兄「押すと妹が不幸になるボタンと幸福になるボタンか……」
兄「面白そうだと思ってそれぞれ1つずつ通販で買ってみたものの......眉唾物だな。えーっと、説明書は......」
兄「あったあった。えー、『青色のボタンを押せばご購入者様の妹様に不幸が訪れ、赤色のボタンを押せば幸福が訪れます』」
兄「『一度に何回押しても効果に変化はありませんが、押す状況や頻度によって不幸及び幸福の度合いは変わります』、か」
兄「なるほどな。しかし、こんなキーホルダーみたいなもんにそんな効果があるとはなあ」
タッタッタッタッ......ガチャッ
妹「兄」
兄「お、おお、妹。どうした?」サッ
兄(これは隠しとかないとな)
妹「ご飯できたってお母さんが」
兄「そ、そうか」
妹「ったく......時間になったら呼ばれずとも降りてきなさいよ......! じゃ、私先に降りてるから」
兄「ちょ、ちょっと待て!」
妹「はぁ......何?」
兄(このボタンの効果の有無が知りたくて思わず引き留めてしまった......どちらかのボタン、今押してみるか?)
>>5
赤押す
兄(折角だ。赤いボタンを押してみよう)ポチッ
兄「......?」
妹「用があるならさっさと言ってよ」
兄「い、いや......すまん。何でも無いんだ」
妹「はぁ? 鬱陶しいなぁ......もう......」ガチャッ......バタンッ!
兄(何事も無く行ってしまった......やっぱり偽物かこれは?)
兄(......とりあえず飯を食いに降りるか)
―――
兄「......」スタスタスタ......ガチャッ
妹「......」モグモグ
母「ふんふふ~ん♪ふ~ん♪」カチャカチャ
兄「おい妹。食うのに俺を待つ必要は無いが、母がまだ調理中だろう」
妹「別に。お母さんが良いって言ったし」
兄「何?」
母「そうよ~。いつもお母さんの言うことを聞いて頑張ってくれてる妹ちゃんの為に、さっきふと思いついて今ドーナツ焼いてるの~。ちょっと長くなっちゃうからお兄ちゃんも先に食べていいわよ~」
兄「そ、そうなのか」
兄(これが先程のボタンを押した効果なのか......? よくわからんな)
兄「......」モグモグ
妹「......」モグモグ
母「ふふふ~ん♪」カチャカチャ
兄(いつものことながら、この妹と2人で食事をしていると沈黙ばかりになるな......)
妹「......」モグモグ
兄(ボタンは両方持ってきているし、暇つぶしがてらもう一度どちらかを押してみるか......?)
>>17
青
兄(先程は赤だったし、今度は青を押してみるか。幸福と違って不幸は目に見えやすいしな)ポチッ
兄「......」
妹「......」モグモグ
兄(どうだ......?)
妹「......」モグモ......ガビッ
兄「......がびっ?」
妹「......」
兄「......」
妹「......」ジワッ......
兄「い、妹? 涙が......」
妹「......ひゃんだ......」プルプル......
母「あらあら、大変! 舌噛んじゃったのね! どうしましょう......」
兄(......どうやらこのボタンが本物であることは間違いないようだ)
母「う~ん......お口の中だから治療の必要はないと思うけど~......妹ちゃん、大丈夫? 冷やす?」
妹「らいじょ......んん゛っ! だいじょうぶ、だし.....」
母「本当?」
妹「ん......」コクッ
母「ドーナツ、そろそろできるけどどうしましょうか......」
妹「食べれるし......」
母「そう? それなら良かったわ~」
兄(見る限り結構がっつり噛んじゃったように思えるが......強気を維持したいのと、大好物のドーナツが母の善意でお預けになることが嫌なんだろうな)
―――
妹「お母さん、ドーナツ」
母「はいはい。牛乳も出してあげるわね~」スタスタ
兄(舌の痛みに耐えながらも何とか食事を終えられたみたいだな)
母「じゃ、ドーナツと牛乳ね~。はい」コトッ
妹「ありがと」フッ
兄(さっきまで痛みで強張ってた表情も結構明るくなったな。まだ痛みは残っているだろうに......それほどドーナツが好きなのか)
兄(このボタンの効果の程も大体理解出来てきた。......さて、どうする? もう一度押してみるか......それとも押さないという選択肢もあるか)
>>37
赤
兄(赤のボタンを押してみよう。説明書には頻度によって効果の程が変わるとのことだったし......あまり連続して同じ色を押すのは良くないかもしれないしな)ポチッ
母「お兄ちゃんはどうするの~? ドーナツ、食べる~?」
兄「あ、ああ」
母「は~い、じゃあこれね~。よいしょっ......」コトッ......
兄「お、おい、母よ。俺の座っている位置が遠いのはわかるが妹の前をそんなに前のめりになったら......!」
妹「あ、お母さん! そこ牛乳のコップ......!」
母「え......?」コンッ
ゴトッ! ダババババ.....!
妹「あぁあ......! ドーナツのお皿の中に牛乳がぁ......っ!」
母「あらあら~......ごめんね~、妹ちゃん~......」
兄(? おかしいな。間違いなく赤のボタンを押したはずなんだが......)
母「どうしましょう~......お母さんのと交換する?」
妹「......ううん、いい......スプーンで何とか食べる......」カチャ......ジュクッ
兄「大丈夫なのかそれ......」
妹「大丈夫だし、多分......ぁむっ」モグモグ
母「本当に大丈夫なの~?」
妹「......! 結構いけるかも、これ。......あむっ」モグモグ
母「そうなの~? よかった~」
兄(......新しい味の発見が幸福ってことか? 良く分からんなこれは......)
兄(まあいい。俺もドーナツを食べるか......)
兄「あむっ......!?」ジュッ
兄「.......母よ。これは結構熱いな」
母「当然よ~出来たてなんだから~!」
兄(なるほど......こんな熱々の食べ物を傷ついた妹の舌で味わえば悲惨なことになることは想像に難くない......先程こぼれた牛乳によって妹のドーナツが冷え、知らずの内にそれを回避できたってことか)
兄(幸福ってのは見えない部分にあるもんだな......)
―――
テレビ『......に台風が接近しており、備えが必要となりそうです』
母「あらあら~、大変ね~」
兄(母も含めて食事を終え、今は妹が風呂に入っている......今ボタンを押しても妹の幸不幸が直接見られないかもしれないが......どうする。押してみるか?)
>>46
青5回
兄(青を5回押してみるか。一度に何回押しても効果は無いらしいけどな)ポチポチポチポチポチ
テレビ『えー、台風のときにはですね、出来るだけ外には......』
母「どうしましょう~」
妹『きゃああああああああああっ!?』
兄「っ!」
母「あら、妹ちゃん~?」
妹『おかっ......! おかあさっ! はやくっ......!』
母「はいはい~」トタトタトタトタ
兄(何があったんだ......? 流石に俺が妹のいる風呂場にいくわけにはいかないが......)
―――
ガチャッ......バタンッ!
妹『ちょっ、ちょっとお母さん~!?』
母「お兄ちゃん~、バトンタッチ~」トタトタトタ
兄「どうしたんだ?」
母「ゴキブリが出ちゃったみたいなの~。それもお風呂場の扉側に~......わたしすっごく苦手だから思わず扉閉めちゃったわ~」
兄(娘がその風呂場の中で助けを呼んだってのにか。結構酷いことをするなこの人)
母「だから、男の子が退治してきてくれるかしら~」
兄「それは良いが、妹が中にいるんだろ? 怒られるんじゃないか」
母「あの子も背に腹は代えられないわよ~。ほら、行って行って~」
兄「そ、そうか......」スタスタスタ
―――
兄「妹ー。大丈夫かー」ガチャッ
妹「い゛っ!? 兄っ!? 何で兄が来るわけ!? 変態!」サッ
兄「そんな必死に隠さなくても、お前の貧相な身体を見に来たわけじゃないから安心しろ」
妹「うっさい! 出てってよ!」
兄「良いのか? せっかくそこのゴキブリを退治しにきてやったというのに」
妹「うぐっ......それは......!」
兄「どうする?」
妹「もう......! 何でよりにもよってお風呂場に出るのよ......っ!」
兄「そりゃ水分とエサが豊富だからな」
妹「っ......じゃ、じゃあ、さっさと殺してよそれ! そしたらすぐ出てって!」
兄「良いだろう」
兄(しかし、俺もゴキブリはあまり得意なほうじゃない......直接手を下すのは出来る限り避けたいし、ボタンに頼ってみるか?)
兄(妹がピンチのこの状況。ゴキブリを退治するなら押すボタンの色はもちろん......)
>>60
光彦が死ぬ
―――
テレビ『これは必要な犠牲なんじゃよ、光彦くん......』
テレビ『そ、そんなぁ! こんなの酷いですよ博士ぇ!」
母「~♪」パリッ......モグモグ
テレビ『ごめんね~光彦くん。歩美、忘れないから.....!』
テレビ『歩美ちゃんまで......』
母「~~♪」パリッ......モグモグ
テレビ『あばよ......光彦......』カカカッ......キュイイイイイィンッ!!
テレビ『コ、コナン君......!? そんな、キック力増強シューズで直接なんて絶対死......!』
母「そろそろあの子達、ゴキブリ退治できたかしら~?」パリッ......モグモグ
―――
兄(普通に考えれば赤だ。赤を押せば妹への幸福としてゴキブリが去るに違いない)
妹「ちょっと! ボーッとしてないでさっさと殺してよ兄!」
兄(だが......あの説明書に書かれていたあの言葉も気になる)
『押す状況によって―――度合いは変わります』
兄(この状況でもし青を押せば、どのくらいの不幸が......?)
妹「兄! 聞いてるの!?」
兄(......いかんいかん。可愛い妹のためだ。そんな酷いことができるわけが......)
兄(さっさとボタンを押そう。色は......)
>>77
青
兄(青に決まっている。こんな状況で青を押さない理由がない)ポチッ
妹「ねえってば! さっさと......!」
カサカサッ......バサバサバサッ!!
兄(ゴキブリが......妹の方へ飛んだ!)
妹「ひっ!?」
ピトッ.......カサカサカサ
妹「っ......~~~~~~!!?」
兄(飛んだゴキブリが妹の身体へ着地して背中の方へ這って行った......)
妹「!???! っ~~~!?!?」
兄(妹がジブリの登場人物のように全身の色々な毛を逆立たせている。身体も硬直して動かないようだ)
兄(流石に可哀想になってきた。ここは......)
>>85
蒼
兄(青だな。もちろん)ポチッ
妹「っ!! っうう.....っ......!」ヒタッ......ヒタッ......
兄「お......?」
兄(少し落ち着きを取り戻した涙目の妹がシャワーヘッドへ向かっていく。とりあえざうはゴキブリを水流で流そうって魂胆か)
妹「ぅう......ううぅ......」ヒタッ......ヒタッ......ツルンッ!
兄「......あ」
妹「きゃっ......!?」ドタアッ!
兄(ヨタヨタ歩き故に足を滑らせたか......敷き物があるとはいえ、背中から打って中々痛そうだ)
妹「いたた......!」
兄(待てよ......せ、背中?)
兄「い、妹......」
妹「ぅ、うう......ゴキブリ、いなくなった......?」
兄「あ、あぁ......死んだことは確かだな」
妹「そ、そう.....だ、だったらさっさと出ていっ......」
兄「......逃げ出す間もなく、お前の背中で」
妹「......う、嘘......でしょ?」
兄「......嘘じゃない。何か出てるし」
妹「あ、あぁあ、あああぁっ......!」ガタガタガタガタ
兄「ま、待て! 落ちつけ!? また転ぶぞ!? な!?」
―――
兄(結局俺が妹の背中を流してやり、それぞれ自室に戻った)
兄(背中を流している間も妹からの礼は無く、唯一交わした言葉が『流し終わったならさっさと出て行け』だったことは言うまでも無い)
兄(それを考慮しても、今日の妹は結構悲惨だったしな......原因を作った俺が責められないだろう)
兄(妹も俺も自分の部屋だから妹の様子を把握することは出来ないが......最後に一度、ボタンを押しておくか)
兄(色は......)
>>128
紫
兄(そういえばこれ、同時に押すとどうなるんだろうな?)
兄(一度くらいやってみるかな......っと)ポチチッ
兄(人間の手だからピッタリ同じタイミングに押すのは難しいな......どっちが先に押されたのかもわからんし)
兄(......どうせ妹の様子も把握できん。今日は寝るか......)
―――
兄「Zzz......Zzz......」
ガチャッ......スタスタスタ.......モゾモゾ
兄「........ん......」
兄(......なんだ......? ベッドの中に温かいものが......)パチッ......
妹「......う......」
兄「......妹。ここはお前の部屋じゃないぞ......」
妹「わ、わかってるし......」
兄「だったらどうして俺のベッドに入ってきた」
妹「......」
兄「......」
妹「......夢」
兄「夢?」
妹「......数えきれないほどのゴキブリに追い回される夢、みるから」
兄「......そりゃ悪夢だが......だから俺と一緒に寝たいのか?」
妹「......」
兄「母と一緒に寝ればどうだ」
妹「お母さん、1階だし......辿りつくまでにまた出るかも」
兄「この家はそんなポンポンとゴキブリが出てくるほど古くないぞ......風呂場にいたのだって窓かどこかから入ってきたんだろう」
妹「そんなのわかんないじゃん!」
兄「......」
妹「......とにかく、寝るから」
兄「......そうか」
妹「......」モゾモゾ
―――
妹「......すぅ.......んぅ......すぅ......」Zzz...Zzz....
兄(悪夢を見ていたとは思えんほどに穏やかな寝顔だな......幸せな夢でも見ているようだ)
兄(これがボタンの効果だろうか。押すのが遅れていたのは赤のボタンだったらしいな)
妹「すぅ......すぅ......」Zzz......Zzz......
兄「......」
>>158
あか
兄「......」ポチッ
兄(......俺も寝るか)モゾモゾ
妹「くすっ......ふふっ......んぅ......すぅ......」ギュウッ
兄「っ......!」
妹「すぅ......すぅ......」ギュウウッ
兄(寝れるかな......)
―――
チュンチュンチュン......
兄「ん......」
兄(朝か......)
兄(妹は......居ないな。とりあえず一階に降りるか)
―――
兄「......」スタスタスタ
母「あら~、おはよう~」
兄「おはよう。妹は?」
母「部活の朝練があるって言って出て行ったわよ~?」クスクス
兄「朝練? あいつにしては珍しいな......ところで、何がおかしいんだ、母よ」
母「別に何も~? うふふふ」クスクス
兄「......」
兄(妹が近くにいなければボタンの効果は確かめられないな......押す意味は薄いが、どうするか?)
>>176
青
兄(まあ、どうせ確かめられないならどちらでも良いだろう......適当にっと)ポチッ
母「妹ちゃんは部活頑張ってるのに、あなたは部活どころか趣味すら何もないわね~」
兄「ん? まあそうだな」
母「今からでも始めなさいよ~部活」
兄「今更始めるのは遅いだろう。進学したら考える」
母「それって大学のサークルってこと~? あなた中学校のときから同じこと言ってるじゃない~」
兄「説教は勘弁してくれ」
―――
兄(飯も食って学校へ来たのは良いが......早く目が覚めたこともあってかなり時間に余裕があるな)
兄(妹の様子を見に行きたいところだが、流石に中学まで様子を見に行くのはどう考えてもマズい。今は諦めるか)
兄(ボタンは......)
>>193
赤
兄(さっき青を押したみたいだしな。今回は釣り合いを取って赤を押しておこう)ポチッ
兄(ボタンは押したことだし、少々早いものの教室に行っておくか)スタスタスタ
兄(それにしても、どうして母は朝あんなに笑っていたんだ......?)
―――
キーンコーンカーンコーン
ザワザワザワザワ......
兄(おし、午前中の授業は終わって昼飯だ......)
兄(授業中も休み時間もボタンには触っていないし、今のうちにどちらか押しておくか? 相変わらず妹の様子はわからないが......)
兄(ここは......)
>>204
妹の心象世界
―――その頃
妹「うー......どうしよ......」
妹(当たり前だけど周りは高校生ばっかり......来るんじゃなかったかな......結構ジロジロ見られてるし......)
妹(そもそもちょっとベッド貸してもらったくらいだし、こんなの余計かな......)
妹(あー、もう、今更恥ずかしくなってきた......兄になんかお弁当作っちゃうとか......)
妹(......)
妹(......作っちゃったものは仕方ないし、とりあえず兄のクラスまでいこっかな。朝練で転んじゃった代わりに自己ベストも出せて、今日は気分良いし!)
―――
兄(うむ......どうするかな)
兄(朝2回も押していることだし、ここはスルーするのも十分有りだが......)
兄(......決めた。ここは......)
>>220
Red
兄(赤を押そう。どうせ様子がわからないなら妹自身のメリットになることの方が良いだろう)ポチッ
兄(さてと、パンでも買いに......)
ザワザワザワ......!
兄「ん......? なんだか外がざわついてるな......)
ガラッ
妹「......」
兄「妹! お前どうしてここに......」
妹「これ」スッ
兄「ん......? これは?」
妹「......確かに渡したから」タッタッタッタッタッ!
兄「......?」
兄「これは......弁当か? こんなの初めてだぞ......」
後輩「先輩ー」タッタッタッタッタ......!
兄「おう、お前か」
後輩「さっき妹ちゃんが廊下を全力疾走してた気がするっす! 幻覚っすかね!」
兄「幻覚じゃない。確かに妹がいた」
後輩「相当珍しいっすね。何か用があったっすか?」
兄「なんかこれを渡された」
後輩「そ、それ......お弁当っす?」
兄「みたいだな」
後輩「ショ、ショックっす......! 私もお弁当2つ作ってきたっす......」
兄「お前もか......」
後輩「妹ちゃんが少しでも遅れてくれれば、私が先に渡して妹ちゃんに諦めさせられたのに......惜しいっす」
兄「あのなあ......」
後輩「冗談っす。今日は私、お弁当2個食べるっす!」
―――
後輩「妹ちゃんが幸福になるボタンと不幸になるボタンっすか?」
兄「通販で買った」
後輩「へー。私が押しても対象は妹ちゃんっす?」
兄「それはまだ確認できていないが......説明者には購入者の妹と書いていた」
後輩「じゃあ、それを確かめるためにも押してみるっす!」ポチッ
兄「......そっちの色は......」
>>252
青
兄「青は......不幸になるほうだぞ」
後輩「え゛っ、まじっすか?」
兄「マジだ」
後輩「うわわわっ! やっちゃったっす! い、妹ちゃんに謝ってくるっす!!」
兄「いや、そんなことをしたら俺がこんな物騒なボタンを持っていることを知られるだろう」
後輩「うぐっ.......じゃあ私はどうすれば良いっすか......?」
兄「どうもしなくていい。押してしまったものは仕方ない」
後輩「ぅう......妹ちゃんに申し訳ないっす......」
―――
キーンコーンカーンコーン
兄(さてと、帰るか)
兄(と......その前に、せっかく妹が珍しく弁当なんか持ってきてくれたんだ。中学まで迎えにいくか)
兄(今日は結構好き勝手にボタンを押しているし、ボタンを再度押すのは妹の顔を見てからでも良いだろう)
―――
妹「はぁ........」スタスタスタ
兄「おう」
妹「っ......兄? なんでここに?」
兄「俺だって昼間そんな感覚だったぞ」
妹「そ、それは......そうかもしれないけど。うん......」
兄(一見、怪我してる様子はないようだな。不幸と言ってもそんなに大きなものではなかったのか?)
兄(それならボタンを押しても問題ないか。ここは......)
>>265
朱
兄(赤だな。今日は比較的青が多めになっていることだし)ポチッ
妹「......兄、お弁当箱」
兄「ん? あぁ、ほら」
妹「......ん」
兄「弁当ありがとな。結構美味かった」
妹「......あっそ」
兄「何か買ってやろうか? 礼代わりに」
妹「いらないし」スタスタスタ
兄「......そうか」
妹「......」スタスタ
兄「......」スタスタ
兄(いつも通りの沈黙だな......)
妹「......」スタスタ
兄「......」スタスタ
妹「......今日」
兄「......どうした?」
妹「......体育あって」
兄「お、おう」
兄(何の話だ......?) 👀
妹「......途中でちょっとトイレ行ったの。近場だった、いつもは使わないところ」
兄「......」
妹「......そこに偶然、部活の先輩が3人いて.......サボってたみたい」
兄「......」
妹「......」
兄「......」
妹「......悪口言い合ってた。私のことの」
兄「......」
妹「生意気だとかなんとか......色々言ってた」
兄「......そうか」
妹「......まあ、別に良いんだけどね。私が聞こえないところで言ってくれてるなら」
兄「......」
妹「偶然、私が通りがかちゃっただけだし。仕方ないよね」
兄「......」
妹「......」
妹「......まあ」
兄「......」
妹「こんなこと兄に話しても意味無いよね。何も期待してないし」スタスタスタ
兄「......そうか」
兄(それでも、俺に話したことで少しは気が晴れたのだろうか......いくらかは表情が明るくなった気がする)
兄「......やっぱ何か買ってやろうか?」
妹「......んー、じゃあ、そこのコンビニでプリン買ってきて」
兄「わかった。買ってやるから好きなの選べ」
妹「駐車場で待ってるから兄だけで行ってきてよ」
兄「なんでだ?」
妹「別に良いじゃん。何となく」
兄「......わかった。買ってくる」
妹「じっくり選んできてよ」
兄「ああ」スタスタスタ
―――
兄「意外と色んな種類あるな、ここのプリン......」
兄「まあ、これで良いか」スッ
『じっくり選んできてよ』
兄「......」
兄(ボタンを押そう。色は......)
>>282
青
兄(......青だな)ポチッ
兄(妹の様子と状況が多少気になるが、先程は赤を押したのだからバランスを取る意味でも青で間違いないはず)
兄「......さてと」
兄(会計を済ませて妹のところへ行くか)スタスタスタ
―――
ウィーン......
兄「......?」スタスタスタ
兄(おかしいな。駐車場にいたはずの妹の姿が見えない)
兄(一体どこへ......?)
―――その頃
妹「......なんですか」
部員A「何その目? なんでこんな人気無いところ連れてこられたかわかってんの~?」
部員B「わかってないんじゃないー? チビっ子だから頭もチビっ子なんだよー!」
部員C「ちょっとーwww貧乳とか言うのやめたげなよーwwwwww」
部員B「そこまで言ってないしー! きゃははっ!」
妹「......用が無いならこれで」
部員C「はぁ?wwww」グイッ
妹「......袖を掴まないでください」
部員A「やっぱわかってないんだ~。これはわからせてあげないとね」
部員B「そうそう、世間知らずのオチビちゃんのために、ね?」
部員C「偶然会っただけなのにかわいそーwwwwwwwwwwww」
―――
兄「......本当にどこ行ったんだあいつ......? 携帯も繋がらないし......嫌な予感がする」
兄「頼れるのは......これか」スッ
兄「どうか流れを変えてくれよ......! ボタンの色は......」
>>302
赤
兄「......当然、赤だ!」ポチッ
兄「妹......」
兄「......」
―――
部員A「ほらっ、脱ぎなよ! 脱げって!」グイグイッ!!
妹「っ......!」
部員B「ぬるいってー。このくらいやらないと......ねっ!」グイイイッ!
妹「ぁぐっ!?」
部員C「髪引っ張るのはエグいってwwwwwwww結構プチプチ言ってるwwwwwwww」
部員B「調子に乗ってるから仕方ないよねー? ちょっと足速いくらいでさぁ?」ググッ......!
妹「......馬鹿......ばっかり」
部員A「はぁ? どの口が......!」
スタスタスタスタ......ピタッ
部員B「ねー、誰か来た」
部員A「!?」
妹「っ......?」
後輩「......ありゃー。見ちゃいけないもの見ちゃったような、見てよかったような......」
妹「後輩、さん......」
部員C「見られたのはちょっとヤバくない?ww」
部員B「それは......」
部員A「えっと......」
後輩「とりあえず暴力はやめるっす。ね? 話し合いで解決できることは多いっす!」
部員A「......ねえ、蹴っ飛ばしちゃえば黙っちゃいそうじゃない? このヒト」ヒソヒソ
部員B「......話しあいがどうとか言ってるしね。背高いだけで弱そうだし」ヒソヒソ
部員C「......wwww」
後輩「あら? 何っすかこの空気......? 何だか剣呑な......」
部員A「.......っ.......!」ブゥンッ!!
後輩「ふんい゛っ!?」ドゴッ!! ズザアアアアッ!
妹「後輩さん!?」
部員A「.......ふう。やっぱよわっちいじゃん」
部員B「さすがー!」
部員C「思いっきり吹っ飛んだwwwwwwA子ちゃん攻撃力高すぎwwwwwww」
部員A「.......さ、さすがにやりすぎた......?」
後輩「......」ムクッ
部員B「っ!」
後輩「......ね? 後悔するくらいならそれでやめるっす!」ニコニコ
部員C「鼻血出てるwwwwwww」
部員B「A子! もう一発!」
部員A「っ!」ブゥン!!
後輩「おわ゛っ!?」ドゴォッ!! ズササアッ!!
部員A「はぁっ......はぁっ.....」
部員C「A子ちゃん息あがりすぎwwwwwwwww」
後輩「......」ムクッ
部員A「ひっ......!?」
後輩「......陸上部なら、そういう足の使い方はしちゃダメだと思うっすよ?」ニコニコ
部員B「......こいつやばそう。逃げたほうがいいかも」
部員C「wwwwwwチwwwwwキwwwwwwンwwwwwww」
部員B「いいから! ほらっ!」グイッ、タッタッタッタッタ
部員A「っ......!」スタタタタ
部員C「wwwwww」トタタタタタタッ!
後輩「妹ちゃん、大丈夫っすか?」
妹「こ、後輩さんこそ! 血が......!」
後輩「血って言っても鼻血っす! ティッシュ詰めとけば問題ないっすよ!」
妹「でも......!」
後輩「怪我はないっすね! 近くのコンビニでちょっと冷たいもの買って来てあげるっす!」
妹「そんなボロボロで!? それはまずいんじゃ......!」
後輩「行ってくるっすー」スタスタスタ
妹「後輩さん!」
後輩「あ」ピタッ
妹「......後輩さん?」
後輩「......やっぱ、駄目みたいっす」ニコニコ
妹「え......?」
後輩「......」バタンッ......!
―――
兄「で、電話してきたわけか」
妹「......そう」
兄「どうすんだこの背中のコイツ......家なんか知らんぞ」
後輩「Zzz......Zzz......」
妹「救急車、呼んだほうがいいかな」
兄「素人目だが、頭を打った様子もないし出血も鼻血だけだ。必要ないとは思う」
後輩「んぅ......先ぱぁい......Zzz......Zzz......」モゾモゾ
妹「......」
兄「とりあえずウチに連れて帰るか......」
妹「うん......」
後輩「んー......う......」モゾモゾ
兄(......お、おいそっちのポケットは......)
後輩「うぅん......Zzz......Zzz......」ポチッ
>>333
赤二十回
>>331
>>332
後輩「......んぅっ......んん......!」ポチポチポチポチポチ!!
兄「うおっ!?」
妹「どうしたの?
兄「い、いや......」
兄(後輩め......本当は起きてるんじゃないだろうな?)
後輩「ん.......んぁ?」パチッ......
妹「後輩さん!」
兄「後輩」
後輩「先輩......妹ちゃん......」
妹「良かった......! 本当に大丈夫なんですか......!?」
後輩「大丈夫っすー......でも......」
妹「でも......?」
後輩「妹ちゃんの元気な姿が見れたんで、もっかい眠くなっちゃったっす......ふわぁ......Zzz......Zzz......」
妹「え、えっと......」
兄「......な、問題なかったろ」
妹「うん......良かった。本当に」
後輩「Zzz......Zzz......」
兄「それで、お前のほうは大丈夫なのか」
妹「......別に。怪我してないし」
兄「いや......」
妹「何?」
兄「......何でもない。怪我してないなら良かったな」
妹「......ん」
―――
妹「ただいま」
母「おかえり~......って、あら? お客さんかしら~」
兄「まあ、そんなところだな」
後輩「Zzz......Zzz......」
母「後輩ちゃんじゃない~。元気してたかしら~?」
妹「いや、どう見ても反応できないよお母さん......」
母「そうなの~? じゃあお兄ちゃんの部屋にお布団敷いておくわね~」
妹「えぇっ!?」
兄「それは問題があるのでやめてくれ、母よ」
母「あら~?」
妹「わ、私の部屋でいいから!」
母「お兄ちゃんの後輩ちゃんなのに~。変ね~」
―――
後輩「いやー、晩御飯までいただいて申し訳ないっす!」モグモグ
母「いいのよ~。いっぱい食べてね~」
妹「......」モグモグ
兄(この妹の沈黙はいつものとは異なり、後輩に対する負い目によるものだろう。そこまで気にする必要はないのだが)
後輩「......そういえば先輩」ヒソヒソ
兄「......どうした?」ヒソヒソ
後輩「......あのボタンって本当に本物な感じなんっすか?」ヒソヒソ
兄「......ああ」ヒソヒソ
後輩「......ちょっと、今押してもらっていいっすか? 赤いほうっすよ......!」ヒソヒソ
兄「.....」ポチッ
>>350
青
兄「......」ポチッ
妹「......」モグモ......ガビビッ!
後輩「......な、なんっすか今の音......?」
妹「~~~......!!」プルプルプル......
母「あらあら~。昨日噛んじゃったところが腫れちゃって、噛み易くなっちゃってるのね~」
兄「......青を押した。今のが本物である証拠だ」ヒソヒソ
後輩「......な、なんで青押したっすか......!」ヒソヒソ
兄「......幸福より不運の方が見えやすいからな」ヒソヒソ
後輩「......だからって流石に可哀そうっすよ.......」ヒソヒソ
兄「......しかし、これで本物であることがわかったろう」ヒソヒソ
後輩「......そうっすね......結構鬱っす......」ヒソヒソ
兄「......なに?」ヒソヒソ
兄(......問いただしたいが、さすがにこれ以上話すのは怪しまれる、か)
後輩「妹ちゃん、大丈夫っすか?」
妹「らひ......だいじょうぶ......」
兄(こいつ口に難儀抱えてるなあ、口は災いの元ってか)
後輩「......先輩、妹ちゃんが苦しんでるのになんでそんなにニヤついてるんすか」
妹「......」ジー
兄「....あ、え?いやいや、なんでもない」
兄(しまった、我ながら上手いと思ってしまった)
後輩「......そのジョーク、面白く無いっすよ」
兄「えっ」
母「はいはい、この氷使いなさいな」カラン
後輩「おお、さすが母上、手際が良い」
母「それほどでもないわよぉ~」
兄(後輩に母上と呼ばれて違和感はないのか)
母「それで、後輩ちゃん。今日は泊まって行くわよね?」
後輩「へ?いやいやいや、それはさすがに迷惑が......」
兄「そうだ、第一寝る部屋なんて」
母「うちの子がお世話になったんでしょ?ならおもてなししなきゃ。ね?」
妹「......」コクッ
後輩「お、お気持ちはありがたいっすけど......」
母「もうご両親に連絡はしてあるからね、はい」ボフッ
後輩「え、まじっすか!?......ってコレは?」
母「お着替えよ。お風呂はもういれてあるから」
兄「いや、さすがに準備良すぎだろ」
母「ふふふ、いつ彼女さんが来てもいいように準備はバッチリなんだから♪」
妹「......」
後輩「......と、とりあえずお風呂借りるっす!ありがとうっす!」タッタッタッ
兄「......」
兄(母ながら恐ろしい)
後輩「......いてて、痣ができてる」チャポーン
後輩(妹ちゃん、いい子なのに何でいじめられてたんだろ)
後輩(不愛想な時もあるけど.....そこがかわいいのに)
妹「後輩、さん」カンカン
後輩「ふわぉぃ!?ななんでしょうか!?」ザッパー
妹「えと、お母さんが後輩さんの背中流してきなさいって.......入って大丈夫ですか?」
後輩「あ、あー、なるほど.....背中を流す......」
妹「......ダメ、ならだめで大丈夫ですから」
後輩「いやいやいや!ぜひぜひお願いしますっす!」ガラガラ
兄(妹も風呂場に行ったしボタンでも押すか)
>>580
青
兄(よし、ここは可哀想だし赤をおs――)ポチッ
兄「......」
兄(......あれ、ポケットに手突っ込んだら押してしまった? どっちだ、これ......)サッ
兄「......青、だと」
妹「じゃ、じゃあ背中を......きゃっ!?」キュルッ
後輩「ちょッ!?」ザッパー
バタンッ!、ビチャーッ!
後輩「痛っ......って、おうぁ!?」バサッ
後輩「だ、大丈夫っすか!? 妹ちゃん!?」
妹「ひゃぃ......ら、らい......だいじょうぶです」
後輩(明らかに大丈夫じゃないっぽいけど......)
後輩(石鹸で滑って後頭部を強打......まさか、またボタンを?)
後輩「そ、そうっすか? でも、やっぱり診てもらったほうがいいんじゃ......?」
後輩(今日だけでどれだけ不幸に遭ったのかは未知数だし......)
母「あらぁ、また噛んじゃったの?」
妹「......」コクッ
母「あらぁ、私が後輩ちゃんの背中を流してきたらなんて言っちゃったから~」
後輩「い、いや、母さんは悪くないっすよ。悪いのは......」ギロッ
兄「......」ピューピュピュー
母「? どうかしたの?」
後輩「い、いえ。なんでもないっす」
母「......」
後輩「......で、また押したんすか?」ヒソヒソ
兄「い、いや、わざとじゃなくてだな......」ヒソヒソ
母「何話してるの~?」
後輩「!?」ドキッ!
兄「い、いや。別に何もないって」
後輩「そ、そうっす! 何もないっす!」
母「う~ん、怪しいわねぇ」
母「何か妹ちゃんに関することでも隠してるのかしらぁ?」
兄(あ、あたってる......)
後輩「い、いえ! そんなことは全然ないっすよー? ね、先輩!」
兄「あ、あぁ、ないない! そんなこと絶対にないから!」
母「そう? ......ま、そうよね。あなたたちが知るはずもないわよねぇ」
後輩「そ、そうっす!」
後輩(た、助かった......?)
母「まぁとにもかくにも......妹ちゃん、今日はもう寝たほうがいいわ」
妹「......」コクッ
兄「じゃ、じゃあ俺も部屋に戻るから。あ、それと後輩、ちょっとこい」
後輩「は、はいっす!」タッタッタッ
母「あらら~、先にいっちゃったわぁ」
妹「......」
―――
兄「さて、このボタンについてだが......」
後輩「もう、青は封印すべきだと思うっす!」
兄「......」
後輩「逆に赤は押すべきっす! いえ、押せ! 押せっす先輩!」
兄「後輩......もうちょっと声のトーン下げて」
後輩「あ......ごめんなさいっす」
兄「......まぁ、たしかにそうかもな。このボタンさえ押さなければ、たぶんほとんどの事態に陥りはしなかっただろう」
後輩「はいっす」
後輩(......あ、ということは私が先輩ん家にくることもなったんじゃ......?)
兄「......よし」
後輩「わかってますよね、先輩?」ゴクッ
兄「あぁ、ここは当然......」ゴクッ
>>688
青
兄「青だろ」ポチッ
後輩「ちょ、先輩ッ!?」ガバッ!
後輩(ヤバイ、この人絶対ドSだ!)
後輩「こ、こうなったら私が赤を連打......!?」
兄「後輩よ......すまん。それはさせられない」
後輩「先輩、赤をどこにやったんっすか!?」
兄「教えられない」
後輩「ッ!」
後輩(この人怖いっす! たぶん妹とか大好きで傷つけたいくらい好きな人っす! 切り裂き魔っす!)
兄「......ちょっと、妹の様子見てくる」ガチャッ
後輩「わ、私も!」タッタッ
後輩(連続で押しちゃってるけど......大丈夫かな、妹ちゃん)
兄「妹、大丈夫か? 入るぞ」ガチャッ
後輩「し、失礼するっす!」
兄(さて、妹はと......)
兄「......って、寝てる?」
後輩「よ、よかったっす......」
兄「うーん、まだ効果が発揮されていないのか、あるいは......」
妹「......ぅ、ぃゃぁ、ぁぁ......」
兄「ん?」
後輩「......なんか妹ちゃん、とんでもなく恐怖に怯えた顔してるっすよ?」
兄「まさか、悪夢でも見てるんじゃ?」
後輩「......たぶんそれっすね。十二分に不幸っす」
妹「......んぅ、ぃやぁ、こ、こにゃいでぇ......」
兄「......我が妹ながらなかなか色っぽいなオイ」
後輩「なんか、さっきまでとは不幸の方向性が違うというか、なんか違うっすね」
兄「前回までは肉体的に、逆に今回は精神的にだったワケか......何か違いでもあるのか?」
後輩「って、そんなことはいいっす。それより先輩、早く後輩ちゃんの悪夢を払ってあげましょう!」
兄「......どうやって?」
後輩「何言ってんっすか! 赤ボタンを押すに決まってるじゃないっすか!」
兄「あ、あぁ、そうだな......そうだな」ニヒッ
後輩「何不敵な笑み浮かべてるんっすか! 早く押してあげて下さい!」
妹「ん......ぅぁぁ、いゃ、あぁ、ぁぁぁあああああぁぁぁっ!」
後輩「さっきより激しくなってるっすよ! 早くッ!」
兄「えー」
後輩「えーじゃないっす! 赤を押すっす!」
兄「......えーっと」
>>717
赤
兄「ふぅ......しかたない、赤だ」ポチッ
妹「ぁぁぁああぁぁぁ、ぅ、ぃや、にゃぁぁ......」スー
後輩「......治まった?」
兄「そうらしいな......でも、これって幸福なことってほどじゃなくないか?」
後輩「悪夢から解放されるのを幸福じゃないとでも言うんすか?」
兄「いや、そうとは言ってないが......」
兄(......なんかさっきから妙だな、色々と)
後輩「まぁともかく、これで一件落着っすね。さて、私もねよ......あれ、私って、どこで寝ればいいんすかね?」
兄「あ? そういえば......って、ちょっと待てよ」
後輩「?」
兄「たしかあのとき、母は『いつ彼女さんが来ても』って言ってたよな? ......俺の家には来客用のふとんなんてあった覚えないし、まさか......な?」
後輩「えっ///」
兄「......お、俺ソファで寝るから、じゃっ」ダッダッダッ!
後輩「......お、おやすみなさいっす」
―――
兄「......朝か」
兄(そういえば昨日は色々あって......あぁそうか、赤ボタン押したんだっけ)
後輩「おはようございますっす、先輩」ガチャッ
兄「あぁ、おはよう後輩。よく眠れたか?」
後輩「はいっす。それより先輩のほうは?」
兄「あぁ、こっちも大丈夫だ」
母「あら、二人とも早いわね~」
後輩「おはようございますっす」
母「昨日はお楽しみだったのかしらぁ?」
後輩「ちょっ///」
兄「......母さん、からかわないでくれ」
母「あぁ、ごめんなさい♪」
兄(本当、母には困ったもの......って、なんで真に受けてんだよ後輩)
母「ちょっと待っててね。いまから朝ごはん作るから」
後輩「は、はい......」
兄「大丈夫か?」
後輩「も、もちろんっすよ」
後輩(あれ、ヤバイ。なんかいつもより鼓動が速い......?)
兄「それにしても、昨日の赤ボタンがどうも納得いかないんだよなぁ」ヒソヒソ
後輩「う、そ、そうっすね......」ドキッ
兄「? どうかしたか、後輩」ヒソヒソ
後輩「い、いえ。大丈夫っす。そ、それより、どうしてそこまで気になるんすか?」
兄(......なんで視線そらしてんだ、こいつ)
兄「あぁいや、どうしてと言われてもな......男の勘?」
後輩「それを言うなら女の勘っすよ......」
兄「あ、あぁ......」
兄(こいつ、今日なんか変だぞ)
妹「......おはよー」ガチャッ
母「あら、おはよう妹ちゃん。今日は土曜日なんだからもう少し寝ててもよかったのよ?」
妹「ううん、大丈夫。それより後輩さん」
後輩「え?」
妹「顔、少し赤いけど大丈夫?」
後輩「な、そ、そんなワケないっすよぉ」
兄(......)
兄「おい、ちょっとこっち向け」サッ
後輩「え、ちょっ!?」ガバッ、ドキッ
妹「なッ!?」
後輩「えぇ、ちょ、ダメぇ......あれ?」ドクッ!
後輩(額に......先輩の額を?)
兄「......やっぱりそうだ、後輩、お前熱あるぞ」
後輩「えぇ......そ、そうですか?」
兄(口調変わるほどの高熱っぽいな......でも、なんでだ?)
妹「そ、そういえば......昨日私がリビングに運ばれたとき、後輩さんたしかバスタオルを巻いただけの姿だったような......」
兄「なるほど、高温の風呂から出て急激に冷やされたその温度差からってことか」
後輩「そ、そんなんじゃないですよー」クラクラ
母「と、とりあえず私のベッドに運んで!」
兄「あぁ、わかった」
妹「......」
母「大丈夫、後輩ちゃん!」
後輩「だ、大丈夫ですよぉ。私、強いんですからぁ」
母「え~っと、とにかく早く冷やさないと......って、どうしたの?」
妹「......私のせいだ」
母「え?」
妹「私が倒れたりなんかしたから......」ウルウル
後輩「ち、違いますよぉ! あれは妹ちゃんが倒れたんじゃなくて......」
妹「え?」
兄「......あいつ、ベッドで寝てなかったのか」
兄(一切使われた形跡がない。逆に、下のカーペットの一部が平らになってる......)
兄「こりゃあ、色々と面倒なことに......」
ドタドタドタドタッ!
妹「ちょっと兄ッ!」ガチャッ!
兄「お、妹。後輩の様子は......」
妹「そんなことよりッ! ボタンって、どういうことよ!」
兄「なッ!?」
(な、なんで知ってるんだ? ......まさか、後輩が?)
兄「な、何言ってるんだよ?」ドキドキ
妹「とぼけないでッ! 後輩さんが徹頭徹尾話してくれたわよ!」
兄(やっぱり後輩か。いくら高熱とはいえ......いや、まさかこれが昨日の赤ボタンの効果なんじゃ......?)
兄「......なら、説明はいらないんだな」
妹「えぇ、大体は理解したわ」
兄(この場合、俺はどうすべきなんだ。ボタンを押しても何も起きやしないし......ボタン?)
妹「さぁ、さっさとそのボタンとやらを渡しなさい!」
兄(......こうなったら、最後の悪あがきだ)
兄「あぁ、いいぜ」
兄(妹に感づかれないように、ポケットの中でボタンを押す)
兄(勝負は一回きり。それも、同じポケットだからどちらかがわからない状況で......つまり、確立は二分の一!)
妹「......」
兄(よし、押すボタンは......こっちだ!)
>>763
赤
ポチッ
兄(......これは、どっちだ?)サッ
妹「なるほど、それがボタンね......」
兄「......なっ」
兄(赤、だと......!?)
妹「さ、早く渡しなさい」
兄「あ、え、いや、あの......」
妹「さっさと渡しなさいッ! この変態兄がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
兄「ぎゃぁぁぁああああああああああああああああああああぁぁぁ!?」
妹「お母さん、後輩さんの言うとおりだったみたい」
母「そう......あら、やっぱりボタンってこれのことだったのね」
妹「え、お母さん知ってるの!?」
母「えぇ、知ってるも何も、それ作ったの私が前働いていた会社だし。しかも、企画通したのも私よ」
妹「えぇ!?」
兄「マジかよ......いっ痛」
後輩「先輩、大丈夫ですかぁ?」
兄「あ、あぁ」
兄(妹め、ガチで殴る蹴るしやがったな......)
母「まぁ、企画の途中で私は寿退社したんだけどね。どうやら完成したらしいわね」
兄「なるほどな......って、ちょっと待て。寿退社ってことは、少なくとも十七年以上前ってことか?」
母「えぇそうよ」
兄(作るのにどんだけかかってんだよ、あの装置)
妹「まぁ、それはいいとして......どうやら色々とやってくれたらしいわね、兄?」
兄「あ、えーっと......はい」
妹「ふふふ......あとで覚えておいてね、おにいちゃん♡」ニコォ
兄「あ......はい」ブルブル
母「まぁ、それはいいとして。今日もゆっくりしていってね、後輩ちゃん。ご両親には私が話をつけておくから」
後輩「はーい」
兄「......なぁ母さん」
母「何?」
兄「昨日、少しボタンの調子が変だったんだけど......原因とかわかんないかな?」
母「う~ん、見てみないとわからないかなぁ。妹ちゃ~ん、さっきのボタンもう一度見せてくれない?」
妹「わかった、はいこれ」
母「ありがとう......う~ん、特に変わった様子はないと思うけど。ドライバー、持ってきて」
兄「えっと、たしかリビングに......あったぞ!」
母「ありがとう」
兄(それにしても、母さんって色々凄いところあったんだな)
母「......な、これは?」
妹「どうかしたの?」
母「......」
母「これ......中身が空っぽよ?」
兄&妹&後輩「「「はッ!?」」」
兄「い、いや。そりゃさすがにないだろ......?」
母「見てみる?」サッ
兄「......クッションみたいなものしか入っていない?」
後輩「え? え? どういうこと?」
妹「えーっと、つまり私の不幸とか幸福とかって......」
母「全部......偶然なんじゃないかしらぁ?」
兄&妹&後輩「「「はぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁ!?」」」
母「まさに、神の悪戯ってやつね」
兄「えーっと、じゃあ......妹が連続で舌噛んだり、石鹸ですっ転んだり、悪夢に魘されたり......」
後輩「なんかおっかない子たちに襲われたり、色々と幸福なことに出逢ったのわぁ」
妹「全部......偶然だったってこと?」
母「たぶんね」
チーン
兄「あぁ......なんか色々と損した気分なのはなんなんだろう」
妹「損したって何よ。まるで私が不幸になったのが自分の力だから嬉しいなとでも言いたかったみたいじゃない」
兄「事実だからしゃーなしだろ」
妹「......まぁでも、兄のせいじゃなかったってことは、なんか少し嬉しかったかも」
兄「え?」
妹「......なんでもないっ」
兄「?」
?「さて......色々と面白い実験だったわぁ」
?「にしても、本当に完成させるなんて、さすが部下くんだわぁ」
?「さーてと」
母「このボタン、一体何に使おうかしらねぇ」
[完]
転載元
兄「押すと妹が不幸になるボタンと幸福になるボタンか……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1427199498/
兄「押すと妹が不幸になるボタンと幸福になるボタンか……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1427199498/
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コメント一覧 (15)
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- 2015年03月26日 13:34
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