【艦これ】足柄「阿武隈……恐ろしい子!」
※ものすごく短い即興もの
阿武隈「提督! メリークリスマス! です」
提督「ああ、阿武隈。メリークリスマス」
阿武隈「えへへ、今日は鎮守府も違う意味で賑やかですね。皆さん、明るいというか……ワイワイとしているというか」
提督「そうだね。こういう日ぐらいは、戦いのことなど忘れて賑やかに、そして平和に過ごしたいものだ」
提督「そして、それが叶うのは日頃頑張っている阿武隈達、みんなのお陰だな」
阿武隈「いえ、あたしはそんな……電ちゃんや蒼龍さん達のお陰です」
提督「相変わらずだな、阿武隈は。もっと胸を張っていいんだぞ」
阿武隈「に、苦手ですよそういうの……」
提督「それでささやかではあるが、私からもみんなにプレゼントも用意してある」
阿武隈「あ、いいですね。それ」
提督「本当は一人一人に渡すのが筋なのだろうが……さすがに無理があるからな。外に出たり、他の者と一緒に過ごす人もいるだろう」
提督「当日でなければ全員でも手渡しでいいだろうけど、数日遅れで渡ってもちょっとな。こんな日に上官が全員集めるのは無粋だろう」
阿武隈「そんなことは……でも、分かりました。後でみんなに渡るように、手はずを整えておきますね」
提督「そのカードはどうした?」
阿武隈「あ、これはその……」
阿武隈「あ、あのですね。今晩はパーティするって足柄さんたちから招待状が……てーとく、どうしましょう?」
提督「……そうか」
提督(阿武隈に告白してから初めてのクリスマス……今年は一緒にと思っていた)
提督(そのために特別にプレゼントも用意したし、店も予約したのだが……)
提督(なにぶん初めてのことで分からないことばかりだったから、蒼龍に相談に乗ってもらいながらだったが)
提督(そして蒼龍には『私に分かるわけないでしょうがー!』と怒られながら、なんとかなだめすかして相談に乗ってもらった。大変だった……)
提督(それはともかく――)
阿武隈「あ……あの……あたし的には……」チラッ
阿武隈「あ、あのですね。今晩はパーティするって足柄さんたちから招待状が……てーとく、どうしましょう?」
足柄(な、なんてこと……提督と阿武隈ちゃんの関係は知っていたはずなのに。それなのに招待状を送ってしまうなんてイージーミスを)
足柄(この日は恋人同士で過ごしたいなんて、当然のことじゃない……悪いことをしたわね)
足柄(阿武隈ちゃんと提督のことだから、変に気を揉まないといいのだけど)
足柄(それにしても……)
足柄(私達には申し訳ないけど、それでも提督と一緒に過ごしたい、けど言い切れない。あの罪悪感と思慕の混ざった様子)
足柄(だけどやっぱり提督と今日と言う日を過ごしたいと暗に訴えかける言葉と、表情、そしてちらちらと提督をうかがう視線……!)
足柄(あ、あれはまずいわ! 傍から見てる私でさえドギマギしてしまうのに、実際に恋人からやられている提督に対する破壊力は想像を絶するわ!)
足柄「阿武隈……恐ろしい子!」
神通「足柄さん……なにやっているんでしょうか?」
電「さっきから提督の執務室を扉の隙間からチラチラ覗いて、なにやら言っているのです」
若葉「(行動が)痛いぞ」
電「どうしたのです、若葉ちゃん」
若葉「だが(ネタ的には)悪くない」
電「なのです?」
阿武隈「あ……あの……あたし的には……」チラッ
提督(私個人としては阿武隈と一緒にいたい)
提督(だが、個人の気持ちで阿武隈を束縛するわけにはいかないだろう)
提督(せっかくの足柄達の誘いだ、阿武隈も参加した方が足柄達もきっと喜ぶ)
提督(勝手な感情で阿武隈と他の皆を疎遠にさせるわけにはいかないな……残念、ものすごく残念だが)
提督(……また二人で過ごせる機会はいつでもある)
提督「なら、足柄達と過ごした方がいいだろう」
阿武隈「……え?」
提督「せっかく足柄達が誘ってくれたんだ、是非参加するといい」
阿武隈「……」
提督「一年に一度の機会だからな、きっと楽しいパーティーになると思うよ、足柄達にも、阿武隈にも」
提督「だから……阿武隈?」
阿武隈「……そうですね」
提督「どうし――!?」
阿武隈「なんで、ぐすっ、でもありま、せん……」
提督「阿武隈、泣いて――」
阿武隈「泣いてなんかいません! 失礼します!」
提督「っ、やっぱり追いつけないか……そりゃ陸上とはいえ、艦娘に足の速さで敵わないのが普通かもしれないが、にしても情けない」
提督「だけど……私が泣かせた。私が阿武隈を……」
提督「何としてでも早く会わないと――」
神通「――提督」
提督「神通? どうしたんだ?」
神通「……」
提督「すまない、緊急の用事でないなら、後にしてくれないか? 私は阿武隈に――」
神通「阿武隈に会ってどうする気ですか?」
提督「まず謝る」
神通「……それから?」
提督「それから、改めて誘うよ。今日、一緒に過ごしてくれないかって」
神通「……はい。これで変なこと言ったら、どうしようかと思ってました」
提督「まったく、人の心を察することができない提督で申し訳ない」
神通「失敗したのなら、次に生かせば良いんですよ」
若葉『神通さん、阿武隈さんを発見した』(通信)
電『中庭なのです! 司令官に伝えて欲しいのです!』(通信)
神通『了解です。二人ともありがとうございます』(通信)
神通「提督。阿武隈は中庭にいます……早く行ってあげてください」
提督「っ!? ……ありがとう!」
神通「提督、阿武隈をよろしくお願いしますね」
阿武隈(足柄さんからは好意で誘ってもらったのに……提督はあたしのこと、ちゃんと考えてパーティーに行った方が良いって言ってくれたのに)
阿武隈(提督のことだから、ちゃんとクリスマスのこと考えてくれてたって、あたしだって分かる)
阿武隈(……提督、自分が思っている以上に分かりやすいし)
阿武隈(でも、二人で一緒に過ごしたいって、思ったんだ。本当に、どうしようもないくらい)
阿武隈(苦しいな……どうしたらいいのかな、分からないよ)
阿武隈(ねえ、提督……どうして、提督はこんなあたしを好きになってくれたんですか?)
提督「阿武隈……良かった、まだいてくれたか」
阿武隈「……てーとく? あ、あの大丈夫? 息切らしてますけど」
提督「阿武隈に比べれば全然平気だ」
阿武隈「ふえ?」
提督「――すまなかった。すべて私が悪かった」
提督「私は阿武隈の気持ちを全く考えていなかった……ちゃんと阿武隈がどうしたいかを聞いてやるべきだったんだ」
阿武隈「そ、そんな。提督はあたしのことを考えて――」
提督「いや、今回の私は自分の考えを押し付けた、独りよがりに過ぎない。だから、私の責任だ」
提督「その上で、ちゃんと阿武隈を誘いたい」
阿武隈「――あ」
提督「……阿武隈? 阿武隈っ!? また泣いて、私はまたなにかまずいことしたのか!?」
阿武隈「違いますっ! その、嬉しい気持ちやら、なにやら色々混ぜこぜになって……そ、その良く分からないんですっ!」
提督「……そうか」
阿武隈「そ、そうですけど……でも、はい。提督、よろしく……お願いします」
提督「あ、ああ。こちらこそ」
阿武隈「あたし、本当に悲しかったんですからね……提督に断わられたとき」
提督「ああ。本当に鈍感ですまない」
阿武隈「……まったくです。けど、良いんです。提督なりにあたしのこと考えてくれたのは、分かってますし」
阿武隈「それに、追いかけてきてくれて、ちゃんと誘ってくれましたから」
阿武隈「提督、ありがとう」
提督「こちらこそ、ありがとう。誘いを受けてくれて」
阿武隈「えへへ……湿っぽい話はここまでにしましょうよ」
提督「そうだな。この後は切り替えて楽しもう」
阿武隈「はい……あれ?」
阿武隈「窓にいるのは……足柄さん?」
足柄「提督、阿武隈ちゃーん! メリークリスマス! 気にせず楽しんできなさいなー!」
阿武隈「……あ」
提督「ははっ、気を使われてしまったな」
阿武隈「足柄さんも、メリークリスマスです!」
提督「メリークリスマス! ありがとうな!」
足柄「どうしたしましてーっ!」
足柄「あの二人だもの。心のどこかで私達を気にして、楽しめなかったらダメじゃない」
足柄「そんなことより、早く準備をしないとね! もちろん今夜のメインディッシュは、カツよ!」
羽黒(お姉ちゃん、いつもカツばっかりのような……)
足柄「カツで聖夜に勝つ、これよぉ!」
若葉「一体、聖夜のなにに勝つつもりだ」
電「神通さん、ありがとうなのです」
神通「いえ、大したことは……阿武隈のためですから。電さん達もありがとうございます」
電「日頃、電はお二人に世話になってばかりだから……ちょっとでもお役に立ててのなら嬉しいです」
電「それに、司令官と阿武隈さんが幸せだと、電も嬉しいのです!」
阿武隈(今度皆にお返し、なにかしないと)
阿武隈「ねえ、提督」
提督「どうした?」
阿武隈「あのね、手、繋いでもいいかな」
提督「あ、ああ……いいよ」
阿武隈「あったかいですね、てーとく」
提督「そうだな。暖かい」
阿武隈「……提督、大好きです」
お粗末ですがこれで終わりです。
読んで下さった方、ありがとうございます。
元スレ
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コメント一覧 (20)
-
- 2015年12月09日 20:15
- 阿武隈川可愛い
そして提督共々末長く爆発しろ
-
- 2015年12月09日 20:35
- あぶぅ~
-
- 2015年12月09日 20:43
- 阿武隈の前髪もぐもぐ
-
- 2015年12月09日 21:40
- ≫※1
世の中にはイチャコラしながら明石家サンタを見る爆発物件もあってだな…
…まあ…強くイキロ
-
- 2015年12月09日 22:49
- 阿武隈本当すき
-
- 2015年12月09日 22:57
- いやさすがに摩耶様でやってやれよ
-
- 2015年12月10日 00:00
- ボイス聞いていて思ったけど、
足柄の奴は、聖夜の何に勝つつもりなんだ?
後、たまにはカツ以外も作ってくれ。
胃がもたれちまう。
料理うまそうなんだからさ。
-
- 2015年12月10日 00:56
- 足柄はバk……ちょっと残念な子だから、とりあえず勝つって言ってるだけで本人も何に勝つのか分かってない説
-
- 2015年12月10日 00:56
- 俺が彼女を作らないことで誰かが性夜を楽しめる
そういう事に幸せを感じるんだ
-
- 2015年12月10日 06:40
- ※8
そらもうイケメン奪取戦よ
夏に今年はいけるとか言ってる時点でもう…
なお必死すぎて毎回失敗している模様
-
- 2015年12月10日 07:46
- 日本にはなあ…リア充が独身に火をぶん投げる祭りだってあるんだよ
-
- 2015年12月10日 09:39
- クリスマスはPCのディスプレイの前にケーキ置く日だろ?皆何言ってるんだ?
-
- 2015年12月10日 11:32
- いいねぇ、阿武隈の前髪くしゃくしゃしたいねぇ
-
- 2015年12月10日 12:27
- ※11
いい加減そのネタしつこい。
足柄さんは戦闘とカツが好きな俺の素敵なお嫁さんだよ
-
- 2015年12月10日 12:55
- ※1
今年は俺も1人のクリスマスなんだが、良かったら一緒にパーティーと洒落こまないか?
-
- 2015年12月10日 12:58
- ※15
偉いなあんた、それを当日に本人の前で言えばお互いに独りじゃなくなるぜ
翔鶴瑞鶴のプレゼントの改装片っぽしか用意できないや……
駆逐艦勢にはバルバトスのついでに可動範囲が良さげなガンプラをだな
あれ、おかしいな?涙がなぜ流れるんだろう
-
- 2015年12月10日 14:23
- ※17
グレイズとかいいよ!
ほんと...ね...
-
- 2015年12月11日 20:27
- ※8
そりゃもちろんサンタだろ(適当)
-
- 2015年12月18日 22:33
- 若葉のツッコミがおかしいw
いらない苦労をしょいこんで、しかもプレゼントやら何やら金がかかるんだろ?
その点ぼっちの俺は幸運だな!いらん気を使うこともなく人混みに僻々することもなく
金も減らずに暖かい炬燵にもぐりながら明石家サンタを視聴し日が明けたら
売れ残りのケーキとチキンで一杯やりながら
何もすることなく…日が暮れてゆき……
独り寂しく眠りにつくんだ…
ぼっちのクリスマスは最高だろ!!
本当に最高のクリスマスだ……
本当に…