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徳川家康「りくじょうじえいたい?」【後半】

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徳川家康「りくじょうじえいたい?」【後半】






315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/12/20(土) 13:56:41.65 ID:bPbmzMwh0

木村「高機動車が大破!炎上中です!」

伊庭「何っ!?」


大筒の弾によって高機動車が爆発する様子を伊庭は目にする


木村「高機動車の横でLAMを発射していた隊員達は無事です。しかし、高機動車に積んであった物資は………」

伊庭「高機動車以外の車に重火器は積んであるか?」

木村「LAV(軽装甲機動車)の中に2、3発のLAMと中MATが積んであったはずです」

伊庭「分かった。それらで大筒を叩く。これ以上、車両を失うわけにはいかない」

木村「了解。LAVに乗る根元たちに連絡します」

伊庭「頼んだ」


パパパパパパパパパパパン

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン



カカカカカカカカカカン


伊庭「LAMの攻撃が止んだ隙に一気に攻撃を仕掛けてきたか…………」



自衛隊の発射した数発の対戦車弾で鉄砲隊と弓隊はほぼ壊滅したと思われた

しかし、敵の指揮官は生存した僅かな鉄砲隊と弓兵で再び部隊を編成して、自衛隊へ再度、攻撃を仕掛けてくる


ひゅるるる

ズドオオオオン


また、大筒に至ってはまだ幾つか無傷で残っていた


ひゅるるるるるる

ズドオオオン


パパパパパパパン



316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/12/20(土) 14:06:32.28 ID:bPbmzMwh0

隊員「くそっ!舐めやがって!」


タタタタタタタタタ タタタタタタタ


雑兵「ぎゃあ!」

雑兵「ぐあっ!」


自衛隊員たちは大破していない車両に身を隠しながら果敢に反撃していた

火縄銃よりも遥かに威力が高く、連発して射撃可能な小銃の掃射によって徐々にではあるが自衛隊が優勢になっていく


タタタタン タタタタタタン


雑兵「何じゃあの鉄砲は!たかだか数丁でこれほどまでの弾を撃てるとは!」

雑兵「ひるむな!相手は10人足らずの兵じゃぞ!」


パパパパパン


雑兵「大筒で鉄の車ごと叩き潰せ!」


ドンッ

ひゅるるるるる


ズドオオオオン



隊員「ぎゃああああああ!」

隊員「うわああああ!」


炎上中の高機動車から退避し、別の車両の陰に隠れようとしていた隊員たちのすぐ横に大筒の弾が着弾する


パパパパパパパン

カカカカカカカカン


伊庭「くそっ!」

木村「LAVの根元たちから連絡!LAMの発射準備が完了したとのことです!」

伊庭「よし!早く大筒を吹き飛ばせ!」



317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/12/20(土) 14:20:00.17 ID:bPbmzMwh0

バシュッ

バシュッ

バシュッ


ズドオオオオオオン

ズドオオオオン

ズドオオオオオオン



雑兵「ぐあああ!」

雑兵「ぎゃああ!」


軽装甲機動車に乗っていた根元3曹たちが発射した110mm個人携帯対戦車弾(LAM)は見事に残存していた大筒に着弾し、周囲の兵士ごと大筒を吹き飛ばす


伊庭「よし。これで敵の飛び道具は僅かな鉄砲と弓だけだ。一気に突破するぞ。全車両に連絡をしろ」

木村「はい」


そう言って木村は通信機で連絡を開始する


木村「全車両に告ぐ。今から突撃を再開する。大破した高機動車は放棄しろ。高機動車に乗っていた隊員は他の車両に分散して乗れ」

無線『了解』

伊庭「木村。運転を頼んだ」

木村「了解しました」


伊庭達の乗っていた73式小型トラックの運転手は既に絶命している

よって代わりに木村が運転をすることになった

また、先程の大筒の砲撃で新たに1名が死亡、1名が負傷をしている

それによって現在、戦闘可能な隊員は負傷者除く7名のみとなってしまった


伊庭「全車両発進準備!」

木村「了解!」


ブロロロロロン


伊庭と木村は死亡した隊員を後部座席に収容した後で小型トラックに乗り込む

他の隊員達も各車両に乗車した



318:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/12/20(土) 14:34:07.98 ID:bPbmzMwh0

木村「よし。発進しま…………」

伊庭「どうした?早く発進しろ」

木村「小隊長。敵が集結しています」


島左近が気付いた防御陣形は自衛隊の攻撃でほぼ崩れた

丸太の防壁と大筒は吹き飛ばされ、鉄砲隊と弓隊は壊滅状態である

つまり残っている敵の兵士はほとんどが槍や刀で武装した兵士なのだが、その兵士たちが一箇所に集結していた


伊庭「残存している兵士を一箇所に集めているのか」

木村「数えただけでも1000以上は居ますね」

伊庭「…………。総攻撃をかけるつもりか?」

木村「!? あれって敵の大将じゃないですか?」

伊庭「!?」


集結してきている敵兵の中心に馬に乗った一人の男が現れる

丸に三つ柏の旗を掲げ、他の兵士には無い独特のオーラを醸し出している男


伊庭「あの兜………。間違いない。あいつが島左近勝猛だ」

木村「いかにも大将って雰囲気ですね。最前線に自ら躍り出てきて指揮をするとは」

伊庭「チャンスだ。今なら確実に島左近を仕留められる」



323:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/22(月) 23:38:13.70 ID:hPEDa3Wc0

伊庭「島左近…………。悪く思うなよ?」


ガチャ

タタタタタタタタ

タタタタタタタタ



伊庭は島左近勝猛と思われる武将に小型トラック車載機関銃の掃射を浴びせる



島左近「…………………!」

サッ



バスバスバスバス

雑兵「ぐあっ」

雑兵「ぎゃっ」


伊庭と島左近の距離はかなり離れている為に機関銃の弾はバラけ、島左近の周辺に居た兵士も銃弾を浴びてしまった


ヒヒーンッ


また、島左近の乗っていた馬にも数発の銃弾が命中する

銃弾を浴びた馬はドサッと地面に倒れてしまった



伊庭「やったか!?」

木村「島左近の乗っていた馬への命中は確認できました。島左近の死亡は確認できていません」

伊庭「あの掃射を避けられるとは思えん。ここからだと姿は見えないが、銃弾が命中して落馬したんだろう」

木村「そうであることを願いますが…………」

伊庭「大将が倒れたなら、敵の陣形が崩れるはずだ。その瞬間に全車両で突撃する」

木村「………………!?小隊長!」

伊庭「何だ?」

木村「島左近は死亡していません。無傷です!見てください!」

伊庭「何だと?」


伊庭は再び敵の方向を見る

地面に倒れている馬の影から一人の男がのっそりと立ち上がっているのが見えた


伊庭「どうやって機関銃と射撃を避けたんだ?」

木村「おそらくですが………、こちらの射撃を察知した瞬間に馬に身を隠したのかと思われます」


木村の言うとおり島左近は自衛隊の射撃を察知した瞬間に体全体を傾けて、馬を盾代わりにするような体勢を取っていた


伊庭「さすがは名将と呼ばれるだけはあるな!」

木村「小隊長!島左近が雑兵の中に逃げようとしています」

伊庭「今度は部下の兵士を盾にするつもりか!逃がさん」



324:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/22(月) 23:53:47.78 ID:hPEDa3Wc0

タタタタタタタタ タタタタタタタタタ

タタタタタタタタタタタ


木村「駄目です!他の兵が邪魔で島左近を目視出来ません。完全に人ごみの中に隠れてしまった模様」

伊庭「馬を失った今、奴の移動手段は徒歩だ。車両で追うぞ」

木村「はい!」



おおおおおおおおおおおおおおおおおお!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!



木村「うわっ!」

伊庭「総攻撃か」

木村「敵の残存兵が全員、こっちに向かって突撃してきます!」

伊庭「全車両突撃止め!今突撃したら車ごと敵兵に飲み込まれるぞ」



鉄砲隊や弓隊は壊滅したものの、槍や刀で武装した雑兵はまだほとんどが生存していた

その雑兵たちが一斉に自衛隊に攻撃を仕掛けてきたのだ


伊庭「島左近を逃がす為に全兵力で我々を足止めするつもりか!」

木村「どうしますか!?指示を!」

伊庭「小銃および機関銃で迎撃………と言いたいところだが、この人数の敵兵を迎撃するのは不可能だ。一旦、後退………」


向かってくる兵士たちは千を軽く越える

生存している8名の自衛官でそれを全員倒すのは不可能に近い

よってこの場は一時撤退をするべきではあるのだが


伊庭「ここで我々が踏みとどまっている間に東軍の本陣が攻め落とされては元も子もない…………」

木村「機関銃で掃射をして道を空けながら突撃するという手もありますが………」

伊庭「補給用の高機動車を失った今、我々の手元に残っている弾は少ない。ここを突破したところで、石田三成の本陣にたどり着くまでに弾が切れてしまうだろう」

木村「時間はかかりますが、後退した後で迂回して石田三成の本陣へ行きましょう。急がば回れですよ」

伊庭「そうだな。全車両後退」



325:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/23(火) 00:17:59.09 ID:YliBzMNM0

伊庭の号令で3両の車両が後退をしはじめる


ブロロロロロ



伊庭「……………」

木村「…………仮に東軍の本陣に西軍の軍勢が到達したとしても、県3尉たちが居ますから大丈夫ですよ。きっと東軍を守りきってくれますって」

伊庭「……………そうだな」


自衛隊の車両は速力を上げつつ後退する

自衛隊の車両の速度は徒歩の敵兵よりも遥かに速いため、すぐに逃げ切れるだろう

だが、車両に乗る自衛官たちの顔は険しい


伊庭「迂回したルートだとあとどのくらいで石田三成の陣につく?」

木村「石田三成の陣地は島左近の部隊のすぐ後ろでしたから、本来なら30分もかかりません。しかし、戦場を避けながら進んでいくとなると…………。予定の倍以上の時間がかかります」

伊庭「そうか」

木村「………………!?」



おおおおおおおおおおおおおおお!



木村「前方より新手の軍勢が接近中!」

伊庭「何!?新手だと!挟み撃ちにするつもりだったのか!?」

木村「………いえ。あれは………」


伊庭達の車両が進む方向、つまり、突撃してくる島左近の部隊の反対側から新手の軍勢が突撃してくる

その軍勢の先頭に居る馬に乗った男は眼帯を付けていた


伊庭「あれは………伊達政宗か!」

木村「伊達政宗!?」



眼帯を付けた男ー伊達政宗は伊庭達の乗る小型トラックの前まで来ると、馬の足を止めた


伊達政宗「伊庭殿か!苦戦しておるようじゃな!」

伊庭「伊達殿。どうしてここに?」

伊達政宗「おぬしが石田三成の討伐に行っておるが、苦戦していると聞いてな。助太刀しに参った」

伊庭「しかし、伊達殿は戦の真っ最中だったのでは?」

伊達政宗「わしの本隊は配下の者に任せておる。助太刀しに来たのは全体からすれば僅かな兵だけよ」


僅かな兵と言うが、伊達政宗の後ろには相当な数の兵が居る


伊達政宗「わしらがあの突撃してくる兵を相手する。その間におぬしら“じえいたい”は自慢の鉄の馬で三成の本陣まで突っ走れ」

伊庭「しかし…………。いや。了解しました!」

伊達政宗「おう」

伊庭「御武運を」

伊達政宗「互いにの」



326:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/23(火) 00:25:13.84 ID:YliBzMNM0

伊庭は伊達政宗に敬礼する

伊達政宗はその後すぐに島左近の兵に突撃していった


伊達政宗「皆!我に続け!」

雑兵たち「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」






伊庭「木村!伊達の軍勢に続け。伊達と島左近の軍が戦っている隙に一気に石田三成の陣地に乗り込む」

木村「了解っ!」

伊庭「それと三村を呼んで来てくれ」

木村「はい。三村ですか?」

伊庭「ああ。あいつならこの乱戦の中でも島左近を確実に狙撃できるはずだ」

木村「なるほど。了解しました」



330:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 00:44:35.41 ID:D21yf1rw0

~本多正信の陣~



現在、本多正信の陣には負傷者を含めた6名の隊員がいた

その6名の隊員の中で最も階級の高い隊員である野中2曹は本多正信の陣の防衛を一任されている


野中「県3尉との連絡は不通。伊庭小隊長と矢野2尉は戦闘中で連絡をする暇すら無い。空挺隊員も同じく戦闘中か」

西沢「もう1時間近く無線連絡がありません。もしかしてやられちゃったりしてるのでは…………」

野中「バカヤロウ!んなことあってたまるか!」

西沢「しかし………」


通信係の西沢はずっと無線機の前で待機しているのだが、伊庭や矢野たちは出撃してから1回も連絡をしてきていなかった


野中「小隊長にも副隊長にも指示を請えない今の状況…………。俺が独断でここの隊員を指揮しなきゃいけないのか」

西沢「小隊長はこの陣の防衛に関しては野中2曹に指揮を任しています。我々はあなたに従いますよ」

野中「う~ん。俺は部隊の指揮なんてやったことないんだがな………」

西沢「大丈夫ですよ。小隊長はこの陣が敵に襲撃される前に石田三成をやっつけて戦を終わらせてくれるでしょうから」

野中「そうだな。そうだといいんだが………」



本多正信「野中殿はおるか?」


西沢と野中が居る通信機の置いてある天幕の中に本多正信が入ってくる


野中「何でしょうか?」

正信「少し良いか?」

野中「はい」


そう言って正信は野中を天幕の外へ連れ出した



331:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 01:07:40.47 ID:D21yf1rw0

正信「伊達殿の軍勢の一部が伊庭殿の隊へ加勢をした」

野中「本当ですか!?よっしゃ」

正信「…………。あまり喜ばしいことでは無いのじゃ」

野中「何故です?」

正信「東軍の本陣である桃配山とこの陣を西軍の武将たちが囲い込もうとしておったのはしっておるじゃろ?」

野中「はい。その武将たちの隊を小隊長や矢野2尉が倒しに行ったんですよね?」

正信「そうじゃ。伊庭殿たちのおかげで宇喜多と島・石田の足は止まっておる。大谷の軍勢は強いが人数の少なさから進行はそれほど速くはない。じゃが、小西の軍勢が思った以上に速く進行してきている」

野中「小西………。小西行長ですか?」

正信「そうじゃ。小西行長は田中吉政と筒井定次、それに伊達政宗の隊と戦っておった。これによって小西の進行は抑えられておったのじゃが、伊達殿の隊の一部が離脱して伊庭殿の隊へ向かった為に再び進行の速度が速まってしまったのじゃ」

野中「伊達政宗の隊が居なくなったことにより小西が優勢になってしまったのか。それで小西は?」

正信「小西は他のいくつかの武将の隊を集め、ひとつの大きな軍勢を作った。そして、その軍を2分にして片方を桃配山、もう片方をこの陣へ向かわせたとのことじゃ」

野中「小西とその他諸々の軍勢がここと桃配山に進行してきてる………と」

正信「我が方の軍勢も果敢に戦っておる。わしの兵もじゃ。じゃから本陣やここへ敵が到達するとしても相当後のことになるとは思うが…………」

野中「…………敵がここへ到達する可能性があるんですね?」

正信「そうじゃ。もし仮にここへ敵の軍勢が到達してしまったら、おぬしら“じえいたい”はあの鉄の車にて逃げるが良い。元はといえばわしらの無理に付き合ってもらっているだけじゃ。それに戦に関わりたくないおぬしらをこれ以上、戦に巻き込むわけにもいかぬ」

野中「…………。ご冗談を」

正信「何と?」

野中「小隊長が戦ってるのに我々だけが逃げるわけには行きません。それに、自分たちはこの陣を守るように言われているんです」

正信「じゃが………」

野中「任せてください。この陣は死守します。我々の得意分野は防衛なんでね」



332:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 01:19:07.42 ID:D21yf1rw0

正信「野中殿…………」

野中「正信さんは危なくなったら逃げてください」

正信「それは出来ぬ。わしも大勢の兵を見捨てて逃げることは出来ぬからな」

野中「でしょうね。では力を合わせて敵を撃退しましょう!」

正信「うむ!」



野中は正信に一礼して再び通信機のある天幕へと入る



西沢「野中さん。本多正信は何と?」

野中「ここに敵部隊が到達する可能性がある。ここだけじゃなくて県3尉の居る桃配山もな」

西沢「マジですか!?どうするんです?」

野中「県3尉は無線を封じてしまっているから連絡の取りようもないしな。あっちはあっちで何とかするだろう。我々は独自の判断でこの陣を守るぞ」

西沢「了解。と言っても負傷者含めた6名じゃ………」

野中「本多正信の兵や東軍の兵士も居る。我々6名だけで戦うんじゃない」

西沢「そうですね」

野中「東軍も頑張っている。当分は襲撃は無いそうだ。だから今のうちに作戦を立て、トラップを設置する。全員集めてくれ。それと本多正信に何人か兵を借りよう」

西沢「兵を借りるんですか?」

野中「ああ。我々は迫撃砲や対戦車榴弾などの優れた兵器を持ってはいるが、6名だけじゃそれらを十分に使えない。だからこの時代の兵士の手を借りる」

西沢「マジすか」

野中「マジだよ」



333:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 01:41:32.65 ID:D21yf1rw0

~10分後~


野中は負傷した隊員を含めた全員を集めて作戦ミーティングを行い、その後で襲撃用のトラップを設置した

6名の隊員のうち負傷者は3名

そのうち1人は戦闘が可能なほどの軽症であり、残る2名も足を骨折しているものの上半身は十分に動かせた

正信の配下の兵は陣より遥か手前で進行して来る小西軍と戦っている為に陣地内に兵は少ない

居るのは鉄砲隊と弓隊、それに数百の兵のみだ


野中は正信の陣の前にいくつかの防衛線を張ることを決めた

まず、第一次防衛線

正信の兵が小西の兵の進行を防ぎきれず、陣から目視可能な距離まで達した場合の防衛線だ

ここでは一番射程の長い81ミリ迫撃砲でこの兵を叩く


そして、第一次防衛線が突破された場合にあるのが二次防衛線だ

既に設置された指向性散弾とC4プラスチック爆弾で第一次防衛線を突破してきた兵を叩く

ちなみに指向性散弾やC4を起爆させるのは正信に借りたこの時代の兵士だ

自衛隊員の人数が絶対的に少ない為にこういったことにこの時代の兵士を投入しなくてはならなかったのである

また、鉄砲隊や弓隊の攻撃はここで仕掛けることになっていた



第二次防衛線が突破されると待っているのが最終防衛線だ

最終防衛線は陣地の目の前に存在した

弧の形に掘られた幾つかの塹壕に機関銃や小銃、槍や刀を持たせた正信の兵を配置させ、さらに自衛官が73式小型トラックで遊撃を行う

ここが突破されれば正信の陣は一気に崩れることとなっていた



野中「負傷した隊員は車両の後部で座りながら射撃。衛生科の海野2曹は補給用のトラックの護衛を何人かの兵といっしょに行ってくれ。敵の襲撃が来るまでに指向性散弾とC4の設置を完了させ、さらに、正信の兵たちに小銃の使い方を最低限覚えさせろ」

隊員たち「「 了解 」」

野中「弾薬の出し惜しみはするな。全て使い切っても良い。確実にこの陣を守りぬけ!」



335:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 20:43:49.55 ID:D21yf1rw0

~小早川秀秋の陣~


島2尉たちはヘリから脱出した後、小早川の陣の後方の林に逃げ込んだ


雑兵「いたぞ!あそこじゃああああ!」

雑兵「うおおおおお!」

雑兵「覚悟おおおおおお!」



タン タン タン


雑兵「うぎゃ」

雑兵「ぐおっ」

雑兵「うぐっ」



島「これで何人目だ?」

大賀「さあ?もう数十人は倒しているはずです」



小早川の陣はもちろん小早川の兵で溢れている

島たちにとっては周囲が敵だらけの状況だった

いくら近代兵器で武装していても周りを数百の兵で囲まれては勝機が無い

しかも、小早川の陣にはテロリストの連中まで潜んでいる

そこで島は小早川の陣のど真ん中で戦うのではなく、あまり大勢の人が一気に入れないような林の中でゲリラ的に戦うことにしたのだ

林の中に隠れ、追ってきた小早川の兵を小銃や手榴弾で個々に撃破する

この戦法で島たち空挺隊員はかなりの数の兵を倒すことに成功していた


島「敵兵は沈黙。一旦迫撃をやめたらしいな」

大賀「ふぅ……。これで一段落できますね」

望月「いつまた敵兵が襲撃してくるかもわからん。気を抜くな」


ヘリを脱出後、徒歩で的中突破した空挺隊員たちの疲労はピークに達している



336:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/25(木) 21:15:19.61 ID:D21yf1rw0

穴山「でも、いつまでも林の中で待ち伏せ攻撃をしているわけにもいきませんよね?」

島「ああ。このまま待ち伏せ攻撃をしていたところで小早川を東軍に寝返らせることも出来ないし、テロリストを倒すことも出来ない」

穴山「じゃあ、やっぱり小早川の陣に再び突撃しますか?」

島「そうしたいのは山々だが、我々が今持っている装備だけでは無理だ。突撃したところで、小早川秀秋の前に行く前に殺されるのがオチだろう」


ヘリから島たちが持ち出せた装備はそれほど多くない

対戦車弾などの重火器はヘリから脱出する際に全て使い果たしてしまったし、林での待ち伏せ攻撃でもかなりの量の弾薬を消費してしまっている

現在、手元にある装備は小銃と大賀の持つスナイパーライフルのみだ


大賀「しかし、我々は小早川を何とかしなくてはなりません。テロリストも」

島「そうだな」





おおおおおおお!

雑兵「この林の中に逃げ込んだぞ!」

雑兵「何としても倒すんじゃ!」


三好「来ちまった!」

穴山「20人くらい居るな。この調子で行くと弾薬が無くなってしまう」

島「敵の迫撃は継続………。敵は我々が林の中に逃げ込んだのを勿論知っている………」

望月「2尉?」

島「これだ。敵は我々が全員林に逃げ込んだと思っている。それを利用するんだ」

望月「つまりは、林の中で何人かが小早川の兵を引きつけ、その隙に残りの人間が小早川の陣に急襲する……と?」

島「そうだ。望月と三好はここで追ってくる小早川の兵の相手をしてくれ。その隙に俺と穴山と大賀で小早川の陣に急襲し、テロリストを倒す」

望月「危険すぎますが………、それしかないでしょうね」



338:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/26(金) 00:04:22.59 ID:zhKJIwGM0

島「望月、三好、頼んだぞ」

望月・三好「「 了解! 」」

島「大賀、穴山、行くぞ」

大賀・穴山「はいっ!」


タタタタタタ タタタタタ

タン タン タン タン


雑兵「ぎゃあああ」


望月と三好は草木に隠れながら追ってきた雑兵たちを攻撃する

その隙に島たちは小早川の陣へと向かって走り出した



341:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/08(木) 21:10:27.13 ID:Gnc9VzHO0

~10式戦車内~


10式戦車に乗った島田たちは島たち空挺隊員の救出とテロリスト殲滅、及び小早川の説得のために小早川の陣へと向かっていた

兵で溢れかえった関が原を爆走する戦車はこの時代の人間からすれば化け物以外の何者でもない


グオオオオオオ

キュラキュラキュラ



雑兵「何じゃあれは!?」

雑兵「怪物が向かってきておるぞ!」

雑兵「逃げるんじゃアアアア!」


馬よりも速い速度で走ってくる戦車を見て雑兵たちは恐怖する



島田「兵はなるべく轢くな」

丸岡「そんな無茶な!周囲は人だらけですよ。轢かないと進めません」

島田「いいから人を避けて進め!それから時速を60まで上げろ」

丸岡「絶対無理です!」

島田「いいからやれ!」

丸岡「くっ………。了解しました!やってやりますよ」


グオオオオ



ひゅるるるるる


ズドオオオオオン


菊池「車長!前方に大砲の弾が着弾。威力からしてこの時代のものと思われます」

島田「場所は?」

菊池「10時の方向に大筒を発見!」

島田「主砲射撃用意。大砲陣地を吹き飛ばせ!」

菊池「り……了解。しかし、行進間射撃ですから命中させるのはきわめて難しいかと。特に人を避けながらジグザグに進行している今は」

島田「お前の腕を信じる。確実に当てろ。残弾も限られている今、弾の無駄遣いは出来んから1回で仕留めろ」

菊池「は……はい」



342:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/08(木) 21:21:29.96 ID:Gnc9VzHO0

菊池は戦車に対して攻撃をしてくる大筒の置かれた陣地に主砲を向ける

自動装填装置によって弾が主砲に装填されたのを確認した島田は菊池に発射を命じた


島田「主砲、発射用意…………。てええええええええええええ!」

菊池「…………発射」



ズッドオオオオオオオオオオオオオオン



ドオオオオオオオオオン


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「化け物が火を噴いた!」

雑兵「大筒陣地が吹き飛んだ………。なんじゃあの怪物は」


菊池「………命中を確認。目標の火砲は完全に沈黙」

島田「よくやった。よし。このまま小早川の陣に突撃する。丸岡、小早川の陣まであとどのくらいだ?」

丸岡「小早川の陣まで残り2キロ程度です。もうじきつきます。陣地内では今よりも激しい攻撃が予想されます」

島田「テロリストも潜伏しているらしいからな。対戦車兵器に注意しろ」

丸岡「はい。っつっても複合装甲をRPGが貫けるとは思いませんけどね」

島田「油断するな。本物の対戦車兵器と戦うのはこいつ(戦車)も初めてだ。何が起きるかは分からん」

丸岡「了解」



343:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/08(木) 21:41:59.75 ID:Gnc9VzHO0

~小早川陣地・島2尉たち~


島をはじめとする3名の空挺隊員は潜んでいた茂みから抜けた後、再び小早川秀秋のもとへと向かっていた

小早川秀秋本人の前に行く為には大勢の兵を突破する必要があったし、テロリストという敵も存在する

たったの3名で任務を遂行するのは困難を極めていた


大賀「しかし、どうやって小早川のところに行くんですか?奴のいる本陣の周りは槍とか刀を持った兵で囲まれてますよ」

穴山「飛び道具はヘリに乗っていたときに制圧しましたが、テロリストたちも居ますからね………」

島「ああ。だが、そのテロリストを倒せば小早川秀秋は間違いなく動揺するだろう。テロリストたちさえ居なくなれば西軍に近代兵器の後ろ盾は無くなるんだ。東軍に寝返るように交渉する余地は十分にある」

大賀「ということは……先にテロリストの連中を倒すんですね」

島「ああ。元の時代に居た時に我々が遂行するべきだった任務をまずは遂行する」

穴山「ですが、やつらはどこに居るんでしょう?」

島「ヘリに対して対戦車弾と小銃で攻撃をしてきた時にマズルフラッシュと発砲煙を確認した。あれでだいたいの位置は把握出来ている」

穴山「どこです?」

島「小早川秀秋の居る場所から数十メートル離れた位置だ」

大賀「それじゃあ本陣に突撃するのと変わらないじゃないですか。うへえ」

島「そうだ。だからテロリストたちを誘き出さなくてはならない」

大賀「誘き出すって………。どうやって?」

島「策がある」

大賀「策?」

島「ああ。それは…………」



ズドオオオオオオン


グオオ



344:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/08(木) 22:05:18.54 ID:Gnc9VzHO0

穴山「何だこれ!?」

大賀「敵の砲撃じゃない………。これは戦車砲だ!」

穴山「10式戦車が来たんだ!」

島「………応援は必要無いと言ったが。だが………」

大賀「素直に感謝しましょうや」

島「ああ。感謝しなくては。それにこの機は逃せん」

大賀「と、言いますと?」

島「この戦車の来襲でテロリストを誘き出すことが簡単になった」



グオオ キュラキュラ


ナンジャ アノカイブツハ

ニゲロオオオオ


島「10式戦車に兵たちは動揺している。指揮系統も乱れて混乱しているだろう。今この状況で小早川秀秋は何をすると思う?」

大賀「逃げ………。いや、小早川の陣には戦車を倒せる可能性を持った連中が!」

島「そうだ。小早川はテロリストに戦車の破壊を命じるはずだ。命じなくとも連中は戦車を攻撃しに行ったはずだがな。何せ戦車はテロリストたちにとっても脅威だからな」

穴山「なるほど………。戦車を倒す為にヘリを落とした対戦車弾を持ってテロリストたちが小早川の本陣から出てくると……いうことですか?」

島「そういうことだ。我々は本陣から連中が出てきたところを襲撃する」

大賀「了解」

穴山「了解しました」

島「よし。今から本陣近くまで移動する。敵兵に見つからないように気をつけろ」



350:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/10(土) 09:30:30.17 ID:3lVP5eHy0

10式戦車は速度を上げつつ小早川の本陣に近づいてくる

僅かに生き残っていた小早川の鉄砲隊や弓兵が遠距離から攻撃を仕掛けるが、その攻撃は戦車に全く通用しない

矢や弾を弾き返しながら突っ込んでくる10式戦車の姿に小早川の兵の大半は戦意喪失をすることとなった

兵たちは混乱し、指揮系統は乱れる

そんな混乱に乗じて島たち3人の隊員は小早川の本陣に近づこうとしていた


島「急げ!この混乱の中なら敵兵は俺たちの存在に気付かない」

雑兵「いたぞおおおおお!」

島「そんなことも無かった!?」

雑兵「うりゃああああ」


タンッ


雑兵「ぐあっ」


慌てふためいている兵たちの中に入り込んできた自衛隊員の姿に気付いて攻撃してきた雑兵の一人を小銃弾で倒す


大賀「混乱しているとは言え、我々の姿を見ればこいつら攻撃してきますよ」

穴山「周りは敵だらけです」


ウワアアアア

カイブツジャアアア

ギャアアア


叫びながら右往左往している雑兵

大半の兵は恐怖でパニックになっているために島たちの存在に気付かないが、危険な状況に変わりは無い


島「ああ。敵だらけだ。だが、この中ならテロリストの連中は我々を視認できないだろう」

大賀「そりゃそうですけど!こっちは生きた心地がしませんよっ!」


雑兵「うああああ!」

雑兵「鉄の鳥に乗ってた輩じゃあああ」


タタタン タタタン


雑兵「ぎゃ」

雑兵「ぐへ」



351:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/10(土) 09:49:59.09 ID:3lVP5eHy0

穴山「早いところテロリストの連中を見つけ出さないと………。これじゃすぐに弾が底を尽きます」

島「ああ。確か、あの辺りから対戦車弾の発砲煙が見えたはずなんだが………」

穴山「あのあたり…………」


島がそう言いながら指差すのは小早川秀秋が居るとされる本陣からそう遠くはない場所だった

そこは戦車の乱入というイレギュラーな事態が起きている今でも、他の場所に比べて兵士たちが混乱していないよいに見える

少々の動揺はしているものの、そこに居る兵たちは直立不動で円陣を組んでいる

まるで何かを守るようにしているみたいであった


島「あれだ。あの直立不動の兵士に守られているのがおそらくはテロリストたちだ」

大賀「!? 動き始めやがった?」


今まで直立不動だった兵士たちが徐々に移動を開始する

円陣は組んだままで、少しずつではあるが戦車の向かってくる方向へと移動を開始していた


穴山「どういうつもりでしょうか?」

島「戦車に攻撃をしに行くつもりだ。この時代の兵士に囲まれたままならテロリストだとばれずに戦車に近づくことが出来る。戦車に近づいた後で対戦車砲を撃ち込むつもりなんだろう」

大賀「なるほど。確かにあの方法なら戦車に近づけるかもしれない。10式に乗ってる島田曹長たちはただの雑兵が近づいてきただけだと思って戦車砲で攻撃をしないだろうし」


10式戦車は複合装甲からこの時代の兵器は全く通用しない

また、最高時速70キロという足の速さから雑兵たちは戦車に近づくことも困難だった

近づいて戦車に飛び乗ろうとしたところで礫殺されるのがオチだ

そんな理由から戦車の乗員たちは近づいてくる雑兵たちに脅威は感じていなかった

であるからにして雑兵相手に遠距離から戦車砲をぶっ放そうとは絶対に思わなかったのである



352:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/10(土) 10:04:13.15 ID:3lVP5eHy0

それが災いして戦車はテロリストたちに近づかれることとなる

テロリストたちの姿は彼らを囲うようにして守っている雑兵の姿で見えない

よって戦車の乗員たちは近づいてくるテロリスト(を囲んだ雑兵の集団)に遠距離から攻撃を仕掛けることをせず、接近を許しているのだった


島「連中が戦車に到達してしまう前に我々が攻撃を仕掛けるぞ」

大賀「了解」

穴山「了解」

島「テロリストは周囲の雑兵でまだ我々の存在に気づいては居ない。奇襲するなら今だ。穴山、ライフルグレネードの発射準備」

穴山「はい!」


そう言って穴山は持っていた89式小銃の銃口に筒のようなものを付け始める

“06式小銃てき弾”

小銃の銃口に取り付けるタイプの22ミリてき弾である

自衛隊が独自に持つグレネードランチャーのようなもので、要するに小銃から手榴弾程度の制圧火器を発射するといった装備だ


島「テロリストは円陣の中心に居ると思われる。そこを狙え!発射!」

穴山「はい!」


バシュッ


シュウウウウウウウウ



小銃から発射された06式小銃てき弾は真っ直ぐに雑兵の集団に向かっていく

移動をしていた雑兵のうちの何人かは向かってくる06式小銃てき弾に気付いたが、気づいたときにはもう遅かった



ズドンッ



てき弾は雑兵の集団の中央に命中し、着弾点付近に居た兵士たちの身体を吹き飛ばした



ぎゃあああああああ

ぐあああ!



356:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/11(日) 21:41:24.17 ID:08hoU7Om0

穴山「命中!」

島「よし。やったか?」



グアア

ウッ イテエ

ナンジャコレハ



大賀「………………!?」



ズドドドドドドドドドドド

ダダダダダダダダダ ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダ


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ



島「伏せろおおおおおおお!」

大賀「うおっ!」

穴山「うわっ」



ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシ



小銃てき弾の直撃によって倒れた雑兵の山の後方から無数のマズルフラッシュが確認される



大賀「くそっ!やっぱテロリストたちはそこに居やがったか!」

穴山「護衛の雑兵たちが盾になって小銃てき弾の攻撃がテロリストたちに届かなかった………みたいですねっ!」



ダダダダダダダダダ


ビシビシビシビシビシ



357:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/11(日) 21:56:07.67 ID:08hoU7Om0

島たち3人の隊員は地面に倒れている既に息をしていない雑兵を持ち上げて盾にして、敵の射撃による攻撃を何とか防ぐ

テロリストたちは島たちの居る場所を正確には把握していないようで、射撃は正確ではなかった

それが幸いして、襲い掛かる銃弾の数の割に3人の隊員の被害は少なかった


雑兵「ぎゃっ!」

雑兵「ぐあっ」


大賀「おいおい………。同士討ちかよ」


テロリストの射撃はほぼ無差別な攻撃となってしまっていた

テロリストが味方していたはずである小早川の兵たちに次々に銃弾が当たる


島「我々が倒せれば味方の兵が何人死のうと関係ないと言ってる様なものだぞ。この攻撃は」

大賀「大方、そう思ってるんでしょう。でもどうするんですか?この弾幕………」


ダダダダダダダダダダダ

ビシビシビシ


穴山「うわあっ」

大賀「雑兵の死体を盾にするのも限界がありますっ!」

穴山「くそっ!」


タタタン タタタン


グアッ

ウオッ


穴山「当たった!」


小早川の兵の死体による盾ごしに撃った銃弾がテロリストに当たる

てき弾の爆発で出来た粉塵と敵兵の山のような死体によってテロリストたちの姿自体は目視出来ないが、マズルフラッシュによっておおよその位置は把握できた



358:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/11(日) 22:27:34.11 ID:08hoU7Om0

~数分後~


小早川の兵たちはテロリストたちの攻撃から既に逃げており、島たちの周囲には雑兵の死体しか存在しなくなっている

島たちは小早川の兵の死体を積み上げるようにしてバリケードを築いてた


島「今この状況で立ち上がったら即、蜂の巣にされる………。かといっていつまでも敵兵の死体を盾にして伏せているわけにもいかない…………」


ダダダダダダダダダダダ

ビシビシビシ バスッ


穴山「ぐあああ!いってえええええ!」

大賀「穴山!?」

穴山「ひ……左腕に!弾がっ」

島「見せろ!止血する。大賀っ!狙撃銃で敵を確実に叩け!」

大賀「了解!」


島は落ちていた小早川の兵が持っていたらしき旗を千切り取り、穴山の左腕に巻きつけて止血する

それと同時に大賀は小銃とは別に背負っていた対人スナイパーライフルを肩から下ろした

大賀は空挺団では狙撃手として活躍していた経歴がある


大賀「こいつで敵を確実に仕留める」

島「頼むぞ大賀」

大賀「任せてください……うおっと」


ダダダダダ

ビシビシビシ


大賀が狙撃銃の射撃準備を行っている間も敵の射撃は止まらない

積み上げられた死体によるバリケードが徐々に敵の銃弾によって吹き飛ばされていくのが分かった

大賀は死体によるバリケードの隙間からスコープと銃口をそっと出して射撃準備をする


大賀「……………居た。目標確認」


スコープを覗き込み、敵を発見する


島「本当か!よし、やれ!」

大賀「………………」


敵を発見したはずなのに、何故か大賀は射撃をせずにスコープをずっと覗き込んでいる


島「どうした?」

大賀「島2尉…………。俺はずっとテロリストは外国人だと思ってました」

島「あ?何を言ってるんだ?」

大賀「……………」

島「おいっ!」



大賀「ありゃあ………。日本人ですよ」



362:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/13(火) 16:30:01.92 ID:RqQvCkb00

島「日本人…………」

大賀「はい」

島「………構わん。撃て」

大賀「…………………了解」


大賀はスコープの照準を敵のテロリストの一人に合わせる

テロリストたちは島たち3人の隊員の反撃が小規模であることに油断して、大した防御策も用意せずに展開していた

その人数は20人程度

ほとんどの人間がAK-47カラシニコフやRPG-7などの共産圏武器を装備している

そして、彼らの顔はどう見ても日本人のソレだった


大賀「……………くっ」


ターアアアアアン


大賀はM24 SWSスナイパーライフルの引き金を引いて無防備に立ちながら島たちへ射撃をしているテロリストの一人に銃弾を放つ


バスッ


テロリスト「ぐはっ」

テロリスト「!?狙撃か!」

テロリスト「撃て撃て!相手は応射からして少数だぞ!」



ダダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダ



363:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/13(火) 16:43:27.93 ID:RqQvCkb00

バスッ

キーンッ バスバスバスッ


大賀「くっ。こっちにも小銃があるってのにまともな防御すらせずに射撃している…………。相手はど素人集団っぽいな」

島「素人であってもこれだけの火器があるんだ。俺たちの不利に変わりは無いぞ」

大賀「ちっ。一人一人地道に倒していくしかないか」


タアアアアアン

タアアアアン


テロリスト「ぐっ」

テロリスト「ぎゃっ」

テロリスト「くそっ!伏せろ!雑兵どもの死体を盾にしろ!」

テロリスト「対戦車砲だ!対戦車砲で蹴散らせ!」


テロリストたちはやっとのことで自衛隊の攻撃から身を守る策を出す


大賀「やべっ!やつらまた対戦車ロケット出してきやがった!島2尉、逃げないと!」

島「敵の弾幕の中をどうやって逃げるんだ!大賀、対戦車ロケットを持った敵を狙撃しろ」

大賀「対戦車ロケットを持った敵は視認出来るだけでも4人は居ます。一度に全員倒すのは不可能です!」

穴山「島2尉………自分のことは構わないで………。島2尉も射撃を…………」

島「……………くそっ」

大賀「まずい!第一射来ます!」



バシュッ



ズドオオオオオオオオオオオン



364:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/13(火) 16:47:45.80 ID:RqQvCkb00

テロリストの発射したRPG-7が島たちの居る場所の数メートル横に着弾する


島「無事か!?」

大賀「はいっ!」

穴山「こっちも…………」

島「このままでは…………我々はここで………」



ドオオオオオオオオン


ドカカカカカカカカカカカ



島「!?」

大賀「敵の第二射か!?」

穴山「い…いえ。あれは」






グオオオオ

キュラキュラキュラキュラ


グオオオオオオオオオオオオオオオ



島「10式………戦車」



365:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/13(火) 16:55:57.66 ID:RqQvCkb00

テロリスト「戦車が来たぞ!」

テロリスト「RPG-7で吹き飛ばせ!」


バシュッ

バシュッ



シュウウウウウウウウウウウ



ズドオオオン

ズドオオオン


ガキイイイイイイイン



テロリスト「そんな!?直撃したはずだぞ!」


テロリストたちの発射した2発の対戦車ロケットは出現した10式戦車の正面に直撃した

しかし、直撃した弾は戦車の装甲に弾かれてしまう

10式戦車だけでは無いが、戦車は正面からの攻撃に強い


大賀「すげえ………」

穴山「まさに……・・・救世主ですね」



ドオオオン


ズドオオオオオオオオオ


テロリスト「ぐあっ!」

テロリスト「ぎゃああああ」


10式戦車の射撃によってテロリストたちの何人かが吹き飛ばされる

生き残ったテロリストも慌てふためいて逃走していた



369:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 13:25:22.64 ID:t3IDlQgo0

島2尉たちがテロリストと戦っている頃、西軍の小西行長の軍勢の若干名が桃配山の前にある十九女池後方にまで前進していた

十九女池後方………つまりそこは本多正信の陣があるところである

手薄となった伊達政宗の軍勢を押し、本多忠勝らの防御陣を突破した彼らは遂に本多正信の兵と刃を交わすに至っていた

テロリストの出現によって小早川の陣の攻略が遅れていることや、伊庭たちが石田三成の軍勢に苦戦していること等が原因となっている



野中「小西行長の兵の先遣小隊が正信の兵と交戦を開始したらしい」

西沢「思ったよりも早いですね………。交戦中の正信の兵を突破したら第一次防衛線です」

野中「ああ。迫撃砲の射撃準備に取り掛かれ」

西沢「了解」

野中「小隊長………。頼む、急いでくれ…………」


自衛隊が想定した防衛線の内で一番最初にある第一次防衛線

それは正信の兵が押され、小西行長の兵士が正信の本陣から目視可能となった時に敷かれる防衛線だ


野中「正信さん!」


野中は本多正信を呼ぶ


正信「何じゃ?野中殿」

野中「小西行長の兵は今どれくらい正信さんの兵と交戦していますか?」

正信「伊達殿たちの軍勢も奮闘しておるからまだ200かそこらしか到達はしておらんだろうが…………」

野中「………そうですか」

正信「しかし、これ以上戦が長引けば我々の軍勢は総崩れするじゃろう。ここの陣が突破されれば、県殿がおる桃配山が攻略されてしまう」

野中「敵兵は全てこの陣で倒さなくてはならない………。ここを突破されることは許されない………ということですね」

正信「ああ。そうじゃ」

野中「…………。分かりました。正信さん、敵兵が我々が立っているこの場所から目視可能な所まで到達したら、交戦中の全兵士を後退させて下さい」



370:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 13:33:11.37 ID:t3IDlQgo0

正信「何と!?後退じゃと?それは出来ぬ!わしらは命に代えてでも………」

野中「敵兵が200や300しか到達していない今なら我々の迫撃砲や特殊火薬で殲滅できるんです!この本陣に敵が到達する前に遠距離攻撃で叩けば勝機があるかもしれない!正信さんの兵を一旦この本陣まで後退させてから、押し寄せてくる敵兵を迫撃砲で殲滅するんです!」

正信「……………分かった。しかし、その200や300の兵を倒したところで、また数百の敵兵が後ろから押し寄せてくるのじゃぞ?それはどうするのじゃ?」

野中「小隊長たちが石田三成を倒すことなどを信じるしかありません。要はただの時間稼ぎに過ぎませんが、味方の兵の犠牲を最小限に抑えた上で敵兵を大勢倒す方法はこれしかないと…………」

正信「うむ。承知した。一旦、わしの兵を全員後退させ、その兵たちは本陣の守備に回そう」

野中「ありがとうございます!」



371:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 13:35:39.19 ID:t3IDlQgo0

10分後


小西行長の軍勢の一部が正信の兵の必死の攻撃を押し切り、ついに野中たち本陣に居る人間から視認出来る場所に到達した



372:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 13:45:47.61 ID:t3IDlQgo0

正信の兵はその瞬間、全員が回れ右をして全力で本陣まで逃走を開始した

全力疾走で押し寄せてきた小西行長の兵から逃げる滑稽な姿に小西行長の兵たちは皆が皆、腹を抱えて笑っていたという

彼らは逃走する正信の兵を指差して笑い、罵り、あるものは「武士らしくない姿」に怒る

しかし、彼らのその行動が命取りとなった

正信たちの兵を笑うだけで追いかけもしなかった小西の兵たちは上空から聞こえる“ヒュルルルルル”という空を切る音に気付かなかったのである



ヒュルルルルル


ズドオオオン

ズドオオオオオオン


前触れなしに上空から飛来した迫撃砲の砲弾は彼らの身体を木っ端微塵に吹き飛ばす

初撃を食らったほとんどの兵士は何が起きたのかも分からずに絶命した



雑兵「何じゃ!地面が爆発したぞおおおおお!」

雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「逃げろおおおお!」

雑兵「東軍の攻撃か!?」

雑兵「そんな馬鹿な!敵の陣はまだあんなに離れた場所にあるんじゃぞ!」



ズドオオオオオン

ズドオオオオオオオン


ズドオオオオオン



ぎゃああああ!



373:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 14:01:29.09 ID:t3IDlQgo0

野中「どんどん撃ちこむぞ!」

隊員「はいっ!」

野中「射角1100(ヒトヒトマルマル)!」

隊員「半装填よし!」

野中「発射!てえええええええええ!」


ドンッ


ドンッ



この時代の火砲とは比べ物にならない射程を持つ81ミリ迫撃砲L16で次々に敵を粉砕する自衛隊であったが、自衛タイ側にも弱点があった

それは頭数である

正信の陣に居る6名の自衛官がフルで働いて動かせる迫撃砲は2門が限界であった

現在は2門の迫撃砲を交互に撃っているのだが、たった2門では弾幕は張れない

押し寄せてくる敵兵の8割は撃破出来ても残りの2割は迫撃を掻い潜ってきてしまう


西沢「敵兵の2割程度が攻撃をかわして第二次防衛線へ到達します!」

野中「迫撃砲だけじゃ防ぎきれないのは分かってたっつーの!西沢!無線で第二次防衛線で待機している海野2曹にC4と指向性散弾による攻撃を指示してくれ!」

西沢「はい」


そう言って西沢は無線を繋ぐ


西沢「こちら西沢。海野2曹、敵が第二次防衛線に到達しそうです」

海野『知ってる。指向性散弾とC4の攻撃をしろってことでしょ?』

西沢「はい!」

野中「指向性散弾とC4によるトラップを全て使い切ったら、そこに居る兵士を全員連れて後退しろ」

海野『言われるまでもなくそうしますって』



374:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 14:15:24.62 ID:t3IDlQgo0

第二次防衛線は第一次防衛線を突破した敵兵を仕掛けたC4や指向性散弾で撃破する防衛線だ

自衛官の人数が絶対的に不足していることから起爆装置は全て正信の兵に持たせている



正信の兵「海野殿!小西の兵の生き残りが“とらっぷぞーん”に突入しましたぞ」

海野「待ってました!」


仕掛けておいた爆薬などから少し離れた場所にある塹壕の中で正信の兵十数名と海野2曹は起爆装置を押す

海野2曹は衛生科のWAC(女性自衛官)であり本来は本陣で負傷者の手当てを行うはずだったのだが、人数が不足していることから前線で第二次防衛線の指揮を執ることになっていた




ズドオオオオオン

ドオオオオン



ドンッ 

パパパパパパパパパパパパパ



敵兵「ぐあっ」

敵兵「ぎゃああああ!」

敵兵「ぐおあっ」


C4プラスチック爆弾が爆発し、押し寄せてきた小西の生き残りの兵士を吹き飛ばす

また、指向性散弾も発射される

指向性散弾は爆発すると無数の金属球を敵に浴びせる兵器だ

爆発によって飛び出した多くの金属球は敵兵たちの身体を撃ち抜いていく


これらの攻撃によって瞬く間に小西行長の兵は倒されていった



377:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 23:19:33.91 ID:t3IDlQgo0

~同時刻・宇喜多秀家討伐隊 矢野2尉たち~



矢野「撃て撃て撃て!」

小野「はいっ!」


敵中を突破しようと猛スピードで矢野たちは進行していた

スタングレネードの一斉投下と弾幕で戦況は少々改善されたものの、やはり敵の攻撃は止まない


タタタタタタン タタタタタタタタタタタタタ

タタタタタタ


雑兵「ぎゃああ!」

雑兵「ぐあっ」


タタタタン カチッ カチッ


矢野「装填する!援護しろ!」

小野「MINIMIも装填しないと残弾がありません!」

矢野「くそっ」


雑兵「りゃりゃりゃあああ!」

小野「うわっ!」

矢野「小野!伏せろ!」


ダン ダン ダン


雑兵「ぎゃあ!」


矢野は高機動車に飛び乗ってきた兵士を9ミリ拳銃で倒す


小野「…………これで車に飛び乗られるのは何度目でしょうか?」

矢野「知らん。スタングレネードによる撹乱で一気に敵の本陣に近づいたは良いが、まだこんなにも敵兵が生き残っているとは」

小野「きりが無いです。残弾もこの調子だとすぐに………」

矢野「おい!敵本陣にはあとどれくらいで到達する?」

隊員「地図上ではあと1キロ程度です!」

矢野「よし!一気に突破するぞ。本陣付近は鉄砲や弓による攻撃も想定される。敵兵の数も今より多くなるだろう。気をつけろ」

隊員「はい!」


雑兵「覚悟おおおお!」

矢野「!?」

小野「矢野2尉後ろ!」

雑兵「りゃああああああああああああああ!」


グサッ 


矢野「くっ」



378:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 23:25:04.46 ID:t3IDlQgo0

小野「うあああああ!」


タタタン タタタン


雑兵「ぐはっ………。おぬ…しら一体…………」


小野「矢野2尉大丈夫ですか?」

矢野「腕に……刺さっただけだ」


高機動車に飛び乗ってきた雑兵の振りかざした刀が矢野の右腕を切裂いていた

矢野の腕からは大量に血が流れている


小野「すぐに手当てを………」

矢野「いい。いらん!それよりも射撃を続けろ!」

小野「しかし………」

矢野「俺のことは心配するな。左手でも充分に戦える」

小野「……………了解」

矢野「へっ。たかが右腕負傷した程度で戦闘不能になったようじゃ………あの人を越すことは出来ないからな」

小野「矢野2尉………」

矢野「いいから射撃を続けろ!それと前方を警戒しろよ?鉄砲隊や弓兵がいるかもしれん」

小野「はい」



タタタタタタタタタタン

タタタタタタタタタタタタタタタタタタタ



379:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 23:40:28.85 ID:t3IDlQgo0

隊員「矢野2尉!あのずっと向こうに見える場所。あれって宇喜多秀家の本陣では?」

矢野「あれか!」

隊員「あまり良くは見えませんが、白い布で覆われ、旗が幾つも立っています。兵による防御も厚いです」

矢野「間違いない。小野、他の車両に伝えろ。前方に見える本陣と思われる場所に突っ込むとな!」

小野「はい!」


矢野たちの車両の進行方向の延長線上に宇喜多の本陣と思われる場所は存在した

時代劇などで良く見られる白い幕に覆われた陣とその周囲を固める大勢の兵

遂に矢野たち10名の隊員は見事敵中突破し、宇喜多秀家の本陣へたどり着いたのであった


矢野「良し!全車両俺に続けええええええ!」

小野「矢野2尉!あまり車から身を乗り出さない方が良いと………」

矢野「へっ。指揮官ってのは戦場のど真ん中でも堂々とするもんだぜ?」

小野「あなたって人は………。仮にも負傷者なんですよ?矢野2尉は」

矢野「だから俺は平気だって………………………ちっ。やっぱ簡単には通してくれないか。伏せろ!」

小野「へ?」


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

カカカカカカカン


矢野「くそっ」

小野「うわ!」


パパパパパパパパパパパパン

カカカカカ

カアアンッ バリンッ


隊員「ぎゃああああああああ!」



380:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/14(水) 23:48:27.11 ID:t3IDlQgo0

敵陣から放たれた無数の矢と鉄砲の弾が車両を襲う

鉄砲の弾がフロントガラスを貫き、運転していた隊員の眼球を潰す


隊員「ぎゃああああああああああ!」


目を潰された隊員はハンドルを大きく切ってしまい、高機動車はバランスを失った


矢野「くそ!俺がハンドルを持つ!お前はアクセルをずっと踏んでろ!」

隊員「がっ……うぐ、は……はい」

矢野「よし」


目を潰された隊員がアクセルを踏み、矢野がハンドルを持つことで高機動車は再びバランスを取り戻す


小野「第二射来ます!」

矢野「MINIMIで倒せ!」

小野「はいっ!」


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタ


機関銃の掃射によって鉄砲隊や弓隊の一部が粉砕される

しかし、一丁の機関銃では全ての兵を倒せなかった



パパパパパパパパパン

カカカカカン バリン バリン


矢野「くっ!」

隊員「ぎゃああああ!ぐあああ!」

矢野「落ち着け!大丈夫だ!」

隊員「が………・・・」



381:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/15(木) 00:00:42.94 ID:GxOieFtu0

矢野「そんな………」


運転手の隊員は第二射攻撃襲い掛かってきた敵弾が首筋に命中し、絶命した


キキーッ


運転手の足の力が抜けたことによってアクセルを踏む者が居なくなり、高機動車は止まってしまう


矢野「…………。小野、運転しろ。俺が機関銃を撃つ」

小野「…………はい」

矢野「………それとAPC(装甲車)に連絡。LAM、及び誘導弾で敵の飛び道具を蹴散らせ」

小野「はい」


小野は車載無線で高機動車の横を走行していた装甲車に呼びかける

装甲車は停止してしまった矢野たちの乗る高機動車の十数メートル横に停止していた


矢野「………………」

小野「矢野………2尉」


部下を殺された矢野の顔は憎悪に満ちている

小野はそんな矢野の顔を見て少しばかりの恐怖を覚えた


小野(まるで敵を皆殺しにしてやる………とか言いそうな雰囲気だ)

矢野「……………」

無線『こちらAPC。LAM及び誘導弾を使用して敵陣の鉄砲隊を殲滅します。なお、その間、我々の車両に近づいてくる敵兵はLAV(軽装甲機動車)が蹴散らします』

矢野「分かった。すぐに発射準備に取り掛かれ」

無線『はい………。すぐに射撃開始出来るようにします』



矢野「ありったけの弾を撃ち込むぞ。奴らを石器時代に戻してやれ」



386:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 00:37:17.88 ID:cmSb+XpW0

バシュッ

バシュッ

バシュッ


96式装輪装甲車の車上から隊員が110ミリ個人携帯型対戦車弾パンツァーファウストⅢ(LAM)を立て続けに発射する

発射された弾頭は真っ直ぐに宇喜多秀家の鉄砲隊や弓隊へ向かっていった



ドーン

ドオオオン

ドオオオオオオオン


雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「ぐおああああ!」


矢野「どんどん撃てえええ!」

無線『矢野2尉。LAMは残弾が残り僅かです』

矢野「出し惜しみするな!徹底的に叩け!でないと殉………戦死者がもっと出るぞ!」

小野「矢野2尉……………」

無線『了解………しました。攻撃を続行します』


バシュッ

バシュッ


ズドオオオオオン


自衛隊の対戦車弾によって宇喜多秀家の防御陣形は完全に崩壊していた

鉄砲隊と弓隊は跡形もなく消え去り、生存した雑兵たちも指揮系統が乱れた為に右往左往するだけだ


小野「矢野2尉。もう敵の飛び道具はありません。このまま宇喜多秀家に降伏するように申し出ては?」

矢野「いや、敵の大将は確実に潰す。小野、車両で本陣に突っ込むぞ」

小野「しかし…………!」

矢野「いいから出せ!」

小野「了…………解」

矢野「APCとLAVも後に続け!大将を討ち取りに行くぞ!」

無線『こちらAPC………。了解…………』

小野「……………」



387:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 00:48:09.55 ID:cmSb+XpW0

矢野「発進しろ!」


矢野の号令で小野は高機動車を発進させる

それに倣って装甲車と軽装甲機動車も発進した


矢野「よし!速力上げ!一気に乗り込むぞ!」

小野「しかし………。敵の兵士はまだ本陣の守備についております。突破は…………」


鉄砲隊等の飛び道具を持った兵士はほぼ全滅していたが、本陣の周りにはまだ槍や刀で武装した兵が多数存在する

宇喜多秀家にとって最終防衛ラインとも呼べるその兵たちは向かってくる自衛隊車両に恐怖しながらも、主君を守るために一歩も退かない様子だった


矢野「ちっ!これでも食らえ!」


タタタタタタタタタタタタタタタタタ


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「ぐあっ!」


矢野「今だ突っ込め!うおおおお!」

小野「くっ…………」


タタタタタタタタタタタタ

グオオオオ


矢野を乗せた高機動車は宇喜多の本陣へと突っ込んでいく


雑兵「くそおおお!おのれえええ!」

雑兵「化け物めええええ!」

雑兵「何としてでもあの怪物を倒すんじゃ!殿の命を守れええええ!」

雑兵「うおおおおおおおおおおお!」


小野「うあああ!来るなああああああ!死にたくなければ来るなああああああ!」

矢野「来るなら来い!全員ぶっ潰してやる!」


タタタタタタタタタン

タタタタタタタタタタタタタタ



388:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 00:53:36.52 ID:cmSb+XpW0

小野「うわあああああああ!」


ガッツーン


ガンッ

ガンッ


グチャ


ガンッ ガンッ


雑兵「ぐああああ!」

雑兵「にぎゃああああ」


ブチブチブチッ


雑兵「うおおおおお!」


ガンッ

ガンッ


グオオン グオオン


矢野「くそっ!小野!速力を最大まで上げろおおお!」

小野「うわああああ!」


タタタタタタタタタタタタタン


無線『矢野2尉!矢野2尉!無茶です!相手が多すぎます!こちらが援護します…………』



389:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:09:54.40 ID:cmSb+XpW0

突っ込んでくる高機動車に雑兵たちは攻撃を仕掛けてきた

時速80キロ近く出ている高機動車に飛びつこうとした雑兵たちは容赦なく車体に吹き飛ばされる

中には車に轢殺される者も居た

だがしかし、主君を守ろうとするこの時代の兵士はそんな高機動車に恐れずに突撃する


バキバキバキッ


大勢の雑兵と正面衝突した高機動車も勿論無事では無い

フロントガラスは割れ、ミラーは折れ、タイヤは死体と血糊でスリップする


矢野「押し切れえええええええ!」

小野「無理ですっ!完全に囲まれて…………!」

矢野「くっそおおおお!」


タタタタタタン タタタタタン


雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「鉄の馬は止まってるぞ!飛び乗れええええ!」

雑兵「うおおおおおお!」


高機動車はタイヤに雑兵の身体が絡まったためにほぼ停止してしまった

その隙を見逃さず、雑兵たちは高機動車に飛び乗り矢野たちに槍を向けてくる


雑兵「うりゃああああ!」

矢野「くそっ!」


タタタタタタタン タタタタタ


雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「怯むなああああ!」

雑兵「うおおおおお!」



390:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:18:49.13 ID:cmSb+XpW0

小野「うわああああ!」


タタタン タタタン


小野も運転を諦めて小銃による射撃を開始する

が、時すでに遅し

周りは完全に取り囲まれていた


矢野「くそっ!うらっ」


カンッ

ぐさっ


雑兵「ぎゃああ!」


矢野「食らえっ」


ダンッ ダンッ ダンッ


雑兵「ぎゃっ」


矢野は雑兵の手から槍を奪い取り、それを持ち主の雑兵に突き立てる

そして間髪を入れずに背後から攻撃を仕掛けようとしていた別の兵に拳銃弾を撃ち込んだ


雑兵「うりゃああああ!」


グサッ

カツウウウウンッ


雑兵「!?」



391:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:25:07.82 ID:cmSb+XpW0

矢野「へっ。お前らみたいに俺も鎧を来てたんだよ!」


雑兵の槍はボディーアーマーに弾き返される


タタタタタタン


雑兵「ぎゃあああ!」


負傷によって左手を使えないハンデがあるにも関わらず矢野は敵をどんどん倒していく

かなりの雑兵に取り囲まれている状況下で渡り合う矢野はすでに“この時代の兵士”と化していた


矢野「次はてめえか!」

雑兵「くっ!複数でかかれ!敵は“ひとり”じゃぞ!」

矢野「何人来ようが粉砕して…………!?ひとり…………?」




小野「うぅ…………」




矢野「………………………」



392:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:25:58.62 ID:cmSb+XpW0

矢野「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」



393:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:31:34.73 ID:cmSb+XpW0

ハンドルに前かがみにもたれる形で小野は倒れていた

首筋には刀で切りつけられた跡が見える



矢野「殺してやる!てめえら全員!俺が…………!」


タタタタタン


雑兵「ぎゃああ!」

雑兵「ぐおあっ」


タタタタタタタタタタン カチッ

車載機関銃の弾倉が底を尽きる


矢野「ちっ。じゃあこっちだ!」


タタタ タタタ


床に置いていた自分の小銃を拾い再び射撃を再開する


雑兵「ぎゃああ!」

雑兵「くっ!こやつ!鬼か何かか!?」


小野「うっ………………」

矢野「まだ息があるのか!?今からここに居る奴らを全員倒す。そうしたらすぐに脱出して手当てをしてやる」


タタタン  タタタン


雑兵「ぎゃっ」

雑兵「ぐあ」



394:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:43:15.33 ID:cmSb+XpW0

小野「矢野………2尉。ち………違います」

矢野「くそっ!装甲車もこの人ごみじゃ近づけないのか!?」

小野「違います………よ。自分…の、し………知ってる2尉は。こんな…………ひ…とでは」

矢野「しゃべるな小野!出血が酷くなるぞ!」


タタタン タタタン


小野「2尉は………や…さしい人…………でした。敵の………命のこ…とも考える………。軍人としては………甘すぎる…………」

矢野「……………!?」


タタタン タタタン


小野「矢野………2尉。こ……これ以上…………人が死ぬ…のを………見たくは………・・・・・・・・・・・」

矢野「…………………」


タタタン タタタ カチッ


矢野「……………」




雑兵「やつの連発銃の弾が切れおったぞ!」

雑兵「今じゃ!かかれえええ!」


うおおおおおおおおおおおおおおおお!




三田村「矢野2尉!伏せてください!」


タタタタタタタタタタタタタタ


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「ぐあああ!」



395:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/18(日) 01:56:50.71 ID:cmSb+XpW0

弾を切らした矢野に襲い掛かろうと高機動車によじ登っていた雑兵たちを装甲車の車上から三田村1曹が機銃掃射で一掃する

雑兵の群れに阻まれて思うように進むことが出来なかった96式装輪装甲車がやっとのことで矢野の乗る高機動車の元へ到達する


雑兵「くそおお!さらに大きな鉄の馬じゃああああ!」

雑兵「うおおおお!」


三田村「うわっ!」


タタタタタタン タタタタタタン


雑兵「うっ」

雑兵「ぐはっ」


三田村は暴発して使い物にならなくなった重機関銃の代わりである5.56ミリ機関銃の掃射を続ける


矢野「………………」

三田村「矢野2尉!自分が援護しますから装甲車内へ退避してください!そこは危険です」

矢野「…………………小野」

小野「」

矢野「……………。すまなかったな、小野。全ては俺の責任だ」

三田村「2尉!はやく!こいつら次々に車両に登ってきます!」



矢野「ああ。一刻もはやくこの殺し合いを終わらせよう」


そう言って矢野は既に息をしなくなった小野を持ち上げ、装甲車に飛び乗る


矢野(俺は多くの罪を犯した。償おうとしても償えない。俺に出来るせめてもの行いは、これ以上の死者を出さない為にこの戦を終わらせることだけだ…………)



403:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/23(金) 00:00:05.96 ID:R6uhuUEI0

三田村「このまま宇喜多の本陣に突っ込みます!しっかり摑まっててください!加納!出せ!」

加納「了解!くおおお!」


グオオオオオ


矢野を収容し終えた96式装輪装甲車は発進する


雑兵「鉄の馬が動き始めたぞ!」

雑兵「何としてでもここを通すな!本陣に一歩も近づけるんじゃないぞ!」

雑兵「おおおおおおおおおおおお!」


本陣に突っ込もうとしてくる装甲車を宇喜多の兵たちは迎え撃つ


雑兵「りゃりゃりゃあああ!」

雑兵「くおおお!」


カツーンッ

カンカンカン


雑兵「槍も刀も効かない!?」

雑兵「押せ押せ!この人数で押さえ込むんじゃあああ!」


刀や槍は装甲車の装甲に弾かれる

武器が通用しないと分かった兵たちは己の身体で装甲車を受け止めようとしていた


加納「こいつら!生身の身体で装甲車を受け止めようとしてやがる!」

三田村「突破しろ!」

加納「しかしっ!人数が多すぎる。いくら装甲車でもこの人海を突破するのは大変です」


装甲車の前に生身の身体による体当たりは通用しないように思えたが、数百人単位で体当たりをすれば効果はある

数百人の雑兵による防壁は装甲車の進行を確実に阻止していた


ブチブチブチッ

雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「ぐあああ!」



404:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/23(金) 00:13:06.84 ID:R6uhuUEI0

加納「敵が多すぎる!速力低下…………」

三田村「この際、車両が壊れても構わない。何としてでも本陣にたどり着け!」

加納「はい…………!?」


ガコッ

ガコン


加納「なっ…………!?」

三田村「どうした?」

加納「車輪に死体が絡まった模様。くっ………。車輪が回りません!」

三田村「くっ」


矢野「後続の軽装甲機動車は?」


後部の兵員室から矢野が操縦席にやって来る


矢野「この装甲車が走行不能になった場合は後続の軽装甲機動車に先に突入させる」



矢野の指揮する部隊の車両は矢野が元々乗っていた高機動車を失った今、96式装輪装甲車と軽装甲機動車の2両のみだった

周りを敵兵に完全に囲まれ、操縦席の窓なども敵兵の身体によって塞がれてしまっている

故に車両内から外の様子はほとんど分からなかった

そんな状況下であるから装甲車内の隊員は後続の軽装甲機動車がどのような状況になっているかを把握できていない



加納「無線で連絡を取ってみます」

三田村「加納、お前は操縦を続けろ。連絡は俺がする」

加納「はい」


そう言って三田村は無線で軽装甲機動車に連絡を取ろうとする



405:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/23(金) 00:35:39.71 ID:R6uhuUEI0

三田村「こちらAPC(装甲車)。LAV(軽装甲機動車)応答しろ」

無線 『ザザッ こちらLAV。送れ』

三田村「こちらAPC。現在、敵兵の人海作戦によってAPCは走行不能。任務続行が困難だ。我々がここの敵兵を何とかして引きつけるから、その隙にLAVのみで宇喜多の本陣へ突入してくれないか?」

無線『こちらLAV。そうしたいところですが、我々の車両も同じく周りを完全に囲まれていて進めません』

三田村「くそっ!本陣はすぐ目の前なのに!」

無線『我々も何とかして…………。くそっ!うおああああ! ドン ドンドン タタタン ギャアアア ザザザッ』

三田村「!?」

矢野「どうしたんだ!」

三田村「おいっ!どうした!応答しろ!」

無線『ザザッ く……敵が、我々の車両を………押し倒して……。ザザッ く………。タタタ タタタ タタタ うおおおお!』

三田村「押し……倒した?」

矢野「軽装甲機動車……をか?」


軽装甲機動車の重量は4.5トン

その重量を雑兵たちは押し倒してしまったのだという

数十人でかかれば押し倒すことも出来るかもしれないが、装甲化された戦闘車両を力任せに押し倒す戦法は矢野たち自衛官にとって完全に盲点であった


三田村「どうします!?はやく彼らの救援に行かなくては!」

矢野「……………」

加納「救援っつっても………この状況で?」


無線『ザザッ こちら……LAV………。救援は必要ありません。タタタタン タタタ ギャアアア 我々、LAVの乗員は今から装甲車に体当たりを仕掛けている雑兵に所持する全ての装備を使用して攻撃を仕掛けます。その隙に………本陣へ!』


矢野「……………くそっ」

三田村「馬鹿を言うな!そんなこと出来る筈がないだろうが!」


無線『このままではこの戦は終わりません!矢野2尉!はやくこの戦いを終わらせてください!」


矢野「……………分かった」

三田村「2尉!?」

矢野「装甲車の周りの敵兵を蹴散らしてくれ。ただし、全ての弾薬は使い切るな。お前たち軽装甲機動車の乗員の命を守るために必要な弾薬はしっかりと確保しろ。いいか?必ず生き残れ。これは命令だ」


無線『…………了解』


矢野「よし。加納!軽装甲機動車の乗員が周囲の敵を攻撃してくれている間に何とかして装甲車を発進させるぞ!」

加納「了解しました!」



406:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/23(金) 00:50:59.64 ID:R6uhuUEI0

~96式装輪装甲車より少し離れた場所・押し倒された軽装甲機動車内


軽装甲機動車には3名の隊員が乗っていた

押し倒された軽装甲機動車はドアが吹き飛び、防弾ガラスも割れてしまい、敵の格好の標的となってしまっている

そんな状況下で3名の隊員は奮闘していた


隊員1「いいかお前ら!我々の持ちうる全ての装備を使って装甲車周辺の敵を殲滅するぞ!」

隊員2「了解っと。つっても!こんなに囲まれてるとなぁ」


タタタン タタタン


雑兵「ぎゃあ!」

雑兵「ぐあっ」


押し倒された軽装甲機動車内に身を隠しながら戦う3名の隊員たち

吹き飛ばされたドア以外は完全に装甲で守られているために、彼らは数百人規模の雑兵相手に何とか戦えていた


隊員3「とにかくこの車両の周辺の敵兵を一掃しないといけません。LAMと誘導弾を全て撃ち尽くせば何とか一掃出来ますかね?」

隊員1「敵兵の半数以上は装甲車のほうに群がっているが、こっちの車両にも100人以上は群がってきてるからな………。まあ、兎にも角にも、ありったけの火砲をぶち込んでやれ!っと、うわっ」


タタタン タタタン


雑兵「ぎゃあ!」

雑兵「がっ」


隊員1「俺が小銃で援護射撃をする。その間にLAMやMATの射撃準備を完了させろ!」

隊員2「了解!」

隊員1「うおらああああ!」


タタタタタタタタタタタ


隊員1は軽装甲機動車の車外に身を乗り出すと、小銃の連射モードで援護射撃を開始する


雑兵「ぐあっ」

雑兵「ぐあああ!」

雑兵「鉄の車は倒れて動けない!今が勝機じゃぞ!」


隊員1「ちっ。これでも食らいやがれ!」


ピーンッ


雑兵「なんじゃ?ありゃ?」



407:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/23(金) 00:55:29.67 ID:R6uhuUEI0

ズドオオオオンン


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「うわあああああああ」


隊員1は群がってくる雑兵に手榴弾を投下していた


隊員1「こうなったら出し惜しみ無しだ。全て投下してやるっ!」


ズドン

ズドンッ

ズドンッ


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「うわああ!」


隊員1「いそげ!LAMの発射準備はまだか!?」

隊員2「発射準備完了!」

隊員1「よっしゃ!“全弾”撃ち込め!」

隊員2「はい!」

隊員3「中MATも発射準備完了しました!」

隊員1「おし。派手にやってやろうじゃねえか」



隊員1「…………あとは頼んだぜ、矢野2尉」



411:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/24(土) 22:53:16.55 ID:0qKazppo0

隊員1「発射あああああああ!」


バシュッ


シュウウウウウウ ズドオオオオン


雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「ぐあっ!」


隊員1「おらおら!てめえらの相手はこっちだ!」


タタタン タタタン タタタン


雑兵「ぎゃあ!」

雑兵「おのれええ」


軽装甲機動車の乗員たちは96式装輪装甲車に襲い掛かる雑兵たちに対戦車弾や小銃で攻撃を仕掛ける



隊員2「中MAT発射準備よし」

隊員1「待て。誘導弾は仮に射撃した場合、装甲車の熱に反応して装甲車を攻撃してしまうかもしれん」

隊員2「そっか。危ない危ない」

隊員1「とにかくありったけの弾を使って敵を引きつけるんだ。装甲車に群がってる敵も全て、俺たちに攻撃の矛先を変えるようにするんだ!」

隊員2「全ての敵兵を我々が引き受ける………ということですか。やってやりましょう!」

隊員3「はい!」


タタタ タタタ タタタ


隊員1「ほらほらこっちだ!てめえらまとめてかかってこーい!」



413:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:17:32.69 ID:JRQoRwx90

軽装甲機動車の乗員の攻撃に次々と倒れる宇喜多の兵士

装甲車に攻撃を仕掛けていた雑兵たちも軽装甲機動車の隊員達の攻撃に気付いた


雑兵「あそこじゃ!もうひとつの鉄の馬から攻撃してきおる」

雑兵「おのれえええええ!」


うおおおおお!


隊員1「よし!こっちの攻撃に気付いたぞ。もっと弾幕を張ってひきつけろ」

隊員2「はい。っと!うわっ」


タタタン


雑兵「ぎゃっ」


隊員3「ひきつけるのは良いが、そろそろ…………。厳しくなってきましたね」

隊員1「………………。良いから攻撃に専念しろ。俺たちの仕事は矢野2尉たちを本陣に送り出すことだ」

隊員3「そうですね。くっ!」


タタタ タタタ


バシュッ



ズドオオオオオン


雑兵「うぎゃ」

雑兵「こっちの鉄の馬は後回しじゃ!あっちの攻撃してくる鉄の馬を先に倒すんじゃ!」

雑兵「うおおおおお!」


隊員1「よし!装甲車に群がってた兵がこっちに来たぞ」

隊員2「矢野2尉。今のうちに本陣へ!」


タタタ タタタ


ズドオオン



414:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:29:06.85 ID:JRQoRwx90

隊員3「LAMの残弾がもうありません!」

隊員1「くっ………」


110ミリ個人携帯型対戦車弾が切れる


隊員2「手榴弾を下さい!小銃じゃ防ぎきれない」

隊員1「これでラストだ」

隊員2「感謝します」

隊員1「装甲車はどうだ?本陣に突入できそうか?」

隊員2「…………………!」


敵兵の山に進行を妨げられていた96式装輪装甲車だったが、隊員1たちが敵兵たちを引き寄せた為にどうにか動けるようになったらしい

エンジン音と共に、巨大な装甲車は前にゆっくりではあるが進み始めていた


隊員3「装甲車が走行を開始しました!」

隊員1「俺たちの任務は………成功したのか」

隊員2「はは。その代わり、相当量の敵兵が我々の元に押し寄せてきますけどね」

隊員1「…………。まだ死ぬって決まったわけじゃない。目の色が黒いうちは絶対に諦めるな!生き残ることを第一に考えて戦え!」

隊員2「了解」

隊員3「はい!」


そう返事をして彼ら3人の隊員は小銃を敵兵に向けて構える

しかし、隊員達の持っている小銃弾の残弾は残り僅かであった

足となるはずの軽装甲機動車も押し倒され、戦場からの脱出も不可能

その上、押し寄せてくる敵兵の数は3名で防ぎきれる人数ではない

それでも彼らは戦う


隊員1「頼むぜ!矢野2尉!」


宇喜多秀家の本陣に突入する装甲車を視界の片隅に確認した後、隊員達は再び戦闘を開始した



415:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:42:48.31 ID:JRQoRwx90

~宇喜多秀家本陣~


宇喜多秀家「……………鉄の馬がここに!?」

配下の兵「はっ。もうじきここへ来るものと思われます」

宇喜多秀家「我が陣の防御に当たっていた鉄砲隊や兵たちはどうした?」

配下の兵「鉄の馬2つを倒すことには成功したのですが、1番大きな鉄の馬は倒し損ねた模様。そして、鉄砲隊と弓隊は全滅、残った兵もほぼ壊滅…………とのこと」

宇喜多秀家「何と!?」

配下の兵「殿!お逃げください。あの鉄の馬………。ただの刀や鉄砲では倒せませぬ。刃も鉄砲弾も弾き返され、足軽が近づいても連発銃や爆裂弾にやられてしまいます。この本陣に残った僅かな兵では太刀打ちが出来ませぬ」


宇喜多秀家の兵のほとんどは自衛隊に倒されるか、東軍への攻撃に参加していて本陣にはほとんど人が残っていない

秀家本人と20名ばかりの兵のみが本陣にいた


宇喜多秀家「………………」

配下の兵「今ならまだ西軍が優勢です。確かに他の武将もあの奇怪な連中に劣勢ではありますが、一部の西軍の兵は内府家康の本陣の手前まで迫っております。勝機はまだ…………」

宇喜多秀家「わしに…………」

配下の兵「は?」

宇喜多秀家「わしに逃げろと申すのか!?」


ガタッ


配下の兵「そ…それは」

宇喜多秀家「わしは逃げぬ。例え怪物並みの力を持った鉄の馬が来ようと逃げぬ。わしも武士だ!戦いを挑んできた者が居るのなら受けて立つ!」

配下の兵「しかし!殿!」

宇喜多秀家「刀を持って来い!」

配下の兵「………………はい」

宇喜多秀家「わしは太閤殿下の恩義を果たす為にこの戦に参加した。ここで逃げては亡き太閤殿下に合わす顔も無い。いや、それ以前に武士としての名が廃る!」



416:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:45:47.24 ID:JRQoRwx90

配下の兵が刀を持ってくる


宇喜多秀家「よし。逃げたいものは逃げよ。敵は怪物じゃ。誰も咎めはせん」


一同「「 ……………… 」」


宇喜多秀家「ふん。おぬしらも武士……ということじゃな」


そう言って秀家は刀を鞘から出す


宇喜多秀家「怪物退治じゃ。鉄の馬だろうと連発銃だろうと、わしの手で葬ってやる」



420:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/26(月) 01:14:28.06 ID:64U5nyVG0

~96式装輪走行車内~


当初、10名居た宇喜多秀家討伐隊の隊員は既にその数を5名まで減らしていた


矢野「総員、下車準備。本陣突入と共に装甲車から下車し、戦闘陣形を展開する」

隊員たち「「 了解 」」

三田村「突入まで残り秒読み10秒!」

矢野「後部扉を開け!三田村と加納は装甲車上から援護射撃!」

三田村「了解!」

加納「はい!」


装甲車に乗る5名の隊員のうち矢野を含む3名の戦闘員が装甲車の後部扉から下車し、速やかに宇喜多秀家の身柄を確保する

三田村と加納の装甲車組は車上から矢野たち3名の隊員の援護をする

これが宇喜多秀家の本陣攻略の作戦であった


自衛隊員を乗せた装甲車はついに本陣に突入する


グオオオオオ

ウオン オン


バキバキバキ


雑兵「!?」

雑兵「来おったか!」


三田村「本陣突入しました!後部扉、開放します!」

矢野「よし!行け行け行け!遅れるな!」

三田村「加納!小銃持って車上に行くぞ」

加納「はい」



421:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/26(月) 01:28:03.79 ID:64U5nyVG0

宇喜多秀家の本陣に突入した装甲車の後部扉が開き、矢野たち3名の隊員が吐き出されるように出てくる


宇喜多秀家「これが鉄の馬か…………」

明石全登「お下がりください。ここは自分が…………」

宇喜多秀家「全登、こやつらはわしの討伐に来たのだろう。ならばわしが相手をするまでのこと」

明石全登「しかし…………」


宇喜多秀家の軍師的存在である明石全登は秀家を守ろうとしたが、秀家はそれを止める

本来の史実では明石全登は福島正則と戦闘をしているはずだったのだが、自衛隊が宇喜多秀家の軍勢に攻撃を仕掛けているという話を聞いた彼は配下の兵を引き連れて秀家の本陣に戻ってきていた

無論、連れてきた配下の兵はほとんど自衛隊の近代兵器にやられてしまっている


雑兵たち「………………」


本陣に残っている兵士たちは秀家本人を守るために陣に居るだけあって、全員が全員、精鋭であった

精鋭と言われるだけあって、彼らは突入してきた装甲車にうろたえもせずに武器を構えている



タタタ タタタ


雑兵「ぐっ!」

雑兵「がはっ」

雑兵「連発銃じゃ!気をつけろ!」

雑兵「殿を守るのじゃ!」


タタタ タタタ タタタ



422:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/26(月) 01:38:39.93 ID:64U5nyVG0

装甲車から下車した3名の隊員は3点制限射撃で身近に居た兵士の何人かを倒す

先手を取って、相手が怯んだ内に周囲を確保する

それが矢野たちの第一目標であった

しかし…………



雑兵「りゃあああああ!」

雑兵「おうおおおおおおお!」


矢野「装甲車にも小銃にも怯まないだと!?」

大西1士「うわあああ!2尉!どんどん来ます」

矢野「落ち着け大西!敵は20名程度だ。冷静に1人1人対処しろ」

大西「はい!」


タタタン タタタン

ドン ドン ドン


雑兵「ぐおっ」

雑兵「くあっ」


精鋭部隊の兵士たちであれど刀や槍と小銃ではリーチが違いすぎた

小銃弾に宇喜多の兵は次々に倒れていく

それでも彼らは怯まなかった


隊員「ひっ。こいつら死ぬのが怖くないのか!」

矢野「くっ」


タタタ タタタ カチカチ


隊員「弾切れだ………」


雑兵「うりゃあああああ!」

雑兵「おおおおお!」


パタタタタタタタタタタ


雑兵「ぐはっ」


三田村「俺らが援護する隙に予備弾倉を装填しろ!」

隊員「はい」



423:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/26(月) 01:59:54.61 ID:64U5nyVG0

雑兵「く………。連発銃か。やはり強い」

雑兵「もう10名も倒しおった」


小銃および機関銃の射撃で20名居た宇喜多の兵は半減していた


矢野「お前ら!俺たちの力はもう思い知っただろ!刀と銃じゃ勝負にならん。いいか、俺はこれ以上無益な血を流したくない。おとなしく投降しろ!そうすれば命の保証はする」

明石全登「投降じゃと!?」

雑兵「そんなことするか!」

雑兵「そうじゃ!うおおおおお!」


タン タン 


雑兵「がはっ」


矢野「我々にはこいつ(小銃)がある。お前たちの持つ刀の刃が俺たちに届く前にお前たちは倒されるんだ!それでもまだ勝負するのか?」

雑兵たち「「 ……………… 」」

矢野(頼む。全員投降しろ。これ以上の戦闘はもはや意味がない)




「そうじゃな。わし以外は投降すべきであるかもしれぬ」




矢野「!?……………宇喜多……秀家か」


宇喜多秀家「おお!そうとも。某は宇喜多秀家である!おぬしの名は何と申す?」

矢野「陸上自衛隊、第十二旅団所属、矢野隼人2等陸尉だ」

宇喜多秀家「りくじょう………じえいたい?内府の軍勢か?聞いたこと無いのう。南蛮の兵士でも無さそうじゃし。連発銃に鉄の馬、着ている衣服も奇妙じゃ。おぬしらはどこから来た?」

矢野「……………」

宇喜多秀家「答えられぬか?」

矢野「……………我々の故郷である国は“ここ”日本だ。400年の時が違えど、ここが我々の故郷であることに変わりは無い。そして、我々は我々の故郷で起きている戦を一刻も早く終わらせるために来た」

宇喜多秀家「よく分からんの。じゃが、おぬしらはわしを倒そうとして来たのじゃろう?」

矢野「必ずしもそうとは言えない。あなたが降伏し、投降してくれれば我々はあなたに攻撃はしないし、他の兵にも攻撃はしない」

宇喜多秀家「ふむ」

矢野「頼む!投降してくれ。我々は無益な戦闘はしたくないんだ!」

宇喜多秀家「……………のう、おぬし。おぬしも武人ならわかるであろう?」

矢野「?」

宇喜多秀家「相手がどんな強者であろうとも、降伏したら死んでいった配下の兵に申し訳が立たぬ。手足がまだ動くうちは決して戦うことを止めぬ!」

矢野「秀家!」

宇喜多秀家「おぬし、先程面白いことを言うたな。刀と鉄砲では勝負にならぬ…………と」

矢野「おい。何をする気だ!?」


宇喜多秀家は持っていた刀を構え、矢野の方を向く




宇喜多秀家「本当にそうか試してみようではないか」



427:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 13:46:37.11 ID:MVTKRRZZ0

矢野(本気なのか?こいつは……………)


宇喜多秀家「…………………」


ジリッ


矢野「!?」

矢野(この目…………。小銃相手に刀で本気に………!)


小銃を構える矢野にじわりじわりと迫る宇喜多秀家

その目からは半端では無い気迫が感じられる


矢野(数多の修羅場を潜り抜けてきた目だ。これが戦国武将…………か)



雑兵「殿!」

雑兵「連発銃相手には!」

雑兵「殿をお守りしろ!」




宇喜多秀家「手出し無用おおおおおおおおおお!皆の者!手を出すでないぞ!」




雑兵たち「「 …………… 」」




加納「車長!宇喜多の野郎、2尉とタイマン張るみたいですよ!援護しないと!」

三田村「相手は刀だ。こっちにゃ小銃がある。タイマンで負けるはず無いだろ。矢野2尉が秀家を圧倒して終了だ。心配するな」

加納「しかし………。あの気迫…………」

三田村「ああ。やべえ空気ではある。だが、矢野2尉の射撃の腕は特殊作戦群内でもトップだったと聞く。この距離で外すはずがない。大丈夫だ」

加納「………………」



428:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 13:52:03.99 ID:MVTKRRZZ0

ジリッ


ザッ



矢野「………………」

宇喜多秀家「………………」




ザザッ


矢野「!?」




加納「秀家が動いた!」



矢野「くっ」



タアァーン



宇喜多秀家「……………くおっ!」



カキイイイイイイイイン



矢野「なっ!?」

宇喜多秀家「もらったああああああああああ!」



429:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 14:06:25.34 ID:MVTKRRZZ0

矢野は県3尉から宇喜多秀家が関が原の後でどういった人生を歩むのかを聞かされていた

故に矢野は宇喜多秀家を殺そうとは思っていない

仮にここで秀家を殺せば歴史が変わってしまうのだ

そこで矢野は迫ってくる秀家の利き腕を撃ち抜き、戦闘能力を奪おうとした



だが、



宇喜多秀家「うおおおおおおお!」

矢野「くそっ!」


ガツン

キーンッ



宇喜多秀家はそんな矢野の意図を見透かしたかのように弾道を見極め、小銃弾を刀で防いでしまった



至近距離から撃たれた小銃弾をまともに受けた衝撃で秀家の持っていた刀は若干変形してしまったが、殺傷能力は失っていない

この時代の鍛冶職人の腕の賜物である刀もまた、近代兵器に怯まなかったのである



あまりの出来事に一瞬怯んでしまった矢野は反撃の機の逃し、秀家の反撃を許してしまう

刀による斬撃を小銃でかろうじで防ぐことに成功するも、小銃の利点である射程を封じられた矢野は完全に劣勢となった



430:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 14:28:38.47 ID:MVTKRRZZ0

矢野「くおおおお!」


ガチガチガチ


小銃と刀がぶつかり合い、金属の擦れあう音が鳴る


宇喜多秀家「おぬし、本気でわしを殺す目をしておらんかった。戦場では少しの弱気が命取りになるぞ」

矢野「くっ………。確かに………俺たちは人を殺すことを恐れている…………」


ガチガチガチガチ


矢野「だがなぁ………!殺すことを恐れなくなったら………それで………人として………」

宇喜多秀家「!?」

矢野「終わりじゃねええええかああああああああああああああああああ!」



ガッキイイイイイン



矢野は秀家の刀を弾き返す


陸上自衛隊では銃剣道という武道が行われていて、矢野たち陸上自衛官は小銃での白兵戦闘の心得が無いわけではなかった

特に矢野は白兵戦闘訓練で優れた成績を修めている者であり、この時代の兵士とも互角に戦えている


宇喜多秀家「やるではないか。おぬし。面白い、久々に刃を交えるとするか!」

矢野「くっ」



ガシャッ


矢野「!?」


激しい白兵戦闘のせいか小銃のマガジンが脱落してしまう


矢野「ちっ」

宇喜多秀家「ほう。その中に鉄砲の弾が詰められていたのじゃな」

矢野「どうせ格闘戦じゃ射撃は必要にならん。さあ行くぞ秀家!」

宇喜多秀家「言われるまでも無いわ!」



ガキイイイン

キイイイン

ガンッ

ガンッ



431:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 14:40:20.87 ID:MVTKRRZZ0

加納「車長!このままじゃ2尉が!」

三田村「まさか………こんなことになるとは!?」

加納「くそっ!俺がここから秀家を撃ち抜けば!」

三田村「やめろ加納!今撃ったら矢野2尉に当たってしまう可能性がある」

加納「しかし…………」



ガキイイイン

カンッ


キイイイン



白兵戦闘を続ける矢野と宇喜多秀家

最初こそ互角に渡り合っていたが、徐々に秀家が優勢となっていく


矢野(くそっ!攻撃が速い!防ぐのが精一杯だ。戦闘経験の差か?)

宇喜多秀家「うおおおおお!」


キイイイイイン


矢野「ぐっ………」

矢野(今まで数々の戦闘で培った経験の賜物………。あらゆる攻撃パターンを予測して確実に俺の攻撃を封じてやがるのか!)


戦闘はほとんどが遠距離からの射撃で、実戦経験も乏しい矢野と歴戦の武士である秀家の力の差は目に見えていた

現代では強者であった矢野も戦国武将の前には無力である



カキイイイイイイイイイイイイイイイイン


矢野「あっ!?」

宇喜多秀家「もらったああああああああ!」



グサッ




矢野「ぐっ…………」



433:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 20:53:34.47 ID:MVTKRRZZ0

矢野「ぐっ…………」



三田村「2尉!」

加納「矢野2尉いいいい!」



宇喜多秀家が矢野の腹部に刀を突き立てる



ガツッ



宇喜多秀家「!?」

矢野「鎧を着てるのは…………あんたらだけじゃないさ」

宇喜多秀家「服の下に………鎧が!」

矢野「おおおお!」


ガキイイイン


宇喜多秀家「くっ!」


矢野たち自衛官はボディアーマーを着用しているが、ボディアーマーは戦国時代の兵士の着ている鎧とは全く違う見た目を持つ

宇喜多秀家は矢野の着るボディアーマーが刀を弾き返すほどのものだとは見破れていなかった

そもそも、この時代の兵士がボディアーマーを見ても、それが鎧のような役割を果たす衣服だということには気付かないであろう


宇喜多秀家は確実に止めを刺そうと、全力でボディアーマーに刀を突き立てたわけだが、見事に刀は弾き返され、その反動で秀家は刀を手から放してしまった



宇喜多秀家「何のこれしき!」

矢野「取るな!」


ダンッ ダンッ ダンッ



手から離れ、地面に落ちた刀を拾おうとする秀家

だがその前に矢野がすかさず腰元から9ミリ拳銃を取り出し、落ちた刀に銃弾を撃ちこむ


宇喜多秀家「か………刀が……」

矢野「いくら頑丈な刀とはいえ、至近距離から9ミリ弾を3発も食らえば折れるのは必至。勝負あったな」

宇喜多秀家「く…………。相手が鎧を着ていないと思い込み、決着を焦ったわしに敗因がある……か。うむ。わしの………負けじゃ」

矢野「……………ハア」


勝敗が決まり、矢野はほっと一息つく



434:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 21:08:20.52 ID:MVTKRRZZ0

雑兵「そんな………!」

雑兵「殿が………!?」

明石全登「くっ………」

雑兵「こんなの認めんぞ!」

雑兵「そうじゃ!」



宇喜多秀家「皆の者!静まれ!負けは負けじゃ!」



雑兵たち「「 ……………… 」」




三田村「どうにかなったな…………」

加納「自分はヒヤヒヤしましたよ。はァ…………」


矢野以外の自衛官も安堵する



宇喜多秀家「矢野……・・・と言ったか?」

矢野「ああ」

宇喜多秀家「わしの負けじゃ。それは認めよう。じゃが、ひとつ武士の情けで頼みを聞いて欲しい」

矢野「武士の………情け?」

宇喜多秀家「ああ。そうじゃ。最期は………己の手によって!」



矢野「……………腹を切るつもりか」



宇喜多秀家「………………」



435:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 21:41:08.17 ID:MVTKRRZZ0

矢野「残念だがそれh」


雑兵「おのれえええええええ!おぬしらに!おぬしらに殿はあああああ!」



矢野「!?」

宇喜多秀家「!やめ…………」



激怒した雑兵が矢野の首筋に刀で斬り付ける



ブスッ



矢野「が……………」





三田村「矢野2尉!」

加納「あんにゃろおおおお!」


タタタタタタタタタタ


雑兵「ぐっ、がはっ…………」


大西「矢野2尉!」



矢野を攻撃した雑兵を小銃の連射で倒す加納

他の隊員は矢野の元の駆け寄る


雑兵「くっ!」

雑兵「おのれええええ!」


大西「動くんじゃねええええええ!」



パタタタタタタ タタタタタ


雑兵「うわっ」

雑兵「くそっ!」


宇喜多秀家「皆の者!動くでない!」



437:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/27(火) 21:56:51.32 ID:MVTKRRZZ0

三田村「くっ。出血が激しい。加納!止血しろ。誰か装甲車から救急用のセット持って来い!」

大西「自分が行きます。おい、お前は他の兵士が動かないように見張ってろ」

隊員「了解!お前ら、動いたら容赦なく銃弾を浴びせるからな!」


矢野の首筋から噴き出す血を抑える加納

しかし、その行為も虚しく、抑えても抑えても血はあふれ出してきてしまう


加納「止まらねえ!くそおおお!」

三田村「落ち着け加納!しっかり抑えてろ!」

加納「はい!」


加納も三田村も矢野の血しぶきで全身を赤く染められてしまう


矢野「く………。おま……えたち………」


三田村「矢野2尉!」

加納「傷口が浅く、致命傷にまでは至ってないのか!?」

三田村「だとしてもこのままじゃ出血多量で駄目だ!はやくベースに戻って手当てしないと!」

加納「ここで応急処置して即効でベースに戻りましょう!………ですが、軽装甲機動車の乗員たちの回収も……」

矢野「だま………って聞け」

三田村「2尉…………」

矢野「いい……か?宇喜多…秀家を…………殺すな。宇喜多秀家の………軍を……解体…………させたあとで、秀家を……逃がすんだ」

加納「しかし、2尉!」

矢野「それが………歴史の……ただ…………しい、あり………かた」

三田村「分かりました!分かりましたから………もう、しゃべらないで下さい!」

矢野「く…………。すまない。俺………のせい…で多くの………ぶ……かを………」

三田村「2尉のせいではありません!」


大西「救急用のセットです!持ってきました!」


加納「急げ!」

大西「はい!」


矢野「……………………結局………歴史は…………俺たちに…何をさせようとしていたんだろ……うな」


三田村「矢野2尉いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」



441:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 15:14:48.23 ID:6uLixZu00

~桃配山・家康(仮)陣~



県「小西行長をはじめとする幾つかの軍勢が正信の陣へ到達、伊達政宗と島左近は一進一退の戦い、宇喜多秀家は敗走、小早川は動かず………か」

隊員「宇喜多秀家が敗走………ということは矢野2尉たちがついに!」

県「ああ。そういうことになる。これで少しは戦況が変わるだろう。あとは小隊長が石田三成の陣を攻略するか、空挺隊員達と戦車が小早川の陣を攻略するかすれば我々の勝利だ」

隊員「おお!」


県の言葉に、自衛隊員だけでなく周囲の元家康配下の兵たちも表情が明るくなる


県(とは言ったものの、決して我々が優勢になったわけでは無い。我々自衛隊の部隊が石田三成の陣に到達しようとしているように、西軍の軍勢も、この桃配山に到達しようとしている。どちらが先に大将の本陣にたどり着くか………。それで勝敗が決まる)


西軍の軍勢は本多正信の陣の手前まで迫ってきている

正信の陣に居る野中や海野といった隊員達によって何とか、その足を食い止めてはいるものの、そう長くは保たないだろう


県「にしても……、都合が良すぎるよな」

隊員「は?」

県「いや、伊達政宗に前田利家のことは前に話したよな」

隊員「はい。伊達政宗も前田利家も本来は関が原に参加していない武将である……と」

県「本多正信もだ。しかも、俺に知っている歴史では前田利家はすでに死んでいることになっている」

隊員「我々が……この時代にやって来たために、歴史が狂ってしまっている。ということですね?」

県「ああ。ちょっと前までは俺もそう思っていたさ。だが、それだとおかしいことに気付いた」

隊員「おかしい?」

県「そうだ。我々がこの時代にやって来たために歴史が変わったというのならば、歴史が変わるのは我々がこの時代に来た後のみ………ということになる。つまり、1600年9月14日以降の歴史が変わるということだ」

隊員「そう…なりますね」

県「ならば、なぜ?1599年に死ぬはずだった前田利家が生きていたんだ?」

隊員「!?」

県「我々が来る前から歴史は変わってしまっていた、と考えるのが妥当なんだろうな。まぁ、我々が来て、家康が死に、完全に歴史が狂ってしまった今となっては、どうでも良いことではあるけどな」

隊員「……………」



442:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 15:34:29.17 ID:6uLixZu00

県(元々狂っていた歴史。なぜ前田利家が生きていたのか?なぜ伊達政宗が関が原付近に居たのか?なぜ本多正信が関が原に参加したのか?関が原の戦いが開戦する前はそれがずっと疑問だった。しかし、開戦して数時間経過した今、俺はその答えが分かったような気がする)

県(島左近との戦いで苦戦する小隊長の元に駆けつけ、救った伊達政宗。その伊達政宗の不在で桃配山に押し寄せてきた小西行長の軍勢を防ぐように存在する本田正信の陣。そして、正信の代わりに上田城を攻める前田利家…………)

県(出来すぎているんだ。都合よく出来すぎているんだ。だから俺は………ひとつの結論を出してしまった)




県(この俺が………桃配山に居る意味。それは…………)





雑兵「忍びじゃああああ!」

雑兵「くそ!小西の先遣か!?」

雑兵「討てええええ!」


県「!?」


隊員「西軍の忍びが桃配山に侵入したそうです!」

隊員「万が一のこともあります。家康役の県3尉はパジェロ(73式小型トラック)に退避してください」


姿は見えないが西軍の忍びが桃配山に侵入したらしい

元家康配下の兵が忍びが居ると思われる林へと入っていく

家康役の県が討ち取られると、東軍の敗北は必至だ

それを避けるために県の居る家康本陣(仮)には脱出用の車両が1台置いてあった


隊員「忍びだろうと結局はこの時代の兵士だろ?小銃の掃射で終わりだ。俺が退治して来る」

隊員「よせ。根元から聞いた話だが、この時代の忍びってのはレンジャーなんかと比べ物にならないほどの工作員らしい。林の中での戦闘じゃ俺たちが不利だ。ここは敵が姿を現すまで待ってから攻撃をするべきだ」


県以外の2名の隊員はそう言い合いながら小銃や機関銃を車両から持ってくる


隊員「3尉も小銃を」

県「ああ。2人とも単独行動はするな。忍び複数人相手じゃ、いくら小銃を持っていても危険過ぎるからな。それと俺からあまり離れるな」

隊員「は…はあ」



443:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 15:39:25.78 ID:6uLixZu00

雑兵「ぐあっ!」

雑兵「そっちじゃあああ!」

雑兵「ぎゃあああ!」


林の中から忍びの討伐に向かった兵たちの悲鳴が聞こえる

県の周りに居る兵たちはその声を聞いて浮き足立った


県「みんな!無闇に林に入るな。林は忍びにとって格好の戦場だ。敵が確実に姿を現すこの本陣で決着をつけよう」

雑兵たち「「  御意! 」」


ガサガサガサガサ


林の中の草木が揺れる音がする


県「来たか」


ガサガサガサガサ





ザザザザザザザ



雑兵「出おった!」

雑兵「県殿をお守りしろ!」

隊員「よし撃て!」



タタタ タタタ タタタ

タタタタタタタタタタ


パパパパン パン パン

ヒュンヒュン


雑兵たちの持つ火縄銃や弓、隊員の持つ89式小銃と5.56ミリ機関銃が一斉に火を吹いた



446:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 23:11:07.11 ID:6uLixZu00

タタタ タタタ


隊員「こんだけの弾幕だ。いくら忍者でも生きてるはず無いだろ」

隊員「気を抜くな。敵兵の死体を確認するまではな」

県「………………」



シーン



ありったけの銃弾や矢が撃ち込まれた林からは何も聞こえてこない

小銃弾に含まれていた曳光弾によって僅かばかりの草が燃えているのが確認できるだけだ


雑兵「やったか!」

雑兵「おおお!さすがは“じえいたい”の鉄砲じゃ!わしらの火縄銃とはわけが違ったぞ!」

雑兵「ああ。これがあれば三成など恐るるに足らん」


小銃手が県を含めた3名の隊員だけでは心もとなかった為に、元家康の配下の兵の何人かにも89式小銃を持たせていた

狙いを定めて目標に正確に当てるような射撃は無理だが、掃射による弾幕張り程度ならこの時代の兵にも出来る

元々、小銃を撃つだけならさほど難しい操作は必要されない


県「撃ち方が雑ではあるが………。まあ、充分だろう」

隊員「火縄銃に比べれば威力も射程もありますからね。この時代の兵士が驚くのも無理はないです」


雑兵「県殿。敵兵の死体を確認してまいります」

県「よろしくお願いする。だが、まだ敵が生きているかもしれない。気をつけてくれ」

雑兵「何の何の!あれだけの鉄砲玉を浴びせたんじゃ。あれで生きておるはずがない」

雑兵「よし。行くぞ!」

県「………………」


雑兵たちは忍びたちの死体の確認のために林へと入っていく



447:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 23:23:57.16 ID:6uLixZu00

隊員「しかし………。忍びとは言え、敵兵がここまで到達してくるとは……」

隊員「野中たちは大丈夫だろうか?」

県「心配するな。ほら聞こえるだろ?」

隊員「?」



バシュ 

カシュッ カシュッ


シュウウウウウ


ズドオオオン

ドオオン


タタタタタタタタタタタ


隊員「迫撃砲やLAMの発射音…………。機関銃の射撃音!」

隊員「野中たちはまだ頑張っている!」

県「ああ。我々の陣に敵を到達させないように踏ん張ってくれている」

隊員「しかし、迫撃砲に機関銃。第一次防衛線は突破された………ということですよね?」

県「第一次防衛線突破か。ということは野中たち自衛官は迫ってくる敵の姿を既に目の前にしているということか」

隊員「数百、数千って数の兵士が目の前から突撃してくるんだろ?俺だったら腰が抜けちまう………」

県「……………。そうだ。敵の忍びの死体はどうなったんだ?」


そう気付いて県は林のほうを見る

見れば雑兵たちが林の中でガサガサと何かやっていた


県「おーい!死体は見つかったのか?」


雑兵「それが…………。何人かは見つかったのですが」

雑兵「襲撃してきた忍びはもっと大勢居たと言っている者がおりまして」

雑兵「見間違いじゃないのか?」

雑兵「そんなことはない!わしは見たぞ!少なくとも20名は居た筈じゃ!」



448:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 23:38:30.46 ID:6uLixZu00

県「………………」

隊員「何か嫌な予感が………………!?」

隊員「3尉!あそこ!」

県「!?上か!」


ガサガサガサ


死体の捜索をしている雑兵たちの真上の木の枝が揺れる


県「気をつけろ!上だ!」


雑兵たち「「 !? 」」



ザザザザザザザザ


雑兵「うおっ!」

雑兵「木に登って鉄砲の弾を避けたのか!?」

雑兵「おのれえええ!」


忍びたち「「 …………… 」」


雑兵「ぐあっ!」

雑兵「ぎゃあああ!」

雑兵「ぐはっ」


木から滑り降りてきた忍者たちは根元に立っていた雑兵たちを次々に倒す

雑兵たちも反撃をしようとするが、力の差が圧倒的過ぎた


隊員「何だよあれ!速過ぎて見えないぞ!」

隊員「くそっ!まとめて撃ってやる」

県「やめろ!今撃てば味方の兵に当たる!」

隊員「しかし…………」

県「くっ」

隊員「踊るように人を殺していきやがる…………。ありゃデルタでも勝てないぞ………おい」


戦忍(いくさしのび)というのは一般的にフィクションだと思われていた

県3尉は戦国時代に詳しいとは言え、詳しいのは文献に載っている範囲内での歴史である

であるからにして戦に参加して、戦闘を行ったり、破壊工作を行う忍び、つまりは戦忍という存在を知らなかった

小西行長の命によって桃配山を襲撃したのは、歴史的文献には記述の無い裏の組織である戦忍だ


県「まるで殺しの為に存在しているような連中だ…………」

隊員「3尉!危険ですから車両まで退避しましょう」

県「……………」

隊員「おいおい………あっという間に雑兵が!?」



450:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 23:50:17.61 ID:6uLixZu00

殺しのプロである戦忍(いくさしのび)たちはあっという間に死体捜索を行っていた十数名の雑兵を倒す

本陣に配属されているだけあって、県の周りに居る兵は皆、相当な手練だったはずだ

その手練をあっという間に倒してしまった戦忍の戦闘能力は計り知れない


隊員「敵兵は確認できるだけで13名…………。小銃で………倒せるか?」

隊員「俺たちの持ってきた89式を持たせていた兵士は全員、あの忍者たちに殺されてしまった。生き残っている兵士は槍や火縄を装備した兵ばかりだ」


自衛隊の小銃を持たされていた雑兵は既に全員殺されていた

本陣にはまだ大半の兵が残ってはいたが、彼らの持つ武器は槍や刀、火縄のみだ

刀や槍では戦忍13名には到底勝てないだろう

火縄銃は装填が遅く、命中精度も89式小銃にはるかに劣るものだ


隊員「頼みの綱は俺たちってことか」

隊員「3尉!下がっていてください。我々2名で何とかします!」

雑兵「わしらとて力にならないわけではなかろう!助太刀いたす!」

県「……………。わかった。だが、攻撃は初撃の一斉射撃のみに限定しろ」

隊員「は?」

県「命令だ。火縄を持った兵とお前たち2名の隊員の小銃による一斉射撃が終了したら、全員、俺の後ろまで後退してくれ」

隊員「なっ!?」

雑兵「どういうことじゃ?」

県「来るぞっ!」



451:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/30(金) 23:59:40.20 ID:6uLixZu00

ザザザザザザザ


林から戦忍たちがかなりの速さで出てくる


隊員「来たぞ!」

隊員「初撃を絶対はずすな!」


タタタタタタタタタタ

タタタタ タタタタタ


パパパパパパパパパン


戦忍「ぐはっ」

戦忍「がっ」


小銃と火縄銃の一斉射撃によって戦忍の何人かが倒れる


隊員「ちっ。速い!」

隊員「上だ!まだ木の上に何人か居やがった!」

雑兵「くっ」


ザザザザザザザザザ


タタタタタタ

タタタタ


戦忍「ぎゃあああ!」

戦忍「ぐはっ」


隊員「8人目!残り5名!」


タタタ カチッ カチッ


戦忍「ぐはっ」

戦忍「げっ」


隊員「弾切れだ。装填するから援護…………」


県「撃ち方止め!総員後退しろ!」


隊員「3尉…………」

隊員「くっ。後退だ」


県の号令で隊員2名を含めた全員が後退する

それと同時に県は前進する


隊員「3尉!何をするつもりです!?敵の忍者はまだ3人残って…………!」



452:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/31(土) 00:08:21.54 ID:/PoG4ReN0

戦忍「………………」


戦忍は苦内や刀を構えたまま物凄い勢いで県に迫っていく



県(俺の考えが正解ならば…………。俺の撃つ銃弾は外れない!)



県は手に持った9ミリ拳銃を構える



隊員「敵のあの速さじゃ拳銃は当たらないぞ!」

隊員「3尉!」




ダンッ



戦忍「がはっ」




ダンッ



戦忍「ぐはっ」



ダンッ



戦忍「ぐおっ」



県の立て続けに放った3発の9ミリ弾は見事に戦忍に命中した

3人の戦忍たちはその場に倒れこむ



隊員「ま……まじかよ」

隊員「あんな速さで迫ってきた3人の忍者をたった3発で全滅させやがった…………」

雑兵たち「「 おおおおおおお! 」」




県「…………………」



県(偶然…………ではない。やはりそうだ。俺の考えは正しかった…………。それを3発の銃弾が証明して見せた。あんな速さで迫る3人の敵に的確に弾を命中させる射撃の腕は俺には無かった。では、俺の役割は……………やはり!)



460:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/02(月) 16:30:30.79 ID:NiAgMkyD0

~小早川秀秋の陣~


島田「島2尉!無事ですか?」

島「ああ!救援は必要ない………とは言ったが、助かった」

島田「それは何より」


小早川の陣に突入した10式戦車と空挺隊員達は合流していた

10式戦車の対戦車ロケットを弾き返しながら進んできたその姿に恐れをなしたのか、小早川の兵たちは本陣奥深くまで後退してしまっている


島田「へっ。10式戦車の力を見せ付けてやったぜ」

島「気をつけろ。テロリストたちはまだ半数程度は生き残っているはずだ。いくら10式でも対戦車弾の集中砲火を受けては………」

丸岡「自分の腕なら対戦車弾の数発かわしてみせますよ」

島田「とにかく、これからこいつ(戦車)で小早川を追い詰めます。島2尉たちは戦車の陰に隠れながら敵兵を警戒してくれますか?」

島「分かった。大賀、穴山、戦車の側面に沿って敵を警戒しながら進むぞ」

大賀「了解」

穴山「はい!」




「おーいっ」




島「!?望月、三好?」


林の中で敵兵を引きつけていたはずの望月と三好が走ってくる


島「どうした?」

望月「我々が相手をしていた小早川の兵たちが本陣まで後退していったので、何があったのかと来てみたのですが………。なるほど、戦車の登場でしたか」

三好「このまま小早川秀秋のとこまで突入するんですよね?」

島「ああ。はやく小早川をどうにかしないといけない」

島田「よし!とっとと終わらせましょう。おい、丸岡発進だ。菊池はいつでも主砲で攻撃できるように準備しろ」

丸岡「了解っと」

菊池「はい!」

島田「発進します。轢かれないように気をつけてください」


グオオ

グオオオオオオン


エンジンを呻らせ、10式戦車がゆっくり前進し始める


島「対戦車弾に注意しろ!」

空挺隊員達 「「 了解 」」



461:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/02(月) 16:49:13.42 ID:NiAgMkyD0

グオオ


グオオオン


オオオオ キュラキュラキュラ



10式戦車は小早川秀秋が居ると思われる本陣の最深部へと進む



雑兵「怪物が来たぞおおおおお!」

雑兵「どうする?」

雑兵「ここで食い止めるんじゃ!殿をお守りしろ!」

雑兵「あの連中はどうした!?あの者達は“怪物は我々が退治します”と言っておったろ!」

雑兵「あの者達はさっきわしらごと攻撃しおった!もうわしは信用せん」


テロリストたちは島たちを攻撃する際に小早川の兵も巻き込んでしまっている

小早川の兵を盾にしたり、自衛官を倒す為に容赦なく発砲した結果として小早川の兵を大勢殺傷してしまったりなどだ

その光景を見て、兵たちはテロリストを信用しなくなったのだろう


雑兵「刀や槍では近づく前にやられる。鉄砲じゃ!まだいくつか残っておるじゃろ!」



グオオオオ

オオン オン


島「鉄砲隊の生き残りか!」

望月「弓兵も集まってきています」

島「撃て!敵の飛び道具は完全に無力化しろ」



タタタ タタタ

タン タン タン

パタタタタタタタタタ

ズドドドドドン


空挺隊員達の小銃と戦車上で島田の構える12.7ミリ機関銃が火を噴く



雑兵「ぎゃああ!」

雑兵「ぐはっ」

雑兵「な……なぜこんなに連発…………」



ズドドドドドン


雑兵「がはっ」

雑兵「ひいぃ。か…身体が木っ端微塵じゃ!」



462:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/02(月) 17:15:59.95 ID:NiAgMkyD0

タタタ タタタ


大賀「敵、完全に沈黙。攻撃の気配はありません」

島「撃ち方やめ!」

三好「くそっ。残弾が少ない」

穴山「自分も今装填しているマガジンでラストです」

島田「俺の小銃使ってくれ。こっちには重機関銃が2丁あるから小銃は必要ない」


そう言って島田は車内から89式小銃とマガジンを取り出して三好と穴山に投げてよこす

通常は戦車の乗員は小銃ではなく9ミリ機関拳銃などの火器を持つのだが、島田は万が一の事態を考慮して小銃を持ち出していた


島「ありがたい。礼を言う」

島田「いえ。それよりも…………。あれ」

島「!? あそこか!」


小早川の兵が固まり、防御陣形を築いている場所があった

おそらく小早川秀秋の潜む場所なのだろう


島田「あそこか!ついにたどり着いた!」

島「よし一気に突入して終わらすぞ!」

大賀「おっしゃ!」


ヒュン

ガンッ


島「!?」

大賀「何だ?」

望月「戦車に敵弾が着弾。火縄銃じゃないぞ!」

穴山「2時方向!マズルフラッシュを確認。テロリストの攻撃と思われます!」

三好「くそ!後少しだと言うのに!おおおお!」

島「待て、三好!戦車の陰から出るな!」


ズガガガガガガガ

カカカカカカン カン


三好「うおっ。痛っ!」

島「三好!」

三好「かすっただけです。くそ!」


テロリストの攻撃が再開される

テロリストの攻撃は戦車の存在によって島たち空挺隊員にはあたらないが、無闇に小早川の元に近づけない



463:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/02(月) 17:30:38.54 ID:NiAgMkyD0

島田「うわっ!危なっ」

丸岡「車長!?」

島田「おう。俺は平気だ。主砲同軸の機関銃で連中を黙らせてやれ」

菊池「了解。主砲、回転します」


島田は車内に退避し、敵弾から身を守る

10式戦車の主砲の横には74式7.62ミリ機関銃が取り付けられている

菊池は砲等を回転させ、その機関銃の銃口をテロリストたちへと向けた



ドドドドドドドドン

ドドドドドドド


テロリストと戦車の距離は200から300メートル

主砲同軸に固定された機関銃は固定されているが故に狙いを正確に定めることは出来ない

菊池は砲塔を左右に振って、機関銃弾が敵にあたるようにしているが、なかなか命中せず、敵の攻撃の手は止まなかった



島田「くそっ!」



バシュッ

バシュッ



シュウウウウウウウ


ズドオオオオオン


島「うおっ!くそ。対戦車弾がまだ残ってやがったのか」

大賀「まずいですよ。このままじゃ戦車はただの的だ!」

島「………………」

大賀「島2尉!自分は………2尉の命令とあれば、どんな命令であれど従います」

島「大賀、何を…………」

大賀「この場合の最善策。一刻も早く任務を遂行する方法………。分かってますよ」

島「………………」

望月「自分も従います」

穴山「自分も」

三好「俺もだ」

島「………………」



シュウウウウウ

ズドオオオオン


ガキイイイイイイイン


ズガガガガガガガン



464:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/02(月) 17:56:49.00 ID:NiAgMkyD0

島「………………」

大賀「2尉!」

島「…………分かった。島田曹長!」


島田「な……なんです?」


戦車の上部ハッチから少しだけ顔を出し、島田が返事する


島「戦車単独で小早川秀秋のところに行ってくれ。テロリストたちは我々が相手をする」

島田「はあああああ!?」

島「我々を守りながらゆっくり進んでいたらいくら戦車といえど、確実にやられる。だが、我々がテロリストを殲滅すれば戦車はほぼ無敵状態で小早川の元に突っ込めるだろ」

島田「おいおい!戦車の援護なしに対戦車弾や小銃持った連中に突撃するのかよ!こんな見通しの良い場所で………!」


島「10秒カウントする!カウント終了と共に2手に分かれて突撃!弾幕を張ってけん制しつつ接近する!」


隊員達「「 了解! 」」


島「10、9、8……………」


島田「まじかよ!くそっ!」


島「5、4、………」


島田「おい!菊池、主砲発射準備!テロリストの方向に向かって2,3発お見舞いしてやれ!」

菊池「敵が近すぎます!しかも、敵は一人一人が一定の間隔を空けて展開していますから命中させるのは困難で………」

島田「良いからやれ!それと丸岡。主砲発射と共に小早川のところに全速力で突っ込め!」

丸岡「え?でも………」

島田「良いからやれって言ってるんだ!」


島「2、1…………」


菊池「発射!」



ズドオオオオオオオオオオオン


ズドオオオオオオン



島「0!突撃!」



島田「丸岡!出せ!」

丸岡「くっ」


グオオオオオオオオオオオオオオオオン



467:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 19:31:16.68 ID:NXcfvlJD0

島「撃て撃て撃て!」

大賀「うおおおおおお!」


タタタ タタタ タタタ タタタ



ギャアア

グアッ


ズガガガガガガガガガガガ



10式戦車の主砲による射撃でテロリストは怯む

テロリストたちは散らばって展開していたため、主砲弾1発や2発の着弾では全滅はしなかったが、それでも数人は吹き飛ばされていた

テロリストが怯んだその隙をついて島たち5名の隊員は突撃する



望月「2時方向だ!」

穴山「くっ」

三好「あと200メートル!」


タタタ タタタン 


テロリスト「ぐはっ」

テロリスト「ぎゃっ」

テロリスト「敵はたった5人だ!人数で押し切れ!」



望月「日本語!?」



タタタ タタタ カチッカチッ



望月「くっ!残弾が!」


望月の小銃が弾切れを起こす

弾のなくなった小銃に再びマガジンを装填する時間は無いため、彼は腰のホルスターから9ミリ拳銃を取り出そうとする



ズガガガガ ズガガガガ

バシュッ


穴山「望月3尉!RPGです!退避を!」

望月「なっ!」



ズドオオオオオオン



468:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 19:38:17.37 ID:NXcfvlJD0

穴山「望月3尉いいいいいいいいいいいい!」


望月のすぐ脇に敵の対戦車弾が着弾する


望月「うっ………」

穴山「3尉!無事ですか!?くそっ」


タタタタタタタタン


テロリスト「がはっ」

テロリスト「うおっ」


望月「俺は良いから早く行けっ!立ち止まるなあああああ!」

穴山「は……はい!」


望月の一喝で穴山は再び走り出す


望月「がはっ………。俺ももたもたしてられね…………。?」


着弾した弾頭の破片と思われる金属が望月の足に突き刺さっていた

その傷口からは次々に血があふれ出している


望月「……………………。くそったれが!」



ドン ドン ドン ドン



望月は9ミリ拳銃をテロリストのいる方向へ向けて引き金を引き続けた



469:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 19:50:41.34 ID:NXcfvlJD0

テロリストの数は戦車の攻撃等によって相当減ってはいたが、島たち空挺隊員の2倍以上の人数が生き残っていた

そんな人数のテロリストが自動小銃によって弾幕を張る中、島たち5名の隊員はテロリストに接近出来たのは、戦車による1回きりの援護射撃と、島たち自身の射撃のおかげである

テロリストたちは自衛官に攻撃をしたいものの、その自衛官たちが突撃しながら、ありったけの弾丸を撃ち込んでくるので無闇に反撃できない


島(俺たちが敵に接近できたのは最初の戦車の発砲があったからだ。つまり“先制攻撃”を仕掛けたから………ということだ)


先制攻撃

専守防衛を理念としている自衛隊にとって抵抗のある言葉だった


島(この時代に来て…………。俺たちは変わってしまったのか?自衛官という身分を捨てて………、この時代の武士たちのような本当の軍人になってしまったのだろうか?)



タタタ タタタ タタタ



テロリスト「がはっ」

テロリスト「くそおおおお!もうあいつら目と鼻の先だぞ!」

テロリスト「まずい!この距離じゃRPGはもう………!」



島「一斉射撃だ!敵を制圧しろ!」

大賀・穴山・三好「「 了解! 」」



タタタタタタタ

タタタタタタタタタタ

タタタタタタタタ

ドン ドン ドン


テロリスト「がはっ」

テロリスト「ぐあああ!」

テロリスト「ぎゃっ」

テロリスト「くそおおおお!」



470:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 20:09:43.80 ID:NXcfvlJD0

島たちの最後の一斉射撃で生き残っていたテロリストたちは一気に無力化される

テロリストたちも反撃しようとしたが、彼らの撃つ銃弾はことごとく外れた

自衛隊の精鋭である空挺隊員と、射撃の腕からして素人じみたテロリストたちとの決定的な差が射撃の命中精度であった

島たちは突撃しながらの射撃ではあったが、ほとんど弾を無駄にせず敵を制圧したのに対して、テロリストたちは無闇に連射するだけで、銃弾を命中させることは出来ていない

もっとも、テロリストたちの持っている小銃がAK-47カラシニコフのコピー製品であり、粗悪品であったのも命中率が悪い理由のひとつには挙げられたが…………



島「全員、武器を捨てろ!勝敗は決まった!」


ガチャガチャガチャ


島の後に続いていた大賀、穴山、三好が生き残ったテロリストに銃口を向ける

小銃を杖代わりにして望月もその後からやってくる


テロリスト「……………。その部隊章………。第一空挺団……か。それならこの人数を相手にしても死者ゼロなわけだ」


望月が負傷しているものの、島たち空挺隊員に死者は出ていない


テロリスト「こんな至近距離の白兵戦じゃもう勝ち目は無い。それに、こっちにはもう満足に戦える戦闘員は残っていない」


ガシャッ ガシャッ


僅かに生き残ったテロリストは7名

その7名が次々に持っていた銃や対戦車弾を地面に捨てる


島「お前たちは美浜原発を襲っていたテロリストたち……で間違いないか?」

テロリスト「ああ。そうだ。ってことはあんたらは俺らを制圧しようとしていた自衛隊ってことか」

島「原発を襲って国民の安全を脅かすだけでなく、この時代で小早川につき、歴史を狂わせようとする………。我々の敵であることは時代が変わっても同じだな」

テロリスト「国民………か。はぁ」

島「何だ?我々はこの時代に居ても自衛官として20XX年に生きる日本国民の為に戦う。だからs」

テロリスト「自分たちの時代の国民を守るためにはこの時代の人間は何人でも殺すってか?」

島「………………」

テロリスト「いや、別にそれを攻めるつもりは無い。だが、この時代の人間を大勢殺傷してまで、あんたらは“あの日本国民”たちを守りたいと思うのか?」



471:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 20:34:14.11 ID:NXcfvlJD0

大賀「テロリストのクセに何言ってやがる!お前らなんて理由も無く無差別に民間人を殺傷するような奴らじゃねえか!」

穴山「そうだ!」


テロリスト「俺たちは決して理由も無くテロを起こしたのではない。俺たちには崇高な目標がある!ただ上の命令に従って何も考えずに行動するあんたら軍隊もどきの集団とは違ってな!」


三好「なんだと!こいつ!」

島「落ち着け」

望月「理由とは何だ?この時代で歴史をわざと狂わせようとしてまでして、何がしたいんだ?お前たちは」

テロリスト「狂わせ………ねぇ。あんたらだって思いっきり歴史を狂わせたくせに」

島「確かに我々がこの時代に来たことで歴史は少なからず狂った。しかし、我々はその狂いを正そうとしたんだ。それをお前たちは…………。歴史が狂えば未来の世界がどうなってしまうか分かっているのか!」

テロリスト「だから!そんなに必死になってまであんたらは俺たちの生きていた時代の国民を守りたいと思えるのか?この時代の人間を大量に殺してまで!」

島「我々はあの時代の日本国に所属する組織だ。我々が守らなくてはならないのは我々の所属する国の国民。そのためには歴史の修正を最優先にしなくてはならない」

テロリスト「そのためにこの時代の人間を殺傷するのは構わない………と?」

島「………………」

テロリスト「本音は違うだろ?」

島「………………。俺は自衛官であると同時に、家族を持つ者だ。自分の家族が幸せに生きている時代を守りたいと思うのは当然だ。個人の都合を優先するのは俺個人、どうかとは思うが………。だが、それが本音だ」

望月「当然だ。誰だってそう思うに決まっている………」

テロリスト「まあ、そうだろうな。国の為に戦うというよりも家族のために戦う。良い解答だ。日本人があんたたちみたいな人間ばかりなら、俺たちだってこんな行動は起こさなかった」

島「………………」



472:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/03(火) 21:09:48.85 ID:NXcfvlJD0

テロリスト「だが、現代の日本人の現状は酷いものだ。かつての日本人とは違う。この時代の武士を見て確信したよ。平和ボケをして、自国が危険に晒されても、他国から蔑まれても、まるで関心を持たない。自身の利益にしか興味を持たず、他人の不幸をあざ笑い、他人を利用して自分が生き残ることしか考えていない。巨大化したネットワークの世界に発信されるのは暴言ばかり。自国の為、家族のために命をかけて戦ったかつての日本人たちが築き上げた平和の中で腐敗し続けながら生きている。だから俺たちは行動した!」

島「日本人の目を覚ます為にテロを行った……というのか?」

テロリスト「そうだ。そして、この時代に来たときに、俺たちは意図的に歴史を狂わせて、未来を変えようと思った。あんな日本人たちが生まれない日本を作るために!」

島「………………」

テロリスト「あんた等なら分かるだろ?」

島「…………………さっぱり分からんな」

テロリスト「何!?」

島「我々はこの時代で大勢の人を殺してしまった。だから、説得力が無いだろうが、だが、声を大にして言おう。お前たちはただの人殺しのテロ集団だ」

テロリスト「!?」

島「確かに、今の日本人に問題が無いとは言えない。だがな、だからといってお前たちの行動を肯定は絶対に出来ない。どんな理由であれ、何の武器も持たない市民を武力によって脅かす人間にに正義や理想を語る資格は無い。俺たちも武器を持っているが、この武器は自分の独りよがりな理想を他人に押し付けたり、他人を服従させたり、恐怖させたりする為に持っているものではないんだ」

島「我々が持つ武器は“国民を守るために持つことが許可された武器”だ。お前たちとは違う」

テロリスト「………………」

島「それに、もうひとつ言っておくことがある。俺はかつて起きた大震災の時に被災地に救援に行ったことがある。その時に被災地でお互い助け合う被災者たちの姿を目にした。自分のことだけを考えるのではなく、他人のために行動をする彼らの姿を見たときに俺はこう思ったんだ。“まだまだ日本人も捨てたもんじゃない”とな」



480:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/09(月) 11:04:55.89 ID:OBCtwce80

テロリスト「あんたらはあくまでも“あの時代”の日本を守りたいということだな?」

島「そうだ。俺たちは自分たちの居たあの時代を守るために、歴史を元の流れに戻す。だからお前たちのように意図的に歴史を変えようとするイレギュラーな存在は除去せねばならない」

テロリスト「そんなにあんな時代が好きなのか?いいか?我々は西軍を勝利させて、徳川幕府の設立を阻止する。そして、鎖国をせずに、欧米との外交を盛んに行い、200年も早く文明開化をするんだ。そして、欧米と共に列強になる。アジアに英国同様の先進国を作り上げるんだ!あんたらだってこの時代に来て一度は考えたことがあるだろ?この時代からやり直して日本を世界一の国にすることを」

島「残念だが、俺はお前たちの意見を支持は出来ない。我々はこの時代に来ても、まだ自衛官であることを捨ててはいないんだ。だから我々の任務は依然として日本国民の平和と安全を守ること。平成の時代に生きる日本人の生活を脅かそうとしているお前たちに賛同する気は無いよ」

テロリスト「腰抜けの公務員の意見だな。俺たちの崇高な目的をあんたら凡人が理解できるとは思っていない!」

島「平成に生きる日本国民、いや、世界中の人の生活を脅かそうとしているお前たちの行動が崇高な目的のための行動とは笑わせてくれる。お前たちがこれ以上歴史を変えようとせずにおとなしくするなら我々はお前たちにこれ以上の攻撃はしない。だが、抵抗するならば………」

テロリスト「お前たちのような腰抜けに俺たちが倒せるものか!」

島「……………自衛隊を舐めるな」



そう言って島はテロリストのリーダーと思われるその男に小銃の重厚を向ける

他の隊員も手に持つ銃を生き残っているテロリストたちに向けた



島「悪く思うな」

テロリスト「殺せるのか?俺たちのことを?」

島「なに?」

テロリスト「俺たちも日本人だ。同じ日本人と分かった人間を殺すことがお前たちに出来るのか?」

島「寝言は寝て言え。そんな台詞を吐く人間は所詮、小物だ……………」


オオオオオオオオオ

ワアアアアア!

ウオオオオオオオオ!


島「!…………………」



481:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/09(月) 11:20:31.67 ID:OBCtwce80

テロリスト「どうした?やはり軍隊もどきには同胞は殺せないか!」

島「…………………」

テロリスト「どうした!」

島「なるほど。そういうことか……………」

テロリスト「?」

島「お前たちテロリストがこの時代に来たのもまた必然……ということだったんだな」

テロリスト「何を言っているんだ?」


タタタタタタン

タタタタ タタタタ


テロリスト「ひっ」


バキンッ ガキガキガキ


島は地面に落ちていたテロリストたちの武器であるAK-47を銃で破壊する


島「お前たちの役目は終わった。お前たちを裁くのは俺たちではなく、歴史…………この時代の人間たちだろう」

テロリスト「は?」


オオオオオオオオオオオオオオオオ

ワアアアアアアアアアアアアアア!


テロリスト「!?」

島「島田たちがやってくれたんだな」


小早川の本陣から次々に兵が出てくる

その兵たちは方向的に大谷吉継の陣へ向かっていた


テロリスト「小早川が……裏切ったのか」

島「そうだ。これで歴史は元の流れになった。チェックメイト。我々の勝ちだ」


小早川の兵たちは島やテロリストたちが居る場所にも押し寄せてくる

すでに小早川の軍勢にとって西軍に加勢していたテロリストたちは敵になったも同然であった

つまり、このまま小早川の兵が押し寄せればテロリストたちは確実に…………



482:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/09(月) 11:38:39.73 ID:OBCtwce80

テロリスト「くそっ!俺たちはまだ死ぬことは出来ない!逃げるぞ!」

テロリスト「くっ」


テロリストたちは逃げ出す

それを島たちは追うことはなかった


大賀「追わなくて良いのですか?」

島「あいつらにはもう満足な武器が残っていない。追わなくてもそのうち…………」

大賀「……………」

島「それより、我々は10式戦車と合流しなくては」

穴山「そうですね。はやいところ戦車と合流してベースに戻らないと。望月さんの怪我が…………」

望月「大丈夫だ。止血はした。なんとか歩けはする」

島「よし帰還する!信号弾を撃って戦車に我々の位置を………………」



パパパパパパン


バスッ


島「なっ…………」

大賀「島2尉!」


突然、火縄銃の発砲音がし、その後、島の首筋から血が吹き出した



島「が………は。お…俺の………役割も…終わり…………だったのか」


バサッ


望月「2尉!くそっ!西軍の伏兵か?」

三好「あそこだ!あそこの茂みから煙が出ている!」

穴山「ずっと隠れてたのか?」


石田三成は小早川秀秋が裏切った場合、その小早川秀秋を亡き者とするようにあらかじめ小早川の陣付近に伏兵を忍ばせていたのである



483:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/09(月) 11:47:23.01 ID:OBCtwce80

大賀「くそったれ!」



タタタタタタタン

タタタタタタ タタタタタタタ


伏兵「ぐはっ」

伏兵「ぎゃあ!」



伏兵「あれが噂の“じえいたい”か!」

伏兵「しかし奴らはもう若干しか生き残っておらん!」

伏兵「一気に攻撃して討ち取るぞ!」


オオオオオオオオオ!


大賀「島2尉!く…………そ」


首筋に銃弾を受けた島の息は既に無くなっていた


望月「あいつら!総攻撃を仕掛けてきやがった!」

穴山「敵は20人以上いますよ!自分はもう残弾が…………」

三好「俺もだ。くっ」


押し寄せてくる伏兵たち全員を対処する弾薬はもう残されていない

隊員たちは銃に銃剣を装着した


大賀「最後まで戦ってやる!島2尉…………」







オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオ!



487:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/11(水) 14:47:02.20 ID:peJ1srPL0

~伊庭たち石田三成討伐隊~


おおおおおおおおおおおおおおおお!


伊達政宗の軍勢と島左近の軍勢が衝突する中、伊庭たちは島左近を探していた



伊庭「伊達政宗の軍勢に気を取られて俺たち自衛隊の存在をあまり気にしていない今がチャンスだ。三村、島左近を見つけ次第、すぐに狙撃しろ」

三村「了解」

木村「頼むぞ三村」


三村陸士長は狙撃手であった

その腕は空挺団で狙撃手をしていた大賀と並ぶ程である

73式小型トラックのボンネットにスナイパーライフルを固定し、スコープを覗き込む三村


木村「逃げたとは言え、島左近はまだ狙撃銃の射程内に居るはずだ」

三村「……………仮に見つけたとしても、馬で走りながら逃げている人間を仕留めるのは初めてです。失敗する可能性もあります」

伊庭「失敗は許されない。お前の腕を信じて任せる」

三村「……………。了解。任されました」

木村「他の車両は車載の機関銃で伊達政宗の兵を援護しろ!」

他の隊員たち「「 了解! 」」


タタタタタタタ

タタタタタタタタタン


雑兵「ぐはっと」

雑兵「ぎゃあ!」


2両の73式小型トラックと軽装甲機動車の車上にとりつけてある5.56ミリ機関銃が一斉に火を噴く


伊達政宗「おお!味方にすると連発銃は心強いな!」



488:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 10:01:56.04 ID:9Qh7KVCr0

三村「…………………居た」

木村「あれか!?11時の方向!馬で逃走する島左近と思われる人影を発見」

伊庭「三村、頼んだ」

三村「………………」


馬の走る速さは時速30~40キロになることもある

時速30キロや40キロで走る馬の上に乗る人間を乱戦の中で狙撃するのはかなり難しい

しかし、



タアァーン



バスッ



三村の撃った狙撃銃の銃弾は正確に島左近の頭部を撃ち抜いた



雑兵「なっ…………」

雑兵「どこから撃ってきおった!?」

雑兵「まさかあんなに離れた場所から?」

雑兵「殿おおおおおおおおおお!」



スナイパーライフルの銃声が島左近の周辺に居た雑兵に聞こえる前にライフル弾は島左近の頭部に着弾している

よって雑兵からすれば島左近の頭部が前触れもなく吹き飛んだように見えたようだ

大将の突然の死に島左近の兵たちは混乱しだす


伊達政宗「?」

伊達政宗の兵たち「「 ??? 」」


伊達政宗たちもそれは同じで皆、目の前の出来事を理解できずにいた


伊庭「よくやった。三村」

三村「ふぅ………。やはり、人間相手だと良い気分ではありません」

木村「小隊長。敵兵が混乱している今がチャンスです。一気に三成の本陣に突入しましょう!」

伊庭「ああ。全車両に告ぐ!これより石田三成の本陣に突入する。続け!」



489:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 10:15:08.07 ID:9Qh7KVCr0

ブロロン

ブロロ 


グオオオオオオ


伊庭の乗る73式小型トラックに続いて、もう1台の小型トラックと軽装甲機動車が動き始める

伊庭の隊は生存者8名

その内、重傷者が1名であるから実質的な戦闘員は7名であった


伊庭(7名………。7名で本陣までたどり着かねばならんのか)


雑兵「鉄の馬じゃ!」

雑兵「あやつらが殿を!?」

雑兵「許すまじ!討ちとれ!」


木村「敵兵接近。全車両、敵を車両に近づけるな」


タタタン タタタン

タタタタタタタタタタタタン


雑兵「ぐあっ」

雑兵「ぎゃっ」


ピーンッ


ズドオオオン


雑兵「ぎゃああああ」

雑兵「いてええええ」


車両の進行を妨げようとしていた雑兵の塊に手榴弾を投げつける隊員


伊達政宗「やはり島の左近を討ったのは伊庭殿たちであったか!」


進行する小型トラックの横に併走するような形で伊達政宗が現れる


伊庭「ええそうです。我々は今から三成の本陣に突入します」

伊達政宗「治部の陣へ行くのか!しかし、おぬしらの人数では…………」



490:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 10:27:37.40 ID:9Qh7KVCr0

伊庭(確かに。いくら小銃や機関銃などを装備していても、西軍の実質総大将の本陣に8名で突入するのは…………)

伊達政宗「よしわかった!おーい!皆の者おおおおお!聞けええええ!」


伊達政宗が大声を張り上げる

政宗の配下の兵たちはその声に反応した


伊達政宗「わしらも“じえいたい”に続いて三成の本陣へ斬り込む!左近の兵を振り切るぞ!続けえええ!」

伊庭「政宗殿!?」

伊達政宗「別に助太刀するわけでは無い。おぬしら“じえいたい”に全ての手柄を渡したくないだけじゃ」


政宗はニッと割りながらそう言う


伊庭「了解しました!我々が先頭を切ります!後に続いてください!」

伊達政宗「おう!連発銃に鉄の馬の御味方があればこちらも心強い!」


3両の車両に続いて伊達政宗の政宗の兵が走りだす

島左近の兵たちは島左近の死に動揺し、戦意喪失している者も多かった

よって政宗の兵たちが島左近の兵を振り切るのは案外、容易かったようである

中には自衛隊車両に襲いかかってくる兵も居たが、その人数は少なく、ほとんどが機関銃や小銃の銃弾に倒れた



493:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 08:57:55.46 ID:RizNl03/0

おおおおおおおおおおおおお!


タタタン タタタン タタタン



雑兵「がはっ」

雑兵「ぎゃっ」



ズドオオオオン

ドオオオン


自衛隊車両は石田三成の本陣に到達しようとしていた

しかし、本陣近くは三成配下の兵士で溢れている為、車両は思うようには進めない



伊庭「突破口を開くぞ!対戦車榴弾を撃ち込め!」

木村「了解」


バシュッ

バシュッ


ズドオオオオン


雑兵「ぐあああああ!」

雑兵「なんじゃこれは!」


伊庭「間髪入れるな!次弾急げ」

木村「三村、LAM次弾発射準備に入る。その間、MINIMIで援護しろ」

三村「はい!」


パタタタ 


雑兵「ぐはっ」


タタタン


雑兵「ぎゃあああ!」


タタタタタン


雑兵「ごはっ」



木村「流石は三村だ。機関銃射撃も百発百中じゃねえか」



494:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 09:21:39.85 ID:RizNl03/0

狙撃手である三村の機関銃による援護射撃はほぼ百発百中であった

無闇に敵兵に連射で銃弾を浴びせるのではなく、数発ずつ断続的に射撃し、一人一人確実に倒す


木村「次弾発射準備完了。小隊長。LAMの残弾はあと3発です」

伊庭「3発………か。他の車両に積んであるLAMは?」

木村「既に使い果たしているとのことです」

伊庭「そうか。出し惜しみをするな。残弾は全て発射しろ」

木村「了解しました」


バシュッ

ズドオオオオン


バシュッ

バシュッ


ズドオオオオン

ズドオオン


雑兵「ぎゃああああ」


LAM……110ミリ個人携帯型対戦車弾が底を尽きた

一発の破壊力が大きく、車両に襲いかかってくる敵兵の排除に最も効果的だった対戦車弾が底を尽きたことで、自衛官たちは今よりさらに苦戦を強いられる


木村「LAV(軽装甲機動車)にはまだ誘導弾が積んであります。それを投入すれば………」

伊庭「誘導弾は切り札だ。三成の本陣に突入するまでは機関銃と小銃、それに手榴弾で戦う」

木村「小銃弾も残り僅かとなってきました。しかし、敵兵は増えるばかりです」

伊庭「………………」


次々に押し寄せてくる敵兵を自衛隊は小銃や機関銃で排除しているのだが、その敵兵の多さから銃弾はものすごい勢いで無くなっていく


パタタタタン

タタタ タタタ カチッ


木村「弾切れだ。装填する。三村、援護してくれ」

三村「了解。しかし、機関銃の残弾も………」


雑兵「きええええええ!」

雑兵「おおおおおお!」


木村「!?」

伊庭「馬から車に飛び乗ってきたのか!」


ガキイイイイン


木村「くっ」



495:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 09:38:53.66 ID:RizNl03/0

馬から車に飛び乗ってきた2名の雑兵

その片方の斬撃を木村は手に持っていた小銃で受け止める

一方、機関銃射撃を行っていた三村はもう一人の雑兵に飛びかかって羽交い絞めにする


三村「く……おおおおお!」



雑兵「銃撃が止んだぞ!今じゃあ!」

雑兵「おりゃあああ!」


伊庭「なっ!?」


銃手である木村と三村が銃撃をやめてしまった為に弾幕が無くなり、その隙にさらに2名の雑兵が車に飛びかかる


木村「くおおおおお!」


ガッ


雑兵「くっ」

木村「おらあああああ!」


ザクッ


雑兵「がはっと」


激しい白兵戦を木村は勝利する



ダンッ ダンッ ダンッ



雑兵「ぎゃっ」

雑兵「ぐはっ」

雑兵「うあっ」


伊庭「はぁ………はぁ…………」


新たに乗り込んできた雑兵と三村が羽交い絞めにしていた雑兵を9ミリ拳銃で倒す伊庭


三村「はぁ……はぁ……。感謝します」



496:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 09:50:45.40 ID:RizNl03/0

伊庭「本陣まであと少し。何とか持ち堪えなくては」

木村「はい」


タタタン

タタタタタタタタ



タタタ

タタタ タタタ




ぎゃあああ

うああああああ!



ジャラッ


伊庭「!?木村、空薬莢を投棄しろ」

木村「了解しました」


ずっと射撃をしていた為、車内は空薬莢で溢れていて満足に動けなくなってしまっていた

木村は三村と伊庭が弾幕を張っている隙に床に溢れている空薬莢を車外に放棄する


タタタン

タタタタタタタタン




ガガガガ

ズガガガガガガガン


ドーン


木村「!?」

三村「もう1台の小型トラックが!」


伊庭たちのいる位置から少し離れた場所を走っていたもう一台の73式小型トラックが横転していた

押し寄せてくる雑兵の山に足を取られたらしい


伊庭「くそっ!」

木村「小隊長。救出に行きましょう!隊員たちはまだ生きています」


タタタン

タタタタタタタ



497:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 10:00:10.64 ID:RizNl03/0

横転した車両から投げ出された隊員たちが押し寄せてくる敵兵に銃撃をするのが見える


伊庭「………………」

木村「小隊長!」

三村「!?小隊長。あれを見てください!」

伊庭「!?」



横転した車両の隊員の一人が伊庭たちに向かって手を振り何かを伝えようとしている


木村「何やってるんだ…………。!あれは手旗信号か!」

三村「!」


隊員の手の振り方は手旗信号のそれであった


木村「サ・キ・ニ・イ・ケ」

伊庭「先に行け!?」

三村「小隊長…………。彼らは………」

伊庭「………………くっ。すまない」

木村「小隊長!?」

伊庭「進路そのまま!三成の本陣に突撃する!」

三村「……………」



伊庭たちの乗る小型トラックは横転した小型トラックの隊員たちを置いたまま発進する

そんな伊庭たちに残された隊員たちは敬礼をした


伊庭「すぐに三成を倒し、この戦を終わらせる。だからそれまで何としてでも生き残ってくれ!」



508:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/12(木) 14:26:38.69 ID:ajFcG3Sv0

石田三成本陣


三成配下の兵「殿!申し上げます!先程、左近殿が討ち死にしたとのことです」

三成「何!?左近が!?」

配下の兵「はっ。侵攻して来た“例の奇怪な集団”の持つ鉄砲によって一撃で………」

三成「何と………。左近が………」

別の兵士「殿!?只今、小早川秀秋が東軍に寝返った模様!小早川の軍勢は山中村の大谷軍を襲撃しております!」

三成「何!小早川が!?」


10式戦車の乗員たちは戦車ごと小早川の本陣に突入し、小早川秀秋を東軍に寝返らせることに成功していた

テロリストたちという後ろ盾を失った小早川秀秋の軍勢に10式戦車に対抗できる術は無く、また、無差別攻撃を実施してしまったテロリストたちに小早川の兵たちは少なからず敵意を持ちはじめていたために、寝返らせることは割と容易だったのである


三成「くっ…………。他の西軍の軍勢も押されている。宇喜多軍も敗走し、現時点で戦えるのはわしと小西勢くらいか」


矢野率いる部隊によって宇喜多秀家は敗走し、大谷吉継は小早川と交戦中

島左近も死んだ今、石田三成にとって唯一の希望は家康本陣手前の本多正信及び自衛隊の構築した陣地を攻略しようとしている小西行長をはじめとする混成部隊のみであった


三成配下の兵「左近殿を倒した鉄の馬に乗る集団はここへ向かっています。我々にもまだ鉄砲隊や大筒は存在しますが、あの者たちの持つ鉄砲や大筒は桁違いの威力を有していると聞きます。殿、ここは一旦、佐和山まで退いた後、大阪で再び決戦を!」

三成「………………」

配下の兵「ここで殿が死んでしまったら誰が“義”の戦いを再びするのですか!?」

三成「…………義……か」

配下の兵「そうですとも。この戦は豊臣家に対する義の戦いと殿は申された。その義をここで滅ぼしてはならないのです」

三成「確かにそうだ。しかし、ここでわしが逃げるのは義に背いた行動であるぞ。まだ懸命に戦っておる者たちが大勢居る中、一人わしだけ退くわけにはいかぬのだ」

配下の兵「殿!」



509:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/12(木) 14:38:02.39 ID:ajFcG3Sv0

三成「鉄の馬だろうと連発銃だろうと、敵では無い。わしは負けぬ!」


ガッ


そう言って三成は勢いよく立ち上がった


三成「わしについてくる者はここに残れ。鉄の馬に怖気づいてしまった者はすぐにこの場から去り、そして逃げよ」

一同  「「 ………………… 」」

配下の兵「………………」

三成「うむ。一人もおらんか。ならばおぬしらもわしと同じく義の為に命を賭けて最後まで戦う………ということでよろしいか?」


三成の周りの兵は無言で全員頷く


三成「おし!ではまず、向かってくる鉄の馬を退治するぞ!大筒、鉄砲隊、弓隊、飛び道具の全てで鉄の馬の進行を阻止する。すぐにでも大筒に弾込めをしろっ!」

兵「かしこまって候!」



何名かの兵が走って出て行き、大筒の配置されている場所へ向かう

また、鉄砲隊や弓隊の兵士たちも慌しく戦いの用意をし始めた


三成「いくら鉄の馬であれど大筒の弾を数十、数百と食らえば足も止まるであろう」









バシュウウウウウウウウウ


バシュウウウウウウウウウウウウ







三成「!?」








ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

ドオオオオオオオン



510:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/12(木) 15:04:10.54 ID:ajFcG3Sv0

雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「ぐああああ」

雑兵「なんじゃ!?これは」

雑兵「大筒が………木っ端微塵になっておる!?」

雑兵「上から……何か降ってきたのが見えたぞ!」


三成「な……何と」


突如として三成本陣の脇に存在した大筒陣地が吹き飛ばされる

何の前触れも無く陣地が丸ごと吹き飛んだ現象に兵士たちは騒然としていた



雑兵「矢じゃ。大きな矢が飛んできたのじゃ」

雑兵「煙を吹きながら物凄い速さで…………」


何人かは陣地が吹き飛ばされる前に起きた“前兆”を目撃していたようである



87式対戦車誘導弾

通称、中MATと呼ばれる対戦車ミサイルによる攻撃だった


今までの戦いで自衛隊は110ミリ個人携帯対戦車弾や81ミリ迫撃砲などの重火器を使用してきたが、誘導弾の使用はこれが始めてであった

上記の装備は誘導式ではなく、発射したら真っ直ぐに飛んでいく火器であるが、中MATはセミアクティブレーザーホーミング方式の誘導兵器である

つまり、攻撃目標にレーザー光を照射し、目標からの反射光をミサイルのシーカーが捉えることによってミサイルを目標へ誘導するのである

2キロ以上の射程を持ち、250メートル毎秒以上の飛翔速度で飛び、なおかつ誘導によって目標にほぼ確実に命中する兵器であるこの中MATは戦国時代のみならず現代でも強力な兵器であった


三成の本陣へ進む自衛隊は大筒などの飛び道具による攻撃を恐れ(小型トラックなどの車両に大筒の弾が命中すれば犠牲が出てしまう可能性が高かった)、本陣よりもかなり手前で中MATを発射し、大筒を予め無力化しようとしたのである

自衛隊のミサイル攻撃は見事に成功し、三成本陣で残存していた大筒は大筒発射要員の兵士ごと木っ端微塵に吹き飛んだ



511:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/12(木) 15:04:43.31 ID:ajFcG3Sv0

三成「おのれ!どこから攻撃をしてきた!?」

配下の兵「鉄の馬はまだどこにも見えません!相当遠くから攻撃を仕掛けてきたとしか…………」

三成「目視も出来ない場所から大砲を撃って、命中させること等、不可能だ!だがしかし………あの者たちの力は計り知れぬところがある」

配下の兵「………………」

三成「案ずるな。大筒が駄目になろうとも、まだ兵は大勢残っておる。それに対して鉄の馬を操る輩たちは十数名と聞いた。いくら連発銃等を持とうとも、その人数に押し切られるわしらでは無い」

配下の兵「は!」




グオオン

グオオオオオオ



三成の本陣に向かってくる自衛隊の車両が見える


三成「!?」

配下の兵「!あれは…………鉄の車?」

三成「ほう。あれが鉄の馬と、それを操る連中か」

配下の兵「何という速さなんだ。馬よりも速く大地を駆けるとは」

三成「鉄砲隊、弓隊。攻撃を開始だ。あやつらに武士(もののふ)の底力を見せ付けてやれ!」

兵「「 はっ! 」」



515:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 13:23:29.60 ID:22UD5A4c0

石田三成の陣にたどり着いた隊員は伊庭を含めて6名だった

その6名を乗せた2両の車両が三成の居る本陣へついに突入する


木村「流石はレギオンをも苦しめた中MATだ。大筒は完全に無力化されてる」

伊庭「鉄砲隊と弓隊はまだ生き残ってるぞ!機関銃で黙らせろ!」

木村「了解!」


パタタタタタタン

パタタタ タタタタタタタタ


雑兵「ぎゃああ」

雑兵「ぐはっ」


73式小型トラックに備え付けられた機関銃の掃射で瞬く間に鉄砲隊が沈黙する



雑兵「うおおおおおおお!」

雑兵「りゃりゃりゃああああ」


木村「2時方向から雑兵の集団が襲来!」

伊庭「くっ。相手も必死だ!気を抜いたら一気に押し倒されるぞ」


タタタタタタン

タタタタタタタタ タタタタタタ


雑兵「ぐあっ」

雑兵「ぎゃ」


タタタタタ タタタタタタン カチッ


木村「MINIMI残弾なし!給弾します」

伊庭「援護する!」


タタタン タタタン



516:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 13:35:39.21 ID:22UD5A4c0

機関銃に給弾する木村

機関銃の沈黙をカバーするように伊庭は手に持つ小銃で迫ってくる雑兵を倒していく


雑兵「ぐあああ!」

雑兵「次から次へと鉄砲玉が!?」


タタタン タタタン カチッ


伊庭「!?こっちも弾切れか!」


ドンッ ドンッ ドンッ


弾の切れた小銃に代わって拳銃で襲撃者を迎撃する伊庭



雑兵「弾幕が薄くなったぞ!今じゃああああ!」

雑兵「うおおおおおお!」


伊庭「くそっ!三村。スピードを上げろ!」

三村「道が悪くてスピードがもう出せません!これ以上スピードを出すと横転する可能性が!」


伊庭の乗る小型トラックの運転手は先程の戦闘で絶命していた

その隊員に代わって運転をするのは狙撃手の三村である


伊庭「木村!給弾はまだか!?」

木村「小隊長!MINIMI用のマガジンがもうありません!」

伊庭「!」


車載されている5.56ミリ機関銃のマガジンは弾薬200発の入った機関銃用のマガジンなのだが、長期化した戦闘によってそのマガジンは全て使い尽くしてしまっていた

もっとも5.56ミリ機関銃MINIMIは89式小銃用のマガジンにも対応していたのだが


雑兵「うおおおおおお!」

雑兵「おりゃあああああああ」



ポトン


雑兵「?」



ズドンッ



雑兵「ぎゃああああ!」

雑兵「いてええええええ!」



517:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 10:17:05.65 ID:lr0/4kzs0

木村「手榴弾!根元たちの攻撃か!」


ズドンッ

ズドンッ

ズドンッ


伊庭達の小型トラックと並走している軽装甲機動車上から根元3曹が次々と手榴弾を投げている


雑兵「ぎゃあああ」

雑兵「いてえええええ」



根元「もっと!もっと手榴弾をよこせ!」

平井(3曹)「もう残り数発しかないぞ」


軽装甲機動車の内部で弾薬の補給作業をしていた平井3曹が答える


根元「じゃあ残ってる手榴弾を全て渡せ。数発の手榴弾でこの量の雑兵の壁を突破できるかは分からんが…………」

平井「押し寄せてくる敵兵の数は千以上居る。たった数発の手榴弾じゃ到底倒せない」

根元「んなこと言ったってやるしかないだろうが!何とかしろ!」

平井「何とか……と言われても…………。いや、何とかなるかもしれない」

根元「本当か!?」

平井「ああ。敵兵を全滅させることは出来ないが、本陣内まで進入するだけなら何とかなるかもしれない」

根元「何でも良い。策があるならとっととやってくれ!」

平井「おう。おい須賀!小隊長に無線連絡。今からこの車に備え付けてある煙弾を全て発射する。おそらくその煙弾で敵兵は数秒程度怯むだろうからその瞬間にアクセル全開で本陣内まで突っ切ると伝えろ」


平井は軽装甲機動車を運転している須賀にそう言う


須賀「煙弾程度で敵兵は怯みますかね?」

平井「スタングレネードも迫撃砲も対戦車弾も使い果たした今、敵兵を怯ませる事が出来る装備は煙弾しか残っていない。石田三成の居ると思われる本陣は目と鼻の先だ。一瞬でも敵を怯ませる事が出来れば、車両で一気に切り込める。煙弾の発射でその一瞬が作り出せることに賭けるしかないだろうが」

須賀「了解しました!



518:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 10:41:21.93 ID:lr0/4kzs0

軽装甲機動車の後部には4連の発煙弾発射装置が2つ備え付けられている

車両上空に花火のように発煙弾を打ち上げるもので、ヘリの攻撃から身を隠す為に使われるものだ

戦国時代にも打ち上げ方ののろしが存在したし、また、花火なども戦国時代以前に既に日本で開発されていたという説もある

よって自衛隊車両から発射される発煙弾に戦国武者たちが怯まないのではないか?と根元たち自衛官は少し不安に思っていた

がしかし



バシュッ

バシュ
バシュ
バシュ


パパパーン



雑兵「!?」

雑兵「なんじゃこりゃ!」

雑兵「あやつら……空に雲を作り出しおったぞ!?」


予想以上に雑兵たちは発煙弾に驚いたようである



軽装甲機動車から発射された8発の発煙弾はオレンジ色の火花を散らしながら、車両上空に白い煙を撒き散らしている



伊庭「発煙弾のおかげで敵兵の動きが鈍くなった!今がチャンスだ!一気に突入するぞ」

三村「了解しました!摑まっていてください」



グオオオオオオオオオオオ

オオオオオオン



雑兵たちが怯んだ一瞬の隙をついて、2両の自衛隊車両は全速力で本陣へ突進する



雑兵「しまった!鉄の馬が殿のところへ!」

雑兵「おのれ!」

雑兵「逃すな!追うんじゃ」


おおおおおお!



グオオオオオン

グオオオオ



519:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 11:01:58.30 ID:lr0/4kzs0

雑兵「駄目じゃ追いつけん」

雑兵「何という速さじゃ。馬の足を遥かに超えておる」



軽装甲機動車の最高速度は道が良ければ時速100キロ

73式小型トラックはそれをさらに越える

馬以上に速い乗り物を知らない戦国時代の人間にとってその速度は脅威であった



グオオオオオオオオオ


伊庭「もっとスピードを出せ!敵兵を完全に振り切るんだ!」

三村「こ……これ以上出すと車が…あだっ」


舗装されていない凹凸だらけの道をかなりのスピードで走っているために車両は大きく揺れる

その揺れの中で喋っていた三村は舌を噛んでしまったのだ


木村「この際、車両は壊れても良い!とにかく本陣へ乗り込むんだ!」

三村「り……了解!」


口から血を流しながら三村は返事をする

そして、車両の速度を一気に上げた


グオオオオオオオ



雑兵「うわあああああ!鉄の馬があああああ!」

雑兵「怯むな!怯むなアアアア!」

雑兵「おおおおおおおお!」


本陣最後の砦を死守している兵たちは時速80キロ近くで突っ込んでくる2両の車両から三成を守ろうと必死に立ち向かう


三村「くそ!どけどけどけえええええええ!」



ガアアアアアン

ズガアアアアン



雑兵「ぐsづqkうぇk」


時速80キロで走る車に生身の人間が敵うはずも無い



520:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 11:08:32.21 ID:lr0/4kzs0

三村「うわっ!うわあああ」

伊庭「しっかりアクセル踏んでろ!」


キキキイイイイイ


伊庭「左だ左に切れ!横転するぞ!」


雑兵がぶつかった衝撃で車は横転しそうになる



木村「小隊長!摑まってください!」



ガガガガガガガガガガ


ガガガガガガガガガン



白い幕で覆われた本陣内へと伊庭を乗せた小型トラックは雑兵や防御用の丸太などを巻き込んだまま突入する



ガガガガガ


ズドオオオオオオン


キキキキキイイイイイイイイイイイイイ




ドオオオオン



石田三成「ついに来おったか!」



521:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 11:23:23.84 ID:lr0/4kzs0

本陣突入と共に小型トラックはバランスを保てずに横転してしまった


伊庭「急げ!車から出て展開!」


横転した衝撃で伊庭は頭を打ち、血を流していた

木村と三村も少なからず怪我をしている



雑兵「うおおおおおお!」

雑兵「りゃあああああああああ」



パタタタ

タタタ タタタ


雑兵「ぎゃ」

雑兵「ぐはっ」


横転した車から脱出した伊庭たち3名の隊員は襲い掛かってきた雑兵を小銃射撃で一掃した



石田三成「それが……噂に聞く連発銃か!」




グオオオオオン

キキイイイイイッ


三成「もう片方の鉄の馬か!」



伊庭達に遅れて軽装甲機動車も本陣内に乗り込んでくる

軽装甲機動車は73式小型トラックと異なって装甲車両であったので衝突によるダメージは少なく、横転することなく停止した



根元「小隊長無事ですか!?」



停止した軽装甲機動車から根元ら3名の隊員が出てくる



ジャキジャキジャキジャキ



雑兵「殿!下がってください!」

雑兵「たった6人の兵、我々でぶった切ってやります」



石田三成を包囲するようにして展開した6名の隊員

その隊員達の持つ小銃の銃口から三成を守るようにして防御陣形を築く兵士たち



天下分け目の戦い、関が原の戦いの決着を付けるための最後の戦いが今、始まろうとしている



522:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/18(水) 11:41:12.98 ID:lr0/4kzs0

三成「某は佐和山城主、石田治部少輔三成と申す!」

伊庭「石田……三成!」

木村「わざわざ名乗ってくれたか。ありがたいこった」

三成「突如として現れ、戦の優勢劣勢を一気にひっくり返した謎の一団。西軍にも“おぬしらに似た一団”がおったが、あやつらとおぬしらとではやはり雰囲気が違うておる。あやつらには覚悟や“義”が無かった。じゃが、おぬしらは“武人としての構え”というものがはっきりと見えておる」


伊庭「武人としての………構え……だと?」



三成「そうじゃ」

伊庭(数日前に伊達政宗に言われたこととは正反対の言葉だ。僅か半日の戦闘で我々は…………)

三成「おぬしらは何者だ?」

伊庭「………………」

三成「?」

伊庭「陸上自衛隊…………。いや。戦国時代に存在しながら現代日本を守るために戦う集団。そう、言うなれば……………」

三成「言うなれば?」



伊庭「戦国自衛隊だ」




三成「戦国………じえいたい」

伊庭「そうだ。戦国自衛隊の指揮官、伊庭義明。それが俺の名だ!」



525:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/19(木) 15:03:16.92 ID:eogT7Anj0

三成「伊庭………義明」

伊庭「………………」


ガチャガチャ


雑兵「………………」

雑兵「………………」


自衛官たちにむけて槍や刀を向ける雑兵たち


須賀「ど…どうするんですか?撃って良いんですか?」

根元「待て。この距離だと下手に動いたら俺たちがやられる可能性もある」

木村「だが、三成の兵の応援が来る前に決着を付けないと」


自衛隊は時速80キロというスピードで雑兵の集団を振り切り、本陣に突入した

自衛隊車両に襲い掛かっていた1000を超える兵は時速80キロの車両に追いつけるはずも無く、自衛隊の本陣突入を防ぐことは出来なかったのである

しかし、彼らは三成の命を守るために自衛隊の後を追って本陣に駆けつけることだろう

1000を越える兵が三成の命を守るために本陣に到達した場合、自衛隊は逆に袋の鼠となってしまう


伊庭「………………」

三成「………………」


ジリッ


ザザッ


伊庭「……!」

三成「………!」


雑兵「!今じゃ!かかれえええええ!」

雑兵「一斉にかかれ!」


伊庭「くっ!撃ち方はじめっ!敵の戦力を確実に無力化しろ」

木村「了解!撃て撃て撃て!」

根元「はい!」


パタタタ 

タタタ タタタ タタタ

タタタタタタタタン


雑兵「ぐはっ」

雑兵「ぎゃ」

雑兵「ひるむなあああああ!」



526:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/19(木) 15:18:03.26 ID:eogT7Anj0

本陣内に居た三成の兵士は40人程度であった

その内10名ほどが三成を取り囲み、三成本人を守っている

残った30名が自衛官たちを少し距離を取りながら包囲しようとしていた

その30名が一斉に6名の自衛官に襲い掛かる



タタタ タタタ



6名の自衛官の持っている小銃弾の数なら30名の兵士などすぐにでも全滅できるのであるが………




雑兵「うおおおおおお!」

雑兵「りゃああああ!」


ガキイイイン


木村「くそっ」


包囲していた30人の兵と自衛官の間の距離は10メートルも無かった

全力で向かってくる30名の兵士

その兵士全員を全滅させるのに10メートルという距離は自衛官にとってあまりにも短すぎた




平井「くそっ!近寄るな!近寄ったら容赦なく撃つぞ!」

雑兵「りゃああああああ!」

平井「ちっ」


パタタタタタタ


雑兵「ぎゃあ!」

雑兵「おのれええええええ」


グサッ


平井「ぐっ」


対処し切れなかった兵が10メートルの距離を走りきり、自衛官に攻撃を仕掛ける

白兵戦闘になれば小銃は本来の力を発揮できない



527:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/19(木) 15:29:43.37 ID:eogT7Anj0

木村「平井!」

平井「ううっ。へ…平気です。くそっ」


タタタタタタタタタタ


左腕に斬撃を受けた平井は右腕だけで5.56ミリ機関銃MINIMIを持ち直し、反撃をする



タンッ タンッ タンッ カチッ


須賀「うわああああ!弾が!」

三村「援護する!伏せろ!」

須賀「はいっ!」


タタタタタ


雑兵「ぐあっ」



白兵戦闘に持ち込まれそうになった自衛官たちであったが、何とか優勢を保つ



三成「6名だからといって侮るでない!」

雑兵「30人が………あっという間に!」

雑兵「そんな馬鹿な」

雑兵「これが“じえいたい”とやらの実力だというのか!?」



ズドンッ


雑兵「がはっ」


ダンッ ダンッ ダンッ 

タタタン タタタン


雑兵「がっ」

雑兵「ぐはっ」


三成「………………………」



伊庭「今の兵でラストか。チェックメイトだ。石田三成。もうお前を守るための兵士は生き残っていない。おとなしく投降しろ」



531:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/20(金) 10:52:01.35 ID:opdBTpE70

ジャキジャキジャキ


本陣内に三成を守る兵はすでに存在しない

たった一人生き残った三成に6人の自衛官が銃口を向ける


三成「降伏じゃと?」

伊庭「そうだ。降伏しろ!」


伊庭は県から石田三成がどのような最期を遂げたかを聞いている

石田三成は関が原では死なず、戦線離脱した後に捕まり、後日打ち首になる……というのが史実であった

であるからにして伊庭はこの場では三成を殺したくは無かったのだ

それともう一つ

仮にこの場で石田三成を伊庭達だけで殺してしまったら東軍武将たちは何を思うか

「手柄を自衛隊が独り占めした」と思う武将も出てくるかもしれない

そのような状況はなるべく避けたい伊庭であった

しかし、それと同時に、はやいところこの殺し合い(関が原)を終わらせてしまいたいという気持ちも存在する



三成「わしとて武士だ。降伏するのなら切腹を選ぶ。それにここで降伏したならばわしの為に死んでいった兵たちに申し訳が無い」

伊庭「三成!」

三成「確かに勝敗は決したかもしれぬ。しかし、わしは“義”のために最期まで戦おう。最期に至るまで諦めぬ!」

伊庭「やはり………歴史書通りの頑固者だったか…………」

木村「あの三成の目………。まだ闘志がある。本当にこの状況で諦めてない!」

三成「………………」


ジリッ


三成は刀を持つと、一歩一歩、伊庭のもとに近づいてきた

その威圧に伊庭達は一歩後退してしまう


伊庭「くっ」

木村「小隊長!接近戦になる前に倒してしまわないと!」

伊庭(三成は歴戦の武将。銃剣道を心得た俺ではあるが、接近戦では勝ち目は無い。ならば接近戦になる前に三成を撃ち抜けば良い。しかし、心臓などの急所を撃ち抜いてしまえば、三成は死ぬ。それを避けるには…………)


ジリッ


三成はまた一歩伊庭に近づく



532:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/20(金) 10:59:56.23 ID:opdBTpE70

伊庭(この距離なら………一か八かだが………。やるしかない)


三成「……………!」


ザザザザッ


三成が伊庭に向かって刀を振り上げながら走り出す

三成と伊庭との距離はわずか数メートル


木村「小隊長!」

三村「くそっ」


ジャキ


伊庭に向かってくる三成に隊員達は発砲しようとする

しかし



伊庭「他の者は撃つな!」

隊員達「「  !? 」」


三成「おおおおおおお!」


伊庭「……………くっ」



タアアァーーン



ガキキイイイイイン



三成「なっ」



伊庭は小銃の単発射撃で三成の持っていた刀を撃ちぬく

至近距離から撃たれた小銃弾は刀を少し変形させる


戦国時代の刀職人の技術の賜物だろうか

小銃弾を受けても刀自体は折れたりしなかった

しかし、伊庭の狙いは刀を使用不能にする事では無い

数メートルという短い距離から放たれた小銃弾が刀に当たった時の衝撃はかなり強いものだ

その衝撃で三成は思わず刀を落としてしまう



533:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/20(金) 11:08:29.60 ID:opdBTpE70

三成「ちいっ!」


落とした刀をすかさず拾い上げようとする三成

しかし、伊庭はその隙を逃さなかった



タタタタタタタタタタタン



マガジンに残っていた残弾を全て落ちている三成の刀に浴びせる




ガガガガガン ガキキイイイイイ



流石の刀も至近距離から数十発の小銃弾を浴びて無事なはずが無い


三成「刀が………真っ二つに!」


伊庭「今度こそ終わりだ三成!」

三成「………………」

伊庭「動くなよ?少しでも切腹しようとしたり、反撃しようとしたら今度は足や腕を撃ちぬく」

三成「何故だ」

伊庭「?」

三成「何故わしを殺そうとはせんのだ?」

伊庭「……………」

三成「戦とは敵の総大将の首を取ってこそ勝利と言える。おぬしらが東軍の軍勢ならば、わしの首を取って勝利を手にするはず。しかし、おぬしらは配下の兵を倒すばかりで、わしの命は頑なに取ろうとせん。切腹すら許さんとは…………。おぬしらは一体何のために戦っておるのだ?」

伊庭「何のため…………か」

三成「わしに情けをかけているわけでもなかろう?ならば何のためじゃ?」

伊庭「それは………………!?」

木村「なっ!?」





うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!



534:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/20(金) 11:22:58.37 ID:opdBTpE70

根元「まずい!援軍が来ちまった」

木村「思ったよりも早い!」

須賀「小隊長!三成を捕まえて車両で退避しましょう!」



先程、自衛隊車両を襲っていた1000人余りの三成の兵が本陣に到達した



雑兵「殿おおおおおお!」

雑兵「殿!殿は無事か?」

雑兵「あやつらだ!鉄の馬がおるぞおおおおお!」



伊庭「くそっ」

三成「義明と言ったか?戦はやはり最期まで諦めぬことに限るな」

伊庭「くっ!総員、防御陣形を築け!」


本陣内に突入してきた1000人の兵士

それを迎撃するように6名の自衛官は半円のような形に広がって展開する


平井「5丁の小銃と1丁の機関銃…………。これで1000人を対処出来るのか?」

根元「残弾は6人合わせても、もう1000発も残ってないぞ」

木村「別に敵兵を全滅させる必要は無い。三成を人質にしたまま車両で我々の陣まで撤退すれば良い」


三成「皆の者!わしに構わず、攻撃を仕掛けよ!」


雑兵たち「「 !? 」」


木村「正気か?何言ってやがるんだこいつ!」

伊庭「我々が三成を殺すことが出来ないと三成は知ってしまった。だから、自分が人質にとられていても構わずに攻撃をしろと言ったんだ。人質が殺される心配が無ければ、安心して我々を攻撃できるだろ」

木村「殺される心配が無い人質は既に人質として機能しない………というわけか」



うおおおおおおおおおおおおおおお!



タタタタン

タタタ タタタ タタタ



535:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/22(日) 19:24:19.17 ID:KAnLlUKF0

押し寄せてくる1000人余りの兵


根元「たった6人じゃ防ぎきれない!」

平井「あと一歩でこの戦が終わるところだったのに…………」

木村「次から次へときりが無い」



パタタ タタタ タタタ

タタタタタタタン タタタタタタタタ


隊員達は果敢に反撃するが、多勢に無勢だ

いくら近代兵器で武装していようと、6対1000という人数差では勝ち目が無かった


タタタタタタタタ

タタタタタタン カチッ カチッ


須賀「残弾なし。装填します!」

伊庭「援護する!下がって給弾しろ!」

須賀「はい!」


タタタン


雑兵「がはっ」

雑兵「敵はたった6人じゃ!押し切れ!」


根元「まずい!弾がもう無い」

平井「俺のをやる。これが最後のマガジンだ」

根元「サンキュー!助かった。装填する!三村、援護射撃を頼んだ」

三村「はい!」


タアァーン タアァーン


雑兵「ぐはっ」

雑兵「ぎゃ」



536:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/22(日) 19:43:38.76 ID:KAnLlUKF0

既に小銃弾を使い果たしていた三村は、スナイパーライフルで応戦している

ダンッ ダンッ ダンッ

雑兵「がっ」

伊庭も小銃弾を使い果たしてしまった為に、9ミリ拳銃を片手にして戦っていた


伊庭「総員着剣!」

根元「マジかよ!白兵戦じゃ分が悪いぜ!?」


伊庭の命令で隊員達は小銃の先っぽに銃剣を装着し、白兵戦闘の備えをした


伊庭(小銃弾はもうほとんど残っていない。だが、敵兵は500以上まだ残っている。戦を東軍の勝利とし、はやく終わらせる為。何より、隊員の命を守るためにも、残された選択肢はひとつ)


タタタ

タタタタタタン

タアァーン タアァーン

うおおおおおおおおお!


伊庭(三成を殺害することだけだ!)


タタタタ カチッ


木村「くそっ。残弾無し!予備ももう無い」

三村「こっちもありません!誰か援護を!」

須賀「自分が援護します!」


パタタタ タタタタン


伊庭(隊員達の持っている弾薬はあと僅か。迷っている暇は無い!多少歴史が変わろうが関係ない!俺の手で石田三成を!)

木村「小隊長!あれを!」

伊庭「?…………!?」

根元「弓隊か!」


三成殺害を決意した伊庭が行動を起こそうと思った矢先に、木村が叫ぶ

何事かと木村が指を指す方向を見れば、今まさに、矢を放とうとする弓兵が多数居た

その数はおよそ20

距離は50メートルも離れていなかった

この時代の弓兵の練度は高い

この距離ならば確実に弓兵の放った矢は伊庭達自衛官に命中するだろう



伊庭「くそっ!伏せろ!」

根元「無理!無理です!」

平井「伏せたら敵兵に潰されてしまう!」


隊員達は押し寄せてくる敵兵の対処で手一杯だった

とても矢から身を守るために伏せることの出来る状態では無い


三成「良いぞ!己の力を信じて矢を放て!わしはおぬしらの腕を信じておる!」



537:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/22(日) 19:47:18.32 ID:KAnLlUKF0

隊員達の背後には三成が存在する

弓兵の放った矢は三成に当たってしまう可能性もあった

しかし、三成は弓兵たちが確実に自衛官のみを射抜くことが出来ると信じて疑わない





伊庭「もう間に合わない!ここまでなのか……………」





伊庭だけでなく、他の隊員達も諦めかけていた












が、しかし














ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン



538:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/22(日) 19:53:53.47 ID:KAnLlUKF0

雑兵「ぎゃああああああああああああ!」

雑兵「あああああああああああああ!」

雑兵「わああああああああ!」



ドオオオオオオオオオン



伊庭「!?」

三成「何が………起きた!?」





凄まじい轟音とともに、大地が爆発する

弓兵はおろか、その周囲に居た兵たちも跡形も無く吹き飛ばされてしまっている

吹き飛ばされなかった兵たちはあまりの音と衝撃波に皆、地面に転がって悲鳴を上げていた



木村「この威力!この時代の兵器じゃない!」

根元「!この音は!」



グオオオオオ キュラキュラキュラ



三村「戦車だ!小早川秀秋の陣に行っていた戦車が救援に来たんだ!」

伊庭「10式戦車がここに!」

伊庭(鉄砲隊も弓兵も大筒ももう三成の手元には無い。敵に戦車に対抗できる武器は無い!)



542:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/23(月) 11:54:09.13 ID:KxHwbX9b0

グオオオオン オオオン


キキイイイイイッ



丸太で出来た防壁などの障害物を無理やり押しのけて10式戦車は本陣内へ突入した




島田「伊庭1尉!救援に駆けつけました!無事ですか!?」


戦車上部のハッチから顔を出していた車長の島田が伊庭に呼びかける


伊庭「ああ!無事だ。よく来てくれた!」

木村「まさに間一髪ってところだったよ」

根元「遅えぞ!待ちくたびれたぜ!」


隊員達は到着した10式戦車の姿に安堵する

そして、車長の島田を拍手で迎えた


雑兵「なんじゃこの大きさ………」

雑兵「今まで見てきた鉄の馬とは桁違いの大きさじゃ」

雑兵「しかも、この鉄の馬は火を噴くぞ」

雑兵「どうやって戦えば良いのじゃ!?」


三成の兵たちは10式戦車の圧倒的な存在感に驚愕していた


雑兵「くそっ!」



ヒュンッ


ガキイイイイン



島田「ちっ。無駄な足掻きだ!」



ズドドドドドドドン ドドドドドド


雑兵「がはっ」



543:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/23(月) 12:07:27.80 ID:KxHwbX9b0

10式戦車に矢を放ってきた雑兵に向かって島田は車載の12.7ミリ機関銃M2で攻撃した

12.7ミリ機関銃の掃射を受けた雑兵はミンチ状態になってしまう


雑兵「ざ……ザクロが弾けたみたいに人の体が………」

雑兵「こんな威力の鉄砲がこの世に存在するなんて………」

雑兵「南無三。もはやこれまで!」



主砲の120ミリ滑空砲と12.7ミリ機関銃の一連の攻撃で三成の配下の兵たちはすっかり戦意喪失してしまった



三成「…………………」


伊庭「三成。あなたの言う通りだったようだ。勝負は最後の最後まで諦めてはいけない」

三成「……………そうだな。そのようじゃな」

伊庭「で?あなたはまだ我々と戦うつもりなのか?」

三成「………………」


三成は戦意喪失した配下の兵たちをチラッと見る


雑兵たち「「  …………… 」」


三成「いや。彼らをこれ以上戦わせるのは酷じゃな。もう既に戦う気力を無くした彼らを無駄死にさせとうないしの」

伊庭「………………」

三成「わし一人戦うことも考えたが…………。あの鉄の馬の鉄砲玉で跡形も無く消されてしもうては、わしごとこの世から“義”というものが粉砕されてしまうことの暗示のような気がしてならん。ならば、いっそのこと…………」

伊庭「切腹………するのか」

三成「最期は武人らしく終えたいのでな。武士の情けだ。腹を切る時間くらいは与えてくれても良かろう?」

伊庭「………………」


雑兵「殿!」

雑兵「くっ。我らに力が無かったからこんなことに………」

雑兵「やはり最後まで我々も!」


雑兵たちは再び三成の為に戦おうとする





三成「ならぬ!」

雑兵たち「「  !? 」」



544:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/23(月) 12:19:35.05 ID:KxHwbX9b0

三成「わしはおぬしらに無駄死にして欲しくは無いし、それに、わしの最期を誰が後世まで伝えるのじゃ?」

雑兵たち「「  …………… 」」

三成「おぬしらがここで全員死ぬこととなれば、“義”を持つ武人はこの国から居なくなってしまう!内府に楯突くことの出来る武人が居なくなってしまうであろう!おぬしらは生き残り、そして、この国を良い方向へ導け。それが、わしの最後の命じゃ」

雑兵「殿!」


見れば三成の兵たちは涙を流しながらひざまずいている

それを見て伊庭は思った


伊庭(これほどまでに信念を貫き通す武人………。このような人間がかつての日本には存在したと言うのか。現代の日本、いや、世界にこれほどまでの人間が存在するだろうか…………。俺は今まで知る由も無かった。…………そうだ。この男がどんなに立派な武将であったか、ということをもう現代日本の人間は知らない。歴史の闇の中に彼の信念は消え去ってしまったのだ)

伊庭(それは三成だけでは無い。彼と敵対勢力であった東軍の武将たちにも信念が存在し、彼らは己の信念に従って戦ったのだ。どちらが正しいと言うことはない。どちらとも正義と言うものが存在する。その正義の為に命を賭けて力をぶつけ合う。それが戦国時代。では、我々、自衛隊にとっての正義とは何だ?)

伊庭(それは………現代日本に生きる人間を守ること。その為に歴史を正しい流れに導くことでは無いのか?)

伊庭(ならば、俺はここでどうするべきか。答えは出ている!)



伊庭「三成…………。逃げろ」

三成「!?」

木村「小隊長?」

島田「おいおい。逃がすって………。正気の沙汰じゃねえぞ!」


伊庭の言葉に三成や自衛官たちはおろか、三成配下の兵たちもどよめく



545:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/23(月) 12:35:00.63 ID:KxHwbX9b0

三成「何と申された?」

伊庭「逃げろ三成。あなたが本当に己の信念を貫き通したいのなら、この関が原から撤退し、そして、あらためて内府とやらに再戦をしろ」

三成「おぬしは………おぬしは東軍の軍勢ではないのか?」

伊庭「聞こえなかったのか?逃げろ!そして、あなたの言う“義”とやらのために生きよ!」

三成「…………………」

伊庭「行け!石田三成!」

三成「!?………………ああ」


三成は立ち上がる


三成「皆の者!撤退じゃ!わしに続け!この場は一旦退いて、再び内府との決戦に挑む!この戦で命を落としていった者のためにも!」

雑兵たち「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」



三成は馬に乗ると既に数百名となった配下の兵を引き連れて戦場を離脱しようとする


三成「伊庭殿。わしはおぬしの考えが分からぬ。が、しかし。礼を言おう。おぬしのおかげで、わしはこの国を良い国にすることが出来るという希望をまた手に入れることが出来たのだからな!」

伊庭「……………」

三成「また会うこともなかろう。さらばじゃ!」


そう言って三成と兵たちは関が原から去っていった

その後姿に伊庭は敬礼をする




木村「よろしかったのですか?逃がして」

島田「三成の男気に惚れた………とかですか?伊庭1尉?」

伊庭「いや。違う。これが正しい歴史だからだ」

木村「?」

伊庭「三成は関が原を離脱に成功。後日、捕まり、斬首される。これが正しい歴史なんだ」

島田「なっ」

木村「それじゃあ、三成は………。このあと…………」

根元「捕まって斬首か。あんなに張り切って徳川にまた挑もうとしていたのにな」

須賀「何か………かわいそうなことしましたね。ここで腹切ったほうが幸せだったかも」

伊庭「そうかもしれないな。だが、我々は狂った歴史を元に戻すために戦ってきた。なら、少しでも史実通りに事を運ばせようとするのが、我々の信念に従った行動……と呼べるのではないか?」

隊員達「「  ……………  」」



546:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/23(月) 12:51:41.52 ID:KxHwbX9b0

伊庭「とにかく、これで歴史は元の流れに戻ろうとし始めた。我々はこれより帰還する。総員乗車準備!」

隊員達「「 はっ! 」」


伊庭の号令で隊員達は軽装甲機動車と10式戦車に乗り込む

伊庭達の乗ってきた73式小型トラックは横転し、使い物にならなくなっていたため、伊庭と木村と三村の3名は10式戦車の上部に乗った


伊庭「燃料は保つか?」

島田「大丈夫です!正信の陣までは保ちます」

伊庭「島田…………。島2尉たちは?」

島田「……………。我々は小早川秀秋を説得した後、島2尉たちとテロリストが交戦していた場所にすぐに向かったんです。しかし………」

伊庭「しかし?」

島田「テロリストたちの死体や、撃ち捨てられた対戦車弾などは見つかりましたが、島2尉たち空挺隊員の姿はどこにも見当たりませんでした」

伊庭「そうか…………」

島田「それと、ここに来る最中にひっくり返った小型トラックと動かなくなった隊員達を見ました」

伊庭「そうか」


伊庭達が三成の本陣に突入する際に小型トラック1台がひっくり返った

それに乗っていた隊員達は伊庭達に「先に行け」と伝え、伊庭は苦渋の決断で彼らをその場に残して進んでしまったのだ


伊庭「彼らの遺体を回収してどうにかベースまで連れて帰りたい。彼らのところまで行ってくれるか?」

島田「了解っと。まだ戦は終わってませんから、矢や鉄砲には気をつけてくださいよ。それと、正信の陣では我々の仲間がまだ必死の攻防戦をしている可能性があります。彼らの救援の為に急ぐので、時速50キロ以上の速さでの走行となります。振り落とされないようにしてくださいな」

伊庭「頼んだ」


10式戦車と軽装甲機動車は三成の本陣を後にした



551:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/24(火) 11:24:05.01 ID:0UTkkszz0

桃配山・家康(仮)本陣


隊員「石田三成が敗走!大谷吉継は山中村で討ち死にしたとのことです」

県「なるほど。歴史は元の流れに戻ったか」

隊員「他の西軍武将も次々に敗走。小隊長たち………ついにやったんだ!」


雑兵たち「「 うおおおおおおおおおお! 」」


県3尉が居る桃配山の家康(仮)本陣は東軍の勝利が決定的なものとなったことを確信して歓声が上がっていた


県「気がかりなのは野中たちだ。三成敗走で西軍が総崩れになったのは良いが、小西軍による正信本陣への攻撃の手はまだ緩んでいない。正信直属の兵と野中たち数名の隊員で小西軍を防ぐのはもう限界だろう」

隊員「三成軍と交戦していた伊達の軍勢が正信の軍に加勢すれば戦況は変わるかもしれませんが、彼らが正信本陣にたどり着くまでに保つかどうか………」

県「……………」


本多正信の本陣を防衛するために配置された自衛官は負傷者含める若干名のみ

その若干名で運用出来る迫撃砲などの野戦砲の類の数は限られている

それに、伊庭の三成討伐隊や矢野の宇喜多討伐隊などの部隊にかなりの弾薬を回してしまっているために正信本陣を守るための弾薬は決して多くは無かった

それでも野中たち自衛隊員は奮戦しているらしく、いまだに桃配山に敵兵が到達することは無い


県(が、それもいつまで保つか…………)


先程まで正信本陣の方角から聞こえていた迫撃砲や対戦車砲の発射音はもう聞こえていない

おそらく残弾が無くなったのだろう

現在は機関銃の連続射撃音が聞こえるばかりだ

西軍の負けは決定したが、県や正信たちの安全は保障されていないのが現状である


県「この現状を打破するには西軍の各軍勢と交戦していた東軍の軍勢が正信本陣まで戻ってくるか、あるいは、10式戦車や小隊長たちの部隊が戻ってきて加勢するしかない」

隊員「三成や宇喜多秀家が敗走したことから、小隊長たちは任務を遂行したと思われます。ですから彼らの帰還ももうすぐかと」

県「そう楽観ばかりしてはいられない」

隊員「え?」



552:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/24(火) 11:36:39.93 ID:0UTkkszz0

県「関が原の戦いが仮に史実通りに動いたとしたら、最後に“島津の敵中突破”が来る」

隊員「島津の敵中突破?」

県「そうだ。島津は三成と戦前に対立していた関係から、関が原の戦いでは一歩も動かなかったんだ。そして、彼は三成が戦線離脱した後、東軍の軍勢が犇く関が原を単軍で突破して薩摩に帰った」

隊員「へぇ~」

県「俺が危惧しているのはその島津の敵中突破のことだ」

隊員「?」

県「島津が敵中突破をする際に通ったルートは家康の本陣、つまりこの桃配山の目と鼻の先だ。史実通りならそのルートは東軍の軍勢がたくさん居たんだが、現在はというと…………」

隊員「…………小西たち西軍の軍勢が居る。東軍は正信の軍勢を含め若干しか………」

県「そうだ。島津にとっては簡単に撤退できるルートだ。だが、島津にはもうひとつの選択肢がある」

隊員「小西に加勢して………正信の陣と桃配山を落とす…………という選択肢ですか?」

県「そういうことだ。もし仮に島津が加勢してしまった場合、我々に彼らを防ぐ手立ては無い」

隊員「でも!島津がここに到達する前に他の東軍の軍勢や戦車が間に合えば!なんとか………」



ザザザザッ


雑兵「報告します!島津の軍勢が真っ直ぐにここへ向かってきております!」


やや動揺した顔をした兵が県の元へ走ってきて報告する

その報告を聞いて他の兵士もざわめきだす


県「くっ。やはり来るのか!島津」

隊員「3尉!自分は野中たちのところに行って戦いたいです!仲間が必死で戦っているのに自分だけここで見ているだけなんて………」

隊員「そうです3尉!」



553:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/24(火) 11:43:38.42 ID:0UTkkszz0

県「……………」


正直なところ県本人も正信の本陣へ行って戦いたかった

伊庭や矢野たちが命がけで戦っているのに自分は家康気取りで桃配山でじっとしているのはもう耐えられなかったのだ


しかし………



県(歴史は確実にもとの流れに向かっている。が、まだ完全では無い。いつまたイレギュラーな事態が発生するかも分からんのだ。俺は起こり得る最悪の事態を考えて行動しなくてはならない)

県「駄目だ」


隊員たち「「 !? 」」


県「俺だって戦いたい。仲間を救いたい。だがな、もし仮に正信の陣が落ちて、敵兵がここまで到達し、俺たちが死んだらどうする?俺は仮ではあるが、徳川家康の代役を演じろと言われている人間だ。俺が死んだら東軍総大将が死んだと同義になってしまう。そうなったらもうおしまいだ。小隊長たちの努力が全て水の泡となってしまう」

隊員「………………」

隊員「しかし…………」

県「辛いだろうが、ここは耐えろ」

隊員達「…………はい」



557:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 09:47:20.68 ID:NbwjiL/F0

~本多正信本陣前・自衛隊防御陣~




タタタタタタタタタン

ズガガガガガガ 

タタタ タタタ タタタ


野中「もっとだ!もっと弾持って来い!」

正信の兵「はっ!」

野中「くそおお!きりがねえ!このままじゃこの陣もいつまで保つか分からんぞ!」


押し寄せてくる小西行長の兵から正信の陣を守る自衛官と正信の兵たち

すでに81ミリ迫撃砲L16や110ミリ個人携帯対戦車弾、指向性散弾などの重火器は残弾が尽きている

遠距離攻撃の可能な重火器がなくなったことで自衛隊の想定した防衛線は次々に突破され、敵兵はついに最終防衛線に到達してしまった

自衛隊は人手不足から、小銃並びに機関銃の射撃と弾薬の補給を正信の兵の一部にさせている



正信の陣を囲うよう弧の字に彫られた塹壕は全部で6つある

その塹壕ひとつに指揮者として自衛官1名と小銃手、機関銃手、鉄砲隊、弓隊の混成部隊15名程度を配置してある

自衛官の式の下、正信の兵15名が自衛隊の貸した小銃や火縄銃、弓などで迫ってくる敵兵へ攻撃をしていた

その塹壕の後方5メートルの位置に2両の大型トラックと1台の中型トラックが弾薬補給庫として停車してある

トラックの荷台にも正信の兵が3名ほど待機しており、塹壕内の自衛官の指示によって適宜、弾薬補給を行うこととなっていた


刀、槍でぶそうする兵たちは全員、正信の本陣内で最後の砦として待機させてある

尚、自衛官6人中、半数近くは負傷者であったが、人数不足から負傷者であっても前線指揮にあたっている



558:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 09:55:20.24 ID:NbwjiL/F0

野中「2時の方向から敵兵の集団だ!MINIMIで蹴散らせ!」

正信の兵「はっ!」


パタタタタタタタタ


雑兵「ぐあっ」

雑兵「ぎゃ」


野中「弾薬まだか!?」

正信の兵「今持って行きます…………ぎゃああ!」

野中「なっ!?」


飛来した矢が弾薬補給を行っていた兵を貫く


野中「くそっ!どこから撃ってきやがった?」

正信の兵「野中殿!あそこ!」

野中「長槍隊の後ろに弓隊が隠れていたのか!おらあああ!」


タタタタタタン タタタタタ


雑兵「ぎゃああ!」

雑兵「ぐあっ」


野中「俺が弓隊に攻撃している間に誰かトラックから弾薬持って来い!」

正信の兵「わしが行きまする!」

野中「頼んだ!」


敵兵はもう前方50メートル以内にまで迫ってきている


野中「元々、トラックに積んであった弾薬の8割は使い切ってしまってる。このままだとあと30分も保たないぞ」




「うああああああああ!」




野中「!?」



559:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:09:03.01 ID:NbwjiL/F0

悲鳴は野中の居る塹壕のすぐ横の塹壕から聞こえた

見れば、塹壕の中から黒い煙が出ている


野中「戦忍が爆裂弾の類でも入れたのか!?」


黒煙を上げる塹壕から血まみれの兵たちが命からがら出てくる

その中には自衛官の姿もあった

野中の隣の塹壕で指揮に当たっていた自衛官は初日の戦闘で足を負傷していた隊員だ

その傷はまだ完治しておらず、一人ではまともに歩けない状態である


野中「くそ!おい、お前。俺の代わりにここの指揮をしろ」

正信の兵「かしこまって候!」


野中は横に居た正信の兵のひとりに指揮権を預けると、倒れている自衛官の救助に向かった


野中「大丈夫か!?しっかりしろ!」

隊員「ううっ。の…野中2曹………。自分は…だ……だい」

野中「大丈夫なわけねーな!今、後方の救護所まで運んでやる!海野2曹!来てくれ」

海野「!?」


衛生科の海野2曹が駆け寄ってくる

海野は衛生科であったが、現在は前線で指揮を執っていた


野中「爆裂弾の類を至近距離で受けたようだ。出血が激しい。後方の天幕で手当てをしたい」

海野「見せて。…………爆弾の破片と思われるものが傷口から体内に入ってる。太ももの大動脈が損傷………。出血が止まらない。早く輸血しないと…………」

野中「輸血パックはまだあるか?」

海野「まだ若干の余裕があったはず。彼の血液型は?」

野中「ドックタグを見る限りO型だ」

海野「分かった。彼を運ぶのを手伝って!」

野中「了解」



560:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:19:05.02 ID:NbwjiL/F0

野中と海野は負傷した隊員を運ぼうとする

が、しかし



ヒュンヒュンヒュンヒュン



野中「弓隊の残存兵か!」


またも矢が飛来する

それだけではない

塹壕のひとつが使い物にならなくなり、弾幕が少し薄くなってしまっている

そのため、防御に少し穴が出来てしまい、敵兵がいままでよりも多く殺到してしまっていた


野中「くそ!対戦車弾が残ってれば………」

隊員「も……申し訳ありません。じ……自分…の…せいで」

野中「お前のせいじゃない!」

海野「!?敵兵の一部が最終防衛線を突破して左翼の塹壕に到達!」

野中「何!?」


弾幕が薄くなった隙を突いて敵兵の一部が左側を防衛していた塹壕のすぐ手前まで到達してしまっていた

塹壕内にいた自衛官は手榴弾や小銃をフルで使って必死に戦うが、いかんせん敵が多すぎる


野中「西沢あああああ!左翼の陣だ!援護射撃!」

西沢「了解!撃て撃て撃てええええ!」


タタタタタタタタン タタタタタタ

タタタタタタタタタ


西沢1士と正信の兵たちが援護射撃を行う


雑兵「ぐああああ!」

雑兵「がはっ」



561:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:25:45.21 ID:NbwjiL/F0

野中「…………。海野2曹、こいつを頼む」

海野「え?」


野中は負傷した隊員を海野に預けると弾薬補給用のトラックへ走り出す


海野「何をする気!?」

野中「これだけ敵に囲まれては、もう弾薬を補給する暇はない!ならもうトラックは必要ないだろ」

海野「まさか?」

野中「別に特攻しようってわけじゃねえ。だが、小銃射撃よりもこっちの方が効率が良いと思ってな」


野中は73式大型トラックに乗り込む

大型トラックで弾薬補給の任務にあたっていた雑兵3名にありったけの弾薬を持たせて下車を命じた後、野中はエンジンを始動させた


海野「やめなさい!危険過ぎる!」

野中「そんなことは百も承知だ!そんなことより敵兵が迫ってるぞ!」

海野「くっ」


パタタタ


雑兵「がはっ」


迫ってきていた雑兵を海野は片手に持った小銃で倒す


野中「さて!地獄のドライブの始まりだ!」



562:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:35:08.28 ID:NbwjiL/F0

グオオオオオオオオ


アクセルを踏んでトラックを動かし始める野中

急に動き出した大型トラックを見て敵兵は驚く

兵員22名を乗せて走ることが出来る大型トラックは装甲車並みの大きさがある

その巨体が迫ってくるのは戦国時代の兵士にとって恐怖でしかない



野中「どけどけどけどけ!」



敵兵を自陣に近づけないように野中はトラックで敵兵を追い立てる

時速50キロ以上で追いかけてくるトラックに腰を抜かす敵兵も多い

腰を抜かして座り込んでしまった兵は容赦なくトラックの巨体に轢かれた



ガコンッ

ガコガコガコッ


野中「くそっ。死体の山の上を走るとなるとかなり揺れる。それにあんまり気持ちの良いもんじゃねえな!」


死体だけでなく生きた敵兵も轢殺しながら走る野中であったが、それらを轢く度に振動が伝わってくる

さらに、血糊でタイヤもスリップしてしまう


野中「ちくしょう!トラックにビビッて撤退するかと思ったが、戦国武士ってのは肝っ玉でかいやつが多いのか!?」


敵兵の中には走行中のトラックに飛び乗ろうとしたり、刀や槍で攻撃しようとする者も多く居た


雑兵「うおおおおおおおお」

雑兵「いくら化け物であろうと、この人数を相手には出来んだろ!」

雑兵「押し倒すんじゃああああ!」

雑兵「りゃあああああ!」



563:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:47:58.98 ID:NbwjiL/F0

野中「冗談じゃねえぞ!」



ガガガガガガガガガガガ



時速50キロで走行していた大型トラックに数十の兵が体当たりした

兵たちはその衝撃で跳ね飛ばされ即死する

しかし、その攻撃の衝撃はトラックにも及んだ


ズッガアアアアアアアアアン


あまりの衝撃に大型トラックは横転してしまう


野中「ぐあああっ」


フロントガラスは割れ、タイヤは吹き飛び、車体は変形してしまう


野中「いてて………」

雑兵「りゃあああああ!」

野中「うおっ!うらああ!」


タタタン


雑兵「がはっ」


横転したトラックに次々と敵兵が群がってくる

その敵兵の一人が運転席で倒れていた野中を見つけて、攻撃してきたのだ

野中は咄嗟に傍らにおいてあった89式小銃で応戦する


タタタ

タタタ タタタ


雑兵「ぐあは」

雑兵「ぐっ」

野中「これでも食らえ!………いたっ」


シートベルトを外して、割れたフロントガラスを潜って車外に出た野中はそこで身体全体に痛みが走っていることに気付く

彼はエアバックとシートベルトによって即死は避けられたものの、ガラスの破片で体中を切ってしまっているし、肋骨や足の骨が折れていた

だが、そんなことに構っている暇は無い

車外に出た野中に数百の兵士が襲い掛かってくる


野中「くっそ………」


タタタタタタ カチッ


野中「ちっ。ならこっちだ」


ドン ドン ドン



564:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/25(水) 10:53:57.11 ID:NbwjiL/F0

持っていた89式小銃の残弾が0となったので、野中は腰元から9ミリ拳銃を取り出して戦う

トラックの荷台にはまだ多少の弾薬が積んであったことを思い出し、拳銃で敵をけん制しながら、彼は荷台のほうへ移動する

だが、足の骨が折れているために上手く歩けない


ドン

ドンドン


ドン ドン ドン ドン


カチッ


荷台に移動し終える前に拳銃が弾切れとなった


野中「そんなっ!」

雑兵「うりゃああああああああああああ!」

雑兵「おおおおお!」


もはや戦う術の無くなった野中に敵兵が殺到する

襲い掛かってくる敵兵を眺めながら野中は死を悟った


野中(ここまでか…………)














ヒュルルルルルルルルルル


ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン









雑兵「!?」

雑兵「なんじゃ!」

雑兵「これは……………」



野中「……………10式!」



567:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 00:45:45.76 ID:RQAUJAGl0

伊庭「無事か!?野中!」

野中「し……小隊長!」

伊庭「根元!野中2曹を救出しろ!」

根元「了解です!」



三成本陣から戻ってきた10式戦車は機銃掃射でトラックに襲い掛かる敵兵を片っ端から潰していく

その間に根元の乗る軽装甲機動車が野中を救出した



西沢「小隊長だ!小隊長が帰ってきた!」

海野「10式もいっしょに!?」

隊員「まさに間一髪ってところだったな!」


10式戦車の登場に自衛官たちはおろか、正信の兵たちも歓声を上げて喜ぶ

対する小西行長の兵たちは10式戦車の攻撃で完全に戦意を喪失してしまい、逃走する者も多くいた


島田「伊庭1尉。後方に新手の軍勢が接近中です!」

伊庭「何!?」

島田「丸に十文字の旗印。どうします?今なら主砲の攻撃で一掃出来ますが…………」



正信「丸に十文字は島津の軍勢じゃ!」


停止した10式戦車の横に馬に乗った本多正信がやって来る

戦車の登場によって敵兵の襲撃も無くなり、安全が確保されたことで正信が前線に出ても平気な状況になっていた


伊庭「島津?」

正信「島津義弘じゃ。わしにも分からぬがこの戦いが始まって以来、自陣から一歩も動いていなかったのだが…………」

伊庭「今になって動き出した……というわけか。この陣が落ちそうになったのを見て手柄目当てで加勢したのか?」

正信「いや。あの者はそういうことはせん。漁夫の利とかそういった類のことをあやつは好まない。しかし、島津の兵がここに攻撃を仕掛けてくるとなれば、戦況はまた自軍の不利になる」

伊庭「それなら10式で再び攻撃を再開するしか…………!?」

正信「?…………………!」


パタタタタ

タタタタタタタン


グオオオオオ


島田「装甲車!?矢野2尉たちが帰ってきた!」



568:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 01:04:22.98 ID:RQAUJAGl0

10式戦車の背後から迫ってきていた島津の兵の進行を防ぐように96式装輪装甲車が戦場に突入してくる

いきなり進路を妨害してきた装甲車に島津の兵たちはたじろぎ、止まってしまう



グオオオオオオオ



島田「装甲車………。すごい速さで向かってきますけど」

木村「何か急いでるんだろうか?」

伊庭「負傷者が居るのかもしれん。海野2曹!負傷者が出た場合に備えておいてくれ!」

海野「了解しました!」


戦車の脇に駆け寄ってきていた衛生科の海野に伊庭は指示する


木村「にしても………装甲車だけか」

伊庭「………………」


宇喜多秀家の討伐に向かった車両は96式装輪装甲車の他に高機動車と軽装甲機動車があったはずだが、その姿はどこにも見当たらない

おそらくは任務の途中で使用不能になって放棄したか、もしくは、敵兵に破壊されたのだろう

伊庭達も投入した車両の半分以上を失っていたし、隊員にもかなり犠牲が出てしまっていた

正確な人数は把握していないが、すでに自衛官にも相当な“戦死者”が出ていることを伊庭は悟っていた



グオオオオオオオオ キキキイイイイイイイイ



10式戦車や軽装甲機動車が停車してある横に96式装輪装甲車は急ブレーキをかけたようなかんじで停止した

停止すると共に装甲車の後部扉が開かれる

その扉から三田村と大西の2名の隊員が飛び出してきた


伊庭「三田村!大西!無事で何よりだ!」

三田村「報告は後です!それよりも輸血パックをすぐに用意してください!」

大西「急がないと手遅れに!」


降りてきた2名の隊員の様子に伊庭は一抹の不安を覚えた


伊庭「輸血パック………?負傷者が多数居るのか!?」

大西「矢野2尉が………!意識不明の重体なんです!」

伊庭「矢野………矢野が!?」



569:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 01:20:39.23 ID:RQAUJAGl0

伊庭は大西の口から出た隊員の名前を聞いて頭が真白になる


伊庭(矢野………。矢野が意識不明だと!?あの、どんな戦場からでも生きて帰ってきそうなタフな男が…………)


伊庭はレンジャー訓練時や特殊作戦群で矢野と行動を共にしたことがあった

レンジャー訓練での伊庭と矢野は教官と訓練生という関係であり、特殊作戦群では共に戦う仲間だった

長い間、矢野を見てきた伊庭は彼のことを良く知っている


如何なる状況下、如何なる任務でも冷静に行動し、逸早く決断を下す

冷血そうに見えて実は部下のことを第一に思っている

射撃や格闘、作戦立案など、どの分野でも優れた成績を残し、米軍のデルタフォースにも匹敵する戦闘員とも言われる隊員

それが矢野2等陸尉であった


その彼が…………



加納「矢野2尉!しっかりしてください!」

隊員「血が……血が止まらない!」

矢野「」


加納ともう一人の隊員に担がれて装甲車から出てきた矢野は首元から血を垂れ流し、生きているかどうかも分からない状態であった

彼を担いでいる2名の隊員の呼びかけは既に悲鳴に近いものになっている


伊庭「矢野おおおおおおおおおおおおおお!」

矢野「……………ぐ……………ぅ」

加納「意識が!」

伊庭「しっかりしろ!お前はこんなところで死ぬような男じゃないだろ!」

矢野「……………ぃ………ば………たい」


伊庭の呼びかけに少しだけ意識を戻す矢野


海野「輸血パック持って来ました!手術用の道具などはありませんが、出来る限りのことはやってみます!」

伊庭「頼んだ!」

加納「2尉…………」

伊庭「……………矢野のことは海野にまかせよう」

加納「でも………」

伊庭「今、我々がしなくてはならないのは正信の本陣を守り抜くことだ。敵兵が襲ってくる中じゃ矢野の救命も出来ないだろ。加納と三田村は装甲車を用いて新たに出現した島津の軍勢がここに近づかないようにけん制してくれ」

加納「………はい」

三田村「了解」



570:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 01:39:08.58 ID:RQAUJAGl0

宇喜多秀家討伐隊の残存隊員は矢野を含めて5名

三成討伐隊の残存隊員は伊庭を含めて6名だった

これに島田たち10式戦車の3名と正信の陣を防衛していた負傷者含む6名

合計20名

これが現在、正信本陣に集結している生存した自衛官の総数である

そのうち矢野を含めた2名が重傷で動くことが出来ない

実質、戦闘可能な隊員は18名ということになる


伊庭「戦車があるとはいえ、今の我々では正信本陣や桃配山を完全に防衛するのは困難だな」

木村「そうですね…………」


残存兵力の確認をしていた木村曹長の表情は硬い

何せ、タイムスリップ前に50名以上居た隊員がその半数以下にまで減ったのだ

伊庭はその現実に責任を感じていた


伊庭「俺の指揮のもとで相当な隊員が命を落とした。この責任は俺にある」

木村「そんなことはありません。皆、自分で参戦を決意したんです。危険を覚悟で」

伊庭「それでもだ。俺は彼らの死を背負わなくてはならない。彼らのためにも歴史を修復して、未来の日本を守らねばならん」

木村「隊長………………」



グオオオオオオ

キュラキュラキュラ


ズドドドド
 

ドオオオオオオオン



10式戦車と96式装輪装甲車は小西行長の残存兵と島津の兵を正信の配下の兵と共に追い立てている

島津の軍勢は元々、正信の陣に攻撃を仕掛ける意思は無かったようで、戦車が攻撃をする前からとっとと戦線離脱を開始していたようだ

小西行長の残存兵たちも戦車の主砲弾や装甲車の銃撃によって壊滅しかけている


伊庭「戦は………決したか」

木村「はい。西軍各武将は逃走するか討ち死にしています。東軍の武将たちに三成敗走の伝令も出しましたし、そろそろ戦も終わるでしょう」

伊庭「…………………そうか」



571:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 01:43:45.04 ID:RQAUJAGl0

関が原の各所から歓声のような雄叫びが聞こえてくる

おそらく戦闘に勝利した東軍の軍勢のものだろう


伊庭「これで俺たちの役目は終わりか」

木村「はい。戦車と装甲車を呼び戻して、それから残弾の確認を…………」


海野「小隊長!矢野2尉が意識を取り戻しました!至急こちらに来てください!」


木村の声を遮るように海野が伊庭を呼ぶ


伊庭「本当か!?」

木村「10式と装甲車への呼びかけは自分がしておきます。小隊長は矢野2尉のところへ」

伊庭「ああ。頼んだぞ木村」

木村「了解!」



573:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 21:15:09.64 ID:RQAUJAGl0

~正信本陣・医療用天幕~


正信の本陣内の一箇所に自衛隊の天幕が設営されている

主に通信基地と負傷者の収容に使われていたのだが、矢野はこの天幕で輸血を受けていた



伊庭「矢野。聞こえるか?」

矢野「…………ぅ。伊庭…………小隊長…………」

伊庭「よく帰ってきた」

矢野「……………」


簡易ベットの上で仰向けに寝かされている矢野の首筋には止血用のガーゼが何重にも巻かれていた

しかし、そのガーゼはほとんどが赤く染められている


海野「可能な限りの措置は行いましたが…………」

伊庭「……………」


素人目にしても矢野が助からないのは明らかだった

それでも伊庭は矢野に励ましの言葉をかけようとする


矢野「し……小隊長。じ………自分……は大勢の部下を…………」

伊庭「自分を責めるな。元はと言えば俺の立案した作戦だ。全責任は隊長である俺にある」

矢野「…………た……い長。俺は……本当は………歴史とか…………元の…時代とかどうでも良かったん………だ」

伊庭「……………」

矢野「俺は………俺に出来ることは…………戦闘……くらい…しか無かった………から。元の時代では………部下も上官も………俺…の戦闘能力……しか見ていなかった。お……れは人望……とか…そういうものに………憧れて…たんだ」

伊庭「矢野…………」

矢野「だから………あなたが……羨ましかった………んだ。何も言わなくても………部下がついてきてくれる……あ……なたに…………俺は嫉妬すらしていた」

矢野「この時代に………来ても…………それは…か……わらなかった。俺は……この時代に………来た事を…チャンスと………思っ……て必死に…戦った。指揮を……とろ…うとした。そうすれば………俺にも…………誰かついてきてくれる……と思ったんだ」

伊庭「お前………そんなことを考えていたのか」

矢野「だが………俺には……不可能…だ……った。結果的に大勢が死に…………。うっ」

伊庭「そんな事は無い!お前は自分の役割をしっかり果たした。それに部下だってお前のことを信頼し、そして…………」


バッ


隊員達「「 矢野2尉! 」」

伊庭「!」


天幕内に生存した隊員達が押し寄せてくる

彼らは矢野の容態を気にしたのだろう



574:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 21:19:29.55 ID:RQAUJAGl0

三田村「2尉!しっかりしてください!」

加納「2尉!」

大西「矢野さん!」


矢野の指揮下にあった隊員達は矢野の元に駆け寄り口々に叫ぶ


矢野「…………そ……うか。はは………。この……時代に来て………少しは……報われ…………た……のか………」


そういい残して矢野は目を閉じる

そして、その目は二度と開かれることは無かった


伊庭「くっ…………」

三田村「……………」

加納「2尉…………」

大西「ううっ」


伊庭は動かなくなった矢野に対して敬礼をする

他の隊員もそれに習った



575:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 21:31:36.16 ID:RQAUJAGl0

時刻は15時を回ろうとしている

宇喜多秀家、石田三成は関が原から撤退

他の西軍各軍勢も敗走し、勝敗は完全に決した


島津の軍勢も戦線離脱を成功させ、関が原の戦いは終結を迎える

討ち死にした武将、裏切りをした武将、戦線離脱をした武将

全て自衛官たちの知る歴史通りであった


細部が若干異なってはいたが、自衛官たちは見事に関が原の戦いを再現したのである


だが、彼らの仕事はまだ終わらない

関が原終了後も家康不在という歴史の穴を埋める為に自衛官たちは奔走することとなる


生き残った自衛隊員22名

残存している燃料弾薬は若干

その若干の燃料を使用して22名の自衛官は関が原を離脱後、東軍首脳と共に京都の伏見城へ向かった



576:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/27(金) 21:47:23.16 ID:RQAUJAGl0

西暦1600年・9月22日

伏見城



伊庭「残った燃料はあとどのくらいだ?」

木村「せいぜい200リッターってところですかね?」

伊庭「そうか。ではもう戦車や装甲車は動かせんな」

島田「…………………。ま、そうだろうな。主砲弾ももう無いし、整備も出来ないとなれば、もう戦車(こいつ)に用は無い。それに、戦車が活躍するような戦ももう無いんだろ?」

伊庭「まあ……そうなるな」

島田「俺は寂しいが………。こいつが活躍するってことは、また大勢の人が死ぬってことになっちまう。うん。やっぱ平和が一番だ」

木村「そうだな」

伊庭「戦車や装甲車をどうするかはまた後で考えるとしよう。弾薬はどうだ?」

木村「迫撃砲や対戦車弾はもう残っていません。榴弾の類は手榴弾が十数個あるのみです。あとは5.56ミリの小銃弾が1000発に10式戦車搭載機関銃が2丁あるってとこですかね。自分はこの戦で全弾使い切ってしまうだろうと思っていたんですが、案外残ってました」

伊庭「だが、もう大規模な戦闘は行えんな。それに東軍武将らに対して大きな発言が出来るほど強大な軍隊じゃなくなってしまった。どうするべきかね」

木村「正信さんが我々の立場は保証すると言ってくれたのでは?」

伊庭「正信だけでなく伊達政宗とか他の武将も我々を歓迎してくれると言っている。関が原は終わったが、この後も引き続き歴史の修復を行わなければならないから、東軍首脳に歓迎されている現状は俺にとってもありがたいよ」

木村「小隊長………。だいぶこの時代の人間っぽくなりましたね」

伊庭「…………………そうかもな」


伊庭はもう元の時代に戻ることを半ば諦めている

それは他の隊員も同じだ

中にはこの時代で生きたいと言う隊員も居る

その一人が県3尉だった


伊庭「とりあえずこれから東軍首脳と今後の方針について会議だ。俺の留守中、装備品の護衛を頼んだぞ」

木村・島田「了解」



580:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/28(土) 16:46:03.87 ID:Q69wlsB70

~伏見城内~


正信「そうか………利家殿が」

伊庭「利家………前田利家か」

県「……………」


上田城を攻めていた前田利家が戦死した

その知らせに東軍首脳たちはざわついていた


現在、伏見城では関が原後の方針を決定する会議が行われている

本多正信、伊達政宗、池田輝政、黒田長政、井伊直政ら関が原の戦いでも大きな役割を果たした武将たち十数名が揃っていた

自衛隊からは伊庭と県が参加している



伊庭と県はこの会議に参加する前にふたりだけでこんな会話をしていた


~回想~


県「そうか。正信が関が原に参加した為に正信が本来行うはずだった真田との戦闘を前田利家が…………。だから彼は生き残っていたのか」

伊庭「どういうことだ?県」

県「前田利家は関が原開戦前に亡くなっていたという話はしましたよね」

伊庭「ああ」

県「自分は家康の死や政宗の関が原参戦などの“歴史の狂い”は我々自衛隊がタイムスリップして歴史に介入したために起こったものと考えていました。しかし、それでは利家の生存は説明がつかない。利家が生きていた……ということは我々自衛隊がタイムスリップする前から歴史に狂いが生じていたことになります」

伊庭「確かにそうだ。では我々の存在は一体?」

県「これは自分個人の考えなので確証はありませんが、“自衛隊がタイムスリップしたことも歴史のひとつ”なのではないでしょうか?」

伊庭「それはつまり、我々がタイムスリップしたから歴史が狂い、それを我々が元通り修復したということではなく、我々がタイムスリップしてから再現した関が原の戦いこそが、元々我々の知っていた史実通りの関が原………ということか」

県「そうです」


伊庭はずっと自衛隊がタイムスリップしたことで歴史が自分たちの知っている教科書通りの歴史とは違うものになってしまったと思っていた

そして、その歴史のズレを修復する為に戦った

教科書に乗っているような元の歴史に戻すように戦ったのだ

しかし、県が言うには、自衛隊のタイムスリップでは歴史は変わっていないらしい

というよりも、自衛隊がタイムスリップしたことは史実通りで、歴史の規定事項だったというわけだ

狂った歴史を直そうとして史実通りに再現した関が原であったが、それは再現ではなく関が原の戦いそのもの

自衛隊の参加した関が原の戦いこそが史実通りの出来事ということだったのである



伊庭「そう考えると変な感じだな。俺が中学時代に歴史の授業で習った関が原の戦いは、俺たちが参加した戦いだった………ということだろ」

県「はい。我々の存在はこの時代にとってイレギュラーではなかったんです。我々がこの時代に来たことも正しい歴史だった………というのが自分の考えなんです」

伊庭「なろほどな。でも、仮にそうだとしたら何故、現代の教科書には我々の存在がしるされていないんだろう?それに関が原開戦の日時とか、参加武将は史実通りではなかったんだろ?」

県「それに関しては何とも言えません。ただ、まだ我々がこの時代に存在している……ということは…………」

伊庭「ああそうか。俺たちが俺たちの知っている史実通りになるように情報操作をするってことか。利家が死んでいたことにしたり、政宗が関が原に参加していなかったことにしたり。俺たち自衛隊がこの時代に存在していなかったことにしたり……………な」

県「ちょっと切ないですよね」


~回想終わり~



581:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/28(土) 17:09:06.23 ID:Q69wlsB70

話は戻って伏見城内


政宗「勝った良いが、家康殿の件はどうする?」

輝政「戦中に病死したということにすれば…………」

政宗「それでは大阪に付け込まれるぞ。三成は捕らえたが、豊臣家は未だに存在している。家康の死を知ればまた戦になるであろう」


関が原終了後、少し経ってから石田三成は捕らえられた

打ち首は時間の問題だ

宇喜多秀家らも同様に捕らえられている


正信「影武者を立てたいが…………。しかし、今後の内政などを決める“殿”の存在無しに事は上手く運ばん。じえいたいはどう考える?」

伊庭「………………」


武将たちは伊庭と県を見つめる

正信や政宗のようにカンの良い人間はもう自衛隊が未来から来た存在だと気付き始めていた


県「理由は語れませんが、自分は家康殿の目指していた太平の世がどのような仕組みの上に成り立っているかを存じております。自分が家康役をするのは気が退けますが、家康殿の頭脳役なら出来るかもしれません」

政宗「なるほど」

輝政「鉄の車などを見せられているから、家康殿の考えを知っていると聞いたところで驚きはせん。が、やはり全てを信用することは出来ない。急に出てきて急に味方のなったおぬしらを信用するにはちと時期が早いように思える」


池田輝政の発言に何人かの武将が頷く

まあ無理も無いだろう

突如出現して、突如味方となった奇妙な集団をすぐに信用するほうがおかしい

それに自衛隊は各武将に自分たちがそこから何の為にやってきたのか、などの情報を一切公開していない

怪しい集団といわれればそこまでだ


伊庭「確かに、我々はあなた方にとって不可思議で疑わしい存在かもしれない。だが、我々も関が原では必死で戦った。それも事実です。我々にも大勢の犠牲が出ましたし…………」

武将「大勢と言っても数十名であろう」

伊庭「自分たちは元々、50名程度の集団でした。だから、数十名の犠牲は重いものです。我々は別に手柄や名誉や地位が欲しい訳ではない。我々が欲しいのは“平和”です。太平の世が欲しいだけです。ですからその為の助言をしましょう。ほとんどの武器を失った我々に出来るのはそれしかありません」

政宗「地位も名誉もいらぬ………か。まあ、仲間の命が第一のおぬしら“じえいたい”はそう言うであろうな。まあ、おぬしらが疑わしいのに違いは無いが、わしらは家康殿ほど“将来の設計”が出来ているわけでも無い。太平の世を築くための助言とあれば正直、喉から手が出るほど欲しいものじゃ。皆もそうであろう」

武将たち「「 ……………… 」」

正信「わしは“じえいたい”に絶対の信頼を持っておる。だから、おぬしらの知る“太平の世の築き方”も信用しよう。もし、この中で彼らを信用せぬ者がおれば今申し上げよ」


武将たちは沈黙したままだ


正信「ならば今から“じえいたい”は家康の頭じゃ。早速、これからの国のあり方を聞こうではないか」



582:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/28(土) 18:55:29.14 ID:Q69wlsB70

~数時間後



三成や宇喜多秀家の処遇や豊臣家に対する圧力のかけ方、大垣城を攻めるかどうかなどを県主導で次々と決め会議は終了した

最初は疑心暗鬼だった武将たちも、県が出す案の(もっとも、県が発案したのではなく、ただ史実通りに事を運ぼうとしただけであるが)有用性に感心し、次第に彼を認めるようになっていた

伊庭は歴史に疎く、関が原以降の出来事は江戸幕府を作ることと大阪の陣程度しか知らなかったので、今後の内府の政策は全て県に一任している

会議で決定された大垣城攻めに自衛隊の残った装備が投入されることとなったので、伊庭は重火器並びに車両の整備を隊員達に命じる為に伏見城の一角に設営された自衛隊ベースへ足を運ぶ最中であった


伊庭(俺たちがこの時代に来てから半月か。もう半月………。いや、まだ半月と見るべきだろう。何せ我々にはまだやるべきことがたくさんあるんだからな)


城内の廊下を歩きながら伊庭は思う


伊庭(元の時代に帰りたくないと言えばそれは嘘になる。俺以外の隊員もそれは同じだろう。この時代の生活を気に入った県や島田は除くが。だが、俺はもう元の時代には帰れない事を悟っている。それは先程、県の言っていたように、俺たちがこの時代で史実通りの歴史を作らねばならないからだ)

伊庭(俺たちもそうだが、敵対したテロリストたちもまた、歴史の一部だった。未だに信じられないし、夢のような出来事の連続だった)

伊庭(我々が江戸幕府を作り、そして、その結果、400年後に我々が生まれた“あの時代”が誕生する。何だか可笑しな感じだが、嫌な思いはしない。あの時代がやがてしっかりと誕生出来るようにする、ということは我々のいた21世紀の日本を守るのと同義だ。俺たちはこの時代でも自衛隊として生き続ける事が出来るんだ)


伊庭(我々自衛隊の存在が歴史の闇に消えても、我々が作った歴史は消えない。俺たち戦国自衛隊は確かに歴史の中に存在したんだ!)














21世紀の日本の歴史書のどれを見ても、安土桃山時代の後期、1600年の時代に自衛隊が存在したということは記されていない

小中高の歴史の授業でも関が原の戦いは徳川家康と石田三成程度の人名しか出てこない

江戸幕府を開いたのは徳川家康と教えられるし、自衛隊という単語はどこにも無かった


だが、しかし

21世紀の日本はここに確かに存在している

21世紀に生きる日本人は“史実通りの歴史”を教えられ、知っている

誰もタイムスリップした自衛隊が過去の世界で活躍したことを知らないが、彼らが作り上げた“日本”はしっかりとここに存在しているのだ



587:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 12:25:32.43 ID:yN0dLzWe0

西暦1614年

徳川家康は豊臣家の財を減らし、その力を弱体化させようと策を廻らせていた

その策のひとつとして“寺院再建”があったのだが、再建後の方広寺の鐘に書かれていた国家安康の文字に家康は言いがかりを付ける

国と安という字が家康の名前を分断している、と

この些細なきっかけを元に徳川軍は大坂の豊臣に戦を仕掛ける


史実通り1614年に大坂冬の陣は始まったのだ



588:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 12:50:00.92 ID:yN0dLzWe0

~12月3日 大坂城前~

徳川家康本陣


県「史実通りに事を進めて、大坂の陣も再現しました。前田利常の12000の兵など多数の部隊が現在、大坂城の陣を包囲しています」

伊庭「それも史実通りか?」

県「はい」

島田「あんだけの兵に囲まれたらもう豊臣も終わりだろ。大坂城外の砦は全て攻略してあるし、勝利も時間の問題だろ」

県「そう簡単に事は運ばないんだ車長」

島田「ん?」

県「今、こっちの軍勢が囲っているのは“真田丸”と呼ばれる陣だ。真田幸村って名前は知ってるだろ?」

木村「有名だな。真田十勇士とかなら俺も知ってる」

県「名前の通り真田丸は真田幸村……この時代では信繁か。彼が築いた陣なんだよ。幸村の策に前田の兵はかなりの犠牲が出る」

島田「は!?なら、今すぐ前田を助けにいかねえと!」

伊庭「島田。それでは史実通りでは無い」

島田「そっか。なんか嫌な感じだぜ。死ぬって分かってる連中を助けられないのはよ」

伊庭「そうだな。だが、我々は関が原以降そうやって歴史を作って来た」



この大坂の陣を仕掛けたのも自衛隊の工作によるものであった

県の助言を元に、家康の影武者が豊臣家に言いがかりを付けて戦を始める

そのほかにも自衛隊は数々の裏工作を行ってきた


ちなみに、小早川秀秋は1602年にノイローゼとなって死んでいるのだが、これにも自衛隊が関わっている


伊庭「まあ、この調子で事が進めば“切り札”は使わなくても住むかもな」


切り札

関が原で自衛隊の装備はほとんど無くなっていた

しかし、まだ若干の弾薬と車両は残っている

厳重に密閉して保管されているが、車両などはもう動かないかもしれない

それでも万が一の時はそれらを使うことを伊庭は考えている


島田「あぁ………俺の戦車…………」

木村「戦車も装甲車もスクラップになったからな。残ってるパジェロとかも廃車寸前。銃弾だって僅かにしか残ってない。ぶっちゃけ切り札って言うほどのものじゃないよな」



今、家康本陣に居る自衛官は皆、戦闘服ではなくこの時代の服装を身にまとっていた

隊員達はある者は知識を活かして武器開発をしたり、ある者は兵の指揮をしたり、ある者はただの商人をしたりしている

徳川家康(家康役には有能な家臣が選ばれた。性格や能力などを考慮し、東軍首脳たちと一緒に選んだだけあって充分に家康の代役を果たしている)の側で色々工作を行っているのは伊庭と県、それに木村と島田くらいなものだ



589:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 17:47:23.34 ID:yN0dLzWe0

伊庭「ところでその前田利常に聞いた話なんだが、少し気になることがあってな」

木村「気になること?」

伊庭「ああ。彼が真田丸を攻めようとしていた時に真田丸に配置されていた武器が“見たことの無い形”だったというんだ」

県「まさか、またかつての我々みたいに現代の人間がタイムスリップして大坂側についたのですか!?」

島田「おいおい。マジかよ!」

伊庭「いやいや、そうではない。見たことの無い武器と言っても我々の持っていた近代兵器では無く、この時代でも作れそうなものだったらしい」

木村「この時代でも作れそうな?」

伊庭「そうだ。黒色火薬を用いたランチャー型の発射装置や地雷にも似た導火線着火タイプの爆裂弾だったりな」

木村「その手の武器なら根元や平井たちが江戸で開発してますよ。現に何回か実戦配備されてますし」


武器商人としてこの時代で働いている根本たち数名の自衛官はこの時代でも作れそうな簡単な迫撃砲やロケットランチャーの開発を行っている

あまり歴史に影響を及ぼすようなものは作るなと言ってあるが、彼らは伊庭の忠告を無視して武器開発を楽しんでいた


島田「なら俺たちの武器開発の情報が大坂に漏れたってことか?」

県「まあ、そういうことになるな。史実でも抱え大筒とか色々な武器が開発されて実戦投入されてたし。新たに近代兵器を持った組織がタイムスリップしてきたっていう可能性は低いだろう」

伊庭「……………だといいがな」



伊庭はそれ以上は何も言わなかった





実際、大坂の陣で近代兵器が出るようなことは無く、基本的には史実通りに全て終了した




ただ、最前線で戦っていた前田の兵たちは奇妙な現象が何度も起きたと後に語る



590:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 18:02:24.88 ID:yN0dLzWe0

~12月4日~


前田の先遣部隊は12月4日、篠山の奪取をするために篠山攻めを行った

しかし、真田の兵は城内に退避が終了しており、前田軍の行為は無駄に終わる

史実ではこの後、真田の軍勢が前田の軍勢を挑発し、その挑発に乗った前田軍が真田丸に突撃

結果として前田軍は鉄砲で蜂の巣にされる


だが、“この歴史”では真田軍は挑発を行わなかった

挑発をされなかった前田軍は撤退をし始めようとする



雑兵「何じゃ。敵は皆、逃げておったか」

雑兵「とんだ無駄足だったわい」

雑兵「真田の兵はこんな肩透かしを食らったわしらをからかうかと思ったが………」

雑兵「真田丸の連中………。不気味なほど静かだ」

雑兵「飯でも食ってるんじゃないか?」


はははは、と笑い声が上がる中、それは起こった



ビシッ


雑兵「がはっ」


雑兵「!?」


急に飛来した銃弾が雑兵の一人を打ち抜いたのだ

その光景を見て慌てふためく兵たち


前線指揮を取る兵「皆の者!落ち着け!これは敵の攻撃である!やつらの沈黙はこの攻撃の準備だったのじゃ!」

雑兵「で……でもよ。真田丸からここまではまだかなりの距離がある………」

雑兵「そうじゃ。火縄銃が届く距離では無い」


前田の部隊と真田丸の距離はかなり離れている

とても火縄銃の有効射程圏内とは言えない


前線指揮を取る兵「…………わしらのなかに間者が居て、そいつが撃ったのか?しかし、発砲音は聞こえなかった」

雑兵「あっ!あれ!」

前線指揮を取る兵「!?」



591:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 18:08:04.67 ID:yN0dLzWe0

夕闇に包まれた真田丸で何かが光っている

この場所に自衛隊員が居たらその光がマズルフラッシュの光であると分かっただろう

しかし、前田の兵たちはその光が松明の炎か何かだと思っていた



タタタタタタ タタタタタタタ


雑兵「!?」

雑兵「ぎゃっ」

雑兵「ぐあっ」


マズルフラッシュが光った次の瞬間、無数の銃弾が兵たちの身体を貫く


雑兵「なんじゃこれは!」

雑兵「逃げろおおおおお!」



この一連の攻撃によって前田の兵に相当な犠牲者が出た

マズルフラッシュや連続射撃音を確認した兵はほとんど銃弾に倒れ、“近代兵器”が牙を剥いた事実を伊庭達自衛隊員に伝える者は一人も居なくなったのである



592:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 18:31:06.11 ID:yN0dLzWe0

~同時刻・真田丸~


真田幸村「前田の兵は壊滅。撤退したようじゃ」

???「そうですか。それなら良かった。これで徳川との和議に持ち込める確立が上がりましたね」

???「ああ。今の攻撃でこちらの残存火力をかなり使用してしまったが」

???「大丈夫です!俺たちの作った“ランチャー”や“地雷”があれば得意のアウトレンジ戦法がまた使える」

???「そうだな。で?この戦闘は史実通りなのか?」

???「自分は真田幸村の話だけは大好きで、よく本を読んでいたんです。だから大坂の陣は詳しくて………。本当は少し違うんですが、まあ前田軍が大損害するのは史実通りです」

???「そうか。良かった。大賀はどうしてる?」

???「また武器の開発をしています」


真田幸村の周りに集まった数人の男たち

彼らは関が原の戦いが終わった後、真田幸村の元に突然現れた者たちである

幸村は彼らに生まれや育ちを尋ねたが、彼らは彼ら自身のことを一切口にしなかった

彼らは自らのことを“真田十勇士”と勝手に呼び(人数は10人も居ないのに十勇士と呼んでいるのは疑問だ)そして、大坂の陣では新しい武器を開発したり、様々な戦術を使って次々に勝利を手にしている


真田幸村「おぬしらの目的は一体何だ?」


そう幸村は彼らに訊いたことがある

その質問に彼らをまとめる頭役だった望月という男はこう答えた


望月「我々はただ役割を果たしているだけです。ただ強いて言えば、我々の生まれ育った国を守る、いや、作りだす、というのが目的です」



593:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/29(日) 18:38:25.39 ID:yN0dLzWe0

後日談的なものはこれで終了です

明日にでもHTML化してきます


読み直してみると続戦国自衛隊に話が相当似てしまってますね




ssなんてあまり書いたことが無かったので完結させることが出来るか心配でしたが、完結出来てよかったです

最後まで付き合ってくださった方、本当にありがとうございました!



転載元
徳川家康「りくじょうじえいたい?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415625854/
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         コメント一覧 (7)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてSTERFISHがお送りします
          • 2015年03月30日 00:43
          • ふむ(・ω・ )なかかな面白かったかな
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年03月30日 00:55
          • 5 読み終えた
            ちょっとおかしなところもあるが、読みごたえあるし読む価値あるわ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年03月30日 01:19
          • 最後まで読んでしまった
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年03月30日 01:38
          • 5 すごく面白かった、何度も映画化されているけど、
            各々でまた違った味が楽しめるね
            また面白いSS書いて下さい
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年03月30日 21:39
          • 面白い!
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月13日 15:29
          • 5
            いやー良かった
            でもやっぱ半村版には遠く及ばないのも事実
            原作ありきだの
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月29日 18:23
          • 5 超!面白かったです!!!

            最後の最後に…奴が…

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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