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乱馬「かぶき町?」【後半】

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乱馬「かぶき町?」【後半】






349: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 20:54:25.40 ID:hK49HR9c0

再開します!

今日のOP代わりに





350: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 20:55:35.75 ID:hK49HR9c0

銀時「で、うちで待ってろって言った連中はなんでこんなとこでお祭り騒ぎしやがってんですかコノヤロー。碌にお留守番もできないんですか、少しは自宅警備員の皆さん見習ったらどうですか馬鹿野郎共が」

新八「そこを見習うのはどうかと思うんですけど……」

神楽「まったく最近の十代は落ち着きがないネ、すぐ夜の街で非行に走るアル。やっぱり夜回りして正解だったな」

新八「そういう狙いで僕達歩き回ってたわけじゃないからね?神楽ちゃんの記憶も十分落着きないからね」

場の空気もなんのその、いつも通りのノリで万事屋トークを始める三人。



351: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 20:58:25.66 ID:hK49HR9c0

あかね「……乱馬」

そんな中、あかねが一歩前に出て乱馬を切なそうな目で見つめた。

乱馬「よ、よぉあかね。ひ、久しぶりだな……」

無様なホールド状態から立ち上がった乱馬も一歩あかねに近寄る。

シャンプー「なんだか不穏な空気ね」

良牙「そうか!きっと乱馬の街での淫蕩三昧を聞いたあかねさんは嫌気がさし、三くだり半を突き付けようとしているのだ!」

近藤「俺が言うのもなんだが都合の良い妄想すぎやしないだろうか」

あかねは尚も切なげな顔をして言葉を紡げないでいる様子ある。



352: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:01:08.50 ID:hK49HR9c0

乱馬「そ、そんな顔してどうしたんだ?あ、なんか俺の変な噂を聞いたかもしれないがどれもきっと誤解だからな!俺は真面目に鏡の調査をしようとしていたのに――」

あかね「違うの!そ、そうじゃないの……もっと、別のことなの……」

乱馬「べ、別のこと……?」

あかねの次のセリフに一同がゴクリと唾を飲みこんで待つ。

あかね「は、早く着替えて来た方が良いと思うの。今は男の姿なのよ、乱馬」

乱馬「へ?」

そう言われて乱馬はマジマジと自分の服装を見つめる。女性の姿では際どくセクシーだった和服姿だったが、男に戻った今となっては変態以外の何者でもなかった。



353: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:04:47.25 ID:hK49HR9c0

あずみ「言われるまでまっっったく気付かなかったわ!!」

お妙「こんな変態丸出しの格好でも当然だと思っていたわ!!」

近藤「逮捕されてしかるべき姿なのに、いつも通りだと思い完全に意識の外にあったぞ!!」

沖田「プークスクス」

土方「あ、お前は気付いてたんだ。ホンット嫌な奴だなお前」

乱馬「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

一同にボロクソ言われた乱馬は顔を真っ赤にして『かまっ娘倶楽部』の裏口へと駆け込んでいった。



354: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:09:04.85 ID:hK49HR9c0

新八「物凄く赤い顔をしてましたね、それにしても素速い」

神楽「さすが赤いと三倍速く動けるネ」

二人が暢気に会話をしていると、息の上がった乱馬が普段のチャイナ服に着替えて戻ってきた。

あずみ「出た!お得意早着替え!」

近藤「よっ!その速さ江戸随一!」

乱馬「はぁはぁ……よぉ、あかね。久し振りだな」

馬鹿な合いの手は一切無視して出会いテイク2を始める乱馬。



355: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:13:48.17 ID:hK49HR9c0

神楽「あ、さっきの無かったことにしようとしてるアル。七さんに会った時の銀ちゃんみたいアル、ださいアル」

勝男「だから誰やねんそれ」

銀時「そう言ってやるな神楽、男は誰だってってわけじゃないがあんな格好してハメ外したりハメたかったりする日もあるんだよ。それを許嫁に見られちまったんだ、そりゃうまくいくまで何度でも時をかけるさ」

乱馬「元はと言えばてめえが俺をこんなトコに売り飛ばしたせいだっつーの!!それに俺にそんな趣味は無い!!そして万屋ぁ!!」

怒りに燃える乱馬が死んだ眼で鼻をほじる銀時を指差す。

乱馬「ここで会ったが百年目!この一か月の恨み、晴らさせてもらうぜ!」



356: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:19:26.24 ID:hK49HR9c0

あかね「待って乱馬!銀さんも何も悪気があって乱馬を夜のお店で働かせたわけじゃないと思うの!鏡の調査も頑張ってやってくれてたし、ね?銀さん!」

銀時に襲い掛かろうとした乱馬をあかねが立ち塞がり止めた。

銀時「へ?あ、ああ!そうだよ、悪気なんてこれっぽっちも無かったさ!いや、君ならどんな困難でも乗り越えらると信じてたんだよ!な、だから一回落ち着こう。さっきの女装姿も銀さん見なかったことにするから、脳ミソ内で今消しゴムめっちゃ使ってるから」

乱馬「その話は止めろぉ!」

お妙「おすわり!」

乱馬「はぅっ!」

再度銀時に飛び掛かろうとした乱馬であったが今度はお妙に、そのオーラによって阻止された。



357: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:21:38.35 ID:hK49HR9c0

お妙「ちょっとこれはどういう事か説明してもらえますか銀さん?」

銀時「えーっとぉ、すんません。マジでなんのことかわかんないですけど……」

顔は笑ってはいるものの、お妙の身体から発せられている殺気を察知した銀時は真剣に思い巡らせるも、何に対して説明すればいいのやら分からないでいた。

新八「姉上、一体なんのことですか?お願いですからこれ以上話がこじれるようなことだけは止めて――」

お妙「新ちゃんは黙ってて。さぁ銀さん、その今一緒に来た女の子について説明してもらいましょうか?」

銀時「そりゃどういう意味で――」

猿飛「そうよそうよ!」

困惑する銀時をよそに、お妙の言葉にさっちゃんも乗っかる。



358: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:27:02.42 ID:hK49HR9c0

ムース「お、まさかあのゴリラ女が天道あかねに嫉妬しておるのか?!そんな事とは無縁そうであったのに」

右京「ゴ、ゴリラ女てあんた。普段どんな人なん?」

ムース「シャンプー目当てでキャバクラに通い詰めていたせいで何度も絡む機会があったんじゃが、なんというかのう。もう、むごい……」

右京「この町らしい人っちゅうわけやな」

ムースの表情と説明でだいたいを察した右京は苦笑いで話を流した。

お妙「銀さんじゃお話にならなそうなのでもう本人に言ってしまうけれど、まずあなたお名前は?」

あかね「て、天道あかねっていいます」

突然の質問に戸惑うあかねに構わずお妙は言葉を続ける。



359: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:29:03.70 ID:hK49HR9c0

お妙「私は志村お妙といいます。そこの駄眼鏡の姉です。そして私は第一話から登場しています。そして私は第一話から登場しています」

一同(なんで二回言ったんだろう……)

あかね「あ、あなたが新八君のお姉さんだったんですね。はじめまして!」

猿飛「私は猿飛あやめ。そこの天パの嫁です。そして私は第四十話から登場しています。そして私は第四十話から登場しています」

銀時「しれっと嘘を吐くなぁ!」

お妙「それでなんだけど、もう私が何を言いたいか分かったかしら?」

あかね「え、ええ?!す、すいません。なんのことやらさっぱりなんですけど……」

ほぼノーヒントといえる状態で答えを迫られた、というよりイチャモンを付けられたあかねは困惑するばかりであった。



360: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:32:24.26 ID:hK49HR9c0

猿飛「まったく最近の主人公やヒロインってのはどうしてこう鈍いのかしらねぇ?眼ん玉に焼き火箸突っ込まれても気付かないんじゃないのかしら?プフッ」

お妙「言い過ぎですよ猿飛さん、それにこの子最近のヒロインて感じがしないわ。九十年代の香りがプンプンするもの、プフッ」

新八「や、やべぇ……我が姉ながらドン引きするレベルで底意地が悪い……」

銀時「卵焼き以外も真っ黒じゃねえかお前の姉ちゃん」

お妙に聞こえないように声を潜める二人。

お妙「分からないなら教えてあげるわ!いい?!今あなたがいるポジション!万事屋三人の横っていうのはね、あなたみたいなポッと出の人がいていい場所じゃないのよ!」

お妙の背景に雷鳴が轟く。



361: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:37:01.04 ID:hK49HR9c0

一同「へ?」

猿飛「そのポジション争いのため、何人の女の子が今まで涙を飲んできたことか!今日だってほら見なさいよ!ツッキー達だって言ってしまえばあなたのせいで来れなかったのよ!」

さっちゃんの背景に納豆が轟く。

一同「えぇー……」

理不尽な二人の主張にもはや打つ手なしの一同であった。

お妙「ということで早くそのポジションを私に返しなさい。この晴れの舞台、やっぱりそこには第一話から登場している私が立っているべきです」

良牙「俺達の世界と『ということで』の使い方が違うのかこの世界は……」

右京「大丈夫や良牙。ウチにも何が何やらや」

ムース「やはり女王お妙。むごいのう……」



362: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:40:55.93 ID:hK49HR9c0

猿飛「ちょっとなんでお妙さんなのよ!ここは私に決まってるでしょ?!今から私と銀さんでTo LOVEるの世界にクロスしに行って色々トラブっちゃう予定なんだか――」

銀時「もう色々トラブり過ぎだお前らはぁ!」

思い切り蹴り飛ばしながらさっちゃんに突っ込みを入れた銀時はお妙と対峙する。

銀時「もうこの辺でいいだろ?これ以上はなんだか見てられねえぜ。さ、異世界組ぃ、さっさと帰って説教アンド作戦会議だバカヤロー」

あかね「銀さん……」

お妙との間に入ってくれた銀時を見てあかねが表情を緩める。



363: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:47:20.02 ID:hK49HR9c0

お妙「あら、もうこの天パを懐柔したの?シャンプーちゃんと一緒で手が早いのねぇ」

あかね「ちょっとそれどういう意味ですか?!」

お妙「聞こえた通りの意味よ。まったく自分の作品の男もきちんと捕まえられないくせに他にも手を出すなんて」

乱馬「ま、まあまあ。少しは落ち着こうぜ?な、あかねもさ。万事屋の言う通りここは鏡の調査を――」

あかね「乱馬はどっちの味方なのよ!」

お妙「ちなみに乱馬君だって今はあなたとくっつくみたいな感じですけど、次回作だと私とくっつきますからね。あなた次回作の『犬○叉』じゃもういきなり死んだ設定ですから、負け確ヒロインルートという深い業を背負わされてますから」



365: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:51:19.79 ID:hK49HR9c0

新八「もうこれ以上はホントに止めてください姉上!!次の人気投票どうなっても知らないですよ?!てか今更作品名隠す意味あんのかこれ……」

近藤「そうですよお妙さん。ちなみに俺とお妙さんの次回作『勲物語』じゃ俺達二人序盤でくっついてその後ラブラブルートですから安心してください」

乱馬「こじれるから馬鹿ゴリラは黙ってろ!」

あかね「あら!大変!」

近藤の立ち居振る舞いを見たあかねは今までのいざこざもなんのその、近藤にどこからか持ち出したヤカンで熱湯をかけた。

近藤「うおあっちいいいいいい!!!」



366: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 21:58:21.20 ID:hK49HR9c0

あかね「そんな!!変身が戻らない!!乱馬大変よ!!この人ゴリラ溺泉で溺れた人だと思うんだけどお湯をかけても戻らないわ!!」

乱馬「あ、ああ。そいつな、別に呪泉郷で溺れたわけじゃないんだ。俺もてっきり最初はそう思っていたんだがそれが素なんだ」

あかね「そ、そうだったの?!ご、ごめんなさい!私ったら良かれと思ってつい……」

取り出したハンカチで慌てて近藤を拭くあかね。

近藤「熱過ぎてこれが恋なのかと思ったが大丈夫だ。よく分からんが君の優しさはおじさんにも伝わったよ」

右京「全然大丈夫ちゃうやろ!大やけどしといてこれが恋かと思ったって頭大丈夫ちゃうやろ!」



367: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:01:36.51 ID:hK49HR9c0

お妙「だいたい良かれと思って熱湯をかけるって何?この子ダチョウ倶楽部にでも育てられたのかしら?それに近藤さんにもちょっかいをかけるなんてもはや無差別テロね」

新八「姉上!また暗黒面に侵されています!気を確かに!」

沖田「おいそこの女ぁ!近藤さんに熱湯かけといてタダで済むと思ってんのかぁ?!動物虐待で逮捕しろ土方ぁ!」

土方「動物虐待じゃなくて暴行と傷害だろぉが!あとなんで普通に呼び捨て?!」

勝男「おいおいなんやこの茶番は?こんなもんやのうてさっきの喧嘩の続きしてくれへんのぉ?退屈やとおっさん達が暴れてまうでぇ!」

良牙「そうだ乱馬!決闘の続きだ!」

乱馬「そんなことしてる場合じゃないだろぉが!」

乱馬の思いとは裏腹に場はますますヒートアップしていく。



368: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:05:13.90 ID:hK49HR9c0

ムース「この混乱の勢いに乗じてならいけるやも!シャンプー!好きじゃあ!」

シャンプー「……良かったなマダオ、ムースがお前のこと抱きしめるほど好きあるって。ったく、ちゃんと眼鏡かけるよろし」

長谷川「え、ええ?!そ、そうなの?!もう止めてくれよムース君!何回かキャバクラで会っただけだってのに、そ、それに俺にはハツって女房がいてよぉ」

狂死郎「セリフとは反対に何故そんなに顔がほころんでいるのでしょうか……」

アゴ美「やだぁ!カマップル成立よぉ!一番アゴ美!ハッピーカマーウエディング歌いまーす!」



369: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:11:52.28 ID:hK49HR9c0

桂「誰がカツラップルだ!桂だ!」

エリザベス『その聞き間違いは流石に無理がありますよ桂さん』

九能「おお!!エリザベス殿!!戻って来られたのですね!!」

山崎「ええ?!こんな流れの中で俺も一言いいんですか今日は?!よーし、わ――」

神山「シャンプー!好きじゃあ!」

新八「中の人ネタもう止めろぉ!飽き飽きしてんだこっちは!」

神楽「なあ新八、アレ何あるか?あの気持ち悪いの、あ、隠れた」

新八「何を言ってるんだか分からないけど知らないよ!とにかくこの騒ぎを止めなきゃ!」



370: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:13:36.17 ID:hK49HR9c0

お妙「騒ぎを止める?新ちゃんこそ何を言っているの?こんな乱世でこそ英雄は生まれるもの!フハハ、世界よもっと乱れるのだぁ!あの星を目指すのだぁ!」

新八「あんたは一体何キャラ目指してんだぁ!」

猿飛「銀さぁん!私ならもうとうに乱れてるから早くあなたの金ピカの英雄王見せてぇ!」

近藤「お妙さん!代々伝わる俺のタマの裏の星型のアザでいいなら見せましょうか?!」

新八「そんな血統は滅びちまえぇぇ!!」

状況はまさにカオスとしか言いようの無い状態であった。周りを囲んでいた野次馬達からも不安の声が上がる。

野次馬A「現かぶき町四天王が全員集結、武装警察に攘夷志士、おまけに最近かぶき町を騒がしている奴らまで揃ったぞ……い、一体何が始まるってんだ?!」



371: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:16:09.31 ID:hK49HR9c0

野次馬B「せ、戦争だ!戦争に違いねえ!華陀の時とは比べ物にならねえ程の戦争が始まるんだきっと!」

銀時「うるせえぇぇぇ!!!もう何も始まらねえよ!!!この後の展開なんて知るか!!!こんなめちゃくちゃになった後の流れなんて思い付かないからこのあとみんなでピアノの音に合わせてお辞儀して終了かもしくは夢オチでいいわぁぁぁ!!!」

神楽「ねえ銀ちゃん、アレ何アルか?今度はあの空飛んでるやつ」

銀時「知るかぁぁぁ!!なんでもは知ってるわけじゃねえんだよ!!知ってることだけなんだよ!!」

あかね「飛行船?それになんだかとっても近いし大きなスクリーンまで……」

空を見上げるあかねの言葉に銀時と新八も顔を上げる。



372: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:19:42.64 ID:hK49HR9c0

銀時「ん?なんだあ――」

パァァァッン!!

パァァァッン!!

パァァァッン!!

三発の大きな花火が上がり、その場で騒いでいた連中も何事かと空を見る。なんだなんだとざわめく一団の上には周囲のビルすれすれで大型の飛行船が浮いていた。そして甲板からは地上に向けて大きなスクリーンが垂れ下がっていた。

?「かぶき町の諸君、御機嫌ようなのじゃ」

スクリーンに光が灯り、二つの人影が映し出された。だがシルエットのみで誰だかはまるで分からない。

乱馬「……この声、どこかで聞いたような気が」



373: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:27:06.17 ID:hK49HR9c0

?「早速じゃが血気盛んな諸君らに良い知らせがある!」

首をかしげる乱馬。尚もシルエットの言葉は続く。

?「かぶき町バトルロワイヤルの開催をここに宣言する!」

シルエットの声にエコーが入り周囲にこだまする。数秒の間呆気にとられて黙ったままの一同であったが、銀時の罵声をきっかけに皆スイッチが入った。

銀時「何ワケ分かんねえこと言ってんだ!もうこの話は夢オチってことで終わらせんだよ!分かったらさっさとすっこみやがれぇ!」

新八「そうですよ!もうこの後の展開なんてどうせグダグダになるんですからここらで畳むのが正解なんです!だいたいその話も唐突すぎるんですよ、無理矢理感半端ないです」

神楽「そうアル!だいたい何アルかその超上から目線!私と話したいならその頭地面にこすり付けて喋るヨロシ!」

そう言うと神楽は新八の眼鏡を奪い取り、レーザービームのような威力で飛行船に投げ付けた。



374: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:30:56.29 ID:hK49HR9c0

新八「な、何やってんだお前はぁぁ!!」

神楽「むしゃくしゃしてやった、後悔はしてない」

新八「後悔と反省と弁償をしろぉぉ!!」

あかね「ああっ!!新八君がっ!!」

新八「僕こっちぃぃぃ!!!」

近藤「警察を前にしてなんて事言ってんだこらぁ!」

沖田「賞品とか賞金は出るんですかこらぁ!」

土方「返答次第でどうするつもりだお前は!」

真選組もバズーカ、拳銃を容赦なく撃ち込む。周囲の人々も空き缶や棒切れを次々に投げ付ける。



375: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:35:29.31 ID:hK49HR9c0

乱馬「次から次へと厄介事をぉぉ……!!もうあったま来た!!喰らいやがれ!猛虎高飛車ぁ!!」

良牙「……なんだかあの豚野郎を思い出してムカついてきたな、俺も乗ったぞ乱馬!獅子咆哮弾っ!!」

右京「ウチらも続くでぇ!」

シャンプー「私と乱馬の邪魔する、許さない!」

ムース「ククク、こんな船!おらが縛り上げてやるだぁ!」

九能「弾幕薄いぞ!何やってる!」

異世界組も上空の飛行船にそれぞれのありったけをぶつける。



376: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:39:50.22 ID:hK49HR9c0

?「わ、あああ!!や、止めるのじゃ止めるのじゃあ!!おい!じい!なんとかせいっ!この艦、波動砲とか付いてないの?!薙ぎ払うのじゃぁ!」

?「イスカンダルまで行くわけじゃないんだから付いてるわけないでしょ!だいたいワシは嫌だって言ったじゃないですか!この星の人間たちは、特にこの町の人間たちは野蛮なサイヤ猿より野蛮なんですから!」

地上からの攻撃が次々に命中し、大型飛行船はグラグラと揺れ、そこかしこから煙が上がり始める。スクリーンに映る二つのシルエットも大慌てである。

?「お、落ち着くのじゃ皆の者!よ、余はちゃんと莫大な賞金と、世にも珍しい賞品を用意しておる!優勝した者にはもちろんこれを贈呈しよう!」

一同「……」

その言葉に一同の攻撃が嘘のようにピタリと止む。



377: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:43:00.10 ID:hK49HR9c0

銀時「ち、ちなみになんだけどさ、興味はないけどまあ代表して聞いとくけどさ。その賞金てのはいくらなのよ?」

?「ふぅ、やっと落ち着いたか。まるで猛獣じゃな」

神楽「ああ?!なんか言ったアルかこらぁ!」

?「な、なんでもないぞ!賞金はなんと!百億円じゃ!!」

またもシルエットの声にエコーが入り、音が響き渡るが先程とは違い失笑の嵐であった。

新八「ひゃ、百億円て。小学生じゃないんですから」

スペアの眼鏡を掛けながら新八が鼻で笑う。

お妙「フフ。まあ飛行船でわがまま出来るほどにはお金はあるようだけど、さすがに百億円と言われると笑っちゃうわね」

賞金のあり得ない額に、スクリーンの向こうの人物を嘲笑する声がいくつも上がる。



378: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:44:23.87 ID:hK49HR9c0

?「ほ、ホントじゃぞ!これが証拠じゃ!」

シルエットが画面から消えると台座に置かれた、サッカーボール大の眩いばかりに輝くダイヤが映し出された。

?「現金で百億を用意するのは難しいのでな、この宇宙で最も希少で巨大な宝石を進呈しよう。この石の時価がまあ百億というとこのなのでな」

アゴ美「あ、あれ本物じゃない?!私ヒルナンデスで見たわよこの前の宝石特集で!!」

狂死郎「あ、あれは幻の……?!一度お客様に写真だけ見せられたことがありますがあの輝き、そっくりです!」

夜の世界で生きる、そういった方面には耳聡い二人の言葉で一同は驚きの声を上げた。



379: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:48:24.38 ID:hK49HR9c0

良牙「百億円だとっ?!そ、それだけあればあかねさんとの夢のマイホームをっ!!」

右京「テンパるのは分かるけど色々前提吹っ飛ばし過ぎや」

長谷川「何軒建てる気なんだよ良牙君。でぇ、ものは相談なんだけど、もしあれを手に入れたら百分の一でいいから貰えないかな?グヘヘッ」

?「うむうむ、なかなか食い付きがいいの。ではこの流れで賞品の紹介じゃ。賞品はこれじゃ!!」

画面に戻ってきたシルエットは、今度は画面一杯に持っていたものを映し出す。

近藤「な、なんだありゃ一体」

桂「まったく価値のないような物に見えるのだが」

そのブツの正体を知らない者たちの間で疑問や推測が交わされる。



380: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/10(月) 22:49:28.10 ID:hK49HR9c0

銀時「お、おおおおおおおおい!!!あ、あれはっ!!」

しかし、万事屋組と異世界組だけは反応が全く違っていた。

乱馬「ま、まままままままさか!!!あ、あれはっ!!」

銀時と乱馬が声を合わせて叫んだ。

銀乱「転生鏡っ?!」

画面には一か月前粉々になった、転生鏡が映し出されていた。



388: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:28:09.72 ID:EZVQTH7n0

再開します!

今日のOP!





389: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:30:25.17 ID:EZVQTH7n0

?「この鏡の名は転生鏡、異世界に行くことが出来ると言われている我が王家に伝わる宝物じゃ!優勝者には先程の宝石と共にこの鏡を進呈しよう!」

シルエットがさも誇らしげに、代々伝わる逸品を紹介する。

あかね「あの鏡、転生鏡に間違いない!ホントにこの世界にあったんだわ!」

探し続けていた転生鏡を前にし、あかねが喜びの声を上げる。

新八「それは言いんですけど、この話気前が良すぎて胡散臭くないですか?だいたい戦って勝ったら百億円に転生鏡だなんて怪しすぎるというか、それに素直に貰える保証もありませんし。ていうかあれ、あのバカ皇子とお付きの人ですよね?」

?「バカ皇子ではない!ハタ皇子じゃ!まあ訝しむ気も分かるがここは王族として優勝者には必ずこの二品を渡すと約束しよう!」

シルエットの意味を全否定する皇子であった。



390: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:31:35.51 ID:EZVQTH7n0

新八「まあそれはそれとして何故僕らがバトルロワイヤルなんてやらなきゃいけないんですか?そっちには得なんて一切無いじゃないですか!」

ハタ「ただただ余はこの町で一番強いのは誰だかを知りたい、それだけじゃ!その為にはいくらでも!金なんてかけてやるぞ!」

新八「あの人、あんなにバキっぽい感性持ってましたっけ?」

疑う新八を気にもせず、皇子の説明は続く。

ハタ「ルールは簡単、一週間後この町で行うバトルロワイヤルで、最後まで立っていたものが優勝じゃ。戦い方にも武器にも制限なし!誰と組もうが裏切ろうが一切のルールなし!とにかく最後まで生き抜いたものの勝利とする!」



391: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:35:27.48 ID:EZVQTH7n0

じい「説明は以上じゃ、質問はなんかあるか愚民共。ん、ないな。よし、では一週間後にまた会おう!」

ハタ「バイバイなのじゃ!楽しみにしてるぞー!」

説明をそそくさと終えると、原住民達の追撃を恐れてか、ボロボロの飛行船は高度を上げ去って行った。

新八「言いたいことだけ言って颯爽と去って行きましたね……」

あかね「でもこれに勝てば転生鏡が手に入って元の世界に帰れるんだよね?チーム組んでも良いみたいだし、みんなで頑張ろう!」

新八「まあそれもそうですね!銀さんに神楽ちゃん、そして異世界の皆さんが組めばいくらこの町の人が強者揃いとはいえなんとかなるはずですし! 」

ハタ皇子の宣言に不安や疑問の残る新八であったが、あかねの言葉に覚悟を決める。



392: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:37:04.34 ID:EZVQTH7n0

新八「それで僕等が勝ち残った後、適当な芝居でも打って優勝者を決めてしまえば賞金も賞品もゲットです!ね!銀さん、神楽ちゃん!ってさっきから黙ってどうしたんですか?まあ僕もこの話信じ切ってるわけではないですけれど、ここは話に乗っかって……」

新八は先程から嘘のように沈黙を貫いていた二人に話を振ったが、彼らの眼を見て口を呆けたように開け、言葉が出なくなってしまった。

銀時$「へ?あ、ああそうだな!俺達が組めば怖いもんなんてねえよ!賞金に賞金に賞金に賞金に賞金に、あと、なんだっけ?あのきったねえ鏡だっけ?いらねえけど。とにかくいただきだぜ!」

神楽$「そうアル!だから私のためにみんなには死んで欲しいアル!」

新八「ちょっと待てお前らぁぁ!!早速目が$になってるんですけどぉっ?!分かりやす過ぎるし表現古すぎだろぉぉぉ!!銀さんはもう賞金にしか興味無いし神楽ちゃんに至ってはもう仲間のセリフじゃねえだろぉぉ!!」

新八「そりゃ賞金欲しいけど心を闇に侵され過ぎだぁぁ!!そんなに賞金独り占めしたいのかぁぁ!!」



393: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:40:16.88 ID:EZVQTH7n0

あかね「そ、そうよ二人とも。別に私たちが組めば優勝間違いなしなんだし一回落ち着いて――」

乱馬「ちょっと待ちな!あかね!」

賞金に眼がくらむ二人を説得していたあかねの言葉を、乱馬が強く遮った。

乱馬「勝手にこいつらと組むなんて決めるんじゃねえよ。俺は万事屋なんかとは絶対に手は組まないからな!」

あかね「な、何言い出すのよ!乱馬まで賞金に目がくらんじゃったの?!」

乱馬「違わい!俺には万事屋にこの一か月の恨みがある!戦う理由はあれど、鏡が見つかった今、こいつと組む理由なんて無い!それに俺ならこのバトルロワイヤル、こんな奴等と組まんでも余裕で優勝できっからな」

自信満々に言い切る乱馬に、銀時が返す。



394: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:41:19.48 ID:EZVQTH7n0

銀時$「へぇー、変態女装少年がやけに自信ありげじゃねえか?あとで頭下げられたってもう手ぇ組んでやったりはしねえぜ?それでも良いんだな?」

神楽$「今なら土下座でそのセリフ無かったことにしてやるヨ、私たちを敵に回すなんて馬鹿なマネ、さっさと撤回するネ」

銀時、神楽から静かに殺気が滲み出始める。

新八「……あの、二人とも?ちょっとシリアス入ってるけれども眼が$マークのままなんで早くそれ止めません?おかしな感じになってますから」

あかね「もう乱馬ってば聞き分けのないこと言わないの!みんなからもなんか言ってあげてよ!」

あかねは乱馬を諌める言葉を期待し、右京達面々の顔を見る。しかし返ってきた言葉は

右京「ごめんな、あかねちゃん。乱ちゃんが銀さんらと組まへん言うんなら私も組めへん。私は乱ちゃんと一緒や」



395: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:44:12.93 ID:EZVQTH7n0

願っていたものではなかった。すると右京に続き

シャンプー「私も乱馬と一緒のチームね。乱馬も賞金も鏡も全部私のもの!」

ムース「悪いな天道あかね。乱馬となんざ組みたくはないが、おらはシャンプーと共に戦うだ!」

シャンプー、ムースも銀時たちとは組めないと袂を分かった。

あかね「そ、そんな三人とも本気?!敵味方分かれて戦うだなんて――」

良牙「大丈夫ですよ、あかねさん。俺はあかねさんの味方です」

次々と万事屋、異世界組同盟から人が離れていく中、良牙はあかねに優しく声をかけた。



396: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:45:01.03 ID:EZVQTH7n0

九能「僕はもちろん白夜叉殿に付かせてもらおう。あかね君もいるしな。そして早乙女乱馬!此度の戦でお前の首、そしてあかね君を貰い受ける!」

九能があかねの肩を抱きながら高らかと宣言する。

あかね「組んでくれるのは嬉しいんですけど話をややこしくしないで下さい!」

良牙「何をやっている貴様!」

あかねと良牙の拳が九能の顔面にめり込む。

新八「とにかく銀さんも神楽ちゃんも!乱馬さん達も一回落ち着いて話合いましょうよ!」

乱馬「へ、俺は冷静だぜ。あとお前たち、別に俺に付かなくったっていいんだぞ?」

右京「そんなつれへん事言わんといてよ」

シャンプー「私は乱馬と絶対離れないね!」

ムース「シャンプー、どうしておらを見てくれないのじゃぁ!」

くっきりチームが分かれて困り切った新八を余所に、一人の攘夷志士が銀時に声を掛ける。



397: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:47:18.78 ID:EZVQTH7n0

桂「俺はお前と組もう銀時。フ、お前と組んで戦うなんて懐かしいな。攘夷時代を思い出す」

風に長髪をなびかせ、銀時の横に桂が並び立った。

新八「いや、二人が組んで戦うこと結構ありましたよね。竜宮とか蓮舫とか」

桂「無粋なことを言うでない、新八君。どうだ銀時、攘夷時代を思い出すだろう?いやもういっそ攘夷時代を思い出せ、無理矢理でいいから。あなたは段々攘夷時代を思い出ーす、思い出ーす。あなたは段々攘夷時代を思い出ーす、思い出ーす」

桂「はい、眼を開けたらあなたは攘夷時代に戻っていて立派な攘夷志士。この戦いに勝利し、100億円を国家転覆の準備資金としたくなーる、したくなーる、した――」

銀時$「耳元でうるせえぇぇぇ!!!いい加減にしろぉ!だいたい眼なんてずっと開いてるわぁ!」

新八「あんたもいい加減にしろぉ!いつまでそんな汚い目の開き方してんだぁ!」



398: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:49:39.07 ID:EZVQTH7n0

そんな喧しく騒ぎ出す万事屋たちとは反対側、乱馬たちの後ろから関西弁の声が響き渡る。

勝男「なんや面白い話になってきたやんけ!ワシ含めた溝鼠組全員、姉さんの下に付かしてもらいましょか!」

手下共「うおおおおおおお!!!!」

勝男率いる溝鼠組組員たちが昂ぶりの声を上げる。

アゴ美「パー子には悪いけどらん子は今、私たち『かまっ娘倶楽部』の一員!私らオカマはらん子に付くわよぉ!」

オカマ共「うおおおおおおお!!!!」

狂死郎「私たちは今回は大恩ある万事屋さんに付かせていただきます。乱馬君、ごめんなさいね。みんな、付いてきてくれるか?」

ホスト共「うおおおおおおお!!!!」



399: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:53:02.41 ID:EZVQTH7n0

シャンプー「もちろんお前たちは私の下で戦うあるな?」

チャイナ服キャバ嬢共「うおおおおおおお!!!!」

次々と万事屋組、乱馬組に分かれていく大軍を前に新八、あかねは頭を抱える。

あかね「ちょ、ちょっとみんな落ち着いてってば!」

新八「ハハハ……あかねさん。こうなったらもうこの人たちは止まりませんよ……待つのは両陣営による大戦争だけです。ハハ……」

今後の惨劇を想像し、もう笑うしかない新八に更なる追撃が加わる。

お妙「新ちゃん、両陣営って何を言ってるの?」

新八「な、何ってそりゃ見たままのことですけど。で、姉上はどちらに付くんですか?」



400: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:53:40.53 ID:EZVQTH7n0

お妙「どっちに付くもないじゃろがいぃぃ!!この戦ぁ!!制すのは私たちキャバ嬢だぁぁ!!」

和服キャバ嬢共「うおおおおおおお!!!!」

新八「……………………………………」

とうとう口から魂のようなものが抜けかける新八であった。

猿飛「ムース、残念ね」

第三陣営の出現に皆が更に騒ぎを大きくする中、さっちゃんは静かにムースの前に立った



401: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:55:22.63 ID:EZVQTH7n0

ムース「うむ、これも互いの愛のため。分かっておる」

猿飛「私は銀さんのために。あなたはあの子のために。死力を尽くしましょ」

ムース「ああ。できれば戦場で会わないよう願っている。武運を」

ムースが右手を差し出す。さっちゃんは少し悲しげに手を取ると

猿飛「私もそう願っているわ。でももし出会ってしまった時、手加減なんてしたらさっちゃん許さないぞ。互いの本気の愛のため、本気でぶつかり合いましょう」

そう言いながら、にっこり微笑んだ。



402: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:56:16.20 ID:EZVQTH7n0

ムース「そうじゃな、では」

猿飛「ええ、また」

二人は優しく視線を交わした。そしてさっちゃんは銀時の下へゆっくり歩き出した。

銀時「お前……」

猿飛「銀さん。私はあなたのために、戦うわ」

先程とは打って変わった強い意志を持った瞳で、さっちゃんは愛しい男の前に立った。



403: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:58:03.77 ID:EZVQTH7n0

銀時「ああ、任せたぜ。ってんなこと言うかぁぁぁ!!!ボケろよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

そんなさっちゃんを容赦なく銀時は突っ込みを入れながら蹴り飛ばした。

銀時「ったく、あいつらはわざわざ尺取って何しやがってんだ。そんな雰囲気の作品じゃねえんだけどこれ」

神楽「その通りネ。このSSにはそんな雰囲気存在しなくていいネ。だいたい書きにくいしそういうの」

新八「ふ、二人とも!ようやく眼の$マークを消してくれたんですね!ちなみに、最後のは誰の声なの?」

あまりの騒ぎで正気を取り戻した二人に新八は喜んだ。しかしそれも束の間、事態を更に悪化させる声が二つ。



404: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 20:59:26.38 ID:EZVQTH7n0

?「話は聞かせてもらったが何やら大変なことになっているな」

?「フッ、何が大変なことか。面白い、の間違いでありんす」

一人は片目に眼帯を当てた天才剣士、柳生家次期当主、柳生九兵衛。もう一人はキセルを燻らせた吉原自警団、『百華』頭領、月詠であった。

お妙「九ちゃん!」

銀時「ザキ太夫!」

月詠「死神太夫じゃ!」

月詠が突っ込みを終えた時には、銀時のおでこには立派なクナイが突き刺さっていた。



405: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:02:15.95 ID:EZVQTH7n0

新八「また争いの火種が……」

お妙「いつ呼びに行こうか迷ってたのよ九ちゃん!なんか空気読まない人たちのせいで出演枠大幅に取られちゃってて。来てくれて嬉しいわ!」

九兵衛「ああ、僕等もいつ登場しようかタイミングを伺っていてね。実を言えば彼らがラーメン屋にいた頃から機会を伺っていたんだが、なんやかんやでこんな遅くなってしまったよ。妙ちゃん、ごめん」

神楽「そん時からアルか!ラーメン屋にいたのは今日のはずなのにまるで22日前の出来事のように感じるアル!」

銀時「で、お前らは何しに来たんだ?二人して遊びにくり出して来たってわけでもねえんだろ?」

銀時は額の血を拭いもせず二人に尋ねた。



406: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:04:31.53 ID:EZVQTH7n0

月詠「ああ、そうじゃったそうじゃった。今日ワシらが来たのはな、『二代目』吉原の英雄に会いに来たんじゃ。吉原の皆に代わって感謝の意を伝えるためにな。そ、それにしてもぬしはクナイを躱すのが相変わらずじょ、上手じゃの!」

銀時「あ、当たり前だろ、そんなん楽勝だぜ。それにしても『二代目』吉原の英雄ってどういう事だ?またなんかあったのか?」

あかね「え?クナイ躱したの?じゃ、じゃあ刺さってるあれは何?あの血は――」

新八「あかねさん!シッ!」

タブーに触れそうなあかねを新八が止める。



407: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:07:17.21 ID:EZVQTH7n0

九兵衛「あったなんてものではなかったぞ。江戸中を、いや、この星を脅かすほどの脅威に狙われたのだ、吉原は。その際に、柳生の者が迷惑を掛けたり世話になったりとしたのでな、僕は彼に詫びに来たのだ」

月詠「そう」

月九「早乙女乱馬に」

声を合わせた二人は同時にこの喧騒の中心人物の一人、乱馬を見た。

乱馬「よ!元気にやってるか?」

新八「ってまたそんなエピソードあんのかよっ!!もうだいたい察しは付いてたけどさっ!!てかこの星を脅かすほどの脅威ってやべぇぇぇぇ!!!!こんなもんで良いすか?銀さん」

銀時「十分だ、新八。やっぱテンポ良くいかないとな」



408: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:09:21.09 ID:EZVQTH7n0

月詠「その節は助かった、吉原全員を代表して感謝する。今度吉原に参った時は、この世の桃源郷を是非堪能してもらいたいと皆言っておったぞ」

乱馬「そ、そそれは遠慮しとくぜ!は、ハハハ……」

月詠「フッ、相変わらずうぶな奴じゃ」

月詠の提案に顔を真っ赤にする乱馬であった。

九兵衛「こちらは色々と迷惑をかけてすまなかった。柳生を代表して謝罪する」

乱馬「いいっていいって、気にすんなよ!ま、みんな無事で良かったじゃねえか!」

頭を下げる九兵衛の肩を叩き、乱馬は彼女の顔を上げさせた。



409: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:12:14.26 ID:EZVQTH7n0

新八「ま、まずいですよ乱馬さん!九兵衛さんは男の人に触られると――」

九兵衛「それが彼は何故か大丈夫なんだ。半分女の体だろうからか、不思議なものだ」

九兵衛が信頼の籠った目を乱馬に顔を向けた。とそこに不機嫌な声が上がる。

あかね「乱馬の馬鹿っ!何よ!この非常時にデレデレニヤニヤしちゃって!それに銀さん達とは組めないだなんてこの強情っぱり!変態和服女装高校生!もう知らない!」

先程の乱馬と同じくらい顔を赤くし、フグのように膨らませたあかねであった。

乱馬「な、デレデレニヤニヤなんてしてねえだろうがっ!へんっ!だいたい俺だってお前みたいな頑固で可愛くなくて色気のねえ女なんて知らねえぜ!」



410: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:15:45.17 ID:EZVQTH7n0

乱馬の言葉を聞いてプルプルと怒りに震えるあかねであったが、ふぅ、と一息吐くと右手中指を立ててこう言った。

あかね「乱馬たちとは今から敵同士だからね!一週間後!覚えてなさい!」

乱馬「ほぉー、良い度胸じゃねえか。一週間後が楽しみだぜ!」

そう言い合うと二人はフンッと鼻を鳴らしながら互いにソッポを向いてしまった。

九兵衛「な、何やらいらぬ勘違いをさせてしまったのではないだろうか?」

月詠「なーに、こいつら男と女の問題じゃ。ぬしが心配することでもありんせん。で話を本筋に戻すが、此度の戦。我ら百華も参戦しよう!」

月詠のセリフに一同がまたもどよめく。



411: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:19:33.69 ID:EZVQTH7n0

月詠(先の戦いで我ら百華の未熟さを痛感した。此度の戦を通して、わっち含めて百華をもう一度鍛え直さなくてはならんと思っての。実に良い機会じゃ)

月詠「あの宝石欲しーっ!日輪にあげたら喜んでくれるだろうか?!ハッハッハ!夢が広がりんすっ!」

新八「本音と建て前が逆ぅぅ!!賞品を前に浮かれすぎだろぉぉ!!もうリンス買って帰れぇぇ!!」

月詠「ち、違うでコンディショナー!い、今のはぬし達がわっちの本音建て前真逆大作戦を見破れるかどうかを謀ったのじゃ!」

新八「語尾コンディショナーって動揺しすぎだぁ!てかいつもの『~りんす』ってホントに髪をいたわる方だったのぉっ?!そして作戦名ダサすぎだろぉ!」

銀時「止めろ新八、こいつはそうやってただ俺達を試しただけだ。俺には分かる」

額にクナイが刺さったままの銀時が言った。



412: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:21:37.98 ID:EZVQTH7n0

あかね「どっちが本音で建て前でも恥ずかしい気がするわ。それにやっぱり銀さんの額にクナ――」

銀時「默リンスinシャンプー!」

猿飛「で、あなたはどちらに付くのかしらツッキー?ちなみに銀さんチームにはもう私がいますから、忍者枠埋まってますから。悔しさでハンケチ噛みながらそっちの二代目英雄さんチームに行くことね!ホーッホッホッホッ!」

蹴りのダメージからいつの間にやら復活したさっちゃんが、片手を口に当て下品に笑った。

月詠「あくまで今回は実戦型訓練として参戦するのじゃ。もちろん、現在劣勢の側に立ってこそ意味のあるものと言えよう」

猿飛「ってことはあんた――」



413: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:24:56.28 ID:EZVQTH7n0

月詠「ということだ、すまんな。乱馬。今日はぬしに感謝の言葉を伝えに来たというに」

乱馬「お前とは一度手合わせしてみたかったところだ。望むところだぜ」

月詠の選択に、乱馬は不敵な笑みで返したのだった。

月詠「ということで此度の戦、死神太夫月詠始め吉原自警団百華は!万事屋組に付く!」

異世界組を始め多くのヤクザ、オカマ、キャバ嬢を仲間にした乱馬のチームを優勢と見た月詠の選択であった。が、しかし、その本心は誰にも分からない。

九兵衛「乱馬君、僕も申し訳ないのだが今回は君に味方出来ない」

月詠に続いて九兵衛も自身の意志を示した。



414: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:27:53.45 ID:EZVQTH7n0

乱馬「わーってるって!もちろん行くんだろ?あいつのとこに。お前とも戦えるの、楽しみだぜ」

九兵衛「ああ、理解があって助かるよ。戦いの前でも後でも良い、今度柳生家を訪ねてくれ。手厚くもてなそう。柳生流でな」

九兵衛は笑ってそう言うと、お妙に宣言するのであった。

九兵衛「お妙ちゃん!柳生九兵衛とその一門、名門の名に懸けて君に勝利を約束しよう!」

近藤「フッ、お前ならこっちに来るだろうと思っていた。共に力を合わせてお妙さんを勝利に導こう!」

いつの間にやらお妙の横で腕を組み、力強く近藤が頷く。

東城「若のためとあらば柳生一門、全力を挙げて付き従う所存です!」

すぐ傍の店から出て来たばかりの、裸体にタオルを巻き、ぬるぬるのエアマットを抱えた柳生四天王が一人、東城歩も近藤に倣う。



415: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:31:01.43 ID:EZVQTH7n0

一同「……………」

一同の視線が男二人に集まる。

近東「……あのぉ、何か?」

妙九「何か?じゃねえだろぉぉぉがぁぁぁ!!!」

お妙、九兵衛の拳が彼らの顔面にめり込んだ時、その場にいた者は確かに、生命が終わる音を聞いたという。

お妙「はぁ、はぁ、はぁ……ペッ!」

九兵衛「東城、あの世で反省してくれ」

真選組組局長、近藤勲。柳生四天王筆頭、東城歩。この町でも上位の実力者二人を開戦前に亡くしたお妙組であったが、その武力は他の組を怯えあがらせるに、最適なデモンストレーションとなっていた。



416: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:33:25.81 ID:EZVQTH7n0

そんな淀みきった空気の中、神楽は銀時の後ろにいる男に疑問を持ち、それを投げ掛けた。

神楽「おいマダオ。どうしてお前こっちいるアルか?」

この状況の中、自分に話題が振られると思っていなかった長谷川は少々驚きながら言葉を返した。

長谷川「え、お、俺っ?!そりゃぁ神楽ちゃん、こっちチームには慣れ親しんだ銀さんやづらっちだとかいるからさ。俺はこう見えて義理堅い男なん――」

神楽「義理堅いとかそういうこと聞いてんじゃねーヨ。てか何が言いたいか分からないようだから率直に言うけど、お前みたいな貧乏厄病神いると負けそうだから余所の組行けヨ、いや行けよ」

長谷川「な、それは酷いだろ神楽ちゃん!だいたいなんで最後二回言ったの?!二回目全然カタコトじゃなかったし、もう止めてくれよぉ!銀さんからもなんか言ってやってくれぇ!」

長谷川が困り果てた笑顔で銀時に顔を向けると、とてつもなく冷たい顔をした銀髪が立っていた。



417: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:34:46.34 ID:EZVQTH7n0

銀時「出てけ」

長谷川「…………」

一同「…………」

銀時「…………」

長谷川「…………」

一同「…………」



418: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:39:45.19 ID:EZVQTH7n0

長谷川「ってそれだけぇぇ?!出ていけ流れにしてももうちょっとイジリながらとかあるじゃん?!本気の出てけじゃん!!なんでそんなに嫌うのさ!!」

銀時「幸運の神様に、親の仇の様に嫌われてるアンタとは今回ばっかりは組めねえっての!!」

神楽「そうアル!最初っから負債抱えて桃鉄始めようとする奴なんていないネ!ほれ、語尾に『なのねーん』て付けるヨロシ!」

二人の言葉にとても傷付いた長谷川はすがるように新八を見たが、彼は一切目を合わそうとしなかった。

長谷川「ほ、他のみんなはっ?!」

続いて桂、良牙、あかねと見回したが、皆一様に目を合わせようとはせず、キョロキョロと気まずそうに視線をそらすだけであった。どうやら銀時、神楽と意見が一致しているようである。



419: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:44:10.52 ID:EZVQTH7n0

長谷川「ああそうですか!じゃあもういいよ!別のチーム行くから!後になって後悔しても遅いからな!賞金貰ったって一円もあげないからな!ペッ!」

これ以上粘っても無駄と察し長谷川は、捨て台詞と共にタンを吐き、万事屋陣営から抜け出し、三陣営が向き合う空白地帯へと歩を進めた。

長谷川「お、お妙ちゃ……」

お妙「っ!!!」

長谷川「ひぃっ!!」

恐る恐る話しかけようとした長谷川だが、こっちに来るなオーラに気圧され、また足元に転がる二つの死体を見て、このチームには入れないと悟った。



420: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:46:29.05 ID:EZVQTH7n0

長谷川「乱馬く――」

乱馬「ダメだ」

長谷川「早いよ!!もう少し考えようよ!!いや、ほら、君は若いじゃないか。俺みたいな経験豊富なおじさんの意見ていうのも今後必要になってくると思うよ?!」

ここに断られたらもう行くところがない長谷川は、必死に乱馬を説得しようと試みる。

乱馬「経験すればする程能力が下がる経験しか豊富じゃないおっさんはいらねえ」

神楽「負の経験値しか溜まってないごみ溜めの意見なんて必要ないアル」

お妙「長谷川さんに意見を聞くくらいなら、言葉の分からないマサイ族の人にでも聞いた方がまだマシだわ」

そんな長谷川に三方向から、容赦ない言葉が浴びせられる。



421: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:49:14.50 ID:EZVQTH7n0

長谷川「そ、そんなぁ……みんな酷いよぉ……」

サングラスのせいで瞳の具合は分からないが、かなりの涙声で膝を着く長谷川は嘆いた。そんな彼を見ていていられなくなった男が一人。

良牙「……っく!わあああやっぱダメだ!俺には恩人を見捨てることなどできん!」

そして女がもう一人。

あかね「や、やっぱそんな意地悪しちゃダメよね!うんっ!」

彼らはそう言うと、長谷川の下へ駆け寄り、精神的に死にかけた彼を助け起こした。

良牙「見捨てて済まなかった長谷川さん!」

長谷川「りょ、良牙くぅん!君ってやつはぁ!」



422: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:50:48.33 ID:EZVQTH7n0

二人とも涙を流しながら抱き合う横で、あかねも長谷川に声を掛けた。

あかね「うまくいくか分からないけど私銀さん達を説得してみるね!それとさっきはごめんなさい!」

長谷川「いいんだよあかねちゃぁん!こんなオジサンのためにありがとうなぁ!」

あかね「私、頑張ってみるからね!」

あかねは長谷川に向けて固く握った拳を突き出し覚悟の程を見せると、銀時達の前に立ち説得を試みた。

あかね「銀さん、長谷川さんを――」

銀時「ダメだ」



423: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:53:40.03 ID:EZVQTH7n0

あかね「ダメでした」

長谷川「早いよ!!もう少し粘ろうよ!!君といい乱馬君といい早すぎだろ!!」

そこに良牙が食い下がる。

良牙「そこをなんとか頼む銀さん!この通りだ!」

あかねもそれに倣って頭を下げる。

あかね「私からもお願い!」

銀時「そうは言われたってもなぁ。ただでさえウチは幸薄バンダナという牛歩カード喰らってるようなもんがいんのに、その上あの人引き入れたらその状態でボンビラス星に飛ばされるようなもんだよ?勝ち目ねえよ、温厚な銀さんだってコントローラーぶん投げちまうよ」



424: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:57:04.67 ID:EZVQTH7n0

あかね「でもマイナスとマイナスが掛け合わさればとてつもないプラスになるわ!」

新八「良牙さんのことの暗にマイナスって認めてませんそれ?」

とここで、神楽が何か感じることがあったらしく表情を緩めた。

神楽「ふぅ、しょうがないアルな、あか姉がそこまで言うんだったら私は別に良いネ」

あかねの必死な姿を見て、神楽は折れて意見を変えたのだった。

長谷川「か、神楽ちゃん!」

神楽「ただちょっとでも足引っ張ってみろ?四肢引きちぎってやるからナ?」

長谷川「ペナルティ重過ぎじゃないそれ?!余計足引っ張ることになると思うんだけど?!」

セリフとは裏腹に、長谷川の顔は嬉しそうである。



425: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 21:59:51.89 ID:EZVQTH7n0

銀時「へいへい、わーったよ。一人で悪者になるのもアレだしな。その代わり、戦いが始まったらお前らが責任持って相手チームになすり付けてくるんだぞ?いいな?!」

あ良「はい!」

長谷川「仲間に入れてくれるのは嬉しいんだけど、それって仲間入りしてないようなもんじゃないの?それに二人とも元気良く『はい!』って!てかまるっきりさっきからキングボンビー扱いだよねこれ?」

なんやかんや言いつつもまた輪に戻った長谷川に、皆口々にさっきはごめんと彼に謝る。近藤、東城が亡くなった空気とは一変、少し暖かい空気が流れる。

と、そこに水をぶっかける怒声が響いた。



426: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:02:10.71 ID:EZVQTH7n0

土方「いい加減にしろお前らぁ!!警察を前に戦争の相談たぁどんだけネジ外れてんだこらぁ!!本当にそんな馬鹿げたことやらかすつもりか知らねえが、そんなもんやらせるわけねえだろがぁ!!全員この場でしょっ引くぞっ!!」

真選組鬼の副長である。

銀時「あぁ?まだなぁーんにも僕達やってないのに逮捕するんですかぁ?不当逮捕だぁ!さっきのカメラクルー誰か呼んでこぉい!チンピラ警察不当逮捕の瞬間パート2だこらぁ!」

乱馬「だいたい全員しょっぴくったってお前が強いのは百も知っちゃいるけど、この面子相手にお前らだけで敵うのかよ」

鬼の副長の剣幕に一切の怯みも無く二人は言った。



427: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:05:23.64 ID:EZVQTH7n0

沖田「みんな気を付けろぃ。この人こんな事言っちゃいるがあれだから。真選組使って優勝企んでるクチだから」

土方「おめえはどっちの味方なんだよ!!そ、それにそんな事考えて無いしぃ!別に賞金で自宅兼マヨネーズ工場作ろうとか全然考えて無いしぃ!」

新八「絶対考えてたろぉ!!だいたいその願いなんなんすかぁ?!ウーロンより酷いわぁ!!」

右京「もういっそマヨネーズ工場にでも住めばええやん。工場内に四畳半くらいのスペース借りて住めばええやん」

九能「そんなにマヨネーズが好きだったとは。僕の家は自分で言うのもなんだが裕福だ。お前が望むだけのマヨネーズをくれてやるからそんなトチ狂った考えは捨て置け」

周囲から口々と土方の願いについての非難が上がる。



428: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:10:20.91 ID:EZVQTH7n0

土方「うるせえぇぇぇ!!!金があったら何使おうが俺の勝手だろうがっ!!それに俺はそんなことがふと頭によぎっただけでこんな馬鹿げた騒ぎに乗るつもりはねえ!!とにかくお前らみたいな危険分子!!全員この場でしょっ引かせてもらう!!」

土方が刀に手をかけたその時だった。しわがれた老婆の声が響く。

お登勢「なんだいなんだい?今日は祭りでもやってるのかい?相変わらず騒がしい町だねぇ」

お登勢が煙草の煙を吐き出しながら、ゆっくりと、されど力強く騒ぎの中心に踏み込んできたのだった。

狂死郎「かぶき町元四天王……」

アゴ美「お登勢、もう一線は退いたって話なのに……」

勝男「隠居のババアが何出張ってんねんボケェ!」

ムース「猿の干物?」

お登勢「誰が猿の干物だい!それにこちとらわざわざ出張ってきたつもりはないよ。古い知己の見舞いの帰り道なんだよ」

元かぶき町四天王、『女帝』お登勢の登場に、周囲がまたもざわつき始める。



429: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:12:14.75 ID:EZVQTH7n0

お登勢「それにしても私らの若い頃に比べて、警察ってのはなんとも間の抜けた組織になっちまったもんだぁね」

土方「なんだとババア?残り少ない余生を檻の中で過ごしたいのか?それともその短い余命、ここで終わらせてやろうか?」

土方から殺気が溢れ出るが流石は『女帝』、顔色一つ変えずに煙草を吸ったまままである。

お登勢「やり方が直球過ぎるって言ってんのさ。豚は太らせてから食べるもんだろ?こんなところで刈り尽しちまうなんてとんだ早漏野郎だね」

沖田「やーい早漏」

土方「殺すぞてめえ!」



430: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:14:34.71 ID:EZVQTH7n0

沖田「ま、冗談は置いといて俺もこのババアの意見には賛成でさぁ。今ここにはいない桂一派やら何やら、一週間後の祭りにゃもっとたくさんの馬鹿が集まるでしょうしね。そこでブン捕まえる方が、今後この町も少しは大人しい綺麗な町になるってもんでしょうや」

お登勢の言葉の真意を理解した沖田は、珍しく真面目に土方に助言する。その発言を受け、少し考え面倒そうに頭を掻いた土方はこう言った。

土方「ったく、今回はババア。てめえの的を射た意見と顔を立てて引いてやる。俺達の大将もあのザマだしな。山崎、あれ回収してこい」

山崎「はい!」

山崎他数名が倒れている近藤を起こしにかかる。

沖田「いやぁ、これで真選組も正式参戦決定ですね。副長」

土方「お前絶対自分が参加したかっただけだろ」



431: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:15:55.31 ID:EZVQTH7n0

沖田「そんな事ありませんよ。不貞の輩共の逮捕、頑張りましょうや。ただバトルロワイヤル、いつ命が奪われてもそれはしょうがないですよね。副長」

土方「ま、そんなの俺達にとっちゃ平常運転だろ。ただなんだろう、お前の眼がすごく怖いんだけど」

沖田「ちなみに今入った情報によると、『土方・THE・キラー』とかいう土方さん専門の殺し屋も参戦するそうでさぁ。気を付けてくださいね。副長」

土方「そんなニッチな殺し屋聞いたことねえよ!!てかだいたい犯人の目星付いてんだけどってかお前だろ総悟っ!!」

山崎「副長!ゴリラの死体回収しました!」

無事パトカーに死体を回収した山崎が土方に報告する。



432: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:17:31.17 ID:EZVQTH7n0

土方「よし、真選組!撤収!」

隊士達はその言葉にそれぞれ返事をし、到着していた十数台のパトカーに乗り込んでいく。と土方だけが立ち止り振り返った。

土方「おい万事屋、早乙女。シャバの空気、今のうちに楽しんでおけよ」

そう言い残すともう振り返ることなくパトカーに乗り込む。そうしてパトカーの大軍はこの騒ぎから一足先に抜け出たのであった。

勝男「相変わらずやりおるのう……無血で武装警察引かせおった」

右京「なんや凄い人やったんやなぁ、あのお婆ちゃん」

勝男「お婆ちゃんなんて優しいもんあらへんですよあれは。妖怪やら物の怪の類ですよ姉さん」

一線を退いても尚のお登勢の手腕と貫録に、その場にいた者は格の違いを見せられた気がしていた。



433: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:19:48.45 ID:EZVQTH7n0

あかね「お登勢さん!どこも怪我とかしてない?!あんな人たちに近付くなんて危ないですって!もうダメですよ?」

だがそんなことは気にもせず、あかねはお登勢に駆け寄った。

お登勢「そんなにヤワな生き方してないから何も問題無いよ。ただアンタみたいな小娘に心配されるとは、私もとうとう焼きが回ったってやつかねぇ」

銀時「回り過ぎて焼野原のようだが」

お登勢「キューティクル焼き切れてるような奴に言われたかないよ!ところであかね、あんた今日は私の代わりに店出てくれてたんじゃなかったのかい?」

あかね「……あ」



434: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:22:35.73 ID:EZVQTH7n0

お登勢「あ、じゃないよアホ垂れ!とっとと店戻んな!」

あかね「は、はい!」

お登勢「ほれほれ、アンタ達もさっさと仕事に戻りな!夜の町で働く人間たちが雁首揃えてこんなとこで油売ってるんじゃないよ!」

お登勢のもっともな言葉に一同は、今夜の騒ぎの終末を感じた。

お登勢「それと最後に!」

引き上げようとしていた一同に向かってお登勢が声を張り上げる。



435: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:25:05.20 ID:EZVQTH7n0

お登勢「この町は浄も不浄も受け入れる、なんでもあり、喧嘩上等の毎日がお祭り騒ぎみたいな町さ!ただね、踊る阿呆にはなっても踊らされる阿呆なんて無粋者にはなるんじゃないよっ!いいねっ?!」

皆その言葉に何か感じることはあったが、大いなる野望を胸に秘め、黙々と引き上げていったのであった。

決戦は一週間後、その結末は未だ誰にも予想しえない。そう、だってまだ考えてないから。



437: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/24(月) 22:35:38.52 ID:EZVQTH7n0

ちなみに今時点のチーム分け

銀時、新八、神楽、あかね、良牙、長谷川、桂、九能、さっちゃん、月詠、百華、狂死郎、ホスト軍団

VS

乱馬、シャンプー、シャンプー一派、右京、勝男、溝鼠組、ムース、アゴ美、オカマ軍団

VS

お妙、お妙一派、九兵衛、柳生一門

VS

真選組

VS

土方・THE・キラー

抜けがあったらごめんなさいw



439: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:02:27.16 ID:ojORfzJL0

~それぞれの一週間編・一日目~

―かぶき町、公園。

男は鍛えていた。

六日後の戦いに備え、体を、心を、精神を。

身体から汗が滴り落ちる。筋肉が悲鳴を上げる。全身に熱がこもる。

男は満足のいく鍛錬が出来たと感じていた。

そしてセル戦の前の悟空の『試合前に修行のやり過ぎは良くねえ』とかいう言葉を思い出し、今日のところはこの辺にしようと、同じく修行をしている同士達に声を掛けた。



440: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:12:40.13 ID:ojORfzJL0

長谷川「よし、今日の訓練はここまでだ!みんな、お疲れ!」

新八「いや早えよ、始まってまだ10分も経ってないんですけど」

長谷川「だって疲れちゃったんだもぉん!今日は止めようよぉ!それにセル戦の前の悟空だって――」

新八「そのくだり地の分で読んだんでいいっす」

神楽「そんなに止めたいならいっそ人生ごと止めさせてやろうか?」

あかね「こら神楽ちゃん。そういうことは言わないの」

良牙「あかねさんの言う通りだ、そんなこと言ってると修行付けてやらないぞ」

ここはかぶき町のとある公園。良牙、あかね、新八、神楽、長谷川の五人は六日後の戦いに備えて供に修行をしようとやって来ていた。ちなみに銀時は二日酔いで家でダウンしている。



441: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:20:15.80 ID:ojORfzJL0

神楽「それは嫌アル!済まなかったマダオ」

どうして良牙の言う事をこんなに素直に聞いているのかというと

神楽「ちゃんと謝ったアル!だからあの技、飛行船を撃った手からかめはめ波みたいなの出すやつ教えて欲しいアル!」

というわけである。

新八「いやー、まさか手からあの類の必殺技を撃てる世界から来ていたなんて。もっと早く知りたかったですよ。これで僕等もまた一段と強くなれるね、神楽ちゃん」

神楽「うん。ちゃんとマスターして公式にも認めてもらったら次にゲーム化した時かなり画面映えするのは確実アルな。人気もうなぎ上りアル!」

新八「いや、その可能性はホントにゼロだから。そういうのは期待しないで」



442: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:36:06.21 ID:ojORfzJL0

良牙「よし、では基礎練はここまでにして実際に気を練って撃つ修行に入るか」

長谷川「よ!待ってました!」

あかね「もう、長谷川さんも調子良いんだから」

俄然やる気の出す長谷川を見てあかねが言う。もちろん彼も必殺技を修得したいがために、昨夜の銀時達との決起集会飲み会明けの体に鞭打ってここまで来ていた。

良牙「あの技は獅子咆哮弾といってな。簡単に言えば自身の重くなった気を練り上げ体外に撃ち出すという技だ」

神楽「父膀胱ガン?」

新八「それはまた別で重いよ!ちゃんと話聞けよ!」



443: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:40:37.14 ID:ojORfzJL0

良牙「まあ俺に適していたのが重い気を扱う獅子咆哮弾だったわけで、お前らみたいなちゃらんぽらんには難しいかもしれんな」

神楽「それじゃ私たちには出来ないアルか?」

良牙「そういうわけでもない。乱馬も自身の強気を練り上げて撃ち出す猛虎高飛車という技を使っているが、それは奴が獅子咆哮弾を撃つに適していなく、自分にあった気の使い方を編み出したからだ」

良牙「つまり、自分にあった気を使えば獅子咆哮弾ではなくとも、新たにあの手の技を開発することは可能ということだ」

新神長「おおー!!」

良牙の理論に一同が興奮する。



444: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:43:20.07 ID:ojORfzJL0

良牙「では早速やってみるとするか。普通の人間には難しいとは思うが三人とも見たところ、かなり鍛えてはいるみたいだからな。六日もあれば完成させられるだろう。では神楽、お前からだ!」

神楽「はい師匠!」

神楽が満面の笑みで、ウッキウッキで手を挙げる。

良牙「ではまず俺が軽く撃つからその型通りにやってみるんだ」

そう言うと良牙は両腕を体の前で交差させ、重い気を練り始めた。そうして練り上げられた気は付き出した両手を通して

良牙「獅子咆哮弾っ!」

眩い光を放った気の塊となって空に放たれた。



445: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:46:54.19 ID:ojORfzJL0

良牙「こんな感じだ、やってみろ。ただお前は重い気を使おうとするなよ。自分に合うと思う気を使うんだ!」

神楽「おう師匠!」

神楽が良牙の型を見よう見まねで模倣する。その様子を少し離れて見ていたあかねが微笑みながら言った。

あかね「なんだか師弟というより兄弟みたい。神楽ちゃんはしゃいじゃって」

新八「確かに。神楽ちゃんも年相応に可愛らしいところがありますからね」

長谷川「ハハッ。それにしても神楽ちゃんなら早速マスターしちゃいそうだな」

なんて冗談で三人は笑い合っていたのだが、神楽の体から目に見えるほどの練り上げられた気が精製されていた。



446: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:48:35.20 ID:ojORfzJL0

長谷川「ま、マジでっ?!」

そして神楽は良牙同様に練り上がった気を両手から放出した。

神楽「ヘルズ!ファキナウェェェイ!!」

神楽の両手から禍々しい気の塊が放出される。それは射線上にあった樹木を綺麗に丸ごと消滅させるほどの威力であった。

あかね「神楽ちゃん凄いじゃない!」

良牙「良くやったぞ神楽!技の名前はどうかと思うがな」



447: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:52:50.43 ID:ojORfzJL0

神楽「サンキュー師匠!これでこの星を、いや全宇宙を支配することが出来そうアル!凶帝カイザーファキナウェイに一歩近づいたアル!」

長谷川「自分に合う気って一体何使ったらあんなドス黒い色になるの?!ってかこの子に覚えさせちゃまずかったんじゃ……」

新八「じゃあ次僕!僕お願いします!」

神楽の成功にテンションの上がった新八は思い切り手を挙げて、次の挑戦者に志願した。

良牙「よし、やってみろ」

新八「はい!師匠!」

新八もこれまた型通り目を瞑って気を練り始める。その様子を皆少し緊張しながら見守っている。



448: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:56:30.30 ID:ojORfzJL0

新八(自分に合った気、自分に合った気、自分に合った気……)

そして練り上げられた気が新八の両手から放たれる。

新八「うおぉぉぉぉ!!!」

新八の両手から3メートル級の眼鏡が放出された。それは射線上にあった樹木を綺麗に丸ごと消滅させるほどの威力であった。

長谷川「なんでぇぇぇ?!なんで気じゃなくて眼鏡出てんのぉぉぉ?!」

あかね「新八君も凄いじゃない!」

神楽「やるな新八。駄眼鏡の汚名返上ネ!」



449: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 20:59:14.34 ID:ojORfzJL0

新八「やりましたよ師匠!思い付かなかったから技名は言えませんでしたけど」

良牙「良くやった新八、技名は俺が付けてやろう。『魔眼招来破』というのはどうだ!」

新八「ありがとうございます!」

新八はとても嬉しそうに頭を下げた。

長谷川「誰も不思議に思わないの?!手からでっかい眼鏡出たんだよこの子?!気を練ってたんじゃないの?!それに手からでっかい眼鏡出すだけなのに技名カッコ付け過ぎじゃね?!」

良牙「よし、最後は長谷川さんだ!長谷川さんなら獅子咆哮弾でいいだろう。自身の重い気を練り上げるんだ」

長谷川「わ、分かったよ。色々と突っ込み足りない部分はあるけどやってみるよ」

長谷川もこれまで通り、皆の模倣をして目を瞑り気を練り始める。と突如、周囲に異変が起きた。



450: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 21:01:17.56 ID:ojORfzJL0

あかね「な、なんか重力が増してないかしら?」

新八「た、確かに体が、重くなってます!な、なんなんだ一体?!」

神楽「なんかマダオの周りの景色が歪んでるアル!」

良牙「ま、まさか!長谷川さんの重い気が原因で、この一帯の重力に影響を与え始めているというのか?!」

新八「良牙さん!長谷川さんを止めて下さい!あの人と獅子咆哮弾の相性が良すぎて逆にマズいですこれは!」

良牙「お、おう!ぐふっ!」

動き出そうとした良牙であるが、尚も増していく重力にとうとう立っていることさえ出来なくなってしまっていた。



451: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 21:01:56.77 ID:ojORfzJL0

神楽「マダオ!止めるアル!」

その叫びも長谷川の周囲の重力に阻まれて彼の耳に届くことは無かった。

長谷川(重い気重い気重い気重い気重い気重い気重い気重い気重い気重い気重い気……よしっ!)

そして彼は目を開け気を解き放った。

長谷川「獅子!咆哮弾っ!」

良あ新神「う、うわあああああああああ!!!!!!」



452: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/25(火) 21:04:35.59 ID:ojORfzJL0

―かぶき町、上空。ヘリコプター内。

花野『こちらが謎の大規模爆発が起こった現場です!一体何があったのでしょうか?!地面に巨大なクレーターが出来ています!警察では六日後に開催されると言われている『かぶき町バトルロワイヤル』に関連した事件ではないかと捜査をしているとのことです!以上、現場の花野でした!』

ピシャンッ

ソファに寝転がった銀時はテレビを消すと一発屁をこき、昨日のジャンプを読み始めた。

銀時「物騒な世の中だねぇ」

こうして彼らの一日目は過ぎていった。



460: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:30:43.51 ID:Tlc4olrO0

―かぶき町、通り。

男は走っていた。

腕を振り、足を上げ、どこを目指すともなく、ただ走っていた。

まるで、俺の人生のよう。立ち止まることはいつでも出来る。

ただ俺の中の性が、熱い何かが、そうするのを許さないのだ。

だから俺は走り続けるのだ。






~それぞれの一週間編・二日目~



461: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:31:40.43 ID:Tlc4olrO0

とは言っても呼吸が続かない。よし、今度こそ煙草を止めよう。男は固く誓った。

後ろを振り返る。よし、今度こそこいつらとの関係は止めよう。男は固く誓った。

長谷川「あぁぁぁ!!!もう走れない!!ホント無理だって!!」

ムース「喋る余裕はあるようではないか!」

二人はかぶき町の通りを激走していた。



462: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:40:12.73 ID:Tlc4olrO0

長谷川「もうこれ以上は何も喋れません!!どうにかしてぇムースえもん!!」

ムース「仕方ない。ほら!!」

ムースの袖口から多数のロープが放たれ長谷川の体に巻き付く。

長谷川「え?ええ?!」

そのロープを巧みに操るとムースは、長谷川を簀巻きにし引きずって尚も走り続ける。

長谷川「うおおおおお!!!!!痛い!!痛いよこれ!!色々ぶつかるし!!」



463: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:47:38.93 ID:Tlc4olrO0

ムース「注文の多い奴じゃな!だったら後ろの男達にさっさと捕まえてもらうがいい!」

長谷川「そ、それは嫌だ!!って痛っ!!ビンを路上に捨てるな!!」

二人の後ろには十名前後の真選組の隊士達。ムース達は彼らから逃げているのであった。

事の起こりは数分前。

―かぶき町、裏路地。

長谷川「ったく、昨日は酷い目にあったぜ。しかし良く生きていたもんだ。ギャグ漫画補正万々歳だぜ」

長谷川は裏路地のゴミ箱を漁り、何か食べられるものはないかとエコ活動を行っていた。



464: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:51:22.39 ID:Tlc4olrO0

長谷川「今日はなんもねえか。ちっ、しけてんな」

そう言って顔を上げ伸びをする。そこで彼は信じられないものを目にし固まってしまう。

長谷川「え?いや、え?」

ムース「おお、お前は長谷川。こんばんは」

二階相当の高さに亀甲縛りをされて宙吊りになっているムースの姿がそこにはあった。

長谷川「む、ムース君?な、何してんの?!てかなんでそんな恰好で普通に挨拶してんの?!」



465: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 20:56:39.45 ID:Tlc4olrO0

ムース「なーに、簡単な話よ。天人襲撃の件で真選組に追われていての。奴等から逃げる為にこの様な隠れ方をだな――」

長谷川「ごめん、ジェネレーションギャップかな。全然オジサンにはその話簡単じゃないんだけど?!なにがどうなったらそんな隠れ方に行き着くの?!」

ムース「奴らに追われてこの路地に逃げ込んでな、すかさず亀甲緊縛術でこの高さまで体を移動させたのじゃ。その後おらを追ってきた真選組は狐につままれたように首をキョロキョロとさせ今し方、表通りの方にいもしないおらを探しに行ったというわけじゃ」

ムースがえっへん、といった調子で説明を終えた。

長谷川「あ、君馬鹿なんだ!わざわざ自分を縛る必要なくない?!君ならもっと別の道具でなんとかなったでしょ?!前使ってた鉤爪とかさ?!」

ムース「そ、その手があっただかっ!目から鱗が落ちただっ!」

ムースが衝撃を受ける。



466: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:00:33.45 ID:Tlc4olrO0

長谷川「うん、じゃあ鱗と一緒に君も降りてこようか。絵的になんかすごいマズいことになってるから今」

ムースは自身の技を解いて地面に降り立った。

長谷川「そう言えば今日はさっちゃんは一緒じゃないのかい?」

ここ最近は常にセットで現れていたので、さっちゃんの姿が見えないのを不思議に思った。

ムース「始末屋稼業は一昨日で廃業、コンビも解消じゃ。五日後敵味方に分かれて戦うというのに、続かられるわけがなかろう」

長谷川「そ、それもそうか。なんか変な事聞いちゃって悪かったな」



467: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:03:09.26 ID:Tlc4olrO0

ムース「なーに、別に気にすることもない」

そう言ったムースの真意を、彼の眼鏡の奥から長谷川には測ることは出来なかった。

神山「いたぞ!ムースだ!」

隊士A「なんか一人増えてるぞ?!まあいい、とりあえず牢にぶち込んどきゃいいだろ?いくぞ!」

二人の隊士が表通りから戻ってきてしまったのであった。

ムース「まずい!逃げるぞ長谷川!」

長谷川「ええ?!俺も?!俺なんもしてないんだけど?!」



468: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:09:22.76 ID:Tlc4olrO0

ムース「あいつらがそんなこと素直に聞いてくれると思っているのか?その事はおらより長くこの町にいるお前の方が分かってるんじゃないか?」

真選組の傍若無人っぷりを頭の中で再生させた長谷川は

長谷川「逃げよう!!」

ムースよりも早くその場から逃げ出した。

その後逃げている間にあれよあれよと追手の隊士の数が増え、冒頭に繋がるのだった。

沖田「桂ぁ!ってあれ?今日は違うの?」

神山「隊長、今日は桂じゃありません!二日前の天人襲撃犯です!」

そしてとうとう、最悪の追手が応援要請を受けて追跡に加わった。



469: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:15:27.70 ID:Tlc4olrO0

ムース「こりゃいかんな。あの茶髪が出張ってくるとは」

長谷川「いでっ!た、確かに真選組屈指の強さらしいけど、いでっ、君も結構強いんじゃないの?!いっそやっつけちゃってよ、ムースえもん!」

ムースに引きずられ、舌を噛みつつも長谷川が言った。

ムース「おらにばかり頼り過ぎるでないマダ太君。それに一度奴とは手合わせしたことがあるんじゃが、情けない話だが敵う気がせんかった。仕方ないだがここは逃げる!」

ムースの走る速度が更に早まる。その後ろ姿を見た沖田は数日前一戦交えた暗器使いを思い出した。



470: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:20:14.39 ID:Tlc4olrO0

沖田「ああ、あいつかぁ。結構厄介な、めんどくせぇ戦い方をする奴だったなぁ。よし、接近戦はしたかねえから今日はこれで行こう!」

神山「これっていつものやつじゃないですか!」

沖田がどこからか取り出した愛用品を見て、思わず神山は突っ込んでしまう。

沖田「ムースゥ!」

沖田は慣れた手つきで、なんの躊躇いも容赦もなくバズーカを発射した。

長谷川「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ムース「ちぃっ!!」

二人に着弾したのかは定かではないが大きな爆発が起こり、周囲に爆煙が立ち込めた。



471: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/26(水) 21:22:20.63 ID:Tlc4olrO0

―かぶき町、上空。ヘリコプター内。

花野『こちらが天人襲撃犯が爆殺されたと噂の現場です!周囲の建物にも被害が見てとれます!真選組のこのような捜査に対し、益々市民からの風当たりは強くなりそうです!警察では五日後に開催されると言われている『かぶき町バトルロワイヤル』に関連した事件ではないかと捜査をしているとのことです!以上、現場の花野でした!』

ピシャンッ

ソファに寝転がった銀時はテレビを消すと一発屁をこき、一昨日のジャンプを読み始めた。

銀時「物騒な世の中だねぇ」

こうして彼らの二日目は過ぎていった。



475: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:28:26.08 ID:+01eTrqC0

―かぶき町、とある店。

男は踊っていた。

スポットライトを浴び、きらびやかな衣装に身を包み、心弾む曲に合わせて。

自らを見てくれる観客のため、またそれは自らのためでもあった。

しかし、だがしかし、どうにも頭にこびり付く疑問が拭えない。

そして彼はとうとう、その疑問を口にしたのだった。自分と同じ舞台に立つ、ダンサー仲間に。







~それぞれの一週間編・三日目~



476: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:30:03.11 ID:+01eTrqC0

長谷川「なあ!なんで俺、こんなことしてるのかな?!」

自分の右横で、慣れた様子で踊る桂に長谷川は声を張り上げた。曲がかかっているため、大声ではないと声が届かないのだ。

桂「ここは舞台。私たちは演者。簡潔にして至極真っ当な理由だろう!」

長谷川「いや、なんかそういう哲学的なんじゃなくてさ!君はどうなの?!なんの疑問も湧かないの?!」

九能「少し静かにしてもらえないだろうか!集中したいのでな!」

長谷川「ええ?!そんな真剣にやってたのぉ?!」



477: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:33:42.15 ID:+01eTrqC0

桂「逆に聞くが真剣にやっていないというのか?!来てくれたお客さんに失礼であろう!」

長谷川「いや、まあ真剣っちゃ真剣だけどもさ!ホントにこんなんで恩返しになるの?!」

昨日真選組から追われていたところを偶然通りかかった桂、九能に長谷川は助けられていた。そして、今日、何か恩返しはできないかと尋ねたところ、人手の足りぬ店でショーダンスを踊って欲しいと言われて今に至る。ちなみにムースとは昨日の爆発で離れ離れになってしまった。

桂「なるともさ!さあ!踊り狂おうではないか!」

九能「フンッフンッフンッフンッ!」

長谷川を置いてけぼりにするように、二人のダンスに更にキレがかかる。



478: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:37:14.97 ID:+01eTrqC0

客A「おい真ん中のヒゲオカマ!しっかり踊りやがれぇ!」

客B「そうだそうだ!こっちは金払って見に来てやってんだぞ!てからん子ちゃん出せやぁ!」

体が着いていかなくなってきている長谷川にヤジが飛ぶ。

長谷川「うるせぇ!だいたいこんな恰好で踊れるかっつーの!」

煌びやかでセクシーな和服に身を包んだヒゲオカマ、長谷川がそれに応戦する。

桂「こらマダ子!お客様に向かってなんてこと言うの!」

長谷川「もうやってられっかよ!づらっち!別の形で恩返しさせてくれよぉ!」

九能「づらっちではない!ヅラ子よ!」



479: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:43:57.72 ID:+01eTrqC0

そう、ここはかまっ娘倶楽部。三日前から修行の旅に出てしまった乱馬の穴埋めに桂、九能が呼ばれ、丁度良いタイミングであったため長谷川も連れて来られたのだった。

アゴ美「こらヒゲ美!お客さんと喧嘩してんじゃねえ!」

長谷川「名前くらいは統一してくれよ!」

九能「グラ江さん!落ち着いて!」

長谷川「え?!君日本語分からないの?!いい加減にしろぉ!」



480: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:47:31.22 ID:+01eTrqC0

―かまっ娘倶楽部、厨房。

九能「まったく、長谷川さんのせいで花形であるダンサーから降ろされてしまったではないか」

とうとうアゴ美からレッドカードを貰い、厨房で仕事をするように言われてしまった三人であった。

長谷川「だからなんで九能君そんなにやる気あるの?てかめっちゃ踊り慣れてたよね?若干どころか結構オジサン引き気味なんだけど」

九能「フッ、攘夷志士たるもの、そして桂さんの弟子たるもの、変装術は磨いておかねばならないのでね。桂さんの伝手で踊り、変装できるここは恰好の稽古場だったわけですよ。それにここではおさげの女も働いていたので。ああ、おさげの女!君は何処に行ってしまったんだ!」

長谷川「あ、実際はそれ目当てでここに通ってるうちに踊り慣れたのね。やっぱ頭一つ飛びぬけて馬鹿だよ君」

虚空に手を伸ばす九能を、長谷川はばっさり切り捨てた。



481: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:51:24.49 ID:+01eTrqC0

オカマA「鳥のから揚げ一つね!」

そんなくだらない会話をしていると、ホールから注文が入る。

桂「来たか。ちなみに言っておくが俺は料理などからっきしだ」

長谷川「俺も正直苦手だな。普段の食生活とかそりゃ酷いレベルだしね」

九能「僕も料理はうちの者がやってくれていたので……」

三人の間に不穏な空気が流れるが、それを九能が打ち破った。

九能「そうだ!鳥のから揚げは出来ないがスイカなら見事に切ってみせましょう!」



482: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 20:59:47.43 ID:+01eTrqC0

桂「何!それは凄いではないか九能君!よし!それでいこう!」

長谷川「どんだけ褒めて伸ばすタイプなんだよ!全然それじゃいけないよ!鳥のから揚げですって言いながらスイカ出すホールの人の気持ちも考えようよ!」

長谷川の突っ込みをまったく気にもせず、九能は腰の木刀を構えた。

九能「そりゃ!」

どこからか取り出したスイカを一瞬にして、見事な切り口でカットされたスイカに変えた九能であった。

桂「おお!この切り口は!うまい!うまいぞぉ!」

長谷川「いや、確かに見事だったしうまいけどさぁ!鳥のから揚げはどうすんだよづらっち」

そんなことを言いつつもむしゃむしゃとスイカを貪る長谷川であった。



483: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 21:06:11.23 ID:+01eTrqC0

九能「こんな時エリザベス殿がいてくれたら!」

長谷川「あれ?そういや今日いないじゃん。どこ行ったの?」

桂「俺の密命を受けて今頃江戸中を飛び回っているだろう。Xデイまでには戻るだろうさ」

スイカの種を口の周りに付けまくりながら桂が言った。

桂「さてと、このまま手をこまねいているわけにもいくまい。このスイカに下味と衣を付けて揚げてみよう」

長谷川「ごめんなんて言ったの?とうとう俺の耳壊れたみたいだわ」



484: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 21:10:50.05 ID:+01eTrqC0

九能「鍋に油入れておきましたよ桂さん。ただ火の付け方が分からん。うーむ」

九能が首と、どこからか持って来た巨大なガス管の栓をひねっている間に、桂が下味と衣を付け終わる。

桂「よし、アイキャンフラーイ!ってなんか臭いな」

長谷川「あーあ、もう煙草でも吸うかな。疲れちゃったよ」

長谷川がくたびれた様子で懐から煙草とライターを取り出す。



485: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 21:11:26.03 ID:+01eTrqC0

九能「クンクン、ま、まさかガスが?!」

桂「は、長谷川さん!止めるんだ!ガスが充満して――」

長谷川「え――?」

カチッ。長谷川がライターの巻き石を回した瞬間、

ドゴォォォォォォォォン!!!!

辺り一面を吹っ飛ばすほどの大爆発が起きたのだった。



486: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/27(木) 21:11:59.12 ID:+01eTrqC0

―かぶき町、上空。ヘリコプター内。

花野『こちらがガス爆発が起きたとの情報が入った現場です!!なんでも今火が上がっているお店はオカマバーだそうで、日頃から近隣の店舗とのいさかいが絶えなかったそうです!警察では四日後に開催されると言われている『かぶき町バトルロワイヤル』に関連した事件ではないかと捜査をしているとのことです!以上、現場の花野でした!』

ピシャンッ

ソファに寝転がった銀時はテレビを消すと一発屁をこき、三日前のジャンプを読み始めた。

銀時「物騒な世の中だねぇ」

こうして彼らの三日目は過ぎていった。



491: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:06:46.06 ID:UGY+N11i0

―かぶき町、通り。

男は浮かれていた。

残り少ない所持金に、恐怖で怯えていた先程までの自分が嘘のようだった。

体が、心が、軽い。

男は賭けた。なけなしの所持金を、自分の下を去った女房を連想させる数字の競走馬に。

見事に勝った。劇的な勝利であった。久々に財布が分厚く、重い。

ここ最近の不幸を帳消しに出来ると感じるほどの幸運であった。

長谷川「よし!飲みいっちゃうぞぉ!」










~それぞれの一週間編・四日目~



492: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:11:06.15 ID:UGY+N11i0

オーナー「お、長谷川さんじゃないか!どうだい、今日はホント安くするから飲んで行ってくれよぉ!」

長谷川「よぉ、すまいるの店長じゃねえか。店長自ら客引きたぁ泣かせるねぇ」

長谷川が通りを歩いていると、馴染みのキャバクラ『すまいる』の店長に声を掛けられた。

オーナー「それがよぉ、三日後のかぶき町なんちゃらのせいで客がビビッてこの町に全然寄り付かなくなっちゃってねぇ。店も閑古鳥なんだ」

店長はしけた顔で通りを見渡す。長谷川もつられて通りを見ると、言われれば普段より人も活気も感じられない気がするのであった。



493: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:26:55.55 ID:UGY+N11i0

オーナー「で、どうだい?!こんな暇だと女の子たちも退屈しちゃうんでね、今日はホント安くするよ!」

長谷川「うーん、行ってもいいっちゃいいんだがなぁ……」

自身の財布の中身、安くしてくれるという店長の言葉。普段なら二つ返事で店に駆け込むところだが、今日は、いや、少なくとも今週は店内は戦場と化しているのではないか。

店で働く二人の女傑族を思い浮かべ、長谷川は悩み唸り声を上げる。

そんな長谷川の思いを見透かしたように

オーナー「あ、もしかしてお妙ちゃんとシャンプーちゃんがドンパチ始めて巻き込まれないかと心配してる?でも大丈夫!」

店長は先回りしてフォローを入れた。



494: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:30:56.79 ID:UGY+N11i0

オーナー「店が始まる前にお妙ちゃん達が赤い馬に乗って矛担いで店長室に乗り込んできてね」

お妙『オーナー、軍事教練をしたいので今日は私たち有給使わせてもらいまーす!』

オーナー「って宣言して去って行ったんだよ。いやー、あんな暴力的な有給申請は生まれて初めてだったね。いや頷くしかないもん、首縦に振るしかなかったもん。じゃなかったら首横に飛んでたもん」

その記憶がフラッシュバックしたのか、グラサン越しでも分かるほど涙目になった店長には同情を禁じ得なかったが、不安が晴れた長谷川は二つ返事で入店を決めたのであった。

オーナー「一名様ご案なぁぁい!」



495: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:34:02.46 ID:UGY+N11i0

―かぶき町、スナックすまいる。

店内は店長の言う通り客数もまばらで数える程しかおらず、普段の賑わいからは想像もつかない程閑散としていた。

そこに可憐な女性たちの中でも、特に目を引く美しいチャイナ服の娘が扇子片手に長谷川の座ったテーブルに歩いてくる。

長谷川「おお!今日はシャンプーちゃんが付いてくれるのか!やっぱ今日はツイてるぜぇ!」

にやける長谷川には挨拶もせず、シャンプーはどかっとソファに座り込んだ。



496: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:39:43.79 ID:UGY+N11i0

シャンプー「早く酒注ぐよろし」

長谷川「なんでだよっ!なんで初っ端からそんなSっ気全開?!ここそういう店じゃないでしょ?!俺が酒注がれる側なんだけどぉ?!」

長谷川の席に着いたシャンプーは、早速いつもの如く奔放に振る舞うのであった。

シャンプー「何か面白い話するよろし」

長谷川「だからなんでだぁぁぁ!!!違うでしょ?!俺が楽しませてもらうとこでしょここはぁ!何ぃ?!俺が違うのぉ?!」

シャンプー「お前が違うある。ここは女の子の機嫌を取って楽しませ、時に高いプレゼントをし、時に高い食事に連れて行き、それでも報われない夢を見続ける男の墓場、オスカンダルある」

長谷川「ぶっちゃけちゃったぁぁぁ!!!それ絶対言っちゃだめだろぉぉぉ!!!店長っ!!この子チェンジッ!全力でチェンジィィィ!!!」



497: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:49:02.80 ID:UGY+N11i0

シャンプー「そういうサービスのある店じゃないある、静かにするね。はあ……」

立ち上がって大声でわめく長谷川と正反対に、切なげな眼をして元気のないシャンプーであった。

長谷川「……ったく、なんかあったのかい?」

そんな様子を見た長谷川は一息つくと煙草に火を付け席に座る。

シャンプー「乱馬が私を置いて修行の旅に出てしまて私とっても悲しいし暇ある」

長谷川「うん、まあ少なくとも今は暇じゃないはずだよね。ちゃんと仕事しようか」

いつまで経ってもシャンプーが酒を作る気配がないので、とうとう自分で酒を注ぎながら長谷川は言った。



498: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 21:58:18.24 ID:UGY+N11i0

シャンプー「ムースのやつも会いに来ないし……」

ため息を吐いて足を組み直すシャンプー。

長谷川「あ、ムース君なら一昨日会ったよ」

シャンプー「ホントあるか?!どこで何してるあるアイツ!」

急にテンションが上がったらしいシャンプーが身を乗り出して尋ねる。

長谷川「あ、あー……」

長谷川は口にしたことを後悔した。真選組に追われている最中に爆発に巻き込まれてそのまま行方不明とは、彼女には言い出しにくかった。



499: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:05:22.07 ID:UGY+N11i0

そんな気まずい表情を一瞬で読み取ったシャンプーは言った。

シャンプー「隠さず言うね。女の前で隠し事なんて出来ると思てるのか?ヒゲのくせに」

長谷川「……ふぅ、まぁそれもそうか。隠さず言うよ。でもヒゲのくせにって何?」

長谷川は煙を吐き出し覚悟を決める。

長谷川「実は『かくかくしかじか』な事情で彼とは離れ離れになっちゃったんだよ」

シャンプー「そ、そんなことがあったあるか……」

ムースの身を案じてか、彼女の顔には陰りが差し、とうとう俯き、その表情は見えなくなってしまった。



500: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:11:02.03 ID:UGY+N11i0

長谷川「……………」

シャンプー「……………」

シャンプーの小さな方が震える。

長谷川「シャンプーちゃん……」

シャンプー「超ウケるあるな」

長谷川「受けねえよっ!!!何?!今の下見て震えてたのって笑ってたの?!会いたくて震えてたんじゃないの?!」

シャンプー「面白い話できるあるな。褒めてやる」

長谷川「いらねえよぉぉ!!店長やっぱこの子チェンジっ!!もう最悪店長付いてくれればいいから!!」

今までの重かった空気を吹き飛ばすように長谷川が声を張り上げた。



501: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:13:47.18 ID:UGY+N11i0

シャンプー「ちなみにマダオ。そのムースをやったやつの名前はなんていうね?」

長谷川「え?ああ、あの真選組一番隊隊長、沖田総悟だよ」

シャンプー「あいつか……」

そうシャンプーが呟いたその時であった。すまいるの入り口のドアが凄まじい音と共に破られたのであった。

長谷川「な、なになになにぃ?!」

そこには赤兎馬に跨り、巨大な矛に鎧で身を固めたお妙が部下を従え、こちらを、いやシャンプーを睨み付けていたのだった。



502: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:21:06.91 ID:UGY+N11i0

お妙「本日の軍事教練のシメはここで痴女猫部隊との戦闘訓練だぁ!者どもぉ!覚悟はいいかぁ!」

お妙の掛け声にお妙配下の者たちが鬨の声を上げる。

長谷川「い、いやだぁぁぁぁ!!!もうオチ読めたもん!!!絶対いやだぁぁぁ!!!もう爆発に巻き込まれたくないっ!!!!」

今後の安易な展開を瞬時に察した長谷川は、慌てふためきながら裏口から逃げようと駆けだした。

それに続く他の客たち。そんな彼らを気にもせず、シャンプーは不敵な笑みを浮かべるとゆっくりと立ち上がった。



503: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:27:05.52 ID:UGY+N11i0

シャンプー「丁度良かたある、なんでか知らないが滅茶苦茶むしゃくしゃしてたね。きっとこれは乱馬がいないせいある」

お妙に向かって歩き出すシャンプーの後ろに、シャンプー配下の者たちが列を成す。

シャンプー「私のストレス、全部無くなるまで今日は帰さないある。覚悟するよろし」

お妙「女の子が『帰さない』だなんてはしたないこと言うもんじゃないわよ。まあ少し早いけど前哨戦ということで、消えてちょうだい」

二人が互いの射程距離に入る。見つめ合いにっこりと笑い合う。

シャンプー「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

お妙「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

ドゴォォォォォン!!!!!

巨大な気と気がぶつかり合い、とてつもない威力の爆発が起きたのであった。もちろん、長谷川が裏口から逃げきれなかったのは言うまでもない。



504: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/28(金) 22:30:09.67 ID:UGY+N11i0

―かぶき町、上空。ヘリコプター内。

花野『こちらがZ戦士同士の戦闘が起きたとの情報が入った現場です!!大小様々なクレーターが発生しており、またあちこちに火の手が上がっています!まさに世紀末といった様相です!!』

花野『警察では三日後に開催されると言われている『かぶき町バトルロワイヤル』とは関係なく、『あんなのいつものお妙さんじゃない!』と不可解なコメントを発表しています!以上、現場の花野でした!』

ピシャンッ

ソファに寝転がった銀時はテレビを消すと一発屁をこき、四日前のジャンプを読み始めた。

銀時「物騒な世の中だねぇ」

こうして彼らの四日目は過ぎていった。



509: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 17:55:18.72 ID:GKxQy1JD0

男は怯えていた。

次はいつ、どこからだ。

どこから襲ってくる。

どこが、何が、爆発するんだ。

もう嫌だ!何故、何故俺だけが。毎日、毎日爆発に巻き込まれなければならないんだっ!



510: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 17:58:12.55 ID:GKxQy1JD0

ていうかなんで俺まだ生きてんの?普通死ぬっしょ初日の時点で。

あぁ!毎日爆発に巻き込まれるくらいならもういっそ死なせてほしいんですけどぉ!

もう嫌だ!止めてくれ!ギャグ漫画補正とかいらないから!いっそ楽にしてくれぇぇ!

今ならディアボロの気持ち分かるわ、次はいつどうやって爆発するんだ。

く、くっそぉぉぉ!!!

長谷川「俺のそばに近寄るなぁぁぁ!!!」








~それぞれの一週間編・五日目~



511: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:10:29.29 ID:GKxQy1JD0

―かぶき町、通り。

子供「母ちゃん、この人なんでこんな怯えてんの?」

母「こら!そっち見ちゃいけません!」

母親らしき女性が子供の手を引っ張り、足早に長谷川の下から去って行った。

長谷川「くそぉぅ、くそぉぅ……どっからだぁ、次はどっから来るんだぁ!うわぁぁぁぁ!!!!」

怯えた様子から一転、今度は目を血走らせ周囲を伺い始める長谷川。どうやら順調に精神が病んでいっているようである。



512: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:19:41.58 ID:GKxQy1JD0

長谷川「ここかぁ!それともここかぁ!それともあの子のスカートの中かぁ!グワハハハハハ!!!!」

ゴミ箱の蓋を開けたり、通りすがる女性を下品な言葉を投げつける長谷川。そんな彼に声が掛かる。

右京「あら、長谷川さんやないの。こんな天下の往来で一体何してんの?」

買い物帰りで通りを歩いていた右京は、奇怪な行動に走る長谷川に気付き声を掛けたのだ。

長谷川「ククク、次は君か!右京ちゃん!さあどうやって俺を爆破するんだ?!あれか!かんしゃく玉が引火してドカンみたいな感じなんだろ!さあ出してみろよ!お前のキラークイーンをぉ!!」



513: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:26:43.80 ID:GKxQy1JD0

右京「ちょ、ちょっとなんやのいきなり。何があったん?」

長谷川「しらばっくれてもこっちには分かってんだ!!このグラサンの奥からでもな、まるっとお見通しなんだよ!!」

右京「だからなんの話やねんて……」

長谷川のここ数日の事情を知る由もない右京は、その常軌を逸したような彼の振る舞いに、ただただ困惑するばかりであった。

長谷川「ほら!ほら!早く爆破してくれよ!もう楽にしてくれよぉ!さあ!さあ!」

そんな右京の両肩をゆすりながら長谷川は叫び続ける。



514: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:37:57.72 ID:GKxQy1JD0

右京「だから落ち着け言うてるやろが!ったく……」

右京は揺らされながらも渋々愛用の巨大なヘラを持ち出すと

右京「少し眠ってなっ!!」

長谷川の頭をフルスイング。そして間抜けた顔で気絶した長谷川の首根っこを掴むと、彼を引きずりながら目的地へと再び歩き出した。



515: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:45:52.01 ID:GKxQy1JD0

―かぶき町、川岸。とある屋台。

鈍い頭痛と共に目を覚ました長谷川は、鼻孔をくすぐる、食欲を刺激する匂いを嗅いだ。

右京「お、起きたんやね。はい、これ。食べ!」

屋台の席に座らせられていた長谷川の前に、焼き立てのお好み焼きが出される。

長谷川「こ、これは一体……?」

右京「腹減ってるからあんなよう分からんことになるねんて。でもウチのお好み焼き食べたらそんなん吹き飛ぶから。さ、熱いうちにはよ食べや」

まだ状況をあまり理解していない長谷川であったが、空腹なのは事実であったので、その厚意を素直に受けることにした。



516: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 18:55:04.57 ID:GKxQy1JD0

長谷川「い、いただきます」

ゆっくりと箸をつけ口に運ぶ。

長谷川「こ、これは!美味い!美味すぎるよ右京ちゃん!」

右京「そりゃ良かったわ」

右京がにっこりと笑う。そこからはあっという間にお好み焼きを平らげた長谷川であった。

長谷川「いやぁ、ホントにありがとう!こんな美味いもんで腹が膨れたらなんだか気持ちも落ち着いてきたよ!」

右京「で、あんな追い詰められるまで何があったんよ。ウチで良ければ話聞くで」

空いた皿を片付けながら右京が言った。



517: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:01:30.50 ID:GKxQy1JD0

長谷川「き、君はなんて良い子なんだ……オジサンなんだか涙出て来ちゃったよ」

右京「あーもう泣かへんの。これでも使いぃ」

右京がカウンター越しにお手拭きを放る。

長谷川「それがね、聞いてくれよ!もう毎日毎日『かくかくしかじか』な事情で何かと爆発に巻き込まれるんだ!なんなんだろうね、吉良吉影の怨霊でもとり憑いてんのかね」

右京「そ、それはまたなんとも難儀な話やな……まあ、迷惑かけたみんなの分も謝っとくわ。すまんかったね」

長谷川「い、いいっていいって!右京ちゃんが謝ることじゃないし!それに、こんな美味いもん食ったから元気になったよ。また今日から頑張って生きていくよ」

長谷川が拳と共に決意を固めた。



518: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:05:51.25 ID:GKxQy1JD0

長谷川「そう言えばどうしてこんなとこで屋台やってんの?溝鼠組の仕切りのとこでやってたのに」

右京「ああ、それはなぁ」

右京が洗い物をしながら答える。

右京「あの滅茶苦茶な日あったやろ?五日前の。なんかあれ終わったあと、まだまだこの町の人たちのこと知りたなってな。どうしても同じとこいると見えないとこって出てくるやんか?」

右京「それで勝男さんに我儘言うてな。最後の一週間は好きなとこで屋台引かせて色んなもん見せてぇって、そんな感じで今はここでやらせてもろてんねん」

長谷川「そうだったんだ。でもあの極道たち悲しんでたんじゃない?右京ちゃんにべったりだったもんな」

右京「もう大変やったわ。姉さんが家出するやら一足先に異世界に帰るやら泣き叫び始めて」

長谷川「ハッハッハ、それは見てみたかったな」

先程とは別人のように落ち着いた様子で長谷川が笑った。



519: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:35:59.02 ID:GKxQy1JD0

長谷川「で、なんか面白いもんは見れたのかい」

右京「うーん、どうやろなぁ」

この五日間のことを思い出しながら皿を拭く右京。

右京「眼鏡掛けた兄さんと綺麗な姉ちゃんのコンビはおもろかったな。ありゃあ仲の良い兄弟、いや、なんだか親子にも見えたなぁ。ま、その姉ちゃんがここでドーナッツを焼いてほしいとか言い始めたりして」

長谷川「それでどうしたんだい?」



520: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:37:30.57 ID:GKxQy1JD0

右京「もちろん焼いたったわ。ポンデなんとかには敵わないけど美味しいって褒められたわ。あとはさっきまでいたんやけど、めっちゃ怖い顔したおとんと可愛らしい嬢ちゃんの親子とか。会話がめっちゃ物騒なんやけど嬢ちゃんはめっちゃ笑顔やねん」

長谷川「この町ならさもありなんだな」

長谷川が腕を組み深く頷く。

右京「あとはべろんべろんに酔っぱらったアナゴさんみたいな声のおっさんと、凛々しい顔した兄ちゃんのコンビとか。兄ちゃんが素面みたいな顔で自分のこと将軍とか言うてたから、どんだけ酔ってんねん!って思わずど突いちゃったわ」

長谷川「……うん、それは、あれだな。ともかく色んな人たちに会えたみたいで良かったな」

そのコンビに思い当たる節はあったが、自分が誰を叩いたかを彼女に知らせて要らぬ心労を与える必要もないと考え黙っていた。



521: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:38:20.84 ID:GKxQy1JD0

右京「せやな。ホントに楽しい町やでここは。自分たちの世界に帰るのが、少しだけ、億劫になっちゃうくらいに」

そう言って右京は微笑んだ。その後も彼らは穏やかな会話を続け、五日目の夜は更けていったのであった。

長谷川「え?!今日爆発しないの?!いいの?!やっと解放されたの?!やったぁぁぁ!!!」

右京「良かったなぁ!まあ爆発なんてしないのが普通なんやけど、ともかく良かったわぁ」

席を立って喜び踊る長谷川を見て、右京も嬉しそうであった。

彼の喜びのダンスはその後10分ほど続き、いい加減しつこいと右京にヘラで殴り飛ばされたのだった。けれども、彼の顔は喜び浮かれていたという。

こうして彼の長かった不遇な数日は幕を閉じたのであった。



522: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:41:13.02 ID:GKxQy1JD0

―かぶき町、万事屋。

花野アナ『とうとう二日後に迫ったかぶき町バトルロワイヤルに合わせて、あのアイドル寺門通が明後日、かぶき町でライブを行うとの発表をしました!警備等に不安の声が出ているものの、厳戒態勢で行われるとのことです!ではその寺門通さんにインタビューをしたいと思います!』

通『みんなー!元気にしてたー?!今回のライブ名は『かぶき町MUTEKIなのは誰だ?!私は絶対にSUTEKIデビューはしないんだから!んだタンをお前の顔面に吐きつける!』です!みんな絶対来て――』

ピシャンッ

ソファに寝転がった銀時はテレビを消すと一発屁をこき、五日前のジャンプを読み始めた。

銀時「平和な世の中だねぇ」

こうして彼らの五日目は過ぎて――

新八「過ぎるなぁぁぁぁぁ!!!!!お前いつまで屁ぇこいてジャンプ読んでんだよっ!!!!もう五日も経ってんだよアホたれぇぇぇぇ!!!!!!」



523: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:41:56.91 ID:GKxQy1JD0

銀時「え、ちょっと何よいきなり。もうここ最近はこんな感じで話畳んでんだからいいっしょ。今日はもう終わり終わりぃ」

新八「終わらせるかぁぁぁ!!!みんなこの五日で修行したり戦ったりとかやってんのに、なんでアンタはそんな夏休み中盤のだれ気味中学生になってんだよ!!」

銀時「だってそういうの柄じゃないしよぉ。あ、そうだ。じゃあこれからちょっくら修行してくるわ。多分日付変わっても帰って来ねえからお前帰っていいぞぉ。あぁ、あとヘパリーゼだけ買っといて、帰ったら飲むから」

新八「おい絶対飲み行くだけだろアンタ!おいっ!ちょっと待て坂田ぁ!アホの坂田ぁ!」

新八が止めようとするも、さっきまで屁をこいて寝っ転がってた人物とは思えない程俊敏な動きで、銀時は家から脱出したのだった。

新八「ったく、明後日大丈夫なのかなぁ……心配だよ、はぁ……」



524: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/29(土) 19:42:31.71 ID:GKxQy1JD0

とため息をついたところで、さっと表情をにやついたものに変えるとTVを付けた。

新八「ま、心配してても仕方ないしここはお通ちゃんを見て幸せな気持ちになろう!それにしてもライブやるんだ!楽しみだなぁ!」

その様子を神楽は酢昆布をかじりながら、死んだ魚のような眼で見ていた。

神楽「ホント男ってのはどいつもこいつも駄目な奴ばっかアルな」

こうして彼らの五日目は過ぎていった。



527:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/08/29(土) 21:51:57.48 ID:aLPj87Z7o


爆発しない……だと……?
いやまてもうこうなったら我々の手で爆発させればいいのではないか……?
むしろ爆発させるのが義務なのでは……?



529: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 00:31:17.02 ID:F7qKFmyB0


~番外編~

長谷川「>>527ふざけんじゃねえ!やっと爆発の輪廻から抜けることが出来たんだ!今更そんな理由で爆発してたまるか!てか爆発の輪廻ってなんだよマジで!」

ボム兵「ジジジジジジジジジジジジジ」

長谷川「え?ええ?!ボム兵?!爆発するにしても雑過ぎやしないこれ?!もうふざけんなよぉ!」

ボム兵「ジジジジジ」

長谷川「こっち来んなぁぁぁぁぁ!!!!!」

ボム兵「ジジ」

長谷川「あっ――」

ドゴォォォォォン!!!!

特に理由のない爆発が長谷川を襲う!



532: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:22:02.50 ID:F7qKFmyB0

男は満ち足りた気分であった。

思えば今週一週間どころか、あいつらと出会ってからというもの不運不幸の連続であった。

女房、仕事、金、社会的地位、人としての尊厳、数多のサングラス。そのどれをも失ってきた。

こんな人生、もうどうでもいいや。自暴自棄になり今までも酒、ギャンブルに溺れ、怠惰な生活を享受してきた。

だが昨日、彼女といた時間を通して、何かが自分の中で変わった気がした。

ただ、美味しいお好み焼きを食べさせてくれただけ。話を聞いてくれただけ。それでも男にとっては、死神と貧乏神と厄病神と4Pをかましている男にとっては、それがとてつもなく嬉しかった。



533: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:22:44.51 ID:F7qKFmyB0

その帰り道、ふと男は思った。

仕事、探すか。

思い立ってからの動きは早かった。

早速日雇いのアルバイトを決め、今はその帰り道。

久々の労働。それによる心地良い疲れ。今日は久々にぐっすり眠れそうだ。

よし、その前に軽く一杯引っかけて帰るか。

男は馴染みの屋台の暖簾を持ち上げた。







~それぞれの一週間編・六日目~



534: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:23:32.24 ID:F7qKFmyB0

長谷川「冷で一杯頼むよ」

親父「あいよ。お、久し振りじゃないか」

長谷川が席に座り、目の前で美味そうに煮えているおでんの具を吟味する。

長谷川「ああ、今日は久々に実入りもあったことだし。親父さんのおでんを食いたくなったんだよ、夏だってのになんだか急に涼しくなっちまったし」

親父「嬉しいこと言ってくれるねぇ、はいよ」

親父が元々細い目をさらに細くしながら冷酒を長谷川の前に置いた。

長谷川「まずは大根と玉子もらおうかな」

親父「今日のは良く煮えてるからうまいよぉ。それにしても長谷川さん、あんた良い顔になったんじゃないかい?どこかこう、何か吹っ切れたというか」

長谷川「そうかい?まあ吹っ切れたというより吹き飛ばされ続けたんだけどさ。まあ気持ち的に前向きにはなってきたよ」

長谷川が酒に口を付ける。今日の疲れがスーッと引いていくような感覚に、心地よさと懐かしさを覚える。



535: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:30:04.36 ID:F7qKFmyB0

親父「何があったかは知らないがそいつは良かった良かった」

大根と玉子、そしてがんもが盛られた皿が長谷川に出される。

長谷川「おい親父。俺はがんもなんて頼んでないぜ」

親父「サービスだよサービス、長谷川さんの新しい門出を祝してね。それに他にも良いことがあって少し気分が良いんだよ」

長谷川「おお!ありがとな親父。で、良いことってのはなんだい?聞かせてくれるんだろ?」

プリプリの玉子を二つに割りながら長谷川が聞く。書いていたら自分も飲みたくなってきた。



536: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:30:58.46 ID:F7qKFmyB0

親父「良くここに通ってる常連がいるんだがね、それがどうにも情けないタチの男だったんだ。屋台のことを婆とか言ったり焼酎のことをカミーユって言ったりと分けも分からん客で、まあ酷いもんだった」

長谷川「親父の聞き間違いも酷いと思うけどな」

親父「だがそれが最近は少しはまともになってきてね。まあ自分の息子でもなんでもねえ赤の他人なんだが、何故だか嬉しくなっちまってね」

長谷川「そいつは良かったじゃねえか。これからはそいつに稼いでもらってもっと足繁く通ってもらわねえとな」

親父「ハッハッハ、まったくその通りで」

穏やかな時間が流れる屋台であったが、そこに二つの声が暖簾の向こうから聞こえてくる。

乱馬「いってぇな!離せ!おさげを引っ張るな!」

西郷「まったく男のくせにうだうだうるさいわねぇ、今日くらい素直に付き合いなさいよ」

西郷が修行から帰りたての乱馬を捕獲、飲みに連れてきたのである。



537: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:40:42.39 ID:F7qKFmyB0

長谷川「おお、西郷さんに乱馬くんじゃん!」

西郷「あら、まるでダメなオ○ンポで有名なマダオじゃないのさ」

長谷川「まるでダメなオッサンでマダオだ!そんな間違え方するんじゃねえ!」

乱馬「胸を張って言う事か!」

長谷川の横に乱馬を無理矢理押し込むと、西郷はその横に座り込んだ。

親父「いらっしゃい。今日は懐かしい客が多いねぇ」

西郷「私はポン酒一升、瓶で。あんたは?」



538: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:51:32.24 ID:F7qKFmyB0

乱馬「俺はいらねえや」

西郷「親父、こいつ私とおんなじやつね」

親父「あいよ」

乱馬「あいよじゃねえ!俺は明日大事な決闘があるんだ。飲んでなんかいられっかっつーの」

長谷川「それもそうだよな。スラダンで言う山王戦前日みたいなもんだからな」

西郷「だからこそじゃない。それに山王戦前日もなんかビデオ見てもんもんしてただけじゃない」

長谷川「確かにもんもんしてたかもしれないけど言い方酷くね?!ただAV見てただけに聞こえんだけど?!」

親父「あいよ」

乱馬と西郷の前に、重量感のある音と共に一升瓶が置かれる。



539: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 18:53:37.45 ID:F7qKFmyB0

乱馬「だから俺はいらね――」

西郷「最後の夜なんだ、一杯くらいいいじゃないか」

声を大にして拒否しようとした乱馬であったが、西郷の眼差しを受けると、仕方ないといった様子で頭を掻いた。

乱馬「ったく、少しだけだからな」

西郷「それでこそかまっ娘倶楽部元ナンバーワン!さ、あんたも一緒に」

長谷川「お、いいのかい?それじゃ」

西長「かんぱーい!」

一升瓶二本とグラスという不格好な乾杯である。



540: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:05:49.99 ID:F7qKFmyB0

西郷は豪快に瓶を傾け酒を煽った。対して乱馬は一口嘗めただけで瓶を置いた。

西郷「ふぅ、親父。適当に盛り合わせ頼むわ」

親父「あいよ」

これまた豪快に瓶を置いた西郷は選ぶのも面倒なので、親父におでんのチョイスを頼んだ。

西郷「それにしてもこの一か月、色々あったけど楽しかったわね」

乱馬「楽しいもんか、俺にとっては散々だったぜ。女の格好してオカマバーにキャバクラ勤め、おまけにわけのわからん連中と毎日毎日戦って……」

この一か月のことを思い出し、思わず酒に手を出す乱馬。

西郷「良く言うわよ、楽しそうに夜皇目指して頑張ってたじゃない」

乱馬「今思えばなんであんなに燃えていたのか分からん、修行二日目にして正気が戻ってこの一か月のことを悔いたわ」



541: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:06:23.00 ID:F7qKFmyB0

西郷「ハッハッハ、まああんた程乗せやすい奴もいなかったわ。すぐ熱くなるんだもの」

乱馬「笑いごとで済ますな!」

西郷「そういうとこよ」

乱馬「ぐっ……けっ」

いいようにやり込められ、またも酒に手を伸ばす乱馬であった。

親父「あいよ」

そこに大皿に盛られた沢山のおでんが置かれる。



542: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:11:26.56 ID:F7qKFmyB0

西郷「乱馬」

急に真面目に顔を正した西郷が乱馬の眼を真っ直ぐに見る。

西郷「アンタは明日元の、自分のいた世界に帰るわけじゃない?だから最後に言っておくわ」

乱馬「な、なんだよ急に。それに明日帰れるって決まったわけじゃ――」

西郷「私程のオカマになると別れには敏感になるから分かるのよ」

謎理論で西郷は乱馬の言葉を遮る。

西郷「さっきも言ったけどね、アンタはすぐ熱くなるタチだ。それが良い方向に働いていれば問題無いんだろうけど、そううまいこといくばかりでもない」

乱馬「……」

西郷「アンタの大切なモンってのが私には分からないけど、その熱さのせいで、何が大切なモンなのかを見失うようなザマにはなるんじゃないよ」

乱馬「……ああ、頭の片隅くらいには置いとくぜ」

そして二人は静かに一升瓶を傾けた。



543: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:12:25.00 ID:F7qKFmyB0

西郷「さ、真面目なのはここまでだ!こっからは大いに飲むぞぉ!親父、そこのグラサンにも瓶出したげて。ここは私の奢りだよ!」

長谷川「ええ?!いいのかい?!それじゃあ遠慮なく頂いちまおうかな!」

乱馬「おいオッサンども!俺は少ししか付き合わねえって――」

西郷「誰がオッサンだこらぁ!ママって呼べぇ!」

乱馬「もう俺は店員じゃねえんだ!ママなんて呼ぶ義理はねえ!だいたいお前みたいなママがこの世にいてたまるか化け物!」

西郷「あら残念だわ乱馬!アンタ元の世界には帰れそうもないわよ!」

と馬鹿騒ぎしていると再び暖簾が持ち上がる。



544: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:13:18.18 ID:F7qKFmyB0

近藤「お、今日はなんだか盛り上がってるな親父!ってげぇっ?!」

土方「近藤さん、ホントにこんな騒がしい屋台で飲むのかよってお前ら!」

真選組局長と副長の二人であった。

乱馬「あ、お前らっ!」

西郷「あらあなた達。いらっしゃい」

親父「西郷さん、セリフ取らねえでくださいよ。いらっしゃい。少々狭いかもしれませんが座ってください」

親父が笑顔で出迎える。



545: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:24:40.45 ID:F7qKFmyB0

乱馬「よぉ真選組の。この店にはマヨネーズなんざ置いてねえぞ」

土方「おぉ早乙女じゃねえか。未成年がこんなとこで何してやがんだ?それに今日はあの素敵な衣装はどうした?」

長谷川「な、なんかやばそうな雰囲気じゃん……」

乱馬、土方の間で不穏な、暴力の気配が高まる。

西郷「ちょっと乱馬。こんなとこでドンパチやらかそうってわけじゃないでしょうね?もう私の言葉を忘れたってのかい?」

近藤「トシ、今日は止めておけ。始まりの合図の前に斬りかかるなんざ無粋なマネすんじゃねえ。それに」

近藤が乱馬、西郷の顔を見る。



546: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:26:57.46 ID:F7qKFmyB0

近藤「こいつら異世界のやつらの、この町で過ごす最後の夜なんだ。今日くらいは静かに酒を酌み交わすのも悪かなかろうよ」

西郷「あら、アンタ話がわかるじゃない。ほら、こっち座んなよ」

近藤「おう、お邪魔させてもらうぜ」

煮え切らない顔の土方を尻目に近藤は、西郷の横に着席する。

西郷「ほらアンタも、早くしな」

土方「……けっ」

納得のいかない表情ながらも土方も近藤の横に座った。

近藤「熱燗くれ親父!こいつもおんなじのね!」

土方「近藤さん、今日はちぃと飲み過ぎじゃねえか?」

もうすでに出来上がっているらしい近藤は、陽気に土方の分も含めて注文する。



547: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:27:54.87 ID:F7qKFmyB0

西郷「ちょっとそんなチマチマした飲み方してんじゃないよ。今日は私の奢り!親父、こいつらに私らと同じものぉ!」

親父「あいよぉ」

そうして置かれる一升瓶二本。計五本の一升瓶が狭いカウンターに並べられていた。

乱馬「……なんだこの絵面は」

西長近「かんぱぁーい!!」

五本の一升瓶がカウンターの中央で交わる。



548: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:31:06.66 ID:F7qKFmyB0

近藤「いやぁ、まさかこんなところで会うとはなぁ早乙女ぇ!」

乱馬「酒くせぇ息吹きかけんな!」

近藤「つれないこというんじゃねえよ!ま、短い付き合いだったが結構楽しかったぜ!かなり迷惑かけられたけどな、ハッハッハ!なあトシ?」

土方「楽しいことなんかあるかよ。ただでさえ面倒な奴等が多いクソみてえな町だってのに、こんなのが何人も別世界だかなんだか知らねえが来やがりやがって。明日と言わずさっさと帰ってもらいたいもんだぜ」

西郷「あらぁん。この色男、ウチの乱馬と同じようなこと言うのね」

近藤「こりゃ傑作だ!確かにトシと早乙女は似てるところあるかもなぁ!ギャッハッハッハ!」



549: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:31:54.90 ID:F7qKFmyB0

西郷「そうなの?てことはあのニート侍ともそこの色男が似てるってことかしら?」

近藤「ニート侍って万事屋のことか?ギャーッハッハッハ!素直じゃねえとこはそっくりかもぉ!」

乱土「俺はあの万事屋なんざに似ちゃいねえ!」

長谷川「なんだよ、息ピッタリじゃねえか!」

西長近「ギャーッハッハッハ!」

乱馬と土方は馬鹿みたいに笑い転げる三人を苦々しく睨み付けると、やってられないといった様子で一升瓶を煽った。

土方「ったく、なんでこんなせめえカウンターで窮屈に、しかも男ばっかで飲まなきゃなんねえんだよ」

土方が愚痴りながら煙草に火を点ける。



550: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:32:50.63 ID:F7qKFmyB0

西郷「あら嫌だ、ここに紅一点がいるのが見えないの?」

乱馬「紅一点が一番ガタイが良いってのもおかしな話だぜ」

西郷「だったらあんたもこっち側に来ちゃいなさいよ」

と西郷はどこからか調達したバケツの水を乱馬にかぶせた。

乱ま「つめてっ!何しやがる!」

近藤「くっ!お、おおお女の姿になったからといっても、もう騙されんぞ!らんまちゃん!」

長谷川「早速流されかけてるけど大丈夫かおい」

土方「姿形が女になろうが結局は男だろうが!」



551: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:33:43.31 ID:F7qKFmyB0

西郷「注文の多い色男ね、アンタの顔面が横のゴリラ顔だったら私もう五回は殺してるわよ?」

近藤「いやぁ、良かったなぁトシィ!」

長谷川「良いんだっ?!」

馬鹿な会話が続きながらも、酒のペースは衰えない一同。

西郷「ま、どうせ全員男ならここはいっそあれやるっきゃないわね?」

らんま「あ、あれって?」

西郷「ボーイズトークに決まってるじゃない!」

らんま「俺水ぶっかけられ損じゃねえか!」



552: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:34:26.56 ID:F7qKFmyB0

近藤「お!いいねぇ!お互い好きな子とか言っちゃう感じのあれでしょ?!俺の好きな人、みんな分かるかなぁ?」

土方「アホらしい……」

長谷川「まあまあ」

面倒臭そうに呟く土方に長谷川がフォローを入れる。

西郷「それではボーイズトーク!!始めるわよーん!!」

近藤「イエーイっ!!!」

長谷川「よっ!」

西郷「それじゃあ最初のお題はこれ!『ワンピース何巻まで続くのか問題』よっ!」

らんま「なんじゃそりゃ!」



553: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:35:10.52 ID:F7qKFmyB0

土方「確かにボーイズの間じゃよく交わされてるだろう会話だろうけども!」

親父「ワシはあと50巻くらい続くと思うねぇ。その頃まだ生きてりゃいいんだけどねぇ」

らんま「親父入ってきちゃったじゃねえか!」

土方「しかもなんか重いんですけど?!大丈夫だ親父!きっとアンタはその頃もここで店やってジャンプ読んでるからっ!」

先程の長谷川とは比較できない程のフォローを土方が見せる。

近藤「お、俺実はお妙さんが好きなんだ!」

らんま「まだ一人だけ修学旅行の夜みたいなボーイズトークやってんじゃねえ!」



554: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:36:12.10 ID:F7qKFmyB0

長谷川「もう俺はすでにオッサンだったからあれとしても、初連載当時ボーイズだった少年たちも今や立派なメンズになってるからなぁ。なげえよなぁ」

長谷川が腕を組みながらしみじみと言った。

西郷「あら、メンズとは限らないわよ。ボーイズが成長したって私みたいな綺麗なレイデェになる場合もあるんだから」

近藤「レイデェってなんだっけ?ボブ・マーリーとかそういう話だっけ?」

西郷「喰らえぇ!レゲエパンチッ!」

カクテルの名前を叫びながら西郷が近藤の顔面に拳を打ち込んだ。

長谷川「じゃあ続いてはどうだろう、『ジョジョは第何部が好き?っていうか最近の良くわかんねえんだけど問題』について話すってのは?」

らんま「ボーイズトークっていうかもうただの会話だよなこれ」



555: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:37:10.39 ID:F7qKFmyB0

西郷「私は第一部に決まってるじゃない!ナヨナヨした男なんて論外よ」

土方「俺は第三部だな。承太郎はかっこいい」

近藤「俺はやっぱりお妙さんが一番好きかな?お妙さんは可愛い」

らんま「もう突っ込まないからなー」

長谷川も煙草に火を点ける。

長谷川「俺も実は承太郎が好きで第三部が好きなんだけどさ。だからこそ!だからこそさ!第六部がもう読めねえんだよ」

土方「確かにその気持ちは分かる。まあ読めないって程では無いが、あの承太郎が○○ところなんて俺も見たくはねえ」



556: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:38:10.25 ID:F7qKFmyB0

親父「ハッハッハ、まだまだお若いですな」

らんま「また入ってきた!なんてボーイズな親父なんだっ!」

長谷川「驚いてるとこ悪いんだけどボーイズな親父って何?」

親父は咳払いを一つすると、ゆっくりと話し始めた。

親父「確かにハッピーエンドではないし、承太郎ファンにとっては納得いかないエンドとも言えるストーリー展開です。ですが、彼の魂はエンポリオに引き継がれ、悪の親玉を倒すことに成功したではありませんか」

土方「だからって承太郎が○んで悲しかったのには変わりねえ!」

親父「承太郎も数々の仲間の、死者の魂を、黄金の魂を引き継いで彼の地に向かい戦いました。彼も、彼の周りもそのことが分かっている、いや、心が理解している」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

らんま「な、なんなんだこの親父は……」



557: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:39:16.21 ID:F7qKFmyB0

親父「彼が○んで悲しかった、だからもう見ないっていうのは違うんじゃありませんか?彼が好きだからこそ、彼が引き継いだもの、彼があの少年に引き継がせたものを最後までしかと見るべきなのではないでしょうか?真正面から向かい合うべきなのではないでしょうか?!」

親父「○んで悲しいからもう見ないだなんて言う情けない男に、承太郎を好きになる資格なんてありません!と私はそう思うのですよ。いや、すみません。口が過ぎましたね」

沈黙が屋台を包み込む。最初に口を開いたのは、涙声の土方であった。

土方「うぅ……た、確かに俺が間違っていた。そ、そうだよな。こんな情けないこと言ってたら、承太郎にオラオラされちまうぜ。親父ぃ!ありがとよぉ!」

長谷川「親父ぃ!その通りだった!俺は!いや俺達は!承太郎が好きだ!だからこそきちんと最後まで向かい合わなきゃならなかったんだな!彼の残した意志が、きちんとエンポリオに受け継がれていくのを!うぉぉぉぉ!!!親父ぃ!あんた最高だぁ!」



558: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:40:09.01 ID:F7qKFmyB0

西郷「私としたことが馬鹿なマネしちまったわね。ナヨナヨがどうとかじゃあない、ジョナサンの魂だって彼らに受け継がれているんですものね。ありがと、親父」

近藤「感動したっ!でも俺は承太郎よりお妙さんが好きだぁぁぁ!!!」

らんま「なんじゃこりゃぁ……」

らんまを除いて皆親父の言葉に感極まっていたのであった。

西郷「こうなったら乾杯よあんた達!愚かな私たちとはおさらばするのよ!」

長谷川「おうよ!」



559: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 19:41:08.74 ID:F7qKFmyB0

土方「乗ったぜ!そして俺達の魂もいつか誰かに引き継がれる!」

近藤「お妙さぁぁぁぁぁん!!!!」

らんま「もう、なんでもいいやぁ!」

五人が一升瓶を持って立ち上がる。

ら西長近土「かんぱぁぁぁぁぁい!!!!!」

こうして彼らの六日目は過ぎていった。



560: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 20:12:31.96 ID:F7qKFmyB0

―かぶき町、通り。

長谷川「いやー、今日は飲み過ぎちまったぜ。明日もあることだし早く帰らねえとな、ヒック!それにしてもあの四人はまだ飲むってんだからやっぱ体力あるよなぁ、ヒック!」

屋台を出て長谷川が本日のねぐらに向かっていると、へべれけで町を歩く二人組に出会った。

長谷川「おおい!銀さんにづらっちじゃねえか!なんだぁ、二人もご機嫌だねぇ!」

銀時「おうともよ長谷川さん!なんだか今日はどこの店も気前が良くってタダで飲んでけって言うもんだからよぉ!」

桂「ハッハッハッハァ!長谷川さん!いつから多重影分身を覚えたのだぁ?!ハッハッハッハァ!」

二人ともかなりアルコールが回っているようであった。



561: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/30(日) 20:13:18.09 ID:F7qKFmyB0

銀時「さっきお妙から連絡があってさ、明日の前祝にすまいるでタダ酒飲ましてくれるって言うから行くんだけどさぁ!長谷川さんもどうよぉ?!タダ酒だぜぇ?!」

長谷川「俺も行っていいのかい?!そんなの行くに決まってんじゃねえか!!」

桂「長谷川さん!いつから死神の口寄せなんて覚えたんだぁ?!肩に乗っかっているぞぉ!!ハッハッハッハァ!」

長谷川「それは笑えねえよぉ!!」

銀時「いいから笑っとけよぉ!ハッハッハッハァ!」

長谷川「まっ、いいか!ハッハッハッハァ!」

銀桂長「ハッハッハッハァ!」

男達の夜は終わらない。しかし、時は刻一刻と、開戦の時に近づいていたのであった。



566: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:37:06.66 ID:mMkUtiE40

~お詫び~

銀時「皆さんこんばんわ。えー、早速ではありますが。本日はこのSS最終回だとかなんだとか言っていましたが!なななななんとぉ!」

神楽「全然書き上がりませんでしたぁ!フゥーッ!ジャストドゥーイット!」

新八「テンションで乗り切ろうとするなぁ!」

銀時「私がぁぁ!今日で最終回って何べんも言ったのにぃ!うううぅぅ!!命懸けでぇぇ!!ううぅぅぅう!」

新八「あの記者会見止めろぉ!しかも文字で見るとなんのことやら分からんわぁ!」

銀時「まあそんなこんなで書き上がらなかったんでぇ、最終回は前後編にしまぁす!」

神楽「最終回サギに加えて前後編商法とは最低アル」

新八「神楽ちゃん、その商法まで否定しないで!」

神楽「うっすい総集編の垂れ流しで前編ですぅ!なんて消費者なめるのも大概にするヨロシ。たっくんの家のカルピスより薄いなんてちょっとした事件アル」

新八「もう止めろぉ!そしてたっくんって誰?!」

銀時「えー、とにかく今日は最終回!(前編)をお送りします!皆さん!」

本当にすいませんっしたぁ!!



567: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:39:05.45 ID:mMkUtiE40

――かぶき町、特設ライブ会場。

お通『今日は集まってくれてありがとうきびう○こぉぉぉ!!!』

ファン『とうきびう○こぉぉぉ!!!』

お通『今日はこのかぶき町で天下一武道会が開かれるらしいけど、みんな怪我には気を付けてねジは死ぬ必要あったのかぁぁぁ!!!』

ファン『あったのかぁぁぁ!!!』

お通『それではお通の特別ライブ、そして最終回!(前編)』

タカティン『スタートォ!!』

タカチン『お前がそれ言うのぉ?!』






~最終回・遥かなる旅路、さらば友よ(前編)~



568: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:41:29.17 ID:mMkUtiE40

今日のOP!





569: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:42:11.41 ID:mMkUtiE40

――かぶき町、ライブ会場横。

右京「らっしゃいらっしゃい!みんな買うてってやぁ!ウチのお好み焼きはうまいでぇ!」

ライブ会場横のスペースに勝手に模擬店を出店した右京、勝男率いる溝鼠組は忙しく接客、調理に励んでいた。

客「お好み焼き二つ下さい」

右京「あいよ!毎度おおきに!」

右京が慣れた手つきでお好み焼きをひっくり返し客に提供する。

勝男「さすが姉さん、繁盛してまんなぁ」

見回りをしていた勝男が右京のもとへやって来た。



570: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:43:23.89 ID:mMkUtiE40

右京「おかげ様でな!それと一週間、我儘聞いてもろてありがとうな」

勝男「そんなこと言わんといてくださいよ、姉さんが望むとおりにやってくれたらワシらはそれでええんですから。それにしても」

勝男が腕時計を見ながら首を傾げる。時計の針は14時を示している。

勝男「ワシらの出番は何時からなんですかね?あのクソ飛行船始める時間も指定せんと飛び去りおって」

右京「ホンマやね。ま、今は商売に専念や勝男さん!」

勝男「それもそうですね!おいお前ら!気合い入れ直してきりきり働けやぁ!」

ヤクザズ「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

ライブ会場、またその周辺は異様なまでの盛り上がりを見せていた。



571: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:44:27.92 ID:mMkUtiE40

――かぶき町、万事屋。

新八「くっそぉぉぉぉぉぉ!!!!!やられたぁっ!!!勝負はもう昨日の夜から始まっていたなんて!僕としたことが……」

新八「それにお通ちゃんのライブには行けないし、何故かタカティンがスタート言っちゃうし、最終回のタイトルまんま第三部パクっちゃってるし、最終回は前後編だし出だしから謝罪するしもう最悪だぁぁぁ!!!」

新八が頭を抱えて、最終回(前編)ということで普段の三倍ほど声を張り上げた。

良牙「お前のせいではない、新八。俺達全員の読みが甘かった、ただそれだけだ」

腕を組み、壁にもたれかかった良牙が言った。

あかね「そうよ新八君、それに私にこそ責任があるわ。私最後に見たのよ、あの時止めていればこんなことには……」

あかねは胸に手を当て唇を噛んだ。



572: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:45:32.86 ID:mMkUtiE40

神楽「あか姉のせいでは絶対ないネ。これはこの馬鹿の責任と姉御たちの策略の結果ネ」

神楽が冷めた眼で和室を眺める。そこにはパンツ一丁で、どこからか持ってきてしまったカーネルサンダース人形を抱いた、尋常じゃない程に酒臭い銀時が大いびきをかいていた。

そう、前日にタダで良いからとかぶき町の敵陣営の人間たちにしこたま飲まされていたのだ。というか自分から飲んでいたのであった。

あかね「こんな状態で銀さん戦えるのかしら」

良牙「万全じゃないとはいえ戦ってもらわなきゃ困る。ただでさえうちの陣営は人手不足なんだからな」

神楽「とにかく起こすアル!」

新八「そうだね!神楽ちゃんはそっちをお願い!僕は早く酔いが醒めるように、あと二日酔いが早く治るようにっと……」



573: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:47:18.03 ID:mMkUtiE40

新八がいそいそと用意を始める。その時であった。

パァァァァァァァァァァン!!!

パァァァァァァァァァァン!!!

パァァァァァァァァァァン!!!

と、三発の花火の音がかぶき町中に響き渡った。

良牙「ま、まさかこの花火の音は?!」

あかね「もう始まっちゃうの?!」

良牙とあかねが窓から身を乗り出し上空を見上げる。そこには一週間前、かぶき町の住人達にボロボロにされた飛行船が浮かんでいた。



574: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:51:47.54 ID:mMkUtiE40

ハタ「皆の者!一週間待たせたの!それではここにかぶき町バトルロワイヤルの開始を宣言する!」

あかね「そ、そんないきなり?!」

スピーカーから発信されたその声はかぶき町中に届いた。何の前触れもなく、覚悟をする暇もなく、唐突に、かぶき町バトルロワイヤルは開始したのであった。

神楽「銀ちゃん!早く起きるアル!そんな白髪の爺さんとベッドイン決め込んでる場合じゃないアル!」

神楽が渾身の力で揺さぶるも、何の反応もない。

あかね「神楽ちゃんそっちカーネル!」

神楽「あ、間違えたネ」

新八「神楽ちゃん!とりあえずお風呂沸かしてきたからそのゴミ野郎早くぶち込もう!」

神楽「了解アル!」

ピンポーンっ

神楽がカーネル人形ごと銀時を持ち上げると、玄関のチャイムが鳴った。



575: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:53:06.56 ID:mMkUtiE40

良牙「一体こんな時に誰だ?!」

あかね「私出てくるね、N○Kの集金かもしれないわ」

新八「暢気かぁ!」

あかねが玄関に向かおうと歩き出した時である、玄関の扉は激しい音と共に吹き飛んだ。

お妙「おはようございます、銀さん。ってまだ起きてるわけないわよねぇ」

赤兎馬に乗り、矛を担いだお妙が笑顔で万事屋に乗り込んできたのであった。

あかね「お妙さん?!」



576: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:54:42.44 ID:mMkUtiE40

良牙「ま、まずい!最初から狙われていたのか?!ここは一旦引くぞ!」

神楽「さすが姉御!容赦なさ過ぎて尊敬するアル!」

新八「実の弟のチームにくらい容赦してくださいよ!」

四人、プラス神楽に担がれた銀時は玄関から反転し、奥の窓から外に飛び出した。

お妙「フフ、逃がすわけないでしょう?」

外に飛び出たは良いものの、下にはお妙一派、柳生一門と思しき侍たちで埋め尽くされていた。

新八「開始早々ゲームオーバーじゃねえかぁぁぁ!!!」

良牙「そんなことはない!いいかみんな!着地の瞬間に辺りが見えなくなるとは思うが、構わず真っ直ぐ駆けだすんだ!」

良牙の言葉の真意は分からないものの、彼の言葉に一同は頷いた。



577: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:56:41.95 ID:mMkUtiE40

良牙「喰らえっ!獅子咆哮弾っ!」

良牙の手の平から気の塊が地上に放たれる。侍たちは見たことのない技に、小さい悲鳴を上げながら飛び退いた。

そうして空いたスペースに四人は着地する。とここで続けざまに良牙が地面を、左右の指で突いた。

良牙「爆砕天穴っ!両手突きぃ!」

凄まじい土煙と共に、地面そのものが舞い上がる。

良牙「走れぇ!」

その煙幕の中を四人は駆けていった。



578: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:57:13.35 ID:mMkUtiE40

そんな様子を万事屋から眺める二人。

九兵衛「さすが彼の友人だな。この包囲網を潜り抜けるとは」

お妙「そうね、侮れないわ。でも銀さんは見た通り戦力外。その隙にさっさと潰してしまいましょう」

九兵衛「ああ、行こうお妙ちゃん」

こうして二人は万事屋を後にし、一団を率いて彼らの追跡を続けるのであった。



579: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 20:59:18.71 ID:mMkUtiE40

――かぶき町、通り。

四人は後ろを気にしながら町を駆け抜けていた。幸い、追跡されている様子はなく、今までひたすら無言で逃げ続けていたが、ようやく新八が口を開いた。

新八「良牙さん!ありがとうございました!良牙さんがいなかったら危うくあそこでゲームオーバーになるところでしたよ」

良牙「気にするな。だがあの状況から察するに完璧あの一団にはマークされていたな。頼みの万事屋も使い物にならなくされているし、困ったものだ」

あかね「で、私たちは今どこに向かって走ってるの?」

あかねが先頭を走る良牙に尋ねる。

良牙「仲間のもとへ行こうと思う。ただでさえ俺たちの陣営は人数が少ない上にそれがばらけてスタートしちまった」

良牙「ということで、長谷川さん、九能達、ホスト達のところへ行き戦力強化を図る。残念だがこちらから吉原に行っている余裕はないだろうから、あいつらについては待ちだな」



580: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:01:41.21 ID:mMkUtiE40

新八「おお!確かに百華の皆さんがいないのは心許ないですが十分頼もしい戦略です!この馬鹿にも見習って欲しいもんですよまったく。それにしてもいつ起きるんですかねこの酔っぱらいは」

そう言って神楽に担がれた銀髪を非難のこもった眼で見た。

新八「あ…………………」

新八は走りながらではあるが、口をだらしなく開き、顔は真っ青になっていた。そんな様子に気付いた神楽が声を掛ける。

神楽「どしたアル新八?」

新八「……ダメだそれ、百年経っても起きないやつだそれ」

あかね「どうしたの新八君?って神楽ちゃんそれ!」

神楽「何アルかあか姉?」



581: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:02:38.00 ID:mMkUtiE40

良牙「ん?お、お前っ!馬鹿もんがぁぁぁ!!!」

良牙が足を止め神楽の頭に拳骨を落とす。

良牙「戦力が少ないと話をしたばかりというにお前はぁぁぁ!!!」

皆足を止め、どうしたもんかと頭を抱える。神楽は拳骨の痛みからであるが。

神楽「だから何アルかぁ!みんな酷いアル!」

新八「酷いのはお前だぁぁぁ!!!何背負ってるか見てみろぉぉぉ!!!」

神楽「何って銀ちゃん背負ってるに決まってるア――これカーネルじゃん」

神楽がにっこり笑い、片目を瞑って舌を出した。



582: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:06:29.96 ID:mMkUtiE40

神楽「いっけね、テヘッ」

新八「いっけね、じゃねえよぉぉぉ!!!どうすんだよこれマジで!!!」

神楽「だってどっちも頭白くて似てるアル、これは間違っても仕方ないアル」

あかね「とりあえず来た道戻ってどこかに落ちていないか探しましょう!」

新八「そんな財布感覚で言わないでください」

あかねが戻ろうとするもそれを良牙が止める。

良牙「待つんだあかねさん。あのアホもさすがにもう起きているだろう、一人で動けるはずだ。となると一人でもなんとかるアイツの心配ではなく、他の仲間のところへ行くべきだ」



583: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:08:55.22 ID:mMkUtiE40

新八「そ、それもそうですかね。まあ、銀さんなら一人でもどうにかなるか」

神楽「そうネ新八。そうだ、いっそこの人形を銀ちゃんぽく改造しちゃおうヨ。相手チームも『あの白夜叉がぁ?!』っているだけでビビるような」

あかね「あら面白そう。じゃあ目をこうやって死んだ感じにして」

神楽「頭に角付けるアル」

新八「もうそのお爺さん解放してあげてぇぇ!!」

カーネルに魔改造を施し始めた二人を新八が止める。

良牙「まずは一番居所がはっきりしていて大人数のホスト軍団のところへ行く。ついて来い!」

良牙が先陣を切って明後日の方角へ走り出した。

新八「そっち違うぅぅぅ!!!もうどうなるんだこれ……」

かぶき町バトルロワイヤルが始まってまだ数分、新八はただただ頭を抱えるばかりであった。



584: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:09:45.43 ID:mMkUtiE40

――かぶき町、飲み屋街。

あかね「はぁはぁはぁ、ようやく着いたわね。今のところ追手はいないようだし、早く高天原に――」

狂死郎「お待ちしておりましたよ、可愛いお嬢さん」

あかね達が飲み屋街に辿り着くとそこにはもう、軍団を引き連れ準備万端の狂死郎達がいた。

新八「狂死郎さん!無事合流できて良かったぁ!」

狂死郎「ええ、まったくもってその通りで。ところで万事屋さんのお姿が見えないようですが何かあったのですか?」

狂死郎が心配そうな様子で尋ねる。



585: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:15:25.05 ID:mMkUtiE40

神楽「それがここに来るまでに、私たちをかばって……」

新八「ちげえだろ!お前が落としただけだろ!実は『かくかくしかじか』な事情がありまして」

狂死郎「そうだったのですか、まあ彼なら一人でも問題ないでしょうが」

そこに狂死郎の腹心である八郎が大慌て駆けこんで来る。

八郎「きょ、狂死郎さんっ!奴らが、奴らがもうやって来ましたっ!し、しかも!大軍ですっ!」

彼の震えている指の差す方を見ると、大軍を率いた強者達の姿があった。それはまるで地面を揺らすように感じられたという。



586: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:16:36.56 ID:mMkUtiE40

シャンプー「やはりここに来たね。万事屋勢力、ここで潰す!」

右京「あかねちゃん堪忍なぁ、これも乱ちゃんの為や!」

勝男「死ぬ覚悟は良いかぁボンクラ共ぉ!」

アゴ美「男は度胸女は愛嬌、オカマは最強よぉ!」

乱馬「……………」

乱馬陣営が、ムースを除いて全員が集合し、万事屋陣営の前に姿を現した。他の者と違い先頭を歩く乱馬は、緊張した面持ちで口を閉じている。



587: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:17:54.67 ID:mMkUtiE40

あかね「乱馬……」

良牙「来たな乱馬」

新八「や、ヤバイですよ!向こうが全力でぶつかってきたら一瞬で僕等飲み込まれてしまいますよ?!」

新八が怯えるのも当然、単純な人数比で言えば、乱馬陣営は三倍近くの大所帯であった。

神楽「私のヘルズファキナウェイが火を吹くね」

新八「そんなこと言ってる場合じゃないって!」

狂死郎「確かにこれはマズいですね。向こうさんがこんなにも早く仲間を集めきるとは……」

ゆっくりと、だが圧倒的なまでの威圧感を放った一群の歩みが止まる。いつの間にやら、喧嘩好きのかぶき町の住人ですら野次馬として残る者はいなかった。

そして二つの軍団が向かい合う。



588: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:20:02.12 ID:mMkUtiE40

乱馬「………………」

あかね「なんか言ったらどうなのよ!乱馬っ!」

乱馬とあかねが互いに一歩前に出る。あかねの言葉にそれでもなお、乱馬は押し黙ったままだ。

シャンプー「乱馬はあかねなんかと喋りたくないある」

あかね「シャンプーは黙ってて!ねえ、そうなの?乱馬?」

乱馬「………………」

乱馬がジェスチャーで『違う』との意思を示す。

あかね「どういうこと?な、何か喋れないわけでもあるの?」

乱馬「………………」

今度は『そうだ』との意思を示す。そこであかねは乱馬から、銀時と同じ匂いを嗅いだ。



589: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:22:03.63 ID:mMkUtiE40

あかね「……もしかして、二日酔いが酷くて喋れないとか?」

その問いに数秒程固まったのち、『そうだ』との意思を涙を流しながら示す。

あかね「もう最っ低!」

あかねがフンと振り返り、自陣に帰っていく。

乱馬「ま、待てあかうぼおえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

思わず口を開いた乱馬の口からは、言葉ではなく大量のゲ○がこぼれ出てきてしまった。

右京「乱ちゃん!」

シャンプー「乱馬ぁ!あかね、お前乱馬に何したね!」

あかね「何もしてなかったでしょーが!」

右京とシャンプーが乱馬に駆け寄る。



590: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:22:47.18 ID:mMkUtiE40

アゴ美「ちょっとぉ!らん子をここまでそれっぽくするの大変だったのよぉ!それをこの数秒で無に帰すなんてぇ。アンタ、やるわねっ!」

あかね「だから私は何もしてないっ!」

新八「な、なんて締まりのない戦いなんだ……でもこれならどうにかなるんじゃないか!」

勝男「そんな甘い希望なんて一瞬で打ち砕いたるわい!行くぞお前らぁ!」

ヤクザ共「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

新八の表情が緩んだのも束の間、勝男達が先行して攻めに転じる。しかしその先頭を行く勝男の足元に多数のクナイ、手裏剣、納豆が突き刺さり、彼の進軍を止めた。

神楽「このクナイはっ!」

勝男「な、納豆っ?!」



591: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:24:01.92 ID:mMkUtiE40

月詠「どうやら間に合ったようじゃな」

猿飛「銀さんはっ?!銀さんはどこなのよぉ!」

始末屋さっちゃんと、吉原自警団『百華』頭領、月詠がビルの屋上から彼らを見下ろしていた。その後ろにはもちろん百華が控えている。

新八「これで人数も少しは拮抗するはず!」

勝男「おいお前らぁ!これ以上助っ人ダンス踊られる前にこいつら潰してまうぞぉ!」

アゴ美「右京、シャンプー!らん子の介護は任せたわ!私たちも行くわよぉ!」

これ以上の増援はこちらが不利になると察した勝男達は、とうとう本格的に万事屋陣営に攻め込んだ。

月詠「まったくせっかちな殿方達じゃ。皆の者!手練手管で誠心誠意お相手してやれ!」

百華ズ「了解!」

百華の女たちが一斉にビルから飛び降り、ヤクザ、オカマと交戦を始める。



592: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:26:59.94 ID:mMkUtiE40

新八「ぼ、僕達も行きましょう!」

新八の手に握られた竹刀が震える。

良牙「そうだな、あれほどまでに弱っている乱馬なぞ敵ではない!」

良牙もそれに答える。

九能「無論、僕達も参戦いたすっ!」

一団の後ろから九能の声が響く。

神楽「おお!お前らっ!」

神楽が声のする方を見て歓声を上げる。

勝男「あちゃー、言うてる傍からめっさ厄介なん来てもうた」

アゴ美「ヒゲ美にヅラ子、そして……パー子っ!」

皆の戦いの手が止まり、九能が連れて来た一団を見る。



593: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:30:53.99 ID:mMkUtiE40

銀時「………………」

桂「………………」

長谷川「………………」

エリザベス『ふぅ、こっちも間に合ったぜ!』

そこにはいつになく真面目な顔をした銀時達、その後ろにはこの一週間でエリザベスが集めて来たやる気満々な桂一派の軍団が。

戦力は、人数比で言えば五分五分となった。

彼らがゆっくりと歩き出す。皆彼らの邪魔にならぬよう、道を空ける。

そして銀時達はようやく、新八達との合流を果たしたのであった。

銀時「おいてめえら、もうちょっと優しく起こしてくれても良かったんじゃねえか?」

新八「銀さん!無事だったんですね!」



594: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:33:01.79 ID:mMkUtiE40

銀時「ああ、路上でぶっ倒れている俺をヅラの一味が回収してくれたみたいでな」

神楽「ごめんネ銀ちゃん、私が落としちゃったばっかりに……」

申し訳なさそうにする神楽の頭に銀時が手を置く。

銀時「なーに、気にするな。今はそんなことより目の前の敵に集中しようぜ」

桂「そうだぞリーダうぼおおぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

長谷川「ちょっとづらっち!そんな吐かれたら貰っちまうぼおおぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

銀時「うぼおおぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

新八「ってやっぱりお前らもかぁぁぁぁぁ!!!!!どんだけアル中しかいないんだこの町はぁぁぁ!!!」

ゲ○を吐き散らかす三人に新八が突っ込んだ。



595: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:34:39.27 ID:mMkUtiE40

銀時「いや、俺は頑張ったじゃんかぁ……ヅラがあんなに吐きまくるもんだから貰いゲロだよ俺のは」

桂「ヅラじゃないうぼおおぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!だ」

新八「もういいんで『うぼおええええ』さんは帰ってください」

長谷川「へへ、今なら前回以上の獅子咆哮弾が撃てるぜうぼおおおえええ!!!!」

新八「絶対アンタはそれ撃つなぁぁぁ!!!それとその汚い咆哮も止めろぉぉぉ!!!」

万事屋陣営が増援で勢いづくも、いまいち乗り切れない様子であった。それを見た乱馬がとうとう立ち上がった。

乱馬「向こうもかなりのダメージを負ってるみたいだ。ここは短期決戦、一気に奴の首を取って決める!」

右京「まだ戦ってもないのに両者この深刻なダメージとは……」



596: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:38:55.86 ID:mMkUtiE40

シャンプー「右京!私たちも行くね!」

シャンプー、右京が前に出る。

良牙「俺達も出るぞ!」

新あ神「了解!」

どうしようもない酔っぱらいは置いておき、四人も戦いの渦に飛び込んだ。

良牙「おらぁ!」

神楽「ヘルズファキナウェイ!」

新八「せいっ!」

あかね「やあっ!」

万事屋陣営は先の四人が中心となって相手を蹴散らす。対して乱馬陣営はシャンプー、右京、勝男、アゴ美を中心に進軍していた。

その戦いの中に、上空から二人の忍者が飛び込む。



597: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:41:43.60 ID:mMkUtiE40

月詠「やはりこの中ではぬし達が主戦力のようじゃな」

猿飛「こんなメス豚の相手じゃなくて銀さんの相手をしたいのになんなのよツッキー!」

月詠とさっちゃんは屋上から観察し、相手陣営の主戦力を的確に分析、そして獲物の前に現れたのだった。

月詠「その節は助かった、礼を言う。ただ今日はその恩を仇で返すことになるんじゃが」

右京「そう言うなら堪忍してや。アンタらの相手なんてしてられへんのよ」

シャンプー「何情けないこと言ってるあるか、乱馬の敵は誰であろうがぶっ潰すだけね!」

猿飛「何を言ってるの?私たちの銀さんへの愛に潰されるのはあなた達の方よ」

月詠「『達』を付けるでない」

二対二、彼女たちの間で火花が散る。



598: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:43:12.40 ID:mMkUtiE40

月詠「死神太夫月詠!参る!」

猿飛「坂田あやめ!参る!」

右京「うちらかて負けられへんのや!」

シャンプー「女傑族の力、思い知るがよろし!」

月詠が二人目がけて大量のクナイを投げる。それを全弾、右京が巨大なヘラを一振りで豪快に叩き落とす。

そのヘラの軌道に隠れるようにシャンプーが月詠に飛び掛かる。それをさっちゃんがハイキックで止める。

猿飛「あなた!そんなえっろいチャイナ服で戦場に出てくるなんてどういうつもり?!もしかして私の銀さんを誘惑するつもり?!そうはいかないんだからっ!」

シャンプー「誰があんな天パ誘惑するか!」

シャンプーが双錘でさっちゃんに殴りかかる。それをすんでのところで躱すさっちゃん。



599: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:44:32.99 ID:mMkUtiE40

右京「シャンプー!一旦引けぇ!」

シャンプーはその言葉に従って後ろに飛び退く。

右京「メリケン粉爆弾!」

右京が懐から出したブツを二人に投げつける。辺りに衝撃と煙幕が炸裂する。

月詠「くっ?!煙幕かっ!」

猿飛「な、何も見えないわぁ!」

月詠「普段通りじゃろ」

猿飛「そんな冷静に突っ込み入れてんじゃないわよ!」

月詠とさっちゃんの二人は、煙にまかれて敵を見失っていた。



600: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:46:14.72 ID:mMkUtiE40

右京「今のうちや!」

シャンプー「てえいやぁぁぁ!!」

その煙幕の外から月詠とさっちゃんを捕捉した右京達は、この隙に仕留めようと勝負に出る。

しかし、もの凄い衝撃と共に吹き飛ばされ、煙幕も晴れてしまった。

右京「な、何モンやっ!」

お妙「何モンなんてよそモンのあなたには言われたくないわ。まあ答えてあげるなら、そう!かぶき町の女王よっ!」

再度、三國無双、お妙の登場である。

九兵衛「女性陣だけで戦っているというのに、僕等をのけ者にするとは酷いじゃないか」

その横には九兵衛の姿もあった。



601: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:47:56.94 ID:mMkUtiE40

シャンプー「お妙っ!ようやく来たか」

お妙「こんにちはシャンプーちゃん。この前の続き、始めましょうか?」

互いに一歩近づき、射程距離すれすれのところで口を開く。

お妙「あなたとのこの一か月の因縁、あなたの命ごと断ち切ってあげるわ」

シャンプー「乱馬に纏わりつく害虫は全て駆除する」

お妙「だから私にその気はねえって言ってんだろうがぁぁぁぁぁ!!!!!」

シャンプー「寝言は墓場で言うよろしっ!」

二人のバトルが始まる。お妙の矛での斬撃を巧みに躱すシャンプーは懐に潜り込み、双錘で攻撃する。それをなんとか防ぎ、矛で目の前の空間を薙ぐ。

お妙「相変わらずちょこちょことウザったいわね」

シャンプー「性格と同じくガサツな攻撃ね」

再び、両者の攻撃が交わる。



602: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:49:22.16 ID:mMkUtiE40

九兵衛「僕等も始めようか?誰が相手をしてくれるんだい?」

そう言って九兵衛が右京、月詠、さっちゃんを順々に見やる。

九兵衛「全員同時でも構わないぞ?」

猿飛「何なめた口聞いてくれちゃってんのよぉぉ!!」

その挑発に一番に乗ったのはさっちゃんであった。

月詠「では私たちも続きを始めよう」

右京「お手柔らかに頼むで」

こうしてなんとも男らしい女の戦いが幕を開けたのであった。



603: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:50:28.44 ID:mMkUtiE40

新八「姉上たちの勢力もいつの間にやら参戦してきてますよ?!もうどうなるんだこれぇ?!」

新八が目の前の敵と鍔迫り合いをしながら叫んだ。

神楽「どうするもこうするもないネ!こいつら全員やっつけてカイザーファキナウェイに俺はなる!」

新八「海賊王みたいに言うなぁ!」

ドゴォォォォォン!!

突如、新八の目と鼻の先で爆発が起きる。

新八「へ?」

周囲を見渡すと黒い制服に身を包んだ大軍が、バズーカ抱えて控えていた。

沖田「こんにちはぁ、どうも町のお巡りさん真選組でーす」

沖田が拡声器を使って戦い続ける集団に語り掛ける。



604: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:52:07.31 ID:mMkUtiE40

沖田「今すぐこの暴動を止めなさい、今すぐですよー。さもないと逮捕、もしくは首の辺りを斬っちゃいますんで気を付けてくださーい」

いつもの如く気の抜けた調子で沖田が言う。

沖田「はい、あと10秒以内に止めないとお巡りさん達武力介入しまーす。目標を殲滅しまーす。はい、10、9」

新八「とうとう真選組まで来ちゃったぁぁぁ!!!もう生き残れる気がしないんですけどこれ、殲滅される気しかしないんですけどぉぉぉ!!!」

沖田「1、0ぉ!真選組ぃ、突撃ぃ!!!」

新八「8から2はぁぁぁ?!」

隊士達「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

刀に銃火器を装備した一団が戦闘に加わり、更に戦場は混沌と化す。



605: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:53:27.22 ID:mMkUtiE40

――その後方。

沖田「いい加減シャキッとしてくださいや近藤さん、土方さん」

沖田はパトカーの後部座席で二日酔いで死んでいる上司達に言った。本来なら先程の指揮などは局長、もしくは副長が行うのであるが言わずもがな、この二人も二日酔いでまともに喋れなかったのである。

沖田「まったくこの人達ゃ。あ、土方さん。早く仕事しねえと俺が――じゃねえや土方・THE・キラーが殺しに来るって連絡がありました。LINEで」

土方「なんでそんな殺人鬼とLINEで連絡取り合ってんだてめぇ!!内通者なんてレベルじゃねえぞこら!!ていうかそれお前だろ前にも言ったけどおぼおええぇえぇぇぇ!!!」

とうとう耐え切れず、土方がパトカーから這い出しゲロを吐き散らす。



606: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:55:58.05 ID:mMkUtiE40

沖田「近藤さん、突撃した隊士の報告によるとあの騒ぎの中心地に姉さんがいるらしいですぜ」

近藤「何それは本当か総悟っ?!早く助けに行かなくてはっ!」

近藤は勢い良く扉を開け駆けだした。たった二秒ほど。

近藤「走るなんて無理に決まってうぼおおおえおえええええ!!!!」

沖田「ハッハッハッハッハッハ、二人ともおもしれえやぁ」

沖田が無邪気に腹を抱えて笑った。

土方「てめえどこまで性格歪んでやがんだうぼおおおえおえええええ!!!!」

近藤「どうやら俺はここまでみたいだ……総悟、お前が俺の代わりにお妙さんをおおおぼっぼぼぼぼぼぼえええ!!!!」



607: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 21:58:38.90 ID:mMkUtiE40

沖田「二人ともきったねえなぁ、じゃ!俺は先に行きますんで、二人も元気になったら来てくだせぇや。まあ、その頃には全部終わってるかもしれませんがね」

そう言って振り返りもせず沖田は喧騒の渦に身を投じるのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

乱馬「お妙達、真選組も出張ってきた。そろそろ行くか!」

ようやく体調が回復しつつあった乱馬は状況を把握し、大きく息を吸い込んだ。

乱馬「みんなぁぁぁ!!!ここは一旦退却だぁぁぁ!!!ひとまず引いて態勢を立て直す!!」

乱馬が大声で皆に指揮する。

お妙「あら、あなた達の大将さんビビッて退却宣言かましてるわよ?」

シャンプー「ビビッてるわけじゃないある!」

右京「続きはまた今度や!」

月詠「くっ、待て!」

右京「も一発メリケン粉っ!」

再び炸裂した衝撃と煙幕により、右京とシャンプーは無事撤退に成功する。



608: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:01:57.15 ID:mMkUtiE40

お妙「追えぇぇぇ!!逃がすなぁぁぁ!!」

狂死郎「ここは攻め時!逃がさないように!」

乱馬「しんがりは俺が引き受ける!さっさと退却しろぉ!」

乱馬の指揮により、乱馬陣営は次々と戦闘を放棄し撤退していく。それを逃がすまいと、各陣営が追いすがる。

新八「姉上の陣営に真選組介入で引きたくなる気持ちも分かるけど、なんか乱馬さんらしくないような……」

乱馬陣営撤退により、少し余裕の出来た新八が一人呟く。

あかね「確かに乱馬らしくないわ。こういう時は必ず――」

良牙「ろくでもないことを考えているな」

神楽「例えば何考えてると思うアルか?」

良あ「うーん……」

二人が乱馬の思惑を見抜こうと思案していると、後方からようやく体調が戻りつつある三人のダメな大人達がやって来た。



609: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:02:46.98 ID:mMkUtiE40

銀時「よぉ、吐きまくったおかげでどうにか動けそうだぜ」

桂「うむ、やはり歩狩汗は効くな」

長谷川「いや、づらっちが飲んでたの江根瑠限だったよ」

新八「銀さん達!回復したんですね!」

ダメな大人達は力強く頷く。

長谷川「ってことで俺達も行くかっ!」

桂「俺達が行けば戦況は大きくこちらに傾くだろう」

銀時「久し振りに大暴れしてやるぜ!お前らはミロでも飲んで休んでな!」

そう頼もしいセリフを言い残し、三人のダメな大人たちは戦場の中心へと走り去っていった。



610: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:04:05.24 ID:mMkUtiE40

良あ「そうか!分かった!」

新八が三人の背中を見送っていると良牙、あかねが同時に声を上げた。

神楽「何が分かったアルか?」

良牙「あいつが自らしんがりを務めるなんておかしい!」

あかね「あの乱馬が自己犠牲なんて有り得ないわ!」

新八「散々な言われようだな乱馬さん……」

良牙「つまりあいつの狙いは!」

あかね「敵を自分に引き付けて!」

良あ「あの技を狙ってる!」



611: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:06:59.23 ID:mMkUtiE40

乱馬(あの万事屋は恐らくあの軍団の後方にいるはず!中央の軍勢が邪魔であそこに急襲を仕掛けるのは無理に思えるが、俺なら出来る!)

乱馬は自分の気を冷却していく。

乱馬「この技で!一気に大将首までの道をこじ開ける!」

そして乱馬の冷たいスクリューアッパーが放たれる。

乱馬「飛竜昇天破ぁっ!」

乱馬を中心に、周囲の熱い闘気を利用した巨大な竜巻が発生する。それに巻き込まれ派手に吹き飛ばされていく他陣営の敵たち。

乱馬「これであの万事屋のところまで――」

と言いかけたところで乱馬は発見してしまった。



612: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:08:50.81 ID:mMkUtiE40

桂「うわあああああああああああ!!!!!!」

長谷川「うわあああああああああああ!!!!!!」

銀時「うわあああああああああああ!!!!!!」

様々な方向に勢い良く飛ばされる人たちの中に、あの万事屋の姿があったのを。

乱馬「あの野郎っ!大将ってのは前線に出ないもんじゃねえのか?!一体何してやがんだっ!」

それに気づき、すぐさま乱馬は銀時が吹き飛ばされた方向へ駆けて行ったのであった。

新八「いやー、飛びましたねぇ。銀さん」

神楽「あんなかっこ悪い主人公の漫画のヒロインであることが恥ずかしくなってきたネ」

あかね「雑魚キャラと同じ勢いで飛ばされてったわね」

良牙「俺達も万事屋を追っていこう!」

良牙の言葉に頷く三人。そして銀時、乱馬の後を追おうとした矢先であった。



613: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:11:51.84 ID:mMkUtiE40

良牙「あぶねえっ!!」

新八「へっ?!」

良牙が番傘で、新八に迫る相手の斬撃を防いだ。

土方「やるじゃねえか」

二日酔いから復活した真選組副長、土方の攻撃であった。

土方「おいおい、これだけ暴れてお巡りさん無視してどこ行こうってんだよ?ああ?!」

良牙「くっ……」

その刀と番傘の鍔迫り合いの最中、良牙に助太刀が入る。



614: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:12:36.35 ID:mMkUtiE40

九能「愛の障壁粉砕剣っ!!」

高速の突きのラッシュを九能が土方に浴びせる。

土方「ちっ」

それを一旦距離を取って躱す。

九能「僕は少々そこの男に借りがあるのでな。あかね君!白夜叉殿や桂さんを頼んだぞ!」

九能が土方の前に立ちふさがった。

土方「ガキが、生意気言ってんじゃねえぞ?」

土方の体から殺気が迸る。

九能「フッ、先日白夜叉殿から頂いたこの伝説の木刀さえあればお前なぞ敵ではない!ただどうにもカレー臭い気がするのは何故だろうか……」

土方「あの天パ……厄介なもんガキに持たせやがって」

土方が煙草に火を点けぼやく。



615: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:14:32.47 ID:mMkUtiE40

あかね「九能先輩!ありがとう!私たちは行きます!」

九能「ああ!早く行くのだ!そしてあったかいご飯でも作って待っててくれ!そしてその勢いで僕の妻になってくれ!」

あかね「それは嫌です」

あかねはきっぱりと拒否の意思を告げると颯爽とその場を走り去った。

新八「あの人、土方さん相手に大丈夫なんですか?!」

あかねの背中を追いながら不安げな新八が尋ねる。

良牙「大丈夫だ、ふざけちゃいるが実力はある……はず」

神楽「あいつの死は無駄にしちゃいけないネ!」

新八「まだ死んでねえ!」

良牙「それにしてもあいつら良く飛ぶな」

神楽「中身ペラッペラだからナ」

ダメな大人三人衆は、新八達の遥か先を依然飛行中であった。



616: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:15:33.92 ID:mMkUtiE40

九能「九能帯刀、推して参る!」

九能が土方に鋭い突きを放つも、それを紙一重で躱す土方。

土方「甘えよっ!」

避けながらも土方は一太刀を振るう。それを九能は木刀の柄で止めた。

土方「けっ、思ったよりはやるな。ただの道場剣術じゃあねえみたいだな」

九能「そんなものに拘る僕ではない。西瓜、鳳凰と手にした魔剣の力、とくと味あわせてやろう」

土方「その考え方は嫌いじゃあねえ。まあ、これで仕舞いだがなぁ!」

両者の剣戟が再度ぶつかり合う。



617: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:16:33.44 ID:mMkUtiE40

シャンプー「乱馬ぁ!私を置いて行くでないね!」

右京「さっきまで二日酔いで死んでいたとは思えん程足早いな」

シャンプー、右京は銀時の後を追って行った乱馬を追跡していた。

しかし、そこである男と視線の合ったシャンプーが足を止める。

右京「どうしたんシャンプー?早く行かんと乱ちゃんに追いつけ――」

シャンプー「先行くよろし。倒さなきゃいけない奴見つけてしまたね」

どうすべきか迷った右京であったが、シャンプーの強い決心が見て取れると

右京「じゃあ先行かせてもらうわ。アンタが死んでも容赦なく乱ちゃんはウチが頂くからな」

そう言って先を急いだ。

シャンプー「私が死ぬわけないね」

双錘を握る手に力を込めた。



618: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:18:09.00 ID:mMkUtiE40

沖田「別れの挨拶はもう済んだのかぃ?」

ある男、沖田がシャンプーに尋ねる。

シャンプー「待っててくれて感謝する。確認のため聞くが、ムースやったのはお前でいいんだな?」

錘を沖田に向けてシャンプーが言った。

沖田「ああ、確か四日前くらいに天人襲撃犯の一人としてこれでズドーンっと。いや、ドゴォォォォォンだったっけ?」

愛用のバズーカを沖田は撫でた。

シャンプー「その言葉だけで十分ある。私の憂さ晴らし、付き合ってもらうあるっ!」

目にも留まらぬスピードで、シャンプーは双錘で沖田に殴りかかった。それを多少の驚きを見せつつも、沖田は完璧に防ぎきる。



619: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:20:06.91 ID:mMkUtiE40

沖田「こんな別嬪な姉ちゃんにそんな事言われるたぁ嬉しいねぇ。でもなぁ、俺はチャイナ娘ってのが大っ嫌いなんだっよ!」

沖田がシャンプーを吹き飛ばす。

沖田「しっかりみっちり調教してやんぜぇ、二度と俺に楯突く気にならないようになぁ!」

シャンプー「お生憎、私もドSね。そんな調教されるような趣味は無いある」

今の一撃でかなりのダメージを負ったシャンプーであったが、顔に出さずに言い返す。

シャンプーが再び双錘で攻撃を仕掛けるも、それを容易く避けると、空いたボディに思い切り蹴りをぶち込む沖田。

シャンプー「ぐはっ……?!」

その場に崩れ落ちるシャンプー。



620: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:21:06.40 ID:mMkUtiE40

沖田「俺もドSだから分かるが、ドSってのは打たれ弱くっていけねえよなぁ」

シャンプーの頭を掴み持ち上げる。

沖田「さぁて、これからどうしてくれようかぁ」

シャンプー「くっ!その汚らしい手を放すね!」

反動を利用して沖田の顔に蹴りを入れるシャンプー。

沖田「ちっ?!」

クリーンヒットこそしなかったが、その蹴りは彼の頬を掠めていった。

沖田「まだまだ痛めつけんのが足りなかったぁみたいだなぁ。ちょっとイラッときたから、ギア上げさせてもらうぜぇ」

シャンプー「っ?!」

そう言った刹那、すでに沖田はシャンプーの眼前にまで迫っていた。驚きでシャンプーの目が見開かれる。あとは沖田が刀を振りぬけば、彼女の敗北が確定するであろうはずだった。



621: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:23:01.50 ID:mMkUtiE40

?「秘儀っ!鷹爪拳っ!」

そこに空中から鷹の様に鋭い爪を付けた蹴りが飛んでくる。

沖田「て、てめえはっ!」

すんでのところで躱す沖田。

シャンプー「む、ムースッ!生きてたあるかお前っ!ふぅ……」

命の危機を逃れた安心からか、それともムースが生きていたことの安堵からか、シャンプーは瞳を潤ませながら膝を着いた。

ムース「なんとかのう!爆発に巻き込まれた後、顔は鬼の様じゃが親切な花屋に拾われてなってそんな話はどうでも良い!貴様ぁっ!シャンプーになんて真似しくさってんじゃぁぁぁ!!!!」

ムース(あと一歩遅ければシャンプーが負けて新たな婿候補が増えるところであった。危なかっただ……)



622: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:24:47.14 ID:mMkUtiE40

ムース「だが、ただただ単純に、シャンプーを傷付けた罪、絶対に許さん!」

沖田「俺に負けた分際で減らねえ口だぜ」

シャンプー「ムース、来てくれて助かったあるが早く逃げるよろし。お前じゃアイツには絶対勝てないね!」

ムース「お前を見捨てて逃げるなど出来るわけなかろう!それに、確かに実力はかけ離れているかもしれん、だが勝機が無いわけではない!」

眼鏡の奥でムースの目がきらりと光る。

沖田「へっ、おもしれえぇ。お手並み拝見といこうかぁ」

沖田、ムースの間で闘気がぶつかり合う。その緊迫感の中、先に動いたのはムースであった。



623: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:25:42.38 ID:mMkUtiE40

ムース「ああ!!土方が敵に囲まれて死にかけているっ!!」

沖田「トドメだ土方ぁぁぁぁぁ!!!!!」

ムースの指差したあらぬ方向へ沖田がバズーカをぶっ放す。

ムース「今じゃっ!!」

その隙にムースは、沖田の身体を数十本にも及ぶロープで一瞬で捕縛した。

沖田「……あれ?」

ムース「秘儀っ!白鳥拳っ!」

身動きできない状態で頭部に白鳥のおまるによる打撃を受けた沖田は、成す術なく意識を失ってしまった。



625: ◆sT.xLigL/Q:2015/08/31(月) 22:27:58.42 ID:mMkUtiE40

ムース「強敵じゃった……」

シャンプー「なんてくだらない幕引きね……」

二人の間にヒューっと風が吹く。

ムース(真正面から勝てない相手にはどんな手段も使う。乱馬のようで歯痒いがここはシャンプーを守れたということで良しとするか)

ムース「シャンプー早く行こう。この化け物のことじゃ、いつ息を吹き返すか分からん。さっさとこの場から逃げるぞ。今の手段は二度は通じないであろうしな」

シャンプー「それもそうね。乱馬の行方を追うある!」

二人はそそくさと、気絶する沖田を放置して乱馬の行方を追ったのであった。



643: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:24:28.47 ID:GXJHWMk50

――かぶき町、特設ライブ会場。

お通『今日は集まってくれてありがとうきびう○こぉぉぉ!!!』

ファン『とうきびう○こぉぉぉ!!!』

お通『二か月ぶりでもうどういうテンションでいけばいいか分からないけどとにかく始まるよッシーアイランドォ!!!』

ファン『アイランドォ!!!』

お通『それでは最終回!(後編)』

タカティン『スタートォ!!』

タカチン『だからなんでお前がそれ言うのぉ?!』








~ホントに今日で最終回・遥かなる旅路、さらば友よ~



644: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:25:42.01 ID:GXJHWMk50

今日のOP!

やっぱこれだよね





645: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:27:30.89 ID:GXJHWMk50

かぶき町、上空。

桂「ちっくしょぉぉぉ!!!」

かぶき町の空を、桂が凄まじい形相と勢いで飛行している。

銀時「めいっぱいとばせぇぇ!!」

その少し後ろをこれまた必死な顔の銀時が、更にその後ろには長谷川が飛んでいた。

長谷川「……な、何言ってんの?いきなり、二か月ぶりだから読んでる人よく分かんないと思うよ。俺だってそうなのに」

二人の発言に不可解な表情を浮かべ長谷川が尋ねる。

桂「何って長谷川さんはドラゴンボール読んだことがないのか?」

銀時「ほら、あの有名なベジータの『はやくしろ!間にあわなくなってもしらんぞ!』の後のクリリンとベジータのセリフだよ。舞空術使いながら二人が言うんだよな」

銀時の言葉に桂が腕を組み深く頷く。



646: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:28:48.28 ID:GXJHWMk50

長谷川「うん、それは分かったわ。だけど俺達別に舞空術使ってるわけじゃないからね?乱馬君の竜巻で吹っ飛ばされてるだけだからね?」

彼の言う通り、乱馬の飛竜昇天破で三人は未だに空の上を吹き飛んでいた。

銀時「うるさぁぁぁい!あんだけ意気揚々と新八達のもとから走り去ったってのに……」

桂「……そ、それはそうと誰か吐き気止め持ってませんか?ちょっと治まってたけどこの浮遊感で吐き気がもう一回来てるうぼええええええ!!!!!!」

長谷川「や、止めろづらっち!せっかく俺も止まってたのに貰っちゃうだろうぼぇぇぇぇまだおぉぉろろろろろぉぉ!!!!」

銀時「も、もう止めろお前えらぁぁぁぁばばばばばばぁぁぁぁっぁ!!!!!」

二日酔い三人衆はかぶき町上空を吹っ飛ばされながら、依然ゲロを吐きまくっていた。



647: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:30:09.19 ID:GXJHWMk50

二日酔い三人衆の下。

乱馬「待ちやがれぇ!万事屋ぁ!」

彼ら三人、というよりとんでもない速さで吹き飛ばされている銀時を追って乱馬がかぶき町を駆け抜ける。

と、上空から謎の飛来物が迫るのを視認し、咄嗟に民家の屋根に乗り移って回避する。そしてそれを恐る恐る確認した乱馬は

乱馬「わっ!きったねぇ!これゲロじゃねぇかぁうぼろろぉぉぉぉ!!!!」

貰いゲロをしていた。

あかね「やっと追いついたわ乱馬!」

良牙「ここが年貢の納め時だ!」

足が止まった乱馬にあかね達が追いつく。

新八「……いや、もう年貢納めて切羽詰まってるような状態なんですけどこれ」

神楽「ったくお前ら二か月以上経ってもまだ二日酔いアルか、情けない」

新八「神楽ちゃん、リアルな時の流れ言うの止めて。書いてる方もこのブランクに情けなくなってるから、当初予定してた流れとか忘れちゃってるレベルなんだから」

乱馬「っく!厄介な奴らがっ……」

口からこぼれる胃液を拭いながら乱馬が四人に相対する。



648: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:31:00.89 ID:GXJHWMk50

右京「乱ちゃんっ!」

両者の間にようやく追いついてきた右京が飛んで入る。

乱馬「うっちゃん!」

右京「乱ちゃんは先行って銀さんやっつけて、さっさとこのアホらしい戦い終わらして来ぃ!ここは私が食い止めたる!」

右京のセリフに少しの間逡巡する乱馬であったが

乱馬「……ごめん!」

と一言また銀時を追って行ったのであった。

あかね「……右京」

良牙「その心意気あっぱれだが右京。ここは四対一、そしてこの面子!足止めにもなると思ったかぁ!」

良牙がそう言って右京に襲い掛かった時であった。突如、彼目掛けて謎の塊が飛んできた。

良牙「な、なんだ?!」

その物体をなんとか躱した良牙であったが、それが屋根にぶつかった衝撃で動きを止めた。



649: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:32:07.78 ID:GXJHWMk50

勝男「おうこらおう!!ワシらの姉さん集団でボコろうとは随分楽しいマネし腐ってくれんのぉぉぉ!!!」

あかね達の後ろから殺気に溢れた勝男が拳を鳴らしながら、鬼のような表情で凄んでいた。

新八「は、挟まれた?!」

あかね「で、でもまだ人数はこっちが上よ!」

二人が両サイドの敵を警戒する。

神楽「右京!私お前とは戦いたくないアル!そこどいて銀ちゃん助けに行かせてヨ!」

神楽が悲痛な面持ちで右京に訴える。

右京「神楽ちゃん……私もアンタらとは戦いたくはないんやけどな、これも乱ちゃんのためや。堪忍な」

右京も神楽につられたように嘆く。その言葉に数瞬の間、場の流れが止まるも

あかね「だったら私が右京と戦う!」

あかねが再び時を動かした。



650: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:32:55.46 ID:GXJHWMk50

新八「あ、あかねさん?!大丈夫なんですか?!二人は友達なんじゃ……」

あかね「ええ、でも私たちはいつもこうだから。ね、右京」

心配する新八をよそに、あかねは右京に笑顔を向けた。

右京「ふっ、そうやな。私もあかねちゃんなら本気出せるわ。この勝負に勝った方が乱ちゃんのもとに辿り着ける!こういう分かりやすい勝負は好きやわ」

それに右京も笑って答える。

良牙「だったらこの極道の相手は俺だな、あかねさんを置いてここからは動けん。それに……」

先程屋根に直撃した塊を抱き起こしながら良牙が言う。

新八「そ、それはっ!!」

神楽「狂死郎っ!!」

良牙の足を止めたのは、気絶して勝男にぶん投げられた狂死郎であった。

良牙「短い間とはいえ仲間だった男だ。仇は必ず取ってやる」



651: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:34:11.87 ID:GXJHWMk50

間抜けた顔をして気を失っているナンバーワンホストの目を閉じてやると良牙は、強く握り込んだ拳を勝男に向けた。

良牙「来いよ極道!一瞬で終わらしてやる」

勝男「威勢のええ兄ちゃんやんけ、おもろいわ!どうや、この戦い終わったらウチの組来ぃひんか?!」

良牙「寝言は寝て言えっ!」

勝男「じゃったら気絶して寝てるお前さんの耳元で囁いたるわ!」

良牙と勝男が激しく衝突する。

あかね「新八君!神楽ちゃん!急いで!早くしないと弱ってる銀さんが乱馬にやられちゃうから!」

そこに待ったの声が入る。

月詠「ぬしが行け!乱馬を止めに!」

新八、神楽を急かすあかねのもとに月詠が駆け付け、声を上げたのだった。



652: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:35:45.03 ID:GXJHWMk50

新八「月詠さん!あの竜巻の中無事だったんですね!」

月詠「ああ、なんとかな。他の者がどうなってるかは分からぬが」

キセルで一息吐く月詠があかねに再び声を上げる。

月詠「とにかく行くのじゃ!乱馬を実力で止められるかわっちには自信がない!でもぬしなら!奴と懇意のぬしなら可能性はあるじゃろ!早く行けぇ!」

あかね「こ、懇意って!私たち別にそんなんじゃ――」

神楽「あか姉!ここはツンデレってる場合じゃないアル!後で幾らでも2000年代ツンデレ界の女王たる私(中の人)がツンデる場所用意するから急ぐネ!」

新八「そうです!急ぎましょうあかねさん!」

あかね「う、うんっ!」

戸惑うあかねの手を引いて神楽が集団から飛び出しそれを新八が追う。

月詠「さて、第二回戦といこうかの。今宵は眠らせてはやらんぞ?」

右京「はぁ……うちにそんな趣味ないし、アンタみたいな猛者と闘り合いたくないんやけどなぁ……」

二人の間に無言の緊張が走る。

月詠「参るっ!」

右京「いてもうたるわっ!」

こうして二人の第二ラウンドが始まった。



653: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:37:54.95 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勝男「ワシ相手にようやるやんけ兄ちゃん、ますますウチの組に欲しくなったわ。どうや、元の世界なんて帰らんとこっちでこの町の王様ならへんか?」

何度も打ち合い良牙の実力を認めた勝男が言った。

良牙「そんなものに興味はない。俺はあかねさんと元の世界に帰るんだ。それに、向こうで待っていてくれているであろう人もいるしな」

良牙は自分に好意を持ってくれている豚相撲好きの少女を思い出す。

勝男「あーあ、振られてもうたわ。姉さんがいて兄ちゃんがいて、それに親父にお嬢が帰って来て、なんて夢のような未来を想像してしもうたんやけどなぁ」

笑みを浮かべてはいるが、勝男はどこか切なそうであった。

良牙「なら、互いの夢の為。この戦い、次の一撃を打ち合って終わりにしよう。俺には時間がないんだ。早くしないと俺達の馬鹿大将がやられちまう」

勝男「カッカッカッカ、ほんまワシ好みの兄ちゃんやで。兄ちゃん、負けたら潔くウチ来てなぁ」

両者の間に、今日一番の闘気がぶつかり合う。



654: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:38:38.56 ID:GXJHWMk50

良牙「喰らえぇぇぇ!!!」

勝男「死にさらせぇぇぇ!!!」

お互いの顔面に全力の右ストレートがぶち込まれる。

勝男「……ふっ」

良牙「……」

二人は自身の右拳を相手の顔面にめり込ませたまま動かない。

勝男「……ごっつ過ぎてワシの手には負えんわ、兄ちゃん」

か細い声でそう呟くと、勝男はゆっくりと膝を着き気を失った。

良牙「どっかのアホのせいで頑丈さだけは誰にも負けん。宇宙人だろうが、極道だろうがな」

良牙はそう言ってあかね達が走り去った方を見た。視界の端に右京と月詠が戦闘しているのを視界の端に捉えたが、全身に力を入れ直すと彼女たちの後を追って行った。



655: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:39:54.70 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かぶき町、中心地。

エリザベス『おい九能、起きろ』

エリザベスは腑抜けた顔で失神している九能をプラカードでぶん叩き、彼を無理くり起こした。

九能「はっ、ここは?!確か僕はおさげの女、天道あかねと遊園地で甘美なひと時を過ごしていたはず――」

新しいプラカードで再度九能を叩きセリフを遮るエリザベス。

エリザベス『違う。お前は真選組副長に負けたんだ。だがそのことはもういい、今はとにかく桂さんを追うぞ』

九能「そ、そうであったのか……口惜しいが今はそうした方が良さそうですね、この状況を見ると」

周囲に転がる死屍累々を見回しながら九能は頷いた。見知ったオカマ達や、あの真選組一番隊隊長ですら縄に縛られて気絶している。

九能「では行きましょう!エリザベス殿!」

エリザベス『ああ』

二人は桂の後を追って走り出す。しかしこの時、彼らの足元で最凶最悪の化け物が順調に育っていたのは知る由も無かった。



656: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:41:20.06 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かぶき町、外れ。

落「ったく、せっかく最近かぶき町クリーン作戦を展開してたってのにこれじゃたまったもんじゃないよ。何がバトルロワイヤルだよ、ホントに止めてほし――」

中心街から避難し一人愚痴垂れていた落の下に、飛来物が三つ、凄まじい捻りを加えながら落下してくる。

落「な、なんなのこれはぁ?!も、もう嫌だぁぁぁ!!!」

恐怖で顔を引きつらせながら、犬神家の死体の様に地面に埋まった六本の足を残し、落は逃げ去って行った。

乱馬「はぁ、はぁ、ようやく落ちてきやがったか。どんだけ飛ばされてんだこいつらは」

ようやく追いついた乱馬が、遠くにそびえ立つターミナルを確認しながら言った。

乱馬「おい万事屋!起きやがれ!」

埋まっている六本の足の内、二本に乱馬は叫んだ。

銀時「……」

桂「……」

長谷川「……」

しかし返事がない。ただのしかばねのようだ。



657: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:42:09.93 ID:GXJHWMk50

乱馬「どこまでもコケにしやがってぇ!」

そう声を荒げると乱馬は、地面に埋まっている銀時の足を掴み、掘り起こして投げ飛ばした。

銀時「……」

落下の衝撃で気を失ったのか、それでも尚銀時は動かない。

乱馬「……」

その姿を一瞬の気のゆるみもなく見つめる乱馬。

乱馬「……あっ!あんなところで宇治金時とチョコパフェがチークダンス踊ってる!」

銀時「なんだってぇぇぇ?!!」

今まで倒れていたのが嘘のような勢いで銀時が体を起こし周囲を見回す。

乱銀「……」

一陣の風が吹く。



658: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:43:12.47 ID:GXJHWMk50

乱馬「やっぱり狸寝入りこいてやがったなてめえ!」

気まずそうな銀時を勢い良く指差す乱馬。

銀時「いやぁ、そ、そんなことは無かったよ。戦うのが面倒だとか決してそんなんじゃないからね今の寝入りは」

乱馬「へっ、だが今更そんなことどうでもいい!勝負だ!万事屋ぁ!お前を倒してこの戦いを終わらせる!そして元の世界に俺は帰る!」

乱馬の激情をものともせず、いつも通りに気だるげに銀時が返答する。

銀時「確かに俺がこっち側の大将みたいな空気になってるけどさ、これバトルロワイヤルだからね?俺を倒したところで第二、第三の俺が出てくるだけだよ?要は最後に立ってたやつが勝ちだってんだから」

乱馬「そりゃそうだが精神的支柱であるお前を倒せば後のやつらはもろい!そうなればお前に勝った勢いで全てを飲み込んで、俺達の、俺の勝ちだ!」

銀時「っかぁー、その歳で結構エグイこと考えるじゃないの。はは、嫌いだけど好きだぜ。そういう奴」

銀時は困ったように頭を掻きながら笑った。



659: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:45:03.09 ID:GXJHWMk50

乱馬「あとはこの一か月の恨みを晴らさせてもらう!」

銀時「……本当にそれだけか?」

銀時の問いかけに乱馬に勢いが止まる。

乱馬「……へっ、さすがに鋭いな。本音を言えば戦ってみたいのさ。この一か月、かぶき町の実力者達は全員お前に一目置いていた。月詠も九兵衛も、あの西郷のおっさんすらも。無差別格闘早乙女流二代目として、そんな奴と戦わずに帰れるかよ!」

乱馬が拳を構える。それに応えるように、とうとう銀時も腰から愛用の木刀を抜いた。

銀時「本当にそれでいいのか?今ならまだ取り返しがつくぞ。ここで俺達が停戦協定を結んで他勢力を潰して、あとはなあなあで優勝者を決める。そんな楽な方法もあるんだぜ?で、賞金は山分け、賞品の転生鏡でお前らは元の世界に帰る。俺達は誰も傷付かないハッピーエンドだ」

乱馬「……お前こそ、本当にそう思ってるのか?」

今度は逆に乱馬が銀時に問いかける。



660: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:47:38.16 ID:GXJHWMk50

乱馬「たったの一か月。たったの一か月だが俺なりに分かったことがある。あの町は火事と喧嘩が大好きな、ワクワクするような馬鹿な華町だ。で、その町の、かぶき町の生粋の住人であるお前が、今更抜いた刀引くようなタマかよ。もうやる気は十分なんだろ?」

銀時「……けっ、生意気な新参者だ。めんどくせぇ」

銀時の木刀を握る右手に力が入る。

乱馬「いくぜぇ」

銀時「怪我しても労災はおりないからな」

二人の間で闘気がぶつかり合う。極限の緊張感の中でも震えない刀と拳。その後方で生えている四本の足。互いの隙を突こうとする視線の応酬。

その後方で生えている四本の足。ほんの数ミリ、互いの射程に近付く二人。その後方で生えている四本の足。激しい熱気の中、流れる冷たい汗。その後方で生えている四本の足。



661: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:48:33.44 ID:GXJHWMk50

乱馬「……っだぁぁぁ!!!あの足が気になって集中できねえ!!!いつまで犬神家やってんだあいつらは!!!」

最高潮の緊張感の中、未だ地面に埋まったままの桂と長谷川が気になってしまった乱馬に、突っ込みという致命的な隙が生まれた。

銀時「隙ありぃぃぃ!!!」

初撃を決めたのは銀時であった。突っ込みによって生まれた隙を突かれた乱馬は、銀時の薙ぎ払いで吹き飛ばされ民家に激突。激しい土埃が舞い上がる。

銀時「作戦成功だ、お前らぁ」

ニタァッとした笑顔を浮かべる銀時の一言を聞くと、逆立ちの要領で桂と長谷川がようやく地上に顔を出した。

桂「ふっ、どうやらうまくいったようだな。犬神家の一族スケキヨ(偽)作戦は」

長谷川「まあな、さすがにスケキヨ二体もいたら気になるもん。気にならない方がおかしいもん」



662: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:49:40.06 ID:GXJHWMk50

銀時「このまま仕留めるっ!」

銀時が追撃しようと乱馬が吹き飛ばされた方へ駆けだすが

乱馬「猛虎高飛車!」

その直後、土煙の中から歴戦の戦士でも躱せない程のタイミングで、カウンター気味に放たれた気砲を食らってしまう。

銀時「ぐほぁっ?!」

今度は反対方向へ銀時が吹き飛ぶ。

長谷川「銀さんっ!!」

乱馬「……やってくれるじゃねえか、万事屋ぁ!」

土煙が晴れ、闘気を溢れさせる乱馬が叫ぶ。

桂「……これは大変だぞ、長谷川さん」

長谷川「ああ、戦闘に明るくない俺でも乱馬君の強さは分かる。銀さん、大丈夫なのかぁ?!」

乱馬の強さを目の当たりにして、長谷川が心配で声を荒げる。



663: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 17:50:22.46 ID:GXJHWMk50

桂「いや、そうではない」

長谷川「……じゃ、じゃあどういうことなんだ?!」

長谷川とは対照的に、焦ってはいるのだろうが態度には出さずに桂が言う。

桂「今ここに新八君たちはいない。つまり……」

長谷川「つまり?」

桂「戦闘解説キャラを俺達がしなければならないということだっ!」

長谷川「……は?」

桂「お、俺は嫌だぞ!ロン毛がかぶってるからってヤムチャポジションなんて!あんな富士額に女を取られ、人造人間には体を貫かれなんて!せめてピッコロ!ピッコロポジションでいかせてほしい!長谷川さんにはあれ、天さんポジあげるから!ね?!」

長谷川「ね?!じゃねえよ!もう黙って見てろっ!!」

阿保二人を置いて戦いは刹那の度に進む。



664: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:25:48.79 ID:GXJHWMk50

銀時「そんなドラゴンボール的な攻撃するなんて卑怯だろうがぁぁぁ!!!持たざる者の気持ちも考えろぉぉぉ!!!」

猛虎高飛車をもろに食らった銀時であったが、痛む体を引きずってすぐさま反撃に移る。それに合わせて乱馬も迎撃体制を整える。

乱馬「そんなもん知るかぁぁぁ!!!」

右上段からの刃と右拳がぶつかり合う。両者互角、どちらもたじろぎすらしない。その中で次の一手を先に打ったのは、経験の差からか。銀時であった。

銀時「っく!!」

刃と拳のこう着状態から左蹴りを放ち、乱馬の腋腹に決める。

乱馬「っかは?!」

思わず膝を着きたくなるダメージを受けながらも、乱馬はがむしゃらに空いている左拳で銀時の右頬をぶん殴る。

銀時「っ?!」

蹴りが決まってからの反撃を予想していなかった銀時はそれを真正面から受けてしまう。意識も、地面で踏ん張っている両足でさえも吹き飛びそうであったがなんとか繋ぎ止める。



665: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:26:33.57 ID:GXJHWMk50

その隙を捉えた乱馬は瞬時に距離を詰め、シャンプーの祖母から教わった、女傑族の秘技を放つ。

乱馬「火中天津っ!甘栗拳っ!」

乱馬の両拳から、人間技では有り得ないスピードで正拳突きが繰り出される。

銀時「っな?!こ、これはっ?!」

もはや人間の目に見えるスピードでは無かった。だがそれを銀時は数弾ではあるが視認し、かつ天性のセンスと歴戦の経験で防いでいた。しかし、それも全弾防ぎきることは不可能。数十発のパンチをもらって再び吹き飛ばされる。

長谷川「銀さんっ!づ、づらっち!一体何が起こったんだ?!乱馬君の両手が消えたと思ったら銀さんが吹っ飛んで――」

桂「す、凄い。こ、この俺ですら全弾見切ることは出来なかった……」

桂が思わず息を呑む。

長谷川「す、凄い。づらっちがまともに解説キャラになっている……」

長谷川も思わず息を呑む。



666: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:27:18.30 ID:GXJHWMk50

これで勝負が決まったと一瞬、たった一瞬気を抜いたその時。次は銀時が乱馬に襲い掛かる。

乱馬「ぐっ!!」

脳天に木刀の直撃。それでも乱馬は意識を手放さない。それに耐え、次の一手を繰り出す。

銀時(この歳でなんて野郎だっ!この技とセンスに負けん気、末恐ろしいなんてもんじゃねえぞっ!)

乱馬が返す刀で右拳を銀時に突き上げる。だがそれを右手の木刀で巧みにいなすと、銀時は左拳の裏拳を乱馬に打ち込む。

乱馬(こ、こいつ間違いなく俺が今まで戦ってきた誰よりも強えぇ!なんて柔らかくて力強い戦い方だっ!もしや八宝斎のじじいよりっ?!)

至近距離で二人の格闘戦が始まる。噴き出す血、はじける汗、張り詰めた空気。それを見ているあの桂に長谷川さえも口を開けない。そんな中、その声も出せない状況で、ようやく彼らを追っていた三人が駆け付ける。

あかね「乱馬!銀さん!もう止めてっ!」

新八「二人とも!ここは一旦話し合いましょう!」

神楽「そうアル!ケンタッキーでも食べながら落ち着くアル!」

血だらけで繰り広げられる激闘を見た三人は、この不毛な戦いを止めようと説得を試みる。



667: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:27:55.38 ID:GXJHWMk50

乱馬「うるせぇ!茶々入れんじゃねぇ!」

銀時「残念ながら、そんな穏やかに話纏められるタイミングはとうに過ぎちまってるみたいだぜ」

乱馬、銀時とも激しい呼吸の中声を振り絞る。

あかね「私も熱くなったのは謝るから乱馬!もういいでしょ?!」

新八「ここまでする必要なんてないじゃないですかぁ!」

二人の惨状を見て、悲痛な声を上げる。

乱馬「必要不必要なんて話じゃねんだよ、俺の武闘家としての血がもう止まらねえんだよ!」

神楽「血を言い訳にするんじゃないアル!」

自身の境遇を顧みて神楽が叫ぶ。

銀時「ここまできて止められっかての。結野アナの再婚話でも持ち上がらない限り止めはしねえよ」

この状況下で銀時がいつもの如くにやつく。



668: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:29:21.68 ID:GXJHWMk50

あかね「そ、そんな……止められないの……?」

あかねが両手を胸に当て悲しそうに呟く。その時であった。

ドゴォォォォォン!!!!

遠くに見えるターミナルの方角から、彼らにも聞こえるほどの轟音が鳴り響いた。

新八「な、なんだ一体?!」

あかね「あ、あれは……何っ?!」

神楽「私を食った化け物とそっくりアル……!」

桂「馬鹿でかい触手っ!くっ、クリムゾン先生……?!」

長谷川「もうホント黙ってような」

音の方を見やると幾本もの触手を持った巨大な化け物が、江戸の町に突如出現していたのであった。

その異常な事態に、銀時と乱馬の闘いの手も思わず止まる。



669: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:32:46.64 ID:GXJHWMk50

銀時「……おいおい、あの時のやつとそっくりじゃねえか。神楽、早く父ちゃん呼べぇ。間に合わなくなっても知らんぞぉ」

神楽「思春期の女の子は自分から父親に連絡なんてしないネ」

新八「そんなこと言ってる場合じゃないよ神楽ちゃん!前回だって星海坊主さんがいてくれたからなんとかなったってのに!」

神楽「だいたい手紙で連絡取り合ってるようなアナログな親子に、携帯一つで呼び出すような感じで言われても困るアル」

新八「ど、どうするんですか銀さん?星海坊主さんに手紙が届いて助けに来てくれる頃には江戸が無くなってるかもしれませんよ……」

銀さん「……そうだ、京都へ行こう」

新八「行くなぁ!」

あかね「な、なんなのあの化け物はっ?!」

乱馬「で、でけぇ……」

何度も奇形の生物と対峙している万事屋組は慣れたものであったが、初めて見る乱馬とあかねは驚くほかなかった。



670: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:33:13.21 ID:GXJHWMk50

銀時「とにかくあのハゲがいなくてもどうにかするしかないだろ、あのまま暴れられたらウチまで無くなりかねねえからな。いや、滞納してた家賃もうやむやになるからいっそ無くなった方が良いのか……?」

新八「何アホなこと言ってんすか銀さん。あの町と万事屋が無くなったら僕達どうやって生きていくっていうんですか?それに先月の給料もまだ貰ってませんし」

神楽「そうネ!だいたい女王である私の許可なく暴れまわるとは許せないアル!」

遠くから見ても分かるほどに、化け物の触手は荒れ狂い江戸の町を破壊していた。

桂「そうと決まったらボサっとしているんじゃない、お前たち。天人にもあんな化け物にも、俺たちの国は壊させやせん」

長谷川「正直力になれるか自信はないけど俺も行くよ。思い出の詰まった、俺たちの町だからな」

桂、長谷川のセリフにとある一人を除いて頷く。

乱馬「そうはいくかよっ!」

そのとある一人が待ったをかける。



671: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:34:00.86 ID:GXJHWMk50

乱馬「おい万事屋!俺との戦いほっぽってあの化け物と戦いに行くってのか?!そんなもん許すわけねえだろうが!決着つくまで逃がしゃしねえ!」

乱馬が鬼気迫る表情で怒鳴る。

銀時「……」

あかね「ら、乱馬っ!そんなこと言ってる場合じゃないでしょうが!」

新八「そうですよ乱馬さん!早くアイツをやっつけないと町が!」

神楽「そんなことあの化けモンやっつけてからゆっくりやりゃいいネ!」

桂「優先すべき事項を判断できておらんな。そんなことでは命を、己の大事としたものでさえも無くしかねんぞ」

長谷川「乱馬君!今はそんなことより化け物を倒すことが先決だろっ?!」

銀時を除いた五人が、未だに決着をつけたがる乱馬を説得するも

乱馬「うるせぇ!」

彼の一言で一蹴されてしまう。



672: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:35:09.36 ID:GXJHWMk50

乱馬「あの町がどうなろうと知ったことか!んなことよりこの闘いに決着をつける方が先だろうが!あんな町どうなろうがどうでもいい!早く続け――」

荒ぶる乱馬の言葉が、押し黙っていた銀時の拳で止まる。

乱馬「っがは?!」

今までとは比べ物にならない程の殺気を纏わせた銀時の一発が乱馬を襲った。戦闘状態を緩めていない乱馬でさえ、防ぐことも避けることもできない、鋭い一撃であった。

銀時「……てめぇ、それ本気で言ってんのか?」

銀時の拳で尻もちをついた乱馬が、切れた唇の血を拭いながら答える。

乱馬「ほ、本気に決まってんだろっ!ここまで来て今更止められるかっ!」

銀時「そうじゃねえ。てめえが言った、あんな町どうなろうと知ったこっちゃねえってことだよ」

乱馬「……」

静かに、ただそれでいて迫力のあるトーンの銀時の言葉に、今度は乱馬が口を塞ぐ。



673: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:36:25.32 ID:GXJHWMk50

銀時「この一か月、てめえはあの町で何を見て、何を聞いて、何をして生きてきた?そして何をして、何をもらった?」

銀時が木刀を腰に収めながら言葉を続ける。

銀時「恩着せがましく言うつもりもねえしてめえがどう思おうと勝手だがな、あの町は、かぶき町は!てめえの目にどう映った!」

尻もちをつく乱馬の襟首を強く掴みながら銀時が言った。

新八「もう行きましょう銀さん、これ以上こんなところで馬鹿の相手してる場合じゃないです」

神楽「そうネ、ただでさえ弱っちい奴等が戦いで弱ってるアル。早くしないと全滅ネ」

その間も化け物はその大きすぎる触手を振り回し、江戸の町に土埃を上げていた。

銀時「てめえにとって何が一番大事なのか、その猪みたいな脳ミソで良く考えてみやがれ。それでもその時、俺との決着が一番だっていうなら相手になってやる。あの化け物の足元だろうが、ジャンプ読んでる最中だろうが、あの子のスカートの中だろうがな」

乱馬「……」

銀時はスッと襟首を離し、乱馬に背を向けた。



674: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:36:51.37 ID:GXJHWMk50

銀時「おめえら!行くぞっ!」

その一声に皆力強く頷くと、あかねを除いてかぶき町に駆けだした。

あかね「乱馬……」

乱馬「……なんだよ」

あかね「信じてるからね」

そう一言悲しげな笑顔で言い残すと、彼女も乱馬を一人置いて、皆の後を追って走り出したのであった。



675: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:37:47.96 ID:GXJHWMk50

かぶき町、市街地。

お妙「ちょっとホントになんなのよこれはっ!!」

九兵衛「お妙ちゃん!危ない!」

かぶき町中心地にほど近い場所に巨大エイリアンが出現してからどの陣営も困惑し逃げ惑っていたが、流石はかぶき町の住人達。すぐさま態勢を立て直し、考えを切り替え、スクラムを組んで化け物退治を行っていた。

そんな中、触手の一撃に潰されそうになっていたお妙を、持ち前の俊敏さで九兵衛が助ける。

お妙「ありがとう九ちゃん!そ、それにしてもなんて卑猥な形状の生き物なの……?!」

九兵衛「礼には及ばないよ。ただこの化け物の容姿について言及するのは控えないか?」

お妙をお姫様抱っこで救出した九兵衛が言った。その後方で、彼女たちを襲った触手にクナイ、ナイフ、青龍刀、ヨーヨーが突き刺さり、トドメにハイヒールの飛び蹴りが降りかかる。



676: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:38:22.36 ID:GXJHWMk50

猿飛「な、このMっ気をくすぐる化け物はなんなのぉっ?!そうかっ!きっと銀さんが私に用意してくれた新しい性玩具に違いないわっ!」

ムース「さっちゃん!今はそんな事言ってる場合じゃないだぁ!」

シャンプー「ムース!お前の仕事仲間っ、早く快楽天あたりに移籍させるある!」

自らの武器を投擲するさっちゃん、ムース、そして飛び蹴りを放ったシャンプーが前線で化け物の進撃を食い止める。

お妙「……九ちゃん、離して」

九兵衛「お妙ちゃん?」

予期していなかったお妙の言葉に戸惑う九兵衛。

お妙「あの泥棒猫が戦ってるのに!私がお姫様抱っこされてる場合じゃないじゃろがいぃぃ!!」

九兵衛の手から離れ、矛を振り回しながらお妙は化け物に向かって行く。

九兵衛「ふっ、お妙ちゃん」

そんなお妙の背中を見ながら非常時であるのに九兵衛は微笑むと、その逞しい背中を追って行った。



677: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:39:18.93 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


化け物付近でやられていた人たちも今はどのチーム関係なく救助され、回復した者から戦線に復帰し化け物と戦っていた。

一方、彼ら戦士たちとは違うフィールドで、しかし最前線で戦う者たちもいた。

結野「見てください皆さん!謎の生物が急激に巨大化しております!ですが皆さんは覚えておいででしょうか?!このような生物がこの町を襲うのは二度目だということを!」

そう、マスメディアである。お天気お姉さんの結野アナが克明に現場の状況を視聴者に伝える。だがそんな無力で無害なお姉さんにも、化け物は容赦なく襲い掛かる。

結野「い、いやっ?!」

結野アナと取材クルーごと潰しにかかる触手であったが

土方「ふんっ!」

目にも止まらぬ速さで現れた真選組副長の一太刀により、彼女たちは事なきを得る。



678: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:40:26.41 ID:GXJHWMk50

結野「し、真選組です!江戸を守る武装警察、真選組が駆け付けてくれました!しかもあの時とは違います!ターミナルと離れているおかげか、前回と打って変わって彼らもその武力をもって町を守らんとしてくれています!」

前回エイリアンが現れた時の不甲斐ない真選組を直視していた結野アナは興奮気味にそう伝える。そこに強力な味方がもう一人、真選組一番隊隊長、沖田総悟が拡声器片手に現れる。

沖田「えー、エイドリアーン!お前は完全に包囲されている。大人しく投降しなさい」

結野「え、ちょっ。これじゃ前回と同じじゃ……てかエイドリアンじゃねえよ馬鹿ロッキー」

結野の突っ込みも気にせず沖田が続ける。

沖田「故郷のお母さんも泣いてるぞ、こんなエイリアンにするために生んだんじゃないってな。そして兄のようにはなってほしくなかったと、ね?お母さん」

結野「え?!兄?!お母さん?!」

沖田の呼びかけに動揺する結野を尻目に、後方のパトカーの扉が開く。そこには

近藤「もうこれ以上私たち家族を苦しめるのは止めて!」

タコ足型宇宙人に扮した近藤が、二枚のエイリアンの遺影を持って叫ぶ姿があった。



679: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:41:12.77 ID:GXJHWMk50

近藤「アンタのお兄ちゃんがあんなことになってしまったから、アンタだけは!アンタだけはと思ってたのに!結局お兄ちゃんと一緒でそっちの道に行ってしまうのね!でも今からならまだ間に合うから!暴れるのを止めて――」

エイリアンに扮した近藤の説得も空しく、彼らのいる場所を触手が襲う。

近藤「ぐはっ!!」

真っ先に近藤が攻撃されたのを好機と察し、その場にいた者が全員全速力で走り去る。

結野「結局アンタ達なんにも前回と変わってないじゃない!アホ警察!」

沖田「ひでえ事言いますぜ、なあ土方さん。ってことであの触手みたいに人格的にネチネチしてる土方さん、アンタしかあの化け物と張り合えるのはいねえと思うんで逝って来てください。二階級特進!フゥー!」

土方「死ぬこと前提で送り出すんじゃねえクソ野郎!縄ほどいてやった恩も一分と経たずに忘れやがって!」

町を守る意思があり実際に戦ってもいるのだが、何分戦力差が開きすぎているせいか、武装警察真選組でさえも一進一退の攻防を続けているような状態であった。



680: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:42:09.68 ID:GXJHWMk50

かぶき町、外れ。

そんな中、木刀で叩かれた頭より、蹴りを食らった胴体より、何故か痛む頬を押さえながら乱馬は呆けたように座り込んでいた。そこに近付く人影が一つ。

?「こんなところで何やってんだ、呆けた顔した兄ちゃん。だが良いねぇ、その瞳の奥に光る刃。俺には見えるぜ」

顔を上げると、包帯で顔の左側を覆った男が立っていた。

乱馬「……なんだてめえは」

その男の禍々しいオーラに、思わず身体を固くする。

?「俺のことなんざどうだっていい。ところでどうだ、その刃。俺の下で振るう気はないか?」

その男は素性も明かさずに乱馬との会話を続ける。



681: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:42:44.13 ID:GXJHWMk50

?「へっ、良い具合に壊れてんなぁ、国が。自分たちの無力さってやつをどうあがいても突き付けられちまう」

今は遠きかぶき町で、化け物が暴れ回る様を見ながら男が言った。

乱馬「……どっか行きやがれ。今は誰とも話す気分じゃねえんだよ!」

残り少ない気力を振り絞って、乱馬が精一杯包帯男に気勢を吐く。

?「そうかよ。ただ何かを、なんでもいいからぶっ壊したくなったら俺の下へ来いよ。待ってるぜ」

乱馬の言葉に臆した様子もなく男は平然と、口元を歪めながら笑う。

?「大事なもんを奪われちまったんならよ、無くしちまったんならよ。いっそ全部ぶっ壊しちまえばいいんだよ、全部捨てりゃいいんだよ。後悔と未練と、執着と共によ」

男は膝を着き、乱馬の耳元で囁いた。



682: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:43:21.97 ID:GXJHWMk50

乱馬「お、俺は……っ!」

?「その眼、俺の大嫌いな男に似ているな。だが、今ならまだ間に合うぜ。こっち側に来て、うつつを壊しまわるのにはな」

それだけ言うと不気味な笑みを浮かべた男は、いつの間にやら彼の後ろに従えていた数名の人間たちとその場を去って行った。

乱馬「……」

何か怒鳴り散らしたい乱馬であったが、男の眼、言葉、オーラに気押され、何も言葉を紡げなかった。

乱馬(……全部壊す、全部捨てる、か)

彼らが去り、全身の力が抜けた乱馬は、包帯男の言葉を反芻していた。



683: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:43:51.48 ID:GXJHWMk50

自身の力のない拳を見つめる。そこにふと、この一か月乱馬に迷惑をかけっぱなし、しかし、誰よりも親身に接してくれた男の声が蘇る。

西郷『アンタの大切なモンってのが私には分からないけど、その熱さのせいで、何が大切なモンなのかを見失うようなザマにはなるんじゃないよ』

その言葉を思い出し、力なく笑う。

乱馬「へっ、昨日言われたばっかだってのにな」

彼の頭に、この一か月の出来事が次々と浮かんでくる。



684: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:45:05.89 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

らんま『だから俺はこんなトコで働かねえって言ってんだっ!』

アゴ美『ちょっとママァ!パー子だってもう少し素直だったわよ!それが何このじゃじゃ馬は!』

西郷『そのアホ万事屋から安く仕入れたのよ。ちゃんと使えるようにしな、アンタの仕事だよ』

らんま『だいたいこんな妖怪の巣に誰が好き好んで金払って来るってんだ!』

オカマA『誰が妖怪よ!』

オカマB『そうよ!アゴ美のアゴは妖怪の仕業じゃないんだから!』

らんま『いやそんなことは言ってない』

アゴ美『ちょ、ちょっと!私のアゴはこの際いいから早くママに謝りなさい!死ぬわよアンタっ!』

らんま『へ?』

西郷『誰が妖怪じゃぁぁぁぁ!!!!!』

ドゴォォォォォン!!!!



685: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:46:04.57 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


乱馬『俺は鏡の調査に行くんだ!』

狂死郎『まあまあ落ち着いて。とりあえず今日のところは働いてください。明日明後日はお休みにしますから』

シャンプー『乱馬ぁ!今日も楽しく遊ぶね!』

ムース『ふんっ!おらはシャンプーの付き添いじゃ!』

狂死郎『お!大口のお客さんじゃないですか、頼みましたよ!』

乱馬『ったく、調子良いんだからよぉ』

西郷『らん子ぉ!飲みに来てやったわよぉ!』

アゴ美『いやぁん!狂死郎様ぁん!』



686: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:46:42.36 ID:GXJHWMk50

狂死郎『……い、いらっしゃいませ』

シャンプー『残念だたある西郷。タッチの差で乱馬の身体は私のものになったある』

西郷『もう!そんなけち臭いこと言ってんじゃないわよ!楽しく一緒に飲み明かすわよ!』

シャンプー『うーん。ま、それもそうね。一緒に飲むある』

乱馬『お、お前らの相手は絶対嫌だ!酔うと酷いなんてもんじゃねえからな!さっさと自分たちの巣に帰りやがれ化けモン共が!』

アゴ美『ら、らん子……私悲しいわ。あなたの学習能力の無さに』

乱馬『あ』

西郷『誰が化けモンじゃぁぁぁ!!!』

ドゴォォォォォン!!!!



687: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:48:08.59 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

らんま『もう休ませてくれぇ!』

お妙『もう、らんまちゃんったら若いのにそんなお休み欲しがっちゃって。まだまだいっぱい働けるでしょう?顔に書きますよ?』

らんま『……顔に書いてあるとかじゃねえんだ』

近藤『おっ妙さぁぁぁん!!今日もあなたの愛しのエンジェル、近藤勲が来ましたよぉ!』

らんま『また来た……』

お妙『すいませーん!誰か警備の人呼んでくださーい!』

シャンプー『警備より強いのにそんなもの呼ぶ必要ないある。さっさとそのオスゴリラ連れて仲良く檻に戻るよろし』

お妙『な、なんですってぇ……』

ムース『シャンプー!今日もお前の愛しのエンジェル、ムースが来ただぁ!』

らんま『ダメだこいつ、完全に毒されてやがる……』



688: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:48:54.70 ID:GXJHWMk50

西郷『私もいるわよん』

らんま『もう許してくれぇ!』

西ム近『かんぱーいっ!!』

キャバ嬢A『ちょ、ちょっとまたお妙さんとシャンプーさんが喧嘩始めちゃったわよ!』

キャバ嬢B『わ、凄い!二人の拳の軌道が見えない?!』

キャバ嬢A『らんまちゃんお願い!二人の喧嘩、ていうかラグナロクを止められるのはらんまちゃんしかいないから!』

らんま『ええ?!またかよぉ……店長は?』

キャバ嬢B『まだ胃潰瘍で入院中』

らんま『しょうがねえなぁ……』

お妙『死ね痴女ぉぉぉ!!!』

シャンプー『朽ち果てろまな板ぁぁぁ!!!』

らんま『二人とも止めろってっ!!ってうわぁぁぁぁ!!!!』

ドゴォォォォォン!!!!



689: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:49:56.84 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

乱馬の頭にこの一か月の思い出が次々と、走馬灯のように駆け巡る。

乱馬「……」

乱馬「……良い思い出が無い?」

?「いや、そこはなんか良かったこととか思い出して決意新たに戦いに行くところじゃろ!」

?「そうじゃそうじゃ!肥大化しすぎた余の可愛いペットを止めにいくところじゃろ!」

乱馬「は?」

乱馬が顔を上げると、ハタ皇子と爺、今回のバトルロワイヤルの企画者である二人が立っていた。

乱馬「……余のペット?」



690: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:50:51.62 ID:GXJHWMk50

ハタ「そうじゃ。可愛い可愛い余のペットじゃ。前回ターミナルのエネルギーで肥大化してしまったペットの親戚じゃ」

乱馬「へ?」

爺「そうそう。それをこのバカ皇子がかぶき町でなくしやがって。で、今回のアイツは人の闘気を吸って大きくなるからバトルロワイヤルでも開催してたんまり闘気を吸わせて、大きくして見つけやすくしてから回収するはずだったんじゃが、どうにも大きくなり過ぎてのう」

乱馬「あ?」

ハタ「誰がバカ皇子じゃ!とにかくああなっては手に負えん。よもやあんなに激しい闘気が発生するとは。でも余の可愛いアイツもあんなに闘気を吸えてさぞ満足してるじゃろ。ハッハッハッハッハ」

爺「そうっすね。まあなんにせよ、止めようにも闘気を放出したまま戦ってたんじゃ一生止めらんないけどな。あんな増殖し続けたままじゃ、体内にある『核』を破壊出来ないから殺せないし。ハッハッハッハッハ」

二人の馬鹿笑いが響く。



691: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:51:53.27 ID:GXJHWMk50

乱馬「……つまり今回の騒ぎはお前らが原因だってことか?」

爺「あ、やべ。ちょっと皇子、喋り過ぎたかも。爺知ーらないっと」

ハタ「ずるいぞ爺ぃ!一人だけ関係ないみたいな顔するな!そしてその顔めっさ腹立つ!」

乱馬の拳に力が戻り、抑え切れずプルプルと震える。

爺「お、おこなの?少年おこなの……?」

ハタ「いや、爺。これは激おこじゃないか……?」

乱馬「当ったり前だぁぁぁ!!!」

怒りを爆発させた乱馬は三秒と経たずに二人をボコボコにした。



692: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:52:40.20 ID:GXJHWMk50

爺「……いや、マジすいませんした」

ハタ「……ホントすいません。でも触覚殴んのは止めてもらっていいっすか?」

正座で反省する二人に乱馬が叫ぶ。

乱馬「くそっ!とにかく早く町に行くぞ!この情報伝えねえとあいつら全員やられちまう!」

ハタ「は、はいぃ!爺!この方を飛行船最大船速で送って差し上げろ!余はここでちょっとアレしなきゃいけないからお前行け!」

爺「そんなぁ!元々アンタのペットなんだからアンタが責任持ってあの化け物に食われちまえよ!」

ハタ「化け物じゃない!余のペットじゃ!」

爺「ばーけものっ!フゥー!ばーけものっ!フゥー!」

喧嘩を始める二人の脳天に、乱馬が両拳でげんこつを落とす。

乱馬「い・そ・げ」

ハ爺「はい」



693: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:54:10.22 ID:GXJHWMk50

かぶき町、市街地。

良牙「ったく!一体なんなんだこの化けモンはっ!消滅させてもどんどん巨大化していくぞっ?!」

月詠「愚痴っていてもしょうがないぞ、童!」

右京「口動かす暇あったら手ぇ動かす!」

良牙、月詠、右京の三人は位置的に近いところにいたため、エイリアン発生時から共闘の形をとっていた。

他にホスト軍団、ヤクザ、百華などの混成軍団の頑張りでなんとか前線を凌いでいる状況である。

良牙「獅子咆哮弾っ!」

右京「喰らえっ!」

そして未だ相対しているエイリアンの生態を知らない彼らにとっては、倒しても倒しても無限増殖を続けるなんとも厄介で不可解な敵であった。

月詠「危ないっ!」

荒れ狂う触手が月詠の傘下である百華の一人に迫る。



694: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:54:47.64 ID:GXJHWMk50

百華A「か、頭っ?!」

咄嗟に突き飛ばし触手の魔の手から部下を救った月詠であったが、代わりに自らが触手の攻撃を食らってしまう。

月詠「っぐ?!」

右京「月詠さんっ!」

吹き飛んだ月詠に右京が駆け付ける。

良牙「ば、馬鹿か右京!ギリギリもっているというのにお前まで抜けては――っぐは!」

なんとか良牙、右京、月詠の奮戦で持ちこたえていた戦線も二人が抜けるとどうにもならず、良牙までもが触手の重すぎる一撃を食らい吹き飛ぶ。



695: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:55:44.64 ID:GXJHWMk50

月詠「わ、わっちは大丈夫じゃ、ぬしは気にせず戦いを続けるでありんす……」

瀕死といっても差し支えない月詠の体を、膝を着いて抱き起こす右京。

右京「そんなこと言うたってあんな攻撃もろうたら――」

月詠「大丈夫と言ったら大丈夫じゃ。わっちのことはいいからこの町を、人を守るのじゃ。やつの居ぬ間にこの町を落とされたとあっては、二度も救われといて申し訳が立たんからな」

頭から、いや、体中から血を流しながらも月詠は右京に言った。

右京「大丈夫なことあるかっ!とにかく後ろに下がって手当を――」

月詠「いい!とにかくぬしは戦いに戻れ!」

右京「……くそっ、分かったわ」

食い下がる右京であったが月詠の瞳を見ると説得も不可能と思い、巨大ヘラを握り直しエイリアンに向き直る。



696: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:56:28.08 ID:GXJHWMk50

月詠「フフッ、ぬしはいい女じゃな。屋台なんかではなく、吉原で働いてはみぬか?ぬしなら吉原の天女にもなれるやもしれぬぞ」

勝男「そんなとこで姉さんを働かせるかいぃぃぃ!!!」

月詠への突っ込みと共に、エイリアンの触手にフルパワーの右ストレートを決めながら勝男が現れる。

右京「か、勝男さんっ!」

ヤクザ軍団「あ、兄貴ぃ!!」

勝男「遅うなってすんまへん、姉さん。ちょっと気持ち良く夢見てたもんで。へへっ」

左目にでかい青タンを作った勝男が笑う。

狂死郎「お前たちっ!何をやっているっ!レディをここまで傷付けられてやられっぱなしとはなんて情けないっ!」

その横で全身ズタボロの狂死郎が叫ぶ。



697: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:57:11.16 ID:GXJHWMk50

八郎「狂死郎さん!」

狂死郎「私たちはかぶき町のホスト。この町を守るのも、女性の笑顔を守るのも、私たち最大の使命です!この町のホストなら、その使命を果たしなさいっ!」

ホスト軍団「い、命に代えてもぉぉぉ!!!」

勝男「溝鼠組ぃ!親父とお嬢の、そして姉さんの愛した町のためっ!クソ生意気なエイリアン風情をいてもうたれぇぇぇ!!!」

ヤクザ軍団「うおぉぉぉ!!!」

彼ら二人の号令で士気の上がった両軍が、今まで以上のスペックを発揮し触手に立ち向かう。

右京「ウチもいくでぇ!!」

ヤクザA「姉さんがいてくれりゃ百人力だぁ!」

その勢いに右京も乗っかる。



698: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:58:07.70 ID:GXJHWMk50

勝男「さっきはすまんかったのぉ、狂死郎はん」

狂死郎「いいんですよ、ただの喧嘩なんですから」

二人が微笑む。そして顔をギュッと引き締めると

勝男「んーで、おい兄ちゃん!いつまで寝とんのじゃい!そんな体たらくじゃヤクザ軍団からの一位指名取り下げるでぇ!」

崩壊した民家に向かって勝男が叫ぶ。

良牙「……誰がプロ入りするなんて言ったんだボケ」

血液と瓦礫を体中から落としながら良牙が立ち上がった。

勝男「へっ!それでこそ一位指名や!」

狂死郎「中々良い男ですね。ウチからも一位指名させてもらいます」

良牙「馬鹿を言うな貴様ら。俺はFAで天道家を希望する」



699: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:58:37.22 ID:GXJHWMk50

満身創痍の三人も、どこかの誰かと似たような笑みを浮かべて化け物に向かって駆け出す。そんな彼らを後ろから悔しさで唇を噛みしめながら月詠は、必死に両足に力を込めて追いすがる。

百華B「頭ぁ!ここは私たちでなんとかしますから休んでいて下さい!」

百華A「私なんかを守るため本当にすいません!もう頭はっ!」

月詠「無粋なことを言うなんし。こんな騒がしいところで休んでなんかいられ――」

何本か折れているであろう脇腹を押さえながら歩く月詠に、後ろから力強く、けれども優しい手が肩に置かれた。

?「寝てろ馬鹿野郎。そもそも寝るのが太夫の仕事じゃあねえか」

月詠「ぎ、銀時?!」

町の外れから、ようやく戻って来た銀時が月詠に言った。



700: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:59:15.71 ID:GXJHWMk50

月詠「ふんっ、嬢にだって拒否権はありんす。あんな客と一緒に寝てなぞいられるか」

銀時「ははっ、違いねえ」

もっと色々と言ってやろうと思った月詠であったが、彼の姿を見ると、その言葉をキセルの煙と共に飲み込んだ。

神楽「前回みたいに容易くやられると思うなヨ!」

新八「僕達の町をこれ以上壊させやしない!」

新八が竹刀を、神楽が拳を強く握りしめる。

九能「桂殿ぉ!探しましたぞぉ!」

エリザベス『行きましょう!桂さん!』

桂「おお二人とも!行こう!この国の夜明けへ!」

攘夷志士トリオにも力が漲る。



701: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 18:59:55.92 ID:GXJHWMk50

長谷川「お、俺だってやってやるっ!」

武蔵っぽい人「頑張れよ」

長谷川「ええ?!アンタなのこの場面で?!もっと縁のあるキャラが出てくる感じでしょここぉ!なんでぇ?!」

長谷川がなんやかんや震える。

あかね(乱馬……来てくれないの?)

不在の許嫁を思ってあかねが遠くを見つめる。だが彼女の思いなどつゆ知らず、男たちの最後の闘いが始まる。

銀時「行くぞぉぉぉ!!!」

一同「うおぉぉぉ!!!!」



702: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:03:21.02 ID:GXJHWMk50

飛行船、操舵室。

乱馬「おい!もっとスピードでねえのかこの飛行船!」

ハタ「ちっ、これが最大船速じゃい……」

爺「ぺっ、自分の足で走れや……」

乱馬「なんか言ったかこら」

ハ爺「いえ言ってません」

皇子の飛行船に搭乗し化け物へと向かう乱馬であったが、如何せん飛行船、中々スピードが出ずにじれったい思いをしていた。



703: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:04:31.45 ID:GXJHWMk50

乱馬「そういえば聞きたかったんだけどよ、なんでお前らが転生鏡持ってるんだ?」

そこで気になっていた疑問を乱馬が二人に投げかける。

ハタ「ああ、それか。それはな『かくかくしかじか』という事情での。今は余の持ち物となっている」

乱馬「え、ええええっ?!お、お前がアイツのっ?!」

皇子が何故所有していたか、理由を聞いて大変驚く乱馬であった。そして数瞬の後

乱馬「……なんやかんや今回の一連の騒動の一端はやっぱお前らだなこら、こら!」

との結論に至り、ゲシゲシと皇子に蹴りを打ち込んだ。

ハタ「や、止めるのじゃ!とにかく触覚は止めてっ!って爺!助けんかっ!」

爺「面舵いっぱーい!」

ハタ「無視すんな!面舵取る場面でもねえし!」



704: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:05:01.06 ID:GXJHWMk50

乱馬「この!この!お前もだ!」

乱馬の魔の足が爺にも迫る。

爺「あ!痛い!止めてください!」

乱馬「うるせぇ!お前らなんていなければぁ!」

ハタ「すいません!あと執拗に右目だけ狙うの止めて!」

爺「ちょ、ちょっとホントに止めてください!そ、操縦がぁぁぁ!!!」

乱馬の攻撃の余波で、操縦にとても大事そうな舵がポキっと折れた。



705: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:07:17.06 ID:GXJHWMk50

舵「ポキ」

乱馬「あ」

ハタ「へ」

爺「わ」

一同「…………」

変な声を出した一同であったが、床に落ちた舵を見てすぐさま沈黙に包まれる。

ハタ「……これどうなんの?」

爺「このまま真っ直ぐ飛び続けて……」

乱馬「飛び続けて?」

爺「燃料が無くなって落ちるかもしくは……」

ハタ「もしくは?」



706: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:07:53.46 ID:GXJHWMk50

爺「障害物に当たって撃沈するか……」

操舵室の真正面のガラスからは、巨大エイリアンが先程と変わらず元気に暴れ続けている姿が見えた。

乱馬「……つまり俺達はあの化けモンにぶち当たって撃沈すると」

爺「そういうことですな……」

ハタ「Oh……」

その間にもぐんぐん飛行船はエイリアンに近付いている。

乱馬「もう笑うしかねえな、こんなもん。HAHAHAHAHAHAHAHA!」



707: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:08:38.88 ID:GXJHWMk50

ハタ「それもそうじゃの!HAHAHAHAHAHAHAHA!」

爺「死にたくねえよぉ!HAHAHAHAHAHAHAHA!」

一同「HAHAHAHAHAHAHAHA!」

一しきり皆で肩を組んで笑い合い、連帯感のようなものを三人で感じ合うと一呼吸吐き

乱馬「大事なモン持って脱出するぞぉぉぉ!!!」

ハ爺「は、はいぃぃぃ!!!」

我に返って逃げ出す準備を始めたのであった。



708: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:09:55.93 ID:GXJHWMk50

飛行船、下方。

新八「っく!やっぱりこいつ、強い!」

神楽「化けモンのこと褒めてる暇あったら斬り込むネ!」

あかね「頑張ろう?!新八君!神楽ちゃん!」

触手の猛攻を躱しつつ、新八、神楽、あかねが奮戦する。その上空では、乱馬達が乗った飛行船がブレーキを失い、エイリアン本体に突っ込もうとしていた。

新八「……ん?あの飛行船、どっかで見覚えが」

神楽「おお、このまま行くとど真ん中ストレートコースネ」

あかね「あ、あれは……!」

その異様な光景に戦う手も止め、真っ直ぐ突き進む飛行船の行方を見守る三人。

乱ハ爺「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

新神あ「っ?!」

そこに飛行船から脱出した三人が物凄い勢いで落下してくる。



709: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:10:30.85 ID:GXJHWMk50

新八「ら、乱馬さん?!」

神楽「おお!援軍ネ!」

あかね「え、援軍なのかしらあれ?」

乱ハ爺「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

頭上に真っ逆さまに墜落してくる三人を華麗に彼らは躱した。その少し先では飛行船がエイリアンに衝突し爆炎を上げていた。

乱馬「……よ、よぉ」

ハタ「……優しく受け止めて欲しかった」

爺「……労災認定絶対しろよ馬鹿皇子」

ギャグ漫画補正により命を繋ぎ止めた三人がなんとか言葉を紡ぐ。



710: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:11:37.10 ID:GXJHWMk50

新八「ら、乱馬さん!来てくれたんですね!」

神楽「性格は悪いけどお前が来てくれたら百人力アル!反撃に移るネ!」

あかね「乱馬!来てくれるって信じてた……!」

気絶した皇子と爺を尻目に、四肢をプルプルと震わせながら乱馬が立ち上がる。

乱馬「ま、まあ今は色々置いといてだな……あいつの特性は『かくかくしかじか』なんだ……今すぐみんなを戦わせるのを止めねえと……」

新八「な、なんですって?!あいつは人の闘気を吸って強くなって巨大化し続けるって?!で、その核を破壊しない限り再生し続ける?!」

神楽「それは参ったネ。つまり『癖になってんだよね、足音消して歩くの』レベルで絶を使いながら戦わなきゃならないってことアルか?!しかも一瞬で心臓抜き取らないと!今のアイツらには到底無理ネ!」

あかね「みんな凄いやる気出ちゃってるから……」

乱馬の説明を聞いた三人が絶望的な表情を戦場に向ける。



711: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:15:13.64 ID:GXJHWMk50

ヤクザ「うおぉぉぉ!!!!」

ホスト「おりゃぁぁぁ!!!」

キャバ嬢「やあぁぁぁ!!!」

視線の先には闘気全開で戦うかぶき町の住人の姿が映っていた。

あかね「ど、どうしようかしら……」

乱馬「どうするも何も止めに行くしかねえだろ!」

新八「じゃ、じゃあ逆にこんな作戦はどうですか!」

とある作戦を思い付いた新八が皆に提案する。



712: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:16:24.31 ID:GXJHWMk50

新八「奴が闘気を吸って大きくなるといってもやっぱり限界があると思うんです!だからここはみんなで最大の闘気を放ってアイツを満腹状態にすれば、勝手にアイツが闘気を吸いまくって飽和状態になって爆発するんじゃないですか!」

神楽「おお!ドラゴンボール38巻で魔獣ヤコンを倒した作戦アルな!」

新八「そういうのは言わないでいいから」

新八の作戦を聞いた乱馬が頷く。

乱馬「うだうだしてても始まらねえ、とりあえずはその作戦に乗ってみるか!」

新八「は、はい!」

珍しく自分の意見が採用された新八が笑みを浮かべる。

乱馬「行くぞぉ!」

乱馬の掛け声に皆が全身から闘気を発する。

乱あ新神「うおぉぉぉ!!!!」

目に見える程のオーラが彼らから立ち上る。



713: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:17:28.34 ID:GXJHWMk50

ヤクザ「な、なんだ?!化け物の勢いが強くなったぞ?!」

ホスト「うわぁぁぁぁ!!!!」

キャバ嬢「きゃあぁぁぁ!!!」

目に見えて活性化した触手が皆を襲う。

新八「…………」

あかね「う、うん!乱馬の情報は正しかったってことで!」

乱馬「い、いやぁ!新八!目の付け所は良かったんじゃないか!」



714: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:17:57.79 ID:GXJHWMk50

神楽「足を引っ張るどころか敵に与するとは恐れ入ったネ、ゴミ眼鏡」

四人の下にも触手の攻撃の手が迫る。それを躱しながら

新八「ホンットすいませんでしたぁぁぁぁ!!!もう余計なことは言いませんんん!!!」

乱馬「こうなったらでかい闘気の発生源に行って事情を説明するしかねえか?!」

あかね「こんな状態でみんな話を聞いてくれるのかしら?」

神楽「それでも行くしかなさそうアル!」

意見を纏めて四人は、猛者達が集う戦場へと向かって行った。



715: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:18:54.77 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

沖田「くそっ!斬っても斬っても再生するたぁなんて野郎でい!」

土方「はっ、珍しいな総悟!お前が弱気たぁ!」

沖田「てめぇを殺す気は満々なんだけどなぁ」

土方「この期に及んで何言ってんだこらぁ!」

近藤「はっはっはっは!気持ちで負けるんじゃないみんなぁ!闘気全開で頑張るぞぉ!」

真選組「了解!うおぉぉぉ!!!!」

乱あ新神「…………」

他のメンバーが戦う戦場に来た乱馬達であったが、あまりの奮戦ぶりになんと声を掛けていいか分からないでいた。



716: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:21:58.60 ID:GXJHWMk50

新八「め、滅茶苦茶燃えてますよ皆さん!どう話つけるつもりなんですかこれ?!」

神楽「私腹減ったから吉牛行ってくるアル」

新八「現実から逃げるなぁ!だいたいこんな状況でやってる吉野家があるかぁ!」

乱馬「さっ!あかね!俺達の世界に帰ろう!」

あかね「そうね!乱馬!お鍋の用意をしなくっちゃ!」

乱馬「フフッ!楽しみだなぁ、あかねが作った鍋!」

新八「アンタらも自分らの世界じゃないからって知らんぷりすんなぁ!だいたいあかねさんの手料理なんて食べたら――」

あかね「食べたら?」

新八「幸せですよねー」

こんな状況でもマイペースな彼らに再び触手が襲い来るも必死に躱す四人。



717: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:22:49.36 ID:GXJHWMk50

?「はぁぁぁぁい!皆の衆ごぉぉぉ苦労ぅぅぅ!」

そこに拡声器で響き渡るアナゴさんの声。

近藤「あ、あれはっ!!」

土方「松平のとっつぁん!!」

沖田「へへっ、戦艦動かしてくれるたぁ部下思いで涙が出るねぇ」

彼らの頭上に巨大な戦艦が一隻、主砲をエイリアンに向け浮かんでいた。

松平「えぇぇぇ!!今日も今日とてぇ、家族の記念日ぃぃぃにぃ、暴れやがったクソエイリアンとそれを退治できないクソ部下共に対してぇ、ハゲ上がりそうな程ムカついてますおじさんはぁぁぁ!!!」

その戦艦から私情丸出しのセリフが響く。



718: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:23:36.36 ID:GXJHWMk50

松平「とはいえてめえらぁ!!そのクソ野郎を消滅させないと俺の愛娘がおちおち暮らせねえのもこれ事実ぅ!ってぇぇぇことで登場したばかりですがぁ、松っちゃん砲ぅ!発射ぁぁぁぁ!!!!!」

エイリアンに向いていた主砲にみるみるエネルギーが溜まっていき放射され、その大部分を吹き飛ばす。

近藤「勝機は我らに在り!真選組!突撃ぃ!」

真選組「うおぉぉぉ!!!!」

これを好機と察した近藤が号令をかける。しかしそれも束の間、瞬く間にエイリアンの体は再生を始める。

土方「押せぇぇぇ!!!」

沖田「一気に潰せぇぇぇ!!!」

松平「警察をなめんじゃねえぇぇぇ!!!!」

戦艦からの援護射撃も加わるが、それでも彼らの闘気を吸うエイリアンの再生速度には敵わない。



719: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:24:28.80 ID:GXJHWMk50

新八「は、早く皆さんを止めないと!このままじゃイタチごっこどころか――」

一刻も早く事情を説明せんと焦る新八が三人を急かす。

神楽「私ねぇ!牛丼特盛三杯に生卵一つでいけるアル!」

あかね「あら!神楽ちゃんは省エネね!地球に優しくって素敵だわ!」

乱馬「俺なんて紅ショウガだけで充分だね!へっへ!」

神楽「な、なんとぉ?!」

あかね「もう二人とも!そんなことで喧嘩しないのっ!フフッ!」

三人が優しく微笑み合う。

新八「だから現実逃避すんじゃねえよぉぉぉ!!!しっかり目の前と向き合えぇぇぇ!!!」

打つ手無し、八方塞がりな彼らであった。



720: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:25:16.53 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アゴ美「喰らえぇぇぇっ!」

勝男「っ?!危ないで!クソオカマ!」

触手の一撃を食らいそうになるアゴ美を、寸でのところで勝男が抱きかかえ救出する。

アゴ美「あらやだアンタ!ヤクザなんて全く興味は無かったけど、一晩くらいなら相手してあげてもいいわよ?」

勝男「何気色悪いこと抜かしてんねんボケカス!お前やられおったらオカマ軍団総崩れするから助けただけじゃい!」

頬を赤らめるアゴ美に勝男が突っ込みを入れる。



721: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:26:03.69 ID:GXJHWMk50

右京「勝男さん!前見て!突っ込んでる場合やあらへん!」

勝男「な!姉さん!ワシはこんなオカマに自分の息子突っ込んでなんかあらへん――?!」

アゴ美「いや――?!」

勝男がアゴ美の相手で気を抜いたその瞬間、彼らの頭上から触手の一撃が振り下ろされる。

銀時「くそったれぇぇぇ!!!」

右京「銀さんっ?!」

近くで戦っていた銀時がフォローに入るが、衝撃による土煙で何も見えない。



722: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:33:53.50 ID:GXJHWMk50

アゴ美「……」

勝男「……いったぁ」

銀時「……ぐふっ」

土煙が晴れると、なんとか木刀で防いだものの触手の凄まじい威力を全ていなし切ることは出来ずに、かなりのダメージを負った銀時達の姿があった。

右京「銀さん!銀さん達までやられてもうたらホントにこの町は終わりやでっ?!」

長谷川「だ、大丈夫かぁ?!」

右京、長谷川が瀕死の三人の下に駆け寄る。

銀時「余裕のよっちゃんでぇ馬鹿野郎……」

右京「そんなに血ぃ流しといて……」

銀時「今日は多い日なんだよ、男の子の日なんだよ」

木刀を杖代わりにして銀時が立ち上がる。



723: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:35:51.13 ID:GXJHWMk50

銀時「おい、クソオカマにクソヤクザぁ。真っ昼間からこんな路上でベッドインたぁ恥も外聞もねえのかてめえら」

勝男「アホ抜かせクソ天パ、ワシは姉さん一筋じゃい」

アゴ美「……あら、私は構わないわよ」

勝男「まんざらでもない顔すなぁ!」

ふらふらと勝男、アゴ美も立ち上がる。

長谷川「口では強がっちゃいるがもうみんな限界なんじゃないか?!俺達このままじゃマジで……」

周囲の惨状に頭を抱えて長谷川が嘆いた。普段であったらここで軽口の一つ、きつい突っ込みの一つでも長谷川にくれてやる場面であったが、この時ばかりは皆、口も体も動かないのであった。

エイリアン「―――――――――っ!!!!!」

化け物の言葉にならない叫び声が周囲に更に絶望を広げる。



724: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:37:02.16 ID:GXJHWMk50

?「おいてめえらぁ!!それでもこの町のオカマかぁ!!そんなナメた真似してると全員タマ引っこ抜くぞぉ!!」

そこに、化け物の叫び声をかき消す程の音量で、野太い男の声が響いた。

長谷川「あ、あれは!」

アゴ美「マ、ママっ!」

声の発信源は元かぶき町四天王、西郷のものであった。勇ましい白いふんどし姿、そして肩で巨大なハンマーを担いでいる。

西郷「一線を退いた私が出張らなくちゃダメなんて、もう嫌になっちゃうわアンタ達」

銀時「だったらその汚いケツしまって、さっさと家帰ってガキと仮面ライダーでも見てやがれ」

西郷「つれないこと言うようになったのねパー子。まあ、実際は最近どうにも暴れたりないから運動不足解消しに来ただけなんだけど」

銀時「あの化けモンとやり合うのが運動不足解消ってんだから、どっちが化けモンかわかりゃしねえぜ」

銀時と西郷が笑う。そして西郷は大きく息を吸い込み叫んだ。



725: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:39:40.82 ID:GXJHWMk50

西郷「準備運動はもういいだろうてめえらぁ!オカマ軍団っ!突撃だぁぁぁぁ!!!!!」

オカマ軍団「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

フラフラだったオカマ達に力が戻り、オカマ軍団は闘気全開でエイリアンに突っ込んでいった。

そんな中また別の方角から、低く威圧感のある声が通る。

?「俺のいねえ間に随分と腑抜けた町になっちまったみたいだなぁ。後進がここまで育ってないとなると放浪生活もこれで終わりかねぇ」

?「おいこらぁ、半端やってると綺麗なお花畑咲かせちまうぞクソ共ぉ」

そこにはこれまた元かぶき町四天王、泥水次郎長の姿が。その横には娘、平子も控えていた。

勝男「親父ぃ!お嬢!帰ってはったんですかぁ!!」

右京「あ、あの時のお客さん?!組長さんやったんや……」



726: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:41:11.28 ID:GXJHWMk50

次郎長「久し振りに里帰りと決め込んだがなんだぁ、このザマは。これならいっそ、あの女狐に落とされた方が幾分かマシだったんじゃねえか?情けねえぇ」

勝男「お、親父ぃ。せやかてあの化けモンごっつ過ぎて……」

勝男が柄にもなく弱音を吐く。

次郎長「あんな化けモンがどうしたよ、あれくらいのモンこの町には幾らでもうろついてんじゃあねえか。そん中でオイラがいねえ間もてめえらはこの町守って来たんだ。今更そんなしみったれた事言ってんじゃねえやぃ、なあ!銀髪のあんちゃんよぉ!」

銀時「それもそうだなガングロ爺ぃ。アンタ然り、ウチの大家然り、ふんどし姿のオカマ然り。それに比べりゃなんてことねえや」

銀時が答える。

勝男「……は、それもその通りやな」

次郎長「はっはっはっは!相変わらず面白ぇあんちゃんだ。さ、おめえら。分かったならさっさとあの目障りな化けモンぶっ倒して来い。早くしねえとオイラ達の里帰り祝いが出来ねえじゃねえか」



727: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:44:14.01 ID:GXJHWMk50

勝男「そうですなぁ、お二人に紹介したい人もおりますし。ささっと片ぁ付けてきます」

勝男が懐から取り出した櫛で髪型を整え直す。

勝男「行くでお前らぁ!!!これがラストラウンドじゃぁぁぁ!!!」

溝鼠組「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

右京「ヤキ入れたる!」

勝男、右京率いる溝鼠組もエイリアンに立ち向かう。

?「ケツ叩かれなきゃやる気になれないなんてホントにしょうもない奴等だね。あの人が見たらがっかりしちまうよ」

?「アホノ坂田と不愉快ナ仲間タチ!サッサトアイツヤッツケテ酒ノモウゼ!」

?「清掃対象ロックオン。これより対象の排除行動を開始します」

最後に登場したのはキャサリン、たまを従えたお登勢であった。民家の屋根の上でゆっくりと煙草をふかしている。



728: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:45:13.47 ID:GXJHWMk50

良牙「お、お登勢さん達!!」

銀時「ババアまで来やがったのかよ……」

お登勢「へ、年甲斐もなく久々に喧嘩に首突っ込みたくなっちまってね。そしたらどうだい、私やあの人が愛した町はボロボロ。いつもの馴染みはいつもより貧相な顔しちゃって」

銀時「生まれつきなんだよ、言ってやるな。長谷川さんの顔のことは」

長谷川「ええ?!俺だけじゃねえだろそれは!」

お登勢「とにかくだよ!」

お登勢が煙を吐き出しながら言う。



729: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:49:06.91 ID:GXJHWMk50

お登勢「泣いても笑ってもここが踏ん張り時の大一番!この町があんな化けモンにやられるようなヤワなもんじゃないって!見せてやりな!」

銀時「ったく、うるせえババアだな。言われなくてもやる時ぁやるっての。それが銀さんのウリだからね」

桂「皆の衆!我らも行くぞぉぉぉ!!!」

皆の衆「うおぉぉぉ!!!!」

長谷川「俺もだぁぁぁ!!!」

桂、長谷川達がエイリアンに向かって駆け出す。そこに、それまでの成り行きを見守っていた乱馬たちが入れ替わるように登場する。

新八「……どうするんすかこれ。この流れ長編ラストにありがちなパターンじゃないですか。名キャラに一言もらってやる気出して敵を倒すパターンのやつじゃないですか」

あかね「良いじゃない。感動的だと思うわ」

新八「そりゃいつも通りだったらいいですけど今回はまるっきり逆効果でしょ!!今までの流れの闘気吸ってアイツ滅茶苦茶パワーアップしちゃいますよ?!てかなんでさっきから他人事みたいな感じ出してんすか!!」



730: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:50:27.82 ID:GXJHWMk50

乱馬「…………」

新八の突っ込みの横で、気まずそうに乱馬が頬をポリポリと掻く。

銀時「よぉ、お前も来たのかよ。待ってたぜ、大将」

良牙「フンッ、来るのが遅いんだよ馬鹿野郎」

銀時と良牙が乱馬にニヒルな笑みを見せる。

神楽「とりあえず二人に事情説明してこの長編ラストモードから目を覚まさせてやるアル。このままじゃ哀れなピエロでしかないネ」

銀時「何言ってんだ神楽。俺達は常に運命に弄ばれる道化だろうが。まあ、そのまんまってんじゃ気にくわねえから運命なんてシナリオ書いた奴の思い通りには動いてはやらねえけどな。行くぜ!お前ら!」

良牙「その通りだ、乱馬!あかねさん!みんなの力を集めてアイツをやっつけよう!そして帰るんだ、俺達の世界に!」

銀時が木刀を、良牙が拳をエイリアンに向け新八たちに発破をかけた。



731: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:51:58.10 ID:GXJHWMk50

あかね「……早く事情を説明した方が良いわ。なんだかとっても痛い、色々なところが」

乱馬「俺もそれに賛成だ。いくらなんでもこんな奴ら放っておけねえぜ……」

乱馬とあかねが気の毒そうに二人を見ながら呟く。

新八「そ、そうですね。ぎ、銀さん、良牙さん。とりあえず落ち着いてください」

銀時「ちょ、何言ってんだよお前ぇ。ここはこの勢いに乗っかってみんなでアイツ倒して大団円って流れじゃん。どうしたぁ?空気読めよ、突っ込みと空気読むくらいしか取り柄のないお前から空気読むの取ったらただの眼鏡突っ込みマシーンになっちゃうよ?もう行こうぜぇ?」

良牙「新八、何があったか知らないがここはお約束ってやつだろ。もう絶対勝てるぞこの流れは。早く適当に流れに乗っかって倒しに行くぞ」

あかね「それがね、銀さん。良牙くん……」

乱馬「実は『かくかくしかじか』ってやつでさぁ……」

エイリアンの闘気を吸って強くなるという特性を聞いて呆けたように口をだらしなく開け、その後頭を抱え膝を着く銀時と良牙。



732: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:54:38.44 ID:GXJHWMk50

銀時「ま、マジかよ……調子に乗って運命とかいうシナリオとか言っちゃったじゃぁん……うわ、恥ずかし……あぁ、もう無理だぁ!」

良牙「俺は何も言っていない俺は何も言っていない俺は何も言っていない……みんなの力を集めるなんてこっ恥ずかしいこと言ってない言ってない言ってない……」

その様子を見たあかねは

あかね「わ、私何も聞いてなかったわ!ここ数分の記憶が曖昧なの!み、みんなもそうだよね?!ね?!」

とフォローに入る。

乱馬「あ、お、俺もそうだなぁ!まだ昨日のアルコールが抜けきってねえのかなぁ?!ハッハッハッハッハ!」

あかね「もうやだ乱馬ったら!フフフフフ!」



733: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:55:41.80 ID:GXJHWMk50

新八「あの、二人とも。無理してフォロー入れないで良いですから、余計に傷付くことになりかねないですから」

神楽「おら、黒歴史出産したての新米ママ共。さっさと立ち上がるヨロシ」

新八「神楽ちゃんはもう少しこの二人の姿勢を見習おう」

良牙「く、そうは言っても闘気を出さずにあんな化けモンとどう戦えっていうんだ!」

銀時「うぅ、それにもし俺達が闘気を出さずに戦ったとしてもあいつら見てみろよ」

なんとかリカバリーした二人が戦場を顎で指す。

オカマ「うおぉぉぉ!!!!」

ヤクザ「おりゃぁぁぁ!!!」

皆の衆「たあぁぁぁぁ!!!」

そこには先達からの叱咤激励により力を得た戦士たちが、闘気フルスロットルで戦っていた。その後方には更に力を得て活発に暴れまわるエイリアン。



734: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:57:09.68 ID:GXJHWMk50

あかね「これは真剣に考えなきゃ本当に全滅ね……」

良牙「おい乱馬、何か案はないのか?いつもみたいにせこかろうが卑怯だろうがなんでも良い。作戦を考えろ!」

乱馬「そうは言ったってあんな化けモンに闘気ゼロで挑めなんて……」

神楽「うーん、どうしたものアルか。よし、ここは吉牛班と戦闘班に分かれて戦うネ」

新八「それになんの意味があるんだよ!もうお前はさっきから牛丼食いたくって仕方ないだけじゃねえか!だいたい吉野家で戦うってなんだよ!」

銀時「よし、じゃあ俺は泡風呂班でイこう。一発抜けばもう闘気とかそういうの関係なく賢者のように心静かに戦える気が――」

新八「抜きにイクなぁぁぁ!!!もう少し真剣に考えてくだ――」

そんなくだらないやり取りをしながら皆が思案に耽っていたその時であった。巨大な触手の一本が神楽に目がけて突っ込んで来る。



735: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 19:59:12.64 ID:GXJHWMk50

新八「あ、危ない神楽ちゃんっ!」

神楽「へ――っ?!」

あかね「神楽ちゃぁぁぁん!!」

吉牛で頭がいっぱいの神楽を咄嗟にあかねが突き飛ばす。

乱馬「あかねぇぇぇ!!!」

神楽の代わりに触手の一撃を食らったあかねは、エイリアンにそのままの勢いで空高く持ち上げられると、その先端からするすると飲み込まれてしまった。

神楽「あ、あか姉ぇ!!」

良牙「あかねさぁぁぁん!!!」

彼らの悲痛の叫びも空しく、あかねの体は瞬く間に触手に飲まれていった。



736: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:00:37.34 ID:GXJHWMk50

新八「そ、そんな……」

銀時「ちっ!だが焦んな!あいつが神楽を食った奴と同種ってことなら問題ない、まだあいつの体内に潜り込んで助けるチャンスはある!」

前回の経験でエイリアンの体内から神楽を救った銀時が言う。

乱馬「焦んないでいられる状況じゃねえだろ!!俺がっ――」

銀時「落ち着けっ!そんな闘気全開でアイツの体内に入ってみろ!カモがネギ背負って行くようなもんだろうが!」

乱馬「だからって!!」

触手の内部に飛び込もうとする乱馬を必死に銀時が羽交い締めで止める。

良牙「乱馬ぁ!」

そんな身動きできない乱馬を、良牙が思いっきり右拳で殴りつけた。



737: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:02:46.68 ID:GXJHWMk50

良牙「落ち着け。焦るのも、怒りで闘気をぶち撒けるのも得策じゃない」

衝撃で銀時の拘束から外れ、尻もちをつく乱馬に良牙が静かに諭す。

乱馬「じゃ、じゃあどうしたら良いっていうんだよっ!」

良牙「だからそれを冷静になって考えろって言っとるんだボケェ!」

乱馬「そう言うお前だって闘気ばら撒いてやがんじゃねえか!お前こそ冷静になりやがれ!」

良牙「黙れっ!お前よりかは冷静だっ!」

新八「二人とも落ち着いてください!こうやってるこの場の闘気さえ奴は養分にしているかもしれないんですから!」

激しく言い争う二人を止めるため間に入る新八であるが、二人の争いはそんな簡単には治まらない。



738: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:03:54.60 ID:GXJHWMk50

乱馬「分かってらぁ!くっそぉ!だいたいよぉ!闘気をエサに強くなるなんて冗談じゃねえぞっ!打つ手ねえじゃねえか!」

良牙「まったくその通りだ!闘気を利用するだなんて!……ん?闘気を利用……?」

乱馬「あぁ?!今更何分かり切ったこと言ってやがる!……ん?闘気を利用……?」

言い争いの最中、お互い同じ考えに至ったのか動きが止まる両者。

銀時「……何か、良い策思い付いたみてぇだな」

彼ら二人の顔を見て、確信したように銀時が言った。

乱馬「……あれを使うか」

良牙「そうだな。アイツを倒したアレなら奴を消滅させるくらいの威力が出るはずだ」



739: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:06:00.67 ID:GXJHWMk50

乱馬「任せたかねえが、あかねのことは頼んだぜ」

良牙「ああ、必ず救い出す」

彼ら二人だけに分かる会話と視線を交わすと、ゆっくりと、力強くエイリアンに向き直る。

新八「ふ、二人とも?!」

神楽「何か良い作戦思い付いたアルか?!」

乱馬「とにかくお前らは最前線で他のやつらと一緒に、闘気全開で戦ってくれ」

良牙「で、時間をある程度稼いだら人払いを頼む。あとは俺達がなんとかする」

新八「そ、それってどういう……?」

神楽「良く分かんないけど、それであか姉が助かるならそうするネ!」

新八「ま、それもそうだね!」

何がなんだか分からない新八、神楽であったが戦うことを決意する。



740: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:07:27.77 ID:GXJHWMk50

乱馬「終わったら吉牛で特盛だな」

良牙「俺はキング牛丼だ」

乱馬「それすき家な、方向音痴」

乱馬は良牙に一突っ込み入れると、今度は銀時に向き直る。

乱馬「何かあったらよろしく頼むぜ、坂田銀時」

乱馬が銀時に初めて笑顔を見せた。

乱馬「あと、色々……ありがとよ」

銀時「けっ、さっさと行くぞ女装高校生。俺はビビン丼な」

乱馬「それは松屋だ、クソ天パー」

乱馬、良牙は決意と拳を固める。そして乱馬達はエイリアン本体のあるかぶき町中心部、良牙はあかねを食らった触手からエイリアン内部に突っ込んでいった。



741: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:08:50.62 ID:GXJHWMk50

エイリアン、内部。

良牙「あかねさぁぁぁん!!」

触手の中を良牙が突き進む。エイリアンの体液でヌメヌメと気持ち悪く、また圧迫され体が締め付けられるがそんなことは気にしない。その先にいるであろうあかねを追って、良牙は一心不乱にエイリアン体内を進んでいく。

良牙(くっ!こんなところでやられてたまるか!あかねさんを失ってたまるかぁ!)

外で皆が戦っているのであろう、彼らの攻撃が良牙にも衝撃として伝わる。

良牙「がはぁっ?!」

意識が吹き飛びそうになるも、あかねの顔を思い浮かべ、なんとか意識を保つ。

良牙「……はぁはぁ」

朦朧とする意識の中で、彼にこの一か月の記憶がふわりと浮かんでは消える。



742: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:10:13.54 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

良牙『一体ここはどこなんだぁぁぁぁ!!!』

阿伏兎『まったく、この船に無賃乗車とは恐れ入るね。とんだ命知らずだ』

神威『フフ、こんなことは初めてだね阿伏兎。ただ彼の眼、見てごらんよ。なんだかあの星のやつらに通じるものがあると思わないか?』

阿伏兎『良かったじゃないか少年、我らが団長はどうやらお前が気に入ったらしい。がっかりさせてくれるなよ、八つ当たりされるのはこっちなんだからな』

良牙『何を言っているのか分からんが勝手に船に乗ってしまったのは謝る。そんな中申し訳ないのだが、俺を故郷の地球まで連れて行ってはくれないだろうか』

神威『聞いたかい?やっぱりあの星の出身なんだこの子も。益々楽しみだよ』

阿伏兎『へいへい』

良牙『だから俺をちきゅ――』

神威『いくよっ!』

ドゴォォォォォン!!!!



743: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:12:29.29 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

良牙『一体ここはどこなんだぁぁぁ!!!』

蓮蓬A『それは置いといて今は俺達と戦ってほしい』

良牙『だからなんでお前らはプラカードでしか喋らんのだ!ってよくよく考えたら乱馬の親父も一緒か』

蓮蓬B『多分はぐれ蓮蓬であろうな、そいつは』

良牙『いや、パンダだ』

蓮蓬A『は?』

蓮蓬B『とにかく今は我らと協力し、復活した米堕卿を倒すのに力を貸してくれ』

米堕卿『ははははは!やらせはせんよ』

江蓮『見えるっ!』

蓮蓬A『危ない!戦闘の余波がここまでっ?!』

良牙『なっ――?!』

ドゴォォォォォン!!!!



744: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:13:31.40 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

良牙『一体ここはどこなんだぁぁぁ!!!』

坂本『だから快臨丸のなかじゃ言うとるき、いきなりどうしたんじゃ』

良牙『いや、すまない坂本さん。何故だか言わなきゃいけない気がしてな』

坂本『あっはっはっはっは!気にするでない!そういう時もある!』

陸奥『どんな時じゃどんな』

坂本『それにしても宇宙は狭いのう!まさか我らが盟友、蓮蓬の二度目のピンチを救ったヒーローが金時の知り合い言うんじゃからなぁ』

良牙『銀時じゃなかったか、確か?』

坂本『だからこまいことは気にするな!しっかりお前を送り届けてやるき!(ついでにおりょうちゃんに会いに行くんじゃぁ!)あっはっはっはっは!』

陸奥『今の( )の中身はなんじゃ、また仕事ほったらかして女遊びか』

坂本『な、何を言うんじゃ陸奥。だいたい( )の中ってどういう話じゃ!(こ、心を読まれてる?!)』

陸奥『(ああ、読んでおる)』

坂本『な、なんじゃとぉ!ってなんだが気持ち悪くなってき――』

良牙『だ、大丈夫か?!坂本さ――!!』

おぼろっろろおろろろろろろれえええ!!!!



745: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:14:29.35 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

良牙『い、一体ここは……ど、どこなんだ……それよりも、め、飯、み、ず……』

長谷川『おいてめえここで何やってる!ここは俺の縄張りだ!そんな身なりで同情引いて飯恵んでもらおうだなんて考えが甘ぇんだよ!俺もやったが誰も恵んじゃくれなかったよ……』

良牙『……と、とにかくなんでもいいんだ、食えるものを……』

長谷川『……ったく、しょうがねえなぁ。俺だってきついっつーのに。ほら、これやるよ。この草は食えるから、いっぱい噛むと甘くなってくるやつだから。多分』

良牙『お、おお!ありがとう……この礼はか、必ず返す……』

長谷川『へへっ。ま、困った時はお互いさまってやつだ。気にしないでいっぱい食えよ、まだあるから』

良牙『い、いいのか?!あ、ありがとう!ありがとう!』



746: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:15:09.74 ID:GXJHWMk50

長谷川(この草、ホントに食えるやつだったのか……よし!俺も食おう!)

良牙『ぐぁ?!』

長谷川『ど、どうしたの?君』

良牙『な、なんだかきゅ、急に腹が痛くなってきた……』

長谷川『ええええ?!そういうのはもっと早く言ってくれよぉ!俺も食べちゃったじゃぁん!っんぐ?!お、俺もき、来やがったぁ……!』

良牙『ぐ、ぐおおおおおお!!!』

長谷川『ぐ、ぐはああああ!!!』

ブリブリブリブリブリブリブリブリ!!!



747: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:16:19.68 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

良牙「……」

良牙「……良い思い出がない、相変わらず不幸の連続だったな。笑っちまうくらいに」

良牙が涙を目に溜めながら、悲しげに笑う。

良牙「だがそれが良い。今回ばかりはこの不幸!嘆くのではなく、未来のための踏み台になってもらう!」

朦朧とした意識が回復し、再び力が戻る。

良牙「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

死に物狂いで突き進む良牙の先に、見覚えのある道着の袖が見える。

良牙「あ、あかねさんっ!!」

意識を失ってはいるが、一応は無事に見えるあかねを良牙が左腕で抱きかかえる。

良牙「……あかねさん、もう大丈夫ですよ。すぐにこんなところから出してあげますから」



748: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:17:53.39 ID:GXJHWMk50

かぶき町、中心部。

乱馬「おいお前ら!ここはもう良い!一旦引けぇ!」

最前線で戦うかぶき町の猛者たちに、乱馬が避難勧告を出す。

お妙「こんな状況で引けるわけないでしょうが!」

猿飛「そうよそうよ!銀さんに任されたこの町を放り出して逃げるなんて出来ないわ!」

銀時「誰もお前に任せちゃいない」

銀時のグーパンチがさっちゃんの顔面に入る。



749: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:20:21.50 ID:GXJHWMk50

お妙「銀さん!一体今までどこほっつき歩いていたんですか?もうさっさとやっつけて日常編に戻してください」

銀時「だからその為にもここは引けって言ってんだ」

銀時がお妙の眼を真っ直ぐに見つめる。

お妙「……分かりました、くれぐれも気を付けてくださいね。行きますよ、猿飛さん」

拳のダメージでもがいているさっちゃんの襟首を掴み、ずんずんとお妙が歩いていく。

お妙「あ、乱馬くんも!頑張ってね!これが終わったら『お手』教えてあげるから!」

乱馬「馬鹿言ってねえでさっさと行きやがれ!」

笑顔で振り向いたお妙はそれだけ言うと、今度こそ戦場を去って行った。



750: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:21:45.64 ID:GXJHWMk50

エイリアン「―――――――――――――っ!!!!!」

現在、かぶき町に溢れる闘気を吸って絶好調なエイリアンは、依然聞き取れない雄叫びを上げながら、町に、人に攻撃を加えている。

新八「あっちの人払いは完了です!」

神楽「こっちもOKネ!」

その最前線の人払いを済ませた乱馬と万事屋たち。

乱馬「良牙の野郎がくたばってなきゃそろそろのはずだ、お前たちももう行け」

エイリアン本体の足元で、乱馬は数十メートルほどの高さにまで成長した化け物を見上げる。

新八「はい!」

神楽「あか姉絶対助けてヨ!」

銀時「……また、あとでな」

万事屋三人も前線から引き上げる。

乱馬「……よし、やってやるっ!」

そして、乱馬は最後の螺旋を描き始めた。



751: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:23:35.71 ID:GXJHWMk50

エイリアン、内部。

良牙「…………」

良牙は目を瞑り、再度この一か月、いや自分のこれまでを振り返り、その不幸っぷりに肩を落としていた。

良牙「……へへ、不幸だ。不幸過ぎる。その上あかねさんをここで失って、元の世界にも帰れないなんてなったら……あぁ、嫌だ……」

良牙を中心に重い気が集まる。

良牙「あぁ、あかりさん、悲しむだろうなぁ……不幸だ。不幸だ不幸だ不幸だ不幸だ不幸だ不幸だっ!俺はなんて!なんて不幸なんだぁぁぁぁ!!!うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

そして彼の気が最高潮に高まったその時、右拳を天に向け打ち放った。

良牙「喰らえぇっ!最大級っ!獅子っ!咆哮弾っ!!!」



752: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:24:18.73 ID:GXJHWMk50

かぶき町、市街。

シャンプー「あ、あれは!」

万事屋たちに避難するように言われた一同が、固唾を飲んで事の成り行きを見守っている。

ムース「良牙の獅子咆哮弾!なんて威力じゃ!やったかっ?!」

遠くからでも分かるほど巨大な気柱がかぶき町に現れ、エイリアンの身体を瓦解させていく。

桂「ダメじゃないかムース君!『やったかっ?!』なんて言ったら絶対やってないフラグな立っちゃうんだから!まったく、これだから昔の漫画は困る」

長谷川「そんな事言ってる場合か!」

突っ込みを入れる長谷川だったがしょうもない桂のセリフ通り、巨大な気柱はエイリアンの身体を貫き二分したものの、目に見えて再生しかけていた。



753: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:25:25.19 ID:GXJHWMk50

九能「っ?!早乙女乱馬が飛んだ?!」

右京「どないなっとるんや?!」

事情やいきさつを全く知らない彼らには何も分からずやきもきするばかりであったが、ムースが彼らの思惑を察した。

ムース「そ、そうか。あの技を使う気じゃ!」

桂「思わせぶりに言わないで何が起きたか説明してくれ。それと言おうと思ってたけどそのロン毛切ってくれぬか?キャラが被っている。シルエットクイズになっては見分けがつかん」

ムースが桂の戯言には付き合わず、眼鏡をかけ直し言葉を続ける。



754: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:27:07.41 ID:GXJHWMk50

ムース「今あの場には、おら達が残していった凄まじいまでの闘気が飽和し渦巻いておる。その全てを乱馬の螺旋の動きで渦を作り、良牙の獅子咆哮弾で遥か頭上に押し上げる。あの獅子咆哮弾には攻撃と闘気の押し上げ、二つの意味があったのじゃ!」

猿飛「やだムースったら!解説キャラが板についてるじゃない!」

ムース「そして空高く舞い上がった乱馬は空中に集められた闘気を利用し、ハーブを倒したあの技で決める気じゃ!」

一同「……お、おおおお!!!!」

途中からよく分からない一同であったが、分からない顔をするのもアレなので分かったフリを決め込み、先程と変わらず事の行く末を見守ることにした。



755: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:32:14.66 ID:GXJHWMk50

かぶき町、上空。

乱馬(ここまでは作戦通り!あとはこいつが再生する暇もない程の威力でこの技を決めてやる!)

ムースの読み通りに地上に渦巻く闘気と共に飛び立った乱馬は右半身をひねり、拳に冷気を集中させた。

乱馬「トドメだぁぁぁぁ!!!飛竜っ!!降臨弾っ!!」

かぶき町中の闘気が、乱馬の拳を通して放たれる。

エイリアン「―――――――――――っ?!?!?!?!!?」

良牙に体を二分されたが回復しかけていたエイリアンにトドメの一撃が入る。これまでとは打って変わった様子で叫びまわる化け物に、更に追加の一撃が。



756: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:33:36.70 ID:GXJHWMk50

良牙「獅子咆哮弾は終わっちゃいない!」

打ち上げられた獅子咆哮弾の、重い重い気が落下しエイリアンの身体を飛竜降臨弾と共に消滅させていく。

乱良「飛竜!獅子!合掌破だっ!」

二つの巨大な気に、みるみるエイリアンの身体は削られ跡形も無くなっていく。

乱馬「……へへ、やったぜ」

これまでの闘いのダメージや、闘気を使い果たしたことでボロボロの乱馬は、身体に力も入らず自由落下していく。

良牙「……どうやら、やったようだな」

地上の良牙も似たようなもので、あかねを優しく地面に寝かせると、自分もその横にへたり込み空を見上げた。



757: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:35:38.23 ID:GXJHWMk50

良牙「ふぅ……ん?」

そこで良牙があることに気付く。

良牙「ら、乱馬ぁ!!!まだ終わっていない!!!あれが核ってやつなんじゃないか?!」

空を見上げた良牙の視界には、分かりやすい程に親切な形の心臓が浮かんでいた。

良牙「俺達の攻撃じゃ核を消滅させるまで至らなかったんだ!!!どうにかしろぉ!!」

数十メートル上空で乱馬が落下する下方で、核と思わしき物体はドクドクと脈打ち、ゆっくりとだが肥大化していた。

乱馬「そ、そんなこと言ったってもう力なんざ残ってねえぞぉ?!」

焦りながらも核を潰す方法を必死に考える乱馬であったが、とある光景を視界に捉えると思考を止め、静かに笑うのであった。



758: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:37:12.61 ID:GXJHWMk50

定春「ワンッ!!」

かろうじて原型が残っていた高層ビルの屋上から万事屋の巨大犬、定春が主人達を乗せ空中へ駆けていた。

新八「た、たけぇぇぇぇぇ!!!」

神楽「クライマックスくらい気合い入れるアル!!!」

銀時「まだ高さが足りねえ!飛ぶぞ!!!」

空中へ飛んだ定春からでもまだ核には届かず、三人は定春の背中から更に飛んだ。



759: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:41:09.39 ID:GXJHWMk50

新八「こいつのせいで……!!」

新八が竹刀を握る手に力を込める。

神楽「よくも二度もやってくれたな……!!」

神楽も同様に番傘を強く握る。

銀時「……せーのでいくぞ、てめえら」

銀時が腰から木刀を抜いた。彼らの前には、エイリアンの核が脈打っている。

銀時「せーのっ!!!」

銀新神「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

三人の刀が核を貫いた。



760: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:42:01.69 ID:GXJHWMk50

かぶき町、市街地。

ハタ「いやー、何はともあれ良くやったお前たち。褒めてつかわすぞ」

爺「うんうん、化け物は退治されみんな仲良し。大団円ですな、皇子」

乱馬「何も良くねえ!!!!!」

大勢の人間に囲まれ縄で縛られながら正座する皇子と爺。そこに乱馬の蹴りが飛ぶ。それを皮切りに周囲の人間も攻撃を始める。

銀時「このっ!このっ!結局長編になっちゃたじゃねえか!」

良牙「なんて迷惑なっ!」



761: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:43:16.51 ID:GXJHWMk50

神楽「死ぬヨロシ!全然書いても書いても終わらなくしやがって!」

シャンプー「そうある!シリアスとかやっぱり書けなかったある!」

新八「ちょっと何言ってんすかアンタ達は」

ハタ「い、痛い!止めてぇ!」

爺「ちょ、タンマ!警察呼んでぇ!」

沖田「はーい、警察でぇーす」

ハタ「ぐはっ!け、警察までも暴行に加わっておる?!」

土方「おい止めろ総悟」

爺「そう言いながら蹴ってくんのや、止めてください!」

土煙が上がるほどの壮絶なリンチが行われている一角に、長谷川の声が届く。



762: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:45:17.19 ID:GXJHWMk50

長谷川「おーい!!みんな!!あったぞぉ!!」

アゴ美「そんなゴミ放っておきなさいよ!凄いわよこれぇ!」

勝男「めっさごっついでぇ!!」

飛行船墜落現場から宇宙最高のダイヤモンドを回収してきた長谷川が皆に現物を見せる。

一同「おおおおおおおお!!!!!!」

失神しかけの皇子たちをほっぽり出して皆そちらに食い付き歓声を上げる。

新八「でもこれどうしたらいいんでしょう……?」

あかね「あ、新たな戦いの予感が……」

頭を抱えるあかねの発言に、新八の顔が青くなる。



763: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:47:37.79 ID:GXJHWMk50

お妙「ここまで来たら使い道は一つしかないでしょう」

新八「あ、姉上っ?!」

いの一番に声を発した自分の姉に顔が引きつる新八。

お妙「安心して新ちゃん、今更我儘なんて言わないから」

その一言にほっとする新八とあかね。

勝男「こうなったら生半可なこと言ってられへんからな」

狂死郎「そうですね、どなたも依存ないのでは?」

月詠「そうじゃの。やることは一つじゃ」

皆視線を躱し一様に深く頷き合う。

一同「復興資金にしよう」

瓦礫だらけの町に佇む彼らに、一陣の空しい風が吹いた。



764: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:48:38.32 ID:GXJHWMk50

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

乱馬「さて、俺達はそろそろ行くか」

右京「そうやな、名残惜しいけど」

あかね「いつまでもお邪魔してるわけにもいかないもんね」

乱馬が皇子から回収した鏡を取り出す。

良牙「それはそうと閣下を呼び出す方法は分かったのか?」

九能「うむ。それが分からないことには帰れんぞ」

ムース「また鏡に向かって話しかければどうにかなるんじゃないだか?」

乱馬がつかつかと皇子の下へ行き、触覚を掴んで持ち上げる。



765: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:49:21.46 ID:GXJHWMk50

乱馬「おい、この鏡の使用法を吐け」

ハタ「わ、分かったから離すのじゃ!」

触覚を解放され、再び正座した皇子がぽつぽつと話し出す。

ハタ「その鏡の本来の持ち主というか作成した者は何を隠そう余の先祖でな。その者はプリチーな余と違って大層鬱屈した性格であったそうだ」

良牙「誰がプリチーじゃ誰が」

ハタ「でじゃ。何やら怪しい術を完成させて鏡の中に引きこもったそうじゃ。それ以来、その鏡に所謂リア充が映ると嫉妬して別世界に放り込んで困らせるという言い伝えができだのじゃ。つまり男女でキャッキャウフフしていれば鏡の世界に行けるのではないかのう」

異世界組「…………」



766: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:51:00.96 ID:GXJHWMk50

あかね「な、なんてアホらしい理由で異世界に飛ばされたの私たち……」

シャンプー「アホ臭くて怒りも萎えたね……」

右京「どっと疲れが出たわ……」

異世界組の肩ががっくりと落ちる。

銀時「これでもう行くのか?」

乱馬「ああ、アイツを呼び出す方法も分かったしな」

銀時「そうか」

何も言わず見つめ合い、少し笑う二人。

銀時「元気でやれよ」

銀時が右手を出す。それを躊躇いがちではあるが乱馬が握り、銀時も強く握り返す。

乱馬「お前もな」



767: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 20:52:33.34 ID:GXJHWMk50

銀時「ああ…………ってこのまま帰すわけねえだろぉぉぉ!!!」

お妙「そうよ!自分で壊した分はきっちり直してから帰りなさい!おすわり!」

九兵衛「鳥だって跡を濁さないというのに君たちは!!!」

西郷「しっかり片付けて帰れこらぁぁぁ!あとウチでもうちょっと働いてけやぁぁぁ!」

勝男「このまま帰すわけないやろ!もう少しこのまま一緒にいてや姉さん!」

猿飛「銀さん結婚してぇぇぇ!!!!」

長谷川「金貸してくれこらぁぁぁ!!!」

沖田「死ね土方ぁぁぁ!!!」

近藤「お妙さん!新婚旅行はどこ行きますかぁぁぁ!!!」

桂「攘夷最高ぉぉぉ!!!」

四方八方から非難の、中傷の、また関係の無い言葉がが飛んでくる。

あかね「……まあ、やっぱそうなるわよねぇ」

異世界組「ですよねぇ……」



768: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:13:47.68 ID:GXJHWMk50

そろそろラスト!

EDを聞きながら!

https://www.youtube.com/watch?v=sNAJemEEtyM



769: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:16:30.33 ID:GXJHWMk50

その後なんやかんや町の復興を終え、鏡とも話をつけ元の世界に帰れるようになった。しかし鏡は安全のため乱馬達が帰還した後、両方の世界において破壊することが決められた。そして――

かぶき町、万事屋前。

乱馬「これで本当にこの町ともお別れだな」

乱馬の言葉に異世界組が頷く。今日は別れの日ということで、時間も早いがかぶき町の住人達が彼らを見送りに来ていた。

良牙「それではお元気で、長谷川さん」

長谷川「ああ!良牙くんも元気でなぁ!」

良牙「それと色々ありがとうございました。あの草、美味しかったです!」

長谷川「おお!また来たら採ってやるからたらふく食わせてやる!」(俺は食わないけどな……)



770: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:17:34.47 ID:GXJHWMk50

ムース「達者でな、さっちゃん。共に仕事ができて良かったぞ」

猿飛「私もよ、フフッ。それと、その胸の恋心!諦めちゃダメだぞ!」

ムース「それは互いにじゃ。これからも梅干し派の攻勢は続くとは思うが頑張ってくれ」

猿飛「ええ、そんなことでへこたれたりなんかしないわ。それと、最後に言うけど。アンタ、中々良い男だったわよ、またね」



シャンプー「ようやくお前の顔見なくて済むようになるある」

お妙「あらぁ、それは私も同じこと。お互いせいせいして良いことね」

シャンプー「その通りあるな。最後の最後で意見があったある」

お妙「フフ、そうね。でも最後なんて言わないの。今度こっち来たら破亜限堕津買ってあげるつもりなんだから、また来なさいよ?」



771: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:18:48.66 ID:GXJHWMk50

右京「仰山世話になったなぁ、ホンマありがとうな」

勝男「ね、姉さん。良いんですよ、向こうでもお元気で」

右京「うん、勝男さんも。あんま喧嘩とかしたらアカンよ?それじゃ。あ、メルちゃんにもよろしく言っといてな。ほなな」

勝男「あ、ありがとうございましたぁっ!!」



九能「攘夷を通して得た真の侍の魂。生きる世界は違えども、きっと僕の世界でも広めてみせます!」

桂「ああ、君なら出来るはずだ。ところでエリザベスを知らないか?エイリアンを倒した間際あたりから見えんのだが……」

九能「ま、まままままさか…………?!」

桂「そそそおそそそんな事あるまい!あるまいてぇ!と、とにかくここは別れの場!笑っておこうではないか!はっはっはっはっ!」



772: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:20:12.16 ID:GXJHWMk50

あかね「お登勢さん、今日までありがとうございました。ちょっと寂しくなるけど、また絶対来ますから!」

お登勢「何言ってんだい、もう来ないでくれよ。皿は割るわ、客は食中毒で倒れるわで散々迷惑かけてくれちゃって」

あかね「そ、そんな……」

お登勢「だから今度は客として来な、もう少し大人になってからね。その時はうんっとサービスしてあげるから。その時まで元気にやるんだよ」


乱馬「じゃあな。世話になった……それとおっさんの一言で、大事なモン、見失わずにすんだ。かもしれねえ」

西郷「まったく最後まで素直じゃないのねアンタ。そんなんだからあの子ともうまくいかないのよ」

乱馬「な?!それは関係ねえだろっ!」

西郷「ふふ。ま、振られたら一緒に酒付き合ってあげるわ。またあの屋台で、ね」



773: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:21:01.64 ID:GXJHWMk50

神楽「あか姉行かないでヨォ!もう少し一緒にいようヨォ!」

新八「こ、こら神楽ちゃん!我儘言っちゃダメだよ!ほら、あかねさん困った顔してるよ」

あかねの胸に顔をうずめ抱きしめて離さない神楽の少し上では、あかねが困ったような、何かを我慢しているかのような顔をしていた。

あかね「きっとまた来るから、ね?」

神楽「だって鏡無くなっちゃうアル!もうそうなったら無理ネ!」

新八「ず、ずるいよ神楽ちゃん!一人だけ我儘言って!僕だって言いたいよ!きっとあかねさんだってそうだ!離れるのなんて寂しいんだよ嫌なんだよ!それでも帰る場所があるんだから!ちゃんと見送んなきゃ!」

新八がセリフを言い切る頃には、彼の眼にはすっかり涙が溜まっていた。



774: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:21:53.60 ID:GXJHWMk50

神楽「新八……」

そう言ってあかねの胸から顔を離した神楽の眼にも、そして鼻からも液体が光っていた。

あかね「……絶対また会えるよ。鏡が無くなっても絶対!」

あかねの眼にも涙が溜まっていたが、それでも彼女は笑顔であった。

あかね「私たちの世界はもう繋がったんだから!この先いくらでも会えるはずよ!あんな鏡なんか無くったって!」

神楽「あ、あか姉!」

そう言ってもう一度神楽があかねの胸に飛び込む。



775: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:22:33.35 ID:GXJHWMk50

あかね「私ね、三人姉妹の末っ子でね。いつか弟や妹が欲しいと思っていたの」

あかねが優しく新八と神楽の頭を撫でる。

新八「あ、あかねさん……うぅ」

あかね「夢が叶って嬉しかった。それもこんなに優しくて、強くって、可愛い元気な子達で。だからね」

神楽をそっと胸から離すあかね。

あかね「絶対会いに来るから、弟や妹を放っておいてはいられないもん。だけど今だけ、ちょっとの間だけお別れ」

溜まっていた涙は気付けば三人の頬を濡らしていた。



776: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:23:16.22 ID:GXJHWMk50

土方「もう来るんじゃねえぞぉ」

乱馬「頼まれたって誰が来るもんか」

それぞれ挨拶を交わす中、その円の外側で乱馬に真選組の三人が声を掛けた。

近藤「中々楽しかったぞ早乙女、また来たら屯所にでも顔出せよ!場所は分かるだろ?あんなにしょっ引かれたもんな!はっはっはっは!」

乱馬「だから来ねえっての。もし何かの間違いで来たとしてもあそこには絶対顔出さん」

近藤「そうか、ならまたあの屋台だな」

乱馬「勘弁してくれよ、西郷のおっさんまでそんなこと言ってたぞ」

憂鬱そうな乱馬を、激励の意味を込めてバシバシと近藤が叩く。



777: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:24:18.35 ID:GXJHWMk50

近藤「なんだ、楽しそうじゃねえか!なあトシ!」

土方「それこそ勘弁だぜ近藤さん。この野郎ともあの酒癖わりぃおっさんとも酒なんか飲めっかよ」

沖田「要約すると『まあこっち来る機会があったら一杯くらい飲むのは吝かではない』ってぇ意味だからな」

土方「何わけわかんねえ訳してんだてめぇ!0点だ!」

沖田「お前と一緒で素直じゃねえんだい、この人」

乱土「一緒にすんじゃねえ!!」



778: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:25:13.93 ID:GXJHWMk50

こうして一しきり挨拶も終わり――

乱馬「おい鏡!俺達を元の世界に戻してくれ!」

乱馬が転生鏡で自分たちの姿を映すと、鏡がいつかのように、ゆっくりと光を放ち始めた。

銀時「じゃあな、まあ元気でやれよ」

そんな中、銀時がのっそりと乱馬に近付いた。

乱馬「ああ、てめえもな。ただ世話になったな、なんて言わねえぜ」

銀時「そりゃそうだ。世話なんざしてねえからな」

乱馬「……勝負の決着」

銀時「へ?」

小声で言った乱馬の言葉が、皆の別れの声にかき消される。



779: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:26:36.19 ID:GXJHWMk50

乱馬「あの時の勝負の決着!付けに戻ってくるからな!それまで待ってろよ!」

銀時「ああ、待ってるぜ。でも交換条件だ。お前の世界の――」

乱馬「甘いモンでも買って来いってんだろ?」

言おうとしていたセリフを乱馬に奪われ言葉が続かない銀時であった。そして次に出たのは笑い声であった。

銀時「はっはっはっは、じゃあな。悪ガキ」

拳と刀でしかほとんど語り合う事の無かった二人であったが、それでも互いを知るのには、心が繋がるには十分なようであった。

乱馬「はっはっはっは、じゃあな。銀時」

鏡から溢れる光が最高潮に達した時、視界は光りに奪われ見えはしなかったが、手鏡の落ちる音、その衝撃で鏡の割れる音が聞こえた。光が止むと、もうそこには異世界の人間たちの姿はどこにもなかった。



780: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:27:09.76 ID:GXJHWMk50

銀時「……行っちまったな」

新八「最初はどうなるかと思いましたが良い人たちでしたね、今日からちょっと寂しいです。へへ」

銀時が壊れた転生鏡を、感慨深げに拾う。

銀時「なーに言ってんだ、そんな暇ねえぞぉ。仕事だ仕事」

神楽「そうアル、仕事するネ。で、鏡壊れちゃったけど依頼主にはなんて言うの?」

神楽の一言で銀時と新八の動きが止まる。



781: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:27:52.37 ID:GXJHWMk50

銀時「……………………………………」

新八「……………………………………」

神楽「……………………………………」

銀新神「……………………………やべ」

新八「ど、どうするんですかこれぇぇぇ?!」

神楽「おいで!定春!」

定春「ワンっ!」

銀時「鏡探しに行くぞてめえらぁぁぁ!!!」



782: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:29:31.75 ID:GXJHWMk50

乱馬たちの世界、猫飯店。

一同「お疲れ様っ!かんぱーいっ!!」

乱馬「いやー、今回は大変だったなぁ。ホント」

あかね「そうね、まさか異世界に行くだなんて。また神楽ちゃん達に会いたいなぁ」

右京「アクの強い人たちだったけど、良い人ばっかやったなぁ」

九能「それにしても奇怪であるな。向こうの世界では少なくとも二か月近くは過ごしたはずなのに、戻ってみればあの日のままとは」

ムース「真夏の夜の夢、かのう」

シャンプー「そんなわけないある。ま、異世界なんかに行く方がよっぽどそんなことないって否定したくなるけれど」

あかね「あれ?そう言えば良牙君は?」



783: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:30:31.54 ID:GXJHWMk50

右京「光で目がやられて、それが治ったらもういなかったで」

乱馬「また旅にでも出たんじゃねえか?」

九能「せっかちな奴だ。お疲れ会くらい参加してからでも遅くなかろうに」

シャンプー「せっかく私たちの手料理食べられるチャンスだたのに」

ムース「もしや良牙だけ別の世界に飛ばされておったりしてな」

一同「…………………」

乱馬「そ、そんなわけねえだろうが!はっはっはっは!」

あかね「そ、そうよね、はっはっはっは!」

一同「はっはっはっは!はぁ…………………」

一同「…………………」

乱馬「ま、まだ鏡壊してねえよな?!良牙を探しに行くぞっ!!」

一同「お、おうっ!!」



784: ◆sT.xLigL/Q:2015/11/08(日) 22:31:02.98 ID:GXJHWMk50

とある世界、エジプト。

ポルナレフ「な、なんだこいつ?!い、いきなり現れたぞぉ!!!」

イギー「ワンッ!ワンッ!」

アブドゥル「新手のスタンド使いか?!」

花京院「どこから現れたんだ一体っ!!」

ジョセフ「敵の能力は未知数じゃ!気を付けろぉ!」

承太郎「やれやれだぜ……」

良牙「一体ここはっ!どこなんだぁぁぁ!!!」






元スレ
乱馬「かぶき町?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437480932/
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         コメント一覧 (6)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月09日 03:44
          • ヤパパーヤパパーイーシャンテー
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月09日 06:44
          • うっちゃん女神過ぎませんかねぇ……

            良い具合にらんま勢が銀魂世界に毒されてて楽しかった
            月曜の夜明けに読み始めなきゃ最高だった
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月09日 10:33
          • 両作品好きにはたまらんぞこれ

            お祭り騒ぎな感じで面白かった

            昔のコラボ映画みたい!
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月09日 11:16
          • 5
            面白かった(´∀`*)
            文句なしのほしまっくす

          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月09日 20:44
          • 5 とにかく長編だったがその価値はある力作だったなー。
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月10日 05:45
          • 5 らんま読み返したくなったわ

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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