デーモン閣下「真泥霊羅プロジェクト!」【前半】

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 21:29:27.36 ID:Bf/+VYdFO

・聖飢魔II×シンデレラガールズ
・ストーリーはアニメを参照
・書き溜めあり
・時間軸は聖飢魔IIによる地球征服が完了した魔暦紀元後
・よってダミアン浜田殿下ではなくダミアン浜田陛下
・武内Pは出ません


このスレは

デーモン閣下「シンデレラプロジェクト?」の続編です


なお、前回までの内容と違い、途中で元構成員の方々の現在の活動や、デーモン閣下が人間とコラボなされた映像に触れます
聖飢魔II以外の曲のリンクについては「Face to ace/○○」といったようにどなたの曲なのか明記しておきますので、
世仮の姿を見るのに抵抗のある信者の方は予めご注意・ご了承お願いします



2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 21:31:40.28 ID:Bf/+VYdFO

――ほんの少し前、私達はお姫様に憧れるだけの普通の女の子でした。


――眩しいお城、ステキなドレス、優しい王子様、それは自分にとって遠い夢だとずっと思っていて、


――でもある日、運命の出会いがあって、私達は魔法をかけてもらいました。


――でも、私達にとてもステキな魔法をかけてくれたのは、魔法使いではなく、



「フハハハハ!諸君、御苦労である!!」



――1匹の、ステキな悪魔でした。



「「「「「「「「「「「「「「ただいま、デーモン閣下!!」」」」」」」」」」」」」」



第14話 Who is the young girl that's screaming in the devil's castle?



3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 21:37:47.79 ID:Bf/+VYdFO

~346プロ 真泥霊羅プロジェクトルーム~


エース清水長官「みんなー!いいもん持ってきたよー!」

本田未央「きたきたー!ニューアルバムのサンプル!」

ルーク篁参謀「みんなの記念すべき第一大教典だぞー!」

神崎蘭子「大教典……魂の共鳴を封じ込めし箱か!」

城ヶ崎莉嘉「お姉ちゃんと聞こーっと☆」

長官「ああ、少女達がキャッキャウフフと戯れる姿、いいもんだな…」

参謀「これこそ黄金郷だな…」

島村卯月「エヘヘ、私、またたくさん買っちゃいます!」

渋谷凛「へえ、どのくらい?」

卯月「えっとですね、お母さん、お父さん、おばあちゃん、自分の分、親戚や、友だちの分、あとは…」

長官「大教典をそんなに……卯月ちゃん、お小遣い大丈夫なの?」

卯月「みんなに聞いて欲しいですから!節約頑張ります!」

参謀「ええ子や……この子ほんまモンのええ子や……」

三村かな子「うれしいなぁ~、私、みんなのソロ曲も早く聞いてみたい!」

緒方智絵里「うまくできてるか、不安です…」

長官「みんなバッチリ可愛かったから大丈夫!」

参謀「マツザキ様も、みんな最初に比べたら別人みたいに上手くなったって褒めてたよ!」

智絵里「よ、よかったぁ…」

新田美波「アイドルフェスから、もう一ヶ月経つのね…」

アナスタシア「とっても、はやいです」

未央「仕事、少しずつ増えてきたよね…」

凛「うん」

卯月「すごいです、本当に…」



4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 21:45:14.86 ID:Bf/+VYdFO

ゼノン石川和尚「石川で~す、入りますよ~」コンコン

美波「ゼノンさん? どうぞー」

和尚「はーい、あ、じゃあどうぞ入ってください」ガチャ

部下A「常務、こちらが噂の……」

?「うむ」スタスタ

未央「……誰?」

卯月「さあ……新しい悪魔さんでしょうか?」

長官「いや、見た目は普通の人間みたいだけど…」

?「ニュージェネレーションズの、島村卯月さん、本田未央さん、渋谷凛さん、だったわね」

?「お仕事、頑張りなさい」

「「「は、はい!!」」」

閣下「おはよう諸君、今日もたくさんの悪事を……誰?」ガチャ

?「……ふむ」

和尚「あ、閣下、おはようございまーす」

閣下「うむ、和尚、そちらの人間女性は?」

和尚「あ、そうだった、紹介しますね、こちらは美城常務、えー、たしか、アメリカの、どこかの……」

美城常務「ニューヨーク」

和尚「…ニューヨークのぉ!なんとかっていう関連会社から、昨日だか一昨日だか今日だかに帰国されたらしいです」

和尚「怪我の療養のため帰獄なさっている陛下に代わり、来週くらいから346プロのアイドル部門の偉い人になるって噂です」

閣下「恐ろしいほどふわっとした情報だな…」

閣下「しかしなるほど、話は聞いていた、我輩が代わりに紹介しよう」

閣下「改めて、こちらの女性が来週から346プロダクションのアイドル部門統括重役に赴任される美城常務だ、諸君、挨拶を」

一同「よろしくお願いします!」



7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 21:53:14.24 ID:Bf/+VYdFO

閣下「我輩が、真泥霊羅プロジェクト恐怖のプロデューサー、デーモン小暮である、以後よろしく頼む」

常務「君の資料を読んだ、悪魔と聞かされた時は私の耳がおかしくなったのかと思ったが、優秀な人材はだいk「ちょっと待て」」

常務「……なんだ?」

閣下「あの、我輩、人間じゃなく悪魔なんで、優秀な人材ではなく魔材だから、そこは訂正願おう」

常務「……それは重要な事なのか?」

閣下「お前達人間も一匹二匹と数えられるのを嫌うだろう、悪魔だって同じだ」

常務「…………」

閣下「…………」

常務「優秀な魔材は大歓迎だ、これでいいか?」

閣下「うむ」

常務「人間であろうと悪魔であろうと、能力があれば問題はない、期待している」

閣下「では、せいぜい励むしよう」

常務「レッスン室と衣装部屋も見ておきたいんだが」

閣下「なるほど、長官、参謀、案内しろ」

長官「え、なんで俺達が?」

閣下「そりゃあアンタ達の持ち場なんだから」

参謀「いやぁ、でも……」

常務「何か問題が?」キリッ

長官「い、いえいえ!」

参謀「どうぞどうぞ!」

常務「うむ」スタスタ

部下A「では、よろしくお願いします」スタスタ

長官「なんかこの部下腹立つな……」

卯月「…なんか、かっこいい方ですね~!」

未央「う~ん、できる女って感じだね」

閣下「…………」

凛「? プロデューサー、どうかしたの?」

閣下「……ん?ああいや、なんでもない」



9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:00:37.19 ID:Bf/+VYdFO

~戦闘服部屋~


参謀「ジャジャーン!!ここが346プロの戦闘服部屋でーす!!」

長官「ウッヒョー!まるで宝の山だぜー!クンカクンカハスハスウッヒョー!!」

常務「……ふむ」スタスタ

参謀「…………」

長官「…………」

参謀&長官(……空気が重い!!)

参謀「おい、どうすんだよこの空気、俺耐えられないよ」ヒソヒソ

長官「俺に言うなよ、文句なら閣下に言えよ」ヒソヒソ

参謀「大体さっきからこっちがどんなに盛り上げても全く無反応なんだぜ?」コソコソ

長官「こっちが必死にテンション上げて喋ってると、たまに凄く冷たい目で見てきて……」コソコソ

参謀「胸の奥から、新しい自分が顔を出すっていうか……」コソコソ

常務「なあ、少し訪ねたいのだが」

長官「はいなんでしょう!!」

参謀「基本的には自転車通勤です!!」

常務「このやけにアニマルプリントが集まっている一角はなんだ?」

参謀「あ、それは陛下のコレクションですね」

長官「なんでも、館のクローゼットがいっぱいになってしまったらしくて避難所として置いてあるみたいです」

常務「この無駄に派手な色使いの服は?」

参謀「そっちは閣下の戦闘服案ですね」

参謀「アイドルが新衣装を作るっていう度に持ってきてプレゼンを始めるんですよねー」

長官「あの悪魔、原色ビシバシのド派手ファッションが大好きでwww全くセンスが感じられねえwwwww」

参謀「お前、そういうこと言ってるから蝋人形にされるんだよー!」

長官「アイツは今いないんだからヘーキヘーキwww」

常務「ふむ……では、次はレッスン室を案内してもらおう」

長官「あ、はい……」

長官「…………」

参謀「…………」

参謀&長官(……どんなにがんばっても空気が重い!!)



10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:06:51.25 ID:Bf/+VYdFO

~ラジオ局~


高森藍子「高森藍子と~」

和尚「ゼノン石川の~」

藍子「ゆるふわタイム~!」

和尚「いえ~い」

藍子「今日のゲストは、ラブライカのお二人です」

美波「こんにちは、新田美波です」

アーニャ「アナスタシアです」

藍子「はーい、ようこそー!」

和尚「よろしくねー」

美波「ゼノンさんがレギュラーになったって噂、本当だったんですね……」

和尚「なんかねー、ニュージェネレーションズの初登場回が思った以上にアンケートがよくってねー」

藍子「その後も何回かゲストでいらしてたんですが、もういっそのことレギュラーでいいんじゃないかって番組プロデューサーが」

和尚「動かない仕事なら大歓迎、ゼノン石川です」キリッ

アーニャ「でも、みんなでお喋り、楽しいですね、美波?」

美波「そ、そうね」

藍子「では、最初はリスナーさんからのお便りを紹介しますね!ゆるふわネーム・ルーミン和久井秘書官さんからのお便りです」

藍子「『皆さん、いえ~い』」

藍子「はい、いえ~い!」

和尚「いえ~い」

アーニャ「イエーイ」

美波「い、いえ~い……」



11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:13:48.49 ID:Bf/+VYdFO

藍子「『美波さんは資格取得が趣味ということですが、今後何か地獄の資格をとる予定はありますか?また、婚活に役立つ地獄の資格があったらぜひ教えて下さい』とのことです」

美波「………え、えっと」

藍子「へえ~、美波さんは資格取得が趣味なんですかー!」

和尚「お若いのにしっかりしていらっしゃる」

美波「あ、は、はい、私、何か新しいことにチャレンジするのが好きで…」

アーニャ「美波、アイドルになってからも、新しい勉強いっぱいしてます」

藍子「すごいですね~、それじゃあ、地獄の資格もチャレンジするんですか?」

美波「いえ、あの、そもそも地獄に資格試験って…」

和尚「あるよぉ~!」

美波「ああ、やっぱり…」

和尚「就職や転職に役立つ人気の資格としては、公害促進管理者や拷問器具取扱者、食品不衛生監視員とか、脱税理士などですね」

藍子「色々あるんですね~」

アーニャ「アー、コウガイソク…?」

美波「アーニャちゃん、覚えなくていいのよ」

和尚「でも昨今の一番人気はなんといっても地球の教員免許かなぁ」

藍子「ああ!ダミアン浜田陛下と同じ!」

和尚「そうなんです、わざわざ地球の大学に通って教員免許を取る若者悪魔が地獄ではとても増えてるんです」

藍子「やっぱり陛下はすごいですね~」

美波(あれ?もしかして高森さんも悪魔に馴染んできてる…?)

アーニャ「美波は、なんの資格を取りますか?」

美波「ああ、アーニャちゃんも既にそっちなのね、地球人ベースで喋ってるのは私だけなのね」



閣下「うむ、美波もアーニャも、最初の頃の緊張がだいぶほぐれてきたな」

閣下「…………っ! 何奴!!」ガチャ

閣下「…………誰もおらんが、しかし」

閣下(和尚、今誰か部屋の前を通らなかったか?)テレパシー

和尚(気のせいじゃないですか~?)テレパシー

閣下(そうであればよいのだが……)



和尚「…………」



14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:27:41.24 ID:Bf/+VYdFO

~346プロ 撮影スタジオ~


閣下「御苦労であった」

蘭子「造作も無きこと」アセフキフキ

蘭子「ふぅ…………ひゃわぁっ!!」ビクゥッ!

閣下「ん? どうかしたか?」

蘭子「あ、あそこに怪しき人影が……」

閣下「何っ!? ……誰もおらんようだが」

蘭子「あ、あれ…?」

参謀「かっかああああああああああああああ!!!!」ダバダバ

閣下「おお、参謀ではないか」

蘭子「何事か、蒼い稲妻よ」

参謀「あ、蘭子ちゃん、やみのまー!」

蘭子「うむ!闇に飲まれよ!」

閣下「で、どうしたのだ?」

参謀「もう聞いてくださいよー!あの美城常務って女マジ怖いんですけどー!ありえないんですけどー!」

閣下「具体的には?」

参謀「俺とエースがどんだけ場を和ませようとしてもいきなりぶった切って『少し訪ねたいのだが(キリッ)』って!」

参謀「ぶっちゃけありえない!」

蘭子「魔女の結界は悪魔の炎でも破れぬか…」

閣下「大方、くだらない漫才でもしてたのだろう?」

参謀「あ、そういえば閣下の原色バキバキ戦闘服、全部今日中に持って帰れってさー」

閣下「……ぶっちゃけありえない」

蘭子「閣下、喋り方が変になってます…」

参謀「あと陛下のアニマルプリントグッズも代表として一緒に持って帰れって」

閣下「ぶっちゃけありえないのである!」

蘭子「そ、そうだ! 蒼き稲妻よ、闇に潜む者の気配を感じなかったか?」

参謀「闇に潜む者? いや、特に誰ともすれ違わなかったけど…」

閣下「ふむ、大丈夫だ、何者かはわからんが少なくとも我輩も邪念は感じなかった、気にするな」

蘭子「う、うむ…」

閣下「…………」



15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:48:50.95 ID:Bf/+VYdFO

~346プロ 応接室~


かな子「私は、沢山の人にこの曲を聞いてもらって、楽しんでもらえたらなって!」

双葉杏「私は印z……じゃなくって、印象に残るアイドルになりたいなっ」

智絵里「えっと、私は……っ!」ビクッ!

かな子「ど、どうしたの?」

智絵里「ど、ドアの後ろっ!変な人影が!」

閣下「またか!」ガチャ!


ちひろ「はーい、清水さん、今月分のスタドリ代を引き落としに行きましょうね~」テクテク

長官「カネ、ハラウ、オレ、スタドリ、ノム……」ズルズル

ちひろ「そうですよ~、たくさん飲んで、たくさんお仕事して、たくさんお金稼いで、たくさん買いましょうね~」テクテク

長官「チョウダイチョウダイ、ナンデモシマスカラ……」ズルズル

閣下「何をしている……いや、長官は本当に何をしているのだ」

長官「チョウカン、チガウ、オレ、タクラミコウイチロウ…」

閣下「誰だよ」

ちひろ「あ、閣下、お疲れ様ですっ♪」

長官「カッカ、ダレ…?」

ちひろ「清水さん、閣下にご挨拶しましょうねー」

長官「カッカ……ドスコイコグレカッカ…?」

閣下「ドスコイ小暮って」

長官「ドスコイコグレ……マザコンゴジラ……」

長官「オ、オマえモ………しテ、ヤろうか…」

ちひろ「あ、意識が戻ってきましたね」

閣下「まあ、戻ったところですぐに蝋人形だがな」

長官「お、お前も………に……」

長官「お前も、骨付きカルビにしてやろうか………っ」パタリ

閣下「……………………」

ちひろ「……………………」

閣下「ああ、そうだちひろ君」

ちひろ「なんでしょう?」

閣下「今、ここに誰か立ってなかった?」

ちひろ「いえ、誰も…」

閣下「そうか……」

ちひろ「?」

長官「お前も蝋人形に…オーシャンゼリーゼ……」



16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 22:58:44.19 ID:Bf/+VYdFO

~数日後 346プロ~


閣下「……むう」

莉嘉「デーくん、なにしてんのー?」

閣下「いや…」

赤城みりあ「わかった!かくれんぼ!」

卯月「後ろに誰かいるんですか?」

未央「借金取りに追われてるとか」

閣下「うむ、実はな…」


~真泥霊羅プロジェクトルーム~


未央「誰かにずっと見られてる!?」

卯月「振り向くと謎の女の影!?」

莉嘉「それって幽霊!?幽霊なの!?」

みりあ「私も幽霊見たーい!」

凛「まさか、またゼウスの妨害って奴?」

きらり「また誰か倒れちゃうにぃ…?」

閣下「いや、あの夏の大黒ミサの後から、346プロにおける対ゼウス警戒態勢はかなり強くなっている」

閣下「神の子一匹潜り込めはせん、まだ幽霊の方がありえる話だ」

未央「そっか、じゃあこの会社、呪われてるのかも…」

未央「昔アイドルで挫折した女の子が、この事務所で……!」

きらり「~~~~~~!!」

卯月「や、やめてくださいぃ~!」

みりあ「幽霊ってどうやったらみれるのかなぁ」

閣下「地獄にはいくらでもいるぞ?」

凛「それはそうだろうけど…」

莉嘉「あ、アタシこの前テレビでお姉ちゃんと見たよ!!写真撮るとそこに写ってるの!!」

閣下「ああ、そのパターンね」

卯月「よくあるんですか?」

閣下「よく苦情が来てな、『心霊写真を取りにわざわざ遠方から若い人間が来たから土産になればと思って写ってやったら、悪霊だの強い怨念を持っているだの言われた』って」

閣下「挙句の果てに肖像権を無視してテレビで取り上げられお焚き上げされた奴など偉く憤慨しておった」

閣下「何も写らず帰るのではつまらんと思い親切で入ってくる幽霊もいるのだ、諸君も、心霊スポットで幽霊を撮ったら一言お礼を言っておけよ」

凛「なんか一気に心霊番組がつまらなくなる裏話だね…」

未央「でも、幽霊が写真に写るのは本当ってことだよね!せっかくだし撮ってみようよ!」

閣下「今は何も写らんと思うがなあ」

未央「いいから!やってみなきゃわかんないよ!」

未央「はーい、笑って笑ってー!」パシャ

未央「よーし、写ってるかなー………あ」ドアノムコウニオンナノカゲ



17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:03:18.55 ID:Bf/+VYdFO

未央「」

卯月「」

凛「」

莉嘉「」

きらり「」

みりあ「?」

閣下「誰だこれは」

未央「や、やばいよ、これは本物だよ…」

閣下「いや、別にこれ幽霊では」

卯月「ど、どどどどうしましょうぅ」

閣下「だからどうもこうも」

凛「でも、どうしましょうって…」

「どうしたの~?」

卯月「ひうっ!」ビクゥッ!

前川みく「な、なんにゃ……」


~346プロ エントランス~


みく「なるほど、幽霊と聞いたら専門家にみてもらうのが一番!」

閣下「いや、ある意味我輩が1番の専門家なのだが」

みく「というわけで、アイドル界No.1の霊感の持ち主と、実家が神社の巫女さんにゃ!」

凛「巫女って……いいの?」

閣下「悪魔教は例え家系が坊主だろうとクリスチャンだろうと本人に信仰の意志があれば拒まない間口の広い宗教なのだ」

閣下「346プロのアイドルは皆、長官が調査済みだし、事実その娘も真泥霊羅プロジェクトの大教典を入手済み、布教は完了している」

道明寺歌鈴「閣下、お疲れ様でしゅ!」

白坂小梅「よ、よろしく……です…」

閣下「うむ、2人とも元気そうで何よりである」

みく「じゃあ早速、お願いにゃ」

歌鈴「は、はい!」



18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:09:19.07 ID:Bf/+VYdFO

歌鈴「かしこみーかしこみー、禊ぎ祓えし時にー」

閣下「……いや、いくら巫女でも問題ないとはいえ、この場合って禊ぎ祓われるの我輩にならないか?」

歌鈴「かしこみー、かしこみー」

閣下「あ、なんか背中がムズムズしてきた、これ本格的に祓われてるやつである」

歌鈴「かしこみー、かしこみー…………えーと、かしこみー……かしこみー」

閣下「意外といけそうである」

歌鈴「あの、かしこみーの後ってなんでしたっけ……」

閣下「教えてやりたいのは山々だが教えたら我輩消滅するからなあ……」

歌鈴「あっ、そうですよね、すみません……」

閣下「いや、こちらこそなんかスマン」

凛「…………何これ」

小梅「あ、あの、何してるの…?」

凛「こっちが聞きたいくらいだよ……」

みく「だ、誰がなんと言おうとお祓いにゃ」

小梅「だ、誰を…?」

みく「誰ってデーちゃんを…」

小梅「でも、閣下さん全然消えないよ?」

みく「デーちゃんじゃなくってデーちゃんに憑いてる女の幽霊を…」

小梅「でも、誰も憑いてないよ…?」

みく「…………へ?」

小梅「女の人、なんて…見えない、です……」

未央「ホントに!?」

閣下「だから、最初からそういっておるだろうに……」

小梅「うん…………笑ってるお侍さんなら、そこに」ユビサシ

きらり「」

莉嘉「」

閣下「ああ、そいつは無害な凸レーションの追っかけ浮遊霊だから気にしなくていい」

みりあ「私達の!?」

閣下「うむ、夏の大黒ミサにも参拝に来てたぞ」

未央「そうなんだ…」

閣下「我々悪魔がプロデュースしてるからな、幽霊のファンは結構多いぞ」

凛「またいらない情報が……」

みく「でも、幽霊じゃないとしたら……」

未央「生きてる人間ってことになるよね…………ハッ!」

未央「もしかして、ストーカー!?」



19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:16:14.09 ID:Bf/+VYdFO

~346プロ 待合所~


きらり「ストーカーさんなら、専門家さんにお願いするにぃ!」

きらり「というわけで、元警官さんと、兼業探偵さんだよぉ☆」

片桐早苗「ふふん」

安斎都「むふー」

卯月「346プロって、人材豊富な事務所なんですねー」

早苗「事情は聞いたわ、みんな、冷静に!その場を動かないで!」

都「デーモン小暮さん、犯人は貴方です!」ビシィ!

閣下「…………あー、コホン」

閣下「フハハハハ!実に面白い発想である、とりあえずは推理を聞こうではないか、次回作のネタになるかもしれん」

凛「無理して空気読んでノッて、推理小説家が犯人のミステリーっぽくしなくていいから」

凛「大体、プロデューサーが被害者なんだから犯人も何も…」

早苗「デーモン閣下には、公務執行妨害、少女略取、窓からの不法侵入、CDショップ占拠、他にも数多くの容疑がかかっているわ」

凛「…………あー」

未央「…………えっと」

閣下「ぐうの音も出んな」

都「あ~、ひとつよろしいですかぁ~?」

閣下「なぜコロンボ」

都「小暮さん、貴方、昨夜仕事を終えられた後、何をしていましたか?」

閣下「む、昨日か?昨日は早くに仕事が終わったから346プロのスタジオ部屋で聖飢魔II構成員と歌っていたが?」

都「ええ、そうでしょう、でも私、聞いちゃったんですよね……」

都「いや、盗み聞きをするつもりはなかったんですよ?ただ、前を通りがかった時にこう聞こえまして……」

都「…………『昨日人を殺した』、とね」



21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:24:45.46 ID:Bf/+VYdFO

凛「何やってんの……」

閣下「Jack the ripperを少々……」

都「更には、『明日はお前も胃袋』なんて言葉や、『天国へ行きたいのか?今宵地獄へ堕ちるのだ…!』なんて言葉も聞こえましたねぇ」

きらり「何をやってたんだにぃ?」

閣下「悪夢の叫びを少々……」

都「他にも大変楽しそうな声が、この名探偵安斎都の耳にはよ~く聞こえてきました……」

卯月「何をやってたんですか?」

閣下「早上がりでテンションが上がって養命酒を少々……」

みく「ダメな大悪魔にゃ……」

都「改めて言わせてもらいましょう……デーモン閣下、犯人はお前だー!ズバァーン!」

みりあ「この人、ズバァーンって口で言ったー」

早苗「デーモン閣下、何か釈明することは?」

閣下「………………ギャフン」

早苗「なら、あとは署で聞きましょう、午後3時28分、被疑者確保!」ガチャリ

未央「ち、ちょっと待って!誤解だって!」

莉嘉「そうだよ!顔は怖いし悪魔だけど悪い悪魔じゃないよ!」

早苗「そうなの?」

閣下「いや、極悪だが」

早苗「被疑者確保!」

凛「ああもうややこしい!」



22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:32:05.69 ID:Bf/+VYdFO

~数日後 秋葉原~


未央「……不審者、見当たらず、異常なし!」

卯月「こちらも、異常なしですっ!」

凛「…………ぃ、異常、なし……」

閣下「本日は、ミサの顔合わせと段取り確認だ」

閣下「我輩は顔合わせ終了後、次の現場に向かう」

卯月「はい!」

未央「次の現場ってどこ?」

閣下「凸レーションのポスター撮影だが?」

未央「オッケー!……あ、きらりん?閣下がそっちに向かうからよろしくねー」ポパピプペ

未央「今のとこ、怪しい奴は見つかんないねー」テクテク

凛「…………あの、さ」

閣下「ん?どうした?」

凛「みんなの探偵ごっこのネタにされてるって、気づいてる?」

閣下「ネタと言えば聞こえは悪いがな……む?聞こえが悪い?フハハハハ!素晴らしい!」

凛「もう、話を逸らさないで……いいの?ほっといて」

閣下「皆、楽しんでいるようだからな」

閣下「凛はどうだ?楽しくはないか?」

凛「私は、探偵ごっことかそういうのは、ちょっと……」

閣下「なんだ、意外に嫌いではないと思っていたのだがな」

凛「何それ、そんな風に見える?」

閣下「いや、見えん、だが我輩のまだ知らないお前の一面にそういう姿があってもよいと思うがな」

凛「残念だけど、そんな一面はないよ」

閣下「そうか、では、アイドルはどうだ?楽しくはないか?」

凛「…………そっちは、楽しくなる途中、かな」

閣下「――そうか…………フハハハハ!では、これからもっと楽しくなっていく呪いをかけてやろう!」

凛「ふふっ、何それ」


?「あ、あの、渋谷凛ちゃん、だよね?」



23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:39:26.26 ID:Bf/+VYdFO

凛「え?えっと…」

閣下「知り合いか?」

北条加蓮「北条加蓮、中学一緒だったんだけど……クラスは、違ったけどね」

凛「…………ゴメン、覚えてない」

加蓮「いいよ、気にしないで、私、よく学校休んでたし」

加蓮「そちらは、シンデレラプロジェクトのプロデューサーさん、ですよね?」

閣下「うむ、我輩が真泥霊羅プロジェクト恐怖のプロデューサー、デーモンである、気軽に閣下と呼ぶがいい」

加蓮「はじめまして、こっちは神谷奈緒」

神谷奈緒「よ、よろしくお願いします!」

閣下「うむ、よろしくな」

加蓮「私達、一応346プロ所属のアイドルなんだ」

閣下「ほう」

加蓮「部署は、城ヶ崎美嘉ちゃんのとこで最近デビューしたんです」

凛「へえ、そうなんだ」

加蓮「あっ!アイドルサマーフェス見たよ!」

閣下「アイドルサマーフェス…?」

凛「…………夏の大黒ミサ」ボソ

閣下「ああ、あれの世を忍ぶ仮の名前か」

加蓮「すっごく盛り上がってたよね!なんか良かった、ね、奈緒?」

奈緒「! ま、まあな…」

加蓮「奈緒は照れ屋だから素直に言わないけど、ライブの間中、目をキラキラさせてたから」

奈緒「はあ!?誰がキラキラ……っ!」

奈緒「ま、まあ良かったけどさ……」

加蓮「ふふっ」

凛「あ、ありがと…」

加蓮「閣下の歌も、すっごく良かったです!」

閣下「フハハハハ、当然だな!」

加蓮「奈緒ったらすごく盛り上がっちゃって、大きな声で応援してました」

奈緒「ば、バカ!そういうことは言わなくていいから!」

閣下「ほう、ではアダムの林檎のあれも?」

奈緒「へ、あれ?……~~~~っ!!!あ、あんなの言えるわけないだろっ!!」

加蓮「あ、あれはちょっとその、あれでしたけど……」

加蓮「でも、本当にかっこ良くって、お客さんもすごい盛り上がってて……」

加蓮「他のシンデレラプロジェクトのアイドルも合わせて、あんなライブがしたいねってずっと話してたんです」

閣下「そうか、では、頑張るのだぞ」

加蓮「はい!」



24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/29(木) 23:50:12.83 ID:Bf/+VYdFO

加蓮「そうだ、あの、シンデレラプロジェクトの曲って閣下が作ってるんですよね?」

閣下「まあ、そうだな」

奈緒「お、おい、加蓮……」

加蓮「実は私達、CDデビュー出来るかもしれないんです」

凛「へえ、そうなんだ」

閣下「それは良かったではないか」

加蓮「はい!えっと、それで、いつか私達の曲も閣下に作ってもらえたらなあって……」

奈緒「だから無茶言うなって…」

加蓮「奈緒だって、あんな歌が歌ってみたいって言ってたでしょー?」

奈緒「そ、それはそうだけどさあ」

閣下「ふむ、いいだろう」

加蓮「やった♪」

奈緒「ほ、ホントにいいのか!?…あ、いいんですか!?」

閣下「うむ、約束だ、お前達が立派なアイドルになったらな」

奈緒「……や、やったな加蓮!!」

加蓮「うん、よかったね、奈緒」

凛「…………」

閣下「なんだ、嫉妬か?」

凛「そんなんじゃないから、2人とも、頑張ってね」

奈緒「はい!」

加蓮「うん、じゃあとりあえず、凛ちゃんが目標ってことで♪」

閣下「フハハハハ!それはいい!」

閣下「凛、そろそろ行かねばならんな」

凛「うん、そうだね」

加蓮「あ、これからお仕事か、引き止めちゃってごめんなさい」

奈緒「じゃあ、また」

凛「うん、またね」

閣下「フハハハハ、では2人とも、また会おう」



25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:02:13.12 ID:Mz/NfGsiO

~346プロ スタジオ~


美波「……うん、うん、今のところ変わったことはないよ」

美波「……ちょっとしか」

参謀「こちらブラボー1、付近の地縛霊にも聞いたが怪しい影は無いとのこと、オーバー」

長官「こちらデルタ4、了解、出来ればストーカーは脂がのりすぎたアラフィフくらいの色々抱えたナイスマダムだったら面白いと思う、オーバー」

美波「あの……何をされてるんですか?」


~恐怖のレストラン~


みく「うんうん、ずっとレストランで仕事してる、ホントにストーカーなんているのかなぁ」

ライデン湯澤殿下「お、張り込みやってるな、差し入れのアダムの林檎パイ持ってきたぞ~」

みく「あ、ライちゃんいたの?」

殿下「僕もここまで出番ないから、レストラン閉店したのかと思ったよ」

みく「ゼノちゃんはレギュラー番組まで持ってるのにね」

殿下「で、調子はどうだ?」

みく「う~ん、とりあえずは見張ってるけど、成果は今一つにゃ」

殿下「そうか、じゃあひとまず休憩したらどうだ?あっちに李衣菜くんもいるし」

みく「あ、ホントにゃ、ギターなんて持って何やってるにゃ?」

多田李衣菜「師匠に教えてもらった曲を練習してるんだけど難しくって……」

殿下「何を教えてもらったんだ?」

李衣菜「魔界舞曲……」

殿下「……あいつ実は全然丸くなってないんじゃないか?」

みく「どんな曲なの?」

李衣菜「聞いてみる?」つヘッドホン

みく「…………なんかすごい難しそうなんだけど」

殿下「まあ、今の李衣菜くんにはちょっと難易度が高い曲ではあるな」

李衣菜「でも、私が教えて欲しいって頼んだの」

みく「そうなの?」

李衣菜「この曲は師匠が作ったって聞いて、それにギターがハモるとことか一緒にやれたらいいなーって」

李衣菜「あと、この曲を弾けるようになったら、私達のライブでギター弾いてくれるって……」

殿下「そうなのか、じゃあその時は我輩も一緒に出よう」

みく「いいの?」

殿下「我輩も、アスタリスクの特別コーチだからな、ただし、アスタリスクが一人前のアイドルになったらだ」

李衣菜「ホントですか!?ウッヒョー!燃えてきたぁ!」ガチャガチャ

みく「……この分だと共演はまだ先にゃ」


?「へえ、なんだか渋い曲やってるね」



27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:04:25.33 ID:Mz/NfGsiO

殿下「おっ、夏樹くん」

木村夏樹「ライデンさん、どうも」

夏樹「これが今の曲のスコア? ちょっと貸して?」

李衣菜「え……うん…」つギター

夏樹「へえ、クールな曲だ……」デレデッデッデッデー♪

李衣菜「…………っ」

夏樹「それに、うん……」ピロピロギュイーン♪

みく「…………げ、激ウマにゃ」

夏樹「……サンキュ、アンタの相棒も、クールだな」つギター

夏樹「じゃあな、ライデンさん、また今度セッションしようよ」

殿下「おっ、いいな、いつでも大歓迎だ」

夏樹「346プロであんなに叩けるのライデンさんくらいだからさ、そうだ、ゼノンさんにも声かけておいてよ」

殿下「うむ、そうだ、夏樹くんもアダムの林檎パイ持って帰るといい、今包んでくるから」テクテク

夏樹「いや、いいって……全く、いつもお土産持たされるんだよなあ」

李衣菜「…………あ、あの!」

夏樹「ん?何?」

李衣菜「わ、私、多田李衣菜!ロックなアイドル目指してるんだ!」

夏樹「へえ、アンタがライデンさんが話してたロックなアイドルか、アタシと一緒だな」

夏樹「アタシは木村夏樹、ロックな話なら、いつでも付き合うぜ」

夏樹「じゃあ、アタシはちょっと厨房までパイ取りに行ってくるわ、またな」テクテク

李衣菜「…………あんな人いたんだ」

みく「知らなかったの!?ロックアイドルの木村夏樹ちゃんといえば有名にゃ!」

みく「それよりもあの木村夏樹ちゃんが恐怖のレストランの常連だったことが驚きにゃ……」

李衣菜「意外なファンが多いのかもねー、ほら、あの子も」

佐久間まゆ「…………」

みく「あ、ホントだ」

まゆ「…………っ!?」タッタッタ

李衣菜「あれ?行っちゃった……なんか様子が変だったね」

みく「! まさかデーちゃんのストーカーって…!」



28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:08:23.24 ID:Mz/NfGsiO

~真泥霊羅プロジェクトルーム~


長官「まゆちゃんが!!」

参謀「ストーカー!?」

凛「たまたま通りかかっただけじゃない?」

きらり「ん~、そういえば、昨日事務所に入る時まゆちゃん見かけたよぉ?」

長官「何故だ……!閣下のストーカーはでっぷり脂の乗った怪しい性癖持ちのギラギラしたナイスマダムのはずでは……!」

参謀「あの礼儀正しくてだけどこっちを見る目が何か物凄く興味のないものを見る目な気がしてそれがまた興奮を誘われるあのまゆちゃんが……!」

凛「でも、なんでプロデューサーにつきまとうの?」

莉嘉「わかった!きっとデーくんのことが好きなんだよ!」

長官「好き!?」

参謀「LOVE!?」

未央「人間と悪魔の禁断の恋……あるかも!」

長官「あるかなぁ~」

参謀「でもあったら追放だぜー?」

卯月「そ、そうなんでしょうか…?」

みく「これは、まゆちゃんに直接聞いてみるしかないにゃ!」



~トレーニングルーム前~



卯月「まゆちゃん、いないですね…」

李衣菜「会社の中にはいると思うんだけど…」

?「みんなでなにしてんのー?」

莉嘉「あ!お姉ちゃん!」ガバッ!

未央「ミカ姉、まゆちゃん見なかった?」

美嘉「まゆ?見てないなあ、なんで?」

長官「実は閣下は脂が乗っててギラギラナイスマダムフェチの特殊性癖持ちだからまゆちゃんを探してるんだ!」

美嘉「は?」

凛「もう色々混ざって原型を留めてないから…」

莉嘉「まゆちゃん、デーくんにラブラブなんだって!」ギュー

美嘉「はあ!?」

卯月「はっきりとはわからないんですけど、だから確かめようと…」

美嘉「そうなんだ…」

莉嘉「ねえねえお姉ちゃん!まゆちゃんに恋のアドバイスしてあげたら?」

参謀「えー、じゃあインタビューを始めます、好きな悪魔のタイプは?」

美嘉「え、ええ!?」

参謀「なるほど、立ち位置は下手、髪はパーマ、全身タイツとTバックの似合うヒバリーヒルズ出身系悪魔が好み、と」

美嘉「い、言ってない!そんなこと言ってないから!」



29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:14:54.00 ID:Mz/NfGsiO

美嘉「もう……そ、それに、そういうアドバイスとかは個人差があるから……ケース・バイ・ケースだから……その…」

みく「もう一回、このフロア探してみるにゃ!」テクテク

未央「うん!」テクテク

長官「ナイスマダム!」テクテク

莉嘉「私も行ってくるね!」

美嘉「いや、だから助言したいのは山々で……へ? あ、うん、行っといで」




長官「いないなあ…」

卯月「このフロアにはいないんでしょうか…」

参謀「それとも帰っちゃったとか?」

李衣菜「うーん…」

まゆ「誰を探してるんですか?」

長官「ナイスマダムをねー」

まゆ「ナイスマダム?」

参謀「違うだろー、ナイスマダムじゃなくてナイスままゆ……を……」

まゆ「はい?」

参謀「」

長官「」

参謀「で、でたああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

長官「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」

卯月「ま、まゆちゃん!」

まゆ「はぁい♪」

参謀「お命ばかりはー………」ガクガク

長官「後生でごぜーますよー………」ブルブル

まゆ「ど、どうしたんですか?」

凛「えっと、この悪魔は基本的にノリだけで動いてるから気にしないで」

まゆ「そ、そうなんですか……でもちょうどよかった♪」

まゆ「まゆ、お願いがあるんですけど……」つテガミ



~夕方 346プロ庭園~



閣下「ふむ、手紙にはここに来るように書かれていたが…………………っ!殺気!?」バッ!

まゆ「…………うふふ♪」



30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:18:34.94 ID:Mz/NfGsiO

~真泥霊羅プロジェクトルーム~



未央「…………担当プロデューサーの誕生日プレゼント?」

閣下「うむ、既に用意はしてあるらしいのだが地獄の贈り物で何か一品サプライズをしたいらしくてな」

閣下「ここ数日機会を伺っていたらしい」

莉嘉「な~んだぁ」

閣下「他にも、殿下の下にアダムの林檎パイの作り方を教わりに行ったり、和尚に千里眼で誕生日を教えてもらっていたようだ」

かな子「そういえば、ゼノンさんとライデンさんは張り込みに参加してませんでしたね」

閣下「お前達が楽しんでいたから止めなかったそうだ」

みく「ま、そんなことだろうと思ったにゃ」

莉嘉「でも残念だったねデーくん、せっかく告白されると思ったのにー!」

卯月「そ、そうですよね!あ、あの、気を落とさずに……」

閣下「…………もともと我輩は人間の娘に興味などない」

莉嘉「まったまたー!残念だったくせにー!」

美波「それで、あの……あれは…」

長官「」カチンコチン

閣下「我輩の根も葉もない噂を流したらしくてな、しばらくはあのまま反省だ」

長官「」ナイスロウニンギョー



~数日後 346プロ 会議室~


常務「統括重役としての私の方針を先に言っておく」

常務「――現アイドル事業部門の全てのプロジェクトを解体し、白紙に戻す」

閣下「………………………何?」



第14話 Who is the young girl in the devil's castle? 終



32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:38:28.36 ID:Mz/NfGsiO

第15話 When the spell dies twice...


~346プロ 会議室~


常務「――現アイドル事業部門の全てのプロジェクトを解体し、白紙に戻す」

常務「その後アイドルを選抜し一つのプロジェクトにまとめ、大きな成果を狙うのが目的だ」

常務「これは決定事項だ、追って通達を出す」

閣下「あー、ちょっといいかね」

常務「現アイドル事業部門の全てのプロジェクトを解体し、白紙に戻す」

閣下「聞きなさいよ、何回同じこと言うんだよ」

常務「その後、私の厳選した規格に適合したアイドルのみ選出、強化する」

閣下「だから聞けって、あれだぞ?あんま無視すると我輩ついには歌いだすぞ?」

常務「346の対外的なブランドイメージを確立するのが狙いだ」

閣下「与作はぁ木ぃ~を切ぃるぅ~♪ヘイヘイホー♪ヘイヘイホー♪」

常務「そこ、会議中だ、慎みなさい」

閣下「こいつマジか」

常務「君か、さっきからうるさかったのは、何か言いたいことがあるのか?」

閣下「うむ、全てのプロジェクトを白紙に戻すと言ったが、そこには当然、真泥霊羅プロジェクトも含まれておるのか?」

常務「無論だ」

閣下「…………………え?あ、そうなの?」

常務「むしろ何故そう思わない」

閣下「なるほど、それは問題だな……」

常務「私が言うのもなんだが事の重大さに気がつくのが遅すぎるだろう」

閣下「いやいや、ちょっと待ってよミッちゃん」

常務「ミッちゃんではない」

閣下「真泥霊羅プロジェクトはダミアン浜田陛下がこの地球上に魔政復古の大号令を唱えられ、その尖兵として選ばれた14名の少女達を地球征服の切り札として育てるプロジェクトだ、人間の都合で解体などという選択肢はそもそも存在せん」

閣下「更に言えば、この346プロは陛下が直々にお選びになった悪魔教会、陛下がご不在であらせられるからこそ、そのような勝手は断じて認められん」

常務「ではそのダミアン浜田とやらはいつ来る?」

閣下「呼び捨て厳禁!!」

常務「…………ダミアン浜田陛下とやらはいつ来るんだ?」



33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:42:48.43 ID:Mz/NfGsiO

閣下「陛下は現在、先の大黒ミサでの負傷の治療をなさっている」

常務「のんびり療養するのは大いに結構だが、君達悪魔と違って我々人間の時間は限られている、時計の針は止まらない、待っている余裕はない」

閣下「言いたいことはそれだけではない」

閣下「先ほど貴様の言った方針、それはつまり、346プロの、ひいては貴様、美城常務の望むアイドルを作る、ということだな」

常務「そのようにも取れるな、間違ってはいない」

閣下「対外的なブランドイメージ、大いに結構、だがそれは彼女たちに強要すべきものではない」

閣下「貴様らが恣意的に作ったイメージに合わせるのでは、彼女たちはただの歯車と同じになってしまう」

閣下「346プロがアイドルのイメージを作るのではない、アイドル達が346プロのイメージを作り上げるのだ」

閣下「そうでなくては、彼女たちは魂を失ったただのアンドロイドと同じだ」

常務「…………ご高説痛み入る、確かにそのようなやり方もあろう」

常務「だが、それはあまりにも非効率的だ」

閣下「この世には、効率で計ってはならんものもある」

常務「346プロは企業であり、アイドルは事業だ、君は歯車といったが346プロに所属している限り彼女たちが我が社の方針に従うのは当然だ」

常務「その姿を歯車と呼ぶかどうか、見解の相違だな」

閣下「我輩は悪魔教教祖として、貴様のやり方を断じて認めるわけにはいかん」

常務「そうか、ならどうする?」

閣下「我輩が代案を出そう」

常務「早急に提出するように、私はあまり気が長い方ではない」

閣下「無論だ、急用ができた、我輩はこれで失礼する、また会おう」



34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:48:17.60 ID:Mz/NfGsiO

~346プロ 真泥霊羅プロジェクト資料室~



莉嘉「…………あ、デーくん!」

閣下「おお、みんないるようだな、フハハハハ、待たせたな」

未央「ねえ、どうなってんの!?」

閣下「そう焦るな、ひとまず部屋に入ろう」ガチャ

閣下「すごい埃だ、参謀にマスクを用意してもらわんといかんな」

アーニャ「ここが、私達の部屋、ですか?」

きらり「……そう、みたい」

莉嘉「解体ってどういうこと!?」

閣下「なに、ちょっとした引っ越しのようなものだ」

みりあ「私達のお仕事、どうなるの?」

閣下「今決まっているミサや撮影などは予定通り行われる」

李衣菜「ってことは、この先はわからないってこと?」

みく「ユニットはどうなるの?」

未央「本当に、プロジェクト解散なの!?」

卯月「……っ!」

閣下「解散はさせん、対抗する案を提出し、絶対になんとかする」

閣下「大丈夫だ、我輩を信じてくれたまえ」

美波「閣下さん……」

閣下「ふむ、諸君にとってはあの部屋が無くなったことが相当ショックだったようだな」

智絵里「閣下さんは、寂しくないんですか…?」

閣下「無論寂しい、だがな、何事にも始まりがあれば終わりがあるのだ」

閣下「あのままあの部屋が続いていたとしても、いつかは別の場所に移る時が来ていただろう」

凛「それは、そうかもしれないけど…」

閣下「永遠が約束されたものなど何もない、形あるものは必ず滅ぶ、だから世の中はいつも、嬉しい、でもちょっぴり寂しいの連続なのだ」

閣下「例え今が寂しいものでも、今日は今日で最高に貴重な日なのだから、少しでも気分の良いものにしなければいかん」

閣下「未来になって今日という日を思い出す時、ああ、いい日だったと思えるように毎日を生きるのだ」

閣下「だから智絵里、涙を流すのも良い、だが未来のお前が今を思い出して笑えるよう、お前も少しでも今日という日を楽しめるよう励むのだぞ」

智絵里「は、はい…わかりました」

閣下「諸君もいいな?」

閣下「真泥霊羅プロジェクトは我輩が必ずやなんとかする、だから、諸君は我輩を信じて、今を精一杯生きるのだ」

ちひろ「失礼します」コンコン

ちひろ「閣下、そろそろ会議のお時間ですよ」

閣下「おお、そうだったな」

閣下「きっと大丈夫だ、では、また会おう」



35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 00:54:42.04 ID:Mz/NfGsiO

~地獄のレストラン 閉店後~



閣下「……ってことなんだけど、どうしようか?」

長官「どうしようかじゃないでしょ!?」

参謀「どうすんのさ!!」

閣下「ちなみに、みんなの方はどんな感じ?」

和尚「こっちは藍子ちゃんとやってるラジオが来月で最終回だよ」

参謀「悪魔とドンも、構成を一から見直しでさっちゃん達がレギュラー降板……」

殿下「ここの常連の茜くんや夏樹くんもかなり大変らしいね」

長官「加蓮ちゃんと奈緒ちゃん、CDデビュー見送り…………」

参謀「………………マジで?」

殿下「可哀想に」

長官「あの娘達は何回かレッスン見ただけなんだけどさ、わざわざ俺のとこまで伝えに来てくれてさ…………」

長官「2人とも辛いだろうにさ、無理して笑っててさ、俺泣いちゃってさ、慰めてくれてさ、別れた後2人でこっそり泣いててさ…………」

長官「…………………さあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」バンバンバンバン!!

参謀「い、いきなりどうしたんだよ!」

長官「ちょっと処刑してくるさー」スクッ

和尚「そんなちょっとトイレ行ってくるみたいなノリで」

殿下「やめなさいって」

長官「…………で、閣下はどうすんだよ」

閣下「このような事態を黙って見ているわけにはいかん、代案を用意し、この状況を破壊する」

長官「ここにゾッドがいればなあ……」

参謀「いや、絶対あいつ暴れるだけ暴れてかえって収拾つかなくなるでしょ」

殿下「代案はもう用意してあるの?」

閣下「まだだ、これから考える」

和尚「僕らも手伝おうか?」

閣下「いや、いい」

長官「お前はまたそういうことを言って1人で……」

閣下「そうじゃなくって、これは我輩が自分で考えたいんだよ」

参謀「どういうこと?」

閣下「真泥霊羅プロジェクトの構成員がどうすれば一番輝けるのか、自分で考えたいんだ」

和尚「…………あー、なるほど」

殿下「それは確かに独り占めしたい楽しさだね」

閣下「代わりと言ってはなんだが、みんなにも頼みたいことがあるんだけど」

参謀「何をすればいいの?」

閣下「どうやら美城常務はあまり気が長い方ではないらしいのだ、よって……」ニヤ

閣下「――時間稼ぎ」

「「「「…………なるほど」」」」ニヤリ



36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:01:04.48 ID:Mz/NfGsiO

~翌日 346プロ 美城常務の執務室~



常務「…………」ペラ

常務「…………」ペラ

美城部下A「あの、すみません常務……」コンコンガチャ

常務「…………なんだ?」ペラ

部下A「いえ、自称アイドル志望の方が来ておりまして、その、常務にどうしても見ていただきたいと……」

常務「…………取り込み中だ、帰ってもらえ」ペラ

部下A「で、ですよね!ありがとうございます!」バタン

常務「…………」ペラ

常務「…………」ペラ

部下A「あの、すみません常務……」コンコンガチャ

常務「…………なんだ?」ペラ

部下A「先程の自称アイドル志望の方が、『常務に見てもらえないなら豚の胃で造られた子宮の中で暴れまわるぞ』とヒステリーを……」

常務「…………勝手に暴れさせておけ」ペラ

部下A「で、ですよね!ありがとうございます!」バタン

常務「…………」ペラ

常務「…………」ペラ

部下A「あの、すみません常務……」コンコンガチャ

常務「…………なんだ?」ペラ

部下A「先程の自称アイドル志望の方が…………もう……すぐ…………そこ…に…」バタッ

常務「…………おい、何があった、起きろ、おい」

?「失礼いたします!」バーン!

常務「き、君は……」

?「大変ご無沙汰いたしました……」

長官「ムーディ春山です!!」バーン!

常務「いや、君は確かトレーナーのエース清水だろう?」

長官「違います!ムーディ春山&ザ・クレッシェンズです!」

常務「ザ・クレッシェンズはどこだ」

長官「常務もご存知の通り、ムーディ春山&ザ・クレッシェンズは数年前に解散しました……」

常務「いや知らんが」

長官「その後、私は一級建築士の免許を取ったり大関に昇進したりと、平凡な日々を送っていたのですが……」

常務「それが事実なら君はこんなとこで埋もれていていい才能じゃないだろう」

長官「やはり、アルゼンチン・タンゴへの情熱が……捨てきれず……っ!!」

長官「346プロのアイドル事業部門が現在常務のお眼鏡に敵うアイドルを探していると聞き、ムーディ春山&ザ・クレッシェンズ再結集いたしました!!」

常務「言いたいことは山のようにあるが、だからクレッシェンズはどこにいるんだ」

長官「では、一曲聞いていただきましょう……」

常務「君が人の話を聞け」





長官「ありがとうございました!」バタン

常務「…………………一体何だったんだ」



37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:09:24.19 ID:Mz/NfGsiO

~346プロ 連絡通路~



かな子「雑巾ってどこにあるんだろう……」

智絵里「いつもお掃除してる人に聞いてみようか?」

かな子「そうだね…………あれ?ルークさん?」

部下A「そ、そこの悪魔止まりなさい!!」

参謀「~~~~~~♪」シャー

参謀「あ、かな子ちゃんに智絵里ちゃん、やっほー!」

かな子「そ、その自転車どうしたんですか?」

智絵里「なんで事務所の中で?」

参謀「……悪魔にだってね、広いオフィスの中を風の様に駆け抜けたい時くらいあるんだよ」

かな子「は、はあ…」

参謀「2人も乗る?すっごく気持ちいいよ!」

智絵里「いえ、結構です…」

かな子「ハンドルの両側にぶら下がってるバケツはなんですか?」

参謀「ああ、これ?これは、床が汚れたら掃除できるように洗剤兵器を入れてあるんだよー」

かな子「洗剤? あ!」

智絵里「すみません、それ、わけてもらえませんか!?」

参謀「全然いいよぉ~、じゃあちょっと待ってね~」

部下A「待ちなさ~い!」

かな子「あの人は?」

参謀「………………あー、しまったー、実は俺は屋内で自転車を漕いでいたから彼に追われているんだったー」

智絵里「すごい棒読み…」

参謀「どうしようー、あー、気が動転して手が滑って洗剤兵器タップリのバケツを2つとも落っことしてしまったー」ドンガラガッシャーン

部下A「待てー!……って、うわ!なんだこれ滑る!」ズテーン

参謀「しかも中に入っていたのは洗剤兵器『靴を履いててもめっちゃ滑るし水で流しても全然落ちないローション系洗剤』だったー」

参謀「不慮の事故とはいえこの連絡通路はもう使えないぞー、ここは向こうに常務のオフィスがあって常務が一番よく使う連絡通路だけど事故だから仕方ないな―」

かな子「あ、あの……」

参謀「というわけで、ちゃんとした洗剤兵器が必要なんだよね?戦闘服部屋にいっぱいあるから取りに行こっか」

智絵里「え?あ、はい」

参謀「さっき不慮の事故でエレベーター前と階段にもこぼしちゃったから、空飛んでいこっか!」



38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:15:32.45 ID:Mz/NfGsiO

~美城常務の執務室~



常務「…………」ペラ

常務「…………」ペラ

?「失礼します……」コンコンガチャ

常務「…………」ペラ

長官「はじめまして、企光一郎です……」

常務「……君は何がしたいんだ」

長官「いつもは、山下公園で弾き語りをやってます……」

常務「というか君はさっきムーディ春山だったろう、いや、そもそもエース清水だろう」

長官「よかったら、僕の書いた詩集買ってください……」

常務「そんなもの書いてるのか……」

長官「『企光一郎的こころ』っていうタイトルの本です……」

常務「タイトルを言われたところで買わんが」

長官「あと、鶴も折ってください……」

常務「繋がりがなさすぎるだろう」

長官「じゃあ、一曲歌います……」

常務「君は本当に人の話を聞かないな」





長官「ありがとうございました……」トボトボバタン

常務「…………………一体何だったんだ」



39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:19:15.27 ID:Mz/NfGsiO

~346プロ 受付~



藍子「あ、ゼノンさん……」

和尚「藍子ちゃん、いえ~い」

藍子「……ごめんなさい、今はそういう気分じゃ」

和尚「いやいや、こういう時だからこそ、元気に行かないと」

和尚「ほらほら、いえ~い!」

藍子「…………い、いえ~い」

和尚「そうそう、藍子ちゃんは笑ってる方が可愛いんだからさ」

藍子「あの、ゼノンさんは、シンデレラプロジェクトの方はいいんですか?」

和尚「う~ん、プロジェクトが本当に危なかったら動いてたかもしれないんだけどね~」

藍子「え? あの、だってプロジェクトは解体で……」

和尚「なんたって、閣下が本気で頑張ってるからね、今回はいえ~いのおじさんに出番はありません」

和尚「だから僕はだいたいここにいるからさ、藍子ちゃんもヒマな時はおじさんの話し相手になってよ」

藍子「え、あ、はい…………ふふっ」

和尚「やっぱり、藍子ちゃんは笑ってる方が可愛いね~」

配達員「あの~、この荷物を至急届けるよう頼まれているんですが…」

和尚「おお、それはそれは!一体なんの荷物でしょうか?」

配達員「美城常務宛の……って、こっちは急いでるんですから!」

和尚「はいはい、ちょっと待って下さいね~」センリガーン

和尚「あ~、今は東館のエレベーターが大混雑してるんで、西館の貨物用エレベーターに載せちゃった方が早いですね~」

配達員「わかりました、ありがとうございます!」

和尚「ご苦労様でーす」

和尚「ねえねえ、藍子ちゃん」

藍子「なんですか?」

和尚「346プロ豆知識なんだけどね、実はここの貨物用エレベーターって電力系統が独立してるんだよ」

藍子「それがどうかしたんですか?」

和尚「いや、なんでもないんなけどさ、万が一ショートしても他の部分に影響しないってだけで」

藍子「?」



~恐怖のレストラン~



殿下「~~♪~~♪」バチバチ

殿下「~~♪~~♪」バチィ!

殿下「あー、しまったー、ブレーカーで遊んでたらたまたま346プロの総合配電盤にアクセスして西館の貨物用エレベーターをピンポイントでショートさせてしまったー」

殿下「雷神の息子だからなー、仕方ないな―、不慮の事故だしなー」

夏樹「おーいライデンさん、どうかしたのかー?」

殿下「いや、なんでもないぞ」

茜「ライデンさん!ご飯おかわり、丼で!」

殿下「よし来た!」



40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:25:10.38 ID:Mz/NfGsiO

~美城常務の執務室~


常務「…………」ペラ

常務「…………」ペラ

?「失礼します!」コンコンガチャ

常務「よし、もうこの際とことん付きあおうじゃないか」

長官「はいさーい!石垣島からやってきました、具志堅一です!」

常務「沖縄キャラなんだな?」

長官「好きなアイドルは四条貴音ちゃんです!」

常務「ならなぜウチに来たのか、そして765プロならなんで我那覇響じゃないのかが突っ込みどころか、ふむ」

長官「こっちに来て、生まれて初めて雪をみました……」

常務「季節は秋なのになんで思い出話に冬をチョイスしたんだ」

長官「常務には、この歌を聞いて、暖かい気分になってもらいたいと思います」

常務「別に寒くも無いんだが」

長官「南国の海を思い浮かべながら聞いてください」





常務「…………これだけ多彩って、君は意外とすごい奴なのか?」



~真泥霊羅プロジェクト資料室~



ダミアン浜田陛下『デーモンよ、事態はお前が送ってくれた使い魔のお陰で既に把握している』

閣下「御静養中の陛下にこうして連絡をさし上げるのは如何なものかと思ったのですが……」

陛下『いや、構わん、緊急事態だ、むしろよく伝えてくれた』

閣下「勿体なきお言葉です」

陛下『その美城常務という人間の案は実に正しく、間違いなく346プロにとって最善の方策だな』

閣下「陛下もやはりそう思われますか」

陛下『無論だ、そしてそのような正しいやり方は断じて許されん』

陛下『デーモンよ、お前の使命は2つだ』

陛下『美城常務が行う全ての“善”を抹殺し、再び346プロに悪を蘇らせること』

陛下『そして、真泥霊羅プロジェクトを、彼女たちを守りぬくことだ、よいな』

閣下「はっ!必ずや……」

陛下『策はもうあるのか?』

閣下「…………あと少し、まだ何かが足りないのです」

陛下『そうか、ではアドバイスをしてやろう』

閣下「アドバイス…?」

陛下『お前と彼女達は今、一夜が明け魔法が解けた灰被り、かの究極の大黒ミサを思い出すのだ』

閣下「どういうことです?」

陛下『後は自分達で考えろ、ではデーモンよ、地獄で会おう』

閣下「…………究極の、大黒ミサ?」



41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:30:45.80 ID:Mz/NfGsiO

~翌日 秋葉原 黒ミサ会場~



閣下「…………………………………」

凛「……プロデューサー?」

閣下「………………む、なんだ?」

凛「今日、ずっと顔怖いよ?」

閣下「そんなことは……いや、フハハハハ!我輩は悪魔だからな、当然である!」

凛「そういうことじゃなくってさ……」

未央「なんか、疲れてない?」

卯月「閣下さん、ちゃんと寝ましたか?」

閣下「いや、今朝まで仕事をしていたが……だが問題ない!我々悪魔は人間とは違い活動に睡眠を必要としない生き物なのだ、フハハハハ!」

閣下「大丈夫だ、心配するな」

閣下「言ったであろう、真泥霊羅プロジェクトは我輩が必ず守ると」

「「「………………」」」


~控室~


未央「楓さん、もういるかなぁ……?」

卯月「どうでしょうか……」ガチャ

楓「サインをしなさいん……ふふっ」カキカキ

楓「…………あら?」

NG「「「お、おはようございますっ!!」」」

楓「おはようございます」

閣下「おはよう楓、夏の大黒ミサ以来だな、今日も構成員が世話になる」

楓「こちらこそ、よろしくお願いします」

閣下「外には早くもお前をひと目見ようと参拝者が集まっていた、皆、とても悪い顔をしておった」

閣下「今日は共に力を合わせ、このミサを最悪のものにしようではないか」

楓「そうですね、私もステキなミサが好みさ、なんて、ふふっ」

閣下「……聞いたぞ、此度のミサは、美城常務の誘いを蹴って執り行うようだな」

楓「……あら、そうだったでしょうか?」

閣下「まあよい、我輩は神の回し者がいないか警備してくる、お前達は準備しておけよ」

NG「「「は、はい!」」」



42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:36:38.22 ID:Mz/NfGsiO


閣下「デーモンである、入るぞー」コンコンガチャ

未央「…………」カキカキ

卯月「…………」ウーン

凛「…………」カキカキ

閣下「…………何をやっているんだ?」

未央「…………ん? あ、閣下……え、えへへっ、企画書!」

閣下「企画書?」

未央「シンデレラプロジェクト、なんとか守れないかなって……」

閣下「……お前達」

未央「でもさ、いいアイデア、なかなか浮かばなくって」

卯月「すみません……」

凛「…………」

閣下「……いや、実に心強い、未央、卯月、凛、ありがとう」

未央「えっ!?いや、まだいいアイデア思いついてないから、あのその!」

閣下「さあ、まもなくミサが始まる、行ってこい」

「「「…………はいっ!!」」」

楓「……ふふっ」



~ニュージェネレーションズ 黒ミサ終了後~



未央「閣下、どうだった!?」

卯月「私達、ちゃんとできてましたか?」

閣下「3人共、誠に御苦労であった」

閣下「うむ、大変よいミサだったぞ!!」

凛「っ!」

未央「やったぁ!!」

卯月「よかったです!えへへっ!」

閣下「だが、まだまだ先は長い!これに満足することなく、一層の精進に励むのだ!」

スタッフ「あ、あの、すみません!!」

閣下「む?どうした?」

スタッフ「手を貸してください!」



43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:41:27.57 ID:Mz/NfGsiO


閣下「なるほど、お名前入り団扇お渡しの儀で信者達が詰めかけている、と」

スタッフ「はい……既に整理券は配布したんですが、数が少ないのでは、と……」

閣下「ふむ、信仰が厚い故の騒動か……」

閣下「よし、我輩に任せろ!」

卯月「どうするんですか?」

閣下「とりあえず何人か見せしめに処刑」

凛「却下」

閣下「では蝋人形」

未央「ダメ」

閣下「洗脳」

卯月「それはちょっと…」

閣下「もはや打つ手が無い……!」

未央「え、早くない…?」

スタッフ「で、では列整理を手伝ってください!」

卯月「ち、ちょっと待って下さい!あ、あれ…!」



楓「みなさーん、うちわ、たくさん用意したので大丈夫ですから、ちゃんと並んでくださいね~」メガホーン



未央「か、楓さん!?」

卯月「どうして…?」



楓「押したりしないように、スタッフの方の支持に従って並んでくださ~い」メガホーン



凛「…………まとめちゃった」

閣下「…………我輩は何をすればいい?」

スタッフ「え、えっと、では、団扇の在庫を運ぶのを手伝ってください!」

閣下「では我輩の魔力で一度に運んでしまおう、案内してくれ」

閣下「お前達は先に楽屋に戻っていなさい、ミサの後で疲れているだろう」

凛「……あの、私も手伝いたいんだけど」

未央「私も!」

卯月「私も、できたら…」

閣下「いや、だが……」

未央「ダメかな…? 今私達がやれることはなんだってしたいし…」

凛「それに楓さんもファンのみんなも、すごくいい顔してたから」

卯月「はい!ドキドキしました!」

閣下「…………よいか?」

スタッフ「は、はい!ぜひ!」



44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:46:51.37 ID:Mz/NfGsiO

~お名前入り団扇お渡しの儀終了後~



未央「疲れたぁ……」

卯月「大変でしたね……」

未央「……でも、楓さんって大スターなのに、やってることは私達と同じなんだ……」

卯月「はい、すごく、ステキでした……」

凛「…………」

閣下「諸君、御苦労であった」

楓「みんな、さっきはありがとう」

未央「閣下!楓さん!」

楓「ここはライトが、くらいと思うわ……ふふっ」

閣下「ミサ直前だというのに呑気なものだ……」

楓「だから、私が輝かないといけませんね?」

閣下「……フハハハハ、そうだな」

未央「……あのっ!」

凛「楓さん」

楓「なに?」

凛「美城常務の話、どうして受けなかったんですか?」

楓「そうね、確かに良いお話だったと思うのだけれど」

楓「――長いものに巻かれていれば、敗者にはならずに済むかもしれない、だけど、勝利者にもなれない」

閣下「…………」

楓「ここはね、私がデビューして、初めて立ったステージなの」

楓「心細くて不安だったけど、ファンの人達の応援と笑顔と出会って」

楓「あの時の笑顔は今も自分を支えてくれている、それを忘れずに進んでいきたい」

楓「勝利者が何なのか、それはわからないけれど、私はファンの人達と一緒に笑顔で進んでいきたい」

楓「それが私のやり方、私の戦い」

楓「一緒に、輝いていきたいの!」

凛「ファンの人達と……」

卯月「一緒に……」

未央「笑顔で……」

閣下「……素晴らしい」

楓「……じゃあ、いってきます!」



「高垣楓(cv:早見沙織)/こいかぜ」




45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:51:29.52 ID:Mz/NfGsiO

楓「ありがとうございました……」

楓「皆さん、ここは私がデビューして、初めて立ったステージです」

楓「皆さんは今日までずっと、私と一緒に進んでくださった方々です」

楓「このステージだからこそ、皆さんだからこそ、1つだけワガママを言ってもいいでしょうか?」

「なにー?」「いいよー!」「まかせとけー!」

楓「ふふっ、ありがとうございます」

楓「じゃあ、今日はこのステージに特別ゲストをお呼びしたいと思います」

楓「その方は、変わった方ですが、とても優しく、不器用だけど、まっすぐな方です」

楓「掴みどころがなくて、ステージに立てば誰しもを魅了する不思議な悪魔」

楓「デーモン閣下、来て、くださいますか?」

閣下「ヘイヘイヘイヘイ………全く聞いておらんかったのだが?」

楓「サプライズでしたから、ふふっ」

楓「それに、大きな音楽番組ではこんなワガママはできないですから、今やっておきたかったんです」

閣下「……なるほどな」

閣下「しかし、君のミサに我輩のような悪魔が来ては……」

楓「あら、大丈夫ですよ?」

楓「ここにいる方はみんな、アイドルサマーフェスにも来ていた方ばかりですから♪」

信者s「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」

閣下「」

楓「アイドルサマーフェスで閣下の歌を聞いて、ぜひ一度ご一緒できたらと思っていたんです」

楓「皆さん、聞いてくださいますか?」

信者s「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」

閣下「…………フ、フハハハハ!フハハハハハハハハハハ!」

閣下「これはまんまとやられた!デーモン小暮、この地球に来て初の敗北である!」

閣下「諸君、諸君らが共に進むアイドルは、実に素晴らしい人間だな」

信者s「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」

閣下「よろしい!このデーモン、ぜひ一曲歌わせていただこう」

楓「ありがとうございます、ふふっ」



46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 01:56:33.50 ID:Mz/NfGsiO

閣下「楓よ、聞いた話によると君は随分とイケる口らしいな?」

楓「あら、よくご存知ですね、今度地獄の銘酒をごちそうしてくださるんですか?」

閣下「いいだろう、長官秘蔵の大吟醸を用意しておこう」

閣下「そして今日はこんな歌はどうだ?フハハハハ!」



「舟歌」(※八代亜紀×デーモン閣下×高見沢俊彦×マーティ・フリードマンのコラボ映像です)




閣下「フハハハハ!フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

楓「皆さん、今日は本当にありがとうございました!!」

閣下「では諸君、悪しき機会にまた会おう!!」




楓「閣下、今日は突然お呼びして申し訳ありませんでした」

閣下「いや、我輩も楽しかったぞ」

楓「ありがとうございます、私も、最高の1日を過ごすことができました」

閣下「…………楓よ、我輩は心から誇りに思う」

閣下「この地上に来て始めて会った人間が君であったことに」

閣下「自らのやり方を貫く君と出会えたことに」

閣下「『これは絶対に自分は正しい!』そう思っていても、行動に移すこと、言葉に出すこと、いや、考えることすら躊躇させられてしまうこの社会の中で」

閣下「歯車の1つに決してなることなく、自らの命を守るために戦い続ける君は何より尊く、偉大で、そして美しい」

閣下「これは我輩が君に捧げる最大の賛歌だ、どうか受け取ってほしい」



「BAD AGAIN~美しき反逆~」




47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 02:01:39.61 ID:Mz/NfGsiO

~真泥霊羅プロジェクト資料室~



未央「す、すごーい!部屋、めっちゃキレイになってる!」

卯月「すごいです!」

凛「…………っ」

閣下「……お前達が、これを?」

美波「少しでも、何かできたらって!」

みく「さらにさらに~、じゃん!!」バサッ!

閣下「これは、企画書か…?」

未央「すごい!私達も考えてたんだよ!まあ、結局まだまとまってなくってさ…」

李衣菜「こっちも思いつく限り書いてみたって感じだし、えへへ…」

みく「でも、こういうのは気持ちが大事にゃ!デーちゃんが言ったとおり、今やれることは全部やったよ!」

李衣菜「這い上がるのはロックだって、師匠も言ってたしね!」

蘭子「我らの秘められし力、解き放たれる時!」

みりあ「準備オッケーだよ!」

莉嘉「ビシッと決めちゃおうよ!」

きらり「きらりんもテンションアップアーップ!!杏ちゃんもやる気まんまんだにぃ?」

杏「うぇ!?そ、そんなこと言ってないだろぉ…?」

かな子「私も、できること…」

智絵里「少しずつ、やっていきます!」

美波「みんあで一緒なら、大丈夫よね、ふふっ」

アーニャ「ダー、怖くない、です」

未央「……よぉーし!私達も、私達らしいやり方でやろうよ!」

卯月「私達らしいっ…!」

凛「うん!」

未央「それってきっと、最悪だよ!ね、閣下!」

閣下「…………そうか、かの大黒ミサ、一夜が明けて待っていたのはTHE SATAN ALL STARS'DAYであったな」

閣下「フハハハハ!その通り、全構成員が力を合わせれば出来ぬことなど何もない!」

閣下「我ら真泥霊羅プロジェクトの逆襲はこれより始まるのだ!!」



48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 02:05:40.35 ID:Mz/NfGsiO

~翌日 美城常務の執務室~



常務「…………」ペラ

常務「……まさか昨日はあのまま1日中付き合わされるとは、どれだけ引き出しを持っているんだ奴は、というか本当に何がしたかったんだ」

常務「それに頼んでいた資料はエレベーターの故障で大幅に到着が遅れ、部屋の周りは謎のローション的な何かで溢れかえり、丸一日分の作業が滞ってしまった……」

常務「完全に厄日だな…」

閣下「ほう、厄日とは実に素晴らしいではないか」ガチャ

常務「……ノックをするのが礼儀ではないかね?」

閣下「したに決まっているであろう、貴様が気づかなかっただけだ」

常務「で、要件は?」

閣下「代案を持ってきた」

常務「…………ほう」



『史上最低最悪の総合エンターテインメント イベント企画案』

【 ICBM  ~Invited Cinderella's Black Mass~】



第15話 When the spell dies twice... 終



53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:00:34.83 ID:2+5UIeQ7O

常務「Invited Cinderella's Black Mass?」

閣下「アイドル自身の感性を活かした究極のミサだ」

常務「自身の感性……か、私の提示する方向性とは間逆だな」

閣下「魔法により城に誘われたシンデレラ達は、魔法が解けた後、自身の感性でその行く末を決めていく」

閣下「信者達はその姿をライバルとし、追いつき追い越さんとする」

閣下「アイドル達が誰に決められるのでもなく、自分の意志で進む姿にこそ、人は心を打たれる」

閣下「色とりどりに飾られた宝箱ではない、その中にある物を信者達は見ている」

閣下「作られた笑顔ではない、感情のまま思いのままに流れる涙こそが大切なのだ」

閣下「そしてその姿を現実のものとして見せる究極の大黒ミサ、それがInvited Cinderella's Black Mass、ICBMだ」

常務「ICBM……大陸間弾道ミサイル、だったか?」

閣下「その通り、このミサは346プロという狭い領域に収まらない」

閣下「ICBMはこの巨大科学文明社会に囚われた全ての人類を滅ぼし征服する、その開戦の一撃となるのだ」

常務「…………まるでお伽話、夢物語だな」

閣下「夢を削るのは誰にでもできることだ、そんなものに意味は無い」

常務「いいだろう、やってみなさい」

常務「ただ、そこまで言うなら成果は上げてもらう、期限は今期末、それまでに結果を出すように」

閣下「無論だ」

常務「進め方とそれに伴うプロモーションは君に任せる、支援はしないが口出しもしない」

常務「結果によってはプロジェクト存続も認めよう、もちろん、私は私のやり方を進めるがな」

常務「ただし、失敗した場合は、君と君の部署の処遇は結果に応じて下すことになる」

閣下「いや、結果の心配をする必要はない」

常務「……それは、成功させる自信があるということか?」

閣下「そうではない、いや無論自信はあるが、例えどんな結果であれ……」

閣下「真泥霊羅プロジェクトは―――解散する」




第16話 The dark shines in my heart.



54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:12:08.28 ID:2+5UIeQ7O



常務「……どういうことだ」

閣下「言ったとおりだ、例えどれほどの大成功を収めようとプロジェクトは解散だ」

常務「君は私をバカにしているのか?ならば何故このようなやり方で私に対向する?」

閣下「前にも言ったであろう、貴様のやり方は断じて認められんからだ」

閣下「それに、解散するのは今ではない、まだその時ではない」

閣下「先ほども言ったはずだ、魔法により城に誘われたシンデレラ達は、魔法が解けた後、自身の感性でその行く末を決めていくとな」

閣下「ICBMによって発射されるのはミサイルではない、輝くためのドレスも進むための馬車ももはや必要としない少女達こそが、我々悪魔が人類に放つ最凶の大陸間弾道弾なのだ」

閣下「それこそが、ダミアン浜田陛下がこの地球に魔政復古の大号令と共に発した『真泥霊羅プロジェクト計画』である」

閣下「それにこのミサは貴様にとって悪い話ではないはずだ、成功すれば儲けもの、失敗すればそれを理由に反対分子を封殺できるのだからな」

閣下「せいぜい、応援していてくれたまえ、フハハハハ!」

常務「……だが、君は私にこんな話をしてなんの利益がある?」

閣下「うむ、我輩が言いたいのはそこだ、ミサ大成功の暁には、プロジェクト存続の代わりに次のことを約束して欲しい」

閣下「プロジェクト解散後の全構成員の行末をけして邪魔しないこと、可能であるならばバックアップすること」

閣下「そして真泥霊羅プロジェクトの後を追い、自らの意思で進もうとする者を決して止めないこと」

閣下「そちらに負けのない戦いを挑んだのだ、受けてもらうぞ」

常務「…………」

閣下「あと一つ、プロジェクト解散の件は我々悪魔しか知らん最低機密だ、くれぐれも口外しないように」

閣下「万が一、この情報が真泥霊羅プロジェクト構成員に漏れた場合、我輩が直々に貴様を処刑する」

常務「……なるほど、君を初めて悪魔だと思ったよ」



55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:20:22.08 ID:2+5UIeQ7O


~真泥霊羅プロジェクト資料室 改め死霊室~



未央「閣下の企画!?いつ、開催日は!?」

閣下「今期末……む?いや、魂飢魔IIだ、それまでの期限付きではあるが、こちら主導で進められる」

みく「いや、無理して悪魔っぽく言わないでいいにゃ……」

凛「イベントを成功させられれば、シンデレラプロジェクトは存続できるってことだよね?」

閣下「美城常務は、ミサ成功の暁にはプロジェクト存続を認める、と」

莉嘉「やったぁ!」

みりあ「これでみんな一緒にいられるね!」

美波「でもそれは、イベントが成功すればの話ですよね…?」

閣下「ああ」

未央「……だったらみんなで、だからこそみんなで力を合わせて、イベント成功させよう!」

みく「だよね……逆転のチャンスだよ!みくたちの力を見せつけてやるにゃ!」

蘭子「天から追われた者達よ……今こそ反旗を翻す時!!」

李衣菜「ロックっぽくなってきたぁ!!」

きらり「ワクワクするにぃ☆」

智絵里「でも、よかったぁ……」

かな子「どうなるかなあ?」

アーニャ「新しい目標、できました!」

杏「……なんか大変そうだけど」

未央「大丈夫!私達は私達のやり方で、笑顔で行こう!」

凛「……うん」

卯月「はいっ!」

未央「じゃあ改めて、ICBM、絶対成功させるぞ~!」

「「「「「「「「「おおー!」」」」」」」」

閣下「…………うむ、必ずや、成功させてみせる」



56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:29:58.20 ID:2+5UIeQ7O


~夜 居酒屋~


長官「はぁ!?常務にプロジェクト解散の話したの!?」

閣下「宣戦布告にはこれ以上はないタイミングだったからねえ」

参謀「でもよかったの?もし噂でも広まったら……」

閣下「大丈夫だよ、釘は刺しておいたから」

和尚「じゃあもう後戻りは出来ないねえ」

殿下「そもそも、後退するつもりもないけどな」

閣下「殿下の言う通り、そもそも戻る道はない」

ちひろ「プロジェクトのみんなには、そのことは……」

閣下「もちろん伝えてない、まだ奴らに話すには早過ぎるからね」

長官「でも、ICBMって、また思い切ってつけたよなぁ……」

閣下「真泥霊羅プロジェクトが世界を征服するんだ、これ以上の名前はそうはないでしょ」

楓「あら、皆さんもいらしてたんですね?」ヒョコ

長官「楓ちゃん!!」

閣下「帰りか?」

楓「ええ、今日は夜風が気持ちいいですから、お猪口にちょこっとだけ、飲んでいこうかと思って」

楓「ご一緒しても?」

参謀「どうぞどうぞ!」

楓「そういえば閣下、企画の話、聞きましたよ」

閣下「もうそんなに広まってるのか」

楓「事務所中持ちきりですよ、どんなイベントなんですか?」

閣下「世にも恐ろしくて素晴らしく楽しいミサだ、楓、できれば君にも協力してもらえたらと思っている」

楓「あら、今日は閣下の奢りなんですか?」

長官「ありったけの酒持ってこーい!!」

殿下「ありったけの飯持ってこーい!!」

楓「あ、私は炙りイカとぬる燗でお願いしますね」

和尚「楓ちゃん渋いねぇ……」

楓「ふふっ、和尚もイカはいかがですか?」

閣下「うむ、いいだろう、今日は我輩が持とう」

ちひろ「ホントですか!?」

楓「そんな、冗談ですよ」

閣下「いや、君の協力が得られるなら酒の席の1つや2つ惜しくはない」

楓「……346プロのみんなやファンの皆さんのために何か出来るなら、私はいつでも手伝わせてもらいます」

楓「そして、346プロのみんなの中にはもちろん閣下、貴方も入っているんですよ?」

長官「ええ子や……」

参謀「346プロのアイドルはホンマに全員一等賞や……」

楓「閣下にはこの間のイベントのお礼もあります、私にできること、なんでも仰ってください」

閣下「ありがとう、時が来たら必ず頼ろう」

楓「ええ、お待ちしてます」



57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:39:21.01 ID:2+5UIeQ7O

~翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室~


閣下「来る大黒ミサに向け、真泥霊羅プロジェクト全体が力をつけていかねばならん」

閣下「外の者達にもアピール出来るよう、より諸君らの個性を活かした催しを検討している」

みく「だったら、みくたちから企画を提案してもいいの?」

閣下「勿論だ、諸君らの個性豊かな提案は大いに助かる」

みく「……っ!」



~悪魔とドン! 収録スタジオ~



安部菜々「おはようございます!」

参謀「おっ、菜々ちゃん、おはよう!」

和尚「今日はよろしくね~」

菜々「はい!聖飢魔IIの皆さんと一緒にお仕事できるなんて感激です!」

菜々「ナナ、頑張っちゃいます!」

殿下「うむ、今日もいいウサミンだねぇ」

みく「あっ、菜々ちゃん! 喫茶店ではご迷惑を……」ペコリ

殿下「まあアレに関しては悪いのは間違いなくエースだけどな」

菜々「いえいえ、むしろ、長官に占拠していただけたなんて光栄ですよ!」

菜々「今日は頑張りましょう!」

みく「っ、はい!」




川島瑞樹「ロッククライミング対決、一歩リードはあやめ選手!忍ドルの本領発揮かー!?」

浜口あやめ「ニンニン!」

脇山珠美「あやめ殿ー!その調子ですー!」

十時愛梨「もちろん、この対決もナレーションベースになる可能性もありますので、皆さんがんばってくださいねー」

瑞樹「不思議よね、メインのアイドルの対決がナレーションベースになるのにもはや誰も文句を言わなくなってるの」

愛梨「限られた放送時間をアイドル達が必死に悪魔から守る姿、それがこの番組の見所でーす」

瑞樹「でも、さっきの悪魔の皆さんによるお手本はすごかったわね、勝者への景品を愛梨ちゃんの写真集にした途端にスピードをあげる悪魔たち」

愛梨「言ってくれればあげるのにー」

瑞樹「新たな争いを起こすのはやめなさい」

愛梨「でも、石川さんが羽を広げたシーンは映画みたいでしたね!」

瑞樹「結局、飛べないどころか羽の重さで落下していったわね……」

愛梨「篁さんがわざと降りて自転車を取りに行った時はものすごい緊張感でしたー!」

瑞樹「ものすごい速度で壁にぶつかってフレーム歪んだわね、休憩中ずっと落ち込んでたわ、彼」

愛梨「最終的に湯澤さんが雲に乗ってゴールしましたねー、涙が止まりませんでしたー」

瑞樹「当然ロッククライミングしてないっていう理由で失格になったわね、わかるわ」



58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:48:31.33 ID:2+5UIeQ7O

李衣菜「ま、まずい……このままじゃナレーションベースじゃなくても司会のトークしか使われない……」

李衣菜「みくちゃん、がんばってー!猫なら木登り得意でしょー!」

みく「こんな思いしてカットはごめんにゃ……ネコちゃんパワー全開ぃぃ!!」ググッ!

瑞樹「おおっと、前川選手!ネコキャラの意地を見せました!特別審査員の清水さん、いかがでしょうか?」

長官「そうですね、もちろんネコキャラのみくにゃんも大変可愛らしいですが、メガネ前川さんも大変エロくて素晴らしいと思います」

みく「え、何そのコメント酷くない…?」

?「メガネの話ですか?」

長官「あ、いえ違いますスミマセン」

参謀「誰だ今の」

堀裕子「はぁぁ~、サイキックエナジー注入~!」

菜々「エナジー受信、いっきまーす!!」ピピピッ

愛梨「ここで堀選手がエナジーを送りました!石川さん、超能力ってやっぱり便利なんですか?」

和尚「そうだね~、録画予約をし忘れた時とかはよく使うね~」

愛梨「それは便利ですね~!そして場内からはウサミンコールが鳴り響きます!」

参謀「ミミミン! ミミミン! ウーサミン!」

殿下「ミミミン! ミミミン! ウーサミン!」

瑞樹「悪魔の皆さんも審査員という公平な立場を忘れ、怒涛のウサミンコール!」

愛梨「篁さんは振り付けまで完璧です!」

参謀「昨晩家でずっと練習してましたからね」

菜々「うぅ~…!ファイトー、いっぱ~つ!!」ガシッ

瑞樹「僅差で奈々ちゃんの勝利~!」

殿下「一進一退の攻防、しかし最後は気合いが肉体を凌駕した安倍選手に勝利の邪神が微笑んだな」

愛梨「清水さんはいかがでしたか?」

長官「最後は手に汗握る怒涛の展開でしたね、そして何より……汗ばみ息を荒げる彼女たちはエロいッッ!!」

愛梨「はーい、ありがとうございましたー」

みく「はあ、はあ……すごいにゃウサミン!」

菜々「き、キャハッ☆…………あうっ!」グキ



59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 22:58:11.07 ID:2+5UIeQ7O

~収録後~


閣下「2人とも収録、大変御苦労であった」

みく「デーちゃん、ごめんにゃ~」

閣下「いや、菜々は非常に優秀な信者だ、ヤツを相手にお前達も十分奮闘していたぞ」

みく「そ、そうかな……えへへ」

李衣菜「なんか、そう言われると照れちゃいますね」

菜々「あ!皆さん、お疲れ様です!」

みく「菜々ちゃん、ユッコちゃん!」

閣下「おお、2人も御苦労であったな」

菜々「そ、そんな、恐れ多いです!」

閣下「悪魔教の宣教師として何一つ恥じるところのない姿だったぞ」

閣下「きっと今回の活動を通して新たな信者も確実に増えたことであろう、陛下もきっと喜ばれるぞ」

菜々「あ、ありがとうございます!ナナ、これからもがんばります!」

閣下「うむ!」

みく「ホント、今日はしてやられたにゃ~」

菜々「いや~、崖っぷちには強いというか、あはは…」

裕子「サイキック支援が上手くいきました!」バッ

李衣菜「そ、そうなんだ…」

裕子「あ、そういえば、デーモン閣下にお願いがあるんですが…」

閣下「む、なんだ?」

裕子「今度是非、ゼノン石川和尚vsエスパーユッコのサイキック対決をさせてください!」

閣下「フハハハハ!いいだろう、和尚には我輩から掛けあっておこう」

裕子「ありがとうございます!」



60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:12:11.51 ID:2+5UIeQ7O

みく「それにしても、みくは感動したにゃ!」

みく「ウサミンコールが始まった瞬間から急に空気が変わって、すっごくキャラが立ってたにゃ!」

閣下「うむ、実に素晴らしい働きであった!」

菜々「いや、皆さんが盛り上げてくださったので…」

みく「それもウサミンキャラあってのことにゃ!」

閣下「ああ、そういえばウサミンキャラの地球人って設定だったねえ」

菜々「いいい、いえ、ウサミンはキャラとかじゃないんですよ!?」

閣下「キャラにするのかしないのか我々みたいにはっきりしなさいよ」

李衣菜「いや、さすがにウサミン星なんてないだろうし、閣下達は本物だからって開き直りすぎですよ…」

閣下「いや、ウサミン星は実在……まあいいか」

菜々「き、キャラじゃないです!私は、ウサミン星からやってきた歌って踊れる声優アイドル、安部菜々です!」

みく「……か、かっこいいにゃ~!!」

菜々「……へ?」

みく「今日見て思ったにゃ!菜々ちゃんこそみくのライバル……ううん、目標なんだって!」

菜々「……私が、目標ですか?」

菜々「え、えへへ……」

閣下「それはいい!人々は互いに競い合う姿に心を奪われるのだ!ではみくも菜々と共に更なる悪の道へ進むのだ!土俵の上で幾度と無く鎬を削った、栃錦と若乃花のようにな!」

みく「もー!みくも菜々ちゃんも可愛いアイドルなんだから悪いことなんてしないの!あと栃なんとかとかって何にゃ!」

菜々「栃若ですよね?」

閣下「栃若である」

みく「知らんにゃ!!」

李衣菜「……目標、か」

李衣菜「私は、師匠と……あと、」

閣下「む、どうした?」

李衣菜「い、いえ、なんでもないです」

閣下「? では我輩は会議のためこれで失礼する、諸君、また会おう」

菜々「はい!今日は本当にありがとうございました!」



61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:23:00.73 ID:2+5UIeQ7O

~会議室~



常務「今後、346プロのアイドルはかつての芸能界に見られたようなスター性、別世界のような物語性を確立していこうと考えています」

常務「現在ある番組は徐々に内容をシフトさせていきます」

「この時代にあえてですか…?」「面白い試みだとは思いますが…」

常務「……まずはコーナーの一部を今週で打ち切り、出演者ごと入れ替えます」

閣下「それは、なんとも品行方正な番組になるのであろうな」

常務「言ったはずだ、私は私のやり方を進めていくと」

閣下「…………」



~真泥霊羅プロジェクト 死霊室~



みく「キャラ付けをやめさせられる…?」

閣下「まだ他部署の何人かのアイドルが勧告を受けた段階ではあるがな」

みく「そんな……」

未央「それって、うちの部署もってこと!?」

閣下「無論、我輩がいるうちはそんなことは決してさせん」

閣下「だが、既に番組のレギュラーを外された者がいる」

みく「…………え、菜々ちゃん、が?」



~翌日~



みく「デーちゃん、待たせてごめんなさい!」

閣下「おお、おはよう」

みく「菜々ちゃんのゲーム販促イベント、ホントにみく達も見学に行っていいの?」

閣下「うむ、今回は殿下も出ているからな、すでに許可は取ってある」

みく「そうなんだ、あれ、李衣菜ちゃんは?」

閣下「いや、今日はお前1人だ、さあ行こうか」

みく「?」



62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:34:19.70 ID:2+5UIeQ7O

~イベント会場 控室~



菜々「はあ……」

殿下「恐怖のレストラン出張版でーす」コンコン

菜々「っ! は、はい!」ガチャ

殿下「おーっす、今日はよろしくね」

菜々「はい、よろしくお願いします!」

殿下「……話は聞いてたけど、やっぱり元気ないね」

菜々「そ、そんなことないですよ!今日もウサミン……あ……」

殿下「……僕はね、最も多感で最も様々なことが出来る時代を、全て聖飢魔IIに費やしてきた」

殿下「もちろん、とやかく言ってくる奴はたくさんいた、だけど僕は聖飢魔IIでいることを後悔した日は決してない」

殿下「それは菜々くん、君達多くの信者諸君が僕に自分を信じることの大切さを教えてくれたからなんだ」

殿下「僕は聖飢魔IIや君達への感謝の気持ちを絶対に忘れない、だからこそ、聖飢魔IIを愛してくれた君達にも胸を張って進んでほしいと思う」

菜々「殿下……」

みく「菜々ちゃん、失礼します」コンコン

閣下「陣中見舞いに来たぞ」ガチャ

菜々「みくちゃん、閣下……」

みく「あ、ライちゃんもいたんだ!」

殿下「ああ、今日は我輩も出演するからな!」

閣下「殿下、よろしく頼むぞ」

殿下「カツ丼も食ったし今日は充電満タンだから大丈夫!じゃあ我輩はそろそろ自分の控室に戻るとしよう」

殿下「菜々くん、僕が君達に贈る言葉はあの日から決して変わらない、今日は一緒に楽しもう」

殿下「閣下、ちょっといい?」

閣下「うむ」バタン



63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:46:27.90 ID:2+5UIeQ7O

菜々「…………」

みく「……菜々ちゃん、ウサミン辞めちゃうの?」

菜々「い、いえいえ!ナナはウサミン星から来たウサミンですから、辞めちゃうとかそういう話では……」

菜々「でも……さすがに会社からダメって言われたら、しょうがないのかも……」

みく「そんなこといわないでよ……」

菜々「え……?」

みく「誰かに言われたから辞めちゃうって、菜々ちゃんにとってウサミンはその程度のものなの!?」

菜々「みくちゃん……」

みく「みくは、菜々ちゃんを見てステキだなって思ったよ」

みく「それに、デーちゃんだっていつも言ってる……」

みく「『菜々が自分の感性で進む姿には、多くの信者が感銘を受けているに違いない』って」

みく「みくだってそう思う!みくも菜々ちゃんからいっぱい勇気をもらった!」

菜々「でも、菜々は……」




~イベントブース~



菜々「皆さんこんにちは~!今日はリズモンイベントへようこそ!司会進行のウサミ……あ、安部菜々です!」

客「「「「…………………」」」」ダレ?シラネ

殿下「……諸君、リズモンイベントにようこそ!我輩は本日ゲストとして呼ばれたライデン湯澤である!!」ブッヒョ!

信者s「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」ブッヒョ!

菜々「…………み、皆さん、リズモンプレイしてますかー?」




~控室~



みく「デーちゃん、みく達、どうすれば……」

みく「会社のやり方に従う方がいいの?キャラなんて、自分のやり方なんて、変えちゃうべきなのかな……?」

閣下「――他人に合わせて生きるのは、美しい」

閣下「――自らの欲望を抑制して生きるのは、知的だ」

閣下「そうやって、社会にとって不適切なゴミや塵を排除し、誰も彼もがピカピカに磨き上げられている」

閣下「今日のイベントには、実は李衣菜も誘っていた」

みく「李衣菜ちゃんも……?」

閣下「ああ、だが奴は、今日もジェイルの元へ向かった」

閣下「『私は待っているから』奴はそう言っていた」

閣下「李衣菜はきっとお前に自分の意志で、自分の感性で選んで欲しいのだ」

閣下「お前が笑いたい時に笑い、泣きたい時に涙できる、そのための方法をな」

みく「…………」



64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:49:55.25 ID:2+5UIeQ7O

~イベントブース~



菜々「それでは、サイトにアクセスしてみてください」

客「「「「…………………」」」」ポチポチ

殿下「アクセスしたかー!?」

信者s「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」ポチポチポチポチポチポチ

菜々「………………っ」

みく「――菜々ちゃんっ!!」

菜々「みくちゃん……」

みく「…………ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!」

みく「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!」

「……なんだろ?」「なんかはじまんの?」

菜々「…………」

殿下「…………」

みく「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!」

みく「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!」

菜々「…………っ!」

殿下「さあ、進め、ウサミン」

みく「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!」

菜々「――ピピピッ!ウサミン星より受信!ウサミンコールにより、メルヘンチェンジを妨害していた不確定因子が排除された模様!」

菜々「ウサミンに施された封印を、解除します!せーのっ!」

菜々「――メルヘンチェンジ!!!」殿下「ぶっひょ!!!」

信者s「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」」」」」

菜々「さあ、お待たせしました!本日のリズモンステージ、最初の目玉イベント!」

菜々「愛と希望を両耳に引っさげウサミン星からやってきた、私、ウサミンよりレアリズモンをプレゼント!!」

菜々「行きますよー!!ウサミン、前進あるのみ、です!!」

菜々「ハートウェーブ、ピリピリ~~!!」


「メルヘンデビュー!」




65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/30(金) 23:56:02.36 ID:2+5UIeQ7O

菜々「皆さ~ん、ウサミン星からの愛の電波、受け取ってもらえましたか~?」

客&信者s「「「「「「「「はああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!」」」」」」」」」

菜々「リズモンワールド、ウサミンと一緒に楽しんでいってくださいね!キャハッ☆」

客&信者s「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」」

みく「菜々ちゃん……!」

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハハハハハハ!ついに姿を表したなウサミン!」バッ

菜々「へ……閣下……?」

閣下「諸君、申し訳ないがリズモンワールドは我輩が占拠した!この会場はこれより恐怖に彩られるのだ!フハハハハ!」

殿下「菜々くん、あわせて」ボソ

菜々「え、あ、な、なんということでしょう!突如現れた恐ろしい悪魔によりリズモンワールドが乗っ取られてしまいました!」

信者s「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」」」」」

殿下「この会場を悪魔の手から取り返すためには、諸君らが一丸となって闘うことが必要だ!」

客&信者s「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」」

閣下「その通りだ!さあ、かかって来るがいい、ウサミンとその仲間たちよ!」

みく「がんばれー!ウサミン!」

菜々「よーし!じゃあナナ、リズモンワールドの平和のため、がんばっちゃいます!いきますよー!」

閣下「さあ、体のいろんな穴かっぽじって受け止めやがれぇ!闘え、ウサミン星人!負けるな、日本人!」


「闘う日本人」(聖飢魔Ⅱ×氣志團ver)




66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:00:49.58 ID:bGEGqGbuO


~ミサ終了後~


菜々「閣下、殿下、それにみくちゃん、ありがとうございました!」

菜々「最後に、ちゃんとウサミンでお仕事やりきれて、よかったです!」

殿下「…………?」

閣下「この期に及んで、何を言っているんだ……」

みく「最後じゃない、これからだよ!」

菜々「え……?」

みく「会社に言われたからって、それが何?みくや菜々ちゃんが大事にしてること、みんなに認めさせてやるにゃ!」

菜々「みくちゃん……!」

殿下「菜々くん、君は知っているはずだ」

殿下「かつて、色モノと馬鹿にされ、派手な衣装やパフォーマンスが売りのコミックバンドと嘲られた集団がいた」

殿下「だが、奴らは自分達のやり方を決して曲げず、この世で最凶最悪の軍団として世界を制服した!」

閣下「我々は既に、2つに分けたタスキの片方を諸君らに預けたはずだ」

閣下「我輩は一度足りとも真の黄金の都を諦めたことはないぞ?」

みく「菜々ちゃん、菜々ちゃんはやっぱり、みくの目標にゃ!」

みく「みくも絶対に菜々ちゃんみたいなライブをする!だから、菜々ちゃんも一緒に頑張るにゃ!」

菜々「…………」

閣下「さあ、後輩がこれほどまでに言っているのだ、お前はどうする?」

菜々「……………………ぅ」

殿下「う?」

菜々「…………………………うああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」ビエーン!

みく「ち、ちょ、菜々ちゃん!?」

菜々「ありがとうございます!!ナナは、ナナはあああああああああああああああああああ!!!!!!!」ウエーン!

殿下「ああもう!いい年の娘が泣くんじゃないの!」

菜々「ナナはいつまでも……えぐっ…永遠の、うぅっ…………17歳ですううううううううううう!!!!!」ダバー!

みく「えっと……そ、そうだデーちゃん!さっき相談したことなんだけど、どうかな?」

閣下「ああ、あれか……うむ、実に面白い、陛下もきっと快諾なさる」

閣下「他の構成員にも相談してみよう」

みく「っ!  はい!」

菜々「うええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!」ボロボロ

殿下「びええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!」ダバダバ

みく「……一瞬目を離した隙に、なんでライちゃん泣いてるの?」

閣下「地球人もウサミン星人も悪魔もね、年をとると涙もろくなるんだよ」

みく「もらい泣き!?」

菜々「ナナは……っ…永遠の、えうぅっ…………17歳ですううううううううううう!!!!!」ダバー!



67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:06:56.38 ID:bGEGqGbuO

~翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室~



難波笑美「……うちらが、協力?」

閣下「断じて違う!」

閣下「真泥霊羅プロジェクトはこれより来るICBM大成功のため、そして美城常務の正義的活動妨害のため!」

閣下「部署の垣根を破壊し、他部署における奴の目的遂行に将来的に非常に有用であろうアイドル達を次々と誘拐しておくことに決めたのだ!」

閣下「諸君らのプロデューサーは既に拷問、洗脳済みだ!もはや逃れることはできんぞ!フハハハハ!」

ちひろ「今のを地球人類にもわかりやすく訳しますと、シンデレラプロジェクトはこれからイベント成功のため、他部署の優秀なアイドルの皆さんと今後の活動を協力していきたいと考えています」

ちひろ「皆さんの所属部署のプロデューサーさん達も快諾してくださいましたので、あとは皆さんの意志次第です、となります♪」

閣下「そういうことだ!フハハハハハハハハハハハハ!」

笑美「そんなん、願ってもない申し出やん!」

市原仁奈「よろしくおねげーします!ニナ、がんばって悪魔のキモチになるですよー!」

閣下「悪魔の言葉に簡単に耳を傾けおって、実に愚かな娘達だ!まあ我輩にとってはそちらの方が都合がいいので?喜ばしいことこの上ないがな!フハハハハ!」




みく「……やっぱり、アイドルにキャラは必要にゃ!」

李衣菜「やっぱそこなの?」

みく「もっちろん!」

長官「でもぉ~、ムーディー的にはぁ~、前川さんも捨てがたいっていうかぁ~」

上条春菜「メガネの話ですね!?」ガタタッ!

長官「あ、違います大丈夫ですスミマセン」

みく「あ、あれは、みくの世を忍ぶ仮の姿なの!公には晒せないにゃ!」

参謀「でも隠されたメガネってのもエロいよね」

みく「何それ酷くない…?」

春菜「今度こそメガネですね!?」

参謀「何この子、メガネの話の時だけ魔力スゴい」

みく「もぉ~!エーちゃんもルーちゃんもはるにゃんも!みくはネコキャラなの!」

みく「みくは自分を曲げないよ!」

李衣菜「そういうの、ロックで嫌いじゃないよ!」

みく「ホント!?じゃあ李衣菜ちゃんも猫耳つけるにゃ!?」

李衣菜「それはやだ」

みく「えぇぇ~!?なんでにゃ!」

卯月「なんだか、いつもどおりです!」

凛「ううん、いつもじゃないよ」

未央「どういうこと?」

凛「もっと、賑やかになりそう」



菜々「フハハハハハハハハハハハハー!ぶいっ☆」



第16話 The dark shines in my heart. 終



68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:13:19.29 ID:bGEGqGbuO

第17話 Where does this night lead to?



~346プロ 会議室~


美嘉「これって…」

「上からのお達しなんです」

「次は、化粧品メーカーとのタイアップで、高級感ある大人路線で行くと」

美嘉「けど!アタシはこれまでギャル系ファッションで…!」

「わかってます、でもこれ以上突っ張ったらうちの部署もどうなるか…」

「結果を出せていないところは本格的に整理していくとの噂もあります」

美嘉「……まさか、奈緒と加蓮のCDデビューが中止になったのって」

「い、いや、とりあえず新規の動きは凍結というだけで…」

「でも、この先どうなるかは…」

美嘉「…………っ!」



~真泥霊羅プロジェクト死霊室~



閣下「来るべき究極の大黒ミサを成功させるためには、諸君ら一同の更なる飛躍と同時に知名度も上げなくてはならん」

閣下「そこで、このようなものを用意してみた」パサッ


『獄立とときら学園』


閣下「魔界の学校をイメージしたバラエティ番組だ」

莉嘉「それじゃ、アタシ達TVに出れるの!?」

閣下「ああ、週一のレギュラーだ」

智絵里「レギュラー番組……すごい…!」

杏「うへぇ、毎週収録があるなんてめんどくさそう…」

かな子「ふふっ、杏ちゃんらしいね」

閣下「これから先、仕事は更に増えていくからな、この程度で堪えていては身が持たんぞ、フハハハハ!」

美波「……でも、今の会社の状況でバラエティ番組の企画を通すのはかなり大変だったんじゃないですか?」

閣下「うむ、だがお前達の個性は歌や踊りだけで伝えきれるような簡単なものではないからな」



69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:22:48.65 ID:bGEGqGbuO

閣下「きらりには、愛梨と共に司会進行を、みりあと莉嘉は生徒役として出てもらう」

閣下「ゲストとして聖飢魔II構成員も時々顔を出す予定だ、何か問題があった時はすぐに言ってくれ」

閣下「また、他部署のキッズアイドルも生徒役で出てくれる」

閣下「現状に対して快く思っておらんものは大勢いる、だが、その殆どが声を上げておらん」

閣下「誰も彼もがどこかで闘うための後押しを求めているのだ」

閣下「諸君らは、我々が選んだ最悪の構成員だ、今後は諸君が周りの背中を押し、この闘いの一番槍とならねばならない」

閣下「大丈夫、その分諸君の背中は我々がちゃんと押してやる」

閣下「存分に甘えてくれたまえ」

李衣菜「一番槍……なんかロックかも!」

アーニャ「みんな、がんばってください」

きらり「まっかせてー!」

みりあ「うん!」

莉嘉「アタシのセックシーな魅力で、お茶の間をノックアウトさせるんだから!」

閣下「フハハハハ!その元気があれば恐れるものは何もない!」

閣下「真泥霊羅プロジェクト、その恐怖の怪進撃を見せてやれ!」

一同「おー!」



~赤城家~



みりあ「たっだいま~!」

みりあ母「あら、おかえりみりあ、今日のアイドル活動、楽しかった?」

みりあ「うん!今日はゼノンさんが小走りして事務所中が大騒ぎだったの!」

みりあ母「ど、どういうこと…?」

みりあ「あっそうだ!ねえねえお母さん!私ね…」

みりあ妹「~~~~~っ!!」オギャア

みりあ母「! はいはい、今行くからね~」テクテク

みりあ「……お母さん、私、テレビに」

みりあ母「ごめんね、後で聞くから」

みりあ「……うん」



70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:28:53.12 ID:bGEGqGbuO

~莉嘉の中学校~



女子A「えー!?莉嘉ちゃんテレビにでるの!?」

女子B「すごーい!ホントにアイドルじゃん!」

莉嘉「ふふーん!」

男子A「とか言ったって、どうせ子供向けのお子様番組だろー」

男子B「そうそう、なんたって、城ヶ崎はガキだからなー!」

莉嘉「はあ?アンタ達何いってんの?悪魔から見れば人間の歳なんてみんな変わらないんだよ?」

男子A「は、はあ?」

莉嘉「それに、林間学校でアタシよりカブトムシ捕れなかったアンタ達の方がよっぽどガキじゃん」

男子B「そ、そんなこと言ってるからお前はガキなんだよ!」

男子A「そうだ!ガキじゃないってんなら証拠みせてみろ!」

莉嘉「やってやろーじゃん!テレビでアタシがセクシー派カリスマギャルだってところたっぷり見せてあげるから覚悟しときなさい!」



~獄立とときら学園 スタジオ 戦闘服部屋~



莉嘉「こ、これって……」

みりあ「うわぁ、かわいい!」

参謀「あ、莉嘉ちゃんとみりあちゃん、おはよー!」

佐々木千枝「これが、お揃いの衣装なんですか?」

参謀「そうそう、やっぱね、テレビとなるとビシっと戦闘服で気合を入れないと!」つスモック

千枝「ルークさんは、こういう服が好きなんですか?」

参謀「俺の趣味ではないけどね、覚えておくといい子供たち、世の中というのは需要と供給で成り立っているんだよ」

千枝「?」

龍崎薫「ねえねえルークせんせぇ、かおる、おっきくなっちゃったけど着れるかなあ?」

櫻井桃華「おバカさんねぇ、衣装なんだから今のわたくし達に合うサイズになってますわよ」

参謀「桃華ちゃんの言うとおり、ちゃんとみんなのサイズで作ってあるから大丈夫だよ!」

薫「へぇ~!」

参謀「ちなみにルークせんせぇは、最近戦闘服を作りなおしたら各所が数センチ短くなってたよ、身長は怖いから測ってません……」

桃華「? ルーちゃま、泣きそうなお顔でどうしましたの?」

参謀「なんでもないよ、ただオジさんもそろそろ悪魔的にいい年なんだなぁって……」

薫「?」

仁奈「せっかくもらったお仕事、がんばるでごぜーます!」バッ

仁奈「まずはこの衣装を着て、園児のキモチになるですよー!」スモックー

参謀「仁奈ちゃんかわいい!悪魔のオジさんも大きなお友達のキモチになっちゃう!」

莉嘉「…………」



71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:35:47.38 ID:bGEGqGbuO

~収録スタジオ~


AD「じゃあカメラテストいきまーす!」



愛梨「十時と~!」

きらり「きらりの~!」

愛梨&きらり「獄立!とときら学園!」

大魔王公式マスコットぞっどくん「ぞっどだぁ!」

きらり「この番組は、信者のみんなから寄せられたお悩みを解決していくお助けバラエティだよぉ☆」

愛梨「どんな悩みも、人肌脱いで、解決しちゃいま~す」

きらり「そして今日は初回ということでなんと!地獄から学園長であるダミちゃんからのメッセージが届いてるにぃ!」


AD「は~いオッケーです!じゃあ陛下の貴重なお話VTRの確認もしまーす!」


閣下『フハハハハ!デーモンである!』

閣下『ここは地獄の魔界執務室、本日は獄立とときら学園の創設日ということで、特別にダミアン浜田陛下にお越しいただいている』

陛下『…………』ペコリ

閣下『本日はご苦労様でございます』

閣下『陛下は今年、地上にて真泥霊羅プロジェクトを結成、深い言い方をすれば魔政復古の大号令をかけられた』

閣下「そして現在は先の大黒ミサにおけるゼウスとの戦いの傷を癒やすべく地獄に一時帰獄なさっておられるということで』

閣下『え~、現在の地上に於ける布教活動、どんな感触であるかお聞かせ願えますか?』

陛下『なかなかよい』

閣下『なかなかよい……どういう点がよいと?』

陛下『……皆、十分洗脳されておる』

閣下『……なるほど、そもそもダミアン陛下が真泥霊羅プロジェクトを御結成になったという時の、まあこの、意味合いといったものは、どのような意味合いで真泥霊羅プロジェクトを御結成に?』

陛下『もちろん地球征服の為だ』

閣下『なるほど、まあ今後も陛下には達観した位置から御覧になって頂くという予定になっているわけではあるけれども』

閣下『今後のアイドル達に期待する部分であるとか、ちょっと離れた所から見ていて、こういうアドバイスがあるとか、そういうのは御座いますか?』

陛下『うん』

陛下『まあ今、信者の数というか、地球の人口のそれほどの部分を洗脳しておるわけではないな?』

陛下『これからやはり、指数関数的にだな』

閣下『はあ…………指数関数と言われますと?』

陛下『フッ……y=2のx乗だとか』

閣下『はあ』

陛下『y=3のx乗だとか』

閣下『はあはあ』

陛下『あーゆーやつだ』

閣下『…………?』



72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:41:36.98 ID:bGEGqGbuO

陛下『グラフが ノ ←このようになるわけだ』

閣下『ああ、なるほど』

陛下『今はまだ ノ ←これの左下の部分だな?』

陛下『最終的にはちゃんと、 ノ ←これの右上の部分になっておると』

陛下『地上の人間の99%が洗脳されておるようにやっていかなくてはならん』

陛下『よって彼女たちには、今以上のパワーでやっていって欲しいと、そう思っておる』

閣下『なるほど』

閣下『ということで本日は、魔界からダミアン陛下から貴重な話を諸君達信者にいただいた、ありがたいと思うように!』

閣下『陛下、今日はお休みのところありがとうございました』ペコリ

陛下『いや、大したことはしておらん』

閣下『ではカメラに向かって、信者並びにアイドル諸君に別れのメッセージなど頂ければ』

陛下『……………………………………別れのメッセージ?』

閣下『さよならとか、ばいばいとか』

陛下『…………地獄で会おう』キリッ



AD「はーい、以上です!じゃあ次、自己紹介、いってみようか!」



薫「はいっ、龍崎薫です!せんせぇといっしょに、がんばりまーっ!」

仁奈「市原仁奈です!よろしくでごぜーますよ!」

千枝「あの、えっと、みんなにヨロコんでもらえるようにがんばります!……あっ、佐々木千枝ですっ」

桃華「ごきげんようですわ!この櫻井桃華に、不可能はありませんわよ?」

みりあ「おしゃべり大好き!赤城みりあです!」

莉嘉「……城ヶ崎莉嘉でーす」



ディレクター「はーいストップ!莉嘉ちゃんだっけ、元気ないよー?もう一回、やってみよっか!」

きらり「…………?」


莉嘉「じ、城ヶ崎莉嘉でーす!」


ディレクター「もう一回!もっと笑顔で!」

参謀「…………」



73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:47:21.14 ID:bGEGqGbuO

~リハ終了後~



閣下『皆、御苦労であった、リハに顔を出せずすまなかったな、少し変更があったようだが大丈夫だったか?』ポパピプペー

きらり「バッチリだったよぉ!ぜーったい、ハピハピな番組になるって思うにぃ☆」

閣下『フハハハハ!ならばよい!』

みりあ「私にもかしてー!」

きらり「うん、みりあちゃんに替わるねー!」

みりあ「閣下!私、すっごいがんばったよ!ディレクターさんにも『元気が良くていいね』って言われたし!」

閣下『ほお!それはすごいではないか、この調子で頼むぞ!』

みりあ「えへへ~、じゃあ、莉嘉ちゃんに替わるね!」

莉嘉「っ!」

みりあ「はい!」つケータイ

莉嘉「う、うん……」

閣下『莉嘉か、どうだった?』

莉嘉「あ、アタシもバッチリだったよ!」

みりあ「え……でも…」

閣下『本当か?スタッフに迷惑かけておらんだろうな?』

莉嘉「大丈夫だってばー、余計な心配しないで!」

閣下『そうか? じゃあ最後は参謀に替わってくれるか?』

莉嘉「うん!ルーくん、閣下が替わってって!」つケータイ

参謀「もしもし、御苦労様ですー」

閣下『悪いね、任せっきりにしちゃって』

参謀「いいからいいから、こっちは俺に任せて、閣下はそっちに集中してよ」

閣下『ああ、頼りにしてるよ』



~赤城家~



みりあ「たっだいま~!」

みりあ母「あら、おかえりみりあ」

みりあ「ねえねえお母さん!私ね…」

みりあ妹「~~~~~っ!!」オギャア

みりあ母「! はいはい、ごめんねみりあ、ちょっと待ってね」テクテク

みりあ「……うん、大丈夫」



74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:51:25.95 ID:bGEGqGbuO

~渋谷~


美嘉「…………」テクテク

通行人A「なんか、美嘉ちゃんイメチェンしたよね~」

通行人B「わかるわかる!なんかかっこいいけど、遠いとこの人になっちゃった感じー」

美嘉「…………」

美嘉「…………仕方ないじゃん」

和尚「いえ~い」

美嘉「アイドルは遊びじゃ……って、ひゃぁ!!」

和尚「いえ~い」

美嘉「ぜ、ゼノンさん!なんでこんなとこにいんの!?」

和尚「散歩の途中でね~」

和尚「でもすごいねー、街中に美嘉ちゃんのポスターが貼ってあるよぉ」

美嘉「……そう、だね」

和尚「……あ、そうだ、全然話は違うんだけどさあ」

和尚「俺って、あんまりホールの大きい小さいに拘りが無くてさ、何千人も入るでっかいとこでも、50人も入らないようなちっちゃいお店でも、ベースを弾ければ十分なんだよね~」

美嘉「?」

和尚「大切なのは、自分の好きなことをやってるってことで、それ以外にはあんまり欲がないんだよ」

和尚「美嘉ちゃんは、今の仕事は楽しい?」

美嘉「……楽しいとか、好きとか嫌いとか、プロなんだから我が儘は言ってられないよ」

和尚「そうかー、美嘉ちゃんは立派なアイドルだねぇ、だからこんないっぱいポスターが貼ってもらえるんだろうねぇ」

美嘉「…………」

和尚「そんな立派な美嘉ちゃんに、いえ~いのおじさんからアドバイスだぜぇ!」

和尚「たまにはゆっくり休んでさ、閣下の言葉を思い出してみなよ」

美嘉「…………?」

和尚「じゃあ僕は散歩の途中だから、またね~」

美嘉「…………閣下の言葉?」



75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:54:45.60 ID:bGEGqGbuO

~城ヶ崎家~



莉嘉「…………はぁ、お姉ちゃんだったらどうするんだろ」

美嘉「ただいまー」ガチャ

莉嘉「あっ、お姉ちゃん!」ガバッ!

美嘉「うわっ!何よいきなり、びっくりするじゃない!」

莉嘉「聞いてよお姉ちゃん~、アタシ、テレビで幼稚園なの~…」

美嘉「はぁ?何いってんの……」

莉嘉「今度のテレビのお仕事で、幼稚園児の格好させられるの、あんなのでテレビ出たら、アタシ絶対みんなに笑われちゃう……」

莉嘉「ガキだって馬鹿にされちゃう!」

美嘉「そんなことで……」

莉嘉「そんなことじゃないよぉ!アタシお姉ちゃんみたいになりたいんだもん!だから絶対イヤ!」

莉嘉「着るんだったら、今お姉ちゃんがやってる大人っぽいのがいい!」

美嘉「っ!」

美嘉「だったら……だったら辞めちゃいな、アイドルなんて」

莉嘉「………え?」

美嘉「好きな服着たいだけなら、アイドルでなくてもいいでしょ」

美嘉「遊び半分でやったら、真面目にやってる他の子の迷惑になるから!」

莉嘉「……お姉、ちゃん?」

美嘉「…………」スタスタ バタン

莉嘉「…………」



76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 00:59:11.30 ID:bGEGqGbuO


~346プロ 庭~


美嘉「昨日は言いすぎたかな……ちょっと八つ当たりっぽかったし……」

美嘉「……あれ、あそこにいるのは……」



みりあ「…………」

美嘉「みーりーあーちゃん!」

みりあ「あ、美嘉ちゃん……」

美嘉「しょんぼりしちゃってどうしたの?」

みりあ「私、しょんぼりなんてしてないよ?」

みりあ「ただ……胸の辺りがモヤモヤするかも……」

美嘉「モヤモヤ……?」

みりあ「美嘉ちゃんは?」

美嘉「…………アタシもちょっと、モヤモヤする、かな」

和尚「そんな時は、どこかへふらっと遊びに行くのがいいですよ、お嬢さんたち」

美嘉「そうだよね……って、ゼノンさん!?なんでまた!!」

和尚「今は休憩中だよぉ」

みりあ「ゼノンさんは、どうしてここにいるの?」

和尚「悪魔はね、みりあちゃん達のモヤモヤが大好きなんだよ~」

みりあ「そうなの?ねえゼノンさん、このモヤモヤってなあに?」

和尚「それは教えられないし、もう答えはみりあちゃんと美嘉ちゃんが知ってるはずだよぉ」

美嘉「…………」

和尚「じゃあ、おじさんはそろそろ休憩が終わるからお暇するぜぇ!」

和尚「お嬢さんたち、ステキな休日を」テクテク

みりあ「? ゼノンさん、なんだったんだろ?」

美嘉「はぁ…………みりあちゃん、この後ヒマ?」

みりあ「? うん、もうレッスンも終わったよ?」

美嘉「そっかそっか、じゃあ、ちょっとアタシと付き合ってよ★」



77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:06:25.87 ID:bGEGqGbuO


~真泥霊羅プロジェクト死霊室~



莉嘉「…………はぁ」

莉嘉「…………」ガチャ

きらり「待ってたにぃ☆」

かな子&智絵里「待ってたよ―!」

莉嘉「?」

参謀「さあ、座って座って!」

かな子「ライデンさんが、特製のアダムの林檎パイを焼いてくれたんだよ!」

智絵里「私、お茶淹れるね!」

参謀「健康食品兵器もいっぱい持ってきたよー!」

莉嘉「……もしかして、気を遣われてる?」

きらり&かな子&智絵里「…………」

参謀「そそそそそそそんなこと、なななないざますよぉ?」

きらり「え、えっとね?莉嘉ちゃんが昨日元気なかったから、ちょっと心配で……」

かな子「もし何かあったなら、何でも話して?」

莉嘉「…………とときら学園のことなんだけど、~~」

きらり「……そうだったんだぁ」

参謀「そっかぁ……」

莉嘉「このお仕事、ICBMの為にもがんばらなきゃってわかってるんだけど……」

莉嘉「でも、どう考えていいかわかんなくなっちゃって、ワガママ言っちゃったの、そしたらお姉ちゃんにも怒られちゃって……」

智絵里「閣下さんに相談してみたら?」

莉嘉「ダメだよ、デーくんは今すっごくがんばってるから、これくらい自分でなんとかしなきゃ」

杏「…………面倒くさいなあ、もう」

かな子「杏ちゃん……」

参謀「いたんだ……」

杏「最初からいたよ、失礼だなあ」



78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:11:44.57 ID:bGEGqGbuO

杏「何を着たって自分は自分なんだから、服なんてなんだっていいじゃん」

きらり「けど、お洋服は大事だよぉ?自分の好きなお洋服を着ると、心がハッピハッピになるにぃ☆」

きらり「それで、自分らしく工夫してオシャレすると、心がもーっとハッピハッピになるんだにぃ!」

杏「でも、どんな格好してても、結局きらりはきらりじゃん?」

きらり「じゃなくって!自分がテンションあっぷあーっぷになれるかが、重要なの!」

参謀「そうだね~、杏ちゃんの言う事も、きらりちゃんの言う事も、俺はわかるなー」

智絵里「ルークさんは、どう思いますか?」

参謀「うーん、服とはちょっと違うんだけどさあ、ほら、俺って聖飢魔IIに後から入ったのよ」

参謀「俺の前にいた大橋ってのは知っての通りすごい奴でさあ、大橋は大橋なの、どんな時でも」

参謀「それに対して俺は聖飢魔IIに入ってきて、聖飢魔II用に変えられたのね」

参謀「聖飢魔IIに合うように変わっていって、そりゃあ中にはこれは今思うとどうなのよって思うこともあるけどさ、そういうのも含めて、俺は俺なわけで」

参謀「大橋に言わせりゃどこに行っても自分は自分、でも俺は変えられたからこそ今の俺なわけ」

参謀「みんなにもあるんじゃない?コイツは最初から変わらないなとか、コイツは初めとは全然違うけどコイツらしいな、とかさ」

智絵里「……そうですね、私は、変われてるのかな?」

かな子「でも、どんなに変わっても、今の智絵里ちゃんが一番智絵里ちゃんらしいよ!うん、ルークさんの言ってること、わかる気がします」

莉嘉「どんな時でも、自分は自分……どんなに変わっても、それが一番自分らしい……そっか、わかった!!」

莉嘉「みんな、ありがと!アタシやってみる!!」

参謀「……やっぱ莉嘉ちゃんは元気に笑ってる時が一番可愛いぜ!」

莉嘉「ありがと!アタシもルーくんの笑顔、大好き!」



79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:30:20.20 ID:bGEGqGbuO

~夕方 渋谷 公園ベンチ~



みりあ「あー!楽しかったー!」

美嘉「その分だと、胸のモヤモヤはどっか言ったみたいだね★」

みりあ「うん……」

閣下「む、そこにいるのは美嘉とみりあか?」

美嘉「あ……」

みりあ「閣下!!」

閣下「珍しい組み合わせじゃないか、どうしたんだ?」

みりあ「一緒に遊んでたの!」

閣下「そうか、悪いな美嘉、みりあが世話になった」

美嘉「いいっていいって、むしろアタシが付きあわせちゃったんだしね」

閣下「みりあも、最近は付き添えずにすまないな」

みりあ「ううん、私、大丈夫だよ」

閣下「2人とも、調子はどうだ?」

美嘉「…………」

みりあ「…………ねえ、閣下、美嘉ちゃん」

閣下「ん?」

みりあ「私ね、今、お姉ちゃんなの」

みりあ「妹が生まれて、お母さんお世話大変で、妹が泣き出すとそっちばっかりになっちゃって」

閣下「…………」

美嘉「わかるなぁ……」

みりあ「え?」

美嘉「アタシも、莉嘉が生まれてすぐは、ママに聞いてほしいことがあっても『美嘉ちゃんは後で、莉嘉が泣き止んでからね』って」

みりあ「っ! そう、そうなの!」

美嘉「……ふふっ」

みりあ「えへへっ」

美嘉&みりあ「お姉ちゃんって辛いよね!」

閣下「ふむ……その辺は、我輩にはわからん話だなぁ」

美嘉「閣下は、妹や弟はいないの?」

閣下「むしろ我輩が弟だ、世を忍ぶ仮の姉がいてな」

みりあ「閣下のお姉ちゃん!?どんな人!?」

閣下「我輩は地獄で一番の口達者と呼ばれる悪魔だが、その我輩が地上で唯一口喧嘩で敵わない相手だ」

美嘉「すごい……」



80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:35:19.69 ID:bGEGqGbuO

閣下「何度となく喧嘩もして、その度にコテンパンにされたものだ」

閣下「だが、彼女が学生時代にロック・クイーンとしてステージに上がる姿を見て、我輩は音楽家を志したのだ」

みりあ「かっこいいお姉ちゃんなんだね……」

閣下「ああ、覚えておくといい、妹や弟というものは、いつだって上の背を見ているものだ」

閣下「いつだって、お前達の妹は素晴らしい姉でいて欲しいと、憧れていたいと思っている」

閣下「姉の苦労は我輩にはわからん、だがな、せめてお前達の素晴らしい妹に恥じない生き方をしろ」

みりあ「うん!」

美嘉「そうだね……みりあちゃん、これからお姉ちゃん同士、協力していこ!」

美嘉「辛いことがあったら、いつでも聞いてあげる!」

みりあ「じゃあ、美嘉ちゃんも辛いことがあったら、絶対言ってね!」

美嘉「あ、アタシは、辛いことなんて、なんにも…………」ポロ…

美嘉「っ……あ、あれ?なんで、アタシ……目にゴミでも……」

閣下「……泣きたい時は泣けばいい、笑いたくなったら笑えばいい」

閣下「言ったはずだ、お前も我輩の娘同然、お前の嘆きも怒りも、我輩は全て受け止める覚悟である、とな」

みりあ「…………」ギュッ

美嘉「……っ…、ごめん、みりあちゃん、閣下……」

みりあ「いいよ、お姉ちゃんだって、泣きたい時あるよね」


~翌朝 赤城家~


みりあ「お母さん、おはよう」

みりあ母「おはよう、みりあ、朝ごはんすぐできるから、顔洗って……」

みりあ妹「~~~~~っ!!」オギャア

みりあ「…………お母さん、朝ごはん、私が作るから!」

みりあ母「そう?……じゃあ、お願いね!」

みりあ母「みりあもすっかり、頼もしいお姉ちゃんね」

みりあ「…………うん!」


~城ヶ崎家~


『お姉ちゃんへ  お姉ちゃんごめんなさい  アタシ頑張ってお仕事するから今日の本番みにきて  莉嘉』

美嘉「ふふっ、アタシも、ごめんね」




81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:41:30.86 ID:bGEGqGbuO

~獄立とときら学園 本番~


仁奈「市原仁奈です!よろしくでごぜーますよ!」

千枝「佐々木千枝です、みんなにヨロコんでもらえるように、がんばります!」

桃華「ごきげんようですわ、この櫻井桃華に、不可能はありませんわよ!」


美嘉「…………」テクテク

閣下「おお、来たな」


みりあ「妹ができて、お姉ちゃんになりました! お姉ちゃんファイト!の赤城みりあです!」


美嘉「ふふっ……」

閣下「うむ、いい顔だ」


莉嘉「…………」

莉嘉「セクシー派カリスマギャルの城ヶ崎莉嘉でーす!」ブイッ

愛梨「莉嘉ちゃんは園児なのに、ギャルピースなんですかぁ~?」

莉嘉「だって、どんな時でもアタシはアタシだし、カバンも可愛くデコっちゃってまーす☆」

きらり「うっきゃー!かわいいにぃ!」


美嘉「どんな時でも……アタシは……アタシ……」

閣下「なんだ、ようやく気づいたのか?」

美嘉「うん……いい番組になりそうだね……」

閣下「ああ、当然だ、皆輝いている」

閣下「お前もこの後は撮影だろう?」

閣下「早くあのつまらんポスターを上書きしてくれ、あんなものは見ちゃいられん」

美嘉「! あれ、つまらない?」

閣下「素材は良いのだが、いかんせんモデルがあんな顔で写ってはな、どこぞの妹はあんなにいきいきとしているというのに」

美嘉「……随分と言ってくれるじゃない」

美嘉「そんな風に言われたら、アタシも負けてらんないじゃん!」




82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 01:47:21.28 ID:bGEGqGbuO


~化粧品広告撮影スタジオ~


和尚「は~い、じゃあ撮影開始するよぉ~」カメラマーン

美嘉「で、いるわけね……」

和尚「こっちの方がやりやすいでしょ?」

美嘉「まあ、ね」

和尚「じゃ、早速いってみよっか」

美嘉「ふぅ………………よし!」バッ

メーカー関係者「あ、あの……そのポーズはちょっと……」

和尚「もしもし、お姉さん?」

メーカー関係者「え?なんでしょうか?」

和尚「貴方の恋人さん、今、貴方の会社の女性と浮気してランチしてますよ」センリガーン

メーカー関係者「ええ!?」

和尚「ほら、この水晶球に写ってるでしょう、嘘だと思うなら電話してごらんなさい」つ水晶球

メーカー関係者「っ!」ポパピプペ

メーカー関係者「アンタ今誰といるの!?浮気してんのはわかってるのよ、こっちには千里眼があるんだから!!」

美嘉「…………やりすぎじゃない?」

和尚「悪魔ですから、ヒーッヒッヒ」

和尚「それに、こんないい写真が撮れる機会めったにないからね、さ、続けようか」パシャパシャ

美嘉「……うん!」ギャルピース!



第17話 Where does this night lead to? 終



88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:14:56.31 ID:HykPXcE2O

第18話 A little bit of courage shows the stairway to hell.


~獄立とときら学園 撮影本番~


愛梨「十時と~!」

きらり「きらりのぉ~!」

愛梨&きらり「獄立!とときら学園!」

愛梨「本日はさくら組の皆さんと、彼岸花組からゼノンさんとライデンさんが来てくれてます!」

菜々「きゃはっ☆」

笑美「イェーイ!」

あやめ「にんにん!」

杏「えへっ!」

かな子「あはっ!」

智絵里「は、はい…」

和尚「いえ~い!」

殿下「ぶっひょ!」

愛梨「みんな大きな幼稚園児さんですね~!」

莉嘉「だってぇ~、年齢いっぱいごまかしてるもんね~!」

菜々「な、ナナは永遠の17歳ですからね!」

笑美「園児ちゃうんかい!」アハハ

和尚「僕は自分の歳をごまかしたりしません、10万飛んで50余歳です」キリッ

笑美「アンタはちっとはごまかそうとせんかい!」アハハ

殿下「だが、我々がその気になれば、いつでも変身術で園児になることもできるぞ」

あやめ「なんと!悪魔の方々は変化の術が使えるのですか!?」

殿下「うむ!さらに雷神族である我輩は悪魔よりも優れた変身能力を持っているのだ!」

あやめ「おお~!」

殿下「具体的には杏くんばりにスモックを着こなしてみせる!」

杏「え?なんか呼んだ?」

あやめ「おお!確かに杏殿は園児そのもの!」

杏「なんでもいいけど、杏に話を振るのは最低限にしてね、カメラに写って働く時間が増えるから」

きらり「もぉ~!杏ちゃん!カメラに写ってない時にやる気なくすのはめっ!だよぉ☆」

杏「カメラに写ってる時はちゃんと喋ってるんだからいいだろぉ~」アハハ



89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:19:44.72 ID:HykPXcE2O


ディレクター「デーさん、あの2人が同い年というのは本当なんですか!?」

閣下「うむ、2人とも今年で17になる」

ディレクター「へぇ~、パッと見、親子みたいですねぇ」

閣下「そうか?我輩には友人にしか見えんがなあ」



智絵里「お客さんはみんな小暮さん、お客さんはみんな小暮さん、お客さんはみんな小暮さん……」

かな子「…………」

杏「……ねえねえ、2人は何か悩みとかある?」

かな子「え?えっと、お、お菓子がやめられないことかな!」

殿下「なら、今度から差し入れ減らす?」

かな子「それはダメです!」

杏「智絵里ちゃんは?」

智絵里「う~、いっぱいありすぎて……」



参謀「か~~~わ~~~い~~~い~~~!!!!!」



智絵里「え、ええ!?」

莉嘉「ちょっとルーくん!出演者じゃないのに本番中に叫んじゃダメって前にも言われたでしょ!」

笑美「どんな注意やねんそれ」

参謀「嬉しい時は笑う、悲しい時は泣く、それもスマイル体操……」

参謀「そして、叫びたくなったら叫ぶ、それが篁体操だ!!」

笑美「あとで765さんにシバかれんで」

愛梨「獄立とときら学園は、高槻やよいちゃんと765プロの皆さんを応援しています!」

きらり「ルーちゃんはあとで、きらりがお仕置きすぅから、許してにぃ☆」

参謀「あ、これ死ぬかもしれない」

きらり「それじゃ~、獄立とときら学園~!」

愛梨&きらり「スタート~!」



90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:24:23.23 ID:HykPXcE2O


~真泥霊羅プロジェクト死霊室~


卯月「とときら学園、評判いいですよ!」

参謀「小さなお子様から大きなお友達まで大評判です」

かな子「視聴率も結構いいみたい」

参謀「早くもBlu-lay化を希望する便りが殺到してます」

未央「こりゃあ美城常務もぐぬぬぅってなるね、きっと!」

参謀「そもそも、この企画自体が美城常務が提案する346のブランドイメージを真っ向から破壊するためのものでもあるからねー」

凛「そうなの?」

参謀「じゃなきゃ10代の女の子にスモックなんて着せませんよ」

かな子「…………はぁ」

未央「? どうしたの?」

かな子「ICBMに向けてがんばらなきゃって思ったのに、緊張しちゃって……」

智絵里「私も、上手く話せなかったです……」

未央「いやいや、渾身のツッコミあったじゃん!」

卯月「なんでやねん!可愛かったです!」

かな子「えへへ、杏ちゃんや悪魔の皆さんが、いいタイミングでボケたり話し振ったりしてくれるから」

未央「でも、ルールー達ってホントにテレビとかで話すの美味いよねー」

智絵里「やっぱり練習とかしたんですか?」

参謀「んー、俺の場合はもともとテレビやラジオで喋るの好きだったから、閣下がパーソナリティをやってたラジオに毎週ゲストで出てたかなー」

卯月「ゲストなのに毎週ですか?すごいです!」

かな子「やっぱり、いっぱい経験しないと上手くならないのかな……」

杏「毎週か~、レギュラーでもないのによくそんなに働こうと思えるね」

凛「でも、杏だってなんだかんだ、ちゃんとユニットをまとめて働いてるじゃん」

杏「向こう何年か分、まとめて働いてるだけだよー」

参謀「よしっ!じゃあ俺もそろそろ休憩は切り上げて、杏ちゃんを見習って働きますか!」

智絵里「あ、ルークさん、お疲れ様です」

参謀「うん!みんなもがんばってね!」ガチャ…

きらり「にょっわーーーーーーーー!!!!!!!」バンッッッ!!

参謀「あぶしっ!!」ドゴォ!



91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:31:51.24 ID:HykPXcE2O

きらり「すっごーーーい!!うっれすぃーーーーー!!!」バンバン!!

参謀「おふっ………あふぅっ…………」ビクンビクン

智絵里「お、落ち着いてきらりちゃん!」

未央「このままじゃルールーが魂だけ地獄に還っちゃう!!」

参謀「ああ……聞こえる……ルーク篁I世(薬屋)とII世(電気屋)が俺を呼ぶ声が聞こえる……」

きらり「あれれぇ~?もぉ~!ルーちゃん、こんなとこで寝てちゃ、めっ!だよぉ☆」

閣下「皆、御苦労」

卯月「閣下さん!お疲れ様です!」

閣下「とりあえず、NGの3人は悪いが参謀を医務室まで運んでやってくれ」

凛「う、うん…」

参謀「」



杏「あんきらンキング?」

かな子「すごい!2人のコーナー?」

閣下「獄立とときら学園の新コーナーだ、先日の収録を見た関係者が2人のコンビを大いに気に入ったらしくてな」

杏「えぇ~……」

きらり「いいじゃん、やろ~よぉ~!!」ブンブン

杏「膝に乗っけたまま揺らすなぁ~!」ブンブン

閣下「まあ物は試しだ、とりあえず何回かやってみなさいよ」

杏「……何回か、だかんね」

きらり「うっきゃー!!やったぁーー!!」ブンブン

杏「だからやーめーろー!!」ブンブン

閣下「それから、かな子と智絵里にも」

智絵里「え?」

かな子「私達にもあるんですか?」

閣下「2人にはとときら学園でのVTR出演、恐怖の諜報員となってもらう」

かな子「インタビュー……」

智絵里「できるかな……」

閣下「大丈夫だ、必ずできる」

閣下「足りない分のパワーは我輩がちゃんと送ってやる」

智絵里「閣下さん……」

かな子「……はい!」

智絵里「がんばります!」

閣下「フハハハハ!期待している!」

杏「……ホントに大丈夫?」

かな子「うん、ICBMに向けてみんながんばってる、私もがんばらなくちゃ!」

智絵里「私も、人見知り直して、ちゃんと喋れるようになりたいなって」

杏「ふーん、2人がやりたいならいいけど」

閣下「我輩も収録にはできる限り付き添うし、諜報活動に関しては和尚も手が空いている時には同行してくれる、心配はない」

きらり「みんな、がんばろうね!!」

智絵里&かな子「うん!」



92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:37:24.87 ID:HykPXcE2O


~獄立とときら学園 あんきらンキング撮影終了後 楽屋~


杏「もう無理……」グデー

閣下「2人とも、まことに御苦労であった!」ガチャ!

きらり「デーちゃん!」

閣下「この後は次回の作戦会議だ、そちらもよろしく頼むぞ」

きらり「は~い☆」

杏「杏はもう充電切れ~……」

きらり「杏ちゃん!がんばがんばだよぉ~!」つ飴

杏「飴……し、仕方ないなぁ」

閣下「では何かあったらいつでも連絡するがいい、また会おう」ガチャ

杏「あ、閣下、ちょっと待って」

閣下「ん、なんだ?」

杏「次のランキングのテーマってもう決まってるの?」

閣下「若者に人気の力士ランキング」

杏「そんなの誰が知りたいのさ、それ止めてさ、お菓子とか食べ物系にしようよ」

閣下「いや、でも我輩の中では決定済みで」

きらり「いいね~!智絵里ちゃんやかな子ちゃんもコメントしやすいかも☆」

閣下「でも力士」

杏「じゃ、この後の打ち合わせで話しておくから、よろしくね」

閣下「力士……」



93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:42:32.90 ID:HykPXcE2O


~346プロ 庭~


閣下「世間の現代角界への認識を知るいい機会だと思ったのだが、何がいけなかったのだ……」テクテク

智絵里「…………」ガサガサ

閣下「む、智絵里、どうしたの?」

智絵里「ひうっ!!」

閣下「おお、すまん、で、何かなくしたのか?なら和尚に頼んで……」

智絵里「い、いえ……四つ葉のクローバーを探してて……」

閣下「ああ、なるほど」

智絵里「見つけたら今日のロケ、うまくいくかなって……」

閣下「我輩も手伝おう」

智絵里「あ、ありがとうございます!」

閣下「ただし!我輩が手伝う以上、地球で一番の四つ葉のクローバーを見つけるからな、フハハハハ!」



かな子「~~♪」テクテク

かな子「あれ?あそこにいるのって……」

智絵里「閣下さん、あの、もういいですから……」

閣下「いや、まだあっちの方にもクローバー咲いてたから」ガサガサ

智絵里「で、でももうすぐかな子ちゃんも来ますし……」

閣下「ほう!では3人で手分けをして探すぞ!」

智絵里「ロケの時間になっちゃいますから~!」

かな子「あ、あの…」

閣下「おお、かな子、いいとこに来たな、四つ葉のクローバー探してるから手伝ってくれ」

智絵里「かな子ちゃん、閣下さんを止めるの手伝ってぇ~……」グスッ

かな子「えっと……どういう状況……?」

智絵里「実は、かくかくしかじかで……」

かな子「な、なるほど……」チラリ

閣下「…………」ガサガサ

かな子「え~っと、あっ、そうだ!」

かな子「閣下さん、智絵里ちゃん!」

閣下「ん?」

かな子「今日のロケに焼いてきたんです!四つ葉のクローバー型のクッキー!」

智絵里「わぁ……すごい!」

閣下「……フハハハハ!これは間違いなく地球で一番のクローバーではないか!」

かな子「どうぞ♪はい、閣下さんも!」

閣下「ありがとう…………うむ!うまい!」

智絵里「これで今日のロケ、がんばれそうです!」

閣下「ああ、不幸な一日になりそうだ、フハハハハ!」



94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:48:25.71 ID:HykPXcE2O


~渋谷~



かな子「え、駅前で聞いた、好きなゆるキャラランキング~!」カチコチ

智絵里「ぞ、ぞっどくんは、何位になれるでしょうか~…」ソワソワ

ぞっどくん「ぞっどだぁ!」



AD「はーい、OKでーす、次、街頭インタビューいきまーす」

カメラマン「ぞっどくんに負けないで、もっと元気にね!」

かな子「は、はい!」

智絵里「みんな小暮さん、みんな小暮さん……」

閣下「…………」



~真泥霊羅プロジェクト死霊室~



閣下「2人とも御苦労であった、今日は我輩が茶を淹れよう」

かな子「はぁ……」

智絵里「…………」

閣下「VTRには使われるそうだ、初々しいところなどはよかったと言っていた」つ茶

かな子「そうですか、よかった……」ホッ

智絵里「でも、全然うまくできませんでした……」

閣下「そうだねぇ、お世辞にも立派なインタビューとは言えなかったな」

かな子「うぅ……」

閣下「だからこそ、何度も練習や本番を積み重ねていけばいい、ミサと同じだ」

智絵里「はい……」

閣下「自らを見つめ、悪いところはどんどん伸ばし、いいところは消していく、他の仕事もある中で大変ではあるが、やる以上は全てに本気で向き合っていかなければな」

かな子「…………はい」



95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:52:51.90 ID:HykPXcE2O

~後日 346プロ社屋前~



殿下「お、みんな、揃ってどうしたの」

智絵里「ライデンさん……」

美波「私とアーニャちゃんはレッスンが終わったところです」

アーニャ「ダー、今日もエース、厳しかったです……」

殿下「おお、お疲れ様、じゃあ後で恐怖のレストランに来なさいよ、この後新作デザートの試食会をやるからさ」

アーニャ「! 美波、どうしますか?」

美波「そうね、いきましょうか……でも、ライデンさんのお菓子は美味しいんだけどカロリーがちょっと……」

殿下「美味いから大丈夫!!……そういえば、今日は智絵里くんはかな子くんと一緒じゃないの?」

智絵里「かな子ちゃんは、あそこです……」

かな子「はあっ…はあっ……」タッタッタッ

殿下「ランニングか、ミサに向けての体力づくり?」

美波「それと、ダイエットみたいです……」

殿下「ダイエット?かな子くんには必要ないんじゃない?普段からレッスンもしてるわけだし」

美波「私達もそうは言ったんですけど……」

智絵里「かな子ちゃん、気持ちを引き締めたいって言ってました」

智絵里「すぐ気持ちが緩むから失敗しちゃうんだって……」

智絵里「私も、がんばらなきゃ……」ギュッ

殿下「なるほどねぇ……まあ、無理のないようにね、健康第一、ちゃんと体を休めてね」

智絵里「……はい」

殿下「…………」



96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 22:59:54.04 ID:HykPXcE2O


~346プロ レッスン部屋~


卯月「かな子ちゃん達、がんばってますね」

凛「本人達は、だいぶ苦労してるみたい」

未央「これも、ICBMに向けての試練って奴なのかなぁ」

加蓮「そのライブで部署が存続できるか決まるんですよね?」

卯月「はい、そうなんです……」

凛「うん、そこで結果を出せなかったら、解散になる」

未央「でも、逆に私達の力を見せつけるチャンスでもあるってことでしょ!」

凛「ふふっ、強気だね」

未央「もっちろん!わたくし、ニュージェネのリーダーですから!」

長官「みんな自主練お疲れ~!」

未央「おっ!出たな企光一郎!」

長官「詩集買ってください……」

卯月「エースさんの詩集、見てみたいです!」

長官「じゃあ鶴折ってください……」

凛「そもそも詩集なんて出してないでしょ……」

加蓮「なんか、ホントにエースさんって……」

奈緒「レッスンの時とは人……じゃなくって悪魔が変わるよな」

長官「え~、そんなことないよ~、何の話してたの?」

未央「ICBM絶対成功させて、プロジェクトを続けようねって話!」

長官「…………」ダラダラ

凛「うん、絶対に解散なんてさせない」

長官「……………………」ダラダラダラ

卯月「はい!みんな、ずっと一緒です!」

長官「…………………………………」ダラダラダラダラ

未央「? どうしたの?すごい汗だよ?」

長官「え、えええ、ええ!?そ、そう!?最近レッスンし過ぎでムーディってば汗かいちゃったかな!!いやー、あっちぃ!!!」



97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:13:44.54 ID:HykPXcE2O

奈緒「……でも、いいなぁ、目標があって」

加蓮「…………」

未央「……ねえ、2人もなんかやんない?」

奈緒「え?」

凛「うん、いいと思う、他の部署の人も誘ってるんだ」

加蓮「でも、私達はまだCDデビューだって……」

未央「関係ないって!仲間は多いほどいいもんね!」

加蓮「!」

奈緒「ありがとうございます!」

加蓮「嬉しいです!」

未央「よーし!そうと決まれば、今から猛特訓だ!!」

奈緒「ええ!?今から!?」

未央「思い立ったが吉日、いや、思い立ったが凶日だよ!」

凛「ち、ちょっと、未央!!」

卯月「ダメですよ!!」

未央「も~、こんなにいい空気なのになんでみんなそんなに…………あっ」

長官「…………………………」ニッコリ

未央「い、いや、あのね、エーちゃん」

長官「…………今から、猛特訓?」ニッコリ

未央「そ、それは個人練習的な意味合いであって、エーちゃんに苦労をかけるつもりはなくて…………ね?」

長官「よしわかった!!」

未央「あ、終わった」

長官「ライブを成功させるための努力を惜しまない、すごくいいよ!!俺も全力で手伝うぜ!!」

卯月「あ、あの、全力でなくても……」

長官「今すぐ始めよう!!全員アカペラでも歌えるレベルまで完璧にするからな!!」

奈緒「なあ、加蓮、これ、何回くらい泣かされるかな……」

加蓮「1ケタ台には収めたいね……」

卯月「未央ちゃん……」

凛「あとで話があるから……」

未央「あ、あははー…………ホントにごめん」

長官「よーし!!スペシャルレッスン、いっくぜえええええええええええええええ!!!!!!!」



98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:21:37.49 ID:HykPXcE2O


~翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室~



杏「閣下ぁ、飴ちょうだ~い」

閣下「そっちの引き出しに入ってるから自分でとんなさい」ザッシペラリ

杏「うぇ~、取るのめんどくさいからいいや……」

杏「そういえば、昨日卯月ちゃん達が希望を失った目をしてたけど、どうしたの?」

閣下「なんだそれは、実に素晴らしい目じゃないか」

閣下「昨日は長官がいつにもまして上機嫌だったからなあ、大方レッスンがいつも以上に厳しかったんだろう」

杏「……エースのレッスンかぁ、杏でなくともサボりたくなるよ、あれ」

閣下「長官は自分が努力家すぎて基準が壊れてるからねぇ」ペラリ

杏「……ねえ、閣下、あんきらンキングなんだけどさ」

きらり「にゃっほーい!!」ガチャ

閣下「おお、おはよう、きらり」

きらり「おっすおっす☆ あ!杏ちゃんもういる~、うっきゃー!」

杏「……杏は今日はもう閉店だよ~」

きらり「もぉ~!飴あげゆから、がんばろっ?」

杏「ま、エースのレッスンに比べればマシかな」

きらり「それじゃ、いってくるにぃ☆」

閣下「うむ、頼んだぞ」

きらり「きらりんに~おっまかせ~!」

閣下「きらり、新コーナーはどうだ?」

きらり「楽しいよ~!なんでなんで~?」

閣下「……いや、お前が楽しんでいるならばいいのだ」

きらり「…………デーちゃん、これ、あげる!」つ飴

閣下「?」

きらり「大丈夫!ちゃんときらりは、きらりんスマイル100%だにぃ☆」

杏「…………」



~柴又 江戸切子屋~



かな子「ほほ、本日は、こちらの江戸切子職人の方にお話を伺いたいと思います!」カチコチ

和尚「切子、いいね! 切子っていうのはどんな喧嘩でも先頭に立って進んでいくんだね、切り込み隊長、なんちゃって!」

智絵里「そ、それでは、お邪魔しましょう!」カチカチ

和尚「あらら」

かな子「とときら学園です!よよよろしくお願いします!!」ガララ

職人「……はい」

かな子&智絵里「よ、よろしくお願いします!」バッ

和尚「いえ~い!」



99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:30:00.57 ID:HykPXcE2O


かな子「な、なるほど!江戸時代から脈々と受け継がれている伝統なんですね!!」

職人「若い人は、あんまり興味ないもんだがね……」

かな子「そんなことないです!とってもステキです!…………ねっ!?」

智絵里「う、うん!とってもステキだと思います!」

職人「そ、そうかね?切子の、どこが好きなんだね?」

和尚「そうですね~、江戸切子は和の意匠の中に西洋から受けた影響が混ざって、その独特な空気を感じられるところとかいいですね~」

職人「ほう、アンタは結構詳しいんだね」

和尚「これでも元地獄文化局局長ですから」

職人「アンタらの方は?」

かな子「えっ? あ、私達は、その……」

智絵里「えっと……」

職人「…………まあ、いいんだ、アンタらも仕事で来てるんだしな」

かな子「い、いえ!私達、ホントにステキだなって……」

職人「そんな顔して言われてもね……」

智絵里「え……?」

職人「適当に、撮ってってくれていいから」スタスタ

智絵里「ご、ごめんなさい……」

かな子「あ、あのっ……」フラッ…

智絵里「きゃっ! か、かな子ちゃん……?」ズテッ

かな子「…………」

和尚「!」

閣下「! いかん!」



100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:32:15.42 ID:HykPXcE2O


和尚「ダイエット?」

閣下「何故そんな急に……」

かな子「私、すぐ気が緩んじゃうから、だからうまくいかないんだって思って、すみません……」

智絵里「かな子ちゃん……ごめんなさい、私が、もっと頑張らないと……」

閣下「全く……ほら、かな子、智絵里」つ飴

かな子「え? で、でも、これ食べちゃったら私……!」

閣下「そうだな、つまりこれは悪魔の誘惑だ、フハハハハ!」

閣下「自らの欲望を抑制して生きるのは知的だ、だが、我輩はお前のそんな姿が見たいのではない」

閣下「智絵里も、周りの人間は小暮ヨシノブなどではない、あの呪文は禁止だ」

智絵里「で、でもあれがないと、私!」

?「全く!カワイイこのボクが偶然近くを通りがかったから様子を見に来てみれば、なんですその顔は!!」

和尚「?」



101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:39:42.78 ID:HykPXcE2O


~あんきら学園 収録後楽屋~


参謀「2人ともお疲れ様~!今日もばっちりだったね!」

きらり「うん! 今日も、と~っても楽しかったにぃ☆」

杏「…………」

きらり「あっれぇ~?杏ちゃん、どうしたの?」

杏「……ねえ、ルークは杏ときらりが2人でコーナーやってるの見てどう思う?」

参謀「ぶっちゃけ混ぜて欲しい」

杏「そういうこと言ってんじゃなくてさ、杏がこのコーナーに呼ばれたのは、杏ときらりが並んだら面白いからだよ」

杏「同い年なのにこんなに違うって」

参謀「…………い、いい、いや、そそそそんなことは、なな、ないんじゃない??」

杏「隠さなくたっていいよ、閣下も言葉を選んでたけど、ようはそういうことでしょ」

きらり「…………」

杏「ただ、傍から見て面白いから、杏がどんな奴で、きらりがどんな奴かなんてどうでもいいんでしょ」

杏「で、ルークはそれを見てどう思う?やっぱり面白い?」

参謀「…………そうだね、確かに、2人が選ばれたのは外見の面白さなのかもしれない」

参謀「しかも、ほとんどの奴は実際外見とかド派手なパフォーマンスしか見てないんだな、これが」

参謀「どんなものであれ、個性的であるってことは辛いことなんだな」

参謀「でも、ちょっと勇気を出して自分の個性を発揮しようとすれば、素晴らしいことだっていっぱい待ってるんだよ」

参謀「大切なのは、杏ちゃん達が自分の個性を発揮しようとしてるか、それを楽しもうとしてるかなんじゃねえかなぁ」

参謀「……なーんて、ちょっと真面目だったねww」

杏「…………きらりは?」

きらり「……そうだねぇ~、きらりはみんなよりちょっと大っきいけどぉ」

きらり「かわいぃ~服着て、かわいぃ~杏ちゃんと、かわいぃ~お仕事できて、とってもハピハピ!」

きらり「きらり達を見て、み~んながハピハピしてくれゆから、も~っとハッピハピ!……って、思ってゆ」

きらり「だから、笑顔でいられるんだよ?」

杏「きらり……」

きらり「きらりは、杏ちゃんといるきらりが大好きだよ? 杏ちゃんは?」

参謀「外の奴らはそりゃあ面白がって好き勝手言ってくるけどさ、そんなのどうだっていいんだよ」

参謀「大切なのは、自分が楽しくやれてるか、それでいいんじゃねえかな」

杏「…………もう、きらりもルークも、真面目に語りすぎだよ、似合ってないよ」



102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:50:17.71 ID:HykPXcE2O


~柴又~



輿水幸子「なんです!?痩せ我慢だのおまじないだの!ほんとがっかりしました!」

姫川友紀「ちょっと、言い過ぎだよ」

かな子「…………」

智絵里「…………」

小早川紗枝「幸子はん、これでも心配してはるんどすえ?」

閣下「悪いな、お前達も収録途中だというのに」

幸子「ち、ちょ、ボクはただ、カワイイボクがライバルとして認めてあげようと思っていたのに、この有様だから!」

幸子「……と、とにかくですね、そんな顔してちゃ、台無しですよ」

かな子「っ!」

紗枝「慣れへんことは辛いもんやけど、そないな顔ではみんな心配しはるえ?」

友紀「幸子ちゃんだって、最初はめちゃくちゃ緊張してたんだから!」

幸子「ちょっ!余計なこと言わないでください!」

智絵里「そ、そうなんですか……?」

幸子「~~~~!そ、そりゃあいくらボクがカワイくても、初めはそうでした!…………でも!!」

幸子「アイドルは、前を向いてるもんです!!今の、カワイイボクのように!!」

閣下「……うむ、その通りだ、素晴らしい」

幸子「っ! な、なんだかアナタにそういう風に認められるとむず痒いですね……」

閣下「フハハハハ!これは、今までの行いを詫びねばならんな!」

閣下「ほら、2人もよく見ろ、目の前にいるトップアイドルの姿を」

閣下「待っていろ幸子よ! この2人もすぐに、お前の背に追いつき追い越さんとするだろう、フハハハハ!」

幸子「フ、フフーン!望むところです! ボクのライバルになりたいなら、こんなところで立ち止まってるヒマはありませんよ!」

紗枝「幸子はん、そろそろ……」

幸子「もうそんな時間ですか……」

友紀「それじゃ、閣下たちもがんばってね!」テクテク

幸子「待ってますからね!!」ノシ

かな子「……は、はい!!」

智絵里「あ、ありがとうございます!!」

和尚「いい先輩を持ったねぇ」

閣下「うむ、さあ、先ほどの悪魔の誘惑、受け取ってくれるな?」

かな子「…………はむ」パク

かな子「あまぁい……ふふっ」

智絵里「えへへっ、かな子ちゃんが笑ってくれると、ほっとするな」

かな子「……私、前向けてなかったのかなぁ」

智絵里「…………」

かな子「がんばってたつもりだったんだけど……」

閣下「2人とも、確かにがんばっていた」

閣下「だがしかし同時に、自らの欲望を、感性を抑え、排除していたのだ」



103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 23:59:52.73 ID:HykPXcE2O

閣下「それは、諜報活動を行う上では、いや、巨大科学文明社会で生きていくには不必要な、不適切なゴミや塵なのかもしれん」

閣下「だからこそ、自ら考え、言葉に出し、行動に移すことが大切なのだ」

閣下「2人は、しっかりと仕事をしようと思うあまりに自分の頭で考えることを止め、番組作りの歯車の一つになりかけていた」

閣下「それでは、魂を失ったアンドロイドと変わらない」

閣下「それでは、楽しい時に笑うことさえ、できなくなってしまう」

閣下「まずは一度、心の底から楽しんでみろ、既に悪魔の誘惑に魂を売ったお前達だ、もはや番組のことなど考える必要はない!フハハハハ!」

智絵里「楽しむ……」

和尚「そうねぇ、じゃあ、おじさんからもアドバイスをあげよう」

和尚「俺は1966年製のフェンダーのジャズベースを使ってるんだけど、これは1965年製のもの比べると音が違います」

かな子「…………?」

和尚「これはどうして違うんでしょうか?非常に複雑な材料の違いだとか、マグネットが違うだとか、理由は色々言われてるんだけども」

和尚「実際に鳴らしてみると全く音が違ってこれがまた困ってしまうんだよ」

智絵里「えっと……」

和尚「2人とも、俺が何言ってるかわかる?」

智絵里「さ、さっぱりです……」

和尚「だよねぇ」

かな子「えぇ……?」

和尚「あと、俺は閣下に『実はお前は悪魔だ』って言われて、な、なんだってー!?って聖飢魔IIに入ったわけなんだけど」

和尚「その前はファンクだとかフュージョンだとか色々な音楽をやってたけどメタルっていうのは一度もやったことがなかったわけ」

和尚「でも、実際にメタルをやってみるとこれが意外に奥深くって面白い」

和尚「写真を取ったり、いろんなことについて知るのとかも全部一緒で、当然最初は何が何やらさっぱりわからない」

和尚「でも、一歩踏み込むだけでそれが実はすごく楽しかったりするんだよね」

和尚「だからさ、かな子ちゃんや智絵里ちゃんも、まずはチャレンジしたり、それについて積極的に知ろうとしてみよう」

和尚「そうするとどんどん楽しくなって、もっと色んな物が見えてくるんじゃないかな」

かな子「……そっか、自分から楽しまないと、ダメなんだ」

智絵里「私も、小暮さんのおまじないで、周りを見ないようにしちゃってた……」

閣下「今日の店はどんな店だった? 職人の男はどんな人間だった?」

かな子「なんにも、見えてなかったんだ……」

智絵里「今度は、ちゃんと見たい!」

かな子「うん!!」

閣下「フハハハハ!その意気だ!!」

智絵里「でも、やっぱり、緊張はしちゃいます……」

和尚「よぉ~し!じゃあ、おじさんがとっておきのおまじないを教えてあげよう」

閣下「……いや、和尚、うちの構成員にあんまり変なことを」

智絵里「お、教えてください!私、知りたいです!!」

かな子「わ、私も、お願いします!」

閣下「あちゃー……」



104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 00:11:54.38 ID:T5q/oaWJO

~江戸切子屋~



かな子「大丈夫?」

智絵里「うん…………すぅ~、はぁ~」

「「い、いえ~い!!」」ガラッ!

職人「!?」



職人「取材の前に見学ねえ……」

かな子「うわぁ……」

智絵里「綺麗……」

職人「仕事とはいえ、大変だね……」

かな子「だからこそ、自分の感性でステキだなって思ったものを、自分の言葉で紹介したいんです!」

智絵里「はい! ……これ、さかな、子?」

和尚「紋様の名前だね、魚子(ななこ)って読むんだよ、一個でも魚子、なんちゃって」

かな子「光が反射して、キラキラしてる……」

智絵里「キレイな模様ですねぇ……」

かな子「何をいれるお皿なんですか?」

職人「なんでもいいが……」

和尚「2人だったら何をいれる?」

かな子「私は、お皿に合うお菓子とかかな!」

智絵里「お花を浮かべたりしてもキレイかも!」

智絵里「ガラスの模様がお水でキラキラして……」

かな子「うん、ステキ!」

職人「ふむ……魚子が気に入ったなら、奥にもまだあるよ」

かな子「見せていただけるんですか!?」

職人「ああ、そうだ、もし時間があれば作ってみるかい?」

智絵里「! 私、やってみたいです!」

和尚「よぉ~し!いえ~いのおじさんも張り切っちゃうぜぇ~!」

職人「あ、あんたも作るのかい?」

和尚「元・地獄文化局局長ですから」

職人「ま、まあ、いい、こっちだ」

かな子&智絵里「はい!!」



105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 00:13:27.08 ID:T5q/oaWJO


閣下「うむ、いい顔だ」

幸子「後輩へのアドバイスまで完璧なんて、さっすがボクですね!」

紗枝「そうどすなぁ~」

友紀「カワイイカワイイ」ナデナデ

閣下「ああ、大した奴だ、フハハハハ!」

きらり「デーちゃん~~!!」テクテク

参謀「間に合ったから来ちゃった☆ ほら杏ちゃんも手ぇ振って~!」

杏「や~め~ろ~」ノシ

閣下「おお、2人とも御苦労であった!参謀もありがとう」

閣下「どうだった?」

きらり「えへへぇ~☆」

参謀「なんとぉ~!」

きらり「大!」

杏「成!」

参謀「功!」

「「「ドヤァ!!」」」

杏「あとでご褒美、ちょうだい!」

閣下「フハハハハ!素晴らしい!!」

杏「……2人も、ちゃんとやってるじゃん」

杏「まっ、早く杏離れして欲しいもんだよ」

きらり「ふふっ、杏ちゃんもぉ、2人のことずぅ~っと考えてたの、きらり知ってるにぃ☆」

杏「そ、それはあの2人がまだまだ頼りないから」

幸子「まあ、一番カワイイのはボクなんですけどね!!」

杏「…………あ、幸子いたんだ」

幸子「ちょ!気づいてなかったんですかぁ!?」



第18話 A little bit of courage shows the stairway to hell. 終



107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 00:46:34.69 ID:T5q/oaWJO

第19話 If you're lost, let's shout aloud!



みく&李衣菜「だ~か~ら~!!」

閣下「…………」

みく「ステージをネコ耳とフワフワの飾りでいっぱいにしたいって言ってるにゃ!」

李衣菜「そんなのロックじゃないって言ってるの!」

みく「ロックって具体的には何をどうするにゃ?」

李衣菜「それは、考え中、だけど……」

みく「ICBMまでにパワーアップしなきゃいけないのに、そんなんじゃ間に合わないよ!」

李衣菜「わかってるってばぁ~」

閣下「お前達……『キュートでポップでクールでロックなアイドル』はどこにいった……」

みく「それとこれとは話が別なの!」

李衣菜「そうです!ステージはロックでも、パフォーマンスでキュートでポップにすれば釣り合いが取れます!」

みく「だったらステージはキュートでいいでしょ!」

李衣菜「いや、でもさ……」

閣下「…………はあ」




108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 00:53:20.01 ID:T5q/oaWJO


~346プロ レッスン部屋前~



長官「へぇ~、またみくちゃんと李衣菜ちゃんが喧嘩ねえ」トコトコ

凛「あの2人、ICBMに向けて新しいことをどんどんやっていきたいみたい」

未央「私達も、新しいことやってみる?」

凛「私は、やってきたことをしっかり続けるのでいいと思うな」

卯月「そうですよね!」

長官「よし!そうと決まれば、今日もビシバシ……」ガチャ!

奈緒「あ、おはようございます!」

加蓮「おはようございます!」

美嘉「よっ★」

長官「あれ?この時間のこの部屋って先に予定はいってたっけ?」

美嘉「ごめんね、2人の自主練で使わせてもらってたんだ」

長官「そっか、全然いいよぉ~!なら、NGのみんなと一緒に練習する?」

美嘉「おっ、いいじゃん!さっきまで2人もNGの曲で練習してたんだ★」

卯月「わ、私達の曲でですか!?」

長官「ならなおさら丁度いいじゃん!」

加蓮「で、でも……」

奈緒「いいんですか……?」

未央「うん!」

卯月「私達も勉強になりますし!」

長官「よし、じゃあ最初は、2人と凛ちゃんで歌ってみよっか」

凛「私?」

長官「今までの環境から離れてやってみるのも、楽しいもんだよ、ほら」

加蓮「よろしく!」

凛「う、うん…」




長官「もっと声を前に!」

凛「棘のついた言葉は~♪」

長官「奈緒ちゃん!他人の声を気にしてるヒマがあったら自分の歌を聞け!」

奈緒「っ!人の上に人がいて~♪」

長官「加蓮ちゃん、ダイナミクス意識!落ちてるぞ!」

加蓮「はい!天まで届けと~♪」

長官「主旋は凛ちゃん!2人はコーラス!」

凛&奈緒&加蓮「時代を暴け SAVE YOUR SOUL!」



109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 00:59:29.87 ID:T5q/oaWJO

未央「へえ~、いい感じだね!」

美嘉「それにしても、エースさんって本当に人……悪魔が変わるんだね」

未央「あれ?美嘉姉はエーちゃんのレッスン受けたことないの?」

美嘉「奈緒や加蓮はデビュー前ってことでエースさんのレッスンも偶に受けるけど、シンデレラプロジェクトが出来てからはほぼ専属トレーナーだからねー、噂は聞こえてくるけどね」

美嘉「一回、莉嘉が帰ってくるなりカブトムシと延々喋ってた時は何があったのかと思ったよ……」

未央「ああ、最初は私もフライドチキンと話したっけ……みくにゃんは一時期レッスン後は関西弁だったし……」

美嘉「きらりちゃんや蘭子ちゃんも喋り方が変になるらしいね……」

未央「うん、今はまだ優しい方なんだけどね、ギアが上がると止まらなくって、ね、しまむー……しまむー?」

卯月「…………」ギュ

美嘉「? どうしたの?膝抱えてボーッとしちゃって」

卯月「……え? あっ、はい!3人ともすごい、ですね……」

長官「ストップ!!」

加蓮「はぁ………はぁ……」

長官「凛ちゃん、2人を意識しすぎ!自分に集中できるまで外で頭冷やすか!?」

凛「す、すみません!もう一度お願いします!」

奈緒「ご、ごめん、アタシが途中で音を外したから……」

長官「わかってるなら直せ!」

奈緒「はい!」

長官「加蓮ちゃんも早く息を整える!ライブでお客さんどんだけ待たせる気だ!」

加蓮「は、はい……!すみません!」

長官「もう一回頭から!駄目なとこは全部曲止めるからな!」

凛&奈緒&加蓮「はい!」

未央「あちゃー、これは全泣きコースだ……」

美嘉「な、なんかアタシ、奈緒と加蓮に悪いことしたかな……」

卯月「というか、私達のレッスンは……」

未央「……わかってるでしょ、しまむー」

美嘉「? なくなるの?」

卯月「3人が終わった後に、今度はニュージェネの3人で最初からトップギアのエースさんのスパルタレッスンですね……」

美嘉「…………うわぁ」

未央「しぶりんの涙は一緒に拭いてあげようね……」

卯月「はい……」



110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:08:55.00 ID:T5q/oaWJO

常務「失礼する」ガチャ

美嘉「美城常務……?」

奈緒「美しきクリシェに~♪……?」

長官「歌止めるな!!」

奈緒「っ!! は、はい!!」

常務「ふむ…………、突然で悪いが、社内オーディションのためにここを使いたい」

加蓮「透き通る目で~♪」

常務「……場所を空けてもらえるかな」

長官「ストップ!!加蓮ちゃん、切るのが早い!!」

加蓮「っ……は、はい!!」

常務「…………場所を」

長官「凛ちゃん、とっさにズレた奈緒ちゃんにハモりを合わせたのはよかったよ」

凛「っ! あ、ありがとうございます!」

長官「だけど!そこから戻る時に自分がズレてどうする!!」

凛「気をつけます!!」

長官「よし!もう一回いけるか!?休憩しないと無理か!?」

凛&奈緒&加蓮「もう一回お願いします!!」

常務「…………あの、場所を」

長官「さっきからうるせえええええええええええええええ!!!!!!」

常務「ひうっ!!」ビクッ

長官「で、何?」

卯月「未央ちゃん、今、美城常務が可愛らしい悲鳴を……」

未央「さすがの常務も悪魔モードのエーちゃんには勝てなかったね……」



111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:14:17.62 ID:T5q/oaWJO

常務「……コホン、社内オーディションのためにここを使いたい」

常務「場所を空けてもらえるかな」キリッ

卯月「美嘉ちゃん、常務がキリッとしました」

美嘉「さすがに今更だよね」

常務「そこ、うるさい、プロジェクト白紙に戻すぞ」

長官「この時間は俺が予約してたはずだよな?」

常務「緊急の案件だ、すまないが移って」

長官「ああ゛? 何て?」ギロッ

常務「…………緊急の案件だったが、レッスンの邪魔をしてすまない、我々が部屋を移ってオーディションをする、します、の略だ」

卯月「この人、ホントは大したことないんじゃないでしょうか?」

未央「その可能性が急上昇中だけど、一応エーちゃんって本気になったら閣下達みんな敬語なくらいすごい悪魔らしいから……」

長官「わかりゃあいいんだよ、二度とレッスンの邪魔すんなよ」

常務「……失礼する」

長官「ああ゛!?」

常務「っ、失礼、します」バタン

卯月「…………」

未央「…………」

美嘉「…………」

長官「レッスン中断させてごめんね!再開するよ!」

凛&奈緒&加蓮「はい!」



112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:19:42.74 ID:T5q/oaWJO



美嘉「あの、さ、エースさん……」

長官「…………はい」

美嘉「一応、奈緒と加蓮は自主練のプラスアルファだったしさ……」

長官「…………はい」

美嘉「さすがに、可愛い後輩が5人泣き顔揃い踏みってどうすればいいのかわかんないんだけど……」

未央「……っ…えぐっ……」

卯月「うぅ…っ」

凛「…………っ……」

奈緒「……っぅ!……っ」

加蓮「……っ…」

長官「自分も、最終的に全員泣き出すとは思わなくて……」

美嘉「どうすんの、これ……」

長官「カリスマ、なんとかできますかね?助けてお姉ちゃん……」

美嘉「はぁ~~~……全員一回シャワー浴びておいで!!」



李衣菜「う~ん、ロックなアイデア……」ブツブツ

美嘉「もう、いつまでしょげてんの!」

長官「5人フルコンボだドンはさすがに堪えるドン……」

李衣菜「……どうしたんですか?」

美嘉「あっ、李衣菜ちゃん、実はさっきまでNGとうちの後輩のレッスンだったんだけどね~」

李衣菜「なるほど……」

長官「俺は最低の悪魔だ……間違えた、最高の悪魔だ……」

美嘉「常務を追い返した時はあんなにビシっとしてたのに……」

長官「ああ、そういえばあれ、なんだったの?」

美嘉「社内オーディションだって、たぶん、今ウワサになってるアイドルロックバンドだと思う、後ろにいたの、涼と輝子ちゃんだったし」

李衣菜「!?」

長官「ロックバンド?」

美嘉「うん、木村夏樹っていう子を中心にして立ち上げるって話があるんだって」

李衣菜「…………」

長官「ふ~ん」

美嘉「あんまり興味なさそう?」

長官「まあ、美城常務のプロジェクトで俺が教えることもなさそうだしな~、バンドってのは興味あるけどさ」

美嘉「李衣菜ちゃんは、ロックが好きなんだよね?」

李衣菜「え!?あ、う、うん、まあね……」

美嘉「メンバーはまだ未定らしいし、もしかしたら、声かかっちゃうかもよ~?」

長官「いやいや、さすがに美城常務もうちのアイドルを引き抜いたりしないでしょ~!」

李衣菜「…………」



113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:26:07.22 ID:T5q/oaWJO


~翌日 恐怖のレストラン~



李衣菜「具体的なアイデア……私の中のロックなイメージ……」

李衣菜「…………アイドルロックバンド、かぁ」

殿下「どうしたの?珍しく考え込んじゃって」

李衣菜「珍しくって、私だって考えることくらい……って、ああ!」

夏樹「お、この前の」スタスタ

殿下「夏樹くん、いらっしゃい」

夏樹「オッス、ライデンさんと、えっと……だりーな?」

李衣菜「多田李衣菜!!」

殿下「そういえば夏樹くん、アイドルロックバンドなんてのをやるんだって?」

夏樹「ああ、美城常務に呼び出されてね、話はよくわかんなかったけど、面白そうだから乗ってみた」

殿下「ほお、面白そうなんだ」

夏樹「まあね、そういや、だりーなもロックが好きなんだよな?」

李衣菜「だから、李衣菜だってば!」

夏樹「アハハ、いいじゃん、似たようなもんだろ?」

李衣菜「全然違うよ、もう」

夏樹「じゃあ、“だりー”で」

李衣菜「~~っ!じゃあ、私もアダ名で呼ぶ!」

夏樹「ほお、なんて?」

李衣菜「“なつきち”!」

夏樹「アッハハハ!いいね! じゃあ、“だりー”と“なつきち”な、ライデンさんも入る?」

殿下「いいの?」

李衣菜「ライデンさんって、なんて呼ばれてるんですか?」

殿下「そうだねぇ、あんまりアダ名で呼ばれることがないけど……前に呼ばれたのは……」

殿下「…………志村?」

李衣菜「…………誰?」

夏樹「やっぱライデンさんは抜きだな、“だりー”と“なつきち”、これで決まりだ」



114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:32:11.73 ID:T5q/oaWJO

夏樹「だりーは、どんな音楽聞くんだ?」

李衣菜「へ?」

夏樹「いつも聞いてんだろ? 何聞いてんだよ」

李衣菜「え、えっと、UK、とか?」

夏樹「やっぱクールだもんなあ、そういえば、ライデンさんもUK好きなんだっけ?」

殿下「我輩の場合はUKロックも勿論好きだが、何より最もリスペクトするドラマーがUK出身だな」

夏樹「へえ、なんてドラマー?」

殿下「残念ながら前に征服した別の地球のドラマーだからな、聞かせてやれないんだ」

夏樹「そりゃあ残念だ、さぞかしいい音だったんだろうな」

殿下「ああ、彼は最高のドラマーだ」

夏樹「だりーは、どういう音が好きなんだ?メタルとかは?」

李衣菜「あっ、メタルは閣下達が来てからガンガン聞くようになったよ!」

夏樹「へえ、オススメのアルバムとか、教えてくんない?」

李衣菜「うん! あ、今丁度持ってるよ、はい!」つ悪魔が来たりてヘヴィメタる

夏樹「…………ぷっ、アッハッハッハ!!」

李衣菜「あ、あれ……?」

夏樹「これ、ライデンさんか?アッハッハ、全然違うじゃん!!」

殿下「ああ、この頃はこんな見た目だったな」

夏樹「アハハ……サンキュ、後で早速聞くよ、ライデンさん達のバンドってことはクールだったんだろうしな」

夏樹「じゃ、こっちもお返しに」つCD

李衣菜「?」

夏樹「最近作った曲だ、デモだけど聞いてみてくれよ」

李衣菜「あ、ありがと……」

夏樹「やっぱいいよなぁ、ロックは!」

夏樹「新しいバンドのメンバー、良いサウンド持ってる連中だといいんだけどな……」

殿下「我輩が立候補しようか?」

夏樹「アハハ!ライデンさんがアイドルデビューか、そりゃあいいや!」

李衣菜「…………」



115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:37:31.44 ID:T5q/oaWJO


~数日後 ライブハウス~


「Rockin’ Emotion」(歌:木村夏樹(CV:安野希世乃))



李衣菜「師匠! こっちですよ!」

夏樹「お、李衣菜、来てくれてサンキュ」

李衣菜「すっごいカッコ良かった!!」

夏樹「はは、ありがと、そっちの人……じゃないな、悪魔さんは?」

李衣菜「私のロックの師匠、ジェイル大橋代官だよ!」

ジェイル大橋代官「どうも~」

李衣菜「なつきち、ホントに最高だったよ!」

ジェイル「すげえ楽しそうだったね、よかったよ~」

夏樹「実際、すげえ楽しかったしもっと歌いたかったなー!」

夏樹「ジェイルさんは、ライデンさんと一緒にバンドやってたんだよな?」

ジェイル「うん、ちょっとの間だけどね」

夏樹「じゃあ、クールなんだろうなぁ……そうだ!」

李衣菜「?」

夏樹「今度さ、アタシとだりーとジェイルさんでギターセッションやろうぜ!」

ジェイル「いいねぇ」

李衣菜「ええ!?」

夏樹「なんだよ、だりーは嫌かぁ?」

李衣菜「嫌っていうか、私は師匠やなつきちみたいに上手くないし……」

夏樹「いいんだよ、そんなの」

ジェイル「そうそう、上手いとか下手とか、そんなの気にしてたら楽しくないよ」

ジェイル「ただ俺が夏樹ちゃんや李衣菜ちゃんと音を作りたいからやる、それだけでしょ」

夏樹「だりーは、アタシらとはやりたくないか?」

李衣菜「師匠、なつきち……わ、私、やってみたい!」

夏樹「おう!」



116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:43:23.72 ID:T5q/oaWJO

~数日後 346プロ 真泥霊羅プロジェクト死霊室~



かな子「李衣菜ちゃんの様子が……?」

みく「うん、絶対変だと思うにゃ、最近ずっと上の空だし、時々思いつめたような顔してるし……」

長官「…………はっ!もしかして……」

みく「エーちゃん、思い当たる節があるの?」

長官「…………間違いない、それは」

智絵里「それは……?」

長官「…………恋!!」

かな子「え、ええ!?」

長官「アイドルは恋愛禁止……だからこそ反発したくなるロック魂……」

みく「そんな……まさか……」

長官「相手はきっと、346プロの奴だな……」

智絵里「だ、誰なんでしょうか……?」

みく「ま、まさか、デーちゃん!?」

長官「いや、違うな、もっとハンサムで、時に優しく時に厳しくユーモアのセンスも抜群で風になびく真っ赤なおさげがちょっぴりセクシーなナイスガイ……」

長官「そう、李衣菜ちゃんは俺に恋してしまったんだ!!!!!!」

かな子「…………」

智絵里「…………」

みく「2人は心当たりない?」

智絵里「そう言われても……」

かな子「本人に聞いてみたら?」

長官「あれー?」

みく「あ、エーちゃんは静かにしてて、みく達今、大事な話してるにゃ」

長官「はい」

みく「李衣菜ちゃんには聞いたけど、話してくれないにゃ……」

杏「仕事のし過ぎでストレスが溜まってるんじゃない?」

長官「あー、わかるわかる、俺も相撲バカ上司に仕事振られるとすげえ腹立つ」

みく「仕事のストレス……っ! みくが、自分のやりたいことを押しつけすぎたから!?」


~バラエティ番組収録スタジオ 楽屋~


みく「きょ、今日はいい天気で、気持ちいいにゃ!」

李衣菜「あ、う、うん、そうだね!」

みく「……でもぉ!明日は、あ、雨になりそうにゃ!」

李衣菜「そ、そうなんだー!か、傘を持って出かけなきゃね!」

みく「…………あ、あーっ!こ、このお菓子、美味しそー!!」

李衣菜「えっ?あ、ど、どれー!?ほんとうだー!おいしーなー!」



117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:48:24.19 ID:T5q/oaWJO

閣下「…………なんだあれ」

みりあ「2人とも、なんかおかしいね~」

未央「悩んでるっぽいって話は聞いてたけど……」

閣下「そうなのか? まあ確かに普通じゃないな」

卯月「なんだかぎこちない感じですよね……」

莉嘉「うん、だって喧嘩してないもん」

きらり「うっきゃー!ってケンカしてゆほうが、ハピハピな感じだにぃ」

凛「うん……」

莉嘉「これじゃアスタリスク、ホントに解散しちゃうかも!」

卯月「ええ!?だ、ダメですよ、解散なんて!!」

未央「しまむー、冗談に決まってるじゃん、もー」

卯月「へ? あ、で、ですよね……」

閣下「…………ふむ」


~346プロ 真泥霊羅プロジェクト死霊室~


みく「お疲れ様でしたー」トコトコ

閣下「待てぃ!!」バッ!

みく「にゃっ!?デーちゃんいたの!?」

閣下「フハハハハ!この機を狙い潜んでいたのだ!」

みく「いや、仕事してよ……」

閣下「少し良いか?」

みく「?」



閣下「なるほどねぇ、李衣菜がなんで悩んでるのかわからない、と」

みく「うん……」

閣下「我輩が李衣菜と話をしてみようか? 悪魔である我輩ならば李衣菜の悩みや不安も読み取れる」

みく「ありがと、デーちゃん、でも大丈夫にゃ」

みく「本当に大事なことなら、李衣菜ちゃんは話してくれると思うの」

みく「みくは、李衣菜ちゃんを信じる……」

みく「だからデーちゃんも、みく達を信じてほしいにゃ!」

閣下「フハハハハ!我輩はいつだって、お前達を信頼している!」

閣下「よかろう、ではこの件はお前達に任せよう、悪魔からの手出しは無用だな」

みく「うん!じゃあね、デーちゃん!」バタン

閣下「そういうことだ、いいな?」

殿下「了解、みくちゃんも立派になったねぇ」

閣下「当然だ、陛下が御自らお選びになった最悪のアイドルだからな!フハハハハ!」

殿下「でも、アスタリスクの問題だけど、ジェイルには言っておかなくていいの?」

閣下「だってアイツどこにいるかわかんないし」

殿下「どうせ、散歩でもしてるんでしょ」



118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:54:41.05 ID:T5q/oaWJO

~海浜公園~


夏樹「悪いな、付きあわせて」

李衣菜「うわぁ、キレイ……」

夏樹「だろ?気晴らししたい時に、時々来るんだ」

李衣菜「へぇ~、って、気晴らし?なんか嫌なことあったの?」

夏樹「…………いや、ちょっとな」

夏樹「ちゃんとギター弾いてるか?」

李衣菜「うん!最近よく弾いてる!」

ジェイル「へえ~、いいじゃん」

李衣菜「師匠のCDの真似してるんだけど、難しくて……」

夏樹「そりゃあいきなり上手くはならねえだろ」

ジェイル「聞いてくれれば一からちゃんと教えるのに」

李衣菜「ホントですか!? って、師匠!?!!?!?」

夏樹「な、なんでここに……」

ジェイル「いや、綺麗な景色を探して346プロあたりから散歩してたんだよ」

夏樹「事務所からここまで何kmあると思ってんだよ……」

ジェイル「こういう時、悪魔の翼って便利だよね、ゼノンも飛べりゃあいいのにね」

ジェイル「2人とも最近どう?楽しく音楽やれてる?」

夏樹「アタシは、どうだろうな?だりーは?」

李衣菜「私は……私も、どうだろ」

ジェイル「2人とも楽しくないことやってんの?」

李衣菜「師匠は、ギターを弾いてて辛いとか感じることはないんですか?」

ジェイル「あるよ」

李衣菜「そ、そうですよね~、師匠がそんなこと……って、あるんですか!?」

ジェイル「そりゃああるよ、まあ、ギターや音楽自体に対して、じゃなくてそれにまつわる色んな仕事や側面に対して、だけどね」

夏樹「ジェイルさんは、そういう時はどうするんだ?」

ジェイル「楽しくない=やりたくない、だからね、やらないだけだよ」



119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:00:07.08 ID:T5q/oaWJO

李衣菜「簡単に言いますけどぉ~……」

ジェイル「何があっても言い訳しない、責任は全部自分で負う、最高に楽しむ、必要なのはその覚悟だけだよ」

ジェイル「自分が最高に喜びを感じられるものに全部掛ける、俺はただそれをやってきただけさ」

夏樹「後から間違ったって感じたりしないの?」

ジェイル「そう感じたら、次は間違えないように経験から成長すればいい」

李衣菜「迷ったりしないんですか?」

ジェイル「迷う時だって、自分はどうしたいのか、何をすれば自分の心が解放されるのか、結局は全部知ってるもんだよ」

ジェイル「それに向き合うのが苦しいから迷うんだと思う、だからこそ、そこにちゃんと向き合おうっていつも思ってる」

夏樹「すげえなぁ……ホントに、すごいよ」

ジェイル「李衣菜ちゃん、この前の夏樹ちゃんのライブはどうだった?」

李衣菜「それは、すっごいカッコ良かった!私も、あんなギンギンのカッコいいライブをいつかやりたいって思った!」

ジェイル「自分の音楽を聞いてくれる人がそう感じてくれるのが一番の喜びだから、いつだって全力を尽くす」

夏樹「…………それがロック、なんだよな」

夏樹「だりーは、いいギタリストになりそうだな」

李衣菜「ほ、ほんと!?」

夏樹「ああ……だりーがうちのバンドのメンバーならいいのにな」

李衣菜「っ、え、あの……」

夏樹「って、だりーには別のユニットがあったんだっけな、アスタリスク、だっけか?」

李衣菜「う、うん……」

ジェイル「……じゃ、俺はまだ散歩の途中だからそろそろいくわ」

李衣菜「あっ、はい!」

ジェイル「2人とも楽しんでねー」スタスタ


~346プロ~


美波「? 李衣菜ちゃんなら、さっき、~~……」

みく「えっ、李衣菜ちゃんが、夏樹ちゃんと……?」



120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:04:16.38 ID:T5q/oaWJO

~翌日 黒ミサ会場 楽屋~



李衣菜「…………」

みく「…………」

みく「…………よぉし!!」バッ

李衣菜「へ?」

みく「今日のライブ、最高に盛り上げるにゃ!」

李衣菜「う、うん!」



~ホール前~



李衣菜「…………」

閣下「フハハハハ!信者の参拝数も上々、ゼウスによる妨害の気配もない!実に悪い状況だ!」

李衣菜「っ! 閣下、いたんですか!?」

閣下「ボーッとして、どうしたのだ?」

李衣菜「! え、えっと、あの……」

閣下「我輩の力が必要か?」

李衣菜「……ううん、なんでもない、いってきます!」バッ

閣下「…………」

殿下「ホントに、成長してるね~」

閣下「我輩としては、早く『成長した』になって欲しいものだ」

殿下「それはそれで寂しがるくせに」

閣下「うるさい」



121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:11:07.78 ID:T5q/oaWJO


~黒ミサ ホール~


「OωOverture~Winyar!!」



みく「みんな~!元気~!?」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

みく「今日も一緒に、ガンガンいっちゃうにゃ~~!!」

李衣菜「いっくよー!『OωOverture~Winyar!!』」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



夏樹「…………」

ジェイル「おっ、やっほー」

夏樹「どうも」



みく「輝く~♪時の中で~♪」

李衣菜「勝利を呼べ~♪その手で~♪」

みく「熱き胸~♪……きゃっ!」ドン!

李衣菜「っ!」ズテッ!

みく「…………っ、Hold me tight~♪」

李衣菜「Oh yeah!」



夏樹「おいおい、大丈夫か……?」

ジェイル「俺もコケたところに閣下の火吹きが来たこともあるし、あのくらいなら大丈夫でしょ」

夏樹「いや、悪魔基準で語るなよ……」



みく「き、今日はみんなありがとにゃ~~!!」

李衣菜「またね~~!!」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:19:06.82 ID:T5q/oaWJO

~黒ミサ終了後 楽屋~


みく「ほんっとにゴメン!!」バッ!

みく「みくのせいで、ライブが台無しにゃ!!ごめん、李衣菜ちゃん!!」

李衣菜「そんな、いいよ、大したことなかったんだし」

みく「よくない……」

みく「いいライブにしようと思ったのに、みくのミスにゃ……」

李衣菜「いいって、ちゃんと盛り上がったじゃん!気にすること……」

みく「よくない!!」

李衣菜「っ! みく、ちゃん……?」

みく「みくだってわかってるよ、李衣菜ちゃんがロックに本気なんだって」

みく「もっともっと、本格的にロックやりたいんだって」

みく「だったら、ホントはみくなんかより……」

李衣菜「…………っ」

みく「だから、だからこそ、みくはもっともっと頑張らないといけないの!」

みく「李衣菜ちゃんが迷わないように、このユニットで良かったって思えるように……」

みく「みくが、このユニットを最高に『キュートでポップでクールでロック』なユニットにしなくちゃ……!」

李衣菜「もう、バカ!!」

みく「っ!」

李衣菜「人の気持ちを勝手に決めないでよ!みくちゃんとユニットを組むのは私が自分で選んだことなんだから!」

みく「で、でもアスタリスクはロックだけじゃないし、ホントは……な、夏樹ちゃんの新しいユニットみたいな……!」

李衣菜「いつも言ってるでしょ!!『自分がロックだって思ったらそれがロック』なんだって!!」ガシッ

李衣菜「私にとっては、アスタリスクがロックなの!例え師匠やなつきちがなんて言っても関係ない!ここが、私のロックなの!!」

みく「……っ…」

李衣菜「ユニットなんだから、一緒に頑張らなきゃダメじゃん……」

李衣菜「そんな心配させる私こそ、パートナー、失格だよね、ごめん……」


~楽屋前~


夏樹「…………なあ、ジェイルさん」

ジェイル「何?」

夏樹「アタシさ、今、新しいバンドに誘われてて」

夏樹「でもそこじゃ、バンドの方向性も、サウンドも、曲も全部、自分達じゃ決められない」

夏樹「一流のスタッフが用意してくれるから、アタシはただコンセプトを理解してそれに従えば成功は保証されてる」

夏樹「アンタなら、どうする?」

ジェイル「好きでもない曲を弾かされるなんて、その時点でありえないね」

夏樹「はは、ホントにカッコいいな……」

ジェイル「俺なら、なんて質問に意味は無いよ」

夏樹「迷ってても、自分はどうしたいのか、ホントは全部知ってる、か」

夏樹「なあ、ちょっと、付き合ってくれよ」

ジェイル「楽しいことなら、いいよ」



123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:25:04.75 ID:T5q/oaWJO

~楽屋~



閣下「2人とも、御苦労であった」

みく「デーちゃん……」

閣下「先ほどそこで会った木村夏樹からの貢物だ」つ差し入れ

李衣菜「なつきちが? 来てくれてたんだ……」

閣下「それと、お前達に伝言だ、全く我輩を使い魔扱いしおって……」

みく&李衣菜「?」



~翌日 ライブハウス~



李衣菜「…………?」テクテク

夏樹「おっ、来たな」

李衣菜「うん……って、師匠とライデンさんまで、どうして……?」

殿下「ぶっひょ!!」

ジェイル「よっ」

夏樹「このライブハウスはさ、デビュー前からよくバンド仲間とライブやってたんだ」

李衣菜「……?」

夏樹「とにかくロックがやりたくて、夢中になると何時間でも歌って」

夏樹「むちゃくちゃだったけど、楽しかったな……」

李衣菜「…………」

夏樹「このステージで、だりーと歌いたいって思ってさ」

李衣菜「っ! あ、あのね、なつきち、やっぱり私……!」

夏樹「『ロックだと思えばそれがロック』、だよな?」

李衣菜「き、聞いてたの……?」

夏樹「全く、お前ら師弟はホントかっこいいよ……」

夏樹「お前の思い、響いたぜ」

夏樹「2人のおかげでアタシも吹っ切れそうだ」

李衣菜「え?」

夏樹「だから、解散ライブだ、だりーとなつきち、ジェイル大橋による一度きりのな」

李衣菜「し、師匠も?」

ジェイル「もし俺が何を言っても関係ない、それがお前のロック、ね」

李衣菜「えっと、それは、その……」

ジェイル「Rock 'n' Roll、わかってきたな――さすがは俺の一番弟子だ」

李衣菜「っ!! わ、私は……っ…!」



124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:30:44.37 ID:T5q/oaWJO

未央「おっ、いたいた!」ゾロゾロ

長官「うわっ、ライデンもいるじゃん」ゾロゾロ

莉嘉「ホントにライブやるんだぁ~!」ゾロゾロ

怪人マツザキ様「楽しそうですねぇ」ゾロゾロ



李衣菜「…っ……、み、みんな!?」

夏樹「イェーイ!みんな、来てくれてサンキューな!」

夏樹「今日は盛り上がっていこうぜ!一日限りのトリプルギターユニット、『にわかロックンロール』、よろしくぅ!」

李衣菜「に、にわか!?」

ジェイル「どうでもいいから、早く来いよ、李衣菜」

李衣菜「でも、ギター持ってないし……」

ジェイル「俺のギター使えばいいじゃん」

李衣菜「っ! は、はい!!」

殿下「みくくんも早く!」

みく「へ?みくも?」

殿下「前に言ったろう?アスタリスクが一人前になったら、我輩とジェイルが一緒にライブをすると」

殿下「君達はもう、立派なアイドルだ!」

みく「…………うん!」

李衣菜「き、曲はどうするの?」

夏樹「え?だりー、自分の曲弾けないの?」

李衣菜「まだ練習してないもん……」

ジェイル「じゃ、せっかくギターが3人もいることだし、あれにしよう」

ジェイル「この曲なら弾けるはずだよ、練習してたの知ってるし、たまには俺も師匠としてかっこいいとこみせないとね」

ジェイル「ついて来いよ李衣菜、ハモりは任せたぜ」

李衣菜「……はい!!」

夏樹「よし!いくぜー!」


「Fire After Fire」




125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:34:47.81 ID:T5q/oaWJO


~翌日 346プロ 美城常務の執務室~



常務「バンドを抜ける?」

夏樹「ああ、誰かの言いなりになって歌うのが、アタシにはロックと思えなくてね」

常務「理解できんな、自らチャンスを不意にするというのか?」

「もし、アンタら大人が決めたやり方に縛られて自分で考えることもできずに他人に迎合するのがアンタの言うチャンスなら」ガチャ

ジェイル「そんなのはクソ喰らえだ、そうだろ?」

夏樹「ああ、その通りだ、迎えに来てくれたのか?」

ジェイル「閣下が、ちゃんと最後まで面倒みろってうるさくてね」

夏樹「ハハ、じゃあ頼むわ」

常務「……わかっているとは思うが、次があるとは思わないことだ」

夏樹「何があっても言い訳しない、責任は全部自分で負う、最高に楽しむ、その覚悟はついた」

夏樹「それに、ちょっと面白そうな企画に誘われたんでね」

閣下「遅い!!フハハハハ!悪いが貴様の優秀なアイドルはまたもや我々悪魔が洗脳させてもらったぞ、ざまあみろ!!フハハハハハハハハハ!!!!」



第19話 If you're lost, let' shout aloud! 終



130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:28:29.38 ID:T5q/oaWJO

第20話 Which way should I go to get to EL・DO・RA・DO?



~346プロ 美城常務の執務室~



閣下「これは一体どういうことだ……」

凛「私達が……」

アーニャ「美城常務の企画に……?」

常務「伝えたとおりだ、渋谷凛、君には新たなユニット活動を、アナスタシア、君にはソロで活動してもらおうと思う」

閣下「承諾しかねるな、我々は現在、冬の大黒ミサに向けて布教を行っている、秋の大黒ミサで急に別の活動などは」

常務「これは会社の方針だ、納得してもらう必要はない」

閣下「それに、秋の大黒ミサで成果を出さねばその時点で解散だと? 話が違うぞ、貴様、我輩との契約を破棄するつもりか」

常務「君の部署が審査をクリアすれば済む話だ、それとも、担当のアイドルに自信がないのかな?」

閣下「……口を慎め、それ以上は我が構成員、ひいては選出なされた陛下への侮辱と受け取るぞ」

常務「それに、そこの2人にとっても悪い話ではないはずだ」

凛「何を、勝手に……!」

常務「おや、君には特に気に入ってもらえると思っていたのだが」

凛「はぁ?」

常務「ユニット名は『トライアドプリムス』、メンバーは渋谷凛、そして、神谷奈緒と北条加蓮」

凛「え……」

常務「そしてもう一名、トライアドプリムス専属の特別なプロデューサーも依頼している、入ったらどうだ?」

長官「突然呼び出されて、今度はどの件で誰に叱られるのかと思えば、そういうことかよ……!」ガチャ

閣下「長官!?」



131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:34:40.68 ID:T5q/oaWJO

常務「彼の音楽的な造詣の深さ、センス、そして指導力は類まれなるものだ、悪魔的、とでも呼ぶのがいいのかな」

常務「エース清水、君の指導があって初めて、トライアドプリムスは完成する」

長官「俺に聖飢魔IIと真泥霊羅プロジェクトを裏切れってか、ふざけんな」

凛「そうだよ、私だってニュージェネが!」

アーニャ「私も、ラブライカがあります」

常務「そうは言っていない、君も2人も、既存の活動を終了させろというわけではない」

常務「まあ、エース清水に関しては、プロデュース活動のため一時的にトレーナー業を休止してもらう必要はあるがね」

長官「ふざけんなって言ってんだろ……!」

常務「エース清水、君は、トライアドプリムスの3人に可能性を感じなかったのか?既存のユニットにない新たな輝きを」

常務「彼女達が果たしてどこまでいけるのか、音楽家としての君は、それを見てみたいとは思わないのか?」

長官「…………っ」

常務「無論、このユニットはプロデューサーたる君がいて初めて成立する、君が参加しない場合、神谷奈緒、北条加蓮のデビューはまた先送りということになるな」

長官「…………」

常務「2人も、自分の才能を、もっと伸ばしてみたいとは思わないのか?」

凛「っ………」

アーニャ「…………」

閣下「我輩を抜いて話を進めるな! 我輩は、」

常務「君には聞いていない、私は3名に対し参加の意思を問うている」

閣下「だが!2人は真泥霊羅プロジェクトの……!」

常務「……『アイドルが自身の感性で、その行末を決めていく』、それが、君の求める姿だったはずだが?」

閣下「っ!」

常務「いい返事を、いや、悪い返事を、期待している」

長官「…………」



132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:41:38.44 ID:T5q/oaWJO

~恐怖のレストラン~


和尚「美城常務が直々に選出したアイドルによる大々的な企画、『プロジェクトクローネ』、か」

殿下「そして常務が選んだお姫様にふさわしい発表の場として秋の大黒ミサが用意されて」

参謀「更に、その秋の大黒ミサは各部署の今期中間発表の場を兼ねる」

ちひろ「特定の部署においては、成果が評価に値しない場合はその存続を見直すこととする、とありますね……」

閣下「…………」

殿下「その上、真泥霊羅プロジェクトからはアーニャくん、凛くん、そしてエースの引き抜きの声までかかってる、ゼウスの妨害の方が、実力行使に出られるだけよっぽど楽だね、こりゃ」

和尚「それで、どうするの?」

閣下「今はアーニャも凛も混乱している、考えがまとまるまでは他の構成員には伏せておこう」

ちひろ「そうですね、秋の審査のこともありますし……」

参謀「そういえば、エースは?」

閣下「考える時間がほしいからって、先に帰ったよ」

殿下「でも閣下も、その場で暴れてぶち壊すこともできたんじゃない?」

閣下「もちろん、我輩としては行ってほしくはない、だけどね」

閣下「凛とアーニャが自分の意思で進む道を決めるなら、それを応援したいとも思うんだよ」

和尚「悩ましい話だねぇ」

閣下「だが、悩んでいても仕方がない、ひとまず、各構成員に秋の大黒ミサについて伝えよう」

閣下「どれほどの苦難の中でも、我々は進まねばならない」



133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:47:54.38 ID:T5q/oaWJO

~翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室~


李衣菜「部署存続の審査って……」

みく「冬まで待ってくれるんじゃ……」

閣下「なんでも、現時点での成果によってICBMを執り行えるかが決まる、ということだ」

杏「それって、成果によっては部署は解散、ってことだよね」

みりあ「そんな……」

莉嘉「なんとかならないの?」

閣下「……大丈b」

未央「頑張るしかないね……!」

未央「何が何でも、頑張るしかないじゃん!!」

きらり「うん!みんなのお仕事、上手く行き始めてるもん!」

智絵里「はい!」

かな子「ここで、諦めたくないです!」

蘭子「再び、地獄の釜を開こうぞ!!」

みりあ「私もがんばる!」

莉嘉「アタシも!」

みく「そうだね、みんなで頑張れば大丈夫にゃ!」

李衣菜「だね!」

閣下「……フハハハハ!その通りだ!今や我々の侵略を阻めるものなどありはしない!」

未央「こんなことで負けてらんないよね……だって、ニュージェネでやりたいこと、まだまだいっぱいあるもん!」

卯月「未央ちゃん……! ですよね! 私、頑張ります!!」

凛「……うん」

閣下「秋の大黒ミサに参拝する者など、全席死刑だ!フハハハハハハ!」

美波「し、死刑って……」

アーニャ「…………」

美波「? どうしたの、アーニャちゃん?」

アーニャ「っ、なんでも、ないです……」



134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 19:00:17.89 ID:T5q/oaWJO


~翌朝 346プロ フロント~


ジェイル「あ、アーニャちゃんだ、おはよ~」

アーニャ「おはよう、ございます」

和尚「いえ~い」

アーニャ「い、いえ~い」

蘭子「フッ、煩わしい太陽ね」

アーニャ「はい、蘭子も、おはようございます」

ジェイル「アーニャちゃんって、今日朝からだっけ?」

アーニャ「早く、起きすぎてしまって」

ジェイル「そっかぁ、俺なんて朝にまず起きないからな~」

アーニャ「?」

ジェイル「ん、ああ、夜中ずっと動いてるからまだ寝てないの」

蘭子「さすがは夜を統べる者ね……」

アーニャ「3人はどうしましたか?」

和尚「僕とジェイルはカメラ談義しててね、そこにさっき蘭子ちゃんが来たんだよ」

アーニャ「蘭子も、写真、撮りますか?」

蘭子「我が黙示録に、未だその文言は刻まれていないわ」

ジェイル「2人もやってみたら?1人で向き合う世界、いいもんだよ」

アーニャ「ゼノンは、写真の他にも色々詳しい、かな子と智絵里、言ってました」

和尚「これでも元・地獄文化局局長ですから」

蘭子「双角に秘められしは太古よりの術式……」

ジェイル「すごいよねー、井戸の調査のバイトとかしてたんだぜ」

蘭子「深遠なる虚空の究明!? 如何なる神秘がそこに……」

ジェイル「俺に聞かれてもわかんないよ~」

アーニャ「アー、ジェイルは蘭子の言葉、わかりますか?」

ジェイル「Don't think,feelだよ、ってアーニャちゃんはロシア人だから英語じゃないか」

アーニャ「考えない、感じる……」



135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:18:52.09 ID:T5q/oaWJO

ジェイル「そうそう、李衣菜にもいつも言ってるけどね、そのへんアイツは筋が良いよ」

和尚「でも、僕も別に考えがあって色々やったわけじゃないよ」

蘭子「真か?」

和尚「ただ色んなことをやってみようって思っただけだよ、新しいことにとにかく挑戦したい年頃だったのだよ、当時はおじさんも」

アーニャ「新しいことに、とにかく挑戦……」

和尚「そうだ、蘭子ちゃんにも忘れないうちに渡しておくね」つポスター

蘭子「禁忌の写し絵……?……ひっ!」 

アーニャ「この間のハロウィーンの写真ですね、小梅と一緒です」

ジェイル「へー、2人とも可愛いねー」

和尚「怖いもの苦手な蘭子ちゃんがこういうのやるって、成長したよねー」

蘭子「い、未だ克服するには険しき山ぞ……」

アーニャ「苦手なもの逃げない、エライです」

蘭子「……ううん」

アーニャ「?」

蘭子「……挑戦するのは、楽しいからっ!」

アーニャ「っ!」

蘭子「ら、ラブライカの2人が、教えてくれた、から……その……」

ジェイル「……あー、なんか、こんだけ可愛い子がいっぱいいるとかつての血が騒ぐね」

和尚「また追放されても知らないよ」



136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:24:24.07 ID:T5q/oaWJO

~凛の帰り道~



凛「…………」テクテク

凛「はあ……」

長官「アイドルに興味はありませんか?」つ名刺

凛「……え、エースさん?」

長官「相手が閣下じゃなくて悪いけど、ちょっと付き合ってよ」

凛「…………」

長官「美味いチョコのお菓子がある店なんだけどさ、2人も待ってる」

長官「チョコ、好きだったよな?」

凛「……うん」



~喫茶店~



加蓮「ごめんね、急に来てもらって、ちょっと話があってさ」

凛「……うん、わかってる、トライアドプリムスのことでしょ」

長官「…………」

凛「いろいろ考えたんだけど、私は参加できない、ごめん」

奈緒「……やっぱり、そうだよね、凛にはニュージェネがあるんだもんね」

凛「…………」

加蓮「でもやっぱり、私はこのチャンスを逃したくない」

奈緒「ちょ、加蓮……」

加蓮「デビューしたいってのも勿論だけど、私、凛と奈緒と、もっと3人で歌ってみたい」

凛「っ!」

加蓮「この3人が力を合わせれば、きっとすごいことが出来る、だから、エースさんにお願いしたの」

凛「……エースさんは、どうするの?」

長官「……俺は、この話を受ける」



137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:37:43.87 ID:T5q/oaWJO

凛「そんな……」

長官「これは、聖飢魔IIも美城常務も関係ない、俺の意思だ」

長官「1人の音楽家として、3人がステージでどんな音楽を作るのか見てみたいと思った」

長官「そして、小暮の手伝いとか、仕事としてじゃなくって、俺の感性で、みんなと同じ一歩を歩いて行きたいと思ったんだ」

長官「凛ちゃんはどうだ?このユニットに入ったら、もう小暮は君のことを支えられない」

長官「それでも、君は1人の音楽家として、2人とステージに立ちたいとは思わなかったかい?」

凛「私は……」

加蓮「明日の5時、レッスン室に来て?」

加蓮「もう一度3人で、合わせてみようよ、そうすれば、きっとわかる」

凛「…………」



~加蓮&奈緒の帰り道~



加蓮「今日は付き合ってくれてありがとね、エースさん」

長官「いいよ、これからもっと一緒にいることは増えるんだし」

奈緒「来てくれるかな、凛」

加蓮「来なかったら仕方ないよ」

長官「そうそう、気にしても仕方ないって」

奈緒「そんな……」

加蓮「凛の立場を考えたら、簡単に決められることじゃないのもわかるし」

加蓮「……エースさん、ホントにごめんね、私達のせいで」

長官「俺は、俺の感性に従っただけだよ、あいつらがなんて言おうが関係ない」

長官「君達の音楽を信じてる」

加蓮「私も、かけてみたい、私達の歌に、私があの時、感じたものに」

奈緒「エースさん……加蓮……」

奈緒「そういうことなら、アタシもとことんかける、アタシ達の、トライアドプリムスに!!」

加蓮「うん!」



138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:44:20.09 ID:T5q/oaWJO

~翌日 346プロ レッスン室~



加蓮「~~~~♪」

奈緒「…………」

長官「……お、来たな」

凛「…………」ガチャ

加蓮「来てくれたんだね、凛」

凛「……今聞いてるのが」

奈緒「うん、トライアドプリムスのデビュー曲!」

加蓮「……になるかも知れない、曲」つ譜面

凛「『誰よりもずっと』……」

長官「俺が作った曲だよ、聖飢魔IIの曲は俺の言葉じゃあないから」

長官「まずは奈緒ちゃんと加蓮ちゃんの2人で歌ってみよっか…………大丈夫、今は凛ちゃんに聞いてもらうのが優先だから、そんな怯えないでいいから、うん」

長官「凛ちゃんも聞いてて、俺の言葉を、俺達の歌を」

凛「う、うん」

加蓮「…………」

奈緒「…………」

加蓮「――北風にこごえた手を 暖めることも忘れてた♪」

奈緒「この場所で待っていても 光射す朝は来ない♪」

凛「――っ!」

長官「歌いたいなら、歌えばいいんだ、その気持ちを抑えて走る必要なんてない」

加蓮&奈緒「何かを失うこと ただ恐れていたけど♪」

凛「             だ……てい…けど♪」

長官「これから一緒に、歩いて行こう」

凛「――ひとりきりじゃ、ない」

加蓮「!」

奈緒「凛……!」

長官「…………ほら!奈緒ちゃん、加蓮ちゃん! 歌を止めるな!」

加蓮&奈緒「――はい!!」

凛&奈緒&加蓮「目覚めたら旅立つよ 誰よりもだれよりも ずっと大きな夢があるから♪」

長官「…………悪いな、小暮、少しの間預かるよ」

凛「歩きだすその瞳は少しだけ揺れるけど いつかはきっと君のもとへ帰るから 微笑んでほしい♪」



139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:49:19.77 ID:T5q/oaWJO


~レッスン室前~



閣下「……凛が自分の感性に従えたのなら、その時は頼みましたよ、清水さん」

アーニャ「……閣下?」トコトコ

閣下「おお、アーニャか」

アーニャ「何を、してましたか?」

閣下「いや、なんでもない、我輩に用か?」

アーニャ「はい……お話、いいですか?」

閣下「もちろんだ」



~真泥霊羅プロジェクト 死霊室~



閣下「話というのは、プロジェクトクローネの件だな?」

アーニャ「……はい」

閣下「お前は、どうしたい?」

アーニャ「……ラブライカが始まって、私、最初は不安でした」

アーニャ「美波と一緒に、怖いと思いながら、一歩一歩進みました」

アーニャ「閣下は、いつでも横にいてくれて、不安でも進む勇気、くれました」

閣下「…………」

アーニャ「初めてのライブ、閣下が背中を押してくれて立てたステージ、とてもキレイで、キラキラしてました」

アーニャ「終わった後、涙が出てきて、閣下、頭、撫でてくれました」

アーニャ「私、美波と歩いて、冒険するドキドキ、教えてもらいました」

アーニャ「不安でも前に進む喜び、閣下がくれました」

アーニャ「美城常務のプロジェクト、美波も、閣下もいません……」

アーニャ「でも、それでも……私は!」

閣下「――強く願うならきっと 一緒にたどりつけるさ」

アーニャ「――っ!」

閣下「我輩の言葉の、誰かの言いなりになれば、決めるのは容易い」

閣下「お前の夢だ、自分で道を探せ、そして進め!」

閣下「大丈夫だ、それが出来る魔力を我輩はずっと送り続けてきた」

アーニャ「……閣下」

閣下「あの黒ミサの日に美波と3人で見た黄金の都はいつでもお前の目の前にある」

閣下「さあ、早くいけ、早くいけ、見失わないうちに!」

アーニャ「――はい!」



140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 20:58:06.03 ID:T5q/oaWJO

~~~~~~~~~~~~~~~~


閣下「さて……お前はどうする、美波?」

美波「……今、アーニャちゃんと話してきました」ガチャ

閣下「『ARCADIA』は我輩が真泥霊羅プロジェクトに最初に贈った歌だ」

閣下「だが、アーニャが銀河鉄道に乗って旅立つとは、あの時は思わなかったな」

美波「アーニャちゃん、変わらないとって、もっとみんなみたいにキラキラしたいって、言ってました」

閣下「……そうか」

美波「私が気づかないところで、アーニャちゃんは1人で闘ってたんですね」

美波「ううん、アーニャちゃんだけじゃない、みんな、今もずっと闘ってる」

美波「私、今のこの暖かいシンデレラプロジェクトがずっと続けばいいって思ってました」

美波「美城常務から解散の話があって、闘わないとって、初めて思って……」

美波「でも、そうじゃない、闘う相手は美城常務じゃなくて、私だったんですね」

閣下「そうだ、永遠の安息の日を求め続けたとしても、見えない敵はいつもお前の中にいる」

閣下「例えそこが温もりに満ちたとしても生きている限り闘いは続くのだ、よくぞ気づいた、美波」

美波「昨日、未央ちゃんが言ってた『やりたいことがまだまだある』って言葉、私がやりたいことは、何なのかわからなくて……」

美波「それを探すために、私も、闘いたい……気づくのが遅かったから、みんなよりかは辿り着けるのが遅れちゃうかもしれないけど」

美波「私も……最後にみんなと笑えるように、1人でも、闘いたい……です……」

閣下「だが、闘いにいくときは、いつでも孤独だ」

美波「それでも……ここで、立ち止まりたくない」

閣下「遥かな声がお前の中で呼ぶのなら、進むしかない、か」

閣下「闘いにいくときは、いつでも孤独だ――だが、どこかで後押しが欲しくなるものだ」

閣下「美波よ、我々は共にアーニャに一歩置いて行かれてしまった」

閣下「我々は今はまだ同じ場所に立っている、お前の背を押す大役は我輩に任せてもらえんだろうか」

閣下「そして、最後には全員で黄金の都を築きあげよう」

美波「はい……よろしく、お願いします!」



141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:11:36.07 ID:T5q/oaWJO


~翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室前~



参謀「なるほどねぇ、まあエースはなんだかんだそうなるかなって思ってたけど、アーニャちゃんはちょっと意外かも」トコトコ

閣下「我輩達が思ってる以上に、みんな前に進んでるってことだねぇ」テクテク

閣下「で、長官もアーニャも一時的にいなくなるからさ」

参謀「まあ、その辺のみんなのフォローは任せてよ」

参謀「他所の部署から預かってる子たちも増えて、さすがに閣下だけじゃ手が回らないだろうしね」

閣下「うん、頼むよ、特にうd「未央!待って!!」バンッ!

未央「っ!」ダッ

参謀「あれ、未央ちゃん?」

閣下「む? こらこら、事務所内を走り回るのは……っ!」

参謀「閣下!!」

閣下「残りの者は任せた!!」バッ



~さらに翌日 真泥霊羅プロジェクト死霊室~



李衣菜「アーニャちゃんが……」

みく「美城常務のプロジェクトでソロデビュー……?」

閣下「ああ」

アーニャ「…………」

莉嘉「み、美波ちゃんはいいの!?」

美波「ええ、それがアーニャの答えなら、私は大賛成よ」

卯月「…………」

みく「デーちゃんは、止めないの……?」

閣下「フハハハハ!心配することはない、アーニャは美城常務が発足するプロジェクトクローネなる組織に対するスパイなのだ!」

閣下「美城常務が選んだアイドルとやらを悪魔教信者に洗脳するため潜入しろと我輩がアーニャに命令したのだ、フハハハハハハハ!」

李衣菜「そ、そんなふざけたって誤魔化されませんよ!」

閣下「誤魔化してなどおらん! そしてもう一つ通達がある、本日より……」

未央「あ、ちょっと待って!それ、自分で言うから!」

閣下「そう? じゃあ前に出てきて」

未央「了解!」トコトコ

凛「…………?」

未央「……本田未央、本日よりソロ活動を開始します!」

未央「――よろしく!」

凛「え……?」

卯月「…………そん、な」



第20話 Which way should I go to get to EL・DO・RA・DO? 終



デーモン閣下「真泥霊羅プロジェクト!」【後半】



元スレ
デーモン閣下「真泥霊羅プロジェクト!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446121767/
このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 今週の人気記事
  • 先週の人気記事
  • 先々週の人気記事

        記事をツイートする

        記事をはてブする

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ