神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」【#5#6】
- 2016年06月16日 03:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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関連記事:神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」【#3#4】
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プシュー
京都~ 京都~
神使「お疲れ様でした神様」
神様「・・・・・・」ゲッソリ
神使「名古屋あたりから神様の生気を感じなかったのですが・・・」
神様「狛犬さま・・・」
神使「?」
神様「何でも言うこと聞きますから、次は新幹線使って下さい」
神様「・・・お尻痛い」
~あらすじ~
神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」
神使(訳)「ダメ神です」
【#5】
神様「あ~ どうすんだよ! 座り疲れてケツ粉々だよ」
神使「ですから、そういう言葉は使わないで下さい・・・」
神様「で、京都まで来てどこ行くんだ?」
神使「七逆神社です」
神様「・・・・・・ごめん、急用思い出したから帰るわ」
神使「神様?」
神様「ちょっと待ってよ~ なんで七逆神社なの?」
神使「助っ人です」
神様「嫌だよ~ この時期に七逆神社関係って事は絶対に祭りの手伝いだろ?」
神使「神様? お祭りにご参加なさるのは高位神の神の方達です」
神様「あ?」
神使「神様は階位的にお手伝いも出来ませんので」
神様「神使君さぁ、最近結構ズバズバ言うようになったよね」
神使「そうでしょうか?」
神様「まぁ良いわ。 んで? 私達は何をすんだよ」
神使「京都中の神や神職の方がお祭り準備のお手伝いをされますため、各神社が手薄になるんですよ」
神様「そんなのさぁ、ここらの神や神主が順番でまわせば良いと思うの」
神使「今年は特に大きいお祭りですので、余力がないそうです」
神様「それはお忙しいことで」
神使「そういう訳ですので、手薄になるお社での勤務となります」
神様「で? なんで七逆神社に行くんだよ。 あそこは手薄になんかならないだろ」
神使「各神社の宮司の方がお集まりになるそうですので、ご挨拶を兼ねてお伺いするよう言われております」
神様「面倒くせーな~ 舞妓ちゃんと遊んで鴨川縁で一日中寝てたいな~」
神使「残念ですが、その希望は一切叶わないと思います」
―― 七逆神社・貴賓殿
神使「初めまして、神宮より参りました神使と申します。 こちらは代理神の神様です」
神様「ども」ペコ
宮司A「こんな遅くまでご苦労様」
宮司B「神様は神宮の内宮神籍とお伺いしておりますが」
神様「まぁ一応」
宮司C「という事は神階も相当なのでしょうね」
宮司A「京都のお社は社位も高いので、位の高い神が代理神として来て下さると助かります」
宮司B「全くですな」
神様「・・・・・・」イラッ
宮司A「お付きの神使さんも神宮所属ですかな?」
神使「はい、階位は特位となります」
宮司一同「すばらしい!」
宮司B「これは私達も七逆様のお祭りの方だけに専念できますな」
宮司C「今年の祭りは五十年に一度の大祭、成功すれば七逆の宮司A様も神宮付になられる」
宮司A「私なんかが神宮付になんて、そんな器じゃ無いよ」
宮司B「またまたご謙遜を」
神使「あの~」
宮司A「あぁ、失礼。 私達はこれから祭儀の打ち合わせがありますので、神様達は社務所の方へどうぞ」
神使「はぁ」
神様「いくぞ、犬ころ」
テクテク
神様「ハァ~・・・」
神使「どうされたんですか?」
神様「あれが神職? 笑わせるなっつーの」
神使「皆さんかなり位が高い宮司様のようでしたが」
神様「位? そんなもん何の役に立つんだよ」
神使「お給料が高くなります」
神様「・・・・・・」ゲシッ
神使「痛!」
神様「先に飯行くぞ」
神使「でも社務所の方に」
神様「そんなの後で良いって。 お腹すいたの!」
テクテク
神使「どちらへお食事に行かれるんですか?」
神様「ん~ あ、あった。 ここ」
神使「・・・・・・あの、神様」
神様「あん?」
神使「ここって、有名な料亭ですよね」
神様「そうなの?」
神使「一見さんお断りのお店ですよ? 私達じゃ入れませんよ」
神様「へー」スタスタ
神使「ちょっと神様? 聞いてるんですか?」
―― 料亭
ガラガラ
女将「おこしやす」
神様「あの~、かわゆい神ちゃんだけど」
女将「お待ちしておりました。 さ、どうぞお上がり下さい」
神様「ほ~い」
神使「・・・・・・」
スタスタ
女将「こちらのお部屋でいかがです?」
神様「おっ、いいね~ 個室」
神使「・・・・・・」
女将「ほな、ごゆっくり」スタスタ
神使「ちょっと神様!」
神様「なんだよ」
神使「この料亭って座っただけで三万円の超高級料亭ですよ!」
神様「へ~ そうなんだ」
神使「三万は私達の今月分の食費と同じなんですよ!? 座っただけで今月分の食費が飛ぶんですよ?」
神様「心配すんなって。 大丈夫だよ」
トントン
料理長「失礼いたします」
神様「あ、久しぶり」
神使「お知り合い・・・ ですか?」
料理長「A子がいつもお世話になっております」
神使「A子?」
神様「ここA子ちゃんの家、でお父さん」
神使「巫女のA子ちゃんですか!?」
神様「A子ちゃん家は料亭って言っただろうが」
神使「えぇ、でもまさかこの高級料亭とは思いませんでした・・・」
料理長「高級やなんてめっそうもない」
神様「いや~ 急に連絡しちゃってメンゴメンゴ」
料理長「気にせんといて下さい。 ほんまいつもごA子がご迷惑おかけしてます」
神様「そんなことないって」
料理長「今日はA子からも最高のもてなしをするように言われてますんで、ごゆっくりお寛ぎ下さい」
神様「ん~ 楽しみ!」
料理長「ほな、すぐ料理お持ちしますんで」スタスタ
神使「いや、びっくりしました」
神様「なにが?」
神使「いや、まさかA子ちゃんがこんな高級料亭の娘さんだったなんて・・・」
神様「他のヤツには黙ってろよ」
神使「でもお代の方が気になります・・・」
神様「ふふ~ん。 これ」ピラピラ
神使「何ですか? その紙は」
神様「このお店のフリーパス券」
神使「そんな物があるんですか?」
神様「私だけが持つことを許されているのだよ」フフン
神使「“フリーパス、なんでもタダ”って書いてありますね・・・ A子ちゃんの字で」
神様「凄いだろ」
神使「それ、使えるんですか?」
神様「あたりませさね。 私はこれで5回ここに来てる」
神使「・・・・・・あまり使わない方が良いと思いますよ? お店の方にご迷惑ですから」
神様「んなことないよ」
神使「まぁ、来てしまったものは仕方ありません」
神様「よし、たらふく食べるぞ!」オー!
―― 帰り道
神様「あ~ 美味しかった!」ゲップ
神使「私、あんな美味しいもの食べたの生まれて初めてです」ジーン
神様「な? 来て良かったろ?」
神使「幸せなひとときでした・・・」
神様「明日も来る?」
神使「さすがに迷惑ですのでやめておきましょう」
神様「A子ちゃんのお父さんも京都に居るうちは毎日来て下さいって言ってたじゃん」
神使「社交辞令です」
神様「え~ そんなことないと思うのにな~」ブーブー
神使「さて、だいぶ遅くなってしまいましたし社務所に行きますよ?」
神様「あぁ~ お楽しみもここまでか・・・」
―――社務所
ガラガラ
神使「すいませーん」
巫女「はい」
神使「神宮から来ました神使と申します」
巫女「お待ちしておりました」ペコッ
神使「遅くなりまして申し訳ございません」
巫女「いいえ、どうぞお入り下さい」
神使「失礼いたします」
神様「おじゃましまーす」
巫女「? あの、こちらのお嬢様は?」
神使「代理神の神様です」
神様「かわゆい神ちゃんと呼んで欲しい」
巫女「神様!? し、失礼いたしました!!」
神様「そんな気を遣わなくて大丈夫よん」
神使「すいません、こちらの神様は姿が見えっぱなしでして」
神様「なんかその言い方ってトゲがない?」
神使「深く考えすぎでは?」
巫女「あの、本殿にご案内した方がよろしいでしょうか?」
神使「いいえ、こちらで十分でございます」
巫女「しかし、神様がこのような場所に・・・」オロオロ
神様「大丈夫だって。 私は本殿より社務所派、もっといえば授与所派だから」
巫女「?」
神使「気にしないで下さい。 巫女さん好きな神様なもので」
神様「だから言い方にトゲがない?」
神使「気にしすぎでは?」
巫女「で、では・・・ 早速ですが、こちらが明日の受け持ちリストになります」
神様「どれどれぇ?」ニョキッ
神使「嵐山の“たけたけ神社”ですか」
巫女「三連休ですので相当大変かと思います」
神様「うげ~」
神使「名所ですからね」
巫女「私も一緒に同行させて頂きますので」
神様「ん? たけたけ神社って普段から結構な数の巫女いるよね」
巫女「えぇ・・・ あの・・・ この三連休はお休みのようで」
神使「三連休で参拝者が沢山いらっしゃるのにお休みなんですか?」
巫女「はい・・・」
神様「ふ~ん」チラッ
巫女「・・・・・・」
神使「承知いたしました。 では明日は朝六時にここで待ち合わせでよろしいですか?」
巫女「はい」
神使「では神様、疲れたでしょうからお休みなりますか?」
神使「そうね。 私達は今日どこで寝れば良い?」
巫女「それが・・・」
神使「?」
神様「巫女ちゃん?」
巫女「あっ、はい! あの・・・ ご案内いたします」
―― 宿舎
スタスタ
巫女「本日はこちらの宿舎をお使い下さい」
神使「立派な宿舎ですね」
ガラガラ
巫女「どうぞ」
神使「失礼します」
神様「おじゃま~」
巫女「こちらへどうぞ」
スタスタ
巫女「本来は本殿をご用意するべきだと思うのですが、こんな所で申し訳ありません」
神使「本殿は神々の皆様が禊ぎ中でしょうし、気になさらないで下さい」
神様「案外遊びにいってるかもよ?」
神使「神様? 失礼ですよ?」
神様「まぁ、本殿で寝るのなんかイヤだけどね~」
巫女「?」
神使「神様は本殿とかが合わない性分でして」
巫女「はぁ・・・」
神使「神宮の神様のお部屋は三畳しか無いのであまり広すぎると緊張してしまうのです」
神様「神使君さぁ、喧嘩売ってる?」
神使「事実を申したまでですが」
神様「・・・・・・」ゲシッ
巫女「本日はこちらの部屋をお使い下さい」
ガチャ
神様「ん? この部屋だれか使ってるんじゃない?」
巫女「すいません、私の部屋でして・・・」
神使「巫女さんのお部屋ですか?」
神様「いや、巫女ちゃんは今日どうするの?」
巫女「私は・・・ 徹夜で仕事がありますので」
神様「・・・・・・」
神使「あのー」
巫女「では! 明日社務所でお待ちしております!」タッ タッ タッ
神使「神様、どういたしましょう」
神様「・・・・・・」
―― 貴賓殿
宮司B「まったく、階位も低いくせに内宮神籍ってだけで調子に乗りやがって」
宮司C「B宮司? 一応はあれでも神なのですから」
宮司B「どの口が、作戦の立案者のくせに」
宮司C「でも、あんなお子ちゃま神様を排除するくらいで神法改正の修正案が通るんですか?」
宮司A「十年前の神法改正で最後まで首を縦に振らなかったのがアイツなんだよ」
宮司B「あれでも審査神だから必ず神に関する法規関係はヤツの同意が必要なんだ」
宮司C「ここであのお子ちゃまが盛大な失敗を起こして神宮から職を剥奪できれば・・・」
宮司A「その隙に修正案を可決させることが容易になる」
宮司B「そういえば、お子ちゃまと神使はどうした?」
宮司A「隅っこの放置社殿で寝てるんじゃないか?」
宮司C「罰当たりな宮司だこと」
―― 貴賓殿・裏手
巫女「・・・・・・」
神様「そう言うことか」フムフム
巫女「!?」
神様「おっと、声を上げずに」シー
巫女「神様・・・」ボソッ
神様「こっち来て」
スタスタ
神様「アイツらが貴賓殿から出て私に寝床譲れよ。 全く・・・」
巫女「あの・・・ 申し訳ございません神様」ドゲザ
神様「ちょ、頭上げてよ。 巫女ちゃんがそんなことをする必要ないよ?」
巫女「・・・・・・でも」
神様「しかし、あんな絵に描いたような悪代官キャラ本当にいるんだ」
巫女「神様のことをあんな言い方するなんて・・・」
神様「いやいや、私は結構嬉しかったりするよ?」
巫女「え?」
神様「だって、アイツらの中で神の位置が奉ってヘコヘコするような存在ではないって事だからさ」
巫女「そんな恐れ多いこと」
神様「人と分け隔てなく扱ってくれることは、私にとっては結構本望だったりな事なんだよね~」
巫女「・・・・・・」
神様「でも、ちょ~と悪意を向けるのは個人的にカチンとくるけど」
巫女「・・・・・・」
神様「少し歩こうか」
巫女「・・・はい」
テクテク
神様「ん? あれがアイツらがいっていた放置社殿ってやつ?」
巫女「あっ、はい・・・」
神様「昔さぁ、あそこには可愛らしい女神がいたんだよ。 すごく良いやつだったなぁ~」
巫女「神様、お願いですから神宮にご報告を」
神様「面倒くさ~い」
巫女「でも、神様にこんな酷い対応をするなんて・・・」
神様「大丈夫だって、こんなの馴れてるから」
巫女「神様・・・」
神様「あの宮司達だって、きっと今の制度に不満があるだけだ。 それを改善できないのは神の責任な訳だしね~」
巫女「・・・・・・」
神様「それより、巫女ちゃんはどうして自分の部屋を私達に提供してくれたの?」
巫女「それは・・・」
神様「悪いけど、巫女ちゃんを追い出してあの部屋で寝ることは出来ないな~」
巫女「私の事は気になさらずに―――」
神様「ダメ、気にする。 だから今日は一緒に部屋で寝よう!」
巫女「!? 私なんかが神様と一緒の部屋にだなんて!」
神様「決まり! さぁ部屋戻るよ♪」ガシッ
巫女「うわっ、ちょ、神様!?」ズリズリ
―― 宿舎
神使「そんな・・・」
巫女「・・・・・・」
神使「神様、これは反逆に等しい行為かと思うのですが」
神様「ふふふっ」
神使「あの・・・ 神様?」
神様「面白い、実に面白い、久しぶりに面白い!」クックックッ
神使「どちら様ですか・・・」
神様「この勝負、受けて立とうじゃないか。 なぁ神使君や」ニタァ
巫女「・・・・・・」ブルッ
神様「この対決、こちらには巫女と腐れ犬ころ、そしてかわゆい神ちゃんの三人がいる。 最強と思わんかね?」
神使「神様がいることによって最“凶”に字が変わるのですが」
神様「ウルトラスーパー アチョ~」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! 痛っ!」
巫女「あの・・・ 私もですか?」
神様「もちろん、今から巫女ちゃんは“かわゆい神ちゃん”チームの一員だ」
神使「なにも巫女さんを巻き込まなくても・・・」
神様「なぁ巫女ちゃんや、一緒にアイツらをコキャッと言わせたいだろ?」ニヤッ
巫女「こきゃ?」
神様「これは楽しみだ。 うひゃ・・・ うひゃひゃひゃ」
神使「(この方は本当に神なんでしょうか・・・ もしかしたら鬼のたぐいなのでは・・・)」
神様「まぁそれは良いとして、明日は早いし今日はもう寝るかね」
神使「はい。 えーと、神様はタオルケットだけあれば良いですよね」
神様「あ~ 神使君さぁ」
神使「?」
神様「お前今日は外で寝てね」
神使「・・・・・・え?」
神様「犬ころに変身すれば外で大丈夫だろ?」ニコッ
神使「・・・・・・」
――深夜
ワオーン ワンワン
神様「う~ん、メロン八ツ橋の中身がイチゴって へっへっへ」ムニャムニャ
巫女「(神様の寝言が気になって寝られない・・・)」
――翌日・朝
巫女「あの、神様? 朝でございます」
神様「Zzz・・・」
巫女「神様?」
トントン
巫女「はい」
おはようございます、神使ですが
巫女「どうぞお入り下さい」
ガチャ
神使「おはようございます、巫女さん」
巫女「おはようございます」ペコリ
神使「あれ? 神様はどちらへ?」
巫女「あそこに・・・」
神使「なんですか、あの隅っこの大きな芋虫は・・・」
巫女「何度もお声をおかけしているのですが」
神使「神様は揺らさないと起きませんので」
巫女「私なんかが神様に触れるなんて」
神使「お気になさらずに。 ユサユサして下さい」
巫女「・・・はい。 では、失礼いたします・・・ 神様?」ユサユサ
神様「んぁ・・・」ポー
巫女「すいません!」
神様「朝?」
神使「もう出かける時間ですよ? 早く着替えて下さい」
神様「へいへい」ヨイショ
巫女「キャッ///」
神様「ん?」
神使「神様? 下着姿です」
神様「あれ? パジャマ着て寝たはずなんだけどな~」キョロキョロ
神使「神様のパジャマは廊下に落ちていました」
神様「お~」
神使「どうやって寝たらパジャマだけ廊下に転がるんですか・・・」
神様「気にすんなって」
神使「おや? 巫女さんは私達と一緒にお出になるのですよね?」
巫女「はい」
神使「巫女装束で行かれるのですか?」
巫女「業務時間内でございますので」
神使「では、神様も巫女装束で」
神様「まじかよ! 勘弁してくれよ」
巫女「神様は向こうで祭儀装束に替われば良いかと思いますが」
神使「すいません、神様は巫女装束しか支給されていないんです」
巫女「え?」
神使「神階が最低位で、しかも神力が使えないので祭儀に出る必要もございませ―――」
神様「うっせー」ゲシッ
―― 七逆神社前
神様「あ~ なんか雲行きが怪しいな~」
神使「午後に小雨が降るかも知れないと天気予報で言ってました」
神様「ふ~ん」
神使「巫女さん、たけたけ神社まではどのようにして?」
巫女「はい、駅まで歩いてそこから電車で移動となります」
神様「え? 車じゃなくて?」
巫女「すいません・・・」
神使「気にしないで下さい。 神様?」
神様「いや、電車で行くのは良いんだけどさぁ。 この格好で街を歩き回るのは、さすがの私も恥ずいなぁって」
神使「下着姿でウロウロする方が比較にならないくらい恥ずかしいと思うのですが」
神様「そんな格好で外出て歩いてないだろうが!」
神使「気にしなくても着物来た人いっぱいいますから大丈夫ですよ」
神様「いや、でもこれはさすがに目立つでしょ」
神使「覚悟を決めて下さい」
神様「え~」
テクテク
神様「うわ~ 朝早いのに人多いな」
神使「京都の繁華街の通りですから」
あのー
神様「ん?」
観光客「すいません写真一緒に良いですか?」
巫女「あっ、あのこちらは神宮の神・・・ いえ、そのお写真のほうは―――」
神様「よっしゃ! 神使お前カメラ撮ってやれ」
神使「はい」
巫女「え!?」
観光客「ありがとうございます。 この辺の神社の巫女さんですか?」
神様「私は神宮で、この子は七逆神社の巫女」
観光客「すごーい」
神様「どっから来たの?」
観光客「私達、東京から来ました」
神様「そう! 私も一昨日まで吉祥寺に―――」
神使「神様? 写真撮りますよ?」
神様「あぁ、ほら巫女ちゃんも」
巫女「私もですか?」
神様「当たり前じゃん、早く」
巫女「はい」
神使「では、ハイチーズ」カシャ
観光客「ありがとうございました」
神様「またね~」
巫女「・・・・・・」
ガタンガタン
観光客「神ちゃん面白い~」ゲラゲラ
神様「いやいや、こっからが傑作でさぁ~ 私がおまるに跨がった途端―――」
巫女「・・・・・・」ジー
神使「どうされました?」
巫女「あっ、なんでも・・・」
神使「?」
――― たけたけ神社
神様「・・・あれ? ここってこんなに大きい神社だったっけ?」
巫女「最近整備されて倍の大きさに広げられたそうです」
神使「普段は何人でまわしているんですか?」
巫女「巫女六人と、神主五人が常駐していると伺っております」
神様「あ~ そうなんだ・・・」
神使「神様、この大きさの神社を三人でまわすのはかなり無理があるかと・・・」
神様「アイツら中々面白いことやってくれるじゃないか」
神使「授与所を開けるのは何時からですか?」
巫女「九時からです」
神使「あと二時間ですね。 どうされますか神様?」
神様「授与所は二箇所か・・・ 大きい方だけ開けて少し様子を見よう」
神使「分かりました」
神様「巫女ちゃん、授与品のリストってある?」
巫女「はい、こちらです」
神様「多いな・・・ 5、10、15・・・ お守りだけで30種もあるのか」
巫女「他に御札と絵馬が合わせて10種ございます」
神様「う~ん、私のエリアと巫女ちゃんのエリアで全部対応できるようにレイアウトを変えよう」
巫女「えっ!? 神様もお守りを売られるのですか?」
神様「当たり前じゃん」
巫女「しかし、神様にそのようなことをお願いするわけには・・・」
神使「お気になさらずに。 神様の主成分は巫女で出来ておりますので」
神様「神使君さぁ、やっぱり何か言い方にトゲがない?」
神使「そんなことはございませんよ? で、私は何をすれば良いでしょうか」
神様「あぁ、犬ころは御朱印中心で空いてるときはサポートにまわってくれ」
神使「分かりました」
神様「よし、じゃぁ社務所に荷物を置いてこよう」
巫女「あの・・・」
神様「どったの?」
巫女「社務所なんですが・・・ 立ち入りを禁止されておりまして・・・」
神使「えっ?」
巫女「このお社の人間以外は立ち入りを禁止していると言われております」
神使「お金の管理はどうするのですか?」
巫女「お釣りなどは私が預かっております」ジャラッ
神様「・・・・・・」
神使「神様、いくらなんでもこれは・・・」
神様「ひっひっひっ、中々手が込んでるじゃないか。 なぁ神使君や」ニタッ
巫女「・・・・・・」ブルッ
神使「神様・・・ お願いですから邪神にはならないで下さいね?」
神様「いいぜ、この勝負全部まとめて買ってやるよ! ドドン!」
巫女「ドドン?」
神使「神様の自分で言う効果音です。 気にしないで下さい」
―― 昼
参拝者「神宮の御札を頂けますか?」
巫女「はい、こちらになります」
神様「巫女ちゃん? それは、たけたけ神社の御札。 神宮の御札は右側のヤツ」ボソッ
巫女「あっ、すいません・・・」
参拝者「おみくじ十番が出ました」
巫女「あっ、はい十番ですね」ゴソゴソ
神様「は~い、こちらになりま~す」
巫女「?」
神様「巫女ちゃん? そっちは別のおみくじだよ?」
巫女「あっ、すいませんでした・・・」
神様「焦らないで」
巫女「はい・・・ 申し訳ございません・・・」
参拝者「交通安全のお守りってどれですか?」
神様「千円と千五円の二種があるんですけどね、おすすめはコッチ」
巫女「・・・・・・」
参拝者「あの、御朱印をお願いしたいんですがどこでもらえますか?」
巫女「はい、ご案内いたしま―― キャッ!」ドサッ
神様「! 巫女ちゃん大丈夫!?」
巫女「大丈夫です! すいません、すいません!」
―― 夕方
神使「お疲れ様でした」
神様「パトラッシェ、僕もう疲れたよ・・・」グテッ
巫女「・・・・・・」
神使「巫女さんもお疲れ様でした」
巫女「・・・本当に申し訳ありませんでした!」
神様「気にしないでって、あの量の参拝者だもん。 よくがんばったよ」
巫女「・・・・・・」
神様「しかし、どうすっかな~」
神使「何がですか?」
神様「今日は途中で小雨が降ったりしたから何とか対応できたけど、明日は厳しいかもな」
神使「天気予報では絶好のお出かけ日和といっていました。 やはり三人では・・・」
神様「収拾つかなくなってパンクするよな」
神使「はい・・・」
神様「ところでさぁ、今日寝る所どうすんの?」
神使「そういえば社務所には入れないですよね」
巫女「参拝者用の休憩所で過ごせと・・・」
神様「まじか~」
神使「神様、さすがに文句を言った方がよろしいのでは」
神様「めんどい」
神使「・・・・・・」
神様「仕方がない、本殿で寝よう」
巫女「しかし本殿にも鍵が・・・」
神様「良いことを教えてやろう」
神使「良いことですか?」
神様「本殿には裏側に隠し扉があってバレずに出入りが出来るのだよ」ヘヘン
神使「隠し扉?」
神様「神が周りにバレないように抜け出すときのためにある」
神使「なんでそんなものが・・・」
神様「よく禊ぎとか言って神が籠もるだろ?」
神使「えぇ」
神様「抜け出して遊びに行くんだよ」
神使・巫女「・・・・・・」
神様「だれにも言うなよ?」シー
神使「あまり聞きたくありませんでした・・・」
神様「ちょっと探してくるわ」タッタッタッ
神使「ハァ~ すいませんね、変な神様で・・・」
巫女「いいえ・・・」
神使「では、私は門を閉めてきますので」
巫女「あっ、私が」
神使「大丈夫です。 少し休憩されていて下さい」スタスタ
―― 裏庭
巫女「ハァ・・・」シュン
神使「裏にこんな所があったんですね」
巫女「あっ、神使様!」
神使「お気になさらず、そのままベンチに座っていて下さい」
巫女「すいません・・・」
神使「はい、ジュースです」
巫女「ありがとうございます・・・」
神使「ここは風が気持ちいいですね」
巫女「この場所は風が通ってとても涼しいんです」
神使「よくご存じですね」
巫女「私、生まれがこの近くで小さい頃からよくここに来ていて」
神使「そうだったのですか」
巫女「申し訳ございません。 私、鈍くさくてお役に立てず」
神使「そんなことありませんよ? 私と神様だけでは乗り切ることは出来ませんでした」
巫女「私・・・ 巫女なのに神様にお手伝いをさせて・・・ しかも沢山ご迷惑まで・・・」
神使「迷惑だなんてとんでもない」
巫女「・・・・・・きっと怒ってらっしゃいますよね」
神使「神様って怒っているときは無言になるんです。 眉間にしわを寄せて、ほっぺをぷくっと膨らませて」
巫女「・・・・・・」
神使「少なくとも今日は神様が怒っていたことはございませんよ? 神使嘘つかない」
巫女「でも、私やっぱり巫女に向いてないんです。 毎日神主様や先輩にも怒られてばっかりで・・・」
神使「巫女さんは何年目なんですか?」
巫女「三年目になります」
神使「どうして巫女さんになろうと?」
巫女「私、小さい頃からこの神社が大好きで。毎日のように来ていたんです」
神使「とても良い所ですよね」
巫女「私ってこんな性格だから、その・・・ 学校ではあまり馴染むことが出来なくて・・・」
神使「・・・・・・」
巫女「でも、分かっているんです。 私が鈍くさくて周りに迷惑ばかりかけていたから・・・ そんな自分が嫌で」
巫女「ここに来るとそんな事を忘れることが出来たんです。 ・・・変ですよね私」
神使「そんなことないと思いますよ?」
巫女「高校を卒業する少し前に、いつものように夜ここで座っていたら主神様が現われて・・・」
神使「主神様が?」
巫女「はい、その時は神様が本当にいるなんて知らなかったので凄くびっくりしました」
神使「主神様とはお話しなされたのですか?」
巫女「いつも来てくれてありがとう、って・・・」
神使「優しいお方ですね」
巫女「すごく嬉しくて・・・ 次の日、この神社の宮司さんに巫女になりたいですって直談判をしてました」
神使「そうだったんですか」
巫女「私がお社にご奉職するときには宮司さんは別の神社に移ってしまわれて、私は七逆神社に配属になってしまったんですが」
神使「いつか、ここに巫女として配属される日が来ると良いですね」
巫女「・・・・・・」
神使「そうだ、折角ですし神様にお願いされてはいかがですか?」
巫女「え?」
神使「神様はまだ隠し扉を探しているんでしょうか・・・」キョロキョロ
巫女「でも、私なんかが神様にお願いだなんて」
神使「まぁ、あの神様は神力が使えないので御利益は薄いんですけどね」
巫女「神力が?」
神使「えぇ、その代わりどんな手を使ってでもお願い事を叶えようとするんですよ?」
巫女「私なんかより、お参りして下さった他の方のお願い事を・・・」
神使「では、巫女さんもお参りをしましょう」
巫女「私も?」
神使「神様はお願いを聞くのがお仕事ですから。 サボれないように仕事を増やしちゃいましょう」
巫女「・・・・・・」
神使「さぁ、いきましょう」
巫女「ありがとうございます。 神使さん」
―― 本殿裏
神様「おっ、隠し扉み~けっ」ゴソゴソ
神様「はへ~ 本殿の中すげーな~ 儲かってんだな・・・」
カラン カラン
神様「ん?」コソッ
パンッ パンッ
神様「(巫女ちゃん?)」
巫女「(・・・・・・)」フカブカ
神様「・・・・・・」
―― 本殿前
神様「おまたせ~」テクテク
神使「あっ、神様。 隠し扉はありましたか?」
神様「うん、裏に回ったところにあった」
神使「これで寝る場所は確保できましたね。 では、本殿に入りましょうか」
神使「あ~ 私ちょっと出かけてくるわ」
神使「どちらへ行かれるんです?」
神様「ん~ ちょっとこの先」
神使「何を考えているんですか?」
神様「お前変に疑いすぎ。 ちょろっと遅くなるかもだから先に休んでて~」タッ タッ タッ
神使「ハァ~、また何か企んでますね神様は・・・」
巫女「?」
神使「仕方ありません、私達だけ先に休みましょう」
巫女「はい」
―― 翌朝
神使「結局、神様は戻ってきませんでしたね」
巫女「やっぱり怒って帰ってしまわれたのでは・・・」
神使「巫女さん? 神様はそんな方ではありませんよ?」
巫女「あっ、申し訳ありません」
神使「でも、無断外泊はダメですね。 少し厳しくご指導をしないと神としての―――」
ギィー
神様「ただいまー」
神使「あっ、神様! どこへ行ってらし・・・ て・・・」
ソロゾロ
神使・巫女「・・・・・・」
神使「神様? こちらの方達は・・・」
神様「右から平安大神社の主神、下鴨川神社の主神、七逆神社の主神、一番左がたけたけ神社の主神」
神使「まさか拉致してきたんですか!?」
神様「んなわ訳ねーだろ!」
神使「でも、主神様達が憔悴しきっているのですが・・・」
神様「この先にある神様機構の保養所で麻雀やってるところを連行してきた」
神使「麻雀!? でも、主神様達は今お祭りに向けた禊ぎ中のはずなのでは・・・」
神様「ハァ~、神使君さぁ~ お祭りって言うのはね? 人が勝手に決めて勝手にやってるものなの」
神使「はぁ・・・」
神様「だから神にとっては、その日は休日なの」
神使「・・・・・・」
神様「禊ぎだ~ とか言って本殿に籠もっているふりして遊びにいってるの」
神使「・・・・・・」
七逆神「神ちゃん! それ言ったらアカンやろ」
神様「まぁ、凄ーく立派なヤツはお祭りの日もきちんと仕事するんだけどね?」チラッ
京神一同「・・・・・・」
神様「でも、この神達は麻雀してたの。 まぁ、別に休みだから良いんだけどさぁ」
七逆神「ほな、放っといてくれや」
神様「でもね?」ギロッ
神一同「!?」
神様「お前達の神社の宮司達が暴走してるからね? 代わりにお前達にお灸を据えようかと思ってね?」
下鴨神「お灸って何? 人の問題は人同士で解決してくれや」
神様「あ? 私に迷惑かかってんだよ! 私は一応神! 神に迷惑かかってんだよ!」
平安神「そやかて、ワシら休暇中やし・・・」
神様「麻雀のレートは?」
京神一同「・・・・・・」
神様「審査神である私神様は、違法な賭け麻雀の現場を目撃したため神様機構に報告を―――」
下鴨神「分かった! 分かったって! で? 何すればええんよ。 宮司達にコラッって言えばええの?」
神様「お守り売るの手伝って?」
京神一同「・・・・・・え?」
神様「お守り売るの手伝って?」
七逆神「うちらが?」
神様「そう」
下鴨神「お守り売るんか?」
神様「そう」
平安神「どこで?」
神様「ここで」
京神一同「・・・・・・」
七逆神「ここって、たけ神の神社やな?」
たけ神「えぇ・・・」
巫女「・・・・・・」
たけ神「あれ?」
神様「なんだよ、たけちゃん」
たけ神「いえ、神様でなくそちらの巫女はん」
巫女「私ですか!?」
たけ神「久しぶりですね。 巫女にならはったんですね」
巫女「私の事・・・ 覚えてくれているんですか?」
たけ神「当たり前やないですか。 毎日参拝して頂いた方を忘れる訳ないですわ」
神様「七逆神は巫女ちゃんを知ってるか?」
七逆神「? 初めまして・・・ やな」
神様「この子は七逆神社で巫女をやっている」
七逆神「!? ・・・・・・あぁ! 本宮の巫女はんか! 知ってるで」アセアセ
巫女「・・・すいません、私は宮付きでは無いです」
七逆神「・・・・・・すまん」
神様「七逆神、お前今日は死ぬ気で働け」ギロッ
七逆神「・・・・・・」
―― 昼
参拝者「このお守り下さい」
七逆神「えっとー 五十円やったかな」
巫女「すいません、千八百円お納め下さい・・・」
七逆神「たっか!」
参拝者「七逆神社って、ここからどう行けば良いですか?」
平安神「平安大神社は93系統っちゅうバスに乗って―――」
参拝者「いえ・・・ 七逆神社に行きたいんですが・・・」
参拝者「あの、御朱印お願いできますか?」
下鴨神「あ~ 御朱印な」サラサラ
参拝者「(下手くそ・・・)」
下鴨神「どうぞ」ハイ
参拝者「あ・・・ ありがとうございます」
神使「(下手ですが神が書いた御朱印なんて凄いですね・・・)」
―― 夕方
七逆神「ハァ~」グッタリ
神様「お疲れ、今日はもう休んで良いぞ」
下鴨神「今日は?」
神様「明日もよろしく」
神一同「(うそ~ん)」
七逆神「うち社務所でちょっと横になるわ」
神様「社務所入れないよ?」
七逆神「は?」
神様「ここの宮司から入るなって命令されてる。 鍵かかってるし」
たけ神「変やな、いつも鍵なんてかけへんのに」
七逆神「お前ん所の宮司って嫌なヤツやな」
たけ神「前の宮司はええ人やったんですけどなぁ・・・ 今の宮司はちょっと・・・」
神様「あっ、ちなみに数々の嫌がらせはお前達の神社の宮司がグルになってやってるから」
京神一同「・・・・・・」
神様「私達は本殿で寝るから、お前達はそこの参拝者用休憩所で寝てくれ」
京神一同「(小さっ!)」
下鴨神「神ちゃん、あそこに男四人はキツいわ・・・」
平安神「一回宿戻るけ?」
神様「宿の方はチェックアウトしておいた」
京神一同「(うそ~ん)」
神様「明日は朝六時起きな。 じゃ、よろぴこ~」スタスタ
京神一同「・・・・・・」
―― 翌日
ガヤガヤ
参拝者「交通安全のお守りが欲しいんですけど」
巫女「千円と千五円の二種がございます」
・・・
参拝者「家内安全の祈祷をして頂けますでしょうか」
たけ神「はいはい、う~ん・・・ 祈祷せんでも大丈夫みたいやけど、やっとく?」
・・・
参拝者「この付近って他におすすめスポットってあります?」
平安神「そやな~ この先にさがさが神社があるんやけど主神が美人でな~ 酒持って行くと願い叶うで」
神使「巫女さんも馴れてきたようですね」
神様「ん? あ~、彼女も私と同じでやれば出来る子なんだよ」
神使「それより、主神様達が予想以上に戦力ですね」
神様「あいつらも、こうして人と接するのが久しぶりで楽しいんだろ」
神使「そうかも知れないですね」
神様「人と接するのが嫌な神なんかいない。 人と神は身近でないとダメなんだよ」
神使「・・・・・・」
―― 夕方
神様「ハァ~ もうダメ・・・ ちかれた」
七逆神「燃え尽きたで・・・ もう真っ白や・・・」ゲッソリ
神使「何とか無事乗り切れましたね、神々の皆様ありがとうございました」
たけ神「うち、祈祷の受付からお祓いまで一人でやったの初めてやわ・・・」
七逆神「たけ神、お前ん所お守りの種類多すぎやで? 少し減らしや」
たけ神「そやね~ 七逆神社はお守りいくつあるん?」
七逆神「そんなん多くて10種がええとこやろ~ なぁ巫女はん?」
巫女「うちはお守りだけで全部で48種ございます」
七逆神「・・・・・・すまん。 ちょっと減らさせるわ」
神様「んじゃ、お腹もすいたし食事に行こう」
下鴨神「昼はおにぎりだけやったし倒れそうやわ」
七逆神「美味しいもん食わせてや神ちゃん」
神使「神様、こんな大勢ですと入れるところも限られますが・・・」
神様「大丈夫、予約はしてある」ニヤッ
神使「まさか・・・」
―― 料亭
七逆神「!? これは・・・」
平安神「う・・・ うまい!」
巫女「美味しい・・・」
神様「どうだ、うまいだろう?」フフン
七逆神「うちの神社の近くにこんな美味しい店があったとは知らんかったわ」
女将「おおきに」
料理長「神ちゃんさんの大切なお客様ですので、腕によりをかけてお作りさせてもらいました」
平安神「料理長はん、うち平安大神社の者なんやけど次の大祭の時に料理お願いしてもええか?」
料理長「名誉なことありがとうございます」
神様「お前達、使いもしない金が沢山あんだろ? 定期的に来い」
七逆神「わし、毎週来るわ」
神使「ちょっと、神様!」ボソッ
神様「なんだよ」
神使「支払いどうするんですか! 私そんなにお金持ってきていませんよ?」
神様「フリーパス券があ―――」
神使「ダメに決まっているじゃないですか!」
神様「今日の売上から出そ―――」
神使「もっとダメです!」
神様「私のクレジットカー―――」
神使「神様が払いきれる訳ないじゃないですか・・・」
神様「分かってるって~ 任せてちょ」
神様「料理長、会計お願い」
料理長「そんな、神ちゃんさんからお金は受け取れまへんよ」
神様「でも悪いよ、なぁ皆?」
七逆神「そりゃそうですわ。 こんな良いもん出してもろてタダなんてワシのプライドが許さへん」
下鴨神「ほんまやで」
七逆神「神ちゃんから受け取れないんやったらワシが出すわ。 料理長ええか?」
神様「・・・・・・」ニヤリ
料理長「おおきに」
神様「んじゃ、七逆神ごちです! 巫女ちゃんもお礼を」
巫女「七逆神様、ありがとうございます」
七逆神「かまへんかまへん」
神使「(神様・・・ 相変わらず悪知恵ばかり良く働きますね・・・)」
テクテク
神様「良い店だったろ?」
平安神「最高やわ、神ちゃんにええ店教えてもろて感謝や」
神様「巫女ちゃんも満足できた?」
巫女「あんな高い物を私なんかにご馳走して頂いて申し訳ありません」
七逆神「気にせんでええって、うちで働いてる巫女ちゃんのこと知らなかったお詫びや。 すまんな」
巫女「そんな・・・ 私なんて知らなくて当然です・・・」
七逆神「そんなことないわ」
巫女「こうして神様方と一緒にいること自体が場違いですし・・・」
神様「さてと、お前達はこの後どうすんの?」
七逆神「折角やし、みんなうち寄ってくか? ええ日本酒があんねん」
下鴨神「ええな」
平安神「ほないこか」
たけ神「神ちゃん達はどうするん?」
神様「先に社務所に行って売上置いてくるから、その後で合流~」
七逆神「ほな、社務所まで一緒に行こか」
テクテク
―― 七逆神社
宮司A「七逆神様! それに下鴨神様に平安神様・・・ たけ神様まで! 」
七逆神「お~ 今戻った」
宮司A「皆さん、禊ぎ中では?」
京神一同「(やべっ・・・ 忘れてた!)」
宮司A「ん? なんで巫女のお前が神々様と一緒にいるんだ?」
巫女「その・・・ 申し訳ありません!」
七逆神「まぁ、良いじゃないか宮司」
宮司A「巫女の教育は神職、いえ人の勤めです。 神々の方は口を挟まないで頂けますか?」
七逆神「・・・・・・」
神様「七逆神に夕飯をご馳走してもらっただけだって」
宮司A「なっ! 神々様と食事だと? 無礼者!!」
巫女「申し訳ありません」ビクッ
宮司A「身分をわきまえろ!」
神様「巫女ちゃんは私が無理矢理誘っただけだしさぁ」
宮司A「禊ぎ中の神々をたぶらかして食事ですか? 良いご身分ですな、さすが内宮神籍の神だ」
神様「・・・・・・」ムスッ プクー
神使「まずいですね・・・ 神様が、おこです・・・」
巫女「そんな・・・ そんな言い方・・・ 神様に失礼です!」
宮司A「私に口答えするのか! 無礼な巫女だ!」
神使「宮司様、落ち着いて下さい」
宮司A「お前は今日でクビだ! 荷物をまとめて出て行け」
巫女「・・・・・・」
神使「神様・・・ なんとか仲裁を」コソッ
神様「七逆神社は巫女ちゃんをクビにするのか?」
七逆神「撤回はしませんぞ」
神様「じゃ、クビで」
神使「ちょっと、神様」
七逆神「神ちゃん・・・ あんまりやわ」
神様「巫女ちゃん」
巫女「・・・・・・はい」グスッ
神様「明日から巫女ちゃんを神宮の内宮神付きの巫女として採用する」
巫女「え?」
宮司A「なっ! 内宮神付き!?」
神様「明日辞令を出す。 神使、手続きしておけ」
神使「え? あっ、はい」
神様「それと宮司」
宮司A「なんでしょうか?」イラッ
神様「これ、たけたけ神社の売り上げ。 いや~ 参拝者いっぱい来て楽しかったわ」ホレッ
宮司A「・・・・・・」ジャラッ
神様「んじゃ、用事も終わったし皆で飲み直そう!」
七逆神「ふははっ、神ちゃんやっぱ最高やわ」ハハハッ
たけ神「神ちゃんは相変わらずやな」
神様「巫女ちゃんも行くよ? 内宮神付きの巫女は神様の相手が仕事だからね?」
巫女「神様・・・」
神使「では、私は神様用のコーラをコンビニで買って参ります!」
神様「さすが犬ころ! 2リットル5本くらい買ってきて」
平安神「ほな、本殿行きましょか」
ゾロゾロ
宮司A「・・・・・・クソッ」イラッ
神様「そうだ、宮司さ~ん?」
宮司A「なにか?」
神様「週明けに神様機構と合同で神宮の査察入るらしいよ? 会議資料とか注意してね~」
宮司A「・・・・・・」
神様「今から隠せば間に合う! ガンバレ~」
―― 本殿内
七逆神「でも神ちゃん、巫女ちゃんをいきなり内宮付きなんて可哀想過ぎちゃいますの?」
下鴨神「神宮は相変わらずギスギスしてるんちゃいます?」
神様「あ~ べつに神宮には連れて行かないよ」
神使「しかし、ここに残ってもやりづらいのでは・・・」
神様「たけちゃんさぁ」
たけ神「なんでっしゃろ」
神様「たけたけ神社で巫女ちゃんを預かってくれない?」
たけ神「うちの神社ですか?」
神様「うん」
たけ神「かまへんですけど。 巫女ちゃんは小さい頃からうちの神社に来てくれてましたし」
神様「巫女ちゃんは、たけたけ神社で良い?」
巫女「私が・・・ たけたけ神社で?」
神様「こっちからのお願いだから無理にとは言えないんだけど・・・」
巫女「神様・・・」
神使「たけたけ神社も宮司同士が繋がっているのでは?」
神様「たけたけ神社を別表にする」
神使「別表!? 神宮管理にすると言うことですか?」
神様「あんなデカい規模の神社が個別管理ってのはダメ」
神使「たしかに、神宮に登録されている資料と境内の大きさが全然違いますが」
神様「どうせ勝手にデカくしたんだろ」
たけ神「ということは宮司も変わるんちゃいます?」
神様「もち、飛ばされた前の宮司を推薦する予定」
たけ神「それは嬉しいですわ」
神使「しかし、そんな大きい改革できるんですか?」
神様「相当面倒な根回しが必要だな~」
神使「大丈夫ですか?」
神様「私は神力が仕えない分、どんな手を使ってでも願いを叶える」
巫女「!!」ハッ
~
パンッ パンッ
巫女「(昔の素敵なたけたけ神社に戻りますように)」フカブカ
~
神使「・・・・・・」チラッ
巫女「・・・・・・」ウルウル
神使「そう言うことですか・・・」フッ
神使「私に出来ることがあれば遠慮無くおっしゃって下さい、神様」
たけ神「私も協力しますよ?」
七逆神「もち京都中の神は神ちゃん派やで」
神様「気持ちが悪いので、そういう馴れ合いは勘弁して下さい」
神様「それに・・・」
神使「?」
神様「これは、私の仕事だ」ニコッ
――翌日
神使「神様?」ユサユサ
神様「ん~ あと1日・・・」
神使「何ですか、それ・・・ いい加減起きて下さいよ」ユッサユッサ
神様「なんだよ・・・」ムニャムニャ
神使「人事院から連絡がありました」
神様「連絡?」ポー
神使「巫女さんの内宮付き巫女の登用許可が出ました」
神様「あっそう」ノビー
神使「それと・・・ 内宮神様から神宮に一度戻るようにとメールがありました」
神様「はぁ? 内宮神?」
神使「はい」
神様「・・・・・・」
神使「たけたけ神社の別表化に関してでしょうか?」
神様「アイツがそんな事に首突っ込む分けねぇよ」
神使「(内宮神様でもアイツ呼ばわりですか・・・)」
神様「ハァ~ 面倒くさ・・・」
神使「神様? 内宮神様にそんな口の利き方したらダメですよ?」
神様「ねぇ、バッくれて遊び行かない?」
神使「ダメです。 神様を連れて行かないと私が怒られます」
神様「大丈夫だよ、アイツは私にはとっても優しいから」
神使「・・・・・・私は内宮神様にお目にかかったことが無いのですが」
神様「まぁそうだろうな。 びっくりするぞ? 保証する」ニタッ
神使「(なんでしょう、この嫌な感じ・・・)」
神様「それより、巫女ちゃんは?」キョロキョロ
神使「神様のせいでここをクビになったので、荷物をまとめて引き上げる準備に」
神様「すげー刺々しい言い方じゃね?」
神使「事実ですので」
トントン
神使「どうぞ」
巫女「失礼いたします」
神様「ちょうどいいや、巫女ちゃん」
巫女「はい」
神様「これから辞令交付を行う」
巫女「辞令ですか?」
神使「まさか、ここでやるんじゃないでしょうね?」
神様「なにか問題あるのかよ! 犬ころ!」
神使「他の主神様達が酔いつぶれて、そこら辺に転がっているのですが・・・」
神様「気にすんなって」
神使「それに・・・ お酒臭いです」
神様「おい、たけちゃん」ユサユサ
たけ神「う~ん・・・ なに? 朝け・・・?」ボー
神様「巫女ちゃんの辞令交付するからお前は起きろ」
たけ神「あい・・・」
神様「それでは、巫女ちゃん」
巫女「はい」
神様「其方を本日付で神宮の巫女とし、辞令を発令する」
巫女「お受けいたします」
神様「所属を内宮神付き巫女とし、たけたけ神社の主神付き巫女として出向を命ずる」
巫女「はい」
神様「たけ神よ、挨拶を」
たけ神「Zzz・・・」グー
神様「以上を持って辞令交付とする」
神使「・・・・・・」
神様「巫女ちゃん、がんばって。 良い巫女さんになってね」ニコッ
巫女「ありがとうございます、神様」
―― 夕方
神使「神様? 準備は良いですか?」
神様「あぁ、大丈夫」
神使「本当に皆さんにお別れはしなくても良いんですか?」
神様「あいつら絶対起きないし、巫女ちゃんも今日中に引っ越ししないとだから」
神使「分かりました、では行きましょうか」
テクテク
神様「犬ころ?」
神使「なんでしょうか」
神様「神宮に戻る前に一箇所行きたいところがあるんだけど良いか?」
神使「でも、内宮神様からの呼び出しですから急ぎませんと」
神様「頼む・・・ 京都に来たら昔から毎回寄ることにしているんだ・・・」
神使「昔からですか?」
神様「あぁ、古いなじみというか・・・ 無理だったら諦めるけど・・・」
神使「神様?」
神様「・・・・・・」
神使「・・・分かりました。 お供いたします」
神様「すまない、我が神使よ」
―― 舞妓茶屋
神様「うひゃひゃ、舞妓はんの負け~!」
舞妓「神ちゃんはん、強すぎやわ~」
神様「私に運で勝とうとするなんて二千年早いわ!」カッカッカッ
神使「・・・・・・」
神様「あっれ~? 神使ちゃん、もしかしてご機嫌斜め~?」
神使「はい」
神様「舞妓は~ん、この犬ころがご機嫌斜めで~す」
舞妓「どないしはったんどす?」
神使「いえ、先ほどから下着一丁で遊んでいる女性の方が信じられなく」
神様「お? それって私? なんと! 私下着一丁だ~! キャ~ はじゅかち~」イヤーン
舞妓「自分から脱ぎはったんやないですか。 神ちゃんはん、ほんま面白いわぁ~」
神様「舞妓ちゃん、かわゆい~ もう一回言って?」
神使「ハァ~ どこのオヤジですか・・・」ゲンナリ
テクテク
神様「は~ 満足満足!」ツヤツヤ
神使「神様? いくらかかったと思ってるんですか?」
神様「良いじゃん、たまには羽目を外さないと疲れちゃうし~」
神使「当分の間、天引きですよ? お小遣いなしですからね?」
神様「へいへい」
神様「でも・・・ 念願の舞妓さん遊びも出来たし、楽しかった!」
神使「そりゃあれだけ遊べば楽しかったでしょうね」
神様「あぁ、これで思い残すことはないな・・・」
神使「?」
神様「ありがとうな、ワガママ聞いてくれて」ニコッ
神使「神様?」
神様「さてと、神宮へ行きますか」
神使「はぁ・・・」
神様「帰りは新幹線だぞ? のぞみ乗ろう! のぞみ!」
神使「・・・・・・」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#5 ―END
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
ファーン
ガタンガタン
神様「ひょ~ 新幹線早ぇー!」
神使「神様が電車の中で寝ないなんて珍しいですね」
神様「おっ?」
神使「どうされました?」
神様「あの山沿いの道、昔さぁ京都行く時はあそこ歩いたんだよ」
神使「昔は鉄道なんてありませんでしたからね」
神様「そうだな・・・ 良い時代だ・・・」
神使「神様?」
神使「時代の流れもどんどん早くなるんだろうな・・・・・・」
~あらすじ~
神様「私は神様! 問題ばかり起こすダメ神で、迷惑ばかりかけるけど・・・ 皆の願いを叶えたい」
神使(訳)「!?」
【#6】
―― 神宮裏手
神様「うまっ」モグモグ
神使「その赤福は何個目ですか?」
神様「いや~ 地元土産って食べる機会そんなにないじゃん?」
神使「そう言われれば、あまり食べた記憶ありませんね・・・」
神様「お前にも一個やるよ」ホレ
神使「私のお金で買ったんですが・・・」
神様「細けーこと言ってんじゃねーよ」
神使「あの、神様?」
神様「なんだよ、もうやらないぞ?」モグモグ
神使「いえ、内宮神様にお会いするんですよね」
神様「そのつもりだけど」
神使「内宮本殿ではないのですか?」
神様「本殿には居ないんだな~」
神使「え? ではどちらに」
神様「こっち」スタスタ
――― 神宮・奥庭のさらに奥
神使「ずいぶん奥まで入ってきましたね・・・」
神様「ん? でも、まだ神宮の敷地内だけど」
神使「私ここまで入ってきたことないです」
神様「おっ、あった。 あれ」
神使「ずいぶん小さなお社ですね」
神様「なあ、犬ころ」
神使「はい」
神様「神宮主神をはじめ内宮神、外宮神の三神は基本的に誰とも会わない」
神使「はい、神宮の大宮司さんも会ったことがないと聞いております」
神様「何故だか分かるか?」
神使「?」
神様「まぁ、お前なら大丈夫だと思うが・・・ 気をつけろ」
神使「どう言う意味でしょうか・・・」
神様「内宮神は神宮三神の一人だ、ラベルが違う」
神使「・・・・・・レベルです」ボソッ
神様「内宮神は神宮三神の一人だ、レベルが違う」
神使「心得ております」
神様「怒らせるなよ? 私でも庇いきれない」
神使「・・・・・・」ゾクッ
神様「フーッ、緊張するな」ソワソワ
神使「(神様でもこんなに緊張するなんて・・・)」
神様「よしっ、いくぞ」
神使「・・・はい」
ギィー
神様「内宮神様! 失礼いたします! 神様でございます」ドゲザ
神使「し、失礼いたします! 神様のお付き、狛犬の神使でございます」ドゲザ
内宮神「遅いではないか?」
神様「申し訳ありません」
神使「?(内宮神様って女神様だったのですか・・・ でもこの声・・・)」
内宮神「遅れた理由を述べよ」
神様「この腐れ神使が舞妓茶屋から離れようとしなかったもので!」
神使「えっ!?(うそ~ 神様また裏切った!)」
内宮神「まことか? 極悪邪道腐れ犬ころっ!!」
神使「いえ・・・ その・・・ も、申し訳ございません!」
内宮神「後ほど、この世のものとは思えぬほどの恐ろしき神罰を与える。 覚悟せよ」
神使「!?」ゾクッ
神様「ありがとうございます!」
神使「・・・・・・」
内宮神「二人とも、面を上げよ」
神様「はっ、失礼いたします」
神使「失礼いたします」
神使「・・・・・・えっ?」
内宮神「はろー」
神様「ぷっ、犬ころいい顔だわ」ゲラゲラ
内宮神「うひゃひゃ、びっくりした? 」
神使「神様が二人・・・?」
内宮神「神様だ!」ヘヘン
神様「私も神様だ!」ヘヘン
神使「あの・・・ これは・・・」
神様「どう思う?」
神使「姉妹・・・ いえ、双子でしょうか・・・?」
内宮神「あ~ まぁ普通はそう思うよな」
神様「なんて説明すれば良いか分かんないけど・・・ 分身?」
内宮神「まぁ、そんな感じ?」
神使「分身? どちらがオリジナルなのですか?」
神様・内宮神「・・・・・・」
神様「やっぱ分身じゃないね」
内宮神「違うね」
神使「・・・・・・」
神様「かわゆい神ちゃんと」
内宮神「かわゆい内宮神ちゃんは」
神様・内宮神「同じ」キラッ
神使「あの・・・ 申し訳ないのですが、よく分からないです・・・」
内宮神「だからお前は犬ころなんだよ。 考えるんじゃない、感じるんだ」
神使「・・・・・・」
神様「あれ? 犬ころ理解してる?」
神使「私の理解を超えておりますが、神様が二人いるという事だけは理解しました」
神様「二人と言っていいのか微妙だけど」
神使「しかし、なんでこんな・・・」
神様「話すの面倒い」
神使「教えて下さい」
神様「あれ? 犬ころがこういう話に突っ込んでくるの珍しいじゃん」
神使「さすがにこれは聞いておきたいです」
神様「しょうがないな~」
内宮神「ちょっとだけ教えてあげよう!」
神使「ありがとうございます」
神様「実はさぁ~ 良く分からないんだよ」
神使「え?」
神様「二百年くらい前にね、気付いたら別れてた」
内宮神「以上!」
神使「またそれですか・・・ 相変わらず神様って分からないことだらけですね」
神様「褒めるな褒めるな///」テレッ
神使「ということは、最高神様と外宮神様も・・・」
内宮神「お前さぁ、神宮で最高神達って見たことある?」
神使「いいえ、一切お姿をお見せにならないとお伺っておりますので」
神様「だっていないんだもん」
内宮神「見られるわけないじゃん」
神様・内宮神「ね~」
神使「・・・・・・」
神様「強いて言うなら、私達が内宮神で外宮神」
内宮神「ついでに、神宮主神だから」
神様「最高神ってわけ! ドドン!」
神使「・・・・・・」
神使「ちょっと待って下さい」
神様「ん?」
神使「今、神宮主神と仰いました?」
内宮神「うん」
神様「最高神で最低神!」ドヤッ
神使「・・・・・・」
神使「天照大神様は・・・」
神様「ハァ~ この前言っただろ? そんなヤツいないって」
神使「神話・・・ ですか?」
神様「そう、天照大神って言う最高神は存在しない」
神使「・・・・・・」
神様「だから私が最高神!」
神使「どうして、そのことを秘密にしているんです?」
神様「ん~ 恥ずかちい」
神使「・・・・・・」
神様「犬ころ凄い顔してるな」
神使「とんでもない暴露をされて困惑中です」
内宮神「だれにも言うなよ?」
神使「ちょっと待って下さい・・・」
神様「ん?」
神使「内宮神様と神様が同じというなら、なんで態々神様をお呼びになったのですか?」
神様「あ~ それね」
内宮神「そこが分かんないのよ」
神使「はい?」
内宮神「呼んでないし」
神様「呼ばれてないし」
神様・内宮神「呼ぶ必要ないし!」
神使「つまり・・・」
神様「誰かが何か企んでいる」
神使「お心当たりは?」
神様「う~ん・・・ どれだろう」
神使「いっぱいあるんですね」
内宮神「・・・まぁ」
神使「それと・・・」
神様「どうして、お前に私の本性を教えたのか」
内宮神「だろ?」
神使「はい」
神様「もしかしたら、今回の件が引き金になって大きく流れが変わるかも知れない」
神使「流れ・・・ ですか?」
内宮神「あぁ、・・・今はこれで勘弁してくれ」
神使「分かりました」
神様「お? 今回はずいぶんあっさりじゃん」
神使「神様が言いにくいことを無理に聞く気はございませんので」
神様「さすが犬ころ、私の躾は完璧だな」カッカッカッ
神使「調子に乗らないで下さい」
内宮神「はい」
神使「・・・私は今、神宮主神である最高神に無礼を言ったんですね・・・・・・」
神様「その通り! 赤福十個で許そう」
神使「先ほど買ってあげました。 次はご自分のお金で買って下さい」
神様・内宮神「はい・・・」
神使「それで、この後はどうするんですか?」
神様「あれ? もうこの状況を飲み込んじゃった感じ?」
神使「飲み込むも何も、考えてどうにかなるものでもありませんので」
内宮神「いいね~ その適応能力」
神様「弥生時代にタイムストリップしても暮らしていけるよ」
神使「で? どうなさるんですか?」
内宮神「あの・・・ タイムストリップは無視ですか?」
神使「あっ、すいません。 混乱していて突っ込み忘れました」
神様「・・・・・・そう」
神使「で?」
神様「あぁ、まずは~ 誰が私を呼んだのかを調べることからだな」
神使「召喚状に記載してある場所に行けば、誰か分かると思うのですが」
神様「良いかい? 神使君。 敵が誰なのかは事前に調べておく必要があるのだよ」
内宮神「それで作戦が大きく変わる」
神使「しかし、どのようにして調べるんですか?」
神様「召喚命令はお前の携帯に来たんだよな」
神使「そうです。 いつものように神宮からメールで」
神様「そのメール、私のかわゆいスマホに転送してくれ」
神使「はい」ピッピッ
ピロリン♪
神様「よし。 で、これを転送っと」ピィ
神使「どなたに転送されたんですか?」
神様「B夫」
神使「B夫って、神職のB夫君ですか?」
神様「そう。 いま居るかな~」ピピピッ
prrr prrr
ガチャ
B夫『B夫っす』
神様「ども~ かわゆい神ちゃんだけど」
B夫『なに?』
神様「今さぁ、B夫にメール送ったんだけど、ちょっと調べてもらいたい事があって」
B夫『なに?』
神様「メールの送り主が誰か調べて欲しいの」
B夫『メール、メール・・・ これか』
神様「どう?」
B夫『ん~ ヘッダが変・・・ 串通してるね。 どこまで調べんの?』
神様「徹底的に。 内宮神からの命令だから極秘でお願いしたいんだよ」
B夫『内宮神・・・ それ面白い。 引き受けた』
神様「何か分かったら連絡ちょーだい」
B夫『OK、送り主の尻毛の数まで調べてや―――』
ピッ
神様「これでよしっと」
神使「B夫君って何者なんです?」
神様「神宮で神主やる前はハッカーだったみたい」
神使「前にそんなこと言ってましたね。 でも、なんでハッカーが神職なんかに・・・」
神様「十年前の神法改正の際に作ったシステム化の時に神宮が引き抜いたんだって」
神使「あぁ~ なんか凄いシステムらしいですね」
神様「B夫は神宮だけじゃなく、神様機構や関連施設の全システムを管理しているんだよ」
神使「神職ですよね?」
神様「建前上はな。 神宮に入る前に一週間だけ神職の講義を受けた」
神使「・・・・・・」
ポッポー ポッポー ポッポー
内宮神「あっ、お昼だ」
神様「犬ころ、声を上げるんじゃないぞ」
神使「?」
ゴソゴソ ゴソゴソ
神使「(扉の前に誰か・・・)」
よしっ!と。 今日は鯛の塩焼き! 我ながら完璧なのです!
パンッ パンッ
何の神様だかよく分からないけど今日も楽しく過ごせますように!
タッ タッ タッ
内宮神「・・・・・・」コソッ
神様「行ったな」
ギィー
神様「うひょ~ 美味ちそ~!」
神使「今の声って、もしかしてA子ちゃんですか?」
内宮神「あぁ、こんな離れのちっぽけな社にも毎日食事を持ってきてくれるんだ」
神様「こんな所にまでお供えを持ってきてくれたのはA子ちゃんだけだ」
神使「A子ちゃん毎日こんな事をしてたんですか・・・ 全然知りませんでした」
神様「本当に良い子なんだよ」
神使「A子ちゃんもまさか最高神にお供えしているなんて思ってもいないでしょうね・・・」
内宮神「そんなの知る必要なんかないよ。 隅っこの可哀想な神にお裾分けくらいに思ってもらった方が気が楽だし」
内宮神「さて、食べるかね」
神使「美味しそうですね・・・」
内宮神「残念だけど一人分しかないから犬ころは昼抜きな」
神使「あの、一口だけでも良いのですが・・・」
神様「しゃーねーな~ ちょっとだけだぞ?」ホレ
神使「いただきます」パクッ
内宮神「うまいだろ」
神使「良い塩加減ですね、最高に美味しいです」モグモグ
神様「神宮美食クラブ料理長だからな」パクパク
神使「A子ちゃんは、神様がここに居るって事は知らないんですよね」
内宮神「当たり前だよ」モグモグ
神使「不思議な子ですよね」
prrr prrr
神様「B夫から電話だ」゙
ピィ
神様「もしもし~」
B夫『B夫』
神様「どした?」
B夫『メールの解析終わった』
神様「もう分かったの?」
B夫『メールは神宮法規室の参事が使ってる端末から送られてる』
神様「法規室?」
B夫『そう、でもクッションとして使っただけ。 バレないように念を入れだけってやつ』
神様「そのメールを送らせたヤツって調べることは出来たりするの?」
B夫『次期大宮司、今は外宮の宮司か』
神様「あいつか・・・」
B夫『ちなみに、尻毛の数は――――』
神様「うん、それは興味ない」
B夫『それと神ちゃん、もしかして神宮に居る?』
神様「・・・・・・」
B夫『離れの小さいお社とか?』
神様「なんで知ってんだよ・・・」
B夫『携帯の電波で居場所が分かる』
神様「もしかして、他のヤツも知ってるの? 特に次期大宮司とか」
B夫『言っていない。 ちょっと話がある、そっち行っても良い?』
神様「・・・・・・」
B夫『最高神の件について』
神様「!!」
B夫『誰にも気付かれないように行く、良い?』
神様「分かった、一時間以内に来れる?」
B夫『五分でいく』
神様「待ってる」
B夫『私あなたのことをいつまでも待ってるわ、って言って欲し―――』
ピィ
神様「う~ん・・・ まずいかも」
神使「どうされたんですか?」
神様「予想以上に深刻な状態かもな~・・・」
―― 5分後
ガサガサ
神使「誰か来たみたいですね」
神様「B夫かな?」
トントン
内宮神「神聖な社に何用か? 合い言葉を述べよ」
神ちゃんはお守りだけじゃなく御札も値段を割引して売ってい―――
バン!
神様「だからなんでそんなことまで知ってんだよ!」
B夫「授与品在庫管理システムと売り上げ管理システム作ったのオレ」
神様「・・・どうぞお入り下さい」フカブカ
B夫「わっ、本当に神ちゃん双子だったんだ」
神様「あ~ まぁ双子とは違うんだけどそんな感じ」
B夫「すげー。 あっ、これ差し入れ」
神様「気が利くじゃ~ん なに、ケーキ?」パカッ
神様「・・・・・・」
神使「これって、猫神様が喫茶店で出していたケーキでは?」
神様「なんでお前が猫神のケーキ持ってるんだよ」
B夫「神宮に来てる。 語尾に無理矢理ニャを付ける変な女と一緒に」
神使「猫娘さんも・・・ どうして神宮に・・・」
B夫「さぁ?」
神様「・・・・・・」
B夫「で、早速なんだけど」
神様「あぁ」
B夫「最初に二人に謝っておく、ごめん」
神使「?」
神様「私達の行動を調べていた件か?」
神使「行動?」
神様「バレないはずの私の素晴らしい行いの数々が神宮に筒抜けになっていた件」
神使「そう言えば、減給がリアルタイムで行われていましたね」
B夫「神ちゃんの携帯を細工して音声と位置情報が把握できる様にした」
神様「やっぱりな~ 変だと思ったよ」
B夫「本当にごめん」
神様「そんなことは気にしてないから謝る必要は無い、B夫の仕事だったんだろ?」
B夫「ごめん」
神使「と言うことは、今もこの会話は筒抜けに・・・」
B夫「携帯変えたでしょ。 京都行く前に」
神様「あ~ 替えた。 見る? 私のかわゆい携帯」ゴソゴソ
神使「なるほど、携帯を変えたから盗聴できなくなったと・・・」
神様「ほら、良いでしょ。 かわゆくない?」ホレ
B夫「良い趣味。 オレと同じ」ホラ
神様「・・・・・・そう」
B夫「神宮アプリ入れてないよね、神ちゃんそれ正解」
神使「アプリ?」
B夫「全部筒抜けになる」
神使「そう言えば、神様入れませんでしたよね」
神様「お、おう。 知ってのことだ。 褒めよ」
神使「私のスマホには入っているんですが・・・」
B夫「神使氏の端末は傍受してない、でも念のため後で消す」
神使「どうも・・・」
神様「もしよかったら私達のことを調べるよう指示したのが誰か教えてくれると嬉しい」
B夫「次期大宮司」
神様「分かりやす~い」
神使「なんで、次期大宮司がそんなことを?」
B夫「たぶん神ちゃんに関係ありそうだから言う。 神法大改正を進めている」
神様「大改正!?」
B夫「神ちゃん十年前の改正の時にかなり反抗したでしょ」
神様「まぁ・・・」
B夫「つまり今回の改正は神ちゃんが邪魔って事。 しかもアイツら大改正って言ってるし」
神様「なるほどね~」
B夫「それで神ちゃんのボロをアイツら調べてる」
神使「でも、神様をこれ以上失墜させるほどの事なんかもう無いと思うのですが・・・」
神様「神使君さぁ、ちょっと余計な言葉が多いよね?」
神使「そうですか?」
B夫「最高神」
神使「最高神・・・? まさか!」
B夫「あいつら最高神に関して色々探ってる」
神様「・・・・・・」
B夫「少し前に神宮本殿を調べてた」
神使「神宮本殿は神でも立ち入りが禁止されている神聖な区域のはずでは?」
B夫「かなり特殊な検査装置で周りから調べたらしい。 オレが電源とネットの引き回しを担当したから間違いない」
神様「最高神の所在か・・・」
B夫「それしか考えられない」
神様「なるほどねぇ~」
神使「神様、どうなさるんですか?」
神様「取りあえず、アイツらの計画を聞いてからだな」
神使「次期大宮司にお会いになりますか?」
神様「B夫さぁ、お前これからかわゆい神ちゃんチームね」
B夫「それ面白いこと起こる?」
神様「あぁ、最高にエキサイチングでイカす出来事が待っている」
B夫「いいね、神ちゃんチームに鞍替え」
神様「よし、今日の夜に作戦会議だ」
神使「大丈夫ですか?」
神様「うひゃひゃ、楽しいぞ~」ニヤッ
神使「・・・・・・」
神様「さて、取りあえず次期大宮司と言っているけど絶対になれない残念なヤツの所へ行くか」
神使「次期大宮司の前でそんな呼び方しないで下さいよ?」
神様「B夫、夜に来てくれ」
B夫「OK」
―― 外宮宮司室
トントン
どうぞ
神様「失礼~」
神使「失礼いたします」
次期宮司「これは神様、どうされましたか?」
神様「ん? お前に呼ばれたんだけど」
次期宮司「・・・はて、私は呼んでおりませんが?」
神様「そう? おかしいな~ 人違いだったかな?」
神使「・・・内宮神様に呼ばれてきたのですが」
次期宮司「そうでしたか」
神様「そうそう、とっても立派な内宮神様に呼ばれたんだった」
次期宮司「私はお目にかかったことはないのですが、さぞご立派な女神様なのでしょうね」
神様「へぇ~ 内宮神が女だって知ってるんだ」
次期宮司「・・・・・・」
神様「お前、私を試そうとしているな? やめとけ、ボロが出るだけだぞ」
次期宮司「先日、神宮本殿を調べさせてもらいました」
神様「ほぉ~」
神使「神宮本殿は神でも立ち入れない聖域だと思いますが」
次期宮司「様々な測定器を使って内部を調べただけだ。 踏み込んではいない」
神使「なんて罰当たりな・・・」
次期宮司「三神は言わば神宮の最高責任者だ。 宮司すらも見たことがないというのは変だろ?」
神使「知る必要があるのでしょうか?」
次期宮司「存在しない物を崇め奉るという時代じゃないんだよ」
神使「それは、人が勝手に―――」
次期宮司「だから、それを戻そうとしているんじゃないか」
神様「戻す?」
次期宮司「はい、そのためには三神が本当に存在するのかを確認しなくてはならないのです」
神使「しかし、それが本殿を勝手に調べる理由にはならないのでは?」
次期宮司「三神は神宮の象徴。それが実は居ませんでした、ではマズいんだよ」
神様「まぁ一理あるな。 で? 三神は居たか?」
次期宮司「いいえ、天照大神様どころか最高神は一人も存在しませんでした」
神使「しかし、私は先ほど最高神様にお目にかかってきました」
次期宮司「そこの神様が最高神なんだろ? いや、最高神役か」
神様「・・・・・・」
次期宮司「ついでに、内宮神と外宮神も神様が役を演じていたってことも知っている」
神使「へぇ~ よく調べたじゃん」
次期宮司「神宮宮司記録に神様の記載が見つかりましてね」
神使「神宮宮司記録?」
次期宮司「歴代の大宮司以外は見ることが禁止されている書物だ」
神様「おまえ、神宮の大宮司じゃないだろ」
次期宮司「神様が深入りするところではございませんよ?」
神様「・・・・・・」イラッ
次期宮司「大宮司様は入院しておられます。 私が代理で大宮司を執行しておりますので権限があります」
神様「大宮司が入院!? 聞いていないぞ!」
次期宮司「人の問題に神々のお手を煩わせるのも失礼ですので」
神様「・・・・・・」イラッ イラッ
次期宮司「記録によると、神様は二百年ほど前に猫神様の紹介で神宮に来ていますな」
神使「二百年前・・・(神様が二つに分かれた時代ですか・・・)」
神様「何が言いたいんだ?」
次期宮司「神様は双子のようですな、いやびっくりしたよ」
神様「・・・・・・」
次期宮司「神様の片方を神宮三役として置く。 大宮司以外一切秘密とする、と書かれていました」
次期宮司「まさかとは思ったが、神様が神宮から離れてその存在が確証できました」
神使「もしかして・・・ それを調べるために神様を出向に!?」
次期宮司「考えすぎだ、神様は神宮で問題を起こしたから出向してもらったまでだ」
神使「なんて卑怯なことを・・・」
次期宮司「卑怯? どっちがだ」
神使「どう言う意味です?」
次期宮司「神宮の最高神が、神力も使えないお飾りだったなんてことを知られたらどんなことになると思っているんだ?」
神使「神様になんて無礼な事を!」
神様「よせ、犬ころ」
次期宮司「しかし、神様!」
神様「黙ってろ」
神様「少なくとも私はこれでも神の端くれだ。 嘘偽り無く腹を割って話そう」
次期宮司「はい」
神様「何が望みだ?」
次期宮司「先ほども申しましたが、神力が使えない神が最高神というのは神宮としての威厳に関わります」
神様「だから何だ」
次期宮司「ご存じかと思いますが、神社界も参拝者の減少が酷く立て直しが急務なんです」
神様「だから何だと聞いている!」
次期宮司「神様に最高神役を降りて頂き、私達が推薦する者を三神として迎え入れて頂きたい」
神様「そんなものを引き受ける神がいると思えないが? 神には上下はない」
次期宮司「私達が推薦する者を神へ上げて頂きたいと思います」
神使「まさか、神様の力を知っているんですか?」
次期宮司「過去の文献や言い伝えを徹底的に調べてようやくたどり着いた」
神様「なるほど・・・ 確かに私は人を神にすることが出来る。 神宮主神は誰にするんだ?」
次期宮司「宮司会で決定することになると思います」
神様「お前なんだろ?」
次期宮司「さぁ、それは分かりかねますが」
神様「無理、お前を神にすることは絶対にないから」
次期宮司「・・・・・・」
神様「さらに言うと、私以外にこの役割をやらせるつもりは無い」
神様「犬ころ、帰るぞ」
次期宮司「二日後に、宮司会が開かれますのでそこで神法大改正を決議いたします」
神様「あ?」
次期宮司「よろしくお願いします、最高神様」
神様「・・・・・・」ムスッ プクー
神使「(神様、激おこですね・・・)」
―― 神宮裏参道
神使「どうされるんですか?」
神様「・・・コーラ買ってくる! 適当にブラブラしてろ!」ズカズカ
神使「ちょ、神様・・・」ハァ
猫神「神ちゃん、ご機嫌ななめだね~」
神使「猫神様!? やっぱり神宮にいらしてたんですか」
猫神「うん、呼び出し受けちゃってさぁ~」
神使「先日はどうもありがとうございました」ペコッ
猫神「こっちこそ~」
神使「呼び出しというのは・・・」
猫神「ちょっとね~」
神使「・・・・・・」
神使「やはり、神法大改正がらみですか?」
猫神「神使君は神ちゃんからどこまで聞いたの~?」
神使「神様が最高神で、二人いるところまでは伺いました」
猫神「そっか~・・・ ねぇ、少し時間ある~?」
神使「はい」
テクテク
猫神「今から話すことはたぶん神ちゃんから絶対聞くこと出来ないだろうから、私から話すね~」
神使「そんなに話しにくいことなんですか?」
猫神「そうだね~ 正直私もどうしようか悩んだよ~ 誰にも話すなって言われてるし~」
神使「無理には伺いませんが・・・」
猫神「う~ん、でも神使君には知っておいてもらいたいかなぁ~って。 神ちゃん絶対自分のことは喋らないし~」
神使「・・・・・・」
猫神「神ちゃんねぇ、千三百年位前に当時の偉い人から頼まれてある役を引き受けたんだよ」
神使「千三百年前!?」
猫神「神ちゃんが居る小さなお社ってねぇ、国を滅ぼす悪い龍が眠っているの~」
神使「はい?」
猫神「その龍が、出てこないように神ちゃんに封印してもらいたいって」
神使「そんな・・・ 迷信ですよね?」
猫神「もちろんそんな悪い龍とか居ないし、封印だとかそんなこと出来ないしね~」
神使「では、なぜ神様はそんな役を・・・」
猫神「当時の人たちにとってはもの凄い不安だったんだよ~ それこそこの国を揺るがしかねないくらい」
神使「・・・・・・」
猫神「神ちゃんさぁ~ それが皆の願いだったら自分が死ぬまでその願いを守るって約束したの」
神使「死ぬまで・・・」
猫神「そんな神ちゃんに人は敬意を表して神宮を作ったんだよ」
神使「神宮は神様のために作られたんですか!?」
猫神「そうだね~ でも神ちゃんって、そう言うの嫌いだから神話を作ってね~」
神使「天照大神・・・」
猫神「そうそう、よく出来てるでしょ~」
猫神「でも、神ちゃんも神を作らないといけないから仕事を両立させるのが大変だったんだ~」
神使「どちらも神様しか出来ない事ですよね」
猫神「神宮に入れない時間は、信頼の置ける巫女さんに神ちゃんの代理をしてもらってたんだけどね~」
神使「代理・・・」
猫神「しばらくは何とかまわってたんだけど、五百年前にバレちゃってさぁ~」
猫神「当時の神宮の大宮司がちょっと癖のある人でね? 巫女が天照大神様の代理などケシカラン! って」
猫神「その時代は神ちゃんの存在自体を皆は知らなかったし、架空の最高神がねじ曲がった存在になってたんだよね~」
神使「ねじ曲がった存在?」
猫神「人が最高神を見ること自体処刑の対象になるくらい神格化されて・・・」
神使「それじゃぁ、その巫女さんは・・・」
猫神「・・・・・・」
神使「まさか!」
猫神「神ちゃん相当ショックだったみたいで・・・ 自分のせいだって、少し塞ぎ込んじゃったんだよね~」
神使「・・・・・・」
猫神「あの時の神ちゃん、凄く苦しそうだった。 笑顔も消えちゃって・・・」
神使「そんな神様なんて想像できません・・・」
猫神「全部自分の責任だって背負い込んで、社に籠もってひっそり最高神役を続けてたんだ~」
猫神「私と、仲の良かった昭宮神君と何度も神ちゃんの所に足を運んだんだけど・・・」
神使「・・・・・・」
猫神「そんな期間が二百年くらい続いてさぁ~」
神使「二百年も・・・」
猫神「でね、ある日突然神ちゃんが二人になったの」
神使「その原因が分からないんですが、一体何がおこったんですか?」
猫神「分からないんだよね~ 神ちゃん自身も驚いてたくらいだし」
神使「原因不明ですか・・・」
猫神「そうだね~ でも神ちゃんが二つに分かれて問題が起ったの・・・ 神ちゃんの神力が使えなくなっちゃって・・・」
神使「その時に神様は神力ゼロに・・・」
猫神「う~ん、表現が難しいんだけどそんな感じかな~」
神使「・・・・・・」
猫神「それで、私が片割れの神ちゃんを見習い神として神宮に入れたんだ~」
神使「最高神の神様と、最低神の神様・・・」
猫神「そうだね~ それ以来少しずつ神ちゃんも元気になってくれてね~」
神使「そんな過去が神様にあったなんて・・・」
猫神「もう、神ちゃんの苦しむ姿は絶対見たくなな~」
神使「お任せ下さい。 私が絶対にそんな事させません。 これでも神様の神使ですから」
猫神「神ちゃんってあんな性格だけど、他人の事ばっかり気にして自分の事は二の次で~」
猫神「何千年もそうやって・・・ 少し休ませてあげたいなぁ~って・・・」
神使「神様も先日猫神様の事をそう仰っていました」
猫神「神ちゃんが?」
神使「猫神様の願いを叶えて、少し休ませてやりたいって」
猫神「・・・・・・そう」フッ
神使「これからどうなるんでしょうか・・・」
猫神「さぁ~ どうなるんだろうね~・・・」
神使「神様がどう出るか全く分かりません」
猫神「今回ばかりはね~ でも、何かあったら言ってね? どんなことでも協力するから~」
神使「最大級の神力をもつ猫神様が付いて下さるなら負ける気はしません!」
猫神「私は、猫娘ちゃんと近くのホテルにいるから何かあったら電話ちょうだいね?」
神使「神様にお会いにならなくてもよろしいのですか?」
猫神「やめとくよ~ たぶん神ちゃん私を巻き込まないようにするはずだし~」
神使「分かりました。 色々教えて頂いてありがとうございます」ペコリ
猫神「今の神ちゃんのお付きが神使君で本当によかった~」ニコッ
神使「・・・・・・」
猫神「それじゃぁ~」テクテク
―― 離れのお社
ギィー
神使「あれ? 神様、コーラを買いに行ったのでは?」
内宮神「あ? 私は千年以上前からここにいるぞ」
神使「あっ、すいません・・・・・・」
内宮神「・・・・・・」
神使「あの~」
内宮神「なんだ?」ムスッ
神使「何か怒ってらっしゃいます?」
内宮神「次期大宮司と話をしていた私とここにいる私は同じだ」
神使「そうでした・・・」
内宮神「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
内宮神「なぁ、犬ころ」
神使「はい」
内宮神「私は・・・ 必要だと思うか?」
神使「え?」
内宮神「もしかしたら、神という存在をこの時代は必要としていないんじゃないか?」
神使「・・・・・・」
内宮神「昔はさぁ、神なんかになりたいなんて思うヤツいなかったんだよ。 神にする者を探すが大変だった」
神使「神様?」
内宮神「神は権力者じゃない、人の上に立つような存在でもない。 神は・・・・・・」
神使「神様はどうして居もしない悪い龍の封印のマネなんてしているんですか?」
内宮神「お前何でそれ知ってんだよ・・・ ま~た猫神か」ハァ
神使「はい、先ほどお会いいたしました」
内宮神「誰にも言うなっていったのに・・・」ムスッ
神使「どうして秘密になさるのですか?」
内宮神「・・・・・・」
神使「秘密にしているから皆勘違いすると思うのですが」
内宮神「・・・・・・」
神使「みんなが神の存在なんて知らないのに必要としていないって言うのは変だと思うのですが」
内宮神「やっぱ、お前最近遠慮なしに言うようになったよな」
神使「すいません・・・」
内宮神「謝ることじゃない」
神使「・・・・・・」
内宮神「今からでも受入れてくれると思うか?」
神使「わかりません」
内宮神「そうだよな」フッ
ギィー
神様「腐れ犬ころのくせに生意気」
神使「あっ、神様」
神様「でも・・・」
内宮神「一応礼は言っておく」
神様「ほら、奢りだ。 飲め」ポイッ
神使「おっと、ありがとうございます(トクターペッパー・・・)」
B夫「何の話? オレも混ぜて」
神様「ひやーーっ!」ビクッ
B夫「神ちゃん驚きすぎ」
神様「いつから後ろ居たんだよ!」
B夫「神ちゃんがコーラとトクペを間違えて買って全部の自販機の釣り銭の所をゴソゴソして、その後少し涙を流しながら歩いていた位のと―――」
神様「アッチョー」ゲシッ
B夫「痛っ!」ガクン
神様「ほとんど最初からじゃねーかよ! それに泣いてねーし!」
―― 外宮宮司室
次期宮司「では、よろしくお願いします。 正一位猫神様」
猫神「本当に神ちゃんには手を出さないんですね~?」
次期宮司「無論です」
猫神「・・・他に方法はないんですか~?」
次期宮司「ここまでこじれてしまった以上、修復は難しいと思います。 神社界もこのままでは維持できません」
猫神「・・・・・・」
次期宮司「二日後に開かれる宮司会の決定を神々代表として、正一位猫神様の名において神勅頂きたく思います」
猫神「・・・・・・」
次期宮司「どうぞよろしくお願いいたします」
―― 離れのお社
B夫「で、作戦プランは?」
神様「う~ん、宮司会の模様をテレビで生中継するとか!」
神使「そんなものを全国に流してどうされるんですか・・・」
神様「アイツらの黒い部分を一滴も残さずお茶の間にお届けする」
内宮神「どう?」
B夫「無理」
神使「私も無理だと思います」
B夫「宮司会は開催場所と時間がトップシークレット。 場所も分からないようじゃ中継のセッティングが出来ない」
神様「そうか~・・・」
神使「それにテレビだなんて・・・ なにか他の手を考えないと」
ゴソゴソ
ちょっと押しちゃダメだよ
ごめんニャ
内宮神「!?」バッ
神使「扉の前に誰かいますね」
内宮神「誰だ!」
バン!
A子「あっ、神ちゃん」
猫娘「ごめんなさい。ニャ!」
内宮神「A子ちゃん! 牡蠣娘!」
A子「いや~ 夜のお供えを持ってきたら中から神ちゃんと神使さんの声が聞こえたもんで」
神使「どうして猫娘さんまで・・・」
猫娘「A子さんに境内を案内してもらって見学してたんです。ニャ」
神様「もう夕飯の時間だったか・・・」
A子「わっ! 神ちゃんが二人いる!!」
神様「あ~・・・ うん」
神使「取りあえずお二人に入って頂いた方がよろしいかと」
内宮神「そうね。 二人とも入って」
A子「ごめんね神ちゃん、盗み聞きするつもり無かったんだけど・・・」
神様「私でも中から声が聞こえたら聞き耳立てるし、気にしないで」
A子「それより・・・」
内宮神「あ~」
A子「私の知ってる神ちゃんはどっち?」
神様・内宮神「はい」
A子「・・・・・・?」
神使「神様、お二方にはきちんとお話になった方がよろしいかと」
神様「うん。 実は・・・・・・」
:
:
:
:
:
:
A子「マジっすか!」
神様「黙っててゴメン!」
猫娘「びっくりしたニャ~ 神様が最高神だったなんて。ニャ」
A子「なるほど、私は神ちゃんに毎日お供えをしてたって事か」フム
神様・内宮神「タダ飯くらっててすいませんでした!」ドゲザ
A子「いや~ 最高神様にご飯を食べて頂けていたなんて光栄でございますよー」
神様「すいません・・・」
A子「それに、毎日最高神様と一緒にお守り売っていたなんて光栄でございますよー」
神様「ごめんA子ちゃん! そんな呼び方しないで! 普通に接して! お願い!」ドゲザ
A子「冗談だよ~ それよりその次期大宮司? ちょっとお仕置きしないとダメだね」
猫娘「猫神様もこっちに来てから頻繁に呼び出されています。ニャ」
神様「そうか・・・ それと猫娘さぁ」
猫娘「?」
神様「さすがに語尾にニャを付けるならそろそろ馴れようよ・・・」
B夫「いや、これかなりグレード高い。 その計算されたぎこちなさが世の男を引きつける。 策士?」
神様「B夫さぁ、気持ち悪い」ゲシッ ゲシッ
B夫「痛っ」
A子「あっ、そうだ。 これお供えのご飯なんだけど」コトッ
神様「おいちそ~ でも、他の人の分がない・・・」
神使「私コンビニで買ってきましょうか」
神様「お~ 犬ころ気が利くじゃん。 よろぴこ」
猫娘「私も一緒に行きます。ニャ」
神使「ありがとうございます。 では、行って参ります」
スタスタ
ギィー バタン
A子「ねぇ、その宮司会ってもしかして明後日のやつ?」
神様「そう」
B夫「場所と時間が分からないから手の打ちようがない」
A子「私、式次第持ってるよ?」ゴソゴソ
神様「え?」
A子「ほら」
B夫「どれどれ・・・ 間違いない。 宮司会の式次第。 時間場所、それにタイムスケジュールも書かれてる」
神様「どうしてA子ちゃんがこれを?」
A子「ん? 私、当日資料配りとかお茶入れの係だから」
B夫「ナイスA子ちん」
A子「あっ」
神様「どったの?」
A子「他の人に見せたり無くしたらクビって言われてた」
神様「私は人じゃないから大丈夫」
A子「そうだね、でもB夫さんは・・・」
B夫「オレ紳士だから」
A子「へ~ B夫さんって神使さんだったんだ。 んじゃ良いか」
神様「・・・・・・」
B夫「これは役に立つ。 場所は内宮迎賓館の特別会議室か」
神様「迎賓じゃないだろアイツら」
B夫「OK、明日中に会議室に中継用のカメラを設置する」
神様「でもテレビは無理なんだろ?」
B夫「ネット配信」
A子「ネット配信?」
B夫「ネコネコ生放送」
神様「ネコ生か!」
B夫「会場を事前に見たい」
神様「よし、これから一度見に行くか」
A子「この時間なら警備の人もいないしね」
神様「善は急げ、早速行ってみよう」
――― 十分後
ギィー
神使「ただいま戻りました」
猫娘「ご飯買ってきました。ニャ」
神使「・・・・・・」
猫娘「誰もいないです。ニャ」
神使「あの三人が大人しく待っているわけ無いですよね・・・」ハァ
――翌日(宮司会前日)
B夫「はい、これ内宮迎賓館に入ることが出来るセキュリティーカード」
神使「ありがとうございます」
A子「結局昨日はセキュリティーカードがなくて入れなかったしね~」
B夫「迎賓館の正面玄関には警備がいて入れないから勝手口から入る。 このカードで入れる」
神様「さすがB夫」
神使「このカードはどこで入手したんです?」
B夫「さっき作った。 セキュリティーカード作っているのオレだし」
神使「・・・・・・」
B夫「問題は迎賓館に行くまでに、ここからだと一度内宮の社務所を通る必要があること」
神使「確かに・・・ バレますね」
A子「今日の夜から待機する?」
B夫「無理。 監視カメラに写り込む」
神様「あ~、トンネル使えば内宮本殿まで行ける」
神使「トンネル?」
神様「ここと内宮本殿、外宮本殿、神宮本殿は隠しトンネルで繋がってるんだ」
A子「すごい、そんなのあるんだ!」
神様「うん、バレずに行き来できるようになってるんだよ」
B夫「トンネル使って内宮本殿まで行けば見つからずに迎賓館まで行ける」
神様「よし、んじゃ作戦の最終確認だ」
神使「すいません、私これから神使会がありまして・・・」
神様「は?」
神様「私も先ほど聞いたのですが・・・ たぶん宮司会に関する事かと」」
神様「まぁ、明日のことが少しでも分かるかも知れないしな。 行ってこい」
神使「はい、猫娘さんも行きますよ?」
猫娘「私もですか?ニャ」
神使「猫娘さんも建前上は最高位の神使ですから」
猫娘「ニャ」
神使「では、行って参ります」
猫娘「行ってきます。ニャ」
スタスタ
ギィー バタン
A子「猫娘さんって可愛いよね~」
B夫「よく分かってらっしゃる」
A子「猫神様の神使さんなんでしょ?」
神様「あ~ あれは半分神で半分神使だから」
A子「猫娘さんて神なの?」
神様「うん、扱い上は神使だけど・・・ 猫神が後継者にするんだって」
A子「へぇ~ そうなんだ~」
神様「A子ちゃんも神になって私の後継者にならない?」
A子「ならな~い」
神様「・・・・・・そう」
――― 一時間後
ギィー
神使「ただいま戻りました」
猫娘「ニャ」
神様「あ~ どうだった?」
神使「少しまずい事に・・・」
A子「まずい?」
神使「明日の宮司会に神使代表で“でかでか大神宮”のうさ夫さんが出席する事に・・・」
神様「うさ夫?」
神使「はい、次期大宮司寄りの改革派筆頭です」
神様「でかでか大神宮って言ったら猫神と、猫娘が前にいたところだな」
猫娘「はいニャ・・・」
神様「・・・なるほど、お前と猫神を追い出したやつか」
猫娘「・・・・・・」
神使「結構癖のある方でした。 申し訳ありません猫娘さん、嫌な思いをさせてしまって」
猫娘「大丈夫です・・・ ニャ」
神使「それと、宮司会の代表神として猫神様が決定したそうです」
神様「猫神が!?」
神使「はい」
神様「まずいな・・・」
猫娘「猫神様じゃダメなんですか? ニャ」
神様「宮司会で決議された内容は、代表神が可決し神勅を出す」
神使「今回は猫神様が代表神という事ですよね」
A子「それじゃぁ、猫神様が嫌だって言えば終わりだね」
猫娘「そうニャ。 猫神様がそんな物可決するわけないニャ」
神様「いや、代表神には否決する権限はないんだよ」
神使「えっ?」
神様「それが神を支える宮司会の願いである以上、神は拒む事なんか出来ない」
神使「そんな・・・ でも十年前の時は神様が否決したのでは?」
神様「あの時は代表神使が意見を保留にしたから審査神の私へ可否の権限が与えられた」
神使「では大改正の法案はこのままだと可決に・・・」
B夫「いいね、それ」
神使「どう言うことですか?」
B夫「宮司会の壊しがいがある」
神様「B夫もそう思う?」
B夫「もち」
神様「うひゃひゃ、燃えたぎって参りました!」メラメラ
神使「・・・・・・」
A子「あれ? もう一人の神ちゃんは?」
神使「そう言えば、ちょくちょく居なくなっていますよね」
神様「あ~ 今は神宮本殿にいる。 お願い事リストを見に行ってるんだよ」
A子「へぇ、ちゃんと見てるんだ」
神様「当たり前さね、直接お願い事を聞く事は出来ないけどお願い事リストは用意されてるし」
神使「神様本当に人が好きなんですね・・・」
神様「・・・・・・」
ゲシッ ゲシッ ゲシッ
神使「痛い! 痛いです・・・」
――― 宮司会当日
B夫「神ちゃん、ちゃんと台詞覚えてきた?」
神様「もち。 宮司会を混沌に陥れてやるよ。 ひっひっひっ」
神使「私、結局何も聞かされていないんですが・・・」
猫娘「私も作戦を聞いてないニャ」
神様「あ? 大丈夫だよ、このかわゆい神ちゃんの言うとおりに付いてくれば問題ない」
神使「それが一番不安なのですが・・・」
A子「じゃぁ、私は準備があるから先に行くね?」
神様「うん、会場で会おうね~」
B夫「猫さんは、オレと一緒に会議室隣の準備室ね」
猫娘「ニャ」
神様「よし、それじゃぁ行くぞ!」
――― 宮司会会場
次期大宮司「参拝者の減少による収入減の対策は一刻の猶予も残されていない」
出席者「その通り、神宮ですら厳しい財政。 地方の神社など崩壊寸前です」
次期宮司「今回提案する神法大改正は、その問題を一気に解決できる」
ザワザワ
次期宮司「十年前の神法改正で廃案となった神の統制を神宮が直接行う条項を復活、神職・神使・神を一元管理する」
出席者「人が神を管理すると・・・?」
次期宮司「まさか。 神宮主神を最高位に置く事に変わりは無い」
出席者「では、今のままで問題ないのでは?」
次期宮司「今の神宮主神制度は過去に作られた神話が元になっている」
ザワザワ
司会「ご静粛に」
出席者「まさか、天照大神様の事を言っているのですか?」
次期宮司「この中で最高神を見た者はいるか?」
出席者「最高神様は誰ともお会いにならないのでは」
次期宮司「そんなものいないんだよ。 神が人を操るために作った創作だ」
猫神「!?」
ザワザワ ザワザワ
司会「ご静粛に!」
次期宮司「私達は長きにわたり、居もしない神宮主神を奉ってきたのだ」
猫神「ちょっと待って下さい!」
次期宮司「猫神様? 今は宮司会の最中です。 神の発言は宮司会規律違反でございますよ?」
猫神「でも!」
次期宮司「では猫神様? 天照大神様は神宮に存在しますか?」
猫神「・・・・・・」
次期宮司「答えられないと?」
出席者「そんな・・・・・・」
ザワザワ ザワザワ
次期宮司「最高職となる神宮主神・内宮神・外宮神は今後、人・神使・神から選出しその職へ就くものとする」
ザワザワ ザワザワ
司会「ご静粛に!」
次期宮司「では、今提案した―――」
A子「お茶です」コトッ
次期宮司「・・・・・・あぁ。 では、今提案した神法大改正について皆の決を採る。 賛成の者は挙手を」
スッ スッ スッ
次期宮司「神宮神職は賛成多数で可―――」
A子「赤福です」コトッ
次期宮司「・・・・・・君、下がっていろ」
A子「はい」スタスタ
次期宮司「あー、神宮神職は賛成多数で可決とする」
神使代表「神使会も賛―――」
A子「うわ~!」ズコッ
司会「・・・大丈夫かい? A子君」
A子「すんませ~ん」スタスタ
代表神使「・・・・・・神使会も賛成いたします」
次期宮司「うむ。 大宮司は入院中のため、代理として私が宮司会を代表し神法大改正を可決とする」
司会「では、本案を代表神・猫神様から神勅としてお出し頂きたく思います」
猫神「・・・・・・」
A子「猫神様、赤福でございます」コトッ
猫神「・・・・・・?」
司会「A子君・・・ 本当、邪魔だから」シッ シッ
A子「すんませ~ん」テクテク
司会「猫神様、神勅を」
ちょっと待ったー!
バンッ!
猫神「神ちゃん・・・?」
次期宮司「・・・・・・」チッ
神様「かわゆい神ちゃん登場! ドドン!」
パッ パッ
神使「(なんでスポットライトがあるんですか・・・)」
――― 会議室隣・準備室
B夫「OK、決まった。 最高に古くてダサい登場、萌える」
猫娘「カメラで神ちゃんをアップで写すニャ」
B夫「神ちゃん台本通りにちゃんと出来るかな?」
――― 宮司会会場
猫神「神ちゃん、どうしてここに~?」
神様「よく耐えたな。 ご苦労だった、猫神」
猫神「・・・・・・」
神様「安心しろ、この改正案は絶対に潰す。 宮司会をグチャグチャにしてやる」ボソッ
猫神「神ちゃん・・・」
神様「よーし、お前達! このかわゆい神ちゃんが、お前らに一言もの申―――」
神使「皆さんにお聞きしたい事がございます」
神様「―― あ~ん?」
神使「皆さんは神の存在意義をどのようにお考えになられているんですか?」
次期宮司「何だ急に」
神様「そうだぞ、台本では私がこの後“ドーン! ドーン!”をやって会場を―――」
神使「懲罰は受けます」
神様「―――え? 懲罰? 私は受けないよ?」
神使「是非ご意見をお聞かせ頂けますでしょうか」
出席者「人の願いを聞き、それを叶えて下さるのが神の存在意義では?」
神使「では、神の願いは?」
出席者「?」
神使「あなた達は・・・ いえ私を含めて神々の存在を勘違していたようです」
次期宮司「何が言いたいんだ?」
神使「A子ちゃん」
A子「私?」
神使「A子ちゃんは神様とはどういうご関係ですか?」
A子「神ちゃん? う~ん・・・ 神ちゃんは友達」
神様「そう! 私とA子ちゃんは深い精神のところで繋がっ―――」
神使「先日、神様が昔は神も神使も人も区別はなかったと仰っておりました」
神様「――― あん?(言ったっけ?)」
出席者「何を世迷い言を。 神と人を同列に扱うなどそんなバチあた―――」
A子「赤福です」コトッ
出席者「――― あぁ。 ・・・冷たいお茶も頼む」
A子「ありません」スタスタ
出席者「・・・・・・」
神使「神々の皆さまは人の願いを聞き、それを叶えて下さいます」
次期宮司「当然だ」
神使「人はそれに対して何をするのでしょうか?」
出席者「神の住む社を維持し信仰を捧げることですかね」
神使「神様がそれをお望みに?」
出席者「信仰無くして神は存在できませんよ?」
神使「あなた達に信仰を感じないのですが」
出席者「なっ、何を無礼な! 最高位の神使だからって調子に乗りすぎですぞ」
神使「お気に召さないようでしたら、私の階位を剥奪して頂いて構いません」
出席者「言ったな! 忘れるんじゃないぞ!」
神使代表「ふっ」ニヤッ
神様「あっ、うさぎ野郎! お前、今笑ったな? うちの極悪邪道犬ころを笑っ―――」
神使「どうぞ、ご自由に。 神使の階位は皆さんに決定権がありますので、私は今日から最低位で結構です」
神様「―― え!? いいの? 給料下がるよ? 私を養えるの?」
神使「神様、少し黙っていて下さい」
神様「はい・・・」
神使「私、どうして神様が神力を無くしてまで二人に別れて外に出てきたのかがようやく分かりました」
神様「!?」
神使「きっと、友達が欲しかったんです。 人と接したかったんです。 ずっと一人で古い社に閉じこもって寂しかったんだと思うんです」
神様「・・・・・・」
神使「神様はとても優しいから・・・ 何千年も自分を犠牲にして皆さんのお願いを叶えて守ってきてくれたんです」
次期宮司「なにが言いたいんだ?」
神使「神様のお願いは私達が叶えてあげないといけないんです」
A子「人の願いは神が叶える、神の願いは人が叶える! だね」
神使「今回の神法大改正は逆の事をしようとしています」
次期宮司「何を訳の分からない事を、とっとと出て行け!」
神使「どうして今まで気付かなかったのか私自身腹立たしく思います。 神使失格ですね」
神使「神様? お願い事はございますか?」
神様「神使・・・ お前・・・」
神使「今、私の手の届く範囲で手を差し伸べなければならない方がいます」
神使「だから私はその方に全力で手を差し伸べたいと思います。 神力がない分どんな手を使ってでも」
神使「神様? 神様の願いを私に叶えさせて下さい」
神様「・・・・・・」
猫神「神ちゃん? 神ちゃんだってお願い事を聞いてもらう権利くらいあるんだよ~?」
神様「私は・・・ 私は・・・」
神様「ただ・・・ 人と神使と一緒に・・・ グスッ 遊んで・・・ 喋って・・・ 一緒にいたいよー!」ウエーン
神様「うえ~ん うえ~ん」
神使「神様・・・」ダキッ
神様「うえ~~ん うえ~~ん」ゲシッ ゲシッ
神使「!?(おかしい・・・ なぜこんな場面で神様は私を蹴っているんです?)」
神様「うえ~ん うえ~ん」ゲシッ ゲシッ
神使「あの・・・ 神様?」ボソッ
神様「台本とかなり違うが、まぁ良しとしよう」ボソッ
神使「!?(まさか、神様・・・ 演技!?)」
神様「うえ~ん うえ~ん」ゲシッ ゲシッ
次期宮司「何だ、この茶番は! こいつらをつまみ出せ!」
トントン
巫女「会議中に失礼いたします」ペコッ
次期宮司「大事な会議中だ! 入るなと言っただろうが!」
巫女「それが・・・ 緊急でして・・・」オロオロ
次期宮司「緊急?」
巫女「この会議内容がライブ配信されているようで・・・」
次期宮司「ライブ配信!?」
巫女「その・・・ 世界中にインターネットを通して生放送されています」
次期宮司「!!」
巫女「電話がパンクする量の抗議と、各方面から呼び出しが・・・」
次期宮司「な・・・ 何を言って・・・ お前達か! お前達が仕組んだのか!!」
神様「うえ~ん うえ~ん」
神使「・・・・・・(どっちが悪者だか分からなくなってしまいました・・・)」
猫神「フフッ、さすが神ちゃ~ん」
神様「うえ~ん うえ~ん」ニヤッ
――― 会議室隣・準備室
ドンドン
こら! すぐココを開けろ!
自分でやっていることが分かっているのか!!
ドンドン
B夫「神が存在していたなんてニュース、これ大スクープ。 ネコ生のサーバー持つか?」
猫娘「この数字が見ている人の数ですか? ニャ」
B夫「そうそう、すげー数。 あっ、猫さん、神ちゃんの顔あまり写さないで。 ちょっとカメラ引きで」
猫娘「ニャ」
B夫「神ちゃん右手に持ってる目薬何とかしてくれないかな。 カメラワーク面倒い」
猫娘「さっきから、神使先生を蹴り続けてる。ニャ」
B夫「次期大宮司ゆでだこで怒ってるよ。 これはさすがに俺クビだな」
猫娘「大丈夫ニャ、ねこねこ島の神社で神職兼、喫茶店のウエイターとして席を空けて置くニャ」
B夫「いいね、それ。 田舎暮らし悪くない。 ホームページ作って通販やろう」
司会「次期大宮司様・・・ 宮司会は中止にした方がよろしいかと・・・」オロオロ
A子「赤福です」コトッ
次期宮司「もういらん! クソッ!」
―― 数日後・神宮
TV:司会者「先日神宮から配信されたと思われるネット配信はドラマ撮影であるとのことですが」
TV:コメンテーター「最高神役の女の子が目薬持ってましたからね。 リハか何かだったんでしょう」
B夫「やっぱ目薬画面に入り込んでたか」
神使「今回一番損をしたのはB夫さんですね・・・」
A子「まさかクビになるなんて」
神様「すいませんでした!」ドゲザ
B夫「もう辞めようと思ってた所だし。 覚悟の上。 最後に一波乱起こせたのはグー」
神様「なんなら神にでもなる? すぐ出来るし、空いてる神社とか紹介するけど」
B夫「やだ」
神様「痛くないって、すぐ終わるし。 ねぇ~ どう?」
神使「でも、B夫さん今後どうされるんですか?」
猫娘「ねこねこ島で一緒に働くんだニャ」
神様「猫神の所行くの?」
B夫「そう、ネット通販担当兼雑用」
神様「私も牡蠣島行きたい!」
神使「ねこねこ島です」
猫娘「B夫博士、よろしくニャ」
B夫「お任せ。 オレの知識を全て使ってねこねこ島をサイバー島にする」
神使「もう一度よく考えた方がよろしいのでは・・・」
A子「でも、これで問題解決だね!」
神使「次期大宮司も地方のお社の宮司として転勤になったようですし」
A子「よくクビにならなかったね~」
神使「神様が取り繕ったと聞いておりますが?」
神様「・・・・・・どこ情報だよ、それ」
B夫「オレ情報。 間違いは絶対に無い」
神様「・・・・・・」ギロッ
A子「神ちゃん優しいな~」
神様「神は常に人のためにある。 どんなヤツでも人を見放すような者は神としては終わりだ」
A子「神ちゃん格好いいね~ 尊敬するよ」
神様「そう? じゃぁその尊敬するかわゆい神ちゃんと同じ神にA子ちゃんもなってみない?」
A子「ならな~い」
神様「・・・・・・」
神使「さて、神様そろそろ行きましょうか」ヨイショ
神様「は? どこへ?」
神使「次の勤務先です」
神様「何言っちゃってんの? 問題は全て解決したでしょ?」
神使「神法大改正の件は解決しましたが、神様の出向は解かれておりませんので」
神様「はぁ!? 何でだよ!」
神使「三年にも及ぶお守りの値引き販売と、数々の問題行動は帳消しになっておりません」
神様「・・・・・・」
A子「神ちゃんまた出かけるんだ」
猫娘「次はどんな辺境の地ですか?ニャ」
神様「・・・ちなみに何処?」
神使「着いてからのお楽しみです。 あっ、もちろん移動は鈍行電車ですから」
神様「嫌だ! ここに残る!」
A子「大丈夫だよ、内宮神ちゃんも居るし神ちゃんは地方に行ってきな」
内宮神「A子ちゃん? かわゆい内宮神ちゃんもかわゆい神ちゃんも同じだから・・・」
神使「ワガママ言っていないで行きますよ?!」ガシッ
神様「嫌だ! 放~せ~よ~!!」ズルズル
放せよ~
ダダこねないで下さい、神様
昭宮神「神様元気ですね」
猫神「あっ、昭宮神君~ 神宮に来てたの~?」
昭宮神「マイワイフにもしもの事があったら困りますから」
猫神「ふふっ、今回は大丈夫だったみたいだね~」
昭宮神「神様があんなに元気になってくれたなんて・・・ 私達が神様を元気づけていた二百年間って何だったんでしょう・・・」
猫神「本当~ あの子達に任せておけば大丈夫そうだね」
昭宮神「不思議ですね」
猫神「私達もそろそろ引退だね~ 次はあの子達の時代」
昭宮神「楽しい時代になりそうですね」
猫神「神ちゃんが楽しそう時は良い時代になるからね~」
ズルズル
神様「あっ! 猫神じゃん!! お願い助けて~!!」ズルズル
猫神「頑張ってお勤め果たしてきてね~」
神様「薄情者! 隣のストーカーでもいいや、助けてくれー」ズルズル
昭宮神「お達者で!」
神様「てめぇ! 覚えてろよ! 次会ったら全力で蹴り飛ばしてやるからなー!!」ズルズル
神使「ほら、神様ダダこねてないで行きますよ」
神様「助けて~!!!」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#6 ―END
――― とある田舎町
役場職員「何故こんな田舎に・・・」
村長「昨日、急に連絡があって」
役場職員「まさかバレたんじゃ・・・」
村長「バレるわけ無いだろ。 最近変なことも続いてるし・・・ それを調べるんじゃないか?」
スタスタ
神使「あの~、すいませんが・・・」
役場職員「はい、どうされました?」
神使「ここって、こわこわ神社で間違いないでしょうか?」
村長「そうですが・・・ どちら様で?」
神使「申し遅れました。 私、神宮から参りました神使と申します」
役場職員「神宮・・・ こちらのお嬢ちゃんは?」
神様「神様だ!」
神使「神力ゼロですが・・・」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」END
ダラダラと長く書いてしまいました
またどこかで!
元スレ
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1455635965/
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1455635965/
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コメント一覧 (5)
-
- 2016年06月16日 12:08
- おお…終わり?なのか?
話としては一段落ついてしまったけど…一応まだ続けられる体ではあるな
気が向いたらまた書いて下さい
-
- 2016年06月16日 14:50
-
最近の中では一番好きなシリーズ
また続き書いてくれることを期待!
-
- 2016年06月17日 19:59
- 物凄く面白かった!
-
- 2016年06月21日 04:18
- 大好きです
ほら、次も期待してるぞ、赤福もついでに頼む、あと冷たいお茶