響子「五十嵐響子家事代行サービスです!」
響子「最近プロデューサーお仕事も大変で家事もロクに出来ないって言っていたじゃないですか。そこで私は考えました! だったらプロデューサーさんの代わりに家事をお手伝いしようと」
P「確かに家に帰っても書類作って寝るくらいしか出来てないから掃除洗濯も溜まっているけど、言って男のひとり暮らしだしそんなに気にすることでもないぞ」
響子「それはダメですよ! 家事を日常的にしておかないと、気がついたときには手遅れになってしまいます」
P「命に関わるようなことでもないと思うけど」
響子「でも想像してみてください。家に帰ってきた時にお部屋も服も綺麗にピカピカで、美味しいご飯が待っていたら嬉しくないですか?」
P「むぅ……それは魅力的ではあるが」
P「でもなぁ、流石にそれは……」
響子「何か問題があるんですか?」
P「アイドルを家に上げるのはいかがなものかと思うぞ?」
響子「そんなことですか? 私は気にしませんよ」
P「世間が気にするの!」
P「それなら他の家事代行サービスにお願いするよ。流石にアイドルと学業だけでも大変なのに、これ以上響子の負担を増やすわけにもいかないって」
響子「大丈夫ですよ。アイドルになる前からずっと家事はやってきていましたし、私にとって当たり前のことなんです。それにプロデューサーのためなら無料でやりますし、トラブルも起きないと思います」
P「トラブル?」
響子「留守中なのを良い事にお金を盗まれたり、ってことがあったりするんです。それに、プロデューサーは家でもお仕事していますから、その書類なんかを見られてSNSにあげられたら……もちろん、全部が全部そうとは言いませんが」
P「それは怖いな……。その点響子はそれなりに付き合いがあるし、そんなことする子じゃないって分かっているけど」
響子「じゃあお試しで1日体験コースやってみませんか?」
P「というと?」
P「しかしだなぁ、現役女子高生アイドルを家に上げるのは色々とまずい気も」
響子「私、来年で16歳です。結婚できる年齢になるんですよ?」
P「そういう意味じゃなくて」
響子「ジー……」
P(ジーっと見つめてきている。言っても聞かないんだろうなぁ。結構頑固なところあるし)
P「じゃあ、一回お願いします」
響子「! 任せてください! プロデューサーの代わりに家事を頑張っちゃいますよ!」
当日
P「さて、響子に家事代行をお願いするわけですが」
響子「はい、お任せ下さい!」
P(流石に学校や仕事をサボらせるわけにも行かなかったので、俺も響子も休みな日曜日にお願いすることにした。勿論、マスコミ対策に変装してここまで来てもらった)
響子「プロデューサーはゆっくりしていてくださいね、私が全部綺麗にしておきますから」
P「にしても……」
響子「どうしました?」
響子「これですか? ふふっ、ありがとうございます。いつも使っているやつなんですよ」
P(家庭的な子とは知っていたけど……これじゃあまるで)
P「新妻、みたい」
響子「!!!!!?」
P「えあっ! い、今のは……そう、俺の知り合いに新妻くんっていうそれはもうエプロンがやたら似合うプロレスラーがいて……」
響子「そ、そうでしたかー! プロレスラーでしたかー!」
P(な、何変なこと考えてるんだ俺は……!)
響子「コホン! で、では気を取り直して張り切ってやっていきますっ」
P「お、お願いします」
P「こ、こんなに汚かったの……?」
響子「床のホコリはウエットシートを使いますが、毎回買うとお金がもったいないですしイチイチ変えるのも面倒だ、って人も少なからずいるんですよ」
P「多分俺はその人種だと思う」
響子「そんなときは使い古したタイツなんかをつけると便利なんです! こうやって重ね履きさせることで、埃がついたのを上から剥ぐだけで次のタイツがすぐ出てきます。手間も省けちゃいますし……」
P「おおっ、埃が面白いくらいに取れている」
P「確かに達成感はありそうだなぁ。いつも家でもやってるの?」
響子「はい。使わなくなったタイツを再利用して……」
P(……ん? つまりこの黒タイツって……響子が履いていたもの?)
響子「プロデューサー?」
P(響子の生足を包んでいたタイツで俺の部屋のフローリングがきれいに……なんだ、この背徳的な感覚は)
響子「もしもーし、大丈夫ですか?」
P「えっ! あっ!! だ、大丈夫だよ……」
P「ほー、だから最近暗く感じていたのか。今日は曇っているけど」
響子「スクイージーを使うやり方が一般的かなと思いますけど」
P「スクイージー? スムージーの親戚?」
響子「高層ビルの窓の掃除なんかで使っているの見たことありませんか?」
P「はいはい、何となくイメージは付いた。でもそんな便利なもの持ってないぞ?」
響子「でも新聞紙なら持っているはずですよ? 古新聞で良いんですけどありますか?」
P「確か向こうに……あったあった」
P「そういや小学校の大掃除の時に新聞使ったような気がする」
響子「丸めた新聞紙をバケツに入れた水で濡らして、と……。新聞紙って実は繊維が細かいみたいで汚れも落ちやすい上に、使っているインクがあるじゃないですか。これには艶を出す効果もあるんです!」
P「へぇ……それは一石二鳥だな」
響子「新聞紙なので余計な費用もかかりませんしね。まさに一石三鳥ですね! あと今日は曇っているのでやりやすいんですよ。湿気が多い分、窓ガラスの汚れも落ちやすくなっています」
P「なるほどなぁ。まるでおばあちゃんの知恵袋だな」
響子「家事にはこだわるタイプですので、いつも色々調べているんですっ」
P「やっぱりあると便利なんだよなあ。ちょっと乾くまで時間かかるけど」
響子「乾燥時間を短縮できる便利な裏技もあるんですけど、ご存知ですか?」
P「? というと?」
響子「濡れた洗濯物と一緒に乾いたバスタオルを入れるんです。そうすることで」
P「分かった! 水分を吸収してくれるんだ」
響子「ふふふっ。正解ですよ、プロデューサー! 忙しい時なんかに使えば便利ですね」
P「風呂掃除はなぁ……こっちに引っ越してきてから殆どした記憶がないぞ」
響子「こまめにやっておくと、掃除も楽になるんですよ。鏡や蛇口のような水垢の目立つ場所はクエン酸を溶かしたお湯に浸したキッチンペーパーを貼り付けます。これはすぐに効果が出るわけじゃなくて、数時間かかるので一旦後回しにしますね。次は見るのも嫌だとは思いますが……」
P「排水口、か……」
響子「私も直接触る、となると抵抗がありますけど……そんなときはこれを使います」
P「歯ブラシ?」
響子「はい。これまたリサイクルです」
P(ってことは響子が使っていた歯ブラシか……オークションに出せば言い値で買うんだろうなぁ)
シュワシュワ~
P「おお! なんか泡立ってきた!」
響子「こうすることで汚れが浮き上がってきます。後でシャワーで強く流すと綺麗な排水口になるんです! ところでプロデューサー、お風呂のカビ掃除って何回もやるのは大変なんですよ。きれいにしてもすぐに生えてきちゃいます」
P「床にカビキラーを撒けばいいんじゃないのか?」
響子「実はこれ、下を磨くよりも天井を磨いたほうが効果的なんですよ。天井にあるカビが胞子を撒き散らしちゃうから、お風呂場全体にカビが生える原因になるんです」
P「なるほど。上をきれいにしないと下も綺麗にならないのか」グゥ
響子「手間はかかりますが、そうすることでカビ掃除の頻度も減るので結果的に楽ができるんです……プロデューサー、お腹すきました?」
P「あははは……聞こえちゃった?」
P「手伝わなくていいのか?」
響子「今日はお休みなんですから。家事なら私に任せてくださいね」
P「じゃあお言葉に甘えて……ふわぁーあ」
響子「よーし! 頑張らないと! フンフンフーン♪」
P「すぅ……」
響子「プロデューサー、お疲れだったのかな。ソファで寝ちゃって、風邪ひいちゃいますよー?」
P「うぅん……」
響子「せめて毛布だけでもかけてあげないとダメだよね」
響子「すぅ……」
P「……ん? んん!?」
響子「おかえりなさぁい……お風呂にします? ご飯にします? それともふにゅぅ……」
P(目が覚めると毛布がかかっていて、響子が俺の隣で寝ていた)
P「いやいやいやいや! 俺何もしてないよね!? ねぇ!?」
響子「ん……あれ? 私寝て……」
P「オ、オハヨ……」
響子「え、えーっと……オハヨウゴザイマス」
響子「……」
P(気まずい)
響子(ちょっと暖かそうだったから潜り込んだらそのまま寝ちゃうなんて……でも、心地いい夢見れたなぁ)
P「あ、あの! お腹すいたしお昼ご飯食べようか」
響子「は、はい! カレーを作ったんですけど、温め直しますね」
P「う、うん」
P「いただきます……っ! こ、これは……」
P(響子は俺が寝る前に作り始めたんだよな? なのに……)
P「まるで1晩寝かせたみたいなコクだ……!」
響子「時間をかけずに作った一晩寝かせた風味のカレーなんです。野菜とお肉をミキサーで細かくして、それを煮込む際にりんごジュースを混ぜました。カレールゥにはピーナッツバターを入れることで濃厚なコクと甘みを持つカレーが出来上がるんですよ!」
P「流石にこれは驚いたなぁ。毎週金曜日食べたいくらいだ」
P「えっ? あっ、そのだなぁ……後でレシピを教えてくれよ。俺も自分で作ってみたいし」
響子「え? はい、いいですよ」
響子(プロデューサーのためなら毎日でも作ってあげるのになぁ)
P(やばいぞ……胃袋からなにまで響子に管理されてしまいそうだ……まだ響子には未来があるんだ、俺が潰してしまえば本末転倒じゃないか)
P「ありがとうな響子。おかげで家も綺麗になったし、色々と勉強になった」
響子「喜んでもらえたのなら何よりです! どうですか? 本格的に雇ってみませんか?」
P「正直、そうしたい気持ちはある」
響子「本当ですか!?」
P「……でも、俺が甘えきってしまいそうなんだ」
響子「それ、どういう」
P「だけどずっと響子に甘えて身の回りのことを全部してもらってばかりだと……俺にとっても響子にとっても悪い気がしたんだ」
響子「そんな。私は気にしないのに」
P「アイドルだからとかそういうのじゃなくて、女の子に甘えてばかりってのが……その男として情けなく思えたというか。むしろ響子には俺の前くらいでは甘えて欲しいくらいなんだ」
響子「プロデューサー……」
P「だから。また教えてくれないか色々と。むしろ響子の代わりに家事ができるくらいになりたいんだよ」
響子(でも、そんな貴方だから私は)
P「それが取り柄なもんでして」
響子「分かりました。プロデューサーが言うなら、私も色々教えちゃいます! 頼られるのも悪い気はしませんしね」
P「ありがとう。お願いするよ、響子先生」
響子「はい」
響子(でもいつかは先生じゃなくて……ふふっ)
終わり
元スレ
響子「五十嵐響子家事代行サービスです!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479980411/
響子「五十嵐響子家事代行サービスです!」
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コメント一覧 (37)
-
- 2016年11月24日 20:17
- 胃袋から攻める、基本だね
-
- 2016年11月24日 20:22
- よし、次はまゆの出番だな!
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- 2016年11月24日 20:24
- 俺の身体も掃除してくれよ…
-
- 2016年11月24日 20:25
- 響子と結婚したいだけの人生だった・・・
-
- 2016年11月24日 20:33
- 実際に響子みたいな子がいたら引く手数多だろうなぁ
-
- 2016年11月24日 20:34
- まな板が料理してる?
-
- 2016年11月24日 20:35
- 響子がべっきぃになったのかと
-
- 2016年11月24日 20:39
- 凄い嫁力だ…!
-
- 2016年11月24日 21:17
- 使い古しのタイツはまず臭いや味のチェックが必要だと思わんかね?
-
- 2016年11月24日 21:21
- やっぱ響子は素晴らしい
しぶりんにこれは出来ないし正妻は決まりですね
-
- 2016年11月24日 21:28
- 文字通り正妻だったな
-
- 2016年11月24日 21:30
- ふーん
まずはマーキングでしょ
-
- 2016年11月24日 21:33
- おかしい
レビューにあの橘さんがまだ来ていない
-
- 2016年11月24日 21:47
- 終始ニヤニヤが止まらねーほどカワイイじゃねえかチクショウ!!
-
- 2016年11月24日 21:55
- 毎週金曜日に週刊金曜日待ったなしですね!
-
- 2016年11月24日 22:11
- ※3
汚物は消毒だー!(火炎放射)
-
- 2016年11月24日 22:53
- じゃあ子作りの代行もしてもらおうかボロン
-
- 2016年11月24日 22:56
- ※3
内臓全部綺麗にしましょうか
-
- 2016年11月24日 23:03
- さすがに嫁力満点だから他のアイドルも割り込みづらいか
-
- 2016年11月24日 23:23
- 圧倒的正妻力
タイツしゃぶって めっ! って言われたい
-
- 2016年11月24日 23:33
- 可愛いくて優しくて嫁力高いとかもうなんなんですかね
-
- 2016年11月24日 23:34
- この作者家政婦のミタゾノ見た?
-
- 2016年11月24日 23:53
- 響子嫁力高杉。
JK組でこの娘に勝てるアイドルはいるのか…?。
-
- 2016年11月25日 00:22
- ※23
つかさなら勝てるんじゃないかな?
-
- 2016年11月25日 00:50
- ※22
ミタゾノの中の人はある意味本職だからな特に料理は
-
- 2016年11月25日 01:06
- みじゅき5ちゃい編もやろう
-
- 2016年11月25日 01:55
- ※26
うわきつ
-
- 2016年11月25日 07:47
- ミタゾノ思い出したわw
-
- 2016年11月25日 09:20
- ※23
まゆがいるゾ!しかも今ならポンコツ付だ!!
-
- 2016年11月25日 09:27
- (※3の体内でバルサンたく音)
-
- 2016年11月25日 09:54
- なんでこんなに完璧なんだよ...
親の顔が見てみてぇわ
-
- 2016年11月25日 10:45
- ※31
お前がパパになるんだよ!
-
- 2016年11月25日 12:07
- まさか普通に使える(意味深)お話が読めるとはおもわなんだぞ。
-
- 2016年11月26日 01:09
- 風呂場の天井は勉強になった
-
- 2016年11月26日 14:31
- 家事えもん最近掃除しないから
つまらなくなった。
料理ばっかは飽きる
-
- 2016年11月26日 15:48
- ※35
ウルトラマンオーブ 「ジョワ、ジョワジョワァ―」
-
- 2019年03月18日 06:16
- いろいろとタメになるssで面白かったぞ!