佐藤心「はぁとが入れる」
事務所には僕しかいないらしく、クーラーの音とパソコンの音しか聞こえてこない。
そういえば、ちひろさんが「少し買い出しに行ってくる」と言っていたな
30分ほど前のやりとりを思い出しながら、コーヒーでも入れようかと僕は席を立った。
母と一緒に入った喫茶店で、「こんな苦いものは飲み物ではない」と僕は言った。
そんな僕を見て、母は「コーヒーのよさがわかったら大人の証」と笑った。
それからも僕はコーヒーに挑戦を続けた。
コーヒーを飲めたら大人。コーヒーを飲めたらかっこいい。
最初は砂糖やミルクをたっぷりと入れ、徐々に量を減らしていった。
僕はコーヒーを飲めるようになっていた。
眠いからコーヒー。宴会でのとりあえず生、と同じ感覚で、とりあえずコーヒー。
時がたつにつれ、飲む機会も増えていったが、別段、コーヒーを好きと感じたことはなかった。
僕も大人になったなぁとしみじみ思いながらやかんを見ていると事務所の扉が開いた。
「おはようございまーす☆」
「おはようございますはぁとさん」
「あれ?プロデューサー、一人だけ?」
「そうなんですよ。ちひろさんは外出中で、他のアイドルのみなさんはレッスンだったり、
学校だったりです。はぁとさんはどうして?」
「あはは。オフなのにやることなくてさ。来ちゃった☆」
ばつの悪そうにはぁとさんは笑いながら、鞄をおき、僕の隣に着いた。
「コーヒーを入れようかと思いまして」
「なら、はぁとが入れてあげる☆ブラックだよね?」
「はい。じゃあお言葉に甘えてよろしくお願いします」
普段はスウィーティ―なキャラで売っているのに、
こういう気配りの上手さや相手の好みを覚えておく女性らしさというものをはぁとさんは備えている。
本当に魅力的な人だと感心しながら、僕は席に座った。
少ししてから、はぁとさんはウェイトレスを真似するように片手にトレイをのせコーヒーを運んできた。
「いただきます」
「召し上がれ☆」
はぁとさんはじっと僕を見ている。
そんな見ないでくださいよとコーヒーを入れてもらった本人に言えるわけもなく。
少し恥ずかしさを感じながら、僕はコーヒーを口に運んだ。
缶コーヒーの甘さではなくて、ほんのりと甘いというか、まろやかな味。
良いコーヒーというものを飲んだ経験が少ないので、美味しいコーヒーの基準がわからないが、
僕にはこのコーヒーが格別に美味しく感じられた。
口の中にほのかな甘みを残したまま、僕は答えた。
「美味しいです」
「ほんと?よかった☆」
はぁとさんはほっと胸をなでおろし、にっこりと笑った。
「え?何も入れてないよ」
「いつも飲んでいるのより甘く感じたんですけど」
「んー特には……あ!さとう入れたよ」
何かを思いついた様子で、はぁとさんはそう答えた。
「砂糖ですか。店員さん。僕、ブラックを注文したんですけど」
「ブラックですよ。ただしさとうは入っています♪」
はぁとさんは得意げだ。
砂糖……さとう……佐藤。
そういうことか。得意げなはぁとさんに、僕も得意げになってやり返す。
「はい♪」
「じゃあ、はぁとは入っているんですか?」
「え!?」
さっきまで得意げだったはぁとさんの顔がどんどん赤くなっていく。
「その……それは……企業秘密でして」
「企業秘密ですか」
「はい。……プロデューサーのばか!もうしらない!」
真っ赤になったはぁとさんはトレイを持って逃げていく。
その様子を見ながら、僕はカップに手をのばす。
口当たりもよく、優しい味がする。
母の言葉が頭に浮かんだ。
これが大人か。想像よりも甘く、温かい。
今度、はぁとさんに甘いものでも買っていこう。
ふてくされながら、ソファで雑誌を読んでいる彼女に僕は思いを寄せる。
天真爛漫ながら奥ゆかしさも兼ね備えた、素敵な彼女。
甘いものを用意して、コーヒーは僕が入れよう。
はぁとを入れて丁寧に。
さとうとはぁとの下りがやりたかった。
元スレ
佐藤心「はぁとが入れる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468960445/
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コメント一覧 (18)
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- 2016年07月20日 16:24
- 「はぁとが」シリーズ好き。
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- 2016年07月20日 16:28
- シチュエーションはとても良いと思いました。
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- 2016年07月20日 16:57
- 俺もなーはぁとさんに入れてもらったらコーヒー飲める気がするんだけどなー入れてもらいたいなー
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- 2016年07月20日 17:05
- 早くボイスを……。
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- 2016年07月20日 17:39
- はぁとが入れるって言うからてっきり
「だ、駄目です!アイドルとPが…!」
「うるさい!動くな!はぁとが入れるから」ズズッ
「…あはは、はぁと、アイドル失格だ☆」グスン
「はぁとさん…」ダキッ
かと思ってパンツ脱いで待ってたのに。
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- 2016年07月20日 17:44
- はぁとさんに俺の処女を奪ってほしい
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- 2016年07月20日 18:13
- オレは「はぁとさんでも入れる保険」的な物を想像していた
考えてみたら菜々さんの方が適任だった
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- 2016年07月20日 18:19
- 今は夏なんだよなぁ~
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- 2016年07月20日 18:34
- 甘ェ!
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- 2016年07月20日 20:15
- 成る程。『シュガーを入れてもブラック』って事知らないのか。
その上でこの返しをしてくる・・・ある意味で鬼子か、あるいは誑しなのかw
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- 2016年07月20日 20:18
- スカウト当初からはぁとさんのポテンシャルを見抜いてたしゅがはPはすごいと思う。
ああ甘ぇ
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- 2016年07月20日 20:48
- よし、次ははぁとにいれる話を書くんだ
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- 2016年07月20日 22:24
- 今日もコーヒーがうまい
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- 2016年07月20日 22:58
- ふぁっくみー!おぅいぇす!はぁぁん!
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- 2016年07月20日 22:58
- ※4
もうついてるだろ
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- 2016年07月21日 17:44
- あまーーーーーい!
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- 2016年07月22日 15:35
- ブラックは砂糖入ってもブラックだということを知らん人は多い気がするね。
地の文の回し方がびみょい。
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- 2016年08月04日 16:56
- It’s appropriate time to make a few plans for the long run and
it’s time to be happy. I’ve learn this put up and if I may I wish to recommend you few fascinating things or tips.
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