松尾千鶴「私はここにいる」
それでも私は追いかけることができない。
みんなの背中が離れていく。
それでも私は立ち上がることができない。
「待って、置いていかないで!」
私は叫ぶことしかできない。
私は…。
私はそんな悪夢で目を覚ました。
「また嫌な夢みちゃったなあ。」
今は夜の12時をまわろうとしているところだ。
明日も仕事があるのに。
だから早く寝ないといけないのに。
私はベッドから立ち上がり、寮の部屋に備え付けられた流しに向かう。
グラスを取り出し、水道水をそそぎ、それを口に運ぶ。
中身を飲み干そうとすると、携帯がなっていることに気づいた。
「こんな時間にどうしたんだろう。」
携帯を見ると『佐藤心』と表示されていた。
私は少し迷ったが、結局電話に出ることにした。
「はい松尾です。こんな夜遅くになにがあったんですか心さん?」
『……。それマジで言ってんの?』
「はい?」
マジもなにもないと思うのだけれど、こんな日付の変わる時間に。
『まあ、いいや。今から部屋行くからちょっとまっててねぇ、千鶴ちゃん☆』
「えっ?今からですか?って切れてるし。」
相変わらず自由すぎる人…。
「ケーキもってきたよ~。」
私がドアを開けるとケーキの箱をかかげつつ心さんが部屋に入ってきた。
「ホントに来た…。」
「ホントに来たぞぉ☆ってどうした目真っ赤だぞぉ、おい。」
「はっ!なんでもありませんから。」
無意識に泣いていたんだ、私は。
「ホントに、ホントぉ?うそついちゃやだぞぉ☆」
「ホントです!ただちょっと悪夢を見ただけで…。はっ!」
「うそつけないよねえ、千鶴ちゃんてっさ。」
なぜか心さんは嬉しそうな顔をしていた。
「どしたも何もありませんよ。」
「ふーん。誕生日を忘れちゃうくらいなのに。」
「えっ?嘘?」
「マジで気づいてなかったかあ。誕生日を忘れるにはちょっと若すぎだぞ☆」
「ホ、ホントだ…。」
慌ててカレンダーを確認すると明日は、いやもう今日だけど、私の誕生日だった。
「おい、どうしたんだよ千鶴ちゃん。」
「どうもなにもありませんよ。」
「強情だなあ、おい☆。そんなにはぁとが信用ならんか。」
「そうじゃなくて、くだらないことだから。」
「じゃあなんでそんなに悩んでいるのかなぁ?」
「悩んでませんよ!みんなにおいてかれそうだなんて。はっ!」
またしても墓穴を掘った私に、心さんは千鶴ちゃんはやっぱり可愛いよねぇ、と言った。
「またあけすけに…。それもありますけど、それだけではなくて…。」
「それだけじゃなくて?」
「私やっぱりアイドルに向いてないんじゃないかなって。」
「なんじゃいそりゃ☆」
「一人になると後ろ向きな思いでいっぱいになるんです。」
私は可愛くなんてない。
努力なんて報われない。
なんでみんなはそんなにきらきらしてるの。
こんなネガティブな思いは断ち切ったと思ってたのに。
「なぁるほどね。」
「ね?くだらないでしょ?」
心さんはふと唇を結びまじめな顔になった。
そしてこう言った。
「今から年上としてアドバイスしてあげよう。」
「いつも年齢のこと言うと怒るくせに。」
「おい。黙れや☆」
「はい、すいません…。」
さすがに今のは私が悪い。
「だから最初にいったじゃない、くだらないって。」
「おい結論を急ぐな☆」
心さんは話を続けた。
「悩まない人間なんて人間じゃなくて化け物でしょ?」
「それはいくらなんでも言い過ぎですよ。」
「そうかなぁ?じゃあ天使ってことで似たようなもんだし。」
まあいま大事なのはそこじゃねえと続けて言った。
「つまりみんな悩んでいるってことだ☆そういうときはこれだ。」
そこで持ってきたケーキの箱を開けた。
中に入ってたのはオーソドックスな生クリームといちごのケーキ。
「甘いものでも食べりゃいいってこと☆」
「それ、なにも解決してませんよね。」
「別にいいんだよそれで。世の中解決できない悩みばっかりなんだから。」
大人なら酒があるけどなあと心さんはつけたした。
「それにみんな千鶴ちゃんのこと大好きみたいだしねぇ☆」
心さんは携帯を指さした。
私は携帯を確認した。
たくさんのメールが届いていた。
きらりさん、菜々ちゃん、ほたるちゃん、晶葉ちゃん。
たくさんのお誕生日おめでとうのメールだった。
「私も言わないとなあ。」
こんなSS書いてますが松尾千鶴ちゃんが大好きです。
お誕生日おめでとう。
「ところでこのケーキ心さんの手作りですか?」
「そうだよん☆よくできてるでしょ?」
「上にのっているこの人形も?」
「そうそう。千鶴ちゃんによく似てるでしょ?」
「私こんな怖い顔してませんよ!」
「そうかあ?いつも眉間にしわ寄せてんじゃん。」
「寄せてません!」
ほんとこの人は…。
元スレ
松尾千鶴「私はここにいる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458534105/
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- 男「ついに俺にもメリーさんから電話キター!!」
コメント一覧 (13)
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- 2016年03月21日 18:00
- 千鶴誕生日おめでとう、安心しろお前は十分過ぎる程可愛いし、いつもお前の履いた蒸れた黒ストッキングで出汁とってしゃぶしゃぶしたいと思ってる
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- 2016年03月21日 18:07
- 加茂千鶴「私は三重にいるよ」
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- 2016年03月21日 18:11
- スケェェェェェイスッ!!
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- 2016年03月21日 18:15
- アナタハソコニイマスカ?
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- 2016年03月21日 18:20
- 千鶴おめでとう!!!!!!!!!!!!!!
死ぬときは千鶴の眉毛の上で逝きたい…
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- 2016年03月21日 18:27
- ※3
同じこと思い出した同士がいたことに驚愕。
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- 2016年03月21日 18:46
- ※4見りゃわかんだろぉぉぉぉ!
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- 2016年03月21日 19:33
- 俺は…私は…俺は…僕は…ここにいる!
松尾先生碑文使い説浮上
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- 2016年03月21日 19:39
- ※6
むしろ他に何を思い出せというのか
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- 2016年03月21日 20:14
- スケェェイスって書こうと思ったらもう書いてあった
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- 2016年03月21日 21:35
- モバP「それは、小さな種子だった。そこに宿るモノが何なのか?だから、俺はソレを育てた」
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- 2016年03月22日 03:57
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俺がエレ速に刻んできた想いの全てを、この一レスに!!!
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- 2016年03月22日 09:36
- 卯月P「独りでは叶えられなかった夢を私が現実にしてみせた!だから私は卯月の特別なのだ。なぁ、卯月?(ゲス顔)」
卯月(ハイライトオフ)「プロ…デュー…サー…」