猫娘「にゃーん...」幼女「捨て猫...?」【後半】
- 2015年11月19日 07:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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猫娘「にゃーん...」幼女「捨て猫...?」【後半】
猫娘「今度会ったらフカヒレにしてやるニャ」
幼女「...私は最初から薄々気付いてたけどね」
猫娘「ニャ?」
幼女「そもそも最初のいきなり竜宮城に誘ってきた時点でおかしかったし」
幼女「その後も不自然に私達を帰らせたくなかった感じだった...」
幼女「こんなに怪しい点があったのに気付かない方が馬鹿だよ」
猫娘「...何が言いたいニャ?」イラッ
幼女「別に?ただ目先の料理に釣られるのはいいけど人を巻き込むのはやめて欲しいって思っただけだよ?」
猫娘「にゃっ...!」
猫娘「そ、そんな言い方しなくてもいいニャ!私だって色々考えて...!」
幼女「考える?食欲に負けたくせに?」
幼女「忘れてるかもしれないけど私は幼女なんだよ?まだか弱くて一桁の年齢しかない幼女なんだよ?」
猫娘「そ、そもそも幼女も分かってたなら私を無理にでも止めないのが悪いニャ!」
幼女「は?私のせい?」
幼女「あぁ、そうだったね。確かに馬鹿猫をぶん殴ってでも止めなかった私のせいだね」
幼女「はいはい私が全部悪うござんしたごめんなさい」ペコッ
幼女「はい?これでいい?満足した?馬鹿猫」
猫娘「ば、馬鹿馬鹿言うなニャ!」
幼女「ごめんごめん、馬と鹿に失礼だったね。アホなのは猫だけなんだから」
猫娘「ニャ...ニャんだと!!!!」
ダイオウグソクムシ「...!」オロオロ
猫娘「...」
ダイオウグソクムシ「...!」オロオロ
幼女「...はぁ、こんなところで言い争っても仕方ないか」
猫娘「...ニャ、今は喧嘩してる場合じゃないニャ。早くここから脱出するニャ」
ダイオウグソクムシ「!?」パァ
幼女「それでどうする?見たところこの檻、簡単に壊せそうだけど」
猫娘「...駄目ニャ。この檻には障壁が張られてあるニャ」コンコン
幼女「障壁?」
猫娘「ニャ、魔力に反応する障壁が何百も張られてるニャ。この檻に魔法をぶつけても障壁で防がれるニャ」
幼女「じゃあ魔力を使わずに壊すっていうのは?魔法にだけ反応するんでしょ?」
猫娘「...多分それも無理ニャ」
猫娘「魔法で障壁が張ってあるということは...ニャンッ!」グググッ
シーン
猫娘「ニャゴゴゴゴゴゴ...!!!!」グググッ
シーン
猫娘「...はぁ」パッ
猫娘「この通り、檻自体も魔法で強化されてるニャ。とてもじゃないけど私の筋力では壊すのは無理ニャ」
幼女「さっきの「二股モード」とかいうのを使って壊すのは?」
猫娘「あのモードは私の限界以上の力を引き出す技、どうしても全身から魔力が少し溢れてしまうニャ」
猫娘「そして魔力が出るということは...障壁が発動してしまうニャ」
幼女「つまりここからの脱出は不可能...」
猫娘「いや、そうでもないニャ」
猫娘「ちょっと檻の外を見てみろニャ」
幼女「檻の外...?」ジー
蟹男「Zzz...」グースカ
幼女「人が寝てる...?」
猫娘「あれ多分看守ニャ。そして看守の腰辺りを見てみるニャ」
幼女「腰...」ジー
鍵『』キラン
幼女「あっ!あれって...!」
猫娘「そうニャ。多分この檻の鍵ニャ」
猫娘「幸い魔法を使わなければこの檻から手は伸ばせるニャ」
猫娘「どうにかしてあの鍵を取ればこの檻から脱出できるニャ」
幼女「何かテンプレみたいな展開だね」
幼女「確かに...この檻から5メートル以上は離れてるね」
猫娘「魔法を使わずにあの鍵を取る方法...かニャ」
幼女「...」
猫娘「...」
幼女「無理じゃない?」
猫娘「にゃ、にゃあ...」
幼女「どう考えても手を檻から出せる範囲じゃ届かないし...近くに棒みたいな長い物もないし」
猫娘「私がゴム人間だったら届くんだけどニャ」
幼女「あとは誰か一人が檻から抜け出して鍵を取ってくる...」
猫娘「この檻の隙間だとさすがの幼女でも無理ニャ。もっと小さくないと...」
猫娘「あっ」
幼女「え?誰?」キョロキョロ
猫娘「グソたんニャ!」ビシッ
ダイオウグソクムシ「!?」ビクッ
幼女「は?」
猫娘「グソたんならこの檻から抜け出して鍵を取ってこれるニャ!」
幼女「い、いやいや...さすがに無理でしょ」
猫娘「グソたん、あそこで寝てる蟹の腰にある鍵を取ってきてほしいニャ」
ダイオウグソクムシ「?」キョトン
猫娘「大丈夫ニャ!グソたんなら出来るニャ!」
幼女(いや無理だろ)
ダイオウグソクムシ「...」
幼女「いくら何でもこのキモいやつはダンゴムシ程度の知能しかないんだよ?」
幼女「そんな犬みたいに人の命令が分かるわけが...」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ウンウン
猫娘「おぉ!グソたん分かってくれたかニャ!」
幼女「んな馬鹿な」
ダイオウグソクムシ「...!」ノシノシ
ダイオウグソクムシ「...!!」ギュー
ダイオウグソクムシ「...!」スポッ
猫娘「やったニャ!檻を抜けたニャ!」
幼女「えぇぇ...」
猫娘「行けニャ!グソたん!全ては君にかかってるニャ!」
幼女「た、ただ檻から抜け出しただけでしょ?さすがに鍵を取るなんて芸当は...」
ダイオウグソクムシ「...!」ノシノシ
蟹男「Zzz...」グースカ
ダイオウグソクムシ「???」オロオロ
猫娘「ああっ!グソたんが腰にある鍵に届かなくて混乱してるニャ!」
幼女「なにこれ?はじめてのおつかい?」
ダイオウグソクムシ「!」ピコーン
ダイオウグソクムシ「...!」ウネウネ
蟹男「Zzz.......うーん......」
猫娘「さすがグソたんニャ!足を這い上がって進んだニャ!」
幼女「うわっ!きもっ!」
猫娘「グソたん!もう少しニャ!もう少しで鍵が取れるニャ!」
幼女「え、えぇぇ...」
チャリン♪
ダイオウグソクムシ「!」
猫娘「や、やったニャ!見事に鍵ゲットニャ!」
幼女「マジかよ...」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ノソノソ
猫娘「グソたん!あとは帰ってくるだけニャ!頑張るニャ!」
幼女「おいおいマジで取って来ちゃったよ」
ダイオウグソクムシ「...!」トウチャクー
猫娘「グソたん!よくやったニャ!」
幼女「お、おう」
ガチャ
猫娘「これで脱獄成功ニャー!」
幼女「本当に脱出しちゃったよ...」
猫娘「グソたんよくやったニャー!お前は世界で一番賢いダイオウグソクムシニャー!」ヨシヨシ
ダイオウグソクムシ「///」テレテレ
猫娘「ほら、幼女も撫でてやるニャ」
幼女「絶っっっっっっっっっ対に嫌!!!!!」
幼女「...で、出られたのはいいけどこれからどうするの?」
猫娘「どうするってこの町から逃げるしかないニャ」
幼女「でも帰り道はどうする?行きはサメの案内で来たけど私達帰り道知らないんだよ?」
猫娘「こんな時のための帰巣魔法ニャ!家の場所!つまり町への方向は分かるからそこに向かって進めばいいニャ!」
幼女「おぉ!すっかり忘れてた!」
蟹男「Zzz......うん?」パチッ
蟹男「ふわぁぁぁ...よく寝た...」ゴシゴシ
蟹男「!?」
蟹男「おい貴様ら!どうやって牢屋から抜け出した!」
猫娘「ニャッ!」ダッ
猫娘「オラァ!死ね蟹ィ!猫パンチニャ!」ブンッ
蟹男「ぐぴっ」ボコォ
蟹男「」ズサー
猫娘「ふんっ!蟹はそこで寝てるのがお似合いニャ!この負け組め!」
猫娘「さあ!さっさとこんなところから脱出するニャ!」
幼女(こんなところでも蟹差別が)
猫娘「...」コソコソ
スタスタ スタスタ
幼女「!?」ビクッ
猫娘「こっちの部屋に隠れるニャ!」クイッ
コソッ
スタスタ スタスタ
幼女「...行った?」
猫娘「...行ったみたいニャ」
幼女「地下から脱出できたのはいいけど一体お城の出口はどこにあるんだろ...」キョロキョロ
猫娘「ここ広すぎニャ。しかも人も結構多いし隠れながら探すのはちときついニャ」
幼女「あの気絶してる看守と空っぽの檻が見つかるのも時間の問題だしね...早く出口を見つけないと」
幼女「というと?」
猫娘「次に来るやつを拉致して城の出口を教えてもらうニャ」
猫娘「少し荒っぽいけどこの方法が一番確実ニャ」
幼女「...それしか方法はなさそうだね」
スタスタ スタスタ
幼女「来た!」
猫娘「...よし、やってやるニャ」グッ
スタスタ スタスタ
猫娘「ニャア!!!!」ガシッ
???「しゃーくっ!?」ジタバタ
猫娘「オラァ!こっちに来いニャ!」ズルズル
???「しゃーく!な、何するんですか!離してください!」ジタバタ
???『モゴモゴッ...』
猫娘「よし!拉致完了ニャ!」
幼女「ね、ねぇ...この人よく見てみなよ」
猫娘「ニャ?」
鮫娘『モゴモゴっ...』ピチピチ
猫娘「あーっ!お前は私達を騙したサメニャ!」
鮫娘『モゴモゴっ!?モゴモゴモゴモゴ!』
猫娘「テメェ!よくも騙したニャ!ただじゃおかないニャ!」グッ
幼女「ス、ストップ!気絶させたら出口を聞き出せないよ!」
鮫娘『モゴモゴ...』
鮫娘『モゴモゴ...』
猫娘「いいかニャ?今から喋れるようにしてやるけどもし大声を出したらどうなるか分かってるかニャ?」
鮫娘『モゴ!モゴ!』ウンウン
パッ
鮫娘「ぶはあっ!」
鮫娘「はぁ...はぁ...」
猫娘「おいサメ、何でお前、私達を騙したニャ」
鮫娘「しゃ、しゃーく...ごめんなさい」
猫娘「誰が謝れって言ったニャ。理由を話せと言ったんだニャ」ゲシッ
鮫娘「い、痛い...」
猫娘「何言ってるニャ?こいつは私達を裏切ったんだニャ」
猫娘「即フカヒレ料理にしないだけ優しいニャ」
鮫娘「...」
猫娘「さあ答えろニャ。お前はどうして私達を騙したニャ?私達を牢屋閉じ込めてどうするつもりだったニャ?」
鮫娘「...しゃーく。ここに来たときに見えた神殿は覚えてますか?」
猫娘「あぁ、あの神々しい建物かニャ」
幼女「確か海龍が居るっていう...」
鮫娘「しゃーく...結論から言うと二人を海龍様の生け贄にしようとしてました...」
猫娘「は?」
幼女「い、生け贄?」
鮫娘「しゃーく...あれは1ヶ月ほど前の出来事です」
鮫娘「あの神殿は海龍様を祀ると言っても形だけの物でした...実はあの神殿、中は大きな穴が空いてるだけなんです」
幼女「大きな穴...?」
鮫娘「伝説ではその大穴の奥に海龍様がいると言われていますが実際、中に入ってみても深いだけで最後は行き止まり...何も居なかったんです」
鮫娘「...あの日までは」
猫娘「あの日って何ニャ?」
鮫娘「しゃーく...突然海龍様が竜宮に帰ってきたんです。そして神殿の大穴の中に入って行きました」
鮫娘「私は見ていませんが大勢の人が目撃しています。話では全長100メートル近くあったとか」
猫娘「ちょっと待つニャ、それがどうして生け贄に繋がるんだニャ?」
鮫娘「被害は大したことなかったんですが...竜宮に地震なんて前例がないことなんです」
鮫娘「町は大騒ぎ...海龍様がお怒りになって地震が起きたと考える人が大多数でした」
猫娘「それだけで私達を生け贄しようとしたのかニャ?」
鮫娘「しゃーく...地震は一回きりではなかったんです」
鮫娘「日に日に大きくなってきて...三日前にはとうとう建物が崩れる程までに大きくなったんです」
鮫娘「このままだと竜宮が地震で滅びるかもしれない...そこで海王様は伝説にある海龍様を静めさせる方法を実行することに決めたんです」
鮫娘「陸の娘を二人、海龍様の生け贄にする...と」
猫娘「...お前は私達を生け贄にするために海岸で苛められてたのかニャ?」
鮫娘「...しゃーく、その通りです」
幼女「余計にこの町から出たくなったね...早くしないと生け贄にされちゃうよ...」
鮫娘「しゃーく...あの...どうやって地下牢から抜け出したんですか?あの檻には障壁があったはずですけど」
猫娘「ふん!あんな檻、私にかかればチョチョイのチョイニャ!」
ダイオウグソクムシ「...!」ウンウン
幼女(また話盛ってる)
鮫娘「しゃーく...そうでしたか...」
鮫娘「...余計なお世話でしたね」ボソッ
猫娘「さてこれが最後の質問ニャ、この城の出口はどこニャ?」
鮫娘「しゃーく。ここ真っ直ぐ行ったところを右に、そしてつきあたりを左に行ったあと真っ直ぐ行けば正面出入り口です」
鮫娘「...でも正面から出るのはオススメ出来ません。人の出入りが多いので見つかる可能性があります」
鮫娘「しゃーく、人の出入りが少ない裏口があります。そこから出れば...」
ピー!!! ピー!!! ピー!!!
幼女「!?」ビクッ
猫娘「な、なんニャこの音!?」
鮫娘「しゃーく!不味いです!逃げたのがバレたんですよ!」
『地下牢から陸の娘が脱走した!見つけ次第ただちに捕らえよ!』
『命さえ無事ならどうなっても構わんッ!絶対に逃がすな!』
幼女「な、なにやら不穏な言葉が聞こえた気が...」
猫娘「おい!早く裏口を教えろニャ!」
鮫娘「しゃーく!駄目です!少し複雑な場所にあるので説明してる時間がないです!」
鮫娘「私が直接案内します!拘束魔法を解いてください!」
猫娘「無理ニャ!裏切り者のお前なんて信用出来ないニャ!」
鮫娘「しゃーく!お願いします!早くしないと兵隊さんに見つかってしまいます!」
猫娘「ニャ、ニャムム...」
幼女「ねぇ、案内してもらおうよ」
猫娘「ニャッ!?正気なのかニャ幼女!」
幼女「今はこの人の力を借りないと脱出出来ない...それなら裏切らない方に賭けるしかないと思う」
猫娘「ぐ、ぐぬぬ...」
鮫娘「今度は裏切りません。約束します」
猫娘「...」
猫娘「仕方ないニャ、外してやるニャ」ピカッ
鮫娘「しゃ、しゃーく...体が軽くなった...」
猫娘「ちょっとこっち向くニャ」
鮫娘「しゃーく?」クルッ
猫娘「オウラァ!!!!」ブンッ
鮫娘「ジョーズッ!?」ドコォ
鮫娘「」ズサー
猫娘「これで騙したことは許してやるニャ。早く案内しろニャ」
鮫娘「しゃ、しゃーく...ありがとうございます...」ウルウル
キラッ
幼女(...ん?殴られたサメから何か光った物が落ちた?なんだろうあれ...)
鍵『』キラン
幼女(!?)
幼女(あ、あれって私達が檻から出る時に使った鍵と同じやつじゃ...)
幼女(まさかあのサメ...私達をあの檻から逃がすつもりだったの?)
鮫娘「しゃーく!時間がありません!着いてきてください!」ダッ
鮫娘「しゃーく!この先を右です!」
猫娘「確かに口で説明するには難しい道ニャ。でも本当に裏口なんてあるのかニャ?」
鮫娘「しゃーく!裏口というより非常口ですね!普段は滅多に人が通りません!」
幼女「ちょ、ちょっと待ってぇ...」ハァハァ
猫娘「幼女、何してるニャ?早くしないと追っ手が来るニャ」
幼女「ふ、二人とも速すぎ...」ハァハァ
鮫娘「しゃーく...人間の幼女さんではあたし達のスピードだと少し速すぎますね」
猫娘「はぁ...仕方ないにゃあ」スタスタ
幼女「ぜ、ぜぇ...ぜぇ...」
猫娘「幼女、ほら」スッ
幼女「な、なに?」
猫娘「おぶってやるニャ。早く乗れニャ」
幼女「え?でも...」
猫娘「もうじれったいニャ!」グイッ
幼女「ちょ...」
猫娘「しっかり掴まってろニャ!」ダッ
幼女(...猫の背中ってこんなに大きかったっけ)
幼女(...やっぱりこういう時は頼りになるな)ギュッ
モゾモゾ
幼女「ん?」チラッ
ダイオウグソクムシ「♪」スリスリ
幼女「ひっ...」
ダダダダダダッ!!!!!
鮫娘「見えました!猫さん、幼女さん!あそこです!」
猫娘「おぉ!本当にあったニャ!」
猫娘「ここは...?」
鮫娘「しゃーく、城の裏側です」
鮫娘「まだ脱走がバレてあまり時間は経ってないので兵隊さん達は城の中しか探してないはず...」キョロキョロ
猫娘「つまり今のうちに竜宮から出られるってことかニャ?」
鮫娘「...いえ、今出るのは少し危険です」
鮫娘「いくら脱走直後と言っても既に竜宮にいない可能性もある...兵隊さん達が何十人も周囲を見張ってるはずです」
猫娘「ならどうするニャ?」
鮫娘「しゃーく...竜宮から出るとしたらベストなタイミングは人が一番少ない明日の明け方ですね」
鮫娘「魚でも睡眠時間はありますからね。探し疲れて一番気が緩んでるのはこの時間帯です」
鮫娘「あたしのスピードなら逃げ切れると思います」
猫娘「もし私達の脱走を手伝ったことなんてバレたりしたらお前は...」
鮫娘「...しゃーく、元々はあたしが二人を連れてきたんです」
鮫娘「二人を帰すのもあたしの役目、そうでしょ?」
猫娘「お前...」
鮫娘「しゃーく、明け方まではあたしの家に隠れていましょう」
鮫娘「今は竜宮城の中を探すのに精一杯...兵隊さん達が個々の家を1つ、1つ、探し回るにはだいぶ時間がかかりますからね」
猫娘「分かったニャ。お前を信じるニャ」
猫娘「幼女、聞いてたかニャ?これからサメの家に行くニャ。そろそろ降りるニャ」
幼女「」
猫娘「幼女?」ユサユサ
猫娘「...気絶してるニャ」
ダイオウグソクムシ「?」
鮫娘「しゃーく、ここが私の家です」
猫娘「だからごめんニャ~すっかりグソたんをポケットに入れてたの忘れてたんだニャ~」
幼女「絶対に許さない!!!!」プイッ
鮫娘「...聞いてますか?」
猫娘「へぇ、結構広いニャ」
幼女「他に誰か住んでるの?」
鮫娘「しゃーく。父と母、それに兄と姉の5人暮らしですね」
鮫娘「でも安心してください。今家族は狩りに行っています」
幼女「狩り?」
鮫娘「しゃーく、4人でちょっと遠くの海まで魚を狩りに出かけてるんです」
鮫娘「帰りは一週間後なので安心してください」
猫娘「お前は行かないのかニャ?」
鮫娘「...しゃーく、私は弱いので留守番です...」ズーン
鮫娘「いいんです...事実ですから...」シクシク
猫娘「そ、そういえばお腹が減ったニャ!もうお昼ニャ!」
鮫娘「...しゃーく、そうですね。ご飯にしましょうか」
鮫娘「二人とも朝ごはん食べてないですよね?大盛りでいいですか?」
猫娘「ニャー!大盛りで頼むニャ!」
幼女「私は普通で」
鮫娘「しゃーく!分かりました!腕によりをかけて作りますね!」
猫娘「ニャー♪ご飯楽しみニャー♪」ルンルン
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
猫娘「ニャ?お前もご飯食べたいのかニャ?」
猫娘「普通のダイオウグソクムシは餌は滅多に食べないと聞いたんだけどニャ...やっぱりお前は他のやつとはちょっと違うニャ」
幼女(なにそれこわい)
猫娘「おぉっ!うまそうニャ!」
幼女「確かに美味しそう」
鮫娘「冷めないうちにどうぞ!」
鮫娘「...サメだけに」
猫娘「ほらグソたん、チャーハン少し分けてやるニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」モグモグ
猫娘「うまいかニャ?」
幼女「...」モグモグ
鮫娘「しゃ、しゃーく!無視しないでくださいよー!」
鮫娘「しゃーく。ところで作戦実行まであとだいぶありますが...どうしますか?」
猫娘「どうもこうもこっちは待つしかないニャ」
鮫娘「ですよね。なら...」ガサゴソ
鮫娘「一緒にサメ映画でも見ませんかっ!?」パァ
幼女(時間をドブに捨てるのか...)
..............................................
鮫娘「しゃーく!やっぱりこのシリーズは面白いですね!えっと次は...」ガサゴソ
猫娘「ちょ、ちょっとタイムニャ。もう夜ニャ...お腹が減ったニャ...」グゥー
幼女「み、右に同じ...」グゥー
鮫娘「しゃーく、本当ですね。では晩ご飯の準備を...」
鮫娘「...あ、そういえば冷蔵庫の中身は全部チャーハンに使っちゃったんでした」
鮫娘「ちょっと買い出しに出かけてきますね」
猫娘「外に出て大丈夫なのかニャ?」
鮫娘「しゃーく!大丈夫です!あたしは海王様に猫さん達の報告をした後は普通に帰る予定でしたから!」
鮫娘「今回の脱走の件ではまったく怪しまれてないはずです!」
猫娘「ならいいんニャけど...」
幼女「一応気を付けて行ってきてね」
鮫娘「しゃーく!任せてください!」
鮫娘「ではいってきます!」ガチャ
鮫娘「...とは言ったものの」
鮫娘「しゃーく、やっぱり少し怖いですね...バレてないでしょうか」キョロキョロ
鮫娘「しゃーく!駄目です!平静を装わないと!」
雑兵魚人「おい、そこのサメ」
鮫娘「しゃーくっ!?」ビクッ
鮫娘「な、なんでしょうか...?」
雑兵魚人「ここら辺で陸の人間を見なかったか?獣人と幼女の二人組だ」
鮫娘「い、いえ...見てませんけど」
雑兵魚人「そうか、邪魔して悪かったな」
雑兵魚人「まったく...もう竜宮にはいないんじゃないのか?いつまで探せばいいんだよ」グチグチ
鮫娘「...ほっ」
鮫娘「しゃーく...やっぱりまだ探してるんだ...家の中を捜索されるのも時間の問題かな」
鮫娘「でももう夜だし...大丈夫ですよね?」
................................................
鮫娘「しゃーく...お肉に魚に野菜に...」
鮫娘「よし!全部買いましたね!あとは帰るだけです!」
鮫娘「しゃーく、早く帰って二人にご飯を作ってあげないと」スタスタ
「おい」
鮫娘「しゃーくっ!?」ビクッ
鮫娘「そ、その声は...」クルッ
鯱娘「こんな時間に何してるんだ?サメ」
鮫娘「あ、あはは...鯱さん...」ダラダラ
鯱娘「何してるのかって聞いてんだよ」
鮫娘「あ、あの...冷蔵庫空なので買い出しに...」
鯱娘「ふーん、買い出しか...」ジー
鯱娘「確かお前の作る料理結構うまかったな、あたい飯まだ食ってないんだよ。今から家に邪魔するわ」
鮫娘「しゃーくっ!?え、えぇっ!?」
鮫娘「あ、あの...その...」オロオロ
鮫娘(ど、どうしよう...鯱さんを家に入れたら猫さん達のことがバレる)
鮫娘(...ここはキッパリ断ろう!)
鮫娘「しゃ、しゃーく!だ、駄目です!今日は家に来ないでくださいっ!」
鯱娘「...あ゛?」ピキッ
鮫娘(ひぃ!や、やっぱり怖い!)
鮫娘(...で、でもあたしも鮫なんだ!いつまでも怖がってちゃいけないっ!)
鯱娘「どうして駄目なんだ?言ってみろよ」
鮫娘「だ、駄目なものは駄目なんですっ!今日は絶対に!」
鯱娘「...ふぅん、お前も言うようになったじゃん」
グイッ
鯱娘「また痛い目に遭いたいみたいだな」
鮫娘「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」ガクブル
鮫娘「しゃ、しゃーくっ!」
鮫娘(あぁ、またあたし殴られるんだ...)
鮫娘(いっつもこんな役だな...きっとあたしの一生は鯱さんみたいな強い人にコバンザメみたいな生活をしながら暮らしていくんだろうな)
猫娘『お前は本当は強いはずニャ。力を出してないだけニャ』
鮫娘(ついに走馬灯まで出てきた...ん?これって走馬灯じゃなくて回想?)
鮫娘(しゃーく、まあどっちにしても同じです。このまま私は殴られて鯱さんは私の家に、そして猫さん達は通報され無事生け贄に...)
鮫娘(...って駄目ですよ!そんなこと!)
鮫娘(しゃーく!ここで抵抗しないとあたしだけじゃなくて猫さん達も危ない!)
鮫娘(あたしはどうなってもいい!だけどあの二人をもう一度裏切るようなことは出来ない!)
鮫娘(しゃーく...だってあの二人は...あたしなんかにでも優しくしてくれたから!)
鮫娘(手を...手を出せ!自分のためにも!あの二人のためにも!)
鮫娘(もうコバンザメみたいな人生から抜け出すんだ!だってあたしは...)
鮫娘(しゃーく!鮫だから!)
鯱娘「...おい?何の真似だ?あたいのパンチを受け止めるなんて」
グググッ
鮫娘「しゃ、しゃーく...もう逃げません...!あたしは鮫だから...!」
鯱娘「何をわけのわからないことを...離せ!」グッ
鮫娘「嫌です!離しません!」ガチッ
鯱娘(くっ...腕が離せねぇ、こいつどこにこんな力が...!)
鮫娘(しゃーく!まだただパンチを受け止めただけ...これだと鯱さんは倒せない)
鮫娘(確実に鯱さんに勝つ...私の一番の武器を使って!)アーッ
ガブッ
鯱娘「い、痛っ!?テメェ離せ!噛みつくな!」グググッ
鮫娘(もっと!相手に反撃の隙も与えちゃ駄目だ!)
鯱娘(押し倒された!?こいつ一体何を!)
鮫娘「うわああああああああ!!!!!ですろーるうううううううううううう!!!!!」ゴロゴロ
ゴロンゴロン
鯱娘「!?」
鯱娘(な、なんだこいつ!?私を噛みついたまま回りやがった!)
グルングルン
鯱娘(だ、駄目だ!あたいの体もこいつにつられて引っ張られて...このままだと腕の肉が...!)ズルズル
鮫娘「うわあああああああああ!!!!!」ブオン
ビューン
鯱娘(放り投げられた!?...いやチャンスだ!噛みつき攻撃から解放された!)
鯱娘(よくもあたしに反抗しやがったな!ギッタギッタにしてやる!)
ゴンッ!!!
鯱娘「 が っ ! ? 」
鯱娘(う、後ろに岩が...)バタッ
鯱娘「」
鮫娘「しゃーく!や、やったぁ!あたし鯱さんを倒したんだ!」
鮫娘「コバンザメ生活もさようなら!あたしも今日からホオジロザメの仲間入りだ!」
鯱娘「」
鮫娘「...しゃーく?あ、あれ?生きてますよね?」
鮫娘「ただ岩に頭ぶつけただけですし...気絶してるだけですよね?」
鯱娘「」
鮫娘「い、一応心臓が動いてるか確認しよう」ソー
ドクン ドクン
鮫娘「しゃーく...良かった、生きてた」ホッ
鮫娘「...」キョロキョロ
鮫娘「しゃ、しゃーく!さっさとここから立ち去りましょう!」ダッ
シーン
鮫娘「買い物袋忘れてた!」ダッ
鮫娘「しゃーく!ごめんなさい!遅くなりました!」
猫娘「遅いニャ~お腹減ったニャ~」グゥー
幼女「右に同じぃ...」グゥー
鮫娘「しゃーく!ごめんなさい!今から作りますね!」
鮫娘「あっ、あと猫さん!ありがとうございます!」
猫娘「ニャ?何のことニャ?」
鮫娘「しゃーく!猫さんがあたしは強いって言ってくれたおかげであたしはホオジロザメになれたんです!」
猫娘「あぁ...あれかニャ」
猫娘「あれ嘘ニャ」
鮫娘「しゃーくっ!?」
猫娘「さすがの私でも潜在的能力を見抜くなんて無理ニャ」
猫娘「まあ相手が戦闘態勢だったら話は別だけどニャ」
鮫娘「しゃーく...じゃああの言葉は何だったんですか?」
猫娘「最初から負けると分かってたらいつまでも負け犬根性は抜けないからニャ」
鮫娘「しゃ、しゃーく!ならあたしが鯱さんに挑んでボコボコに負けたらどうするんですかっ!?」
猫娘「相手は完全に油断してたニャ。例えお前が弱くても油断してる相手に殴りかかれば一発くらいラッキーパンチがあるはずニャ」
猫娘「まあ問題は勝敗じゃないニャ。「いつでも復讐出来るぞ」という意思が相手に伝わればそれでOKニャ」
猫娘「で、それがどうかしたニャ?」
鮫娘「...」
鮫娘「しゃーく!」ガブッ
猫娘「痛っ!?お、お前何するニャ!離せニャ!」
鮫娘「嫌です!離しません!」ガブガブ
猫娘「ニャ、ニャー!やめろニャー!」
幼女「何してんだあいつら...」
......................................................
海王「...来たか」
ガチャ
???「...こんな時間に何用だ?海王よ」
海王「...陸の娘達が脱走したのは聞いているか?」
???「あぁ、生け贄用の小魚が二匹脱走したそうだな」
???「まったく貴様もマヌケだな海王よ。聞けば看守が鍵を奪われたそうではないか」
海王「...お前には脱走した二人の小娘を捕らえてほしい」
???「...口を慎め。貴様ごときが余に命令か?」
海王「...そうだ、命令だ。海王のな」
???「...ククッ、面白い。様になってきたではないか海王。父上よりも格が出てきたんじゃないか?」
???「仕方ない、海王様の命令なら余も従うしかないな」
海王「...一人は猫の獣人、もう一人は人間の幼女だ」
海王「...獣人の方はかなりの手練れだ。並の兵士では歯が立たなかった」
???「所詮小魚、余の敵ではない」
???「しかし情けない話だな...そんな小魚共とかくれんぼをして負けているのか」
???「もう竜宮には居ないんじゃないのか?」
海王「...確かに居るはずだ。あんな短時間では竜宮を脱出する時間はないはずだからな」
???「まあいい...小魚共は余が直々に捕らえてやろう」
海王「...頼んだぞ、クジラよ」
鯨男「ふん...」
....................................................
鮫娘「しゃーく、夜食作ってきましたよー」
幼女「Zzz...」スースー
鮫娘「ってあれ?幼女さん寝ちゃったんですか?」
猫娘「ニャ、さすがに幼女だと徹夜はキツいから仮眠するそうニャ」
鮫娘「しゃーく...仮眠程度で済むのも少しおかしいですね」
鮫娘「あ、これ夜食の鮭おにぎりです」スッ
猫娘「イクラじゃないのかニャちくしょう!」
鮫娘「...」モグモグ
猫娘「...」モグモグ
鮫娘「しゃーく、あと出発まで数時間ですね」
猫娘「...ニャ」
鮫娘「無事に脱出出来るのでしょうか...」
猫娘「それはこっちのセリフニャ」
鮫娘「...それもそうですね」
猫娘「...」
鮫娘(しゃ、しゃーく...会話が続かない...何か少し緊張でピリピリした空気になってますね)
鮫娘(こ、ここはあたしが流れを変えましょう!)
鮫娘「しゃーく!猫さん!暇潰しにサメしりとりしましょう!」
猫娘「なんニャそれ」
鮫娘「サメに関連する言葉でするしりとりです!まずは猫さんから!」
猫娘「...シャークマン」
鮫娘「...」
鮫娘「...いきなり「ん」が付いてるじゃないですか」
猫娘「じゃあシャークマンV3」
鮫娘「しゃーく!もういいです!あたしから始めます!」
鮫娘「えっと...ネプチューン!」
猫娘「...」
鮫娘「あっ」
猫娘「...ぷっ」
猫娘「ニャ、ニャハハハハハハハ!!お前も「ん」が付いてるじゃないかニャ!」ゲラゲラ
鮫娘「だからナシですってば!」
猫娘「あー笑ったニャ!ちょっとスッキリしたニャ!」
鮫娘「...しゃーく?」
猫娘「色々考えても仕方ないニャ!今は成功を祈るしかないニャ!」
猫娘「サメ!ゲームを出せニャ!二人で対戦するニャ!」
鮫娘「しゃ、しゃーく!分かりました!」
幼女「Zzz...」スヤァ
ダイオウグソクムシ「♪」モゾモゾ
ダイオウグソクムシ「Zzz...」ピトッ
幼女「Zzz......う、うーん...うーん...」
..................................................
猫娘「幼女、起きろニャ」ユサユサ
幼女「...ん」パチッ
猫娘「時間ニャ。そろそろ出発の時間ニャ」
幼女「ふわぁぁ...了解...」ゴシゴシ
鮫娘「しゃーく、ではもう一度、作戦の確認です」
鮫娘「まずあたし達の家は地図だとここです。そして一番警備が手薄で脱出しやすいと思われる場所は...ここ、竜宮の東端です」トントン
鮫娘「距離にして約3㎞...決して近いとは言えない場所ですね」
猫娘「そこで私とサメの魔法の出番ニャ」
鮫娘「しゃーく、その通りです。万が一、兵隊さんに見つかった場合は猫さんが戦闘を開始します」
幼女「でもこんな明け方に魔法でドンパチしたら確実にバレる...」
鮫娘「そこであたしの防音魔法を使います」
鮫娘「周囲10メートル程の範囲しか効果がありませんが、これを使えば絶対に音は外に漏れません」
猫娘「でもサメの魔法は10メートルしか効果がない...つまり遠くから発見されたらアウトニャ」
鮫娘「一応、透明化の魔法をかけるのである程度は大丈夫だと思うんですけどね...」
猫娘「まあその時はその時ニャ。開き直って全力で逃げるニャ」
幼女「...何か色々、この作戦雑じゃない?」
鮫娘「しゃーく...半分賭けみたいなもんですからね。恐らく成功する確率は五分五分だと思います」
鮫娘「でもこうでもしないと、この竜宮から脱出なんて出来ません...」
猫娘「ニャ、兵隊が疲れきってる今が一番のチャンスニャ」
幼女「そうなんだ...」
鮫娘「...時間です。出発しましょう」
猫娘「ニャー!興奮してきたニャー!」
幼女(とうとうこの時が来たか...)
鮫娘「居ない場合は予定通りのルートで、居た場合は...猫さん、お願いします」
猫娘「任せろニャ!」
鮫娘「あと猫さん、これ使ってください」スッ
猫娘「ニャ?なんニャこれ?」
鮫娘「あたしのほぼ全魔力です。防音や透明化で使う以外の魔力は猫さんに預けますので使ってください」
猫娘「...いいのかニャ?」
鮫娘「しゃーく。あたしが持ってるよる猫さん持ってた方がいいですからね」
猫娘「分かったニャ!ありがたく貰うニャ!」
鮫娘「幼女さんはあたしから離れないでくださいね」
幼女「う、うん、了解」
鮫娘「しゃーく...では行きます」
猫娘「...」ゴクリ
幼女「...」ゴクリ
猫娘「あ、ちょっと待ってくれニャ」
鮫娘「」ガクッ
幼女「」ガクッ
猫娘「私と一緒に居るとグソたんが危ないからサメが預かっててくれニャ」スッ
ダイオウグソクムシ「」クゥーン
鮫娘「しゃーく...置いてくればいいじゃないですか」
猫娘「駄目ニャ!グソたんは最後まで一緒ニャ!」
鮫娘「はぁ...分かりましたよ。あたしの肩の上に乗せておきます」スッ
ダイオウグソクムシ「」ガシッ
鮫娘「しゃーく、しっかり掴まっててくださいね」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ウンウン
幼女(きもっ!!!!!)
鮫娘「しゃーく...では今度こそ行きます」
猫娘「...」ゴクリ
幼女「...」ゴクリ
鮫娘「ゴーーーーー!!!!」
ガチャ
猫娘(まずは...)キョロキョロ
幼女(敵の確認!)キョロキョロ
シーン
鮫娘(しゃーく...居ないみたいですね)
鮫娘(なら予定通りに防音魔法&透明化魔法、発動!)ピカッ
ピキーン
鮫娘(しゃーく...ここからは慎重に辺りを確認しながら進みます...)キョロキョロ
幼女(うぅ...これ本当に透明になってるのかな)
猫娘(出てくるならいつでも来いニャ!瞬殺でサイレントキルしてやるニャ!)
タッタッタ タッタッタ
鮫娘(しゃーく...おかしいですね)キョロキョロ
鮫娘(兵隊さんがまったくいない...一人や二人に見つかるぐらいは覚悟してたんですが)
鮫娘(買い物に出かけた時はこの辺りでも居たのに...他のところを集中的に探してるんでしょうか?)
..................................................
タッタッタ タッタッタ
鮫娘「しゃーく。ちょっとあそこの物陰で休憩しましょうか」クイッ
コソッ
猫娘「はぁ~...神経使うから疲れるニャ...」
幼女「でも運よく兵隊には全然会わないね。これなら上手く脱出できるかも」
鮫娘「そのことなんですけど...何か不自然だと思いませんか?」
猫娘「ニャ?どういうことニャ?」
鮫娘「しゃーく。まったく兵隊さんが居ないことです」
鮫娘「ルート的に絶対遭遇しそうな所がいくつか会ったんですけど...そこにもまったく居なかったんです」
幼女「つまりどういうこと?」
鮫娘「しゃーく、考えられるのは他のところを集中的に探してるか...」
鮫娘「...もう兵隊さんが撤退してるか」
猫娘「そんなことあり得るのかニャ?」
鮫娘「分かりません...でもどちらにしてもこちらには好機です」
鮫娘「目的の場所まで後もう少し、頑張りましょう」
鮫娘「見えました!あそこです!」
猫娘「ついに到着かニャ!?」
幼女「な、長かった..」ホッ
鮫娘「はい!さあ二人共!あたしの背中に乗って...」
「ようやく来たか。遅かったな小魚共」
鮫娘「しゃーくっ!?」ビクッ
幼女「!?」バッ
猫娘「誰ニャ!?」クルッ
スー
鯨男「ふん、何時間も待たせおって...脱出するならもっと早く来い」スタッ
幼女「だ、誰...?」
鮫娘「しゃーく...分かりません、でも容姿から見るに恐らく魚人かと思います。見たことない人ですけど」
猫娘「まさかお前また裏切って...」
鮫娘「しゃ、しゃーく!本当に知らない人です!神様に誓って!」
鯨男「...む?二匹と聞いていたが一匹多いみたいだな」
鯨男「どうやらそこの魚人は裏切り者のようだな。ついでに捕らえてやるか」
幼女「...どうやら味方ではないみたいだね」
猫娘「おいそこのデカブツ!誰だか知らないけどそこをどけニャ!」
鯨男「それは出来ない相談だな。ここを通りたかったら余を倒してみろ」
猫娘「図体もデカイけど態度もデカイニャ!あいつ何様のつもりニャ!」
幼女「き、気を付けて、あいつ多分普通の兵士とは全然違う...」
鮫娘「しゃーく、幼女さんに同意です...あの人ちょっと危険な感じがします...」
猫娘「幼女とサメは下がってろニャ。ここは危険ニャ」
鮫娘「え?でも防音魔法は...」
猫娘「必要ない。というより無理ニャ」
猫娘「お前は私とあいつの戦闘を10メートルも近くから見る度胸はあるのかニャ?」
鮫娘「...しゃーく、無理ですね...絶対巻き込まれます」
猫娘「ニャ、私もお前を気にかける暇はないと思うニャ」
猫娘「戦闘の音で兵隊が来ないことを祈るしかないニャ」
鯨男「そのことなら安心しろ小魚共。兵は余が城に帰した」
鯨男「100%無理だが余を倒せば貴様らは自由だ」
猫娘「とのことニャ。早く遠くに避難してろニャ」
鮫娘「しゃーく!分かりました!」ダッ
幼女「き、気を付けてね!」ダッ
鯨男「ふん...戦うのは一匹だけか。つまらんな」
猫娘「お前はどうして私達がここに来ることを分かっていたんだニャ?」
鯨男「簡単な話だ。まだ竜宮に潜伏してると考えれば、恐らく兵が捜索してない民家に潜んでいる」
鯨男「理想の脱出予定時刻は兵が一日中探し回って疲れている深夜から早朝にかけてだろうな。兵が民家に押し掛けるのも時間の問題、この時間が一番ベストだ」
鯨男「そして脱出場所は地形の問題から警備が少ないここ、東端」
鯨男「小魚の浅い考えなぞ手を取るように分かるわ」
猫娘「...そうかニャ、全部バレてたってことかニャ」
猫娘「なら話は早いニャ!」ゴゴゴゴ
パッ
猫娘「お前を倒せば全部解決ニャ、悪いけど最初から全力で行かせてもらうニャ」キラキラ
鯨男「ほう...いい魔力だ。これは久しぶりに楽しめそうだな」
幼女「最初から二股モード...」
鮫娘「しゃーく...猫さんも本気みたいですね」
猫娘(まずはMAXスピードで先制攻撃ニャ!)
猫娘(二股モードの攻撃の速さは兎の本気のスピード以上!目が慣れていないとまず回避不可能ニャ!)
鯨男「...」フッ
猫娘(もらったニャ!)ギッ
ギュオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
猫娘「ニャッ!?」ビューン
猫娘「」ズサー
幼女「...」
鮫娘「...」
幼女「な、何が起こったの...?」
鮫娘「しゃーく...ね、猫さんがとんでもないスピードであの人に向かって行って...」
鮫娘「は、弾き飛ばされたように見えました...」
猫娘「あ、ありのまま今起こったことを話すニャ!私はあのデカブツに向かって攻撃をしたのに弾き飛ばされていた...」
猫娘「バ、バリアか何かかニャ?でもあの感じは何か違うニャ。まるで激流に流されたかのような...」
鯨男「どうした?もう終わりか?」
猫娘「」ムカッ
猫娘(どんなネタを使ったかは分からないニャ...でも!)
ダッ
猫娘「そんなへなちょこバリアすぐ破ってやるニャ!!!!」キッ
鯨男「バリア、か」
猫娘「隙ありニャ!」ブオン
鯨男「貴様にはこれはバリアに見えるのか?」
ギュオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
猫娘「ニャッ!?わ、私の拳が渦潮みたいな物に飲み込まれてるニャ!?」
猫娘「は、離せニャッ!!」ググッ
幼女「さっきの謎のバリアといい、まるで海自体があの人を守ってるみたい...」
鮫娘「しゃーく...いえあれは海というより海流を操ってるように...」
鮫娘「...あれ?海流?」
鮫娘「ハッ!?まさかあの人の正体ってっ!!」
猫娘(は、離れないニャ!二股モードは筋力も上がってるはずなのに!)
鯨男「どうした?動けないのか?」
鯨男「なら余が手伝ってやろう」スッ
ギュルルルルルルルルルルル!!!!!!!!
猫娘「ニャ、ニャー!!!!!」ビューン
鯨男「おっと、また勢い余って吹き飛ばしてしまったか」
猫娘「」ズサー
猫娘「くっ...あ、あいつ何者ニャ。渦潮作ったり吹き飛ばしたり...」ヨロッ
鮫娘「猫さん!」バッ
猫娘「さ、鮫!?ここは危険ニャ!さっさと元の場所に帰れニャ!」
猫娘「は?降参?」
鮫娘「そうです!あの人には絶対勝てません!この竜宮...いえ!海の中では!」
猫娘「何言ってるニャ!意味が分からないニャ!」
鮫娘「しゃーく。あの人の名前はクジラ様、海の潮を自由自在に操れるという能力を持つと言われています」
鮫娘「先代海王様に勝負を挑み、負けはしましたが実力を認められて将軍にまでなった人です」
鮫娘「うぅ...顔を見たのは初めてでしたから気付きませんでした...まさかクジラ様とは...」
猫娘「なんだ、その先代海王に負けてるじゃないかニャ」
鮫娘「しゃーく!先代の海王様は歴代最強と言われた人!そんな人が認めるなんて相当強いですよ!」
鮫娘「現海王様でも勝てるかどうか分からないくらいなんですよっ!?」
猫娘「そもそも潮を操るってよく分からないニャ...あのバリアや渦潮だけじゃないのかニャ?」
鮫娘「バリアに見えたのは恐らく自分の回りの海流を高速回転させたものでしょうね...」
鮫娘「その気になればカッターのように相手を切ったり、ロープ状にして相手を縛ることも出来る思います」
鮫娘「...そして、その技全てが不可避の攻撃。だって海自体があの人の能力みたいなもんですから」
鮫娘「怪我をしないうちに降参しましょう!下手したら殺されちゃいますよ!」
猫娘「...いいから下がってろニャ」
鮫娘「猫さん!意地を張らないでください!あの人には絶対勝てな...」
猫娘「下がれと言ってるニャ。ここで負けたら幼女はどうなるニャ」ギロッ
鮫娘「」ビクッ
猫娘「お前は別に関係ないかもしれないけどこっちは命がかかってるニャ。下がらないとお前から食ってやろうかニャ?」
鮫娘「...」
鮫娘「しゃーく、分かりました」
鮫娘「...猫さん、負けないで下さい」ダッ
猫娘「...ちょっと言い過ぎたかニャ」
鯨男「安心しろ小魚。ここでお前は殺さない」
鯨男「貴様らは海龍の生け贄になってもらうからな」
鯨男「生憎耳はいいのでな」
猫娘「まったく...魚の癖に化け物みたいなやつニャ」
鯨男「クジラは哺乳類だぞ?」
猫娘「ふん!どっちも似たようなもんニャ!」
猫娘「今すぐ竜田揚げにしてやるニャ!」グッ
鯨男「吠えるなよ小魚。貴様は余には勝てない」
猫娘「...それは駄洒落かニャ?」
鯨男「あぁ、洒落だ」
猫娘「寒いニャッ!!!!」ダッ
鯨男「センスのないやつめ」ダッ
ズドーン!!!!!!
幼女「猫となに話してたの?」
鮫娘「しゃーく、ちょっと応援の言葉を」
鮫娘「猫さん...勝てますかね」
幼女「...今のままだと多分、無理だと思う」
シュババババババババッ!!!!!!
ダダダダダダダダダッ!!!!!!
猫娘「ニャアアアアア!!!!」ブンッ
鯨男「ふんっ」ブンッ
ドシンッ!!!!
猫娘「...どうして能力を使わないニャ。さっきから肉弾戦しかしてないニャ」ギリギリッ
鯨男「貴様ごとき能力を使うまでもない。素手で充分だ」ギリギリッ
猫娘「言ってくれるニャ!」ブオン
ガシッ
鯨男「鈍い蹴りだな」
猫娘「ニャ、ニャハハ...そんな簡単に受け止められるとちょっと自信なくすニャ...」
鯨男「分かった。離してやろう」グッ
ブオン!!!
猫娘「ニャッ!?それは離したじゃなくて放り投げるニャーーーー!」ビューン
猫娘「」ズサー
猫娘(ち、力に差があり過ぎるニャ!まったく歯が立たないニャ!)
猫娘(能力だけかと思ったらこいつ身体能力もとてつもない...お兄ちゃん、いや店長クラスはあるニャ!)
猫娘(...二股モードになってからもう3分くらいかニャ。サメの魔力を貰ったから後数分は持つけどそれでも意味がないニャ)
猫娘(...サメの魔力?)
猫娘(はっ!そうだ!その手があったニャ!)
フラッ
猫娘「...」
鯨男「まだ立つか、いい加減に負けを認めたらどうだ?」
猫娘(今の私に二股モードは負担が大きすぎる...他の魔法を使う余裕なんてないニャ)
猫娘(でも今の私はサメの魔力があるニャ!一つくらいなら余裕で出せるはずニャ!)
猫娘「...」ググッ
猫娘「...」パッ
ポンッ
球『』フワフワ
鯨男「...なんだそれは」
幼女「何あれ?光る玉?」
鮫娘「しゃーく。分かりません...でも」
鮫娘「この状況で猫さんが選択したのがあの玉です。何か策があると思います」
猫娘「行けニャ!」ブンッ
球『』ビューン
鯨男「握り潰してやろう」スッ
球『』ビューン
球『』ピタッ
鯨男「...」
球『』フワフワ
鯨男「...攻撃かと思ったらただの浮かぶ玉か。貴様は何がしたいんだ?」
猫娘「...」
球『』フワフワ
鯨男「鬱陶しい」グシャッ
シュゥゥゥゥゥ
ポンッ
球『』フワフワ
鯨男「...修復しただと?」
鯨男「これで余をイラつかせる作戦か?愚策もいいところだな」
球『』ウロチョロ
鯨男「...興醒めだな、そろそろ終わらせるか」
シュンッ
ガリッ
鯨男「...」
鯨男「...」
ブシャァッ
鯨男「...血だと?」
幼女「...」
鮫娘「...」
幼女「な、何があったの?」
鮫娘「しゃーく...わ、分かりません...というより見えませんでした...」
鮫娘「ど、どうしてクジラ様の顔に傷が...」
鯨男「どうやって余に傷を...何も見えなかった」
鯨男「...あの小魚はどこだ」キョロキョロ
猫娘「ニャァァァァァ...」フリフリ
鯨男「...どういうことだ。余に傷を負わせた一瞬にあんなところにまで移動しただと?」
鯨男「一体何がどうなって...」
球『』フワフワ
鯨男「...そうか、この玉か」
鮫娘「しゃーく...猫さんはどうやってクジラ様に傷を...」
鮫娘「あの玉に何かあるんでしょうか?でもただフワフワして、クジラ様の回りをうろちょろしてるだけですし...」
幼女「玉...うろちょろ...猫...」
幼女「あっ」
鮫娘「しゃーく?どういうことですか?」
幼女「多分、あの玉は猫じゃらしの代わり...だと思う」
鮫娘「ね、猫じゃらしですか?」
幼女「うん、あいつはそれでリミッターを解除したんだと思う」
鮫娘「リ、リミッター?」
幼女「例えば自分が全速力で相手を殴ろうとしたら全力って出せる?」
鮫娘「しゃーく...出せるんじゃないですか?」
幼女「答えは出せない...なぜならその後ののことを考えてしまうから」
幼女「カウンターをされたらどうするか、避けられたらどうするか、殴った後どう行動するか」
幼女「そういう事を色々考えてる内に無意識に自分の力を制限しちゃうんだ。どんな出来事にも対処できるように」
鮫娘「しゃーく...でもそれと猫じゃらしがどう関係あるんですか?」
幼女「猫っていうのは動いてる物に体が反応する動物...」
幼女「あいつは猫じゃらしで自分の本能を呼び出したんだ...そしてMAXスピードであいつを襲った」
幼女「考える前に体が動いた。だからあのスピードが猫の本来の速さ、正真正銘100%の身体能力だと思う」
幼女「あいつはあまりの速さに反応出来なかった...でもこれが通じるのは最初の一回だけ」
鮫娘「えっ!?」
幼女「問題は二回目以降、あいつが猫のスピードを一度見てからが本番」
幼女「この技には決定的な弱点がある」
鯨男「...面白い技だ。自分の弱点を逆に武器にするとは」
鯨男「ここまで速いやつは初めて見たぞ。海にこれだけのスピードを持つやつは恐らく居ないだろう」
猫娘「ニャァァァァァ...」フリフリ
鯨男「だか単純過ぎる技だ。潮を操れば防ぐのは簡単だろうな」
鯨男「...しかし余は能力を使わんと言った」
鯨男「...来い。その技、二度は通用せんぞ」クイッ
球『』ウロチョロ
猫娘「ニャアッ!!!!」シュンッ
鯨男(...確かにとてつもないスピードだ。一回や二回、見た程度では完全には見切れんな)
鯨男(...だが、どんな技にも弱点がある。貴様の場合は...)
球『』フワフワ
鯨男(この玉だ)
ブンッ!!!
猫娘「ニ゛ャ゛ッ゛!?」ボコォ
ビューン
猫娘「」ゴロゴロゴロ
猫娘「」ズサー
鮫娘「う、嘘...」
幼女「やっぱり...」
猫娘「ど、どうしてニャ...」ピクピクッ
猫娘「あんなに速かったら相手も避けられないし攻撃も当たらない...最高の技だったのにニャ...」ピクピクッ
鯨男「貴様はこの玉の動きに合わせて余を襲ってきた...つまりこの玉の動きを見ればどこから攻撃が来るかは分かる」
鯨男「後はタイミングを合わせて、その場所に拳を叩き込めばいいだけだ」
鯨男「こんな簡単な事にも気付かなかったのか?」
猫娘「え、えぇ...マジかニャ...」ピクピクッ
鯨男「それに貴様、あまりのスピードに自分の目すら慣れてないだろう」
鯨男「カウンターに反応できんというのは致命的だ、はっきり言って欠陥技だな」
猫娘「ニャッ!」グサッ
猫娘「ち、ちくしょう...まだ練習が足りなかったニャ...」シクシク
鮫娘「...玉の動きを見て攻撃場所を予測って普通出来ないですよね?」
幼女「うん無理」
鯨男「その褒美として特別に余も一つ、技を見せてやろう」
鯨男「ここまでした相手に能力を一切使わんと言うのは失礼だからな」
猫娘「...は?」
鯨男「加減はしてやる。だが死ぬ気で防御しろ」
鯨男「でないと死ぬぞ?」
ギュルルルルルルルルル...
猫娘「」ゾクッ
猫娘(こ、これヤバイやつニャ!本気で防御しないとマジで死ぬニャ!)
幼女「な、なにあれ?あいつの回りの水が球体状に集まって行く」
幼女「それにあの球体の中...まるで嵐が起きてるみたい...」
鮫娘「しゃ、しゃーくっ!?あの技は!!!!」
鮫娘「ね、猫さん!早くあたしの後ろに!」
幼女「え?なんで?」
鮫娘「多分アレ噂に聞くクジラ様の潮噴きです!こちらも防御しないと巻き添えを食らいます!」
幼女「し、潮噴き?」
猫娘(ぜ、全魔力を防御に回すニャ!)ピカッ
猫娘(く、くそっ!いつでも来いニャ!これで防げなかったらもう何しても駄目ニャ!)
鮫娘「残り全魔力を防御魔法に!」ピカッ
幼女「ここからあそこまで結構遠いけど、別にそこまでしなくてもいいんじゃないの?」
鮫娘「しゃーく!これでも少し不安なくらいです!」
鯨男「...」スッ
鯨男「はぁっ!!!!」ビシュッ
ドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
猫娘(き、来たニャ!)
猫娘(うおおおおおおおおお!!!!ファイトニャーーーーーー!!!!)
ピシュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!
鮫娘「しゃーく!来ました!幼女さん!しっかりあたしに掴まっててください!」
幼女「うん!」ガシッ
ドンッ
鮫娘「ぐっ!距離があるのに余波でさえこの威力...!」
鮫娘「魔力を全部、猫さんにあげないで少し残しておくべきでした!」
幼女(...こんなのが直撃したらひとたまりもない)
幼女(猫...大丈夫かな)
プシャアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
猫娘「ウニャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」グググッ
ビッシャアアアアアアアアアン!!!!!!!!!
猫娘「ピニャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」グググッ
ポリャガアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!
猫娘「アアアアアアアアニャアアアアアアアアアアア!!!!!!」グググッ
鮫娘「しゃ、しゃーく...何とか持ちました...」グタッ
幼女「ねこっ!」ダッ
鮫娘「幼女さんっ!?」
鯨男「...」
猫娘「はぁ...はぁ...」ボロボロ
猫娘「へ、へへっ...ぜ、全然効いて...」
猫娘「るニャ...もう無理」バタッ
スゥー
鯨男「...終わったか。加減したとはいえアレを正面から受けきるとはな」
鯨男「殺してしまったらどうするかと思ったが...要らぬ心配だったな」
幼女「ねこっ!?大丈夫!?」
鮫娘「しゃーく!猫さんっ!」
猫娘「」
..................................................
海王「...来たか」
ガチャ
鯨男「報告...と言っても既に知ってると思うが小魚共を捕らえた」
鯨男「もう看守を近くに置くなよ。また脱走されたら面倒だからな」
海王「...ご苦労だった」
海王「...その顔の傷はどうした?」
鯨男「戦闘で負った傷だがそれどうかしたか?」
海王「...まさかクジラに傷を負わせるとは...それほどの腕だったのか」
鯨男「勘違いするな。ただ少し油断しただけだ」
鯨男「勝負自体は完勝に近い、まあ少しは楽しめたがな」
鯨男「では約束の小魚共を捕らえた報酬だが、そうだな...」
鯨男「オキアミ100トンほどでいいぞ」
海王「...」
鯨男「仕事をしたんだ。それに見合う対価を貰うの当然であろう」
鯨男「無理ならイワシ50トンでもいいぞ」
海王「...そういえばクジラよ、脱走した二人を捕まえるのに潮噴きを使ったらしいな」
鯨男「あぁ、使ったな」
海王「...町に被害の報告が多数来てる。少なくとも数億の損害だ」
鯨男「...」
鯨男「捕まえろと言ったのは貴様だろうが。余は言われた命令に従っただけだ」
海王「...確かに捕まえて欲しいとは言ったが町を破壊しろとは言ってない」
海王「...お前なら潮噴きを使わずとも捕らえるのは簡単だったはずだが」
鯨男「...」
鯨男「ならオキアミ10トンでいい。余は少し寝る」スタスタ
バタン
海王「...」
猫娘「...はっ!?」ガバッ
猫娘「うっ、ここはどこニャ」
幼女「ねこっ!」ダキッ
猫娘「ニャ?幼女?」
鮫娘「しゃーくっ!?ね、猫さん!大丈夫ですか!?」
ダイオウグソクムシ「!!」
猫娘「...サメ?グソたん?」
猫娘「...そうかニャ、私はあのクジラに負けたのかニャ」
幼女「うん...あの技を食らった後、猫が倒れてそのまま檻に...」
鮫娘「しゃ、しゃーく。でも凄いですよ...あのクジラ様の潮噴きを食らって生きているなんて」
猫娘「潮噴き?」
鮫娘「しゃーく、クジラ様が一番得意とする水魔法と聞いています」
鮫娘「潮を球体状に集めてそこに魔力を与えて回転させるんです。潮は魔力を帯び回転し続け、エネルギーが膨らんで行く...」
鮫娘「限界まで膨らんだら球体の一点に穴を空けて、それを相手に射出するという技です」
幼女「な、なんか凄そうな技だね」
鮫娘「しゃーく。過去、先代海王様と戦った時に出した潮噴きは竜宮の町の建物を全て吹き飛ばしたらしいです」
猫娘「...自分でもよく食らって生きてると思うニャ」
猫娘「多分、アイツ海だと店長より強いニャ」
幼女(...ヤバいなそれ)
猫娘「あれ?そういえばどうしてここにサメが居るニャ」
猫娘「あいつら狙ってたのは私と幼女じゃなかったかニャ?」
鮫娘「しゃーく...実は裏切り者として私も牢に閉じ込められました」
幼女「サメさんも最後まで庇ってくれたんだけどね...やっぱり私達は生け贄にされるみたい」
猫娘「...」
幼女「ね、猫のせいじゃないよ!あの店長さんでも勝てないぐらいなんだから!」
猫娘「...」
猫娘「確かによく考えたら私のせいじゃないニャ。こんなところに連れてきたサメが全部悪いニャ」クルッ
鮫娘「しゃーくっ!?」ビクッ
猫娘「あんなやつに勝つなんてどう考えても無理ニャ。そもそもあの脱出ルートはサメが考えたやつニャ」
猫娘「全部、一から十までサメのせいニャ」
鮫娘「えっ?ちょっ?ひ、酷くないですか?」オロオロ
猫娘「じゃあ何か反論があるのかニャ?」
鮫娘「い、いや確かにここに連れてきたのも、あのルートを考えたのもあたしですけど!」
鮫娘「しゃーく...な、何もそんな言い方しなくたって...」
猫娘「自分でも分かってるじゃないかニャ」
鮫娘「しゃーく...何とかってどうすればいいんですか...」
鮫娘「檻には魔法の障壁と強化魔法がかかってるんですよ?」
猫娘「グソたんがやったみたいに看守から鍵を奪ってこいニャ」
ダイオウグソクムシ「」ウンウン
鮫娘「んな無茶な。どうやって檻から出るんですか」
鮫娘「しゃーく、それに外を見ても看守なんて居ませんよ?」キョロキョロ
猫娘「チッ...警戒されてるのかニャ。やっぱり同じ手は通用しないかニャ」
猫娘「ならお前、裸になってそこで立ってろニャ。そのうち人が来るだろうからそいつを誘惑して鍵を奪えニャ」
鮫娘「しゃーくっ!?な、何言ってるんですか!!」
猫娘「元はと言えばお前のせいニャ!!!責任取れニャ!!!」
鮫娘「そ、それとこれとは話が別ですよ!謝ったじゃないですか!!」
猫娘「あぁん!?謝って済むならポリスはいらねぇニャ!!!」
猫娘「おらっ!脱げニャ!!!」グイッ
鮫娘「しゃーく!やめてください!そ、それ以上やると噛みますよ!」ジタバタ
猫娘「」ビクッ
鮫娘「」ビクッ
ダイオウグソクムシ「」ビクッ
幼女「みんな冷静になりなよ!テンションちょっとおかしいよ!」
幼女「確かに元々の原因は全部サメさんにあるけどさ!」
鮫娘「うっ...」グサッ
幼女「それでも着いて行った猫も悪いし無理矢理止めなかった私も悪い!それでいいじゃん!」
幼女「というかこの話二回目!前も言った記憶があるよ!」
幼女「今は喧嘩してる場合じゃない!一刻も早くここから脱出する方法を考えよう!」
猫娘「...幼女の言う通りニャ。サメ、ごめんニャ」
鮫娘「しゃーく、別に気にしてませんよ。事実なんですし...」
猫娘「それでどうやって、またここから脱出するんだニャ?」
幼女「...」
幼女「ま、またそのキモい生物を使うとか?」
猫娘「あれは看守が近くに居たからグソたんでも鍵を取ってこれたんだニャ」
猫娘「さすがのグソたんでもこの地下から抜け出して、この檻の鍵を探してくるなんて無理ニャ」
猫娘「下手したら踏み潰されちゃうニャ。ねー?グソたん?」
ダイオウグソクムシ「!」ウンウン
幼女(くそっ、役立たずの...害虫?め!)
幼女「じゃ、じゃあサメさんがこの檻を噛み砕くとか...」
鮫娘「しゃーく。この強化魔法のかかった檻を魔法ナシで噛むのはさすがに無理です」
幼女「...」
猫娘「やっぱりサメを脱がして誘惑を...」ズリズリ
鮫娘「しゃーく!ち、近付かないでください!」
幼女(...本格的にどうしよう)
..................................................
幼女「...」
猫娘「...」
鮫娘「...」
ダイオウグソクムシ「...」
グゥゥゥゥーーーー
幼女「お、お腹減った...」
猫娘「にゃあ、今何時ニャ...」
鮫娘「しゃーく...脱出したのが明け方で、捕らえられて牢に入れられて」
鮫娘「大体数時間ぐらいで猫さんが起きて、あれからだいぶ経ちましたから」
鮫娘「腹時計的に、お昼ちょっと過ぎというところでしょうか?」
ダイオウグソクムシ「...」グゥー
猫娘「もうお昼かニャ...朝食べてないから腹減ったニャ」
幼女「まあ一食ぐらいなら我慢出来るけどね。ただ今日ずっと食べられないのはキツいかも」
鮫娘「しゃーく、まあ食事はそのうち来ると思いますよ。餓死されて困るのは向こうなんですから」
鮫娘「しゃーく。伝説通りだと陸が満月の日の丑三つ時、つまり」
鮫娘「...今日の夜中辺りだと思います」
猫娘「もうすぐじゃないかニャ。どうせ生け贄にされるなら最後は腹いっぱい魚を食べたいニャ」
幼女「縁起悪いこと言わないでよ...まるで最後の晩餐みたい」
猫娘「...」ズーン
幼女「...」ズーン
鮫娘(うっ、何だか空気が重く)
鮫娘(しゃーく...そりゃそうですもんね。あの二人は死刑宣告をされた死刑囚の気分)
鮫娘(...あたしだって覚悟は決めました。あとは時間が来るのを待つのみ)
鮫娘(今のあたしに出来ることは...)
鮫娘「しゃーく!暗くなっても仕方ありません!こういう時にやることと言えば一つ!」
鮫娘「レッツ!サメしりとり~~~!」パチパチ
幼女「...なにそれ」
猫娘「...またかニャ」
鮫娘「最後が「ん」で終わったりサメに関係する言葉が出てこなかったら負けですよ~」
鮫娘(この空気を少しでも変えて二人を元気にさせないと!)
幼女「つまんなさそう」シラー
猫娘「飽きたニャ」シラー
鮫娘(反応薄っ!?)
鮫娘「しゃ、しゃーく!参加は強制ですよ!」
鮫娘「まず最初は猫さん!そして幼女さん!最後はあたしです!はいどうぞ!」
猫娘「えーマジでやるのかニャ?」
鮫娘「しゃーく!当たり前です、さあどうぞ!」
猫娘「はぁ...まあ暇潰しになるからいいかニャ」
猫娘「えーっと、サメサメ...」
猫娘「じゃあ適当にホオジロザメでいいニャ」
鮫娘「はい「メ」ですね!」
幼女「えっ?メ?」
幼女「うーん...メ...メ...アレ?」
鮫娘(ククッ、気付いたようですね。このサメしりとりの罠に)
鮫娘(このゲームには必勝法がある!)
鮫娘(しゃーく!このサメしりとりはあたし以外は絶対勝てないようになってるんですよ!)
幼女「サメで関係するもので「メ」から始まる...うーん」
鮫娘(まずルールを思い出しましょう。このサメしりとりはサメ関係の言葉しか使ってはいけません)
鮫娘(では適当にサメを思い浮かべてください。チッチッチ...)
鮫娘(しゃーく!時間切れ!どんなサメを思い出しましたか?)
鮫娘(では当ててみましょう...その言葉は最終的には「ク」か「メ」か「ズ」で終わりますね!?)
鮫娘(え?違う?うるせぇ、大体の人は入ってるんですよバーカ!)
鮫娘(うわーすごーい!当たったーって人!どうして当たったか不思議ですよね?ね?)
鮫娘(しゃーく!ではネタばらしです。なぜ分かったのかと言うと...)
鮫娘(ずばり!サメに関係する言葉は大体「○○シャーク」「○○サメ」「○○ジョーズ」で終わるからです!)バーン
鮫娘(「メ」か「ク」か「ズ」で始まる言葉を最低1つずつでも覚えてればいいんですからね!)
鮫娘(相手は当然答えられない...だってサメのことを全然知らないド素人ですもん!こっちが返せば勝ち確定です!)
鮫娘(あ、たまに「ジョーズ○○」や「シャーク○○」などが出てきますが、その時は相手が悪かったと思って降参してください)
鮫娘(あくまでこの手が通用するのは素人だけですので。現にあたしも全然知らないですし)
鮫娘(というかよく考えたら「メ」「ク」「ズ」で終わらない言葉が結構あるような...)
鮫娘(...)
鮫娘(しゃーく!さあみんなも明日からレッツサメしりとり!)
幼女「メ...?メ...?」
鮫娘(フフフ...悩んでますね。でも無駄です)
鮫娘(サメなんて一般人から見たらジョーズ程度の知識しかありませんy...)
幼女「あ、あった。メガシャーク」
鮫娘「しゃーくっ!?」ビクッ
鮫娘(こ、答えられただと...?)
鮫娘「はいっ!次は「ク」であたしですね!」
鮫娘(しゃーく!でもまだまだ甘いです!「ク」で終わらせたのは悪手でしたね!)
鮫娘「嚏!」
幼女「...?」
猫娘「...何ニャそれ?」
鮫娘「しゃーく!知らないんですか?くさめですよくさめ!」
鮫娘「くしゃみが出たときのまじないの言葉。くしゃみをすると早死にするという俗信があって、「くさめくさめ」と繰り返し言うと防げるといわれたアレですよ!」
幼女「...何かどっかから丸書きしたみたいな説明だね」
猫娘「というかもうサメ関係ないニャ」
鮫娘「あれ?いいませんでしたっけ?言葉の中に「さめ」という言葉が入ってれば鮫じゃなくてもOKなんですよ?」
幼女「何その新ルール」
猫娘「聞いてねぇニャ」
ダイオウグソクムシ「」ズルイ
猫娘「えーまた「メ」かニャ?」
猫娘「にゃむむ...メ...メ...」
猫娘「駄目ニャ。パスニャ」
鮫娘「しゃーく!これで猫さんは脱落ですね!次は幼女さんです!」
鮫娘(クククッ...これが普通の反応)
鮫娘(そして次の幼女さんは二回連続の「メ」攻め、これでチェックメイトです!)
幼女「めでサメが付く言葉かぁ...あっ」
幼女「めさめよわがたま」
鮫娘「...は?」
幼女「いやだから、めさめよわがたま」
鮫娘「な、なんですかそれ?」
幼女「イギリスの賛美歌の中で最も古い朝の歌だよ?イギリスの四大賛美歌の一つだね」
幼女「原作者は17世紀のイギリスの詩人のトマス・ケン司教」
鮫娘「」
幼女「音楽の授業で習ったからね」
鮫娘「」
猫娘「次はサメの番ニャ。早くしろニャ」
鮫娘「......あ」
鮫娘「ありません...」ガクッ
幼女(囲碁か)
猫娘「しりとりは幼女の勝ちニャ」
猫娘「...で、これからどうするニャ」
幼女「...」
鮫娘「...」
ダイオウグソクムシ「...」
猫娘「にゃあ、少しは気は紛れたけど状況は変わらないニャ」
猫娘「お腹も空いたしこれからどうすればいいニャ...」グゥ
フワフワ フワフワ
ダイオウグソクムシ「?」ピクッ
猫娘「グソたんどうしたニャ?」
ダイオウグソクムシ「」クイックイッ
猫娘「ニャ?外?」チラッ
フワフワ フワフワ
猫娘「...ん?何かがこっちに来るニャ...」
鮫娘「しゃーく?どうしたんですか?」
猫娘「檻の外を見てみろニャ。変なものが何か浮かんでるニャ」
幼女「...あれ食べ物じゃないの?」
ご飯『』フワフワ
猫娘「おおっ!?本当ニャ!マジでご飯ニャ!」
鮫娘「しゃーく!多分、浮遊魔法でご飯を運んでるんですよ!」
幼女「早く!早く!」
ご飯『』ゴトンッ
猫娘「ニャー!やっと食べ物にありつけるニャ!」
鮫娘「しゃーく!早く食べましょう!」
幼女「...あれ?」
幼女「檻の外にあるご飯をどうやって食べるの?」
鮫娘「はい?」
幼女「いやだってあのお皿、結構大きいから檻には入らないよ?」
幼女「そもそもお皿まで結構距離があるから手が届かないし」
猫娘「...」
鮫娘「...」
猫娘「ふざけんじゃねぇにゃあああああああああ!!!!!ここから出せにゃあああああああああ!!!!!」ガンガン
鮫娘「しゃーくぅぅぅぅ!!!!生殺しなんて酷いですよぉぉぉぉ!!!!!」ガンガン
シーン
猫娘「くそっ!誰か出てこいニャ!」
鮫娘「しゃーく!絶対に逃げませんからご飯を!」
シーン
幼女「...誰も来ないね」
猫娘「あ、あとちょっとなのにニャ...」ググッ
鮫娘「しゃーく...と、届かない...」ググッ
ダイオウグソクムシ「」ツンツン
猫娘「ニャ?グソたん?」
ダイオウグソクムシ「!」ビシッ
猫娘「そうだったニャ!グソたんが居たニャ!」
猫娘「グソたん!お皿を檻の前まで持ってきてほしいニャ!」
ダイオウグソクムシ「!」ウン
ダイオウグソクムシ「」ノソノソ
猫娘「行っけー!グソたん!」
鮫娘「しゃーく!頑張ってください!」
幼女(うげぇ...ばっちい。あんまりお皿に触らないでほしいな...)
ダイオウグソクムシ「...!」グッ
ご飯『』シーン
ダイオウグソクムシ「...!」ググッ
ご飯『』シーン
猫娘「くっ!お皿の重さが想像以上に重くて苦戦してるニャ!」
鮫娘「頑張れ、グソクムシ!お前がナンバーワンだ!」
幼女(あぁ...ご飯にちょっと体がくっついてる...)
ご飯『』ズリッ
猫娘「動いた!動いたニャ!」
鮫娘「ファイトー!いっぱーつ!」
幼女(当たってる!当たってるってば!)
ダイオウグソクムシ「...!!!」グググッ
ご飯『』ズルズルー
猫娘「やったニャー!見事成功したニャー!」
鮫娘「しゃーく!すごいです!」
ダイオウグソクムシ「///」テレテレ
幼女(うん、相変わらず気持ち悪い)
猫娘「さてさてどんなご飯かニャ♪」
鮫娘「魚のフライに唐揚げに...しゃーく!ウナギもありますよ!」
猫娘「ボリューミーで豪華ニャ!魔法を使って疲れたからちょうどいいニャ!」
幼女(フライ...唐揚げ...)
鮫娘「しゃーく!仕方ないですね!」
猫娘「ではいっただきっますニャ~!」
鮫娘「いただきしゃーく!」
モグッ
猫娘「うーん!んまーーーーーいニャ!」
鮫娘「しゃーく!脂が乗ってて美味しいです!」
ダイオウグソクムシ「♪」モグモグ
幼女「...」
猫娘「ほら!幼女も食べるニャ!早くしないと全部食べちゃうニャー!」モグモグ
幼女「う、うん...食べるんだけどさ、ちょっとメニューが気になって」
鮫娘「しゃーく?毒なら入ってませんよ?ほら!何ともないです!」
幼女「い、いや毒じゃなくてさ、何か油っこい物が多いじゃん?」
幼女「これって私達を出来るだけ太らせて生け贄にするのかなー...って」
猫娘「」ピタッ
鮫娘「」ピタッ
ダイオウグソクムシ「」ピタッ
鮫娘「しゃ、しゃーく...なんて悪趣味な...」
ダイオウグソクムシ「」ブルブル
幼女「...まあこんなこと言っても結局は食べるんだけどね。気付いたからどうって話でもないし」ヒョイッ
猫娘「にゃ、にゃむ...少し味が不味くなった気がするニャ」モグモグ
鮫娘「まったく魚人の人達はろくでもないですね!残酷過ぎます!」モグモグ
猫娘「それお前が言うのかニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」モグモグ
モグモグ
ガツガツ
ムシャムシャ
猫娘「ふぅ、これで完食ニャ」ゲフッ
鮫娘「しゃーく、満腹とは言いませんがお腹の足しにはなりましたね」
ダイオウグソクムシ「」ポンポン
幼女(えぇ...もうお腹いっぱいなんだけど)
猫娘「寝るかニャ」ゴロン
鮫娘「しゃーく、そうですね」ゴロン
幼女「はあっ!?」
幼女「ちょっ!何で寝ちゃうの!?脱出の方法とか考えなくていいの!?」
猫娘「ニャ...多分ここから出るのは不可能ニャ」
鮫娘「しゃーく...幼女さんには分からないと思いますが、あたし達には何となく分かるんです。この檻に何をしても無駄ってことが」
幼女「で、でも...知恵を出しあえば解決法が...」
猫娘「絶対無理ニャ。これだけは断言出来るニャ」
幼女「でもそんなに簡単に諦めちゃうなんて!ここで諦めたら全部終わりなんだよ!?」
猫娘「...いや、まだ終わりじゃないニャ」
猫娘「続きは起きてから話すニャ。おやすみなさ~いニャ」
鮫娘「しゃーく.........Zzz」スヤァ
猫娘「ごろにゃあ.........Zzz」スヤァ
幼女「...」
幼女「本当に寝るんかい」
幼女「はぁ、まだ終わってないってどういうことだろ」
幼女「どう考えてもここから脱出できなきゃ龍の生け贄になっておしまいなのに...能天気なやつらめ」
幼女「...でもなんでだろう。あいつが言うなら希望が持てる気がする」
幼女「あーあ、私も寝よっと...早起きしたから十分寝れてないし」
幼女「おやすみなさい...」ゴロン
幼女「Zzz......」スヤァ
猫娘「...おい、サメ。起きてるかニャ」
鮫娘「...しゃーく、起きてます」
鮫娘「...」
猫娘「いくらお前のせいと言っても、そこまでやれとは思ってないニャ」
猫娘「命を投げ捨てる用な真似はやめろニャ。幼女も同じことを言うはずニャ」
鮫娘「...しゃーく。猫さんだって海龍様を倒そうとか思ってるくせに」
猫娘「バレたかニャ」
鮫娘「猫さんが諦めるなんて真似は絶対にしないですからね」
鮫娘「...本気で海龍様に勝てると思ってるんですか?」
猫娘「当たり前ニャ。私の知り合いには獣人なのに龍を倒したという人がいるニャ」
鮫娘「しゃーく...海龍様は陸の龍とは違うんですよ?」
鮫娘「伝説では、海だとその力は神の領域にまで達すると言われてます。化け物ですよ化け物」
猫娘「それでもやってやるニャ。案外巨大なアナゴかもしれないニャ」
鮫娘「ぷっ...ア、アナゴって」クスクス
鮫娘「ウナギにウミヘビですか...確かに可能性はあるかもしれないですね」クスッ
猫娘「...本当について来る気かニャ?」
鮫娘「しゃーく。このままあたしだけが生き残っても一生後悔するだけです」
鮫娘「友人を裏切った挙げ句に見捨てたりしたら地獄行きですからね。どうせ行くなら天国がいいです」
猫娘「...ふん、馬鹿なやつニャ。死んだら全部終わりニャ」
鮫娘「死にませんよ?だって猫さんの計画だと倒す予定なんですから」
鮫娘「そのまま無事に帰ってハッピーエンドです!」
猫娘「...もう本当に寝るニャ。今のうちに魔力を完全回復しとくニャ」
鮫娘「しゃーく、そうですね。ではおやすみなさい」
猫娘「...サメ」
鮫娘「...なんですか?」
猫娘「今度、私が住んでる町でご飯奢ってやるニャ。楽しみにしとけニャ」
鮫娘「...しゃーく!楽しみにしてます!」
................................................
幼女「Zzz.........ん?」パチッ
幼女「ふわぁぁ...よく寝た...今何時だ...」キョロキョロ
鮫娘「Zzz.........」スヤァ
猫娘「Zzz.........」スヤァ
ダイオウグソクムシ「Zzz.........」スヤァ
幼女「まだ寝てるし」
幼女「起こした方がいいのかな?いやでも気持ち良さそうに寝てるしそっとしておいた方がいいか」
幼女「...生け贄にされる時間は今日の丑三つ時だったっけ、あと何時間くらいだろ」
幼女「うーん...起きた時のスッキリ具合から見ると5時間ぐらい寝たのかな?」
幼女「...駄目だ、分からない。こんなことならずっと起きてれば良かったな」
幼女「...あっ!そうだ携帯!」ピコーン
幼女「携帯なら今の時間が分かるはず!海の中だけど多分陸と同じ時間だろうし!」ガサゴソ
シーン
幼女「あれ?付かない」ポチポチ
幼女「どうして?もしかして壊れた?でもどこで...」
幼女「あっ」
幼女「そうか、初めてサメと会った時のアレだ」
幼女「加護魔法をかけ忘れて、溺れそうになった時に海水で壊れたんだ...」
幼女「あーもう!こんなことなら防水の携帯を買えばよかった!」
幼女「携帯も買い換えないと...あー余計な出費だなぁ」
幼女「...もしかしたら、もう二度と買い換えなくてもいいかもしれないけど」
幼女「はぁ、結局時間は分からないままか」ゴロン
幼女「...二度寝しよっかな、どうせまだ誰も起きてないし」
幼女「おやすみなさい...」
幼女「Zzz...」
...............................................
鮫娘「」パチッ
鮫娘「しゃーくぅ...よく寝ました」
猫娘「いっせのでーいち!」パッ
ダイオウグソクムシ「」パッ
鮫娘「猫さん先に起きてたんですか...って何やってるんですか」
猫娘「暇だからグソたんと遊んでたんだニャ」
ダイオウグソクムシ「」ウンウン
鮫娘「懐かしい遊びですね。あたしそのゲームのルール未だに分かんないです」
鮫娘「しゃーく、幼女さんはまだ寝ているんですか?」
幼女「Zzz...」スヤァ
猫娘「まだ寝てるニャ。きっと相当疲れたんだニャ」
鮫娘「しゃーく。幼女さんも寝てる時は普通の可愛い幼女ですね」
鮫娘「しゃーく、正確な時間は分かりませんけど生け贄まであと数時間ってところじゃないでしょうか?」
猫娘「もうそこまで来てるのかニャ」
鮫娘「...海龍様を倒す作戦はちゃんと考えてあるんですか?」
猫娘「一応あるにはあるニャ」
鮫娘「しゃーく!なら教えてください!あたしに出来ることなら何でもします!」
猫娘「まず私が二股モードになるニャ」
鮫娘「それでそれで?」
猫娘「二股モードのスピードで相手の目を攻撃するニャ」
鮫娘「それからそれから?」
猫娘「何だかんだあって大勝利ニャ!」
鮫娘「は?」
鮫娘「...ごめんなさい、何か1つか2つ抜けてませんか?」
猫娘「いやこれが作戦の全容ニャ」
鮫娘「は?」
猫娘「まあまあ落ち着けニャ。詳しく話してやるニャ」
猫娘「まずお前の魔力を猫邪羅死ができる位までまた借りさせてもらうニャ」
鮫娘「...何ですか猫邪羅死って」
猫娘「あの玉の名前ニャ。ちょっと必殺技っぽくしてみたニャ」
鮫娘「暴走族みたいなネーミングですね」
猫娘「そしてお前が囮になって龍を引きつけるニャ」
鮫娘「...はい?」
猫娘「龍がお前に夢中になってるうちにやつの目を攻撃するニャ。どんな生物でも目だけは柔らかいはずニャ」
猫娘「そして目が見えなくなってる隙にボコる...完璧な作戦ニャ!」
鮫娘「しゃーく...一つ質問いいですか?」
猫娘「どうぞニャ」
鮫娘「あたし、猫さんに魔力全部あげるんですよね?」
猫娘「全部とは言わないニャ。半分くらいニャ」
鮫娘「その状態で海龍様とタイマンするんですよね?」
猫娘「何も勝負しろとは言わないニャ。逃げても構わないニャ」
鮫娘「無理ですよっ!!!!」
鮫娘「例え魔力が全快でも3秒で殺されますよ!!!!」
猫娘「頑張れニャ」
鮫娘「しゃーくっ!頑張れとかそういう問題じゃないですよ!!!!」
鮫娘「それに他にもいくつかおかしな点があります!」
猫娘「えー?どこかニャ?完璧な作戦のはずなのに」
鮫娘「まず猫さんの二股モードで目を潰すというところ!」
鮫娘「これ出来るんですか!?相手は龍ですよ龍!」
猫娘「大丈夫ニャ!あのクジラでも初見では私の攻撃は見えなかったニャ!」
鮫娘「でも二回目は当てられたじゃないですか!」
猫娘「あれは玉の動きでバレただけニャ。絶対に一回目では避けられないはずニャ」
鮫娘「じゃあ目が潰れてるうちにボコるっていうのはどうなんですか!?絶対治癒魔法で治されますよ!」
鮫娘「しゃーく!クジラ様みたいにバリアを張ったらどうするんですか!?」
猫娘「あー...」
猫娘「...ねこはめ波でバリアを壊す?」
鮫娘「ネコマジンですか!少しネタが分かりにくいですよ!」
鮫娘「しゃーく...文字通り穴だらけの作戦じゃないですか...もうちょっと考えましょうよ...」
猫娘「ダメで元々ニャ!こうでもしないと勝てないニャ!」
鮫娘「でもさすがにこれはちょっと酷いですよ...あたしも考えますから、ね?」
猫娘「はぁ、仕方ないニャ。もう一度考えるニャ」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
幼女「Zzz...」
ダイオウグソクムシ「♪」ピトッ
幼女「Zzz...」
幼女「」パチッ
幼女「...あーよく寝た。やっぱり二度寝は気持ちいいな」
猫娘「ここをこうするニャ...」
鮫娘「いやでもそれだとここが...」
幼女「あ、もう二人とも起きたんだ」
幼女「ねぇ、何を話して...」
ダダダダダダダダッ!!!!!
幼女「」ビクッ
猫娘「ニャッ!?この音は!」
鮫娘「しゃーく!兵隊さんが来たんです
よ!」
幼女「うそー...もうそんな時間?」
猫娘「ニャ!幼女起きたのかニャ!ちょっと寝過ぎニャ!」
幼女「あぁ、うん、ごめん」
幼女(...誰のせいだ誰の)
猫娘(ひーふーみー...五人かニャ)
猫娘(...ん?待てニャ、もしかしたら檻から出るときに脱出できるかもしれないニャ)チラッ
鮫娘(...しゃーく、分かってます。隙があれば逃げ出しましょう)チラッ
幼女(アイコンタクト...この檻を開けた時に脱出できるかもってことかな?)
雑兵魚人Ⅰ「おい、そこの幼女。まずはお前から出ろ」
幼女「...へ?私?」
雑兵魚人Ⅰ「そうだ!さっさとしろ!」
幼女「は、はいっ!分かりました!」ダッ
猫娘(...やっぱりそう上手くはいかないかニャ。あいつら幼女を人質にしやがったニャ)
鮫娘(しゃーく...もし変な動きをしたら幼女さんの身に危険が...)
ダイオウグソクムシ「...!...!」プンプン
雑兵魚人Ⅱ「もし逃げ出そうなんてしたら...分かってるな?」
幼女「うぅ...」
猫娘「...分かったニャ。大人しくするニャ」スタスタ
雑兵魚人Ⅲ「陸の娘二人、生け贄はこの二人だったな。行くぞ」スタスタ
鮫娘「しゃーく!!!!ちょっと待ってください!!!!」
雑兵魚人Ⅳ「...なんだ?裏切り者、こいつらと別れの挨拶でもするつもりか?」
鮫娘「しゃーく!違います!あたしも一緒に生け贄になります!神殿まで連れて行ってください!」
ダイオウグソクムシ「!!」ピシッ
幼女「サ、サメさんっ!?」
猫娘「...」
雑兵魚人Ⅴ「なんだと?お前も生け贄になるだと?」
ダイオウグソクムシ「!」ウンウン
雑兵魚人Ⅰ「...おい、どうする。こんなこと言ってるが」
雑兵魚人Ⅱ「知らん、俺達は二人を海龍様の生け贄にしろと言われたんだ。ならこの二人でいいだろう」
雑兵魚人Ⅲ「だが多い方がいいというのも一理あるんじゃないか?」
鮫娘「しゃーく!あたしは鮫です!フカヒレなら海龍様も喜んで食べるはずです!」
雑兵魚人Ⅳ「おい、聞いたか?鮫だってよ。確かにフカヒレはうまいぞ」
雑兵魚人Ⅴ「...決まりだな。こいつも一緒に生け贄にしてやろう」
幼女「ちょ、ちょっと待って!ダメだよそんなこと!サメさんは関係ないのに!」
幼女「ねぇ、考え直して!もう怒ってないから!」
幼女「ね、猫から何か言って...」
猫娘「...あいつは自分でそうすると覚悟を決めてるニャ」
猫娘「その覚悟を否定するなんて私には出来ないニャ」
幼女「そ、そんな...」
鮫娘「...幼女さん、あたしこのままだと駄目だと思うんです」
鮫娘「あたしが二人をここに連れて来たんですから、帰る時もあたしが二人を送ります!」
幼女「サメさん...」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
猫娘「...ニャ?グソたんどうしたニャ?檻から出てきて」
猫娘「ごめんだけど私達はこれから用があるんだニャ。もうグソたんも自分の好きなところに行っていいんだニャ」
ダイオウグソクムシ「!」ブンブン
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
猫娘「グ、グソタン?どうして肩に乗るニャ?」
ダイオウグソクムシ「...!」ギリッ
猫娘「グ、グソたん...お前も着いてきてくれるのかニャ...」ウルウル
猫娘「...分かったニャ!グソたんのためにも頑張るニャ!」
猫娘「こ、ここが神殿かニャ...」
幼女「大きい...」
鮫娘「しゃーく...ここはいつ来ても少し緊張します」
ダイオウグソクムシ「」プルプル
雑兵魚人Ⅰ「早く中に入れ、穴はこの先だ」
スタスタ スタスタ
幼女(...神殿の中も凄い。歴史の重みを空気で感じられる)
幼女(こんな神殿が作られるぐらいだもん...海龍ってどんなやつなんだろ...)
雑兵魚人Ⅱ「これが海龍様のところに繋がっている穴だ」
巨大な穴『』ゴォォォォォォォ
幼女「地下何メートルあるんだろ...先が見えない」
猫娘「想像以上にでかい穴ニャ...」
鮫娘「しゃ、しゃーく...あたしも見るのは初めてです」
ダイオウグソクムシ「」ブルブル
雑兵魚人Ⅳ「この穴には特殊な障壁が張ってある。一度通れば障壁が発動し、もう元に戻ることはない」
雑兵魚人Ⅴ「最後の警告だが逃げ出そうなんて考えるなよ?その幼女が大切ならな」
幼女「...だって」
猫娘「とうとうここまで来たかニャ...こうなったら最後のあの手にかけしかないニャ」
鮫娘「しゃーく、そうですね。勝率は低いと思いますが、二人で考えたあの作戦に賭けるしかないです」
幼女「ん?作戦?」
幼女「そういえば私、まだ例の話聞いてないんだけど」
猫娘「今は時間がないニャ。話はこの穴を降りたら説明するニャ」
幼女「えぇ...」
猫娘「さあ行くニャ。みんな覚悟は出来たかニャ?」
幼女「...うん」
鮫娘「...しゃーく」
ダイオウグソクムシ「!」グッ
猫娘「じゃあ一斉に飛び降りるニャ!せーっの!」
バッ
......................................................
雑兵魚人Ⅰ「ご報告します。先ほど、捕らえた二人の陸の人間、それに裏切り者の魚人を生け贄として穴に捧げてきました」
雑兵魚人Ⅱ「これで伝説通りなら地震も止むはずです」
海王「...待て、裏切り者の魚人?それはもしや同じ地下牢に居たサメのことか?」
雑兵魚人Ⅲ「はっ、確かに自分はサメと名乗っていました」
海王「...我は陸の二人を生け贄に捧げろと命令したはずだ」
海王「...サメも生け贄にしろとは一言も言ってないぞ?」ゴゴゴゴ
雑兵魚人共「「「「「 ッッッッッ!? 」」」」」ビクッ
雑兵魚人Ⅳ「も、申し上げます!サメ自らが生け贄になると志願したんです!」
海王「...それは真実か?」
雑兵魚人Ⅴ「はっ!生け贄は多い方がいいと申しておりました!」
海王「...」
海王(...どういうことだ、サメ自らが生け贄を志願しただと?)
海王(...あの娘は精神的に少し弱いところがある...進んで自分の命を差し出すような性格ではないはずだ)
海王(...陸の娘達と出会って何かが変わったのか?自分の命を捧げてもいいと思うようなことが)
海王(...他に、やり方があったのかもしれぬな)
幼女「まだ底が見えない...ずっと沈んで変な感覚になってきた」
猫娘「にゃあ、確かに長いニャ。もう10分近く同じ光景を見てる気がするニャ」
鮫娘「しゃーく...海龍様が居るところは龍の聖域、神聖な場所のため海底の奥深くにあるそうです」
ダイオウグソクムシ「...!」ツンツン
猫娘「ニャ?何ニャ?」
ダイオウグソクムシ「...!」ビシッ
猫娘「変な動物が泳いでる?どこニャ?」キョロキョロ
アノマロカリス「」ユラユラ
猫娘「ニャッ!?なんだあの不気味な生物!」
幼女「うわっ!あれアノマロカリスじゃん!」
鮫娘「しゃーく!マジじゃないですか!めちゃくちゃ珍しいですよ!」
猫娘「ア、アノマロカリス?とても現代の生物とは思えないニャ」
幼女「当たり前だよ!あれ、恐竜が生まれる前のもっと前、カンブリア記の生き物だもん!」
鮫娘「しゃーく!大体五億年ほど前ですよ!とっくに絶滅してるはずです!」
猫娘「ご、五億っ!?」
鮫娘「しゃーく...分かりません。もしかしたらこの先の聖域の影響かも」
鮫娘「この穴は元々、神殿を建てる前からあったそうです。何か不思議なエネルギーで守られているのかもしれませんね...」
幼女(す、すごい。図鑑でしか見たことないないけど実際はあんな感じなんだ)
幼女「...」チラッ
ダイオウグソクムシ「?」キョトン
幼女(...グソクムシよりよっぽど可愛いや)
幼女「ねぇ、まだ底に着かないしいい加減話してくれない?」
幼女「これから何をするつもりなの?」
猫娘「あぁ、そういえば幼女には話してなかったニャ」
猫娘「私達は龍を倒すつもりでいるニャ」
幼女「りゅ、龍を倒す...?」
猫娘「まあ作戦成功率は多く見ても5...いや1%ってところかニャ」
幼女「そんなに低いんだ...」
鮫娘「しゃーく、ただしこれはあくまで戦闘になった場合の確率です」
鮫娘「もしかしたら話し合いで解決するかもしれません」
幼女「話し合いって...相手は伝説だと生け贄を食ってる化け物なんでしょ?」
幼女「とても話が通じるような相手じゃないと思うけど」
猫娘「まずその前提が間違ってるんだニャ。龍は本来、そこまで凶暴ではないはずなのニャ」
猫娘「まあ一部の龍は土地を荒らしたり、神の世界を崩壊させたりしてるけど...大体は大人しいニャ」
幼女(それ結構凶暴だと思うんだけど)
鮫娘「しゃーく、伝説というものは尾びれ背びれが付いて大きくなってるものです」
鮫娘「もしかしたら海龍様に関する伝説は全て創作、本当は優しくて大人しい龍という可能性もあります」
鮫娘「...本当に凶暴な龍だったら終わりですけどね」
幼女「つまり最後は神様に祈るしかないってことね...」
猫娘「何ニャ?」
幼女「万が一、龍を倒したとしてその後どうするの?」
猫娘「どうするって...そりゃもう生け贄になる必要はないからすぐ帰るニャ」
幼女「でもあの穴の入り口は障壁で通れないんだよね?」
猫娘「あっ」
鮫娘「あっ」
幼女「...まさか今気付いたの?」
猫娘「ニャ、ニャー!龍に障壁を破壊すさせればいいニャ!」
鮫娘「しゃーく!そ、そうですよ!手下にして命令すればいいんです!」
幼女「そんなにうまくいくかなぁ」
幼女「...ん?もしかしてあそこ地面じゃない?」
猫娘「あ、本当ニャ。もう底かニャ」
鮫娘「しゃーく、話してたらあっという間でしたね」
スタッ
猫娘「辺りには居ないみたいニャ...でも油断はできないニャ」
鮫娘「しゃーく...この先は広い洞窟のような一本道になってるはずです」
鮫娘「いつ海龍が出てきてもおかしくありません...警戒は怠らないでください」
猫娘「念のために探知魔法を使うかニャ?」
鮫娘「いえ、探知魔法は逆にこちらの位置がバレる可能性があります」
鮫娘「大人しくここで待機して相手を待つという作戦もありますが...どうしますか?」
猫娘「...いや、体力があるうちに進んだ方がいいと思うニャ」
幼女「...私もそっちの方がいいと思う」
鮫娘「しゃーく、決まりですね」
ダイオウグソクムシ「?」
猫娘「この先はいつ龍と会ってもおかしくないニャ。危ないからグソたんには下がっててほしいニャ」
ダイオウグソクムシ「!」モゾモゾ
猫娘「よしよし、やっぱりお前は賢いニャ」
ダイオウグソクムシ「...」キョロキョロ
ダイオウグソクムシ「!」モゾモゾ
幼女「私の肩に乗ったら踏み潰すぞ」
ダイオウグソクムシ「」ビクッ
ダイオウグソクムシ「」シュン
鮫娘「...しゃーく。そろそろ行きましょうか」
鮫娘「猫さんは前、あたしは横、幼女さんは後ろを見張ってください」
鮫娘「相手は龍ですからね。どこから来てもおかしくないです」
幼女「うん了解」
猫娘「任せろニャ!」
幼女「やだ」
猫娘「ニャッ!?ど、どうしてニャ!」
幼女「どうせ逃げたってここからは出られないもん、私も残る」
幼女「一人で死ぬなら二人と一緒に死んだ方がマシだよ」
猫娘「幼女...」
鮫娘「しゃーく...幼女とは思えない精神力です...」
猫娘「...分かったニャ。幼女がそう言うなら私も覚悟を決めるニャ」
猫娘「死ぬ気で幼女を無事に帰してやるニャ!私に任せろニャ!」
鮫娘「しゃーく!あたしもです!」
ダイオウグソクムシ「!」ブンブン
幼女「...うん、みんなで一緒にここから出よう」
猫娘「では出発ニャ!みんな絶対に離れちゃダメニャ!一緒に行動するニャ!」
鮫娘「しゃーく!分かりました!」
ダイオウグソクムシ「!」
幼女(どうしよう...空気的に絶対言えないけど)
幼女(...ダンゴムシとこんなに距離が近いのはちょっときつい!)
猫娘「...」ジー
鮫娘「...」ジー
ダイオウグソクムシ「...」ジー
幼女「...」ジー
鮫娘「...しゃーく、まだ出てきませんね」
猫娘「ニャ、気は抜けないニャ。いきなり飛び出てくるかもしれないニャ」
幼女「...怖いこと言うのやめて」
猫娘「この洞窟はどのくらい続いているんだニャ?」
鮫娘「しゃーく。あたしも詳しくは知らないですが、奥の部屋には海龍様のお部屋があるらしいです」
鮫娘「道中に出てこないとすると、その奥のお部屋に居るのかもしれませんね」
猫娘「部屋かニャ...いかにもそれらしいニャ」
幼女(...何か前にもこんなことあった気が)
猫娘「幼女、今言うのも何だけど言っておきたいことがあるニャ」
幼女「な、なに?こんな時に」
猫娘「家の冷蔵庫に高級メロンがあったはずニャ」
幼女「う、うん、確かにあるよ。ご近所さんから貰ったやつで食べ頃がちょうど今日辺りだったと思うけど」
猫娘「ごめんニャ。あれ私が食べちゃったニャ」
幼女「はあああああああっ!?」
幼女「えっ?う、うそ?本当に?」
猫娘「硬かったけど美味しかったニャ。許してほしいニャ」
幼女「えぇ...本当に食べちゃったの...楽しみにしてたのに...」
幼女「...」
幼女「ごめん、私も言っておくことがあったんだ」
猫娘「幼女もあるのかニャ?」
幼女「実はね...」
幼女「預かってたマタタビ酒、全部捨てちゃったの」
猫娘「ニャッ!?」
幼女「あんなの麻薬と変わらないし体に悪いと思ってね、ごめん」
猫娘「マ、マジなのかニャ...」
幼女「うん、やっぱり未成年にお酒はよくないよ」
猫娘「そ、それでも酷いニャ...帰ったら真っ先に飲もうとしたのに...」
幼女「...私のメロン」ズーン
猫娘「...にゃあ、マタタビ酒」ズーン
鮫娘(最後の告白のせいで余計に暗くなってるじゃないですかぁ!)
幼女「」ズズーン
猫娘「」ズズーン
鮫娘(はっ!今のは禁句でした!)
ダイオウグソクムシ「」オイオイ
スタスタ スタスタ
猫娘「...もうだいぶ歩いたけど出てくる気配がないニャ」
鮫娘「しゃーく、やはり居るとしたら一番奥...ですかね」
幼女「まあ突然来るよりはマシじゃない?」
猫娘「私の見間違いだといいんだけど」
猫娘「もしかして...あの大きい門の先が海龍の部屋かニャ?」
門『』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
鮫娘「しゃ、しゃーく...た、多分あれですよ...」ブルブル
幼女「も、もう着いちゃったの...?」
ダイオウグソクムシ「」ブルブル
鮫娘「しゃーく...慎重にお願いします」
幼女「壊したらダメだからね!」
猫娘「分かってるニャ...ふんっ」グッ
ギィィィィィィィィィ........
猫娘「...開いたニャ」
鮫娘「しゃーく、何か見えますか?」
猫娘「...いや、誰も居ないニャ」キョロキョロ
幼女「だ、誰も居ないの?」
猫娘「本当ニャ。見てみろニャ」
シーン
鮫娘「しゃーく...本当ですね。誰も居ません...」
幼女「ここが行き止まりなのに...」
猫娘「ちょっと中に入ってみるニャ」スタスタ
幼女「...居ないね」
猫娘「もしかして最初から海龍なんて居ないんじゃないかニャ?」
鮫娘「しゃーく、それだけはないですよ。何人もこの神殿に海龍様が入っていくのを見たんですから」
ダイオウグソクムシ「」ピクッ
幼女「」ピクッ
ダイオウグソクムシ「」ツンツン
猫娘「どうしたニャ?グソたん?」
ダイオウグソクムシ「」ピシッ
猫娘「何かが這う音がした?」
鮫娘「這う音...ですか?」
幼女「...今さっき私もその音聞いた」
猫娘「つ、つまりこの広い部屋の中のどこかに居るのかニャ...一体どこニャ」キョロキョロ
シュルルルルルルルル......
幼女「!!!!」バッ
幼女「上っ!!!!上に何か居るっ!!!!」ビシッ
海龍?「ブルアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」ビュンッ
猫娘「!?」
猫娘「み、みんな逃げろニャ!ここに降ってくるニャ!」ダッ
幼女「くっ!」ダッ
ダイオウグソクムシ「」オロオロ
幼女「!? あ、危ないっ!」ガシッ
ドシーーーーーーン!!!!!!!
海龍?「ブルァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
猫娘「こ、こいつが海龍かニャ!?」
鮫娘「しゃーくっ!多分そうですよ!」
幼女「あ、危なかった...あと一歩、掴むのが遅れてたらぺちゃんこになってた...」ホッ
ダイオウグソクムシ「」ブルブル
猫娘「う、海龍!少し話があるニャ!」
海龍「ブルァァァァァァァァァァ!!!!!
」
猫娘「だ、駄目ニャ!とても話が通じないニャ!」
鮫娘「ね、猫さんっ!」
猫娘「...分かってるニャ!やり合うしかないニャ!」グッ
海龍?「ブルァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
猫娘「二股モードニャ!」キラキラ
猫娘(...やっぱり強くなるには実戦が一番ニャ。もう溜めなしで二股モードになれるニャ)
ズキッ
猫娘(ぐっ!少し無理し過ぎたかニャ...体中が痛いニャ)
猫娘(でもここで負けるわけには行かないニャ!あともう少し持ってくれニャ!)
海龍「ブルアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
鮫娘「しゃーく!来ます!」
猫娘「幼女達は少し離れてろニャ!」
幼女「う、うん!負けないで!」ダッ
ダイオウグソクムシ「...!」グッ
猫娘「行くニャッ!!!!」ダッ
鮫娘「しゃーくっ!!!!」ダッ
猫娘(まずは二手に分かれて!)
鮫娘(敵を誘います!)
海龍「ブルァッ!!!!」ビュンッ
幼女「でないと本当に食べらちゃう...」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
幼女「ん?...ってうぇへっ!?」パッ
ダイオウグソクムシ「」ポトンッ
幼女「し、しまった...急いでてこいつを掴んでることを忘れてた...」
幼女「き、汚なっ!手を洗わないと!」
ダイオウグソクムシ「」スリスリ
幼女「ひぃっ!?ス、スリスリするな!別にお前を助けたわけじゃないからね!」
幼女「潰れたら余計に気持ち悪いと思っただけなんだから!」
ダイオウグソクムシ「♪」スリスリ
海龍?「ブルァッ!!!!」ブンッ
猫娘「ニャッ!?」スッ
グシャーーン!!!!!
猫娘「し、尻尾の一撃で大きい岩がまるで発砲スチロールみたいに粉々に...当たるとヤバそうニャ」
猫娘「こりゃ出し惜しみしてる暇はないニャ。一気に決めさせてもらうニャ!」
鮫娘「えっ?もう出していいんですか!?」
猫娘「そうニャ!速攻でかたをつけてやるニャ!」
鮫娘「しゃーく!分かりました!」
鮫娘「むむむ...ふんっ!」ポンッ
球×50 『 』フワフワ
猫娘(今の私だとサメの力を借りないと二股モードで他の魔法を使うのは無理...容量が足りないニャ)
猫娘(でもサメに魔力を貰って一個だけ玉を作っても燃費も効率も悪いニャ。ということは...)
鮫娘(しゃーく!あたしが猫さんの代わりに猫じゃらしを作ります!)
猫娘(壊れても修復するような高性能な玉は作れませんが、ただフワフワする玉なら楽勝ですしそれなりの数も出せます!)
鮫娘「しゃーく!いっけえええええええ!!!!」ブンッ
球×50 『 』ビュンッ
海龍?「ブルアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!」バチンッ
猫娘「上出来ニャ!あれだけあれば充分ニャ!」
猫娘「にゃあああああ...」フリフリ
球 『 』ウロチョロ
海龍?「ブルアッッッッッ!!!!」バチンッ
海龍?「ブルァッッッッッ!!!!」バチンッ
鮫娘(しゃーく...やはり玉自体に攻撃力はなくても怪しまれて壊されますか)
鮫娘(でも最低限の場所には設置完了です!後は...)
シュンッ
猫娘「にゃあッ!!」ザクッ
海龍?「ブルアッッッッ!?」プシュー
鮫娘(しゃーく、猫さんの猫じゃらしにはクジラ様が言った弱点以外に2つ弱点があります)
鮫娘(まず1つ、威力不足。自分の爪で攻撃するのでどうしても決定力不足です)
鮫娘(一撃必殺の威力があれば恐らくクジラ様も倒せたはず...)
鮫娘(多分この技は本来、必殺技ではなく補助技として使うのが正解なんでしょうね)
鮫娘(そしてもう1つ...連続では出せない)
鮫娘(この時に出来る一瞬の隙を狙われるのは致命的...はっきり言ってこれが一番の弱点です)
鮫娘(しゃーく!でもこの弱点は克服できます!そのためにあんなに玉を大量に作ったんですから!)
猫娘「ニャアッッ!!」ザクッ
海龍?「ブルアッ!?」ブシュッ
猫娘「ニャアッッ!!」ザクッ
海龍?「ブ、ブルアアアアアアアアアッッ!!!!」ブシュッ
幼女「な、なにあれ...玉が海龍の回りにいっぱいある...」
幼女「いや、それより気になるのは猫の方...何かすごい速く動いてて残像しか見えない」
幼女「海龍の傷が増えてるってことは...もしかして猫が優勢?」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ピョンピョン
鮫娘(しゃーく!玉をいっぱい作って海龍様の上下左右あらゆる場所に設置!)
鮫娘(そして常に動かしておくことで猫さんはずっと玉に向かって攻撃できる!)
鮫娘(さらに威力不足の弱点も攻撃回数を増やすことである程度解消できます!小さな傷でも何十、何百もしたら大きな傷になりますからね!)
鮫娘「しゃーく!そこであたしの出番です!」ビュンッ
鮫娘(歯の回りの海水を渦状に回転させてっと)ギュルルルルル
鮫娘(これで思いっきり噛みついてやります!ドリルのように回転してる歯で噛み砕いたら海龍様の肉でも簡単に千切れるはず!)
鮫娘(そしてバランスを崩したところで猫さんがとどめの必殺技です!)
鮫娘(しゃーく!あたしの噛みつくところは唯一、玉がなくて猫さんが攻撃してない右足の太もも...ってあれ?)ピタッ
鮫娘(あ、足がない...?よく見たら手と翼もないです)
鮫娘(しゃーく...おかしいですね。龍は手足と翼があるはずなんですけど...細長くて手足がないなんてまるで...)
鮫娘(ええい!ないなら仕方がありません!他にバランスを崩しそうなところは...あった!体を支えてる左腹辺り!)
鮫娘(しゃーく!猫さんの攻撃に巻き込まれる可能性もありますがここは賭けです!行きます!)ビュンッ
海龍?「ブルアアアアアアアアアアアアア......」ボロボロ
鮫娘「しゃーくうううううううう!」ガブッ
海龍?「ブルアッッッ!?」ビクッ
ギュルルルルルルルルルルル!!!!!!!
鮫娘(肉を...食い千切るッ!!!!)ブチッ
ズシーーーーーン!!!!!!
鮫娘(しゃーく!やりました!海龍様が姿勢を崩して倒れました!)
鮫娘(ごめんなさい海龍様!肉を思いっきり食い千切ってしまって!今吐き出しますから!)ペッ
鮫娘(...ん?この味は...)
鮫娘(しゃ、しゃーく...おかしいです。この口に残る味...どこかで食べたことあるような...)ペロッ
鮫娘(あ、あたしはどこかで海龍様を食べたことがある...?)
猫娘「...ニャッ!海龍が倒れてるニャ!」ピタッ
猫娘「よくやったニャ!サメ!あとはとっておきの必殺技でとどめニャ!」ビュンッ
猫娘(二股モードでは魔法が使えない...でも!)
猫娘(モード解除覚悟で体の魔力を一気に放出することが出来るはずニャ!)ピタッ
猫娘(魔力を一気に拳に集めるニャ!)ピカッ
猫娘(もしこれで仕留められなかったら私の魔力はスッカラカン...負け確定ニャ)
猫娘(私の全てをこの技にかけるニャ!)ピカッ
猫娘「ねこはめ波ーーーーーーーーッ!!!!!!」カッ
ズドドドドドドドドーーーーーーーン!!!!!!!!!!
海龍?「ブ、ブルアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!」ズンッ
ドッカアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!!!!!!
幼女「...」
ダイオウグソクムシ「...」
幼女「...パ」
幼女「パクリじゃねえかぁっ!!!!」
ダイオウグソクムシ「...」ェェェェ
鮫娘「しゃ、しゃーく...すごい威力です」
鮫娘「...パクリですけど」
パラパラパラッ......
猫娘「はぁ...はぁ...」シュン
猫娘「ぜ、全魔力を出してやったニャ...お願いニャ...倒れててくれニャ...」
鮫娘「猫さんっ!」ダッ
幼女「猫っ!」ダッ
ダイオウグソクムシ「!」モゾモゾ
鮫娘「や、やったんですか?」
猫娘「わ、分からないニャ...でも手応えあったニャ」
幼女「泡や砂が舞っててよく見えない...一体どうなってるんだろ...」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ......
幼女「あ、止んできた..」
ダイオウグソクムシ「...」ビクビク
鮫娘「しゃーく...お願いです...神様...」
猫娘「にゃ、にゃあ...」ゴクリ
海龍?「ァ......ァ......」ピクピクッ
幼女「や、やった!倒れてる!倒れてるよ!!!!」
猫娘「う、うおおおおおおお!!!!マジニャ!!!!やったニャ!!!!」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ウキウキ
海龍?「ァ......ァ......」ピクッ
猫娘「はっ!復活されたらマズいニャ!」
猫娘「サメ!拘束魔法で今すぐこいつを縛るニャ!」
鮫娘「しゃーく!了解ですっ!」ダッ
グサッ グサッ グサッ
鮫娘「ふぅ...関節に直接、拘束魔法を刺しました」
鮫娘「まず動けませんし、1㎜でも動こうとすると激痛走ります」
猫娘「OK、よくやったニャ」
幼女(結構エグいことするな...)
鮫娘「しゃーく。あたしも多分同じこと思ってます」
幼女「え?なに?疑問って」
猫娘「こいつ海龍じゃないニャ。それどころか龍でもないニャ」
幼女「...えっ?」
海龍?「............」ビリリッ
幼女「ど、どういうことっ!?こいつ海龍じゃないのっ!?」
猫娘「まず龍というのはよほど馬鹿じゃない限り、人語話せるはずニャ」
猫娘「でもこいつはただ吠えるだけ...知性の欠片もないニャ」
猫娘「一番おかしいと思ったところは、こいつ自分の体や尻尾をぶつけるだけで魔法を全然使わないニャ」
猫娘「それどころか魔力をまったく感じない...さすがに私達相手で魔力を一切使わないのはおかしいニャ」
鮫娘「しゃーく。それに龍というのは手足と翼を持ってるはずなんです」
鮫娘「この海龍様もどきは手足も翼もない...まるで魚です」
幼女「な、なるほど...」
ダイオウグソクムシ「」ヘー
鮫娘「しゃーく、多分魚です。それも誰でも一度は食べたことがある魚ですね」
鮫娘「このもどきさんの肉を食い千切った時に、どこかで食べたことのある味がしました」
猫娘「そうか...魚かニャ」
猫娘「ならちょっと食べてみるニャ。私なら何の魚か分かるはずニャ」スタスタ
幼女「え、えぇっ!?食べるのっ!?」
猫娘「ちょっとだけニャ、心配ないニャ」
幼女(そういう問題か...?)
海龍?「.........」ビリリッ
猫娘「ちょっと尻尾の先貰うニャ」ザクッ
海龍?「ッッッッ!?!?!?」バタバタ
猫娘「あむっ...」モグモグ
鮫娘「しゃーく。分かりましたか?」
猫娘「この味は...」
猫娘「穴子ニャ」
巨大アナゴ「.........」ビリリッ
猫娘「間違いないニャ。だから鳴き声が『ぶるあああ』とかだったんだニャ」
鮫娘「つまりこの生物は海龍様ではなく...」チラッ
巨大アナゴ「.........」ビリリッ
鮫娘「巨大なアナゴだったということですか...?」
猫娘「そういうことになるニャ」
幼女「...何そのオチ」
ダイオウグソクムシ「」ヤレヤレ
鮫娘「しゃーく!い、いやでもそれだとおかしいですよ!」
鮫娘「これが巨大アナゴだったら謎の地震は何だったんですか!?」
猫娘「さあ?偶然じゃないのかニャ?」
鮫娘「んなアホなっ!!」
幼女(...本当にアホみたい)
猫娘「こいつがただの巨大アナゴということは間違いないニャ。アナゴが地震を起こすなんて不可能ニャ」
鮫娘「そ、そりゃそうですけどっ!!」
鮫娘「え、えぇ...相手はアナゴですよ?さすがに話すことなんて出来ませんよ」
猫娘「ふっふっふ...私を誰だと思ってるニャ?ありとあらゆる魚を食べ尽くし魚を極めた猫ニャ!」
猫娘「魚が出す微弱な超音波を使って会話するくらい楽勝ニャ!」
鮫娘「しゃ、しゃーく!なにそれ凄いです!」
幼女(突っ込んだら負けな気がする)
ダイオウグソクムシ「」ナニソレ
猫娘「じゃあ試しにやってるみるニャ...ゴホン」
猫娘「アアアアア...アアアアアアア?」
鮫娘「何か呪怨の伽椰子みたいな声出してますね」
幼女「あの声軽くトラウマだよ」
巨大アナゴ「...」チラッ
巨大アナゴ「ヨシキチーヨシキチ」
幼女「おぉ!反応した!」
鮫娘「猫さん!何て言ったんですか?」
猫娘「...どうやらこいつが海龍の正体で間違いないそうニャ」
猫娘「ちょうどいい穴を探しに来たらこの穴に迷いこんだらしいニャ」
猫娘「地震は本当に知らないらしいニャ。やっぱり偶然なんじゃないのかニャ?」
鮫娘「えー...本当に偶然なんですか...」
猫娘「他に聞きたいことはあるかニャ?」
幼女「あ、じゃあこの部屋に抜け道みたいなのがあるか聞いてみて」
幼女「このままだと障壁が突破出来ないからずっと閉じ込められちゃうよ...」
猫娘「分かったニャ、聞いてみるニャ」
猫娘「アアアアアアア...アアアア?」
巨大アナゴ「...」チラッ
巨大アナゴ「ニイタンゼンカーバレスエサリナニイタンゼンカ」
猫娘「おぉっ!?マジかニャ!?」
幼女「ど、どうしたの?」
猫娘「喜べニャ!あそこの奥の壁が隠し通路になってるらしいニャ!」
猫娘「行き先は分からないけど多分この穴からは抜けられるそうニャ!
幼女「うっひゃああああああああ!!!!生きて帰れるんだああああああああ!!!!」
鮫娘「しゃーく...良かったです...本当に...」シクシク
ダイオウグソクムシ「♪」ピョンピョン
猫娘「いきなりボコってごめんニャ!」
巨大アナゴ「ブルアアア...ブルアアア」
猫娘「え?拘束解いてほしい?」
猫娘「分かったニャ!おいサメ!今すぐ拘束を解いてやれニャ!」
鮫娘「しゃーく!了解です!」ピカッ
スゥゥゥゥ...
巨大アナゴ「...」
鮫娘「しゃーく!ついでにアナゴさん傷も治癒魔法で治してあげます!ごめんなさい!思いっきり噛んじゃって!」ピカッ
巨大アナゴ「...」キラキラ
鮫娘「あーすみません...予想以上に傷が酷いですね」
鮫娘「まあ当たり前ですよね...猫さんの猫じゃらし攻撃にあたしの噛みつき、それに猫さんの全魔力を食らってるんですから...」
鮫娘「しゃーく!ちょっと痛いと思いますけど魔力を全部流し込んで傷口を無理矢理塞ぎます!」グッ
巨大アナゴ「ブルアッッッッッ!?!?!?」バタバタ
鮫娘「はい!傷はこれで塞ぎました!本当にごめんなさい!」ペコリ
猫娘「こちらこそ突然襲ってごめんと言ってるニャ」
猫娘「てっきり泥棒が来たと思ったそうニャ」
幼女(泥棒を警戒してんのか...ん?)
幼女(確かにこの部屋、お宝や宝石がいっぱあるな...これもこのアナゴが集めたのかな?)
鮫娘「しゃーく、あと最後に一つ聞きたいことが」
鮫娘「伝説にある、生け贄を食べる海龍様もアナゴさんのことなんですか?それとも別人?」
猫娘「ァァァァァ...アアアアアアア」
巨大アナゴ「...」チラッ
巨大アナゴ「タジーべヨエラワ」
猫娘「別人らしいニャ。そんな龍知らないそうニャ」
鮫娘「しゃーく!そうでしたか!」
猫娘「じゃあそろそろ私達は抜け道から帰るとするニャ」
鮫娘「しゃーく...すみませんでした」ペコリ
幼女「許してやってください」ペコリ
ダイオウグソクムシ「」ペコリ
巨大アナゴ「ブルァァ...」
猫娘「よし!許してもらったニャ!」
猫娘「後は抜け道から脱出を...」グッ
猫娘「あ、あれ?この壁どうすれば隠し通路が出るニャ?」グッ
幼女「引いてみればいいんじゃない?」
ガチャ
猫娘「あ、開いたニャ」
猫娘「じゃあ本当にさよならニャー!元気でやれニャー!」フリフリ
鮫娘「しゃーく!さようならです!」
幼女「ご迷惑をおかけしました」
ダイオウグソクムシ「」フリフリ
巨大アナゴ「...」
バタン
スタスタ スタスタ
猫娘「はぁ~...何とか無事に竜宮から出られそうニャ」
猫娘「今回ばかりはマジでやばかったニャ」
鮫娘「しゃーく。でも海龍様がまさか巨大なアナゴだったなんてビックリですよね」
幼女「ビックリどころかマヌケ過ぎるよ、普通気づくでしょ」
猫娘「確かに普通はアナゴを龍なんて見間違うはずないニャ。どうしてあんなに騒いでたんだニャ?」
鮫娘「さあ?確か最終的に龍だと判断したのは海王様とクジラ様だって聞きましたけど」
猫娘「ならその二人がマヌケだったんだニャ。まったく人騒がせニャ」
猫娘「...ん?別れ道ニャ」
『←ブラジル →出口』
猫娘「...出口ニャ」
鮫娘「...出口ですね」
幼女(ブラジルかぁ...一度行ってみたいなぁ)
ダイオウグソクムシ「」オイオイ
..................................................
巨大アナゴ「...」
巨大アナゴ「...」キョロキョロ
巨大アナゴ「ぶるぁ...ぶるぁ...」
『...行った?』
巨大アナゴ「ぶるぁ!ぶるぁ!」ウンウン
『はぁ、よっこらせっと』
ズズズズズズズ......
海龍「いやーまさかここに人が来るとはねー」
海龍「驚いて隠れちゃったけどそっちの方が良かったのかな?」
海龍「ごめんね、キミに相手させちゃって。痛かったでしょ」
巨大アナゴ「ぶるぁー!ぶるぁー!」
海龍「全然ヘッチャラ?まったく強がっちゃてー」
海龍「もう戻っていいよ。ゆっくり休んでね」
巨大アナゴ「ぶるぁー...」スゥー
海龍「うーむ...しっかし面倒なことになってるなー...」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
海龍「あちゃー...やっぱり原因は床ドンか」
海龍「でもこうしないとご飯が上から降ってこないんだもんなー。せっかく久々に帰ってきたのに」
海龍「しかも伝説だとボクが人食いみたいになってるし...生け贄を勝手に持ってきたのはそっちだってのに酷いよね」
海龍「あの隠し通路だって生け贄の人達を逃がすために作ったのに!まったくこれだから魚人は!」
海龍「...もうここに居るのも限界、いや海自体が限界かな」
海龍「ボクもいい加減に陸に上がろっかなー。他の龍もみんな陸に居るらしいし」
海龍「そうと決まったらさっそく人に変化しないと!どの位の年齢がベストかな?」
海龍「うーん...うーん...はっ!そうだ!」ピコーン
海龍「幼女になろう!これなら怪しまれないし身体も軽いから動きやすいはず!」
海龍「じゃあさっそく変化っと」ボンッ
海幼女「さー!荷物まとめて出発する準備しよっと!」
海幼女「確か一番近くの陸の町はあっち系の人が多いって聞くからね!まずはそこだ!」
..................................................
ピカッ
猫娘「お?あそこが出口みたいニャ!」
鮫娘「しゃーく。意外と早く着きましたね」
幼女「つ、つかれたぁ...ぜぇ...ぜぇ...」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
幼女「お前の手を貸してもらわなくても歩けるわい!」
ザッザッ ザッザッ
猫娘「無事脱出~...ってここどこニャ?」
鮫娘「しゃーく、どうやらここは竜宮の外みたいですね」
鮫娘「ほら見てください。あそこに竜宮の町があります」スッ
猫娘「うわ本当ニャ...結構歩いたみたいニャ」
幼女「あんなに町が小さく見える...」
猫娘「今思い返して見ると竜宮では散々な目に遭ったニャ...もう食べ物では釣られないようにするニャ...」
幼女「本当に引っ掛かっちゃ駄目だからね!」
鮫娘「...あーっ!しまった!忘れてました!」
幼女「ま、まだ何かあるのっ!?」
鮫娘「しゃーく!二人共!やっぱり今すぐ帰りますよねっ!?」
猫娘「正直もう竜宮は懲り懲りニャ。早く家に帰りたいニャ」
幼女「右に同じ」
鮫娘「しゃーく!なら待っててください!今すぐ買ってきますんで!」ビュンッ
猫娘「おい待てニャ!そっちは竜宮の方向...って行っちまったニャ」
猫娘「一体何を忘れたんだニャ?あいつ」
幼女「さあ?」
鮫娘「しゃーく!急いで買わないと!急いで買わないと!」
鮫娘「...あっ、今ってお店開いてましたっけ」ピタッ
鮫娘「まあいいです!無理にでも開けてもらいます!」
猫娘「あ、戻ってきたニャ」
鮫娘「しゃーく!ごめんなさい!遅れました!」スタッ
幼女「何しに行ってたの?」
鮫娘「これです!玉手箱!」
猫娘「た、玉手箱?」
鮫娘「しゃーく!竜宮に来た客人にはお土産として玉手箱をあげないと、不幸なことが起きるって言い伝えがあるんです!」
鮫娘「だから急いで買ってきました!」
幼女「...それ逆じゃないの?玉手箱を貰った浦島太郎は不幸になった気が...」
猫娘「というかその箱の中身は何ニャ?まさか開けたら歳をとったり...」
鮫娘「しゃーく!違いますよ!中身はただの魚の干物です!」
鮫娘「長持ちするのでお土産としては最適なんですよ!」
猫娘「おぉ!干物かニャ!ありがたく貰うニャ!」
幼女(おーい、さっそく魚に釣られてるぞー)
猫娘「ニャ...やっと帰れるニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」スリスリ
幼女「ちょっと待て」
猫娘「ニャ?幼女どうしたニャ、忘れ物かニャ?」
ダイオウグソクムシ「?」キョトン
幼女「そのダンゴムシはどこまで連れていく気なの?もうそろそろ逃がしてもいいんじゃないの?」
猫娘「あーグソたんかニャ」
猫娘「グソたんは家に連れていって飼うことにしたニャ!これから私達の家族ニャ!」
幼女「は?」
幼女「い、意味分からないんだけど...えっ?そ、そのダンゴムシを家で飼う...?」
幼女「ばっ...ばっ...」
幼女「ば~~~っかじゃねえの!?」
猫娘「やだニャ!グソたんはもう私達の家族ニャ!」ギュー
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
幼女「かっ...かっ...家族ぅ!?」
幼女「そんなダンゴムシが家族ぅ!?」
幼女「頭おかしいんじゃないのっ!?よく見てみなよ!巨大なワラジムシじゃん!」
猫娘「さっきまでダンゴムシって言ってたのに」
幼女「そもそも飼い方も知らないくせに生き物を飼うとか簡単に言っちゃいけません!」
猫娘「サメ、ダイオウグソクムシの飼い方教えてくれニャ」
鮫娘「しゃーく。いいですよ」
幼女「オイッ!!!!!」
猫娘「ということでサメに飼い方教えてもらうから大丈夫ニャ」
猫娘「いざとなったらGoogle先生に聞くニャ」
幼女「ぐ、ぐぬぬ...」
幼女「そいつ海の生き物だから水槽いるんでしょ!?言っておくけど家には水槽を置く場所もお金もないんだからね!」
鮫娘「しゃーく、大丈夫ですよ。竜宮産のダイオウグソクムシは陸でも活動可能です」
幼女「は?何そのご都合主義」
鮫娘「時々塩水に浸ければOKです。あと餌も雑食なので何でも食べます」
鮫娘「まあ基本的にグソクムシって餌食べないんですけど、その子は特別みたいですからね」
猫娘「おー、さすがグソたんニャ」ヨシヨシ
ダイオウグソクムシ「♪」ゴロゴロ
幼女「うぅ...ぜ、絶対やだぁ...そんな気色悪いやつが家の中に居るなんてぇ...」
幼女「どうせペットならもっと可愛いやつがいい...子龍とか鹿とか...」
猫娘「幼女!それは間違ってるニャ!」ビシッ
猫娘「どんなに格好が変でも心はピュアニャ!生き物を見た目で判断するのはよくないニャ!」
幼女(こ、こいつ...こんな時だけ正論言いやがって!)
猫娘「それにグソたんは私達のピンチを何回も救ってくれたニャ!」
猫娘「グソたんを飼う理由は十二分にあるニャ!」ビシッ
幼女(べ、弁護士みたいにつきつけやがって!)
猫娘「ね~?面倒は私が全部見るからお願いニャ~」
幼女「それ絶対最終的に私が面倒見るパターンじゃん!全国のお母さんなら誰でも経験があるアレじゃん!」
猫娘「よし決まりニャ!グソたんはペット決定ニャ!」
幼女「ま、まだ決まってない!そもそもお前居候だろ!」
猫娘「そんな設定誰も覚えてないニャ~」
鮫娘「あのー...そろそろ出発しませんか?」
ダイオウグソクムシ「」ウンウン
猫娘「あーそんなにグソたんを飼うのに反対なのかニャ。ならこっちも切り札を出すしかないニャ」
幼女「き、切り札?」
猫娘「私は何回も幼女の命を救ってるニャ!!!!一度くらい私の言うことを聞いてくれもいいニャ!!!!」
幼女「そ、それはズルいでしょ!そもそも原因は全部そっち側...」
猫娘「往生際が悪いニャ!!!!ペットを飼うのと命、どっちが大切ニャ!!!!」
幼女「ぐ、ぐぬぬ...」
幼女(い、言ってることはめちゃくちゃなのに勢いで押されてる...)
猫娘「はい!グソたん家族入り決定ニャ!終わりっ!」
幼女(も、もう駄目だ...何言ってもこいつは折れない...)
幼女「わ、私の部屋には絶対入れちゃ駄目だからね!」
幼女「あと世話は全部猫が見ること!もしサボったりしたらすぐ捨てますからね!」
鮫娘「しゃ~く~終わりましたか~?」
ダイオウグソクムシ「?」
幼女「私が前の方に乗る...」
猫娘「じゃあグソたんは私の肩の上ニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」
幼女(うぅっ!後ろに居ると思っただけで寒気が...)ブルッ
鮫娘「しゃーく!では出発します!」ブオンッ
幼女(はぁ...色々あったけど竜宮ともお別れか)
幼女(ろくな思い出なかったな...裏切られるわ牢屋に入れられるわ...脱走するわまた捕まるわ、生け贄にされるわ...)
幼女(...お次は何だ?鬼ヶ島辺りか?)
幼女(もう絶対行かないよ!バーカ!)
猫娘(色々あったけど竜宮ともお別れかニャ)
猫娘(悪い方の思い出の方が多いけど一番の収穫は...)チラッ
ダイオウグソクムシ「?」キューン
猫娘(グソたんニャー♪)ギュッ
............................................
鮫娘「しゃーく。今日は潮の流れがいいのであと30分ほどで着きますね」ビューン
幼女「結構早いね」
猫娘「ニャ、まだ乗ってから30分ほどしか経ってないニャ」
鮫娘「まあいつもはこんな感じですね。でも潮の流れが悪いと行きみたいに結構時間がかかっちゃいます」
幼女「へぇ...あれ?」
幼女「何かあそこ、虹色に光ってるけど何だろうあれ」
虹色の波『』キラキラ
鮫娘「...しゃーくっ!?こ、こんな時にアレが出るなんて!」
鮫娘「幼女さん!猫さん!しっかり掴まっててください!一気に抜けますので」ビュンッ
ザアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
幼女(うっ...すごい波...)
幼女(しっかり掴まってないと飛ばされちゃうな)ギュッ
猫娘(海の中で波?何か変な話ニャ)
猫娘(まあ竜宮城だってあるんだしこの際何でも有りかニャ)
鮫娘「しゃーく...何とか抜けられましたね」
幼女「何だったの?あれ?」
鮫娘「あれはとk...」
猫娘「幼女!サメ!ちょっとあれ見てみろニャ!」
マンボウ「」ビターンビターン
猫娘「マンボウが寄生虫を落とすためにビターンビターンしてるニャ!」
鮫娘「しゃーく!本当だ!珍しい!」
幼女「...どっかで見た光景だな」
マンボウ「」シーン
猫娘「あ、死んじゃったニャ...」
鮫娘「しゃーく...どこか悲しいですね...」
幼女「あの話デマって聞いたんだけど」
ダイオウグソクムシ「...」ウルウル
..............................................
ザッパーン
鮫娘「しゃーく!到着です!」
猫娘「ニャー!やっと着いたニャー!」
幼女「太陽の光がないと思ったら外はもう夜だったんだね」キョロキョロ
ダイオウグソクムシ「...!」ウキウキ
猫娘「グソたんが初めての陸で興奮してるニャ」
鮫娘「しゃーく。何か可愛いですね」
幼女(どこが)
猫娘「それにしても久しぶりに陸に上がったら何か体が重い気がするニャ...」ズッシリ
幼女「た、確かに...それに何だかダルいような...」ズッシリ
鮫娘「しゃーく、海の生活に慣れてない人が長時間、水の中に居るとそういう状態になるらしいです」
鮫娘「宇宙飛行士が地球に帰ってきたら、立てなくなる現象と同じですね」
鮫娘「あ、ついでに加護魔法解除しときます」ピカッ
ズンッ
猫娘「うっ...余計にダルくなったニャ」
幼女「プールでめちゃくちゃ泳いだ後みたい...」
鮫娘「...ではあたしはそろそろこの辺で、竜宮のみんなにアナゴさんのことを知らせてきます」
猫娘「か、帰って平気なのかニャ?」
鮫娘「しゃーく、真実を伝えればみんなも納得するはずです」
鮫娘「現に生け贄にされたあたしが生きて脱出してるんですからね!」
幼女「でもあそこに帰るくらいならこの町に住んだ方が安全なんじゃないの...?」
鮫娘「しゃーく...一応、あそこはあたしの故郷です」
鮫娘「それなりに思い入れもありますし家族も居ますから」
猫娘「...そうかニャ」
猫娘「今度はお前がこっちに遊びに来いニャ。約束通りご飯奢ってやるニャ」
鮫娘「...しゃーく!色々落ち着いたら絶対に行きます!美味しいところ連れて行ってくださいね!」
猫娘「ニャ、なら私の携帯の番号も...」ガサゴソ
猫娘「ニャ...ニャ?」ポチポチ
猫娘「け、携帯が壊れてるニャ!なんでニャ!」
幼女(やっぱりそっちも壊れてるよね...)
鮫娘(あー...あの溺れた時に壊れてたんでしょうか)
猫娘「まあいいニャ。携帯を買い換えたらそっちのアドレスにメールするニャ」
鮫娘「しゃーく!了解です!」
鮫娘「では...二人ともお元気で!また会いましょう!」
ザップーン
幼女「...行っちゃったね」
猫娘「...行っちゃったねニャ」
ダイオウグソクムシ「...」ウルウル
幼女「」ビクッ
猫娘「」ビクッ
ダイオウグソクムシ「」ビクッ
鮫娘「その玉手箱の中の干物!焼いて食べるとすごく美味しいんですよ!」
鮫娘「では本当にバイバイです!」ザップーン
幼女「...最後も結局、食べ物で終わったね」
猫娘「それだけ魚が美味しいってことニャ」
幼女「意味分からないんだけど」
幼女「はぁ...暗くなってるけど今何時だろ?というか何日だ」
猫娘「詳しくは分からないけど3,4日は経ってるはずニャ」
猫娘「ホテルで泊まったりサメの家に泊まったり牢屋で過ごしたりしてからニャ」
幼女「確かにそのぐらい居た気がするね...犬も心配してるだろうし早く帰らないと」
幼女「...あれ?犬?」
猫娘「ニャ?大事なことって何ニャ?」
幼女「う、うーん...思い出せない。多分犬に関係してたことなんだけど...」
猫娘「忘れるってことはそんなに大事なことじゃないんじゃないかニャ?」
幼女「そうなのかな...」
猫娘「さ、早く家に帰ろうニャ。久しぶりに家の布団で寝たいニャ」
幼女「...うん!帰ろうか!」
猫娘「っとその前に...」ガサゴソ
猫娘「ぐへへ...ちょっと小腹が空いたからこの玉手箱に入ってる干物を食べるとするニャ」
幼女「えー?もう食べちゃうの?」
幼女「別に食べてもいいけど犬の分も残してあげなよ。お土産の一個も渡さないと多分拗ねちゃうから」
猫娘「分かってるニャ!一枚くらいは残してやるニャ!」
猫娘「ではいただくとするニャ~」
パカッ
幼女「...匂い?」クンクン
ダイオウグソクムシ「?」クンクン
プーーーーーーーーーーーン
猫娘「お、おうえええええええええええ!!!!!!くっさああああああああああああ!!!!!!」
幼女「な、何この臭い!!!!は、鼻が曲がるううううううううううう!!!!」
ダイオウグソクムシ「」ピクピクッ
くさや『』プーン
猫娘「こ、この干物ニャ!この干物の臭いニャ!」
幼女「は、早く閉めて!!!!臭くて死ぬ!!!!」
ダイオウグソクムシ「」シーン
パタンッ
猫娘「く、くそがぁ...あのサメ野郎!腐った不良品押し付けやがったニャ!」
猫娘「こんなもん食えないニャ!全部犬にくれてやるニャ!」
幼女「さ、さすがの犬でもこんなに臭いの食べないよ...」
猫娘「もういいニャ!早く帰って寝るニャ!」プンプン
...................................................
ガチャ
猫娘「ただいまニャー!」
シーン
猫娘「あ、あれ?誰も居ないニャ」キョロキョロ
幼女「...?誰も居ない?」
幼女「そんなはずないでしょ。さすがにもう犬も帰ってきてるはずだし」スタスタ
幼女「うっ!?」ビクッ
猫娘「どうしたニャ?」
幼女「な、何かすごい散らかってる...ゴミと臭いが酷い...」
猫娘「うわっ!?マジじゃないかニャ!」
ダイオウグソクムシ「」クサイ
猫娘「まったく犬のやつは何やってるニャ!片付けくらいしておけニャ!」
幼女「と、とりあえずリビングに行ってみようか。そこに多分犬も居るだろうし」
幼女(す、すごいゴミの量だな。とても数日で溜まる量じゃないんだけど...)
ガサガサ ゴソゴソ
猫娘「あっ、あそこで何か動いたニャ」
幼女「...ゴミで埋もれててあんまり見えないけどね」
猫娘「おい犬、いい加減出てこいニャ」
シーン
幼女「...出てこないね」
猫娘「いつまでいじけてる気ニャ、ちょっと引っ張り出してやるニャ」スタスタ
猫娘「まったく凄いゴミの量ニャ...どこに埋もれてるか分からないニャ」ポイポイッ
犬娘「...」モヤモヤ
猫娘「おっ、見つけたニャ」
猫娘「てめぇ馬鹿犬!どうしてこんなに散らかってるだニャ!さっさと掃除手伝えニャ!」
猫娘「...犬?そのモヤモヤしてる霧みたいなものは何ニャ?」
犬娘「...アハッ♪」ビュンッ
猫娘「ニャァッ!?」ゾクッ
猫娘(さ、殺気っ!?)
ズドンッ
幼女「」ビクッ
幼女「な、なにっ!?」
犬娘「...!」グググッ
猫娘「は、離せニャ...!こ、このアホ!」グググッ
猫娘(な、なんて馬鹿力ニャ!このままだと押されっ...)
猫娘(こ、こうなったら二股モードに!)スカッ
猫娘(し、しまったニャ~!巨大アナゴ相手に全魔力を使ったから、まだ魔力が回復してないニャ!)
猫娘(マ、マジでやばっ...今まで一番、生命の危機を感じるニャ!)
猫娘(く、首筋を狙われてるニャ...!)
猫娘(こいつマジで私を殺る気みたいだニャ!な、仲が悪いのは事実だけど殺されるまでの恨みを買った覚えはないニャ!)
猫娘(...いやあったかも)
犬娘「アアアアアアアアアアッ!!!!!!」ググッ
猫娘「ひ、ひぃっ!」
幼女「ふ、二人とも...な、何があったの?」コソッ
猫娘「幼女ぉ!!助けてくれニャ!こ、殺されるニャーーーー!!!!」
幼女「はぁっ!?」
幼女「ちょ、ちょっと犬!?何やってるの!」
犬娘「グルルルルルル...」キッ
猫娘「いにゃあああああああああ!!!!あ、当たる!というかちょっと当たってるにゃああああああああああ!!!!!」ギリギリ
幼女「あぁっ!もうっ!」
幼女「い、いい加減にしろおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ブンッ
犬娘「ギャッ!?」ボコッ
幼女「だ、大丈夫だった!?」
猫娘「あ、危なかったニャ...あと3㎜でぶっ刺さってたニャ...」ハァハァ
幼女「一体何がどうなって...」
犬娘「」スクッ
幼女「」ビクッ
猫娘「」ビクッ
犬娘「う、うーん...」クラクラ
犬娘「うぅ...な、何か頭痛い。思いっきりぶん殴られたような感触が...」
犬娘「あ、あれ?ここどこ?私は一体何をして...」キョロキョロ
幼女「元に...」
猫娘「戻ったのかニャ...?」
犬娘「あっ!ご主人様っ!」
幼女「」ビクッ
犬娘「どご行っでだのおおおおおおおおおおおおお!!!!!心配したんだよおおおおおおおおお!!!!!」シクシク
幼女「お、おう...」
猫娘「人のことをマジで殺しに来たくせに何ニャこいつ...」
幼女「ちょ、ちょっと落ちついて」
犬娘「うげぇっ...ぐすっ...し、心配したんだよぉ...」シクシク
犬娘「ず、ずっどずっど探じ回って...でも見つがらなぐでぇ...」シクシク
幼女「ずっとって、ちょっと数日家に居なかったくらいでそんな大袈裟な」
犬娘「...へ?な、何言ってるのご主人様...?ご主人様は一ヶ月も行方不明になってたんだよ?」
幼女「...は?」
猫娘「い、一ヶ月?」
鮫娘「かくがくしかじか、ということで海龍様の正体は巨大なアナゴさんでした」
海王「...」
海王(...一月前に急に神殿から海龍の反応が消えた思ったら一体何がどうなっておる)
海王(...本当に巨大なアナゴだったのか?いや、あの遠くからでも分かる存在感は確実に龍だった)
海王(...アナゴは影武者、そして本物の龍は確かに居たが既に竜宮から去っている...か。分からん...)
鮫娘「しゃーく...あ、あの...海王様?」
海王(...考えても仕方ないか、確かにこの一月は地震は起きなくなっている。間違いなく海龍の脅威は去ったと言えるだろう)
海王(...全てが我の勘違いだったのか、それともあの陸の娘達が何かを変えたのか、真実は海の底か...)
鮫娘「しゃーくー海王さまー」
海王「...あぁ、すまない。どこまで話した?」
海王「...うむ、そうか」
海王「...あの陸の娘達には悪いことをしたな。無理矢理こちらの事情に巻き込んでしまった」
海王「...今思えば架空かもしれぬ伝説に頼るなど...一歩間違えば竜宮の民、全員を危険にさらすところだった。余は王として失格だ」
鮫娘「...しゃーく。確かにやり方は間違っていたと思います」
鮫娘「でも...竜宮を守ろうとした海王様が間違っていたとは思いません」
鮫娘「どんな手を使っても国を守る...一国の王としては立派な判断だと思います。やり方は間違ってましたけど」
海王「...」
鮫娘「しゃーく、ではあたしはこれで失礼します」
海王「...待て、鮫よ」
海王「...今回の件は苦労をかけたな。すまなかった」
鮫娘「しゃ、しゃーくっ!?そ、そんな海王様が謝るなんてことないですよ!!」
鮫娘「で、ではあたしはこれで!お体に気を付けてくださいね!」
バタン
海王「...」
海王「...我もまだ未熟だな。まさかまだ年端もいかぬ娘に慰められるなど」
海王「...父上から竜宮を任されて数年、やはり我には荷が重すぎるのだろうか」
海王「...」
海王「...考えるだけ無駄だな」
海王「...父上から預かったこの国、我は命を懸けてでもこの国を存続させるという義務がある」
海王「...荷が重いなら鍛えればいい、竜宮全ての人々を背負えるように。それが王である我の役目だ」
海王「...それに今、我が王でなくなったら次の王はクジラだ。それだけは絶対に阻止しなくては」
鮫娘「これからはちょっと気まずくなりそうです。まあ話す機会なんてそんなにないんですけど」
鮫娘「しかしまさか帰って来たら一ヶ月も過ぎてるなんて...やっぱりあの時の"時の波"の影響ですよねぇ」
鮫娘「...何かややこしいですね」
鮫娘「時の波、竜宮の近くでたまに起きる時空の歪み」
鮫娘「もし巻き込まれてたら数時間から数日、時間が飛ぶ厄介な現象なんですけど...まさか1ヶ月も飛ばされるとは」
鮫娘「リアル浦島太郎状態ですね。猫さん達も同じ状況でしょうか」
鮫娘「...しゃーく、どうしてあたしは説明口調で独り言を言ってるんでしょう」
「おい、そこの小魚」
鮫娘「しゃ、しゃーくっ!?」ビクッ
鮫娘(こ、この声は...)クルッ
鮫娘「ク、クジラ様...?」
鮫娘「しゃ、しゃーく...はい。確かに全部本当ですけど」
鯨男「ふん、つまらんな」
鯨男「上手く行けば龍とやり合えると思ったのだが、どうやら失敗したようだ」スタスタ
鮫娘「しゃ、しゃーく」ホッ
鮫娘「な、なんだったんでしょう...何かちょっと怖いこと言ってた気がしますけど」
鮫娘「...早くあたしも帰りますか。1ヶ月も過ぎてるんですから家族もみんな帰って来てるでしょうし」
鮫娘「あっ」
鮫娘「しゃーく...み、みんなにどう説明しましょう...留守番中に居なくなった挙げ句に1ヶ月も行方不明」
鮫娘「ぜ、絶対怒られる。外出禁止にお小遣い3ヶ月はナシになる...」
鮫娘「うぅ...あたしも陸に行こうかな」
猫娘「んなアホニャ...これじゃリアル浦島太郎ニャ...」
犬娘「本当だよぉ!この1ヶ月ずっと探し回ってたんだからぁ!!!!」
犬娘「電話をかけても繋がらなくて...みんなと一緒にあちこちを探しても見つからなくて...」シクシク
幼女(そりゃ見つかるわけないよなー...だって深海だもん)
猫娘(ん?そういえばサメから携帯のアドレスを貰ったけど陸から竜宮は繋がるのかニャ?)
猫娘(携帯が繋がらなかったのは壊れてたからだし...もしかして壊れてなかったら連絡が取れてたんじゃないかニャ)
猫娘(今となってはあいつが狙って壊したのか...それとも天然だったのか分からないニャ)
犬娘「だからご主人様を見つけようと7つ集めると願いが叶う球を集めたり...何か願いが叶う的な聖杯を探したり...」
犬娘「契約すると1つ願いを叶えてくれる的な淫獣を探したり...ベタにランプの魔人を探したり...」
犬娘「もしかしたらご主人様が死んじゃったと思って人体錬成的な何かやったりもしたんだよぉ!」
幼女「お、おう」
幼女「あ、暑い」
犬娘「本当に良かったよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ギュー
幼女「い、痛い」
猫娘「...ちょっとあいつ忠誠心強すぎて怖いニャ」
ダイオウグソクムシ「」ネー
猫娘「あっ、グソたんのことすっかり忘れてたニャ」
幼女「そ、そろそろ離れて。暑痛い」
犬娘「やだぁ...もっとぉ...」ギュー
幼女「き、気持ち悪いからもう離れて...」
犬娘「」グサッ
犬娘「死のう」プラーン
幼女「!?」
猫娘「ロープが急に現れたニャ...」
ダイオウグソクムシ「」コワイ
犬娘「だってご主人様に気持ち悪いって言われたし...もう死ぬしかないよ...」プラーン
幼女「は、はぁっ!?頭大丈夫!?」
猫娘「絶対大丈夫じゃないニャ。異常ニャ」
ダイオウグソクムシ「」ウンウン
猫娘「これはあれかニャ、あまりに忠誠心が強過ぎてちょっと病んでしまったのかニャ」
猫娘「原因は一ヶ月も会えなかった反動...ここまで来るとホラーの域ニャ...」
ダイオウグソクムシ「なにそれこわい」
猫娘「ニャッ!?い、今喋らなかったかニャ!?」
ダイオウグソクムシ「」フリフリ
犬娘「もうやだ...ご主人様に気持ち悪いと思われるなら死んだ方がマシ...」プラーン
幼女(や、やばい...元々めんどくさかった性格が10倍くらいめんどくさくなってる)
幼女(どうしようこれ...)
犬娘「あぁ...天国のご先祖様...今、私も旅立ちます」プラーン
幼女「き、気持ち悪いって言ったのは嘘だから...全然気持ち悪くないから...」
犬娘「えっ!?本当っ!?」パァ
犬娘「ご先祖様!やっぱり旅立ちやめ!ご主人様ーーーーー!!!!」ダキッ
幼女「あぁ...うん。よしよし...」ヨシヨシ
犬娘「ご主人様大好きぃ♪」ギュー
猫娘「幼女も色々大変ニャ...多分これからしばらくはあんな調子ニャ」
ダイオウグソクムシ「」ウワー
猫娘「忠誠が強過ぎるってのも考えものニャ。やっぱりペットとして飼うなら猫ぐらいの距離感が一番ニャ」
犬娘「もうどこにも行かないでねご主人様...ずっと一緒だよぉ...」
幼女「え?それはちょっと」
犬娘「ふぇっ...」グサッ
幼女(う、うぜぇ...めんどくせぇ...)
カラーン
猫娘「...見事に空っぽニャ」
犬娘「ご主人様ぁ...♪」ギュー
幼女(いい加減離れてくれないかな...部屋の掃除とかしたいんだけど...)
犬娘「...ん?」クンクン
犬娘「何かご主人様、すごく塩の匂いがするね。どうして?」
幼女「え?塩?」クンクン
猫娘「...」クンクン
猫娘「...まあそりゃ海に数日間も居たら体中から塩の匂いがするかニャ。お風呂も入る必要なかったんニャし」
幼女「本当だ...これお風呂で落ちるかな」
犬娘「お風呂っ!?」ピクッ
幼女「は?一人で入るに決まってんだろ」
犬娘「」グサッ
犬娘「ご先祖様、今行きます」プラーン
幼女「...」
幼女「ね、ねぇ、これどうしたらいいの?」
猫娘「まあお風呂ぐらいなら一緒に入いればいいんじゃないニャ」
幼女「えぇ...でもあいつと一緒だよ?」
猫娘「いくらあいつでもいきなり襲うなんて獣みたいなことしないはずニャ」
幼女「...」
犬娘「ご先祖様ー今から逝くよー?逝っちゃうよー?」チラッチラッ
幼女「...変なことしたらぶっとばすからな」
犬娘「やったー!」
................................................
幼女「もうそろそろお湯沸いたかな」
犬娘「おっふろ♪おっふろ♪」
幼女「それじゃお先に失礼するね」
猫娘「ニャ、了解ニャ」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
犬娘「さあご主人様!早くお風呂に入ろう!」グイッ
幼女「ちょっ!押さないでよ!」
ドタバタ ドタバタ
猫娘「...」
ダイオウグソクムシ「...」
猫娘「グソたん、陸での暮らしはどうニャ?」
ダイオウグソクムシ「」モゾモゾ
猫娘「あんまり海と変わらなくて安心した?それは良かったニャ」
猫娘「...そういえばまだ犬にグソたんのこと紹介しなかったニャ。風呂から出てきたら紹介してあげるニャ」
ダイオウグソクムシ「...?」
猫娘「まあ別に悪いやつってほどでもないニャ。生き物には優しくするはずニャ」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ピョンピョン
猫娘「さて幼女達がお風呂から出てくるまでにちょっと部屋を片付けておくかニャ」スクッ
ゴツンッ!!!!!!!
猫娘「ニャ?今の音何ニャ?」
猫娘「お風呂場から聞こえてきた気がするけど...誰か滑って転んだのニャ」
ダイオウグソクムシ「?」
猫娘「まあいいニャ。今はそれより掃除ニャ」
猫娘「グソたん、床に散らばってる小さなゴミを集めておいくれニャ」
ダイオウグソクムシ「」ビシッ
猫娘「私は大きなゴミを片付けるニャ」グイッ
.................................................
猫娘「ふぅ、とりあえず部屋が見えるくらいは片付いたニャ」
ダイオウグソクムシ「」ハァハァ
猫娘「しかしとんでもないゴミの量ニャ...よくこれだけ溜めたもんニャ」
猫娘「こりゃゴミ捨て場に持っていくだけでも大変そうニャ」
猫娘「...あれ?そういえば掃除してからもう一時間近く経ってるけどまだ幼女はお風呂に入ってるのかニャ?」
猫娘「さすがにちょっと長過ぎニャ。例の音も何回も鳴ってたし...もしかして何かあったのかニャ?」
ガラッ
幼女「ふぅ...待たせてごめんね」ポカポカ
犬娘「」ボロボロ
猫娘「ニャ、出てくるのが遅くて心配したニャ」
幼女「匂いが何回洗っても落ちなくてね...まだちょっと残ってるくらい」クンクン
猫娘「うへぇ...マジかニャ。それはめんどくさいニャ」
犬娘「」ボロボロ
猫娘「それでもまだこの部屋だけニャ...まだ家中にゴミがいっぱいあるニャ」
幼女「じゃあ後は私と犬がやっておくからゆっくりお風呂に入ってきなよ」
犬娘「」ボロボロ
猫娘「ニャ、また出たら手伝うニャ」スタスタ
猫娘「グソたん、お前も一緒に来るニャ。体洗ってやるニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」ノソノソ
バタン
幼女「...さて」
幼女「あー...改めて見るとすごいゴミの量だな。今日中に終わるかどうか...」
幼女「まあ片付けるだけなら日が変わる前にまでは終わりそうかな。大変そうだけど」
幼女「オラ、いい加減正気に戻れ。掃除するぞ」ゲシッ
犬娘「」ピクッ
幼女「まったく...元はと言えばお前がこんなに汚くしたんだからな」グイッ
犬娘「ご、ご主人様最近口悪いぃ...」
猫娘「にゃああ...いい湯にゃあ...」プカプカ
ダイオウグソクムシ「♪」プカプカ
猫娘「グソたんどうニャ?初めてのジャパニーズ風呂スタイルは?」
ダイオウグソクムシ「♪」プカプカ
猫娘「そうかにゃあ...気に入ったかにゃあ...」
猫娘「しかし幼女の言ってた通り中々匂いが落ちないニャ...」クンクン
猫娘「体に匂いが染み付いてるのかニャ?サメ辺りは陸だと臭そうニャ」
ダイオウグソクムシ「?」
猫娘「グソたんは多分元々の匂いだから問題ないはずニャ」
ダイオウグソクムシ「♪」
猫娘「...ところで気になってたけど」
パリッ...
猫娘「どうして風呂場の鏡が割れてるんだニャ?」
猫娘「この形は何かを叩きつけたように見えるけど...謎ニャ」
ダイオウグソクムシ「...?」ウーム
.................................................
幼女「や、やっと片付いた...」
猫娘「つ、疲れたニャ...もうへとへとニャ...」
犬娘「掃除してたらもういつの間にか0時過ぎだねぇ」
ダイオウグソクムシ「」ハァハァ
犬娘「あれ?その謎の生物は何?いつから居たの?」
猫娘「やっと気付いたかニャ!これはダイオウグソクムシのグソたんニャ!」
猫娘「今日から家のペットになるニャ!」
犬娘「へー、可愛いね。よろしくねグソくん♪」
ダイオウグソクムシ「」フリフリ
幼女(...世間的には可愛いのかこれ...?どう考えてもグロテスクな生物にしか見えないんだけど)
幼女(というか「グソくん」って...こいつオスなのかメスなのどっちだよ)
猫娘「ニャ、考えてみたら竜宮から帰ってきて一日も過ぎてないニャ...ゆっくり布団で寝たいニャ」スタスタ
犬娘「ご主人様しゃまぁ...」ウルウル
幼女「...なに?」
犬娘「今日は一緒に寝てもいい...?というか寝かせて」
幼女「...ダメ」
犬娘「」プラーン
幼女「...」
猫娘「どんまいニャ」ポン
幼女「えぇ...マジで?」
猫娘「今日くらいは一緒に居てやれニャ」
幼女「...今日は厄日だわ」
犬娘「やったー!」ピョンピョン
幼女「猫は今日は犬の部屋で寝ることになるけど大丈夫?」
猫娘「ニャ、犬臭いのは我慢してやるニャ」スタスタ
猫娘「ほら、グソたん来いニャ」
ダイオウグソクムシ「」ノソノソ
犬娘「ごっ主人様と♪一緒に寝る♪」
犬娘(ぐふふ...こうなったらこっちの勝ちだよ!この流れで一夜の間違いもワンチャンあるはず!犬だけに!)
幼女「あ、1つ言い忘れてた」
幼女「...もし変なことしたぶっ殺すからな」ギロリ
犬娘「」ビクッ
幼女「さ、寝るとするか」スタスタ
犬娘「や、やっぱりご主人様怖くなってる...」ブルブル
幼女「あー...やっと横になれる」ゴロン
犬娘「さあご主人様!一緒に夜のお話をしよう!」
犬娘「怖い話?それとも面白い話?いやここは恋バナで行こうか!」
幼女「私真面目にめちゃくちゃ疲れてるからもうすぐ寝る」
犬娘「えぇ...」
犬娘「じゃ、じゃあご主人様!最後に1つだけ!」
犬娘「ご主人様がいなくなった前の日の夜に話したこと覚えてる?」
幼女「前の日の朝?うーん...」
幼女「...何か言ったっけ?」
犬娘「」
犬娘「そ、そんな...私あの言葉を信じて今まで生きてきたのに...」ガクッ
幼女(ここ数日こいつの存在を忘れるくらい大変な目にあったからなぁ...まったく覚えがない)
幼女「うん、分からない」
犬娘「デ......デ......」
幼女「で?」
犬娘「デートするって約束したじゃん!!!!二人でどこかに行こうって!!!!」
幼女「...はい?」
幼女「え?私が犬とデート?」
犬娘「ちゃんと約束したよ!よく思い出してみて!」
幼女「思い出せって言われても...うーん...」
『だから...明後日行ってやる。二人でどこかに』モワワーン
幼女「あっ」
幼女「あーそんなこともあったっけ、すっかり忘れてた」
幼女「というか一緒に出掛けるって言っただけでデートとは一言も...」
犬娘「二人で外出するんだからデートだよ!」
犬娘「でさ!もちろん明日にでもデートしてくれるんだよねぇ!?」
幼女「えぇ...明日?」
幼女「別の日にしない?明日はゆっくり休みたいんだけど」
幼女「それに気付いたら1ヶ月も過ぎてたから学校の学級閉鎖も解けてると思うし...一応これでも学生だから学校に行かないと」
犬娘「」
幼女「って聞いてる?」
犬娘「うわああああああああああ!!!!!いやだあああああああああああああ!!!!!明日がいいいいいいいいいいいい!!!!!」ジタバタ
犬娘「ずっと我慢したんだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!お願いだからああああああああああ!!!!!」ジタバタ
幼女(う、うるせぇ!)
犬娘「やだああああああああああああああ!!!!!明日がいい明日がいい明日がいいいいいいいいいいいい!!!!!」ジタバタ
幼女「そんな子供みたいに駄々こねないでよ...」
犬娘「だってずっと楽しみにしてたんだもおおおおおおおおおおん!!!!!もう待つのはいやあああああああああああああ!!!!!」ジタバタ
幼女「...」
幼女(...こいつ本当にずっと1ヶ月近くも私が来るのを待ってたんだ)
幼女(家の中がゴミだらけになっても気にならないくらい私のことを思って...)
幼女(はぁ、仕方ない。今回は負けてやるか)
幼女「...いいよ。明日行ってあげる」
犬娘「うわああああああああああああああああ!!!!!......へ?」
犬娘「い、今なんて...」プルプル
幼女「だから行ってあげるって、二度言わせんな」
幼女(なーんかデジャヴを感じる)
犬娘「ありがとご主人様あああああああああああああああ!!!!!大好きいいいいいいいいいいい!!!!!」ギュー
幼女「離れろ」グイッ
犬娘「あー楽しみだなぁ!どこに行こうかなー!」ワクワク
幼女「もう遅いから私は寝るからね。犬も早く寝なよ」
犬娘「あっ!そうだね!早く寝て明日に備えないと!」ゴロン
ソロー
サワッ
幼女「ふんっ!」ブンッ
犬娘「おうふっ!?」ドスッ
幼女「次やったらさっきの話はナシだからな」
犬娘「い、いいところに入った...痛い...」ズキズキ
ピピッ ピピッ ピピッ
幼女「Zzz...」
ピピッ ピピッ ピピッ
幼女「Zzz...」
ピピッ ピピッ ピ...
幼女「うるさいっ!!!!」バシーン
ガシャーン
幼女「うぅ...ねみぃ...体がだるい...」ゴシゴシ
幼女「今日ずっと寝てたい...出かけたくない動きたくない...」ゴロゴロ
幼女「...」
シーン
幼女「...あれ?犬が居ない?」
幼女「昨日の約束忘れてる?いやそれだけはないか」
幼女「はぁ、起きるか」ムクッ
目覚まし時計「」ボロッ
幼女「...これ私が壊したのか」
幼女「あいつらの暴力癖がうつったのかな...こわっ」
幼女「おはよー」
犬娘「Zzz...」スヤァ
幼女「なぜリビングで寝てる」
幼女「一緒に寝たはずなのに...あれ、パソコン付けながら寝てる?」
幼女「...もしかして夜中ずっと何か調べてた?」
犬娘「」ピクッ
犬娘「はっ!いつの間にか寝落ちしてた!」キョロキョロ
犬娘「あっ!ご主人様おはよー!」ダキッ
幼女「ぼふっ」
犬娘「あぁっ!やっぱり帰ってきたのは夢じゃなかったんだね。良かった~」ギュー
幼女「あ、暑苦しい」グイッ
犬娘「あぁん、もっと抱きつかせてよー」
幼女「で、どうでもいいけどなんでこんなところで寝てたの?しかもパソコン付けっぱなしで」
犬娘「いや~あまりも楽しみで寝付けなくてさ!ちょっとパソコンでデートコースを調べててね~」
犬娘「色々調べてたらいつの間にか寝ちゃってたよ!」
犬娘「あとちょっとメールを送ってたりしたしね」ボソッ
幼女「...私にもちょっと見せて」カチッ
犬娘「あーっ!!駄目だよご主人様!!」バッ
幼女「どうして?」
犬娘「行ってからのお楽しみ!先にネタがバレたらつまんなくなっちゃうかもしれないからね!」
幼女(...こいつは一体私をどこに連れてく気だ)
犬娘「さ!そんなことより朝ご飯食べよっか!今日は私が作るよ!」
幼女「え?いいの?」
犬娘「うん!ご主人様が帰ってきた記念だからね!」
幼女「んーありがと。じゃあ猫起こしてくるね」スタスタ
犬娘「さて冷蔵庫には何が入ってるかなっと♪」パカッ
犬娘「...何もない」
犬娘「でもご主人様に朝ご飯作るって言っちゃったからなぁ。これで作らないと私の株が落ちちゃうよ!」
犬娘「どっかに食べ物ないかなー。出来れば朝だし魚とか欲しいんだけど」キョロキョロ
犬娘「む、あの箱はなんだろう?」
幼女「ほら起きて、朝だよ」ユサユサ
猫娘「にゃあ...後5分ニャ...」ゴロン
幼女「早く起きないとご飯出来ちゃうよ」ユサユサ
猫娘「ふにゃあ...体がダルいニャ...起きたくないニャ...」ゴロゴロ
幼女「私だって疲れてるよ。出来れば今日一日は寝てたいよ」
猫娘「にゃむぅぅ...そういえば昨日、店長に無断欠勤の連絡入れるの忘れてたニャ...」ゴシゴシ
猫娘「にゃーない...起きるかニャ」ムクッ
ダイオウグソクムシ「」ノソノソ
幼女「うわっ...布団に入れて寝てたの?」
猫娘「ニャ、抱き心地が良かったニャ」
幼女「ぬいぐるみか」
猫娘「ふわぁ~ぁ...ねみぃニャ」スタスタ
幼女「ちゃんと顔洗ってきなよ」
猫娘「分かってるニャ...ん?」ピクッ
猫娘「...何か臭くないかニャ?」
幼女「えっ?別に何も...」クンクン
幼女「本当だ。何か臭い」
猫娘「あっちから匂ってくるニャ...一体何の匂いニャこれ...」
幼女「ゴミとはちょっと違う感じだけど...何かどっかで嗅いだことがあるような」
ダイオウグソクムシ「」クサイ
幼女「く、くさっ!?何これっ!?」
猫娘「ニャ、ニャアアアッ!?せ、生物兵器か何かかニャ!?じ、尋常じゃない臭さニャ!」
ダイオウグソクムシ「」ピクピクッ
幼女「ちょ、ちょっと犬!一体何をして...」ガチャ
犬娘「あっ!ご主人様!待っててねもうすぐ出来るから!」パタパタ
幼女「もうすぐって何が!?というか何この匂い!」
犬娘「何ってくさやを焼いてるんだよ!ご主人様が持ってきたんでしょこれ?」
幼女「く、くさや?」
猫娘「それ昨日、鮫に貰った腐った魚の干物ニャ!もう食べられないニャ!」
犬娘「えっ?知らないの?くさやっていうのは臭い食べ物なんだよ?」
幼女「へ、へぇ...そうなんだ。名前は聞いたことあったけどまさか実在してたなんて...」
猫娘「絶対嘘ニャ!そんな臭いもの食べられるわけないニャ!」
犬娘「なら食べてみれば?ちょうど焼きあがったよ?」ヒョイッ
猫娘「無理ニャ!絶対お腹壊すニャ!」
幼女「に、匂いがちょっと...食欲が失せる...」
犬娘「それならこれでどうかな?」ピカッ
犬娘「はい防臭魔法!これなら匂いは多少軽減出来るよ!」
幼女「...魔法って便利だね」
犬娘「便利にするのが魔法だからね」
犬娘「じゃあいいよ。猫ちゃんは食べなくて」
犬娘「はいご主人様♪一緒に食べようか♪」ヒョイッ
幼女「あぁ...うん...」
幼女(正直言うと私も食べたくないんだけどなぁ...まあ食べれないってことはないと思うし仕方ないか...)
幼女「あむっ!」パクッ
猫娘「た、食べたニャ!」
犬娘「んな大袈裟な」
猫娘「幼女!不味いなら早く吐き出せニャ!手遅れになるニャ!」
幼女「あ、意外とイケるかも」モグモグ
猫娘「にゃぁっ!?」
犬娘「ほらね♪」
犬娘「私も狸様に罰ゲームで食べされられるまでは苦手だったけどね~」モグモグ
幼女(あぁ、あの人だとやりそうだな)モグモグ
猫娘「ぜ、絶対嘘ニャ!私はそんなもの食べないニャ!」
猫娘「グソたんも食べないよニャ!?」クルッ
ダイオウグソクムシ「♪」モグモグ
猫娘「ニャアッ!?」
犬娘「うーんおいし♪」モグモグ
幼女「...イケる」モグモグ
ダイオウグソクムシ「♪♪」モグモグ
猫娘「ニャ...ニャ...わ、私は絶対食べないからニャッ!!!!!」
..............................................
猫娘「ん~~~♪うんまいニャ~~~♪」
幼女「なんだこの茶番」
犬娘「さ、ご主人様。アホは放っておいて出かける準備しよっか」
幼女「え?もう行くの?」
犬娘「行くならなるべく早い方がいいからね♪あとくさや食べたから歯は念入りに磨いた方がいいよ!」
幼女「ハァー」クンクン
幼女「...おえっ」
猫娘「あ、もう行くのかニャ?」
猫娘「ならこのくさやは全部、私が食べてもいいということかニャ!やったにゃああああああああ!!」
ダイオウグソクムシ「」ツンツン
猫娘「ははは!心配しなくてもグソたんにも半分やるニャ!」
ダイオウグソクムシ「!」ガッツポーズ
猫娘「気をつけて行ってくるニャ~」
犬娘「ちょっと猫ちゃん」クイクイ
猫娘「何ニャ?」
犬娘「私達が家から出たらこの紙に書いてあることをやってほしいだけど」スッ
猫娘「紙?一体何が書いてあるニャ?というか私はこれから店長に無断欠勤のことについて報告に行かにゃいと...」
犬娘「あー大丈夫。店長にも話はつけてあるから」
猫娘「ニャ?それは一体どういう...」
犬娘「まあ全部この紙に書いてあるから!頼んだよ!あとゴミ出しよろしく~♪」ダッ
猫娘「一体どういうことニャ」ペラッ
猫娘「...あー、そういうことかニャ...あいつも粋なことするニャ」
猫娘「ってゴミ出しっ!?私一人であのゴミの山を運ぶのかニャ!?」
犬娘「ううん!何でもないよ!さっ!早く行こうか!」
犬娘「今日はご主人様がいっぱい楽しめるようなデートを考えたから楽しみにしててね!」
幼女「あまり期待はしない」
犬娘「そんな酷いよ~」
幼女「で、これからどこに行くの?」
犬娘「まずは映画だよ!」
幼女(うわぁ、ありがちだなぁ)
スタスタ スタスタ
犬娘「あ、ご主人様覚えてる?ここの公園」
幼女「公園?あー最初に散歩した時に来たとこか」
犬娘「何だかだいぶ昔に感じるねー。時間的にはそんなに経ってないはずなのに」
幼女「...確かにそうだね。ここ最近は色んなことがあり過ぎて時間感覚がおかしくなってる」
幼女「なに?」
犬娘「ご主人様は1ヶ月も猫ちゃんとどこに行ってたの?狐様達の探知魔法で探しても見つからなかったんだよ?」
幼女「...多分言っても信じないと思う」
犬娘「えーなにー?教えてよー」フリフリ
幼女「竜宮城に行ったら拉致されて戻ってきたら1ヶ月過ぎてた」
犬娘「...」
犬娘「あっははは!なにそれ面白い!で、本当はどこに行ってたの?」
幼女(まあそうなるわな)
犬娘「ねー教えてよー」フリフリ
幼女「だから言った通りだってば」
犬娘「そんなこと言わずにさー...ん?」ピクッ
犬「ヘッヘッヘ」スタスタ
犬娘「あれはあの時の...」
幼女「あ、ケルベロスに捕まった人だ」
犬「」ブルッ
犬「」キョロキョロ
犬「」ブリブリ
おっさん「...チッ」
犬娘「あっ、ぶちかましたね」
幼女「あの人どう見ても手ぶらなんだけど...まさかね」
犬「ヘッヘッヘ」スタスタ
おっさん「」スタスタ
犬娘「やっぱりまったく反省してねぇ!」
幼女「あんな目に遭ったのにある意味すごいね」
犬娘『もしもしケルベロス警察っ!?今、犬の糞を放置してる人が...』
犬娘『えっ?定休日?ちょっ...警察のくせに定休日ってなn』プツッ
犬娘「...」ツーツー
幼女「定休日なんてあるんだ」
犬娘「警察のくせに定休日って意味分からないよ!!そんなのがあるなら警察は要らないよ!!」
幼女「それちょっと意味違うんだけど」
犬娘「くっ!仕方ない。こうなったらオルトロス警察に通報するか」ポチポチ
幼女「オルトロス?」
犬娘『あっ、もしもし?今ケルベロスにかけたら定休日で...はい...はい...場所は...』
犬娘『じゃ!そういうことでよろしくお願いします!』プツッ
犬娘「よし!通報完了だよ!」
犬娘「オルトロスはケルベロスの兄弟だよ!ちなみにタコじゃなくて双頭の犬だよ!」
犬娘「あと勝利効果で手札を2枚ランダムに破壊するのがオルトロス」
幼女「ネタが分っかりにくいなおい」
バチバチバチッ!!!!!
オルトロス「ギャウッ!!!!」スタッ
おっさん「な、何だお前!?う、うわああああああああああああ!!!!!」
シュンッ
犬娘「これで少しは懲りればいいんだけどね」
幼女「...というかあれで懲りない方がおかしいと思うんだけど」
犬娘「到着!」
犬娘「うーんちょうど上映時間ピッタリ!さあご主人様、何見よっか?」
幼女「えっ?決めてないの?」
犬娘「見る映画はご主人様と決めた方がいいと思ってね!」
犬娘「えーっと...今やってる映画は...和ホラーとアクション映画...あとアニメ映画だね」
幼女「じゃあ和ホラーで」
犬娘「それまたどうして?」
幼女「一番つまんなさそうだから寝れる」スタスタ
犬娘「ひどーい」
犬娘「はいチケット買ってきたよ!ご主人様ポップコーンとジュースも買ってくるけど何飲む?」
幼女「じゃあコーラで」
犬娘「了解!」ダッ
幼女「何その山積みになったホットドック」
犬娘「あ、これは私が買ったやつだから気にしなくていいよ~...おっとっと」ユラユラ
幼女「そんなに食べるの?」
犬娘「うん...最近あんまり食べてなかったからすぐお腹空いちゃってね~...」ユラユラ
犬娘「ところでご主人様、どうしてホットドックがホットドックって言うか知ってる?」
幼女「ホットドックの由来?知らないけど」
犬娘「元はアメリカのどっかの肉屋が犬の肉をパンに挟んで売ってた商品から来てるんだよ~」
幼女「へー...そうなんだ」
犬娘「まあ嘘なんだけどね!」
幼女「」スタスタ
犬娘「うわーん!ご主人様待ってよー!」ユラユラ
............................................
犬娘「いやー!中々映画面白かったね!」
幼女「まあ寝ない程度には面白かった」
犬娘「終盤の工藤が鬼神兵化して鬼神兵に挑むシーンなんて最高だったね!Jホラーもまだまだ捨てたもんじゃないよ!」
幼女「...ホラー?まあそうだね」
犬娘「では映画の次はショッピングだよ!ご主人様!何か欲しいものがあれば私が買ってあげるよ!」
幼女「別に何もないけど」
犬娘「えぇ...」
犬娘「い、いやその歳なら何か欲しいものあるでしょ?ゲームとか本とか服とか...」
幼女「別に欲しいものがあったら自分で買うし、服もオシャレとかあんまり興味ないし」
犬娘(...よし!ここは私がご主人様にショッピングの楽しさというものを教えてあげよう!)
犬娘「じゃあご主人様!私がご主人様に合う服を買ってあげるよ!」
幼女「え、別にいいy」
犬娘「つべこべ言わない!決定事項だからね!」グイッ
幼女「えぇ...」ズルズル
犬娘「これとかどう?」スッ
幼女「派手」
犬娘「これは?」スッ
幼女「ダサい」
犬娘「ならこれはどうだ!」ドーン
幼女「キモい」
犬娘(...ファッションに興味ないくせに服にはうるさいんだね)
...........................................
犬娘「...結局服買わなかったね」
幼女「だって今ある服で十分だし」
犬娘「...よく見てみればご主人様の私服って元から結構オシャレだね」
幼女「そりゃどうも」
犬娘「あ、もうお昼だね。何か食べたいものある?」
幼女「食べたい物?うーん...」
幼女「...魚以外かな」
犬娘「よし!なら豪勢にステーキを食べに行こう!」
犬娘「これとこれと...あとこのハンバーグとポテトとサラダと...」
犬娘「デザートはこれとこれください!」
店員「...」
幼女(よく考えたらデートにステーキハウスってのも変な話だな)
幼女「よ、よく食べるね。サイヤ人みたい」
犬娘「うん!本当に自分でもそう思うよ!いくら食べてもすぐお腹空いちゃうんだよね!」
幼女「そんなに食べて太らないの?」
犬娘「まあ大丈夫じゃないかな?お腹が空くってことは消化してるってことだろうし」モグモグ
幼女(どこが大丈夫なんだろ)
幼女「で、ご飯食べたら次はどこに行くの?」
犬娘「ちょっとブラブラしてからカラオケに行って遊園地に行こうと思ってるよー」
幼女「遊園地?そんなの近くにあったっけ?」
犬娘「うん、あんまり知られてないけど穴場的なやつが」モグモグ
幼女「へー」
幼女「よ、よく食べたね。あれだけの量を...」
犬娘「腹八分目だけどね~。じゃあそろそろお店出よっか」
幼女「お、おう」
犬娘「食後と言えばやっぱりデザートだよね♪」
幼女「えっ...まだ食べるの?」
犬娘「おやつは別腹だからね!私いいドーナッツ屋さん知ってるから食べに行こっか!」
幼女「さすがに食べ過ぎじゃない?今日だけでくさやとホットドック山盛りとステーキその他色々食べてるんだけど...」
犬娘「なーに、運動すれば問題ないよ!ということでダッシュ!」ビュンッ
幼女「はえーよ」
犬娘「ここだよ!」
幼女「チェーン店じゃん...」
犬娘「でもここすごく美味しいんだよ!他のお店とは明らかに味が違うし!」
幼女「どこの店も味は変わらないと思うんだけどなぁ」
ウィーン
犬娘「どうも~、店員さん!今日いつものあるかな?」
店員「あっ、犬さん!もう体調は大丈夫なんですか?」
犬娘「ごめんね~心配かけちゃって。もう大丈夫!お店にも明日から出るから!」
店員「そうですか...それは良かったです」
犬娘「うわぁ!ありがとう!美味しそうだよ!」
店員「またお店にも行きますね」
犬娘「うん!待ってるね~!」
犬娘「さ!ご主人様!そこのベンチで食べようか!」
幼女「どうでもいいけどさっきの店員さんとずいぶん親しげだったけど誰?」
犬娘「あの人は動物好きのメイド喫茶の常連の人だよ~。ちなみに私達の正体を知ってるこっち側の人だね」
幼女「えっ...どう見ても普通の人だったけど...」
犬娘「この町は特にこっち側の人が多いからね~。駅前のかき氷屋は氷鬼さんがやってるし、あとあそこのでっかいビルなんて丸々魔界っていう噂もあるぐらいだし」
幼女「...この町自体が既に魔界だよ」
犬娘『消してええええええええええええ!!!!』
幼女「」シャンシャン
犬娘『無限大なああああああああああああああああ!!!!』
幼女「」シャンシャン
犬娘『大人になれない僕らのおおおおおおおお!!!!』
幼女「」シャンシャン
犬娘「ふー!やっぱり歌うのって楽しいね!ご主人様も一曲どう?」
幼女「え、私はいいよ。別に」
犬娘「そんなこと言わないで!」
幼女「...じゃあ一曲だけ」
幼女『汚れちまった~悲しみに~』
犬娘「渋っ」
犬娘「あー歌った歌った!これで食べた分のカロリーは消化したはずだね!」
幼女「ないない」
犬娘「ラストは遊園地だよ!ちょっとここから遠いから電車で行こうか」
幼女「もう夕方だけど時間大丈夫?夜には帰るって猫に言ってるけど」
犬娘「へーきへーき!パッと行ってすぐ帰れるから!」
幼女(パッと行ってすぐ帰れる遊園地ってなんだ)
ガタンゴトン ガタンゴトン
犬娘「着いたー!」
幼女「...ここが遊園地?」
犬娘「うん!遊園地だよ!」
幼女「...でもさ、ここ...」
幼女「観覧車だけしかないんだけど」
犬娘「え?遊園地って観覧車が本体じゃないの?」
幼女「絶対違うと思う」
犬娘「まーいいじゃん!さぁ!早く乗ろう乗ろう!」グッ
幼女「ちょっ!」
ガタンッ... ガタンッ...
幼女「な、何か近くで見るとこの観覧車、すごく揺れてない?」
幼女「それに窓がなくて無人なんだけど...係の人はどこ?」キョロキョロ
犬娘「係の人なんて居ないよ?だって魔界製の観覧車だもん」
幼女「はぁっ!?」
幼女「魔界の経営不振...?」
犬娘「まあそれでアトラクションを撤去することになったんだけど、なぜかこの観覧車だけは残すことにしたらしいんだよ」
幼女「どうしてこの観覧車だけは残ったの?」
犬娘「残りの話は乗ってからね♪」
幼女「えぇ...これ乗っても大丈夫なの?安全面が不安なんだけど...」
犬娘「多分...大丈夫なはず」
幼女「おい」
ガタンッ...ガタンッ...
幼女「うわっ...乗ってみると揺れがすごいな...観覧車というより絶叫系のアトラクションみたい」
犬娘「それでさっきの話の続きなんだけどさ、この観覧車にはある噂があるんだよね♪」ハァハァ
幼女(な、何で息荒くなってんだこいつ)
幼女「は?」
犬娘「今までも何百、何千人がこの観覧車に乗って全員がカップルになったらしくてね~♪」ハァハァ
犬娘「それで何か縁起がいいなーってことで、この観覧車だけ特別に残すことにしたんだよ♪」ハァハァ
幼女(乗るんじゃなかった...今すぐ降りたい)
ガタンッ... ガタンッ...
犬娘「ねぇ、ご主人様」ハァハァ
幼女「...」
犬娘「ご主人様ってば~♪」ハァハァ
幼女(降りるまでは黙っておこう。どうせろくなことじゃない)
犬娘「もうっ、返事してくれないなら勝手に言うからね」
犬娘「...私、ご主人様のこと大好きだよ?」
幼女「」
幼女(えぇ...)
犬娘「ご主人様は...私のことどう思ってる?」
幼女(あー...言っちゃった方がいいのかなこれ、でも言ったら100%傷付くよなー)
幼女(でも言わないと私の貞操もヤバそうだし...やっぱり正直に言った方がいいか)
幼女「ゴホンッ」
幼女「...これは私の推測だけどお前の私への想いは恋じゃないと思う」
犬娘「へ?」
幼女「お前の私への感情は犬が飼い主に尻尾を振る理由と同じ、つまり主従の感情だ」
幼女「断じて恋ではない」
犬娘「わ、私は本気でご主人様のこと大好きだよっ!」
幼女「じゃあ説明してやる。まず一つ」
幼女「お前と一緒に暮らした期間は1ヶ月だけだ。その間に同性と恋に落ちるなんて絶対あり得ない」
犬娘「は、はいっ!?」ビクッ
犬娘「こ、恋に時間も性別も関係ないよ!そもそも私は最初から一目惚れ...」
幼女「それはお前の本能が私を主人と認めただけ...そもそもお前は私に惚れてなかった」
幼女「あくまで主人としての私が好き、最初から勘違いしてたんだ」
幼女「恐らくお前はいつか絶対、私以外のご主人様が出来るはず」
犬娘「うそっ!?」ガーン
幼女「じゃあ次、お前私と出会う前はどっちの性別が好きだった?」
犬娘「どっちの性別?いやそんなこと言われても...私、恋愛なんてしたことなかったし」
幼女「そう、つまりお前は恋愛なんてしたことがない」
幼女「つまり!恋という感情そのものが分からないんだよ!」
犬娘「ハッ!?」ギクッ
幼女「ということで、恋愛未経験のお前は恋という感情が分からず私に間違って告白してしまったということでした」
幼女「もうこの話はこれで終わり、ちゃんちゃん」
犬娘「...」
犬娘「フハハハハハハハハッッッ!!!!ハハハハハハハハハッ!!!!」
幼女「」ビクッ
幼女(な、なんだ急に...)
犬娘「クククッ...ご主人様、さっきからどうして私の息遣いが荒いのか分かる?」ハァハァ
幼女「えっ」
犬娘「教えてあげるよ...実は獣人にも発情期ってのがあるんだよね」ハァハァ
犬娘「まあ今は薬でコントロールできるからそこまで大したものじゃないんだけど...」ハァハァ
幼女(い、嫌な予感が...)ブルッ
犬娘「さてここからが本題...今の季節は絶賛、犬の獣人の発情期中で~す♪」ハァハァ
犬娘「そして私は観覧車に乗る直前に発情期を誘発する薬を飲みました~♪」ハァハァ
幼女「!?」ビクッ
幼女「ちょっ!ちょっ!ちょっと待て!」ゾッ
幼女「さ、さっきも言った通りお前は私に恋なんてしてないんだぞ!?」
犬娘「フフフ...例え恋愛感情じゃなくても私がご主人様を好きっていう感情は本物だよ」ハァハァ
犬娘「むしろそんなことは小さな問題、私がご主人様を襲わない理由にはならないよね~♪」ジリジリ
幼女(やばい...性欲で頭がおかしくなってる。言ってることが支離滅裂だ...)
幼女(に、逃げないと...!今すぐここから逃げないと本当に取り返しのつかないことに!)キョロキョロ
犬娘「探しても逃げ道なんてないよ♪だってここから地上までは数十メートルも離れてるんだからね♪」ハァハァ
犬娘「さあご主人様...私と一つになろう」ジリジリ
幼女(に、逃げ場がない...!)ゴクリ
幼女「く、来るな!あっち行け!」ゲシゲシ
犬娘「ぶふふ...無駄無駄。どんなに抵抗したって逃れられないよ」ハァハァ
サワッ
幼女「ひっ...」ビクッ
犬娘「あぁ...ご主人様のお尻柔らかい♪」ハァハァ
幼女「い、いい加減にしろォ!!!!」ブンッ
ガシッ
犬娘「遅い遅い♪ただの人間の幼女のご主人様のパンチなんて目を瞑ってても避けれるよ♪」ペロッ
幼女「ひぃぃ...」ブルッ
犬娘「あはは...ご主人様のおてて美味しい...」ハァハァペロペロ
犬娘「もうご主人様暴れないでよ♪上手く服を脱がせられないでしょ♪」ハァハァ
幼女「うわあああああああ!!!!やめろォ!!!!」ジタバタ
グランッ...グランッ...
幼女(...!)
幼女(そ、そうだ!ここは観覧車!逃げ道はなくてもこの状況を打破できる手がある!)
幼女「くっ!」クルッ
犬娘「あんっ♪ご主人様どこに行くの~♪」ハァハァ
幼女(身体を捻って何とか反対側には逃げられた!あとは...)
ピラッ
幼女「ね、ねぇ...どうせヤるなら...こ、こっち側がいいな♪」ヒラヒラー
犬娘「おっほーーーーーーーー!!!!」ダッ
幼女(ついでに誘惑してこいつを理性を奪って、正常な思考ができないようにする)
犬娘「はぁはぁ!ご主人様!いっぱい気持ちよくしてあげるからね!」
幼女「...」
カチッ
犬娘「大丈夫!怖くないよ!私が一緒にいるんだから!」ハァハァ
幼女「...お前とはもう二度と観覧車に乗らない」
ドンッ
犬娘「...へ?」
犬娘「え、ちょっ、なんで落ち」
ヒュー
ギャアアアアアアアアアアアアアア
ドシンッ
幼女「この観覧車は無人だから内側にも鍵がある...あいつに気付かれないようにこっそり鍵を外して扉を開けるのは苦労したな...」
幼女「あとは全体重をかけてあいつに蹴りを食らわせる、いくらあいつでも不意打ちで食らったら少しは吹っ飛ぶはず」
幼女「半分賭けだったけど何とか成功して良かった...魔法とか使われたら観覧車から身を投げ出そうかと思ったよ」
幼女「...あいつ大丈夫かな。頭からおもいっきり落ちたけど」チラッ
幼女「ま、どうでもいいか」
幼女「しかしこの観覧車...もうちょっと安全面をどうにかした方がいいな」
犬娘「」イヌガミケ
幼女「よっと」スタッ
幼女「結構景色よくて2周もしちゃった。もう辺りも暗いし帰らないと」
幼女「あいつは放置でいいか」スタスタ
ブンブンブン!!!!ブンブンブーン!!!!
DQN1「おいおいお嬢ちャン!こんな夜に一人でお散歩かい!?」
DQN2「俺ラと一緒に遊ばねーか!?ウケケケケケケケ」
幼女「...」
幼女(な、なんだろう。最近こういう連中ばっかりに絡まれる気がする)
幼女「い、急いでるんで」ダッ
DQN1「チョマテヨ」ガシッ
DQN2「遊ぶだけって言ってるだろうがァ?僕ちゃん達子供が大好きなんだよねー。ウケケケケケケケ」
幼女(一難去ってまた一難、というやつか...)
DQN1「いいじゃン!いいじゃン!ぷっぷぷくー」
DQN2「ヘイ!ヘイヘイヘーイ!」
幼女(うっ...ちょっとまずいかも。ここら辺誰もいないから助けを呼べない)キョロキョロ
幼女(...犬を起こすしかないか)
幼女「きゃ、きゃー!助けてー!」
DQN1「無駄無駄無駄ァ!ここら辺は人通りが少ないから誰も来ないっつーの!」
DQN2「ラッシャイ!」
幼女「お、襲われるぅ!早く助けてぇ!」
犬娘「」
犬娘「」ピクッ
DQN2「kill me baby」
幼女「お、おーい!いつまで寝てるんだよー!さっきのことは水に流してやるから早く助けにこーい!」
DQN1「あぁ?さっきから一体誰に助けを...」
シュンッ
DQN1「」バタッ
DQN2 幼女「「 !? 」」ビクッ
犬娘「グルルルルルルルルル...」モヤモヤ
DQN2「な、なんだァ?てめェ......」
幼女(ほっ、やっと来たか)
犬娘「グルアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」モヤモヤ
DQN2「や、やろうってのか!これでも俺は英検2級だぞッ!」
犬娘「」シュンッ
バキッ!!!!
DQN2「あうぅ...」バタッ
犬娘「アオーーーーーーーーーーーンッッッ!!!!!」モヤモヤ
幼女「おぉ...さすがに強いな」
幼女「というかあの黒いモヤモヤって何だろ?何か家で猫を襲ってた時もあんなのが出てた気がするけど」
犬娘「」フシュー
犬娘「...はっ!?ここはどこ!?」キョロキョロ
犬娘「私は一体何をして...確か観覧車の中でご主人様が誘惑してきて、ダイブしたらいつの間にか空にスカイダイビングしてて...」
幼女「勝手に記憶を捏造するな」
ゴツンッ
犬娘「いたーい!」
幼女「」ウンウン
犬娘「それでご主人様に観覧車から落とされたって?」
幼女「」ウンウン
犬娘「えー?覚えてないなー。観覧車に乗る前に発情剤を飲んだのは覚えてるんだけど」
幼女「全部覚えてるじゃねえか!!!!」
ボコボコッ
犬娘「うぅ、バレたか...」ズキズキ
幼女「...もう発情しないの?」
犬娘「は、発情剤の効果は一回の行為分の時間しかないから...一定時間を過ぎると元に戻るよ...」ズキズキ
幼女「まったく...次、変なことしたらケルベロスに突き出すからな」
犬娘「え?でもさっき許すとか言ってなかったっけ?」
幼女「あれは嘘だ」
犬娘「ひどーい...」
幼女「えーっと今の時間は...7時か。晩ごはんはどうするの?」
犬娘「もちろん家で食べるよ!」
幼女「じゃあ色々買わないとね、冷蔵庫からっぽだし。スーパーまだやってるかなぁ」
犬娘「あーそれはいいよ、向こうでもう出来てると思うから」
幼女「...?それどういうこと?もう猫が作ってるの?」
犬娘「あ、しまった...」ボソッ
犬娘「ま、まあ行けば分かるよ!うん!」
幼女「?」キョトン
幼女「なに?」
犬娘「...離れて歩くのやめない?話しにくいよ」
幼女「は?やだよ」
犬娘「もう襲わないからぁ...」
幼女「お前と夜道を歩くだけでも嫌なんだからな。別々に帰らないだけありがたいと思え」
犬娘「ひ、酷い」
犬娘「私の発情期なんて軽い方なのに...兎ちゃんとかもっと酷いよ」
幼女(さらっととんでもないこと暴露した)
幼女「到着っと、お腹も空いたしさっさと晩ご飯食べよ」ガty
犬娘「ちょっと待った」ガシッ
幼女「近寄るな触れるな通報するぞ」
犬娘「ご主人様、ちょっと外で待っててもらえるかな?本当にちょっとだけ」
幼女「やd」
犬娘「じゃあ待っててね!準備が出来たら呼ぶから!」
バタンッ
幼女「...一体なんなんだ」
チッチッチッ
幼女「...」
チッチッチ
幼女「遅い...」イライラ
幼女「というかあいつは家の中で何やっとるんだ?確か準備だどうとか言ってたけど」
幼女「...」
幼女「ちょっとドアにくっついて聞き耳立ててみよう」コソッ
犬娘「ごっ主人様お待たせーっ!!!」ドーン
幼女「ぶふっ!?」ゴンッ
犬娘「あれどうしたのご主人様?顔押さえてるけど」
幼女「な、何でもない...」ウルウル
犬娘「ほらほら!早く入って入って!」
幼女(お、おもいっきり顔面ぶつけた...いたい...)
幼女「中で何やってたの?」スタスタ
犬娘「いいからいいから♪」
幼女「そういえば猫が出迎えて来ないけど、どこにいるの?」
犬娘「すぐ分かるって~♪」
幼女「もういい加減説明して...」
パーン
幼女「...へ?」
猫娘「みんな行くニャ!せーのっ」
熊兎狼狐狸獅子虎ダイオウグソクムシ「「「「「 幼女!おかえりなさい! 」」」」」
幼女「...は?」
犬娘「ふふふ...実は今日!サプライズパーティーを用意してたんだよ!」
幼女「サプライズパーティー...?」
犬娘「そう!ご主人様が帰ってきた記念のね!」
猫娘「おい、私もいるニャ」
犬娘「ここにいるみんなご主人様のことが心配で探し回ってくれたんだよ!」
幼女「そ、そうなんだ...みんなありがとう」
熊男「急にいなくなったと聞いた時は心配したが戻ってきてくれて何よりだ」
狐娘「うむ...本当なのじゃ。わらわの人探しの術でもどこにいるのか分からなかったんじゃぞ」
狸娘「まあ狐ちゃんの能力は脳筋やから最初から誰も期待してなかったけどな。ウチの術でも分からんかったのは変やけど」
狐娘「なっ...!?」
獅子男「妹者と幼女が消えたとの一報を受け、俺達もサバンナから帰ってきたが何の役にも立てなかった...不覚だ」
虎男「兄者、それを言うならここにいる全員が役立たずということになるぞ」
兎娘「ウサギの嗅覚でもどこにいるのか分からなかったよ!」ピョンピョン
猫娘(そりゃウサギの嗅覚じゃ分からないニャ)
狸娘「で、結局どこにいたん?猫ちゃんに聞いても「幼女に聞いてくれニャ」としか教えてくれんかったけど」
幼女(ちょっと、みんなにまだ教えてなかったの?)ボソボソ
猫娘(だって竜宮城に行ってたなんて絶対信じてもらえないニャ。それどころかマタタビの吸いすぎで頭がおかしくなったと思われるかもしれないニャ)
幼女(確かに普通は信じてもらえないけど...1ヶ月も行方不明になってた言い訳なんて思いつかないよ)
幼女「助けた鮫に連れられて竜宮城に行って帰ってきたら1ヶ月も過ぎてました~...みたいな?」
シーン
幼女(はい滑った、どうすればいいんだよもう)
猫娘(いっそのこと私がクジラや巨大アナゴと戦ったことも言ったらどうニャ?)ボソッ
幼女(余計嘘くさくなるわ)
犬娘「まあどこに行ってたかなんて今更どうでもいいんだけどね!そんなことより乾杯しようか乾杯!」
犬娘「ではご主人様の帰還を祝って...かーんぱーい!」
カンパーイ
犬娘「店長に頼んだら作ってくれたんだよ~」
幼女「あの人本当に何でも出来るな...あとでお礼言っておこう」
犬娘「このパーティーを企画した私にもお礼を言ってもいいんだよ?」フリフリ
幼女「はいはいどうもありがとう」
猫娘「お兄ちゃん達!どうも心配をかけてすまなかったニャ!」
獅子男「いや、無事で何よりだったぞ妹者」
虎男「あそこまで取り乱した兄者は初めて見たな。毎日妹者はどこだどこだと探していたぞ」
獅子男「お、おい弟者。余計なことを言うな」
猫娘「いやーすまなかったニャ...ところでお兄ちゃん達、その傷はどうしたんだニャ?かなりボロボロになってるニャ」
獅子男「...少し喧嘩を売る相手を間違っただけだ」ボロボロ
虎男「あ、あぁ...少しな」ボロボロ
幼女「」ビクッ
狸娘「もう心配したで~?急に煙みたいに消えたんやもん」
幼女「は、はい...どうもご迷惑をおかけして」
狸娘「まあ戻ってきて何よりやけどな♪ところで...」
狸娘「竜宮城の話、ほんまにあったんやろ?」
幼女「!?」ギクッ
狸娘「あはっ♪分かりやすい反応やな~」
幼女「ど、どうしてそう思うんですか?」
狸娘「まあ単純にウチの探知でも見つからないところは海の中ぐらいしかないと思ってな~。まさかそんなとこにおるとは思わんかったし」
狸娘「今度色々話聞かせてね♪竜宮城がどんなところかちょっと興味あるから♪」
幼女(この人の前だと隠し事は無理だな...全部見透かされてる気がする)
キャッキャッ キャッキャッ
狼男(考えてみれば拙者、幼女氏と猫氏とはあまり接点がなかったでござる)
狼男(というかどちらかと言うと襲ったりして恨まれてもおかしくない立場だったでござる)
狼男(ふっ...いいでござる。拙者は所詮一匹狼、一人ぼっちは慣れっ子でござる)
狼男(あ、今の拙者何かかっこいい)
幼女「あのー」
狼男「」ビクッ
狼男「な、なななななんでござるかっ!?」
狼男「そ、そそそそそそそんな!気にしなくていいでござるよ!」
狼男「せ、せせせせせ拙者がしたことなんて他のみんなと比べたら些細なことでござる!」
幼女「いえ、店長さんから狼さんが毎日雨の日も風の日も休みの日も探していてくれたことを聞いて...」
狼男「い、いやややややや!ただ拙者は他の人と比べて暇人だっただけでござる!」
幼女「これ...と言っても店長さんが作ってくれた料理なんですけど、どうですか?あまり食べていないようですけど」
幼女「もしかして体調が悪かったり...?」
狼男「ぜ、ぜぜぜぜぜ全然元気でござるよ!ありがたくいただくでござる!」
幼女「あっ、なら良かったです」ニコッ
狼男「」ズキューン
タッタッタ
狼男「...」
狼男「あれが天使か」
熊男「ふむ、少し塩を入れすぎたか」パクッ
熊男「やはり洋食や和食はあまり上手く出来ないな。あいつのように中華の方が良かったか」
幼女「あの店長さん」
熊男「む、幼女君か。狼男へ礼は言ってくれたか?」
幼女「一応言いましたけど...あれだけで良かったんですか?話を聞く限りだいぶ頑張ってくれたみたいですし、お詫びの菓子折りでもあげた方が...」
熊男「あの男にはあれが一番の褒美だ。気にすることはない」
幼女「そ、そうですか」
熊男「いや、むしろ戻ってきてくれて感謝したいのはこっちの方だ」
熊男「君がいない間の犬娘は酷く荒れていたからな。あのままだと身を滅ぼしてしただろう」
幼女「...そんなに酷かったんですか?私も少し見ましたけどまるで別人のようでしたけど...」
狐娘「確かにあれは酷かったのじゃ」モグモグ
幼女「あっ、いたんですか」
熊男「まず最初の一週間は泣きながら町中を探し回っていたな」
狐娘「うむ、ろくに睡眠と休憩もとらずにな」モグモグ
熊男「そして2週目には町を飛び出し日本中を探し回っていたと聞く」
狐娘「ろくに睡眠と休憩とらずにな」モグモグ
狐娘「ろくに睡眠と休憩もとらずにな」モグモグ
熊男「最後は急にフラっと帰ってきたと思えば引きこもりを始めた」
狐娘「ろくに睡眠と休憩もとらずに」モグモグ
幼女「へ、へぇ...」
熊男「恐らく身も心も削り疲れたのだろう。しまいには身体から変な黒い霧のような物が出ていたな」
幼女「あ、それ私も見ました」
狐娘「...それは本当か?」
幼女「えっ?はい、何か襲ったりしてる時にぶわーっと霧みたいのがモヤモヤ出てましたけど」
狐娘「...まさかあいつも狂犬病に」ボソッ
狐娘「...いや何でもないのじゃ」
狐娘「それより熊よ!料理の中に油揚げがないではないか!」
狐娘「狸が好きな天ぷらはあるのに!」ビシッ
狸娘「んー♪おいし♪」モグモグ
熊男「はい?あぁ、すみません。油揚げなんて食べるのは狐様ぐらいなので忘れていました」
狐娘「むきっー!あいつだけずるいのじゃあああああああ!」
幼女「なら私が作りましょうか?と言ってもインスタントの赤いきつねですけど」
狐娘「むっ!是非作ってほしいのじゃ!」
幼女「じゃあちょっと待ってくださいね」スタスタ
狐娘「どこかの熊と違ってな」チラッ
熊男「ははっ、これまた手厳しい」
狐娘「まったくお主も少しは鍛えるだけじゃなく幼女を見習うのじゃ。あそこまで出来た娘は中々おらんぞ」
熊男「確かに幼女はよく出来た子です。あれほど肝が据わって頭のいい子はいないでしょう」
熊男「...だがそれだけに、あの子がこっち側の世界にいることが少し不安に感じるところがある」
狐娘「...」
熊男「あの竜宮城の話も本当のことでしょう。俺、いや私も深海に魚人が住む都があるという話を聞いたことがあります」
熊男「これから先、あの子がこっち側のトラブルにまた巻き込まれるかも知れない」
熊男「今回が無事でもその次は怪我、最悪の場合は命に関わる可能性もある」
狐娘「今のわらわ達に出来るのは幼女を守ることぐらいじゃ。生憎、お主も含めて我ら達は力だけはあるからな」
狐娘「大人は子供の成長を見守る...それはどこの世界でも変わらないものじゃよ」
熊男「...」
熊男(狐様、その言葉は貴女の見た目と性格だと説得力がないです)
幼女「えーっと赤いきつねどこだっけ...あっ、あった」ガサゴソ
幼女「あとはお湯...あれ?ポットが付かない」カチカチ
幼女「壊れたのかな?仕方ない、コンロで沸かすか」カチッ
シュー
幼女「...火が点かないんだけど」
幼女「...あー、あの人達は魔法使えばいいのか」
幼女「点かないなら仕方ない。私も火貰ってこよ」スタスタ
猫娘「それでニャ!それでニャ!私は見事にそのクジラを倒したんだニャ!」
獅子男「そ、そうか...」
虎男「それは凄いな...」
獅子男(お、おい弟者...妹者の話は本当だと思うか?)ボソッ
虎男(いや...さすがに真実か嘘かと言えば嘘だろう兄者、話が出来過ぎている)
獅子男(もしかしたらマタタビの吸い過ぎで頭がおかしくなったのかもしれないな...病院に連れて行った方がいいのではないか?)
虎男(まあ待て兄者...まだギリギリ大丈夫だ...怪獣と戦ったと言い出したら危ないが)
ダイオウグソクムシ「」ペコリ
獅子男(な、なんと奇怪な生物だ...まるで巨大ダンゴムシだな...)
虎男(とてもこの世のものとは思えんな...サバンナにもあんな生物はいないぞ...)
猫娘「あとあと!もっとスゴいことがあったニャ!」
獅子男「ほ、ほう...」
虎男「どんなことがあったんだ?」
猫娘「なんと!巨大アナゴを見事に私が"一人"で倒したんだニャ!」
獅子男「...」
虎男「...」
猫娘「いやー!さすがの私もあれには骨が折れたニャ!まず二股モードになって猫じゃらしをいっぱい飛ばして...」
猫娘「あっ!獅子のお兄ちゃんにはまだ二股モードを見せてなかったニャ!まずこれが二股モード...」グッ
獅子男「もういい、もういいのだ妹者よ」ガシッ
猫娘「ニャ?」キョトン
虎男「妹者よ、今度俺達と病院へ行こう。頭の病院にな」
獅子男「風の噂で脱法マタタビというものが流行ったと聞く...その影響かもしれん」
猫娘「ニャ?ニャ?」オロオロ
猫娘「ちょ、ちょっと待ってくれニャー!」
犬娘「もういくらでも食べれるね!今日は特にお腹が空いてるよ!」
幼女「...よく食べるね」
犬娘「あっ!ご主人様!もうみんなにお礼は言ってきたの?」
幼女「うん」モグモグ
犬娘「それはそれは、でも何か一人忘れてない?」
幼女「え?忘れてないけど」モグモグ
犬娘「ならいいや♪」
兎娘「おい」
................................................
チッチッチ チッチッチ
熊男「もうこんな時間か...ではそろそろお開きにするとするか」
狐娘「えぇっ!?まだ酒も飲んでないのじゃ!」
狸娘「そうや!夜はまだまだこれからやで!」
熊男「御二方、さすがに年端もいかない子供の前での酒は遠慮するべきです」
熊男「それに今から飲んでは確実に徹夜コースではないですか」
狐娘「ぐ、ぐぬぬ...仕方ない。今回は引いてやるのじゃ」
狸娘「ちぇっ...しゃーないか」
熊男「代わりと言ってはなんですがこれから二次会ということで"私達"が付き合いましょう。いい店を知ってます」
獅子男「」ビクッ
虎男「」ビクッ
虎男「お、俺は目眩と頭痛が...」フラフラ
熊男「アホ共が、お前らにも付き合ってもらう」ガシッ
熊男「狼男、明日は少し遅れそうだ。先に店を開けといてくれるか?」
狼男「了解でござる!」ビシッ
熊男「よし、お前らこれも修行と思え」グイッ
獅子男「は、離してください師匠!俺は酒アレルギーでアルコールを飲むと全身の毛穴から胃液が出るんだ!」ズルズル
虎男「兄者!言ってる意味が分からんぞ!」ズルズル
狐娘「むひょっー!酒じゃ!酒じゃ!」
狸娘「今日はオールで行くで~!」
幼女「い、いえいえ!こんなパーティーを用意してくれて本当にありがとうございました!」
熊男「ではまた。そこで寝てる犬娘と猫娘のことをしっかり可愛がってやってくれ」
狐娘「また遊びに来るのじゃ!」
狸娘「じゃあまたね♪」
狼男「またでござる!」
獅子男「妹者をよろしく頼む...」ズルズル
虎男「右に同じだ...」ズルズル
『』シュンッ
バタン
幼女「...ふっー!疲れたぁ!」グタッ
幼女「さてお風呂入って歯磨いて寝るとするかな。学校は明日も休もう、明日はもうずっと寝てたいよ」スタスタ
犬娘「Zzz...」スヤァ
猫娘「Zzz...」スヤスヤ
幼女「まったく犬は食い過ぎで猫は...この匂いはまたこっそりマタタビ酒飲んだな」クンクン
幼女「よく気付かれずに飲めたな、ある意味すごい」
幼女「仲良く二人で寝てるみたいだしこのままそっとしといてあげるか」スタスタ
幼女「...」ピタッ
幼女「...どうせだし私もここで寝よっかな」ボソッ
犬娘「Zzz...」スヤァ
猫娘「Zzz...」スヤスヤ
猫娘「...ニャ?」パチッ
猫娘「あれ?今何時ニャ?電気が消えてるニャ」
幼女「Zzz...」スヤァ
犬娘「Zzz...」スヤスヤ
猫娘「あー...そういえば私と幼女のパーティーがあって...途中で寝てしまったのかニャ」
猫娘「...何かちょっと小腹が空いたニャ。早いけど朝ごはんを食べるニャ」ムクッ
ガサゴソ ガサゴソ
猫娘「んー...昨日買い出しに出かけたから色々あるけど何にするかニャ」ウトウト
猫娘「やっぱりカップ麺でいいかニャ、簡単に出来るし」ガサッ
猫娘「ポットポット...ってあれ?」カチカチ
猫娘「付かないニャ...まさか壊れてるのかニャ?」
猫娘「なら鍋で沸かすかニャ」カチッ
シュー
猫娘「...火が出ないニャ」
シュー
猫娘「反応なしニャ、どうやら完全に逝ってるみたいニャ」
猫娘「んー...ポッドが壊れて火が出ないとなると...」
ポンッ ポンッ ポンッ ポンッ
チーン
猫娘「はっ!そうかニャ!」ピコーン
猫娘「もう火が使えないということニャ。カップ麺は諦めて寝るとするかニャ」ウトウト
ダイオウグソクムシ「...!」ガスガス
シュー
シュー
シュー
...................................................
....................................................................
犬娘「」パチッ
犬娘「んー!よく寝たー!...ってあれ?」クンクン
ムワーン
犬娘「何か変な臭いがする...何だろうこれ?」
犬娘「どこかで嗅いだことあるんだけどなー...うーん...」
犬娘「ま、いっか♪」
ダイオウグソクムシ「...!」ガスガス
犬娘「おぉ、グソくん今日は元気だね。朝ご飯までちょっと待っててね~」
幼女「Zzz...」
犬娘「はっ!ご主人様がなぜか私の隣で寝てる!」
犬娘「これはもしかしてチャンス?」
犬娘「いや、やめておこう。今度手を出したら本気で捨てられちゃう気がする...」
犬娘「久しぶりだしちょっと刺激的な起こし方がいいよね!何かこう...ドドーンってなるような!」
犬娘「はっ!そうだ!」
幼女「Zzz...」
犬娘「ぐふふ!ご主人様もこの起こし方はビックリするだろうな!」
犬娘「名付けて早朝ダイナマイト!軽い爆破魔法でビックリさせちゃうよ!」
ダイオウグソクムシ「...!...!」ダメダメ
犬娘「じゃあ行くよー!せーのっ!」ピカッ
ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!!
犬娘「...へ?」
犬娘「あ、あれ?なんで?空が見える...」
ダイオウグソクムシ「」プシュー
犬娘「え?ちょっと待って、家はどこに行っちゃったの?」キョロキョロ
犬娘「お、おかしいな...急に家が消えた...」キョロキョロ
幼女「」ムクッ
犬娘「あっ...ご主人様」
幼女「なにこれ」
犬娘「な、何って言われても...急に家が消えて...」キョロキョロ
幼女「何かすごい爆発音がしたんだけど」
犬娘「い、いや私に言われても...私は軽い爆破魔法でご主人様を起こそうと...」
幼女「」キョロキョロ
幼女「...は?ちょ、え?何これ?」
幼女「家爆発したんじゃないのこれ?」
犬娘「いやいやまさか~...家が爆発するわけないよ」
幼女「だって家ないじゃん、よく見たら私もお前も何か焦げてるじゃん」
犬娘「た、確かにご主人様の頭がアフロみたいになってるけど...爆発はないよさすがに。ただの寝癖だよ」
猫娘「お、おい!一体何がどうなってるニャ!」バッ
猫娘「何か凄い爆発音して目が覚めたら家がなくってたニャ!これどういうことニャ!」
幼女「ははっ...爆発?いやそんなまさか...」
幼女「あうっ」バタッ
犬娘「ご、ご主人様っ!?ご主人様ああああああああああああああ!!!!!!!」
..................................................
幼女「んっ...んん?」パチッ
幼女「...」
幼女「知らない天井だ」
幼女「ど、どこだここ...」ムクッ
幼女「た、確か私は...昨日はサプライズパーティーがあって...終わった後はすぐ寝て...その後どうしたんだっけ?」
幼女「マジでどこだここ?何か病室っぽいけど」キョロキョロ
ガラッ
犬娘「あっ!ご主人様ぁ!」ダッ
ダキッ
犬娘「良かったー!目が覚めたんだね!」ギュッ
幼女「い、犬?一体何がどうなって...」
幼女「私が倒れた?」
幼女(あぁ...そういうことか。きっと最近は色々なことがあって体に無理をし過ぎたんだな)
幼女(まさか倒れるほど疲れてたなんて...ちょっと休んだ方がいいかな)
幼女「どのくらい私は寝てたの?」
犬娘「丸二日近くだねぇ...さすがにちょっと心配しちゃったよ」
犬娘「でも大した怪我がないのはまさに奇跡だね!やっぱりご主人様は運がいいよ!」
幼女「二日も...だいぶ疲れが溜まってたのかな」
幼女「...え?怪我?なんで倒れただけなのに怪我g」
犬娘「そうそう!今テレビが凄いことになってるんだよ!」ピッ
幼女家だったもの『』
幼女「」ポカーン
犬娘「まさかこんなところでテレビに出れるとはねー!嬉しいけどちょっと恥ずかしいや///」
幼女「な、なにこれ...なんで私の家が木っ端微塵に...」プルプル
犬娘「何かね~猫ちゃんがガスの元栓を閉め忘れてたみたいさ~」
犬娘「で、ガスが家に充満してるところに私の爆破魔法が原因で家ごと吹っ飛んじゃったみたい」
幼女「なっなっなっ...」パクパク
犬娘「まあみんな大した怪我がなかったのは不幸中の幸いだったけどね!まるでギャグ漫画みたいだよ!」
幼女「」ポカーン
幼女「...」
犬娘「メロンとその他の果物はご主人様が寝てたから先に全部食べちゃったけどね、でもバナナは余ってるから食べる?」ムシャムシャ
幼女「...貰う」ヒョイッ
幼女「」ペラッペラッ
幼女「」モグモグ
幼女「...」
幼女「ざけんじゃねえぞテメエラァ!!!!!!!」ドンガラガッシャーン
犬娘「」ビクッ
幼女「なんで家なくなったのにそんなに呑気してんだよッ!!!!殺すぞッ!!!!」
幼女「せめてもうちょっと申し訳なさそうにしろよッ!!!!なんだその態度!?」
幼女「あとまた私のメロン食いやがってェ!ざけんなボケ!!!!」ブンッ
犬娘「ぐへぇ!?」ボコォ
幼女「建て直して済むなら警察はいらねぇよ殺すぞッ!!!!!」ボコッ
犬娘「ぐはっ!」ボコォ
幼女「そもそも家建て直すまでの期間はどうすればいいんだよッ!野宿でもするつもりか!!!!」
犬娘「ア、アパートでも借りれば...」ビクビクッ
幼女「幼女に部屋貸すマヌケなんてどこにも居ねぇよ!!!!お前みたいな怪しいやつに貸すやつもな!!!!」ボコッ
犬娘「い、痛い!痛い!」ボコボコ
幼女「はぁ...はぁ...クソ、どうすればいいんだよもう...」ガクッ
幼女「家がなくなったなんて...親になんて説明すれば...」
犬娘「え?ご主人様両親いたの?」
犬娘「何か触れちゃいけない設定かと思ってたけど聞かなかったいたんだね...バーローみたいだけど」
幼女「あぁ...もうこれからどうすれば...」
犬娘「だ、大丈夫だよ!いざとなったら店長が住む場所探してくれるって!」
幼女「人頼ってんじゃねえぞボケェ!!!!散々迷惑かけてまた迷惑かけられるかぁ!!!!」ボコッ
犬娘「うぇっぷ!?」ボコォ
犬娘「ボ、ボディーは反則だよ...いいところに入った...」
幼女「...猫はどこだ?」
犬娘「ね、猫ちゃんなら薬の匂いは苦手とか言って屋上に行ったけど...」
幼女「他人事みたいにしやがって、一発ぶん殴ってきてやる」スタスタ
犬娘(絶対一発じゃ済まない)
..............................................
ガラッ
幼女「...」イライラ
猫娘「...」ボコボコ
ダイオウグソクムシ「」オロオロ
犬娘(やっぱり一発じゃすまなかった)
猫娘「よ、幼女ごめんニャ...もう二度とガス閉め忘れないニャ...」ビクビク
幼女「私だけじゃくて家にも謝れェ!!!!!」ボコッ
猫娘「んな無茶ニャ!?」ボコォ
ダイオウグソクムシ「」ビクッ
幼女「クソが...ファック...サノバビッチ...」イライラ
猫娘(お、おいどうするニャ...幼女、予想の10倍くらい怒ってるニャ)ボソボソ
犬娘(ど、どうするって言われても...どんだけ謝っても許される気配がないよ)ボソボソ
犬娘(は?それはちょっと違うでしょ。原因は猫ちゃんじゃん)
猫娘(私はあくまでガスを充満させただけニャ!家を爆発させたのはお前ニャ!)
犬娘(私だって軽い爆破魔法を使っただけだよ!まさか家が爆発するなんて思わなかったし!)
猫娘(そもそも人を起こすのに爆破魔法を使うなんて非常識ニャ!普通に起こせニャ!)
犬娘(今それとこれは別問題でしょ!寝ぼけてガスを閉め忘れた猫ちゃんが悪いよ!)
猫娘「ニャんだと!?」
犬娘「やるかてめぇ!」
幼女「黙れ馬鹿共」
ボコボコッ バキバキッ
猫娘「」ボロボロ
犬娘「い、いたい...」ボロボロ
幼女「喧嘩してる暇があったら家でも見つけてこい。見つけてくるまで帰ってくるな」
犬娘「...と、言われても」
猫娘「家なんてそう簡単に見つかるわけないニャ...捨て猫じゃあるまいし」
犬娘「そもそも私達、家がなくなったからご主人様の家に住み着いたんだよね...これだと元に逆戻りだよ」
猫娘「はぁ...よく考えたら幼女にはものすごく迷惑をかえたニャ...これで幼女も捨て幼女になってしまったニャ」
犬娘「何かエロい」
猫娘「ということで家探しニャ。頑張って住むところを見つけるニャ」
犬娘「もうこの際、魔法でパパッと家を作るってのはどう?」
猫娘「ダメニャ、あの爆発事故は目立ちすぎたニャ。また急にあそこに家が建ったら怪しまれるニャ」
猫娘「というか私達の魔法でずっと住めるような完成度が高い家なんて作れるわけないニャ」
犬娘「はぁ...駄目か。やっぱり家は大工さんに任せるしかないね」
犬娘「えっ?急に何?」
猫娘「アパートだってマンションだって借りるには金が必要ニャ、ちなみに私の財布は爆発で消えたから全財産0ニャ」
犬娘「...私だって0だよ。あの爆発で財布もへそくりも全部消えちゃったよ」
猫娘「ぎ、銀行に金は預けてないのかニャ?ちなみに私は預けてなかったニャ」
犬娘「何かめんどくさっかったから預けてないね。家に直接置いてたよ」
猫娘「...」
犬娘「...」
猫娘「...今の状況ちょっとやばくないかニャ?」
犬娘「う、うん...」
猫娘「な、なんで銀行に預けてないニャ!?普通貯金するニャ!」
犬娘「だってめんどくさかったんだもん!猫ちゃんだって貯金0じゃん!」
犬娘「意味分かんないし!結局猫ちゃんもめんどくさかっただけじゃん!」
猫娘「このアホ犬!!!!」
犬娘「んだと馬鹿猫!!!!」
猫娘「はっ!そ、そうニャ!幼女ニャ!幼女の性格ならきっといっぱい貯金してるはずニャ!」
犬娘「...ご主人様に貯金貸してくださいってねだりに行くの?」
猫娘「...」
犬娘「んなことしたら今度こそ三味線とホットドックにされちゃうよ...」
猫娘「ぐぬぬ...どうしたら...」
テレレン♪テレレン♪
犬娘「あ、ごめん電話」ガサゴソ
猫娘「なんで爆発があったのに携帯は無事なんだニャ」
犬娘『はいはい...あーすみません』
犬娘『ごめんなさい...それやっぱりキャンセル...あっ!』
犬娘『いえ!なんでもありません!分かりました!すぐ行きます!』ピッ
猫娘「誰からの電話ニャ?」
犬娘「ぐふふ...見つけたよ猫ちゃん!」
猫娘「見つけたって何をニャ?」
犬娘「もちろん家!これから私達が住むところだよ!」
幼女「...バナナ食べるか」
幼女「あの馬鹿共め...バナナ以外全部食いやがって、普通メロン残すだろ」ムシャムシャ
ガラッ
犬娘「ごっ主人様ーーーー!!!!」
幼女「あぁん?」ギロッ
犬娘「見つけたよ!ご主人様と私達の家!」
幼女「...え?」
犬娘「ここだよここ!」
幼女「ここって...」
猫娘「ただの神社ニャ」
幼女「まさかこの神社に住むとか言い出す気じゃ...」
犬娘「違う違う!ここじゃなくてその横だよ!」
幼女「横?」チラッ
猫娘「ニャ?」チラッ
犬小屋『』ポツーン
幼女「...は?」
猫娘「...ニャ?」
猫娘「そ、そうにしか見えないニャ...」
幼女「まさかあそこで住むとか言い出す気...?」
猫娘「とうとう気でも狂ったかニャ」
ダイオウグソクムシ「」エェ
犬娘「まあまあ入ってみれば分かるから!」グイッ
幼女「は、入るってどうやって...」
犬娘「えいっ」ドンッ
幼女「ちょっ!?押すなっ...」
ギューン
幼女「...」
幼女「...あれ?」
幼女「な、何ここ?どこかの部屋?」キョロキョロ
犬娘「どうご主人様?気に入った?」
幼女「な、何なのこれ?犬小屋の前に居たのに急にどこかの部屋に...」キョロキョロ
犬娘「ここはあの犬小屋の中だよ?」
幼女「...はい?」
犬娘「簡単に言うとね!あの犬小屋の中は別の空間になっていてそれがこの空間ってわけ!」
犬娘「異次元っていうやつだね!」
猫娘「なるほど、魔法で作った空間というやつかニャ」
幼女「異次元って大丈夫なの?」
犬娘「大丈夫大丈夫!次元が崩壊することなんて滅多にないもん!」
犬娘「お金も既に私が支払ってるからただみたいなもんだよ!」
幼女「一応ここがどういうところか分かったけど...こんなところどうやって用意したの?とてもすぐに用意出来る代物とは思えないけど」
犬娘「実はここ、私が元々住む予定だったところなんだよね~」
犬娘「だから本当は元々ここに一人で住む予定で買ったんだけど次元が出来るまでに時間があってね~」
犬娘「その間、誰か飼ってくれる人を探してて見つけたのがご主人様ってわけ!」
犬娘「だからここのことは今の今まですっかり忘れてたって話なんだ♪」
幼女「あっそ...」
猫娘「普通忘れるかニャ」
ダイオウグソクムシ「」ウロチョロ
犬娘「でもいい部屋でしょ?三人と一匹で住むにはちょっと狭いかもしれないけどキッチンお風呂トイレ全部あるし!」
幼女「まあ悪くはないけど」
猫娘「ニャ、結構爪研ぎがいがある壁ニャ」ガリガリ
ダイオウグソクムシ「...!」ウンウン
犬娘「じゃあこの部屋で決定だね!新生活のスタートだよ!」
ピピッ ピピッ
幼女「...」パチッ
幼女「朝か...」ムクッ
犬娘「Zzz...」
猫娘「Zzz...」
ダイオウグソクムシ「Zzz...」
幼女「...さすがに三人で寝ると窮屈だな」
幼女(この部屋に住み始めて一ヶ月が経った。一ヶ月もあれば何だかんだで色々馴れるということで...)
ダイオウグソクムシ「」スリスリ
幼女「お前も起きたか、はい餌」ガラガラ
ダイオウグソクムシ「♪」ムシャムシャ
幼女(このダンゴムシにも餌をあげれるようになるなんて...人間の適応能力は恐ろしい)
幼女(というかあの猫がサボってるだけなんだけどね、やっぱり世話見てるの私じゃん)イラッ
猫娘「ニャ、まだ眠いニャ...」ウトウト
幼女「起きるの遅い、もう朝ごはん出来てるよ」ゴトッ
幼女(この二人は相変わらず色々だらしない、まったくもう少し年上らしい振る舞いをしてほしいよ)
幼女「じゃ、私はもう学校に行くから」ガタッ
犬娘「ちょっと猫ちゃん!私の魚取らないでよ!」
猫娘「にゃあん?お前残してたじゃないかニャ」モグモグ
犬娘「骨取るのがめんどくさかっただけだし!後で食べようと思ってたのに!」
猫娘「はんっ!骨を取るのがめんどうなら魚なんて食べるなニャ。魚の神に失礼ニャ」
グイッ
猫娘「ニャッ...!?な、何するニャ!尻尾を引っ張るなニャ!」
犬娘「先にやったのは猫ちゃんでしょ!」ググッ
幼女(いや、この場合はキャットドッグファイト?)
猫娘「オラァ!猫パンチ!」ギュイン
犬娘「食らうかワンコキック!」ギュギューン
幼女「アホらし、さっさと家出よ」
幼女「二人とも今日もバイトあるんでしょ?遅刻したら駄目だよ」ガチャ
犬娘「あっ!ご主人様ちょっと待って」
幼女「なに?」
犬娘「いってらっしゃい!」ググッ
猫娘「ニャ...!いってらっしゃいニャ!」グググッ
幼女「...いってきます」
幼女(...案外、いってらっしゃいと言って貰える生活も悪くなかったりする)
..........................................
教師「えー...ここの式がこうなって」
幼女(相変わらず学校は退屈、だって小学校の問題なんか簡単だし)
幼女(私は俗に言う天才というやつなのだと思う、だって他の子とは違うとよく言われるし)
幼女(まあ二十過ぎればただの人パターンなのかもしれないけど)
幼女(...どこかしら自分でもこんな生活に刺激を求めていたのかもしれない)
キーンコーンカーンコーン
海幼女「幼女ちゃん!休み時間だし外に行こうよ!」
幼女「あぁ、うん」
幼女(同級生と遊ぶのはそんなに悪く感じなかったり...こういうところはまだ子供なんだろうな)
幼女(それにしてもこの前、転校してきた海幼女ちゃん...他の子と違う感じがするのは気のせいなのかな?)
サヨウナラー
幼女(今日もいつも通りに学校が終わった...とてもいいことなんだけど何か物足りなかったり)
幼女(いやいや!そんなことはない!もう無人島や竜宮城みたいなことはこりごりだよ!)
スタスタ スタスタ
幼女(...と思っててもやっぱり何か物足りなかったり)
幼女(あんな死ぬほどの出来事でもやっぱりどこか楽しかったんだなと思う、遊園地を楽しむ子供のような感覚が)
幼女(...そういえばあいつらを見つけたのもこの近くだったな)キョロキョロ
幼女(また鳴き声が聞こえてきたり...するわけないか)
ピョーン...ピョーン...
幼女「」
幼女「というかピョーンピョーンって何の鳴き声だ...?そんな動物いたっけ?」
ピョーン...ピョーン...
幼女「...探してみるか」スタスタ
幼女「この辺から聞こえてきたような、どこだろ?」
幼女「鳴き声も止まったしどこにいるか分からないな...諦めるか」
ピョーンピョーン
幼女「ん?近いぞ」クルッ
幼女(...時々思う)
幼女(ペットというものは人に飼われてるものだけど本当にそうなのかなって)
幼女(だって同じ家に住んで、一緒にご飯を食べたり一緒に寝たりしてるんだもん。それはもう家族と何にも変わらない)
幼女(一緒にいて楽しいのも家族と同じ、死んで悲しいのも家族と同じ)
幼女(でもこれは人間のエゴ...当の飼われてる本人達はもしかしたら飼われるのを嫌がってるのかもしれない)
幼女(難しい問題だと思う。本当に...でも)
幼女(私は...違う種族と一緒に生きていくのも悪くないと思う)
ピョーンピョーン
幼女(あっ!もうすぐそこだ!)
幼女「」ズサー
幼女(お、お前かいいいいいいいいいいいい!)
兎娘「あっ!幼女だ!」パァ
幼女「こ、こんなところで何してるの...」
兎娘「いやーそれがさー!弟と喧嘩したら家追い出されちゃってさー!」
兎娘「ご丁寧に結界まで張られて家に入れなくなっちゃったんだよ」ハハハ
幼女「あ、あっそう...」
兎娘「そこでお願いなんだけどさ!少しの間...飼ってくれない?」
幼女「え、やだよ」キッパリ
兎娘「」
幼女「だってもう家に犬と猫がいるし3匹目はちょっと...」
幼女「それにウサギって犬や猫と比べて飼い方分かんないし臭そうだし、間違って踏んじゃいそうだし臭そうだし」
幼女「可愛がるのはいいけど飼うってなると...ねぇ」
兎娘「ふ..ふ...ふ」
兎娘「ふざけんじゃねぞォ!!!ゴラアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!」
幼女「」ビクッ
兎娘「それがエゴだって分かんないのかこの人間が!!!!お前らが犬や猫ばっかり可愛がるからウサギが差別されるんだよ!!!!」
兎娘「私の今回の出番どれだけあったか知ってる!?一人で誕生会やって、犬に淫乱だってバラされて、パーティーで一人だけ放置されて終わり!」
兎娘「これだけだよっ!?猫はメインになったのに私だけこれだけ!おかしいでしょ!!!!」
幼女「ひ、ひぇぇ...」
兎娘「何かずっと勝負に負けてたし無人島では一人だけ不幸な目にあったし!ウサギって幸運キャラじゃないのっ!?なんで私だけ不幸なんだよ!!!!」
幼女「そ、そんなこと言われても...」
兎娘「私これから魔界の上級魔族に襲われて一人だけ呪いで寝込むんだよっ!?酷くない!?」
幼女「え、それどういう意m」
兎娘「どうでもいいんだよ!!!!それだけウサギが不当な扱いだってことだよ!!!!」
兎娘「うぅっ...なんだよ...なんでこんなにウサギだけ不幸なんだよ...誰か教えてよ...」シクシク
幼女「ぶっちゃけ犬と何か被ってるからじゃ...」
兎娘「それを言うなああああああああああァッッッッッッ!!!!!!!!!!!」
兎娘「猫みたいに語尾にピョンでも付けるか?それってただの馬鹿みたいじゃん!!!!何か気持ち悪いよ!!!!」
幼女「う、うん...そうだね」
兎娘「で!こんな恵まれてない私を見たら少しは飼ってくれる気になったよね!?いやもちろん飼うよね!?」
幼女「えっ...」
兎娘「まさか飼わないなんて言わないよね?この流れで?まさかまさかー」
兎娘「もし飼わないって言ったらウサギでも本気でころ...狩る気になっちゃうよ?」
幼女「」ビクッ
幼女「あー...そうだね。うん...うん...本当に...」
幼女「さ、さよならっ!!!!」ダッ
兎娘「あんっ!?待てゴラァッ!!!!!!」ダッ
幼女(ペットなんて飼うもんじゃない!トラブルばっかり運んできてろくなもんじゃない!)
幼女(や、やっぱり一人が一番だ!!!!)
兎娘「ウサギの足から逃げれるなんて思うなよォ!!!!すぐに追いついて...」ダッ
ガツッ
兎娘「あっ」ズサー
兎娘「な、なんでこんなところに石が...ク、クソがあああああああああああ!!!!!!」ジタバタ
兎娘「待ってろよ犬と猫!いつかお前らより強くなってやるからなああああああああああああ!!!!!!」
幼女「はぁっ...はぁ...」ダダッ
幼女「も、もう獣人なんていやあああああああああああああ!!!!」
おわり
元スレ
猫娘「にゃーん...」幼女「捨て猫...?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424882396/
猫娘「にゃーん...」幼女「捨て猫...?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424882396/
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コメント一覧 (14)
-
- 2015年11月19日 09:01
- 猫耳下半身露出俺「にゃーん...」幼女「捨て猫...?」
-
- 2015年11月19日 09:30
- 2/23
( ; ゜Д゜)
-
- 2015年11月19日 09:51
- 読んでないけど前半と合わせて41ページとか何の冗談だよ
-
- 2015年11月19日 13:32
- ものっそい長かった……(;´・ω・`)
面白かったけど(;´・ω・`)
-
- 2015年11月19日 16:25
- 猫娘が自分を曲げない人でイメージされて仕方無い…………失みフ辞
-
- 2015年11月19日 18:40
- ウサギの扱いは某戦乙女三姉妹長女のごときアレ
-
- 2015年11月19日 19:03
- ※7 ブレイブリーデフォルトときいて
とりあえずみくにゃんは魚が好きというのはわかった、あとぴくぴく仙太郎って漫画読もうぜ!←
-
- 2015年11月19日 19:33
- ウサギの臭さは糞尿由来だぜ、環境が清潔ならば本体は全くと言っていいレベルで無臭なんだぜ…
-
- 2015年11月19日 21:35
- うむ。
よかったでござる。
まぁお陰で俺の時間が一気に食われたがw
-
- 2015年11月21日 11:57
- このシリーズ好き
-
- 2015年11月21日 18:16
- なかなか面白かった
こういうのいいよな
-
- 2015年11月23日 19:50
- とりあえず真のメインヒロインはグソたんってのがわかった
-
- 2017年02月25日 20:40
- 長えww
comicoとかで連載すれば
いいと思うなww
(゚Д゚)