ディオ「ジョースター家……いずれ、僕のものになる……」女ジョナサン「?」
- 2016年03月19日 07:10
- SS、ジョジョの奇妙な冒険
- 49 コメント
- Tweet
ディオ(なんだこれはッ!? 手違いだッ! それは分かる! 理解できるッ! しかしッ)
ジョナサン「……? どうされたの? ディオ・ブランドー様」
ディオ(「何故こいつは女なんだッ?」)
ディオ「んん、じょ、ジョースター卿。一つ質問をしてもよろしいですか?」
ジョースター卿「おお、何でも聴いてくれたまえ。なんでもな」
ディオ「……これは、ジョナサンくんの妹? それとも姉さんですか?」
ジョナサン「いえ」
ジョナサン「わたくしが、ジョナサン・ジョースターで御座います。これからよろしくお願いしますね?」
ディオ「どぉぉいうことだァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ」
ディオ(「こいつは頭が狂ってるのか」? ……手紙を見た限りではこいつはジョースター家の跡継ぎとなる存在ッ……だからこそ僕は……甘ったれた坊ちゃんを想像していた……)
ディオ(しかしッ! 目の前にいる女はどうだッ!? 長く伸ばした髪っ、白いドレスっ! 一つ一つ柔らかな仕草ッ……つまり完璧な女だッ!)
ディオ(「これが跡継ぎ?」「これが将来のジョースター家を継ぐ存在?」)
ディオ「……いえ……何分予想外でして。少し取り乱しました。失礼」
ディオ「ジョナサンという名前からも、聞いている身長からも……男の方を想像していたものですから」
ジョースター卿「うむ、ジョナサンは女の子にしては背が高い。それについていじめられる事もある……もし見たら助けてやってくれたまえ」
ディオ(……僕と同じぐらい、か。僕も身長は高いほうだ……女でこれならいじめられても仕方あるまい……)
ディオ(それに……整っている顔立ちだ……気になる女をいじめる年頃のやつには格好のカモだな……)
ジョースター卿「なにか?」
ディオ「いえ、なんでもありません。これから宜しくお願いします」
ディオ(……構いはない。僕のやることは最初から決まっている……ジョースター卿の方針など……知ったことではない……たとえ女だろうが男だろうが……踏み潰して上に立つ……ジョースター家を乗っ取る……)
ジョナサン「では、部屋にご案内致します。どうぞ着いてきてくださいな」
ディオ(……のんびりした奴だ……調子が狂う……)
ディオ「……おい、女。最初に言っておくがな。あまり僕に馴れ馴れしく接するなよ? 僕を拾ってくれたジョースター卿なら兎も角、貴様と僕が対等に話し合う必要等何処にもないぞ」
ジョナサン「……? 対等……? えーっと、それはつまり?」
ディオ(仕草だけでなく頭の回転もとろいのか、このアマッ!?)
ディオ「言葉の通りだ。僕と君じゃあらゆるものが違う。男と女という性別の開きはもちろん、仕草から見て甘やかされてきた君と僕じゃ場数が違う」
ジョナサン「……」
ディオ「つまりだな────────」
ジョナサン「そうとげとげしくならなくてもよろしいでしょう? はじめから、恩に着せるつもりなどありません。これっぽっちも。小指の先程も」
ジョナサン「……えーと、こういう時、お母さんみたいにだきしめながら撫でてあげるといいのかしら?」ギュッ
ディオ「な」
ディオ(なにィーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!? こいつっ!? 抱きしめやがったッッッ!? 僕をッ!?)
ディオ(引き剥が……せない!? こいつ、女の癖に相当の力をッ……)
ジョナサン「ディオ……」
ジョナサン「あなたは、自分と私は違う。そう仰られましたね?」
ディオ「……そうだっ……だから離せッ……気安く触るんじゃあないッッッ……!!」
ディオ(「違う」……「コイツの力が強いんじゃあないッ」……僕が……僕自身が引き剥がすことを拒んでいるのだッ……何かを……何かが僕を押さえつけているんだ……)
ジョナサン「」ニコッ
ジョナサン「だったら、その違いを是非とも教えてくださらないかしら?」
ジョナサン「貴方がどう生きてきたのか……どう過ごしてきたのか……」
ジョナサン「もちろん、私も話すわ。たっくさん。きっと一夜語り明かしたって終わらないぐらい……ここ、私の家には思い出があるのよ」
ディオ「…………」ギリッ
ディオ(……「母さん」……「母さんだ」……「これは……母さんの抱擁なんだ」……)
ディオ「……」
ディオ(できないことは無い……思い切り腹でも殴ればこいつを引きはがすのはわけない……しかし……僕はそれをしない……僕は男だ……卑怯なことはしないという訳では無いが、だからこそ女にやってはいけないことの一つや二つ心得ている……多分……)
ディオ「まずは離して……部屋に案内しろ……その時に気分が乗っていたらいくらでも話してやろう……」
ディオ(……それと、こいつの胸は年齢不相応なサイズだ……危険だ……本能に訴えかけてくる柔軟さを持っている……)
………………………………
ジョナサン「それでね、お父様。ディオったら酒場で大人相手に賭けチェスをやっていたんですって!」
ジョースター卿「……ディオ君。ここに来たからにはもうそんな事は無いだろうが、もう二度とやるんじゃないぞ」
ディオ(そうでもしなきゃ飯も食えなかったんだ……僕は)
ジョナサン「でも、楽しかったわ。最後の小銭を握りしめて挑んだワンゲームで、見事逆転勝ちした話なんて私手に汗握っちゃったわ!」
ジョナサン「ねぇディオ、明日にでもチェスを教えてよ! それとも、トランプがいいかしら?」
ジョースター卿「どうやら、意気投合できたようで何よりだ、ハハハ」
ディオ「……ジョースター卿」
ディオ「食事が終わったら、少しお話があります」
……………………
ジョースター卿「……うむ、そうなのだ。じい、紅茶を頼む……」
ジョースター卿「……五歳の頃になるか……早くに死んだ母の話を聞かせてやっているうちに……私は泣いてしまった……年甲斐もなくな……」
ディオ(…………)
ジョースター卿「そうしたらな、ジョナサンは自分が母になると言ったのさ……母に……なると」
ジョースター卿「性格は元々おとなしかったが、そこに……優しさが追加された……初対面の人間に対しては疑問しか与えない過剰な優しさがな……」
ジョースター卿「それが外でいじめられる原因の一つにもなっているのだろう……」
ディオ「……」
ディオ(「血統」……か。ジョースター卿も嘗て一度助けただけの男の息子……つまり僕を引き取るあたり、他人に対し過剰に優しすぎる……)
ディオ(「お人好し」「いい鴨」……つまりはそういうことだ……)
ジョースター卿「だがね、ディオ君。私は安心しているよ。これでジョナサンも同世代と遊べるのだから」
ジョースター卿「よろしく頼むよ……娘の事を」
ディオ(……冗談じゃない。毎度あんなのに付き合っていたら気が滅入る)
ディオ(しかし……ここでジョースター卿の好感度を下げるのも上手くはない……仕方ない、気にかけるフリぐらいはしてやらねば……)
ディオ「分かりました」
ジョナサン「」zzz
ディオ「なんで貴様は僕の部屋のベッドで寝ているんだ、ジョジョォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!」
ジョナサン「ん……」
ジョナサン「あ、ディオ。おかえりなさい。待ってたのよ、まだお話したくって」
ディオ「そうしたら寝たと? 貴様はナマケモノかなにかか! 雌豚め! 」
ジョナサン「めすぶた?」
ディオ「……僕が住んでたところでのあいさつみたいなもんだ、忘れろ。それと僕はかなり疲れてる。話がしたけりゃ明日してやる。だから出てけ」
ジョナサン「私ももう眠いの……~……あ、そうだ、一緒に寝ましょうよ、ディオ」
ディオ「………………」
ディオ「………………もういい、よく分かった……僕は下のホールで寝る……お前は勝手にそこで寝てろ」グッタリ
ジョナサン「だーめっ」
ディオ(「これだッ」……この全てを委ねるがごとき警戒心ゼロの抱擁ッ……僕はさっきもこれに勝てなかったッ……)
ディオ「そして今回も……かッ……」
ジョナサン「ディオ、汗かいてる」
ジョナサン「もしかして、今日は結構緊張してたの? 表に出さないなんて、とっても気丈な方なのね」
ディオ「……女には解らんだろうがな、男には見栄と意地がある。やすやすと他人に弱みを見せるような真似は許されないッ……僕自身が許せないッ……」
ジョナサン「そう……私は辛い時は辛いって言っちゃうわ……泣いちゃうかも」
ディオ「女はそれでいいッ……元々大した働きも出来ないのだから……ッ……早く離せ、暑苦しい……!」
ディオ(「辛い」……「なんで僕が」……そう思うことは確かにあるさ……だがね……「僕は既にそんな気持ち摩耗している……」「僕は既に」……)
ジョナサン「だからねディオ。辛い時は辛いって言って欲しいわ」
ジョナサン「気丈な貴方はとても素敵。でも……意地を張りすぎて、我慢をし続けて……壊れてしまっては意味がないじゃない?」
ディオ「……大きなお世話だ……」
ディオ(もういい……もう、このまま寝よう……願わくば……ジョースター卿にこの事が知られないように……)
ディオ「……」
ディオ(……まだ温もりがある……つい数分前に出ていったという所か……)
ディオ「…………」
ディオ「……なんで少し勿体ないと思っているのだろう、僕は……」
ジョースター卿「おはよう、ディオ君。今日は天気がいい。ジョナサンはブドウ畑に言ったよ。君も言ってはどうだい?」
ジョースター卿「その間に部屋の掃除をさせておこう……」
ディオ「……では」
ディオ(……あいつ、ひとりで出歩いて平気なのか……? 話じゃこっ酷くいじめられてるらしいが……)
いじめっ子2「泣き虫ジョジョ~!」
いじめっ子3「摘んで捨てる~?」
いじめっ子4「だめだめ、こいつは重すぎてピンセットなんかじゃつまめないよォ~ん! スコップか何かでこうやって持ち上げないとな~!」
(蹲ってるジョナサン(女)は太ももの下からいじめっ子にスコップを入れられていじめられてます)
ジョナサン「……う……うぇ……」
いじめっ子「おっ? 泣く? 泣いちゃう? ほらなくぞみんな~! 泣き虫ジョナサンがまた泣くぞ~!」
ジョナサン「私……何もしてないわ……なんでこんな事するの……? どろだんごぶつけたり……スコップでお尻叩いたり……なんで……」
いじめっ子2「理由なんかねぇーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! お前の泣き顔見てるとスカッとするからやってんだよこのボケェーーーーーーーッ! 金持ちのご令嬢だかなんだか知らねーが甘やかされて育ったような見た目しやがってぇーーーーーーーッ!」
いじめっ子3「おいおい、こいつの事だからきっと「あそこ」もしらねーだろうぜーッ!」
いじめっ子4「教えるか? 教えちゃうか? スコップでよォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
ジョナサン「うぇ……うぁぁん……」
ジョナサン「ディオ……」
ジョナサン「ディオォ……」
ディオ「────────おい」
いじめっ子「な、なんだお前はァ~?」
いじめっ子2「あっ! こいつっ! 昨日ジョースター邸に来たっていう客人じゃあねーか?」
いじめっ子3「なまっちろい肌しやがって……どうせ部屋で本ばっかり読んでるんだろうぜ……」
いじめっ子4「やっちまうかァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ?」
ディオ(……雑魚どもが)バキィッ
いじめっ子「ぐはぁっ!?」
ディオ(喧嘩の時ッ! べちゃくちゃと無駄口を叩く様な! こんな低レベルな奴らにジョナサンは虐められているのかッ! こんな奴らに!)
いじめっ子2「ぼゲーーーーッッッ」
ディオ(何故だか知らんが!)
いじめっ子3「むはぁーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!?」
ディオ(無性に腹が立つッ!)
いじめっ子4「ぶげっ!?」
ディオ「このまま親指を目の中に突っ込んで!」
いじめっ子4「ひっ、ヒァアーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
ディオ「殴り抜けるッッッ!」ベギィッ
ジョナサン「ディオ……」
ディオ「いいか貴様ら! この女に二度と手を出すんじゃあないッ! 今まではジョナサンとジョースター卿の優しさに救われてきた貴様らだろうが、僕はあの二人ほど優しくはないぞ!」
ディオ「そこの目から血を流してべそをかいている奴を見ろ! 次同じことをしたら貴様ら全員の両目をあのようにしてくれる! 必ずだッ!」
ディオ「僕は嘘をつかない! やると言ったら必ずやる! 無言でな! 覚悟の時すら与えずに!」
いじめっ子s「ッヒ、ヒァアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ジョナサン「……」
ディオ「貴様も貴様だッッッ!」
ジョナサン「」ビクッ
ディオ「お前みたいなのは格好のカモなんだよっ! せめて不用意に家から出ないとか、頭を使え!」
ジョナサン「……でも、私はブドウが食べたかったの……あなたと一緒に」
ディオ「僕もお前は血なんか繋がってないんだぞッッッ! 他人だ……他人なんだ! そんな事を聞いたって僕は嬉しくもなんともないし……お前の馬鹿さ加減には反吐が出る!」
ディオ「…………」ハァーッハァーッ
ジョナサン「ごめんなさい……ごめ……ひっく……」
ディオ(彼女は無能だ……優しすぎ、無防備すぎ……家を保つことなんかできやしない……そして僕はうすうすと感じた……きっとジョースター卿は……)
ディオ(僕を…………)
ディオ「泣くなッ……」ギュッ
ディオ「泣くんじゃあないッ……」
ディオ「お前は……守ってやる……どうせ乗りかかった船なのだから……! 守ってやればいいんだろう……!」
ジョナサン「でもっ、でもぉっ、それじゃディオに迷惑がかかっちゃ、う……私ひとりでできるから……大丈夫だから……!」
ディオ「」ズギュウウウウウウン
ジョナサン「……ん……ぁ……」
ディオ「普通の女はここで僕をひっぱたく」
ディオ「しかしお前は抵抗の素振りすら見せず、狼狽えるままだ。だからお前は一人じゃ何も出来ない。だから「僕が守ってやる」」
ディオ「忘れるなよ。何かをされたら必ず僕にいえ。」
ディオ「────────もうお前が我慢すればいいという話じゃないぞ。お前一人の身体ではないんだからな」
ディオ(そして……ここまでが……きっとジョースター卿のシナリオ通り……食えない人だ……はじめから支配欲を持つ必要など無かった……はじてからジョースター卿は僕にジョジョをめとらせ、家督を渡すつもりだった……)
ディオ「いやか」
ディオ「気持ち悪かったか」
ジョナサン「え……っ……」
ディオ「……それだけ答えろ。イエスかNOか! それだけでいいんだ!」
ジョナサン「えっ……それは……その……あの、まって、整理するから……」
ジョナサン「……その……すごく恥ずかしくて……顔が熱いわ……でもその……」
ジョナサン「イエス……かな……」
ディオ「……ふん」(ホッ)
ディオ「それでいいんだ。僕はお前が守ってやるよ、ジョジョ」
ーーーーーーー時は流れる
実況「っでたァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! 我がヒュー・ハドソン大学が誇る名プレイヤー、ディオ・ブランドーだぁああっ!」
実況「身長190を超える長身ながらその見た目は華麗かつ優雅! ラグビーボールを抱え走り抜ける姿はさながら貴公子とも言うべき……がしかし、まとわりつく敵を吹き飛ばすワイルドさもまた持ち合わせているぅううーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
実況「そしてトライッ! ヒュー・ハドソン校の優勝が決定いたしましたァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
ディオ「ジョナサン! やったぞ!」
ジョナサン「ディオ!……とても素敵だったわ……」
実況「おおっと……人目もはばからぬ抱擁ッ! 何を隠しましょう、この二人は恋人同士! 愛する男ディオの華麗なトライに見せられ、ジョナサン嬢がフィールドへ飛び込んできてしまったのですッ!」
実況「ジョナサン嬢は名門家庭ジョースター家のご息女! そしてディオはその養子! 大学卒業後は晴れて結婚をするそうです! 卒業年次に花を添えることが出来、二人とも鼻高々でありましょうっ!」
ジョースター卿「世は全て事もなし……時は満ち……すべての駒は揃った……ディオ……そして我が無能なる娘……全ては古代人の秘宝が呼び覚まし人の力……」
執事「ジョースター卿……ディオ様がラグビーの大会で優勝なされたとの事です」
ジョースター卿「……そうか……」
ジョースター卿「……いずれは……そんな勲章も闇に消えるのだ……」
ジョースター卿「ディオが帰ってきたらすぐに私のところに連れてきなさい……」
執事「御意に」
ディオ(ジョースター卿に呼ばれた……我が家……そう今や我が家……そのジョースター邸に帰ってきて……ジョナサンと喜びを分かち合う触れ合いもそこそこに……僕は向かっている……)
ディオ(しかし……なんだろう……この胸騒ぎは……最近のジョースター卿は……病に臥せっているからか一日にほとんど言葉を発さなくなっている……)
ディオ「……ジョースター卿」
ジョースター卿「……ディオ……おお、ディオ……!」
ディオ「どうぞ安静に。ちゃんと僕はここにいますよ、ジョースター卿」
ジョースター卿「そうか……もう目もほとんど見えないのだよ……ディオ……ジョナサンは……ジョナサンは……どうしている……?」
ジョースター卿「とても元気です。未だ、僕のベットで寝る癖が治らないようですが……今となってはそれも可愛らしいですよ」
ジョースター卿「…………そうか……もう……もう良いのだ……あやつはそれで良い……何も変わらぬ……」
ジョースター卿「……無能のままだ」
ディオ「……え?」
ディオ(……「何かが」……「何かが、今日は違うのだ……」)
ジョースター卿「……ディオ…………君は……ジョナサンを愛しているか……?」
ディオ「はい」
ディオ「僕は躊躇いなくそう答えることができます、ジョースター卿」
ディオ「僕はジョナサンを愛している。うっとおしいとおもうこともありました……しかし、今では近くにいなくてはならない存在です……」
ディオ(…………なんだろう……僕は今猛烈に……何かを間違えた気がする……ここに来たのは……間違いだったのでは……)
ジョースター卿「ディオ……君に見せたいものがある……」
ジョースター卿「そうだ……」
ジョースター卿「「石仮面」…………」
ジョースター卿「」
ディオ(「僕は後悔することになる」……何故かその時、直感的に思った…………これから聞かされることを聴き……僕は後悔する……)
ディオ(垣間見得たジョースター卿の本性……ジョジョに対しての本当の気持ち……それは……あまりにも残酷で……)
ディオ(……僕は……ある一つのどす黒い決心が……「石仮面という人外製造機」について聞いた……)
(「永遠の繁栄」……「続き連なるジョースター家」……「決して途切れさせず」……「繁栄させ続けるためには」……「これしかない」……)
(「即ち人外となり」……「永久の生命を手に入れ」……「夜の闇の中一族を反映させ続けろ」)
(「僕に拒否権はなく」……「執事に銃を突きつけられ」……「頷く以外の方法は見えなかった」……)
(ジョースター卿の指先から垂れた血に反応し骨針を嫌らしく逆立たせるそれを見て……僕はジョースター卿がついにご乱心になられたのだと疑わなかった……ありもしない世迷言を信じてしまったのだと……)
(しかし……僕は本来……こちらの人間だ……どす黒い闇のドブの底で……生きるか死ぬかをくぐり抜けてきた人間なのだ……)
(その決心は容易かった……)
ジョースター卿を────────
殺す。
────────家督など、正直なところどうでも良い。僕はただジョナサンと共にいたいのだから……。
ジョナサン「……お父様……なんだか最近、ますます顔色が悪くなられたよう……」
ジョナサン「……」
ジョースター卿「……」
ジョナサン「お父様……どうして何も答えてくれないの……どうして……」
ジョースター卿「……出ていけ……」
ジョナサン「……ッ……」
ジョースター卿「お前などどうでも良い……お前など……」
ジョナサン「……う……」
執事「お嬢様。卿は具合が悪いようでございます……今しばらく……」
ジョナサン「え……ええ……」
ジョナサン(あんなこと……お父様はいままでいわれなかった……)
バタン
ジョースター卿「ディオは……まだか……まだ……決心を固めんのか……」
ジョースター卿「「せめて人としてやっておきたい事がある」……そう言ってもう二週間が立った……私の体は……明日死んでもおかしくない……」
ジョースター卿「……私が生きてるうちに……ジョースター家が永久を手に入れるその瞬間が見たいのだ……」
ジョースター卿「ディオ……」
ジョナサン「」ギュッ
ディオ「どうした……」
ジョナサン「お父様が酷いの」
ディオ「…………」
ディオ(僕は知っている……病によって気が立っているからではない事を……あれこそが彼の本性なのだということを…………)
ディオ(しかし……それを伝えるのは余りにも残酷……僕にはできない……ジョジョを傷つける事などできるはずが無い……できるはずが……)
ディオ(……まあ、あと数日の命だ……ジョジョをただ家を繁栄させるための畑としか見てないあの男には……何も気付かず死んでもらう……)
ディオ「病で気がたっているのさ。それより、僕達はもっと先の事を考えなくちゃあ……式はいつにしようか? ジョジョォーっ」
ジョナサン「やだ、ディオったら……」
ジョナサン(「私は笑っているけれど」……心の奥底では何かが違うと感じているわ……ディオも、お父様も……何か……切羽詰っているような……)
ジョナサン「……」
ディオ「どうした? ジョジョ」
ジョナサン「いいえ……」
ジョナサン(書斎にネックレスを忘れてしまった……終わったら……取りに行かなくちゃ……)
ジョナサン「なんであんなに取りづらいところに……ああ……本をとる時に片手間に外して置いたんだっけ……」
ジョナサン「んーっ……んーっ……届かない……もうすこ……」
グラ……
ジョナサン「きゃ……あっ!」
ドサドサァッ
ジョナサン「……なんで箱が落ちてくるのぉ~……もうやだ……ん?」
ジョナサン「これは……手紙……」
ジョナサン(「差出人……ダリオ・ブランドー」……これはディオのお父さんだわ……名前だけ……聴いたことがある……)
……………………
ジョナサン(私は後悔した……読み進める毎に……戦慄した……そこにはディオの父、ダリオが、体の不調を訴え……息子のディオをよろしく頼むという旨のことが書いてあった……)
ジョナサン(「特筆すべきは……そこに書いてあるダリオの症状が父……ジョージ・ジョースターと全く同じな事」……それはつまり……)
ジョナサン(……こんなに都合が良いものなのか……? 私は強くそう思った……二人の父が全く同じ方法で死ぬなんてことは……ありうるのか?)
ジョナサン「……ディオ……」
ジョナサン(長い間……私は彼を信頼してきた……そして今は愛してもいる……しかし……それが……ほんの少しだけ……揺らいだ音がした……)
ジョナサン「……会わなきゃ……彼に……確かめなきゃ……」
ジョナサン「……」
ドドドドドドドド……
ジョナサン「……ディオ……最近のあなたは……いつもお父様のところへ薬を持っていってるわ……」
ディオ「……」
ディオ(…………バレ……た……のか?)
ディオ「……そう、だね。それが? 世話になった人のところへ薬を持っていくことが何か妙かい?」
ジョナサン「ディオ……その薬……少し貸して貰ってもいいかしら……?」
ジョナサン「……「調べたいの」……」
ディオ(「僕は確信した」……100パーセントではなくとも……ジョジョは気付き始めている……うすうすと……だが確実にッ……)
ディオ「……ダメだ」
ディオ「何を考えているんだ。僕は何も仕込んでなんかいやしないっ! 僕を信じてくれ、今までずっと一緒だったろ、ジョジョっ!」
ディオ「信頼を……無くすぞ!」
ジョナサン「「……ッ」」パンッ
ディオ「!?」
ジョナサン「信頼って……そんなに一方的なものなの……? 何も伝えず……腹も割らず……それだけで終わってしまうものなの……?」
ジョナサン「たしかに私はあなたを愛しているわ……ずっと一緒にいたいと思ってる……でも、でも……だからこそあなたの潔白を証明して……」
ジョナサン「ッ」バッ
ディオ「待てジョジョッ! 待てェーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! 」
ディオ(「裏目に出た」……「何もかもが裏目に出た」……ジョジョと共に人間としていたいがためにやろうとしたことが……逆に疑わせてしまった……)
………………
ジョナサン(「オーガストリート」……ここはすべての悪が煮詰まる場所……全ての悪がより集まる場所……)
ジョナサン(いつぞやに読んだ薬学の本に書いてあった気がする……東洋の毒薬に似た効果のような気がする……そしてそんな悪……殺すための道具がよりあつまるのは……このあたりだったらここしかない……)
ジョナサン(……そして……ディオの故郷からも比較的……近い……)
ジョナサン「御者、ここで降ろして……ここからは歩いていくわ……」
御者「お、お嬢様……本気なんですか……!? ここはオーガストリート……全ての悪が煮詰まる場所ですよ……!?」
ジョナサン(そこで私は……一人の男と出会った……「スピードワゴン」と名乗る一人の男と……)
スピードワゴン「こんな所を嬢ちゃんが歩くなんて世も末だなァッ!」
ジョナサン「……「退きなさい」……」
スピードワゴン「なにぃッ??」
ジョナサン「「そこをどけと言っているのです、下郎!」……私はあなた達に構うためにここにきた訳では無い……! 愛する男と……父を救うため……私はここに来たの!」
ジョナサン「私には力なんかないわ……あなた達に全力で襲いかかられたら抵抗もできずにやられてしまう……それでも……私は言い続けるわ……そこをどいてと!」
ジョナサン「……どいて!」
スピードワゴン(……なんだ……この感覚……高貴……それでいて嫌味ったらしくない……女でありながら……ごろつき共を圧倒するこの気……ッ!)
スピードワゴン「やっちまえ、イレズミ!」
イレズミ「ヒョホォーッ!」
ジョナサン「ッ!」ブシュウッ
イレズミ「歯が骨まで達した音っ! 女の肌は柔らかいから斬るのがオレっちはだいすきなのよぉ~~~ん♪」
ジョナサン「……く……う……」
ジョナサン「お金ならあげる……腕が欲しいならあげる……私の体が欲しいならそれでもいい……なんだってあげるわ……だから……だから……そこをどいて……それだけでいいの……そうしたらなんだって……渡す……」ボロボロ
ジョナサン「お願い……! お願い……します……!」ボロボロ
イレズミ「いやだねぇ~ッ! なんだか知らねえがお前の泣き顔を見ていると「ムラムラ」してきちまうぜぇ~ッ!」
イレズミ「切り刻んだ後冷たくなっていく身体を好きなだけボゲェゥッ!?」
スピードワゴン「…………」
スピードワゴン「嬢さん……あんたは馬鹿だ……ただこの先へ逝く……そのためだけに全てを捧げるのか……?」
スピードワゴン「そのためだけに……?」
スピードワゴン(雪の上に膝をつき……手首から血を流し……既に体は疲れきっているだろう……だのに……決して失われぬその美しさ……高貴さを失わない眼差し……)
スピードワゴン(淑女……真の淑女だ)
スピードワゴン「解ったぜ」
スピードワゴン「何処に行きたいんだ。案内してやる……」
ジョナサン「…………」
スピードワゴン「いいかてめえらッ! この淑女に二度と手を出すんじゃあねえぞッ!? 二度とだッ!」
………………
ディオ(「ジョジョがオーガストリートに行った」……それは僕をなりふり構わず飛び出させるに充分だった……)
ディオ(バレるかもしれない……そんなことはどうでも良く……ただ、彼女の身が心配だった……御者を急かしに急かして……)
ディオ(ようやくついた時……オーガストリートには何も無かった……僕は苦しかった……ジョジョの身を強く案じた……神にすら祈った……僕の命が変わりになるならどうか彼女を助けてくださいと……)
ディオ(そして僕は今……帰路についている……今となっては忌まわしい記憶しかないオーガストリートから……そして彼女にすべてを話そう……そしてどうなるのか分からないが……それでも今はそれが一番いい気がした……)
ディオ(ジョジョ……ああジョジョ……君はここにいる……扉の前にふわりと漂う香りが……君の存在を知らせてくれる)
ディオ(そして……何故かすべての明かりが消えたジョースター邸の中に……最も求める人の顔が浮かび上がった時……僕は涙した……)
ディオ「ジョジョォーーーーッッッ」
スピードワゴン「……」ガシッ
ディオ「……!? な、なんだ君は」
ジョナサン「……ディオ」
ジョナサン「……ディオ……ッ」ボロボロ
スピードワゴン「「残念だったな」……話さずとも」
ジョナサン「……もういいわ……ディオ……もういいの……」
ジョナサン「お父様が……死んだの……お父様がっ……!」
ディオ「────────ッ!」
警官「……ディオ・ブランドーだな? 貴様を殺人の容疑で逮捕する」
スピードワゴン「俺はなぁ……各国のゴミ溜めを周り……様々なものを見てきた……だからこそお前の事も……匂いでわかるんだよ……ディオ……」
スピードワゴン「「コイツァくせぇーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! ゲロ以下の匂いがプンプンするぜぇーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」」
スピードワゴン「弱いものを踏みつぶす事に一切のためらいがない下衆野郎の匂いがなァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
スピードワゴン「そしてッ! 病死に見せかけてぶち殺したジョースター卿の遺産でいい暮らしをしましょうねってか! ふざけんじゃねーぞっ!」
ディオ「僕はァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
警官「」ガシッ
警官「続きは署で聴きましょう」
ディオ「ジョジョッ! 頼むッ! 君と僕はずっと共にいたはずだッ! 僕は君を守って来ただろォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!? 頼む……頼むよ……ジョジョ……僕を……僕を見捨てないでくれェーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ」
ジョナサン(……私は……もう……何も信じることが出来ない……何を言えばいいのか……分からない……ただ頬を伝う涙が……私の意志を代弁してくれている……無言こそが……彼への答えなのだ……)
ごめんなさい、ディオ──────。
ディオ「あ……あぁ……ジョジョ……ジョナサン……ジョナサン……!」
ディオ(僕は……踏み外した事を……事ここに至ってようやく気づいた……まるでタイミングを図ったかのように永遠に口を閉ざしたジョースター卿……全て……僕が遺産の受け継ぎを早めんがために殺した……そうとしか言えない状況が出来上がっている事に……絶望した……)
ディオ(……なら……僕は……いかれたジョースター卿の言葉に従い……あの仮面で死ねばよかったのか? それとも、ジョジョを連れて遠くに逃げてしまえば良かったのか……? どうすれば良かったのだ……?)
ディオ(……何かが……沸騰し始めていた……全てが……悲しみという虚無に包まれて……どうでも良くなった……)
ディオ「……」スッ
スピードワゴン「!?」
スピードワゴン(なんだ……あの仮面は……!? 不気味な紋様だぜ……)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ディオ「…………辞めるぞ……」
ディオ(こいつらだ……こいつらこそが害虫なのだ……僕が……僕が何のために今まで悪を躊躇わなかったかも知らずに……ただ悪と断じ……したり顔で裁くこの人間こそがッ……!)
ディオ(僕だって……僕だってできればそんな手段は取りなくなかった……賭けチェスをやることも……毒薬も……何もかもが……)
ディオ(僕が生きるための……手段だったんだ……ほかの方法を知らなかったんだ……ジョジョ……ああ、ジョジョ……君だけはわかってくれると思っていたのに……!!)
スピードワゴン「ジョースターさん! 気をつけろ! 野郎、自分の指を噛みちぎりやがった……気でも狂いやがったのかもしれねえ……そういう人間は怖いぜ……!」
ジョナサン「……」
ジョナサン(私は……震えていた……ディオの涙に濡れた瞳が……食いしばった歯が……恨みの炎に燃やし尽くされんばかりの眼光が……恐ろしかった……)
ディオ(ジョナサン……ああ、ジョナサン……これが……君への最後の言葉……例えジョースター卿の言葉が本当だとしても……耄碌ゆえの狂言だとしても……これが……僕が人間として君の名を呼べる最後の機会……)
ディオ「「ジョジョォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!」」
ジョナサン(そして私は見た……)
ジョナサン(ディオが仮面を被り……それが眩い光を放つところを……)
ディオ「UREEEEEEEEEEEEEE!!!!」
ジョナサン(そこから先は……よく覚えていない……ただ……私は……人知を超えたディオの力に恐怖し……その赤い瞳から流れる涙にもう分けなさを感じ……ながら……スピードワゴンの背中に隠れていた……)
スピードワゴン「ぐはぁッ!!」
ディオ「フゥーーーッ! フゥーーーッ! ジョジョォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! 君だけは……君だけはァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
ジョナサン「……」
ジョナサン(ただ乱暴に腕を振っただけのディオ……なのにスピードワゴンは容易く骨を砕かれ……血反吐を撒き散らしながら吹き飛んだ……)
ジョナサン(警官の銃弾を食らっても眉一つ動かさず……憎悪と悲しみの表情で噛み付き……食いちぎり……血肉を啜る……)
ジョナサン(月下……窓から差し込む月光が……その姿を映し出す……ああ、知っている……知らないはずがない……吸血鬼……ディオは吸血鬼になってしまったんだ……)
ゾンビたち「ルルルルルェエエエエエッ!」
ディオ「……!?」
ディオ(……真実……俺ははからずもジョースター卿の言っていた事が真実だとしった……すべての感覚は鋭敏になり……壁越しに起きていることすら耳でたやすく分かってしまう……)
ディオ「……ジョースター卿……あなたは……あの世で絶望なされたのですね……全てを……諦めたのですね……」
ディオ「……しかし……もう遅い……俺はなってしまった……あなたの望みに答えてしまった……」
ディオ「……」クルッ
スピードワゴン「テメェっ! どこに行きやがる!」
ジョナサン「……ッ……」
ディオ「……もう、何もしゃべらなくていい……俺は今の君の唇からは何一つ聴きたくない……でも……でも……殺したいとも……思わない……」
ディオ「「むしろ……火が出ていることを教えてしまった」……それはつまり……俺が……僕が君に生きて欲しいと思っている現れなんだ……」
ジョナサン「ディオォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
ジョナサン(「足りなかった」……私は事ここにいたりようやくそれを知った……お父様の部屋にあった石仮面……それを被り人でなくなってしまったディオ……そこに……そこにあったのは……本当にただ遺産絡みの殺人事件だけだったのか……?)
ジョナサン(ディオ……! ディオ! あなたに私は恐怖している……それでも……私はあなたを……まだ愛している……だからこそ何も言えなかった……だからこそ……あなたの首を落とすような一言は……!)
ディオ「さようなら、ジョジョ」
ディオ「……愛していた」
ジョナサン(最後に見たのは……月浮かぶ闇夜へ消える……一匹の化物……血と涙に濡れた悲しみの鬼……)
JOJO「私は……彼からすべてを聞くためにも……それをしらなくちゃあいけないんですッ!」
ツェペリ「……良かろうッ! しかし修行は厳しいぞッ! 女子の身体なら壊れてもおかしくはない! しかしそれでも良いのかとは聞かんッ! 今やディオは世界を脅かす存在となったのだからな!」
スピードワゴン「ジョースターさんッ! 俺もおともしますぜ!」
※
JOJO(波紋を束ね……よりあつめ……円盤投げのように束ねて……手のひらの先から一気に噴出させるッ!)
ジャックザリッパー「ゲブァーーーッ!」
ツェペリ「どうやら波紋のコツを掴んだようじゃの、JOJO! しかし本番はこれからじゃぞォ~ッ!」
※
(※原作では最終決戦前にディオと一度闘いますが、今作はそのシーンはなしです)
※
JOJO「……怒り……人生で初めての怒り……それがあなたに対する……師匠を殺された怒りッ……!」
タルカス「クゲェーーーッ! 調子に乗るなよこのノミがァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! ほんの少し力が増しただけで調子に乗るなぁッ!」
JOJO「……」
タルカス「な、なにぃッ────────抱きしめ……る……だとォーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!?」
JOJO「……あなたは……亡者……怒りはあれどそれに代わりはない……ディオ……悲しみの咆吼に呼び覚まされたかわいそうな亡者……」
JOJO「だからせめて……安らかに逝きなさい……何を感じることもなく……何に絶望することも無く……暖かな波紋の中で……」
タルカス「く、ぐげ、っ、バカな、身体が、身体が崩れて行くゥーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ! なんだ、何なのだこれはァーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!」
JOJO「聖母十字波紋疾走(マザーズロザリオオーバードライブ)」
JOJO「……今は無き師匠が与えてくれた……私だけの波紋……」
スピードワゴン「(なんて強さだッ……! 殴るでなくッ、蹴るでなくッ! 抱きつくことによって広範囲に波紋を浸透させるッ! 正しくそれは染み渡る母の優しさ……!)」
スピードワゴン「(なんて強くなったんだ……ツェペリのおっさん……! 彼女は今……あんたの意思を受け継ぎ……! より強く、より高みにたどり着いたぜ……!)」
ディオ「何故……」
ディオ「何故……君は来てしまった……何故……!」
JOJO「全てを知る為に……よ、ディオ」
ディオ(感じざるを得なかった……血を超えた絆……いや……因縁ともいうべきか……無論、俺は既に決心を固めている……石仮面の力を以て、人間共を支配すると決めている……)
ディオ(でも……それでもッ……君だけは……君だけは……目の前に現れて欲しくなかった…………)
ディオ「JOJO……「君はわかっているのか」……その力……ここまで吸血鬼達を倒してきたその力を携え俺の前に立つと言うことが……どういう事なのか……!」
JOJO「無論、解っているわ。ディオ」
JOJO「でも……それでも……私には止まれない理由があるの……あなたを止め……そして……私にここまでくる力を与えてくれた師匠の恩に報いる……」
ディオ「……そうか」
ディオ(僕は……何時しか彼女に張り手を食らった時を思い出していた……心が痛み……涙すら流しかけたあの時を……そう……彼女はジョースター卿が言うような無能ではない……)
ディオ(黄金の精神を持った……高貴な淑女……それこそが彼女の本質……)
JOJO「……ディオ」
ディオ「……ならば最早容赦は必要ないな、ジョジョォーッ!」
JOJO「……」
JOJO「ええ……そうね。「私達が望むまでも無く……状況がそうさせてしまった」……「あなたは……私の父を殺し……大事な師匠が死ぬ間接的な原因となった」……」
JOJO「……今や……戦う理由しか私達には残っていないッ! 愛があったとしても! いや! 愛があればこそ! 私はあなたを斃さねばならないッ!」
ディオ「「僕の意思は変わらない」……」
JOJO「「私の意志も」……「また」……」
「「ならばッ!!!!」」
「「力を以て、押し通るのみ!」」
パアンッ!!!
ディオ「最終ラウンドだ! 君との愛! ……狂いきった人としての人生! 君の生命を以て僕はそれに終止符を打つ!」
JOJO「おおおおおおおおおおッ!」
ディオ「WRYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
…………………………
ディオ「………………」
JOJO「……………………」
ディオ「……君は……まだ僕を……抱きしめてくれるのか……? こんなにも……こんなにも……僕は君を傷つけ……自分の人生……人としての生命……因縁を終わらせるためだけに君の生命を奪おうとしたのに……」
JOJO「……私も……きっともう……抱きしめることなんかできないと思ってた……あなたは……漆黒の狂気に飲み込まれてしまった貴方は……きっと私の抱擁を受け入れる事などないと……」
ディオ「……でも……僕は受け入れてしまった……最後の瞬間……傷だらけの君が……微笑みながら腕を広げたその瞬間……僕は受け入れてしまった」
ジョナサン「……昔からそうだった……ずっと肩肘ばかり張って……自分だけで全てを片付けようとしてしまう……そんな人だった……」
ディオ「怖かったんだ……弱さを晒すことが……自分が弱いと認める事が……」
ジョナサン「辛い時は……辛いと言ってくれればよかった……何を隠すこともなく……何を装うことも無く……ただ、私に言ってくれればよかった……」
ディオ「そうだな……そうだったのかも知れない……僕は……自分ひとりで生きてきたつもりだった……」
ディオ「でも……でも……あの時は……君がいたんだっけな……」
ジョナサン「……」
ディオ「ありがとう、ジョジョ」
ディオ「僕は……僕は……望んだように、人として、君の胸の中で、死んで行ける……それこそが……狂いきった僕の人生の中で……唯一の幸せと言えることなのかもしれない……」
ジョナサン(そして……ディオは灰になった……いままでの吸血鬼の様に……橙色に溶けるのではなく……すべてを私に委ねるように……胸の中で……解けて……空気に溶けていった……)
ジョナサン(……不思議と……涙は出ず……身体から力が抜けていく感覚に……すべてを任せて……)
ジョナサン(私は……彼との青春を思い返していた……)
一人は星を見た────────。
一人は泥を見た────────。
泥を見た一人は、然し、母のぬくもりを思い出し、一度、星を見た。
その美しさに心うたれ、ずっと見つめていた────────それでも、彼はまた泥を見た……。
その美しさはあまりにも自分にはそぐわないものだったから……。そして彼は年を取り、死の間際に、また鉄格子の間から星を見た────────。
終……であります。後半やっつけな感じでごめんね
元スレ
ディオ「ジョースター家……いずれ、僕のものになる……」女ジョナサン「?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1458286920/
ディオ「ジョースター家……いずれ、僕のものになる……」女ジョナサン「?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1458286920/
「SS」カテゴリのおすすめ
- 千早「イタコに事務所のみんな(存命中)の霊を呼んでもらいましょう」
- 幼馴染「もうっ!ちゃんとボクの方見て聞いてよっ」タユン
- アニ「ここは?」 サシャ「地下牢とだけ言っておきましょうか」
- 苗木「ねぇ、モノクマ」モノクマ「なんだい? 苗木君」
- まゆ「プラトニック・ラブ」モバP「小学生編」
- P「千早! 俺の妹になってくれ!」
- 上条「バイトでもしようかな……」
- モバP「アイドルたちをグラフでまとめた」
- Pプシマン「シュワアァァ」亜美「コカコーラの方が美味しいよね」
- 千早「アクアリウム?」
- モバP「アイドル達にモテてつらい」
- 高垣楓「ザ・センターマン?」
- 幼馴染「ラッキー!」男「また?」
- 美希「ねえねえハニー、今日って何の日か分かる?」
- まどか「メガネの転校生にさやかちゃんをとられちゃう」
- 勇者「魔王を復活させよう」女魔法使い「本気?」
- 刀剣匠「これが最後の一振りだ」女騎士「 それを頂こうか」
- 理樹「リトルバスターズメンバーで卒業旅行?」
- エレン「俺は憲兵団に入って内地で暮らす!」
- スネーク「聖杯戦争?」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- 貴音「あなた様あなた様、また」
- ライナー「やったー!超大型巨人を倒したぞ!」
- まどか「QBが口を閉じて喋ってるのはおかしい」
- 美琴「常盤台中出身、御坂美琴この中に―――」 上条「ははは……」
- 武内P「デュエルディスクが?」モバP「ああ、完成した」
- 佐天涙子氏が記者会見「無能力者と偽ったことをお詫びしたい」
- 野崎「佐倉、実は俺は六英雄の一人なんだ」
- 冬馬「北斗の『チャオ☆』で世界がヤバイ」 P「は?」
- P「セクハラセクハラセクハラ伊織セクハラセク──」
- P「離合集散のディスコード」
- 赤城「なまえのないかいぶつ」
- 森久保乃々「相席良いですか?」御器谷忍「う、うん」
- ベジータ「おーい!ブルマー!!う○こしたから尻拭いてくれ!!」
- 村娘「あたしを弟子にして欲しいの!」師匠「なに?」
- 幸子「ち、注射なんて怖くないに決まってるじゃないですか!」
- 比企谷八幡「誕生日?誰の?」
- お前ら「ギャハハ」 先生「コラ!!!授業中だぞ!!静かにしろ!!」 お前ら「ギャハハハ」ブリッ
- 冬馬「俺たちって……ジュピターっぽいことしたか?」
- 六花「邪王真眼に目覚めた……っ!」
- 佐々木「ねぇ、キョン。 君は特別では無いのかい?」
コメント一覧 (49)
-
- 2016年03月19日 07:35
- 失速感半端ない
-
- 2016年03月19日 07:38
- ママ…ッ!
-
- 2016年03月19日 07:45
- ホモのやつのほうが面白かった…
序盤だけは良かったのに石仮面出てきてからくっそつまらなくなったわ
-
- 2016年03月19日 08:11
- これだからおーぷんは
-
- 2016年03月19日 08:12
- 女ジョナサンが終始テキーラ娘の姿で脳内再生されて笑えたわww
-
- 2016年03月19日 08:22
- 終始、女装ジョセフで脳内再生されて辛かった・・・
-
- 2016年03月19日 09:16
- いっそのことジョースター卿が吸血鬼になったほうが面白かったんじゃないかね
-
- 2016年03月19日 09:44
- 何故ジョースター卿は自分で吸血鬼になろうとしなかったのか…
まあ最後の余韻をやりたかったんだろうけど
-
- 2016年03月19日 10:15
- 長身英国美女とかストライク過ぎて俺がジョースター家に婿入りしたいレヴェル
-
- 2016年03月19日 10:35
- こういう時はエリナで脳内再生すんだよ
テキーラとか、石仮面なしで吸血鬼になんぞ
-
- 2016年03月19日 10:48
- おだんごつけた承りが六部にいたように、すごんだムキムキのオカマ相手に
引きつり笑いしてるDIOしか思い浮かばない
-
- 2016年03月19日 11:16
- ※5
訴訟
-
- 2016年03月19日 11:20
- ※5キサマのような女がいるかっ!
-
- 2016年03月19日 11:51
- キャラを掴んでない。
性別変えただけならまだしもキャラ自体が違う
-
- 2016年03月19日 12:12
- で、第3部でオカマになって復活するのね?
-
- 2016年03月19日 12:39
- 昔あった、ディオが原作通りにジョジョ(♀)を貶めようとするけど、失敗し続けて、最終的にジョジョと婚約する話。
あれのパクリかなんか家と思ったら違った。
あっちの方が面白かった。
-
- 2016年03月19日 12:42
- ジョジョは『ッ』一つだよ
連呼されるとバキに見える
-
- 2016年03月19日 12:50
- このおれの剣に刻んであるこの言葉をおまえに捧げよう!
Rack!(苦痛を)
そして君の未来にこれを持って行けッ!
Prack!(男性. 器をッ!)
※ ttp://www.definition-of.com/prack
あやまれ
ブラフォードにあやまれ
-
- 2016年03月19日 13:40
- むしろディオが女だったら、を見たいわ
余裕で漫画一本成立すると思う
-
- 2016年03月19日 13:46
- スピードワゴンが間男にしか見えなかったので途中で読むのやめた
-
- 2016年03月19日 14:01
- 夢豚かな?
-
- 2016年03月19日 14:06
- せめて名前をジョディにするとか…。
個人的に不満を感じたのはそれだけでなかなか楽しめた。
母性溢れる長身お嬢様にして高潔なる淑女って俺得過ぎる。
あと下コメにあるディオが女だったらって読んでみたいわ。二人とも女体化だったらマジで勘弁してもらいたいが。
-
- 2016年03月19日 14:24
- これ原作読んでる奴ほど女装ジョセフしか頭に浮かばないだろうな…
-
- 2016年03月19日 14:47
- でもコレで思うのはもしジョ-スター家で娘しか居なかったら
というかあとを継ぐ息子がはなからいなければ
多分DIOもそこまで無茶して乗っ取りしなかった(というより必要ない?)
多分そこで話し終わるよな
なんか普通にジョースターパパに家継がされそう娘もセットで
ジョースター家を我が物にって考えが原因だからな
ジョナサン(血を継いだ跡取り息子)がいないと無理しなくともパパさんがくれそうだ
-
- 2016年03月19日 14:58
- 皆酷えな・・・俺は結構楽しめたぞ⁉️( ´Д`)y━・~~ 女装ジョセフ 黒歴史な
-
- 2016年03月19日 15:04
- えぇ…結局ディオはただの殺人犯扱いじゃん…胸糞だなぁ。ジョナサン本当に無能だったな。
-
- 2016年03月19日 15:19
- 腐女子の夢小説を連想してちょっと無理だった
その状態でテキーラ娘しか浮かばなかったから更に無理だった
-
- 2016年03月19日 16:29
- 米22
ジョナサンの女性名ならジョアンナかヨハンナで愛称がジョジョでもいいんじゃない
ジョアンナジョースター(14)ならジョリーンよりかわいらしくてしとやかな雰囲気がある
-
- 2016年03月19日 17:14
- ジョースター卿が畜生になっててワロタ
-
- 2016年03月19日 17:28
- なんじゃこりゃ
-
- 2016年03月19日 18:34
- ジョースター卿は一人娘しかいなかったからこそディオを引き取った……というか、一部の流れからして一人娘しかおらずどうしたものかと悩んでいたところにダリオからの手紙が来って感じだ。
んでこいつに家督を渡しつつ女ナサンを娶ってもらおうとしたんだよ。序盤にディオがそんな感じのこと言っとるやん
だからこそ二人は順風満帆に生活していたわけで
-
- 2016年03月19日 19:39
- ※5
お前は俺かwww
-
- 2016年03月19日 22:17
- もうなぁ…女装ジョセフでしか再生されん!
-
- 2016年03月20日 01:28
- 完全にビジュアルが、テキーラ持ってる怪しい大女しか浮かばないんだよ
-
- 2016年03月20日 04:34
- テキーラどころか終始ジョナサンのままで再生されてたぞ
-
- 2016年03月20日 12:02
- エリナどこ行った?と思ったらジョナサンに吸収されていた!という
あとUREEEE!じゃなくてURYYYYYYYY!じゃね
うれえええええ!になっちゃう
-
- 2016年03月20日 15:44
- ジョースター家の奴もスピードワゴンも糞じゃないか
-
- 2016年03月20日 19:33
- 女装ジョセフになる気持ちはわからないではないが、俺はちゃんとアイリンに変換していたので助かったぜッ!!
私、残酷ですわよ
-
- 2016年03月21日 11:56
- 目が滑って最後まで読めなかった
-
- 2016年03月21日 17:25
- ※24
結婚したらそのままジョナサン毒殺の流れじゃね?
で、息子がいたらその息子が真相に気づいて…の泥沼
-
- 2016年03月21日 19:25
- ※27
夢小説を書くのは大抵の場合腐女子ではなく夢女子という存在だ……勘違いしたままだといつか怖い腐女子につっかかられるぞ
でもこれは腐女子っぽいかもwwwww
片方女体化は腐女子やるしね
-
- 2016年03月22日 08:33
- 細かいところだけどluck・・・だよなぁ?
-
- 2016年03月22日 08:45
- 長編前の読みきりとしてなら悪くない感じ
-
- 2016年03月22日 14:24
- 女ナサン・・・
-
- 2016年03月25日 04:09
- ぜんぜん拒まないとかこのディオ2巡目だろ・・・
ジョアンナ・ジョースター(女性名詞ジョナサン)ネタは画像でもSSでも
何番にも煎じて見てきた。日本の若者ならもう飽きたよというものばかりです。
そのネタには「中毒性」があるという事ッ!
そして繰り返されてきたジョジョ女体化系統のネタからは……!!
ノンケだったころの生理的嫌悪を抑えるワクチンが獲得できるッ!!
-
- 2016年04月09日 13:08
- ダニーもワンチェンもいねえ!しかも書き方のせいでテキーラ女の格好したジョナサンだ!
てめーだけの都合でッ!
ゆるさねえッ! こいつは今 オレの心を『裏切った』ッ!
-
- 2016年05月04日 08:10
- テキーラジョナサンwww
-
- 2017年03月30日 01:12
- いや、想像力
-
- 2017年10月22日 11:18
- 原作もジョースター卿が無能だったせいから話が進んだからなぁ