女上司「人肌恋しい季節だな」男部下「まだ夏ですよ」
男部下(以下男)「夏だからですか」
男「一緒に行く相手は?」
女「それを言うな」
男「祭ですか」
女「こちとらちゃきちゃきの江戸っ子だからな、祭囃子を聞くと思わず脚が進むよ」
男「出身九州でしたよね」
女「それを言うな」
男「出店ですか」
女「焼きとうもろこし、焼きそば、お好み焼き、はし巻き、たこ焼き、りんご飴、冷やしパイン…他にもあるが挙げたらキリがないな」
男「食べ物しかないですね」
女「いいだろ別に」
男「太りますよ」
女「それを言うな」
男「違いですか」
女「はしに巻いてるかどうかしか違いがないと思わないか?」
男「確かにそうですね」
女「しかし、私ははし巻きが好きだな」
男「なにゆえ」
女「まぁ屋台限定ってのもあるが、単純に食べやすいだろ。汚れにくいし」
男「そういうこと気にするんですね」
女「私はまだ女を捨ててないぞ」
男「そんなこと言われましても」
女「釣れないな」
男「僕は魚じゃありませんので」
女「君のことを魚だと思ったことはないよ」
男「一人で回ってる人とか見たことないですよ」
女「…だ、だよなー」
男「えっ」
女「ええいうるさい!仕事に集中しろ!」
男「こんな時だけ上司風吹かされましても」
女「うるさい!いいから仕事だ仕事!」
男「仕事してれば寂しいの忘れられますもんねー」
女「それを言うな!」
男(あー、拗ねちゃったかー)カタカタ
女「どうせ私は喪女だよ…」ブツブツ
男(こういうとこ子供っぽいんだよなー…そこが可愛いんだけど)
男「女さーん」カタカタ
女「…なんだ…」グジグジ
男「明日仕事終わって予定ありますかー?」
女「えっ!?いや、ない!全然ないぞ!」パァッ
男「そうなんですか、寂しいですね」カタカタ
女「」
男(超楽しい超可愛い)
男「からかってなんかいませんよ?ただ、女さんに予定はあるのかなーって」カタカタ
女「予定なんてないよ!ふざけんな!」バンッ
男「ふざけてなんかいませんよー」カタカタ
女「ふざけてないでなんで私の予定を聞いたんだ!?なんだ?バカにしてるのか?モテない私をバカにしてるのか!?」
男「被害妄想もほどほどにお願いしますよー」カタカタ
女「被害妄想じゃない!実際に心に被害をこうむっている!」バンッ
男「あのー…エキサイトする前に仕事に集中しません?仕事終わったら構ってあげますから」
女「んがぁぁぁぁぁあ!!!」バンバン
男「女さんにそんな権限ないじゃないですか」カタカタ
女「…そうだけどさぁ…」シュン
男「へこむなら言わないでくださいよ」カタカタ
女「うるせぇ…」
女「あー…仕事する気なくなったー」グデー
男「先輩帰ってきたら女さん怒られますよ」
女「うるせー…こんなもんどうにでもなる…」
男「ならないと思うんですがそれは」
女「すまんな、少し取り乱した」
男「あれで少しなんですか?」
女「それを言うな」
男「そうですね」
女「仕事終わったら…か、構ってもらうからな//」カァッ
男「覚えてたんですか」
女「当たり前だ!」
男「当たり前なんですか」
女「ソレ?」
男「その喋り方です」
女「喋り方?」
男「普段は落ち着いた喋り方なのに、ちょっとテンパったりするとすごいボロボロになりますよね」
女「そんなことないぞ?私はいつでもこんな喋り方だ」
男「ほう」
男「女さん女さん」トコトコ
女「ど、どうしたそんなに近寄って」ビクッ
男「明日、予定ないんですよね?」
女「さ、さっきさんざっぱら話しただろ…どうした?」ドキドキ
男「明日、僕の地元でお祭りがあるんですよ」
女「ほ、ほう?それは楽しみだな」ドキドキ
男「良かったら一緒に行きませんか?」
女「ふぇ!?」
男(ふぇて…)
男「さっきのは予定の有無を確認しただけです…誘うのが恥ずかしかったのでちょっとはぐらかしてしまいました」
女「い、いやしかし、まだ心の準備が…」ドキドキ
男「祭りに行くのに心の準備が必要なんですか?」
女「私は九州出身だから…っ!」
男「関係ないじゃないですか」
女「てっ、手を握るな!ま、まだ早いだろ!」ドキドキ
男(手に早いとかあるのか)
男「言い方が気にくわなかったですか?」
女「い、言い方…?」ドキドキ
男「女さん」
女「は、はい」
男「明日僕と、デートしてくれますか?」
女「ふぇ!?は、はい!」
男(ちょろい)
女「か、変わってない!そんな言葉言ってない!」アタフタ
男「言いましたよね」
女「言ってないもん!」
男(ないもん…)
男「まぁそういうことにしときます」
女「わ、わかればいいんだ」ゼェゼェ
男『じゃあ明日仕事終わったら着替えて○○駅集合で。お先失礼します、お疲れ様です』
女「…ふへへへ」
女(まさか男君から誘ってもらえるなんて思わなかった
嬉しすぎてニヤニヤが止まらない)
先輩「女、お前は何故ニヤニヤしている?」
女「」ビクッ
女「あ、おっ、おかえりなさいです」
先輩「ただいま。すまんな、会議が長引いた。
男はもう帰ったのか…俺も書類まとめたら帰るかな」
女「遅くまでお疲れ様です」
先輩「女ももう仕事終わったろ?暗くなる前に帰れよ」
女「はい、お先に失礼します」
先輩「はい、お疲れさん」
先輩(こりゃ男となんかあったな)
男『もしもし』
先輩『おー、おつかれさん』
男『お疲れ様です』
先輩『今大丈夫か?』
男『終業後に仕事の電話かけてくるとかとんだブラック企業ですね』
先輩『仕事の話じゃねーよ、本当にお前は真面目だな』
男『皮肉なのはわかりました』
先輩『おうおう、こんなん話してても進まねぇから勝手に話続けるぞ』
男『同意見です』
男『あ、バレました?』
先輩『あいつは仕事以外はからっきし不器用だしな
分かりやすすぎる』
男『同意見です
で、なんですか?俺の愛しの女に手を出すなってですか?』
先輩『お前俺に嫁がいるって知ってて言ってる?』
男『最近流行ってるじゃないですか、ゲスな不倫』
先輩『悪いが俺は嫁一筋だしバンドマンでもない
それに、もし女が不倫するような女だったら、お前はあいつに惚れてないだろ』
男『バレてましたか』
男『女さんほどじゃないですよ』
先輩『同意見だ』
男『明日の祭りに誘いました』
先輩『ほう』
男『正直どうやって誘えば女さんの面白い反応を見れるか思い浮かばなくて誘えなかったんですよね』
先輩『お前も存外酷い性癖だな』
男『先輩には言われたくないです』
先輩『あれは俺じゃなくて嫁の性癖だ!』
男『奥さんの性癖とか平気で言わないでくださいよ
奥さんと俺同期なんですから』
先輩『あいつは性癖の幅が広すぎるんだ。知的探究心が強すぎるんだ』
男『だからって社内とか公園とかはないでしょ
しかも公園は警察に見付かるし』
先輩『酔ってベラベラ喋った俺のバカっ!』
男『大丈夫です』
先輩『元はと言えばお前のせいなんだがな』
男『申し訳ないです』
先輩『構わんよ』
男『で、話は女さんのことだけですか?』
先輩『だけだ』
男『そうですか』
先輩『お前も女もいい歳なんだ、早く身を固めると良いさ』
男『女さん綺麗なのに、あの年まで結婚してないってなんか恋愛に関して一癖あるんですかね』
先輩『そうとも言えんぞ?』
男『そうですか?』
先輩『俺と嫁が結婚したのも遅かったし、嫁は俺が初めてだったし』
男『…まじっすか?』
先輩『まじまじ』
先輩『やれ仕事だ勉強だと若い頃は男に興味なかったんだと』
男『はぁ』
先輩『で、それが爆発して、色んな巡り合わせがあって俺と結婚した』
男『なるほど』
先輩『みたいなこともあるから、一癖だとか欠点だとか無闇に言うんじゃない』
男『わかりました』
先輩『説教くさくてすまんな』
男『年取るとそうなるみたいですし、しょうがないです』
先輩『否定できんのが辛いとこだなぁ…』
男「おはようございます」
女「おはよう、今日も早いな」
男「女さんの方が早いじゃないですか」
女「一応まとめ役みたいなもんだからな、早く来たら皆の体調をチェックできるし、仕事の確認もゆっくりできる」
男「社畜脳ですね」
女「他に熱中することがないだけだ」
女「それを言うn…え?私行き遅れって呼ばれてるの?」
男「あー、今日で一週間の仕事も終わりだー」セノビー
女「なぁ男、私は行き遅れと呼ばれてるのか?」
男「祭、楽しみですね」
女「そうだな
で、私は行き遅れなのか?」
男「先輩と昨日電話したんですけど、早めに上がらせてもらえるようになったんで」
女「嬉しい気遣いだな
え?先輩もデートのこと知ったの?」
男「言っちゃいました」
女「」
男「おはようございます」
女「お、おはようございます」
先輩「おう、男から聞いたと思うけど、今日は早めに上がってくれて良いから」ニヤニヤ
女「あ、ありがとうございます…」
先輩「お前ももうすぐ三十路なんだから早く旦那見付けんとな」ミミウチー
女「セクハラですよ」
女(結婚かー…したいけど相手がなー…)
男「…」カタカタ
女(男君と結婚できたら最高なんだけど…早く結婚しなきゃ親もお見合いだのなんだのとうるさいし…)
男「…」カタカタ
女(今日の祭りが勝負だな…まさか向こうからアプローチしてくるとは思ってなかったが…まさかあんなに取り乱してしまうとは…)
男(仕事進めてくれねーかなー…) カタカタ
男(あー、今度のイベントどうするかなー…)カタカタ
女(会社の飲み会くらいじゃないか?プライベートを共にしたのは…どんな風の吹き回しなのだろうか…)
男(イベントの会場設営なー…依頼者が俺と趣味趣向が同じ人だったらそういうの考えるの楽なのになー…)カタカタ
女(確かに席が近いと言うこと、この職場で未婚が私達二人しかいないと言うことで、二人で仕事することがよくあるが…今まで私を祭りに誘うなんて、好意のあるようなそぶりは一つもなかったのだがな…)
男(あー、これここにこんくらい人数配置して…ここに垂れ幕かけて…あれ?垂れ幕こっちの方がいいか?)カタカタ
女(まさか罰ゲーム?いや、身体目的か…?あぁ、一度考え出すと嫌なことばかり考えてしまう…そうか、身体目的か…)ドヨーン
男「女さん」
女「ん!?ど、どうした…?」
男「この幕のことなんですけど…」
女「さすがにこの歳で膜はないぞ!?」
男「えっ」
男「いえ、大丈夫です」
女(やってしまった…不埒なことを考えてたからだ…)
男「で、この幕なんですが、どこに配置すればいいでしょう」
女「これかー…ここなんてどうだ?ここなら皆注目するし、邪魔にもならない」
男「なるほど…勉強になります」
女「経験の差だよ
昔はこういうとこに置いたりして、怒られたもんさ」
男「女さんがですか?」
女「私だって昔はダメダメだったんだぞ?」
男「そうなんですか?」
女「で、怒られたくなかったから、褒められたかったら一生懸命仕事して、気付いたら仕事のリーダーになってた」
男「なるほど」
女「あぁ、日がな仕事仕事でなー…」
男「それで婚期が遅れたと」
女「今良い話してるのにその反応はどうなの?」
男「明日明後日が本番で、今日は前夜祭です」カタカタ
女「なるほどな」
男「今日は出店と花火ですね
明日明後日はブラスバンドとかダンスとかがアーケードを練り歩くみたいですけど」
女「そうか」
男「はい」
女「しかし、何故本番の祭りに私を誘わない」
男「土日は女さん忙しいかなーって」
女「私に遊ぶ相手がいないとわかってて言ってるのか?」
男「はい」
女「そこは否定しろよ」
女「ほう」
男「それこそ、ブラスバンドとダンスがメインで出店なんかはついでですから」
女「なるほどな」
男「出店回りたいみたいでしたし、土日のほうはそんなに行く必要はないかな、と」
女「気を遣わせたみたいですまんな」
男「構いませんよ、女さんに楽しんでもらいたいので」
女「え、あ、ありがとう//」カァ
男「おりごとう」
女「良い雰囲気が台無しだよ畜生」
女「すまん、遅れた」
男「大丈夫ですよ、女性の身支度が長いのは仕方ないことですから」
女「浴衣が上手く着られなくてな」
男「あっ…(察し」
女「一人で着付けるのが難しかっただけだ!!失礼なことを考えるな!!」
男「いやいや、すみません、ただの照れ隠しですよ」
女「なにを照れる必要があった」
男「浴衣を着た女さんが非常に綺麗だったので」
女「おま、お前ってやつは…//」カァ
男「馬子にも衣装ですね」
女「本当にお前ってやつは一言余計だな」
男「早速屋台を回りましょう」
女「そうだな」
男「入り口に冷やしパインとリンゴ飴がありますね」
女「ダメだ」
男「えっ」
女「その二つ、特に冷やしパインは祭の〆だ。始めに食べるものじゃない」
男「こだわりがあるんですね」
女「私は江戸っ子だからな」フフン
男「出身九州」
女「それを言うな」
男「どれです?」
女「冷やしキュウリと生ビール」
男「うわぁ…」
女「なにか言いたげだな」
男「祭の楽しみ方が完全におっさんですね」
女「それを言うな」
男「女さんが言えと言ったのでは」
女「それはそうだな。おっさんくさいのも事実だし」
男「自覚はあるんですね」
女「どうした?」
男「なんか損した気分になるんですよねぇ」
女「そうか?」
男「だってスーパーで買って家で食べるほうがはるかに安上がりじゃないですか。ビールも然り」
女「お前は…本当に風情というものがわかってないな」
男「はぁ」
女「祭で食べるからいいんだよ、こういうのは」
男「そんなもんなんですか」
女「そんなもんだ」
女「しょうがない、ここは私が出そう」
男「いや、でも…」
女「お前に、祭の楽しみってのをわかってもらいたくてな」
男「…左様ですか」
おじさん「あいよー、1200円ねー」
女「どうもー」
女「ほら、お前の分」
男「いただきます」シャクシャク
女「どうだ?」
男「…この場の雰囲気もあいまって、思ってたよりも美味しいです」シャクシャクゴクゴク
女「それなら良かった」ニッコリ
男(でもキュウリ一本と生一杯で600円は高い)
女「あぁ、祭独特で良いな」
男「女さんは何食べます?」
女「牛タン、塩で」
男「了解です。では、ここは俺が」
女「悪いな」ビールゴクゴク
男「いいんですよ、本来ならデートは男が金出すものでしょう」
女「ブハッ」
男「女さん!?」
女「いや、なんでもないぞ、うん」アセアセ
女(ダメだ、デートって単語を聞くとやはり意識してしまう)チラチラ
男「…あー、はい」
男(ダメだな、酔って口が軽くなってる、気を付けよう)
男「祭特有のものですからね」
女「わかってるじゃないか」
男「それに、そんなこと言ったらまた風情がないって怒るじゃないですか」
女「ふふ、本当にわかってきたじゃないか」
男「本当に食べてばっかりでしたね」
女「それが祭の楽しみ方だ」
男「もっとこう、射的とか金魚すくいとか…」
女「ダメだ」
男「えっ」
女「射的で景品を落としても荷物が増えるだけだからな」
男「なるほど」
女「金魚は…育てられる自信がないからな。育てられないなら金魚すくいはやってはダメだ」
男「確かに」
女「それとも、乙女のように金魚すくいを楽しむ私を見たかったのかい?」
男「それはないので安心してください」キッパリ
女「ちょっとは肯定しろよ」
女「お、花火だな」
男「もうそんな時間ですか」
女「花火…綺麗だな」
男「女さん」
女「なんだ?」
男「俺のほうが綺麗ですよ」
女「あ、ありが…っと危ない!騙されるところだった!!」
男(かわいい)
女「さすが地元民だな」
男「ちょっと歩きますけど、いいですか?」
女「あ!ちょっと待て!」
男「なんです?」
女「冷やしパイン!まだ食べてない!これじゃ祭が締まらない!!」
男「それなら大丈夫ですよ、入り口まで戻りますから」
女「それは最高だな!」
男「そんなに食べたかったんですか」
女「最高だろ、〆の冷やしパイン」
男「わかりかねます」
女「ほう、ここが穴場」パインシャクシャク
男「えぇ、実家の裏山なんですが…良い眺めでしょう」
女「あぁ、綺麗だ」
男「女さん」
女「なんだ?同じ手は二度は食らわんぞ?」
男「女さんの方が綺麗ですよ」
女「だから、同じ手は二度…ん?」
女「ん?はい?え?」
男「ずっと、あなたの下に配属されてからあなたの事を見てました」
女「そ、それはどうもありがとう…?」
男「綺麗で、凛としていて、でもちょっとドジで可愛くて」
女「え?なに?なにが起こってるんだ?」アタフタ
男「女さん!!」
女「はいぃ!」ビクッ
女「え、あ…よ、喜んで!!」
女「…」プシュー
男「女さん?」
女「…」プシュー
男「女さん!?気を確かに!!」
女「はっ!すまん、あまりの出来事にショートしていた」ガタッ
男「女さんだから良いんです」
女「もうすぐおばさんだぞ?行き遅れって呼ばれてるんだぞ?」
男「周りになんて言われても関係ないです、俺が女さんのこと…その、好き…なんで//」カァ
女「そうか…」ウルッ
女「あぁ、そうだな」スッ
男「手、つなぎます?」テダシー
女「ま、まだ早いだろ!!」
男「手に早いもクソもないでしょうに」ギュッ
女「あう//」カァ
男「これで、晴れてカップルになれたわけですか…長かったなぁ」
女「…」プシュー
男「ずっと好きだったんですよ、俺…って、女さん!?」
女「…はっ!すまん、緊張からつい!」アセアセ
男(付き合えたは良いけど…前途多難だな、これは…)ハァ
終わり
元スレ
女上司「人肌恋しい季節だな」男部下「まだ夏ですよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453324039/
女上司「人肌恋しい季節だな」男部下「まだ夏ですよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453324039/
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