犬娘「ご主人様は働かない」
- 2015年09月16日 23:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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犬娘「ご主人様ー!」
男「……どうした」
犬娘「ナデナデしてください!」ダキッ!
男「はいはい」ナデナデ
犬娘「……♪」しっぽフリフリ
男「はぁ。お前はいいよなぁ」
犬娘「?」
男「そうやって愛想振りまいてればメシ貰えるんだから」
犬娘「? どうかしましたか、ご主人様」
男「かーちゃんがさぁ、さっさと仕事見つけないと追い出すわよ、って」
犬娘「……ご主人様、追い出されてしまうですか」
男「……」
犬娘「ボ、ボクからもお願いしてみます! お母様に追い出さないでください、って」
男「いいよ、お前がそこまでしなくても」
犬娘「でも……」
男「はぁ……。俺も人間じゃなくて、お前みたく生まれたかったよ」
犬娘「……ってことがあったんだけど。どう思うかな、ポチ君」
ポチと呼ばれた犬「どう思うも何も」
犬娘「うん」
ポチ「それは君の飼い主が悪いでしょ。人間って言うのは働かないといけないんだ、僕らと違って」
犬娘「やっぱりそうなのかなぁ……。ご主人様もそう言ってた……」
ポチ「働かない人間なんて、かわいくない犬と同義さ。
僕らは人間にかわいがられないと生きていけない愛玩動物なんだから」
犬娘「……」
ポチ「君の飼い主のお母さんも別に間違ったことは言っていないよ」
~道端~
犬娘(やっぱりそうなのかな。働かないと生きていけないって)
「いらっしゃいませー!」
犬娘「こんびにの店員さんも一生懸命働いてる……」
「おでん70円セール中でーす!」
犬娘「そうだ!」
犬娘「私も働いてみよう!」
コンビニの店員「いらっしゃい。あら、お買い物のお手伝い? 偉いわね」ナデナデ
犬娘「くぅん♪ ……じゃ、なくて!」
店員「?」
犬娘「ボク、ここで働きたい!」
店員「うーん……。ワンちゃんはみんなにかわいがられるのがお仕事なのよ?
別に人間と同じように働かなくても……」
犬娘「でも……ボク働いてみたい……」ショボーン
店員「ちょ、ちょっと待っててね。店長に聞いてきてあげるから、元気出して」タタタッ
犬娘「! うんっ!」
店長「そっかそっか。君のやる気は分かったよ」
犬娘「じゃあ!」
店長「ああ。ちょうど小さな制服が余ってたから。お店の外を掃き掃除してもらえるかな?」
犬娘「うんっ! ボクがんばるよ!」フリフリ
店員「あらあら。良かったわね」ナデナデ
犬娘「うんっ!」
店長「じゃあこれホウキとチリトリね。やり方は……分かる?」
犬娘「お母様がやっているの毎朝見てるから! 大丈夫!」
「ねえ見てよ。あの子可愛い」
「どれ? ああ、ほんとだー」
犬娘「おそうじ……がんばらねば……」ザッ……ザッ……
「がんばってるね、君」ナデナデ
犬娘「ひゃんっ……。が、がんばってます……」
「あ、そうだ。ここでちょっと待っててね」ガー
イラッシャイマセー
犬娘「?」
「お待たせ。これあげるね」スッ
犬娘「あ、ビーフジャーキー!」フリフリ
「こういうの食べられる?」
犬娘「はいっ! 大好物なのですっ!」
「良かった。じゃあね」
犬娘「も、もらってしまっていいのですか?」
「ええ。君頑張ってるから、ご褒美」
犬娘「ありがとうございます! なのです!」
『おう、ちっこいのに頑張ってんな。これやるよ』
『お嬢ちゃん偉いわねぇ。これお飲みなさいな』
『これあげるよぉ。おいしいから』
犬娘「なんだかたくさんいただいてしまいました……」
店長「お疲れさん。もう綺麗になったからそれくらいでいいよ」
犬娘「うんっ。きれいになった!」
店長「ありがとうね」
犬娘「こちらこそ働かせてくれてありがとう! 勉強になりましたっ!」ペコッ
店長「じゃあ、これ今日のお給料……」
犬娘「また来るね! バイバイ!」タッタッタッ……
店長「あ、ちょっと……」
店員「あら。店長どうしたの? ハトが豆鉄砲食らったような顔して」
店長「あの子……給料受け取らずに帰っちゃった」
店員「まぁ……。でもいいんじゃない? お客さんに色々ともらってたみたいだし」
店長「……あの子のおかげで随分売り上げ伸びたなぁ」
店員「ふふっ。また働きに来てくれるといいわね」
犬娘「ご主人様ー!」
男「……」
犬娘「……? 元気ないですね……?」
男「……別に。また母ちゃんに小言言われちまったよ」
犬娘「それはそれは……。あ、そうだ!」
男「?」
犬娘「これあげるから元気出してください!」
男「ど……どうしたんだよ……こんなに……。お前まさか……盗って来たのか……?」
犬娘「ボクはそんなことしませんよぉ! 全部いただきものですっ!」
男「ビーフジャーキー、チキンステーキ、スペアリブ、鯖の塩焼き、鮭おにぎり、カツサンド、
ホットドッグ、くんさき、ポテチ、コーラ、牛乳、ヤクルト……」
犬娘「持って帰るのが大変でした!」
男「もらった、って……お前いったい何したの?」
犬娘「こんびにで働いてきたんです!」
男「働いてきた……?」
犬娘「はいですっ! お店の前おそうじしてたらお客さんが色々くれたんです。
それはボクのお給料なのです」
男「……」
犬娘「ボクたくさんがんばりました! 褒めてください、ご主人様っ!」フリフリ
男「なるほど、ね」
犬娘「っ♪」
男「……俺へのあてつけか。お前ふざけんなよ」
犬娘「え……」
男「仕事してきた、だ? 違うだろ。そうやって色々もらえたのもお前がちっこいからだ。
犬だからだ。愛玩動物だからだよ」
犬娘「ご主人様……?」
男「俺が働いてないのを馬鹿にしてんだろ? そうだよな?」
犬娘「違っ……違いますよぅ……。ボクはただ……」
男「ペットのくせに偉そうな口を聞くなっ!」ガッダーンッ!!!
犬娘「っ!!!?」ビクゥッ!
男「なんだ、母ちゃんに入れ知恵でもされたんか。俺を働かせるために」
犬娘「……」
男「ふざけてんじゃねぇぞ……。寄ってたかって人を小馬鹿にしくさりやがって……」
犬娘「ボクは……」
男「出てけ。お前の顔なんて見たくない」
犬娘「ごめんなさい……。ごめんなさい……」ポロポロ
男「出てけって言ってんだろッ!」ガンッ!
犬娘「っ!!!」ビクッ!
男「……出てけ」
犬娘「分かりました、出て行きます……。ご主人様ごめんなさい……」
男「……」
犬娘「でも分かってください……。ボクはただ……ご主人様に褒めてもらいたくて……」
男「……」
犬娘「ご主人様の喜んでる顔が見たくて……ただそれだけで……。
ごめんなさい……。ごめんなさい……」ガチャッ
男「……」
男「……ちょっと言い過ぎたかな」
母親『ちょっと!? あんた犬娘ちゃんに何言ったの!?」
男「ちっ……。うっせぇババア! いちいちでけぇ声だすなや!」ドンッ!
母親『犬娘ちゃん泣いてたわよ!』
男「……ほんとにうっせぇな」
母親『まったくもう……』ブツブツ
男「そういや犬娘のやつ……コンビニで働いたとか言ってたな……。
コンビニ……か。駅前のやつかな」ピッ
犬娘「うわああああああん……っ。あああああん……っ」ポロポロ
ポチ「いい加減元気だしなって。君の飼い主だって今頃言い過ぎたって反省してるよ」
犬娘「ボクが悪いんです……。ボクが悪いのですぅ……!」ポロポロ
ポチ「別に君は悪くないって」
犬娘「……ううん。ボク、ご主人様の気持ちなんて何も考えてなかった」
ポチ「……」
犬娘「ただ褒められたいからって、自分のことしか考えてなかった」
ポチ「そんなの当たり前だよ。君は犬なんだから」
犬娘「ごめんなさいご主人様……。ご主人様ぁ……っ! わああああん……っ!」
ポチ「もう……」
店員「いらっしゃいませー!」
男「あの……エット……」
店員「? おタバコですかぁ? 番号でお願いします」
男(あれ……話通ってねぇのか……?)
「イエ……その、面接を……」
店員「あ、バイトの。話は聞いてますよ。こっち、事務所の方来てください」テクテク
男「あ、ハイ……」
(話聞いてんだったら言う前に察しろや。使えねぇ女だなおい)
店長「君、ほんとに接客業やったことあるの?」
男「あ……その……」
店長「うん」
男「ここを受ける前に……3年ほど飲食店で……」
店長「ねぇ。それ嘘でしょ」
男「え……」
店長「全然元気ないじゃん。そんなので接客できると思う?」
男「イエ……本当……ほんとうです……」
店長「ま、いいや。なんでそこは辞めたの?」
男「あ……飽きちゃいまして」
店長「飽きちゃったからって辞めたんだ?」
男「あ、ハイ」
店長「仮に君を雇ったとしてさ。
ここも飽きちゃったからで突然辞められたらこっちとしてはたまらないんだけど」
男「イエ……ここではそんなことは無いと思います……」
店長「なんでそう言い切れるの?」
男「あの……その……」
(なんだこりゃあ……。これが噂の圧迫面接とか言う奴か……? ふざけやがって糞……)
店長「ま、いいや。今ちょうど人手が足りなくてね。猫の手も借りたいくらいなんだ」
男「あ……じゃあ……?」
店長「一応採用してあげるけど。その元気のなさと、覇気の無い見た目は何とかしてよ、頼むから」
男「わ……分かりました……」
(なんだよ『覇気の無い見た目』ってのは……。抽象的なこと言ってんじゃねぇぞ低学歴が……)
店長「とりあえず研修って形で一月雇うから。そこでダメだって判断したら、契約更新はしないからね」
男「ありっ……ありがとうございます……」
(てめぇがそんなんだから人手が足りてねぇんじゃねぇのか……。
ふざけてんじゃねぇぞ……雇われ店長の分際でよぉ……)
犬娘「ポチ君! 聞いて聞いて!」
ポチ「どうしたの、慌てちゃって」
犬娘「慌てずにはいられないよっ! なんと、ご主人様がようやく働きだしたのですよ!」
ポチ「へぇ。良かったじゃない」
犬娘「うんっ! ボクもうれしい!」
ポチ「これでまたご主人様と一緒に遊べるね」
犬娘「うんっ!」
ポチ「良かったね」
犬娘「ありがとう!」
店長「あー! そこは違うってさっきも言ったでしょ!?」
男「す……すいません……」
チョットー ハヤクシテヨー
店長「すいませんっ! ……ここは俺がやるから。君はバックヤードでドリンクの品出しでもやってて」
男「分かりました……」スタスタ
(偉そうにしてんじゃねぇよ……)
店員「ふんふふんふふーん♪」ガチャガチャ
男「……」
店員「ふんふ……うわっ!? びっくりしたぁ……」
男「あ……」
店員「ちょっと! いるならいるって言ってよ! 急に現れたら驚くじゃない!」
男「アノ……すいません……。店長にこっちやれって言われて……」
店員「ふーん……? まぁいいわ。教えてあげるから一回で覚えてね」
男「あ、ハイ」
(年下なんだから敬語使えよ糞女が……チャラチャラしやがって)
店員「ねぇ! あなた!」
男「……?」
店員「またここの商品間違ってるじゃないの! ちゃんとラベル確認しなさいよ!」
男「え……でも同じビール……」
店員「違うでしょ!? こっちはノンアルコールなの!」
男「……」
店員「見た目が似てても違う商品があるんだから! 適当にやらないでしっかり確認して!」
男「……すいません」
(糞が……偉そうに説教垂れやがって……)
男(疲れた……)ガチャッ
犬娘「ご主人様っ! お帰りなさい!」ピョンッ
男「……」
犬娘「お仕事お疲れ様です! 出勤初日はどうでしたか!?」
男「別に……あんなの適当だよ……」
犬娘「すごいです! さすがご主人様ですねぇ!」
男「……」
犬娘「お母様も言う通り、ご主人様はやればできるんですから!
その能力を世の中のために使わないともったいないですよ!」
男「そうだな……」
犬娘「ご主人様ご主人様っ!」
男「何?」
犬娘「ナデナデしてくださいっ!」
男「……」
犬娘「……」ニコニコ
男「はいはい……」ナデナデ
犬娘「っ♪」フリフリ
店長「もう! 何度言ったら分かるんだ君は!?」
男「スマセン……」
(でけぇ声出すんじゃねぇよ。ちょっとミスっただけじゃねぇか)
店長「ああ……君といるとストレスで胃が痛くなるよ」
男(こっちのセリフだボケ)
店長「次ミスしたら……分かるよね? しっかりやるように」
男「ハイ……」
店長「返事は大きく!」ドンッ!
男「はいッ!?」
(死ねよ体育会系が……)
男(もう嫌だ……もう働きたくない……)ガチャッ
犬娘「ご主人様お帰りなさい! お仕事お疲れ様です!」
男「……ああ」
犬娘「今日のお仕事はどうでしたか?」
男「……」
犬娘「? 今日のお仕事は」
男「うるせぇな! 家でまで仕事の話したくねぇんだよ!」ドガァンッ!
犬娘「……っ!!!」ビクッ!
男「疲れてんだよ! 休ませてくれよ!」
犬娘「ご……ごめんなさい……」
男「ちっ……」ゴロンッ
犬娘「ボク……ご主人様だったらあれくらいの仕事簡単だと思って……」
男「……」
犬娘「疲れてると思わなかったんです……。ごめんなさい……」
男「……」
犬娘「……」
男「何が、分かるんだ?」
犬娘「え」
男「お前に俺の仕事の何が分かるんだよッ!」ドンッ!
犬娘「……っ!」ビクッ!
男「聞いたら、お前は店の前掃き掃除してただけらしいじゃねぇか!
その程度なら俺だって簡単にできるんだよ!
仕事がどういうものかすら分からないくせに……偉そうな口聞くんじゃねぇ!」
犬娘「ごめっ……ごめんなさいぃぃ……」ポロポロ
男「ちっ……」
ポチ「それで、また家を飛び出してきたのか」
犬娘「うん……。またボク失敗しちゃった……」
ポチ「君は悪くないよ」
犬娘「ポチ君。でも、またご主人様怒ってた」
ポチ「そういうときもあるさ。人の心って言うのは難しい」
犬娘「……ボク、ご主人様に捨てられちゃうのかなぁ」
ポチ「そんなわけないでしょ。今日はちょっと虫の居所が悪かっただけだよ。
明日になったらケロッと忘れて、また君の頭を撫でてくれるはずさ」
犬娘「そう……だといいんだけど」
店長「だからさぁ……」
アーダコーダ ガミガミ
男(しつけえな……。説教くらい早く終わらせろよ……)
店長「君、聞いてるの!?」
男「ハイ……聞いてます……」
店長「返事は大きくって言ってるだろう!?」ガンッ!
男「……っ! は、はい」
店長「……まったく。やる気ないみたいだから即クビにしてやりたいんだけど、
一月は様子見るって契約だから仕方なく雇ってやってるんだよ?
そこんとこ分かってる?」
男「……はい」
店員「あー、またやってる……」
男「……」ガチャガチャ
店員「ちょっと! だからそれ違う商品だって何度も言ってるでしょ!?」
男「ちっ……」ガチャガチャ
店員「はぁ。何度言っても覚えやしない。こんなことなら犬娘ちゃんがウチで働いてくれたら良かったのに」
男「……」ピタッ
店員「サボってないで手動かしなさいよ。……あんたが入るちょっと前だったけどね、
犬娘ちゃんが働いてくれてたのよ。あの子はあんたよりも働きものだったし、
物覚えも愛想も良かったからね。あんたの代わりに、あの子が来てくれれば良かったわ」
男「……」ガチャガチャ
犬娘「そうだ! ご主人様にプレゼントをあげよう!」
ポチ「プレゼント?」
犬娘「うんっ! 毎日お仕事頑張ってるから……。何をあげたら喜ぶかなぁ?」
ポチ「うーん。……ここからちょっと行った公園に、綺麗なお花が咲いていたけど」
犬娘「そうなんだ! じゃあ、ボクそれ取ってくる!」ピョンッ
ポチ「うん。頑張ってね。君の飼い主も喜ぶと思うよ」
犬娘「そうだといいなぁ! 行ってくるね!」タタタタタッ……
男「ふざけんじゃねぇぞ……糞ども……」ガチャッ
犬娘「あ、お帰りなさい! ご主人様!」
男「……」
犬娘「聞いてください! ボク……」
男「うるせぇな! また頭撫でられてぇとか抜かす気か!?」
犬娘「あ……。ち、違いますぅ! ボク……」
男「犬っコロの分際で調子乗りやがって……」
犬娘「違う……! 違うんです! 毎日お仕事頑張ってるご主人様のために……、
これ取ってきたんです! ボク……綺麗なお花……」
男「仕事の話はするなって言ってんだろうが!」グシャッ!
犬娘「あ……ああ……」
男「人間様と犬畜生は違うんだよ! 媚び売って可愛がられてるお前と一緒にするんじゃねぇ!」
犬娘「お花が……せっかく……取って来たのに……」ポロポロ
男「ちっ……。どいつもこいつも……」ゴロンッ
犬娘「お気に……召さなかったでしょうか……」
男「……」
犬娘「ごめんなさい……。ごめんなざぃぃいいい……っ!
あああああああんっ!!! うわあああああああんっ!」
男「うるっせえってんだよ! もう出てけよお前は!」
ポチ「それは……」
犬娘「……」
ポチ「君の飼い主は……とてもひどいことをするね……。せっかく君が取ってきたお花を……」
犬娘「違うよ……。ボクが悪いんだよ……」
ポチ「そんなこと……」
犬娘「お仕事のこと……良く分からないのに口出して……」
ポチ「じゃあさ」
犬娘「……?」
ポチ「行ってみたらいいじゃない。君の飼い主の職場に」
犬娘(ポチ君はああ言っていたけど……ご主人様に怒られないかな……)ガサッ
ダカラサァ…… ガミガミガミガミ……
犬娘(あ、ご主人様……?)
店長「聞いてるのかよ! お前は!」ドンッ!
男「……チス」
店長「……ったく。何度言っても分からないみたいだな、お前は」
男「……」
店長「もう辞めてくれ。頼むから」
男「でも……契約で……」
(ここ辞めたら家を追い出される……それだけは避けないと……)
店長「ああ。だから自主的に辞めてくれよ」
男「……」
店長「もう疲れたんだよ、お前に説教するのは。
言っても何も改善しない、ろくな反応も見せない……。
本当に同じ人間と話してるのかって疑問に思ってしまうんだ、お前と話してると」
男「……」
店長「だから辞めてくれよ。辞めろよ! なぁ!」
犬娘「やめてぇっ!」ガシッ!
男「犬娘……? なんでここに……」
犬娘「ご主人様をいじめないでっ!」
店長「ご主人様……? お前、この子の飼い主なのか?」
男「……」
犬娘「そうなんだよっ! ボクのご主人様はご主人様なのっ!」
店長「……」
男「お前……何しに来た……何しに来たんだ! 俺に恥をかかせに来たのか!」
犬娘「違いますよぅ! ボクは……ボクはご主人様のために……!」
男「ふざけるなっ! 犬風情に助けられる人間がどこにいる……?
お前のせいでとんだ赤っ恥だ!」
犬娘「でも……」
男「でもじゃねぇ! なんでお前は俺の考えてることを理解してくれねぇんだ!」
犬娘「……」
男「お前は……」
店長「おい」
男「へ」
店長「お前は犬娘ちゃんの気持ちが分からねぇのか!」ドゴォッ!
犬娘「ご主人様っ!」
男「痛てて……」
店長「お前を心配して来てくれたんじゃねぇか! それなのにお前は……」
犬娘「大変ですぅ……。血が出てしまって……」ペロペロ
男「……」
店長「お前がやってんのはただの八つ当たりだ!
普段はオドオドしてるくせにいきなりでけぇ声出しやがって……。
自分より弱いやつをストレス発散の道具にしてるただのゴミクズだ! お前は!」
犬娘「違うよっ! ご主人様はゴミクズなんかじゃない!」
店長「犬娘ちゃん。こんなやつかばってやる必要ないぞ。こんなクズ……」
犬娘「ご主人様は……ご主人様は、ボクを助けてくれたんだよぉっ!
保健所で処分されるのを待ってただけのボクを……救って……」ポロポロ
男「犬娘……」
犬娘「友達はみんな死んじゃった……殺されちゃったけど……!
ボクだけは……ご主人様のおかげでぇ……っ。だからご主人様は……ご主人様はぁ……っ!」
店長「……」
犬娘「ゴミクズなんかじゃない……。世界で一番の……ボクのご主人様なんだよぉっ!」
男「もういいよ。ありがとう、犬娘」ナデナデ
犬娘「ご主人様……?」
男「店長」
店長「……なんだ」
男「俺、心を入れ替えます。一生懸命働きます。だから、だから……もう一度、チャンスをいただけないでしょうか」
店長「本気か?」
男「はい! 本気です!」
店長「……ふん。今まで以上にみっちりしごいてやる。覚悟しとけよ」
男「……! はい! ありがとうございます!」ペコッ
店長「だからそこは違うって言ってんだろうが!」
男「はい! すみませんっ!」
犬娘(ご主人様……)
店長「レジ! 早く行って!」
男「はいっ!」
犬娘(顔つきが……昔に戻った……。
家にずっといるようになる前……大学ってところに通ってた頃みたいに)
男「いらっしゃいませー!」
犬娘「ふふっ。ご主人様……かっこいいです♪」
男「はー……。疲れた」ガチャッ
犬娘「お帰りなさいです! ご主人様っ!」
男「……犬娘。ちょっとこっちおいで」
犬娘「?」
男「今まで、ごめんな。それと」
犬娘「!」
男「今日は、ありがとう」ナデナデ
犬娘「礼には及びませんよ! ご主人様っ♪」
犬娘(ご主人様が家にいる時間が少なくなったのは寂しいけど……)
男「ただいまー」ガチャッ
犬娘「ご主人様っ!」フリフリ
男「ひとりぼっちにしてごめんな、犬娘」ナデナデ
犬娘「いえいえ♪」
男「……そうだな。今日は少し涼しいから、一緒に寝ようか」
犬娘「! 喜んで!」ピョンッ
犬娘(今まで以上にかわいがってくれて……ボクは幸せですよ、ご主人様)
終わり
元スレ
犬娘「ご主人様は働かない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1442385816/
犬娘「ご主人様は働かない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1442385816/
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コメント一覧 (26)
-
- 2015年09月16日 23:48
-
- 2015年09月16日 23:53
- 泣いた
-
- 2015年09月16日 23:57
- うーん…
-
- 2015年09月16日 23:58
- 全く、サテライトにはこんなどうしようもねぇクズ野郎しかいねぇんだから困るよなぁ。
-
- 2015年09月17日 00:37
- 男がまっとうになる理由としては弱すぎる気がする
悪くはないんだけどなんとも言えない感が(読者様並感)
-
- 2015年09月17日 00:50
- 影山かな?
-
- 2015年09月17日 01:21
- この男2、3日したら元たに戻るんじゃね?
-
- 2015年09月17日 01:28
- もっと主人の役に立つように自分自身を変えたくないか?
変わりたいのならばさあ、この石仮面を装着けるが良い…
-
- 2015年09月17日 01:48
- にーとは鉄拳で矯正、ちぃ覚えた
-
- 2015年09月17日 01:49
- コメント読んでるほうがおもしろいっていう
-
- 2015年09月17日 02:59
- 犬娘の健気さに対して男の改心描写が薄すぎる
でも犬娘が幸せになれたならそれでいいや(小並感)
-
- 2015年09月17日 04:00
- うーんしね
-
- 2015年09月17日 05:01
- 犬娘以外皆性格悪いなー
-
- 2015年09月17日 06:54
- 性格悪いのは男だけだろ…
正直何回教えても出来ないなら間違いなくクビですわ(ブーメラン)
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- 2015年09月17日 07:36
- ぶっちゃけ店長や店員も人様に文句言える立場かねえ・・・
自分の指導力の無さを疑えよ
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- 店長ブーメランですやん。
男が改心の理由弱すぎ
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- 2015年09月17日 12:35
- 返事もろくにできない奴を雇う理由はないわな……
-
- 2015年09月17日 16:19
- >>4
何度も何度もクズとばかり・・・
-
- 2015年09月17日 16:19
- >>4
何度も何度も屑とばかり…他に言葉を知らないのか?
-
- 2015年09月17日 17:08
- お前のようなクズは権力には逆らえねぇんだよ!権力の前にひれ伏せろ!
-
- 2015年09月19日 02:53
- ニートが殴られたくらいで改心するかよ
ソースはオレ
-
- 2015年09月20日 12:34
- 最後はウルっときた
理不尽な職場かなり増えたけど、頑張れよ