男「旅は楽しきものなり!」少女「なり!」
少女「暖かくて気持ちいいねーとけちゃうねー」テクテク
少女「今日はどこ行くー?」
男「こうやって町を歩いているだけでも楽しいけど・・・」
男「滝とかどうよwww」
少女「いいねー。行こ!」
少女「!」
ワー ヒトガオボレテルゾー テエヘンダー
少女「わ、何か騒ぎが起こってるみたいだよ!」
男「誰か川で溺れてるみたいだなー」
少女「そりゃ大変!」
男「と、いうことは・・・」
男「ここで一句」
少女「待ってました!」
昔の言葉づかいとか分からないから、そこの所もご勘弁を
男「ゴホン」
男「 溺れてる ヌレスケ無いのが 残念だ 」
少女「わー」パチパチ
少女「今日も絶好調だね!」
男「だろ?」
少女「溺れている人を心配するとともに、ついついヌレスケを
期待しちゃう男の心を見事に表してるよ!」
男「でへへー」
少女「溺れている人にも届けてあげたいねー」
男「さて、と」
男「じゃあ助けに行ってくるわ」
少女「気を付けてね!」
男「ほーい」
男(ったく何で誰も動こうとしねーんだよ)ビチョビチョ
女「ハア・・・ハア・・・ありがとうございます!」
女「本当に・・・何とお礼申し上げたら・・・」
男「いや、別に・・・」(うっひょおおおう!!着物がビッチリ体に
張り付いて眼福眼福wwwwww)
女「あの、お名前は・・・」
男「!」
男「・・・」
男「い、いや・・・本当にいいのでw」
男「それでは失礼!」 ダー
女「あ・・・」
女「行っちゃった・・・」ヌレスケー
男「今日は暖かいし、勝手に乾くさ」
少女「そっかー」
少女「で、何かお礼されたの?」
男「いやはやそんな奇跡が舞い降りるはずも無しwwww」
少女「・・・」
少女「まあ目立ちすぎるのも危険だしね!」
男「この近くでは・・・美の滝が近いな」
少女「じゃあ早速行こう!」
男「あ」
少女「?」
男「ふええ・・・着物びしょびしょで気持ち悪いよぉ・・・」
少女「ふええ・・・風邪はひかないでねぇ・・・」
男「~~~♪」
少女・男「~~~♪」
少女「!」クウー
少女「あ、あははー」
少女「おなかなっちゃたぁ///」
男「うーん、じゃああの茶屋で一服するか」
男「団子が名物だってよ」
少女「やったー」
主人「あいよっ名物のみたらし団子だ」ゴトッ
少女「うまうま~」モグモグ
男「・・・」モグモグ
少女「あれ、何も言わないの?」
男「人は美味いもの食べると、自然と寡黙になるのだよ」モグモグ
少女「へー」モグモグ
男「さて、と・・・」ズズー
少女「あ、男、私ちょっとお手洗いに行ってくるね!」タッ
男「ああ行っておいで」
男「!」
ゴロツキ「ワイワイ」ドカドカ
男(物騒な輩が歩いているな・・・)
男(・・・)
少女「長くなっちゃた~待たせちゃったね!」トテテ
男(!)
男「あ、向こうに綺麗な花が咲いていたから、場所をうつらない?」
少女「? うん」
男「・・・」ズズー
男「!」
ゴロツキ「ワイワイ」ドカドカ
男(物騒な輩が歩いているな・・・)
男(・・・)
少女「長くなっちゃた~待たせちゃったね!」トテテ
男(!)
男「あ、向こうに綺麗な花が咲いていたから、場所をうつらないか?」
少女「? うん」
男「うむ、なかなか美味しかったぞ」
主人「へへ、それは良かった。ではお支払いを・・・」
男「ああそうだな」
男「では一句」
主人「は?」
男「これが代金の代わりだ。受け取りな」ドヤア
主人「」
男「フンス」
少女「お~一日に二句もつくるなんて!男はやっぱり天才だね!」
男「照れるなぁ」
主人「いや・・・」
主人「いやいやいやいや」
主人「お金払えよおおお!!!」ドガッシャーン
主人「何だよその意味もねえクソみたいな
俳句はああああああ!!!」
男「って言ってますよ少女殿」
少女「全くもって意味が分かりませんな男殿」
主人「うわああ何だこいつらああ!」
男「さあ、逃げるぞ!」ダダー
少女「うん!」タター
主人「えちょっ・・・」
主人「えええええええ!?」
少女「ふああ、ハァ・・・疲れたぁ・・・ハァ・・・」
男「食後の運動って良いよな」ハア…
少女「そうだね」ハア…
男「ただ・・・」
少女「ただ?」
男「腹がとてつもなく揺すられる・・・うぷ」
少女「ええ!?男大丈夫!?」
男「っく、耐えろ、耐えるんだ・・・」
男「---っ」
少女 「ハラハラ」
男「ふう、・・・耐えた」
少女「良かったねー!」ホッ
男「と言っても目的地に走ってきたわけだし、もう少しだけどな」テクテク
少女「楽しみだなぁ」テクテク
男「あっ、おい、あそこに林が見えるだろ?
少女「見えるねぇ。何だか鬱蒼としておりますなー」
男「あれの中に入ってすぐだぞ」
少女「ほえー」
少女「水も綺麗だろうね、きっと」
男「まぁ有名になるくらいだしな
見た目だけではなくて、水も美味しいとか」
少女「飲んでみたいなー」
男「・・・」ガサガサ
少女「・・・」ガサガサ
~~~~~~~~
ガサッババッ
少女『きゃあっ』
男『おっと・・・』グイッ
男『蛇か。大丈夫か?怪我とかしてないな?』
少女『う、うん・・・///』
男『やはり林は少し危ない。しっかり俺に掴まってろ』
少女『じゃ、じゃあ・・・///』
男『ふふ、俺が守ってやるからな・・・』
~~~~~~~~
男「おい、どうした?聞こえているのか?おーい」
少女「・・・はっ・・・いや!何にもないの!ただの考え事!」
男「そうか、驚かすなよー」ハハ
男「何もなくて良かったよ」
少女「うん!」
少女(他人は怖い・・・でも男なら平気)
少女(だからこそこうやって一緒にいられる
・・・それってきっと幸せなことなんだよね)
少女「わー!大きいね!」
どどどどどど・・・
男「美の滝って言うから控えめかと思ったら」
どどどどどど・・・
男「結構激しく流れているんだな」
少女「だねー」
男「ここに美人になりたいって願い事をすると良いらしいぞ」
少女「へー」
願い事の必要はないな」
少女「うえっ!?///と、唐突だよ・・・」
男「景観だけでも十分楽しめるし、それだけでもここに来た
価値はあったな」
少女「そ、そうだね!男がそう言うなら、うん」
少女「ねえ、いつもみたいに俳句詠まないの?」
男「あー・・・」
男「言葉に言い表せない・・・みたいな?」
少女「えー」
男「と、とにかく!日が落ちる前にそろそろ戻るぞ」
男「泊まる場所を探さなきゃいけないだろ?」
少女「わかったよー・・・楽しみだったのにな」
男「じゃあ行くぞー」
少女「はーい」タタッ
男「はあ、今日も疲れたな」テクテク
少女「でも楽しかったなー」テクテク
男「もうすぐ今日が終わるな」
少女「だね」
男「別の町に来てしまったようだな」
少女「うん」
男「何か適当に歩いていたら知らない町に行く」
男「この予測不能さこそ旅だよな!」
少女「うん・・・」
男「って言っても足が限界」
少女「私もー・・・」
野宿してたからな・・・」
男「お前もたまにはゆっくり休みたいよな」
少女「うん」
男「うーん・・・今日は宿屋にでも泊まるか」
少女「えっ、やったー」パアアア
男「でも、大きい旅館とかはだめだぞー
小さいところに限るからな」
少女「・・・分かってるってばー」
男「うん?」
少女「またお金払わないの?茶屋の時みたいに」
男「まさか。ちゃんと払うぞ」
男「それにあれは、制裁みたいなモンだ」
少女「?」
少女「あった・・・ねえ。覚えてないけど」
男「立ち寄ってしばらくして、そこを見たらな」
少女「うんうん」
男「店の主人がシコってやがった」
少女「うん?え?シ・・・シコっ・・・?」
男「えー、あー・・・自慰してた」
男「しかも自分のアレ握った手で団子を・・・いや、止めておこう」
男「まあ、そういう現場を見せられたわけよ」
少女「えー・・・・・・」
男「な?許せないだろ」
少女「当然だよーーー!!」
少女「うー・・・最悪だよぉ・・・」
男(ソッチ系の話でも、思ったより精神の動揺が少ないな)
男「少し安心した」
少女「へ?何が?」
男「いや、何にも」
男「早く探さないとな・・・おっ、あの宿屋なんか良いんじゃないか?」
男「いい感じに寂れてるし、宿賃も安そうだ」
少女「こらこら」
男「今日の宿はここで良いか?」
少女「うん」コクリ
少女「しまーす・・・」
女将「あら、ようこそおいでくださいました」トコトコ
女将「どちらから?」
男「なに、ただの旅人ですよ。各地を転々と回って、
ふらっとここに寄っただけです」
男「とりあえず、今日は泊まらせてもらいますよ」
女将「ええ、お上がり下さい」
男「ありがとうございます」
少女「ありがとうございます・・・」
女将「もともと古民家だったのを利用しましたから」
女将「それで・・・こちらが炊事場で、あちらがお手洗いになります」
男(わりと綺麗で良かった)
女将「そして、こちらのお部屋が、今回お客様がお泊りする
お部屋となります」
男「なるほど」
女将「お客様はお二人方以外にいませんし、先に御食事に
しましょうか?」
男「ああ、お願いします」
男「運ばれてきた料理、残さず食えよー」
少女「むー、分かってるってばー」
男「焼き魚が美味しい」パクパク
少女「この魚、すごく体反ってるね」
男「調理法が少し間違ってたみたいだな・・・」
少女「しかも顔が苦しそー」
男「うわ・・・もう頭食えなくなるじゃん・・・」オエ
・・・・・・・
男「ふう、ご馳走様」
少女「へへ、ご馳走様!美味しかったね!」
男「後片付けは女将さんがやっといてくれるらしいから」
男「風呂にするか!」
少女「わーい!」
女将「!」
男「おわっ!?女将さん、部屋のすぐそばに居たんですか!?」
少女(びっくりしたぁ)
女将「え、ええ。そろそろ御食事が終わったかと思い・・・」
女将「驚かせてしまい、申し訳ありません」
男「じゃ、俺たちは風呂行ってくるので」
男「行こう、少女」
少女「う、うん」
スタスタスタ…
女将「・・・・・・」
男「広さはまあまあある」
少女「銭湯の小さい版ぐらい?」
男「そうだな」
男「ま、二人で入る分には十分だけど」
少女「十分すぎるねー」
男「じゃあ体洗うぞー。湯桶に座れいっ」
少女「承知したっ」ストンッ
少女「うあー背中気持ちいいー」
男「てい」モミモミ
少女「腕も最近重い荷物で疲れたからねー。気持ちいいー」
男「とりゃ」グイッ
少女「あ~足裏は反則の気持ち良さだねぇ~」
男「ほい」グリグリ
少女「~~っ首筋は昇天しちゃうなぁ~」
男「洗っているだけなのに大げさだなぁ」
少女「いや、ほんとに上手なんだもん」
少女「はーい」
少女「そういえばねぇ、私、お料理の中でさつまいもの
甘露煮が一番美味しかったな」
男「そうか?俺はカボチャの甘露煮だ」ワシワシ
少女「えー、さつまいもだよ」
男「いや、カボチャだな」ワシワシ
少女「さつまいも!」
男「カボチャだ」ワシワシ
少女「う~~・・・」
男「譲らんぞ」ザバア
男「・・・」
男「っていうか、どんだけ甘露煮好きなんだよ俺たちw」
少女「っぷ」
少女「あはははっ確かにー!どっちも似てるしね!」
男「あ、言うんだそれ」
少女「言うよーこの際言っちゃうよー」
男「はははw」
カポーン
男「いい湯加減」
少女「ほんとほんと」
少女「日頃の疲れも全部とけていくねー・・・」
男「・・・・・・・」
少女「・・・・・・・」
男「・・・なあ」
少女「ん?」
男「迷惑・・・じゃないか?」
男「俺といて・・・」
少女「・・・そんなこと、考えたこともないよ」
少女「男は、私の命の恩人」
男「・・・・・・」
少女「私がついていきたいって、思ったの」
男「そうか・・・なら良かった」
・・・・・・・
男「さてと、そろそろ出るか!」ザバア
少女「はー、すっかりのぼせちゃったよ~」ザパッ
男「今日はお話は無しで早く寝るぞー」
少女「えー」
少女「男のしてくれるお話、面白いから楽しみにしてたのにー」
男「はい、文句言わないw」
少女「あはは」
[壁 ]女将「・・・・・・」ジッ
男「行燈消すぞー」ボボッ
少女「うん・・・ねむーい・・・」ゴソゴソ
少女「おや・・・すみ」バタッ
少女「」クークー
男「はは、おやすみ・・・」
男「俺も寝るとするか」
男「・・・その前にちょっと外だけ見るかな」ショウジカラカラ
男「満月か。綺麗だな」
男「どう考えても、模様はウサギに見えんがなw」
男「強いて例えるなら、カニっぽいな」
男「うん。カニだな」
男「カニ・・・食いたいな」
男「!」パタンッ
少女「はあっ・・・たすけ・・・・・・」
少女「ああっ・・・・・・こわ・・い・・・」
少女「だれ・・・・・か・・・・」
男「・・・・・・」ギュッ
男「大丈夫だ・・・俺がいる」
少女「あ・・・・ああ・・・」
男(そう)
男(少女は、悲惨な過去を持っていた)
男(ある時、町はずれのごく普通の一家に、盗人の集団が狙いをつけた)
男(父と母、そして娘が一人・・・)
男(その集団は父と母は二人とも殺された)
男(そして残った一人娘・・・これこそが盗人集団のもう一つの狙い)
男(奴らは泣き叫ぶ幼子を押し倒し、殴り、蹴りつけて・・・)
男(犯そうとした)
男(くだらない芸をやってはお金を貰う。そうやって各地を巡っていた)
男(下手な俳句。くだらない手品・・・)
男(その日も全く金は集まらず落ち込んでいた。だが、そんな時に・・・)
男(泣き叫ぶ声が聞こえて・・・夢中でその場に駆け付けた)
男『っ大丈夫か!?叫び声が聞こえ・・・ッ!?』
盗人達『はあっ・・・はあっ・・・』
盗人達は3人全員で、幼子に群がっていた
男『----ッ!!』
完全にただの獣と化した盗人達は、全く俺に気付かなかった
幼子『いや・・・こないでぇ!!助けてぇ!誰か助けてよぉ!!』バタバタ
盗人達『うっせえよ!!暴れんじゃねえよ糞が!!』ガンッ
幼子『あぐっ』
もう俺は限界だった
きっと3人とも殺せるだろうと思った
男『ッ・・・』
家の近くに立てかけてあったクワを手に取り、俺はーー・・・
男『ああああああああ』
ドズッ ザグッ ズンッ
盗人『う、うわあああ何だテメエは!!??』
男『死ねええええええ!!!」
ドズンッ…
男『はっ・・・はっ・・・はあ・・・』
男『やった・・・やったんだ・・・』
幼子『お・・・お兄ちゃんは・・・?』
血まみれの俺を見る幼子の瞳は、ひどく怯えたものとなっていた
それはそうだろう
でも、その時の俺はそんなことよりも、幼子の身体の方が心配だった
男『!』
男『・・・お前、大丈夫か?その・・・裸にされて、何かされたか?』
幼子『う、ううん・・・いっぱい殴られて、蹴られた他には、なにも・・・』
男『そ、そうか』ホッ
幼子『お兄ちゃんが・・・おとうさんも、おかあさんも殺した悪者を・・・』
幼子『やっつけてくれたんだね・・・』
男『・・・・・・』
俺は何も言えなかった。怯えから感謝へと色を変えていく、
彼女の瞳を見ても・・・
幼子『お兄ちゃんも、一人なんでしょ』
幼子『私はもう、おかあさんも、おとうさんもいないの』
幼子『だから私をー・・・』
男『駄目だ・・・連れていくなんて、できない』
男『理由はどうあれ、俺は人殺しだ』
幼子『・・・・・・』
幼子『私を・・・置いていくの?』
男『・・・っ』
ザワザワ
男『!?』
年寄り女『あそこの方に人影が・・・それで叫び声が聞こえたんです!!』
同心『それは真か!』
年寄り女『はい!あっ、あの家です!!』
不味い。非常に不味かった
同心や、それに連れられた岡っ引きが数名はいる
このままでは間違いなく、どう足掻いても打ち首だった
幼子『お兄ちゃんお願い』
幼子『一人は怖い・・・もうお兄ちゃん以外信じられないの』
幼子『置いていかないで・・・』
もう一刻の猶予も無かった
孤独者同士、良いかもしれない
・・・そんなことを考えてしまう自分に腹が立った
男『---分かった』 ガシッ
幼子『んっ』
幼子を抱え、俺は全速力で駆け出した
もちろん逃げるためだ
同心『何!あやつ、逃げる気か!そうはさせん!』
同心『我々で捕えろ!』
岡っ引き『はい!』ダッ
男(逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ)ダダダダ
幼子(お兄ちゃん・・・)ギュッ
男(とにかく遠く、とにかく色んな場所へーーー)ダダダダ
男(逃げるんだーーーー・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
少女「」スース―
男「はっ・・・!クソ、嫌な事思い出しちまった」
男「今度こそ本当に寝よう」
少女「」スース―
男「・・・・・・」
男「俺は・・・正しかったのか?」
男「・・・分からない」
少女「」スース―
男「・・・良い夢みろよ、少女」
遥か未来の世界の夢だった
その世界では、子どもも大人も平等で
何不自由無き
素晴らしい世界だった
・・・・・・
・・・
男「---ああ、朝か・・・」
男「おい、起きろ少女」ユサユサ
少女「ん・・・んう・・・」
男「早くここも出ないといけないんだからな」ユサユサ
少女「ふぁ・・・あ、男・・・」ゴシゴシ
少女「おはよー・・・」
男「おはよう」
少女「うん」
男「おっと、その前に女将さんに金を払わないと・・・」
ガラガラガラ
ドタドタドタドタドタ
男「ん?誰か入ってきたな」
少女「お客さんかなー」
男「こんな朝っぱらにか?」
少女「・・・・・・確かに」
少女「しかも・・・大人数だよ・・・・・・」
ドタドタドタドタドタ
男(こっちに・・・向かってきている・・・・・・?)
女将「アチラノオヘヤニナリマス…」
少女「!」
少女「良かった、女将さんの声が聞こえるよ」ホッ
少女「やっぱりお客さんだよ」
男「・・・・・・」
男(いや・・・・・・)
男(こんな時間帯に------大人数で来た?)
男(余程のことが無い限り----)
男(あるいは、何か別に目的が無い限り-----)
男(わざわざここに来るというのは------)
男「不自然・・・すぎる」
トントン
少女「えっ?」
男「ッ・・・!」
女将「こちらの、お部屋になります」
少女「えっ?えっ?」
少女「女将さん何で?」
少女「まだ私達・・・帰ってないよ!?」
女将「・・・・・・」
少女「ねえ!誰に・・・誰がそばにいるの!?」
少女「ねえってば!」
女将「では、私めは下がらせて頂きます」
同心「ああ、ご苦労であった」 スッ
男「!!」
少女「あっ・・・」
少女「なん・・・で?」
男(最初から・・・全部・・・)
同心「おい、お主たち」
同心「かれこれ2年間・・・実に上手く逃げていたようだな」
少女「ちょっと・・・!いきなり何のことですか!!」
同心「とぼけるな」
少女「・・・!」
同心「我々の捜査網を甘く見てもらっては困る」
同心「あの時逃走したお主等を見た者は、一人や二人には留まらん」
同心「それだけの目撃者がいれば・・・より精巧な似顔絵も作れる」
同心「そして、情報を集めるのも容易い」
同心「お主等をこの付近で見かけたと情報が入ってな」
同心「それで、付近の旅館一帯にはお主等のことを伝え」
同心「似顔絵を渡しておったのだよ」
男(完全に油断していた・・・)
男(各地を逃げ回るための旅が、むしろ俺たちを追い詰めていた)
同心「で、お主等はあの時の者で間違いないな?」
少女「う・・・うぅ・・・」
同心「どう答えようと、捕まえるがな」
同心「安心するが良い」
同心「我らが捕えるのはその男だけだ」
同心「少女は解放させる」
少女「いや・・・いや!」
男「畜生・・・」
同心「さあ、捕えろ」 スッ
岡っ引き「はっ」 ドドドド
男「くっ・・・」
男「っ-----逃げろおおっ!!!」
男「障子を蹴破って、外に逃げろ!!少女!!」
少女「いや!いやだよぉ!」
男「いいから言うことを聞けええええ!!」
岡っ引き「貴様!まだ子供を奴隷とでも思っているのか!!」ドガッ
男「ぐはっ!」
岡っ引き「貴様のような下種はこうしてやる!!」バキッ ドカッ
男「くぁっ・・・げふっ・・・」
男「っち------おい!」
男「なら、俺も一緒に逃げるから!さっさと外に出ろ!!」
少女「-----!!」 バッ
男「はっ!」ババッ
岡っ引き「くっ、貴様逃げる気か!」
岡っ引き2「逃がさねえよ!」
少女「男!早く・・・一緒に!」
男「ああ、二人でまたにげっ・・・がぁっ!!」ドグシャッ
岡っ引き2「逃がさねえつってんだろ」ググッ
岡っ引き2「こいつ・・・まだ抵抗しやがるのか!」
少女「お、男・・・!」
同心「確実に抑え込め」
同心「二度も逃がしてはならぬ」
岡っ引き2「は、はっ!」グググッ
男「あああっ!!」
岡っ引き「貴様!」ドカッ
岡っ引き「己が立場を!」ドカッ
岡っ引き「分かっておるのか!!」ドカッ
男「ぐ・・・」
少女「男は何にも悪くないの!!」
少女「私を助けてくれたの!!」
男「はあっ・・・はあっ・・・しょ、少女・・・」
少女「だからお願い・・・もう止めて・・・」
同心「・・・・・・」
男「う・・・少女は・・・黙って逃げろ・・・」
少女「何で!二人でって・・・」
男「この馬鹿野郎!!」
岡っ引き「黙れ!」ドカッ
男「っ・・・」
男(少女の馬鹿!大人相手に突っ込む奴がいるか!!)
少女「離せ離せ離せ離せ離せええええ!!!」 タタタタタタ
岡っ引き「ふん!」
岡っ引き「可哀そうに!こんな畜生といて気が狂ったか!」
岡っ引き「ならばその性根!叩き直してやろう!!」
岡っ引き「悪く思うな!」 グアッ
男「や、止めろ・・・!」
男「その子には手を出すな・・・!!」
同心「止めるのだ」
少女「------!?」
同心「お主」
同心「なぜ、関係のない子どもにまで手を出そうとするのだ?」
岡っ引き「う・・・それは・・・」
同心「岡っ引き2よ、男の顔をこちらに向けよ」
岡っ引き2「はっ」グイ
男「なん・・・だよ」
同心「なに・・・」
同心「少しお主と、話がしたかったのだ」
同心「お主が強姦犯だということについては」
同心「少し疑っている」
少女「じゃ、じゃあ・・!」
同心「だが」
同心「例えそうでなかったとしても、お主は人を殺した」
同心「それは事実であろう?」
男「・・・・・・」
同心「正直、もし・・・もしお主が本当に犯人でないとしたなら」
同心「俺はお主に、少しばかり感心している」
男「・・・は?」
同心「十年ほど昔になるが・・・俺の可愛い一人娘がな」
同心「強○され、殺されたのだ」
男「!?」
少女「えっ・・・!?」
岡っ引き2(なんと・・・)
男「そう・・・か」
同心「同情はいらん」
同心「だが、河川敷で娘の遺体を見つけた時・・・」
同心「心の底から犯人を憎く思った」
同心「殺したいほどに」
少女「・・・・・・」
岡っ引き「・・・・・・」
岡っ引き2「・・・・・・」
同心「・・・そして、幾年か経った頃」
同心「その犯人が別の殺人事件で捕まり」
同心「結局、打ち首になった」
同心「たまに俺は、処刑人として御役を頂くのだがな」
同心「その時には、その場所に立ち会わせることすらしなかった」
同心「もし立ち会うともなれば・・・」
同心「確実に殺すという確信があったからだ」
同心「お主に言いたいことというのはな」
同心「仮にお主が強姦犯ではなく、やむを得ない事情
・・・幼子を助けるために、あの盗賊達を殺したのであれば」
同心「お主の気持ちは理解できておるつもりだ・・・ということだ」
男「ああ、そうかい・・・」
岡っ引き2「で、でも頭!こいつがあの強盗の一員で、仲間割れを
起こした---だとか、この男が全ての罪を犯した
可能性も、あるんですよね?」
同心「勿論だ。私が言ったのは仮定の話だからな」
少女「そんなことない!!」
少女「男は・・・・!」
男「もう良いんだ」
少女「でも、でも・・・!」
男「あの状況下で、3人を殺せたのは、俺ぐらいしかいない」
男「俺は人を殺した・・・それは変わらないんだ」
岡っ引き「こやつ!ついに認めたぞ!」
同心「・・・・・・ふむ」
同心「まあどう足掻いても捕まえてはおったのだが・・・」
同心「認めるのだな?」
男「・・・ああ」
男(少女と二人でいることを望んでいたはずなのに・・・)
男(これじゃあまるで、離れようとしているみたいじゃないか)
少女「お・・・男ぉ・・・」グスッ
男(2年前から・・・)
男(あの時の少女の、感謝の眼差しを向けられた時から・・・)
男(どこかでずっと・・・逃げることに、後ろめたさを感じていた)
同心「が」
同心「俺はお上からの命令は逆らえぬ身。勝手はできぬ」
同心「罪は償ってもらう」
男(・・・当然だよな)
男(俺だけが許される・・・そんなこと、あってはならないんだ)
同心「お主は3人殺した」
同心「打ち首は、確定だ」
男「・・・ああ」
男(分かってはいたけどな・・・)
男(改めて言われると、流石に・・・な)
女将「あの、同心様」スッ
同心「む、どうした」
女将「今回情報提供した件で」
女将「褒美がもらえるとのことでしたが・・・」
男「・・・・・・」
同心「ああ、そうだったな」
同心「後日、手下共に褒美を渡させよう」
女将「フフ」
女将「有難うございます」
女将「お客様」
女将「悪く思わないでくださいね」
女将「私も日々生きるのには精一杯なんですよ」
男「分かってる・・・恨むつもりは、無い」
女将「そうですよね」
女将「自分が犯した罪ですもの」
男(・・・返す言葉も無い)
同心「用は済んだか?」
女将「はい・・・ではこれで」カラカラ… ピシャリ
そろそろ連行するぞ」
同心「それと、だ」
同心「長い間人殺しと共にいたのだ。少女もただで解放する
というわけにもいかぬ」
同心「共に連行せよ」
少女「!」
岡っ引き「はっ」
岡っ引き2「はっ」
男「待て!」
同心・・・「どうした?」
男「こんな人殺しのお願いでも・・・聞き入れてくれるか」
同心「ああ、言うだけ言ってみるが良い」」
少女「」ヒック…ヒック…
岡っ引き「頭!こやつの言うことなど無視するべき--」
同心「良い。続けろ」
男「あと、解放した後の詮索も止めてくれ」
同心「ほう、見抜いておったのか」
同心「正直その願いは難しい」
同心「その少女がお主の危険思想と、昔の凄惨な記憶が原因で、
将来犯罪を起こすことも十分考えられるからだ」
同心「・・・というのが『お上』の意見だ」
男「・・・・・・」ギリ…
同心「だが、お上はこの状況は知らぬ」
同心「お主を連行するのは変えられぬが、少女を真の意味で自由に
することは、可能かもしれぬな」
同心「お上の気が、今回の件で変わるやもしれん」
男「!」
同心「もちろん、解放後しばらくは監視をつけさせるであろうが」
男「そうか・・・でも、良かった」
同心「礼には及ばん」
同心「では、行くぞ」
岡っ引き「さっさと立たんか!」グイッ
男「そう耳元で怒鳴るなよ」キーン
岡っ引き「何だとぉ!!!」
男「あー、五月蠅い・・・」
男「・・・・・・」
岡っ引き2「よし、縄でくくりつけたぞ」
岡っ引き「馬まで連れてゆくぞ!来い!」
少女「待って・・・行かないで!男!」
男「ごめんな・・・」
少女「一人に・・・一人にしないでよぉ!!」
男「・・・・・・」
男「俺・・・本当に無責任だったよ」
男「お前を・・・また孤独にしてしまう・・・」
男「ごめん・・・」
少女「お父さんも!お母さんも!」
少女「男も・・・」
男「・・・・・・」
少女「もう嫌なの・・・置いてきぼりは・・・」
少女「もう、嫌ぁ・・・」 ガクッ
男(これで・・・これで、良かったんだ)
男(俺にとっても、少女にとっても)
男(世間にとっても、な・・・)
少女「・・・?」ヒックヒック
男「最後のお願い、聞いてくれるか?」
男「俺はもういなくなってしまう」
男「でもな、お前は自由になれるんだ」
男「お前はそれを苦だと思うかもしれない」
男「・・・こんなことを言うのは卑怯だし、浅はかかもしれない。だがあえて言う」
男「それを受け入れろ。そして・・・強く生きるんだ」
少女「なんで・・・今まで楽しかったんでしょ・・・?」ポロポロ
男「ああ、楽しかった」
男「俺なんかには、もったいないくらいに」
男「心の底では、ずっと思ってたんだ」
男「こんな楽しく生きていて良いのか、償うべきなんじゃないか・・・って」
同心「・・・・・・」
男「俺がお前といた2年間は、本当は許されるはずもなかった時間だった」
男「だから、もう、終わりなんだ」
男「楽しい夢は・・・終わったんだよ」
岡っ引き「・・・ふん、もう話は終わったようだな」
岡っ引き2「今度こそ連れて行く。来い」グイ
男「さようなら」
男「この2年間、本当に楽しかった・・・」
男「ありがとう、少女」
ドサッ
岡っ引き2「馬に乗せやした!行けます!」
同心「うむ。では出発せよ」
岡っ引き2「そらっ」ググッ
馬「ヒヒーーン ブルルッ」
バカラッ バカラッ
少女「待って・・・」 タッ
少女「待って・・・!待って!」 タタタ
少女「行かないで!行かないで!行かないで!」 タタタ
バカラッ バカラッ
少女「私好きなの!」 タタタ
少女「男のことが・・・ずっと好きなの!!」 タタタ
少女「大好きなの!だから・・・離れたくないっ・・・!」 タタタ
少女「うあっ!」ドチャッ
バカラッ バカラッ…
少女「うう・・・グスッ・・・」
少女「ううううう・・・」 ポロポロ
岡っ引き2「全く、こんな人殺しのどこに惹かれたのであろうな・・・」
男「・・・・・・」
バカラッ バカラッ バカラッ
明日も応援してくれると嬉しいです
では
同心「・・・いよいよだな」
同心「心の準備はできておるか?」
男「ああ」
男「まさかお前・・・いや、あなたが斬首役とはな」
同心「以前にも言ったであろう。俺は時々処刑に立ち会うことがあると」
男「はは、なんて偶然だよ」
同心「いや、今回については偶然ではない」
同心「俺が立ち会えるよう、お上に頼み込んだのだ」
男「え?そんなことが可能なのか」
同心「通常なら無理だ」
男「もしかして・・・あんたって本当は、もっと高い位の人だったりするのか?」
同心「ああ、まあそういうことだ」
同心「若い頃に、戦で名を挙げたことがあってな」
同心「現場で働くためだ。お上ともなると中々現場には行けぬ」
男「へえ。あんたって変わり者だな」
同心「別に良かろうて。そのおかげでお主のような者と出会えた」
同心「まあ、これは俺の我儘だ」
同心「これから死ぬお主にとっては、たまったものではないだろうが、
許せ」
男「全くだよ」
男「あーあ、こんな茣蓙の上で縛られて、正座しながら打ち首とか
昔の俺じゃあ絶対に想像してなかったな」
男「でも・・・殺されるのが、全くの赤の他人じゃなくて良かったよ」
同心「はは・・・」
男「なんか・・・前でお役人さんがずっと見ているんだけど」
役人「・・・・・・」ジ-
同心「案ずるな。既に時間をもらう許可はとった」
同心「それとだ、少女の解放に関する許可もな」
男「そうか・・・ありがとう」
同心「・・・別に良い」
同心のセリフである「少女の解放に関する許可」を貰ったとは、
同心が直々に許可を貰いにいったわけではなく、状況報告を
聞いたお上が、少女を真に解放することを認めたということです
男「ああ」
同心「お主のような者は、俺にとってはとても新鮮な存在だ」
同心「本当はもっと話がしたかったのだがな・・・仕方あるまい」
男「・・・そうだな」
同心「死ぬ前に、何か言い残すことはあるか?」
男「そうだな」
男「独り言になるかもしれんが・・・ある」
男「俺は世間からは強姦犯かつ殺人犯・・・ということに
なっているんだよな?」
同心「・・・そうだ」
男「そんな最低の男が何を言っているんだ・・・と」
男「そう世間からは思われるかもしれないが」
男「だが、言わせてもらう」
男「俺が裁かれて、少女が成長して」
男「それから何年も経って・・・」
男「たとえば、200年後くらいには」
男「子どもが安心して暮らせるような、そんな世の中になると良いな
・・・と思います」
同心「・・・・・・」
男「そうなれば、きっと・・・少女みたいな思いをする子はいなくなるんです」
男「俺はただ、それだけを願っています」
同心「・・・分かった」
男「・・・・・・」
役人「・・・時間だ」
同心「!・・・では、処刑を始める」
男「・・・・・・」
同心「・・・人殺しに言うべき言葉なのかは分からぬが・・・」
同心「安らかな死を、そして死後を、願っているぞ」
男「・・・・・・」
男(少女・・・ごめん)
男(さようなら)
男(ありがとう)
同心「・・・・・・」
同心「・・・・・・」 スッ…
ザシュッ
その処刑は、一般人には一切知らされなかった
極めて静粛に、厳かに、行われた
-時は流れ、数年後-
男子「はあっはあっ・・・」タタタタ
老人「こら!!待たんか!!」ダダダ
男子「けっ、待つもんか!」タタタタ
老人「早くワシの笹餅を返さんか!!返さんとただじゃおかんぞ!!」ダダダ
男子「くそっ・・・なんで老人なのにあんなに早いんだよ・・・」タタタタ
男子(あっ!・・・あそこの曲がり角でまいてやる!)
男子「ってうわ!!??」グイッ
男子「うっ」ドシャッ
若女「あっ!ごめん!」
若女「強く引っ張りすぎちゃった?」
男子「ってぇな!!何すんだよ!急に物陰に引っ張り込みやがって!!」
若女「いや、だって君、逃げてたみたいだし・・・」
男子「う、うるせえな!ほっといてくれよ!」
若女「なーんてね。そうはいかないよ」
若女「見てたんだよ?君、あのおじいちゃんから何か盗んだでしょ」
老人「どこに行きおった--!!こんの悪ガキが---!!」
若女「ほら探してる」
男子「うっ・・・それは・・・」
若女「何を盗んだの?」
男子「な、何でお前に・・・!」
若女「教えて」
男子「うう・・・別に、ただの笹餅だよ・・・」
若女「何でこれを盗んだの?」
男子「じ、自分で食うためだよ・・・」
若女「本当に?」
男子「・・・・・・」
若女「本当に?」ズイッ
男子「い、妹がいるんだよ・・・両親はもうとっくにいなくなってるし、
俺が養うしかないんだ・・・」
男子「俺なんかが働いても全然稼げないし・・・それで・・・」
若女「なるほどね。よく分かった」
若女「でもね、やっぱりその笹餅は返しておいで」
男子「でも、でも・・・」
若女「これ、あげるよ」
男子「え、何だこれ・・・?」
男子「わっお金だ!こんなにも・・・いいの!?」
若女「はは、本当はいけないんだろうけどね」
若女「実はね私、旅人なんだ」
若女「道中で歌を歌ったり、詩を書いたりして稼いでいるんだけど」
若女「それが結構評判良くてねー。あはは」
男子「凄いなぁ・・・」
若女「いやあ」デレー
男子「お姉さんが綺麗だからかなぁ・・・」
若女「おっ!さりげなく呼び名を昇格させたうえに、
私を褒めるとは!やるねー君も!」
若女「いい子いい子」ナデナデ
男子「あ・・・うん///」
若女「よし」
若女「じゃあ、あのおじいちゃんにそれを返しておいで」
若女「あの人、外見はおっかないけど、中身は良い人だよ」
男子「えっ!本当!?」
若女「うん。昔、人が怖くてじ--っと観察してた時期があってね」
若女「怒らせないようにって」
若女「たった一人を除いて、誰も信じられなかったんだ」
男子「・・・」
若女「今では、人の考えていることは大体分かるんです!」フンス
男子「すげー・・・」
若女「ん?どうしたの?」
男子「良かったら、その旅に連れて行ってくれない?」
男子「俺と妹の二人を・・・」
若女「・・・・・・」
若女「・・・・・・」ポロ
男子「え、ええ!?何で泣くの!?」
男子「俺、何かひどい事言っちゃったかな!?」
若女「あ、はは・・・ごめんねぇ・・・」ポロポロ
若女「ちょっと・・・思い出しちゃった・・・」グスッ
男子「あ・・・ごめん」
若女「ううん、いいの」グスッ
若女「そっか・・・君たちも寂しいんだね・・・」
若女「でも、ごめんね。今の私には、君たちを連れて行けないの」
男子「・・・・・・」
男子「そうだよな。お荷物・・・だもんな」
若女「ううん。そういうことじゃないの」
男子「え?」
若女「私はね、昔、ある人と一緒に旅をしていたの」
若女「でも、その旅に強引に付いていったのは私だった」
若女「2年間・・・楽しかったなー・・・」
男子(もしかして、さっき泣いたのって・・・)
若女「でもね」
若女「私はその人からいっぱい楽しい思い出を貰ったのに、
その人を見捨てちゃったんだ・・・」
若女「私が弱かったから・・・何にもできなかった」
若女「だからもう、同じ過ちは犯さないって決めてるの」
若女「今度こそ、ちゃんと仲間を守れるような」
若女「強い人間にならなくちゃって」
若女「それが、あの人が残してくれた言葉だしね」
若女「今の私には君たちを連れて行く力も、資格もない」
男子「そっか・・・」
若女「でも・・・しばらくしたら、来年くらいにはもう一度この町に
来る予定なの」
若女「その時には、私はもうちょっと強くなっていると思う」
男子「!」
若女「あなたの妹さんにも事情を話して、それでも良いって言うなら」
若女「できる限りの努力はしてみるつもり」
男子「本当!?」
若女「実を言うとさ、私も寂しいんだよ」
若女「でもね、旅っていうのはそんなに甘いものじゃないの。
お金も安定して得られない。故郷にも帰れないかもしれない」
若女「君も、よくそのことを考えてみてね。1年後も・・・もし君たちが
それを受け入れたのなら、私も喜んで迎え入れるから」
男子「分かった」
男子「あっ」
若女「ふふっ、忘れてたの?ほら、もう大分遠くに行っちゃったよ」
男子「う、うん!行ってくる!」 ダッ
男子「ありがとな!お姉ちゃん!」
男子「俺ら・・・二人きりで生きていくしかないと思ってたけど・・・
お姉ちゃんのおかげで希望が生まれたよ!」
男子「また来年!」 ダダダダ
若女「・・・うん」
若女「強く・・・生きてね」
完
元スレ
男「旅は楽しきものなり!」少女「なり!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1460811130/
男「旅は楽しきものなり!」少女「なり!」
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コメント一覧 (8)
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- 2016年04月23日 02:06
- 江戸時代 これが意外と 面白い
-
- 2016年04月23日 03:42
- ラノベの一文を中途半端に切り貼りしたかのような台詞にコロコロ変わる口調と文脈がひたすら苦痛。wと///を多用しすぎ。典型的なぼくのかんがえたおもしろいSSそのもの
-
- 2016年04月23日 03:59
- 一つ失敗をしている、「逮捕権」を持つのは「与力」同心以下の身分では逮捕が出来ない。
(見回りと捜査は出来るが最終的な逮捕の権限は無い)
-
- 2016年04月23日 11:17
- ※2
SSはそういうものだろ。プロがやってる訳じゃないんだから。
君はSSを読むのに向いていないよ。
高尚なものを読みたければ、お金を出してその辺の書店に行って小説買えば良いのに。
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- 2016年04月23日 13:23
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- 2016年07月26日 19:42
- これはいけない。