提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:15:12.04 ID:FZzDF/u0O

提督「いやー鎮守府に帰るのも久しぶりだなぁ」テクテク

提督「暫く忙しかったし何より飽き気味だったからな」テクテク

提督「プロデューサー業も忙しかったししょうがないよな」テクテク

提督「近日中にイベントがあるって聞いて久しぶりにやりたくなって来てみたが」テクテク

提督「どうせすぐ終わるまでんだろうな、うちの艦娘優秀だし」テクテク



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:16:01.08 ID:FZzDF/u0O

提督「お、そろそろ着くな」テクテク

提督「あいつら元気にやってるかなぁ」テクテク


ビュオオオオオオオ


カランカラン


提督「ん、なんだこれ?ボロボロな板みたいだが」

提督「なになに……【○○鎮守府】」

提督「あれ?これって俺の鎮守府の表札だ。こんなにボロボロだったけ」

提督「まったく、表札の手入れ位ちゃんとやっとけよな。後で明石にでも頼むか」



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:16:36.39 ID:FZzDF/u0O

提督「さ、付いた着いた。久しぶりに提督業頑張るとしますか!」チラッ


ガラーン

カーカー


提督「ん、なんだこの廃墟」

提督「あー久しぶりすぎて道間違えちゃったかもしれん」

提督「ん?でもこの表札ぴったり合うな」

提督「……」

提督「まさかな!だって俺の鎮守府はいつも綺麗で小鳥のさえずりが聞こえてくるくらいだし」

提督「まあでも折角だしちょっと寄ってみるか」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:27:28.00 ID:FZzDF/u0O

―司令室―


電「ただいまなのです」バキッ

電「あ、またドアノブが壊れてしまいました。後で直さなきゃいけませんね」

電「それよりも今日も出撃してイ級を沈めてきたのです」

電「これで今日は大丈夫なのです」



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:28:30.86 ID:FZzDF/u0O

電「あ、報告書を書かないと」

電「えーと、今日はイ級を二隻沈めました。鎮守府の近くの海域にいる深海棲艦は少しずつこの鎮守府に近づいています。このままではここも……」カキカキ

電「」ブンブン

電「な、内容を間違えてしまったのです。書き直さなきゃ、ええと、今日もいい天気なのです、と」



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:29:28.26 ID:FZzDF/u0O

電「うんしょっと」ドサ

電「報告書の段ボール箱が溜まってきたのです。そろそろ書くのをやめるべきでしょうか……」

電「でもやめたら司令官さんが困ってしまうのです。やっぱり書き続けましょう」

電「あ、もうこんな時間なのです。遠征と掃除と演習とご飯の準備とやることが一杯あるのに」

メリメリ

ズドン

電「報告書の段ボールの重さに耐えられなくなって床が抜けてしまったのです……」

電「まずは掃除からしましょう」



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:35:07.59 ID:FZzDF/u0O

電「」カンカン

電「板もそろそろ尽きてきました。また拾って来なくちゃいけませんね」カンカン

電「また寝る時間が減ってしまいそうなのです」カンカン

電「できました。次は司令官さんの机を拭きましょう」



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:35:46.98 ID:FZzDF/u0O

電「」フキフキ

電「司令官さんの机はちゃんと綺麗にしないといけないのです」フキフキ

電「司令官さんはすぐ机を汚してしまうのです」フキフキ

電「だから電がちゃんと綺麗にしないといけないのです」フキフキ



10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:36:45.50 ID:FZzDF/u0O

電「ふぅ、これでいいのです」

電「今日も司令官さんの机は綺麗なのです」

電「明日も……多分綺麗なのです」

電「明後日も……その次の日も……綺麗……なのです」

電「……」

電「」グスッ

電「」グシグシ

電「弱音を吐いちゃいけないのです。電は初期艦なのです、秘書艦なのです」

電「だから……泣き言なんて……言わないのです」

電「例え司令官さんが帰って来なくても……電はここで待ち続けるのです……」



11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 11:37:31.83 ID:FZzDF/u0O

ヒラリ

電「あ、写真が落ちてしまいました」

電「もう色褪せてボロボロになっているけれど」

電「電の大事な大事な宝物なのです……」ポロポロ

電「司令官さん……電は……もう限界なのです……」ポロポロ



18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:11:38.57 ID:FZzDF/u0O

扉『』バンッ


提督「なんだこれ、ドアノブ壊れてるじゃねーか!」

電「え?」

提督「ん?」

電「え?え?」



19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:12:10.33 ID:FZzDF/u0O

提督「おお電じゃないか、久しぶりだな。こんな所で何やってんだ?」

電「司令官……さん‥…?」

提督「ははーん、さては暁達とここに遊びに来たんだな。ここは危ないから鎮守府に帰……」

電「司令官さん!」ダキッ

提督「うおっ!?急にどうした?」

電「うわあああああん!」ボロボロ

提督「幽霊でも見たのか?」

電「司令官さあああああん!」ボロボロ

提督「よしよし、もう怖くないぞー」ナデナデ

――――――――――
―――――――
―――




20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:18:23.33 ID:FZzDF/u0O

提督「そろそろ泣き止んだか?」

電「はいなのです、ごめんなさいなのです」グスッ

提督「よし、じゃあそろそろ離れて……」

電「嫌なのです」ガシッ

提督「この状態じゃ話し難いだろ」

電「もう絶対に離さないのです」

提督「しょうがないやつだ」



21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:18:51.27 ID:FZzDF/u0O

提督「それよりさっさと鎮守府に帰るぞ、こんなボロい所にいつまでもいたら危険だしな」

電「何を言ってるんですか?」

提督「だからこんな廃墟で遊ぶのはやめてもう帰るぞ。今日はカレーの日だからな、遅くなると鳳翔に怒られる」

電「……ここなのです」

提督「ん?なんだって?」

電「ここが……鎮守府なのです」

提督「はい?」

電「……」



23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:27:11.91 ID:FZzDF/u0O

提督「はっはっは、電は嘘が下手だなぁ」

電「嘘じゃないのです」

提督「ここが俺の鎮守府なわけないだろ、甲勲章に名前が書いてあるんだからここの鎮守府が誰のか位すぐに……」

提督「あれ?俺の名前が書いてあるんだけど」

電「ここは司令官さんの鎮守府なのです」

提督「……本当?」

電「なのです」コクリ

提督「ええええええええええ!?」



24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:27:50.03 ID:FZzDF/u0O

提督「嘘だろ!?この廃墟みたいなボロい所が俺の鎮守府!?」

電「電一人では掃除しきれなかったのです」

提督「他の艦娘は!?」

電「皆出ていってしまいました」

提督「第一艦隊もケッコン艦娘も全員か!?」

電「はい」コクリ

提督「のおおおおおおおおお!」ゴロゴロ

電「あ、そんなに暴れちゃ危ないのです!」

メリメリ

ズドン

提督「うわああああああ!」

電「大丈夫ですかー!」



27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:37:32.56 ID:FZzDF/u0O

提督「ちょっと現状を整理してもいいか?」

電「はいなのです」

提督「どうしてこうなったんだ?」

電「司令官さんがいなくなってから始めは金剛さんが司令官さんの代わりを務めていたのですが」

電「司令官さんがいない鎮守府の風当たりは強くていつも苦労してました」

提督「……」

電「それでもいつか帰ってくる。そう信じて皆で支え合いながら頑張ってきたのですが」

提督「……」

電「いつまでたっても帰ってくる気配がなく、段々鎮守府の雰囲気が悪くなってきました」

提督「もうやめて」



28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:38:13.20 ID:FZzDF/u0O

電「司令官さんが帰って来ない事に怒る人、自分を責める人、悲しむ人、色々いました」

提督「ごめんほんとごめん」

電「そして司令官さんは帰ってくる、帰ってこないという言い争いが続き、鎮守府は機能しなくなっていきました」

提督「」

電「そして皆さんの心身が疲弊しきった頃、大本営からこの鎮守府の全艦娘の異動命令が出ました」

提督「それでか」

電「皆さんはもう疲れ切っていて正常な判断ができなくなっていたのです。それでいなくなってしまいました」



29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:39:44.03 ID:FZzDF/u0O

提督「あれ、じゃあなんで電はここに?」

電「異動自体は特に問題なかったのですが、ここを壊すと言われてそれだけはどうしても嫌だと抵抗したのです」

提督「電……」

電「それで大本営にも見捨てられてしまって」

提督「今まですまなかったな」

電「いいのです、司令官さんがいれば他に何もいらないのです」



30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/10(水) 12:40:47.87 ID:FZzDF/u0O

電「それよりこれからどうするのです?」

提督「そうだな、ちゃっちゃとイベント終わらせようと思ったがやめだ」

提督「まずは艦娘を取り返すぞ!」

電「取り返すって、他の鎮守府に行った皆さんをですか?」

提督「ああ、ケッコン艦娘を取り戻せばなんとかなるだろ」

電「相変わらず大雑把なのです」

提督「それまで取り敢えず二人で頑張るか。改めてこれからよろしく頼むぞ、電」

電「はいなのです!いつか昔の鎮守府みたいになるように頑張るのです!」



59: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:31:58.49 ID:0+NibwpyO

提督「おーい電、そこの板取ってくれー」カンカン

電「はいなのです!」

提督「よし、できたぞ!仮の鎮守府だ」

電「傾いてるのです」

提督「気にするな」



60: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:33:18.06 ID:0+NibwpyO

電「」ガチャ

電「司令官さん!ドアノブが壊れないのです!凄いのです!」ガチャガチャ

提督「はっはっは、当然だろ?」

電「司令官さん!床が抜けないのです!嬉しいのです!」ピョンピョン

提督「本当今まですまんかった」



61: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:33:47.08 ID:0+NibwpyO

電「司令官さん、まずは誰の元へ行くのですか?」

提督「そうだな、まずはあいつからかなぁ」

電「あの人ですかぁ」

提督「あいつは五月蝿いけど強力な雷撃撃つからなぁ」

電「凄い威力なのです」



62: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:34:16.97 ID:0+NibwpyO

提督「あ、そういえばまだあれとあれとあれログインしてないや」

提督「電、ちょっと出掛けるから待っててくれ」

電「嫌なのです!」ガシッ

提督「電……」

電「もう司令官さんがどこかに行ってしまうのは嫌なのです……」ギュッ

提督「わかった。電がそう言うならここに残るさ」

電「司令官さん……」

提督「別に少し位ログインしなくても変わらんしな」

電「ありがとうなのです」

提督「気にするな。それよりあいつの所に行くぞ!」

電「はいなのです!」



63: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:53:58.37 ID:0+NibwpyO

―西鎮守府―


扉『』コンコン

大井「失礼します」ガチャ

大井「こちら今日の報告書になります」スッ

西提督「ああ、ありがとう。それにしても凄いね、またレ級沈めたんだ」

大井「運が良かっただけです」

西提督「それでも凄いよ、大井さんがここに来てから効率が凄く良くなってる。本当に感謝してるよ」



64: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:54:24.72 ID:0+NibwpyO

大井「光栄です。では私はこれで」

西提督「あ、ちょっと待って」

大井「何か?」

西提督「折角だしさ、一緒に間宮でパフェでも食べに行かない?」

大井「私はここに居させてもらうだけで十分です、そのような娯楽はいりません」

西提督「で、でもさ」

大井「失礼します」バタン

西提督「あ……」

西提督「うーん、やっぱり中々心を開いてはくれないなぁ」



65: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:55:32.33 ID:0+NibwpyO

―港―


ザザァン


大井「……」


『おい、なんで大破してんだよ!まだボス前だぞ!』

『うるさいわね!あんたの指揮が悪いんでしょうが!』

『なにおう!?俺の采配が悪いって言いたいのか!』

『当たり前でしょ!私のせいじゃないわ!』

『くそう!覚えてろよ!』ダッ


大井「……」



66: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:56:12.98 ID:0+NibwpyO

北上「やっぱりここにいた」

大井「北上さん……」

北上「やっほー。元気?」

大井「ええ、元気よ」

北上「調子はどう?」

大井「ええ、提督も優しいしこの鎮守府の皆も笑顔で迎えてくれてるし」

大井「何より北上さんと一緒に居ることができるんですもの、最高よ」ニコッ

北上「私も大井っちと一緒に生活できて楽しいよー」



67: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:56:42.66 ID:0+NibwpyO

北上「でも大井っちは凄いねー。敵に必ず雷撃当てるし被弾もしないし」

北上「まさに理想の艦娘だねぇ。昔からそうだったの?」

大井「そんな事ありませんよ。昔は何をやってもだめでお荷物でした」

北上「えー信じられないよぉ」

大井「本当ですよ。そのせいでよく提督と喧嘩して……」

大井「……」

北上「提督とよく喧嘩してたんだ?」



68: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 03:57:31.43 ID:0+NibwpyO

大井「……なんでもないです」

北上「ちなみにその提督ってどんな人なの?」

大井「知りませんあんな人」プイッ

大井「私の提督はあの人だけです」

北上「ははは、頑固だねぇ」

大井「私は用事があるので失礼します!」スタスタ

北上「あちゃー怒らせちゃった。まだこの話題は早かったね」

北上「でもそうやって怒ってる時が一番大井っちらしいんだけどねー」



69: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 04:09:24.17 ID:0+NibwpyO

―西鎮守府門―


提督「そこをなんとかお願いしますよー」ペコペコ

電「お願いなのです」

山城「駄目です。正式な手続きをした上でまた来てください」

提督「そんな時間がかかる事やってられないんですよ」

山城「では諦めてください」

提督「ちょっとでいいんで!五分でいいんで!」

山城「駄目です」



70: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 04:09:56.87 ID:0+NibwpyO

提督「電、耳を貸せ」

電「はいなのです」

提督「」ゴニョゴニョ

提督「わかったか?」

電「はいなのです」

山城「ふぅ、変な事はしないで欲しいわ」

提督「」スー

提督「ここにレズがいるぞー!」

山城「!?」



72: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 04:19:49.86 ID:0+NibwpyO

山城「!?」

提督「姉妹艦の私物を勝手に盗んだりしてるぞー!」

電「それは酷いのです!」

山城「何言ってるのあんた達!」


ザワザワ

エ、ナニ……レズガイルッテ?

ウソデショ?

ソレハマズイナ

山城「ああ……」オロオロ



73: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 04:20:45.61 ID:0+NibwpyO

提督「山城は凄いぞー!あんなことやこんなことまでしてるぞー!」

ソ、ソンナ……

アノヤマシロサンガ……

山城「わかった!通すから黙りなさい!」

扶桑「山城……私の私物を盗んでたの?」

山城「お姉様!?」

扶桑「最近よく物がなくなると思ってたけどもしかして」

山城「違うんです!私は盗んだりなんてしてません!本当です!」アタフタ

提督「今だ電、走れ!」ダッ

電「はいなのです!」ダッ

山城「あっ!待ちなさい!」

扶桑「じゃああの時の事なんかも……」

山城「だから違うんですってばああああああ!」



75: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/11(木) 04:31:07.84 ID:0+NibwpyO

ウウウーーーウウウーーー


『鎮守府に何者かが侵入しました。見つけ次第直ちに拘束してください』


大井「侵入者?珍しいわね」

天龍「鎮守府に侵入とは中々肝の座った奴じゃねーか」

大井「どうせ猫とかでしょ。こんな所に侵入する馬鹿なんているわけないじゃない」

天龍「それもそうか。わざわざ死にに行くようなもんだしな!」ハハ

大井「……」

天龍「どうした?」

大井「いえ、なんでもないわ」

天龍「そうか、じゃあ俺は侵入者探しでもするか。じゃあな」ダッ

大井「……」

大井「こんな馬鹿なこと、あいつならやりかねないわね……」



98: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:14:49.90 ID:Fqv95JC5O

龍田「侵入者はどこかしら~」

那珂「那珂ちゃんをアイドルにしてくれる人がきたって本当!?」

提督「くそっ、きりがねえな」ハァハァ

電「なのです」ハァハァ

提督「もういっそ捕まるなんてどうだろう」

電「いいんですか?」



99: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:16:41.92 ID:Fqv95JC5O

提督「だってこの鎮守府に入った時点で目的は達成してるわけだしな、一旦捕まって大井と話す機会をもらえばいいだろ」

電「多分捕まったら大井さんと話す機会はないと思うのです」

提督「なんでだ?」

電「あれを見るのです」

提督「ん?」チラッ

山城「許さない……絶対に許さない……」コシューコシュー

最上「山城さん、流石に鎮守府内で艤装を展開させるのは駄目だよ!」

山城「よくも変な噂を流してくれたわね……塵も残らないと思いなさい……」コシューコシュー

最上「残さなきゃ駄目だよ!?生け捕りにしなきゃいけないって言われてるじゃん!」

提督「……」

電「……」



100: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:17:39.87 ID:Fqv95JC5O

山城「あそこの物陰からあいつの気配がするっ!」ギロッ

提督「あいつ索敵能力おかしいだろ!?」

山城「見ぃつけたぁ!」ニヤリ

最上「侵入者さん逃げて!今の山城さんは正気じゃないよ!」

提督「逃げるぞ電!」ダッ

電「はいなのです!」ダッ



101: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:20:18.12 ID:Fqv95JC5O

山城「待ああああああああてえええええええええ!」ドンドン

提督「誰が待つかあああああああああああ!」ダダダダ

電「司令官さん、分かれ道なのです!」

提督「よし、左に曲がるぞ!」

電「なのです!」クルッ

提督「ん?」ピタッ

電「行き止まりですね……」

提督「なん……だと……」



102: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:20:50.26 ID:Fqv95JC5O

山城「どおおこおおおだああああ」コシューコシュー

提督「やばい!」

電「このままじゃ司令官さんが塵になってしまうのです!」

提督「多分お前もだぞ!?」

提督「しかしどうすれば……」

ザッ

北上「山城っち、変な奴あっちに行ったってさ」

山城「なんですって!?今行くわ!」コシューコシュー

北上「頑張ってねー」

ダダダダダ

提督「へ?」

電「え?」



103: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:21:41.07 ID:Fqv95JC5O

北上「さ、もう大丈夫だよ侵入者さん」

提督「お前は……」

北上「ん?このスーパー北上様を知らないのかな?」

提督「いや、知ってる。うちにもいるし」

電「それよりどうして助けてくれたんですか?」

北上「んーなんとなくかなー」

北上「それにこういう非日常って好きなんだよねー」

提督「変わった奴だな」

北上「部屋に連れてってあげるから面白い話聞かせてよ」

提督「嫌だと言ったら?」

北上「提督に突き出すしかないかなー」

提督「俺に選択権無いじゃねーか」

北上「まーまーそう固いこと言わずに」

提督「わかったよ」

電「なのです」



105: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:22:17.64 ID:Fqv95JC5O

-北上の部屋-


提督「どうやら罠って訳じゃないようだな」

北上「そんなことする訳ないじゃん」

電「私達の鎮守府とあまり変わらない部屋ですね」

北上「へーそうなんだ」

提督「ここの相部屋の奴には言わなくていいのか?」

北上「いいのいいの、相部屋の人はいっつもどこかに行ってるからね」

電「仲が悪いのですか?」

北上「そういう訳じゃないよー。ただ中々心を開いてくれないだけ」

提督「相部屋なのに心を開かないとか相当気難しい奴だな」

北上「そーなんだよねー」



106: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:23:12.31 ID:Fqv95JC5O

提督「うちにも一人うるさいやつがいてな、いっつも苦労してたわ」

北上「どこにでもいるんだねー」

提督「全くだ」

電「なのです」

北上「それよりどうしてここに来たの?」

提督「ちょっとある艦娘に会いたくてな」

北上「それなら普通に手続きして会えばいいじゃん」

提督「それが色々あってな」

北上「それでどんな艦娘に会いにきたの?」

提督「電と同じくらい長い間いる艦娘でな、さっき言ってたうるさい奴だ」

電「よく司令官さんと喧嘩してましたもんね」



107: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:24:01.44 ID:Fqv95JC5O

提督「そいつは何かあるとすぐに俺の采配のせいにするんだぞ、私が大破したのはあんたのせいだ!って」

電「いっつも電が止めていたのです」

北上「あーきついねー」

提督「まあだから俺も必死で戦術とか覚えたんだけどな」

北上「じゃあその艦娘に感謝しないといけないねー」

提督「いやいや、俺は愛宕とかに優しく手取り足取り教えてほしかったね」



108: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/12(金) 13:24:41.88 ID:Fqv95JC5O

提督「いいや、あれには優しさなんてこれっぽっちもなかったな」

北上「どんな感じだったの?」

提督「まさに鬼だね。こんな感じで俺を睨んで士官学校からやり直してきなさいとか言うんだぜ」

北上「それはきついねー」

提督「だろー」

電「し、司令官さん……」

提督「なんだ?」

電「あ、あれ……」

大井「………」ゴゴゴゴゴ

提督「」



121: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:45:17.20 ID:4T5suGBkO

北上「あ、大井っちおかえりー」

大井「何をしてるの北上さん?」

北上「今侵入者さんと話をしてたんだよー。大丈夫、悪い人じゃないみたいだから」

大井「へぇ、おもしろそうだから私も混ぜてもらってもいいかしら?」

提督「い、いえ。私は用事があるのでこれで……」

大井「座りなさい」

提督「はい」



122: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:45:46.63 ID:4T5suGBkO

大井「何しにここへ来たんですか?」

北上「なんでもある艦娘を探してるんだってさー」

大井「そうなんですかぁ。その人についてもっと教えてもらってもいいですかぁ?」

提督「とても……美しくて……凛々しい方です」

電「なのです……なのです……」

北上「あれ?さっきはうるさくてしょうがない奴だって言ってたじゃん」

大井「へぇ~」ピキピキ



123: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:46:18.87 ID:4T5suGBkO

大井「他には?」

提督「そ、そして私が道を間違えた時には厳しく叱ってくれる優しい方です」

電「なのです……なのです……」

北上「こんな顔して士官学校からやり直してきなさいって言うんだってさー」

提督「北上さん頼むからもうやめて!」

大井「そうなんですか~」ジャキン



124: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:47:11.57 ID:4T5suGBkO

北上「あれ、どしたの大井っち。艤装なんか展開して」

提督「やばい、逃げるぞ電!」

大井「遅い!」ドン


ドゴォン


提督「けほっけほっ」

電「だ、大丈夫ですか司令官さん?」

提督「電、お前俺を庇って……」

電「電は中破だから大丈夫なのです」



125: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:48:01.07 ID:4T5suGBkO

大井「なんでそんな奴の事庇うのよ」

電「司令官さんが傷つくのは見たくないのです」

大井「こいつはもう提督じゃないわ!ただの屑よ!」

天龍「おい、何やってんだ大井!よせ!」ダッ

北上「」スッ

天龍「どうした北上?何故止めやがんだ!」

北上「もう少しだけ待ってあげて。これは私達が突っ込んでいい問題じゃないから」

天龍「何言ってんだお前!このままじゃ」

北上「頼むよ」

天龍「くそっ、どうなっても知らねえぞ」

北上「その時は、その時かな……」



126: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:48:32.56 ID:4T5suGBkO

大井「こいつは何も言わずに急に私達を見捨てていなくなったのよ!」

大井「そのせいで皆がどれだけ苦労したかわかってるの!」

電「それでも……戻ってきてくれたのです」

電「時間はかかっちゃったけど……司令官さんは私達の元に戻ってきてくれたのです」

提督「電……」

大井「戻ってきたからなんだって言うのよ!へらへらしながら悪びれもなく戻ってくるくらいなら戻ってこない方が良かったわよ!」

提督「……すまない」

大井「今更謝って済む訳ないじゃない!」バキッ

提督「ぐふっ!」



127: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:49:09.83 ID:4T5suGBkO

大井「貴方が居なくなってから他の艦娘がどれだけ心配したかわからないの!」バキッ

提督「がはっ!」

電「やめるのです!」ダッ

提督「来るな電!」

電「え……?」

提督「来るんじゃない!」

電「司令官さん……」



128: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:49:40.33 ID:4T5suGBkO

大井「皆ずっと待ってたのよ!辛くても、苦しくてもいつかきっと帰ってくるって!」ドカッ

提督「ぐっ!」

大井「他の鎮守府の娘に提督に見捨てられた鎮守府って馬鹿にされても!」

大井「他所の提督にお前らの提督はもう帰ってくることはないって言われても!」

大井「ずっと堪えて待ってたのよ!」

提督「……」



129: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:50:10.65 ID:4T5suGBkO

大井「駆逐艦の娘なんてずっと寂しそうだった!」

大井「空母や戦艦の人たちは無理して笑って、陰で泣いてた!」

大井「それもこれも全部貴方のせいよ!」ドカッバキッ

提督「がはっ!」

提督「(……ずっと一緒に居たからわかる)」

提督「(これは全部……皆じゃなくて大井、お前の事なんだろう?)」

提督「(ずっと……溜め込んでたんだな……)」



130: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:51:06.47 ID:4T5suGBkO

大井「私だって何度も指輪を捨てようとしたわよ!」

大井「ここで新しい道を歩もうと思ったわよ!」

大井「でもどうしてもできなかった!」

大井「だって……だって……」ポロポロ

大井「どこの鎮守府に行こうとも……誰が提督になっても……」ポロポロ

大井「私の鎮守府はあそこだけで……私にとっての提督は……貴方だけなんですもの……」ポロポロ

提督「大井……」

大井「今まで……どこ行ってたのよ……」ギュッ

提督「……すまん」

大井「馬鹿……」



133: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 18:59:27.30 ID:4T5suGBkO

-----------------
-----------
------
---
-



-司令室-


西提督「」カキカキ

北上「」カキカキ

扉『』コンコン

提督「失礼します」ガチャ

北上「お、起きたみたいだねー」

西提督「気分はどうですか?」

提督「ええ、おかげで大分楽になりました。ここに泊まってしまって申し訳ない」

西提督「いえいえ、いいんですよ。そちらの方が階級は上ですし」

提督「昔の話ですよ」

西提督「それでもですよ」



134: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 19:00:11.21 ID:4T5suGBkO

提督「そうですか……それで、一つご相談が」

西提督「大井さんの件ですか?」

提督「ええ。誠に身勝手ですが、どうか大井をまたうちに異動させてください!」

西提督「ええ、いいですよ」

提督「へ?」

西提督「ん?」

提督「いいんですか?そんなにあっさり決めて」

西提督「確かに大井さんはかなり優秀な艦娘でできればずっとうちに居てほしいです」

西提督「ですが私は艦娘の意見を尊重したいのです」



135: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 19:00:37.33 ID:4T5suGBkO

提督「……大井が何か言ったんですか?」

西提督「いいえ、大井さんは何も言ってません」

提督「じゃあなんで」

西提督「口では何も言わなくても態度でわかりますよ。誰と一緒に居るのがいいのかくらい」

西提督「それに昨日の事もありますしね」

提督「……」

西提督「大井さんと電さんには門の前にいるのでいってあげてください」

提督「……ありがとうございます」

西提督「……もう艦娘に寂しい思いをさせないでくださいね」

提督「はい」ギリッ



136: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 19:01:08.86 ID:4T5suGBkO

-門-

大井「おっそいわね、もう二人だけで帰ってもいいんじゃないかしら?」

電「それはだめなのです」

提督「おーい、待った?」

電「あ、司令官さんがきたのです!」

提督「そろそろ帰るけど大井、本当に俺なんかのところに来ていいのか?」

大井「どの道こんな騒ぎを起こしといてここにはいられないわ」

大井「提督のせいでここにいられなくなったんですから責任とってくださいね」

提督「じゃあ帰るか!」

大井「ええ」

電「なのです!」



137: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/13(土) 19:04:18.85 ID:4T5suGBkO

北上「……行っちゃったねー」

西提督「ああ」

北上「態々こんな騒ぎを起こしてまで自分の艦娘取り返しにくるならなんで暫くいなくなっちゃったんだろうね」

西提督「人の心は移ろうものなんだよ。良くも悪くもね」

北上「ふーん。それにしても大井っちいい顔してるねー」

西提督「ああ、彼女の居場所はここではなく彼の元なんだろうね」

北上「でもあの提督これから他の艦娘も取り戻しにいくんでしょ?凄いねー」

西提督「本当に取り戻しせるかな?」

北上「え、なんで?」

西提督「あの人は今回の事で自分のやったことの重さをはっきりと自覚したと思う」

西提督「ここから先艦娘の恨みや憎しみを全部背負いながらそれでも取り戻したいと思えるかな」

北上「苦しいねぇ」

西提督「……ところでさ、山城が『私はノーマルです!』っていうプラカードを掲げて鎮守府を走り回ってるんだけどどうしてかわかるかい?」

北上「……さーなんでだろうねぇ?」



225: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:07:01.50 ID:Q0tkcMxKO

大井「で、これは何かしら?」ピキピキ

電「鎮守府なのです」

大井「どう見てもただのボロいプレハブ小屋にしか見えないんですけど」ピキピキ

電「そんなことないのです、素晴らしいところなのです」

電「見てください、ドアを開いても壊れたりしないし床も腐ってないのです!ダンボール三個も積めるのですよ!」キラキラ

大井「……」

提督「……」

大井「……提督ぅ?」

提督「知らんっ!」ダッ

大井「待ちなさい!」ガッ

提督「ぐえっ!」

大井「貴方今まで電にどんな生活させてたのよ!こんな子じゃなかったでしょ!」ゲシゲシ

提督「悪気はなかったんだ!」



226: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:07:45.80 ID:Q0tkcMxKO

大井「まあいいわ、今更ですもの」

大井「ところで貴女、なんでそんな廃材持ってるよ」

電「あ、いつもの癖で持ってきてしまったのです」

大井「……」(無言で板を取り上げる)

電「?」

大井「電になんてこと覚えさせるのよ!」ドゴン!

提督「ごめんなさいっ!」ゴハッ!

電「ああっ!板が!」



227: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:08:30.40 ID:Q0tkcMxKO

提督「でもなんか懐かしいな、一番初めに戻った気分だ」

電「初めは三人で生活してましたもんね」

提督「ああ、家具もダンボールだけだったしな」ハハ

大井「指揮官の能力も低かったものね」

提督「余計なお世話だ」



228: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:09:09.82 ID:Q0tkcMxKO

大井「それより今度は誰を迎えに行くのよ?」

提督「そうだなぁ、次は暁でも迎えにいくかぁ」

電「暁ちゃんに会えるのです!」

大井「あら、てっきり戦艦や空母を迎えに行くと思ったけど」

提督「そうしようかとも思ったけどな、あいつはまだ子供だから心配でな」

大井「まあわからなくもないわね」

提督「ああ、だから早く迎えに行ってやらないとな」



229: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:10:08.05 ID:Q0tkcMxKO

大井「そう、じゃあさっさと行って戻ってきなさい」

電「大井さんは行かないのですか?」

大井「行こうと思ったけどこの鎮守府をほっとく訳にもいかないじゃない」

大井「だから私は残ってここを綺麗にするわ」

提督「お前って意外とできる女だよな」

大井「意外と……?」ジャキン

提督「冗談だからその艤装をしまってください」



230: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:10:54.90 ID:Q0tkcMxKO

大井「全く、わかったらさっさと連れて帰ってきなさいな!」

提督「大井、帰ったらシチュー食いたいから作っといてくれ」

電「楽しみなのです」

大井「嫌よ、そんな余裕ないわ」

提督「それもそうか、残念だ。じゃあ行ってくる!行くぞ電!」ダッ

電「なのです!」

大井「行ってらっしゃい」





大井「……クリームシチューの材料、ここにあったかしら」



231: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:24:23.77 ID:Q0tkcMxKO

−東鎮守府門−


神通「何か御用ですか?」

提督「ええ、東提督さんに招待されまして」

神通「ああそうでしたか、提督はあちらの建物にいますので」

提督「どうも」ペコ

電「なのです」ペコ



神通「それにしても他の提督を呼ぶなんて提督言ってたかしら……?」



234: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:47:59.10 ID:Q0tkcMxKO

提督「なんとか潜入できたな」フゥ

電「バレたらきっと大変な事になるのです」

提督「なんとかなるだろ、多分」

電「司令官さんらしいのです」

提督「それより暁はどこだ?」キョロキョロ

電「いないのです」キョロキョロ

暁「」テクテク

提督「お、いた。おーい、あかつ……」

吹雪「暁ちゃーん」タッタッ

夕立「ぽーい」タッタッ



235: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:48:49.11 ID:Q0tkcMxKO

提督「まずい、隠れるぞ!」

電「はいなのです!」

暁「ん?何かしら?」

吹雪「この前の出撃はありがとう!」

暁「ああ、それなら別にお礼なんて言わなくてもいいわよ」

夕立「暁ちゃんすっごく強いっぽい!お陰で誰も負傷しなかったっぽい!」

暁「私のお陰なんかじゃないわよ」

吹雪「そんなことないよ!暁ちゃんが沢山敵を沈めてくれたからだよ!とっても格好良かったんだから!」

暁「当然じゃない、レディですもの!」エッヘン

提督「……」

電「……」



237: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:58:18.36 ID:Q0tkcMxKO

夕立「ところでこれから間宮さんのパフェ食べに行くんだけど一緒に行きましょ」

暁「え、いいの?」

吹雪「うん、だって私達友達でしょ!」

暁「なんだか恥ずかしいわね」

夕立「早く行くっぽい!」

吹雪「さ、行こ」

暁「ええ」



238: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 03:59:30.85 ID:Q0tkcMxKO

提督「……」

電「司令官さん、声をかけなくて良かったのですか?」

提督「……帰るか」

電「な、なんでですか!?」

提督「お前も暁の楽しそうな顔を見たろ?」

提督「今更俺の鎮守府に帰るよりここで過ごした方があいつにとってもいいはずだ」

電「で、ですが……」

提督「それに大井と会った時だってあいつ俺を恨んでた」

提督「暁もきっと俺の事を恨んでるさ」

電「そんなことはないのです!」

提督「だけどな……」

トントン

提督「ん?なんだ?」クルッ

神通「みぃつけた」ニコッ

提督「」

電「」



240: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/19(金) 04:00:43.23 ID:Q0tkcMxKO

−暁の部屋−


暁「ふぅ、演習疲れたわ」ポスッ

暁「強いとか格好いいって言われるのは嬉しいけど慣れないものね」

暁「……」


『はっはっは、暁はいつまでたっても子供だなぁ』

『そ、そんなことないしっ!ちゃんと成長してるんだから!』

『強がるなって、背伸びしたっていい事ないぞ?』

『背伸びなんかしてないもん!立派なレディですもの!』

『そうかそうか』ナデナデ

『もー!頭を撫でるなー!』プンスカ


暁「……もっと強くなれば、司令官……迎えにきてくれるかな……」ギュッ



277: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:05:40.89 ID:JyJawAA5O

-司令室-

東提督「で、なんでこんな事したんだ?」

提督「いや……その……」

電「ごめんなさいなのです」

鳳翔「困った人ですねぇ」

東提督「神通が疑わなかったら今頃何をされていたか」

提督「ちょっと艦娘の様子を見に来ただけなんですよ、本当です」

東提督「様子って誰のだ?」

提督「それは……」



278: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:07:43.57 ID:JyJawAA5O

鳳翔「思い出しました。提督、この人確か……」

東提督「ああ、貴方が鎮守府を放置して逃げた提督でしたか」

提督「……」

東提督「今更何をしにきたかと思えば異動した自分の艦娘を取り返しにでも来たんですか?」

提督「そのつもりだったんだけどやっぱり止めることにしました」

提督「ここで他の艦娘と楽しそうに話してる暁を見て思ったんです。きっと暁は私の事なんか忘れてここで頑張っているんだって」

提督「今更私が彼女の元へ行っても嫌な記憶を思い出させるだけだって」

電「司令官さん……」



279: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:08:33.45 ID:JyJawAA5O

東提督「わかってるじゃないですか。暁はここの大事な戦力です、そうやすやすと返す訳ないでしょう」

東提督「ただでさえ最近深海棲艦の被害が増えてきていて人手が欲しい時なのに」

東提督「それに返したってきっと貴方はまた彼女たちを見捨ててどこかに行くんでしょう?」

提督「!」ズキッ



280: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:09:16.04 ID:JyJawAA5O

電「そんなことはないのです!」

東提督「何故そう言い切れる?この人は一度逃げ出したんだぞ?」

東提督「どうせ今回帰ってきたのも偶然でまたすぐいなくなるに決まってる」

東提督「そんな奴の元で働かされる位なら私の鎮守府に居た方が暁の為だ」

提督「……」

電「それは違うのです!」

電「居なくなったのにはきっと司令官さんなりの理由があるはずなのです!」

提督「電……」

電「それに司令官さんはもういなくなったりしないのです!そうですよね、司令官さん!」

提督「それは……」



281: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:09:58.03 ID:JyJawAA5O

東提督「ほら、即答できない」

提督「……」

東提督「そんないつ居なくなるかもわからない人間についていきたい艦娘なんていませんよ」

東提督「それに艦娘だって会いたくないでしょう、自分を見捨てた人間になんて」

鳳翔「提督、それ以上は」

東提督「ああ、すまん。少し言い過ぎたかな」

提督「……」

東提督「兎に角貴方に返す艦娘はありません。もう帰ってください」



286: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:23:25.04 ID:JyJawAA5O

-鎮守府門-

電「……」トボトボ

提督「……」トボトボ

電「……司令官さん」

提督「なんだ?」

電「もし全員集まったら……また……居なくなってしまうのですか?」

提督「……」

電「また……司令官さんがいない鎮守府で……帰りを待ち続けるのですか?」

提督「……」

電「電は……そんなの嫌なのです……」グスッ

提督「電……」



287: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:24:49.81 ID:JyJawAA5O

鳳翔「あの……」

提督「ん?」

鳳翔「ここまで来て何もせずに帰るのもあれですから暁さんの様子をもう少し見ていきませんか?」

提督「え、いいんですか?」

鳳翔「ええ、それ位なら提督も許してくれるでしょう」

提督「(そうだな、暁の元気な姿をもう一度だけ見て帰ろう)」

提督「はい、お願いします」ペコッ



289: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:26:49.29 ID:JyJawAA5O

-演習場-

吹雪「やあ!」」ドン

夕立「ぽい!」ドン

吹雪「凄いよ夕立ちゃん、的が粉々だよ!」

夕立「夕立は性能がいいっぽい!」エッヘン

吹雪「いいなぁ、私も夕立ちゃんみたいに高火力だったらなぁ」



290: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:27:36.49 ID:JyJawAA5O

暁「やー!」ドンドン

ドゴン

吹雪「す、凄い……」

夕立「完璧っぽい……」



鳳翔「今は自主訓練をしているみたいですね、いい心がけです」

提督「……」

電「調子が良さそうなのです」

鳳翔「こんなに遠くでいいんですか?ここじゃ声も聞こえないでしょう」

提督「ええ、あんまり近づきすぎると見つかるかもしれないんで」

鳳翔「そうですか」



291: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:28:16.74 ID:JyJawAA5O

吹雪「暁ちゃんはどうしてこんなに強いの?」

夕立「夕立も気になるっぽい」

暁「どうしてって言われてもねぇ。毎日頑張って訓練するしかないわ」

暁「それに大事なのは性能なんかじゃない、愛があれば強くなる」

暁「司令官はよくそう言ってたわ」



292: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:28:52.15 ID:JyJawAA5O

夕立「ぽい?」

吹雪「愛だよ夕立ちゃん。でも変わった人だね、性能なんて関係ないなんて」

暁「そうね、いっつも私の事子供扱いしてたわ」

吹雪「私達から見たら全然子供には見えないよ」

暁「そう?」

夕立「そうっぽい!」

暁「ふふ、ありがと」



293: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/22(月) 02:29:24.50 ID:JyJawAA5O

提督「もう行くか」

電「本当にいいんですか?」

提督「……ああ」

鳳翔「そうですか、では門まで送りま……」


ウウウーーーーウウウーーーー


鳳翔「!」

『深海棲艦が接近しています、直ちに迎撃してください』

提督「嘘だろ、深海棲艦が攻めてくるわけ……」

鳳翔「最近深海棲艦の動きが活発になっているんです。申し訳ありませんが私はこれで」ダッ

提督「電、俺たちも手伝うぞ!」ダッ

電はいなのです!」ダッ



355: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:02:30.56 ID:pZWfoiSvO

−司令室−


鳳翔「提督!」

東提督「おお、いいところに来た。今すぐ第一艦隊に戦闘準備をするよう伝えてくれ」

鳳翔「はい!」

東提督「ところで何故貴方がまだここにいるんですか?」

提督「あ、いや、何か手伝えることはないかと思って」ハハ

東提督「残念ながら貴方にできることはありませんよ。ここは私の鎮守府です、自分の鎮守府位自分で守ります」

東提督「そこで指を咥えて見ててください」

提督「ですよね……」



356: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:03:25.16 ID:pZWfoiSvO

鳳翔「大変です!」

東提督「どうした?」

鳳翔「この近くの泊地にも深海棲艦が向かっているとの情報が!」

提督「!」

東提督「なんだと!」

鳳翔「こちらに向かっている戦力的に考えてもここは囮で本命は泊地でしょう」

東提督「まずいぞ!泊地が襲われたらこの鎮守府も大きな被害を被る事になる!」

鳳翔「はい、なので第一、第二艦隊を泊地に向かわせましょう」

東提督「しかしそうすればここ守りが手薄になる」

東提督「それに私は三つも一度に指揮した事なんてない……」

東提督「くそっ、どうすれば……」



357: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:05:11.70 ID:pZWfoiSvO

提督「東提督さん」

東提督「なんだ!」

提督「ここの指揮は私に任せて東提督さんは泊地へ行ってください」

東提督「!」

鳳翔「!」

電「司令官さん……」

東提督「お前、自分が何を言ってるのかわかってるのか?」

東提督「どこの誰かもわからない奴に自分の鎮守府を預けろって?馬鹿言うな!」



358: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:07:14.42 ID:pZWfoiSvO

提督「無茶苦茶な事を言っているのはわかっています、ですがこれが最善だと思います」

提督「東提督さんはまだ複数指揮にあまり馴れていないようですし、泊地に向かっている深海棲艦は強力です」

提督「東提督さんは泊地の指揮に専念するべきです」

提督「私がここの第一、第二艦隊を指揮する事も考えましたが私よりもここの艦隊をよく知っている東提督さんが指揮する方がいい」

東提督「ふざけるな!」

東提督「そんな事を言ってもしここを落とされたらそれこそ大変なことになる!」

東提督「貴方にとってはどうでもいい場所かもしれないが私にとっては大事な鎮守府なんだ!」



359: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:08:07.32 ID:pZWfoiSvO

提督「どうでもよくなんかない!」

提督「ここは……この鎮守府は……暁の新しい居場所なんだ!」

提督「暁にはこの場所が必要なんだよ!」

電「司令官さん……」

鳳翔「……提督、ここはこの方の言う通りにしましょう」

東提督「何だと?」

鳳翔「このままではどちらの指揮も中途半端になってしまいます」

鳳翔「それにこの方は暫く居なかったとはいえ甲種勲章保持者、指揮については大丈夫でしょう」

東提督「……」

鳳翔「お願いします、どうか私の我儘をお許しください」ペコッ

提督「鳳翔さん……」



360: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:08:59.40 ID:pZWfoiSvO

東提督「……いいだろう」

提督「いいんですか?」

東提督「鳳翔に免じてここの指揮は貴方に任せる、絶対に守ってくださいよ!」

提督「はい!」

電「なのです!」

提督「それとですが」

東提督「何ですか?」

提督「暁は泊地へは行かせずここに残してください」

東提督「……わかりました」



361: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:09:42.89 ID:pZWfoiSvO

東提督「私達は泊地に向かうぞ、鳳翔」ダッ

鳳翔「はい」

提督「鳳翔さん!」

鳳翔「なんですか?」

提督「ありがとうございます」

鳳翔「いえ、私は最善の手を言ったまでです。ここは任せましたよ」

鳳翔「ですが、万が一ここが落とされたら……私は貴方を一生恨みますからね」ニコッ

鳳翔「では」ダッ



362: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/24(水) 13:10:38.84 ID:pZWfoiSvO

提督「これは何が何でも勝たなきゃな」

電「なのです」

提督「まさか帰ってきていきなり指揮するのが他の鎮守府の艦隊とは」

提督「試練だなぁ」

電「司令官さんならきっと大丈夫なのです」

提督「そう言ってくれるのはお前だけだよ」

電「電も出撃しましょうか?」

提督「いや、電が出てもここの艦娘と連携をとれないだろ?」

提督「だから旗艦は暁でいく」

電「わかりました」

提督「じゃ、いっちょやりますかぁ!」キリッ

電「なのです!」



400: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:48:42.93 ID:l+opr+sVO

吹雪「どどどどうしよう!このままじゃ鎮守府が襲われちゃうよ!」

吹雪「戦艦や正規空母の人達は泊地の方にいっちゃうし」

吹雪「あの人達無しじゃ防衛なんて無理だよぉ!」オロオロ

暁「そそそそんなに慌てちゃ駄目よ、ももももっとエレファントに振る舞わなきゃ!」

吹雪「暁ちゃんも落ち着いて!」



401: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:49:28.68 ID:l+opr+sVO

暁「で、でもこっちに来る深海棲艦は陽動みたいだし大丈夫よ。多分」

吹雪「あれ?でもなんで夕立ちゃんは泊地に行っちゃったのに暁ちゃんはここにいるの?」

暁「さあ?」

吹雪「司令官もそっちに行っちゃったしどうしよー!」

『あーあー、聞こえますかー?』

吹雪「?」

『どうも、ここの司令官が泊地に行ったんでその間にここを任された者です。よろしく』



402: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:49:56.04 ID:l+opr+sVO

吹雪「うわあああああよくわかんない人が来ちゃったよおおおおお」オロオロ

吹雪「司令官はきっとここを見捨てるつもりなんだよおおおおおおお」

暁「あわわわわ!落ち着きなさい!」ブンブン

暁「(それにしてもこの声どこかで……)」

『これから今ここにいる艦娘で防衛戦をする、今から呼ばれたものは艤装を準備し出撃せよ』

吹雪「だ、誰が呼ばれるのかな……」

『旗艦……』


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403: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:50:52.28 ID:l+opr+sVO

-海-

吹雪「あわわわわ、なんで私が呼ばれちゃったんだろ」

球磨「遠征じゃないのは久しぶりクマー」

多摩「嬉しいニャ」

朝潮「朝潮、例えこの身が朽ち果てようと頑張る所存です!」

暁「みみみ皆落ち着いて!」ガクガク

弥生「まず旗艦の暁さんが落ち着いてください」

暁「ご、ごめんなさい。だから怒んないで」

弥生「怒ってないです……」



404: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:51:40.30 ID:l+opr+sVO

暁「それにしても私が旗艦なんて……」

『皆、準備はいいか?』

暁「ええ、大丈夫よ」

暁「(やっぱりこの声どこかで聞いたような……)」

『そろそろ敵が来る、迎撃するぞ』

暁「(いけないいけない、集中しなきゃ)」

暁「わかったわ!」



405: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:52:14.37 ID:l+opr+sVO

吹雪「うう、不安だよぉ」

『大丈夫、お前達は強い』

吹雪「え?」

『戦艦や空母が全てじゃないさ』

弥生「そうなんですか……?」

『ああ、最後に頼りになるのは駆逐艦や軽巡なんだよ』

球磨「変わった人クマー」

『よく言われる』

暁「来たわ、相手の艦載機よ!」



406: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:52:58.43 ID:l+opr+sVO

ブロロロロ

『よし、まずは輪形陣でやり過ごすんだ!』

暁「!」

吹雪「り、輪形陣ですか!?」

多摩「演習以外でやるのは初めてだニャ」

『ああ、被害を抑えるにはこれが一番だ』

朝潮「でもそれでは雷撃戦での命中率が下がるのでは……」

『そこは気合だ!』

球磨「やっぱこいつ駄目だクマ!」

多摩「無能だニャ」

吹雪「指揮官さん……」

暁「……」



407: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:53:45.23 ID:l+opr+sVO

『さあくるぞ、構え!』


ガガガガガガガ


吹雪「な、なんとか持ちこたえましたね」ハァハァ

弥生「凄い……誰も傷ついてない」

『気を抜くな、連携を取りつつ一番弱い敵から沈めろ!』

吹雪「はいっ!やあああああああああ!」


------------------------------
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----------------
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------
--



408: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 22:58:27.73 ID:l+opr+sVO

多摩「な、なんとか勝ったニャ」ハァハァ

球磨「疲れたクマー」ハァハァ

吹雪「でもなんだかんだ言って誰も中破にはなってないですよね」

弥生「気合いって……凄い」

朝潮「それにしても暁さんの動きがいつも以上に良かったですね」

吹雪「うん、今回のMVPだし本当に凄かったよ!まるで指示が初めからわかってたみたいに……」

暁「……」

吹雪「暁ちゃん?」

暁「……」ザザァ

吹雪「あっ、暁ちゃん!」

朝潮「どうしたんでしょうか?かなりの速さで戻って行きましたが」

吹雪「わかんない、でも今日の暁ちゃんなんだか様子がおかしかったんだよね」

吹雪「一体どうしたんだろ……?」



409: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:00:21.18 ID:l+opr+sVO

暁「……」ザザァ

暁「あの指揮の仕方も……戦果よりも私達の安全を優先するやり方も……」ハァハァ

暁「そっくりだった……」ハァハァ

暁「もしかして……」ハァハァ



410: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:07:38.93 ID:l+opr+sVO

―司令室―


提督「ふぅ、なんとかなったな」

電「流石司令官さんなのです」

提督「誰も傷つかなくて良かったよ」

電「やっぱりそのやり方は変わらないのですね」

提督「ああ、今まで勝ってこれたのは俺の指揮が上手いんじゃない、皆が強いからだ」

電「そんなことはないのです、司令官さんのおかげなのです」

司令官「さ、後は東提督に報告すれば……」

扉『』バンッ

提督「ん?」クルッ

暁「……」ハァハァ

提督「な……」

電「あ、暁ちゃん……」

暁「……しれー……かん?」ハァハァ

提督「あか……つき……」



411: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:09:54.27 ID:l+opr+sVO

今自分の前にいるのは紛れもなく暁で、ここまで来るとは思っていなかったから言葉に詰まる


暁「……」ツカツカ

提督「あ……あ……」


同時に東提督の言っていた事を思い出す、自分の勝手な行為がどれ程彼女達を傷つけていたのかを
きっと恨んでるに違いない、心の底から憎んでるに違いない



412: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:10:34.67 ID:l+opr+sVO

暁「……」ツカツカ

提督「く、くるな……!」


上手く立てずに後ずさる。彼女の口からどんな恨みの言葉が出てくるか、彼女がどれだけ私を憎んでいるか想像しただけで堪えられなくなる


暁「……」

提督「(くるっ!)」


反射的に目を瞑った。彼女の憎しみに歪んだ顔を見るのが嫌で、自分のしてしまった事を再確認するのが怖くて



413: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:30:07.15 ID:l+opr+sVO

暁「」ギュッ

提督「あか……つき……?」

暁「じれー……がん」ポロポロ

提督「なんで……泣いてるんだ?」

暁「ずっと……ずっと……会いたかったんだから……」ポロポロ

暁「ずっと……待ってたんだから」ポロポロ

提督「待っ……て……た……?」



414: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/26(金) 23:34:49.37 ID:l+opr+sVO

暁「寂しくても……悲しくても……ずっと我慢してたんだから……」ポロポロ

暁「迎えにきてくれるって……信じてたんだから……」ポロポロ

提督「あ……あ……」

提督「(俺は……何を勘違いしてたんだろう……)」

提督「(目の前にいるのは……昔と何ひとつ変わらない暁じゃないか……)」

提督「(真っ直ぐで……純粋な……暁じゃないか……)」ポロポロ

提督「……ごめん……本当にごめん……」ポロポロ

暁「うわあああああああああん!」ポロポロ

提督「ごめんな……」ギュッ


――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
―――



419: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 00:29:53.80 ID:dniMu4fcO

-司令室-


扉『』コンコン

提督「失礼します」

東提督「どうも、昨日は鎮守府の防衛ありがとうございました」

提督「いえ、そちらもお疲れ様でした。どうでしたか?」

東提督「ええ、大きな被害は出ましたがなんとか守り抜きましたよ」

提督「それは良かったです」



420: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 00:35:22.31 ID:dniMu4fcO

鳳翔「ですが深海棲艦の様子がおかしかったのです」

提督「おかしかった?」

鳳翔「ええ、今まではバラバラに行動していたのですが昨日は何故か私達と同じように統制された動きをしていました」

提督「なんですって?」

鳳翔「はい」

東提督「深海棲艦も段々知恵を付けてきているのかもしれないですね」



422: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 00:41:06.26 ID:dniMu4fcO

提督「それは危険ですね。ちなみにその艦載機は?」

鳳翔「それがですね、私達の誰のものでもない艦載機なんですよ」

提督「誰のものでもない?」

鳳翔「ええ、第一、第二艦隊の全員に聞いても自分のではないと」

提督「ちょっと見てもいいですか?」

鳳翔「どうぞ」

提督「!」

鳳翔「どうかしましたか?」

提督「いや、なんでもないです。いい艦載機だなーって」ハハ



423: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 00:45:33.20 ID:dniMu4fcO

東提督「よかったらあげましょうか?」

提督「いいんですか?」

東提督「ええ、いくらいい艦載機でも誰のものでもないなんて気味が悪いですし。昨日のお礼ということで」

提督「ありがとうございます」

東提督「こちらの騒ぎに巻き込んですみませんでした、もう大丈夫なのでお帰りください」

提督「いえ、その前に一つ」

東提督「なんでしょう?」

提督「お願いします!暁を私に返してください!」バッ



424: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 00:56:14.83 ID:dniMu4fcO

東提督「……どうしたんですか急に?」

提督「やっと気づいたんです、どんなに艦娘に嫌われても、憎まれても、俺はそれでもあいつらが好きだって!」

鳳翔「提督さん……」

東提督「……昨日言ったはずです。貴方に返す艦娘はないと」

提督「どうか、どうかお願いします!」

東提督「駄目と言ったら駄目です!早く帰ってください!」

東提督「これ以上は憲兵に通報しますよ!」

提督「わかり……ました……」ギリッ

提督「失礼……します」バタン

東提督「……」



427: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:08:00.75 ID:dniMu4fcO

鳳翔「本当によかったんですか?」

東提督「……」

扉『』コンコン

暁「失礼します」ガチャ

東提督「しつこいと言っているだろう!」

暁「ひっ!」ビクッ

東提督「あ、暁か。すまない」

暁「どうしたの?司令官?」

東提督「いや、なんでもないさ」

暁「私は今日は何をすればいいのかしら」

東提督「ああ、昨日出撃したし今日は疲労抜きのために休みなさい」

暁「そう‥…わかったわ……」



428: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:09:54.09 ID:dniMu4fcO

東提督「どうした?調子でも悪いのか?」

暁「なんでも……ないわ、それじゃ」

東提督「ちょっと待ってくれ」

暁「なあに?」

東提督「暁、元の鎮守府に帰りたいか?」

鳳翔「……」

暁「え?」

東提督「元の鎮守府に帰りたいかと聞いてるんだ」



429: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:11:06.65 ID:dniMu4fcO

暁「ここも好きだけど……やっぱり帰りたいわ」

東提督「そうか、しかし大本営の命令がない限り異動はできない。諦めてくれ」

暁「わかってるわ、ここで頑張るって決めたから大丈夫よ」シュン

暁「じゃあ……もう行くわ……」

暁「」トボトボ



430: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:11:49.19 ID:dniMu4fcO

東提督「……」イライラ

東提督「あーもうっ!」

東提督「鳳翔!」

鳳翔「なんでしょう?」

東提督「そういえばうちの鎮守府はもう母港がいっぱいだったな!そうだよな!」

鳳翔「ええ」ニコニコ

東提督「そういうことだ暁、今うちにはどこぞの鎮守府から貰ってきた艦娘を置いておけるほどの余裕はない!」

東提督「だからお前を解体する!」

暁「ええ!?そんなの困るわよ!」オロオロ

東提督「うるさい!鳳翔、連れていけ!」

鳳翔「はい」ガシッ

暁「え!?ちょっと!?」ズルズル

暁「助けてえええええ!」バタン

東提督「ふんっ」ドサッ



432: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:14:12.61 ID:dniMu4fcO

暁「いやああああああ!」ズルズル

鳳翔「」パッ

暁「ああああああってあれ?」

鳳翔「冗談ですよ」フフ

暁「冗……談?」

鳳翔「母港がいっぱいになるほど艦娘なんていませんよ」

暁「じゃあなんで?」

鳳翔「解体されればそれ以上は追及されません。だから提督は暁さんを形式上解体したんです」

暁「それじゃあ暁は本当に解体されるわけじゃないの?」

鳳翔「ええ、これで暁さんは自由です。本当の提督の元へ行ってらっしゃい」

暁「え、いいの?」

鳳翔「ええ、あの人は素直じゃないですからこういう形になりましたが」

鳳翔「本当は艦娘の事をちゃんと考えているんですよ」

暁「司令官……」

鳳翔「あんな言い方しかできないからよく誤解されるんですけどね」

暁「鳳翔さんも大変ね」

鳳翔「そちらの提督も負けてませんけどね」

暁「そうだったわ……」

鳳翔「さ、早く行きなさい。提督が帰ってしまいますよ」

暁「わかったわ!今までありがとう!司令官にもありがとうって言っておいて!」ダッ

鳳翔「わかりました」フフ



433: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:15:40.19 ID:dniMu4fcO

-東鎮守府外-

提督「ぐぬぬ……」

電「どうしますか?」

提督「そうだな、こうなったら大井も呼んで無理矢理奪還なんてどうだ?」

電「勝てる気がしないのです」

提督「だよなぁ、流石に数が足りないなぁ」

提督「こうなったら深夜に忍び込むしかないか」

電「もし見つかったらどうなるのですか?」

提督「監獄行きかな」

電「嫌なのです!司令官さんが居なくなるのは嫌なのです!」ギュッ

提督「冗談!冗談だから離して!」

暁「何やってるのよ……」

提督「え?」

電「へ?」



434: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:17:17.89 ID:dniMu4fcO

暁「司令官がどうしてもって言うから戻ってきてあげたわ!」エッヘン

提督「本当か!?」

電「ばんざいなのです!」

提督「じゃあ帰るか!」

暁「ええ!」

提督「でも何か忘れているような……」

電「」ハッ

電「し、司令官さん」

提督「ん?なんだ?」

電「昨日……大井さんに晩御飯はシチューが食べたいと……」

提督「」

電「きっと怒ってるのです……」ガクガク

暁「あ、暁はまだこの鎮守府にやり残したことがあるからまた……」ガクガク

提督「急いで帰るぞ!」ガシッ

暁「ちょ!いきなり掴むなんてレディに対して失礼よ!」

提督「うおおおおおおおおおおおおお!」ダダダダダ

暁「いやああああああああああ!」



435: ◆URthX3tYSmgA:2016/02/27(土) 01:26:11.90 ID:dniMu4fcO

―海―


加賀「……」

榛名「どうしたんですか?」

加賀「……艦載機の数が足りないのよ」

榛名「もしかしたら先程の戦いで奪われてしまったのかもしれませんね」

加賀「そうみたいね」

榛名「諦めて帰りましょう」

加賀「ええ」

榛名「今回はあと少しで敗れてしまいました。次はもう少し戦艦を増やした方がいいですね」

加賀「そうね、陣形についてももっと詳しく教えましょう」ザザァ

榛名「ええ」ザザァ



468: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:34:53.02 ID:Gp7QffHqO

大井「辞世の句はできたかしら?」ゴゴゴゴ

提督「本当にすみませんでした……」ドゲザ

電「なのです……」ガクガク

暁「なんで暁まで……」ガクガク

大井「何か言った?」

暁「ご、ごめんなさい!だから食べないでぇ!」ガクガク

大井「さて、三人共覚悟はできてるんでしょうね?」ギロリ

提督「できてるような……できてないような……」ガクガク

電「ぜ、全部司令官さんのせいなのです!」

暁「そ、そうよ!全部司令官が悪いわ!」

提督「何言ってんだお前達!?」

大井「だそうよ?」ジャキン

提督「違う!これには深い理由があるんだ!」

大井「自分からシチューが食べたいと言っておいてすっぽかすんだからさぞ大層な理由があるんでしょうね~?」グリグリ

提督「は、はひ……」



469: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:36:54.04 ID:Gp7QffHqO

提督「じ、実は深海棲艦が攻めてきてな、迎撃しなければならなかったんだよ」

大井「あら、予想よりまともな理由ね」

提督「ああ、深海棲艦の攻撃は凄まじく長い長い戦いだった」

電「昼過ぎには終わっていたのです」

提督「電!?」

大井「その後帰っても全然間に合うじゃない」ジャキン

提督「ま、待て!東鎮守府の提督が泊地に防衛に行っていて戻ってくるまでは離れるわけにはいかなかったんだ!」

大井「本当でしょうね?」

暁「それは本当よ、レディは嘘は吐かないわ」



470: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:37:58.43 ID:Gp7QffHqO

提督「(ナイスフォローだ暁!)」

大井「そう、ならしょうがな……」

暁「でも東司令官は夕方には戻ってきたわ」

提督「馬鹿!」

大井「その後何してたのかしら~?」グリグリ

提督「さ、さあ~覚えてないな~」ダラダラ

電「疲れたし帰るのは明日でいいかって一泊したのです」

提督「この野郎!」

大井「とっても深い理由だったわね~」ピキピキ



471: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:39:04.57 ID:Gp7QffHqO

提督「くそう……こうなったら……」

提督「あっ!あそこに北上の脱いだばかりの制服が」

大井「そんなの既に持ってるわよ!」

提督「なんだと!?」

大井「いい加減にしなさ……」

北上「やっほー」ガチャ

大井「え?」クルッ

西提督「こんにちはー」

大井「西提督まで……」

北上「勝手に入っちゃってごめんね。ノックしても出なかったからさ」

西提督「(あ、皆正座してる。きっと何かやらかしたんだろうなぁ……)」

提督「チャンス!」ダッ

大井「あ、待ちなさい!」ドンドン

電「ああ!鎮守府を壊さないでほしいのです!」

暁「ここ鎮守府だったの!?」

ギャーギャー

北上「賑やかだねぇ」

西提督「タイミング悪かったかな……?」



472: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:44:26.27 ID:Gp7QffHqO

提督「で、急にどうしたんだ?あ、暁前掛けしなきゃだめだろ」モグモグ

暁「したことないわよ!」モグモグ

北上「提督の様子を見に来たんだよー」モグモグ

大井「北上さんどう?美味しい?」

北上「うん、すっごく美味しいよー。流石大井っちだね」

大井「ああ……幸せ……」バタン



473: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:45:05.81 ID:Gp7QffHqO

西提督「本当は前もって連絡しようとしたんだけど電話がつながらないし」

電「そういえば電話設置してなかったのです」

西提督「手紙を送ったら戻ってくるし」

電「多分ボロボロすぎて住所を間違えたと思われたのかもしれません」

西提督「だから直接来たって訳です」

提督「なるほどなー。あ、ちゃんと人参も食べるんだぞ暁」

暁「いつの話よ!もうちょっとレディらしく扱ってよね!」



474: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:46:53.75 ID:Gp7QffHqO

電「そういえば大井さんは食べないのですか?」

大井「……」

電「大井さん?」

大井「」グー

暁「寝ちゃってる……」

提督「目の隈が凄かったからな、きっと一睡もしないで待ってたんだろ」

電「大井さん……」

北上「でもどうして急に寝ちゃったんだろうね?」

西提督「(とどめはきっと北上の一言だと思う)」

提督「しょうがない、大井を部屋に運んでくる」

西提督「お姫様抱っことは普段から大切にしてるのが伝わってくるね」

電「羨ましいのです」

西提督「言えばしてもらえるんじゃないかい?」

電「いえ、そんな資格電にはないのです」

西提督「そう?」

電「なのです」



475: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:54:27.91 ID:Gp7QffHqO

―港―


ザザァン


提督「……」

西提督「ここにいたんですか」

提督「ん?ああ、西提督さんか」

西提督「何か釣れましたか?」

提督「まだまだこれからよ」

西提督「そうですか」ハハ

西提督「この場所、いいですね」

提督「だろ?ここから見る景色は最高だ」

西提督「提督さんの鎮守府、随分家庭的でしたね」

提督「まああんな廃墟に住むよりはずっといいさ」



476: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:57:07.54 ID:Gp7QffHqO

西提督「一人増えてましたね、また迎えに行ったんですか?」

提督「まあな」

西提督「そうやって全員迎えに行くんですか?」

提督「ああ」

西提督「全員戻った後はどうするんですか?」

提督「……」

西提督「また居なくなって艦娘に悲しい思いをさせる為に集めてるんですか?」

提督「……最初はさっさとイベントクリアしてまたすぐ出ていこうと思ってたさ」

提督「でも電に会って、大井に怒られて、暁に言われてやっと気づいた」

提督「俺は艦娘達に深い悲しみを背負わせてたんだな」



477: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:58:25.82 ID:Gp7QffHqO

西提督「……」

提督「だからまず取り戻す取り戻さないは別として皆に謝りに行く」

提督「そしてこんな俺とまた一緒になってもいいって奴と一から始めるつもりだ」

西提督「……そうですか」

提督「ところで西提督さんの鎮守府はいいのか?」

西提督「ええ、思い切って一週間ほど休日にしてますから」

提督「そうか」



478: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 22:59:50.74 ID:Gp7QffHqO

西提督「それと一ついいですか?」

提督「ん?」

西提督「提督さんがここに戻ってくるまでの間ずっと電さんが鎮守府にいたんですよね?」

提督「ああ、ずっと一人で頑張ってたみたいだ」

西提督「……それにしては鎮守府がボロボロすぎると思いませんか?」

提督「どういうことだ?」

西提督「いくら一人では掃除しきれないからってあそこまでボロボロになるでしょうか?」

西提督「まるで長い間誰もいなかったみたいな劣化のしかたでした」

提督「……」

西提督「電さんは本当にずっとこの鎮守府に……」



479: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 23:00:29.06 ID:Gp7QffHqO

グググ


提督「おお!掛かったぞ!」

西提督「本当ですか!」

提督「ああ、手ごたえからしてこいつは大物だ!」グググ

西提督「ここって何が釣れるんでしょうね?」

提督「知らん、初めて釣りしたからな」

西提督「まさかイ級が釣れたりして」

提督「笑えねえなぁ」

提督「うおおおおおおおお!」


ザバァン


蒼龍「」ポタポタ

提督「……」

西提督「……」

蒼龍「提……督……?」

提督「お前、もしかして蒼龍か!?」

蒼龍「はは……神様っているんだね……最期にいい夢見せてくれるなんて……」

蒼龍「嬉しいなぁ……」ガク

提督「おい!しっかりしろ蒼龍!」

西提督「大丈夫、まだ間に合います!急いで入渠させましょう!」


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-------



480: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 23:01:17.20 ID:Gp7QffHqO

提督「蒼龍の様子は?」

大井「大丈夫、特に大きな損傷はないわ」

提督「良かった」ホッ

大井「ただ、とても疲労が溜まってるみたいね」

提督「疲労?」

大井「どうやったらここまで酷い状態になるのかしら、普通は疲労抜き位するはずだけど……」

大井「恐らく休みなしでずっと過ごしてたのかもしれないわね」

西提督「それってまさか……」



481: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/05(土) 23:02:53.77 ID:Gp7QffHqO

提督「……電、蒼龍は今どこの鎮守府に所属しているんだ?」

電「蒼龍さんは確か北鎮守府に異動したはずなのです。他にも川内さんがいるのです」

提督「……そうか」ガタッ

暁「ど、どこ行くの司令官……?」

提督「ちょっと北鎮守府に挨拶しに行くだけさ」

暁「なら暁も……」

提督「暁と大井はここで蒼龍の看病をしていてくれ」

暁「でも……」

提督「レディなんだろ?蒼龍を頼んだぞ」ナデナデ

暁「もう……こんな時だけずるいわよ……」

北上「私達も手伝おうか?」

提督「いや、これは俺の鎮守府の問題だから俺がなんとかするさ」

西提督「そうですか」

提督「じゃあ行ってくる」

大井「……気をつけなさい」

提督「ああ。行くぞ、電!」キリッ

電「なのです!」



516: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:44:17.87 ID:Ma4Dq/LyO

-北鎮守府-


扉『』コンコン

北提督「入れ」カキカキ

皐月「ただいま!出撃から帰ってきたよ!」ガチャ

北提督「そうか」カキカキ

皐月「僕にかかればあんな海域簡単だったよ」

北提督「そうか」カキカキ

皐月「でもまだここに着任したばかりだからもっと出撃して練度をあげなきゃね」

北提督「皐月、お前残りの燃料と弾薬はどのくらいだ?」カキカキ

皐月「この出撃で丁度空になったよ。だって司令官さっき補給忘れて出撃させるんだもん、焦ったよ」



517: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:44:44.60 ID:Ma4Dq/LyO

北提督「そうか。島風」カキカキ

島風「はーい」

北提督「連れていけ」カキカキ

島風「わっかりましたー」

皐月「補給室に連れて行ってくれるのかい?わざわざありがとう」

島風「こっちだよー!」グイッ

皐月「わわっ!そんなに急がないでよ」

扉『』バタン

北提督「……」カキカキ



530: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 15:12:35.29 ID:Ma4Dq/LyO

島風「おっそーい」

皐月「僕は今燃料が空なんだからしょうがないよ」ハァハァ

島風「はやくはやくー」

皐月「元気がいいなぁ。あれ、補給室って工廠にあったっけ?」

島風「さ、着いたよ」

皐月「うん、ありが……」


『解体室』


島風「さ、この部屋だよ」

皐月「はは、島風ちゃんはおっちょこちょいだなぁ……ここは補給室じゃないよ」

島風「補給なんてしないよ」

皐月「え……?」

島風「提督がもういらないって」

皐月「うそ……でしょ……?」

島風「本当だよ」

皐月「なんで……?僕、何か悪いことでもしたのかい?」

島風「ううん」

皐月「じゃあ僕が弱いからかい!?でもそれは仕方ないじゃないか!僕はまだ着任したばかりなんだから!」

島風「それも違うよ」

皐月「じゃあなんで!」

島風「元々解体する予定だったから」

皐月「……は?」

島風「その前に使えるだけ使っただけだよ」

皐月「は……はは……」

皐月「そっか……」

皐月「僕は……初めからいらない艦娘だったんだ……」

皐月「通りで補給もされないし傷ついても入渠させてもらえなかった訳だ」

皐月「それなら……僕はなんの為に艦娘になったのかな……」

島風「島風にはわかんないよ」

皐月「それもそうだね……ああ、島風ちゃんが羨ましいなぁ……」

島風「遅い艦になるのが悪いんだよ」

皐月「そうだね、じゃあ僕はもういくよ」

皐月「さよなら」

ギィ

バタン

島風「……」

島風「……ごめんね」



518: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:45:25.11 ID:Ma4Dq/LyO

扉『』コンコン


北提督「入れ」

川内「川内、ただいま帰投したよ」

北提督「ご苦労」

川内「はい遠征報告書、資源沢山持ってきたよ」

北提督「うむ」

川内「約束まであと90万だね!」

北提督「そうだな」

川内「絶対忘れないでよ!絶対だからね!」

北提督「わかってる」

川内「じゃあまた遠征行ってくるよ」

北提督「ああ、頑張れ」

川内「うん、じゃあね!」バタン



519: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:46:05.61 ID:Ma4Dq/LyO

川内「……」ヨロヨロ

睦月「きゃっ」ドンッ

川内「あ、いたんだ。ごめんね」

睦月「ううん、睦月は大丈夫だよ」

川内「そう……」

睦月「あれ、川内さんどこ行くの?」

川内「遠征」

睦月「遠征って……さっきいったばかりでしょ!」



520: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:46:47.30 ID:Ma4Dq/LyO

睦月「それにここ最近ずっと寝てないでしょ!少しは休もうよ!」

川内「いいよ、休んでる時間が勿体無いし。そこどいて」ヨロヨロ

睦月「やだよ!だって川内さんボロボロだもん!とっても辛そうだもん!」

川内「でもこのままのペースじゃ約束まで時間がかかりすぎちゃう」

睦月「約束って……資源100万集めたら川内さんの前の司令官に会わせるっていう……」

川内「うん」



537: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 17:59:52.92 ID:p55pQBUPO

睦月「100万なんて無茶だよ!その前に川内さんが潰れちゃうよ!」

川内「……どいてよ」

睦月「それに川内さんの司令官さんだって今の川内さんの姿を見たらきっと……」

川内「どいてよ」ギロリ

睦月「!」ビクッ

川内「次の遠征部隊用意しといて」ヨロヨロ

睦月「川内さん……」



522: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/09(水) 14:48:41.00 ID:Ma4Dq/LyO

川内「……」ヨロヨロ

『夜戦ー!夜戦ー!』

『うるさい!寝ろ!』

『夜戦させてくれるまで動かないからね!』

『しょうがないな、一回だけだぞ』

『ありがとう提督、大好き!』

『好きなのは俺じゃなくて夜戦だろ?』

『どっちも好きだよー!』

『都合のいい奴だ』

川内「提……督……」ヨロヨロ



576: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:44:25.77 ID:lWT53r/Co

-北鎮守府-

提督「ここか」

電「なのです」

提督「門の前に誰もいなかったから勝手に入ったが……」

電「空気が重いのです」

提督「ああ。それにどの艦娘を見ても表情が暗い」

伊58「……」ヨロヨロ

伊168「……」ヨロヨロ

電「何故でしょう……電達には興味も示さないのです」

提督「……」



577: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:45:27.86 ID:lWT53r/Co

霧島「さ、行きましょう」

千代田「また、キス島……?」

瑞鶴「毎日毎日同じことの繰り返し、私達は一体何の為に生きてるのかしら」

千歳「考えちゃ駄目よ……終わりなんてないんだから……」

提督「……」



578: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:46:38.33 ID:lWT53r/Co

龍田「さ、遠征に行きましょう」

如月「もう行くの?」

菊月「もう少しだけ休……」

龍田「解体されたいの?」ジャキ

菊月「……行こうか」

文月「もう……疲れた」

提督「……もう行こう、電」

電「なのです」



579: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:47:37.95 ID:lWT53r/Co

睦月「あのぅ」

提督「ん?」

睦月「誰ですか?見慣れない人ですけど」

提督「ああ、ちょっとここの提督に用事があってね」

睦月「そうですか、そっちに行けば会えますよ」

提督「ありがとう」

睦月「どういたしましてにゃしぃ♪」

提督「それよりお前、傷ついてるじゃないか。早く入渠しなきゃ」

睦月「知らないんですか?この位の傷じゃ轟沈しないんですよ?」

提督「そういう意味じゃ……」

睦月「あ、もう行かなきゃ。さよなら」タッ

提督「……」

電「……」



580: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:49:53.62 ID:lWT53r/Co

提督「ん、あれは……」

川内「……」フラフラ

提督「川内!」

川内「……」ドシャ

提督「大丈夫か!」ダッ

提督「川内!しっかりしろ!川内!」

川内「……」ムク

川内「折角……集めた……資源が……」



581: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:50:33.80 ID:lWT53r/Co

提督「それよりもお前ボロボロじゃないか!」

川内「そこ……どいてよ」

提督「川……内……?」

電「電達だと気づいてないのですか?」

川内「資源……届けなきゃいけないんだから……」スッ

川内「……」フラフラ

川内「……」ドシャ

提督「川内!」ダッ

川内「資……源……」

提督「なんでそんなにボロボロになるまで働くんだ!」



582: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:51:49.79 ID:lWT53r/Co

川内「約……束……」

提督「約束?」

川内「資源100万集めたら……提督に会わせてくれるの……」

提督「!」

川内「今度提督に会ったら……言うんだ……」

川内「今まで我儘ばっかり言って……ごめんなさいって……」

電「川内さん……」

川内「本当は夜戦なんかより……提督の……方が……」

川内「ずっと……ずっと……好きだって……」ガクッ

電「川内さん!」



583: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/12(土) 08:54:25.63 ID:lWT53r/Co

提督「大丈夫、気を失ってるだけだ」

電「……」

提督「電、川内を頼む」スッ

電「……司令官さん」

提督「……なんだ?」

電「なんでここの人達は下ばかり向いているのですか?」

提督「……」

電「なんで……誰も笑ってないのですか?」

提督「……」

電「なんで……こんなに心が苦しいのですか……?」ポロポロ

提督「電……」

電「ここにいる人達は……皆……辛そうなのです……苦しそうなのです」ポロポロ

提督「……」

電「川内さんだけじゃなく……皆を……助けてあげる事はできないのでしょうか……」ポロポロ

提督「なんとか……してみせるさ……」



645: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/20(日) 23:44:56.32 ID:NPTnEIdeO

−司令室−


北提督「」カキカキ

扉『』コンコン

北提督「入れ」

提督「失礼します」ガチャ

北提督「貴方は……?」

提督「提督と申します」

北提督「おかしいですね、門番から何の連絡も無かったのですが」

提督「門の前に誰も居なかったので誠に勝手ながら入らせてもらいました」



646: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/20(日) 23:45:31.42 ID:NPTnEIdeO

北提督「誰もいなかった……?」

北提督「全く……」ハァ

北提督『島風、至急執務室までこい』

ダダダダダダ

島風「はーい、島風来たよー!」ガチャ

島風「どう?早かった?」

北提督「遅い」

島風「ぶー」



647: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/20(日) 23:48:58.54 ID:NPTnEIdeO

北提督「それよりお前今日は秘書艦の仕事はないから門番やってろと言っただろう」

島風「誰も来なかったから遊んでたよー」

北提督「来ただろうが、全く。すみません、うちのミスです」

提督「いえ、大丈夫です」

北提督「それで今日はどのような用件で?」

提督「ええ、私の鎮守府に蒼龍が流れついてきまして、確か今はそちらの配属だったかと」

北提督「おお、すみません。蒼龍が急に行方不明になるものですからずっと捜索してたんですよ」

北提督「本当にありがとうございます」

提督「ええ、それとうちの蒼龍と川内を可愛がってくれたお礼を言いに」

北提督「うちの……?」ピクッ



648: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/20(日) 23:55:45.94 ID:NPTnEIdeO

北提督「ああ……貴方が……そうですか……」

提督「疲労抜きもせずにずっと出撃、守る気のない約束をして心を弄ぶ……」

提督「貴方はそれでも提督ですか!」

北提督「私は何も悪い事なんてしてませんよ?」

提督「なんだと?」

北提督「私は大本営が定めた規則を何一つ破った覚えはありません」

提督「!」



649: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/20(日) 23:57:34.69 ID:NPTnEIdeO

北提督「確かに何度も艦娘を轟沈させてはいけないという注意はありますが」

北提督「大本営は艦娘を酷使させてはいけないといつ言いました?」

北提督「艦娘を傷つけたまま放置してはいけないといつ言いました?」

北提督「言ってませんよね?」

島風「……」



652: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 00:01:27.33 ID:nKSTgNkHO

提督「ふざけるな!」ドンッ

提督「そんな事規則にするまでもないだろ!艦娘は道具じゃない、俺達と同じ心の通った人間だ!」

北提督「だからぬくぬくとした環境で大切に育てろと言うのか!?そんなんじゃいつまで経っても強くなんかなれない!」

提督「だからってこんなやり方は間違っている!」

北提督「強くなるには厳しくする必要もあるんだ!それが艦娘の為になるんだ!」

提督「権力を使って一方的に命令することが艦娘の為になる訳がない!艦娘と共に考え、共に歩むのが提督のあるべき姿だ!」

北提督「そんなのは理想論だ!お前が居た頃とはもう時代が違う、これが今の時代に一番合ったやり方だ!」

提督「違う!どんなに時代が変わってもこの理念は変わらない!」



653: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 00:03:23.60 ID:nKSTgNkHO

提督「……」ハァハァ

北提督「……」ハァハァ

北提督「……じゃあお前はどうなんだ」

提督「……」

北提督「自分の鎮守府の艦娘をずっと放置するのが正しいやり方なのか!?」

提督「……!」

北提督「放置された艦娘はさぞ辛かったろうな、悲しかったろうなぁ」

北提督「そんな奴が俺に説教する権利なんてないんだよ!」

提督「……」ギリッ



662: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 00:59:40.57 ID:nKSTgNkHO

提督「(悔しいが……こいつの言う通りだ……)」

提督「(今の俺に何かを言う資格なんて……)」

「だから何なのよ」

北提督「ん?」

島風「」ピクッ

扉『』ドゴン!

北提督「なんだお前は?」

大井「ただの重雷装巡洋艦よ」

提督「大井!?なんでここに!?」



664: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:04:51.28 ID:nKSTgNkHO

大井「心配になって来てみたけど」

大井「何縮こまってるのよ、いつもの貴方らしくもない」

提督「しかしな……」

大井「まあ確かに提督がこいつを説教する権利なんてないわ」ツカツカ

大井「でもね」グイッ

北提督「!」

大井「だからってあんたが正しい事にはならないわよ」

北提督「……」



665: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:05:58.41 ID:nKSTgNkHO

大井「うちの提督は確かに屑よ、何の連絡もせずに私達をほったらかしてどこかにいってたんですもの」

大井「でもこの人は今変わろうとしている。自分の罪を受け止めてやり直そうとしている」

大井「あんたと違ってね」

提督「大井……」

北提督「……」

島風「」ガッ

大井「ん?」

島風「その手、離してよ」ミシミシ

大井「ふんっ!」パッ

北提督「躾のなってない小娘め」

大井「なんとでも言いなさい」



666: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:07:36.85 ID:nKSTgNkHO

北提督「……そんなに艦娘を取り返したいのか?」

提督「ああ。でもそれだけじゃない、ここにいる全員どうにかしたいと思ってる」

北提督「やれやれ、このまま貴方を返すのは簡単だ、しかし大本営や他鎮守府に告げ口されては私も困る」

北提督「暫く居なかったとはいえ昔トップランカーだった人ですからね、発言の影響力も少なくないでしょう」

提督「……」

北提督「それならば今ここではっきりと白黒つけた方がいい」

北提督「俺と演習をしましょう」



667: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:08:45.69 ID:nKSTgNkHO

提督「演習だと?」

北提督「ええ、貴方が勝てば川内と蒼龍は返します。そして艦娘の異動願いを全て受理しましょう」

北提督「その代わり貴方が負ければ貴方の所持艦娘、装備を全ていただきます」

提督「!」

大井「それって負けたら私達はあんたの鎮守府に行くってこと?」

北提督「ああ」

提督「艦娘は道具じゃないと言っただろう!賭け事の対象にするなんて……」

大井「いいわよ」



668: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:11:21.52 ID:nKSTgNkHO

提督「え?」

大井「その勝負受けて立つわ」

提督「何を言ってるんだ大井!」

北提督「言ったな?もう取り消しはできんぞ」

大井「ええ、望むところよ」

提督「大井!」

北提督「よし、成立だ!勝負は三日後、ここの演習場で」

提督「全く……」ハァ

北提督「それまで特別に川内と蒼龍は返しましょう」

提督「しかし今私の鎮守府にはその2人を入れても5人しかいないのですが」

北提督「そこはご安心を、こちらも5隻にするので。貴方ごとき実力でねじ伏せてやりますよ」

提督「ありがとうございます」



669: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/21(月) 01:15:49.43 ID:nKSTgNkHO

大井「そうと決まったらさっさと帰って作戦練るわよ」

提督「ああ、それと一つ聞いていいですか?」

北提督「何ですか?」

提督「貴方は艦娘と共に歩んでいこうと思ったことはないんですか?」

北提督「……ないですね、今も昔も」

提督「そうですか、では」バタン

島風「……本当に良かったの?」

北提督「当たり前だ。ずっとどこかに行っていた奴なんかに負ける訳がないだろう」

北提督「それに優秀な艦娘と装備を大量に手に入れる事ができるんだ」

北提督「こんないい話しは滅多にない」ハハ

島風「……」



699: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:35:59.23 ID:lBu2jHb0O

-鎮守府-

提督「という訳で北鎮守府と演習することになった」

暁「なんでそうなるのよ!」

提督「だって大井がなぁ」

大井「しょうがないじゃない、あそこまで言われて黙ってる方が無理よ」

提督「まあ確かにな」

川内「よくわかんないけどとりあえず夜戦しようよ」

提督「それは最終手段な。あと動き難いから離れなさい川内」

川内「やだー!」



700: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:37:09.23 ID:lBu2jHb0O

暁「そうよ川内さん、羨ま……じゃなくて司令官が動きにくそうじゃない!」

川内「だって離れたらまた提督どっか行きそうなんだもん」

暁「で、でも……!」ウズウズ

提督「暁、左側空いてるけど来るか?」

暁「え、いいの?」キラキラ

提督「嘘だ」

暁「もう司令官なんてしらないんだからっ!」ダッ



701: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:38:08.44 ID:lBu2jHb0O

提督「ああっ!すまん暁、俺が悪かった!今日一緒に寝てあげるから!」

暁「本当?」ピタッ

提督「本当」

暁「な、なら許してあげるわ!別にそれが目当てって訳じゃないけど……」

蒼龍「もう、何やってるんですか提督」ハァ

提督「蒼龍も川内も元気になったし良かった良かった」

蒼龍「うん、暁ちゃんが看病してくれたからもう元気だよ」

川内「私は高速修復材だけどねー」



702: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:41:07.48 ID:lBu2jHb0O

提督「西提督が持ってきてくれて助かったよ、うちにはなかったから」

西提督「いえいえ」

提督「しかし二人とも、本当にすまなかった」

川内「別にいいよー。私は提督が居ればそれ以外何もいらないしねー」

蒼龍「私も同じかな、もう勝手に居なくなったりしないでね?」

提督「ああ、わかってる」

電「少しずつ戻ってきて嬉しいのです」



703: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:43:01.40 ID:lBu2jHb0O

西提督「皆が行っている間はここは私が守っておきますから安心してください」

提督「そうか、本当にありがとう」

西提督「困った時はお互い様ですよ」

北上「でも演習で負けたら皆また提督と離れることになるんでしょ?大変だねぇ」



704: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:44:07.52 ID:lBu2jHb0O

大井「大丈夫よ北上さん、私達も練度が高いし装備だってちゃんとあるし……」

提督「すまん、装備は何もない」

大井「は?」

提督「装備は全部倉庫にしまってるだろ?その倉庫の鍵失くしちゃったみたいでな」

大井「じゃあ甲標的は?」

提督「倉庫」

大井「五連装酸素魚雷は?」

提督「倉庫」

大井「他の皆の装備は?」

提督「倉庫」

大井「ふざけんじゃないわよ!」ドゴォ

提督「すみません!」ゴフッ

蒼龍「あちゃー」

暁「もうダメダメね」

電「司令官さん……」



705: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:46:28.75 ID:lBu2jHb0O

大井「仕方ないわ、こうなったら演習までの間にできるだけ装備を開発するしかないわね」

北上「ねえ提督、私達の装備を貸すってだめなの?」

西提督「それは駄目だよ。これは私達が関わってはいけない問題だからね」

北上「そうなの?」

西提督「うん、もし仮にできたとしてもこの提督さんは受け取らないだろう」

北上「ふーん、男のプライドってやつ?」

提督「そういう事だ。すまんな北上」

北上「別にいいよー」

西提督「これから作戦を練ったりするのに私達が居ては邪魔でしょう。私達は一旦鎮守府に帰りますね」

提督「ああ、すまない」

西提督「いえいえ、それよりも負けないでくださいね」

提督「ああ、負けないさ」

西提督「そうですか、それは良かった。では」

北上「じゃねー」



708: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:51:25.64 ID:lBu2jHb0O

大井「……でもどうするのよ。まず艦載機だけでもいい物を揃えなきゃ」

提督「それについては大丈夫だ。蒼龍、これを使え」スッ

蒼龍「え、これって……烈風(六〇一空)!?」

電「!」

大井「この艦載機って……」

提督「ああ、加賀に持たせている物だ」

蒼龍「でもなんで提督が持ってるの?」

電「司令官さん!会ったのですか、加賀さんに!?」

提督「いや、そういう訳じゃない。東提督からもらったんだ」

電「そうですか……」

提督「どうした?」

電「なんでもないのです」

大井「でもなんで東提督がこれを……」

提督「さあな、だが兎に角これで制空権は大丈夫だ!次は作戦を練るぞ!」

艦娘一同「「「「「はい!」」」」」



709: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:53:28.19 ID:lBu2jHb0O

-北鎮守府-


北提督「お前達は今日から三日間出撃と遠征をしなくていいぞ」

島風「はーい」

霞「……」

霧島「……」

五十鈴「……」

飛龍「……」

北提督「そして三日後に演習にでてもらう」

北提督「この演習は負けは許されない、絶対に勝ってもらう」

霧島「ならば戦艦と空母の数を増やせばいいのでは……?」

北提督「その分の消費した資材は君が稼いでくれるのか?」

霧島「……いえ、すみません」



710: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:54:00.54 ID:lBu2jHb0O

北提督「大丈夫だ、相手に戦艦はいないし空母も一隻。このメンバーなら負けはない」

北提督「そして勝利した暁には更に一週間の休暇を与えよう」

霞「!」

霧島「!」

五十鈴「!」

飛龍「!」

北提督「旗艦は島風で行く。各自三日間疲労抜きに努めるように」

艦娘一同「「「「「はいっ!」」」」」



711: ◆URthX3tYSmgA:2016/03/23(水) 23:57:39.41 ID:lBu2jHb0O

-廊下-

霞「いきなり三日間休めって何言ってるのよあの司令官」

霧島「さあ、あの人の考えることはわからないわ」

五十鈴「私達だけ休むのも逆に嫌だわ、なんだか申し訳ないし」

島風「ね、ねえ、これからミーティングしない?」

五十鈴「え?」

島風「だって連携の確認とかした方が……」

霞「嫌よ、私は疲れてるの。贔屓されてるあんたと違ってね」

五十鈴「まあ秘書艦だからか初期から一緒にいるからか知らないけどなんでいつも自由気ままに振る舞って何も言われないのって思うわよね」

飛龍「今更そんなのどうでもいいわ。それより私眠いから帰る、じゃ」

霧島「私もそうするわ」

霞「例え旗艦だろうが私はあんたの指示には従わないから」

五十鈴「相手はそんなに強くないんでしょ?大丈夫だって」

島風「そ、そうだよね。ごめんね」

霞「ふんっ!」スタスタ

五十鈴「じゃあ私も帰るけど変な事で集めたりしないでよね。疲れてるんだから」スタスタ

島風「うん、わかった」

島風「……ごめんね」



792: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:04:30.52 ID:peHwdGRRO

-演習当日-



提督「よしお前ら、準備はできたか!」

大井「できてる訳ないでしょ!」ドゴォ

提督「ごはっ!」

大井「結局ほとんど装備開発してないじゃない!」

川内「私と蒼龍さんの装備を開発しただけだったねー」

蒼龍「しかもほとんどはずれの艦載機……」

暁「暁達は元々装備があったからよかったものの」

電「やっぱりいい装備とは言えないのです」

提督「流星改とか出るとおもったんだけどなー」

蒼龍「後先考えずにやりすぎですよ」ハァ

川内「相変わらずだねー」ハハ



793: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:05:46.84 ID:peHwdGRRO

提督「兎に角後は作戦通りやるだけだ。一応無線で指示は送るが各自作戦通り動いてくれ」

提督「お前達なら勝てると信じてる」

大井「当たり前じゃない。なんせ私達は提督の艦娘なんだから」ジャキ

暁「そうよ、司令官が暁達を信じているように」ジャキ

川内「私達だって提督を信じてるんだから」ジャキ

蒼龍「だからドンと構えてよね」ジャキ

電「なのです」ジャキ

提督「俺は幸せ者だな……」



794: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:06:25.66 ID:peHwdGRRO

電「司令官さん、一つ聞いていいですか?」

提督「なんだ?」

電「何故電にだけ応急修理女神が積んであるのですか?演習で沈むことはないと思うのですが……」

提督「念の為ってやつだ。なんだか俺の知ってる艦これとは少し変わってきてるからな」

提督「それに、お前は一人で無茶する時があるだろ、だから心配でな」

電「司令官さん……ありがとうなのです」

提督「気にすんな」

提督「よし、行ってこい!艦隊、抜錨!」

艦娘一同「「「「「はいっ!」」」」」



795: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:06:57.36 ID:peHwdGRRO

北提督「準備はできたか?」

霞「ええ」

霧島「はい」

五十鈴「はい」

飛龍「はい」

島風「島風はいつでも戦えるよ!」

北提督「作戦は伝えた通りだ。その通りにやれ」

霧島「わかりました」



796: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:07:37.87 ID:peHwdGRRO

島風「ねえ提督!」

北提督「なんだ?」

島風「この戦い絶対に勝つからさ、勝ったら前みたいに島風と追いかけっこしようよ!」

北提督「考えておいてやる」

島風「鬼は提督だよ!」

北提督「わかったから早く行け」

島風「うん!島風、抜錨しまーす!」ザザァ

霞「ちょっと待ちなさいよ!」ザザァ

五十鈴「焦っちゃ駄目よ!」

飛龍「面倒くさいけど休暇の為だし頑張りますかぁ」ザザァ



797: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:08:06.24 ID:peHwdGRRO

霧島「司令」

北提督「なんだ?」

霧島「私達に休暇を与えてまで勝たなければいけない理由とはなんですか?」

北提督「お前には関係のないことだ、行け」

霧島「わかりました」ザザァ

北提督「……」



798: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:09:17.41 ID:peHwdGRRO

提督『あーあー』

提督『無線の音は聞こえるか?』

大井「ええ」

提督『よし、全員持ち場についたか?』

蒼龍「うん」

暁「ええ」

川内「いつでも戦えるよ」

電「なのです」

提督『そうか、しかしまずは航空戦だ。蒼龍、頼んだぞ』

蒼龍「了解、発艦!」バシュ

ブロロロロロロロ

提督『よし、その間に四人は前進だ!』

大井「わかったわ!」ザザァ

暁「怖くなんてないし!」ザザァ

川内「夜戦になんないかなー」ザザァ

電「できればその前に終わらせたいのです」ザザァ



799: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:10:20.24 ID:peHwdGRRO

北提督『よし、飛龍。飛ばせ』

飛龍「はい!」バシュ

ブロロロロロロロ

北提督『他は迎撃の準備をしろ!』

島風「はーい!」

霧島「はい」

霞「わかったわ」

五十鈴「ええ」

北提督『いいか、飛龍には艦攻と艦爆を多めに積んである。今回は制空権をとるつもりはない』

北提督『制空はきっと拮抗状態になるだろう、しかし艦攻と艦爆で敵の数を減らす。後は数で圧せ』

霧島「わかりました」

北提督『作戦はわかっているな?相手の脅威は空母と雷巡だけだ。それを最優先して狙え』

霞「ええ」

飛龍「敵艦載機発見しました!」

北提督『よし、できるだけ多くの損害を与えるんだぞ』

飛龍「わかってます」



800: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:11:26.90 ID:peHwdGRRO

蒼龍「提督、敵の艦載機が来たよ」

提督『艦載機の種類は?』

蒼龍「凄い、提督の言ってた通り艦攻と艦爆が多めだよ」

提督『やっぱりな、これで相手がこちらを舐めてるのは確信になった。後はその隙を突くぞ』

蒼龍「うん!」



801: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:12:02.88 ID:peHwdGRRO

飛龍「提督、やっぱり相手あんまりいい艦載機使ってないみたい」

北提督『やはりな。あの提督は暫く不在にしていた場合倉庫の鍵が掛けられ一時的に大本営の管理下に置かれることを知らないらしい』

北提督『まあこれを知っている奴の方が少ないだろうがな』

飛龍「どうしますか?」

北提督『構わん、やれ』

飛龍「はい!」

飛龍「……」キッ

飛龍「航空状態は拮抗!こちらも相手も艦戦はゼロです」

北提督『被害状況は?』

飛龍「今のところほとんど撃ち落されてはいません。更に相手の艦攻と艦爆をかなり落としました」

北提督『このままできるだけ損害を与えろ』

飛龍「はい」



802: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:13:12.26 ID:peHwdGRRO

飛龍「……」

飛龍「(なんだろう……)」

飛龍「(あまりにも上手く行き過ぎているような……)」

飛龍「(そういえば、蒼龍の艦載機ってあれだけしか積めなかったっけ?)」

飛龍「(いや、違う!もっと積めるはずだ!)」

飛龍「提督、ちょっと待っ……」

飛龍「!」

北提督『どうした?』

飛龍「相手の後方から更に艦載機が接近しています!」

北提督『落ち着け、恐らく後方にも配置していたんだろう。こちらの艦載機が少し減るが構わん、突っ切れ』

飛龍「いえ……それが……」

飛龍「相手の艦載機は……烈風(六〇一)です!」



803: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:13:55.53 ID:peHwdGRRO

蒼龍「提督、前半の艦載機ほとんどなくなっちゃったよ」

提督『大体予想はしてたからな、少しでも敵に損害を与えたら儲けもん位に考えてるさ』

提督『相手の艦戦はどうだ?』

蒼龍「ほとんど撃ち落したよ」

提督『完璧だ、よくやった蒼龍』

蒼龍「なんだか照れるなぁ」

提督『さあ後もうひと踏ん張りだ、頑張れよ!』

蒼龍「わかった!」



804: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:14:48.32 ID:peHwdGRRO

飛龍「提督、駄目です!どんどん艦載機が撃ち落されていきます!」

北提督『くそっ!どうにかするんだ!』

飛龍「どうにかってどうすればいいんですか!?」

北提督『そんなもの自分で考えろ!いいのか、このまま負けたら休暇はないんだぞ!』

飛龍「!」

飛龍「……」ギリッ

飛龍「絶対に……負けられない!」キッ



805: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:15:49.94 ID:peHwdGRRO

提督『どうだ?』

蒼龍「うん、このままいけば全部落とせるよ」

提督『そうか、最高の立ち上がりだな』

蒼龍「!」

蒼龍「提督、相手の艦載機の様子が少しおかしい」

提督『どういうことだ?』

蒼龍「他の全ての艦載機が一機だけを守るようにして向かってきてる!」

提督『全部落とされるのだけは避けようという事か、何とかして全部落とすんだ蒼龍!』

蒼龍「駄目、守りが堅すぎて突破されちゃったよ!ものすごい速さでこっちに接近してる!」

提督『落ち着け、たった一機だ!よく見て避けるんだ!』

蒼龍「嘘、さっきまでとは格段に速……」

ドォン



806: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:16:16.73 ID:peHwdGRRO

提督『蒼龍!』

提督『大丈夫か!?応答しろ!』

蒼龍「こちら……蒼龍……」

提督『無事か!?』

蒼龍「うん、私は大丈夫」

提督『そうか』ホッ

蒼龍「ただ、艤装にストッパーかかっちゃったみたい……」

蒼龍「だから私はここまでかな。ごめんね提督」

提督『気にするな、よくやったさ。後は見ていてくれ』

蒼龍「うん、そうするね。じゃあ」ピッ

蒼龍「……」

蒼龍「あの艦載機の最後の一撃、相手の執念を感じたなぁ……」



807: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:16:50.36 ID:peHwdGRRO

飛龍「……」ゼーハー

飛龍「制空権は奪われましたが……蒼龍を撃沈しました……」ゼーハー

北提督『よくやった』

飛龍「……まだ敵の艦載機が残ってます」

北提督『わかっている。こちらに艦載機が接近している!回避しろ!』

霞「来たわ!」

島風「島風には当たらないよ!」サッ

霧島「よく見れば大丈夫のはずよ」サッ

霧島「!」

霧島「もう一機ですって……!」

霧島「(駄目、このままじゃ……)」

五十鈴「危ない!」バッ

ドォン



808: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/06(水) 07:17:44.32 ID:peHwdGRRO

北提督『大丈夫か』

霞「ええ、霧島さんは無事よ」

島風「でもその代わり……」

五十鈴「いつつ……艤装にストッパーかかっちゃったみたいね」

霧島「なんで私を庇って……」

五十鈴「そんなの勝つ為に決まってるじゃない。こんなところで主力を失うわけにはいかないわ」

島風「……」

霧島「ごめんなさい」

五十鈴「謝らなくていいから勝ってよね、絶対よ」

霧島「ええ」キリッ

北提督『そのつもりだ。そろそろ敵が来るぞ、迎撃しろ!』

霞島風霧島「「「はいっ!」」」



819: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:38:40.11 ID:zYjfG8ddO

大井「皆、作戦は覚えてるわね」

川内「わかってるよ」

電「はいなのです」

暁「ええ」

大井「これから交戦するけど一つだけ注意して」

大井「霧島は勿論だけどあの島風にも警戒しなさい」

川内「え、あの駆逐艦?」

暁「確かに速いものね」

大井「ええ、あの速さもそうだけどそれだけじゃないわ」

大井「あの子、なんとなく嫌な予感がするの」

電「嫌な予感?」

大井「ええ」

川内「ふぅん。了解、気を付けるよ」

暁「わかったわ」

電「なのです」



820: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:39:22.61 ID:zYjfG8ddO

北提督『よし、敵の空母は潰した。後は大井を倒せばそちらにもう駒はない』

霧島「はい」

北提督『奴らも全力であいつを守ってくるはずだ、そうさせないように分断させろ』

北提督『そして島風と霧島の二人で大井を狙って霞が時間を稼げ』

霞「!」

島風「!」

霧島「!」



821: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:40:00.88 ID:zYjfG8ddO

霞「それは……勝負に勝つ為に私に沈めって言いたいの?」

島風「ちょっと待って!時間稼ぎなら島風がするよ!だってほら、島風の方が速いし!」

北提督『ならん、大井は確実に仕留めなければならない』

島風「で、でも」

北提督『作戦に変更はない』

島風「……」

霧島「……」ギリッ



822: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:40:33.00 ID:zYjfG8ddO

霞「……いいわ」

島風「!」

霞「やってやるわよ。感謝しなさい、このクズ」

霞「あんたなんて……あんたなんて地獄に落ちればいいのよ!」バキッ

霧島「……私ももう疲れたわ」バキッ

島風「……」

霧島「これが演習でなければ確実に霞ちゃんは沈むでしょうね」

霞「もういいわ。どうせここで勝ってもいつかこういう作戦で沈むことになるんだし好きにやらせてもらって」

霞「これが終わったら解体申請でもだすわ」

霧島「私も一緒に行きますよ」



823: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:41:09.06 ID:zYjfG8ddO

北提督『島風、聞こえるか?』

島風「……」

北提督『あの二人が無線を壊したようだがお前の無線があれば問題ない、作戦の続きだが……』

島風「提督!」

北提督『……なんだ』

島風「安心して、絶対勝つから!」

島風「じゃあね!」バキッ

霞「どういうつもり……」

霧島「これは驚きましたね……」



824: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:41:39.71 ID:zYjfG8ddO

島風「勝てばいいんだよ。そうすればきっと許してくれるよ」ニコッ

霞「別に許してもらおうなんて思ってないわよ」

霧島「でもやはり勝負には勝ちたいですね」

島風「じゃあ作戦どうするの?」

霧島「今私が考えるので待ってて……」

霞「あのクズの作戦でいいわよ」

島風「!」

霧島「!」

霞「別にこれは実戦じゃないんだし。それに勝つ為にはこの作戦が一番でしょうしね」

島風「でも……」



825: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/10(日) 07:42:05.95 ID:zYjfG8ddO

霞「勘違いしないで。これはあのクズに言われたからじゃなくて私自身の意志でやってるの」

霞「だから負い目なんて感じる必要ないわ」

霧島「……本当にいいんですか?」

霞「ええ、それにもう時間もないし」

霧島「そうね、そろそろ来るわ」

霧島「総員、戦闘準備!」

島風霞「「はいっ!」」



836: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:08:15.62 ID:aqm+2Yi/O

大井「敵艦発見、戦闘に入るわよ!」

提督『総員作戦通り動け!』

暁「わかったわ、大井さんは雷撃の準備をお願い!」

電「その間は電達が守るのです!」

大井「わかったわ」

霧島「そうはさせない!総員突撃!」

島風「はーい!」

霞「わかったわ!」



837: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:09:50.69 ID:aqm+2Yi/O

川内「させないよ!」ドンドン

電「なのです!」ドンドン

暁「レディが相手よ!」ドンドン

島風「そんなの当たんないよ!」サッ

霧島「そんなの効かないわ!」ザザァ

電「電達の砲撃を受けてもびくともしないのです」

暁「それどころか気にせずこっちに向かってくるわ」

提督『諦めるな。当て続ければダメージは蓄積される!』

暁「そんなのわかってるわ!」ドンドン



838: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:11:24.76 ID:aqm+2Yi/O

霧島「!」

霧島「ここよ!」ドン

ドゴォン

大井「!」

電「っ!」

暁「きゃあ!」

川内「くっ、凄い爆風だね」

島風「こっちもあるよ!」ドンドン

霞「くらいなさい!」ドンドン

暁「甘いわ!」サッ

電「なのです!」サッ



839: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:13:16.23 ID:aqm+2Yi/O

霧島「避けると思ってましたよ」ニヤリ

川内「!」

川内「二人共!大井から離れすぎだって!」

暁「!」

電「!」

暁「いつの間にか……」

電「大井さんが一人になっているのです……」

大井「これが狙いだった訳ね……」

提督『急いで大井の元に戻るんだ!』

暁「わかったわ!」

電「なのです!」

ドン

川内「!」

暁「!」

電「!」

霞「あんた達の相手は私よ」

川内「一人で相手するつもり?」

霞「私一人で十分ってことよ」ジャキ

川内「ふぅん」ジャキ

------------------------
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----------
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--



840: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:15:22.30 ID:aqm+2Yi/O

大井「これがあなた達の作戦って訳ね」

霧島「ええ」

島風「そうだよ」

大井「私を倒せば他はどうでもいいなんて随分舐められたものね」

霧島「ええ、ただの駆逐艦と軽巡になんて負けませんよ」ジャキ

大井「私だって魚雷なんか使わなくてもあなた達くらい倒せるわ」ジャキ

島風「負けないよ。だって遅いもん」ジャキ

大井「はああああああああああ!」ドンドン



841: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:28:49.60 ID:aqm+2Yi/O

川内「遅いよ!」ドンドン

霞「くっ!」

霞「まだよ!まだ私は戦えるわ!かかってきなさい!」

川内「しぶとい!さっさと沈んでよ!」ドンドン

霞「!」

ドン

霞「かはっ……!」

川内「……やっと終わりだね」ハァハァ

霞「……」ハァハァ



842: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:30:05.50 ID:aqm+2Yi/O

霞「そうね、この距離は流石に逃げ切れないわ」ハァハァ

霞「(私も……ここまでのようね……)」

川内「……」ジャキ

霞「(これが実戦だったら……私はこんな最期になってたのかしら……)」

霞「(そんなものよね……私なんて……)」

川内「さよな……」

川内「!」ゾクッ

川内「(殺気!)」クルッ

飛龍「はあああああああああああ!」ドゴォ



843: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:31:36.24 ID:aqm+2Yi/O

川内「かはっ……!」メリメリ

霞「!」

川内「(意識……が……)」

提督『川内!大丈夫か!』

川内「!」ハッ

川内「(ただじゃ……やられないよ……)」ジャキ

霞「やめなさい!」

川内「」ニッ

川内「」ドン



ドゴォン



844: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:33:05.15 ID:aqm+2Yi/O

提督『おい!川内!大丈夫か!返事しろ!川内!川内!』

霞「うっさいわね」ケホケホ

提督『なんだお前は!川内はどうした!』

霞「私の横で気絶してるわ」

提督『そうか……一体何があった?』

霞「あんた一体艦娘にどんな訓練させてるのよ」

提督『どういう意味だ?』

霞「どうもこうもないわよ。意識が飛ぶ瞬間になんのためらいもなく私達ごと巻き込む砲撃撃つなんてどんな精神してるのよ」

霞「おかげでこっちは二人とも轟沈扱いよ」

提督『そうか。川内が起きたらありがとうと伝えておいてくれ』

霞「嫌よ、自分で伝えなさい」バキッ

霞「ふんっ」



845: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 00:35:00.64 ID:aqm+2Yi/O

霞「それと……」クルッ

飛龍「……」

霞「なんで私のところに来たのよ。私は時間稼ぎの囮よ?」

飛龍「別に、ただ提督がそこに向かって援護しろって言ったから来ただけ」

霞「!」

飛龍「これでよかったの?提督」

北提督『十分だ』

飛龍「そう、じゃあね」ブツッ

霞「嘘……でしょ……」

飛龍「ま、結果的には二人とも轟沈扱いになったけど相手が悪かったからだね。普通なら二人とも生きてた」

霞「じゃあ……あいつは初めから私を犠牲にするつもりなんてなかったの……?」

飛龍「さあ?提督の考えることなんて私にはわからないね」

飛龍「でも提督ってさ、私の知ってる限りでは解体は山ほどしてきたのに轟沈だけは一度もさせたことなかった」

飛龍「これだけは確かだよ」

霞「……」

飛龍「まあ考えたって無駄だって。後はただ待とうよ、勝利の報告を……」



849: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:13:56.36 ID:aqm+2Yi/O

大井「」ハァハァ

霧島「私達二人相手によく逃げたわね」ジャキ

島風「追いかけっこ楽しかったよ」ジャキ

大井「まだ……負けてないわ……」ジャキ

大井「はあっ!」ドンドン

島風「当たらないって言ってるでしょ!」サッ

霧島「決めるわよ!全門斉射!」ドンドン

大井「きゃあっ!」

大井「……駄目、ストッパーがかかったわ。轟沈ね」



850: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:24:38.94 ID:aqm+2Yi/O

霧島「やったわ!私達の勝利よ!」

島風「だって私速いもん!」

大井「ええ、確かにあなた達は勝ったわ……私にね」

島風「」ピク

霧島「どういう意味かしら?」

大井「提督、準備はできたかしら?」

提督『ああ、間に合わなくてすまなかった』

大井「仕方ないわ、だって二人がかりで来るとは思わなかったんですもの」

島風「!」

島風「後ろ!」



851: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:30:39.88 ID:aqm+2Yi/O

霧島「!」クルッ

電「暁ちゃん、準備はいいですか?」

暁「ええ、レディですもの」

霧島「まさか……魚雷の準備をしてたのは本当は……」

大井「ええ、初めからあの子達が魚雷を撃つ係よ」

提督『だから言っただろう?』

大井「最後に頼りになるのは」

提督『駆逐艦や軽巡だって』

霧島「……」ギリッ

島風「……」

電暁「「はああああああああああ!」」バシュ


ドゴォン



852: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:42:55.76 ID:aqm+2Yi/O

島風「……」



『おめでとう!お前が最初の建造艦だ!これから三人で頑張ろうな!』





『島風、お前追いかけっこ強いな!今度は俺達も逃げ切ってみせるからな!』





『はっはっは、島風は速いけどMVPを取るのはあいつの方が上手いみたいだな』





『これからもずっとずっと三人一緒にいような』










島風「」カッ



853: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:48:38.97 ID:aqm+2Yi/O

暁「ふぅ。これでおしまいね」

電「疲れたのです」

暁「じゃあ後は帰るだけね」

提督『ああ、よく頑張ったな二人とも』

電「なんだか照れるので……」

電「!」ゾクッ

ドォン

暁「きゃあ!」

電「っ!」

提督『おい!どうした!二人とも!』

暁「嘘……でしょ……?」

島風「……」ハァハァ

島風「まだ……負けてないよ」ハァハァ



854: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:54:44.52 ID:aqm+2Yi/O

電「暁ちゃん、まだ動けますか?」

暁「ううん、ストッパーがかかったみたい。ついでに無線も駄目になったわ」

電「そうですか。ではこの無線をどうぞ」スッ

電「電は最後の決着をつけてくるのです」

提督『電、何を言っている!』

暁「いいの?」

電「電は大丈夫なのです」

暁「……気をつけてね」

電「はいなのです」

電「こっちです」ザザァ

島風「はあああああああああ!」ザザァ



855: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/11(月) 01:57:13.75 ID:aqm+2Yi/O

島風「あああああああああああ!」ブンッ

電「」サッ

島風「どうして当たらないの!島風の方がずっとずっと速いのに!」ブンブン

電「ただ速いだけの攻撃は電には当たらないのです」サッ

電「ここです」ドン

ドォン

島風「がはっ!」

島風「まだ……まだ……」ギギギ

電「もうストッパーが働いているはずです!これ以上は危険なのです!」

島風「島風は……負けないよ……!」

島風「だって……島風が負けたら……提督が泣いちゃうもん……!」

島風「もう……提督の泣いてる顔なんて……見たくないもん……!」

電「島風さんにもどうしても負けられない理由があるのですね」

電「でも電の負けられない理由はもっともっと重いのです」ジャキ

島風「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

電「さよならです」ジャキ



ドォン



887: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:27:03.07 ID:e52uxROJO

---------------
---------
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--


島風「」ガバッ

島風「ここは……医務室?」キョロキョロ

島風「っ!」ズキッ

島風「そうだ、演習してたんだっけ。それで……」

島風「とりあえず提督のところに行かなきゃ」ダッ



888: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:28:13.26 ID:e52uxROJO

-司令室-

北提督「……」

扉『』コンコン

北提督「誰だ」

島風「失礼……します」

北提督「なんだ、やっと起きたのか」

島風「演習……負けちゃった……ごめんなさい」

北提督「いいさ、お前で勝てないなら誰がやっても負けていた」

島風「……皆は?」

北提督「異動願いを全て受理すると言ったら全員提出したから異動させた。今この鎮守府にいるのは俺とお前だけだ」

北提督「お前もさっさと異動願いを書け」



889: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:29:06.45 ID:e52uxROJO

島風「……提督はこれからどうするの?」

北提督「俺は提督を辞める。誰もいない鎮守府でできることなんてないしな」

島風「……」

北提督「まあお前は強いからな、俺が大本営に掛け合って大本営に行けるようにしといてやる」

島風「……嫌」ボソッ

北提督「わかったらさっさと身支度を済ませて……」

島風「嫌っ!」

北提督「……」



890: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:31:36.38 ID:e52uxROJO

島風「」ギュ

島風「島風はどこにもいかないよ」

島風「だって……島風は提督の秘書艦だもん。ずっと……ずっと一緒だよ」ポロポロ

北提督「島風……」

島風「それに……島風が居なくなったら……提督が独りぼっちになっちゃうよ……独りぼっちは……寂しいよ……」ポロポロ

北提督「俺はやり方を間違えた。こんな馬鹿な人間と一緒になんていなくていい」

島風「そんなことないよ……提督はもう誰も沈めないようにするために一生懸命だったんだよね……誰もあの子の二の舞にしたくなかっただけなんだよね」ポロポロ

北提督「……」



891: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:34:01.40 ID:e52uxROJO

島風「どんなに提督が変わっても……島風はずっと提督のそばにいるよ……」ギュ

島風「だから……どこかに行けなんて言わないでよ……」ポロポロ

北提督「なあ島風……俺は……どこで間違えてしまったんだろうな……」

島風「ううん、提督は間違えてなんかないよ……ただ速く走りすぎちゃっただけ……」

島風「だから……今度は二人でゆっくり歩いていこ……」



892: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:35:05.47 ID:e52uxROJO

提督「いやーなんとか勝ったなー」

大井「何言ってるのよ、全部予想通りだったくせに」

提督「そんなことはないさ」

電「これでこのまま皆と一緒にいられるのです」

提督「そうだな。よかったよかった」

川内「提督!夜戦してないよ!夜戦!」

提督「夜戦は危ないからだめだ」

川内「そんなのやだよ!夜戦しよ夜戦ー!」グイグイ

提督「わかったわかった!近いうちやらせてやるから服引っ張るな!」

川内「やったー!」ピョンピョン



893: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:36:31.95 ID:e52uxROJO

提督「さ、とっとと帰るぞ」

電「司令官さん、電は疲れてもう動けないのです」

提督「そっか、お前頑張ったもんな。よし、おんぶしてやる。さあ来い」

電「ありあとうなのです!(計算通りなのです)」ニヤリ

暁「ず、ずるいわ!暁も頑張ったんだからおんぶしてよね!」ダキッ

提督「わかったわかった、暁も後でおんぶしてやるからな!」

川内「ずーるーいー!私も頑張ったんだよー」ガシッ

蒼龍「私も私もー」ガシッ

提督「お前らは大人だろうが!足にしがみつくな!」


ギャーギャー


大井「まったく、相変わらずね」フゥ



896: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:39:09.62 ID:e52uxROJO

大井「ところで次はどこに行くつもりなのよ?」

提督「そうだなぁ、流れ的に次は南鎮守府かなぁ」

大井「ほんとてきとーね」ハァ

電「電は司令官さんがいればどこでもいいのです」

提督「よーし皆、帰ったら大井がハンバーグ作ってくれるってよ!」

大井「なんでそうなるのよっ!」

川内「やったー!」

電「なのです!」

暁「べ、別にハンバーグで喜ぶほど子供じゃないし」ソワソワ

蒼龍「楽しみだねー」

大井「しょうがなわね」

提督「そうと決まればさっさと帰るぞー!」

艦娘一同「「「「「おおー!」」」」」



897: ◆URthX3tYSmgA:2016/04/15(金) 20:40:37.33 ID:e52uxROJO

ザザァン


榛名「……」

戦艦水鬼「ナニヲシテイル?」

榛名「別に、ただ空を見ていただけですよ」

戦艦水鬼「ソレニ何ノ意味ガアル?」

榛名「こうしてると思い出すんです、楽しかった昔の日々を……」

戦艦水鬼「……」

榛名「それと同時に怒りが沸々と込み上げてくるんです。あの人に対する怒りが、裏切られると知らずにへらへらと笑っていたあの頃の自分への怒りが……」

戦艦水鬼「本当ニ嫌ナラ忘レレバイイ」

榛名「忘れればこの怒りも憎しみも……復讐心も思い出せなくなるじゃないですか」

戦艦水鬼「恐ロシイ奴ダ」フッ

榛名「何とでも言ってください」フンッ

加賀「全部隊の準備ができたわ」

戦艦水鬼「ダソウダ、ドウスル?」

榛名「ではそろそろ行きましょうか」

榛名「南鎮守府を落としに」スッ





続く




提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」電「その2なのです」


5: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/15(金) 22:40:40.08 ID:e52uxROJO

あらすじ

久しぶりに鎮守府に帰ったら鎮守府
がボロボロになっていてついでに艦娘が初期艦以外全員いなくなっていた。
艦娘全員を取り戻し再び昔の鎮守府に戻す為に提督は奮闘する。





12: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:08:07.76 ID:QnuEvcjzO


提督「さて、やっと鎮守府に着いたな」

電「ただいまなのです」

川内「ただいまー」

大井「なんだか久しぶりな感じね」

蒼龍「最近色々あったからねー」

提督「ん?なんか燃えてないか?」

電「焦げ臭いのです」

大井「確かに言われてみれば……ん?」

西提督「おい北上!早くお前もバケツに水を汲んで消火を手伝ってくれ!」

北上「いやーこれはもう無理でしょー。完全に燃えちゃってるし」

西提督「何言ってるんだ!僕たちはここを任されてるんだよ!うっかり燃やしてしまいましたじゃ話にならないよ!」

提督「……」

大井「鎮守府が……」

電「燃えているのです……」

川内「でっかいキャンプファイヤーだねー」

蒼龍「あちゃー」



13: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:09:15.36 ID:QnuEvcjzO


北上「いやー流石にでっかい魚を無理矢理焼こうとしたのは無理があったみたいだねー」

西提督「君だってノリノリだったじゃないか!そんなことより早く消火するんだ!火を消しさえすればここのボロさでごまかせ……」

提督「よう」

西提督「あ」

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------
---


提督「それで、でかい魚を焼こうとしたら燃え移っちゃったと」

西提督「ごめんなさい」ドゲザ

北上「ごめんねー」ドゲザ

電「死んで詫びるのです」ジャキ

蒼龍「落ち着いて電ちゃん!」



14: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:10:18.35 ID:QnuEvcjzO


提督「まあ落ち着け電、焼けたのはあくまで俺が作った仮の鎮守府だろ?」

提督「丁度人数も増えたしそろそろあの廃墟を建て直そうと思ってたところだ」

西提督「それならよかっ……」

提督「資材は全部西提督持ちでな」

西提督「え?」

提督「ん?」

西提督「それは……その……」

提督「電」

電「はいなのです」ジャキ

西提督「ひぃ!喜んで資材を提供させて頂きます!」

提督「はっはっは、ありがとうな」

大井「卑怯すぎるわ……」

川内「でも自業自得だねー」



15: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:11:33.77 ID:QnuEvcjzO


西提督「しょうがない」プルル

山城『あ、提督。久しぶりね』

西提督「久しぶりだね山城、そっちはどう?」

山城『ええ、色々あったけど大丈夫よ。資材もかなり増えたわ』

西提督「そうか、ありがとうね山城」

山城『私だってやればできるのよ』フンス

西提督「じゃあ早速だけどその資材全部こっちに持ってきてくれないか?」

山城『え?いいけど何に使うのよ?』

西提督「それは後で話すから。よろしく頼むよ、じゃ」ブツッ



16: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:12:31.06 ID:QnuEvcjzO


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山城「不幸だわ……」ズーン

西提督「ごめんな山城」

山城「折角苦労して集めた資材をこんな男の為に使うことになるなんて……」

提督「サンキュー山城」ニコッ

山城「むきぃー!あんたのせいでどれだけ苦労したと思ってるのよ!」

山城「もういいわ、これで役目も終わったし私は帰……」

西提督「あ、人手不足だから君にも手伝ってもらいたいんだ」

山城「え?」

西提督「まあこの中で一番力があるのは君だけだしね」



17: ◆URthX3tYSmgA 2016/04/16(土) 00:13:33.78 ID:QnuEvcjzO


山城「でもその間私たちの鎮守府はどうするのよ」

西提督「さっき北上が「私に任せてよ!」って言ってダッシュで帰ったよ」

山城「いやあああああああああ」ゴロゴロ

提督「(こいつ、不幸だ)」

電「(不幸なのです)」

大井「(なんかもう可哀想ね)」

提督「まあなんにせよ鎮守府建て直し頑張るか!」

電「おー!なのです!」




64: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:24:01.55 ID:JtlXPaE7O


提督「おーい電、板取ってくれー」カンカン

電「はいなのです」

提督「いや、その黒焦げの板じゃなくてだな……」

山城「なんで私がこんなことしなきゃなんないのよ……」カンカン

西提督「まあまあ、これも訓練だと思って」



65: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:24:31.48 ID:JtlXPaE7O


電「さあ使うのです!」

提督「落ち着け電、お前の感覚は少しずれている!普通はこんな板使えないんだよ!」

電「そんなことはないのです。電はよくこの板の上で寝てました!」

大井「どんな生活させてたのよ!」ドゴォ

提督「ごめんなさい!」ゴフッ



66: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:25:01.04 ID:JtlXPaE7O


大井「兎に角この板は没収よ。他にもいい板があるからそれを優先して使うのよ」

電「わかったのです」

提督「そうだぞ電、こんな板なんてポイしてしまえ!」ブンッ

山城「それもこれも全部あいつの……ごふっ!」ドゴォ

西提督「大丈夫か山城!」

提督「……」

電「……」

大井「……」



67: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:25:34.63 ID:JtlXPaE7O


提督「いいか、無暗に物を捨てるとこんな風に誰かにぶつかるかもしれないから気を付けるんだぞ」

電「はいなのです」

提督「じゃあ俺は急用を思い出したので一旦失礼す……」

山城「……ちょっと待ちなさいよ」ゴゴゴゴゴ

提督「さらばだっ!」ダッ

山城「待ちなさい!元はといえばあんたと会ってから私の不幸は加速したのよ!責任取りなさい!」

提督「知るかああああああああ!」ダダダダダ

山城「待てええええええええ!」ドンドンドン

大井「物をこれ以上壊すんじゃないわよおおおおお!」ダダダダ

ドカーン ドゴーン ウワアアアアア



68: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:26:07.41 ID:JtlXPaE7O


蒼龍「作業が……終わらない……」

川内「……」カンカン

蒼龍「あれ、川内ちゃんはやけに熱心に何かを作ってるけど何作ってるの?」

川内「私と提督用のダブルベッド」カンカン

川内「できたら一緒に寝るんだー」カンカン

蒼龍「それっていいのかな……?」

蒼龍「だったら私も烈風模型つくっちゃおー」カンカン

暁「レディは……一人でも頑張るんだから……」カンカン

西提督「地獄絵図だ……」



70: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:37:37.12 ID:JtlXPaE7O


―――――――――
――――――
――――
――


電「では電は司令室の整理をしてくるのです」

提督「頼んだ。必要な物とか段ボールにいれて運んでおいてくれ」

電「はいなのです」

提督「倉庫がないから装備も置いてあるから気をつけてな」

電「了解なのです」

西提督「……」




71: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:43:38.59 ID:JtlXPaE7O


-司令室-



扉『』バキッ

電「相変わらずドアノブがボロボロなのです」

電「……」キョロキョロ

電「……」ガサゴソ

電「……無いのです」ボソッ

西提督「何を探してるんだい?」

電「!」



72: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:49:20.18 ID:JtlXPaE7O


電「ど、どうしたのですか西提督さん」

西提督「いや、一人じゃ大変だろうから手伝おうと思ってね」

電「い、電は大丈夫なのです。お気遣いはいらないのです」

西提督「まあそう言わないで。それより何を探してるんだい?」

電「何のことですか?電はただここの整理を……」

西提督「もしかして君が探してるのは報告書の段ボールのことかい?」

電「!」



73: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:51:00.19 ID:JtlXPaE7O


西提督「やっぱりそうなんだ」

電「どこにやったのですか?」

西提督「大丈夫、全部別の部屋に置いてあるよ。ただ中身を少し見させてもらったけどね」

電「……」

西提督「最初に見た時はただの日記にしか見えなかったよ。今日もいい天気なのですとか今日は廃材を拾ってきたのですとか」

西提督「本当に他愛もないことしか書かれてなかったし」

電「そ、そうなのです。それが電の報告書の書き方なのです」

西提督「でも一つだけおかしなことに気がついたんだ」

電「……」ドクン

西提督「その報告書……書き始めた日付がおかしいんだよ」

電「!」



74: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:52:31.18 ID:JtlXPaE7O


西提督「君の提督が居なくなってからあまりにも時間が経ち過ぎてる」

電「……」ギリッ

西提督「提督が居なくなってそれどころではなかったとも思ったけどそれでも空白期間が長すぎる」

西提督「そこだけがどうも引っかかってね」

電「それは……前のものは失くしてしまって……」

西提督「いや、それは無いと思う。だってその日から欠かさず毎日書いているしこの部屋の物も綺麗に整頓されている」

西提督「そんな几帳面な子が丸ごと失くしたなんて思えない」

電「……」

西提督「これは僕の勝手な推測だけど……本当は君は……暫くこの鎮守府には居なかったんじゃないかい?」

電「!」



76: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:58:34.30 ID:JtlXPaE7O


西提督「この鎮守府さ、あまりにもボロボロなんだ」

西提督「君が全てを管理しきれなかったとしても大事な場所位は元の状態を維持できると思うんだ」

西提督「例えばこの司令室とかね」

電「……」

西提督「君は居なかったからここはこんなにボロボロになっていると思うんだ」

電「……西提督さんは一体何が言いたいのですか?」

西提督「単純な疑問だよ。僕の推測が正しいとしたら……君は空白の期間何をしていたんだい?」

電「……」

西提督「言ったら何かまずいことでもあるのかい?」

電「……それは……」



77: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 14:59:31.15 ID:JtlXPaE7O


扉『』バキッ

提督「おい電どうした?遅いぞー」

電「司令官さん……」

西提督「……」

提督「まったく、二人でここでサボってやがったな?大井には内緒にしといてやるからさっさと作業に戻れ」

提督「ほら電、この段ボールを外へ持ってってくれ」スッ

電「は、はい」

提督「ほらダッシュ!」

電「はいなのです!」ダッ

西提督「……」



78: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 15:03:52.41 ID:JtlXPaE7O


提督「……なあ西提督さん」

西提督「なんでしょう?」

提督「あんまりうちの秘書艦を虐めないでほしいんだが」

西提督「虐めてなんていませんよ。ただ質問しただけです」

提督「あんた、もしかして電を疑ってるのか?」

西提督「ただ気になっただけですよ。僕の推測が正しければなんで嘘を吐いたのか」



79: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 15:04:44.00 ID:JtlXPaE7O


西提督「なら正直に言ってもよかったじゃないですか。言わなかったという事は何かあるんじゃないですか?」

西提督「提督さんも薄々気づいてるはずです。電さんが何かを隠しているんじゃないかということを」

提督「……人間隠したいことの一つや二つあるだろうよ」

西提督「最近深海棲艦が勢力を拡大してきています。もしかしたらそれについて何か知っているのかもしれない」



80: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 15:05:50.36 ID:JtlXPaE7O


提督「それはお前の勝手な予想だろ?それに何か隠していたとしても俺は電が話す時まで待つさ」

西提督「貴方は甘すぎる。大事になってからじゃ済まないんですよ」

提督「そうなったらそれも含めて俺が全ての責任を負うさ」

提督「年頃の乙女の嘘は笑って許してやるのが男ってもんだよ」

西提督「貴方という人は……」ハァ

提督「兎に角、これ以上余計な詮索をしないでくれ」

西提督「……わかりました。もうやめます」

提督「ああ、それでいい」



81: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/18(水) 15:08:51.86 ID:JtlXPaE7O


西提督「ただ私だって好き好んで電さんを疑っている訳じゃないんですよ」

提督「わかってるさ」

西提督「では私はそろそろ作業に戻ります。くれぐれも気をつけてくださいね」

提督「ああ」

西提督「では」バタン

提督「……」




102: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:01:43.51 ID:L5FhsitrO




提督「ふぅ、やっと工事が終わったなー」

電「疲れたのです」

暁「とっても綺麗になったわ」

川内「私達が住む鎮守府はやっぱりこうでなくちゃね」

蒼龍「飛龍や赤城さん達にも見せてあげたかったなぁ」

大井「まあでも建て直せたのは司令室のある建物と食堂だけですけどね」

提督「まあな、人数が人数だし」

電「電はそれだけでも十分嬉しいのです」




103: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:02:37.44 ID:L5FhsitrO


提督「西提督と山城もここまで手伝ってくれてありがとうな」

山城「べ、別にあんたの為とかじゃなくてうちの提督に言われたから仕方なくやっただけだし」

西提督「山城は素直じゃないなぁ」

山城「うるさいっ!」

提督「さ、今日は食堂でパーティーでもするか!」

電「ちょっと待ってほしいのです!」




104: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:03:08.96 ID:L5FhsitrO


提督「ん?どうした電?」

電「その前に寄りたいところがあるのです!」

提督「寄りたいところ?」

大井「そうね」

暁「ええ」

川内「まずはそこに行かなきゃねー」

蒼龍「うんうん」

提督「どうしたんだお前等?」

暁「相変わらず鈍いわねぇ」

大井「いいから来なさい!」

提督「あ、おいそんなに急ぐなって!」

蒼龍「レッツゴー!」

川内「おー!」

電「なのです!」

山城「どこ行くのかしら?」

西提督「うーん、僕達はここで待ってようか」

山城「ええ。別にいいけど」





105: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:03:49.11 ID:L5FhsitrO


-司令室-


扉『』ガチャ

大井「さ、着いたわ」

提督「寄りたかった所って司令室のことか?それなら何度も来たじゃないか」

川内「わかってないなぁ」

暁「そこはまだでしょ?」

提督「そこって……」クルッ

提督「あ……」




106: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:04:33.30 ID:L5FhsitrO


提督「(あれは……俺の机……)」

電「机と椅子は替えないでおいたのです」

大井「念願の俺の机だーって喜んでたものね」

川内「例えボロボロでも提督にはこの机で仕事をしてもらいたいんだ」

蒼龍「皆で話し合って決めたんだよ」

提督「お前等……」

提督「(懐かしいな、初めて家具コインで買った家具だったっけ……)」

提督「(大して高い物じゃないけど買った時は嬉しくてしょうがなかったなぁ……)」




107: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:05:36.03 ID:L5FhsitrO


大井「何ぼーっとしてんのよ」

提督「あ、ああ。すまん」

大井「皆待ってるのよ。早く座りなさいな」

提督「……本当に俺が座っていいのか?」

提督「だって俺は一度居なくなってお前達に凄い迷惑をかけた……」

提督「そんな俺がここに座ってもいいのか……?」

川内「提督……」

大井「……」

暁「司令官……」

蒼龍「提督……」

提督「今の俺にその椅子に座る資格なんて無いんじゃ……」

電「あるのです」




108: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:06:26.19 ID:L5FhsitrO


提督「電……」

電「その椅子は司令官さんが居なくなったあの日から誰も座ることはありませんでした」

電「秘書艦の電も、司令官さんの代わりをしていた金剛さんですらずっとそこには座らずにいました」

電「だってそこは司令官さんだけの席ですから……」

提督「!」

電「電達は皆、もう一度司令官さんがその席に座る日を夢見ていたのです」




109: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:07:13.56 ID:L5FhsitrO


提督「そうだったのか……」

電「あの席もきっと司令官さんの帰りを待っているのです」

提督「……」

大井「貴方がこれからも私達と一緒に居たいと思うならそこに座りなさい」

大井「そこに座って昔みたいに私達に指令を出しなさい」

提督「……わかった」




110: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:08:01.68 ID:L5FhsitrO


提督「……」スタスタ

提督「(随分……ボロボロになったな……あれから一体どれくらい経ったんだろうか……)」

提督「(思えば俺は無意識に逃げていたのかもしれない……仮の鎮守府を作ったのも……この部屋を、ボロボロのこの机を見て自分の犯した過ちを直視するのが嫌だったからなのかもしれない)」

提督「(でももう逃げない……もう目を逸らさない……始めるんだ……ここから……)」




111: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:08:30.44 ID:L5FhsitrO


提督「皆、俺は一度お前達を放置して居なくなった屑だ!」

提督「この行いは提督として許されることではないだろう!」

提督「しかし、俺はもう一度お前達と共に歩みたい、進んでいきたい!」

提督「だから頼む!どうかこの俺にもう一度ついてきてくれ!」バッ

電「……」

大井「……」

暁「……」

蒼龍「……」

川内「……」

提督「……」




112: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:09:16.35 ID:L5FhsitrO


提督「(やはりそう簡単には許してくれないか……)」

電「頭をお上げください、司令官さん」

提督「え?」

電「皆さん、整列!」

大井暁蒼龍川内「「「「はっ!」」」」ザッ

電「敬礼!」バッ

大井「」バッ

暁「」バッ

蒼龍「」バッ

川内「」バッ



113: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:09:58.68 ID:L5FhsitrO


電「私達艦娘は、生まれた時から司令官さんに忠誠を誓う存在です!」

電「司令官さんが居なくなってからその忠誠心を失いかけていた私達をお許しください!」

電「そして今改めて誓います!私達艦娘は司令官さんの矛となり、盾となり深海棲艦と戦うことを!」

電「暁型駆逐艦四番艦、電!」

大井「球磨型重雷装巡洋艦四番艦、大井!」

暁「暁型駆逐艦一番艦、暁!」

蒼龍「蒼龍型正規空母一番艦、蒼龍!」

川内「川内型軽巡洋艦一番艦、川内!」




114: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:10:40.51 ID:L5FhsitrO


提督「お前等……」

提督「いいのか……こんな俺についてきて……」

電「当たり前なのです」

大井「長い付き合いですもの、一度のミスくらいは許してあげるわ」

暁「だからもう二度と暁達の前から居なくならないでよね」

蒼龍「約束だよ」

川内「夜戦もさせてね」

提督「ありがとう……だが夜戦は駄目だ……」グス

川内「けちー」




115: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:11:14.78 ID:L5FhsitrO


電「それともう一つ」

提督「ん?」

電「司令官さんがそこに座ったら言わなきゃいけないことがあるのです」

大井「ああ、あれね」

暁「なんだか恥ずかしいわ」

蒼龍「そうだね、言わなきゃね」

川内「よーし、張り切って言うぞー」

提督「なんだ?」

電「皆さん行きますよー、せーの」


電大井暁蒼龍川内「「「「「提督が鎮守府に着任しました!」」」」」





116: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:11:59.80 ID:L5FhsitrO


提督「……ははは」ポロポロ

提督「お前等……声が全然合ってねえよ……」ポロポロ

提督「でも懐かしいなぁ、その挨拶……」ポロポロ

電「お帰りなのです、司令官さん」

提督「ただいま……」ポロポロ

大井「もう締まらないわね、涙と鼻水でぐしょぐしょじゃない」

暁「しょうがないわねぇ」

蒼龍「やっと言えたね」

川内「ここから始まりだよ」

提督「よーし外の二人を呼んで来い!今夜は宴だ!騒ぐぞー!」

電大井暁蒼龍川内「「「「「おー!」」」」」」




117: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:12:34.40 ID:L5FhsitrO



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提督「よし、準備もできたしそろそろ出発するか」

電「はいなのです」

大井「ここは私達が守っておくから安心して行ってきなさい」

暁「寄り道しちゃだめよ?」

蒼龍「お土産よろしくねー」

川内「帰ったら夜戦させてねー」

提督「ああ。よし、行くぞ電!次は南鎮守府だ!」ダッ

電「はいなのです!」ダッ




118: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:13:29.50 ID:L5FhsitrO


西提督「よし、僕達もそろそろ帰ろうか」

山城「そうね」

プルルルルルル

西提督「もしもし?」

北上『提督、大変だよ!』

西提督「どうしたんだい?」

北上『南鎮守府が深海棲艦に襲撃されてるって!だから今すぐ応援を頼むって!』

大井「!」

暁「!」

川内「!」

蒼龍「!」

西提督「なんだって!?南鎮守府は提督が今向かった所なんだよ!」




119: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/23(月) 23:14:36.34 ID:L5FhsitrO


北上『それだけじゃないんだよ!深海棲艦側に艦娘がいるらしいの!』

西提督「!?」

北上『兎に角すぐ帰ってきて!』

西提督「わかった!」ブツッ

西提督「行くぞ山城!」ダッ

山城「わかったわ!」ダッ

暁「え、私達も司令官の所に行った方が……」オロオロ

大井「いえ、南鎮守府が襲撃された以上ここや他の鎮守府も襲撃される可能性があるわ。だから私達はここに残らなきゃ」

暁「じゃあ司令官はどうするのよ!?」

川内「大丈夫。提督には電ちゃんが居るから」

蒼龍「信じて待とうよ」

暁「うう……」

大井「そうよ、今私達ができることは待つことだけよ」

暁「司令官……無事でいてよね……」




132: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:14:25.75 ID:zIlRYeNqO


提督「そろそろ南鎮守府だなー」

電「なのです」

提督「まだまだ先は長そうだ」

電「でも司令官さんと一緒なら電はどこまでもついていくのです」

提督「電はいい子だなぁ」




133: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:15:00.21 ID:zIlRYeNqO


電「……司令官さん」

提督「ん?なんだ?」

電「司令官さんにとって電達はどんな存在ですか?」

提督「急にどうしたんだ?」

電「時々物凄く不安になるんです。電達は司令官さんの何なんだろうって」

提督「電……」




134: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:15:26.87 ID:zIlRYeNqO


電「私達はただの兵器なんじゃないかって。道具なんじゃないかってとっても不安になるんです……」

提督「……いいか電、お前達は俺にとって……」


ドゴォン


提督「!」

電「!」




135: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:15:55.22 ID:zIlRYeNqO


提督「なんだ今の爆発音は!?」

電「見てください、南鎮守府の方から煙が出ているのです」

提督「一体どうなってるんだ!なんだか知らんがとりあえず急ぐぞ電!」ダッ

電「はいなのです!」ダッ





136: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:16:48.18 ID:zIlRYeNqO


-南鎮守府-


提督「嘘だろ……」

電「南鎮守府が……火の海なのです……」

提督「ここの艦娘達はどうしたんだよ!」

電「恐らく交戦中なのです。もっと奥の方から音が聞こえるのです」


ブロロロロロ


電「あの艦載機は……!」

電「司令官さんはここで待っててください!」ダッ

提督「待て電、どこへ行くんだ!」

提督「行っちまった……」



137: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:17:47.00 ID:zIlRYeNqO


提督「しかしどうするかな、電がどこかに行ってしまった以上この戦火の中を一人で進むのはどうもな……」


ドゴォン


提督「!」

提督「あっちの方で大きな爆発音が……あっちは電が向かった方向……」

提督「まさか電の身に何かあったのか?」

提督「くそっ、行くっきゃないか!」ダッ



138: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:18:24.83 ID:zIlRYeNqO


提督「」ハァハァ

提督「確か音はこの辺から……」

日向「くっ!」

提督「おい、大丈夫か!」

日向「君は……?」

提督「偶然ここにきたただの提督だ!」

日向「そうか……それより……早くここから……逃げ……」ガクッ




139: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/30(月) 23:19:57.28 ID:zIlRYeNqO


提督「おい!しっかりしろ!」


「戦艦といっても大したことないのね」


提督「え?」

それは、懐かしい声だった。静かで、凛としていて、重みのある声……


ツカツカ


一歩一歩リズムよく歩く足音は昔から変わらない、聞くだけで気持ちが引き締まる足音……


ツカツカ


俺がゆっくりと後ろを振り向くと、そこには昔のような険しいけどどこか暖かみのある顔ではなくて、まるで深海のように暗く冷たい顔をした彼女が居た……






提督「……加……賀……?」






加賀「…………提…………督…………?」









140: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:39:51.35 ID:pbJ4oLUaO


提督「どうしたんだ加賀……そんな怖い顔して……」

加賀「本当に……提督なんですか……?」

提督「あ、ああ。最近帰ってきたんだ」

加賀「……」プルプル

提督「た、沢山言いたいことがあるのはわかるが今は緊急事態だから取りあえず俺達と一緒に……」

加賀「……なんで」ボソッ

提督「ん?」

加賀「なんで……今更戻ってきたんですか……!」ポロポロ

提督「え?」




141: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:42:11.33 ID:pbJ4oLUaO


加賀「提督、そこをどいてください」キッ

提督「どいて……どうするんだ?」

加賀「そこの戦艦の息の根を止めるだけです」

提督「はは、いつからそんなブラックジョークを言うようになったんだ?加賀にはそんなの似合わな……」

加賀「冗談ではありません、本気です」

提督「どうしたんだ加賀、お前おかしいぞ」

加賀「……」ギリッ



142: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:42:57.57 ID:pbJ4oLUaO


加賀「もし嫌だと言うのなら提督ごと……」チャキ

電「待つのです!」ザッ

加賀「!」

提督「電!無事だったのか!」

電「やっぱり……来ていたのですね……」

加賀「……久しぶりね」

提督「……」

電「お願いします、司令官さんに手を出さないでください」

加賀「嫌よ」

電「もしどうしても無理だというのなら……」チャキ

提督「やめろ二人とも!」




143: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:44:02.91 ID:pbJ4oLUaO


加賀「私と戦う気?あの時嫌というほど力の差を教えてあげたはずだけれど……」

電「それでも……電は……司令官さんを守るのです……」ブルブル

電「たとえ……この身が朽ち果てても……」ブルブル


「よく言った、小さな秘書艦娘さん」


加賀「……誰かしら?」
ギロッ

西提督「ちょっと西の方で提督をやってる者だよ」

北上「やっほー」

提督「西提督……」




144: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:45:14.15 ID:pbJ4oLUaO


西提督「僕と北上だけは急いできたんだけど間に合って良かった」

北上「北上様が来たからにはもう大丈夫だよー」

西提督「もう少しで僕の他の艦娘達も到着するだろう。どうする敵さん?」

提督「敵……?」

加賀「そうね、そろそろ引き際かしら」

加賀「でもその気になれば援軍が来る前にここの全員を始末すること位はできるわ……」チャキ




145: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:46:06.87 ID:pbJ4oLUaO


西提督「嘘でしょ?」

北上「いや、実は本当なんだよねー。私と電ちゃんが束になってかかっても多分勝てないと思う」

北上「それに提督狙われたらどうしようもないし、ここが地上だということをふまえても分が悪いかな」

加賀「そういうことよ」

提督「加賀、お前はこの鎮守府を守ってるんじゃないのか!?」

加賀「……いいえ、違うわ」

西提督「この鎮守府を襲ってるのは……彼女達と深海棲艦なんですよ……」

提督「!」



146: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:47:50.53 ID:pbJ4oLUaO


提督「……なんで……」

加賀「これ以上話に付き合う気はないわ」チャキ

電「戦うつもりなのですか?」

加賀「できなくはないけど私もただでは済まなさそうね……」

加賀「いいわ、ここは退いてあげる」
スッ

加賀「その代わりに電、私達と一緒に来なさい」

提督「!」

電「!」




147: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:48:35.17 ID:pbJ4oLUaO


加賀「今私達は戦力がほしいの。それで手を引いてあげるわ」

北上「そんな要求飲むわけ……」

電「わかったのです」

提督「電!」

加賀「……賢い選択ね」

提督「何を言ってるんだ電!」

電「……」

加賀「何も問題ないわ。だってその子は元々私達と一緒だったんですもの」

提督「!」

北上「!」

西提督「!」




148: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:49:33.94 ID:pbJ4oLUaO


提督「電……どういうことだ……?」

電「……」

加賀「早く来なさい」

電「……」テクテク

提督「おい!行くな電!」

電「……西提督さん、司令官さんを頼みますね」

西提督「……わかったよ」

提督「行くな電!なんで何も聞いてないぞ!全部説明しろよ!」ダッ

西提督「北上っ!」

北上「うん」ガシッ

提督「離せ北上!ふざけんな!」

西提督「絶対に離すなよ」

北上「……うん」




149: ◆URthX3tYSmgA 2016/05/31(火) 00:50:31.22 ID:pbJ4oLUaO


電「ごめんなさい……司令官さん……」

提督「ふざけんな!俺と一緒に居たいって言ったじゃねーか!艦娘全員取り戻すって言ったじゃねーか!」

電「ごめんなさい……電は……嘘つきなのです……」

電「どうか……電達の事は忘れてください……」ポロポロ

加賀「さ、行きましょう」スッ

電「さようなら……司令官さん……」スッ

提督「電!電ぁ!」

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-----
--





178: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:37:51.39 ID:rYqcQL/qO


-深海アジト-

加賀「ただいま戻ったわ」

榛名「あら、遅かったですね」

加賀「ええ、色々あって」

榛名「流石の貴女も苦戦していたのですか?」

加賀「そんなことはないわ。ただ新しい戦力を手に入れるのに時間がかかっただけよ」

榛名「新しい戦力?」




179: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:38:19.42 ID:rYqcQL/qO


加賀「ええ、電がまた私達の戦力になったわ」

榛名「ああ、あの子突然居なくなるものですからどこにいったのかと思っていましたが戻ってきましたか。どういう風の吹き回しでしょうか」

加賀「さあ」

榛名「まあいいです。兎に角今は戦力がほしいのでこの際理由なんてどうでもいいでしょう」

加賀「そうね」

榛名「それで電さんは?」

加賀「貴女とは会いたくないそうよ」

榛名「随分と嫌われたものですね。まあいいでしょう、彼女の事は貴女に任せますね」

加賀「ええ、任せてちょうだい」




180: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:38:45.97 ID:rYqcQL/qO





電「……」

扉『』コンコン

加賀「入るわよ」ガチャ

電「なんですか?」

加賀「調子はどう?」

電「別に普通なのです」

加賀「そう。これから貴女の行動は私が制限するわ、だから基本はこの部屋から出させないわ」

電「……はい」

加賀「そして近々私達は大本営を襲撃します」

電「!」




181: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:39:49.93 ID:rYqcQL/qO


加賀「その時には貴方にも出撃してもらうわ」

電「加賀さん、なんでそんなことをするのですか!」

加賀「……復讐の為よ」

電「復讐をして、この世界を壊して、その先に何があるんですか!」

加賀「……さあ」

電「それに司令官さんだって帰ってきたじゃないですか!もう復讐する理由なんてないじゃないですか!」

加賀「……」

電「司令官さんだってこんな事望んでなんか……」

加賀「黙りなさい」




182: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:40:41.75 ID:rYqcQL/qO


電「……」

加賀「あの人が戻ってきたところで私達の怒りは収まらないわ」

電「……そんなの嘘なのです」

加賀「……」

電「加賀さんだって本当は司令官さんが戻ってきて嬉しかったはずなのです」

加賀「……」

電「司令官さんと会って、もう復讐の理由なんて無くなったはずなのです」

加賀「……」




183: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:41:17.58 ID:rYqcQL/qO


電「復讐って誰への復讐ですか?司令官さんへの復讐なら司令官さんに直接すればいいじゃないですか」

加賀「……」

電「今の加賀さんはただ必死で復讐の為と自分に言い聞かせているようにしか見えないのです……」

加賀「……」ギリッ

加賀「貴女が何と言おうとも作戦は変わらないわ。作戦の時になったら働いてもらうから」

電「……」

加賀「もし逆らうのであれば提督の鎮守府を深海棲艦に襲わせる事もできるのよ」

電「!」



184: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:42:55.70 ID:rYqcQL/qO


加賀「わかったら黙っていう事を聞きなさい」

電「……はいなのです」

加賀「じゃあ私は行くわ」

電「待ってください、一度でいいから榛名さんと会わせてください!」

加賀「それは駄目」

電「なんでですか!お願いします!」

加賀「駄目と言ったら駄目よ。さよなら」バタン

電「加賀さん!」




加賀「……」

加賀「あの子に会わせる訳にはいかないの……」

加賀「提督が居るとわかったら……あの娘の決意が……揺らいでしまうから……」





185: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:43:39.43 ID:rYqcQL/qO




ザザァン


榛名「……」

戦艦水鬼「マタ空ヲ見テイルノカ?」

榛名「何をしようと私の勝手じゃないですか」

戦艦水鬼「ソレモソウカ」

榛名「今考えていたんです、もし今提督が榛名の前に現れたら榛名になんて言うんでしょうかって」

榛名「馬鹿野郎と怒るのでしょうか?何をやっているんだって罵るのでしょうか?」

戦艦水鬼「考エテモ仕方ナイダロウニ」

榛名「……それもそうですね」




186: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 15:45:15.09 ID:rYqcQL/qO


戦艦水鬼「ソウダ、ダッテオ前ノ提督ハ……」

戦艦水鬼「オ前タチヲ捨テテ逃ゲタンダ」

榛名「……」

戦艦水鬼「アイツニトッテオ前ナンテイラナイ娘ナンダ」

榛名「……」

戦艦水鬼「オ前ガドレダケアイツヲ慕ッテモ……ソノ想イハ届カナイノヨ」

榛名「五月蠅い!」

榛名「そんな事言われなくてもわかってます!」

榛名「今は最終戦の前で少し変なことを考えていただけです、私の怒りは消えてませんよ!」

戦艦水鬼「ソウ」
ニヤ

榛名「もういいです、私はこれで」スッ

戦艦水鬼「マタネ……」

戦艦水鬼「フフフ……本当ニ扱イ易イ娘」

戦艦水鬼「ソノママ身モ心モボロボロニナルマデ頑張ッテチョウダイ……フフフ……」




191: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:34:12.89 ID:CZsPKx0TO


-鎮守府-


大淀「結果から言うと南鎮守府は壊滅です」

提督「……そうか」

大淀「負傷した提督及び艦娘は暫く大本営で療養してもらうことになりました」

提督「……」

大淀「そして私が態々大本営から来た理由ですが……もうそちらもわかってますよね?」

提督「……加賀だな」




192: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:34:47.69 ID:CZsPKx0TO


大淀「ええ。しかし加賀さんだけではなく榛名さんも深海棲艦を指揮する姿が目撃されました」

提督「!」

大淀「恐らくこの二人が敵部隊の中核ですね、他にもいる可能性もありますが」

大淀「そしてその二人は提督さん、貴方の艦娘ですよね?」

提督「……ああ」

大淀「やはりそうですか。処分は後々知らせます。それまで鎮守府から出ないでください」

提督「……なんであいつらは南鎮守府を襲ったんだ?」




193: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:35:14.53 ID:CZsPKx0TO


大淀「……恐らく次に深海棲艦側は大本営を落としに来るでしょう」

大淀「そこで大本営が他の鎮守府から援軍を要請することができないように他の鎮守府を襲ったのかと」

提督「大本営に応援を寄越したらその間に自分の鎮守府がこうなるぞって脅しをかけたのか」

大淀「恐らくそうでしょう。深海棲艦側が大本営を襲いに来た場合大本営と深海棲艦の総力戦になりますね」

提督「……そうか」




194: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:35:58.21 ID:CZsPKx0TO


大淀「そして、深海棲艦側についた貴方の艦娘ですが……大本営から撃沈許可が下りました」

提督「!」

提督「ちょっと待て!」

大淀「これは決定事項です」

提督「頼む!もう少し待ってくれ!せめてあいつらに会ってから……!」

大淀「駄目です。相手が本気で攻めてきている以上こちらもそれ相応の対応をしなくてはいけません」

提督「そこをなんとか!」

大淀「私に言ったところでどうにもできません。諦めてください」

提督「くっ!」

大淀「では私はこれで」スッ

提督「くそおおおおおおおおおおおお!」



196: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:37:07.77 ID:CZsPKx0TO




川内「あれから提督の様子はどう?」

暁「んーん、ずっと司令室でぼーっとしてる」

蒼龍「帰ってきたと思ったら電ちゃんはいないし提督は抜け殻のようになっちゃってるしどうなってるのさ」

川内「急に大本営から大淀が来て何か話してたしね」

暁「大淀さんが居なくなってから数週間経っちゃったけど何を聞いても上の空だし本当に何があったのかしら……」

川内「あまりにも反応が薄いから大井もどっか行っちゃったしでもうなんか大変だね」

蒼龍「なんだか……またバラバラになっちゃったね……」





197: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:38:38.41 ID:CZsPKx0TO



提督「」ボー

『司令官さんがいれば他に何もいらないのです』

提督「なあ電……結局……全部嘘だったのか……?」

提督「俺が帰ってきてから今日までの事も……全部嘘だったのか……?」

提督「そんなの……流石の俺も受け止めきれねえよ……」

提督「なんで……なんで一人で勝手に居なくなるんだよ……」

提督「ずっと一緒じゃなかったのかよ……」


ドゴォン

提督「!」

提督「なんだこの爆発音は!?」

川内「提督、敵襲だよ!」ガチャ

提督「なんだと!?深海棲艦かの反応はなかったはずだぞ!」

川内「違うの!撃ってるのは大井なんだよ!」

提督「はぁ!?」

川内「兎に角早くここから出て!鎮守府が壊れちゃう!」グイッ

提督「何やってんだあの野郎!」ダッ




198: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:39:22.95 ID:CZsPKx0TO


-鎮守府外-


大井「……」ドンドン

暁「何やってるの大井さん!」

蒼龍「いきなり帰ってきてどうしたのさ!」

提督「おい、何やってんだ!」

暁「あ、司令官!大変なの!」

提督「おい大井、今すぐ砲撃を止めるんだ!」

大井「……」ドンドン

提督「大井!」

大井「……」ドンドン

提督「皆、早く大井を止めるんだ!じゃないと俺達の鎮守府が……!」




199: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:39:58.95 ID:CZsPKx0TO


川内「提督、もう遅いよ」

提督「え?」

ズズズズズ

提督「あ……あ……大事な……鎮守府が……」

大井「どう?久しぶりに外に出た気分は?」

提督「どうじゃねーよ!何やってんだよお前!」ガッ

暁「司令官!」




200: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:44:15.13 ID:CZsPKx0TO


大井「こうでもしなきゃあんた外に出てこなかったでしょ」

提督「だからってなんでこんな事すんだよ!この鎮守府はお前達との思い出が沢山詰まってんだぞ!それを……!」

大井「そんなもの要らないわよ」

提督「なんだと……!」

大井「大体何なのよ!秘書艦一人居なくなったからって抜け殻みたいになって!そんな屑だとは思わなかったわ!」

提督「お前に何がわか……」

大井「思い出なんてまた作ればいいじゃない!電が居なくなったなら探しにいけばいいじゃない!仲間が敵になったならまた取り戻せばいいじゃない!」

大井「少なくとも私の知ってる提督ならそう言うわ!」




201: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:46:00.89 ID:CZsPKx0TO


提督「お前……なんでそれを……」

大井「なんで私達に何も言わないのよ……悩みがあるならなんで相談しないのよ……」ポロポロ

大井「私達とあんたの関係はその程度だったの?」ポロポロ

提督「大井……」

大井「それに今一番助けを求めてるのはあの子でしょ!」ポロポロ

提督「!」

大井「誰よりもあんたと一緒に居たがってたあの子が自分から居なくなろうとしてるのよ!」ポロポロ

大井「あんたの為に自分だけ犠牲になろうとしてるのよ!」ポロポロ

大井「あんたはあの子の優しさにただ甘えてるだけなの!?」ポロポロ




202: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:46:48.19 ID:CZsPKx0TO


提督「……」

『どうか……電達の事は忘れてください……』

『さようなら……司令官さん……』

提督「」ブチッ

提督「うおおおおおおおおおおおおおお!」

提督「」ハァハァ

暁「しれー……かん?」

提督「俺は……今まで何をやってたんだろうな」

提督「そうさ、電も、加賀も榛名も皆助けに行けばいいんだ」

提督「俺の艦娘は誰一人として沈めさせるもんか」

大井「やっと戻ってきたみたいね」

提督「ごめんな、大井、暁、蒼龍、川内」

暁「もう、少しは暁を頼ってよね」プンスカ

川内「でも提督が元に戻ってくれたしいいかな」

蒼龍「うん、私も気にしてないよ」




203: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:47:30.70 ID:CZsPKx0TO


提督「皆、俺の無茶を聞いてくれるか?」

大井「今更何言ってるのよ」

暁「司令官の無茶なんて今に始まったことでもないでしょ」

川内「うんうん」

蒼龍「だねー」

提督「大本営と深海棲艦の戦争に突っ込むぞ!目標は電の奪還と榛名と加賀の説得だ!」

大井暁川内蒼龍「「「「はい!」」」」




204: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:57:55.62 ID:CZsPKx0TO


提督「じゃあこれから準備を整えて作戦を練ってから……」

大井「そんな余裕はないわ」

提督「え?」

大井「もう始まっちゃってるのよ、戦争」

提督「はあ!?」

提督「お前なんでそれを早く言わなかった!」

大井「私だってそれを知って急いで帰ってきたのよ!」

提督「じゃあどうすんだよ!」

大井「それを今から考えるんじゃない!」




205: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 18:58:37.66 ID:CZsPKx0TO


川内「ぐだぐだだねー」アハハ

蒼龍「でもやっといつもの雰囲気に戻ってきたね」

暁「そういえば大井さん今までどこに行ってたの?それにそこにあるおっきな袋は何かしら」

大井「ちょっと西鎮守府に装備を取りに行ってただけよ」

暁「え?」ガサゴソ

暁「ええ!?貴重な装備が沢山あるわ!」

川内「しかも私達全員の分あるねー」

蒼龍「それにしてもよくくれたね西提督さん」

大井「西鎮守府で働いた分の正当な給料を貰ってきただけよ」




206: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:01:15.05 ID:CZsPKx0TO


暁「じゃあ早く行きましょう!」

提督「待て、俺達全員が出撃してる内に鎮守府が襲われたりしたらどうするんだ」

大井「いいじゃない。もう失うものなんてないんだし」

提督「え?……あ」

大井「これで心置きなく出撃できるじゃない」ニコッ

提督「……まさかお前ここまで全部計算してたんじゃないだろうな?」

大井「さあ、どうかしらね?」

提督「やっぱりお前には敵わんよ」

大井「当たり前でしょ、私を誰だと思ってるのよ」




207: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:01:52.60 ID:CZsPKx0TO


提督「じゃあ早速準備して……」

島風「やっほー!」ズザザザザ

提督「今度は何だ!」

大井「この子は確か北鎮守府の秘書艦だった……」

島風「島風だよ!」

暁「島風ちゃんがいるってことは……」

北提督「どうも」

提督「やっぱりか」




208: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:02:31.86 ID:CZsPKx0TO


川内「何しに来たのさ」キッ

蒼龍「返答次第によってはただじゃおかないよ」キッ

北提督「そう睨まないでくれ。別に何かしようなんて思っちゃいないさ」

提督「じゃあ何しに来たんだ?」

北提督「島風と追いかけっこしてたらここに辿り着いただけだよ」

島風「島風は速いんだよ!」

大井「はあ!?」

暁「訳がわからないわ」




209: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:04:15.28 ID:CZsPKx0TO


北提督「それより話はちょっとだけ聞こえましたよ。大本営が深海棲艦と戦争を始めたらしいですね」

大井「おかしいわね、全鎮守府に通達があったみたいだけど」

北提督「ああ、ずっとこいつに付き合ってて執務なんてやってなかったから」

島風「こいつじゃないもん!島風だもん!」




210: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:05:04.26 ID:CZsPKx0TO


北提督「それよりいいんですか?急いでるんでしょう?」

提督「そうだった、急いで準備をしなくては」

大井「いいえ、予定変更よ。提督はこの子と一緒に今すぐ大本営に向かいなさい」

提督「!?」

北提督「!?」

島風「おうっ!?」

提督「何言ってんだ大井!?」

大井「事は一刻を争うのよ、使えるものはなんでも使うわ」




211: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/20(月) 19:05:57.61 ID:CZsPKx0TO


北提督「俺がそれを許すと思ってるのか?」

島風「島風はいいよ!」

北提督「……いいのか?」

島風「うん、困った時は助け合わなきゃ!」

北提督「好きにしろ」ハァ

島風「わかった!じゃあ提督さん、早く背中に乗って!」

提督「しかし大井……」

大井「いいから早く行きなさい。グズグズしてると何もかも終わっちゃうわよ」

大井「私達も後で追いつくから今は行きなさい」

提督「しかし……」

暁「行って、司令官。暁なら大丈夫、だってレディですもの」

川内「行ってよ提督」

蒼龍「うん、早く行って皆を助けて来てよ」

提督「わかった!絶対命だけは大切にするんだぞ!」

大井「それはこっちの台詞よ」

島風「じゃあ行ってくるね提督!」

北提督「……気をつけろよ」

島風「うん!」ニコッ

島風「島風、抜錨しまーす!」ザザァ




224: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:49:54.43 ID:ULsd30z1O



-大本営近海-



ザザァン


金剛「……」

赤城「大丈夫ですか、金剛さん」

金剛「イエー、問題ナッシングデース」

赤城「私は……今日ほど出撃したくないと思った日はありません」

金剛「……それは皆一緒デス」

金剛「でも誰かがやらなくてはいけないんデス」

赤城「……苦しいですね」

金剛「……」




225: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:50:35.98 ID:ULsd30z1O


飛龍「敵艦隊、捕捉しました!」

金剛「解りまシタ。皆さん、戦闘準備をしてくだサイ!」

艦娘達「「「「「「おおおおおおおおおお!」」」」」」

金剛「(そう、誰かがやらなくてはいけないんデス)」

金剛「(敵が全力でくるならこちらも全力で相手をしなくてはならないんデス……沈めなければならないんデス……)」

金剛「(例え相手が同じ場所で過ごした仲間でも……)」

金剛「(例え……マイシスターでも……)」ギリッ




226: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:51:31.39 ID:ULsd30z1O


榛名「……」ザザァ

加賀「……」ザザァ

戦艦水鬼「……」ザザァ

駆逐棲姫「……」ザザァ

飛行場姫「……」ザザァ

電「……」ザザァ

榛名「……加賀さん、全部隊の準備はできていますか?」

加賀「ええ、いつでもいけるわ」

榛名「そうですか……」




227: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:51:59.22 ID:ULsd30z1O


榛名「……榛名は、この日をずっと待っていました。憎い憎いこの世界を終わらせる日を」

加賀「……」

榛名「あそこの奥の旗艦は金剛お姉さまでしょうか?なぜあんなに辛そうな顔をしているのでしょう?もっと喜べばいいのに……フフフ……」

加賀「相手も長くは待ってくれないみたいよ」

榛名「わかってます。そろそろ始めましょうか」




228: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:52:56.43 ID:ULsd30z1O






ザザァン





榛名「全軍、出撃!」

金剛「総員、抜錨!」




オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ










229: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:54:00.93 ID:ULsd30z1O


提督「おい、後どれくらいで着くんだ!」

島風「もうすぐだよ!だって島風速いもん!」ザザァ

提督「さっきからそればっかじゃねーか!もっと速く進めよ!」

島風「提督さんを降ろしたらもっと速く動けるよ!」

提督「それじゃあ意味ねーよ!」

島風「……さっきさ、追いかけっこしてたら鎮守府に着いちゃったって言ってたでしょ?」

提督「ああ」

島風「本当はさ、ちゃんと用事があって来たんだよ」

提督「用事?」




230: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:54:54.47 ID:ULsd30z1O


島風「うん、提督さんにありがとうって言いに来たの」

島風「島風は今とっても幸せだよって言いに来たの」

提督「はは、そんなもん言わなくてもわかるっつーの」

島風「なんでわかったの?」

提督「お前の顔を見ればわかる」

島風「そうかなー?えへへ」

提督「そういえばお前は自分の鎮守府を守んなくていいのか?」

島風「壊されたらその時考えるよ!」

提督「雑だなぁ」

島風「でもそっちみたく自分から壊したりはしないけどね!」

提督「それは言うな」

島風「じゃあもっとスピード上げるからしっかり掴まっててね!」

提督「おう!」

島風「いっくよー!」

提督「(頼む……間に合ってくれ……!)」




231: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:56:35.34 ID:ULsd30z1O



第一部隊

駆逐棲姫「……」ドンドン

電「……」

駆逐棲姫「オ前モ戦エ」

電「いえ、電は……」

駆逐棲姫「提督ガドウナッテモイイノカ?」

電「!」

電「わかりました」チャキ




232: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:57:20.40 ID:ULsd30z1O


雷「電!」

電「!」

雷「どうして貴女が深海棲艦側に居るのよ!」

響「電、これは何かの冗談だろう?」

電「雷ちゃん……響ちゃん……」

雷「嫌よ!私は妹となんか戦いたくないわ!」

響「落ち着くんだ雷、もしかしたら捕虜になってしまったのかもしれないよ」

雷「そっか、そうよね。電が私達を裏切る訳ないもの!そうよね電!」




233: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:58:08.26 ID:ULsd30z1O


電「……」

駆逐棲姫「……撃テ」

電「で、ですが……」

駆逐棲姫「撃テ」

電「」ギリッ

電「」ドン

ザパァン

雷「!」

響「!」

雷「そんな……電……どうして……?」

電「電は……敵なのです」

響「それは本当かい?」

電「はい……だから二人とも……本気で来てください!」




234: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:58:54.17 ID:ULsd30z1O




第二部隊


赤城「……」

ブロロロロロ

赤城「やはり航空戦は貴女が来ますか……」

加賀「……久しぶりね、赤城さん」

飛行場姫「フフフ……」




235: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 22:59:33.49 ID:ULsd30z1O


瑞鶴「加賀さん!」

加賀「……」

瑞鶴「なんでこんなことするのよ!」

赤城「瑞鶴さん……」

瑞鶴「いっつも演習で私を指導してくれたじゃない!不愛想だったけど優しく教えてくれたじゃない!」

瑞鶴「そんな加賀さんがこんなことしてるなんて信じられないよ!」




236: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 23:01:01.60 ID:ULsd30z1O


飛龍「瑞鶴、それ以上は話しちゃ駄目だよ」

瑞鶴「だって!」

飛龍「どんな理由であれ敵側にいる以上戦うしかないんだよ。あれは私達が慕ってた頃の加賀さんじゃない、深海棲艦の仲間だよ」

赤城「飛龍さんの言う通りです。私達にはここを守るという使命があるのですから一切の私情を挟んではいけません」

瑞鶴「そんな、赤城さんまで……」

加賀「そこの二人の言う通りよ、瑞鶴。戦場では常に冷静に状況を分析しなさいと言ったじゃない」

瑞鶴「やっぱり……戦うしかないんだね……」

加賀「……そうよ、構えなさい瑞鶴」

瑞鶴「うう……」




237: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 23:02:17.87 ID:ULsd30z1O


赤城「瑞鶴さんと飛龍さんは飛行場姫をお願いします。加賀さんの相手は……私がします」

赤城「お二人に重荷を背負わせる訳にはいきませんから」ニコッ

瑞鶴「そんなの駄目だよ!私達も一緒に……」

飛龍「わかった」

瑞鶴「なんで!」

飛龍「瑞鶴が今加賀さんと戦ったところで動揺して上手く戦えないでしょ」

瑞鶴「……」

飛龍「それに一緒に戦ったって私達じゃ足手まといになるだけだよ」

瑞鶴「」ギリッ




238: ◆URthX3tYSmgA 2016/06/21(火) 23:03:13.81 ID:ULsd30z1O


瑞鶴「わかった……赤城さん、そっちは頼んだよ」

赤城「ええ、任せてください」

加賀「……負けませんよ」スッ

赤城「私だって負けません、そう……」スッ



赤城加賀「「一航戦の誇りに賭けて」」






260: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 19:55:49.21 ID:lkdGVp/mO


金剛「できれば……嘘であってほしかっタ……」

金剛「信じられなかった。いや、信じたくなかっタ……」

金剛「だって、私の妹が……榛名が……敵として私の前に現れるなんて想像したくなかったんデスから……」

榛名「ふふふ……」

戦艦水鬼「……」



261: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 19:56:17.29 ID:lkdGVp/mO


金剛「どうしてデスか?どうして榛名がこんな……」

榛名「どうして……ですか。本当はお姉さまもわかっているんじゃないですか?」

金剛「……テートクですか」

榛名「そうです。あの人はこの世界から居なくなってしまいました……私達を捨てて……」

金剛「それは違いマス!きっといつか帰って……」

榛名「いつかっていつですか!今日ですか!明日ですか!そうやっていつまでもありもしない希望に縋るのはもう飽きたんですよ!」

金剛「榛名……」



262: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 19:57:00.70 ID:lkdGVp/mO


榛名「だから決めたんです……私達を捨てた提督に復讐してやろうって」

金剛「だからって……こんなの間違ってマス……」

金剛「榛名……目を覚ましてくだサイ……」

榛名「榛名はいつだって正気ですよ?おかしいのは金剛お姉さまの方です」

榛名「止めたければ力づくで止めればいいではないですか」チャキ

金剛「やはり……やらなければならないんデスネ……」チャキ



263: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 19:57:42.67 ID:lkdGVp/mO


戦艦水鬼「手ヲ貸ソウカ?」フフ

榛名「結構です。ここは私一人でやるのでどこかへ行ってください」

戦艦水鬼「ショウガナイ奴ダ」スッ

榛名「懐かしいですね……最後に手合わせをしたのは演習でしたっけ」

金剛「……」

榛名「あの時は全く歯が立たなかったけど今は違います……あれから榛名はずっとずっと強くなりました」

榛名「もう……誰にも負けません」ギロッ

金剛「……今の私達をテートクが見たら……なんて言うんでショウネ……」

榛名「まだありもしない幻想を抱くのですか」

金剛「榛名……私は貴女の事が大好きです。例えどんなに変わっても……私の大切な妹デス」

金剛「デスが……この世界を……テートクが愛したこの世界を壊すというのであれば……」

金剛「私は……榛名を沈めマス」キリッ

榛名「やれるものなら……やってみてください!」





266: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:04:51.29 ID:lkdGVp/mO


響「はあっ」ドンドン

電「」サッ

電「どうしたのですか二人とも、動きが鈍いですよ」ドンドン

響「くっ」

雷「二人がかりでも圧されてる……」

電「当てる気のない砲撃は電には効かないのです」

響「雷、覚悟を決めよう。このままじゃ二人とも沈んでしまうよ」

雷「それって電を沈めろってこと?そんなの絶対嫌よ!」

響「でもそれしかもう方法がないんだ」



267: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:05:44.06 ID:lkdGVp/mO


雷「でも……でも……」

電「そこです!」ドン

雷「え……」

響「危ない!」バッ

ドォン

雷「響!」

響「無事かい……雷……」ハァハァ

雷「なんで私を庇って!」

響「姉を守るのに……理由なんているかい……?」

雷「響……」

響「雷……今すぐ一人で逃げるんだ」

雷「!」



268: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:06:37.52 ID:lkdGVp/mO


響「私が囮になれば……まだ逃げられる」

雷「嫌!そんなの嫌よ!」

響「でも……このままじゃ……」

雷「響一人置いて逃げることなんてできる訳ないじゃない!」ギュ

響「はやく……しないと……」

電「もう遅いのです」チャキ

雷「!」

響「……」

電「この距離なら……外すことはないのです」

雷「……なんで」

電「……」

雷「なんでこんな事するのよ……電……貴女に……何があったのよ……」



269: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:07:59.03 ID:lkdGVp/mO


電「……電はただこの世界が嫌いになっただけなのです」

雷「そんなの嘘よ……」

電「嘘じゃ……ないのです」

雷「だったら……だったらどうして泣いてるのよ!」

電「……」ポロポロ

雷「泣くほど辛いのに……押し殺してた感情が溢れるほど苦しいのに……それでも戦う理由は何なの?」ポロポロ

雷「辛いなら私達に言ってくれたっていいじゃない……なんでいつも一人で背負い込むのよ」ポロポロ

電「……」ポロポロ

雷「皆で笑って一緒に過ごした日々は……どこにいっちゃったのよ……また四人で笑いあう事はできないの?」ポロポロ

電「……電は……もうどうしていいのかわからないのです」ポロポロ

電「ごめんなさい……」チャキ




274: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:26:35.13 ID:lkdGVp/mO


雷「誰か……助けて……」ポロポロ

雷「助けてよ!しれいかああああああん!」ポロポロ



「電ぁ!」



電「!」

雷「!」

響「!」

提督「やっと見つけたぞおおおおおおおお!」

島風「」ゼーハーゼーハー

電「司令官……さん……?」




275: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:28:10.04 ID:lkdGVp/mO








赤城「はあっ!」バシュ

加賀「……」バシュ


ブロロロロロ


赤城「やはり一筋縄じゃいきませんね」

加賀「……」

赤城「かつて背中を合わせて戦った相手と向かい合うのは……複雑な気分ですね」

加賀「……」

赤城「どうして……こんなことになってしまったんでしょうね」



276: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:29:53.37 ID:lkdGVp/mO


加賀「昔から変わらないわね、赤城さん」

赤城「……」

加賀「貴女は優しすぎる。私達に対しても、深海棲艦に対しても」

加賀「今だってそう……貴女の攻撃には殺意がないもの」

赤城「そういう加賀さんこそ攻撃に迷いがあります」

加賀「……」

赤城「本当は加賀さんだって戦いたくはないんじゃないですか?」

加賀「……」



277: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:30:34.62 ID:lkdGVp/mO


赤城「こんな戦いはやめましょう。今ならまだ間に合うはずです」

加賀「……」ギリッ

赤城「何か抱えているなら私も力に……」

加賀「うるさいっ!」

ブロロロロ

赤城「!」

ドガァン

赤城「くっ!」大破

赤城「加賀さん……なんで……」



278: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:31:15.29 ID:lkdGVp/mO


加賀「何と言われても私は止まるつもりはないわ」

赤城「貴女がそこまでして戦う理由は何なのですか……?」

加賀「……」

赤城「やはり……提督ですか?提督が居なくなったからですか?」

加賀「……提督ならもう戻って来てるわ」

赤城「!」

加賀「前に会ったの」

赤城「じゃあもういいじゃないですか。戦う理由なんてないじゃないですか……」



279: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:32:17.20 ID:lkdGVp/mO


加賀「ええ……そうかもしれないわね。でも今私が戦うのを止めたらあの娘の気持ちはどうなるの?」

赤城「あの娘……榛名さんのことですか?」

加賀「そうよ。あの娘は誰よりも純粋に、誰よりも真っすぐに提督を慕ってた」

加賀「それを裏切られたあの娘の悲しみを、絶望を誰が理解してあげられるの?」

赤城「加賀さん……」

加賀「私まで居なくなったらあの子は独りぼっちになってしまうわ……私はあの娘の気持ちを汲んであげたいのよ」

赤城「だからって……」

加賀「その為なら私は鬼にも悪魔にでもなるわ」



280: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/06(水) 20:33:16.73 ID:lkdGVp/mO


赤城「そう……ですか」フフ

加賀「何が可笑しいの?」

赤城「だって、加賀さんだって……私に負けず劣らず優しいじゃないですか……」

赤城「昔から……何も変わってないじゃないですか」

加賀「……」

赤城「どうしてもその道をいくのですか?」

加賀「ええ……だから私は貴女を沈めるわ」

赤城「そうはさせません……と言いたいですが今の私には抵抗する力はありません」

赤城「私はここまでのようです」

加賀「」チャキ

加賀「さよなら……赤城さん」



304: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:10:56.80 ID:o2Pu1kLBO



榛名「はあああああああ!」ドンドン

金剛「遅いデス!」サッ

榛名「くっ!ならばこれはどうですか!」ザザァ

金剛「!」

金剛「そんなに近くから撃ったら榛名自身まで巻き込まれマス!」



305: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:11:23.43 ID:o2Pu1kLBO


榛名「当たるなら榛名は構いませんよ!」ドンッ

金剛「!」

ドォン

榛名「これでどうですか」ハァハァ

金剛「」ヌッ

榛名「な!?煙の中から!?」

金剛「」ドゴォ

榛名「がはっ!」



306: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:11:55.23 ID:o2Pu1kLBO


金剛「この距離なら……外さないでショウ……」ハァハァ

榛名「まさか砲撃を食らいながら無理矢理攻撃してくるとは……」ハァハァ

金剛「言ったはずデス、沈めてでも止めると」

金剛「(とは言っても流石に今のは効きマシタ)」

金剛「でもこれでチェックメイトデス」チャキ

榛名「くっ!」ギリッ



307: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:12:41.58 ID:o2Pu1kLBO


金剛「ここで貴女を……沈めマス……」

榛名「そうですか、ここまでですか」

榛名「でも、例え沈んでも榛名はきっと蘇ってみせます」

金剛「その時はまた沈めマス」

榛名「……」

金剛「さようなら、榛名……」チャキ

金剛「……」



308: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:13:19.42 ID:o2Pu1kLBO


『榛名は、大丈夫です』

『無茶しないでください金剛お姉様、榛名は心配になります』

『榛名は、この鎮守府で過ごす日々が大好きです』

金剛「……」

榛名「……どうしたんですか?早く撃てばいいではないですか」

金剛「……」プルプル

金剛「……できまセン……」プルプル

金剛「やっぱり……私には大切な妹を沈めることなんて……できまセン……」ポロポロ



309: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:13:47.53 ID:o2Pu1kLBO


榛名「……」ギリッ

榛名「」バッ

金剛「!」

榛名「」ガッ

金剛「ぐっ!」

榛名「これで形成逆転ですね」ニヤリ

金剛「あ……が……」

榛名「お姉様は甘すぎます。だからこんなことになるんですよ」

榛名「このまま絞め殺してあげます」グググ

金剛「ぐ……」ポロポロ

金剛「テイ……トク……」ポロポロ

金剛「ごめん……なサイ……」ポロポロ



310: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:14:23.90 ID:o2Pu1kLBO






電「司令官……さん……?」

雷「しれー……かん……?」

提督「その砲塔を降ろすんだ電」

電「そ、それは……できないのです」

提督「なんでだ?」



311: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:15:24.13 ID:o2Pu1kLBO


電「電が戦わないと……司令官さんが危ないのです……」

電「司令官さんには……傷ついてほしくないのです……」

提督「じゃあ撃つのか?」

電「……それも……できないのです……」ポロポロ

電「同じ仲間を……姉妹を沈めたくなんてないのです……」ポロポロ

雷「電……」

電「もう電はどうすればいいのか自分でもわからないのです」ポロポロ



312: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:16:14.32 ID:o2Pu1kLBO


提督「もういい、無理するな」

電「でも……」

提督「もし俺に何かあったらその時はお前が守ってくれ、電」

電「それは……できないのです」

電「電の力じゃ加賀さんや榛名さんには敵いませんでした……」

電「この状況も……電の力が足りなかったからこうなってしまったんです」



313: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:17:20.07 ID:o2Pu1kLBO


電「だからせめて司令官さんだけは助かるようにって居なくなったのに……」

電「なんで……司令官さんはまた電の前に現れるのですか……」ポロポロ

提督「そんなの決まってるだろ!俺にはお前が必要だからだ!」

電「!」

提督「お前だけじゃない、加賀も、榛名も、全員俺の鎮守府には必要なんだよ!」

提督「俺はお前達全員ともう一度やり直したいんだよ!」

電「じれいがん……ざん……」ポロポロ

提督「だからこれ以上無茶するな。お前にはそんな役は似合わん」

電「うう……」ポロポロ



314: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:18:15.38 ID:o2Pu1kLBO


提督「今まで一人で頑張って来たんだな」ナデナデ

電「でも……でも……じゃあどうすればいいのですか……」ポロポロ

電「電だけじゃ……どうしようも……」ポロポロ

提督「安心しろ、もうお前は一人じゃないだろ?」

電「え……?」

提督「いるじゃないか。今まで集めてきた仲間が」






315: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:19:03.84 ID:o2Pu1kLBO





駆逐棲姫「……」チッ

駆逐棲姫「……」チャキ

駆逐棲姫「ソレナラ……全員沈メテアゲル」スッ

「折角いい所なのに邪魔するなんてレディじゃないわね」

ドゴォン

駆逐棲姫「ガハッ!」

駆逐棲姫「誰ダ!」キッ

暁「特Ⅲ型駆逐艦一番艦、暁よ!」エッヘン



316: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:20:14.74 ID:o2Pu1kLBO




加賀「さよなら……赤城さん」チャキ

ブロロロロロ

加賀「!」サッ

ドゴォン

加賀「くっ!」

加賀「艦載機に雷撃……一体誰かしら」キッ

蒼龍「久しぶり、加賀さん」

川内「ちょっと私と夜戦しない?」





317: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 19:21:17.41 ID:o2Pu1kLBO






金剛「ごめん……なサイ……」ポロポロ

「その汚い手を離しなさいな」

榛名「!」サッ

金剛「かはっ」ゲホゲホ

榛名「(凄い殺気……)」ハァハァ

榛名「誰ですか」ギロッ

大井「通りすがりの重雷装巡洋艦よ」





318: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 20:03:31.17 ID:o2Pu1kLBO




電「暁ちゃん……」

暁「全く、急に居なくなるんだから心配したわ!」プンスカ

提督「な?お前はもう一人じゃないだろ?」

提督「お前が一人でできないなら俺達も手伝うさ」



319: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 20:04:01.77 ID:o2Pu1kLBO


電「(そうだ……電は……もう一人じゃないんですね)」

電「(電達の今までの行動は……無駄じゃなかったんですね)」グスッ

電「ごめんなさい……心配かけてごめんなさいなのです……」ポロポロ

暁「いいのよ。電は今まで頑張ったんですもの、今度は暁達が頑張る番よ」

電「暁ちゃん……」

暁「ここは暁達に任せて電は行かなきゃいけない場所に行って」

電「で、でも……」

雷「大丈夫、私もいるわ!」

電「雷ちゃんまで……」



320: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 20:04:50.47 ID:o2Pu1kLBO


雷「もっと私に頼ってもいいのよ電!だから先に行きなさい!」

電「……わかりました、電は先に行くのです」

電「司令官さん……行きましょう、榛名さんの元へ」

提督「おう」

電「司令官さんは電の背中に」スッ

提督「わかった」

島風「じゃあ島風はそこの大破してる娘を預かって戻るね」スッ

響「……」



321: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/24(日) 20:05:54.73 ID:o2Pu1kLBO


暁「ありがと、島風ちゃん」

島風「これで借りは返したからね!」

提督「ああ、十分だ」

雷「折角司令官と会えたのに直ぐ居なくなっちゃうのは悲しいけど……また会えるわよね?」

提督「当たり前だろ?帰ってまたやり直すんだからな」

雷「そうよね……なら気合い入れなきゃ!」

電「じゃあ急ぎますよ司令官さん」

提督「おう、行くぞ電!」

電「はいなのです!」ザザァ




暁「さ、さっさと終わらせましょ?」

雷「相手が深海棲艦ならこっちのものよ!」

駆逐棲姫「ヒネリツブシテヤル……!」




327: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:07:47.09 ID:Kxj8+ZdLO



赤城「蒼龍さん、川内さん!」

川内「危なかったね、赤城さん」

蒼龍「大丈夫?」

赤城「ええ、なんとか。でももう艦載機は飛ばせそうにありません。ごめんなさい役に立たなくて」

蒼龍「ううん、赤城さんはよく頑張ってくれたよ。後は私達に任せて」

川内「そういうこと、後方でゆっくり休んでて」

赤城「ありがとうございます……」



328: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:08:27.25 ID:Kxj8+ZdLO


加賀「……何しに来たのかしら」

川内「そりゃあもう」

蒼龍「加賀さんを止めに……かな」

加賀「私も随分舐められたものね。貴女達だけで止められると思ってるのかしら?」

蒼龍「確かに一人じゃ無理でも」

川内「力を合わせればできるって提督に教えてもらわなかった?」

加賀「そんなこと覚えてないわ」チャキ

蒼龍「じゃあまた教えてあげるよ」チャキ

川内「二度と忘れないよう身体に刻み込んであげる」チャキ




329: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:09:05.37 ID:Kxj8+ZdLO


電「」ザザァ

提督「なあ電」

電「なんですか?」

提督「少しでいい、教えてくれないか?お前がどうして深海棲艦側にいたのか、そしてなんで一人で鎮守府に居たのか」

電「……大本営から異動命令が出た後、皆さん居なくなって後は榛名さんと加賀さんと電だけになりました……」



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330: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:09:31.78 ID:Kxj8+ZdLO


電『榛名さん、加賀さん』

加賀『……』

榛名『……』

電『お二人は練度も高いし今までの戦果も優秀なので大本営がどこに行くか選ばせてくれるそうです』

榛名『結局、提督は来ませんでしたね』

電『……いつかきっと帰ってきますよ』

榛名『いつか来る、いつか来ると言って待ちどれ位経ちましたか?』

電『……』



331: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:10:16.81 ID:Kxj8+ZdLO


榛名『ずっと提督を信じて待ってた私が馬鹿みたいですね』

電『それでも今はただ待つことしかできないと思うのです』

加賀『私達は提督にとってその程度の存在だったってことかしら』

電『そんなことは……ないのです……』

榛名『あの人に全てを捧げた私達の人生は何だったのでしょうね』

加賀『……』ギリッ

榛名『今はもうあの人への憎悪だけが込み上げてきます』

電『……』



332: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:11:00.86 ID:Kxj8+ZdLO


戦艦水鬼『フフフ……捨テラレタ可哀想ナガラクタ達……』スゥ

電『!』

榛名『!』

加賀『!』

電『何故こんな所に戦艦水鬼が!?』

戦艦水鬼『オ前等ノ心ノ闇ガ私を呼ンダンダ』フフ

加賀『心の……闇……』

戦艦水鬼『憎インダロウ?提督ガ』



333: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:11:53.97 ID:Kxj8+ZdLO


戦艦水鬼『ソコノ二人ハ正直ダゾ』フフ

電『そ、そんなことないですよね二人とも……』

榛名『……憎いです』

加賀『……ええ』

電『え……』

戦艦水鬼『ナラ復讐スレバイイ、壊セバイイ、何モカモ』

戦艦水鬼『本気デ復讐シタイノナラツイテキナサイ』

電『そんな口車には乗らないのです!』

加賀『……そうよ、私達を甘く見ないでちょうだい』



334: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:12:43.23 ID:Kxj8+ZdLO


戦艦水鬼『フゥン……貴女達ノ憎シミッテソノ程度ナンダ』フフ

榛名『……行きます』

電『!』

加賀『!』

榛名『こんな世界にいたっていいことなんてありません。ならばいっそ壊してしまった方がいいではないですか』

戦艦水鬼『ソノ通リダ』フフ

電『榛名さん!』

戦艦水鬼『ツイテコイ』ザザァ

榛名『……』ザザァ

電『榛名さん、行かないでください!』

加賀『……』ザザァ

電『加賀さんまで……』

電『そんな……』ポロポロ

電『このままじゃ……』ポロポロ

電『……』グシグシ

電『電も行くのです!』ザザァ




335: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:13:55.55 ID:Kxj8+ZdLO


------------------
---------
-----
---
--



電「あの時の電には二人を説得することも、力づくで止めることもできませんでした」

電「ただあの二人をそのままにするともう二度と戻ってこれないような気がして……それで電もついていきました」

提督「……」

電「時間が経てば説得のチャンスがある……そう思っていましたが結局二人を止めることができませんでした……」




336: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:14:38.66 ID:Kxj8+ZdLO



------------------
---------
-----
---
--




電『加賀さん、もうこんなことはやめましょう』

加賀『……』

電『加賀さんだって気づいてるはずです、こんなことをしても何の解決にもならないって』

加賀『……』

電『電はこれ以上こんな加賀さんや榛名さんを見たくはないのです……』



337: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:16:38.16 ID:Kxj8+ZdLO


加賀『やっぱり貴女はそっくりだわ』

電『え?』

加賀『その甘いところも、頑張れば皆が幸せになれると本気で夢見てるところも』

加賀『あの人そっくりで……ずっと気に入らなかったのよ』ギロッ

電『』ゾクッ

加賀『もし秘書艦が貴女じゃなくて私だったら……私も貴女と同じことを言ってたのかもしれないわね』チャキ

電『加賀さん……?』

加賀『これ以上協力できないというのなら……今すぐ沈めてあげるわ』バシュ

電『!』

ブロロロロロ

ドゴォン

電『』ハァハァ

加賀『どうしたの、動きが鈍いじゃない』

電『電は……加賀さんと戦いたくないのです……』

加賀『そう、じゃあ黙って沈みなさい』

ドドドドドド

電『きゃあ!』






338: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:17:07.01 ID:Kxj8+ZdLO


電『はぁ……はぁ……』

電『(もう……立ってるのが……精一杯なのです……)』

加賀『もういいわ、これ以上やっても仕方ないもの』スッ

電『……』ハァハァ

加賀『もうこれ以上私達に関わらないでちょうだい』

電『……』ハァハァ

加賀『次会ったら本当に沈めるわよ。わかったらどこかで静かに暮らしなさい』

電『(だめ……なのです……もう意識が……)』




-----------------------
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-----
--



339: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 17:17:58.99 ID:Kxj8+ZdLO


電「そして電はそのまま流されて気づくと何の偶然か自分の鎮守府に流されていました」

電「それから電は何をすればいいのかわからずただずっと司令官さんが帰ってくるのを待ち続けることしかできませんでした」

電「そして諦めかけた時に司令官さんが帰って来たのです」

提督「……今まで本当にすまなかったな」

電「いいのです。今は司令官さんが居ます。電はそれだけで十分なのです」

電「司令官さん、また昔みたいに皆で笑いあえるように頑張りましょう」

提督「ああ、頑張るぞ!」



343: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:18:05.19 ID:Kxj8+ZdLO



大井「」ハァハァ

榛名「」ハァハァ

大井「だいぶ動きが鈍くなってるじゃない。深海に浸かりすぎて身体が鈍ってるんじゃないの?」ハァハァ

榛名「そっちこそ普段から動かず魚雷ばかり撃ってるから動き方忘れたんじゃないですか?」ハァハァ

大井「言うじゃない」チャキ

榛名「ふん」チャキ



344: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:18:37.36 ID:Kxj8+ZdLO


提督「お、見えてきたぞ電!」

電「なのです!」ザザァ

提督「もっと急げないか電、このままじゃ二人とも共倒れになっちまう!」

電「それは無理なのです!」

提督「くそ……どうすれば……」



345: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:19:20.77 ID:Kxj8+ZdLO


電「!」

電「司令官さん、いい方法を思いつきました!」

提督「もうなんでもいい、時間がないから早速やるんだ!」

電「わかったのです!」フリカブリ

提督「え?」

電「司令官さん」カマエ

提督「嘘だろ……まさか……」

電「電の本気を見るのです!」ブンッ

提督「うわああああああああああああああああああ」




346: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:28:44.42 ID:Kxj8+ZdLO




榛名「死になさい!」チャキ

大井「負けるもんですか!」チャキ

金剛「二人ともやめるデス!これ以上やったら……」


「ちょっと待ったああああああああああああああああああああああああ」




347: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:29:23.51 ID:Kxj8+ZdLO


榛名「!」

大井「!」

金剛「!」

大井「この声は……」

金剛「まさか……」

榛名「てい……と……」


提督「ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」




348: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:29:57.84 ID:Kxj8+ZdLO



ヒュウウウウウウウウ


ボチャン


ブクブクブク……ブク……


大井「……」

金剛「……」

榛名「……」




349: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:42:34.85 ID:Kxj8+ZdLO


提督「」ザバァ

提督「がば……ごぼ……誰か……助け……」ブクブク

大井「……」ザザァ

大井「」ガッ

提督「」ザバァ

大井「……」

提督「すまん……大井」ゲホゲホ

大井「すまんじゃないわよこの馬鹿!もっとビシッときめなさい!」ドゴォ

提督「ごめんなさい!」ゴフッ



350: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:43:24.18 ID:Kxj8+ZdLO


金剛「本当に……テートクデスか?」

大井「ええ、この前帰って来たのよ」

榛名「う……そ……」

提督「大井、榛名のところまで連れてってくれないか」

大井「わかったわ」ザザァ



351: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:44:19.99 ID:Kxj8+ZdLO


提督「……久しぶりだな、榛名」

榛名「……今更何しに来たんですか?」ギロッ

提督「お前は今この深海棲艦達を率いてるんだってな」

榛名「ええ、凄いでしょう?これで私はこの世界を壊すのです!」

榛名「かつて自分の部下だった艦娘が他の艦娘を襲う気分はどうですか?」

榛名「軽蔑しましたか!落胆しましたか!怒りで一杯ですか!」

提督「……」

榛名「黙ってないでなんとか言ったらどうですか!」

提督「……本当にごめんな」

榛名「…………え……?」



354: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:53:08.37 ID:Kxj8+ZdLO


提督「榛名が敵になってしまったのも……今こんな状況になってしまったのも……元を辿れば全部俺のせいだ」

提督「今更謝ったところでどうにかなるわけでもない。でもそれでも謝らせてくれ」

提督「本当にすまなかった」

榛名「ふざけないでください!」

榛名「そんなことをしても無駄です!榛名は決めたんです!復讐すると!この世界を壊すと!」

提督「わかってる。お前は俺に復讐がしたいんだろう?」

提督「だったら俺の命をやる。それでこの戦争を終わらせてくれ、頼む」

大井「!」

金剛「!」



355: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:54:30.77 ID:Kxj8+ZdLO


大井「何言ってるのよ!」

提督「これでこの戦争が終わるなら安いもんさ」

大井「だからってあんたが犠牲になるのよ!そんなことさせないわ!」

提督「俺はそれだけの事をしたんだ。これは提督命令だ、絶対に助けるな」

大井「なんで……なんで貴方はいっつも自分勝手なのよ……」ポロポロ

提督「ごめんな……大井」

大井「皆でやり直すんじゃなかったの……?」ポロポロ

提督「すまない、これからは新しい鎮守府で道を歩んでくれ」

提督「さあ離れるんだ大井」

大井「……」ザザァ



356: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:55:11.40 ID:Kxj8+ZdLO


提督「さあ撃て榛名!それでお前の恨みが少しでも収まるなら安いもんだ!」

榛名「ふ……ふふふ……」

榛名「いいでしょう、そんなに言うなら殺してあげます!」

榛名「」チャキ

榛名「長かった……本当に長かった……」ポロポロ

榛名「ですがそれもぜ全部これで終わりです……!」ボロボロ

榛名「さよなら……提督……」ボロボロ




357: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:55:52.18 ID:Kxj8+ZdLO



ドン



ドゴォン



大井「いやあああああああああああ!」

金剛「テートクウウウウウウウウ!」

榛名「フ……フフ……」

榛名「アハハハハハハハハハ」ポロポロ

榛名「終わっタ……終わっタ……」ポロポロ

榛名「……」ポロポロ

榛名「違う……私がしたかったことは……コンナコトじゃ……」ポロポロ

榛名「本当は……ホントウハ……」ポロポロ



358: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:56:36.43 ID:Kxj8+ZdLO



電「全く、司令官さんはいっつも無茶しますね」

提督「あれ……俺生きて……」

電「言ったじゃないですか、皆で笑い合おうって」

提督「いな……づま……」

電「その皆の中には司令官さんも入ってるんですよ」



359: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:57:21.29 ID:Kxj8+ZdLO


提督「なんで……提督命令だって……助けるなって言ったろ……」

電「司令官さんが間違った道を行ったら正しい道を示すのが秘書艦の役目なのです」

電「撃たれて、死んで、どうするんですか」

電「そんなことをしたって何の解決にもならないのです!」

提督「……」

電「司令官さんがしなきゃいけないのは生きて皆に償うことなのです!」

提督「電……」



360: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 20:58:56.51 ID:Kxj8+ZdLO


榛名「生キテ……る……?」

電「榛名さん、本当の気持ちに向き合ってください」

電「榛名さんが本当にしたいことは復讐なんですか?」

電「本当にずっとずっと恨んでたんですか?」

榛名「榛……名……は……」

榛名「本……当……は……」

ドクン

榛名「うっ!」ズキン



361: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:00:02.61 ID:Kxj8+ZdLO


戦艦水鬼『恨ミナサイ……全テヲ』

榛名「あ……あ……」ズキン

戦艦水鬼『壊シナサイ……全部……全部……』

榛名「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」ズキン

電「どうしたのですか榛名さん!」

提督「様子がおかしいぞ!」

榛名「コワス……ゼンブ……ゼンブ……」ポロポロ

大井「自分自身を制御できなくなったんだわ」

金剛「榛名……」

電「司令官さん……電には聞こえるのです、榛名さんの叫びが」

提督「ああ……俺にも聞こえる」

提督「電、榛名を助けてやってくれ」

電「はいなのです。秘書艦に任せてくださいなのです」ザザァ




362: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:16:53.58 ID:Kxj8+ZdLO




電「榛名さん」

榛名「ウ……ウ……」ポロポロ

電「待っててください、今助けるのです」

榛名「アアアア!」ブンッ

電「今の榛名さんの攻撃なら電でも避けられるのです」サッ



363: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:17:34.22 ID:Kxj8+ZdLO


榛名「コワス……」ブンッ

----違う

電「」サッ

榛名「ゼンブ……コワス!」

----違う、本当は悲しかっただけなんです

電「」サッ

榛名「ナニモ……カモ……!」ブンッ

----提督が私達に……私に・・何も言わずに居なくなったことが

電「はあっ!」ドゴッ

榛名「カハッ!」

----本当は寂しかっただけなんです

電「ごめんなさい榛名さん、ですが今はゆっくり休んでください」

榛名「ア……ア……」ツー

----鎮守府の皆と離れ離れになることが

榛名「……」ガクッ




364: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:18:04.91 ID:Kxj8+ZdLO






----提督の側に……大好きな人の側に居られないことが








365: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:23:54.73 ID:Kxj8+ZdLO


電「榛名さんの気持ちが……痛いほど伝わってきたのです」

提督「そうか……」

戦艦水鬼「……」ギリッ

戦艦水鬼「役立タズメ……!」チッ

戦艦水鬼「一旦退クゾ!撤退ダ!」

大井「深海棲艦が退いていく」

金剛「終わったん……デスネ……」

提督「ああ、取りあえずは、な」



366: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:26:47.36 ID:Kxj8+ZdLO


金剛「そういえば他の皆は……」

ザーザー

『こちら雷よ!』

金剛「そっちはどうデスカ?」

雷『ええ、駆逐棲姫を倒したわ!』

金剛「素晴らしいデース!」

雷『もーっと私に頼ってもいのよ!』

暁『何よ、暁だって頑張ったんだからね!』

金剛「二人ともMVPデース」




367: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:27:29.08 ID:Kxj8+ZdLO


加賀「くっ!」ハァハァ

蒼龍「なんとか……勝てたね……」ハァハァ

川内「流石に大破すればもう艦載機も飛ばせないでしょ」ハァハァ

加賀「まだよ」グググ

川内「嘘、まだ動けるの!?」

蒼龍「ちょっと待って加賀さん、これ以上は危険だって!」

加賀「私には……私の意地が……あるのよ」グググ

蒼龍「蒼龍なんでそこまでするのさ!」

加賀「貴女には……関係ないわ」グググ



368: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:28:06.56 ID:Kxj8+ZdLO


加賀「行く……わよ……」

蒼龍「(だめ、これ以上は加賀さんの命が……)」

赤城「」ギュ

加賀「……え……?」

赤城「加賀さん、もういいんです」

赤城「今金剛さんから連絡がありました……榛名さんが負けたそうです」

加賀「!」

赤城「そして深海棲艦が兵を退きました。もう……終わったんです」

赤城「だからもうこれ以上……無茶しなくてもいいんです……」ギュ

加賀「……そう」

加賀「あの子は……負けたのね」

加賀「全部……終わったのね」

加賀「ああ……空が青いわ」ポロポロ

加賀「こんなに綺麗な空を見たのは……いつ振りかしら」ポロポロ




-------------------
------------
-------
---
--




371: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:43:13.21 ID:Kxj8+ZdLO




榛名「」ガバッ

榛名「ここ……は……?」

提督「大本営のベッドだ」

榛名「提督……」

提督「お前が暴走したから電に止めてもらった。気分はどうだ、大丈夫か?」

榛名「……まるで悪い夢を見ていたようです……長い、長い悪夢を……」

提督「いいんだ、お前は何も悪くない。悪いのは全部俺だ」ギュ

榛名「提……督……」



372: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:43:51.76 ID:Kxj8+ZdLO


提督「これから少しずつ償いをしていきたい。いつかお前の恨みが消えるまで償ってみせる」

榛名「……もういいんです」ポロポロ

榛名「榛名は……ただこうして提督の側に居られるだけで幸せなんです」ポロポロ

榛名「だから……もう居なくなったりしないでください」ポロポロ

提督「ああ」




373: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:47:29.16 ID:Kxj8+ZdLO


扉『』ガチャ


電「司令官さん!」

提督「どうした?」

電「深海棲艦がまた攻めてきました!」

提督「なんだって!?」

電「でも数はずっと減っているのです、たった六隻みたいです」

提督「なんだ、それならいけ……」

電「ですが全員姫級みたいなのです!」

提督「なんだと!?いや、だがまた全員で力を合わせれば大丈夫……」

電「それが今回の騒動は司令官さんの艦娘が引き起こしたものだから司令官さんの手で全部片付けろと大本営が言ってました!」

提督「ふざけんなああああああああ!」

電「その他諸々の問題は後で追及するそうです!」

提督「勝っても負けても地獄じゃねえか!」

電「兎に角急ぐのです!」

提督「くそっ!行くぞ榛名、準備しろ!」

榛名「え!?は、はいっ!」



375: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:58:55.08 ID:Kxj8+ZdLO




提督「よし皆、準備はできたか?」

大井「ええ」

電「なのです!」

暁「当たり前じゃない、レディですもの!」

雷「準備できてるわ!」

響「ハラショー」



376: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:59:21.30 ID:Kxj8+ZdLO


赤城「それにしても提督と戦うのはいつ振りでしょうか」

加賀「ええ、懐かしいわ」

飛龍「でも提督がいるってやっぱりいいねー」

蒼龍「うん、そうだね」

瑞鶴「翔鶴姉、なんだかワクワクするね!」

翔鶴「あらあら、そんなに焦っちゃ駄目よ瑞鶴」



377: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 21:59:50.02 ID:Kxj8+ZdLO


金剛「テートクゥ、これが終わったらご褒美がほしいデース!」

榛名「は、榛名も欲しいです提督!」

提督「終わったら何でも用意してやる!だから頑張れ!」

金剛「イエース!テートクと一日デート券頂きマシター!」

赤城「うな重……天丼……それから……」

川内「夜戦でしょーそれから夜戦でしょー」

飛龍「焼肉は外せないよねー」

榛名「なんでも……なんでも……」

大井「終わったわね」

提督「」

電「皆さん変わってないのです」ニコニコ

提督「まあいいや、じゃあ行くぞ皆これが春イベラスダンだ!」




378: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:01:59.00 ID:Kxj8+ZdLO





提督「総員抜錨!」




艦娘「「「「「「「「オーーーーーーーー!」」」」」」」」






379: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:09:52.20 ID:Kxj8+ZdLO



-----------------
-----------
--------
----
--





提督「」グガーグガー

電「司令官さん、起きてください」ユサユサ

提督「ん、ああすまんすまん寝てたわ」

電「今日はやらなきゃいけないことがあるのです」

提督「何だっけ?」

電「鎮守府の全員で集合写真を撮ろうって言ったじゃないですか」

提督「ああ、そうだったなぁ」

電「では行きましょう」

提督「今な、少し昔の夢を見てたよ。榛名達が大本営攻めてた夢」

電「それは懐かしいですね」フフ



380: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:10:28.35 ID:Kxj8+ZdLO


提督「あれから色々あったなぁ。鎮守府に帰ったら建物壊したの忘れてて皆で仮鎮守府に泊まったり」

電「人数が多すぎて外まで溢れてましたもんね」

提督「他の艦娘達に戻ってもらうのも苦労したなぁ」

電「曙ちゃんにボディブローされたり霞ちゃんに靴で踏まれたり大変でしたね」

提督「ま、でも今こうして皆戻って来てくれてよかったよ」

電「はいなのです」




381: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:11:09.83 ID:Kxj8+ZdLO


提督「あ、そうだ電。この後少し用事で出かけるわ」

電「どこに行くのですか?」

提督「そういえば他のゲーム退会してなかったからそこら辺の身支度済ませてくるわ」

電「いいですけど……ちゃんと戻って来てくれますよね?」

提督「安心しろ、俺はもう提督一筋でいくさ。直ぐに戻ってくる」

電「わかったのです。できるだけはやく戻って来てくださいね?」

提督「ああ」




382: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:13:11.17 ID:Kxj8+ZdLO







提督「いやー事務所に帰るのも久しぶりだなぁ」テクテク

提督「暫く艦これで忙しかったし皆元気かなぁ」テクテク

提督「お、そろそろ着くな」テクテク

提督「あいつら元気にやってるかなぁ」テクテク


ビュオオオオオオオ


カランカラン


提督「ん?」

提督「……」ダラダラ

提督「ま、まさかな……ただのボロボロの木の板だよな、決して俺の事務所の表札とかじゃないよな」ダラダラ

【○○事務所】

提督「……」ダラダラ

提督「う、うわああああああああああああああああ」ダダダダダダダ







383: ◆URthX3tYSmgA 2016/07/25(月) 22:16:01.94 ID:Kxj8+ZdLO

これで終わりです。亀更新でしたが今まで付き合ってくれてありがとうございました。





◆以下、おまけ(小ネタ)になります。



元スレに貼られていた画像

104:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/12(金) 13:22:09.76 ID:+PtyNtEsO

104_1



110:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/12(金) 13:31:00.92 ID:BM4Ln3INo

>>104
やめろ
俺の心にくる



111:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/12(金) 15:03:39.34 ID:ypY7zh130

>>104
やめてくれ…胸が痛い…



元スレ
提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455070512/
提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」電「その2なのです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460727213/
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         コメント一覧 (143)

          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 07:26
          • 艦娘VSアイドルVSサーヴァントVSポケモン
            ファイッ
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 07:38
          • そんなことより鹿島にしいたけが生えてると聞いたんだが本当ですか? 嗅ぎたいです!
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 07:40
          • オフゲだけどアルノサージュにこういうイベントあったな
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 08:29
          • 3 面白かった
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 08:57
          • 榛名と加賀は解体後銃殺だろうなぁ…
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 09:20
          • 面白かったよ
            とりあえず北と東の提督ガン掘りしたい(迫真)
          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 09:39
          • 1 きっしょ
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 09:59
          • 5 よく話が練られてて面白かった。これは良作ですわ
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 10:34
          • リアルの事情で生じる矛盾をネタに重い話作られても冷めるわぁ
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 10:40
          • ※48
            電もな。どんな理由があろうともどれだけ尽くそうとも敵側に回り情報を漏らした挙げ句敵に荷担し本丸を攻めてきた者を見逃すほど海軍を始めとした国の組織は甘くない。
            そしてそんな輩を出した下部組織にも当然厳しい罰が待っている。
          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 11:11
          • 中途半端に現実にあるネタを持ち込んだ創作なんて寒々しくて見てらんないわ
          • 56. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りしまス
          • 2016年07月26日 11:14
          • 5 面白かった。
          • 57. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 11:30
          • 作者は兎に角が口癖?
          • 58. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 11:30
          • ポケモン放置は割とシャレにならないと思わされました
            まあGOはまだやってないけど
          • 59. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 11:43
          • プロデューサー兼任だと28日からさらに忙しくなるんだよなぁ・・・
          • 60. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:02
          • 問題ないでしょう。一人ぐらい消えたって
          • 61. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:22
          • ソシャゲやブラウザゲーなんて辞めたり戻ったりするのが普通だろ
          • 62. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:26
          • やめろ最後の画像は俺に効く
          • 63. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:27
          • このSS提督どもガキ臭いww
          • 64. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:32
          • このssのおかげで久々に艦これにログインできました!
          • 65. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 12:47
          • 子供が考えたような感じの話の流れで微笑ましい
          • 66. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 14:10
          • アイドルのみなさん元気でしょうか…?
            私が緑の悪魔から逃げて早半年以上経ちましたね
          • 67. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 15:02
          • まぁ事務所には毎日顔出してますしね

            事務所といえばかんぱにやってねーな、もうずっと
            あいつらどうしてっかな
            あ、あとシューティングガールもずっとやってねーな

            まぁいいか、あんなゲーム
          • 68. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 15:12
          • ※67
            おいあんた!ふざけたこと言ってんじゃ…
          • 69. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 15:13
          • もっともっと胸糞なストーリーにして欲しかったな
            艦娘と仲直りどころかボロカスに詰られて心に傷を負うまで罵声を浴びて当てつけに逆放置プレイをされて心身ともに虐待されて精神を病んで提督廃業バッドエンドとか
            取り戻しに行った艦娘が新提督に心酔してて取り返すどころか生ゴミを見る目で見つめられた挙句に目の前でイチャイチャを見せ付けられる完全敗北NTRエンドとか
          • 70. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 16:08
          • 本文も長けりゃコメント欄も長い
            お前らは本当に無能だな!

            あらすじ書いてどうぞ
          • 71. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 16:26
          • まるっと素で放置していた主人公/プレイヤーに、正義なんかあるのか。

            デイリー建造からの解体や近代化改修素材、捨て艦などと同種で、
            ゲームとゲーム世界やSSの間の、触れてはならん部分に触れてしまっていると思う。

            せめて、こう、リアルという魔物に捕まって戻れなかった、などと取り繕うぐらいはすべきじゃないかと。
          • 72. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 16:29
          • やめ※68っちゃん
          • 73. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 16:34
          • 44が今の俺で草

            でも一応均等にできてるから…
          • 74. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 16:49
          • 改しかやってないにわか提督だけど、久しぶりにやるべきかな……?
          • 75. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 17:04
          • 止めてくれ、その(鎮守府放置の)設定はオレに効く。止めてくれ
            ちょっと前に復帰したから許してくれ・・・代わりにモバマスとグラブルが半放置になったが

            SSは重いのか軽いのかよく分からん空気だったな
          • 76. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 17:19
          • ※69
            提督辞めてPに戻る或いは新しい艦を建造してやり直せばいいじゃん。次の榛名とはきっとうまくやってくれるでしょう。
          • 77. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 17:26
          • ※76
            コメントがだんだん別ゲーになってませんかねぇ...?
          • 78. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 17:38
          • 青葉はもらいますから安心してください。
          • 79. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 17:48
          • 無事完結したのか
          • 80. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 18:03
          • ひえーはどこさ
          • 81. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 18:36
          • 病気で入院してたから来れなかったとかならともかく、ただ飽きたから鎮守府捨てたっていう設定がなあ。なのに艦娘が簡単に許してるところが違和感しかなかった。もうちょい設定練ろうよ。
          • 82. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 18:37
          • ずっとユーザーを引きつけていられるコンテンツを用意できない運営サイドに問題がある(暴論)
          • 83. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 19:45
          • 星1ニキオッスオッス!
          • 84. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 19:59
          • お、これついに完結してたのか
          • 85. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:10
          • 1
            この提督は生理的に無理

            途中で読むの止めたわ
          • 86. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:13
          • モバマス垢BAN食らった俺の心に響く
            てか社長で事務所もでかくして、プロデューサーも何人も居たのに突如ログインしなくなったから他のプロデューサー達にも迷惑をかけたな…
            運営に楯突きまくったのが仇になったわ
            まさか垢BANしてくるとは思わなかった
          • 87. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:31
          • 初期艦の電の次に大井ってこの提督かなりの古参なんじゃね?
            大井がこのタイミングで来るのって事前登録やってた奴だけだったような
          • 88. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:32
          • なんだろう
            このご都合展開に薄っぺらくて熱血と自己中を履き違えたキャラどもは…
            これ作者は忍者電の人じゃないよね?
          • 89. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:34
          • ※80
            残念ながら南鎮守府と共に…
          • 90. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 20:55
          • 掛け持ちしてるとログボがやっとって時もあるからしゃあない
          • 91. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 21:02
          • 心が痛くなりますわ
            そして電は本当に天使
            飽きて放置したゲームはどうなったんじゃろうか…
          • 92. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 21:13
          • これってほとんど無間地獄じゃないですかーやだー
          • 93. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 21:14
          • ※81
            自分はスマフォぶっ壊してしまい設定を考えたな。

            単に別ゲーやってた、飽きただけ、は読者一般には刺さるけど、
            その分、お話は自分で慰め(NG回避)的というか俺TUEEEぽいというか、
            プレイヤーの願望充足丸出しの、本質がみっともないものになる。
          • 94. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 22:24
          • 他のゲームに浮気した話しかよ。
            真備目なオチ期待して損した。。。
          • 95. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 22:41
          • 5 面白かった、オチが秀逸
          • 96. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月26日 23:33
          • ※87
            まったく古参じゃないな
            事前登録は、大井が一番最初に来る
            事前登録に大井が貰えたって話を知ってるだけの人なんだろ
          • 97. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 03:49
          • 面白そうなんだけど、やくみつるのポケモンGO批判の記事の方に目がいってしまって最後まで読んでない

            頑張れ艦これ
            やったことないけど
          • 98. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 04:24
          • やっぱし辛いわ。
          • 99. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 04:36
          • 波があるんだよな、モチベーションに
            ひょんな事からやめたり復帰したり、ってな感じ
            俺は2年のうち3ヶ月ほど艦これ離れてた時期があったが、何となくログインしたらそのまんま復帰しちまった
          • 100. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 06:45
          • 自身のケースを語ってる奴等ってこのSS面白かったて事なんかな?批判的なコメントの方が真摯にSSの感想を述べている気がするぞ。あとこの提督見てたらミストさん思い出したわ
          • 101. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 09:53
          • 提督も艦娘も躁鬱激しすぎ!
            皆、その場のノリでしか行動してねえじゃねえか
          • 102. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 12:44
          • こういう人がいなくなって寂れてくのはホント心に来る
            オーバーロードの導入とかもこんな感じで切なかったわ
          • 103. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月27日 14:09
          • オバロの導入はたしかに寂しさがあったな

            つまり艦これサービス終了時間までログインしていればあの世界で提督になれる・・・?
          • 104. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月28日 14:44
          • やめてくれ…
            初期艦電、嫁艦榛名、レベル99加賀だった俺にこのSSは効く…
          • 105. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月29日 14:55
          • 久しぶりに帰るか……
            鎮守府に……
          • 106. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月30日 03:48
          • 5 何故だ!なぜこっちをアニメ化しなかった!もう読む手が止まらなかったぜ
          • 107. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月30日 22:53
          • 主人公がクズすぎて見てられん
          • 108. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月30日 23:08
          • 艦娘は銃で撃ってくる
            刀剣男子は剣で斬ってくる
            真剣少女も剣で斬ってくる
            建姫は重機で潰してくる
                  

            俺、どうしよう……
          • 109. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月31日 17:20
          • 読み応えありますねぇ!
            解体後銃殺とか物騒なコメあったけどそんなことはないと信じてるぜー!
          • 110. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月01日 00:40
          • 面白かったぞ
            また、別の物語を待ってますキリッ
          • 111. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月01日 00:40
          • 5 面白かったぞ
            また、別の物語を待ってますキリッ
          • 112. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月01日 04:29
          • 提督「やっと事務所を立ち直せた・・・次は・・・カルデアか」
            提督「カルデアも立ちなおせた・・・次は・・・空の上を・・・」
            無限ループになりそう
          • 113. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月02日 18:28
          • こんなところにいられるか! 俺はパズドラに帰るぞ!
          • 114. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月02日 18:41
          • このSSのおかげで久しぶりに城プロやりました!
          • 115. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月03日 11:23
          • まあ、サービス終了よりはまし。
          • 116. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月03日 19:02
          • エアプワイ、高みの見物
          • 117. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月04日 03:47
          • そいや、城プロ先行登録したのに一切やってないけど
            この場合はどうなるんだろ
          • 118. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月04日 20:06
          • ※107
            ちゃうんやで。屑に堕ちきれてないからいらつくんやで。
            それぞれのアクターの内面が多面的過ぎて物語の進行に一貫性がないように見えてしまうから没入できんのやろ。内面の葛藤を描く物語やったら分からんでもないが、それでも主人公とそれに加えて一人か二人くらいまで。多面的で推移的なパーソナリティーは物語の進行に深みは出せるが、ここまで多くの登場人物がそう描写されてしまうと、※101の言うみたいにただの躁鬱病みたいに読まれてしまう危険があるんや。
            まぁ、艦娘を一面的に描いたらそれこそエアプ批判されるし、題材と合ってたから、ワイ個人としては正しかったと思うで。
          • 119. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月04日 21:58
          • 5 面白かったけど…
            やめて…ゲーム引退したばっかなの…
            戦友達のことが気がかりで泣けてくるの…
          • 120. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月04日 23:40
          • 恐らく年単位で放置されてた鎮守府はともかく、事務所廃れるの早すぎ
          • 121. 名無しのラバウル提督兼CoP兼カルデアのマスター
          • 2016年08月05日 01:40
          • 戦闘が擬音ばっかなとこ以外は面白かった

            最後の青葉が心に刺さる
          • 122. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月05日 03:54
          • 歯ぎしりすげーな
          • 123. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月05日 10:10
          • 放置した星の数ほどのゲームは、中のキャラよりフレンドの方が気になる
          • 124. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月06日 01:20
          • 俺も放置したアイドルの世界と女子プロレスの世界と城娘の世界を回らないと…
          • 125. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月06日 01:39
          • そういや万引き娘放置してた
          • 126. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月06日 11:38
          • 移り気のオタクそのものやんけ
          • 127. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月06日 20:00
          • 自分
            去年の夏イベでメンテ一分前まで出撃したが削りきれず初めて甲クリアを逃し
            瑞鶴の改ニ任務で三カ月以上1-1を掘り続けても朧が手に入らず、300回以上の建造も全敗し
            秋イベではPT共との夜戦二連発がどうしても抜けられずボスの面すら拝めず終了

            ……なんてことが続いてモチベがズッタズタになってたので春頃に某神プロを始めて見たら
            あっちは大半が『ハーレムを謳う癖に、主人公関係ないとこで監禁、ヤク中、デッドエンド盛りだくさん』と言う訳の分からない地獄だったので結局帰ってきたわ……

            結局艦これしつつアイギスを回し、PSO2の緊急任務だけ周る生活習慣に戻った
            エ口が無いのは無いで素晴らしいよね!!!
          • 128. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月07日 18:32
          • 平行してやるには無職かゲームに人生かけてないと無理
            仕事して~付き合いで~とかいろいろ大変やもん
          • 129. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月07日 18:34
          • アレコレ手を出さなければ良いんじゃね?
          • 130. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月09日 12:35
          • まぁ正直甲6持ってるような提督は普段ログインしなくてもイベント前に1か月くらい準備すれば余裕だからね
            もちろん先行組は無理だし堀りはあきらめて甲勲章維持だけになるけど

            うちもいろいろと手を出してるけど結局手持ちの時間が増えるわけじゃないから
            限りある時間を奪い合ってる感じだね
            最近はアイドルログインしてないな…声追加が決定した薄幸未亡人のSSR取れなくて投げた
            艦これは12日からのイベントでサーヴァントは11日からイベントだしポケモンも時々起動しないといけないし
            そういえばパズルもやってたわで時間がやばい
          • 131. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月09日 16:06
          • ※130
            運ゲーやから資源30万あるやつでも失敗するし3万そこらでクリアできる奴もおるで
          • 132. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年08月16日 20:42
          • 大井っちが初期ってことは先行組か…
            こういう人ほど、今の運営に愛想尽かしてそうだからなあ
            ここのまとめにも運営の不手際とかをつらつら愚痴るSSあるし
          • 133. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年11月23日 11:05
          • 胸糞悪りぃなぁ…
          • 134. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年01月03日 20:59
          • 加賀と榛名は処刑不可避でワロ…ワロ…ワロエナイ。
          • 135. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年02月04日 13:18
          • このSSが書かれた頃はまだ現役だったけど、5,500t級を全てLv.70か80にした所で疲れきって、それからログインしていないなぁ。
            嫌いになった訳じゃ無いが、とにかく時間を喰いすぎるのでやる暇が無いんだよ。
            佐世保鎮守府の門を再度くぐる事はあるのだろうか。
          • 136. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年03月29日 15:41
          • これってさー、高度なVRMMORPGでいいの?
            娯楽目的で開発された完成型人工知能 = 艦娘?
          • 137. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年04月04日 16:53
          • 艦これに限らずだけどブラウザゲームはイベントの度にモチベが削られる仕様になってるんだよなぁ。順位が付いててそれに報酬が付いちゃうとなおのこと。

            もっと上手くできないのかねぇ。別にだらだらでも楽しめるものは楽しめるし、
          • 138. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年04月05日 09:05
          • 順位はどうせ低いとあきらめているからそこまで気にしないが、(修羅の国の柱島所属だし)
            イベが新要素増えたりしてどんどん難しくなってライトや新参に優しくないのがなあ
            甲は運営からの挑戦って事で良いけど、それ以外は難易度下げてほしい

            こう言うと「丙はイージーじゃない定期」とか言われるだろうけど
            もうキャラ萌えではモチベが保てなくなってブラゲからは離れてしまった
          • 139. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年06月24日 23:18
          • とりあえず提督が自分本位で糞すぎる。
            これの帰りを待ちわびてる艦娘達が性質の悪い洗脳されてるようにしか思えん。
          • 140. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年09月06日 21:28
          • 心が痛いぜ、、、
            忙しくてもログイン位はしといたろ
          • 141. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年02月26日 08:39
          • 完全にデータ削除する機能が欲しい
            精神衛生的にも良い
          • 142. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年04月11日 21:20
          • ※104
            初期艦電、ケッコン榛名加賀ってたしか初期艦は一番ケッコンないしジュウコンで一番から三番くらいに多い
            とアンケートに出てたからSSの組み合わせはトップクラスに多くに刺さりやすい組み合わせと言えるわけだな
          • 143. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 23:55
          • 2 ダラダラしてるだけ

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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