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【続】矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」─第6話─

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417: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/24(水) 19:57:17.23 ID:PCCbTpVDO

─第6話─


~臨海学校当日 砂浜にて~

千冬「これより自由時間に入る。お前達、あまり羽目を外し過ぎるなよ」

山田「皆さん!夕食の時間までには、ちゃんと旅館へ帰って来て下さいねー!」

生徒達『はーい!』


矢車「………」

生徒「ねぇ矢車くん!一緒に泳ぎに行こうよ!」
生徒「矢車くん矢車くん!一緒にビーチバレーしようよー!」
生徒「矢車く~ん!相変わらずいい身体してるじゃな~い!」クネクネ


ザワザワ… ザワザワ…


矢車「……はぁー…」クルッ

スタスタ…

矢車「………」ザクッ バサッ

シャル「どうしたのお兄ちゃん?ビーチパラソルなんか立てて…」

矢車「……青い海…白い雲…。どれもこれも…今の俺には眩し過ぎる…」

シャル「えっ?」

矢車「……俺は、この傘の影から…一歩も動かん」ドサッ

シャル「え…えぇーッ!?」



418: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/24(水) 20:07:24.56 ID:PCCbTpVDO

鈴(……はぁー…絶対言うと思った…)

矢車「………」

鈴「アンタねぇ……今から皆で遊ぼうって時に、何一人だけふてくされてんのよ…」

矢車「……俺は闇の世界の住人だ…
   日差しがさんさんと照り付けるこの海岸は、今の俺にはあまりにも眩し過ぎる…」

シャル「そ…そんなこと言わずにさぁ…
    せっかく海に来たんだから、楽しまなきゃ損だよ?」

矢車「断る。……そもそも、俺のような人間がこんな日の当たる場所に出て来ること自体、間違いなんだよ…」」

鈴「あーもうッ!いちいち面倒くさい奴ねーッ!!」ワシャワシャ



419: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/24(水) 20:29:24.28 ID:PCCbTpVDO

セシリア「フフッ…お兄様がそう仰るのなら…」スッ

矢車「あっ?」

セシリア「わたくしも、お兄様にお供致しますわッ!」スチャ

矢車「……セシリア…」

鈴「セシリアッ!アンタまた想のやる事に便乗しようとしてッ!」

セシリア「フンッ!わたくしは地獄兄妹の一員として、当然の事をしたまでですわッ!」

鈴「なァーにが当然の事よッ!単に想のご機嫌を取りたいだけでしょーがッ!」

ラウラ「ふむ。ならば私も兄上に習って…」スチャ

シャル「ら…ラウラまでそっちに!?」

ラウラ「海辺で体を動かすのも悪くはないが……ここは兄上の考えを尊重する」

シャル「そ…そんなぁ……せっかく皆で海に来たのに…」

鈴「あーもうッ!揃いも揃ってバカばっかりッ!!
  アンタらには協調性ってモンのカケラもない訳ッ!?」

矢車「……闇の底には誰の声も届かない…」

セシリア「………」耳元スッ…

ラウラ「………」耳元スッ…

鈴「─ッ!だぁッ!もういいわよッ!!
  シャルロットッ!こんな奴らの事なんか放っといて、私らだけで泳ぎに行きましょうッ!」

シャル「えっ…でも…」

鈴「つべこべ言わずに付いて来なさいッ!
  アンタまでそっち側に行きたいなんて言ったら、承知しないわよッ!」ガシッ

シャル「あっ!ちょっと鈴!引っ張んないでよ~!」

ズルズルズル…



426: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/25(木) 03:15:07.99 ID:iETcyTKDO

ラウラ「……行ってしまったな、アイツら」

セシリア「フンッ!全く彼女達ときたら!
     地獄兄妹の一員であるという自覚が足りてないのではなくて!?」

矢車「………」

ラウラ「それで兄上、これから私達は何をすれば良いのだ?宿に帰るまでにはまだ時間があるが…」

矢車「……どうもこうもしない。日が暮れるまで、ずっとこのままだ…」

ラウラ「えっ?そうなのか?
    ……それはまた…何と言うか…」

矢車「……不服か?」

ラウラ「いや、そういう訳ではないのだが…」

矢車「……いいかラウラ?俺達は闇の世界の住人だ」

ラウラ「う…うむ」

矢車「俺達のようなろくでなしは、決して日向の道を歩けない…
   そんなどうしようもない存在である俺達が、こうしてこんな光輝く環境下に身を置くなど……本来なら、あってはならない事だ」

ラウラ「……うむ…」

矢車「だからこそ、今…この状況で俺達の居るべき場所は…
   照り付ける太陽の下で唯一の影を生み出す事の出来る……この狭っ苦しい傘の中だけだ。
   ラウラ…その事をしっかりと、肝に銘じておけ…」

ラウラ「成る程…了解した」



427: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/25(木) 03:42:14.96 ID:iETcyTKDO

セシリア「はぁ~……お兄様の地獄語録…何度聴いても心にしみますわぁ~…!」

矢車「………」

セシリア「しかし…このままボーっとしているだけというのも、
     何だか自由時間を持て余しているようで勿体ない気がしますわよね…」

矢車「………」

セシリア「そこで…この有り余った時間を利用して、お兄様に是非とも協力して頂きたい事があるのですが…」シュル…

矢車「……あっ?」

ドサッ

セシリア「サンオイル…塗って下さらない?」

矢車「………」

ラウラ(コイツ…日に焼かれる気満々ではないか…!)

矢車「……セシリア…お前、俺の話ちゃんと聞いてたか?」

セシリア「えぇ!勿論ですわッ!
     ですからこうして、暇な時間を使って有意義な事をしようと、お兄様にお願いを…」

矢車「はぁー……断る」

セシリア「そ…そんな遠慮なさらずにッ!ささ!
     そのお兄様の勇ましい両手を使って!直にッ!!外界へと露になったこのわたくしめの背中を!塗りたくって下さいなッ!!」

ラウラ(……コイツ…)

矢車「……セシリア…お前なぁ…」



428: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/25(木) 04:27:01.14 ID:iETcyTKDO

ザッ


箒「お…おい、想」


矢車「あっ?」クルッ

箒「………」

矢車「……箒…」

箒「……少し面を貸せ。お前と話がしたい」

矢車「………」

セシリア「ちょ…ちょっと!それは許されませんわよ箒さんッ!今お兄様はお取り込み中で…」

矢車「わかった」

セシリア「えッ!?」

箒「ほ…本当か?」

矢車「あぁ…。お前の相手をしている方が、ここに居る五月蝿い奴に構っているより…幾分もマシだからな」

セシリア「そ…そんなぁ!いけずですわお兄様ァ~!」

ラウラ「……いい加減諦めろ、セシリア…」

セシリア「う…うぅ…」プルプル…

矢車「……で、話って何だ?箒」

箒「……二人きりで話をしたい。場所を変えたいのだが…」

矢車「……あぁ、分かった」スタッ

セシリア「あぁ…お兄様ぁ~…お兄様ぁ~…
     ほんの…ほんの少しだけで良いですからぁ~…
     わたくしの…わたくしの背中にぃ~…」フリフリ

矢車「……チッ!テメェまだそんなこと言ってんのかァ!?あァッ!?」ゲシゲシゲシゲシッ!

セシリア「あッ!ちょ!ちょっとお兄様ァ!?」

セシリア(お…お兄様の凄まじい蹴りが…わたくしの背中にぃ!)

ゲシゲシゲシゲシッ!

セシリア(………あっ……でも…これはこれで……)ジュルリ…


箒「………」

ラウラ(……セシリア…お前気持ち悪いぞ…)



436: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/02(金) 02:58:06.65 ID:OzCSV7gDO

~遊泳場所から少し離れた 人気のない浜辺~


ザザーン… ザザーン…


矢車「………」

箒「……想、いい加減答えてくれ…
  お前の過去に…一体何があったのかを…」

矢車「………」

箒「お前の過去をよく知る人物である、警視総監と私の姉にも…
  以前、“想の過去に何があったのか”と、問い詰めてみた事があったが…
  二人とも…思わせ振りな態度を取るばかりで、肝心な事は何一つ話してはくれなかった…」

矢車「………」

箒「……想、私は…お前の事が心配なんだッ!
  お前の過去に何があったのか、私には皆目見当も付かない…
  だがッ!あの優等生だった矢車想が、こんなにまでやさぐれてしまったんだ!ロクでもない過去であることは確かな筈だッ!」

矢車「………」

箒「お願いだ!答えてくれ、想ッ!
  例えそれがどれ程残酷な事実であったとしても…私はお前の事を突き放したりなどしない!
  お前の全てを受け入れる覚悟が…今の私にはある!だからッ!」



437: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/02(金) 03:46:33.13 ID:OzCSV7gDO

矢車「……前にも言った筈だ、箒…
   俺のつまらない過去など…お前が知る必要はない」

箒「──ッ!!何故だッ!?何故お前はいつもそうやって!私の言う事を頑なに聞こうとしないッ!?」

矢車「………」

箒「私はお前の為を思って言ってるんだぞッ!
  暗く淀んでしまったお前の心を、救ってやりたいと…
  幼なじみとして、少しでもお前の力になる事が出来ればと……そう思って!私はッ!」

矢車「……箒…」

箒「……私が地獄兄妹のメンバーでないからか?
  お前が求める心の闇とやらを、私は持っていないから…
  だからお前は何時になっても、私に心を開いてくれないのかッ!?」

矢車「………」

箒「答えろッ!矢車想ッ!!」

矢車「……関係ない。相手が誰であろうが、俺は口を割るつもりなどない…」

箒「─ッ!!もういいッ!!私は私で…勝手に調べ続けてやるッ!」ダッ

矢車「………」

箒(どれ程の時間が掛かろうが…私は必ず、真実へと辿り着いてみせるッ!)

箒(……でなければ…私は何時になっても整理が付かないんだ!
  私自身の…アイツに対する自分の気持ちにッ!)


タッ タッ タッ タッ タッ…



矢車「………」

矢車(……俺の過去、か…)



446: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/08(木) 09:54:30.18 ID:OK9IkDxDO

ザッ ザッ ザッ

矢車「………」


鈴「ほ~れほれほれ!どんどんと砂盛っちゃうわよー!」バサァ バサァ

セシリア「や…止めて下さい鈴さん!これ以上盛られたらわたくし……つ…潰れてしまいますわー!」モコモコ

シャル「り…鈴、もうその辺にしてあげても…」

ラウラ「……zzz」モコモコ


矢車「………」

鈴「あっ、おかえり想」

セシリア「お…お兄様ッ!お帰りなさいまし!」

矢車「……何してんだお前ら…?」

鈴「あぁこれ?見ての通り砂風呂よ。
  コイツら、想がどっか行ってる間ずっと退屈してたみたいだったから…
  友達想いの鈴さんが、今こうして構ってやってんのよ」ヒヒヒ

セシリア「な…何を恩着せがましいッ!
     ビーチパラソルの下で横になっていたわたくしに…鈴さんが勝手に砂を掛けてきたんじゃありませんかッ!」

鈴「何よ、嫌なら這いつくばってでもそこから出て来ればいいじゃな~い」

セシリア「それが出来たら苦労しません!
     格好が格好なだけに…砂の中から出たくても出られないんですッ!うぅ…」

セシリア(は…腹這いの状態で大量の砂を被せられるのは……お…思ってた以上にキツいですわぁ…)モコモコ

鈴「フフッ…知ってるわよ~。アンタ想にサンオイル塗ってもらおうと
  コイツが帰って来るまでずっとスタンバってたんでしょ~?」

セシリア「ギクッ!」ビクッ

矢車(……まだ諦めてなかったのかよ、コイツ…)

セシリア「べ…別に良いじゃありませんかッ!鈴さんには関係のない事ですわッ!」

鈴「フフッ…まぁ何はともあれ、今の格好じゃあ迂闊に動く事すら出来ないわよね~アンタ」ヒヒヒ

セシリア「あ…悪魔ッ!今の鈴さんは…地獄に住まう悪魔ですわッ!」

鈴「フンッ!その言葉…地獄兄妹の一員である私にとっては、最高の誉め言葉よー!」ズイッ

セシリア「わ…わたくしに一体何をするつもりですのッ!?」

鈴「うるさいッ!日頃の恨み…今ここで晴らしてくれるッ!」

セシリア「い…いやーッ!」

鈴「そーれそれ!あえて埋めておかずに砂の外へ出しておいた足の裏をくすぐってやるー!」コショコショコショ

セシリア「あぁッ!あひッ!あひッ!り…鈴さんッ!ちょッ!タイムッ!タイムをッ!!あひひひッ!!」モゾモゾ

鈴「そーれそれそれーッ!」コショコショコショ

セシリア「あーっひゃひゃひゃひゃッ!!」モゾモゾ



447: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/08(木) 10:24:33.83 ID:OK9IkDxDO

矢車「………」

シャル「あはは…何だかんだで、鈴もセシリアも楽しそうにやってるね、お兄ちゃん」

矢車「………」

シャル「……お兄ちゃん?」

矢車(……地獄の砂風呂か…面白い)スタスタ…

スチャッ

矢車「鈴、俺も埋めてもらおうか…」

鈴「えっ!?アンタ何言って…」

矢車「俺は地獄の住人……たまには土に埋もれるってのも、悪くはないと思ってな…」

セシリア「わ…わたくしも同感ですわ!お兄様ッ!」

鈴「フンッ!分かったわ!アンタも一緒に埋めてやるわよッ!
  シャルロット!アンタもコイツを埋めるの手伝いなさいッ!」

シャル「えっ!僕も!?」

鈴「ほらッ!つべこべ言わずにやるッ!」バサァ バサァ

シャル「う…うん!」バサァ バサァ

矢車「………」モコモコ

矢車(……地獄砂風呂、悪くはない…)

矢車「………」



鈴「想、アンタも足だけは出しておくわよ!」

セシリア「ちょっと鈴さんッ!お兄様にちょっかいを出すなど…このわたくしが許しませんわよッ!」

シャル「お兄ちゃん、苦しかったら言ってね?」

ラウラ「むにゃ…zzz」



矢車(……そう…悪い気はしないな…
   コイツらと、こうして戯れているのも…)



448: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/08(木) 10:32:12.89 ID:OK9IkDxDO

───


千冬「………」

生徒「織斑先生ー!みんなで一緒にビーチバレーしましょーよー!」

千冬「……あぁ、良いだろう」スタッ

千冬「………」

千冬(……矢車、お前…)



450: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/08(木) 21:32:36.36 ID:OK9IkDxDO

~旅館 夕食時~


ワイワイ ガヤガヤ…


鈴「これはまた…随分と豪勢な料理の数々ね」

矢車「海鮮料理か…今の俺には眩し過ぎる…」パクッ

鈴「とか何とか言って、アンタちゃっかり食べちゃってんじゃない!」

矢車「………」モグモグ

セシリア「うーん…お箸というものはどうも慣れませんわねぇ…」ポロポロ

シャル「確かに…日本食にあまり慣れ親しんでない僕達にとっては、難しいよね」

矢車「………」モグモグ

セシリア「お…お兄様!もしよろしければ…その…」

矢車「……あっ?」

セシリア「ど…どうかわたくしめに!お兄様の箸渡しで、料理を食べさせて下さいまし!」

矢車「……はぁー…誰がそんな面倒事するかよ…」

セシリア「あぁん!そんなこと言わずに~!あーん!あーん!」

矢車「……チッ!ワサビでも食ってろ!」スッ

セシリア「ふぇ?」パクッ

セシリア「………」ツーン

セシリア「か…辛ァーいッ!」ジタバタ ジタバタ

シャル「せ…セシリア!大丈夫!?」

セシリア「み…水!水!」ゴクゴク

矢車「………」

セシリア「はぁー…!はぁー…!はぁー…!」

矢車「……馬鹿が…一生やってろ」ギロッ

セシリア「アハァーンッ!」ビクーンッ

シャル「せ…セシリア!?」ビクッ

セシリア(お…お兄様のその蔑むような目…最高ですわぁ…!)ゾクゾクゥ

ラウラ「……重症だな…」



453: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 01:41:53.86 ID:QuM9eifDO

箒「………」モグモグ


鈴「箒…アンタ何一人だけ皆と離れたところで食べてんのよ」

箒「り…鈴か…」

鈴「全く辛気臭いったらありゃしないわねぇ…。アンタもこっちに来て皆と一緒に食べなさいよ」グイッ

箒「あ…あぁ…」スタスタ


矢車「………」

箒(……想…)スチャ

シャル「んっ!この煮魚凄い美味しい!ねぇお兄ちゃん!」

矢車「あっ?」

シャル「はい、あーん!」スッ

矢車「………」パクッ

セシリア(しゃ…シャルロットさんったらッ!何とあざとい事をッ!)

矢車「………」モグモグ

シャル「ね?美味しいでしょ?」

矢車「………」ゴクッ

矢車(……この味付けは…まさか…)



454: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 02:38:10.45 ID:QuM9eifDO

──「どうやら気に入ってもらえたようだな。俺の作った鯖味噌の味を…」


シャル「えっ?」クルッ


天道「……よう、また会ったな」


鈴「あ…アンタはッ!」ガタッ

セシリア「天道……」

ラウラ「総司ッ!」

矢車「………」

箒(えっ?誰だコイツ?)


天道「………」


生徒「だ…男子ッ!イケメンの男子ッ!」
生徒「超とびっきりの美男子が入って来たわよッ!」
生徒「誰このイケメン!?誰このイケメン!?」


ガヤガヤ… ガヤガヤ…



455: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 02:40:57.55 ID:QuM9eifDO

鈴「なッ!何でアンタがここに居るのよ!?」

天道「……この格好を見て分からないのか?板前のバイトだ」

鈴「ば…バイト?」

天道「あぁ…。丁度ここの旅館で、腕利きの料理人を募集していたところだったのでな。
   野暮用ついでに立ち寄ったという訳だ…」

矢車「………」

シャル「板前のバイトって…もしかしてこの煮魚、君が作ったの?」

天道「あぁ、その通りだ」

シャル「そ…そうなんだ!凄い美味しかったよコレ!」

天道「当然だ。俺の作る鯖味噌は、天下一品の味だからな…」スッ

鈴「ちょッ!ちょっとシャルロットッ!なに馴れ馴れしく喋ってんのよアンタッ!?」

セシリア「どれどれ…わたくしも一口…」パクッ

セシリア「……ほ…本当に美味しいですわぁ!!」パァー

鈴「あ…アンタ達ッ!もっと緊張感ってモンを持ちなさいよッ!この間の事もう忘れたのッ!?」

シャル「いいから鈴も食べてみなよ!すっごい美味しいよコレッ!」

鈴「い…要らないわよバカッ!」

セシリア「そう遠慮せずに!さぁさぁ!」グイッ

鈴「もォーッ!要らないって言ってるでしょーがーッ!」


矢車「………」

天道「……どうやら俺の言い付け通り、彼女達の側を離れなかったようだな」

矢車「……勘違いするな。お前の言葉に従った訳じゃない…」

天道「フッ…そうか」

矢車「……お前…一体何しにこんな所へ来た?」

天道「別に深い理由はない。
   しいて言うなら…お前の事を冷やかしに来ただけだ」

矢車「………」

矢車(……ワームとの決戦を控えているコイツが、こんな所で油を売っている暇があるとはどうしても思えん…)

矢車(……何か、裏があるな…)



456: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 02:58:12.83 ID:QuM9eifDO

天道「……時間だ。俺もそろそろ厨房へ戻るとしよう。
   加賀美の奴が俺の助けを待っている頃だろうしな…」



───

~厨房~


加賀美「クソォーッ!!何で俺が皿洗いなんかしなけりゃならないんだァーッ!!」ガチャガチャガチャ

───



矢車「………」

天道「矢車。これから先何が起ころうとも…決して彼女達の手を放すなよ」クルッ

スタスタ…


矢車「……お前に言われるまでもない…」



458: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 09:51:09.03 ID:QuM9eifDO

鈴「もー分かったわよ!食べればいいんでしょ食べれば!」パクッ

モグモグ…

鈴「………」ゴクッ

鈴(お…美味しい…!)パァー

シャル「ねっ?美味しいでしょ?」

鈴「……べ…別に!普通よこんなの!」

セシリア「もう、素直じゃありませんわね…
     ではこの料理、残りはわたくしが頂きますわ」スッ

鈴「だ…誰もあげるなんて言ってないわよ!何勝手に取ってんのよアンタ!?」

シャル(フフッ…やっぱり美味しかったみたいだね)

セシリア「全く貴女という人は…食い意地だけは一人前ですわねぇ…」

鈴「な…何ですってェーッ!」ムッキー!

箒「おい、行儀が悪いぞお前ら…」

矢車「………」


ザッ


千冬「……矢車、ちょっといいか?」

矢車「あっ?」

千冬「………」スッ

ボソボソ…

矢車「………」

千冬「じゃあな、待ってるぞ…」スタスタ

矢車「………」



460: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 10:27:19.13 ID:QuM9eifDO

~夕食後 廊下にて~


矢車「………」スタスタ


千冬『矢車、後で私の部屋に来い。話がある…』


矢車(……あの女、まさか…)スタスタ


~廊下の物陰~


箒「………」チラッ

セシリア「………」チラッ

鈴「………」チラッ

シャル「………」チラッ

ラウラ「………」チラッ


矢車「………」スタスタ…


鈴「……本当なんでしょうね?織斑先生が自分の部屋に来るようにって、想の奴を呼び出したなんて…」

セシリア「えぇ…間違いないですわ。
     先生がそうお兄様に耳打ちしていたのを、先程小耳に挟みましたの…」

ラウラ「織斑教官…兄上に一体何の用が?」

セシリア「……まさか…教師と生徒との間に揺れる禁断の愛ッ!なんて事が!?」

シャル「そ…そんなッ!まさかあの織斑先生がッ!?」

箒「……あの人に限ってそんな事はないと思うが…」

セシリア「分かりませんわよォー……織斑先生もれっきとした女性ですからねぇ…」

鈴「兎に角尾行を続けるわよ!何か間違いでも起こったら…直ぐにでも止められるようにッ!」タッ

セシリア「えぇ!勿論ですわッ!」タッ

箒「………」タッ

コソコソ…



461: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/09(金) 10:47:13.97 ID:QuM9eifDO

~千冬の部屋~


コンコン


千冬「……入れ」

矢車「………」サーッ

千冬「そこに座れ。楽にして良い」

矢車「………」スチャ

千冬「……ビール、飲ませてもらうぞ」プシュ

矢車「……勝手にしろ…」

千冬「………」ゴクゴク

千冬「ぷはぁ…」

矢車「………」

千冬「……今日は随分と楽しそうにしていたな、矢車…
   正直言って…入学当初のお前からは、考えられない程の変わりぶりだ。
   アイツらとの信頼関係も、もはや相当なものだろう…」

矢車「………」

千冬「……もう、全てを話しても良い頃なんじゃないか?」


千冬「なぁ?ZECT所属特殊部隊シャドウ元隊長」

千冬「……矢車、想…」


矢車「………」



465: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/14(水) 02:05:21.31 ID:UlM4iYADO

矢車「……誰から聞いた?」

千冬「……篠ノ之束…お前の過去をよく知る人物の一人からだ」

矢車(……チッ…あの女…)

千冬「まぁ…かくいう私も、アイツの話を直ぐに信じられた訳ではなかったがな。
   何せ話をしてきた相手が相手だ。悪い冗談にしか聞こえなかったというのが、正直な感想だ」

矢車「………」

千冬「しかし…奴の証言を裏付ける証拠の数々が、後日次々と私の下へ送られてきてな…
   否応なしにも…アイツの話を認める他なかった」

矢車(……あのアマ…余計な事を…)

千冬「……だが…いくら信じがたい話だったとはいえ、一度事実だと認めてしまえば
   今まで不明瞭であったお前に関する幾つもの謎も、いくらか納得の出来る話として解消する事が出来た。
   素人とは思えない異常なまでの戦闘スキル…。イレギュラーな事態に直面した際の、何事にも動じない精神力の高さ…
   それら全てが、お前の潜り抜けてきた数多くの実戦経験に裏打ちされたものであるとするならば…これ程までに合点のいく話はない」

矢車「………」

千冬「矢車…お前が闇の住人とやらを自負するまでに至った経緯についても、話を聞いたぞ。
   自らの失態から組織を追われ、ドン底へと叩き落とされたお前が
   ホッパーゼクターという新たな力を手にし、何処の組織にも属さないアウトローな存在として生まれ変わった事」

千冬「そして…そんなお前と同じ境遇を味わった、かつてのお前の相棒……影山瞬という存在についてもな」

矢車「………」

千冬「……お前が影山瞬という一人の相棒を失った苦しみ…それは並大抵のものではなかった筈だ。
   お前の負った心の傷は…そう簡単に癒せるものではないだろう」

千冬「……だが、今のお前は決して一人ではない。お前の事を慕ってくれる友人も、少なからず存在する。
   もう…お前一人で何もかも背負う必要は、無いんじゃないか?」

矢車「……何が言いたい?」



466: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/14(水) 03:35:09.26 ID:UlM4iYADO

千冬「……お前の妹分達に、全ての真実を打ち明ける。
   お前の過去に何があったのか…。今、世界の裏側で何が起こっているのか…その全てをな」

矢車「………」

千冬「お前がそれを拒むと言うのであれば…今度は私の口から、アイツらに直接真実を伝えるつもりだ」

矢車「……“他人の身の上話を勝手に喋る趣味はない”……前にそう言わなかったか?アンタ…」

千冬「そうだ。だからこそこうして本人の了承を得る為に、お前をここへ呼び出したんだ」

矢車「……目的は何だ?俺の昔話なんかをアイツらに聞かせて…アンタに一体何の得がある?」

千冬「……私に得、か…フッ…
   そんなもの、有る訳がなかろう」

矢車「………」

千冬「………」ゴクッ ゴクッ ゴクッ

千冬「……ふぅ…」コトッ

矢車「………」

千冬「……束からは、裏の世界で暗躍するワーム残党についての話も聞かされている。
   人類は今、奴らが極秘に開発を進めているISの為に、破滅の危機に瀕していると…」

矢車「………」

千冬「矢車。マスクドライダーの一人であるお前は、奴らと戦う運命にある。
   それは決して逃れる事の出来ない…お前自身に課せられた運命だ」

千冬「しかし…お前がマスクドライダーである以上、お前と親しい関係にある彼女達も又
   ワームとの戦いに巻き込まれる可能性が、少なからず存在する。
   ……だからこそ、アイツらにも知る権利があるのだ。全ての真実を…
   お前が今まで関わってきた、その全ての事柄を」

矢車「………」

千冬「お前は伝えなければならない。
   望まなかった結果とはいえ、自らの運命に彼女達を巻き込んでしまった…その責任を取る為にも、な…」

矢車「………」



467: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/14(水) 04:21:05.92 ID:UlM4iYADO

~その頃 千冬の部屋の前~


セシリア「………」ピタッ

鈴「どう?中から何か聞こえる?
  いやらしい声とか…妙な物音とか!」

セシリア「……いえ…襖越しでは、御二人の会話もボソボソとしか聞き取れませんわ…」

セシリア(ここはもう少し…襖にピッタリと耳を密着させるようにすれば…)グッ

ミシミシミシ…

セシリア「……えっ?」

バキバキィ!

セシリア「わッ!きゃーッ!」グラッ

バターンッ!!


矢車「……あっ?」クルッ

千冬「何…?」


シャル「だ…大丈夫セシリア!?」

セシリア「あ…あいたたた…」

ラウラ「これは…ものの見事に倒れたな…」

箒「………」

鈴「ちょっとセシリアッ!アンタ何てことしてくれたのよッ!」

セシリア「わ…わたくしは何も悪くありませんわ!
     ちょっと体重を掛けただけで倒れた…このたてつけの悪い襖がいけないのですッ!」

鈴「何つまらない言い訳してんのよッ!素直に自分の非を認めなさいよッ!」

セシリア「な…何をッ!」


千冬「んーン゛ンッ!」


鈴「あっ…」

セシリア「せ…先生…」

千冬「……お前達、盗み聞きとは関心せんな」

鈴「えーっと……これは…その…」

千冬「……まぁいい。丁度良いところに来た」

セシリア「えっ?」

シャル「丁度良いところ…?」

千冬「……お前達に、伝えるべき事がある」

鈴「……伝えるべき…事?」

箒「それは…一体?」



468: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/14(水) 04:24:25.45 ID:UlM4iYADO

矢車「……はぁー…」スッ

スタスタ…

セシリア「お…お兄様?どちらへ行かれるのですか…?」

矢車「………」スタスタ…

千冬「……矢車。」

矢車「………」ピタッ

千冬「……良いな?」

矢車「………」……スタスタ…

千冬「………」



475: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/20(火) 03:53:34.88 ID:SZbK67wDO

箒「それで織斑先生、話とは一体…?」

千冬「……箒、お前が知りたがっていた事についてだ」

箒「えっ…?」

千冬「……矢車想の、過去に関する話だ…」

箒「えッ!?」ビクッ

セシリア「お兄様の、過去…?」

鈴「………」

箒「お…教えて下さい織斑先生ッ!私はどうしても知りたいのですッ!
  想の奴がああなってしまった…その理由をッ!」

千冬「……それを語る前に、まず…
   お前達には、予め確認をしておかなければならない」

箒「か…確認…?」

千冬「……いいか?私の口から語られる事が、どれ程受け入れ難い、残酷な話であったとしても…
   それを事実として受け止められる覚悟が、今のお前達にはあるか?」

シャル「残酷な話って…そんな…」

千冬「………」

箒「……も…勿論ありますッ!私はそれを知る為に、今まで努力してきたのですからッ!」

セシリア「わ…わたくしもッ!
     例えどの様な事実であったとしても……お兄様の事なら何だって受け入れられますわッ!」

ラウラ「兄上とは地獄の底まで付き合う所存…
    今更何を知る事になろうとも…その決心が揺らぐ事はあり得ません」

シャル「……その話、僕も聞いてみたいです。織斑先生」

千冬「……デュノア…」

シャル「……お兄ちゃんは、僕が背負っていた過去も、今抱えている問題も…
    全部ひっくるめて、僕という存在を受け入れてくれました!
    だから今度は僕が!お兄ちゃんの抱えている全てを受け入れてみせますッ!」



476: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/20(火) 04:13:32.12 ID:SZbK67wDO

千冬「……凰、お前はどうなんだ?」

鈴「………」

鈴(……私の知らない、想の…隠された過去…)

鈴(……正直、それを知るのは怖い…
  私の心の中にある…この漠然とした不安が、ハッキリとした形になって表に出てくるような気がして…)

鈴(……でも…)

鈴「……聞かせて下さい。織斑先生」

鈴(私は…決して逃げたりしない!
  例え、どんなに残酷な真実が待ち受けていたとしても…
  私は全体に後悔なんかしない!)



477: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/20(火) 04:14:25.86 ID:SZbK67wDO

千冬「……お前達の覚悟、よく分かった」


箒「………」ゴクッ…

セシリア「………」ドキッ… ドキッ…

ラウラ「………」

シャル「………」

鈴「………」


千冬「……真実を語ろう。アイツの……矢車想の、全てを」



481: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 21:06:07.28 ID:WBUAhb6DO

~砂浜~


ザザーン… ザザーン…


矢車「………」


千冬「こんな所に居たのか、矢車」ザッ ザッ


矢車「……担任…」

千冬「……彼女達に全てを語ったぞ。
   お前の過去にまつわる、その全てを…」

矢車「……そうか…」


ザザーン… ザザーン…



矢車「………」

千冬「行かないのか?アイツらの所へ」

矢車「………」

千冬「……怖いのか?彼女達に会いに行くのが…」

矢車「……あっ?」


千冬「……お前は怖れているのではないか?
   真実を知ったアイツらに、自分が拒絶されてしまうのではないかと…」

矢車(……怖れているだと?俺が?)

矢車「………」

矢車(……アイツらが、俺の前から居なくなる事を…)



482: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 21:08:17.52 ID:WBUAhb6DO

矢車「……フッ…」

千冬「……何が可笑しい?」

矢車「……いや…確かにアンタの言う通りかもな…
   俺は心の何処かで…アイツらとの関係が崩れ去るのを、怖れているのかもしれない…」

千冬「………」

矢車「もう…あんな苦しみを二度も味わうのは、御免だからな…」ペラッ

千冬「……何だ?その写真は…」

矢車「……俺と…かつての俺の相棒が求めた“光”だ…」

矢車(白夜を写した、1枚の写真…
   地獄の底をのたうち回っていた俺と影山にとって、この写真に写る白夜の光景は……眩く、光輝いて見えた…)パラッ…


─『見ろ、俺達にも掴める光がある。一緒に行こう…真夜中の太陽を求めて、白夜の世界へ…』─


矢車(俺と影山が求めた…俺達だけの、光…)

矢車(……だが…)



483: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 21:12:13.34 ID:WBUAhb6DO

矢車「だが…俺と共にこの光を求めた相棒は、もうこの世には存在しない…」

千冬「………」

矢車「……影山は死んだ。俺がアイツを…この手に掛けた…」



─『サヨナラだ…兄貴』─



矢車「……俺の手によって殺される事…
   それが…アイツが俺に託した、最後の頼みだった…」

千冬「……そして、影山瞬を手に掛けたお前の心には、相棒を失った喪失感だけが残った…」

矢車「………」

千冬「だからお前は、傷付いた己の心を癒すために…お前と同じような心に闇を持った者達を集め、
   ソイツらを新しい“相棒”として、地獄兄弟の一員に招き入れた…」

千冬「……セシリア・オルコット…凰鈴音…シャルロット・デュノア…そしてラウラ・ボーデヴィッヒ…」

千冬「彼女達を…“影山瞬の代役”に、仕立て上げて…」

矢車「………」

千冬「矢車、今一度お前に問う。
   お前にとって…彼女達とは一体何だ?」

矢車「……何?」

千冬「お前はアイツらの事を…本当に大切な、掛け替えのない妹達だと思っているのか?
   それとも…お前が死なせてしまったかつての相棒の代用品でしかないと……その程度にしか思っていないのか…?」

矢車「………」

千冬「答えろ。矢車」

矢車「……はぁー…」

千冬「………」



484: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 21:23:12.23 ID:WBUAhb6DO

矢車「……影山の代わりなんて、他人に務まる訳がない…」

千冬「………」

矢車「アンタ…さっきアイツらが“影山瞬の代役”だとか何とか抜かしていたがな…
   生憎、それはとんだ見込み違いだ」

千冬「……何だと?」

矢車「俺は…影山の代わりが欲しかったからアイツらを妹にしたんじゃない…
   俺とアイツらが兄妹仁義を結んだのは……俺達が、互いを求め合っていたからだ。
   傷付いた痛みを分かち合い、互いの傷口を舐め合う存在としてな…」

千冬「………」

矢車「アイツらが俺の事を求めたように…俺も又、アイツらの事を求めた……それが全てだ…」

千冬「……つまり、お前が彼女達に抱く想いは、偽りでないと思って良いのだな?」

矢車「……あぁ…」



485: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 21:33:06.55 ID:WBUAhb6DO

千冬「……そうか。それを聞いて、一先ずは安心したぞ。
   お前は自分に都合の良い存在として、アイツらの事を利用していた訳ではなかったのだな…」

矢車「………」

千冬「彼女達に対するお前の心情は、よく理解出来た。
   ……しかし…私にはまだ、気掛かりな事が一つだけある…」

矢車「……あっ?」

千冬「……影山瞬。お前にとってあの男の存在は…あまりにも大き過ぎる」

矢車「………」

千冬「お前が彼女達の存在を影山瞬の代役としてではなく、唯一無二の存在として受け入れている事は分かった…」

千冬「……しかしだ。新たな相棒達を得た今でも尚、お前がその白夜の写真を捨てきれずに、手元に置いているのは…
   お前が未だに影山瞬の死を乗り越えられていないという…その証なのではないか?」

矢車「………」

千冬「……どうやら図星のようだな…
   お前の中では何時まで経っても、影山瞬の死が尾を引いている…」



486: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 22:34:13.47 ID:WBUAhb6DO

矢車「……だったら何だ…?」

千冬「……矢車。私は一教師の立場として、これだけはお前に伝えておかなければならない」

矢車「………」

千冬「亡くなった者の事を想い、尊む気持ち…それ自体は大切なものだ。
   だがな…死んで行った者への未練は、何時までも引きずって良いものではない」

千冬「……いくら過ぎ去った過去を想っても、死んだ人間は何もしてはくれない…
   過去を振り切り、今に目を向けて生きて行く……それも又、長い人生を生きて行く上では大切な事なのだ」

矢車「………」

千冬「何も影山瞬の事を、綺麗さっぱり忘れろとは言わない。
   だがな…何時になっても過去に捕らわれ続けている今のお前の生き方は、いたずらにお前の心を苦しめるだけだ。良い事など何もない…」

千冬「だからこそ矢車。お前は一度、影山瞬への未練を断ち切る必要があるんだ。
   お前が己の過去を割りきる事が出来るようになる、その日までな…」

矢車「………」

千冬「……でなければ、お前の心は一生救われぬままだ…」



487: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 23:18:53.70 ID:WBUAhb6DO

矢車「………」



田所『未来のある方に目を向けて生きろッ!決して後ろを振り向くなッ!
   過去に縛られずに…今、お前の直ぐ側にあるものを大切にしろッ!
   殺めてしまった影山の分まで…お前がしっかりと生きてやるんだーッ!!』



矢車「……前にも…知り合いに同じようなことを言われた…」

千冬「………」

矢車「……アンタの言っている事は、正論なのかもしれない…」

矢車「……だがな、やっぱり俺には無理なんだよ。そんな器用な生き方…」

千冬「……矢車…」

矢車「……所詮…俺は後ろ向きな思考でしか生きられない人間だ。
   過去を切り捨てて前を向いて生きるなんて…そんな生き方、ハナから出来る訳がない…」

千冬「………」

矢車「……それに、俺は影山と約束したんだ。
   “俺達は、永遠に一緒だ”ってな…」

千冬「………」

矢車「……だから俺は…影山の事を切り捨てて、ただ自分の為だけに生きて行くなんて…
   そんなこと出来やしないし、するつもりもないんだよ…」



488: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/29(木) 23:20:36.60 ID:WBUAhb6DO

千冬「……はぁー…相変わらずお前の考えは理解に苦しむ…
   アイツらとの出会いが影響して、少しはマシな性格になったのかと思っていたが…
   矢車、お前のそのネガティブな性格…根本的には何も変わってはいないようだな」


矢車「……俺は、何一つ変わってなどいない…
   何時だって俺は、深い暗闇の中で生きてきた…
   それは、アイツらを俺の妹として受け入れた…今になっても変わらない」

千冬「………」

矢車「……そうだ…。あの時から、俺は…ずっと…」



490: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/31(土) 20:55:57.07 ID:JutjGrcDO

~千冬の部屋~



鈴「………」


箒「………」


セシリア「………」


シャル「………」


ラウラ「………」



491: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/31(土) 21:06:14.86 ID:JutjGrcDO

鈴「……はぁー…全く笑っちゃう話よね…
  想の奴が…私らの知らない所で宇宙人と戦っていただなんて…」

セシリア「……わたくしも…未だに半信半疑ですわ…
     織斑先生から証拠の品々を見せて頂きましたが、それでも…」

シャル「……それでもまだ、信じられない…?」

セシリア「えぇ……何というか、あまりにも突拍子のない話で…」

箒「………」

ラウラ「……だが、これで兄上の持つ異常なまでの戦闘スキルの高さについて、説明が付くな…」

鈴「全く…実戦経験でこなしてきた場数が、私らの比じゃないんだもの。
  ……道理で強い訳だわ、アイツ…」

セシリア「……意外と冷静なのですね、鈴さん…。あんな話を聞かされた後だというのに…」

鈴「そうね…。そりゃあ私も、さっきの話を聞かされた時は、頭の中が真っ白になったけどさ…
  もう過ぎた話だもの。今更私らが動揺しても、しょうがないでしょ?」

セシリア「それは…そうですが…」

鈴「……それにさ…私、何となく察しは付いてたから…
  あのバカが隠してきた事が、私らの想像を遥かに越える事なんだって…」

セシリア「……鈴さん…」



492: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/31(土) 21:18:29.97 ID:JutjGrcDO

シャル「……確かにセシリアの言う通り、こんな話…いきなり信じろって言う方が、無理あるよね…」

箒「………」

シャル「……でも、確実に言える事が一つ…」

シャル「……お兄ちゃんは昔…大切な人を失った…」

箒「………」

ラウラ「影山瞬……兄上のかつての相棒だったという男か…」

シャル「うん。……きっと影山さんの存在は、お兄ちゃんにとってはあまりにも大きくて…
    だから…今でもお兄ちゃんは引きずってるんだと思う。影山さんの事を…」

箒「……ッ!」ダッ

セシリア「あっ!ちょっと箒さん!?」


ダッ ダッ ダッ ダッ…


鈴(……行ったみたいね。アイツの所へ…)



494: ◆4cmyCM./Qw:2015/01/31(土) 21:57:40.39 ID:JutjGrcDO

箒「はぁー…!はぁー…!はぁー…!」ダッ ダッ ダッ


箒(何で…何で私は気付いてやれなかったんだッ!アイツの抱えている孤独にッ!)


矢車『もう、パーフェクトもハーモニーも無いんだよ……』



箒(……想が…アイツが心に負っていた傷は、生半可なものではなかったッ!
  アイツは私が想像していた以上に…過酷な過去を背負っていたんだッ!そうとも知らずに…私はッ!)



箒『いい加減迷惑なんだッ!お前の狂言癖に付き合わされるのはッ!!』

箒『周りの人間の身にもなってみろッ!!
  お前の犯す奇行に、皆がどれだけ迷惑していると思っているんだッ!?
  昔のお前はそんな単純な事も分からないほど馬鹿では無かった筈だッ!!
  それなのに…それなのに今のお前はーッ!』



箒(……心ない言葉を…)


箒「…ッ!想…!」ダッ ダッ ダッ

箒(……会いたい…想に会いたい!
  アイツに会って…今すぐ話をしたい!)


箒「私は……私はッ!」ダッ ダッ ダッ


箒(私は…アイツの力になってやりたいんだッ!)



513: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/05(木) 02:22:07.61 ID:DYGy5JNDO

───


鈴「……で、アンタらは一体これからどうするつもりな訳?」

シャル「ど…どうって…?」

鈴「決まってるじゃない…今後の身の振り方についてよ。
  これからも今まで通り、地獄兄妹の一人として想に付いて行くのか」

鈴「……それとも、これを機に地獄兄妹を抜けて、想との縁も一緒に切るのか…」

セシリア「な…何を仰っているのですか鈴さんッ!?
     お兄様との縁を切るだなんて…そんな事ッ!」

鈴「うっさいわね~…頭ごなしに否定すんじゃないわよ。
  これは私らの今後に関わる重要な話なんだから…
  今のうちに、白黒はっきりさせておく必要があるのよ」

シャル「重要な話って…?」

鈴「……いい?織斑先生の言っていた話が本当なら…ワームとかいう宇宙人の生き残りは、今でもまだ地球を狙っているって事なのよ?
  それを知った上で尚、マスクドライダーである想と行動を共にするって事が、一体どういう事なのか…」

シャル「えっ…?」

ラウラ「……ワームとの接点を持つ兄上は勿論の事…
    その兄上と親しい関係にある私達も又、ワームとの抗争に巻き込まれる可能性がある…という訳か」

鈴「まぁ…そういう事になるわよね。
  ……下手すれば私らだって、ワームって奴らと戦う事になるかもしれないし…」

シャル「そ…そんな…」

セシリア「………」

鈴「これから先は、生半可な覚悟で想に付いて行こうだなんて思わない事ね。
  ……少なくとも、想に対して自分達の命をかけられるくらいの覚悟がなければ、アイツの側に居る資格はないと思うわ」

セシリア「………」

鈴「それと、地獄兄妹から抜ける事を後ろめたく思っているのなら、何も心配はいらないわよ。
  想の事なんだから“地獄兄妹を抜けたい、アンタとは絶交したい”って言っても…きっと止めはしないだろうからさ」

鈴「……アイツ…あのクソ優しい性格だけは、あの頃のままなんだから…」

シャル「………」

鈴「アンタ達、悔いの残らないようによく考えておきなさいよ。
  何たってこれは…自分達の命に関わる事なんだから…」



514: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/05(木) 03:00:07.12 ID:DYGy5JNDO

セシリア「……はぁー…全く鈴さんったら…
     地獄兄妹のNo.2であるわたくしを差し置いて…偉そうに一体何を喋り出すのかと思っていたら…」

セシリア「……フッ…そんな事でしたか?」

鈴「……えっ?」

セシリア「鈴さん…貴女、わたくしを誰だとお思いですの?」

鈴「だ…誰ってアンタ…」

セシリア「フフッ…忘れてもらっては困りますわ…!
     わたくしは地獄兄妹の長女を務める女!セシリア・オルコットですわよッ!」ビシィ!

セシリア「お兄様とは…地獄の底までお付き合いすると心に決めた身…
     例え命に関わるような事態がこの先待ち受けていようが…
     わたくし、一歩たりとも引く気などございませんッ!」

鈴「……セシリア…」

シャル「……お兄ちゃんは…暗闇の中で悶える事すら忘れて、自分という存在を見失っていた僕に…手を差し伸べてくれた…
    だから今度は、僕がお兄ちゃんに手を差し伸べてあげる番なんだッ!」

鈴「シャルロット…」

シャル「鈴!僕もお兄ちゃんの側を離れないよ!
    お兄ちゃんの居ない世界なんて…僕には考えられないッ!」


ラウラ「……フッ…揃いも揃って何とやら、だな…」

鈴「……ラウラ…」

ラウラ「どうやら聞くだけ無駄だったようだな、鈴。
    命をかける覚悟など…私達には、とうの昔に出来ていたという訳だ。
    兄上と契りを交わした、あの時からな…」

鈴「………」

ラウラ「無論、私もその内の一人だ。
    相手が宇宙人であれ何であれ、それが兄上に仇なす者であるのならば…私は容赦しない!全力でそれを向かい打つッ!」



515: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/05(木) 03:04:11.92 ID:DYGy5JNDO

鈴「……フフッ…揃いも揃って本当に…バカばっかりね。
  自分の命に関わってくる事だってのに…アンタらときたら…」

セシリア「そういう鈴さんの方こそ、これからどうするおつもりで?」

鈴「……そんなの、決まってるじゃない」

鈴(まぁ…何だかんだ言って、私もそのバカ共の一員なんだけどね!)

鈴「私も想に付いていくわッ!
  アイツとは“地獄の底まで付き合ってやる”って…そう約束したんだからッ!」



522: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/07(土) 20:18:09.20 ID:vcXbZFsDO

~砂浜~


箒(何処だ!?何処に居るんだ想ッ!)ダッ ダッ ダッ


矢車「………」


箒「み…見つけたぞッ!想ーッ!」ダッ ダッ ダッ


千冬(篠ノ之…?)

矢車「……箒…」

箒「はぁー…!はぁー…!はぁー…!」ザッ ザッ

矢車「………」

箒「随分と探したぞ…!お前の事を!」

矢車「……あっ?」

箒「話は全て織斑先生から聞いた!
  お前が過去に何を失ってきたのか…!
  お前が今まで…どれ程の苦しみを味わってきたのかとッ!」

矢車「……だったら、何だ…?」

箒「……ッ!」

箒(……言いたい事は山ほどあるが…
  今、私が一番伝えたい事は…!)

箒「想ッ!お前に頼みがあるッ!」

矢車「……あっ?」

箒「想ッ!……私を…私をッ!」

矢車「………」



箒「地獄兄妹の一員に加えてくれッ!」



527: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 00:27:19.50 ID:1fD0YHzDO

千冬(……何だと?)

矢車「………」

箒「私は……私は!お前の心の支えになってやりたいんだッ!
  お前が抱いている苦しみを…少しでも肩代わり出来るように!
  もうこれ以上…お前が傷付かないで済むようにッ!」

矢車「……それとお前が地獄兄妹に入る事と、一体何の関係がある?」

箒「そ…それは…」

矢車「………」

箒「……マスクドライダーとして戦っていたお前の過去を、織斑先生から聞かされた時…
  私は…そんなお前の側に居てやれなかった自分を呪った!」

矢車「………」

箒「私が想の側を離れずに、ずっと一緒に居てやれれば…
  戦いの中で傷付き、絶望の淵に落ちていったお前にも……手を差し伸べる事が出来た筈なんだ!」

箒「そうだッ!私が側に付いてさえいれば!お前は今頃……こんな事には…!」

矢車「………」

箒「私は…もうこれ以上お前の苦しむ姿を見たくないんだッ!
  あの頃のような辛い思いは…もう二度とお前に味わわせたくないッ!」

箒「その為にも、私達は今のままの関係を続けていては駄目なんだッ!
  お前という存在を…もっと側に!もっと近くに感じ取るッ!
  そうしてお前と同じ目線に立つ事で初めて…私はお前の心の支えになる事が出来るんだッ!」

箒「だから頼むッ!私を……私を地獄兄妹に入れてくれッ!想ッ!」ペコッ

矢車「………」

箒「私は……今よりもっとお前の近くに居たいんだッ!」

矢車「………」

千冬(……篠ノ之、お前…)



528: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 00:29:15.89 ID:1fD0YHzDO

矢車「……箒、今のお前では無理だ。諦めろ」

箒「な……何だとッ!?」バッ

矢車「………」

箒「な…何故なんだッ!?何で私じゃ駄目なんだッ!?」

矢車「………」

箒「セシリアが良くて…シャルロットやラウラも良くて……
  あの明るい性格の鈴でさえ、地獄兄妹に入る事を許されたというのにッ!」

箒「どうして…どうして私じゃ駄目なんだッ!?
  一体私に……私に何が足りないと言うのだッ!?想ッ!」

矢車「……足りないんじゃない、失ってないだけだ…」

箒「……えっ?」

矢車「……もう一度、それを確かめる…」スッ…

箒「……そ…想…?」

矢車「………」クッ

グイッ

箒「なッ!?」

ピタッ

矢車「………」ジィッ

箒「……想…」

箒(……想の顔が…こんなに近くに…)



529: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 00:57:54.87 ID:1fD0YHzDO

箒「………」

矢車「……はぁー…やっぱりな…」パッ

箒「えっ…?」

矢車「分かりきっていた事だが……
   箒、やはりお前は……闇の住人に成り得る素質を、持ち合わせてはいない…」

箒「な…何だとッ!?」

矢車「……いいか箒?お前の瞳の奥からは、全く闇を感じない訳ではない…
   お前の心の中にも、少なからず闇は存在する…」

箒「だ…だったら何でッ!?」

矢車「だがな。その一方で…そんなお前のチンケな闇なんかを、簡単に掻き消してしまう程の強い光が、お前の中には存在している」

箒「……私の…光…?」

矢車「あぁ…。どのような逆境にも立ち向かう、不屈の闘志とも言うべきか…
   お前の中には、そんなギラついた魂の火が宿っている。
   ……その魂の輝きこそが、お前の中に存在する光の正体だ…」

箒(わ……私の中に、その様なものが…?)

矢車「その魂を捨てさえすれば、お前は闇の住人たる存在に相応しい女になるが……まぁ、無理だろうな」

箒「な…何故そう言い切れるッ!?」

矢車「……人間は、そう簡単に変わる事など出来やしない。
   特にお前みたいな強い光を心の中に持つ者は、それこそ…
   余程の地獄を経験し、その心が折れない限り…闇の住人と呼べるに値する程の大きな闇に堕ちる事は不可能だ…」

箒「そ…そんなッ!」

矢車「……それにな、箒…お前は一つ、大きな勘違いをしている」

箒「か…勘違いだと!?」

矢車「……闇の住人ってのはな、なろうとしてなるもんじゃないんだ…
   俺もアイツらも…誰も好き好んでこんなに落ちぶれたんじゃない…
   皆、抗う事の出来ない現実に直面し、絶望し…その身を押し潰されそうになった…
   そんなどうしようもないロクデナシ共が、互いの傷を舐め合う為に…
   同じ闇を抱えている者同士で、ただ群れあっているだけなんだ…」



530: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 01:29:08.44 ID:1fD0YHzDO

箒「……私には、その群れの中に入る資格がないと…?」

矢車「……あぁ…」

箒「……どうしてだ…どうしてなんだッ!」

矢車「………」

箒「私はこんなにも……こんなにもお前の事を思っているのに…
  私には……お前と同じ所に居る資格がないと言うのか…?」

矢車「………」

箒「……ッ!」ダッ


ダッ ダッ ダッ ダッ…



531: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 02:29:26.20 ID:1fD0YHzDO

矢車「………」

千冬「……いいのか矢車?あんな篠ノ之を突き放すような事を言って…」

矢車「………」

千冬「………」

矢車「……アイツには、今のままのアイツで居て欲しい…」

千冬「……何?」

矢車「……アイツの瞳の輝きは、昔のままだった…
   あの頃から何一つ変わる事のない…同じ光を発していた」

矢車「見ているこっちの身が焦がされそうになる程の…眩いばかりの光…」

矢車「アイツには、それを絶やして欲しくない。
   アイツは…今の俺のような薄汚れた存在になど、なってはならない…」

千冬「………」

矢車「……だから…せめて箒だけは、あの頃のままの変わらない箒で居て欲しい…」

矢車「……そう、思っただけだ…」

千冬「……フッ…そういう事か…」

矢車「………」

千冬(……どうやらコイツは、お前が心配する程落ちぶれてなどいないようだぞ、篠ノ之…)



533: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 11:30:53.24 ID:1fD0YHzDO

~翌朝~


チュンチュン… チュンチュン…


矢車(結局…箒以外の連中とは、まだ一度も顔を合わせてはいない…)スタスタ

矢車(まぁ…朝飯の時になったら、嫌でもアイツらの面を拝む事になるが…)スタスタ


矢車「……んっ?」ピタッ



─ひっぱってください─



矢車(……地面にウサギの耳が埋まっている…?それにこの看板は…)

矢車「………」


矢車「……あの女か…!」カシャ


──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン

──CHANGE! KICK HOPPER!──


矢車「………」スタスタ


─ひっぱってください─


矢車「………」ブンッ


ドゴォッ!!


矢車「………」

矢車(……取り敢えず、ウサギの耳を踏み潰してはみたが…
    ……手応えがない…ダミーか?)

矢車「……あの女ァ…一体何処に…」


ヒューン…


矢車「……何?」

矢車(何かがこっちに、落下して来る…)

矢車「チッ…本命はそっちか…」ピョーン



534: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/08(日) 11:36:23.12 ID:1fD0YHzDO

ヒューン


ドゴアァーン!!


矢車(……巨大な人参型のポッドが、俺の目の前に…)

矢車「………」


プシュー…


矢車「………」


ガチャン!


矢車(来る…!)グッ


束「やっほー!そーくーん!会いたかったよー!」バッ


矢車「………」スイッ

束「あらっ!」グラッ

ドサー

矢車「………」

束「もー酷いよそーくん!おねーさんの熱い抱擁はちゃんと両手を広げて受け止めてあげなきゃ駄目だよー!」

矢車「……黙れ、このアマ…」ギロッ

束「うわぁー!そーくん怖ーい!不良だー!反抗期真っ盛りだよー!
  あの可愛かった頃のそーくんは何処に行っちゃったの~!?」

矢車「………」

束「……あれ?もしかしてそーくんってば、怒ってる?」

矢車「当たり前だ…!
   貴様…俺の昔話を勝手に喋りやがって!」

束「あははー!その様子じゃあちーちゃんにたっぷり絞られたみたいだねー!」

矢車「……貴様…」ググッ…

束「わー!!ちょっと待ってそーくん!!
  変身した状態のそーくんに殴られたら流石にシャレにならないよー!」

矢車「………」パッ

束「あーびっくりしたー…もう心臓止まるかと思ったよー…」

矢車「………」

束「ところでそーくん、箒ちゃん何処に居るか知らない?」

矢車「……さぁな…」

束「そっか、まぁ私が開発したこの“箒ちゃん探知機”で、居場所なんて直ぐに分かるんだけどね~」ピロピロピロ

矢車「………」

束「じゃあね~そーくーん!また後でねー!」スタスタ

矢車「………」

矢車(あの女…一体何しに来たんだ…?)カシャ

ブォーン…

(矢車、変身解除)



535: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 01:05:51.54 ID:QXWqQhqDO

~旅館 朝食時~


矢車「………」サーッ


シャル「あっ!おはよう!お兄ちゃん!」

セシリア「おはよう御座います!お兄様!」

矢車「……お前ら…」

鈴「……想」

矢車「………」

鈴「……隣、空いてるわよ?」

矢車「……あぁ…」スチャ


鈴「えーっと、今日の朝食は…
  白いご飯に味噌汁に、焼き魚に漬物に…」

ラウラ「それとナットゥーか…」

シャル「……何か、いかにも日本の朝ごはん!って感じのメニューだね…」

鈴「フンッ!どうせこの朝食も…あの天道総司って奴が作ったんでしょ!?本当いけ好かないわねぇ!」

セシリア「もういいではありませんか鈴さん…
     料理自体には、何の罪も無いのですし…」パクッ

セシリア「ん~…美味ですわぁ~♪」モグモグ

鈴「ああもう!ちゃんと美味しいってのが余計にムカツクのよ…!」パクッ モグモグ…

矢車「………」



536: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 01:19:45.89 ID:QXWqQhqDO

箒「………」モグモグ


鈴「箒ー!アンタまたそんな離れた所で食べてんの!?遠慮なんかせずにこっち来なさいよー!」

箒「……別に、私はここでいい…」

鈴「はぁ!?」

箒「……私には…お前達と一緒の所に居る資格など、ないのだからな…」モグモグ…



セシリア「はて…?箒さんったら、一体何をふて腐れているのでしょうか?」

鈴「さぁね…」

矢車「………」モグモグ

鈴「……まぁ、大方の予想は付くけどさ…」チラッ

矢車「……あっ?」

鈴「想、アンタ昨日…何か気に障るような事でも箒に言ったんでしょ?」

矢車「……さぁな…」モグモグ

鈴「はぁー…全くコイツは…」



537: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 01:24:30.28 ID:QXWqQhqDO

ザッ


千冬「………」

セシリア「あっ、おはよう御座います。織斑先生」

千冬「あぁ、おはよう」

矢車「………」

千冬「……よし。専用機持ちは全員集まっているな」

矢車「……あっ?」

千冬「凰、オルコット、ボーデヴィッヒ、デュノア、矢車……そして篠ノ之。
   お前達は、食事が終わり次第至急私の下へ来るように」

箒「えっ?……わ…私もですか?」ピクッ

千冬「そうだ。お前も来るんだ、篠ノ之」

箒「は…はぁ…」



539: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 02:47:02.39 ID:QXWqQhqDO

~人気のない浜辺~


千冬「よし、呼び出した連中は皆揃ったようだな」

箒「あの…織斑先生?何故私までこの場に呼ばれたのでしょうか?私は専用機持ちでは…」

千冬「あぁ、それはだな…」



束「ちーちゃーん!!」ダダダダダダダ


箒「えッ!?」ビクッ!

千冬「………」


ピョーン


束「ハァーグ!プリぃ~ズ!!」ヒューン!


千冬「………」スッ


ガシィーッ


束「うぉっと!」ピタッ

千冬「………」ガシッ…

束「久しぶりー!会いたかったよーちーちゃーん!
  さぁ!久しぶりの再開を祝して私とハグハグしようよー!」グイグイグイ

千冬「……くっつくな、離れろ貴様…」グググ…

束「相変わらず素直じゃないなー!ちーちゃんはー!」メキメキメキ…

矢車「………」

束「おっ!そこに居るのは我が愛妹!箒ちゃんじゃああ~りませんかー!」バッ

箒「姉さん…どうして貴女がここに…?」

束「別にぃ~!深い意味はないよ~!
  ただ、愛すべき箒ちゃんとちーちゃんとそーくんの顔が急に見たくなってねー!」

箒「は…はぁ…」



540: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 02:58:20.06 ID:QXWqQhqDO

鈴「……箒のお姉さん…って事はまさか!?」

セシリア「この方が!あの篠ノ之博士なのですかッ!?」ビクッ!

ラウラ「ISの開発者であり、現在行方不明中の…」

千冬「そうだ。コイツがその篠ノ之束だ」

矢車「………」


束「そうそう!今日は箒ちゃんとそーくんに、素敵なプレゼントを持って来たんだー!」

箒「ぷ…プレゼント?私と想に…?」

束「うん!とっておきの贈り物だよ!それポチっとな!」ポチッ


ヒューン…


鈴「そ…空から何かが…」

シャル「落ちてくる…?」

矢車「………」


ヒューン

ドゴアァーン!!


箒「うわッ!?」

セシリア「ふ…2つの巨大な箱が……こちらに落下してきましたわ…」



541: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 03:10:17.92 ID:QXWqQhqDO

束「え~…右手に見えますのが、
  我が愛妹箒ちゃんに贈る天才束さんからの至極のプレゼント!」


キュイーン!


箒「なッ!?」


束「第四世代型IS“紅椿”だよーん!」



セシリア「だ……第四世代型!?」

シャル「各国がやっとの想いで…第三世代型の試験機を開発させたばかりなのに…!」

束「まぁ、そこは時代の先を常に行く天才束さんの発明だから!」

矢車「………」



542: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 03:38:48.71 ID:QXWqQhqDO

束「さぁーて箒ちゃん!今のうちに紅椿の最適化処理(フィッティング)とパーソナライズの作業を済ませちゃおっか!」クルッ


箒「………」

束「……あれ?箒ちゃん?」

箒「………」

箒(……私の…私の専用機…)


束「もしもーし?聞こえてるー?」


箒(私に与えられた…新たなる、力…)

箒「……ッ!」グッ!

箒(これさえ…これさえあれば!私は…!)



545: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 04:48:49.69 ID:QXWqQhqDO

────

束「ほ~れ、チョチョイのチョイっと!」ピピピピピピ


鈴「は…早ッ!」

シャル「凄い…あっという間に作業が終わった!」


束「フフン!シスコンモードに入った篠ノ之束は、人間を遥かに超えるスピードでタイピングできるのだ!」

矢車「………」


束「それでどうかな箒ちゃん?紅椿の乗り心地は?」

箒「えぇ…非常に良いです。
  始めて触るISですが…違和感などは全く感じません」

束「そっか!それは良かった良かった!」

箒「………」

箒(こうして肌を合わせているだけでも分かる…
  このISの、並々ならぬ力の程を…!)

箒(このISさえあれば……私は想のことをッ!)

矢車「………」

束「よ~し!じゃあ試運転がてら軽く飛んでみよっか!」

箒「はいッ!」ブォォ…


ブワンッ!


鈴「な…何なのよアレ!?無茶苦茶速いんだけどッ!?」


ビューン…


シャル「凄い!もうあんな高い高度に!」

ラウラ「何というスピードだ…
    ひと世代違うというだけで、第三世代機との間にこうも差があるとは…」

セシリア「……これはわたくし達も、うかうかしていては箒さんに追い抜かれ兼ねませんわね…!」

矢車「………」



546: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 05:29:56.37 ID:QXWqQhqDO

~上空~


箒「す…凄い!これが紅椿の性能か!」

ピー!ピー!

箒(通信…姉さんからか)ピッ

束『やっほー箒ちゃん!紅椿ってば中々のスピードでしょ!?』

箒「……えぇ…」

束『よーしよし!折角だから武器も出してみようか!
  右の刀が“雨月”で、左の刀が“空裂”だよ!』ピピピッ

箒「……雨月に、空裂…」スッ

カシャン!

箒「これが…紅椿の武器…」

束『じゃあ!ついでに刀の試し斬りでもしてみよっか!
  今からこっちで的用の爆弾ロボットを飛ばすから、それを叩き斬ってみてね!』

箒「ば…爆弾ロボット?」

束『行くよー!箒ちゃーん!』キュイーン

束『マイザーボマー!発射ぁー!』バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュンッ!



547: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 05:35:18.40 ID:QXWqQhqDO

~地上~


矢車「……貴様、それは…」

束「あぁ、そーくんはこれが気になるのかな?」カシャ

矢車「………」

束「いいでしょ~?ZECT崩壊のどさくさに紛れてちょろまかしてきた、ザビーのゼクトマイザーだよ!
  生身の人間でも扱えるように、ある程度改良が施してあるんだよ!凄いでしょ!?」

矢車「………」

矢車(……凄いというより…呆れたが…)



548: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/09(月) 06:10:45.73 ID:QXWqQhqDO

~上空~


ヒュンヒュンヒュンヒュン!ヒュンヒュンヒュンヒュン!


箒「来た!爆弾ロボットとはアレのことかッ!

箒(小さい上にちょこまかと動く的だ…
  当てるのは至難の技だが……それでもッ!)

箒「私と紅椿ならやれる!いくぞッ!」ブワッ


ヒュンヒュンヒュンヒュン!ヒュンヒュンヒュンヒュン!


箒「だぁッ!」ザンッ!ザンッ!ザンッ!


ドドドドゴォーンッ! ドドドドォーンッ! ドドドドゴォーンッ!


────

~地上~


束「おー!どうやら一基残らず斬り捨てたみたいだねー!
  さっすが箒ちゃん!流石紅椿!」

矢車「………」

束「あっ!そういえば…!
  そーくんに渡す予定だったプレゼントの存在…すっかり忘れてたー!」ワシャワシャ

矢車「……あっ?」

束「ほらほら!さっき紅椿の入ってた箱と一緒に落としたもう一つの箱だよ!
  あの中にはそーくんの為に用意した、キックホッパーのサポートマシンが入ってるんだよー!」

セシリア「き…キックホッパーのサポートマシン……ですか?」

シャル「あの…それって一体どういう?」

束「うーん…。上にいる箒ちゃんには悪いけど…
  まぁ、時間も無いし仕方ないや。さっさと開けちゃおう!来て!そーくん!」グイグイ

矢車「……はぁー…」スタスタ


セシリア(えっ!まさか今…!)

シャル(僕達…無視されたよね!?)ガーン



550: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/10(火) 16:40:34.45 ID:qxktabxDO

束「じゃーん!これが天才束さんが開発した、キックホッパー専用マシーン!その名もッ!」


キュイーン!


矢車「………」


束「“マシンゼクトロン改ッ!”だよーん!」バーン


矢車「………」

シャル「ば…バイク…?」

セシリア「バイク…ですわね?」

鈴「……何でISのサポートマシンにバイク…?」

ラウラ「さ…さぁ…?」


矢車「……おい、今更こんな物を用意して何になる…?
   必要ないぞ、俺には…」

束「フッフッフッ…!そーくん!
  このマシンゼクトロンを、只のマシンゼクトロンだと思ってもらっちゃー困るなぁ~!」

矢車「あっ?」

束「驚くなかれ!このマシンゼクトロンは、カブトエクステンダーとガタックエクステンダーの能力を解析、
  そのデータを元にこの天才束さんが自らの手で改良を加えた…」ピッ


ガシャン!ウィーン!


束「超高性能マシーンなんだよー!」


ガシャガシャ…ガシャーン!


ラウラ「お…オォー!」

鈴「た…タイヤが横に倒れて…」

セシリア「バイクが…変形を!?」

矢車「………」



551: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/10(火) 17:09:50.63 ID:qxktabxDO

束「じゃじゃーん!何とこのバイク、飛行形態に変形することで空も飛べちゃうんでーす!」


ゴォー…


シャル「ば…バイクが…浮いてる…」

ラウラ「……横になったタイヤが、浮力を生み出してるのか…?」

矢車「………」

束「カブテンダーの要領で股がって乗るもよし!ガッテンダーの要領でサーフボードみたく上に乗るもよし!
  脳波を介したある程度の遠隔操作も可能だから、そーくんの意思で何時でも何処でも自由に呼び寄せる事が出来るよ!」

矢車「………」

束「まぁ…元のマシンが元のマシンだから、カブテンダーやガッテンダーと違ってキャストオフ機構までは備わっちゃいないんだけどね。
  あぁっ!それでもキックホッパーのクロックアップにはちゃんと対応してるから安心してね!」

矢車「………」



552: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/10(火) 17:28:58.25 ID:qxktabxDO

鈴「へー、良かったじゃない想。
  これでキックホッパーの弱点だった、空戦能力の低さもカバー出来るんだし」

矢車「……はぁー…」


千冬「よし、矢車も早速このマシンの試運転を…」


山田「織斑先生ーッ!織斑先生ーッ!」タッ タッ タッ タッ


千冬「……山田先生…?」

山田「た…大変なんですッ!これをッ!」ピッ

千冬「何…?」チラッ

千冬「………」

千冬「……特命任務レベルAの案件、か…」

千冬「矢車、生憎だがバイクの試し乗りは中止だ」

矢車「あっ?」

千冬「……お前達に、やってもらいたい事がある…」



558: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/11(水) 01:27:32.29 ID:DJj32nxDO

~暫くして、旅館の一室にて~


千冬「今から凡そ2時間前、試験稼働中にあった某国開発の無人試作ISが突如暴走…
   某国の制御下を離れ、監視空域より離脱した」

矢車「………」

千冬「その後、監視衛星を用いた某国の捜索により、試作ISの足取りは無事掴む事が出来たものの…
   発見した頃には、既に試作ISが某国の領空圏内から離脱した後だった」

箒「……その試作ISは、一体何が原因で暴走を引き起こしたのでしょうか…?」

千冬「詳細は不明だ。このISに関しては、開示された情報があまりにも少なくてな…」

千冬「……ただ、現状において確実に言える事が一つ…
   それは…暴走状態にある試作ISの推定進路上には、現在我々が居るこの旅館周辺のエリアまでもが含まれている、という事だ…」

セシリア「な…何故暴走したISがこちらに!?」

千冬「さぁな…。単に偶然進路上にあるこちらの空域を通過するだけなのかもしれんし、
   逆に何か目的があってこの場所に向かっているのかもしれない…
   何れにせよ、いつ攻撃してくるかも分からない危険な状態にある無人機を、このまま野放しにしておく訳にはいかん」

千冬「既に某国の方からも、暴走中のISの捕獲、ないしは撃墜を求める趣旨の要請を受けている。
   そこで、今回の案件は学園上層部の意向により我々が対処する事になった、という訳だ」

矢車「………」



559: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/11(水) 01:35:29.53 ID:DJj32nxDO

千冬「よし、今から監視衛星より送られてきた試作ISの映像を出す。
   お前達、これから対峙する相手の姿を、その目にしっかりと焼き付けておけ」ピッ


矢車「………」

矢車(……コイツは…まさか…)


千冬「これが、某国が開発した第三世代型IS…」



千冬「“カッシス・ディミディウス”だ」



570: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/11(水) 22:18:14.82 ID:DJj32nxDO

矢車「………」

箒「カッシス…ディミディウス…」

セシリア「なんと……何と禍々しいISなのでしょうか…」

千冬「……先も述べた通り、このISに関する情報は未だに明かされてない点が多い。故に機体スペックは未知数だ…」

シャル「そんな…!こんな緊急事態なのに…某国は何も教えてはくれないんですか!?」

千冬「……あぁ…。向こうにも、国家機密という名目があるのでな…」

箒「なッ!そんな無茶苦茶な!?」

鈴「暴走させたのは向こうの非だってのにッ!
  任せるだけ任せて…自分達は何もしないなんて何様よッ!」

ラウラ「……しかし、これではあのISに対抗する手立てが…」


サーッ



天道「……どうしてもそれについて知りたいと言うのであれば、この俺が教えてやろう」



鈴「なッ!?」

ラウラ「お前は…天道総司!」


束「束さんも居るよ!」ヒョコ

天道「………」



571: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/11(水) 22:24:55.42 ID:DJj32nxDO

千冬「……貴様があの天道総司か。話は束から聞いている」

山田「ちょっとキミッ!ここは関係者以外立ち入り禁止です!入室には許可が…」

千冬「いや、良いんだ山田君。彼にも同席してもらおう」

山田「えっ!?」

千冬「……天道総司…貴様、今“この俺が教えてやろう”と言ったな?
   カッシス・ディミディウスの機体性能について、何か知っている事があるのか?」

天道「……機体性能だけではない。
   このIS…カッシス・ディミディウスに関する事実、その全てについて…俺は知っている」

天道「今からそれを、お前達にも教えてやる…」

矢車「………」



583: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/24(火) 23:02:38.79 ID:hPe2twuDO

天道「カッシス・ディミディウス……そもそもこのISは、某国が独自の技術力を用いて開発したISなどではない…
   ISの開発技術に乏しかった某国が、ある団体からの技術提供を受けて、初めて完成に漕ぎ着ける事の出来た機体だ」

千冬「……その技術提供を行った者達こそが…
   人類の敵、侵略異星人ワームだった…という訳か」

天道「そうだ。あのISは、某国がワームの助力を受けて開発した代物だ。
  その性能は…かつて最凶のワームと吟われた、ある成体ワームの能力を忠実に再現されている」

シャル「最凶の…ワーム…?」

天道「……そのワームとは、俺も幾度となく戦った事のある相手だが…
   確かに、最凶と言われるだけの事はある…強敵だった」

矢車「………」

天道「奴が主に使用した武器は右手の短剣のみと、特別強力なものではなかったが…
   このワームの真価は、奴の持つある特殊能力にあった」

箒「特殊能力…?」

シャル「それって……まさか、クロックアップ…?」

天道「……いや…奴の力は、クロックアップのそれを遥かに凌駕する能力だった。
   時間という概念を超越した奴の能力は…もはや“時を止める”に等しい力を秘めていた…」

鈴「と……時を止めるッ!?」

ラウラ「そんな無茶苦茶な…!」

天道「……勿論、このISカッシス・ディミディウスにも、それと同じ“時を止める”能力が備わっている。
   武装もオリジナルと同様、右手に備え付けられた短剣のみとシンプルなものだが…
   短剣の刀身にはタキオン粒子を纏わせる事が可能であり、そこから繰り出される斬撃は…正に強烈の一言に尽きる。
   又、収縮したタキオン粒子を斬波として飛ばす事も可能であり、距離を問わず高い戦闘能力を発揮する事の出来る武装と言える」



584: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/24(火) 23:05:32.12 ID:hPe2twuDO

束「それにそれに!カッシス・ディミディウスの開発には、この天才束さんの頭脳をまるっとコピーしたワームが関わっているから、
  第三世代型とは名ばかりに…その基本性能は第四世代型ISに匹敵するよ!」

セシリア「だ…第四世代型に匹敵ッ!?」

千冬「……試験稼働中にあったカッシス・ディミディウスが某国の制御下を離れ、突如暴走を起こしたのも…
   全ては、人類に敵対するワーム達の策謀だったという訳か…?」

天道「その通り…。今回の一件は、全て人類の殲滅を目論むワーム残党の手によって、意図的に引き起こされた事だ。
   最も…某国はワーム達の陰謀など露程も知らずに、良いように利用されていたに過ぎないがな…」

千冬「……成る程な…」



585: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/25(水) 00:16:56.14 ID:zqGPfS7DO

鈴「人類を殲滅って……奴ら、たった1機のISだけで、世界をどうこうするつもりだったの?」

天道「……いや…今回暴走を引き起こしたのは、あくまでも試作機…
   奴らにとってあの機体は…地球進攻の足掛かりにする為の、ただの尖兵にしかすぎん…」

鈴「尖兵…?」

千冬「……“あくまでも試作機”、か…成る程。
   天道、お前の言葉から察するに……ワーム達はカッシス・ディミディウスの量産化を目論んでいるという訳だな…?」

天道「その通りだ。奴らの真の目的は、カッシス・ディミディウスを大量に開発、生産する事にある。
   某国で量産配備したカッシス・ディミディウスの、その全てのコントロールを掌握する事により…
   ワーム達は自らの手駒となる多数の戦力を得る事が出来る…
   それこそが、奴らの計画した地球進攻作戦の本懐だ…」

千冬「………」

天道「事実、某国では試作機の運用テストと平行して、量産タイプのカッシス・ディミディウスの開発も進められていた。
   しかも…量産タイプの開発は既に最終段階に入っており、完成まではもはや秒読みの段階であった…」

ラウラ「だ…第四世代機に匹敵するISが…既に某国で量産されていたと言うのか!?」

箒「しかも…それら全てがワームの手先として、人類に牙を向くだなんて……そんな事が…」



586: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/25(水) 02:14:39.31 ID:zqGPfS7DO

束「ふっふっふっ!でもでも安心して!
  奴らの企みは…この天才束さんの活躍によって、一先ずは退ける事が出来たから!」

箒「えっ…?」

千冬「……どういう事だ?束…」

束「ふふーん!聞いて驚け皆の衆!
  奴らが量産型カッシスの開発を進めている最中に、こっそりと某国のメインコンピューターにハッキングしたこの天才束さんが!
  量産型カッシスのプログラム内に厳重なプロテクトを掛けておいたのだ!
  だから!今某国に置いてある量産型カッシスは、みーんな絶賛機能停止中だよ!」

天道「……実験稼働中だった例の試作機だけは、ハッキングが利かなかったようだがな…」

束「うーん……面目ない」

天道「……篠ノ之博士の尽力によって、量産型の一斉暴走という最悪の事態は、一先ずは退ける事が出来た。
   しかし…それはあくまでも時間稼ぎにしかならない…
   ワームが計画を遂行する時間を、単に先伸ばしにしたに過ぎん…
   奴らの下に篠ノ之博士と同等の頭脳を有したワームが居る以上、博士のかけたプロテクトが解除されるのも…時間の問題だからな」

千冬「……その量産型のカッシス・ディミディウスは、現段階では一体何機生産されている…?」

天道「……開発された量産型カッシスの数は…今現在こちらが把握してる機体数だけでも、およそ500機にのぼる…」

セシリア「ご…500ッ!?そんな!あり得ませんわッ!」

天道「………」

セシリア「今、世界に存在するISの総数は467機…。それら全てが既存のコアを再利用して開発されたもの!
     試作機を一機作るだけでもよほどの困難を強いると言うのに……ましてやそのコアの総数を上回る数のISを開発するなど…不可能な筈ッ!」

天道「……コアの大量生産など、奴らにとっては造作もない事だ。
   篠ノ之博士に擬態したワームが開発に加わっている、奴らにとってはな…」

セシリア「そ…そんなバカな事が…!?」



587: ◆4cmyCM./Qw:2015/02/25(水) 03:04:15.49 ID:zqGPfS7DO

鈴「だ……第四世代機に匹敵するISが…500機も…」

シャル「そんなの…現存するISを世界中からかき集めたって……勝てる訳が…」

千冬「………」

天道「そう悲観する事もない。
   こちらにはまだ、マスクドライダーシステムとそれを扱う資格者がいる。
   性能面で劣る従来のISでも…使い用によれば立派な戦力になる。
   そう…如何に強大な力を持った相手にだって、戦いようはいくらでもある…」

箒「……だが…しかし…」

天道「それに…人類にはまだ、救世主が居る…」

シャル「えっ…?」

ラウラ「……救世主…?」

天道「そうだ…。天に昇る太陽の如く……暗雲を消し去り、この世に光をもたらす者…
   人間からアメンボまで…生きとし生ける者、全てを守る世界の希望…」



天道「……この俺…天道総司という名の、救世主がな…」スッ…



シャル「………」

セシリア「………」

ラウラ「………」

箒「………」

鈴(コイツ…マジで言ってんの?)



595: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/02(月) 08:04:41.75 ID:kD18WhEDO

矢車「………」

天道「……だが…それでも500機にも及ぶISが、地球全土を同時に襲撃するとなると…流石に今の戦力だけでは手が足りん。
   奴らが作り出した量産型カッシスの群れが、一度野に放たれてしまえば…人間社会への多大なる被害は免れないだろう…」

千冬「………」

天道「だからこそ…俺達がまず第一に叩かなければならないのは…今現在暴走中の試作機の方ではなく
   機能不全に陥り、格納庫の中で眠っている…量産型カッシスの方だ」

千冬「………」

天道「篠ノ之博士の施したプロテクトが、奴らに解除される前に…
   早急に奴らの拠点を潰さなければ…事態は最悪の結末を招く事になるだろう」



596: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/02(月) 09:20:04.44 ID:kD18WhEDO

千冬「……お前の言いたい事は分かった。
   しかし…かと言って暴走状態にある試作機を、このまま野放しにしておく訳にもいかん」

天道「………」

千冬「ワームの目的が地球人類の抹殺である以上…
   暴走中の試作機が、いつ人々に対しその毒牙を向けるとも限らん」

千冬「海上を移動している今の内はまだいい…
   しかし、奴の上陸を一度でも許してしまう事になれば…
   侵略者の放った鉄槌が、何の罪もない人々のもとへと降り下ろされる未来も…容易に想像出来よう」

天道「……一理あるな…」

千冬「そもそもだ…天道総司。
   今、暴走中の試作機がこちらに向かって進路を取っているのも…
   全ては偶然ではなく…奴にとって何かしらの目的があるからではないのか?」

天道「……現段階では憶測の域を出ないが、試作機を影から操るワーム達の狙いは…」

天道「……おそらく…ここに居るIS学園の関係者の、“命”だろう…」

箒「何ッ!?」

鈴「そんな…!何で私達がッ!?」

天道「大方…篠ノ之博士の施したプロテクトによって、機能不全に陥った量産型カッシスの復旧が完了するその時までに…
   計画の障害になるであろう邪魔な存在を、予め潰しておく事が目的だろう。
   ここには専用機持ちを含めた、ISを扱える複数人の教師と生徒…
   それにゼクターの資格者…ライダーまでもが居るのだからな」

矢車「………」



597: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/02(月) 09:29:37.06 ID:kD18WhEDO

千冬「……確かに…奴らにとって私達は、この上なく邪魔な存在であろうな…」

天道「あぁ…特にワームの宿敵であるライダーとその資格者は、奴らにとっては率先して抹殺すべき対象だ。狙わぬ道理がない…」

矢車「………」

天道「それでも…今現在暴走中の試作機は、あくまでも人類の目を引き付ける為の、囮のようなもの…
   奴らの本来の切り札が、量産型カッシスの方である事に何ら変わりはない…
   例え暴走中の試作機を止める事が出来たとしても…
   量産型カッシスがこの世に存在する限り、根本的な解決には何一つ至らないだろう…」

千冬「………」

天道「……だが、織斑千冬の言う通り…
   試作機の襲撃により、人々に危害が及ぶ危険性がある以上…
   このまま、暴走中の試作機を放っておく訳にもいかない…」

千冬「………」

天道「そこで、俺から一つ提案がある…」



599: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/17(火) 19:00:49.01 ID:e2maH1WDO

千冬「提案…?」

天道「お前達には、引き続き暴走中の試作機の迎撃任務に当たってもらう。
   その一方で…肝心の量産型の撃破は、俺と、もう一人のライダーが行う。
   これなら双方の脅威を同時に排除する事が可能だ」

千冬「………」

天道「勿論、作戦への参加は強制しない。
   戦える力を持っているとはいえ、お前達はあくまでも民間人…
   本来ならば、俺達ライダーに守られる側の人間だ。
   奴らと戦う気力が無いのならば…俺は、お前達に今回の作戦への参加を無理強いするつもりはない…」



600: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/17(火) 19:07:28.99 ID:e2maH1WDO

千冬「……だそうだ。どうするお前達?
   確かにコイツの言う通り…某国の要請があったとはいえ、一介の学生でしかないお前達には作戦の参加を拒否する権利がある。
   己の命に関わる事だ。無論、私も元より強制するつもりはなかったが…」

天道「………」

鈴「フン!私らのこと、随分と甘く見てくれるじゃない!?天道総司ッ!」

天道「何…?」

鈴「アンタにどうこう言われなくたってもねぇ!目の前にいる敵から逃げ出すほど、私らは腰抜けじゃないのよッ!」

セシリア「その通りですわ!
     人類の存亡に関わる一大事だというのに…
     何もしないで黙って見ているだけだなんて、わたくしには出来ませんわッ!」

ラウラ「私は元より軍人だ。命をかける覚悟など…とっくの昔に出来ている」

シャル「僕だって!学園の皆を守りたいよ!」

箒「……右に同じだ」


千冬「……フッ…だそうだ、天道総司」

矢車「………」

天道「……そうか…お前達の覚悟、十分に伝わった。
   俺はもう、この件に関してはこれ以上お前達に口出しはしない」



601: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/17(火) 19:22:07.86 ID:e2maH1WDO

天道「話を戻すが…お前達、
   今更聞き返す必要もないだろうが…先程俺が提示した作戦案に、異論はないだろうな?」

鈴「ちょっと待ってよ!それってちょっと不公平じゃないの!?」

天道「……何?」

鈴「某国にある量産機を潰しに行くって言っても…所詮は動きもしないガラクタを片付けに行くだけなんでしょ!?
  暴走中のISの迎撃は全部私らに任せて…アンタ、自分だけ楽な仕事をしようって魂胆なんじゃないの!?」

天道「……量産型カッシスは奴らの切り札だ。
   その周辺には、少なからずワームが警備にあたっている事が想定される。
   故に奴らの本拠地に潜り込むのは、クロックアップに対抗出来るライダーでなければならない…。それが理由だ」

鈴「……あっそ。疑って悪かったわね…」

セシリア「……しかし…それを言ったら、あの時を止めると言われる試作型カッシス・ディミディウスの相手をする場合でも、
     わたくし達の扱うような従来のISでは…そのワームとやらの相手をする以上に、困難を要するのでは…?」

天道「その点は心配していない。
   アレは、お前達のようなクロックアップの使えないIS乗りだけでも十分対応出来る相手の筈だ」

鈴「……へぇー…私らのこと随分と買いかぶってくれるじゃないの…」

天道「根拠はある。あのISにも、少なからず弱点があると言う事だ…」

千冬「……弱点?」



602: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/18(水) 01:28:26.62 ID:O+g9V7/DO

天道「いくら“時を止める”などという強力な力を持っていようが…
   あの機体がISである以上、使用できるエネルギーには必然的に限度がある」

千冬「付け入る隙はそこにある…という訳か?」

天道「あぁ…。更にカッシスの時を止める能力は、強力な力であると同時に膨大なエネルギーを必要とする能力でもある。
   エネルギーに限界がある上に、消費するそれも膨大ともなると……能力を連続して使用する事は、事実的に不可能だと言える。
   よほどの事がない限り、奴の方からおいそれと時を止めてくる事はないだろう」

ラウラ「成る程……時を止める能力はカッシスにとっての切り札であると同時に、己の命を削る諸刃の剣でもあるという事か…」

天道「……分かりやすく言えば、そういう事になるな…」



603: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/18(水) 03:40:03.45 ID:O+g9V7/DO

天道「それともう一つ、お前達に助言をしておくが…」

矢車「………」

天道「この面子の中で今回の任務に最も適任なのは……矢車だ。
   カッシスとの戦闘の折には、コイツを連れて行く事を勧める」

矢車「……あっ?」

天道「先程俺が説明した通り、あのISはとあるワームのデータを元に開発された機体だ。
   そのワームとは…かつて矢車も幾度となく戦った事のある相手だ」

鈴「えっ!? そうだったのッ!?」

矢車「………」

天道「ワームかISかの違いがあるとはいえ…奴との戦闘経験がある以上、
   コイツなら、ここに居る他の誰よりも上手くあの試作機相手に立ち回る事が出来る筈だ」

ラウラ「そうか…。確かに実戦における戦闘経験の有無は、勝敗に大いに起因する要素ではあるが…」

矢車「………」

箒(そんな…。この男は…再び想を戦いの渦の中へと引き込むつもりなのかッ!?)

天道「……問題は…矢車にこの作戦へ参加する意志があるかどうか、という事だが…」

矢車「………」

箒(……だが、想の事だ…。何時もの調子で、この作戦にも乗り気じゃないに決まって…)

矢車「……分かった、やってやる…」

箒「なッ!?」ガタッ

天道「……ほぅ…これは驚いたな。
   正直な話、お前の協力など微塵の期待もしていなかったのだが…」

天道(……妹達の命が狙われていると聞いて、コイツも気が変わったか…?)



604: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/18(水) 05:08:47.16 ID:O+g9V7/DO

矢車「………」

天道「……まぁいい。具体的な試作機対策の作戦立案については、後は織斑千冬に一任するが…
   矢車の妹達。お前達も又、矢車と共にあの試作機と戦うつもりでいるのか?」

セシリア「も…勿論ですわッ!何を今更当たり前な事を!?」

矢車「……いや…今回はお前らの出る幕はない…」

セシリア「……えっ?」

矢車「……奴の相手は、俺一人でやる…」

セシリア「えッ!?」ビクッ

天道「………」

鈴「そ…想ッ!アンタそれ本気で言ってんのッ!?」

矢車「……あぁ…」

天道「ほぅ…大した自信だな。
   ……それとも、単にコイツらが側に居られると戦闘の邪魔になるからか?」

矢車「………」

セシリア「そんな…どうしてなのですかお兄様ッ!?
     訳を……訳を聞かせて下さいッ!」

矢車「………」

シャル「……もしかして……僕達を危険な目に合わせたくないから…なの?」

矢車「………」

天道「……図星、か?」

矢車「……はぁー…」

ラウラ「なッ!今更何を躊躇しているのだ兄上!?
    兄上の為に命をかける覚悟など…私達にはとうの昔に出来ているのだぞッ!」

セシリア「そうですわッ!それを今更…お兄様が気負いする必要など御座いませんわッ!」



605: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/18(水) 05:29:03.61 ID:O+g9V7/DO

矢車「……自分の命をどうとかなんて…簡単に口にするんじゃねぇ…」

セシリア「えっ…?」



──『兄貴!』──



矢車「……俺はもう…失う側の人間になるのは……御免だ…」


シャル「あっ……」

セシリア「……お兄様…」

ラウラ「………」



618: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/20(金) 20:16:13.39 ID:/lFUZzHDO

鈴「でも…いくら何でも想一人に任せるだなんて…」

千冬「……いや、ここは一つ矢車の意見を尊重するとしよう」

鈴「えっ!?」

セシリア「そんな!?織斑先生まで一体何を仰るのですか!?」

千冬「安心しろ。私だって、何も矢車一人に試作機の相手をさせようと言うのではない…
   ここは矢車を筆頭にした、ごく少数の部隊編成で奴に挑む」

矢車「………」

ラウラ「少数部隊……何故ですか教官?
    強力な性能を敵機が有している以上、我々は持てる人員を最大限に活かして事態に挑んだ方が得策の筈…
    少なくとも…この場に居る専用機持ちの機体、その全てを活用した編成を組んで作戦を練るべきでは…?」

千冬「……そうしたいのは私も山々だが…
   事態が流動的に進行している以上…如何なる状況にも対処出来るように、我々は戦力を可能な限り温存しておく必要がある」

千冬「試作機の本来の目的が陽動にあるとはいえ、ワームらがここに居るIS学園の関係者の命を狙っているとなれば…
   暴走中の試作機とは別に、奴らが仕向けた別動隊の襲撃があるとも限らん。
   その可能性が万に一つでもある以上…試作機の方ばかりに戦力を集中させるというのは、あまり得策とは言えん」



619: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/20(金) 20:29:48.84 ID:/lFUZzHDO

天道「確かに…いくら人類の開発した兵器であるISに頼らなければならない程に、ワーム側の戦力が疲弊しているとは言え…
   擬態したワームをこちらに二三送り込んで来るという事も、難しい事ではないからな…。あり得ない話ではない」

シャル「じゃあ……織斑先生。
    お兄ちゃんと一緒に試作機の迎撃に向かうのは、誰になるんです?」

千冬「あぁ、それはだな……」

束「はいはーい!はいはーい!ちーちゃんに意見具申しまーす!」

千冬「……何だ束?言ってみろ」

束「ほい!そーくんのキックホッパーとコンビを組ませるんなら…
  だンッッッ然に!箒ちゃんの“紅椿”がベストパートナーなんだよー!!」

鈴「えっ!?」

箒「わ…私がですかッ!?」

矢車「………」



620: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/20(金) 20:47:22.82 ID:/lFUZzHDO

天道「……妹贔屓で適任者を決めようという魂胆か?篠ノ之博士…」

束「もー!そんなんじゃないよー!ちゃんと根拠はあるんだからー!」

千冬「………」

束「いい?私がそーくんへプレゼントしたマシンゼクトロン改は…カタログスペック上ではクロックアップ無しでも第四世代型のISに匹敵する程のスピードを出せるマシンなの!
  その一方で箒ちゃんの紅椿は最新式の第四世代型IS!御覧に入れた通り第三世代型とは比べ物にならない程の加速を誇るIS!
  だからそーくんのキックホッパーとペアを組ませるんなら、この中では断然に紅椿がベストパートナーな訳!」

鈴「……あの~…私達は何をすれば…?」

束「……そんなの、待機に決まってんじゃん」

鈴「えッ!?」

シャル「ど…どうしてそんな…?」

セシリア「いくら機体のスピードがマシンに追い付かないと言っても…我々にだって援護くらいは出来ますわッ!」

束「あのね~……君達の扱うレベルの専用機じゃあ、そもそもマシンゼクトロン改の巡航速度にすら付いて行けない訳よ。
  事態は一刻を争うってのに……ノロマなカメさんな君達のISに足並みを揃えていたんじゃあ、勝てる戦いも勝てなくなるんだよ…」

セシリア「の…ノロマなカメだなんてッ!」

千冬「……成る程。コイツの言うことにも、一理あるな…」

セシリア「そんな…!」



621: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/20(金) 21:59:14.97 ID:/lFUZzHDO

矢車「……おい、勝手に話を進めんな…
   さっきも言ったが、奴の相手は俺一人でやると…」

天道「いいから黙って言うことを聞け、矢車…」

矢車「……あっ?」

天道「性根のネジ曲がったロクデナシとはいえ…お前はゼクターに二度も選ばれた実力者だ。
   お前程の実力者ならば、あの試作型カッシスを相手にしても負けることはまずないだろう…」

矢車「……だったら…」

天道「だが、それはあくまでも憶測の域を出ていない…単なる俺の予測にしか過ぎない。
   お前一人で奴に勝てるという、確実な保証がある訳ではない」

天道「確証がない以上は、お前一人に全てを任せる訳にはいかん…」

矢車「………」

天道「そこで、勝利をより確実なものとする為にも…
   ここは篠ノ之博士の言う通り…第四世代機である紅椿を支援機に組み込んだ、二人組の編成で勝負を挑むのが得策だ」

矢車「……だから黙って従えってのか?お前とその女の提案に…」

天道「……矢車、お前がこの提案についてどう想おうが、今は関係ない…
   事態は一刻を争う。作戦の決定には、大人しく従ってもらうぞ」

矢車「………」


束「さっすが天くん!話が分かるゥ~♪」

天道「……俺は俺の思う率直な意見を述べただけだ…。お前を擁護した訳ではない」

束「ンも~!そこは素直に『うん』って言うところだよ~天く~ん!」

天道「………」



622: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/20(金) 22:20:01.60 ID:/lFUZzHDO

千冬「……よし。今回の作戦は矢車のキックホッパーと篠ノ之の紅椿、この2機を主軸とした部隊編成で行う」

千冬「お前達、異論はないな?」

箒「は…はい!」

矢車「……はぁー…」


束「うんうん!やっぱりちーちゃんは理解力のある人だよ!」

千冬「……それで、具体的な作戦内容についてだが…」

束「ガーン!まさかのノーリアクショ~ン!
  もー!無視なんてされちゃうと束さん泣いちゃうよー!」

千冬「………」



625: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/21(土) 10:08:06.88 ID:a+hlIPaDO

シャル「……僕達、本当に待機だなんて…」

セシリア「こうなった以上、致し方のない事ですわ…
     わたくし達はわたくし達で、各々の成さねばならない事を見出だしましょう…」

鈴「……でも…本当に大丈夫なのかしら?想と箒の二人だけって…」

ラウラ「何、あの織斑教官が作戦を立案して下さるのだ。何も心配はいらないだろう」

鈴「……そうだけど、さぁ…」

矢車「………」

箒「……鈴、お前の言いたい事はよく分かる…
  想は兎も角、専用機を手に入れたばかりの今の私などが、本当に役に立てるのかどうか…
  他の皆も、鈴と同じように何かと想うところがあると思う…」

鈴「………」

箒「……だが今は…せめて今だけは!お前達にこの私の事を信じて欲しい!」

鈴「……箒…」



626: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/21(土) 10:48:42.89 ID:a+hlIPaDO

箒「……想は…コイツはもう十分に傷付いた…
  本来ならば…もう…これ以上コイツが戦う必要なんてない筈なんだ…」

シャル「……箒…」

箒「……だが…想自身が皆の為を想い、あえて死地に挑むという選択肢を選んだ以上…私も覚悟を決める!
  私が側に付いている以上、絶対に想には無茶な真似なんてさせないし、
  私が想の足手まといになるなんて事も…絶対にないと断言する!」

箒「だから頼む!今回の作戦の事も、お前達の兄貴分の事も…
  後のことは全て!この私に任せておいてくれッ!」ペコッ



627: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/21(土) 10:58:01.13 ID:a+hlIPaDO

セシリア「……そこまで強く言われてしまっては、仕方ないですわね…
     わたくしからは、もう何も言うことは御座いませんわ」

ラウラ「元より教官が御決めになった事だ。今回の編成に反対する気など、ハナから私にはない」

シャル「お兄ちゃんの事、しっかり頼んだよ! 箒!」

箒「……皆…」

鈴「……箒。」

箒「鈴…?」

鈴「……アンタの方こそ、あんまり無茶すんじゃないわよ」

箒「─ッ!あぁ、当然だ…!
  私も想も…必ず勝って帰って来ると、約束しよう!」

鈴「えぇ、後の事は任せたわよ!
  あのカッシスなんたらとかいうISの事も…想のことも!
  こんなクソ下らない戦いなんてちゃっちゃと片付けて、無事に帰って来なさい!」

箒「うむ!承知したッ!」



636: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/24(火) 01:48:01.27 ID:QPb6wA5DO

矢車「………」

天道「成る程。俺がわざわざ心配してやる程…彼女達の心はそう弱くはなかったという事か」

天道「……最も、彼女達のあの想いの強さが、今回の作戦で空回りしなければいいが…」

矢車「………」



637: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/24(火) 02:08:59.53 ID:QPb6wA5DO

天道「……矢車、最後に警告しておくが…クロックアップの使用は極力控えた方がいい」

矢車「……あっ?」

天道「使用できるエネルギーに限界があるとはいえ…カッシスの持つ時を止める能力が、クロックアップを凌駕する力である事に何ら変わりはない。
   お前がもし下手なタイミングでクロックアップを使ってしまえば…
   それはかえってカッシスを刺激する事となり…結果として奴の能力の発動を誘発する事に繋がる」

天道「お前の立ち回り方次第ではあるが…十分に注意することだ」

矢車「………」



638: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/26(木) 01:59:12.51 ID:FeooanaDO

鈴「にしても…一番ムカつくのはやっぱり某国の奴らよね…!
  ワームとかいう宇宙人に騙されていたとはいえ…自分達の国の厄介事を、私らみたいな学生に押し付けてくるだなんて!」

セシリア「全く、無責任も良いところですわよね!」

矢車「………」

ラウラ「……私が思うに、奴らにとってはその方が色々と都合が良かったのだろう…」

鈴「……どういう意味よ?それ…」

ラウラ「考えてもみろ?某国の連中は私利私欲の為にワーム達と手を組み、
    ISの保有制限という国家間の規約を破ってまでカッシス・ディミディウスの開発を進めたのだ。
    今回の暴走騒動が原因で、カッシス・ディミディウスの存在…ひいてはその正体までもが諸外国にまで知れ渡り、某国のやってきた事が公になるような事態になれば…」

セシリア「……某国に対する各国からの批難は、免れませんわね…」

ラウラ「そうだ。だからこそ奴らは…何も知らない私達を利用し、事態の揉み消しを謀った。
    他国政府に事態の解決を要請すれば、それが原因でカッシスの秘密を他国に知られる危険性があるからな…」

天道「………」

ラウラ「試作機に関する情報を、私達には頑なに教えようとしないのもその為だろう。
    他国政府が相手の場合ならそうはいかないが……IS学園の関係者に対しては適当な言い訳を見繕えば、試作機に関する秘密を喋らずに済むからな…
    そうだろう天道総司?私の推測も…大方外れてはいない筈だ」



639: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/26(木) 03:28:33.65 ID:FeooanaDO

天道「……あぁ、全てお前の予想通りだ。
   最も…俺の口からお前達へと事前に事実が伝わった時点で、奴らのそれも無意味な目論見と化したがな…」

シャル「そ…そんな…!」

鈴「こんな時にまで自分達の保身を最優先にするだなんて……本当にふざけてるわねッ!」

天道「……しかしラウラ・ボーデヴィッヒ。連中の企みについて、よく気が付いたな…」

ラウラ「フン、伊達に今まで軍の飯を食ってきた訳ではない」フンスッ

ラウラ「……奴らの気持ちも分からなくはない…。しかし、所詮は追い詰められた軍人の考える事だ」

ラウラ「軍部が起こした失態の帳消しに一般市民の力を借りるなど、通常ならばあり得ない事…
    奴らはきっと藁をも縋る思いで、私達に縋ってきたのだろう…」

天道「……成る程…」



640: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/26(木) 03:59:48.28 ID:FeooanaDO

セシリア「しかし…天道さんの口から改めて事の真相を聞かされて…
     わたくし達も少なからず、憤りを感じますわよね…」

シャル「うん……何ていうか、裏切られたような気分だよね…」

箒「……全くだ…」


束「フフッ…何も箒ちゃん達が落ち込む必要はないと思うな~」


箒「……えっ?」

束「箒ちゃん達に迷惑を掛けた悪~い大人達は……今頃偉~いヒーロー達に懲らしめられている頃だからさー!」チラッ

天道「………」

シャル「あの…それって一体…?」

天道「俺達とは別に、ワームの計画を阻止する為に先行して動いていた別動隊がいるという事だ…」

天道「……自ら敵地へと飛び込んで行った、3人のライダーがな…」


シャル「……3人の…」

箒「ライダー…?」

矢車「………」



652: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 20:37:28.13 ID:SHjOnbNDO

~ 某国 ~



軍将校「ええい!暴走中の試作機はまだ止められないのかッ!?」

オペレーター「だ…駄目です!
    カッシス・ディミディウス……依然としてこちらの信号を受け付けませんッ!」

軍将校「─ッ!!何とかしろッ!」


幹部ワーム(擬態)「やれやれ…こうなってしまった以上、もう我々には手の付けようがないですね…」

軍将校「き…貴様ッ!元はと言えば貴様らの寄越した技術が原因でこの様な事態に…!」

幹部ワーム(擬態)「その技術を欲したのは他の誰でもない、貴方達なのですよ? フッ…それを今更…」

軍将校「クッ!何時までも減らず口を…!もういいッ!」

幹部ワーム(擬態)「………」

軍将校「お前達!今すぐコイツをここからつまみ出せッ!」

部下A「………」

部下B「………」

軍将校「な…何をしているお前達ッ!?さっさとコイツを…」

幹部ワーム(擬態)「無駄ですよ。何故なら彼らは…」

部下A「………」ザッ

部下B「………」ザッ

軍将校「……ど…どうしたと言うのだお前達ッ!?」


部下C「………」ガタッ

部下D「………」ガタッ

オペレーター「えっ…?えっ?」キョロキョロ



幹部ワーム(擬態)「……そう、彼らは既に我々の…」


部下A「………」ジリジリ…

部下B「………」ジリジリ…

軍将校「く……来るな…来るなぁーッ!」



653: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 20:41:48.44 ID:SHjOnbNDO

パーンッ!



幹部ワーム(擬態)「……何…?」

軍将校「なっ…!?」クルッ



田所「そこまでだ!ワーム共ッ!」

岬「今からこの施設は我々が占拠します!」

風間「やれやれ…」



軍将校「……だ…誰…?」

幹部ワーム(擬態)「……貴様らは…」



654: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 20:52:18.30 ID:SHjOnbNDO

田所「岬ッ!今だ!」

岬「はいッ!」ポイッ


カラーンカラーン…


部下A「……?」


プシュー!


部下A「─ッ!?うッ!」

部下B「がハッ!?」

幹部ワーム(擬態)(これは…まさか!?)バッ

部下A(ワーム)「う…うぅッ!」ベキベキ…

部下B(ワーム)「あ…あがァッ!」ベキベキ…

幹部ワーム(成虫ワーム)「チッ!アンチミミック弾か…!?」ベキベキ…


軍将校「ひ…ひィーッ!?」



田所「流石篠ノ之博士お手製のアンチミミック弾だ!
   見る見るうちにワーム共の化けの皮が剥がれていくぞッ!」

田所(おっと…迂闊に近づき過ぎると俺も危ないな…)



655: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 21:04:34.55 ID:SHjOnbNDO

部下C(ワーム)「………」ベキベキ…
部下D(ワーム)「………」ベキベキ…
部下E(ワーム)「………」ベキベキ…


オペレーター「─ッ!?キャーッ!!」



岬「やっぱり…既に軍関係者の殆どが、擬態したワームと掏り替わっていたようですね…」

田所「そのようだな……クソッ!
   これ程までの数のワーム…相手にするとなるとかなり厄介だな…!」

風間「なら、ここからは俺の出番ですね…」スッ


幹部ワーム「……ドレイクゼクターの資格者、風間大介…
      フッ…お前一人に何が出来る?」


田所「一人ではないッ!」スッ


幹部ワーム「……ザビーブレス?まさか貴様…」


岬(……剣くん…)

岬「………」スッ


幹部ワーム「サソードヤイバー…? 貴様もか!?」


岬「……お願い…一緒に戦ってッ!」ギュッ



658: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 21:25:20.86 ID:SHjOnbNDO

── STANDBY! ──


カサカサカサカサ… カサカサカサカサ… ピョーン



岬(来たッ!)パシッ


幹部ワーム「……成る程、新たなる資格者達か…」


田所「ワーム共ッ!貴様らの野望もこれまでだッ!! 行くぞお前らァーッ!!」カシャ

風間「えぇ」カシャ

岬「はい!」カシャ



659: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 21:28:18.19 ID:SHjOnbNDO

──『 変身ッ!!』──



──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン


田所(MF)「キャストオフッ!」カシャ

風間(MF)「キャストオフ」カシャ

岬(MF)「キャストオフ!」カシャ



── CAST OFF ──

ピピピ… ドシューンッ!



──CHANGE! WASP!──

──CHANGE! DRAGONFLY!──

──CHANGE! SCORPION!──



661: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 23:08:26.32 ID:SHjOnbNDO

幹部ワーム「ほぉ…これはまた揃いも揃って…
      しかし残念でしたねぇ…。貴方達の御目当てである量産型カッシスは、もうこの基地の中にはありませんよ?」

田所(RF)「そんな事は既に調査済みだッ!」

幹部ワーム「……何…?」

田所「お前達が大量の量産機を何処に隠したのか…
   それは天道総司と篠ノ之博士の調査によって、既に調べが付いているッ!」

岬(RF)「私達がこの場所に来たのは…某国の裏で暗躍するワーム残党を倒す為よッ!」

風間(RF)「俺は……まぁ、成り行きって奴です」

風間(……作戦に参加する代わりに篠ノ之博士とその妹さんのメイクアップをやらせて貰える…という約束を博士と交わしたからだなんて、この空気で言えるか…)



662: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/30(月) 23:17:16.04 ID:SHjOnbNDO

幹部ワーム「フン…まぁ何だっていいさ…」


サナギワーム「………」ワラワラワラ…
サナギワーム「………」ワラワラワラ…
サナギワーム「………」ワラワラワラ…


幹部ワーム「……むしろ好都合だ…
      貴様らには、今この場で死んでもらうとしようッ! ライダー共ッ!!」グワッ


田所「そう簡単に殺れると思うなよ! お前達、行くぞッ!!」ダッ

風間「全く…勝手に仕切んないで下さいよ…」ダッ

岬「はぁッ!!」ダッ


岬(守ってみせる!必ずッ!
  剣くんが愛した…この世界をッ!!)



667: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 22:56:29.81 ID:k3I8WTHDO

─────


天道「確か…篠ノ之箒と言ったな?」

箒「な…何だ?」ピクッ

天道「再三警告しておくが…試作機の武器には十分に注意しろ。
   奴は矢車の時のように、手加減などは一切してくれないからな…」

鈴「……“矢車の時のように”って…それって…?」

天道「……コイツは学園内でライダーキックを使用する時に限って、ある程度出力を絞って攻撃力を弱めていた…という事だ」

鈴「えッ!? マジで!?」

矢車「………」

天道「それだけタキオン粒子による攻撃は強大だという事だ…
   油断して掛かれば、それこそ痛い目だけでは済まされないぞ」

箒「……あぁ、心得た」



668: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 22:59:12.73 ID:k3I8WTHDO

天道「よし…後の事はお前達に任せるぞ。俺は俺で、やる事があるからな…」クルッ


スタスタスタ…


束「あっ!待ってよ天くーん!」トテトテ




ラウラ「……行ったか…」

セシリア「何と言うか…嵐のような方々でしたわね…」

矢車「………」

千冬「……五月蝿いのが出て行ったところで、今一度作戦概要の確認を行う。矢車と篠ノ之は…」



669: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 23:04:08.21 ID:k3I8WTHDO

~ 30分後 ~



矢車「………」パカッ

ピョーン ピョーン ピョーン

パシッ

矢車「変身…」カシャ


──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン

──CHANGE! KICK HOPPER!──




箒「来い!紅椿ッ!」キュイーン


(箒、IS展開)




矢車「………」ピッ ピッ


ガシャン!ウィーン!


《マシンゼクトロン改・エクスモード》


矢車「………」ブゥルルーンッ! ブゥルルーンッ!



670: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 23:10:27.45 ID:k3I8WTHDO

山田「矢車くん、篠ノ之さん、両名共に出撃準備完了しました」

千冬「よし。作戦開始以降、攻撃対象である試作型カッシス・ディミディウスの名称は“カッシス”と略称する。
   山田先生、出撃時のカウントダウンは任せた」

山田「はい!」

千冬「矢車、そして篠ノ之…
   お前達の健闘を祈る。無事に終わらせて帰って来い」



箒「はいッ!」

矢車「………」



千冬「カウントダウン、開始!」



671: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 23:25:45.53 ID:k3I8WTHDO

山田「20…19…18…17…16…」


箒「………」チラッ

矢車「………」

箒(そうだ!想の奴が何と言おうが関係ない…!
  試作機との戦闘は私が主立って受け持ち、想にはなるべく戦わせなければ良いのだ!そうすれば…)

矢車「……箒、」

箒「な…何だ!? 想ッ!」ピクッ

矢車「………」

箒「……よ…用がないのならいちいち呼ぶな!」

矢車「………」

箒「全く作戦開始前だというのに!お前も私語は慎ん…」


矢車「俺は、アイツらと同じように……お前にだって死なれたくはないんだ…」


箒「……えっ?」



山田「5…4…3…2…」



箒「そ…想? 今何て…?」

矢車「………」ブゥルルーンッ! ブゥルルーンッ!


矢車(……だから、俺は…)



山田「い…」



672: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 23:26:53.21 ID:k3I8WTHDO

矢車「クロックアップ…」カチャ


── CLOCK UP ──



673: ◆4cmyCM./Qw:2015/03/31(火) 23:37:00.63 ID:k3I8WTHDO

─────


山田「……1…ゼ…」


千冬「─ッ!? 待てッ!矢車の姿が見えないぞッ!」

山田「えッ!?」ビクッ

千冬(まさかアイツ!? クロックアップを使って…試作機の下へ先回りをッ!?)

山田「や…矢車くんをレーダーで捕捉しました!
   あぁッ!もう試作機と交戦可能な距離まで接近していますッ!」


箒「そ…そんなッ!?」

箒(何で…何でなんだッ!?)


千冬「篠ノ之!出撃を許可するッ! 今直ぐあのバカの後を追えッ!」


箒「は…はいッ!」ブォォ…


ブワンッ!


箒(どうして…どうしてなんだッ!? 想ッ!)

箒「──ッ!!」ギュイーン!

箒(私の……今の私の力が…そんなに信じられないと言うのかッ!?)



674: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 00:38:09.10 ID:0jKz5BNDO

~ 沖合い 試作機の通過ポイント ~



── CLOCK OVER ──


矢車「………」ギュイーン!

矢車(……確か、この辺りだったか…)キイィィー… ピタッ


矢車「………」


ピピッ ピピッ


矢車(レーダーの反応が近い…。そろそろ奴と御対面か…)

矢車「………」

矢車(……箒の奴が来る前に、とっととカタを付けるぞ)



675: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 00:42:50.70 ID:0jKz5BNDO

……キイィィー…



矢車(……来たか…)



…キイィィィィィィイイイイイッ!!



矢車「………」



キイィィイイ!! ブワンッ!



矢車「………」グッ…




カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ ピピッ



676: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 01:16:08.70 ID:0jKz5BNDO

矢車「……お前か? 俺の妹達を笑いに来たのは…」


カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ ピピッ


矢車「………」ブゥルルーンッ! ブゥルルーンッ!


カッシス・ディミディウス『──………──』ピッ… ピピッ


矢車「………」ブゥルルーンッ! ブゥルルーンッ!


カッシス・ディミディウス『──………──』ピッ…


矢車「………」



カッシス・ディミディウス『──…ターゲット確認 迎撃開始…──』キュイーッ!



677: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 01:32:24.86 ID:0jKz5BNDO

矢車(来る…!)グッ


バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシューンッ!!


矢車「………」ブォーンッ!


スイッ スイッ スイッ スイッ スイッ


矢車(タキオン粒子の斬波か…
   軌道さえ読めれば、どうという事はない…)ブォーンッ!


カッシス・ディミディウス『──………──』バシュンバシュンバシュンバシュンッ!


矢車(奴の真上を取るぞ…)ブォーンッ!


カッシス・ディミディウス『──…敵機直上…──』ピピッ


矢車「………」スッ

矢車(バイクを足場代わりにする…)グググッ…

ビョーンッ!

矢車「ラァーッ!」ブオンッ


カッシス・ディミディウス『──…敵機降下 急速接近 回避行動に移る…──』ピピッ… ギュイーン!


スカッ


矢車「………」ヒュー…


カッシス・ディミディウス『──…回避成功 迎撃を…──』クルッ


ドゴアァーッ!!


カッシス・ディミディウス『──……直撃…直撃… 機体に…ダメージ …──』バチッ バチッ



矢車(……俺の跳び蹴りと、後から来たバイクの突撃による二段攻撃…
   初撃の蹴りは兎も角、二撃目のバイクは避けられなかったようだな)

矢車「………」スタッ

矢車(……成る程。あの女の言ってた通り、このバイクは俺の意思で自由に操作する事が出来るらしいな…)ブゥルルーンッ! ブゥルルーンッ!

矢車「……これなら、何度でもバイクを足場にして跳ぶことが出来る…」ブォーンッ!



679: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 01:50:35.95 ID:0jKz5BNDO

カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』バシュンバシュンバシュンバシュンッ!


矢車(所詮は機械だ…。正確な狙いだが、それ故に動きは単調で…読みやすい)ブォーンッ!


スイッ スイッ スイッ スイッ スイッ


矢車「……背後を取る…」ギュイーンッ!


カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ ピピッ


矢車「………」ブォーンッ!


カッシス・ディミディウス『──…敵機後方…──』ピピッ



矢車「……ブッ潰れろ、擬い物…」グググッ…


ビョーンッ!



680: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 02:19:41.80 ID:0jKz5BNDO

─────


ビューン…


箒「想…! 想…! 何処だ!? 何処にいるッ!?」キョロキョロ

箒(レーダーによればアイツはこの辺りにいる筈なんだッ!
  試作機との戦闘が激化する前に…一刻も速く想を見つけ出さなくてはッ!)キイィィーン!



681: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 02:40:13.36 ID:0jKz5BNDO

ブォーンッ! ブォーンッ!


バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシューンッ!!


箒「─ッ! アレかッ!?」キイィィーン!



矢車「ゼアッ!」ブンッ


ベキィ!


カッシス・ディミディウス『──…被弾… …被弾…──』バチバチバチィ…


矢車「………」スタッ ブォーンッ!



箒「……す…凄いッ!」

箒(想の奴…あの空飛ぶバイクを上手いこと足場に利用して、巧みな空中戦を敵に仕掛けている!
  初めて扱うマシンだというのに…もうあそこまで使いこなせるとは…)



682: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 02:54:30.23 ID:0jKz5BNDO

カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』バシュンバシュンバシュンバシュンッ!


矢車「チッ…!」ブォーンッ!

矢車(はぁー…!タフな野郎だ…! ライダーキックで一気に片付けるか…?)ブォーンッ!


カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』バシュンバシュンバシュンバシュンッ!


矢車(その程度の攻撃……─ッ!?)


バチィーッ!


矢車「─ッ!! チィッ!」ブォーンッ!


矢車(クッ…! 少し腕に掠った…!)バチィ…

矢車(……アイツ…段々と俺のこの動きに付いて行けるようになってきたな…)


カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』バシュンバシュンバシュンバシュンッ!


矢車(……俺の動きを分析して、行動パターンを学習しているのか? 面倒な…)ブォーンッ!



683: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 03:21:34.20 ID:0jKz5BNDO

箒「なッ!想ーッ!」ブワンッ!


矢車「……もう来やがったのか、箒…」


キイィィーン!


箒(想ばかりに戦わせてたまるかッ!
  私だって第四世代機を託された身だ!
  かつてのような…無力な私とは違うッ!)

箒「前へ…前へ出るんだッ!」ギュイーン!


矢車「チッ…! あの…バカが…!」



カッシス・ディミディウス『──…敵機、増援を確認…──』ピピッ


箒「ハアァーッ!!」ブンッ


カッシス・ディミディウス『──…格闘戦に移行 迎撃開始…──』ブンッ


ガキィーンッ!!



684: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 09:10:56.14 ID:0jKz5BNDO

矢車「下がってろ箒、ソイツは俺が…」


箒「断るッ!」ブンッ ブンッ ブンッ

カッシス・ディミディウス『──………──』スイッ スイッ… ブンッ


ガキィーンッ!


箒(─ッ!!重い…!)グググググ…

カッシス・ディミディウス『──………──』グググググ…


矢車「……バカが…何を言って…」

箒「想ッ!お前はもう十分に戦ったではないかッ!」ググッ… キーンッ!


カッシス・ディミディウス『──………──』グラッ…


矢車「……十分に?この程度でか…?
   はぁー…やっぱりお前も俺の事を見くびって…」

箒「私が言ってるのは今日だけの事ではないッ!
  お前は今までだってコイツらと……ワームとかいう連中と幾度も戦ってきたのだろうッ!?」

箒「それこそ…己の身も心もボロボロになる程にッ!」

矢車「………」

箒「私は…私はもうこれ以上見たくはないんだッ!
  お前が戦いの中で傷付き…壊れていくような様なんてッ!」

矢車「……箒…」

箒(だから……だからッ!)ブワンッ!


カッシス・ディミディウス『──…敵機接近…──』ピピッ


箒(だから今度はこの私がッ! 想の代わりとなって奴らと戦う番なんだッ!
  想をこれ以上…戦いの渦に巻き込ませない為にッ!今の私に出来る最良の選択がそれなんだッ!) ギュイーン!



685: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 09:29:43.05 ID:0jKz5BNDO

カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ


箒(もうこれ以上ッ!お前達に想を傷付けさせはしないッ!!)


箒「ダアァァァァーッ!!」ブンッ

カッシス・ディミディウス『──………──』スイッ…


スカッ


箒(なッ!?避けられ…)


カッシス・ディミディウス『──…カウンター…──』ブンッ!


ザシュァァーンッ!!


箒「─ッ!!? わあァーッ!!」バチバチバチィーッ!!


カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ


箒(ば…馬鹿なッ!? たった一撃食らっただけで……これ程までのダメージを受けるだなんて…ッ!!)


天道『再三警告しておくが…試作機の武器には十分に注意しろ。
   奴は矢車の時のように、手加減などは一切してくれないからな…』


箒(……不用意に…近づき過ぎたと言うのか…?)

箒「くッ! ここは一旦距離を取って…」


カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』キイィィ… ブワンッ!


ギュイーン!


箒「なッ!?」ビクッ

箒(マズイ…! 距離が取れないッ!)


カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』ググッ…


ブンッ!


箒(──ッ!! 奴の次の攻撃が来るッ!絶対防御など容易く突き破ってくるばかりの勢いだッ!
  避けるか…それとも刀で防御するかしないと…!)


ブワァー!


箒「……あっ…」

箒(……だ…駄目だ…間に合わな…)



686: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 09:34:24.69 ID:0jKz5BNDO

矢車「……はぁー…あのバカが…」スッ


天道『お前がもし下手なタイミングでクロックアップを使ってしまえば…
   それはかえってカッシスを刺激する事となり…結果として奴の能力の発動を誘発する事に繋がる』

矢車「………」

天道『お前の立ち回り方次第ではあるが…十分に注意することだ』


矢車「………」カシャ



── CLOCK UP ──



687: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 09:42:32.54 ID:0jKz5BNDO

カッシス・ディミディウス『──…─…──』ピタッ

箒「………」ピタッ


矢車(……これで…奴の優先順位は、箒から俺へと切り替わった筈だ…)

矢車「………」



カッシス・ディミディウス『──…タキオン粒子反応 検出…──』ピピッ ピピッ

カッシス・ディミディウス『──…攻撃対象を変更 システム認証…──』ピピッ…


キュイーン!


カッシス・ディミディウス『──…フリーズ 起動…──』ピッ





── FREEZE ──



688: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 09:45:28.45 ID:0jKz5BNDO

矢車「………」ピタッ


カッシス・ディミディウス『──…攻撃目標を選定 目標、マスクドライダー…──』グルッ


ギュイーンッ!


矢車「………」


カッシス・ディミディウス『──…迎撃… 迎撃…──』ググッ…

矢車「………」



689: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 10:06:47.14 ID:0jKz5BNDO

─────


箒「はッ!?」ピクッ

箒(……カッシスが…私の前から姿を消している…?)

箒「や…奴は一体何処に…?」



矢車「ガアァァァァーッ!!」バチバチバチバチィ!



箒「なッ!!?」ビクッ!

箒(ま…まさかッ!?)クルッ



カッシス・ディミディウス『──…迎撃…迎撃…迎撃…──』ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ!


矢車「グワアァァァァァアアッ!!」バチィ! バチィ! バチィ! バチィ! バチィ!



箒「──ッ!? 想ーッ!!」

箒(な…!何故だッ!? 奴はいつの間に想に攻撃をッ!?)



690: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 10:10:06.15 ID:0jKz5BNDO

矢車「ハァ…! ハァ…! ハァ…!」

カッシス・ディミディウス『──…迎撃…──』ググッ…


箒「─ッ!! 止めろォーッ!」


カッシス・ディミディウス『──………──』ブンッ!



ザシュァァーンッ!!



矢車「──ッ!! ガハァ…!」バチバチバチィ… ブゥーン…


(矢車、強制変身解除)


カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ


矢車「……がっ…」グラッ…


ヒュー…



692: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 10:34:32.57 ID:0jKz5BNDO

箒「そッ!想ーッ!!」


矢車「………」ヒュー…


箒(変身が解除されているッ!?  このままでは海に落下して…想はッ!)ブワンッ!


箒「想ーッ!!」ギュイーン!


箒(結局……結局私はこのザマなのかッ!?
  アイツの事を守りたいと…そう思っていたのに…! もう傷付けさせはしないと…心に誓っていたのに…! 結局ッ!)


矢車「………」ヒュー…


箒(せめて…せめて想の命だけはッ! 命だけはッ!)

箒「間に合えッ…間に合えぇーッ!!」キュイィィーンッ!



カッシス・ディミディウス『──………──』ピピッ



ザッパァァーンッ!!



カッシス・ディミディウス『──…対象沈黙 作戦の遂行に支障は無し 任務を続行する…──』キュイィィー…


ブワンッ!



693: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 10:39:50.10 ID:0jKz5BNDO

─────


コポコポ… コポコポ…


矢車「………」


ボコボコボコボコ…




──つづく



695: ◆4cmyCM./Qw:2015/04/01(水) 10:54:40.92 ID:0jKz5BNDO

デデーン!

次回、仮面ISキックホッパー! 最終回!



箒「私はもう…戦えない…!」


鈴「ふざけんじゃないわよッ!」


カッシス・グラディウス『IS学ウゥゥゥゥエンの諸君ッ!!』


箒「変身ッ!」


矢車「……ありがとう、影山…」



デレー



転載元
【続】矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」part2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411489771/
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         コメント一覧 (32)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 16:30
          • モップがやらかすと確信してたのによかれと思ってやったことが裏目に出た程度でビックリ
            クロックアップも付いてないようなもんを第四世代とか言って他の子disってまで推した束は安定の天才()だったが
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 16:52
          • 5 まさか本当に岬さんと田所さんが変身してくれるとは!胸熱すぎ!最終回も期待してます!
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 17:29
          • このSSの5話から6話がまとめられる間に
            IS学園にオエージが教師として赴任したり、戒斗さんが一夏に強さを示した世界でオールライダーを巻き込んだ大事件が勃発したりと色々あったな…
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 18:56
          • コピーはフリーズまで再現したのにな
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 19:40
          • 何気にもう一年以上やってんのか、長いな
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 20:02
          • やっぱモップはダメだな
            モップの親切の押し売りは有り難迷惑でしかない
            兄貴一人なら勝てたのに邪魔すんなモップ
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 20:41
          • IS学園は完全にライダーの庭になりつつあるな。そのうち自称最強くんも来てくれないかな。
          • 8. 以下、VIPにかわりましてカニバブラーがお送りします
          • 2015年04月01日 22:11
          • さすがのカッシス、俺も同じ甲殻類として鼻が高いぜ。
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月01日 23:54
          • 5 「ここがISの世界か…」とか「IS学園キター!!」とか、そんなSSが生まれそうな予感。
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 02:16
          • 箒を置いてった矢車さんにも非はあると思うの
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 02:41
          • なんだかんだで、モッピーの生真面目で不器用な所が愛らしいわ。

            >>8
            マジかよ、裏山。
            軟体動物の俺は肩身が狭いわ。

          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 03:01
          • シオマネキング「やっぱ怪人は蟹に限るよな」
            ガニコウモル「ライダーキック一発でやられるような軟弱怪人ではないもんな」
            カニレーザー「空を飛べたりレーザー出したり時を止めたり噺が上手いのが蟹怪人のいいところだな」
            ボルキャンサー「……」
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 03:51
          • チェイス「IS学園…?」

            を期待
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 13:29
          • ※12
            モモタロス「蟹が飛ぶなッ!」
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 15:02
          • 3 仕方ないかもしれないが、説明長すぎかと思ったかな。

            それ以外はよかった
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 16:23
          • ※15
            それだけ密度が濃いって事なんだろうけどそれでもやっぱり長いわな
            次回はいつ頃の投稿になるだろう?原作アニメ通りに行けばあと1話分くらいだろうけど
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月02日 16:37
          • ※1
            クロックアップしなくても第四世代のIS並のスピードが出るって事であってクロックアップできないわけじゃないでしょ。

            でなきゃ箒を置き去りになんてできない。
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月03日 09:35
          • やっぱり複数ライダーの一斉変身ってのはロマンだよなぁ……本編以外のこういう、夢の共演的なやつだと尚更
            そしてこりゃモップがパンチホッパーに変身する流れか
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月03日 10:31
          • ※17
            いや※1は紅椿の事を言ってるだろ。

            まぁワームと戦うなら確かにクロックアップ付けとくべきだが、クロックアップの有無は第四世代か否かには関係ない。
            天道が止めなかったくらいだから作戦通り一緒に攻めればそれなりの結果は残せたんじゃないか?
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月04日 02:41
          • ハイパーキックホッパーとか



            ダメかな
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月04日 18:51
          • キックとパンチ両方の特性を兼ね備えたハイパーホッパーなら妄想したことあるわ
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年05月15日 01:44
          • 昔、田所さんの役の人が監督にザビーに変身したいですってお願いしたらネイティブやらされたっていう話を聞いたことがある。
            嘘かホントかは知らないけど…。
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月05日 20:42
          • カブト本編でも思ったけど、天道はハイパークロックアップをもうちょっと使用した方が・・・
            量産機の完成直後に時間を巻き戻したりとかさ
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月14日 23:46
          • ※23
            タイムリングを持ってる晴人もそうだったらしいけど
            天道自身、過去改編をあまり芳しく思ってなかったんじゃない?それこそ天の道に反するとかで
            あっ、劇場版でちゃぶ台ひっくり返した人はもはや別人なんでノーカンで
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年03月30日 02:14
          • あれ?ps2ダブトは来ないの?「俺の苦しみをお前にも味合わせてやるッ...!...俺の苦しみは、こんなものではないッ!!」

            あ、僕は天の道になんて行かないよ?
          • 26. free beastality porn
          • 2017年05月19日 21:26
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          • 2017年07月26日 11:51
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          • 2017年08月04日 08:03
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          • 2017年11月23日 23:56
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          • 2017年11月23日 23:56
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