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【艦これ】円卓の鬼神の海戦記【エスコンZERO】【その1】

1: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:45:06.61ID:gCIkWAp7o

エースコンバットZEROと艦これのクロスです


過去作

ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」

夕張「新型反動抑制装置?」



2: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:46:22.38ID:gCIkWAp7o

―――ブイン基地―――


金剛「ウゥ…」

大和「こ、このままじゃ…」

瑞鶴「や、やられた。これじゃ艦載機が…」

矢矧「まだよ!まだこの基地はやられてないわ!」

羽黒「けど敵の数が多すぎます!このままだとこの基地は」



―このブイン基地は深海棲艦の強襲を受けていた。その膨大な戦力にブイン基地は壊滅の危機に瀕していた―



利根「まだじゃ!まだ諦めてはいかん!なんとしても守りきるのじゃ!」

吹雪「! 敵部隊の増援を確認!第四波来ます!」

摩耶「くそったれがぁぁぁ!」ダダダダダ



―機銃掃射による対空防御。しかしその圧倒的な数を全て打ち落とせるわけもなく、残った艦載機が鎮守府を爆撃する―



由良「みんな大丈夫!?」

愛宕「私達はなんとか」

陸奥「被害状況は!?負傷した艦娘は下がっ…」

時雨「どうしたの!?…あ、あの位置は…!」

夕立「て、提督さんがいた場所っぽい!」

雪風「し、司令ぇ!」ダッ


陸奥「ダメよ、雪風ちゃん!まだ爆撃機が!」

時津風「雪風!直上!」

雪風「え?あ……」



3: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:46:54.03ID:gCIkWAp7o







         鬼神、再び









4: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:47:41.43ID:gCIkWAp7o

ドォォォォォン


時津風「雪風ぇぇぇぇ!」

雪風「うぅ……。あれ?」

時津風「雪風、大丈夫!?」

雪風「う、うん。なんともないよ。でもなんで?」


陸奥「なに?なんなの、あれ?」

愛宕「わからないわ。味方の識別信号も出てないし」

夕立「でも敵さんじゃないっぽい」

時雨「誰が乗ってるんだろ、あのF/A-18E(スーパーホーネット)」


――――――


烈風妖精「爆弾だけきっちり撃ち抜くなんて、円卓の鬼神の二つ名は伊達じゃないわね」

サイファー「昔のことだ。それにお前達のサポートがあってこそ出来た離れ業だ。分の悪い賭けだったよ」

彗星妖精「さっきのは私達はやってないよ?まだまだ鬼神は現役ってことだよ」

サイファー「言ってろ!っと、お喋りはここまでだ。邪魔な奴から落とすぞ!」


烈風妖精「お仕事の時間ね。それじゃ行きましょ」シュゥン

彗星妖精「いつでも準備OKだよー!」シュゥン

流星妖精「雷撃…じゃなかった、対艦ミサイルもいけます!」シュゥン



<System Pixy Standby>ピピッ!



サイファー「ミッション開始だ!」



5: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:48:18.64ID:gCIkWAp7o

加賀「な、なんなの、あれは…」

龍驤「信じられへん。うちらの艦載機でもあれへんのに深海棲艦の艦載機を次々と落としとるし」

瑞鳳「しかもたった1機で。何処の誰が乗ってるの!?」

榛名「ハッ!て、提督は!?提督はご無事なんですか!?」

吹雪「そ、そうだ!司令官さんは!?」



大和「………」ギリッ

吹雪「大和さん、司令官さんは」

大和「来ちゃダメ!来ては…いけません。今は…今は戦闘に集中してください」グスッ

吹雪「でも!大和さんだってボロボロに」

扶桑「吹雪っ!」ガシッ

吹雪「は、離してください!」

扶桑「今は…今はあの所属不明のスーパーホーネットの援護よ!提督だってそうおっしゃるはずよ」

吹雪(扶桑さん、手が震えて…)

吹雪「りょ、了解!これより所属不明機の援護を開始します!」ギリッ

扶桑「まだ航行可能な艦娘(こ)はあの所属不明機の援護に回って!くれぐれもあの戦闘機を落とさないように」


『了解!』


――――――



6: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:50:48.60ID:gCIkWAp7o


吹雪「す、凄い。最前線の敵艦隊をたった1機だけで」

扶桑「油断しないで。まだ敵の艦隊はいるはずよ」

翔鶴「偵察機出します!彩雲、発k」



ォォォォォン



阿賀野「なに今の爆発音!?」

霧島「…捉えたわ!空母ヲ級があの所属不明機のミサイルにより轟沈。さらにその爆発で護衛の駆逐艦が巻き添えで中破したみたいね」

那智「なっ…!1発で2隻に被害を出したっていうのか!?なんという精度だ」

扶桑「とにかく、あの爆発の方向に敵艦隊がいるみたいね。各員前進!所属不明機の援護に急ぎましょう」


『了解!』


――――――


流星妖精「ハープーンミサイル命中!空母ヲ級撃沈!近くにいた駆逐イ級が中破」

サイファー「たまたま近くに駆逐艦がいてラッキーだったな。烈風!彗星!接近して一気に仕留めるぞ」

烈風妖精「残弾は大丈夫よ。気にせず撃っていいわ」

彗星妖精「きっちり敵さんに爆弾落っことしちゃうよ~!」



7: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:51:48.50ID:gCIkWAp7o

彩雲妖精「対空砲撃、来るよ!」

サイファー「そんなもの」クイッ


―機体を巧みに操り、対空機銃をなんなくかわす―


サイファー「誘導式の対空兵器でないなら狙いがわかっている分避けるのは簡単なもんだ」

サイファー「こいつはお返しだ!持っていけ!」ドガガガガ

サイファー「ついでにお前もだ!」カチッ

彗星妖精「狙いはバッチリ!いっけ~!」ヒュゥゥゥン


―中破した駆逐イ級に機銃掃射。そして進路上にいる重巡リ級に爆撃。2隻をあっさり撃沈する―


彗星妖精「さっすがサイファー!仕事が早い!」

サイファー「おしゃべりしてる場合じゃないぞ。まだ敵は残ってるんだ」

彗星妖精「わかってるって!それとあの鎮守府から比較的損傷の軽い艦娘が来たみたいだよ」

彩雲妖精「砲弾来るよ!巻き添え喰らわないようにね!」



8: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:52:14.55ID:gCIkWAp7o

ドォォン!ドォォン!



サイファー「見事なもんだ。あの距離から砲撃できっちり当てるとはな」

烈風妖精「どうするの?あの艦娘(こ)達と一緒にこの部隊を叩くの?」

サイファー「いや、ここは彼女達に任せても大丈夫だろう」

烈風妖精「そう。なら他の艦隊を叩かないとね。彩雲、見つけられる?」

彩雲妖精「敵艦隊が後退していってる。どうやら撤退してるみたい」

烈風妖精「どうするの?サイファー。追撃して叩くの?」

サイファー「いや、撤退行動に入っているなら追撃はしない。それに機銃の弾薬はまだあるがミサイルの残弾がな」

彗星妖精「どうせなら最後に1発ぶっ放しておくのはどうかな?」

流星妖精「ハープーンは安くはないんですが…」

サイファー「…いや、まだ届くか?」

流星妖精「ハープーンの射程範囲内ではありますけど」

サイファー「なら一番デカイやつに1発当ててやれ。ただし撃沈するんじゃなくて大破させるぐらいでいい」

流星妖精「なぜ撃沈しないのですか!?」

サイファー「脅しと時間かせぎだ。この付近にはヤバイのがいるって認識させれば補給してすぐにまた襲ってくることはしなくなるだろう。作戦の立て直しもするだろうしな」

流星妖精「了解です!…ロックオン完了!いつでもいけます」

サイファー「沈めるんじゃないぞ。Fire!」カチッ



バシュゥゥゥゥン



――――――



9: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:52:41.01ID:gCIkWAp7o

翔鶴「敵の残存部隊が撤退していきます!」

扶桑「な、なんとか凌ぎ切ったみたいね」

吹雪「早く鎮守府に戻りましょう!司令官さんが!」



シュゥゥゥゥゥン……



阿賀野「何!?ミサイルが!?」

那智「あの方向は撤退してる艦隊がいる方角だぞ!」




~ォォォォン



霧島「所属不明機から発射されたミサイルが姫級に命中した模様。かろうじて動いてるところを見ると轟沈はしてないようね」

那智「あの威力なら撃沈も出来ただろうに。いったい何故沈めなかったのだろうか」

霧島「とにかく助かったわ。急いで鎮守府に戻りましょう」


――――――



10: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:53:17.38ID:gCIkWAp7o

サイファー「まぁこんなところか。さて俺達も戻るとするか。報酬をもらわないとな」

烈風妖精「待ってサイファー。あの鎮守府に寄ってちょうだい」

サイファー「何故だ?何か理由があるのか?」

流星妖精「あの鎮守府から力が弱まっているのを感じます」

彩雲妖精「恐らく司令官さんが大きく負傷したか、それとも」

彗星妖精「鎮守府は提督がいないと機能しないの。妖精の力が弱まるから艦娘の艤装だってまともに動かなくなるの」

烈風妖精「私達はサイファーを司令官として認識して戦闘機のシステムに同化してるからともかく、他の妖精だとそうはいかないわ」

彩雲妖精「着陸出来るだけのスペースはあったわ!サイファー、お願い!」

サイファー「わかった。行こう」


―――――
―――



11: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:54:22.77ID:gCIkWAp7o

雪風「司令ぇ…」

大和「提督…」


提督「みんなは…無事か…?」


赤城「はい…。損傷が激しい者もいますが、全員轟沈は免れました」


提督「…そうか。よかった…ゲホッ!ゴホッ!」


雪風「司令ぇ!」

愛宕「しゃべっちゃダメよ!すぐに病院に搬送するから!」


提督「いや、俺はもうダメだろう。流石に血を流しすぎたみたいだ」


矢矧「そんな!諦めちゃダメよ!しっかりして!まだ助かるはずよ!」

青葉「司令官さんにはまだ取材し足りてないんです!こんなところで退役するなんて青葉は許しませんよ!」


提督「…俺の代わりが…来てくれたようだな」


『え?』



12: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:54:49.97ID:gCIkWAp7o





キィィィィン…ガシュッ!ゴォォォォォ…プシュー




スタッ!ザッザッザッザッ…



陸奥「あのスーパーホーネットは…」

瑞鶴「深海棲艦の大部隊を追っ払った所属不明の機体じゃない」

時雨「妖精も連れてるね。彼は一体何者なの?」

加賀「烈風に流星に彗星、それに彩雲までいるわ」


―機体から降り、艦娘が囲っている提督の下へ歩を進めるサイファー。妖精を連れた異様な雰囲気を醸し出すサイファーに皆自然と道を開けていく―


提督「…やぁ。来てくれたのか」

サイファー「あんたがここの司令官だったのか」

提督「見ての通り俺はもう長くはない。報酬が未払いになってしまって申し訳ない…ゴホッ!ゴホッ!」

金剛「テートク!」バッ!


―駆け寄ろうとする金剛を無言で手を挙げ制止する提督。その行動に金剛も思わず停止する―



13: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:55:32.72ID:gCIkWAp7o

提督「…あのスーパーホーネットはそのまま所有してもらって構わない。その代わり一つ、俺からの依頼を受けてくれないか?」

サイファー「なんだ?俺に出来ることなら引き受けよう」

提督「この鎮守府を…ゴホッ!…ここの司令官となって皆を導いてほしい…」

サイファー「俺は一介の傭兵だ。一国の軍属ではない。残念だがその願いは聞き入れることはできない」

提督「報酬はこの鎮守府の全権限の譲渡。足りないなら新たな戦闘機を発注してもらってもいい。ラプターでもスーパーフランカーでも注文してくれたらいい」

提督「頼む、この依頼を引き受けてくれないか?妖精に認められた君にしか出来ない仕事だ」

サイファー「しかし、俺は…」

烈風妖精「サイファー。私はこの依頼を受けるべきだと思うわ」

彗星妖精「妖精とコンタクト出来る人間って限られてるからサイファーには適任だよ」

サイファー「空の傭兵が一国の海軍の、それもいきなり基地司令官のポジションに就くなんて無理のある話だ」

流星妖精「その点は大丈夫です!妖精とコンタクトが取れる時点で提督としての資質有りですから」

彩雲妖精「資質有りと認められれば鎮守府の提督の職に就くのは難しくないのよ。逆に言えば資質が無いとどんなに頑張っても不可能なの」


提督「頼む、サイファー…。君だけが頼りなんだ…」

烈風妖精「この依頼を受けないと、戦線が押し上げられて戦火が広がるわ。それにあなたもそろそろ腰を落ち着かせてもいい年じゃなくて?」

サイファー「…わかった。この依頼、引き受けよう。ただし、他の適任者が着任するまでだ。所詮俺は傭兵に過ぎん」

提督「ありがとう、サイファー。これで安心して逝ける…」スッ



14: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:55:58.77ID:gCIkWAp7o

―最後の力を振り絞り手を差し出す。サイファーもその差し出された弱弱しい手を握る―


提督「サイファー…み…なを…たの……」フッ

提督「」


『提督!』
『司令官さん!』
『提督さん!』


サイファー(陸上発着の機体ではなく艦載機を用意するなんて得体の知れない依頼者だったが、海軍基地の司令官だったとはな…。これはとんでもない大仕事になりそうだ)

サイファー「烈風、現在のこの基地の妖精の様子はどうだ?弱まったままか?」

烈風妖精「弱体化は止まったわ。けど、元に戻ったわけじゃない。完全に戻すには大本営からの正式な許可が必要ね」

???「それについては私が」

サイファー「あんたは?」


大淀「軽巡大淀です。提督のお言葉、確かに聞きました。大本営への手続きなどは私にお任せください」

金剛「オーヨド!なんでそんなに冷静にいられるデース!大淀はテートクがだいj」

大淀「大事じゃないわけないじゃないですか!私だって…私だって辛いんです。けど提督の最後のお言葉を無駄にするわけにはいきません」グスッ

大淀「この方を新たな司令官として鎮守府の再建、そして平和な海を取り戻すことが提督の願いなんです。その願いを無駄にしては提督が…提督が悲しみます」ポロポロッ

金剛「大淀…。Sorry…私が悪かったネ」

大淀「いえ。では、えっと…サイファーさんでしたね?必要な書類を書いてもらいますので、私についてきて下さい」

サイファー「わかった」

大淀「明石さん、それに大和さん。あとはお願いします」

明石「わかりました」

大和「承りました。そちらもお願いします」


―――――
―――



15: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:56:59.16ID:gCIkWAp7o

―鎮守府内仮設司令部―


大淀「すみません、このような場所で」

サイファー「いや、かまわんさ。基地が爆撃でボロボロにされてちゃ仕方ないことだ」

大淀「こちらでしばらくお待ちください。すぐに書類を取ってきますので」

サイファー「あぁ。それとすまないが弾薬と鋼材、それとボーキサイトを分けてもらえないか?」

大淀「それは構いませんが、何に使うおつもりですか?」

サイファー「妖精達(こいつら)の飯だ。こいつらが働いてくれなきゃ深海棲艦相手だとスーパーホーネットもただの鉄の塊だ」

大淀「わかりました。すぐに用意しますが燃料はよろしいのですか?」

サイファー「結構だ。それに燃料は重油だろ?重油じゃあれは動かんからな」

大淀「そうですね。ではすぐに用意しますのでしばらくお待ちください。失礼します」


―そう言って大淀は一礼しその場を離れた。残されたサイファーは疲れたようにため息を吐いた―


烈風妖精「やっかいなことになったなって顔してるわね」

サイファー「当たり前だ。防衛網を突破されたときの援護の仕事だと思ってみたら、気づけば海軍基地の司令官をやれときたもんだ。いくらなんでも話がぶっ飛びすぎだ」

彩雲妖精「いいじゃない!飛ぶのはサイファーの仕事でしょ?」

サイファー「上手いこと言ったつもりか?それに飛んでんのはあっちだ」



16: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:57:37.40ID:gCIkWAp7o

彗星妖精「サイファー、後悔してる?」

サイファー「後悔もなにも、こうなった以上はやるしかないだろ。それに後任が来るまでの間だ」

流星妖精「サイファーにはそろそろ腰を落ち着かせてほしいとは思っているのですが」

サイファー「あんな戦争の最前線にいた兵士に安住の地なんてありはしねぇさ」


サイファー(相棒、お前はまだ生きてどこかで戦ってるのか…)



ザッザッザッザッ


???「あの…」

サイファー「ん?俺になにか用か?」

扶桑「航空戦艦の扶桑です。先ほどの戦闘でのお礼を申し上げたくて」

サイファー「よしてくれ。結果としては間に合ってないんだ。恨み言は言われてもお礼を言われることじゃない」

扶桑「しかし、あなたのおかげで多くの艦娘の命が助かりました。提督は残念なことになりましたが、それでも多くの命を救っていただいたことに変わりはありませんから」

サイファー「…あんたは司令官の傍にいてやらなくていいのか?」

扶桑「もう…お別れの言葉は言ってきました」

サイファー「そうか…」



17: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:58:27.35ID:gCIkWAp7o

扶桑「…何故、あなたは妖精を従えてるのですか?それにあの戦闘機の戦力も」

サイファー「俺はこいつらに助けられたんだ。深海棲艦に落とされて、死の淵を彷徨ってる時にな」

彗星妖精「私達も似たようなもんだったけどね~」

流星妖精「お互い色々とギリギリでしたからね。助け合いの結果です」

扶桑「どういった経緯でそんなことn」


大淀「サイファーさん、お待たせしました。扶桑さん、こちらにいらしてたんですか?」

サイファー「大丈夫だ。そこの扶桑と少し話をしていたところだ」

扶桑「大淀、その書類は…。やはりこの方が新しい提督になられるの?」

大淀「はい。鎮守府司令官としての『資質』、それに先程の戦闘記録を大本営に報告したところ特例で認められることになりました」

扶桑「そう…。サイファーさん。いえ、サイファー提督。扶桑型戦艦1番艦扶桑共々、今後ともよろしくお願いします」

サイファー「あくまで後任の適任者が着任するまでの間だ。だが、仕事を引き受けたからには全力で取り組ませてもらう。こちらこそよろしく頼む」


―――――
―――



18: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 13:59:24.16ID:gCIkWAp7o

―前任の提督が亡くなり、サイファーが特例で司令官として着任することになったブイン基地―
―戦火が収まりホッとする間もなく慌しく動く鎮守府事情に奔走させられながらそれぞれの夜が更けていく―
―そして一夜が明けた…―


大和「最後の時まで我々艦娘を導き、勇敢に戦った提督に…敬礼!」バッ!


ビシッ!


『提督ぅぅぅ…』グスッ

『司令官さぁん!』ポロポロ

『提督さぁん!!』グスッ


―前任の提督の遺体を載せた大型飛行艇が日本に向け飛び立つ。涙する者、膝から崩れる者、それぞれが悲しみに打ちひしがれながら見送る―


大淀「サイファー提督もありがとうございました。着任して間もないのに葬儀に参列していただきまして」

サイファー「傭兵と依頼主の間柄ではあったが、前提督から大きな仕事を引き継いだんだ。最後まで見送ってやるのが礼儀だ」


―敬礼の姿勢で見送っていた大和がサイファーの元へ歩み寄る―


大和「…あなたがこの鎮守府の新しい提督、サイファーさんですね?」

サイファー「あぁ、そうだ」


大和「皆さん、整列してください!新任の提督に挨拶を!」

サイファー(気丈な艦娘(女)だ。自身も悲しくて仕方ないだろうに…)


―大和の呼びかけに皆サイファーの前に整列する―



19: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 14:00:11.70ID:gCIkWAp7o

大和「敬礼!」バッ!


ビシッ!


大和「ようこそブイン基地へ。我々艦娘一同はこれよりサイファー提督の指揮下に入ります!」


―サイファーもこれに応えるように敬礼で返す―


サイファー「空軍式の敬礼ですまないな。海軍式の敬礼は馴染みがないんでな」

烈風妖精「何を言ってるの。海軍式なら私達のを見て知ってるでしょうに」

彗星妖精「素直に間違えたって言えばいいのにね~」

サイファー「黙ってろ。…俺は海軍の運用には疎い故にこれから迷惑もかけるだろうがよろしく頼む」

サイファー「事情が事情だ、今日は皆休んでくれ。明日から業務を始めよう」

大和「了解しました。では明日マルハチマルマル時よりよろしくお願いします」

大和「総員、解散!」


―解散の号令に皆それぞれ散り散りに去っていく。その中で雪風がサイファーの元へ歩み寄る―


雪風「サイファー司令官さん。昨日は助けていただいてありがとうございました!」

サイファー「俺が君になにかした覚えはないんだが…」

彩雲妖精「私達が兵装と同化前にサイファーが爆弾を撃ち抜いたでしょ?その爆弾の直下にいた艦娘よ」

サイファー「あぁ、あの艦娘(こ)か」

雪風「サイファー司令のお陰で雪風は陸で撃沈せずに済みました。本当に感謝です!」

サイファー「たまたまだ。君が生き残ったのは運が良かったということだ」

雪風「それでも助けられたことには変わりません!これからよろしくお願いします!」

サイファー「ああ。君も疲れてるだろう。今日はゆっくりと休むんだ」

雪風「わかりました!」


―雪風はそう答えると、サイファーから離れていった―



20: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 14:00:52.03ID:gCIkWAp7o

烈風妖精「サイファー。色々思うところがあるでしょうけど、あなたは確かにこの鎮守府を守ったのよ」

流星妖精「そしてこれからは艦隊を指揮する立場で皆を守っていってほしいのです!」

サイファー「俺は後方で指揮をするタイプの人間じゃないんだがな」

彩雲妖精「ならサイファーも空中指揮機に乗って前線で指揮を取れば?」

サイファー「…ライセンスが無い」

彩雲妖精「は?」

サイファー「空中指揮機のライセンスは持ってないんだ」

彗星妖精「あれ?意外だね。てっきりサイファーはなんでも乗れると思ってたんだけどなぁ」

サイファー「世の中にどれだけジェット機があると思ってんだ。全部の機体のライセンスなんか取ってたら金も時間も足りん」

彩雲妖精「ていうか、そもそも指揮官は空中指揮機を操縦するの?」

彗星妖精「…呆れた。ホントサイファーって空戦バカだね~」クスクス

サイファー「そもそも他に航空機を操縦できるやつなんかいないだろ」

彩雲妖精「操縦しながらどうやって指揮を執る気なの?」

サイファー「なんとかなるだろ」

烈風妖精「なるわけないでしょ」



21: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/04(土) 14:01:53.88ID:gCIkWAp7o

サイファー「ならあのスーパーホーネットを使えばいいだろ」

流星妖精「それだと出航した艦娘をあっさり追い越して最前線に真っ先に躍り出る可能性が極めて高いんですが」

烈風妖精「しばらくはおとなしく書類とにらめっこしてなさいってことよ。ここにはそれなりに秘書を経験した艦娘もいるみたいだし、しっかり叩き込んでもらいなさい」

サイファー「事務仕事は得意じゃないんだがな…」

烈風妖精「文句言わない!さて、私達も色々挨拶してくるわ」

彗星妖精「天山とかいるかな~」

彩雲妖精「同じ彩雲が配備されてるといいなぁ。じゃあ私達は行くね」

流星妖精「では後ほど。失礼します!」


―妖精達もサイファーの元から離れ、一人残されたサイファーは自分が執務を行ってる未来を想像していた―


サイファー(F-35でも配備してもらおうかな。いや待てよ、ラプターのほうが…)


―執務を行ってる未来を想像していた―


―――――
―――



31: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:19:47.85ID:tXz0SLjzo

  ―屋内の戦場―


―1日の休暇を終え、翌日から通常の業務を行う鎮守府。元々空で傭兵として戦っていたサイファーには海軍の運営と事務仕事という慣れない仕事のダブルパンチの洗礼を受けることになる―


―仮設執務室前マルナナゴーマル時―


サイファー「無事だった施設に仮の執務室を移設したとはいえ、今日からこの中で仕事とはな」

烈風妖精「元傭兵なんだから、仕事を引き受けた以上は最高の結果を出しなさいよ」

サイファー「ったく、無茶言ってくれるぜ」


knock knock


<どうぞ


烈風妖精「なにやってるのよサイファー。自分の仕事場になんでノックしてるのよ」

サイファー「いや、なんとなくな。というかまだ実感がないんだ」



32: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:20:24.87ID:tXz0SLjzo

ガチャッ


サイファー「失礼」

大和「お待ちしておりました。少しお早い到着ですが、なにかございましたか?」

サイファー「いや、仮設の場所とはいえ、自分の仕事場になる場所をきちんと見ておきたくてな」

大和「そうでしたか。ではこちらにおかけになってください。私は大淀から本日の仕事を受け取ってきますね」

サイファー「あぁ、頼む」


バタン


サイファー「なんというか、前時代的な軍司令部って感じだな」

烈風妖精「こんなものよ。室内は基本的に提督の好みで内装が違ったりするみたいよ。私が前にいたところなんかは温泉があったりしたわ」

サイファー「なんだそりゃ?つぅかどうやって温泉なんか引いたんだよ」

烈風妖精「そこは私達妖精の力ってところかしら。家具を作ったりする職人の妖精もいるから」

サイファー「なんでもありかお前らは。なんか頭痛くなってきた」

烈風妖精「戦闘機のシステムにインストールして使ってるサイファーが言う言葉じゃないわね。そのうち慣れるわよ」



33: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:20:53.33ID:tXz0SLjzo

knock knock


サイファー「どうぞ」


ガチャッ


大和「失礼します。本日の仕事をお持ちしました」


―書類の山、B7Rの如し―


サイファー「お、おいマジかこれ!着任初日の仕事の量かよこれ!」

大和「先日の戦闘での被害報告などもそうですが、昨日は執務をなさらなかった分の量も込みでこの量になってます」

サイファー「つまり今日も込みで貯まった3日分の仕事ってわけか」

大和「そうなりますね」

烈風妖精「それじゃ私はこれで失礼するわね。大和さん、この空戦バカにしっかり叩き込んであげてください」

大和「あ、はい!わかりました」

サイファー「おい烈風!逃げんな!」

烈風妖精「誰がスーパーホーネットの整備を指揮すると思ってるのよ。明石さんだって専門外なんだから、私は私の仕事をするだけよ。それじゃ頑張りなさい」


バタン



34: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:21:21.32ID:tXz0SLjzo

サイファー「マジかよ…」

大和「まぁまぁ、私も出来る限りサポートしますので頑張りましょうサイファー提督」


<サイファー執務中>


>この書類に目を通して判をお願いします

>ふむふむ…ん?なんて読むんだこれ?

>これは○○ですね

>ありがとう。…ん?すまん、これはなんて読むんだ?

>これは○○○と読みます


大和「サイファー提督、失礼ですがどうして漢字が読めないのに日本語を流暢に話せるんですか?」

サイファー「あぁ、あいつらに教えてもらったんだ」

大和「あいつらって…烈風や彩雲妖精のことですか?」

サイファー「そうだ。不思議なもんでな、あいつらには言葉の壁が存在しないらしい。オーシアやウスティオ、ベルカの言葉でもあいつらには通じる」

大和「それはまた、不思議なものですね」

サイファー「少しは文字も習ったんだが、まだ難しい漢字となるとどうしても…な」

大和「…ちなみに『大和』は読めますか?」

サイファー「………」



35: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:21:48.03ID:tXz0SLjzo





サイファー「お、おおわ…か?」







ピキッ







36: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:22:19.44ID:tXz0SLjzo

大和「『やまと』です!私の名前と同じ『やまと』です」

サイファー「す、すまん!これで大和(やまと)と読むのか」

大和「はぁ…。漢字辞書も必要ですね」

サイファー「日本語の本も読むようにしよう。何かお勧めの本があれば教えてくれ」

大和「そちらも後でご用意します。とりあえず内容を簡潔に読み上げますので判だけお願いします」

サイファー「苦労をかけるな」

大和「いえ、慣れない環境でのお仕事となるのですから仕方ないことです。さ、続きをしましょう」



37: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/05(日) 13:22:45.93ID:tXz0SLjzo

―ヒトフタマルマル時―



大和「サイファー提督、丁度いい時間ですので昼食にしませんか?」

サイファー「そうだな。久しぶりにこんなに文字と睨み合いしてたから腹が減ってしょうがねぇな」

大和「ふふっ。では食堂に行きましょう。ご案内します」

サイファー「食堂って、普通の人間の俺でも大丈夫なのか?」

大和「ええ、基本的に艦娘も人と同じものを食べますので大丈夫ですよ。前提督もよく食堂で召し上がられていました」

サイファー「そうか。じゃあ俺も食堂で頂くとするか」


―――――
―――



41: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:22:03.52ID:8/DpNggMo

―鎮守府食堂―


サイファー「ほぉ、かなりの広さだな」

大和「艦娘全員が入っても大丈夫なように広く設計されましたので、それなりの広さを誇ります。全員を集めた作戦会議などでも使用されることもあるんですよ」

サイファー「ブリーフィングルーム代わりにもなっているということか」


愛宕「あら、大和さんにサイファー提督。これから昼食ですか?」

大和「ええ。執務が区切りのいいところだったから食堂の案内も兼ねて昼食にしようかと」

高雄「サイファー提督、鎮守府はどうですか?もう慣れましたか?」

サイファー「ハッキリ言って何が何だかわからんな。つい先日まで前線の空で戦ってばっかりの人間にいきなり内勤をやれってのも無茶な話だ」

愛宕「元傭兵さんなのよね?」

サイファー「まぁな」

愛宕「傭兵の頃の話、聞いてみたいわね」

サイファー「あまり気持ちの良い話じゃないさ。戦争なんて無いに越したことはないんだ」

高雄「ところで大和さん、執務は順調ですか?」

大和「それが…」





42: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:22:35.08ID:8/DpNggMo

愛宕・高雄「漢字が読めないですって~!?」

サイファー「あまりデカイ声で言わないでくれ。仕方ない事とはいえ少しは恥ずかしいんだ」

高雄「それって、執務に支障がかなり出てるんじゃあ」

サイファー「大和に内容を簡潔にまとめて読んでもらってるからペースは遅くなるがなんとかなっている」

愛宕(これってもしかして私達の名前も全然わかんないんじゃあ…)ヒソヒソ

大和(実際私の名前も読めませんでしたよ)ヒソヒソ

高雄(私の名前はともかく、愛宕なんて絶対に読めないでしょうね)ヒソヒソ

サイファー「何をコソコソ話してるんだ?」

愛宕「いえ、なんでもないわよ~」


漣「おりょ?こんなところで止まって何話してるんですか?」

愛宕「…あ!丁度よかったわ。サイファー提督、この艦娘(こ)の名前、読めますか?」

漣「(ピコーン!)ちなみにこう(漣)書きますよ、ご主人様」

サイファー「…………」







43: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:23:15.54ID:8/DpNggMo

サイファー「…すまん、全く検討がつかん。れん…じゃないよな?」

漣「そりゃ左のさんずいを取ればそう読めますが」

漣「特型駆逐艦の綾波型の9番艦『漣』です。こう書いて漣と読みます。覚えておいてくださいね、ご主人様」

サイファー「ど、努力しよう」

漣「こりゃ全然ダメダメのメシマズ状態じゃないですか。報告書とか大丈夫なんですか?」

愛宕「その話をしてたところなのよ」

大和「いきなり漣ちゃんは難易度が高すぎた気もしますけど」

高雄「他の第7駆逐隊のみんなはどうしたの?」

漣「あとで来ると思いますよ」


サイファー「それよりいい加減腹が減ったんだが」

大和「あ、そうですね。注文はなににします?」

漣「海軍と言えばカレー!異論は認めない(キリッ)」

愛宕「鈴谷ちゃんじゃないんだから」

高雄「まぁコロッケも海軍ならではですね」

漣「ちなみに大和さんと武蔵さんが本気を出すとフルコースディナーでメシウマ状態ですよ」

大和「だからホテルじゃないって…まぁいいですけど」

サイファー「昼飯にそれは重過ぎる。まぁカレーを頂くとするか」

――――――



44: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:23:46.52ID:8/DpNggMo

サイファー「俺の番か。カレーを頼む」

???「はーい、カレーね。って新しい提督さんじゃない」

サイファー「ん?君も艦娘なのか?」

足柄「そうよ。私は妙高型重巡の3番艦、足柄よ。今日カレーを頼むなんてサイファー提督もラッキーよ。なんたってこの足柄特製のカツカレーなんですもの」

サイファー「食堂は当番制なのか」

足柄「基本的にはそうね。ほぼ常駐してる間宮や鳳翔さんは別として、数名を日替わりで回してるのよ」

サイファー「なるほど。その中でも得意なメニューを出し合うという感じか」

足柄「そういうこと。さぁ、サイファー提督。足柄特製カツカレーよ!たんと召し上がれ!」ドンッ

サイファー「えらくボリューム満点だな」

足柄「慣れない海軍の執務で疲れてると思ってね。そんな時は思いっきりカツカレーを食べるのが一番よ!」

サイファー「そういうもんじゃないと思うが…」



45: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:24:22.02ID:8/DpNggMo

???「ダメですよ、足柄さん。ちゃんとバランスは考えて出してくださいね」

足柄「あら、ダメだったかしら鳳翔さん」

鳳翔「ダメってわけではありませんが、きちんと野菜は出してください」

足柄「あはは、失敗失敗」

サイファー「君が鳳翔か」

鳳翔「はい。航空母艦鳳翔です。サイファー提督、その量食べきれますか?」

サイファー「まぁ量は問題ないな」

鳳翔「そうですか。サラダにはあちらに置いてあるドレッシングをお好みでかけて頂いてくださいね」

足柄「ドレッシングも鳳翔さんのお手製で味は保証するわよ」

サイファー「なるほど。鳳翔はここのマスターシェフということか」

鳳翔「料理長…というわけではありませんが、好きでやっていますので」

サイファー「そうか」

鳳翔「なにかお困り事がありましたら気軽に声をかけてください。出来る限りはお手伝いしますので」

サイファー「あぁ、その時はそうさせてもらう」


――――――



46: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:24:59.21ID:8/DpNggMo

大和「サイファー提督、こちらのお席にどうぞ」

サイファー「ありがとうな」

高雄「凄い量ですね。食べきれるんですか?」

愛宕「空母盛りってところかしら」

サイファー「食いきれない量ではない…が、毎日この量だとあれだな。コックピットにそのうち座れなくなりそうだ」

漣「正規空母の方々も食べますが、パイロットも食べる方なんですねぇ」

サイファー「意図的にこの量にしたわけじゃねぇよ」


???「あ、いたいた。漣ここで食べてたんだ」

漣「おりょ?」クル

朧「ここ座るね。あ、こんにちはサイファー提督。漣と同じ第7駆逐隊の朧です」

曙「1人だけさっさと食堂に行かなくてもいいじゃない!あんたが新しい提督ね。空の人間に海がわかるか期待してないけど、変なことだけはしないでよね」

潮「曙ちゃん…!すみませんサイファー提督。曙ちゃん、そんなこと言っちゃダメだよ」

サイファー「いや、構わんさ。事実俺は元々空で戦う傭兵だからな。評価なんて結果で変わるもんだ。今はその酷評を受けるだけだ」

曙「ふん!空の傭兵にしては殊勝な考えじゃない。ま、精々頑張りなさいよねクソ提督」



47: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/06(月) 19:25:25.02ID:8/DpNggMo

トテトテトテ


彩雲妖精「サイファー、ちょっといい?」

サイファー「どうした?」

彩雲妖精「ここじゃあれだから歩きながら話すわ。ついてきて」

サイファー「わかった。大和、すまんがこの食事は後で食べるから取っておいてもらってくれ」

大和「わかりました。サイファー提督、どちらへ向かわれるんですか?」

サイファー「まだ俺にもわからん。とりあえず彩雲(こいつ)に呼ばれたから行ってくる」


カッカッカッカッ…


潮「なにかあったんでしょうか…」

曙「そんなの知らないわよ」

愛宕「高雄ちゃん」

高雄「ええ、間違いなく『兵士の目』をしてたわね」

大和「あとで行ってみましょう」

朧「どこに行くかわかるんですか?」

大和「完璧にわかるわけじゃないけど、多分サイファー提督はスーパーホーネットの所に向かったと思うわ」


―――――
―――



50: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:54:16.49ID:13A0K0yyo

サイファー「で、話ってなんだ?」

彩雲妖精「うん。あの機体を整備しててレーダー周りのテストをしてたときなんだけど、索敵範囲ギリギリになにかを捕らえたの」

サイファー「他の基地の艦娘とかじゃないのか?」

彩雲妖精「味方なら識別信号でわかるわ。けどあれは多分味方じゃない。すぐに消えたけど用心したほうがいいかもしれないわね」

サイファー「偵察部隊と言ったところか。案外立て直しが早かったな」

彩雲妖精「あのハープーンがあんまり脅しにならなかったってことかしら」

サイファー「いや、少なからず効果はあったようだ。効いてなかったら偵察部隊なんて寄越さずに本隊が突っ込んでくるはずだ」

彩雲妖精「そっか。で、どうするのサイファー?」

サイファー「スーパーホーネットの補給状況はどうだ?」

彩雲妖精「燃料と機銃の弾薬は完了よ。けど空対空ミサイルは前回使ってない分だけ、ハープーンに至っては1発しかないわ」

サイファー「実質機銃と通常爆弾だけってことか。追い返すだけなら十分だ」



51: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:54:45.71ID:13A0K0yyo

―仮設ハンガー―


烈風妖精「来たわね。彩雲から聞いてると思うけど、出るのね?」

サイファー「ああ、そのつもりで来た」

流星妖精「しかし兵装の補充は十分ではありません。くれぐれも無茶だけはしないでください」

サイファー「追い払うだけだ。深追いはしない」


―機体に乗り込み、ベルトを締めヘルメットを被る―


彗星妖精「スクランブル発進だね。火入れるよ~!」


ヒュイィィィィン…ゴォォォォォ


サイファー「レーダーが捉えた方角はどっちだ?」

彩雲妖精「方位230よ。距離は離れたと思うけどまだそこまで遠くには行ってないはずよ」

サイファー「わかった。索敵頼むぞ」


<System Pixy Standby>ピピッ!


――――――



52: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:55:16.08ID:13A0K0yyo

ヒュイィィィィン…ゴォォォォォ


漣「この音、ジェットエンジンの音ですよ!」

高雄「まさか、1人で出撃をなさる気なの!?」

朧「まずいです!早く追いかけないと!」

大和「皆さんはサイファー提督を追いかけてください!旗艦は愛宕さんがお願いします!」

愛宕「わかったわ!大和さん、後はお願いしますね!」


――――――


サイファー「油圧、機器ともに正常。さすが整備はバッチリだな」

烈風妖精「当たり前よ。この機体に命預けてるのはサイファーだけじゃないのよ」

サイファー「それもそうだな。よし、出るぞ!」ゴォォォォォ


――――――


愛宕「サイファー機が出たわ!皆追うよわ!」


『了解!』


―――――
―――



53: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:55:45.77ID:13A0K0yyo

彩雲妖精「反応があったのはこの付近よ」

サイファー「今は何も無いな。どこかに隠れてやがるのか」

彗星妖精「それよりいいの?鎮守府から艦娘がサイファーを追って出撃してるよ」

サイファー「敵を追っ払うだけだ。合流する前には事が片付くだろ」

烈風妖精「普通なら艦娘を出撃させて哨戒するんだけど。まだまだ司令官としての自覚が足りないみたいね」

サイファー「スクランブルだ、そうも言ってられんだろ。それにこっちの方が早い」

流星妖精「そういう問題では…。サイファー!前方距離320!」

サイファー「居やがったな。敵の艦種は!?」

彩雲妖精「駆逐イ級が3隻ね。どうするの?」

サイファー「対艦ミサイルが使えない以上は有視界戦闘に入るしかないだろ。烈風!彗星!」

烈風妖精「いつでもいいわよ」

彗星妖精「沈めちゃってもいいんだよね?」

サイファー「可能ならな。ただ1隻は残せ。脅しの上塗りをしておく」


烈風・彗星『了解』


――――――



54: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:56:19.91ID:13A0K0yyo

愛宕「う~ん、やっぱりジェット機は速いわねぇ」

朧「悠著な事言ってる場合じゃないです」

漣「まぁまぁ。識別信号のお陰で追跡は出来るんだし、妖精さんも乗ってるチート乙な機体なんだしメシマズにはならないでしょ」

潮「そうは言っても補給が十分に終わってなさそうだったよ。あの大きい対艦ミサイルが1発しか付いてなかったし」

曙「烈風と彗星がいたし、機銃と爆弾でなんとかする気なんでしょ?ったく、補給が不十分なのにどうする気なのよ、あのクソ提督」

高雄「とにかく急ぎましょう。あの戦場の鬼のようなサイファー提督でも物量押しされたら危ないわ」


漣「…う~ん……」

愛宕「どうしたの漣ちゃん?」

漣「いえ、高雄さんの鬼って言葉と戦闘機、な~んかどこかで聞いたことがあるような、無いような」

曙「ハッキリしなさいよ!どうせゲームで出てきたとかそんなオチじゃないの?」

漣「そんなんじゃないんだよね、ぼのピー。まぁ帰ったら青葉さんと協力して調べますか」

曙「ぼのピー言うな!ま、素性を調べるのはいいかもね。変な素性を持ってたら追い出してやるんだから!」

潮「ダメだよ曙ちゃん。それに私はサイファー提督がそんな悪い人とは思えないよ」

朧「あたしもそう思う。でなきゃ妖精さんを連れるなんて無理だし」

曙「うぐっ!…まぁでもどんな男なのかは皆が知る必要はあるわよ。私も協力するわ」

漣「おりょ?珍しい。さてはぼのピー…」

曙「なによ?文句あるの?」ギロッ

漣「い~え、な~んにも♪」

高雄「おしゃべりはそろそろおしまいよ。もうじき押し返された海域に近いエリアに入るから皆気を引き締めて」


『了解!』


愛宕「高雄ちゃん。あたしより旗艦っぽいわね♪」

高雄「愛宕が一番しっかりしてほしいんだけど。まったく、戦闘時以外はこれなんだから…」


――――――



55: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:56:49.56ID:13A0K0yyo

彩雲妖精「敵が迎撃の姿勢を取ったみたいよ!」

サイファー「遅すぎたな。彗星!」カチッ

彗星妖精「はいよ~!いっけー!」ヒュゥゥゥゥン


―上空からの爆撃によりイ級1隻爆沈。そのままループの軌道を描く―


彩雲妖精「砲撃来るよ!」

サイファー「いちいち喰らってやるほどお人好しじゃねぇってな!」ドガガガガ

烈風妖精「ロックオン機能が無かったらズレそうな動きね」


―ループの下降モーションからのロールでイ級の砲撃をかわし機銃掃射。これで2隻目の撃沈―


彩雲妖精「あと1隻は最初から撤退の動きをしてたわ。既に距離も離れつつあるわ」

彗星妖精「どうするの?また1発おみまいするの?」

サイファー「当てる気では撃たんが、念は押しておく。流星!空対空ミサイルで行く!」

流星妖精「空対空?イ級相手にどう使うつもりですか!?」


―水平飛行中から180度ロールし背面になり、そのまま下方向への逆宙返りで水平に戻る。いわゆるスプリットSの軌道で海面スレスレを飛行する―


サイファー「この高度なら使えないことはない。外してもいいが、当てるなら弱らせる程度で当てろよ!」カチッ

流星妖精「了解です!サイドワインダー発射!」バシュゥゥゥン


―低空飛行の状態から空対空ミサイル発射。イ級目掛けてミサイルが飛行する。が…―





56: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:57:18.02ID:13A0K0yyo



ドッポォォォン



彗星妖精「あれ?外れちゃったよ?」

彩雲妖精「ギリギリのところでズレちゃったの?」

流星妖精「無茶言わないでください。イ級みたいな脆い相手に弱らせる程度に当てろだなんて、ハープーンじゃないって言っても難しいんですよ」

サイファー「いや、あれでいい。よくやった流星」

烈風妖精「あのイ級はさらに速力を上げて撤退してるわ。作戦は成功ってところかしら」

サイファー「こっちの思惑通りに敵が動いてくれりゃいいがな。基地に戻るぞ」

烈風妖精「それと無線を開くわ。旗艦は…愛宕さんみたいね。彼女達に帰投命令を出してあげて」

サイファー「あぁ、そういやそうだったな」ワスレテタ


サイファー「こちらサイファー。作戦は終了だ。これより帰投する。君達も基地へ帰投してくれ」


――――――



57: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:57:44.85ID:13A0K0yyo


≪こちらサイファー。作戦は終了だ。これより帰投する。君達も基地へ帰投してくれ≫

愛宕「え?あ、はい!艦隊帰投します」

漣「一体なにがあったんですか?」

サイファー『それについては帰ってから説明する』

曙「ちょっと!勝手に出撃していきなり帰るなんて無茶苦茶じゃない!後でちゃんと説明しなさいよ!」

高雄「提督自ら真っ先に飛び出して行くなんて心臓に悪いことなさらないでください」

サイファー『緊急事態だったからな。全部基地に帰ってから説明する』

潮「でもよかったです。サイファー提督が無事で」

朧「実力は先日の戦闘で折り紙つきだって言ってもやっぱり心配になりまs」


ィィィィンゴォォォォォ……キィィィィィン…


高雄「きゃっ!」

愛宕「ちょっと~!」

曙「わっぷ!危ないじゃないのよクソ提督!」

潮「うえぇん。海水被っちゃいました」

朧「サイファー提督、少し冗談がすぎますよ」

漣「あっはっはっ!みんなびしょ濡れメシウマ状態ktkr!カメラ持ってくればよかったですねぇ」

曙「なんであんただけ無事なのよ!あんたもびしょ濡れになりなさい、このバカなみ!」

漣「いやですね~。レーダーで感知してれば進路予想出来たじゃないですかぁ」


>ふざけんじゃないわよ!くらいなさい

>当たりませんよ~こっちまでおいでぼのピー

>待てコラバカなみー!

>ハイハイ、遊んでないで戻るわよ~


――――――



58: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:58:16.89ID:13A0K0yyo

流星妖精「サイファー。茶目っ気を出すのはよろしいですが、少し近すぎたのでは」

彗星妖精「曙ちゃんお怒りだったよ~」

烈風妖精「下手な格好付けは評価が下がるだけよ」

彩雲妖精「まだ曲芸飛行の方が良かったかもね」

サイファー「ボロカスに言ってくれるな」

烈風妖精「無用な心配はするなって言いたいつもりなんでしょうけど、後でしっかりと謝っておきなさいよ」

サイファー「わかったわかった」


―――――
―――



59: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:58:42.82ID:13A0K0yyo

―ブイン基地―


サイファー「やれやれ、とんだ説教を喰らったぜ」

烈風妖精「最後のあれがなければあそこまで怒られなかったわ。あれはサイファーが悪い」

流星妖精「それに基地司令官の立場なんですから、自分が一番に出るのではなく艦娘を運用してください」

サイファー「お前らまで俺に説教かよ。もう十分だっつうの」

彩雲妖精「これに懲りたらキチンと司令官らしく振舞うことね」

サイファー「お前がスーパーホーネットの元に向かったからだろうが」

彩雲妖精「さて、なんのことかしら?私は歩きながら説明すると言っただけよ?」

サイファー「このっ…!はぁ、もういい。俺は執務室に戻るぞ」

烈風妖精「私達は機体の整備をするわ。まぁ頑張りなさい」



60: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/07(火) 23:59:08.81ID:13A0K0yyo

<仮設執務室>


knock knock


大和<どうぞー


ガチャッ


サイファー「今戻った。心配かけたようだな」

大和「サイファー提督はこの鎮守府の司令官なんですから、これからは一言私達に相談してくださいね」

サイファー「…それだけか?」

大和「お説教ならもうとっくに受けてらっしゃるでしょ?昼食は暖めなおしてますので先にお召し上がりください」

サイファー「あぁ、ありがとう」

大和「それと、本日の仕事の続きです!」ドンッ

サイファー「おい…。なんか増えてねぇか?」

大和「当たり前です!緊急とはいえ出撃を、それも提督自身が行ったとなれば報告書が増えて当然です」

サイファー「前例とかあったりしてテンプレみたいなのがないのか?」

大和「そりゃ船に乗って出ることはあるでしょうけど、戦闘機に乗って出撃なんてありませんよ」

サイファー「マジかよ…」

大和「自業自得です。今日は徹夜も覚悟してくださいね」

サイファー「勘弁してくれ…」


―――――
―――



66: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:00:50.17ID:n4iRId9oo

  ―司令官として、人として―


―前回の出撃から1週間が過ぎ、ようやくサイファー自身も執務に慣れはじめた―


サイファー「ふむ…。えっとこれは…」漢字辞書ペラペラ

鳥海「サイファー司令官、こちらの計画書なんですが…」

サイファー「ん?ちょっと待ってくれ。…よし」ハンコポーン

サイファー「どういった内容だ?」

鳥海「はい。以前破壊された鎮守府の施設の再建、及び新設備の増築計画なんですが」

サイファー「そういやこの部屋も仮設なんだよな。再建ってことは同じ設備をまた建てるのか?」

鳥海「そうですね。基本の造りは同じになると思いますが、艦娘からの要望をいくつか取り入れた設備も同時に増築されるかと」


サイファー「どれどれ…。新しい訓練設備…艤装改修設備…システムキッチン…?バー?なんだこりゃ?」

鳥海「訓練設備は多数の艦娘からで、改修設備は明石さんから、システムキッチンは鳳翔さんを始めとする料理をされる艦娘からで」

サイファー「バーは…まぁなんとなく検討はつくな」

鳥海「却下しようかとも思いましたが、サイファー司令官さんも多少はお酒を嗜むであろうと思いまして」



67: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:01:21.47ID:n4iRId9oo

サイファー「まぁ予算に収まるなら構わんが。それと戦闘機用のハンガーか」

鳥海「いつまでも仮設の場所に置いてたら整備もし辛いだろうということで計画の中に含まれました」

サイファー「これだけの設備投資によく予算が下りたな」

鳥海「司令官さんの武勲が大本営に認められたということですよ」

サイファー「元傭兵ということで足元見られると思ったんだが、意外とキッチリ評価するもんだな」

鳥海「大部隊をたった1人で追い返すなんて普通に考えたら出来ることじゃありませんよ」

サイファー「逆に言えば過度な期待を持たれてるとも言えるわけか」

鳥海「それでですね、この際サイファー司令官さんの要望もあれば、それも増築計画に入れようと思うのですが」

サイファー「俺の?…そうだな。戦闘機がもう1機欲しいとは思っているが、流石に今回は予算が超えそうだな」

鳥海「ちなみにどんな機体を頼むおつもりなんですか?」

サイファー「F-15イーグル、もしくはストライクイーグルをな」

鳥海「F-22ラプターやSu-37スーパーフランカーみたいな超高性能機ではなくですか?」

サイファー「慣れ親しんだ機体の方が色々都合がいいこともあるんだ」



68: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:02:11.63ID:n4iRId9oo

鳥海「サイファー司令官さんはイーグルドライバーだったんですね。今回は予算に収まりそうにないので今後の計画に入れましょうか」

サイファー「まぁ流石に今回は無理だな。それなら俺用の訓練設備を増設してもらおうか」

鳥海「具体的にどんな設備なんですか?」

サイファー「低圧訓練用の設備と装置だな。低酸素状態の訓練が出来る設備ってのは中々無いものだからな」

鳥海「それについてはちょっと調べてみますね。予算内に収まりそうであれば導入しましょう」

サイファー「イーグル1機政府から流してもらうのと大して変わらんかもしれんがな」

鳥海「その場合はイーグルを1機発注しましょうか?」

サイファー「そうだな。J型モデルだろうから対艦ミサイルを使用できるようにカスタムしないとダメだがな。まぁ全ては予算に収まり次第ってところだな」

鳥海「そうですね、ではそちらもまとめておきます。それとこちらの書類なんですが…」

サイファー「どれどれ…。ふむ…」


―――――
―――



69: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:02:59.00ID:n4iRId9oo

サイファー「ふぅ…んっあぁぁぁ~!事務仕事ってやつだけはいつになっても慣れねぇもんだな」ノビー

鳥海「前線で戦う傭兵さんでしたからわからないこともないですが、慣れてもらわないと私達も困りますよ」

サイファー「わかってるよ。でなきゃ漢字辞書片手に書類と睨み合いなんかしてねぇってな」


knock knock


サイファー「入れ」


ガチャ


摩耶「よ、サイファー提督。あたしの要望書見てくれたか?」

サイファー「摩耶の要望書?」

鳥海「それならこちらに」スッ

摩耶「なんだよ、まだ見てなかったのかよ」

鳥海「仕事には優先順位があるんだから仕方ないでしょ。どんな要望を出したの?」

摩耶「あぁ、それは…」



70: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:03:54.56ID:n4iRId9oo

サイファー「…俺の機体を使った対空訓練?」

摩耶「あぁ。あたしや吹雪、秋月や春雨みたいな対空兵器が充実してる艦娘向けの訓練なんだけどよ、もっとすげぇ相手がいねぇかなって思ったところでさ」

サイファー「それで俺に的役をやれってことか」

摩耶「そういうことだな。あんだけの大群を蹴散らしちまうサイファー提督ならうってつけの相手だしな」

鳥海「摩耶?そんなのダメに決まってるでしょ。サイファー司令官さんだって忙しいんだから」

摩耶「んなこと言ったってよぉ。サイファー提督以上にすげぇ相手なんてそうそういねぇぜ?」

鳥海「そりゃそうだけど、あれを見てサイファー司令官さんにそんな暇があると思って?」



サイファー「……~」漢字辞書ペラペラ



摩耶「た、確かにありゃ時間に余裕なんて出なさそうだな…」

鳥海「でしょ?だから今回は却下よ」

摩耶「ちぇっ!仕方ねぇな」



71: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:04:39.24ID:n4iRId9oo

サイファー「逃げ回るだけでいいのか?」

鳥海「サイファー司令官さん?」

摩耶「マジか!?引き受けてくれんのか!?」

サイファー「ミサイルを使えば冗談抜きで撃沈してしまうが、機銃はペイント弾に代えればなんとかなるな。ただの的に徹するなら逃げ回るだけでいいしな」

摩耶「ミサイルに演習弾とかねぇのか?」

サイファー「そんなものは無いな。空戦演習だとHUDに撃墜判定が出るから撃たなくても勝敗がわかる。対艦にしても実際に標的艦は撃沈する」

摩耶「じゃあミサイルは禁止だな。引き受けてくれるってことでいいんだよな?」

サイファー「最終的には妖精達(あいつら)と相談することになるがな。それに今すぐというわけにはいかんしな」

鳥海「そうですよ。まだこれだけ仕事が残ってるんですから」@書類の山

サイファー「そういうことだ。だが近いうちに出来るよう調整してみよう」

摩耶「まぁ漢字辞書片手に執務やってる状態じゃあしょうがねぇよな。でも、サンキューな!楽しみにしてるぜ!」




バタン



72: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/08(水) 23:05:40.83ID:n4iRId9oo





鳥海「よろしかったのですか?あんなこと引き受けて」

サイファー「あいつは前任の司令官が亡くなったことをかなり重く引きずってた艦娘の一人だっただろ?」

鳥海「えぇ、金剛さんや酒匂ちゃんや古鷹さん達みたいに、重度の精神的ダメージを負ってました」

サイファー「完全に吹っ切るための切欠が欲しかったってところだろ。で、思いついたのが俺とスーパーホーネットを使った訓練ってことだと思ってるがな」

鳥海「よく見てらっしゃるんですね」

サイファー「戦場で心の折れた奴、立ち直ろうとする奴なんて嫌というほど見てきたからな」

鳥海「司令官さん…」

サイファー「さて、もう一息頑張るか。あと少しで昼飯だしな」

鳥海「クスッ…はい!」


―――――
―――



76: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:05:34.96ID:qtFs4tTXo

―フタマルサンマル時―

サイファー「やれやれ、やっと終わったか」グッタリ

鳥海「お疲れ様でした。コーヒーをどうぞ」スッ

サイファー「あぁ、サンキューな」クイ

鳥海「それにしても着任当初に比べればずいぶん仕事が早くなりましたね」

サイファー「大和が薦めてくれた本も読んでるからな。少しは漢字にも慣れてきたってことだろ」

鳥海「私のお薦めも読んでみます?」

サイファー「…いや、それは遠慮する」

鳥海「何故ですか?」

サイファー「鳥海、妙高、霧島だと漢字初心者に優しくない戦術指南書とか渡されそうだからな」

鳥海「私はそこまで海戦バカじゃありませんよ」

サイファー「逆に如月、羽黒、榛名あたりだと俺が持ってたらMPに捕まりそうな本を持ってきそうだがな」ククッ



77: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:06:03.19ID:qtFs4tTXo



[鳥海想像中]


鳥海「」プフッ

サイファー「おい!今何を想像した!?」

鳥海「いえ、なんでも…ありません…」クフッ

サイファー「別にいいっつうの。俺もいい歳だしな。乙女趣味全開な本なんか持ってたら不審者扱いされて当たり前だ」

鳥海「もしかして既に持ってらっしゃるんですか?」

サイファー「そんなわけねぇだろ」

鳥海「ビックリしました。本当に持ってたら青葉辺りに特ダネ扱いされるところですよ」

サイファー「冗談じゃねぇな。乙女趣味の傭兵なんて二つ名が付いた日にゃ仕事の依頼が来なくなりそうだ」

鳥海「もしかして今も傭兵としての依頼が来るんですか?」

サイファー「いや、今は来ねぇな。一国の軍人、それも空軍じゃなく海軍の所属になってるからな」

鳥海「そうですか」

サイファー「さて、仕事も終わったんだ。もう戻ってもいいぞ」

鳥海「わかりました。ではまた明日もお願いします」

サイファー「あぁ、お疲れさん」




バタン





78: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:06:42.26ID:qtFs4tTXo

サイファー「さてっと、俺も飯食ってシャワー浴びて寝るとするか」

サイファー「って食堂はもう無理か。まぁ何か簡単な物でも作るか」



knock knock



サイファー「こんな時間に誰だ?入れ」


ガチャ


隼鷹「いよぉ~う、サイファー提督ぅ!」

千歳「夕食時に鳥海さんはこられましたけど、サイファー提督は来られなかったので夕食を食べてないのではと思って簡単な物を持ってきました」

サイファー「…その割には飲み物が多い気がするが」

隼鷹「やだなぁ、わかってる癖にぃ!仕事が終わったのが夜!夜といえば酒!晩酌の時間だぜ、ヒャッハー!」

サイファー「食い物がメインじゃなくて酒がメインになってんじゃねぇか」

千歳「まぁまぁ、そうおっしゃらずに。それに今日は特別ゲストもいるんですよ」

サイファー「ゲスト?那智か赤城辺りか?」



79: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:07:09.18ID:qtFs4tTXo




ガチャ



武蔵「待たせたな。戦艦武蔵、戦線復帰だ」

サイファー「あぁ、そういえば武蔵は重度のダメージを負って長期入渠メンバーの一人になってたな」

千歳「それで武蔵さんが完全復帰したお祝いも兼ねて飲もうって話をしてたんですが、この際だからサイファー提督も一緒にと思いまして」

サイファー「ほどほどにしてくれよ。二日酔いでダウンなんてなりゃ何言われるかわかったもんじゃねぇんだからよ」

武蔵「碌に顔合わせもしないまま入渠したからな。改めてサイファー提督よ、これからよろしく頼むぞ」

サイファー「…まぁ少しぐらいならいいだろ。こちらこそよろしく頼むぞ」

武蔵「貴様の活躍は聞いている。なんでも妖精を乗せて戦闘機で戦ってるらしいな」

サイファー「あぁ。とは言っても最近は俺自身が出撃することは無いがな」

武蔵「ほぅ?それはどうしてだ?」

サイファー「『基地司令官としての自覚を持ってください』と言われててな。司令官が最前線に、それも軍用艦ではなく戦闘機で躍り出るなんて止めてくれってな」

武蔵「貴様も鬱憤が溜まってそうだな」

サイファー「事務仕事してるなんて俺の柄じゃねぇからな。戦争したいってわけじゃねぇが、最前線で戦ってないとどうにもな」

武蔵「中々いい漢じゃないか。面白い。よし、今日は飲もうじゃないか」

サイファー「だからほどほどにしてくれと…」



80: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:07:39.63ID:qtFs4tTXo

隼鷹「そう堅いこと言うなって!まずは一杯グイッといっちゃいな~」ヒャッハー

サイファー「なっ!隼鷹!お前ペース早過ぎるだろ!もう酒臭ぇぞ」

千歳「おつまみもどうぞ、サイファー提督。鳳翔さんにサイファー提督にって言ったら喜んで作ってましたよ」

サイファー「お前らが食いたいのが本音だろうが、まぁ鳳翔なら味は保証できるな。どれどれ…。うん、流石だ!美味いな」モグモグ

隼鷹「これもいけるぜぇ!これはあたしが作ったんだけどよ」

サイファー「豆腐に塩昆布?それにこれはごま油か。合うのか?」

隼鷹「まぁ食ってみなって」

サイファー「どれ…」パクッ



サイファー「お前は酒の肴に関しては美味いのを作れるみたいだな」カラメノサケガホシイ

武蔵「酒の肴ってのは考えだすと案外難しいからな。これならいけるだろうと思ったら合わなくて後悔することもある」

サイファー「失敗したことがあるような言い方だな」

武蔵「新しいものを作ろうとすれば必ず試行錯誤するからな。この武蔵とて成功ばかりではない」



81: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:08:05.42ID:qtFs4tTXo

千歳「でもこれいいわねぇ。塩昆布の塩気がいい感じにアクセントになって、ごま油の風味が口の中にふわっと広がるけど、豆腐自体がしつこさを相殺するからバランスが取れてるし」

隼鷹「簡単で手軽に出来るからあたしも晩酌に重宝してんだぜぇ。こいつは日本酒に合わせんのがいいんだ」

サイファー「こいつは酒が進むな。日本料理ってのはどうしてこうも美味いのが多いのか」グビー

武蔵「材料をどう使う(調理する)かが重要なんだ。物が同じでも使い方一つで味はガラリと変わるからな」

サイファー「こりゃ日本に行きたがるやつが多いわけだ。改めて納得させられるな」

隼鷹「ま、大和さんと武蔵姐さんの本気と比べられちゃあ話になんねぇレベルのモンだけどさ」

武蔵「皮肉だろうと旅館と言われた武蔵の本気、サイファー提督にもその内味わわせてやろう」

サイファー「備蓄とのバランスだけは取ってくれよ」

千歳「あらサイファー提督。グラスが空になってますよ。ささ、どうぞどうぞ!」オサケツギー

サイファー「おい、だからほどほどにって…まぁいいか。これだけだぞ」グビッ


―――――
―――



82: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/09(木) 21:08:36.15ID:qtFs4tTXo

―翌早朝―


サイファー「あ、頭痛ぇ。最悪だ…」

サイファー「あいつら、武蔵の全快祝いだからってバカスカ飲ませやがって。いつかハープーン撃ちこんでやる」

サイファー「あの後数人が飯と酒の匂いに釣られて入ってきたから執務室が滅茶苦茶になったし、鳥海か大淀に怒られる前に片付けないとな」ダルー



ガチャ



鳳翔「おはようございますサイファー提督」

サイファー「鳳翔?こんな朝早くから執務室で何やってんだ?」

鳳翔「執務室で飲まれたでしょうからお片づけを。それと二日酔いになられてるのではないかと思いまして、別メニューの朝食をご用意しました」

サイファー「粥にミソスープか。胃にやさしいメニューで助かる」

鳳翔「お味噌汁もシジミの味噌汁でご用意しました。疲労回復にも効果ありますが、二日酔いによく効きますよ」

サイファー「いい香りだ、こりゃ効きそうだな。気を使わせたみたいでスマンな」

鳳翔「いえ。さ、冷めないうちにお食べください」

サイファー「ありがとう。頂こう」


―――――
―――



86: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:38:33.37ID:cbZlwv9Oo

―マルハチマルマル時―


knock knock


サイファー「入れ」


ガチャ


鳥海「失礼します。おはようございま…す?」クンクン

サイファー「どうした?」

鳥海「いえ、昨晩執務室でお酒飲まれました?」

サイファー「あぁ、武蔵の全快祝いということで数名と少々な」

鳥海「そうでしたか。少し匂いが残ってますので換気しますね」カチャ

サイファー「悪いな。本来は執務室で飲むもんじゃないとは思ってはいたんだがな」

鳥海「いえ、ほどほどにしていただけるなら大丈夫です。それにお祝いなら多少は仕方ないですよ」

サイファー(危ねぇ。ほどほどどころか深酒したのはバレてないみたいだな。頭もすっきりしてるし鳳翔にはなにか礼をしないとな)

サイファー「今日は仕事の量がいつもより少ないな」

鳥海「はい。昨日のうちにあらかた目処が付いていたので、今日は比較的少ないですよ」

サイファー「早ければ事務仕事自体は昼で終わりそうだな」

鳥海「そうですね。それぐらいの量でしょうか」

サイファー「久しぶりに漢字から開放されるのか。よし、頑張るか!」

鳥海「フフッ…はい!」


―――――
―――



87: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:39:17.62ID:cbZlwv9Oo

―ヒトサンマルマル時―


サイファー(鳳翔には増設予定のシステムキッチンのグレードアップを約束したし、なんとか借りは返せそうだな)

サイファー(しかし、久しぶりに日の出てる内に漢字から開放されたら、何をしようか考えものだな)

サイファー「…自主トレでもするか」

武蔵「お、サイファー提督じゃないか。執務は終わったのか?」

サイファー「武蔵か。今日は比較的仕事が少なかったからな。久しぶりに開放されてこれから自主トレでもしようかと思ってたところだ」

武蔵「そうか。ところでサイファー提督よ、少し小耳に挟んだんだがサイファー提督自身の要望に自分用の訓練施設と希望したらしいがどういうものなんだ?」

サイファー「あぁ、低圧訓練のことか。あれは戦闘機のパイロットがやる酸素濃度が低い状態で思考を働かせる訓練だ」

武蔵「なんだそれは?どういう効果があるんだ?」

サイファー「航空機ってのは基本的に高い高度を飛ぶだろ?高高度での戦闘時に判断力が鈍ればそれだけで撃墜される可能性が格段に上がる」

サイファー「高度が上がれば上がるほど酸素濃度も気圧も下がるからな。マスクがあるとはいえど限度がある」


※航空自衛隊で実際に行われている訓練と同じものをイメージしてください



88: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:39:52.35ID:cbZlwv9Oo

武蔵「つまり高高度時に低高度時と同じように戦う為の訓練ということか」

サイファー「そういうことだ」

武蔵「面白そうな訓練だな。私もやってみたいな」

サイファー「1気圧下の海上で戦う艦娘にはいらんだろ。高高度を飛べる戦闘機のライセンスでも持ってんのか?」

武蔵「無論、無い!」

サイファー「自信満々に言う言葉じゃねぇだろ…」

武蔵「しかし、それは脳のトレーニングにはなるだろうが、肉体の方のトレーニングはいいのか?」

サイファー「もちろんそれも自主トレでやってる。でなきゃ戦闘機のGに耐えられんからな」

武蔵「ふむ…。確かに年齢にしては体つきがしっかりしてるな」

サイファー「パイロットも体が資本だからな。特に傭兵なんてなりゃ即戦力でないと食っていけん」


長良「あ、サイファー司令官、武蔵さん、こんにちは。これからトレーニングですか?」

サイファー「あぁ、そんなところだ」

武蔵「サイファー提督が中々特殊な訓練をするようで聞いていたところだ。…そうだ、サイファー提督は白兵戦は出来るのか?」

サイファー「そりゃ最低限の射撃や格闘は出来る。万が一落とされた後に敵に捕まるなんてあったらまずいからな」

長良「パイロットも中々大変なんですね」



89: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:40:28.99ID:cbZlwv9Oo

武蔵「…よし、長良。確か道場部屋は空いてたな?」

長良「はい。今の時間は誰も使ってませんので空いてるはずですよ」

武蔵「サイファー提督よ、今日は実戦訓練として格闘訓練をするのはどうだ?この武蔵が相手になってやろう」

サイファー「超弩級戦艦と生身の人間じゃ力が違いすぎるだろ」

長良「柔よく剛を制すと言いますよ。力だけが全てじゃありませんよ」

武蔵「なんだ?それとも自信がないのか?元傭兵と言っても大したことないんだな」





ピキッ




サイファー「いいだろう。相手になってやる」

武蔵「そうこなくちゃな。長良、審判を頼む」ニヤ

長良「わかりました!」


―――――
―――



90: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:41:12.86ID:cbZlwv9Oo

長良「それでは時間無制限1本勝負です!よろしいですね?」

武蔵「あぁ結構だ」E:道着

サイファー「空の傭兵と侮ったことを後悔させてやろう」E:道着

――――――

雪風「サイファー司令って陸でも戦えるのかな?」

時津風「さぁ?でも元傭兵なんだしCQCぐらいなら出来そうだけど」

木曾「武蔵姐さんとサイファーの戦いなんて面白そうなことやってんな」

阿賀野「あら、烈風妖精さんも見に来たの?」

烈風妖精「またサイファーがバカなことやってないかと思いまして。そしたら案の定これですか」

摩耶「なぁ烈風妖精、サイファー提督って陸で戦えんのか?」

烈風妖精「さぁ?私達もその辺の実力は把握してないからなんとも言えないですね。私達が乗って以来落とされたことなんてありませんから」

瑞鶴「何々?武蔵さんとサイファー提督さんの戦い?面白そうじゃない!見ていこうよ翔鶴姉」

翔鶴「瑞鶴ったら…。少しだけよ?」

時雨「ギャラリーが凄いことになったね」

扶桑「そうね。サイファー提督が艦娘と格闘訓練なんて珍しいことだものね」


ザワザワ…

――――――



91: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:41:53.25ID:cbZlwv9Oo

長良「互いに前へ…。はじめっ!」

武蔵「おぉぉぉお!」ガッ!

サイファー「ふんっ!」バッ!


―互いに組み合い、投げの隙を伺い合う。しかしお互いが歴戦の戦士であるが故に一歩も引かない戦いが繰り広げられる―


武蔵「サイファー提督も中々やるな」グッ

サイファー「日本最高峰の超弩級戦艦の名は伊達じゃないみたいだな」バッ

武蔵「認めよう。空の傭兵も中々強いじゃないか。だが!」グイッ


―痺れを切らした武蔵が力技に入った。元傭兵とは言え人間であるサイファーにはそのパワーに対抗するだけの力は無論あるはずがない―


サイファー(強引にっ!?せめて受身を!)

サイファー「くっ!」ズダァン

長良「有効!」

武蔵「一本じゃなかったか。だがこの姿勢なら…!」ググッ


―武蔵が寝技に入る。サイファーもやられまいと抜け出そうと動く―



92: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:42:24.58ID:cbZlwv9Oo


武蔵「ふふっ。どうだ?降参してもいいんだぞ?」

サイファー「なめるな!これぐらい抜け出しt」ムニッ

武蔵「ならば降参するまで決めるまで。それっ!」ググッ

サイファー「もがっ!?むががぬむむ!(何っ!?息が出来ん!)」バタバタ


―寝技から抜け出そうと動いた先は武蔵の巨大な胸部装甲。タイミングが悪く一番深いところで武蔵が力を強めた。つまり胸にガッツリ挟まってしまったのである―


武蔵「どうした?そんな動きじゃこの武蔵からは逃げられんぞ!?」

サイファー「むぐっ!もぐぐむぐぐ…(まてっ!これはズルい…)」バタバタバタバタ


ギャラリー一同「あ…(察し)」


サイファー(息が…続かな…)

サイファー「」グッタリ

長良「一本!それまで!」

武蔵「ふぅ。中々いい戦いだったぞ。時間があるときはまた相手をしてやろう」

サイファー「」チーン



93: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:43:12.54ID:cbZlwv9Oo

烈風妖精「まったく…。ホントバカなんだから」

扶桑「まずいわ。サイファー提督が息してないわ」

木曾「衛生兵!衛生兵!サイファーを急いで医務室に連れていくぞ!」


―艦娘と妖精の措置のおかげで一命を取り留めたサイファー。しかしサイファーにはこの歳にしてトラウマを植えつけられた―


雲龍「サイファー提督、よろしかったら私の訓練にも少し付き合っていただきませんか?」

サイファー「…白兵戦訓練じゃないならいいぞ」

彗星妖精「なにがあったのサイファー?」


―――――
―――



94: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:43:46.79ID:cbZlwv9Oo

―フタフタマルマル時―


サイファー「やれやれ、今日は酷い目にあったぜ」

サイファー「…今日はあいつら襲撃してこねぇよな。ちと早ぇけどシャワー浴びて寝るとすっかな」



knock knock



サイファー「こんな時間になんだ?入れ」



ガチャ



大淀「失礼します!サイファー提督、沖合い130km地点付近から民間船から救難信号を受信しました!至急ご指示をお願いします!」

サイファー「民間船から救難信号だと!?こんな時間になんでそんなところに」

大淀「わかりませんが、恐らく密漁者の可能性も」

サイファー「チッ!速度の速い奴を向かわせる!編成は霧島を旗艦とした高速の編成を組んでくれ」

大淀「はい!了解しました!…サイファー提督!?どちらへ向かわれる気ですか!?」

サイファー「俺も出る!妖精達(あいつら)をスーパーホーネットの所に向かわせておいてくれ」



95: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/10(金) 23:44:15.53ID:cbZlwv9Oo

大淀「ダメです!サイファー提督はこの基地の司令官なんですよ!サイファー提督は基地に残って皆に指示を…」

サイファー「国民の命を守るのが軍の仕事だろうが!今回のは国民なのかわかんねぇけど、人の命がかかってる時にそんなこと言ってる場合か!」

大淀「し、しかし…!」

サイファー「指示ならスーパーホーネットから送る!」

大淀「民間船に偽装したスパイかもしれませんよ!?」

サイファー「どっちにしても救難信号出してる時点でスパイなら作戦失敗だ!とにかく俺も出る!」

大淀「いけません!危険です!」

サイファー「…心配してくれんのはありがたいが、救える命があるなら救わなきゃダメだろ?」

大淀「ですが…」

サイファー「スーパーホーネットなら艦娘よりも数倍速い。現場に一番最初に到達出来るのは間違いなく俺だ。あとは頼むぞ」ダッ

大淀「さ、サイファー提督っ!」



バタン



―――――
―――



100: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:32:48.99ID:z6B0lEvPo

流星妖精「サイファー、本当によろしかったのですか?サイファー自身が出撃して」

彗星妖精「基地司令官としての自覚を持ってくださいって言われてたのにね」

サイファー「確かに俺はこの基地の司令官だが、それ以前に人としてやるべきことがあると判断したまでだ」

彩雲妖精「基地に入り込むためのスパイだとは思わなかったの?」

サイファー「その可能性はあるだろう。が、死んだら元も子もない。そいつらの任務も失敗だし、それに尋問もできやしねぇ」

烈風妖精「そうね。死人に口無しとは言うものね。サイファー、私達がいるといっても陸地と違って夜間の海上は命中率が下がるわ。気をつけて」

サイファー「わかってる。有視界に入る前に片付けたいところだが、接近戦も頭に入れとかねぇとな」


サイファー「離陸開始地点到達!滑走路クリア!出るぞ!」



<System Pixy Standby>ピピッ!



サイファー「発進!」



ヒュィィィンゴォォォォォ…



彩雲妖精「鎮守府から艦娘も出撃したわ!旗艦霧島、続いて阿賀野、川内、島風、雪風、時津風の編成ね」

サイファー「流石大淀だ、いい早さで仕事をしてくれたな」


サイファー「こちらサイファー。俺が先行して救難信号の出てる現場に向かう!各員最大戦速で現場に急行してくれ!」


――――――



101: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:33:41.68ID:z6B0lEvPo

《こちらサイファー。俺が先行して救難信号の出てる現場に向かう!各員最大戦速で現場に急行してくれ!》


霧島「了解です!全艦最大戦速で急行します!サイファー司令もお気をつけて!」

サイファー『そう簡単に落とされるほど訛っちゃいねぇよ。頼んだぞ』

川内「さぁて!お楽しみの夜戦夜戦っと♪」

阿賀野「川内ちゃん、今回は戦闘がメインじゃなくて人命救助がメインなんだからね。戦闘に夢中になりすぎたらダメだよ?」

川内「わかってるわかってる!よ~し、燃えてきた~!」

霧島「本当にわかってるのかしら…。民間船を発見次第雪風、時津風は民間船の直衛、残りは周りを潰しつつ民間船を囲むわよ!」


『了解!』


霧島「もしかしたらスパイの可能性もあると言ってたわ。川内は特に民間船の動きに注意して!」

川内「え~!私も夜戦したいよ~」

霧島「あなたが一番目が利くんだから適任よ」

川内「ちぇ~。まぁ仕方ないか。島風、雪風、時津風、民間船に不審な動きがあったら即止めるよ」

島風「私の速さで回り込んだらいいんだね。任せて!」

時津風「雪風ぇ、頑張ろうね」

雪風「うん。でもサイファー司令、大丈夫かなぁ」

時津風「大丈夫だよ。あのサイファー司令だよ?敵からしたら雪風を沈めるより難しいんじゃないかなぁ」

雪風「…そうだね。よし!雪風も頑張りますっ!」

時津風「うんうん、頑張ろ頑張ろ!」


―――――
―――



102: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:34:38.22ID:z6B0lEvPo

彩雲妖精「捉えた!サイファー、敵部隊発見よ!距離65000!」

サイファー「艦種は!?」

彩雲妖精「軽巡1、駆逐2ってところね。ただ、民間船との距離が近いわ」

サイファー「引き剥がしてやらねぇとダメってことか。流星、一番民間船と距離のあるやつを狙え!」

流星妖精「了解です!彩雲!」

彩雲妖精「わかってるわ!」


流星妖精「…~…捉えた!いけます!」

サイファー「民間船には当てるなよ!ハープーンFire!」カチッ

流星妖精「了解です!ハープーンミサイル発射!」バシュゥゥゥン


―ミサイルは真っ直ぐ標的に向かって飛来。シースキミングの軌道で敵艦に命中する―


流星妖精「ミサイル命中!敵駆逐イ級撃沈です!」

サイファー「民間船への被害は?」

流星妖精「ありません!」

サイファー「上出来だ!」



103: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:35:26.29ID:z6B0lEvPo

彩雲妖精「残りの敵がこっちに意識を向けたみたいよ」

サイファー「こっちの思惑に乗ってくれたか。A/B点火!一気に距離を詰める!」ゴォォ

彗星妖精「ウピャー!」

烈風妖精「…っん」

流星妖精「くぅ…!」

彩雲妖精「いつになっても…このA/Bの加速の感覚って…慣れないわね」


―アフターバーナーを点火し急加速で距離を詰める。目標を視認し敵をマルチロックオンする―


サイファー「烈風!」

烈風妖精「民間船に一番近いイ級でしょ。わかってるわ」ドガガガガ


―アフターバーナーを切りループ。そして下降モーションでイ級を仕留めきる―


サイファー「あと1隻!」

彗星妖精「出番かな?」

サイファー「いや、まだだ。まだ(民間船との)距離が近い」



104: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:37:06.46ID:z6B0lEvPo

流星妖精「サイファー!高度を下げてください!この距離なら空対空でも仕留めれます!」

サイファー「角度を変える!あれに被害は出すなよ!?」

流星妖精「了解です!」


―スライスバックで旋回し軽巡ヘ級へのアプローチ角を変える。下降モーションで速度も乗せミサイル発射の態勢に入る―


流星妖精「これなら!」

サイファー「1発で仕留めろよ!AMRAAMはっし」

彩雲妖精「後方から敵部隊接近!砲撃来ます!」

サイファー「ちぃっ!」クイッ


―後方からの増援による砲撃で旋回せざるえなくなったサイファー。一度上昇し体制を立て直しに掛かる―


サイファー「彩雲、艦種はなんだ!?」

彩雲妖精「戦艦ル級2隻と軽巡ホ級1隻です!」

サイファー「…誘き出されたのはこっちってわけか」



105: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:38:59.30ID:z6B0lEvPo

烈風妖精「前回サイファーにやられた借りを返しにきたってところかしら」

サイファー「少しは学習してきたってとこか。だがな!」


―インメルマンターンから軽巡ヘ級の直上付近へ―


サイファー「B7Rでの戦いに比べりゃ簡単な任務なんだよ!彗星!」カチッ

彗星妖精「は~いよっと!」ヒュゥゥゥン


―通常爆弾の投下。これによりヘ級が轟沈―


サイファー「俺を囲んだと思って慢心したようだな。戦場で周りが見えてないやつは真っ先に死ぬだけだ」

彩雲妖精「サイファー!」

サイファー「わかってる」クイ


―砲撃を易々とかわしながら民間船との距離を取るように位置を変えていく―


烈風妖精「どうするの?」

サイファー「戦艦から狙う。あれが巻き添えを喰らわんとも限らんからな」

彩雲妖精「さっきからあの船が動いてないわ。もしかしたらなんらかのトラブルを抱えてるのかも」

サイファー「この場から少しでも離れてくれりゃありがたかったんだがな」



106: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:39:42.83ID:z6B0lEvPo

流星妖精「ロックオンしました!サイファー!」

サイファー「彩雲!増援は無いな?」

彩雲妖精「反応は無いわ!」

サイファー「なら出し惜しみ無しだ!ハープーンで…」



ドォォォォン



彩雲妖精「戦艦ル級1隻撃沈!」

サイファー「来たか。いい狙いだ」


川内「川内参上!夜戦なら私の出番でしょ!」

島風「島風からは逃げられないよ!戦艦だろうとなんだろうと私の速さで翻弄してあげるよ!」


―川内、島風の酸素魚雷が命中しル級が轟沈。意識がサイファー機に向いていた増援のル級とホ級は混乱し、動きが鈍る。そこに…―




ドォォォォン



彩雲妖精「もう1隻のル級も轟沈!砲撃と酸素魚雷の時間差!?」


霧島「距離、速度ともにバッチリです!私の計算に狂いは無かったようね」

阿賀野「川内と島風ちゃんだけに美味しいところは持っていかせないんだから!」


サイファー「めんどくさそうなやつを片付けたか」



107: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:40:24.12ID:z6B0lEvPo

雪風『サイファー司令!民間船の人は全員無事のようです!』

時津風『動力機関にトラブルが起きたみたい。でも全員無事でよかったよかった』


サイファー「乗組員は全員無事か。曳航して基地に帰投する準備をしておけ!」


雪風・時津風『了解!』


サイファー「残りの1隻を片付ける!流星!急降下からの空対空はいけるな!?」

流星妖精「空対空ですか!?可能ですが、対艦でなくてよろしいのですか?」

サイファー「艦娘がいるなら保険がかけれるからな。2発撃ちこむからきっちり当てろよ!」グイ

流星妖精「了解です!」


―機首を下げホ級の直上から急降下の軌道をとるサイファー―


サイファー「周りが見えてないやつから死ぬって言ったろうが。AMRAAM Fire!」カチ

流星妖精「この角度なら!AMRAAM発射!」バシュバシュゥゥゥゥン


―空対空といえどミサイルを直上から2発も直撃を受けてしまえばホ級では耐え切れるわけもなく、混乱が収まることなく無抵抗な状態で轟沈する―


サイファー「ミッション終了だ。その民間船の乗組員の事情聴取は基地でやるから引っ張って帰投してくれ。周囲の警戒だけは怠るなよ」


霧島『サイファー司令、司令官自ら出撃されるのは控えてくださいとあれほど…』


サイファー「その辺の話は帰ってからだ。A/Bを点火させたから燃料にそこまで余裕があるわけじゃないんでな」


霧島『はぁ、わかりました。鎮守府に戻ったら詳しく聞かせてもらいますよ』


――――――



108: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:41:14.44ID:z6B0lEvPo

阿賀野「やっぱりサイファー提督さんって凄いね!民間船に大きな被害を出さずに敵を倒しちゃうんだから」

川内「昼でも夜でも強さが変わらないって異常だよね。摩耶さんがサイファー提督との訓練を申請してたみたいだし、私も夜戦演習申し込んでみようかなぁ」

阿賀野「勝てる自信あるの?」

川内「…多分ボロボロにやられそうかな」

阿賀野「ダメじゃん」

時津風「赤外線誘導式の対空兵器を撃ちこんだらいけるのかなぁ」

島風「回り込んでどーん!って撃ちこむの?私の速さなら出来るかなぁ」

雪風「サイファー司令の動きを追尾するだけでも難しそう。それにそんな装備も無いし」

霧島「地対空兵器でなんとかしようにも、サイファー司令ならチャフとフレアでなんなく乗り切るでしょうね」

阿賀野「霧島さんなら対サイファー提督さんにどんな戦略を組みます?」

霧島「…対空ロケットランチャーを1発入れてフレアを使わせて、それから機銃満載で物量押しぐらいしか浮かばないわね」

霧島「艦隊でなら1発ずつはランチャーを持ち込んで時間差で発射してチャフとフレアを切らした状態で撃ちこめるようにするかしら」

霧島「もしくは艤装が使えなくなる覚悟でランチャーとロケット弾を大量に持っていって…」ブツブツ



109: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:41:41.01ID:z6B0lEvPo

川内「あちゃ~!霧島さんが自分の世界に入っちゃったよ」

雪風「旗艦の霧島さんのスイッチ入れちゃってどうするんですか!」

時津風「ネキモードネキモード。これしばらく帰ってこないね」

阿賀野「ご、ごめんってば~!とりあえず帰ろ!早く帰らないとサイファー提督さんと大淀に怒られちゃう」

島風「プラス能代さんだね。怒られるのが嫌なら速く引っ張っちゃおうよ!」

雪風「曳航速度のバランスが崩れて大変なことになったらもっと怒られちゃいます!」

島風「その時は逃げる!」

阿賀野「前に翔鶴さんに捕まってお説教喰らってたじゃない。さ、ちゃんと引っ張るよ!」


『は~い』


―――――
―――



110: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:42:20.66ID:z6B0lEvPo

―ブイン基地―


サイファー「さて、そろそろ戻ってくる頃だな」

大淀「拿捕した民間船はどうなさるおつもりなんですか?」

サイファー「事情聴取をせんかぎりなんとも言えんな。仮にスパイなら法の適応外になる」

鳥海「…処刑なさるおつもりなんですか?」

サイファー「さぁな。俺はそれに関しては完全な専門外だ。それにこの基地じゃそんな血なまぐさいことはする気はない」

サイファー「精々案件をまとめてMPに引渡しってところだな」

鳥海「そうですか。サイファー司令官さんはスパイに引き金を引いたことは…」

サイファー「無いな。あくまで陸上では…だがな」

大淀「…艦隊が戻ってきましたね」

サイファー「あぁ。取調べは俺が行う。調書は烈風にでも書かせるから事情を聞いてる間は部屋の外で待機してくれ」

大淀・鳥海「わかりました」


―――――
―――



111: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:43:26.95ID:z6B0lEvPo

霧島「艦隊帰投しました。拿捕した民間船の乗組員の3名はこちらです」

乗組員1「お、俺達本当に陸に戻ってこれたのか…」

乗組員2「ここ、ブイン基地じゃねぇか。俺達はどうなるんですか!?」

乗組員3「やっぱり極刑になるんですか!?せめて俺だけにしてくれよ!こいつ等は俺に…」

サイファー「厳令が布かれてるにも関わらず、単独で沖合いに出るなど無謀な行為を行った君達にはスパイ容疑もかかっている。大人しくついてきてもらおうか」スッ

乗組員2「ひぃ!け、拳銃!?俺達殺されるんですか!?」

サイファー「それは君達の態度次第だ。君達が置かれている状況は理解できたな?」

乗組員3「俺達はスパイなんかじゃねぇ!どうしても極刑にするんなら俺だけにしてくれ!こいつ等は俺に無理に付き合ってくれただけなんだ!」


鳥海「いきなり銃を向けるなんてサイファー司令官さんも物騒ですよ!…あら、この人達は」

サイファー「ん?知っているのか鳥海?」

鳥海「知ってるも何も、この人達は近くの漁村の漁師さんの達の息子さんです。一緒に漁に出てるのを何回も見たことあります」

サイファー「本当なのか大淀?」

大淀「ええ、漁に出る時は護衛で手空きを何人かを交代で出すんですが、私も一度見たことがあります」



112: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/12(日) 21:43:53.13ID:z6B0lEvPo

乗組員1「俺は覚えてます!あんた、確か大淀さんだよな?」

雪風「サイファー司令、とりあえず銃は下ろしてあげてください」

時津風「サイファー司令、私達は特によく見るから知ってるんだけどこの人達はスパイじゃないと思うな」

乗組員3「処罰は俺が受けるから、せめてこいつらの罪は軽くしてくれよ!」


サイファー「…大淀、こいつらの両親に連絡は取れるか?」

大淀「はい。身元は判明してるのですぐに連絡は取れます」

サイファー「なら早急に連絡を取って基地に来てもらってくれ。その間に俺はこいつらの取調べを行う」

大淀「了解しました」

乗組員3「待ってくれよ!親は関係ねぇだろ!俺達が勝手に…」

サイファー「黙れ。怨むんなら自分勝手な行動に出た愚かな自分を怨め。ついてこい」

阿賀野「サイファー提督さんっ!」

鳥海「ダメよ、阿賀野ちゃん。それにきっと大丈夫よ。心配してることにはならないと思うわ」

彩雲妖精「サイファーにはサイファーの考えがあるんです。大丈夫ですよ」

彗星妖精「それに烈風も付いてるしね~」

流星妖精「サイファーに任せていれば円満に事が収まると思います。あの方たちのご両親をお迎えに行きましょう」

川内「ま、大丈夫じゃないの?さて、私は思わぬ夜戦できてよかったし、部屋に戻って寝るね」

島風「私も寝るね。ちょっと疲れちゃった」


大淀「出撃した皆さんはもう休んでください。あとは私達でやりますので」

雪風「大淀さん…お願いしますね」

大淀「大丈夫ですよ。さ、戻って休んでください」


―――――
―――



116: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:50:08.83ID:iBOyPUnzo

―取調室―


サイファー「つまり、乗組員2の両親の為に3人で漁に出たということか」

乗組員3「今は昔みたいに漁にしょっちゅう出れねぇからみんな苦しいんだ。そんな中でこいつのところの船が故障しちまって」

乗組員1「直すのにも金がかかるんです。けどそんな余裕なんてこいつのところには無いから、俺達で助けてやろうって思ったんです」

サイファー「だが、それなら他に手があったんじゃないのか?」

乗組員3「俺達は漁師なんだ。それに手っ取り早く稼ぐには漁をするのが一番早いんだ」

サイファー「だが、密漁したものをどこに売りさばく気だ?正規ルートでは販売できんぞ」

乗組員1「冷凍して朝の戻りに紛れ込ませればなんとかなるだろうって…」

サイファー「そんなもの朝の始業点検でバレるだろう。親まで巻き込んで後でバレたら親もただでは済まん話だぞ」

乗組員2「俺が他の仕事でもして稼げばよかったんです。全ての原因は俺です。乗組員3が罪を全部被る気でいますけど、元々は俺が原因ですから処罰は俺だけにしてください」

乗組員3「バカ!お前が捕まっちまったらお前の親はどうなるんだ!なぁ司令官さん、処罰は俺だけにしてくれよ!俺ならなんとかなるからよ!」

乗組員1「お前だってそこまで余裕無いだろ!司令官さん、俺にしてくれよ!俺なら兄貴もいるから大丈夫だし」

サイファー「出来ん相談だな。処罰は対等に下す」

乗組員3「そんな…」

乗組員1「ゴメンな。俺達何も出来なかった…」

乗組員2「元はといえば俺が悪いんだ。巻き込んで悪かったよ」



117: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:50:51.28ID:iBOyPUnzo




knock knock



サイファー「入れ」



ガチャ



鳥海「失礼します。彼らのご両親をお連れしました」

サイファー「入ってもらえ。鳥海は部屋の外で待機だ」

鳥海「了解しました。…どうぞ、こちらへ」


―鳥海は乗組員達の親を招きいれ、そして再び部屋の外へ行き扉を閉めた―


乗組員2父「お前達!」

乗組員3母「よかった。無事だったのね!深海棲艦に襲われたって聞いたから心配で…」

乗組員1兄「なんで勝手に漁に出たんだ!その上軍に保護されるなんて…!」


サイファー「感動の再会はよろしいですが、彼らは罪を犯しました。その処遇をお伝えしてもよろしいですかな?」


―サイファーの一言に皆無言となる。次のサイファーの言葉を待つように部屋に静寂が訪れる―



118: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:51:17.64ID:iBOyPUnzo


サイファー「彼らは未成年であり、保護観察処分が必要と判断。この付近には収容施設などははありません。移送にも費用がかかる」

サイファー「したがって保護者の下で管理していただく。定期的に経過観察のレポートは提出していただきますがね」

サイファー「罰則金に関しては後ほど書面で確認していただきます。何かご質問は?」


乗組員3「いいのかよ。ほとんど無罪放免じゃねぇか」

乗組員1「俺達、助かったのか…?」

サイファー「保護観察処分と罰金刑だ。未成年で軍属じゃなかったことからこの処分が妥当だと判断したまでだ」

乗組員3母「司令官さん、ありがとうございます!あんたも感謝しなさい!普通なら檻の中に入れられたっておかしくないのよ!?」グイグイ

乗組員3「いてててっ!わ、わかってるよ母ちゃん!」

乗組員1兄「お前もだ!勝手なことしやがって!」ゴンッ!

乗組員1「あだっ!ゴメンって兄貴」

乗組員2「父ちゃん…」

乗組員2父「俺の為にこんな無茶しやがって。でもお前が無事ならそれでいい。それでいいんだ」

乗組員2「父ちゃん!」グス



119: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:51:56.61ID:iBOyPUnzo

烈風妖精「ずいぶんと甘い処遇じゃないサイファー。私はてっきり軍事裁判にでもかけるのかと思ってたわ」

サイファー「軍属ならそうしてたさ。軍属ならな。民間人の支持を得られない軍はただの暴力の集団だ。つまりそういうことだ」

烈風妖精「後々スパイとして活動するかもしれないわよ」

サイファー「その時は逃がしはしないさ」

烈風妖精「ま、サイファーから逃げるのは難しいでしょうね」


乗組員3「ところで司令官さん、あんたの機体どっかで見たことがあるような気がするんだけどよ。もしかして昔ベルカの空を飛んでなかったか?」

サイファー「何故そのようなことを聞く?」

乗組員3「雑誌だったかアングラサイトだったかで見たことある機体のカラーリングでさ、機体は違うけどもしかして知り合いなのか?」

サイファー「さぁな。だが知り合いだとしたらどうする?」

乗組員3「だったらその人にサインとか貰えないかなぁって…あいたっ!」ゴンッ!

乗組員3母「おかしなこといってないで帰るわよ!すみませんうちのバカ息子が」

乗組員3「いってぇ~!なにも殴んなくったっていいだろ!」

サイファー「機会があったら伝えておこう。お前にファンがいるぞってな。今日はもう終わりだ。帰っていいぞ」


―皆、口々に礼の言葉を発し、取調べ室からサイファーと烈風妖精を残し退室していった―


烈風妖精「円卓の鬼神にファンがいてよかったわね」

サイファー「茶化すな。英雄だろうがエースだろうが人殺しに変わりはない」

烈風妖精「人を守るために人を殺す。本当に戦争は悲しいわね」

サイファー「それを稼ぎにしている傭兵は最悪なのかもな」

烈風妖精「サイファー…」

サイファー「今日はもう終わりだ。お前ももう戻って休め。機体の整備は明日でいい」

烈風妖精「わかったわ」


―――――
―――



120: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:52:33.12ID:iBOyPUnzo

―後日―


鳥海「サイファー司令官さん。罰則の項目を拝見させてもらいましたけど、あれでよろしかったんですか?」

サイファー「なにか至らんところでもあったか?」

鳥海「いえ、そうではないんですが、漁の収穫の一部を定期的に格安で鎮守府に卸させるというのは…」

サイファー「食は英気に左右するからな。それに大食いのやつもいるから経費が浮くのは基地運営としても大きいところだ。そうだろ?」

鳥海「そうですけど。あと乗組員2さんの船をしばらく没収というのは」



knock knock



サイファー「入れ」



ガチャ



明石「失礼します。サイファー提督、船の修理終わりました。あとは点検と試運転のみです」

サイファー「そうか。期間はあるからきっちり直しておいてくれ」

明石「了解しました。改修はしておきますか?」

サイファー「壊れにくくなる方向でいじっておけ。速くしたり馬力アップはいらん」

明石「わかりました。ではその方向で取り掛かりますね」

サイファー「頼んだ」




バタン



121: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:53:31.62ID:iBOyPUnzo

鳥海「船まで直してあげるなんて少々甘すぎませんか?」

サイファー「後々を見越しての先行投資だ。漁獲量が増えればそれだけ経費も浮く」

サイファー「長い目で見てプラスになるようにしないとな。民間人からの支持も得られればなお良しだ」

鳥海「…サイファー司令官さん、もしかして株投資でもやってませんか?」

サイファー「資産運用なら多少はやってるぞ。でなきゃ生き延びて老人になったあとが大変だ。傭兵に年金なんてねぇからな」

鳥海「意外としっかり人生設計してらっしゃるんですね」

サイファー「傭兵なんていつ死ぬかわからんが、それでも生き延びることを最優先だからな。いろんな未来は想定しておくもんだ」



knock knock



サイファー「今日は来客が多いな。入れ」



ガチャ



大淀「失礼します。漁師の方々から捕れた魚が届きました。それとサイファー提督にお会いしたいと」

サイファー「わかった。行こう」


―――――
―――



122: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:53:58.71ID:iBOyPUnzo

サイファー「こりゃあまた、大漁だな」

乗組員3「へへ、どうよ!いつも艦娘にはお世話になってるし、一番いいやつを厳選して持ってきてやったぜ」

乗組員1「俺達は漁しか出来ねぇから漁で頑張って罪を償っていくしかないですから」

乗組員2「それに聞いたら船まで直してくれてるって。そんなデカイ恩が出来たら司令官さんには足を向けて寝れないですよ」


赤城「これは…!いい魚ですね!油もしっかり乗ってそうで美味しそうです!」キラキラ

加賀「このような上物が定期的に届けられる。流石に気分が高揚します」キラキラ


サイファー「お前ら、どこから沸いて出てきた」


乗組員2「俺のところの船も戻ってきたら、もっと捕れた魚を持ってきますよ。親父も鎮守府には格安どころかタダで卸したいぐらいだって」

赤城「このレベルがもっと手に入るのですか!?」

加賀「このような未来を想定した裁断を下すとは、流石の一言に尽きます」

サイファー「いや、ここまでは想定してないぞ」


乗組員3「とにかく一言お礼を言いたくてさ!司令官さん、ありがとうございました!」

乗組員2「俺達を心配してくれた人達のためにももっと頑張ります!」

乗組員1「司令官さんのおかげで周りがよく『見える』ようなりました。司令官さんが俺達に怒ってくれなかったら、一生気づかなかったかもしれませんでした」



123: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/13(月) 21:54:24.86ID:iBOyPUnzo

サイファー「親と友人は大事にしろよ。それが周りへの最大の恩返しになる」


乗組員一同『はい!ありがとうございました!』


―そういうと、別れを告げ乗組員達は鎮守府を後にした―


鳳翔「凄い魚ですね。新鮮な内にいただきましょう」

間宮「どれもいい魚ですね今日の晩御飯は豪勢になりますよ」

大鯨「やっぱり本職の方々から頂いた物は違いますね。どれも美味しそうです」

赤城「一航戦赤城!手伝います!」

加賀「ここは譲れません」

サイファー「…お前ら、つまみ食いしたら1週間飯は駆逐艦盛りな」

赤城「そそ、そんなことするわけないじゃないですか!い、いやですねぇサイファー提督ったら」

加賀「う、疑うっていうの…?た、大概にしてほしいものね」

サイファー「動揺しまくってんじゃねぇか。監視に大和と矢矧をつけておくぞ。いいな?」

赤城「そ、そんな…」

鳳翔「ふふっ。そうならないようにちゃんと料理しましょうね。さ、今日使わない分は冷凍室に運びましょう」


『はい!』


―――――
―――



128: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:49:22.63ID:MguzYtGco

   ―過去との決別―


―鎮守府再建計画が大本営に通り、再建、増築がある程度進んだ時であった―


サイファー「しっかし、凄ぇな妖精の力ってのは。新しい建物がとてつもないスピードで出来ていきやがる」

陸奥「今回は深海棲艦に破壊されたということで再建が急務だったし、大本営もやる気を見せたってことでしょ」


―家具職人妖精や応急修理女神など、この手の作業を得意とする妖精をフル投入して急ピッチで作業が進められていた―


サイファー「…にしても膨大な数の妖精だな」

陸奥「おかげで早く出来上がるんだからいいじゃない」

サイファー「だな。この執務室も新調されて色々快適になったしな」

陸奥「サイファー提督ってこんな趣味なのね。無骨というか今風というか」


※エスコンシリーズによくある司令室っぽいあれを想像してください


サイファー「こんな感じじゃないと落ち着かんからな」

陸奥「和風要素が全然無いわね。サイファー提督らしいといえばらしいけど」



129: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:49:49.37ID:MguzYtGco

サイファー「その代わり、他の皆が要望した施設には和風の要素が使われた施設も多いだろ」

陸奥「そうね。最新のシステムキッチンも洋風だけどどこかに和風のテイストがあるし」

サイファー「…バーだけは別だがな」

陸奥「結局作ってあげたのよね」

サイファー「執務室に突入して飲み会を始めるなんてことをさせないためには、ある意味重要な施設だからな」

陸奥「ふ~ん。でもその代わりサイファー提督の要望の訓練施設は準備工事止まりになっちゃったわね」

サイファー「予算オーバーしたからな。だがハンガーが作られただけでも全然構わんさ」

陸奥「そういえばF-15は無理だったけど、代わりに試作機が来るみたいよ」

サイファー「試作機?そんな話は聞いてないぞ」

陸奥「今日その知らせが届いたのよ。ほらこれよ」スッ


サイファー「どれどれ…?ふむ…」

陸奥「漢字辞書、使わなくなったのね」

サイファー「ある程度はな。まだ世話になることも多いがな」



130: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:50:19.16ID:MguzYtGco

陸奥「で、試作機ってどんな機体なの?」

サイファー「ASF-Xという機体だ。ペットネームは震電Ⅱというらしいな」

陸奥「震電?じゃああの震電の後継モデルってこと?」

サイファー「詳しいことは書かれてないが、なんらかの想いがあってこの名前になったんだろうな」

陸奥「その試作機が今後サイファー提督の愛機になるのかしら?」

サイファー「いや、どうもそうではないらしい。試作機の実戦テストを俺にやれってことを書いてある。期間限定のお試し版と言ったところだな」

陸奥「で?その任務を受けるの?」

サイファー「そうだな。ここで大本営に借りを作っておくのも悪くないからな。ま、少なくとも俺のパーソナルカラーには塗ってもらうがな」

陸奥「あの機体カラーがトレードマークになってるものね。私は好きよ、あのカラーリング」

サイファー「そりゃどうも。さて、いい時間だし飯にするか」

陸奥「そうね。今日はなにかしら。昨日漁師さん達から魚がまた届いたから楽しみね」


―――――
―――



131: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:50:47.02ID:MguzYtGco

<食堂>


鳳翔「あら、サイファー提督。昼食ですか?」

サイファー「ああ、切りのいいところまで終わったんでな。ところでどうだ?新しいキッチンの使い心地は」

鳳翔「ええ、とても使い易くなりました。色んなものが出し入れしやすくて場所も把握しやすくて本当に使い勝手がいいですね」

大鯨「かゆいところに手が届くって言うんですかね。今までちょっとした手間だったことが解消されて凄く便利ですよ」

伊良湖「おかげでみなさん張り切って料理してるんですよ!私も間宮さんもお菓子作りに活用させてもらってます!」

間宮「張り切りすぎちゃって伊良湖ちゃんが最中作りすぎちゃったんですよ。サイファー提督、食後に一ついかがですか?」

伊良湖「ちょ!間宮さんってば~!それは言わない約束ですよぉ!」

間宮「あらあら、ごめんなさいね」

サイファー「喜んでもらえたようでなによりだな。今日のお勧めはなんだ?」

鳳翔「はい。今日のお勧めはスズキの洗いと鯛のお刺身、それとしめ鯖を盛り付けた海鮮丼と鯛の荒で出汁を取ったお吸い物ですね」

サイファー「じゃあそれを頂こうか」

鳳翔「はい、わかりました。それではお作りしますのでしばらくお待ちくださいね」



132: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:51:24.21ID:MguzYtGco

―数刻後―


サイファー「さて、どこに座ろうか…と」

陸奥「サイファー提督、こっち空いてるわよこっち」

サイファー「陸奥に蒼龍に飛龍か。相席してもいいか?」

蒼龍「いいですよ」

飛龍「何気にサイファー提督と食事するのって初めてだよね」

陸奥「サイファー提督は何頼んだの?」

サイファー「鱸の洗いと鯛の刺身としめ鯖の海鮮丼と、鯛の荒の吸い物だ」

飛龍「わ!美味しそう!」

蒼龍「この海草はアカモクかな?彩りも良くて食欲をそそりますね」

陸奥「よく見つけたわね。鳳翔さんに特別に作ってもらったの?」

サイファー「いや、単純に鳳翔にお勧めを聞いただけだ」

飛龍「わぁ!私もこれにすればよかったなぁ。サイファー提督、一口ください!」

サイファー「自分の分もあるだろ」

飛龍「それはそれ、これはこれです!」

サイファー「赤城かお前は!



133: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:51:52.63ID:MguzYtGco

蒼龍「ダメだよ飛龍。サイファー提督が困ってるじゃない」

飛龍「冗談冗談。ところでサイファー提督って生の魚食べられるんですね」

サイファー「色んなところを渡り歩いたからな。基本的にどんなものでも食べられるぞ」

陸奥「でも、わさびは抜いてあるのね」

サイファー「あれはダメだ!なんなんだあれは!最初食べた時は殺されるかと思ったぞ」

飛龍「わさびの良さをわかんないなんて、サイファー提督もまだまだですね」

蒼龍「聞いた話だと、わさび単体を直で食べたって聞きましたけど」

飛龍「あちゃ~!そりゃダメだわ」箸スー

サイファー「あんなもん食うやつの気がしれん!日本の食文化は凄いと思うが、時々全く理解出来ん時がある」ヤメイ

飛龍「まぁサイファー提督は外人さんだもんね」チッ

蒼龍「ところでさっき陸奥さんから聞いたんですけど、試作機のテストパイロットを引き受けるとか」

サイファー「あぁ、そうだが」

蒼龍「どんな機体なんですか?」

サイファー「さあな。写真も映像も添付されてなかったから俺にもどんな機体なのかわからん」

飛龍「でもサイファー提督のカラーには塗ってもらうんでしょ?」

サイファー「当然だ。それに実戦テストだからな。実戦で飛ぶんなら自分のカラーでないと落ち着かん」

陸奥「今のスーパーホーネットよりは強いんでしょ?」

サイファー「妖精達(あいつら)をインストールすれば単純なスペック上はな。返す時にはアンインストールして返すがな」



134: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:52:30.57ID:MguzYtGco

飛龍「へぇ~。ちょっと楽しみだなぁ」

蒼龍「どんな機体なんでしょうね」

サイファー「ライセンス取得のために向こうから教官も来るみたいだがな」

陸奥「機体が届いたらすぐに乗れるわけじゃないの?」

サイファー「技量的な問題で言えば飛ばすのは簡単だ。だが、航空機にもルールはあるからな。戦闘機であってもそれは変わらん」

飛龍「ジェット機ってややこしいですね」

サイファー「計器の配置や表示方法、兵装の発射方法まで変わったりするからな。個々にライセンスは必要だ」

飛龍「教官って空軍から派遣されてくるんですか?」

サイファー「いや、陸軍かららしい。俺もてっきり空軍からだと思ってたんだがな」

陸奥「任務の受諾を確認したら即派遣されるみたいよ。陸軍にはあきつ丸やまるゆちゃんもいるから護衛しやすいんじゃない?」

蒼龍「大本営からも護衛で何人か出そうですね」

サイファー「試作機なんてなりゃそう易々と敵に渡ったら大問題だからな。それこそ大げさなぐらいで来るだろうな」

陸奥「サイファー提督も少しは楽しみなんじゃなくて?」

サイファー「まぁ少しはな。しかしこれを借りにしてイーグルを流してもらうきっかけに出来りゃ言うことなしなんだがな」

飛龍「そんな打算してたんですね」

サイファー「慣れ親しんだ物ほど強力なものは無いからな。さて、飯も食ったし時間まで少し体を動かしてくる」

陸奥「午後の執務に遅刻しちゃダメよ」

サイファー「わかってるよ」


―――――
―――



135: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:52:59.09ID:MguzYtGco

―試作機のライセンス取得の為に陸軍から教官が派遣されることが決定した。そして今日はその教官が到着する日となった―


陸奥「そろそろ陸軍の輸送機が到着するころね」

サイファー「そうだな。にしたってなんでこんなギャラリーがいるんだ?」

大和「歓迎の意味もありますから、多少は人数が多いほうがよろしいかと」

漣「ぶっちゃけどんな人なのか気になるってところもありますね」

青葉「サイファー司令官さんが教えを受けるなんていいネタ…もとい、取材し甲斐があると思いまして」

サイファー「ただの野次馬かよ」

扶桑「まあまあ。大和さんもおっしゃられましたけど、歓迎の意味もありますから大勢で出迎えることは悪いことだけではありませんよ」

夕立「憲兵さん以外の陸軍さんがどんなのか気になるっぽい~!」


ザワザワ…


サイファー「来たな」


―輸送機が滑走路に着陸し停止。そして中から数名がこのブイン基地に降り立った―


あきつ丸「出迎え感謝であります!自分は陸軍の特種船丙型の「あきつ丸」であります!」

サイファー「俺がこの基地の司令官サイファーだ。よろしく頼む」

あきつ丸「あなたがサイファー殿でありますね。自分達はこれよりサイファー殿の免許取得のため、しばらくの間基地にお世話になるであります」



136: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:53:26.83ID:MguzYtGco

あきつ丸「そしてこちらが同行の護衛であるまるゆであります」

まるゆ「初めまして。まるゆと言います。三式潜航輸送艇で陸軍の潜水艦です。これからよろしくお願いします」

サイファー「潜水艦か。よろしく頼む。こちらの基地にも数名潜水艦がいるから仲良くやってくれ」

まるゆ「はい。ありがとうございます!」


あきつ丸「そしてこちらの方がサイファー殿に教育なさる教官であります」

教官「しばらくの間だがよろしく頼む」

サイファー「ああ、こちらこそよろしく頼む」

サイファー(何故わざと帽子を深く被ってる?表情を見せないためか?)

教官「表情が見えない者に対して警戒するとは、海軍の司令官になっても勘は衰えてないみたいだな」

サイファー「!?俺を知っているのか…」


―そういうと教官は帽子を取り、真っ直ぐサイファーを見る。その顔はサイファーにとっては見覚えのある懐かしい顔だった―



137: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:54:05.24ID:MguzYtGco

ピクシー「よう相棒、まだ生きてるか?」

サイファー「ピクシー!生きてたのか!?」

ピクシー「ああ。サイファーに落とされてから俺は核の爆心地の住民に助けられて、その後はISAFとして戦ってたんだが、ちょっとしたきっかけで日本にスカウトされてな」

サイファー「俺を…怨んでいるか?」

ピクシー「あの時の俺は間違ってたとは思わねぇし、サイファーも間違ってなかった。別に怨んじゃいねぇよ。お互いのプライドがぶつかっただけだろ」

サイファー「そうか。よく無事だったな。しかし、まさかピクシーが日本の陸軍にいるとはな」

ピクシー「俺にも色々あったってことだ。サイファーだってそうだろ?」

サイファー「まぁな…」


青葉「あの~もしかしてお二人はお知り合いなんですか?」

ピクシー「ああ、俺と相棒は昔ウスティオで一緒に飛んでたんだ。第66飛行隊ガルム隊の2番機ガルム2が俺、サイファーはガルム1だ」

青葉「ガルム隊!?」

漣「じゃあもしかしてご主人様は本当に…!」

ピクシー「なんだ相棒、お前自分のこと言ってないのか。サイファーはあの円卓の鬼神と呼ばれたエースパイロットだぜ」

サイファー「わざわざ言うことでもないだろ。それに昔の話だ」



ザワザワ…





138: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:54:43.25ID:MguzYtGco

大和「円卓の鬼神ってベルカ戦争であの激戦地B7Rでの圧倒的不利な状況をたった1人で引っくり返したっていう…」

陸奥「バケモノ級のエースパイロットのことじゃない!」

夕立「サイファー提督さんって実は凄い人だったっぽい!」

青葉「その話、詳しく聞かせてください!」


サイファー「あ~…とりあえず昔話は置いといて、長旅で疲れただろ?それぞれの部屋に案内させるから今日は休んでくれ。陸奥、大淀!」


『はい!』


サイファー「この3人を部屋に案内してくれ。しばらく一緒に過ごすから丁重にな」

陸奥「わかったわ。じゃあ案内するから行きましょ」

大淀「えっとピクシーさん…でいいんですか?お部屋にご案内します」

ピクシー「ラリー・フォルクだ。ピクシーで構わねぇ。そんじゃ案内頼むぜ。また後でな、相棒」

サイファー「あぁ」


―部屋に案内されるために陸奥、大淀、あきつ丸、まるゆ、そしてピクシーはこの場を去っていった―


サイファー(まさかあいつが日本の陸軍にいたとはな…)



139: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:55:16.76ID:MguzYtGco

漣「いや~ようやく引っかかってたことがわかってすっきりしました。鬼のような強さとあのカラーの戦闘機、まさかご主人様が本当に円卓の鬼神だったとは」

青葉「あとでじっくり取材させてください。これは大スクープですよ!」

扶桑「あの絶望的状況を引っくり返せるわけね。前提督はこのことも見越してらっしゃったんですね」

赤城「まさかそんなに凄い方だったとは思ってませんでした」

加賀「あの操縦技術、円卓の鬼神なら納得ね」

サイファー「なんでお前らが円卓の鬼神を知ってるんだ?日本はベルカ戦争に参戦してなかっただろ」

大和「軍関係者なら陸・海・空問わず有名な話ですよ。ウスティオのガルム隊には伝説級のエースパイロット『円卓の鬼神』がいたと言う話は」

サイファー「もうずいぶん昔の話なんだがな…」


曙「」マッサオ

雷「どうしたの曙?顔色悪いわよ?」

曙「あたし、円卓の鬼神に向かって『クソ提督』って言ってたってことなの…?」

朧「だ、大丈夫だよきっと。サイファー提督はそんなことでどうこうしたりする人じゃないよ」

響「そうだよ。サイファー司令官はきっと気にしてないさ」

電「サイファー司令官さんは曙ちゃんのこともきっとわかってると思うのです。だからきっと大丈夫なのです」



140: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:55:47.69ID:MguzYtGco

サイファー「あ~これだからあんまり自分のことは話したくなかったんだ。ん?どうした曙。顔色悪いぞ?」

曙「あ、いや…えっとクソ…あ、いやサイファー提と…」

サイファー「そんなに畏まるな。円卓の鬼神と呼ばれたのは過去の話だ。今はこの基地の司令官だ。そうだろ?」

曙「そ、そうだけど…」

サイファー「いつもどおりに接してくれりゃいい。むしろ曙がクソ提督呼ばわりしないほうが違和感ありすぎて気持ち悪いぞ」ククッ

曙「な!うっさいわね!ビビッて損したじゃないのクソ提督!」

サイファー「それでいい。今お前達の目の前にいるのは円卓の鬼神じゃない。ブイン基地司令官サイファーだ」

響「ほら、大丈夫じゃないか。サイファー司令官は見てないようで皆の事をしっかり見てるんだよ」

漣「その割には自分から最前線に突っ込んで行くタイプですけどね~」

雷「サイファー司令官はもっと私達を頼るべきね!私だってやれるんだからもっともっと頼ってくれていいのよ?」

サイファー「しばらくは余程の事が無い限り俺が出撃することは無いぞ。ライセンス取得で忙しくなるからな」

扶桑「ライセンス取得ってやっぱり難しいのですか?」

サイファー「まぁそれなりに時間はかかるものだな。ある意味1から勉強するようなもんだしな」



141: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/15(水) 22:56:14.31ID:MguzYtGco

大和「執務の方は大丈夫なんですか?」

サイファー「一応優先順位は執務だからな。陸奥や霧島、鳥海等が気を使って手助けしてくれるみたいだがな」

大和「大和も出来る限りでお手伝いさせていただきますね」

サイファー「助かる。ピクシー(あいつ)のことだ。俺だとわかってりゃ遠慮なく叩き込んでくるだろうからな」

赤城「あの方と仲がよろしいんですね」

サイファー「元相棒だからな。さて、残りの仕事も片付けてくるとするか」

大和「私も執務室に参ります。今日の分も早めに済ましてしまいましょう。サイファー提督もあの方と積もる話もあるでしょうから」

サイファー「まぁそうだな。じゃあ後でな」


―――――
―――



149: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:16:09.71ID:Fbm5vQ1Bo

―その日の夜、サイファーはピクシーからの誘いでバーに来ていた―


ピクシー「よう相棒。こっちだ」

サイファー「待たせたな。一応早く仕事を切り上げたつもりなんだがな」

ピクシー「なぁに、いいってことよ。それより飲むんだろ?ビールか?」

サイファー「ああ、そうだな」


―応えを聞くとピクシーは自分の分とサイファーの分のビールを注文し、それをカウンター内の妖精から受け取った―


ピクシー「バーまで妖精がいるとはな」

サイファー「俺もまさか妖精が常駐して運営してるとは思ってなかったさ」


―2人はグラスを持ち、お互いの前で掲げた―


ピクシー「再会の記念だな。乾杯」キン

サイファー「乾杯」キン



150: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:16:58.59ID:Fbm5vQ1Bo

―乾杯を済ませ、ビールを口の中に流し込む―


ピクシー「っぷぁ!やっぱりビールは美味ぇな」

サイファー「ずいぶんとおっさん臭くなったな」

ピクシー「そりゃお互い様だろ?俺もサイファーもいい歳だぜ」

サイファー「まぁそうだな」

ピクシー「それにしてもサイファーが海軍基地の司令官をやるとはなぁ。空の次は海で暴れまわる気か、相棒?」

サイファー「暴れまわってるのは机上だけだ。毎日毎日書類と戦ってる」

ピクシー「サイファーが事務仕事ねぇ。似合わねぇな」クックックッ

サイファー「自分でもそう思ってるさ。けど仕事だからな。それに漢字にもだいぶ慣れたもんだ」

ピクシー「辞書片手に四苦八苦しながら書類読んでる姿が簡単に想像できるな」

サイファー「頼むからライセンスの授業の文章はわかりやすくしてくれよ」

ピクシー「さぁな。相棒の為にとびっきり難しい漢字だらけにしてやろうか?」

サイファー「勘弁してくれ」



151: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:17:26.26ID:Fbm5vQ1Bo

―酒を飲みながら談笑している2人の元に2人の艦娘が話しかけてきた―


金剛「Good evening.サイファー提督」

榛名「こんばんはサイファー提督。こちらの方はどなたですか?」

サイファー「あぁ、こいつは俺が実戦テストを行う試作戦闘機のライセンス取得の為に教官としてやってきた陸軍のラリー・フォルクだ」

ピクシー「よろしく。みんなはTACネームのピクシーで呼んでるから俺のことはピクシーでいいぜ」

金剛「Nice to meet you.サイファー提督のFriendなんデスか?」

サイファー「あぁ、古い友人だ」

榛名「とても仲がよろしそうですね。学生時代かなにかのご友人なんですか?」

ピクシー「いや、俺と相棒は元傭兵仲間でな。ベルカ戦争で一緒に戦った仲なんだ」

榛名「相棒…ですか」

サイファー「元…が付いちまうがな」

金剛「どうしてデスか?陸軍と海軍に分かれたからデス?」

ピクシー「俺と相棒はベルカ戦争末期では殺し合いをした仲なんだよ」

榛名「何故、相棒なのに殺し合いを?」

サイファー「互いの思想の違いとプライドだな。平和の意味、平和とはなにか。何が正しくて何が間違ってるのか俺とピクシーで考え方が違った結果だ」



152: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:17:59.76ID:Fbm5vQ1Bo

金剛「答えは…出たんデスか?」

ピクシー「いや、結局答えなんか出やしなかったよ。俺もサイファーも正しかったし、どっちも間違ってたと思うぜ」

榛名「殺し合いをしたのに、どうして今はそんなに楽しそうに飲み交わせるんですか?」

サイファー「良くも悪くも時間が解決するもんだ。結局はお互いのプライドのぶつかり合いだったしな」

ピクシー「結局は個人で考えたって戦争は無くならねぇ。大陸戦争や環太平洋戦争が起きたのがいい例だ。平和なんて皆で考えなくちゃなんねぇもんだ」

金剛「時間は全てを解決してくれマスか?」

サイファー「全部は解決しねぇ。どうしても残っちまうもんだってある。けど、全部ひっくるめて忘れるのだけはダメだ」

ピクシー「過去に嫌な事、受け入れられねぇことがあっても、全部忘れずに自分にしまっておくんだ。考えるのを止めたら終わりだぜ」

サイファー「考えて考えて、それでもダメなら行動することだ」

榛名「それでもダメならどうすればいいんですか?」

サイファー「周りを見ればいい。自分だけで答えを出そうとすりゃ偏った考えになるからな」

ピクシー「考えて行動して周りを見てまた考える。そうすりゃ大概のことは答えが見えてくるもんだ」

金剛「ワタシは…前提督が亡くなったことがどうしても受け入れられまセン」

榛名「金剛お姉さまも、榛名も、前提督をお慕いしてました。まだ亡くなった現実を受け止めきれません。私達はどうすればいいんでしょうか」



153: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:18:27.67ID:Fbm5vQ1Bo

サイファー「何をするのが正しいと思う?」

金剛「それは…」

榛名「前提督の意思を引き継ぎ、平和の為に戦うことではないでしょうか」

サイファー「それは艦娘としてはそうだろうな。お前達自身はどう思ってるんだ?」

榛名「それは…榛名にはわかりません」

金剛「ワタシもネ」

サイファー「なら考えろ。で、思いついたらとりあえず違和感が出るまで行動しろ。自分が正しいと少しでも思ったらとにかく行動に移すことだ」

ピクシー「それが間違ってりゃ周りがなんとかしてくれるもんだ。そしたらまた考える。それでいいんだ」

サイファー「前任の提督は自分の事を忘れてほしいわけじゃないはずだ。ただ忘れずに心にしまって、縛られずに自分自身の意思で動くことを望んでるんじゃねぇかと思うぞ」

榛名「本当にそうでしょうか」

サイファー「忘れられたいやつなんて居やしない。覚えていてくれるやつがいるということは人にとって最高の幸せだと俺は思うがな」

金剛「…ワタシは部屋に帰りマース」

榛名「榛名も…少し部屋で考えてみます。サイファー提督、ピクシーさん、話を聞いてくれてありがとうございました」

サイファー「あぁ」

ピクシー「気をつけてな」


―サイファーとピクシーの言葉に何か思いつめたような表情を浮かべたまま金剛と榛名はその場を立ち去った―



154: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:19:14.22ID:Fbm5vQ1Bo

サイファー「…ふぅ」

ピクシー「相棒もきっちり司令官やってんだな」

サイファー「茶化すなよ」

ピクシー「褒めてんだぜ。いい司令官になってんじゃねぇか」

サイファー「無駄に歳くったわけじゃねぇからな、お前だってそうだろ?」

ピクシー「まぁな。さて、そろそろ俺も帰るとするか。あんまし深酒してっとあきつ丸辺りに怒られちまうからな」

サイファー「そうするか。俺も大淀辺りに怒られるのは勘弁だからな」

ピクシー「お互い苦労してんな」

サイファー「そんなもんだろ。じゃあ明日から頼むぞ」

ピクシー「あぁ、こちらこそ頼むぜ」


―――――
―――



155: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:19:43.44ID:Fbm5vQ1Bo

―マルナナゴーマル時―


サイファー「さてと、今日は午後から講習だから仕事が残らんようにしないとな」



ガチャ



サイファー「おはよう」


金剛「Good morning.サイファーテートク!」

榛名「おはようございます。サイファー提督」

サイファー「金剛に榛名?なんでお前達が執務室にいるんだ?」

金剛「ワタシ達、昨日あれから色々考えてみたんデース」

榛名「それで、まずはサイファー提督のお手伝いから始めてみようと。サイファー提督のお側にいたらなにか見えてくるんじゃないかって」

金剛「それに、ワタシ達が暴走したら止められるのは円卓の鬼神のサイファーテートクぐらいデース」

榛名「ですから昨日サイファー提督とピクシーさんがおっしゃったみたいに、とりあえず思いついたことからやってみようって決めたんです」



156: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/17(金) 19:20:12.49ID:Fbm5vQ1Bo

サイファー「そうか。ところで陸奥はどうした?」

金剛「大淀たちと一緒に今日の仕事を持ってきてるところデース」




knock knock



サイファー「入れ」



ガチャ



大淀「失礼します。本日の仕事をお持ちしました」

陸奥「今日からライセンス取得までの間は仕事を分担するから執務室が狭くなるわね」

金剛「Oh.今日からしばらく秘書官は1人じゃないんデスか?」

大和「サイファー提督のライセンス教習もありますから、それまでにある程度仕事を済ませるために数人で分担することになったんですよ」

榛名「でしたら、榛名もお手伝いします!」

金剛「ワタシもやるネー!ワタシも榛名も秘書官経験はあるから力になれるはずネ!」

鳥海「助かります。少しでも人数が多いほうがサイファー司令官さんの負担が減りますので」

霧島「お姉さま方、少し表情が和らぎましたね。なにかあったんですか?」

金剛「別になにも無いネー」

榛名「強いて言うなら、少し道が見えたってところでしょうか」

サイファー「なんにせよ、戦力が増えたのはありがたい。さて、仕事に取り掛かるか。午後の講習までに間に合わさないとピクシー(あいつ)が何言ってくるかわかんねぇからな」


『はい!』


―――――
―――



161: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:29:24.57ID:mq3Y6Riuo

―ヒトサンマルマル時―


knock knock



ピクシー「どうぞ」



ガチャ



サイファー「待たせたな」

ピクシー「いや、時間ピッタリだ。まぁセーフだな。その2人はどうした?」

サイファー「ああ、なんでも見学してみたいそうだ。大丈夫か?」

ピクシー「まぁ今日はおさらいも兼ねた簡単な講習だから大丈夫だ」

サイファー「だそうだ」

榛名「よかった。ちょっと興味があったんで見てみたかったんです」

金剛「おさらいってことは今日はEasyな講習デースか?」

ピクシー「まぁサイファーにとっては簡単だろうな。あきつ丸、悪いが今日の分あと2部コピーしてきてくれ」

あきつ丸「ハッ!了解であります」



162: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:30:02.77ID:mq3Y6Riuo

サイファー「そっちの艦娘はずいぶんと堅苦しいタイプみたいだな」

ピクシー「そうでもないさ。ま、海軍の艦娘に比べりゃそう見えるかもしれねぇけどな」

まるゆ「サイファーさん、これが今日の分の資料と震電Ⅱの資料です」

サイファー「ありがとな」

ピクシー「中々特殊な機体だからな。しっかり目を通しておいてくれよ」

サイファー「…スーパーフランカーみたいな前進翼機なのか」

ピクシー「そのくせ兵装の搭載量もそこそこ多いからな」

サイファー「おまけに変形機構まで付いてるのか。こりゃ扱うのに苦労しそうな機体だな」

ピクシー「俺も最初は苦労したぜ。モルガンに乗ってたから多少は慣れが早かったが、こいつにはビックリさせられたぜ」

サイファー「改めてスペックを見るとバケモノ染みてるな。流石、技術大国日本といったところか」

ピクシー「そういうことだ。スーパーフランカーの感覚で乗ると痛い目を見るぜ」


金剛「前進翼?変形?なんか想像がつかないデース」

榛名「とりあえず凄い機体なんでしょう。榛名、全然わかりません!」

ピクシー「まぁ嬢ちゃん達はそうだろうな。今日は震電Ⅱの詳しい内容にまでは触れねぇから一旦頭から捨ててもらっていいぜ」




knock knock



ピクシー「どうぞ」



ガチャ



あきつ丸「ピクシー殿、コピーが終わったであります」

ピクシー「お、サンキュー。ほら、今日の講習の資料だ」

金剛「Thank you!」

榛名「ありがとうございます」

ピクシー「さて、資料も行き渡ったし、講習始めるぞ」


―――――
―――



163: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:30:36.03ID:mq3Y6Riuo

―ヒトロクマルマル時―


ピクシー「今日の講習は終わりだ。なにか質問あるか?」

金剛「ハイ!」ノ

ピクシー「どうした?」

金剛「何言ってんだかサッパリわかりまセーン!」



ガタッ



サイファー「金剛ぅ…」

榛名「すみません。榛名もあまりわかりませんでした」

ピクシー「ハッハッハッ!まぁサイファー向けの講習だからな。ある程度基礎知識を持ってることが前程になってるから嬢ちゃん達には難しかったかもしれねぇな」

サイファー「なんか…スマン」

ピクシー「いいってことよ、相棒。面白ぇ部下持ったじゃねぇか」

まるゆ「金剛さん、榛名さん。まるゆもあまりわかってないですから一緒に少しずつ勉強していきましょう」

あきつ丸「自分も発艦は可能なのである程度はわかるのですが、本格的な航空力学となると少し自信は無いであります」

ピクシー「空母は飛ばすまでと、着艦から止めるまでが仕事だから仕方ねぇが、あきつ丸はもう少し勉強しとけよ」

あきつ丸「うぅ、了解であります」



164: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:31:49.57ID:mq3Y6Riuo

サイファー「お前もいい講師っぷりだな」

ピクシー「よせよ。俺だってそんなガラじゃねぇんだからよ」


ピクシー「さて、他に無ぇなら今日の講習はこれで終わりだ。お疲れさん」

サイファー「お疲れさん。明日も頼むぜ」

ピクシー「あぁ。明日からは震電Ⅱに触れた内容になるから、今日のうちにある程度目は通しておいてくれよ」

サイファー「ああ、わかった」

金剛「明日からはもっとHardな内容になるんデースか?」

サイファー「まぁそうだろうな」

金剛「うぅ、これはBadな判断デシタ」

サイファー「お前達が実際に乗って飛ぶわけじゃないんだから受ける必要は無いぞ。それに実機を触っての講習もあるんだ」

榛名「すみません。これはついていけそうにありません」

金剛「ワタシもデース。日向でも根を上げそうな内容ネー」

サイファー「さて、俺は残りの執務を片付けてくる。またな」

ピクシー「あぁ、またな相棒」


―――――
―――



165: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:32:15.59ID:mq3Y6Riuo


―こうして月日が流れ、執務とライセンス教習の2つをこなし、そして実機が到着する日がきた―


ピクシー「さて、今日から実機での教習になるわけだが、その妖精達はなんなんだ?」

サイファー「ああ、俺が深海棲艦と互角以上に渡り歩いた理由だ」

ピクシー「妖精が関係してんのか」

烈風妖精「サイファー、詳しく話してないの?1から説明となるとちょっとややこしいんだけど」

サイファー「こっちも忙しくてそれどころじゃなかったんだよ」

ピクシー「まさか妖精も乗せるってのか、相棒?」

サイファー「大筋では合ってるな」

ピクシー「マジかよ」

サイファー「あとで機体そのものもいじらせてもらうぞ。こいつらが使えるようにしないと実戦テストをやっても意味が無いからな」

ピクシー「妖精が使うって…。そりゃフィードバック出来る代物じゃねぇな」

サイファー「少なくとも深海棲艦以外には使えるデータは取れるだろ」

ピクシー「相変わらず無茶苦茶だなおい」



166: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:32:42.18ID:mq3Y6Riuo

大淀「サイファー提督、輸送船が接岸しました」

サイファー「手はずどおり降ろしてもらえ」

大淀「了解です」


彩雲妖精「どんな機体なのかな」

流星妖精「スーパーフランカーみたいな翼をしてるとのことですが」

サイファー「お前ら実戦テストで無茶するなよ。特に彗星」

彗星妖精「な~んで名指しなのかなぁ?」

サイファー「テスト機だからってあっちこっち操作されちゃたまらんからな」

彗星妖精「それはむしろ流星に言ってほしいかなぁ。ミサイルの種類も多いんでしょ?」

サイファー「流星は火気管制をしっかり行うからな。最初の頃にJDAMをガチャガチャ弄り回した過去があるだろ、お前には」

彗星妖精「そんなこともあったね~」クスクス

サイファー「笑い事じゃねぇんだけどな」


―――――
―――



167: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:33:38.30ID:mq3Y6Riuo

―輸送船から機体が降ろされ、その全貌が明るみになった。その場にいた者達から歓声があがる―


サイファー「よし、ちゃんと俺のカラーに塗られてるな」

ピクシー「俺のも降りたみたいだな。こう並べると昔を思い出すな、相棒」

サイファー「そうだな。震電Ⅱじゃなくイーグルだったがな」

ピクシー「こいつも悪くない機体だぜ。テストが終わる頃には欲しくなるかもな」

サイファー「ちゃんと返すっての。その代わりJ型のイーグルかストライクイーグルを流してもらうようにしてくれないか?」

ピクシー「その辺は進言しといてやるよ。あれはいい機体だったからな」


時雨「翼が逆向きなんだね、この機体」

夕立「前進翼って言うっぽい。なんか不思議な感じっぽい」


金剛「これが本物の震電Ⅱデスか」

愛宕「しっかりサイファー提督カラーに塗られてるわねぇ」

霧島「これは…ずいぶん特殊な機体ですね」

摩耶「なんかやばそうな機体だな。これでステルス機ってんだろ?滅茶苦茶強そうじゃねぇか」



168: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/20(月) 16:34:04.57ID:mq3Y6Riuo

瑞鳳「これ凄い!最新の技術の塊じゃない!」

翔鳳「そりゃ試作機だもの、当たり前よ」

瑞鳳「いいなぁ。私も最新鋭の機体が欲しいなぁ」

木曾「どうやって飛ばす気だよ…」

阿賀野「でもこれかっこいいね!阿賀野もコックピットに座らせてもらえないかなぁ」

能代「無理言わないの。試作機なんて乗せてもらえるわけないでしょ」

阿賀野「いいじゃないのちょっとぐらい。サイファー提督さんにちょっとお願いしてみようかなぁ」

矢矧「ダメに決まってるでしょ。これからこの機体を使ってのライセンス教習をやるって話なんだから」

阿賀野「ちぇ~」プゥ


ピクシー「震電Ⅱが大人気だな」

サイファー「物珍しさからってところだろ。烈風、流星、悪いがこの2機をハンガーまで一緒に運んでおいてくれ」

烈風妖精「わかったわ。ハンガーの外の方がいいかしら」

サイファー「今日は火は入れないだろうから中でいい」

烈風妖精「わかったわ。流星、行きましょ」

流星妖精「了解です」

ピクシー「んじゃ、俺達も移動するか」

サイファー「そうだな」


―――――
―――



173: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:30:01.51ID:5gbovTZmo

<ハンガー>


ピクシー「さて、じゃあ実際にコックピットの中を見てみてくれ」

サイファー「ああ。…ふむ、視界はいいな。計器類も見易い位置に付いてるし、スイッチの類の取り付け位置も使い易いように配慮されてるな」

ピクシー「実際に資料と照らし合わせよう。あきつ丸」

あきつ丸「ハッ!資料でありますな。こちらに」

ピクシー「サンキュー。実際に座ってみた感覚はどうだ、相棒?」

サイファー「いい機体だな。あとは実際に飛ばしてみてってところだが」


阿賀野「あ、いたいた!サイファー提督さーん!」

能代「ちょっと!阿賀野姉ったら!」

サイファー「ん?阿賀野に能代か。どうした?」

阿賀野「ちょっとお願いがあるんだけど、よかったら阿賀野にもコックピット見せてほしいなぁって」

能代「ダメに決まってるでしょ!すみません、サイファー提督」

サイファー「ピクシー」

ピクシー「いいんじゃねぇの?ここの基地司令官はお前だろ?俺は一向に構わねぇぜ」

あきつ丸「よろしいのでありますか?この機体は試作機で、そうそう見せていいものではないのでは」

ピクシー「堅ぇこと言うなよ。火ぃ入れてるわけでもねぇし、電源も落としてりゃ民間人でもなけりゃそんなに問題ねぇよ」



174: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:30:40.27ID:5gbovTZmo

サイファー「…少し待ってくれ。あとちょっと見るところがあるからな。その後なら構わんぞ」

阿賀野「ぃやった~!さっすがサイファー提督さん!話がわかるぅ!」

能代「すみませんサイファー提督。…で、もし差し支え無ければ能代にも見せていただけたらと…」

阿賀野「なぁんだ~!能代も見たかったんじゃない」

能代「だ、だって…その…やっぱり気になるし…」

矢矧「そういうことなら私も見せてもらいたいわね」

酒匂「ぴゃあっ!みんなズルイ!酒匂も見たい!」

サイファー「わかったわかった。少し待ってろ。こいつは俺の機体だからな。明日からの教習の前に見ておきたいところがあるからな」


『は~い』


瑞鳳「あれ?阿賀野4姉妹揃って何やってんの?」

阿賀野「サイファー提督さんが後で実際にコックピット見せてくれるから皆待ってるんですよ」

瑞鳳「そういうことなら私も見たいなぁ。ね、サイファー提督いいでしょ?」

明石「私も見ておきたいですね。今後の参考になりそう」

夕張「私も私も!」



175: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:31:07.22ID:5gbovTZmo

サイファー「お前ら、間違っても電源入れるなよ?そこまでは許可出来んぞ」

明石「大丈夫ですよ。機器の取り付け位置とかそういうのを見ておきたいんです」

瑞鳳「私は明日のテスト飛行も見てみたいかな。どう動くのか興味あるし」

夕張「明日は実際にミサイルを撃つんですか?」

サイファー「撃つわけないだろ。それともASM-3撃ちこんでほしいのか?」

夕張「それは勘弁してください!ガチで沈められちゃいますよ」

サイファー「だったら実戦テストの日まで待ってることだな」

夕張「色々試すところを見てみたかったんですけどね」


サイファー「…よし、こんなもんか。大体は理解出来た。あとは明日だな」

ピクシー「もういいのか相棒?それじゃお楽しみの見学会としてやりますか。俺の機体もカラー以外は同じだから見たい艦娘(こ)はこっちにも分かれな」


<やった!じゃあ私はサイファー提督さんの!

<じゃあ私はピクシーさんのを

<どっちのにしようかなぁ

<どっちもカラー以外一緒って言ってたじゃないの

<う~ん、ここが動くのね。整備大変そう


サイファー「やれやれ…」



176: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:31:34.52ID:5gbovTZmo

ピクシー「艦娘っつってもこうして見てると女の子だな。戦闘機に興味を持ってることは別としてよ」

サイファー「そうだな。少しやかましいと思う時もあるが、年頃の女の子ってのはそんなもんなんだろうな」

ピクシー「で、実際よ。目付けてる艦娘(こ)とかいねぇのか相棒?」

サイファー「そういう目で見たことはないな。あくまで俺は傭兵で、彼女達は仲間ではあるが深入りするようなことじゃない」

ピクシー「戦いの運命を背負った者同士故にってか。もうサイファーも腰を落ち着かせてもいいんじゃねぇのか」

サイファー「戦争や紛争でしか生きられない男にそんな資格なんてないさ」

ピクシー「…案外、相棒が一番ベルカ戦争のことを引きずってるのかもな」


<サイファー提督さ~ん!このメーターはなんですか~?

<ピクシーさ~ん!


ピクシー「おっと、お姫様達がお呼びだな」

サイファー「やれやれだ。どのメーターのことを言ってるんだ?」


―――――
―――



177: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:32:14.79ID:5gbovTZmo

―フタマルマルマル時―

<サイファー自室>


サイファー「さて、明日に備えて震電Ⅱの資料の見直しでもしておくか」



knock knock



サイファー「こんな時間に誰だ?入れ」




ガチャ




金剛「失礼しマース」

榛名「夜分遅くすみません」

サイファー「金剛に榛名か。どうした?」

金剛「明日の教習に一つ提案がありマース」

サイファー「提案?明日はただ実際に触って感触を確かめる程度なんだが、何かあるのか?」

榛名「はい。以前摩耶さんの要望にサイファー提督との対空訓練がありましたのを覚えていらっしゃるでしょうか?」

サイファー「ああ、覚えてるぞ。中々時間が取れなくて後回しになってるがな」

金剛「それを明日教習ついでにやろうって話になったんデース」



178: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:32:41.85ID:5gbovTZmo

サイファー「つまり震電Ⅱで対空訓練に付き合えってことか」

榛名「はい。ピクシーさんも『単純に飛ぶだけより実戦を考慮した飛び方の方が早く操縦が身に付くからいいんじゃないか』と許可もいただいてます」

サイファー「あいつも無茶苦茶だな。相手が俺だと思って容赦無しかよ」

金剛「メンバーは摩耶、秋月、吹雪、時雨、榛名にワタシデース!」

サイファー「金剛と榛名もやるのか。お前らは対空特化じゃないはずだろ」

金剛「考えて、少しでもBestと感じたら行動してみろと言ったのはサイファー提督デース」

榛名「本当は武蔵さんと春雨ちゃんが入る予定だったんですけど、無理を言って代わってもらいました」

サイファー「…まぁいいだろ。ただ、少しは慣らす時間はくれ。離陸していきなり開始はいくらなんでもきついからな」

金剛「それはOKネ」

サイファー「じゃあその旨をピクシーに伝えておいてくれ」

榛名「はい。わかりました!」

サイファー「じゃあ俺は震電Ⅱの資料の見直しをするから後は頼むぞ」


金剛・榛名「はい!」





バタン




サイファー「ったく、あいつもとんだスパルタ教官だな」

サイファー「…しっかり資料を見直しておくか」


―――――
―――



179: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:33:13.08ID:5gbovTZmo

―ヒトサンサンマル時―


―実際に震電Ⅱを使っての教習、及び艦娘の対空訓練を実施することとなり大勢のギャラリーと参加メンバーが集合した―


ピクシー「どうだ相棒?少しは震電Ⅱに慣れたか?」

サイファー「中々癖のある機体だな。スーパーフランカーには乗ったことはあるが、ロール方向への安定性が段違いだ」


―午前中の執務を早めに切り上げ、午前中の内にサイファーは震電Ⅱの操縦訓練を受け一足先に飛行していた―


ピクシー「その割には初飛行なのに中々乗りこなしてたじゃねぇか」

サイファー「これでも探り探りで飛んでたんだよ」

ピクシー「これなら対空訓練させても問題なさそうだな」


摩耶「よ、サイファー提督。やっとアタシの要望聞いてくれたんだな。ずいぶんと待たせやがってさ」

サイファー「すまなかったな。別に忘れてたわけじゃなかったんだが、時間が取れなくてな」

摩耶「ま、仕方ねぇよな。一応サイファー提督の状況はわかってるからさ。でも本当にいいのか?大事な試作機なんだろそれ?」

ピクシー「構わねぇよ、遠慮なくやってくれ。ただ実弾で機体に穴空けるのは勘弁してくれよ」

摩耶「んなこたぁしねぇって。ただ覚悟しろよな。金剛さんや榛名さんはともかく、あたしも含めた他のメンバーは完全対空仕様なんだからな」

サイファー「全力で相手をさせてもらうさ」



180: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:34:01.97ID:5gbovTZmo

明石「サイファー提督、烈風妖精さん達に手伝ってもらって演習用のセンサーを用意させてもらいました」

夕張「戦闘機同士だとHUDに撃墜判定が出るんでしょ?それと同じように撃沈判定が出るようにした装置を艦娘に装備してもらったの。ミサイルでの判定も出ますよ」

サイファー「ずいぶんと用意がいいな」

ピクシー「ちなみに相棒の震電Ⅱにも付いてるぜ。ちゃんと撃沈判定が出るから発射スイッチは遠慮なく押してくれていいぜ。兵装はロックしてるからミサイルは出ないしな」

明石「ちなみに機銃の弾薬もペイント弾を作りました。機銃はロックされてないので実際に発射されますよ」

摩耶「実戦だとミサイルをぶっ放すんだろ?やっぱ機銃だけの縛りじゃサイファー提督相手の訓練っぽくねぇし、なによりあったほうがこっちもいい訓練になるからさ」

夕張「データ取るために少しスーパーホーネットを触らせてもらったけどね」

サイファー「この際そのことは目を瞑っておくが、今後は俺に一声かけてくれ。間違ってその内イージス艦みたいなシステムを作られたらたまらんからな」

摩耶「イージスシステムなら負けるかもってビビッてんのか?」ニヤニヤ

サイファー「備蓄が大和、武蔵、長門、陸奥、大鳳、赤城のフル活用の非じゃないレベルで飛ぶんだよ。ミサイルってのは安くねぇんだ」

摩耶「サイファー提督はバンバン撃ってんじゃねぇかよ」

サイファー「だから俺の出撃回数も減っただろうが。後々見直して流石にこれは不味いと管理する側になって初めてわかったんだ」

摩耶「そ、そんなにぶっ飛ぶのかよ」



181: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:34:33.34ID:5gbovTZmo

秋月「摩耶さん、そろそろ時間です。私たちも準備しましょう」

吹雪「摩耶さん、頑張りましょう!サイファー司令官、よろしくお願いします!」

時雨「サイファー提督相手だと少し緊張するけど、僕達も負けないからね」

サイファー「これでも円卓の鬼神って呼ばれてたからな。慣れない機体だと言い訳なんかするつもりはない。全力で相手をさせてもらうぞ」

金剛「遠慮はしないネー!対空特化じゃないと甘く見たらNoなんだからネ!」

榛名「榛名も頑張ります!サイファー提督、よろしくお願いします!」

摩耶「よーし!んじゃ、いっちょやるか!サイファー提督に目に物見せるぞ!」


『おー!!』


―掛け声を上げると演習参加の者達は出撃準備の為、その場を後にした―


サイファー「さてと、俺も出るか」

ピクシー「俺も相手をしてみたかったが、今回は相棒の進化をじっくり見させてもらうぜ」

サイファー「腕は訛ってないつもりだ」

烈風妖精「サイファー、震電Ⅱにはまだ彩雲以外のインストールが終わってないから、もし深海棲艦を見つけても行かないようにね。深海棲艦相手だと震電Ⅱでも鉄の塊よ」

サイファー「わかってる。彩雲、頼んだぞ」

彩雲妖精「任せて!でも目標が小さいから射撃精度はサイファーの腕頼りなのを忘れないでね。ま、大丈夫だとは思うけどね」

サイファー「当然だ。よし、行くぞ」


―――――
―――



182: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/24(金) 21:35:21.42ID:5gbovTZmo

大淀『艦隊の準備は整いました!サイファー提督、いつでも発進どうぞ!』


サイファー「よし!震電Ⅱ、出るぞ!」ヒュィィィンゴォォォォォォ…


ピクシー『ガルム1、高度制限を解除!ってな。一丁暴れてこい、相棒』


サイファー「あいつめ、もうウスティオのガルム隊じゃねぇっつうのによ…。彩雲!」

彩雲妖精「任せて!」シュゥン


<System Pixy Standby>ピピッ!


彩雲妖精「レーダーに反応はあるわ。どうするの?いきなり対艦ミサイル撃っちゃうの?」

サイファー「いや、この機体のステルス性能を見たいからな。機銃の距離まで接近する」

彩雲妖精「わかったわ」


――――――



187: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:12:53.09ID:Plt59F4jo

<演習地・無人島群>


摩耶「さて、サイファー提督も離陸したらしいし、いつ来てもおかしくねぇ。気合入れていくぞ!」

時雨「でも電探に全く反応が無いですね。ステルス機だからかな、どこから来るかわからないや」

金剛「明石特製レーダーにも反応が無いから不気味ネー」

秋月「でもロックオンはされてないみたいですね。されてたら今頃ミサイルの餌食ですし」

吹雪「そうだね。ミサイルを警戒して動いてるけど、最新のミサイルだから避けられるかわからないし」

榛名「音で判別するしかなさそうですね。ジェット機の轟音のする方向に注意を向けるしかないかと」

摩耶「正直ちょっと怖ぇな。ステルス機ってのはこうも存在がわからねぇもんなのかよ」

秋月「…音が聞こえてきました!10時の方角?いや11時でしょうか」

吹雪「本当だ。でも電探に全く反応がありませんよ!」

摩耶「それがステルス機の性能ってことだろ!輪形陣のままあの島の影に隠れるぞ!1発目からミサイル食らわされちゃたまんねぇからな!」

金剛「行くついでに副砲で牽制するネ!」

榛名「ダメです金剛お姉さま!サイファー提督には私達が見えてるはずです。下手に撃って位置が完全に把握されればミサイルにロックオンされてしまいます!」

金剛「Shit!ステルス機は相手にするとalmighty nuisance(とてもやっかい)ネー!」



188: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:13:27.37ID:Plt59F4jo

摩耶「よし、なんとか音のする方角からの島の影に入り込めたぜ。音が近いからそろそろ来るぜ!」

榛名「電探に反応有り!来ます!」

摩耶「こんなに近いのかよ!通り過ぎた後を狙うぞ!構えろ!」

時雨「速度が凄く速い!スーパークルーズで飛んでる!?」ガシャ

秋月「当てれるとは思いませんが、牽制にはなるはずです!」ジャキ


―次の瞬間、摩耶たちの直上を音速を超える速度で震電Ⅱが轟音を轟かせながら通過する―



キィィィィイイイイイドゴォォォォォィィィィィン…



吹雪「は、速い!」

秋月「あっという間に射程範囲外に!」

摩耶「回り込まれる前に島を盾にしつつ最大戦速で移動だ!すぐに来るぞ!」


『了解!』


――――――



189: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:14:09.10ID:Plt59F4jo

彩雲妖精「見つかったわよサイファー」

サイファー「今の速度を見て正面からのミサイルを警戒して島を盾にするように動くだろう。正面からやりあおうとせずに通り過ぎたところを撃つ考えだろうな」

彩雲妖精「どうする気?」

サイファー「反対から回り込んでやりあってもいいが、もう1回ぐらいは相手に付き合ってやるさ。こいつの機動性の限界のチェックもあるからな」

彩雲妖精「ふぅん。じゃあ避けに徹するってこと?」

サイファー「バカ言うな。攻撃出来るタイミングがあればいつでも攻撃するつもりだ」

彩雲妖精「それじゃ私も本格的に仕事しましょうか」

サイファー「ああ、頼むぞ。ミッションスタートだ」


――――――


榛名「サイファー機、旋回して再接近!来ます!」

時雨「さっきより速度が遅い!?」

金剛「とにかく速度の感覚を掴むネ!通り過ぎたらとにかく撃つデース!」


摩耶「来るぞ!構え!」



キィィィィィイイイイ



摩耶「一斉掃射!てぇぇぇー!!」



ダダダダダダダ



イイイィィィィン…



時雨「そんな!?避けられた!」

吹雪「まるで撃つ方向もタイミングも完全にわかってたような動きです!」

摩耶「ちっ!わかっちゃいたけどよ、いざ相手にするとやっぱやっかいだな!」

秋月「サイファー機旋回!来ます!」

金剛「今度は正面からネ!今度こそ外さないヨー!」

摩耶「陣形はそのままに島と全員の距離を保ちつつ的を絞らせないように蛇行で動け!でないとミサイルの餌食だ!」


『了解!』


――――――



190: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:14:57.52ID:Plt59F4jo


彩雲妖精「今度は撃ってきたわよ」

サイファー「予想の範囲内だ。あの1回で速度差を修正してきたのは流石といったところだがな」

彩雲妖精「あら、ずいぶんと余裕そうじゃない」

サイファー「そういうつもりは無いんだがな。予想が出来れば対応もし易いということだ」

彩雲妖精「流石の勘ね。で、誰から狙うつもり?」

サイファー「旗艦の摩耶…と言いたいところだが、秋月と吹雪だ。防空駆逐艦と銘打ってるだけあって早めに片付けておく方が無難だ。吹雪も早めに退場させた方がいいだろう」

彩雲妖精「駆逐艦は機動性と隠密性が売りだしね」

サイファー「そういうことだ。いけるな?」

彩雲妖精「もちろん」


――――――


摩耶「機銃掃射!てー!」



ダダダダダダダ



秋月「!ロックオンされてる!?狙いは秋月!?」

吹雪「!私も!?秋月ちゃん、避けて!」

秋月「くっ!」


――――――



191: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:15:58.64ID:Plt59F4jo

彩雲妖精「ロックオン完了よ!サイファー!」

サイファー「吹雪には機銃だ。秋月にはALFIREで!」ドガガガガガ


―画面にはミサイルの文字に×が付き、ミサイルでの撃沈と判定が表示される―


サイファー「まず1人!」

彩雲妖精「相変わらず的確な射撃ね。機銃なのに吹雪も中破判定よ」

サイファー「こいつの機動性が良いんだよ。思ったように動いてくれる良い機体だ」


――――――


秋月「機銃も高射砲も動かない!?…やられました。撃沈判定にされました」

金剛「ブッキーも中破判定にされたデース。ホントに手強いネー」

摩耶「こっちの攻撃が全く当たらねぇ!ホントに今日初めて乗る機体なのかよ!」

時雨「こっちの動きを読んでしっかり回り込んでくるね。島を盾にしてるけど、ほとんど意味が…ロックオンされた!?」

榛名「サイファー機再接近!低空からです!」

時雨「これ以上はやらせな…。動かない!?そんな、僕も撃沈判定だなんて」

摩耶「ミサイルかよ!クソッタレがぁ!」ダダダダダダダ


――――――


サイファー「彩雲!時雨と吹雪をロックオンだ」

彩雲妖精「任せて!OKよ!」

サイファー「ASM-3、Fire!」カチ

サイファー「俺の動きがよく見えてるみたいだが、そんな動きで落とされる俺じゃないぞ」


―ASM-3を低空からの発射操作により時雨を撃沈判定。弾幕をなんなくかわしながら吹雪に接近し機銃を発射する―


サイファー「悪いがやっかいなやつから退場してもらうぞ!」ドガガガガガ


――――――



192: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:16:30.72ID:Plt59F4jo

吹雪「きゃあああ!魚雷が誘爆判定!?すみません、私も撃沈判定です」

榛名「なんて凄い精度!簡単に狙って出来ることじゃないですよ!」

吹雪「ペイント弾でベタベタです。早く帰りたいです」ウェェ

金剛「Ohブッキー、とてもアートな姿ネー」

摩耶「冗談飛ばしてる場合じゃないですよ!このまま何も出来ずに負けてたまるかよ!」


――――――


彩雲妖精「残りは戦艦と重巡よ。どう狙うの?」

サイファー「上昇してターンから下降しつつミサイルで金剛と榛名を狙う。実際の戦艦は真正面や舷側からの攻撃には強いが上からの攻撃にはどうしても脆弱な部分があるからな。艦娘とてそれは変わらんだろう」

彩雲妖精「金剛さんと榛名さんね。下降開始と同時にロックするわよ」

サイファー「任せた」


―低空からロールを加えたハイ・ヨーヨーの軌道でターンし、狙いを榛名と金剛に定め攻撃に入る―


彩雲妖精「よくもまぁ上昇中に背後からの攻撃を避けれるものね」

サイファー「それも腕の一つだ。悪いが榛名、お前からだ!」カチッカチッ


―ミサイルを2発発射の操作を行い榛名を撃沈判定。続けざまに金剛を狙い…―


サイファー「いい狙いだが正直すぎるのも難だぜ」ドガガガガガ カチッ


―機銃とミサイルで金剛も撃沈判定となる―


――――――



193: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:17:03.46ID:Plt59F4jo

榛名「これ以上!やらせは!しません!」ドン ダダダダダダダ

金剛「上昇中なら!」ダダダダダダダ

摩耶「これでも当たらねぇってのかよ!」ダダダダダダダ


―上昇するサイファー機を追従するように機銃を掃射するが、サイファー機は最小の動きでこれをかわしつつ上昇を続ける―


摩耶「なんであれで当たんねぇんだよ!?サイファー提督には後ろに目でも付いてんのかよ!」

榛名「サイファー機が下降を!今なら…あっ!」ダダダ ガクン

榛名「…そんな、榛名が撃沈判定だなんて」

金剛「よくも榛名を…Noooooo!」

金剛「ウゥ、やられたネー。サイファー提督強すぎデース」

摩耶「一気に2人を撃沈…。これが円卓の鬼神の実力なのかよ」


――――――


彩雲妖精「残りは旗艦の摩耶さんだけよ」

サイファー「…真っ向勝負で行くか」

彩雲妖精「ふぅん。何か考えがあるの?」

サイファー「別に特別なにかあるわけじゃねぇよ」

彩雲妖精「ま、いいけど。騎士道精神みたいにかっこつけて、それで落とされたら盛大に笑ってあげるわ」

サイファー「ぬかせ」


――――――



194: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:17:30.07ID:Plt59F4jo

摩耶「どう考えても次がラストチャンスだ。…真正面から来る気かよ!ふっざけるな!」

摩耶「こうなりゃ全門斉射だ!再装填なんて考えねぇ!撃ちつくす!」ガシャン

摩耶「…まだだ…まだ引き付けて……今だ!喰らえーー!!」ドドドドォン ダダダダダダダ


――――――


彩雲妖精「ロックオンはしてるわ!あとはサイファー次第よ!」

サイファー「やはり全門一斉発射できたか。1人で弾幕を張るにはいい考えだが」クイ


―これを予想していたサイファーは加速し、バレルロールでなんなく避けてしまう。エースパイロットとして、長年の傭兵としての経験からの予測が完全に摩耶を上回った結果である―


サイファー「終わりだ!ASM-3 Fire!」カチ


―ミサイル発射の動作を行い摩耶を撃沈判定。結果、サイファーの完全勝利で対空演習は幕を閉じた―


――――――



195: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:17:58.29ID:Plt59F4jo

摩耶「っだぁぁぁ!クソが!……ハハッ…あ~あ、負けちまったかぁ」

秋月「お疲れさまでした。サイファー提督はやっぱり強かったですね。まるで歯が立ちませんでした」

摩耶「あぁ、強ぇなやっぱ。これが円卓の鬼神かよ。今日初めて乗る機体だなんて微塵も感じなかったぜ」

時雨「本来の愛機イーグルだったらもっと強かったかもしれないですね」

摩耶「それ考えたらゾッとするぜ。あれで完全な『円卓の鬼神』じゃねぇってんだからよ」

吹雪「でも摩耶さん、なにかスッキリしたって表情ですね」

摩耶「ここまで完璧に叩きのめされるほどの凄ぇ強ぇ相手と戦えりゃ気持ちいいもんだぜ。しっかし世の中って広ぇなぁ!悔しいけどたった1機に完敗だぜ」

摩耶「ぃよ~し!今日は負けたけどいつかサイファー提督を落とせるように頑張るか!目標は円卓の鬼神だ!」グッ

吹雪「それだとエースパイロットになる!みたいに聞こえちゃいますよ」クスクス


金剛「色々吹っ切れたって感じネー。けど気持ちはわかりマース」

榛名「そうですね。榛名も少しやることが見えた気がします」

金剛「ワタシもネ。もっともっと強くなって、前提督が生前にワタシを捕まえなかったことを天国で後悔させてやるデース!」

榛名「はい!榛名ももっと強くなってみせます!金剛お姉さま、一緒に頑張りましょう!」

金剛「イエ~ス!やってやるデース!」


摩耶「金剛さんたちも演習前と表情が違いますね。なにかありました?」

金剛「摩耶と似たような理由デース」

摩耶「そっかぁ。艦娘(ひと)の心まで動かすなんて、つくづくでっけぇ目標だなぁサイファー提督ってのは」


――――――



196: ◆Q8foA/1VQQ 2015/07/26(日) 22:18:25.55ID:Plt59F4jo

サイファー「ふぅ、なんとか終わったな」

彩雲妖精「被弾0で終わるなんて流石じゃない。これでも手加減はしたんでしょ?」

サイファー「バカ言え。ちゃんと全力だったっての」

彩雲妖精「その割には序盤は遊んでたじゃない」

サイファー「機体のテストだ。どこまでステルス性があって、どれだけ動いてくれるのか、限界をチェックするにはもってこいの状況だったからな」

彩雲妖精「イーグルとかスーパーホーネットだったらどうしてたの?」

サイファー「テストの必要性なんてねぇからな。もっと早くケリを付けてたさ」


ピクシー『よぅ相棒。まだ生きてるか?』


サイファー「当たり前だ。だが、もうこんなスパルタは勘弁してくれ」


ピクシー『ハハハッ!まぁいいじゃねぇか。おかげでいくつかのカリキュラムをすっ飛ばすことになったんだからよ』


サイファー「ったく、とんだ鬼教官だな。こっちの身にもなれってんだ」


ピクシー『そう言うなって。おかげで実戦テストの日が早まったんだからよ。感謝してくれよな』


サイファー「調子いい事言いやがって。あとで飯ぐらいは奢ってもらうからな」


ピクシー『おいおい。勘弁してくれよ』

烈風妖精『サイファー、終わったんならなるべく早く戻ってくれるかしら。整備したあとに私達のインストールの作業もあるのよ』


サイファー「わかったわかった。んじゃ帰投するぞ」


―――――
―――



200: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:28:09.86ID:nOjqx0LZo

―フタマルマルマル時―


サイファー「よし!今日の仕事は終わりだな。みんなお疲れさん」

大和「お疲れ様でした」

鳥海「それにしても今日の演習は凄かったですね。被弾0で終わるなんて」

サイファー「震電Ⅱが良かったんだ。前進翼機で不慣れな機体だったが、機動性が良くて思ったように動いてくれたからな」

陸奥「震電Ⅱ欲しくなったんじゃなくて?」

サイファー「確かにあれば便利だが、あれはステルス機を撃墜するためのステルス機だからな。迎撃機では攻撃機の代わりにはなりきれん」

妙高「つまり端からの攻勢には出辛いということですか?」

サイファー「そういうことだ。実際に使ってみてそれがよくわかった」

陸奥「ふぅん。なんでも出来そうな機体なのにね」

サイファー「使おうと思えば使える。だが、端から攻勢に出るならラプターやユーロファイターの方が有利に働くだろうな」

鳥海「自衛隊の頃は迎撃に主観が置かれてましたからね」

サイファー「言うならば最強の矛ではなく盾と言ったところか」

陸奥「そういうものなのね。ま、明日は演習のデータと映像が見られるからどんな戦闘になってたのか楽しみだわ」

大和「円卓の鬼神の本気なんてそう簡単に見られるものじゃありませんからね」

サイファー「出撃の時は毎回本気でやってるつもりなんだがな…」

鳥海「それとこれとは話が違いますよ」



201: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:28:35.99ID:nOjqx0LZo

サイファー「まぁいい。ピクシーのやつも「カリキュラムが大幅に短縮された」と言ってたから明日は少しは暇になるだろうな。俺も艦隊からの目線も確認しておきたいところだ」

妙高「明日はサイファー提督も演習の映像を確認されるんですね」

サイファー「ああ。相手からはどう見えていたのかを確認出来るのは意外と貴重なものだからな」

妙高「わかりました。ではその予定で動きますね」

鳥海「ではサイファー司令官さん、お疲れ様でした」

大和「私たちはこれで失礼します」

サイファー「ああ、お疲れさん。明日も頼むぞ」


『はい!』



バタン



サイファー「さて、俺も部屋に戻るかな」



knock knock



サイファー「ん?誰だ?入れ!」



ガチャ



摩耶「よ!今、大丈夫か?」

サイファー「ああ、丁度終わって俺も部屋に戻ろうとしてたところだ。どうした?」

摩耶「いや…さ、改めてお礼を言っておこうと思ってさ」

サイファー「なんだ、そんなことか。礼なんていらん。俺も震電Ⅱの良い訓練になったからな」



202: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:29:02.27ID:nOjqx0LZo

摩耶「そうなんだろうけどよ、そうじゃなくて、最後あたしと真っ向勝負してくれただろ。あれだけの距離があればミサイルで1発だったはずなのにさ」

サイファー「あぁ、そのことか」

摩耶「その…ありがとな!実力の差ってやつを見せ付けられたけど、おかげで目標が見つかったからよ」

サイファー「そうか。自分の進む道が見えたならいいことだ」

摩耶「しっかし、よくあれだけの集中砲火を避けやがったな。1発は当てれると思ってたんだけどよ」

サイファー「長年の経験と勘の差だ。フルオートではない人の意思だからこそ読めるものもあるってことだ」

摩耶「…あたしもサイファー提督みたいに強くなれっかな?」

サイファー「俺みたいにって言うなら止めておけ。戦場でしか生きられない奴みたいになっても良い事なんて何一つ無い」

サイファー「だから摩耶は摩耶らしく強くなれ。俺みたいにではなく、摩耶だからこその強さを見出せ」

摩耶「あたしらしく…か」

サイファー「そういうことだ。今日はもう遅い。摩耶ももう戻ってしっかり休め」

摩耶「ああ、そうするよ。なぁサイファー提督、もしあたしがまた迷ったら助けてくれっか?」

サイファー「それをするのが司令官の役目だろ。だが、完全に導いてやることは出来ん。答えを見つけ出すのは自分自身でしか出来んからな」

摩耶「そうだよな。それだけ聞けりゃ十分だぜ。ありがとな!また演習頼むと思うけどよ、そん時ぁ今回みたいにはいかねぇぜ」

サイファー「上等だ。だが俺も今回と同じと思わないことだ」

摩耶「やっぱサイファー提督は底が見えねぇな。んじゃ、また明日な!」




バタン



サイファー「自分らしく…か」

サイファー「本当は俺自身が一番迷ってるのかもしれんな」


―――――
―――



203: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:29:29.33ID:nOjqx0LZo

―翌日―


―先日の演習の模様が大画面スクリーンに映し出され公開されていた―


<あっという間に射程範囲外に!


<そんな!?避けられた!


<なんて凄い精度!簡単に狙って出来ることじゃないですよ!


<なんであれで当たんねぇんだよ!?サイファー提督には後ろに目でも付いてんのかよ!


扶桑「す…凄い。これが円卓の鬼神…」

武蔵「なんという操縦技術だ。これがサイファー提督なのか」

山城「こんなの相手にしたら不幸どころの騒ぎじゃないわ…」

比叡「ヒエー!金剛お姉さまと榛名を一瞬で撃沈に!ヒエー!」


愛宕「よく旋回Gで意識飛ばないわねぇ」

那智「まるでバケモノだな」

足柄「これは…血が滾るわ!私もサイファー提督に演習を申し込めばこれだけの戦いを…!」

青葉「ボッコボコにされて終わると思いますね~」


阿賀野「ねぇ能代、あれ当てれると思う?」

能代「実際にやってみないとってところだけど、多分無理と思う」

酒匂「ぴゃん!あの戦闘機ってこんなに強かったんだね」

矢矧「なりふり構わず艤装を捨てて対空兵器を持っていけば勝機はあるかもだけど、それだと他が相手出来ないから無理だし…」ブツブツ


加賀「赤城さん…」

赤城「そうね。この動きを艦載機の子達に取り入れさせればもっと活躍出来そうね」

艦載機妖精's「無理言わないでください!」


夕立「時雨も吹雪ちゃんも秋月ちゃんも頑張ったっぽい!」

春雨「正直ちょっとこれは相手しなくてよかったって思っちゃった」

時津風「雪風なら当てれると思う?」

雪風「ミサイルが避けれるかがポイントかなぁ。避けれる気がしないけど…」



204: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:30:13.77ID:nOjqx0LZo

サイファー「ふむ、なるほど。艦隊からはこう見えていたのか」

ピクシー「相変わらずやることがえげつねぇな、相棒。あれじゃからかってんのかと思われるぞ」

サイファー「機体の性能の把握には仕方ないことだ。それにこれを教習に組み込んだのはお前だろ」

ピクシー「そりゃそうだけどよ、無被弾で帰ってくるから何やったんだと思ったらこれだったとはよ」

烈風妖精「大方、自機の限界を確かめるために相手にチャンスを与えるなんて無茶したんでしょうね」

彗星妖精「これじゃ相手にとっては屈辱じゃないの?」

流星妖精「サイファーはスイッチ入ると無茶する癖がありますからね」

サイファー「別にそんなつもりで飛んじゃいねぇよ」

彩雲妖精「その割にはずいぶん余裕があったじゃない。機内にカメラがあったらサイファーがどれだけ機体の性能チェックのための飛ばし方をしたかバレてたわよ」

サイファー「機体の性能の把握は必要だ。書面で見るのと実際に飛ぶのでは全然違うからな」

ピクシー「ま、なんにせよサイファーが機体の性能を十二分に発揮させてることがよくわかったぜ。これなら本当にカリキュラムをいくつか飛ばせるな」

サイファー「だが対空、対地にはまだやってないから、その点の部分の教習がいるだろう」

ピクシー「主に対空だな。対地はだいたいは陸軍でデータは取ってるが、対空の部分で欲しいデータは陸軍だけでは補填しきれんからな」

サイファー「空軍では無理なのか?」

ピクシー「もちろん空軍でも取ってるが、深海棲艦相手になると空軍だけではデータが取りきれねぇんだ」



205: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:30:40.40ID:nOjqx0LZo

サイファー「だからといって最前線に送り込んでデータを取るというのはどうかと思うがな」

ピクシー「それだけお上さんもなんとかしたいってことだろ。聞いた話だと元々陸軍と海軍の仲の悪さが目も当てられないレベルの国だったらしいしな」

サイファー「その手の話は俺も聞いたことがあるな」

ピクシー「それだけ仲が悪い軍内部でも深海棲艦相手となりゃ喧嘩してる場合じゃねぇってなったんだろ。人類の存亡がかかってるってなりゃな」

サイファー「なりふり構ってる場合じゃないってことか。だからと言って現場に無茶を押し付けるのはどうかと思うがな」

ピクシー「そりゃどこの国でも変わらねぇだろ。ウスティオでもオーシアだって一緒だったしな」

サイファー「報酬上げてもらわねぇと割に合わねぇな。ったくよ」

ピクシー「そう言うなよ。F-15をサイファー機として寄越すよう進言しといてやるからよ」

サイファー「頼むぜ」


大淀「あの~サイファー提督。少しよろしいですか?」

サイファー「どうした?」

大淀「演習の映像を見た艦娘からサイファー提督との演習を望む声が出てるんですが…」

サイファー「そんな時間は無いだろ。却下しておけ」

大淀「はい。ですが、多すぎて手が回らないのでサイファー提督自身で言っていただけたらと」

サイファー「あれだけやっておいて何故そんなに多いんだ?」

大淀「チャレンジ精神…と言えば聞こえは良いんですが、怖いもの見たさといった者も少なからずは…」



206: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/02(日) 20:31:14.08ID:nOjqx0LZo

ピクシー「ハッハッハッ!妙な手加減なんかするからそうなっただろ。自分でやっちまったことなら自分でケリつけねぇとな」

サイファー「こっちの気も知らねぇで簡単に言ってくれるぜ。大淀!演習希望者を集めろ!まとめて相手をしてやる!」

大淀「よろしいのですか!?」

サイファー「よろしいもクソもないだろ!こうなりゃヤケだ!まとめて片付けてやる!」

ピクシー「あ~あ、こりゃ地獄絵図が見えるな。海上のB7Rってところか」

サイファー「お前も手伝え、ピクシー!システムだけなら問題ないだろ!」

ピクシー「お、俺もかよ!?俺関係ねぇだろ!」

サイファー「うるさい!元はといえばカリキュラムに組み込んだお前が悪い!連帯責任だ!」

ピクシー「冗談じゃねぇぜ相棒。ま、久々に一緒に飛ぶか!ただこっちには妖精の補正はねぇからサポートだけだぜ」

サイファー「十分だ!お前も的になれ!」

ピクシー「言ってることが無茶苦茶だぜ…」

大淀「本当によろしいのですか?通達出しますけど」

サイファー「構わん、演習希望者全員に通達を出せ。烈風!スーパーホーネットに火を入れておけ」

烈風妖精「スーパーホーネットには演習用のシステムは入ってないわよ」

サイファー「だったら震電Ⅱでいい。同じシステムのインストールならピクシー機にも出来るだろ。明石と夕張を呼び出して即作業に取り掛からせろ!」

烈風妖精「わかったわ。今度は下手な手加減したら洒落にならないわよ」

サイファー「わかってる。全力で叩き潰してやる。行くぞ!」

ピクシー「やれやれ。ま、付き合ってやるとしますか」


―――――
―――



213: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:23:35.06ID:H/c8bXqZo

   ―絆―


―いよいよ震電Ⅱの実戦テスト前日となり、その前夜にサイファーとピクシーはバーで飲み交わしていた―


ピクシー「よぅ相棒。明日はいよいよ震電Ⅱを実戦に出す日だが、気分はどうだ?」

サイファー「別に普段と変わらねぇよ。機体が違うだけでやることは一緒だ」

ピクシー「まぁお前ならそう言うだろうと思ったぜ」

サイファー「お前も出るみたいだな」

ピクシー「まぁな。今回ばっかりはある程度の距離で見させてもらうつもりだからな」

サイファー「落とされても助けてやれねぇぞ」

ピクシー「そう簡単に落ちる俺じゃねぇっての。俺の攻撃が効かなくても避けるだけならそう問題じゃねぇしな」

サイファー「だといいがな」

ピクシー「お、なんなら今度は俺とやるか?」

サイファー「バカ言え。試作機同士で許可も無くやりあったら上から何言われるかわかったもんじゃねぇだろ」

ピクシー「違ぇねぇ」

サイファー「ま、だが仮にやりあったとしても俺が勝つがな」

ピクシー「おいおい相棒、ベルカ戦争の時の俺とは違うぜ。あの時は勝てたからと言って今度も勝てると思われちゃ困るぜ」

サイファー「俺だってあの時とは違うぞ」

ピクシー「機会がありゃいっぺんやってみてぇな。相棒とはもう1回白黒ハッキリさせる必要がありそうだぜ」

サイファー「そうだな。お前とはまともにやりあったのはあれが最後だったしな」

ピクシー「色々あったな、本当によ」

サイファー「ああ」



214: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:24:01.14ID:H/c8bXqZo


―静かに、しかし楽しそうに談笑しながら酒を飲み交わす2人の元に数名の艦娘が話しかけてきた―


那智「ここにいたのか。楽しそうに飲んでるじゃないな」

足柄「まぁここなら静かに飲み交わせるものね」

サイファー「那智に足柄、それに大和と武蔵、高雄に愛宕か。俺等に何か用か?」

愛宕「用事ってほどのことじゃないんだけど~」

大和「先程までドキュメンタリー番組が放送されてまして、今サイファー提督とピクシーさんはバーからお出にならないほうが良いとお伝えしに来たのも兼ねてまして」

ピクシー「相棒はともかく、なんで俺もなんだ?一体何のドキュメンタリーなんだ?」

高雄「ベルカ戦争のドキュメンタリーです。ピクシーさんのインタビューも流れてましたよ」

足柄「『よぅ相棒、まだ生きてるか?』なんてカメラに向かって言ってるところなんか中々かっこよかったわよ」

武蔵「中々見ごたえのあるドキュメンタリーだったな。2人はあんなことをやってたんだな」

サイファー「お前、インタビューなんか受けてたのか」

ピクシー「戦後だったしな。それにインタビュー受けてたのは俺だけじゃねぇぜ。ベルカの連中も受けてたって話だ」

サイファー「ベルカ軍の連中も…か」

ピクシー「風の噂じゃ凶鳥フッケバインことウォルフガング・ブフナーがオーシア軍にいるって話もあるんだぜ」

サイファー「やつがオーシアに…」

ピクシー「真相は定かじゃねぇがな。あくまで噂だ」

サイファー「ラーズグリーズ隊を隠し持ってたぐらいだ。有り得ない話じゃないな」



215: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:24:31.21ID:H/c8bXqZo

愛宕「なんか2人からだともっと真相に踏み込んだ話が聞けそうね」

ピクシー「俺は真実を話したつもりだぜ。インタビューでは嘘はついちゃいねぇぜ」

那智「そういえば、ピクシーはよくサイファーに向かって生きているか?と聞いてるな」

サイファー「ピクシーの口癖みたいなもんだ。事あるごとに生きてるか?と聞かれることが多かったな」

ピクシー「傭兵やってりゃいつ死んでもおかしくねぇからな」

大和「ところでピクシーさんはあのインタビューの時はISAFとして戦っていらっしゃったんですよね」

ピクシー「ああ、そうだぜ。義勇兵として戦ってたんだけどよ、たまたま日本の連中と行動を共にする機会があってな。それで俺は日本にスカウトされて今に至るってわけだ」

高雄「ピクシーさんの経歴は軍の情報である程度確認出来ますね」

ピクシー「ああ。大体の俺の経緯は軍のデータベースに上がってる通りだ」

足柄「そういえば、サイファー提督はベルカ戦争の後はなにやってたの?」

サイファー「俺は各地の紛争地域に傭兵として戦ってたな」

武蔵「根っからの兵士なんだな」

愛宕「それがどうして妖精を引き連れて戦闘機で飛ぶようになったの?」

サイファー「話せば長くなることだ」

那智「興味あるな。是非聞かせて欲しいところだ」

ピクシー「俺も相棒が海軍に入る前の経歴は知らねぇからな。いったいなにやったら妖精と一緒に飛ぶことになったんだ?」

サイファー「色々あったんだよ」

大和「折角の機会ですから是非教えていただけませんか?」

足柄「むしろこの状況で話さずに逃げられるとは思わないほうがいいわよ」

サイファー「…長くなるぞ?」

高雄「構いませんよ。みんな興味あることですから」

サイファー「そうだな…。俺はベルカ戦争の後、各地を転々としてたんだが…」


―――――
―――



216: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:24:57.10ID:H/c8bXqZo

―エメリア―


エメリア兵1「よぅサイファー。おはようさん」

サイファー「あぁ、おはよう」

エメリア兵1「今日も早くから機体の整備か?」

サイファー「そんなところだ」

エメリア兵1「しっかしよくそんなロートルな機体で戦えるな。傭兵ならユーロファイターぐらいなら買えるんじゃねぇのか?」

サイファー「俺はこいつが気に入ってるんだ。高性能な機体も悪くないが、手足のように動かせる機体の方がいいことが多いからな」

エメリア兵1「まぁ確かにサイファーの腕前からしたら説得力はあるな。俺のラプターがイーグルに負かされるとは思わなかったしな」

サイファー「お前の腕だって悪くは無い。だが手足のように動かせるってことはそれだけやれることが多いってことだ」

エメリア兵1「凄ぇなサイファーは。なぁ、サイファーは前は何処で戦ってたんだ?」

サイファー「各地を転々としてるからな。何処と言われてもありすぎて答えに困るな」

エメリア兵1「傭兵家業も大変だな。でもしばらくはエメリアにいるんだろ?」

サイファー「契約の期間内はな。契約が切れればまた別の戦場に行くだけだ」

エメリア兵1「最近はユークとオーシアが物騒なことになってるからな。対岸の火事と言いたいところだけど、いつこっちに飛び火してくるかわかんねぇからな」

サイファー「そのために俺が雇われたんだ。仕事になれば報酬分だけ働かせてもらうだけだ」



217: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:25:26.91ID:H/c8bXqZo

エメリア兵1「仕事熱心なこって。ま、サイファーがいりゃ百人力だしな」

サイファー「過剰な期待をするのは止めてくれ。俺だって人間だ。やれることに限界はある」

エメリア兵1「わかってんよ。それより今日の任務は聞いてるよな」

サイファー「消息を絶った海軍の部隊の捜索だったな」

エメリア兵1「なんだってなんもねぇところで消えちまったんだろうな。まさかユーク軍が攻めてきたとか」

サイファー「有り得ない話じゃないが、ユークに今そこまで戦力を割ける程の余裕があるとは思えんな」

エメリア兵1「虎の子のシンファクシを沈められたって話だしな。可能性は低いか」

サイファー「しかし、だとすると余計に謎が残るな」

エメリア兵1「だよな。いったいなんだってんだよ」

サイファー「部隊の全艦が消息不明なんて普通に考えたらありえない話だからな。何か追加の情報でもあればいいんだが…」


エメリア兵2「おい、そろそろブリーフィングだぞ。お前らも早く来いよ」

エメリア兵1「おっと、そんな時間か。行こうぜサイファー」

サイファー「ああ」


―――――
―――



218: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:25:52.93ID:H/c8bXqZo

<ブリーフィングルーム>


エメリア基地司令官「全員集まったな。これより今作戦を説明する」

エメリア基地司令官「皆も知ってのとおり、昨日我が国の海軍の艦隊が行方不明になった。諸君等はその捜索活動に出てもらう」

エメリア基地司令官「皆の手元に渡っている資料に救難信号が出た場所と時間等、現時点で判明している情報が書かれている」

エメリア基地司令官「諸君等は空から現場に向かい、痕跡を発見せよ!残骸、もしくは乗組員を発見次第報告せよ」

エメリア基地司令官「他国の部隊の攻撃も考えられる。対艦、もしくは対潜も考慮して兵装の準備をしておけ。ただし許可があるまでは発砲は禁ずる。いいな!」

エメリア基地司令官「質問が無ければ解散だ。…よし、では諸君等の健闘を祈る。解散!」


エメリア兵1「俺達が知ってる情報とあんまし大差ねぇな」

サイファー「仕方ないだろう。昨日の今日でブラックボックスも回収されてないんだ」

エメリア兵1「で、サイファーはどうするつもりなんだ?」

サイファー「救難信号が消えた時間から考えてある程度は海流に流されていると判断するべきだろうな。そこから計算してポイントを絞り込む」

エメリア兵1「だな。やれやれ、海軍の連中は何やってんだかよぉ」

エメリア兵2「おい、お前らはどの辺りを捜索するつもりなんだ?」

サイファー「そうだな。海流に流されていることも考慮して…この辺りからだな」


―サイファーは地図の場所を指差し、ポイントを伝える―


エメリア兵2「そこからか。じゃあ俺達は現場付近から調べよう」

エメリア兵1「海兵隊の連中は周辺の島を当たるみたいだが、護衛がいねぇ分俺達の仕事が多いな」



219: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:26:19.93ID:H/c8bXqZo

エメリア兵2「文句言うな。海軍の連中だって出るんだ。疎かには出来んが、俺達に出来ることをやろうぜ」

エメリア兵1「へいへい。ったく、ラプターは対空だっつうのによぉ」

サイファー「ハードポイントにハープーンでも付けるしかないだろ。ユークの件もあるから万が一に備える必要がある」

エメリア兵1「しゃあねぇな。さっさと見つけて仕事終わらせるか」

エメリア兵2「サイファーはイーグルで出るのか?」

サイファー「あぁ、そのつもりだ」

エメリア兵2「だったらこいつをしっかり監視しておいてくれ。サボってたらケツからミサイルを撃ちこんでやってくれ」

エメリア兵1「おいおい、冗談じゃねぇぞ」

エメリア兵2「だったら文句言わずに真面目にやれ」

サイファー「こいつはこんな調子だが、任務になれば出来る男だから大丈夫だろ」

エメリア兵1「お~流石サイファー、わかってくれるか~」

サイファー「調子に乗るな」

エメリア兵2「ま、サイファーがいれば大丈夫だろ。とにかく原因不明の事態だからな、気をつけろよ」

サイファー「あぁ、そっちもな」

エメリア兵1「帰ったら1杯やろうぜ。見つけられなかったほうが奢りな」

エメリア兵2「ったく、簡単な任務じゃないんだぞ。まぁいい、また後でな」

サイファー「ああ」


―――――
―――



220: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/08(土) 21:26:46.28ID:H/c8bXqZo


―――
―――――


ピクシー「へぇ、お前エメリアにいたのか」

サイファー「ああ。ユークとオーシアが戦争をするってなって、防衛のために雇われたんだ」

大和「環太平洋戦争の時の話ですか」

サイファー「ユーク側から一方的に戦争を仕掛けたって話だったからな。ユークに近いエメリアとて気が気じゃなかったんだろ」

那智「だがエメリアは参戦してなかったはずだが」

サイファー「オーシアが奮戦してユークはエメリア方面には軍事展開してこなかったからな」

愛宕「エメリアにとっては取り越し苦労で済んでよかった話かしらね」

サイファー「国家予算から防衛費を余分に割く羽目になったという意味では一概に良かったとは言えんだろうがな」

武蔵「しかしそれがなんだってサイファー提督が妖精を引き連れることになったんだ?」

サイファー「あぁ、それはその行方不明になった艦隊を捜索してたときの話だ」


―――――
―――



224: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:10:35.15ID:dJroB/VGo

―エメリア領海上空―


エメリア兵1『ポイントはこの辺だな。サイファー、何か見えるか?』

サイファー「いや、何も見当たらんな。残骸一つすらもない」

エメリア兵1『救難信号が消えたポイントにはあいつらが向かってるが、ここから俺達はどうする?』

サイファー「少し周辺を捜索しよう。信号が消えたポイントを囲むように捜索していこう」

エメリア兵1『あいよ。しっかしなんだってこんななんもねぇポイントで消息を絶ったんだろうな』

サイファー「さぁな。潜水艦なら昔に投げられた機雷に接触したとかあり得る話なんだがな」

エメリア兵1『空母と巡洋艦と駆逐艦だもんな。そのケースは有り得ねぇよなぁ』

サイファー「とにかくエメリア兵2達の報告を待ちつつ周辺を探すしか…」


エメリア兵2『サイファー、そっちはどうだ?何か見つかったか?』

エメリア兵1『お、噂をすればなんとやらだ』

サイファー「残念ながら現時点ではこちらは何も発見出来てない。そっちはどうだ?」

エメリア兵2「こっちも何も無いな。完全に沈んだか、別の場所に流されている可能性が高いだろう」

エメリア兵1『そっちも収穫無しかよ』



225: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:11:02.81ID:dJroB/VGo

エメリア兵2『ある程度時間も経っているからな。こっちはこれから現在地を基点として周辺の捜索に当たる。そっちはどうする?』

サイファー「俺達はそちらを囲うように捜索を続ける。外側から潰していくつもりだ」

エメリア兵2『了解した。何か進展があれば報こ…なんだ!?どうしたエメリア兵3!?』

サイファー「おい!どうした!?何があった!」

エメリア兵3『左翼に被弾!下から何かに撃たれた!』

エメリア兵2『大丈夫か!?飛べるか!?』

エメリア兵3『わからねぇ!エンジンは無事だが翼に大穴開けられてバランスが!』

エメリア兵1『おい!どうしたんだよ!何が起こってんだよ!』

エメリア兵2『エメリア兵3はこの場所から離脱しろ!サイファー!エメリア兵1!至急援護に来てくれ!』

サイファー「了解だ!すぐに向かう。それまで持ちこたえろよ!」

エメリア兵3『すまねぇ。俺は離脱させてもら…ザザザッ』

サイファー「おい!どうした!?返事をしろ、エメリア兵3!」

エメリア兵1『エメリア兵3はどうなっちまったんだよ!エメリア兵2!お前は見えてるんだろ!?』

エメリア兵2『エメリア兵3の機体が撃墜された!くそっ!いったいどこから…!』

サイファー「落ち着け!レーダーを確認しろ!」

エメリア兵2『レーダー…に反応が無い。ステルス機にしたってミサイルが発射されればわかるってのに』

エメリア兵1『フレアを使え!あいつは下から撃たれたって言ってたんだろ!?だったら高度を上げて俺達の到着を待つんだ!』

エメリア兵2『だ、だがそれでは原因が!』



226: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:11:29.79ID:dJroB/VGo

エメリア兵1『サイファー!』

サイファー「わかってる!急ぐぞ!」


エメリア基地司令官『どうした!?一体何が起こっているんだ!?応答せよ!』

エメリア兵2『わかりません!レーダーに映らない何者かによってエメリア兵3が撃墜されました。これより高度を下げて索敵します!』

エメリア基地司令官『レーダーに映らない!?ステルス機か!?』

エメリア兵2『原因不明!しかし低高度、もしくは海面からの攻撃と思われます!』

エメリア基地司令官『なんだって言うんだいったい。海軍にも通達を出す!それまで持ちこたえろ!』

エメリア兵2『りょ、了解!』

サイファー「無茶だけはするんじゃないぞ」

エメリア兵1『飯の賭けはまだ有効なんだからよ。こんなところで落とされんじゃねぇぞ!』

エメリア兵2『そんなこと言ってる場合じゃ…グゥッ!』

サイファー「どうした!?」

エメリア兵2『尾翼に被弾!下方から撃たれた!?』

エメリア兵1『高度を上げろ!どっから撃たれてるのかわかんねぇのにむやみに突っ込むな!』

エメリア兵2『せ、せめて原因だけでも!敵の姿だけでも捉えて…』

サイファー「止めろ!お前も落とされるだけだ!」


エメリア兵2『……人…?なんで海面に人が立って…うわっ!…ザザッ』

エメリア兵1『エメリア兵2!?応答しろエメリア兵2!』

サイファー「反応ロスト。撃墜されたか…。クソッ!」



227: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:12:02.78ID:dJroB/VGo

エメリア兵1『あいつ最後に人が海面に立ってるって言ってたよな。どういうことだいったい』

サイファー「わからん。小型艇からによる新型兵器の類かもしれん。超低空から接近するぞ!」

エメリア兵1『高度を上げねぇのかよ!?』

サイファー「高度を保っていたエメリア兵3や、落としたとはいえある程度の高度にいたであろうエメリア兵2を考えると、シースキミングで接近するほうがいいかもしれん」

エメリア兵1『ちっ!仇は取ってやるからな!待ってろよ!』

サイファー「俺たちの場所からあいつらの場所まではさほど遠くはない。すぐに高度を下げるぞ」

エメリア兵1『了解だ!』


エメリア基地司令官『サイファー、エメリア兵1、現場に海軍の連中も援護に向かわせている。原因を突き止めるだけでいいから無理はするな』

エメリア兵1『了解です。頼みますよ!あいつらを拾ってやってください!』

サイファー「万が一相手が発砲してきた場合はこちらの発砲は…」

エメリア基地司令官『ダメだ。現時点で詳細がわからん以上は発砲は許可出来ない』

エメリア兵1『既にあいつらが落とされてるんですよ!?なのになんでまだ撃っちゃダメなんですか!?』

エメリア基地司令官『詳細がわからんと言っているだろう!発砲許可を出すためにもお前達が原因を突き止めるんだ!』

エメリア兵1『ちっ!…了解!』

サイファー「落ち着け。相手に戦闘の意思があるとわかればいいんだ。頭に血が上ってると落とされるぞ」

エメリア兵1『わかってんよ!頭堅ぇ司令官だぜ、ったくよぉ』

エメリア基地司令官『聞こえているぞ、エメリア兵1!』



228: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:12:30.53ID:dJroB/VGo

サイファー「まもなく現場に到ちゃ…な、なんだ?人が海面に立って…!?」

エメリア兵1『他にも黒い変な形したやつも居やがるぞ』

サイファー「!?…こっちに何かを向けてきた!?まずい!回避運動を!」クイッ


―海上で人の姿をしたなにかを発見したサイファーとエメリア兵1は直感で撃たれると判断し回避運動を取る。その瞬間相手の砲門から火を噴きだした―


エメリア兵1『う、撃ってきやがったぞ!』

サイファー「なんだあいつらは!?小型艇もないのに海面に浮いてる!?」

エメリア兵1『武装を背負ってんのか!?ライフルみてぇな長ぇ砲を複数持ってやがんぞ!』

サイファー「レーダーに反応がわずかに出てる。あの塊みたいなやつの反応か。人そのものは小さすぎてレーダーが捉えきれてないのか」

エメリア兵1『明らかにこっちに狙い定めてやがる!ラプターの運動性能なめんな!』

エメリア基地司令官『どうした!?状況を知らせろ!』

サイファー「一連の原因と思われる連中と遭遇!敵は交戦の意思があり、こちらに発砲を開始!」

エメリア兵1『信じられねぇだろうけど、海面に人らしきやつらが浮いてやがるぜ!小型艇とかそんなもんじゃねぇ!』


―人に近いサイズの相手にほぼ勘に近い感覚でサイファーとエメリア兵1は正体不明の相手からの攻撃を避け続ける―


サイファー「相手は戦闘の意思あり!発砲許可を!」



229: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:12:58.31ID:dJroB/VGo

エメリア基地司令官『本当に海上に人が浮いて撃ってきているというのか!?』

エメリア兵1『そうだっつってんだろ!つぅかありゃ人じゃねぇ、化物だ!発砲許可出してくれ!でないと俺達が落とされちまう!』

エメリア基地司令官『わかった、発砲を許可する。だが鹵獲出来るなら鹵獲するんだ』

サイファー「了解!」

エメリア兵1『やっと出しやがったか。けど、期待には応えられそうにねぇな。化物鹵獲なんて出来そうにねぇぜ』

サイファー「人型のやつを残すんだ。尋問出来そうなのはそれだけだ!」

エメリア兵1『だろうな!反撃開始だ!Fox3!』ドガガガガ

サイファー「小型艇のようなものから沈める!ハープーン、Fire!」バシュゥン



ドォォォォン



―狙いを駆逐イ級に定め反撃を開始。確実に沈めたと思ったサイファーとエメリア兵1は爆煙が晴れた後を見て驚愕した―


エメリア兵1『な、なんだありゃ!?ほとんど効いてねぇぞ!』

サイファー「ハープーンは直撃したはずだ。なのに何故だ!」

エメリア兵1『やつがこっち向きやがった!回避を!』

サイファー「くそっ!防御壁が堅いのか!だったら人型のやつを…!」



230: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:13:25.44ID:dJroB/VGo


―エメリア兵1はループの軌道に入りイ級の直上に位置取りをする―


エメリア兵1『対艦ミサイルに耐えたっつても上からのこれならどうだ!AMRAAM Fire!』バシュバシュゥン


―エメリア兵1の放ったAMRAAMがイ級を直撃。動きを鈍らせることには成功したものの破壊したとは到底言えないようなダメージだった―


エメリア兵1『嘘だろ!?2発撃ちこんだのにバラバラどころか原型留めてやがる!』


サイファー「っ!ロックはするがこれではミサイルが当たらん!機銃で!」ドガガガガ


―重巡リ級に対し機銃で応戦するも有効打にならず、逆に反撃を受け機体にわずかなダメージを負う―


サイファー「ちっ!怯みもしないか!」

エメリア兵1『サイファー、大丈夫か!?』

サイファー「戦闘継続に支障はない!そっちは大丈夫か!?」

エメリア兵1『化物1体は動きが鈍ったけど、こいつら2体を戦闘不能にするにはミサイル撃ちつくさねぇとダメだ』

サイファー「反転したタイミングでこちらからもミサイルを撃ち込む!そっちの黒い塊2体は頼むぞ!」

エメリア兵1『ああ!だがサイファーの方がやっかいだろ!?こっちに構わずにそっちに集中しとけ!』

サイファー「相手が小さすぎてミサイルが避けられる可能性がある。有効打になるならそっちに使うまでだ」

エメリア兵1『陸上なら爆発で周辺ごと吹っ飛ばして済むんだけど、海上じゃ仕方ねぇな!』

サイファー「投下から爆発時間をセット。悪いがバラバラに吹き飛んでもらうぞ!」カチ


―機銃が効かないと判断したサイファーは通常爆弾を投下。戦艦ル級を巻き込み重巡リ級の直上で爆発するも…―


サイファー「効いてないだと!?あれに人が耐えられるはずは…くぅっ!」


―逆に反撃を受け尾翼にダメージを負う―



231: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:13:52.06ID:dJroB/VGo

エメリア兵1『サイファー!大丈夫か!?』

サイファー「尾翼に被弾、戦闘は続行可能だ。そっちは大丈夫か!?」

エメリア兵1『こっちもダメージはあるがかすり傷程度だ!だがもうミサイルの残弾が0だ。それにA/B使っちまって燃料がわずかしかない!』


―駆逐イ級に対しミサイルを全て撃ち込み戦闘不能にするも、エメリア兵1のミサイルの残弾が尽き、燃料も残りわずかとなっていた―


サイファー「エメリア兵1は一時帰投しろ!ここは俺が相手をする!」

エメリア兵1『バカ言うな!お前まであいつらみたいに落とされちまうぞ!』

サイファー「燃料が無い状態でどうやって戦う気だ!俺はまだ燃料に少し余裕がある!一時帰投しろ!」

エメリア兵1『…くそったれが!すぐに戻るからな!それまで落とされるんじゃねぇぞ!』

サイファー「これでも円卓の鬼神と呼ばれてたからな。そうそうやられはしないさ」

エメリア兵1『円卓の鬼神って…。お前、ウスティオの…』

サイファー「おしゃべりは終わりだ!さっさと行って戻って来い!」

エメリア兵1『あ、あぁ、了解だ!俺が戻るまでやられんじゃねぇぞサイファー!』


―エメリア兵1が戦線を離脱。戦艦ル級と重巡リ級に対しサイファーは1人で戦うことになった―


サイファー「相手が怯まないならそれを計算に入れて回避するしかない。それにやつが戦闘不能にした黒い塊もいつ再起動するかわからんな」



232: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:14:18.97ID:dJroB/VGo

サイファー「だが今は動かんことを信じてやるしかない!」


―スライスバックから海面スレスレまで高度を下げ、重巡リ級に対しほぼ水平に近い形で位置を取るサイファー―


サイファー「人型ならあれよりは柔らかいはずだ!喰らえ!」バシュバシュゥン


―対空ミサイルと対艦ミサイルを発射。対艦ミサイルは外れるが対空ミサイルが命中―


サイファー「悪いが1人残ってりゃ十分なんでな。あとはお前だけ…だ…」


―爆煙が晴れた後に見たものは姿を何一つ変えることなくその場に佇みサイファーに狙いを定めるリ級の姿だった―


サイファー「悪い冗談だぜ。人がミサイル喰らって平然と立ってやがるのかよ」


―その時、回避を続けるサイファーのF-15のレーダーが新たな敵影を捉えた―


サイファー「増援!?この反応は…航空機!?」


―深海棲艦の艦載機がサイファーの元に向かってきていた―


サイファー「このままではジリ貧だ!なんとかしないと…」

サイファー「しかし、どこから航空機が…さっきまで反応は…。な、なんだこれ。こんな戦闘機は見たことないぞ!」


―多数の艦載機に囲まれ回避に専念せざるえない状況になっていた―



233: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:14:45.13ID:dJroB/VGo

サイファー「多勢に無勢か。燃料もミサイルも残りわずかだ。だが今帰投すればこいつらをエメリア本土に連れて行ってしまうことになる。どうする…」


―それでもわずかなタイミングを見つけ機銃で応戦するが、その膨大な数、さらにはレーダーに映らない下からの攻撃に追い詰められていく―


サイファー「くぅっ!下からっ…!?右翼に被弾したか!機体のバランスが…」

サイファー「だがまだ…!しまった!後ろを!?」


―機体のバランスが崩れたタイミングで背後を取られ艦載機から機銃を掃射され、サイファー機は煙を上げる―


サイファー「くそっ!戦闘続行不能!ベイルアウトを!」


―サイファーがベイルアウトの操作をしたその瞬間に下からの砲撃によりF15が撃ち抜かれ、その爆発でベイルアウトした瞬間のサイファーも吹き飛ばされる―



ドォォォォン



サイファー「おあぁぁぁぁぁ…」


―――――
―――



―無人島―


???1「あれ?なんか人が倒れてるよ!?」

???2「ホントだ!どうしたのかしら?」

???3「…まずいわ。この人は生死の境を彷徨ってるわ。まだかろうじて生きているみたいだから運びましょう」

???4「服装を見る限り撃墜されたパイロットでしょうか。とにかく応急処置と治療を行いましょう」


―――――
―――



234: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:15:27.77ID:dJroB/VGo

―2日後―


サイファー「うぅ…。っ!」ガバ

???2「目が覚めたみたいね。まだじっとしてて。あなた重症だったんだから」

サイファー「ここは…どこだ?それにきみは…」

彩雲妖精「私は彩雲。偵察機の妖精よ」

サイファー「??スマンがなにを言ってるのかわからん。日本語か?」

彩雲妖精「あら?日本語が通じないのね。ならこれならいいかしら」

彩雲妖精「ンンッ…私は彩雲よ。偵察機の妖精。これでどうかしら?」

サイファー「なんだ、通じるのか。ここはどこなんだ?」

彩雲妖精「その前にみんなを呼んでくるわ。少し待っててくれるかしら」



ガチャ



???3「その必要はないわ。意識が戻ったみたいね。あなた、どうしてあんなところで倒れてたのかしら」

サイファー「それよりここはどこだ?俺はなぜ治療されている?」

???3「相手に名前を聞くときは自分から名乗るべきじゃなくて?」



235: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:15:53.97ID:dJroB/VGo

サイファー「…そうだな。俺はサイファー。エメリアに雇われた空軍の傭兵だ」

烈風妖精「私は烈風。攻撃機の妖精よ。あなたがこの無人島に流れ着いてたから治療をしたのよ。あなた、生死の境を彷徨うほどの重症を負ってたのよ」

???1「お、起きたんだね。なかなか凄い生命力だね~」

???4「大怪我してた人なんですからそんなに大声出してはダメですよ」

烈風妖精「こっちは彗星、爆撃機の妖精よ。そしてこっちは流星、雷撃機の妖精よ」

彗星妖精「よろしくね~」

流星妖精「意識が戻られたようで安心しました。けどまだ安静にしていてくださいね。大怪我をしていたんですから」

サイファー「サイファーだ。エメリアで傭兵をやっているパイロットだ」

彗星妖精「その傭兵さんがなんであんなところで倒れてたの?」

サイファー「それは…」


―サイファーは撃墜されるまでの出来事を妖精達に話した―


彗星妖精「うひゃー!よく深海棲艦相手にそれだけ戦えたね~」

流星妖精「信じられないほどの操縦技術ですね。普通なら目視で確認した時点で落とされてもおかしくないですよ」

サイファー「それで君達は何者なんだ?妖精と言ったが俺は死んだのか?」

彩雲妖精「ちゃんと生きてるわよ。私たちは空母の艦載機の妖精よ。艦娘って聞いたことないかしら?」

サイファー「艦娘?いや無いな」



236: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:16:31.48ID:dJroB/VGo

烈風妖精「まだ艦娘が現れてからそんなに年月が経ってるわけじゃないから仕方ないわね。私たちは日本で生まれた艦娘、それも空母の艦娘の艦載機の妖精よ」

烈風妖精「艦娘というのは、昔日本が運用していた軍艦の魂を引き継いだ者。つまり人型の兵器と思ってくれたらいいわ」

サイファー「人型の兵器…。ということは俺が相手をしたのも…」

流星妖精「サイファーが相手にしたのは艦娘ではなく深海棲艦と呼ばれるものです。艦娘はその深海棲艦に対抗するために生まれたものです」

サイファー「深海棲艦…。それがやつらの正体か」

彩雲妖精「深海棲艦は過去に沈んだ軍艦の怨念とも人の無念とも言われてるわ。まだ正体がハッキリしてないの」

サイファー「それで艦載機の妖精が何故母艦に戻らずにこんなところにいるんだ?」

流星妖精「それは…」

烈風妖精「私たちの母艦である艦娘が撃沈されたからよ。要は私たちもあなたと同じく流れ着いたようなものね」

サイファー「そうか。すまない、悪いことを聞いてしまったな」

烈風妖精「いいのよ、過ぎたことは戻らないもの。私たちもいつ消えるかわからない存在なんだから」

彗星妖精「母艦を失った艦載機妖精は元の鎮守府には戻れないからね~」

サイファー「そうか。とにかく助けてくれて感謝する。なにか礼をしたいが俺に出来ることはあるか?」

烈風妖精「少なくとも今は無いわ。それにあなた、その体で何が出来て?今は自分を治すことに専念したほうがいいわ」

サイファー「いや、体はある程度動く。外傷はあるが、動けないほどではない」

流星妖精「それでも無理はいけません。しばらくは安静にしていてください」

彩雲妖精「怪我人はおとなしくしてなさいってことよ」



237: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/09(日) 15:16:58.60ID:dJroB/VGo

サイファー「す、すまない。だがせめて帰る場所が無いなら俺と一緒にエメリアに来ればいい。救難信号を出せばすぐに来るはずだ」

烈風妖精「残念ながらあなたの持っていた機械の類は全滅よ。長時間海水に浸かった影響でしょうね」

彗星妖精「唯一無事だったのはこのナイフぐらいだね。はい、返すね」スッ

彩雲妖精「ミリタリーナイフは切れ味が良いから重宝させてもらったわ。また借りるかもね」

サイファー「ありがとう。無線の類は全滅か。近くに何か通るまではこの無人島で暮らすことになるのか」

烈風妖精「そうなるわね。少なくとも私たちが消えて無くなるまでは共同生活になるわ」

流星妖精「幸いにもこの島には食べられるものが多数生息してますのでしばらくは大丈夫でしょう。それに過去に居たであろう島民が掘った井戸もありましたので水も問題ありません」

サイファー「そうか。しばらくの間、よろしく頼む。俺に出来ることがあれば言ってくれ」

烈風妖精「わかったわ。その時は頼りにさせてもらうわ。こちらこそよろしくお願いするわ」


―――――
―――



240: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:16:18.25ID:Np7orJtZo

―動ける程度には傷が癒えたサイファーは、妖精達と生活を共にするために行動していた―


彩雲妖精「サイファー、そこの木の実取ってくれる?」

サイファー「これだな?…よし、取れたぞ。こっちも取っておくか?」

彩雲妖精「そうね、お願い。あと4つは取ってちょうだい」

サイファー「わかった」


―――


サイファー「よし!中々デカイぞ」

彗星妖精「いい大きさだね~!けどこれ鰭に毒あるから気をつけてね~」

サイファー「マジか!普通に掴もうとしたぞおい。こいつは食えないのか?」

彗星妖精「いんや、鰭さえ落とせば食べられるよ。ハサミ…は無いからナイフでしっかり根元から落としちゃおう」

サイファー「よし…って暴れるなこいつ!危ねぇ!刺さる刺さる!」


―――


流星妖精「流石傭兵さんですね。サバイバル能力が高くて助かります」

サイファー「なに、バーナーが無くても火を起こすぐらいはそんなに難しいことじゃないからな。きちんと乾燥させれば銃弾の火薬も使える」

流星妖精「私たちだとどうしても時間がかかってしまいますから」

サイファー「適材適所ってのがあるからな。仕方ないことだ」

流星妖精「…今日は何か通ってくれますかね」

サイファー「さぁな。だが何もしないよりは行動したほうがいい。どんな状況でもやらないよりはマシだ」

流星妖精「そうですね。では薪を追加しますね」


―――


烈風妖精「おはようございます」

サイファー「おはようGOざいまSU」

烈風妖精「まだ発音がおかしいわ。もう1回ね」

サイファー「日本語ってどうしてこう難しいんだ」

烈風妖精「日本語は日本人でも難しいって思う時があるぐらいよ。日本人じゃないサイファーが難しく感じるのは仕方ないわ」

サイファー「日本人が母国語を難しく思うってのはどうなんだそれは」

烈風妖精「それだけ奥深い言語ってことよ。さ、もう1回よ」

サイファー「ぬぅ…」


―――



241: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:16:45.69ID:Np7orJtZo

―1週間後―


流星妖精「サイファーがこの島に流れ着いてからだいぶ経ちますけど、捜索隊は出ないんでしょうか」

サイファー「最初の頃は出るだろうが、既に数日経過してるところからMIAになってるだろうな」

烈風妖精「実質的に戦死扱いにされているってことね。深海棲艦で領海がゴタゴタになっているところに空軍の兵士1人にそこまで人員は割けないでしょうしね」

サイファー「エメリア海軍の一個艦隊が全滅したところにこれじゃ仕方ないだろうな」

彩雲妖精「エメリアには艦娘はいなかったわよね。大丈夫かしら」

サイファー「さあな。正直こればっかりはなんとも言えんところだ。対ユークのために防衛費を割いている分、平時よりは保つだろうがな」

彗星妖精「ずいぶんドライだね~。自分がいた国なのに」

サイファー「あくまで俺は傭兵だ。エメリアには雇われているに過ぎん。そりゃ心配ではないといえば嘘にはなるが、愛国心を持ってなんて言えるレベルではない」

サイファー「それよりもイーグルを落とされたのが痛いな。また買うとなると莫大な費用になるからな」

彩雲妖精「サイファーの仕事道具だもんね。お金はあるの?」

サイファー「あるのはある。が、改造費用云々を考えると直ぐに買って出撃とはいかんな」

流星妖精「またイーグルを買うためにも帰らないといけませんね」

サイファー「あぁ。戦闘機は買えば済むが、命はどうしようもないからな。せっかく拾った命だ。無事に帰らないとな」



242: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:17:12.64ID:Np7orJtZo

彗星妖精「そのためにはまずこの狼煙に気づいてもらうことだよね~」

サイファー「そうだな」


彩雲妖精「…なにか気配を感じるわ。何かしらこの感覚…」

彗星妖精「海のほうからだね。なんだろ…」

烈風妖精「…まずいわ!早く狼煙を消して。この気配は深海棲艦のそれよ。間違いないわ」

サイファー「ちっ!人じゃなくてやつらが嗅ぎつけて来やがったか!」

流星妖精「狼煙は消えました!時期に煙も収まります!早く逃げましょう!」

サイファー「小屋…はダメだ。森の中に逃げるぞ!」


―――――
―――



243: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:17:38.99ID:Np7orJtZo

サイファー「とりあえずしばらくはこの森で身を潜めるしかなさそうだな」

彩雲妖精「そうね。ところでさっきからなにやってるの?」

サイファー「やつらが森に侵入してくる可能性もあるからな。罠を仕掛けている」

烈風妖精「そんなもの、深海棲艦には通用しないわ」

サイファー「そんなことは端から承知の上だ。倒す目的の罠じゃない。足止めして時間稼ぎをするためのものだ」

彗星妖精「それって深海棲艦を逆撫でしないかなぁ」

サイファー「俺の考えが正しければ、やつらも燃料で動いてるはずだ。つまり燃料切れまで逃げ切れればいい」

流星妖精「島を絨毯爆撃されたらどうするんですか?」

サイファー「その時はその時だ。少なくとも味方諸共爆撃はしてこないだろう。保証は無いがな」

彩雲妖精「…ところでさっきから皆が少しずつ薄くなってるような」

烈風妖精「島を深海棲艦に囲まれているせいね。私達の弱体化が始まったみたいね」

サイファー「このままだとどうなるんだ?」

烈風妖精「そうね、母艦も提督もいない私達は時期に消えてしまうわ」

流星妖精「むしろ今までがおかしかったんです。何故私たちは直ぐに消えてしまわなかったのかと」



244: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:20:51.81ID:Np7orJtZo

サイファー「なんとかならないのか?」

烈風妖精「どうしようもないわね。深海棲艦が遠ざかってくれても1度弱体化が始まれば止められないわ」

サイファー「…すまない。お前達をエメリアに連れ帰る約束だったのに、それを守れないとは…」

烈風妖精「いいのよ。元々こうなる運命だったのよ。それが今だっただけ」

彗星妖精「ん~、サイファーが提督になってくれればいいんじゃない?」

サイファー「俺が…お前達の提督に?」

彩雲妖精「そうね。私達の弱体化を止めるならそれしかないわね」

流星妖精「無茶を言わないでください。サイファーに資質があるかどうかもわからないんですよ?」

サイファー「とりあえずその話は一旦後だ!罠に掛かった気配がした。やつらは上陸している!」

烈風妖精「そうね、逃げましょう。今はサイファーだけでも生き残らせるわよ」


――――――



245: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:22:40.53ID:Np7orJtZo

サイファー「まずいな。お前達の弱体化が進行している。だがこれ以上は逃げ場も…」

烈風妖精「ここまでよ。サイファーだけでも逃げて。私達はどの道消える運命なのよ。だからサイファーだけでも生き残って」

サイファー「バカを言うな!俺はお前達に助けられた身だ。今度は俺がお前達を救う番だろ!」

流星妖精「その気持ちは嬉しいですが、こればかりは仕方ないことです。サイファー1人なら逃げ切れるはずです。だから私達に構わずに」

サイファー「なんとかしないと…うわっ!」



ドォォォォン



サイファー「クソッ!撃ってきやがったか!」


―逃げ惑うサイファーと妖精達。しかし目前には海岸が迫ってきていた―


サイファー「ちっ!こっちは海か。なら別の方向に…お前達!」


―海岸に近づいたことにより妖精の弱体化が加速。その姿は既に消えかかっていた―


烈風妖精「私達はここまでね。サイファー、あなただけは必ず生き延びて」

彩雲妖精「数日だったけどサイファーと暮らせて楽しかったわ」

サイファー「早く海岸から離れるぞ!」

流星妖精「もういいんです。サイファーだけで逃げてください」

彗星妖精「サイファー、魚を釣っても直ぐに掴んじゃダメだよ」



246: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:23:17.07ID:Np7orJtZo

サイファー「…時間が無い!お前ら!俺を提督にしろ!今すぐだ!」

烈風妖精「無理よ。それより逃げて!」

サイファー「わずかでも可能性に賭けろ!何もしないよりは何か行動するほうがいいと言っただろうが!」

サイファー「今出来ることを全てやるんだ!やらずに後悔するよりやって後悔するんだ!消えたら後悔することすら叶わんぞ!」

烈風妖精「サイファー…」

彩雲妖精「やろう。やってみようよ」

彗星妖精「そうだね。時間ギリギリだけどやってみるしかないね!」

流星妖精「資質を見極める時間はありません!サイファー、手を!」スッ

サイファー「ああ」スッ


―サイファーが右手を差し出し、その手を妖精達がそれぞれの手を重ねる―


サイファー「頼む!こいつらを…こいつらを助ける力が俺にあってくれ!」

流星妖精「いきますよ!」

烈風妖精「少しくすぐったいかもしれないけど我慢するのよ!」

彗星妖精「なぁに、痛みは一瞬だ!なんて…ね!」

彩雲妖精「サイファーに…力を!」


流星妖精「サイファー!我々はあなたと共に最後まで共に戦うと約束しよう!」

サイファー「ああ!俺もお前達と共に戦おう!傭兵としてではなく、1人の人間としてだ!」


―手を重ね、目を閉じ、祈るように、その気持ちを一つにしてサイファーを提督として据えるよう願った。その結果は…―



247: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:23:44.83ID:Np7orJtZo







カッ!






―一筋の光の柱が空に向かって伸び、まるでスタングレネードが爆発したかのような光が辺りに発した。その光はやがて収まり、サイファーは目を開けた―


サイファー「…お前ら!」

烈風妖精「成功ね。サイファー、これからはあなたが私達の提督よ」

彩雲妖精「私達、生きてる!サイファーに提督の資質があったのね!」

彗星妖精「やったね!これからよろしくね、サイファー提督」

サイファー「サイファー提督…か。違和感があるな。今までどおりサイファーで頼む」

流星妖精「感傷に浸ってる暇は無いみたいですよ。どうやら囲まれてしまったようです」


―前方の海岸には深海棲艦が砲を構え待ち構えていた。そして後方からも接近する音が聞こえていた―


サイファー「せっかくお前達を救えたのにこれか。なんとかしないとな」

彩雲妖精「どうやらなんとかなりそうよ」

サイファー「どういうことだ?」


―次の瞬間、海上の深海棲艦が爆散。さらに上空にはレシプロ機が島に向かって飛来していた―



248: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:24:10.41ID:Np7orJtZo

サイファー「なんだ!?一体何が起こってるんだ!?」

烈風妖精「艦娘による砲撃。それにあれは爆撃機ね」

流星妖精「あの光を見てこっちに気づいてくれたみたいですね」

サイファー「助かったのか…俺達は…」

彩雲妖精「まだ完全に助かったわけじゃないけどね。砲撃と爆撃に巻き込まれない場所に逃げましょう!」

彗星妖精「賛成だね!このままじゃ味方にやられちゃうよ~」

サイファー「よし!走るぞ!」


『了解!』


―――――
―――



249: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/19(水) 00:24:37.02ID:Np7orJtZo


―――
―――――


ピクシー「ほ~。それで生き延びたのか、相棒」

サイファー「ああ、九死に一生だったな。あのまま誰にも気づかれなかったら俺はここにいなかっただろうな」

高雄「その助けてくれた艦娘は誰だったんですか?」

サイファー「色々ありすぎてあまりよく覚えてないんだ。確か1人はリットリオとか言ったかな」

大和「リットリオ…イタリアの戦艦ですね」

足柄「エメリアの旧国名ね。丁度エメリアに居たといい、何か縁があったんじゃないの?」

サイファー「かもしれんな」

武蔵「その艦隊が島を囲っていた深海棲艦を撃退したのか」

サイファー「そうなるな。それで俺達はその後にエメリアに救援を呼んでもらってエメリアに帰ることが叶ったんだ」

愛宕「リットリオ達はどうなったの?」

サイファー「俺達をエメリアの船に渡した後にどこかに行ってしまった。任務の途中だとかでな」

ピクシー「んで、妖精に認められてからサイファーは直ぐにあのとんでもねぇシステムを使えるようになったってわけか」

サイファー「いや、そうでもない。元々艦載機に乗って戦う妖精だったからな。そうすんなりと事が運んだわけじゃないさ」

那智「ではどうして妖精が戦闘機の武装と一体化して戦うことになったんだ?」

サイファー「それはな…」


―――――
―――



254: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:48:09.35ID:w+7bbhfRo

サイファー「失礼します」



バタン



サイファー「ふぅ…。やれやれ」


エメリア兵1「お!ご帰還早々お呼び出しか?円卓の鬼神さんよ」

サイファー「その呼び方は止めてくれ。俺はもうウスティオの傭兵じゃないんだ」

エメリア兵1「へいへい。んで?なんだって呼び出されたんだ?」

サイファー「帰還したとはいえ、撃墜されてMIA登録された傭兵に契約は更新しないってな」

エメリア兵1「じゃあサイファーはエメリアを去るってのかよ!」

サイファー「契約期間が終わればな。まだ期間内だから期間中は働いてもらうってよ」

エメリア兵1「じゃあまだエメリアにはいるんだな」

サイファー「まぁな。だがそんなに長い間ではないがな」

エメリア兵1「しっかしサイファーをエメリアまで連れ帰ってきた艦娘?だっけか、凄ぇ美人だってな」

サイファー「見た目は若い女にしか見えんな。あれで軍艦の生まれ変わりって言うのが俄かに信じられん話だ」

エメリア兵1「けどその子達がサイファーが落とされた後にあのバケモノ共を撃退してくれたってんだからよ。現実離れしすぎだぜ」

サイファー「全くだ」



255: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:48:48.33ID:w+7bbhfRo

エメリア兵1「ところで、サイファーが連れてきたあのちっこいの。ありゃなんなんだ?」

サイファー「艦娘の空母の艦載機の妖精…と言っていたな」

エメリア兵1「はぁ?妖精?おいサイファー、お前大丈夫か?」

サイファー「俺は至って正常だ…と言いたいが、普通は信じられる話ではないな。だが事実だ。あいつらは空母の艦娘を母艦とした艦載機の妖精だ」

エメリア兵1「まぁあのバケモノといい、艦娘といい、非常識なもんを連発で見せ付けられりゃあ妖精だって信じられるもんだ」

サイファー「あいつらの艦載機を見つけてやらないとな。本来の役割をこなせないんじゃあ不自由だろうしな」

エメリア兵1「そういやサイファーはどうするんだ?」

サイファー「なにがだ?」

エメリア兵1「機体だよ機体。イーグルは落とされちまって無いんだぜ?代わりの機体はあんのかよ」

サイファー「基地司令官が先日納入されたタイフーンを使えってよ。一応まだ多少は腕を信頼されているらしい」

エメリア兵1「ああ、あのタイフーンか」

サイファー「機体のカラーを塗りたいところだがな」

エメリア兵1「仕方ねぇよ。あと少しの期間しかいない傭兵の為に機体は塗らねぇよ」

サイファー「まぁ機体を預けてもらえるだけありがたいと思うさ。さて、俺はタイフーンのところに行ってくる。一応状態は確認しておきたいからな」

エメリア兵1「そっか。じゃあまたな」


―――――
―――



256: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:49:14.64ID:w+7bbhfRo

―ハンガー―


サイファー「俺の機体はっと…あれか…ってなにやってんだありゃ?」

烈風妖精「あ、サイファー、来たわね」

彗星妖精「この機体凄いね~。なんでも出来ちゃうみたい」

サイファー「お前達、なにやってんだ?」

彩雲妖精「私達は今艦載機が無いから何も出来ないでしょ。だから何か手伝えることがないかしらってね」

流星妖精「それでとりあえずサイファーの機体を見に行って出来ることを探そうとしていたのです」

サイファー「お前達の乗っていた機体とは全然違う代物だ。そう簡単に何か出来るようなもんじゃない」


整備兵「あ、サイファーさん。困りますよ、こんなところにちっこいの連れてこられちゃ」

サイファー「ああ、すまん。こいつらが何かしてしまったか?」

整備兵「いえ、整備は終わってたんでいいんですが、色々触られると困るものもありますから」

サイファー「だそうだ。ほらお前ら部屋に戻ってろ。俺も機体の状態を確認したら時期に戻る」

彗星妖精「ん~~。この機体(こ)緊張してるのかな?全然話を聞いてくれないや」

彩雲妖精「そうね。まだサイファーを乗り手として認めてないって感じね」

サイファー「何を言ってるんだ、お前達?」

烈風妖精「私達は艦載機の妖精よ。だから戦闘機と触れ合えるのよ」

流星妖精「けどこの子は中々心を開いてくれませんね。こちらからの声に応答してくれません」



257: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:49:48.76ID:w+7bbhfRo

サイファー「戦闘機と会話が出来るのか?」

彗星妖精「ニュアンスは似てるけど会話とは少し違うかな~」

流星妖精「物にも魂は宿るって言います。私達はその魂と触れ合っているんです」

彩雲妖精「ちなみにあそこにいるラプターはしっかり者ね。パイロットがちゃらんぽらんなのかしら」クスッ

サイファー「妖精だけがわかる世界ってことか」

烈風妖精「けどこの子は応えてくれないわ。まるで寝ているかのようにね」

流星妖精「もう少し話せばわかってくれるかもしれませんが…」

サイファー「そうは言っても整備兵も言ってただろ。あんまり無暗やたらと触られると困るってな」

彗星妖精「ん~、困った子だね~」



タッタッタッタッタッ


エメリア兵1「おいサイファー!スクランブルだ!沖合いで哨戒中の海軍の艦隊から救難信号が発せられてるってよ!」

サイファー「艦隊から!?またあいつらが出たってのか!?」

エメリア兵1「わかんねぇけどとにかく現場に急行しろってよ!ラプター、出すぞ!」

サイファー「ちっ!タイフーンも出すぞ!対艦装備を用意してくれ!」

烈風妖精「サイファー、私達も乗るわ。深海棲艦相手なら私達が居たほうが少しは有利になるかもしれないわ」

流星妖精「艦載機が無くても出来ることがあるはずです。サイファー、お願いします」

サイファー「…わかった。だが落とされても怨むなよ!」


―――――
―――



258: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:50:28.95ID:w+7bbhfRo

―海上―


エメリア兵1『あそこか!…く、空母が…傾いて…!』

サイファー「遅かったか!クソッ!」

エメリア兵1『黒い点みたいなのが見えるってことは、またあのバケモノ共ってことかよ!』

サイファー「レーダーには映らない以上、高度を下げてやつらの動きを予測しつつ避けるしかないぞ」

エメリア兵1『そうだろうな!ミサイルがお飾りってか、クソッタレが!』

烈風妖精「サイファー、来るわよ!」

サイファー「わかってる!」クイッ


―機体を振り回し、狙いを定めさせないように飛ぶサイファーとエメリア兵1。だがそれはこちらからも狙えないということである―


サイファー「くそっ!これじゃロックオンが…」

流星妖精「敵艦載機が来ます!」

サイファー「このタイミングでか!これじゃあの時のように…」


―出来る限りの低高度を維持しつつ、深海棲艦の艦載機を迎え撃つサイファーとエメリア兵1。かろうじて避けれてはいるものの贔屓目に見てもジリ貧である―



259: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:50:55.57ID:w+7bbhfRo


彗星妖精「…ねぇ、このままじゃ君もやられちゃうんだよ?私達に力を貸してくれないかな~」

サイファー「おい彗星!お前何を…!?」

彩雲妖精「サイファー!今は彗星にやらせてあげて!」

彗星妖精「君は国を…人を守るために生まれてきたんでしょ?今だけでいいから私達の話を聞いてほしいな」

サイファー「何がしたいかわからんが、手は貸してやれんぞ!」ドガガガガガ

烈風妖精「後ろから砲撃来るわ」

サイファー「ちっ!」クイッ


彗星妖精「サイファーは相応しい乗り手だと思うよ。君の能力を完璧に引き出してくれるはず」


エメリア兵1『尾翼に被弾!けどこのくらいなら!』


彗星妖精「だからさ」


サイファー「大丈夫か!?」


彗星妖精「私達を信じてみてよ!」


エメリア兵1『大丈夫だ!まだ飛べる!…!サイファー!』

サイファー「正面!?こんなところにっ!」


パァァァァ



260: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:51:22.19ID:w+7bbhfRo

彗星妖精「!ありがとう、協力してくれるんだね」

烈風妖精「ギリギリね。けどこれで」

妖精's「反撃開始よ!」



シュゥン


ピピッ!


New driver's Install


Loading…


ピピッ!



261: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:51:52.63ID:w+7bbhfRo










          <System Pixy Standby>













262: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:52:19.12ID:w+7bbhfRo

流星妖精「サイファー!ミサイルを!」

サイファー「ミサイル!?ロックを…!これなら!」カチッ

流星妖精「ハープーンミサイル、発射!」バシュゥン



ドォォォォン



流星妖精「ミサイル命中!重巡リ級撃沈確認しました!」

サイファー「な、なにが…どうなって…?お前ら、どこに!?」

彗星妖精「私達は今この子の武装と一体化してるんだよ~」

彩雲妖精「やっとこのタイフーンが話を聞いてくれたわ。手を貸してくれるって」

烈風妖精「私達が兵装をサポートしてるわ。これなら深海棲艦相手にも戦えるはずよ」


―HMSSにはSystem Pixyと表示されている。それを見たサイファーは確信した。『これならあのバケモノ共と戦える』と―


サイファー「レーダーにも敵影が!これならいける!」



263: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:52:49.42ID:w+7bbhfRo

エメリア兵1『お、おいサイファー!何が起こったんだ!?ミサイルで1体倒したみたいだけど何やったんだよ!?』

サイファー「エメリア兵1は下がってくれ!ここは俺に任せてくれ!」

エメリア兵1『バカ言うんじゃねぇ!サイファーだけを置いていけるかってんだよ!』

彩雲妖精「サイファー!」

サイファー「わかってる!こいつらの母艦はわかるか?」

彩雲妖精「もちろん!この子のレーダー凄いわ!完璧に捉えてるわ!」

サイファー「なら狙いは空母だ!ハープーン、Fire!」カチッ

流星妖精「お返しです!ハープーン発射!」バシュゥン

エメリア兵1『おいサイファー!お前何処に向かってハープーンを!』


―サイファー機の放ったハープーンミサイルは空母ヲ級を完璧に捉え撃沈した。ヲ級も捉えられたとは思っていなかったのか、避ける動作すらも行わなかった―


流星妖精「空母ヲ級撃沈!」

エメリア兵1『あ、あんなところに敵が居やがったのか!サイファー、お前よくわかったな』

サイファー「妖精達が力を貸してくれてるんだ。妖精のサポートが無ければ捉え切れん」

エメリア兵1『サイファー!そっちに敵の飛行物体が向かったぞ!』

サイファー「艦載機か!」



273: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 22:14:14.69ID:w+7bbhfRo

烈風妖精「対空なら任せてもらっていいわ。確実に落としてみせるわ」

サイファー「頼むぞ。機銃掃射!」ドガガガガガ


―元より円卓の鬼神と呼ばれていた程の操縦技術を持つサイファー。攻撃が通る今はもはや深海棲艦の艦載機もサイファーの敵ではなかった―


彩雲妖精「サイファー!下から砲撃来るわよ!」

サイファー「位置がわかってるなら避けるのは容易いことだ!」クイッ

彗星妖精「サイファー!爆弾投下しちゃって~!」

サイファー「いけるか!?」

彗星妖精「もっちろんだよ~」

サイファー「頼んだぞ!」カチッ

彗星妖精「お釣りはいらないよ!もってきな~!」ヒュゥゥン


―誘導爆弾の投下により撃沈。深海棲艦の艦隊も残り1体となる―


エメリア兵1『す、凄ぇ。これが円卓の鬼神…なのか…』

彩雲妖精「ラストよ!」

流星妖精「ロックオン完了です!サイファー!」



265: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:53:53.01ID:w+7bbhfRo

サイファー「エメリア領海から出て行きやがれ!ハープーン、Fire!」カチッ

流星妖精「沈めます!いけぇー!」バシュゥゥン





ドォォォォン




サイファー「周囲に敵影は…無しだな。エメリア兵1、帰投するぞ。あとは救援部隊に任せよう」

エメリア兵1『サイファー、お前急にどうしたんだよ!?まるで覚醒したみたいに敵を蹴散らしちまいやがってよ』

サイファー「なに、こいつらのお陰だ。こいつらがサポートしてくれたから俺は深海棲艦に対抗できただけだ」

エメリア兵1「こいつらって…あのちっこい妖精ってのがか?」

サイファー「ああ」

エメリア兵「なにがどうなってんのか頭が混乱してわかんねぇぜ。あとでじっくり説明してくれよ」

サイファー「ああ、戻ったら説明してやるよ。それより敵は殲滅したんだ。救援を寄越させないとな」

エメリア兵1「そうだな。俺から連絡しておくよ」

サイファー「頼んだ」



266: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:54:21.18ID:w+7bbhfRo

サイファー「お前達にもあとで色々聞きたいことがある。話してもらえるな?」

烈風妖精「ええ、もちろんよ」

彩雲妖精「ていうか、私達も若干混乱気味な部分もあるけどね」

彗星妖精「正直一か八かだったからね~」

流星妖精「ここまで上手くいくとは思いませんでした。彗星に任せて正解でした」

サイファー「ありがとうな、助かった。それにあいつらの仇を取れたしな」

サイファー「基地に戻ったら好きなものを食べさせてやる。今回はお前達が一番活躍したからな」

彗星妖精「お?言ったね~?」

流星妖精「ありがたく頂きます」

烈風妖精「せっかくの気持ちだからしっかり受け取らせてもらうわ」

彩雲妖精「さーて、なに頼もうかなぁっと」

サイファー「…ほどほどにしてくれよ?」


―――――
―――



267: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:54:53.95ID:w+7bbhfRo


―――
―――――


ピクシー「戦場で無茶しやがるぜ。失敗したら完全にお陀仏じゃねぇか」

サイファー「あいつらならなにかをやってくれるだろうとは信じていたからな。だがまさか兵装と一体化するとは想像もしてなかったがな」

愛宕「ふぅん、そういう経緯があったのねぇ」

足柄「けど、レーダーに映るからって言っても上空からじゃ小さくて見えないことには変わらないんじゃないの?」

サイファー「実際に駆逐艦を相手にしても機銃の向きまでは接近しないと肉眼では確認出来るもんじゃない。相手がこちらを狙っているってわかれば大きさはさほど関係はないさ」

那智「そこはやはり円卓の鬼神の実力ということか」

サイファー「そんな大層なものじゃない。ただ相手の行動の先を見ているだけに過ぎんさ」

ピクシー「戦場でのその勘の鋭さは今も昔も変わらねぇな、相棒は」

大和「で、そのあとエメリアとはどうなったんですか?」

サイファー「見事なまでに軍部が手のひらを返しやがって腹立ったから、そのまま契約は更新せずにまた一介の傭兵に戻ったさ」

武蔵「しかし、それではエメリアが危険な状況になるのではないのか?」

サイファー「今はリットリオ達がエメリアを守っている。俺が去る前になんとか交渉出来たらしい」

高雄「ではエメリアにも提督がいらっしゃるのですね」



268: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:55:20.04ID:w+7bbhfRo

サイファー「さぁな。どこまで事が進んだのかはわからねぇよ。その前に俺はエメリアを去ったからな」

扶桑「そうですか。そんなことがあったんですね」

金剛「サイファー提督も中々Fierceなエピソードがあるんだネー」

青葉「円卓の鬼神の空白の時!これはいい記事になりますね~」

サイファー「ちょっと待て。お前らいつの間に沸いて出てきた」

漣「実はコッソリと最初のほうからご主人様のエピソードを聞いてましたよ」

あきつ丸「ピクシー殿の相棒も過酷な人生を送っていたのでありますな」

瑞鶴「元は誰の艦載機だったのかしらね」

加賀「案外あなたのじゃなくて?瑞鶴」

瑞鶴「んなっ!?ちょっと!それどういうことよ!?」

加賀「さぁ?ムキになるってことは思い当たる節でもあるのかしら?」

瑞鶴「この!言わせておけばぁ!」

翔鶴「瑞鶴ったら!こんな場所で喧嘩しちゃダメよ!」



ワイワイガヤガヤピーチクパーチクトーピードトーピード



ピクシー「俺達深酒しすぎたのか?こんなに増えてるのに気づかなかったとはな」



269: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/21(金) 21:55:46.65ID:w+7bbhfRo

サイファー「それより問題はこの後じゃねぇか?そもそも俺達がバーから出れなかった理由って」

ピクシー「……あっ!」

サイファー「脱出は…」

ピクシー「…無理だろうな」

サイファー「さっさと片付けるか」

ピクシー「同感だ、相棒」



『サイファー提督!ピクシーさん!サインください!』


―この後、サイファーとピクシーは質問とサイン攻めにあうハメになった。それはそれは夜遅くまで続いたという。果たして2人の明日は大丈夫なのだろうか―


サイファー・ピクシー(帰りてぇ…)


―いや、この2人なら大丈夫であろう。多分、きっと…―


―――――
―――



278: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:37:17.47ID:T5g/ydUZo

   ―正しい躾の方法は?―


川内「夜戦だー!夜戦夜戦!夜戦の時間だー!」

神通「川内姉さん、もう夜も遅いんですよ。そんなに騒いだら他の方々にご迷惑ですよ」

川内「だって夜だよ?夜と言えば夜戦でしょ?やっぱり夜戦って最高だよねー」

那珂「夜戦好きなのはわかったけど、夜更かししてるとお肌に悪いよ?」

川内「何言ってんの!太陽が出てないんだから日に焼けない分お肌にもいいんだよ!それに夜戦は新陳代謝を良くするからお肌にもいいんだよ!」

那珂「そうなの!?那珂ちゃんそれ初めて聞いた!」

神通「真に受けちゃダメですよ。皆さんが就寝される時間でもあるんですからそんなに騒いでると苦情が…」

川内「だったら起きて夜戦すればいいんだよ!夜戦だ夜戦だー!」



ドンッ!



<川内ウルサイ!今何時だと思ってんのよ!



那珂「あ~あ、いわんこっちゃないよ」



279: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:38:13.45ID:T5g/ydUZo

神通「ほら、他の方々にご迷惑になってますから、川内姉さんも今日はもう寝ましょう」

川内「ぶ~!いいもん!1人で夜戦の訓練してくる!」ガチャ

神通「あ、ちょっと!」



バタン



那珂「う~ん、前々からだけどあの夜戦中毒はどうにかしないとだね」

神通「…このままだと睡眠不足からの艦隊の士気に影響が出かねませんね。どうしましょう」

那珂「サイファー提督に相談してみよっか」

神通「そうですね。サイファー提督なら何か良い案を思いついてくれるかもしれませんね」


―――――
―――



280: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:38:40.11ID:T5g/ydUZo

サイファー「で、俺に川内の野戦バカをどうにかしろってか」

那珂「どうにかしろって言うか、なにか良い案がないかなぁって」

神通「このままでは皆さん睡眠不足から士気が落ちてしまう可能性もあります。なにか良い案はないでしょうか」

サイファー「しかし、その夜戦好きから来るそのモチベーションの高さが川内自身が売りだろう。それを安易にどうにかしていいのか?」

神通「それはそうなんですが、川内姉さん1人の為に艦隊を犠牲にしては本末転倒です」

那珂「モチベーションの高さを維持しつつ、夜に無駄騒ぎしないようにできないかなぁ」

サイファー「難しい問題だな。単純に騒がないようにするなら睡眠薬でも盛るか、夜戦に絶大な恐怖を与えるとか方法はあるが…」

那珂「恐怖……。それだ!」

神通「何か良い案が?」

那珂「サイファー提督!川内ちゃんと夜戦訓練してくれない?」

サイファー「なんでそうなるんだ」

那珂「深海棲艦相手に恐怖を覚えたらダメダメだけど、サイファー提督なら鎮守府にいるんだし、夜騒いだらサイファー提督がお仕置きしにくるぞー!ってなればいいんだよ」

神通「秋田のなまはげみたいですね」



281: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:39:08.88ID:T5g/ydUZo

サイファー「ふむ。しかしどこまでやればいいんだ?ミサイルを撃ち込んだら確実に川内自身が沈むぞ」

那珂「う~ん、前に摩耶さん達との対空演習に使ったシステムを使ってみるとか?」

サイファー「あれは撃沈判定にしたら偽装が動かなくなる程度だ。単純に敗北したと明確にするだけだぞ」

那珂「そっか。動きを止めるだけじゃダメだよね」

神通「なら逃げ回るしかない状況にすればよろしいのではないでしょうか」

サイファー「艤装は動かない。しかし敵からは攻撃が止まない。悪く言えば一方的ななぶり殺しに近い状況にするということか」

神通「命からがらの状況になれば流石にサイファー提督に恐怖を覚えると思います」

那珂「それにサイファー提督にはスーパーホーネットがあるんだし、簡単には捉えられないはずだよね」

サイファー「流石にこんなことに震電Ⅱを使うわけにはいかんからな」

那珂「よし決まり!明石さんに相談してくるね!」

神通「私も行きます。きちんと事情を説明しないと」

サイファー「なら俺は烈風達に相談してこよう。上手くいけば効率が上がるかもしれんからな」

那珂「それじゃ細かいことが決まったら作戦決行だね」

神通「上手くいけばいいんですが…」

サイファー「なに、俺も長年空を飛んできたパイロットだ。なんとかしてやるさ」


―――――
―――



282: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:39:35.45ID:T5g/ydUZo

―水面下で作戦を進めていくサイファー、神通、那珂。この話は川内以外に伝わり、日頃から川内の騒ぎにうんざりしていた鎮守府の面々から全面的なバックアップを受けることとなった―


彗星妖精「JDAMでわざと外して川内さんの近くで爆発させるとかどうかな~」

彩雲妖精「それだと爆風で川内さん吹っ飛ばない?」

彗星妖精「ちゃんと距離は計算するって~」

流星妖精「対艦ではなく対空ミサイルを使いましょう。意図的にロックを外せば逸らすのは難しくありませんから」

サイファー「それで当たったらまずいだろ」

烈風妖精「火薬の量を減らせばいいのよ。万が一当たっても沈めなければいいのよ」

サイファー「…お前ら、案外物騒だな」


―――


神通「明石さん、どうですか?お願いした物は出来ましたか?」

明石「さっき完成しましたよ。ちょっと改良するだけですからそんなに難しくはありませんから」

夕張「まぁ川内のバカ騒ぎはみんなどうにかしたいと思ってたからね。きちんと撃沈判定になっても動力機関はバッチリ動くようにしたわ」

明石「ただ、それだと違和感があるだろうと思って最大速度は出せないようにはしてます。機関出力が少し落ちる仕様にしてます」

那珂「流石だね!これなら川内ちゃんにきっちりお仕置きできるね!」

明石「あとはサイファー提督次第ですね」

夕張「ま、それは大丈夫なんじゃない?あの円卓の鬼神なんだから」


―――



283: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:40:12.55ID:T5g/ydUZo

―そして作戦決行の日がやってきた。何も知らない川内はいつものように騒ぎ出していた―


川内「夜だー!夜戦だー!夜戦しよーよー!」

那珂「川内ちゃんうるさいよ!夜にそんなに騒いだら迷惑だよ」

川内「だって夜だよ!?夜戦の時間じゃん!夜戦やろうよー!」

神通「川内姉さん、そんなに夜戦がしたいですか?」

川内「なになに!?神通付き合ってくれるの!?」

神通「ええ、とは言っても相手は私じゃありません。川内姉さんにピッタリの相手にお願いしてます」

川内「ふぅん、強いのかな?ま、いいや。じゃあ案内してよ!」

神通「わかりました。では行きましょう」



バタン



那珂「こちら那珂ちゃんよりサイファー提督へ。川内ちゃんと神通ちゃんが出ました」

サイファー『了解した。こちらも離陸準備に入る。神通からの連絡が入り次第作戦を決行する』

那珂「川内ちゃんにキッチリお仕置きしてあげちゃってね!」

サイファー『ああ、わかっている』


―――――
―――



284: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:40:41.15ID:T5g/ydUZo

川内「えーっと、この書いてある場所に向かえばいいんだね?」

神通「はい。開戦の合図はこちらから送りますのでその場所で待機していてください」

川内「相手は誰かなぁ。能代かな?それとも愛宕さんか足柄さんかな?まさか大和さんだったり!?」

神通「それは秘密です。川内姉さんがきっと満足する相手のはずです。楽しみに待っていてください」

川内「もったいぶるねぇ。まいっか。川内、出撃するよ!」バシャァァァァ



神通「…川内姉さんは行きましたね」

神通「こちら神通よりサイファー提督へ。川内姉さんは目標地点に向かいました。サイファー提督、あとはお願いします」


――――――


サイファー「さてと…」

烈風妖精「あまり乗り気じゃないみたいね」

サイファー「そりゃそうだろ。どう考えても一方的な暴力だ。そんな作戦に気乗りするわけないだろ」

彩雲妖精「でもこれは躾よ!ダメ犬ならぬダメ艦娘もキッチリ躾けないと」

サイファー「お前ら、川内に怨みでもあるのか?」

流星妖精「まぁどこかしらで夜戦夜戦と叫んで、その声で起きることはありますが」

彗星妖精「ま、安眠妨害されたことはあるね~」

烈風妖精「1回きちんとわからせてあげる必要はあるわ。これは暴力じゃないわ。悪いことをした罰よ」

サイファー(間違って沈めたりしないだろうな、こいつら…)



285: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:41:12.57ID:T5g/ydUZo



ザザッ



神通『こちら神通よりサイファー提督へ。川内姉さんは目標地点に向かいました。サイファー提督、あとはお願いします』

サイファー「了解した。こちらも作戦海域に向かう」

烈風妖精「サイファー、下手な手加減はいらないわ。加減はこっちで調整するからサイファーはいつも通り飛べばいいわ」

サイファー「わかってる。間違っても沈めるんじゃないぞ」



サイファー「離陸開始地点到達。スーパーホーネット、出るぞ!」ヒュィィィゴォォォォォ

サイファー「やれやれ、嫌な役割だぜまったく。さっさと終わらせるぞ!」


<System Pixy Standby>ピピッ!


彩雲妖精「川内さんが目標地点に到達したみたいよ」

サイファー「了解だ。サイファーより神通へ。川内に開始のGOサインを送れ。こちらはいつでもいける」

神通『了解しました!』

サイファー「オペレーション・サイレントナイト、START!」


―――――
―――



286: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:41:38.89ID:T5g/ydUZo

川内「さて、指定された場所に到着っと!相手は誰かなぁ」

神通『川内姉さん、相手の方は準備が整っています。演習を開始してください』

川内「了解!さて、お楽しみの夜戦といきますか!」


―開戦の合図を受けた川内は相手の出方を探るように動き出した―


川内「さぁて、相手は誰かn」


フォォォン


ドォォォォン


川内「…え?は?ミサイル!?なんで!?」


――――――



287: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:42:04.89ID:T5g/ydUZo

彩雲妖精「開始の合図は送られたようね。川内さんが動き出したわ」

烈風妖精「相手の懐に飛び込むために様子を伺っているという感じね。上手く回りこめるように立ち回っているわね」

彗星妖精「この辺は流石だね~」

流星妖精「ですが、今回は相手が悪かったということです!サイファー、脅しの1発を発射しますよ!」

サイファー「当てるんじゃないぞ!AMRAAM、Fire!」カチッ

流星妖精「当然です!AMRAAM発射!」バシュゥン


―発射したAMRAAMは川内の直ぐ横を猛スピードで通過し、海面より出ていた岩に直撃し爆発―


流星妖精「AMRAAMは川内さんの横を通過して岩に直撃しました!川内さんへの被害はありません!」

サイファー「当たり前だ。被害が出たら作戦は失敗だ。このまま接近して川内の艤装を無力化するぞ。川内の視認範囲に入る!」


『了解!』


――――――



288: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:42:31.31ID:T5g/ydUZo

川内「なんでミサイルが飛んでくるの!?え、まさか演習の相手ってサイファー提督なの!?」

川内「ていうか摩耶さん達との演習の時はミサイルが飛んでなかったはずだよね!なんでそれなのにミサイルが!?」

川内「ちょっと神通!どうなってるのこれ!演習の相手がサイファー提督だなんて聞いてないよ!」

神通『ですから言ったじゃありませんか。川内姉さんにピッタリのお相手だと』

川内「単艦でどうやって挑めって言うのよ!無茶苦茶だよこれじゃ!」

那珂『普段から夜戦夜戦って川内ちゃんは騒ぎすぎなんだよ~!だからサイファー提督にお願いしてお仕置きをしてもらうことにしたの』

川内「無理無理無理!ミサイルが飛んできたんだよ!?これじゃ私沈んじゃうよ!」

神通『川内姉さん、演習に集中してください。サイファー提督は待ってくれませんよ』

川内「そんなこと言ったって…。来た!本当にサイファー提督のスーパーホーネットじゃない!」

川内「くっそ~!こうなったらやれるだけやるしかないか!喰ら…」ガクン

川内「え?艤装が動かない!撃沈判定!?早すぎるって!」

川内「も~、もうおしまいかぁ。まぁでも沈められなかったから助かっt」



フォォォン


ドォォォォン


川内「ちょ、ちょっと!勝敗はもう決まったって!なんでミサイル撃ってくるの!?」


――――――



289: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:42:57.98ID:T5g/ydUZo

彩雲妖精「まもなく川内さんの視認範囲よ!サイファー、間違っても落とされないでね」

サイファー「わかってる。川内がこちらを砲撃してくる前に片付ける」

流星妖精「ミサイル準備完了!いつでもいけます!」

彩雲妖精「川内さんの距離に入ったわ!」

サイファー「よし、ミサイルを擬似発射!川内を撃沈判定にする」ピッピッカチッ

彩雲妖精「撃沈判定よ!これで川内さんの艤装は動かないわ」

サイファー「この距離なら大丈夫だろう。流星、当てるなよ!」カチッ

流星妖精「了解です!サイドワインダー、発射!」バシュゥン


フォォォン


ドォォォォン


烈風妖精「川内さんは混乱してるみたいね。少し可哀想かしら」

サイファー「いや、これを提案したのお前らだからな?」


――――――



290: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:43:37.90ID:T5g/ydUZo

川内「いやぁぁぁぁ!」



フォォン…ドォォォォン



川内「ちょっと待っててばー!」



ドガガガガガ



川内「ごめんなさーい!もう騒ぎませんからー!」



ヒュゥゥゥゥゥン……ドォォォォン



川内「もう夜に叫んだりしないから誰か助けてー!」



ドォォォォンドォンドォォォォン


―――――
―――



291: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:44:04.37ID:T5g/ydUZo

―ブイン基地―


神通「おかえりなさい、川内姉さん。どうでしたか?夜戦演習は」

川内「キシンコワイキシンコワイキシンコワイキシンコワイ…」ブツブツ

那珂「効果てき面だったみたいだね!」

神通「川内姉さん、これに懲りたらもう夜中に騒いだりしないでくださいね」

那珂「騒いだらまたサイファー提督にお仕置きしてもらうからね☆」

川内「サイファー提督との夜戦は嫌サイファー提督との夜戦は嫌サイファー提督との夜戦は…」ガタガタ


ザッザッザッザッ


サイファー「どうやら一応無傷のようだな」

川内「ひっ!」

サイファー「これに懲りたらもう夜中に騒ぐんじゃないぞ」

川内「は、はい!肝に銘じます!」



292: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:44:31.41ID:T5g/ydUZo

サイファー「神通と那珂に感謝しておけ。2人は川内を心配して俺の元に相談に来たんだ」

川内「え?どういう…」

サイファー「このまま騒ぎ続けて基地の雰囲気を悪くしてお前が嫌われてしまえば、艦隊の連携どころか仲間から見捨てられてお前が沈むことになる可能性があるからだ」

サイファー「川内の夜戦に対するモチベーションの高さは2人も評価している。だが節度を弁えて皆を守るためにその力を使えということだ」

サイファー「お前が孤立してしまったら皆を守るどころかこの2人を悲しませることになる。それを未然に防ぐ提案を俺に持ちかけてきたんだ」

川内「神通…那珂…」

サイファー「夜戦が好きなのは別に構わん。だがその好意の発し方を少し考えてみろ。お前にはたくさんの仲間と神通と那珂という妹がいる」

サイファー「お前が戦うのは何のためだ?夜戦をするだけのためか?それを今一度考えてみることだ」

川内「…はい」

サイファー「じゃあ俺は戻るぞ。お前達ももう休め。3人は明日はオフにしておく」


『はい!』


サイファー「じゃあな」


ザッザッザッザッ…



293: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/23(日) 13:44:57.56ID:T5g/ydUZo

神通「川内姉さん、私達も帰りましょう」

那珂「そうだよ!夜更かしは美容の大敵なんだから」

川内「…神通、那珂、ゴメン!私気づかなかった。2人が色々考えてくれてたなんて」

神通「いいんですよ。わかってもらえたらそれでいいんです」

那珂「そうだよ~!そりゃ安眠妨害されてちょ~っとあれかな~って思うところはあったけど、川内ちゃんが独りぼっちになっちゃう方が嫌だもんね」

川内「神通…那珂…。よ~し!2人を悲しませないためにも頑張るぞー!まずはやっぱり夜戦で特訓かなぁ!?」

神通「本当にわかってるんでしょうか…」

那珂「こりゃもう1回サイファー提督にお願いしたほうがいいかも」

川内「あっ…。いや、サイファー提督は勘弁して!もうあんな目に合うのは嫌!」

神通「じゃあ今日はもう大人しく寝ましょうか」

川内「は~い。へへっ、2人ともありがとね!」


―――――
―――



298: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:24:21.23ID:WEyL099Po

   ―人の希望と人の業―


―震電Ⅱを使った実戦テストを本格的に開始したサイファーは、今まで以上に出撃を繰り返し、着実に戦果を上げていた―


サイファー「ふぅ…」

ピクシー「よう相棒、まだ生きてるか?」

サイファー「当たり前だ。死んでたらここにゃいねぇだろ」

ピクシー「ま、そうだな。しっかし今日も相棒の1人舞台だったな。お前の艦隊が「到着する頃には終わってて出番が無い」って呆れてたぜ」

サイファー「出来る限り使えそうなデータを収集できるようにしてるつもりで飛んでるからな。どうしても最前線に躍り出ちまう」

ピクシー「妖精積んで深海棲艦相手に戦ってるとは研究チームは夢にも思ってねぇだろうがな」

サイファー「その部分はフィードバック出来んだろうな。だがそれ以外ならデータとして使えるだろう」

ピクシー「お前の飛び方を参考に出来るやつなんているのか甚だ疑問だけどな」

サイファー「世の中は広いもんだ。リボン付きやラーズグリーズみたいなやつだっているんだからよ」

ピクシー「まぁパイロットにとっちゃいい勉強にはなるだろうよ」


扶桑「お疲れさまですサイファー提督。お飲み物をご用意しました。どうぞ」

サイファー「ああ、ありがとな。頂くぜ」

扶桑「ピクシーさんもどうぞ」

ピクシー「サンキュー。ありがたく頂くぜ」



299: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:24:50.42ID:WEyL099Po

扶桑「今日もサイファー提督が大活躍されたようですね。皆さんが燃料しか減らないってぼやいてましたよ」

サイファー「あくまで震電Ⅱの量産開発のためのテストだからな。そのためには出来る限り多く戦う必要がある」

ピクシー「1度サイファー機にカメラ載せて撮影してみたけどよ、相変わらずえげつねぇ飛び方してやがるぜ」

扶桑「空母の方々も彩雲を飛ばして実際にサイファー提督の戦いを見てみたそうですが、開いた口が塞がらないと言ってましたよ」

サイファー「そんなに無茶な飛び方はしてないつもりなんだがな」

ピクシー「お前の普通が無茶苦茶なんだっつうの。自覚症状が無ぇってのは質悪ぃぜ、相棒」

扶桑「妖精さん達はよく耐えられますね」

烈風妖精「もう慣れたわ。正直今更かしら」

彩雲妖精「最初の頃は命を預けるのが怖いと思ったけど、あれがサイファーにとっての普通なんだって解ったら自然と慣れるものね」

流星妖精「正直、今までの自分達の飛び方はなんだったのかと自分たちの戦術を全否定されたようでしたが…」

サイファー「レシプロ機にはレシプロ機の飛び方があるだろ。旋回性の高さを生かした飛び方をするのがレシプロ機の基本だろ」

彗星妖精「ジェット機なのにレシプロ機ばりに振り回すサイファーがそれを言っても説得力ないよ~」

扶桑「よく旋回Gで意識飛びませんね」

サイファー「自分の限界は把握してるつもりだ。その限界を超えないように飛べば問題無い」

ピクシー「何Gまで耐えられるか1度テストしてみる必要があるかもな」

サイファー「意識飛んだら墜落するだろ」



300: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:25:25.97ID:WEyL099Po

ピクシー「しかし、実戦テストも大詰めだな。どうだ相棒、震電Ⅱをこのまま持っていたくなってんじゃねえか?」

サイファー「そうだな。持っていて損は無い機体だが、使いどころに困るってのが本音だな」

ピクシー「まぁ迎撃機だしな」

扶桑「やはりサイファー提督はイーグルの方がよろしいのですか?」

サイファー「そりゃそうだ。慣れ親しんだ機体なら機体の性能を100%引き出せるからな」

ピクシー「お前の場合は100%じゃ済んでねぇ気がするけどな」

扶桑「やはりサイファー提督とイーグルの組み合わせになれば凄まじい物なんでしょうか」

ピクシー「今はわからねぇけど、ベルカ戦争の時はモルガン引っ張り出さねぇと正面からやり合う気にはならなかったな」

扶桑「そ、そんなに凄まじかったんですか…」

ピクシー「扶桑もB7Rの戦いは知ってるんだろ?あんなの俺が同じ機体使っても出来る気がしねぇよ」

サイファー「よく言うぜ。お前も大概だろ」

ピクシー「相棒ほどぶっ飛んじゃいねぇよ」


ザッザッザッ


あきつ丸「こちらにおられましたか。ピクシー殿、サイファー殿、少し見てほしいものがあるのであります」

ピクシー「どうしたあきつ丸?震電Ⅱにバグでも見つかったのか?」

あきつ丸「いえ、そのような物ではないのでありますが、ある意味バグよりやっかいなものかと」



301: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:25:57.80ID:WEyL099Po

ピクシー「なんだよ、ハッキリしねぇな」

あきつ丸「現物を見ていただけたらわかるのであります。これなのですが…」


―そう言うとあきつ丸は堅固な造りの大きいケースを差し出した。厳重に管理されていると誰の目から見ても判るほどである―


ピクシー「なんだこの箱?えらくガッチガチに管理してんな」

サイファー「機密情報なのか?俺が見ても大丈夫なのか?」

あきつ丸「はい。むしろ司令官レベルの者でないと見られない物と思っていただけるとありがたいであります」

扶桑「では私は席を外しますね」

あきつ丸「いえ、扶桑さんがいらっしゃるなら逆に都合がいいであります。扶桑さん、いつでも瑞雲を出せるようにしていてほしいのであります」

扶桑「それは…構わないけど…」

ピクシー「おいおい。てことは相当危ねぇ代物ってことじゃねぇか。大丈夫なのかよ」

あきつ丸「一応冷凍保存の状態にしているので稼動することはないでありますが、念のためであります」

サイファー「一体何を持ってきたんだ?」

あきつ丸「では開けるであります。扶桑さん、警戒をお願いするであります」

扶桑「わかったわ」


―あきつ丸はその堅固な造りのケースを開けた。中には目を疑う物が凍らされて保管されていた―


あきつ丸「サイファー殿が撃墜した代物なので一応稼動する心配は無いと思われますが、念のために冷凍しているであります」



302: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:26:23.74ID:WEyL099Po

ピクシー「おいおい!なんつうもん鹵獲してやがんだよ」

サイファー「確かに俺が撃墜したであろうやつだな。手応えはあったから動くとは思えんが」

ピクシー「強襲揚陸艦だからってこんなもん持ってくるなんて予想外だぜ。なんだって深海棲艦の艦載機を持って帰ってきちまったんだよ」


―中には深海棲艦の艦載機が保管されいてた。サイファーが出撃した際に撃墜した艦載機をあきつ丸が持ち帰ってきたのであった―


扶桑「よく騒ぎになりませんでしたね。戻るまで動かなかったのかしら」

あきつ丸「はい。サイファー殿が申されたように確かに撃墜されたもので、再起動する気配は無かったであります」

ピクシー「これ、爆発したりしねぇだろうな」

あきつ丸「その心配は無いと思うであります。それに爆発しそうなら陸奥さんか大鳳さんを呼んでいるであります」

ピクシー「シレッと酷ぇこと言ってんな」

サイファー「で、これを俺達に見せに来たということは、こいつの処分をどうするか判断しろってことだろ?」

あきつ丸「そうであります」

ピクシー「廃棄するにしたって燃えないゴミの日にポイッはまずいしなぁ」



303: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:26:56.93ID:WEyL099Po

サイファー「だったら大本営に持ち帰ったらどうだ?敵の情報が手に入るなら手放しで喜ぶだろう」

ピクシー「そうだな。ま、端からそのつもりだけどよ。けどもう少しサンプルが欲しいところだな」

扶桑「深海棲艦の艦載機には新型の艦載機もあります。皆はたこやきと呼んでますが」

サイファー「あの耳が付いて口が開いてる白くて丸いやつだったな」

ピクシー「あれは見た目から不気味だよなぁ。あれ落とせるか、相棒?」

サイファー「出くわせば必然的に撃墜することになるな。扶桑、現在その艦載機を飛ばしてくる奴が主に出現するエリアはわかるか?」

扶桑「はい。執務室に資料がありますので、それを見ればだいたいは…」

ピクシー「…決まりだな。最終テストはそこだ」

サイファー「俺が艦載機を撃ち落して、それを艦隊が回収する。ただ、こっちも余裕があるわけではないからな。原型を留めないレベルで撃墜しても文句言うなよ」

ピクシー「そこはあえて期待させてもらうぜ、相棒」

サイファー「無茶言ってくれるぜ」


―――――
―――



304: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:27:26.97ID:WEyL099Po

―ヒトロクマルマル、執務室―


―執務室では扶桑が用意した資料を元に震電Ⅱの最終テストに向けて話し合っていた―


サイファー「北方方面か」

扶桑「はい。その周辺で新型の艦載機を向けてくる敵と遭遇しているケースが一番多くなっています」

ピクシー「しっかしよく撮影出来たもんだな」

大淀「敵の資料が多いに越したことはありませんから」

サイファー「遭遇率はどれぐらいだ?」

大淀「だいたいですが、およそ70%近い確率かと」

サイファー「かなり高い頻度だな」

扶桑「私達もこの艦載機相手には苦渋を舐めさせられることが多いですから」

ピクシー「なら震電Ⅱの最終テストは北方方面で決定だな」



305: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:27:56.70ID:WEyL099Po

扶桑「ただ、一つ問題があります」

サイファー「なんだ?」

扶桑「敵が…その艦載機を飛ばしてくる敵の姿が幼いんです」

サイファー「どういうことだ?」

扶桑「大淀さん」

大淀「はい。新型艦載機を使用してくる北方方面の敵の姿がこれになります」スッ


―そう言って北方棲姫の写真を出した大淀。その姿を見たサイファーとピクシーは驚きを隠せなかった―


サイファー「なっ…!まだ子供じゃないか!」

ピクシー「おいおい!いくらなんでもこいつ相手にやれなんてきっついぜこりゃ」

扶桑「しかしその戦闘能力は他の深海棲艦に比べて非常に高いものとなっています」

大淀「一説では人間側の良心を狙ったものではないかとも言われています」

ピクシー「…やれるのか、相棒?」

サイファー「空ではともかく、陸上なら少年兵もいる。テロ組織となれば珍しくも無い話だ。戦場に居れば残念ながら大人も子供の関係無くなる」

サイファー「今回は相手が判明している分、若干やりにくいとは思うが出来ない話ではない」

サイファー「それに相手は民間人ではない。やれるかやれないかじゃない。やるしかないんだ」



306: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:28:27.42ID:WEyL099Po

ピクシー「そう言うと思ったよ。今回は俺も出る。サイファー1人に罪悪感背負わせるわけにゃいかねぇからな」

サイファー「しかしお前の震電Ⅱではやつらに対抗出来んぞ」

ピクシー「なに、俺のでも囮にはなるだろ。それにレーダーの情報は共有出来るんだ。相手の位置さえわかってりゃ落とされることはねぇよ」

サイファー「わかった。だが気をつけろよ」

ピクシー「わかってんよ。にしてもなんだってたこやきって呼ばれてんだ?つぅか、たこやきってなんだ?」

大淀「ピクシーさん、サイファー提督より日本に所属して長いはずですが、たこやきをご存知ないのですか?」

ピクシー「ああ、なんせ空戦の指導やら震電Ⅱの開発テストやらで忙しくて遊べる機会なんてそうそうなかったからな」

サイファー「たこの頭の形状に似ているからじゃないのか?」

扶桑「あの…、たこやきと言うのはですね…」



バァン!



黒潮「たこやきと聞いて黒潮参上や!」

龍驤「たこやきのことならうちらにお任せやで!」

サイファー「お前ら、ノックぐらいしろ」



307: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:29:10.53ID:WEyL099Po

龍驤「いや~たこやき知らへんなんて言葉聞こえてきたもんやからつい」

黒潮「あかんでぇ!たこやき知らへんやなんて人生7割は損しとるでぇ!」

ピクシー「そ、そんなに凄ぇもんなんかよ」

大淀「ピクシーさん、真面目に受け取らないでください」

龍驤「日本の台所大阪の代表的なソウルフード!これを知らへんなんて許されへん!うちらがしっかり叩き込んだる!」

サイファー「お前はそもそも横浜で生まれて横須賀で完成された軽空母だろうが」

黒潮「まぁまぁ、細かいこと言いなや。ごっつ旨いもんやからサイファー司令はんとピクシーはんに食わしたるさかいに」

サイファー「そんなに直ぐに用意出来る食べ物なのか?」

黒潮「まぁ材料さえあれば案外チャチャッと作れるで。あとはたこやき機があるかどうかやけどな」

龍驤「たこやき落とすんやったら景気付けにたこやき食ぅたらええねん!縁起担ぐんも悪ぅないで」

ピクシー「ま、悪くはねぇな。俺は賛成だぜ」

サイファー「…まぁいいだろ。鳳翔達に言ってキッチンの使用許可はもらっておけよ」



308: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:29:36.94ID:WEyL099Po

黒潮「よっしゃ!ほないっちょやったるで!」

龍驤「他の大阪出身の艦娘集めりゃ全員の分作るんも難しないから声かけとくわ」

扶桑「大阪というより神戸のはずでは…」

黒潮「扶桑はん、細(こま)いことは言いっこなしですわ。ほな準備開始やで!」



バタン



ピクシー「相変わらずお前の部下は面白ぇやつばっかだな、相棒」

サイファー「変な誤解するのはやめてくれ」

大淀「しかしよろしかったのですか?」

サイファー「普段からこうでは締まらんが、たまにハメを外してガス抜きするのは悪くない。根を詰めすぎればいつかは破裂するからな」

ピクシー「常日頃からONになりっぱなしじゃ肝心なときに100%の力は発揮しねぇ。適度にOFFにしねぇと精神からやられちまう」

扶桑「飴と鞭…ですか」



309: ◆Q8foA/1VQQ 2015/08/30(日) 17:30:03.51ID:WEyL099Po

サイファー「まぁそんなところだな。人も艦娘も限界を高めるのは良いことだが、そのために張り詰めて実用パワーバンドが狭まっては意味が無いからな」

ピクシー「状況に応じて最高の結果を出すためにはフルパワーである必要が無いことも珍しくはないからな」

サイファー「限界が高けりゃいいってわけじゃない。力を状況に応じてワイドに使えるだけの余裕が必要だ」

大淀「そういうお考えがあってのことなんですね」

ピクシー「そういうこった」

サイファー「大淀も今日は肩の力を抜いて楽しめばいい。扶桑、あいつらのサポートを頼めるか?」

扶桑「お任せください。私は呉出身なのであの子達ほど上手くはありませんが、基本的な事は出来ますので」

大淀「そんなに難しいものではなかったような…」

サイファー「扶桑も肩肘張る必要はない。せいぜいあいつらが無茶をしないよう監視するぐらいでいい」

扶桑「わかりました」

サイファー「…あいつら、無茶しない…よな?」


―――――
―――



314: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:44:01.79ID:UZxYDT+xo

―食堂―


龍驤「よっしゃ、みんな座ったな。ほなたこ焼きパーティー始めよか!」

黒潮「作り方に困ったら近くにおる神戸出身の艦娘に聞けばよろしからな~!」

ピクシー「なぁ相棒、お前たこやきの作り方わかるか?」

サイファー「知るわけないだろ」

黒潮「司令はんたちにはうちらが直々に伝授したるさかい、心配せんでもええで」

龍驤「一口にたこやき言うても最近ではソースに種類が増えてな。シンプルやけど色々楽しみ方があるんやで」

サイファー「この丸いくぼみが開いた鉄板で焼くのか」

黒潮「せや。焼き加減ちゃんと管理せんと、焼きすぎて堅ぁなったり逆に焼き足りんくてグズグズになってもうたりするからそこは熟練の勘がいるんやで」

サイファー「熟練の勘…なぁ」

ピクシー「案外お前ならいけるんじゃねぇか?」

サイファー「バカ言え。空戦なら兎も角、料理の加減なんかそこまでわからん」

扶桑「サイファー提督は自炊されないんですか?」

サイファー「いや、大体は自炊している。ただ日本の料理ってのはどうも複雑怪奇でな」

山城「慣れればさほど難しくはないですよ。比叡と磯風が絡むと不幸なことになるんですが…」

ピクシー「ただ、どうしても簡単に早く作れるもんに頼っちまうよな。スクランブルとかあるとせっかく作った飯が冷めちまうからな」



315: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:44:28.18ID:UZxYDT+xo

扶桑「サイファー提督はどういった料理が得意なんですか?」

サイファー「そうだな…。エメリアに居た時に覚えたエメリア料理だな。あれは簡単で直ぐに作れるから重宝したな」

山城「エメリア料理と聞くと逆に凝ってそうですが。彩りとか見ると複雑そうで」

サイファー「それは食材次第だな。エメリア料理は基本的にナス、オリーブ、トマトの使い方を覚えれば7割近い料理を美味しく作れる」


※実際のイタリア料理もナス、オリーブ、トマトの使い方をマスターすると7割近い料理を美味しく作れるそうです


山城「はぁ…。そういうもんなんですか」

ピクシー「まぁスピードならアネア料理が一番だろうな。スピード命の料理だが、ただ料理するための機材がな…」

龍驤「たこやき作っとる時になんでエメリアとかアネア料理の話しとんねん!」

黒潮「焼き具合もええ感じやからそろそろひっくり返そか」

サイファー「ひっくり返す?上に同じ鉄板でも用意してひっくり返すのか?」

龍驤「なんでんなアホなことせなあかんねん。これや、これを使って返すんや」

ピクシー「アイスピック?そんなもん使うのか」

黒潮「ちゃうちゃう。まぁ形は似たようなもんやけど」

山城「こう使うんですよ」ヒョイクルヒョイクルオリョクルヒョイクル

龍驤「ほ~。山城なかなか上手いなぁ」

扶桑「たまにたこ焼き作ることがあって、山城がよくやってくれるのよ」

山城「姉様以外の人にたこ焼き作るなんて…不幸だわ」



316: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:44:58.05ID:UZxYDT+xo

黒潮「ほなここは山城はんに任せても大丈夫そうやなぁ」

龍驤「ほなうちらは他見てこよか。あかんことになってるところがあるっぽいしな」チラ


<ヒエー!形がグズグズにー!

<タコ=魚介ならこの魚介スープの元を入れればもっと美味しくなるはずだろう。この磯風に任せt

<やめて!誰か止めて!スクランブル発生!抑止の為の緊急発進急げ!


黒潮「ありゃあかん!龍驤はん、急ぎまっせ!」

龍驤「せ、せやな。ほな山城、後は頼むわ!かけるもんは各々に任せたらええわ」

山城「はぁ…。仕方ないわね。でもあれを止めてこないと不幸が飛んできそうだし、今回だけは任されてあげるわ」

扶桑「ふふっ、山城嬉しそうね。山城も楽しそうでよかったわ」

山城「そんなことは…。姉様にそんな風に思われるだなんて…」


――――――



317: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:45:24.31ID:UZxYDT+xo

山城「サイファー提督、ピクシーさん、どうぞ」スッ

サイファー「あぁ、ありがとう」

ピクシー「サンキューな」

山城「姉様もどうぞ」

扶桑「ありがとう山城」

山城「ソースとマヨネーズはお好みでかけてください。姉様はいつものでよろしいですか?」

扶桑「ええ、お願いするわ。山城がやってくれるものは本当に美味しいから嬉しいわ」

山城「そんな、姉様のためですから」

扶桑「ふふっ、山城いつもありがとうね」

サイファー「ふむ、色々種類があるな。これだと少し迷うな」

ピクシー「ソースって言ってたからこのたこやきソースってのがスタンダードなんじゃねぇのか?」

扶桑「そうですね。まずはオーソドックスの物からいただけばよろしいと思いますよ」

山城「いきなり変わりソースから行って私の作ったものを不味くされたら不幸ですから」



318: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:45:50.29ID:UZxYDT+xo

サイファー「じゃあそうするか。マヨネーズとソースをかけてっと…」

ピクシー「この青海苔とかつおぶしはなんだ?これも使うのか?」

山城「それもお好みですが、降りかければより美味しくいただけます」

サイファー「そうか。じゃあそうするか」パッパッ

ピクシー「んじゃ、いただくとすっか」

扶桑「熱いので気をつけてくださいね」


サイファー「はむ…あふ(熱)っ!みふみふ(水水)っ!」

山城「いわんこっちゃないですね」

ピクシー「ハッハッハッ!焼いてんだから熱いことなんてわかってた話だろうに」

サイファー「だったらお前も食ってみろってんだ」

ピクシー「俺は同じ轍は踏まねぇよ。こう冷ましてっと」フーッ パクッ

ピクシー「あふ(熱)っ!あふあふっ!あいほう(相棒)!みふ(水)っ!」

サイファー「中が熱いんだよ。ほれ水だ」スッ

ピクシー「ングッングッ、あ~熱かったぜ。舌が火傷しちまったんじゃねえかな」

サイファー「同じ轍はなんだったか?」

ピクシー「悪かったな踏んじまってよ」



319: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:46:16.59ID:UZxYDT+xo

扶桑「ふふふっ」クスクス

サイファー「笑いやがって。悪かったな、たこやき初心者で」

扶桑「そうではありません。ただみんなで食事するのはやはり楽しいと思いまして」

ピクシー「そうだな。食事っつうのは楽しくなきゃいけねぇな」

サイファー「食事はコニュミケーションを取る上で最も効率がいい。打ち解けるのに一番早い方法だからな」

ピクシー「飯時ってのは一番リラックスできるからな。戦場のど真ん中だと話は別だけどよ」

サイファー「飯を人生での一番の楽しみにしてるやつだっているぐらいだ。食事はそれだけ重要だ」

山城「確かにそういった方もいますね。私も姉様と食事してる時は楽しいですし」

サイファー「この基地にも少なからずそういったやつもいるしな」


<このソースとマヨネーズの黄金比率!最高です!

<飽きのこないソースの種類の多さ。流石に気分が高揚します

<Oh、ダブルDyson

<食べるの早すぎ!焼きがおいつかないじゃない!


サイファー「あれは…例外としておこう」

ピクシー「すげぇなありゃ」



320: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:46:43.08ID:UZxYDT+xo

サイファー「しかし旨いな。こんなもんが日本にあったとはな」

ピクシー「しかもそんじょそこらでも売られてるってんだろ?なんで陸軍の連中は教えてくれなかったんだか」

隼鷹「たこ焼きの楽しみ方ってのはただ食べるだけじゃないんだぜ!」

千歳「たこ焼きとビール、これぞ至高の組み合わせですよ」

サイファー「出たな、アル中軽空母共」

隼鷹「そんな言い方すんなよ~!最っ高の飲み合わせなんだからさ~」

千歳「ピクシーさんもささっ、どうぞ一杯」

ピクシー「お、サンキュー」

サイファー「おいピクシー!」

ピクシー「いいじゃねぇかよ相棒。決めることは粗方決まったんだ。今日の仕事は終了だぜ」

サイファー「はぁ…。それでいいのかよ教官さんよ」

隼鷹「な~にため息ついてんだよサイファー提督ぅ!ほら、グイッといっちゃいなー!」ヒャッハー

サイファー「おいおい、俺はまだ色々と…」

扶桑「いいのではないでしょうか。方針は決まってますし、残りは明日以降に決めることですから」

山城「飲兵衛達に空気ぶち壊されて不幸なら、この山城、扶桑姉様と共に!」グイッ

サイファー「お、おい山城!」

扶桑「山城、一気飲みはダメよ」クイッ

サイファー「扶桑、お前もか」



321: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/06(日) 17:47:11.55ID:UZxYDT+xo

隼鷹「さぁて、逃げ場は無くなったぜサイファー提督」

千歳「ささっ、サイファー提督も一杯」

サイファー「…どうして俺はこうなることを想定出来なかったんだ、ったく」

ピクシー「たこやきが酒に合うものだって知らなかったんだからしょうがねぇんじゃねぇの?いいじゃねぇか別によ」

サイファー「そうか。お前はこの2人が酒で絡んできた時の惨劇を知らなかったな」

ピクシー「なんだ、そんなにやべぇのか?」

サイファー「ベルカの使った核クラスだ。辺り一体を巻き込むぞ」

ピクシー「そいつはやべぇな」

サイファー「ちょっと千代田と飛鷹を呼んでくる」

千歳「ちょ、ちょっと待ってください」

隼鷹「そいつはちょっとズルいんじゃね?サイファー提督」

サイファー「知るか!お前らにリミッターかけとかねぇと大惨事になるだろうが!」

ピクシー「まぁいいじゃねぇか相棒、とりあえず一杯いってからでよ」

千歳「ピクシーさん、わかってらっしゃいますね。流石です」

隼鷹「これで味方はいなくなったぜ、さぁ観念してグイッといっちゃいな~」

サイファー「ピクシー、怨むぜ本当によ」


―――――
―――



327: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:36:56.73ID:H0QzDKRdo

―フタサンマルマル時・サイファー自室―


サイファー「あー酷い目にあったぜ」

サイファー「たこ焼きは美味かったが酒飲み共がスイッチ入りやがったせいで大騒ぎになりやがったし…」



knock knock



サイファー「こんな時間に誰だ?どうぞ」



ガチャ



ピクシー「よぅ相棒、まだ生きてるか?」

サイファー「なんとかな。あいつらはどうした?」

ピクシー「あぁ、鳳翔に少し怒られてからバーに直行してたぜ」

サイファー「懲りねぇ奴らだ、まったく」



328: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:37:23.36ID:H0QzDKRdo

ピクシー「ところでよ、お前本当に大丈夫なのか?」

サイファー「なんのことだ?」

ピクシー「あの子供みてえな深海棲艦を倒すことだよ」

サイファー「…若干の戸惑いはある。だがやらねばなるまい」

ピクシー「本当に昔からなんでも背負っちまうな、お前はよ。期待も重圧もなんでもかんでもよ」

サイファー「俺に出来ることを最大限にやっているだけだ。背負っているつもりはない」

ピクシー「けど、それがお前に対しての過度な期待とプレッシャーになってんじゃねえのか?」

サイファー「勝手に向けられているものにまで構うつもりはない。俺は俺の仕事をするだけだ」

ピクシー「普通なら「強ぇなお前は」ってなるんだろうけどよ、俺には言葉とは逆に背負い込んでる様にしか見えねぇよ」

サイファー「侵略からの反撃の戦争だったとはいえ、核が使われた戦争の最前線にいたんだ。ベルカの苦し紛れの策で使われたが、俺がその要因の1つであったのは間違いない」

ピクシー「けどよ、サイファーが戦ってなけりゃウスティオはとっくにベルカに飲まれてたと思うぜ」

サイファー「確かにベルカの侵略は防いだ。だがその結果核が使われ、何も罪の無い民間人が犠牲になった」

サイファー「俺は今でも時々考えることがある。オーシア軍を含めた連合軍が加わった時点で手を引いたほうがよかったんじゃないかってな」



329: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:37:49.24ID:H0QzDKRdo

ピクシー「俺はサイファーに落とされた後に核の爆心地の街の人たちに助けられたって言ったよな」

サイファー「ああ、その話は聞いた」

ピクシー「あの街の人達は絶望こそしていたが、希望を持っていなかったわけじゃなかったぜ。ベルカの軍事政権から開放されてこれから平和な未来が待っているってな」

ピクシー「確かに色々な物を失っちまったけど、形ある物はいつか壊れる。けど壊れたならまた作ればいいんだってな」

ピクシー「壊される時間は終わった。これからは創る時間だって。お前は確かに破壊を止めたんだ」

サイファー「しかし、その代償はあまりにも大きかったはずだ」

ピクシー「確かにな。けどよ、あのままだったらもっと破壊されてたと思うぜ。最小限とは言わないが、最悪の事態は防いだのは確かだぜ」

サイファー「最悪の事態…か」

ピクシー「サイファーがやったことも、俺がやったこと、ベルカのやったこと、なにもかもが正しかったわけじゃない。誰もが自分の信じる正義があるだろ」

ピクシー「自分の正義を信じて戦う。そのためになにかしらの犠牲は発生する。結局の所は全部が全部正しいことなんてこの世に何一つとて無いんじゃねえか?」

サイファー「…そうだな。突き詰めれば何処かしらに必ずエゴは出る。けど自分を信じるしかねぇな」

ピクシー「お前だって金剛と榛名の嬢ちゃん達に言ったろ?迷うまで突き進めってよ」

サイファー「ああ、間違っていれば周りがなんとかしてくれる。その時は立ち止まって考えろってな」

ピクシー「自分で言ったことを自分で忘れてちゃ話になんねぇぜ、相棒」

サイファー「そうだな。これじゃ示しがつかねぇな」

ピクシー「今はお前だって仲間がいっぱいいるじゃねぇか。お前の背負ってるもんを少しはわけてやりな。お前の部下だってそれを望んでんじゃねぇか?」



330: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:38:15.41ID:H0QzDKRdo

サイファー「そういうお前はどうなんだ?」

ピクシー「ISAFにいたときも日本の陸軍にいる今も1人で背負い込むのは止めたぜ。仲間ってのはそういうもんだろ?」

サイファー「確かにな。いつのまにかお前は俺の先を行ってたんだな」

ピクシー「どっちがどう先とかじゃねぇと思うぜ。ただサイファーは色んな意味で強すぎたんだよ」

ピクシー「強すぎてあれもこれも出来ちまう。だから振り返る機会に恵まれなかっただけじゃねぇかと思うぜ、俺はよ」

サイファー「…ありがとな。気が楽になったぜ」

ピクシー「いいってことよ、相棒。そんじゃまた明日な」

サイファー「ああ」




バタン




サイファー「仲間…か」


―――――
―――



331: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:38:41.80ID:H0QzDKRdo

―翌日・マルキュウマルマル時・ブリーフィングルーム―


サイファー「みんな集まったな。これより今作戦を説明する」

サイファー「今作戦は敵艦載機の鹵獲を目的とした作戦だ。通常の殲滅戦とは違い、無駄な戦闘は極力避けるんだ」

サイファー「艦載機との直接の戦闘は俺が震電Ⅱで行う。皆は艦載機の発艦元である北方棲姫を護衛している艦隊の露払いをしてもらう」

サイファー「なお、今回はさきほども言った通り敵艦載機の鹵獲が目的だ。第1艦隊とは別に艦載機を鹵獲し持ち帰るための部隊がいる」

サイファー「これは陸軍のあきつ丸を筆頭とした部隊である。だが再起動し攻撃してくる可能性も考慮し、対空攻撃も可能な者にもついてもらう」

サイファー「第1、第2共に編成メンバーは配られているプリントに記載してある。今回出撃しないメンバーは基地の防衛に専念してもらう」

サイファー「また、それとは別に鹵獲した艦載機を保管するための物を用意してもらう部隊もいる。大本営には伝えてあるから指定されたポイントまで受け取りに行ってもらう」

サイファー「どの部隊も失敗は許されない。確実に成功させる必要がある。だが、無暗に命を投げ出す必要はない」

サイファー「細心の注意を払い、普段どおりの実力を発揮すれば出来ない任務ではない。以上だ。何か質問はあるか?」


赤城「はい」

サイファー「なんだ?」

赤城「敵艦載機との戦闘はサイファー提督が行い、私達がその護衛部隊の殲滅とありますが、本丸である北方棲姫はどうなさるおつもりですか?」

サイファー「北方棲姫とも俺が戦う。護衛部隊の殲滅が完了したら艦載機を鹵獲する第2艦隊の直衛に回ってもらう」



332: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:39:08.83ID:H0QzDKRdo

加賀「それは危険ではなくて?サイファー提督の実力が折り紙つきとは言え、私達も含めて各基地でも苦戦を強いられている相手。それを1人で相手をするのは無茶だと思うけど」

ピクシー「そこで俺の出番ってわけよ」

赤城「今回はピクシーさんも出られるんですか?」

ピクシー「俺の機体にはサイファー機に搭載されてる妖精の補正は無ぇけど、レーダーの情報は共有出来るからな。俺が敵を引きつける囮役になるってわけだ」

那智「しかしそれではピクシーが危険ではないのか?」

サイファー「こいつの実力なら問題は無い。相手の存在が見えていれば落とされることはないだろう」

ピクシー「そういうことだ。だから北方棲姫の相手は俺らに任せてもらって大丈夫ってわけだ」

サイファー「何か不測の事態が発生すればこちらから無線で呼ぶ。他に質問は無いか?…無いなら以上だ。皆、必ず生きてこの基地に戻るんだ。解散!」


―解散の声を聞いた艦娘達はそれぞれ作戦の為にブリーフィングルームを後にしていく。そしてサイファーとピクシーが残った―


ピクシー「本格的な作戦として一緒に飛ぶのは久しぶりだな、相棒」

サイファー「ああ、実戦テストでお前も飛んだが、あくまで観戦のポジションだったからな。…落とされるなよ」

ピクシー「誰に言ってんだよ、相棒。片翼の妖精と言われた俺が簡単に落とされるわけねぇだろ。けど俺は攻撃に転じれねぇからな。頼んだぜ、相棒」

サイファー「ああ、任せておけ」


―――――
―――



333: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:39:38.65ID:H0QzDKRdo

大淀「サイファー提督、艦隊の準備が整いました。発進の許可をお願いします」

サイファー「わかった。赤城、聞こえるな?」

赤城『はい!』

サイファー「くれぐれも無茶はするなよ。第1艦隊、発進を許可する!」

赤城「いつも無茶しているのはサイファー提督ですよ。第1艦隊、旗艦赤城、龍驤、扶桑、那智、摩耶、時雨、抜錨します!」


大淀「続いて第2艦隊、発進準備完了です」

ピクシー「あきつ丸、やばかったら周りに助けを求めろよ。陸軍だとか海軍だとか考えてたら命がいくつあっても足りねぇからな」

あきつ丸「了解であります!旗艦あきつ丸、加賀、隼鷹、古鷹、吹雪、夕立、発進するであります!」


大淀「保管、運搬用物資を受け取る遠征部隊も出撃準備完了しました!」

サイファー「ある意味でお前達の成果が作戦の最終的な成否になる。頼んだぞ!」

伊勢「任せておいて!サイファー提督こそ、無茶苦茶して皆を困らせたらダメですからね。旗艦伊勢、日向、利根、筑摩、雪風、時津風、出撃します!」


サイファー「これで全員出撃したな。俺達も行くか」

ピクシー「ああ、そうだな。にしてもお前、こう改めて見ると立派に司令官やってんなぁ」

サイファー「茶化すなよ。これも仕事だからな。大淀、あとは頼むぞ」

大淀「はい、了解です。サイファー提督、ピクシーさんもお気をつけて」

サイファー「ああ」


―――――
―――



334: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:40:05.41ID:H0QzDKRdo

サイファー「今回の作戦は頭に入ってるな?」

烈風妖精「当たり前よ。ただ、ピクシーさんを守りきるのはサイファーの腕次第ってことを忘れないでね」

サイファー「わかっている」

彩雲妖精「ちなみにピクシーさんの実力ってどれぐらいのものなの?」

サイファー「最後にやりあったときは(俺と)ほぼ互角だった。心配しなくても敵が見えていればあいつが落とされることは無い」

彗星妖精「ふ~ん。じゃあ大丈夫だね。あっちの震電Ⅱはピクシーさんそっくりな性格してるからちょっと心配だったけど、そういうことなら問題ないね」

流星妖精「危うくシステムをインストールしそうになってたからビックリしましたけどね」

サイファー「なにやってんだお前は。第一、インストールしてもあいつには使えないだろうが」

彗星妖精「さぁてね。案外使えちゃうかもしれないよ?」クスクス

サイファー「有り得ん話…でもないかもしれんがな」


大淀『サイファー提督、第1艦隊がポイントAを通過し、ポイントCに向かっています。サイファー提督、ピクシーさん、発進お願いします』

サイファー「さて、仕事の時間だ。ピクシー、行くぞ!」

ピクシー『ああ、んじゃ離陸開始するぜ!』



335: ◆Q8foA/1VQQ 2015/09/13(日) 01:40:31.96ID:H0QzDKRdo

ピクシー『ふぅ…ガルム2、震電Ⅱ、出るぜ!』ヒュィィィゴォォォォォォ…


大淀『ピクシー機、高度制限を解除します!続いてサイファー提督、発進どうぞ!』

サイファー「何考えてんだあいつは…まったく」

彗星妖精「せっかくだからノッてあげたら~?」ケラケラ

サイファー「…やれやれ」


サイファー「…ガルム1、震電Ⅱ、出るぞ!」ヒュィィィゴォォォォォォ…


大淀『ガルムワn…じゃない、サイファー機、高度制限を解除します。御武運を』


ピクシー『ヘヘッ』

サイファー「何笑ってやがる」

ピクシー『いや、なんでもねぇよ。さぁ行くぜ、相棒!』

サイファー「あぁ!」


―――――
―――



【艦これ】円卓の鬼神の海戦記【エスコンZERO】【その2】



元スレ
【艦これ】円卓の鬼神の海戦記【エスコンZERO】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435985096/
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