「ゆびきりげんまん」

1: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 20:56:17.19 ID:sG6MezMSo

1_1
1_2
1_3
1_4
1_5
1_6
1_7
1_8
1_9
1_10
1_11



2: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 20:59:12.49 ID:sG6MezMSo

2_1

2_2


天井の窓から落ちてきたその少女は
過去の記憶がありませんでした。




2_3


彼は、悲しげにうつむく少女のことが心配でした。



3: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:00:01.65 ID:sG6MezMSo

3_1


「あなたの名前、おしえて?」






3_2


しかし、彼は言葉を話すことができませんでした。

代わりにピアノの鍵盤に指をそえて、音色を奏でました。

それが彼の名前でした。


「懐かしい響き……」

少女は、そう思いました。

「あなたの名前、わたしは知っている」

そんな気がしました。



4: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:00:47.99 ID:sG6MezMSo

少女は辺りを見回しました。

ここは真っ白な空間でした。

足元に地面はなく、水が一面に広がっていました。
この世界では水に立つことができました。


この世界にあるのは、水と、天井の窓と
一面に広がる白い景色、そして彼の持つピアノだけでした。




4_1


少女は天井の開いた窓を見上げました。

「わたし、あそこから落ちてきた」

そういって、天井を指します。

「あの窓の外に出たいなあ」

少女がそう言うと、彼はピアノで返事をするように鳴らしました。

「本当?」

また鍵盤を鳴らします。




4_2

4_3


「──指きりげんまん」



二人は、一緒に窓の外に出る方法を考えることにしました。



5: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:01:49.92 ID:sG6MezMSo

5_1

5_2


「これ、なんだろう?」



5_3


それは、切り株でした。
誰が切ったのかもわからない、大きな切り株でした。


切り株の端から、小さな芽が生えているのを見つけました。

その芽は、ちょうど天井の真下にありました。




5_4


少女は想像を膨らませます。

もしこの芽が大きく成長すれば、いずれは大きな木になって
天井の窓に届くかもしれない。



5_5


その木によじ登って窓の外に行くことができるかもしれない。

その提案に、彼は賛同しました。


彼は自分のピアノを切り株の側まで移動させました。

椅子にすわり、演奏を始めます。

少女は彼がなにをしているのか検討もつきませんでした。


すると、切り株から生えた芽が、少しだけ動いたのが見えました。

彼は、ピアノの演奏で植物を育てることができるようでした。


「ありがとう」



6: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:03:19.68 ID:sG6MezMSo

6_1



少女は水の上に座り込んで
曲を奏でる彼の後ろ姿をしばらく眺め続けていました。

彼の演奏は、誰しもを切ない気持ちにさせるような、そんな旋律でした。

彼はしゃべることができないけれど、ピアノで話かけることができ、そして世界を作ることができました。


そして月日が経つうちに、芽はどんどん成長していきました。

彼との生活は幸せなものでした。








少女は気分がよくなく、ときどきめまいがしました。



6_2

6_3


いつもは自分で取れた木の実も、今では手を差し伸べるだけで精一杯。




6_4


「とても寒い…ここは寒くなっている」

少女は怖がっていました。

どんどん体が冷たくなっていく感じがして、不安でたまりませんでした。




6_5


木の実を取ることをあきらめて、演奏をしている彼の元に帰ってきます。

その帰り道を歩くだけでも、息を切らすほどの疲労がたまりました。


少女は疲れてその場に横たわり
ピアノの音色を耳にしながら眠ってしまいました。



7: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:04:42.59 ID:sG6MezMSo

7_1


その日、少女は夢をみました。

大切な人を亡くした悲しい夢でした。

少女は夢の中でずっと泣き叫んでいました。

寂しさを紛らわすように、少女は猫を飼いました。

猫との暮らしは幸せなものでした

ある日、猫が家から飛び出して、外へ走っていきます。

少女は猫をおいかけて、町中を走り回りました。

アスファルトの道路を横切ったとき、目の前が大きな影に包まれました。






7_2


目を覚ました少女は、少し記憶を取り戻したような気がしました。

「……わたし、知っている。あなたのことを、とてもよく知っている」



7_3


少女は、彼をやさしく抱きしめました。






8: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:05:30.04 ID:sG6MezMSo

8_1


いつものように、ピアノを演奏する彼の後ろ姿を見守っていました。


少女は、腕の中に冷たい水が流れるのを感じました。



8_2


窓の向こうから、消毒液のにおいがします。

ときどき誰かが窓の外から聞き覚えのある名前を呼んでいるのが聞こえます。

オルゴールのような音、カチャンという金属音
車の走っている音、人の声、鳥のさえずりなど

日常的な生活音のようなものが聞こえてきました。






8_3


ある日、彼は、突然演奏を止めてしまいました。

「どうしたの?」

そう問いかけると、彼は鍵盤をぽろんと鳴らします。

「……ううん、寂しくないよ。あなたと一緒だもの」

彼はまたピアノを鳴らします。

「わたしは、あなたのことをよく知っている」

少女は彼のことを本当によく知っていました。

彼は読んだ本を片付けない性格で
普段から「だらしないなあ」「なまけもの」と愚痴をこぼしていたのを思い出します。

「あなたといると幸せだもの」

そう言うと、彼は安心したようにピアノの演奏を再開しました。



9: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:06:54.71 ID:sG6MezMSo

さらに月日が経ち、芽は立派な木に成長しました。

天井の窓まで、あともう少しという距離です。


9_1

9_2

9_3




9_4


お別れの時間が、近づいていました。



9_5


お互いそんなことはわかっていたけれど、あえて今まで口にしませんでした。



9_6


なのに、少女はとたんに悲しくなって、その場にふさぎこんでしまいます。



9_7


「わたし、いやだ。あなたと離れたくない。ずっとこの場所にいたい」

少女は大粒の涙をたくさん流しながら、泣きじゃくりました。


そんな少女をみて、彼は胸が苦しくなりました。

少女をこの場所に留まらせておくわけにはいかなかったのです。



9_8


彼は少女を慰めるように、頭をやさしくなでてやりました。

──大丈夫。

そんな声が聞こえた気がします。

──離れていても、ずっと見守っているから。

彼は少女に手を伸ばしました。



「指きり げんまん」



10: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:08:22.29 ID:sG6MezMSo

10_1

10_2


あれだけ小さかった芽は
ついに天井の窓に密着するほどまで大きくなりました。

それまで眠っていた少女は、彼の演奏が止まる音で目を覚ましました。


「もう、お別れなんだね」

少女は、木を見上げます。


「わたし、夢の中であなたと一緒に大きな桜の樹を見ていた」

彼は、黙り込んだままでした。


「ねえ、さびしい?」

彼は、顔を横に振りました。


「よかった」




10_3


「もう、いかなきゃ、だね」

少女はずいぶんと弱った体で、木にしがみつき、のぼり始めました。

ときどき手を滑らせて、さらには木の枝に捕まる力が入らなくて、何度も床に落っこちました。



11: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:08:55.54 ID:sG6MezMSo

それでも少女は諦めません。

何時間かかっても、木にのぼることを止めませんでした。


彼は、またピアノの演奏を始めました。

彼の奏でる鎮魂曲は、誰に向けられたものかは確かではありませんでしたが
その音色は少女に力を与えました。


少女は、無事に木のてっぺんまで到達しました。

彼は少女を見上げました。


少女は彼を木の上から見下ろしました。




「さようなら、ありがとう──ッ」




11_1


そうして、少女は窓の向こうに行きました。




彼は、次の日もピアノを奏で続けました。


彼は、孤独ではありませんでした。




11_2




11_3





  



12: ◆QGMNIW2pvk:2015/02/11(水) 21:13:15.16 ID:sG6MezMSo

原作曲 




転載元
「ゆびきりげんまん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423655776/
このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 今週の人気記事
  • 先週の人気記事
  • 先々週の人気記事

        記事をツイートする

        記事をはてブする

         コメント一覧 (24)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月11日 23:43
          • お、おう
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月11日 23:44
          • 絵があってもつまんねえ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月11日 23:45
          • ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月11日 23:56
          • ssまとめろよ
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:16
          • 絵は凄く良かった。
            話は・・・・・・・・・・・・その、うん。
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:31
          • (窓じゃなくて机に見えてしまった…)
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:38
          • 自主制作アニメでありそうなタッチ

            絵か文かどっちかに絞ってやれば良かったんじゃない?(無責任アドバイス)
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:40
          • だからなに?と言わざるをえない
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:42
          • この曲最後のリタルダンドで確実にミスる
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:42
          • いいと思うんだが、発表するべき場所を間違えてるんじゃ……
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:49
          • 原作曲というか、ゲームそのものストーリーをなぞっただけだね
            さすがにほとんどの画像丸上げはどうかと
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 00:58
          • DEEMOの画像あったから見てしまったではないか
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 01:08
          • 1 これオリジナルじゃなくってDeemoって音ゲーのイラストだろ。さも自分が作ったかのようにドヤ顔でスクショ乗せてんなよwww
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 01:46
          • DEEMO、エンディングまで出たんだな、ずっと更新待ち放置してたから半分忘れてたわ
            SSに関してはどっかにDEEMOってゲームが元とでも言ってくれてりゃまだ好意的に見れるけど、ゲームのストーリー文章にしただけのものをこの一曲聞いて全部俺が考えましたみたいに言われてもっていう
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 01:55
          • 一応言っとくと、deemoってアプリの挿絵な。ssが公式かはわからんけど、概ねストーリーはこんな感じ。
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 02:16
          • DEEMOだってわかってればそこそこ面白い
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 07:44
          • 1 これ版権モノじゃね?
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 08:35
          • 2 素敵やん?
            絵も綺麗やん?


            とか思ってたら版権ものを乗っけたやつだったのか…ショックだな
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 10:00
          • Deemの絵使っただけやんww
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 11:02
          • 1
            駄作だな

            こんなの載せるなよクソ管理人
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 12:56
          • これdeemoのオープニングじゃん
            丸パクリとかそんな次元じゃなくて転載だよね
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月12日 19:47
          • 1 まんまdeemo
            管理人は>>1の前に書き加えてやれ
            そういえばdeemoのvitaで出るらしいね
            前作(?)のCytus Lamdaは良ゲーだったし正直期待してる
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月13日 15:55
          • 音ゲーのスクショやん
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月14日 01:26

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ