響「闇のゲーム?」/響「さあ…ゲームの時間さァ」
はいさい!みんな元気か―? 自分はいつも元気いっぱいだぞ!
自分、我那覇響 765プロってとこでアイドルやってるんだ
仕事は……まだ少ないけど、いつかきっとトップアイドルになってみせるからな!
今は同じような志を持った仲間たちと一緒に日々努力してるさ~
響「みんなー!自分と一緒にお昼しないか?今日はサーターアンダギーたくさん持ってきたんだ」
春香「……チッ」
千早「いきましょう、春香」
ガチャ、バタン!
響「うぅ……」
響「あっ、や、やよいはお腹空いてないか? ほら、サーターアンダギーどうかな…」
やよい「うっうー…わ、私は…」
伊織「やよいー、今日は私と一緒にお昼食べるって約束よねー?」
やよい「あ…うっ…でも」
伊織「そんな薄汚い油の塊よりよっぽど美味しいもの食べさせてあげるわよ」
伊織「それとも何?この伊織ちゃんの言うことが聞けないっていうの?」
やよい「うっうー、そんなことないけど…」チラッ
響「や、やよい……自分は一人でもなんくるないから、伊織と一緒に楽しんでくるといいさぁ」
伊織「ほらやよい、行きましょ。何だかここ空気悪いし」
ガチャ…バタン!
響「…なんくるないさぁ」
律子「気が付いたらもう一時近くね。そろそろお昼にしましょうか」
響「!ねえ律子、よかったらこれ…」
どたぷ~ん
響「うあっ…!」
あずさ「律子さ~ん、私この近くに美味しいお店見つけたんですけど~よかったらご一緒しませんか~?」
響「あ…あずささん酷いさー!急に後ろからぶつかるなんて」
律子「いいですね。でも行き方覚えてるんですか?」
あずさ「大丈夫ですよぉ~私に任せてください~」
響「無視しないでほしいぞ…」
小鳥「はいはーい、私も行きます!美味しい店なら私も行きたいです!」ピヨピヨッ
律子「小鳥さんは 駄 目 です」
小鳥「ピヨッ…」
律子「今やってる仕事、午後までに片付けておいてくださいって言いましたよね?」
律子「それが終わるまで休憩は無しです」
小鳥「そ、そんなぁ…」
律子「私たちが戻るまでには終わらせておいてくださいね。それじゃあ」バタン!
小鳥「う…ううっ、酷わ…あんまりよ。私だけ仲間外れにして」
小鳥「…コンビニにからあげクンでも買いに行こうっと」ガチャ
響(結局最後まで無視されっぱなしだったぞ…)
響「もういいや…一人で食べよ」
響「……」モグモグ
響「…おいしいさぁ」
コトッ
響「?」
雪歩「お茶ですぅ」
響「ゆ、雪歩…」ジワッ
響「あ、ありがとう雪歩、自分…」グスッ
雪歩「何で泣いてるの?それより早く飲んで感想を聞かせてよ」
響「うっ…そうだな」ゴシゴシ
響「ありがたくいただくぞ、雪歩の淹れてくれたお茶」ゴクゴク
雪歩「……」
響「ん、なんだかこのお茶変なとろみがあるな…」
響「って、ぶっへぇぇなんだこれぇ!苦くてピリッときたさぁ!」
雪歩「ぷっ…うふふ」
響「うげぇぇ、舌がヒリヒリする…」
雪歩「緑茶に青汁の素と練りわさびを混ぜてみたんだけど、どうだった?」
響「なんで…」
響「何でこんなことするのさぁ……自分、何か悪いことしたか?」
雪歩「……」
響「ねえ雪歩、答えてよ…」
ガチャ
真「雪歩、まだこんな所にいたんだ」
雪歩「あっ、真ちゃん」
真「春香と千早が待てるよ。早くご飯食べないと、昼休み終わっちゃうよ?」
雪歩「ごめんなさい、すぐに行きますぅ」
デサーキョウノレッスンチュウニネ
アハハ、ソンナコトアッタンダァ~
響「……」
響(いいなぁ、自分もあんな風に笑いあえる友達が欲しいぞ)
自分、765プロに来てからずっとこんな調子さぁ
入った時から周りに馴染もうと、皆と仲良くなろうと努力してるんだけど
何故か皆自分に冷たいんだ
……なんでだろう?
もしかして、自分があの悪名高い961プロから移籍してきたからなのかなぁ
でも、仮にそうだとしても腑に落ちない点が一つあるぞ
だって961プロから移籍したアイドルは自分の他にもう一人…
ガチャ
貴音「…響」
響「たかねぇ…」
貴音「……」
響「貴音、お昼は」
貴音「もう済ませました」
響「そ、そっか…」
貴事「特に用が無いのなら私は行きます」
響「あっ…ま、待って!待ってほしいさ」
貴音「何か?」
響「あぅ……えっとー…」
響「自分、自分はもっと貴音と仲良くしたいんだ。だから…」
貴音「何故そのようなことをする必要があるのです?」
響「それは…!貴音は…自分と一緒に961プロから移籍してきた仲間だし」
響「貴音だって、一人でいることが多いじゃんか…」
貴音「知っての通り、私は一人でいることが好きなのです」
貴音「それに、私は皆と最低限の意思疎通は図れています。あなたと違って」
響「うっ…」
貴音「では、これで失礼させてもらいます」
キィィ…バタン
響「……うっ…う゛ぅ…グスッ…どうして……どうしてさぁ」
貴音は961プロ時代からずっとあんな感じさぁ
いつも一人でいて月を眺めてることが多かったし、正直何考えてるか分からない
会話もほとんど仕事の話しかしなかった覚えがあるぞ
でも961プロにいた時は黒井社長の方針で極力他人と話さないようにしてたから、
こういうのも仕方ないと思ってたんだ
だからこそ、765プロに移籍した時はこれでやっと貴音と普通に話せる
貴音の他にも仲間が出来るって喜んだんだけどなぁ……
響「むぐっ、もうお腹一杯さぁ」
響「はぁ~…持ってきたサーターアンダギー、無駄になっちゃった」
自分以外誰もいない、がらんどうな事務所はまさに今の自分の心そのものさ……
響「暇さぁ……まだ休憩終わるまで結構時間あるし」
響「……そうだ。こういう時はあれをやるに限るね」ゴソゴソ
みんな、突然だけどここでクイズだぞ!
今自分が取り出した箱の中身、これなんだと思う?
ヒントは『見えるけど見えないもの』
さあ、わっかるかな~?
……ん~言い方が悪かったかな?
正解はパズルさ!ジグソーじゃなくて、立体パズルってやつ
ほら、この黄金のピースを組み合わせることで何かが完成するみたいなんだ
えっ?その何かって何だよだって? それは自分も知らないんだ
なにせ沖縄にいたころから数えて八年間、ずっと挑戦し続けてるんだけど
未だに組み上げられないんだもん……
響「よーし、今日こそ完成させてやるからな~」
響「……」カチャカチャ
響「うーんと……ここがこうで……」
響「……う゛ぅ…ここからよく分からないんだよなぁ~」
響「……あっ?でもここをこうすれば……」
亜美「亜美パ→ンチ」ドガッ
響「わっ!」ガシャーン
亜美「な~に一人でぶつぶつ言ってんのさー」
真美「暗い指数200パ→て感じだねぇ。ただでさえ今日は雨降りでじめじめしてるってのに」
響「亜美真美か…(あうぅ、せっかく組んだパズルがバラバラになっちゃった)」
亜美「なにこれ~何かの部品?」ササッ
響「そ、そうだぞ。これは見えるけど見えないもの……えーっと、つまりパズルなんだ。ちょうど今組み立ててたところさ」
亜美「ふ~ん。こんなので一人遊びしてるなんてひびきん暗いよ→」
響「…そんなの、自分の勝手だぞ」
真美「ねーねーそんなことより真美たちの遊び相手になってよ。やることなくて退屈でさ→」
響「!喜んで……って言いたいとこだけど」
響「その前にパズルの部品をこっちに返してよ。小さいから無くしたら大変さぁ…」
亜美「やだよ→返してほしかったら亜美たちを捕まえることだね」
響「えぇ、そんなのって…」
真美「ほらほら~早く捕まえないと真美たちどっか行っちゃうよ?」ダッ
響「あっ、事務所の外に…」
【事務所裏】
響「待てー!」
真美「亜美、パ→ス」ポイッ
響「あーっ、頼むから落とさないでくれよ?」
亜美「よっと。逃っげろ~」
真美「ひびきんに触られるとひび菌がうつっちゃうかんね~」
響「……」
響(流石に今のは少しカチンときたさぁ…)
響(こうなったら本気で捕まえてやるぞ。ちょと大人げないかもだけど…)
亜美「ほーら、ここまでおいで…」
響「」ダッダッダ
亜美「あれ?速っ…」
ガシッ
響「捕まえたぞ。さぁパズルを返してよ」ググッ
亜美「ちょ…ねえ、痛いから離してよ」
響「そのパズルは大切なものなんだ…だから」
亜美「痛いってば!」
響「あぅ……わ、悪かったさ」パッ
亜美「ほら、返す」ポイッ
響「うわっと…! 投げないでよ」
亜美「全く…こんな遊びに本気になんないでよ」
真美「年下相手にマジになっちゃうなんてメチャださださって感じ」
亜美「まっ、ひびきん私たちよりチビだけどね→」
響「むかっ、背はまだまだこれから伸びるさー!」
響「……はぁ、こういうことはもうこれっきりにしてほしいぞ」
響「自分、亜美真美と遊ぶのは嫌じゃないんだぞ? でもそれならもっと普通に遊びたいさぁ」
亜美「そんなこと言われても」
真美「ねー?」
伊織「あんたたち何やってんの?」
亜美「あーっ、いおりん聞いてよ~ひびきんがさぁ」
伊織「何ですってぇ? 響、あんた子供相手に手をあげたの?」
響「ち、違うぞ!自分は…」
真美「そうなんだよね。ちょ~っとからかっただけなのにムキになっちゃってさ」
響「真美まで…」
やよい「うっうー…」
響「やよいは、やよいは信じてくれるよな? 自分そんなことしないぞ!」
やよい「ううぅ…私…」
伊織「ちょっと響!やよいが困ってるじゃないの。止めなさいよ」
響「なっ…自分はただ」
伊織「あんたねぇ、自分の立場分かってんの?」グイッ
響「いっ痛だだぁっ!!ピアス引っ張らないで…」
伊織「この私にこうやって口きいてもらえるだけでも感謝しなさいよ。本来ならあんたみたいな未開人と一緒に居るだけで反吐が出そうなのに」
響「ど、土人って……酷い」
伊織「まあいいわ。今日のとこはこれくらいで勘弁してあげる。それ持ってとっとと私の視界から消えなさいよ」
響「うぅ…分かったよ…」
真美「いおりん怖~い♪」
亜美「惨めだねぇ、ひびきんの後ろ姿」
伊織「ふん!あいつを見てると無性に腹が立ってくるのよ。自分でも不思議なくらいにね」
亜美「あっ、それ分っかる~」
真美「ひびきんって、見てると何だかいじめたくなっちゃうんだよね→」
伊織「それであんたたち、あいつから何盗ったの?」
亜美「それがね~亜美にもよく分かんないんだよ。ひびきんが言うにはパズルらしいんだけど」
真美「『見えるけど見えないもの』だっけ? 真美にはただのガラクタにしか見えないよ」
伊織「ふーん、まあ別になんでもいいんだけど。どうせなら返さなきゃよかったのに」
真美「んっふっふ~♪ 真美、今いいもの持ってるんだよねー」ゴソゴソ
伊織「?」
真美「じゃじゃーん↑実はもう一個盗ってました☆」
亜美「おおっ!真美やるぅ~」
伊織「にししっ、あんたにしてはよくやったじゃない。ちょっとそれ貸しなさいよ」
真美「いいけど、これどうするの?」
伊織「よく分かんないけどこれってパズルの部品なんでしょ?」
伊織「つまり一つでも欠ければパズルは完成しないってことよね」
伊織「だったら……こうしてやるわ!」ヒュッ
亜美「ありゃりゃ~草むらの中に消えちゃった」
真美「いおりん軍曹はまっこと鬼ですなぁ~」
やよい「伊織ちゃん……さすがにやりすぎじゃ」
伊織「構わないわよ。私をここまでイラつかせるあいつが悪いんだから」
伊織(そうよ、あいつ見てるとイライラするの。自分ひとりで空回って、そのことに気付きもしない馬鹿)
伊織(まるで昔の私を見てるみたいで胸糞悪いのよ!)
伊織「ほら、さっさと事務所に戻るわよ」
亜美・真美「はーい」
やよい「うっうー」
「くくくっ……いいネタ見っーけ……」
P「よし、今日のレッスンはここまで。みんなお疲れ様」
春香「はぁ~疲れたよぉ。ねえ千早ちゃん、帰りにミスド寄ってかない?」
千早「えぇ、いいわよ」
真「春香、ボクと雪歩も一緒に行っていい?」
春香「もちろん大歓迎だよー今日は100円セールの日なんだ~」
ワイワイワイ
響「…帰るぞ」
響(これから何しようかな…)
「ちょっとすいません」
響「ん?」
「あなた…765プロの我那覇響さんですよね?」
響(むむ、見るからに怪しいやつ……パパラッチか?)
響「そうだけど…お前誰だ?」
「あ、申し遅れました。私は『週間芸能暗黒界』って雑誌の記者をやってる者なんですが」
響(暗黒界って……ゴシップだらけで有名な雑誌じゃないか。こんなやつと関わったら何書かれるか分かったもんじゃないぞ)
響(こういう手合いは無視だ無視!)
響「言っとくけど、お前に話すことなんて何もないからな!」
記者「まあまあそうおっしゃらずに…」
響「自分帰るとこなんだ。邪魔しないでよ」
記者「話だけでも聞いてくださいよ。実は最近とある噂がありましてねぇ、その内容ってのが」
記者「765プロ内でいじめが流行っている……というものなんですよ」
響「!」ドクン
記者「…我那覇さん、何か心当たりはありませんか?」
響「じ、自分は…」ドキドキ
響「そんなこと……自分は知らないぞ」ボソッ
響「765プロは所属アイドルみんなが仲良しな、アットホームな職場さー…」
記者「ほぉ~しかしですね、こういうのは別に珍しいことじゃないんですよ」
記者「自分より売れてるやつを妬んだり、また逆に売れっ子が調子に乗って後輩をいびったりするなんてのは、この業界じゃ日常茶飯事でして」
記者「ただ、めったに表に出てこないだけでね」
響「と、とにかく自分は知らないって言ってるだろ? もう帰るからな!」
記者「ああ待って、もう少し…」
響「話は終わりさ! 家までついてきたら訴えてやるぞ!」
記者「まさか、そんなことしませんよ。お気をつけて」
響「ふ、ふん…!」スタスタ
記者(全く、分かりやすいお嬢ちゃんで助かるよ。さて、明日にでも仕掛けるかな)
【響のマンション】
響「ただいま…」
家のドアを開けると真っ先にハム蔵が
続けていぬ美にブタ太にワニ子その他自分の家族たちが嬉しそうに自分を出迎えてくれたさー
ハム蔵「ヂュウヂュー」
響「ごめんなハム蔵。本当は事務所に連れてってやりたいけど、もうトイレに流されたりするのはこりごりだろ?」
いぬ美「クゥーン、ハッハッ」
響「おお、そうか。みんな腹ペコなんだな。よし、今食事を作るから待ってろよ―?」
そうだよ、家に帰れば自分にはこんなに沢山の温かい家族が待ってるんだ
事務所で一人だからってなんくるない……はずさぁ
響「ふぅ~お腹いっぱいだぞ」
今日はいつもより張り切って夕飯作りすぎちゃったけど家族たちは残さず食べてくれた
そのせいか、満腹になった皆はいつもより早く眠りについちゃったんだけどね
響「こうなるとすることがないさぁ…」カチャカチャ
適当にパズルをいじくり回しながらため息が出た
自分が退屈な時にやることって言ったらこのパズルか編み物しかないもんなぁ
響(卓球は…相手いないし。今度新しいラノベでも探すさー)
考えてみれば自分の趣味ってインドア系のものばかりさー
でも仕方ないよね?
自分熱がりだから外出るの嫌いだったし……うん、沖縄暑かったし……あれ?
じゃあ今は?
響(……考えないことにしよ)
そういえばこのパズルも、
あまり外に出たがらなかった小さい自分におとぅがくれたんだっけ
どうせどこかのお土産コーナーかなんかで売ってたのを買い与えたんだろうけど……
それでも、死んじゃったおとぅがくれたこのパズルは自分にとって一番の宝物なんだ
響「おとぅ…兄貴…」
沖縄のみんな、東京は辛い場所だぞ
自分、トップアイドルになるまでは帰らないってタンカ切って沖縄を飛び出したけど
その前に、心、折れちゃいそうだ……
響「友達が……一緒に頑張れる仲間が欲しいさぁ……」ギュウウ
千年錐『』ゴゴゴゴゴゴゴ
チュンチュン
響「朝か……」
解きかけのパズルを握りしめたまま、気が付いたらふて寝してたみたいだ
響「…よし」
うん、大丈夫
一晩思いっきり悲しんだら、何だか気分がすっきりしたさぁ
トップアイドルになるっていうでっかい目標のためにも、こんな所でへこたれてらんないよね!
響「自分、完璧だからな」
鏡を見ながらいつもの一言
よぅし、今日こそ事務所のみんなと仲良くなってみせ……なれるといいな
【765プロ】
響「とは言ったものの、何も出来ずにお昼になっちゃったさぁ」
響(気が付いたら誰もいないし。また自分を除け者にして皆でどこかに食べに行ったみたいだ)
響「まぁいいさ。自分も今日は外に食べにいこう…」ガチャ
記者「あっ、我那覇さん」ニコニコ
響「げっ! 昨日のゴシップ記者……何の用だよ」
記者「今日は我那覇さんに是非見せたいものがあって来たんですよ。今時間あります?」
響「今お昼食べに行くとこなんだ。悪いけど…」
記者「お一人で?失礼ですが、同じ事務所の候補生の方とはご一緒しないんですか?」
響「う、うるさいなっ!そんなのどうだっていいだろ!?」
記者「すいません、無神経な質問だったようで。ちょっとだけでいいんです。お時間とらせませんから」
響「……分かったよ。そこまで言うならちょっとだけだぞ。変なモノだったら承知しないからな」
記者「大丈夫ですよぉ。きっと我那覇さんも喜んでくれるはずですから…」ニヤッ
【事務所裏】
響「こんな所に一体何があるっていうのさぁ」
記者「ふふ…ほら、あれですよあれ」
響「ん?」
亜美「あ…」
真美「ひびきん…」
伊織「……」
響「亜美に真美? それに伊織も……ここで何してるのさ」
伊織「あん……ってたのよ…」ボソッ
響「え? 聞こえな…」
記者「これを見てください」スッ
響「!この写真…」
記者「そうです、これはそこの三人があなたをいじめている現場を写したものです。昨日のことだから覚えてますよね?」
響「そ、それは…」
記者「今まで誰にも相談できず辛かったでしょうね。でも安心してください」
記者「私どもの雑誌によってこの悪事が世間に公表された暁には、必ずや正義の鉄槌が彼女たちに下ることでしょう」
響(じょ、冗談じゃないぞ。こんなの雑誌に載せられたら、伊織たちどころか765プロにとって大打撃なんじゃ…)
響「これは……ただふざけ合ってただけさぁ。そこの三人もそう言ったんじゃないかな…?」チラッ
亜美「ぁう…」
真美「……」フシメガチ
記者「そうですかねぇ、私にはとてもそうは見えませんでしたけど」
記者「この写真を見た読者の方もそう思うんじゃないですかね。見え透いた嘘はおやめなさいな」
響「…お前、こんなことして一体何が目的なんだよ」
記者「別に…ただ個人的にこういう輩が許せないんですよ」
記者「あなたこそ、どうしてこの三人を庇うんです?」
響「……」
記者「双海さん姉妹に水瀬さん、あなたたちは我那覇さんに酷いことしましたよね?」
記者「だったらすることは一つでしょ。人間的に考えて」
伊織「っ……」
真美「ひびきん、ごめん!」ドゲザー
亜美「亜美も謝る。今まで酷いことしてごめんなさい」ドゲザッ
亜美「だから…許してくれるよね?」
響「ふ、二人ともやめてほしいさぁ! 自分何もそこまで…」オロオロ
記者「おやおやぁ…一人だけまだ頭を下げようとしない人がいますねぇ」
伊織「くっ……こんな…冗談じゃないわよ」プルプル
響「伊織…」
記者「我那覇さん…彼女のこういう態度どう思います? 許せませんよねぇ」
亜美「いおりん、嘘でもいいから謝りなよ!そうすればあの写真渡してくれるって…」
真美「亜美、しっー!」チラッ
響「ぅぐ……」
記者「今まで散々酷い仕打ちを行ってきてこれですよ。傲慢にも程がある」
記者「我那覇さん、あなたも何とか言ってくださいよ。彼女たちにはこれまでずっと苦しめられてきたんでしょ?」
響「っ……くぅ」
記者(さぁ、積もりに積もった鬱憤をぶちまけろよ。罵るなり足蹴にするなりとにかく何でもいいけどよ)
記者(新しいネタを提供してくれよな。ゴシップになりそうなネタをさぁ~)
記者「ほら我那覇さん! どうしたんです? 謝らせましょうよ、このふてぶてしい女を!」
響「がっ…」
響「がああぁぁあああ!!!!」カワイタサケビ
亜美・真美「……」アゼン
記者「が、我那覇さん…?」
響(…ふぅ、ちょっとスッキリした)
響「自分、伊織や亜美真美のことは…」
響「一緒にトップアイドル目指してる同じ事務所の……仲間、だって信じてるから」
伊織(!……)
響「だからさ、亜美も真美も顔をあげてよ。伊織も、自分に頭下げる必要なんてないさ」
響「仲間同士で無理やり謝らせるとか……そんなことするなんて、ヘンじゃんか」
真美「ひびきん…」
記者「(ちっ…なんだよこの展開)…仲間内でも最低限の礼節は必要だと思いますがね」
記者「あなた方はその最低限すらなってないようでしたけど。それで仲間だといえるんですかぁ?」
響「…確かに、仲間だと思ってるのは自分だけかもね。この想いは一方通行かもしれない」
響「でも今はそれでいいよ。いつかお互いにそう思える日がくるって、自分信じてるから!」
記者「…ふん、まぁいいや」
記者「とにかく、お前たちが何と言おうが765プロ内でのアイドルいじめがあったのは事実なんだよ」
響(こいつ、急に口調が…)
記者「しかも加害者のうち二名が今売出し中のユニット、竜宮小町のメンバーときた。これじゃせっかく出来たファンも幻滅するよなぁ」
響「や、やめろっ!」
響「竜宮小町は765プロ初の売れっ子アイドルになるかもしれないんだ! 弱小事務所の自分たちにとっては希望の星なんだよ!」
響「今はそのための大切な時期なんだ。頼むから見逃してくれよ、この通りさぁ!」ドゲザッ
記者「ほぅ…」
亜美「ひびきん…」
伊織「なんで…」
伊織(やめてよ……やめなさいよ……何で、何であんたが頭下げてんのよ?)
記者「まぁ俺も鬼じゃないからね、条件次第で考えてもいいよ」
記者「そうだなぁ、口止め料として……一人頭ざっと200万ってとこだな」
響「なっ…やっぱりお前金が目的で…!」
記者「ははっそりゃ当然でしょ。こっちだって生活がかかってるんだからさ」
真美「真美たち四人で800万円……大金だよ」
記者「今までの稼ぎを合わせれば何とかなるんじゃねえの? 水瀬財閥のお嬢サマもいることだし」
伊織「っ……!」
伊織(ふ、ふざけんじゃないわよっ!どいつもこいつも…こんなゲス野郎まで水瀬水瀬って…私の家ばかり見て!)
伊織「ふ響「ふざけるなぁ!!」
響「最初からそのつもりで自分に近付いたんだな!」ダッ
伊織「響?」
響「こいつ、一発ぶん殴って…」
記者「おっと」バッ
ズシンッ!
響「がなはっ…!」
亜美・真美「ひびきんっ!」
伊織「ちょ…あんた何やってんのよ女の子相手に!」
記者「めんごめんご、向かってくるもんだからつい投げちった。こう見えても昔柔道やっててさ(白帯だったけど)」
響「く、くそっ…」
記者「じゃ俺そろそろ行くわ。金、早いうちに用意しとけよ? 写真載せられたくなかったらさ。ははは!!」
響「う゛ぅ……」
響・伊織・亜美・真美「…」ズーン
響(空気が重いぞ…)
真美「ね、ねえ…」
伊織「亜美、真美、行くわよ」
亜美「え?……で、でも…」
伊織「この後レッスン入ってるの忘れたの? 遅れちゃうじゃない!」
亜美「あぅぅ…分かったよぅ」
真美「……」チラッ
タッタッタッ…
響「…自分もいかなきゃ」
その後は散々だったぞ
あの写真の事が気になって、全然レッスンに集中できなくてミスを連発しちゃうし
プロデューサーにはやる気あるのかって怒られるし、他のみんなの視線が痛かったさぁ
伊織たちは自分と目を合わそうともしてくれない
誰かに相談しようにも、自分にはそんな相手いないってことに気が付いたよ
そんなこんなで何も解決策が思い浮かばないまま家に帰ってきちゃった……
響「うぅ…200万なんて急に言われても…」
響(伊織は家が大金持ちだし、亜美真美は親が医者らしいから何とかなるかもだけど)
響「自分そんなにお金持ってないぞ…」カチャカチャ
響「って、また無意識にパズルいじってるよ自分。今はそんな場合じゃないのに」ポイッ
響「うがっー! どうすればいいのさー!」
響「…なにも思い浮かばないや」
響「……」
響「……」カチャカチャ
――――
響「ん……待てよ。ここをこうしてこうやって捻れば……」ガチャリ
響「や、やったぞ!半年ぶりにパズルが先に進んだ!」
響「あっ…ってことはこっちも同じようにすればはまるんじゃないか?」カチャカチャリ
響「あ、やっぱり!」
響(冴えてるっ…気分は最悪なのに、何故だか分からないけど今日の自分すっごく冴えてるぞ!)
小一時間後
ガチャリ
響「や…やった。とうとう完成だぞ…」
響(嘘みたいだ。今までずっと苦戦してたのが、たった一日でこんなスラスラと…)
響「あとは真ん中のピースをはめれば……ええっ!?」
箱『』スッカラカーン
響「最後のピースが無い? どうして…どこかに落としたのか!?」
響「嘘だろ~!? もうちょいで完成なのに…」ガサゴソ
響「みんな!この部屋のどこかにこれくらいのピース落ちてないか?」
バゥバゥヂュヂューニャンニャンブーブーナイサーナイサー
響「ここにはないだって? ……あっ、まさか!」
【765プロ】
響「はぁはぁ……やっぱり、亜美たちにいたずらされた時に…」
響「だったら、この事務所のどこかに落ちてるはず…」
響(絶対、絶対見つけるぞ!あれは…おとぅがくれた大切な…)
それからはまさに事務所ごとひっくり返しそうな勢いで探しまくったさぁ
ソファやテーブルの下、床という床を這いずりまわって
事務所中の机の引き出しや冷蔵庫の中に普段は使わないロッカーも調べて調べて調べ尽くしてやった
それなのに……
響「ない……ない……」ガサガサ
響「ここにも……そこにも……どこにもっ」ガサガサガサ
響「何で見つからないのさぁぁぁ!!」ガッシャーン
響「…なんでだよぅ」グスッ
響「う、うあ゛ぁぁぁぁ……じぶっ、じぶんどうぢてごんなめにばかり…」ポロポロ
ガチャ
亜美「ひびきん…?」
真美「何してんの?」
響「ま゛み…ぞれにあ゛みぼ…ぼばえだじごぞあんでごごに゛?」グスグスッ
亜美「うわっ…ちょっと何言ってるか分かりませんな~」
真美「まあいいじゃん探す手間がはぶけたんだし。ほら、これで涙拭きなYO」つぬのハンカチ
響「あ、あ゛りがど…」チーン
真美「真美たちね、その…あらためてひびきんに謝ろうと思ったんだよ」
亜美「亜美たちのことかばってくれたひびきんの姿見てたら、自分たちのこと恥ずかしくなっちゃってさ」
響「それは…もういいよ。写真取り返そうとしたけど結局駄目だったさぁ。あげく金まで要求されて…」
亜美「それでも!だよっ。このままじゃ亜美たちの気持ちが収まんないもん」
真美「昼間みたく強制されてするわけでもない、これは真美たち自身の意思だかんね」
亜美・真美「今までごめんなさいっひびきん!」
響「二人とも…」
真美「真美たちを許して…くれる?」
響「…うん。もちろんさぁ」ジワッ
駄目だ、自分また涙出ちゃいそうだ……
響「と、ところで二人とも、さっきから気になってたんだけど」ゴシゴシ
響「どうしてそんなに泥まみれなんだ?」
亜美「あ→これはですねぇ…」
真美「ちょっとお外で探し物をしておりまして~」
響「探し物?」
亜美「じゃじゃーん、はいこれっ! ひびきんのでしょ?」つパズルピース
響「あ……あ……」ワナワナ
響「あっりがとー!!!!だぞっ二人ともぉ~~!!!」ダキッ
亜美「うわわ!!くっ苦しいよひびき~ん!」
響「よく…よく見つけてくれたさぁ!」ギュウウウ
真美「だって…言いにくいけどそれ、元々は真美が盗んだやつだし」
響「そんなこともうどうだっていいさ!これでパズルが」
亜美「んっふっふ~♪ 驚くのはまだ早いよ」
真美「実を言いますと~それを見つけたのは真美たちじゃないんだよね~これが」
響「へ? それってどういう…」
ナーヤンデモ~シカタナイ♪
真美「おおっ噂をすれば」
亜美「うん…うん…ここにいるよ。今かわるかんね」
亜美「はい、ひびきん」つケータイ
響「電話? 誰からだ…?」
真美「でれば分かるよん」
響「もしもし…我那覇だけど」
『知ってるわよ。こっちがあんた宛てにかけてんだから』
響「その声…伊織か?」
『パズル、見つかったんでしょ?よかったじゃない』
響「そっか…これ見つけてくれたの伊織だったのか。ありがとな」
『なっ、なんでそのこと…こらぁ! 内緒にしろって言ったじゃない!』
亜美「だって~いおりんが一番泥だらけになって探してたじゃんか~」
響「というか、何で亜美の携帯に?」
『仕方ないでしょ!あんたのケータイ番号誰も知らないんだから!』
響「あ…いやそうじゃなくてさ、こんなことしなくても直接会って話せば」
『私は忙しいの!今日だって屋敷でお父様主催のパーティに参加しなくちゃいけなくて…』
真美「騙されちゃ駄目だよひびきん。いおりんはね~照れくさくて仕方ないんだよ本当は」
響「そ、そうなのか…?」
『っ~~~!!!何勝手なこと言ってんのよぉぉおお!!!!』
『もう…』
響(伊織のやつ、怒ってるのかな)
『……確かに、今はあんたと顔合わせられないわ。自分の不甲斐無さが恥ずかしくてね』
響「え? 不甲斐ないって…」
『昼間のことよ!いちいち言わせないでよね!』
響「あぅ…ごめんだぞ」
『……お金のことだけど、私がなんとかするから』
響「え?」
『アイドルとしての私のこれまでの収入と……それでも足りない分はお父様や…お兄様に頭下げてでも借りてみせるから』
『だからあんたは何も心配しなくていいのよ、響』
響「うう、伊織ぃ…」
響「その、自分なんて言ったらいいか……感謝しても感謝しきれないっていうか」
『はいストップ』
響「?」
『…あんたねえ、何か勘違いしてるみたいだから言っとくけど』
『いい? 私にありがとうなんて絶対に言わないでよね!? これは私の落ち度なのよ』
『こうでもしないと私、あんたに一生顔向けできないじゃない!』
響「伊織…」
『あーもう忙しいから切るわよ。じゃあね!』ブッ
亜美「あーあ、切れちった」
真美「いおりん、もうちょい素直になればいいのにね~」
響「…充分さぁ。今ので伊織の気持ちは自分にしっかり伝わったよ」
真美「あっ、真美たちもね~パパやママに内緒でこっそりお金持ってきたんだよ」
亜美「これで我らも飛行少女?ってやつの仲間入りですなぁ。金額的には全然足んないんだけどね…」
真美「まっ今悩んでも仕方ないって!明日また四人で考えればなんくるないさぁ~」
亜美「あははっ今の似てれぅ~」
響「ふふっ…」
ありがとう、みんな……
亜美「んじゃ!まったね~ひびきん!」
真美「バイバ→イ」
響「二人とも、気を付けて帰れよ~」
響「ふぅ……」
今日は最悪なことがいっぱいあったけど、ちょっとはいいこともあったぞ
自分、あの三人と友達になれたのかな?
双子はともかく伊織とは……まだ分かんないや
響「そうだ、とうとうパズルが完成するんだったぞ!」
震える手で最後のピースをはめ込む
苦節八年、やっとこの想いが報われる時がきたんだ…!
カチッ
響(出来た…!)
その時だったさぁ
パズルの真ん中にあるでっかい目ン玉が突然キラメキラリ輝き出したんだ
真夜中だってのに沖縄の太陽みたくギラギラ眩しい光が自分を包み込んで……
響「うぎゃああぁぁぁあああ!!!???」
それからのことは自分、よく覚えてないんだ……
――――――
―――
――
【混沌公園】
記者「ここか。待ち合わせの場所ってのは」
記者(しかし金の用意が出来たっていうから来てみたが、いくら何でも早すぎないか?)
「やぁ、記者さん…待ってたぞ」
記者「お前……誰かと思ったら我那覇響か」
記者(何だよその格好、ゴスパンクってやつか? 撮影用の衣装でも着てきたのかよ)
記者「まぁいいや…それより金だ。ちゃんと持って来たんだろうなぁ、おい」
闇響「…あぁ、もちろんさぁ」ゴゴゴゴ
闇響「金はこのケースの中さぁ。そっちも写真のネガとコピー、みんな持ってきたよね?」
記者「ああ、全部このカバンに入ってる。これ以外に複製はない」
記者(なーんてな。まだ焼き増ししたのが会社に保管してあるよーん)
記者(せっかく見つけたおいしいネタだ、稼げるだけ稼がしてもらうぜ)
闇響「オッケー、じゃあ交換するぞ」
闇響「…って言いたいとこだけど、ただ渡すだけじゃつまらないな~」
闇響「どう? 自分とゲームしてみない?」
記者「はぁ?ゲームぅ?」
闇響「そうだよ、それもただのゲームじゃない」
闇響「闇のゲームさァ」
記者「あのなあ、ゲームとか何寝ぼけたこと言ってだよお前。自分の立場分かってる?」
記者「この取引の主導権握ってんのは俺なの俺。ゴシップ記事にされたくなかったら、お前は大人しく金だけ渡せばいいんだよ」
闇響「まーそうビビんないでよ。ゲームといってもただの度胸試しみたいなものだし」
闇響「それにもしお前が勝ったら、もっと多く金を払ってやってもいいぞ」
記者「何…?」
闇響「自分が賭けるのは、このケースの中身を丸ごとさぁ」ガパッ
記者「ひょっ…これ、全部金じゃねえか!」
闇響「自分は太ッ腹だからな。お前が勝てばこれは全部お前のものさー」
闇響「でも自分が勝ったらそのカバンを無条件でこっちに渡してもらうからね」
記者(間違いなく1000万…いやそれ以上あるなこりゃ。どこでかき集めてきたかしらないが、こんなおいしい話に乗らない手はないな)
記者「…ああいいぜ、付き合ってやるよそのゲームとやらに」
闇響「ふふっ、そうこなくっちゃ」
記者「それで、どんなゲームをやろうってんだ?」
闇響「実は準備ならもう出来てるんだ。足元を見てみなよ」
記者「ん…?」
記者「うおおおおお!!?? ワ、ワニが何でこんな所に…」
闇響「紹介するぞ。こいつは自分の家族のワニ子、このゲームの主役さァ」
記者「お前のペット…? そんなやつをゲームに使うだと?」
闇響「フフ…ワニっていうのは古代エジプトじゃ神聖な生き物として崇められてたんだぞ」
闇響「でも同時に邪悪の象徴として恐れられてもいたんだ。まさに光と闇、その二面性を併せ持つ動物ってワケ」
記者(古代エジプト? 光と闇? 突然何を言い出すんだこのガキは…)
闇響「おっと、こんな蘊蓄どうでもよかったね。それじゃあ運命のゲーム、そのルールを説明するぞ」
闇響「ワニ子、開け」
ワニ子「」ガパァ
記者「げっ…」
闇響「見てのとーり、今ワニ子の口の中にはコインが何枚か入ってるんだけどさ」
闇響「ゲームはそれをお前と自分で交互に取り出していくんだ。どう、簡単でしょ?」
記者「バ、バカ言うなよ……本気でこんなこと……第一こいつの方から襲いかかって来たらどうする?」
闇響「その点は心配ないよ。こいつは今たらふくエサを食って満腹状態だから、自分からは襲わないはずさー」
闇響「それにワニってのは口が長いうえに目が横についてるせいで、口を開けると正面がほぼ死角になっちゃうんだ」
闇響「つまり、真正面から手を入れればワニ子の方から噛みついてくる心配はないってこと」
闇響「ただしワニってのは、口内に何かが触れると反射的に口を閉じちゃう習性があってね」
闇響「このゲームはワニ子の口に触れないように、いかにコインを取り出すかというゲームなんだよ」
闇響「どう? ゾクゾクしてこない?」
記者(正気じゃねえよ、こいつ…本当にあの我那覇響か?)
闇響「そう硬くならないでよねー。ただの度胸だめしなんだからさ、気楽にいこうよ」
闇響「じゃあまずは自分がお手本を見せるぞ。ワニ子、開け」
ワニ子「」ガパァ
闇響「よしよしいい子だ。御主人サマの手を噛むんじゃないぞ」ソロ~リ
記者(ほ、本気で手ぇ入れやがった…!)
闇響「ふぅ~……まずは一枚だぞ」チャリン
記者「マジかよ…」
闇響「さ、次はお前の番だぞ」
記者「っ……」
闇響「どうしたのさ、まさかとは思うけど怖気付いちゃったの?」
記者「うるさい! い、イカれてんだよそもそも…こんなキ○ガイじみたこと!」
闇響「忘れたのか? お前が勝てばこのアタッシュケースの金が丸ごと手に入るんだぞ」
記者「ぐっ……」
闇響「情けないな~仮にも男のクセに、自分みたいな女のコに負けちゃうのか?」
記者「……よ、よし分かった!やってやるよ畜生!」
ワニ子「」ジロッ
記者「うっ…」ドクン
記者(くそっ、ナメるなよ。あんな小娘に出来たんだ、俺だって…)
ワニ子「」ギョロッ
記者「ひっ…!」ビクッ
闇響「あ、忠告しとくけど事前に汗をしっかり拭き取っておくのをオススメするぞ。前にそれを忘れて…」
記者「黙ってろっ!余計なプレッシャーを与えるな!」
闇響「ハハッ、悪かったさー。お前があんまりにも汗だくになってるから、ついね」
記者「はぁ…はぁ……」ドキドキ
ワニ子「」ジーッ
記者(よ、よし…手を入れるぞ…)ソロ~
ワニ子「……」
記者(大丈夫だ…大丈夫、下手に口の中を触らなければ…)ソ~
ワニ子「……」
記者(……よし、コインをつかんだ!)
記者「っ!」シュッ
闇響「お見事、やるね」
記者「ハァ、ハァ……」チャリン
記者(ハハ…やった、やったぞ! 噛みついてこない!そうだそうだ、こんなの簡単さ)
闇響「さて次は自分の番だけど、こうしてお互い一枚ずつ取ってたらいつまでも勝負がつかないや」
闇響「だから次は自分、二枚取ってみせるぞ」
記者「何ぃ!?」
ワニ子「」ガパァ
闇響「……」ソロ~
記者(糞クソクソッ、失敗しろ失敗しろ失敗しろ噛まれちまえ…!)
闇響「ふぅ、何とか二枚とれたさぁ…」
記者(こ、このガキ、やりやがった…)
闇響「さぁどうする? 自分に勝ちたきゃ、少なくともこのターンでお前も二枚とらなきゃ駄目だぞ」
記者「や、やってやるさ……お前に出来て俺に出来ないはずは…」
闇響「ククッ、やれるもんならどーぞ」
記者(焦るな、落ち着け…さっきは成功したんだ。同じようにやれば…)ドキドキ
ワニ子「……」ガパァ
記者(うぐっ…ワニの口がまるでブラックホールみたいだぜ…)ブルブル
記者(……よし、まず一枚!……あともう一枚を…)
記者(クソッ、ここを乗りきったらお前らのこと最悪のゴシップ記事に仕立ててやる!覚悟しとけよ…)
ワニ子「」ピクッ
記者「!!」
記者(何だ? 今自分から動いたかこいつ!? でも自分からは襲わないって……嘘!!??)ドキドキドキドキ
記者(いやいや待て待て落ち着け、焦っちゃ駄目だ……とりあえずこいつを刺激しないようにゆっくり抜いて……あ、汗ェ……)ドッキンドッキンドッキン
記者(汗が噴き出して手がぬかるんで…コインが滑り落ちるっ…やばい抜かないと……でも動くと汗がこぼれ……駄目だ動かせない!)バックンバックンバックン
記者(早く!早く抜かないとぉぉぉおおおおあああああああ汗がこぼれるぅぅぅ―――)
ピチョン…
グシャァァァァッ☆
記者「ひぎぁぁあああああ!!!!!腕ッ!!!腕がぁぁぁぁああ!!!」
闇響「あーあ、やっぱりこうなっちゃったか」
記者「こいつぅぅ!!離せ!!!離せぇええ!!」ジタバタ
闇響「無駄だと思うぞ? ワニの噛む力は一トン強。もうその手じゃ写真、撮れないかもね」
記者「だ、頼むぅうう!!!ごいつを!!!ごいつを離ぢで…」
闇響「それにしてもキミも変なやつだよねー。アタッシュケースいっぱいの木の葉なんかのために、こんな危険なゲーム受けちゃうんだからさ」
記者(な゛……に゛……!!!????)
闇響「ま、今回は自分の勝ちってことで。ルールだから金は払わなくてい―よね?」
記者「…そんな、ぞんなごといいがらっ!!!!早くゴレどっでえええええええ!!!!」
闇響「まぁ自分も鬼じゃないからね。条件次第で考えてやってもいいぞ」
闇響「写真のコピー、まだまだあるんでしょ? どこにあるか教えてよ」
闇響「一枚残らず燃やしちゃいたいからさァ…」
翌日
【765プロ】
響(う~ん、頭痛い……昨日のことがよく思い出せないや。どーやって事務所から帰ったんだろ)
響「ま、いっか。自分完璧だから何とかしたんだよね多分」
響「それよりとうとうパズルが完成したさー!嬉しいぞ~」
亜美「おっはよー!ひびきんっ」
真美「朝からテンションバリ高だね☆」
響「あ……お、おはようだぞ…」
響(初めて向こうから挨拶してくれたさぁ…嬉しいな)
真美「おおぅ!それがパズルってやつですかな? ペンダントにしたんだ~」
亜美「キラキラ光ってチョ→カッコEじゃん!」
響「うん。これは自分の宝物だし、これからは肌身離さず持つことにしたんだ」
伊織「ちょっとあんたたち、今朝のニュース見た?」
亜美「あ、いおりんおっはー☆」
伊織「お、おっはー……じゃなくて! 例の記者、なんか重体で病院に担ぎ込まれたんですって」
真美「ええっ? そりゃまたどうして?」
伊織「ペットの動物に噛まれたとかなんとか言ってたけど、まぁいい気味ね」
伊織「それだけじゃないわ。芸能暗黒界の編集部……ほら、あいつが勤務してたとこよ」
伊織「あそこも昨日放火の被害にあったらしくてね。ビルごと丸焼けになっちゃったんですって」
響「な、何か気持ち悪いくらい自分たちにとって都合のいいことばかりさー…」
伊織「ふん、この伊織ちゃんを脅迫なんてするからバチがあたったのよ」
亜美「むむむ…これは事件の臭いがしますなぁ真美探偵」
真美「そうですなぁ亜美警部補、もしかしてこれはいおりんが裏から圧力を…」
伊織「ちょっと、失礼ね。いくらなんでもここまでやらないわよ」
亜美「ていうか真美ズルい!亜美も探偵がいいよー!」
真美「早いもの勝ちだもんげ~」
キャッキャッ ドタバタ
伊織「とにかく、写真のことはもう心配ない……って聞いてないわね」
伊織「……」チラチラッ
響(伊織がこっち見てる…また何か気にくわないのか?)
伊織「…そ、それが例のパズル? ふーん、結構似合ってるじゃない」
響「あ…ありがと」
伊織「何よ、怪訝そうな顔して」
響「いやだってさ……伊織がストレートに何かを褒めるとこ、初めて見たから」
伊織「はぁ? 聞き捨てならないわね、あんた私がひねくれてるって言いたいわけ!?」
響「別にそういうわけじゃないけど…」
響(あれ、自分いつの間にか伊織とも普通に会話出来てるぞ)
伊織「はぁーっ、まぁいいわ。特別に許したげる」
響「あのさ、伊織」
伊織「ん?」
響「昨日は色々とあ…っ!」
響(そういえば感謝したら駄目って言われたんだったぞ)
伊織「何よ、なにか言いたいことあるんでしょ?」
響「えーっとだな、それは……」
響「そ、そうだっ!自分と友だ」
伊織「はいそこまで」
響「ち…に…」
伊織「全く、これだから庶民は困るのよ。教養が足りてないからすぐ勘違いするんですもの」
響(はは…やっぱり駄目かぁ。自分ちょっと思い上がりすぎちゃったかな)
伊織「何でもかんでも言葉にすればいいと思ってるんだから。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう」
響「……へ?」
伊織「もうあんたと私との間には『見えるけど見えないもの』があるじゃない」
伊織「それで十分よ。にひひっ」
響「あっ…」
響「……」
伊織「どうしたのよ、感極まって声も出ないってわけ?」
響「いや…自分、今の台詞はちょっとクサすぎると思うぞ」
伊織「んなっ///」カァー
真美「ねーねーいおりん、『見えるけど見えないもの』ってどういう意味?」
伊織「うううるさいわねっ、あんたはあっちで遊んでなさいよもうー!」
亜美「うわ~みんな見て見て!この本男同士で変なプロレス技かけあってる~」
小鳥「すみません~遅刻しちゃ…ピヨオオオッ!!?? どどどどどうして私の秘蔵本がこんな所に???」
響(あ…それ昨日事務所荒らした時に見つけたやつだ。元の場所に戻すの忘れてたぞ)
やよい「おはようございまーす! あれれ? みなさんどうしたんですか~」
亜美「あっ、やよいっちもこっち来て亜美たちと遊ぼうよー」
小鳥「そ、その前に亜美ちゃんそのご本をお姉さんに返してくれないかしら。一生のお願いだから、ね?ね? 」
真美「ねー教えてよーどうしてそんな顔真っ赤にしてるのさー」
伊織「しつこいわねぇ離れなさいよこの~」グググ…
騒々しい朝、これはいつものことだけど
自分がその輪の中に、中心にいるってのは初めてのことで
だからこれは個人的な予感なんだけど
ここから、これから自分の物語は始まるんだなって
伊織「ちょっと響!真美を引きはがすの手伝いなさい!」
響「うん、分かった。今行くさー!」
そんな気がするんだ
キリがいいんでひとまずこれで
闇の力と83のバストを持ち、
闇の番人となった響の次なる活躍にご期待ください
響「さあ…ゲームの時間さァ」
はいさーい!みんな元気か?
自分、我那覇響は今日も元気いっぱい絶好調だぞ!
それというのもついこの前、八年間かけてチャレンジしてきたパズルがとうとう完成したんだよ
このパズルは死んじゃったおとぅのカタミでもあって、自分の大切な宝物なんだ
千年錐『』ピカピカ
響(ふふ、何度見ても見飽きないぞ。これは一生の宝物さぁ)
春香「あれ~? 千早ちゃん見てよ。また響ちゃんがペンダント見つめながらニヤニヤしてる~」
千早「我那覇さん、それ気色悪いからやめてって言ったはずよ」
春香「ホントだよね。朝っぱらからさぁ、他にやることないわけ?」
響「うぅ……」
でも、自分はもう一つ、新しい宝物を手に入れたんだよね
それは……
ガチャ!
伊織「ちょっとあんたたち、やめなさいよ! 響が嫌がってるじゃない!」
響「伊織!」パァァ
春香「……チッ」
千早「あら、水瀬さん。おはよう」
伊織「おはよ…じゃないわよ! あんたらやり口が汚いのよ、集団で一人をいじめるなんて」
ガチャ
やよい「うっうー!おはよーございま……あれれ?」
春香「……」ゴゴゴゴゴ
伊織「……」キッ
千早「……」
響「うぅ…」
やよい「な、何だか険悪なふんいきです…」
春香「伊織もさ……随分身勝手だよね。自分だってこの前まで響ちゃんのこといじめてたくせに」
伊織「うくっ…そ、それはもう昔の話じゃない! 大切なのはいつだって今なのよ今!」
千早「どうかしら? 人は少なからず過去にあった出来事に引きずられるものよ」
千早「水瀬さんが何と取り繕うが、昔我那覇さんをいじめていた事実は消しようがないものだし」
伊織「っ…」
千早「我那覇さんはどう思ってるのかしらね、ひょっとして今でもあなたのこと恐れて…」
響「やめてよ!」
響「友達に…今も昔もないよ。誰が何と言おうが、伊織は自分の友達さー」
伊織「響…」
響「千早も…春香も。自分のことを悪く言うのは勝手だけど、友達にまで手を出すのは許さないぞ」
春香「ふーん、それじゃあ…」
ガチャ
P「おはようございまーす。あれ……お前らどうしたんだ、そんなとこに突っ立って」
春香「あはっ、何でもありませんよプロデューサーさん。それより今日のオーディションのことなんですけど…」
響(やれやれ…一安心だぞ)
響「ありがとな、伊織。また助けてもらっちゃったね」
伊織「ふん…これじゃどっちが助けられたのか分かったもんじゃないわ」
響「え…何が」
伊織「とにかく! また困った事があったらいつでもこの伊織ちゃんを頼りなさいよね」
響「…うん、分か亜美・真美「おっはよ~!みんな、調子はDo-Dai?」
伊織「また騒がしいのが二人来たわね…あんたら朝から元気良すぎよ!」
やよい「うっうー、元気なのはいいことですよ。今日も一日頑張りましょー!」
響「そうだな!」
……自分、今とっても幸せさ―
やよい「うっうー! 響さん、今日はありがとうございましたー!」
響「自分もやよいと買い物できてすっごく楽しかったぞ」
その日の夕暮れ、事務所からの帰り道を自分はやよいと並んで歩いてた
響「しっかし驚いたぞ。野菜があんなに安く買えるスーパーがあったなんてさ」
やよい「今日は特売の日なんです。普段行くなら5時過ぎからのタイムセールスの時間が狙い目ですよ」
伊織たちとの一件後、このやよいともすんなり仲良くなれたんだ
元々やよいは自分のこと積極的にいじめたりはしてなくて、仕方なく周りに合わせてる感じだったから
親友の伊織が自分と打ち解けたのを見て、ほっとしたような顔をしてた
やよい「そうだ、買い物を手伝ってくれたお礼にこの後私の家に来ませんか? 晩ご飯ご馳走しちゃいます!」
響「いいのか!? ほら、やよいの家ってただでさえ兄弟が多くて大変らしいじゃんか」
やよい「大丈夫ですよ。遠慮しないでください」
やよい「それに、響さんとはずっとお話したいと思ってたんです」
やよい「同じ目標を持ったアイドル同士、やっぱり仲良くしたいじゃないですか」
やよい「響さんが765プロに来てから結構経つのに、私、響さんのことほとんど知らないですし…」
響「仕方ないよ。この前までいじめられっ子だったしさ…ははっ」
やよい「ごめんなさい…私にもっと勇気があれば」
響「よし、もうこの話は終わりさー」パンパン
やよい「響さん…」
響「そうと決まれば早速やよいの家にHere we go!!ってね。うんと美味しい夕飯、期待していいんだよね?」
やよい「……はいっ!今日はもやし祭りです!うっうー!」
やよい「着きました―!ここが私のお家でーす!」
響「……」
やよい「響さん? どうしたんですかー」
響(か、考えちゃ駄目だ。やよいだって相当苦労してるんだから……でもこれってあばら)
ガッ☆シャーン
「か、帰れよ!」
「うるせえクソガキ!てめえじゃ話にならねえ、親父を出せやコラッ!」
響「な、何だ!?」
やよい「長介、やめなさい!」
長介「ねーちゃん…」
「おやおや、アイドルのお姉ちゃんがご帰宅だぞ」
「へへっ、やよいちゃんは今日も可愛いね―」
響(何だあの二人…いかにもその筋の人間って顔してるぞ)
「やよいちゃんは賢いから話が分かるよね? 僕たち君らの親御さんと話がしたいんだけどなー」
やよい「い、今お父さんたちは出かけてるので……私が話を聞きます」
借金取り「話も何もねえよ。借りた金返せっつってんの、当然のことだろ?」
子分「アニキ、いくらなんでもそれじゃ大雑把すぎるよ。ここは順を追って説明しないと」
子分「いいかいやよいちゃん、君の家は前に俺らのとこから金借りたことあったよね?」
やよい「うっうー…確かにそうです。でも」
長介「借金は全部返したはずだろ!? 何で今さら…」
やよい「長介!今は黙ってて…」
借金取り「その坊主の言うとおり、確かに借りた額は返してもらったさ」
借金取り「だが忘れてねえか? 借りた金には利子が付くってことを」
やよい「し、知ってます!だからその分も含めて…」
借金取り「それが足りないんだよねーおたく契約書ちゃんと読んだ? ウチは30日以内に返済しないと特別利子がつくようになってて…」
やよい「そんな…き、聞いてないです」
響「……」
自分、金利がどうこうとか誓約書だとかの小難しい話はよく分からなかったけど
でも目の前の二人が悪いやつで、あれこれ難癖付けてやよいから金を巻き上げようとしてるってことぐらいは分かるぞ
……やよいを助けなきゃ
響「お、おいお前ら!ふざけるんじゃないぞ!」
借金取り「ああん? 誰だお前」
子分「おっ!何この子、超ゲロマブなんですけど!? 君誰? やよいちゃんのお友達?」
響「そうだよ!さっきから聞いてれば好き勝手に言ってくれちゃってさ」
やよい「…響さん。やめてくれますか」
響「!? 何でさ、自分はやよいのために」
やよい「そーいうの、迷惑ですから…」
響「そっ…」
借金取り「とにかく、今日は最後通告に来たんだ。明日また改めてお伺いするからよぅ」
子分「それまでに利子分の……えーっと、325万と841円、耳を揃えて用意しといてちょ」
子分「俺やよいちゃんのファンだからさぁ、あまり事を荒立てたくないんだよね」
借金取り「へへ、そういうこと。じゃあな」
ブロロロロロロロロ…
響(あいつら最低だ。こんな脅迫めいたやり方、許されないぞ…)
やよい「……」
長介「ねーちゃん、どうしよう…」
やよい「いいから、長介は中に入ってかすみたちの面倒を見ててください」
………
やよい「さっきはあんなこと言ってすみませんでした」
響「別に…気にしてないけど」
やよい「でも本当のことなんです。これは私たちの問題ですから」
響「ううっ、それはそうかもしれないけど…」
響「でもっ、仲間が困ってるのを見て放っておくなんて出来ないよ!」
響「そりゃ自分だってそんな大金すぐには用意できないし、相談相手としては頼りないかもだけど」
響「ほら、やよいは伊織と仲いいじゃんか。あいつならきっと何とかしてくれるって!」
やよい「それは…出来ません」
やよい「確かに伊織ちゃんにはいつもお話を聞いてもらって、いつも助けてもらって」
やよい「私、伊織ちゃんのことだーい好きです」
響「それなら…」
やよい「だからなんです。友達だと思ってるから、その間に家庭の事情を持ちこみたくないんです」
響「……」
やよい「もちろん仲間同士助け合うのはいいことだと思いますよ? でも、それだって限度があります」
やよい「今回のことは高槻家の問題です。私たちだけで解決しなきゃならない問題なんです」
やよい「それを響さんや伊織ちゃんに頼るのは、やっぱり間違ってます」
やよい「だって二人とも……結局は他人ですから」
響「っ……」
やよい「それに、これはきっと私への罰なんじゃないかなーって」
響「罰って…やよいは何も悪いことしてないぞ」
やよい「しましたよ。皆と一緒になって、この前まで響ちゃんを無視してました」
響「あ……」
やよい「私、怖かったんです。皆に合わせないと、自分もあんな風に扱われるんじゃないかって」
やよい「そんなのはもう…ごめんです」
響「やよい、もしかして…」
やよい「最低ですよね、私って。伊織ちゃんが響さんと友達にならなかったら、多分私もずうっとそうしてたと思います」
やよい「だから、これはそんな私への罰なんですよ」
響「やよい…」
やよい「えへへ、響さんは優しい人です。こんな私でも友達だって言ってくれました」
やよい「だから…響さんが私を仲間だと思ってくれるなら、今日のことは他の皆にはナイショにしてくださいね」
やよい「夕食ご馳走してあげられなくてごめんなさい。また明日、事務所で会いましょー」
そう言って精一杯の笑顔を見せるやよいが痛々しくて……
こっちの姿が見えなくなるまで手を振り続けるやよいの姿が愛おしくて……
何とかしてやりたいと思うけど、
さっきのやよいの言葉に反論一つできなかった自分に腹が立ってしたかなかった……
翌日
響「えっ…やよいまだ来てないの?」
亜美「そうなんだよー。やよいっち、今日は休みなのかな」
小鳥「連絡は受けてないけど……変ねえ、やよいちゃんが断りもなしに休むなんて」
響「……自分、探してくる!」ガタッ
伊織「あっちょっと!いきなりどうしたのよ!?」
響「はぁ、はぁ…やよい」
あれから一晩考えたんだけど……やっぱり自分には見て見ぬふりなんて出来ないよ
『私たちだけで解決しなきゃならない問題なんです』
あの時の自分は、馬鹿みたいにぽかんと口を開けて突っ立ってることしか出来なかった
事務所ではいたずら双子の次に幼くて、普段から子供っぽいなぁと思ってたやよいが
こんなにも冷静に、冷めた口調で物事を語ったのが信じられなかったから
同時にやんわりと、それでいてはっきり自分のことを拒絶されたのも
響「はっ……はっ……やよいっ!」
タッタッタッタッ…
「おや……あれは…響?」
やよいの言いたいことはよく分かるぞ
確かにこの状況は友達だとかそういう理屈で出しゃばっていいラインをとうに越えてるかもだけど
自分たち仲間だもんねとか言って、口だけで解決策は何も持たない役立たずかもしれないけど
じゃあ黙って見てろっていうの?
やよいとその家族があのやくざたちに食いものにされるのを……
響「そんなの、絶対にさせないぞ」
『他の皆にはナイショにしてくださいね』
いいよやよい、ルールは守るさー
このことは他の皆には言わない、自分一人だけでやよいを助けてみせるっ!
響「ぜぇ…はぁ…た、確かこのあたりがやよいの家だったな」
ブロロロロロロロ…キキィ、バタン
「おい、さっさと来い」
「はいっす」
響(あっ、あの二人は…)
子分「しかしアニキも酷いことするっすねー。特別利子だとかデタラメ言っちゃって」
借金取り「絞れるとこからは絞れるだけ絞り取れってのが俺たちの業界の鉄則だろうが」
子分「でも、あそこは生粋のビンボー一家っすよ? もう金があるとは思えないんすけど」
借金取り「ほら、あそこのやよいって小娘、アイドルやってんだろ? あいつの事務所さぁ、最近景気がいいそうじゃないの」
借金取り「てことはだ、まだまだ絞れる余地があるかもしれん」
借金取り「最初に貸した金を満額返済してきたのがいい証拠さ。大方アイドル業が軌道に乗ってきて稼ぎがよくなったってとこだろ」
借金取り「ご苦労なこった。どんなに稼いでところで、俺たちに骨までしゃぶりつくされる運命だってのによ、ハハハッ!!!」
響(……あいつら、やっぱりそういうことだったのか!)
子分「はぁ~やよいちゃん可哀想っす。俺本気でファンだったのになぁ~」
借金取り「心配すんな。そのうちあの娘、別の業界でデビューすることになるだろうからよ」
子分「うへぇマジすか!……あっ、今ので思い出したんすけど、この前貸したビデオそろそろ…」
響「やめろ!」バッ
借金取り「何だお前…そこどけよ。邪魔だろうが」
響「嫌だぞ。絶対に嫌だ」
借金取り「はぁ? 何なんだよこいつ…前にどこかで会ったか?」
子分「ああー思い出した! この子、やよいちゃんのお友達さんじゃないっすかー! ボクたちに何か用かい?」
響「今の話、全部聞いてたぞ!やよいから不当に金を巻き上げようとするなんて、自分絶対許さないからな!」
借金取り「あのなぁ、お友達だか何だか知らねえが、これは俺たちとあの家の問題だ」
借金取り「他人に口はさまれる筋合いはねえよ。とっとと帰えんな」
『二人とも……結局は他人ですから』
響「ぐっ……」
響「友達とか他人とか、そんなの関係ない!」
響「自分はやよいを助けたいと思ったからこうしてるだけなんだよ! お前らが諦めるまで絶対ここは通さないぞ!」
借金取り「うるせえ、どけっつってんだろ!」ドゴォォォ!
響「あう゛っ…」
響「い、痛っだぁ…」
子分「アニキぃ、いきなり殴らなくても…」
響(鼻血がとまらないぞ……折れてちゃってるのかなこれ)
借金取り「ふん、ああいう青臭いのは癪にさわるんだよ。行くぞ」
響「ま……まで」ポタポタ
借金取り「あ、汚ねえなぁオイ! 血だらけの手で触んじゃねえよっ!」ドガッ
響「っ……やめろ゛っ、ごれ以上やよいを苦じめるな゛ぁ……」
借金取り「しつこいんだよ! おいお前、こいつ適当にあしらっとけ」
子分「あ、ハイっす…」
借金取り「友情ごっこには付き合ってられねえよ全く…」
響「う゛ぅ…」ガクッ
千年錐『』キィィィィィン
ゴゴゴゴゴゴゴ…
子分「はぁー、アニキにも困ったもんだよ」
「……」
子分「あ、気が付いた?ごめんねーウチのアニキ乱暴でさー」
「……」
子分「まあそう怖い顔しないでよ。お詫びと言っちゃなんだけど、この近くにいいサ店があるんだ、一緒にどう…」
闇響「……」ニヤッ
【高槻家】
借金取り「よう嬢ちゃん」
やよい「……」
借金取り「いつもに比べて静かだな。今日はあのうるせえガキ共はいねえのかい?」
やよい「まだ平日の昼間ですから、長介たちは学校です…」
借金取り「なるほど。それで金は用意できたのか」
やよい「……」フルフル
借金取り「そうかい、だったらプランBだな。あの話、考えといてくれたか?」
やよい「……」
借金取り「まあ金を返せない以上、債務者に選択権はねえんだけどな。ほら、一緒に車のとこ行くぞ」
やよい「うっ…」
借金取り「おら、手間をかけさすな。さっさと来い!」グイッ
やよい「ぁあ…!」
闇響「待てよ」
やよい「響…さん?」
借金取り「お前、何でまた……ちっ、あのバカ小娘一人足止め出来ねえのか」
闇響「ま、そういうことになるね」
やよい「何で…何で来たんですかぁ!もうかわまないでって言ったのに…!」
闇響「あ?」ギロッ
やよい「うっ…」
闇響「うだうだ五月蝿いぞ。自分はこいつに話があるんだ。少し黙っててよね」
やよい「は、はいぃ…」
やよい(なんか今日の響さん、いつもと雰囲気が違って怖いです…)
闇響「どうしてもやよいを連れていきたいってのなら、自分とゲームしようよ」
借金取り「ゲームだぁ?」
闇響「勝った方がやよいを自由にできるんだ。どう、やってみる?」
借金取り「へっ、馬鹿馬鹿しくて聞いてられるかよ! もういっぺん痛い目にあいてえのか」
闇響「もちろん、それなりの見返りは用意してるよ。あんたの大好きなこれをね」マルッ
借金取り「ほぅ…面白れぇ。話を聞こうじゃんか」
闇響「フフ…」
闇響「ゲームに使うの道具はこのプラスチック製の箱。それとやよいの家にあったもやしさー」
闇響「この箱、パーティとかでお菓子の掴みどりに使われるやつなんだけど。ほら、ここに手を入れるための穴が空いてるでしょ」
闇響「ここから箱の中にもやしを流し込む」ザザー
借金取り「おいおい、もやしの掴み取りでもやろうってのか」
闇響「そのとーり、簡単でしょ?」
闇響「お互い掴み取ったもやしの量を競うんだ。もしお前が勝ったら、10グラムにつき一万払ってやる」
やよい「そ、そんな…」
借金取り「うへっ、マジかよ。その勝負乗ったぜ。負けてから後悔するんじゃねえぞ」
闇響「安心するさぁ、金はちゃんと払うよ。そのもやしにはそれだけの価値があるんだから」
やよい(む、無茶苦茶です…特売で買った一袋10円のもやしにそんな価値ありませんよぅ…)
闇響「あとこれは闇のゲームだからね。ルールを破ったりした者には罰ゲームが待ってるよ」
借金取り(へっ、それで脅してるつもりか? とにかくこのガキに勝って金をいただくとするぜ)
闇響「ゲームスタートだぞ。先行はどっちからにする?」
借金取り「当然俺からだ!」
借金取り(男の俺の方が手がでかいんだ。初っ端からごっそり掴み取ってやる!)
借金取り「オラァ!」ズボッ
闇響「ククッ…」
借金取り「!! 痛っでえ゛え゛え!!! 何だああ!??」スポッ
やよい「?」
闇響「残念だったね。記録はゼロと」
借金取り「て、てめえ…! 中に何か仕込みながったなぁ!」
闇響「誰も箱の中に入ってるのがもやしだけとは言ってないぞ? さて、次は自分の番だね」
闇響「フフフ…」スポッ
やよい(箱の中には一体何が入ってるっていうんですかぁ…)
闇響「っ……よっと」スポッ
借金取り「!」
闇響「ふぅー、100グラムにも満たないさぁ。ちょっと余計なものをとりすぎたかな?」パラパラ…
やよい(響さんの手から…もやしに混じって、針やガラスの破片が落ちてきましたぁ)
闇響「イテテ、ちょっと血が出ちゃったよ…」ペロリ
借金取り「お前…こんなもん混ぜてやがったのか」
闇響「そういうこと。このゲームは普通の掴み取りと違って、賞品を得るためにはそれ相応のリスクを負わなきゃ駄目なんだよ」
借金取り「くそっ…い、今のは練習だ!もう一回やらせろっ!」
闇響「オーケー、お前にだけ特別にもう一度チャンスをやるさァ」
闇響「ただし、次は別の箱を使わせてもらうよ…」
長方形の箱『』 ド ン ☆
借金取り(今度の箱はやけに縦長だな…)
借金取り「まぁいいさ。タネが分かっちまえばこんなもん屁でもねえ。今度こそ俺が…」
闇響「あ、言っとくけどその箱はさっきのよりレベル高いぞ。せいぜい気を付けるんだね」
借金取り(っ……ハッタリか? そうだ、そうに決まってる!これ以上何があるってんだ!)
借金取り「慎重にやればこんなもん楽勝っ…」スポッ
借金取り(痛っっ……何だ? 今度はちょっと手の先を入れただけだってのに…)チクチク
借金取り(冷たい…中に金属のトゲみてぇなのがびっちり……こりゃまるで下ろし金だ!!)
闇響(気付いた? そうだよ、その箱の中はまさにいばらの道)
借金取り「ぐぅ…っあ……」ズキズキ
闇響(箱の奥に手を入れようとすればするほど、少しずつお前の身は削られてゆく…)
借金取り「ぎひっ…あ゛ぁ…(進めば進むほどトゲが皮膚に食い込んでっ…)」ギリギリギリ
闇響(果たして、自分の腕を傷つけてまで勝とうとする執念がお前にはあるかな?)
借金取り(……む、無理だ……こんなの……とても出来ねぇ…)
借金取り「くあっ…ぐぅ…」
闇響「そうそう、トゲには返しがついてるから抜くときも慎重にね」
借金取り「っあ……はぁはぁ」スポッ
闇響「おや~?またもや収穫無しなのか?」
闇響「もっとも、もやしに手が届くころには血だるまでそれどころじゃないかもだけどね」ククッ
借金取り「クソッ、このガキ…」
闇響「この勝負自分の勝ちだね。約束通り、やよいは置いていってもらうよ」
やよい(私、助かったんでしょうか…)
借金取り「ハッ、何言ってんだよ!そんなもん無効だ無効!」
闇響「……」
やよい「そんな…おじさんだって納得してたじゃないですか―」
借金取り「うっせえ!あんな口約束に効力なんてねえよ」
闇響「…やっぱりね。そう言うと思ったぞ」
借金取り「おっと、そういやお前金持ってるんだったな。この腕の治療費代わりに徴収させてもらおうか」ジャキン
闇響「約束を反故にしたうえ刃物で恫喝、やっぱあんた最低さぁ」
借金取り「大人しくしな。その顔に傷を付けられたいなら話は別だがよぅ…」
やよい(このままじゃ響さんが…!)
やよい「うっうー!やめてくださーい!」バッ
闇響「!」
やよい「全部私が悪いんです! 私はどうなってもいいから響さんには手を出さないで!」
借金取り「前から思ってたんだがよ…」
借金取り「うっうーうっうーうざってぇんだよ、てめえ!!」バシッ
やよい「うぁ!?」
ゴツン☆
やよい「あぅ……」
借金取り「ハハハッ!頭打って気絶しやがった!いい気味だぜ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
借金取り「ん?」
闇響「闇の扉が、開かれた」
借金取り(なん……だ? 体が……動か……)
闇響「今のはちょっ~とマズかったね。自分、完璧に怒ったぞ」ゴォォォォ
借金取り「なんだそれ……お前、その額のめ……眼!?」
闇響「これは自分の心の領域を犯した罪人にしか見えない、お前に審判を下すウジャトの眼さァ!」
闇響「運命の罰ゲーム!!“ い ば ら 姫 ”!!」ズギューン
借金取り「うわあああああぁぁぁ」
借金取り「ぁああ……な、何だ!?」
借金取り「痛っ……!!!」ズキィィ
ニョロニョロ…
借金取り(爪と指の間から何か生えてきた……何だこれ、もやし!!??)
シュルシュルシュル…
借金取り(い、息が苦しい……鼻の穴からも何か出てきてやがるっ…)
闇響「かが……見……」
借金取り(あいつなんて言ってる? 耳も塞がっててよく聞こえねえ…)
シュルシュルシュル
借金取り「俺の体…一体どうなって…」
闇響「ょ……ぃ…!」つ鏡
借金取り「!」
借金取り「あっ…あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!!」
借金取り「顔がぁぁ!体中から植物が生えくるううぅぅ!!!」
借金取り「誰か助けてくれ!! 何も見えねえ!! 何も聞こえねえ!!」ダッ
「……!……!!」
借金取り「誰かぁぁぁ!!!」
「!!!……」
キキキィィィ……ドォン!
………
「ここ…どこだ?」
「俺…あのガキに変なことされて……何かにぶつかって」
アアアアア…
「うわ!?」
アアアア…
「く、来るな化け物!俺は植物人間じゃねえ!お前らの仲間じゃねえよ!」ゴロンッ
「あああ…足がねえよ、手もだ……くそっ、どうやって逃げりゃいい」
ア゛ア゛ア゛!!!
「や、やめろおおおお!!! これは夢だ!! そうなんだろっ!? 夢なら覚めてええええ!!!」
ざわ…ざわ…
「おい、誰かはねられたぞ!」
「赤信号だってのに飛び出しやがって…」
「うわひっでぇ、手足がグシャグシャだぁ」
「まだかろうじて息がある、救急車急げ!」
………
闇響「これでキミは名実共に植物人間ってやつさぁ」
闇響「ま、せいぜい枯れ木にならないうちに目覚めることを祈るんだね」
闇響「それとも……王子サマの助けを待ってみる? 哀れな自分に終止符を打ってくれる王子サマを…」
……よい……やよい!
やよい「うっ、う~?」
響「やよい!良かった、眼が覚めたんだな!」
やよい「響さん…おはようございます」
響「寝ぼけないでよっ、気が付いたらやよいが側に倒れてて、自分すっごく心配したんだからな!」
やよい「あの、借金取りのおじさんは?」
響「あれ? そういえばあいつどうしたんだろうな」
やよい「……響さんが追い払ってくれたんですね」
響「え? あ…ああうん、きっとそうだぞ。自分完璧だからな!」
響(おっかしいなー、さっきまで何してたっけ? 全然覚えてないぞ)
やよい「ごめんなさぁい、響さん!」
響「うわっ急にどうしたんだよやよいー?」
やよい「だって…私響さんに昨日あんな酷いこと言ったのに、それでも助けに来てくれて…」
響「あはは、気にしないでいいさー。自分、ただ自分がやりたいと思ったことをしたまでだから」
やよい「さっきの勝負、勝った方が私を好きなように出来るって言いましたよね」
響「え…?(何のことだ?)」
やよい「私、響さんの言うこと何でも一つ聞いちゃいます。なんなりと言っちゃってください」
響「…本気で?」
やよい「……」モジモジ
響(じ、事態がよく飲み込めないぞ。それに急にそんなこと言われても…)
響「あっそうだ、やよい」
やよい「は、はいー!」
響「自分とさ、友達になってくれ」
やよい「? 響さんとはもうお友達だって…」
響「ただの友達じゃないぞ。どんな時でも裏切らず、どんな時でも裏切れない親友」
響「困った時はお互い様、共に支え合って一緒に先に進んでいく、そんな仲間さー」
やよい「一緒に…先に進む…」
響「仲間同士の助け合いに限度なんてないよ。またこんなことがあったら、遠慮なく自分たちを頼ってくれ」
響「自分たちも、やよいのこと頼りにしてるからさ」
やよい「……はいっ!分っかりました―!!」パァァ
やよい「響さん、手を出してください」
響「いいけど?」スッ
やよい「誓いのハイタッチです、せーの」
響・やよい「ハイターッチ!」パシン
やよい「えへへっ、これで私たち、今度こそ本当の仲間ですね」ニコッ
響「はは、可愛いなぁ。やよいはそうやって笑ってるのが一番だぞ」
やよい「じゃあ響さん、今度は私のお願いを聞いてくれますかぁ?」
響「おっ、何だ言ってみろー」
やよい「うっうー!今日こそはうちでお夕飯をご馳走させてくださーい!」
やよい「あっ、あと今日はお父さんたちが帰ってこないみたいなんでぇ、その……お泊まりしていきます?」
響「」プシャァァァ
やよい「わっ、大変! 響さん鼻血が…!」
響「うわわっそういえばあのヤクザに鼻思いっきり打たれたんだった…(な、何か今のやよい一瞬妙な色気が…やっぱりもう子供じゃないのか!?)」
やよい「すぐうちで手当てします。入ってください~」
響「お世話になるぞ…」ボタボタ
やよい(響さん、すっかりいつもの調子って感じです)
やよい(でも、あの時の響さんは凄く怖かったけど、今よりちょっと格好良かった…かも)
………
響「ぷはーっお腹がパンパンだぞ。やよいの作る料理美味しかったなぁ」
響「ホントは泊まりたかったけど、今日はいぬ美たちに餌買って帰らなきゃいけなかったしな」
ヒュウウウウウウウ
響「う゛ぅ、さぶっ……早く帰ろ」
「お待ちなさい」
響「!」
161:ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/18(水) 01:06:19.12 ID:CjqDWmgV0
「そう急くこともないでしょう。夜はまだまだ長いのですから」
響「お前…何でこんな所に?」
「運命が私をここに導いたのです。それ以上でもそれ以下でもないのですよ、響」
響「な、何が目的さぁ…」
「…」クスッ
貴音「今宵、私とげぇむを致しましょう」
168:ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/18(水) 01:12:11.47 ID:CjqDWmgV0
次回の偶☆像☆王-アイドルマスター-は
やよい編が終わったから、アイドルも残り8人だぞ
でも早くもネタがなくなって、一話完結のスタイルを崩してないかなー?
やっぱり! 何か意味深なこと言ってる貴音と戦おうとしてるぞ!
え?ハム蔵とシマ男も一緒だって?三対一で一見有利な対戦だけど…ってどこがなのさー!?
次回、「女の花道 貴音玉砕」 デュエルスタンバイ!
177:ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/18(水) 01:19:49.24 ID:CjqDWmgV0
あっ予告はDM106話のパロなんであんまり真に受けないでください
そもそもが一発ネタだったのでこの先続くかどうか…
アイマスSSって難しい
ではおやすみなさい
転載元
響「闇のゲーム?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326440676/
響「さあ…ゲームの時間さァ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326798037/
響「闇のゲーム?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326440676/
響「さあ…ゲームの時間さァ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326798037/
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コメント一覧 (66)
-
- 2014年11月26日 03:28
- 作者しねばいいのに
-
- 2014年11月26日 04:12
- とりあえずしね
-
- 2014年11月26日 04:15
- キャラ呼称も違う、設置も意味不、ゲームすら面白くない
-
- 2014年11月26日 04:33
- 遊戯王だが、アイマスでやらなくて良かった
-
- 2014年11月26日 04:40
- 嫌いじゃないけどもうちょいなんとかなったんじゃないのかなって感じ
敵がモブなら765アイドルが響虐めするより、闇響が敵からアイドル救う→響の性格変化に戸惑いつつ皆が仲良くなってくって方が良いんじゃね
-
- 2014年11月26日 04:45
- まぁ好みが分かれるところだわな
響のいじめネタに関してはデリケートな部分なのに意味なく行われてるあたりが低評価の理由だろう
俺も正直あまり好きじゃないわ
-
- 2014年11月26日 04:51
- 初期の遊戯王って今でも面白いよね~
カプセルモンスターズも面白かった
-
- 2014年11月26日 04:56
- え、おもろかったけど
いじめパートがいいね
-
- 2014年11月26日 05:04
- 下衆でゴミクズなのは記者じゃないだろ
-
- 2014年11月26日 05:27
- 闇響…アリだな…!
ネメシス的なビジュアルを連想した
しかし話の都合上仕方がないんだろうが
いじめパートは胸糞悪かったな
-
- 2014年11月26日 05:27
- つまんな
-
- 2014年11月26日 05:47
- 闇響になるまでの前フリが長すぎる
そう言えば遊戯も城ノ内達にイジメられたんだっけ?もう覚えてねぇ…
-
- 2014年11月26日 06:26
- あのー、これは…
-
- 2014年11月26日 07:41
- ↑ここまで中学時代いじめられた経験がフラッシュバックして叩いたやつら
↓ここから高校時代いじめられた経験がフラッシュバックして叩くやつら
-
- 2014年11月26日 07:50
- 自分は割とアリだとおもったけどなぁ
-
- 2014年11月26日 08:05
- ボロクソでワロタ
二年前の作品にそんなに言うなよww
まぁ響の口調がおかしいssは俺も嫌いだが
-
- 2014年11月26日 08:24
- 序盤のいじめがひどくて、読むのめっちゃつらかったわ
これ続き書いて超ハッピーエンドに持っていってくれなきゃ、納得できない
-
- 2014年11月26日 08:41
- じぶ響のSSがもっと増えるといいと思うぞ
-
- 2014年11月26日 08:48
- 遊戯王の初期路線、結構好きだったなあ、懐かしい・・・
-
- 2014年11月26日 09:02
- DMじゃない初期遊戯王知らないガキが怒ってるの?
-
- 2014年11月26日 09:15
- 杏子は居ないけど原作初期通りじゃないか
しかし相手が全員社会人だからか罰ゲームもえぐいな
-
- 2014年11月26日 09:18
- 前半しか読んでないが、この765プロは決して好きにはなれないな。
響はイジメを止めさせたいのならテープレコーダーに音声を録音なりカメラを設置してみるなりして、765プロへのイメージダウンが嫌なら未成年組の親に送りつけるなり、プロデューサーに告発するなりすればよかったはず。最悪黒井社長にこれを手土産に、復帰や他のプロダクションへの推進を要求してみてるのもありだし、少なくとも今の状況を脱する手段はあったはず。
水瀬と双海姉妹は自分の都合が悪くなったから掌返ししただけだし、親が裕福だからこそイジメをしていた者の為にポンと大金を出せるんだろうし。
以前アイマスのキャラがデュエルしているSSを読んでアイマスに興味がわいてたけど、まさか本編もこんな代物なんじゃないだろうなと思ってしまった。
-
- 2014年11月26日 09:26
- ・・・うんっ!そうだなっ!
-
- 2014年11月26日 10:47
- まー、遊戯って最初いじめられっこだったからな。
そこらへんの設定の助長はどうかしてるとは思うけど。
作者いじめられっこだったのか?
-
- 2014年11月26日 10:51
- ※22
-
- 2014年11月26日 11:16
- 獣臭いのはいじめられても仕方ないって思うな!
-
- 2014年11月26日 11:28
- 面白かったけどアイマスでやったのがマズかったね
変なのが湧いちゃうから
-
- 2014年11月26日 12:08
- 貴音は本家だと、誰のポジションに当たるの?
ひょっとして、原作では茶髪だけど、アニメでは緑色の髪をしていて、白い学ランを着ていて、緑川光の声がする人?
-
- 2014年11月26日 12:12
- 唐突なワニのAAに草
-
- 2014年11月26日 12:43
- 最近こういう荒れるようなまとめ多いな
普段読ませてもらっているSS作者さんにお礼の絵を書きましょう!とかって言ってた頃が懐かしい
あの企画は寒い寒い言われてたが、今のような状況になるよりずっとマシだった
-
- 2014年11月26日 13:14
- 闇遊戯の声優糞下手だった事しか覚えてないわ
-
- 2014年11月26日 13:26
- ※30よ、これが炎上商法だ。
-
- 2014年11月26日 13:58
- そもそもなんで響はイジメられてんだ?
やっぱ臭いから?
-
- 2014年11月26日 16:09
- 貴音はシャーディーだと思うけど、そういやこのSSに美希出てたか?KB枠なのかな?
-
- 2014年11月26日 16:35
- ペット飼ってんだから臭くてもしかたねーだろ
周りの奴らは我慢しろや
-
- 2014年11月26日 17:23
- イジメがどうとか言ってる奴らは満喫とかブックオフにでも走って遊戯王の一巻でも読んでこれば良いかなとは思う。これも時代かね
-
- 2014年11月26日 18:03
- 気に入らねえな…弱小事務所のクズアイドルの分際で…
-
- 2014年11月26日 18:28
- ※36
人数が多い分イジメの部分が長かったし、まだあの3人が手のひらグルリンしかしてないからしょうがなくね?
伊織、亜美真美、やよい以外の他のアイドル達は絶賛イジメ継続中な訳だし。
-
- 2014年11月26日 18:54
- 3年近く昔のSSにムキになるのはカッコ悪いぞ(戒め)
まだこの頃は倒産の人ぐらいしかいい書き手がいなくてこれでもまだ面白い方だったわ
-
- 2014年11月26日 19:24
- 響かわいそう、765プロ印象最悪、ゲームとお仕置きがエグい、前振り長い。
発想は良いと思うんだけどなぁ…作り方が下手だったな
-
- 2014年11月26日 20:09
- 闇響パートでのゲームが原作で実際にやったシチュエーションやら複合してるみたいだし思い出しながら読むと面白かった
-
- 2014年11月26日 20:23
- 普通に遊戯王を765勢で再現してるだけじゃね?ネタも知らずに発狂してマジレスするなよ…。たかがssだろ?
-
- 2014年11月26日 20:30
- 罰ゲーム(物理)。
-
- 2014年11月26日 21:18
- 初代遊戯王で言えば一話目と二話目で終わってるから、どうしても一話目でやってたいじめが目立つんだよなぁ…。
アイドル全員と仲直りさせて、その後のシャーディー編での支え合いやDEATH-T編での助け合いまで行っていれば良SSになれていたかもしれないのに、惜しい所で止まっちゃってるせいですごく残念なSSになってしまった感じがする。
もし城之内と本田が一話目しか登場しなくて花咲や牛尾あたりが城之内や本田のポジションだったら、本当にこのSSのアイドル達みたいに「なんだこのクソ野郎共」みたいな評価だったかもしれんね。
-
- 2014年11月26日 21:39
- 面白かった!
-
- 2014年11月26日 22:33
- めっさ面白かった
続けばいいのに
-
- 2014年11月27日 01:47
- カイジ的なノリを期待した奴はおれだけじゃない筈だ
-
- 2014年11月27日 02:15
- いじめられっこの未だに中学生メンタルのやつ多すぎだろw
惨めすぎて草生えるw
-
- 2014年11月27日 02:46
- わりと叩かれてワロタ
初期遊戯王は好きだったから結構楽しめたわ
-
- 2014年11月27日 05:22
- ※38
ありとあらゆる所にいじめっ子がいるような遊戯くんよりマシだろ。どの道原作の一話程度の部分しかやってないんだからさ。
恐らく本田ポジションの亜美真美が謝ってきてるだけマシな方(本田は原作5巻のネットで有名な画像の辺りまでは何で改心したのか分かってない)
後、初めの方の遊戯王では城之内よりも強いヤンキーが結構いて、大変な目に合うシーンが結構あるからなぁ……
-
- 2014年11月27日 05:33
- イジメパートが胸糞って言ってんのは、遊戯王知ってる知らないじゃなくて、それを765にさせたからだろ
-
- 2014年11月27日 16:19
- これが破滅の未来か
-
- 2014年11月27日 21:55
- 面白かったよ。イジメパートもその後の友情もよく書けてたと思う。惜しむらくは短いために、友情とイジメのバランスが偏っているところでは?
あと変わらないやよい天使、態度が豹変する春香さんかわいい。
-
- 2014年11月28日 00:58
- まあ面白かったけど、伊織とやよいと双海姉妹以外は結局いじめ続行中だよな
せめていじめパートくらいはちゃんと解決して欲しかった
モヤモヤがずっと残るわ
-
- 2014年11月29日 15:17
- 気分悪いね
-
- 2014年12月02日 08:24
- 叩いてる奴は奴でどうかとは思うが、いじめられっ子なんじゃね云々とか遊戯王ネタだから云々分かってないの云々言ってる奴もアレだよね、くさいよね
原作よりやり口やら色々生々しいし、悪意に対するカウンター的なものが少なくてヘイトばかり溜まるし、無駄にその描写の割合が多いし、杏子みたいな初期味方が居ないから一層孤立してて客観的に見て事態が邪悪だし、アイマスどうこうよりキャラクター自体が単純に性格悪く描かれ過ぎてるような
これは普通に拒否反応起こす人も居るでしょ
作者の意図的なものかは知らんが
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- 2014年12月02日 08:24
- それに、改心後の伊織が未だに偉そうで開き直った態度なのは印象最悪だし、まぁそれは元々のキャラクターが暴力暴言満載の害悪ツンデレだからってのもあるんだろうけど、そもそも手の平返しといて説教できる立場にないのもその通りだし、友情育みパートも長く入れてないから変わり身が早く反省も足りないヘラヘラ加害者に見えてしまうし、記者を全部の悪者みたいに扱って悲惨な目にあわせてめでたしみたいにしてるけど伊織や双子のがずっと性悪でそもそもの原因なのにおとがめなしで味方面してるのも印象悪いし、親の金で何とかしようとかしたり脅されてる自分たちは被害者だーみたいな感じで困ってたのも醜悪だしで、まぁよくここまで醜い人間を上手く再現できたもんだと思う
個人的にはムカムカイライラはしたけど、こういう話嫌いじゃない
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- 2014年12月04日 01:17
- 遊戯王の城之内や本田はいわゆる昔のタイプの不良で、暴力は振るうけど仲間には優しいし、一度認めた相手には親身になるタイプだからその後の展開も納得できたし、まだ好感も持てた。
このアイドル達は今の一般で言われるいじめと同じで、憂さ晴らしや遊び感覚でやっちゃいけないことまで平気でやるし当人達の罪の意識も薄いタイプのいじめだからものすごく読んでて気分が悪い。
いくら双海姉妹や伊織が改心して他のアイドル達を止めにいっても春香が言うように「今さらお前が言うな」感が凄すぎて正直なところ見てて吐き気しかしない。
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- 2014年12月06日 17:27
- ネタバレ次回予告ワロタ
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- 2014年12月09日 05:04
- 何長文でムキになってるのww? くっさーwww
お前らの盲信するアイドルも実際こんなもんだろうよ
遊戯王的にはよかったよ
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- 2014年12月10日 08:22
- コメ欄でいじめられっ子発狂しててワロタ
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- 2014年12月13日 16:23
- 特に理由の無いイメージダウンが765プロを襲う
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- 2014年12月15日 23:24
- 遊戯王しか知らんかったから
おもしろかった
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- 2016年01月05日 20:16
- 割と好き
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- 2016年05月02日 00:35
- あえてコメント欄の頭おかしい人対策するなら、
本田城内によるいじめ
→亜美真美によるしつこめなイタズラ
城之内がピースをプール?に捨てる
→亜美がピースをドブとかにうっかりとり落とす
にすればよかったんじゃね
割りと楽しめたけどなあ懐かしかったし
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- 2023年10月25日 03:04
- 伊織はまず礼節と礼儀とか勉強した方がいいよ。
ツンデレだかなんだか知らんが、ちゃんと悪い事したなら謝罪しないとな。
それも出来ないやつにトップアイドルなんか無理だわ