剣「おい、起きろ!」勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「おい、起きろ!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「起きやがれ!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「このぐうたら野郎!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
勇者「いてっ……なんだよ、もう……」
剣「オレを引き抜いたと思ったら、いきなり寝る奴があるか!」
勇者「ぐぅ……」
剣「寝るなってんだよ!」
勇者「あ、ごめん……」
剣「お前は、国王から魔王討伐とさらわれた姫の救出を依頼された!」
剣「んでもって、勇者の血を引く者しか抜けないオレをこの山まで引き抜きにきた!」
剣「んで、お前は眠い眠いと口走りながらもあっさりオレを引き抜いた!」
剣「ここまではいいか!?」
勇者「ぐぅ……」
剣「聞けえええええええええ!!!」
剣「しょせんは剣だ……お前に持ってもらわなきゃ100%の力は発揮できねえ!」
剣「だからお前はオレを手に、魔王を討伐しに行かなきゃならねえんだよ!」
勇者「うぅ~ん……ボクじゃなきゃダメなの……?」
剣「ダメなんだよ! オレを使えるのはお前だけで、魔王を倒せるのはオレだけだしな!」
勇者「ぐぅ……」
剣「寝るなあああああああああ!!!」
剣「くっそ……さっきよりずっと深い眠りについちまったみたいだ」
剣「こりゃあチクチクするぐらいじゃ起きそうもねえぞ……」
剣「かといってザシュザシュやるのは流石にマズイだろうしな……」
剣「――ん」
剣「勇者が腰に身につけてる袋に入ってるのは――ライスボール!」
剣「これをこいつの右手にくっつけて……」ペタペタ…
剣「さらに、オレの柄がこいつの右手にくっつく」ペタッ
剣「――よし! これでオレは勇者の右手に握られたようなもんになった!」ジャンッ
剣「この状態なら、オレも勇者の剣として最大限の力を発揮できる!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「せっかく引き抜かれたんだ……魔王ぐらい倒さなきゃ生まれたかいがねえしな!」
剣「それじゃしゅっぱーつ!」グイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「ふう、ふう」グイグイ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「ふぅ……やっとこさ近くの村にたどり着いたぜ」
村長「おおっ、あなたが勇者様ですか!」
剣「え、と……そうだ!」
村長「まるで、勇者様は眠っていて、剣がしゃべっているように見えますが……」
剣「え、そ、そんなことないよ!? オレが勇者だから!」
剣「剣がしゃべってるように聞こえるのは……えぇと、腹話術みたいなもんなんだ!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
村長「そ、そうですか」
村長「村人もたびたび奴に襲われているのです……お願いできますでしょうか?」
剣「もちろん! 断る理由がねえ! なんたってオレは勇者だからな!」
剣「ほら、行くぞ!」グイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
村長(どう見ても、剣に勇者様が引っぱられているように見えるのだが――)
剣「くそっ、地面がゴツゴツしててこいつを引きずるのも一苦労だ!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
ガツンッ!
剣「あ! 地面のデコボコに勇者の頭がぶつかっちまった!」
勇者「いだだ……」
剣「やっと起きたか! ――って、大丈夫か!? かなり強めにぶつかったけど……」
剣「実はな、オレがお前にくっついて、お前を引っぱってここまで来たんだよ」
勇者「そうなんだ……」
剣「もしかして……怒ってるか? いや、怒るに決まってるよな」
勇者「いんや、別に……」
剣「そ、そうか。それを聞いてほっと――」
勇者「むにゃ……ぐぅ……」
剣「あ、寝やがった!」
魔物「ガルルルルル……」
魔物「ガァァッ!」ダッ
剣(飛びかかってきた! かわしてやるっ!)サッ
勇者「ぐぅ……」ズルッ
ザシュッ!
剣(あ、やべっ! オレはよけたけど、勇者に攻撃が当たっちまった!)
剣「今ので起きねえのかよ! すごいんだか、すごくないんだか……」
魔物「グルルルルル……」
剣「ぐうたらとはいえ、よくもオレの主人を傷つけやがったな!」ブンブンブンッ
ザザザンッ!
魔物「グギャアァァ……!」ドズゥン…
剣「ふぅ、いっちょ上がりだぜ!」
剣(うん、こいつを引きずりながらでも結構イケるじゃん!)
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
村長「おかげで村は救われました……ありがとうございます」
剣「なんのなんの」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
村長「今晩はぜひ我が家に泊まっていって下さい」
剣「いやいや、オレは全然疲れてないから。このまま旅を続行するよ」
村長「そうですか……。旅の無事を祈っております」
剣「ありがとう! ――オラッ、行くぞ!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
村長(やっぱり人間が剣に引きずられてるように見える……)
剣「――えぇっと」
剣「あれからいくつか村や町を巡ってきたが……」
剣「ここは比較的平和な町らしいな。魔物や魔族と戦うことはなさそうだ」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「いつも野宿だし、たまには宿屋でゆっくり休むか」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「つっても、お前はいつもゆっくり休んでるけどな!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
店主「お一人様につき、200ゴールドいただきます」
剣「ってことは400ゴールドだな」
店主「えっ?」
剣「えっ?」
剣(あ、そっか。オレの分払う必要ねえじゃん)
剣「ほらよ、200ゴールドだ」チャリン
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
店主(横たわりながら動き回って、剣を使って支払いをする客なんて初めてだ……)
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「ものすごい姿勢になってるのに、よく眠れるなこいつ……」
剣「あー、やっぱりお前もベッドに入ってよし!」グイッ
勇者「むにゃあ……」ズルズル…
勇者「あり……がと……」
剣「!」
剣「……なんだよ、照れるじゃねえか」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「寝言かよ!」
市長「――というわけなのだ!」
市長「魔王の軍勢は、王国の産業の中心地であるこの都市を狙っておる!」
市長「私も私兵を出して応戦するが、彼らだけでは到底防ぎきれまい」
市長「勇者殿、どうか我らを助けて欲しい……!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
市長「えと……ちゃんと聞いてる?」
剣「あー聞いてる聞いてる! 魔物の軍勢なんてオレがいりゃちょちょいのちょいよ!」
市長「あ、よかった。聞いてたんだ」
剣「ほら、行くぞ!」グイグイッ
勇者「うぅ~ん……もう食べれない……」ズルズル…
キィンッ…… ガキンッ…… ザシュッ……
私兵A「すげえな……さすが勇者様だ。一人だけでもう100匹は倒してるぜ」
私兵B「横になりながら右手だけを動かす剣術が、あそこまで強いとはなぁ……」
私兵C「俺も真似してみよっかな……」
剣「だりゃ! だりゃ! だりゃ!」ザシュザシュザシュ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「こんなふざけた剣術、よい子はマネすんなよ!」ザシュザシュザシュ
キィンッ…… ガキンッ…… ザシュッ……
剣「つーかさ、こんだけ人と魔物が入り乱れてるのに、よくお前は起きねえな?」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
勇者「……ん」
剣「おおっ、久しぶりに起きた! 何日ぶりだ!?」
勇者「今、何が起きてるの……?」ムニャ…
剣「大都市軍と魔王軍の大戦争だよ!」
勇者「そうなんだ……おやすみ……」グゥ…
剣「もはや“それでこそお前!”って感じがしてきたぜ!」
市長「この戦いには魔王軍も主力を投入していたから、この敗戦はかなりの痛手のはず!」
市長「ところで今夜は、ぜひ豪勢な食事で勇者殿をもてなしたいのだが――」
剣「いや、オレらはあまりメシを必要としてないから、いらねえや! 悪いな!」
剣(オレは食わないでいいし、こいつも眠ってばかりでほとんどメシ食わねえからな)
剣「それじゃ!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
市長(勇者殿のアレは、お腹の力だけで移動してるということでよいのだろうか……?)
黒魔術師「フフフ、お待ちしておりましたよ、勇者殿」
黒魔術師「魔王様第一のしもべたるこの私があなたを永遠の眠りにつかせてあげましょう」
黒魔術師「この暗黒魔術でねぇ……」ゴゴゴゴゴ…
剣「すげえ魔力だ! 半端じゃねえ! さすがのお前も起きちまうんじゃねえか!?」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「うん、知ってた」
剣「ごめんな……こんな勇者で。本当に申し訳ない」グイグイ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「どおりゃっ!」ブンッ
ザシュッ!
黒魔術師「ぐはぁっ! ま、魔王様……お許しを……」ドサッ…
剣「この暗黒の瘴気に包まれた谷を越えりゃ、もう魔王城は目と鼻の先だ!」
剣「気合入れてくぞ!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「うん、そのままの君でいて欲しい」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
勇者「むにゃ……なにここ、真っ暗だね……」
剣「お、目が覚めたのか。こんな暗闇、恐ろしくてたまらないだろ?」
勇者「うぅ~ん……最高……」ニタァ…
剣「だろ? 分かってて聞いたんだ」
剣「ついに魔王城にたどり着いた……」
剣「こんなぐうたらを引っぱりながらでも、どうにかなるもんだな」
剣「よぉーっし、それじゃいざ突入!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「どおりゃぁぁぁぁぁっ!!!」ブンブンブンッ
剣「だありゃぁぁぁぁぁっ!!!」ザクザクザク
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
魔王「ようやく来たか……勇者よ、待ちくたびれたぞ」
剣「待たせてすまねえな、こっちは人一人引っぱってるもんでな」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「魔王……姫さんに悪さはしてねえだろうな?」
魔王「……ふん」
剣「この野郎……まさか! てめえは絶対討伐してやる!」
魔王「来るがいい……勇者と勇者の剣よ」
魔王「笑止……!」シュバババッ
キンッ! ガキキンッ! ギンッ!
剣「ぐっ……!」
魔王「ふっ、なるほど。どうやら勇者自体に戦闘力は皆無のようだ」
魔王「勇者の手にあれば力を発揮できるという勇者の剣が、勇者の体を引っぱって」
魔王「どうにかこうにかここまで来たというわけか」
剣「バレちまったか……。その通りだよ!」
魔王「いかに勇者の剣とはいえ、そんな戦い方で私に勝てると思ったかぁっ!」ブオッ
ギャリンッ!
剣(さすが魔王! 今までの敵とはケタが違う! オレの攻撃が通用しねえ!)
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
魔王「無駄だ! すでに貴様らの弱点は見抜いておる!」バリバリッ
バチィンッ!
剣「ぐおっ!」ボトッ
勇者「むにゃ……」ドサッ
剣(しまった……! オレと勇者の右手が、離れちまった……!)
剣「ぐっ……なにしやがる! てめえなんかに持たれたくねえんだよ!」
魔王「勇者の手から離してしまえば――」
魔王「貴様は多少自力で動けて、しゃべることができるだけの剣に過ぎん」
剣「好き放題いいやがって……!(図星だけど……!)」
魔王「しかも、肝心の勇者はあのザマだ」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣「ぐおおおおっ……!」メキッ…
魔王「ハハハ、剣の分際で粘るではないか!」ググッ…
剣「あたぼうよ! 伝説になるほどの剣をナメんなよ!」メキッ…
魔王「しかし、ここまでだ! 真っ二つにしてくれるわっ!」グンッ
剣(ち、ちくしょぉぉぉぉぉっ……!)メキメキ…
魔王「あっ!?」
勇者「どれどれ……」チャキッ
勇者「ふぅ、よかった……折れてないみたいだ」
剣「勇者……!? お前、なんでいきなり起きてんだよ!?」
勇者「なんでって……」
勇者「たしかにボクはぐうたらで、勇者と呼ばれる資格なんてない人間だけど……」
勇者「いくらボクだって、ボクみたいな奴をずっと引っぱってくれて」
勇者「一人で頑張ってくれたキミがピンチって時に、寝てられないよ」
剣「…………!」
剣「へっ、こんな最後の最後になってらしくねえこといいやがって……!」
魔王「ふん、ぐうたら勇者が剣のピンチに覚醒したか……泣かせる話ではないか」
魔王「しかし、おそらく貴様は今まで一度も戦ったことがあるまい?」
剣(そうなんだよなぁ……今までの戦いは全部オレがやってきたんだよな……)
魔王「そんな経験ゼロの勇者など、私にとってみれば赤子も同然!」
魔王「一撃で滅してくれる!」ダッ
ザシュッ……!
魔王「な、なんだと……!? 私の攻撃をかわし、しかも反撃だと……!?」
勇者「残念だったね」チャキッ
剣「えぇ!? あれれ!? どして!?」
剣(――ってオレの方が魔王より驚いてどうすんだ!)
勇者「ボクだって、眠りながらずっと経験ってやつを蓄積していたんだよ」
勇者「引きずられ続けたおかげで体は丈夫になったし、夢の中で戦ったりもしてたしね」
勇者「睡眠学習ってやつさ」
剣(そうだったのか……! オレはこいつを見くびってたようだ……!)
剣「おう! 存分にオレを振るってくれ!」
勇者「はっ! でやっ! てやっ!」ビュアッ ビュオッ シュバッ
魔王「ぐぬぅぅぅぅぅ……!」ギンッ キンッ キィンッ
ガギィンッ!
勇者「ぐあぁっ!」ヨロッ…
魔王「ちっ!」ヨロッ…
魔王(なかなかやりおる! 睡眠学習……どうやらハッタリではないようだ!)
魔王(だが――)
魔王(本当の実戦というものをこなしていないハンデはやはり大きい!)
魔王(ところどころにスキはある!)
魔王(そのスキを突き、一気に心臓をえぐってくれるわ!)グワッ
勇者「ん……」ウトッ…
ザバシュッ!
魔王「ぐわっ……!?」
魔王「いきなり眠りに落ちて、その時の勢いで放たれた一撃が……」
魔王「私の急所を切り裂くとは……!」
魔王「こんなの……ひど、すぎる……」ドザァッ
剣「…………」
剣「……勝ったけど、なんでだろう。申し訳ない気持ちでいっぱいだ……」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
剣(今の一撃……あえて技名つけるとしたら『寝返りスラッシュ』とかになるのかな……)
剣「また米粒を使って勇者とくっついて、と」ペタ…
剣「ほれ、あとは姫を救出するだけだ!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「この扉の監禁されてるんだな……? とりゃあっ!」ブンッ
ズバァッ!
剣「姫! 勇者があんたを助けにきたぜ!」グイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「うおおっ!?」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
姫「あら! あらららら! そちらが勇者様!? 眠ってらっしゃるの!? 熟睡!?」
姫「ほら、起きなさい! 起きて! 起きて起きて起きて起きて起きて!」バチンッバチンッ
勇者「いだだ……」ムニャ…
勇者「ぐぅ……」
姫「まぁすごい! 二度寝するなんて! だったら起きるまで叩くまでよ!」バチンッバチンッ
勇者「いだい……」ムニャ…
勇者「ぐぅ……」
剣(どっちも負けてねえっ……!)
剣(なんなんだ、このせっかちすぎる娘は……)
姫「さ、ほら早く! ダッシュ、ダァァァッシュ! なんたって時は金なりだもの!」
勇者「ぐぅ……」
姫「ほら起きて起きて起きて!」パシパシパシッ
勇者「いだいなぁ……ぐぅ……」
魔王(そう……さらったはいいが、さすがの私もこの姫のハイペースさに辟易し……)
魔王(悪さなどしようがなく……閉じ込めておくしかなかった、のだ……)ガクッ…
勇者「ぐぅ……」
剣「おいおい姫さんよ、あんまり叩くなって……」
姫「あらすごい! しゃべる剣! どうしてしゃべるの!? 7文字以内でどうぞ!」
剣「勇者の剣だから」
姫「やっるぅ~! やるわねあなた! 気に入っちゃった! あたしの剣になってよ!」
剣「ハ、ハハ……」
姫「じゃ、こののんびり屋さんを二人で引っぱって帰りましょ! レッツゴー!」グイッ
剣「ほれ、帰るぞ! 魔王退治は帰るまでが魔王退治だ!」グイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
姫「お父様! あたし帰ってこれたわ! 勇者様を褒めたげて! 手短にね!」
国王「う、うむ」
国王「勇者よ、よくやってくれた」
勇者「ぐぅ……」
国王「寝てしまってるな……後にした方がいいだろうか?」
剣「あ、気にせず続けてくれ。次はいつ起きるか分からねえし」
姫「そうよ、さっさと褒めてあげてよ! さっさとさっさとさっさと! ハリアップ!」
国王「う、うむ。余はいかなる恩賞をもおぬしに与えるつもりでいる」
勇者「ぐぅ……」
剣「寝る場所があればいいそうだ」
国王「う、うむ」
剣「さすがにこれはちゃんと答えさせなきゃな……おいっ!」チクッ
勇者「ん……? なに……?」
剣「お前、姫と結婚したいか!? したくないか!? どっちだ!?」
勇者「う~ん……してもいいかな……。ぐぅ……」
剣「――だ、そうだ」
国王「う、うむ」
姫「やったわ! じゃあ今日中に結婚して初夜りましょ! ひゃっほう!」
姫「さあさあ、勇者様! さっそく着替えましょ! ほら引きずっちゃうから!」グイグイッ
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」ズルズル…
剣「あんな極端な二人を見守っていかなきゃならないとは……あんたも大変だね、王様」
国王「う、うむ」
国王「というわけで、勇者の剣よ、おぬしには二人の後見役を任せた」
剣「おう、任された! ――って、え!?」
国王「じゃあ……後はよろしく! 全部任せた!」ニコッ
剣(くっ、こいつ……『う、うむ』しか言わないから油断してた! とんだ知恵者!)
姫「ほらほらほら! 早く着替えてほら! ほらほらほら! 着替えさせてあげる!」ゴソゴソ…
勇者「ぐぅ……ぐぅ……くすぐったい……」ムニャ…
剣(せっかく引き抜かれたんだ……)
剣(あとはこのお似合いの二人を見守りながら、楽しく暮らすってのもありかもな)
剣「お~い、姫さん! このぐうたらの扱いはまだオレのが上だぜ!」ヒュオッ
姫「そうね! 剣にも手伝ってもらうわ! ほらほらほら! 手伝って! さぁさぁ!」
勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
おわり
ありがとうございました!
元スレ
剣「おい、起きろ!」勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1457694613/
剣「おい、起きろ!」勇者「ぐぅ……ぐぅ……」
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コメント一覧 (17)
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- 勇者きゅんの利き手の関節はもうガバガバ
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- 2016年03月12日 06:25
- うーん……悪くないんだけどな。
何か足りない。
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- 2016年03月12日 06:42
- ゼロ使のデルフリンガー思い出したわ
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- 2016年03月12日 06:54
- 騎乗/位シーンはよ
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- 2016年03月12日 07:02
- しゃべる剣はディムロス思い出す
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- 2016年03月12日 07:25
- ドライブのベルトさんみたいで好き
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- 2016年03月12日 08:00
- スレタイ見てスタンとディムロス不可避
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- 2016年03月12日 08:01
- 睡眠剣 略して睡剣だな
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- 2016年03月12日 10:45
- 魔法剣の最高峰「意思を持った剣」使用者は勇者だけとは決まらない(RPG史上6歳って事もあったしな・・・)
因みにワイはエクスカリバーJr(歳ですまんな)
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- 2016年03月12日 11:40
- インテリジェンスソードはファンタジーのロマンだよなぁ
僕はストームブリンガーちゃん!
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- いや、普通剣は生きてないし!
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- いつもの人にしては少しキレがないような…
姫可愛いから良いけど
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- 2017年01月31日 00:43
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