高3斎藤祐樹「ここは………2014年…………!?」
- 2014年12月01日 23:40
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栗山「斎藤、お前は2軍スタートだ」
斎藤(く…栗山さんだ……テレビで見たことあるぞ)
斎藤(しかも今僕が着てるのって…ファイターズのユニフォーム…!)
斎藤「2軍ですか…頑張ります!」
栗山「…そ、そうか」
黒木「どうしたんですか?」
栗山「いや、いつもの斎藤と目付きが違ったように見えてな」
黒木「目付きが?」
栗山「ああ…なんというか純粋な目というのか…なんだろうな」
斎藤「でも、どうして僕が2014年なんかに…」
斎藤「これって映画とかで見たことがあるタイムトラベルってやつなのかな?」
……
…
―タイムトラベル前―
メディア「斎藤佑樹!大学進学か…!」
メディア「プロ進出ならば6球団以上競合…!?」
マスコミ「ハンカチ王子、投げ合った田中選手がプロへ行くみたいですが」
斎藤「そうですね…僕は大学に進学しようかと思っています」
斎藤「僕は持ってますから(ニコッ」
マスコミ「うわあああああ!!さすがハンカチ王子!!!(パシャパシャッ」
斎藤「それじゃ、僕は練習があるので」
マスコミ「お疲れ様です!」
斎藤「さてと…練習前にトイレでも行くか」
斎藤は高校にある男子トイレの和式便所にへと入った
便所に跨りふぅーっと一息つくと
グラッ
斎藤「うっ……」
突然、謎の頭痛が斎藤を襲った
斎藤「い…痛いッ…!!なんだこの頭の痛みは……!?」
斎藤「でも…こんなところで倒れる訳にはいかない…!僕は持ってるんだ…!!」
ズキズキッ
頭痛は和らぐどころかひどさを増しより斎藤を苦しめた
斎藤「…ダメだ………もう耐えれない……」
バタッ
斎藤は頭部を片手で抑え込んだまま和式便所で仰向けに倒れた
そして目が覚めると
斎藤「……ん……ここは…僕は確か便所で頭痛に襲われて…」
目が覚めた斎藤は確かに和式便所にいた
だが、学校のトイレと違って綺麗な和式便所に驚きを隠せない
斎藤「べ…別のトイレに僕は来たのか…?とりあえず出ないと…」
ガチャッ
大谷「…!」
斎藤「あっ」
大谷「斎藤さん、探しましたよ」
斎藤(うわぁ…こいつめっちゃ身長高いな…しかも日ハムのユニフォーム着てるし」
大谷「さっき監督が呼んでたから、探してたんですよ」
斎藤「か…監督?和泉実監督が何の用だろ」
大谷「はい?栗山監督ですよ」
斎藤「………」
大谷(今日の斎藤さん、いつもより若く見えるな…頭皮ももう少し薄かったのに)
斎藤「君…名前なんていうの?」
大谷「えっ…大谷ですよ」
大谷(ホントにおかしいなぁ…どうしちゃったんだろう)
斎藤「今って何年?2006?」
大谷「2014年ですよ」
斎藤「……!!!!!!」
……
…
大谷に日付を聞き始めて自分の置かれた状況に気づき始めた斎藤
そして、栗山監督から言われた2軍スタートの話
斎藤「恐らく和式便所で僕はタイムトラベルをしてしまった…」
斎藤「何らかの理由で2014年へ…それにしてもどうして僕が2軍なんだろう」
斎藤「甲子園優勝投手が2軍スタートなんておかしい!」
黒木「斎藤、ちょっといいか?」
斎藤「あっ……はい!」
斎藤(あれ…この人黒木さん……?確かロッテの……)
黒木「お前にはちゃんと伝えておこうと思ってな」
斎藤「何でしょうか…それよりどうして僕が2軍なんですか?」
黒木「いや…それは見れば分かるだろう」
黒木「お前の今までの成績が悪いからだ」
斎藤(成績が悪い…?甲子園優勝投手の僕が・・・・?)
黒木「監督とも話していたが先発投手ではなく、これからは中継ぎに配置転換してだな…」
斎藤「…い……嫌です…!」
黒木「…なんだと?」
黒木「分かってるのか?お前は大卒で指名されてプロに入って以来、そこまで活躍してないんだぞ」
斎藤(そうか…未来の僕は大卒でこのプロの世界に飛び込んだんだ…)
黒木「成績だって鳴かず飛ばずのままパッとしない」
黒木「だからこそ、新しい役割でもう1度お前に開化してほしいと思っている」
斎藤「……僕は先発でやっていきたいです」
黒木「…さっきから何を言っているんだ…!自分の立場が理解できないのか!?」
斎藤「このシーズン、僕を信じてもらえないですか?」
黒木「……」
斎藤「2014、この1年が最後のチャンスだと思って僕は投げます」
斎藤「だから…もう1度先発の機会が与えられるようアピールします」
斎藤「先発マウンドだけは…誰にも譲りたくない。」
黒木(…本当に斎藤なのか……?こんなにも頼もしい発言をしてくれる選手だったのか…)
斎藤「それでは、僕は練習に戻ります」
黒木「斎藤…お前に対して成績が伸びないだなんてひどいことを言ってすまなかった」
斎藤「いいですよ、プロはそういう世界なんでしょ?実力で黙らせますよ」
栗山「なに…斎藤を1軍のキャンプに…?」
黒木「お願いします、どうか斎藤を1軍のキャンプへ連れて行ってください」
栗山「まだ1軍の実力がないから2軍スタートにさせるつもりだったんだが」
黒木「今年…あいつがブレイクしそうな気がして」
黒木「同じ投手として直感がそう言っているんです…直感で申し訳ないですが」
栗山「直感だけで選択するのは危険だ、ましてやプロになるとな」
黒木「はっ…ごもっともです…」
栗山「だが、俺も斎藤の開花を信じたい。このままで終わっていい投手じゃないからな。」
黒木「それじゃあ……」
栗山「とりあえず、斎藤は1軍のキャンプへ帯同させる。すぐに連絡してくれ。」
黒木「…は……はい……!!分かりました!」
―春季キャンプ―
カキーンッ
パスッ
シュタッ
ファイターズの選手がシーズン開幕に向け活気よくキャンプをこなしている
その中でも一際注目されていた選手がいた
大谷「……」
マスコミ「お、大谷が投げるぞ!」
がやがや
斎藤(あ…トイレで会った大谷くんだ……どんな球投げるんだろう)
大野「よし、大谷来い!」
大谷「…(コクリ」
ズバンッ!
斎藤「…!!!はやい…!!」
黒木「今のだと150km程度だな…この時期にこのスピードが出るとは」
斎藤(体格もそうだけど…すごく綺麗なフォームだ……そういえばまだ今年で20歳なのか)
大谷「それじゃ、次バッティング練習します」
打撃投手「おう!」
斎藤「…打撃も……?」
カキーンッ
記者「すげぇ!いきなり柵越えだぞ!今年も二刀流でいく気なんだろうなぁ…!」
斎藤「二刀流って……投手も野手も両方こなすつもりなのか……?」
大谷「ふぅっ」
稲葉「大谷くん、相変わらず絶好調だな」
大谷「稲葉さん…ありがとうございます。この調子を維持できれば良いんですが…」
稲葉「大丈夫だ君はもうルーキーじゃない、このチームにとって欠かせない選手だからな」
斎藤(あのベテランの稲葉さんにも褒められてる…すごいな……)
その横で大きな身体を使い大谷以上に飛距離を飛ばす男がいた
中田「ッシッ…!!」
カキーンッ
記者「うおおおお!!中田は大谷以上に飛ばしたぞ!!」
中田「…(クチャクチャ」
稲葉(さすがだ…チームの4番としての器が出てきたな…)
斎藤「中田…確か桐蔭の………」
黒木「斎藤!ボーッとしてないでお前も練習しろ!」
斎藤「あっ…は、はい!」
黒木「そうだな…中田の打撃練習に付き合ってくれ」
中田「…お願いしやす」
斎藤(中田か…甲子園でも対決したことあるし緊張しないな)
斎藤「…」
斎藤、振りかぶって第1球目を中田に投げる
ビシュッ
パァーンッ
中田「…(ピクッ」
審判「ストライクッ」
黒木(斎藤…投球フォームを変えたのか……?)
斎藤「あ…思いっきり投げちゃった」
記者「あんなに力強いストレート投げれたっけ?いつもならもっと遅かっただろ」
黒木「斎藤、そんな速い球はいらないぞ。中田の練習だからな。」
中田「良いッスよ別に…俺は真剣勝負の方が好きなんでね(クチャクチャ」
黒木「中田…!」
稲葉「良いんじゃないですか?1打席ぐらい勝負してみても」
栗山「そうだな…俺も翔と斎藤の勝負を見てみたい」
黒木「監督!」
栗山「さっきの斎藤の投げた球を見たか?」
黒木「え…ええ…確かにノビが良くなっている気がしました」
栗山「高校時代の彼のストレートを思い出したよ…翔にどこまで通用するのかが見てみたい」
斎藤「…」
中田「っしゃぁっ…!!!来い!!!!!!」
ビリビリッ
中田の咆哮が斎藤を威圧する
斎藤(すごい覇気だ…高校時代からホームランを量産していた打者だ。簡単に抑え込むことができない。)
斎藤(だけど、僕は甲子園優勝投手だ…自分の力をぶつければ必ず勝てる…)
記者「斎藤と中田の対決だ!面白いことになってきたぞ!」
選手、マスコミ、観客…この2人を除く全員が斎藤と中田の1打席勝負に釘付けだ
陽「面白そうだねぇ」
ミランダ「…サイトウ……ショウ……オモシロ……」
斎藤「…っし」
ロージンを手に取りフッと息を吐く
振りかぶって第2球目を中田に投げた
ビシュッ
中田「……フンッシ!!」
カァーンッ
斎藤「…!!」
中田の引っ張った打球は3塁線を飛び出てファール
強烈な打球が飛んだ
記者「さすがだな…2球目でキッチリ捉えてきたな」
斎藤(すごい…2014年の中田はこれほどまで成長していたのか……)
斎藤(高校時代とは違った中田のオーラを感じる…)
中田「…」
ビシュッ
3球目
ズバンッ
審判「ボールッ!」
強気に内角低めを攻めるも僅かに外れてボール
黒木(コントロールも良い…去年はあそこに力強いストレートを投げ込めていなかった)
中田「…(クチャクチャ」
斎藤(次は……スライダーで決めよう)
アウトコースへ鋭く逃げるスライダー
これこそが斎藤のウイニングショットとも呼べる
斎藤「…ッシッッ!!!!!」
ビシュッ
ククッ
黒木「…スライダーか…!!!」
中田はアウトコースのスライダーに手を出す
斎藤「よし……!!」
中田「フンシャッ…!」
カキーンッ
斎藤「え」
中田は体勢を崩されながらも外のスライダーをライトスタンドへ軽く運んだ
ポーンッ
観客「ワアアアアアアアアア」
斎藤「う…打たれた……僕の……ウイニングショットが……」
斎藤はその場に膝をつきガックリとうなだれた
稲葉「今のスライダーか?」
中田「はい…まぁ体勢崩れましたけど持っていけて良かったですわ」
斎藤「そんな……僕は持ってるはずなんじゃないのか……」
黒木「斎藤、お前の負けだが投げてる球自体は悪くなかった」
斎藤「…それでもやっぱり打たれてしまえばダメなんです…」
黒木「それは、キャンプの中で修正していけばいい」
斎藤「はい…」
中田は打撃練習を終え先に宿舎にへと引き上げていた
記者「やっぱり、斎藤は大したことないですね!」
記者B「どうせなら大谷と中田選手の勝負が見たかったですよw」
中田「……(クチャクチャ」
中田は足を止め練習で使っていたバットを振り上げた
記者「ヒッ…!」
振り上げたバットで軽く地面を叩くと
ポキッ
記者「えっ……?折れた……?」
中田「これ、さっきのスライダーを運んだ時にヒビ入ったんスよ」
記者「…まさか…斎藤のスライダーのキレが良かったってこと……」
中田「どういう意味か分かります?(クチャクチャ」
記者「それは…」
中田「俺は表向きの勝負では勝ちましたけど…中身で負けてるんスよ」
中田「こういうネタ好きでしょ?好きに書いていいッスよ、バット折れたって」
中田「それじゃ、僕戻ってやることあるんで」
スタスタ
記者「うっ……斎藤のキレが中田のバットにヒビを入れただなんて……信じられん」
……
…
ブンッ ブンッ ブンッ
中田「ハッ……ッ…ハァツ…!!!」
ホテルの自室で上半身裸で素振りを続ける中田
まるで悔しさを振り払うかのように振り続ける
西川「斎藤さん、お疲れ様です!」
斎藤「あ…西川くん……だっけ?」
西川「はい!さっきの中田さんとの対決マジ感動しました!」
西川「今日の斎藤さん、なんかいつもと違いますよ!」
斎藤「えっ…いやそんなことないよ……ははは」
キャンプ中、自身の投球を磨くべく斎藤は何度もブルペンに入り投げ込んだ
パァーンッ
斎藤「ッフ…」
黒木「斎藤、今日もブルペンか?」
斎藤「はい、ちょっと納得いかないところがあって」
黒木「キャンプ中ほとんど休んでないだろ…たまには休息を取るのも大事だぞ」
斎藤「なんだか体力が有り余ってて…とにかく投げ込みたいんです」
黒木(いつも中盤まで持たなかった体力の斎藤が…本当に別人のようだ)
パァーンッ
斎藤「…キャンプも明日で終わりか……」
斎藤「そうだ、テレビでも見ようかな」
ホテルのテレビの電源を付けると、メジャーリーグの日本人選手情報が報道されている
「昨年、24勝0敗1Sという大記録を樹立した田中投手がいよいよメジャーの舞台へ」
斎藤「えっ………田中……?」
そこに映し出されたのはヤンキースのユニフォームを纏った田中であった
斎藤「24勝0敗って……なんだよこの成績……!!!!!」
日本人記者「いよいよ開幕が近づいてきましたが調子の方は?」
田中「まずまずですね、日本とはまた環境が違ってきますので」
日本人記者「メジャー1年目どういった目標を?」
田中「うーん、まずはチームを勝利に導けるピッチングができるかッスね」
田中「結果は後から付いてくると思ってるんで」
日本人記者「なるほど!メジャーでの田中選手の活躍期待しています!」
田中「ありがとうございます」
ピッ
斎藤「……」
斎藤「…2014年…田中は海を渡っていたのか……」
斎藤はホテルのドアを開け
斎藤「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
湧き上がる気持ちを抑えきれず叫んだ
ビリビリッ
陽「い、今の声なんだYO」
ミランダ「…ミランダ…ビックリシタ……」
斎藤「はははは……何が僕は持ってるだ……田中は既に最高の成績を収めてるじゃないか…」
斎藤「それなのに僕は大学に進学してもプロで成績を残せずにいる…」
斎藤「本当に今シーズン僕はやっていけるのだろうか…」
かつてのライバルの活躍を知り一気にどん底に叩き落された
その夜
食事を済ました斎藤は宿舎の外で夜風を浴びていた
斎藤(…田中の情報なんて知りたくなかったな…見なければ良かった)
シュッ
斎藤「ん?」
宿舎からすぐそばに公園から何やら音が聞こえる
大谷「フッ…フッ……」
斎藤「大谷……」
さっきの食堂に大谷の姿はなかった
キャンプでの練習を終え彼は1人で自主練習を行っている
大谷「あ、斎藤さん」
斎藤「大谷…夕飯は食べないのか?」
大谷「もう少しすれば行きます…シャドーピッチングだけやっておきたいんで」
斎藤「…大谷、変なこと聞いてもいいかな」
大谷「どうぞ(シュッ」
斎藤「他人と比較されたりするのってどう思う…?」
大谷「どういうことですか」
斎藤「例えば…僕の場合だと田中投手と成績を比較されたりすることがあるだろ…」
斎藤「自分で言うのは変なだけど…僕は甲子園優勝投手なんだ」
斎藤「プロで活躍する未来を約束されていたのに…田中と比べると僕との成績の差は一目瞭然」
斎藤「何年ももがき苦しんでいる僕に対して田中は着実にステップを踏んで人生を歩んでる…」
斎藤「大谷……!僕のなにが悪いんだ・・・!!」
大谷「……言いたいことそれだけですか?」
斎藤「え」
大谷「先に謝っておきます、斎藤さんすみません」
斎藤「……」
大谷「他人と比較されてわざわざ落ち込んでる暇があるなら練習したらどうですか?」
大谷「人それぞれ能力が違うんですから、差が出てくるのは当たり前ですよ」
大谷「僕だって1年目は同年代の藤浪とよく比較されて悔しい思いをしました」
斎藤「……大谷……」
大谷「だからこそ、練習をして自分のウィークポイントを克服していく」
大谷「そうすれば広げられた差を縮めていけるはずです。」
大谷「落ち込まないでください。僕はチームの優勝と日本一を目指してますから。」
斎藤(そうだ…僕は比較されて落ち込んでる暇なんかない…!1秒でも無駄にせず練習するべきなんだ!)
斎藤「ありがとう大谷…そうだよな、田中は田中だ。僕は自分のやり方で進む。」
…シーズン開幕前日
黒木「えっ…!?斎藤を中継ぎで…!?」
栗山「ああ、キャンプでの成績などを踏まえてそう判断した」
黒木「でも、あいつは先発希望で…」
栗山「選手の意思を尊重できるほど現場は甘くない」
黒木「くっ……」
栗山「ただ、1年を通して中継ぎで使うつもりはない」
黒木「…それは」
栗山「中継ぎでの結果次第で先発への転換もある、それもできるだけ早めに決めたい」
栗山「あまり、ころころと投手陣の位置を変えたくはないからな」
黒木「…!」
栗山「何にせよ開幕のオリックス戦…必ずモノにするぞ」
実況「さぁ、今日ここ札幌ドームではオリックス対ファイターズが行われます」
栗山「シーズンを占う大事な初戦だ必ず獲るぞ!!」
一同「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
実況「ファイターズの先発は吉川!昨年成績に苦しみましたが開幕投手に抜擢!」
黒木「斎藤、今日は一応中継ぎで準備をしておいてくれ」
斎藤「…分かりました」
西川「先発は金子投手ですね」
稲葉「ああ、金子くんから1点を取ること自体難しいかもしれないな」
先発吉川
大野「よし、まずは初回キッチリ抑えていこう」
吉川「はい」
審判「プレイボー」
ヘルマン「……」
実況「オリックスの攻撃は1番ヘルマン!俊足の選手でもありますから塁には出したくないところです」
ビシュッ
ズバンッ
審判「ストラーーーイクッ!!」
149km
吉川のストレートがヘルマンのインコースにズバッと決まる
大野(よし…!今日は調子が良さそうだ…これなら金子と投げ合えるはずだ)
大野を含め監督やナインも吉川の調子の良さを感じ取った
この試合、投手戦になる……はずだったが
カキーンッ
実況「ああっと!吉川!平野と糸井に連続ヒットを浴びて1アウト1、3塁!!」
黒木「か…監督……!」
栗山「まだ1回だ…慌てるんじゃない」
吉川(ダメだ…制球がうまく定まらないし……変化球が決まらない…)
大野「た、タイム!」
実況「おっと、ここで捕手の大野が早くもタイムを要求しマウンドへ」
大野「どうした?もう少しリラックスして投げ込んで来い」
吉川「は…はい……」
稲葉(開幕投手だ、これにまでにない重圧を吉川くんは感じている…)
西川「そうッスよ!リラックスリラックス!」
吉川「あ…ああ……すまない」
内野手が再びそれぞれのポジションにへと散らばった
中田「なにやってんじゃ…(クッチャクチャ」
審判「プレイ!」
実況「ここでオリックス、4番のペタンコートです」
実況「1アウト1、3塁のピンチではありますが吉川!どういったピッチングを見せてくれるのか!」
吉川「フゥ…」
斎藤「吉川さん…」
大野(ペタンコート…助っ人外人だしあまりまだ情報が少ない…)
大野(いきなりストライクゾーンは危険だ、ボール球で様子を見よう)
吉川は小さく頷き要求通り投げ込む
ビシュッ
ペタンコート「…フンッ」
ブンッ
審判「ストライクッ!!」
大野(よし…!ボール球を振ってくれた…あまり選球眼は良さそうじゃないな)
続く2球目はバックネット裏へファール
実況「2ストライクノーボール!吉川、2球でペタンコートを追い込みました!」
シュッ
ペタンコート「…!!」
ブンッ
審判「ストアーイクッバッターアウト!!!」
ペタンコートはワンバウンドした吉川のチェンジアップを振り空振り三振
実況「とんでもないボールを振りましたね…2アウト1、3塁です!」
吉川(はぁはぁ…2アウト……あと1人抑えれば無失点だ・・)
黒木「よし…!なんとか振らせたな…!」
斎藤(なんだろう、このすごく嫌な感じがするのは…2アウトだけど…)
実況「2アウトで迎えるはベテラン谷!」
吉川「…」
大野(よーし、ここを抑えればでかいぞ…大胆に来い…!)
ビシュッ
吉川は谷に対して変化球を投じた
しかし、変化球が浮き真ん中高めへ
大野「……!!」
カキーンンッ
谷の捉えた打球は…
左中間へ飛んだ
センターの陽が快速飛ばしてボールに対して目一杯グラブを伸ばすが
僅かに届かず左中間を真っ二つに割る
斎藤「ああっ・・!!長打コース…!!!」
実況「3塁の平野楽々ホームイン!!そして1塁の糸井も今生還!!オリックスこれで2点先制!!」
打った谷は楽々2塁へ
実況「2対0!ファイターズにとっては痛い失点です!」
黒木「くっ…ここで変化球が浮いたか…!」
斎藤「監督!!」
栗山「なんだ?」
斎藤「このままじゃ吉川さんはダメです!僕がすぐに肩を作って投げます!」
黒木「お、おい!斎藤!」
栗山「ならん」
斎藤「どうしてですか…!今日の吉川さんは明らかに調子が良くないのに!」
栗山「まだ初回で中継ぎをつぎ込める訳がないだろう」
斎藤「うっ…」
栗山「それに、お前はまだ1軍で通用するかどうか分からない」
栗山「そんなお前をポンッとこの状況で出せるはずがないだろう」
斎藤「……くそっ……」
栗山「チームメイトを信じろ、お前の今の発言は信頼していないのと一緒だ」
斎藤「……すみません……自分の立場を理解していませんでした」
栗山「それでいい」
斎藤(でも…今のままじゃ吉川さんは……)
その後、なんとかペーニャを打ち取り1回の表を切り抜けた吉川
ベンチに戻ると汗でびっしょりの髪をタオルで覆った
斎藤「……これ」
スッ
斎藤は吉川にポカリを差し出した
吉川「あ…ありがとう…ありがたく受け取るよ」
吉川「すまん…初回に失点してしまって…」
斎藤「気にしないでください!僕がいつでもブルペンで待機してるんで!」
吉川「…」
実況「1回の裏、ファイターズの攻撃はセンター陽からです!」
実況「2点を取られたのでまずは1点を返したいところ!」
陽「さぁ、行くYO」
金子「…」
黒木「今日の先発は金子……ですか」
栗山「ああ、田中やダルビッシュが去ったNPBで今一番投手能力が高い」
斎藤「…(ゴクリ」
ヒュンッ
パァーンッ
1球目、陽の膝元に寸分狂わず152kmのストレートが投げ込まれた
審判「ストライクッ!!」
陽「えぇ~!?低いYOッ」
斎藤「す…すごいコントロールですね……」
黒木「あ、ああ…これが金子の持ち味と言ってもいい。やはりどんな場面においても制球力があれば投手ってのはある程度生き残っていける。」
黒木「金子は四球を与えることもほとんどない…素晴らしい投手だ」
陽「くっ」
スパンッ
縦のカーブを投げ込むも僅かに外れてボール
実況「1ストライク1ボール、まだ打者有利のカウントです」
陽(ダメだYO~…変化球が多彩すぎて絞り込めない…)
伊藤(迷ってる…これなら楽に抑えれそうだな)
金子「…」
伊藤のサインに頷き3球目を投げた
ピシュッ
陽「……こうするYO!」
コンッ
金子「…!」
陽はセーフティバント
ポーンポンーッ
打球の勢いが死んだボールは綺麗に3塁方向にへと転がる
意表をつかれたヘルマンはダッシュが遅れた
伊藤「ファースト!!」
陽は俊足を飛ばし1塁ベースを駆け抜ける
審判「セーフッ」
黒木「よし…!!」
実況「陽!!いきなりセーフティバントを決めこれでノーアウト1塁!」
斎藤「陽!ナイス!!!」
陽「YO!YOYOYO!!」
高橋(うるせぇなぁ…)
実況「続いて2番の西川です!」
実況「非常に器用な選手で、塁に出れば足でも魅せることができますねぇ」
栗山「…(スッ」
3塁コーチャー「(スッスッ」
西川(送りバントのサインか…打ちたかったな)
ビシュッ
審判「ボールッ!」
実況「西川バットを引いた!ここはやはり送ってくるんでしょうか」
伊藤(もうここはアウトを取りに行きましょう、送らせてもいいです)
金子「(コクッ」
ぴしゅっ
コーンッ
実況「西川!ここも2球でバントを決めました!」
実況「さぁ、これで1アウト2塁でファイターズの誇る若き選手大谷が打席に向かいます!」
ブン ブンッ
ネクストサークルで2~3度を素振りをし打席へ向かう大谷
斎藤「大谷……頼んだよ……」
伊藤(大谷ですね、二刀流だけどそれでもやっぱり打力は侮れない)
金子「…」
実況「打席に大谷!打者としての力を着実に伸ばしていっている選手です」
シュルルルッ
スパン
審判「ボール!」
大谷(今のは縦のカーブか…手を出さなくて正解だな)
パンッ
審判「ボール!」
斎藤「へへへ…金子さんもやっぱりボール先行するときがあるんですね」
黒木「いや、金子にとっちゃ2ボールなんてあってないようなもんだ」
斎藤「えっ?」
黒木「ここから乱すことなく簡単に追い込めるコントロール力を持ち合わせてる」
ビシュッ
カァーンッ
審判「ファールッ!」
金子(今のは打ってもファールだよ)
実況「1ストライク2ボール!」
ビシュッ
ククッ
大谷「っ…!」
カァーンッ
かろうじてファールにした大谷
実況「今のは予想外の球が来たんでしょうか、大谷随分と体勢が崩れました」
黒木「マズイですね…大谷も球を絞り込めてませんよ…」
栗山「…」
斎藤「大谷……あっという間に追い込まれた…」
大谷(変化球が多い…ヤマを張ってるだけじゃ対応しきれない…)
金子、すぐさま構えに入り投げ込んだ
ビシュッ
ズバンッ
審判「ストライクーーーー!!バッターアウッ!」
大谷「…しまった……」
考える間もなく金子のタイミングで投げられ見逃し三振を喫した
金子(2球目ファールで逃げたのはさすがと思ったけど…まだまだだな大谷)
肩を落としベンチに引き上げる大谷
すれ違いざま次の打者の中田が一言声をかけた
中田「なにをゴチャゴチャ考えてんねん、来た球だけ打ち返せや」
大谷「……っ」
斎藤「大谷…中田も言葉が悪いけど彼なりに励ましたつもりなんだよ…」
大谷(来た球を打ち返せたら…苦労はしないですよ)
中田「っし…俺が打ち返したるわ……」
実況「打席にはファイターズの4番中田です!2アウト2塁をモノにできるか!」
ビシュッ
中田「……っ!」
パァンッ
実況「おっと!これは危ない!!内角の高めにボールは外れました」
中田(この野郎……初球から顔付近に投げやがって……)
2球目
高めのとんでもないボールを空振り
審判「ストライクッ!」
中田「クソッ…」
稲葉「翔…熱くなるな…!さっきのインコースのボールで……」
中田「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ブーンッ
実況「あああーっと!3球目はワンバウンドした球を振ってしまいました!」
ズバンッ
審判「ストライクーークッバッターアウッ!!」
実況「中田2アウト2塁の場面で空振りさんシーン!!!!!!」
中田「…チッ……」
金子「フフッ」
実況「これがオリックスのエース金子!変幻自在の変化球と針の糸を通す制球力で中田を手玉に取りました!」
斎藤「…結局無得点か」
吉川「さっ、行ってくるか…これ以上失点しないようにな」
斎藤(金子から2点を取るのは厳しい…だからこそこれ以上の失点は許されない)
バカーーーーーンッ!!
吉川「……」
大野「…」
高橋「……マジかよ」
実況「入ったアアアアアアアアアアアアア!!高橋のソロホームランでオリックスが更に1点を加えます!」
黒木「くっ…また変化球が浮いて……!」
栗山「吉川は今日は長くは引っ張れん…初戦ではあるが中継ぎを…」
黒木「は、はい!すぐに準備させます」
黒木「おい斎藤!……ってあれ……あいつどこに行ったんだ……?」
その後、調子の悪いなりにオリックス打線を躱し2回の攻撃を1失点で抑えた
吉川「………ハァ……ハァッ……」
回は進み6回の表
オリックスは4回にも1点を加え4対0とファイターズを突き放した
マウンドの吉川は先頭のヘルマンと2番の平野に連続四球を与え
ノーアウト1、2塁のピンチを迎える
実況「そしてこの絶好のチャンスに3番糸井!」
栗山「……ここまでか」
プルルルッ
黒木「あっ…ブルペンから電話です」
ガチャッ
斎藤「監督、いつでも投げれます」
黒木「さ…斎藤……!?」
ついに主人公が
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
黒木「か、監督…勝手に斎藤がブルペンに入って投げ込んでいたみたいです」
栗山「なんだと?リリーフは増井にいかせるはずだったが…」
黒木「どうされますか…斎藤か増井」
栗山「……」
黒木「…ここで未知の斎藤に託してみるのもチャンスかもしれません」
黒木「次の1点が入ればほぼ流れはオリックスです…ここで断ち切るしかありません」
栗山「しかし…斎藤はまだ……」
黒木「監督!ご決断下さい…あいつは腐っても甲子園優勝投手です」
黒木「ここぞというピンチ、幾度となく切り抜けたはず」
栗山「………」
審判「タイム」
金子(投手交代か…)
実況「あーっと!ここで栗山監督がタイムを取りました!投手は恐らく…増井ですかね」
スタスタ
黒木「…来たか」
栗山「何も言うことはない、自分の投球をしてこい…!躱そうと思うなよ」
黒木「ああ、キャンプでの力を出せば十分通用する!」
斎藤「オリックスに傾いてるこの流れ……僕が断ち切ってきます」
フゥっと大きく深呼吸をしベンチを飛び出た
アナウンサー「ピッチャー…吉川に代わりまして……斎藤……斎藤」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
実況「…さ……斎藤です!!!!リリーフ斎藤です!!」
小走りでマウンドへ向かう斎藤
黒木投手コーチからボールを受け取り
斎藤「…」
黒木「ないとは思うが一応送りバントも想定しておいてくれ」
大野「はい」
稲葉「斎藤くん、任せたぞ」
西川「俺のところに飛んできたら必ず止めるんで、安心して投げてください」
斎藤「…ありがとう……バックは皆さんに任せます」
大野「……よし……行くぞ……!」
斎藤「はい…!!!」
ワーワー
斎藤(マウンドに立ってみたけど…これがプロの世界……)
斎藤(甲子園の歓声の中で投げてたから、これぐらい平気かと思ったけど…別世界だ)
斎藤(未来の僕はこんな大舞台で投げていたんだ…きっと精神的にも負担がかかってただろうな)
審判「プレイッ」
斎藤「だけど……今は目の前の打者を打ち取るだけだ……!!」
ビシュッ
糸井「…!」
パンッ
審判「ストライクーーーッ!」
審判「膝元に145kmのストレートが決まったァ!」
大野(良い球だ……!キャンプ中から思ってたけど…お前本当にあの斎藤なのかよ…!)
―観客席―
子供「やったぁ!斎藤選手のストレートが決まったぁ!」
子供B「あんなんマグレや、どうせすぐ崩れるで」
子供「そんなことないよ…斎藤選手はきっと抑えるよ…」
子供B「何回もあいつに期待させられて裏切られてきたやろ?」
子供「それは……」
子供B「プロは結果が全てやで、あいつは今まで結果出さずに裏切ってきてたやん」
子供B「どうせ、糸井に打たれて4番のペタンコートでジ・エンドや」
子供「…そんなことない…!僕は斎藤選手を信じる!」
子供B「フン、呑気な奴やな。栗山もなんでここで斎藤なんか起用すんねん」
糸井(綺麗なストレートだな…145km以上に感じた…だけど打てない球ではないな)
大野(良いぞ…変化球を使わなくてもこのストレートだけで十分通用するかも…)
黒木「監督…!やっぱりストレート自体は良さそうですね!」
栗山「相手は糸井だ…すぐに対応してくる」
斎藤「…フシッ」
ビシュッ
糸井「……(ピクッ」
ズバンッ
審判「ボール!」
大野(アウトコースのクサイところに手を出して来なかったな…何を待ってるんだ…)
斎藤「ふぅ…手を出してくれればラッキーだったんだけど…」
実況「1ストライク1ボール!糸井まだ手は出しません!」
ビシュッ
糸井「……っと」
審判「ボール!」
大野(変化球には全く手を出さないな……ストレート待ちか……?)
大野(もう1度変化球で空振りを取ってみるか…恐らく反応できないはずだ)
斎藤「…っす」
斎藤、振りかぶり
ビシュッ
ククッ
糸井「……っ……変化球か……!」
大野(よし…打ち取った!)
しかし、糸井は超高速で反応をし読み外れた変化球を弾き返す
カァーンッ!!
斎藤「なっ……!!!!」
強烈な打球が1、2塁間を襲う
糸井「…抜けた………っ……!!」
パァーーーーンッ
稲葉「………」
西川「!」
実況「い、稲葉ーーーーーー!!!強烈なライナーを横っ飛びでキャッチ!!」
実況「すかさず起き上がりタッチ!」
審判「アウッ!」
実況「飛び出していた平野はアウト!ダブルプレーです!!」
「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
斎藤「い……稲葉さん……」
稲葉「斎藤くん、これで2アウトだ。落ち着いてあと1つ取ろう。」
黒木「さすが稲葉…!この状況をプレー1つで変えてくれた……!!」
栗山「まさに言葉ではなくプレーで示してくれる男だ」
斎藤「2アウト………」
大野(よーし…気抜くなよ……まだアウト1つ残ってるんだしな)
実況「2アウト2塁の場面で打席に再び4番ペタンコート!」
実況「今日は2打席連続で三振と良いところがありません!!」
ペタンコート「フンフンフンフーンフーン」
大野(正直この場面の助っ人打者が一番怖い…一発も当然あるしな…)
斎藤「……抑える……絶対に………僕が抑える……」
斎藤はこのピンチの場面で怯むどころかより気迫を増した
シュッ
実況「斎藤、ペタンコートに対して投げた!」
ペタンコート「イキマスヨォ」
カァーーーーーーーーーーンッ
斎藤「……!!」
審判「ファーール!」
実況「…れ、レフトポールの僅かに外をいきました!大ファールです!」
黒木「あ…あぶねぇ……」
大野「今日初めて失投したな…やっぱりこの場面で緊張してるんだな…」
斎藤(ゾクゾクッ)
斎藤(面白い…これがプロ……やっぱり僕はまだまだ投手として未完成だ)
斎藤(甲子園を優勝して…もう敵がいないだなんて思ってたけど…上には上がいる)
ベタンコート「ハーリアップ」
実況「仕切り直して、斎藤!ベタンコートに2球目を投げます!」
パァーンッ
審判「ボウッ!!」
実況「おおっと、これは高めに大きく外れました!!」
大野(力抜け…!入りすぎだ!)
斎藤「…フゥッ……そうだ…落ち着け……落ち着け…」
中田「(クッチャクチャッ」
斎藤「…うおおおおお!」
ビシュッ
ベタンコート「…」
審判「ボールッ!」
実況「これもまた外れました…!斎藤どうやら力みが取れないようです」
大野(ダメだこりゃ…無理もないこんな場面だし力も入るよな…)
斎藤「抑える…抑える…抑える抑える抑える抑える抑える抑える抑える(ブツブツ」
カァーンッ
ベタンコート「…」
審判「ファールッ!!」
実況「ファール!これで2ストライク2ボール!平行カウントです」
黒木「ベタンコートのやつ…斎藤にタイミングがあってきてますね」
栗山「ああ…吉川の時に比べて苦にしていないように感じる」
斎藤「……うっ」
ビシュッ
審判「ボールッ!!」
実況「指に引っかかったんでしょうか、これもワンバウンドでスリーボール!」
大野(フルカウントにはしたくはなかったけど…ここまで来ちまったか)
斎藤(はぁはぁ……ダメだ……どうしても思ったところにボールが……)
黒木「変化球で仕留めようとしてますが…決まりませんね」
栗山「躱す投球をしている余裕はあいつにはないはずだ…!」
斎藤「……やっぱり……僕はプロ相手だと通用しないのか……」
斎藤が諦めかけていたその時、ライト方向からなにやら視線を感じた
チラッとライトへ視線を走らせると
大谷「……(グググググググググッ」
子供B「大谷がストレートの握りしてんで!なんやあれ!」
子供「さ、斎藤選手に向けてしてるんだよ!!」
斎藤「……大谷……お前……」
実況「何でしょうか…大谷がマウンドの斎藤へ向けてストレートの握りを見せているのでしょうか」
大谷(斎藤さん……逃げの投球はいらない……ストレートです)
斎藤「……ありがとう…大谷………僕は……もう逃げない……!!」
渾身のストレートをベタンコートへ向けて投げた
実況「さぁどうだ斎藤!!!!!」
大野「ど…ど真ん中……!!」
ベタンコート「アザース」
ベタンコートはバットの芯で斎藤のストレートを捉える
カッ
ベタンコート「……イケや……!!!」
ベキバキボキッ
斎藤のストレートの球威に負けベタンコートのバットが砕けた
大野は慌ててボールをキャッチ
審判「ストライクーーーーーバッターーーアウト!!!!」
黒木「や…やりましたよ監督…!!あいつ…最後の最後であんなストレートを隠し持ってたのか!」
球速表示には149kmと表示されている
斎藤「………王子ストレート……!」
斎藤(そう何回もあの球は使えないな…体力の消耗が激しい…指の皮がえぐれそうだ)
ベンチに戻る際ナインからバシバシと背中を叩かれた
陽「ヒヤヒヤしたYO!でもやっぱり斎藤はすごいYO!」
西川「俺、後ろで見ててすっごい燃えましたよ!さすが斎藤さん!」
大谷「さすがです…斎藤さん」
斎藤「ありがとう、みんながバックについてくれて投げやすいよ」
ポンッ
中田が背後から斎藤の背中をグラブで叩いた
中田「よくやった、後は俺ら野手に任せとけ」
斎藤「中田…」
中田「お前に黒星はつけさせん、白星を何がなんでも付けさせたる…」
稲葉「ああ、まだこっちの攻撃は残ってる…!」
実況「試合終了~~~~!!!!!見事にファイターズが劇的なサヨナラヒットでオリックスを下しました!」
平野「マジかよ…」
サヨナラヒットを打ったのは…大谷だった
実況「さぁ大谷だ!!大谷がお立ち台に!!大谷だ!!さぁ大谷が来る!!!」
実況「んっん…!?あーーー、斎藤と大谷です!!」
記者「ヒーローインタビューヒーローインタビュー今日のヒーローは斎藤選手と大谷選手です」
ファン「ワアアアアアアアアアア」
大谷「…」
記者「まずは大谷選手!サヨナラヒットを打った時どんな感触でしたか?」
大谷「とにかく自分で決めようと考えていたので…決めれて良かったなと思います」
大谷「何よりその場面まで繋いでくれたチームの皆さんに感謝したいです」
記者「ありがとうございます!それでは続いて斎藤選手です!」
斎藤(これが……プロのお立ち台……・)
記者「さぁ斎藤選手、今日は中継ぎで登場しながらも見事にピンチを救いました」
記者「あの場面どんなことを考えていたんでしょうか?」
斎藤「えっと…あの……とにかく精一杯自分の力を出そうと思いました」
記者「最後ベタンコート選手へのストレート…素晴らしい球でしたね」
斎藤「はい…とにかく逃げずに投げようと思って投げました」
記者「ありがとうございます!さすがは甲子園優勝投手ですね…」
斎藤「僕は……甲子園優勝投手じゃないです」
記者「え?」
斎藤「ファイターズの優勝投手になります……!!!!応援よろしくお願いします!!」
観客「ワー サイトウー ヨクイッター オウエンスルゾー」
子供「斎藤選手かっこいい!僕はずっと応援するよ!!」
子供B「斎藤~~~!!ナイスピッチングや!今日からお前がハムのエースや!!!」
子供「…」
斎藤(田中……僕はまだ君には追いつけない…だけど、必ずこの世界で実績を残して君と投げ合いたい…!)
……
…
黒木「さ…っ……斎藤を中継ぎから先発に!?」
栗山「ああ、たった1試合だが…これからそれで試してみる」
黒木「それは嬉しいのですが…どうでしょうか…やはり早すぎるってことはないですよね」
栗山「不思議なもんだ、あの斎藤がキャンプから突然変化するなんて…何が起きるか分からないもんだ」
黒木「………」
「今日は日ハムの斎藤選手がリリーフで登場し見事ピンチを切り抜けお立ち台へ」
「お立ち台の上でも優勝投手を宣言しファンを湧かせてくれました」
「続いての試合は……」
ピッ
田中「……斎藤……這い上がって来いよ…」
前編 完
後編…交流戦、クライマックスシリーズ編
終わりです
支援ありがとうございました
転載元
高3斎藤祐樹「ここは………2014年…………!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1417421658/
高3斎藤祐樹「ここは………2014年…………!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1417421658/
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コメント一覧 (109)
-
- 2014年12月02日 00:13
- YOが適当すぎる、訴訟
※7
ガタイよくないし高校の時点でフォームが固まってたから伸びしろはないだろうとは言われてたから厳しいかも
ただ今よりはマシだったろうな。そもそもの始まりは一番良い時期を怪我で棒に振ったことだし
-
- 2014年12月02日 00:13
- 吉川とさいとう同い年なんだよなぁ…
-
- 2014年12月02日 00:16
- やめーや
-
- 2014年12月02日 00:20
- それでも、来季は復活して12-5ぐらいやってくれると信じてるで
-
- 2014年12月02日 00:26
- タイムスリップでも起きん限りさいてよ再起ない言うてるようなもんやで
-
- 2014年12月02日 00:26
- 翔さん年上の斉藤にタメ口はいかんでしょ
あと吉川と斉藤は同い年だから敬語を使うのはおかしいとかいろいろあるけどSSだしまあいいや
-
- 2014年12月02日 00:29
- 中田は斎藤より先にプロ入ったからタメ口なんだろ
-
- 2014年12月02日 00:30
- ホークス相手に五回一失点とかやったから、唐川みたいになるかもしれない。
-
- 2014年12月02日 00:30
- なんj民もタイムスリップしてんじゃねーかw
-
- 2014年12月02日 00:32
- そもそも吉川と斎藤は同級生だよな‥‥??
-
- 2014年12月02日 00:42
- 面白かった。
-
- 2014年12月02日 00:45
- ただのパワプロサクセスだった
-
- 2014年12月02日 00:46
- あかんでしょ
-
- 2014年12月02日 00:49
- カイエン乗ったら開花するんちゃう?
-
- 2014年12月02日 00:49
- まぁ良かった
-
- 2014年12月02日 00:50
- いい加減、もう許してやれよ……。
-
- 2014年12月02日 00:51
- いや中田は本当に先輩にタメ口使ってるよ
-
- 2014年12月02日 01:04
- 中田は清原と金本と稲葉と大阪桐蔭OB以外はタメ口使ってそう
-
- 2014年12月02日 01:17
- CS出場を決める試合で好投してたし、エースにはなれなかっけど戦力としては十分やって行けそう
-
- 2014年12月02日 01:18
- 中田後輩の癖に偉そうだなwww
-
- 2014年12月02日 01:29
- 野球全然知らんけど普通に楽しんで読めた
-
- 2014年12月02日 01:33
- これからもネタ選手として精々頑張ってください
-
- 2014年12月02日 01:49
- 生き返れさいてょ!
-
- 2014年12月02日 01:54
- タイトルだけで胸が痛い
-
- 2014年12月02日 01:56
- メジャー入りだけじゃなく、同じ時期(2006年)にブレイクした元アイドルの嫁さんがいるという・・・現実は非常である
-
- 2014年12月02日 02:28
- 野球の事わからないことだらけだけど、カイエンssは何故か見てしまう
-
- 2014年12月02日 02:51
- 大学で遊んだ分のツケじゃないのかなー
もっと頑張ってくれればいいけど
-
- 2014年12月02日 02:52
- てょの復活劇なんて今現在SSにもならんのだろうけど、この切り口は酷いと思った
どうせなら不謹慎系の方がまだマシ
-
- 2014年12月02日 03:18
- 元々力の足りない技巧派なのに何故バットをへし折る・・・
-
- 2014年12月02日 03:44
- ※38
もしかして…ボールとバットの正面衝突でバットが折られたとか思ってるんか…?
ミートするポイントをずらされた、つまり打者の予想以上に鋭く曲がる変化球だったってことなんやで(震え声)
-
- 2014年12月02日 03:59
- ※34
リア充爆発しろ
-
- 2014年12月02日 04:42
- 夢落ちENDかと思ってたけどちゃうかった
-
- 2014年12月02日 05:22
- これ本人に読ませたら奮起するんとちゃうか(鼻ホジー)
-
- 2014年12月02日 05:37
- ミランダの死神ネタは面白かったけど酷い出来だった
-
- 2014年12月02日 05:38
- 色々な面で適当すぎて途中で読むのやめてしまった
初めてだわ、こんな糞SSに当たったのは
-
- 2014年12月02日 06:10
- タイトル見ただけで辛くなった…
-
- 2014年12月02日 06:31
- まぁ田中と比べるのと
ちょっと言動がアレなだけで
能力的には中の中くらいなんちゃうん?
-
- 2014年12月02日 08:28
- 何を基準にして見て中の中なんだよ
わかり辛すぎるわ(笑)
-
- 2014年12月02日 09:04
- 足腰関係突っ込まれてたのにまったく鍛えなかったしなあ
ネタで輝いてるからまあいいんじゃない?
-
- 2014年12月02日 09:49
- どうしてこうなった
斎藤ほんとにどうしてこうなった
-
- 2014年12月02日 09:54
- 一場のと似てるやんけ
-
- 2014年12月02日 10:11
- 昔の方が強いってな…
-
- 2014年12月02日 10:23
- やめたれ マジで
-
- 2014年12月02日 11:11
- 地味に今季は勝ち越してるんだけどね。侍ジャパン戦も見事な完封リレーだった
-
- 2014年12月02日 11:29
- 大卒はそもそも不良債権多いからな。
ただの大卒としてならなかなかの成績だったりする。
なかなかではダメな立ち位置だから結局ダメという烙印を押されるんだけど
-
- 2014年12月02日 11:29
- 酷使されないために大学行ったのに、行った瞬間に酷使する監督に替わったのが可哀想だった。結果論だけど、プロ入ってたら良い投手にはなったはず
-
- 2014年12月02日 11:47
- ※55
なわけねーだろ
-
- 2014年12月02日 12:32
- この作者は野球を知らないね。大谷君のフォームは綺麗ちゃうわ。
-
- 2014年12月02日 13:33
- 炎上王子が第二の野球人生でどんな炎上劇場を見せてくれるのか楽しみです。
-
- 2014年12月02日 15:44
- ビッグマウスやらでネタにされてるけど
早稲田っつーブランドでて年収もそのへんのやつの何倍ももらってるから
-
- 2014年12月02日 15:50
- ぶっちゃけドラフト1位の選手が全く活躍しなかった事なんて別に珍しくもないけどな
寧ろ下位の方が活躍する場合が多かった筈
-
- 2014年12月02日 16:12
- これは斉藤ファンが書いた、ifの活躍する斉藤とみせかけて実は
お前も練習すれば活躍出来んだよ、変なテレビ出てないで練習しろ
っていう巧妙なさいてょdis
-
- 2014年12月02日 16:23
- 存在を抹消された小谷野と大引………
-
- 2014年12月02日 17:09
- ※57
あれが汚いんだったらNPB投手全員綺麗じゃないなw
-
- 2014年12月02日 17:20
- 今さらカイエン青山とか
すぐにプロ入ってればな…うん
-
- 2014年12月02日 18:06
- てょとマーの中身が入れ替わったssあったけどあれって完結したっけ。続きが見たい
-
- 2014年12月02日 18:09
- 斎藤完全復活を願う
-
- 2014年12月02日 18:28
- 斎藤は所詮カイエン青山
天狗になった奴はとことん堕ちる‼︎
今年25勝するんじゃなかったのw
-
- 2014年12月02日 18:37
- 優しい世界
-
- 2014年12月02日 18:52
- いまだに現実が見えずに練習ほとんどせず目標20勝とか言っちゃうさいてょほんとすこ
-
- 2014年12月02日 19:40
- 斎藤がんばれ
挫折から復活できるやつはドラマになる
-
- 2014年12月02日 19:40
- てょの成績ってドラ1だけで比較しても決して悪すぎるわけじゃないんだよなあ
ただ期待値の高さとライバルとされた相手が余りに桁違いだった
-
- 2014年12月02日 21:39
- べタンコートとかいたな・・(遠い目)
-
- 2014年12月02日 21:40
- あの成績でこんなに愛される投手がいただろうか
-
- 2014年12月02日 22:56
- 負け投手は平野かw
-
- 2014年12月02日 23:30
- まぁ君らなんJ民でもないしYahoo基地民程度の民度やから知らんでも仕方ないが、大学時代の斎藤の酷使のされ方しったらチビるで
先発中2日で130球とか週3回先発とかほいほいやらされててあれで壊れないわけがない
もし大学行ってなかったら活躍したとまでは言わんが、大怪我はしなかった
-
- 2014年12月02日 23:44
- さいとうがんばれ
応援してるから
-
- 2014年12月03日 00:18
- てょのこといまだにカイエンとか呼ぶやついるんだな
FFしかでてこん
-
- 2014年12月03日 09:49
- YO is YO
本当に斎藤復活してくれよなー頼むよー
-
- 2014年12月03日 09:57
- 糸井「さいとう………はじめてみるとうしゅだけど、ゆだんしないぞ」
-
- 2014年12月03日 10:47
- どうせなら大学行かずにプロ入りした√が良かったな
-
- 2014年12月03日 11:01
- 子供B手のひらクルクルしすぎじゃないですかねえ
-
- 2014年12月03日 15:23
- まぁここにコメしてる誰よりも生涯年収高いんだけどな
-
- 2014年12月03日 18:40
- やめてくれよ・・・(絶望)
-
- 2014年12月03日 21:14
- 契約更改のニュース見たわ
タイムリー
-
- 2014年12月04日 13:46
- 毎年10勝10敗ぐらいのレベルで十年ぐらいやれると思ってたけどなあ
-
- 2014年12月04日 14:23
- 陽がなんでラップ口調なんだYO
-
- 2014年12月04日 15:11
- 五輪でフライ取り逃がして海外野球に飛ばされたっGG佐藤の話はやめろ
-
- 2014年12月04日 20:42
- またオリックス平野劇場か、壊れるなぁ
-
- 2014年12月05日 09:31
- ベタンコートが強打者みたいに扱われてて草
現実は非情である
-
- 2014年12月05日 23:24
- チームメイトと普通にコミュニケーション取ってるだけでも大違いなんだよなぁ
-
- 2014年12月06日 03:14
- 下手なお涙頂戴より泣ける
-
- 2014年12月06日 14:19
- ※77
GGの場合は毎年銭闘しまくってたからそりゃ嫌われるわ
※85
100勝できるとかかなりレベルの高い投手しか無理だぞ
例えば能見とかでも無理っぽいし
-
- 2014年12月06日 19:39
- 打ちのめされて挫折して、どん底に落ちたからこそ這い上がった時どうにもならない怪物になると信じてる
俺はいつまでも信じて待ってるよ
-
- 2014年12月06日 23:13
- ※75酷使されたのは知っとったけど、ここまで酷いとは知らんかった…
壊すために投げさせてるようなもんじゃん…
-
- 2014年12月08日 15:46
- 高卒から即プロ行ってれば、ローテーション投手にはなれてたと思うんだけどな
怪我でキャリアを壊す選手を見るのはどのスポーツでも悲しいな
-
- 2014年12月14日 10:22
- みんなあの頃の斎藤をもう一度見たいんだなw
-
- 2014年12月18日 19:15
- パワポケ5じゃねーか
-
- 2015年03月12日 15:24
- なんかパワプロ風だね。>斎藤「僕は持ってますから(ニコッ」 ←パワプロの猪狩に被って見えた。まぁ画面下にパワプロの広告があったからかもしれないけど。
-
- 2015年09月24日 00:12
- ※95
成瀬みたいになりそうやね(ニッコリ)
どうせ20代後半で急速劣化や…
-
- 2015年10月30日 12:40
- 敬語はプロ年数より年…
チームによって違うんかな?
-
- 2015年11月17日 15:14
- 吉川と斎藤って同学年じゃね…?
-
- 2015年12月20日 15:56
- こいつはもう浮上できないだろうし
終わった存在なんだから、そっとしといてやれよ
-
- 2016年01月11日 21:10
- にわかですまんがさいてょの境遇ってジョジョ7部のジョニィに似てるよな
さいてょもジャイロみたいな友達作ったらワンチャンあるかもしれない
-
- 2016年02月17日 19:01
- てょが見たら憤死確実
-
- 2016年08月02日 19:13
- 早稲田で酷使されて壊れてフォーム可笑しくなって全部そこからやね
高卒でプロ入ってれば流石にドルオタレベルは厳しいだろうがローテの一員にはなれただろうな
-
- 2016年11月01日 00:38
- なお現在大谷が
-
- 2018年07月18日 17:55
- だけどそうはならなかった。ならなかったんだよ
-
- 2019年08月15日 20:47
- やっぱ若いうちに成功しすぎるのもダメなんだな。終わりを見てしまうんだよ
-
- 2021年10月01日 12:15
- さいてょ引退と聞いて。
お疲れ様やで。