千早「765ポートレート」
千早「おかえりなさい」
雪歩「あ、千早ちゃん。ただいま」
春香「ただいま~」
真「プロデューサーと小鳥さんは?」
千早「プロデューサーは高槻さんたちの送迎で、音無さんは買い出しよ」
真「そっか」
春香「あれ? 千早ちゃんがパソコン使ってるなんて珍しいね」
真「なにしてるの?」
千早「写真を少し整理しようと思って」
雪歩「千早ちゃんが撮った写真?」
千早「ええ」
春香「すっかり写真が趣味になったみたいだね」
千早「ふふっ、そうね」
真「この『765』ってフォルダ、ボクたちの写真?」
千早「ええ、まだ整理中だけど」
春香「私たちも手伝おうか?」
真「うん、面白そうだし」
千早「そうね、お願いするわ」
雪歩「じゃあ、私お茶を淹れてくるね」
春香「わかりやすいようにファイル名も変えておいたほうがよくない?」
千早「?」
春香「あ~……私がやるから、変わってもらっていいかな」
千早「そう? よろしく」
真「じゃあ、上から確認していこうか」
春香「そうだね」
春香「……」
真「……」
千早「どうしたの、二人とも?」
真「ぐ、偶然こういうのが撮れることもあるよね」
春香「そ、そうだよね」
千早「春香らしくて、我ながらいい写真だと思うけど」
春香「あ、私のイメージこんなのなんだ」
真「あはは……。まあ、間違って流出とかしなければ」
春香「それは困るよ。せめて私だとわからなければいいけど」
千早「こういうこと?」
春香「隠すならせめて目にしようよ!」
千早「え?」
真「それもどうかと思うけど……」
春香「真、千早ちゃんを押さえておいて」
真「う、うん」
千早「なにを……」
春香「……デリート(Shift+Del)っと」
千早「な、なにするの春香!?」
春香「それはこっちのセリフだよ、千早ちゃん?」
千早「くっ……」
真「な、なんでもないよ」
雪歩「そう? はい、お茶どうぞ」
春香「ありがと、雪歩」
千早「いただきます」
真「次は?」
春香「うん、これかな」
雪歩「真ちゃんだね」
真「これはまた……」
春香「きわどいのがきたね」
千早「きわどい……って?」
春香「……ほんとに悪気ないのかな?」ヒソヒソ
真「千早だからね……」ヒソヒソ
千早「?」
雪歩「?」
千早「そう? 私としては真の魅力を表現したいと思ったんだけど」
真「え?」
雪歩「わ、私もなんとなくわかるよ」
千早「萩原さんならそう言ってくれると思ってたわ」
真「ボクの魅力?」
春香「真らしい(イケメンな)写真だとは思うけど」
真「ん?」
春香「ううん、なんでも」のヮの
千早「それだけじゃないわ。普段見せない一面……」
千早「女性としての真の魅力も写し出してみたかったの」
真「女性としての!?」
千早「おかしいかしら?」
真「そうじゃなくて、ええと……」
真「やだな、照れちゃうじゃないか。あはは///」
千早「ふふふ」
春香「……」
雪歩「……」
春香「……真ってチョロいよね」
雪歩「うん……」
雪歩「そ、そうだね」
真「あ、雪歩か。……って」
雪歩「」
春香「なんで穴の中から撮ってるの!?」
千早「臨場感があったほうがいい写真になるかなって……」
春香「なにそのムダなこだわり」
真「撮られてるの気がつかなかったの、雪歩?」
雪歩「穴掘ってるときは夢中だから……」
千早「わかるわ」
雪歩「え?」
千早「萩原さん、とてもいい表情をしてるもの」
春香「うん、アイドルとしてはアウトだけど」
雪歩「」
真「あはは……」
真「といっても、このまま放置するわけにも」
千早「なにが?」
春香「……」
真「……」
雪歩「」
春香「千早ちゃんには期待できないから、私たちが頑張ろうね!」
真「うん! ボクたちのアイドル生命はボクたちが守らないと!」
春香「雪歩もしっかりして」
雪歩「う、うん」
春香「よかった。亜美と真美は健全だね」
真「さすがに千早でも、最年少コンビに無茶なことはしないか」
雪歩「そ、それは言いすぎだよ、真ちゃん」
千早「もっと攻めたほうがいいかしら?」
春香「ダメ! おまわりさん的にアウト!」
千早「そ、そう」
雪歩「あ、やよいちゃんとかすみちゃんだね」
真「かすみちゃんたちが事務所に遊びにきたときかな?」
千早「ええ」ハァハァ
春香「……」
雪歩「ふふっ、二人とも可愛くて、見てるだけで幸せな気分になってくるね」
千早「ほんとにそうね」ハァハァ
春香「……」
真「少し不安だったけど、やよいもセーフか」
千早「どういう意味かしら? ふふっ」ハァハァ
春香「千早ちゃん、口を開く前に深呼吸しようか?」
千早「?」ハァハァ
真「ほ、ほら、深呼吸深呼吸」
春香「やよいのフォルダは……って、重っ!」
雪歩「な、何枚あるの?」
千早「ええと、たしか5900……」
真「あ~……桁が違ったかぁ」
春香「うん、わかってたけどね」
千早「あ、ごめんなさい。昨日で6000超えてたわ」
春香「ごめん、やよい。私にはどうすることもできないよ……」
真「これは? 顔が写ってないけど」
雪歩「野外のイベントみたいだけど……誰だろ?」
千早「水瀬さんよ」
春香「どんな露光で撮ってるの!?」
千早「不思議ね」
春香「一言で片づけちゃったよ」
真「補正できないほどの照り返しって……」
春香「この日は特に日差しが強かったんだよ、うん」
雪歩「それで納得するのは、伊織ちゃんに失礼だと思うよ……」
春香「こんなの伊織に見られたら大変だよ」
真「あはは、たしかに」
千早「そうね、今度からは気を付けるわ」
雪歩「……」
真「またボク?」
雪歩「と、美希ちゃんだね」
千早「ふふっ、とても微笑ましかったから撮らせてもらったわ」
真「ははっ、なんか恥ずかしいな」
雪歩「うふふ」
春香「……ん?」
真「?」
雪歩「どうしたの春香ちゃん?」
春香「不正発見!」
千早「え?」
春香「美希と真を比較して、明らかにおかしい部分があるよね?」
真「ボクと比べて?」
雪歩「たしかに美希ちゃんの……小さくなってるね」
真「ボクと比べて?」
雪歩「え、いや……」
春香「そんな都合のいい成長期はないよ!」
千早「そうかしら? だって、ほら」
三人「「あ……」」
三人「「……」」
千早「ね?」
春香「いやいや! 3cmぐらいは誤差だよ誤差!」
雪歩「それはそれでひどいと思うよ、春香ちゃん」
真「あはは……」
千早「ふふっ、きっと光の加減か角度の問題よ」
三人「「……」」
千早「……」
春香「画像処理なんて高等技術をいつの間に……」
千早「春香ったら、私がフォト●ョップなんて使えるわけないじゃない」
三人「「……」」
千早「……」
春香「そうだよね。機械音痴の千早ちゃんがフォ●ショップなんて知ってるわけないよね」
千早「そ、そうよ。ふふふ」
千早「そんなことないわ。ほら」
雪歩「ぎゃぁぁぁぁ!」
真「ゆ、雪歩! キャラ的にそれはダメだよ!」
春香「なんかいろいろ憑いてるよ!?」
千早「ええ、どんな動物にも懐かれるなんて、さすが我那覇さんね」
春香「いやいや」
真「動物霊って、ヤバいんじゃ……」
雪歩「」ガクガクブルブル
千早「霊だとしても、動物には違いないでしょ?」
真「えぇ……」
千早「我那覇さんなら大丈夫よ」
春香「響ちゃんでも、これ見たら泣くと思うよ……」
真「そうだね、なんか疲れたし」
雪歩「音無さんと律子さんで料理?」
春香「小鳥さんが律子さんに料理を教えてたときだよね」
千早「ええ」
真「二人ともエプロンが似合って羨ましいなぁ」
千早「ふふっ、律子は少しぎこちないけど」
春香「花嫁修業、みたいな?」
真「ボクたちの中で一番早く結婚しそうなのって、やっぱりあずささんかな?」
千早「意外と萩原さんとか」
雪歩「わ、私なんてありえないよ!」
アハハ ウフフ キャッキャ
春香「……」
真「やっぱり女の子はこういう話題は盛り上がるね」
千早「ふふっ、そうね」
雪歩「どうしたの、春香ちゃん?」
春香「いや、こと……」
三人「「え?」」
春香「ううん、ナンデモナイヨ……」
真「そういえば無かったね」
千早「無いわ」
雪歩「え?」
千早「無いわ」
春香「……」
真「……」
雪歩「……」
春香「一枚も?」
千早「一枚でもあったら無いとは言わないでしょ」
春香「え……うん」
千早「もちろん他意はないけど」
春香「そうなんだ……」
真「……」
雪歩「……」
千早「もちろん他意は」
春香「いや、もういいよ……」
春香「『P』……?」
千早「あ、それは……」
春香「真、お願い」
真「うん」ガシッ
千早「な、なんで羽交い絞めにされてるのかしら?」
真「なにかやましいことは?」
千早「覚えがないわ」
真「ほんとに?」
千早「……ねえ、真」
真「なに?」
千早「当たってないんだけど?」
真「……」
春香「……」
雪歩「……」
真「千早にだけは言われたくないよ!」
千早「なっ」
雪歩「と、とりあえずお茶でも飲んで落ち着いて?」
真「う、うん」
千早「いただくわ」
春香「確認してみたけど……」
雪歩「プロデューサーの写真だね」
春香「うん、おかしなところは……」
千早「もういいでしょ?」
雪歩「でもこれ、事務所じゃないよね……?」
真「プロデューサー、私服でくつろいでるし……」
雪歩「カメラにも全然目線が合ってないね」
真「撮られてるの、気付いてない?」
千早「……」
春香「これ、プロデューサーさんの自宅だよね、千早ちゃん?」
千早「プロデューサーの?」
春香「違うの?」
千早「あ……プロデューサーより私のほうがお部屋にいる時間が長いから、もう自分の部屋だと思い込んでたわ。ふふっ」
真「さらっと怖いこと言ってるし……」
雪歩「うん……」
春香「……どこに潜んでるんだか」
千早「私なら狭い隙間に入り込めるとでも言いたいの?」
春香「自分で言っちゃったよ」
───
──
─
─ No.72 すきま女 ─
その夜はとても寝苦しく、なかなか寝付けずにいた報告者の男性は、
深夜2時を過ぎたころ、部屋の片隅に何者かの気配を感じ取った。
心霊現象など信じていない彼がまず疑ったのは、生きた人間の不法侵入者だ。
恐怖を押し殺し、恐る恐る薄目で気配の正体を探ると……
家具と家具の隙間に潜むように、それはいた。
長い黒髪と整った顔立ちで、暗闇の中でも一見して少女とわかる。
知人に似ているようにも見えたが、そこまで確認することはできなかった。
彼女は、とても心霊の類とは思えないほど生々しく存在しており、息遣いすら聞こえてくるほどである。
身に覚えはないが、ストーカーの類だろうか?
いや、それはありえない。
そこは、到底常人が入り込めるような隙間ではないからだ。
立体感が狂っているかのように、その少女は薄く平らかだった。
必死に悲鳴を飲み込みながら、少女から目を離すこともできずにいると……
唐突に男性を強烈な閃光が襲った。
それは、カメラのフラッシュのような現象だったという。
そこで男性の記憶は途絶えている。
あまりに恐怖に意識を失ったか、それとも……。
真実は、男性にも誰にもわからない。
ただひとつ、B72程度であったという。
(東京都在住・Pさんの体験談より)
おわり
元スレ
千早「765ポートレート」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472901389/
千早「765ポートレート」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472901389/
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コメント一覧 (19)
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- 2016年09月03日 22:19
- スキマ妖怪かー
-
- 2016年09月03日 22:19
- サンシャイン(笑)
フルカラーが見たかったぞ!
-
- 2016年09月03日 22:25
- この人本当絵うまいなー
-
- 2016年09月03日 22:30
- ポートレートか
テレポートだと思って開いたからテレポートしつつ写真撮ってたのかと思った
-
- 2016年09月03日 22:32
- 妄想力が試されるSSかと思ったが上手い絵を随時載せてくれてビックリ
ちーちゃんは自撮りとかしないんだろうか
-
- 2016年09月03日 22:33
- いいSSだった
-
- 2016年09月03日 22:40
- 米5
いっぱい写メを送ってくるじゃないか
-
- 2016年09月03日 23:05
- 久しぶりに読みました、好きな作者なので応援してます。
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- 2016年09月03日 23:20
- ヘリポートがポートレート撮ってる!!!!!
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- 2016年09月03日 23:22
- 毎度上手だなー
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- 2016年09月03日 23:23
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絵もうまいしストーリーも組み立てれるってのが
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- 2016年09月04日 04:07
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- 2016年09月04日 09:52
- 健全と言いつつ妙に真美が性的に見えるのは気のせいでしょうか
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- 2016年09月04日 16:03
- 素晴らしかった
千早はかわいいなぁ(