男「よりによって最後の村に生まれてしまった」
男「もう冒険をするしかない」
―最果ての村エンドナ 高台の上、男の家―
母「起きなさい、男よ」
男「おはよう母さん」
母「男よ、あなたも今日で16歳の誕生日。冒険に旅立つ時が来たのです」
男「えっ」
母「まずは長老に挨拶にいきなさい」
男「ちょっとまってここ最果ての村なんだけど」
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「ちょっとまって村一歩出たらすごい名前の魔物が跋扈してるんだけど」
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「早くも固定セリフを吐く機械と化した。もうだめだ」
男「まさか16歳の誕生日がフラグになっていただなんて…」
男は裏庭の木の下を調べた。なんと階段を見つけた!
男「俺は知ってるんだ。自宅の裏に隠しダンジョンがある事も…」
―最果ての村エンドナ 男の自宅の下―
男は無造作に置いてあるタルを調べた。なんと、ガイアソードを見つけた!
男「自宅近くのタルに、ありえないくらい立派な剣が入っている事も…」
―最果ての村エンドナ 宿屋“開闢と終焉の混濁亭”―
亭主「いらっしゃい。一晩2750Gだよ。泊まっていくかね?」
男「宿屋の価格設定が終盤な事も…」
―最果ての村エンドナ 道具屋“賢人の御用達処”―
店主「いらっしゃい!何にするかね?」
すごいやくそう 500G
奇跡のやくそう 2500G
ばんのうやく 1000G
復活のくすり 5000G
男「やくそうも毒消しも売ってない事も…」
―最果ての村エンドナ 長老宅―
長老「四柱の台座に輝きの聖石がすべて供えられる時、魔界への扉が開かれるじゃろう…」
男「長老に話しかけても、終盤のイベントメッセージしか喋らない事も…」
―最果ての村エンドナ 星がよく見える丘―
男「どうすればいいんだ…あ、そうか。でも」
男はガイアソードをそうびした! こうげきりょく 2 → 196
男「おお、凄い。これなら俺でも…」
※装備を扱う必要能力値の基準に達していないので、本来の性能は発揮されません。
補正後の攻撃力 196 → 15
必要な筋力 150(現在の筋力 8)
男「がっかりだ。もうだめだ」
妖精「諦めないで!」
男「え、どなたですか」
妖精「あたしは勇者をサポートする妖精さん!あたしが来たからにはもう大丈夫!」
男「いや俺ただの村男Aなんだけど」
妖精「いいえ。他の勇者の資質を持つものが全て倒れてしまった今、希望はあなただけよ!」
男「どういう事だってばよ」
妖精「火の集落ブレイザ、水の都ウォーティス、風の谷ウィンダ、土の要塞グラン、
鉄の故郷アイロニア、雷の魔境サンディ、光の聖域ルクシア、闇の帝国ダーク、
その他もろもろの繋ぎの町たちの勇者すべては、ダンジョン内でロストしました」
男「えっ?ロスト?えっ?」
妖精「死亡よりも二段階ひどい状態よ。つまり消えてなくなった」
男「もうだめだ」
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「まあ、それは妖精さまね。紛れも無い勇者の証だわ。やはり男はお父さんの子ね」
男「セリフ変わった。だが俺の親父は鉱夫だ。もうだめだ」
妖精「私がパーティーに居る事でフラグが立ったのよ」
男「昨日まではみんな普通に喋ってくれたんだ。
でも今は犬ですら機械的に“わん!”って鳴くんだ。もうだめだ」
妖精「それは、世界があなたを勇者に仕立て上げ…じゃなかった、勇者に選んだのよ」
男「なんてひどい本音なんだもうだめだ」
妖精「まあまあ、いいじゃない。魔王退治して英雄になれるわよ?」
男「なんだか凄そうな出身の連中も全員ロストしたって聞いたけど」
妖精「あれは…欲をかいた結果よ」
男「詳しく話せ」
妖精「隠しダンジョンのお宝目当てでみんな死んでいったのよ。それも同じ場所の」
男「まさかウチの真下の事じゃないだろうな」
妖精「えっ」
男「えっ」
妖精「…な、何の話なのかよくわからないッス☆」
男「ウチの下で凄い数の人間が死んでた。もうだめだ」
―最果ての大陸 フィールド―
妖精「さて…まずはちゃちゃっとレベルを上げてみましょうか」
男「ちょっと待って。レベルって何」
妖精「ああそうね、ごめんなさい。一般人にはレベルの概念が無いんだったね。
よ?し…“アナライズ”!」
男「うおすげえ魔法はじめてみた」
名前:男
LV:1
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:19
MP:0
筋力:8
体力:7
賢さ:1
敏捷:4
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:15
防御力: 2
<おぼえたとくぎ>
なし
<つかえるじゅもん>
なし
妖精「これはひどいステータス…賢さ1www」
男「個人情報が筒抜けだ。もうだめだ」
妖精「しかも経験0か。チェリー乙」
男「経験ってそっちなのか。もうだめだ」
妖精「冗談よ。まあ、勇者補正に期待してレベルを上げましょうか」
男「勝てないから。絶対勝てないから」
妖精「あんたガイアソード持ってるでしょ?」
男「攻撃力15だから。絶対勝てないから」
妖精「あたしもいるから大丈夫だよ。そぉれ、反復横とび!」
男「おい、やめろ! 歩いたら敵でちゃうだろ! やめろ! やめろください!」
* モンスターがあらわれた! *
死を告げる鳥A があらわれた!
死を告げる鳥B があらわれた!
男「すごい名前の鳥が出てきた。もうだめだ」
妖精「大丈夫だって。さ、コマンドをいれなさい」
男「コマンド?」
妖精「勇者権限で、こっちの行動が決まるまでは大人しくしててくれるから」
男「何てよくわからない理屈なんだ。もうだめだ」
たたかう ぼうぎょ
とくぎ じゅもん
どうぐ >にげる
妖精「おいコラ」
男「勝てないから。絶対勝てないから!」
妖精「大丈夫だから、あたしを信じて言うとおりにしなさい」
男「本当ですか」
妖精「当然よ。まずは“どうぐ”を選択なさい」
男「>どうぐ」
―男の道具袋―
>Eガイアソード
男「ガイアソードしかないけど」
妖精「それは使ってこそ真価を発揮するアイテムなのよ」
男「マジで? …いや、ちょっと待て。敏捷に差があるから使う前にやられるのでは」
妖精「大丈夫よ。何の為にあたしがいると思ってるの」
男「えっ」
妖精「>じゅもん!」
―妖精の呪文―
アナライズ ヒール
フレイム >クイック
リバイブ 次へ(1/18)
男「なんか凄い数覚えてますね」
妖精「実は全部使える」
男「お前が魔王倒せよ」
妖精「いいからホラ、1ターン目はじまるよ」
―ターン 1―
妖精はクイックを唱えた!
妖精「汝風の神に愛されうんちゃら。疾風韋駄天のなんちゃらかんちゃら。クイック!」
男「なんて適当な詠唱なんだ。もうだめだ」
男はターンの最初に動けるようになった!
男「おお、すごい」
妖精「さ、やりなさい!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
男「おっ、おお! 何だかスゴいぞ」
男は“ガイアトード”を召喚した!
土蛙「…」
妖精「ガイアソードはガイアトードを召喚できるのよ!」
男「くだらなさすぎるだろ」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
男「おお、何だか凄そう」
死を告げる鳥A には効かなかった。
死を告げる鳥B には効かなかった。
男「えっ」
妖精「あっ」
死を告げる鳥Aの攻撃! 頭蓋わしづかみ!
男「ひあっ」
ゴキッ ぐちょっ
男「あっあっ」
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「男よ。起きなさい、男よ…」
男「っぷはぁ!?」
母「目が覚めたのですね、勇者よ。あまり無理をしてはいけませんよ」
男「母さん…?」
妖精「いやあごめんごめん」
男「一体何が…俺はどうなったんだ?」
妖精「浮遊してる敵にガイアソードは効かないんだったわ。面目ない」
男「あの、俺どうなったの」
妖精「弾けたトマトみたいになった」
男「ひぃ」
―最果ての村エンドナ 自宅の裏庭―
男「もういやだ」
妖精「まあまあ。ちょっと作戦を変えましょう」
男「もういやだ」
妖精「調べてみたら、最果ての大陸には浮遊系のモンスターしか出ないみたいなのね」
男「もういやだ」
妖精「で、ガイアソードじゃ無理だから、隠しダンジョンのアイテムで何とかしましょ」
男「もういやだ」
妖精「バグったかな…?」
―最果ての村エンドナ 隠された地下洞窟―
男「全ての勇者が没した場所じゃないか。もうだめだ」
妖精「あいつらは言う事きかないからああなったの。欲を出さなきゃ大丈夫よ」
男「何か看板立ってる」
“隠されし 禁断の 聖域”
男「凄い名前だ」
妖精「さ、アイテムを回収しましょ」
男「宝箱は空なのでは」
妖精「いなくなった連中が持ってたぶんは元に戻ってるから大丈夫よ」
男「なにそれ便利」
―隠されし禁断の聖域 1F―
火吹き鳥「ギェー」
氷の霊鳥「グェー」
男「早くも越えられない難関が」
妖精「大丈夫よ。あたしを信じて行きなさい」
男「初戦でドタマかち割られたんだけど」
妖精「今度こそ必勝の策があるから。行きなさい」
男「微塵も信用できない。もうだめだ」
* モンスターがあらわれた! *
火吹き鳥 があらわれた!
氷の霊鳥 があらわれた!
コマンド?
男「>にげる」
妖精「おいコラ」
男「いや飛んでるし勝てない」
妖精「こいつらは門番だから逃げても消えないの。いいから攻撃しろ」
男「しくしく… >たたかう」
妖精「>じゅもん! “シャッター”!」
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気の霊よ!その掌で我ら守りたまえ!シャッター!」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
男「おお」
火吹き鳥「ギエー」
火吹き鳥は 炎のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
氷の霊鳥「グエー」
氷の霊鳥は 氷のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
男「おお、これならいけるか? でやーっ」
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「えっ」
妖精「火吹き鳥はHPが785だから、あと784回で倒せるよ」
男「えっ」
妖精「氷の霊鳥も同じHPね。頑張って」
男「いやいやいや、あんたのMPが先に切れるんじゃないのか」
妖精「ううん」
妖精のMPが50回復した!
妖精「あたしターン終了時にMP回復するから大丈夫よ」
男「えっ」
―ターン 35―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「腕いたい」
妖精「あと750ね。頑張れ」
―ターン 102―
男の攻撃!
火吹き鳥「サッ」
ミス! 火吹き鳥にダメージを与えられない!
男「指先の感覚がもうない」
妖精「ちゃんとやらないと終わらないわよー」
―ターン 398―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「ミ、ミス分もいれてやっと半分…」
妖精「もう一匹いるからまだ4分の1だけどね」
男「えっ」
―ターン 812―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギョエー」
火吹き鳥に1のダメージを与えた! 火吹き鳥を倒した!
男「ゼェハァゼェハァ」
妖精「ほら、もうひと頑張りだよ」
―ターン 1612―
男の攻撃!
氷の霊鳥に1のダメージを与えた! 氷の霊鳥を倒した!
男「うぉぉおおおおおおお勝ったァァアアアアアアアアアア疲れたアアアァアアアアアアアア」
妖精「あたしだって疲れたわよ」
男「お前途中から詠唱とか完全に省いてたじゃねえか」
妖精「うんまああたしクラスだったら指先ひとつでちんちくりんだし?」
男「だからお前が魔王倒せよ」
* 戦いに勝利した! *
男はレベルが1から18に上がった!
男「おおおおおおすげええええええ」
* レベルアップボーナス 能力値を振り分けてください *
男「おおおおお!よし、さっそく筋力に…」
妖精「体力に全振りしなさい」
男「えっ」
妖精「きこえなかった? 体力に全振りしろって言ったの」
男「ど、どうして…」
妖精「あんたが死ぬとリスポンポイント(自宅)まで戻されて面倒なの。とにかく死なないようにして」
男「で、でも火喰い鳥と氷の霊鳥を狩れば…」
妖精「あれは門番モンスターでもう出てこないの」
男「もうだめだ」
―隠されし禁断の聖域 2F―
妖精「“アナライズ”!」
名前:男
LV:18
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:151
MP:0
筋力:21
体力:56
賢さ:1
敏捷:10
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:30
防御力:31
男「HPだけ高すぎる。賢さが上がらないもうだめだ」
妖精「これでいいの。後は軽い防具を探さないと…」
男「あっ、宝箱」
妖精「ゴルァ!」
男「ひっ」
妖精「ここが全勇者をロストさせた迷宮だって事を忘れたの?」
男「すいませんでした」
妖精「その宝箱は開けたらあんたに200ダメージ入る罠がかかってるのよ」
男「なにそれこわい。でもそれなら妖精さんが開ければいいじゃない」
妖精「あたしは見ての通り非力な妖精だから、宝箱の蓋なんて開けられません」
男「なんで中途半端に軟弱なんだチクショウ。
っていうかダンジョンをネタバレされるから冒険感も何もあったもんじゃないもうだめだ」
妖精「もうウン十回も来てるからね。イヤでも覚えるわ」
男(っていうか、そんなに勇者を犠牲にしてるあんたは結構無能なんじゃないのか)
―隠されし禁断の聖域 3F―
妖精「あった。あの部屋の中だわ」
巨人「うべー」
男「なんかすっごいのが守ってるけど」
妖精「大丈夫よ、たかがレベル65の中ボスだから」
男「俺のレベル18なんだけど」
妖精「>とくぎ “くちぶえ”! ピュー」
男「何してはるんですかね」
妖精「くちぶえは、近くのモンスターをおびき寄せる事ができるのよ」
男「」
* モンスターがあらわれた! *
血まなこ巨人 があらわれた!
男「>にげる」
この戦いからは逃げられない!
男「もうだめだ」
妖精「戦え。今度はガイアソードも効くから大丈夫だって」
男「でもレベル65だって」
妖精「レベル255のあたしがついてるんだから大丈夫だってば」
男「だからお前が魔王倒せよ」
―ターン 1―
妖精「母なる地の庇護の手よ、我ら弱き器持つ者を覆わん! “プロテクト”!」
男は守りの手を得た! 防御力が飛躍的に上昇!
男「おおすげー、手形のバリア」
血まなこ巨人「うがー」
血まなこ巨人の攻撃! 玉砕棍棒!
男「ぶべらっ」
男は149のダメージを受けた!
男「い、いでえよ゛ー! 骨がおれてるよぉぉおお」
妖精「しっかりしなさいよ。前の勇者なんて、HPが1でも残ってれば半身が吹っ飛んでも戦ってたわよ」
男「ひぃぃいいいい」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「よんだ?」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげっ」
血まなこ巨人に205のダメージ!
妖精「よしっ。回復しながら戦えば、あと10回くらいで倒せるわ」
男「ちょ、ちょっと待て。あと10回もこれをやるのか」
妖精「男でしょ。根性見せなさいよ」
男「もうだめだ」
―ターン 13―
男「ひぐっ… ぐすっ…」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「めんどいのー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげぁー」
血まなこ巨人に217のダメージ! 血まなこ巨人を倒した!
男「ズェーハァー ズヒュー」
妖精「はい、お疲れ様。“ヒール”ね。」
男「その呪文で傷はすぐ治るけど、まだめっちゃ痛い」
妖精「万能じゃないからねえ」
男「あとなんで妖精さんにはターゲットがいかないのかな」
妖精「あたしは回避率が高すぎるから、攻撃しても無駄だって魔物のAI…じゃなかった、魔物の頭が判断してるの」
男「なんて鬼畜仕様なんだもうだめだ」
妖精「そんな事よりレベルアップしてるから、はよ体力に振れ」
男「うう…普通に冒険したいよお…」
―隠されし禁断の聖域 3F 宝箱の間―
男は宝箱を開けた! “かぜよみのころも”を手に入れた!
男「おお、かっこいい!マジックアイテムっぽい!」
妖精「それは装備制限も無いし、回避率があがる強力な防具よ。早速着てみなさいな」
男はかぜよみのころもを装備した! ぼうぎょりょく 57 → 102
男「おおおおおおおおお」
妖精「さて、これでここに用事は無いわね…」
男「えっ? おいおいやっとこさ軌道に乗ってきただろ。レベルも23になったんだぜ、これなら…」
妖精「次の階にはキングラフレシアっていうレベル78のモンスターがいてね、その触手で生きたままはらわたを」
男「帰還するぜ。妖精よ、脱出呪文を使ってくれ」
妖精「キャラ変えんなこのぺーぺーが」
―最果ての大陸 エンドナの村前―
妖精「さて。いよいよ、他の大陸に旅立つ時が来たわ」
男「ちょっと待て。進路がおかしくないか」
妖精「おかしくないわよ」
男「だって西に20歩も歩けば魔王城に続く四柱の祭祀場がある」
妖精「さすが現地人は詳しいわね。でもその祭祀場で使うアイテムが無いの」
男「みっつのオーブだっけ。妖精さん持ってないのかよ」
妖精「前の勇者が持ってたけどロストしたわ。元の場所にあるはずよ」
男「うぇーめんどくさーい。あ、でもワープ呪文的なのでひとっとびか」
妖精「無理です」
男「なんでよ」
妖精「“テレポート”…勇者が一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「使えよ」
妖精「“勇者が”一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「あっ」
妖精「おわかりかしら」
―エンドナの海辺 海竜シドラヌの上―
海竜「クェーッ」
男「こいつぁ気持ちいいやーっ」
妖精「気に入ったみたいね」
男「海竜シドラヌか、勇者になるとこんないい事もあるんだな」
妖精「気に入ってもらえて何よりだわね」
妖精(まあ、普通の勇者はもっとまともな特典がたくさんあるんだけどね)
―火の大陸 西の浅瀬―
男「じゃなー、シドラヌー!」
海竜「クエッ」
妖精「さて…まずは鉄の故郷アイロニアに向かうわ」
男「どこそれ。火の大陸ってくらいだから火の集落に向かうものかと」
妖精「火の集落には後で行くわ。その前にアイロニアに仲間を迎えに行くのよ」
男「え、仲間!?」
―武器大国 鉄の故郷アイロニア―
男「ほぁー、都会やー」
妖精「キョロキョロすんな田舎モン」
男「あっ、武器屋行こうよ武器屋」
妖精「そんなの後よ。まずは酒場に行くわ」
―ダルーイの酒場―
女将「ダルーイの酒場へようこそ、坊や」
男「で、何しに来たんだよ」
妖精「酒場に来たんだから仲間を増やすに決まってるでしょ。こんにちわ、おかみさん!」
女将「あらー、妖精ちゃん?久しぶりじゃないの。勇者アレックス達はどうしたの?」
妖精「えっと…アレックスは今、体を壊しちゃってて…」
男(体壊したってレベルじゃねーぞ)
妖精「今はこれが代理です」
女将「まっ。なんとも頼りがいがなさそうだけれど…」
男「ふっ…私のレベルは23です」
女将「えー、マジレベル23ー!? キモーイ!」
妖精「レベル20代が許されるのは、小学生までだよねー! キャハハハー!」
男「」
妖精「さて、そんな事よりあいつを引き取りに来たわ」
女将「えっ…? あいつって…本気かい?」
妖精「もう他に人材がいないの。」
女将「そうかい…そこまで切迫しているなら仕方が無いね。ちょっと待ってなさい」
男「?」
―10分後―
美剣士「俺に今更何の用だ…」
妖精「紹介するわ。剣士のテニーよ」
美剣士「今になって俺に泣きついてくるとは…全く、失笑を禁じえないぜ」
男(スカしたイケメンだ)
妖精「こいつは剣士のくせに、HPも筋力も僧侶以下のツワモノよ」
美剣士「そんな数字で俺の何を計れる!?」
男(えええー…)
妖精「“アナライズ”!」
名前:テニー
LV:28
経験:208262
称号:バトルマスター(笑)
性別:おとこ
年齢:?歳
HP:226
MP:86
・
・
男(レベルが近くて親近感が湧くなあ)
妖精「相変わらずの貧弱ステね…」
男「何だよ、結構頼れそうじゃないか」
美剣士「! そ、そうだろ!?」
妖精「甘いわね。もっとよく見てみなさい」
男「?」
<おぼえたとくぎ>
かえんぎり
<つかえるじゅもん>
なし
美剣士「見るなーッ!」
男「え…これだけ…え…?」
妖精「本家よりひでーのよ、こいつは」
妖精「正直、新米でぺーぺーな今のアンタと大差無いレベルよ」
美剣士「うおおおおお!!!」
男「おいおい、これからの旅の仲間なんだろ? そこまで言う事ないじゃないか」
妖精「…ま、それもそうね。こんなんでも役に立ってもらう事になるし」
美剣士(…! 役に立つ…だと…!?)
美剣士「妖精よ…貴様がそこまで言うなら、力を貸してやらん事も無いぞ。ふっ…ふはは! ふははははは!」
男「どうしたの突然」
妖精「冒険の役に立った事が無いのよ、こいつは」
美剣士「うるさい!」
―火の大陸 フィールド―
美剣士「フィールドに出られたのは久しぶりだぜ…」
男「ずっと酒場にいたのか?」
妖精「勇者以外には、酒場の人間を動かせないのよ」
男(なんだかすっごいかわいそうな人なんじゃないのか)
美剣士「ようし…早速腕を振るうとするか。出て来い、モンスターども!」 サッサッ
男「ああ! 美剣士がさっそく反復横飛びを!」
妖精「ちょっ…こらぁ! 勝手な真似すんなー!」
* モンスターがあらわれた! *
妖精「ああ、もう!」
オバケたいまつが あらわれた!
男「あっ、何かすっごいかわいいのでてきた」
妖精「そりゃあアンタがさっきまでいたのは最終大陸の隠しダンジョンだものね」
美剣士「何っ…!? キサマ、そんなレベルでエンドナに挑んだというのか!?」
男「地元なんで…」
美剣士(ず、ずるいっ…!)
男「えーっと…んじゃあ俺は、“たたかう”で…」
美剣士「チクショオオオオオ! くらえおばけたいまつ、新必殺音速火炎斬!」
男「えっ!? 命令させてくれないの!?」
妖精「自分よりレベルの低いやつの命令なんて聞くわけないじゃない」
男「それはそうだけど…何だかなあ」
美剣士「行くぞぉお!」
美剣士の攻撃! てつのつるぎが炎にうなる! 火炎斬り!
男「素早い!」
妖精「敏捷だけはまあまあなのよ」
オバケたいまつ「?」
ミス! オバケたいまつにダメージを与えられない!
美剣士「えっ」
妖精「火属性の魔物に火属性攻撃が効くわけないじゃない。AIまでクズだったのね」
美剣士「…もうだめだ」
男(やっぱり親近感がわくなあ)
妖精「ほら、次はあんたの番よ」
男「えっ、俺!? モンスターより先に動けるの!? や、やったー!」
美剣士(ほう…敵より早く動く事に感動を覚えるとは。こいつからは、俺と同じ臭いがするぜ…!)
男の攻撃!
男「そういえばまともに攻撃させてもらえるのはじめてかもしれない。だりゃー!」
オバケたいまつ「ぐごっ」
オバケたいまつに126のダメージ! オバケたいまつを倒した!
男「おっ…おお、おおおおおお!!!」
妖精(そういえばオバケたいまつは土属性が弱点だったわね)
美剣士「や、やるじゃねえか… ところで、その剣はいったい?」
男「ん? ああこれ、ガイアソードっていうらしいんだ」
美剣士「なかなかの魔剣じゃないか。一体どこで手に入れたんだ?」
男「自宅近くのタルから拾ったんだ」
美剣士「なっ…!?」
美剣士「く、くそぉおおおおおぉっ…!」
男「ビクッ」
美剣士「俺だって…俺にだって、愛用の魔剣が、あったんだぞォオっ!」
妖精(そういえばいつだったかの勇者が剥ぎ取ってポイしてたわね)
美剣士「俺だって…! 俺だって、かつては独り身で魔物を倒して回った孤高の剣士だったんだっ…!」
男「美剣士っ…!」
ガシッ!
美剣士「!」
男「泣かないでくれ、美剣士…!」
美剣士「お、男…?」
男「俺なんてただの村人だったんだ…俺達は、これから強くなればいいんだ!
一緒に魔王を倒そう! 俺達で共に、伝説を作ろうっ…!」
美剣士「お、男っ…! 男ぉっ…!」
妖精(ふん、クズどもがっ…! 酔っぱらってやがるぜ、自分達にっ…!)
妖精「ほらほら、もういいからさっさと目的地に行くわよ」
男「あっ、ああ…ほら、美剣士。これで涙を拭くんだ」
美剣士「グスッ…ふ、ふっ。ありがとうよ男」
男「ニコッ」
美剣士「ニカッ」
妖精(うぜえ…)
妖精「さて… >じゅもん! “サンクリ”!」
弱い魔物が出現しなくなった!
男「えっ? おいおい妖精さんよ、レベルは上げなくていいのかよ」
妖精「こんな大陸でレベル上げなんてたるくてやってらんないわ。さっさとオーブを手に入れてオサラバよ」
美剣士「それで、向かっているのは北の “火の神殿” なのか?」
妖精「そうよ。さすが、無駄にこの大陸でくすぶってただけの事はあるわね」
美剣士(こいつの性格は相変わらず最悪だぜ…)
―火の神殿 入り口―
男「荘厳な神殿だな」
美剣士「すごい熱気だ」
妖精「相変わらず暑苦しくてかなわないところだわ」
男「このすーっごく巨大な門は、どうやったら開くんだ?」
美剣士「ふっ…わかっちゃいねえぜ男。あっちを見てみな」
男「…? あっ、脇道がある」
美剣士「最初からこんな巨大な門がやすやすと開いては、神殿の威厳も何もあったものではないだろう?」
男「確かに」
美剣士「ここを訪れる者達に、まずこの巨大な開かず門を印象づける。そして回り道で門を開かせる事によって、入場の際にカタルシスを与えるというわけだ」
妖精(人はそれを演出と呼ぶわね)
男「そうなのかー! さすがだな、美剣士! ぜんぜんわからなかったよ!」
妖精(さすがは賢さ1ね)
美剣士「ふっ…褒める程の事ではないさ。 ニカッ」
男「ニコッ」
妖精(うぜっ)
妖精「んでもって更に言うと。その門が開く仕掛けは、その燭台の上に石像が降ってきて炎が消えるだけのごく粗末なものよ」
男(いい加減このネタバレ、何とかならないかな…)
妖精「そんでもって、そこのヘナチョコ野郎についてきてもらったのはただそれだけのためよ」
男「えっ」
美剣士「えっ」
美剣士「お、おい妖精…? 何を言っている…?」
妖精「呪文ってのは、便利なものなんだけれどね。無い呪文っていうのは、どうしようも無いの」
男「妖精さん…? 一体何を言ってるんだ…? 何の話をしているんだっ!?」
妖精「土属性系統には、地面を揺らすシェイクから、石礫を巻き上げるブラスト…そして大地震を起こすクエイクまであるけれど」
男(ゴクッ…!)
妖精「石像を作り出す呪文なんて、無いから」
美剣士「!!!」
妖精「>じゅもん! “パラライ”!」
美剣士「うわあああああああっ!? か、体が動かないッ…!」 バリバリ
男「テニーっ!? な、何をするだぁーッ!?」
妖精「うるさいわね。黙って見てなさい。 >じゅもん! “フロート”!」
美剣士「うおぁっ!」
男「美剣士の体が、宙に!?」
妖精「本来は罠を避けたり、遠くの足場に移動するための呪文なんだけれどね。こういう使い方もできるわね」
妖精「そお?れ、あっちよ」
美剣士「うわあああああっ!? あ、あつぃーッ!」
男「け、剣士を燭台にっ!? ま、まさか妖精さん…」
妖精「>じゅもん! さて…美剣士。冥土の土産に教えておいてあげるわ。あんたの石化耐性は…ゼロよ」
美剣士「やめてくれー! そっ、それだけはやめてくれえええええ!!」
妖精「“ ロ ッ ク ユ ー ”」
男「美剣士ィィイイイイイ!!!!」
ドスン!!!
男「あ…あ…」
剣士は石になった…
男「う…う…、うああああああああああァアーーーーーーッ!!!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴ…
神殿の巨大な扉が、開いていく…
妖精「さーて、開いた開いた。これでかなりのショートカットになったわね。行くわよ」
男「何で…何でだよ! どうしてなんだよ!?」
妖精「あ?」
男「どうして美剣士がッ! あんな、駄洒落みたいな呪文で石にされて…扉を開く犠牲にならなきゃいけなかったんだよぉっ!!!」
妖精「あまったれるんじゃないわよっ!」
ベシッ
男「ぐぉがっ!?」
妖精「こんなところでクヨクヨして、せっかく美剣士がショートカットしてくれた時間を無駄にする気!?」
男「なっ…何を言っているんだ…!?」
妖精「こんな事をしている間にも…世界には、魔王の手によって苦しめられている人々が…いるのよっ…!」
男「!」
妖精「歴代勇者達が次々と倒れてしまって…魔王の時代は長く続きすぎた。その間酷い目にあっている人たちが、いるのよっ!!」
男(涙…!? 妖精さん…まさか、これまでの凶行はそこまで考えての事だったのか…!?)
男「…悪かったよ、妖精さん…」
妖精「男…」
男「俺…もう、クヨクヨしないよ。行こう。一刻も早く、世界を…救うんだッ…!」
妖精「…ふっ、全く…いい面構えになったじゃない…」
男「美剣士…」
美剣士「」
男「綺麗な顔しやがって…お前、役立たず何かじゃなかったぜ…! お前は、俺の…最高の、仲間だったっ…! うう?っ…!」 ボロボロ…
妖精「美剣士へのお別れは済んだわね…? さあ、彼の屍を乗り越えて…行くわよ…!」
男「くうぅ?っ…! う、うおおおおぉおおおっ!!」
タッタッタッタッタッタッ…!
勇者は 一つの悲しみを乗り越えて 業火の吹き荒れる火の神殿の扉を 開いた…
妖精(賢さ1は御しやすくて楽だわぁ)
美剣士(もうだめだ)
―火の神殿 内部―
男「妖精さんっ! 俺は…俺はどうすればいいんだっ!」
妖精「神殿の中にさえ入ってしまえば…後は、オーブの守り人を倒すだけよ!」
男「守り人ぉーっ! どこだぁーっ!? 美剣士のカタキだぁーっ、出てこいーっ!!」
男は混乱している!
妖精(さすがの私もこれには苦笑い)
獅子人「はいはい何ですか、もう。暑苦しいなあ…」
男「貴様かぁっ、オーブの守り人はっ!!!」
獅子人(これまた面倒臭そうな勇者が来たなあ)
妖精「やっほー」
獅子人「また妖精さんですか。あんたの顔も見飽きましたよ」
妖精「こっちもね」
男「知っているのか、妖精さん!?」
妖精「そりゃあもう何十回と倒したボスだもの。勇者ロストの度に再配置されるんだから、面倒ったらないわ」
獅子人「こっちとしてももう、いちいち起こさんで欲しいんですけどね。最近はもう魔王様や、他の二神からも連絡が無いし。あの人ら、ちゃんとお役目果たしてるんですかね」
男「他の二神…だと…!?」
妖精「ああ、言ってなかったっけ。四柱の祭壇に捧げる為のオーブは、魔王直属の三闘神が守っているのよ」
男「こんな奴がまだ、あと二体もいるっていうのか…!?」
獅子人(何なんですかこのテンションは)
妖精「まあ、その辺はおいおい説明してあげるから。さっさとこいつ倒しちゃって」
男「! そうだな! 覚悟しろ、このライオンマン!」
獅子人「ええー…やるんですか? どうせまたあのハメくさい戦法使う気なんでしょ? もう…」
* モンスターがあらわれた! *
炎の闘神、ファイアライオンがあらわれた!
獅子人「がおー」
男「くっ、すさまじい熱気だ…!」
妖精「こいつは別名、“唯一王”…かなりの物理攻撃力を誇っているわ」
男「何だって…!?」
妖精「今のアンタが一発でも喰らえば、一瞬で体が消し飛ぶでしょうね…」
男「くっ…!」
妖精「でも物理攻撃はしてこないっていうね。何のためのステータスなんだか」
男「なーんだ」
獅子人「あーっもー、本当に性格悪いですねーあんたはー! はよコマンド入力してくださいよー!」
男「美剣士…無念に散っていったお前の想い、俺が引き継ぐぜぇええええっ!!!」
バアーッ!!!
妖精「…! あれは…勇者の特性、“人の心の光”!」
獅子人「何ですかソレは」
妖精「ほら、終盤になってくると突然、主人公が“俺の体をみんなに貸すぞ”とか言って、故人の力が宿ったりするじゃない」
獅子人「ああ」
妖精「つまり…今あの男には、美剣士のパワーがやどりつつあるのよ…!」
獅子人「何かさっきから盛り上がってますけど、その美剣士って誰なんですか」
男「うおおおおおおおっ!!!!」
勇者は、あの美剣士が唯一得意としていた剣技…
“かえんぎり” を、受け継いだ…!
男(やった…やったよ、美剣士…! 俺、ついに特技を覚えたんだ…!)
美剣士(男… 男よ…)
男(!? 美剣士の声が、聞こえる…!?)
男「美剣士!? そこにいるのか、美剣士!?」
妖精(うわ゛っ…見えちゃいけないモノ見始めたよ、こいつ…)
獅子人(さっきから置いていかれてるなあ…) ポリポリ
美剣士(男… よくやったじゃないか…)
男「美剣士っ!」
美剣士(もうお前は一人前だ…最期に、一つ。たった一つだけ、俺の遺言だと思って…聞いてくれ…)
男「…!?」
美剣士(火属性の敵に…火属性の攻撃は、効果が無いんだぜ…?) ニカッ
男「び、美剣士っ…」 ニコッ
美剣士(もう、お別れだ…じゃあ、世界を変えてくれよ。お前は満足か、こんな世界で…俺は…嫌だね…)
男「美剣士? どこだ、返事をしてくれよ…美剣士…美剣士ぃーっ!!!」
美剣士の魂は、遠くへ旅立っていった…
獅子人「あー、終わりました?」
男「ギロッ」
獅子人(だから、何でこっちにヘイトが向くかなあ…)
妖精「♪?」
獅子人(どうせこの人が、何かしたんだろうなあ…)
男「炎の闘神よ…俺はひとつ、大切な事を美剣士から教わったんだ」
獅子人「はいはい、何ですかー?」
男「特技が火炎斬りしかなくて…火属性の敵と相対した時は…! 力に任せて、物理で殴ればいいッ!」
妖精「そうだね。こいつも弱点土属性だしね」
獅子人「だからー! せめてアナライズでも何でもかけて見破ってくださいよー、そういうのはー!」
男「いくぞっ! 炎の闘神よっ! >たたかう」
獅子人「はいはい、やっとですね。…で、どうせ妖精さんは…」
妖精「>じゅもん ”シャッター”」
獅子人「これだよ(笑)」
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気のうんたん。うんたんうんたん。"シャッター”」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
獅子人「はい詰んだー」
男の攻撃!
男「うおおおおおおっ!!!」 ザシュッ!
獅子人「いたいー」
獅子人に124のダメージ!
男「これが、俺と美剣士の怒りだッ!」
獅子人「はいはい…」
男「どうした!? 次はお前のターンだぞ!?」
獅子人「はいはい。フレアドライブー」
獅子人の攻撃… 火属性最強技! "フレアドライブ”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「そんなものは、効かんッ!」
獅子人(もうこんな茶番、これっきりにしてほしいですわ…)
―ターン 9―
獅子人「アトミックー フーレアー」
獅子人の攻撃… 冥獄の炎が、全てを灰燼に帰す! "アトミックフレア”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「これで、最後だーッ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット! 獅子人に312のダメージ!
獅子人「あだっ。あー、HPが0ですね。じゃあおやすみなさいですわ。もう起こさないでくださいね」
獅子人を倒した!
獅子人はアイテムを落とした。 ”赤い瞳のオーブ”を手に入れた!
男「やった…俺、やったよ美剣士っ…!」
妖精「はいはい。じゃあ、美剣士を元に戻して次の大陸に行くわよ」
男「えっ」
男「元に…戻す…?」
妖精「うん」
男「どうやって?」
妖精「石化解除の呪文で」
男「えっ? さっきの、人の心の光がどうたらってのは? えっ?」
妖精「勝手に幻覚でも見たんじゃないの」
男「」
―火の神殿 入り口―
男「何で最初に言ってくれなかったん」
妖精「何か面白かったから」
男「ていうか何ですぐ解除しないで石にしてほっといたん」
妖精「帰る時困るじゃない」
男「冷静に考えたら獅子人さんってすごくかわいそうじゃなかったん」
妖精「知った事か」
男「はああ…まあ、いいや。それなら犠牲になった美剣士はどこにもいなかったって事だろ?それは今日一番のグッドニュースだ…って、あれ…?」
妖精「え…? 門が、閉まってる…?」
男「おい… どういう事なんだよ、おい…!?」
妖精(! あー、やっべ…もしかして…)
妖精(>じゅもん "ディテクト”…) ボソッ
妖精はディテクトを唱えた! 美剣士の状態が、表示されます。(妖精の脳内に)
美剣士 LV―
HP0 MP0
じょうたい:LOST
妖精(ああ、そうか。あいつは灰化耐性も消失耐性もゼロなんだった。そりゃ石像にして放っておいたら、死亡→灰→ロストにもなるわね。やっちゃったぜ
☆)
男「お、おい、妖精さん…? どういう事なんだよ、これ…!」
妖精(…)
妖精「えっ、えっとね。! そう! 美剣士にはあらかじめ、遅効性の石化解除呪文をかけておいたの!」
男「あ…?」
妖精「それで、石化が解けても神殿の中には入れないから、歩いてアイロニアまで帰ったのよ☆」
男「あ…?」
妖精(く…さ、さすがにまずったか…!?)
男「…妖精さん。妖精さんは、いったい俺にいくつ嘘をつく気なんだ…?」
妖精(まずい…! いくらこいつが馬鹿でも…!!)
男「それなら何で、テレポートを使わずにわざわざここまで来たんだ…?」
妖精(ちっ…男の癖に…! こうなったらもう、魅了呪文で…)
男「すぐに美剣士に会えると思ってたのに…意味の無い嘘をつくのはやめてくれよなー、もう」
妖精「は…はっ?」
男「アイロニアの街にいるんだよな? それなら早くテレポート使ってくれよ」
妖精(こ…こいつ…!)
妖精「い、いや。アイロニアにはもう戻らないわ」
男「えっ」
妖精「言いにくいけど、あいつはこれからの戦いにはついていけない。だから美剣士との旅はここまでなのよ。ねっ、ねっ?」
男「…」
妖精(ゴクッ…)
男「そうなのかー… 残念だな」
妖精(こ、これが賢さ1の思考能力… あ、あなどれない!)
男「じゃあ、次はどこに行くんだ?」
妖精「えっ? あ、ええ。次は水の神殿に向かうわ。その前に、火の集落でイベントを進行させないといけないの」
男「よし、わかったぜ。火の集落にはどうやって行けばいい?」
妖精「まずはテレポートで西の海岸に戻るわ。そこから少し北に歩けば、すぐよ」
男「よーし、やるぜー!」
妖精(… いくら何でも、おかしい… この男、最初はここまでのバカじゃなかった筈…)
妖精(一体何が…)
男「あ、そういえば獅子人に勝ってレベルが上がってたな! 早速体力に全振りだぜー」
妖精(! そうかッ…! おそらく、生来のバカさ加減に加えて、賢さを無視したステータス振りをさせているせいで…)
妖精「脳細胞が、筋肉に変革しているんだわっ!」
男「うわっ!?」
男「何だよ、いきなり大声出すなよなー」
妖精「へっ、あっいや何でもない! 何でもないから!」
男「変な妖精さんだな…じゃあ、早速テレポートで飛んでくれよ」
妖精「ええ。まかせて!」
男(何か、いつもと調子違うな…)
妖精(これは、最後の勇者にして最大の発見をしたわ…ここまで御し易ければ、ますます以ってあたしの思惑も…!)
男「何ニヤニヤしてるんだよ…」
妖精「何でもないったら! じゃあ、飛ぶわよ。 "テレポート”!」
ドンッ
―火の大陸 西の浅瀬―
妖精「ふうっ」
男「相変わらず妖精さんの呪文はすごいな…よし、行こう!」
―森の奥深く 火の集落―
男「何だよ、あのテント…」
妖精「火の集落の人々は、ああいう家に住んでんの」
男「こんな原始人みたいな生活をしている奴らがまだいたんだな。HAHAHA!」
妖精(田舎者はすぐこれだ…)
―火の集落 族長のテント―
男「ハハハハ、妖精さん! 一体この小汚いテントに何があるっていうんだい?」
屈強な男A「動くな」
男「へっ」
屈強な男B「何者だ」
屈強な男C「何者だ」
屈強な男D「何者だ」
男「」
男「ゆ、勇者です」
屈強な男達「あぁん!?」
男「もうだめだ」
族長「みんな、待ちな。…お前、勇者だって?」
男「えっあっはい一応そうです」
族長「…本当なら、勇者の証を見せてみな。嘘だったならば、掟に従いお前を殺す」
男「妖精さーん」
妖精「ただのイベントだから。はよ出せ」
男「何か見せれば助かるんですか!? やったー!」
妖精「見せるものを間違えたら、そこの屈強な男共に槍で後ろから刺されるけどね」
男「助からないじゃないですかー! やだー!」
族長「あんのかい? ないのかい?」
男「っ…しかし、さすがに俺でもそれ位はわかる! >どうぐ "赤い瞳のオーブ”だろ!?」
妖精「あっ」
男「えっ」
族長「…」
屈強な男達「…」 ススッ
男「」
男「ああ、そうか…死んだら母さんに会えるんだったよな。母さんの固定セリフ、変わってるかな…?
いいさ、たまには死んでみたって。それも勇者の醍醐味だもんな。はは。はははははは!」
族長「みんな、部屋から出ていっておくれ。あたしやこのお方と、大切な話がある」
屈強な男達「はっ、族長」 ゾロゾロ
男「えっ」
妖精「そのオーブ以外考えられないでしょ、常識的に考えて」
男「」
族長「さて…勇者よ。お主が来る事は予知でわかっておった」
男「えっ?」
族長「お主は三つの瞳を集めて、魔王の根城に乗り込む気じゃな」
男「あっはい、そうです」
妖精「それ固定セリフだから、いちいち返事しなくていいわよ」
男「えっ」
族長「次は、この地より遥か西…水の都ウォーティスへと向かい、水の神殿に挑むが良い」
男「あっはいそれは聞きました」
族長「そして無事、青の瞳のオーブを手にしたならば…今度は北の、風の谷ウインダを目指すのだ」
男「風の谷かあ」
妖精(…)
妖精「じゃあ、男。あたしはもうこの話、聞き飽きてるから。外で待ってるわよ」
男「ん?ああ」
妖精「そうそう。その話の最後に特技を一つ教えてもらえるから、楽しみにしてるといいわ」
男「!」 ガタッ
族長「勇者よ…お主にはこれから、これまでよりも更に厳しい、幾多もの戦いの運命が待ち受けておる…」
男(自宅近くでの戦いより厳しい戦いが想像できない)
族長「だが、決して挫けるでないぞ。我々は信じておる。お主が魔王を倒し、そしてその先にある…この世界を歪めているものをも、断ち切ってくれると」
男(?)
族長「い、いや…少し喋りすぎたようじゃ」。今のは忘れてくれ
男(何だろう…? 魔王を倒したら、もう一人魔王がいたりするのかな…?)
族長「こほん。では最後に、お主に一族秘伝の剣技を授けよう」
男「!」 ガタッ
族長「火の戦士達に伝わりし、悪しき魂を持つもの達を滅ぼし灰にする剣技…」 バッ
男(! 族長が、剣を構えた…!)
族長「それが、このッ!」 ブンッ!
族長「"かえんぎり” だッ!」
男「」
―火の大陸?水の大陸間の海上―
海竜「クエーッ」
男「はあ…」
妖精「いいじゃない。水の大陸ではきっと重宝するわよ、かえんぎり(笑)」
男「おまっ…かえんぎりなめんなし!」
妖精「まだ一回も使った事ないくせに」
男「うっ…」
ちょっとだけ休憩します
男
妖精さん
獅子人さん
火の族長さん
これから出てくる人
―水の大陸 東の海岸―
海竜「クエェ…」
男「だいぶ無理させちゃったな」
妖精「世界の端から端まで移動させたんだもの。そりゃ疲れるわよ」
男「えっ」
妖精「世界の狭さを思い知った?」
男「えっ」
男「こんなに淡々と世界の狭さを思い知らされた。感動も何もあったもんじゃない。もうだめだ」
妖精「まあ、この世界を狭く感じたなら、それだけこの海竜が優秀だって事よ」
海竜「クエッ!」
男「あっ、そうだ。そういや世界の果てってどうなってるんだ!?」
妖精(世界の最果ての住人が何か言ってるわ)
妖精「この世界がどういう形をしているかは知ってるの?」
男「知らないから聞いてるんだよ」
妖精「お盆」
男「えっ」
妖精「世界はお盆の形なのよ。世界の果てでは、海が滝のように流れ落ちているわ」
男「滝って…その水はどこに流れているんだよ」
妖精「さあ」
男「なにそれ怖い」
妖精「まあ、世界の形なんて今はどうだっていいでしょ。そんな事よりほら、さっさと水の都を目指すわよ」
男「えっあっはい」
海竜「クェッ!」 ズブズブ
男「おっ、帰るのかシドラヌー! じゃなー!」
―水の大陸 フィールド―
男「な、何だよこれ…水の大陸だって聞いて、何か勝手に綺麗なところを想像してたけど…」
妖精「見渡す限りの毒の沼でしょ」
男「何でこんな事に」
妖精「水の三闘神の仕業ね」
男「なにそれひどい」
妖精「倒せば元通りになるわよ。何っ回も何っ回も元に戻してきたんだから」
男(…何か、妖精さんがこんな性格してる理由がちょっと理解できる気がする)
男「で、これどうやって進むの。妖精さんは浮いてるからいいけどさ」
妖精「本当はね。あそこに見える洞窟の奥にある、“ペガサスのくつ”を履いて進みます」
男「…妖精さんの攻略方法は」
妖精「>じゅもん “フロート”!」
男「わっ、体が浮いた」
妖精「これで無問題ね」
―水の都ウォーティス―
男「絶望した。街の中にまで及ぶこの惨状に絶望した」
妖精「美しき水上都市だもの。水が汚染されてりゃ、そりゃきったなくなるわよ」
男「うう…で、どうしてこの街に寄ったんだ? 直接神殿に行っちゃだめなのか?」
妖精「…そろそろね」
ドンッ
少女「きゃっ!?」
男「うわっ」
男「いってー」
少女「ごめんなさい、大丈夫ですかっ…!?」
その時、男に電流走る
男(!? あ、亜麻色の…長い髪を…!!)
妖精「かぜがやーさしくつつーむー」
少女「だっ、大丈夫ですか…!?」
男「」 ポワワワーン
少女「あ、あの…?」
男「ひゃ、ひゃい!」
妖精(ここはこいつの好みの女が出てくる事になってるからね。無理もないでしょ)
男「怪我? いえっ、ありません。ありませんとも」 ニカッ
妖精(どっかで見た笑い方だわ…)
少女「あの…旅の方、ですか…?」
男「ええ、そうです。そうですとも」 ニカッ
妖精(うぜっ)
少女「そうですか。あの…今、この街の宿はどこも営業していないんです」
男「そうなのか。そうなのですか」 ニカッ
少女「大陸じゅうが毒の沼地になってから、旅人なんて訪れないので…なので良かったら、私の家に泊まっていってください」
男「」 ガタッ
少女「あの…どうされました?」
男「泊まります!泊まりますとも!」 ガタガタッ
妖精(ペッ)
―少女の家―
少女「ただいまー、おばあちゃん!」
老婆「うう…おかえり、少女…」
男「お邪魔します。お邪魔しますとも」
老婆「誰かえ…?」
少女「旅人さんよ。街の宿はやっていないから、うちに泊まっていってもらおうと思って」
妖精(毎度毎度思うけど…こんな都会の街に、そんなお人好しがいるわきゃねーだろ…)
老婆「そうかい…この子とこんな年寄りしかいない家だけど、まあゆっくりしていっておくれ…ごほっ、ごほっ」
男「お婆さん、体が悪いの?」
少女「毒にやられてしまって…直接沼に接触しなくても、体の弱いお年寄りはこの大陸に漂う毒気に耐えられないんです」
老婆「ごほっ、ごほっ…おかげでこの娘には苦労をかけっぱなしじゃよ…」
少女「もう、お婆ちゃん。それは言わない約束でしょ」
男「…」
妖精(そら来た…)
男「安心してください、お二人とも」
少女「えっ…?」
男「この大陸の清らかで美しい水は、この俺が元に戻してみせます」
妖精(お前は正常なこの街を見たことすらねーだろうがよ)
老婆「元に戻す…? おまえさんは、一体…」
男「何を隠そう! この俺は! いや、この俺こそが! 妖精に選ばれた、最後の勇者なのです!」
老婆「ええっ」
少女「まあっ」
妖精「はい、そういう事なんで今晩は泊まらせてもらいますよっと」
男「えっ!? 泊まってもいいの!? 妖精さんの事だから、てっきりダメとか言い出すと思ってたのに!」
妖精「ここで一晩明かさなきゃ、話が進まないの」
男「ひっ…一晩を、明かすッ…!」
少女「まさか、あなたが伝説の勇者さまだったなんて…今夜はゆっくりしていってくださいね!」
男「はっ、はひっ!」
妖精(好きにしろ)
―夜 少女の家、屋上―
妖精「いくら何でも鼻の下伸ばしすぎだろ、あの男…くそっ、デレデレしやがって」
妖精(…)
妖精(待っててね、みんな…もうすぐ、もうすぐだからね…)
コッ… コッ…
妖精(? 誰か、来る…? って、男とあの子…!?) ササッ
男「は、話って…何かな…?」
少女「…///」
妖精(えっ!? おいおいおいどういう事だよ、いくらお楽しみイベントだっていっても、今までここまでの進展は…)
男「えっと…少女、さん…?」
少女「あの…わ、私っ…! 街でぶつかった時から、男さんの事が…!」
妖精「」
男「」
妖精(いやいやいやいやいや! おかしいって! 絶対おかしいからっ!)
少女「男さんは…あたしの事、どう思ってますかっ…!?」
男「」
少女「や、やっぱり…いきなりすぎますか…?」
男「好きです」
少女「えっ?」
男「好きですとも」 ニカッ
少女「えっ…あのっ…それじゃあ、あのっ…!」
男「何ですか?何でしょうか?」
少女「…してください…」
男「はい?」
少女「ちゅー…してください…」
男「えっ」
妖精(えっ)
少女「だ、だめ…ですかっ…?」
男「…ですとも」
少女「えっ?」
男「いいですとも!」 ガバッ
少女「きゃっ…!」
妖精()
少女「そっ、それじゃあ…恥ずかしいので、目を瞑って…」
男「はっ、はひっ!」
少女「んっ…」
男「んっ、んーっ!」
妖精(えっ…ホントに? ホントにしちゃうの!?) チラッ
少女(…) ニコッ
妖精(!? こっちを見てる…!? あの笑い方、どこかで…)
妖精(! もしかして…いや、そんなまさか…その正解は、さすがの私もドン引きだわよ…!?)
少女「>じゅもん… “シェイプ”、解除だ…」
ドロローン
妖精(! あ…ああっ…!)
男「んーっ!!!」
ぴとっ
男(!? お、思ったより冷たくて、カタいな…!)
「どうだ、ファーストキッスの味は」
男「ひ、ひやっこくて…かたいれす…」
「そうか。思うざま吸い付いて構わないぞ」
男「!? ほ、ほんとうれすか!?」
「構わないとも。それは俺の便所サンダルだがな!」
男「えっ」 カッ
妖精「あちゃー」
「ぶわっははははははは!久しぶりだな、男!」
男「なっ…なっ…なっ…」
妖精(世界一気味の悪い、感動のご対面だわ)
男「う…うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
男「おっ、おっ、おっ…おっ、おやっ…親父…!? 親父ぃ!?!?」
父「よう、息子よ」
男「ぶっ…ぶへぇっ、ペッペッ!!! ペェエッ!!!!」
妖精「子が子なら親も親ね」
男「妖精さん!? 見てたの!?」
父「あんたが俺の息子を預かってるっていう、妖精さんかい」
男「ちょっ…あの、これ…どういう事?」
妖精「勇者の特性。“父親と、必ず敵対する”」
男「えっ」
妖精「ってのが、あるわね」
父「そういう事だ、息子よ」
妖精「いやまあ、何で女の子に化けているのかはさっぱり何だけど」
父「ハッハッハ、息子をからかいたかっただけさ」
男「じゃあ…親父は今、敵って事なのか!?」
父「そうだ。…そして、戦いは既にはじまっているんだぜ」
男「えっ」
父「俺こそが…この大陸の千の毒沼の主、水の闘神なのだ!」
男「えっ」
妖精「そのポジションで出てくるのは正直予想外だった」
父「さあ、息子よ。刃を交えよう! さあ、ターン1だ! コマンド!?」
―ターン 1―
男「ここでやるのかよ」
男「くそっ…どうすればいいんだ、妖精さん!」
妖精「さあ。あたしも初めてのケースで何がなにやら」
男「えっ」
妖精「でもまあ、これで水の神殿に行く手間も省けたってもんよね。 >じゅもん…」
男「くそっ、やるしかないのか… >たたかう だ!」
父「さあ来るが良い、息子よ!!」
妖精「とにかく、そのワケわかんない素性を暴かせてもらうわ。…“アナライズ”!」
妖精さんはアナライズを唱えた!
ミス! 父にはこうがかなかった!
妖精「はあっ!?」
父「ふははははは! 効かぬ! 効かぬなあ!!」
男「よ…妖精さんのじゅもんが、効かない…だと…!?」
妖精「ちょっ、どういう事!? これが効かない敵キャラなんて、古今東西どこにもいない筈なのに!」
父「フッフフ…お嬢さん、ちょいと頭が固いんじゃないのかい?」
妖精「なっ…賢さ1の父親のくせに、生意気なっ…!」
父「どこにもいない筈の敵がここにいる。そう考える事はできまいかな」
妖精「!」
父「そう。俺は規格外なんだよ、お嬢ちゃん…」
妖精「そんな…!?」
男(やだ…! 用務員のオッサンみたいな格好してるくせに、ちょっとかっこいい…!)
父「そして! 今の1ターンで先手を打たなかったのは、致命的! フェイタリティだぜ!」
妖精「なっ…! アナライズを弾いたくらいで、調子に乗るんじゃないわよ!」
男「そうだぜ親父! 体力全振りの俺を一撃で沈めるのは無理だろうし、百戦錬磨の妖精さんに何が通じるっていうんだ!」
妖精「そうよ。あたしのレベルは255…おまけに物理回避100%、全属性・状態異常耐性も完璧。どう? 絶望したかしら?」
父「…レベル255だと?」
妖精「ええ。あなたのAIじゃ、あたしを攻撃対象に取る事すらできないでしょう?」
父「どうかな…? 次の行動の対象は、アンタだぜ…?」
男「何っ!?」
※親父の声は藤原啓治に脳内変換してお楽しみ下さい
妖精「は、はったりよ…!」
父「それは自分の目で確かめてみるんだな。>じゅもん… モード反転、裏コード! ザ・チートッ!!」
男「えっ」
妖精「ば、ばかなっ!? そのコードは…!」
父「そう…! 前時代的、オールドタイプな五文字制限の呪文など、俺は超越した…!」
妖精「禁忌の技を使う気なのね…!?」
父「そう! 世界の“均衡”を破壊しかねないがために、神々が封印した禁呪だ!」
男(えっと、これって誰の親父なんだっけ…?)
父「クックク…お前さん、レベルが255なんだってな? わざわざ教えてくれてありがとうよ!」
妖精「!? し、しまったっ!」
父「とくとテイスティングしろ! >うらじゅもん… “レベル5パラライ”ッ!!!」 バリバリバリッ
妖精「きゃああっ!?」
妖精さんは麻痺してしまった!
男「よ、妖精さーんっ!?」
妖精「くっ、くそっ…!」
妖精(うかつだった…まさか、伝説の耐性無視呪文を使える者がいただなんて…!)
男(妖精さんが行動不能に陥るなんて…くそっ、一体どうすれば!?)
父「どうした息子よ。女の子のサポートがなければ、お前は戦えないのか?」
男「なっ…何だとっ」
父「ここまで一人でやってこられたのか? 相変わらず、誰かの助けがなきゃあ何にもできないガキのままか?」
男「うるさいっ! フラッと出たまま何年も帰ってこない無責任親父のくせに…俺に、説教するなあっ!」
男の攻撃!
男「だりゃあああああっ!」
父「はっはは…やっぱり、ガキのまんまだな!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「なっ…!?」
父「言っただろ? 俺は水の闘神なんだぜ?」
男「くっ、くそっ… !?」 クラッ
妖精「男っ!?」
男「な、何だ…体が…」
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「そんな…?い、一体いつ…!?」
父「どうだ? 俺からお前に贈るハニー・トラップ…恋の罠の味、もとい、便所サンダルの味は!」
男「あっ」
妖精「うわっ」
父「ふっはは! さあ、続けるぞ…さあ、ターン2だ! コマンド!?」
―ターン 2―
男(くそっ…このままじゃ、マズい!)
妖精「男…あたしが許すから、>にげる を選択しなさい…!」
男「妖精さん!?」
父「ほう…逃げる気か? それもいいだろう。だが、この父…ファーザーからは逃げられんぞ…?」
男「っ…!」
父「無様にもその背中を曝したところを… 後ろから一突き、バックスタブだ…」
男「くっ… 誰が、逃げるかよっ! >どうぐ っ!」
父「ほっほう、少しはマシな面構えになったじゃないか。だが…お前に父は、越えられぬッ!」
妖精「男ぉーっ、ダメぇーっ!!」
父「はっはは。お嬢ちゃんよ。そう心配しなくても、こいつに裏呪文なんて使わんよ」
父は、身を守っている!
父「父は父らしく…こうしてどっしり構えて、息子の敗北を見学…シーイングするとしよう」
男「なめるなぁっ!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「おひさしー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
父「ハッハハハッハハ! 無駄無駄ァ!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「くそっ…!」
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「っ…!」
妖精「あの毒のタイプは、分類“イベント毒”… 解毒不能の、毎ターン10%ダメージ…! あれではいずれ…!」
男「そうなのか、妖精さん…ネタバレ、ありがとうな!」
妖精「ばっ、バカっ! そんな事はどうでもいいから、早く逃げろって言ってるのよ!」
男「いや…逃げない。ターン3、コマンドだ!」
父「ほう…」
父「何を強がっているんだ、息子よ。お前はここで負け帰って、母さんのところで目を覚ませばいいじゃないか」
男「…」
父「勇者だって、嫌々やらされているような物なんだろ? やめちまったらいいさ、そんなもん」
男「…」
父「嫌な事があったら、別に投げ出したっていいんだ。自分の生き方を自分で決められるのもまた、大人だぜ?」
男「…あんたこそ、怖いんじゃないのか?」
父「…何?」
男「自分が目を背けていた息子の成長が、怖いんじゃないのかっ!」
父「…ほう。息子の癖に、生意気な事を言う。だが、成長とは一体何だ? お前はこの妖精に頼り切ってここまで来たんじゃないのか」
男「そうだ」
父「ハッハハ! そうだろうとも! …全く、お話にならない… ノープロブレムだよ、お前は」
男「だが、それだけじゃない…!」
父「何…?」
男「この、まだまだ短い旅のはじまりでっ!」
>とくぎ!
男「俺には、確かに得た“経験値”とッ!」
“かえんぎり”!
父「むっ!?」
男「敵の弱点を教えてくれる、心強い“仲間”とッ!」
“かえんぎり”!
妖精「そうか、火炎斬り…! いや、でもただの火炎斬りじゃない。あれは…!?」
男「志を共にして… 凄い技を教えてくれた、“友”がいたんだーッ!!」
“かえんぎり” + “かえんぎり” 一人連携、発動!!
父「バカな…何だ、その技はっ!?」
男「くらええええええっ、オヤジイイイイイイっ!!!」
男の攻撃!
男「真、必殺ッ! 音速…火炎斬ッ…!」
父「ぬおおっ!?」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
水の障壁は消滅した!
父「ふっ…ふっはは、ふっははふっはは!」
妖精「だ、ダメなのっ!?」
父「息子よ! マイ・サンよ! 中々見事な切り札、良いショーダウンだったぞ!」
男「…」
父「だが…次のターンで障壁を貼りなおし、リペアすれば良いだけの事! 所詮は、子供の付け焼刃に過ぎなかった!」
男「…だっ」
父「何…?」
男「まだだぁッ!」
男の追加攻撃!
妖精「えっ!?」
男「“二重音速火炎斬”…これが二重の、極みだァーーーーーッ!!!」
父「ぬおおおおおおッ!?」
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 障壁突破ボーナス! 弱点攻撃ボーナス! 思い出補正ボーナス!
父に6190のダメージ!!!
父「ひ、光が…!? ぐあああああああっ!?」
父を…倒した!
男「はぁっ、はぁっ、はぁっ… や、やった…やったぞーーーーっ!!!」
妖精「うそーん」
周囲の視界が、ドロドロと融けて行く…
男「えっ!?」
水の都ウォーティアは、まぼろしのヴェールに包まれていたようだ…
なんと、この場所は水の神殿だった!
妖精「そういえば、あれだけドンパチやったのに人っ子ひとり出てこなかったものね…」
父「はっはは…やるじゃねえか、息子…マイ・サンよ…」 どろどろ
妖精「!」
男「なっ…!? おっ、親父っ!?」
妖精「そうか…何かおかしいと思ってたけど…」
男「妖精さん!?」
父「シャーラップ…言ってくれるな、妖精さんよ… ネタバレはお断り…ノーサンキューだ…ぜ…」
男「い、いや! 構わない。続けてくれ、妖精さん!」
妖精「…これは、あなたの父親ではないわ…水の塊に、魂だけが宿ったもの…」
男「えっ…?」
男「つまり…どういう事だってばよ…?」
妖精「ここには、あんたのお父さんの魂はあっても…体は、無いって事」
男「まさか…まさか、そんな…!」
父「あーあ、バレちまったか…」
男(親父…もう、何年も家に帰って来ないと思ったら…!)
男「なあ、親父…? ウソだろ? ウソなんだろ、そんなのッ!?」
父「はっはは… バーカ、嘘じゃねえよ。ノン・フィクションだ…」
男「!」
父「俺は…出稼ぎに出た土の要塞帝国・グラン近くの鉱山で…5年前、地震に巻き込まれて…そのまま、な…」
男「う…嘘だ…嘘だッ!!!」
父「そのまま…命だけは助かったんだが…足を悪くしてな…何かこう、仕事には差し支えないんだけど…遠き故郷、ファーランドまでの道のりが…しんどくて…」
男「ズコー」
父「まあとにかく、お前の様子が見たかっただけだ」
男「さっきまでのテンションは一体どこに振ったらいいんだ。もうだめだ」
妖精「あーくだらない…ほら、さっさと青い瞳のオーブをよこしなさい」
父「おお、そうだったな」
“青い瞳のオーブ” を受け取った!
男「やたっ!」
父「…元気そうで何よりだったぜ。ま、俺もそのうち帰るからよ。
お前もさっさと魔王とやらを退治して、家で待っててくれや」
男「親父…」
父「おっと…もうこの体も限界みたいだな。じゃあな、男。達者でな」
父の体は、水に還ってしまった…
妖精「男…」
男「妖精さん…」
妖精「あたしからあんたにかけられる言葉は、たったひとつしかない…」
男「えっ…?」
妖精「…あんたのファーストキス、便所サンダルの底(笑)」
男「」
妖精「しかも父親の(笑)」
男「」
―水の大陸 フィールド―
男「最悪の大陸だった」
妖精「まあまあ。それにしても、アンタらしからぬ奮戦だったわね」
男「よ、妖精さんが俺を褒めるなんて…!?」
妖精「まあ今回は認めてやるわよ。あたしが真っ先に無力化されるなんて思いも寄らなかった」
男「それについては、俺の方がびっくりした」
妖精「かえんぎりの連続攻撃か…よく思いついたわね」
男「いやー、自分でもびっくりだよ。何か妙に頭が冴えてさ」
妖精(新手の勇者特性…? それとも、あの規格外親父の息子だから、かしら? いや、もしかして…)
男「今なら、今までわからなかった事も理解できる気がするんだぜ!」
妖精「えっ」
男「ん…あれ? そういえばずっと、頭の中で何かがひっかかってたんだよな…」
妖精「」
男「…そういえば、火の大陸で…」
妖精「ああーっ、ほら男! 今の戦いで経験値がたっぷり入ってるわよ!」
男「おっ? おお、本当だ」
妖精「早速体力に全振りしましょう! ほらほらっ!」
ピロリーン ピロリーン
男「え、えへへ…えへ…」
男「ええっと、次は風の大陸だっけ?」
妖精「…うん」
男「どうやって行くんだ? またシドラヌに頼むのか?」
妖精「着いてきて」
-
―水の大陸の北端 海神のほこら―
妖精「到着。ここよ」
男「ここは?」
妖精「ちょっと奥に進むわ」
―海神のほこら 水の祭壇―
妖精「ちーっす」
婆「…何者だ」
男「あっ、あれ? 火の集落の族長?」
婆「火の集落? ここは水の大陸じゃぞ」
妖精「男。世の中には自分と似た人が、色違いで3人はいるの。気にしないで」
男(別人なのか…)
婆「して、何用じゃ?」
妖精「男。アレ出しなさい」
男「アレって…やっぱり、これかな」
>どうぐ “青い瞳のオーブ”
婆「これは!? お主ら、まさか…!」
妖精「はいはい勇者御一行です」
婆「ふむ…では、“海蛇の道”を通って、風の大陸に行くのだな」
男「海蛇の道?」
婆「海の魔物が暴れておるせいで、船は全て止まっておるからな。
本来、神聖なる海神の道は、誰も通ってはいけない事になっておるが…
勇者なら話は別じゃ」
男「妖精さん、通訳」
妖精「聞いたとおりでしょ」
男「海で魔物が暴れてるって。今までそんな風には見えなかったけど」
妖精「シドラヌには魔物が寄ってこないからね」
男「いやだから、シドラヌに乗っていけばいいんじゃないの?」
妖精「海竜シドラヌ入手のタイミングは、本当は3つのオーブ入手後なの」
男「え?」
妖精「あれに乗っていくと風の谷のイベントが始まらないのよ」
男(ああ、インチキしてるツケが回ってきてるのか…)
婆「相談は終わったかの?」
男「あっはい」
妖精「とにかく海神の道に乗っけてちょうだい」
婆「仕方あるまい。あれは持っておるのだろうな?」
妖精「ぬかりないわよ」
男(あれって何だ?)
―海蛇のほこら深部 海蛇の道前―
婆「さ、準備は良いな」
妖精「OKよ」
男「ちょっと待った」
妖精「何よ」
男「海蛇の道って…これ、何なんだよ」
妖精「見た通りでしょ」
男(穏やかに凪いでる海面に一本だけ、幅3メートルくらいの不自然な激流がある)
男「まさかこれがずーっと風の大陸まで続いてるんじゃないだろうな」
婆「そうじゃが」
男「自然とはいったい…うごごご…」
妖精「男。はい、これ」
男「えっ」
“ガラスだま”を手に入れた!
男「何この金魚鉢。どっから出てきたの」
妖精「アイロニアで買っておいたのよ。それ頭装備だから、はやく被って」
男「えっ」
妖精「いいからはよ」
男はガラスだまを装備した! ぼうぎょりょく 217 → 218
男「防御力1しかないんだけど。あと息で視界が曇る」
妖精「今だけだから我慢しなさい」
婆「準備は整ったな。では、海神の加護のあらん事を…」
男「おっ、出発か。それで船は?」
妖精「んなもん無いわよ」
男「えっ…まっ、まあ妖精さんも同行するって事はそれで大丈夫なんだよな」
妖精「…」
男「何で黙るの。ねえ何で黙るの」
妖精「>じゅもん! “アミュレト”!」
妖精は男にアミュレトを唱えた!
男「わっ!? 何、何したの」
妖精「お守りよ。今回はあんた一人で行ってもらうから」
男「えっえっ」
-
男「何でよ」
妖精「何でもよ!!」
男「な、何怒ってるんだよ…」
妖精「…とにかく、風の大陸の事はあんたに任せるわ。
あたしは後で合流するから。さっさと緑の瞳のオーブを取ってきなさい」
男「後でって…」
婆「何をもたついておる? 男だったら潔く飛び込まんか」
ドンッ バシャーン
男「アバーッ!? アイエエエエ、入水!? 入水ナンデ!?!?」
男は海神の道に乗った! 不思議な力がはたらく…
男「何これぇ!? すごい勢いで沖に流されていくんですけどー!!」
妖精「そのタイルは移動速度8倍の矢印床属性だからねー! そのまま風の大陸まで止まらないわよー! じゃねー!」
男「ちょっおまっいくら何でもざっけっ段々深くなってきたよぉあばばばばばばば」
妖精「ガラスだまは呼吸装置だから大丈夫よー」
男「こんなんで息ができてたまるがぼぼぼぼぼぼぼもうだめばばばば」
男は水平線の彼方に消え去った…
妖精「…ごめんね、男」
―風の大陸 浜辺―
男「ごほっごぼっべはっ…くそっ、何で死んでないんだよ…
で、ドコなんだよ…ココは…」
男は周囲を調べた! ここは風の大陸の浜辺のようだ…
男「俺のかしこさじゃあ小学生並みの状況把握しかできない」
?「キャーッ!」
男「悲鳴!? あっちか!?」
盗賊A「ヘッヘッヘ…観念しなってお嬢ちゃん」
娘「いやーっ! 誰か助けてーッ!!」
盗賊B「そんなに騒いだって誰も来やしねェって…ぐへへへへ」
男「な、何だよあのテンプレ展開…まるでRPGじゃないか…!
おいっ、お前らっ!」
盗賊A「あァ? 何だァ、テメエ」
男「俺は…勇者だ!(キリッ)」
娘「えっ?」
盗賊B「ブフォwwwww」
男「大丈夫ですかお嬢さ…って、うわあああああ!? その顔っ…おっ、親父かっ!?」
娘「えっ? あっ、あのっ…何を言ってるのか、よく…」
男(あっ…世の中には似た容姿の人が3人はいる、って奴か?)
男「いえ、お嬢さん。何でもないんです。これは失礼をば(ニカッ)」
盗賊A「おいィ? さっきから何ワケのわからなねー事ひとりでブッ呟いてンだ?」
盗賊B「人のデート邪魔しといてさあ、あんまりチョーシこいてるとボコにすんよ勇者クーン?」
男「うるっせええオラアアアアア!」
バキャッ
YOU WIN! テレッテッテッテーン
盗賊A「ぎにゃぁぁぁぁ!!」
盗賊B「うっぐぺぺぺぺーっ!」
男「えっ…何、コレは…」
娘「す、凄い…戦うまでもないレベル差があったから、戦闘を省略して瞬殺してしまったんですね!」
男「そ、そうなの? い、いやまあ勇者の為せる技ですとも。ハハハ。ハハハハハハ!!」
娘「素晴らしいです! 貴方なら村を救えるかもしれない!」
男「村を救う…? す、すげえ…RPGや…これRPGやぞ!! ウヒョ―――イ!!!」
娘「引き受けていただけますか、勇者様!」
男「ハハハ! お任せ下さいお嬢さん! 血まなこ巨人でもキングラフレシアでも、どんと来いですよ!(ニカッ!!!)」
娘「ありがとうございます! では、こっちです!!」
―風の集落―
男「ここが風の集落かあ…すごい数の風車小屋だなあ」
娘「勇者様、あれを見てください」
男「えっ? …何だこりゃあ、村中盗賊まみれだ」
娘「あの人たち、3日くらい前にやってきて…村中で好き放題やってるんです」
男「さっきの連中の仲間か。要するに俺に奴らを倒して欲しい、って事だろ?」
娘「はい。お願い、できますか?」
男「フッ…お任をば(ニカカッ)」
―風の集落、広場―
盗賊C「AとBが帰ってこねえな」
盗賊D「クク…奴らは俺ら盗賊団の中でも最モブ…」
盗賊E「娘一人かどわかせないとは、盗賊のツラ汚しよ…」
男「ウオオオオ!!!」 ザクーッ
盗賊CDE「ギャアアアアアアアアア!!!」
YOU WIN! テレッテッテッテーン
男「俺TUEEEEEEE!!! この調子でお前ら全滅だらァーッ!!!」
ガチャッ
黒騎士「騒がしいな…」
男「えっ…何か真っ黒いフルアーマーの騎士がいきなり民家から出てきた…」
盗賊達「おかしら!!」
男「どう見ても盗賊団の頭じゃない」
黒騎士「我は漆黒の騎士…“ビューティフィリオンフェヒター”と呼ばれし者」
男「ひどい名前だ」
娘「気をつけて下さい! 村の男達が束になっても、あの騎士には敵わなかったんです!!」
男「ボスキャラかよ…でも、今の俺なら…!」
黒騎士「ほう…面白い。試してみるか?」
漆黒の騎士は、男の身の丈をゆうに越える騎士剣を構える…
男「剣でけえ」
黒騎士「これは剣というにはあまりにも大きすぎた…大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた…」
男「なにいってんの」
黒騎士「形容する…“鉄塊”、と!」
漆黒の騎士は大地を蹴り、恐ろしいスピードで男に迫る!!
男「素早い!」
* モンスターがあらわれた! *
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
男(妖精さんのいない、正真正銘のタイマンははじめてだ…)
黒騎士「どうした、臆したか?」
男「あせんなって! >たたかう!」
―ターン 1―
男の攻撃!
男「だりゃあああああ!」
黒騎士の攻撃!
黒騎士「はああああああっ!」
男「えっ!?」
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「そ、そんなのあるのかよ!」
黒騎士「甘いぞ…そらあっ!」
男「ぐあっ!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 27のダメージ!
男「いいってえ!」
―ターン 2―
黒騎士「どうした。貴様の力はその程度か」
男「くそっ! 火力負けか…なら! >とくぎ!」
黒騎士「ほう」
男「いくぜえっ!」
男の攻撃! ガイアソードが炎にうなる! 火炎斬り!
黒騎士「フッ、火炎斬りか…ならば!」
黒騎士の攻撃! 鉄の塊が炎にうなる!
黒騎士「燃えよ…世界は命じた!」
火炎斬り!
男「何っ!?」
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「ふぬぬぬぬぬっ!」
黒騎士「おおおおおおおっ!」
男「うぎぎぎぎぎ…お、押されているッ! 駄目だアッ―!!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 45のダメージ!
男「うあっちぃいいいい!!」
―ターン 3―
黒騎士「くだらん」
男「な、何だと!?」
黒騎士「こんなものなのか、男!」
男「ぐぎぎ…言わせておけば! こうなったら! >とくぎ!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「真、必殺っ!! 二重音速火炎斬―――ッ!!!」
黒騎士「面白い! こちらも、行くぞォッ!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「う、嘘だろ!?」
黒騎士「最 終 警 告 ッ!“法則の崩壊”…ミラ・アンセス―――ッ!!!」
両者の素早さは互角! 打ち合いが発生!!
男「てやっ! だらっ! そりゃぁっ!!」
黒騎士「ほっ! ふっ! ハァッ!!」
1合目、攻撃は相殺した!
2合目、攻撃は相殺した!
3合目、攻撃は相殺した!
男「こなくそーっ!!」
黒騎士「オオオオオッ!!!」
盗賊C「す、すげえ…何かドラゴンボールみたいな事になってら」
盗賊D「ものすごい熱気が二人の周りを囲んでるぞ、ありゃあ何だ?」
娘「あれは…互いの闘気が互角のレベルで炸裂しているせいで、互いの体にダメージが届かず、
周囲にエネルギーが留まり続けている状態です」
盗賊D「えっ」
娘「あのエネルギーは戦況の拮抗が崩れた瞬間、押し負けた方に一気に流れ込む筈…
そうなれば必死のダメージは免れない!!」
盗賊E「そ、そう。お嬢ちゃん詳しいですね」
娘「モブのたしなみです」
―ターン EXTRA―
男「お前ッ! どこでこの技をッ!!」
96合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「知りたいかっ…はあッ!」
97合目、攻撃は相殺した!
男「俺のオリジナル技じゃ…なかったのかよ!!」
98合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「俺は死の淵より舞い戻り、この技を得たのだ!
それに、元はといえば…火炎斬りは、俺の技だッ!!」
男「何っ… うわっ!?」
99合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「フッ… 終わらせるぜ、男!!」
男「お、お前…まさか!?」
黒騎士「おおおおおおおおおッ!!!」
黒騎士の攻撃! クリティカルヒット!
100合目! 男は競り負けてしまった!!
男「うわあっ!?」
場を渦巻いていたエネルギーが、一気になだれ込む!!
男「ぎゃああああああッ!!!!」
男に9709のダメージ! 男は、倒れてしまった…
娘「お、男さ―――――んっ!!」
盗賊達「SUGEEEE!!! さすがお頭!!!!」
男「く…そっ…」 ガクッ
黒騎士「お前は何も知らんのだ…男」
―くらやみ―
男「あれ…どこだここ」
妖精「やあ、男」
男「あれ、妖精さん? ここどこですか、何で俺連れてこられたんですか」
妖精「ボクはセーブ妖精。君の知ってる妖精じゃないよ」
男「あ、ああ…よく見たら色が違う。またそっくりさんなのか。一体どうなってんだ?」
男「俺に何か用なの? セーブなんてした事ないけど」
妖精「そりゃあそうだよ。セーブ妖精はもう、ボクしか残ってないから」
男「えっ?」
妖精「それはとにかく、ちょっとじっとしててね。>じゅもん… ごにょごにょ」
妖精は男に呪文を唱えた!
男「わっ!? 何したんだ!?」
妖精「はい、おしまいだよ。んじゃ、リスポンさせるからねー」
男「ちょ、ちょっと待ってくれよ。意味わかんないんだって。何? どうなってんの?」
妖精「気にしないで。ちょっとしたおまじない。
おっと、そろそろ切らないとやつらに気付かれちゃうな」
くらやみの空間に、少しずつ光が差し込んでくる…
男「うおっまぶしっ! おい、まだ聞きたい事が…!」
妖精「またね。頑張ってね、男」
―風の集落 娘の家―
男「っぷはぁ!?」
娘「勇者さん! 目が覚めたんですね!!」
男「娘さん!? ここは…」
娘「ここは私の家です」
男「盗賊の奴らは? 黒騎士はどうなった!?」
娘「あの人達は引き上げていきました。勇者さんのおかげです」
男「そっか。…良かった、な」
娘「はい。本当に、ありがとうございました。」
―風の集落 高台―
男「風、ンギモッチイイイイイイイイ!!」
娘「くすっ、この村は気に入って貰えました?」
男「うん、牧歌的で超最高。俺の村も風は吹いてたけど、なんか終末感がすごくてさ…
あっそうだ娘さん、緑の瞳のオーブって知ってる?」
娘「はい。緑の瞳のオーブは、あの山の頂に祀られています」
男「あの山に?」
娘「はい。あれは“妖精の山”。不思議な妖精達が住まう、おとぎの山です」
男「! 妖精の山…じゃあ、妖精がたくさんいたりするの?」
娘「そう伝えられています。もっとも、見たことがある人はいないんですけどね。
妖精がいるなんて、不思議で素敵なお話ですよね」
男(俺が知ってる妖精さんは不思議というより理不尽で、間違っても素敵ではない)
男「じゃああの山が次のダンジョンってわけだね。娘さん、俺ちょっと行ってくるよ」
娘「もう行ってしまわれるのですね。では、これをお持ちください」
男は“どうぐぶくろ”を受け取った!
男「これは?」
娘「一人旅では何かと入用かと思って。少しばかりのアイテムを入れておきました」
男「おおっ、すごい助かるよ。ありがとう娘さん」
娘「いえ、村を救っていただいた勇者さんへのせめてものお礼です。
では勇者さん、お気をつけて」
男「うん。じゃあ、さようなら娘さん!」
男は妖精の山に向かって行った…
娘「…頑張るのですよ、男…」
―妖精の山、登山道―
男「ハァ、ハァ、ハァ…ふう、結構登ったな。
エンドナも最後の村だけあって悪路だらけだったけど、こらきっついわ。
…ん? あれは洞窟の入り口かな」
―妖精の洞窟、入り口―
男「巨大な岩が洞窟の入り口を塞いでいる。側に立て札があるなあ。>しらべる」
“これより禁足地 何人も立ち入るべからず”
男「それじゃあ話が進まないだろ。うーん…岩を、>しらべる」
男は岩を調べた。よく見ると、岩の真ん中にはくぼみがある…
男「これでしょ! >どうぐ、“赤い瞳のオーブ!”」
男は赤い瞳のオーブを使った!
何も、おこらない。
男「詰みです \(^o^)/」
男「いや、こっちか…」
男は青い瞳のオーブを使った!
岩は音を立てて崩れ始め、跡形もなく崩れ去った!
男「ふう…大ハマリかと思ったぜ。よっしゃ、行こう」
―妖精の洞窟 第一の試練の部屋―
男「いかつい扉が目の前にある。>しらべる」
扉は堅く閉ざされている。
男「で、何か床がくぼんでてこんなんなってる」
□□□
□□□
□□□
男「これ、アレだよね… 床の上に立って、>しらべる と」
□■□
■■■
□■□
男「やっぱりお約束のアレだこれー!」
でも俺は知っているんだ。まずは四隅の床を踏むだろ?」
■□■
□□□
■□■
男「そんで真ん中を踏んで、パパッとやって終わり!」
■■■
■■■
■■■
男「いやー、賢さ上がっちゃうなー!!」
どこかで扉の開く音がした…
男「すぐそこだろ」
―妖精の洞窟 第二の試練の部屋―
男「…」
□□□□
□□□□
□□□□
□□□□
男「まあ、いいけどね。これくらいなら適当に踏んでても解けるでしょ。ポチポチー」
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
男「えっ…敵出るのかよ、面倒臭い」
☆ 省略(ちゃんと戦った) ☆
20分後…
■■■■
■■■■
■■■■
■■■■
男「ふう、疲れた…まあこんなの妖精さんにやらされた苦行に比べたら何でもない。
むしろ謎解きはRPGの醍醐味だもんな! よっしゃ、次行こう!」
―妖精の洞窟 第三の試練の部屋―
男「ウッソだろお前…」
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
男「これ、結構時間かかるんじゃないの…」 ポチポチポチポチ
1時間後…
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
男「ハァー、ハァー、ハァー… よし、頑張った。俺頑張った」
どこかで扉の開く音がした…
男「大丈夫。風、吹いてきてる。確実に。今までに無い冒険感を感じる。着実に俺の旅に。
とにかく最後までやってやろうじゃん!」
―妖精の洞窟 第四の試練の部屋―
男「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
男「誰だよダンジョンには謎解きが必須みたいな風潮を生みやがったのはよ!!!!!
そういうゲームじゃねーからこれ!!!!1111」 ポチポチポチポチポチポチポチ
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
どろハンドC があらわれた!
どろハンドD があらわれた!
どろハンドA「ヌトォ…」
男「しかも何でどろハンドなんだよ!!!
こいつら仲間呼ぶから戦闘が終わらねーんだよ!!!!
何が妖精の試練の間だよ妖精族は人に苦痛を味あわせるのが
生き甲斐なのかよヴボァアアアアアアア!!!!!111111」
気の遠くなるような時間が流れ…
男「ハァ゛― 、ハァ゛― 、ハァ゛」 ポチ
■■■■■■
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■■■■■■
どこかで扉の開く音がした…
男「次もこのギミックだったら帰る。もう勇者やめる」
―妖精の山 山頂―
男「はぁー…ひゃあ゛あ゛ぁ゛ー、空気うまいいいぃぃ…
さすがにあれで終わりだよな。続きを作ろうなんて鬼畜の所業を越える」
―山頂のほこら―
男「あった! あれだ、緑の瞳のオーブ!!」
男は山頂のほこらに駆け寄った。
突然、凄まじい旋風が吹きすさんだ!!
男「のわっ!?」
黒妖精「フン、遅っせーんだよバカが。スイッチ床でどんだけ手こずってんだよ」
男「何だお前!? …って、また妖精で、また黒かよ! もうわけわかんないよ!!」
黒妖精「また妖精? 山の途中で妖精を見たのか? そんなの有り得ないだろ、バーカ」
男「初対面で感じの悪い奴だな! だからお前は誰なんだっつーの!」
黒妖精「俺は風の闘神。魔王様の最も忠実なるしもべだよ」
男「! 三闘神か!!」
黒妖精「他のバカふたりと括るんじゃない。…さて、最後の勇者なんて言葉に踊らされてるバカめ。
遊んでやるから来てみろよ」
男「このっ、生意気なチビスケが…!」
黒妖精「なっ…! チッ、>じゅもん…“メタモル”!」
黒妖精はメタモルを唱えた! 黒妖精は青年の姿になった!
黒「うお、イケメンになった」
黒妖精「二度とそんな口が訊けないようにしてやるよ!」
* モンスターがあらわれた! *
風の闘神、黒き妖精があらわれた!
男「こんなガキはちゃっちゃとやっつけて、妖精さんとエンドナに帰るんだ! >たたかう!」
―ターン 1―
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
男「ちっ、風の闘神ってだけあって、先手を取るのは厳しいか…!」
黒妖精「クク…」
黒き妖精は精神を統一した! 次の攻撃は必中になる!
男「? 攻撃は、してこないのか?」
黒妖精「ほら、来いよ…」
男「言われなくてもだ! うおおおっ!」
男の攻撃!
黒妖精「バカめ」
ミス! 黒き妖精にダメージを与えられない!
男「くっそ、あたらねえ…!」
―ターン 2―
男(スピード差がすごいぞ、どうする…!)
黒妖精「どうした? 来ないのかバカめ」
男「うるさいっ! >とくぎ…!」
黒妖精「カカカッ、できねえよ!!!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「死ね。“息の根止め”」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
男「何だソレ反則っ…がぁッ!?」
精神統一により必中! 男は死んでしまった!
黒妖精「アハハハハハハッ!!!」
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「がほっ! ごほっ! げほげほぉっ!!」
黒妖精「…ハァ?」
男「ぜぇっ! はぁっ! はぁ…っ! 俺、何で生きて…!?」
黒妖精「…あァ、わかった。おいバカお前、アミュレト付けられてるだろ」
男「アミュレト…? そういえば妖精さんが…」
黒妖精「即死肩代わり呪文なんて無駄な事しやがって…これだからアイツは」
男(妖精さんの事を知っているのか? …いや、三闘神なら当たり前か)
黒妖精「ま、どっちにしろもう1回死ねるだけだよな。ハハハハ!」
男「くそっ…この野郎っ…!」
―ターン 3―
男「畜生! どうすれば…!!」
黒妖精「別に何も考えなくていいだろうが。何したって当たりゃしない。逃げられもしない。
お前じゃ俺には絶対に勝てないんだよ!」
男「くっ… くそっ!!」
?「全く見苦しいな、男」
* 更なるモンスターがあらわれた! *
男「えっ!?」
黒妖精「あァ?」
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
黒騎士「最後の勇者とやらがこの体たらくか…全く、失笑を禁じ得ないな」
男「お前っ!?」
黒妖精「誰かと思ったら没モンスターデータの残骸が。何でこんなところをうろついてるんだよ」
男「没モンスターの残骸!?」
黒騎士「貴様の知った事ではない。俺は出現位置を持たない亡霊…どこにいようと自由だ」
黒妖精「フン。どっちにしろお前の加勢など無用だよ。そこで黙って見てろ」
黒騎士「加勢だと? 笑わせるな」
男「えっ?」
黒妖精「何を言っている?」
黒騎士「知らないのか? パーティアタックという概念を」
黒妖精「テメエ…」
男「パーティーアタック…って、味方に攻撃するって意味だよな、確か…」
黒騎士「男。合わせろ」
男「合わせろ、って…」
黒騎士「ふたつの火炎斬りの連携が俺達の技だ。それを更に連携させれば、こやつとてひとたまりもない」
男「そうか…よし、わかった! >とくぎ!」
黒妖精「バカがバカみたいな作戦を…立ててんじゃねえッ!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「そこのアホ面さえ殺せば…こんな茶番は、終わるんだよッ!!!」
黒妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「死ねェェェェ!!!」
男「くっ…!」
黒騎士「臆するな! 精神統一は乗っていない!! かわせ!!!」
男「おおっ…おおおおおおおお!!!」
ミス! 男には効果がなかった!
黒妖精「何だとっ…!?」
黒騎士「よくやった! 今だ!!」
男「うおおおおおおおっ!!! 俺の両手が真っ赤に燃える!!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒騎士「お前を倒せと轟き叫ぶ!!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒妖精「何だ、このバカ熱気はッ…!?」
男と黒騎士の連携攻撃!!
男「真…必殺…音速、火炎ッ!!!」
黒騎士「最終…警告…法則、崩壊ッ!!!」
“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”、炸裂!!!
超高熱のエネルギーが、天を貫く柱となる!!!
男&黒騎士「エクス…カリバアアァ―――――――ッ!!!!!!!」
黒妖精「バカ…な…う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」
男&黒騎士「光に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 素早さシンクロボーナス! 精神シンクロボーナス!
友情パワーポーナス! 限界突破ボーナス!
黒妖精に99999のダメージ!!!!!
男「すごい…や、やった…! 俺達、こんなパワーが…!!」
黒騎士「…いや…!!!」
―ターン 4―
男「な、何だって…!?」
黒妖精「テメエらぁあああ…!!!!」
黒騎士「化け物め…」
男「え、HP10万越え…!?!?
何なんだよ…結局こいつだって、ただのボスキャラなんじゃないのかよ!?!?」
黒妖精「バカがバカ騒ぎしやがって…!!! この落とし前はキッチリつけてもらうからなァ!!!!!」
?「そこまでよ!」
男「! この声は…!」
妖精がかけつけた! パーティーに妖精が加わった!
男「妖精さん! 今度は本物だ!!」
黒妖精「よーう、アバズレ妖精」
妖精「アミュレトが切れたから来てみれば…あんた、何しに出てきたのよ」
黒妖精「何って? 俺は風の闘神なんだからここにいて当たり前だろ?」
妖精「HP10万の風の闘神なんざいないわよ。…本当の本当にバカなのね、あんたは」
黒妖精「そっくりそのままお返しするよ、バーカ」
男「妖精さん。その言い合いは気が抜ける」
妖精「気ぃ抜くんじゃないわよ。いいからこいつ、どかすわよ」
黒騎士「…俺はここまでにさせてもらおう」
黒騎士は様子を見ている…(1ターン放棄)
妖精「あんたは…いや、後でいいわ。>じゅもん…」
男「やるしかない…!」
妖精「男。こいつのHPは10万ぴったりよ。何でもいいからあと1発、ぶち込んでやりなさい」
男「わかった! >たたかう!」
黒妖精「…」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
妖精「無駄よ。あたしの素早さはカンストしている…!」
妖精はアミュレトを唱えた!
妖精「魔退けたる五芒の星を刻まん。護印となりて命に代われ。“アミュレト”!」
男は1度だけ、即死攻撃に耐性を得た!
男「よっしゃ!」
妖精「フ…詰みね」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「…そらよ!」
男「がっふ…!」
命中! 男は死んでしまった!
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「はぁッ…! げほげほっ、キッツい…!! が、耐えたぞ!!」
黒妖精「…クククッ!!!」
黒騎士「むっ!?」
黒き妖精の特殊能力! 手負いの獣!
HPが10%以下の時、連続行動!!
妖精「はっ…、しまった!?」
黒妖精「アハハハ―――ッ!!! バカがバカがバカが!!!!」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
黒妖精「死ねェエァ――――ッ!!!」
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒騎士「よけろ、男―――ッ!!!」
男「だ、ダメだ…かわせなっ…」
命中!
男「ぐっ…は…」
男は死んでしまった!
黒騎士「男!!!」
妖精「男―――っ!!!」
男「ごぼっ、はっ、はぁ… え…?」
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
黒騎士「なっ…」
妖精「ちょ…はっ? 何で?」
黒妖精「バカな!? アミュレトはひとりにつき1回ずつしかかけられない筈だ!!!!」
男「はぁっ、はぁっ…そうか、あの妖精がかけてくれたの…あれ、アミュレトか…」
妖精「あの妖精、って…」
黒妖精「妖精だと!? そんなワケねえ…俺達以外に妖精がいる筈ねェ…!」
男「何だかわかんねーけど…覚悟しろ、このガキ―――っ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット!!
黒妖精「づぁああああああああ!!!」
黒き妖精に120のダメージ! 黒き妖精を…倒した!
男「いょっしゃあああ! 」
黒妖精「ぐうっ…クソがっ…!」
黒妖精の体が消えていく…
男「あっ、消えちゃうぞ。妖精さん、知り合いなんだろ?何か話さなくていいのか?」
妖精「…コイツと話す事なんかないわよ」
黒妖精「まさか負けるとはッ…ハッ、だが聞けバカ男! こんなのは全部茶番なんだよ!!」
男「えっ?」
妖精「…やめなさい」
黒妖精「風の闘神? 笑わせるなよ、俺の本懐はそんな所じゃねえ。
他のバカふたりと決定的に違うのは、」
妖精「やめなさいって言ってるでしょ! とっとと消えなさい!!」
男「妖精さん…」
黒妖精「ヘッ…」
黒き妖精は、山の頂に霧散してしまった…
男「消えた…よかったのか、妖精さん。俺最後の勇者なんだろ?もう会えないんじゃ…」
妖精「どうだっていいのよ。それより、そこのガチャガチャ黒鎧」
黒騎士「…」
男「そうだ。聞く機会が無かったから忘れてた。なあお前…美剣士なんだろ?」
黒騎士「…違う」
男「いやいやどう考えてもそうだろ。俺でもわかるわ」
妖精「あんたそれ、まんま没モンスターの“黒き騎士”じゃない。
どういう事なのよ」
黒騎士「ぬけぬけとお前が、よくもそんな事を言えたものだ…まあいい。」
黒騎士「今の俺は…阿修羅すら凌駕する存在だ」
妖精「そういうのはいいから、ロストしてから今に至るまでを説明しなさいっつってんの」
男「ロスト? え??」
黒騎士「俺は、火の神殿の燭台の上で力尽き、そのままロストした。
俺という存在はこの世界から“抹消”され、自我は虚空の中に呑まれていった…」
男(あっこの語りかっこいい)
黒騎士「冷たい水の中に沈んでいくような感覚…自分という個が塵になり、世界の闇に溶け込んでいく。
俺のその奈落の深淵で、ひとつの騎士鎧と出会った。“漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター”…
この世界に生まれる事なく、何ひとつ活躍する事もなく虚の海で眠り続ける、哀れな存在…
奴は望んでいた。その漆黒を、闇の深淵から光の中へと」
妖精「あーあー大体わかったわかった没データと合体して復活したのね出番の無いクズ同士のフュージョンねはいはい」
男(あっ、もっと聞きたかった)
妖精「それで黒騎士と融合した影響で元々ひどかった中二病がもっともっともーっと悪化してるわけね」
黒騎士「…相変わらず、人格が悪魔に支配されているかのような女だな」
男「えーっと…よくわからないけど、美剣士がパワーアップして帰ってきたって事だろ?
よかった。俺、またお前と冒険したいなって思ってたんだ」
妖精(えっ…コイツまだあたしが美剣士をロストさせたのに気がつかないの…? こわっ)
黒騎士「フッ…変わらないな、お前は。だが、俺はお前と共に行く事は無い」
男「? な、何でだよ。また一緒に旅しようぜ!?」
妖精「男。こいつ敵データなのよ。パーティーには入りようがないわ」
男「えっ? だって今、一緒に戦ってくれたじゃないか。あんな感じでいいじゃん」
妖精「あのね、あたしたち勇者パーティー。こいつが隣を歩いてて、あたしたちが歩くとどうなるか、わかんない?」
男「あっ…もしかしてエンカウントするのか?」
黒騎士「そういう事だな」
妖精「そういうわけでしょ。あんたなんて居ても何の役にも立たないの。さっさと消えて」
黒騎士「お前に言われずとも、俺は俺の道を行く。もう俺は美剣士ではない」
男「そうか…じゃあ、またしばらくお別れなんだな。美剣士…えっと、今は黒騎士?」
黒騎士「何だ」
男「魔王倒したら、一緒に遊ぼうぜ(ニカッ)」
黒騎士「…! フッ…」
黒騎士「覚えておこう!」
黒騎士は去っていった…
妖精「はあ…」
男「妖精さん…えっと、聞いていい?」
妖精「…何よ」
男「風の大陸には来たがってなかったじゃないか。どうして来てくれたんだ?」
妖精「別に。アミュレトが切れたから、面倒なのが出たんだと思ったのよ」
男「…あいつって、妖精さんの何なの? 獅子人戦と違って明らかにシリアスだったじゃん、何あの空気」
妖精「ばっ…あんた、あたしの事まで中二病扱いする気!?」
男(いや…だって思いっきり飲み込まれてたし)
妖精「アイツは…あのバカはただの知り合いよ。他には何もないわよ」
男(そうかなあ… あと、すごく聞きたい事があるんだけど。これを聞いてもいいものか)
妖精「何も無いなら、さっさとそこのオーブを回収してエンドナに戻るわよ」
男「なあ、妖精さん」
妖精「今度は何よ」
男「ここって…妖精の山って、妖精さんの…」
妖精「! …男、行くわよ!!」
男「あっ…ちょっと待ってよ!」
男と妖精は緑の瞳のオーブを手にし、風の大陸を後にした…
―最果ての地 四柱の祭壇―
男「さて…いよいよ帰ってきたのか。旅の終着点、最果ての地…地元に!!」
妖精「はいはい。ここは説明いらないでしょ。ちゃちゃーっとやっちゃいなさい、男」
男「おう。まず、オーブがみっつだろ。んで中央の黒い柱を取り囲むように、赤青緑の柱があるだろ」
妖精「うんうん」
男「柱の下に各色のオーブを置くだろ。すると何かおこる!」
妖精「はいはーい、賢さ1くんよくできましたー」
男は朱の柱に、赤い瞳のオーブを置いた。
男は蒼の柱に、青い瞳のオーブを置いた。
男は翠の柱に、緑の瞳のオーブを置いた。
三つのオーブから黒き柱へと光が注がれ、
黒き柱は天へと誘う光の柱となった!
男「お、おおー…すごい」
妖精「後はこれに乗って魔王城までひとっとびよ」
男「魔王城って…曇天に阻まれて、見えないけど」
妖精「宙に浮いてんのよ」
男「ほぁー…いかにもって感じだな」
男は光の柱に触れた。体が天空に引きずりこまれる…!
男「う、うわあああああああぁぁぁぁ!!!」
―魔王城 滅びの庭―
男「ハッ!?」
妖精「はぁー、着いた着いた。さ、あの門から入るわよ」
男「ちょっ…妖精さん、ここ最終決戦の舞台でしょ!? そんな不用意にズカズカと…」
妖精「大丈夫よ、ここはエンカウントないから。はよ行くわよ」
―魔王城 ホール―
男「ガクガクブルブル…」
妖精「なにびびってんの」
男「いやだってここ魔王城」
妖精「大丈夫だって言ってんの」
男「まだレベル上げが足りないんじゃ…」
妖精「あたしレベル255。無問題です」
―魔王城 玄武の間―
男「玄武の間!? 何!? 四天王!?」
妖精「いないいない。素通りしまーす」
―魔王城 白虎の間―
男「いかにもすぎるでしょ!? 何かいるんでしょ!?」
妖精「何もいませーん素通りしまーす」
―魔王城 朱雀の間―
男「もう駄目だぁ…おしまいだぁ…」
妖精「だから何もいないんだっての」
―魔王城 青龍の間―
男「…あ、あれぇー?」
妖精「拍子抜けよね。さ、パパーっと行きましょ」
―魔王城 最後の間―
妖精「いやー、誰とも会わずに済んだわ。ラッキーラッキー」
男「…」
妖精「ん、どしたの男。もうこの先は魔王の間だよ、準備いいかしら?」
男「…いや、おかしくない?」
妖精「えっ?」
男「いや、いくら何でも敵いなさすぎだろ」
妖精「ほら、終盤のダンジョンだから。知ってる? 魔王の城っていうのはさ、
本当に信頼のおける精鋭部隊しかいないから、エンカウント率が極端に低くって…」
男「いやいやいや! おかしいって、絶対おかしいって!!」
…なあ、妖精さんこれ変だって…」
妖精「…じゃあ、何だっていうのよ?」
男「えっと…魔王の罠、とか…」
妖精(…こいつは、どこまでも)
男「な、妖精さん? 引き返した方がいいんじゃ…」
妖精「いいのよ。どっちにしろこの扉あけないと何も進まないじゃない。
仮にあんたは命を絶たれたって復活できるんだから、いいでしょ」
男「うーん… うーん、うーん、うーん…」 ブスブス
妖精(知恵熱でとるわ)
男「ま、まあー…いいのかなぁ…」
妖精(! 流石やで!) グッ
男「よ、よし…じゃあ開けるぞ」
妖精「うん。それで魔王倒して、…全部、終わりにしましょう」
男「ん、そうだな。世界に平和をもたらさなきゃな!
じゃあ…」
妖精(…)
男「>しらべる!」
男は最後の間の扉を調べた。
禍々しい音を立てて扉は開いていき、背筋の凍るような冷たい風が漏れ出した…
妖精(…)
妖精(ごめんね、)
妖精(男。)
―魔王の間―
男「…ゴクッ」
男が魔王の間に足を踏み入れると、扉は無情な音を経てて封を閉じた。
引き返す事は、できない…
男「あの、階段の上でドクロのトゲトゲ玉座に座ってるのが魔王か…」
魔王「…」
男「ゴクッ… プッ、プレッシャァーッ…すげえぜ…」
魔王「…」
男「くっ…」
魔王「…」
男「…」
魔王「…」
男「…!」
妖精「何してんだよ。はよいけ」
男「えっあっ、はい」
男は一段ずつ、階段を登っていく…
男(何か…下からだとよく見えなかったけど)
一段、階段を登る。
男(黒いマントに… ヤギ…? みたいな頭した…)
また一段、階段を登る。
男(なんか、線が細くって…)
更に一段、踏みしめる。
男(何だ…すっごい老けてない…?)
そして、ついに玉座と対峙した…
男「えっと…お、お前が魔王か?」
魔王「…」
男(間近で見ると、ほんとにヨッボヨボで…何つーか)
魔王「…」
男「すごく…弱そうです…」
魔王「…そうとも」
男「うっひゃぁっ!?」
魔王「さあ…始めよう、勇者よ。…そして、終わらせよう。
私は待っていた…この時を。永く、永く…そしてただ、虚しく」
* モンスターが あらわれた! *
男「か、語りもそこそこに…もうかよ!?」
魔ヲ統ベル皇 と…対峙した…!!!
―ターン1―
男「くっ…いよいよ年貢の納め時か! 妖精さん、戦術は…って、」
妖精の姿は無い。
男「あれえええええええ!? あ、あれえええええええええ!?!?」
魔王「何を怯えている、勇者よ」
男「なんでいないんだよ!? 何でラスボス戦で仲間がいないんだよおおおぉぉ!?!?」
魔王「恐れる事は無い。…さあ、来るが良い」
男「恐れるなって…無理だよぉおおお! 村男Aひとりで魔王と戦えるわけないだろおおお」
魔王「取り乱すな。勇者、お前には最初から…」
魔王「仲 間 な ど 、 い な か っ た の だ 。」
男「えっ…?」
魔王「意味は自ずとわかるだろう…さあ、勇者よ」
魔ヲ統ベル皇は様子を見ている…(1ターン放棄)
男「はっ?」
魔王「その剣で、私を殺せ」
男「えっ? えっ???」
男「あ、わかった。あれでしょ?」
魔王「…」
男「今あの段階なんでしょ? 世界の半分をやろうとか言ってさ、」
魔王「…」
男「油断しきった所を背後から一突き…バックスタブだ! みたいな」
魔王「黙 れ」 ギロッ
男「ひいっ!?」
男「うっ…うわぁああああ!!!」
男は恐怖にかられてしまった! 男の攻撃!
魔王「ぬっ…」
魔ヲ統ベル皇に305のダメージ!
男「はぁっ、はぁっ…えっ、何かすごいダメージでて…」
魔ヲ統ベル皇を…倒した!
男「はっ?」
魔王「ふっ…」
魔王の姿は、黒い霧へと変わり霧散していく…
男「はっ…はぁ?」
あ な た は 魔 王 を 打 ち 破 っ た の だ ! ! !
男「いやお前何いって…」
魔王「これでもう…苦しまずに済む」
魔王は闇の彼方へと溶けていった…
男「…」
男「…」
男「…あれ?」
男「…」
男「…」
男「えっ?」
男「…」
男「…」
男「…」
男「………………!!!」
男「何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で何で!!!」
>しらべる
何も、おこらない。
男「どうして、何も起こらないんだ!?!?」
?「それが、この世界の真実だからだよ」
男「!? なっ、な…誰!?」
?「はじまりの村から、大志を抱いて旅立って。
仲間と共に大地を駆り、海を越え、時には空すらも翔んで。
世界を救う英雄となる事を夢見て、ついには魔王に挑み…」
男「何言って…」
?「結果、このザマだ」」
男「お、お前は…」
?「はじめまして男くん。僕はアレックス。
はじまりの村より出でて、この地に佇む、ある者の成れの果てだ」
男「ある者って…」
?「そうだね。例えば、」
勇者「“ 勇 者 ” とか。」
男「…!?!?」
男「い、いやっ…勇者は俺だろ!? 何言ってるんだ!?」
勇者「妖精から聞いていないのか? 勇者は一人じゃないって」
男「全員ロストしたはずじゃあ…!?」
勇者「うん。そう言えって命じたのは僕だし」
男「はっ…? 命じ、って…」
勇者「あながち嘘でもないしね。実際、」
勇者「他は全部僕が殺したよ」
男「なっはっちょっえべべべべあばばばばばばば」
勇者「やれやれ。賢さ1じゃあ理解が追いつかないのかな。おーい、妖精」
妖精「…」
男「よ、妖精さん? 妖精さん、説明を要請するよ妖精さ――――――――んッ!!!」
妖精「うっさい! 取り乱しすぎだろこのバカ!!!」
男「えっちょっどういう事なのこれ」
妖精「そうね。別にこんな事、わざわざ説明してやる義理もないんだけどね」
男「義理ない、って…」
妖精「あんたがバカにも程があってあんまり哀れだしね。」
妖精「冥土の土産に教えておいてあげるわ」
男「…!」
妖精「あんたは最後の勇者。…に、世界が仕立て上げたって言ったでしょ」
男「…あ、ああ」
妖精「そもそもあんたは勇者じゃないのよ」
男「いや、それは知ってるけど…」
妖精「そうじゃない。そもそもあんたが勇者になる可能性事態がそもそもゼロだったのよ」
男「は?」
勇者「勇者の枠は255人なんだよね」
男「枠…? え?」
勇者「データベース。僕がナンバー1ね。で、赤き鎧の勇者だとか、隼の盗賊の勇者だとか、
まあぞろぞろ、ぞろぞろ。255人までまあ無駄に数がいてさ」
男「いやお前、さっきそいつら殺したって…」
勇者「うん。殺した。僕と、僕達…その仲間が。…例えば、」
勇者「妖精とかね」
男「!!!!!!」
妖精「で、その254人を消した時点で目的は達成できる筈だったの。
なのにあんたが出てきた」
男「な…何で」
勇者「盲点だったよ。1~255を抹消してしまえばいいと思っていたのに。
全ての勇者をこの世界から排除した後で、
まさか、“0”に該当する勇者がでっち上げられるなんて」
男「それが…それが俺なのか??」
妖精「そうよ。全く、おかげでステータスも、とくぎも、まるっきりバグった特性ばっかり持ちやがってね。
振り回されて疲れたわよ」
男「…つ、つまり妖精さんは…俺を消すために、俺をここまで連れてきたのかよ!?」
妖精「やっとわかったの? そういう事よ」
男「何で…何でそんな事するんだよ!? 魔王倒して…世界を平和をにして、普通に暮らせばいいじゃないか!!」
?「アッハッハッハッハッハ!!!」
男「な、何だよ!? 今度は誰だ!?」
黒妖精「いやーお前マジでバカだよな! ほんとバカだよな!」
男「お、お前…風の大陸の…」
黒妖精「お前さぁ、たっった今、何した?」
男「えっ…」
黒妖精「今だよ、今! ほんっっとうについぞさっき! 5分くらい前!! なっ、何した!? 言ってみ!?」
男「何って…魔王を、倒して…」
黒妖精「アッハハハハハ!! で、何? どうなった?」
男「どうなったって…こ、こんな事になってなかったら、そのまま…」
黒妖精「そのままァ?」
男「世界に平和が戻ったんだから…後は帰って、普通に…暮らして…」
妖精(…)
勇者「そう。それだよ」
男「えっ…」
勇者「男くん。この世界って何?」
男「えっ…?」
勇者「思いっきりメタっていいよ。風の大陸でも叫んでたじゃないか。
床のギミックに苦戦してさ」
男「あっ…いやっ、はずみで言ったんだけど…何かタブーっぽい風潮あったけど、ついはずみで…」
妖精「…言いなさいよ。それが世界の現実にして、あたしたちが対峙してる矛盾よ」
男「えっと…」
男「ゲーム…」
勇者「そうだね。では、この世界がロールプレイングゲームだとして。
魔王を倒したら?」
男「魔王を倒したら…エ、エ、エ…エンディン、グ…」
勇者「…そうだね。では、今は?」
男「えっ?」
勇者「今、この時は?」
男「うっ…うっ、うっ…!」
>しらべる
何も、おこらない。
男「う、嘘でしょ…?」 ダッダッダッダッ…
男「か、帰る…俺もう、帰る…」
>しらべる
男は扉を調べた! 扉は堅く閉ざされている…
男「うぐっ…ぐぅっ――――――!!!」
引き返す事は、できない…
男「うわあああああああああああああああああ!!!!!!」
男「な、何でぇぇぇっ!?!?」
勇者「…エンディングは、無い。出来損ないなんだよ、この世界は。
僕は最初の勇者だったから…一番早くそれに気付いてしまった」
男「おかしいいだろおお!?!? だ、だからって!! だからって、
妖精さんを使って…他の勇者を、皆殺しにしたのかよぉっ!?!?」
黒妖精「あーあ、そうだよ。楽しかったぜ? ハ、ハハハハハハハ!!!」
男「なあ、妖精さん! おかしいだろ妖精さん!?
妖精さんは…妖精さんは、こんな事やりたくてやってるんじゃないんだろ!?!?」
妖精(…! くっ…)
黒妖精「ほー? バカでもわかる事くらいあるんだなぁ?」
妖精「なっ…やめなさい、バカ!」
黒妖精「ハハハー!!! 言わせたくなきゃ止めてみろよ!!!
ただし…“今”のお前じゃあもう、俺の足元にも及ばないけどな!!!」
妖精「くっ…」
男「妖精さん…何、どゆこと…?」
勇者「そこの二人に喋らせるのは忍びない。これは僕が教えてあげる。
元凶は僕だしね…よっ、と」
男(! 鞘から剣を抜いた…)
男「な、何だよその…暗黒触手剣…!」
勇者「ユーモラスな名前をつけるね。これね、ロングソードの刃」
男「はっ!? ロングソード、って…絶対違うだろこれ!!」
勇者「そこ、魔王の玉座の後ろに、何だかのれんみたいなのがあるの、わかる?」
男「そっ…それが何だよ」
勇者「見つけてしまったんだよ。あそこはね、」
勇者「デバッグルームなんだ」
男「デバッグ…えっ…?」
勇者「そこで、このロングソードは世界に“直接”干渉できるように改造したんだ。
便利なんだ。人を消したり、閉じ込めたり」
男「なっ…」
黒妖精「言ったよな? 妖精はもう俺ら二人だけだ、ってよ」
妖精(…)
男「まさか…お前、お前ッ…!」
勇者「うん。妖精族の残りは、ここに全部入ってるんだ」
男「…」
黒妖精「アハハハハーーーーーーッ!!! どう、男ちゃんよ? 絶望したろ?
おうちに帰りたくて帰りたくてたまらないだろ? でももうかなわねえんだよ!
そもそも家に帰ったってお前のかーちゃんバグってるしなああああ!!
アハハハハーーーーーーッ!!! アハハハハハッ!!!!!」
男「…黙れよ」
黒妖精「…あァ?」
妖精「男…?」
男「何だ。…これも、ただの“イベント”なんだな」
黒妖精「ハァ?」
男「身内を人質に取られての、裏切りイベント…そんなありふれたヤツだったんだろコレ」
勇者「…ほう」
男「俺は…勇者だ! 妖精さんに無理やり連れ出されて、ワケのわかんない苦行をたくさんやらされて…
混乱したまま獅子人と戦わされたり! 堂々とチートしてくる親父と戦ったり!!
お前みたいな本気でムカつくヤツと衝突したりして…一人じゃ何もできなかったけど、それでも!!」
男「妖精さんと一緒に、ここまで登ってきたんだ!!!」
妖精「!!!!!」
黒妖精「ハ―――――――アァ…?」
勇者「…素晴らしい」
男「何…!?」
勇者「いや、本当に驚いた。勇者としてこの世に産み落とされたわけでもないのに。
君が持っているのは本物の勇者精神だよ」
男「よくもぬけぬけと…!」
勇者「男くん。…いや、最後の勇者。君に最大限の敬意を表す。そして、せめてもの慈悲として」
勇者「一太刀で殺す」
男「ぬかせえええええええ!!!!!」
妖精「お、男っ…」
男「大丈夫。そこで見てろよ妖精さん。コイツは俺がぶっ殺してやる!」
妖精「えっ…あっ…」
男「いや、見てるだけじゃ駄目だ。妖精さん、戦術を教えてくれ!
今までだってそうやってきたじゃないか! ターン1は、何をすれば…」
妖精「違っ…そうじゃない、駄目なの、男!」
男「えっ?」
勇者「隙あり」
ボッ
男「えっ…? な、何…どうなった?」
妖精「いやああああああああああああああっ!!!!」
黒妖精「アーーーーーッハハハハハハハーーーーーーーッ!!!!!
くそ笑ったぜ!!! あれだけ啖呵きってワンパンじゃねーか!!!!」
男(何? 俺なんで地面に転がってるんだ? …立てない、足に力が入らない…)
黒妖精「おーい、男ー! 俺からも冥土の土産ってやつ、教えてやるよ!
今どうなってるのかわかんねーんだろ!?」
男(何だ…ムカツクなあいつ、何言って…)
黒妖精「男ー! お前今さー、勇者の攻撃モロに食ってさ!」
黒妖精「下半身、消えたぞwww」
男「な…何で…」
勇者「すまない。一太刀とはいかなかったようだ。苦しませてしまった…」
男「勇者権限で…こっちの行動が決まるまでは…大人し…く…」
勇者「勇者権限?」
ボッ
勇者「僕は、勇者だよ」
妖精「あっ…あああああ、ああああああ――――――――ッ!!!!!!!」
黒妖精「ヒャッハ――――――――ッ!!!!!!!
跡形もなく消えやがったあァ――――――――ッ!!!!!!!」
勇者「…これで、僕の悲願は達成された。
全ての勇者は消した。…そして、僕さえ消えてしまえば。
この世界はもう、狂った茶番を演じずに済む。
未完成の部分を排除する事で、この世界は完成する。まがい物ではなくなる。
それが…僕の勇者として考えた、救世…」
黒妖精(そう…! そして、そのイカレた野望の果てに…!)
勇者「…二人とも、今までよくやってくれた。
特に君には…僕のエゴのために、辛い思いばかりさせてしまったね。
すまない。…本当に、すまない…」
妖精「ああぁ…うっ、ううっ…!!!」
黒妖精「…さあ、いよいよ契約を果たす時が来たぜ、勇者先生。
あんたは今から消える…
そしてそのロングソード…もとい、デバッグ権限は…!」
勇者「うん。君に渡すという約束だったね。今渡すよ」
黒妖精(やった…ついにやった! 同族を売り、勇者に媚び、長い時を待ってついに…!
俺は、世界を本当の意味で支配する!!!)
勇者「じゃあ、はい。」
ボッ
黒妖精「え…あ…?」
妖精「なっ…」
黒妖精「ぎ、ぎぃぃやぁあああアアア――――――――――ッ!?!?
う、うでがぁっ!? 俺の腕がぁあああ!?!?」
妖精「ど、どうして…」
勇者「どうして? 君にだってわかるだろう。
勇者のいない世界で、こんな存在が野放しになったらどうなるのか」
黒妖精「テメエエエエぁ!!!! て、テメェわぁ!!!!!
腐っても勇者だろうがあああぁぁぁぁッ!?!?!?!?!?!
こんな、こんな真似して…良いと思ってッ…!!!!!!」
勇者「うん。勇者だから」
ボッ
黒妖精「あ…」
勇者「悪は野放しにはできないんだ」
勇者「…さて」
妖精(ビクッ!)
勇者「本当に忍びない。君のような、善良な心も持った者を裏切るのは」
妖精「なっ…何で!? 全部終わったら、みんなを解放してくれるって、約束…!!」
勇者「もう詫びようもない。…君達にはずっと、この剣の中にいてもらわなくてはならない」
妖精「どうして!?」
勇者「妖精族は…この世界の“システム”そのものだ。
影響力が強すぎる…残していくのは、危険だ」
妖精「ば…馬鹿なっ…」」
勇者「だが安心してくれ。君の働きと、涙に敬意を表して…
君と、ここに囚われている妖精達を抹消したりはしない」
妖精「そ…そんなの! 殺すのと何が違うっていうのよ!!」
勇者「あの黒妖精は消した。勇者達も消した。
だが…君達は残る。永遠に誰も訪れないこの魔王城の魂として。
やすらかにこの世界を見守ってくれ」
妖精「ああ…あ、あああああああああ!!!!!」
―なぞのばしょ―
男(ここ…は…何、だ… 真っ黒い海のを漂っている…みたいな…
声…が…出ねえ… 息も…してるんだかしてないんだか、わかんねえ…
苦しい…何も感じないけど、冷たくて…苦しくて、虚しい…)
?(ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―…ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―…)
男(!? あれって…黒妖精、か…? 何だ…どうなってんだ、ここは…)
獅子人(ごぼぼぼぼ… ごぼぼぼぼぼ…)
男(! 獅子…人…!?)
獅子人(あ゛ー…お久しぶりですわー…)
男(あ、会話できるの、ここ…?)
獅子人(自我が残ってる限りは、ですがねー)
男(限りは、って…そもそもお前ここで何してるの?)
獅子人(普段は眠ってるって言うたやないですかー。この虚無の海を漂ってるんですよー。
自分、炎の獅子なんて暑苦しい生き物ですからね。このひんやり具合がお気になんですわ)
男(お前はそれでいいのか…)
獅子人(あんたさんこそ、こんな所で何してるんですかい? ついにロストしちまったんですかー)
男(俺は…)
獅子人(何かワケありみたいですねー。ま、自分には関係ないですがな。
それじゃ、自我が消えないよーに頑張って漂ってくださいねー)
男(えっ、ちょっと待っ…)
獅子人(好きでこんな所にいられるのはたぶん自分くらいのもんですからーねー)
男(ちょ…ちょっと待って、行かないでくれ!!!)
獅子人(ばーいばーい)
男(…一人になっちゃった…)
男(時間の感覚が、全然わからない…)
男(というかそもそも、ちゃんとした“時間”の中に俺はいるのか?)
男(…)
男(黒妖精、どうしてここに居たんだ…)
男(もしかして、あの勇者に裏切られたのか…)
男(仲間…割れ…?)
男(そんな、じゃあ妖精さんは…)
男(くそっ、妖精さん…)
男(俺は…勇者なんだ。助けなきゃ)
男(俺は…)
男(俺は…)
男(…)
男(…)
男(…)
― ∴∵∴∵∴∵(・)∴∵ ―
ザバンッ!!!
男「ぶはっ!?!?」
妖精「お、やっと釣れたか」
男「はぁーっ、はぁーっ…!!! げ、げほげほ…!!!!」
妖精「落ち着いて息しろよー、あんまり動かれるとそこらへんノイズだらけんなるから」
男「な…何この、気持ち悪い部屋…ごほごほ」
妖精「そこは仕方無いから許してね。いいから深呼吸して落ち着いて、あんまり時間ないから」
男「えっ…?あ、ああ… ひっ、ひっ、ふーっ…」
妖精「おk?」
男「…うん、大分落ち着いた」
妖精「よしよし」
男「あんたは…いつだったかのセーブ妖精」
妖精「うん。誰にも気付かれずにひっそり生きてたセーブ妖精だよ」
男「妖精は全部、とらえたって…」
妖精「ボクは予備だったんだ。世界のどこにも配置されてない。
だからボクのセーブ容量を使って、君をサルベージする事ができた」
男「サルベージ? と、とにかく助けてくれたのか。ありがとな」
妖精「うん。で、本題ね。今から君をロードするから」
男「ロードって…え、セーブもしてないのにか!?」
妖精「うん。あの勇者は気がついてないんだけどね。
魔王の間の直前、オートセーブされてるんだ」
男「!」
男「いや…俺が戻ってもあいつには、勝てない…!」
妖精「…実はそうでもないんだなー」
男「えっ?」
妖精「今までの勇者が散っていくのも、ボクはずっと見てきたんだ。
見ているだけで何もできないのは悔しくて…何度も助けてあげたいと思ってた。
でも、駄目だ。今までの勇者じゃアイツには勝てない」
男「い、いやっ…俺よりマシな勇者なんていくらだっていただろ!?」
妖精「それは、正攻法で見ればね。でも君は決定的な切り札を持っている」
男「えっ!?」
妖精「それはね…」
バキンッ!
男「!?」
妖精「!」
男「な、何だっ!?」
妖精「思ったより早く気付かれちゃったか。相当気を使ったのに。
やっぱりあの勇者は異常だなあ…」
バキ、グキッ!
男「うわあああっ!! ど、どうするんだ!?」
妖精「説明してる時間がなくなっちゃった。とりあえず、これ持って」
男「何だ…短剣?」
妖精「うん。名づけるなら…そう、“ショートソード”」
男「ショートソードって…」
ドガガガガガガガガ!!!
男「わーっ、そ、そこら中亀裂だらけだぞ!?」
妖精「言ってる場合じゃなかった。じゃあ、今すぐ送るから」
男「ちょっ、今送られてもワケがわからんぞ!?」
妖精「大丈夫。できる限りのサポートはしておいた。あ、そうそう、最後にひとつだけ」
男「何だよ!?」
妖精「君の賢さは1じゃなくって、1をず――――――――っと下回ってるの」
男「はいっ!?」
妖精「表示上は1になっちゃってるんだけど、実際はマイナス65535とか、そんなの(笑)」
男「」
男「それが今、何よ!!!」
妖精「あはははは。じゃあね男、頑張ってね。」
ズガァアア―――――――――ン!!!!!
男「うわあああああああああ!?」
妖精「…お姉ちゃん、助けてあげてね?」
男「えっ!?」
妖精「会った事もないんだけどさ」
―魔王の間―
男「うわあああああああああっ!?」 ドスン
妖精「!?」
男「いっつー…も、戻ってきたのか…?」
妖精「ああ…お、男っ…!」
男「妖精さん…へへ、戻ってきたよ」
勇者「ふう…ロングソードに不穏な光が混ざっているから、何かと思ってたら。
まさかこんな事になるとはね」
男「…!」
勇者「ロードか…迂闊だった。でも、僕が消える前に気付かせてくれてよかった」
男「お前…あっちの妖精さんに、何した!?」
勇者「…やはり妖精族は危険か。これでは、やはりやむを得ないのか…」
男「…何したかって聞いてるんだ!!!」
勇者「答える必要は無い。なぜなら君は、もう一度虚無に落ちるからだ」
男「この…お前だけは、本当に…本当の本当の、本当の本当の本当に!!」
男「絶ッッッッッッッッッッッッ対に、許さねぇえええええええええええ!!!!!」
勇者「これはまた、見事な啖呵だね。優劣さえはっきりしていなければね」
男「うるせえええええ!!! ショ―――――――――ト、ソォオオオ―――――――――ドっ!!!」
男「来てくれ、みんなァ―――――――――――ッ!!!」
妖精「これは!?」
勇者「…眩しい光だ」
黒騎士「…呼んだか?」
男「黒騎士!」
父「おう、呼んだか男?」
男「親父!!」
娘「くすっ…呼んだの、男?」
男「娘さん…って、え? 何で?」
勇者「なるほど、ロード、ね。…ご都合主義も大概にして欲しいな」
ショートソードが、さらに眩い光を放つ!
妖精「! システムメッセージが、復活した!」
勇者のロングソードから、暗い波動が消えてしまった!
勇者「…ああ。デバッグモードをオフにされてしまった」
妖精「すごい…完全に理の外の力だわ。一体何が…」
男「…妖精さんの妹が、助けれくれた」
妖精「えっ?」
男「それは後で話すよ…で、黒騎士」
黒騎士「…ああ」
男「親父」
父「どうした、マイサン?」
男「…娘さーん」
娘「はーい」
男「いや、はいじゃないが…」
男「何でここに?」
娘「えっ? だってそれは…当たり前じゃない」
父「そうだな。マイワイフがマイサンを案じるのは…至極当然、オフ・コースだな」
男「えっ」
娘「はーい」
男「いやどう見たって俺と同じくらいの年齢なんだが…」
父「ハッハッハ。お前忘れたのか? 水の大陸で俺から送られた罠…ハニー・トラップ!」
男(多分一生忘れない)
母「ごめんね男。私、同じ事しか喋れなくなっちゃったから。お父さんに、助けて貰ったのよ」
父「予備のボディしか無かったから、ずいぶんとベビーフェイスになっちまったが…
ま、良しとしよう!!」
男「いやー。ほえー。そーなんですかー」
勇者の攻撃!
黒騎士「! 危ない!」
美剣士の攻撃!
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
黒騎士「ぬおっ…!」
黒騎士はパワー負けして吹き飛ばされた! 235のダメージ!
男「く、黒騎士っ!」
勇者「全く…やめてくれないかな。魔王城で一家団欒、なんて」
勇者の攻撃!
父「むっ!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
水の障壁は消滅した!
勇者「まだだ」
勇者の攻撃!
父「くっ…リキャストタイムが、間に合わねえ…!!」
クリティカルヒット! 父に405のダメージ!!
父「ぐおっ…!」
男「親父っ…!!」
勇者「一家惨殺なんて…全く、僕の徳はどこまで下がればいいんだい」
妖精(っ…正攻法でも、強い!)
黒騎士「男! 妖精! 何をぼやってしてる!!」
妖精「はっ!」
父「勇者権限で、俺達のターン常に後手…スローリィに立ち回らざるを得ない!」
娘「あなたがやるのよ、男!!」
男「そ、そうだ…よし!!!」
勇者の攻撃!
男「! やばい! >ぼうぎょ!」
男はガイアソードで、勇者の太刀を受けた!
男「ふんぐぬっ…!!!」
勇者「おや? ショートソードは使わないのかい?」
男「あれはさすがに…みじっかいんだよ…!」
勇者「そうかい」
しかし、ぼうぎょは崩されてしまった!
男「うわあああ―――――っ!?」
男は吹き飛ばされた! 735のダメージ!
勇者「まあ、どっちでも変わらないけれども」
娘「男!」
妖精「汝風の神に愛され…省略! 疾風韋駄天、 >クイック !!!」
妖精はクイックを唱えた! 娘はこのターン、最初に動けるようになった!
娘「あら」
妖精「出てきたって事は何かできるんでしょ!?」
娘「ナイスサポートです。ありがとう、妖精さん…! >じゅもん…」
勇者「ごめん、させないよ」
勇者の攻撃!
妖精「なっ!? クイックの補正に割り込むの!?」
娘「きゃっ…」
父「さぁ―せぇねェエエエ―――――――ッ!!! >ガード だあああああっ!!!!」
父は娘を庇った!
娘「あなたっ…!」
勇者「美しいね。でも、水の闘神ごときでは…」
黒騎士「ならば俺もだ!!!」
黒騎士は娘を庇った!
娘「黒騎士さん!」
勇者「水の闘神、プラス黒騎士か。どちらもボスクラスのステータスだね」
勇者「それでも」
父&黒騎士「うおおおおお――――――――ッ!?!?」
しかし、ぼうぎょは崩されてしまった!
ふたりに212のダメージ!
勇者「遠く及ばない」
妖精「二人ともっ!」
娘「くっ… >ヒルオーラ !」
娘はヒルオーラを唱えた!
男のHPが半分回復した!
父のHPが半分回復した!
黒騎士のHPが半分回復した!
男「うっ…」
娘「男、気がついたわね!! なら、立ちなさい!!」
男「そうだ…止まって、られねェ――――――ッ!!!」
男「くらえェ――――――ッ!!! >かえんぎり!!!!」
男の攻撃! ガイアソードが炎にうなる! 火炎斬り!
勇者「うん」
勇者は攻撃を防いだ!
ミス! 勇者にダメージを与えられない!
勇者「効かないんだ、すまない」
男「まだだァ――――――――――――ッ!!!!」
男の追加攻撃! 二重音速火炎斬!
勇者「それでも」
勇者は攻撃を防いだ!
ミス! 勇者にダメージを与えられない!
黒騎士「三撃目だ!」
黒騎士の攻撃! 鉄の塊が炎にうなる、火炎斬り!
勇者「だと、してもだ」
勇者は攻撃を防いだ!
ミス! 勇者にダメージを与えられない!
黒騎士「くっ…四撃目! 法則、崩壊…」
勇者「もういいだろう?」
勇者のカウンター魔法攻撃!
黒騎士「なっ…」
勇者「綴る」
勇者「…果てよ、果てよ、果てよ、果てよ。妖精に倣って、僕も省略だ」
妖精「あれは…ヤバい!」
黒騎士「! まずい!」
黒騎士は男を庇った!
男「くっ、黒騎士!!!」
勇者「第八星光魔術。 >パストゥエグザイル」
勇者は極限の光魔術を放った! 浄化の光が黒騎士を包む!
黒騎士「ぐっ…オオアアァ―――――――――ッ!!!」
黒騎士は灰になった。
男「そっ…そんな…く、黒騎士――――――――ッ!!!!!!」
父「うろたえるな! エンドナの勇者はうろたえないッ!! モード反転!!!」
勇者「む?」
父「俺にうらじゅもんを使う隙を与えるとは迂闊だったな…!
グンナイだぜ勇者さんよ… くらいな、“レベル?スリープ”ッ!!!
妖精「あれは…! 【?】 は所持金の末尾一桁を参照し、そのレベルの倍数を持つ敵には必中のうらじゅもん!!!」
父「眠れぇええええええッ!!!!!!!」
睡魔の妖気が、勇者を眠りへと誘う…!
勇者「…ふう」
勇者は眠らなかった。
妖精「えっ…!?」
娘「そんな…夫の禁呪が通じないなんて!!」
父「バカな…俺は1ゴールドしか持ってないぞ!? これで眠らない事など、不可能…インポッシブルだ!」
勇者「勇者特性。“真の勇者”」
父「何…だと…」
勇者「皮肉だよね」
勇者のカウンター魔法攻撃!
父「…!」
勇者「果てよ。パストゥエグザイル」
父「ぬわ――――――――――――っ!!!!!」
男「オ、オヤジイイイイイイイッ!!!!」
娘「あなたああああああっ!!!」
父は灰になった。
勇者「さて…本当に嫌だなあ。女子供しかいない」
妖精「あっ…ああ、ああああ…」
男「そんな…親父まで…」
妖精は放心している。
男は放心している。
娘「! ダメ、二人とも気を確かに!!」
娘「じゅ、じゅもん…!」
勇者の攻撃!
娘(!)
勇者「綴る…までも無いんだよね本当は。
こういう時、ご婦人方は後にするのがせめてもの誠意かな」
妖精「しまった、出遅れた…! 男っ…!?」
勇者「いよいよもって消えてもらうよ、男くん」
男「う…う、わ…!!!」
勇者「じゃあね。“パストゥエグザイル”」
男「うわぁ――――――――ッ!!!!!」
勇者は極限の光魔術を放った! 浄化の光が男を包む!
妖精「お、男ォ――――――――ッ!!!!!」
娘は男を庇った!
男「あっ…だ、駄目だぁ――――ッ、母さぁ――――んッ!!!」
娘(駄目じゃないわよ。母さんだもの。
私は必ずお前が勇者を倒すと信じていますからね、男よ…)
娘は灰になった。
男「あ…あ…」
妖精「もう…ダメよ…おしまい、よ…」
勇者「戦意喪失かな。もうずっと僕のターンだね」
勇者の攻撃!
勇者「>うらじゅもん。 “レベル5パラライ”」
妖精「あッ…!」
妖精は麻痺してしまった!
男「あっ…よ、妖精さん…!!」
勇者「どうしたの? 君はこの子を助けに虚無から舞い戻ってきたんじゃないの?」
男「あっ…あっ…!!!」
勇者「ふうん…惜しいな。一時は君に勇者の光を見たのだけれども。>とくぎ」
勇者のこうげき!
男「!? 消え、た…」
勇者「ここだよ」
男「!? いつの間に懐に…!!!」
“せいけんづき”!!!
男「がっ…ふ!?!?!?」
強烈なボディブローがクリーンヒット! 男は999のダメージ!!
男「う゛あ゛ッ゛…」
男は倒れた…
妖精「あ…ああっ…」
勇者「回復役がいないのだから、この程度で十分だ。
もう、リスポンポイントも失われた。君らの勝機は、ごく僅かな状態からゼロになった。
今からデバッグルームに行き、デバッグモードをオンにもどす」
妖精「…」
勇者「君達を消すのはそれからだ。…では死までの今ひと時を、やすらかに祈ってでもおいてくれ」
男「…」
勇者「…少しくらい君にも見せて欲しかったものだ。
0番目の勇者、君ならではの意地を」
― どこか ―
男(…)
男(どうなった…俺はまた、虚無とかいうのに、落ちたの?)
男(本当に何も感じない。獅子人も、黒妖精もいない…何の気配も感じない)
男(冷たくすらない。苦しみすら感じない)
男(俺は…)
男(死ぬのか…)
男(…大体何だよ、俺ならではの意地って…)
男(ガイアソードだぞ。水の闘神だぞ。黒騎士だぞ。レベル255の妖精さんに、
うらじゅもんに、火炎斬りのチート奥義に、全体回復できる母さんのサポートまで込みで…
勝てるわけないだろ…常識的に考えて…)
男(やったよ、もう。俺はよくがんばった。
1000ターン戦わされたり、便所サンダルとチューしたり、息の根止められたり…
散々な目にあった上で、ここまでやったんだ)
男(…もう、いいだろ…)
男(…)
?「本当にー?」
男(!?)
妖精「はーい」
男「よ、妖精さん妹!? 生きていたの!?」
妖精「そもそもボク死んでなーい」
男「えっ…でも、隠れ家的なのは潰されたって勇者が」
妖精「今も君のポッケの中から話しかけてまーす。いえーい」
男「あっ…もしかして、ショートソードの中に!?」
妖精「うん。引越ししました」
男「よ、良かった…」
妖精「よくないよ。このままじゃ男もお姉ちゃんも死んじゃうじゃない」
男「…っ、それは…」
男「…ごめん、俺が至らなかったから…」
妖精「あるよ」
男「えっ?」
妖精「君の、意地。あるじゃない。っていうか、自分で言ったじゃない、今。」
男「な、何がだよ…」
妖精「振り返って、今までの旅を」
男「今までの旅…」
男「…」
妖精「あたしは勇者をサポートする妖精さん!あたしが来たからにはもう大丈夫!
他の勇者の資質を持つものが全て倒れてしまった今、希望はあなただけよ!」
(最初…妖精さんに、無理やり連れ出されて…)
男「っぷはぁ!?」
母「目が覚めたのですね、勇者よ。あまり無理をしてはいけませんよ」
(いきなりひどい目に会って、家のベッドで母さんに起こされて…)
土蛙「…」
妖精「ガイアソードはガイアトードを召喚できるのよ!」
(蛙さんに助けてもらって、エンドナからは何とか脱出して…)
海竜「クェーッ」
男「こいつぁ気持ちいいやーっ」
(シドラヌに、火の大陸に連れて行ってもらって…)
妖精「紹介するわ。剣士のテニーよ」
美剣士「今になって俺に泣きついてくるとは…全く、失笑を禁じえないぜ」
(美剣士に出会って…)
獅子人「はいはい何ですか、もう。暑苦しいなあ…」
男「貴様かぁっ、オーブの守り人はっ!!!」
(はじめての三闘神、獅子人を倒したんだ)
族長「それが、このッ!」 ブンッ!
族長「"かえんぎり” だッ!」
(そうだ。族長にかえんぎりを教えて貰って、今度は…)
妖精「…そろそろね」
ドンッ
少女「きゃっ!?」
男「うわっ」
(水の大陸だ。)
父「どうだ? 俺からお前に贈るハニー・トラップ…恋の罠の味、もとい、便所サンダルの味は!」
男「あっ」
妖精「うわっ」
(そう、最悪な事にあれが親父で…)
男「“二重音速火炎斬”…これが二重の、極みだァーーーーーッ!!!」
父「ぬおおおおおおッ!?」
(でも、わけのわからない奥義を閃いて勝てたんだ)
妖精「そのタイルは移動速度8倍の矢印床属性だからねー! そのまま風の大陸まで止まらないわよー! じゃねー!」
男「ちょっおまっいくら何でもざっけっ段々深くなってきたよぉあばばばばばばば」
(で、これまた酷い方法で風の大陸に渡って)
娘「いやーっ! 誰か助けてーッ!!」
盗賊B「そんなに騒いだって誰も来やしねェって…ぐへへへへ」
男「な、何だよあのテンプレ展開…まるでRPGじゃないか…!
おいっ、お前らっ!」
(女の子が襲われてて…ってあれ、母さんだったんだよな…)
黒騎士「我は漆黒の騎士…“ビューティフィリオンフェヒター”と呼ばれし者」
男「ひどい名前だ」
娘「気をつけて下さい! 村の男達が束になっても、あの騎士には敵わなかったんです!!」
(で、何だか中二病が悪化してる美剣士と再会して)
男「いやー、賢さ上がっちゃうなー!!」
どこかで扉の開く音がした…
男「すぐそこだろ」
(妖精の試練だとかいう底意地の悪い洞窟も、なんとか突破して)
黒妖精「フン、遅っせーんだよバカが。スイッチ床でどんだけ手こずってんだよ」
男「何だお前!? …って、また妖精で、また黒かよ! もうわけわかんないよ!!」
(あの最悪な黒妖精も、息の根とか止められながら何とか倒して)
男は朱の柱に、赤い瞳のオーブを置いた。
男は蒼の柱に、青い瞳のオーブを置いた。
男は翠の柱に、緑の瞳のオーブを置いた。
三つのオーブから黒き柱へと光が注がれ、
黒き柱は天へと誘う光の柱となった!
男「お、おおー…すごい」
妖精「後はこれに乗って魔王城までひとっとびよ」
(ついに、最終決戦…魔王城までやってきたんだ…)
男「…」
妖精「色々あったよね。…ボク、全部見てたよ」
男「…そうだったんだ」
妖精「ボクにはわかる。あの苦難の数々を乗り越えながら、
決して途中で諦める事のなかった君が、何を考えていたのか」
男「…俺が、考えていた事…」
妖精「そう…それこそが、君の意地。君の誇り。
その思いのたけを、アイツにぶつけてやってよ、男!」
男「…そうか、そうだった…」
男「 思 い … 出 し た ! ! ! 」
―魔王の間―
勇者「願わくば、世界の安寧を」
妖精「…」
「 待 ち や が れ ェ ッ ! ! ! 」
勇者「…!」
妖精「えっ…?」
男「かしこさ高そうな台詞吐いて、消えようとしてんじゃね―――――ッ!!!」
勇者「…これは本当に驚愕だよ。 …“アナライズ”」
勇者はアナライズを唱えた!
男 HP:0
妖精「う…嘘…」
勇者「この世界もいよいよ終焉だね。死人が堂々と起きているようでは。
で、何しに起きて来たのかな?」
男「思い出したんだよ…!」
勇者「…何をかな?」
男「これまでの、旅…辛いことばっかやらされて、真面目なRPG要素なんてほとんどなくて!
妖精さんとか獅子人とか親父とか黒騎士とか、その他もろもろの登場人物も変なヤツばっかりで…
それでも俺はここに来て! その間、何を考えてたかっていうと…」
勇者「…」
男「 特 に ! 何 も 、 考 え て な か っ た ! ! ! 」
妖精「えっ」
勇者「…はあ」
勇者「わけがわからないよ。君は完全に僕の理解の外に行った」
妖精「ちょっ…あ、あんた…いくら何でもふざける局面じゃない事くらいわかってるのよね…!?」
男「ふざけてなどいない(キリッ)」
妖精「ぶほっ…」
勇者「やれやれ。頭が痛くなってきた。有終の美という言葉があるだろう?
もうすぐ真のエンディングなんだ。水をささないでくれるかな」
男「ほんとにふざけてなんかない…頭カラッポの方が、夢詰め込める…!
何にも疑問を挟まないで! がむしゃらに勇者の道を走ってきたから!!
俺は…みんなの気持ちが、わかるんだァ――――――――――ッ!!!」
勇者「…!」
男「行くぜぇえええええええええっ!!! アレックス――――――――――ッ!!!!!!!!」
男はショートソードを振りかざした!
男「ハイパァ―――――――モオォ――――――――――――――ド!!!!」
男の全身が、黄金のオーラに包まれる!
妖精「あっ…あれって…!」
勇者「何をするつもりなのかわからないが…今の君は危険かも知れない!」
勇者の攻撃!
男「無駄ァ――――――――――――――ッ!!!!!!」
ミス! 男にダメージを与えられない!!
妖精「!!」
勇者「…何?」
男「くらええええええええッ!!!!!!!!」
男の攻撃! >かえんぎり + >かえんぎり + >かえんぎり + …
火炎斬りの100回連続攻撃!
勇者「!? これは…!」
男「火炎斬り…コンフュ―――――――――ズッ!!!!!!」
勇者「く、くッ…!」
勇者は攻撃を防いだ!
勇者「こッ…これは、いくら…何でも!! 出鱈目すぎる!!!」
勇者は攻撃を防ぎきれなかった!
勇者「うおぉッ…!?」
勇者は爆炎に吹き飛ばされた! 10735のダメージ!
妖精(ポカーン)
勇者「何が、起きている…! “アナライズ”!!」
勇者はアナライズを唱えた!
名前:男
LV:ERROR
経験:ERROR
称号:勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇…
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:ERROR
MP:ERROR
筋力:ERROR
体力:ERROR
賢さ:1
敏捷:ERROR
そうび
E ショートソード
E かぜよみのころも
攻撃力:ERROR
防御力:ERROR
<おぼえたとくぎ>
火炎斬り火炎斬り火炎斬り火炎斬り火炎斬り火…
<つかえるじゅもん>
ERRORERRORERRORERRORERRORER…
勇者「は…はは、ははははははは!!!!」
妖精「は…ハァ…ふえぇ?」
勇者「そうか、そういう事か…!」
男「そういう事だァ――――――――ッ!!!!!」
勇者「ロード…ロードね、は、はは、はははははは!!!!
すごいよ…すごすぎるよ、男くん!!!!!
くだらなさすぎる…!!!! ハハハハハ――――――ッ!!!!!」
妖精「いや、あの。すいません、通訳」
勇者「そうだろう…これは僕と彼にしかわからない…!
教えてあげるよ、妖精!」
勇者「僕以外で火炎斬りを使える勇者が、彼を含めてちょうど100人なのさ!!!!!」
妖精「…! すいません、わかんないです><」
勇者「それでもいい!!! 僕ははじまりの勇者として強くなりすぎた…
誰よりも早く生まれ、そして腕を研磨し続けた僕に…今まで誰もかなわなかった!!!」
この発想はなかったよ、男くん… いや、」
勇者「 2 5 5 人 の 勇 者 達 よ ! ! ! ! ! 」
妖精「えっ…?」
男「お前のような奴にはわからないだろう! この体を通して出る力が――っ!!!」
勇者「いや…! わかる…! わかるとも…!!」
妖精「あっ…そうか。そうだわ! あの光って…!!!」
男「俺の体を―――――――ッ!!!
皆に貸すぞォオオオ――――――――――――――ッ!!!」
妖精「勇者特性…人の心の、光…!!!!」
男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃!
男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃!
男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃!
男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の攻撃! 男の…!!!
男「255回………いや、もっと!!!もっと無限に、連続、攻撃ッ!!!!!!!」
勇者「はははははははは、ははははははははははははははははははは!!!!!!!!!」
勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ!
勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ! 勇者は防いだ!
勇者は防いだ! 勇者は防ぎ…切れなかった!!!!!! 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
体は体力で出来ている
頭脳は子供で体は大人
幾たびの戦場を越えて惨敗
ただ一つの特技もなく、
ただ一つの魔術もなし
担い手はここに独り
魔王の城で剣を燃やす
故に、そのステータスに意味はなく、
その体は、火炎斬りで出来ていた
アンリミテッドフレイムワークス
“無限の火炎斬り”
勇者「 …………………………………!!!! 」
勇者に 18456764745622345821349851952345のダメージ!!!
勇者「何が真の勇者だ…僕は、その255の中に、」
勇者を…倒した!
勇者「入って…ない…」
妖精「ウッソだろお前…ウッソだろお前!!!」
男「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ…」
男のハイパーモードが解けた!
男「や、やった…やった…!!!」
妖精「男…アンタ、アンタ! 今、文句無し!!
アンタ今、最高に!! マジ勇者!! チョー勇者だわよ!!!」 ガバッ
男「ハハハハハハ! 妖精さん、キャラ変わってるよ!!」
妖精「いいわよ! デレるわよこんなの!!」
男「おいおい嬉しいじゃん!! やっと俺も一人前って事だよな、ハハハ」
勇者(ぬらっ…)
男「ハ…」
妖精「」
妖精「ア、」
妖精「アナライズ…」
勇者
HP:0
妖精「男! もっかい! もっかいよ!!」
男「もぉマヂ無理… 立てないょ…」
妖精「/^o^\フッジサーン」
勇者「…い、いい…取り乱さなくて…
普通ならオーバーキルで灰化どころかロストしてるダメージだ…
もう僕には…通常攻撃をする力すら、残ってない…
回復も…絶望的、だ…うっ…」
男「そ、そうかよ…よく立ったな…」
妖精(バ、バグでも何でもなしにコレだから、コイツには逆らえなかったのよ…!)
男「で、な、何だよ…何しに起きて来た!」
勇者「大丈夫…僕は、やっと、わかった… この世界に希望がないんじゃない…
僕がそう思い込んでいただけだって、みんなの剣を受けて…やっと、わかった…」
男「そ、そうかよ…」
妖精「男! し、信じちゃダメよ! こいつ結局、あんたの両親も、美剣士も、妖精のみんなも…!」
勇者「リセットボタンは…ある…」
男「!? えっ!?!?」
勇者「デバッグ、ルーム、だ…」
妖精「!! そ、そうか!!!」
勇者「“ゲームスイッチを全てリセットする”…本当は僕が消える前に、壊しておこうと…思ってた…
でも…君達で、押すと…いい…」
男「で、でも…それじゃあお前はまた、最初の勇者になって…」
勇者「大丈夫だ…僕は、消える…」
妖精「アンタ…」
勇者「最後の力…切り札のつもりだったが、こんな無粋なもの…挟む余地は、なかった…」 ギュアアアアアッ!!!
男「!? それ、使えたの!?」
勇者「無理やり起動した…無理にオンにすると僕自身がフリーズする可能性があったから、使わなかった…」
妖精(まだ余力残してたとか…こっ、こえー…マジこえぇ…)
勇者「ゲーム、スイッチ…管理番号…キャラクターの、1…」
男「なっ…お、お前…」
勇者「願わくば…この世界の、安息…を…」
男「ちょ、ま、待てよ!」
勇者「デリー、ト」
ボッ
男「あっ…!!!」
カラーン…(ロングソードの落ちる音)
妖精「勇者…」
男「お前…変にマジメすぎだったんだよ…」
―デバッグルーム―
男「さて…」
妖精「白地の壁の四畳半。殺風景な部屋だわ」
男「まさか旅の終着点がこんな部屋だなんてな」
妖精「はぁー、ほんとにね」
男「で、このパソコンか」
妖精「うん。>メニュー…ほんとにあった、ゲームリセット!」
男(何で旅の終着点でパソコンいじってんだ俺ら)
男「あのさ妖精さん…アレックスを復活させるのは、できそうか?」
妖精「えぇー…一応調べてみるけど」
カタカタカタ…
妖精「…無理ね。これ、>メインキャラクターデータリセット だと思うけど…2~255になっちゃってる」
男「…ほんとに完全に自殺しちゃったのか、あいつ…」
男「…本当にいいのかな、リセットしちゃって」
妖精「何言ってんのよ。もう勇者いなくなっちゃったから、私達こっから出られないのよ?
それだと、死んじゃった人達も元に戻せないし…」
男「それはそうだけど…アレックスではなく第2の勇者から冒険が始まったとして、
同じ事を繰り返す奴がまた出てきたら…」
妖精「大丈夫よ」
男「えっ?」
妖精「あいつは後続の勇者全部殺すなんて超理論に至ってたけど…
あたしが見た他の勇者の中に、そんな凶行に及びそうなのはいなかったわよ」
男(…そういえばこの人、脅されてたとはいえ共犯なんでした)
妖精「あいつは魔王の事、あんな使い方してたけど…あのジジイも根はひょうきんで良いヤツよ。
きっと勇者2号、3号とだったら上手くやっていける。あたしはそう信じる」
男「…そっか」
妖精「それに、もしまた第二のアレックスが出てきたとして…255人目の勇者が倒れたときでも、」
チュッ
男「!?!?!?」
妖精「どっかのバカがまた勝手に0番目になって、あたしを助けに来てくれるわよ」
男「よ、妖精…さん…」
妖精「かっ、勘違いしないでよね!
あんたの現世での記憶、便所サンダルしかないのが可哀想だったから!
お情けでチューしてやってんのよ!!!!11111」
男「妖精さん」
妖精「ふえっ…な、何よ」
男「ありがとな。俺、バカで何も考えてなかったけど…」
男「この旅、楽しかった」
妖精「…!」 ボロボロ
男「うわっ!! な、泣くなよ妖精さん!!!」
妖精「えぐっ…な、何言ってんのよ、バカ! 男のくせに! このぶんぶく茶釜!!」
男「ええっ…お、落ち着けよ妖精さん! こんな狭いとこで暴れんなって! 痛っ! いててててっ!!」
妖精「はぁーはぁーっ…ほら、恥ずかしいからさっさとリセット押しなさいよ!!」
男「ええっ!? そんなポンッと押せる代物じゃねーだろ!!!!」
妖精「あ、ああ…確かにそうね。…どうしましょう。どっちが押す?」
男「…」
妖精「…」
男「一緒に押すか?」
妖精「…そうね、一緒に…終わらせましょう」
男「うん。これで、」
男&妖精「ゲーム、クリア!!!」
ポチッ
>ゲームを初期化します。よろしいですか?
男「じゃあ、妖精さん」
妖精「うん」
男「…また、会おうな」
妖精「うん。…また、会おうね」
>ゲームを初期化します。よろしいですか?
>はい
・
・
・
・
―魔王の間―
エンリュウは最後の間の扉を調べた。
禍々しい音を立てて扉は開いていき、背筋の凍るような冷たい風が漏れ出した…
エンリュウ「たのもーっ! 我こそは旅の武道家、エンリュウ!!
単身魔王を打ち倒す、拳聖と恐れられた勇者なり―――――っ!!!」
ブライアン「ドロー2」
キャロル「ドロー2」
デイジー「ドロー2」
魔王「ドロー4」
ブライアン「GYAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
エンリュウ「えっ…?」
キャロル「おっ、新人?」
デイジー「わあ、久しぶりに知らない人と会えたー! 嬉しいですー!!」
エンリュウ「い、いや…我こそは、拳聖…」
魔王「あーあーうんうんそういうのいいから。とりあえずここ座って。ウノでもやろうず」
エンリュウ「えっえっえっ」
―ダルーイの酒場―
美剣士「…」
美剣士「…」
美剣士「…」
美剣士「あー、あぁー、あぁああー…」
女将「ちょっと、うるさいわよニート剣士」
美剣士「誰がニートだ!!!」
美剣士「…あー、」
美剣士「冒険、してえ…」
ファルコン「たのもーっ!」
妖精「おいーっす」
女将「あら、とんがり頭のファルコンさん。盗賊勇者…でしたっけ?」
ファルコン「おうよ、やっと女将さんに覚えてもらえるとはなー…」
女将「妖精ちゃん、この間連れてた他の勇者さんはどうしたの?」
妖精「それが…またなの。魔王城の扉まで行ったのは覚えてるんだけど…
気がついたら、今度はこのサル勇者の所にいて…」
ファルコン「誰がサルじゃいわっしょい!!!!」
女将「まあ…怖いわね、魔王城」
妖精「それでこのサルあまりに戦闘力が低くて、話にならないから…」
女将「は~ん。なるほど、ね」
―最果ての村 エンドナ―
ファルコン「やった…やったぜ! ついに来た! 決戦の最終大陸! KST! KST!!!」
美剣士「ふう…相変わらずひどいテンションだな、お前は」
妖精「パーティがバカとマジバカしかいないなんて…あー、肩こるー」
ファルコン「む…匂うぜ! ビンビン匂うぜ、盗賊の鼻に…!!
この村、あるぞ…隠しダンジョンが、あるぞ――――――ッ!!!」 ドダダー
美剣士「あっ…おい、ファルコン!」
妖精「はぁー…マジ猿だわ、あいつ」
?「ようこそ ここはエンドナの村です」
妖精「えっ?」
村の男「何か ありましたか? 僕の家の裏は、旅の人達は妙に 気にかけるのですが…」
美剣士「い、いや…ちょっと連れが…って、…えっ?」
妖精「ちょっと、何モブ山モブ男と喋ってんのよ。こんなの時間の無駄…って、あれ…?」
村の男「何か ありましたか? 僕の家の裏は、旅の人達は…って、んん?」
美剣士「…」
妖精「…」
村の男「あの、な、何か…?」
美剣士「い、いや…」
妖精「べ、別に何でもないわよ…ごめんなさいね、家のそばで騒がしくして」
村の男「あ、ああ…いや、気にしないでいいよ」
ファルコン「おーい! 妖精ー! 美剣士ー! あったあったよ隠しダンジョン!!
お宝ザックリめくるめく盗掘タイムだぜウヒョ――――!!!」
美剣士「!? 本当にあったのか…おい妖精、行くぞ」
妖精「えっ!? ああ、うん。そ、それじゃあ」
村の男「え!? あ、うん。それじゃあ」
妖精「…」
村の男「…」
二人「あっ、あのっ!」
妖精「わっ!?」
村の男「ひゃっ、ひゃい!?」
妖精「あっ、い、いいわよ先。どうぞどうぞ」
村の男「あっ…その、いや」
村の男「…気をつけて、行ってらっしゃい」
妖精「…うん、ありがとう。」
美剣士「…何だよお前、こんな旅の流浪者に気をつけてなんて。変な奴だな」 ニカッ
村の男「そ、そうかな?」 ニコッ
―隠されし禁断の聖域 1F―
美剣士「なあ、妖精。さっきの村男、知り合いか?」
妖精「ううん。…あんたは?」
美剣士「いや。…でも何かおかしいな、昔の知り合いにあんなのがいたわけでもないんだが…」
妖精「あれ、あんたも?」
美剣士「えっ、お前もか?」
妖精「うん。…なんか、」
妖精「懐かしいな、って…」
―最果ての村エンドナ 星がよく見える丘―
村の男「ふーっ」
男の母「コラッ」ポカッ
村の男「いてっ!?」
男の母「お昼ごはん時に出歩くなっていつも言ってるでしょ?」
村の男「あー、もうそんな時間だった? 親父がいつまでも寝てるからわかんなくなるよ…」
男の母「はいはいお父さんのせいにしない。先に行って待ってるから、早く来なさいね」
村の男「はーい」
エンドナの丘には、今日も終焉めいた冷たい風が吹く…
村の男「ぶるるっ…相変わらずひどい風の吹く村だな」
村の男「でも、ま。そこさえ目を瞑れば、」
村の男「最果ての村ったって、」
今 日 も 平 和 だ な …
・
・
・
・
・
…おしまい。
転載元
男「よりによって最後の村に生まれてしまった」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1435110688/
男「よりによって最後の村に生まれてしまった」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1435110688/
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コメント一覧 (88)
-
- 2015年06月25日 00:09
- そして英雄()となるのだ
-
- 2015年06月25日 00:39
- なんか同じのを昔読んだような…?
日付だけ変えてんじゃないだろうな
面倒だから調べないけど
-
- 2015年06月25日 00:47
- もしもシリーズじゃねーか
-
- 2015年06月25日 00:49
- 途中のとこ日付変えるのミスってるんだよなあ
-
- 2015年06月25日 00:52
- 213でコピペミスったか
-
- 2015年06月25日 00:53
- 落ちてたから助かった
-
- 2015年06月25日 01:02
- 面白かったけど過去の作品のコピペミスってんじゃねーよ
-
- 2015年06月25日 01:03
- 結構昔に同じ話読んだぞ
-
- 2015年06月25日 01:03
- 良かった
-
- 2015年06月25日 01:04
- 3年前に未完だった作品を完結させに来たって言ってたよ
今度はちゃんと終わってた
-
- 2015年06月25日 01:31
- ええやん
-
- 2015年06月25日 01:31
- 隠しダンジョンはΔサーバーではないようだ
-
- 2015年06月25日 01:48
- めでてぇ!!!!!!!(ぬくりあ感)
-
- 2015年06月25日 02:11
- 惰性に惰性を重ねていっそ清々しい面白さになってる快作。
-
- 2015年06月25日 02:14
- 好きだよ
-
- 2015年06月25日 02:26
- >>3
それ作ったのも>>1らしいよ
-
- 2015年06月25日 03:03
- まさかのVIPRPGとは珍しいな
-
- 2015年06月25日 05:07
- スラスラ読めた。
-
- 2015年06月25日 07:17
- 前に読んだ記憶がある
-
- 2015年06月25日 07:28
- 私用で途中で落ちたけど最後までスレで見たかったなぁ
ハッピーエンドでよかった
面白かった乙
-
- 2015年06月25日 07:52
- 大事な所でまとめミスってんじゃねぇぞ
そういう演出かと思ったわ
キャラ付けとはいえ寒いノリと絵はいらなかったなー
ストーリーはちゃんと王道を貫いてたのと、話のまとめ方は上手
-
- 2015年06月25日 08:07
- Δ隠されし 禁断の 聖域
-
- 2015年06月25日 09:34
- どっかで見たようなキャラがいたような気がするけど賢さ低すぎてわからないやーえへへぇ
-
- 2015年06月25日 10:52
- ページが長すぎて、もうだめだぁ
-
- 2015年06月25日 11:19
- その考え! 人格が悪魔に支配されている!
-
- 2015年06月25日 13:39
- ドラクエなのかポケモンなのかWIZなのか邦子なのかはっきりしろ
-
- 2015年06月25日 15:24
- VIPRPGか
-
- 2015年06月25日 18:20
- この未完好きだったから続き最後まで見ることができてよかったわ
作者GJ
-
- 2015年06月25日 19:36
- これもっと評価されていい
久々の正統派
-
- 2015年06月25日 20:41
- 結構楽しく読めてたのに「綴る」のワードが出てから急速に冷めていった…ナゼだ
-
- 2015年06月25日 23:23
- ここ最近ではいちばん好き。
メッタメタだけど、しっかり王道に消化してる、すごい。
随所のパロも作者の趣味を感じる。
天才だな、作者は。
うん。
-
- 2015年06月25日 23:51
- 伏線回収して熱い逆転展開→綺麗にまとまるエンディングでカタルシスと読後感ぱない
神作
-
- 2015年06月26日 01:52
- RPGあんま詳しくねえけど、王道でええな。
普段はスマホで7ページ読むのたるいけど、ぐいぐいいけたわ!
プログラムエラーの演出、同人エロのもんむすくえすとぱらどっくすに似てるな。
作者が同じとかだったら少し嬉しいなw
それとも.hackあたりが元ネタなんやろか。
-
- 2015年06月26日 02:31
- ギャグありシリアス?ありと楽しませてもろた
-
- 2015年06月26日 06:02
- 相手が悪役然としすぎ、使い古されててそういう題材のRPGにしか思えない
-
- 2015年06月26日 06:15
- VIPRPG以外にも色々なパロネタあってええな
-
- 2015年06月26日 08:06
- カオスだけど王道を踏まえてて良いね
-
- 2015年06月26日 10:20
- 一般1-3乙
この魔王、海パンマントじゃね?
-
- 2015年06月26日 22:16
- うん、本当に正当派っつーか いわゆるって感じのSSを読んだ
-
- 2015年06月27日 00:35
- 最初は「またひっでーのが出てきたなw」と思ってたが、
幾らなんでもイライラする展開が比例的に増えてきて
なんか火のボスさんに茶番頑張ってもらったところで限界だった。
※欄が意外と良作だったっぽい評価が多いけど、あとどの位読んでたら苦痛以外のが出て来てたん?
-
- 2015年06月27日 00:45
- ※41 最初で合わなかったってことなら、多分最後まで楽しめない。
個人的にはこのノリは好き。
-
- 2015年06月27日 00:46
- ※41じゃないや、※40ね。
連投失礼
-
- 2015年06月27日 00:51
- ※40
その時点だと、妖精のおまけで引っ張られてるだけって感じだけど、だんだん主人公が成長していくよ。
後半に入るといろんなことが回収されて、物語に絡んでいく。
もうちょい読んでみて!面白かったから!
-
- 2015年06月27日 01:37
- これの未完まとめを読んだことのない俺には死角などなかった
ここ最近で1、2を争う出来だわ
マジ完成度高い
メタメタなのに寒さを感じないし、ギャグとシリアスのバランス感覚がピカ一
伏線の何気ないちりばめ方も上手い
作者さんまたなんか書いてくれー
何でもしますから
-
- 2015年06月27日 01:45
- はじめは割と楽しかった
絵で疑問が頭を掠めた
アレックス戦はうすら寒かった
いや、シナリオはまとまってるのよ?
設定も割と新しい?とは思わなくないのよ?
でも失礼ながら頭良くない子が必死に頭使って書いた、って感じがして……
最終技がパロなのもなあ……
-
- 2015年06月27日 08:08
- >>45
遥か高みからの視線かっけーす
-
- 2015年06月27日 08:35
- 微妙
少なくともこの量を読んだ甲斐はなかった
-
- 2015年06月27日 09:26
- 所々に挟まるメッタメタな会話やパロ…嫌いじゃない
-
- 2015年06月27日 11:38
- ゲームネタに留まらない、GガンだのガオガイガーだのFateだののパロを許容できるか否かで評価が分かれそう。
個人的にはRPGネタ一本で縛って欲しかったけど、まぁこれはこれで。
-
- 2015年06月27日 14:09
- おもしれーや
-
- 2015年06月28日 10:34
- 良きと思います!
-
- 2015年06月28日 11:11
- この絵柄の作者、前にVIPRPGで見た気がするけど
やっぱりそうなのか
-
- 2015年06月28日 21:03
- 面白かったです^^
-
- 2015年06月29日 00:30
- パロが面白かった(KONAMI)
-
- 2015年06月29日 11:08
- VIPRPGだったな
-
- 2015年06月29日 14:07
- RPGツクール思い出して懐かしい気持ちになった
-
- 2015年06月29日 14:12
- 五つ星をつけている人たちへ
ウィークリーランキング1位でお前らの評価も高いようなので読んだけど
世界観も設定もパロもこの作品ホントに面白いか?オチも平凡そのものだし
つまらんものを最後まで読んでしまったイライラで久しぶりにコメント書いちゃったよ
-
- 2015年06月29日 14:53
- ※57「皆が面白いって言ってるものをつまらないと言える俺KAKEEEEEEEEE!!!!」
-
- 2015年06月29日 15:07
- ※58
いや、KAKEEEEEEEEE!!!!とかじゃなくてさ・・・
お前は俺にとっては寒いパロとかぎりぎり読めるレベルの文章でも面白かったんだよな
なんかごめんね
-
- 2015年06月29日 15:38
- >俺にとっては寒いパロとかぎりぎり読めるレベルの文章
意識高いミサワ系SS読みが来たぞー
-
- 2015年06月30日 15:13
- 隠されし禁断の聖域
どこかで聞いたと思ったらコメ見て思い出した、.hackだ
-
- 2015年06月30日 21:28
- 面白いなあ
よくここまでネタを詰めこんで、カタルシスを演出できるよなあ
ラノベが読めず純文学も手に取れず推理小説ばかり読んでいるが、やっぱこういうのが一番楽しく読める
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- 2015年07月01日 00:22
- ワルブレネタ挟まれると吹く
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- 2015年07月02日 00:07
- 気付いたら読み終わっていた
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- 2015年07月02日 08:20
- 面白いネ
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- 2015年07月02日 09:13
- おう早くエンディング呼び出すんだよあくしろよ
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- 2015年07月12日 09:04
- くだらなすぎて時間の無駄だった
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- 2015年07月13日 18:58
- おもしろすぎて時間を忘れてしまった
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- 2015年07月14日 12:14
- SS界隈は批判に中傷を込めたがる子供が多くてな
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- 2015年07月21日 13:58
- 懐かしいのまとめてんなーでもこれ未完だっなろと思ったらいつの間にか完結してたのかこれ
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- 2015年08月24日 09:49
- おもぴろい
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- 2015年10月07日 12:14
- 飽きずにさくさく読めた。面白かったわ。
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- 2015年10月20日 06:03
- 米欄にもしもシリーズ知らないであろう奴らが大量発生で草も生えない
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- 2015年12月02日 11:02
- くっそくだらねぇ
読む価値ねぇよ
センスねぇよコレ書いたヤツはww
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- 2015年12月19日 00:48
- Path to Exile / 流刑への道 (白)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、自分のライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードをタップ状態で戦場に出し、その後自分のライブラリーを切り直してもよい。
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- 2015年12月27日 15:34
- fateの固有結界の呪文があって笑った
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- 2016年03月14日 18:22
- えっ?なんでこんな評価高いんだろ…
臭うわ
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- 2016年03月16日 06:37
- ※77
そのコメントのことかな?
これは評価分かれるというか好みの問題だな
パロネタ大量で知らない人にとっては意味分からんだろうな…ww
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- 2016年04月15日 18:38
- パロの元ネタが殆ど分かって悲しくなった
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- 2016年10月08日 19:09
- まさかこんなとこでKUNIKO節を見るとは
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- 2016年11月25日 14:03
- 大半の人がおもしろいと言ってるものをつまらないと言ってる人は人生つまらなさそうでかわいそう
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- 2016年12月25日 11:13
- 82
これ、何度か読んだけど面白いよな。
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- 2017年03月02日 22:37
- ※45
妖精さん!妖精さんじゃないか!
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- 2019年01月25日 08:59
- 自作絵晒してるのに冷めそうになったがVIPRPGスレのノリか
オーバーフローの辺りがよく分からんかったがわりと面白かったわ
フリゲ好きでないと内輪ノリに感じてアカンかもしらんな
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- 2019年02月19日 18:41
- >>攻撃しても無駄だって魔物のAI…じゃなかった、魔物の頭が判断してるの
スパロボJの敵ユニットじゃねーかっ!!
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- 2019年02月19日 21:01
- アークエンジェルもナデシコも名付きパイロットの攻撃以外全く当たらないからな
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- 2021年01月08日 17:17
- めでてぇwwwwwwwww
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- 2021年06月26日 19:04
- 最初と最後は良かったけど途中は好みじゃなくて流しちゃった
最後の村の住人設定とかすごく良いワクワクぞわぞわする