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美希「デスノート」【その7】

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美希「デスノート」【その7】






212:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/12(水) 23:17:10.90 ID:mLpRtQih0

【翌朝・星井家のリビング】


【アリーナライブまで、あと6日】


美希「あふぅ。おはよーございますなの」

星井母「おはよう。美希」

菜緒「おはよー」

星井母「……これでよし、と。じゃあ菜緒、パパに着替え持って行って」

菜緒「えー。今日サークルの友達と遊びに行く約束してるって言ったじゃん」

星井母「だからその約束より少し早く出ればいいじゃないの」

美希「……パパ、泊まり込みでお仕事なの?」

星井母「そうなのよ。昨日の夜、上司の方から連絡があってね。緊急の事件捜査で暫く帰れそうにないんだって」

美希「……ふぅん」

星井母「ほら、菜緒」

菜緒「っていうか、ママが出勤途中に持って行けばいいじゃん」

星井母「そりゃ通り道ならそうするわよ。でも完全に逆方向なんだもの」

菜緒「ちぇっ。もう、しょーがないなー」

美希「……いいよ。ママ。ミキが行って来るの」

星井母「えっ。美希が?」

菜緒「わお。サンキュー。美希。でもあんたが自分からお手伝いの申し出なんて……何かあったの?」

美希「……別に。何も無いの」

星井母「でもいいの? 美希。今日も朝からレッスンなんでしょ?」

美希「時間にはまだ余裕あるし、大丈夫なの」

星井母「そう? じゃあ悪いけどお願いしようかしら」

美希「はいなの」

美希「…………」



213:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/12(水) 23:26:15.46 ID:mLpRtQih0

(三十分後・支度を終えた美希)

美希「……じゃあミキ、そろそろ行くね」

星井母「あ、美希。あとこれ」スッ

(美希にメモを渡す星井母)

美希「? 何? これ」

星井母「昨日連絡して下さった、警察庁のアサヒさんって方の電話番号」

美希「!」

星井母「着替えとか持って行く時は事前に連絡下さいって」

美希「……パパの携帯じゃダメなの?」

星井母「ええ。パパは当分、携帯も碌に見れなくなるくらい忙しくなるからって」

美希「……分かったの。じゃあ霞ヶ関に着いたあたりでこの人に連絡するの」

星井母「じゃあ悪いけどよろしくね。それからレッスンも頑張って」

美希「うん。ありがとうなの。ママ」

菜緒「私も応援してるよー。マイプリティシスター」

星井母「もう、調子良いんだから」

美希「…………」

星井母「美希?」

菜緒「?」

美希「……うん。お姉ちゃんもありがとうなの」

美希「じゃあ、行ってきますなの」

 ガチャッ バタン

星井母「…………」

菜緒「…………」

星井母「美希、なんかちょっと変じゃなかった?」

菜緒「確かに、妙に大人しい感じはしたけど……単にまだ眠かったとかじゃない?」

星井母「でもあの子が自分から手伝いを申し出たのだって何年か振りくらいだし……」

菜緒「それは私もちょっと驚いたけど……ま、夜になればまたいつもの美希に戻ってるって」

星井母「……そうね」

菜緒「それにしてもパパ、何日も泊まり込みの上に携帯も碌に見れなくなるくらい忙しくなるって……一体何の事件の捜査なんだろうね」

星井母「さあ……アサヒさんは『緊急の事件捜査』としか言ってなかったから」

菜緒「またキラ事件の捜査に復帰することになった、とかだったらやだなあ……。あんな事件に関わってたら命がいくつあっても足りないよ」

星井母「…………」

菜緒「あ、ごめん。ママ。そういうつもりじゃ」

星井母「ううん。いいの」

星井母「…………」



215:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/12(水) 23:44:01.83 ID:mLpRtQih0

【三十分後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


(星井父と模木の監視のため、今はLと総一郎の二人だけが捜査本部にいる)

総一郎「…………」

L「…………」

 ピリリリッ

総一郎「! ……『朝日四十郎』用の携帯か。こっちが鳴るなんて珍しいな」

L「星井さんの奥さんじゃないですか?」

総一郎「ああ。そういえば着替えを持って来ると言っていたな」ピッ

総一郎「……はい。警察庁の朝日です」

総一郎「! …………」

L「?」

総一郎「……あ、いえ。失礼しました。わざわざすみません。では……そうですね。十五分後に警察庁一階の総合受付付近で。場所は……ああ、そうですか。ええ。ではよろしくお願いします。はい。……それでは」ピッ

L「……夜神さん?」

総一郎「……星井美希だった」

L「! …………」

総一郎「母親から頼まれて、星井君の着替えを代わりに持って来ると……」

L「それは……予想外でしたね」

総一郎「ああ。だが急に対応を変えるのもかえって怪しまれると思い、当初の予定通り私が警察庁に出向いて受け取る事にしたが……危険だろうか?」

L「いえ。それでいいと思います。今、星井美希と直接接触する者の数を無闇に増やすのは得策ではないですから」

総一郎「うむ……」

L「また言うまでも無い事ですが、くれぐれも、今日この場では……」

総一郎「ああ。それは勿論心得ている。荷物を受け取った後はすぐに別れるつもりだ」

L「それでお願いします。夜神さんは聞き取り調査の際に彼女と顔を合わせていますので、そこさえ上手く辻褄を合わせて頂ければ大きな問題は無いと思います」

総一郎「分かった。……ところで、これまで星井君が身に着けていた例の超小型マイクだが……一応、着けて行った方がいいか?」

L「そうですね。念の為、お願いします。私も受付付近の監視カメラの映像は観るようにします」

総一郎「分かった。……では、行って来る」

L「あ、夜神さん。最後にもう一つだけいいですか?」

総一郎「? 何だ?」

L「万が一、死神の姿が見えても決して反応しないようにお願いします」

総一郎「……善処しよう」

 ガチャッ バタン

L「…………」



216:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/12(水) 23:54:19.06 ID:mLpRtQih0

【十五分後・警察庁一階/総合受付付近】


総一郎「…………」

総一郎(もうそろそろ来るはずだが……)

総一郎「……ん?」

(入口から、帽子を目深に被り、眼鏡とマスクを着けた女性が入って来た)

総一郎(……あれだ。間違い無い。相沢と松田の尾行データの中にあった、星井美希の変装パターンのうちの一つ……)

総一郎(確かに、あれならまず星井美希とは分からないな。現に周囲の者も全く気付いていない)

総一郎(とすれば、ここで私がいきなり気付くのも不自然か。少し様子を見てから……)

「あの」

総一郎「えっ」

「アサヒさん……ですよね? なの」

総一郎「……ああ、はい。そうですが……ええと、星井美希さん……ですか?」

「はいなの」

総一郎「ああ、すみません。変装されていたので全く気付きませんでした。逆によく私だと分かりましたね」

美希「だって前に一度、うちの事務所に来たよね? あの体格のいい刑事さんと一緒に」

総一郎「……ああ。そういえばそうでしたね」

美希「ミキもね、刑事さんの名前、すっかり忘れてたんだけど……今朝、ママから『アサヒさん』って名前聞いて、どっかで聞いたことある名前だなーって思ってたの。それで今、受付の横に立ってる刑事さんの顔見て、『あっ! あの時の刑事さんだ!』って」

総一郎「なるほど」

総一郎(そうか……確かに、私の方は顔を隠していないのだから、向こうからはそういう反応にならなければ逆におかしいか)

総一郎(いきなり声を掛けられて少し驚いたが……大丈夫だ。今の所、特にボロは出していない。それに……)チラッ

美希「? どうしたの?」

総一郎「……ああ、いえ。改めて見ても……本当に分からないものだなと思いまして」

美希「ミキの変装?」

総一郎「はい」

美希「でしょ? まあ本当はこういうのしたくないんだけどね。でも律子がしろしろってウルサくて」

総一郎「はは……」

総一郎(死神の姿も……今のところは見えないな。もっとも、見えないだけですぐ傍にいるのかもしれんが……)

美希「…………」



217:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/13(木) 00:07:15.55 ID:cq/hpv+20

総一郎「……では、それがお父さんのお着替えですね。お預かりします」

美希「あ、はい。よろしくお願いしますなの」スッ

総一郎「それでは、私はこれで」

美希「あの」

総一郎「? はい」

美希「やっぱり……パパには会えないの?」

総一郎「! ……ええ。すみません。今はとてもそのような余裕は……」

美希「そっか……まあ、そうだよね。会えるくらいなら最初から自分で取りに来てるよね」

総一郎「ええ。すみません」

美希「わかったの。じゃあパパによろしくお伝え下さいなの」ペコリ

総一郎「はい。それは伝えておきます。では」

美希「はいなの」

(美希は総一郎に背を向けると、そのまま振り返ることなく警察庁を後にした)

総一郎「…………」

総一郎(星井君が本当に動けない状況かどうか、確かめに来たのか……?)

総一郎(しかしそうなら、『父親が暫く帰れないのは、やはりキラ事件の関係なのか』程度の事は聞いてきてもおかしくなかったと思うが……)

総一郎(やはり竜崎の読み通り……今は向こうもアリーナライブを最優先に考えているため、極力目立った動きはしないようにしている……ということか?)

総一郎(確かにさっきの発言程度なら、父親の荷物を持って来た娘としては自然な発言……それだけで直ちにどうこうとはならないが……)

総一郎「…………」








【同時刻・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


(警察庁内の受付付近の監視カメラの映像を観ているL)

(Lは同時に、総一郎の身に着けたマイクが拾う会話の音声も聴いている)

L「…………」

美希『――わかったの。じゃあパパによろしくお伝え下さいなの』

総一郎『はい。それは伝えておきます。では』

美希『はいなの』

L「…………」



218:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/13(木) 00:15:52.11 ID:cq/hpv+20

【三十分後・都内レッスンスタジオ】


美希「おはようございますなのー」

P「! 美希」

美希「プロデューサー」

P「お前……大丈夫なのか?」

美希「うん。もうばっちりなの。それより昨日は勝手に帰っちゃって、本当にごめんなさいなの」ペコリ

P「いや、それはもういいが……でも、くれぐれも無理だけはするなよ? 今日のレッスンでも不調を感じたらすぐに休むようにな」

美希「はいなの!」

P「…………」

春香「おはよう。美希」

美希「あ、春香。おはようなの」

P「! …………」

春香「昨日、撮影スタジオで体調崩したって聞いたけど……大丈夫なの?」

美希「うん。もう大丈夫なの。軽い貧血みたいな感じだったけど、一晩ぐっすり寝たらすっかり元気になったの」

春香「そう? ならいいけど……でももうライブまで後6日しかないんだから、くれぐれも無理だけはしちゃだめだよ」

美希「はーいなの。っていうかそれ、今プロデューサーにも全く同じ事言われたんだけど……」

春香「うん。でも美希は一回言われたくらいじゃすぐ頭から抜けちゃうから、二回言われるくらいでちょうどいいでしょ?」

美希「あー! それはいくらなんでもヒドイ言い草だって思うな! ボートクなの! 名誉キソンなの!」

春香「あはは。ごめんごめん」

美希「もー! 春香のバカ!」プイッ

春香「あはは……」

P「…………」



253:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:39:01.14 ID:KY9Y/ibg0

(二時間後)

律子「……よし。じゃあ今日はここまでにしておきましょう。皆、良い感じに仕上がってるわ。最後までこの調子でね」

アイドル・ダンサー一同「はい!」

律子「春香」

春香「! はい」

律子「後で今のレッスンの動画を送っておくから、今日来れなかった人にも共有しておいてくれる?」

春香「分かりました」

律子「皆、前日のリハーサルまで全員揃っての練習は出来ないけど、チームとしての意識は常に持ち続けるようにね」

律子「それじゃ、明日も来れる人は同じ時間に集合ね。自主練は任せるけど、くれぐれも疲れだけは残さないように。では、解散!」

アイドル・ダンサー一同「ありがとうございました!」

(クールダウンしながら雑談している美希、春香、可奈)

可奈「天海先輩は今日もクッキングスクールですか?」

春香「うん。お料理は好きだし、良い気分転換になるからね」

可奈「星井先輩は何かご予定あるんですか?」

美希「今日はフリーなの。元々昨日の撮影の予備で空けてたんだけど、キャンセルになったから」

可奈「そうですか! じゃあちょっとだけ……可奈のダンスを見てほしいカナ~、なんて……」

美希「いいよ」

可奈「そんなこと言わないで下さ……えっ! いつもとりあえず一言目は『めんどいからヤなの』って言う星井先輩が!?」

美希「もう本番まで日も無いしね。もちろん嫌なら見ないけど」

可奈「わーわー! そんなわけないです! よろしくお願いしますー!」

美希「はいはい。じゃあ最初から通すの」

可奈「えっ! いきなりフルですか……」

美希「嫌なら別に」

可奈「わーわー! やります! やりますって!」

春香「……ふふっ。じゃあ私はこの辺で。頑張ってね。可奈ちゃん」

可奈「はい! ありがとうございます! 天海先輩!」

春香「…………」

美希「…………」

春香「じゃあ、また明日ね。美希」

美希「うん。またね。春香」

可奈「…………」

可奈(? 何だろう? この感じ……)

可奈(何も無いはずなのに、なんか……)

美希「可奈」

可奈「はっ、はい! やります! やりますからっ!」

美希「…………」



220:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/13(木) 00:40:22.10 ID:cq/hpv+20

【一時間後・都内某クッキングスクール】


(クッキングスクールの体験入門を受講している春香)

(春香は他の受講生と会話することも無く、一人で黙々と調理をしている)

春香「…………」

講師「あら? あなた……昨日一緒に来られていた方は? お休み?」

春香「あっ、はい。お休み……みたいですね」

講師「……そう。ところで、あなた……」

春香「? はい」

講師「昨日から、もしかしてそうじゃないかって思ってたんだけど……」ズイッ

春香「え?」

(小声で春香に耳打ちする講師)

講師「……もしかして、765プロの天海春香さん?」

春香「! ……ええ。まあ」

講師「やっぱり! 私前からファンだったのよ!」

春香「えっ。そうなんですか?」

講師「ええ。あれは去年の……春頃だったかしら? ほらあなた、商店街で『太陽のジェラシー』のCDを手売りしてたでしょ?」

春香「!」

講師「実は私、あの時、あなたからそのCDを買わせてもらったのよ」

春香「そう……だったんですか」

講師「元々、アイドルとかにはあんまり興味無かったんだけどね。ただ、弾けるような笑顔でCDを売っているあなたを見て……すごく元気がもらえたような気がして。思わず突発的に買っちゃった」

講師「その結果、今ではすっかりあなたのファンよ。だからまたお会いできて嬉しいわ」

春香「…………」

講師「あ、ごめんなさい。勝手にお話しし過ぎちゃって」

春香「いえ……ありがとうございます。嬉しいです」

講師「お礼を言いたいのはこっちの方よ。今度のアリーナライブも頑張ってね」

春香「はい。ありがとうございます」

講師「それにしても……」

春香「? 何でしょうか?」

講師「……リボン外して眼鏡掛けてたら、案外分からないものなのね」

春香「あ、あはは……」



221:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/13(木) 00:47:03.70 ID:cq/hpv+20

【同時刻・都内レッスンスタジオ】


可奈「星井先輩、ここなんですけど……」

美希「…………」

可奈「星井先輩?」

美希「えっ。ああ……ごめん」

可奈「大丈夫ですか? 星井先輩。やっぱりまだ体調が……」

美希「そんなことないの。可奈の今のステップは右足を寄せる位置が半歩分浅かったの。今ミキに聞こうとしたのはその時の違和感の原因についてでしょ?」

可奈「めっちゃ見てくれてる上にもう答えてくれてる!」

美希「じゃあそこだけ意識して、もう一回なの」

可奈「はいっ!」

美希「…………」

可奈「えっと……この位置から……」

美希「……ねえ、可奈」

可奈「? はい」

美希「あー……」

可奈「?」

美希「やっぱり、なんでもないの。……じゃあ、改めてもう一回」

可奈「? は、はい」

美希「…………」



224:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/13(木) 01:01:26.93 ID:cq/hpv+20

【同日夜・美希の自室】


美希「さて、今日の裁きの対象は……っと」ペラッ

(スマホでニュースサイトを確認しながら、デスノートを開く美希)

リューク「…………」

美希「……家城谷克弥……」カリカリ

美希「……似志田九……」カリカリ

美希「……真野宮陵介……」カリカリ

リューク「…………」

美希「……よし。今日はこんなとこなの」

リューク「なあ、ミキ」

美希「何? リューク」

リューク「……いや……」

美希「…………」








【一時間後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


(星井父と模木の監視のため、今はLと月の二人だけが捜査本部に残っている)

L「……そろそろですね」

月「……ああ」ピッ

(部屋にあるTVをつける月)

TV『……20時45分になりました。ニュースをお伝えいたします』

TV『まず、キラの裁きのニュースです』

TV『本日20時頃、三名の犯罪者が心臓麻痺により死亡したことが確認されました。警察はキラによる殺人とみて捜査を進めており……』

L「…………」

月「…………」



235:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:09:57.78 ID:BvbmlX3z0

【五日後・アリーナ/ライブステージ】


【アリーナライブまで、あと1日】


(ライブ本番と同じ会場でのリハーサルを終えたアイドル・ダンサー一同)

P「――よし。これで後は明日の本番を残すのみだ。皆、もう全て出し切ったか?」

アイドル・ダンサー一同「はい!」

P「良い返事だ。これなら明日はきっと素晴らしいライブになる。最高のステージを俺に見せてくれ!」

伊織「だから、なんであんたのためなのよ?」

亜美「そうだそうだー!」

P「あ、あはは……そこやっぱツッコまれたか」

律子「でも、私も同じ気持ちですよ」

P「律子」

律子「これまでずっと皆を見てきて、私……この事務所でプロデューサーやってて、本当に良かったなぁって」

律子「今、心からそう思ってます」

P「律子……」

亜美「あれあれ~? りっちゃん、もしかしてお涙ちょちょ切れ系なカンジ?」

律子「! べ、別にそんなこと……」

真「へへっ。鬼の目にも涙、ってやつだね」

真美「いやいやまこちん、そこは『鬼軍曹の目にも』でしょ~」

律子「も、もうっ! 真面目に話してるのにからかわないでよ!」

千早「でも、私達がここまで自分達のダンスを完成させることができたのは……ずっと付きっきりでレッスンをしてくれた律子のおかげよ」

律子「千早」

千早「本当にありがとう。律子」

律子「! ……っ」

亜美「おおっ! きたきたきたぁー! これは涙目モードからガチ泣きモードに移行の予感ですぞ!」

真美「よっしゃあ! 皆の衆、一気に畳み掛けるのじゃあー!」

律子「こ、こらっ! もう、やめなさいってば! 大体まだライブ当日にもなってないっていうのに……」

伊織「そうそう。涙はライブ後まで取っておきなさい」

律子「伊織」

伊織「ライブ後は思う存分、私の胸で泣いていいから。……ね? 律子」

律子「……馬鹿」

亜美「でもでも~、いおりんの可愛いお胸じゃちょ~っと心許ないんじゃない~?」

伊織「は、はぁ? どういう意味よ! それ!」

亜美「いやいや、そこはやっぱり、あずさお姉ちゃんの実りに実ったどたぷ~んなお胸の出番かな~って。ね? あずさお姉ちゃん?」

あずさ「ふふっ。そうね。私の胸なんかで良ければ……いくらでもお貸ししますよ。律子さん」ニコッ

律子「あ、あずささんまで……もう、何を言ってるんですかっ」

 アハハ……

P「…………」



236:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:15:56.04 ID:BvbmlX3z0

亜美「? 兄ちゃんどったの?」

P「えっ」

亜美「なんかボーっとしてるけど……あ、もしかして~、兄ちゃんもあずさお姉ちゃんのお胸に顔を埋めたいとか~?」

P「アホか」スパンッ

亜美「あてっ!」

響「今のは亜美が悪い」

亜美「むっ。ひびきんのくせにナマイキだぞ!」

響「何で自分に飛び火!?」

亜美「んでんで~、一体何考えてたの? 兄ちゃん」

P「ん。別に……ただ」

亜美「ただ?」

P「ようやく……ここまで来れたんだ、って思ってな」

亜美「兄ちゃん」

響「プロデューサー」

P「……まあでも、感傷に浸るのはまだ早い。今伊織も言ってたが、それこそ明日のライブが終わってからだな」

真「そうですね! 今は明日のライブに集中、集中! ……ね? 雪歩」

雪歩「う、うん。……でも、いざ『もう明日なんだ』って意識すると、急に緊張してきたかも……」

真「あ……ごめん。雪歩」

雪歩「ううん。真ちゃんのせいじゃ……」

貴音「大丈夫ですよ。雪歩」

雪歩「四条さん」

貴音「これまでの貴女の頑張り、しかと見届けて参りました。何も不安に感ずることなどありません」

雪歩「……はい! ありがとうございます!」

真「そうだよ、雪歩。もっと自分に自信を持って」

雪歩「うん。真ちゃんもありがとう」

やよい「うっうー! 私もやる気出てきましたーっ!」

真美「おおぅ。やよいっちがいつになく燃えている……」

やよい「えへへ……だって、ずっとずっと明日のために皆で頑張ってきたんだもん。やる気が出ないわけないかなーって! ……真美は違うの?」

真美「えっ? そ、そりゃまあ、真美も真美なりに……燃えてるんだぜ?」

響「あはは。真美ってば、照れて口調がおかしくなってるぞ」

真「やよいの純粋で真っ直ぐな眼差しに見つめられたら無理も無いよね」

真美「も、もー! うるさいよ! この脳筋コンビ!」

響・真「誰が脳筋コンビだ!」

千早「――そういえば、明日は高槻さんの家庭教師の方も観に来られるのよね?」

やよい「千早さん。そうなんです! ライト先生と、妹で私の友達の粧裕ちゃんも来てくれる予定です!」

千早「そう。じゃあなおさら、一生懸命頑張らないといけないわね」

やよい「はいっ! 高槻やよい、一生懸命頑張りまーっす! えへへっ」



238:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:23:51.38 ID:BvbmlX3z0

響「そういえばさ、春香。確かそのライト先生って、春香も家庭教師やってもらってるんだよね?」

春香「…………」

響「? 春香?」

春香「えっ。あ、ああ……うん。そうだよ」

響「もう。何春香までボーっとしてるんだ?」

春香「いや……別に。普通だよ」

千早「……春香」

春香「? 何? 千早ちゃん」

千早「いえ……なんでもないわ」

春香「そう」

千早「…………」

あずさ「春香ちゃんはライブのリーダーですものね。きっと目に見えない重圧とか不安とか……感じてるんじゃないかしら」

春香「あずささん。……そうですね。それはあるかもしれません」

伊織「……バカね。あんた一人で気負ったってしょうがないじゃない」

春香「伊織」

伊織「もし間違えたって、転びそうになったって……なんとかしてみせるわ。それが私達でしょ?」

春香「……ん。そうだね。ありがとう。伊織」

伊織「べ、別にいいわよ。お礼とかは……」

亜美「いよっ! 出ました! いおりんのツンデレ!」

真美「いや~、やっぱ一日一回はこれを聞かないとね~」

伊織「そ、そんなに言ってないでしょ! っていうか別に私ツンデレじゃないし!」 

 アハハ……

美希「…………」

千早「どうしたの? 美希。今日はやけに大人しいじゃない」

美希「千早さん」

千早「緊張してるの?」

美希「んー……そうだね。そうかも」

千早「……そう」

美希「…………」

千早(何かしら? この感じ……)

千早(さっき、春香にも同じような雰囲気を感じた)

千早(一見、普段通りの美希と春香のはず。なのに……)

千早(上手く言葉にできない。違和感、と言うべきなのかしら)

千早(……もちろん、ライブ前で私の気持ちが昂っているから、普段通りの二人がそう見えているだけなのかもしれないけれど……)

千早「…………」



239:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:34:08.41 ID:BvbmlX3z0

P「はーい。注目注目」

亜美「そういえば兄ちゃんが喋ってる途中なのであった」

真美「もうすっかりだべりモード入っちゃってたね」

P「まあぶっちゃけもうこれ以上特に言うことも無いんだが、一応締めるだけ締めとくぞ」

P「兎にも角にも、泣いても笑っても明日で最後だ。皆、今日はなるべくリラックスして過ごし、明日の本番に備えるようにな」

アイドル・ダンサー一同「はい!」

P「じゃあ最後、律子からも一言頼む」

律子「あ、はい。えっと……まあ正直言って、私からももうあんまり言うことは無いんだけど……今日はとにかく、栄養のある物を食べて早く寝ること。もし興奮して寝付けなくても、明かりを消してベッドに横になるだけでも疲れは取れるから、絶対に夜更かしはしないこと」

律子「そして、一番大切な事は……これまで積み重ねてきた時間と努力。そして自分の仲間を信じること」

律子「私からは以上よ。頑張ってね! 皆!」

アイドル・ダンサー一同「はい!」
   
P「よし。では、今日はこれにて解散。自主練は……するなとは言わんが、本当に程々にな」

P「明日を俺達765プロにとって、そして応援してくれるファンの皆にとって……最高の一日にしよう!」

アイドル・ダンサー一同「はい! ありがとうございました!」

(クールダウンしながら雑談しているダンサー一同)

奈緒「は~。遂に明日が本番かー……」

美奈子「奈緒ちゃん……もしかしてまた緊張してるの?」

奈緒「いや……もう大丈夫や。これまでずっと、ここに居る皆で一緒に頑張ってきたんやし……さっき律子さんも言うとったけど、後は今までの努力を信じるだけや!」

美奈子「おおっ! その意気だよ! 奈緒ちゃん!」

星梨花「そ、そうですよね……できる……できる……できる……」

百合子「せ、星梨花ちゃん。顔、強張ってるよ」

星梨花「えっ。あ、あわわ……」

奈緒「星梨花。別に緊張するんは悪いこととちゃうで? 私も、今大丈夫や言うたとこやけど……せやかて、全く緊張してないなんてことあらへんし」

星梨花「奈緒さん……」

美奈子「そうだよ。こんな大きなステージ、765プロの先輩達でさえ初めてなんだから。私達が緊張するのは当たり前だって」

星梨花「美奈子さん。……そうですよね」

星梨花「お二人とも、ありがとうございます。わたし、少し気持ちが楽になりました」

奈緒「ま、どうせ明日はもっとガチガチに緊張してまうんやろうから、それならいっその事、その緊張を楽しんだろうや」

杏奈「杏奈も緊張してる、けど……うん。それも含めて……楽しみたい、と思ってる……よ。ここに居る皆と……一緒に」

百合子「そうだね。杏奈ちゃん。緊張も不安も全部ひっくるめて……皆で一緒に楽しんじゃおう!」

杏奈「百合子さん。……うん。……ありがとう」

可奈「…………」



240:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:40:06.62 ID:BvbmlX3z0

志保「……可奈?」

可奈「えっ」

志保「どうしたのよ。今日はえらく大人しいじゃない」

可奈「あー……いや、別に。普通だよ?」

志保「本当? まさか今になって『やっぱり辞めたい』なんて……思ってるんじゃないでしょうね」

可奈「へ? なんで?」

志保「だ、だってほら、その……合宿の時、私、あなたに……」

可奈「合宿? ……あー。『ついてこれないようなら、早めに言った方がいいんじゃない』ってやつ?」

志保「そ、そうよ。……やっぱり、気にしてる……の?」

可奈「あはは。そんな、まさか」

志保「可奈」

可奈「そんな昔の事、もうすっかり忘れてたよ」

志保「可奈……」

可奈「今私が思ってるのは、ただ一つ……『明日のライブを全力で頑張って、成功させたい』って事だけだよ。765プロの先輩達と、ダンサーの仲間の皆と」

可奈「そしてもちろん……志保ちゃんと」

志保「! ……可奈……」

奈緒「なんかもうツッコむ気すら失せるほどの夫婦感やな」

志保「な、奈緒さん!」

杏奈「完全に、二人だけの世界……」

百合子「めくるめく禁断の果実!」

星梨花「お二人とも、仲良しさんでうらやましいです!」

美奈子「わっほ~い! 皆、私のご飯を待たずしてもうお腹いっぱいだねっ!」

志保「も、もう! 皆してからかわないでよ!」

 アハハ……

可奈「…………」チラッ

(他のアイドル達と話している美希と春香を見やる可奈)

美希「――――」

春香「――――」

可奈「…………」

可奈(いつも通り……そう。いつも通りのはず……なんだ)

可奈(でも、どうしてだろう?)

可奈(ここ数日、星井先輩の顔を見るたび……なぜだか胸がきゅぅってする)

可奈(いや、星井先輩だけじゃない。天海先輩の顔を見ても……そうなる)

可奈(私……どうしちゃったんだろう。ライブ前だから変に気が張ってるのかな……?)

可奈(……うん。そうだよね。きっと……)

可奈(ライブさえ無事に終われば、きっと……)

可奈(また全部、元通りになる)

可奈(星井先輩も、天海先輩も)

可奈(そして……私も)

可奈(うん。だから何も心配する事なんてないんだ)

可奈(そう。何も……)

可奈「…………」



241:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:44:17.01 ID:BvbmlX3z0

(アイドル・ダンサー一同の様子を遠巻きに見守っている社長、小鳥、プロデューサー、律子の四人)

社長「いやあ……それにしても、今日のリハーサルは本当に素晴らしかった。もう感無量だ。今思い出しても涙が止まらないよ」グスッ

小鳥「しゃ、社長。本番は明日ですから……まあ確かに、今日のリハだけでも十分過ぎるくらい感動しましたけど……」

律子「この分だと、明日は多めにハンカチを持ってこないといけませんね」

社長「ああ。そうだな……ん?」

P「…………」

社長「君、どうかしたのかね?」

P「えっ。あ、はい。何でしょう?」

社長「いや、何か考え込んでいたようだからね。明日のライブ本番を迎えるにあたって、心配事でもあるのかね?」

P「……ああ、すみません。心配とかじゃないんですけど……ただ、あいつらの……皆のこれまでの頑張りを思い返していたというか……そんな感じです」

社長「そうか。それならばいいが……」

P「…………」

小鳥「でも本当、報われてほしいですよね。あの子達の努力」

律子「大丈夫ですよ。皆、今までずっと頑張ってきたんですから」

社長「ああ。彼女達が積み重ねてきた努力については、今ここに居る我々が証人だ」

小鳥「ですね」

律子「楽しみに待ちましょう。明日が来るのを」

社長「うむ。そうだな」

P「…………」チラッ

(他のアイドル達と話している美希と春香を見やるプロデューサー)

美希「――――」

春香「――――」

P「…………」

P(明日、か……)



242:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 21:53:24.73 ID:BvbmlX3z0

【同日夜・プロデューサーの自室】


P「…………」

P(結局、例の撮影の日の翌日から今日までの六日間は特に何も起こらなかった)

P(しかし明日もそうであるとの保証は無い)

P(Lは俺に言った。『アリーナライブの終了直後に美希と春香の尋問を行う』と)

P(一つ考えられるのは……そう言って俺を油断させておき、当日のライブ前、またはライブ中に二人の逮捕を強行するという可能性)

P(そしてもう一つは、ライブの終了後、あくまでも任意同行という体で二人を連行し――ここまでは俺に予告していた通りだが――その後、そのまま二人を逮捕してしまうという可能性だ)

P(この二つの可能性を比較すると……やり易さでは圧倒的に後者だろう。前者だと俺の不意は衝けるだろうが、肝心の美希と春香の正確な動きをL側では捕捉しきれない)

P(勿論後者の場合でも、土壇場で俺がLを裏切って……という可能性は当然想定しているだろうが……所詮、一個人に過ぎない俺にできることなんて限られている。まして相手は“世界の三大探偵”の一人……まともに太刀打ちできるはずもない)

P(全て分かっている……読んでいる……)

P(だからこそ、Lは……)

P「…………」

 ピリリリッ

P「……通知不可能……」ピッ

L『Lです』

P「……ああ。明日の件の連絡だな?」

L『はい。といっても、前にお伝えした内容の確認ですが……』

P「ああ。分かってる。ライブ終了後、ミーティングの時間と場所を連絡すればいいんだな?」

L『はい。お手数ですがよろしくお願いします。それから……』

P「?」

L『会場内の電波状況によっては、電話やメールがつながらない可能性もゼロではありませんので……“念の為に”会場内の防犯カメラの映像は、警察の協力を得て私の方でも観るようにいたします』

P「!」

L『ただ勿論、監視対象は通路や入場・退場口等に限り……たとえばアイドルの皆さんの更衣室などは一切観ませんのでその点はご安心下さい』

P「……分かった。だがまあこの場合、それを観る、と言われたところで俺が拒否できるような話でもないんだろうがな」

L『そうですね。ですが私としても、必要以上に無関係な第三者のプライバシーを侵害するのは本意ではありませんので』

P「……そうか」

P(このタイミングでこの発言……牽制か)

P(もし俺がLを裏切り、自発的に連絡手段を絶ったしても……そんな行為には何の意味も無いと)

P(『二人の行動を監視する術など他にいくらでもある』と……先に釘を刺しておいたってわけだ)

L『……では明日、よろしくお願いします』

P「ああ。こちらこそ。じゃあまた明日な」

L『はい。それでは』ブツッ

P「…………」

P(美希……春香……)



243:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:01:09.19 ID:BvbmlX3z0

【同時刻・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


L「――では明日、よろしくお願いします」

P『ああ。こちらこそ。じゃあまた明日な』

L「はい。それでは」ピッ

L「……これで、プロデューサーの方は良いでしょう」

月「ああ。防犯カメラの事を話したことで、直前で裏切っても意味が無いことも分かっただろうしな」

L「はい。無論彼なら、こちらがそう考えて話した事まで悟っているでしょうが……それで特に問題はありません」

月「そうだな。むしろその方がこちらとしても安心できる」

L「はい。それと月くん。高田の方ですが……」

月「ああ。高田にはさっき連絡しておいたよ。と言っても、前に伝えていた事の繰り返しだが……明日は予定通りにアリーナに来ること。もしミサが来たとしても慌てる事無く普通に応対すれば良いこと。そして僕と竜崎が場を離れるようなことがあればその時は粧裕を頼む、と」

L「ありがとうございます。助かります」

松田「ええと……確か、高田には明日の作戦の事は何も話してないんでしたよね?」

月「そうです。彼女には『明日は二人から怪しまれないようにすることだけを考えて、普通にライブに参加してくれればいい』としか伝えていません」

相沢「そうか。高田にはノートの事も伝えていないもんな」

月「はい」

総一郎「……竜崎」

L「夜神さん。娘さんが心配なお気持ちは分かりますが……高田が月くんの妹である粧裕さんにどうこうするはずもありませんし、そこは信用して頂いても問題無いかと――」

総一郎「違う。その事ではない」

L「では、何でしょう?」

総一郎「あれから六日間、皆で様々な知恵を出し合ったが……結局、『星井美希と天海春香を逮捕する際』における『死神の対策』については良いアイディアが浮かばなかった」

L「……そうですね」

総一郎「勿論、だからといって……それを理由にして二人の逮捕を見送るべきではない。現に、あの撮影の日以降もキラの裁きは毎日滞りなく行われている……」

総一郎「本当なら今すぐにでも二人を逮捕しなければならない状況……それをこれ以上先延ばしにしてはならない。その事は百も承知だ」

総一郎「だがその事と……実際に『誰が』二人の逮捕に向かうかは別の問題だ。そうだろう? 竜崎」

L「……まあ普通に考えて、殺される可能性が最も高いのは実際に逮捕に向かう人間ですからね」

総一郎「そうだ。だから竜崎。ライブ前およびライブ中の潜入・監視は皆に任せるが――……」

L「……ライブ後の二人の逮捕は自分にやらせてくれ……と?」

総一郎「……ああ」

相沢「! 局長」

松田「それは、局長一人で……って意味ですか?」

総一郎「……そうだ」

相沢・松田「!」

L・月「…………」



244:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:06:37.90 ID:BvbmlX3z0

相沢「な、何を……」

松田「局長。何で、そんな……」

総一郎「……それは、勿論――」

月「それが自分の責任だから、とでも言うつもりか?」

総一郎「ライト」

L「…………」

月「背負い込み過ぎだ。父さん」

総一郎「しかし、私には刑事局長としての責任が……」

月「馬鹿な事を言うな。父さんはそれで死んでも満足かもしれないが、残された母さんや粧裕はどうなる」

総一郎「……それは……」

月「…………」

総一郎「……だが、誰かが命を懸けてキラを逮捕しなければならない。それも事実だ」

月「! 父さん」

L「あの」

総一郎「!」

月「竜崎」

L「白熱しているところ申し訳ありません。でも、実はもうその件は私の中では決めているんです」

総一郎「えっ」

月「決めている……だって?」

L「はい」

L「アリーナライブの全公演終了後―――私が一人で星井美希と天海春香の両名を逮捕します」

一同「!」

総一郎「竜崎が一人で……だと?」

L「はい」

月「ちょ……ちょっと待て、竜崎。ライブ終了後、僕も一緒に二人の逮捕に向かうんじゃないのか? だからこそ、その時は高田に粧裕を任せると……」

L「すみません。月くんにも今の今まで言っていませんでした」

月「な……」

総一郎「竜崎。あなたがそう考えたのは……私と同じ理由か?」

L「厳密には少し違いますが……責任という意味ではそうですね。この状況で真っ先に命を懸けなければならない人間がいるとしたら、それはやはり私しかありえないと思います」

L「最初にキラを捕まえると挑発したのはこの私なのですから」

総一郎「竜崎……」

L「皆さん。そういう次第ですので……どうかご了承頂けないでしょうか」

一同「…………」



245:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:12:26.16 ID:BvbmlX3z0

月「……分かったよ。竜崎」

総一郎「! ライト」

月「前に父さんも言っていたが……今日までこの本部の指揮を執ってきたのは竜崎だ。なら最後の作戦の遂行においても竜崎の意思を尊重すべきだ」

月「僕はそう考える」

総一郎「…………」

L「ありがとうございます。月くん」

松田「分かりました」

相沢「松田」

松田「僕達がここまで死なずにやってこれたのも、竜崎がずっと指揮を執ってくれていたおかげですから。僕も竜崎の意思を尊重します」

相沢「……そうだな。なら俺も信じて、任せよう。……よろしく頼む。竜崎」

L「お二人とも、ありがとうございます」

総一郎「…………」

L「夜神さん」

総一郎「……分かった」

総一郎「だが、少しでも危険を感じたらすぐに作戦を中止してくれ。たとえ命を懸けるのだとしても、『やすやすと命を捨てるような行動を取るべきではない』……これは他ならぬ、あなたが言った事だ。竜崎」

L「ありがとうございます。それは勿論そのつもりです。夜神さん」

月「…………」

L「それから、当日の監視要員の件ですが……夜神さん。警察庁内から有志を募って頂く件はどうなりましたか」

総一郎「ああ。二名志願してくれた」

L「そうですか。ありがとうございます。では、明日は朝9時にこのホテルに来るように伝えておいて下さい」

総一郎「分かった」

L「よろしくお願いします。それと私も二人ほど、別口で応援要員を呼ぶことができましたので……明日は会場に向かう前に全員で最後の打ち合わせをしようと思います」

L「では、いよいよ泣いても笑っても明日です。頑張りましょう」

一同「はい!」

月「…………」



246:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:19:33.17 ID:BvbmlX3z0

【同時刻・海砂の自室】


海砂「…………」

海砂(あの撮影の日以来、ライトからも美希ちゃんからも何の連絡も無いまま……明日は、765プロのアリーナライブの日)

海砂(ミサは……うん。行かない方が良いよね)

海砂(美希ちゃんから特に指示が無い以上……それが賢明のはず)

海砂(第一、美希ちゃんの傍にはあの死神が居るんだろうし……あんなの見ながら、ライブ中ずっと平静を装うなんて絶対無理)

海砂(それにライトなら、ミサの様子がおかしいことにすぐ気付いちゃうだろうし……)

海砂「…………」

海砂(……ライト……)

海砂(っと、いっけない。また弱気に……)

海砂(しっかりしなきゃ。ライトならきっと大丈夫)

海砂(だってライトは、ミサにとっての白馬の騎士……ナイトなんだから)

海砂(そうだよ。だから今のミサにできることは、ライトの事を信じ続ける事だけ)

海砂(……大丈夫。たとえこの先何があっても、ライトとミサの未来はきっと明るい)

海砂(そう。きっと……)

海砂「…………」








【同時刻・キラ対策捜査本部のあるホテルの一室】


(部屋のベッドの上で仰向けになっている星井父)

星井父「…………」

星井父(明日はアリーナライブの日か……)

星井父(そういえば少し前に……美希に『パパにも来てほしかった』って言われたっけ)

星井父(……ごめんな。美希。パパ、観に行ってやれなくて)

星井父(本当……ごめんな)

星井父「…………」



247:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:33:09.23 ID:BvbmlX3z0

【二時間後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


(他の捜査員の帰宅後、二人だけで捜査本部に残っているLと月)

月「……思いの外、上手くいったな」

L「そうですね。むしろ夜神さんが先に『自分一人で逮捕する』と言い出してくれたおかげで自然な流れが作れたともいえます」

月「確かに。運が良かったな」

L「……でも、本当に良いんですか?」

月「? 何がだ?」

L「お父さんや他の皆に嘘をついてまで、ライブ後に私と共に二人の逮捕に向かうことが……です」

月「…………」

L「確かに、私が死神に殺されるとした場合、おそらく月くんもほとんど同時に殺されるでしょうが……それでも、その場に居る場合と居ない場合とでは可能性の程度が異なります」

L「それをわざわざ高めるような真似は……今更ながら、やはりお勧めできることではありません」

月「本当に今更だな。その話ならもうしただろう」

L「……どうせ死ぬなら、その死の瞬間まで勝つ可能性を探求し続けたい……ですか」

月「そうだ。だから僕は、たとえ殺されるとしても最期の最後まで現場を見届けて死にたい。死の間際でも、父達に何かしらのメッセージを残すくらいの事はできるかもしれないしね」

L「……月くんがそこまで強い意志を持っておられるのであれば、私の方からはもう何も言うことはありません。それに……」

月「? それに?」

L「今のこの状況ですと、『私が死んだら月くんにLの名を継いでもらう』という計画もあまり意味が無いものになってしまいましたしね」

月「ああ。竜崎の死と僕の死がほぼ同義になってしまったからな」

L「はい」

月「だが、そもそもこの前の話だと……竜崎の後継者は既に別にいるってことだろう? ならあえて僕に継がせる必要も無かったんじゃないか?」

L「いえ。あの時も言いましたが、彼らはまだ幼い。だからもし今、私一人だけが死んだとしたら……Lの名を継ぐことができるのはやはり月くんしかいません」

月「じゃあ数年後なら?」

L「それなら……分かりませんね。ただ……」

月「ただ?」

L「私の生死は別にしても……近い将来、月くんと私の後継者となりうる者達とが、次代の“L”の座を巡って争うとしたら……ちょっと面白いかもしれませんね」

L「……少しだけ、そんな未来を見てみたくなりました」

月「一応言っておくが……僕が『Lの名を継ぐ』と言ったのは、あくまでも『今、竜崎が死んだら』の話だ」

月「竜崎が死ぬことなく、キラ事件を解決に導くことができれば……僕は当初の予定通り、父の後を追って警察に入るよ」

月「それが僕の夢であり、目標だからね」

L「……そうでしたね。少し残念ですが……でも」

月「?」

L「警察に入った月くんが、私と、または私の後を継いだ者達と組んで、より難解な事件に立ち向かう……」

L「私は、そんな未来も見てみたいですね」

月「……ああ。それは僕もだよ。竜崎」



248:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/23(日) 22:43:34.21 ID:BvbmlX3z0

【同時刻・美希の自室】


美希「…………」

 ピリリリッ

美希「……春香」ピッ

美希「ミキなの」

春香『美希。まだ起きてた?』

美希「うん。どうかした?」

春香『……美希に一言だけ、言っておきたくって』

美希「? 何?」

春香『明日のライブ、絶対成功させようね』

美希「!」

春香『そして必ず、765プロの皆と一緒に―――トップアイドルになろう!』

美希「春香」

春香『他の誰でもない、私達自身の力で』

美希「…………」

春香『ね? 美希』

美希「……うん」

美希「もちろんなの。春香」

美希「絶対にトップアイドルになろう」

美希「ミキ達自身の力で」

春香『……うん!』

美希「…………」

春香『…………』

春香『じゃあ、また明日ね』

美希「うん。また明日」

春香『……おやすみ。美希』

美希「……おやすみ。春香」

(春香との通話を終えた美希)

美希「…………」

リューク「いよいよだな。ミキ」

美希「うん」

美希「ミキ達の邪魔は、誰にもさせない」



255:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:45:47.29 ID:KY9Y/ibg0

【翌日・星井家】


【アリーナライブ当日】


美希「じゃあ、行って来るね」

星井母「ええ。頑張ってね。美希。会場に着いたら連絡するから」

菜緒「めっちゃ応援するからね!」

美希「……うん」

美希「ありがとうなの。ママ。お姉ちゃん」

美希「ミキ、一生懸命歌って踊って頑張るから……絶対、最後まで観ていてほしいの」

星井母「もちろん。最初から最後までしっかり見届けるわよ」

菜緒「そうそう。今日もお仕事でカンヅメのパパの分までね~」

美希「! ……うん。ありがとう」

美希「パパの分まで応援よろしくなの」

美希「それじゃ、行って来ます」

 ガチャッ バタン

菜緒「……それにしても、まさか美希がアリーナで歌ったり踊ったりするなんてねぇ~。正直、まだ実感湧かないわ」

星井母「…………」

菜緒「? ママ?」

星井母「……そうね。でもきっと、美希なら大丈夫よ」

星井母「私はそう信じてるわ」

菜緒「まあね。昔から何事にも物怖じしないしね。あの子」

星井母「……ええ」



256:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:47:42.33 ID:KY9Y/ibg0

菜緒「さて、出発まではまだ時間あるし、もうちょっと部屋でゴロゴロしてよーっと」

星井母「もう、菜緒。暇なら洗濯の一つでも手伝ってよ」

菜緒「あはっ。それはまた今度なのー♪ なーんてねっ」タタッ

(からかうような口調で言いながら、二階に上がっていく菜緒)

星井母「……もうっ」

星井母「…………」

星井母(今日はいつも通りの美希……だったわよね。うん)

星井母(大丈夫。きっとこの前の違和感は私の気のせいだったんだわ)

星井母(そうよ。きっと……)

星井母「…………」








(自宅を出た後、道路を歩いている美希)

美希「……ねぇ。リューク」

リューク「ん? 何だ? ミキ」

美希「ミキ……“上手く出来てた”?」

リューク「……ああ」

リューク「上出来だ」

美希「そう」

美希「それなら……良かったの」

美希「…………」



257:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:50:18.02 ID:KY9Y/ibg0

【同時刻・天海家】


春香「じゃあ、お母さん。そろそろ行くね」

天海母「あら。もうそんな時間?」

春香「うん。本番前にも色々確認したりしないといけないから」

天海母「そうなの。お母さんももう少ししたら出るから、向こうに着いたら連絡するわね」

春香「うん。ありがとう」

天海母「本当はお父さんも一緒に行けたら良かったんだけどねぇ」

春香「……しょうがないよ。お仕事だもん」

天海母「まあねぇ。でもせっかくの春香の晴れ舞台なのに……」

春香「いいよ。さっき、家出るときに『頑張れ。春香』って励ましてくれたから。私はそれで十分だよ」

天海母「そう」

春香「……うん」

天海母「そういえば、今日は夜神先生も来られるのよね?」

春香「! ……うん」

天海母「頑張ってね。春香。今日の頑張りが今後のあなたと夜神先生の関係を左右するわよ」

春香「しないよ! 何言ってんの、もう」

天海母「あら。緊張してる娘をリラックスさせてあげようっていう親心じゃないの」

春香「別に、そもそもそんなに緊張してないし」

天海母「そう? それならそれでいいわ。……ねぇ、春香」

春香「? 何?」

天海母「全力で楽しんできなさい」

天海母「青春は、あっという間なんだから」

春香「……うん。そうだね」

春香「ありがとう。お母さん」



258:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:54:58.72 ID:KY9Y/ibg0

春香「それじゃ、行って来ます」

天海母「ええ。行ってらっしゃい」

 ガチャッ バタン

春香「…………」

レム「……ハルカ」

春香「? 何? レム」

レム「いや……」

春香「もう、いつまでそんな顔してるの?」

レム「…………」

春香「何度も話したじゃない」

春香「これが、私達にとってベストな選択なんだって」

レム「……ああ。そうだな」

春香「でしょ? だったら、いつまでもそんな浮かない顔してないで――……」

レム「…………」

春香「最後まで、しっかり観ててよね」

春香「今日の“私”のステージを」

レム「! ……ああ。もちろん」

レム「見届けるさ。私は、お前の……“アイドル・天海春香”のファンだからね」

春香「……うん。ありがとう。レム」

春香「…………」



259:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 22:59:51.12 ID:KY9Y/ibg0

【同時刻・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


総一郎「……竜崎。そろそろ、今日の監視要員に志願してくれた二名の警察官がこのホテルに着く頃だが……」

L「分かりました。では夜神さん。お手数ですがその二人を迎えに行って頂き、この部屋まで連れて来てもらえますか?」

総一郎「分かった。……念の為に聞いておくが、この二人には、あなたも“L”として顔を晒すということでいいんだな?」

L「いえ」

総一郎「えっ」

L「流石にもう、私が皆さんと最初にお会いした時にしたような、『キラではないことを確かめるための質問』などはしませんが……それでもあえて私が“L”として顔を晒す必要までは無いと思っています」

L「またこの少し後にも、私が呼んだ二人の応援要員がここに来ますが……彼らも“L”としての私の顔は知りませんので」

総一郎「では、どうするつもりなんだ? 面でも着けるのか?」

月「そういえば、僕と大学で最初に会った時にはあのひょっとこみたいな面を着けていたな」

L「この本部内だけならそれでもいいですが、流石にライブ会場でその出で立ちでは周囲から浮き過ぎますし……何より、星井美希・天海春香の両名から確実に不審に思われてしまいます」

相沢「確かに……」

松田「普通に素顔のままで一緒に遊園地とか行ってましたもんね」

L「はい。なので今更顔は隠しませんが……今日これ以降は、私はあくまでも“L”の部下の一人である“竜崎”として行動するようにします」

L「そして“L”役はワタリに演じてもらうようにします。……といっても、原則として私が“L”から聞いた指示を皆さんにお伝えする、という形を取るので、実際にワタリが“L”として皆さんに直接指示を出すような場面はほとんど無いだろうとは思いますが」

L「それから念の為、皆さんもこの後は常に偽の警察手帳の名前を使うようにして下さい」

総一郎「分かった。……では、二人を迎えに行って来る」

L「はい。すみませんがよろしくお願いします」

松田「……でも、竜崎が呼んだ方はともかくとしても、警察庁から来る二人って……僕らは絶対面識ありますよね? わざわざ偽名使う意味無いような気が……」

相沢「まあな。でも相手によっていちいち呼び分けるのもややこしいだろ。それに今日はずっとアリーナでの潜入捜査なんだし、いつ誰に名前を聞かれても困らないようにしておいた方が良い」

松田「あー、なるほど。それは確かにそうっすね。……でも、一体誰なんでしょうね? 警察庁から来る二人って……」

相沢「正直言うと、俺はかなり思い当たるが……」

松田「え? 本当ですか? 誰です?」

相沢「まあ、どうせもう直に来るだろう」

松田「もしかして、外れたらかっこ悪いとかって思ってます?」

相沢「……お前な」

松田「す、すみません」

 ガチャッ

相沢・松田「!」

月「来たようだな」

L「はい」



260:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:03:43.06 ID:KY9Y/ibg0

総一郎「……竜崎。二人を連れて来た」

松田「あっ!」

伊出「…………」

宇生田「…………」

相沢「やっぱり、お前らだったか」

伊出「……相沢」

宇生田「お久しぶりです。相沢さん」

相沢「志願してくれたんだな。二人とも」

伊出「ああ。『何だ今更』って思われるのは百も承知だが……」

相沢「そんなこと思うはずがないだろう。お前達だって、ずっと警察庁内で独自にキラを追ってくれていたんだ。ならば俺達は最初からずっと同志のはずだ。そうだろ?」

伊出「相沢」

宇生田「相沢さん……」

相沢「だから改めてよろしく頼む。共にキラを捕まえよう」

伊出「……ああ! こちらこそよろしく頼む」

宇生田「よろしくお願いします。相沢さん」

松田「伊出さん。宇生田さん」

伊出「おう。松田も久しぶりだな」

宇生田「相変わらず松田って顔してるな」

松田「ど、どういう意味っすか! でも……そっか。そういうことだったんですね」

伊出「ああ。そういうことだ。よろしくな」

宇生田「よろしく頼むぜ。松田先輩」

松田「せ、先輩って……」

宇生田「だって先輩だろ? この捜査本部では」

松田「そ、それはまあ、はは……とにかく、こちらこそよろしくお願いします! 伊出さん。宇生田さん」



261:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:10:35.80 ID:KY9Y/ibg0

L「……すみません。久々の再会に水を差すようですが……今後、お二人の事はここに書かれてある名前で呼ぶようにして下さい」スッ

(伊出と宇生田に偽の警察手帳を渡すL)

伊出「? 『伊田基秀』……?」

宇生田「俺のは『宇多川博康』……」

伊出「……なるほど。キラ対策の偽名の警察手帳、ってわけか」

L「はい。もっとも、今のキラは『顔だけでも殺せる』可能性が高いので、もうあまり意味は無いかもしれませんが……念の為、これから先のやりとりは、各々、偽の名前で呼び合うようにして下さい」

伊出「分かった。ところで……あなたは誰だ? 警察庁の人間ではないよな?」

L「申し遅れました。私は竜崎といいます。“L”の部下の一人です」

伊出・宇生田「!」

伊出「Lの……」

L「はい。この捜査本部では、私が“L”の指示を聞いた上で“L”に代わって指揮を執っています」

伊出「……なるほど。では、竜崎。今から言うことを、後でLに伝えておいてもらえるか?」

L「? はい」

伊出「『あの時はすまなかった。ありがとう』と」

L「! …………」

伊出「俺はあの時、『顔は見せられるが名前は明かせない』と言ったLを信用することができず、この捜査本部には加わらなかった。そしてその後は警察庁内で宇生田……いや、宇多川らと一緒にキラを追っていたが……結局、キラの正体の核心には何も迫れなかった」

伊出「やがて俺は、次第にあの時の事を後悔し始めた。何故あの時、『Lを信用し、局長達と一緒に捜査をする』という決断をする事ができなかったのか……と」

L「…………」

伊出「そうして自分の無力感と後悔の念に苛まれていた中……今から一週間前、警察庁の全職員宛てに、『キラ事件の捜査に協力できる有志を募りたい』という連絡が局長からあった」

伊出「正直言って、胸が躍った」

伊出「『まだ自分にも役に立てることがあるのかもしれない』と思うと……居ても立ってもいられなかった」

伊出「だから俺は……こんな機会を与えてくれたLに、心の底から感謝の気持ちを伝えたい」

伊出「あの時、彼を信用できなかった事に対する詫びと共に」

L「…………」

宇生田「私も伊田さんと同じ気持ちです。竜崎」

伊出「宇多川」

宇生田「Lに、謝罪と感謝の気持ちを伝えてもらえますか」

L「……分かりました。伝えておきます」



262:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:15:55.87 ID:KY9Y/ibg0

松田「ところで相沢さん……いえ、相原さん。分かってたんすか? この二人が来るって」

相沢「まあ、他に思い当たらなかったしな」

松田「流石……伊達に刑事やってないっすね」

相沢「……馬鹿にしてるのか? 松井」

松田「し、してないっすよ!」

宇生田「ところで、そちらの若そうな方は……?」

月「ああ、すみません。僕は朝日月といいます」

宇生田「朝日……ん? 『ライト』って名前、以前どこかで聞いたような……」

L「月くんはそちらにいる朝日局長の息子さんです」

宇生田「えっ」

伊出「局長の息子さん……って、確か……去年あった保険金殺人事件とかを助言して解決に導いたっていう、あの……?」

月「ええ……まあ」

総一郎「息子はまだ大学に入ったばかりなのだが……そういった過去の実績などもあったことから、今は特例で捜査協力してもらっているんだ」

伊出「そ、そうだったんですか……」

宇生田「大学生でキラ事件捜査って……それはまたすごいな」

月「いえ。まだまだ勉強中の身ですが、どうぞよろしくお願いします」ペコリ

伊出「ああ。こちらこそ」

宇生田「よろしく」

L「……さて。そろそろ私が呼んだ二名の応援要員も来る頃です。部屋は事前に教えておいたのでここに直接来ます。なお先ほども言いましたが、皆さんは偽の名前を名乗るようにして下さい。勿論、彼らにも偽名を使うように予め伝えています」

L「そして全員が揃った段階で……今日初めてこの本部に来られた方もいますので、まずはこれまでの捜査経緯をざっとお話しします」

L「その後、今日の作戦の詳細をお伝えする予定です」

伊出「分かった。……って、あれ? そういえば係長と、模……ああ、本名はまずいのか。とにかく後二人ほど、この本部にいるはずでは?」

宇生田「そういえば……。もう先に現場に行ってるんですかね?」

L「……そのお二人の事なら、別に本名で呼んで頂いても差し支えありませんよ」

宇生田「えっ?」

伊出「? 何故だ?」

L「彼らがこの本部に来ることは、もうありませんので」

宇生田「? そ、それはどういう……?」

伊出「…………?」

L「……これについても、後でまとめてお話しします」

総一郎「…………」



263:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:22:31.82 ID:KY9Y/ibg0

(五分後)

 コンコン

L「……どうぞ」

 ガチャッ

(ドアが開き、一組の男女が入室した)

「初めまして。本日のキラ事件捜査に協力させて頂くことになりました。Mark Dwelltonといいます」

「同じく協力させて頂きます。間木照子です。今日はよろしくお願いします」

月(今の話し方……男性の方は日本人ではないな)

松田(またえらい美人を……竜崎のコネクションって一体……)

L「お二人とも、わざわざご足労頂きありがとうございました」

L「このお二人……マークさんと間木さんは、いずれも“L”の個人的なつながりからお呼びした方達です。その素性は明かせない……というか、私も“L”からは何も聞かされていませんので、その点はご了承下さい」

L「では、こちらの皆さんもそれぞれ自己紹介をお願いします」

総一郎「朝日四十郎です」

相沢「相原修三です」

松田「松井太郎です」

伊出「伊田基秀です」

宇生田「宇多川博康です」

月「……朝日月です」

L「そして私が“L”の部下の竜崎という者です。今日は“L”に代わって皆さんの指揮を執らせて頂きますが……都度、状況に応じて“L”の指示・判断を仰ぎますので、その点はどうかご心配なく」

L「というわけで、今日はこの八名で捜査を行いたいと思います。よろしくお願いします」

一同「よろしくお願いします」

L「では、伊田さん、宇多川さん、マークさん、間木さんの四人には捜査状況をまだほとんど何もお伝えしていませんので……まずはそこからご説明したいと思います」

L「我々が“L”の指揮の下、キラ事件の捜査を開始したのは昨年の11月末……『リンド・L・テイラー』という者を“L”の身代わりとしてテレビ中継に出演させたところから始まり――……」

L(……間木照子こと、元FBI捜査官・南空ナオミ)

L(Mark Dwelltonこと、南空の夫で現職のFBI捜査官・レイ=ペンバー)

L(言うまでもなく、今の状況で捜査情報を知る者を増やすのはリスクがあるが……この二人なら問題は無い)

ナオミ「…………」

ナオミ(まさか、またこうしてLに協力することになるとはね)



264:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:25:04.63 ID:KY9Y/ibg0

【一週間前(美希と海砂の撮影があった日)・アメリカ/ナオミの自宅】


 ピリリリッ

ナオミ「…………? 誰かしら?」

ナオミ「はい」

L『Lです』

ナオミ「! L……」

L『ご無沙汰しています。南空ナオミさん』

ナオミ「……またキラ事件の協力要請でしょうか?」

L『流石、お察しが良いですね。その通りです』

ナオミ「……L。前にも言いましたが、その……」

L『南空さん。半年ほど前に捜査協力をして頂いた後……『どうしても南空さんの協力が必要になった時に限り、再度ご連絡させて頂く』と言ったことを覚えていますか?』

ナオミ「それは……覚えていますが」

L『今がその時です』

ナオミ「! ということは……」

L『はい。本日私は、キラのほぼ決定的ともいえる証拠を入手しました』

ナオミ「! キラの……証拠?」

L『はい。この証拠に基づき、今から一週間後……日本時間で8月1日に二名のキラ容疑者を逮捕します』

ナオミ「……つまり、私にその協力を……」

L『はい』

ナオミ「…………」

L『お願いできませんか? 南空さん』

ナオミ「……分かりました」

L『! 南空さん』

ナオミ「私個人としては、あなたの事は本当に信頼していますし、尊敬しています。本心からいえば、できることならその捜査の全てに協力したいと思うくらいに」

ナオミ「ただ、今の私には愛する家族……夫がいます」

L『…………』

ナオミ「ですので……L。捜査協力する代わりに、一つ条件を付けさせてもらえませんか」

L『条件……ですか?』

ナオミ「はい」

L『何ですか? それは』

ナオミ「―――私の夫も、今回のキラ事件の捜査に協力させて下さい」

L『! …………』



266:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:35:48.98 ID:KY9Y/ibg0

ナオミ「あなたなら、私の夫が誰で、どんな属性を持った人物かはもう既にご存知でしょう」

ナオミ「あなたがどんな捜査を考えているのかはまだ分かりませんが、少なくともあなたの期待に背くようなことは無いはずです」

L『…………』

ナオミ「……と、いうのはある種建前で……本当は、単に私がこれ以上、彼に隠し事をしたくないからなんですけどね。現に、半年前の尾行捜査の際は相当怪しまれましたし……」

L『その節は……大変ご迷惑をお掛けしました』

ナオミ「いえ。あと、これでも一応新婚ですし……彼に何の理由も告げずに単身で日本に渡る、というのもやはり抵抗感がありますから」

L『……なるほど。それならいっその事、旦那さんにも全てを打ち明け、一緒に捜査協力を……ということですか』

ナオミ「はい。これが私の捜査協力の条件です。いかがでしょう?」

L『……分かりました』

ナオミ「! L」

L『元々、私もあと一人か二人、協力を頼めたら……とは考えていましたから。この点、確かにあなたの旦那さんなら文句の付けようのない人材です。むしろこちらからお願いしたいくらいです』

ナオミ「そうですか。それならよかったです」

L『ただ、彼の所属は公にしてしまうと少し面倒な事になるので……あくまでもプライベートで日本に入国する、という体でお願いします。もちろん、必要な手続は全て私の方で行います』

ナオミ「ありがとうございます。こちらとしてもその方が助かります」

L『では、旦那さんにはあなたの方からお話し頂いてもいいですか?』

ナオミ「はい。それは構いません。……ただ、できればその際、私が半年前にあなたの捜査協力要請を受けて動いていた事も含めて話したいのですが……よろしいでしょうか?」

L『はい。もはやこの状況でそのくだりだけ隠す意味も無いのでそれは構いません。どうかよろしくお願いします』

ナオミ「ありがとうございます。彼は今でもたまに、あの時の事を気にしているような素振りを見せることがあるので……正直私としても、全部話してすっきりしておきたかったんです」

L『それはご心労をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした。……後は、肝心の旦那さんがこの捜査協力を快諾して頂けるかどうか、ですね』

ナオミ「その心配には及びません。夫は私と違って非常に正義感が強いので。それに今や、キラ事件は世界最大の関心事……その捜査、ましてや“L”の指揮下におけるそれに協力をしない理由は無いでしょう」

L『それならいいですが……ただ、南空さん』

ナオミ「? はい」

L『正義感なら、あなたも相当お強い方でしょう?』

ナオミ「……いえ。実のところ、私は決して正義感の強い人間ではないんです。FBIの捜査官になったのも、単に自分にその適性があったからで……何かしらの思想や哲学に由来しての事ではないんです」

L『そうでしたか。それは少し意外ですね』

ナオミ「なので、私はどちらかというと……正義感よりも、あなたに対する信頼と尊敬からこの捜査に協力したいと思っているんです。L」

L『……ありがとうございます。それはとても光栄な事です』

L『では、旦那さんの協力が取り付けられたら……あるいは取り付けられなかった場合でも、近日中にご連絡下さい。なお、こちらの連絡先ですが――……』



267:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:50:48.84 ID:KY9Y/ibg0

【現在・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


ナオミ(―――そんな経緯で、なし崩し的にレイも巻き込んでしまったけど……)チラッ

レイ「…………」

レイ(一週間前、ナオミから突然、『Lの捜査に協力してほしい』と言われたときは、かなり面食らったが……)

レイ(半年ほど前、お義父さん達に結婚前の挨拶をするために日本に行ったとき、ナオミが不審な動きをしていたことがずっと気になっていたが……それも今回と同じ件だったと分かり、それはそれですっきりした)

レイ(それに、キラは必ず滅ぼさなければならない社会悪……もう世界ではキラを認める声の方が多数派になりつつあるし、既にインターネット上などではそうなっているが……)

レイ(キラは悪だ。神を気取って犯罪者を片っ端から裁く行為など……絶対に許してはならない)

レイ(もっともこれまでは、捜査本部が日本警察内に置かれていたこともあり、私もFBI捜査官という立場からはアメリカ国内で独自に捜査を進める程度のことしかできていなかったが……)

レイ(今回、ナオミの導きで“L”が指揮を執るこの捜査本部に参加することができた)

レイ(捜査官としてではなく、あくまでも一私人としての捜査協力にはなるが……そんな事は大した問題ではない)

レイ(ここに来た以上は、全力でキラを追うだけだ)

レイ(ただ正直、ナオミがこの捜査メンバーに加わっているのは本意ではないが……だが彼女の手ほどきが無ければ、そもそも私はここに来ること自体できなかったわけで……それを考えればやむを得まい)

レイ(それにナオミもナオミで、元は優秀なFBI捜査官であったことに変わりは無い。辞めてからまだ一年も経っていないし……万が一にも不覚は取らないだろう)

レイ(何より、キラをこのまま野放しにはできない。“キラを捕まえること”。その正義の信念の下……私達は戦わなければならない)

レイ(私達自身の平和を守るために)

レイ「…………」

ナオミ(今のレイの目を見る限り……やっぱり正解だったみたいね。レイったら、いつになく燃えているみたいだわ)

月「…………」

月(『Mark Dwellton』……『間木照子』……か)

月(普通に考えて、『Mark Dwellton』の方はどこか外国の警察官か何かだろうが……)

月(『間木照子』の方は何者なのか気になるな。どう見ても日本人だし、しかもこんなに若い女性というのは……)

月(! 日本人……女性……そうか)

月(まだ僕がこの捜査本部に加わる前……天海春香が星井美希に『黒いノート』を手渡していた場面を、竜崎の指示で二人の尾行をしていた日本人女性……元FBI捜査官の『南空ナオミ』という人物が目撃したと聞いた)

月(おそらくは……この『間木照子』と名乗っている女性が、その『南空ナオミ』だろう)

月(それなら今回、竜崎が再び捜査協力を依頼したのも頷ける)

L「――……そして次に、私達は日本全国の心臓麻痺死者を可能な限り洗い出しました。その結果、キラ事件の最初の犠牲者である新宿の通り魔……この者が殺された日の前日に、心臓に関する病気も既往歴も一切無いのに、『心臓麻痺で』死亡した者に行き着きました」

L「その者は当時、株式会社765プロダクションのプロデューサーだった者。この者の死を足掛かりに、私達はさらに捜査を進めていき――……」

L「最終的に、キラ容疑者を二名に特定しました」

L「それが、765プロダクション所属アイドルである星井美希と天海春香」

L「今日、私達が逮捕する予定の二人です」



268:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/01(火) 23:57:07.77 ID:KY9Y/ibg0

伊出・宇生田「!」

レイ「アイドルが……キラ……?」

伊出「星井美希って……確か……」

宇生田「星井係長の……?」

ナオミ「…………」

ナオミ(『星井美希』と『天海春香』……)

ナオミ(半年前、私がLに依頼されて尾行していたのは、この二人以外に『萩原雪歩』というアイドルもだった)

ナオミ(『萩原雪歩』は『一人で焼肉を食べに行く』という少し風変わりな行動を取っていたから、Lにも一応報告はしたけど……)

ナオミ(この『萩原雪歩』が容疑者から外れ、『星井美希』と『天海春香』の二名に絞られたということは……)

ナオミ(Lが言っていた『キラのほぼ決定的ともいえる証拠』というのは……おそらく……)

L「そして逮捕に踏み切る以上、当然、我々は既にこの二人がキラであるとする証拠を入手しています」

L「ただこれは現物ではなく、それを収めた写真や映像ですが……しかしその内容から考えて、二人がキラである事のほぼ決定的な証拠となるものと判断しています」

レイ「一体何なんだ? そのキラの証拠というのは」

L「はい。それは――……『名前を書くと、書かれた人間が死ぬノート』。通称『黒いノート』です」

L「私達は、これこそがキラの証拠……もとい、キラの殺人の道具そのものであると考えています」

レイ「! …………」

伊出「な、名前を書くと、書かれた人間が死ぬ……だと?」

宇生田「馬鹿な。そんなもの、この世に存在するわけが……」

ナオミ「…………」

ナオミ(やはり……私が三名のアイドルの尾行を開始してから六日目……公園で天海春香が星井美希に手渡していた『黒いノート』……)

ナオミ(あの時も少し不自然には思ったけど、所詮は年頃の女子同士……Lにも一応の報告はしたものの、実際には単なる交換日記か何かの類だろうと思い、そこまでの重要性は認識していなかった)

ナオミ(それがまさか、『名前を書くと、書かれた人間が死ぬノート』だなんて……あまりに非科学的な話)

ナオミ(でもそれは、この先の説明を聞いてからでないと判断のしようが無いことね)

L「……そのように思われるのも当然です。なので今から、この『黒いノート』の写真、映像を皆さんに実際にお見せします」

L「そして、この二人をキラとして特定するに至った種々の状況証拠についてもあわせてご説明します」

L「そうすればきっと、私達が今日、二人を逮捕すると決断したことにご同意頂けるものと思います」

レイ・伊出・宇生田「…………」

L「では、まず『黒いノート』を写した写真ですが――……」



269:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:09:10.29 ID:7ONm8XcO0

L「――以上が、これまでの我々の捜査結果、および今日実行しようとしている作戦の概要になります」

伊出・宇生田「…………」

レイ「……『名前を書くと、書かれた人間が死ぬノート』に『死神』……か。なかなか、俄かには信じ難い話だが……」

ナオミ「でもこれまでのキラの裁きの傾向や、キラ容疑者が実際にそれとおぼしきノートを所持していたという事実を踏まえると……」

レイ「うむ……」

ナオミ「勿論、最終的な能力の確定とキラの特定にはノートの検証が不可欠でしょうけど……私は、現段階でキラ容疑者の二人……星井美希と天海春香を逮捕することに異論は無いわ」

レイ「……そうだな。いや、だが容疑者から自白を得られればノートの検証まではしなくとも良いのでは? ノートの性質上、検証をすると死人が出る可能性があるわけだし……」

ナオミ「それはまあ……そうね。でもそれは実際にキラ容疑者を逮捕してからの話だし、今ここで議論しなくても良いんじゃないかしら?」

レイ「確かに。まずはキラ容疑者の逮捕……それを最優先に行動することについては私も異議は無い」

L「ご同意頂きありがとうございます。マークさん。間木さん」

伊出・宇生田「…………」

L「伊田さんと宇多川さんはいかがですか?」

伊出「確かに、突拍子も無い話だが……既に物的証拠がある以上、キラ容疑者を逮捕すること自体に異論は無い」

宇生田「私もです」

伊出「……ただ、俺はその事よりも……」

L「星井係長と模木さんの件ですか」

伊出「……ああ。流石に予想だにしていない事態だったからな。……正直言って、まだかなり混乱している」

宇生田「私もです。正直、容疑者の名前として星井美希の名前が挙がった時点で、少し嫌な予感はしていたのですが……」

L「星井係長と模木捜査員の件については完全に私達の失敗でした。その事自体は重く受け止めるべき事実です」

一同「…………」

L「ですが、もう起こってしまったことはどうしようもありませんし……今はその現状を前提に、考えうる限りの最善の行動を取っていくしかないと考えています」

L「それに星井係長と模木さんは今も完全監視下に置いています。つまりこれ以上の妨害行為はおろか、そもそも捜査に関わることすらできません」

L「なので、気持ちの整理には少し時間が掛かるかもしれませんが……一旦、今はこの事は脇に置き、キラを逮捕する事にのみ全力を傾注して頂けませんか」

伊出「……ああ。そうだな。分かっている。俺だって自ら志願してここに来たんだ。“キラを逮捕する”……その目的だけは何があっても完遂したい」

宇生田「私もです。むしろ係長の為にも、何としてでもこの事件の真相を解明しなければならない……そう思っています」

総一郎「……伊田。宇多川」

相沢「そうだな。もうここまで来たら自分達の正義を信じて進むだけ……」

松田「正義……か。そうですね。もう世の中ではキラを肯定する人の方が多くなりつつありますけど……それでも、僕達のやろうとしていることは正義に違いないですもんね」

L「その通りです。世の中のどれだけの人がキラを認めようと……キラのしている行いは間違い無く悪ですし、それを止めることは間違い無く正義です」

L「だから私は、その正義の意思の下に、皆さんと一緒にキラを捕まえたい」

L「そう思っています」

月「……そうだな。キラを捕まえ、正義を実現しよう。竜崎」

L「はい。月くん」



270:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:26:00.19 ID:7ONm8XcO0

伊出「……で、今日の作戦だが……俺達は、とりあえずライブが終わるまでは普通に観客として会場に潜入しておけばいいんだな?」

L「はい。ただ一応、ライブ中も星井美希と天海春香の動向には常に注意を払うようにしておいて下さい」

伊出「分かった」

宇生田「座席はもう決まっているんですか?」

L「はい。伊田さんと宇多川さんは1階席、相原さんと松井さんは2階席、マークさんと間木さんは3階席になります。それぞれ二人一組で監視するようにして下さい」

相沢「そして竜崎と月くんは1階、アリーナ席のほぼ最前だったな」

L「はい。位置的にもほぼ真正面……ステージ上からも確実に視認できる距離ですね」

月「流石に僕達二人だけなら警戒されるだろうが……粧裕と高田も一緒だからな。まさかライブ直後に逮捕に動くなどとは夢にも思わないだろう」

L「そうですね。ただ、逮捕自体は私が一人で行いますが……万が一にも事前に気取られ、二人に逃げられてしまっては元も子もありません」

L「ですので皆さんには、ライブ終了後、会場の出入口等を分担して見張って頂きたい」

L「まず、最も注意すべきは一般人が出入りできない関係者用扉です。ここはマークさんと間木さんでお願いします」

L「そして相原さんと松井さんは、アリーナの外、その関係者用扉を出てすぐの位置で張っていて下さい」

L「他方、観客に紛れて一般の出入口から出るという可能性も十分考えられますので……この出入口付近には伊田さんと宇多川さん。そして……」

L「……かなりの混雑が予想されますので、月くんもこちらを見張って下さい」

月「……ああ。分かったよ。竜崎」

L「また、アリーナ内に設置されている防犯カメラの映像は全てこの捜査本部からも観れるようにしていますので、この映像の監視は朝日さん。お願いします」

総一郎「分かった。それとあわせて、星井君と模木の監視も……だな」

L「はい。よろしくお願いします」

L「以上が本日の作戦となります。もっとも、現場の状況次第では作戦を途中で変更する可能性も当然ありますが……その場合は私が“L”の指示を仰ぎながら都度皆さんに連絡するようにします」

L「では皆さん。頑張っていきましょう」

L「最後には、必ず正義が勝つと信じて」

一同「はい!」



271:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:31:30.20 ID:7ONm8XcO0

【三時間後・アリーナ/控室】


(ライブ衣装に着替えた状態で待機しているアイドル・ダンサー一同)

奈緒「可奈。衣装ちゃんと入ったか?」

可奈「は、入りましたよ! 失礼な!」

奈緒「いや結局、合宿の後も可奈のおやつの量はあんま変わってなかったからなー」

可奈「そ、それは……でも、その分ちゃんとレッスンしてましたもん!」

奈緒「せやな。はは。よう似合うとるで」

可奈「奈緒さん。ありがとうございます!」

美奈子「二人とも、緊張の方は大丈夫みたいだね」

可奈「美奈子さん」

奈緒「せやなあ。もちろん、全然してないってことはないけど……ま、ここまで来たら後はもうなるようにしかならんしな」

星梨花「わたしも、緊張はしてるんですけど……でも、いい感じの緊張っていうか……今は早くステージの上で踊りたいっていう気持ちでいっぱいです」

美奈子「成長したね。星梨花ちゃん」

星梨花「はいっ! えへへ……」

杏奈「杏奈も……うん。早く皆と一緒にステージに立ちたい、な……」

百合子「ふふっ。やる気満々だね。杏奈ちゃん」

杏奈「……百合子さん。百合子さんは、どんな感じ……?」

百合子「もちろん、私もやる気に満ち溢れてるよ! もう逸る気持ちを抑えきれない……ぐっ! 静まれ……私のパトス……!」

杏奈「…………?」

百合子「ごめん、杏奈ちゃん。そんな可愛く小首を傾げられると私羞恥心に耐えられない」

志保「いよいよね。可奈」

可奈「志保ちゃん」

志保「今までの努力を信じて、最後まで頑張りましょう」

可奈「……うん! もちろん!」

可奈「…………」

可奈(大丈夫。大丈夫……)

可奈(この胸騒ぎは、きっと気のせい)

可奈(ライブ前で皆の気持ちが昂っている、この空気のせい)

可奈(だからきっと大丈夫)

可奈(そんな事よりも、今はライブに集中しよう)

可奈(それが何よりも……星井先輩や天海先輩のためになるんだから)

可奈「…………」



272:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:35:36.24 ID:7ONm8XcO0

真美「……あり? そういえば兄ちゃんは?」

小鳥「さっきスタッフさん達と音響の最終確認をしていたから、もうすぐ来ると思うわよ」

真「ホント、最後の最後までプロデューサーには頼りっきりだったなぁ」

響「自分達一人一人のレッスン時間を均等にするために仕事のスケジュールを調整したりとか……そういうの全部一人でやってくれてたもんね」

貴音「真、あの方には感謝してもしきれません」

やよい「私もプロデューサーにはすっごくお世話になりました! もちろん、今もですけど!」

雪歩「今度、皆でお礼しなくちゃだね。もちろん律子さんにも」

律子「いいわよそんな。私は別に……」

社長「いやいや、律子君も陰の功労者だからねぇ。プロデューサーと二人三脚でよくここまで皆を引っ張ってくれたものだよ」

律子「社長……」

亜美「お、この流れは!?」

真美「鬼軍曹涙目コースきた!?」

律子「ば、バカっ。それはもう昨日やったでしょ!」

 アハハハ……

伊織「……ま、ちゃんとしたお礼はまた改めてするとして……にひひっ」

亜美「だね」ニコッ

律子「え? な、何よ。二人して、その意味深な笑い……」

あずさ「律子さん」

律子「え、あ、はい。何ですか? あずささん」

あずさ「ちょっと、じっとしてて下さいね」スッ

律子「……え?」

(律子の胸に、アイドル達が着けているのと同じ花を着けるあずさ)

律子「これ……」

あずさ「私達はいつも、律子さんと一緒ですからね」

律子「あずささん……」

伊織「にひひっ。ま、そういうことだから。今日も一日よろしくね。律子」

亜美「最後まで亜美達と一緒に楽しもうね! りっちゃん!」

律子「伊織……亜美……うぅ、もう! 開演前から泣かせるんじゃないわよ」

亜美「りっちゃん、ホントに泣いちゃダメだよ~」

律子「な、泣いてないでしょっ。もう……」

 アハハハ……

千早「…………」



273:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:42:18.62 ID:7ONm8XcO0

春香「……ちーはやちゃんっ!」ドンッ

千早「ひゃっ! は、春香。もう、驚かせないでよ」

春香「あはは。ごめんごめん。……もしかして、結構緊張してる?」

千早「多少はね。でも大丈夫よ。ちょうど心地良いくらいの緊張感だわ」

春香「そっか。なら良かった。今日は最後まで頑張ろうね!」

千早「……ええ。頑張りましょう」

美希「…………」

 ガチャッ

P「お、もう皆揃ってるな」

春香「プロデューサーさん。お疲れ様です」

アイドル・ダンサー一同「お疲れ様です!」

P「おう、お疲れ。皆、良く似合ってるじゃないか」

アイドル・ダンサー一同「…………」ニコニコ

P「……春香」

春香「? はい」

P「今日がリーダーとしての最後の仕事だ。よろしく頼むぞ」

春香「……はい!」

美希「…………」

千早「いよいよね。美希」

美希「千早さん。……うん。そうだね」

千早「…………」

千早(美希の様子、やっぱりどこか……いえ。流石に気にし過ぎね)

千早(春香も今日は至って普通に見えるし……)

千早(それに本番までもう30分も無い。今は余計な事を考えないで、ライブに集中しなきゃ……)

律子「プロデューサー。そろそろステージ裏に移動する時間です」

P「分かった。では社長。最後に一言、皆に激励をお願いします」

社長「ああ。……皆、これまで本当によく頑張ってくれた。今の君達の晴れ晴れとした表情が、これまで君達が積み重ねてきた全ての努力を物語っているように思う」

アイドル・ダンサー一同「…………」

社長「なので、今の君達に私が言えることはこれだけだ」

社長「君達自身がライブを楽しみ、そしてファンの皆を楽しませてくれたまえ」

社長「それがアイドルであり、それが765プロダクションだからね」

社長「以上だ。後は、私も君達のファンの一人として、観客席から君達の活躍を見届けさせてもらうことにするよ」

社長「またライブ後に会おう。健闘を祈る!」

アイドル・ダンサー一同「はい! ありがとうございました!」

P「……よーし! ファンの皆が待ってるぞ! 765プロの、そしてアリーナ史上に残る、最高のライブを見せてくれ!」

アイドル・ダンサー一同「はい!」

P「…………」

P(いよいよ、か……)



274:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:50:09.95 ID:7ONm8XcO0

【二十分後・アリーナ会場内/3階・関係者席】


菜緒「いよいよだね。ママ。あー、楽しみ!」

星井母「そうね。本当はパパも来れたら良かったんだけど……」

菜緒「まあ仕方ないよ。お仕事なんだし。それにまたすぐ次のライブもあるって」

星井母「……ええ。そうね」

天海母「あら? もしかして星井さん?」

星井母「えっ。ああ、天海さん。どうもお久しぶりです」

菜緒「えっ。天海って……天海春香ちゃんのお母さん?」

天海母「はい。いつも娘がお世話になっております」ペコリ

菜緒「い、いえ、そんな。こちらこそ、うちの美希がいつもお世話に……あ、私、美希の姉の菜緒です」

天海母「流石、妹さんに負けず劣らずの美人さんね。もしかしてあなたもアイドルを?」

菜緒「い、いえいえ! 私はただの学生でして……」

天海母「あら、そうなの? すぐにでもデビューできそうなのに」

菜緒「い、いや~……流石にそれは……あはは……」

星井母「あんまりおだてなくていいですよ。天海さん。この子はすぐ調子に乗るから」

天海母「別におだててるわけじゃ……あ、折角なのでお隣いいですか?」

星井母「ええ。もちろん」

天海母「では、お言葉に甘えて……」スッ

菜緒「ママは元々、春香ちゃんのお母さんとお知り合いだったの?」

星井母「ええ。765プロでは、未成年のアイドルの保護者を対象に、定期的に保護者説明会を開いてくれているのよ。そこで何回かお会いしていたから」

菜緒「あー。なるほどね。ママ、そういえば時々行ってるもんね」

天海母「アイドルの娘を持つ母親同士、色々と共通の悩みも多いですしね」

星井母「ええ。たとえば学校生活との両立とか……あっ、そういえば春香ちゃんは今年受験でしたよね?」

天海母「はい。でも幸いなことに、今はすごく優秀な家庭教師の先生に勉強を教えて頂いていて……当初の志望より高いランクの大学にも手が届きそうなんですよ」

菜緒「へー」

星井母「それはすごいですね。美希にも教えてもらいたいくらいだわ。あの子、本当にヤバくなるまで全然勉強しないから……」

天海母「それなら今度、美希ちゃんにも紹介して差し上げましょうか? 春香も元々は同じ事務所の高槻やよいちゃんから紹介してもらったって言ってましたし」

星井母「あら、本当ですか? それなら是非お願いしたいです」

天海母「じゃあ今度頼んでおきますね。あ、ちなみにその先生、頭が良いだけじゃなくてすっごくイケメンなんですよ」

菜緒「! は、春香ちゃんのお母さん! そういうことなら美希じゃなくて私に紹介して下さい!」

星井母「あんたね……」

天海母「あら。でもね~、私としては、あの先生には是非春香と良い仲になってほしいと思ってるのよねぇ」

菜緒「えー、そんなあ!」

天海母「ふふっ。でもライバルがいた方が春香にとっても良い刺激になるかもしれないし、いいわ。今度、あなたの事も紹介しておくわね」

菜緒「やた! ありがとうございます!」

星井母「まったく、もう」

菜緒「いいじゃん、これくらい。最近全然出会い無いんだもん」

天海母「なんだかいいわねぇ。青春って感じで。おばさん羨ましいわ。……あ、そろそろ始まるみたいね」

菜緒「よーし! 頑張れ美希ー! そして春香ちゃーん! 私、負けないからねー!」

星井母「何を言ってるのよ、あんたは……」

星井母「…………」

星井母(頑張ってね。美希)



275:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 00:58:01.91 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・アリーナ会場内/3階・観客席】


善澤「やぁ。暫くぶりだね。二人とも」

社長「おお、来たかね」

小鳥「ご無沙汰しています。善澤さん」

善澤「それにしても、まさかアリーナでライブとはな。一年前のごたごたが嘘のようだ」

社長「その節は、君にも色々と迷惑を掛けたな」

小鳥「本当、例の“765プロ潰し”計画の件……善澤さんに調べて頂かなかったら、私達だけじゃ何も分からないままでしたもんね」

善澤「いや、何。私は大したことはしていないさ。だがこうして、無事にこの日を迎えられて本当に良かった」

社長「うむ。後はここからアイドル諸君の頑張りを見届けるだけだ」

善澤「……ちなみに、黒井の奴はどうしているんだ? “765プロ潰し”計画の件については君に全面的に謝罪したと聞いたが……」

社長「いや、私もあれ以来連絡を取っていなくてね。ジュピターの躍進などを見る限り、961プロ自体は順風満帆のようだが」

小鳥「ジュピター、絶好調ですもんね。今や流河旱樹を完全に抑えて、男性アイドルの中では頂点に立ったと言っても過言では無いですし」

社長「うむ。だが黒井も黒井で、色々と大変だったのだろうとは思うよ。側近だった轡儀が亡くなった上、当時ジュピターの担当プロデューサーだった○○君までうちに移籍させたわけだからね。普通に考えて、相当な苦境に立っていたであろうことは想像に難くない」

小鳥「それでも会社の業績を落とさず、それどころか伸ばしてさえいるのは……黒井社長なりの努力の結果、ってことなんですかね。……でも正直言って、私は今でも全然許す気にはなれないですけどね。いくら謝罪したとはいっても、うちの事務所をあれだけ引っ掻き回したのは事実ですから」

善澤「それも当然の感情だろう。私も黒井のした事が許されるべきだとは思っていない」

善澤「だが、奴が今後は真摯にプロダクション経営に勤しみ、アイドル業界そのものの発展に寄与するのであれば……それが奴にとっての“贖罪”になるのだろうとは思う」

社長「ふむ。“贖罪”……か。確かにそうかもしれんな」

社長「奴も私も、元は同じ事務所で共にアイドルを育成していた者同士……互いに互いの信じた道を進むうち、いつかまた交わることもあるかもしれん」

社長「その時に、また昔のような関係に戻れたらいいと……そう思うよ」

小鳥「……もう。社長は本当に人が良いんですから」

社長「む? だ、ダメかな? 音無君」

小鳥「……いえ。それでこそ社長です。だから、私もそれでいいと思います」

社長「そうか。ありがとう。音無君」

善澤「ああ。それでこそ高木だ。……お、そろそろ始まるようだね」

社長「おお、いかんいかん。サイリウムの準備をせねば」

小鳥「…………」

小鳥(頑張ってね。皆!)



295:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:02:52.13 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・アリーナ会場内/2階・観客席】


北斗「さて、そろそろ時間かな」

翔太「他のアイドルのライブなんて滅多に観に来ないから、楽しみだなぁ」

冬馬「……フン。お手並み拝見といこうじゃねぇか」

冬馬「あいつが育てたアイドルがどれほどのもんか……しっかりとこの目で見定めてやるぜ」

北斗「冬馬。なんか随分楽しそうだな」

冬馬「あ? 別にそんな事……いや……そうだな」

翔太「冬馬君」

冬馬「確かに楽しみだ。あいつの育てた、俺達以外のアイドルのパフォーマンスを観るのは」

冬馬「そしてそれ以上に……そいつらを倒して、俺達が真のトップアイドルになることがな!」

北斗「ああ。そうだな」

翔太「目指すはてっぺん、だね」

冬馬「ああ!」

冬馬(負けねぇぞ! 765プロ!)








【同時刻・961プロダクション本社ビル内/社長室】


黒井「…………」

黒井(今日は765プロのアリーナライブの日か。……まあ、今更私にとってはどうでもいいことだが)

黒井(しかし結局、弥海砂を使って『黒いノート』を押さえさせるという作戦はどうなったのか……こうして765プロが普通にライブをしようとしている以上、まだ星井美希も天海春香も捕まっていないのは間違い無いだろうが……)

黒井(まあいい。もはや誰がキラであっても構わない。私は少しでも早くこの死の恐怖から解放されることを願うばかりだ)

黒井(しかし、キラの件を別にすれば……今日のライブは、あいつが765プロに移籍してからの最初の大きなライブ……まさにあいつが765プロのプロデューサーとして行ってきたプロデュース活動の集大成ともいえる)

黒井(だがあいつは言っていた。もしキラ事件が解決したとしても、もううちに戻ってくる気は無いと)

黒井(経緯はどうあれ、今の自分はもう『765プロダクションのプロデューサー』なのだと)

黒井(キラに脅迫されたが故のやむを得ない措置だったとはいえ……実に惜しい男を手放してしまったな)

黒井(そして言うまでもないことだが、轡儀も……)

黒井(だが、済んだことをいつまでもとやかく言っていても仕方がない)

黒井(焦ることは無い。時間はいくらでもある)

黒井(……命さえあれば、な)



277:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:16:25.74 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・アリーナ会場内/1階・アリーナ席】


粧裕「えーっと、この次の列だから……ぎゃっ! 本当にほとんど最前じゃん! すごっ」

清美「こんなにステージが近いのね」

月「良かったな。竜崎」

L「はい。こんなに至近距離で春香さんの生のパフォーマンスが拝めるなんて……もう死んでもいいです」

清美「…………。(そういえばそういう設定だったわね)」

粧裕「でもなんか意外だなー。竜崎さんがそんなに春香さんのファンだったなんて」

L「そうですか?」

粧裕「うん。だってなんか、アイドルとかには全然興味無さそうな感じだったもん。学祭の時もそんなこと言ってなかったし」

L「まあ私は隠れですからね。月くんとは違って」

粧裕「えっ。お兄ちゃん、まさか……」

月「……竜崎。妹に勝手に変な事を吹き込むな。僕はやよいちゃ……高槻さんからチケットを貰ったから来ただけで、別にアイドルに興味があるわけじゃない」

L「分かりました。妹さんの手前、今はそういうことにしておいてあげます」

月「お前な……」

粧裕「清美さんは誰のファンなの?」

清美「え? 私? そうねぇ……正直、私もアイドルの事はあんまりよく分からないのだけど……強いて言うなら、やっぱり個人的に親交のある天海さんと星井さんかしら」

粧裕「そっかー。あれからも何回かあの時のメンバーで遊んでるって言ってたもんね」

L「ついこの間も遊園地に行きましたしね」

月「ああ」

粧裕「え、遊園地まで行ってたの? むー、お兄ちゃんってば、そういう時くらい私も呼んでよー!」

月「粧裕は一応受験生だろ」

粧裕「そんなの言ったら春香さんだってそうじゃん」

月「天海さんはいいんだよ。僕が教えてるんだから」

粧裕「何それー! 不公平ー!」

月「……そんなこと言うなら、もう残りの夏休みは勉強見なくていいね?」

粧裕「うえっ! そ、それはだめ。今回の期末だって、お兄ちゃんに付きっきりで教えてもらえたから50番以内に入れたようなもんだし……」

月「だったらワガママ言うな。粧裕」

粧裕「ちぇっ。はーい」

L「仲睦まじい兄妹愛ですね。羨ましいです」

月「今の会話のどこに羨ましがられる要素があったんだ」

粧裕「あーあ。ミサさんも来れたらよかったのにね。せっかくこんなに良い席なんだから」

月「……仕方ないよ。海砂さんもアイドルだからね。急な仕事が入ることくらいあるさ」

L「元々、私達が知り合ったのも学祭でのミサさんのライブがきっかけでしたしね」

清美「そういえばそうでしたね。まだあれからそんなに経っていないはずなのに、もう随分昔の事のように感じるわ」

月「そうだね。……お、そろそろ始まりそうだ」

粧裕「ぎゃっ。もうそんな時間? あー、なんか緊張してきた。やよいちゃん、手振ったら気付いてくれるかな?」

月「…………」

月(やはりミサは来なかったな……それでいい)

清美(やっぱり夜神くんの言った通り、海砂さんは星井さんに……いえ。今は余計な事は考えない方が良いわね。あくまでも今日は普通にライブに参加することだけを考えて……)

L「…………」



278:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:22:49.95 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・海砂の自室】


海砂「…………」

海砂(そろそろライブが始まる時間ね)

 ピリリリッ

海砂「……ヨッシー」ピッ

海砂「もしもし」

吉井『ミサ。具合はどう?』

海砂「……うん。ありがとう。大丈夫だよ」

吉井『そう。ならよかったわ。でも残念だったわね。せっかくの星井さんのライブだったのに』

海砂「まあ仕方ないよ。また次の機会を楽しみに待つよ」

吉井『そうね。今の765プロさんの勢いなら、またすぐに大きなライブやるでしょうしね』

吉井『今日はゆっくり休養をとって、また明日からの仕事に備えてちょうだい』

海砂「……うん。ありがとう。ヨッシー」

吉井『じゃあまた明日ね』

海砂「うん。心配掛けてごめんね。それじゃ」ピッ

海砂「…………」

海砂(次の……か)

海砂(……そういえばライトや竜崎、清美ちゃんは会場に行ってるのかな?)

海砂(今のミサには、もうそれすらも分からない)

海砂(ましてや、美希ちゃんが何を考えてキラの裁きをしているのかなんて……ミサに分かるはずもない)

海砂(でも……)

海砂(美希ちゃんがこれまでずっと、全力で“アイドル”頑張ってきたってこと……それだけはミサにも分かる)

海砂(だってそうじゃなかったら、ミサはきっと、あんなにも美希ちゃんに惹きつけられなかったはずだから)

海砂(だから……今はまだ分からないことだらけだけど、とりあえず今、これだけは言っておきたい)

海砂「―――ライブ、頑張ってね。美希ちゃん」



279:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:29:18.35 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・夜神家のリビング】


幸子「……ふぅ。家事も一段落したし、少し休憩にしましょう」

幸子「今頃、ライトと粧裕はライブを楽しんでる頃かしら」

幸子「それにしても、ライトまでアイドルのライブとはねぇ」

幸子(……まさかあの子、アイドルの隠れオタクとかだったんじゃ……)

幸子「なんて、考え過ぎね。単に家庭教師してる子がアイドルだったからチケット貰っただけって話だし……そもそも今日は、粧裕の保護者役として行ってるだけだもの」

幸子「さて、テレビでも観ましょうか」ピッ

幸子「……あ、またキラ事件の特番……」

幸子「…………」

幸子(大丈夫かしら。お父さん……)








【同時刻・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


総一郎「…………」

総一郎(今の所、ライブ会場内の防犯カメラの映像に不審な点は無い)

総一郎(しかし油断はできん。我々の裏をかき、ライブ中に何か仕掛けてくるという可能性もゼロではない)

総一郎(キラ逮捕の瞬間まで、集中を切らさないようにしなければ……)

ワタリ『夜神さん』

総一郎「あ、はい」

ワタリ『現在、ライブ会場内は異常無し。同時に、星井係長・模木捜査員の様子も変化無し。相違無いでしょうか』

総一郎「はい。相違ありません」

ワタリ『承知しました。ではまた15分後に』

総一郎「はい。よろしくお願いします」

総一郎(15分ごとのワタリからの定期交信……これも当然、竜崎の指示なのだろうが……)

総一郎(この交信の間隔からして……やはり私を信用しきってはいないということか)

総一郎(まあ無理も無いか。今、この捜査本部は私一人……その気になれば、星井君と模木の監禁を解くことなど容易いからな)

総一郎(無論、死んでもそんな事はせんが……)

総一郎「…………」



280:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:35:43.68 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・キラ対策捜査本部のあるホテルの一室】


星井父「…………」

星井父(もう、始まる頃か)

星井父(頑張れ……美希)








【同時刻・キラ対策捜査本部のあるホテルの一室】


模木「…………」

模木(今日は8月1日……予定が変わっていなければ、765プロのアリーナライブの日だ)

模木(元々、竜崎と月くんが観客として招待されていたはずだが、二人は予定通り向かっているのだろうか)

模木(あるいは、もう既に星井美希と天海春香が逮捕されているとしたら、ライブは中止ということも当然ありえるだろうが……)

模木(しかし、今もまだ私が解放されていないということからすれば、おそらくまだキラ事件は解決していない……)

模木(勿論、容疑者の逮捕は事件の解決と同義ではないが……)

模木(……まあ、ここであれこれ考えていても仕方がない)

模木(今の自分にできることは、キラ事件の終結と係長の心の平穏を祈ることくらいだ)

模木「…………」



281:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:49:48.48 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・アリーナ会場内/1階席】


伊出「なんか、すごい熱気だな……まだ始まってもいないのに」

宇生田「ええ。この席だとステージは遠いですが、大きなモニターがあるのでライブ中の二人の様子はあれで確認できますね」

伊出「うむ。後は公演終了後、速やかに出入口まで行けるよう、今のうちに動線を確認しておこう」

宇生田「はい」








【同時刻・アリーナ会場内/2階席】


相沢「しかし、2階席どころか3階席まであるとはなあ」

松田「そりゃあ、天下の765プロのライブっすからね。……はぁ~、これが仕事じゃなかったらなぁ……」

相沢「……お前、今日何しに来たか分かってるよな?」

松田「わ、分かってますって! 冗談ですよ! 冗談!」








【同時刻・アリーナ会場内/3階席】


レイ「……ここからだと、肉眼ではほとんどステージ上の細かな動きは確認できないな。モニターで観るしかない」

ナオミ「そうね。でも会場全体の様子は把握しやすいし、階段にも近いから、公演終了後はすぐに動けるわ」

レイ「そうだな。公演が終わり次第、他の観客にのまれないよう、速やかに例の扉の場所に向かおう」

ナオミ「ええ」

レイ「…………」

レイ(キラが例の二人のアイドルなのか、別の誰かなのかはまだ分からない)

レイ(だがいずれにしても……キラは悪)

レイ(だから私は、キラの逮捕に全力を尽くす)

レイ(それが正義)

レイ(FBI捜査官としては勿論……私個人としても)



282:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 01:55:39.52 ID:7ONm8XcO0

【同時刻・アリーナ会場内/ライブステージ裏】


(円陣を組んでいるアイドル・ダンサー一同)

春香「……やっと、ここまで来たね」

亜美「色々あったよね」

美希「……でも、楽しかったの」

貴音「今日は大きな舞台ですが」

真美「みんなでいれば、広くないよね」

やよい「あんなに頑張ったんだもん!」

あずさ「皆で夢、叶えましょう」

伊織「にひひっ。あんたたち、しっかりついてきなさいよね」

真「ボクだって負けないよ!」

雪歩「全力でファンの皆に届けようね」

千早「ええ。私達の歌」

響「ダンサーも全力でついてきてよ!」

ダンサー一同「はい!」

春香「よーし! じゃ、いくよ!」

春香「765プロ! ファイトー!」

アイドル・ダンサー一同「目指せ! トップアイドル!」

響「プロデューサー! 自分達のステージ、ちゃんと見ててよね!」

貴音「行って参ります」

P「ああ! 行って来い!」

P「…………」

(ステージ上へと続く階段を上がっていくアイドル一同)

春香「美希」

美希「春香」

春香「……頑張ろうね」

美希「……うん」








【同時刻・アリーナ会場内/1階・アリーナ席】


(ステージがスポットライトで照らされ、降りている幕にアイドル達のシルエットが映し出される)

L「……いよいよですね」

月「……ああ」



283:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/02(水) 02:00:21.78 ID:7ONm8XcO0









(―――『M@STERPIECE』の前奏が流れ始め、舞台の幕がゆっくりと上がっていく―――)











297:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:10:04.54 ID:a1FTt7Qy0

(幕が完全に上がり、総勢十二名のアイドルがその姿を現すと、場内から一斉に歓声が上がる)

(同時に、場内のモニターには曲名を示す『M@STERPIECE』の文字が映し出される)

(メロディーに乗ったアイドル達の歌声が会場内を満たしていく)

アイドル一同『――――――♪』

粧裕「す、すごい迫力……! やっぱりテレビで観るのとは全然違う……!」

清美「…………」

清美(これが、アイドル……)

月「……新曲、か……」

L「…………」

月「? 竜崎?」

L「え、ええ……そうですね。『M@STERPIECE』……ですか。初めて聴く曲ですね……」

月「…………?」

月(何だ? 竜崎の様子が……)

L「…………」

月(“竜崎ルエ”としての演技か? “アイドル・天海春香”のファンとしての……)

月(だが今、この場においてそれをする必要があるのは粧裕に対してだけ……しかし当の粧裕はステージ上のアイドル達に完全に目を奪われている。そこまでの必要性は……)

L「…………」

L(気のせい……ではない)

L(舞台の幕が上がってから、ずっと)

L(ステージ上から一つの視線が―――私という一点を捉え続けている)

L(その視線の主こそ)

L(私がずっと、追い続けてきた―――)




美希『――――――♪』




L「…………」

L(―――星井美希)




美希(……“竜崎ルエ”……)



298:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:15:47.83 ID:a1FTt7Qy0

(視線をLに向けたまま、『M@STERPIECE』を歌う美希)




美希『――――――♪』

L「…………」




美希(ねぇ。竜崎)

美希(覚えてる?)

美希(今から十日前。ミキと二人でこのアリーナに来た日)

美希(“約束”してくれたよね?)




―――ライブ、一生懸命頑張るから……ミキのコト、ちゃんと最後まで観ててね。約束なの。

―――はい。約束します。必ず最後まで全力で応援させて頂きます。




美希『――――――♪』

美希(“約束”……ちゃんと、守ってもらうからね)

美希「…………」

(曲が間奏に入ったタイミングで、美希はLから視線を外した)

L「…………」

L(妙だ。心がざわついている)

L(この感覚、前にもどこかで……)

L(! ……そうだ)

L(今から十日前。星井美希と二人でこのアリーナに来た日)

L(あの日、星井美希が涙を流している様子を目の当たりにした私は……言いようもない不安を覚えた)

L(今のこの感覚は、あの時の感覚と極めて酷似している)

L(そう。まるで―――)

L(魂の奥の奥。精神の根幹を、強く揺さぶられているかのような――……)

L「…………」



299:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:21:43.57 ID:a1FTt7Qy0

(間奏が終わると、美希は再びマイクを手に『M@STERPIECE』を歌い始める)

(その瞬間、再び)

(美希の目とLの目が逢う)




美希『――――――♪』

L「…………」




美希(ねぇ。竜崎)

美希(いや……“L”)

美希(今日まで、本当に色んなことがあったね)

美希(ミキがキミと初めて出会ったのは、ミキがデスノートを拾ってから二週間くらいが経った頃だった)

美希(“出会った”って言っても……あのトキはテレビの画面越しだったけどね)

美希(あの頃はまだ、お互いの顔も名前も知らなかった)

美希(それから暫く経ったある日)

美希(765プロの事務所に二人組の刑事さんが来た)

美希(あの時はもう駄目かと思ったの)

美希(でも)

美希(絶体絶命の状況で―――春香がミキを助けてくれた)

美希(それからまた少し時間が経って)

美希(ミキは、やっとキミに……“L”に出会えた)

美希(身代わりでも替え玉でもない、本物のキミに)




美希『――――――♪』

L「…………」



300:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:29:56.71 ID:a1FTt7Qy0

美希(生身のキミと初めて出会ったのは、東大の学祭の日だった)

美希(あの日キミは、春香のファンと嘘をついた)

美希(ミキも、春香からキミの本名を聞くまではすっかり信じてたっけな)

美希(今となっては懐かしいの)

美希(その後すぐ、二人で一緒にスイーツ屋さんに行ったね)

美希(あの時食べたいちごババロア、すごく美味しかったな)

美希(……ちなみにだけど)

美希(ミキね。パパ以外の男の人と二人で会ったのは、あのトキが初めてだったんだよ)

美希(つまりミキの初デートの相手はキミだったってワケ)

美希(そこんとこ、少しはコーエイに思ってほしいな。……なーんて、ね)

美希(そうそう。スイーツ屋さんの後、ミキの家に来てパパと会ったよね)

美希(あの時、竜崎もパパも必死に演技してたんだなって思うと……正直ちょっと面白いの)

美希(……ま、演技はお互い様だけどね)

美希(その後は、学祭の時に知り合ったメンバー……『竜崎と愉快な仲間達』で集まったりしたね)

美希(皆で『眠り姫』を観に行ったり、遊園地にも行った)

美希(そうそう。キミと二人で回ったお化け屋敷は結構スリリングだったよ)

美希(色んな意味で、ね)

美希(そして―――今から十日前。ミキはキミと二人きりでここに来た)

美希(今、ミキが立っているこの場所。アリーナのステージに)

美希(全く、こんなに短い間にミキと二回もデートできるなんて。キミはホントーに幸せ者だね。竜崎)

美希(……なんてね。あはっ)

美希(でも)

美希(どれもこれも、印象的な出来事だったけど)

美希(ミキは)

美希(今日を、“今”を―――キミにとって、最高の思い出にしてあげるの)

美希(竜崎)




美希『――――――♪』

L「…………」



301:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:38:27.74 ID:a1FTt7Qy0

美希(ねぇ。竜崎)

美希(キミはLで、ミキはキラだけど)

美希(今はそれも関係無いの)

美希(だって今、キミの目の前にいるのは―――)

美希(他の誰でもない)

美希(アイドル・星井美希だから)

美希(ねぇ。竜崎)

美希(今日は……いや)

美希(今日で)

美希(キミを、ミキのファンにしてあげる)

美希(春香の時みたいな“ニセモノ”じゃない)

美希(“ホンモノ”のファンに)

美希(ねぇ。竜崎)

美希(だから)

美希(キミにもっと見てほしいの)

美希(ミキのコト)

美希(そして)

美希(分かってほしいの)

美希(ミキの―――“全部”を!)




美希『――――――♪』

L「…………」




L(何だ? これは……)

L(私はこれまで、捜査の過程で星井美希のライブ映像を何十回……いや、何百回と観てきた)

L(しかし、今日のこのステージは……)

L(私が今まで観てきたどのステージの映像とも違う)

L(何が、と言われても明確には説明できないが――……)




美希『――――――♪』

L「…………」




L(奪われる)

L(あの瞳から―――視線を逸らせない)



390:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:11:55.85 ID:BTrwrj0k0

L(まさか)

L(魅了……されているというのか? この私が)

L(キラである、星井美希に……)

L(馬鹿な)

L(そんなことあるはずがない。いや……あってはならない)

L(だが)

L(今……私は)




美希『――――――♪』

L「…………」




L(星井美希の―――今日のこのステージが終わることなく、ずっと続けばいいのにと)

L(そう思っている)

L(そして同時に)

L(彼女を―――“アイドル・星井美希”を)

L(この先もずっと観ていきたいと)

L(そう願っているのだ)

L「…………」



303:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 15:54:12.02 ID:a1FTt7Qy0

(『M@STERPIECE』の後奏が終わるのと同時、ステージの中央部に一列に並んだアイドル達がゆっくりと両手を上げる)

(その瞬間、場内は一斉に歓声と拍手に包まれる)

(ステージ上の美希は、真っ直ぐにLを見つめている)




美希「…………」

L「…………」




(やがてステージの照明が消え、アイドル達の姿は見えなくなった)

粧裕「あーっ、最初っからすごかった~。あ、そうだお兄ちゃん! 私、何回かやよいちゃんと目が合ったよ! 多分気付いてくれてたと思う!」

月「……そうか。良かったな。粧裕」

粧裕「? お兄ちゃん? どうかしたの?」

月「……いや、何でもないよ。少し暑くてね」

粧裕「ああ、確かに暑いよね~。もう熱気ムンムンって感じ!」

月「…………」

月(何だ? これは……)

月(曲の途中から、妙な感覚に襲われた)

月(まるで、意識が丸ごとステージの方へ持っていかれそうな……)

L「…………」

月「……竜崎?」

L「えっ。あ、はい。何ですか? 月くん」

月「いや、何かボーっとしていたからさ。……さては案の定、春香ちゃんのステージ姿に見蕩れてたな? はは……」

L「え? あ、ああ……まあ、そうですね……」

月「…………?」

月(何だ? その要領を得ない返答は……)

月(今のは“竜崎ルエ”として自然な演技をすべき場面だろう)

月(もっとも今は粧裕にさえ怪しまれなければいいという状況……そしてその粧裕はライブに夢中で竜崎の様子など微塵も気に留めていない……ならばあえて気にする必要も無い……か)

月(……そうだな。それに今は僕も、ライブの方に集中すべき……)

月(勿論、それは星井美希と天海春香の動向を監視するためだが……)

月(それだけでなく……いや、それ以上に……)

月(『そうしなければならない』……そんな気がする)

清美「…………」

清美(す、すごかった……。これが“アイドル”……)

清美(平静を装うとか、普通にするとか……そんなことを意識する必要が全く無いくらいに)

清美(ただただ、ステージに没頭させられていたわ)

L「…………」

L(……星井美希……)



304:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 16:00:28.96 ID:a1FTt7Qy0

(五時間後・アンコール曲『虹色ミラクル』終了)

(歓声と拍手が鳴り止まぬ中、ステージの中央部に並んだアイドル達の中から春香が一歩前に出る)

春香『――皆さん! 本日は、765プロオールスターズライブ『輝きの向こう側へ!』にご来場いただき、本当に―――』

アイドル一同『ありがとうございました!!』

 ワァアアアアア…… パチパチパチパチ……

美希「…………」

(他のアイドル達が思い思いにファンに向かって挨拶をしている中、美希は無言のまま、客席の中の一点のみを見つめている)




美希「…………」

L「…………」




(美希はLを見つめたまま、ゆっくりと口を開いた)

美希『―――“キミは”ミキのファンになってくれたかな?』

L「!」

美希『……なーんてね。あはっ』

L「…………」

(美希の発言で、会場は一層の盛り上がりを見せる)

 ウォオオオオオオ!!!! ミキミキー!!!! ワァアアアアア……




美希「…………」

L「…………」




(互いに見つめ合う美希とL)

(やがてステージの照明が消えると、互いに互いの姿が見えなくなった)




美希(……竜崎……)

L(……星井美希……)



391:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:17:31.36 ID:BTrwrj0k0

(ほどなくして、アリーナライブの全公演終了を告げる場内アナウンスが流れ始める)

月「……終わったか。では、竜崎。早く……」

L「…………」

月「? 竜崎?」

L「え? あ、ああ……そうですね。すみません。月くん」

月「…………」

粧裕「あー、来て良かった~っ。もう私、今日の事は一生忘れない!」

清美「……本当、すごかったわね。五時間も経っていたなんて思えないくらい」

粧裕「そうそう、ホントあっという間って感じ! ……あー、これしばらく余韻抜けなさそう」

月「高田さん。粧裕。……悪いんだけど、竜崎が物販で買い忘れたグッズがあるらしいから、ちょっと今から一緒に行って来るよ」

清美「! ……ええ。分かったわ。じゃあ私と粧裕ちゃんは先に会場を出ておけばいいのかしら?」

月「ああ。アリーナを出てすぐのところに喫茶店があったはずだから、後でそこで合流しよう」

清美「分かったわ。それじゃあ先に行っておきましょうか。粧裕ちゃん」

粧裕「うん。じゃあまた後でね。お兄ちゃん。竜崎さん」

月「粧裕。くれぐれも迷子にならないように、ちゃんと高田さんについて行くようにね」

粧裕「こ、子ども扱いしないでよ! お兄ちゃん! 私もう中三だよ!?」

月「はは。ごめんごめん。……じゃあ、悪いけど粧裕をよろしくね。高田さん」

清美「……ええ。分かったわ」

月「さて……じゃあ僕達も行こうか。竜崎」

L「はい。付き合わせてしまってすみません。月くん」

(清美・粧裕と別れ、連れ立って歩き出すLと月)

粧裕「もしかして、お兄ちゃんもグッズ買うつもりなのかな……。だとしたら、やっぱりお兄ちゃんも隠れアイドルオタク……?」

清美「……竜崎さんの付き添いらしいから、それはないんじゃないかしら」

粧裕「そっかぁ。それによく考えたら、もう既にアイドルを二人も家庭教師で教えてるわけだし……わざわざ隠す意味もないか」

清美「…………」

清美(このタイミングで、夜神くんと竜崎さんが二人だけで別行動……)

清美(私は何も聞いていないけど……今から何かするつもりなのかしら?)

清美(……いえ。夜神くんが私に何も言っていないということは……余計な心配はしなくていいということ)

清美(なら今、私にできることは……夜神くんを信じて、夜神くんの言う通りにすることだけ)

清美(そう。それでいい。それが夜神くんと私の未来にとって最善の選択となるはずだから)

清美(今は、それで……)



392:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:20:14.51 ID:BTrwrj0k0

(アリーナ内の通路を移動しているLと月)

月「……ところで、竜崎。具体的なミーティングの場所はプロデューサーから聞くとしても、普通に考えて、おそらく関係者以外は入れないスペースだろうと思うが……一体どうやってそこまで潜入するつもりなんだ?」

L「…………」

月「竜崎?」

L「ああ……すみません。そういえばまだ潜入の方法を説明していませんでしたね」

L「ではとりあえず、これを首から下げておいて下さい」スッ

月「? これは?」

L「ワタリが偽造した会場内スタッフ専用の入館証です。これさえ身に着けておけば、誰にも怪しまれることなく関係者専用のスペースにも立ち入れます。なお関係者用扉の近くに張り込む予定になっているマーク・間木の二人にも既に同じものを渡しています」

L「また会場内のロックが掛かっている扉の暗証番号も全てワタリが事前に解読しています。これで本来スタッフしか開けられない扉も全て解錠できます」

月「なるほど。流石だな竜崎……いや、この場合はワタリか」

L「それから、月くん。本来の作戦では、月くんは伊田さん達と一緒に一般の出入口を見張ることになっていますので……携帯からでいいので、今から私がアドレスを送るページにパス入力の上ログインして下さい」

L「そのページからは、この会場の一般の出入口付近の防犯カメラの映像を観れるように設定しています。なので月くんは都度そちらの映像を確認しつつ、あたかも実際に現場に張り込んでいるかのような体で、伊田さん達と定期的に状況確認を行うようにして下さい」

月「分かった。色々とありがとう。竜崎」

L「いえ。あとついでにこれもお願いします」スッ

月「これは……」

L「はい。もうすっかりお馴染みとなったタイピン型の超小型マイクと……こちらは今日初めて使うものですが、超小型のウェアラブルカメラです」

L「これらの音声と映像は、いずれもワタリのPCに“のみ”リアルタイムで転送されるように設定しています」

月「! と、いうことは……」

L「……はい。すみません。ワタリにだけは、月くんが私に同行して二人の逮捕に向かうということを伝えています」

月「…………」

L「そうしておかなければ、私達が二人とも死神に殺されてしまうような事態になった場合……その証拠をどこにも残せなくなってしまいますので」

L「もっとも、その場合でも死神そのものの姿はカメラには映らないでしょうが」

月「……そうだな。分かった。僕は自分が現場に行ければそれでいい」

L「ありがとうございます。月くん」ピッ

(携帯電話を操作するL)

L「……ワタリ」

ワタリ『はい』

L「こちらのマイクの音声、カメラの映像はいずれも問題無く受信できているか?」

ワタリ『はい。いずれもクリアーに受信できています』

L「分かった。では引き続きよろしく頼む」

ワタリ『分かりました』

(ワタリとの通話を終えたL)

L「ではこれらは両方、月くんが身に着けておいて下さい」

L「もし死神が私達を殺しにかかるとした場合、普通に考えて“L”である可能性が高い私の方を先に殺そうとするでしょうから」

L「証拠は少しでも長く、多く押さえておきたい」

月「……ああ。分かったよ」スッ

(月はLからマイクとカメラを受け取ると、マイクをズボンのポケットに、カメラをシャツの胸ポケットにそれぞれ仕込んだ)



308:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:03:04.42 ID:a1FTt7Qy0

月「でも、ミーティングが行われる部屋の手前までは『スタッフ』で通れるとしても……いざその部屋に踏み込む際はどうするんだ? このまま顔を出して行くのか、無駄を承知で顔を隠すか……」
  
L「……死神の存在を考えれば、顔を隠して行くのは逆効果でしょうね。即座に星井美希・天海春香の敵とみなされて殺されてしまう危険がある」

月「だが顔を出して行くとしても、警察、あるいは“L”の手の者だと名乗ればどのみち同じ事……ならばこちらの素性は何も明かさずに……いや、待てよ。そもそも僕と竜崎が顔を出して踏み込めば、その時点で星井美希と天海春香……あと高槻やよいには確実に反応されてしまうな」

L「はい。なので、逆にそれを利用します」

月「逆に? ……ああ、そういうことか」

L「はい。“竜崎ルエ”は、天海春香がデビューして間も無い頃からずっと一途に彼女を追い続けてきた熱狂的なファン……そんな人物が『初めて天海春香のライブを生で観て、心の底から感動した。この感動と感謝の気持ちを彼女に直接伝えずにはいられなかった』などと発言したとしても……そこまで無理のある話ではありません」

月「強引に踏み込んできた理由としてはそれで通っても……現実的な対応としては別問題だろうな。普通に考えれば即退出、となるだろうが……」

L「しかし立場上、星井美希と天海春香は私達の存在を無視できません。その場に高槻やよいがいるのに『知らない人です』とは口が裂けても言えない」

月「確かに。天海春香と高槻やよいの家庭教師をしている僕は勿論、竜崎も学祭の時に高槻やよいと面識を持っているからな」

L「はい。とすれば、『元々の知り合い』というよしみで、ほんの少しの間だけ……星井美希と天海春香の二人を部屋の外に連れ出す、ということもあながち不可能ではないと考えています」

L「またプロデューサーも当然その場に居るでしょうが、彼は『天海春香の家庭教師である夜神月』および『その友人または知人とおぼしき“竜崎”なる人物』という存在は認識していても、それらが『“L”』あるいは『“L”の関係者』であるとは認識していない」

L「つまり、星井美希と天海春香の『元々の知り合い』である『夜神月』と『“竜崎”』がミーティングの場所に現れたところで、まさかそれが『“L”』あるいは『“L”の関係者』だとは夢にも思わない」

月「ああ。既に竜崎から『ライブ直後に二人の尋問を行う』と明確に伝えている以上、プロデューサーは“L”の手の者が正面から踏み込んでくるものと思っているだろうからな」

L「はい。なので、その場ではプロデューサーの存在は無視しても差し支えないでしょう」

L「そして私達は星井美希と天海春香の二人を残りの765プロダクション関係者から隔離し、人目につかない場所で逮捕する」

L「二人の身柄さえ押さえてしまえば後はどうとでもなりますから……速やかに他の捜査員全員を招集し、うち数名で星井美希と天海春香を捜査本部に連行……残りのメンバーで引き続きその他の765プロダクション関係者の監視を行う」

月「星井美希と天海春香の二人を外部からの連絡を完全に遮断できる状況下に置くまでの間、だな」

L「はい。765プロダクションの強固な団結力を考えれば当然の対応です」

月「そうだな。ではその流れでいこう。竜崎」

L「はい。よろしくお願いします。月くん」

L「……もっとも、これはあくまでも死神が最後まで私達に干渉しないとすれば、と仮定しての話ですけどね」

月「まあな。だがもうそこは開き直っていくしかないだろう。最終的にはどこかで僕達が二人の身柄を押さえなければならない以上、その際に死神がどんな行動に出るのかは予測しようがないわけだし」

L「そうですね」

月「……では、後はプロデューサーからの連絡を待つだけだな。といっても、ミーティングの時間と場所を伝えるだけ……そう時間が掛かるとも思えないが」

L「そうですね。ただ事前に牽制しておいたとはいえ、彼が私に連絡をしてこないという可能性も十分にありますから……あと数分待っても連絡が無いようなら、私の方から電話を掛けます」

月「ああ。そうだな」



309:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:15:52.39 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・アリーナ会場内/1階席】


伊出「……すごい迫力だったな。これがアイドルのライブか……」

宇生田「……ええ。場内もまだ興奮冷めやらぬ、といった様子ですね」

伊出「アイドルのライブとしては、非の打ち所が無い完璧なものだった。そして例の二人も――……素人目に見ても、他のアイドル達に勝るとも劣らない、極めて高いレベルのパフォーマンスを発揮していたように思う」

宇生田「はい。それだけ今日のこのライブに懸けていたんでしょうね。……勿論、だからといって監視を緩める理由にはなりませんが」

伊出「その通りだ。俺達は俺達の仕事をしよう。出入口に急ぐぞ」

宇生田「はい!」








【同時刻・アリーナ会場内/2階席】


相沢「すごい……これが765プロのライブか。これだけの数のファンが集まるのも分かる気がするな」

松田「…………」

相沢「おい、松田? ……じゃない。松井?」

松田「え、あ、はい。何すか? 相沢さ……いえ、相原さん」

相沢「何すか、ってお前……まさか、普通にファンとしてライブを楽しんでたんじゃないだろうな……?」

松田「ええっ!? や、やだなあ。そんなわけないじゃないっすか。ちゃんと例の二人に不審な動きが無いかどうか観てましたって。はは……」

相沢「……まあいい。行くぞ」ダッ

松田「あ、はい。……って、ちょ、ちょっと待って下さいよ。何もそんなに急がなくても……」

相沢「俺達は一旦外に出てから例の扉の所まで回り込まないといけないんだ。ちんたらしている暇は無いだろ」

松田「そ、それは分かってますけど。はぁ……もうちょっと、ライブの余韻に浸っていたかったのになぁ……」

相沢「……お前な」

松田「じょ、冗談ですって! 冗談! さあ、急ぎましょう! 相原さん!」ダッ

 ドンッ

「わっ」

松田「あ、す、すみません!」

「い、いえ……」

相沢「? どうした?」クルッ

松田「あ、大丈夫っす。どうもすみません、急いでいたもので……」ペコリ

「……いえ」

松田「本当、すみませんでした。それじゃ」ダッ

相沢「……ったく、気を付けろよ」

松田「はは……」

(早足でホールの出口に向かって歩いていく相沢と松田)

冬馬「何だ? 今の奴ら。妙に急いでたみたいだったけど……」

翔太「…………」



310:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:25:16.02 ID:a1FTt7Qy0

北斗「大丈夫か? 翔太。今、結構真正面からぶつかってたけど」

翔太「うん。それは全然大丈夫。だけど……」

北斗「?」

冬馬「何だよ?」

翔太「……いや、今の二人組、どこかで……あ!」

冬馬・北斗「?」

翔太「分かった! 相原刑事と松井刑事だ!」

冬馬「え?」

翔太「ほら、前に僕達に話を聞きに来た二人組の刑事さん!」

北斗「あー……そう言われてみれば、あんな顔だった……かな?」

冬馬「俺は一瞬過ぎて分からなかったな。大体、あの時と違って私服だったし……つかお前、そんなのよく分かるな」

翔太「まあね。でも何であの時の刑事さんがこんな所にいたんだろう?」

北斗「そりゃあ……単に765プロのファンだったんじゃないのか?」

冬馬「まあこれだけの数の人間があいつらを観に来てんだ。刑事が一人二人混じってても別におかしくはねぇだろ」

翔太「ま、それもそうか」

冬馬「…………」

北斗「冬馬?」

翔太「どうかしたの?」

冬馬「いや……改めて、さっきのライブを思い返してた」

北斗「冬馬」

翔太「冬馬君」

冬馬「―――流石、だ」

北斗・翔太「…………」

冬馬「あいつが……○○がプロデュースしただけのことはある。いや、こうでなきゃ面白くねぇ」

北斗「……ああ」

翔太「だね」

冬馬「あいつらの実力は本物だ。だからこそ俺達はあいつらに……○○が育てた765プロに勝つ」

冬馬「そして俺達が、真のトップアイドルになるんだ!」

北斗「ああ。そうだな。冬馬」

翔太「へへっ、燃えてきたね」

冬馬「おっし! ……北斗。翔太。そうと決まれば、早速帰ってレッスンすんぞ!」

北斗「ああ!」

翔太「そうこなくっちゃ!」

冬馬(見てやがれ! 765プロ。そして……○○)

冬馬(俺達は絶対に……お前らを超えてみせるからな!)



311:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:41:29.06 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・アリーナ会場内/3階席】


レイ「……すごい迫力だったな。まさか日本のアイドルのレベルがこんなに高いとは」

ナオミ「確かにね。……って、何が目的でここに来たのか忘れてないでしょうね? マーク」

レイ「勿論だ。早く移動しよう。照子。ここからが本当の勝負だ」

ナオミ「ええ。そうね」

レイ「…………」

レイ(しかし本当にあの二人のアイドルが……キラなのか?)

レイ(少なくとも今日のステージを観る限り、彼女らが日々犯罪者を裁いているなんて、とても……)

レイ(いや……今は余計な事を考えている時ではないな)

レイ(キラが誰であれ、キラを捕まえることは正義)

レイ(ならば私は、その正義の実現に全力を尽くすだけだ)

ナオミ(……『星井美希』と『天海春香』……)

ナオミ(今日のステージを観る限り、この二人のアイドルとしての実力は紛れも無く本物だった)

ナオミ(アイドルとして完全なる成功を収めているこの二人が……本当にキラなのだとしたら)

ナオミ(そして今日、この二人が“キラ”として逮捕されるのだとしたら――……)

ナオミ(この事件は日本史上……いえ、世界史上……最も哀しい事件になるのかもしれないわね)

ナオミ「…………」








【同時刻・アリーナ会場内/3階・観客席】


小鳥「うぅ……本当に皆、よくここまで……。これはもう、間違い無く765プロ史上最高のライブでしたね! ね? 社長」

社長「…………」

小鳥「しゃ、社長?」

社長「え? あ、ああ……何だい? 音無君」

小鳥「何だいって……社長、今完全に魂抜けてましたよ」

社長「はは……すまんすまん。アイドル諸君の素晴らしい成長ぶりにすっかり感極まってしまってね。もう……何も言葉が出ないよ」

小鳥「社長……」

善澤「確かにそれは同感だな」

小鳥「善澤さん」

善澤「本当に、素晴らしいライブだった。ここに至るまでの苦労を知っているだけになおさらそう感じたよ」

小鳥「……そうですね。本当、そうですね……」

(目元をそっと指で拭う小鳥)

社長「音無君……」

小鳥「あはは……やだわ、もう。年取ると涙脆くなっちゃって。……さあ、じゃあそろそろ皆の所へ行きましょうか」

社長「うむ。そうだな。早く皆に労いの言葉を掛けてやらねば」

善澤「私も一緒に行っていいかい? 是非、アイドルの皆のライブ直後の感想を記事にさせてもらいたいんだが」

社長「ああ、勿論だとも。存分に取材してくれたまえ。では行こう。我が事務所の誇る、素晴らしいアイドル諸君のもとへ!」



312:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:49:57.48 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・アリーナ会場内/3階・関係者席】


天海母「いやぁ、すごかったわねぇ。今まで観たどのライブよりも迫力があったわ」

菜緒「本当……すごかったですね。私、ちょっと泣いちゃった」

星井母「…………」

菜緒「ママ?」

星井母「え? ああ、うん。そうね……本当、すごかったわ」

天海母「星井さん。菜緒さん。良かったらこの後、一緒に控室に行ってみませんか? 多分会えると思いますよ」

菜緒「あ、いいですねそれ! 他のアイドルの子達とも話してみたいし」

星井母「……いえ、折角ですけど私はやめときます」

天海母「あら、そうですか?」

菜緒「えー? 何で? ママ」

星井母「今は美希も疲れてるでしょうし……やめておいた方が良い気がするの」

天海母「そう? ならやめておきましょうか。また家で会えますしね」

菜緒「ちぇっ。ざーんねん」

星井母「別に菜緒一人で行って来てもいいわよ」

菜緒「んー。まあいいや。今頃、皆で反省会とかしてるのかもだしね」

天海母「じゃあこの後、三人で軽くお茶でもしていきません? 確か、ここを出てすぐのところに喫茶店がありましたし」

星井母「ええ。それはいいですね」

菜緒「わーい! 私、ライブの感想会やりたいです!」

天海母「そうね。心ゆくまで語り合いましょう」

菜緒「えへへ、楽しみ~」

星井母「……それじゃあ、行きましょうか」

星井母「…………」

星井母(お疲れ様。美希)



313:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 17:57:45.62 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・キラ対策捜査本部のあるホテルの一室】


星井父「…………」

星井父(時計が無いから正確な時刻は分からないが……外の太陽の傾き具合からして、ちょうどライブが終わった頃くらいか)

星井父(こちらから何か伝える時は、この机の真上にあるカメラに向かって……だったな)

星井父「……局長」

 カチッ

(何かのスイッチが入る音がした後、室内のスピーカーから総一郎の声が聞こえる)

総一郎『……何だ?』

星井父「美希は元気にしていますか?」

総一郎『……答えられない』

星井父「ライブはもう終わりましたか?」

総一郎『……答えられない』

星井父「私はまだ……美希の父親でいられますか?」

総一郎『……答えられない』

星井父「分かりました。どうもありがとうございました」

総一郎『…………』

 カチッ

(スイッチが切れる音がした後、部屋にはまた静寂が戻った)

星井父「…………」

星井父(美希)

星井父(今の俺は、もうお前の父親とは名乗れないのかもしれない)

星井父(それだけの事をしてしまった人間だからな)

星井父(でも)

星井父(でもな。美希)

星井父(それでも、何があっても……お前は、俺の……パパの娘だ)

星井父(たとえお前が、本当に――……)

星井父「…………」



314:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 18:26:39.53 ID:a1FTt7Qy0

【十五分後・アリーナ/控室】


(プロデューサーと律子が、ステージから戻ってきたばかりのアイドル・ダンサー一同と向かい合っている)

P「皆。ついさっき、舞台裏でも言ったばかりだが……もう一度、改めて言わせてくれ」

P「今日は本当に、本当に――――最高のステージだったぞ!」

P「本当に……お疲れ様」

アイドル・ダンサー一同「はい! ありがとうございました!」

P「春香」

春香「! はい」

P「……お疲れ様。リーダーとして、最後までよく頑張ってくれたな」

春香「……はい! ありがとうございます! プロデューサーさん!」

律子「本当によく頑張ったわね。皆。もう何も言うことは無いわ」

亜美「亜美達こそ、ありがとうね。りっちゃん」

あずさ「全部、律子さんとプロデューサーさんのお陰です。本当にありがとうございました」ペコリ

律子「亜美。あずささん……」

伊織「ほら、律子。約束通り、私の胸で泣いてもいいわよ?」

律子「ば、バカっ。……でも」

伊織「ん?」

律子「……ありがとね。伊織」

伊織「……ん」

美希「…………」

 ガチャッ

(ドアが開き、社長、小鳥、善澤が姿を見せる)

社長「やあ、皆。お疲れ様」

P「社長。お疲れ様です」

アイドル・ダンサー一同「お疲れ様です!」

小鳥「最高のライブだったわ! 皆、グッジョブよ!」グッ

善澤「本当にお疲れ様だったね。皆。後でまたゆっくり話を聞かせておくれ」

P「音無さん。善澤さん。どうもありがとうございます」

社長「いやはや、それにしても……偶然とはいえ、昨年のファーストライブの日と同じ、この8月1日に……またもこのような素晴らしいライブが観られるとは。本当に感無量だよ」

小鳥「去年のファーストライブも、それはそれですごかったですけどね。善澤さんに記事にして頂いたお陰もあって、皆が一気に売れるきっかけになりましたし」

善澤「いや何、私は大したことはしていないさ。皆の実力あっての事だよ」

春香「…………」



315:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 18:33:28.11 ID:a1FTt7Qy0

社長「それでは、皆。もうプロデューサーや律子君からも言われた事だろうとは思うが……改めて、私の方からも言わせてくれ」

社長「今日のアリーナライブの成功、本当におめでとう!」

アイドル・ダンサー一同「はい! ありがとうございます!」

社長「天海君」

春香「えっ。あ、はい」

社長「ライブのリーダーとして、今日までよく頑張ってくれたね。本当にご苦労様だった」

春香「い、いえ、そんな。私なんか、何も……ただ、皆が一生懸命やってくれたお陰で……」

社長「確かに、今日のライブの成功は皆の頑張りあってのものだ。その事自体は間違いない。でも、やはり私は……君がリーダーを務めてくれたからこそ、今日の結果につながったのだと思うよ」

春香「社長さん……」

社長「だから改めて言わせてくれ。リーダー、お疲れ様。天海君」

春香「……はい! ありがとうございます!」

美希「…………」

P「よし、じゃあこの後は全員でミーティングだ。律子、皆の着替えが終わったら連絡してくれ」

律子「分かりました」

P「では社長、善澤さん。俺達は一旦外に」

社長「うむ」

善澤「どれ、じゃあ私は今のうちに一服させてもらうとするかな」

P「…………」

P「……“ミーティング”……?」

社長「? どうかしたのかね?」

P「……いえ。何でもないです。では出ましょう」

社長「? うむ」

 ガチャッ バタン

P「…………」

P(何だ?)

P(何かしなければいけなかったような気がするのに……思い出せない)

P「…………」



316:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 18:47:29.72 ID:a1FTt7Qy0

【アリーナ/控室】


(プロデューサー、社長、善澤が退出し、部屋に居るのはアイドル・ダンサー一同、律子、小鳥だけとなっている)

(アイドル・ダンサー一同は着替えながら、思い思いに談笑している)

真「間違いないよ! あれは絶対、センター試験の会場でボクの隣の席だった超イケメンの王子様! ほとんど最前の席だったから見間違えっこないもん!」

亜美「えー、そんなヒトいたのー? なら言ってよまこちんー! 亜美もイケメン王子様見たかったのにー!」

真美「そうだそうだー! 独り占めなんてずるいぞー!」

真「あはは……ごめんごめん。ライブ中に皆の集中を乱したら悪いと思ってさ。でも、まさかボク達のライブに来てくれてたなんて……あ! もしかしてセンター試験の時にボクの事に気付いてて、それでボクを追っかけてここまで来てくれたのかな!?」

亜美「あ、ああ……うん。そうかもね。なんていうか、乙女モード入ってるまこちんはいじりにくいな……」

真美「でもいいな~。真美もイケメンの王子様にエスコートとかされたいな~」

伊織「もう。何ませたこと言ってんのよ」

亜美「そんなこと言ってー、いおりんだってイケメン王子様見たかったーって思ってるんでしょ?」

伊織「んなぅっ!? そ、そんなこと思ってないわよ!? ねぇやよい?」

やよい「へっ?」

真美「なんでそこでやよいっちに……」

亜美「困ったらとりあえずやよいっちに振って誤魔化すいおりんなのであった」

伊織「べ、別に誤魔化してないわよ!」

やよい「……んー。私もそんな人がいたなんて全然気付かなかったけど……でもいたなら見てみたかったかも」

伊織「え? そ、そうなの? やよい」

やよい「うん。だってすごくかっこいい人なんでしょ? それならふつーに見てみたいかなーって」 

伊織「あ、あらそう……まあ、それは……そうかもね。うん」

亜美「あはは。案外やよいっちの方がいおりんよりオトナだったりしてね♪」

真美「だね♪」

伊織「も、もう! 何なのよっ!」

 アハハ……

律子「……男性陣がいなくなった途端、ガールズトーク全開ですね……」

小鳥「まあたまにはいいんじゃないですか? アイドルとはいえ、皆、お年頃の女の子なんですし」

律子「そうですね。皆、同年代の子が当たり前のようにしていることもなかなかできませんからね」

小鳥「ええ。それに今日のライブの成功で、これからまた一層忙しくなるでしょうから……せめて今日くらいは、ね」

律子「はい」



317:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 19:02:15.63 ID:a1FTt7Qy0

真「ねぇねぇ、美希は気付いてた? 観客席の王子様!」

美希「……んー。ミキも気付かなかったな」

亜美「流石ミキミキ、そんじょそこいらのありふれたイケメン君なんて眼中にナシ、ってカンジですかな?」

美希「別にそういうわけじゃないけど」

真「亜美。あの王子様は確かにイケメンだけど、そんじょそこいらにありふれてなんかいないよ」

亜美「わ、分かったよまこちん。分かったから瞳孔開くのやめて」

伊織「ていうか美希の場合、単にマイペースってだけでしょ」

美希「でこちゃんはもうちょっと自分に正直になった方がいいって思うけど」

伊織「わ、私は十分正直よっ! っていうかでこちゃん言うなあ!」

真美「でも実際、ミキミキのルックスに釣り合う男の人なんてそうそういないよね~」

亜美「うんうん。どうしてもミキミキの方が目を引いちゃうもんね」

やよい「今日のライブも、美希さんすっごくキラキラで……私、舞台の袖で観てて感動しちゃいました!」

真「確かに、美希はいつもすごいけど……今日は一層際立っていた感じがしたね。去年のファーストライブの時もすごかったけど、正直あの時以上だったかも」

真美「うんうん。元々のルックスの良さもさることながら、なんかこう、人を惹きつける力がすごいんだよね。ミキミキって」

亜美「あー、それチョーわかる! 亜美も、一緒にステージに立ってる時はついついミキミキの方に目がいっちゃうもん!」

美希「……ありがとうなの。皆」

美希「皆からそんな風に言ってもらえると……ミキも嬉しいな」

伊織「あら。あんたにしてはやけに殊勝な事言うじゃない。……まあ確かに、今日の美希のパフォーマンスはまあまあだったけど……」

亜美「おっ! 出ました! いおりんのツンデ……」

伊織「あーもう! それはもういいってば!」

美希「……あはっ。でこちゃんも、ありがとうなの」

伊織「う……うん」

真美「おやおや~? いおりんってば、お顔が赤いですぞ~?」

亜美「さ~て~は~、ミキミキから素直にお礼を言われて照れちゃったのかな? かな?」

伊織「べ、別に照れてないわよっ! ……美希も美希で、今日に限って変に素直になるんじゃないの。調子狂うでしょ」

美希「え~。じゃあミキもでこちゃんみたいにひねくれた方がいいの?」

伊織「そういう意味じゃなくて……っていうか、別に私はひねくれてないでしょ! あとでこちゃん言うなって言ってるでしょ! もう!」

 アハハ……

美希「でも……良かったね。真くん。憧れの王子様にまた会えて」

真「あはは……まあね。でも会えたっていっても、ボクが一方的に気付いたってだけで……その人が本当にボクを追いかけて来てくれたのかどうかなんてわかんないんだけどね」

美希「そうだね。でも、そうだとしても……ミキ的には、今日、真くんがその人とまた巡り合えたコトには意味があるって思うな」

真「巡り合えたコトの……意味?」

美希「うん。だってこの先も……真くんの人生はずっと続いていくんだから」

真「……え?」

美希「だから今日、真くんがその人に出会えたことは偶然かもしれないけど……それはきっと、意味のある偶然だったの」

美希「ミキは、そう思うな」

真「美希? それ、どういう……?」

美希「……なーんて、ね。ちょっとソレっぽいこと言ってみたかっただけなの。あはっ」

真「な、なんだよ、もう。びっくりしたじゃんか。はは……」

美希「……あはは。ごめんねなの」

春香「…………」



318:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 19:15:44.68 ID:a1FTt7Qy0

千早「春香」

春香「千早ちゃん」

千早「もう皆から何回も言われていることだと思うけれど……それでも改めて言わせてちょうだい」

千早「ライブのリーダー、本当にお疲れ様」

春香「……ありがとう。千早ちゃん。といっても、本当に何も大したことはしてないんだけどね」

千早「そんなことないわ。さっき社長も言っていたけど、春香がリーダーを務めてくれたからこそ……今日の結果があるんだって思うもの」

春香「千早ちゃん……ありがとう」

春香「千早ちゃんにそう言ってもらえると……私、本当に嬉しい」

千早「春香……」

春香「…………」

響「春香」

春香「ごめん誰?」

響「初手から辛辣過ぎるだろ!」

春香「あはは。ごめんごめん。響ちゃん。最近ちょっとこのノリやってなかったから、つい」

響「ついって! ……もう。いいか? 春香。今から自分が良いこと言うからちゃんと聞けよ! 分かった?」

春香「うん。分かったよ。響ちゃん」

千早「我那覇さん……自分で『良いこと』って言ってしまうのね……」

響「えーっと……おほん。自分も、春香がリーダーで良かったって思うぞ! なんだかんだで、やっぱり春香が一番よく自分達の事を分かってくれてるって思うからな!」

春香「ありがとう響ちゃん。たとえ嘘でも嬉しいよ」

響「いやホントだからね!? 確かに多少胡散臭い流れになってしまってはいたけど!」

春香「あはは。ごめんごめん。大丈夫。ちゃんと分かってるって」

春香「……ありがとうね。響ちゃん」

響「う、うん……まあ、ちゃんと分かってくれてるんならいいんだけどさ……」

春香「ふふっ。響ちゃんは本当にかわいいなあ」

響「も、もー! 春香はまたすぐそうやって自分をバカにするー!」

貴音「同意します。春香」ズイッ

春香「わっ。貴音さん」

響「貴音。いい加減、その自分の背後からずぃっと出て来る登場の仕方やめないか?」

貴音「そういうわけにはまいりません。私は一日一回は必ず響の背後を取ることを日課としていますので」

響「なんて嫌な日課なんだ」

貴音「つまりそれだけ響は可愛いということです」

響「何がつまりなんだ……」

貴音「そして春香。此度のリーダーの大役、誠にお疲れ様でございました」

春香「貴音さん」

貴音「今日に至るまでに様々な不安や重圧があったことでしょう。しかし貴女は見事にそれらに打ち克ち、今日のライブを成功へと導いた」

貴音「真、大義でありました」

春香「貴音さん……。そんな、私は何もしてないですよ」

春香「ただ、皆を信じて今日まで進んできただけです」

貴音「その謙虚さもまた、貴女の掛け替えのない魅力です。皆が何も迷わず、惑わず、貴女と共に歩くことができた所以でありましょう」

春香「……ありがとうございます。貴音さんにそこまで言って頂けると、私……本当に嬉しいです」



319:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 20:38:54.16 ID:a1FTt7Qy0

雪歩「春香ちゃん」

春香「雪歩」

雪歩「もう何番煎じか分からないけど……私からもいいかな?」

春香「もちろん! 雪歩の淹れてくれるお茶は何番煎じでも美味しく飲めるからね!」

雪歩「ふふっ。ありがとう。春香ちゃん。今日はお茶じゃないけどね」

雪歩「えっと……私もね。春香ちゃんがリーダーで良かったって思う」

雪歩「春香ちゃんが一度もぶれたりすることなく、真っ直ぐ前を向いて進んでくれたからこそ……私達は辿り着けたんだよ」

雪歩「光の海の、その先へと」

春香「雪歩……」

雪歩「うん」

春香「雪歩はやっぱりポエマーだね」

雪歩「はうっ!? ……わ、私、そんな……あ、穴掘って埋まってますぅ~!」

響「うわぁ! 雪歩駄目だぞ! アリーナに穴なんか掘っちゃ!」

春香「あっはっは」

響「春香も呑気に笑ってないの!」

春香「……ありがとうね。雪歩」

雪歩「! ……う、うん。えへへ……」

あずさ「春香ちゃん」

春香「あずささん」

あずさ「乗り遅れちゃったかもだけど、私からも言わせてもらうわね」

春香「はい。お願いします!」

あずさ「私も……皆の舵を取ってくれたのが春香ちゃんで良かったと思うわ」

あずさ「伊織ちゃんにも言われたことだけど……もしこれが私だったら、皆を漂流させちゃってたかもしれないし」

春香「あ、あはは……」

あずさ「ともあれリーダー、お疲れ様。しばらくはゆっくり休んでね」

春香「ありがとうございます。あずささん。……でも」

あずさ「え?」

春香「ゆっくり休んでなんか……いられません」

あずさ「春香ちゃん」

春香「だって私達はこれからも――……さらなる高みを目指して、進んでいかないといけませんから」

あずさ「……そうね。こんなところで満足していたら駄目よね。さらなる高みへ、か……ふふっ。じゃあ私もまだまだ頑張らないといけないわね」

春香「はい! これからも皆で一緒に頑張っていきましょう!」

あずさ「ええ。そうね。春香ちゃん」

春香「……皆で、一緒に……」

春香「…………」

千早「……春香」

春香「ん? 何? 千早ちゃん」

千早「…………」

春香「…………」

千早「……いえ、ごめんなさい。……なんでもないわ」

春香「そう? ならいいけど」

千早「…………」



320:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 20:49:05.35 ID:a1FTt7Qy0

千早(春香の様子……やっぱりどこか、いつもと違うような……)

千早(そういえばさっき、真と話している時の美希の様子にも、少しいつもと違う雰囲気を感じたけど……)

千早(でも……何故かしら)

千早(本当なら、気にしないといけない事のはずなのに……『今はこれでいい』……そんな気がする)

千早「…………」

美希「……春香。そろそろ……」

春香「美希。……うん。そうだね」

響「? 何だ? どこか行くのか? 二人して」

春香「うん。私と美希の共通の知り合いの人が観に来てくれてたから、ちょっとご挨拶にね」

美希「ちゃんとミーティングまでには戻って来るから、心配ムヨーなの。あふぅ」

響「そっか。ならいいけど」

千早「……春香。美希」

春香「? 何? 千早ちゃん」

美希「どうしたの? 千早さん」

千早「……いえ」

千早「―――なんでもないわ。また、後でね」

春香「うん。……また、後で」

美希「じゃあね、なの。……千早さん」

 ガチャッ バタン

(春香と美希が出て行ったドアを見つめている千早)

千早「…………」

千早(今、私は何かを言おうとした……?)

千早(あるいは、出て行こうとする春香と美希を引き留めようとした……?)

千早(……分からない。分からないけど……ただ)

千早(今は、何も言わずに二人を見送るべきだと……そう思った)

千早(それが、最も良いことのように思えたから……)

千早(……そうよ。これで良かったのよ)

千早(だって二人は、すぐにまたここに戻って来るんだもの)

千早(だから、これで……)

千早「…………」



322:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 21:10:37.56 ID:a1FTt7Qy0

(アイドル達同様に歓談しているダンサー一同)

奈緒「いや~、ホンマすごかったな~。あのお客さんの数! もう端から端までびっしり埋まってたやん」

美奈子「うん。ホントすごかったね。あとライブ中に天海さんも言ってたけど、本当に一番後ろの席までちゃんと見えたね。お客さんの顔」

星梨花「見えました見えました! わたし、もうすっごく感動しちゃって……今日のステージの事は、一生忘れません!」

杏奈「杏奈も……まだ、夢の中にいるみたい……ねむい……」

百合子「ありゃりゃ。杏奈ちゃんはもう完全にスイッチ切れかな。でもまだミーティングがあるんだから寝たらだめだよ?」

可奈「…………」

志保「お疲れ様。可奈」

可奈「志保ちゃん。うん。お疲れ様」

志保「次は私達がステージの主役を張れるよう、これからも頑張っていきましょう」

可奈「……うん! そうだね。一緒に頑張ろう!」

奈緒「おーいそこの熟年夫婦~。打ち上げの日程決めるで~」

志保「だっ、誰が熟年夫婦ですか! ……って、打ち上げの日程って……今日じゃないんですか?」

奈緒「ああ、全体のはな。ただほら、せっかく私らも長いことこのメンバーでやってきたんやから、ダンサーチームだけでもまた別に打ち上げしてもええんちゃうかって話してたんや」

美奈子「ちなみに場所はもう私の実家の店で決まってるから、後は皆のスケジュール次第ってこと!」

志保「ああ、なるほど……そういうことでしたか」

星梨花「確か、美奈子さんのおうちって中華料理屋さんなんですよね? わたし、すごく楽しみです!」

美奈子「あ、あはは……。確かにうちは中華料理屋だけど、星梨花ちゃんのおうちがよく行くようなお店とは大分雰囲気違うと思うよ……」

星梨花「? そうなんですか?」

奈緒「まあ店構えはいわゆる町の定食屋さんいう感じやけど……味はそんじょそこらの三ツ星店にも引けを取らへんで。ホンマごっつ美味いからな」

星梨花「そうなんですね! 楽しみです!」

美奈子「な、奈緒ちゃん。そんなにハードル上げないで……」

奈緒「にしし。でもホンマのことやん?」

杏奈「杏奈も……楽し……み……ぐぅ」

百合子「あーっ! 杏奈ちゃん! だから寝ちゃダメだって! 起ーきーてー!」

志保「……ふふっ。本当にもう、ライブが終わったばかりとは思えないくらい、皆元気ね。……ね? 可奈」

可奈「…………」

志保「? 可奈? 何を見て……?」チラッ

(志保が可奈の視線の先を追うと、ちょうど控室を出て行くところの美希と春香の後ろ姿が目に入った)

志保「天海さんと星井さん……どこへ行くのかしら? もうすぐミーティングなのに……」

可奈「……志保ちゃん」

志保「え?」

可奈「私、ちょっと行って来る」ダッ

志保「!? か、可奈? 行くってどこに?」

可奈「ごめん、すぐ戻るからー!」

(言いながら、可奈は美希と春香の後を追うように控室を出て行った)

志保「…………?」



323:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 21:22:06.72 ID:a1FTt7Qy0

【アリーナ/控室前の通路】


(二人、肩を並べて無言で歩を進める美希と春香)

美希「…………」

春香「…………」

可奈「星井先輩! 天海先輩!」

美希・春香「!」クルッ

(背後から聞こえた可奈の声に、思わず振り向く美希と春香)

美希「……可奈」

春香「どうしたの? 可奈ちゃん」

可奈「あ、その、えっと……」

可奈「…………」

可奈(な、何か……何か言わなきゃ……)

可奈(でも……何でだろう?)

可奈(何も言葉が、出てこない)

可奈「…………」

美希「―――ああ、そうだ。ちょうどよかったの」

可奈「え?」

美希「『確認』するの、忘れてたの」

可奈「……『確認』?」

美希「ねえ、可奈」

美希「ミキと春香……トップアイドルになれたかな?」

可奈「――――!」

春香「…………」




―――ちゃ~んと、その目で見ててね。ミキと春香が―――トップアイドルになるトコロ。




可奈「――――はい!」

可奈「星井先輩も、天海先輩も……間違い無く、トップアイドルです!」

美希「……そっか。ありがとう。それを聞いて安心したの。……ね? 春香」

春香「うん。……ありがとね。可奈ちゃん」

可奈「……いえ……」

可奈(…………?)

可奈(何だろう?)

可奈(この……気持ちは……)

可奈「…………」



393:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:22:21.87 ID:BTrwrj0k0

美希「……じゃあ、可奈。ミキ達、今からちょっと行くとこあるけど……またすぐに戻って来るから」

可奈「え、あ……はい」

春香「また後でね。……可奈ちゃん」

美希「じゃあね。可奈。……また、後で」

(美希と春香は可奈に背を向けると、再び前を向いて歩き始めた)

可奈「…………」

可奈(あれ? なんだろう)

可奈(今すぐ、星井先輩と天海先輩を呼び止めないといけないような、そんな気がするのに……)

可奈(なぜだか、上手く声が出せない)

可奈(なんで……?)

可奈(……いや、ダメだ。今、今二人に声を掛けないと――……)

可奈(もう、この二人には二度と会うことができないような……そんな気がする)

可奈「あ、あのっ!」

美希・春香「!」クルッ

可奈「あ、わ、私……」

美希・春香「…………」

可奈「私、ずっと待ってますから! お二人が戻って来るのを、ずっと、ずっと……!」

可奈「……だから」

可奈「必ず、また戻って来て下さいね……?」

美希「もちろんなの。可奈」

春香「大丈夫だよ。可奈ちゃん。そんなに心配しなくても、すぐに戻って来るから」

可奈「……はい! わかりました!」

(美希と春香は、可奈に軽く手を振ると、再び前を向いて歩き始めた)

(やがて二人が通路の角を曲がると、その姿は完全に見えなくなった)

(可奈はそれを見届けた後、パンダのぬいぐるみを二つ、ズボンのポケットから取り出すと、それらを胸の前で握りしめた)

可奈「…………っ!」ポロポロ

(可奈の両の目から涙が零れ落ちる)

志保「……可奈? どうしたの?」

可奈「! ……志保ちゃん? なんで……」

志保「いや、部屋を出て行くときの可奈の様子が気になったから……って、可奈? あなた……泣いて……?」

可奈「は、はれっ? お、おかしいな。何で私、泣いてるんだろう……?」

可奈「星井先輩も、天海先輩も……すぐにまた戻って来てくれるのに」

可奈「だから何も、悲しいことなんか……無いはずなのに」

可奈「……ね? そうだよね? 志保ちゃん」

志保「……可奈……」

可奈「お、おかしいね? あ、あは……あはははは……」

志保「…………」ギュッ

(可奈の身体を抱きしめる志保)

可奈「ひっ、くっ……う、うぁあああああああん」

志保「……よしよし」

志保「何があったのかは分からないけど……今は好きなだけ泣いたらいいわ」

可奈「し、しほちゃ……あ、ありが、と……う、ひぐっ……うわああああああん」

(その後十分ほど、可奈は志保に抱きしめられながら泣き続けた)



325:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 22:02:43.39 ID:a1FTt7Qy0

【アリーナ/通路】


 ガチャッ

(男子トイレから出てきたプロデューサー)

P「……ん? 美希と春香じゃないか」

美希「あ、プロデューサー」

春香「お疲れ様です。プロデューサーさん」

P「ああ、お疲れ……って、どこ行くんだ? もうすぐミーティングだぞ」

美希「ちょっと知り合いの人のところに挨拶しに行くの」

春香「ちゃんとミーティングまでには戻りますから」

P「……そうか。それならいいけど。くれぐれも遅れないようにな」

美希「はいなの」

春香「任せて下さい」

P「…………」

美希「? プロデューサー?」

春香「プロデューサーさん? どうかしましたか?」

P「……美希。春香」

美希「? はいなの」

春香「何ですか?」

P「……俺は、忘れないからな」

P「今日の、このステージを」

美希「! プロデューサー……」

春香「プロデューサーさん……」

P「……じゃあ、早く用事を済ませてこい。待ってるからな」

美希「うん!」

春香「待っててくださいね! 約束ですよ! 約束!」

P「……ああ。約束だ」

(プロデューサーと別れ、再び通路を歩き始める美希と春香)

P「…………」

P(何故今、俺はあんなことを……?)

P(いや、だが今……そう言わないといけないような……そんな気がしたんだ)

 ピリリリッ

P「……着信?」

P「……『通知不可能』……?」

P「……まあ、いいか」

P「今は気に留めるようなことじゃない」

P「そんな……気がする」

P「…………」ピッ

(プロデューサーは着信には応答せず、そのまま携帯電話の電源スイッチを押した)



327:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 22:26:57.68 ID:a1FTt7Qy0

【同時刻・アリーナ/関係者用通路】


L「……切られました」ピッ

月「何?」

L「まあ予想しえた事態ではあります。プロデューサーとしての彼がそうさせたのか、個人としての彼がそうさせたのかまでは分かりませんが……」

月「両方……だろうな」

L「ですね」ピッ

L「……ワタリ。プロデューサーと連絡が取れない。防犯カメラの映像に彼の現在の動向は映っていないか?」

ワタリ『はい。プロデューサーはライブ終了後、アイドル達と共に控室に入ったところまでは確認できていますが、その後は特に何も……。朝日さんにも監視してもらっていますが、私と同じ認識です』

L「そうか。……星井美希と天海春香の携帯電話の位置情報は?」

ワタリ『いずれも会場内のままです』

L「……分かった」

月「携帯電話だけならあえて置いて行くということもありえるな」

L「そうですね。この前の時とは違い、最初から二人で行動できるわけですから……カモフラージュのためにあえて置いて行くというのは十分ありえます」

L「一応、会場内の捜査員にも確認を取っておきましょう。私は関係者用扉付近を張っている相原さん達とマーク達に聞きますので……月くんは一般の出入口付近を張っている伊田さん達の方をお願いします」

月「分かった」ピッ

月「……もしもし。伊田さんですか? 月です。現在、一般の出入口を少し離れた場所から見張っています。そちらはいかがですか?」

月「ええ。……はい。……はい。……そうですか」

月「……分かりました。では、引き続きよろしくお願いします」ピッ

月「竜崎。今のところ、一般の出入口付近では星井美希、または天海春香とおぼしき人物の姿は見られていないとのことだ。事実、僕も先ほどから携帯で同所付近の防犯カメラの映像を観ているが……それらしき人物は見ていない」

L「分かりました。関係者用扉付近も今のところ無いそうです」

月「そうか。ただカメラの映像は定点固定だし、会場内は帰ろうとする観客の群れで非常に混み合っている……正直、見落としが無いとは言い切れないな」

L「……そうですね。ただ、それぞれの出入口付近で張っている六名に加え、防犯カメラの映像自体はワタリも朝日さんも観ています。その全員が見過ごすということは……」

月「……そうだな……」

 ピリリリッ

L「はい」ピッ

ワタリ『竜崎』

L「? どうした? ワタリ」

ワタリ『今、現在の映像と並行して少し前の時間の映像も観ていたのですが……今からほんの数分前、控室からほど近い通路で星井美希・天海春香の二人がプロデューサーと接触……一分ほど会話した後、別れた様子を確認しました』

L「!」

ワタリ『どうやら三人とも、いつの間にか控室を出ていたようです。すみません。私も朝日さんも見落としていました』

L「……プロデューサーと別れた後の星井美希・天海春香の動向は?」

ワタリ『ちょうどカメラの無い死角に消えていますが……方向的には関係者用扉とは逆方向でしたので、もし外に出るとしたら一般の出入口の方と思われます』

L「分かった。二人の格好は?」

ワタリ『今日の会場内でも売られているライブ用Tシャツを着ています。それに加えて、普段の変装時と同様に帽子と眼鏡を着用……正直言って、この姿で観客の中に紛れられたら発見はかなり困難かと……』

L「分かった。ではワタリは引き続きカメラの映像を隈なく追ってくれ。そして二人の足取りが分かったらすぐに私の方まで連絡を頼む」

ワタリ『分かりました』

L「……月くん。今ワタリが話していた通りです。現在、二人は一般の出入口に向かっている可能性があります。伊田さんと宇多川さんに……」

月「ああ。分かってる。二人に似た容姿の者を見かけなかったかを再度確認、およびこれからそういった者を見かける可能性があるため、より一層注意して見張るように連絡……だな」

L「はい。お願いします。私は朝日さんに連絡しておきます」ピッ



328:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 22:45:15.68 ID:a1FTt7Qy0

総一郎『もしもし』

L「朝日さん。竜崎です。たった今、ワタリから連絡があった件ですが――……」

総一郎『ああ。ワタリにはあなたとの会話をこちらでも聞こえるようにしてもらっていたので経緯は分かっている。……すまない。私も、星井美希と天海春香……そしてプロデューサーの動きには気が付かなかったようだ』

L「過ぎた事を言っても仕方ありません。ただ、少なくともこれで星井美希と天海春香の二人は一般の出入口から外に出ようとする可能性が高くなりました。今後はそちら方面のカメラの映像の監視を重点的にお願いします」

総一郎『分かった。二人を見つけ次第すぐに連絡する』

L「はい。よろしくお願いします」ピッ

月「竜崎。伊田さんにも再度確認したが……今現在、二人の姿は見ていないと」

L「そうですか」

月「どうする? 二人が控室から一般の出入口に向かっているのだとすると、僕達が今いるこの通路も通らない。ならば僕達も一般の出入口に向かった方が……」

L「……そうですね」

L(会場内の防犯カメラの数は全部で56個……その映像はワタリと夜神局長に監視してもらっているが、当然、その全てを同時並行で観ることはできない)

L(一週間前、ファッション誌の撮影現場から逃走した星井美希を追った時と同じ……モニター一台につき、数台のカメラの映像を数秒ごとに切り替えて監視する方法。ワタリと夜神局長がそれぞれ違う映像を観るように切り替えていったとしても、二人で同時に観れる映像はせいぜい20個が限界)

L(つまり、残りの36個のカメラの映像はリアルタイムでは確認できない……もしその中のどれかに映っていたとしてもリアルタイムでは検知されない)

L(だとすれば、その時々で監視されている最大20個のカメラにさえ映らないように動けば、事実上監視の目をかいくぐることは……)

L(いや、しかしそのような動き方は、予めこちらがどのカメラの映像をどういう順番で観ているかが分かっていなければ不可能だ。それに一般の出入口付近の映像は夜神月も都度携帯から確認しているし、現場には伊出と宇生田も張っている)

L(この状況で誰の目にも留まらないまま、会場を出ることができるとは、とても……)

L「…………」

 ピリリリッ

L「はい」ピッ

ワタリ『竜崎』

L「どうした? ワタリ」

ワタリ『今、また少し前の映像を現在の映像と並行して観ていたのですが……今から三分ほど前、星井美希と天海春香らしき人物が一般の出入口を通過し、会場の外に出て行ったことを確認しました』

L「! …………」

月「馬鹿な。僕も意識して観ていたのに……一体、いつの間に?」

ワタリ『18時5分20秒頃です。12番のカメラの映像の画面右下に……それらしき二人の人物の姿が』

月「! ……本当だ。確かにこれは……間違い無いな」

月「星井美希と天海春香だ」

L「…………」

 ピリリリッ

L「はい」ピッ

総一郎『……竜崎。すまない。今、ワタリからも聞いたと思うが……また見過ごしてしまったようだ。申し訳無い』

L「……いえ……」

L「…………」

L(また『見落とし』……?)

L(まだこれが夜神局長だけなら、星井係長への同情心からわざと……という可能性も無くは無いが……しかしワタリや夜神月まで、というのは……)

L「…………」



329:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 23:22:17.61 ID:a1FTt7Qy0

月「竜崎。どうする? とりあえず再度、伊田さん達に確認を取るか……」

L「……いえ。二人が出入口を通過してからもう五分は経っています。二人の姿を現認していたならとうに私に報告してきているはず……それが無いということは……」

月「気付いているはずがない……か」

L「……はい」ピッ

L「ワタリ」

ワタリ『はい』

L「至急、“L”として次の指示を捜査員全員に伝えてくれ。『星井美希と天海春香がアリーナから逃走した。今後は本部に居る朝日局長を司令塔とし、各自、都度連携を取りながら追跡捜査を行うように』と。そして朝日さんには『アリーナ近辺の防犯カメラの映像を監視しながら、適宜捜査員に指示を出すように』と」

ワタリ『分かりました。私はどうすれば?』

L「ワタリはこれまで同様、朝日さんと同時にアリーナ近辺の防犯カメラの映像を監視してくれ」

ワタリ『分かりました。……竜崎はどうされるのですか?』

L「……私は別に動く。念の為、『あっちの方』も使えるようにしておいてくれ」

ワタリ『それは大丈夫です。本日付で認証パスも通るように設定していますので』

L「分かった。あと二人の携帯電話の位置情報だが、アリーナから少しでも動いているか? またはもう携帯の電源自体切られているか?」

ワタリ『二人とも電源は入っていますが……位置情報はいずれもアリーナのままです。もっとも、単にまだそこまで遠くに行っていないため、という可能性も高いですが』

L「……分かった。もしそちらも動きがあれば連絡してくれ」

ワタリ『承知しました』

L「では、引き続きよろしく頼む」

(ワタリとの通話を終えたL)

L「…………」



330:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/26(土) 23:58:33.38 ID:a1FTt7Qy0

L(そもそも……今回の二人の逮捕自体、何故私は『アリーナライブ後』にこだわった?)

L(確かに、二人がアリーナライブを最優先に考え、行動するとした場合……『ライブ直後』が最も二人の警戒心が薄れるタイミングだった。それ自体は間違い無い)

L(しかし一方で、ライブ前に下手な行動は取らないとしても……全てが終わった『ライブ直後』に我々捜査本部の人間を皆殺しにする可能性だってあったはず……いや、それは今でもある)

L(何故私は、その可能性をもっと考えなかった?)

L(いや……)

L(という、よりも……)

L「…………」

L(それに、例のファッション誌の撮影の翌日……星井美希は、星井係長の着替えを届けるために単独で警察庁内に来ており、そこで夜神局長と対面しているが……)

L(むしろあの場で彼女の逮捕を強行する、という選択肢も採りえたのでは?)

L(確かに死神の問題はあった。加えてあの時点では、まだこれから何かしらの対応策が見つかるかもしれない、とも考えていたが……)

L(しかしどのみち目にも見えない、それどころか実在するのかどうかさえも分からないような存在……)

L(そんな不確定要素を理由にしてまで……本当に『ライブ直後』まで二人の逮捕を引き延ばさなければならなかったのか?)

L「…………」

L(他にもある。たとえば今日、ワタリと夜神局長に監視してもらっていた映像は、元々アリーナ内に設置されていた防犯カメラのものだけ……だがやろうと思えば、一週間前の撮影の日のように、アリーナ内の至る所……それこそアイドル達が使用する控室や更衣室にだって、監視カメラや盗聴器を設置することはできたはずだ)

L(そして、そうしておけば……少なくとも今よりは、二人がアリーナから出て行くのを見過ごすような可能性は格段に低くなっていたはず)

L(勿論そうは言っても、前の時のように死神にカメラを破壊されてしまうという可能性はあっただろう。しかしそれならば尚の事、カメラの数を少しでも増やしておくべきだったはず……なのに)

L(何故私は、こんな簡単な事すら思いつかなかった……?)

L(いや、私だけではなく、夜神月も……そして捜査本部に居る誰もが)

L(何故今まで、全くこういったことを思いつかなかった……?)

L「…………」

L(私が今日のライブ中に味わった、星井美希に魅了されているかのような感覚……そして『今日のステージがずっと続けばいいのに』といった思考……)

L(またプロデューサーも、二人の逃走行為を援助するかのように私との連絡を遮断……)

L(そして極めつけは、捜査本部総出でこれだけの監視体制を張っていたのにもかかわらず、いざ二人がアリーナを出て行く際には誰もそれに気付かなかったという不自然な事態……)

L(まるで全てが、“星井美希と天海春香の二人にとって都合の良いように”動いて……いや、“動かされて”いるかのような……)

L(とすると、これは……)

L「…………」



331:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:16:44.96 ID:5FsTQ5780

月「……竜崎。何故か今まで考えつかなかったんだが……」

L「……月くん。おそらく私も同じ事を考えています」

月「! じゃあ……」

L「はい。……何故今日まで、我々は『アリーナライブ後に二人を逮捕する』ということを当然の前提として行動していたのか……ですよね?」

月「……ああ。やはり竜崎も僕と同じ結論に行き着いたか」

L「はい。あのノート……『黒いノート』に書かれていた『HOW TO USE IT』……その中にあった、『死因を書くと更に6分40秒、詳しい死の状況を記載する時間が与えられる。』という記載」

L「以前、私達はこの記載を根拠に、ノートに名前を書かれた者の『死の時間』をも操れるのではないか、という推理をしましたが……この『詳しい死の状況』というものが、単なる死の時間指定などにとどまらず、ノートに名前を書かれた者の『死の直前の行動』をもっと広汎に操作できるものだとしたら……」

月「ああ。つまり……僕達捜査本部の人間を、『アリーナライブ“前に”星井美希と天海春香の二人を逮捕しないように』操り、殺すことも可能なのだとしたら……」

L「はい。今日まで私達の誰も、『アリーナライブ“後に”二人を逮捕する』ということに何の疑問も抱かなかったということも頷けます」

L「さらに、プロデューサーが私に連絡をしてこず、それどころか、私の電話に応答せずに切ったことも……彼も私達と同様、『星井美希と天海春香の邪魔をしないように』操られていたのだとすれば……辻褄が合います」

月「僕と全く同じ考えだ。だがそうだとすると……二つほど、おかしな点があるな」

L「そうですね。……まず一つ目は、今日、二人の逃走に気付く可能性があったのは……アリーナ内の防犯カメラの映像を監視していた朝日さんとワタリに、実際に二人が通過した一般の出入口を直接見張っていた伊田さんと宇多川さん。……そして、携帯で随時一般の出入口の映像を観ていた月くんの計五名……ですが」

月「…………」

L「今更言うまでもないことですが……このうち、月くんは既に二人に顔と名前を知られています。また朝日さんも、天海春香が『顔を見れば名前が分かる能力』を持っているという我々の考えを前提にすれば同様となります」

L「伊田さんと宇多川さんは微妙ですが……二人とも警察庁の人間です。最悪、星井さんがどこかで星井美希に情報を漏らしていたという可能性も否定はしきれません」

L「ですが……ワタリだけは別です」

L「二人が顔や名前はおろか、その存在すらも認識できていないワタリだけは……どうやっても操ることはできないはず」

L「そうであるとすれば、ワタリは行動を操られていないにもかかわらず……『偶然』、一度ならず二度までも、肝心な時に二人の動向を見落としていたということになる……ですが正直言って、そんな『偶然』は考え難い」

月「そうだな。ワタリの能力の高さから考えても……今日の相次ぐ『見落とし』は不自然というほかないだろう」

月「……そして二つ目は、僕達は今まで『ノートで死の直前の行動を操れる』という可能性に気付けていなかったのに……“今になってそれに気付くことができている”ということ」

L「はい」

月「そもそも理屈から言えば、『ノートで死の直前の行動を操れる』という可能性自体、対象者……つまり僕達が気が付くことがないように操ることができるはずだし、また星井美希と天海春香がそれをしない理由は無い」

L「はい。そして月くんの言うように、もし今、私達がそのように操られているのだとしたら、それこそ死の直前まで……いえ、死の瞬間においても『自分はノートによって行動を操られている』という可能性には気付かないはずですし、そうでなければおかしい」

月「だとすれば、操られているのは……」

L「私達じゃ、ない……?」

月「…………」

L「…………」

月「……行こう。竜崎。二人を探すんだ」

L「月くん。でも、もし……『そうなら』……もう」

月「『そうでも』だ。竜崎。……そうだろ?」

L「……はい。そうですね」



394:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:24:33.86 ID:BTrwrj0k0

【三十分後・海の見える浜辺】


(美希と春香は、波打ち際から少し離れた浜辺で二人、砂の上に大の字になり仰向けに寝そべっている)

春香「…………」

美希「…………」

春香「ねぇ。美希」

美希「何? 春香」

春香「竜崎さん……“美希の”ファンになってくれたかな?」

美希「さあ……どうだろうね」

美希「まあでもやるだけのことはやったし、悔いは無いの」

春香「……そっか。悔いは無い、か」

美希「うん。春香は? 何か悔いがあるの?」

春香「……ううん。無いよ」

美希「そっか。それは良かったの」

春香「念願のトップアイドルにもなれたしね」

美希「そうだね。……ま、証人が可奈っていうのはちょっと頼り無いかもだけどね」

春香「あはは。まあ、いいじゃん。あんなに可愛い後輩が証人なら、願っても無いよ」

美希「……だね」

春香「……うん」

美希「……あ、でも」

春香「ん?」

美希「ミキね、やっぱり一つだけ……心残りがあるの」

春香「……何?」

美希「今日のライブ……やっぱりパパにも観に来てほしかったな、って」

春香「……来てた可能性はあるんじゃない? ……捜査で、さ」

美希「……ううん。だってミキのパパだもん。もし来てたら、ミキにはきっとすぐにわかるの」

美希「たとえあの広いアリーナの……どこにいたって」

春香「……そっか」

美希「……うん」

春香「…………」

美希「…………」



333:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:33:33.96 ID:5FsTQ5780

春香「ねぇ。美希」

美希「何? 春香」
















春香「大好きだよ。美希」
















美希「あはっ。ミキも大好きなの。春香」



334:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:44:45.26 ID:5FsTQ5780

【同時刻・上空/ヘリコプター内】


月「……まさかヘリの操縦までできるとは思わなかったよ。竜崎」

L「免許などなくても、勘でどこをどうすればどうなるかは分かります。月くんでもできますよ」

月「しかし、もう使うことは無いだろうと思っていた新しい捜査本部のビル……まさか、完成日当日にいきなりヘリポートを使うことになるなんてな」

L「はい。正直、私ももう使うことは無いと思っていたビルでしたが……念の為、今日から設備をフルで使えるようにワタリに準備させておいて正解でした」

月「……だが、本当にこれが最初で最後になりそうだな」

L「……そうですね」

月「さて、僕達の読みが正しければ……」

L「はい。私達が“気付いた”以上……そう時間は掛からずに“分かる”はずです」

月「……ああ。そうだな」

ワタリ『竜崎』

L「! ワタリ」

ワタリ『星井美希・天海春香の二人らしき人物の足取りを掴みました。今から十分ほど前に、アリーナを出た時と同じ服装で公道の防犯カメラに映っています。今から位置情報を伝送します』

L「……海水浴場近くの歩道……か」

ワタリ『はい。ちなみに、携帯電話はやはり置いてきているようで、そちらの位置情報は未だにアリーナのままになっています』

L「分かった。……ありがとう。ワタリ」

ワタリ『いえ。……お気を付けて。竜崎』

(ワタリとの通話を終えたL)

L「…………」

月「この位置だと……今僕達が飛んでいるあたりのほぼ真下になるな」

L「そうですね。もう少し高度を下げます」

月「! ……竜崎。あの浜辺……人が二人、寝ているように見えるが……」

L「……そうですね。望遠カメラの映像を拡大します」

月「! これは……」

L「……はい。間違いありませんね」

L「星井美希と天海春香です」

月「…………」

L「幸いにも、近くに少し開けた場所があるので……ヘリはそちらに降ろします」

月「……ああ」

L「行きましょう。……いえ、私達は行かなければなりません。月くん」

月「……そうだな。竜崎」



335:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:51:57.58 ID:5FsTQ5780

【十五分後・海の見える浜辺】


(近くにヘリを降ろした後、浜辺に向かって歩を進めるLと月)

L「…………」

月「…………」

(やがて二人の視界に、砂の上に寝そべっている二つの影が映る)

L「星井美希と……」

月「天海春香……だな」

(Lと月は、寝そべっている二人の傍らに立った)

月「…………」

(月はおもむろに春香の手首に触れる)

(その後、深く息を吸ってから告げた)

月「竜崎」

L「…………」
























月「天海春香は――――死んでいる」



336:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:54:44.76 ID:5FsTQ5780

L「…………」

月「……竜崎」

L「…………」

(Lはおもむろに美希の手首に触れる)

月「……星井美希は……」

L「…………」

(一拍ほどの間を置いて、Lは静かな口調で告げた)



339:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:58:16.98 ID:5FsTQ5780

















L「――――死んでいます」


















396:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:45:01.42 ID:BTrwrj0k0

月「…………」

L「…………」

月「…………ん?」

 パサッ

(無言で美希と春香を見つめていたLと月のすぐ傍に、どこからともなく、一冊の黒色のノートが落ちてきた)

(そのノートの表紙には『DEATH NOTE』という文字が書かれている)

月「! これは……」

L「『黒いノート』……ですね。おそらくは、星井美希が持っていた……」

月「…………」スッ

(ノートに手を伸ばす月)

L「! 月くん」

月「……もし今、この場に死神が居るのなら――……あえて僕達に触れさせるために、このノートを落としたとみるべきだ」

L「!」

月「勿論、僕達人間には死神が何を考えてそうしたのかなんて分からないが……あえてそうしたということは、少なくともそこには何らかの意図があるはず……まさか僕達を殺すためにはノートに触れさせることが必要、などということもないだろうしね」

L「それはそうかもしれませんが……しかし……」

月「竜崎。今、この場に死神が存在すると仮定するのなら……想定しうる死神の意図に沿った行動を取っておくべきだ。それこそ、僕達がここでノートに触らなければ即殺すつもりなのかもしれないだろう」

L「……そうですね。ただ、ノートに触れれば、おそらく……」

月「ああ。死神が直接視認できるようになるんだろう。あの時のミサと同じように」

L「…………」

月「だが、僕はそれでも構わない」

L「!」

月「それは勿論、そうしない方が殺される可能性が高いと考えられるからだが……しかし、それを抜きにしても……もう覚悟はできている」

L「月くん」

月「大体、ミサには本当の推理の内容を告げずにノートを触らせておいて……いざ自分の番になると触らないなんて、いくらなんでも虫がよすぎるだろう?」

L「……そうですね」



397:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 12:51:31.85 ID:BTrwrj0k0

月「よし。じゃあ……触るぞ」

L「はい」

月「…………」スッ

(ノートを手に取る月)

月「………… !」

(次の瞬間、月の視線はある一点に釘付けになった)

L「? 月くん?」

月「……竜崎。『事実は小説より奇なり』とは……よく言ったものだな」

L「! ということは……」

月「ああ。……居るよ」

L「!」

月「いや……より正確には『居た』というべきかな。おそらく、僕達がここに来た時から―――ずっとね」

(月の視線の先には、月とLから2メートルほど離れた距離で、不敵な笑みを浮かべながら宙に浮いているリュークの姿があった)

リューク「……ククッ。今のお前達の会話、ずっと聞かせてもらっていたが……」

月「!」

月(言葉を……そうか。そういえばあの時、ミサも……)

リューク「まさか……分かっていたのか?」

リューク「この俺が―――『死神』が存在するということを」

月「! …………」

L「月くん。私にもノートを」

月「……ああ」スッ

(Lに向けてノートを差し出す月)

(Lはノートに触れると、すぐにリュークの存在に気付いた)

L「! …………」

月「竜崎」

L「……ええ……死神? でいいのかどうか、分かりませんが……」

L「本当に……いたんですね」

L「このような……存在が」

月「ああ。しかもどうやら……本当に『死神』らしい」

L「! ……そうなんですか?」

月「今、自分でそう言っていたからな。そうなんだろう? ……『死神』」

リューク「……ククッ」

L「!」

リューク「いかにも……俺は『死神』」

リューク「死神のリュークだ。よろしくな。ククッ」

月・L「…………」



398:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:06:39.71 ID:BTrwrj0k0

L「言葉を……そういえばあの時、弥がそれらしきことを言ってましたね」

月「ああ。そしてやはり、この『黒いノート』を触った者にしか死神の姿は見えず声も聞こえない……僕達の推理通りだな」

L「はい」

リューク「ククッ。まさか俺の存在に気付いていただけじゃなく……そんなことまで読んでいたとはな」

リューク「大した奴らだ。逆にこっちが驚かされた」

L「あなたの……『死神』の存在の可能性を最初に考えついたのは月くんでしたけどね」

リューク「ほう」

月「…………」

リューク「何で分かった? 確かにお前達の言う通り……ノートに触れた人間にしか俺の姿は見えないし、声も聞こえない。推理なんてしようがないように思うが……」

月「……確証を得たのは一週間前だ。渋谷の撮影スタジオの監視カメラの破壊……あれをやったのはお前だろう?」

リューク「確かにあれは俺がやったが……それだけでか? いや、『確証を得た』という言い方からすると……もっと前から勘付いていたということか?」

月「僕が最初に『死神』の存在の可能性を考えたのは……星井美希の部屋に付けられたという監視カメラの件からだ」

リューク「! …………」

リューク(確かに、あれも俺が探したが……)

月「星井美希と天海春香が取っていた行動からして、星井美希は部屋に付けられていた全てのカメラの位置を把握しているとしか思えなかった。だがそのカメラの数は64個にも及んだという……いくらなんでも、それだけの数のカメラの位置を、そのどれにも映ることなく全て把握することなんて不可能だ」

月「普通の人間には……ね」

リューク「……なるほど。それでお前は、『人間以外の何かが存在している可能性』に勘付いた……ってことか」

月「ああ」

リューク「それは分かった。だが、そこからさらに……その『人間以外の何か』を『死神』とまで特定できたのは何故だ? お前達人間がよくする空想なら、『悪魔』とか『幽霊』とか……他にも色々思いつきそうなもんだが」

月「そこに大した理由は無い。ただ、この『黒いノート』……これがもし、僕達が推理した通りに『名前を書くと書かれた人間が死ぬノート』であるとすれば……そんな物が、この僕達人間の世界に当たり前のように存在しているなんて俄かには考え難い」

月「それならむしろ、それは僕達人間の世界に元々存在していた物ではなく、この世界とは『別の世界』に居る者……つまり『異界の者』によってもたらされた物である、とでも考えた方がまだ理解できる……そしてそうであるとすれば、『人を殺せるノート』である以上……その『異界の者』を表す言葉としては、『死神』という表現が最も適当だと思っただけだ」

月「だから今、本当に……そのような『異界の者』が存在し、それどころか……それがまさに『死神』そのものだったと知って……本当に驚いたよ。……『死神』。いや……」

月「『リューク』」

リューク「……ククッ。なるほどな」

リューク(こいつ……『夜神月』……)

リューク(まさか、ここまでとはな)



399:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:15:38.09 ID:BTrwrj0k0

月「そして、リューク……お前は撮影スタジオの監視カメラを破壊した張本人であり……今、この『黒いノート』を僕達の前に落とした」

リューク「ああ」

月「一応、確認しておくが……この『黒いノート』は星井美希が所持していたものに間違い無いな?」

リューク「そうだ」

月「ということは……」

(浜辺に横たわっている美希と春香を一瞥する月)

月「やはり、この二人がキラ……だったんだな」

L「…………」

リューク「ああ」

月・L「!」

リューク「まあ厳密には、キラとしての裁きをしていたのはミキの方だけだったがな」

リューク「ハルカがしていたのはあくまでもミキの補佐のようなものだけだ」

L「しかし、天海春香も……星井美希がノートを使い始めるよりも前に、自らの意思でノートを使っていた」

リューク「!」

L「昨年のちょうど今くらいの時期から……彼女は約三か月かけて、765プロダクションを守るため……“765プロ潰し”計画の主要人物達を八人殺害した」

L「それが『アイドル事務所関係者連続死亡事案』の真相」

L「……ですよね? リュークさん」

リューク「ああ。その通りだ。よく調べてるじゃないか」

月「だが、今から一週間前のファッション誌の撮影の日……スタジオの更衣室内に仕掛けられていた監視カメラによって、星井美希はこの『黒いノート』の存在を“L”に認知されたことを知った」

月「そして彼女は直ちに天海春香に連絡を取り……“L”の監視の目を掻い潜って逃走した」

L「…………」

月「その後、星井美希と天海春香は、どこかで落ち合った末に……ノートに自分達の名前を書き――……」

月「自ら、命を絶った」

月「……そうだな? リューク」

リューク「……ああ」

(浜辺に横たわっている美希と春香に視線を向けるリューク)

リューク「全て、お前の言う通りだ」

リューク「この通り……ミキもハルカも死んだ」

リューク「つい、さっきな」

月・L「…………」



400:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:26:26.25 ID:BTrwrj0k0

月「……ところで、僕達の推理が正しければ、この二人は別々にノートを所持していたはずだが……」

リューク「ああ。そうだ」

月「では、お前がこの二人にそれぞれ別々にノートを渡したということか? リューク」

リューク「いや、俺がノートを渡したのはミキだけだ」

月「? 何?」

リューク「ハルカにノートを渡したのはまた別の死神だ」

L「ノートごとに渡す死神が異なる……ということですか」

リューク「まあ必ずそうってわけでもないが、基本的にはな」

月「じゃあ天海春香にノートを渡した死神はどうしたんだ? そいつも僕達には見えていないだけでこの場に居るのか?」

リューク「いや、そいつはもうここにはいない。ミキとハルカの死を見届けた後に帰った」

L「帰った……?」

月「どこに?」

リューク「もちろん、俺達死神が住んでいる世界……死神界にだ」

月「死神界……」

L「…………」

リューク「そうだ。死神は皆そこに住んでいる。ノートを人間に使わせ、その人間に憑いている死神以外はな」

月「ということは……人間にノートを渡した死神はその人間に憑いていなければならない、ということか?」

リューク「ああ。その人間が死ぬまでな。そしてそれは死神界の掟でもある」

月「だから天海春香の死後、彼女に憑いていた死神は死神界に帰ったのか」

リューク「そういうことだ。あとついでに言っておくと、ハルカが持っていたノートももう人間界には無い。その死神が持って帰っちまったからな」

月「なるほど。だが、それなら何故……お前はまだ人間界に残っているんだ?」

リューク「…………」

月「いや、より正確に言うと……何故、お前は僕達の前に姿を現したんだ?」

リューク「! …………」

月「今の話からすると、本来であれば星井美希の死後、お前も死神界に帰ることになるはず……天海春香に憑いていた死神がそうしたように」

月「なのにお前はあえて人間界に残り、星井美希が使っていたノートを僕達の前に落とし、触らせ、自分の姿を視認させた……」

リューク「…………」

月「勿論、このノートに触れる前に言っていた通り……僕もお前が何らかの意図をもってそうしたのであろうとは考えたうえで、それでもあえてこのノートに触れることを選んだわけだが……」

月「だがその『何らかの意図』が何であるかまでは僕には分からない。まさか二人が死んだから、これまでの経緯を全部ご丁寧に解説することにした……などというわけではないのだろうが……」

L「…………」

リューク「ククッ。解説か……まあそれをすることも吝かではないが……お前の言う通り、当然俺の目的は別にある」

リューク「こうして、お前達の前に姿を現した目的はな」

月「何なんだ? それは……」

リューク「……それは後で話そう。その前に確かめておきたいことがある」

月「? 何だ?」

L「…………」



401:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:38:22.01 ID:BTrwrj0k0

リューク「『夜神月』」

月「! …………」

リューク「そして」

L「…………」

リューク(こいつは……一応、本名では呼ばない方がいいか。こんなことで掟違反になっちまうのも馬鹿らしいしな)

リューク「『竜崎』だったな」

L「…………」

リューク「で、ミキの確信を信じるなら―――お前が“L”ってことらしいが」

L「!」

リューク「そうなのか?」

L「…………」

L(星井美希が私を『“L”である可能性が最も高い者』として疑っている可能性があるとは推測していたが……まさか確信まで得ていたとは……)

L(一体どのタイミングで? やはり二人だけでアリーナに行ったあの時……?)

L(しかしいずれにせよ、それなら何故……私を殺していない?)

L(あるいは、名前自体は既に書かれているがまだ死の時期が到来していないだけ……ということか?)

L(だが今……この場でそんな思考を巡らせても無意味か)

L(今、私が考え、判断しなければならないことは……)

L(この死神に……真実を話すべきかどうか)

L「…………」

リューク「ああ。一応言っておくが、俺に嘘をついても意味無いぜ」

L「!」

リューク「この通り、俺は俺で……自分のデスノートを持っている」スッ

(自分の腰に着いているデスノートを指差すリューク)

月「! 本当だ。というか……そのまま『デスノート』なのか。このノートの名前は」

リューク「そうだ。人を殺すノートだから、デスノート。分かりやすいだろう?」

L「…………」

リューク「そして、もう一つ」

リューク「俺達、死神の目には……人間の顔を見ると、その人間の名前が見えるんだ」

リューク「『その人間を殺すのに必要な名前』がな」

L・月「!」

月「殺すのに必要な名前……」

L「では、あなたの目には私の本名も見えているということですか」

リューク「ああ。ばっちり見えているぜ。お前の顔の上にな」

L「…………」

リューク「分かったか? つまり俺はいつでもお前達を殺せるということだ」

リューク「俺の気まぐれで死にたくなければ、俺の質問には正直に答えた方が良い」

L「…………」



402:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:51:54.96 ID:BTrwrj0k0

月「だがその割には、さっき『竜崎』と呼んでいたが……」

リューク「ああ。死神の目で見える人間の名前を他の人間に教えてはならない、という死神界の掟があるからな」

リューク「お前が竜崎の本名を知らない可能性もあると考え……念の為『竜崎』と呼ぶことにしただけのことだ」

月「なるほど。確かに僕は竜崎の本名は知らない……まあ別に知りたくもないが」

L「…………」

月「しかし、『死神の目で人間の顔を見ればその人間の名前が分かる』……か。だとすると、天海春香はそれと同等の能力を保有していたということか?」

L「おそらくそういうことでしょうね」

リューク「いや、能力というか……ハルカが持っていたのは『目』そのものだ」

月「『目』そのもの?」

リューク「ああ。デスノートの所有者となった人間は、ある取引をノートの元持ち主の死神とすることで、自分の目を死神の目にすることができるんだ」

L「! 死神と『取引』……ですか。これも月くんが推理していた通りですね」

リューク「ほう」

月「……まあ、流石に『死神の目』を手に入れられるような取引だとは思わなかったが……しかし、『取引』というからには……人間から死神に対しても何らかの対価……代償を差し出すということか?」

リューク「ああ。死神の眼球の値段はその人間の残りの寿命の半分だ」

月「! 残りの寿命の半分……」

L「じゃあ、天海春香は……」

リューク「そうだ。あいつは自分の意思で死神と取引をし、死神の目を手に入れ……残りの寿命を半分にした」

リューク「勿論、その死神はあいつにノートを渡した死神であって、俺じゃないがな」

L「…………」

月「死神の目……か。僕はそれなりに長い間、天海春香の家庭教師をしており……その間、彼女をかなりの至近距離から観察したりもしていたが……全く分からなかったな」

リューク「ククッ。そりゃそうだ。死神の目といっても、見た目には普通の人間の目と何も違っては見えないからな」

月「なるほど……」



403:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 13:59:05.34 ID:BTrwrj0k0

リューク「で、話を戻すが……とにかくそういうわけで、俺はいつでもお前達を殺すことができる」

L「だから、殺されたくなければ質問には正直に答えた方が良い……でしたね」

リューク「ああ」

L「…………」

月「竜崎」

L「……ええ」

L(勿論、現時点でもまだこの死神が嘘をついているという可能性は一応残る……が……)

L(星井美希と天海春香が死亡した現在において、あえてこの死神が私達に嘘をつく意味があるとは思えない)

L(そしてこの死神の言うことが本当だとしたら……私も夜神月もいつ殺されてもおかしくないということになる。ならば今は、その危険を少しでも回避するための行動を取るべき……)

L「……分かりました。では先ほどのリュークさんの質問に回答します」

L「私がLです」

リューク「……ククッ。やっぱりそうだったのか。ミキの直感も大したもんだな」

L「直感?」

月「…………」

リューク「ああ。覚えているか? 今から十日前、お前がミキと二人でアリーナに行った時のこと」

L「それは勿論、覚えていますが」

リューク「あの時、ミキは泣いただろう?」

L「はい」

リューク「どうやらそれこそが、お前がLだと確信した直接的な理由だったらしい」

L「! …………」



404:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 14:18:43.39 ID:BTrwrj0k0

リューク「あの日、お前がハルカの心情について語った時……ミキは嘘でも演技でもなく、心の底から感動し……泣いていた」

リューク「だが一方で、ミキは既にお前がキラ事件の捜査本部に居ること、そして自分とハルカに嘘をついていることを知っていた」

L「! …………」

リューク「だからこう考えたそうだ」

リューク「『“嘘”で自分を“感動”させることなんて、普通の人間にはできるはずがない』『だからそれができた人間で、かつキラ事件の捜査本部に居る竜崎こそがLである』……と」

月「……なるほど。それで『直感』か」

L「ではやはりあの時、私が覚えた言いようもない不安は……」

リューク「ほう。じゃあお前もお前で、ミキに何かしら勘付かれているという自覚はあったのか?」

L「まあ……流石に星井美希のその思考過程までは読み切れていませんでしたが」

リューク「ククッ。それでも大したもんだ」

月「……リューク」

リューク「ん?」

月「お前は僕達をいつでも殺すことができると言ったが……じゃあ逆に、僕達がお前を……死神を殺すことはできるのか?」

リューク「! ……それは基本的には無理だ。死神は、頭を拳銃でぶち抜かれようと心臓をナイフで刺されようと死なないからな」

リューク「そして勿論、死神にはデスノートも効かない。ノートに死神の名前を書いたところで何の効果も得られない」

月「『基本的には』ということは……手段として全く存在しないわけではない、ということか? 死神を殺すための方法は」

リューク「まあな。だがどのみちお前達には無理だ」

月・L「…………」

リューク「……さて。じゃあ次は、俺がさっきの質問に答える番だな」

リューク「俺がお前達の前に姿を現した目的……それは――……」

月・L「…………」

リューク「これから、お前達にそのデスノートを使わせるためだ」

L「!」

月「何……?」



405:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 14:53:49.66 ID:BTrwrj0k0

L「私達に……」

月「このノートを使わせる……だと?」

リューク「ああ」

リューク「俺は面白いものが観られればそれでいいからな。それが叶うのなら、ノートを使う人間は別にミキやハルカじゃなくてもいい」

月「では僕達にノートを使わせ……いや、二人に代わってキラの裁きを行わせ、そのさまを観て楽しもうということか?」

リューク「……俺は別に、お前達にキラの真似事をさせようとは思っていない」

月「? 何?」

リューク「そもそも、俺がミキにノートを渡した時も……俺としては、とにかく『面白いもの』が観られればそれで良かったんだ。だからノートの使い方についても、俺はミキに口出ししたりはしなかった」

リューク「犯罪者裁きも俺の意思とは無関係に、ミキが自分の意思で始めたものに過ぎない」

月「だがそれなら……誰にノートを渡しても良かったんじゃないか? 何故、星井美希に?」

リューク「俺はノートを渡す人間を探し始めた時点で、既にハルカがノートを使って他の人間を殺していたことは知っていたからな。それならば、ハルカから近い位置に居る人間にノートを渡した方が、より面白いものが観られるようになるんじゃないかと思ったんだ」

リューク「となると、後は誰に渡すかだが……ちょうどその頃、ハルカの仲間の765プロのアイドル達は皆、当時のプロデューサーに恨みを抱いているようだった。俺はこの中の誰にノートを渡しても、そいつの名前を書く可能性は高いだろうと思っていたが――……」

リューク「最終的には、最もデスノートとの親和性が高そうなミキを選び……ノートを渡した」

月「ノートとの親和性、というと……」

L「星井美希の持つ、天才的な嗅覚……でしょうか」

リューク「まあそんなとこだ。ミキは一度スイッチが入ると、人並み外れた集中力やパフォーマンスを発揮する……俺はミキのその特性に着目した」

リューク「その結果、仲間同士のはずのミキとハルカがそれぞれノートを持つ形となり、互いに殺し合うようにでもなってくれれば最高だったんだが……」

リューク「生憎、こいつらはそうはならなかった」

リューク「殺し合うどころか、最後の最後まで……互いに互いを守ろうとし……結果、最後には『こうする』道を選んだ」

リューク「もっとも、それはそれで……俺もそれなりに楽しむことはできたがな。ククッ」

月・L「…………」

リューク「だが、まだ足りない」

リューク「俺はもっと楽しみたいんだ」
     
月「……だからお前は、二人が死んだ後もなお、また別の人間に……僕達にノートを使わせ、楽しもうとしている……」

L「それが、あなたが私達の前に姿を現した理由……ということですか」

リューク「ああ。その通りだ」

月・L「…………」



406:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 15:16:34.11 ID:BTrwrj0k0

月「……お前の行動理念は分かった。だが何故『僕達』なんだ? 『名前を書くと書かれた人間が死ぬノート』なんて……喜んで使いそうな人間は他にいくらでもいるだろう」

リューク「まあな。だが言っただろう? 俺はもっと楽しみたいんだと。そのためには、ミキやハルカよりも俺を楽しませてくれるような人間でなければならない」

リューク「となると、ミキとハルカをここまで追い詰めた人間……『“L”とその仲間』しかいない。俺はそう考えた」

月・L「…………」

リューク「それに『“L”とその仲間』なら必ず……ミキとハルカが死んだ後、最初にこの場所に来るはず」

リューク「だから俺は二人が死んでから、ここで待っていたんだ」

リューク「『“L”とその仲間』が来るのをな」

月「じゃあ、お前はその『“L”とその仲間』が『僕達』……つまり『竜崎』と『夜神月』であることまで分かっていたのか?」

リューク「そうだな。少なくとも“L”は来るだろうと思っていたし……ミキの得ていた確証を前提にすれば、それは『竜崎』なのだろうと思っていた」

L「…………」

リューク「さらにミキは、『竜崎』が“L”であるとの確証を得る以前から……『夜神月』についても、『『竜崎』と同じくキラ事件の捜査本部に居て、ミキとハルカをキラとして疑っている者』である可能性が高いと考えていた」

リューク「『竜崎』はミキと最初に会った時から『自分は天海春香のファンだ』と嘘をついていたが、『夜神月』はその『竜崎』とずっと話を合わせていたからな」

月「…………」

リューク「だから俺は『竜崎』と共に『夜神月』がここに来てもおかしくないだろうとは思っていたが……仮に別の奴らが来たとしても、俺は同じ話を持ち掛けるつもりでいた」

リューク「さっきも言ったが、最初にこの場所に来るであろう奴らは、ミキとハルカをここまで追い詰めた張本人……すなわち『“L”とその仲間』以外には考えられなかったからな」

月「なるほどな。しかし、星井美希は……“L”が自分のみならず、天海春香をも疑っていたことにも気付いていたのか」

L「まあ……おかしくはないですね。星井美希が天海春香から、今からちょうど一年前……昨年の765プロダクションのファーストライブの日に、彼女が自分の後をつけていたファンを『心臓麻痺で』殺したという話を聞いていたとすれば……“L”がそれを端緒に彼女をも疑うようになることは容易に推測できるでしょうし」

リューク「ああ……そうか。ミキも同じことを言っていたが……やっぱりそういう風に考えるよな」

L「?」

月「どういうことだ? リューク」

リューク「ついでだ。教えてやるよ。そのハルカのファンだった奴を殺したのはハルカじゃない」

月・L「!」

リューク「昨年の8月1日……765プロのファーストライブがあった日の深夜だ。事務所での打ち上げを終え、帰宅しようとしていたハルカは――……」



407:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 15:32:22.46 ID:BTrwrj0k0

(レムが春香にノートを渡した経緯を説明し終えたリューク)

リューク「……という経緯で、ハルカはデスノートを所持するようになったってわけだ」

月「ではファーストライブの日に天海春香のファンだった男を殺したのは、ジェラスという死神で……天海春香にとっては濡れ衣だったということか」

リューク「そういうことだ。もっとも、その後に起きた『アイドル事務所関係者連続死亡事案』についてはお前達の推理通り、全部ハルカの意思による殺人だがな」

L「そして……『特定の人間に好意を持ち、その人間の寿命を延ばす為にノートを使った死神は死ぬ』」

L「これがさっき、あなたがその存在をほのめかしていた『死神の殺し方』ということですか」

リューク「ああ」

月「……確かにこれなら、僕達がリュークを殺すことはどうやっても不可能だな。そもそもリュークが特定の人間に好意を持つような死神には見えない」

リューク「ククッ。まあ死神界では俺みたいな奴の方が普通だ。むしろジェラスみたいな奴の方がおかしい」

L「ですが……レム? でしたか。ジェラスと共に天海春香を見守っており、ジェラスの遺したノートを彼女に渡した死神……」

リューク「ああ」

L「彼……いえ、彼女もまた、天海春香に対して特別な好意を持っていたのでは? それが『アイドルのファン』としてのものであれ……」

L「だからこそレムは、ジェラスの遺したノートを天海春香に渡したように思えますが」

リューク「そうだな。レムもレムで、ハルカに対して特別な好意を抱いていたのは間違い無い」

リューク「そしてそれは、ノートをハルカに渡した後も同じ……ハルカが死ぬまでずっとそうだったはずだ」

月「だがそれなら何故、今……レムは僕達を殺していないんだ?」

月「天海春香に対し、特別な好意を抱いていたのなら……その復讐として僕や竜崎を殺してもおかしくない。あるいは好意を持った人間が死んだ後であっても、その人間に対する好意に起因して他の人間を殺すと死神は死ぬのか?」

リューク「いや、そのような掟は無い。死神が死ぬのは、あくまでも好意を持った人間が生きている前提の下、その人間の寿命を延ばす目的でノートを使った時だけだ」

月「だったら、何故……?」

リューク「まあ、そういう疑問を抱くのが普通だろうが……正直、レムの思考は同じ死神の俺にもよく理解できないところがあってな」

月「?」

L「どういうことですか?」

リューク「ほんのついさっき……ミキとハルカが死んだ直後の事だが――……」

月・L「…………」



408:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 15:52:06.11 ID:BTrwrj0k0

【三十分前・海の見える浜辺】


(浜辺に横たわっている美希と春香を見下ろしているリュークとレム)

レム「この後もまだ人間界に残るだと?」

リューク「ああ。俺の勘が間違ってなければ、もうすぐここに別の人間達が来るはずだ。そして俺はそいつらにこのノートを渡す」

レム「! ……“L”……いや、ミキの話を前提にするなら竜崎……と、その仲間か」

リューク「ああ。おそらくな」

レム「そして次はそいつらにノートを渡し……使わせて楽しもうという腹か」

リューク「そういうことだ。こんな面白い遊び……ここでやめちまうのは勿体無いからな。ククッ」

レム「全く、お前という奴は……」

リューク「なんだ。お前は乗らないのか? レム」

レム「ああ。悪いが、私はもう死神界に帰らせてもらうよ」

リューク「ちぇっ。つれない奴だな」

レム「私はあくまでもハルカの命の結末を見届けたかっただけだ。それはジェラスの願いでもあったからね」

リューク「ふーん……じゃあ恨みとかも全く無いのか? そのハルカを死に至らしめるまで追い詰めた、“L”やその仲間に対して」

レム「…………」

リューク「『ハルカのファン』を自認していたお前の事だ。てっきりハルカが死んだ後、“L”やその仲間を皆殺しにでもするんじゃないかと思っていたがな」

レム「……勿論、そういった感情が全く無いと言えば嘘になるが……私はハルカが選んだ道を尊重したい」

リューク「! …………」

レム「だから今、私が“L”やその仲間に手を下すことは、ハルカの選択を蔑ろにすることになる……私はそう考えている」

レム「私は“アイドル・天海春香”のファンであり……ファンとは、アイドルの選んだ道を信じるもの」

レム「それがファンとしての矜持だからね」

リューク「ああ、そう……」

レム「後は……そうだな。ハルカとミキの亡き後、765プロが、そして765プロのアイドル達がどうなるのか……その行く末を、死神界からじっくり見届けさせてもらうとするよ」

リューク「ククッ。それはそれは、相変わらずご執心な事で。……ああ、そうだ。じゃあハルカの使ってたノート、俺にくれよ。一冊より二冊あった方がより楽しめそうだからな」

レム「……断る」

リューク「えっ」

レム「このノートは元ジェラスのノート……ジェラスの遺志とハルカの意思が宿ったノートだ。悪いが、それらを受け継ぐに足ると判断した者にしかこのノートは渡せない」

リューク「ああ、そう……」

レム「じゃあな。リューク。まあせいぜい頑張ってくれ」バサッ

リューク「……おう。またな。レム」

(翼を広げ、レムは空を飛んで死神界に帰っていった)



409:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 16:12:12.45 ID:BTrwrj0k0

【現在・海の見える浜辺】


リューク「……まったく、変な奴だったぜ。まあ死神のくせに人間のアイドルのファンになっている時点で十分変だがな」

月「なるほど……いや、待てよ。レムは僕達を殺さなかったということだが……そもそも、星井美希が既に竜崎を“L”だと確信しており、また僕の事も『『竜崎』と同じくキラ事件の捜査本部に居て、星井美希と天海春香をキラとして疑っている者』である可能性が高いと考えていたのなら……僕達がノートを使う使わない以前に……僕達の名前は既にこのノートに書かれているんじゃないのか?」

月「星井美希、または天海春香の手によって」

L「…………」

リューク「そうか。それもまだ話していなかったな」

月「え?」

リューク「竜崎……いや、“L”」

L「…………」

リューク「そして……夜神月」

月「…………」

リューク「結局、ミキとハルカは……お前ら二人を殺さなかったんだ」

月・L「!」

リューク「何なら自分達の目で確かめてみればいい。そのノートはミキとハルカが死んだ、ついさっきのままの状態だ」

月「…………」パラッ

(デスノートのページを捲る月)

リューク「どうだ? 書かれていないだろう?」

月「確かに、最初の2ページには犯罪者のものとおぼしき名前が書かれているが……」

L「1ページ目の前半に書かれている名前は、一週間前にカメラ越しに観た時のものと同じですね」

月「ああ。そしてその後に書かれているのも、この一週間で新たに裁かれた犯罪者の名前に間違い無い……」

L「ちなみにですが……リュークさん」

リューク「ん?」

L「このノートには、最初の方の何ページかを切り取ったような形跡がありますが……切り取った方のページに名前を書いても死ぬんですか?」

リューク「ああ。死ぬな」

L「なるほど。ではこれも月くんの推理通りですね」

月「そうだな」

リューク「推理?」

L「このノートをカメラ越しに確認するよりも前に、月くんは『ノート本体から切り取ったページや切れ端に名前を書いても殺せる』という可能性を考えていたんです」

リューク「……へぇ」

リューク(これも夜神月……か。そういえばさっき、目の取引のくだりでも……)

リューク(……なるほどな。こいつなら……)



410:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 16:35:59.12 ID:BTrwrj0k0

月「しかし、切り取ったページに名前を書いても死ぬのなら……結局、そっちの方に書かれているという可能性は残るんじゃないのか? あるいは逆に、書いてから切り取ったという可能性も……」

リューク「前の方のページが切り取られているのは、単にミキが自分の判断で古いページを処分したからだ。勿論、今更その証明まではできないが……だがそんなことを言い出したら、ハルカが持っていた、レムが死神界に持って帰った方のノートについても同じ事が言えるだろ」

月「それはまあ、そうだが……」

リューク「証明できない以上、信じるか信じないかはお前達に任せるが……結論としてはミキもハルカも、お前達のいずれの名前も書いていない。さらに言えば、他の捜査員の奴らの名前もだ。ミキの父親も含めてな」

L「では二人は結局、自分達を追う者は一人も殺さなかった……ということですか」

リューク「そうだ。それにそもそもノートに名前を書かれていたら、その人間は最長でもその後23日間しか生きられない。それなら俺だって、流石に別の人間にノートを渡す」

月「! 23日間……」

L「それがノートで死の前の行動を操ることができる期間の上限……ということですか」

リューク「そうだ。もっとも、死因を『病死』にした場合はそれより長くなることもあるが……名前を書いた者が任意に設定できる範囲としてはその期間が上限だ」

L「……なるほど。確かに二人が私達を殺すとしても、いつ死ぬか分からないような不確定的な方法を取るとは考え難い……」

月「そうだな。だとすると……一応は信用しても良さそうだな」

L「ですね」

リューク「ククッ。それは何よりだ」

月「……じゃあ、二人が自分達の名前を書いたページは? それも切り取られているのか?」

リューク「いや、それもそのままだ。そのノートの一番後ろのページを開いてみろ」

月・L「!」

(デスノートの一番後ろのページを開く月)

月「! これは……」

L「……なんとなく予想はできていましたが……こういう使い方もできるんですね。このノートは……」

リューク「ああ。まあ俺も初めて見たがな。こういうケースは」

月「そうなのか?」

リューク「デスノートについてわからない事は死神にもたくさんあるからな」

月「なるほど。……だが、しかし……」

リューク「ん? 何だ?」

月「結局の所……何故なんだ? 最終的に『こうする』ことを選んだのだとしても……それとは別に、僕や竜崎の名前を書かなかった、というのは……」

リューク「…………」

月「自分達が死ぬことを選んだ後に書かなかった、ならまだ分かる。自分達が死ぬことが決まっている以上、もう僕達を殺しても意味が無いと考えてもおかしくはないからな」

月「だが、『その前』については話が別だ。リュークの話によると、星井美希が竜崎を“L”だと確信したのは今から十日前……二人がノートに自分達の名前を書いたと思われる、例の撮影の日の三日前だ」

月「そしてさらにそれよりも前から、星井美希は僕の事も『『竜崎』と同じくキラ事件の捜査本部に居て、星井美希と天海春香をキラとして疑っている者』である可能性が高いと考えていたとの事だ」

月「そんな状況で、僕や竜崎を殺さなかった理由なんて……。しかも最大で23日間先まで行動を操れたのなら、極力自分達に疑いが掛からないようにして殺すことだってできたはず……」

L「…………」

リューク「……そうだな。じゃあ……」

リューク「少し長い話になるが……全て話してやろう」

月・L「!」

リューク「この世界の誰も知らない……二人のアイドルが演じた、最後の一幕を」

月・L「…………」



412:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 18:30:43.07 ID:BTrwrj0k0

【一週間前(美希と海砂のファッション誌の撮影があった日)・都内某所】


(渋谷の撮影スタジオから移動してきた美希)

(美希は何かを待っているような様子で、一人路上に立っている)

美希「………… !」

(美希は、一つの人影が少し離れた先から自分の方に近づいてきていることに気付いた)

美希「…………」

(人影は一歩一歩、踏みしめるように歩き、美希のいる方へ近づいてくる)

(やがて人影は美希の正面に立つと、静かに声を掛けた)

春香「美希」

美希「……春香」

春香「…………」

美希「……ぷっ」

春香「えっ?」

美希「あはははっ。春香ったら、すごく変なカッコなの」

春香「なっ!? しょ、しょうがないじゃん! 美希からメールもらった後、とりあえずすぐ近くの服屋さんで目に付いた服買い漁って、コーディネートに気を遣ってる余裕なんて無かったし……」

美希「でも、だからってその取り合わせは無いの……ぷくくっ」

春香「も、もー! それを言ったら美希だっ、て……」

美希「ん?」

春香「……ホント、何着ても似合うよね、美希って……。パッと見あべこべなファッションなのに、なんか妙に様になってるし……」

美希「いやー、それほどでもないのー」

春香「むぅ……なんかめっちゃ悔しい……って、そんな事言ってる場合じゃないじゃん! もう!」

美希「あはっ。それもそうだね」

春香「……で、何があったの? 美希」

美希「……うん。じゃあとりあえず……入ろっか」

春香「…………」

美希「ミキと春香の全てが始まった……『この場所』に」

春香「……うん」



413:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 18:43:48.57 ID:BTrwrj0k0

【765プロ事務所近くの公園】


(隣り合う二つのブランコに並んで腰を下ろしている美希と春香)

美希「久しぶりだね。ここでこうして春香と話すの」

春香「……うん」

美希「でもまさか、本当に使う日が来るとは思わなかったな。ずっと前に春香と二人で決めた……『暗号』」

春香「……うん。そうだね」

美希「…………」








【(回想)現在から118日前(美希の高校の入学式のあった日)】


(765プロ事務所近くのファミレスで催された、真と雪歩、伊織と美希の大学・高校合同入学祝賀会の後)

(美希と春香は、一緒に帰っていた他のアイドル達と別れ、二人きりで帰路を歩いていた)

美希「――もし何か、少しでも危険な目に遭いそうになったら……その時は必ずミキに教えてね。約束なの」

春香「うん。もちろん。約束するよ」

美希「それじゃあ、明日の授業頑張ってね。春香」

春香「ありがとう。それじゃあまたね。美希」

(互いに背を向けて別れる美希と春香)

春香「…………」

美希「……あ、春香」

春香「ん? 何? 美希」クルッ

美希「えっと……これから先、ミキ達のうち、どっちかが危険な目に遭いそうになった時とかに備えて……緊急の連絡方法、決めとかない?」

春香「あー……そうだね。それは確かに決めといた方がいいね。これからまだ何が起こるか分からないし」

春香「今まで、デスノートやキラ事件に関する話は『電話やメールではなく、会ったときに口頭で』っていう風にしてたけど……本当にすぐに連絡を取る必要が生じた時に、それじゃ遅過ぎる場合もあるかもしれないもんね」
   
美希「なの」

春香「でも、やっぱり何らかの通信回線を使うのはリスクもあるんだよねぇ……もし私達のどっちかに危険が迫っている状況だとしたら、電話やメールの通信記録なんてLに真っ先にマークされてそうだし」

美希「あー、そっか……」

春香「あ。でもそうか。それなら……」

美希「?」

春香「要は、通信記録が調べられたとしても足がつかないような方法であればいいわけだから……勿論、電話の場合はリアルタイムで盗聴されてしまう危険も考慮しないといけないけど……」

春香「それでも……うん。この方法なら大丈夫なはず」

美希「? 春香?」

春香「美希。私達って、デスノートやキラ事件に関する話題以外だと、結構頻繁に電話やメールでやりとりしてるよね。私達がデスノートを持つようになる前と同じように」

美希「うん」

春香「つまり、私と美希が電話やメールでのやりとりを『していること』自体は怪しまれる要素は何も無い。だからそれを利用する」

美希「? どうやって?」

春香「ふっふっふ……そこで『暗号』ですよ! 『暗号』!」

美希「暗……号?」



414:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 18:55:46.11 ID:BTrwrj0k0

春香「うん。私達二人にしか分からない、秘密の『暗号』を使うんだ。つまり他の人からは絶対に分からない、でも私達だけにはそれと分かる……そんな『暗号』を」

美希「あー、なんとなくわかったの。要は合言葉みたいなやつだね」

春香「そう。そして電話でもメールでも……『その言葉』をどちらかが使ったら、文脈にかかわらず、私達は予め約束していた行動を取るようにする」

美希「ふむふむ」

春香「もっとも、基本的には『暗号』を使った方の状況がどのようなものであれ、まずは状況と情報の共有が最優先となるはず……でもそれ自体はこれまで通り、直接会って行うしかない」

美希「電話やメールだと危ないもんね」

春香「そう。だから『暗号』が使用された際に私達が取るべき行動は……『二人で予め約束していた場所に行くこと』」

美希「そこで直接会って話すってことだね」

春香「うん。でも勿論、そこに行くまでに捕まってしまったり、後をつけられたりしていては意味が無い……」

春香「だから……そうだね。どちらかがその『暗号』を使用した時点で、少なくとも……『電話の場合は通話終了後、各々すぐに携帯電話の電源を切る』『メールの場合は、送信側は送信直後に、受信した側も返信はせず、メールを確認した時点ですぐに電源を切る』ことは必須だね。携帯電話の電源が入ったままだと、GPSで位置情報がばれちゃうから」

美希「あー、なるほどなの」

春香「そしてこれは言うまでもないことだけど……『目的地に向かう前に、尾行がついていないかを入念に確認する。もしついていた場合は尾行がなくなるまで絶対に動かない』もだね」

美希「はいなの」

春香「これは、私の場合は……レム。尾行の確認、頼んでもいい?」

レム「ああ。いいだろう」

春香「じゃ、美希の方はリューク、お願いね」

リューク「あ? 何で俺がそんなこと……」

春香「お願い。もしやってくれたら好きなだけリンゴ食べさせてあげるから」

リューク「……まあ、いいだろう。あくまで緊急時だけの話みたいだしな」

春香「ありがとう。リューク」

レム「……本当に現金な奴だな。お前は」

リューク「いいだろ、別に。というか、自分で言うのもなんだが……無償で人間に協力するお前よりはよっぽど死神らしいと思うがな」

レム「何とでも言え。私は私の意思でそうしているだけだ」

春香「えーっと……あと、『暗号』の使用時に私達がしないといけないことは……『移動開始後、できるだけ早い段階において、適当な店で服を買って全身を着替える』もだね。『暗号』を使う前の段階で、尾行なり防犯カメラなりで全身を観られている可能性もあるかもしれないから」

美希「流石春香。実に用心深いの」

春香「まあこれくらいはね。後は、『『暗号』が使われたら、互いにどんな状況であっても、またどれだけ時間が掛かろうとも、各々、必ず約束していた場所へ向かう』『先に目的地に着いた方は、どれだけ遅くなろうとも、もう一方が来るまで待ち続ける』……こんなところかな」

美希「すごいの春香。よくそんなに次から次へと思いつくね」

春香「いやいや、別に大したことないよ。これくらい」

美希「じゃあ後、決めとかないといけないのは、ミキ達がその時に向かう『場所』をどこにするのかと……肝心の『暗号』を何にするのか、だね」

春香「そうだね。まあでもとりあえず『場所』は……あの公園で良いんじゃない?」

美希「あの公園って……事務所の近くの?」

春香「そう。私が美希に全てを打ち明けた場所でもある……あの公園だね」



415:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 19:11:41.80 ID:BTrwrj0k0

美希「……でも、危なくない? あんなに事務所の近くだと……」

春香「いや、逆だよ。美希」

美希「逆?」

春香「うん。元々、私達は同じ事務所のアイドル仲間同士……そんな私達が、自分達のどちらかが危険を感じるような状況下において……『あえて』事務所の近くで会おうとするなんて普通は思わない。……それならむしろ、私達のいずれにとっても縁もゆかりも無いような場所で会おうとする可能性の方を考えるはず」

美希「あー……だからその裏をかこうってことなの」

春香「そう。それに私は以前、あの公園の防犯カメラの位置を全部調べてたんだ。だからカメラに映らない死角も全て把握してる。直接会って話をするのにはうってつけってわけ」

美希「春香、そんなことしてたの? それって、ミキに全てを打ち明けてくれた……あの時よりも前に?」

春香「うん。その時にも話したけど、美希がノートを持ってること自体は、前のプロデューサーさんが亡くなったほとんどすぐ後に分かってたからね。とすると、美希がキラであっても、そうじゃなくても……いずれは、私もノートを持ってることを美希に話すことになるだろうって思ってたから」

美希「そうだったんだ」

春香「勿論、事務所の屋上とかでも話せなくはなかっただろうけど……話が長くなった場合、事務所の誰かに聞かれてしまわないとも限らなかったからね。それで美希に話す前に、事務所以外の場所をいくつか調べておいて……最終的に、防犯カメラの数自体が少なく、死角が多いあの公園がベストってことになったんだ」

美希「じゃあ春香があの時、ミキをあの公園に連れて行ったのも……」

春香「うん。最初から、話が長くなりそうだったらあそこに連れて行こうって思ってたんだ。もし美希も目を持っていて、私もノートの所有者だってことに気付いていたら、そこまで長い話にもならないかなと思ってたけど……実際、美希は全く気付いてないみたいだったからね」

美希「なるほどなの。じゃあ『場所』はそこで良いとして……肝心の『暗号』は何にする? 春香」

春香「うーん……まあ何でもいいといえば何でもいいんだけどね。私と美希の間でさえ『それ』と分かればいいんだから」

美希「でも、うっかり間違えて使っちゃったりしないような言葉にしないとダメだよね」

春香「そうだね。電話の場合はその場ですぐに訂正できるけど、メールだとそうはいかないからね。……となると、私も美希も、普段の会話でまず使うことがないような言葉……」

美希「あ」

春香「? 何? 美希」

美希「春香。あのね。ミキ、ちょっと良いの思いついちゃったの」

春香「え、本当? 何?」

美希「えっとね――……」



416:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 19:26:12.07 ID:BTrwrj0k0

【(回想終了)現在から一週間前・765プロ事務所近くの公園】


(隣り合う二つのブランコに並んで腰を下ろしている美希と春香)

春香「……で、結局そのまま決めちゃったんだよね。『おむすび』に」

美希「うん。でも良い案だったでしょ? ミキは普段『おにぎり』としか言わないから、まず間違えて使うこともないし」

春香「でもそれ、ぶっちゃけ美希の都合だけで、私の都合はほとんど何も考慮されてないよね……」

美希「うん。まあでも春香だし良いかなって」

春香「何で最後雑にするかな!?」

美希「あはっ。まあでも良いじゃん。……ちゃんとこうして、この公園で――……二人で会えたんだから」

春香「……まあね。でも……なんか懐かしいね。二人であの『暗号』を決めたのは、765プロの皆で美希や伊織達の入学のお祝いをした日だったから……もう四か月くらい前になるよね」

美希「……うん。そうだね」

美希「本当に……懐かしいの」

春香「…………」

美希「…………」

美希「あ。そういえば……春香」

春香「? 何? 美希」

美希「念の為に聞くけど……尾行の方は大丈夫だったの? 今日もついてたでしょ?」

春香「! ……うん。レムに確認してもらったんだけど、何故か、私がカフェで清美さんとお茶してる間にいなくなったみたい」

美希「そっか。なら良かったの」

春香「っていうか……美希。『今日も』ってことは……気付いてたんだね」

春香「尾行の事」

美希「……うん。5月の初め頃……ちょうど、東大の学祭が終わってすぐくらいの頃に……リュークが『見られているような気がして気持ち悪い』って言い出して……」

春香「! 東大の学祭の直後……レムが尾行に気付いて、私に教えてくれたのも同じ頃だった」

美希「…………」

春香「じゃあ美希は、今までずっと気付いて……?」

美希「……うん」



417:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 19:46:47.22 ID:BTrwrj0k0

春香「じゃあ何で、美希……私に何も……」

美希「…………」

春香「私はてっきり、美希が尾行に気付いたら、不安を覚えて必ず私にそのことを伝えに来ると思ってた。だから美希がそれをしてきていない以上、美希は当然、尾行には気付いていないものだとばかり……」

美希「それは……」

春香「…………」

美希「……分かったの。春香」

美希「それも含めて……全部話すの」

美希「ミキが今まで、春香に言えなかったコト」

春香「!」

美希「そして今日、ミキが『暗号』を使った理由……つまり」

美希「今日、何が起こったのかを」

春香「……美希」

美希「あれはもう……今から半年以上も前になるね」

美希「この公園で、春香がそれまでのこと、ミキに全部話してくれて……デスノートのことや死神のこと、二人で初めて話したのは……」

春香「…………」

美希「あの時は、ほとんど春香が話してくれたけど……」
 
美希「今日は、ミキの番なの」

春香「美希」

美希「少し長くなるけど……聞いてほしいな」

春香「……分かったよ。美希」

春香「話して。美希が話したいこと、全部」

美希「ありがとうなの。春香」

美希「じゃあ、話すね――……」

春香「…………」



418:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 20:11:53.17 ID:BTrwrj0k0

(美希は、これまで春香に話していなかったこととして、次の内容を春香に伝えた)

(尾行には気付いていたものの、春香に自分の事を心配させないために、あえて伝えていなかったこと)

(昨年のファーストライブの日に春香のファンが『心臓麻痺で』死んだ件から、Lが春香を美希と同じくらいのレベルで疑っている可能性があること)

(これまでの経緯と、三日前に自分と二人でアリーナを訪れた際の竜崎の言動から、自分は竜崎がLであると確信したこと)

(竜崎と話を合わせている夜神月も、竜崎と同じくキラ事件の捜査本部に居て、自分達をキラとして疑っている者である可能性が高いと考えていること)

(また自分の父親も、キラ事件の捜査本部にいるか、いないとしても、捜査本部に対して捜査協力をしている立場にあると考えられること)

(しかしまだ、自分はL=竜崎の名前をデスノートに書いてはおらず、その他、自分の父親も含め、自分達を追っていると思われる者の名前は一人も書いていないこと)

(以上の内容に続けて、美希はこの日に起こったこと、およびこの先起こりうることとして、次の内容を春香に伝えた)

(本日の撮影現場となったスタジオの更衣室内で、海砂にデスノートを触られてしまったこと)

(更衣室内にはLが付けたと思われる複数の監視カメラがあり、デスノートの存在と内容をほぼ確実に映像に撮られてしまったであろうこと)

(海砂は夜神月の指示で行動しており、海砂は夜神月から『かつて自分がキラの能力を持ち裁きをしていたが、美希と春香にその能力を奪われた』という旨の説明を受けていたこと)

(さらに海砂は、竜崎と清美も『夜神月の協力者』として認識しており、清美がこの日、春香と行動を共にしていたのは春香の動向を監視するためであったと考えられること)

(そしてL=竜崎は、この日得られた証拠――デスノートの存在と内容――をもって美希をキラとして断定し、その共犯者と考えられる春香と共に―――今すぐにでも、二人を逮捕する可能性が高いと考えられること)

美希「……っていう、感じなんだけど……」

春香「…………」

美希「は、春香……?」

春香「あ、ああ……うん。……ごめん」

春香「ちょっと、色々……混乱してて」

美希「……ごめんね。いきなり、こんな……」

春香「ううん。美希は何も悪くないよ」

春香「むしろ、全部話してくれてありがとう」

美希「春香」

春香「でも……そっか。そうなんだ……」

美希「…………」

春香「えっと……じゃあ美希は、その……ずっと前から疑ってたの?」

春香「竜崎さんが、Lだって」

美希「…………うん」

春香「…………」

美希「今も言ったけど、確信したのは……三日前に二人でアリーナに行った時だけどね」

春香「……そっか」

美希「…………」

春香「…………」



419:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 20:19:58.17 ID:BTrwrj0k0

春香「でも、それなら何で私に……いや、私には言えないか……」

美希「……うん。春香は竜崎のこと……微塵も疑ってないみたいだったから」

春香「そっか……」

美希「…………」

春香「でも、まだ彼の名前は書いてないんだよね?」

美希「うん。書いてないよ」

春香「それは……元々、Lを殺すことは考えてなかったから?」

美希「…………」

春香「美希、前に言ってたもんね。『Lは犯罪者じゃないから、Lを殺したりするのは抵抗がある』って」

美希「……うん。でも……」

春香「でも?」

美希「最初は確かにそう思ってたんだけど……その、途中で……『Lが春香をミキと同じくらいのレベルで疑っている可能性がある』ってことに気付いてからは、ミキの中でも、考え方が変わってきて……」

春香「…………」

美希「『春香を守るためには、Lを殺すしかない』……そう考えるようになったの」

春香「! ……美希……」

美希「だから……竜崎がLであるとの確証さえ得られたら、ミキは彼を殺すつもりでいたの」

春香「? でも……美希はもうその確証は得ているんだよね? 三日前に……」

美希「……うん」

春香「じゃあ、どうして……? 私にその事は言えないとしても、死因を事故死か何かにして、竜崎さんの名前を書くことはできたはずじゃ……?」

美希「それは……」

春香「それこそ美希の言う通り、私は今の今まで、彼の事を全く疑っていなかったわけだから……心臓麻痺ならともかく、他の死因なら……」

美希「…………」

春香「確かにそれでも、私も一度は『美希が殺した』っていう可能性を疑ったかもしれないけど、美希自身がそれを否定しさえすれば……私はきっと、それ以上は美希を疑えなかったと思うんだけど……」

美希「……うん。そうだね」

美希「春香はきっとミキのコト、信じてくれるだろうから……ミキも、そうなっただろうなって思うよ」

春香「じゃあ、何で……」

美希「……ミキね。見たくなかったの」

春香「? 何を?」

美希「春香の……悲しむ顔を」

春香「!」



420:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 20:31:47.07 ID:BTrwrj0k0

春香「美希。それって……」

美希「春香は竜崎のコト、本当に信頼してたでしょ? 自分の事を最も深く理解してくれているファンの一人として」

春香「……うん」

美希「そんな春香が、『竜崎が死んだ』なんて知ったら、きっとすごく悲しむだろうなって思ったの」

美希「たとえそれが、ミキの手によるものではなくても」

春香「…………」

美希「だったら、せめてミキがハリウッドに行ってから竜崎が死ぬようにすれば……春香のそんな顔は見なくて済むって思ったの」

春香「……そっか。でもノートで死の前の行動を操れるのは、名前を書いた日から23日間以内だから……」

美希「うん。だからまだ書けなかった。ミキがハリウッドに行くのは9月の半ば過ぎ……そこから逆算すると、名前を書けるのは早くても8月の終わり頃になるから」

春香「……そうだったんだ」

美希「…………」

春香「本当に……優しいね。美希は」

美希「……春香」

春香「尾行の事もそうだけど……私の事を考えて、ずっと……自分の中に抱え込んでくれてたんだね。……色んな事を」

美希「……うん」

春香「美希」ギュッ

(美希を正面から抱きしめる春香)

美希「……春香」

春香「……ごめんね。ずっと、ずっと……美希一人に、辛い思いさせて」

美希「……ううん。ミキこそ、ごめんね。こんなに大事な事……春香にずっと言えないままで」

春香「美希が謝ることじゃないよ。美希はただ……私の事を思って、そうしてくれてたんだから」

美希「春香……ありがとうなの」

春香「私の方こそ……ありがとう。美希」

春香「今までずっと抱えていたこと――……全部、話してくれて」

美希「……春香」

春香「だから、これから一緒に考えよ?」

春香「今から私達は、何を……どうすべきなのか」

春香「……ね? 美希」

美希「……うん。そうだね。春香」



421:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 20:42:15.85 ID:BTrwrj0k0

春香「でも現実問題として、デスノートの存在と内容を映像に撮られてしまっていることがほぼ確実な以上……このままだと、私達がL……いや、竜崎さんに捕まるのもほぼ確実……か」

美希「…………」

春香「? 美希?」

美希「あ、ごめん。えっと……春香」

春香「何?」

美希「なんていうか、その……『竜崎がL』ってところ……なんか、普通に受け入れて、前提にしちゃってるけど……大丈夫なの?」

春香「…………」

美希「正直、まだ100%そうって決まったわけじゃないし……ぶっちゃけ、ミキが確信した根拠もほぼ直感みたいなもんだし……」

春香「…………」

美希「あと、『夜神月も捜査本部に居て、ミキと春香を疑っている可能性が高い』っていうのも、文字通り、可能性レベルの話だし……」

春香「……そりゃまあ、もっと時間があったら……色々考えたり、思うところもあったりしたかもしれないけど……」

美希「…………」

春香「でも今のこの状況じゃ、もうああだこうだと考えている余裕は無いし……それに、何よりも……」

美希「…………?」

春香「私は、美希を信じてるから」

美希「! 春香……」

春香「確かに、私は竜崎さんの事をファンとして信頼していたし、ライトさんのことも特に疑ってはいなかったけど……」

春香「でもだからといって、彼らに対する信頼が……美希に対するそれを上回るということは絶対に無い」

美希「春香」

春香「だから……竜崎さん達と美希、そのどちらかを信じるとしたら……私は当然、美希を信じる」

春香「ただそれだけのことだよ」

美希「! ……春香。ありがとうなの」

春香「いいよ、お礼なんか。仲間を信じるのは当たり前の事でしょ?」

美希「春香……」

春香「それに美希だって、私の事を信じてくれていたからこそ、今日……『暗号』を使ってくれたんでしょ?」

美希「それは……うん。その通りなの」

春香「なら、最後までお互いを信じて頑張ろうよ。私達は今までも、ずっとそうしてきたんだから」

美希「……そうだね。春香」

美希「一緒に頑張ろうなの。最後まで、一緒に」

春香「うん! 美希」



422:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 20:59:50.02 ID:BTrwrj0k0

美希「とは言うものの……現状としては、今春香が言った通り……正直、厳しいよね」

春香「……うん。今日の件に加えて、これまでのこともあるから……このまま何もしなければ、私達は今日明日中にも捕まるだろうね」

美希「…………」

春香「捕まれば、当然ノートは押収される……ノートの検証をされればそれで終わりだし、されなかったとしても、ここまでの証拠がある私達を自由にするはずがない……」

美希「……そうだね。それにはミキも同意見なの」

春香「でも、一週間後にはアリーナライブが控えている……だから今、捕まるのだけは……」

美希「…………」

レム「ハルカ。ミキ」

春香「! レム」

美希「どうしたの?」

レム「私もずっと、今の状況でお前達が取り得る策を考えていたんだが……ノートの所有権を放棄する、というのはどうだ?」

春香「! ノートの所有権を……」

美希「放棄……」

レム「そうだ。そうすればノート自体を私とリュークに返すことになるから、今以上の物的証拠は出なくなるし……また同時にノートに関する記憶もなくなるから、もしお前達が捕まって、自白剤を投与されたり、ポリグラフ検査に掛けられたりしても絶対に証拠は出ない」

美希・春香「…………」

レム「そしてキラとしての決定的な証拠が無い以上は……いつか必ず、お前達が解放される日は来るだろう。そうすればまたノートを渡してやる」

レム「所有権をなくしたノートの所有権を再び得れば、関わった全てのノートに関する記憶が戻る……そうすればミキはまたキラとしての裁きを再開できるし、ハルカも765プロの邪魔者を消すためにノートを使えるようになる。……どうだ?」

リューク「いや、でもそれだと……『ミキとハルカが捕まった途端』にキラの裁きが止まることになるだろ。決定的な証拠が無いとはいっても、そんな状況でLがこいつらを自由にするとは思えないけどな」

レム「……だったら、二人が使っていたノートを一時的に他の人間に渡し、ミキに代わってキラの裁きをさせるようにすればいい。そしてLが二人を白だと判断し、解放した時点で……私かリュークがその時点のノートの所有者を殺してノートを回収し、二人に渡す。……これならどうだ?」

リューク「まあそこまですれば確かに大丈夫かもしれんが……でも俺がそれに協力する保証は無いぜ」

レム「お前は面白いものが観られればそれでいいんだろう? リューク。一度は頓挫したかにみえた状況からの、ミキの“理想”の世界の創世の再開……十分面白い展開だと思うが?」

リューク「それは、まあ……そうだな」

レム「そういうことだ。どうだ? ハルカ。ミキ」

春香「……ありがとう。レム。それは確かに良い案だけど……でもやっぱり、『今』私達が捕まる可能性は残っちゃうよね」

レム「! それはそうだが……しかしキラとしての決定的な証拠が出なければ、いつかは……」

美希「『いつか』じゃ、遅いの」

レム「ミキ」

美希「『いつか』自由になったとしても……『今』捕まってしまうんじゃ、意味が無い」

美希「だって、ミキと春香が―――765プロの皆と一緒に、アリーナライブを成功させて、トップアイドルになれるのは―――『今』しかないんだから」

レム「! …………」

美希「……だよね? 春香」

春香「……うん」

春香「ありがとう。美希。私の気持ち……代わりに言ってくれて」

レム「……ハルカ……」

春香「ごめんね。レム。そういうわけだから……その案は採れないよ」

レム「…………」



423:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 21:14:59.30 ID:BTrwrj0k0

リューク「……ククッ。ここまで追い詰められた状況下においても、仲間と一緒にトップアイドルになることだけは諦めない……ってわけか」

美希「当たり前なの。そのためにミキも春香も、今までずっと頑張ってきたんだから」

春香「美希」

レム「……じゃあ、一体どうするんだ? さっきハルカも言っていたが……もうお前達が捕まることは既定路線なんだろう?」

レム「それこそ、L……いや、竜崎をはじめ、『お前達を捕まえる可能性がある者』を全員殺すことができれば、話は別かもしれないが……しかし今の状況で、そんなことは……」

春香「うん。ちょっと無理だろうね。現時点で顔と名前の分かる人は何人かいるけど、その人達を片っ端から殺したところで、私達が完全に安全となる保証は無い。……だよね? 美希」

美希「……そうだね。今となっては、もうノートの情報自体を完全に抹消することは不可能……捜査本部外にもバックアップが渡っていると考えた方が良いの」

美希「となると、たとえL……竜崎をはじめ、現時点でミキ達が殺せる人間を全員殺したところで、ノートの情報を知る人間を全て消すことは不可能」

美希「だからミキと春香は『アリーナライブ前に必ず誰かに捕まる』……これはもう、動かしようがない未来なの」

美希「このまま何もしなければ……ね」

春香「…………」

リューク「何もしなければ、って……じゃあまだ何か手があるっていうのか? ミキ。殺す対象が絞り込めない以上……そいつら全員をデスノートで『ミキとハルカを捕まえないように』操って殺すこともできないわけだろ?」

美希「そうだね。『その書き方』じゃ、必ず漏れが出る。ミキ達が捕まることは避けられないの」

リューク「……ん? なんだ、ミキ。その引っ掛かる言い方……」

美希「でも……『逆』なら」

リューク「? 『逆』?」

春香「………… !」

レム「? ハルカ?」

春香「……美希……」

美希「…………」

リューク「! ああ……なるほど」

リューク「それで『逆』……ね」

レム「! ……そういうことか」

美希「……うん」

美希「今日、ここに来るまで……春香に会うまで、ずっと考えてたの」

美希「ミキ達はこれから、何をすべきなのか……どうするべきなのか」

春香「…………」

美希「でも、やっぱり……『これ』以外の選択肢は無いと思う」

美希「ミキ達が、アリーナライブを成功させ――……」

美希「765プロの皆と一緒に、トップアイドルになるには」

春香「…………」



424:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 21:33:22.64 ID:BTrwrj0k0

美希「春香」

春香「……美希」

美希「春香は……どうしたい?」

春香「! 私、は……」

美希「……ミキね。色々言ったけど……最後はやっぱり春香に決めてほしいの」

春香「私に?」

美希「うん。だって……アリーナライブのリーダーは春香だから」

春香「!」

美希「だからミキは、リーダーの決めたことに従うの」

春香「……美希……」

美希「…………」

春香「私は……やっぱりアリーナライブに出たい」

春香「アリーナライブに出て、ライブを成功させて……」

春香「765プロの皆と一緒に、トップアイドルになりたい」

春香「だって、私は……天海春香だから」

春香「私はアリーナライブのリーダーだけど、その前にやっぱり……私だから」

春香「だから私は、全員で走り抜きたい。今の全部で――……このライブを成功させたい!」

春香「それが私の果たすべき“使命”であり、私に命を与えて死んでいったジェラスの夢だと思うから」

美希「……春香」

春香「って、そういえば……昨日も同じこと言ったね。アリーナからの帰り道、美希とプロデューサーさんと三人で話してた時に……」

美希「……うん。あと、竜崎も同じこと言ってたの」

春香「えっ。竜崎さんが?」

美希「うん。三日前、ミキと二人でアリーナに行った時ね。『春香がこのステージに立った時に何を思うのか、竜崎の考えを聞かせてほしい』って言ったら……今、春香が言ったのと同じことを言ったの」

春香「そっか……そうだったんだ」

春香「それで美希は、その竜崎さんの言葉に感動して……」

美希「うん。ミキ思わず泣いちゃった。『竜崎はこんなにも春香のコト、わかってくれてたんだ』って思ったら……嬉しくなっちゃって」

春香「……美希……」

美希「だからその時、確信したの。やっぱり竜崎が―――Lだったんだって」

春香「……そっか。そういうことだったんだね」

美希「うん」

春香「でも、それなら……私も嬉しいな」

美希「春香?」

春香「たとえファンだったことが嘘でも……竜崎さんが、そこまで私の事を分かってくれていたのなら……アイドル冥利に尽きるってもんだよ」

美希「……うん。そうだね」



425:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 21:50:35.82 ID:BTrwrj0k0

春香「……で、美希。とりあえず私の意思、というか気持ち的には、そういう感じなんだけど……」

美希「うん。分かったの。ミキは春香の思う通りにするの」

春香「……本当にそれでいいの?」

美希「え?」

春香「だって、私はそれで自分の“使命”を果たせるけど……美希には美希の……“理想”があるじゃない」

美希「…………」

春香「今ここでその選択をしたら、美希の“理想”はもう……」

美希「いいの」

春香「美希」

美希「勿論、本当にミキの“理想”を追求するなら……さっきレムが言っていたように、ここで一度ノートを捨てるべきなんだと思う。そしていつになるかは分からないけど、Lから解放された時点で、リュークかレムにノートの所有者を殺してもらって、もう一度ノートを渡してもらう……」

レム「…………」

美希「でもその手段を取って、ノートの記憶を取り戻し、キラの裁きを再開することができるようになったとしても……」

美希「それはもう、ミキにとっての“理想”じゃない」

美希「だってそれは……春香が自分の“使命”を果たせなかった世界だもん」

春香「!」

美希「キラの裁きが再び始まり、犯罪が減少し……たとえそれが世界中の人々にとって幸せな世界であったとしても、春香にとってそうじゃないなら……それはもう、ミキの“理想”の世界じゃない」

春香「…………」

美希「それならミキは、春香が自分の“使命”を果たせた方の世界を選ぶ」

美希「それこそが、春香にとって幸せな世界」

美希「ミキにとっての“理想”の世界なの」

春香「……ありがとう。美希」

春香「私は、幸せ者だよ」

美希「いいの。春香が幸せなら、ミキも幸せだから」

春香「……美希……」



427:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 22:03:44.92 ID:BTrwrj0k0

リューク「……じゃあ、これでもうキラの裁きはおしまいか。残念だな」

美希「そうだね。もちろん、できるところまではするつもりだけど」

リューク「でもよ、ミキ。L……竜崎や夜神月、それから他の捜査本部の奴らとかはどうするんだ? 結局誰も殺さないのか?」

美希「うん。元々、ミキは犯罪者以外は殺したくなかったし……もうその必要も無くなったからね」

リューク「ちぇっ。つまんねぇの」

美希「あはっ。でもね、リューク」

リューク「? 何だ?」

美希「ミキとL……ううん、ミキと『竜崎』との勝負はまだ終わってないの」

リューク「? どういう意味だ?」

春香「美希?」

美希「ミキは一週間後のアリーナライブで……竜崎を魅了して、ミキのファンにしてみせるの」

リューク「!」

春香「竜崎さんを……美希のファンに?」

美希「うん。アイドルは観てくれる人を魅了してこそだからね」

美希「だからミキは、竜崎を魅了して……ミキのファンにしちゃうの」

美希「で、それができたらミキの勝ちなの」

リューク「? ……なんかよく分からんが……そういうもんなのか?」

美希「そういうものなの。……ね? 春香」

春香「あはは。そうだね」

春香「私もそれでいいと思うよ。美希らしくて」

美希「あはっ」

レム「…………」



428:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 22:13:49.41 ID:BTrwrj0k0

美希「あ、でも……春香」

春香「ん?」

美希「竜崎や捜査本部の方はそれでいいとしても……黒井社長は……」

春香「ああ……もういいよ」

美希「いいの? ……殺しておかなくて」

春香「うん。前に美希も言ってたけど……黒井社長が死んで961プロの勢いが衰えたら、逆に他の事務所が勢いづいて……また“765プロ潰し”みたいな事が起きるかもしれない」

春香「もちろん今までは、『もしそういう状況になったとしても、そんな奴らは私が片っ端から殺してやればいい』って思ってたけど……もうそれも叶わないからさ」

美希「……そっか。それよりは、まだ黒井社長が生きている今の状況の方がマシってことだね。実際今は、961プロからもそれ以外の事務所からも、何の妨害も受けてないもんね」

春香「そういうこと。勿論、“償い”として、黒井社長は最大限に苦しめた上で殺してやりたかったけど……でも今の私にとっては、それよりも……これから先もずっとアイドルを続けていく、765プロの皆の将来の方が大切だから」

美希「春香」

春香「それに黒井社長にしても、今まで相当脅迫して苦しめてやったし、今もまだその脅迫自体は効いているはずだから……流石にもう同じような事はしないだろうしね」

美希「そうだね」

春香「あと、私が彼を脅迫した文章の中には『自分の息のかかった事務所にも、これまでのように弱者をいたぶるような真似はさせず、自由で公平な競争をさせるように』という文言も含んでおいたから……むしろこの先、黒井社長には生きていてもらった方が、他の事務所に対する抑止力になるかもしれないしね」

美希「なるほどね。……じゃあ結局、今、このノートに書く名前は……」

春香「……うん」

美希「…………」

春香「…………」



429:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 22:28:51.18 ID:BTrwrj0k0

リューク「だが……ミキ」

美希「? 何? リューク」

リューク「いや、水を差すようで悪いが……」

リューク「お前も知っての通り、デスノートだって万能じゃない。実現不可能な内容までは操れない」

美希「…………」

リューク「つまり、お前達が『そうした』からといって、100%『そうなる』という保証は……」

美希「なるよ」

リューク「!」

美希「だって……『実現不可能』なわけないもん」

春香「美希」

リューク「…………」

美希「『実現不可能』な内容じゃなければ……言い換えれば、たとえ1%でも実現する可能性があるのなら……それはデスノートの力で100%『そうなる』」

美希「……そういうことでしょ? リューク」

リューク「それはまあ……そうだが……」

美希「だったら、100%『そうなる』の。……ね? 春香」

春香「……うん。そうだね。美希」

リューク「……まあそこまで自信があるのなら、もう何も言わないが……」

レム「…………」

美希「じゃあ……書こっか。春香」

春香「……そうだね。美希。決めた以上、早いうちに書いちゃわないとね」

美希「うん。ミキが書いちゃっていい?」

春香「もちろん。美希のノートなんだし」

美希「わかったの」

レム「……ハルカ」

春香「レム」

レム「本当に……これでいいんだな?」

春香「……うん」

春香「これでいい。これでいいんだよ」

春香「これが私達にとって……ベストな選択なんだから」

レム「……そうか」

春香「…………」



430:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 22:39:37.28 ID:BTrwrj0k0

美希「あ、そうだ。春香」

春香「? 何? 美希」

美希「『場所』はどうする?」

春香「あー……そっか。決めといた方が良いよね」

美希「うん。まあ決めなくても大丈夫だとは思うけど……せっかくだし、決めておきたいなって」

春香「そうだね。……じゃあ……」

美希「…………」

春香「……海、が良いな。海の見える、浜辺」

美希「? 海?」

春香「うん。ほら、去年皆で行ったでしょ? 夏の海」

美希「ああ……懐かしいの」

春香「あれ、すごく楽しかったからさ。一応、今年の合宿でも海の近くには行ったけど……まだ6月で入れなかったし」

美希「あはっ。そんな理由で、なんて……」

春香「……だ、駄目かな?」

美希「ううん。そんなことないの」

美希「実に春香らしいの」

春香「あはは。そっか、良かった」

美希「じゃあ『場所』は……『海の見える浜辺』で決まりだね」

春香「うん。それでお願い」

美希「わかったの。……じゃあ、書くね」

春香「……ねぇ。美希」

美希「? 何? 春香」

春香「ずっと……一緒だね」

美希「うん」

美希「ずっと一緒なの」


美希・春香「最後まで」


美希「…………」

春香「…………」

美希「あはっ」

春香「ふふっ」



431:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 23:28:15.42 ID:BTrwrj0k0

【現在・海の見える浜辺】


リューク「―――とまあ、そういうわけだ」

月「そういうこと……だったのか」

L「ノートを使って、自分達の運命を……」

リューク「ああ。だが今も言ったが、いくらデスノートといっても万能じゃない……どんな運命でも操れるというわけじゃない」

リューク「実現不可能な行動を書いた場合は、『死の状況』は書かなかったものとみなされてしまう」

L「つまりノートに『死の状況』を記載しても、本当に『そうなる』かどうかは実際に書いてみない限りは分からない……ある意味賭けだったわけですね」

リューク「そういうことだ。あと、これもついでに教えておいてやるが……一度デスノートに名前を書き込まれた者の死は、どんな事をしても取り消せない」

月・L「!」

リューク「だから、たとえ『死の状況』として書かれた内容が実現不可能なものだったとしても……『名前を書かれた者の死』自体は必ず実現されてしまうんだ」

月・L「…………」

リューク「だが、ミキとハルカは……その危険を踏まえてもなお、賭けに出た」

リューク「そして結果、賭けに勝った。まあこの場合、『勝った』と言っていいのかは分からんが……とにかくノートに書かれた内容はその通りに実現されたってわけだ」

L「なるほど……」

月「……しかし、一週間前のあの日……僕達の監視を掻い潜った後、二人が会っていた場所が……まさか『あの』公園だったとはな。……盲点だった」

L「そうですね。私達にとっては、『あの』公園でなされたノートの授受こそが……ノートの存在に気付いた端緒でしたからね。まさかその場所で落ち合おうとするなんて……私達からは絶対に出ない発想でした」

リューク「ノートの授受? ……ああ、ミキの部屋にカメラが付けられて……ハルカがミキの代わりに裁きをしていた時か。……お前ら、そんな早い段階からノートの存在に気付いていたのか」

L「最初は交換日記か何かだろうと思い、そこまでの特別視はしていませんでしたけどね」

リューク「ククッ。なるほどな」

L「…………」

L(そして、あの撮影の日の翌日……星井美希は、星井係長の着替えを持って警察庁に現れ、夜神局長と接触した……)

L(今思えば、キラとしては無防備過ぎる行動……だが星井美希には分かっていたんだ)

L(たとえ警察庁内で捜査本部の人間に直接接触したとしても……『あの場で自分が捕まることは絶対に無い』ということが)

L(だからこそ、堂々と姿を現し……そして、その行動の真の目的は……おそらく)

L(最後に一目、父親に……)

L「…………」



432:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/21(土) 23:49:03.71 ID:BTrwrj0k0

リューク「……さて、じゃあこれまでの経緯についての説明はこのへんにして……話を戻そう」

リューク「どうだ? お前達……これからミキとハルカに代わって、そのデスノートを使ってみないか?」

月・L「…………」

リューク「今の話だけでも、デスノートには無限の可能性があることが分かっただろう。ましてやお前達なら、ミキとハルカよりも、きっと……」

月「……お前を楽しませることができる、か?」

リューク「ああ。そういうことだ。ククッ」

月「…………」

リューク「さあ……どうする? 二人で協力して使ってもいいし、どっちか一人だけで使ってもいいが……」

リューク「とりあえず今、そのノートの所有権があるのは……先にノートに触れた方……つまり夜神月。お前だ」

月「! ……もしこのまま、僕がお前にノートを返したらどうなるんだ? 今聞いた話からすると、ノートに関する記憶が無くなるのか?」

リューク「いや、それはあくまでもノートを使って人を殺した場合だけだ。ノートを使っていない場合は記憶は消えない」

リューク「ただし俺の姿は見えなくなるし、声も聞こえなくなるがな」

月「……そうか」

L「…………」

月「リューク」

リューク「ん?」

月「そもそも、お前が星井美希にノートを渡した理由は『面白いもの』が観たかったから……だったな」

リューク「ああ。そうだ」

リューク「だが、もっと端的に言えば……」

月「?」

リューク「退屈だったからだ」

月「! ……退屈……」

リューク「そういう意味では、ミキにノートを渡したのは正解だった」

リューク「時間としては、八か月半ほどの付き合いでしかなかったが……それでも、それなりの退屈しのぎにはなったからな」

リューク「ただ、ミキはそれなりに優秀ではあったが……デスノートを使い続けるには――……」

リューク「優し過ぎた」

L「! …………」

リューク「ミキは、ノートを拾ってすぐに殺した事務所の前のプロデューサーと、半ば自棄になって名前を書いたクラスメイトの奴を除けば……本当に悪人しか殺さなかったからな」

リューク「もっとも、ハルカの方は少し事情が違うが……まあ、あれはミキがノートを拾う前の話だしな」

リューク「それに十日前の件にしたって、竜崎……お前がLだと確信した時点で、すぐに名前を書いていれば……また違った結果になっていたかもしれないしな」

L「それは……そうですね」

リューク「だから今回、こういう結末になったのは……ある意味必然だったのかもしれない」

リューク「ミキの、あの優しい性格じゃあ……仮に今回の危機を切り抜けられていたとしても、遅かれ早かれ、同じ結末になっていただろうと思う」

リューク「だがその点……お前達ならそんな事はないだろう」

月・L「…………」

リューク「さあ、夜神月。そして竜崎」

リューク「俺を……もっと楽しませてくれ!」

月「…………」

L「…………」

月「……ああ。そうだな。リューク」

リューク「!」

L「! …………」



433:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 00:06:04.11 ID:uKLrxvWI0

月「……とでも言うと思ったか? 死神」

リューク「! …………」

月「以前、竜崎にも同じような話をしたが……確かに僕も、凶悪な犯罪者の報道を目にした時など……『こんな奴は死んだ方が世の中のためだ』などと思うことはある」

L「…………」

月「しかし、人が人を殺すことのできる唯一の手段は法律だ」

月「人類が長年にわたり知恵を出し合い、英知を結集させたもの……それが法律なんだ」

月「それを、ごく少数の人間の独断によって覆すことは許されない」

月「たとえその結果、犯罪が減少したとしても……それは平和でもなんでもない」

月「それは独善と言うんだ」

L「月くん」

リューク「…………」

月「だから……リューク」スッ

(手に持っていたデスノートをリュークに向けて差し出す月)

リューク「! お前……」

月「返すよ。死神。こんな物……僕達人間には必要無い」

リューク「……それがお前の答えなのか? 夜神月」

月「ああ」

リューク「……お前も同じか? 竜崎」

L「はい。私の言いたかったことは全て月くんが言ってくれました」

L「そのノートは私達には必要の無い物です。どうかそれを持って死神界にお帰り下さい」

リューク「……ああ、そう……」

月・L「…………」

リューク「だが……いいのか? そんな強気な態度に出て……。さっきも言ったが、俺はいつでもお前達を殺せるんだぞ?」

月「……だったら、殺せばいい」

リューク「何?」

L「…………」

月「死神に脅迫され、人を殺め続けることを強いられる人生を送るくらいなら……ここで死んだ方がましだ」

リューク「! …………」

月「その程度の覚悟なら、もうできている。このノートに触ることを決めた時……いや……」

月「竜崎と共に、星井美希と天海春香を捕まえると……決めた時に」

L「……私も、月くんと同じ気持ちです」

リューク「…………」



434:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 00:16:51.66 ID:uKLrxvWI0

リューク「……ククッ。そこまで開き直られては仕方ないな」

月・L「!」

リューク「しかし実に残念だ。お前達なら、確実にミキ達よりも俺を楽しませてくれると思ったんだがな」

リューク「特に……夜神月」

月「!」

リューク「俺の……『死神』の存在にいち早く勘付き、さらに『切り取ったページや切れ端でも殺せる』という可能性などをも考えていた、お前なら……」

月「…………」

リューク「ククッ。間違えたかな。ノートを渡す順番を」

リューク「もし俺が、ミキよりも先にお前にノートを渡していれば、あるいは……」

月「…………」

リューク「まあ……過ぎた事を言っても仕方ない。お前達にノートを使わせることは諦めよう」

月「……僕達を殺さないのか? リューク」

リューク「ん? ああ……さっきのは、それでお前達の気が変わるならと思い……駄目元で言ってみただけだ」

リューク「それに今、お前達を殺してしまうと……『これから先』……一層、楽しめなくなりそうだからな」

月「! ……それは、どういう……?」

リューク「ククッ。さぁてね」

L「…………」

リューク「さて、じゃあ残念だが……このノートは返してもらうとしよう」スッ

月「……リューク」

リューク「? 何だ?」

月「最後に……答えられるなら答えてくれ」

(浜辺に横たわっている美希と春香を見やる月)

月「……魂、とでもいうべきものがあるとして……デスノートを使い、死んだこの二人の……星井美希と天海春香の魂は、どこにいくんだ?」

リューク「…………」

月「やはり……地獄にでも連れて行かれるのか?」

リューク「ククッ。生憎だが……俺達死神は『魂』などという概念を持ち合わせてはいない」

リューク「だが、一つだけ言えることがある」

リューク「天国も地獄もない。生前何をしようが死んだ奴のいくところは同じ……死は平等だ」

月「……そうか」

L「…………」



435:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 00:30:43.27 ID:uKLrxvWI0

リューク「では……返してもらうぞ。デスノート」

月「ああ」

リューク「じゃあな。人間」

(月から差し出されていたデスノートを受け取るリューク)

(リュークがデスノートを手に取るのと同時に、月はノートから手を放す)

(その瞬間、月からはリュークの姿が見えなくなった)

月「! リュークの姿が見えなくなった」

L「……私にはまだ見えていますが」

リューク「ああ」

月「えっ」

リューク「竜崎……お前はノートの所有者ではなかったからな。単にノートに触っただけの人間に俺の姿を見えなくするには、一度その人間にノートの所有権を持たせ、その上で所有権を放棄させなければならない」

L「…………」

リューク「だから……竜崎。便宜上、次はお前にこのノートの所有権を渡す。そうしたらすぐに俺に返せ」

リューク「そうしておかないと、お前には俺の姿が見えるままになっちまう……それは『都合が悪い』からな」

L「! ……分かりました」

月「竜崎? 今どういう状況なんだ?」

L「……後で説明します。月くん」

リューク「そうそう。後はあの女……弥海砂も、俺の姿が見える状態になっちまってるからな。後であいつの所にも行って、お前と同じようにノートの所有権持って捨ててをさせないと……」

L「……随分徹底していますね。『もう死神界に帰るのなら』あなたの姿が見える人間が人間界に残っていたところで、そんなに大きな不都合があるとは思えませんが」

リューク「ククッ。まあ……『もう人間界に来ないのなら』……な」

L「! …………」

リューク「よし。じゃあ渡すぞ」スッ

L「……はい」

(リュークからデスノートを受け取るL)

リューク「そして、そのままノートを俺に返せ。それで俺達の関係は終わりだ」

L「…………」スッ

(受け取ったばかりのデスノートをリュークに向けて差し出すL)

リューク「ククッ。これで今度こそさよならだ」

リューク「じゃあな。人間」

(リュークがデスノートを受け取った瞬間、ノートもリュークもLからは見えなくなった)

L「! ……見えなくなった……」

月「竜崎? 一体、何が……?」

L「月くん。実は――……」



436:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 01:30:25.81 ID:uKLrxvWI0

(リュークとの最後のやりとりの内容を月に伝えるL)

月「……なるほど。それでノートが見えたり見えなくなったりしていたのか」

L「月くんからはそういう風に見えていたんですね」

月「ああ。竜崎の手の中にいきなりノートが出現したかと思えば、竜崎がそれを前方に差し出した直後にまた見えなくなった」

L「なるほど。とすると、デスノートは『人間に譲渡する』という死神の意思があって初めて、我々人間にも認知できるようになる……ということですね」

月「そういうことだろうな。……しかし、それよりも気になるのは……あの死神、リュークの言動……さっきも、僕達を殺してしまうとこの先楽しめなくなる、みたいなことを言っていたが……」

L「はい。そして私からも自分の姿を見えなくするようにし……さらにこの後、弥の所に行って同じことをするとまで言っていました」

月「ならば……もう間違い無いな」

L「はい。あの死神……リュークは――――またそのうち、あのデスノートを人間に渡すつもりです」

月「そして人間にノートを渡した死神は、その人間が死ぬまで、その人間に憑いていなければならない……それは死神界の掟でもあるらしい」

月「つまりこの先、リュークからあのノートを渡される人間がいるとすれば……リュークはその人間に憑いていなければならなくなる」

月「その状況下において、ノートに触った事のある人間が、ノートの所有権を得て、それを放棄していなければ……その人間に近づいた場合、リュークの姿が見えることで、ノートの所有者が誰であるか分かってしまう。それを防ぐための措置だろう」

L「はい。弥はともかく、私がまたノートの所有者の捜査に乗り出せば……いずれはその容疑者として、ノートの所有者を目にする機会もあるでしょうからね」

月「……おかしいとは思ったんだ。わざわざ、僕達にノートを使わせるために人間界に留まっておきながら……あんなにあっさり引き下がるなんて」

L「ええ。おそらくリュークは、最初から二つのパターンを想定していたのでしょう。一つ目は言うまでもなく、私と月くんの双方、またはそのいずれか一方にノートを使わせ……そのさまを観て楽しむというパターン」

月「そして二つ目は……僕達がノートの使用を拒んだ場合に、他の者にノートを渡し……僕達にその者を追わせることで、それを観て楽しむというパターン……か」

L「はい。そして今まさに、その二つ目のパターンが現実のものになろうとしている……いえ、もう……『なった』と考えるべきしょうね」

月「そうだな。『自分の思い通りに人を殺せるノート』なんて……欲しがる人間は無数にいる。今日明日にも、自分の私利私欲のためにノートを使い始める人間が現れてもおかしくない」

L「あるいは、ノートがキラの理念に賛同する人間の手に渡れば……またキラの裁きを再開されてしまう可能性もありますね」
 
月「それならやはり……僕達がノートを持ったまま、誰も使うことがないよう、どこかに封印しておいた方が良かったかもしれないな。あるいはいっそのこと、焼却するなりして処分してしまうという手も……」

L「そうですね。一応はそのような手段もありえましたが……しかしリュークが私達を殺さなかったのは、まさに今月くんが言った通り、他の人間にノートを渡し、私達にその者を追わせ、そのさまを観て楽しむため……。そうであるとすれば、私達がノートを封印なり、処分なりしようとした時点で……今度こそ本当に私達を殺し、ノートを回収していたものと思われます」

月「そうなると結局、その後はまた別の人間にノートを渡されてしまうだけ……か」

L「はい。……おそらくは」



437:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 01:42:19.09 ID:uKLrxvWI0

月「それならば結局……僕達にできることは一つしかないな」

L「はい。またあのノートを手に入れ、人を殺すような者が出てきたら……その段階でその人間を捕まえるだけです。その人間がキラの思想を持っていようがいまいが関係ありません」

月「そうだな。しかしその人間を追い詰めたところで、またリュークによって別の人間にノートが渡されてしまうかもしれない。もはやそうなるといたちごっこだが……」

月「しかし……それでも」

L「はい。それでも私達は、ノートを使う者を追い続けるだけ……いえ」

L「追い続けなければなりません」

L「リュークが『もうこれ以上は何度やっても無駄だ』と音を上げるまで」

月「根比べ、というわけだな」

L「はい」

L「私達とリューク……どちらが先に音を上げるか」

L「死神との命懸けの根比べです」

月「……本当に命懸けだな。リュークのあの性格じゃ、いつ気まぐれで僕達を殺すか分からないし……」

L「そうですね。結局は、彼が飽きたらそこでおしまい、という話に尽きるのかもしれません」

L「しかし、私達は……」

月「ああ。そうだな。竜崎」

月「僕達は逃げるわけにはいかない」

L「…………」

(どちらからともなく、浜辺に横たわっている美希と春香を見やる月とL)

月「もう既に、色々と……背負ってしまっているからな」

L「……そうですね」



438:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 01:47:35.10 ID:uKLrxvWI0

月「……なあ、竜崎。この戦い……僕達は勝ったのかな?」

L「……そうですね。少なくとも、私個人としては――……負けです」

月「竜崎」

L「星井美希が私を殺さなかったのは、『天海春香の悲しむ顔を見たくなかったから』」

L「死神レムが私を殺さなかったのは、『天海春香の選んだ道を尊重したかったから』」

L「……皮肉だと思いませんか? 『熱狂的な天海春香のファン』という偽りの姿を演じ続けた私が……最後には『天海春香』という存在によって生かされたわけです」

L「誰がどう見ても、私の負けです」

月「…………」

L「また、容疑者と殺人の方法をほぼ完全に特定しておきながら……二人を逮捕する前にみすみす死なせてしまった」

L「これは明らかに私の探偵としての落ち度……この点でも私の負けです」

月「……それを言うなら僕も同じだ。竜崎」

L「月くん」

月「僕だって、『捜査本部に居て、星井美希と天海春香を疑っている可能性が高い者』とまで考えられていたんだ。いつ殺されてもおかしくなかった」

月「レムに殺されずに済んだことも、二人をみすみす死なせてしまったことも同じだ」

月「だから竜崎が負けというなら、僕も負けだよ」

L「……月くん」

月「だが結果として彼女達は死に……そして僕達は生き残った」

L「…………」

月「だからせめて僕は、この先の人生も精一杯……生きていこうと思う」

月「彼女達の分まで、などとおこがましいことを言うつもりはないが……せめて自分の人生を、悔いの無いように」

L「……それは私も同感です。月くん」



439:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 02:05:35.24 ID:uKLrxvWI0

月「……ところで、今後の事だが……竜崎。星井美希と天海春香がキラだった事は世間には公表しない……そうだな?」

L「はい。そのつもりです。このような結果になった以上、今更そんなことをしても意味が無いですし……むしろ、事件に何の関係も無い765プロダクションの関係者を無用な風評被害に晒すだけです」

L「また『キラがいなくなった』と公表すれば、当然、悪事を働こうとする者も増えるでしょうから……勿論、これは犯罪の抑止力としてのキラの存在を肯定する意味ではありませんが……そうなると分かった上であえて公表する実益もありません」

月「そうだな」

L「ただ、この二人の死そのものは隠しようがないですので……世間的には、『ライブ終了後に二人で海に遊びに行き、浅瀬で遊んでいるうちに不運にも波に飲まれ、溺死した』……とでもしておくしかないでしょうね」

月「事務所の関係者は勿論、家族もいることだからな。このまま遺体を隠蔽して『行方不明』で押し通すのは流石に無理があるし……何より人道に反する」

L「はい。私も同じ考えです」

月「ただ……流石にプロデューサーにだけは真実を伝えざるを得ないだろうな。誤魔化せなくはないかもしれないが……彼の常人離れした洞察力に鑑みると、下手に隠すのは危険だろう。それを抜きにしても、彼は既に多くの情報を知り過ぎている」

L「そうですね。ライブ後はノートに書かれた内容の間接的な効果が働いており、ゆえに私からの連絡にも応答しなかったものと思われますが……その状態がいつまでも続くわけではないはずです。むしろ、書かれた内容が実現された今はもう解けていると考えた方が自然でしょう。ならば、全てをありのままに話した方が良いと思います」

月「彼なら、その秘密は誰にも漏らすことなく墓の中まで持って行くだろうしな」

L「はい。そうすることが星井美希と天海春香……そして残された765プロダクションの他のアイドル達にとっても最善の選択であると、彼ならすぐに理解するでしょう。『死んだ二人のアイドルがキラ事件に関わっていた』なんて……所属事務所のプロデューサーという立場からは絶対に表に出したくない情報ですからね」

月「そうだな。……あと、ノート自体はリュークに返してしまったが……僕が胸ポケットに仕込んでいた隠しカメラで、今日、この場所に着いてからの一部始終は撮影できている。勿論、リュークの姿は映っていないだろうが……少なくとも、僕が手に触れていた間のノートの内容は映像として残せているはずだ。捜査本部内で保管する記録としてはこれで十分だろう」

L「はい。それがあれば夜神さん達への説明もしやすいですしね」

月「ああ」



440:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 02:10:46.63 ID:uKLrxvWI0

月「しかし……『デスノート』……か」

L「? 月くん?」

月「……竜崎。さっき、リュークも言っていたが……」

L「…………」

月「もし、『ノートを渡す順番が違っていたら』……キラになっていたのは僕だったかもしれない」

L「! ……何故、そう思うんですか?」

月「リュークが言っていただろう? 『退屈だったから』星井美希にノートを渡した……と」

L「はい。それが……何か?」

月「僕も……退屈だったから」

L「! …………」

月「リュークと僕は、ある意味同じだ」

月「僕もずっと……自分が今生きているこの世界、腐った世の中に……退屈を感じていた」

L「…………」

月「それにあのノートには……人間なら誰でも一度は試してみたくなる魔力がある」

月「だからもし僕が、星井美希よりも先にデスノートを手にしていたとすれば……」

L「…………」

月「そんな退屈な日常から抜け出すために……あるいは、この腐った世の中を革めるために――……」

月「僕が『キラ』になっていたかもしれない」

L「月くん」



441:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 02:18:09.10 ID:uKLrxvWI0

月「もしそうなっていたら……竜崎とは敵同士になっていたかもしれないな」

L「……そうですね。ですが……」

月「…………」

L「キラになったのは星井美希であり、キラになっていないのが月くんです」

月「! …………」

L「それが……全てだと思います」

月「……竜崎……」

L「…………」

月「一つだけ……補足しておくよ」

月「確かに僕は、ずっと退屈を感じていた」

月「―――竜崎に出会うまでは」

L「!」

月「竜崎に出会ってからは……僕は今日まで、一日たりとも退屈を感じた日は無かったよ」

L「……私も同じです。月くん」

月「竜崎」

L「月くんと過ごしたこの捜査の日々は、とても刺激的で……退屈など微塵も感じませんでした」

月「……そうか。それなら良かった」

L「はい」

月「じゃあ改めて……これからもよろしくな。竜崎。……いや……」

L「?」

月「……よろしく。“L”」

L「……はい。こちらこそよろしくお願いします。月くん。……いえ……未来の警察庁長官殿、でしょうか」

月「それはまた……随分気の早い話だな」

L「月くんの能力なら、決して遠い話ではないと思いますよ」

月「はは。ありがとう」



442:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 02:32:34.96 ID:uKLrxvWI0

月「それにしても……星井美希が、今日のライブで竜崎を本気でファンにしようとしていたとはな」

L「……はい。そのことですが……月くん」

月「? 何だ? 竜崎」

L「これもノートの効力だった、と言えばそれまでなのかもしれませんが――……私は今日のライブ中、確かに……ステージ上で輝く、“アイドル・星井美希”の姿に魅了されていました」

月「! 竜崎」

L「そういう意味では―――私はあの時、あの瞬間―――確かに『“アイドル・星井美希”のファン』になっていたのかもしれません。天海春香の時のような『偽りのファン』ではなく……『本当のファン』に」

月「…………」

L「そうであるとすれば、この点でも……私は星井美希に『負けた』ということになるのかもしれません」

月「……竜崎」

月(確かに、僕も――……今日のライブ中、自分の意識が丸ごとステージの方へ持っていかれそうな……そんな感覚に襲われた)

月(勿論それは竜崎が言うように、ノートの効力でもあったのだろう)

月(だがきっと、それだけではなく……)

月「…………」

L「月くん? どうかしましたか?」

月「……竜崎」

L「? はい」

月「星井美希も、そして天海春香も――……デスノートなんかより、もっと……“強い力”を持っていたのかもしれないな」

L「!」

月「…………」

L「それなら私達も……負けてはいられませんね」

月「……そうだな。竜崎」

月「共に頑張ろう。この先もずっと」

L「はい。月くん」


L「私達にも――……彼女達のような“強い力”があると、信じて」



443:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 02:48:58.92 ID:uKLrxvWI0

【同日・死神界】


(死神界の穴から人間界を覗いているリューク)

リューク「……ククッ。まあどうせあいつらのことだ。俺がまたすぐに別の人間にノートを渡そうとしていることくらい……当然考えついているだろう」

リューク「しかしそんなことは大した問題じゃない。見つかったら見つかったで、また別の人間にノートを渡せばいいだけだ」

リューク「なんせ人間なんて、この世に何十億人もいるんだからな」

リューク「……さて、じゃあ次は誰にこのノートを渡すか……」 

リューク「やはりまず思いつくのは……そうだな。たとえば熱狂的なキラ信者とか……お。あいつなんか良さそうだな。名前は、魅―――あ、人混みの中に紛れちまった。ちぇっ」

リューク「まあいいか。またそのうち目にする機会もあるだろう。死神を……デスノートを引き寄せるような人間なら」

リューク「あとは……そうだな。ミキとハルカの遺志を継ぎそうなアイドル、なんてのも面白いかもしれないな。たとえばあいつ……矢吹可奈とか」

リューク「ククッ。こうやって、色々と考えを巡らすのもまた面白! ……だが」

リューク「…………」

リューク「まあ、今日くらいは……なあ。ミキ」

リューク「これまでの間、俺を楽しませてくれたお前に敬意を表し――……」

リューク「俺も、お前と過ごしたこの八か月半という時間に思いを馳せるとしよう」

リューク「……なんてな。ククッ」

リューク「俺も少し、レムの奴の感傷がうつっちまったかな?」

リューク「…………」

リューク「なあ、ミキ……」



444:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 03:01:02.46 ID:uKLrxvWI0

【一週間前(美希と海砂の撮影があった日)・765プロ事務所近くの公園からの帰路】


(春香と別れた後、帰路を歩いている美希)

リューク「……なあ、ミキ」

美希「? 何? リューク」

リューク「いや……本当にあんな書き方で良かったのか?」

美希「あんな書き方って?」

リューク「たとえばほら、『アリーナライブを成功させ、トップアイドルになって……』とか、そういう書き方だってやろうと思えばできたんじゃないか? まあ、それが有効かどうかは実際に書いてみないと分からんが……」

美希「もう、何言ってるの? リューク」

リューク「え?」

美希「もし仮に有効だとしても、そんなの何の意味も無いの」

美希「『自分達の実力だけで』トップアイドルにならなきゃ」

リューク「! …………」

美希「それに春香だって、あくまでも『実力以外の手段を使って』ミキ達を陥れようとした人だけ、デスノートを使って排除しようとしていたわけだし……実際、そうしていたの」

リューク「それはまあ……そうだが」

美希「だから、ミキ達がデスノートを使って実現するのは『アリーナライブを最後までやり切る』というところまで」

美希「ライブそのものが『成功』するかどうか……そして、ミキ達がトップアイドルになれるかどうか……」

美希「それは全部、ミキ達の実力次第……それでいいの」

リューク「……ククッ。なるほどな」

美希「あと……リューク」

リューク「ん? 何だ? ミキ」

美希「ミキと最初に会った日に、『デスノートを使った人間が天国や地獄に行けると思うな』って……言ったよね」

リューク「ああ……言ったな」

美希「ミキ、別にいいよ。それでも」

リューク「え?」

美希「たとえどこに行っても……春香さえ一緒なら」

美希「ミキはそれでいいの」

リューク「……そういえば、さっきもそう言ってたな。ミキ」

リューク「ハルカと『ずっと一緒』だと」

美希「うん。そうだよ」


美希「ミキと春香は、ずっと一緒なの」



445:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 03:09:11.43 ID:uKLrxvWI0

【現在・死神界】


リューク「……ククッ」

リューク(ここまで使い勝手の良い道具が手元にあったのに、最後の最後……一番大事な場面ではそれには頼らず)

リューク(『自分達の実力だけで』トップアイドルに……か)

リューク(これはこれで“人間”らしくて面白……かもな)

リューク(なあ……ミキ)

リューク「……さて」

リューク「今度は……もっと面白いものを俺に見せてくれよ」

リューク「なあ」

リューク「―――“人間”」


リューク「……ククッ」パラッ




(笑いながら、手に持ったデスノートの一番後ろのページを開くリューク)

(そのページには、次の文章が書かれていた)






446:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 03:12:17.87 ID:uKLrxvWI0









-----------------------------------------------------------

星井美希 天海春香  心不全

20××年8月1日
誰にも妨害されることなくアリーナライブを最後までやり遂げ、
誰にも捕まることのないまま海の見える浜辺へ行き、
第三者に発見される前に安らかな眠りの中で死亡。

-----------------------------------------------------------





















447:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/22(日) 03:13:59.87 ID:uKLrxvWI0

以上で本作品は終了となります。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。



元スレ
美希「デスノート」 3冊目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1470455417/
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          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 10:19
          • とりあえず長い
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 10:19
          • ※5
            ア、フ、ィまとめからうがった情報を元に叩いてるだけだから、そもそもアニメすら見とらんよ。
            過剰な京アニ叩きといい、人気のあるものの坂張りをまとめるア、フ、ィ、とRSSに問題があるし、真に受けるエアプもより多いしな。
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 10:38
          • ※7
            セブンのカレーうどんうまいよ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 10:41
          • こりゃまたすごい大作だな
            オチだけ読んだがはるみき感あるのとノート拾わなかったライトif要素があって面白そうだから最初から読むわ
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 10:52
          • 全部読んだけど、読む時間と面白さが見合ってない。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 12:10
          • 原作月みたいに人殺しは人殺しだと言われず死に逃げしたのがもやっとした。
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 16:44
          • 読んでわかったことは、デスノって月だからつかまらなかったのではなくてデスノート自体が圧倒的に強いから捕まらないのか…。あと閣下、頭弱体化し過ぎ。
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 16:46
          • 全部読んだ
            面白かったよ
            原作でも言われてる「リンドLテイラーの挑発に月が乗らなかったら勝てなかったじゃん、月じゃなくて普通の人でちょうはつ乗らなかったらL勝てなかったんじゃない?」みたいな話への回答(?)みたいに感じた。ノーヒントから犯人のL見つけたのはすごいと感じた。クラスメイト○すのは迂闊じゃないかと思ったけどやっちゃいそうなミスだし。原作じゃあまり見られなかった月とLの友情もみれたし(こいつら組んだ時点で終わったなとは思った)途中同じような話何回かしてるのはくどく感じたしもうちょっと短くまとめてほしかったけど、それ差し引いても面白かった。
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 17:53
          • 今北産業
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 17:56
          • 5 今その3の途中だが超おもしろいぞ
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 18:10
          • 米15
            一般人のアイドル、デスノをひろう。
            エル陣営の最初の挑発にデスノ陣営無視をきめこむ。
            両陣営ヒントが原作より大幅に少ない状態から互いに身元をさがして決戦
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 18:50
          • 5 えれ速さん仕事早いっすね
            一年以上かけて完成したボリュームのあるSSで面白い
            駆け引きと展開の作り方が素人感のない上手さだった
            おかげで丸三日分の暇つぶしになった
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:19
          • 1 長い
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:20
          • 1 この※欄は荒れるな
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:22
          • 1 荒れてる荒れてるw
            俺の言った通りだわ
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:27
          • 1 オワコン765叩きのホンダ信者うざいな
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:29
          • とりあえずラーメンでも食いに行こうぜ

            奢ってやんよ
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 19:30
          • 5 めちゃくちゃ長いけど良かった

            月とLが共闘する、というifとしても楽しめた
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 20:50
          • うーん、この前のポケモンとデスノートのクロスSSのほうが面白かったかな
            展開の繋がりとか裏設定をもっと作り込めば面白さがグンと上がる
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 21:20
          • リアタイでのんびりスレ追ってたけど月とLが結構よく描けてる上にそれぞれの原作キャラをうまいこと活かしてるのがいいSSだと思ってた
            オリジナル要素も美希の父親やPくらいに留めてるし、本当よく頑張ったなぁってのが感想
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月22日 23:09
          • 原作の雰囲気よく出てるわあ
            ただエンディングは悲しかった
            もっとやりようあったんじゃないかと思ってしまう
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 00:21
          • ものっすご長い!!文庫本何冊分だよ!!
            だが緊張感ある展開で最後まで楽しめました。
            面白かった!!
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 01:10
          • 5 全部読んだ
            デスノとアイマス好きな人なら間違いなく楽しめる
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 01:39
          • リュークが味方しすぎてるのが違和感
            面白かったけど
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 02:27
          • 5 確かにSSとしては極めて長いね。響廃村シリーズ思い出したわ
            でも長いけど一気に読ませる面白さだった
            特に心理描写がすごい好き
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 02:38
          • 歴史的クソアニメだったモバカスがなんだって?
            このアイマスの面汚しが
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 05:56
          • 1 こんなのまとめなくていいから
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 08:18
          • むっちゃ長いのに深夜まで見てしまった・・・
            アイマスはともかくデスノートは全巻見たからキャラの考え方とかすごく丁寧で面白かった
            この結末は終盤まで想像できなかった
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 09:36
          • 4 無事完走、半日以上かかりました。
            仕事遅刻決定、というかもう休む、寝る。
            面白かったです。 野郎アイドルは全くの不要-1点
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 11:15
          • いつ月が寝返るかと思ったらそんなことはなかった

            デスノifとしても面白かったよ
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 15:18
          • 何で2015年のスレを今頃?と思ったけど足掛け1年半も続いてたのか
            ラストはハッピーエンドになることは無いだろうな、とは考えてたけど
            いざ最後まで読むと少し悲しいものがあったな
            面白かった
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 18:01
          • その3までよんであとはラストを読めばok

            4ー6は蛇足

            久々にデスノート物読んだけど面白かった!
            クロス作品でもいいからまた誰か書いてくれるといいなぁ
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 20:00
          • よく出来てる
            おかげで寝不足
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 20:51
          • 長いのはその通りで暇潰し程度のボリュームを求める人には向かないね
            でも最初から読破に時間を取ると決めてかかればスラスラ読めたわ
            面白かった。この分量をクオリティを保って書ききったのには乙と言わせてもらいたい
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 21:04
          • ※38
            ポケモンとデスノートのクロスがあった
            少し前にまとめられてたよ
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 21:39
          • ※4 それだけはない
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月23日 23:03
          • 登場人物みんな頭よすぎて引いたわw
            松田だけが俺の救いだったよ
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 00:30
          • 5 長いが引き込まれる内容でよかった

          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 01:23
          • こういっぺんにまとめるんじゃなくてさ、少しずつ間隔をおいて小出しで載せてけば反感を買うことはなかったんじゃないの?
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 01:53
          • 5 うおー、全部読んじまったぜ……
            確かに廃村シリーズ思い出すな。

            ハッピーエンドがないのは分かってたけどやっぱり辛いな、仕方ないんだが。美希がLを手伝うパターンで見てみたかった。
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 02:26
          • 5 うっかり全部読んでしまった・・・
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 02:35
          • 最高に面白いけど軽率に人に勧められない量
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 13:23
          • 途中から思った、所有権を捨てて記憶を失えば逃げ切れるじゃね、って疑問にも答えが出てたし

            やっぱりハッピーエンドにはならないよなぁ、と思ったけど、よいssでしたわ

          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 16:54
          • 5 面白かった。
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 19:06
          • 5 なんだこれ……なんだこれ……凄過ぎんだろ……
          • 52. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 21:34
          • 5 全部読んだ
            すごい
            お前すごいよ
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月24日 22:22
          • 5 所々説明が長すぎてダレル所もあったけど、
            それを差し引いてもとても面白いSSだったと思う。
            アニマス見返したくなったからBD引っ張りだそう
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 00:10
          • 5 読破。
            もし月がノートを拾わなかったら?というifストーリーとアニマスとムビマスの話流れに上手く絡ませていて良かったです。
          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 03:59
          • 5 両作品への深い愛を感じた。どちらも大好きな俺にとってはこれほど見入るSSはなかった。とてつもなく長いがそれに見合った面白さはあると思う。後日談あれば見たい
          • 56. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 09:18
          • 5 糞長かったけどこれは面白かった
            ただあれだけ打ち合わせしといて撮影終わったら即行着替えさせに行かせたPはなんだったの?

            お前その場で足止めしとけよ
            警察もすぐ来るんじゃなかったのかよ
          • 57. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 15:18
          • 長過ぎイイイイイイイ!!!
            嫌いじゃないけど嫌いだよ
            結末だけ気になって読んだけど個人的に嫌いだっただけだよ
          • 58. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 17:06
          • 5 長いけど、読んでよかったと思える内容だった。
            話も凄く練られてたと個人的には感じたし、登場人物の性格も上手く書かれてたとは思うけど、途中からはるるんがデスノ使わなすぎた感があるなぁ。おもしろかったけど。
          • 59. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 21:21
          • めちゃくちゃ長い
            書ききったのがすごいわ
            後半春香さんの出番少ない上、思考能力が落ちてるように見えた
            ただ他の描写等はよかった
          • 60. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 22:23
          • とても面白かった。

            ただ1つ、その後の765プロの描写は少し欲しかったなぁ。
          • 61. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月25日 23:19
          • 5 作者さん乙です。
            本当に面白かったです。

            このレベルのクロスは初めて見た。

          • 62. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月26日 01:33
          • 5 最初から最後まで素晴らしく面白かったです
            文句なし
          • 63. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月26日 03:58
          • 朝から仕事だし早く寝なきゃなーあれ?4時…だと…
          • 64. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月26日 10:54
          • ライブを妨害されたくないなら、海砂や高田をデスノートに書いて
            「はるるんやミキミキがステージで活躍する姿を見た数日後に事故死」とかにすればよかったんじゃ?
          • 65. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月26日 21:09
          • 平日にこのSS見つけたのが運の尽きだった
            おかげで3日は余暇の時間を潰さなきゃならなくなった

            その後どうなったかは読みたっかたけどやっぱり野暮かな
          • 66. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 09:39
          • ラストで泣いた。
            終盤辺りでなんとなくオチはよめてしまったものの、それでも我慢できなかった

            美希に対して春香がはじめて自分の正体を明かすシーンはゾクッとしたし
            美希が"竜崎=L"の確信を得たとリュークに話すシーンはドキドキした。(1/4)
          • 67. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 09:39
          • ただ、不満点はいくつかあって
            ・黒いノートはキラのコロシに関係してるに違いないと断定する件
            ・ノートに書き込むと人がしぬ?と推理する件
            ・たとえば死神が存在する?と想像する件
            ・世界三大探偵が同一人物ということまで当てられる察しがよすぎるP

            この辺りはちょっと強引すぎるんじゃないかなー、って。(2/4)
          • 68. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 09:40
          • Lはときどき重要な場面で賢い、有能ってよりも超能力者ですか?って思考回路してたし
            ライトにいたっては原作世界線の記憶でもあるんですか?って感じの妄想っぷりだった(しかもそれがあってるという)
            PがL、ライト並に頭がまわるってのも違和感。世界トップの頭脳と同レベルがそこらにいるの?Lの格が下がるというか…(3/4)
          • 69. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 09:41
          • あと個人的にエピローグがもう少し見たかった
            二人がああまでしてライブを行なったあとの世界を、見てみたかった
            描写がないということは蛇足との判断なんでしょうが…
            ライトミサ清美の関係をどう決着つけたのか、とかも気になります
            もどかしい。

            ぐたぐだ書きましたが面白かったです
            読み終わるのに数日かかったよ
            長期間の執筆お疲れ様でした。(4/4)
          • 70. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 12:16
          • 5 原作キャラの魅力ありきではあるが、その上でなら本家デスノートより面白かったわ。
          • 71. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月27日 20:17
          • 5 面白かった
          • 72. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月28日 07:49
          • 5 超長ぇ…けど超面白かった
            俺の睡眠時間返してください
          • 73. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月28日 11:15
          • 5
            ぐいぐい読ませる
            スゴイ
          • 74. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月28日 16:06
          • 4 面白かった
            この内容ならもうちょっと短くできたな
            あとノート押収するだけじゃ証拠としては不十分な気も
            まあ自白させるんだろうが
          • 75. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月28日 20:44
          • 5 >ライトが察し良すぎ
            >エピローグが欲しい
            この2つは完全に同意
            しかし素晴らしい作品だった
            ライトとLが組んだらそら勝てないわ
            ライトには春香達の味方をして欲しかった
          • 76. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月28日 21:29
          • アイドルがこんなに頭が使えるはずない
            アイマスでやる必要は無い
          • 77. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 00:29
          • 5 ホント両方好きな私にとっては非常に楽しめました!※欄にもあるように長くて他人にオススメしづらいのと睡眠不足になるのが難点(笑)
            作者さん、完結お疲れ様でした&ありがとうございました!
          • 78. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 02:00
          • ラスト付近の美希とLのやりとりがとても印象的。
            きっとLは、美希のファンになったよね。
            作者さんお疲れ様でした。他にも何か書いてたら知りたいです。
          • 79. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 03:40
          • おもしろかった
            エピローグほしい
            デスノよりネウロみたいな雰囲気ね
            009のどこに落ちたい?が過った
          • 80. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 07:24
          • 5 まあ確かにSSにしちゃあ長い、が文庫本読んでると思えばどうってことないな
            デスノートを使うお話という大前提の都合上、めでたしめでたしにはならないのは読む前から予測できたし
            記事がパート分けされてる時点で長いのも承知の上だったしな
            面白かったよ GJ
          • 81. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月29日 14:50
          • 5 素晴らしい作品でした
            それに尽きます
          • 82. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月30日 17:33
          • 濃密な時間を
            くれてありがとうございました
          • 83. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月30日 19:43
          • ライトがキラを騙ってミサたちを仲間に引き入れる方法がゲスくてそのあたりからデスノ本家キャラたちの魅力というか好感度が駄々下がりした
            特にミサにはミキとの友情を取ってほしかった
            とまあ個人的な不満はあるものの心理的な駆け引きは面白かったしラストもキレイにまとまったんじゃないかな

            ところでライトはやっぱりミサたちから逃げるために海外に渡ったんだろうか
          • 84. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月31日 09:23
          • 5 素晴らしいSSをありがとうございました。

            確かにSSとしては長くて完走してない方もいらっしゃるようですが※80さんのように文庫本を読んでる気持ちで読むと全然気になりませんでしたし、何より個人的にとてもおもしろかったので長さも気になりませんでした。

            改めて、お疲れ様でした。ありがとうございました。
          • 85. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月01日 22:43
          • 4 面白かったけど俺もエピローグ欲しいかな。
          • 86. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月04日 10:10
          • ※83
            まぁそこは海砂のキラ信仰と「あくまで美希をキラの仲間入りさせる為」って月の誘導があったからね
            とはいえこのオチだと後の海砂ぶっ壊れるんじゃないかな…
          • 87. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月05日 22:05
          • やっと読んだわ
            面白かった
            やっぱり、、心理戦やな
            最後百合百合してた笑
            俺的には頭回るやつが多い方が好きだわ
            結局、どの分野でもトップは頭いい
            あと、美希の印象完全に悪くなった。
            まあ、特段に起きてるわけじゃないからセーフ
          • 88. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月07日 17:29
          • 5 「長過ぎじゃね?」と思ったり、後書きから読むクセのある方がもしこのコメントを目にしているのであれば、ぜひ試しに「その1」を読んでみてください
            かくいう私は寝る間を惜しんで3日かけて読了しました
            それくらい惹き込まれた作品です

            個人的にはこの作品で原作の各登場人物の印象が悪くなるといったことはなく、非常に丁寧にキャラクターたちのifが描かれていたと思います
            作者様に敬意を表します
            長期連載お疲れ様でした
          • 89. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月10日 15:35
          • 4 楽しめましたよ。
            ラストが見えていたのと、南空夫婦は出さなくとも良かったような気もしますが。
          • 90. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月13日 08:50
          • 5
            とても楽しめました。
            アイマス、デスノ、両方好きな身としては本当に最高の作品でした。
            両作品の主役級が高い次元でバトってるのは燃えますね。

            レムに竜崎や月を尾行させたら一発KOなんじゃないかなって思ったんですけど、ノートの所有者から何メートル以上は離れられないとか、そういう制約はありましたっけ?
            まあ、細かい突っ込みは無粋と言うものでしょう。
            どちらにせよ、素晴らしい作品だったことには違いありません。
            皆さん言われている通り、エピローグが見たいですね。
            三日間楽しませてもらいました。ありがとうございました。
          • 91. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月13日 17:06
          • 悪くはなかったが美希をメインにするなら相方は千早の方が良かった
          • 92. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月15日 22:21
          • 5 長かった

            ちょっとずつ読んでたから、1週間かかったけど、苦にならないくらいに引き込まれたわ

            作者さん、乙です
            あと、同じく読破された方々も乙です
          • 93. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月20日 20:46
          • 正直仕事中も気になりすぎて仕方なかった

            まぁLだけでも厳しいのに、月がタッグでは最初から勝ち目がないのは分かりきってたし
            末路に関しても大体察しは付いた

            それでも、だからこそか、刹那を生きて駆け抜けていく二人に引き込まれていったな

            非常によかった
            長いから易々とは読めないが、また読みたいな
          • 94. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月21日 23:00
          • 百合推しがうざいのを除けばいい
            そう言うの男女同性問わず排除しろ
          • 95. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月22日 01:18
          • 最初の展開からは中々予想し辛い結末だったが、綺麗に終わってると思うよ。

            推理パートがかなり凝ってて中々度肝を抜かされる。
          • 96. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月26日 00:23
          • 5 1年半よく書き続けてくれた!ありがとう!
          • 97. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年03月23日 20:18
          • 5 いや~やっぱ百合はいいですなぁ~
          • 98. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年04月05日 02:12
          • すごく面白くて一気読みしました。
            24時間もかかったけどね。
            これだけ長くて、複雑な話だと一気読みしないと話がわからなくなりそうだったし。
          • 99. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年06月25日 10:07
          • デスノ読んだこと無かったけど、なかなか面白かった。デスノ本編も読みたくなった
          • 100. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月08日 23:47
          • 100ですよ、100!


          • 101. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年09月23日 19:22
          • 5 今更ながら読み終えたけどすごい面白かった
            長編なので読むのに根気いるけど、アイマスとデスノート好きなら見てほしい名作だった
            賛否両論だろうけど、個人的にはこういうIFもありだと思う
          • 102. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年05月14日 23:51
          • 原作での不満点を解消しきったのは凄いな
            長いけど一気に読んでしまったわ
          • 103. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年09月12日 11:44
          • 5 やっと読み終えたが力作 
            原作のifでもあるし凄いよかった
            ただひとつやっぱ長さは否めない
            読んでてオミットしていいと思ったシーン何回もあったけど
            そこの判断はやっぱ難しいよな
          • 104. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年04月03日 23:31
          • 5 唐突に美希「デスノート」というあるSSがあることとそういえばまだ読んでねーな、っていうことを思いだしたのが数日前
            それと同時に、え?その6とかその7とかあんの?長すぎやろ絶対途中で飽きるわ無理だわと思ったら別にそんなことはなかったぜ
            最高だった、ありがとう作者
          • 105. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月05日 21:24
          • 5 デスノートメインでゲストキャラが765とムビマスって考えると良いのかな
            デスノート読んだ事ないけど面白かったよ
            漫画読んでみるわ
          • 106. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年09月09日 03:39
          • 5 本当に素晴らしい作品でした。
            読んでもいないのに長いだの文句を書いている人達の気は知れませんが、長くても所々にギャグが挟まれていて、これだけ長くても読むのが苦ではありませんでした。
            アイマスとデスノートに対する深い愛情と理解があり、大人数のキャラの個性を殺さず、話し方にも違和感を感じさせずにこれだけの話を書き上げた作者さんには感服致します。
            本当に良い物を読ませて頂きました。
            作者さん、このコメントを見ることがあるか分かりませんが、どうもありがとうございました。

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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