右京「僕としたことが……キチガイゲージが溜まってしまったようですねぇ」プルプル
右京「持ちこたえて……あと、30秒といったところでしょうか」プルプル
亀山「えーっと、そうだ! 俺、例の物探してきますから!」
右京「ええ。お願いします」プルプル
ダッ
亀山「急げ急げよ~!」
~数分後~
亀山「右京さん! ティーカップとポット、買ってきました! 右京さん? どこいっちゃんたんだ……? 右京さーん!」
右京「イー! イー!」
パチパチパチ!!!
亀山「いた!」
子供「ねえママ。どうしてあのオジサンは『イーイー』って言いながら噴水の中で拍手してるの?」
母親「シッ! 見ちゃいけません!」
亀山「あー! くそっ! 間に合わなかったか……!」
右京「イー! イー!」
ジョボボボボボボボ
右京「……落ち着きました」
亀山「今回はやばかったですね。見られちゃいましたよ、通行人に」
右京「そうですか」
亀山「そうですかって……こう言っちゃなんですけど、恥ずかしくないんっすか?」
右京「君は恥ずかしいんですか?」
亀山「そりゃ恥ずかしいっすよ! 自分の上司が人前であんな……いい加減、どうにかならないもんですかね」
右京「どうでしょう。キチガイゲージが溜まると、辛抱堪らず、たちまち狂った行動を起こしてしまう……僕の悪い癖」
亀山「その癖、悪すぎますよ。頑張って治しません?」
右京「癖というものは一概にして、易々と矯正できるものではありませんからねぇ」
亀山「そうは言いますけど……」
右京「こうして、高い位置から紅茶を注ぐ動作をすれば、キチガイゲージは解消されるわけですから、それでいいじゃありませんか」
亀山「でも、いつも紅茶セットを持ち歩くわけにはいかないでしょ? ほら、今回も手元になかったわけだし」
右京「今回はイレギュラーです。通常であれば、この時間にキチガイゲージが溜まることなど無いものですから」
亀山「だんだん、ゲージが溜まる間隔が狭まってる気がするんですけど……」
右京「その話はさておき、先を急ぎましょう。被害者の葬儀が始まる時間が迫っています。遺族の方から話を聞く絶好の機会ですから」
亀山「はぁ」
右京「この度は、まことにご愁傷様でした。謹んでお悔やみ申し上げます」
遺族「どうもご丁寧に……」
右京「ご心労、お察しします」
遺族「あの、それで今日はどういったご用件で……」
亀山「不躾で申し訳ないんですけど、被害者……ご主人の交友関係について、いくつかお伺いしたいことがありまして」
遺族「はい……あの、式が終わった後でよろしければ……あまり時間はとれませんけど」
右京「ご協力、感謝します」
亀山「話、聞けそうですね」
右京「ええ。僕達も式に参加しましょう」
亀山「はい」
右京「……」プルッ
亀山「……」
右京「……」プルプル
亀山「……? あのー、右京さん? さっきから、かすかに震えてません? 俺の気のせいならそれでいいんですけど」
右京「……ええ。震えています」プルプル
亀山「ああ、やっぱり…………。ってなると……すごーく……嫌な予感がするんですけど……」
右京「……君のその『嫌な予感』……おそらく、当たっていると思いますよ」プルプル
亀山「じゃ、じゃあまさか……!」
右京「ゲージ、80%といったところでしょうか」プルプル
亀山「絶対だめですよっ。何考えてんですかっ。よりによって葬式で……アレやったらエライことになりますよ」
右京「ええ。ですからこうして、歯を食いしばり、我慢しています」プルプル
亀山「ど、ど、どうします? 一旦、外出ます?」
右京「いえ、もうすぐご焼香の順番が回ってきます。ここで退席したら、失礼に当たりますからねぇ」プルプル
亀山「いや、でも……立礼の焼香ですし……式場の視線が集中しちゃうんですよ。我慢できるんすか?」
右京「自信はありません。ですが、遺族の方から話を聞くためにも、ここは辛抱しましょう」プルプル
右京「ええ。行きますよ」プルプル
亀山「は、はい」
右京「……」プルプル
亀山「……」
右京「ィー……」プルプル
亀山「……?」
右京「イー……」プルプル
亀山「っ!」
右京「イーイー……!」プルプルプルプルプルプル
「なんだ?」「イー? イーってなんだ?」「どうしたんだ? あの人……」
ザワザワ
亀山「う、右京さん……!?」
右京「イー……! イー!」
右京「イーイー! イーイーイーイー! イーイーイーイーイーイー!!!!!!!!!!」
パチパチパチパチ!!!!
亀山「あー! やっぱりだめだったか!」
右京「イー!!!! イー!!! イー!!!」
住職「うわっ! な、なにをする!」
右京「イー!!!!!」
ポクポクポク チーン ポクポクポク チーン
住職「木魚としもくを奪われた……!」
亀山「右京さん!!!」
内村「馬鹿者!!!」
中園「遺族の前で木魚を打ち鳴らし、挙句、参列者に向けて抹香を撒くなど……キチガイのやることだぞ!」
内村「警察官としてどうこう言う前に、人として終わっとる!」
右京「……」
ジョボボボボボボボ
内村「人が話している時に、何をしとるんだ! しまえ、それを!」
亀山「あ、これはですね。こうして紅茶を注いでないと、ゲージが溜まっちゃうもんで、仕方なく」
中園「ゲージ?」
亀山「あのー、キチガイゲージ。右京さんはそう呼んでるんですけど……そのゲージが満タンになっちゃうと――」
右京「キチガイになります」
亀山「はい、そういうことで……」
内村「ふざけるのもいい加減にしろ!!!」
ダンッ
右京「この度は、まことに申しわけありませんでした」
亀山「したっ!」
ジョボボボボボボ
中園「紅茶を床にこぼすな!!! とっとと出ていけ!!!」
右京「怒られちゃいましたねぇ」
亀山「刑事部長なんて、怒りを通り越して呆れちゃってましたよ」
右京「ええ」
亀山「それでー、これからどうします?」
右京「遺族の方へ謝罪しに行きましょう」
亀山「ですね」
ジョボボボボボ
亀山「あ、もうカップいっぱいですね。中身捨ててきます。はい、替えのカップ」
右京「どうもありがとう」
遺族「帰ってください! 主人の葬儀を滅茶苦茶にした方に、話すことはありません!!! あんなの、酷い侮辱だわ!!!」
右京「おっしゃるとおりです。決して、あってはならないことでした。重ね重ね、お詫び申し上げます」
亀山「俺からも謝ります! すいませんでした!!!」
遺族「いくら謝られても、話すことはありませんから! もう顔も見たくない!!!」
亀山「あの、奥さん。そうおっしゃらずに、ほんのちょっとだけでも……」
遺族「帰ってください!!!! あんな風に歯をむき出しにして……! サルのおもちゃみたいに……………あら、そういえば……」
亀山「……? なんか、思い当たることでもあるんですか?」
遺族「え? あ、いえ……別に……」
右京「無礼を承知でお願いします。どうか、話していただけないでしょうか。どんな些細なことでもかまいません」
亀山「ご主人を殺害した犯人を特定するためなんです! お願いします!」
遺族「……昨日の刑事さんの行動を見て、思い出したんですけど……主人の友人に似たようなことをする人がいたんです」
右京「似たようなこと……と言うと、つまり」
遺族「歯をむき出しにして、眼を見開いて……サルのおもちゃみたいに、両手を叩く人が……」
亀山「右京さん……!」
右京「ええ。どうやら、僕の同類のようです」
ガチャ
キチガイゲージ保有者「……なんですか? あなたたち」
右京「警視庁、特命係の杉下です」
亀山「亀山です」
キチガイゲージ保有者「……刑事さん?」
右京「失礼ですがあなた……キチガイゲージの保有者ですね?」
キチガイゲージ保有者「……! な、何の話ですか? キチガイゲージなんて感じたことはありませんよ」
右京「その反応……やはり、キチガイゲージに覚えがありますか」
キチガイゲージ保有者「なっ……!」
右京「常人であれば『キチガイゲージ』が『感覚』であると分かるはずがありませんからねぇ」
右京「あなたは『キチガイゲージ』と聞き、それが実体のある物ではなく、感覚的なものであると瞬時に理解した……」
亀山「キチガイゲージ、保有してますね」
キチガイゲージ保有者「だ、だったら何なんだ」
右京「あなたに殺人の容疑がかけられています。お部屋の中を拝見させていただきますよ?」
キチガイゲージ保有者「なっ!」
亀山「はいこれ、令状ね。断れませんから。おい伊丹、いいぞ」
伊丹「うっせ、てめえが指図すんじゃね! はいどうも、失礼しますよー」
芹沢「失礼します」
キチガイゲージ保有者「ちょ、ちょっと!」
伊丹「こっちにはねえな。おい、そっちはどうだ」
芹沢「いや、ないっすね」
三浦「おいおい、なんだこりゃあ……! これじゃないのか!?」
伊丹「あったか!」
三浦「見てみろ、ほら」
芹沢「うわっ……血のついたシンバル……! 先輩っ」
伊丹「ああ、決まりだな」
右京「やはり、あなたが犯人でしたか」
キチガイゲージ保有者「……!」
亀山「このシンバルについた血痕が誰のものか……調べれば、すぐに分かりますよ」
キチガイゲージ保有者「そ、それは…………」
右京「これでもまだ、言い逃れをしますか?」
キチガイゲージ保有者「…………くそっ! くそぉ!!!」
ガクッ
キチガイゲージ保有者「殺すつもりはなかったんだ……! 殺すつもりは……!」
キチガイゲージ保有者「ただ、たまたまシンバルを持ってる時にゲージがたまって……!」
被害者「いやぁ、久しぶりだなぁ! 相変わらず、ゲージに苦労してんのか?」
キチガイゲージ保有者「まあな。学生の頃からの癖はそう簡単に治せないさ。そういえば、ついにシンバル買ったよ。見るか? ほら」
被害者「おっ! とうとうやったか! お前がキチガイになってる時、サルのおもちゃみたいだって話してたもんな」
キチガイゲージ保有者「これを思いっきり鳴らすと、いくぶん気持ちが良いんだ」プルプル
被害者「へぇ」
キチガイゲージ保有者「……」プルプル
被害者「……ん? なんだよ。震えたりなんかして」
キチガイゲージ保有者「……い、イー」プルプル
被害者「……おい、どうしたんだ? まさか……ハハハ、冗談はよせよ」
キチガイゲージ保有者「イー……! イー!」
被害者「お、おい。なあ」
キチガイゲージ保有者「イー!!! イー!!!」
被害者「うわっ!!!」
キチガイゲージ保有者「イー!!!!!!!!!」
バァァァァァァァン
――――
右京「やはり、シンバルだったんですねぇ」
キチガイゲージ保有者「なんで俺が怪しいと……?」
右京「遺体はリビングに仰向けで倒れていました。傷が残っていたのは前寄りのこめかみ……つまり、正面から殴られた可能性が高い」
右京「にもかかわらず、現場には争った形跡が一切残っていない……犯人は不法に侵入したのではなく、迎え入れられたのだろうと思いました」
亀山「被害者の奥さんから聞きましたよ。両手を叩くのが印象深い、古い友人がいたって」
キチガイゲージ保有者「……!」
右京「この地域では、シンバルは粗大ごみにあたります。回収日になるまではうかつに処分できないだろうと考え、こうして踏み切ったわけです」
キチガイゲージ保有者「ゲージが……」
伊丹「あん?」
キチガイゲージ保有者「ゲージが悪いんだ!!!」
右京「ええ。キチガイゲージは往々にして、タイミング悪くMAXになる……よく理解できます」プルプルプル
伊丹「おい、お前理解できるか?」
芹沢「さあ……」
右京「ですが、そのゲージを含めて、あなた自身です。決して、人を殺める言い訳にしてはならない……」プルプルプル
キチガイゲージ保有者「う、うわああああああああああああっ!!!! 俺は殺す気はなかったんだぁ!!!!」
キチガイゲージ保有者「イー!!! イーイー!!!!!!!!!! イー!!!!!!!!!!!!!!」
パチパチパチパチ!!!
伊丹「おい」
芹沢「は、はい。ほら、立って」
亀山「なんだか、彼が可哀想だって思っちゃいます……あれじゃあまりに惨めだ」
右京「誰であろうと、その内に狂気を秘めています。そして、その『狂気』の扱いを間違えると、容易に人を殺める『凶器』となる……」プルプルプル
亀山「あ、右京さん。はい、ポット。カップもありますよ」
右京「大切な友人や家族を守るためにも、懸命に自制するのが、狂気を秘めた者の使命なのではないでしょうかねぇ」
ジョボボボボボボ
亀山「そっすね……」
キチガイゲージ保有者「イー!!!!! イー!!!!!!!!!!!!!!!!」
END
元スレ
右京「僕としたことが……キチガイゲージが溜まってしまったようですねぇ」プルプル
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1465124665/
右京「僕としたことが……キチガイゲージが溜まってしまったようですねぇ」プルプル
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1465124665/
「SS」カテゴリのおすすめ
- ボーボボ「黒の騎士団入団希望のボーボボでぇす!!」ゼロ「ほう?」
- 女騎士「」オーク「し、死んでる……」
- 八幡「ブラコンめ」沙希「シスコンめ」
- 八幡「雪ノ下の脇が臭すぎる」
- モバP「俺がプロデューサーになったわけですか?」
- モバP「俺のシンデレラは一味違う」
- 【ミリマスSS】P「まつりもウ○コするんだよな・・・」まつり「は?」
- 春香「………鼻毛だよね?」
- 貴音「恥ずべきことなどありません」
- 伊織「春香がフリーダム過ぎて放っておけない」
- ハーマイオニー「ちょっと、いつになったらおしっこ出るの?」
- 武内P「本田さんは体調不良でお休みです」
- 希「国立音ノ木坂学院μ’sのある日の出来事」
- 妖狐「なんか!好きになっちゃいました!!」男「え!?」
- ルルーシュ「お前達に命じる、速やかに花嫁修業を開始せよ!」
- P「プロデューサーグッズ始めました…」
- 男「僕は兄さんが好き」女「私は姉さんが好き」
- 高垣楓「隣のプロデューサー」
- 真美「真美はもう、手遅れなのかもしれない」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- 城島「長瀬、うんたん言うてみ」
- 未央「私の人気投票の順位は……20位くらいとみた!」モバP「」
- 律「あれ?唯のやつケータイ忘れていってる・・・」
- 小野田「はい、今泉君」 今泉「……ラブライブ?」
- 陣内智則「やっと届いたわー、天海春香ちゃんのボイス目覚まし!」
- 俺「え、聖杯戦争・・・?」凛「ん?」
- 安部菜々「ピロートーク」
- 響「……ハ、ハニー」
- まどか「キュゥべえと交渉してみよう!」
- 喜多見柚「ただいま」モバP「おかえり」モグモグ
- P「四条貴音、6歳……」
- 田中「斎藤と俺の身体が入れ替わって数ヶ月が経過」
- 女「私、好きな人いるから」
- チチ「悟空さに知性を与えてけれーっ!」悟空「ナハハ……ひでえなぁ」
- 見崎鳴「あなたに甘えたい。特別に許可してください」恒一「えっ」
- DIO「おい、ドーナッツ一個100円だそうだ」
- 提督「雪風報告日記」
- 棟方愛海「こんなに苦しいなら…胸などいらんっっ!!」
- ハルヒ「宇宙人とか飽きたから彼氏作ろ」
コメント一覧 (19)
-
- 2016年06月05日 22:47
- ショッカーかな?
-
- 2016年06月05日 22:47
- なんだこれ
-
- 2016年06月05日 22:49
- うーん、微妙
-
- 2016年06月05日 23:01
- 深読みし過ぎだとは思うが
障害を自力制御できるなら楽だよな
-
- 2016年06月05日 23:06
- 笑った
-
- 2016年06月05日 23:35
- 何故に亀山?今は冠城だろ?
-
- 2016年06月06日 00:00
- なんjのネタやないか。
でもこういった症状はわかる。
-
- 2016年06月06日 00:38
- やっぱり特命係は亀山だよな、一課もトリオが揃い踏みで言うことなし
あとは米沢とラムネ、官房長が出れば満点だった
-
- 2016年06月06日 03:28
- ゲージは定期的に溜まるもんだっけ?
-
- 2016年06月06日 08:34
- 意外とまともに推理してて草
-
- 2016年06月06日 09:22
- そこはかとない恐怖を感じた
-
- 2016年06月06日 16:23
- 肉/棒 勃った二人の特命係がなくなってんぞ
どういうことだ管理人
-
- 2016年06月06日 16:40
- カイトはゲージが溜まったせいで…!
-
- 2016年06月06日 17:22
- ※12
相棒に限らずいろんなの消してるな
俺が知ってるのが2個消えてた
-
- 2016年06月06日 20:46
- ※14
マジかよ...
タイトルから中身まで良SSの域だったのに勿体ないな
-
- 2016年06月06日 21:00
- ※12,14
ライブドアブログの規約でエロはまとめることが出来なくなったらしいぞ、だいぶ前に
-
- 2016年06月07日 01:06
- タイトルが卑怯すぎて草
-
- 2016年06月07日 08:14
- ※16
そういうことだったのか、どうも。
いやしかし性描写のあるSS残ってる辺りガバガバなんだな
-
- 2016年06月08日 15:48
- 鰤にもキチ/ガイゲージのssあったろ
二番煎じじゃん