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【続】矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」─第5話─

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21: ◆4cmyCM./Qw:2014/09/25(木) 11:48:37.91 ID:CuQ3p/nDO

─第5話─


~矢車さんの部屋~

矢車「………zzz」

モゾ… モゾ…

矢車(……ん?)

モゾ… モゾ…

矢車「………」

矢車(……布団の中に、何かが居る…)

モゾ…

矢車「………」スッ…

ガバァッ!


ラウラ(キャスト・オフ)「……zzz」


矢車「……ラウラ…?」

ラウラ(キャスト・オフ)「んっ?」ピクッ

矢車「………」

ラウラ(キャスト・オフ)「……おう、おはよう。兄上…」ムニャ

矢車「……何してんだ?お前…」

ラウラ(キャスト・オフ)「何とは何だ……添い寝だ。
        日本の仲睦まじい兄弟は、こうして時折、一緒の布団に入って寝ると聞いてな」

矢車「……そうか…」

ラウラ(キャスト・オフ)「うむ、そうだ」

矢車「………」

矢車(……何で裸なんだ?)



22: ◆4cmyCM./Qw:2014/09/25(木) 14:58:23.69 ID:CuQ3p/nDO

矢車「……はぁー…まぁいい…
   ラウラ、何時までもそんな格好してたら、風邪引くぞ」

ラウラ(キャスト・オフ)「何、心配する事はない。
        この程度の室温で風邪を引く程、ヤワな身体はしてないさ」

ラウラ(キャスト・オフ)「……私は、そういう風に作られたのだからな…」

矢車「………」

ラウラ(キャスト・オフ)「………」

矢車「……ちょっと待ってろ…」ガバッ

スタスタ…

ラウラ(キャスト・オフ)「……兄上…?」

矢車(確かこの辺に…)ガサゴソ ガサゴソ

ガサッ

矢車(……あった…)

矢車「ほれ、ラウラ。これ着ろ」ポイッ

バサッ

ラウラ(キャスト・オフ)「……こ…これは…」

矢車「………」



27: ◆4cmyCM./Qw:2014/09/25(木) 21:45:03.51 ID:CuQ3p/nDO

───

~ラウラ着替え後~

ラウラ(地獄スタイル)「……こ…これが……闇世界の住人のみが着る事を許されるという、黒の装束…」

矢車「………」

ラウラ(地獄スタイル)「ど…どうだ兄上?私のこの姿は…」

矢車「……フッ…似合ってるぜ、相棒…」

ラウラ(地獄スタイル)「そ…そうか…。似合っているか……」パァー…

矢車「……あぁ…。これでお前も、俺と同じ闇を共に味わう事が出来る…」

ラウラ(地獄スタイル)「う…うむ!」

矢車「……さて、そろそろ行くか…」

ラウラ(地獄スタイル)「あ…兄上?……行くとは、何処へ?」

矢車「……朝飯だ、お前も付いて来い」

ラウラ(地獄スタイル)「は…はぁ…」



54: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/03(金) 09:20:39.87 ID:8zGZDG1DO

~屋上~


鈴「で、コイツも一緒に連れてきたって訳と…」

矢車「……あぁ…」

ラウラ「………」

セシリア「お兄様…いくら何でも彼女を招き入れるのは…」

矢車「……虫が良すぎる…ってか?」

セシリア「そ…そこまでは仰いませんが…」

シャル「………」

鈴「……アンタ、確か前にこう言ったわよね?
  “お前達のような虫けら共と馴れ合うなど、考えただけでも虫酸が走る”って…」

ラウラ「………」

鈴「それが何?今になって地獄兄妹の一員になりたいだなんて…
  いくら想がアンタの事を認めたからって…そんな話、私は納得出来ないわよ」

ラウラ「………」

シャル「……鈴…」



55: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/03(金) 09:29:54.01 ID:8zGZDG1DO

ラウラ「……確か…鈴と、セシリアだったな?」

鈴「……何よ?」

ラウラ「………」スッ

ラウラ「……済まなかった」ペコッ

セシリア「えっ…?」

鈴「………」

ラウラ「……あの頃の私は、ただひたすらに兄上の事を恨み、蔑み……自分の正当性を信じて疑わなかった…」

ラウラ「しかし…それは単なる私の思い上がりだったのだと、私は…織斑教官と兄上に気付かされたのだ」

鈴「………」

ラウラ「今更お前達に謝ったところで、私の犯した横暴の数々が…許されるとは思っていない。
    だが…せめてケジメだけは付けさせてくれ」

ラウラ「迷惑を掛けて、本当に済まなかった」ペコッ

セシリア「………」

シャル「……あの…こうして本人も反省していることだしさ…ねっ?
    二人とも…もうラウラの事は、認めてあげても…」

ラウラ「………」 



58: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/03(金) 15:11:33.95 ID:8zGZDG1DO

鈴「……まぁ、どーせ私が反論したところで
  想がラウラの事を仲間に入れるって決め込んでる以上、私達も…その決定に従わなきゃいけないんでしょ?
  今更コイツに何を言っても無駄だって事は、私も重々承知だし…」

矢車「………」

鈴「そもそも、当事者である想が良いって言ってるんだから
  今更…それを横からどうのこうの言うってのも、野暮ったらしい話だしね」

ラウラ「………」

鈴「まぁ…良いんじゃないの?アンタの好きにすれば」

ラウラ「……認めてくれるのか?この私を…」

セシリア「そうですわね…曲がりなりにも、お兄様が認めた闇をお持ちの方ですし。それに…」

ラウラ「………」

セシリア「……今の貴女の気持ちは、わたくしもよく分かりますから…」

ラウラ「何…?」

セシリア(フフッ…今思い返してみれば、わたくしも…かつてはお兄様の存在を芳しくは思っていなかった身…
     お兄様の心に触れて、考えを改めた彼女の気持ちは…痛い程共感出来ますわ)

鈴「……アンタ、私が地獄兄妹に入るって言った時には散々反対してた癖に…
  今回は、割とあっさり認めるのね…」

セシリア「フフッ…わたくしもお兄様の事を見習って、何者をも受け入れる“寛容な心”という物を身に付けたのですッ!」

セシリア「鈴さんの事も特別に、地獄兄妹の補欠から…正規メンバーへと認めて差し上げますわッ!」ビシィッ

鈴「……寛容な心を持ったところで、その高慢ちきで上から目線な性格は治らなかったようね…」

ラウラ「………」



59: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/03(金) 15:29:34.00 ID:8zGZDG1DO

矢車「……時間だ」スッ

ペリッ


カップ麺『兄貴塩』

カップ麺『妹醤油』


ラウラ「……何だこれは…?」

シャル「知らないの?カップラーメンだよ」

ラウラ「……カップ……ラ・メーン?」

シャル「……ラ・メーンじゃなくて、ラーメンだよラウラ…」

矢車「………」ズルズルズル

鈴(……朝っぱらからカップ麺って…流石にどうかと思うわ…)ズルズルズル

セシリア「いただきますわ」ズルズルズル


鈴「……しっかしまぁ…昨日の今日で色々な事が起こりすぎて、ちょっと脳内の整理が追い付かない状況だわ…」

セシリア「全くですわ…。大会中のISの暴走…ラウラさんの地獄兄妹介入…」

鈴「そして何より…」チラッ

シャル「んっ?」ズルズルズル

鈴「……一番ビックリしたのはアンタの事についてよ
  シャルル……じゃなかった。シャルロット…」

シャル「あ…あはは…」ズルズルズル

矢車「………」



62: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/04(土) 01:20:30.50 ID:yy7GR6NDO

~昨日 教室にて~


山田「……えっと…今日も皆さんに、嬉しいお知らせがあります…」

ザッ

シャル「シャルロット・デュノアです。
    改めて……皆さん、よろしくお願いします!」

矢車(……シャルロット…お前…)

生徒「えっ?えっ?どういうこと?」

山田「つまり…デュノアさんは、実は女の子で…」

生徒「えッ!?それってつまり……
   デュノアくんは、今まで男のフリをしていたって事ですか!?」

ザワザワザワ…

シャル「………」

生徒「や…矢車くんは知ってたの!?デュノアくんの正体についてッ!」

矢車「……あぁ…知ってたさ。全てな…
   知った上で、俺はコイツを妹として受け入れたんだ…」

シャル(……お兄ちゃん…)ポッ

生徒「そ…そうなんだ…」

生徒「……あれ?そう言えば昨日って…確か大浴場は男子が貸し切りで使ってたわよねッ!」
生徒「えッ!?じゃあもしかして……
   デュノアくんが、矢車くんと一緒のお風呂に入ったりなんて事が!?」


生徒達『えぇーッ!!』


シャル「あぁ!それは違うんだ!
    お兄ちゃん…昨日は結局、大浴場には来なくて…」

ラウラ「……?何を言ってるんだお前達?
    矢車…もとい兄上は昨晩、私と一緒に“地獄ドラム缶風呂”に入っていたのだぞ」


生徒達『えぇぇーッ!?』


生徒「い…一緒にドラム缶風呂ォーッ!?」

シャル(ぼ…僕も初耳なんだけどッ!!)

生徒「矢車くんそれ本当ッ!?」

矢車「……あぁ、まぁな…」


生徒達『えぇぇーッ!!』


矢車(……一緒にって言っても、入ったのは別々の浴槽だがな…)



63: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/04(土) 01:59:11.81 ID:yy7GR6NDO

生徒「……って言うか、矢車くんの事を兄上って…!?」

セシリア「貴女ッ!いつの間に地獄兄妹の一員に!?」

ラウラ「あぁ…つい先日決まった事だ。
    私と兄上は、同じ風呂の中で互いの本音を語り合い…そして、認め合ったのだ」

ラウラ「日本では、こういうのを“裸の付き合い”と言うらしいな」

セシリア「はッ!ははは裸のッ!!?つっつつつきあぁッ!!?」ガタッ!

セシリア(ラ…ラウラさんがッ!
     ドラム缶製の狭っ苦しい浴槽の中で……お兄様と…一緒に…)クラッ…


セシリア「ゴフッ!!」


バターン!


のほほん「わー!せっしーが卒倒したー!!」



71: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/06(月) 02:02:48.05 ID:11bKvbcDO

ワー!キャー!セシリアー!!


山田「だッ!大丈夫ですかオルコットさん!?
   どどど…どうしましょう織斑先生ッ!?」

千冬「………」

山田「……織斑先生?」

千冬「………」


───

束『──以上が、ZECT対ワームの壮絶なる戦いの歴史と!そーくんの知られざる過去の全貌でしたー!』

束『えっ?“冗談も程々にしろ”だって…?またまた~!
  ちーちゃんだって…そーくんの件については、薄々と気付いてたんじゃないの~?』

束『まぁ…どーしても信じられないって言うのであれば、
  嫌でも信じられるように、証拠の品々とか送ってあげるからさー!』


───


千冬(……矢車…お前が…まさか…)


山田「織斑先生ッ!」

千冬「──ッ!?」ビクッ

山田「どうしたんですか織斑先生?どこか具合でも…?」

千冬「す…すまん…。少し、考え事をしていただけだ…」

山田「……め、珍しいですね…
   織斑先生が、仕事中にぼーっとするだなんて…」

千冬「……あぁ…済まない…」



72: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/06(月) 02:05:19.79 ID:11bKvbcDO

生徒「セシリア!セシリアってばぁーッ!」ユサユサ

セシリア「あば……あばば……」ブクブクブク…

生徒「ヤバい!口から泡吹いてるよッ!!」
生徒「は…早く保健室に連れてかないと!」


矢車「……はぁー…全く世話の焼ける…」ガタッ

スタスタ…

セシリア「……あ…あば…」ブクブクブク…

矢車「………」ガシッ

ヒョイ


生徒「おー!矢車くん凄ーい!
   まるで重い荷物を背負い込むかのように、軽々とセシリアの事を持ち上げて…」

シャル「……いや、そこはせめてお姫様抱っことかにしてあげてよ…」


矢車「……担任」

千冬「な…何だ?」ピクッ

矢車「ちょっと、コイツの事を送りに保健室まで行ってくる…」

千冬「……あ、あぁ…。よろしく頼む…」

矢車「………」クルッ

スタスタ…


矢車「……おら、しっかりしろセシリア」ユサユサ

セシリア「……あば…ば…」ブクブク…


千冬「………」

千冬(……やはり、ニワカには信じられん話だ…)



73: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/07(火) 02:12:16.04 ID:h197O/9DO

───

──




セシリア(……あの時は、急に目の前が真っ暗になって…
     本当に、一時はどうなる事かと思いましたわ…)


シャル「ごめんね…。今まで、皆を騙すような事をしてて…」

鈴「何、別に気にしちゃいないわよ。
  アンタにも、色々と事情ってモンがあったんでしょ?」

シャル「……うん。まぁ…」

鈴「なら、それはそれで仕方のない話じゃない」

シャル「……鈴…」

鈴「腹にイチモツ抱えているのは誰でも一緒。
  特にここの面子は、そういう奴らの集まりなんだからさ…
  アンタの正体が何であれ、私達はアンタの事を拒絶したりなんかしないわよ」

シャル「……うん。ありがとう、鈴…」



76: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/08(水) 09:54:48.65 ID:AJZwWUaDO

シャル(……やっぱり、皆に僕の秘密を打ち明けて良かったな。
    こうして鈴達も受け入れてくれたし…)

シャル「………」

シャル(……ただ…)チラッ


矢車「どうだラウラ?カップ麺の味は…」

ラウラ「うむ。簡易食にしては中々の美味だ」ズルズルズル

ラウラ「最も、兄上の作る地獄の麻婆トゥーフーには、遠く及ばないがな」モグモグモグ

矢車「……そうか…」ズルズルズル


シャル「………」

シャル(ただ…そのせいでお兄ちゃんとは別々の部屋になっちゃったのが、ちょっと残念だったな…)

シャル「………」

シャル(……よし!思い切って誘っちゃおう!)

シャル「……お兄ちゃん、ちょっと…」チョイチョイ

矢車「あっ?」ヌッ

シャル(部屋が別々になった以上、
    もうこれが…お兄ちゃんの事を独占出来る、最後の機会になるかもしれないし…)

シャル「あのさ…」ゴニョゴニョ

矢車「……何?」ピクッ

シャル「………」

矢車「……買い物に付き合え…だと?」

シャル「……うん」



80: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/11(土) 23:52:51.41 ID:IEdh7TSDO

鈴(……アイツら何話してんのかしら…?)ズルズルズル

セシリア「……そう言えば…」キョロキョロ

鈴「んっ?」

セシリア「先程から箒さんの姿が見えませんが、彼女はいらしてないのですか?」

鈴「あぁ。アイツ、何だか今日は体調が悪いみたいでさ。
  考え事してたら頭痛くなったんだって」

セシリア「……まぁ…それはお気の毒に…」



81: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/12(日) 02:34:14.89 ID:dXsxrTkDO

~それから暫くして 駅前~


矢車「で、一体何を買いに行くんだ?」

シャル「うん。今日はちょっと、臨海学校で使う水着をね…」

矢車「……水着?」

シャル「僕、男のフリをしてIS学園に転校して来たでしょ?
    だから、流石にプライベートで使うような水着までは、持って来てなかったんだ」

矢車「……そうか…」

シャル「そういうお兄ちゃんは、何か買いたい物とかないの?
    何かあるんなら一緒に見に行こ!僕も付き合うよ!」

矢車「……いや、俺はいい…」

シャル「えっ?」

矢車「……水着だったな?とっとと見に行くぞ…」クルッ

スタスタ…

シャル「あっ、待ってお兄ちゃん!」スタスタ



82: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/12(日) 03:08:32.42 ID:dXsxrTkDO

矢車「………」スタスタ…

シャル「………」スタスタ…

矢車「………」スタスタ…

シャル「……あ…あのさ、お兄ちゃん…」

矢車「あっ?」クルッ

シャル「……ううん、何でもない…」

矢車「……そうか…」クルッ

スタスタ…

シャル(……やっぱり、無理言って買い物に付き合わせた事…迷惑に思ってるのかな?
    お兄ちゃん…人混みの中とか苦手そうだし…)

シャル(僕から誘った事だけど…
    内心嫌だとか思われてたら、どうしよう…)

シャル(……早く帰りたいとか、思ってたりして…)

シャル「……うっ…」ショボーン…

矢車「……シャルロット…?」

シャル「………」

矢車(……はぁー…。何勝手にショボくれてんだか、コイツ…)

矢車「シャルロット、手ェ貸せ」スッ

シャル「……えっ?」

ギュッ

シャル「お…お兄ちゃん…?」

シャル(お兄ちゃんが…僕の手を握って…!)

矢車「……買い物が終わったら、飯屋にでも連れてってやる…」

シャル「えっ?」

矢車「その後は、まぁ……お前の行きたい所へなら、何処へでも付き合ってやるさ…」

シャル「ほ…本当に!?」

矢車「あぁ。他でもない相棒の頼みだしな…
   今日1日くらい、お前の気が済むまで、好きなだけお前に付き合ってやる」

シャル「……あ…ありがとう!お兄ちゃん!」

矢車「……礼なんていいから、とっとと行くぞ」クルッ

シャル「うん!行こ!」タッ

スタスタスタ…


矢車「………」

矢車(……臨海学校、か…)



88: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/12(日) 23:39:48.62 ID:dXsxrTkDO

~駅前の物陰~


鈴「……アイツらのこと尾行しといて、正解だったわね。セシリア…」

セシリア「えぇ。全くですわ…」

セシリア(……シャルル…もといシャルロットさん…
     この地獄兄妹長女、セシリア・オルコットを差し置いて堂々と抜け駆けとは…良い度胸ですわね…)ジェラシットォー…


矢車「………」スタスタ…


鈴「んっ?どうやら奴ら、移動し始めたみたいね…」ヌッ

セシリア「こうしてはいられませんわ!
     わたくし達も、お兄様達の後を追い掛けますわよ!」ダッ

鈴「合点ッ!」ダッ

タッ タッ タッ タッ

セシリア(見失わないように、極力人混みを避けて慎重に走らなければ…)タッ タッ タッ タッ


──「んっ?」ヌッ

セシリア「あッ!」

セシリア(そんな!物陰から人がッ!)


ドーンッ!



89: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/12(日) 23:49:32.73 ID:dXsxrTkDO

──「おっ!?」グラッ

セシリア「きゃっ!!」ペターン

セシリア(…あ…あいたたた~…)ヒリヒリ

──「これは失礼!お怪我はありませんか?」

セシリア「え…えぇ。大丈夫ですわ…」

──「そうですか!それは何より…」スッ

セシリア「……?」

──「お手をどうぞ」

セシリア「……えっ?…あ、ありがとうございますわ…」パシッ

グイッ

セシリア「……こちらの方こそ申し訳ございませんでした…
     今のは、急に走り出してぶつかったわたくしに非がありますわ…」

──「あっ…いえ、どうぞお気になさらずに…」


鈴「もー何やってんのよセシリア!置いてくわよー!」


セシリア「しょ…少々お待ちをー!」

──「………」

セシリア「では…わたくしも先を急ぐ身でありますので、これにて失礼致しますわ」ペコッ

──「……はい…」


セシリア(……さて!)クルッ

セシリア「鈴さーん!只今そちらに参りますわー!」ダッ

鈴「バカッ!もうちょっと小さい声で喋りなさいよー!尾行がバレちゃうでしょーがーッ!」

タッ タッ タッ タッ



90: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/13(月) 00:07:30.54 ID:YxTz/sVDO

──「………」ボー

ゴン「……どうしたの大介?急にぼーっとしちゃって」

──「……美しい…」

ゴン「えっ?」

風間「何て美しいお方なんだ…!」パァー

ゴン「………」

風間「こうしてはいられん!ゴンッ!あの方の後を追うぞッ!
   あんな絶世の美女…そう易々と御目に掛かれるものではないッ!」ダッ

タッ タッ タッ タッ

ゴン(……あーあ、また始まった…。大介のナンパ癖が…)

風間「何ぼーっとしてるんだゴン!置いてくぞッ!」

ゴン「……はいはい…」スタスタ…



102: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/23(木) 02:11:39.19 ID:BXgRnMkDO

~ショッピングモール~


鈴「………」チラッ

セシリア「………」チラッ



シャル「そう言えば…お兄ちゃんって、自分の水着はちゃんと持ってるの?」

矢車「……さぁな、どうだったか…」

シャル「そっか。何なら僕の水着を見に行くついでに、お兄ちゃんの水着も一緒に見に行かない?」

矢車「……水着、か…」



鈴「……成る程…。アイツら、臨海学校用の水着を買いに行く訳ね…」

セシリア「シャルロットさんったら……何てアピールポイントの高い事を…!」


トントン

セシリア「えっ?」クルッ


風間「やあ、また御会いしましたね!」ニコッ


セシリア「えっ?……あ、どうも…」

鈴「……セシリア、誰よコイツ…?」ヒソヒソ

セシリア「あっ、いえ……先程、わたくしの不注意でぶつかってしまった殿方ですわ…
     特にどうという関係では…」ヒソヒソ

鈴「ふーん…」チラッ

風間「んっ?」ニコッ

鈴(……背中にギターケース…)チラッ

ゴン「………」

鈴(……左手に女の子…)

鈴「………」

鈴(……何なのよコイツ…怪し過ぎるんだけど…)



103: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/23(木) 02:32:31.51 ID:BXgRnMkDO

風間「申し遅れました。わたくし、花から花へと渡る風…
   流離いのメイクアップアーティスト、風間大介と申します!」ニコッ

セシリア「は…はぁ…」

鈴(……メイクアップアーティスト?コイツが?……胡散臭…)

風間「貴女達のような美しい方々にめぐり逢う事が出来るだなんて…本当に幸運だ!
   これも一つの……一つの……」

ゴン「……運命のいたずら?」

風間「そうそう!それそれ!」

鈴(……本当に何なのよコイツ…)

セシリア「………」ポカーン

鈴「……セシリア…どうやらアンタ、面倒な男に目ェ付けられたみたいね…」ボソボソ

セシリア「えっ…?」

鈴「……アンタさぁ…悪いんだけど、ナンパなら後にしてくれる?
  こっちは今取り込み中で、アンタに構っている暇なんて微塵も無いんだけど」

風間「……取り込み中とは?」

セシリア「それは…」チラッ

風間「んっ?」チラッ



108: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/26(日) 02:24:23.07 ID:CLq9U1iDO

シャル「あっ!見てお兄ちゃん!猫だよ猫!」

野良猫「ニャ~」

シャル「かわいいな~!よしよ~し…」ナデナデ

野良猫「ンニャ~」スリスリ

矢車「………」

矢車(……薄汚い…今の俺と同じ、薄汚い姿形をした野良猫、か…)


───

風間「……成る程、尾行ですか…」

鈴「………」

風間「察するに…あの黒ずくめの男と、隣にいる金髪の少女の後を追っている…という訳ですね?」

鈴「……まぁ、そんなところね」

風間「………」

鈴「……ってな訳で、アンタ、私らの尾行の邪魔になると悪いから、早いとここの場から立ち去ってくれない?」

風間「……いえ、そういう訳にはいきません…」ザッ

鈴「……はっ?」

風間「鈴さん、セシリアさん!ここは俺に任せて下さいッ!」

鈴「はァ!?」

風間「何、悪いようにはしません!」ダッ

セシリア「えっ!?あっ!ちょ…ちょっと!」


ダッ ダッ ダッ ダッ


セシリア「い…行ってしまわれましたわ…」

鈴「……って言うか、何でアイツ私達の名前知ってんの?」

セシリア「さ…さぁ…」

ゴン「大介は、さっさお姉さん達が駅前でお互いの名前を呼び合っていたのを、しっかりと聞き取っていたんです」

セシリア「は…はぁ…。成る程…」

鈴「……よくもまぁ覚えてたわね。そんな事…」

ゴン「大介は、一度聞いた女の人の名前は、意地でも忘れませんから」

鈴「……へぇ~。そうなの…」

ゴン「はい」

鈴「………」

鈴(……で、この子一体何者なの?)



109: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/26(日) 02:47:34.97 ID:CLq9U1iDO

風間(……あれは何処からどう見ても、悪い男に引っ掛けられたいたいけな少女が、
   嫌々ながらも男に連れ回されている展開だッ!
   恐らく…セシリアさんと鈴さんは、あのいたいけな少女の御友人か何かであり、
   悪い男にナンパされた彼女の事が心配になって、尾行を…!)

風間「何て…何て友達想いなんだ…!」

風間(その容姿だけではなく…心の内側まで美しいとは!
   セシリアさん…やはり貴女は麗しの!……麗しの…えっと…)

風間「………」

風間(……まぁ…いいか。見ていて下さい鈴さん、そしてセシリアさん!
   全ての女性の味方であるこの俺が…貴女達の大切な御友人を、あの毒虫の魔の手から救ってみせますッ!)

ダッ ダッ ダッ ダッ

風間(……しかしあの黒ずくめの男、何処かで見た事があるような…
   ここからじゃ顔がよく見えないな…。もっと間近で見れば…)スタスタ…



110: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/26(日) 03:10:24.53 ID:CLq9U1iDO

ピタッ

風間「おいッ!そこの黒ずくめの男!彼女から離れろッ!!」

シャル「えッ!?」ビクッ!

矢車「……あっ?」クルッ

風間「─ッ!あなたは…!」

矢車「………」

シャル(だ…誰この人…?)

風間「危ないッ!離れてッ!!」ガシッ

シャル「えっ?」

グイッ!

シャル「わッ!?」グイィッ

風間「キミッ!俺の後ろに隠れてて!」

シャル「えッ!?えッ!!?」

矢車「……何のつもりだ?貴様…」

風間「それはこっちの台詞だッ!
   こんなか弱い乙女にまで手を出すなんて…あなたも、落ちる所まで落ちましたねッ!」

矢車「……あっ?」

風間「貴様のような毒虫には!これ以上、この子に指一本触れさせはしないッ!」スッ…

バッ!

矢車「………」

矢車(……ドレイクグリップ、か…)



121: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/31(金) 18:37:02.85 ID:Cw9h+txDO

シャル「えっ?…あの…ちょっと…」

シャル(……この人、お兄ちゃんの事を悪漢か何かと勘違いしてるんじゃ…)

矢車「……はぁー…」パカッ

ピョーン ピョーン ピョーン

パシッ


シャル「えッ!?ちょ…ちょっとお兄ちゃん!?」

矢車「………」

風間「ほぉ…そっちもその気ですか…。話が早い!」スッ

シャル「だ…駄目だよお兄ちゃんッ!こんな街中でISを起動させるなんてッ!
    それに相手は生身の人なんだよッ!」

風間「……お兄ちゃんですって?」チラッ

矢車「………」

風間「……片や金髪の白人美少女…片や黒髪の日本人…
   どう見ても血の繋がりのある間柄には見えませんが…」

シャル「こ…これには色々と深い訳が…!」

風間「無理に言わなくても大丈夫です。分かっていますよ」ニコッ

シャル「えっ?」

風間「……貴女は嫌々ながらもこの男に付き合わされているのでしょう?
   全く…影山瞬に飽きたらず、こんな可憐な乙女にまで手を出すとは…つくづく度し難い男ですねぇッ!!」

矢車「………」

シャル「ち…違いますッ!そういう訳じゃなくて!」

シャル(あーもう何て説明すれば良いかなぁ!?)

矢車「………」スッ…

シャル「ちょ…ちょっと待ってお兄ちゃんッ!」ビクッ!

シャル(こ…このままじゃ…水着を買いに行くどころの話じゃなくなっちゃうよ!止めないとッ!
    あーでも何て説明すればこの人納得してくれるかなぁ…!?)

シャル(そ…そうだッ!)ピコーン!



125: ◆4cmyCM./Qw:2014/10/31(金) 23:11:10.50 ID:Cw9h+txDO

シャル「かかッ!勘違いしないで下さいッ!」ダッ

風間「……えっ?」

シャル「こ…この人は!」ガシッ!

矢車「………」

シャル「ぼ…ぼぼ僕の彼氏ですッ!!」

風間「はぁッ!?」

矢車「……はぁー…」

シャル(うーッ!言っちゃったー!
    でも…地獄兄妹がどうとかなんて話をしても、この人が納得してくれるとはどうしても思えないし…
    こう説明した方が、手っ取り早く話は済む!)ギュッ…

矢車「………」

風間「えっ…いや、無理にこの男の話に合わせなくたって言いんですよ…?」

シャル「無理なんかしてませんッ!この人は正真正銘…僕の彼氏ですッ!」

風間「で…でもさっきまでお兄ちゃんって…」

シャル「そ…それはその……あっ、あだ名ですあだ名ッ!ねーお兄ちゃん!」ウィンクパチパチ

矢車「……あぁ…」

風間「えっ…本当に?……この男が!?」

矢車「………」

風間(ば…バカな…!こんな男に…こんな美しい彼女がいるだなんてッ!そんな話…)クラッ…


シャル(今だッ!)

シャル「お兄ちゃんッ!今のうちに行こッ!」ダッ

矢車「……あぁ…」ダッ

タッ タッ タッ タッ


風間「あっ!ちょっと待っ…」

ゴン「ねぇねぇ大介…」グイグイ

風間「あーもうッ!後にしろゴン!今取り込み中で…」

ゴン「セシリアさん達、もうどっか行っちゃったよ」

風間「えッ!?」グルッ


ガラ~ン…


風間「えっ…?何で…?」

ゴン「……愛想尽かされたみたいだね、大介」

風間「……そ…そんなぁ…」



129: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/01(土) 02:57:19.27 ID:fB5yDebDO

ゴン「どうする大介?」

風間「どうするも何も……はぁー…」ガクッ

風間(……せめて…連絡先だけでも聞いておきたかった…)

ゴン「………」


ザッ

──「……相変わらずだな。風間大介…」


風間「えっ?」クルッ


天道「………」


ゴン「天道…さん?」

天道「よう。久しぶりだな…ゴン」

風間「……何だ…誰かと思えばあなたでしたか…
   全く…今日は何とも、懐かしい顔によく会いますねぇ…」

天道「……お前に話がある。ちょっと来い」

風間「話…?思い出話でもするつもりですか?
   言っときますが…俺はお前と話す事なんか何も…」

天道「安心しろ。俺も、お前と昔話に花を咲かせるするつもりなど毛頭無い…」

風間「………」

天道「俺がこれから話すのは、これから起こるであろう未来の出来事の話だ…」

天道「……そう遠くない未来の…人類の危機に関する話を、な…」

風間「……何?」

天道「………」



135: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/02(日) 00:32:26.73 ID:bhpmSTTDO

───

タッ タッ タッ タッ


矢車「………」

シャル「はぁー…はぁー……ここまで来れば…もうあの人も追って来れないよね…?」

矢車「……あぁ…」

シャル「……ごめんね、お兄ちゃん…
    咄嗟だったとはいえ、お兄ちゃんにあんな事言っちゃって…」

矢車「……気にするな。俺は別に気にしちゃいない…」

シャル「えっ?……あぁ…そう…そっか…」

シャル(……それはそれで、ちょっと凹むなぁ…)

矢車「………」



139: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/09(日) 00:19:41.08 ID:UqzE1RjDO

~それから暫くして、店に到着~

シャル「……何か…凄い長い道のりだった気がする…」

矢車「………」

シャル(……じゃあ、気を取り直して…)グイッ

矢車「……ん?」

シャル「行こっか!お兄ちゃん!」

矢車「……あぁ…」スタスタ…


~店内の物陰~

鈴「………」チラッ

セシリア「………」チラッ


シャル「えーっと、先ずはこっちの方から見て…」スタスタ…

矢車「………」スタスタ…


鈴「よし。先回り成功!」

鈴(思ってた通り…駅から一番近いここの販売店に来たわね。
  待ち伏せしといて正解だったわ…)

セシリア「……しかし…本当にこれで良かったのでしょうか?」

鈴「……何よ、まだあのナンパ男に黙って行った事気にしてんの?」

セシリア「えぇ…彼自身に悪気は無かったようですし…
     いくら何でも、何も告げずに立ち去るというのは…」

鈴「はぁー……礼儀正しいと言うか外面が良いと言うか…
  アンタ、外に出る度にいちいちあんなのに構ってたら…キリがないわよ」

セシリア「し…しかし…」

鈴「あーもう!過ぎた事をウダウダ言わないッ!
  そんな事よりも、今は本来の目的である尾行の方に集中よ!」ジッ

セシリア「……え…えぇ…。分かりましたわ…」ジィー…



141: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/09(日) 01:21:11.72 ID:UqzE1RjDO

ザッ

ラウラ「……お前達、こんな所で一体何をしているのだ?」

鈴「なッ!ラウラ!?」クルッ

セシリア「ど…どうして貴女がここに!?」

ラウラ「どうしてとは御挨拶だな…
    私はクラリッサに促されて自分の水着を買いに……んっ?」


矢車「………」スタスタ…


ラウラ「おっ、あそこに居るのは兄上ではないか。おーい兄う…」

鈴「バカッ!尾行がバレちゃうじゃないのッ!」ガバッ!

ラウラ「─ッ!モガッ!?」


シャル「……えっ?」ピクッ

シャル(……この声は…まさか…)クルッ


鈴「あっ」

セシリア「あっ…」


シャル「………」


ラウラ「……?」



142: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/09(日) 01:46:56.11 ID:UqzE1RjDO

シャル「なッ!?」ビクッ!

シャル(なッ!なな何で鈴とセシリアとラウラがここにッ!?
    もしかして…僕とお兄ちゃんの後を付けて来たの!?)


鈴「………」

鈴(……あちゃー…バレちゃったかー…)

セシリア(……見つかってしまった以上、もうコソコソと隠れている必要は…)ガサッ

ラウラ「……?」


シャル(マズいッ!もしもこの場に鈴達が居るって事をお兄ちゃんが知ったら…)

矢車「……どうかしたか?シャルロット…」クルッ

シャル「えッ!?あっ!いやッ!あの…!そのッ!!」アタフタ

矢車「……?」

シャル(妹想いなお兄ちゃんの事だから…
    きっと…鈴達も一緒に誘って、みんなで買い物をしようって話になっちゃう!
    そんな事になったら僕とお兄ちゃんの……二人だけのデートじゃなくなっちゃうよッ!)

シャル(何とかして…何とかしてあの三人の尾行を撒いて、この店から出ないとッ!)

シャル「お…お兄ちゃんッ!ちょっとこっち来てくれる!?」ガシッ

グイッ グイッ

矢車「……どうしたシャルロット?藪から棒に…」

シャル「いいから!早くッ!」ダッ

矢車「……?」ダッ

タッ タッ タッ タッ


鈴「あッ!逃げたッ!」

セシリア「何のッ!追い掛けますわよ!」ダッ

鈴「逃がさないわよシャルロットォーッ!」ダッ


ラウラ「……?」



144: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/09(日) 22:47:42.06 ID:UqzE1RjDO

~試着室~

シャー!

シャル(と…取り敢えず鈴達から隠れる為に勢いでこんな所に入っちゃったけど……これからどうしよう…?)

矢車「……何の真似だシャルロット?俺をこんな所に連れ出して…」

シャル「えッ!あっ…いや、その…!」

矢車「………」

シャル「え、えーっと……お…お兄ちゃんに、選んだ水着が僕に似合うか見てもらいたくて!」

矢車「……そうか、なら俺は外で待って…」クルッ

シャル「あッ!いや!ちょ…ちょっとッ!」

シャル(今外に出られたら…鈴達に僕らの居場所がバレちゃうッ!)

シャル「ま…待ってお兄ちゃんッ!」ガシッ

矢車「……?」

シャル「……きょ…今日だけは…僕、お兄ちゃんの側を離れたくないから…
    ずっと側に居て欲しいから…その……」

矢車「………」

シャル「……一緒に、ここに居てくれる?お兄ちゃん…」

矢車「………」

シャル(わぁぁぁーッ!何言ってんだろォ僕ッ!?
    とっさに思い付いた言い訳とはいえ…流石にこれは無いよーッ!!)カァー…

シャル「ご…ごめんお兄ちゃんッ!!やっぱり今のは無…」

矢車「分かった」

シャル「……えっ?」

矢車「お前がそこまで言うのなら、ここに居てやる」

シャル「えっ…?でも…」

矢車「言った筈だ。今日は好きなだけ、お前に付き合ってやるってな…
   多少のわがままくらい、黙って聞いてやる」

シャル「……お兄ちゃん…」

矢車「………」



146: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/10(月) 01:38:35.28 ID:slgwjWmDO

シャル「じゃあ…僕、今から水着に着替えるから…
    その…向こう向いててくれる?」

矢車「……あぁ、分かってる…」クルッ

シャル「あ…ありがとう…」ヌギヌギ

矢車「………」

シャル(……はぁー…その場の流れでこんな事になっちゃったけど…まぁ…いっか。
    取り敢えず、鈴達を撒くための時間稼ぎにはなるし…)ヌギヌギ

矢車「………」

シャル「………」チラッ

矢車「………」

シャル(……お兄ちゃん…後ろで僕が着替えてるっていうのに、全く動じてない…)

シャル「………」

シャル(……何だろう…何かを期待してたって訳じゃないんだけど……ちょっとショック…)ショボーン…

シャル(僕って…そんなに魅力無いのかなぁー…?)ズーン…

矢車「……なぁ、シャルロット…」

シャル「えッ!な…何ッ!?」ビクッ!

矢車「お前、海は…好きか?」

シャル「えっ?……あっ、うん。好きだよ、海。
    僕、今度の臨海学校も楽しみにしてるくらいだし」

矢車「……そうか…お前は好きなのか…」

シャル「……?」

矢車「……シャルロット、俺はな…」

シャル「えっ?」

矢車「……いや、何でもない…。着替え、終わったか?」

シャル「あっ……うん。もう少しで…」スッ



149: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/15(土) 01:45:25.41 ID:iE46GmJDO

~シャル、着替え完了~


シャル(水着)「どう…かな?この水着…」

矢車「………」

シャル(水着)「………」

矢車「……まぁ、良いんじゃないか?」

シャル(水着)「ほ…本当?」

矢車「……あぁ…水着のセンスの良し悪しについては、俺はよく知らんが…
   少なくともお前には似合ってると思うぞ。その水着」

シャル(水着)「そ…そっか!良かった!」

シャル(水着)(ちょっと期待してたリアクションとは違うけど…良かった!)

矢車「じゃあ、今度こそ外に…」

シャル(水着)「あッ!まま…待ってお兄ちゃんッ!
        お兄ちゃんに見てもらいたい水着、まだ他にもあるんだ!
        悪いんだけど…もう少しだけ付き合ってくれる!?」

矢車「……そうか…分かった」

シャル(水着)「うん!ありがとうお兄ちゃん!」

矢車「………」

シャル(水着)(どど…どうしよう…。見てもらうって言っても…他の水着とかそんなに持って来てる訳じゃないし…
        ……やっぱり、時間稼ぎにも限度があるよね…)

矢車「……?」

シャル(水着)(このままじゃ埒が明かない…。取り敢えず、今の鈴達の動向を探ってみよう!
        カーテンの隙間から、外の様子を確認して…)チラッ…


鈴「やぁ」ヌッ

セシリア「こんにちは、シャルロットさん」ヌッ



150: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/15(土) 02:51:25.52 ID:iE46GmJDO

シャル(水着)「わああぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」ビクゥッ!!

矢車「……?」

鈴「何よ大袈裟な……そんなにビックリしなくても良いじゃない」

シャル(水着)「ど…どどどうして鈴とセシリアが、カーテンの真ん前にッ!?」

鈴「……いや…アンタらの会話が外までダダ漏れだったから」

シャル(水着)「えッ!?」

セシリア「全ー部聞こえてましたわよ…シャルロットさん…
     確か…貴女お兄様に“ずっと側に居て欲しい”とか何とか言ってましたわよねぇ?」

シャル(水着)「そ…そんなぁ…」カァー…

矢車「……お前ら…一体何時からこの店に来てたんだ?」

鈴「そりゃあもう、随分と前から来てたわよ」

ラウラ「私は今さっき来た」ズイッ

矢車「……そうか…」

鈴「……って言うかシャルロット、アンタ何時までそんな格好でいるつもりよ?」

シャル(水着)「えっ?…あッ!」ビクッ

鈴「ぼーっと突っ立ってないで、とっとと着替えて出てきなさい。
  全く見ているこっちが恥ずかしいわ…」

シャル(水着)「……う…うん…そうだね…」カァー…

鈴「ほら想ッ!アンタも何時までそんな所に居るつもり!?」

矢車「……あっ?」

鈴「…って言うかアンタ!そもそも女の子の生着替えに同行するだなんて、一体どういう神経してんのよッ!?」

セシリア「まったくうらやま……けしからん話ですわッ!」

矢車「……分かったよ…今出る…」ヌッ

スタスタ…

鈴「全く…。シャルロットも早いとこ着替えなさい
  アンタには色々と話したい事があるんだから…」

シャル(水着)「う…うん…」ガサッ

シャル(水着)(……もう…今日のデートは、駄目かもしれないな…)ズーン…

シャル(水着)「……はぁー…」シャー!



154: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/16(日) 01:51:46.70 ID:8Mf+aSDDO

~シャル着替え後、店内にて~


矢車「……それで、話って何だ?鈴」

鈴「ん~…まぁ、想にはあまり関係のない話よ。
  用があるのはシャルロットの方だから…」

シャル「………」

セシリア「しっかしシャルロットさん……
     わたくし達に黙って、お兄様と二人っきりで買い物に行くとは…全く抜け駆けも甚だしいですわッ!」ビシィッ

シャル「うっ…」

鈴「……まぁ…抜け駆けってのはちょっと言い過ぎかもしれないけど…
  私らに隠れて想をデートに誘うなんて、ねぇ~?」

シャル「……うぅ…」

シャル(もう…駄目だ…)

セシリア「という訳で……お兄様ッ!
     これからの時間はわたくし達も一緒になって、お兄様と買い物を…」

矢車「悪いなセシリア。それは出来ない相談だ」

セシリア「……えっ?」

矢車「……約束したからな…。今日は1日中、シャルロットの我が儘に付き合ってやるって」

シャル「えっ…?」ピクッ

矢車「だから…今日という日だけは、お前らとは付き合えん」

セシリア「なッ!?」ビクッ

鈴「………」

シャル「ほ…本当に良いのお兄ちゃん?
    その…鈴達も一緒じゃなくて…?」

矢車「良いも悪いも…先に俺と約束したのは、お前の方だからな。
   一度交わした相棒との約束を破る程、俺は薄情じゃない…」

シャル「お…お兄ちゃん…!」パァー

鈴「………」

鈴(……はぁー…全くコイツって奴は…)



155: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/16(日) 03:47:49.24 ID:8Mf+aSDDO

セシリア「し…しかしお兄様ッ!こういう場合は多数の意見を尊重た方が!」

鈴「もう諦めなさいよセシリア。
  今回は…大人しく身を引くとしましょう」

セシリア「えッ!?そんな…鈴さんまで一体何を!?」

鈴「……まぁ、私もさっきまでアンタと同じ考えだったけどさ…
  でも、当の本人がここまで言ってる事なんだし…もう仕方ないじゃない。
  これ以上事に首を突っ込むのは、流石に野暮ってもんよ」

シャル「鈴…」

セシリア「むっ……わ…分かりましたわ…
     今回だけは…今回だけは特別にッ!シャルロットさんの動向を、許してあげるとしましょう…」

シャル「……セシリア…」


セシリア「が、しかしッ!わたくし只では引き下がりませんわよッ!」ガシッ!

矢車「……ん?」

セシリア「お兄様ッ!今度の休日は、是非ともわたくしと一緒に過ごしましょうッ!!」

矢車「………」

鈴「なッ!セシリアッ!アンタ散々抜け駆けはナシだとか何とか言ってた癖に!何よその手のひら返しはッ!?」

セシリア「フンッ!こういう事は何事も早い者勝ちですわ!
     それでお兄様、ご返答は…?」

矢車「……あぁ、良いぜセシリア…」

セシリア「ほ…本当に!よろしいですの!?」

矢車「まぁ、暇が出来たらな…」

セシリア「や…やったー!やりましたわーッ!」グッ!

矢車(……そんなに喜ぶことか…?)



166: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/22(土) 01:40:22.81 ID:jZ2E9yEDO

鈴「あーもうッ!何なのよこの展開ーッ!」キィーッ!

ラウラ「お前達、話はもう終わったのか?」

鈴「えっ?……あぁ、まぁね」

ラウラ「……何だか私だけが蚊帳の外だったぞ…」

鈴(……そう言えば…話しに夢中でコイツの存在すっかり忘れてたわ…)

鈴「あぁ…悪かったわね、ラウラ」

ラウラ「むぅ…」

セシリア「お詫びと言っては何ですが
     これからわたくし、ラウラさんの水着選びに協力させて頂きますわ」

ラウラ「何?」

セシリア「どうやらラウラさん、自分に似合う水着を探すのに随分と苦労なさっているようですし」

ラウラ「……うむ、実はその通りなのだ。
    どうもこういう俗的な物の流行り廃りには疎くてな…」

セシリア「フフッ…ならば話が早いですわ…!
     わたくし、セシリア・オルコットに任せて頂ければ、全ては安泰ッ!
     この大量の商品の中から、貴女に似合うとびきりの水着を探し出してみせますわッ!」

ラウラ「そうか、それは頼もしいな。ならば是非とも頼む」

セシリア「えぇッ!お任せ下さいな!」ドーン!

鈴(……デートの約束が決まった途端に、急にハイになっちゃってコイツは…)



167: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/22(土) 02:16:57.05 ID:jZ2E9yEDO

シャル「そういえば…お兄ちゃんもまだ自分用の水着見てなかったよね?」

矢車「……あぁ…」

シャル「それなら今から一緒に見に行こうよ!
    あっ、僕の事は気にしなくても良いからね。もうどれにするかは決めてあるから」

矢車「……そうか…」

鈴「ほー…そっちはそっちで早速盛り上がっちゃって。憎たらしいったらありゃしないわ…」

シャル「あっ…ごめん…」

鈴「フッ…冗談よ。いちいち気にしなさんなって。
  もう決まった事なんだから、この件に関して今更とやかく言うつもりは無いわよ」

シャル「鈴…」

鈴「まぁこうなった以上…今日1日、想とのデートをしっかりと楽しみなさいよ。シャルロット」

シャル「うん!ありがとう鈴!」

鈴「別に礼を言われるような事は何もしてないんだけど…」

鈴(……元々、コイツらの邪魔をする手立ても考えてた訳だし…
  変に礼なんてされるとこっちが調子狂うわ…)

矢車「………」

鈴「想は想で、シャルロットのこと退屈させるんじゃ無いわよ?
  アンタ直ぐに黙り決め込んで会話を途切れさせるんだから…
  そういうとこ気を付けないと、今にも愛想尽かされちゃうわよ」

矢車「……はぁー…分かったよ」



169: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/22(土) 23:49:55.17 ID:jZ2E9yEDO

───

シャル「んー……お兄ちゃんならこの水着なんか似合うんじゃないかな?」カチャ

矢車「………」

シャル「こっちのはちょっと派手かなぁ…?
    でも、お兄ちゃんなら案外着こなせちゃうかもね!」

矢車「……あぁ…」

シャル「………」

シャル(……何だか、僕一人だけで盛り上がっちゃってない?
    ……って言うか…お兄ちゃん、さっきから上の空って感じで…)

矢車「………」

シャル「あの…お兄ちゃん…?」
矢車「………」

シャル「お兄ちゃんッ!」

矢車「んっ?」ピクッ

シャル「あの…大丈夫?さっきからずっと、ぼーっとしてるけど…」

矢車「……あぁ、悪いシャルロット。ちょっと、考え事をしていただけだ…」

シャル「そ…そっか…」

矢車「………」

シャル(……こ…ここは気を取り直して…)

シャル「ね…ねぇお兄ちゃん!お兄ちゃんは、こっちの水着とこっちの水着ならどっちが…」

矢車「なぁ、シャルロット」

シャル「えっ!?」ピクッ

矢車「……お前、そんなに海が好きなのか?」

シャル「えっ…?あっ、いや…
    海が好きかって聞かれたら、そりゃあ嫌いじゃないけど…」

矢車「………」

シャル「……お兄ちゃん…何か、さっきからちょっと様子が変だよ?どうかしたの?」

矢車「……あぁ…悪い、何でもない。今の話は忘れてくれ…」

シャル「わ…忘れてくれって言われても…」

矢車「………」スタスタ

カシャ

シャル「えっ?」

矢車「……水着はこれで良い。これを買う」

シャル「……そ…そっか…。お兄ちゃんが良いならそれで良いけど…水着なら他にも色々とあるよ?
    ほら、これとかお兄ちゃんに似合うんじゃ…?」

矢車「……何だって良いだろ?水着なんて…」クルッ

シャル「あっ!ちょっとお兄ちゃん!?」

スタスタ…



170: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 00:08:19.45 ID:fWh38tNDO

───

ラウラ「ふむ。一口に水着と言っても、色々なものがあるのだなぁ」

セシリア「えぇ!こんな感じに胸元がよく見える大胆な水着から、ちょっと地味目な水着まで…その種類は様々ですわッ!」

ラウラ「ふむ」

セシリア「ラウラさんに似合いそうなのは、そうですねぇ…こちらの水着なんてどうでしょうか?」

ラウラ「ほう」

セシリア「これなら、ラウラさんのその貧そ……小柄な体型にもマッチしてますし
     何より、派手過ぎず地味過ぎずの絶妙なラインのデザインなので、
     ラウラさんの様な普段からあまりお洒落に気を使わない初心者の方でも、着こなすのはそう難しくはないですわよ!」

ラウラ「うむ!成る程!」

鈴(……ラウラ…アンタ遠回しに色々とバカにされてるわよ…)



171: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 00:26:06.39 ID:fWh38tNDO

シャル「……あの、ちょっといいかな?」ズイッ

鈴「うわッ!びっくりしたぁ!」

ラウラ「どうしたのだシャルロット?お前は確か、兄上と一緒に買い物中だった筈…」

シャル「……ちょっと、そのお兄ちゃんの件で相談したい事があってね…」

セシリア「お兄様の件で?」

鈴「まさか…想の奴また何かやらかしたのッ!?」

シャル「いやッ!そういう訳じゃないんだ!……ただ…」

鈴「……ただ、何よ?」

シャル「……お兄ちゃん、水着を選んでいる間ずっと不機嫌そうで…」

セシリア「不機嫌?」

シャル「いや…不機嫌っていうのは、やっぱりちょっと違うかな?」

シャル(あの顔は、どちらかと言うと…)


矢車『………』


シャル(……何だか、悲しそうな感じの顔だったような…)

鈴「じれったいわねぇ…つまり何が言いたいのよ?」

シャル「その…何というか…
    ……お兄ちゃん、イマイチ買い物に乗り気じゃないっていうか…」

鈴「はぁーッ!?呆れたぁ~ッ!アイツ私が言った事まるで理解してないじゃなァいッ!
  さっき“シャルロットを退屈させるな”って教えたばっかなのにーッ!!」

セシリア「り…鈴さん?」

鈴「シャルロット!あの馬鹿、今何処ほっつき歩いてんのよッ!?」

シャル「えっ?あっ、お兄ちゃんなら、今会計済ませてるところだけど…」

鈴「よォーしッ!待ってなさいよシャルロットッ!!
  あのバカに私からもう一度よ~く言い聞かせておくわァーッ!!」ズイッ



172: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 02:34:24.06 ID:fWh38tNDO

セシリア「ちょ…ちょっと!?お待ちなさいな鈴さんッ!」ガシッ

鈴「はァーなァーせェーッ!!」ジタバタ

ラウラ「少しは落ち着け、鈴。
    兄上が上の空になるなどいつもの事ではないか」

鈴「時と場合ってモンがあるでしょーがッ!
  デートの真っ最中にあからさまに態度を悪くするだなんて最低よーッ!!」ムッキー!

シャル「り…鈴ッ!落ち着いて…僕の話を最後まで聞いて!」

鈴「……何?」ピタッ

シャル「僕は別に…お兄ちゃんの態度が気に食わないとか、そういう事を言いたいんじゃないんだ!」

シャル「僕が相談したいのは、その…お兄ちゃんが乗り気かどうかって話じゃなくて…
    お兄ちゃんが乗り気じゃない事の、その理由についての話なんだ…」

セシリア「理由について…?」

シャル「うん。お兄ちゃん…さっき僕と二人っきりで試着室に隠れていた時に、僕に聞いてきたんだ」

シャル「『お前、海は…好きか?』って…」

セシリア(グッ!……密室でお兄様と二人っきりで…
     更には着替えと称して、己の柔肌を晒すなんて……何と羨ましい体験をッ!)ギリッ

シャル「これは僕の憶測なんだけど、その…」

鈴「………」

シャル「……もしかしてお兄ちゃん…海が苦手なんじゃないのかな?」

セシリア「えっ?」

ラウラ「むっ?」

鈴「………」

シャル「……そう…だからお兄ちゃんは、水着選びにも乗り気になれなかったんじゃないのかなって…」



173: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 03:10:46.85 ID:fWh38tNDO

シャル「鈴、お兄ちゃんって泳ぎが苦手だったりとかした?」

鈴「……いや、全然そんな事なかったわよ。むしろ得意な方だったと思うけど…」

ラウラ「泳げない訳ではない、か……ならば、何故…?」

セシリア「……もしかしたら…お兄様は“海が苦手”と言うよりも、その“環境そのもの”が苦手なのではないでしょうか?」

シャル「環境そのもの…?」

鈴「どういう事よ?セシリア」

セシリア「考えてもみて下さいな。
     海と言えば…水面が反射しキラキラと光る青い海に、燦々と照りつける太陽、そして…何処までも続く真っ白な砂浜…
     何処からどう見ても、闇の世界の住人には全く似つかわしくない所ですわッ!」

鈴「あっ」

シャル「言われてみれば、確かに…」

セシリア「お兄様はおそらく、そんな環境下に身を置くのが嫌で…海が苦手になったのですッ!
     だからこそ、水着選びにもイマイチ気が乗らなくなり…それが態度になって表れてしまったのですわッ!」

ラウラ「成る程…理屈としては、十分納得出来る話だな」

鈴「確かにアイツなら、そんな風に思いかねないわね…」

シャル「そ…そんなぁ…」

鈴「このままじゃアイツ…“臨海学校には行かない”って駄々こねるんじゃ…?」



174: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 18:46:56.92 ID:fWh38tNDO

シャル「ど…どうしよう!?お兄ちゃんが臨海学校に来ないだなんて…僕そんなの嫌だよッ!」

鈴「わ…私だってそんなの御免よッ!」

セシリア「むぅ…お兄様が行かないというのならば…わたくしも臨海学校へは行きませんわッ!」

鈴「バカッ!そういう訳にはいかないでしょーがッ!」

ラウラ「しかしどうする?こればかりは本人の意思で決めることだ。
    あの兄上が素直に私達の言う事を聞くとは思えんが…」

鈴「う~ん…」

シャル「………」

鈴「……よし、シャルロット!アンタに任務を与えるわッ!」

シャル「えッ!?」ビクッ

鈴「このデート中に、何としてでも想を海に行かせる気にさせなさいッ!」ビシィッ

シャル「えぇッ!?む…無理だよォー!僕一人の力でお兄ちゃんを説得させるだなんて…!」

鈴「いいシャルロット?今の想はアンタに対して甘々~な状態なのよ?
  アンタがちょっと頼みこめさえすれば、簡単に言うこと聞いてくれるわよ」

シャル「ほ…本当にそうかなぁ…?」

セシリア「貴女ならきっと出来ますわッ!自信を持って!」グッ

シャル「そ…そんな事言われても…」



175: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/23(日) 23:06:56.75 ID:fWh38tNDO

矢車「……お前ら何話してんだ?」ヌッ

セシリア「おっ!お兄様ッ!」ビクッ

シャル「か…会計終わったの?」

矢車「あぁ…まぁな…」

鈴「………」

シャル「そっか…。じゃあ皆、僕達はこれで…」

ラウラ「うむ。後の事はよろしく頼むぞ」

セシリア「ファイトですわッ!シャルロットさんッ!」グッ

シャル「あ…あんまりプレッシャー掛けないでよぉ…」

矢車「……?」



176: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 00:16:57.79 ID:4mAN59FDO

鈴「……ねぇ、想…これだけは約束して」

矢車「……あっ?」

鈴「今日という日は絶対に…シャルロットの側から離れないこと。
  “今日は1日中シャルロットの我が儘に付き合う”って言ったのはアンタなんだから…ちゃんとその言葉に責任を持ちなさいよ」

矢車「……あぁ、分かった…」

鈴「いい?絶対だからね!破ったらタダじゃおかないわよッ!」

矢車「……あぁ…」



177: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 03:30:16.98 ID:4mAN59FDO

───

~店を出た後 街中をブラブラする二人~


矢車「………」スタスタ

シャル「………」スタスタ

シャル(……ど…どうしよう…。お兄ちゃんを…ちゃんと臨海学校へ行くように説得するだなんて…
    正直言って、僕…全く自信無いんだけど…)トボトボ…

矢車「……なぁ、シャルロット…」

シャル「えッ!な…何!?」ビクッ

矢車「お前、何処か行きたい所とかないのか?
   お前の行きたい所なら、俺は何処へでも付き合ってやるが…」

シャル「えっ?行きたい所…?
    ……う~ん…そうだなぁ…」

矢車「………」

シャル「そうだ。そろそろお昼時でお腹も空いてきたところだし…
    どこかのお店へお昼御飯食べに行かない?」

矢車「昼飯、か…。何か食いたい物とかあるのか?俺はお前に合わせるが…」

シャル「食べたい物かぁ…そうだねぇ……んっ?」

シャル(……あそこに建ってるのって、何かのお店かな?)

シャル「お兄ちゃん、あの建物ってさ…」ツンツン

矢車「あっ?」クルッ


~蕎麦屋 たどころ~


矢車「……蕎麦屋だな」

シャル「お…おソバ屋さん…?」

矢車「あぁ。……そういえばお前、日本蕎麦って食った事あるか?」

シャル「えっ…?ニホンソバ?……それって…ラーメンとは違うの?」

矢車「……食った事ないみたいだな…」

シャル「……日本のおソバかぁ…。僕、どんな料理なのかちょっと気になってきちゃったな…」

矢車「………」

シャル「ねぇお兄ちゃん!お昼御飯はあそこのおソバ屋さんで食べない?」

矢車「蕎麦、か…。地獄の住人である俺にとっては、余りにも眩しすぎる料理だが…まぁいい。お前に付き合ってやる…」

シャル「うん!ありがとうお兄ちゃん!じゃあ、早速行ってみよっか!」ダッ

矢車「あぁ…」スタスタ

矢車(……あの蕎麦屋……いや、まさかな…)



188: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 18:24:41.94 ID:4mAN59FDO

岬「………」ズルズルズル

田所「おぉー、相変わらず見事なまでの食いっぷりだなぁ~…岬」

岬「フフッ…田所さんの打った蕎麦が美味しいからですよ。
  流石、300年の伝統を誇る田所の味です!」

田所「そう言ってもらえると、こっちも職人冥利に尽きるってモンだ!ハハハッ!」


ガラガラガラ…

田所「あぁ!いらっしゃ…」


矢車「………」


田所「なっ!?お前は…!」

岬「─ッ!?」ゴホッ

矢車(……やっぱり、か…)

田所「矢車…!」

矢車「……田所さん…」

シャル「んっ?どうしたのお兄ちゃん?」ヒョコ

田所「………」

シャル(うっ!……何か、怖そうな感じの人が…)

矢車「………」

シャル「……あ、あの~…二人なんですけど…席空いてます?」

田所「……あぁ…好きな所にかけてくれ」

シャル「あっ…はい…」スタスタ

矢車「………」スタスタ…



189: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 18:41:45.56 ID:4mAN59FDO

スチャ

シャル「ふぅ~…やっと腰を落ち着けられるね、お兄ちゃん」

矢車「……あぁ…」

シャル「わぁー……ここ、いかにも“和風!”って感じのお店だね…
    僕、こういう所に入るの初めてだよ!」

矢車「……そうか…」

スタスタ…

田所「御二人さん、注目は?」

矢車「……ざるそば一丁…」

シャル「あっ、じゃあ僕も同じので」

田所「あいよ…。おいッ!ざるそば二人前だッ!」

田所弟「分かったよお兄ちゃんッ!」

岬「………」ズルズルズル



192: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 19:29:33.53 ID:4mAN59FDO

───

田所「はい、ざるそば御待ち」コトッ

シャル「わぁ!これがお兄ちゃんの言っていた、ニホンソバって料理なんだね!」

矢車「……あぁ…」

シャル「……でも、これって一体どういう風に食べるのかなぁ…?
    ラーメンとはまた違うみたいだし…」

田所「何だお嬢ちゃん、ざるそば食うのは初めてか?」

シャル「えぇ…まぁ…」

田所「成る程な…。まぁ君は見たところ外国の人みたいだし、蕎麦の食べ方が分からないってのも無理のない話か…」

田所「……よし!ここは一丁、俺がこのざるそばの上手な食い方ってヤツを君に教えてやるよ!」

シャル「ほ…本当ですか!?ありがとうございます!」ペコッ

シャル(何だか、気さくで良い人だな…良かった!)

田所「おう!まず蕎麦っていうのは、蕎麦本来の香りを楽しんでから食すのが…」

矢車「………」ズルズルズル

田所「……まぁ、コイツみたいにいきなり食べるってのもアリっちゃアリだが…」

矢車「………」ズルズルズル

シャル「な…成る程…この黒いスープに浸けて麺を食べるんですね?」

田所「えっ?あぁ、まぁ…そういう事だが…」

シャル「では…頂きます…」ズルズルズル

モグモグ ゴクッ

シャル「うん!凄く美味しいですッ!」ニコッ

田所「あ、あぁ…ソイツは良かった…」

田所(……まぁ、いっか…。初めてだし、好きな風に食わせれば…)ポリポリ



193: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/24(月) 20:29:49.80 ID:4mAN59FDO

矢車「………」ズルズルズル

田所「し…しっかし驚いたぞ矢車。
   お前がIS学園に入学したってのはニュースで聞いてたが…
   まさか…もうこんな可愛い彼女が出来ていたなんてな!」

シャル「──ッ!!ゴホッ!か…かかか彼女だなんてッ!そんな…」カァー…

田所「あっ?違うのか?」

矢車「………」ズルズルズル

田所「……そういえば…今日は影山の奴の姿が見えないが…」

矢車「………」ズルッ…

田所「どうだアイツは?今でも元気にしてるか?」

シャル「あっ…」

シャル(……影山さんは…もう亡くなっていて…)

矢車「………」

田所「……おい、どうした矢車?」

矢車「……田所さん」

田所「何…?」

矢車「……ごちそうさま。旨かったですよ、蕎麦…」コトッ

田所「お…おう…」

矢車「……田所さん、今ちょっと時間ありますか?
   話したい事があるんですが、ここじゃ何なんで…」ガタッ

田所「……矢車…まさか…」

矢車「………」

田所「……あぁ、分かった。店の方は弟に任せておく
   俺も…お前に聞きたい事がある…」

矢車「………」

シャル「お…お兄ちゃん…?」

矢車「心配するなシャルロット…直ぐに戻る。蕎麦でも食って待ってろ」

シャル「う…うん…」

矢車「………」スタスタ…

田所「………」スタスタ…



198: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/25(火) 00:26:56.32 ID:ecVBqLTDO

~路地裏~


田所「こんな所で悪いな。店の前じゃ客の迷惑になるからな」

矢車「………」

田所「……矢車、やはり影山は…?」

矢車「……あぁ…死んだ…」

田所「……そうか…それは、残念だ…」

矢車「………」

田所「アイツと俺のチーム…特に加賀美の奴とは、色々と衝突する事もあったが…
   それでも…同じ志の下に、ワームと戦ったZECTの仲間だった事に変わりはない。……本当に、残念だよ…」

矢車「………」

田所「なぁ、矢車。影山は一体どんな最後を遂げたんだ?
   ……あぁ、お前が嫌なら無理に言わなくても良いが…」

矢車「……田所さん、アンタには昔のよしみがある。
   伝えておくべきかもしれないな…アイツの死に様を…」

田所「………」

矢車「……アイツは…影山は…」

───


『サヨナラだ…兄貴』


『相棒ォーッ!!』

──RIDER KICK!──


ドゴアァーッ!


───


矢車「……俺が、殺した…」

田所「─ッ!!何だとッ!?」



200: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/25(火) 01:14:44.45 ID:ecVBqLTDO

矢車「………」

田所「どういう事だ矢車ッ!?
   お前と影山は戦友同士…いや、それ以上の関係だった筈だッ!
   それなのに…何故お前がアイツを!?」

矢車「田所さん、アンタと同じですよ…」

田所「何…?」

矢車「アイツも…アンタと同じ、ヒトではない存在になってしまった…
   その事実に耐えきれなくなった影山は…自分が自分でいられるうちに、この俺の手によって殺される事を望んだんだ…」

田所「………」

矢車「……逆に聞くぜ?田所さん…
   何故…アンタはこんな風にのうのうと生きていられる?
   何時この人間社会から爪弾きにあうかも分からない、バケモノじみた存在であるというのに…」

田所「……それは…」

矢車「………」

田所「……俺の事を受け入れてくれた、仲間達がいたからだ!」

矢車「仲間…?」

田所「あぁ…。俺の正体が“ヒトならざる者”だと知った後も、その事実を受け入れ、俺の下に付いてきてくれた…部下達だ」

矢車「………」

田所「そりゃあ…事実を知った当初は、ソイツらとも少なからず衝突はあった…
   だが、それでもアイツらは俺という存在を…田所修一というひとりの人間として、受け入れてくれたんだ」

矢車「………」

田所「全てはアイツらのお陰だ…
   アイツらのお陰で、今の俺という存在がある。
   そしてアイツらが…仲間達が俺の事を信じてくれる限り、俺は生き続ける事が出来るんだ…!
   そう、ひとりの人間としてッ!」



203: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/25(火) 02:43:05.90 ID:ecVBqLTDO

矢車「……そうか…強いんですね、アンタ達は…」

田所「……強い…だと?」

矢車「あぁ…。アンタの部下にも、アンタ自身にも…目の前の現実を受け入れられる、心の強さがあった…」

矢車「だが俺は…俺とアイツは違った…
   ……俺達は…弱かったんだ…」

田所「………」

矢車「アイツは…影山は、“ヒトではなくなった自分”という存在を受け入れられる程、強くはなかった…」

矢車「そして俺は…そんな影山の心の痛みを理解してやる事も出来ずに…
   ……アイツの決心を…止められなかった…」

田所「………」

矢車「……力ずくでも…止めるべきだったのかもしれない…
   だが…俺も知らない暗闇を知ってしまい…藻掻き苦しむアイツを生かしてやれる程…
   俺もまた、強くはなかった…」

田所「……本当に…どうしようもなかったのか?」

矢車「……あぁ、俺達には無理でしたよ…
   そう、初めから分かっていましたからね…
   俺達はアンタらみたいに、どうしようもない現実に立ち向かえる程…強くはなれないって…」

矢車「何せ俺と影山は、光を掴む事の出来ないろくでなしのクズ…
   ……地獄の住人でしたから…」

田所「……矢車…」



204: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/25(火) 02:59:18.10 ID:ecVBqLTDO

矢車「……シャルロットが待ってる。もう行きます…」クルッ

田所「……あ、あぁ…」

矢車「………」スタスタ

田所「………」

矢車「………」スタスタ…

田所「─ッ!矢車ーッ!」

矢車「………」ピタッ

田所「こんな事は俺の言えた義理じゃないが…お前に言っておくッ!」

矢車「………」

田所「未来のある方に目を向けて生きろッ!決して後ろを振り向くなッ!
   過去に縛られずに…今、お前の直ぐ側にあるものを大切にしろッ!
   殺めてしまった影山の分まで…お前がしっかりと生きてやるんだーッ!!」

矢車「………」

田所「分かったなッ!」

矢車「……まぁ、心得ておきます…」スタスタ

田所「………」

田所(……矢車…)


スタスタ…

矢車「………」

スタスタ… ピタッ

矢車(……今、俺の直ぐ側にあるものを大切にしろ、か…)



208: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/26(水) 21:26:43.23 ID:3qEyTouDO

───

ガラガラガラ…

矢車「………」

シャル「あっ、お帰りなさいお兄ちゃん」

田所「………」

矢車「……飯、もう食ったか?」

シャル「うん、ご馳走さまでした。えっとお代は…」

田所「……あぁ、金ならいい。今日は俺の奢りだ」

シャル「えっ!?いや、流石にそれは悪いですよ…」

田所「何、遠慮は要らん。
   コイツに喋りたくもない事を喋らせた…俺からの詫びだと思ってくれ」

矢車「………」

シャル「あっ……はい…」

矢車「……帰るぞ、シャルロット…」

シャル「う…うん…」ガタッ

田所「………」

シャル「あの…すいません、ご馳走になっちゃって。えっと…」

田所「……田所、田所修一だ」

シャル「田所さん…ありがとうございました。またおソバ食べに来ます。
    あっ、別にたかりに来ようって訳じゃないですからね!
    今度はちゃんとお代払いますから!」

田所「ハハッ、何時でも来てくれよ!腕に撚りをかけて待ってるからな!」

シャル「はい!」

矢車「………」

田所「……矢車、お前も元気でな」

矢車「………」クルッ

ガラガラガラ… バタンッ

田所「………」



209: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/27(木) 02:17:16.48 ID:WTc2n8qDO

───

矢車「………」スタスタ…

シャル(……お兄ちゃん…店を出てから、ずっと暗い顔をしてる…
    どうしたんだろう…?田所さんと何かあったのかな?)

矢車「………」スタスタ…

シャル「あの…いい人だったね、田所さん。
    最初はちょっと怖い人かな?って印象があったんだけど、話してみると全然そんな事なくて!」

矢車「………」

シャル「……お兄ちゃん、知り合いの人の店だって知っててあのソバ屋に入ったの?」

矢車「……いや、別に…」

シャル「そっか。じゃあ田所さんとは偶然の再会だったんだね!」

矢車「………」

シャル「………」

シャル(……何だか…会話が続かないな…)

シャル「………」

シャル(あっ、そうだ。話題ついでに、この際だからちょっと聞いてみよっか…)

シャル「……あの、お兄ちゃんってさ…
    ……海とか、苦手だったりする?」

矢車「……あっ?何だ急に…?」

シャル「い…いや!何となくなんだけどさ…
    ……お兄ちゃん、前の店で水着を選んでた時も、何かあんまり乗り気じゃなかったみたいだし…
    もしかしてお兄ちゃん…海が嫌いなんじゃないのかなって…」

矢車「………」

シャル「………」

矢車「……あぁ、お前の言う通りだ…
   正直言って、アレは見ているだけでも辛い…」

シャル「や…やっぱり、そうだったんだ…」

矢車「………」


矢車(俺がアイツを手にかけた場所…
   あそこも…海がよく見える港だった…)

矢車(……あの広い水溜まりを見ていると、嫌でも思い出す…
   アイツの…影山の死に際を……)


シャル「で…でも!いくら海が苦手だからって、流石に臨海学校に行かないなんて事はないよね?」

矢車「………」

シャル「……あの…お兄ちゃん?」

矢車「………」

シャル「………」

シャル(……ごめん鈴…。やっぱり説得は無理そう…)



212: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/27(木) 09:26:44.83 ID:WTc2n8qDO

~蕎麦屋 たどころ~


岬「そうですか…彼にそんな事が…」

田所「あぁ…。元々ネガティブな奴ではあったが、
   今のアイツはあの頃の矢車とはまた違う…何か…大切なものが心の中からすっぽりと抜け落ちているような、そんな感じだった…」

岬「……影山くんを失ったショックが、それ程までに大きかったという事でしょうか?」

田所「あぁ、かもな…」

岬「……でも、今の彼にはIS学園で出来た新しい友人もいるみたいですし、
  影山くんの死だって…何時かはきっと乗り越えてみせるって、私は信じています」

田所「……だと、良いんだがな…」


矢車『……まぁ、心得ておきます…』


田所(……アイツはああ言ってたが…俺の言った言葉なんざ、聞き入れちゃいないだろうな…)



213: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/27(木) 09:33:31.86 ID:WTc2n8qDO

ガラガラガラ…

田所「あぁ、悪いが今日はもう店じまい…」


天道「………」


岬「て…天道くん!?」

田所「お前…!」

天道「相変わらず元気そうだな、二人とも」

岬「ど…どうしてあなたが此処へ!?
  確かフランスへ行ったんじゃ…?」

天道「あぁ…。お前達にどうしても、言っておかなければならない事があってな」

田所「何…?」

天道「……力を貸せ。このままでは、人類に未来はない」



224: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/28(金) 23:41:20.03 ID:LrTHFzgDO

~同時刻 何処かのファストフード店~


ラウラ「はむっ」モグモグモグ

セシリア「はぁー……シャルロットさんは今頃、お兄様とイチャイチャする事に勤しんでおられるんでしょうねぇ…」モグモグ…

鈴「いや、そうとも限らないわよ。
  想って結構マイペースで空気の読めないところがあるから、一緒にいるシャルロットが楽しめているかどうか…
  一応念押ししといたけど…最悪の場合、想がデートをほっぽり出す展開だって有り得なくはないからねぇ…」

鈴(……そんな事したら、本当にタダじゃおかないけど…)

ラウラ「………」モグモグ…

セシリア「まぁ…お兄様が彼女とのデートを楽しめなかったというのであれば、それはそれで仕方のない事ですわ。
     シャルロットさんにとっては気の毒な話ですが、人間には相性というものがありますからねぇ…」

鈴「全く薄情な奴ね…。こんな時くらい素直にシャルロットのこと応援してやれないの?アンタは…」

セシリア「応援、ですか…。そういう鈴さんだって、さっきまで御二人の事を邪魔する気満々だったじゃないですか。
     全く、都合のいい手のひら返しだこと…」

鈴「て…手のひら返しってッ!……まぁ、実際その通りだけどさ…」

ラウラ「………」ドリンク チュー



225: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/29(土) 00:10:24.08 ID:OphuP0fDO

鈴「……でも、本音を言うとね……アイツがシャルロットと一緒に買い物へ行くって聞いた時…
  嫉妬半分、ちょっとだけ嬉しかったのよ。私…」

セシリア「はい…?」

ラウラ「………」チュー…

鈴「アンタらも詳しい事までは知らないと思うけどさ、
  昔の想って、ものすごい優等生だった訳よ」

ラウラ「優等生…あの兄上がか?」

セシリア「そういえば…以前、箒さんも同じようなことを申しておりましたわね。
     昔のお兄様は学年の成績がいつもトップで、委員長なとの責任のある役職もそつなくこなす優等生だったと…」

鈴「そう。今のやさぐれた想からは想像も付かないだろうけど…それこそ、あの頃のアイツは超が付く程の優等生だったわ。
  スポーツ万能で学校の成績も優秀。誰にだって分け隔たりなく接する事が出来て、どんな奴とでも直ぐに仲良くなれちゃう。
  クラスメイトからの信頼も厚くて、それでいてリーダーシップも人一倍強い…正に完璧超人って奴よ」

ラウラ(……確かに、今の兄上からは想像も付かんな…)ズズズッ…

鈴「中国からの転校生だった私に対しても、アイツは何の偏見もなく接してくれたわ。
  小学生の頃は、アイツもよく私の親のやってるお店にご飯を食べに来たもんよ」

セシリア(クッ!鈴さんとお兄様との間に…そのような過去があっただなんてッ!)ギリッ



226: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/29(土) 03:09:36.73 ID:OphuP0fDO

鈴「……でも、中学に上がって暫く経った頃から、その関係も様変わりしたわ。
  月日が経つにつれて、アイツは何かと“生徒会の仕事が忙しい”って事に理由を付けて、クラスの奴らと全然遊ばなくなったのよ。
  それは幼なじみである私に対しても同じで…アイツも次第に、ウチのお店にご飯を食べに来なくなって…」

セシリア「………」

鈴「まぁ…それでも流石にアイツと接する時間がゼロになった訳じゃあなかったわ。
  学校の休憩時間とか、暇さえあれば私の方からアイツによく話し掛けたモンよ。特に用もないのに…」

ラウラ「………」ズズッ…

鈴「……けど、いざ話をしてみると、何だか……昔の想とは違う感じがしたのよね…」

鈴「その…漠然とし過ぎて上手くは説明出来ないんだけど…
  二人の間に見えない壁でもあるんじゃないかっていうくらい、距離感を感じたというか…」

ラウラ「………」

セシリア「鈴さん…」

鈴「……何でだろうね?やっぱり優等生と一般人とじゃ、住む世界が違うって事だったのかな…?」

セシリア「そ…そんな事は…!」

鈴(……いや、私だって薄々気付いてたわよ…
  生徒会の仕事なんてのは建前で、想は…本当はもっと別の……とんでもない事に巻き込まれているんじゃないかって…)

鈴(でも…それが一体何なのか、私には皆目見当の付かない事で…
  だからこそ…尚更、不安で不安で仕方なかったのよ…
  今にもアイツが…私の知らない何処か遠い所へ行ってしまうんじゃないかって、そんな気がして…)



228: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/29(土) 22:12:45.27 ID:OphuP0fDO

鈴「はぁー……本当に嫌だったなぁー…あの頃は。
  同じクラスに居るのに、まるでアイツだけが別の世界に居るような…そんな感じがして…」

セシリア「………」

鈴「……そうよ、だからこそ嬉しかったのよ。アイツがああして、落ちぶれてくれた事が…
  ……酷い考え方かもしれないけど…これでまた、アイツと気兼ねなく話す事が出来るんだって、そう思えた…」

鈴「実際、IS学園で久し振りに会ったアイツからは、もう…あの頃感じていた距離感は無くなっていたわ」

鈴(……まぁその代わり、重度の厨二病を拗らせていた訳だけど…)



229: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 00:05:10.15 ID:2umetxQDO

鈴「今朝、想がシャルロットと一緒に買い物へ行くって聞いた時、私は…
  “アイツはもうあの頃の想とは違うんだ”っていう事を、改めて感じる事が出来たの。
  些細な事かもしれないけど、私にはそれが少しだけ……ううん、堪らなく嬉しかったのよ」

ラウラ「……鈴…」

セシリア「……成る程、そうでしたのね…」

セシリア(鈴さんは鈴さんで、お兄様との関係に色々と思い悩んでいたのですね…)

鈴「……でも、時々ふと思うときがあるのよね…」

セシリア「思うって…何をですか?」

鈴「……今の想が、またあの頃の想に戻る時が来るんじゃないかって…
  昔みたいに…いや、昔以上に遠い存在になっちゃう日が来るんじゃないかって…
  何となくなんだけど…そんな事を漠然と考えちゃう時が、たまにあるのよ…」

セシリア「そ…そんなッ!縁起でもない事をッ!」

ラウラ「全くだ。あの兄上が、私達の事を裏切るような真似などする訳がないだろうが」

鈴「……そうよね。私の考え過ぎよね、やっぱり…」



230: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 00:30:43.83 ID:2umetxQDO

鈴「……さてと!湿ったれた話はもうこの辺にして、そろそろ行きますか!」ガタッ

ラウラ「むっ?何処へ行くと言うのだ?」

セシリア「決まっているじゃありませんか!買い物ですわ!買い物ッ!」

鈴「貴重な休日の時間を潰してわざわざこんな所まで来たんだから
  折角なんだし楽しまなきゃ損よ!損ッ!」

ラウラ「しかし、私は既に目当ての物は買い終えてあるのだが…」

鈴「つべこべ言わずに黙って付いて来なさいッ!これは地獄兄妹の姉貴分である私からの先輩命令よッ!」ビシィッ

ラウラ「命令、か…。ならば従う他あるまいな」

鈴「素直でよろしい!よしッ!今日はトコトン楽しむわよー!」

セシリア(……フフッ、良かったですわ。また…何時もの鈴さんに戻って…
     あんなどんよりモードの鈴さんなんて、鈴さんらしくありませんからね…)



232: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 01:20:28.85 ID:2umetxQDO

~ショッピングモール~


シャル「ふぅ…色々買ったね、お兄ちゃん!
    ねぇ、次は何処に行こっか?」スタスタ

矢車「……そうだな…」スタスタ…


ピー プー


シャル「んっ?」クルッ


豆腐屋「………」ゴトゴト ゴトゴト…


シャル「……お兄ちゃん、何あれ?」ツンツン

矢車「……あれは…豆腐屋だな」

シャル「豆腐屋さん…?」

矢車「あぁ…。移動販売タイプの豆腐屋だ…」

シャル「へぇ~…お豆腐って、あんな風に売ってるもんなんだ…」

矢車「………」

シャル「ねぇお兄ちゃん。折角だし、鈴達のお土産にあの豆腐屋さんでお豆腐買ってかない?」

矢車「……どうせ、買った豆腐を俺に料理させようっていう魂胆なんだろ?」

シャル「あはは…ごめん」

矢車「はぁー……まぁ良い…
   俺の作る地獄の豆腐料理、楽しみにしていろ…」スタスタ…

シャル「うん!ありがとうお兄ちゃん!」



234: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 01:33:02.88 ID:2umetxQDO

───


ひより「別に、買い出しなんて僕一人で十分なのに…」スタスタ

加賀美「まぁそう言うなって。たまには二人で買い物に行くのも悪くないだろ?」スタスタ

ひより「それは……まぁ…」

加賀美「さてと…あと買ってないのは、豆腐だけだったな…」


ピー プー


ひより「加賀美、あれ…」ツンツン

加賀美「おぉ、ラッキー!丁度良いところに豆腐屋が!」タッ タッ タッ タッ



矢車「………」スタスタ…


加賀美「豆腐豆腐っと…」タッ タッ タッ


ザッ

矢車「……絹ごし一丁…」


ダッ

加賀美「絹ごし一丁ッ!」



矢車「……んっ?」チラッ

加賀美「……えっ?」チラッ

矢車「………」

加賀美「………」



236: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 02:15:41.60 ID:2umetxQDO

加賀美「や…ややや矢車さァーンッ!!?」ガターンッ!

矢車「……加賀美…」


シャル「お兄ちゃん、どうかしたの?」スタスタ

ひより「どうしたんだ加賀美?いきなり大声なんか出して…」スタスタ


加賀美「えッ!?あっ、いや…その…
    思いがけない再会に、ちょっとビックリしちゃってな…」

ひより「再会って…」チラッ

矢車「………」

ひより(……この人、前に何処かで…)


シャル「……お兄ちゃん、また知り合いの人?」

矢車「……あぁ、まぁな…」

シャル「そ…そっか…。何だか今日は、お兄ちゃんの知り合いによく会うね」

矢車「………」



242: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 12:19:45.05 ID:2umetxQDO

加賀美「その…お久し振りです。矢車さん」

矢車「……あぁ…」

ひより「………」

加賀美「そうだ、ニュースで聞きましたよ!矢車さんIS学園に入学したんですってね!
    いや~ビックリしましたよ!まさか矢車さんがISを動かせただなんてッ!」

矢車「………」

加賀美「……そういえば…」キョロキョロ

加賀美「……今日は影山さんと一緒じゃないんですね」

シャル「あっ…!」ビクッ

矢車「………」

シャル「あの!えっと…!影山さんは、その……」

加賀美「んっ?」

豆腐屋「……兄ちゃん達さぁ…立ち話なら余所でやってくんない?商売の邪魔なんだけど…」

加賀美「えっ?あっ、あぁ…すいません…」

豆腐屋「それで、豆腐はどうするの?買わないの?」

加賀美「あぁ!買います買います!」

豆腐屋「あいよ、確かどっちも注文は絹ごし豆腐だったね…
    おぉ、丁度売れ残りがあと2つだけ残ってたよ!」

加賀美「そうですか!じゃあ俺と矢車さんで一つずつ…」


──「ほぉ…それでは一つ足りないな…」



244: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 14:14:04.22 ID:2umetxQDO

加賀美「……えっ?」クルッ

矢車「………」


天道「豆腐屋、俺も絹ごし豆腐を一丁注文だ」


加賀美「て…ててて天道ォーッ!!?」ガターンッ!

天道「全く…相変わらず騒々しい奴だ…」

ひより「……お前、いつの間に日本に…?」

天道「あぁ、先日帰って来たところだ。少しここでやる事があってな…」

加賀美「全く水臭い奴だなぁ~!
    帰って来るなら来るで、連絡の一つくらい入れろよな!」

天道「………」

加賀美「……天道?」

天道「……加賀美、矢車、お前達に話がある」



250: ◆4cmyCM./Qw:2014/11/30(日) 23:40:27.76 ID:2umetxQDO

加賀美「話?何の?」

天道「内容は追って伝える。重要な話だ…」

矢車「………」

加賀美「重要な話、ねぇ…」

天道「……3人だけで話をしたい。場所を変えるぞ」

シャル(えっ…?)

加賀美「お、おう…」

矢車「………」

天道「ひより、金は俺が出しておくから、買った豆腐はお前が預かっといてくれ。誰に配分するかは後で決めよう」

ひより「あぁ、分かった」

矢車「………」

シャル「お兄ちゃん、あの…」

矢車「……シャルロット…」


鈴『今日という日は絶対に…シャルロットの側から離れないこと。
  “今日は1日中シャルロットの我が儘に付き合う”って言ったのはアンタなんだから…ちゃんとその言葉に責任を持ちなさいよ』

矢車「………」

シャル「………」


天道「絹ごし2つ」チャリーン

豆腐屋「はい、まいどあり~」チャポン


矢車「……シャルロット、お前はここで待ってろ」

シャル「……えっ?」

矢車「………」

シャル「……分かった…。出来るだけ早く帰って来てね?」

矢車「……あぁ…悪い…」


天道「ほら、豆腐だ。持っててくれ」スッ

ひより「あぁ…」パシッ

天道「よし…。加賀美、矢車、俺に付いて来い。向こうで話をしよう…」クルッ

スタスタ…

加賀美「お…おう…」スタスタ

矢車「………」スタスタ…


シャル「………」



256: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 16:43:13.16 ID:AdOtbsmDO

~町外れの川原~


加賀美「で、こんな人気のない所に俺達を連れて来て……一体何なんだよ?話したい事って」

天道「悪いな。無関係の人間には、あまり聞かれたくない話なのでな。場所を移させてもらった」

矢車「………」


天道「お前達、先ずはこの写真を見てくれ」パラッ

加賀美「写真…?」ジッ

矢車「………」

加賀美(……軍服を着た男と、変な格好をした女の人が握手をしている写真?
    何だコレ?天道の奴、こんな写真なんか見せて一体何が言いたいんだ…?)

矢車「………」

矢車(……コイツは、まさか…)


天道「加賀美、この写真に写っている女に、何処か見覚えはないか?」

加賀美「えっ?この女の人に?ん~…」ジィー

天道「………」

加賀美「……そういえば、確かに何処かで見た事があるような…」

天道「それもその筈だ。何故ならこの女は…今や世界的な有名人である、あの篠ノ之束なのだからな」



257: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 16:52:22.67 ID:AdOtbsmDO

矢車「………」

加賀美「篠ノ之束って……あのISを開発したっていう、篠ノ之博士の事か?」

天道「あぁ…。そして向かって左側に写っている男は、某国の軍事関係者…軍の将校である人物だ。
   つまり…この写真は彼女と某国との間に、軍事的な面での癒着があるという事を明らかにした決定的な証拠写真、という事だ…」

加賀美「おいおいちょっと待ってくれよ!つまり…お前は何が言いたいんだ!?
    篠ノ之博士と某国との癒着…?何でそんな事を俺達に伝える!?話が全然見えてこないぞッ!」

天道「……少しは落ち着いて話を聞け、加賀美。
   この写真の女が“本物の篠ノ之束”であるというのであれば、俺もここまで騒ぎ立てはしない…」

天道「……そう、“本物の篠ノ之束”ならば、な…」

加賀美「……どういう事だよ、それ…」

天道「……この写真の篠ノ之束は、“篠ノ之束であって篠ノ之束ではない”……瓜二つだが、全くもって別の存在…
   限りなく彼女に近い頭脳と人格を有しているが…それはあくまでも、オリジナルの篠ノ之束を模したものに過ぎない…」

矢車「………」

加賀美「オリジナルの篠ノ之束を模した?……それって…まさかッ!?」

天道「……そう、この写真に写っている女の正体…
   それは、篠ノ之束に擬態した“ワーム”だ」



262: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 19:46:42.13 ID:AdOtbsmDO

加賀美「そんなッ!ワームだってッ!?」

矢車「………」

天道「ちなみに、この写真は俺が某国の軍事施設に潜入して秘密利に撮影したもの…
   つまり、これはまだ世間には公表されていない極秘の情報だ」

加賀美「ちょ…ちょっと待ってくれよッ!何で今になってワームが出て来るんだッ!?
    奴らは俺達が一匹残らず倒した筈じゃなかったのかよッ!?」

天道「……順を追って説明しよう」



263: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 20:20:56.58 ID:AdOtbsmDO

天道「確かに…ワームは俺達ライダーの手に掛かり、その大多数が駆逐された筈だった。
   しかし、ワームの中にも少なからず、頭のキレる奴らがいたらしい…
   敗北を悟った極少数のワーム達は、己の身を守る為に、比較的ZECTの手が滞っていない日本国外への逃走を図った」

天道「国外へと逃げ延びたワーム達は擬態能力を駆使し、人間社会に溶け込む事に成功した。
   しかし…奴らは地球侵略の野望を諦めた訳ではなかった。
   自らの存在をひた隠しにし、人間として生きながらも…奴らは虎視眈々とその機会を伺っていたのだ」

矢車「………」



加賀美陸『仮に…運よく生き残ったワーム達が、擬態能力を利用してその身を隠し
     今も尚…人類への逆襲を虎視眈々と企てていたとしても…何ら不思議な話ではない。
     そうは…思わないかね?』



矢車(……あの親父の言っていた事が、現実になったという訳か…)



266: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 21:27:08.60 ID:AdOtbsmDO

天道「だが…奴らワームの残党共には、圧倒的に戦力と呼べるものが不足していた。
   逃げ延びてきたワーム達は只でさえ数が少ない上に、人類にはマスクドライダーシステムという切り札が残っている。
   何の策もなしに人類に戦いを挑むなど、無謀以外の何物でもない。
   それを知っているからこそ、奴らは今に至るまで何のアクションも起こさずに、鳴りを潜めている他なかった」

矢車「………」

天道「奴らに必要だったのは“強力な戦力”だった。マスクドライダーシステムにも対抗し得る、強力な戦力…
   そこで奴らが目を付けたのは、最強の現代兵器と謳われている…ISという名の超兵器であった。
   破格の性能を秘めたISは、今やその保有数、機体性能等によってその国の軍事力のパラメーターを示すまでに重要視されている兵器だ。
   人類相手に逆転の一手を与える為には、この超兵器を利用する他ないと…奴らは考えた訳だ」

加賀美「利用するって…でも、何をどうやって?」

天道「……確かに奴らは、ISを開発する為に必要な設備も、資材も持ち合わせてはいない。
   だが、ISの開発に必要な“専門知識”に至っては、その限りではなかった…」

加賀美「……どういう事だよ、それ…?」

矢車「………」

天道「奴らは自身の擬態能力を利用し…ISの専門知識を有する人間に擬態する事で、
   ISの開発、生産に必要な知識を吸収する事に成功した、という訳だ…
   既に何人ものISの技術者、各方面の知識人が奴らに擬態され、そして殺されている…」

加賀美「なッ!何だってッ!?」

矢車「……篠ノ之束もその内の一人、という訳か…」

天道「あぁ…だが安心しろ。本物の篠ノ之束は既に俺の保護下にある。
   今では俺の協力者として、主に俺のサポートを行っている」

矢車「………」



271: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 22:20:21.52 ID:AdOtbsmDO

天道「……話を戻そう。ISの開発知識を得た奴らが次に欲したもの…それは、先にも上げた“設備と資材”、そして兵器開発に携わる“人員”だった。
   それらは如何に擬態能力を駆使しようが、今の奴らにはどうしても揃える事の出来ない代物であった。
   どれ程の知識を有していても、それを活かす事が出来なければ宝の持ち腐れ…。自分達の必要とする理想の対人類用兵器は完成し得ない…
   そこで奴らは、ある者達を利用する事に決めた」

加賀美「……その、利用した者達っていうのが…」

天道「そう、この写真に写っている某国の軍人達だ。
   この国はISの保有数、技術力が他国と比べ軒並み低い国であった。
   ISの開発に関する先端技術は、それこそ喉から手が出る程に欲しかった筈だ。
   ワーム達はそこに目を付け、彼らにISの開発技術の提供を申し出た。
   自らが必要とする理想の対人類用兵器を、完成させる為に…」

矢車「………」

天道「勿論、ワーム達は技術提供に至ったその真意までは語らなかった筈だがな」

加賀美「そんな…その国の軍の人間は、相手がワームだと知った上で奴らの条件を呑んだのかッ!?」

天道「そこまでは知らん。だが、少なからず疑いはした筈だ。
   何せ技術提供を申し出て来たのは…どれも行方不明になった筈の、名の知れた技術者ばかりなのだからな…」

矢車「………」

加賀美「そ…そんなッ!どうしてその国の軍人はそんな怪しい連中の誘いなんかに乗ったんだッ!?
    どう考えても裏があるだろッ!」

天道「……おばあちゃんが言っていた…。“悪魔の囁きは、時として天使の声に聞こえる” と…
   某国の軍人達は目先の利益に目がくらみ…疑う心を捨ててしまった。
   そして…彼らはまんまと悪魔の誘いに乗ってしまった、という訳だ…
   それが、後に己の首を絞める事になるとも知らずに…」



272: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/01(月) 22:59:34.08 ID:AdOtbsmDO

矢車「………」

加賀美「……でも、いくらワーム達の技術提供で開発を進めているからって…結局、完成したISはそこの軍が所有するんだろ?
    いくら何でも…その国の軍人が、やっとの思いで完成させた虎の子のISを、おいそれとワーム達に扱わせるとは思えないんだが…」

天道「その点についても、既に調べは付いている。
   どうやら開発中のISは全て無人機で、そのコントロールは機体に備え付けられた人工知能によって行われるとの事だ。
   ワーム達はその人工知能に細工を施し、必要とあらば自分達のコントロール下に置くことが出来るようにプログラミングを施したという訳だ。
   そう…かつてネイティブがゼクターに施したのと、同じような手口を使ってな」

加賀美「何だって…!?」

矢車「………」

天道「奴らの計画は最終段階に入った。
   篠ノ之博士に擬態したワームが、ISのコアの複製品…“ダミーコア”を完成させた事により、奴らのISは本格的な量産体制に移った。
   この事は某国の軍内部でも極秘利に進められている事だ。
   保有数に制限のあるISを大量生産しているなど、世に知れ渡れば国際社会からの批判は免れないからな…
   だが、その判断が裏で糸を引いているワーム達の存在を隠す事に一役買っているのもまた事実…
   これで奴らは心置きなく、人類を滅亡させる為の殺戮兵器を大量に生産する事が出来る、という訳だ…」

加賀美「そ…そんな事……許される訳ないだろッ!!」

矢車「………」

天道「奴らの開発した、無人機という名の悪魔達が野に放たれるのも…時間の問題だ。
   もはや一刻の猶予もない…。止められるのは、俺達……ライダーだけだ」



287: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/03(水) 16:13:04.79 ID:bORJ8wkDO

矢車「………」

天道「加賀美、矢車、俺に協力しろ。
   ワームの野望を打ち砕く為には…お前達の力が必要だ」

加賀美「当たり前だろッ!こんな話を聞かされた以上…黙って見過ごすなんて出来るかよッ!」

天道「……矢車、お前はどうなんだ?」

矢車「………」

加賀美「矢車さんも一緒に戦いましょうよッ!
    何たって人類の未来がかかってるんですからッ!」

天道「………」

矢車「……はぁー…」

加賀美「……矢車さん?」

矢車「……お前らはいいよなぁ…。未だに正義の心が残っていて…
   俺はそんなもの…もう、とうの昔に消え失せた…」

加賀美「な…何を言ってるんですかッ!?人類のピンチなんですよッ!!」

天道「……放っておけ、加賀美。
   やはりこんな男を当てにしようとした、俺がバカだったようだ…」

矢車「………」

天道「お前はせいぜい学園生活を楽しんでいればいい。“死んだ影山の代わり”である彼女達に依存しながら、な…」

矢車「……あっ?」



294: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/03(水) 22:00:39.84 ID:bORJ8wkDO

加賀美「影山さんが死んだって……一体どういう事だよ天道ッ!?」

天道「……ネイティブの手によって己の身体を“異形の者”へと変えられてしまった影山は、その現実に耐えきれずに…人間として死ぬ道を選んだ。
   そして…そんな影山の願いを聞き入れたこの男の手にかかり、奴は命を落とした…」

加賀美「なッ!?そんな…!」

矢車「………」

天道「影山を失った矢車のその後の足取りは、お前も知っての通りだ。
   ……俺も…コイツがIS学園に入学したと聞いた時は、“何を血迷ったのか”と思っていたが…
   コイツがIS学園で、地獄兄妹なる集団を作っていると聞き、俺は全てを悟った…」

矢車「………」

天道「この男は、死んだ影山の“代わりになる人間”を欲していたんだ。
   影山を失った事による喪失感を埋める為…そのためだけに、この男は彼女達を利用した」

矢車「……黙れ…お前に何が分かる…」

天道「矢車。影山の死に関しては、俺も同情する。
   だがな、お前がIS学園で行っている事は…傷付いた己の心を他人に癒してもらおうという、お前自身のエゴにしか過ぎん。
   そんなお前の身勝手に、彼女達は巻き込まれて…」



295: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/03(水) 22:13:30.21 ID:bORJ8wkDO

矢車「黙れェーッ!!」カシャ


──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン

──CHANGE! KICK HOPPER!──


矢車「ラァッ!」ブンッ!


天道「……変身…」カシャ


──HENSHIN──

キュイキュイキュイーン


天道「………」グッ


ガキィーンッ!


天道(MF)「………」ググッ…

矢車「天道ォー…!」ギリッ

天道「……来るなら来い。相手になってやる」



298: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/03(水) 23:02:53.57 ID:bORJ8wkDO

~ショッピングモール~


鈴「ふぃ~…買った買った~。お陰でもう財布がピンチだわ」

セシリア「はしゃぎ過ぎですわよ鈴さん。
     もう…こんなに沢山、色々な物を買い込んで…」

鈴「何、帰りの電車代はちゃんと残してあるから大丈夫よ」

セシリア「……そういう問題ではないと思うのですが…」


ラウラ「……んっ?」ピクッ

鈴「ラウラ、どうかしたの?」

ラウラ「……あそこに居るのは…もしや、シャルロットではないか?」

鈴「えッ!?」ビクッ

セシリア「あら、本当ですわね。一緒に居る筈のお兄様の姿が見えませんが…
     ……お隣に居る方は、どなたでしょうか…?」

鈴「ちょ…ちょっと行ってみましょうよッ!」ダッ

セシリア「あっ!お待ちになって!」ダッ

ラウラ「………」ダッ


タッ タッ タッ タッ



303: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/03(水) 23:56:24.37 ID:bORJ8wkDO

鈴「シャルロットーッ!」タッ タッ タッ タッ


シャル「あっ!鈴!みんな!」

鈴「アンタ一体どうしたのよ!?何でこんな所でぼーっと突っ立ってる訳ッ!?」

シャル「こ…これには色々と事情があって…」

鈴「……想は何処行ったのよ?」

シャル「えっ?……あぁ…お兄ちゃんは、その…」

鈴「ハッキリ言いなさいよッ!」

シャル「……うん…」



305: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/04(木) 00:31:36.53 ID:mHIUX5qDO

─シャル説明中─


鈴「な…な…な……何ですってえーェェェェェエエッ!!!」ドカーンッ!


セシリア「うわッ!」

シャル「り…鈴?」

鈴「あンのバカ想ォーッ!!あれ程シャルロットの側を離れるなって言ったのにッ!!もう約束を破るだなんてェーッ!!」ムッキー!

セシリア「り…鈴さん!ちょっと落ち着いて…」

鈴「これが落ち着いていられるかってのよォーッ!!
  …っていうかシャルロットッ!!アンタ何でそんなに冷静でいられる訳ッ!?
  デートすっぽかされたのよッ!?普通怒るでしょーがッ!!」

シャル「いや、別に長い時間待たされてる訳じゃないし…。まだそんなに時間経ってないし…
    それに…予めお兄ちゃんには、早く帰ってくるように伝えておいたから…大丈夫かな?って…」

鈴「そういう問題じゃないでしょーがァーッ!!もーッ!!」ムッキー!

シャル「あ…あはは…」



306: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/04(木) 01:30:54.60 ID:mHIUX5qDO

鈴「シャルロットッ!!アイツは今何処に居るのよッ!?」

シャル「えっ!?……いや、何処に行くかまでは聞いてなかったな~…」

鈴「─ッ!!じゃあ隣のアンタッ!
  アイツが…矢車想の奴が何処に行ったか知らないッ!?」

ひより「……いや、知らないけど…」

鈴「グッ!あーッ!!もォーッ!!」ワシャワシャ

ラウラ「鈴。兄上の居場所を知りたいのなら、良い物があるぞ」ガサゴソ

鈴「な…何ですってッ!?」グルッ

ラウラ「今朝、兄上の服に発信器を取り付けておいたのだ。
    このレーダーを見れば、兄上の現在地が一目で分かるぞ」スッ

鈴「よォーしッ!!でかしたわよラウラッ!!」

セシリア「あなた!何でまたそのような代物をお兄様に取り付けたのですか!?」

ラウラ「いざという時に、兄上の位置を正確に把握する為だ」

セシリア「い…いざという時とは、一体…?」

鈴「今がその時よッ!!よォーしラウラッ!今すぐ私達を想の下へと案内しなさいッ!!」

ラウラ「うむ。了解した」タッ

鈴「想ッ!首を洗って待ってなさいよォーッ!!」ダッ

タッ タッ タッ タッ


セシリア「ほ…本当にこれでよろしかったのでしょうか…?」

シャル「……何だか…危ない方向へと事態が進んでる気が…」


タッ タッ タッ タッ…

鈴「何してんのよシャルロットッ!?アンタも一緒に来るのよッ!!」ガシッ

シャル「えッ!ちょっと…鈴!?」

鈴「セシリアッ!ほらアンタも急いでッ!!」ガシッ

セシリア「えッ!?いやあの、わたくしは別に…」

鈴「ほらッ!ダッシュで行くわよォーッ!!」ダッ


シャル「うわッ!?」グイッ

セシリア「ひッ!?」グイッ


ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ




ひより「…………」

ひより(……取り残された…)



310: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/04(木) 18:07:42.81 ID:mHIUX5qDO

───


加賀美「よせッ!止めるんだ二人ともッ!!」

加賀美(クソッ!こんな時に限って俺は…ベルトを持って来なかっただなんてッ!
    これじゃあ止めに入るどころか…近付く事すら出来ないッ!)



矢車「ゼアッ!ラァッ!」ブンッ ブンッ ブンッ

天道(MF)「くッ…!」グッ

ガキィーンッ! ガキィーンッ! ガキィーンッ!

天道(やはり…マスクドフォームでは奴のキックスピードに付いてこれないか……ならば)スッ

矢車(来る…!)タンッ


天道「キャストオフ…」カシャ


── CAST OFF ──

ピピピ… ドシューンッ!


ビュン! ビュン! ビュン!

矢車「チッ…!」タンッ ピョーン


──CHANGE! BEETLE!──


天道(RF)「………」

天道(これで、スピードは互角だ…)


矢車「天道ォー…!」ダッ

天道「………」ダッ


矢車「ラァッ!」ブンッ

天道「ハァッ!」ブンッ

ガキィーンッ!


加賀美「止めろォーッ!!」



324: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/04(木) 22:40:41.71 ID:mHIUX5qDO

───


ラウラ「こっちだ。直進方向から兄上の反応が」タッ タッ タッ

鈴「よォーしッ!見付け次第袋にしてやるわよッ!覚悟しなさい想ッ!!」ダッ ダッ ダッ

シャル「そ…そんなに熱くならなくても…
    別に僕は…待ちぼうけを食らった事に関しては、何も気にしちゃいないんだし…」

鈴「アンタが良くても私が良くないのッ!!
  …ったくッ!本当にアイツには幻滅したわよ…!」

セシリア「………」

鈴「……昔のアイツは…人との約束を破るような奴じゃなかったのに…」

セシリア「……鈴さん…」



325: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/04(木) 22:48:40.85 ID:mHIUX5qDO

ラウラ「むっ。どうやら兄上は、この先の川原に居るようだな」

鈴「よしッ!この丘を登って、早速想のところへ乗り込んで…」


…ガキィーンッ! …ガキィーンッ!


鈴「……えっ?」


…ガキィーンッ! …ガキィーンッ!


シャル「……ねぇ…向こうの方から、何か凄い音が聞こえない?」

セシリア「何でしょうか?この音…
     まるで…硬い金属か何かが、激しくぶつかり合っているかのような…」

ラウラ「この音…兄上の居る方向から聞こえて来るぞ…
    ─ッ!まさか!兄上の身に何か危険がッ!?」


鈴「い…急いで行くわよッ!」ダッ

ラウラ「う…うむッ!」ダッ

シャル「あっ!ちょっと!」ダッ

セシリア「お…お待ちになってッ!」ダッ



334: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/05(金) 20:27:05.85 ID:9qiyvYgDO

ザッ

鈴「なっ…!?」

───


矢車「ラァーッ!」ブォンッ

天道「………」ブォンッ

ガキィーンッ!

矢車「チィッ…!」タンッ

天道(……やるな…)ザザッ



ラウラ「……な…何だこの状況は…?」

シャル「お兄ちゃんが……戦ってる…?何で…?」

セシリア「……あの赤いISは…一体…?」



矢車「ハアッ!」ブンッ

ガキィーンッ!


鈴「………」

鈴(……想…アンタこんな所で何してんのよ…)


矢車「デェヤッ!セェアッ!」ブンッ ブォンッ


鈴(シャルロットとのデートはどうしたのよ…?何でアンタはそうやって、また…
  ……私の知らない所で…訳の分からない事に巻き込まれて……)


矢車「天道ォー…!」ダッ



鈴「……いや…嫌ッ!」

鈴(嫌だッ!もう…そっちには行かないでッ!想ッ!)



335: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/05(金) 20:44:42.78 ID:9qiyvYgDO

ザザッ

天道「……腕は衰えていないようだな。矢車」

矢車「………」

天道「……そろそろ、終わりにするぞ…」スッ


── 1 2 3 ──


天道「………」カシャ

キュイキュイキュイーン…



矢車「……ライダージャンプ…」カシャ


──RIDER JUMP!──

ピコ…ピコ…ピコ



矢車「………」ググッ…

天道「………」ググッ…



加賀美(天道も矢車さんも…次の一撃で、勝負を決めるつもりか!?)



矢車「………」グッ

ドシュンッ!


天道「………」グッ

ビョンッ!



矢車「ライダーキック…!」カシャ

──RIDER KICK!──



天道「ライダー…キック!」カシャ

──RIDER KICK!──



矢車「ハァッ!」ブワンッ

天道「タァッ!」ブワンッ


バシィーッ!


加賀美「うわッ!」


ドゴオァーンッ!!



加賀美(空中で…ライダーキックの激しいぶつかり合いがッ!)



336: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/05(金) 21:17:42.79 ID:9qiyvYgDO

天道「ぐッ!」ドサッ

矢車「がッ!」ドサッ


加賀美「なッ!天道ッ!矢車さんッ!!」


プシュー…


矢車「─ッ!チィ…!」ズキッ

天道「くっ…!」ズキッ

天道(……キック力は、奴の方が若干上か…)


矢車「………」

天道「……この俺をここまで本気にさせるとは、流石だな」

矢車「………」

天道「だが…お前がどれ程の力を秘めていようが…
   俺の強さは、常にその先を行く…」スッ

バリバリバリィ…

天道「………」パシッ


加賀美「なッ!?」

加賀美(あれは…ハイパーゼクター!?)



天道「………」カシャ

天道「ハイパーキャストオフ…」キュイーン


── HYPER CAST OFF ──


ピポポポ… キュイーン!


──CHANGE! HYPER BEETLE!──


天道(HF)「………」



矢車「………」


加賀美(天道の奴!まさか…本気で矢車さんの事をッ!?)


天道「………」スッ…


加賀美「よせッ!天道ォーッ!!」


天道「ハイパークロックア…」



342: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/06(土) 02:14:34.76 ID:C8G00BjDO

鈴(IS展開)「想ォーッ!!」ブワッ

バシュッ! バシュッ! バシュッ!


天道「何…?」

ドゴォーッ! ドゴォーッ! ドゴォーッ!

天道「くっ…」

天道(衝撃砲…中国の第三世代機か?)


ズザザッ

鈴「アンタの相手は私よッ!」

天道「……ほぅ…」

矢車(……鈴…?)


天道「止めておけ。俺は、お前が敵うような相手ではないぞ?」

鈴「うるさいッ!アンタが何処の誰かは知らないけどねぇ…!
  想にはこれ以上…指一本たりとも触れさせはしないわよッ!」

天道「………」

鈴「……ッ!」ギリッ

天道(……どうやら、彼女は本気らしいな…)

天道「………」カシャ

ブォーン…

(天道、変身解除)


鈴「……えっ?」

天道「………」



ラウラ「お…男だとッ!?そんな…馬鹿なッ!?」

セシリア「一体…何が、どうなって…?」

シャル(……お兄ちゃん…鈴…)



343: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/06(土) 03:32:00.33 ID:C8G00BjDO

天道「………」

鈴「……ッ!」ギッ

天道「……そう身構えるな。俺は、お前に危害を加えるつもりなど、毛頭ない」

鈴「な…何をッ!?そんなの信じられる訳ないじゃないッ!」

天道「………」

鈴「何なのよアンタッ!?一体何が目的で…想をこんな目に遭わせた訳ッ!?」

天道「……お前に話す義理などない。
   どうしても知りたいと言うのであれば…その男に直接聞くことだな。
   最も、ソイツがそう聞かれた事を素直に吐くとは思えないが…」

矢車「………」

鈴「……想…アンタ…」

鈴(やっぱりコイツ…私達に何か隠して…?)

矢車「………」


天道「矢車。先程俺が伝えた事は、全て口外禁止だ。
   俺達の行動が、奴らに勘付かれる危険性があるからな…」

矢車「………」

天道「それと…最後にお前に、これだけは言っておく」

矢車「……あっ?」

天道「もし…お前が彼女達に抱いている想いが、嘘偽りのないものだと言うのであれば…
   矢車、その証明として……お前はもう、彼女達の側を離れるな。
   そして…いつ何時であろうとも、兄であるお前が、彼女達の事を守ってやるんだ。
   それが…妹を持った兄の、成すべき使命…というものだ」クルッ

矢車「………」

鈴「ちょ…ちょっと待ちなさいよッ!アンタ…一体何者なのッ!?」


天道「……何者、か…知りたいのならば教えてやろう…」

天道「俺は天の道を往き、総てを司る男…」スッ


天道「俺の名は、天道…総司だ」



349: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/06(土) 17:03:19.80 ID:C8G00BjDO

鈴「……天道…総司…?」

天道「……矢車、買った豆腐はお前と加賀美にくれてやる。
   お前の作る豆腐料理を、せいぜい妹達に振る舞ってやることだな…」ザッ

スタスタ…


加賀美「お…おいッ!待てよ天道!」ダッ

タッ タッ タッ タッ



矢車「………」

鈴「………」キュイーン

(鈴、IS解除)

矢車「………」

鈴「……想…アンタもさっさと変身解除しなさい…」

矢車「何…?」

鈴「いいから…早くッ!」

矢車「………」カシャ

ブォーン…

(矢車、変身解除)


鈴「……想…アンタ、シャルロットとのデートをほっぽり出して…こんな所で何してたの?」

矢車「………」

鈴「あの天道とかいう男は、一体何者?
  アンタとはどういう関係で、何でアイツも男なのにISが扱える訳?」

矢車「………」

鈴「答えなさいよッ!全部ッ!!」

矢車「……お前らには、関係のない事だ…」

鈴「──ッ!!」プツンッ



354: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/06(土) 18:07:23.63 ID:C8G00BjDO

バチーンッ!


矢車「………」グラッ…


セシリア「り…鈴さん!?」

ラウラ「兄上に…手を…」

シャル「………」


鈴「いい加減に……いい加減にしなさいよアンタッ!!」

矢車「………」

鈴「私との約束を破って…シャルロットのこと放ったらかしにして…
  理由を聞けば“お前らには関係のない事”ですって…?ふざけんじゃないわよッ!!」

矢車「………」

鈴「ねぇ…何で私には何も喋ってくれないの?私ってそんなに信用ない訳!?
  アンタと私との関係って…結局はその程度だったってことッ!?
  全く…地獄兄妹が聞いて呆れるわッ!!」

矢車「………」

鈴「──ッ!!何とか言いなさいよッ!このバカ想ッ!!
  何でアンタはそうやって…いつもいつも大事な事は全部はぐらかしてッ!
  私には…私には何一つとしてッ!本当の事を話してくれないでッ!!」

矢車「………」

鈴(……何でよ……これじゃあ結局…あの頃の関係と同じじゃない…)

鈴「……どうしてよ…どうしてアンタはそうやって…
  また…私との間に壁を作ろうとするのよ……」

矢車「………」

鈴(やっと……やっとコイツに近付けたと思ったのに…
  コイツのそばに居られると…そう思ってたのに……それなのに…)ツー…



355: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/06(土) 19:26:14.67 ID:C8G00BjDO

矢車「……鈴…お前、泣いてるのか…?」

鈴「えっ…!?」ツー…

鈴(な……何泣いてんのよ私ッ!?
  今…私は想にキレてる立場なのよッ!別にここは泣くような場面じゃ…)

鈴「……な…泣いてなんか……ひっく…ないわよぉ…!」ゴシゴシ

鈴(何でよ…!何で…涙が止まらないの…!?)ゴシゴシ

矢車「……鈴…」スッ…

鈴「──ッ!!触んなぁッ!!」パシッ

矢車「………」

鈴「このバカァッ!!アンタの事なんかもう……もう知らないんだからァーッ!!」ダッ


セシリア「あッ!ちょっと鈴さんッ!?」


ダッ ダッ ダッ ダッ…


セシリア「……い…行ってしまわれましたわ…」


矢車「………」

シャル「……お兄ちゃん…あの…」

矢車「……シャルロットか…悪かったな。買い物を途中で投げ出したりして…」

シャル「ううん、気にしないで。僕は別に気にしてないから。……それよりもさ…」

矢車「………」

シャル「今は…鈴のことを追い掛けてくれる?
    あの子って、ああ見えて結構ナイーブなところがあるからさ…」

矢車「………」

シャル「お兄ちゃんが直接会って、鈴の事を慰めてあげないと!」

矢車「……はぁー……逆効果になる気もするが…」

シャル「お兄ちゃんならきっと大丈夫!
    …って言うか、そういうお兄ちゃんの方こそ、鈴の後を追い掛けたくて仕方ないって思ってるんじゃない?」

矢車「………」

シャル「んっ?」

矢車「……あぁ、かもな…」

シャル「……うん!」

矢車「……済まない、シャルロット…」ダッ


タッ タッ タッ タッ…


セシリア「あぁ!お兄様まで!?」

シャル「………」

シャル(……今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ、お兄ちゃん…)



361: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/07(日) 02:15:52.93 ID:ogqxSm6DO

~帰りの電車内~


ガタンゴトン… ガタンゴトン…


鈴「……はぁー…私ってば何やってんだか…」

鈴(皆の前で急に泣き出しちゃうなんて……恥ずかしいったらありゃしないわ…)

鈴「………」

鈴(そもそも…私、何で涙が出ちゃったんだろう?こっちは怒ってたつもりだったのに…
  ……ちょっと、自分の感情に整理が付かないわ…)

ウィーン

鈴(……んっ?隣の車両から、誰かが来る…?)

ヌッ

矢車「……よう…」

鈴「……想?何でアンタがここに…?」

矢車「……お前を慰めに来た。…って言えば、納得するか?」

鈴「な…何よそれ…」カァー…

矢車「……隣、座るぞ…」

鈴「……フンッ、勝手にすれば…」

矢車「………」スチャ

鈴「……慰めに来たって、アンタ…
  前に“地獄の住人に、優しさなんか期待するな”…とか何とか言ってなかったっけ?」

矢車「……さぁな…。過去の事など、もう忘れた…」

鈴「はぁー…全くとんだ二枚舌ね…
  そうやって自分に都合の悪い事は、直ぐにうやむやにするんだから…
  ……何でもかんでもはぐらかして…私には何も教えてくれないで…」

矢車「………」

鈴「……まぁ…アンタの秘密主義なんて、今に始まった事でもないし…
  今更こんな話しても…しょうがないけどね」

矢車「………」

鈴「……でもさ、さっきみたいに“関係ない”とか何とか言って、
  私の事を突き放すような…そんな態度を取ることだけは、やめてくれる?
  そういうの、結構頭に来るんだから…」

矢車「……あぁ、分かった…」



374: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/11(木) 03:43:24.59 ID:c2nOSJ9DO

ガタンゴトン… ガタンゴトン…


鈴「……想、私さ…
  中学の頃、アンタとの間に“壁”を感じてたのよね」

矢車「……壁?」

鈴「うん。……忙しいとか何とか言って、アンタ…あまり私にかまってくれなくなった時期があったでしょ?その頃に感じてたのよ」

鈴「私と想との世界を隔てる、見えない壁みたいなものを…」

矢車「………」

鈴「けど…IS学園で再会した時のアンタからは、そんなもの微塵も感じられなくなってて…
  だから……少なからず安心してたのよ、私。
  もう…今の想は、あの嫌な距離感を感じさせていた頃の想とは違うんだって、そう思えて…」

矢車「………」

鈴「……でもさ…さっき、川原で得体の知れない奴と戦ってたアンタを見て、私…思い知らされたのよね…
  結局…想は、あの頃と同じ……私の知らない世界に、今も居るんだって…
  きっと…私の想像も付かないような出来事に、アンタは今でも…巻き込まれているんだってさ…」

矢車「………」

鈴「そんな事を考えているうちに……私…このままじゃアンタに取り残されるんじゃないかって…
  また…あの頃の関係に戻る日が来るんじゃないかって、そんな気がして………何だか……私……」

矢車「………」


鈴(……そっか、そういう事だったんだ…。だから私、あの時……)


鈴「……そうよ…怖かったのよ、私…
  またあの頃みたいに……想が…遠い存在になっちゃうような気がして……怖かったのよ…」

矢車「……鈴…」

鈴「……今だって……怖いよ…」

矢車「………」

鈴「……私は…今のままが一番良いのに…
  あの頃のアンタじゃなくて……今のアンタとの関係が好きなのに…
  ……その関係も…何時か、呆気なく崩れさるような気がして………怖いのよ……」



376: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/11(木) 17:42:29.46 ID:c2nOSJ9DO

矢車「……鈴…」

鈴「………」

矢車「………」スッ…


ギュッ


鈴「……想?」

矢車「……悪かったな。心配かけて…」

鈴「………」

矢車「安心しろ。俺は何処にも行かない…
   ずっと一緒だ。俺はお前と……お前達と、ずっと一緒に居る…」

鈴「……想…」

矢車「もう…決して離したりはしない…
   暗く、果てのない地獄の中を、永遠に彷徨うんだ……お前達と共に…」

鈴「……どーだか。いまいち信用出来ないわねぇ…
  今日、私との約束を破ったのは何処の誰だったかしら?」

矢車「……約束する。今度は嘘じゃない…」

鈴「ふーん…。じゃあ、100%嘘じゃないっていう証として……一つ、私のお願い聞いてよ」

矢車「何だ…?」

鈴「……もう少し、このままでいて…」

矢車「………」

鈴「……私の事…ちゃんと安心させて…」

矢車「……分かった…」


ギュッ…


鈴「……本当に…何処にも行かないでよね…」

矢車「……あぁ…」

鈴「……臨海学校にも、ちゃんと来なさいよ…」

矢車「……あぁ…」


───

田所『過去に縛られずに…今、お前の直ぐ側にあるものを大切にしろッ!』

天道『矢車、その証明として……お前はもう、彼女達の側を離れるな。
   そして…いつ何時であろうとも、兄であるお前が、彼女達の事を守ってやるんだ』

───


矢車(……言われるまでもない。俺はもう…絶対に…)




──『兄貴!』──



矢車(………影山……)



385: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/12(金) 19:11:05.67 ID:xAO5Kk2DO

~隣の車両 ドア前の物陰にて~


セシリア「り…鈴さんったら……
     お兄様に肩を抱かれるなんて…何と羨ましい事をーッ!!」ムッキー!

ラウラ「暴れるな。貰ってきたトゥーフーが崩れるではないか」ポチャ ポチャ

シャル「お…落ち着きなよセシリア…
    今日のところは…鈴に譲ってあげようよ…」

セシリア「キィーッ!お兄様もお兄様ですわッ!
     ちょーっと涙を見せられたくらいで、直ぐ鈴さんに甘くなって!
     全く…女の涙は武器とは言い得て妙ですわねッ!」

ラウラ「……女の涙は武器?どういう意味だそれは?
    涙が戦略兵器にでもなると言うのか?」

セシリア「兵器も兵器ッ!男性という名の要塞を陥落させる必殺兵器ですわッ!!」

ラウラ「そうなのか…。勉強になった」

セシリア「フンッ!まぁ良いですわ!次回はわたくしめにチャンスが回って来る事ですし!
     今回は鈴さんの心情に免じて、特別に身を引いて差し上げますわッ!」

シャル「あ…あはは…」



388: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/12(金) 20:49:33.26 ID:xAO5Kk2DO

~蕎麦屋 たどころ~


田所「………」


───

天道『以上が、事の顛末だ…』

天道『ワームの残党は、日増しにその戦力を拡大している』

天道『奴らに対抗する為には、こちらも戦力の増強が必要だ。そこで…』スッ

天道『……お前には、これを預けておく』

───


田所「フッ…巡り巡って俺の下へ、か…」カチャ

田所(……ザビーブレス。これを託されたからには、俺も…覚悟を決めなくてはな)

田所弟「……お兄ちゃん?」

田所「……急用が出来た。暫く店を外す」

田所弟「………」

田所「フッ…そんな顔をするな。俺は必ず帰って来る」

田所「だからそれまで……この店の事を、宜しく頼む…」クルッ


ガラガラガラ… バタンッ



391: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/13(土) 00:37:33.42 ID:8doh2IvDO

~神代邸~


じいや「そんな……まさかワームの生き残りが、そのような事を…」

岬「えぇ…。この事は、天道くんから口外禁止にされているのですが…
  どうしても…貴方にだけは、ちゃんと真実を伝えておかなければならないと思って…」

じいや「………」

岬「この戦いが何時まで続くかは、私にも分かりません…
  ここにも暫く…顔を出す事は出来なくなります。
  それでも私は…必ずこの神代邸に帰って来る、と……それだけを貴方に伝えたくて…」

じいや「………」

岬「………」

じいや「……少々、お待ちを…」ガタッ

スタスタ…

岬「……?」


───

じいや「……貴方にこれを…お渡し致します」スッ

岬「えっ!?これって…!」

じいや「……サソードヤイバー…。ぼっちゃまの形見でございます」

岬「そんなッ!こんな大切なものを…どうして私に!?」

じいや「何、特別深い意味は御座いません。
    御守り代わり…と思って頂ければ結構です」

岬「御守り…ですか…?」

じいや「えぇ。……それに、もしかしたら…
    貴女が必要と感じたその時に…この剣がお役に立つ事があるやもしれません」

岬「……私が必要と感じた…その時に…?」

じいや「そうです。貴女が求めさえすれば、きっと…
    天国のぼっちゃまが…貴女にお力を与えてくれる筈だ、と…
    ……わたくしめには不思議と、そのような気がしてならないのです」

岬「……剣くんが…私の力に…」

じいや「………」

岬「……ありがとう御座います…」スッ

パシッ

岬「私…守ってみせます!剣くんが愛したこの世界を!」

岬「剣くんと…共に!!」



394: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/13(土) 02:30:14.40 ID:8doh2IvDO

~箒の部屋~


箒「はぁー…頭が痛い…」ズキズキ

箒(……最近、考え事ばかりしているからか…?
  全く…こんな事で休日を潰す羽目になるとは…)


prrr… prrr…

箒「………」ピッ

箒「……もしもし…」


束『やっほー!久しぶりだねー!箒ちゃーん!』


箒「姉さんッ!?」ガバッ

束『おーおー我が妹よー!
  お姉ちゃんとの久しぶりの会話がそんなに嬉しいかー!うんうん!』

箒「茶化さないで下さいッ!
  あなたには…一昨日から何度も連絡を入れてたのに!全く…」

束『ごめんごめーん!人気者の束さんは、この頃ちょーっち忙しくてね~!
  電話に出る事すらままならなかったんだよー!
  こんな哀れなお姉ちゃんを…どうか許して箒ちゃ~ん!』

箒「……いいですよ別に…。私もそこまで怒ってる訳じゃありませんから…
  …って、そんな事よりも!姉さんッ!
  あなたには…どうしても聞かなければならない事があるんですッ!」

束『うんうん分かってるよ!箒ちゃんは自分の専用機が…』

箒「全てッ!洗いざらい話して下さい!
  想の過去に…一体何があったのかをッ!」

束『……え、そっち?』

箒「姉さんなら知ってる筈です!想があんなにまでやさぐれた…その原因をッ!
  ISの原型となったマスクドライダーシステムとは何なのか!?それが想とどのような関係にあるのかッ!
  あなたには全部ッ!包み隠さず喋ってもらいますよッ!」



396: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/13(土) 02:56:11.54 ID:8doh2IvDO

束『……う~ん。確かに、知ってるっちゃ知ってるんだけどねぇ~…』

箒「なッ!なら今すぐ話を…」

束『でも…箒ちゃんはこの事についてまだ知るべきじゃないって、お姉ちゃん思うんだ。
  ……割とショッキングな話だし…
  そもそも…私の話を箒ちゃんが、ちゃんと信じてくれるかどうか…』

箒「信じるか信じないかは私が判断します!だからッ!」

束『……それでも…やっぱりダメなものはダメ~!』

箒「なッ!?」

束『今はまだその時ではない…。お姉ちゃんは、そう思うな…』プツンッ


ツー… ツー… ツー…


箒「もしもし…!もしもしッ!!」

ツー… ツー… ツー…

箒(……き…切られた…)



397: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/13(土) 04:20:35.92 ID:8doh2IvDO

ツー… ツー… ツー…


束(う~ん…。やっぱり言うべきだったかな…?)

天道「……話は終わったか?篠ノ之博士」

束「あっ、天くん!
  箒ちゃんへの熱いラブコールなら、たった今終わったとこだよ!
  で、そっちはどうだった?」

天道「あぁ…。矢車以外のメンバーとは、話が付いた。日を置いて合流する手筈になっている」

束「……そっか。やっぱりそーくんはダメだったかー…」

天道「……奴にはハナから、何も期待などしていない。想定の範囲内だ」

束「……う~ん。これじゃあせっかく想くんの為に作った“アレ”も、無駄になっちゃうな~…
  ……まぁ、今度箒ちゃんに専用機を渡しに行くついでに、お土産としてそーくんにプレゼントすればいっか!」

天道「……アレとは何だ?初耳だが…」

束「フフッ…それはだねぇ~…」

天道「………」


束「お姉さんの、ヒ・ミ・ツ!」モエモエズキューーン


天道「………」クルッ

スタスタ…

束「えーッ!まさかのノーリアクショーン!?
  それって一番酷いよ天くん!ちょっとくらい反応してよー!」

天道「………」スタスタ

束「ちょっとー!一体キミは何処まで行くつもりなのー!?」

天道「……お前のその喧しい声が届かない所までだ…」スタスタ

束「そんなぁー!天くーん!カァーム バーック!!」


──つづく



398: ◆4cmyCM./Qw:2014/12/13(土) 04:33:07.12 ID:8doh2IvDO

デデーン!

次回、仮面ISキックホッパー!

矢車「……青い海…白い雲…。どれもこれも…今の俺には眩し過ぎる…」

千冬「……もう、全てを話しても良い頃なんじゃないか?」

束「じゃーん!これが天才束さんが開発した、キックホッパー専用マシーン!その名もッ!」

箒「想ッ!……私を…私をッ!」

デレー


【続】矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」─第6話─



転載元
【続】矢車想「IS学園…今の俺には眩し過ぎる」part2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411489771/
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:01
      • 待ってたぜ!
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:05
      • おセ
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:07
      • 待ってたよ兄貴
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:19
      • ワーム絶対許さねえ!!!
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:38
      • ほんとこれは面白いな
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 12:53
      • これと、オーズのやつがIS系SSではおもしろいな。

        しかしモップの出番の少なさェ……
      • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 13:36
      • 次回は2月あたりかな…(遠い目)
      • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 13:58
      • キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━!!!!
        待ってました!
        つぎもきたいしてます
      • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 14:39
      • 天道も妹を持つ兄だったかw
      • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 15:09
      • この矢車って、ザビーの時は中学二年か三年なのか? 同じ学年の幼馴染みだとしたら。
      • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 15:17
      • 後半まさかの鈴メインヒロイン化
        それに比べてどこかのモップは・・・
      • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 15:28
      • 逆に考えるんだ、兄貴や天道の年が下がったんじゃなく、セシリアや鈴の年が上がったんだと!
      • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 16:35
      • おのれディケイドオオオオオ!!!!!
      • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 17:38
      • とんでもねぇ..... 待ってたんだ

        塩、醤油、味噌ときたら後は豚骨味ですね
      • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 18:18
      • やっぱこのSSは一流だなあ、
      • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 19:09
      • 面接に失敗した俺にこのSSはまぶしすぎる
      • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 19:16
      • ハイパーゼクター出た時脳内にウンメイノーが流れた
      • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 19:27
      • 5 遂にライダー達が続々参戦。
        田所さんにザビーブレス、岬さんにサソードヤイバー…。

        このシリーズ面白過ぎて続きが待ち遠しいんだが…。
      • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 19:41
      • そーいや今日はニコ生でディケイドの一挙放送あるっけか。
      • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 22:37
      • 今回はシャル回と見せかけての鈴回でしたなぁ、いやぁ正にメインヒロインでしたな。
        えっ?掃除道具?モッピー?
        そんなの居ましたっけ?
      • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 23:12
      • ところでお前らこれまでの話で何話が一番好き?
      • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月13日 23:22
      • なんでも良いけど原作さっさと書けよ、年1とかやめてくれよ、三期あくしろよ
      • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 00:07
      • この人のSSは最高、次回も待ってます!
      • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 00:23
      • 今回も315でしたね
      • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 00:34
      • 上の上ですね
      • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 01:31
      • 今回はギャグ成分が控えめだったけど、面白かった!!
        というか、いつも良い所で終わるから、続きが気になってしょうがないよ
      • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 01:50
      • 5 そのうち映画ライダーも参戦しないかしら?
      • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 03:01
      • 5 大きな山が見えてきたな
        書いてくれるなら年一でだって待てるが
        作者が何がしかのゼクターに選ばれることを切に願ってやまない
      • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 05:16
      • やっぱり矢車の兄貴は最高だなぁ……

        このSSがきっかけでISのアニメ見たけど……それなりに面白いね
        うん。でも矢車の兄貴は最低で最高だ
      • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月14日 06:50
      • 最初はギャグ路線の一発ネタかと思ったが、前回、今回でライダー側のキャラ・設定も本格的に絡んできて一気に話が膨らんだな
        ここからどうなるか期待
      • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月15日 00:15
      • 次は4月か…待ちきれん
      • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月15日 00:43
      • 無理だと思うがメロン兄さんとの共闘も見てみたいなぁ…(movie大戦のようなもので)
      • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月15日 01:46
      • ラウラの裸見ても動じない兄貴は本当にノンケなんでしょうかねぇ…
      • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月15日 09:51
      • 覚えてないんだけど矢車と大介って本編だと面識あったっけ?
      • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月15日 13:28
      • ※34
        ウカワームに一目惚れした矢車さんが吹っ飛ばされる回で面識ある
      • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月16日 00:03
      • 5 もう更新ないかと思ってたわ


        次回が楽しみすぎる!
      • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月16日 11:05
      • 兄貴カッコいいぜ。
        しかし、いつもながらISとカブトの融合係数がすごいな。
        次回楽しみにしてます!
      • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 02:06
      • 5 待ってた…待ってたけどさ、この中途半端感は無いわ~(ノД`)
      • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 03:01
      • あと1~2話で最終回かね?
      • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年01月02日 02:42
      • >>21
        4話だな。バトル込みで
      • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年01月12日 02:28
      • 同じ「血の繋がらない妹」を持つ身である天道の発言がグッと来たけど、それよりなにより
        田所ザビー&ミサキーヌサソードとか胸熱すぎるだろう!?
        むしろ原作のISより楽しみだ

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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