霧生満、霧生薫。あなたたちは、そんなにも深く、緑の郷に関わってしまったということなのね」



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:26:27.37 ID:ivirSs78o

リール 「理の郷の力にも屈せず、誰もがあなたたちのことを思い出すくらい……」

リール 「誰もがあなたたちに戻ってきてほしい、帰ってきてほしい……そう、願うくらい」

リール 「……あなたたちは、それくらい大切な存在になってしまっているのね」

 女王がゆっくりと身をもたげた。そこにはすでに、闘志も何も残ってはいなかった。
 憑き物が落ちたかのようなゆったりとした仕草で、女王は立ち上がった。

リール 「……そんな存在を、消す力を私は持たないわ。もしあなたたちを無理矢理消したりしたら、」

リール 「それこそ、緑の郷に多大なるゆがみを与えてしまうでしょう。それは、私の本意ではないもの」

満 「で、では……!」

薫 「私たちは……!」

リール 「…………」

 女王はゆっくりと背を向け、そして、はっきりと言い放った。

リール 「……帰りなさい。もうあなたたちに用はないわ」

咲 「なっ……! そんな言い方って……!!」

舞 「咲! つっかかっても仕方ないわ……」



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:27:12.40 ID:ivirSs78o

 憤慨する咲、それをなだめる舞。舞にしても、納得した表情ではない。
 当たり前だ。誰だって、大切な友達にさんざんひどいことをされては、黙ってなどいられない。

リール 「……私は謝りはしない。私は間違ったことはしていないもの」

リール 「理を乱す者は、いずれ世界を乱す。世界を滅ぼそうとした、ダークフォールのように」

リール 「けれどこうなってしまっては、私は霧生満と霧生薫を消すわけにはいかなくなった」

 それに対し、女王は背を向けたまま淡々と応えた。

リール 「私は謝らない。私は、間違ったことなどしていない。……けれど、霧生満、霧生薫」

満 「は、はい!」

薫 「なに……?」

リール 「……もし私のことが憎いのなら、悔しいなら、私を見返せるくらい幸せになりなさい」

満 「……!?」

リール 「私を見返せるくらい強く生きなさい。そして、誰よりも何よりも、誠実に、健やかに生きなさい」

薫 「女王……あなたは……」

リール 「そして、そのためにもしこれが必要なら……いつでも思い出しなさい」

 そう言うと、女王の手から光が立ち上った。それは瞬き、一瞬にして理の郷の景色を塗り替えた。



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:28:14.46 ID:ivirSs78o

咲 「……? ここは……?」

 そこは、咲にも見覚えのある場所。暗く、湿った、暗黒の滅びの世界。

舞 「ダークフォール!?」

リール 「ええ。一年前のダークフォールの様子よ。私の力であなたたちに見せているの」

満 「そんなものを、私たちに見せてどうするつもり……?」

リール 「黙ってみていなさい。……ほら、あそこ」

 女王が指し示した先。暗黒の水底に沈むふたつの影があった。

薫 「!? あれは、私と、満……」

咲 「あ、そっか……一年前はまだ、満と薫はダークフォールに……」

舞 「あんな風に眠らされていたのね。かわいそうに……」

リール 「……そろそろよ。ほら、来たわ」

 女王が目を向けた先。そちらに目を向けた瞬間、全員の背中が凍り付いた。
 それは忘れようにも忘れられない、とある姿。

咲 「あ……あああああ、……アクダイカーン!?」

リール 「安心なさい。これは映像よ。もうアクダイカーンは存在しないわ」



208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:29:08.07 ID:ivirSs78o

 ずしん、ずしん、と、大きな地響きをたてながら、アクダイカーンはやがて満と薫が寝る水底の上で立ち止まった。
 その顔にはどんな表情もない。ただ、満と薫を見つめている。

満 「アクダイカーン様……?」

薫 「一体……」

 どれほどの時間、そうしていたのだろうか。
 やがてアクダイカーンはくるりと身を翻し、再び地響きをたてながら、いずこかへと去っていった。

咲 「……い、今のって、一体……?」

舞 「アクダイカーンは何をしていたのかしら?」

リール 「……さぁ。私は、人の運命を見通すことはできても、人の心の中まで見透かすことはできないから」

リール 「アクダイカーンはゴーヤーンに作り出された存在よ。自我があったとしても、それは作られたものでしかない」

満 「…………」

リール 「けれど、その自我が、霧生満と霧生薫を見ていたのよ。あなたたちがアクダイカーンに敗れてから、毎日」

薫 「!?」

リール 「ただ見張っていただけかもしれない。利用価値を考えていただけかもしれない。けれど、もしかしたら……」

リール 「霧生満、霧生薫。己が生み出したあなたたちふたりのことを……いえ、これ以上は言うだけ野暮かしら」

咲 「女王……」



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/11(金) 21:30:10.35 ID:ivirSs78o

舞 「……あなたは、わざわざ満さんと薫さんに、この映像を……」

リール 「……べつに。どうせ生きるのなら、まっすぐ正しく生きてほしかっただけよ」

リール 「親がいない寂しさなんかに負けて、これ以上理を乱さないでほしいだけよ」

フィーリア 「……ふふ。やはり、あなたは優しい方です」

リール 「ふん。こうなることを予測して、最後の最後まであきらめなかったあなたの老獪さには負けるわよ」

リール (本当に、かわいい顔してえげつない子……敵にはしたくないわ)

フィーリア 「ふふ♪」

満 「女王、私たち……――」

リール 「――私はあなたたちに謝罪をしない。しては、理の女王としての面目が丸潰れだから」

リール 「同じように、あなたたちからのいかなる言葉も受け付けない。私は何もしていないもの」

 言葉のわりには、女王は最後に、そっと、笑った。

リール 「友達を大切に。強く健やかに、まっすぐ生きなさい。くれぐれも、理を乱すような真似は慎むこと」

リール 「さぁ、帰りなさい。あなたたちが己の努力で得たかけがえのない友達が、あなたたちを待っているわ」

 女王の手から光が放たれる。その光が、四人と五人の精霊を包み、飛んだ

 ――――まっすぐ、大切な人たちが待っている、緑の郷へと。



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:36:54.13 ID:jecyxoyMo

………………エピローグ 緑の郷

みのり 「…………」

満 「あ、あはははは……」

薫 「こ、こんにちは? みのりちゃん」

みのり 「…………」

ブワッ

みのり 「がおるおべえばああああああああん!!! みぢるおべえばああああああああん!!!」

ギュッ……!!!!

満 「……みのりちゃん。お顔が涙と鼻水でべとべとよ?」 グスッ

薫 「ごめんね……ごめんね、ありがとう。みのりちゃん……」 グスッ

大介 「…………」

弘一郎 「…………」

咲 「あ、えーとぉ……そのぉ……」

舞 「わたしたちにもいろいろ事情があったというか……ともあれ、」

咲&舞 「「――――いきなりいなくなってしまってごめんなさい!!」」



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:38:42.12 ID:jecyxoyMo

大介 「…………」 フッ 「まぁ、いいさ」

弘一郎 「……無事で何よりだよ。深く事情を聞くつもりもない」

和也 「ただし、みのりちゃんには後でお礼を言っておきなよ?」

咲 「えっ? どうしてですか?」

和也 「そっちに内緒があるように、こっちにも秘密がある。それは教えられないよ」 ニコッ

舞 「も、もう! お兄ちゃん、教えてくれたっていいじゃないっ」

仁美 「まぁまぁいいじゃないいいじゃない。さ、さ、美翔さんも咲も、霧生たちも、早く上がって上がって」

優子 「仁美、自分の家じゃないんだから……」

健太 「ほらぁ、さっさと始めようぜぇ! 俺もう腹ぺこだよ!」

舞 「!? あれ!? そういえば、どうしてみんながうちにいるの!?」

加代 「それも内緒。すぐに分かるわよ」

宮迫 「さーみんなー! 主役が来たんだから、パーティを始めよう!」

沙織 「……なんだかよくわからないけれど、」

可南子 「この子たちなら間違いないですね」 クスッ 「大人は裏に引っ込みますか」

舞 「ちょ、ちょっと! 引っ張ったりしていったいなんなの――――」


        ――― 『美翔舞さん! 誕生日おめでとう!!』 ―――



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:40:32.16 ID:jecyxoyMo

舞 「えっ? えっ? ええっ???」

咲 (まぁ、そりゃ、あれだけのことがあったあとに、誕生日って言われても困惑するよね……)

咲 「サプライズパーティだよ、舞。おめでとう!」

舞 「えっ? ええっ!?」 (あんなことがあって、すぐに誕生会!?)

咲 「ま、いろんなことがあったけど、それは置いといて……満」

満 「ええ」

カラカラカラカラ……

舞 「? 押し車? 布がかかってるけど、何が乗ってるの?」

咲 「えへへー、これが、満とわたしからの誕生日プレゼントだよ、舞!」

満 「……お誕生日おめでとう、舞」

バサッ……!!!

舞 「……! わぁあああああああ……」 パァアアアアア 「すごい! すごいわ!!」

舞 「何、この形!? とってもかわいいわ!」

咲 「えへへ。満考案、わたし編集、お父さん監修の、クリームメロンチョココロネケーキだよ!」

満 「あとでみんなで食べましょう。場所によって味が違うのよ? 楽しみにしててね」



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:46:14.92 ID:jecyxoyMo

みのり 「えへへー、舞おねーちゃん! みのりと薫おねーさんからの誕生日プレゼントだよ!」

舞 「あら? 何かしら?」

みのり 「じゃーん!! ふたりで一生懸命描いた、絵だよ!」

舞 「うわぁああああああ……!! すごいわ! こんなに大きな紙に、よく描けたわね」

薫 「みのりちゃんとふたりで、悩みながら、何度も試行錯誤して描いていったんだ」

みのり 「……よかった。満おねーさんと薫おねーさん、戻ってる」 ボソッ

薫 「……? どうかした、みのりちゃん?」

みのり 「ううん!」 ギュッ 「舞おねーちゃん、誕生日おめでとう!」

舞 「ありがとう、みのりちゃん」 ギュッ 「ありがとう、薫さん」

薫 「……うん!」

優子 「じゃあ、今度は私たちの番だね」

仁美 「私と優子と委員長からは……」

加代 「じゃーん! シュシュをプレゼント!!」

舞 「わぁ、かわいいわ。これ、全部手作り?」

優子 「うん! みんなでがんばって作ったんだっ。誕生日おめでとう、美翔さん!」

舞 「とっても嬉しいわ! ありがとう、みんな!」

健太 「後で、俺たちの渾身の漫才をプレゼントするからな!」

宮迫 「楽しみにしててね、美翔さん」

舞 「え、ええ……。楽しみにしているわ!」



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:48:26.32 ID:jecyxoyMo

………………

舞 「こんなにたくさんプレゼントもらっちゃった……」 グスッ 「嬉しくて、泣いちゃいそう」

咲 「喜んでもらえてよかったよ。内緒にしててごめんね?」

舞 「ううん。でも、それで色々合点がいったわ」

クスッ

舞 「……ってことは、この後は、満さんと薫さんにプレゼントを渡すのよね?」

満 「えっ……?」

薫 「?」

仁美 「えへへ。誕生日を祝ってもらったことがないなら、祝ってあげようじゃない!」

優子 「今日はふたりの誕生日じゃないけれど、どうせなら……」

加代 「お祝いはたくさんやった方が楽しいに決まってるわ。発案者は、日向さんよ」

薫 「咲……」

咲 「えへへー。でも、みんなも快く協力してくれたんだ!」

満 「みんな……ありがとう」

仁美 「ってことで、はい! 私たちからのプレゼントだよ、満さん、薫さん」

薫 「これは……エプロン?」

宮迫 「ふたりおそろいのやつを見繕ったんだ。絵を描くにしろ、パンを焼くにしろ、使えると思って」



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:48:55.65 ID:jecyxoyMo

健太 「まぁなんだ。今度は、ちゃんとふたりの誕生日に、パーティを開こうぜ」

薫 「…………」

ポタッ……ポタッ……

満 「薫……」

咲 「わっ……わわっ! 薫、どうしたの!?」

薫 「ご、……ごめんっ……つ、つい……嬉しすぎて。幸せすぎて……」

満 「…………」 ニコッ 「……まったくもう。薫は、泣き虫、なんだから……」 グスッ

舞 「あら……」 クスッ 「満さんも泣きそうじゃないの」

満 「そ、そんなことない!」

薫 「……ありがとう。みんな。本当に、嬉しい……!」

満 「……うん。ありがとう」

咲 「じゃあ、今度はわたしと舞だよ。はい、満」

満 「わぁ……かわいいミトンだわ……!」

咲 「パンを焼くときにいるでしょ? ふたりで縫ったんだ……って言っても、やったのほとんど舞だけど……」

満 「仕方ないわ。舞の誕生会の準備もあったんだもの。ありがとう、咲、舞」



219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:50:17.83 ID:jecyxoyMo

舞 「それで、これは薫さんへのプレゼントよ」

薫 「……? バッグ? いや、画材入れ?」

舞 「うん。私の持ってる画材入れを参考に、ふたりで縫ったのよ。使いやすいと思うわ」

薫 「……うん。丈夫で軽い。ありがとう。大事に使う」

満 「みんな……」  薫 「……本当に、ありがとう……」

咲 「いいのいいの! ね、みんな……って、あれ?」

みのり 「…………」 ブスーッ 「……みのり、何も用意してない」

咲 「あ……そういえば、みのりにだけ伝えるの、忘れてた……」

みのり 「…………」 グスッ 「みのりも、薫おねーさんと満おねーさんに、プレゼントしたい……」

舞 「さ、咲! このままじゃみのりちゃん泣いちゃうわよ!?」

咲 「そ、そんなこと言ったって……」

コソコソ

満 「? 伊東さん?」

仁美 (シッ。……霧生さん、ちょっといい?)

薫 (? どうかしたの、伊東さん?)

仁美 (何も言わずにこれを受け取って) パチッ (みのりちゃんから、ふたりへの何よりのプレゼント)



220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:52:03.59 ID:jecyxoyMo

みのり 「うぅ……――」

薫 「――――――すごい……!!」

みのり 「えっ……?」

満 「わああ……こんなに、たくさん……?」

みのり 「あ……それ、さっきみのりが描いた絵!!」

薫 「何も用意してないなんてうそじゃない、みのりちゃん」 ニコッ

満 「……こんなにすごい絵を、こんなにたくさん描いてくれたのね」

みのり 「あ……それは、みんなに、ふたりを……」

ギュッ

みのり 「あっ……」

薫 「ありがとう、みのりちゃん」

満 「何よりのプレゼントだわ。本当に嬉しい」

薫 (そう……きっと、私たちは……)

満 (もうすでに、みのりちゃんから、素敵な素敵な、プレゼントをもらっていたのだから)



221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/12(土) 19:54:09.10 ID:jecyxoyMo



 皆が笑っている世界。友達と一緒に過ごせる時間。
 それは絶対的なものではないけれど、今すぐに終わるものでもない。
 今すぐに終わってしまっていいものであるはずがない。

フラッピ 「はぁ……フラッピたちもごちそう食べたいラピ……」

チョッピ 「仕方ないチョピ。もう少し我慢チョピ」

ムープ 「……良かったムプ。みんな、幸せそうムプ」

フープ 「満と薫も、本当に楽しそうに笑ってるププ」

フィーリア 「ええ……本当に……」 グスッ 「本当に、よかった……」

 世界はままならないことだらけで、きっと彼女たちはこれからたくさんの困難にぶつかっていく。
 それでも、彼女たちは負けないだろう。

満 「ふふ……ねぇ、みんな!」

薫 「うん……私たちは、これからもずっと……」

舞 「ずっとずっと……いつまでも!」

咲 「一緒だよ!!」

 大好きな友達との絆が、その笑顔で繋がってるのだから。

          ふたりはプリキュア Splash☆Star ~星空のともだち~
                                      おわり




元スレ
舞 「ふたりはプリキュアSplash☆Star」 咲 「星空のともだち!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320287288/
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         コメント一覧 (5)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 09:18
          • 一番不人気な作品とはめづらしい
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 11:20
          • 星空に輝けギンガ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 11:31
          • SSが人気落としたのはMHの後に似たキャラデザでやっちまったせいだと思う
            だから初代の二年でお腹いっぱいだった当時の視聴者以外になら
            また違った評価されてもおかしくないな
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 20:49
          • いい話だった。長かったけど
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年06月25日 16:35
          • なつかしいなぁ。面白かった!ありがとう!

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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