男「死後の世界?」死刑囚A「ああ」
- 2015年10月10日 22:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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─行刑施設─
男「そんなもん生まれてから考えたこともねえなぁ」
死刑囚A「この状況でもか?」
男「ん?そんなもんがあったらそこでも人を殺しまくるなぁ」
死刑囚A「そうか...最期にこんな狂人と同じ部屋にいるとは不幸なもんだ」
死刑囚B「おーい」
男「何だよ」
死刑囚B「お前、明日死ぬんじゃなかったか?噂で聞いたが」
死刑囚A「え?明日なのか?」
男「そういえばそうだったな」
死刑囚B「数百人を殺した大犯罪者の死刑って外じゃ騒いでんだろうな」
男「ふーん」
翌日
コツコツ コツコツ
死刑囚「...」ゾクゾク
ガチャッ
監守「出ろ」
男「おう」
監守「...取り押さえろ無理矢理にでも連れていけ」
部下数人「はっ!」
男「いや、そういうのいいから」スタスタ
監守「?」
男「道なりに進んできゃいんだろ?」スタスタ
監守「...そうだ」
─執行場─
神父「お掛けください」
男「そういうのもいいよ、あっ菓子だけ食わせてくれ」ガリガリ
神父「死というものは恐怖かもしれません...しかしあなたが犯した
男「うまいなぁ...久しぶりに食うからなぁ」ガリガリ
神父「...」
執行人「そろそろ時刻です」
男「んー、わかった!」スタッ
神父「あなたの来世がこのようなことにはならず幸溢れ
キュッ
神父「...」
男「ボタン押したら首吊り状態なるんだろ?早くしてくれよ」
執行人「わかった」
ガシャンッ!!
男「...」ブラーンッ
──
─────
────────
『続いてのニュースです死刑囚の男被告ですが今日の午後○時に刑が執行されました』
『当人は取り乱すこともなく穏やかな状態で自ら刑を受ける形で死刑台に上がりました』
コメンテーター「今世紀最大の犯罪者なだけあって必死な抵抗を見せると思いましたが
意外な結果となりましたね」
『さて続いては最近流行りの謎のスイーツ?の特集です』
男「...」
男「...」
男「あ」
男「声が出る...だが視界が暗いな...」
男「死刑が失敗に終わって視力が無くなったということか?」
シーンッ
男「誰かいるか?」
シーンッ
男「病室ではないのか?ここで餓死でもさせる気か?」
シーンッ
男「餓死...と思ったが空腹の感覚がないな...」
男「暗いな...」スタッ
男「立てるのか」
男「立てるんだな」
男「...」スタスタ
男「...」スタスタ
男「...」スタスタ
男「...」
男「どこだここは...どれだけ歩いても終わりがないぞ」
男「暗さになれてきたな…」
ドアが3つありそのドアには1,2,3と番号が書いてあった。
男「なんだこれ」
男「...夢か?」
男「...」
男「わかった...わかった死の世界かこれがそうか」
男「さて、ドア以外にはとくに何もないみたいだな」
男「他に道があるというわけでもない」
男「…………開ける以外にとくにやることもないし1番のドアを開いてみるか」
ガチャリ…
男「っ……眩しいな」
男「なんだ……? 何か画面が……『リザルト』……?」
男「歯磨きをした回数……睡眠時間の合計……どうでもいいやつばかりだな」
男「ん? これは……」
殺した人の人数:343人
男「……こんな項目もあるんだな」
男「これで終わりか」
男「ん……?」
男「343人……?」
男「待て、俺が殺したのは341人のはずだ……」
男「記憶力はある。忘れようと思ったこともない。殺人を行った回数は覚えている。覚えているはずだ……なぜ……」
男「…………」
男「……思い出せないものは仕方ないか。次に行こう……」ガチャリ…
男「……? この部屋さっきより明るくなっていないか?」
男「誰か、いるのか?」
男「……2番に入るか……」ガチャリ…
男「……ここは『リプレイ』か」
男「生前の記憶を振り返ることができるのか」
男「そうだ、ここで殺したことを覚えていない2人が誰か確認しよう…………」
……数十時間後
男「…………」
男「……これで最後の1人……やっぱり341人だけだ……」
男「一体、誰なんだ、残りの2人は」
男「…………!」
男「……妊婦、妊婦か……? あっ、あああ」
男「もしかして、あいつ、あの女……」
昔、俺と同じ人間がいた。
人を殺すことに呵責を感じず、さながらライフワークのように殺人を行っていた俺と同じ人間……だが一つだけ違うところがあった。
そいつは男の俺とは違い、女だった。
運命の悪戯だろうか、必然か、偶然か、俺たちは出会った。ある日の夜、ふと人を殺そうと思い一軒家に入った時に、ばったりと。
そいつも同じ目的で他人の家に入り込んだらしい。他人の家の中で俺たちは共感し、そのあと二人で住人を殺した。
この出会いのあと、ずっと二人で人殺しを続けていた。
そして俺たちは、やがて互いの身体を貪るようになっていった。
そいつを殺そうとは思わなかった。
俺が自殺しなかったのと同じ理由だ。俺と同じ人間を殺そうとなんてつゆほどにも思わない。
だが、奴は変わった。
変わってしまった――俺と同じ人間から、俺とは違う、殺人対象に。
だから殺した。
あいつは最後、ナイフを振るう俺に必死に抵抗して、でも死んだ。
なんであいつが変わったのか、そのときの俺はまるで気付かなかった。
でも今はわかる。
男「俺の、俺たちの子どもを……孕んでいたのか……」
それに気付いた瞬間、目から涙がこぼれた。俺のような人間にも人情があったというのか……俺がこんなになるんだ。あいつが『変わってしまっ』たのにも納得がいく。
俺は泣いた、もう取り戻せない幸せに悔いて。
男「出よう……」ガチャリ…
男「俺はあいつを殺すとき、一緒に子どもを殺していたのか……だから、343人……」
男「双子だったのかな……あるいはもう一人、妊婦を殺していたのかもしれない、な……」
男「最後は3番のドア、か」
男「入ろう……」
ガチャリ…
男「3番目の部屋……『アゲイン』……?」
男「この部屋では、自分が関わった既に死んでいる人間と出会えることができる……っ!」
男「あ、あいつとも、会えるのか……?」
男「…………」
男「俺は、あいつと会っても、いいのか……?」
男「あいつと、子どもを殺した、俺に……その権利が……?」
男「いや、権利とか、そんなものじゃない。……怖いんだ、あいつに何を言われるかが……」
男「……」
男「…………」
男「…………会おう、あいつと、子どもに……」
男「あいつと、俺たちの子どもに、会わせてくれ……」
男「…………あっ」
女「……」
男「……ひさしぶり」
女「ああ……お前か」
男「子どもは……?」
女「私の腹の中に、まだ」
男「そうか……」
男「すまない……すまなかった!」
女「……」
男「せっかく、せっかく幸せを掴めたのに、二人の幸せを、得られそうだったのに……! これが、これが殺人鬼の末路……!? なんで、なんで俺は人を殺す……殺したあ!? ごめんごめんごめん、すまないすまないすまない」
男「あああっ、なんで、なんでえ……」
女「……私はさ、いや、私たちはさ、生まれ変わろうと思ってるんだ」
男「え……?」
女「たださ、転生するにしてもまずはここでお前に会わないとなと思ってね」
男「それは……」
女「色々と思うことはお互いにあるけどさ……たしかに私はお前のことが許せない、けれどもあれが殺人鬼に相応しい末路だと思ってる自分もいて、それでもお前のことがやっぱり好きで子どもと三人で幸せになりたいという思いも強い」
女「というか、それが一番だ」
女「結局は自分が一番可愛いんだろうな。殺した奴等にはすまないとは思っているけれど、やっぱり幸せになりたい」
男「…………」
女「なあ、一緒に生まれ変わろう。そして来世では、普通の人間になって二人で出会って、そしてこの私のお腹にいる子どもをもう一度孕んで、そして普通の家族になろう」
女「ほら……ここを出て最初にいた場所に戻るんだ。あそこに4番目の扉が出来ているはずだ。そこを開けば転生できる」
男「ありがとう……わかった」
女「……それじゃあ待ってるよ…………」
男「…………行こう」
男「……いや、もう一人、会わないと」
男「俺が殺したことを知らない……もう一人に……」
男「……俺が知らない、殺したもう一人に会わせてくれ……」
女性「…………」
男「……あなたが……」
男「……今更ですが俺は……あなた、あなたたち、にっ!」ガシィッ!
男(首を、掴まれ……仕方ない、仕方ないよな……これは)
女性「……お前を生まなければッ!」
男「……っ!?」
女性「お前を生まなければ私は死ななかったァ!」
男「……なっ!」
男「ま、まさ……か」
男「母さん……なのか!?」
俺が初めて殺人を犯したのは17歳だった。殺したのは見知らぬオジサンだった。
だから俺はそれ以前に人など殺していないだろうと踏んで17歳の時点から殺人の記録を見始めた。
だがそれは誤りだった。
俺が初めて殺人を犯したのは17歳のある日ではなく――0歳、それも産まれた瞬間だった。
母「お前が産まれたせいで私は死んだァ!」ギュウウウウ
男(母の姿は写真でも見たことがなかった……今目の前にいるこの人の姿は俺よりも若い……死んだ時の姿のまま、ここで俺を待っていたのか)
男(ああ……幽霊でも首を絞められれば気分が悪くなるんだな……この部屋の扉が、遠い……)
男(…………あぁ……)
男(俺はもうこのまま意識を失って、あの扉にたどり着くことはできないんだな……あいつとの約束も果たせない……)
男(…………すまない)
母「お前は! お前はッ!」
?「うおおおおおおおおおッッッ!」
母「!?――ゲヒッ!」ドガァ
男「なっ!?」ドサッ
女「ほら! 行くぞ!」ガシィ
男「おおおっ!?」
母「……っ! 待てッ! 待て!」
女「待つかよ!」タタタッ!
女「お前もしっかり走ろ!」タタタッ!
男「あ、ああ!」タタタッ!
――ギィ ガチャン!
女「はあっ! はあ、はあ……逃げ切れたな……」
男「っ……眩しっ……ここってこんなに明るかったか……?」
女「さあね、私が最初にここに来たのはもう何年も前だからな……というかお前、なんであんなことになってたのさ……私がなんとなく様子を見に来たからいいものを……」
男「すまんね……っと、奥の道にドアが……あれが生まれ変わるために通る道……?」
女「ああ、そうだ。せっかくみんな揃ってここにいるんだ。一緒に行こうぜ」タッタッ…
男「そうだな…………これが4番目の扉……『リンカーネーション』」
女「さて、ここを通れば私たちは別々に生まれ変わる。どこで、それにいつ生まれ変わるかもわからない。二度と出会えるかもわからない」
男「要は神頼み、か……」
女「そうだな。けれどもここで立ち往生したってつまらないだろ?」
男「それもそうだ。それじゃあまたお前に出会えることを願って」
男「そして……お前にもな」スッ
女「ふふ……」ニッ
女「……よし。それじゃあ、また会おう」ギィ
男「おう、それじゃあ、また」スッ
ギギギ…
ガチャン!
~おわり~
元スレ
男「死後の世界?」死刑囚A「ああ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1444470381/
男「死後の世界?」死刑囚A「ああ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1444470381/
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何ひとつ償ってねぇ、そんな人間に幸せになる権利なんぞ与えられちゃいけねぇ
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- 2015年10月11日 12:18
- ※8
まー、人間はどこまでいっても人間だからなぁ。それ以上でもそれ以下でもない。自分がどんな人生を歩みたいか、どんな風に思うかは個人の自由だからな。
たとえ、犯罪者であっても幸せになりたいと思うのは個人の自由。心までは誰にも束縛されないし、されるべきではない。仮に、俺の大切な人を殺した犯罪者が幸せになりたいと思っても、それは非難しない。人間はそういう生き物だし、思うだけなら自由さ。
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- 出だしは良いけど
それだけだな
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- 2015年10月11日 13:51
- 伝説って?
ああ!