巫女「花子さんに会いに来た」
- 2015年01月20日 21:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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の続きです
花子「うるさい!ノックは三回、声をかけるのは一回で良いよ!」
巫女「だって出てこなかったじゃん」
花子「こっちにも準備があるの!やめてよ迷惑だから、ってか君は誰!?」
巫女「通りすがりの巫女だ、覚えておけ」
花子「そのまま通り過ぎて下さい」
巫女「オーケーオーケー、扉閉めようとするのやめようか。結構大切な話があるから、本当だから」
巫女「自惚れんな便所妖怪、封印する手間考えたら野放しにしてた方がラクに決まってんでしょ」
花子「う、自惚れてないよ……と言うか巫女ってそう言うの野放しにしたら不味いんじゃないの?」
巫女「別に妖怪退治してる巫女じゃないし私。ただの管理者よ、有る程度なら封印儀式出来るけど」
花子「管理者……って、何ですか?」
巫女「えーそっからー? 本当に言ってる?」
花子「……」
巫女「あ、なんか疑ってるね。しょうがないにゃぁ……」
花子「キャラぶれ過ぎてて着いていけない」
巫女「おちゃらけお茶目ってね、とりあえず管理者について話すわね。本題はその後」
花子「は、はぁ……」
花子「何そのボードどっから出したの!?」
巫女「まず、この世界は現世(うつしよ)と常世(とこよ)の二つに分かれてます」
花子「わぁ、華麗にスルー」
巫女「現世とは、人間達が住む時間の流れた世界。光の世界とか言われる方ね。もっとも、そんな輝かしい世界では無くて毎日が辛いブラックな世界」
花子「最後の方絶対要らないよねそれ」
巫女「で、常世は時間の流れが止まった世界。闇の世界って言われたり幽世とか、隠世とか言われる方ね。逢魔が時もこの一種だけど詳しい説明は省きまぁす!」
花子「何このテンション」
巫女「普段は現世に幽霊や妖怪は居ませんが、逢魔が時によって現世と常世は一時的に繋がる為、現世に妖怪達が、常世に人間達が紛れ込む事が多いのです」
巫女「放っておくと両世界のバランスが失われ、世界は滅びます」
花子「つまり逢魔が時はゲートみたいな物なんだね」
巫女「そんな事も知らないとか本当に妖怪なのアンタ?」
花子「いや知ってるからね、君がなんかノリノリだったからノってみただけだから」
花子「またスルー、もう慣れて来た。あー、その辺りは上司に色々と書類書かされたなぁ。変な事やるとあっちの奴がうるさいとか何とか」
巫女「その上司今度しばく。っと、つまり管理者ってアンタ達のフォローしたりする役目ね。現世に居るなら現世のルール守ってね、守らないならどうなっても知らねぇよタコって言える立場の人」
花子「怖い、と言うかプライベート無いんだ」
巫女「毎日監視してる訳じゃ無いから安心しなさい。妖怪として活動する時だけ見てるって話だから」
花子「なんか大変そうだね君」
巫女「中間管理職はいつもこうよ、不定期な休みに上から下から文句言われる辛い立場。まぁ私の場合はその辺適当にやってるから辛く無いけどね」
花子「キッチリ説明された後にそんな事言われても……」
巫女「何事も適度に適当にやる方が楽しいわ。まぁ掻い摘んで言うと、管理者ってのは妖怪と仲良くしたり現世で困った事があったら何かしら手を打つ相談役ね。はい説明終了、なぜなに巫女さんのコーナーでした」
花子「ま、まぁ……ありがとう。で、話って何?」
花子「ほ、本当!?」
巫女「本当本当、でも一ヶ月先じゃ無いと入れないんだ」
花子「随分掛かるんだね」
巫女「この辺はほら、競争率高いから。人間でも妖怪でも暮らすには充分過ぎる立地だし」
花子「へー」
巫女「んで、その間はルームシェアしてもらいます」
花子「待て、どう言うことだ」
巫女「貴女が今居るホテルがですねー、私の管轄外になっちゃったのー。んで、そうなると色々と不味いから明後日に引っ越してねー」
花子「何それ酷い」
花子「ぼ、僕に当たられても……」
巫女「つー訳でよろしく。それと気になってたんだけどさ」
花子「まだ了承してないよ……で、何?」
巫女「なんでスーツなの?」
花子「……」
巫女「しかもオカッパじゃないじゃん、スーツで短髪で僕っ娘の花子さんとか聞いたことないわー。何なのトイレの花子さん舐めてんの?」
花子「う、煩いなぁ! 仕方ないじゃん、だってここ……オフィスビルなんだし!」
巫女「しかもここ、社員証無いと入れないし基本スーツ以外の服装は目立つので今の花子さんはトイレで休憩してるただのOLである。社員証首から掛けてるし」
花子「誰に向かって説明してんのさ、と言うか僕だってこんな事になるとは思わなかったし……」
巫女「しかもこのトイレ綺麗だし、今のアンタの姿じゃ驚かせる事は無理ね」
花子「そうなんだよね……どうしよう」
巫女「小学校の改装が終わるのは四ヶ月掛かるし、それまで耐えなさい」
花子「酷い」
花子「妖怪なんだから無理だよ、馬鹿じゃないの?」
巫女「あ?」
花子「柄悪い、もうやだこの巫女」
巫女「うっせ、とりあえず四ヶ月ここで頑張るのと一ヶ月ルームシェアしなさい。巫女の命令は絶対、ついでに奉りなさい下僕」
花子「良い加減僕も怒るよ、呪うよ?」
巫女「おぉやってみなさい、返り討ちにして便器に突っ込んでトイレ版犬神家にしてやる」
花子「待って、それはやめて。本当にやめてください」
花子「えっ、ええ……そうです」
巫女「んー……」
花子「……」
巫女「よしっ、分かった。なんとかしてみる」
花子「へっ!?」
巫女「何ポカンとしてるのよ、当たり前じゃない」
花子「で、でも君……貴女にはそんな権限無いって」
巫女「私には、ね。上に掛けあってみるわ」
巫女「もっと上、アンタなんて豆粒くらいの存在の人」
花子「……」
巫女「まぁ、それには条件があるけどぉ?」
花子「えぇー!? 今の流れで何でさ!」
巫女「ギブアンドテイク、テイクしたならリターン無いとダメに決まってるでしょ。正義の味方だって名声欲しさに戦ってるんだし」
花子「そういう歪んだ所、直した方が良いよ」
巫女「歪んでるからこそ貴女達と歩めるのよ。とりあえずルームシェアの承諾書にサインしてよ、これにサインしてくれたら何とかしてあげる。ついでに姿を変えられる護符も特別料金で売ってあげる」
花子「サインは良いですけど…護符?」
巫女「やだなんかデジャヴ、この護符は妖怪が人間の中に混れる様になる護符ですぅ。つまり今の貴女の姿を皆が想像してる花子さんにする事も可能ですぅ」
巫女「とりあえず…1束20枚入りで、んー……一万円かな」
花子「高い!」
巫女「いや破格だし、巫女さんお手製だから品質ばっちりだし。26時間持続するし、今後もこの価格で提供してあげるわよ、こっちに居る限り」
花子「も、元はいくらなのさ……」
巫女「場所にもよるけど、私の所では基本三万円、主な収入源の一つ」
花子「は、半額以下……でもそれって良いの?」
巫女「言ったでしょ、困った事があったら何とかするのが管理者の勤め。人と妖怪が昔より近しい存在になっている世の中、管理者がそれを紡ぎ、橋渡しになるのが役目だって」
巫女「あら照れるわ、それじゃあこの書類にサインよろしく。三日後にまた会うからそれまでに全部目を通しておいてね」
花子「は、はぁ……」
巫女「さて、まさかあの人の所に行く羽目になるとはなぁ……口裂け女に向かわせなくても良かったわね」
巫女「それじゃ、ま……行きますか、地獄の閻魔様の所へ」
完
転載元
巫女「花子さんに会いに来た」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1421751758/
巫女「花子さんに会いに来た」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1421751758/
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コメント一覧 (3)
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- 2015年01月20日 21:17
- 幽遊白書みたいな世界感とシステムなんかな?
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- 2015年01月20日 22:29
- 巫女さんと聞いて
巫女好きの俺参上
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- 2015年01月23日 19:30
- スーツで短髪でボクっ子の花子さんと聞いて飛んで来ました。
持ち帰って良いデスか?