【モバマスSS】泉姉さんが添い寝するお話
同い年の友達2人と一緒に静岡を出て、東京の芸能プロダクションで毎日頑張っているらしい。
家族の僕が言うのもなんだけど、姉は整った顔立ちをしていて、おまけに頭がいい。それもすごくいい。
おかげで、弟である僕は出がらしみたいな取り柄のない人間になってしまったのかもしれないけど。
さて。そんな姉が、久しぶりに静岡に帰ってきた。お盆の時期だから、アイドル活動を休んでこっちに顔を出しに来たらしい。……なんだか、もう一人前の社会人みたいな言い方だな、なんて思った。
……うん。まあ、それは今は置いといていいや。
今この時、僕がいの一番に気にするべきことは――
「あはは……来ちゃった」
くだんの姉――泉姉さんが、両手で枕を抱えたまま、僕の部屋に入ってきていることだ。
時刻は午前0時。そろそろ寝ようかな、と考えていたところである。
こんな時間に、わざわざここに枕をもってやってきた理由。思い当たる節はひとつしかない。
「……ねえ。久しぶりに、一緒に寝ない?」
「………ねえ」
「………」
「ねえ。どうしてこっちを見ないの?」
僕の部屋のベッドは、そこそこ大きめだ。だがそれは『一人用のベッドにしては』という言葉が頭にくっつく。
つまり、二人同時に寝ると、どうしても身体が触れ合ってしまう。
互いのパジャマがこすれあうたびに、びくりとした緊張が体中をかけめぐる。こんな状態なんだから、とてもじゃないけど姉さんのほうを向くなんてできなかった。
「ねえって」
「べつに、深い理由は」
「こっち、向きなさい」
「………はい」
ちょっと強い調子で言われただけで、あっさり従ってしまう自分に呆れてしまう。
でも、うちの姉は怒らせると怖いんだ。だからしょうがない。
どきどき。
どきどき。
やっとの思いで、体の向きを180度変えることができた。
「……ふふっ。やっと顔が見られた」
そうしたら、くすりと笑う姉さんの顔が間近にあって。
僕は、思わず頬が熱くなるのを感じていた。
「どうしたの? そんなに恥ずかしがって」
「だって。最後に一緒に寝たのなんて、もう5年以上前のことだろ。だから」
「いいじゃない。姉弟なんだから」
姉弟だから。
確かに、僕もそう思う気持ちがないわけじゃない。
姉さんが、以前の姉さんのままなら、たぶん普通に受け入れられた。
だけど。
「ね?」
水色のシンプルなデザインのパジャマと、頭には水玉模様のナイトキャップ。
優しい声で、ニコリと微笑む姉さん。
その表情に……なんていうか、色気がある。
――そう、色気だ。僕の知ってる泉姉さんは、こんなに色気のある女子じゃなかった。
顔立ちはもともと整っていたけれど、それだけというか。
なのに、東京から帰ってきた姉さんは……文句なしの『美人』になっていた。
これが、アイドルなんだろうか。いわゆる、垢ぬけたってやつなのかな。
「なに」
「なんで、急に一緒に寝ようだなんて」
気になっていたことを、素直に聞いてみる。
そうしたら、姉さんはふっと笑って。
「私ね。あなたとの距離感を、測りかねていたの」
「距離感?」
「うん。いいお姉さんでいるためには、どうしたらいいのか……そういうことを、頭の中で考え込んじゃってて。理屈をこねくり回しているうちに、弟本人とのコミュニケーションがおろそかになっちゃってた」
ちょうど、僕らが一緒に寝ることがなくなった時期。そのあたりから、姉さんは僕に気を遣うようになった。
僕は生まれつき体が弱くて、学校を休むこともしばしばだった。病弱な弟に、どう接したらいいのか、姉さんなりにいろいろ考えていた……って、ことなんだと思う。
その結果、ちょっと距離を置くようになってしまって。僕もそんな姉さんを見て、スキンシップを控えるようになってしまって。
「でも、アイドルになって、たくさんのことを経験していくうちに、思ったんだ。ロジックで考えているだけじゃ、うまくいかないこともある。時には、ただ自分の気持ちに素直になることも大切だって」
「自分の気持ち? それって」
「弟のことが大事だって気持ち」
前髪を、ゆっくりと優しく撫でられる。少しくすぐったい。
「なに?」
優しい微笑みから一転、今度は照れくさそうに笑う姉さん。
「……静岡を離れて、寂しかったから」
「寂しいって……さくらさんと亜子さんがいるじゃないか」
「そうね。あの二人がいてくれたから、すごく心強かった。でも、家族と会えないことって、やっぱり結構ダメージなの」
「……だから、一緒に寝ようって?」
「……うん」
……やばい。
我が姉ながら……かわいいと思ってしまった。
姉さんは、僕への接し方がなんとなくわかったらしい。
これからは、もっと仲のいい姉弟になれるのかもしれない。そう考えると、なんだか心が温かくなる。
「ねえ、姉さん」
「なに?」
「好きな人とかいないの?」
「どうしたの? いきなり」
「いや、なんとなく気になった。僕も思春期だから」
「そっか。でも、そういう人はいないかな……親しくしている男の人なんて、家族をのぞいたらプロデューサーくらいだし」
「そのプロデューサーはどうなの?」
「プロデューサーは、プロデューサーだから。頼もしい人だけど、異性として好きになるってことはないわ」
「ふーん。そうなんだ」
「うん、そう」
小さくうなずきながら、姉さんはそう答える。
でも、その後……頼んでもいないのに、プロデューサーの話を山ほどしてくれたから。本当のところは、どうなんだろうって思った。
「姉さんが?」
「うん。楽しみにしておいてね」
「わかった」
「……そろそろ、寝たほうがいいわね」
「うん」
「おやすみ」
「おやす……あ、ちょっと待って」
「うん?」
「一個、聞いてもいい?」
「うん」
「アイドル、楽しい?」
「うん。楽しい」
「そっか。おやすみ」
「おやす……あ、待って」
「なに?」
「明日、プールに行かない?」
「プール? いいけど」
「ふふ、よかった。今度こそ、おやすみ」
「おやすみ、姉さん」
すぐそばに、温かいものを感じられて……今日は、いつも以上によく眠れそうだと思った。
おしまい
泉の弟に関してはわからない点が多いですが、こんなやりとりがあればいいなあと思って書きました
水着SRのセリフを見ている限り、今でもその気になれば一緒にプールに行けるような状態っぽいです
過去作
渋谷凛「長女」大石泉「次女」佐城雪美「四女」橘ありす「五女……じゃなくて三女」
モバP「しるぶぷれーなお隣さん」
などもよろしくお願いします
元スレ
【モバマスSS】泉姉さんが添い寝するお話
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474293646/
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コメント一覧 (17)
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- 2016年09月19日 23:49
- ふぅ、泉や未央ならなんとか大丈夫だがこれが美波なら危ないところだった。
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- 2016年09月20日 00:05
- 美優義姉さん…そんな…兄さん(P)に怒られるよ…ゥ
的な話はありませんか
楓義姉さん礼義姉さん礼子義姉さんでもいいです
若しくは泣きながら頼み込んで早苗義姉さん夏美義姉さんに…
とかでも可
-
- 2016年09月20日 00:05
- 泉とプール…
SR…
すいません先生ちょっとトイレに…
(前屈み)
-
- 2016年09月20日 01:07
- 水着SRのお尻エロ過ぎだよな
弟くんが姉物に目覚めちゃう
-
- 2016年09月20日 01:18
- ユニット結成理由らしいのにそれ以上明かされない泉弟は何者なんだろうか…
よしsideMに出してもらおう
-
- 2016年09月20日 01:19
- こんな姉がほしかった
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- 2016年09月20日 01:53
- 泉お姉ちゃんの弟として生まれたかったし美波お姉ちゃんの弟として生まれたかったし未央姉ちゃんの弟として生まれたかったしみりあお姉ちゃんの弟として生まれたかった
-
- 2016年09月20日 02:06
- ※7
つまりその4人姉妹の末弟として生まれたかったということか。
-
- 2016年09月20日 05:30
- 泉ピン子
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- 2016年09月20日 09:32
- 世界救ったら来世でアイドルの弟にしてくれるんですか!?
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- 2016年09月20日 10:42
- 弟会議「「「最近姉ちゃんが性的過ぎて辛い」」」
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- 2016年09月20日 11:29
- きっと弟は
さくら姉ちゃん、あこ姉ちゃんとも
仲良しなんだろうな~
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- 2016年09月20日 13:26
- 亜子がお金を貯めてるのは大石弟の為なんだぜ
理由は不明だが病気派と将来の進学資金派と貢いでる派がある
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- 2016年09月20日 13:44
- ※13
貢ぐ、だと青田買いに聞こえるじゃたいですかやだー
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- 2016年09月20日 17:04
- ※1
いずみんやちゃんみおではぴはぴすうぅ出来んのかお前
頭おかしいやろ
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- 2016年09月21日 19:21
- 美波の弟は世界を十回救った勇者の生まれかわりだったか?
泉の弟は…世界を何回救えばいいんだ…
とりあえず世界を救うために世界を滅ぼしかけに行くわ
-
- 2016年09月24日 19:27
- ※16
よし、なら俺は世界を滅ぼしかける貴様を止めてちゃんみおの弟に生まれ変わってやろう。