ヒーロー「正義の味方になりたくて」
警察「ちょっとお兄さんどこに向かって話してるの?まだ職務質問終わってないよ」
ヒーロー(コスプレ)「世知辛い。」
警察「冗談は格好だけにしてくれるかな?」
ヒーロー「いやいやお巡りさんも男の子なら子どもの頃に憧れたでしょ?テレビの向こうのヒーローに」
警察「ああ、格好良かったなぁ」
ヒーロー「でね、僕はその夢を実現しようと思ったんですよ」
警察「なんでその歳までその夢本気で持ってんのかなぁ」
ヒーロー「男は誰だってヒーローになれる機会を伺って生きてるものでしょう?」
警察「だからってコスプレで深夜徘徊しようと思わないかなぁ」
ヒーロー「深夜徘徊ではありません、パトロールです」
警察「それ僕の仕事だしそれで僕に捕まってりゃ世話ないよね」
ヒーロー「ごもっともで」
ヒーロー「法に囚われないヒーローのロマンを何処に置いてきたんだお巡りさん」
警察「大人の階段を上り始めた辺りにだよ」
ヒーロー「僕は一生シンデレラなんかにならなくていい」
警察「階段の前くらいには立てよ」
つづく。
子ども「ねぇオッサン、オッサンはなんで変な格好してるの?」
ヒーロー「オッサンはね、ヒーローだからだよ。あとオッサンじゃなくてヒーローだよ」
子ども「歳は?」
ヒーロー「君よりふた周りは上かな」
子ども「オッサンじゃん」
ヒーロー「ヒーローだよ」
ヒーロー「正義と秩序を守るんだよ」
子ども「どうやって?」
ヒーロー「悪と戦って」
子ども「悪って何?」
ヒーロー「……哲学だね」
子ども「オッサンが助けてくれるの?」
ヒーロー「ああなんでも言ってくれ」
子ども「明日までの宿題が終わらないんだ」
ヒーロー「…それは自分でやりたまえ」
ヒーロー「君の将来の助けになるまい」
子ども「ごもっともで」
つづく。
ヒーロー「やぁ一人で公園でどうしたんだい?」
幼女「……え…っ…?」(ぴたっ
ヒーロー「やぁやぁ、僕の顔に何か着いてるかな?」
幼女「びえーん!!怖いよー!!」
ヒーロー「怖くないだろ格好良いだろ」
ヒーロー「また会いましたねお巡りさん」
警察「はぁ…またあんたか…」
ヒーロー「世の中狭い」
警察「ごもっともで」
幼女(うるうる…
ヒーロー「声をかけただけですよ、泣いていたので」
警察「今の世の中見知らぬ子どもに声を掛けるだけで事案になるんだよ」
ヒーロー「それでも僕は泣いてる人を無視する大人でありたくない」
警察「立派だけど」
ヒーロー「…へへっ!」
警察「得意気な顔やめろ」
幼女「……ママが居なくなっちゃった…」
ヒーロー「それは大変だ、探してあげないと」
警察「あんたは黙ってろ」
ヒーロー「…で、いつまで一緒にいたのかな?」
幼女「……びえーん怖いよー!!」
ヒーロー「怖くないだろ格好良いだろ」
警察「仮面は取って話しかけろよ」
ヒーロー「アイデンティティなので」
警察「じゃあすっこんでろ」
幼女「ママー!」
ヒーロー「噂をすればお母さんか」
警察「良いタイミング」
ヒーロー「この為に人集りを作ったと言っても過言ではない」
警察「嘘をつくな」
ヒーロー「何故バレた」
警察「バレいでか」
警察「いえ保護したのはそこの彼です、そして僕は彼をしょっぴきに来ました」
ヒーロー「どうもヒーローです」
母親「ひぃ!不審者!」
ヒーロー「ヒーローですってば」
警察「不審者だろ」
ヒーロー「世知辛い。」
警察「次はしょっぴくからな」
ヒーロー「望むところだ」
警察「やめろ」
つづく。
ヒーロー「いえいえ当然の事をしたまでですよ」
警察「…何やってんの?」
ヒーロー「やぁやぁお巡りさん縁がありますね」
警察「こんな縁要らん」
ヒーロー「陸橋を渡るおばあちゃんの荷物を持っただけですよ」
おばあちゃん「助かったよぉ、アメちゃんどうだい?」
ヒーロー「いえいえ見返りなんて」
おばあちゃん「貰ってくれたらおばあちゃん嬉しいんだけどねぇ」
ヒーロー「なら頂きましょう、ありがとうございます」
おばあちゃん「いいえぇ」
ヒーロー「はい」
警察「……なんで?」
ヒーロー「ヒーローだからです」
警察「あんたがいい人なのはわかったけど」
少女「はい、兄さんはいい人なんです」
警察「うわ誰だびっくり」
少女「うん、今日の晩御飯は兄さんの好きなカレーだよ」
ヒーロー「やったぜ」
警察「あんた妹いたのか」
ヒーロー「可愛いでしょ?」
警察「美少女だけども」
少女「えへへ…///」
ヒーロー「かわいい」
警察「かわいい」
警察「俺は口リコンではない」
少女「来年で卒業です」
警察「待つよ」
ヒーロー「あげないぞ」
少女「はい、いつもこうです」
警察「大変でしょ」
少女「はい、とても」
警察「家族に迷惑かかってんぞ」
ヒーロー「やめないぞ」
警察「あんた本当に困った人だな」
少女「でもそんな兄さんが格好良くて好きです」
警察「あんたら本当に兄妹だな」
つづく。
幼女「ママー、変な人がいるー」
母親「しっ、目を合わせちゃいけません!」
悪党「今日も悪事を働いてやるぜ!」
悪党「出たなヒーロー!」
ヒーロー「お前の悪事もここまでだ!」
悪党「ククク、オレはお前みてぇな偽善者が大嫌いなんだぜぇ!」
悪党「フフフ…本当にオレに攻撃しても良いのかな…?」
ヒーロー「…どういう事だ……?」
悪党「クク…オレはまだ何も悪事を働いてねぇんだぜぇ!?」
ヒーロー「なんだと!?」
悪党「ヒャハハハハハ!これじゃあオレに手を出せまい!!」
ヒーロー「く…っ!なんたる策士……!」
悪党「ったりめぇだろ!オレはテメェみてぇな偽善者が嫌いなだけだからなぁ!一般市民に手を出す理由がねぇぜ!!」
ヒーロー「なんだと…!?なんと言う信念!」
悪党「ヒヒヒ!恐れ入ったか!」
悪党「ああ!意味がねぇからなぁ!!」
ヒーロー「くそ…っ!どうすればいいんだ…!」
悪党「ヒャハハハハ!テメェがヒーローな限り何もできねぇぜぇ!!」
悪党「あぁっ!?なんだってんだぁ!?」
ヒーロー「何も悪い事をしないなら…悪とはなんだ!?」
悪党「ヒャハハハハハ!!そいつは哲学だぜぇ!!」
ヒーロー「何て事だ!悪党が解ってないとはますます哲学でしかない!!」
警察「お前らただただ目立って迷惑だから帰れ」
つづく。
少女「あはは、でも兄さんが楽しそうでなによりです」
警察「まぁいつも楽しいんだろうなぁ」
ヒーロー「何してるんですかお巡りさんに妹よ」
警察「デート?」
少女「兄さんの話」
警察「そうだけども」
警察「こないだメアド交換した」
ヒーロー「なぜ黙ってた妹よ」
少女「お巡りさんが話しとくって」
ヒーロー「聞いてないぞ」
警察「言ってないからな」
ヒーロー「このやろう」
警察「役得役得」
警察「今日は非番」
ヒーロー「僕は毎日パトロールだというのに」
警察「それ趣味じゃん」
ヒーロー「そうですけど」
警察「休めば?」
ヒーロー「僕が休んだら誰が平和を守るんですか」
警察「この国は法治国家だ馬鹿野郎」
ヒーロー「助かるよ」(ごくごく
警察「なんで持ってるの?」
少女「頑張ってる兄さんに会ったら差し入れ出来るように常備してます」
ヒーロー「良い妹でしょ?」
警察「あんたには勿体ないな」
少女「行ってらっしゃい兄さん」
ヒーロー「行ってきます」
警察「デートが終わるまでは戻って来なくていいぞ」
ヒーロー「お巡りさん」
警察「何?」
ヒーロー「僕の大事な妹だって事をお忘れなく」
警察「あいよヒーロー」
つづく。
婦警「ですから通行人の迷惑に」
不良B「よく見たら姉ちゃん中々可愛いじゃねぇか」
婦警「ちょっ、何するんですか」
不良C「いいからちょっとこっち来いよ」
女性「誰か助けて」
不良A「ひひひ、誰も助けになんかこねぇよ」
不良B「なんだぁテメ…本当になんだテメェ」
婦警「不審者が増えた」
ヒーロー「ヒーローだよ」
不良C「変な格好しやがって」
ヒーロー「変じゃないだろ格好良いだろ」
ヒーロー「でも君が助けを求めてた」
不良A「あぁんオレらの邪魔するってのかぁ?」
ヒーロー「彼女が嫌がっている」
不良A「うるせぇこいつやっちまおうぜ」
不良B「イー!」
不良C「イー!」
ヒーロー「かかって来い」
婦警「なんか始まった」
不良A「やられたー」
ヒーロー「ざっとこんなもの」
婦警「危ない所をどうも」
ヒーロー「お怪我はありませんか?」
婦警「はい、お強いんですね」
ヒーロー「鍛えてますから」
婦警「あ、先輩」
ヒーロー「やぁやぁお巡りさんもう解決しましたよ」
警察「またあんたか」
ヒーロー「縁がありますね」
警察「こんな縁要らん」
ヒーロー「妹」
警察「やっぱ要るわ」
ヒーロー「あげないぞ」
警察「だろうね」
ヒーロー「えっへん」
警察「得意気な顔やめろ」
ヒーロー「マスクで顔見えないでしょう」
婦警「ごもっともで」
警察「わかるわ」
警察「おい待てお前も事情聴取」
ヒーロー「何処かで僕を呼ぶ声が」
警察「気の所為だ」
婦警「大丈夫です先輩、私が全部見てました」
警察「…ならいいか」
ヒーロー「ではさらば」
ヒーロー「見ての通りヒーローです」
婦警「また会えますか」
ヒーロー「助けを求めている人がいる限り僕は何処にだって現れる」
警察「格好良いけども」
ヒーロー「…へへっ!」
警察「得意気な顔やめろ」
婦警「素敵///」
警察「………は?」
つづく。
母親「家の中にまだ子どもが!」
子ども「助けてー!」
ヒーロー「任せろ!」
母親「ひぃ不審者!」
ヒーロー「ヒーローです!!」
???「ひひひ…テメェの正義はそんなモンかよぉ偽善者ぁ?」
ヒーロー「その声は!」
悪党「オレ様だぁ!!」
ヒーロー「悪党!何故ここに!?」
悪党「ククク…そんな事言って良いのかな?」<ガション
ヒーロー「そ…それは…!」
悪党「ヒャハハ!大量の消化器だぜぇ!!」
ヒーロー「何故そんな物を!」
悪党「どんな状況にも対応出来るようにオレの車には色々積んであるんだぜぇ!!」
ヒーロー「なんのつもりだ…!」
悪党「ヒヒヒ…考えてる余裕があるのかなぁ……?」
ヒーロー「やむを得まい…消化器は任せたぞ悪党!!」
悪党「ヒャハハハハハ!!言われなくてもよぉ!!」
母親「子どもー!」(だきっ
子ども「ママー!」(だきっ
母親「子どもを助けて頂いてありがとうございました御二方!」
子ども「ありがとうおっちゃん達!」
ヒーロー「どういたしまして、あとおっちゃんじゃなくてヒーローだよ」
悪党「おっちゃんじゃねぇぜ悪党だぜぇ!」
悪党「ケッ、オレに礼なんざ必要ねぇぜ、オレは偽善が嫌いで見てられねぇだけだからよぉ」
ヒーロー「…どういう事だ……?」
悪党「ニブいヤツだなぁ…偽善者の偽善を偽善で済まさせねぇだけだっつってんだぜぇ!!」
悪党「あぁ?なんだぁ?」
ヒーロー「それがお前の信念ならば、尚更悪とはなんなんだ!?」
悪党「ヒーッハハッハー!!そいつぁいよいよもって哲学だぜぇ!!」
警察「お前ら本当は仲良しだろ」
つづく。
婦警「お疲れ様です」
ヒーロー「やぁやぁ婦警さん」
婦警「『婦警』でいいです」
ヒーロー「そういう訳には」
婦警「むぅ」
ヒーロー「うん?」
婦警「でもそんな礼儀正しいあなたも素敵」
ヒーロー「んんっ?」
ヒーロー「僕に?」
婦警「はい」
ヒーロー「お仕事は?」
婦警「私もパトロール」
ヒーロー「じゃあ行きましょう」
婦警「うへへ///」
ヒーロー「平和です」
婦警「…………」
ヒーロー「…………」
婦警「……あの、」
ヒーロー「はい」
婦警「平和ですね///」
ヒーロー「そうですね」
ヒーロー「婦警さんみたいに綺麗な方となら嬉しいです」
婦警「口説かれた///」
ヒーロー「そうかもしれない」
婦警「もうお嫁に行くしか」
ヒーロー「そうでもない」
婦警「こやつ冗談だと思っておる」
婦警「知ってます」
ヒーロー「何故だ」
婦警「うへへ///」
ヒーロー「ちょっと怖い」
少女<兄さーん(手を振る
ヒーロー「妹ぉーっ」(手を振る
婦警「…むぅ」
ヒーロー「自慢の妹」
婦警「ヒーローさんはもっと素敵ですけどね///」(ぼそっ
ヒーロー「ありがとう」
婦警「聞こえるとは」
ヒーロー「せっかく褒めてくれたのに」
婦警「ニブチンか」
ヒーロー「んん?」
婦警「でもそんなあなたも素敵///」
ヒーロー「んんんっ?」
婦警「今度はご自宅にお邪魔します」
ヒーロー「ちゃんと妹を紹介しましょう」
婦警「家族に紹介来た」
ヒーロー「ニュアンスがおかしい」
婦警「先輩の彼女」
ヒーロー「違うからな」
ヒーロー「僕はあまり家にいませんが妹がいます」
婦警「さらに何故」
ヒーロー「今日と同じ」
婦警「あー」
ヒーロー「何故に」
婦警「食事に戻らなくてもパトロールが続けられます」
ヒーロー「一理ある」
婦警「そうでしょう」
ヒーロー「でもお仕事は」
婦警「私もパトロール」
ヒーロー「僕に付き合わなくても」
婦警「……付き合う///」
ヒーロー「聞いてない」
婦警「うへへ///」
つづく。
少女「悪い人なんですか?」
悪党「オレ様はワルだぜぇ!」
少女「悪い人は何をするんですか?」
悪党「それは今から考えるんだぜぇ!」
少女「少女です」
悪党「おう」
少女「はい」
悪党「………」
少女「………」
悪党「……おい、」
少女「はい」
悪党「だからなんなんだぜぇ」
少女「少女です」
悪党「その兄さんってなぁ相当なワルみてぇだなぁ」
少女「はい、とても困った人です」
悪党「会ってみてぇモンだぜ」
少女「でもとてもいい人で格好良いです」
悪党「前言撤回だぜぇ」
少女「そっくりですよ」
悪党「どの辺がだぜぇ」
少女「こうして街を歩き回って自分のする事を探してるあたりとか」
悪党「あいつとオレ以外にもそんなヤツがいるとは知らなかったぜぇ」
少女「どうしたのボク?」
子ども「風船が木に引っかかっちゃったの」
悪党「ヒャハハハハ!ざまぁねぇぜぇ!」
少女「お姉ちゃんが取って来てあげる」
悪党「おっと、テメェがそんな事する必要ねぇぜ?」
少女「えっと?」
悪党「オレが行くからテメェらは下で見てるんだなぁ!ヒーッハハッハー!!」
悪党「おじちゃんじゃなくて悪党だぜぇ!」
少女「悪い人的にはああいうのは取ってあげるものなんですか?」
悪党「ククク…家までしぃーっかりその風船を持ってるんだぜガキィ…」
子ども「うん!」
悪党「ヒャハハハハハ!!そして今度はいつ飛んで行っちまうか解らねぇ恐怖に怯えるといいぜぇ!」
子ども「ちゃんと持ってるもん!」
悪党「ハーッハッハッハー!!そうだといいなぁ!!」
少女「なんて悪い人」
少女「どうしたのお嬢ちゃん?」
女の子「あのね、タマがいなくなっちゃったの」
少女「それは大変、お姉ちゃんも探してあげる」
悪党「タマとやらの写真はねぇのかぁ?」
女の子「これがタマ」
少女「可愛いワンちゃん」
悪党「犬なのかよ」
少女「手伝ってくれるんですか?」
悪党「ククク…犬コロとよく遊んだ場所とかねぇのかぁ?」
女の子「隣町の公園、わたし隣町から引っ越して来たばかりなの」
悪党「ヒャハハハハハ!そいつはガキの足じゃ行けねぇか!!残念だったなぁ!!」
少女「私が行きます」
悪党「ヒヒヒ…オレの車の方が早ぇぜ案内しなぁ!!」
ブロローン
女の子「タマー!」
タマ「わんわん!」
悪党「ケケケケ!!犬コロが見つかっちまったなぁ!!」
少女「これで一安心です」
悪党「ヒヒヒ!帰りも乗っけてやるから犬コロも乗せなぁ!!」
ブロローン
少女「どういたしまして」
悪党「ククク…これからもその小汚ねぇ犬コロの世話で貴重な時間を使っちまうんだなぁ!!」
女の子「うん!タマを大事にするね!」
タマ「わおーん」
少女「しかし兄さんなら車に乗せようとしたところで職務質問でした」
悪党「ヒャハハハハハ!!そんなマヌケなヤツならやっぱり会ってみてぇモンだぜぇ!!」
少女「そうだったでしょうか」
悪党「ヒヒヒ…何を見てやがったんだテメェ?」
少女「あれが悪い事なら悪とはなんですか」
悪党「もうオレに聞くのが間違いだぜぇ!!」
少女「なんでしょうか」
悪党「オレはいちいち"善い事しよう"なんて考えなきゃ出来ねぇ偽善者が嫌いなんだぜ」
少女「ふむ」
悪党「だからそいつらに歯向かって生きてるオレは間違いなく悪党って事だぜぇ!!」
少女「なるほどなんて悪い人」
つづく。
<ウィーン
若者「あ、雨降ってる」
雨「しとしと」
若者「傘持ってない」
雨「しとしと」
若者「傘立てのやつ適当に持って行こう」
ヒーロー「待ちたまえ」
若者「なんか出た」
ヒーロー「ヒーローです」
若者「傘がないと困る」
ヒーロー「君が持っていけば君以外の誰かが困る」
若者「みんなやってる」
ヒーロー「だからやって良いというものでもない」
若者「濡れると困る」
ヒーロー「その点は僕も困った」
ヒーロー「その理屈は変だ」
若者「あんたの格好程じゃない」
ヒーロー「変じゃないだろ格好良いだろ」
ヒーロー「他の方法を考えれば…」
若者「うるさいバーカ」
ヒーロー「…………」
雨「しとしと」
少女「こんな所でどうしたの兄さん?」
ヒーロー「やぁやぁ妹」
少女「浮かない顔してる」
ヒーロー「僕は間違っているかな」
少女「…何があったか知らないけど、むしろ正しすぎるくらい」
ヒーロー「正しいというのは良い事なのかな」
少女「少なくとも悪い事じゃない」
少女「それは駄目なことなの?」
ヒーロー「僕はそう思ってる」
少女「そうなんだ」
ヒーロー「正しいという事は苦しくて辛い、だから強制しちゃいけない、理解されなくても当たり前」
少女「兄さんもやめたって良いんだよ」
ヒーロー「僕はそうやって自分の心に嘘を吐くのがもっと辛い」
少女「ままならないね」
ヒーロー「ままならない」
ヒーロー「そう言ってくれるから頑張れる」
少女「力になれて嬉しい」
ヒーロー「大切な家族だから」
少女「照れる///」
ヒーロー「かわいい」
少女「気分が良いから今夜は肉じゃが」
ヒーロー「大好物」
少女「知ってて言った」
ヒーロー「やったぜ」
ヒーロー「なんだい妹」
少女「私の傘入ってく?」
ヒーロー「ありがとう、僕の傘はさっきの人にあげてしまった」
少女「ふふっ、兄さんらしい」
ヒーロー「お邪魔します」
少女「邪魔なんかじゃないよ」
雨「しとしと」
つづく。
少女「いらっしゃい」
婦警「ヒーローさんは」
少女「パトロール」
婦警「あの人らしい」
少女「ごもっともで」
少女「いませんが」
婦警「えっ」
少女「だいぶ前に」
婦警「ごめんなさい、悪い事を訊きました」
少女「気にしてないので謝る事ないです」
婦警「仲良いですよね」
少女「大好きですから」
婦警「格好良いですもの」
少女「解ってらっしゃる」
婦警「うへへ///」
少女「ふふっ」
婦警「なるほど」
少女「私以外にも過保護」
婦警「私も助けられた」
少女「ちょっとやきもち」
婦警「かわいいですね」
少女「大人の余裕ですか?」
婦警「まだそんな関係では」
少女「まだという事は」
婦警「そのうちに」
少女「あげませんよ」
婦警「義姉さんと呼んで」
少女「あげないぞ」
婦警「大ファンです」
少女「でも一番のファンは私」
婦警「ふふっ」
少女「うふふ、」
婦警「望むところだ」
少女「貴女とは気が合います」
婦警「はやり義姉さんと」
少女「お友達から始めましょう」
婦警「いいでしょう」
少女「でもあげませんよ」
婦警「いただきます」
少女「ふふっ」
婦警「うへへ」
ヒーロー「妹よ」
少女「なに兄さん」
ヒーロー「僕の歯ブラシ変えてくれた?」
少女「知らないけど」
ヒーロー「新品になってるけど」
少女「……ズルいぞあの女」
ヒーロー「?」
つづく。
清く正しくまっすぐで、強く優しく逞しい
そんな正義の味方になりたくて
まずヒーローになる事にした
ヒーロー「でもヒーローと正義の味方って同じなんですかね?」
警察「俺に聞くな」
ヒーロー「いけず」
警察「理不尽だろ」
警察「語らなくていいぞ」
ヒーロー「正しいのが正義の味方、誰かを救えるのがヒーロー」
警察「語るなっちゅーに」
警察「無理だ」
ヒーロー「言い切りますね」
警察「言い切るぞ」
ヒーロー「何故に」
警察「正義は人を救わない、正義は誰かを犠牲にしてでも何か守る為にある」
ヒーロー「深そうな事言いますね」
警察「これでも昔はヒーローになりたかった」
ヒーロー「なれば良かったのに」
警察「お前みたいに?」
ヒーロー「僕みたいに」
警察「御免被る」
ヒーロー「世知辛い」
ヒーロー「それで警察」
警察「そういう事」
ヒーロー「今もヒーローに」
警察「もうなろうとは思わない」
ヒーロー「そうなんですか」
警察「そうなんだ」
警察「警察ってのはそういう組織」
ヒーロー「なら僕の憧れはお巡りさんだ」
警察「ならお前も警察になればいいんじゃないかな」
ヒーロー「法に囚われないヒーローのロマンを何処に置いてきたんだお巡りさん」
警察「その時点でもう正しくはないだろ」
ヒーロー「ごもっともで」
ヒーロー「その心は」
警察「正義の正しさは融通が利かない、そして正しいだけで人が救えないならヒーローとは程遠い」
ヒーロー「けれど正しくあろうとする心を失えばヒーローじゃない」
警察「そうとも限らん」
ヒーロー「じゃあ正しいのが正義の味方、格好良いのがヒーロー」
警察「急に緩くなったな」
ヒーロー「ダメですか」
警察「ならお前はヒーローじゃないな」
ヒーロー「何を言うんだ格好良いだろ」
ヒーロー「それでも僕は諦めたくない、だからヒーローになろうと思った」
警察「辛くて苦しいぞ」
ヒーロー「身に染みてます」
警察「中途半端じゃ許されないぞ」
ヒーロー「それでもヒーローになるって決めた」
警察「正義の味方になれないぞ」
ヒーロー「それでもできるだけ正しくいます」
警察「…やっぱり辛くて苦しいぞ」
ヒーロー「覚悟してます」
警察「それなら良いが」
ヒーロー「聞きましょう」
警察「もしヒーローと正義の味方の間で押しつぶされそうになったら、正しい事には胸を張れ」
ヒーロー「その心は」
警察「正義の正しさは守る事だけは得意なんだ、自分自身を守ってやれよ」
ヒーロー「キザな事言いますね」
警察「お前のせいだ」
ヒーロー「一度は言ってみたいセリフ」
警察「13位くらい」
ヒーロー「微妙」
警察「そんなモン」
警察「正義の味方が守る」
ヒーロー「完璧ですね」
警察「完璧だな」
ヒーロー「隙がない」
警察「お前が完璧なヒーローならな」
ヒーロー「痛いところを」
警察「元々なんの話だっけ?」
ヒーロー「僕がヒーローになった理由」
警察「そうかそれで、なんだっけ?」
ヒーロー「僕は元々、」
おしまい。
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ヒーロー「正義の味方になりたくて」
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コメント一覧 (14)
-
- 2016年09月05日 21:32
- どうしてもサムメンコを思い出すなコレ
-
- 2016年09月05日 21:46
- まぁまぁ面白かったよ
-
- 2016年09月05日 22:02
- 浪速のシューマッハを思い出すな。
あれは良いものだった
-
- 2016年09月05日 22:22
- 正義じゃねぇんだよ
せい
-
- 2016年09月05日 22:34
- ゾフィー「私も地球で活躍したい、ヒーローとして」
-
- 2016年09月05日 22:44
- 何かもう腐るほどありそう
-
- 2016年09月06日 00:50
- ババルウ星人でさえヒーローになれたんだから
お前らだってヒーローになれるよ
お前らのブルース
-
- 2016年09月06日 00:52
- もっと見たいけどサムライフラメンコがちらつく
-
- 2016年09月06日 12:37
- 少女ちゃんといちゃつきたい
-
- 2016年09月06日 12:47
- ※7ああいう回がたまーにあってそれがいい。
-
- 2016年09月06日 23:01
- おまけの中身が知りたくてーー。
-
- 2016年09月07日 00:16
- ウルトラマンババルウよかったな
-
- 2016年09月09日 18:50
- そうさきっと〜 君だぁって〜 なぁれぇぇる ヒーローに!(カッキーン!)
-
- 2016年09月20日 22:26
- 仕事をしている人なら誰もが結果として誰かを守り、救っている
働く人は皆、正義のヒーローさ