凛「私が魔法使いだって言ったら……信じる?」
父「これが不老不死の秘薬だ」
父は純潔種の魔法使い。
この世界の万物をも歪める力を持っている。
母は誇り高きエルフ族。
エルフの血には不老不死の力が宿っているという。
私は生まれながらにして、不死の存在となった。
齢二十歳を過ぎれば、私の成長は止まり、以降永遠に老いることなく生き続けるのだろう。
魔法使い……無意識に世界の真理に触れる者。
戦う必要もない。
ファンタジーで耳にする魔法使いとは違うのだ。
たった一人の魔法使いが生を冒涜し、死すら凌駕していく。
だからその数は、世界に僅かしか存在しない。
魔法使いには、永久の孤独が付き物。
魔法使いの敵は孤独だ。
幸いにも父には永遠を共にする相手がいる。
だが……、私にはいない。
やがて自立する時がきて、誰かを愛することがあったとしても……
愛した人は、私を残して必ず先に逝くだろう。
私には耐えられない現実。
ひとりきり?そんなのやだ
母が私を抱き締める。
父「どちらを選択しても、凛には辛い未来が待っているかもしれない」
父「この秘薬を口にすれば、誰もが簡単に不老不死を得るだろう。だが覚えておけ、凛」
父「不老不死となった者は、これまで人として生きた証……記憶を全て失うことになる」
凛「記憶を……?」
父「いつかお前も、その薬を使う時が来るかもしれない。しかしそれは、お前を苦しめる地獄の選択となるだろう」
父「永遠の苦しみを与えられた者は、いつか必ず、お前への憎しみで心を支配されてしまう」
母「あなたの愛した人は……きっとそこにはいないわ」
凛「でもさ、生きててくれたほうがいいよ。もう会えないよりはさ」
この頃の私は、まだ誰かを好きになったこともなく、恋愛というものを想像で語ることしかできなかった。
マセた私の10歳の誕生日プレゼントは、人を地獄に導く禁忌の薬。
「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね」
魔法使いがアイドルやってるなんて誰も思わないよね。
ただの上司、世話役、便利な奴、仕事仲間。
そんな風に考えていたのだ。
いくらでも「代わり」のきく存在だね。
その認識はすぐに覆されたけれど。
私が事務所で一番驚いたことは、私以外にも魔法使いがいたこと。
彼女の販売するスタミナドリンクとエナジードリンクは、彼女自ら調合したものだろう。
その効果は絶大。
そしてそれこそが、人間離れした仕事量をこなすプロデューサーの秘密。
私はプロデューサーの横顔を見つめる。
普段は凛々しいくせに、不意に出る笑顔が可愛い。ふふっ。
加蓮「私は大丈夫だって。Pさん心配しすぎ」
プロデューサーがまた加蓮を心配してる。
北条加蓮。私の幼なじみで親友。
本当ならば、彼女の生はとっくに終わっていなければならない。
加蓮は身体が弱いだけではなかったから。
彼女を不老不死にしたのは同情なんかじゃない。
私が辛かったから。親友の死を黙って見ているなんて、耐えられないもの。
彼女を病よりも苦しめるのは私。
彼女を殺したのも私。
だからこれは……罪の記憶だ。
そう告げられたとき、私はこう返した。
凛「もし……さ。加蓮が助かるとしたら、どうする?」
加蓮「……どういうこと?」
希望持たせるようなこと言わないで。
やめてよ。
加蓮は口にしなかったけど、私にはわかった。
加蓮は不機嫌そうに、「生きたいよ」とだけ口にした。
加蓮「それでも……生きたいって。当たり前じゃん……アタシまだやりたいことあるし……」
凛「加蓮が今までの記憶を代償に捧げるなら、アナタを不老不死にしてあげるって言ったら?」
加蓮「……凛、いい加減にして」
凛「お願い。……真面目な話なの。答えて」
加蓮はうんざりした顔をして、それでも私に付き合ってくれた。
凛「……そうだね」
加蓮「それはイヤかな……」
凛「…………」
私もだよ。そう口にしたかった。
凛「また出会いからやり直せばいいよ。私は何も知らない顔をして、加蓮とまた出会うの」
加蓮「えー、記憶失ったアタシに優しく説明してよ~。親友だったとか言ってさ」
加蓮「あはは、なにそれ」
何も知らない加蓮に、アナタの親友だよって言ってもさ。
それは押し付けの友情だよ。
加蓮はきっと喜ぶ。雛鳥が最初に目にしたものを、自分の親と感じるように。
そして私に縋り、私を頼るだろう。
でもそれは多分、私が造った友情。
生を得た加蓮は、もう今の加蓮じゃないんだから。
『アナタの親友だよ』なんて口にしなくても、自然とまた……
……そんなのは嘘。
綺麗事だよ。
不老不死になった加蓮は、いつか絶対に私を恨み、憎むだろう。
殺したいほど憎んで憎んで……でも殺せなくて。
私はただ、そんな罪悪感から逃げたいだけ。
加蓮に永遠を与えて、私の巻き添えにしようとしてる。
孤独という恐怖を紛らわせるための道具として。
子供みたいなわがままでゴメン
ごめんなさい
凛「……なるよ。絶対なる」
加蓮は「ありがとう」と微かに微笑んだ。
痩せ細った姿が痛々しくて、私は加蓮を抱きしめた。
加蓮「消えていく命だから。きっと……きっと記憶は天国へは持っていけないんだ。だからね、未練なんてないよ?」
凛「私さ。加蓮に内緒にしてることがあるの」
凛「私が魔法使いだって言ったら……信じる?」
加蓮「……信じてあげる」
『だって親友じゃん』
声に出さなくても通じたよ?
加蓮「……それでも飲むよ。凛と普通の女の子みたいに遊びたいから」
凛「そっか」
加蓮「そうだよ」
あはは
二人で馬鹿みたいに笑う。
加蓮の目に迷いはない。
凛「不老不死になれば、加蓮の大切な人は誰もいなくなる。未来永劫、あなたと共にいられるのはきっと私だけ……。それは死ぬより辛いよ?」
加蓮「でも一人じゃないんでしょ?」
加蓮「必ず、アタシの親友になって」
凛「当然じゃん。……ばか」
加蓮「あー、ひっど~い。人が真面目に言ってんのに」
凛「安心して。加蓮を一人になんてしてやらないから。つきまとってやるんだ」
加蓮「ストーカー」
凛「聞こえなーい」
容態が悪化した加蓮は、自ら禁忌を口にした。
その日は加蓮の誕生日だった。
私にとっては最初の別れとなる、親友の命日。
加蓮「私……誰?何も……何も思い出せない……!」
病が突然完治した加蓮を見て、医師は口々に奇蹟と語った。
それほど手の施し様がなかったのだろう。
不安そうに病院内をフラつく加蓮とぶつかる。
加蓮「あっ……!ごめんなさい」
凛「別に。ねぇ、アンタ入院患者?」
加蓮「……はい。そう……ですけど……」
加蓮、ビビりすぎ。
凛「家族と知り合いの見舞いに来たんだけどね。私さ、今退屈してて」
凛「よかったら話し相手になってよ」
加蓮「……いいですよ?」
それが、私と北条加蓮の『最初』の出会い。
ずっと私の話を聞かされて、加蓮もアイドルに憧れるようになっていったんだ。
どうしてか加蓮は、アイドルに憧れていたことだけは覚えていた。
奇蹟ってあるのかもしれないね。
同時に、加蓮に薬を与えた私は、この世界で生きていくことを決意する。
両親は寂しそうに頷いてくれた。
ごめん
時が流れていった。
そして私達は、共通の親友を得ていた。
神谷奈緒。
アニメが好きな女の子だ。
加蓮「奈緒顔真っ赤」
凛「プロデューサーは私達が心配なだけだよ」
奈緒「限度があるだろ!」
ああ、昨日の送り迎えの時の話か。
行きたい場所があるからって、車から降りてさ。
するとプロデューサーが、「一人でなにかあったらどうするんだ」と、奈緒の頭をクシャクシャと撫でた。
ボサボサになった奈緒の髪を見て、私と加蓮は笑ってしまった。
奈緒は真っ赤な顔で、プロデューサーに文句を言っていたっけ。
照れ隠しか、髪をボサボサにされたことを怒ったのか、それがわからないほど私達は鈍くはない。
頭を撫でるのはプロデューサーの悪い癖だ。
彼の指で、奈緒の乙女が顔を見せる。
いいな。
きっと加蓮も。
奈緒「あたし一人で帰れるって!」
加蓮「あれは奈緒の我が侭だよね」
凛「アニメショップに寄りたいから車を降りたんだっけ?」
奈緒「ま……まぁ、そうなんだけど」
昨日の出来事を思い出して奈緒に嫉妬するなんて……私重症かな……
奈緒「わかってるけどさ……」
凛「確かに最近のプロデューサーは過保護だよね」
奈緒「!?……だろ!?」
加蓮「私にはいっつも過保護」
奈緒「加蓮は身体が弱いからなぁ」
凛「ふふっ」
加蓮「なによぅ、凛」
凛「なんでも?」
加蓮「むぅぅ」
凛「怒らないの」
どうして彼を好きになったのだろう?
彼の名を口にする。
愛しくて震えた。
「なんだ?」
最近おかしいんだ
優しくされるたび
触れられるたび
胸が痛い
どうしようもなく疼くんだ
叶わない恋を突きつけられて
心が張り裂けそう
でも、無理なんだ。
私が好きになったのは『今』のあなただから……。
私には……あなたの記憶は奪えない。
こんなに人を好きになるなんて、思わなかった。
ううん、違うね。
きっと気づかない振りをしてただけ。
あなたの優しさに触れて、あなたの笑顔を感じて、私はとっくに恋してたんだ……。
辛いよ。
愛してる。
久しぶりに二人きり。
モバP「最近元気ないみたいだけど、何かあったのか?」
凛「……大丈夫だから。心配してくれてありがとね」
彼の手が私の髪を撫でる。
私は怒ったような表情で、「子供扱いして」と口にする。
そんなこと思ってもいないのに。
プロデューサーは、困ったような顔で、手を引っ込める。
私は無言で、窓の外を見つめてる。
流れていく風景。
あの店は加蓮オススメの店だ。なんて無理矢理考えながら。
ホントはプロデューサーのことで頭はいっぱい。
凛「いいよ。遅くなったら悪いし」
モバP「気にしなくていいって」
なら、力ずくで私を奪ってよ。
ホテルでも連れ込めばいいじゃん。
そんなことはありえない。
プロデューサーは責任感の強い人だから。
我が侭を言って嫌われたくない。
他人への甘え方がわからない。
私不器用だね。
邪険にしてごめん。
大好きだよ、プロデューサー。
永遠なんていらない。
あなたと生きていきたい。
逃げと言われても仕方ないだろう。
気づけば私は、シンデレラガールになっていた。
加蓮「おめでとー、凛」
奈緒「凛、よかったな!」
凛「二人とも……ありがと」
卯月と未央が駆けてくる。
他の仲間たちも。
私は幸せ者だ。
光を浴びて、スターへの道を歩き始める。
そして知る。私には未来はないのだと。
未来は夢だ。
限りある時間が連れていく。
両親は私の老いが止まるのが早すぎるという。
私が二十歳の外見を得るのに、最低数百年は掛かるのだと。
そんな残酷な真実を告げた……。
認識の齟齬を埋めるため、父が周囲の意識を操作し、それからの私は何度も15歳を繰り返している。
16歳でも17歳でもいい。
人の認識は曖昧だ。
ねぇ、永遠の価値ってなんだろう?
このスポットライトの光も、いつしか当たり前として受け入れるようになるのだろう。
百年後の私は笑っているかな?
加蓮「凛、大丈夫?」
ごめんなさい。
ずっと思ってる。
終わりのない不安。
私は加蓮を巻き込んでしまったんだ……。
彼女の成長も止まっている。
私はいつまで、親友を騙し続けるのだろう。
出口のない人生という迷路に、加蓮を送り込んだ私の罪を。
私の過ちを。
いつか死ぬことを願う日が来るのだろうか。
先への不安が神経をすり減らせていく。
らしくないね。
振り返らず前を向いて。
加蓮「好きなの?」
凛「うん?」
加蓮「プロデューサーのこと」
気づかないわけないよね。
凛「べつに」
加蓮「嘘」
凛「まあ、どちらかといえば好きかも」
加蓮「素直じゃないね」
凛「プロデューサーの迷惑になりたくないし」
加蓮「私、Pさんが好きだよ」
凛「そうなんだ」
加蓮「うん」
泣きそうになる。
凛「ごめん、加蓮」
加蓮「なにが?」
凛「私も好き」
加蓮「知ってた」
凛「ごめん」
加蓮「なんで?」
言えないよ。
凛「…………」
加蓮「最近溜め息ばかりだね、凛」
凛「……そうかな?」
加蓮「そうだよ」
加蓮「私、知ってるんだ」
凛「え?」
加蓮「不老不死、なんでしょ?……私たち」
……どうして?
ありえないよ……
加蓮「伝えようか迷った。私だよね?凛を苦しめてるの」
手紙を取り出す加蓮。
加蓮「ずっと渡せなかった」
加蓮「凛の親友は私だって、自分への嫉妬かな」
加蓮「……渡せなかった。凛を傷つけるって知ってたのに……」
加蓮「けどそれも今日で終わり。……許してね、加蓮」
それはありえないはずの……
過去からの手紙
自分が独りになりたくないから私を巻き込んだーって。
だからこの手紙を遺します。
今の私から凛への、最後の友情の証として。
親友を理解してる私に感謝してよぉ?
私はね、凛。
不老不死になったからって、絶対に凛を恨んだりしないよ?
だって薬を飲んだのは私の意思なんだもん。
凛は私に明日をくれた。
絶望しかない私の人生に、光と希望をくれたのはあなただよ。
凛が私に与えたのは生きるチャンス。
凛は私に不老不死になれなんて命じてないでしょ?
私は自分で考えて選択した。
生きたいってね。
私をあまり舐めないで。
私が私でなくなっても、私が凛を恨むなんて一生ありえないって。
生まれ変わっても(言い方がおかしいかな?)、また胸を張って凛の親友でありたいから。
ずっと対等でいて。あなたは私の親友、渋谷凛だって。いつもみたいにクールで。
未来の私に、私の一部を託します。
あはは、これくらい許してよ?
未来の私。どうせこれ読んでるんでしょ?
あんたに一つ自慢したい。
私の親友は魔法使いなんだ~ってね。
凄いでしょ~。
凛は死の淵にいた私を救ってくれたの。
迫り来る死の恐怖を追っ払ってくれたんだ。
だから……あんたが不老不死になったのは私のせい。
あんたがもし将来苦しむようなことがあったら、そのときはこの私を恨みなさい。
その頃には私はもう死んでるけどぉ~。私無責任!?
凛の隣を譲ってやるんだから!感謝しなさいよ?
お願い。凛を恨まないで。凛を支えてあげて。
凛を理解して、支えられるのは……きっとさ、あなただけだから……
私は凛が大好き。未来の私も凛を好きになってくれたら、これほど嬉しいことはありません。
あなたと過ごした記憶を、あなたとの時間を……私は今から殺します。
忘れないで。私はきっと加蓮の中にいるから。
長くなっちゃったね。
最後に
一緒にアイドルできなくてごめんね
永遠の友 北条加蓮
私は泣いた。みっともなく大声で。
加蓮「私が目覚めたときさ。これを読んで勝手だなって思った」
加蓮「誰かも知らない相手を頼むって手紙でしょ?無責任にさ。自分のこともわからない私に……色々重荷背負わせて……ほんと勝手だよ」
凛「…………うん……ぐすっ……」
加蓮「でも今は……感謝してる」
加蓮が私を抱きしめる。いつかの時とは逆の状況。
加蓮「言われなくたって支えるわよ。凛は私の……親友なんだから」
加蓮「私は私。たとえ記憶を失っても、凛が大切な親友だって気持ちだけは変わらない」
加蓮「それは私にも殺せない。きっと魂とかに刻まれた感情なんだよ」
凛「……言わないで」
加蓮「はやく泣きやめ。クールな凛はどこ行ったの~?」
凛「……ばか」
加蓮「あー、ひっど~い。人が真面目に言ってんのに」
『あー、ひっど~い。人が真面目に言ってんのに』
凛「ふふっ」
そっか
加蓮は確かに遺していたんだね。友情の証を。
加蓮「なにニヤニヤしてんの!」
凛「何でもなーい」
彼を不老不死にしたいと思ってる。
最悪のワガママだよね。
でもそれはしない。
彼は優しいから。
選択を迫れば……彼は苦しむ。
きっと将来、事務所が落ち着いたら、私と加蓮のために彼は薬を飲むだろう。
私の隣にいるという約束を守るために。
私たちを孤独から守るために。
自惚れじゃないよ。
そんな自己犠牲がさ、彼の不器用な優しさだって知ってるから。
だから選択を与えない。
私には……
あなたの人生を否定することはできないから。
愛しているから奪えない。
冗談じゃない。あなたの中から私たちが消えるなんて。
……耐えられるわけないじゃん。
これから先の数十年、私と加蓮は今の姿のまま、弱っていくプロデューサーの隣に居続けるだろう。
彼が生涯を終えるときまで。
その時は思いっきり泣こう。
泣いて泣いて泣き疲れて。それでも繰り返される明日に苦笑しながら。
私たちは生きていく。
彼女は笑って許してくれた。
加蓮「私だってPさんの記憶は奪えないよ。それは死ぬより辛いもん……」
凛「私たちってワガママだね」
加蓮「女の子はワガママなくらいがいいんだよ」
奈緒「ああ?あたしも仲間に入れろって!」
どこかに隠れていた奈緒が、いつの間にか背後に立っていた。
凛「奈緒……」
奈緒「あ、あたしだって親友だから!凛の様子がおかしいことくらいわかるっていうか……仲間外れは嫌っていうか……くそっ!わかれよ!」
加蓮「今の話は冗談だって。不老不死なんてあるわけないじゃない」
奈緒「嘘かほんとかなんてわかる。だって友達だろ?」
加蓮「……記憶失っちゃうんだよ?」
奈緒「そん時は支えてくれんだろ?あたしの親友たちがさ」
奈緒「また親友になればいい。生きてるなら何度でもやり直せる」
加蓮「…………」
奈緒「あたしは二人との絆を信じてるから。神谷奈緒は生まれ変わっても照れ屋で、アニメ好きで、凛と加蓮の親友だ」
凛「今はダメ」
加蓮「うん」
凛「奈緒が大人になって、お姉さんになったとき。その時に改めて聞かせてよ」
奈緒「いやいや、今でも最年長だろ。あたしは二人よりお姉さんだっ!」
凛「うん」
奈緒「嘘……だろ……」
加蓮「ほんと」
凛「不老不死は二十歳で成長が止まる……って思ってたんだけど違ったみたい」
加蓮「途中から成長が緩やかになる感じ」
凛「たぶん最終的に二十歳の外見になるんじゃないかな。……数百年後に」
奈緒「はぁ!?反則だろそれ!」
加蓮「つーまーりー、逆に多少老いたとしても、二十歳の外見に戻るってこと。…………たぶん」
奈緒「無茶苦茶じゃねぇか!」
凛「だから焦ることはないんだ」
加蓮「ゆっくり考えて。後悔しないように」
奈緒「……しねぇよ。後悔なんて」
凛「約束する。20年後、奈緒が今みたいに不老不死を望むなら、私はあなたの記憶を貰う」
奈緒「なんだよそれ……。全部忘れちまうなら、早いほうがいいに決まってる……」
加蓮「今の奈緒を大切にして」
奈緒「……わかったよ。くそっ!」
加蓮「ふふっ、奈緒可愛い」
奈緒「うるせぇー」
ごめんね
取り残される悲しみに押し潰されないように。
私のエゴだよ。
時は過ぎていく。
プロデューサーは若作りが上手い。
アイドルに老いを感じさせないのは凄いと思う。
最近では、「俺はまだまだ若いって」が口癖。
加蓮「禿げたPさんなんて見たくないよね」
なんて笑い話にしてたっけ。
認識を操作するのも限界で。
私たちは世間では有名な化物アイドルになっていた。
週刊誌だけではなく、テレビでも騒がれる。
ファンからは永遠のアイドルとか呼ばれているらしい。
奈緒はアイドルを引退した。
紛らわしい言い方だったね。
今は女優。
映画とかで活躍しているよ。
そうそう、アニメ映画では声優も務めたんだっけ。
素人の芸能人が吹き替えなんかするな!っていつも怒ってたのに。
奈緒は一生懸命頑張っていたよ。
映画は大ヒットを記録した。
奈緒は毎日輝いていた。
後悔はあるよ。あの時奈緒を不老不死にしなかったことに。
加蓮「でもそれが人生なんだよ。一度きりの花火のような、儚いもの」
凛「……後悔してる?」
加蓮「どうだろ。私は『加蓮』の恐怖が理解できるから。責められないし、責めたくない」
加蓮「運命だって割り切ってるよ。せっかくの人生、『加蓮』の分まで楽しまなきゃね」
凛「……そうだね」
加蓮「凛、ありがとう。私に時間をくれて」
凛「果てしなく永いけどね」
加蓮「あはは」
加蓮「奈緒がどちらを選ぶか賭ける?」
凛「不謹慎」
凛「奈緒の人生だから。奈緒の選択に任せよう」
加蓮「……ばーか」
奈緒「凛、加蓮。ありがとう」
凛「私は何もしてない」
加蓮「ほんとにね」
奈緒「あの時止めてくれたからよ」
私にはその言葉だけでわかってしまった。
彼女との別れを。
奈緒「不老不死って凄いと思うわ。断るなんて愚かよね」
加蓮「だね」
奈緒「ごめんなさい。私は不老不死にはなれません」
奈緒の口調はあの頃とはすっかり変わった。
女らしくなったよ。
いい女って奈緒みたいな人を言うのかも……なんて。
奈緒「私は普通の人間として、精一杯自分を磨いてきたわ。……成長したでしょう?」
少しだけ羨ましい。
奈緒「若いっていいわよね。私も日々若返りたいって思うもの」
凛「……奈緒は綺麗だよ」
奈緒「ありがとう」
加蓮「私たちには得られないもの……か」
奈緒「永遠を得たあなた達は変わらないわね。姿も……心も……成長が止まってしまっている」
そう。私たちの時間は止まっている。十代の頃のまま。
凛「……うん」
奈緒「不老不死の代償は記憶なんかじゃない。向上心よ」
永遠に時間は続く。
シンデレラガールに選ばれた頃の私は必死だった。
自分に厳しく、特訓を欠かさず。
でも……約束された永久のなかで、努力し続けることは難しい。
頑張ろう。
いつしかその当たり前の気持ちすら忘れていたんだね。
時間という枷に囚われていたのは私なのだ。
奈緒「私は進みたい。一度しかない人生のなかで、私が出来る精一杯を、この一身で」
加蓮「かっこいいね。かっこいいよ、奈緒」
凛「いいの?」
奈緒「ええ。今ならわかる。運命に逆らうのは反則なのよ。人は一度しかない人生を精一杯生きるべきだわ」
奈緒「人が成長を止めてしまっては、世界は堕落する一方でしょう?」
凛「……私たちは本来存在してはいけないんだ。わかっていたのに……」
成長しない生命に、何の価値があるのだろう?
奈緒「その約束が叶うよう、私は祈ってる。私はあなた達より先に逝くけれど、私の友情は変わらないから」
奈緒「あなた達の永い時間のなかの、本当に一瞬に過ぎないけれど。確かに二人を理解し、愛していた親友がいたと……」
奈緒「たまにでいいから思い出してあげて。そして笑ってよ。神谷奈緒って親友をネタにしてさ」
凛「……うん」
加蓮「……忘れられるわけないって」
奈緒「あたしたちは一生友達だ。それと、あたしがトライアドプリムスのお姉さんだからな!」
昔の奈緒と重なる。
ははっ……奈緒だって変わってないじゃん。
いいお姉さんになったね、奈緒。
劣化も成長も止まった私たちよりも、夢を語る後輩たちに道を譲るのは正しい判断だと思う。
引退発表は大きく話題となった。
まだ私たちのファンはたくさんいたみたい。
アイドル冥利につきるってやつだね。
でも、ステージは独占していい場所じゃないんだ。
進みたいと願う者の立つ場所だから。
加蓮「私はいいよ。『加蓮』と凛の約束を果たしただけ」
『一緒にアイドルできなくてごめんね』
あの手紙、律儀に守ってくれていたんだね。
加蓮「アイドル好きなのは本当だけど。もう未練はないかな」
凛「20年も続けられたし?」
加蓮「そうそっ♪」
これ以上は誤魔化せない。
老いないアイドルなんて、ただ気持ち悪いだけだから。
観客はいない。
モバP「長い間ご苦労様」
プロデューサーはあの頃のままの姿で、いや……きっと私の贔屓目だね。まだ若いって思いたいだけかもしれないけど。
彼から労いの言葉を受けて、私は無意識の涙を止めることができなかった。
凛「あれ……?」
おかしいよ。
凛「なんで……だろ……」
ずっと隣で見ててね
凛「ここまで連れてきてくれて……ありがとう。プロデューサー」
この言葉にどれだけの感謝を込めたか……きっとあなたにはわからないでしょう。
加蓮「……凛」
モバP「凛と加蓮は俺の夢を叶えてくれた。お前たちは、確かにシンデレラだったよ」
凛「そう?」
モバP「ああ」
凛「嬉しいよ」
加蓮「私はもう忘れない。凛や奈緒、Pさんに仲間たち。みんなで目指した景色を」
耳元で囁くと、プロデューサーは無言で頷いた。
そして観客席に移動する。
『私と加蓮の最後のステージは、プロデューサーのためだけにやりたいんだ』
過ぎていく時間取り戻すように。
今の精一杯を届けるから。
加蓮「今までありがとうございました。私がアイドルを続けられたのは、Pさんのおかげだよ!」
凛「今日まで隣で見ていてくれてありがとう。プロデューサー。これからは……他の子を見てあげて」
凛「あなたを待ってるシンデレラがたくさんいるから」
私はきっと忘れないだろう。
プロデューサーが流した一筋の涙を。
「「お世話になりました!」」
モバP「……元気で」
凛「プロデューサーもね」
加蓮「困ったらいつでも頼って。私はずっとPさんの味方だから!」
モバP「俺の台詞だろそれ……ははっ」
別れは辛いから。
渋谷凛と北条加蓮は、その日消息を絶った。
厄介な境遇のせいで、私も加蓮も、男の人とは一度も付き合ったことがない。
加蓮「私、菜々さんも魔法使いだと思ってたよ」
凛「それはある。私もそんな気がしてたし」
加蓮「老いた菜々さんは見たくなかったなぁ」
私たちが身勝手に消息を絶った理由。
数多くの仲間たちがいたけれど、彼女たちが老いていく様を……。
目にしたくなかった。
私たちの姿を見られたくなかった。
卯月や未央はいつまでもあの頃のままでいてほしい。せめて私の中だけでも。
老いた二人を前にして、変わってしまった彼女たちとのズレに、耐える強さはない。
今の私には。
不老不死でも弱くなるものだね。
きっとどんな生き物でも、心の寿命からは逃げられない。
懐古とは過去を見続ける夢だ。
輝いていたあの日々に取り残された私と加蓮の。
前だけを見続ける。後ろは振り返らない。
それが昔の私。
思えば、後ろを振り返った瞬間、私に死が訪れたのだ。
人は弱い。
あるとき、奈緒が倒れたと聞いて、私たちは病院に駆けつけた。
奈緒「……凛、加蓮。私はすっかり老いてしまいました」
彼女に身寄りはいない。
栄光の人生だった。
ファンも大勢いた。
加蓮「……奈緒、どうして結婚しなかったの?」
奈緒「どうして……でしょうね」
奈緒「私の中にはいつもいましたよ。大切な人が」
奈緒「その方は結局振り向いてはくれなかったのだけれど……」
凛「……っ!」
奈緒「私は生涯、恋をしていたんです」
加蓮「もう、少女漫画の読みすぎ……」
奈緒「その人に見てほしいと……私は頑張ることができた…………Pさん……」
凛「うん……うん……」
奈緒の手を強く握る。
奈緒「永遠を誓った親友たち……」
奈緒「……凛、加蓮。今までありがとう」
私、最低だ。
奈緒「ごめんなさい。そして、ありがとう」
奈緒「死は平等だから。私の人生は悔いのないものでした。この大切な思い出は、全て私が得た宝です」
私は知っていたはずなのに!
気付かされる。軽はずみの一言が、どれだけ残酷だったか。
凛「……ごめんなさい!うっ……奈緒っ……奈緒っ……」
言わずにはいられなかった。
大好きな親友。
あたしたちは一生友達だ!
17歳の奈緒
16歳の加蓮
時が還っていく。
15歳の私
涙は隠せてる?
今を忘れない。
焼きつける。
きっと今生の別れだから。
凛「何言ってるの。二人が騒ぐからだって」
三人で声に出して笑う。
加蓮「だね」
奈緒「未来を見ろ、凛。あたしの知る渋谷凛は強かったぞ」
凛「あ……」
振り返らず前を向いて。
奈緒「お前いつから弱くなった?」
シンデレラガールになって。
プロデューサーへの想いを絶ったとき。
奈緒「げほっ……げほっ……」
加蓮「大丈夫!?」
凛「……ありがとう」
奈緒「これが最後の願いだ。凛」
奈緒「過去に囚われるな」
奈緒「加蓮。凛を頼む」
加蓮「痛いとこ突かないでよ……」
奈緒「加蓮はしぶといから大丈夫だろ?」
加蓮「奈緒ひどーい」
奈緒「うるせぇ……」
奈緒は、最期まで私たちの知る神谷奈緒を貫いた。
私たちのために。
加蓮「大丈夫?」
凛「うん。もう大丈夫」
神谷奈緒という女の子がいた。
照れ屋でツッコミ気性で、赤い顔をしながら新しい衣装に身を包み、そしてからかわれる。
そんなアイドル。
墓前に花束を捧げる。
加蓮「奈緒、あんた早く化けて出なさいよ」
凛「同感」
凛「そうだね。父さんと母さんとちひろさんくらいか」
加蓮「いつか会いに行く?」
凛「うん?」
加蓮「ちひろさん」
凛「今はいいかな」
加蓮「あらら」
凛「もう過去に縋るのはやめたの。奈緒との約束だし」
加蓮「数十年無駄にして後悔?」
凛「前を見続けたとしても引退はしてたよ。私たちは老いないから」
加蓮「奈緒から言わせれば私たちが化けて出てるようなものだからね」
凛「化けて……か。次は卯月と未央の墓参りだね」
凛「卯月は素直だから信じてくれるだろうね。それでも薬は飲まかったと思うけど」
加蓮「どういうこと?」
凛「奈緒と一緒でまっすぐだから。間違った道は選ばない」
加蓮「うわ……私への皮肉?」
凛「加蓮は別だし。早く死にたかったの?」
加蓮「はは……」
加蓮「酷い評価!でも否定できない!」
凛「よくも悪くも人の中心……というかエンターティナー?ノリでやっちゃうみたいな」
加蓮「たしかに!」
ここにはいない奈緒も、きっと隣で笑っている。
さよならは言わない。
またね、奈緒。
私は加蓮と二人で生活している。
加蓮とは同じベッドで眠るのが日課になっているけど、それは魔法使い固有の特性。つまりは寂しいのだ。
孤独への恐怖は、絡み合う指が解きほぐしていく。
加蓮の体温を感じて、私は安堵する。
それはきっと加蓮も同じ。
恋愛感情なんてない、純粋な友愛だ。
いい人見つけて適当に付き合っちゃおうか?なんて笑い話にしたり。
けれど実際に行動することもなく。
シンデレラは魔法使いの魔法で変身する。
魔法使い(私)は臆病だ。
それでも後ろは振り返らない。
親友との約束だから。
凛「ここが今の事務所かぁ」
まるでお城だ。
一月前。
加蓮「プロデューサーになる?」
凛「うん」
凛「私たちは渋谷凛と北条加蓮の子孫ってことにしてね」
加蓮「あー、だから待ってたんだ」
凛「今度は裏方。シンデレラに魔法をかける魔法使い(プロデューサー)になりたいなって」
加蓮「いいんじゃない?」
凛「付き合ってくれる?」
加蓮「当然」
凛「プロデュースの勉強はしてきたからね」
加蓮「もう嫌ってほどね」
行こうか
凛「千川さんもお変わりなく」
ちひろ「あら、ちひろでいいわよ?」
凛「私は渋谷凛の曾孫です」
加蓮「アタシは……北条加蓮の曾孫だよっ」
ちひろ「……やはり、魔法使いとは悲しい生き物ですね」
凛「まあね」
加蓮「それで面接は?」
ちひろ「あなた方には必要ありません」
凛「依怙贔屓はダメだよ?」
ちひろ「社長の判断ですから」
凛「今の社長か」
加蓮「茂場(もば)さんだっけ?」
ちひろ「いいえ。茂場は実在しません」
加蓮「えっ?」
……そんな
…………嘘
社長「凛、加蓮。久しぶり」
それは私たちのよく知る人物で
加蓮「Pさん!?」
プロデューサー……モバPさんだった。
凛「どう……して……」
モバP「俺が人間離れした体力してたの知ってるだろ?」
加蓮「いやいや、それはちひろさんの魔法ドリンクのおかげだって、ちひろさん本人に聞いたんだけど!昔!」
ちひろ「あれ嘘です」
凛「はい?」
加蓮「はあ!?」
ちひろ「はじめまして。私は魔法使いによって造られた人造人間、ホムンクルスの千川ちひろです」
凛「最初からって……まさか……」
モバP「……俺も魔法使いだったんだよ」
凛「加蓮……ありがと」
加蓮の肩に手を置く。
プロデューサー……社長に掴み掛かろうとする加蓮を止める。
加蓮は言いたいことを堪えて、唇を噛む。
加蓮だってPさんが好きなのに。
私のために怒ってくれて、ありがとう。
モバP「……すまん。依存してほしくなかったんだ」
凛「わかるよ」
魔法使いは臆病だ。
加蓮がいなければ、私は廃人になっていただろう。
モバP「長い時間を生きる俺たちの敵は、孤独だ」
加蓮「私にはわからない。孤独なら支えてよ。優しく……してよ」
モバP「いつまでも」
プロデューサーが口を閉ざす。
目を閉じて、再び口を開く。
モバP「俺は一度挫折したから。孤独を恐れ、生命を造り出すという禁忌をも犯した」
モバP「申し訳ないと思っているよ。彼女の身体は人間と同じではないのだから」
ちひろ「謝らないでください、マスター。たとえそれが過ちでも、私は感謝しています。生まれてきて……よかったと」
モバP「ちひろ、ありがとな」
ちひろ「はい」
凛「あー、あったねそういえば」
加蓮「Pさん金ない金ない言いながら必死に回していたっけ」
モバP「あれはちひろ、ホムンクルスに魔力を注ぐ行為なんだ。定期的にガチャを回さなければ、ちひろは止まってしまう」
凛「そういうシステムだったんだ……」
モバP「アイドルカードはその副産物だ。人工生命を無理矢理世界に定着させてるからな。その歪みが新しいアイドルを呼び寄せてしまうのさ」
加蓮「なにそれ怖いよ」
凛「私たちがプロデューサーが不老不死だって知ったら……」
モバP「キラキラと輝く君たちの表情は、俺だけに向けられるようになっていただろう」
凛「否定はしない」
加蓮「かもね」
モバP「俺がプロデューサーになった理由を明かすよ」
モバP「何を見ても感動できない。どこか過去で見た出来事と思ってしまう。新鮮さがないんだ」
凛「…………」
モバP「全てが色褪せて見えていた俺を、一人のアイドルが変えたんだ」
モバP「それは胸に宿る光だった。日高舞。伝説のアイドル」
凛「凄い人だったのは覚えてる」
モバP「彼女は普通の人間だ。魔法も使えず、実力だけで人々を魅了した。俺も凛と同じで凄いと思ったよ。同時に感動した」
モバP「人間の生きる力、輝こうとするエネルギーに」
凛「だからなんだね。プロデューサーになったの」
加蓮「もう一度、感動……したかったから?」
モバP「……ああ」
凛「……私たちは感動させられた?」
モバP「最高だったさ。シンデレラに選ばれた凛、魔法使いでありながら輝こうとする姿。加蓮との友情、そして引退。君たちの人生はずっと見守ってきたんだ」
加蓮「ストーカー発言だね」
モバP「まあな。ある意味そうなのかもしれない。……偉そうに言ってるが、君たちに執着し、依存していたのは俺なんだ……」
凛「嬉しい」
加蓮「変態」
凛「あなたを狂わせた正体を、私も知ってるから」
加蓮「百年以上生きればね……」
モバP「君たちから成長を奪ったのは俺だ。未来を奪ったのも」
凛「それは違うから」
加蓮「それこそ傲慢だよ」
凛「私の人生は私のもの。だから、私の失敗は私のもの」
加蓮「誰かに押しつけていいものじゃない。責任っていうものは自分たちで背負うものだから」
モバP「……強くなったな」
凛「仲間のおかげかな」
加蓮「だね♪」
長い時間のなか、互いの嫌な面を知って、嫌いになってしまうかもしれないから。
永遠に恋していたいんだ。
だから一緒にはいられないと願った。
いたくないと思ってしまった。
愛してるから。
嫌いになりたくない。
いつか消える気持ちでも、あなたに対してはいつまでも新鮮でいたいから
あなたへの恋じゃなくて、あなたに恋している私が好きだから。
身勝手でごめん。
それが百年経って出した結論……のはずだった。
後ろ向きに前向きに。
それこそが、私たちの心を守る手段。
差し出された手に、私の結論は簡単に歪む。
一緒にいてもいいの?渋谷凛?
嫌な面くらい普通に生きてる人でも見てる。
駄目な部分だって受け入れようと努力してる。
綺麗なところしか見ないなんて、それこそ偽りの恋だ。
いつまで逃げるんだ?
奈緒の声が私の背中を押す。
現金だね、私。
凛「ふーん、アンタがこの事務所の社長?まあ、悪くないかな……なーんて」
加蓮「北条加蓮、改めてよろしくー」
私たちの恋愛は
今、始まったんだ。
おしまい
これからもたくさん笑い、たくさん絶望するだろう。
それでも私たちは、一日一日を大切に。
まだ見ぬ明日を夢見て、駆けていく。
さあ、プロデュースをはじめよう。
シンデレラの魔法はまだ、終わらない。
完
転載元
凛「私が魔法使いだって言ったら……信じる?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1423400658/
凛「私が魔法使いだって言ったら……信じる?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1423400658/
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コメント一覧 (80)
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- 2015年02月09日 03:22
- 遠坂ネタかな?と思ったら全く違ったけどわりと好き
-
- 2015年02月09日 03:25
- なんだこりゃ?
→
結構いいかも
→
なんだこりゃ!?
な作品だった。
わりと好き
-
- 2015年02月09日 03:27
- 名作だった
課金ガチャの真実でワロタ
-
- 2015年02月09日 03:58
- りんりんりんがべー
-
- 2015年02月09日 04:06
- こんなんばっかりだと辟易するけど
たまに読む分にはこういうのもあっていいと思った
こういう雰囲気とかけっこう嫌いじゃない
-
- 2015年02月09日 04:09
- みんながガチャやめればちひろが止まるんですね
-
- 2015年02月09日 04:21
- 奈緒はいつもこういうポジションだなぁ
なかなか良い作品だった
-
- 2015年02月09日 04:31
- 自己陶酔が臭くて読めたモンじゃない
全く感情移入出来ない駄文
途中会話の掛け合いでお互いにズレてる部分がいくつかあって
何かの伏線かなと思って読んでいたけど、そんな事は無かった
作者の頭が悪いか、作者の頭の中だけで完結してるかのどちらかだった
-
- 2015年02月09日 04:32
- そりゃ搾取できなきゃサービスは停止するだろうさ。
-
- 2015年02月09日 04:34
- 永遠が悪いものと決め付け、悲劇的な自分に酔っているだけの気持ち悪い話
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- 2015年02月09日 04:36
- 最後のモバPに逢ってからの凛の心の声が支離滅裂で理解できないんだけど
理解できた人居る?
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- 2015年02月09日 04:41
- ※10
言葉にできない思いが濁流となり、その結果と溢れ出たのが「支離滅裂な心の声」じゃないか
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- 2015年02月09日 04:56
- てっきり蘭子のグリモワールかと
-
- 2015年02月09日 05:03
- 眉毛が処女のまま逝ってしまった…
-
- 2015年02月09日 05:06
- ガチャのくだりで笑ってしまったわ
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- 2015年02月09日 05:08
- ※11
数を数えるくらい素直に理解できたんだが、何が判らないかむしろ教えて欲しい位だ。
-
- 2015年02月09日 05:17
- やっぱ遠坂の方だと思うよなぁwこのタイトル
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- 2015年02月09日 05:26
- こんな時間なのにコメント付きすぎててワロタ
-
- 2015年02月09日 05:39
- 地の文とも言えないか、この語り部分が物凄い人を選ぶ話だね。途中から胸焼けするくらいくどい
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- 2015年02月09日 06:20
- ※このあと滅茶苦茶4Pした
-
- 2015年02月09日 06:30
- 俺も30歳になって魔法使いになるかな
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- 2015年02月09日 06:59
- ちひろに魔力を注ぐ行為、まではふむふむと思ったけど
その歪みがアイドルを引き寄せる←!!!!?? ってなったw
理屈が力業すぎて草不可避
-
- 2015年02月09日 07:58
- 批評にもならないコメントが臭くて草
本編はとても良かった
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- 2015年02月09日 08:09
- まさかとは思うがKもしくは同級生の作者じゃないだろうなぁ?いやそこまでの設定の意味なさはなかったけど。
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- 2015年02月09日 08:17
- 微妙っていうか、感想らしい感想が何も浮かばない……
強いて言うならモバマスである必要性があまり感じられないと思った
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- 2015年02月09日 08:23
- 最後は百年経って凛もちょっと狂ったんだろwみたいな感じじゃねーの?
所々結構歪んでんじゃんw
むしろハッピーエンドでよかった。胸糞エンドならゴミだったわ
不老不死になった苦しみ的なのがよく再現できてたと思うぞ
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- 2015年02月09日 08:26
- これを良いとか言ってる奴はリアルor心が中学2年生なんだろうな
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- 2015年02月09日 08:40
- 小保方「エルフは~おりまぁす」
両親の存在感でクソワロタ
つまり奈緒は天使ということやね!
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- 2015年02月09日 08:49
- ※してる、俺達も魔法使いだから問題無いだろ
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- 2015年02月09日 09:13
- 永遠の17歳アナベベさんの悪口はそこまでだ!(とばっちり)
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- 2015年02月09日 09:22
- ガチャ回さなきゃ(使命感)
-
- 2015年02月09日 09:25
- 「永遠に美しく」みたいなコメディ調かと思ったら…
でも面白かった
-
- 2015年02月09日 09:29
- 祖父に第二魔法の使い手がいる可能性が?
-
- 2015年02月09日 10:01
- 今ガチャの真実が明かされるwww
-
- 2015年02月09日 10:13
- ※27
感想は人によって違う、同じ感想じゃない人を下に見るとか…
あなたは可愛そうな人だ
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- 2015年02月09日 10:46
- 蒼いな
-
- 2015年02月09日 11:02
- 個人的にモバマスでやる必要がないのと最後のプロデューサーとの再会はいらないかな
かれんが死んだところで終わっていれば良作だった
まあ、準良作?
-
- 2015年02月09日 11:17
- お前ら根本的に間違ってるよ
作者「ガチャ回さないとちひろさん停止=モバマス終了の危機やで?もっと課金しような?」ニッコリ
つまり運営の回し者だったんだよ!
ちょっとガチャ回してくる
-
- 2015年02月09日 11:28
- 加蓮でうるっときて奈緒の生き様に感動して課金ガチャで笑って不老不死4人も(ちっひ含む)いて笑った
稀少な存在みたいに言ってたのに魔法使い多すぎw
-
- 2015年02月09日 11:55
- 無理にガチャだとかアイドルを呼び寄せる云々入れない方がよかったんじゃないか、と思うのは俺だけ?
それにしても老けた菜々さんは見てみたい。そして幸せにしたい。
-
- 2015年02月09日 11:55
- (本人談)は一応伏線みたいなものだったのね
面白かった乙
-
- 2015年02月09日 12:22
- 怖いからちょっとガチャ回してくる
-
- 2015年02月09日 12:44
- モバPが200人プロデュースできる理由をSFチックに描いたSSでしたー。
凛がシンデレラガールに選ばれたのは魔法使いの力とか関係してんのかな?
あべななさんじゅうななさいは絶対魔法使いだと思ったのに……
これ誰も結婚してないし最後までカップリングがなかったのが良かったね
奈緒が結婚してたらキレてたわ
-
- 2015年02月09日 12:47
- 最初読んで無理そうだから※見てみて意外に好評な※もあるからもう一度読んでみたけど設定に捻りも無いし展開もダラダラでマジでつまらなかった…
モバマスでやる必要性が全くない上にガチャの真実とかもうギャグなのに真面目に語んないでw
-
- 2015年02月09日 12:54
- まぁSSにガチャネタ入れるのはどうかと思うよな
現実に置き換えた時に意味不明だからな
作品自体は粗はあるけど面白かったと思う
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- 2015年02月09日 13:15
- 魔法使い(お前ら)なんかその辺にいくらでもいるじゃないか。
-
- 2015年02月09日 13:57
- 面白かったけど唐突な菜々さんとガチャの真実で笑った
体調次第では読めなかったかもしれんわ
確かに濃い
-
- 2015年02月09日 14:56
- てっきり、誕生日はあるのに年を取らない、というモバマス世界の説明にそれっぽい設定をこじつけたSSで、実はアイドル全員が魔法使いだったってオチかと思って読んでたら違ってた。
これはこれでフツーに楽しめましたけど
-
- 2015年02月09日 14:57
- ふーん、悪くないかな
-
- 2015年02月09日 16:11
-
久しぶりにこういう物語を読んだ。俺は結構好きかなー。
まあでも確かに、人を選ぶ作風だね。
-
- 2015年02月09日 16:11
- 嫌いじゃないが中盤流し読むぐらいには確かにくどかった
-
- 2015年02月09日 16:33
-
久々のfateSSかと思ったら違って残念
そのまま流れで読んだけど嫌いじゃないわ
だがちっひとガチャとアイドルカード云々の所だけ「これ入れちゃうんだすげぇな」って思ったwww
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- 2015年02月09日 16:36
- 奈緒Pには感無量の内容だった
やっぱり奈緒は天使ですわ
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- 2015年02月09日 16:50
- けっこう好き
二人もアニメでメインはれるといいんだけどなー
-
- 2015年02月09日 17:10
- 本編とは違う要素がメインで来ると「~である必要はない」って言い出す奴が必ず出るよな
お前らに必要性の有無なんか判断されたくないっての
TPって元がないとこの話の肝が意味不明になるだろうに本気でそう思ってるならめでたい頭してるわ
が、Pとちっひーとガチャの設定は自分には合わなかったな
-
- 2015年02月09日 18:01
- >>55
この話の肝って何だよ
正直奈緒死んだあたりから気持ち悪くて流し読みしたが、>>10と同じ感想なんだが
最後のガチャ云々が無ければ別に男女SSでも問題ないだろ
-
- 2015年02月09日 18:24
- ※55
デレマスのキャラ使ってんだからアイドルとしての話をメインにして展開していくなら分かるが、これは不老不死からのアイドルだからアイドル要素がおまけじゃん。ぶっちゃけアイドルのくだりなくても全然話つながるやん。
何でデレマスのキャラ使ったのか分からん
-
- 2015年02月09日 19:19
- みんなが知ってるモバマスのキャラっていう下地があるから感情移入出来るわけで(TPの友情と奈緒のところとか)必要性が無いことはないと思うがな
個人的には結構好き、ちょくちょくこういうの読みたいわ
-
- 2015年02月09日 19:20
- YATTAとか他にもなんでモバマスでやったのかわからんやつが大量にあんだろ
癖が超強いのはわかるけど荒れるような内容じゃねぇじゃん
-
- 2015年02月09日 19:28
- ※59
それもそうか。個人的にこの作品はネタ枠じゃなくて真面目な枠の作品として見てたから気になった。結構すきな感じだからもう少し頑張って欲しかった
-
- 2015年02月09日 20:12
- 没入して読むには疲れるけど、少し飛ばし気味で読み流すと面白いSS
気になる所は多々あるだろうけど創作物に野暮なツッコミは入れるべきじゃないね
戦隊ヒーローに5対1で戦うのは卑怯だって言うようなもんだぞ
-
- 2015年02月09日 20:23
- 課金ガチャの真実でワロタ
-
- 2015年02月09日 20:33
- 乙一みたいだと思った
-
- 2015年02月09日 21:03
- りんかれの百合が見たい
濃厚な凛×加蓮な続編期待
-
- 2015年02月09日 21:58
- よかったよー
奈緒切ないね
俺の家にも魔法使い凛いるんだよー
魔法使い凛
魔法凛
マジック凛
マジックリン
業務用wwww
-
- 2015年02月09日 23:52
- 遠坂やないんけ
-
- 2015年02月10日 00:07
- 遠坂凛「私が魔法使いだって言ったら……信じる?」
何を当たり前のことを
-
- 2015年02月10日 00:30
- 俺たちゃ永遠の厨二病であり魔法使いだからな
-
- 2015年02月10日 07:28
- 奈緒死んじゃった…
-
- 2015年02月10日 13:53
- 200人くらい死んでます
-
- 2015年02月11日 06:16
- ガチャのくだりだけいらんかったw
それ以外は良かった
-
- 2015年02月11日 14:01
- 唐突に課金ガチャとか言われて噴き出したwww
-
- 2015年02月12日 10:01
- 感動したところにガチャでフフッってなったw
-
- 2015年02月12日 13:57
- モバマスじゃなくてよくね
-
- 2015年02月12日 18:38
- Pが聖杯戦争で戦ってたの見たし、魔法使いなのは明らか
-
- 2015年02月12日 22:51
- 感動した。この導入からハッピーエンドがあるなんて思ってなかった。
好きなフレーズも結構あったし、SS冥利。
-
- 2015年02月12日 22:53
- あと、オチに安易な解決法を用意しなかった事に好感を覚えた。
ハッピーエンドって言っても形は色々あるんだね
-
- 2015年02月22日 20:04
- こういう話もありだと思う
個人的にはかなり好きな方
-
- 2016年01月11日 14:26
- 今更だけど良かったよ。こう言う展開好き。
-
- 2016年02月08日 01:02
- ※10は永遠を生きているのだろうか…?
有限の時間を生きる我々が永遠が最低か最高かと決めつけるのはナンセンスだと思うけども。