なぜなにストライクウィッチーズ
- 2016年10月02日 18:10
- SS、ストライクウィッチーズ
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「なぜなにストライクウィッチーズ~」
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回、軍総司令部からの通達により、この作品の世界観について解説するように…との辞令を受けました」
ウルスラ「というわけで、僭越ながら私の口からこの世界の情勢…設定などについて、分かる範囲で説明していきたいと思います」
エーリカ「いや、それはいいんだけどさ…、これって一体誰に向けての解説なわけ?」
エーリカ「あと、作品とか、設定って言ってたけど、それってどういう…」
ウルスラ「ああ、それは気になさらないでください」
ウルスラ「今回、解説をしていくにあたり、ゲストの方に来ていただています」
ウルスラ「第1回目のゲストは、第501統合戦闘航空団所属、そして私の実の姉でもあるエーリカ・ハルトマン中尉です」
エーリカ「…よろしく」
ウルスラ「今回、記念すべき第1回目のテーマとして紹介するのは…」
ウルスラ「この世界における、人類の敵であり、私たちウィッチが倒すべき存在…「ネウロイ」についてです」
ウルスラ「姉さま、そもそもネウロイとは何か、知っていますか?」
エーリカ「まあなんていうか…敵でしょ?」
ウルスラ「えーっと、まあそうなのですが、…もう少し詳しく解説していただけませんか?」
ウルスラ「例えば…見た目ですとか、攻撃方法ですとか…」
エーリカ「…えー、めんどくさ…」
エーリカ「うーんまあ、見た感じ…生き物ではないよね」
エーリカ「なんか硬そうだし、赤く光ってるし…あとビーム撃ってくるし…」
エーリカ「まあ、生き物っていうより、機械みたいな感じかな?」
ウルスラ「では、そのネウロイについてなのですが、そもそもネウロイとはいつから存在しているかご存じですか?」
エーリカ「え?えーっと…」
エーリカ「…む、昔から…」
ウルスラ「具体的に、どのくらい昔からかは分かりますか?」
エーリカ「ええ~…そんなの知らないよ~」
エーリカ「えーっと…100年くらい前?」
ウルスラ「いえ、もっと最近ですよ」
ウルスラ「うーん、ちょっと惜しい」
エーリカ「む~、じゃあいったい、いつからいるのさ?」
ウルスラ「正確には、1914年…今から約40年前にネウロイが初めて観測されました」
エーリカ「へ~…」
ウルスラ「ここで、当時のイメージを掴んでもらうために、一旦資料映像を見ていただきます」
エーリカ「え?」
ウルスラ「…よし、再生っと」
ポチっ
デーンデーンデーンデーン…
エーリカ「な、なんか始まった…」
1939年、それは何の前触れもなく、我々人類の前に現れた。
エーリカ(…ん?)
我々はそれをネウロイと名付けた。
ネウロイはどこから、何の為に来たのか、誰にも分からなかったが
彼等の攻撃によって、人々が生まれ育った町を追われていった事は事実であった。
エーリカ「うわ~、街が…滅茶苦茶するなぁほんと…」
人類は対ネウロイ用に新兵器を開発し、徹底抗戦に…
ピッ…
ウルスラ「あ、一旦ここで止めますね」
エーリカ「えっ…」
ウルスラ「まあだいたいこんな感じです」
ウルスラ「ネウロイが人類にとっていかに脅威な存在であるか、今の映像を見ていただければ改めて理解していただけると思います」
エーリカ「ま、まあ、別にこれ見なくても、十分分かってるつもりだけどさ…」
エーリカ「っていうか、ウルスラ」
ウルスラ「はい、何でしょうか」
エーリカ「さっきのウルスラの説明と違うんだけど、どういうこと?」
ウルスラ「ああ、さすがは姉さま、良いところにお気づきになりましたね」
ウルスラ「確かに、ネウロイと人類の初邂逅は1939年とされています」
ウルスラ「…表向きは」
エーリカ「お、表向き…?」
ウルスラ「実はそれより以前に、既にネウロイの存在は確認されていたんです」
エーリカ「え…そうなの?」
ウルスラ「はい、ですから、正確には1914年が、人類が初めてネウロイを観測した年とされています」
エーリカ「へ~…そうなんだ…」
エーリカ「…っていうか、なんでいちいちそんなややこしいわけ?」
エーリカ「表向きだとかなんとか…」
ウルスラ「加えてその生態に謎も多かったために、一部の関係者を除いて、その情報が秘匿されていたためです」
エーリカ「え…秘匿って…なんで隠す必要あるわけ?」
ウルスラ「それについては、正確な情報もないため推測の域を出ないのですが」
ウルスラ「恐らくは、軍事利用…もしくは、研究を進める等して、その技術を国益に繋げようとする、一部の人間たちによる思惑もあったのではないかと」
エーリカ「ふ~ん…」
ウルスラ「まあ、好意的に見れば、情報開示によって、民間人が無用な混乱を起こすことを避けたかったのでは、というふうにとれなくもないのですが」
ウルスラ「…とにかく、14年に発生したネウロイは、北方のオラーシャ…そしてオストマルクへ侵攻を始めます」
ウルスラ「これは後に、「第一次世界大戦」と呼ばれるようになります」
ウルスラ「はい、何でしょうか姉さま」
エーリカ「えーっと…オストマルクってどこだっけ…」
エーリカ「あ…オラーシャは分かるよ?あのでっかくてやたら寒い国でしょ?」
エーリカ「あと確か、オラーシャってサーニャんの故郷でもあったよね…」
ウルスラ「…そうですね、その辺についても少し補足しておきましょう」
ウルスラ「まずオラーシャですが、これは現実世界ではソビエト連邦…現在でいうところのロシアです」
エーリカ「げ、現実世界…?」
ウルスラ「現実世界ではオーストリア=ハンガリー帝国にあたり…」
ウルスラ「これは1867年から1918年のあいだ、ヨーロッパに存在した帝国で、現在ではオーストリアとハンガリー、それぞれの国に分かれています」
ウルスラ「このように、ストライクウィッチーズの世界は、現実にも存在する国・地域を元に作られています」
ウルスラ「これは後々詳しく解説していきますが、とりあえずここで説明しておきたいのは」
ウルスラ「登場する全ての国は、国名こそ違うものの、基本的に現実世界と同じ国柄であり、同じ歴史を歩んできている、いうことです」
ウルスラ「現実での史実と合わせて見ると、より作品を楽しめる…かもしれません」
エーリカ「な、なにがなにやら…」
ウルスラ「申し訳ありません姉さま、話が逸れてしまいましたね」
エーリカ「いや、そうじゃなくてさ…現実だの史実だのって一体…」
ウルスラ「…では、話をネウロイに戻します」
エーリカ「あー!?無視すんなー!」
ウルスラ「しかも、それに加えて、39年に現れたネウロイは、14年時に出現したネウロイとは異なる新たな性質を備えていました」
エーリカ「え?なにそれ初耳なんだけど…」
ウルスラ「14年時点でのネウロイは、動物や鳥類、獣等を模した形状で目撃されていたのですが」
ウルスラ「39年に現れた新種のネウロイは、機械と生物を融合させたフォルムで出現したのです」
ウルスラ「この39年を境に、航空機、爆撃機、戦車、そして艦艇などの形状を模した、まったく新しいネウロイが続々と報告されます」
ウルスラ「現在わたしたちウィッチが、ネウロイと聞いて真っ先に頭に思い浮かぶのが、この機械型の新種のネウロイですね」
ウルスラ「もっと厳密に言えば、実はネウロイは1914年以前からも存在していたんですよ?」
エーリカ「…は?なんだって?」
ウルスラ「ネウロイはそもそも、太古の昔より、人間に災いをもたらす「怪異」として、人々から恐れられていました」
ウルスラ「ですが、その被害はあくまで単発的・局地的であるため」
ウルスラ「現在のような脅威とは異なり、人類の存亡を脅かすような存在ではなかったのです」
ウルスラ「…しかし、1914年、この年に現れた〝怪異〝は、今までの単発的な行動とは異なり」
ウルスラ「明確な組織性を元にした行動パターンで、人類の前に現れました」
エーリカ「へ、へ~…」
エーリカ「しゅ、出現地点にちなんだ…?」
エーリカ「え、ネウロイって地名だったの…?」
ウルスラ「いえ、ネウロイとはこの地方に住む部族の名前です」
エーリカ「ああ、そうなんだ…」
ウルスラ「ここでは特に詳しく触れませんが、まあざっくり言えばシャーマン…祈祷師が多く住む部族だったそうです」
エーリカ「へー…」
エーリカ「うーん、まあだいたい…」
ウルスラ「では、ここで改めて情報を整理しましょう」
ウルスラ「ネウロイは元々怪異と呼ばれ、大昔から地球に存在していた」
ウルスラ「それが1914年、突然組織性を身につけ、人類の版図に対し侵攻を開始」
ウルスラ「1939年、再び人類の前に現れたネウロイは、新たに機械との融合を身につけ、世界中に対し全面的な侵攻を始める」
ウルスラ「あ、さきほど言い忘れていたのですが、この39年の大規模侵攻は後に「第二次世界大戦」と呼ばれます」
ウルスラ「わたしと姉さまは、この第二次大戦からネウロイとの戦争に参加したことになりますね」
エーリカ「まあなんとなくだけど、ネウロイがどんな奴かっていうのは伝わったよ」
ウルスラ「ふふっ、それはよかったです」
ウルスラ「では、今回の講座は一旦ここまでとします」
ウルスラ「次回は、ネウロイの生態などについて、詳しく触れていきたいと思います」
ウルスラ「次回も引き続き、姉さまにご協力いただきますので、どうぞよろしくお願いしますね」
エーリカ「え゛…やだよ、めんどくさいもん」
エーリカ「やだ~!やだやだやだやだもう帰る~!寝る~!」
ウルスラ「そ、そうですか…」
ウルスラ「…では、お礼にと用意したこのお菓子は、次回のゲストの方にお渡しします…」
エーリカ「…………」ピタッ
ウルスラ「…………」
エーリカ「……あ~、もう~……」
エーリカ「分かったよぉ…やればいいんでしょ~?やれば…」
ウルスラ「…ありがとうございます、姉さま」
ウルスラ「というわけで、みなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」 第2回 ネウロイの生態について
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回も、前回に引き続き、この作品の世界観について解説を行っていきたいと思います」
ウルスラ「また、今回も解説にあたって、ゲストの方に来ていただきました」
ウルスラ「第2回目のゲストは、前回から続いての登場となる、エーリカ・ハルトマン中尉です」
ウルスラ「姉さま、どうぞよろしくお願いします」
ウルスラ「…姉さま?」
エーリカ「……よろしくぅ」
ウルスラ「第1回目では、ネウロイ発生の歴史について、大まかに説明していきました」
ウルスラ「第2回目となる今回は、そもそもネウロイとはどんな生物か?…という視点から、再びネウロイについて語らせていただきます」
エーリカ「…もういいんじゃない?前回いっぱい語ったでしょ~?」
ウルスラ「いえ姉さま、申し訳ありませんが、そういうわけには…」
エーリカ「はー、めんどくさ…」
ウルスラ「姉さま、ネウロイとはそもそも、どのような生物でしょうか?」
エーリカ「…えー、なんかあれだよ、金属っぽい…」
エーリカ「…っていうかそもそも、あいつらって生物なの?」
ウルスラ「そうですね、まずはそこから確認していきましょう」
ウルスラ「辞書で「生物」の項目について引いてみると、生物の定義は、以下のように書かれています」
ウルスラ「生物とは、細胞という単位からなる、自己増殖・刺激反応・成長・物質交代などの生命活動を行う、生き物の総称」
ウルスラ「つまり、種同士で繁殖を行うことで、次世代へ細胞…遺伝子を残し」
ウルスラ「時代や環境の変化によって、その生体機能を進化させたり、あるいは退化させることで適応していくのが、生物の特徴とされています」
ウルスラ「進化の例を一つ挙げると、水棲生物が陸上で生活するため、エラ呼吸から肺呼吸へと変わっていったような感じですね」
エーリカ「…ふーん、じゃあ、ネウロイは違うんじゃない?」
ウルスラ「そう思いますか?」
エーリカ「だって、ウルスラ生命が~…って言ってたじゃん」
エーリカ「あいつら、金属とかで出来てるっぽいし、生命じゃなくない?」
ウルスラ「…ですが、最近の研究では、実はネウロイも広義には生物に属する生き物なのではないか、と言及されているのです」
エーリカ「え、ええ~…!?」
エーリカ「いやいやいや…それはおかしいでしょ…」
エーリカ「だって、あいつらどう見ても、鉱物とかそういうものの類じゃないの?」
ウルスラ「確かに、ネウロイの体組織の構造を見ると、およそ生物とはかけ離れた構造をしています」
エーリカ「でしょー?」
ウルスラ「ですが、ネウロイは細胞の存在こそ、現時点では確認出来ていないものの」
ウルスラ「さきほど挙げた生物の特徴、自己増殖・刺激反応・成長・物質交代…これらすべてを行います」
エーリカ「…は?マジで?」
エーリカ「う、うーん…」
エーリカ「な~んか…納得いかないなぁ…」
ウルスラ「お気持ちは分かりますよ、姉さま」
ウルスラ「ですが姉さま、植物を思い浮かべてください」
ウルスラ「彼らは、動物のような生体機能こそ備わっていないものの、広義に分類すれば生物の一種です」
エーリカ「え、ああ…」
ウルスラ「ですので、ネウロイも動物というよりは、植物のような生き物…と考えていただければ、少し身近な存在として認識できるかもしれません」
エーリカ「いや…あんな奴らを身近に感じたくないし…」
ウルスラ「まずネウロイは、個体同士による繁殖は行えません」
エーリカ「え、じゃあどうやって増えてるのさ?」
ウルスラ「どうやって増えていると思いますか?」
エーリカ「え~…えっと…」
エーリカ「あ、分かった!分裂して増える!?」
ウルスラ「不正解です」
エーリカ「むむむぅ…!」
ウルスラ「姉さま、わたしたち人間が生きていくために必要なものはなんでしょうか?」
エーリカ「えー…そんなのベッドとお菓子…」
ウルスラ「…………」
エーリカ「…ああもう分かったよ、真面目に答えればいいんでしょ~?」
エーリカ「えっと、食べ物とか、水とか…」
ウルスラ「はい、そうですね」
ウルスラ「人間はその生命活動を維持するために、食糧と水分の補給が欠かせません」
ウルスラ「これは、人間に限らずほとんどの生物に当てはまることですね」
ウルスラ「というよりも、彼らはそもそも食事も水分補給も、する必要がない生き物なのです」
エーリカ「ふ~ん…」
ウルスラ「彼らが生きていく上で必要なもの、それはたった一つ」
ウルスラ「゛瘴気゛です」
エーリカ「しょーき…?」
エーリカ「…なにそれ?」
ウルスラ「ええっと、分かりやすく言うと…毒ガスみたいなものですね」
エーリカ「は!?あっぶな!!!」
エーリカ「え、なに…?あいつら毒ガス食べて生きてるの…?」
ウルスラ「人間にとっては毒となり、身体を蝕む瘴気ですが」
ウルスラ「ネウロイは、基本的に瘴気の中でしか、長時間の活動をすることができません」
ウルスラ「餌…というよりも、人間にとっての空気みたいなもの…と考えていただければ分かりやすいかもしれません」
エーリカ「え、ええ~…」
ウルスラ「ネウロイはその瘴気を生み出すために、゛ブラウシュテルマー゛と呼ばれる金属性の莢のようなものを大地に打ち込みます」
エーリカ「ぶ、ぶらうしゅ…?」
ウルスラ「ブラウシュテルマーは、周辺の金属を吸い上げる役目を持っていて」
ウルスラ「さらに、本体に咲く青い花から、大量の瘴気を噴き出します」
エーリカ「う、うそぉ…」
ウルスラ「ちなみに、こちらがそのブラウシュテルマーを実際に撮影した際の映像です」
ウルスラ「ネウロイに占領された土地には、このブラウシュテルマーが大量に立てられています」
ウルスラ「さらに、そこで巨大なコクーンを建造することによって…」
ウルスラ「ネウロイが増殖していく…というわけです」
ウルスラ「このコクーンがいわゆる、わたしたちが言うところの゛ネウロイの巣゛というやつですね」
エーリカ「へ、へ~…」
ウルスラ「ではここで一旦、情報を整理しましょう」
ウルスラ「そのため、活動範囲を広げるため、ネウロイは占領した土地にブラウシュテルマーを立てていく」
ウルスラ「ブラウシュテルマーは瘴気を発するため、破壊しない限り、人間が住むことはできない」
ウルスラ「その土地ではさらに、増殖するためにコロニ―…巣が作られることがある」
ウルスラ「これらの性質から、ネウロイは生物なのではないかと推測されている」
ウルスラ「こんな感じでしょうか」
エーリカ「ふーん…やっぱり、色々と謎が多い生き物?なんだね」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「それは、ネウロイが活動・増殖をしていくためには、金属が必要不可欠だということです」
ウルスラ「さきほど、ブラウシュテルマーが、周辺の金属を吸い上げる役目を持っている、という話をしましたよね?」
エーリカ「うん、したね」
ウルスラ「なので、その性質から推測するに…」
ウルスラ「ネウロイが攻撃目標に都市を狙うのは、金属が豊富なためなのではないか…と考えられています」
エーリカ「へー…そうなんだ」
ウルスラ「まあ、あくまで推測の域を出ない話ですが」
ウルスラ「かつて姉さまがブリタニアで戦っていたネウロイが、巣がガリア上空と遠距離であるにも関わらず活動できたのはこのためです」
エーリカ「はー、なるほど…」
ウルスラ「ここまでで、ネウロイの生態についてご理解いただけたでしょうか?」
エーリカ「うーん、まあなんとなく」
ウルスラ「では最後に補足として、ネウロイの攻撃方法について解説します」
ウルスラ「…が」
エーリカ「が?」
ウルスラ「現役ウィッチとして、日々ネウロイと戦う姉さまの方が詳しいと思いますので、解説をお願いしたいと思います」
エーリカ「え、えー!?やだよ!」
ウルスラ「すみません姉さま、そういうふうに台本に書かれているので…」
エーリカ「え、ええ~…めんどくさっ…」
ウルスラ「…あ。もうこんな時間ですね」
ウルスラ「言い忘れていたのですが、わたしはもう技術省に戻らなければならない時間ですので、ここで失礼させていただきます」
エーリカ「は?いや、ちょっと待ってよ…」
ウルスラ「あとのことは、そこにある台本を読んでいただければ結構ですので」
ウルスラ「どうぞよろしくお願いします、それでは」
エーリカ「う、ウルスラ…?おーい、ウーシュ~!」
エーリカ「…ほ、ほんとに行っちゃったよ…」
エーリカ「…はあもう、昔から変わらずマイペースなんだから」
エーリカ「…ええっとぉ、ネウロイの攻撃についてだっけ?」
エーリカ「一つ目は光学熱線攻撃…いわゆる、゛ビーム゛と呼ばれる攻撃です」
エーリカ「この攻撃による破壊力は絶大で…あらゆるものを鋭利な刃物のように切り裂き、破壊することが可能です…」
エーリカ「この攻撃は、ウィッチによるシールドで防御するか、もしくはとにかく回避するか、これ以外に防ぐ方法はありません」
エーリカ「ビームは水に当たるとある程度減衰するため、海上でこの攻撃を受けたときは、水中に逃れるのも、一つの手段と言えるかもしれません…」
エーリカ「ふーん、まあ…戦艦の装甲とかも簡単に貫いちゃうしねぇ…確かにウィッチじゃなきゃ逃げるしかないよね」
エーリカ「…なお、ビームの発射個所は決まっていて、そこを破壊されると、自動修復が終わるまで攻撃できなくなります」
エーリカ「つづいて、二つ目は…うわ、まだあるのか…」
エーリカ「これは主に小型のネウロイが行う攻撃方法であり…」
エーリカ「都市や戦艦・戦車などの制圧よりも、主に対人に向けて行われる攻撃です」
エーリカ「便宜上、゛銃弾゛としていますが、ネウロイの性質上、正確には銃弾ではなく」
エーリカ「あくまで、銃弾…のようなものを撃ち出し、攻撃してきます」
エーリカ「これは、厚い装甲でも防ぐことが難しいビームと比べると、まだ脅威は低いものであると言えます」
エーリカ「しかし、人を殺傷するのに十分な威力を持っているため、危険性は高いです」
エーリカ「…以上が、ネウロイが行う攻撃方法に対する解説となります…」
エーリカ「…なっが!長いしめんどくさ!あーもう、舌が疲れた~!」
エーリカ「も~…早く帰って寝ようっと…」
エーリカ「えー、なになに、次回予告…」
エーリカ「次回のゲストは、坂本美緒少佐です」
エーリカ「坂本少佐には、人類とネウロイの戦いの歴史を解説していただきたいと思います」
エーリカ「合わせて、前回ネウロイ発生の歴史の中で紹介しきれなかった、1937年に扶桑で起きた、人類とネウロイの戦いについても触れていきます」
エーリカ「ここまでのご清聴ありがとうございました、今後は…ああもういいやめんどっちい」
エーリカ「はい、それじゃあこれでおしまーい」
エーリカ「はー…やっと私の当番終わった…」
エーリカ「あー、眠い眠い…」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第2.5回 ネウロイの生態について(補足編)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回は、501の坂本美緒少佐にお越しいただき、ネウロイと人類の戦いについて語らせていただく予定…なのですが」
ウルスラ「ドジなことに、わたしが予定より早く現場に到着してしまったので…」
ウルスラ「前回までで紹介しきれなかった、ネウロイの生態についてを、少佐が来るまでの間で少し補足していきます」
ウルスラ「今回補足していくのは、ネウロイの自己再生能力とコアについてです」
ウルスラ「なので、「ネウロイ=自己再生するもの」という認識が、多くの方に根付いていることでしょう」
ウルスラ「実際その通りで、個体によって再生のスピードに違いこそあれ」
ウルスラ「ネウロイは基本、核であるコアを破壊しない限り再生し、活動を続けます」
ウルスラ「そんなネウロイですが、実は自己再生を行えない個体も存在します」
ウルスラ「ネウロイは性質上、大きな個体はコアを必要とし、逆に小さな個体はコアを必要としません」
ウルスラ「そのため小さな個体は、飛行タイプであれば、翼部が損傷するだけで墜落していきます」
ウルスラ「姉さまが前回紹介してくださった、銃弾を攻撃手段にするようなネウロイは、ほとんどはコアが存在しないタイプに分類されます」
ウルスラ「このコアがないタイプのネウロイは、基本的にコアがある大型ネウロイの随伴機、サポート役として現れることが多いです」
ウルスラ「それでは、ここまでの情報を整理しましょう」
ウルスラ「ネウロイには、自己再生できるタイプと、自己再生できないタイプの二種類が存在する」
ウルスラ「自己再生できるタイプにはコアと呼ばれる核があり、できないタイプにはそれがない」
ウルスラ「まあ、こんなところでしょうか」
ウルスラ「ちなみにネウロイのコアについてなのですが…」
コンコンッ
「ウルスラ、もういるのか?入るぞ」
ウルスラ「…どうやら、丁度よく坂本少佐がお見えになったようなので、あとは少佐と共に詳しく説明していこうと思います」
ウルスラ「今回はここまでです。それではみなさん、また後ほど」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第3回 人類VSネウロイ 戦いの歴史
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回も解説をしていくにあたり、ゲストの方に来ていただきました」
ウルスラ「第501統合戦闘航空団所属、坂本美緒少佐です」
坂本「ああ、よろしく頼む」
坂本「ええっと、これは一体どういう趣旨の企画なんだ?」
ウルスラ「軍総司令部よりの通達で、ウィッチ、および部隊を大衆に広報をせよ…とのことです」
ウルスラ「加えて、この世界の歴史を振り返り、紹介していくことで、一般人から志願者を増やしていこう…という狙いがあるようですね」
坂本「ほう、なるほどな」
ウルスラ「この作品に興味を持ってくれている方、もしくはこれから興味を持とうとしている新規の方を」
ウルスラ「あわよくばこちら側に引きずりこみ、沼に沈めてしまおう…というのが本音のようです」
坂本「…ん?今のは一体、どういう意味なんだ?」
ウルスラ「ああ、お気になさらないでください」
ウルスラ「今回は、前回予告した通り、ネウロイと人類が繰り広げてきた、戦いの歴史について解説していきます」
ウルスラ「ですが、その少し以前からも、その規模は小さいものの、世界各地でネウロイと人類が戦う姿は目撃されてきました」
ウルスラ「…という訳で、1914年の第一次大戦から、1939年の第二次大戦までの間に起きた」
ウルスラ「ネウロイと人類の戦いの歴史を、年表として簡潔にまとめてみましたので、まずはこちらをご覧ください」
1914年
怪異 オラーシャ・オストマルクへ侵攻開始 (第一次世界大戦 勃発)
1917年
第一次世界大戦 終結
1936年7月
ヒスパニアで小規模な怪異が発生(ヒスパニア戦役)
1937年7月
扶桑海軍艦隊が自国の海域にてネウロイとの遭遇戦を実施
その後、扶桑海沖にて怪異発生(扶桑海事変 勃発)
1938年8月
扶桑海事変 終結
1939年
黒海に゛怪異の巣゛出現
同年9月1日、怪異、ダキアに上陸これにより第二次世界大戦が勃発
ダキアに上陸した怪異は「ネウロイ」と命名され、以後この通称が世界中で使用されるようになる
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「坂本少佐が戦いに参加されたのは、1937年ごろ…でしょうか?」
坂本「ああ、そうだな」
坂本「37年に起きた、扶桑海事変のあたりから、私はネウロイと戦い始めた」
坂本「当時はええっと…12歳か」
ウルスラ「なるほど、随分早い年齢から戦争に参加されていたのですね」
坂本「はっはっは、まあ当時の私は、海軍付属の師範学校に通っていたのだが」
坂本「あのときは今以上に人手…正規のウィッチが不足していてな」
坂本「師範学校の生徒、それこそ猫の手であろうと貸してもらわなければ、防衛も危うい状況だったんだ」
坂本「…というかウルスラ中尉、君も確か、かなり早い段階から軍に入ったのではなかったか?」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「私がネウロイとの戦いに参加したのは、1939年ごろですが」
ウルスラ「ええっと、今が16歳なので…」
坂本「…10歳か!いやぁ、私よりも2年も早いとは…御見逸れしたぞ」
ウルスラ「いえ、早ければ良いという訳でもないので…」
坂本「はっはっは、なんとも謙虚な心構えだな」
ウルスラ「い、いえ、そんな…」
ウルスラ「今回、この中で特に注目していきたいのは」
ウルスラ「1937年に起こった、゛扶桑海事変゛についてです」
ウルスラ「坂本少佐、ネウロイと人類の戦いの歴史において、なぜ扶桑海事変がここまで注目されているのでしょうか?」
坂本「ああ、それはネウロイ…いや、当時は゛怪異゛と呼ばれていたか」
坂本「その怪異なんだが、扶桑海事変より以前は、世界各地で小さな戦乱はあれど、大規模な攻勢を仕掛けてくることはなかった」
坂本「だがこの年、扶桑の舞鶴近海…まあつまり、扶桑の本土に極めて近い場所に゛初めて゛怪異が出現したんだ」
坂本「この事件を皮切りに、その後人類対怪異による、゛世界で最初の大規模な戦乱゛へと戦いは発展していった」
坂本「まあそうだな、このころからネウロイの進化も顕著になり始めて、手ごわい個体がどんどん増えるようになってきた」
坂本「まあ今になって振り返ってみると、この扶桑海事変は、人類とネウロイ双方にとって」
坂本「後に続く世界規模の戦い、第二次大戦の前哨戦…のような位置づけ、だったのかもしれないな」
ウルスラ「当時、世界にはまだネウロイによって占領された土地はありませんでした」
ウルスラ「そんな中、突然扶桑へと襲来し、大規模な攻勢をしかけてきたネウロイ…」
ウルスラ「確かにこうして見ると、歴史的な一大事ですね」
坂本「ああ、いやぁ…当時は本当に、色々な意味で地獄だったよ…」
ウルスラ「この戦いは、゛人類対ネウロイによる初の大規模戦闘゛という意味合いの他にも」
ウルスラ「後の戦いに大きな影響を与えた、重要な゛あるもの゛が二点ほど登場しました」
ウルスラ「坂本少佐、これは一体、何が登場したのでしょうか?」
坂本「ああ、まあ一つは、ストライカーユニット…じゃないか?」
坂本「というより…、゛宮藤理論゛か」
ウルスラ「さすが坂本少佐、ご明察です」
ウルスラ「先ほど坂本少佐がお答えになった゛宮藤理論゛の登場、これは、従来のストライカーの概念を覆す、全く新しい風を起こしました」
ウルスラ「何がどう新しいのか、これを分かりやすく理解していただくために、本日は二点ほどの写真を用意しました」
ウルスラ「まずは、こちらの写真をご覧ください」
ウルスラ「はい、これは資料部よりお貸りした、坂本少佐がストライカーユニットを装着した際の写真です」
ウルスラ「続いて、二枚目の写真です」
ウルスラ「この写真は、扶桑陸軍所属、加藤武子中尉(当時少尉)がウィッチ同士で模擬戦をしている際におさめられた一枚で、撮影日時は37年7月です」
ウルスラ「この二枚を見比べて、一枚目と二枚目で、何か大きな違いがあることにお気づきになられると思います」
坂本「背中に背負ってる、゛発動機゛だな」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「宮藤理論が採用される以前のストライカーは、このように、ストライカーを起動させる゛発動機゛を背中に背負う必要がありました」
坂本「いやぁ、これ結構重くてなぁ…しかも、武器の取り回しも悪くなるし、何より機動性に欠けたんだよ」
ウルスラ「゛96式艦上戦闘脚゛が、この扶桑海事変中にロールアウトします」
ウルスラ「この96式は、開口部に入れた足を異空間へと転送するという、今までの常識を覆す新たな技術が実装され」
ウルスラ「なんと、発動機をユニット内に収納することで、背負いものを無くすことに成功したのです」
坂本「ふむ…改めて思うが、一体どういう原理なんだろうなぁ…」
ウルスラ「さらに、これにより、航続力・機動性・速力も大幅に向上しました」
ウルスラ「始めは扶桑皇国内でのみ使用されていたこの宮藤理論ですが、後に、世界でもその技術性が認められ」
ウルスラ「現在、世界中で活躍するウィッチが装備しているストライカーユニットには、すべてこの゛宮藤理論゛が採用されています」
坂本「扶桑皇国海軍正式採用の主用ストライカーだな」
坂本「ブリタニアで戦っていたころはよくお世話になったなぁ、懐かしい」
ウルスラ「さて、扶桑海事変から登場した重要な゛あるもの゛について、一つ目の紹介は終わりました」
ウルスラ「続いて二つ目ですが、これは今回登場していただいたゲスト、坂本少佐が重要なカギを握っています」
ウルスラ「坂本少佐、それは一体なんでしょうか?」
坂本「ん?…ん~…」
坂本「…なんだろうな、さっぱりわからん。はっはっはっは!」
ウルスラ「そ、そうですか…」
坂本「私の固有魔法?ああ、゛魔眼゛のことか?」
ウルスラ「はい、そうです」
坂本「…魔眼…」
坂本「あ、もしかして、コアのことか?」
ウルスラ「その通りです」
ウルスラ「今では、ネウロイの弱点として、多くの人間が認知する゛コア゛ですが」
ウルスラ「実はこの゛コア゛人類史上最初にその存在を確認したのは、坂本少佐なのです」
ウルスラ「まさに、人類史に残る偉業と言って差し支えないでしょう」
坂本「そ、そう言われると…なんだか大仰すぎる気もするが…」
ウルスラ「いえ、決して大仰などではありません」
ウルスラ「魔眼を持つウィッチは、当時坂本少佐の他にも存在していましたが」
ウルスラ「ネウロイの内部まで見透かし、且つコアの発見に至ることができたウィッチは、坂本少佐が初めてでした」
ウルスラ「このコアの発見により、゛ネウロイはコアを破壊して倒す゛という、今日の戦闘におけるセオリーが完成したのです」
ウルスラ「この発見がなければ、もしかすると、扶桑海事変の結果も変わっていたかもしれません」
坂本「そ、そうか…いやぁ、なんだか照れるな…」
ウルスラ「扶桑海事変がいかに、人類とネウロイの戦いの歴史の中で、重要なターニングポイントだったか、ということを理解していただけたでしょうか」
ウルスラ「そして本日、最後に紹介するお話は…」
ウルスラ「扶桑海事変終結から1年後…1939年、黒海に゛怪異の巣゛が出現したことにより勃発した、第二次世界大戦についてです」
ウルスラ「これの何が重要かといえば、やはり、世界で初めて゛ネウロイの巣゛が出現した…ということでしょう」
ウルスラ「1939年9月1日、怪異が、オストマルクの南方、ダキアに上陸…」
ウルスラ「これによって、同月のうちに、ダキア・モエシア・オストマルクの三つが、立て続けに陥落してしまいます」
ウルスラ「これにより、世界中で戦闘は激化。第二次世界大戦が勃発します」
ウルスラ「この頃より、怪異は゛ネウロイ゛と名称を改められ、人類全体から畏怖される敵として認知されていきました」
坂本「うーむ、こうして改めて振り返ると、39年からのネウロイの勢いには、やはり驚きを隠せないな…」
ウルスラ「ええ、この年を境に、機械との融合を果たしたネウロイは、本格的な脅威となっていきましたね」
坂本「やはり…゛ネウロイの巣゛の登場と、何か関係があるのだろうか…?」
ウルスラ「現時点では不明ですが、可能性もないとは言い切れないですね」
ウルスラ「それでは、長々と話してしまいましたが、最後に要点を振り返ってみましょう」
ウルスラ「今回の講座の要点は、以下のようなものです」
・怪異(ネウロイ)との戦いは、扶桑海事変が起こるまではまだ小規模なものだった
・1937年、扶桑海事変が勃発し、怪異による初めての大規模な侵攻が始まる
・その後扶桑海事変は、1938年8月、扶桑皇国連合軍の奮戦により、辛くも勝利に終わる
・その際、坂本一飛曹によって新たに発見されたコアの概念は、その後世界中に広まり、戦局を大きく変えることとなる
・また、この当時より試験的に運用された宮藤理論搭載型の機体は、後に世界規格の技術として採用される
・翌年の1939年、ダキアに新種の怪異が侵攻。これにより、ダキア・モエシア・オストマルクの三つが陥落。第二次世界大戦が勃発
・この新種の怪異に対し、人類は新たに゛ネウロイ゛という呼称をつける
坂本「うん、まあ…こんな感じだな」
ウルスラ「と言ったところで、今回は終了となります」
ウルスラ「いかがでしたでしょうか、このように、人類とネウロイの戦いは、非常に複雑な事情を抱えているのです」
ウルスラ「ここまでの説明で、ようやくテレビアニメ第1期…本編の冒頭で流れる例の映像に合流します」
坂本「て…てれびあに…なんだって?」
ウルスラ「ああ、すみません少佐、こちらの話です」
ウルスラ「この一連の流れを理解した上で、再び本編を見て見ると、また違った視点から楽しめる…かもしれませんね」
坂本「なあウルスラ中尉…さっきから一体何の話を…?」
ウルスラ「…と、ここで、みなさんにご紹介したいものが一つ…」ゴソゴソ
坂本「ん…?」
ウルスラ「先ほどご説明した、扶桑海事変…」
ウルスラ「その当時の記録が、なんとこのようにコミックブックとして記録されています」
ウルスラ「扶桑海事変勃発から終結までの出来事が、全2巻で描かれています」
ウルスラ「坂本少佐や、アニメ第2期にも登場した竹井醇子大尉、この二人の初々しい姿が丁寧に…」
坂本「ダメだこれは!見るな、いいか絶対に見るなよ!」
ウルスラ「おや、何かまずいことでも?」
坂本「あー…いや、これはなんというか…若気の至りがそこかしこに~…というか…」
坂本「とにかく、人には恥ずべき過去の一つや二つがある、というか…」
ウルスラ「そ、そうですか…」
ウルスラ「というわけで、これにて今回は終了です」
ウルスラ「次回は、1939年以降の歴史について、統合戦闘航空団の成り立ちも含めながら解説していこうと思います」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第3.5回 人類VSネウロイ 戦いの歴史(補足編)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「第2回目で紹介した内容について、少し補足を行っていきます…が」
ウルスラ「正直そこまで重要な内容でもないので、読み飛ばしていただいても大丈夫です」
ウルスラ「第3回では、扶桑で勃発した扶桑海事変について詳しく語らせていただきました」
ウルスラ「現実世界でいうところの゛日本゛にあたるこの扶桑皇国ですが」
ウルスラ「実は、現実世界における日本と、領地の総面積という点でかなり異なっています」
ウルスラ「まずは、以下の画像をご覧ください」
ウルスラ「本来であればロシア領であるはずのウラジオストクとその一帯が、この世界では扶桑皇国の領土となっています」
ウルスラ「その理由については、後々機会があれば語っていきますが、それよりも気になるのは、南方に見える謎の巨大な大陸…」
ウルスラ「現実の世界地図と照らし合わせてみればすぐに分かりますが、こんな大陸はそもそも現実に存在しませんね」
ウルスラ「ではこの大陸は何かというと、これはパシフィス島(扶桑名:南洋島)と呼ばれる架空の島です」
ウルスラ「この島は、総面積がなんと扶桑本国よりも大きいため、扶桑皇国にとって最大規模の領地となっています」
ウルスラ「まあ要するに、扶桑にとっての貯金箱ということですね」
ウルスラ「現実の世界史、大陸などをモチーフに世界観を作っているストライクウィッチーズですが」
ウルスラ「このように、現実世界とは若干…というか、だいぶ異なる点も多数存在します」
ウルスラ「他にも例を挙げると、現実の中国・及び朝鮮半島や」
ウルスラ「イラク、イラン、パレスチナなどを代表とする中東、オーストラリア大陸の北西部など」
ウルスラ「これらに該当する土地は、゛過去に滅ぼされた地゛という事で荒涼地帯として扱われ、そこに人は住めない設定になっています」
ウルスラ「なぜ存在しないのか、その理由については…まぁ、大人の事情…というやつでしょうか」
ウルスラ「その他にも、よーく見ると、アメリカ大陸の形がだいぶ異なっていますね」
ウルスラ「ちなみに、扶桑海事変時、怪異はウラジオストクの方面から本土へ向けて侵攻をしていました」
ウルスラ「以下の画像、太い矢印が扶桑サイド、赤い矢印が怪異サイドの、それぞれの防衛・侵攻ルートです」
ウルスラ「以降、扶桑は一度たりとも本土へのネウロイの侵入を許していません」
ウルスラ「アニメ本編での宮藤さんが、平穏に学校生活を送れていたのも」
ウルスラ「当時の坂本少佐や扶桑の軍人たちが、決死の覚悟で戦い、人々や国を守ったお陰…と言っても、過言ではないのかもしれないですね」
ウルスラ「以上、補足でした」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第4回 人類VSネウロイ 戦いの歴史(その②)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「前回に引き続き、今回も人類とネウロイの戦いの歴史について語っていきます」
ウルスラ「ゲストは前回に引き続き、501から坂本美緒少佐にお越しいただいています」
ウルスラ「坂本少佐、よろしくお願いします」
坂本「ああ、よろしく」
ウルスラ「そして今回は坂本少佐に加え、もう一人、特別ゲストの方にお越しいただいています」
ウルスラ「それでは、自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか」
ウルスラ「はい、よろしくお願いします」
ウルスラ「宮藤芳佳少尉は、第501統合戦闘航空団所属で、扶桑皇国出身のウィッチです」
ウルスラ「本日もう一人のゲストである、坂本少佐と同じ国の出身ですね」
宮藤「はい!って言っても、私は横須賀出身で、坂本さんは…ええっと…」
宮藤「あれ、坂本さんって、 出身どこでしたっけ?」
坂本「ん?佐賀だが」
宮藤「…え?さ、佐賀の人だったんですかぁ!?」
坂本「おいおい、一体なにをそんなに驚いているんだ?」
坂本「はっはっは!なんなら、今回は佐賀弁で喋ろうか?」
ウルスラ「そ、それはちょっと困るので、普通に喋っていただけるとありがたいですね…」
ウルスラ「…ええと、だいぶ話が脱線しましたが、そろそろ本題に移らせていただきますね」
ウルスラ「前回は、1939年…第二次世界大戦が勃発するまでの経緯について語らせていただきました」
ウルスラ「今回は、そこからさらに先の話をしていこうと思います」
ウルスラ「まずは、こちらの年表をご覧ください」
1939年
9月 人類統合戦線結成
10月 扶桑皇国欧州派遣軍が扶桑を出航(リバウ航空隊 出兵)
11月 ネウロイ、スオムスへ侵攻開始
11月10日 スオムス空軍義勇独立飛行中隊(いらん子中隊)結成
11月下旬 ミュンヘン空襲
11月30日 ネウロイ、スオムスに侵攻開始(冬戦争もしくは第一次スオムス戦役)
同月 オストマルク連邦政府、度重なる移転の末ロンドンに落ち着く
12月27日、スオムス空軍義勇独立飛行中隊、爆撃タイプ大型ネウロイ「ディオミディア」を撃墜(世界初の大型ネウロイ撃墜例として記録)
ウルスラ「ええ、この年は、ネウロイが初めて大攻勢を仕掛けてきたということもあって」
ウルスラ「人類側にとっても、足並みを揃える…という意味で、大きな変化がありました」
宮藤「な、なんか難しそうだなぁ…」
ウルスラ「いえ、要点だけ掻い摘めば、そこまで複雑な話ではないですよ」
ウルスラ「前回も紹介したように、1939年という年は、後半になるにつれどんどんネウロイの勢いが増し」
ウルスラ「その脅威は一つの国・人種だけではもはや手がつけられず、戦果の火は欧州を中心に、次第に世界中で燃え上がろうとしていました」
ウルスラ「そんなとき、人類は思ったのです」
ウルスラ「はい宮藤さん、何を思ったのでしょうか?」
宮藤「…え、えー!?私!?」
ウルスラ「宮藤さんは、とても一人では解決できそうにない問題に直面したとき、どんなことを考えますか?」
宮藤「え…?」
宮藤「一人で解決できない…あっ、そっか!」
宮藤「みんなに力を借してもらう!」
ウルスラ「はい、それが正解です」
ウルスラ「39年、ネウロイの途方もない脅威に対し、人類はついにある選択をします」
ウルスラ「それこそが、゛人類統合戦線゛の結成なのです」
ウルスラ「これは、人類が共同してネウロイに対抗するために成立された統合軍です」
ウルスラ「全世界で共同して脅威に対抗するという動きは、有史以来初の試みとなりました」
宮藤「わ~…!な、なんだかすごいですねぇ!」
ウルスラ「人類統合戦線の内情についても説明したいのですが、それをやると話が膨らみ過ぎてしまうので、今回は割愛します」
ウルスラ「39年後半、人類とネウロイとの戦いにおける、一番のホットゾーンは欧州でした」
ウルスラ「そんな欧州の状況を鑑みて、世界各国から自国の優秀なウィッチを欧州へ向けて派遣する動きが活発になります」
ウルスラ「そして1939年10月、優秀なウィッチを多く抱える扶桑からも、欧州遣欧艦隊と共に多数のウィッチが派遣されました」
ウルスラ「このときの派遣軍こそが、後に優秀な戦果を上げたことで有名となった゛リバウ航空隊゛です」
宮藤「確か、坂本さんが前に話してくれたような…」
坂本「ああ、そう言えばそんな話もしたな」
ウルスラ「坂本少佐は、当時このリバウ航空隊で竹井醇子大尉、西沢義子飛曹長らと共に数々の激戦を戦い抜き」
ウルスラ「その多大な活躍ぶりから゛リバウの三羽烏゛とあだ名されていました」
坂本「まあ私は、この派遣の1年前には既にブリタニアに渡っていて、零式艦上戦闘脚の開発に従事していたから」
坂本「リバウに合流したのは、そのあとになってからのことなんだがな」
宮藤「零式…あっ、それって…」
宮藤「お父さん…」
坂本「渡欧から1年後、ちょうどプロジェクトが一段落したのに合わせて、欧州全土でネウロイの動きが活発化してな」
坂本「私もリバウに飛び、そこで共に戦った…というわけだ」
宮藤「へ~、そうだったんですかぁ」
宮藤「坂本さんって、色んなところを行ったり来たりして、当時から大忙しだったんですね」
坂本「はっはっは!確かに、言われてみるとそうだな」
宮藤「…あの、そういえば゛リバウ゛って…どこにあるんでしたっけ?」
坂本「リバウは、オラーシャとカールスラントとの国境の中間にある、バルト海に面した軍港都市だ」
ウルスラ「欧州全体の地図を用意してありますので、こちらをご覧いただくと分かりやすいと思います」
宮藤「あ、本当にオラーシャとカールスラントの真中にありますねぇ」
坂本「ここはオラーシャ、カールスラント双方の中間地点ということもあって、補給の観点から見ても、人類にとって重要な拠点だ」
坂本「さらに、ここからスオムスにも飛んでいくことも可能だな。距離はだいたい…」
ウルスラ「前線基地まででしたら、直線でおよそ650kmですね」
※東京-広島間が直線距離でおよそ670km
宮藤「へ~…」
宮藤「その、カルパティア…?ってところは、遠いんですか?」
ウルスラ「モエシア方面なので、リバウからだと、直線距離でおよそ1200kmくらいです」
宮藤「…せ、せんにひゃくっ!?
坂本「はっはっは!ちなみに、その日のうちに往復したりもしたぞ」
宮藤「え、えぇえ~…」
ウルスラ「扶桑海軍が使用するストライカーユニットは、長距離の航続性能に優れていたので、そういったことも可能だったんですね」
ウルスラ「だとしても、普通のウィッチにできることではないですが」
宮藤(さ、坂本さんって、やっぱり凄いんだなぁ…)
坂本「600km以上飛んだその足でそのままネウロイと戦っていたら、えらく驚いた顔をしてたよ」
宮藤「そ、それは確かに驚くでしょうね…」
ウルスラ「ではここで一旦、話を年表に戻しましょう」
ウルスラ「欧州での戦いが激しさを増す一方、同年の11月、北欧スオムスでもついにネウロイの侵攻が始まります」
ウルスラ「スオムスは、ネウロイの攻勢が続くカールスラントからそう遠くない距離に位置する国です」
ウルスラ「国力は際立って低くはないもの、大国カールスラント・リベリオンなどに比べれば、防衛力に対して不安要素がありました」
ウルスラ「そこでスオムス政府は、各国に対してウィッチの支援要請を出すことになるのですが…」
ウルスラ「運が良いことに、11月に始まった侵攻よりも少し前に、各国からエースウィッチを招聘することに成功していました」
宮藤「わ~、よかったぁ」
ウルスラ「その時に集められたウィッチたちこそが、スオムス空軍義勇独立飛行中隊…通称、゛いらんこ中隊゛です」
宮藤「い、いらん子…?」
ウルスラ「実際のところ、優秀なウィッチはネウロイの攻勢激しい欧州に集中させたい、というのが、軍統合司令部の判断でした」
ウルスラ「まあ、「これからネウロイが攻めてくるかも…」という地域に貴重なウィッチを派遣するより」
ウルスラ「今確実に攻撃を受けている、カールスラントを中心にした激戦区に戦力を集中させたい…というのは、分かる話です」
ウルスラ「ですので、スオムスに派遣されたウィッチたちは全員…」
ウルスラ「その実、厄介払いで僻地へ送られた゛いらない子゛たちなのでは…などと噂され、このような揶揄がされていたようです」
宮藤「ひ、酷いなぁ…」
ウルスラ「原隊で何かしらのトラブルを抱えていた、一癖も二癖もある問題児たちばかりでした」
坂本「ふふっ、問題児たち…か」
宮藤「へ~…どんな人たちだったんですか?」
ウルスラ「それについては、次回の講座でご紹介させていただきますが」
ウルスラ「この義勇独立飛行中隊、なぜ今回紹介しようとしたかというと…」
ウルスラ「実は、この中隊が、後に世界中で作られることとなる゛統合戦闘航空団゛の雛型…先駆けとなる組織だからです」
宮藤「…ん?統合戦闘航空団って…」
坂本「お前が今身を置いている、501のことだよ」
宮藤「…え、ええええ~~~~~!?!?!?」
ウルスラ「宮藤さん、良いリアクションをありがとうございます」
ウルスラ「…といったところで、今回の講座はここで終了です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第4.5回 (補足編) リバウについて
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「例のごとく補足をしていこうと思います」
ウルスラ「今回補足するのは、゛リバウ゛についてですが、かなりどうでも良い情報なので、読み飛ばしていただいて結構です」
ウルスラ「リバウで起きた戦いは、史実でいうところの゛ラバウルの戦い゛に相当しています」
ウルスラ「ラバウルの戦いは、太平洋戦争中、1942年の1月から2月にかけて」
ウルスラ「現在のパプアニューギニア、ニューブリテン島を舞台に、大日本帝国とオーストラリアの間で行われた戦闘です」
ウルスラ「リバウ航空隊は欧州で戦っていたのに、ラバウルの戦いの舞台は、遥か南半球のパプアニューギニア…」
ウルスラ「では、「リバウの戦い=ラバウルの戦いではない?」という結論になるのですが」
ウルスラ「前回リバウの三羽烏の一人として紹介した西沢義子飛曹長、この方には、実際にモデルとなった方がいます」
ウルスラ「そのモデルとなった人物、゛西沢広義゛氏は、ラバウルでの戦いの功績を称えられ」
ウルスラ「゛坂井三郎゛氏(坂本少佐のモデル)らと共に、゛ラバウルの三羽烏゛という異名をつけられます」
ウルスラ「リバウだのラバウルだのと、なんだかややこしいですが」
ウルスラ「このリバウ、ロシアにおける元の地名は゛リエパーヤ゛といい」
ウルスラ「これはドイツ名では゛リーバウ゛と呼ぶそうです」
ウルスラ「というわけで、そんな地名とラバウルの戦いをミックスさせたのが、リバウの戦い…という、かなりどうでも良い情報でした」
ウルスラ「というわけで、補足終了です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第5回 世界の航空歩兵シリーズ(その①)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「前回は、゛人類統合戦線゛゛リバウ航空隊゛゛スオムス義勇独立飛行中隊゛この3つの成り立ちについてご紹介しました」
ウルスラ「そして、後に゛統合戦闘航空団゛の先駆けともなったこの義勇独立中隊…」
ウルスラ「今回は、この中隊の当時の活躍を紹介すると共に、今や伝説となった、創設メンバーたちについて解説していきます」
ウルスラ「今回のゲストも、前回に引き続き坂本美緒少佐と宮藤芳佳少尉です」
ウルスラ「お二人とも、よろしくお願いします」
坂本「よろしく頼む」
宮藤「よろしくお願いします!」
ウルスラ「義勇独立飛行中隊が結成された当初、在籍していたウィッチの数は全部で6名」
ウルスラ「最初に紹介するのは、独立飛行中隊の隊長であり、現地スオムス空軍に籍を置いていたエルマ・レイヴォネン中尉」
宮藤「あ、エイラさんと同じ制服着てる」
坂本「エイラとは同郷だからな、彼女はエイラが元々籍を置いていた原隊の先輩にあたる人物らしい」
宮藤「へ~、そうなんですかぁ」
宮藤「あっ!わたし、この人が出てる映画見たことあります」
坂本「ああ、゛扶桑海の閃光゛のことだな」
ウルスラ「たしか、扶桑海事変をモチーフに作られた映画…だったでしょうか?」
坂本「そうだ。元々、事変で多大な消耗を強いられたウィッチを補給するために作られた、軍協賛の宣伝映画なんだがな」
坂本「目論見通り大ヒットしたお陰で、その後多くの志願者を集めることができた」
宮藤「へ~」
宮藤「えっ…!?そうなんですか!?」
坂本「ああ、恥ずかしい限りではあるのだがな…」
宮藤(…こ、今度確認してみよっと…)
ウルスラ「彼女は、扶桑海事変の際、その目覚ましい活躍ぶりから゛扶桑海の巴御前゛とも呼ばれ、大衆から絶大な人気を誇ったウィッチです」
ウルスラ「そして、その人気を裏付けるだけの確かな実力も備えていて」
ウルスラ「優れた飛行センス、そして剣術の腕前の持ち主で、扶桑海事変時は累計7機のネウロイを撃墜したエースの一人です」
宮藤「す、すごいなぁ…」
宮藤「わ~、きれいな人ですねぇ」
ウルスラ「優れた飛行技術、そして敵に向かっていく果敢精神を持ち合わせたブリタニア空軍きってのエースウィッチです」
ウルスラ「彼女は、過去にオストマルクでネウロイの侵攻があった際、国境監視にあたる国際派遣部隊に所属して、そこで多大な戦果を挙げた経歴を持ちます」
ウルスラ「普段あまり語ることは少ないものの、出撃すれば必ず戦果を挙げる、確かな実力の持ち主です」
ウルスラ「通称…゛銀狐(シルバーフォックス)゛」
宮藤「わ~!か、かっこいいなぁ!」
坂本「ん、そうか?」
宮藤「はい、なんかクールな感じとか、あと…かっこいいところとか!」
坂本「そうだなぁ、二人とも、確かな実力を持っているという点では共通点があるが」
坂本「いかんせん、マルセイユ大尉は雄弁…というか、自信に満ち溢れすぎているというか…」
宮藤「あ~…確かに、言われてみると正反対なのかも…」
宮藤「…わぁ、おっきいなぁ…」
坂本「…宮藤、どこを見ている?」
宮藤「えっ…あっ!?いや、別に胸とか見てないですよ!?」
坂本「はあ、まったく…お前というやつは…」
宮藤「えっと、この人もすごいおっぱ…じゃなかった、活躍をした人なんですか?」
ウルスラ「彼女は、ええっと、リベリオン海軍では有名なウィッチですね」
坂本「ああ、゛有名゛だな」
宮藤「…?なにが有名なんですか?」
ウルスラ「ええと…それについては後ほど…」
ウルスラ「彼女は特筆するエースウィッチではありませんでしたが、その陽気な性格が、部隊にとってムードメーカー的な役割を果たしていました」
宮藤「へ~、シャーリーさんみたい」
宮藤「やっぱりリベリオンの人って、明るい人が多いんですね」
坂本「ひとくくりにはできないが、そういうお国柄なのだろうな」
宮藤「わぁ、扶桑の人が2人もいたんですねぇ」
ウルスラ「彼女は、扶桑海軍横浜航空隊に所属していたウィッチです」
宮藤「へー、横浜…」
坂本「宮藤にとっては、地元繋がりの先輩ウィッチ…ってところかもな」
宮藤「あ、確かにそうですね」
ウルスラ「彼女は、欧州へ向かう遣欧艦隊に同席していたうちの一人で、さきほどの穴拭中尉と同時にスオムスへ着任しました」
ウルスラ「着任時はまだ新米ウィッチだったようなので、特に目立った成績などはありませんでした」
宮藤「そっかぁ、新米さん…」
宮藤「ふふっ、すごい実力の先輩ウィッチと一緒に欧州に向かうだなんて、なんだか私と坂本さんみたいですね」
坂本「はっはっは!確かに、奇しくも境遇が似ているな」
ウルスラ「え、あ…はい…」
ウルスラ「…ええと、最後に紹介するのは…」
ウルスラ「…ええっと…」
宮藤「…?どうしたんですか?ウルスラさん」
坂本「宮藤、最後の一人なら、目の前にいるぞ」
宮藤「…へ?」
坂本「元スオムス義勇独立飛行中隊隊員、現ノイエ・カールスラント技術省所属のウィッチ、ウルスラ・ハルトマン中尉だ」
ウルスラ「…………」
宮藤「…………」
宮藤「…え、ええええぇええええーーーーー?!!?!?!!?!?」
ウルスラ「え、ええ…」
坂本「ウルスラ中尉は、元々カールスラントの最前線に配属されていたんだよな?」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「日々爆撃兵器編隊のネウロイが攻めてくるのを、迎撃することが任務の部隊でした」
坂本「そんな激戦区に、まだ年端もいかない君がいた…というわけか」
ウルスラ「ええ、ですが、スオムスへウィッチを一人出兵せよ、という辞令が出た際」
ウルスラ「部隊で一番足手まといの私に、厄介払いも兼ねて白羽の矢が立ったわけです」
ウルスラ「そういう意味では、私こそが本当の゛いらん子゛でした」
宮藤「わ、わたしだって、部隊に入ったばかりの頃は、みんなの足を引っ張ってばっかりだったし…」
宮藤「そ、それに、わたしよりも4歳も早く軍隊に入って戦うなんて、本当にすごいと思います!」
ウルスラ「宮藤さん…」
坂本「そうだぞウルスラ中尉、この世界に、必要のないウィッチなど存在しない」
坂本「役割は違えど、みんながみんな、それぞれ自分にしかできないなにかを持っているんだ」
坂本「現に今、中尉は技術開発で大きく貢献しているわけだしな」
ウルスラ「坂本少佐…ありがとうございます」
坂本「はっはっは!まあ、これは醇子の受け売りなんだがな」
宮藤「ウルスラさん、前にこの中隊の人たちのことを゛問題児゛って言ってましたけど」
宮藤「この人達、どこに問題があったんですか?」
ウルスラ「…そうですね、それでは、そちらの解説についてもしていきましょう」
坂本「…おっと、もうこんな時間か」
坂本「すまないが、私はそろそろ仕事に戻る時間だ。あとのことはよろしく頼むぞ、宮藤」
宮藤「え?あ…はい」
坂本「ではな、ウルスラ中尉、楽しい講座だったぞ」
ウルスラ「いえ、2回に渡る解説、ありがとうございました」
宮藤「は、はい!」
ウルスラ「それでは、話を戻します」
ウルスラ「隊員たちの何が問題だったか、それを分かりやすく理解してもらえるように、このようなランキング形式の表を作ってみました」
宮藤「…へ?」
ウルスラ「名付けて、゛ここがヘンだよいらん子中隊~゛」
宮藤「な、なにこれ…」
ウルスラ「まずは第6位から…じゃん」
エルマ・レイヴォネン中尉
問題児度・・・なし
解説
気弱だがすごく良い人。部隊の良心
宮藤「…えーっと、すごいざっくりした説明ですね…」
ウルスラ「彼女に関しては、特筆して素行の悪さ・問題などは見当たらず」
ウルスラ「寧ろ、問題児だらけのこの部隊では、良い人すぎて少し浮いた存在であったかもしれません」
宮藤「は、はあ…なるほど」
ウルスラ「続いて、第5位は…」
ウルスラ・ハルトマン少尉
問題児度・・・★☆☆☆☆
解説
常にマイペースで、作戦会議中であっても読書を辞めない本の虫
極度のマニュアル至上主義者で、たとえ上官の言葉であっても「わたしは教科書からすべてを学ぶ」と返す
基本的に他人の話を聞かない性格の持ち主
宮藤「ウルスラさん…本好きなんですねぇ」
ウルスラ「ええ、姉さまの影響で」
宮藤「…それにしても、会議中に本を読むっていうのは、器が大きいというか、なんというか…」
ウルスラ「…お、お恥ずかしい限りです…」
ウルスラ「つ、続いて、第4位の発表です」
穴拭智子中尉
問題児度・・・★★☆☆☆
解説
空戦の技術に優れ、指揮官としての才能もあるものの、スオムスに着任早々、隊長であるエルマ中尉に自分の意見を押し通すなど我の強さを見せる。
その後、戦闘においても度重なる命令違反・独断専行を繰り返し、自身の手柄を立てることに固執する等の問題行動を見せた。
ウルスラ「はい、そういったところは確かにあったかもしれませんね」
ウルスラ「扶桑海事変での戦いを経験した分、中隊の誰よりもネウロイに対する防衛意識が高かったのは穴拭中尉です」
ウルスラ「その危機意識の高さが、ときに暴走気味になってしまったこともあったようですね」
宮藤「なるほどなぁ…危機意識かぁ」
宮藤「なんだか、昔のバルクホルンさんみたい…」
ウルスラ「昔の大尉は、そんなところがあったんですか?」
宮藤「そうだなぁ、ブリタニアにいた頃は、ちょっと怖くて、危なっかしいところがあったかも…」
宮藤「でも今は、優しくて、かっこよくて、すっごく頼りになる人だなぁって思います」
ウルスラ「…ふふっ、そうですか」
ウルスラ「では、続いて第3位です」
エリザベス・F・ビューリング少尉
問題児度・・・★★★☆☆
解説
原隊での命令違反があまりにも多すぎて、あるときついに射殺命令まで出されてしまったブリタニア空軍きっての問題児
門限を守らない、命令を守らない、命令に従わないのは当たり前。
その他上官に対する不遜な態度等など、あまりに素行が悪すぎて、営倉での生活が日常化していたらしい
その活躍から、本来であれば少佐クラスの実績を残しているものの、これらの度重なる悪事が影響して階級は少尉のままとなっている。
ウルスラ「実力はあるものの、だいぶ問題を抱えた方だったようです」
宮藤「…う、うーん…」
ウルスラ「どうかされました?宮藤さん」
宮藤「いや~…な、なんていうか…」
宮藤「わたしも昔射殺命令出されちゃったことあるから、人のこと言えないな~…なんて」
ウルスラ「…な、なるほど」
宮藤「あはははは……」
ウルスラ「…………」
宮藤「…………」
ウルスラ「で、では、第2位です」
キャサリン・オヘア少尉
問題児度・・・★★★★☆
解説
別名゛壊し屋(クラッシャー)・オヘア゛
・原隊在籍時代、航空母艦レキシントンに持ち込まれた最新鋭ストライカーユニット゛F4F(マスタング)゛を次々と破壊していった逸話を持つ。
・母艦への度重なる着艦失敗によって、レキシントンでの配属時に合計32機のストライカーを全損させた
・ある日の訓練では、着艦時他のウィッチが待機する駐機所に突っ込んで、7名を事故に巻込きこみ病院送りにするという大惨事を起こした。(事故を起こしたオヘア少尉は無傷で生還)
・その後スオムスの部隊に着任した際も、自己紹介で「早撃ちが得意」と告げるや否や、腰につけたリボルバー拳銃を乱射するという破天荒な事件もあった
ウルスラ「32機、全損です」
ウルスラ「ちなみにレキシントンは、当時航空母艦の実験部隊として稼働していたので」
ウルスラ「最新鋭のF4Fのファーストロット…つまり、最初に作られた機体総数のことですが」
ウルスラ「その数全部で54機。その内の32機が、レキシントンに優先して回されました」
宮藤「…ん?え…ちょっと待ってください」
宮藤「32機がこの船に配備されたんですよね?」
ウルスラ「はい、そうです」
宮藤「それで、壊れた合計が…」
ウルスラ「32機です」
宮藤「…それを一人で?」
ウルスラ「はい」
宮藤「…………」
ウルスラ「ちなみに比較対象を挙げますと、民間人の年収で、例えば警察で巡査の初任給が45円(約110万円)となります」
ウルスラ「オヘア少尉が壊したストライカーを、1台あたり1億4000万円として、それに32台分を計上していくと」
ウルスラ「つまり」
宮藤「も、もういいです!もういいですから~!」
ウルスラ「そ、そうですか…」
宮藤「な、なんだか、頭が痛くなってきました…」
ウルスラ「も、申し訳ありません…」
宮藤(…ん?)
宮藤「…あのー、ウルスラさん」
ウルスラ「はい、なんでしょう」
宮藤「今のオヘアさんが1位ですよね?」
ウルスラ「いえ、第2位です」
宮藤「えっ…だって」
宮藤「あとは、迫水さんしか残ってないですよ?」
宮藤「だって迫水さん…どう見たって普通だし、可愛らしいし…」
宮藤「この人が、他の人たちを抑えて第1位なんてこと…ないですよね?」
ウルスラ「…………」
宮藤「え、あの、ちょっと…ウルスラさん?」
ウルスラ「…それでは、第1位の発表です」
迫水ハルカ一飛曹
問題児度・・・★★★★★★★★★★
解説
同じ部隊の隊員であり、上官でもある穴拭智子中尉に肉体関係を迫る
その後、何度も同様の行為を繰り返し、部隊の風紀を著しく乱した
宮藤「あのー、゛肉体関係゛ってどういう意味ですか…?」
ウルスラ「こちらに辞書があるので、調べてみると良いかと」
宮藤「は、はあ…えーっと、肉体…肉体…」
宮藤「…………」ペラペラ
宮藤「……ほぇっ!?」
宮藤「…あ、あの、あのあのあの…う、ウルスラさん…?」
ウルスラ「はい、なんでしょうか?」
宮藤「えっと、こ、これ本当なんですか…?」
ウルスラ「はい、本当です」
ウルスラ「…………」
宮藤「…も、もういや~~~~~~~!!!!!!」
ウルスラ「あ、宮藤さん…」
ウルスラ「…どうやら宮藤さんも行ってしまったようなので、今回はここまでにします」
ウルスラ「このいらん子中隊には、実は7人目となるウィッチも後々加わるのですが」
ウルスラ「その方については、また次回」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第5.5回 世界の航空歩兵シリーズ(補足編)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「第6回からは、スオムス義勇独立飛行中隊(以下いらん子中隊)の活躍についての解説を行っていきたいので」
ウルスラ「ここで前回紹介しきれなった、いらん子中隊7人目のウィッチについて紹介していきます」
ウルスラ「7人目は、ロマーニャ空軍所属、ジュゼッピーナ・チュインニ准尉」
ウルスラ「陽気な性格でパスタが大好きと、典型的なロマーニャ人気質を持つ准尉なのですが」
ウルスラ「1940年1月、ネウロイ勢力圏内で被弾した後、なんとか自力で帰還したものの、墜落が原因で記憶喪失の症状を患ってしまいます」
ウルスラ「その翌月、リハビリを兼ねて転属した先が、スオムスを拠点とするいらん子中隊だった…というわけです」
ウルスラ「これらの事情から見るに、戦力の増強というよりは…」
ウルスラ「あくまで゛全快するまでの骨休め゛として、准尉はいらん子中隊に配属されたようですね」
ウルスラ「そんな准尉ですが、記憶を失う前の実力はおりがみつき…というより」
ウルスラ「急降下爆撃の際に行われる技法があまりにも優れていたために、なんとその技術が空戦の教本にも載ってしまっています」
ウルスラ「海面スレスレの低空を飛行し、目標手前の水面に遅延信管を付けた爆弾を投下…水切りの要領で爆弾を着弾させる、という方法です」
ウルスラ「当時、爆弾を当てるのであれば、直上から降下して急降下爆撃…というのがセオリーだったのですが」
ウルスラ「准尉が編み出したこの反挑爆撃によって、洋上からの攻撃における新たな爆撃方法が確立されます」
ウルスラ「この技法は、゛チュインニ方式゛として紹介され、以後多くのウィッチに影響を与えました」
ウルスラ「呑気にパスタなんか食べてますが、実はすごいウィッチなんですね」
ウルスラ「階級についての説明は今後機会があれば行うとして、実は、結構すごい階級なんです」
ウルスラ「なぜなら、この准尉は別名゛下士官の元帥゛とも呼ばれ」
ウルスラ「コネや年功序列抜きで、本物の実力を持った叩き上げにしか与えられない階級だからです」
ウルスラ「要するに、相応の実力がなければ絶対なれない役職ってことですね」
ウルスラ「そんな感じで、今回の補足は終了となります」
ウルスラ「チュインニ准尉、そしていらん子中隊の輝かしい活動の記録は、全3冊の小説として刊行されているので、機会があれば目を通してみると良いかもしれません」
ウルスラ「…あ、そうそう。ちなみに前回の問題児ランキングにチュインニ准尉を入れたとしたら、こんな感じになるでしょうか」
ジュゼッピーナ・チュインニ准尉
問題児度・・・★★★★★★★★★★
解説
同じ部隊の隊員であり、上官でもある穴拭智子中尉に肉体関係を迫り、部隊の風紀を著しく乱した
※迫水一飛曹と同率1位
ウルスラ「その判断は、みなさんにお任せすることにします」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよ…おや?」
ウルスラ「…えーと、司令部からの入電です」
ウルスラ「なになに、訂正のお詫び…」
ウルスラ「F4F=゛マスタング゛との表記がありましたが、正しくは゛ワイルドキャット゛となります」
ウルスラ「また、ウルスラ・ハルトマンの39年時の階級について、゛少尉゛との表記をしていましたが…」
ウルスラ「これも少尉ではなく、正しくは゛曹長゛だったことをお詫びします」
ウルスラ「なるほど…これは大変失礼いたしました、ご指摘ありがとうございます」
ウルスラ「本解説は時折このような間違い、及び独自解釈が展開されることもありますが、その都度生温かい目で見て頂けると幸いです」
ウルスラ「それでは今度こそ…みなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第6回 人類VSネウロイ 戦いの歴史(その③)
≪前回のあらすじ≫
・いらん子中隊には問題児しかいなかった。
ウルスラ「今回は、前回ご紹介したいスオムス義勇独立飛行中隊のメンバーたちが、周囲から゛いらん子中隊゛などと揶揄されながらも」
ウルスラ「その後、どのような活動を経て、どんなふうに活躍をしていったのかについて、解説を行っていきたいと思います」
ウルスラ「今回も解説にあたって、ゲストの方に来ていただいています」
ウルスラ「前回、前々回に引き続いてのご登場となる、501の宮藤芳佳少尉です」
宮藤「……どうも」
ウルスラ「そしてもう一人、501からゲストの方に来ていただきました」
ウルスラ「過去の戦闘において、一度も被弾した経験がないという、スオムスが誇る奇跡のエース…エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉です」
エイラ「おー、よろしく~」
ウルスラ「というわけで、その国に所縁のあるユーティライネン中尉にお越しいただいたわけなのですが…」
エイラ「ああ、言いづらいだろうからエイラでいいよ」
ウルスラ「分かりました、ではエイラ中尉」
ウルスラ「エイラ中尉はこの独立飛行中隊について、どの程度ご存じですか?」
エイラ「うーん、まあ私より一つ上の世代の人たちだからさ、あんまり詳しくは知らないんだけど…」
エイラ「姉ちゃんから聞いた話だと、この部隊がいなかったら、今頃スオムスもカールスラントやオストマルクみたいに占領されてたんじゃないか…って」
ウルスラ「なるほど、確かに、そう言えるかもしれないですね」
ウルスラ「欧州派遣が決まるより以前、スオムス国境付近で防空任務に就けるのは、地元のウィッチ部隊である〝スオムス空軍第一中隊〝だけでした」
ウルスラ「この第一中隊は、ミカ・アホネン大尉を隊長とする、全部で10人のウィッチが在籍するスオムス空軍きっての精鋭部隊です」
ウルスラ「しかし侵攻が始まった後、この中隊で対処可能な数を遥かに超えるネウロイが押し寄せてきます」
ウルスラ「ですので、義勇独立飛行中隊の結成がなければ、戦力的に見て第一中隊だけでの防衛は不可能だったと言えますね」
ウルスラ「その後、部隊創設のため、エルマ中尉は独立飛行中隊の隊長として抜てきされるわけですが…」
エイラ「…抜てきっていか、ぶっちゃけ島流しみたいなもんだったって聞いたけどなぁ」
ウルスラ「おや、エイラ中尉は何かご存じなのですか?」
エイラ「いやぁ、前にエルマ先輩から話聞いたことあるんだけど」
エイラ「実力もまるでからっきしだった自分に、ある日いきなり隊長職に就けって辞令が来て泣きそうだった…って」
ウルスラ「そうだったんですか」
エイラ「毎日胃が痛かった~…って、なんか遠い目で話してくれたな」
ウルスラ「…そ、そうですか…」
宮藤「…………」
エイラ「そう言えば聞いた話によると…って、おい宮藤」
宮藤「…はい、なんでしょう」
エイラ「さっきからずっと黙ってるけどさぁ、ゲストなんだからちゃんと喋れよ」
宮藤「…はぁ、そうですね」
エイラ「な、なんだこの覇気の無さは…」
宮藤「この迫水さん、上官の穴拭さんに…に、にに…肉体かんけーをですね…!」
宮藤「しかも!この7人目のチュインニさんって人も、資料によるととんでもない人じゃないですかぁ!?」
宮藤「こういう…え、えっちなのはいけないと思います!」
エイラ「…ふむ、まあ確かにそうダナ」
エイラ「でもそれを言ったら、この第一中隊のアホネンって人も、相当な女好きだったらしいぞ」
宮藤「えっ」
エイラ「なんでも、中隊の隊員を自分のお気に入りで固めて、ハーレムを作ってたとかなんとか…」
エイラ「宮藤は?」
ウルスラ「気分が優れないとのことで、早退しました」
エイラ「そ、そうか…」
ウルスラ「ええと、中隊の活躍について話を進めていきます」
ウルスラ「以下に結成時からの主な活動の記録をまとめましたので、まずはこちらをご覧ください」
1939年11月 スオムス義勇独立飛行中隊結成(冬戦争 勃発)
1939年12月 中隊の総撃墜数が40機を達成
1939年同月 大型爆撃機型ネウロイ〝ディオミディア〝を義勇独立飛行中隊が撃墜(世界初の大型ネウロイ撃墜事例)
1940年1月 中隊の総撃墜数が127機を達成
1940年同月 ネウロイの大攻勢により、スラッセン・カウハバが陥落
1940年2月5日 大反攻計画実施。急降下爆撃部隊・陸軍部隊と協力して奪還任務にあたり、これに成功。スラッセン及びカウハバの奪還を果たす。
エイラ「ふぅん、話には聞いてたけど、カウハバとスラッセンって、本当にネウロイに占領されてたんだなぁ」
ウルスラ「ええ、この二つはスオムスが侵攻を受けた後、初めて占領された土地なのですが」
ウルスラ「奪還作戦が成功したことにより、オストマルクの陥落以来、人類にとって初めてネウロイから取りかえすことができた土地でもあります」
ウルスラ「この戦いは、占領から奪還まで、わずか1カ月たらずのことではありましたが」
ウルスラ「それでも、この一連の出来事はスオムス国民…そして全人類にとって、大きな希望となりました」
エイラ「へ~…そうだったのか」
エイラ「ちなみにこの、〝ディオミディア〝ってのは?」
ウルスラ「その大きさ、装甲、爆撃能力において、従来のネウロイを遥かに凌ぐ新型として、当時航空ウィッチを大いに苦しめました」
ウルスラ「今ではよく見かける大型・超大型のネウロイですが、その姿が確認されたのはこの頃からですね」
エイラ「ふぅん」
エイラ「で、それを初めて倒したのが…」
ウルスラ「はい、この義勇独立飛行中隊です」
エイラ「ほう…」
ウルスラ「ちなみに、スラッセン奪還作戦の際には、移動要塞式の超大型ネウロイ〝ジグラッド〝の存在も確認されています」
エイラ「じ、ジグラッド…?」
ウルスラ「そして堅牢な守りを兼ね備えた、陸上に居を構える超大型ネウロイで」
ウルスラ「しかも、その上歩行までも行えるという…まさに歩く要塞と呼べる怪物でした」
ウルスラ「あ、歩く要塞…」
ウルスラ「ちなみにその全長は、建造物6階建ての高さに相当します」
エイラ「で…でかぁっ!?」
ウルスラ「スラッセンを占領していたこのジグラッドですが」
ウルスラ「スオムスは、これの排除に当時の全戦力をスラッセンに投入…」
ウルスラ「義勇独立飛行中隊、スオムス空軍第一中隊、陸上部隊、そして急降下爆撃部隊による総攻撃が行われ」
ウルスラ「この総力戦によって、戦いは辛くも勝利に終わります」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「こういった数々の活躍が、後の統合戦闘航空団発足にも繋がったようです」
エイラ「ふ~ん…」
エイラ「えっと、確かこの中隊が最初の統合戦闘航空団になったんだっけ?」
ウルスラ「いえ、少し違います」
ウルスラ「この部隊の活躍が認められたことで、後に統合戦闘航空団の有用性が提唱されたのは事実ですが」
ウルスラ「その計画が実現するのは、もう少し後のことになります」
エイラ「ん?なんで?」
ウルスラ「加えて、部隊を設立したとしても、それをどこに置くのかということに関しても、政治的・戦局的な意見が対立しました」
ウルスラ「自国のエースを手放すリスクを冒すのだから、部隊は当然自国の近辺に置くべきだ、という主張をどの国も譲らなかったようです」
エイラ「え、えぇ~…」
エイラ「いやまぁ、確かにそう言いたくなる気持ちもわからんでもないけどさぁ…」
エイラ「なんつーか、人類統合戦線~なんて言ってるけど、やっぱいざとなると足並み揃わないもんだよなぁ」
ウルスラ「ええ、そうですね…」
エイラ「あること…?」
ウルスラ「それについては…おっと、もうこんな時間ですね」
ウルスラ「それでは、この後についてはまた次回としましょう」
ウルスラ「次からは、統合戦闘航空団結成までの成り立ち、そして部隊のメリット・デメリットについて解説します」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第6.5回 ウィッチについて
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「例のごとく、補足をしていきます」
ウルスラ「みなさんは〝ウィッチ〝と聞いて、どんな姿を連想しますか?」
ウルスラ「恐らくは、足に飛行脚を身に付け、機銃や刀剣などの武器を装備して空に舞う…といったところでしょうか」
ウルスラ「その連想は勿論正解…なのですが」
ウルスラ「実は、アニメに登場していないだけで、ウィッチにはそれ以外にも種類が存在しています」
ウルスラ「まず最初に紹介するのは、空ではなく地上を戦場とする〝陸戦ウィッチ〝」
※画像はブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊隊長グリンダ・マイルズ少佐
ウルスラ「彼女らが足に身につけているのは、陸戦用の調整が施された〝陸戦ストライカー〝です」
ウルスラ「航空ウィッチのように空を自由に舞うことはできませんが、陸戦ウィッチは、この世界において欠かすことのできない大切な存在です」
ウルスラ「というのも、領土奪還作戦において、航空ウィッチが出来ることはあくまで〝航空支援〝だけだからです」
ウルスラ「残存勢力を掃討したり、敵地を完全に制圧したりするには、どうしても地上の部隊の存在が欠かせません」
ウルスラ「しかし地上には、瘴気を生み出すためにネウロイが立てた、〝ブラウシュテルマー〝が大量に打ち込まれているため」
ウルスラ「一般兵士は、瘴気の影響でまずそこに近づくことすらできません」
ウルスラ「そこで活躍するのが、魔法力で瘴気を跳ね除けることができる陸戦ウィッチ…というわけです」
ウルスラ「その理由は、航空ウィッチとして空に上がるためには、〝飛行適正〝がないとダメだからです」
ウルスラ「そのため航空ウィッチは、全ウィッチ中でも花形の役職として、その知名度と人気は断トツでナンバーワンとなっています」
ウルスラ「空を飛べるウィッチというのは、実は選ばれし一握りの人たちなんですね」
ウルスラ「というわけで、ウィッチには大きく分けて〝航空〝、そして〝陸戦〝の2種類が存在することをご理解いただけたでしょうか」
ウルスラ「ですが、実は航空ウィッチも、細かく分類すれば二つに分けることができます」
ウルスラ「一つは、みなさんご存じの機械化航空歩兵…」
ウルスラ「そしてもう一つが、急降下爆撃を任務とする、〝シュツーカウィッチ〝です」
ウルスラ「一つは、装備する武器」
ウルスラ「シュツーカウィッチは、機銃や刀剣の代わりに爆弾を装備して出撃します」
ウルスラ「この装備した爆弾を、急降下爆撃によって目標に投下し、殲滅するというわけですね」
ウルスラ「機銃ではまったく歯が立たない大型ネウロイや、都市の制圧などをする際は、このシュツーカウィッチの出番となります」
ウルスラ「そして二つ目は、装備しているストライカーです」
ウルスラ「シュツーカウィッチが装備するストライカーは、通常のウィッチよりも機動性等に欠けますが」
ウルスラ「その分、搭載重量が高く設定されており、普通の航空ウィッチでは装備することができないような重量の大型爆弾も持つことができます」
ウルスラ「参考までに申し上げると、通常のストライカーではせいぜい40~50kg程度の重量が限界なのに対し」
ウルスラ「シュツーカ用ストライカーは、120kgの爆弾でも搭載することが可能です」
ウルスラ「なんだかややこしくなってきたので、ここまでの話を以下の表にまとめてみました」
【ウィッチの種類】
≪陸戦ウィッチ≫
・陸戦用のストライカーを身につけ、地上を駆る。主に陸地の制圧任務などで活躍。
・戦車などにはできない、機動力を生かした攻撃・偵察が可能。
・全体で見ると、この陸戦ウィッチの数が最も多いと言われている。
≪航空ウィッチ≫
・航空ウィッチは主に2種類に分類される。一つは機動力を生かし、空を飛ぶネウロイと対峙したり、地上への航空支援をしたりする〝機械化航空歩兵〝
・もう一つは、地上への爆撃を目的とする〝シュツーカウィッチ〝
・シュツーカウィッチは、普通の航空歩兵よりも機動力に欠けるものの、積載量の面では大きく勝る。
・これらの航空ウィッチになるには、ウィッチとして魔法力を発現する他に、〝飛行適正〝が必要となる。
※陸戦・空戦、どちらもウィッチであるのに変わりはないが、飛行適正を持つウィッチは〝一部に限られる〝ため、航空歩兵は誰でもなれるわけではない。
ウルスラ「みなさんも既にご存じの通り、このストライクウィッチーズという作品には、様々な国籍・個性を持ったウィッチたちが数多く登場します」
ウルスラ「そんなウィッチたちですが、こうやって見てみると、様々な適正を持った人たちに分けられるんですね」
ウルスラ「1939年から始まったスオムスでの戦いにおいても、航空ウィッチの他に、今ご紹介した陸戦ウィッチ、シュツーカウィッチが活躍しました」
ウルスラ「アニメには登場してないだけで、陸戦にもシュツーカにも、勿論エースは存在します」
ウルスラ「1940年2月、いらん子中隊が活躍したスラッセン奪還作戦でも、シュツーカウィッチの〝あるエース〝が参加しました」
ウルスラ「そのシュツーカウィッチの名は、ハンナ・ウルリーケ・ルーデル大尉」
ウルスラ「この方は、シュツーカウィッチたちの中において…いえ、全てのウィッチの中でも、頭一つ飛びぬけた実力と個性を持っています」
ウルスラ「一体彼女の何が飛びぬけているのか?それについて、まずどこから説明すればいいか、頭を抱えずにはいられないのですが…」
ウルスラ「とりあえず、その主な活躍を以下にまとめてみました」
・大戦初期から地上攻撃一筋で戦闘に参加。連日地上型ネウロイを破壊し尽くし、わずか1カ月の短期間で一級鉄十字章授与。
・連日出撃するせいで、何度も撃墜される。しかし、他のウィッチが出撃する姿を見て悔しく思ったようで、医者の目を盗んではこっそり出撃。
・多大な戦果を挙げるも、そこでも撃墜され、また負傷。しかしこれに懲りず病院を抜け出してこっそり出撃。
・そんなことを繰り返していたため、〝誰が破壊したのか不明なネウロイの残骸〝が大量に残されていたという。
・Qちゃんと出撃・撃破の報告は行っていますか? Aルーデル「知らん」
・出撃した事実を隠ぺいするため、自身のネウロイ撃破スコアを他のウィッチに押し付けたこともある
・ちなみに撃墜された後、徒歩での帰還を果たしたこともある(基地に到着した途端、その後すぐに出撃)
・あまりにも勲章を授与されすぎた為、大戦も末期になると、困ったことにルーデルに与える勲章がなくなってしまう
・そんな前代未聞の事態に、カールスラント皇帝が〝ルーデルのために〝新しい勲章を作る
・そんな新勲章〝黄金宝剣付柏葉騎士鉄十字章〝は、円卓の騎士になぞらえ、国内でもっとも勇敢な12名に兵士にたいして贈られるものとされた。…が
・結局ルーデル以外にその勲章を受章できる者は、その後1人も出ることはなかった為、結局ルーデル専用の勲章となってしまった。
・皇帝からも直々に〝比類なき英雄〝と称されるルーデルであったが、相も変わらずひたすら前線に出ては、ネウロイを破壊する日々に没頭する毎日を送る
・英雄を失うことを恐れたカールスラント皇帝が、ルーデルを前線から呼び戻すように命令を出すも、これを無視。
・そんなことを繰り返すので、ついにはルーデルに飛行停止命令が出る。しかし、これも無視する。
ウルスラ「いかがでしょうか、ルーデル大尉がいかに異じょ…優れたウィッチかということが、これを見てお分かりいただけたでしょうか?」
ウルスラ「ちなみにこれは、〝一部を抜粋したものにすぎない〝ので、もっと詳しく知りたい方は、ご自分で調べてみるのも良いかもしれません」
ウルスラ「あ、ちなみにこれは余談となりますが…」
ウルスラ「いらん子中隊7人目の隊員として紹介したジュゼッピーナ・チュインニ准尉ですが」
ウルスラ「この方は、航空ウィッチ、そしてシュツーカウィッチ、この両方で活躍することができるという、稀有な才能と実力の持ち主でした」
ウルスラ「呑気にパスタなんか食べてますが、実は本当にすごい人なんですね」
ウルスラ「このように、スオムスいらん子中隊には、アニメ本編では描ききれないウィッチたちの魅力がたくさん詰まっています」
ウルスラ「そしてなんと、アニメでも登場したウィッチ型ネウロイも登場したりして…?」
ウルスラ「…といったところで、今回の補足は終了です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第7回 JFW、誕生
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回は統合戦闘航空団の成り立ちについて解説を行っていきます」
ウルスラ「ゲストのエイラ中尉…なのですが、実は、ただ今任務中により、後から遅れて来るとのことです」
ウルスラ「そんなわけで、エイラ中尉が来るまでに、まず1940年の大まかな動きを説明しておきたいと思います」
ウルスラ「1940年初頭、北欧スオムスではいらん子中隊が大活躍」
ウルスラ「オストマルク陥落から敗北続きの人類にとって、このスオムスの戦況は明るいニュースとなりました」
ウルスラ「しかし一方で、最前線欧州における戦況は悪化の一途を辿ります」
ウルスラ「そんな止むことを知らないネウロイの攻撃に、カールスラントの首都ベルリンが陥落するのも、もはや時間…」
ウルスラ「この事態に対し、カールスラント皇帝は帝都ベルリンの放棄を決意」
ウルスラ「1940年5月、ベルリンを犠牲に、民衆の撤退作戦を決定します」
ウルスラ「この時に行われた撤退作戦が、〝ビフレスト作戦〝です」
ウルスラ「ビフレスト作戦は、小ビフレスト・大ビフレスト作戦と2段階に分けられ」
ウルスラ「まず小でベルリンの周辺住民の避難活動を行い、そして大で、その後カールスラント全土から国民を疎開させました」
ウルスラ「この作戦の発動により、カールスラント本土は事実上ネウロイの支配下となります」
ウルスラ「欧州最大の軍事力を誇ったカールスラントの敗走が、世界中に与えた衝撃は相当なものでした」
ウルスラ「当時は、「カールスラントの敗北は人類全体の敗北となり得る」なんて声も一部で上がるほど、動揺が広がっていたようです」
ウルスラ「…あ、紹介し忘れていたのですが、ノイエ・カールスラントとは、南リベリオン大陸に位置する、カールスラントにとっての第二の土地です」
ウルスラ「下図の赤い丸で囲った場所が、ノイエ・カールスラントとなります」
ウルスラ「扶桑の南洋島と同じく、本土よりも国土が大きいのが特徴的ですね」
ウルスラ「ちなみに、私が籍を置く技術省も、ここノイエ・カールスラントにあるんですよ」
ウルスラ「カールスラントが陥落したことにより、その影響は欧州全体に波及します」
ウルスラ「まず影響を受けたのは、隣国であるガリアでした」
ウルスラ「ネウロイは、かつてカールスラントが守っていたライン川の防衛線がなくなるや、易々と国境を越えてガリア方面へ侵攻を開始」
ウルスラ「これにより、程なくしてガリアの首都パリが陥落。ガリア政府、並びに全国民も、本土からの撤退を余儀なくされます」
ウルスラ「5月のベルリン陥落から、わずか1ヶ月後の6月にはパリも陥落…」
ウルスラ「この状況からも、いかにカールスラントが欧州全体にとって防衛の要だったかが、よく分かりますね」
ウルスラ「カールスラント、ガリアの陥落により、欧州の国が5つもネウロイの支配下に置かれてしまいました」
ウルスラ「そして同年9月には、ネウロイはアフリカ方面へと進出。エジプトも陥落してしまいます」
ウルスラ「1939年の第2次大戦勃発より、この間わずか1年足らず…」
ウルスラ「たった1年の期間で、ネウロイは6つもの国を支配してしまったのです」
※これに加え、オラーシャもネウロイの侵攻でウラル山脈東側のシベリア地域と中東方面に国土が二分されている
ウルスラ「こうして見ると、ネウロイがどれだけ恐ろしい存在かというのが、改めて分かりますね」
コンコンッ
ガチャッ
エイラ「いやー、すまんすまん、遅れて申し訳ない」
ウルスラ「あ、エイラ中尉」
エイラ「ネウロイのやつ、こっちの都合とか関係なく来るんだから困るよな~」
ウルスラ「お疲れ様でした」
エイラ「おう、ありがとう」
ウルスラ「エイラ中尉もお見えになったので、そろそろ統合戦闘航空団の方にも触れていきましょう」
ウルスラ「この中隊の活躍が認められたことで、後に統合戦闘航空団が作られることになった…というところまでお話しました」
エイラ「あぁ、そーだな」
エイラ「っていうか、今さらな質問するんだけど…」
ウルスラ「はい、なんでしょう」
エイラ「えっと、最初に作られた統合戦闘航空…」
エイラ「ああもう、いちいち長いなぁ」
ウルスラ「でしたら、〝JFW〝と呼ぶと良いかもしれません」
エイラ「JFW?」
ウルスラ「はい、Joint Fighter Wing…つまり、統合戦闘航空団の略称です」
エイラ「ふ~ん、JFW…」
エイラ「最初に作られた統合…JFWって、501なんだっけ?」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「まず、JFW創設の経緯について語らせていただきますと」
ウルスラ「前回も少し触れましたが、そもそものきっかけは、各国のウィッチを集めた編成部隊…」
ウルスラ「スオムス義勇独立飛行中隊が、スオムスで多大な戦果を挙げ、世界中から注目を集めたことに端を発します」
ウルスラ「北欧スオムスでのウィッチたちの活躍は、世界各国、果ては連合軍統合総司令部のところまで届いた後」
ウルスラ「最前線である欧州に、正式な手続きを踏んだ上で、新たにJFWを作るべきだという声が強まりました」
ウルスラ「ええ、そうです」
ウルスラ「前回も少し触れましたが、話が纏まらない一番の理由は各国で〝足並みがそろわない〝ことでした」
ウルスラ「そもそも、スオムス義勇独立飛行中隊が結成に至ったのは、スオムスの救援要請に対して、各国が応えただけというものであって」
ウルスラ「現在でいうJFWのような部隊を作ろう、という意図は一切ありませんでした」
ウルスラ「その上、送られたウィッチたちは、原隊で問題を抱えた問題児たちばかり…」
ウルスラ「穿った見方をすれば、厄介払いでスオムスに左遷させたら、偶然大戦果を挙げてしまった…という話です」
エイラ「まあ、実際その通りだから仕方ないよな…」
ウルスラ「しかし、偶然の産物とはいえ、各国編成軍の有用性は証明されました」
ウルスラ「意見の対立から、話は一向に平行線上を彷徨っていました」
ウルスラ「…しかし、1940年5月に起こった〝あること〝をきっかけに、状況は一変します」
エイラ「ふむ、前回最後に言ってたやつか」
ウルスラ「申し訳ありません。実はそのことについては、エイラ中尉が来る前に既に解説をしてしまいました」
エイラ「え、そうなの?」
ウルスラ「では、改めて説明させていただきますが…」
ウルスラ「〝あること〝とは、欧州最大の勢力を誇った〝カールスラントの敗走〝です」
ウルスラ「正確に言えば、カールスラントの敗走から始まった、ネウロイによる欧州主要国家の支配…ですが」
ウルスラ「そうですね、というよりは…」
ウルスラ「この話には、ガリアの陥落が大きく関係しています」
ウルスラ「というのも、ライン川を越えてネウロイがガリアへ侵攻した際」
ウルスラ「防衛力に乏しいガリアは、あっという間に首都パリを占領されてしまいます」
ウルスラ「この事態に対し、ガリア政府は非常事態宣言を発令…これにより、大規模な撤退作戦がいくつも実施されます」
ウルスラ「その作戦の中の一つが、史上最も大規模な撤退作戦と言われた〝ダイナモ作戦〝です」
エイラ「あ、それって確か、ミーナ中佐も参加してたっていう…」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「ミーナ中佐は、このとき市民の避難を進めるため、ガリアのパド・カレー防衛線でネウロイの侵攻を遅らせる任務に就いていました」
ウルスラ「ええ、そうですね…」
※テレビアニメ第1期8話参照
エイラ「中佐…そのときはえーっと、5年前だから…」
ウルスラ「14歳ですね」
エイラ「そうか、14歳…」
ウルスラ「…………」
エイラ「…14歳でもう恋人いたとか…クッ…!なんて羨ましい…!」
ウルスラ「え、えっと…エイラ中尉…?」
エイラ「あ、ああすまん…なんでもないんダナ…」
ウルスラ「ダイナモ作戦発動の影響で、当時ブリタニアには、カールスラント、ガリア、オストマルク等から優秀なウィッチたちが集結していました」
ウルスラ「…エイラ中尉、JFW結成が成立しない一番の理由は何でしたか?」
エイラ「ん?えっと、足並みがそろわない…だよな」
エイラ「確か、部隊を置く場所に揉めたとかで」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「しかし、このダイナモ作戦の実施によって、期せずして各国のエースウィッチが一堂(ブリタニア)に会するという状況が生まれました」
ウルスラ「つまり、足並みがそろったんですよ」
エイラ「あ、まさか…」
ウルスラ「この時もやはり、話し合いの上で一悶着あったようですが…」
ウルスラ「それでも、対岸の国であるガリアの陥落は、ブリタニア首脳部に〝次の目標は自国なのでは〝という危機感を深く植え付けていました」
ウルスラ「この状況に対し、ブリタニア政府は各国のウィッチを自国に駐留させることを決定。JFWの創設が承認され、計画が実行に移ります」
ウルスラ「そしてついに、世界初の統合戦闘航空団…〝501JFW〝が結成されたのです」
エイラ「おぉ~…」
ウルスラ「ええ、そうですね」
エイラ「…にしても、1940年かぁ…」
エイラ「私が501に参加したのって42年からだからさ、その辺のことは全然知らないんだよな」
エイラ「当時の501って、誰がいたの?」
ウルスラ「そうですね、その辺についても触れていきましょうか」
ウルスラ「…しかし、そろそろ良い時間なので、今回はここまでです」
ウルスラ「次回は、謎に包まれた501創設メンバーについて解説していきます」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
エイラ「むにゃむにゃむにゃ…」
エイラ「…はっ!?」
ウルスラ「おはようございます、エイラ中尉」
エイラ「あれ…私、寝てたのか?」
ウルスラ「ええ、5分ほどですが」
エイラ「そ、そうか、収録中なのにすまんかった…」
ウルスラ「いえ、任務明けでお疲れなんですから、仕方ありませんよ」
エイラ「いや~…なんか変な夢見てたなぁ…」
ウルスラ「どんな夢ですか?」
エイラ「その頃私、スオムスの原隊にいたはずだから、501にいるわけないんだよなぁ…」
ウルスラ「…なるほど、確かに42年時の501に、スオムスのウィッチが配属していたという記録は残っていませんね」
エイラ「あぁ、いやぁ、それにしても変な夢だったなぁ…」
ウルスラ「…さて、1940年、ガリアで実施されたダイナモ作戦をきっかけに、ブリタニア主導で始まったJFW創設のお話」
ウルスラ「話が出てから、実際に部隊が運用されるに至るまでは、これよりもう少し時間がかかります」
ウルスラ「次回は、その流れについてを改めて解説していきましょう」
ウルスラ「ちなみに、次回のゲストはミーナ中佐をお迎えする予定です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第7.5回 ウィッチについて(固有魔法編)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「以前解説した〝いらん子中隊〝に関して、視聴者の方からこんな質問が届いているので、紹介したいと思います」
≪いらん子中隊の隊員たちは、固有魔法を持っていないのか?≫
ウルスラ「なるほど、確かに、そのことに関して触れていませんでしたね」
ウルスラ「ということで、今回はいらん子中隊の固有魔法について触れていきます」
ウルスラ「…と、その前に、そもそも〝固有魔法とは何か?〝というところから説明していきましょう」
ウルスラ「ウィッチは、皆その能力の大小に関わらず共通している点が二つあります」
ウルスラ「まず一つ目は、魔法力を纏っていること」
ウルスラ「この魔法力は、以下のような効果を発揮します」
・自己の治癒力を高め、常人の数倍のスピードで傷を完治させる
・極端に暑かったり、又は寒かったりするような過酷な環境であっても、魔法力がそれらを軽減し、その身を守る※①
・筋力や視力、聴覚などの身体能力が、常人の数倍は上昇する(個人によって程度の違い有り)※②
※① 普通の人間であれば、呼吸する事すら困難な高高度であっても活動できるのはこのため
※② 魔法力があればどのウィッチも基本的に10~20㎏程度の武装を扱うことができる(ただし、魔法力が減衰し始めた者は除く)
ウルスラ「この効果は個人差がある為、全員が全員同じであるとは限りません」
ウルスラ「本人の気質や才能、そしてなにより潜在的な魔法力の高さなどによって、その能力は変動します」
ウルスラ「しかし、これらはあくまで〝ストライカーユニットの補助ありき〝の能力となります」
ウルスラ「ストライカーの補助が無い生身のウィッチは、魔法力を発動しても〝普通の女子より少し腕力がある〝程度の力しか発揮できません」
ウルスラ「元来ウィッチは、一部の例外を除いて、魔法力によって瘴気を跳ね除けるくらいの力しかないのです」
ウルスラ「それらの力を飛躍的に底上げし、戦う力を与えたのがストライカーユニットなのです」
ウルスラ「ストライカーの発明がなければ、今のように空を駆け、ネウロイと戦うウィッチは存在しなかったかもしれないですね」
ウルスラ「シールドは、その名の通り盾となってウィッチを攻撃から守る役割を持っています」
ウルスラ「自身の前方に発生させる姿がよく見かけられるこのシールドですが…」
ウルスラ「実は、前方以外にも発生させることができます」
ウルスラ「訓練次第ではあるのですが、その気になればどの方向でもシールドを発生させることが可能です」
※画像はガリア空軍所属アメリー・プランシャール軍曹が、演習中に足からシールド発生させている場面
ウルスラ「まぁ中には、今まで攻撃を全部避けてきたせいで、シールドを張るのが苦手…なんて特殊な方もいるようですが…」
ウルスラ「固有魔法は、先程挙げた魔法力・シールドとは異なる、ウィッチが持つ特殊能力です」
ウルスラ「ですが、ウィッチになったからといって、誰でも固有魔法を持っているとは限りません」
ウルスラ「アニメではたくさん登場した固有魔法持ちのウィッチたちですが、実はその存在はとても貴重です」
ウルスラ「固有魔法を持っているウィッチは、全体として魔法の潜在能力が高い傾向にあるため…」
ウルスラ「固有魔法の有無は、本人の才能によるところが大きいのかもしれません」
ウルスラ「ですので、全体としてはむしろ〝ノーセンス〝のウィッチの方が多いくらいです」
ウルスラ「さらに、坂本少佐ほどの魔眼の持ち主ともなると…世界でも指を数えるほどの数しか存在しないので、非常に希少な固有魔法と言えます」
ウルスラ「501JFWは、精鋭中の精鋭が一堂に会する特殊部隊なので、みんな強力な固有魔法の保有者ばかりなんですね」
ウルスラ「宮藤さんの〝治癒魔法〝坂本少佐の〝魔眼〝姉さまの〝疾風〝…同じウィッチでも、その効果が違ってくるのは皆さんもよくご存じですね」
ウルスラ「様々な種類が存在する固有魔法ですが、便宜上三つの系統に分けることができます」
ウルスラ「501の隊員たちも、その三つの系統を元に分けてみましたので、以下の表をご覧ください」
≪固有魔法の系統≫
【感知系】
・見えない物を見通したり、遠くの物を感じたりできる能力
〈該当ウィッチ 〉
・ミーナ『三次元空間把握能力』
・坂本『魔眼』
・サーニャ『全方位広域探査』
・エイラ『未来予知』
【攻撃系】
・周囲の環境に働きかけ、自然現象を局所的に発生させることができる能力
〈該当ウィッチ〉
・エーリカ『疾風』
・ペリーヌ『雷撃』
・ルッキーニ『光熱攻撃・多重シールド』
【念動系】
・肉体を強化したり、弾道を安定させたりなど、念動力を用いて自身の周囲に働きかける能力
〈該当ウィッチ〉
・シャーリー『超加速』
・バルクホルン『怪力』
・リーネ『射撃弾道安定』
・宮藤『治癒能力』
ウルスラ「感知系は、効果やヴィジュアル的にも何となく分かりやすいですね」
ウルスラ「攻撃系に関しても、風や電気、熱などを使った攻撃が多いので、判断しやすいかもしれません」
ウルスラ「さて、最後に念動系ですが、これはなんというか…三系統の中でも一番特殊な能力かもしれません」
ウルスラ「というのも、感覚強化・大気操作というところで一貫している感知系・攻撃系に比べ」
ウルスラ「弾道の安定、肉体強化、超加速・治癒魔法と…念動系の能力は、あまり一貫した特徴が見られないからです」
ウルスラ「ですが、物を動かしたり、物質を固定したりなど、見えない力で物体に働きかける特徴がよく見られるので」
ウルスラ「超能力で例えるなら、サイコキネシスに近いのかもしれませんね」
ウルスラ「他の系統もその例え方で例えるとすれば、感知系はテレキネシス、攻撃系は…パイロキネシスといったところでしょうか?」
ウルスラ「いらん子中隊の隊員たちは、固有魔法を持っていないのか?という話でしたね」
ウルスラ「確かに、〝スオムスいらん子中隊〝の本編中に隊員たちが固有魔法を使用した描写は存在しません」
ウルスラ「しかし、使用しなかったからといって、固有魔法を持っていない…とも限らないのです」
ウルスラ「そんないらん子中隊の面々ですが、実は、こんな固有魔法を持っていた…?」
ウルスラ「以下の表にまとめてみましたので、ご覧ください」
≪衝撃、これがいらん子中隊隊員の固有魔法だ!≫
隊員No.1 穴拭智子中尉
固有魔法…≪不明≫
隊員No.2 エルマ・レイヴォネン中尉
固有魔法…≪不明≫
隊員No.3 エリザベス・F・ビューリング少尉
固有魔法…≪不明≫
隊員No.4 キャサリン・オヘア少尉
固有魔法…≪不明≫
隊員No.5 ジュゼッピーナ・チュインニ准尉
固有魔法…≪不明≫
隊員No.6 ウルスラ・ハルトマン曹長
固有魔法…≪不明≫
隊員No.7 迫水ハルカ軍曹
固有魔法…≪不明≫
―――――
その他 ハンナ・U・ルーデル大尉
固有魔法…≪不明≫
ウルスラ「申し訳ありません、期待を煽るだけ煽りましたが、これが事実なのです」
ウルスラ「固有魔法を持たないウィッチは明確に〝なし〝と表記されるのが、ストライクウィッチーズにおけるある種の〝お約束〝となっています」
ウルスラ「では、〝不明〝はなんなのかといえば、これは要するに〝現時点では明かすことができない〝…という大人の事情です」
ウルスラ「ですが、現時点では明かされていないだけで、後々固有魔法が〝なかった〝と判明する可能性も大いに存在します」
ウルスラ「最近動き始めたブレイブウィッチーズですが、隊員たちの固有魔法が今になってようやく明かされたように…」
ウルスラ「いらん子中隊のウィッチたちも、そのうち固有魔法が明らかになる日が来るかもしれませんね」
ウルスラ「以下の画像はスオムス空軍飛行第24戦隊の隊長を務めるエイニ・アンティア・ルーッカネン少佐。彼女は固有魔法を持たないウィッチです」
ウルスラ「彼女は、42年時に当時エイラさんら優秀なスオムスウィッチを率いて、前線で戦い続けた歴戦の勇士で」
ウルスラ「総撃墜数は56機に上り、スオムス空軍歴代3位の記録を持つ本物のエースです」
ウルスラ「このように、固有魔法を持たないウィッチでも、エースは存在します」
ウルスラ「大戦果を挙げているウィッチが、実は〝ノーセンス〝だった…なんて判明したら、それはそれですごくカッコいいかもしれないですね」
ウルスラ「最後におまけとして、アニメにも登場したマルセイユ大尉の固有魔法について触れておきましょう」
―――――
ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ
固有魔法…偏差射撃
効果…弾丸を発射した際、未来位置を予測して確実にそこへ弾を送り込む能力。
あまりの命中精度の高さから、周囲からは目標(ネウロイ)が勝手に射線に異動しているように映るという
―――――
ウルスラ「彼女もまた、ルーデル大尉に匹敵するとんでもないウィッチの一人なのですが…その紹介はまた今度ということで」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第8回 JFW、誕生(その②)
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回は前回に引き続き、統合戦闘航空団の成り立ちについて解説を行っていきます」
ウルスラ「さて、本日のゲストは、カールスラントのグレートエースにして、501JFWで隊長を務められるこのお方…」
ウルスラ「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」
ウルスラ「ミーナ中佐、よろしくお願い致します」
ミーナ「ええ、よろしく」
ウルスラ「大戦初期から戦場で活躍してきた、ベテランウィッチでもあります」
ウルスラ「今日は、部隊が設立して間もない頃のお話を、ミーナ中佐に語っていただこうと思います」
ウルスラ「それではミーナ中佐…」
ミーナ「…………」ジー
ウルスラ「…ちゅ、中佐…?」
ミーナ「…え、ああ…ごめんなさい」
ミーナ「やっぱりウルスラさんって、見れば見るほどフラウにそっくりだな~と思って、つい…」
ウルスラ「そ、そうですか…」
ミーナ「え?ええ、そうね」
ウルスラ「フラウ…とは、〝成人女性〝を指す言葉ですよね」
ウルスラ「あの、なぜフラウなのでしょうか?」
ミーナ「そうねぇ…あれは確か、まだエーリカがJG52(原隊)にいた頃かしら…」
ミーナ「まだまだひよっ子で、飛んで帰ってくるのも危なっかしかった新人のエーリカに」
ミーナ「当時の先輩たちが、「早く成長しなさい」って意味で、からかい半分で付けた愛称らしいわね」
ウルスラ「なるほど…だからフラウなのですね」
ミーナ「ええ、本人も満更じゃないって、結構気に入ってるみたいよ」
ウルスラ「…そういえば、ミーナ中佐にも愛称がありますよね」
ウルスラ「確か、女公爵(フュルスティン)…」
ミーナ「あー…そういえばそんな愛称あったわねぇ…」
ウルスラ「おや、そうでしたか」
ミーナ「ええ、だから普通にミーナって呼んでくれると嬉しいわ」
ウルスラ「了解しました」
ウルスラ「さて、話も逸れましたがそろそろ本題に移りましょう」
ウルスラ「前回は、1940年までに起きた大まかな出来事について説明しましたね」
ウルスラ「それではまず、41年に起きた主な出来事を見ていきましょう」
≪1941年の主な出来事≫
6月、バルバロッサ作戦開始、北方よりオラーシャ北部へ反攻
6月、タイフーン作戦開始、黒海方面および東方よりオラーシャ中央部へ反攻
バルバロッサ・タイフーン作戦実施の成果により、ペテルブルグとーがネウロイから解放される
夏、連合軍における統合戦闘航空団の組織化が始まる
冬、バルバロッサ作戦、タイフーン作戦中止
ウルスラ「バルバロッサ、及びタイフーン作戦は、それぞれカールスラント、オラーシャが主導で行われた一大反攻作戦です」
ウルスラ「この作戦の実施によって、オラーシャの重要拠点であるツァリーツィン、そしてペテルブルグが解放されました」
ウルスラ「この作戦が実施された後、バルバロッサ作戦で投入された航空部隊が後に〝502JFW〝の母体となり…」
ウルスラ「そして、タイフーン作戦で投入された航空部隊は、後に〝503JFW〝として再編成されることになります」
ウルスラ「これらの作戦の概要についても語りたいのですが、今回は501の解説を行いたいので割愛させて頂きます」
ウルスラ「501JFWの運用が始まるのは、このおよそ1年後となります」
ウルスラ「つまり、40年のダイナモ作戦発令の頃より、実に2年の月日をかけることになるわけですね」
ミーナ「そうねぇ…今になってこうして振り返ってみると、結構時間がかかったわね」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ミーナ「でも、39年から40年の終わりにかけてまでに起きたことといえば…」
ミーナ「そのほとんどが、ネウロイの勢力拡大とそれによって生じる撤退戦ばかりだったし」
ミーナ「寧ろ、よくその翌年に反攻作戦を実施したり、JFWの編成ができたりと感心するべきなのかしら」
ウルスラ「各国の連携があればこそ、どちらの計画も実施できたようです」
ウルスラ「こういったときにこそ、人類統合戦線が最大限機能するわけですね」
ミーナ「そうね」
ミーナ「ん?えーと、41年だから…」
ミーナ「エーリカ、トゥルーデと一緒に、ブリタニア領のホークエッジ基地で任務に就いていたわね」
ウルスラ「中佐がお二人と知り合ったのはこの頃ですか?」
ミーナ「いえ、二人と初めて会ったのは…カールスラントの撤退戦の頃ね」
ミーナ「もっとも、あの二人は原隊の頃からの知り合いだから、私と会うよりも前からの付き合いみたいだけど」
ウルスラ「なるほど、ではお三方は長い付き合いなのですね」
ミーナ「ええ、もう5年くらいの付き合いになるんじゃないかしら」
ミーナ「…でも、出会って間もない頃…撤退戦のときは、3人とも大変で落ち着く暇もなかったから…」
ミーナ「お互いの事を深く知れたのは、この基地に来てからかしらね」
ウルスラ「そうだったのですか」
ウルスラ「さて、話は一気に進みますが、時間は飛んで凡そ1年後の1942年夏ごろ…」
ウルスラ「ブリタニア、ドーバー海峡沿いの古城を拠点に501JFWが結成され、部隊の運用が開始されます」
ミーナ「あら、懐かしいわねぇ」
ウルスラ「中佐にとっても、アニメ第1期をご覧になった皆さんにとってもお馴染みの基地ですね」
ミーナ「ん?皆さん…?」
ウルスラ「ああ、お気になさらないでください」
ミーナ「そ、そう…?」
ウルスラ「…それでは、気になる501創設メンバーたちについて発表しましょう」
ウルスラ「42年当時の501には、こんな方たちが在籍していました」
≪501JFW 隊員名簿(1942年時)≫
隊長
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ 出身:カールスラント
戦闘隊長
坂本美緒 出身:扶桑皇国
その他隊員
ゲルトルート・バルクホルン 出身:カールスラント
エーリカ・ハルトマン 出身:カールスラント
ペリーヌ・クロステルマン 出身:ガリア共和国
ラウラ・トート 出身:オストマルク
他:カールスラント人1名 扶桑人1名
ミーナ「ええ、そうね」
ウルスラ「5人はどういった経緯で部隊に参加することになったのですか?」
ミーナ「部隊設立の1年くらい前に、私と美緒の2人を中心にJFWを編成していくって話があったんだけど」
ミーナ「話だけは出すのに、肝心の隊員集めに関して上層部の動きが鈍くてね」
ミーナ「仕方がないから、私と美緒、各々で隊員の選定をしていくことになったの」
ミーナ「その途中で美緒はペリーヌさんを、私は撤退戦で知り合ったエーリカとトゥルーデ、そしてラウラさんを勧誘したわ」
ウルスラ「ラウラ・トート少尉…オストマルクのエースウィッチですね」
ミーナ「そうねぇ、いつも物静かで冷静沈着…あまり感情を表に出さない娘だったわね」
ミーナ「根が優しくてすごくいい娘なんだけれど、ちょっと人付き合いが苦手そうなところはあったかもしれないわ」
ウルスラ「なるほど、寡黙な方だったのですね」
ミーナ「…でも、それには理由があってね」
ウルスラ「理由?」
ミーナ「彼女、オストマルクが陥落した際の撤退戦に参加していたんだけど…」
ミーナ「そのとき、たくさんの仲間を亡くしたみたいで…」
ウルスラ「…………」
ミーナ「それ以来、少し塞ぎ込んでいるところがあったみたいなの」
ミーナ「元々実力も伴っていたこともあって、501に入ってからもエースの名にふさわしい戦果を沢山挙げていたけど…」
ミーナ「戦果を挙げる度に、どこか空しそうにしていた彼女の表情を今でも覚えているわ…」
ウルスラ「そうだったのですか…」
ミーナ「…はぁ…」
ウルスラ「み、ミーナ中佐?」
ミーナ「あ、ああ…ごめんなさいね」
ミーナ「その…なんだか当時の記憶が蘇ってきちゃって…」
ウルスラ「ええと…その様子ですと、苦労されたんですか?」
ミーナ「…そ、そうね…」
ミーナ「同じ国の隊員同士は、上手く横のつながりができていたんだけど…」
ミーナ「部隊全体となると、それぞれがてんでバラバラで、正直に言って上手く連携がとれてなかったわね」
ミーナ「それに加えて、度々独断先行を繰り返すラウラさんに他の隊員から不満が漏れたり…」
ミーナ「後は、美緒が…」
ウルスラ「坂本少佐が?」
ミーナ「部隊が出来て早々、いなくなっちゃって…」
ウルスラ「…い、いなくなった…?」
ミーナ「…ええ、3か月ほど」
ウルスラ「さ、3か月…!?」
ミーナ「や、やっぱり驚くわよね…」
ウルスラ「…あ、あの、なぜ坂本少佐は3か月も?」
ミーナ「えーっと、それは~…」
ウルスラ「そ、それは…?」
ウルスラ「ん、おや?」
ウルスラ「あ…もうこんな時間ですね」
ウルスラ「中佐のお話は気になりますが、今日はここまでとしておきましょう」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」 第8.5回 カモミールの想い出
ウルスラ?「…こんにちは~、ノイエ・カールスラント…あれ、なんだっけ?」
ウルスラ?「まあいいや、ウルスラ・ハルトマンでーす、はいよろしくー」
坂本「おいおい、なんだその適当な自己紹介は」
坂本「代役を任されているのだから、もう少しシャキッとせんか」
エーリカ「え~…なんだっていいでしょ~?」
エーリカ「だいたい、なんで私がこんなこと…」
坂本「ふむ、ウルスラ中尉からの伝言によると…」
坂本「急きょ実験任務が入ってしまったので、代役を頼む…だそうだ」
エーリカ「…あぁそー…」
坂本「それほどまでに、姉のことを信頼しているということだろう。はっはっは」
エーリカ「いや…単にめんどくさいこと押し付けやすいだけだって…」
坂本「…さて、始まってしまったのだから、そろそろ本題に移ろうじゃないか」
坂本「今日は何について話す予定なんだ?」
エーリカ「…はぁ、めんどくさっ…」
エーリカ「えーっとぉ、なになに…ペリーヌと少佐の出会いの馴れ初めについて…」
エーリカ「あぁ、私これ前に聞いたことあるから説明しなくてもいいよね」
エーリカ「ということで、今回の補足しゅーりょ~」
エーリカ「それではみなさん、ごきげんよう」
「ちょっと!勝手に終わらせないでくださる!?」
坂本「あ、ペリーヌ」
ペリーヌ「ちょっとハルトマン中尉!わたくし別に暇人じゃなくてよ!?」
ペリーヌ「ゲストとして呼ばれたから仕方なく来たというのに、紹介もせずに終わらせるってどういうことですの!?」
エーリカ「えー、早く終わった方がみんな嬉しいでしょ~?」
ペリーヌ「あ、貴女って人はどうしてそう~…!」
坂本「せっかく来てくれたのだから、話を聞かせてくれないか?」
ペリーヌ「さ、坂本少佐…」
ペリーヌ「…ま、まぁ、少佐がそう仰るなら…」
エーリカ「にっしっし、相変わらず少佐LOVEだなぁペリーヌは」
ペリーヌ「な、ななななにを言って…!?」
坂本「あー…話が一向に進まないようなので、私が進行していくぞー」
坂本「さて、今回のテーマは、ペリーヌと私の出会いについてだったな」
坂本「ペリーヌは、私と初めて会った時のことを覚えているか?」
ペリーヌ「そ、それはもちろん!昨日のことのように覚えていますわ!」
ペリーヌ「当時のわたくしは、ブリタニアのデッドリング基地で哨戒任務に就いていたのですけれど」
ペリーヌ「そこにある日、坂本少佐が視察でいらっしゃって…」
エーリカ「ああ確か、模擬戦挑んでボコボコにされたんだっけ」
ペリーヌ「な~!?そ、そんなこと…!」
ペリーヌ「…い、いえ、言い方はともかく、確かにそれは事実ですわね…」
坂本「はっはっは!まあ、模擬戦の話を持ち出したのは私の方からだがな」
坂本「当時私は、統合戦闘航空団の隊員をスカウトするために、各地を視察して回っていたんだ」
坂本「そんなとき、〝ガリアで一番強いウィッチが、ブリタニアのアルザス飛行中隊にいる〝…という話を聞きつけてな」
坂本「これは是非会ってみたいと思って、視察に向かったんだ」
ペリーヌ「そ、そんな一番だなんて…」
坂本「ん?なんだ」
エーリカ「まさか、視察に向かう先々で、気になったウィッチを見つける度に模擬戦しかけてた…とか、そんなことないよね?」
坂本「ん~……」
坂本「…はっはっは!さぁて、どうだったかな」
エーリカ(あぁ…やってたっぽい…)
坂本「まあ話はさておき、基地についた翌日、視察も一通り終えたところで、中隊の隊員たちに模擬戦の申し込みをしたわけなんだが…」
坂本「私の申し込みに対して、隊員の誰もが目を伏せる中、ただ一人だけ手を挙げたのが…」
エーリカ「ペリーヌだったと」
坂本「ああ、いやぁ…あの時のペリーヌの闘志に満ち溢れた鋭い眼差し…あれは心を打つ何かがあったなぁ」
ペリーヌ「そ、そんなことないですわ…!」
ペリーヌ「ただ…当時はガリアが陥落したばかりで、一刻も早く最前線で戦って祖国を奪還したいと思っていたのに…」
ペリーヌ「実際にやっていることといえば、対岸のブリタニアで、来る日も来る日も哨戒任務をするだけ…」
ペリーヌ「そんな毎日に、少しイライラはしていましたわ…」
ペリーヌ「そんな焦りを感じていたときに、坂本少佐が視察にいらっしゃって…」
エーリカ「あーわかった!日頃の鬱憤をぶつけてやれ~!って思ったとか?」
ペリーヌ「ち、違います!」
坂本「ん?なんだ、私の方を見て?」
エーリカ「なんだよペリーヌ~、少佐の前だからって遠慮するなよー」
エーリカ「実は初めて会った時から一目ぼれでした~、とか言っても、今更誰も驚かないから大丈夫だって」
ペリーヌ「あ、あのねぇ!貴女って人は…!」
坂本「…ふむ、それは私も気になるなぁ」
ペリーヌ「え…」
坂本「ペリーヌが初対面で私にどんな印象を持っていたのか…」
坂本「よければ、教えてもらっても構わないか?」
ペリーヌ「そ、それは…その~…」
ペリーヌ「…………」はぁ…
ペリーヌ「し、失礼を承知で本当のことを話すと…」
ペリーヌ「…最初は、その…あまり良くは思っていませんでした…」
エーリカ「…えっ、そうなの?」
エーリカ(てっきり、最初から大好きだと思ってたけど…)
ペリーヌ「というのも、別に少佐が私に対して何をしたとか、気に障ることを言われたとか、そうことではなくて」
ペリーヌ「…祖国も家族も、何もかも失ったばかりの当時のわたくしの目には」
ペリーヌ「今までネウロイの危機に脅かされることもなく、平穏な日々を送りつづけている国(扶桑)の人が、無性に妬ましく思えたんですの」
ペリーヌ「後になって、扶桑海事変のこと、坂本少佐の経歴のことを知って、そんな考えは大きな間違いだったことが分かったのですけど」
坂本「…………」
ペリーヌ「わたくしが少佐に挑んだのは、そんな子供じみた考えからですわ」
ペリーヌ「でも、実際に模擬戦が始まってみたら、少佐の強さは尋常ではなくて…」
ペリーヌ「結局、15回も挑んで全敗。これでも一応中隊のトップエースでしたから、結構凹みましたわ」
エーリカ「うわぁ、よくそんなに挑む気になるなぁ…」
坂本「あの時のペリーヌは中隊の誰よりも…いや、今までスカウトしてきたどのウィッチよりも、諦めない心、そして果敢精神に満ち溢れていた」
坂本「こいつならきっと、部隊を支えるエースになってくれると、私は直感したよ」
ペリーヌ「しょ、少佐…」
エーリカ「へ~…色々あったんだねぇ」
ペリーヌ「は、ハルトマン中尉…?そろそろいい加減にしてくださらないと、雷撃放ちますわよ…?」
エーリカ「お~怖っ…えーっと、あれ…」ペラッ
エーリカ「なになに、資料によると…〝その真相は好評発売中の秘め話しーでぃ其之弐で明かされるぞ〝…」
エーリカ「OVA3段、アルンヘムの橋にも登場したアメリー・プランシャール軍曹との交流、そして二人の友情を育むきっかけとなったカモミールの想い出など…」
エーリカ「作品の世界を広げるきっかけとなること間違いなし、詳しくは…って」
エーリカ「なんだこれ…台本ここで終わってるし…」
エーリカ「うわぁ!?う、ウルスラ…!いつからそこに!?」
ウルスラ「実験が終わったので戻ってきました」
ウルスラ「坂本少佐、ペリーヌ中尉、そして姉さま、本日はお忙しいところ私の代わりを務めて頂きありがとうございました」
坂本「ああ、気にするな。ペリーヌの話も聞けて楽しかったよ」
ペリーヌ「わ、わたくしも少佐のお話が聞けて…」
ペリーヌ「と、というか…えっと、わたくしの当番はこれで終わりなのかしら…?」
ウルスラ「その他小ネタ、世界観に関する情報などが満載となっています」
ウルスラ「CDによっては現在入手が難しくなっていますが、手に入れて聞いてみる価値有り…かもしれませんよ」
ウルスラ「そんな感じで、今回の補足は終了となります」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
エーリカ「……なんだこれ」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」 第9回 JFW、誕生(その②)
~前回のあらすじ~
坂本少佐がいなくなった
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回も前回に引き続いて、設立当初の501部隊の様子について語っていきます」
ウルスラ「ゲストは501JFW隊長のミーナ中佐です。よろしくお願いします」
ミーナ「ええ、よろしく」
ウルスラ「…あの、ミーナ中佐」
ミーナ「なにかしら?」
ウルスラ「前回の続きなのですが…」
ウルスラ「部隊が出来て早々、坂本少佐が消息不明になった…とか」
ミーナ「…………」
ミーナ「うーん…そうねぇ…」
ミーナ「まあ…今となってはもう昔のことだから、話しちゃおうかしらね」
ミーナ「部隊が出来て間もない頃の様子は、前回説明したわよね?」
ウルスラ「確か、隊員間で上手く団結出来ていなかったと伺いました」
ミーナ「ええ、スオムスの前例があるとはいえ、多国籍のウィッチによる混成部隊の結成は、当時世界で初めてだったわ」
ミーナ「同じウィッチ同士とはいえ、国も違えば、文化も違う…おまけに、各々置かれた立場も異なってる」
ミーナ「そんな者同士が団結するには、やっぱりどうしても時間がかかったの」
ミーナ「部隊がいち早く団結できるよう、当時の私と美緒は、色々な方法を模索したわ」
ミーナ「美緒は隊員同士の交流の場を設けようと、基地にお風呂を設営したりして…」
ミーナ「私は私で、意見交流会等を企画して、話し合いの場を作ろうとしていたわね」
ミーナ「しかも…統合総司令部を通さずに、私個人に対して…」
ウルスラ「こ、個人に…?」
ウルスラ「えっと…差出人は誰だったのですか?」
ミーナ「…ブリタニア空軍大将、トレヴァー・マロニー」
ウルスラ「トレヴァー・マロニー…確か、元ブリタニアウィッチ隊の総監で、後にウォーロック事件の中心人物として起訴された人ですよね」
ウルスラ「噂によると、マロニー大将は反ウィッチ派の急先鋒だったと聞きますが…」
ミーナ「ええもう…当時はさんざん嫌がらせを受けたわ…」
ミーナ「このマルタ島派遣についても、その一環と言えるわね」
ウルスラ「…と、言いますと?」
ミーナ「このマルタ派遣任務に応じない場合は、2名のウィッチをブリタニア本国へ送還させる…って脅しがきたのよ」
ウルスラ「え…?」
ウルスラ「…えっと、当時ブリタニアの空軍総監を務めていたのは、ダウディング空軍大将ですよね?」
ウルスラ「その空軍総監を差し置いて、そんなことが本当に可能だったのでしょうか…?」
ミーナ「そうねぇ、それについては今となっては確かめようもないけど…」
ミーナ「そもそもの話として、当時はどこからも統合戦闘航空団に対する風当たりが強かったのは事実だわ」
ミーナ「それこそ、部隊の承認をしたブリタニアからさえも…」
ミーナ「派遣に際して、2つの条件を提示されてね」
ウルスラ「条件?」
ミーナ「1つは、派遣するウィッチは美緒とすること」
ウルスラ「えっと…なぜ坂本少佐が…?」
ミーナ「まあ一応、ほとんどの隊員が遠征派遣に慣れていない人ばかりの中で…」
ミーナ「リバウでの実績もある美緒なら適任だっていう…それらしい理由は添えてあったけど」
ミーナ「実際のところは、単に部隊をかき回したかっただけみたいね」
ミーナ「…というのも、それは2つ目の条件が関係しているんだけど」
ウルスラ「どんな条件だったのですか?」
ミーナ「…美緒の派遣を、〝他の隊員に対して周知させないこと〝」
ウルスラ「え…」
ミーナ「臨時で戦闘隊長を任されたトゥルーデは、当時無断でいなくなった美緒に対して相当不満を漏らしていたわね…」
ウルスラ「そ、それは…いくらなんでも酷いですね」
ミーナ「ええ…そうね」
ミーナ「そして3か月後、美緒が部隊に戻ってきた頃には、隊の雰囲気は最悪だったわ…」
ミーナ「トゥルーデに至っては、しばらく美緒と口を聞かなかった程だし」
ウルスラ「い、今のお二人の姿からは考えられないですね…」
ミーナ「そうねぇ…」
※イメージ映像
ウルスラ「なるほど…」
ウルスラ「ええと、資料によると…翌年の12月ごろ、最初のメンバーであるラウラ少尉、そしてカールスラント・扶桑の隊員の3名が転属となっていますね」
ミーナ「ええ、他の地域で新しい部隊の設立があって、3人とも引き抜かれてしまったの」
ウルスラ「代わりの増員はされたのですか?」
ミーナ「え、えーっと…」
ミーナ「それが、なかったのよ…」
ウルスラ「えっ…」
ミーナ「総司令部に増員の依頼を出しても、〝どこの戦線も手一杯〝の一点張りで…」
ミーナ「結局、ダウディング空軍大将が、結構無茶をして増員の確保をしてくれたんだけど」
ミーナ「そのときの強引なやり方が原因で、ブリタニア空軍総監を退任することになってね」
ミーナ「…トレヴァー・マロニー空軍大将よ」
ウルスラ「なるほど…」
ウルスラ「…あの、ちなみにその時もなにかひと悶着あった、とか…?」
ミーナ「ええ…もちろんあったわよ…」
ミーナ「後任のマロニー大将が総監に就任した途端、〝自国のウィッチは自国の防衛に当たらせる〝…なんて言って」
ミーナ「設立当初から在籍していた、ブリタニアのウィッチ2人をあっという間に転属させちゃったのよ」
ウルスラ「え、えぇ…」
ウルスラ「…あの、ミーナ中佐」
ミーナ「ん?」
ウルスラ「相当、苦労されてきたのですね…」
ミーナ「そ、そうねぇ…」
ウルスラ「え?」
ミーナ「上層部とのゴタゴタはあっても、隊員の子たちは、みんないい子ばかりだったから」
ミーナ「あの子たちの為なら、多少の理不尽なんて気にならなかったわね」
ウルスラ「…それはよかったです」
ミーナ「それにね、そういう上からの嫌がらせが多いと、隊員同士も自然と結束してくるのよ」
ミーナ「まぁ、嫌がらせがあったからこそ結束が深まるっていうのも、ちょっと皮肉なんだけどね」
ウルスラ「いえ…それは何となく分かる話です」
ミーナ「あとは…シャーリーさんと、ルッキーニさん」
ミーナ「この二人が入ってきてくれたのも、部隊にとって良い風通しになったかもしれないわ」
ウルスラ「お二人とも明るい人柄ですからね」
ミーナ「ダウディング空軍大将が退任する直前だから…1943年の末頃ね」
ミーナ「ちなみに、ほぼ同時期にサーニャさん、そしてエイラさんも部隊に着任したわ」
ウルスラ「なるほど…リネット曹長が加入されたのもこの頃ですか?」
ミーナ「いえ、リーネさんが入ってきたのは、もう少し後で…」
ミーナ「だいたい、1944年の中ごろだったかしら」
ウルスラ「ふむ…この頃にもなると、ほとんど今の501に近い形になっていますね」
ミーナ「ええ、そうね」
ウルスラ「部隊が運用され始めた42年からこの時までに…ちょうど2年ほどの時間が経過しましたね」
ミーナ「ふぅん…改めて振り返ってみると、そんなに経ってたのねぇ…」
ウルスラ「そして更に時は進み、1944年7月、最後の1人が加わり、現在の501JFWが完成しました」
ミーナ「ああ、宮藤さんね」
ウルスラ「…さて、これでひとまず、501メンバー入隊の歴史を振り返ることができましたね」
ウルスラ「ここまで一気に解説してしまったので、分かりやすいように時系列を以下の表にまとめてみました」
1940年
〝最も長い撤退戦〝 ミーナ、撤退戦で知り合ったラウラ・トートを501に勧誘
1941年
・坂本、ブリタニアでペリーヌを勧誘
・同年夏ごろ、連合軍がJFWの組織化をすすめる
1942年
・8月ごろ、501JFW結成
当時の隊員
坂本・ミーナ・バルクホルン・ハルトマン・ペリーヌ・ラウラ
その他カールスラントウィッチ1名・扶桑ウィッチ1名+ブリタニアからウィッチ2名の計10名
・このころ、ほぼ同時期にマルタ島奪還作戦に坂本が参加。坂本が3カ月近く部隊を留守にする
1943年
・末頃、ラウラ・扶桑ウィッチ・カールスラントウィッチの3名転属。隊員が7名になる
・ダウディングの尽力により、ウィッチの増員(サーニャ・エイラ・シャーリー・ルッキーニ)に成功
・その後徐々に体制を整えるも、ダウディング失脚と同時にブリタニアウィッチ2名が転属。9名体制に
1944年
・中旬ごろ、リネット・ビショップ加入。10名体制に
・7月ごろ、宮藤芳佳加入。11名体制に
・9月、ガリア全域でネウロイ消滅。501JFW解散
ウルスラ「世界で最初の統合戦闘航空団として結成され、現在の45年時点で、部隊運用から凡そ3年もの月日が経った501ですが…」
ウルスラ「44年9月には、世界で初めてネウロイの巣の破壊に成功するという、歴史的な快挙も達成しています」
ウルスラ「これにより、1940年以降、実に4年もの間ネウロイに支配され続けていたガリアがついに解放されました」
ウルスラ「更に翌年の1945年春ごろ、突如ヴェネツィア上空に発生したネウロイの巣を、同地で再結成された501が破壊。これによりヴェネツィアが解放…」
ウルスラ「加えて同年9月には、カールスラントのライン川を越えてガリアに押し寄せようとするネウロイを食い止め、大規模侵攻を未然に終わらせます」
ウルスラ「…こうして改めて部隊の功績を見ると、にわかには信じがたいものばかりですね」
ミーナ「そ、そうねぇ…」
ウルスラ「ネウロイの巣を2つも破壊した実績を持つ部隊は、世界で501JFWただ一つです」
ウルスラ「ミーナ中佐、なぜ501はここまでの成果を残せたのでしょうか?」
ミーナ「うーん…」
ミーナ「…な、なんでかしらね?」
ウルスラ「部隊の隊長であるミーナ中佐でも、お分かりにならないですか?」
ミーナ「そうねぇ…正直に言ってしまうと、よく分からないわね…」
ウルスラ「これだけの実績を残していることから、501こそ世界で最強の部隊…という話も出ているようですが…」
ウルスラ「個々の隊員の力が、他の部隊よりも大きく突出していた…ということでしょうか?」
ミーナ「いえ、それはないんじゃないかしら」
ミーナ「でもだからと言って、全員が全員エーリカやエイラさん、美緒のような超人ばかりではないのも事実よ」
ミーナ「それでも、こうして部隊として結果を残せたのは…」
ウルスラ「残せたのは…?」
ミーナ「…やっぱり、仲が良かったからじゃないかしら?」
ウルスラ「な、仲ですか…?」
ミーナ「ええ、今までのことを振り返ってみると良く分かるんだけど」
ミーナ「うち(501)が目に見える活躍をし始めたのってね、宮藤さんが加入してからなのよ」
ウルスラ「宮藤少尉…ですか?」
ミーナ「彼女、明るいし、周囲にすぐ溶け込めるし、隊員同士の橋渡しを無意識にしちゃうし…」
ミーナ「入隊当初は一番の新人だったのに、知らないうちに部隊の中心人物みたいになっていったわね」
ミーナ「おまけに、あの強力な治癒魔法でしょ?彼女がいなかったら、今頃トゥルーデも、美緒も…死んでいたかもしれないわ」
ミーナ「トゥルーデに至っては、身体だけじゃなくて、心までも宮藤さんに救ってもらえたし」
ミーナ「本当に…あの子(宮藤)が入ってから、501は変わったわ」
ウルスラ「なるほど…」
ミーナ「あ、だからといって、他の部隊が団結出来てないとか、そういうことを言いたいわけじゃないのよ?」
ウルスラ「ええ、それは分かっています」
ミーナ「ただ、そうね…」
ミーナ「一人一人が心を通じ合わせて、団結していったことが、奇跡を起こすことに繋がったんじゃないかって…そう思うの」
ミーナ「…そういう意味では、やっぱり大元のきっかけは宮藤さんね」
ミーナ「彼女は、そう…人と人とを繋げる魔法を持っているのかもしれないわ」
ウルスラ「実はそういった戦績以外でも、部隊に大きな影響を与えていたのですね」
ミーナ「ええ、そうね」
ウルスラ「ミーナ中佐、本日は貴重なお話をありがとうございました」
ミーナ「いえ、こちらこそ」
ウルスラ「さて、キリも良いので、本日の講座はここまでとしましょう」
ウルスラ「最後に、宮藤少尉が501に加入してから、部隊にどんな影響を与えていったのかを表にまとめましたのでご覧ください」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
・部隊で孤立していたリーネと友達になり、その実力を開花させる(3話)
・総撃墜数世界第2位の重要戦力である、バルクホルンの死を回避させる(4話)
→治療をきっかけに、バルクホルンのメンタルを回復させ、本来の実力を取り戻させる
→バルクホルンの死を回避したことで、エーリカとミーナのメンタル崩壊を間接的に阻止する
・部隊で浮いていた二人(サーニャ・エイラ)と仲良くなり、隊員全体との橋渡し的役割を果たす(6話)
・家事・炊事全般で大活躍。特に炊事では他の隊員たちの胃袋を掴んで士気向上に大きく貢献する
・孤立していたペリーヌと仲良くなり、部隊に居場所を作る
・世界でも有数の実力の持ち主であり、貴重な魔眼の固有魔法を持つ坂本の命を救う(10話)
→坂本の死を回避したことで。ミーナ(2回目)とペリーヌのメンタル崩壊を間接的に阻止する
・独自にウィッチ型ネウロイと接触し、マロニーが密かに計画していたウォーロック計画を露見させる(11話)
・ウォーロック計画露見によって部隊が解散させられるも、その影響で隊員同士の絆がより一層深まる(11話・12話)
・ネウロイの巣を破壊し、ガリアを解放する(12話)
「しまぱふストライクウィッチーズ~」第9.5回 マロニーという男
ルッキーニ「…し~ましまのルッキーニと~」
シャーリー「ぱ~ふぱふのシャーリーのぉ~」
ルッキーニ・シャーリー「しまぱふストライクウィッチーズ~!」
ルッキーニ「やあやあシャーリー君」
シャーリー「なんだね、ルッキーニ君」
ルッキーニ「…これなんの番組なの?」
シャーリー「…さー、私もさっぱりわかんね」
シャーリー「どうも、いろんなことを解説していくのが目的らしいんだが…」
ルッキーニ「へ~、そうなんだぁ…」
ルッキーニ「シャーリーのスリーサイズはぁ、B94 W61 H86 です!」
シャーリー「おいおいルッキーニ君、いきなり人の個人情報をばらすんじゃぁないよ!」
ルッキーニ「ごっめ~ん!あははははは」
シャーリー「あははははは」
ルッキーニ「ちなみにこれってねぇ、リベリオンで有名な女優さんと全く一緒のスリーサイズなんだって~」
ルッキーニ「え~っと確か、も、も…モロー…?」
シャーリー「マリリン・モンローな」
ルッキーニ「あ、それそれー」
ルッキーニ「シャーリーが嫌いなものは、ずばりタコです!」
シャーリー「あー…タコは嫌いだな…」
ルッキーニ「美味しいのに~」
シャーリー「あんなもん食うやつの気が知れんよ…」
シャーリー「…っていうかオーイ!さっきからアタシのことばっかじゃないかーい」
ルッキーニ「あーごめんごめん、ついうっかり~」
ルッキーニ・シャーリー「あははははははは」
ウルスラ「…あの~」
シャーリー「ん?」
ルッキーニ「チャオ~ハルトマン」
ウルスラ「あ、はい…妹の方のハルトマンです」
ウルスラ「あの…盛り上がっているところ大変恐縮なのですが、そろそろ解説に移らせて頂いてもよろしいですか?」
シャーリー「ん?ああ、いいよ」
ルッキーニ「うむ、苦しゅうない、よきにはからえ」
ウルスラ「あ、ありがとうございます…」
ウルスラ「では、今回の補足の内容について発表させて頂きます」
ウルスラ「今回取り上げるのは、第9回の講座の中でも少し触れた、とある人物…」
ウルスラ「元ブリタニア空軍総監、トレヴァー・マロニー空軍大将についてです」
ルッキーニ「…って、誰だっけ…」
シャーリー「あー、ほらあれだよ、ウォーロック持ってきたおっさん」
ルッキーニ「うぉーろっく…」
ルッキーニ「…あ!あのギュイーーン!でズゴゴゴゴー!でバッシューーーン!なやつかぁ」
シャーリー「ん、ん~…?まぁ、多分それかな?」
シャーリー「…にしても、随分と悪そうな顔してんなぁおい」
ルッキーニ「してんなぁおい~」
ウルスラ「トレヴァー・マロニー元空軍大将は、501がブリタニアで活動していた際、ウィッチ隊の総監という役職に就いていました」
ウルスラ「つまり、501部隊にとっては、直属の上司ですね」
シャーリー「あー、そういえばそうだったっけ」
ウルスラ「総監の役職に就任するよりも以前から、ブリタニア国内で〝ウィッチ不要論〝を唱え続けていた人です」
ルッキーニ「ふよーろん?」
シャーリー「ウィッチなんて必要ない、ってこったな」
ルッキーニ「えー!?なにそれぇ!?」
ルッキーニ「いーだ!クビになっちゃえ!」
シャーリー「いや、もうクビになってるんだけどな…?」
ウルスラ「総監に就任した後は、いわゆる〝ウォーロック事件〝を起こしたことで一躍有名になったこともあり…」
ウルスラ「マロニー元空軍大将といえばそのイメージが強い…という人も多いのではないでしょうか」
シャーリー「こいつにはホント手を焼かされたよなぁ」
ルッキーニ「いや~、手を焼かされましたなぁ」
ウルスラ「お二人は当時、直接ウォーロックと対峙したんですよね」
シャーリー「ああ、急に現れてバババ~ッ!ってネウロイ掃討したと思ったらさ」
シャーリー「今度は急に敵になるんだもなぁ、あれには驚いたよ」
ルッキーニ「ネウロイみたいにビームとか撃ってたよね」
シャーリー「ああ、まぁネウロイみたいっていうか…ネウロイそのものだったなあれは」
ウルスラ「というのも、それには理由がありまして」
ウルスラ「ウォーロックの動力部には、ネウロイの核(コア)が使われていたため」
ウルスラ「実際に、ネウロイのような攻撃ができた…ということですね」
ルッキーニ「ふーん…」
ウルスラ「はい、何でしょうか」
シャーリー「そもそも、何でマロニーのおっさんはあんなもの持ち込んだんだ?」
シャーリー「やっぱり、ウィッチ嫌いっていうのが関係してるのか?」
ウルスラ「そうですね…そのあたりの背景についても、語っていきましょうか」
ルッキーニ「あ、はいはーい!ハルトマン!」
ウルスラ「は、はい、何でしょうか?」
ルッキーニ「難しい話ならいやでーす!」
ウルスラ「え…」
シャーリー「る、ルッキーニ、お前なぁ…」
ルッキーニ「だってぇ、難しい話されると眠くなっちゃうんだもん…」
ルッキーニ「ん?なにそれ」
シャーリー「それ…絵本か?」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「マロニー元空軍大将はなぜウィッチを嫌っていたのか、また、なぜウォーロックを持ち出したのか等…」
ウルスラ「そのあたりの経緯を、分かりやすく絵本形式でまとめてみました」
シャーリー「へ~、手間かかってるなぁ」
ルッキーニ「絵本かぁ~、それなら寝ないで聞けるかも」
ウルスラ「それでは、僭越ながら読ませていただきますね」
ウルスラ「題して、〝トレヴァー・マロニーの野望〝です」
むかしむかし、ブリタニア空軍にマロニーという男がいました。
マロニーは権力とイニシアチブが何よりも好きな、野心に満ちた男です。
自国の利益のためなら他所の国のウィッチすら手駒にしてしまうマロニーですが、
戦後のイニシアチブをブリタニアが握ることに強くこだわる彼には、一つ大きな悩みがありました。
それは、ネウロイを倒すのに、ウィッチに頼らざるを得ないという今の状況についてでした。
マロニーはブリタニア空軍でとっても偉い地位に就く人ですが、現実問題、人々を苦しめるネウロイをやっつけているのはウィッチたちです。
「ぐぬぬ。ウィッチばかりが活躍をしていては、出世も大衆からの支持も、すべてあの小娘どもに掠め取られてしまうではないか」
己の地位や国の威信が、自分より遥かに年下の女の子たちに脅かされることにマロニーは酷く苛立ちます。
国のためにも、なにより男のプライドのためにも、ここで引き下がるという選択肢はありませんでした。
マロニーは、なんとかウィッチに代わる戦力を確保できないかと、日々頭を捻らせます。
そんなある日のことです。部下から「ネウロイの核(コア)の入手に成功した」という報告が入ります。
後々の成果を独り占めするために(というか許可が下りるわけがないので)、首脳部には内緒で計画を実行に移します。
人造ネウロイ量産の暁には、ネウロイの巣を破壊することだって夢じゃありません。
そうなればもうウィッチも不要になり、戦場が男たちの手に帰ってくるのです。
どこまでも果てしない夢物語に、マロニーは期待で胸を膨らませました。
しかし、そんなマロニーの前に大きな壁が立ちふさがります。そう、マロニーが大嫌いなウィッチです。
現在ブリタニアの空を守っているのは、世界初の統合戦闘航空団として設立された〝501JFW〝です。
この部隊は拠点こそブリタニアに置いてあるものの、
その実態は連合軍に席を置く組織なので、ブリタニアの方からあれこれ指示を出すことができません。
つまり、都合よく手駒として扱えない上に、仮に部隊が手柄を立ててもブリタニアには一銭の得にもならないのです。
そういった事情から、ブリタニアの国益に強くこだわるマロニーにとって、501は目の上のたんこぶ以外何物でもない邪魔な存在でした。
501がブリタニアを守っている限りは、戦後のイニシアチブを握るどころではないからです。
この現状を変えるべく、マロニーは人造ネウロイの開発を急がせます。
同時に、保険として501への嫌がらせもこっそり行い、あわよくば解体してしまおうと目論見たものの…
意外にも501の隊長はしぶとかったため、解体は失敗に終わります。
名前は〝ウォーロック〝古代のブリタニア語で、男性の魔法使いを意味します。
男が戦場で活躍することにこだわる、マロニーらしいネーミングセンスです。
科学者たちの話によると、ウォーロックは1機単体でネウロイを撃破可能な上…
5機を同時に運用させれば、ネウロイの巣の破壊も不可能ではないと言います。
これにはマロニーも大満足。あとは残りの4機が完成するのを待つばかり…のはずでした。
ある昼下がりのこと、マロニーがいつものように執務室で優雅にコーヒーを飲んでいると、部下から耳を疑う報告が入ってきます。
「ネウロイの巣に侵入したウィッチがいる」
なぜなら、ウォーロックは(連合軍どころかブリタニア首脳部にすら)内緒で作っていた兵器なので、
関係各所からの色んなツッコミを回避するためには、「ネウロイの巣破壊!」ぐらいのインパクトがないと、都合の悪いあれこれを有耶無耶にできないからです。
最悪このままでは、ウォーロックはお蔵入りにせざるを得ない事態に陥ります。
マロニーは叫びました。
「ウォーロック緊急発進!ネウロイの巣を破壊せよ!」
ついにロールアウトしたウォーロック。まだ1機しか完成していないのに、果たしてネウロイの巣を破壊できるのか?
そして、ブリタニアは戦後のイニシアチブを握ることができるのか?
(第10話 Bパートに)つづく
ウルスラ「ざっくりと説明してみましたが、ご理解頂けたでしょうか?」
シャーリー「はー…なるほどねぇ」
シャーリー「うん、分かりやすかったよ。なあルッキーニ?」
ルッキーニ「…………」
シャーリー「ん?ルッキーニ…?」
ルッキーニ「……むにゃむにゃ……」
ウルスラ「…ね、寝てますね」
シャーリー「あらー…」
シャーリー「…ま、まあ、それは一先ず置いといてだ!」
シャーリー「つまりマロニーのおっさんは、ウィッチを排除するために、こっそりとんでもない兵器を作っていたと」
ウルスラ「はい、そうですね」
ウルスラ「そうですね、それについては憶測の域を出ないのですが…」
ウルスラ「1機であれほどの性能を発揮していたウォーロックです」
ウルスラ「もしあれが5機同時に運用となると、本当にネウロイの巣を破壊できたかもしれませんね」
シャーリー「でもさぁ、結局はまた暴走しちゃってたんじゃないの?」
シャーリー「しかも5機同時に…なんて考えると、かなり恐ろしいよなぁ」
ウルスラ「いえ、それはないと思います」
シャーリー「え?」
ウルスラ「ウォーロックが暴走を起こし、ネウロイ化した原因なのですが…」
ウルスラ「あれはそもそも、〝コアコントロールシステム〝という機能を使ったことによって発生した事故です」
シャーリー「コアコントロールシステム…?」
ウルスラ「この機能を使用することによって、一次的に付近のネウロイを意のままに操ることが可能となります」
シャーリー「…は?マジかよ…?」
ウルスラ「シャーリーさんやルッキーニさんも、ブリタニア上空でネウロイが同士討ちを始める光景を見ませんでしたか?」
シャーリー「…あ、そういえば見たなぁそれ」
シャーリー「なるほど、あれがコアコントロールシステムだったのか…」
ウルスラ「はい、ですが強力な機能には、それ相応の制約があります」
ウルスラ「この機能は〝5機以上で同時にシステムを稼働させることで〝初めて安定した効果が発揮されるのです」
ウルスラ「ですから、それ以下の機体数でこの機能を使うと、システムが負荷に耐え切れず、最悪暴走する恐れがあります」
シャーリー「あの時ウォーロックが暴走してネウロイ化したのはつまり…」
ウルスラ「はい、たった1機でコアコントロールを使用したのが原因です」
シャーリー「へ~…」
シャーリー「んで、開発も順調だったところに、宮藤がネウロイの巣に侵入しちゃって仕方なく発進させたわけか」
ウルスラ「はい、その通りです」
シャーリー「…まあ、仮定の話になっちゃうけど」
シャーリー「もしウォーロックがちゃんと完成して、その後量産体制に入っちゃってたらさ」
シャーリー「そのときは…私たちウィッチは、もう必要のない存在になっていたのかな」
ウルスラ「それは…なんとも言えませんね」
シャーリー「うーん…機械が戦争をコントロールしていくってのは、私はちょっと嫌かなぁ」
シャーリー「まあ確かに、誰も血を流さないってのは、いいことなんだろうけどさ」
ウルスラ「正直なところ、この問題に対する答えを、科学者である私は持ち合わせていません」
ウルスラ「…ですが」
シャーリー「ん?」
ウルスラ「…ウィッチとしての私なら、シャーリーさんと同じ考えを支持します」
ウルスラ「やはり、最後の引き金は人間の手に委ねてほしいですね」
シャーリー「ん、そうだよな」
ルッキーニ「…ふぁぁあぁぁ…」
シャーリー「あ、ルッキーニが起きた」
ルッキーニ「ふにゃ…話終わったぁ…?」
シャーリー「ああ、お前が寝てる間にな」
ルッキーニ「ん~…うじゅ…」
シャーリー「なんか、やることがいちいち悪役染みてるっつーか」
ウルスラ「そうですね」
ウルスラ「…ですが、世の中悪いマロニーあれば、良いマロニーも有り…」
シャーリー「は?」
ウルスラ「本日最後にご紹介させていただくのは、同じマロニーでも、良い方のマロニー」
ウルスラ「アイガー北壁を征した男…ジョージ・マロニー氏です」
ウルスラ「ジョージ・マロニー…彼は有名な登山家です」
ウルスラ「お二人は世界最高峰の山である、エベレストをご存知ですか?」
シャーリー・ルッキーニ「知ってる」「知らなーい」
ウルスラ「1945年現在、このエベレストの頂きを見た人間は誰もいません」
ウルスラ「ですが、未だ登頂の前例が無い中、過去3度に渡りエベレストに挑戦し、最も山頂に近づいた男がいます」
ウルスラ「それがこの方、ジョージ・マロニー氏です」
シャーリー「へ~」
ウルスラ「今から8年前の1937年、当時ヨーロッパ近郊に怪異(ネウロイ)が多数出現し、アルプス山脈一帯を占拠しました」
ウルスラ「その影響で、欧州大陸と地中海の間の行き来が困難になり、補給路分断の危機に立たされます」
ルッキーニ「…ねーねー、補給が分断されると困るの?」
シャーリー「ああ、ご飯が食べられなくなって困るな」
ルッキーニ「ええー!?ご飯食べられないのぉ!?」
ウルスラ「様々なルートが怪異に封鎖された中、唯一安全に通れる場所が一つだけ存在しました」
ウルスラ「それが、〝アイガー北壁ルート〝です」
ウルスラ「当時山頂に航空標識(マーカー)が設置されていなかったので、冬が来て吹雪いてしまえば、有視界での飛行は不可能となってしまうのです」
ウルスラ「そのため、誰かが山の頂きに登り、目印となるマーカーを早急に設置する必要がありました」
ウルスラ「しかし、当時アイガー北壁はエベレスト同様人類未踏の地…」
ウルスラ「設置任務は何度も行われたものの、幾度となく失敗。作戦は困難を極めました」
ウルスラ「マロニー氏は、そんな状況を変えるべく招聘され、マーカー設置作戦に参加した…というわけです」
シャーリー「で、結果はどうなったんだ?」
ウルスラ「マロニー氏の執念の甲斐あって、マーカー設置任務は無事に成功」
ウルスラ「彼がマーカーを設置し、ルートの安全を確保したことで、その後ヨーロッパでの怪異との戦いは、一挙に人類側が優位に立つことができました」
シャーリー「それに加え、この任務の成功によって、晴れてマロニー氏はアイガー北壁最初の登頂者として歴史に名を刻んだのです」
シャーリー「おお~!」
ルッキーニ「ん~っとそれって、凄いことなの?」
ウルスラ「ええ、彼のこの仕事がなければ、欧州は2年早くネウロイに支配されていた…とも言われています」
ルッキーニ「へ~…」
ルッキーニ「どしたのシャーリー?目がキラキラしてるけど」
シャーリー「いやだってさぁ、カッコいいと思わないか~?」
シャーリー「魔法にもストライカーにも頼らず、自分の身一つで人類未踏の山を征覇しちゃったんだぜ?」
シャーリー「いやぁ、なんかロマンだよな~、そういうの」
ルッキーニ「ん~…あたしにはよく分かんない~…」
ウルスラ「ちなみにこの方、トレヴァー・マロニー元空軍大将の実の兄です」
シャーリー「へ~……へ?」
シャーリー「ん?なんて?」
シャーリー「…え、ええええぇええ!?」
シャーリー「え…いや、マジで?」
ウルスラ「はい、事実です」
シャーリー「え、えぇ~…?」
ウルスラ「世の中、色んな兄弟がいますね」
ウルスラ「ちなみにこのジョージ・マロニー氏の活躍は、好評発売中のコミック〝アンドラの魔女〝の中で確認することができます」
ウルスラ「二人のマロニー氏、それぞれの活躍ぶりを比べてみるのも、また一興かもしれないですね」
ウルスラ「…といったところで、今回の補足は終了です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「前回までの講座で、501JFWが結成に至るまでの経緯を解説してきました」
ウルスラ「というわけで、今回から全2回に渡って、501がブリタニアで行ってきた活動の軌跡を、記録映像と共に振り返っていきたいと思います」
ウルスラ「また、解説にあたりまして、今回もゲストの方にお越しいただきました」
ウルスラ「501JFW所属、ゲルトルート・バルクホルン大尉です」
ウルスラ「大尉、よろしくお願いします」
バルクホルン「ああ、よろしく頼む」
ウルスラ「また、現在までのネウロイ総撃墜数が250機を超えるという、エースの中のエースでもあります」
ウルスラ「この記録は、同じく501に所属するエーリカ・ハルトマン中尉の300機に次ぐ、世界第2位の大記録で…」
バルクホルン「な、なあウルスラ中尉…私のことはもうその辺でいいから、そろそろ解説に移らないか?」
ウルスラ「おや、バルクホルン大尉のことについては、まだまだ語りたいことが沢山あるのですが…」
バルクホルン「そうか…すまないが、自分のことをあれこれ褒められるのはどうも苦手で…」
ウルスラ「そうでしたか。では、戦績以外のことなら紹介しても構いませんか?」
バルクホルン「え?あ、ああ…それなら別に構わないが…」
ウルスラ「ふふっ…私、大尉のファンですから」
バルクホルン「は、はあ…?」
ウルスラ「というわけで、本日ご紹介するのは、バルクホルン大尉を語る上で欠かす事のできないこちらの1冊」
ウルスラ「ゲルトルート・バルクホルン大尉初の写真集、〝TRUDE LOVE〝です」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第10回 501JFW、活動の記録(前編)
ウルスラ「……あ、頭が痛い……」
バルクホルン「…まったく、なんてものを持ち出すんだまったく…!」
ウルスラ「すみません、まさかそこまで怒るとは…」
バルクホルン「…はぁ、お前たち姉妹は、なんでそう揃って私を弄ろうとするんだ?」
ウルスラ「…そ、それでは気を取り直して解説に移りましょう」
ウルスラ「冒頭でも申し上げた通り、今回は501のブリタニアでの活動記録を、バルクホルン大尉の解説も交えながら振り返っていきます」
ウルスラ「なお、本資料映像は、501で記録係も兼任されている、バルクホルン大尉によって製作されたものとなっています」
ウルスラ「大尉は重火器やストライカーの取扱いに長けている印象が強かったですが、こういった映像機械類に関してもお詳しかったのですね」
ウルスラ「…あのー、大尉?」
バルクホルン「…なんだ?」
ウルスラ「えっと、大尉は機械全般にお詳しいのかなぁと…」
バルクホルン「…いや、そんなことはない」
バルクホルン「現にストライカーは操縦できても、車の運転となるとてんでノーセンスらしいからな」
ウルスラ「ああ、そういえばそんな話、前に姉さまがしていたような…」
ウルスラ「というか、〝らしい〝とは…?」
バルクホルン「そのときに何故か、「もう二度と運転するな」と強く釘を刺されてな」
バルクホルン「以来、車で移動する際は全てエーリカにハンドルを任せている」
バルクホルン「まったく、私の運転のどこがいけなかったと言うんだか…」
ウルスラ「…そ、そうですか」
ウルスラ「…さて、それでは早速上映開始と行きましょう」
バルクホルン「うむ」
第1話「魔法少女」
バルクホルン「…ん?こんなタイトル入れたか…?」
ウルスラ「あっ、さっき私が勝手に付け足しました」
バルクホルン「そ、そうなのか…?」
バルクホルン「…宮藤、子猫を助けようとは健気な…」
ウルスラ「ウィッチになる前から人助け?していたんですね」
ウルスラ「坂本少佐が宮藤少尉を勧誘しています」
バルクホルン「ほう、扶桑では奇妙な座り方をするのだな」
ウルスラ「なんでも〝セイザ〝と言うらしいですよ」
バルクホルン「セイザ…?」
ウルスラ「セイザは扶桑において、主に上官が部下に対し反省を強いる際に使用されるという、一種の懲罰のようですね」
バルクホルン「なに…?懲罰だとっ!?」
ウルスラ「…ちなみに、この懲罰はペテルブルグの502JFWでも採用されているそうです」
バルクホルン「セイザ…なんと恐ろしい…」
バルクホルン「…ん?ならばなぜ、坂本少佐は宮藤を勧誘しながら懲罰を受けているんだ?」
ウルスラ「さあ…一種の鍛錬ですかね?」
バルクホルン「ふむ、あの坂本少佐ならあり得るな…」
ウルスラ「宮藤少尉が欧州へ向けて旅立ちましたね」
バルクホルン「宮藤…泣くな、宮藤…!」
ウルスラ「ちなみに、ここからブリタニア到着までの航海に2か月かかりました」
バルクホルン「私たち(501)と宮藤のブリタニアでの付き合いは2か月ほどだったが…」
バルクホルン「こうして改めて振り返ると、少佐だけ倍の期間付き合いが長いのだな」
ウルスラ「そうですね」
バルクホルン「……うらやましい……」
ウルスラ「何か仰いましたか?」
バルクホルン「いや、なにも」
バルクホルン「むぅ…ネウロイめ…」
ウルスラ「…あ、ここで第1話が終了ですね」
ウルスラ「テープを交換してっ…と」
ウルスラ「続いて、第2話です」
第2話「私にできること」
バルクホルン「ふむ、二人の健闘の甲斐あって無事にネウロイを倒せたな」
ウルスラ「そうですね、そしてあの遠距離でコアに命中させたルッキーニ少尉も流石です」
ウルスラ「さて…ここで一旦映像止めます」
バルクホルン「ん?」
ウルスラ「映像の記録からは漏れていますが、実はこの時、周辺空域に別のウィッチ隊が駆けつけていました」
バルクホルン「ああ、そういえば…」
ウルスラ「この部隊は、ブリタニア近郊のワイト島を拠点に防空任務を行う、5名の隊員からなる小隊です」
ウルスラ「部隊の詳細についても解説したいところですが…長くなりそうなのでここでは割愛させて頂きます」
ウルスラ「さて…話を戻すと、この時ワイト島分遣隊は、扶桑からやってくる空母赤城の護衛を任務に、1300時に基地から出撃」
ウルスラ「しかし出撃から間もなく、赤城と合流するより前に大型1、小型5の計6体のネウロイと接敵。交戦を開始しました」
バルクホルン「その大型が赤城を襲ったやつか?」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「実際のところ、大型1体を相手に遣欧艦隊は壊滅寸前だったので…」
ウルスラ「もし一緒に小型も引き連れていたら、赤城も沈んでいたかもしれませんね」
バルクホルン「ふむ、そう考えると値千金の仕事をしてくれたわけだ」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「…さて、映像を次に進めましょう」
第3話「一人じゃないから」
バルクホルン「まったく、ルッキーニめ…なんと破廉恥な…!」
ウルスラ「…あの、さっきから宮藤少尉の映像が多い様に感じるのは気のせいでしょうか?」
バルクホルン「き、気のせいだ…」
ウルスラ「あ、姉さまですね」
ウルスラ「この時は確か、200機撃墜を突破して取材を受けていたようですね」
バルクホルン「まぁ…そのときの勲章はもはや行方不明なのだがな…」
<新人、死にたくなければ帰れ
ウルスラ「おや…」
バルクホルン「こ、ここはいいから早く次の話を!」
ウルスラ「は、はい…ええと、次の話は…」
第4話「ありがとう」
バルクホルン「…さて、この話も飛ばすとするか」
ウルスラ「え、ええ…」
バルクホルン「ほ、ほら…可愛いクリスの写真でも見ればこの話は満足だろう?」
ウルスラ「…………」
ウルスラ「そ、それでは…流石に全カットも忍びないので、一つこぼれ話でも…」
バルクホルン「ん?」
バルクホルン「エーリカが宮藤に抱きついているな」
ウルスラ「ええ、この直前の話になるのですが…」
ウルスラ「戦闘が行われている最中、バルクホルン大尉が負傷したという通信を聞いて、あの姉さまが珍しく泣いていたそうです」
バルクホルン「……えっ……」
ウルスラ「本当に心配していたようですね」
バルクホルン「……め、面目ない」
第5話「はやい・おっきい・やわらかい」
バルクホルン「…なんだこのタイトルは?」
ウルスラ「ああ、お気になさらないでください」
ウルスラ「おや、これは…」
バルクホルン「ああ、いつもの音速チャレンジだな」
バルクホルン「まったく、任務でもないのに機材を持ち出すとはけしからん」
ウルスラ「ですが、どうやら情報によると、このチャレンジはミーナ隊長公認の上でやっているとか」
バルクホルン「ああ、ミーナは部隊の方針として、隊員の個性を尊重することに力を入れていたからな」
バルクホルン「まあ、これもその方針あっての特例と言える」
バルクホルン「ああ、そういえば前にリベリアンがそんなことを言っていたな」
バルクホルン「除隊といえば、いつも一緒にいるルッキーニも原隊では除隊されかけていたらしいが」
ウルスラ「そうなのですか?」
バルクホルン「ああ、何でも、母親恋しさに部隊から何度も脱走をしたと聞いたな」
ウルスラ「だ、脱走ですか…」
バルクホルン「まあ、年齢柄、そういうことをしてしまいたくなる心境も、理解出来なくはないのだがな…」
バルクホルン「…だからと言って、ストライカーを使ってまで脱走するのはどうかと思うが」
ウルスラ「そ、それは大ごとですね…」
バルクホルン「いや、配属当初こそ問題を起こしていたが、あのリベリアンと組むようになってからはだいぶ落ち着いたな」
バルクホルン「まあ、問題児同士、馬が合うところがあったんじゃないか」
ウルスラ「なるほど」
ウルスラ「…ふふっ、大尉はお二人のことをよく見ているのですね」
バルクホルン「なっ…そ、そんなことはないぞ!?」
バルクホルン「ふむ…まさか本当に音速を超えるとはな」
ウルスラ「音速は、時速に換算すると凡そ1200kmとされていますが」
ウルスラ「実は、そのときの外気温によって音速の定義は異なってきます」
バルクホルン「ほう、それは初耳だな」
ウルスラ「気温が20℃の場合、音速に到達するまで時速にして約1236km必要とされていますが…」
ウルスラ「これが気温-20℃となると、音速に到達するまでに必要な速度は、時速約1148kmくらいです」
ウルスラ「つまり、気温が高ければ高いほど、音速に到達するまでに速度が必要とされる...ということですね」
バルクホルン「なるほどな」
ウルスラ「さて、話も逸れましたが、次へ進みましょう」
第6話「いっしょだよ」
バルクホルン「ふむ、相変わらずこの魔導針というのは、なんとも不思議な形をしているな」
バルクホルン「たしか、〝リヒテンシュタイン式魔導針〝…だったか?」
ウルスラ「はい、そうですね」
ウルスラ「我が国カールスラントで確立された、夜間戦闘用の航空レーダーです」
ウルスラ「このリヒテンシュタイン式は、その夜間戦闘における探査能力の高さから」
ウルスラ「現在、世界中の多くのナイトウィッチがこの方式の魔導針を採用し、夜間哨戒を行っているようです」
バルクホルン「ほう、流石は技術大国カールスラントだな」
バルクホルン「ん?」
ウルスラ「このリヒテンシュタイン式ですが、そのルーツは扶桑にあります」
バルクホルン「なんだと…?」
ウルスラ「レーダー機能を持った魔術の研究は、リヒテンシュタイン式が確立するよりも以前から、既に扶桑で行われていました」
ウルスラ「それこそが、〝八木・宇田式呪術陣〝です」
バルクホルン「ヤギ・ウダ…?」
バルクホルン「な、なんだそれは?」
ウルスラ「リヒテンシュタイン式も、元を辿ればこの八木・宇田式呪術陣の技術をベースに開発が進められたため」
ウルスラ「ひとえに、カールスラントだけの功績ではないと言えるでしょうね」
バルクホルン「そ、そうだったのか…」
ウルスラ「扶桑とカールスラント、さながら両国の共同成果といったところでしょうか?」
バルクホルン「ほう、扶桑とカールスラントの共同成果…」
バルクホルン「…つまり、宮藤と私の…」
ウルスラ「あの、大尉…?」
バルクホルン「…ん?ああ…な、なんでもないぞ」
バルクホルン「ブルーベリーは目に良い…」
ウルスラ「というのは、誤った情報ですね」
バルクホルン「な、なにっ…!?」
ウルスラ「ブルーベリーの成分や効能についてはここでは説明を省きますが」
ウルスラ「もともとブルーベリー=目に良いという話の出処は、以下のものです」
第2次世界大戦時、ブリタニア(イギリス)空軍に、夜間戦闘において大活躍をしたパイロットがいたそうな
そのパイロットに秘訣を聞いてみても、彼は「特に心掛けていることはない」と答えたものの、
強いて挙げるなら、日頃の習慣としてブルーベリーを毎日欠かさずに食べていたという。
彼の夜間戦闘における優れた索敵能力や、そのずば抜けた生還率の高さから、
当時の同僚も『彼は暗い空の飛行でも、敵の姿が良く見えている』とその活躍ぶりを絶賛し、様々な人に触れ回ったという。
バルクホルン「そうだったのか…」
バルクホルン(…リーネには黙っておいてやるか)
ウルスラ「…あ、資料映像が終わりましたね」
ウルスラ「というわけで、後編に続きます」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」 第10.5回 片翼の魔女たち
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回の補足の内容についてですが…」
ウルスラ「…と、その前に、今回も例に漏れずゲストの方をお招きしたので、ご紹介させていただきます」
ウルスラ「本日のゲストは、501JFWよりお越しいただきました、リネット・ビショップ曹長です」
ウルスラ「リネット曹長、よろしくお願いします」
リーネ「よ、よろしくお願いします」
ウルスラ「リネット曹長のご実家は、デパート経営を営む裕福な商家…とありますね」
リーネ「えーっと…べ、別に裕福なんて言うほどじゃ…」
リーネ「ウチなんかより、もっと裕福なお家は沢山あると思いますよ」
ウルスラ「おや、では上流階級ではなく、あくまでも中流階級…ということですか?」
リーネ「そ、そうですね」
ウルスラ「なるほど、ちなみに資料によりますと、ビショップ曹長のお家には私用のヨットが一隻あるとか」
リーネ「あ、はい…そうですね…」
ウルスラ「更に資料によりますと、実家に帰省した際は、専属運転手付きのロールスロイスが迎えに来たとか」
リーネ「…は、はい…そうですね…」
リーネ「も、もういいです!もういいですから~!」
リーネ「すみません…ウチは裕福です…ごめんなさい…」
ウルスラ「そ、そうですか…」
ウルスラ「ちなみに、家族構成は…おや…」
ウルスラ「8人兄妹の真ん中として生まれる…なるほど、ご兄妹が沢山いらっしゃるのですね」
リーネ「はい、家に帰るといつも賑やかで…」
ウルスラ「それは楽しそうですね」
ウルスラ「ふむふむ…お母様は元ウィッチで、第1次大戦ではエースとして活躍…と」
ウルスラ「なるほど、リネット曹長の素質は、お母様譲りだったのですね」
リーネ「そ、そんなことないと思いますけど…」
ウルスラ「そして、ビショップ家にはもう一人、ウィッチとして活躍されている方がいますね」
リーネ「あ、はい、ウィルマお姉ちゃんのことですか?」
ウルスラ「ええ、本日の講義では、リネット曹長のお姉さまである、ウィルマ・ビショップ軍曹の活躍と…」
ウルスラ「そして、彼女が所属していた部隊、ワイト島分遣隊の解説を行っていきたいと思います」
ウルスラ「リネット曹長は、ワイト島分遣隊についてどの程度ご存知ですか?」
リーネ「ええっと、昔お姉ちゃんがそこでお仕事してたってことくらいしか…」
ウルスラ「そうですね、ではまず地図で場所を確認してみましょうか」
ウルスラ「赤い点が501基地、黒い点がワイト島、そして紫の点が、かつてガリアに存在していたネウロイの巣です」
リーネ「あ、結構近いんですね」
ウルスラ「ええ、直線距離ですと凡そ150kmくらいでしょうか」※
※東京-静岡間に相当
ウルスラ「ストライカーを全力で飛ばせば、15分ほどで到着する距離ですね」
リーネ「へ~…ん?」
リーネ「あれ、この左下の青い点は何ですか?」
ウルスラ「ああ、それはモンサンミッシェルがある場所です」
リーネ「モンサンミッシェル?」
ウルスラ「今から1000年近く前に、元々は修道院として建てられたものが、増築に増築を重ね、現在の様な形に至ったとされています」
ウルスラ「以下の写真が、モンサンミッシェルです」
ウルスラ「ご覧の通り、このモンサンミッシェルがブリタニアにおける501基地のモデルになっているわけですが…」
ウルスラ「ストライクウィッチーズの世界では、場所がフランス西海岸からドーバー海峡沿岸に変更されています」
リーネ「え、えっと、何の話ですか…?」
ウルスラ「ああ、申し訳ありません、こちらの話ですのでお気になさらず」
ウルスラ「さて、話も逸れましたが、話をワイト島分遣隊に戻しましょう」
ウルスラ「ガリアの巣からは遠い位置関係にあるため、この島の近辺にネウロイが出現することはほとんどありません」
ウルスラ「なので、その実割と暇を持て余していた部隊だったようですね」
リーネ「そ、そうだったんだ…」
ウルスラ「そして、この島にはリネット曹長も大好きな"あるもの"があります」
リーネ「私の好きなもの…?」
ウルスラ「はい、リネット曹長は御湯に浸かるのはお好きですか?」
リーネ「は、はい、好きですけど…」
リーネ「あ、もしかして…」
ウルスラ「そういった土地柄から、本土防衛という主目的以外に、"負傷したウィッチのための保養地"としての側面も持っていました」
リーネ「へ~…」
リーネ「あれ、保養地ってことは…怪我をしてここに来た人がいるってことですか?」
ウルスラ「さすがリネット曹長、その通りです」
ウルスラ「…という訳で、ここでそろそろ隊員紹介に移りたいと思います」
ウルスラ「まずはこの部隊の隊長であり、"療養の為に"この地に転属してきたお方」
ウルスラ「扶桑皇国陸軍出身、角丸美佐中尉です」
ウルスラ「ある日のこと、基地にネウロイが襲来し、弾薬庫に攻撃が命中…爆発炎上を起こすという事件がありました」
ウルスラ「そのとき、運悪く近くにいた角丸中尉は、誘爆に巻き込まれて負傷してしまいます」
ウルスラ「その怪我を癒すため、療養地であるワイト島へ滞在することになった…ということですね」
ウルスラ「資料によりますと、性格は大らかで、普段から部下のことを想う優しい性格の持ち主…だそうです」
リーネ「わぁ、なんだかミーナ中佐みたいですね」
ウルスラ「…が」
リーネ「え?」
ウルスラ「一度空に上がれば、自身の撃墜も顧みない、非常に危険な攻撃方法を用いてネウロイを殲滅するという、激しい一面もあるようで」
ウルスラ「その勇猛な姿から、隊員たちにも一目置かれていたようです」
リーネ「そ、そうなんですか…」
ウルスラ「角丸中尉は〝金剛力〝と呼ばれる固有魔法の持ち主なのですが」
ウルスラ「これは、物質に魔力を流し混んで対象物を内部から破壊するという、非常に恐ろしい魔法でして」
ウルスラ「この金剛力を当てるために、度々ネウロイに超至近距離まで接近して戦闘を行っていたそうです」
リーネ「え、えぇ~…」
ウルスラ「ちなみにこれは余談ですが、金剛力はただの爪楊枝ですら、魔力を流すことで弾丸並みの威力に変えるそうですよ」
リーネ「…………」
ウルスラ「2人目は、リネット曹長もよく知る人物、ウィルマ・ビショップ軍曹です」
リーネ「あ、お姉ちゃん…」
ウルスラ「ウィルマ・ビショップ軍曹はブリタニア出身のウィッチですが、原隊は王立ファラウェイランド空軍です」
ウルスラ「ワイト島へ転属するまで主だった撃墜戦績はなかったようですが」
ウルスラ「その明るい性格から、いつも周囲を元気づけるムードメーカー的存在…と資料には書いてありますね」
ウルスラ「リネット曹長から見て、ウィルマ軍曹はどのような人物でしたか?」
リーネ「そうですね…大体そこに書いてあることと同じ印象です」
リーネ「お姉ちゃん、いつも兄妹みんなを気にかけてくれて、困ったときにはすぐに助けてくれるし…」
ウルスラ「そうですか」
リーネ「でも、たまに行動力ありすぎてビックリすることもありますね」
リーネ「ある日ウィッチを引退したと思ったら、その後急に結婚しちゃうし…」
ウルスラ「け、結婚ですか…」
リーネ「はい…しかも、30歳も年上の人と…」
ウルスラ「えっ…さ、30歳…!?」
リーネ「…………」
ウルスラ「…………」
ウルスラ「で、では、次の隊員の紹介に移らせていただきますが…」
ウルスラ「時間の都合上、残りの3人は簡単なプロフィール形式での紹介とさせていただきます」
固有魔法…〝感覚加速〝
固有魔法の感覚加速は、使用することによって一時的に自身の感覚器官を著しく鋭くさせる。
発動中は周囲の動きがスローに感じるほど感覚が研ぎ澄まされるため、至近距離で弾丸を撃たれたとしても余裕で回避できるらしい。
性格
根が優しく、思いやりのある性格の持ち主だったが、過去の戦いで仲間を失って以来、
常にどこか厭世的な雰囲気を漂わせ、部隊でも浮いた存在となっている。
自分のストライカーユニットに〝アンカ〝という愛称を付けて、整備からチューニングまで全て自分で行っているのだが、
その思い入れの強さから、他人が触れることを非常に嫌う。
ちなみに、コーラを飲むとなぜか酔って手が付けられなくなるため、隊内ではラウラにコーラを与えることを禁止されている。
固有魔法…〝短距離加速〝
瞬間的に爆発的な推力を発生させて加速する能力。
小回りが利くので、空域からの緊急離脱などにも役立つが、連続して使うとすぐに魔法力が底を尽くため燃費は良くない。
性格
年相応に悪戯好きで子供らしい性格の持ち主。憧れのウィッチは同じリベリオン出身のシャーロット・E・イェーガー。
大好物はコーラ。ワイト島在籍時は、わざわざ本国から輸入してもらっていたらしい。
固有魔法…不明
性格
能力はあるものの、自信のなさから上手く実力を発揮できないタイプ。憧れのウィッチは同じガリア出身のペリーヌ・クロステルマン。
元が農家の生まれなので、草花や作物など植物に関する造詣が深い。
リーネ「あ、ラウラ少尉…」
ウルスラ「リネット曹長は、ラウラ少尉と面識はありますか?」
リーネ「いえ、私が501に入ったときにはもういなかったので…」
リーネ「でも前にミーナ中佐が、ラウラ少尉が部隊にいた頃の様子を少しだけ教えてくれたんですけど…」
リーネ「最後までラウラ少尉の居場所を作れずに転属させてしまったのが、今でも心残りになってる…って言ってました」
ウルスラ「…そうでしたか」
リーネ「でも、後になってお姉ちゃんから部隊の様子を聞いたんですけどね」
リーネ「部隊が解散するころには、みんな仲良くなって、ラウラ少尉もよく笑うようになってた…って」
ウルスラ「そうですか…それはなによりですね」
ウルスラ「冒頭でも説明した通り、ワイト島分遣隊の主な任務はブリタニア本土の防衛です」
ウルスラ「しかし、そのすぐ近辺には501JFWが基地を構えていたことも影響して…」
ウルスラ「その役割はあくまで、501のバックアップ的なものに限られていました」
ウルスラ「その為、自然と部隊が活躍する機会も減り、中には意義が見出せないことで不満を募らせる隊員もいたそうです」
ウルスラ「そういった事情を抱えていたこともあって、隊員間の結束は、当初あまり上手くいっていなかったとか」
ウルスラ「そんな中、結成から半年がたった頃、哨戒任務以外では初となる大きな仕事がワイト島分遣隊に舞い込みます」
ウルスラ「それは、扶桑からやって来る空母赤城の護衛任務でした」
ウルスラ「この任務の成功をきっかけに、ぎこちなかった部隊の雰囲気も段々と良くなっていったそうです」
リーネ「わぁ、よかったぁ…」
ウルスラ「そしてその凡そ2か月、再び大きな仕事がワイト島分遣隊に舞い込みます」
ウルスラ「それは、ガリアのネウロイの巣から、通常時ではありえない数のネウロイが出現したことによって生じた特別任務でした」
ウルスラ「現場からの報告によると、軍の秘密兵器が暴走した結果、その影響でネウロイが大量発生したらしいのですが…」
リーネ「秘密兵器って…」
リーネ「あ、まさか…ウォーロック?」
ウルスラ「はい、その通りです」
ウルスラ「ただし、この頃既に魔法力の減退が著しく、〝アガリ〝を迎えようとしていたウィルマ軍曹は、基地で待機命令を出されていました」
リーネ「アガリ…かぁ」
リーネ「ウィルマお姉ちゃん、もう飛べなくなるって分かった時…どんな気持ちだったんだろう…」
ウルスラ「ウィッチである以上、アガリを迎えて空から遠ざかることは避けられません」
ウルスラ「人にもよるものの、ウィッチとしての寿命は、大凡20歳前後だと言われています」
ウルスラ「ですが…中にはアガリを迎えても魔法力が減退しない稀有な例もあるようです」
リーネ「え、そうなんですか?」
ウルスラ「アンナ・フェラーラ元空軍大尉が、その良い例として挙げられますね」
リーネ「あ~…そういえば…」
ウルスラ「宮藤少尉の家系のように、固有魔法だけ消失せず残るという例は見かけられますが…」
ウルスラ「あの御歳で空に上がれる方となると、世界でもそういるものではありません」
リーネ「あ、アンナさんって、そんなにすごい人だったんですね…」
ウルスラ「はい、すごい方です」
ウルスラ「ちなみに、私の母も、ウィッチとして稀有な例の一人でした」
リーネ「え…?」
ウルスラ「姉さまは、そんな母の姿を見てウィッチに憧れたみたいです」
リーネ「そうだったんですか…」
ウルスラ「…さて、話をワイト島分遣隊に戻しますね」
ウルスラ「1944年9月、ガリアのネウロイの巣が消失したことで、501とほぼ同時にワイト島分遣隊もその役目を終えました」
ウルスラ「本国へ帰国する者、他の地域の支援に行く者、隊員たちはそれぞれ別の道を歩み始めます」
ウルスラ「そこで、解放されたばかりのガリアの復興支援に参加したようですね」
ウルスラ「当時、リネット曹長はクロステルマン中尉と一緒にガリアにいたようですが、お二人とは合流できましたか?」
リーネ「あ、はい、会いました」
リーネ「お姉ちゃん、何の連絡もなく来るからビックリしたんですけど…」
リーネ「でも…すごく嬉しかったです」
ウルスラ「501とワイト島分遣隊、同じ地域を守っていた者同士が、ガリアの地でようやく邂逅を果たしたわけですね」
ウルスラ「501部隊の活躍と合わせて見ると、より物語を楽しめる…かもしれませんね」
ウルスラ「…と、いったところで今回の補足は終了です」
ウルスラ「リネット曹長、今回はゲストとして参加していただきありがとうございました」
リーネ「あ、いえ…そんな…」
ウルスラ「ガリア解放後、501の隊員たちがどこで何をしていたかについては、また別の機会に紹介していきたいと思います」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第11回 501JFW、活動の記録(後編)
<ぶい~ん!
バルクホルン「……………」
カチャッ…
キュルキュルキュル…
<ぶい~ん!
バルクホルン「……………」
バルクホルン「…!な、なんだ?」
ウルスラ「お楽しみのところ申し訳ないのですが、そろそろ解説に移ってもよろしいですか?」
バルクホルン「た…たたた楽しんでなどいないがっ!?」
ウルスラ「そ、そうですか…?」
バルクホルン「か、カールスラント軍人ともあろう者が、職務中に楽しむ事などある筈が…!」ガタッ
ポチッ
<ぶい~ん!
バルクホルン「あっ…」
ウルスラ「あっ…」
ウルスラ「…………」
バルクホルン「…ほ、ほら…次は確かこのテープじゃなかったか?」
ウルスラ「あ、はい…そうですね」
ウルスラ「…それでは、映像流します」
バルクホルン「…………」
第7話「スースーするの」
ウルスラ「リトヴャク中尉が夜間哨戒から帰投したようですね」
バルクホルン「…いつも思うが、サーニャの武装は実にマッチョだな」
ウルスラ「携帯式対空ロケット砲、〝フリーガーハマー(空飛ぶ鉄槌)〝ですね」
ウルスラ「最大装填数は9発と少なく、その上予備弾薬も携行できない、取り扱いの難しい兵器ですが…」
ウルスラ「その分、1発の威力が大きく、航空歩兵が携行できる武器の中では最大級の火力を誇っています」
バルクホルン「この兵器…確か開発したのはカールスラントだったか?」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「…というか、私が作りました」
バルクホルン「…ん?何だって?」
バルクホルン「な、なんだと…?」
ウルスラ「正確には、このフリーガーハマーの前身となる、フリーガーファウスト(空飛ぶ鉄拳)の基礎設計を私が作り上げ…」
ウルスラ「そこから幾度もの改良、発展を繰り返し、現在の形に至ったのがこのフリーガーハマーです」
ウルスラ「ここまでの形にするのには、大体5年くらいかかりましたね」
バルクホルン「そ、そうだったのか…」
バルクホルン「…………」ジ~
ウルスラ「…な、何でしょうか?」
バルクホルン「…あ、いや…ちゃんとまともな兵器も開発していたんだなぁと思って…」
ウルスラ「む、む~…失礼な…」
ウルスラ「大尉は寝るとき、何も身につけないのですね」
バルクホルン「ん?カールスラントじゃそれが普通だろう?」
ウルスラ「え?」
バルクホルン「え?」
ウルスラ「……そ、そうですね……?」
バルクホルン「…お、おい…普通だよな…?」
バルクホルン「ああ…柏葉付き騎士鉄十字章が、こんなぞんざいに…!」
ウルスラ「な、なんか申し訳ありません…」
バルクホルン「い、いや…ウルスラ中尉が謝る必要はないのだが…」
ウルスラ「ちなみにこの鉄十字章は、その功績に応じて、中心の鉄十字に付属する装飾が変わってきます」
ウルスラ「以下の表に、鉄十字章の等級をまとめてみましたので、参考までにご覧ください」
《第二級鉄十字章》
解説
総受章者数は凡そ200万名以上
《第一級鉄十字章》
解説
総受章者数は凡そ30万名
《カールスラント(ドイツ)十字金章》
解説
総受章者数は凡そ25000名(十字銀章の数も含む)
―――ここからエース―――
《騎士鉄十字章》
解説
総受章者数は約7000名
―――ここからスーパーエース―――
《柏葉付き騎士鉄十字章》
解説
総受章数は国内外含めて計890名。
ちなみに柏葉以上を受章すると、皇帝(総統)から直接勲章が授与されるようになる。
―――ここからウルトラエース―――
《柏葉・剣付き騎士鉄十字章》
解説
総受章者数は陸・海・空軍、武装親衛隊含めた計160名。内1名は扶桑(日本)海軍将官が受章を受けた。
受章者一覧
ゲルトルート・バルクホルン
オティーリエ・キッテル
グンドゥラ・ラル
ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン
ヴェンデリーン・シュレーア
ミーナ ・ディートリンデ・ヴィルケ
etc
―――ここから人外―――
《ダイヤモンド柏葉・剣付き騎士鉄十字章》
解説
総受章者数は陸・海・空軍、その他武装親衛隊を含めてわずか27名。装飾には本物のダイヤモンドを使用している。
受章者一覧
エーリカ・ハルトマン
アドルフィーネ・ガランド
グレーテ・M・ゴロプ
ヘルミーナ・レント
ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ
ヴァルトラウト・ノヴォトニー
ハイデマリー・W・シュナウファー
ヴェルナー・メルダース
etc
―――ここからルーデル―――
《柏葉・黄金宝剣付き騎士鉄十字章》
解説
総受章者数は1名。円卓の騎士になぞらえ12名分用意されていたが、結局受章できたのは1名だけだった。
受章者一覧
ハンナ・U・ルーデル
―――元帥の壁―――
《大鉄十字章》
解説
総受章者数は1名。(ヘルマン・ゲーリング国家元帥)
国家元帥の為の勲章なので、一般将兵が受章することはない。
第8話「君を忘れない」
バルクホルン「な、何だか随分と精巧な人形だな…」
ウルスラ「扶桑人形と言うらしいですが、凄い技術力ですね」
バルクホルン「むぅ、人形の服をここまで作りこむとは…扶桑人はどれだけ凝り性なんだ?」
ウルスラ「ちなみに人形のモデルは、いらん子中隊でお馴染みの穴拭智子中尉です」
バルクホルン(…宮藤の人形も作ってくれたりしないだろうか…)
バルクホルン「まさか4年の時を経て、想い人のプレゼントが見つかるとはな…」
ウルスラ「見つかったことも凄いですが、それ以上に、無傷の状態で今まで残っていたことに驚きを隠せませんね」
バルクホルン「…まるで、あそこでミーナが来るのをずっと待っていたようだな」
ウルスラ「おや、大尉は詩人ですね」
バルクホルン「ちゃ、茶化すな…」
バルクホルン「それにしても、やはりミーナの歌は良いな」
ウルスラ「ええ、そうですね」
ウルスラ「この"リリーマルレーン"は、歌手のララ・アンデルセンが歌ったことで、カールスラントの兵士たちの間で流行した曲です」
ウルスラ「故郷を思う歌詞が、沢山の人から共感を呼んだようですね」
バルクホルン「故郷…か」
第9話「守りたいもの」
バルクホルン「何故だろうな、クリスを見ているとこう…胸に込み上げてくるものがないか?」
ウルスラ「えっ?」
バルクホルン「…さて、クリス分は補給できたし、次の話にいこう」
ウルスラ「あ、はい…」
第10話「信じてほしい」
ウルスラ「501は何というか…大きい方が多いですね」
バルクホルン「戦いに大きさなど関係無いがな」
ウルスラ「そ、そうですよね…別に胸の大きさなんて…」
バルクホルン「え?」
ウルスラ「え?」
バルクホルン「…身長の話ではないのか?」
ウルスラ「あ、いや…も、もちろん身長の話ですよ…?」
※ちなみに大きさ比べ
第11話「空へ…」
ウルスラ「おや、これは確かブリタニアの雷撃機〝ソードフィッシュ〝…」
ウルスラ「随分と弄ってあるようですが、これはもしや…」
バルクホルン「ああ、リベリアンの私物だ」
バルクホルン「なんでも、近隣の基地で廃棄されていた機体を、自分で動ける状態までオーバーホールしたらしい」
ウルスラ「そ、それは凄いですね…」
バルクホルン「まあ、その点に関しては素直に関心する……が」
バルクホルン「まったく、一応名目上は基地の連絡機だというのに、勝手に自分の名前まで入れるとはどういう了見だ…!?」
ウルスラ「ま、まあ…坂本少佐とクロステルマン少尉を助けた功績に免じて、ここは一つ…」
バルクホルン「うむむむ…」
ウルスラ「…あ、次のテープで最後みたいですね」
最終話「ストライクウィッチーズ」
バルクホルン「ネウロイの巣にもコアがあったとは…」
バルクホルン「もしかして、この巣自体が巨大なネウロイだったりするのか…?」
ウルスラ「ネウロイの生態は未だに謎が多いため、断定はできませんが…」
ウルスラ「その可能性が無い…とも言い切れませんね」
ウルスラ「部隊解散後、皆さんそれぞれの道を歩み始めました」
バルクホルン「砂漠でパスタを茹でるとはどういう…いや、もはや何も言うまい…」
ウルスラ「お二人がいる場所アフリカでは、現在も多くのロマーニャ軍人が駐留している様ですが…」
ウルスラ「パスタを食べる為なら、貴重な水も惜しまないとか」
バルクホルン「……そうか」
ウルスラ「バルクホルン大尉、記録映像の編集、並びに2回に渡る解説ありがとうございました」
バルクホルン「ああ、例は無用だ。仕事だからな」
ウルスラ「さて、次回の講座についてですが…おや?」
バルクホルン「ん?どうかしたか?」
ウルスラ「司令部から入電ですね、えーっと…」
ウルスラ「なになに…次回は502JFWの紹介を行い、それと同時に…」
ウルスラ「…おや、どうやらこの講座も、次回で終了のようです」
バルクホルン「ほう、そうなのか」
ウルスラ「ええ、長きに渡る解説となりましたが、お付き合いいただいた方はありがとうございました」
ウルスラ「というわけで、残すところ後1回となりますが、どうぞ最後までよろしくお願いします」
ウルスラ「ちなみに、最後のゲストはリトヴャク中尉をお招きする予定です」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」第11.5回 Q&Aストライクウィッチーズについて知りたい20のコト
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回は、小さな疑問から大きな疑問まで、様々な疑問に対して答えていこうと思います」
ウルスラ「まず最初のクエスチョンはこちら…じゃん」
Q1 パンツじゃないから恥ずかしくないのは分かったけど、じゃあサーニャが履いてるスカート?は何なんですか?あれもズボンですか?
A ベルトです。
Q2 何でミーナ中佐はあそこまで男性が近づくのを禁止しているんですか?やっぱり過去のトラウマのせいですか?
A それも多少はありますが、一番の理由としては、ウィッチは"男性とエッチすると魔法力が失われてしまう"ということが大きく関わっています。
というか、501に限らず(一部の例外を除いて)多くのウィッチ部隊は基本的に男子との接触は避けています。
Q3 ルッキーニはロマーニャ(イタリア)出身ですよね?何でリベリオン(アメリカ)の銃(M1919A6)を使って戦っているんですか?
A 昔、ルッキーニが501に来て早々銃を無くしてしまい、見かねたシャーリーが自分の装備の予備をあげたからです。
Q4 シャーロット・E・イェーガーの"E"ってなんですか?
A 「エルウィン」です。
Q5 じゃあサーニャの〝V〝はなんですか?
A 「ウラジミーロヴナ」です。
ちなみに、〝サーニャ〝というのは「アレクサンドラ」の愛称なので、
フルネームは「アレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク」となります。長い名前ですね。
Q6 じゃあペリーヌのミドルネームは…?
A 「アンリエット」です。ちなみに〝ペリーヌ〝というのは愛称で、本名は「ピエレッテ」
つまりフルネームは「ピエレッテ・アンリエット・クロステルマン」となります。一瞬誰だか分からないですね。
Q7 ストライカーのプロペラ同士って間隔近くて危ないですよね?ぶつからないんですか?
A ストライカーから発生するプロペラは〝プロペラ呪符〝と呼ばれますが、魔法力によって生成されるため実体はありません。
なので、こんなことをしても大丈夫。
Q8 芳佳ちゃんが着てる〝例のアレ〝…というかスク水、ありますよね?
前にズボン騒動があったときに「私の服」って本人が言っていたんですけど、あれって服なんですか?それともズボン?それとも…何なんですか?
A 〝水練着〝です。
扶桑海軍正式採用の万能衣服で、「ズボン」と「水着」と「服」3つの機能を兼ね備えたとっても便利な衣装です。スク水ではありません。
ちなみにその性質上、用を足すときは全裸にならなければいけないのが欠点。
Q9 扶桑のウィッチってなんかセーラー服着てる人もいるし、巫女服?っぽい衣装着てる人もいますよね?あれって何か違いがあるんですか?
A セーラー服は「海軍」、巫女服は「陸軍」に所属していることを現しています。
ちなみに陸軍では巫女服と深緑色の軍服、2種類の内どちらかの正装を(本人の好みや投入される作戦内容によって)選ぶようなので、人によってまちまちです。
Q10 坂本さんと芳佳ちゃんは同じ海軍所属なのに、なんで坂本少佐はセーラー服着ていないんですか?
A 坂本少佐が身につける白い詰襟は〝士官服(第2種軍装)〝なので、下士官(少尉以下の人)である宮藤はセーラー服…という訳です。
余談になりますが、劇場版で登場した服部静夏は階級こそ軍曹なものの、士官養成学校に通う士官候補生なので紺色の士官服を着ていました。
卒業すれば晴れて白い士官服デビューです。
Q11 ウィッチって耳が生えたり尻尾が生えたりしますけど…あれって何ですか?
A ウィッチが契約した使い魔の一部です。
契約する使い魔は人によってはウサギだったり犬だったり、猫だったりと千差万別ですが、
基本的に知能指数の高い哺乳類・もしくは鳥類と契約するようです。
Q12 じゃあ使い魔の種類によって強さに違いがあったりするんですか?
A ありません。しかし、鳥類と契約するウィッチは飛行センスに優れ、技量が高い傾向にあるようです。
Q13 そもそも使い魔ってなんですか?動物?
A 霊力を持つ動物です。どういう原理かは謎ですが、契約者とは意思疎通が出来るみたいです。
Q14 使い魔との契約ってどんな風に行われているの?
A 謎です。一説によれば、「周囲にいる(霊力の高い)動物と親しく接している内に、無意識に契約を交わしている」という話もありますが、明確な答えは未だ出ていません。
以下は使い魔と契約した際のケース一例
「朝起きたらいつの間にか契約してた」
「自分の身に命の危険が迫った際、無意識に契約した」
etc
Q15 「501メンバーの使い魔を教えてください」
A 宮藤芳佳…「柴犬」
坂本美緒…「ドーベルマン」
ミーナ…「灰色狼」
バルクホルン…「ジャーマンポインター」
エーリカ…「ダックスフント」
シャーリー…「ウサギ」
ルッキーニ…「黒豹」
サーニャ…「黒猫」
エイラ…「黒狐」
ペリーヌ…「シャトルリュー」
リーネ…「スコティッシュホールド」
Q16 魔法力を使う際、エーリカだけ獣耳が出ないで髪の先端の色が変わってますけど、あれって何か理由があるんですか?
A 彼女のウィッチとしての特殊性の表れのようですが、何がどう特殊なのかは特に判明していません。妹のウルスラも同様です。
Q17 「501メンバーのモデルになった人物を教えてください」
A① 宮藤芳佳→「武藤金義」
【総撃墜数…30機以上】通称"空の宮本武蔵"
坂井三郎とは無二の親友。坂井らエースパイロットをしても「あいつにだけは絶対敵わない」と言わしめる程の飛行センスの持ち主。
本土決戦時の出撃前、「貴方は必ず生きて帰します」と坂井に言葉を残しMIA(消息不明)となる。
坂本美緒→「坂井三郎」
【総撃墜数…60機以上】通称"大空のサムライ"
類い稀な視力の持ち主。戦時中右目に戦傷を負い、ほぼ視力を失った中でも多大な戦果を挙げた。
大戦を生き抜いた後に出した自著伝は大ベストセラーとなる。
戦時中、エンジンオイルで揚げた天ぷらを同僚に振る舞い、危うく殺しかけるというお茶目な一面も持つ。
ミーナ→「ヴォルフ・ディートリッヒ・ヴィルケ」
【総撃墜数162機】通称"フュルスト(王子)"
端整な顔立ちと貴公子然とした振る舞いから、多くの部下から厚く慕われていた。ドイツ本土防空戦にて撃墜され戦死。
エーリカ→「エーリッヒ・ハルトマン」
【総撃墜352機(人類最多)】通称"黒い悪魔"
学生時代、彼女(ウルスラ)に絡んできた悪漢をワンパンKO。ヒトラーの別荘で謁見する前に酒を煽って泥酔。
からの玄関の帽子(ヒトラーの帽子)をかぶって乱痴気騒ぎ(通称帽子事件)など、
その童顔からは想像もつかないブッとんだエピソード満載な人だが、空戦に関しては超理詰め。
大きな負傷も無く終戦を迎えるが、敗戦後は10年間もの間ソ連の強制収容所に抑留されてしまう。バルクホルンとは無二の親友。
バルクホルン→「ゲルハルト・バルクホルン」
【総撃墜数301機】(撃墜数300超えは世界でハルトマンとバルクホルンただ二人のみ)
人格者として、部隊の誰からも信頼を集める人物。ハルトマンとは原隊時代からの長い付き合い。
特に大きな負傷も無く無事に終戦を迎えたが、終戦から38年後、妻のクリストルと一緒にドライブ中交通事故を起こし、2人とも帰らぬ人となる。
亡くなる直前までハルトマンとの交流は続いていた。
A②
シャーリー→「チャールズ・エルウッド・イェーガー」
【総撃墜数12機(内1機は共同撃墜)】通称"チャック・イェーガー"
戦闘機乗りであると同時に、根っからのスピード狂。1947年、NASAの音速飛行機XS-1で人類史上初の音速突破に成功する。
ちなみに前日、訓練中に肋骨を骨折していたが、他の人に史上初を取られるのが嫌だからと内緒で音速飛行を敢行した。
自分の機体に「グラマラスグレニス」と奥さんの名前をデカデカと書く愛妻家でもある。未だ御存命。
ルッキーニ→「フランコ・ルッキーニ」
【総撃墜数26機】
寡黙且つ真面目な人柄。技量に優れ、果敢精神に満ち溢れていたものの、最期は重爆撃機の対空砲火をしこたま浴びて墜落、戦死した。
サーニャ→「リディア・ウラジミーロヴナ・リトヴャク」
【総撃墜数12機】通称〝リーリャ(白百合)〝
元の人は世にも珍しい女性パイロット。女性だけの飛行隊でエースとして活躍していた。
戦時中、ある男性パイロットと恋仲になる寸前だったが、男性は後に戦死。
哀しみに暮れたリーリャは一層戦いに身を投じ、彼の後を追うように空で命を散らせた。
エイラ→「エイノ・イルマリ・ユーティライネン」
【総撃墜数94機】通称"無傷の撃墜王"
生涯空戦において撃墜どころか直撃弾すら一度も無かったリアルチートの人。
唯一の被弾は機体のパーソナルマークを掠めた1発のみ。
兄は酒を片手にスコップと地雷で戦車を破壊しまくるリアルチート。(通称"モロッコの恐怖")つまりチート兄弟。
ソ連兵は雪とシモ・ヘイヘ、そしてユーティライネン兄弟を何よりも恐れた。
ペリーヌ→「ピエール・クロステルマン」
【総撃墜数30機程度】
終戦まで戦いきり、戦後は下院議員として政治家活動も行う。
エースには違いないのだが、自著伝『撃墜王』で「総撃墜50機以上」と豪語するなど、少々話を盛る性格だった模様。
ちなみに戦後、ルーデルと知り合い互いに行き来する程の親友となる。2006年没。
リーネ→モデル…不明
Q18 戦わないウィッチはいないんですか?
A 類稀な飛行センスを持っているにも関わらず、戦闘には参加せず従軍カメラマンとして働くウィッチもいるようです。
※画像は501JFWで専属カメラマンも務めたカルラ・ルースポリ大尉
Q19 「501以外に統合戦闘航空団っていくつあるんですか?」
A 501を含めて世界に8つ存在します。
・501JFW、通称「ストライクウィッチーズ」
担当地域…ブリタニア南方(第1期)/ロマーニャ南方、及びヴェネツィア方面(第2期)
・502JFW、通称「ブレイブウィッチーズ」
担当地域…東部戦線
・503JFW、通称「タイフーンウィッチーズ」
担当地域…ウラル方面
・504JFW、通称「アルダーウィッチーズ」
担当地域…アルプス南方のロマーニャ、及びヴェネツィア方面
・505JFW、通称「ミラージュウィッチーズ」
担当地域…カフカス山脈南方
・506JFW、通称「ノーブルウィッチーズ」
担当地域…ガリア国境
・507JFW、通称「サイレントウィッチーズ」(元いらん子中隊)
担当地域…スオムス全域
・508JFW、通称「マイティウィッチーズ」
担当地域…大西洋全域
その他:第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」、通称ストームウィッチーズ
担当地域…北アフリカ
Q20 「501メンバーは1期と2期の間、どこで何をしていたの?」
A 宮藤芳佳→家業を継ぐため扶桑の実家で勉強の日々
ペリーヌ・リーネ→ガリアで復興支援活動
坂本→扶桑の士官養成学校で教官を勤める傍ら、剣術の研鑽に励む
サーニャ・エイラ→スオムスとオラーシャを行き来して両親探しの旅
シャーリー・ルッキーニ→アフリカで放浪の旅。途中トブルクのストームウィッチーズにも合流し、隊員たちと交流する。
ミーナ・バルクホルン・エーリカ→欧州最前線カールスラントのマーストリヒト・アーヘンで任務に就く。
詳しい話は、好評発売中のコミック〝キミと繋がる空〝で見ることができます。
ウルスラ「本編で言及されていない分、使い魔に関する疑問が多かったですね」
ウルスラ「と、いったところで、今回は終了とさせていただきます…ん?」
ウルスラ「おや、まだ一つ質問が残っていましたね」
Q 「他の部隊は紹介しないの?」
A 次回の502で最後となります。
ウルスラ「さて、今度こそおしまいです」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
「なぜなにストライクウィッチーズ~」最終回 ブレイブウィッチーズ
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「今回は第502統合戦闘航空団、通称〝ブレイブウィッチーズ〝について解説を行っていきます」
ウルスラ「解説にあたり、本日もゲストの方にお越しいただきました」
ウルスラ「501JFW所属、サーニャ・V・リトヴャク中尉です」
ウルスラ「リトヴャク中尉、よろしくお願いします」
サーニャ「よ、よろしくお願いします」
ウルスラ「501JFW所属、宮藤芳佳少尉です」
ウルスラ「宮藤少尉、よろしくお願いします」
宮藤「は、はい…よろしくお願いします」
ウルスラ「おや、何だか元気がありませんね?」
宮藤「…いや、だって…」
宮藤「またこの前の…えーっと…」
宮藤「いらんこ中隊?みたいな部隊の紹介するつもりなんじゃ…」
ウルスラ「いえいえ、今回紹介する502は、いたって普通の隊員しかいませんよ」
宮藤「…ほんとかなぁ…」
サーニャ「えっと、普通じゃない隊員って…どういうこと?」
宮藤「え〝…あ、いや~…それはその…」
※第5回参照
ウルスラ「そもそもな話になりますが、お二人は502についてどの程度ご存じですか?」
宮藤「え~っと、確か私たち(501)と同じ、統合戦闘航空団ですよね」
宮藤「基地の場所は確か、スオムス…だったかなぁ?」
サーニャ「ううん、確かにスオムスにも近いけど、正確にはオラーシャよ」
宮藤「え、そうだっけ?」
ウルスラ「はい、バルト海に面した、スオムスとオラーシャ両国の国境付近、ペテルブルグにその拠点を置いています」
宮藤「サーニャちゃん、詳しいんだね」
サーニャ「うん、前に501が解散になった後、しばらくエイラと一緒にここ(502)でお世話になってたから…」
宮藤「あ、そういえばそうだったっけ…」
※TVアニメ2期 ~ 劇場版の間
ウルスラ「確か、そこを拠点に行方不明になったご両親の捜索をしていたんですよね」
サーニャ「はい、そうです」
サーニャ「結局まだ会えていませんけど、当時隊員の人たちには良くしてもらいました」
ウルスラ「では、リトヴァク中尉とエイラ中尉にとっては馴染みの深い部隊と言えますね」
ウルスラ「そもそものきっかけは、1941年…カールスラント主導で行われた一大反攻作戦、〝バルバロッサ作戦〝にあります」
ウルスラ「宮藤少尉、バルバロッサ作戦についてどの程度ご存じですか?」
宮藤「え、え~っと…」
宮藤「…すみません、全然知らないです…」
ウルスラ「おや、そうですか」
ウルスラ「では、バルバロッサ作戦が行われた背景について、スライドでまとめましたので、こちらをご覧ください」
ウルスラ「宮藤少尉、ご理解いただけましたか?」
宮藤「…えーっと、つまり…」
宮藤「元々はカールスラントの撤退作戦がきっかけで…」
宮藤「その後、都合よくペテルブルグに人が集まったから、そこを拠点に502が結成された…ってことですか?」
ウルスラ「はい、概ねその通りです」
ウルスラ「バルバロッサ作戦では、当初の目的(巣の破壊)は果たせなかったものの、ペテルブルグという重要拠点を奪還することに成功しました」
ウルスラ「ここは、オラーシャからスオムスへ侵攻してくるネウロイに対する防衛地点としても、重要な役割を担っています」
宮藤「へ~…そうだったんですかぁ」
ウルスラ「ええ、そしてもう一つ、502には他の部隊では行われていない〝ある重要な任務〝が存在します」
宮藤「じ、重要な任務…?」
宮藤「反攻…作戦…」
宮藤「…って、なんですか…?」
サーニャ「反攻作戦っていうのは、つまり、〝こっちの方からネウロイを攻めていく〝ってことよ」
宮藤「えっ、こっちの方から…?」
ウルスラ「はい、統合戦闘航空団は世界に8つありますが、その主任務は本土の防衛です」
ウルスラ「しかし、この502は、世界で唯一〝ネウロイの勢力圏に積極的に侵攻し、領土を取り返す〝という任務が与えられているのです」
宮藤「えぇ…そ、それってつまり…」
宮藤「えっと…それ、かなり危ない任務ですよね…?」
ウルスラ「はい、とても危険な任務です」
ウルスラ「正真正銘の、激戦区ですよ」
宮藤「う、うわ~…」
宮藤「ストライカーユニットがそんなに頻繁に壊れるなんて…なんか想像つかないなぁ…」
ウルスラ「それだけ、戦闘の激しい地域のようです」
サーニャ「…えっと、ストライカーが壊れるのは…」
宮藤「ん?サーニャちゃん何か言った?」
サーニャ「な、なんでもない…」
ウルスラ「さて、ここまでで502の成り立ち、そして主な任務の内容についてご説明しました」
ウルスラ「それでは、続いて隊員の紹介に入りたいと思います」
宮藤「わぁ、世界第3位…すごい人なんですねぇ」
ウルスラ「ちなみに、世界第2位はバルクホルン大尉ですよ」
宮藤「えっ、そ、そうなんですか?」
宮藤「あの、それじゃあ1位は…?」
サーニャ「ハルトマン中尉よ」
宮藤「えっ…?えーっ!?」
宮藤「は、ハルトマン中尉って、そんなにすごい人だったんですか!?」
サーニャ「う、うん…」
宮藤「は~…私って、撃墜世界1位と2位が一緒の部隊にいたんだなぁ…」
宮藤「…あれ、もしかして…501ってすごい部隊なんじゃ…?」
ウルスラ・サーニャ(…え、今更?)
ウルスラ「2人目は、部隊の戦闘隊長を務められる、アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉」
宮藤「アレクサンドラって…サーニャちゃんと名前が一緒だね」
サーニャ「うん、そうだね」
ウルスラ「オラーシャにおいて、〝アレクサンドラ〝という名前は非常にポピュラーな名前として定着しているようです」
宮藤「へ~、そうなんですかぁ」
宮藤「扶桑でいうと、〝太郎〝とか〝花子〝とか、そんな感じかな?」
サーニャ(タロー…?)
サーニャ「うん…住んでいる地域によってその辺りはまちまちになるけど…」
サーニャ「どちらかと言えば、〝サーシャ〝って呼ばれ方が多数派かも」
宮藤「へ~…」
宮藤「…ん?この苦労度ってところ…」
ウルスラ「何か気になる点でも?」
宮藤「えっと、さっきのラルさんは背骨を骨折したみたいだし、苦労したんだろうなぁって何となく分かるんですけど…」
サーニャ「…………」
宮藤(…あれ、サーニャちゃんが…すごく憐れんだ目でサーシャさんのプロフィールを見つめている…)
ウルスラ「それについては、後に紹介する〝ある隊員たち〝が大きく関係しているので、後程解説させていただきますね」
宮藤「は、はあ…?」
宮藤(…ん?っていうか、今〝たち〝って言った…?)
ウルスラ「さて、続いて紹介するのは、部隊の裏のまとめ役、エディータ・ロスマン曹長」
宮藤「…み、見えない…」
サーニャ「前にロスマン曹長が話してくれたけど、子供の頃に一度生死を彷徨うくらいの大きな病気にかかって…」
サーニャ「何とか一命は取り止めたけど、その後身体の成長が止まっちゃったんだって…」
宮藤「そ、そうだったんだ…」
宮藤(もしその病気をしなかったら、どんな風に成長してたんだろう…)
宮藤(…………)ほわんほわんほわん
宮藤(…やっぱり、大きいは正義だよね)
サーニャ(芳佳ちゃんが邪な事を考えてるような気がする…)
宮藤「わぁ、何だかカッコいい人…だけど…」
宮藤「えっと、このプロフィールを見るに、ハチャメチャそうな人ですね…」
サーニャ「うん…そうだね…」
宮藤「サーニャちゃん、何か知ってるの?」
サーニャ「えっと…その…前にハルトマン中尉から聞いた話なんだけど…」
サーニャ「原隊にいた頃、部隊に着任してきたハルトマン中尉たちの目の前で爆発炎上したとか…」
宮藤「…え?」
宮藤「え、えぇ…」
宮藤「…うーん、しかも遊び好きで、ストライカー壊しの常習犯で、それからえーっと…」
宮藤「ああもう、突っ込みどころが多すぎて頭がこんがらがってきたよぅ…」
サーニャ「…うん、よく分かる」
ウルスラ「ストライカーをよく壊すクルピンスキー中尉ですが、その分撃墜スコアも凄まじく…」
ウルスラ「素行の悪さ、本人のやる気の無ささえ除けば、本来は少佐になってもおかしくない実力の持ち主のようです」
宮藤「…んん?なんだかそんな人、前にも聞いたことあるような…」
ウルスラ「5人目は、ストライカー壊しの常習犯、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長」
宮藤「…えーっと、ちょっと待ってください」
宮藤「ストライカー壊しって…え、2人もいるんですか?」
ウルスラ「はい、そうですね」
宮藤「…………」
サーニャ「うん…ニパさんは、本当にツイてないことがよく起きて…」
サーニャ「空に出れば雷に撃たれるし、ストライカーの整備してたら、なぜかバッテリーが壊れて感電しちゃうし…」
宮藤「いや、なんで感電ばっかりしてるの…?」
宮藤「というか、そんな危ない目に会っても死ななかったんだから、寧ろツイてるんじゃ…?」
ウルスラ「それには、カタヤイネン曹長の固有魔法が関係していると言えますね」
宮藤「…えっと、どういうことですか?」
宮藤「えっ、そうなんだ」
ウルスラ「はい、しかも、回復の速さは宮藤少尉よりも上ですよ」
宮藤「す、すごーい!」
ウルスラ「…ですが、その効果は自身にしか向けられません」
宮藤「…え?」
ウルスラ「超自己回復能力。それによって、カタヤイネン曹長はいかなる大怪我もすぐさま回復できます」
ウルスラ「今まで大事故を起こしても死亡に至っていないのは、この固有魔法のおかげと言えますね」
宮藤(…不幸なんだか、幸運なんだか…)
宮藤「あ、あのー、ちょっと、ちょーっと待ってください!」
ウルスラ「はい、何でしょう」
宮藤「あの、その紹介さっき聞いたんですけど…」
ウルスラ「…………」
宮藤「まさかとは思いますけど、もう一人よくストライカーを壊す人がいる…なんてことないですよね?」
宮藤「ね、ねえ?サーニャちゃん…」
サーニャ「…………」
宮藤「え…ちょっと、サーニャちゃん…?」
宮藤「………」
宮藤「あの、ストライカーユニットって、そんなに余ってるものなんですか?」
ウルスラ「いえ、どの戦線もユニットの数が足りず、苦労しているのは一緒ですよ」
ウルスラ「例え資材が回されやすい統合戦闘航空団であっても、ストライカーは大変貴重な代物です」
宮藤「それを…この御三方はとにかく壊すんですね…」
サーニャ「東部戦線自体が戦闘の激しい地帯だってこともあるんだけど…」
サーニャ「それに加えて、この3人は戦闘スタイルがとにかく攻撃的だから…よく壊しちゃうみたい…」
宮藤「そ、そんな通称で親しまれたくないなぁ…」
ウルスラ「因みに、余談になりますが…」
ウルスラ「502は最前線という特性上、他のJFWに比べ資材だけでなく、基地スタッフの数も不足しているため…」
ウルスラ「ストライカーの整備に際して、隊員であるポクルイーシキン大尉も積極的に関わっているようです」
宮藤「…あれ、さっき言ってたサーシャさんの苦労って、つまり…」
ウルスラ「はい、そういうことです」
サーニャ「サーシャさんがエイラの固有魔法を見て、遠い目をしながら「貴女は神ですね」って言ってたわ」
宮藤「…………」
宮藤「…私、会ったことないのにサーシャさんに同情してきちゃったよ…」
ウルスラ「…さて、時間も押しているので、どんどん紹介していきましょう」
ウルスラ「7人目は、かつてリバウで戦った経験もある確かな実力の持ち主、下原定子少尉」
ウルスラ「遠くの対象物を、双眼鏡で見るように近く感じたり、夜の空をある程度見通したりする能力だそうです」
ウルスラ「例えるなら、魔眼と夜間視の中間といったところでしょうか」
宮藤「へ~!すごい魔法じゃないですか」
ウルスラ「とはいえ、万能というわけではなく」
ウルスラ「あくまで、軽い魔眼、及び夜間視能力なので、どちらもその道のエキスパートには劣る…とのことです」
ウルスラ「それでも、十分すごい能力といえますが」
宮藤「何だか、ちょっぴり親近感が湧いてきたかも」
ウルスラ「おや、では可愛いものに抱きつきたい…というところにも、シンパシーを感じますか?」
宮藤「いや、私は可愛いものじゃなくて大きい人の方が…」
サーニャ「…………」じ~
宮藤「あ、いや、えーっと…つ、次の人いきましょう!」
ウルスラ「は、はい…?えっと続きまして…」
宮藤「へー、何だか可愛らしくて普通そうな人…」
宮藤「…いや、ウルスラさん、今度は騙されませんよ」
ウルスラ「は、はい?何でしょうか?」
宮藤「普通そうに見えて、実はこの人もとんでもない人なんでしょう?」
宮藤「何ていうかその…上官に…手、手を出したりとか…」
宮藤「いやー、危ない危ない…また騙されるところだった…」
宮藤「え?」
サーニャ「というか、手を出す…?ってどういう意味?」
ウルスラ「恐らく、肉体関係を迫るということではないでsy」
宮藤「あー普通でよかった!普通なのは分かったから、次の人いきましょう!」
サーニャ「???」
ウルスラ「え、えーと…9人目は…」
< ジリリリリリリッ!!!!!!
宮藤「わっ…びっくりしたぁ…」
サーニャ「あ、これって…」
< スクランブル!観測班より、基地方面にネウロイ侵攻中との報有り
< 上がれる隊員は、直ちに全機発進せよ!
ウルスラ「…おや、どうやらお二人とも、任務のようですね」
宮藤「みたいですね…」
ウルスラ「いえ、お気になさらず。任務の方が大事ですから」
宮藤「サーニャちゃん、行こう!」
サーニャ「うん」
ガチャッ
バタンッ
ウルスラ「残りの2人は…申し訳ないことに、こちらでも資料が不足しているので大まかな説明しかできません」
ウルスラ「というのも、この2人はアニメ〝ブレイブウィッチーズ〝の放送に合わせて新たに登場する、新キャラクターだからです」
ウルスラ「この2人の新キャラクターが、どんな経緯で502へ参加することになるのか…今の段階では全く予想がつきませんね」
ウルスラ「それでは、前置きが長くなりましたが、最後の2人はまとめて紹介しましょう」
ウルスラ「9人目、そして10人目は、2人ともに扶桑人で、なんと姉妹関係でもある…」
ウルスラ「雁淵ひかり、雁淵考美姉妹です」
ウルスラ「姉妹揃って同じ部隊、しかも統合戦闘航空団に所属…となると、非常に珍しいケースとなります」
ウルスラ「現段階において、2人についての情報は限られていますが…」
ウルスラ「2人の出身は、長崎県佐世保市とされています」
ウルスラ「お二人がどんな活躍をするか、今から楽しみですね」
ウルスラ「つまり、1944年7月~1945年春ごろまでを描いたものとなっているようです」
ウルスラ「501の活動の記録と合わせて見ると、作品をより一層楽しめる…かもしれませんね」
ウルスラ「…といったところで、そろそろ本講座も終了となります」
ウルスラ「雁淵姉妹、そして502JFWの活躍については、ご自分の目で確かめてみてください」
ウルスラ「それではみなさん、ごきげんよう」
≪インターミッション≫
ウルスラ「こんにちは、ノイエ・カールスラント技術省所属、ウルスラ・ハルトマンです」
ウルスラ「全12回に渡り、長々とストライクウィッチーズに関する解説を行ってきましたが…」
ウルスラ「本講座は、あくまで〝501JFWが設立に至るまで〝を中心に解説を行ってきたため、他の戦線については殆ど触れていません」
ウルスラ「この講座の解説で、ようやく全体の10分の1くらいを紹介できた…といったところでしょうか」
ウルスラ「テレビアニメ、劇場版、OVAと様々な媒体で活躍してきた501(ストライクウィッチーズ)ですが…」
ウルスラ「その存在はあくまで、〝数多くある部隊の内の一つでしかない〝ということなんですね」
ウルスラ「そしてついに、物語は501から502へ引き継がれていきます」
ウルスラ「他の戦線について紹介できないのは残念ですが、興味がある方は、ご自分で調べてみるのも良いかと」
ウルスラ「それではこんどこそ、本当にお別れです」
ウルスラ「みなさん、ごきげんよう」
元スレ
なぜなにストライクウィッチーズ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1465832119/
なぜなにストライクウィッチーズ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1465832119/
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コメント一覧 (35)
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- 2016年10月02日 18:27
- 何故このタイトルで3!2!1!どっかーんから始まらないのか
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- 2016年10月02日 18:51
- 初めて読んだけど、もうちょっと現実に近いと思ってたっぽい
同じような歴史を歩んできたって言う割に世界設定が結構ファンタジーっぽい
もっと現実っぽい方が好きっぽい
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- 2016年10月02日 19:27
- お前ズボン あくまでズボンの状態で魔法使ってストライカーとかいうとんでも兵器使ってよくわからないネウロイという異形と戦うってファンタジーしかないわ
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- 2016年10月02日 19:49
- てっきりナデシコ20周年だからパロっていると思ったのに…
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- 2016年10月02日 20:29
- 10月5日ブレイブウィッチーズ開始!!
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- 2016年10月02日 20:29
- 扶桑海事変は官民共にかなりの死者が出たから、あんまり見たくない物語だな…防衛戦力として、一体何人のウィッチや候補生が戦死したか考えると憂鬱になる。アフリカ戦線の、ボロボロになった陸戦ウィッチ達もあれだわ…
-
- 2016年10月02日 20:41
- アニメしか見てないからよくわかんなかったけどよく作り込まれてたんだな
-
- 2016年10月02日 20:49
- やらないのか…
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- 2016年10月02日 21:24
- ブレイブ始まるから予習復習として大変良かったです。アニメしか見てないから知らない情報多いのね…
-
- 2016年10月02日 21:35
- ゴロプさんのとこなんて最悪な激戦なんだよな
-
- 2016年10月02日 22:27
- 関係者かと思うほどの力作だった
-
- 2016年10月02日 22:43
- 長いけど勉強になるな…後で読むかな
-
- 2016年10月02日 23:13
- 面白かった、関連書籍今でも手に入るかなぁ
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- 2016年10月02日 23:18
- 分厚い解説書が劇場版の特典に付いてる
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- 2016年10月02日 23:24
- クルト君は現実に頃されたんだよなぁ
出すなら頃すなよほんとにさぁ...殺伐とした世界を書きたいならウィッチの墓も没にしないとか501に戦死者出すとかしろよな
萌えアニメで豚釣りたいけどミリよりで恋愛も書きたいとかそんな無茶は通さんからな
ガルパンといいこれといい評価はしてるけど豚釣りなくせに豚裏切りな設定にはほんとがっかりしてる
がっつりしたミリモノだと売れにくいのかもしれんがそういうの書きたいなら筋は通せよ
-
- 2016年10月02日 23:26
- DVD特典の設定資料集の情報量も大概だしなぁ...
各キャラの飛行脚や武器は勿論のこと、サブキャラや整備班あげくはミヤフジが助けた猫とその母猫(!?)の名前まで決められてるし
-
- 2016年10月03日 00:01
- 大作過ぎて全部は直ぐに読めないw
中華、半島は全部沈んでモンゴルに海が出来たんじゃなかったのか
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- 2016年10月03日 02:22
- これはスバラシイ
画像もちょくちょくあって見やすかった。
お疲れ様
-
- 2016年10月03日 05:42
- ミカ・アホネン大尉がガルパンのアッサムそのままだった
原案が島田フミカネだから似たキャラが居るのはわかってたけど…
アニメしか知らないから為になったし読み応えありました
-
- 2016年10月03日 13:06
- アニメしかしらなかったからすごく勉強になった
他の部隊のも書いてほしいな
とりあえず、ブレイブウィッチーズ楽しみです
-
- 2016年10月03日 14:21
- ※19
ダージリンに瓜二つのキャラもおるで
506のロザリーっていう人
-
- 2016年10月03日 16:13
- くっせぇガル豚は黙ってろ
-
- 2016年10月03日 17:14
- いやー大作だった
ストパンってこんなに設定細かかったんやなぁ
-
- 2016年10月03日 19:49
- ※19です。
※21ありがとうございます。より深く知ることが出来そうです。
※22俺の事か?お前はストパンを知り尽くしているかも知れないが、スカイガールズの頃から薄く知ってる奴もいるんだよ!
独りよがりなコメントするなカス!!
-
- 2016年10月03日 19:56
- ガルパンおじさんが出しゃばり過ぎなのは事実
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- 2016年10月03日 20:53
- ピエレッテ・アンリエット・クロステルマンさん…なんか素敵なお名前
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- 2016年10月03日 22:07
- ※22
お前はガルパンから入った奴を豚呼ばわりしたいみたいだが、お前の方こそストパンのローライズ見てブヒブヒ言いながらシコシコしているカスにしか思えない。
ごめん間違えた、チンカス野郎だったwwwwww
-
- 2016年10月03日 23:27
- このばかたれが!!!ウィッチ達に醜い争いを見せるんじゃない!!!豚バラ同士、仲直りをするんだ!!!
-
- 2016年10月04日 19:57
- 面白かった
ブレイブ放送前に読めてよかったよ
しかし、まるで養豚場のような※欄だな
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- 2016年10月04日 20:02
- 書いたの動画作った人か?
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- 2016年10月06日 14:42
- よしせっかくだから設定使ってSSに挑戦してみるか
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- 2016年10月10日 00:10
- このSSに登場してるのは本当にあの淫獣宮藤か?
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- 2016年10月10日 07:09
- 宮藤が淫獣なのは使い魔の影響らしいしね。素の宮藤は純情なんだろう
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- 2016年11月05日 19:36
- こんなに幅広く展開してたのか…
-
- 2020年10月16日 15:21
- このSSを当時読んで初めてストライクウィッチーズに触れ、
今3期も見てるけど面白いわ
作者が誰か分からないし、もう見てないだろうけどありがとうな。