中島「俺が結婚してやんよ!」ワカメ「……!?」
ワカメ「所詮無理なんだよ」
ワカメ「もういいや、この夢」
カツオ「諦めんなよ!」
ワカメ「色々ありがとね」
ワカメ「なんでこんなことしてくれたの?」
カツオ「それは……」
カツオ「お前がやりたかったことだろ?」
カツオ「最後まで頑張れよ!」
ワカメ「ホームランなんて冗談みたいな夢だよ」
ワカメ「ホームランが打てなくてもこんなにいっぱい体動かせたんだからもう十分だよ」
ワカメ「毎日部活みたいで楽しかったなぁ」
ワカメ「言ったでしょ?あたし体動かせなかったから」
ワカメ「だから、すごく楽しかった!」
カツオ「……じゃあ、もう全部叶ったのか?」
ワカメ「叶う?何が?」
カツオ「その、体動かせなかった時にしたかったこと」
ワカメ「ああ、もいっこあるよ……」
ワカメ「結婚!」
カツオ「えっ……」
ワカメ「女の究極の幸せ」
ワカメ「でも家事も洗濯もできない」
ワカメ「それどころか、一人じゃなんにも出来ない迷惑ばかりかけてるこんなお荷物」
ワカメ「誰が、貰ってくれるかな」
ワカメ「神様って酷いよね」
ワカメ「あたしの幸せ、全部奪っていったんだ」
カツオ「そんなこと……ない……」
ワカメ「じゃあ、お兄ちゃん、私と結婚してくれますか?」
カツオ「えっ……」
カツオ「それは…………」
中島「俺がしてやんよ!」
ワカメ「!?」
カツオ「中島……」
中島「俺が結婚してやんよ!」
中島「これが……俺の、本気だ」
ワカメ「そんな……」
ワカメ「先輩は、ほんとのあたしを知らないもん……」
中島「現実が、生きてた時のお前がどんなでも」
中島「俺が結婚してやんよ!」
中島「もしお前が、どんなハンデを抱えてても」
ワカメ「ワカメ歩けないよ?立てないよ?」
中島「どんなハンデでもっつったろ!!」
ワカメ「っ……!!」
中島「歩けなくても、立てなくても、もし、子供が産めなくても!」
中島「それでも、俺はお前と結婚してやんよ!」
中島「ずっとずっと、そばにいてやんよ」
中島「ここで出会ったお前は、ワカメの偽者じゃない、ワカメだ」
中島「どこで出会っていたとしても、俺は、好きになっていたはずだ」
中島「また60億分の1の確率で出会えたら」
中島「そん時もまた、お前が動けない身体だったとしても」
中島「お前と結婚してやんよ」
ワカメ「出会えないよ……」
ワカメ「ワカメ、家で寝たきりだもん」
中島「俺、野球やってるからさ」
中島「ある日、お前んちの窓をパリーンって打った球で割っちまうんだ」
中島「それを取りに行くとさ、お前がいるんだ」
中島「それが出会い」
中島「話するとさ、気があってさ」
中島「いつしか毎日通うようになる、介護も始める」
中島「そういうのはどうだ?」
ワカメ「うん……」
ワカメ「……ねえ、そん時はさ」
ワカメ「あたしをいつも一人でさ、頑張って介護してくれた……私のお母さん」
ワカメ「楽にしてあげてね?」
中島「……まかせろ」
ワカメ「……よかったぁ」
ワカメ「」スッ
カツオ「……よかったのか?」
中島「よかったさ」
カツオ「……」
カツオ「お前は……これからどうする……?」
中島「俺も最後まで付き合うさ」
中島「まだまだ心配なやつらが残ってるからな」
カツオ「そうか……」
――――――
――
俺たちは歳を取らなければ学年も上がらない。
この世界は報われない人生を送って死んでしまった小学生の来る場所だ。
ここで青春を過ごし、前世への未練を断ち切って新たな人生へ旅立つ。
かもめ第三小学校の生徒の一部だけが主体性を持つ人間。それ以外は全員NPC。
父さんも母さんも、姉さんもマスオ兄さんもタラちゃんも……みんなプログラムだった。
最初に消えたのは早川さん。彼女は体育館で自作の歌を歌い、そして旅立った。
俺には前世の記憶がなかったが、ある日思い出す……
俺にはヒトデという妹がいた。ヒトデは病弱で早くに死んでしまうが俺に生き甲斐を教えてくれた。
引き籠りだった俺は、ヒトデのおかげで学校に行き始め、成績もみるみる上がっていった。
しかし電車事故でトンネルに閉じ込められ、生きた意味をドナーカードに託し死んだのだ。
ワカメが旅立った後、橋本、西原、ワカメの友達のスズ子、ミユキも未練を断ち、消えて行った。
残ったのは俺を含めた5人。俺たちは最後に卒業式をして、新しい人生を迎えようとしていた……
カツオ「卒業生、退場!」
堀川「お兄さん……」
堀川「お兄さんに出会えてなかったら、僕はずっと報われなくて……」
堀川「でも僕はもう迷いません」
堀川「ありがとうございました!」
カツオ「ああ、もう行け」
堀川「ありがとう……ございます」
堀川「」スッ
中島「……行ったか」
カオリ「花沢さん……もうお別れだね」
花沢「うん」
カオリ「さようなら、花沢さん……」
カオリ「じゃあね」
カツオ「ああ、ありがとな、カオリちゃん」
中島「お疲れさん」
カオリ「うん、じゃあまたどこかで!」
カオリ「」スッ
カツオ「……」
花沢「……」
中島「まあ俺だわな、順番的に言って」
カツオ「いや、俺でもいいぜ」
中島「何言ってんだよ!花沢さん残して先に行くなよ」
中島「俺が行くって」
カツオ「そうか……」
中島「ああ、俺が行くよ」
中島「色々ありがとな」
中島「お前がいなけりゃ何も始まらなかったし、こんな終わりも迎えられなかった」
中島「感謝してる」
カツオ「たまたまだよ」
カツオ「よく考えたら俺、ここに来ることはなかったんだよな」
中島「……どういうことだ?」
カツオ「俺はちゃんと最後には報われた人生を送っていたんだ」
カツオ「その記憶が閉ざされていたからこの世界に迷い込んできた」
カツオ「それを思い出したから、報われた人生の気持ちをこの世界で知ることができた」
中島「そうだったのか……本当に特別な存在だったんだな磯野」
カツオ「だからみんなの力になれたのも、そういうたまたまのおかげだったんだよ」
中島「そっか……」
中島「まあ長話もなんだ」
中島「じゃ行くわ」
カツオ「ああ、逢えたらワカメにもよろしく」
中島「おう、運は残しまくってるはずだからな」
中島「使いまくってくるぜ!」
カツオ「ハハハ」
中島「おしっ!」
中島「じゃあな、親友!!」
中島「」スッ
カツオ「……」
花沢「……」
カツオ「えーっと……どうだった卒業式?」
カツオ「楽しかったか?」
花沢「うん、すごく」
花沢「でも最後は寂しいのね」
カツオ「でも旅立ちだぜ?みんな新しい人生に向かって行ったんだ」
カツオ「いいことだろ?」
花沢「そうね」
カツオ「あのさ……外に出ねえ?」
カツオ「ちょっと風に当たりたいかなって」
花沢「……うん」
○
カツオ「……」
花沢「……」
カツオ「あのさぁ、花沢さん……」
カツオ「ここに……残らないか?」
花沢「えっ?」
カツオ「何か急に思いついちまった」
カツオ「だってさ、またカオリちゃんや中島のように報われない人生を送ってここに来てしまう奴がいるってことじゃん」
花沢「そうね……」
カツオ「そいつら、またカオリちゃんたちのようにここに居付いちまいかねない」
カツオ「ここでずっとさ、苦しんで、生きることに抗い続けるかもしれない」
花沢「そうね」
カツオ「でもさ、俺たちが残っていたらさ」
カツオ「そいつらに今回のようにさ、生きることの良さを伝えてさ」
カツオ「卒業させてやることができる」
カツオ「もしかしたら、そういう役目のために俺はここに来たのかもしれない」
カツオ「だからさ……」
カツオ「一緒に残らないか?」
カツオ「花沢さんがいてくれたらさ、こんな世界でも俺は寂しくないから」
カツオ「前にも言ったかもしれない、俺はお前と一緒に居たい」
カツオ「これから先も居続けたい……」
カツオ「だって俺は花沢さんのことが……こんなにも……好きだから」
カツオ「……好きだ」ギュッ
花沢「…………」
カツオ「どうして、何も言ってくれないんだ?」
花沢「言いたくない……」
カツオ「どうして?」
花沢「今の想いを伝えてしまったら、私は消えてしまうから」
カツオ「どうして……?」
花沢「だって私は、ありがとうをあなたに言いに来たんだから……」
カツオ「どういう……ことだよ!?」
花沢「私はあなたの心臓で生き長らえることができた女の子なの」
カツオ「っ……!?」
花沢「今の私の胸ではあなたの心臓が鼓動を打っている」
花沢「ただひとつの私の不幸は、私に青春をくれた恩人にありがとうを言えなかったこと」
花沢「それを言いたくて、それだけが心残りでこの世界に迷い込んだの」
カツオ「そんな……」
カツオ「で、でもどうして俺だってわかった?」
花沢「最初の一刺しで気づけた」
花沢「あなたには心臓がなかった」
カツオ「あっ…………」
カツオ「でもっ……それだけじゃ……!」
花沢「あなたが記憶を取り戻せたのは私の胸の上で夢を見たから」
花沢「自分の鼓動の音を聞き続けていたから」
カツオ「そんな…………」
花沢「磯野くん、お願い」
花沢「さっきの言葉、もう一度言って」
カツオ「そんな……嫌だ……」
カツオ「花沢さんが……消えてしまう……」
花沢「磯野くん、お願い!」
カツオ「そんなこと……できない!」
花沢「磯野くんっ!!」
カツオ「っ…………」
花沢「あなたが信じてきたことを、私にも信じさせて」
カツオ「うっぅぅっ…………」
花沢「生きることは、素晴らしいんだって」
カツオ「くっ……ぅうっ……ぅぅぅ…………」
花沢「磯野くん」
カツオ「花沢さん、愛してる……」
カツオ「ずっと一緒にいよう」ギュッ
花沢「うん、ありがとう、磯野くん」
カツオ「ずっと……ずっと一緒にいよう」
花沢「うん、ありがとう」
カツオ「愛してる、花沢さん……」
花沢「うん、すごくありがとう」
カツオ「花沢さぁん…………ぅぅぅ…………」
花沢「愛してくれて、ありがとう」
カツオ「消えないでくれ…………」
カツオ「花沢さん…………花沢さぁん…………」
花沢「命をくれて……本当に……」
花沢「ありがとう」
カツオ「あっ」
カツオ「あっあっあっあっあっ……」
カツオ「ハアハアハアハア…………はっ…………はっ…………」
カツオ「花沢さぁぁぁぁぁああああああああああん!!!!!!!!!!」
――――――――
――
巡って流れて 時は移ろいだ~♪
もう何があったか 思い出せないけど~♪
目を閉じてみれば みんなの笑い声~♪
なぜかそれが今~♪
一番の宝物~♪
~~~~~♪
~~~♪
~♪
女「大きな空を眺めたら~♪」
男「…………っ!?」
転載元
中島「俺が結婚してやんよ!」ワカメ「……!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1439308004/
中島「俺が結婚してやんよ!」ワカメ「……!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1439308004/
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コメント一覧 (28)
-
- 2015年08月13日 13:18
- わかんねー
-
- 2015年08月13日 13:22
- 花沢はcv花澤香菜か…
-
- 2015年08月13日 13:25
- ほとんどまんまでなんの工夫もない糞スレだわ
-
- 2015年08月13日 13:29
- AAクソワロタ
-
- 2015年08月13日 13:30
- AB!懐かしすぎでしょ
-
- 2015年08月13日 13:43
- 唐突な家のAAで草生えた
-
- 2015年08月13日 13:45
- ラストのカツオの儚げな表情で泣いたわ
-
- 2015年08月13日 13:47
- ワロタ
-
- 2015年08月13日 14:22
- 懐かしいな
エンジェルビーツって結局ゲーム発売したのかな
-
- 2015年08月13日 14:26
- ABをバカにされた気分
-
- 2015年08月13日 14:47
- クッソワロタ
-
- 2015年08月13日 16:14
- いいね!
-
- 2015年08月13日 16:42
- 愛は感じられました
-
- 2015年08月13日 16:55
- 花沢さん違いだろ!
立花奏(CV.花澤香菜)
-
- 2015年08月13日 18:31
- 堀川がキチじゃない、0点
-
- 2015年08月13日 19:31
- 8点
-
- 2015年08月13日 19:47
- TKは誰になるんですかね…
-
- 2015年08月13日 19:59
- わけワカメ
-
- 2015年08月13日 20:10
- AGの台詞と全く同じなのに、名前違うだけでシュール感が凄いな。
天使を花沢さんしたのは笑ってしまった。CV:花澤香菜だもんな。
-
- 2015年08月13日 21:05
- えっ?なにこれ?
-
- 2015年08月13日 21:12
- 改めて最終回の音無はダメな主人公だと思うわ
-
- 2015年08月13日 21:14
- これはゴミっすわ
-
- 2015年08月14日 00:31
- うきえさん「浅はかなり…」
-
- 2015年08月14日 07:19
- 流石に名前変えるだけとは思わなかった
少しくらいはヒネレや
-
- 2015年08月14日 08:08
- せっかくの泣ける名シーンが台無しにw
-
- 2015年08月14日 16:09
- 泣いた
-
- 2015年08月14日 22:48
- お、おう…(何だこれ)
-
- 2015年09月11日 11:13
- Angel Beats!かよ