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キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」 2

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キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」 2






3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/01(金) 03:27:13.28 ID:TmqT2d0po

番外編

【本】

3日目

―――学園都市 上条の部屋

ガチャッ…!

上条「ふぅ……ただいまーっと」

キャーリサ「ただいまー」

上条「悪いな、今日も買い物付き合わせて」

キャーリサ「何、私も本屋に行きたかったから丁度良かったの。
       それよりほら、買ったものはさっさと冷蔵庫に入れよ」

上条「おう。そういや本屋で何か買ってたな。何だ?」 ゴソゴソ

キャーリサ「趣味の本だ。あとは時代小説もいくつか」

上条「渋いな……」 ゴソゴソ

キャーリサ「日本の時代劇結構好きなの。特に主君への忠義に厚い侍が出てくるやつな」

上条「キャーリサに武士娘属性があったとはな」 カチャッカチャッ

キャーリサ「うむ。真剣と書いてマジと読んでしまうぞ」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/01(金) 03:29:23.19 ID:TmqT2d0po

上条「それはともかく、やっぱ俺が学校行ってる間暇か?」

キャーリサ「うん、実はそーなの。お前がいないとどーもつまらなくてな。
       明日からは本でも読んでいよーかと思ったんだ」

上条「ゲームとかは?」 ゴトッゴトッ

キャーリサ「あれは肩が凝る」

上条「そっか。まあ上条さん連日補習の常連さんですからね、結構長時間一人にさせちまうもんな」

キャーリサ「居候してる身だから別に文句は無いの。しっかり学んでこい」

上条「俺もそうしたいんだけど何故か学校休むハメになるんだよな……よし、終わり。
    すぐ飯作るよ」 バタンッ

キャーリサ「おー、それは後でもいいからお前も少し休め。
       茶でも淹れてやろーか?」

上条「い、いや結構です……って、何ですかコレは」

キャーリサ「おい、昨日の朝食を根に持ってるの?
       いくら私もお湯沸かすくらいできるぞ……ん? どーしたの?」

上条「い、いや……上条さんのベッドの上に散乱してるそれは一体……」

キャーリサ「んー? あっ、すまん片付けるのを忘れてた。 
       昼間あまりに暇でな。何か本でも無いかと探してて偶然見つけてしまったの」

上条「その、なんだ。違うんだキャーリサ」

キャーリサ「何だ突然」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/01(金) 03:30:33.77 ID:TmqT2d0po

上条「この大量のエロ本は別に上条さんのコレクションとかではなくてですね。
    土御門や青髪に無理矢理押し付けられただけなのですよ」

キャーリサ「おー、それで?」

上条「うんまあ、何と言うかその……」

キャーリサ「うむ」

上条「申し訳ありませんでした」 ドゲザッ

キャーリサ「別に謝らなくてもいーぞ」

上条「いやまあ何と言いますかお見苦しいものをお見せして……」

キャーリサ「お前も年相応にこーいうの見るんだなって、ちょっと微笑ましくなったし。
       発見した時はあまりの冊数にドン引きしたがな」

上条「うぐっ!」 グサッ!

キャーリサ「まーせっかくだ。お前に一つ確認しておきたいことがあるの」

上条「な、なんでせうか……」 ビクッ

キャーリサ「どれが好みなんだ?」

上条「……はい?」

キャーリサ「だ・か・ら! どの本が好みなんだと聞いているの
       速やかに答えよ」

上条「は、はいっすみませんっ!」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/01(金) 03:33:24.26 ID:TmqT2d0po

上条(ど……どういうことだ……? なんか怒ってるっぽいぞ……? 素直に答えてしまっていいのか?
    土御門チョイスのロリものなんて選んだら問答無用で真っ二つにされそうだな……)

上条「えーっと……」

キャーリサ「う、うむ」

上条(土御門の本は妹ものとロリしか無い……となれば多種多彩な青髪チョイスの中でも選んで引かれないものを……)

キャーリサ「言っておくが無難に答えておこーなどと考えたらお前の男性機能を破壊してこんな本を見ても二度と興奮できん体にするぞ」

上条「上条さんハードSMは好きではありませんのことよ!!」

上条(あぶねぇ……じゃあどれが正解なんだ……。犯罪臭がしなくて上条さん好みのもの……出来るだけ健全なやつ……わ、分からん。
    いっそ賭けに出て男の娘ものに……いや駄目だ。そんな倒錯した大冒険は……く、くそうっ!
    ええいままよ! こうなったら右手の向くままに任せる!
    俺の下半身をお世話してくれてる右手だからな! お前なら信じられるぜっ!)

上条「上条さんのイチオシはこれだっ! 頼む! 俺の幻想殺しっっ!!」 ビシッ!

キャーリサ「!」

上条「…………」 グッ

キャーリサ「…………」

上条「……あ、あれ……?」 チラッ

キャーリサ「ん……んんっ! ごほんごほんっ! そ、そーかそーか。お前コレがいーのか……」 カァァ…

上条(……ど、どれを選んじまったんだろう……) オソルオソル…

上条「『金髪年上お姉さんマン開! 欧州の巨乳天使達』……だと」

キャーリサ「ん……ま、まーいいんじゃないか? 
       お前の趣味は悪く無いと思うぞ……?」 チラッチラッ

上条(……まさかの洋モノ……。正直AVだと激しすぎていまいち興奮しないんですが……)

キャーリサ「そ、そーかそーか。これがいーのか……ふふっ」

上条(よく分からないけど……まあ機嫌良さそうだから良しとしよう)

キャーリサ「ふふふっ!」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 22:46:27.20 ID:IFX5FSTFo

10日目 後編


―――英国 バッキンガム宮殿  回廊 13:10


上条当麻はキャーリサの手をとったまま彼女の部屋を出たところだった。
そこで廊下を警戒しつつ待っていたアックアと土御門。
二人と合流し、次に向かうポイントはバッキンガム宮殿の西側に存在する庭園だった。


上条「よし、行くぞ土御門」


もはやキャーリサから離れまいと固く決意を込めた上条が力強くそう言う。


土御門「お二人さん、もう準備はいいのかにゃー」


その様子を見て土御門が口元に愉快そうな笑みを浮かべて問いかけてきた。
キャーリサが首肯する。


キャーリサ「手間をかけてすまないの。まさかお前達まで一緒にいるとはな」

土御門「カミやんがどうしてもキャーリサを助けに行くって言って聞かないからにゃー。
     一人よりは成功率が上がるだろ?」


土御門のその言葉を聞いてキャーリサの頬にほんのり赤みが差した。


キャーリサ「ん……そ、そーか。とーまがそんなことをな……」


コホンと咳払いをし、キャーリサは上条にチラリと視線を送った。


上条「?」


その視線の意味が分からず首を傾げる上条。
そんな二人の様子を見て土御門がくつくつと笑った。


アックア「話は走りながらでも出来るであろう。行くぞ」



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 22:49:06.81 ID:IFX5FSTFo

周囲を警戒する素振りを見せながらアックアがそう言う。
頷く上条。
キャーリサと合流は出来たが、まだ何も終わってはいない。
むしろここからが本番と言えるだろう。
これからキャーリサの手を引き、騎士達を退けながら安全な場所まで退避しなくてはならないのだから。


キャーリサ「お前もよく来てくれたな、ウィリアム。感謝するし」


それをキャーリサも理解していたから、短い言葉でアックアに礼を言う。
しかしアックアは何でも無いことであるかのように踵を返し、先頭に立って脚を踏み出した。


アックア「私は私自身に従ったまでだ。その必要は無いのである……行くぞ」

キャーリサ「うむ。それで、外の連中はどうなってる?」


キャーリサはそれ以上話を引っ張ることはしなかった。駆け出したアックアの背を追いながら、現状を確認すべく話を切り出す。


土御門「今のところどこも健在。まだ戦えるぜい」


軽口で土御門は言うが、いつまでも優勢のままでいられるという保証は無い。
窓の外や廊下を響いて聞こえる戦いの音は、徐々に上条達の傍まで近寄ってきているためだった。
それは敵の包囲網は確実に縮まっていることを如実に示している。
だが、それを承知の上でキャーリサは力強く笑みを浮かべた。


キャーリサ「上手くいっているよーで何よりだし」


気の抜けない状況であることは事実だが、事態を憂うよりも一刻も早い戦場からの離脱こそ先決だと彼女は当然のように理解していた。
それこそがこの戦いを勝利で終わらせるための絶対条件。
最後尾で背後を警戒しながら走る土御門が、呼応するように獰猛に笑う。


土御門「よく言うぜい」

上条「後は例の脱出ポイントに向かうぞ」



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 22:51:40.35 ID:IFX5FSTFo

上条はキャーリサの手を握ったまま短く告げて、階段を駆け下りていく。
もう彼女から離れることなどしない。
身体が朽ち果てようと、意識が刈り取られようと、右腕の肉片一つとなるまで彼女を守り通す。
それが上条が与えられた役目であり、協力してくれている皆の気持ちに応えるということだと考えた。
知ってか知らずが、キャーリサもまた上条の手を強く握り返す。


キャーリサ「裏の庭園だったな、急ぐの!」


恐れなど微塵も見せぬ勇敢な王女の言葉は、意図せずとも三人に力を与えた。
囚われの王女を守りながらの脱出。
今後英国王室前代未聞の事件として密やかに語られるであろうこの状況下において、三人の行動は追ってくる本物の騎士達のそれよりも余程本職のようであった。


アックア「むっ……!」


階段を駆け下りた先、一階の回廊にてアックアが急に足を止める。


上条「どうしたアックア!」

アックア「行き止まりである……」


アックアが顎で指し示した進行方向には確かに堅牢な石の壁が立ち塞がっている。
宮殿内の見取り図はあらかた頭に叩きこんでいた上条だが、戻り道を間違えただけではないということはすぐに理解出来た。
そうでなくては、アックアがわざわざ立ち止まってまで行き止まりを宣告するはずもない。


キャーリサ「馬鹿な。ここは私の家だぞ、こんなところに行き止まりなど無いし。
       構わん、壁ごとブチ抜け」


今自分たちがどんな状況に置かれているかを考えるより早く、キャーリサは壁の破壊をアックアに命じる。
この不測の事態に見舞われた際の即座の判断能力もまた『軍事』のキャーリサの本領であった。


アックア「了解である」


アックアが目視出来ない速度でアスカロンを振りかぶったその時。
彼の視線は天井を捉えていた。



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 22:54:31.29 ID:IFX5FSTFo

上条「なっ!?」

キャーリサ「天井が!」


プレス機のように容赦の無い速度で落ちてくる天井。
一体いつから女王の公邸は忍者屋敷になったのかと、上条がキャーリサを庇うように抱き締めて地に伏せようと跳びかかる。
アックアも眼前の壁破壊から天井の破壊に行動を変えようと試みるが、それよりも早く土御門が叫び声をあげた。


土御門「カミやん!右手を上に突き出せ!」

上条「えっ!?」


既にキャーリサを抱きかかえる寸前だったために体勢をうまく切り替えられそうも無い。
しかし、土御門の言葉を聞いたアックアが上条の右手を掴んで引きずり起こし、そのまま落下してくる重厚な天井に突き付けた。


上条「えええぇぇえぇぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!!!???????????」


パキンッ!というガラスの割れるような音が当たりに響き渡る。


アックア「ふンっ……!!」


アックアはその勢いのまま上条の手を行き止まりの壁へと叩きつけた。
肩が抜けそうな程の衝撃が全身を走り抜けるが、次の瞬間やはりガラスの割れる音が聞こえた。


土御門「やっぱり魔術だったみたいだな」


ようやく解放された上条は生きた心地がしないまま肩を押さえつつ天井と壁を見やる。
そこには、先ほどのような行き止まりは無く、眼前には庭園への回廊が伸びている。
そして天井も落ちてきている様子など無い。


キャーリサ「幻覚か?」

土御門「いいや、実際落ちてきてたんだと思うぜい。建造物を作り変える魔術の類だろうな。
     実際アックアがカミやん振り回さなかったらちょっとヤバかったかもしれねぇ」

上条「アックアの剣とお友達になれそうですよ。死ぬかと思った……」

土御門「上条ソードだったにゃー」



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 22:58:33.25 ID:IFX5FSTFo

冷や汗が止まらない上条がガックリと肩を落としながら呟いた。


アックア「迷わず壁をたたき割っておくべきだったか……」

土御門「そのようだにゃー……」


それを無視して周囲に視線を走らせるアックアと土御門。


上条「!」

キャーリサ「ちっ!」


頬についた砂埃を拭うことも忘れて舌を打ち鳴らすキャーリサ。
どうやら先程の壁への対応に時間をとられ過ぎたようだ。


??「―――手間をかけさせる」


行く手に立ちはだかるのは、冷徹に眉間を潜めた身なりのいい男。
英国最大の武力にして、女王の懐刀。
騎士団長が数十名の魔術師と騎士を引きつれ四人を待ち受けていた。


騎士団長「お前達が泥人形だと知ったときは冷やりとしたぞ」

キャーリサ「騎士団長、命令だ。そこを退け」

騎士団長「その命令は聞けません。キャーリサ様、間もなく貴女の挨拶のお時間です。
       お客様達がお待ちですので、広間にお越しください」

キャーリサ「断るの」


淡々と交わされた、決別の会話。
たったその一往復で、彼女達は己の敵を認識する。
言葉は愚か、目配せすら不要だった。
キャーリサは先陣を切って回廊を駆ける。
その手に握られるのは、王の剣。
カーテナの欠片から光の刃を顕現させて、勇敢なる武の王女が、騎士派の長に切りかかるべく疾走した。



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:00:51.52 ID:IFX5FSTFo

上条「キャーリサ待て! 一人で行くな!」


その後を慌てて追う上条。


騎士団長「いかにカーテナであろうと、破片では私には勝てません。
       お忘れですか、ここは英国国内です。私も全力を振るえる」

キャーリサ「お前こそもー忘れたの?
       私の目的はお前に勝つことなどではなく、ここから出ることだし。
       カーテナによる供給も、フルンティングも無き今、お得意の『パターン』すら満足に扱えん時点でお前と私は互角よ!」


口元にサディスティックな笑みを浮かべてキャーリサは速度を緩めることなく騎士団長へと突撃する。


騎士団長「逃がしなどしません」


騎士団長が剣を構えキャーリサを迎え撃つ。
しかし


アックア「ぉぉぉおおおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおッッッ―――――!!!!!!!!!」

騎士団長「何っ!? ぐッ!!」


渾身の力でアスカロンを振りかぶったアックアが、騎士団長を横合いから思い切り吹き飛ばす。
メキメキという人体の軋む音を響かせながら、騎士団長は回廊の壁を突き破って上階まで叩き上げられていった。


キャーリサ「愚か者め! 標的たる私を見つけて視野狭窄に陥ったか!
       誰がお前となど戦うものかめんどーだし!」


高々と笑い声をあげてキャーリサはアックアと共にそのまま騎士や魔術師の集団の中へと突っ込んでいく。


土御門「ったく! 勇猛なお姫様だぜい!」

上条「着いてくのがやっとだぞ!」


必死でその後を追う上条と土御門。



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:03:30.82 ID:IFX5FSTFo

騎士A「来るぞっ!!!」

騎士B「怯むな! 足止めをすればすぐにこちらへ戻られる!」

魔術師A「問題ない。足止めだけならばどうにかなる!」

魔術師B「標的を狙うな! 騎士団長が戦線に復帰する十数秒を稼げばそれでいい!」


そう言って魔術師たちは人の耳では解読不能な言語で詠唱による術式の構成を始める。
地の底を震わせるような地鳴りの音が響いてきた。
宮殿の壁や天井が形を変え、上条達の行く手を阻むようにうねり蠢く。
脚をとられ思うように走れない中、土御門が叫んだ。


土御門「さっきと同じだ! カミやん右手を上手く使え」

アックア「いや、あの男が戻ってくるのである。前方以外は無視して構わず走り抜けろ!」


突き破った天井の上から肌をビリビリと震わせる気迫が漂ってくる。
アックアに吹き飛ばされた騎士団長がこちらへ向かっているのだ。
速度の落ちたキャーリサに上条が追い付くと、その手を取って右手を前方に突き出す。


上条「キャーリサ、転ぶなよ!」

キャーリサ「とーま……王女は転んだりなどせんっ! うわっ!」


そう言ってプールで転んでいたことを思い出す上条。
そんな矢先にキャーリサは隆起した石畳に足を取られバランスを崩した。


魔術師C「いまだ!」

騎士C「キャーリサ王女! 大人しくしていただきます!」


その隙を見計らって騎士の手がキャーリサへと伸びる。


土御門「ちっ! 仕方ねぇ!」


土御門はキャーリサに近づいた騎士に跳びかかるようにして腕に抱き着いた。
同時に上条がキャーリサの腕を引っ張って引きずり起こす。



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:07:38.94 ID:IFX5FSTFo

キャーリサ「す……すまないの」

上条「土御門!」


騎士と共に倒れ込んだ土御門に声をかけるが、土御門は割れたサングラスの奥に精悍な笑みを滲ませてヒラヒラと手を振った。


土御門「ガラじゃないんだけどにゃー……ここは任せろカミやん!」


キャーリサを追おうとする騎士を殴りつけ、銃弾を撃ち込みながら土御門が叫ぶ。


上条「頼んだっ!」


上条はキャーリサの手を握りしめたまま振り返らず庭園に向けて走り抜けた。


土御門「ちょっとは躊躇えよ! ……って、そういう作戦か」

アックア「急げ上条当麻! 奴が来たのである!」


吹き飛ばされた穴から騎士団長が姿を見せた。
少し距離があるが、この分では一瞬にして詰められる。
その前にどうにか裏庭まで出なくてはならないのだ。


騎士D「おい逃がすな! 魔術師! 足止めしろ」

魔術師D「分かってる!」


再び詠唱を始め、術式を構築する魔術師達。
その時。


    C   S    R   S   M   R   
??「変動を停止。復元する石壁を再編成せよ」



少女の声が回廊に響き渡る。
そして蠢動する大地はその動きを止め、不自然な動きで上条達と騎士達を分け隔てるように石壁が積み上がっていった。


上条「来たか、インデックス!」


石壁の向こう側にインデックスの姿が見えた。
彼女の『強制詠唱(スペルインターセプト)』により、回廊は防がれ、庭園への道を妨げる者はもはや誰もいない。



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:12:21.89 ID:IFX5FSTFo

アックア「ノタリコンを用いての術式の阻害であるか」

キャーリサ「際どいタイミングだったが、助かったし」

禁書「遅れてごめん! こっちも危ないところだったんだよ!」


彼女がここにたどり着くまでに一悶着あったようで、輝く様な銀色の髪には泥が付着していた。
そんな妨害をくぐり抜けて援軍に駆けつけて来てくれた。
このように敵魔術師の無力化こそが彼女の役割。
インデックスの護衛を担当してくれている清教派の一部のシスター達も一緒だった。


上条「悪いインデックス! 土御門、インデックスを頼んだぞ!」


本来守るべき対象であるインデックスをその場に残していくことの憤りを奥歯を噛み鳴らしてこらえる上条。
清教派唯一無二の禁書目録にそう易々と危害が加わるとは思わないが、それでも自分の目の届かないところで戦いを任せなければならないことが申し訳なく思えた。
彼女と土御門の力を信頼するしかない、キャーリサの手を握る力が強くなったその時


土御門「心配いらないぜい。もっとおっかねー護衛が来たからにゃー」


土御門の一人事は上条には届かなかったが、その意味はすぐに理解に達することになる。
何故ならば


??「―――まったく……彼女を残して逃亡とは、上条当麻。万死に値するな」


赤い髪が積み上がった瓦礫のような石壁の向こうに揺らめく。
その揺らぎはやがて陽炎と化し、周囲を鮮烈なる赤い炎となって包み込んでいった。
熱風が上条達の背中を通り過ぎていき、上条は走りながら背後を振り返った。


上条「ステイル……何で!」

ステイル「うるさいぞ、さっさと行け。……土御門が僕に『インデックスから決して目を離すな』と言うから何事かと思えば……。
      君は彼女に何をさせているんだ。そんなに死に急ぎたいのか」


ステイル=マグヌス。
上条自身からは協力を申し出てはおらず、土御門にそれを一任した彼が、インデックスを守るためという
最も単純でステイルを突き動かすにはこれ以上ない目的のために騎士達の前に立ちはだかる



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:15:15.25 ID:IFX5FSTFo

禁書「これはこういう作戦なんだからいいんだよ。それより、一緒に協力してくれるって考えてもいいのかな?」

ステイル「……ここまで来て放っておくわけにもいかないだろう」


煙草を口に咥え、紫煙をくゆらせながらステイルが忌々しげにため息をつく。
懐からラミネート加工され、ルーンの刻まれたカードを取り出し、それを乱雑に放り投げたその瞬間。
石畳で覆われた回廊を焼き焦がすかの如き火柱があがり、その中で赤黒い炎の巨人が産声をあげた。
『魔女狩りの王(イノケンティウス)』。
必殺の意を持ち、3000℃の炎が形を成した教皇級の魔術が発動する。


魔術師E「ス……ステイル=マグヌス!? 貴様は清教派の最大主教の護衛のはずでは!?」


雇われた魔術結社の魔術師が爆炎を背負い悠然と立つステイルに驚愕を露わにする。


ステイル「うるさいよ。そんなことを気にしている暇があったら、僕がこの敷地に何枚のルーンを仕掛けたかを心配しておくんだね」


ゴクリと唾を飲み込む魔術師達。
その意味を深く理解出来ていない騎士達は、突如現れた二人の乱入者を制圧しようと剣を構え攻撃を開始する。


魔術師F「ま、待て!」

騎士F「清教派の女狐には悪いが、痛い目にあってもらうっ!!」



ステイル「――――8万6千枚だ」



魔術師G「ッッッッッッ!!!!!!!!」


ルーンを極めた天才魔術師の一言に、同業である魔術師の顔面は蒼白となった。。
拠点防衛にこそ真価を発揮するステイルは、昨日この式典にインデックスが参加し、なおかつ何事かのトラブルが起こると土御門に聞かされてから、式典開始の直前まで不眠不休でカードを設置した。
客人を招く式であるから、景観を損なわないようにという騎士派からの注意も聞き流し、目立たぬ場所や時には地中にも埋めたその甲斐もあり。
『魔女狩りの王』は、過去に例を見ないほどの爆発力を見せる。
もはやその場に何人がいようと意味を為さない。


土御門「はりきり過ぎですたい、ステイル……」

禁書「っていうか私達いらなかったよね……」


引き気味の二人の声も他所に、うねり蠢く火柱が、ただ有象無象を飲み込むだけだった。



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:17:01.89 ID:IFX5FSTFo

―――英国 バッキンガム宮殿  東側城門前広場 13:10


御坂「あーもうっ! 何なのこいつらはぁっ!!」


御坂美琴は城門前広場にて魔術結社を相手に奮闘中だった。
得意の超電磁砲ではあまりにも威力が強すぎるため、肉体の強化されている騎士以外の人間相手には打てない。
基本的には電撃で意識を奪って行く方法を取っていたのだが、現在相手をしている魔術師達は倒しても倒してもゾンビのように起き上がってはこちらへ向かってくるのだ。


神裂「大丈夫ですか御坂! 数が多い。距離を取って一人一人確実に制圧してください!」

御坂「やってるけど起き上がってくるんですけど!?」


起き上がってくる魔術師や騎士たちをすれ違いざまに斬り捨てながら神裂が御坂の傍へと近寄ってくる。


神裂「恐らくは『ラザロの蘇生』を下地として失われた意識を覚醒させる術式です。
    あなたが彼らを殺すつもりが無いことを気取られているようですね」

御坂「さっぱり分かんないわよ! どうすりゃいいの!?」


昨晩インデックスに魔術について長々と説明されたものの、理屈で理解出来るものでは無いためいまいち飲み込み切れていない御坂。
それを神裂も分かっているためか、即応して答えを返す。
    

神裂「物理的に意識を吹き飛ばすか、身体を動かなくする他ありませんね。
    要は身体機能を破壊するしかありません」


武器を手に白目を剥いて襲いかかってくる敵の姿はどう見ても怪物のそれで、とても宮殿を守る衛兵達だとは思えない。


御坂「なるほどね。んじゃこれで……」


神裂の言葉に、御坂は片足を軽く地面からあげて離し、周囲を取り囲む兵士達を見据える。


神裂「!?」


その行動の意味するところを察した神裂が聖人の脚力にて咄嗟に飛び上がる。



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:19:21.83 ID:IFX5FSTFo

御坂「終わりよッ!!」


神裂が飛び上がった瞬間、御坂は靴底を地面に叩きつける。
石畳ギリギリのラインに沿うように、周囲に向けて低空を疾走する稲妻。
その電撃を足に浴び、蠢く屍人になっていた兵士たちが一人また一人と倒れていく。


神裂「これは一体……?」


意識はあるのに立ち上がれず、モゾモゾと地を這うばかりの兵士や魔術師。
身体の機能が働いていない様子で、それ以上動いても無意味だと悟ったか、或いは術式の効果が切れたのか、彼らはそれっきり動かなくなった。


御坂「筋肉を麻痺させてやったのよ。しばらくは起き上がれないし、起き上がったところで同じことしてやればいいだけだし」

神裂「なるほど。相手の動きが遅いので助かりましたね」


辺りに倒れ伏した数十名の兵士の姿を見て神裂が主張する胸を撫で下ろす。
息を吐いて盛り上がった大きな胸をチラリと見て御坂は忌々しげに眉をひそめた。


御坂「あ、そういやあんたのお仲間はどこ行ったの? いつの間にか姿が見えないんだけど」


新手が来る前に一休みしようと、リラックスし始めた御坂が思い出したように尋ねる。
戦いの途中から、50名程いた天草式の姿が見えなくなっていた。
彼らはあくまでこの城門に宮内から兵士をおびき寄せるための目立つ餌を引き受けていただけだったので、戦力的には問題無かったのであるが。


神裂「彼らは遊撃です。宮殿の別の場所で陽動を担当して兵力を分散させています。
    もっとも、時間ではそろそろ……ッッ!?」


それに答えた神裂が、突如宮殿の方を振り返る。
当然そこには何も無いが、宮殿内からは時折騒音や叫び声が聞こえてきていた。
中ではまだ戦いが行われている様子。


御坂「どうしたの?」

神裂「……御坂、すみませんがここをお願い出来ますか……。
    天草式から通信が入りました、宮殿の裏で少々想定外の事態が起こりそうです」



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:21:11.25 ID:IFX5FSTFo

通信とは言うが、特に先ほどと周囲が変わった様子は無いので恐らくは彼らにしか分からない魔術的な手段による緊急の連絡なのだろう。
時折姿を現す眼球のゴーレムを利用した通信手段とは違うため、かなりの即応性を要求される事態の様だった。


御坂「そ、想定外って何よ。あいつは大丈夫なの?」

神裂「分かりません。が、対応を求められるということはまだ健在ではあるのでしょう。
    ここをお任せしても?」


神裂の申し出に御坂は手をヒラヒラと振って頷く。


御坂「私とあんたじゃここは役不足。一人で十分だわ。それに私はここを動けないから、あんたが行くしかないもんね」

神裂「感謝します」

御坂「いいわよ。……頼むわよ」

神裂「お任せを」


短い言葉を交わして神裂は七天七刀を握る手に力を込めた。
一足飛びに宮内へと侵入していく神裂。こちらへ向かっていたらしい兵士を斬り捨てながら駆け行く背中を見送りながら御坂は、常人とはあまりにもかけ離れたその身体能力に苦笑いをこぼした。
しかし同時に不安が胸を過る。
聖人と呼ばれる、特別な力を持つ彼女が緊急で呼び出されねばならないほど、事態は切迫しているということなのだ。


御坂「……ま、しっかりやんなさいよ」


腰に手を当て、御坂は空に浮かぶヘリを眺めながら上条の顔を思い出す。
これだけの人間に協力を頼んでまで助け出したいと思われているキャーリサがうらやましい。
その事実を受け入れるのに、御坂はもう少しだけ時間がかかりそうだなと思うのだった。



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:22:57.11 ID:IFX5FSTFo

―――英国 バッキンガム宮殿  庭園 13:20


審判の日の如く火の手が上がっている元来た道を振り返り、キャーリサの口元が引きつる。


キャーリサ「おい。私いずれ戻ってくるつもりなんだぞ、復旧にどれだけ金かかると思ってるの」

上条「それはイギリス清教に言ってください」

アックア「……間もなく庭園である、行くぞ」


そしてようやく回廊を抜ける3人。
ポカポカとした陽射しに似つかわしくない戦場の先、芝生で覆われた広大な庭園がある。
周囲は木々で囲まれ、そこを通る並木道を抜ければ再び市街に出ることも可能だった。
陽射しを浴びるのが久しぶりのような気がする中、そこにたどり着いたその瞬間。
上条は思わず声をあげてしまう。


上条「な……!」

キャーリサ「……」

アックア「……」


アックアとキャーリサは無言でそこに広がる光景を睨みつける。


騎士団長「……もういいだろう。お前達は十分にやった。
       とでも言っておこうか」


高そうなスーツに煤や泥を着けて、騎士団長がコツコツと足音を鳴らしながら背後から追ってきた。
だが上条達は動くに動けない。
何故ならば。


キャーリサ「ざっと300人か……」


恐らく立食パーティの会場だったのだろう。
テーブルや料理の並ぶその裏庭には、数えるのも億劫になるほどの騎士や軍人たちが犇めいていたのだ。
彼らもやられっぱなしで終わるわけにはいかないと、先ほどよりも眼差しには確固たる敵意や殺意のようなものが見受けられた。



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:25:26.69 ID:IFX5FSTFo

アックア「……」

騎士団長「さすがに無駄だと悟ったか?
      言っておくがウィリアム、無駄な真似はよせ。
      お前の相手は私だ」


ロングソードを携えたまま、騎士団長が一歩一歩踏みしめるように後ろから近づいてくる。
確かにアックアならばこの状況を覆せる。
しかし、それは騎士団長がこの場にいなければの話だ。
彼がここにいる限り、誰か一人は彼の相手を務めなければならない。
不意をついた先ほどと違い、今度の彼はアックアの足止め程度のことはやってのけるだろう。


上条「くっ……」


疲労とここまでの逃亡劇で疲労が蓄積している上条が俯き声を漏らす。


騎士団長「驚きのあまり言葉も無いか?」


淡々とした表情で騎士団長が一歩前へと歩みを進める。
彼の一挙手一投足に数百人の衛兵、軍人、魔術師、騎士が注目し、指示を待ち受ける。


上条「ああ、驚いたよ……まさか」


キャーリサの手を強く握りしめ、憮然とした表情で言葉を紡ぐ上条。
周囲の視線と銃口が全て向けられていて、なお上条は怯まずに告げた。




上条「―――まさかこんなに上手くいくなんてな!」



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:27:45.47 ID:IFX5FSTFo

そして上条の口元に笑みが滲む。
その時だった。
轟々と地鳴りをあげる宮殿庭園。
騎士団長は目線を周囲に数度動かし状況の確認を開始する。
次の瞬間彼は目を疑った。
上条とキャーリサの立つ大地がせりあがり、二人をその掌に乗せて立ち上がったのは、
先程まで広間にいたシェリー=クロムウェルによるゴーレム・エリス。
彼女が先ほど告げた「裏庭でのひと暴れ」。
それは滞りなく作戦が進んでいるということの証であり、騎士団長の動きの全てが上条達の掌から出てはいないということの表れだった。


騎士団長「それでどうするつもりだ。逃げ場などないぞ」


二人を追おうとする騎士団長。
だが


アックア「どこへ行こうと言うのであるか」


アックアがアスカロンを振りかぶり、騎士団長の全身を打ち砕くべく轟音を鳴らして叩きつけた。


キャーリサ「馬鹿者め。お前がウィリアムの相手をするのではないし」


頭上高くより配下を見下ろす悪の女王のような顔つきで、キャーリサはサディステックに笑みを浮かべる。
そして周囲の兵士たちになど目もくれず、アックアは真正面に騎士団長を捉えて言い放つ。


アックア「私が貴様の相手をしてやるのである」


無口な傭兵の、珍しく饒舌な布告であった。


騎士団長「……奴らを追え」


アックアとの戦いを避けることが出来ないと踏んだ騎士団長の一言で、兵士たちは咆哮をあげながらエリスに向かって突撃をする。
樹齢千年を超える大木の丸太の如き腕で襲い来る兵士たちを薙ぎ払うも、キリなく攻撃を繰り返してくる。
頑強で再生可能なエリスと言えど転ばされれば上条とキャーリサは振り落とされ囚われる。


キャーリサ「ではそろそろ次へ移るとしよーか、とーま」

上条「ああ……建宮ッッッ!! アニェーゼッッッ!!!!!!!」



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:31:10.55 ID:IFX5FSTFo

上条が宮殿の庭園両翼へ向けて叫ぶ。
すると両脇の木々の合間から土煙があがり、そこから武器を携えた252名のシスター達と天草式十字凄教率いる女子寮のシスター達約100名が、兵士たちを取り囲むようにして突撃してきた。


衛兵1「ば、馬鹿な! 周辺の警備もあったはずだぞ!」

建宮「『隠れる』ことは我ら天草式のお家芸なのよ! 目視しようなんて考えてる時点でお前さんたちの敗けだ!」

騎士1「とにかく包囲を突破して体勢を立て直せ!」

軍人1「無理だ! 指揮系統がバラバラで連携がとれない!」


軍人や騎士、あげく警察まで、さまざまな所から警備が出てきているので、当然こんな戦争のような事態になったところで即座に対応は出来ない。
先日クーデターで戦ったばかりの騎士や、訓練を積んでいる軍人はまだしも、魔術結社の魔術師達など目も当てられない状況に陥っている。


アニェーゼ「待ちくたびれちまいましたよっ! 私達ローマ正教としちゃぁ、英国の兵士を蹂躙するなんざ願ってもねぇ作戦です!」


蓮の杖を嬉々として振り回しながら、目を輝かせてアニェーゼが先陣を切って特攻する。


ルチア「シスター・アニェーゼ! 張り切るのはいいですが先行しすぎないようにして下さい!
     個別の戦力では決して劣る相手ではありません!」

アンジェレネ「み、皆さん置いてかないでくださいー!」


周囲のシスターと連携し、数名で一人の敵を無力化していくルチアと、脚が遅いので列からはぐれそうになり、ルチアのスカートに必死でくらいつくアンジェレネ。
これこそが、天草式と必要悪の教会女子寮混合部隊&アニェーゼ部隊総計約350名に与えられた役目。
遊撃として周囲の警備の戦力を削ぎつつ宮殿庭園周辺に控え、敵兵が戦力を集中させた頃合いを見計らって挟撃すること。
そしてそれは、アックアによる騎士団長の足止めもまた作戦内容に含まれていた。


建宮「お姫様! 屋根の上に『例のもの』が置いてある。オルソラ嬢とシェリー=クロムウェルが守ってるからそこ行くのよ!」

キャーリサ「了解した! 感謝するぞ天草式、ローマ正教!」

上条「建宮、そこは頼むぞ!」



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:34:17.57 ID:IFX5FSTFo

上条の言葉に手を軽くあげて返す建宮。
そしてエリスは手を天高く伸ばし、二人を宮殿の屋根の上へと移送する。
それを見て、さらに一瞬にして戦場となった裏庭の様子に舌打ちをした騎士団長。


騎士団長「……バッキンガム宮殿の庭園と言えば、それは美しい光景だったのだがな。
      ひどい有様だ」


よもや街のど真ん中で挟撃されることなど想定していたはずもない兵士たちは、ただでさえ拮抗してしまった物量もあり、どこから対応していいのか分からず混乱し、為す術も無く蹂躙されていく。


アックア「ここが死体で埋まらぬだけマシであろう」

騎士団長「違い無い……」


ロングソードを握り、ため息をつく騎士団長。
しかし、彼はこの状況下にあってなお王女を諦めるなどという選択肢をとりはしない。
この程度は彼にとってもまた想定の範囲内だったのだ。
故に


??「まったく……宮内が騒がしいと思えば……これはどういうことなんだ騎士団長」


騎士団長もまた布石を打っておいた。
女が一人、庭園に姿を現す。
ゴーグルで押し上げた金髪をなびかせ、機能的な分厚い記事の衣装にエプロンを纏う、メイドのような女だった。


キャーリサ「奴かっ! 厄介なのが出て来たし!」


宮殿の屋根の上からキャーリサが忌々しげに吐き捨てる。
上条は見覚えのない人物だった。
だがアックアもキャーリサも、そして騎士団長も、3人の表情は先ほどよりも明らかに緊張を孕んでいることから、彼女がただのメイドなどではないことは容易にうかがい知ることが出来た。


アックア「……」

騎士団長「出来れば貴女にはただの客人として座っていてもらいたかったものだがな」


深く息を吐いて騎士団長は踵を返し、屋根の上のキャーリサを見据える。


上条「キャーリサ、あれは誰なんだ!?」



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:39:25.67 ID:IFX5FSTFo

上条は彼女の手を引き、シェリーとオルソラが待つという場所へ向けて屋根上を駆けだした。


キャーリサ「奴の名はシルビア」


メイドの女は戦場と化した庭園の様子に目もくれず、倒すべき相手が分かっているとでも言いたげに真っ直ぐにアックアの方へと歩み寄り、言った。




シルビア「挙式は女の生涯一度の晴れ舞台。ボンヌドダームとして神聖なる式を邪魔はさせん」




キャーリサ「ただの下女(ボンヌドダーム)だし。ついでに聖人だがな」




シルビアは拳を握り、一足でアックアの懐へと入り込む。
その程度ではアックアにとって脅威とはならない。
アスカロンにてその拳を迎え撃つのみ。
しかし


アックア「っ……!」


アックアの腕が持ちあがることはなかった。
彼の腕は、シルビアの左手に握られた象牙色の麻縄によってきつく縛られている。


シルビア「……神の子の遺体を包んだとされる聖骸布の伝承を元に構成した麻縄だ。
      『歩く教会』は知ってるだろ? それを逆の方向に応用したものだよ。
      何にせよ、これで貴様の右腕は『死んだ』」


右肩から先が動かないことを確かめるより早く、全力の拳がアックアの顔面に叩き込まれた。
さらにアックアの左足に巻きつく麻縄の霊装。
常人ならば頭部が弾けて吹き飛ぶ威力だが、聖人であるアックアは数十メートル大地を抉る程度で済まされた。
むき出しの土の中でムクリと起き上がる。
アックアは動かなくなった右腕を無視して、手近の落ちていたアスカロンを左手にて握りしめるが、今度は左足も動かなくなっていることに気づく。



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:41:37.52 ID:IFX5FSTFo

騎士団長「神の子似た身体的特徴を持つ聖人の『死を確定させる』聖骸布の霊装か……。
       ここは任せても構わないか?」

シルビア「さっさと行け。私はお前みたいな澄ました男は大嫌いなんだよ」



アックア「―――待つのである。誰が行っていいと言った?」



アスカロンを杖替わりに、右足のみの力で立ち上がるアックア。
鼻と口から血を流し、ブラブラと揺れる右腕と左足のことなど微塵も気にする様子を見せず、傭兵はただ眼前に立つ二人の怪物を相手に悠然と言い放った。

騎士団長「その体で何が出来る。お前の足はもはや動かん。私と聖人の二人を相手では、さすがのお前にも勝ち目は無いぞ」

なおも表情を変えない騎士団長。
それは慢心でも油断でもなく、ただ事実のみを告げていた。
それでも揺らがないアックア。
微かに口元を動かし、己の勝利を疑わぬ眼差しで二人を見据え、告げた。

アックア「知らぬとは言わせないのである」

彼はその霊装を、知っている。
『聖人崩し』と同様に、神の子の『死』を意味する魔術は彼にとって天敵とも呼べる。
だからこそ熟知している。
神の子の死が意味するものを。
そして傭兵はこう言った。




アックア「神の子は蘇り、そして神となったのだ。
      ならば神の子にとって『死』は、過程でしかないことを教えてやるのである」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:43:38.82 ID:IFX5FSTFo

―――英国 バッキンガム宮殿  回廊 13:25


ステイル=マグヌスは煤まみれになった宮内の壁をつまらなそうに眺めて咥え煙草に火を着けた。
8万6000枚のルーンによって構成された『魔女狩りの王』を御しきるのはステイルにとってもそれなりの重労働であったため、現在は迫ってくる騎士や魔術師達を薙ぎ払う役を土御門に任せ、魔術師を妨害しているインデックスの護衛を引き受けているところだった。


土御門「おいおい。宮内は禁煙だぜい」


土御門が魔術の腹を全力で蹴り上げて意識を奪い取りつつ茶化すように言った。


禁書「そういう問題じゃないんだよ! 宮殿の中が大火災なんだよ……」

ステイル「その辺の火は全部僕がどうにでもできるから火事にはならないよ。
      それよりキリが無いな。もういいんじゃないか? 離脱するべきだな」

土御門「いやいや、ここは外から来る奴らを階上に上げないためにも重要な拠点なんだぜい。
     俺と、『インデックスは』ここから動くわけにはいかないにゃー」


軍人を殴り飛ばしながら軽い調子で言ってのけた土御門の言葉にステイルが舌打ちを返す。


禁書「さっき外でゴーレムが動いているのを見たんだよ。
    もうすぐ作戦は終了だと思うから、もう少しがんばるべきかも!」

ステイル「……あと少しだな」


インデックスの声にステイルは渋々炎剣で騎士を薙ぎ払う。
ステイルはインデックスを守るために、彼女の傍を離れない。
全て土御門の計算によるものだった、
そんなことを知る由も無いインデックスは、諦めずに抵抗を続ける魔術師を無力化していく。
戦力はやや上条勢力が優勢なものの、ほぼ拮抗状態。
依然油断ならない状況ではあったが、土御門ですら作戦の成功が頭をチラついた。
そんな折



??「何をしたりているのステイル」



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:45:47.14 ID:IFX5FSTFo

囀る小鳥のような、若い女の声だった。
ゾッと背筋に冷たい衝撃が走りぬけていくステイルと土御門。
二人はある種もっとも危惧していた。
この女が戦いの中に介入してくることを。
こちらの意図の全てを看破し、その上で何をしでかしてくるかを読ませない底知れなさを感じる老獪さを持つ女。
硬く封鎖された大広間の方向から、ペタペタと足音を静かに鳴らして歩いてくるのは


ステイル「最大……主教……」


身長の二倍以上もある金色の髪を揺らす18歳の少女のような外見に微笑を浮かべた彼女はイギリス清教が最大主教。
清教派の長にして魔術師。
ローラ=スチュアートだった。


禁書「……」

ローラ「あら。かような困りたる顔を見せられど、私にはどうしたることも出来なしよ」


馬鹿みたいな日本語を用いる彼女は、土御門を見て微妙な顔をする。
自分のこの日本語がおかしいことを指摘されて久しいが、その元凶は土御門がわざと教え込んだことに起因している。
苦笑する土御門からプィッと視線を逸らし、インデックスに意味深な微笑で一瞥くれた後ステイルを見据える。


ローラ「ステイル……訊きたしことがありけるのだけれど、構わぬかしら?」


周囲に視線を送る様子も無く、ローラは無邪気な微笑を浮かべたまま問いを投げかける。
ステイルは務めて平静を装うが、事と次第によっては彼女を相手にしなくてはならないのかとも考えていた。
ローラはインデックスの遠隔制御霊装を持っている。
魔術師への対応で10万3000冊の魔導書を用い、不可のかかっているところにそんなものを使われればどうなるか。
少なくとも事態が好転することはないだろう。
土御門も口元には余裕の笑みを張りつかせているが、視線は鋭く二人の様子を捉えて離さない。


ステイル「何か? ……最大主教」


たっぷりと間を開けてステイルは厳しい口調で問いを返す。
そしてローラはそれに応えた。



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:49:39.97 ID:IFX5FSTFo

―――英国 バッキンガム宮殿  回廊 13:25


神裂火織は庭園にて起こっている不足の事態に対応するべく場内を速足で駆けていた。
エリスを動かしている所為かシェリーかの通信も途絶えている。
この点から、庭園にて戦いが行われているのは確実だったが、その詳しい現状までは神裂は把握しきれていなかった。
宮内に入り、一直線に回廊を駆けて行く。
そして宮殿内部、周囲を廊下にグルリと取り囲むように石畳で覆われた中庭のような屋外スペースが存在する。
ここを真っ直ぐに駆け抜けた方が速いため、神裂は扉を開け放ち再び外に出る。


??「ちょっと待った。ここから先へは行かせられないな」

神裂「!? あなたは……」


神裂の前に一人の青年が立った。
自然と腕には力が籠る。
彼もまた『不測の事態』の一つ。
広間にて感じた不安の一人。


??「シルビアの奴がなかなか戻ってこないから様子を見に来てみれば、何が起こってるんだ?
    とりあえず警備の連中が君達を捕えたがっているのは分かるが」


優しげな面立ちも今は消えている。
慎重に事態を把握しようとしているのか、難しい顔をしているが、神裂を通すつもりも彼には無いらしかった。


神裂「オッレルス……でしたか?」

オッレルス「さすがに魔術サイドでは顔はバレているかな。
       ……君程の人物があの偉大な女王の国に弓引くとも思えないが、かと言って黙って君を通すのも問題がありそうだな」

神裂「そこをどいていただけますか……?」


神裂とて退くつもりなど毛頭ない。
たとえ相手が強大な力をその身に宿す、『魔神になるはずだった男』であったとしても。


オッレルス「そうはいかない。君を通すと俺がシルビアに酷い目にあわされそうな気がするからね。
       そんな訳だ、足止めをさせてもらおう」

神裂「では押し通ります!」


神裂は七天七刀を構え、一歩を踏み出す。
その速度は、音速を優に超えるものであった。
パンッ! という空気の壁をブチ破る音とともに、頑強な宮殿の壁が軋む。
踏み込んだ大地に穴を穿ち、オッレルスを吹き飛ばそうと剣を抜こうとする神裂。



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:52:07.42 ID:IFX5FSTFo

神裂「唯――――」


それは人知を超える必滅の斬撃。
聖人の持つ力の全てを引き出し、立ち塞がる者を一刀のもとに斬り捨てる、完成された魔術による抜刀術、『唯閃』。
彼を相手に、決して躊躇うことは出来なかった。
それでも


オッレルス「『説明できる力』では、俺を倒すことは出来ない」

神裂「――――!!!???」


『説明の出来ない現象』が神裂の身に起こった。
何か『得体の知れない衝撃』が、ジワジワと体内を走り抜けていったところまでは覚えている。
そして気付いた時、神裂は宮殿の壁に強く叩きつけられていた。
全身の骨がミシミシと軋む音をあげ、口からドロリと血を零す神裂。
理解が出来ない。
自分が吹き飛ばされた理由も、彼の力の本質も、何一つ。


オッレルス「今ので動けるのか……驚いたな」


髪の毛一本動かさず、オッレルスは無表情のまま告げた。
神裂の意識を奪うつもりで放たれた一撃であったようだが、その目的は達せられなかった。
神裂はオッレルスを視界にとらえたまま立ち上がり、もう一度七天七刀を構えなおす。


神裂「驚異的な力です……何一つ見えないとは……」

オッレルス「俺と君の力はほぼ互角だ。
       君が『北欧王座(フリズスキャルヴ)』を理解出来ない分、少しだけ俺が有利というだけのことに過ぎない」

神裂「よく舌が回ります。焦りからくるものですか?」


神裂は少しでも体に蓄積したダメージを回復させようと会話に応じる。
だが、それはほんの一瞬の出来事でしかなかった。


オッレルス「かもしれないな。じゃあ続けようか、正直君の力も厄介ではある」

神裂「異なことを。ですが……それでも私は行きますッッ!!」


再び踏み込む神裂。
彼を斬り捨てるまで、何度でも唯閃を撃ち込むまでのこと。
肉体に過負荷のかかる術式であったとしても、自分だけが敗北を喫するわけにはいかない。
上条がキャーリサを連れて脱出を果たすまで、自分がこの男を足止めする。
ただそれだけを胸に秘めて、神裂は剣を構えた。
そして、『説明不能』の二撃目が神裂を襲う。



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:54:21.27 ID:IFX5FSTFo

―――英国 バッキンガム宮殿  屋根 13:30


オルソラ「上条さん、こちらでございますよ」


エリスによって届けられた屋根の上。
階下からは絶妙に見えない死角の位置にオルソラとシェリーはいた。


上条「おう、待たせて悪いなオルソラ……ってなんだこりゃ!」


キャーリサの手を引いたまま上条がそちらに駆け寄ると、そこには思いがけない光景があった。


キャーリサ「何だ、知ってたのではないの?」


キャーリサは意外そうに言う。
建宮が告げた『例のもの』。
それは『軍馬』であった。
クーデターの際にキャーリサが跨っていた黒い屈強な馬。


上条「いや、これは予定になかったし」

キャーリサ「まーこれはさっき私が用意させたものだしな。こっちの方が速いの」

オルソラ「上条さん、お話は後程でございますよ」

シェリー「さっさと行け、後方のアックアが押されてるわよ」


ブルル…と小さく鳴き声をあげた軍馬の首元を優しく撫でているオルソラと、庭園で縦横無尽に暴れまわっているエリスを眺めているシェリー。
それを聴きながらキャーリサが軽々と馬に跨り、上条に向けて馬上から手を差し伸べた。


キャーリサ「さー行くぞとーま。仕上げにかかるの。
       皆の奮闘に応えねばな」


間もなくアックアはシルビアとの戦いで手一杯になり、騎士団長がこちらへと迫ってくるだろう。
だが、それでもキャーリサは悠然とした笑みを崩すことは無かった。
もはや彼女は勝利を確信している。
否、確信出来ていなくとも、上条と共に実現させるのだと固く決意していたのだ。
これだけの者に力を借り、なお届かなかったのなら、自分はそれまでの人間なのだという想いを抱いて。
そしてそれは上条も同じだった。
あらゆる手を尽くし、やれることは全てやった。
後は結果を残すのみ。
上条はキャーリサの手を取り、彼女に引き上げられるようにして馬に乗る。



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:57:23.26 ID:IFX5FSTFo

オルソラ「うふふ、まるであなた様の方がお姫様の様でございますね」

上条「上条さん馬の乗り方なんて知りませんのことよ。
    じゃあな、オルソラ、シェリー、また会おうぜ!」

シェリー「テメェに会うとロクなことが起こらねぇからもういい。
      まあでも今回は感謝してあげるわ。あのクソ忌々しい騎士派の連中が馬鹿みたいに踊ってるから」

オルソラ「御無事を願っているのでございます」

キャーリサ「感謝する。お前達も無事に戦いを終えよ」

シェリー「戦闘職に『無事』なんて言葉は必要無いのよ。行け」


こちらを見ず、手に持ったオイルパステルを弄びながらシェリーがぶっきらぼうに言い放つ。
それを微笑ましげに見守るオルソラの笑みを見ながら、上条はキャーリサの後ろからその細いウエストにしっかりと抱き着いた。
分厚いコートの下に、確かな体温を感じて。
上条はようやくキャーリサがそこにいるのだと自覚することが出来た。


キャーリサ「はっ!」


手綱を振るい、屋根の上を駆けて行く黒い馬の王女。
階下で戦う皆の姿が見える。


キャーリサ「案ずるなとーま。今や危険なのはお前と私だけだし。
       ここまで来た以上、己が身の心配をすべきは奴らではないの」

上条「分かってるけど、みんな良い奴だなって思ってさ」


上条はその光景から決して目を離さなかった。
皆で勝ち得る勝利。
そのための最後の一歩。
それこそが、この天上に向けて駆け昇る疾走だった。
王女がいるために銃口をこちらに向けられない軍用ヘリのプロペラ音がうるさく響いている。


キャーリサ「ふふっ、それは違いない。お人好し共め。全員に勲章でもくれてやりたい気分だし」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/05(火) 23:59:41.03 ID:IFX5FSTFo

快晴の空に向けて、キャーリサが輝くように微笑む。
プラチナのように煌めく髪から薫る華の如き香りも相まって、まるで春の草原を走っているような気分になれた。


上条「みんなお前を助けるために来てくれたんだ」

キャーリサ「それは違うぞとーま」


屋根から屋根を跳び。徐々に上へと登って行く。
蹄鉄が屋根を叩き、風が頬を通り過ぎていった。


上条「え?」


手慣れた様子で馬を操るキャーリサに感心しながら、上条は首を傾げた。


キャーリサ「皆お前を助けに来てくれたの。奴らが集まったのは他でも無いお前のためであり、
       お前がいたから私はここまで来れた」


キャーリサの言葉に上条は照れたように遠くの街並みを見下ろす。
彼女が自分のことであるかのように誇らしげだったのが印象的だった。


キャーリサ「ありがとー、とーま。私はお前に選ばれて幸せ者だし」


上条の位置からでは表情は見えなかったが、キャーリサは本当に満面の笑顔だった。
戦いのさ中に在るとは思えない声色と表情。
上条は顔が熱くなってくるのを感じる。
よくよく考えてみれば、現在もキャーリサに抱き着くような恰好になっている。
それも相まって、急に緊張と恥ずかしさでいっぱいになってきた。
作戦の終了まであと少し。
これが終わったなら、彼女を飽くまで抱き締めようと決める上条だった。



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:02:15.26 ID:zEIeBwxqo

―――英国 バッキンガム宮殿  回廊 13:30


ステイル「最大主教、今……何と?」


ステイルは吸っていた煙草を思わず口から零して落としてしまった。


ローラ「聞こえなしにつきなの? 乙女が恥を忍んで聞きているのよ」


ローラはその吸殻を拾い上げ、火を床で消してステイルに預けると頬を膨らませた。
彼女の発言の内容に、土御門やインデックスは愚か、周囲の騎士や魔術師達も皆絶句している。


ローラ「だーかーらー!
     


     化粧室はどこかと訊きているのよ!」



ステイル「……」

土御門「……」

禁書「えっと……あ、あっちなんだよ」


インデックスが近くにあるトイレの方向を指差すと、彼女は踵を返してそちらに向けて速足で歩いて行く。


ステイル「ちょ、ちょっと待って下さい最大主教!!」

ローラ「な、何なのステイル。まだ用がありけるの?
     私は割と緊急事態につきなのだけれど」


お願いだから早くトイレに行かせてくれと言いたげにローラが眉をひそめて振り返る。
だがステイルは納得できなかった。
このただごとでは無い状況下で、まるで何事も起こっていないかのようにスルーしていくだなんて。


ローラ「……私は今化粧室へ行きたることしか考えられなしなのよ」



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:04:02.29 ID:zEIeBwxqo

ローラは表情こそ笑顔だったが、それは背筋が凍る程寒々しい物言いだった。
そしてステイルはすべてに合点がいく。


ステイル(最大主教はこの婚姻に反対ということか)


ステイルはチラリと土御門に目配せをすると、彼も小さく頷いた。
ローラはキャーリサと某国皇太子の結婚を快く思ってはいなかったのだ。
英国に他国の力が介入する余地を残せば、国内で清教派として力を振るうことが出来るローラには面倒事が一つ増えるということになる。
王室派の問題というこで口が出しにくい状況下であったが、上条当麻を初めとするその周囲の人間たちがこれをブチ壊してくれるならば彼女にとっては都合が良いことであるのだろう。
つまり、彼女は今日、この場で見た事聞いた事に関して見て見ぬフリを決め込むことにしたらしかった。


ローラ「ステイル……おイタも過ぎたるのはいけなしよ?」


金髪の揺れる背中を向けたまま、軽く釘を指すようにそう言い残し、ローラは回廊の向こうへと去っていく。


土御門「じゃ、オレ達はトイレまでの道を片付けるとしようか」

ステイル「そうだね。最大主教が戻って来るまでには、綺麗にしておくとしよう」

禁書「大丈夫。そろそろとうま達も最後の仕上げにとりかかってるはずなんだよ」


その背中を見送りながら、何の憂いも無くなったステイル達は残り少ない敵を見据えて残酷な笑顔を浮かべた。



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:06:44.52 ID:zEIeBwxqo

―――英国 バッキンガム宮殿  屋根 13:45


キャーリサ「よし。ここでいーな」


やがてキャーリサは馬を止め、広い屋根の上に降り立った。
馬の顔を撫でて感謝の言葉を告げる彼女を横目に、上条は辺りの様子を見回す。
宮殿で最も高い位置にある屋根の上だった。
やや足元のバランスに不安はあるが、立っている分にはさほど問題がある位置ではない。
下方で戦う皆の姿が小さく見えた。


上条「よし、行くぞ。キャーリサ」


上条は力強くキャーリサに告げる。
キャーリサもまた微笑、深く頷いた。


騎士団長「そこまでだ」


そして追いかけてきたのは、やはり騎士団長。
口元から血を流し、スーツもボロボロであったことが、アックアとの戦いの壮絶さを物語っている。
上条もキャーリサも、彼がここまで登ってきたことに不思議と焦りは感じていなかった。


キャーリサ「もー一度命ずるぞ。私を見逃せ」

騎士団長「お断りします」

上条「どいてろキャーリサ。俺がやる」


上条は拳を握り。キャーリサをかばうようにして前に立った。
日本での雪辱を晴らさなくてはならない。
しかし、キャーリサは上条の隣に並び立つ。


キャーリサ「仲間外れにするな。私もやるし。
       共に征こー、とーま……お前と一緒にいたいんだ」


青く澄んだ瞳が上条を見つめていた。
頷き、応える上条。
先日の敗北によって失われたものなど、上条の安いプライドでしかない。
ならば一騎打ちになどこだわる必要はない。
二人で騎士団長を下し、共に脱出を図ればいい。


騎士団長「全く手を焼かされた……これはキャーリサ様の策ですか?」



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:11:28.24 ID:zEIeBwxqo

ゆっくりと間合いを測りながら騎士団長が問いかける。


キャーリサ「そーだ」

キャーリサはカーテナの破片から光の剣を構成し、騎士団長に切りかかる。

上条「キャーリサが本に作戦を残しといてくれたんだよ。
    テメェらはまんまとこいつの手の中で踊ってた訳だ」


上条が騎士団長に拳を振りかぶると、彼はそれをかわして足元を引っかけて上条を蹴り飛ばす。


上条「ぐっ!」

キャーリサ「大丈夫かとーま!」

上条「問題ねぇ! もうお前の前で倒れたりしない!!」


すぐさま立ち上がり騎士団長に飛びつくと、わずらわしそうにそれを振り払う。
だが、連携して切りかかったキャーリサの剣先が騎士団長の髪の毛先を額の薄皮ごと切り裂いた。


騎士団長「ッ!」

キャーリサ「ついでに言えばな、騎士団長。お前が式典の会場をこのバッキンガム宮殿に変更することも、私は読んでいたぞ!
        そもそも、敵がいつ来るか分からない状況下でお前が聖ジョージ大聖堂などという清教派の本拠地を会場に選ぶものか」


口元に余裕の笑みを浮かべたキャーリサが背後に飛んで距離をとった騎士団長を見下すように告げる。


上条「キャーリサの作戦は初めからこのバッキンガム宮殿での戦いを想定したものだった。
    まあここまで人数が増えるのは予想外だったみたいだけど。
    ……それを土御門とアックアが調整して今日を迎えたってわけだ」

騎士団長「なるほどな。道理で悉く対応されると思っていた。
       ……だが、私がここまで追ってくるというのは想定外だったのではないか?」


騎士団長の表情にも焦りは無い。
この屋根の上に邪魔者はいないのだ。
あとは自分がキャーリサを回収するのみだと思っているのだろう。
確かに彼の言う通りではあった。
本来ならば庭園にてアックアに騎士団長を任せ、そこから離れたこの場所で悠々と逃げ切ることが出来る予定だった。
しかし現れた不測の襲撃者、シルビアとオッレルス。
彼らの存在によって、キャーリサも上条もこんな最終段階まで騎士団長と相対するハメになり、彼を退ける必要を迫られている。



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:13:15.64 ID:zEIeBwxqo

キャーリサ「そーだな。シルビアは全くの想定外だったの。
       散々帰国命令を出しても戻ってこなかった奴が、このタイミングで来るとは思わなかったし」

騎士団長「ここからどうするおつもりで?
       恐らくは警備の薄い個所を見極めて突破する気だったのでしょうが……
       馬の脚ならば私でも追い付ける」

キャーリサ「そーだな……」

騎士団長「それにキャーリサ様。 
       この段階において勝利を確信されているようだが、それは無駄なことです」

キャーリサ「……ほー、それは何故だ」


キャーリサがピクリと眉を動かし、騎士団長に問いかける。
そして次の瞬間


騎士団長「こうするだけのことだ」


上条は身体に走る衝撃と共に宙を舞っていた。
聖人級の動きで上条に肉薄した騎士団長が、その腹部を思い切り蹴飛ばして吹っ飛ばしたのだ。
ここは地上高い屋根の上。
一度空中に投げ出されれば、後は落下を待つのみ。


キャーリサ「とーま!」


屋根のへりから落ちて姿を消す上条。
キャーリサの頭にカッと血が上る。
そして彼女は剣を握りしめ、騎士団長へ向けて突撃の構えをとった。


騎士団長「キャーリサ様、少々手荒な真似をさせて頂きます。お覚悟を」


騎士団長はロングソードを腰の高さに構えてキャーリサに向き直る。
力づくでキャーリサをねじ伏せる。
騎士団長が、英国紳士としての矜持を捨て、それでもなお目的を果たそうと決意した瞬間だった。
しかし、完全にキャーリサを視界にとらえた彼は一つのことを失念している。


「――――待てよ」



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:17:08.26 ID:zEIeBwxqo

屋根のへりに手がかかり、そこから伸びた右手が、騎士団長の足首を強く掴んだ。


騎士団長「っ!?」


騎士団長はまだ理解出来ていなかった。
クーデターの際、直接対峙した訳では無い彼には無理も無い話だったのかもしれない。
だが、もう遅い。
上条当麻は。
確固たる信念を以て、全てを賭して英国を来た上条当麻は、あの程度の一撃ではもはや屈しない。
キャーリサの前では倒れない。
そう決めた上条当麻は、もう絶対にキャーリサの前で膝をつくことは無いのだから。

上条「まだ終わってねぇぞ……」

屋根にぶらさがり、這い上がって騎士団長の足元にしがみつく。


上条「おい……まだ聞いてなかったな。テメェはキャーリサが結婚することを何とも思わねぇのかよ……」

騎士団長「……何」


本来の騎士団長の力ならば、上条の手を振りほどくことも出来るはずだった。
だが、それは今や不可能。
理由は二つあった。
騎士派の長として受ける肉体の強化に関する術式が、足首を握る上条の右手によって全て無効化されていることが一つ。
そして二つ目に、そんな状態で、目前で剣を構えるキャーリサから視線を離すことは死に等しい愚行なのだから。


上条「答えろよ……テメェは、キャーリサの幸せなんてどうでもいいと思ってんのかよ!」

騎士団長「……少年、君には分からぬ話だ。私は英国騎士団長、私の意志の差し挟む余地など無い」

上条「そんなこと聞いてるんじゃねぇ……! お前はずっと王室で、キャーリサの傍で騎士なんてもんをやってきたんだろ!
    だったら、テメェ自身の思うところだってあるはずだ! じゃなきゃ、テメェは王室にただ従うだけの人形と変わらねぇじゃねぇか!」


上条は今度は右手で騎士団長に手を掴み、立ち上がる。
なおも騎士団長は動かない。
今の彼は鍛え上げられた常人と同じ程度の身体能力。
キャーリサの手に握られたカーテナで斬られれば、次に目を開けた時見るのは病室の天井だ。
だから、悠長に上条の言葉を聞くことしか出来なかった。


騎士団長「……望んでいるわけがないだろう……」

上条「!」

キャーリサ「騎士団長……!」

騎士団長「エリザード様は元より、リメエア様も、キャーリサ様も、ヴィリアン様も、私が一介の騎士であったころからお仕えしてきた方々だ……。
       そのような方が、英国の政情で他国へ追い出されることなど、どうして受け入れられる!!」



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:20:29.53 ID:zEIeBwxqo

騎士団長は怒りに声を震わせて叫んだ。
キャーリサの表情にも驚きが見られる。

騎士団長「エリザード様にとっても苦肉の策だったのだ。
       だから私もまたそれに従うことを決めた。これこそが最良の策だと信じてな……」

当然と言えば当然のこと。
騎士団長はこんな状態での婚姻など認められる程出来た人間ではないということも自覚していた。
それでも、己は騎士派を総べる長であり、女王が娘のためを思って決めたことならばと口を噤み、職務を優先した。
だが、本音はそうではない。
立場は違えど、時には妹のように傍らにいた彼女が政治の都合で望まぬ結婚を強いられることなど、認められるはずがない。


上条「そうか、分かった……」


それを訊いて、上条は騎士団長の手から手を離した。


騎士団長「ッ!」


騎士団長はこれを好機と見る。
急速に体勢を変え、上条を再度吹き飛ばすべく足に力を込めてロングソードを振るう。


騎士団長「それでも私は騎士団長だ―――!! 務めは果たす!」


上条は騎士団長の攻撃をかわすそぶりなど微塵も見せない。
一歩前へと足を踏み出し、それを迎え撃つ。


上条「確かに……俺は政治のことなんて何も分からねぇし、とんでもねぇことをやらかしてるんだろうさ……
    でもな、キャーリサが幸せならそれでいいって思うんだよ!」


そして上条は体をねじり、右拳を大きく振りかぶる。
上条の目には、騎士団長。そしてその向こう側にて輝く刃を振りかざした、愛しいお姫様の姿。


騎士団長「だが、我々に他にどんな方法があったというんだ! 答えろ上条当麻ッッ!!!」

上条「ならそれをこれから教えてやるよ、騎士団長。
    テメェがまだキャーリサを幸せにする手段がこれしかねぇって思ってるんなら―――いいぜ」

キャーリサ「――――っ」


騎士団長の刃の切っ先が、上条の首筋にかかるその刹那の瞬間。






上条「まずは―――そのふざけた幻想をブチ殺すッッッ!!!!!!」



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:23:26.75 ID:zEIeBwxqo

上条の拳が騎士団長の顔面に突き刺さった。
一切合切の魔術的手段による防御をブチ抜き、騎士団長の身体がグラリと揺らめく。


騎士団長「それしきのことで……私はっ……!!」


彼は百戦錬磨の騎士。
戦い慣れているとは言え素人の少年の拳一つで意識を刈り取られることなどありえない。
だが


キャーリサ「私を除け者にするなよ。寂しーぞ」


勇敢なる王女の声が響いた。


キャーリサ「お前の言葉、しかと胸に刻んだぞ、とーま」


よろめく騎士団長の身体に、何一つの慈悲も無く、キャーリサは王の剣で裁きを下す。
主君に刃を向けた騎士を、王女の剣は許しはしない。


騎士団長「キャーリサ王女……」


先程の上条のように、空中へと投げ出される騎士団長の身体。


キャーリサ「そして騎士団長。お前は我が王室が誇るべき忠臣だし。
        私はもうお前を責めはせん……だが」


例え彼が聖人級の身体能力を持っていたとしても、空中を疾走することなど不可能。
屋根の上に立つ二人を見上げて、ただ階下へ落ち行くのみ。
そしてキャーリサは、悠然たる笑みを浮かべて告げた。


キャーリサ「今日からはただのキャーリサだし―――間抜け。
        私はとーまと共に征く。母上によろしく言っておけ」


それでも騎士団長は諦めなかった。
大地に落とされれば、また昇ればいい。
上条と違い自分ならば一足で二人の元まで戻れる。
それなのに、彼の胸から敗色の香が消えることはなかった。


騎士団長(何だ……何だアレは……)


彼を見下ろす上条とキャーリサの背後。
快晴の天空に、ヘリの機影が一つ重なった。
あそこに搭載されているのは英国軍の軍人と騎士派の騎士。
常に空中から相手の動きを見張っていた彼らのヘリが一機、明らかにキャーリサ達の真上へと移動してきている。
そして、ヘリの扉を開け、そのヘリに一人の人物が立ったのと、騎士団長が大地に叩きつけられたのはほぼ同時だった。
衝撃に一瞬顔をしかめるも、騎士団長はすぐさま大地に立ち空を見上げる。
その時。



ヘリから、機体内部とワイヤーで繋がった女が、何の躊躇いもなく飛び降りてきた。





??「はっあぁあい!! お姉さんとお空飛んじゃうー?」



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:25:46.85 ID:zEIeBwxqo

騎士団長「……まさか……」


キャーリサとよく似た金色の髪を丁寧に巻いた派手な女。
目を背けたくなるような露出度で、妖艶な笑みを零しながら、二人の傍まで下りてくるその女。


騎士団長「…………まさかっ!!!」


彼女の二つ名は『追跡封じ(ルートディスターブ)』。
イギリス清教と契約関係のある運び屋にして、その名の通り追跡を振り切ることにかけて右に出る者はいない、逃走のスペシャリスト。
彼女はオリアナ=トムソン。
そして、上条が自ら指名した最後の協力者である。


上条「オリアナ、来てくれたのか」

オリアナ「お久ぶりね坊や。あなたのご指名だもの。どこへでも行っちゃうわ。
      それじゃ、お姉さんと世界の果てまでランデブーといきましょう」


ワイヤーに吊るされたオリアナが、見る者を虜にするような微笑を浮かべながら、上条とキャーリサの身体をしっかりと抱きしめる。


キャーリサ「おい、あんまりとーまにくっつくのわぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!!!」


次の瞬間。凄まじい勢いでヘリの方へと引き上げられていく二人。


騎士団長「逃がすものか!!」

オリアナ「あぁん、駄目よ。お姉さん、恋はいつだって追われるよりも追いかけていたいタイプなの」


オリアナは追跡を試みる騎士団長を挑発するように笑みを滲ませると、単語帳のような形をした魔導書『速記原点(ショートハンド)』のページを口で一枚引きちぎった
同時に彼の視界を阻むようにして煙幕が広がった。
それでもなお空中高く飛び上がる騎士団長。


騎士団長「……!!」


そして煙幕を抜けた先、そこに広がる光景に驚愕する。


騎士団長「これが狙いかっ!」



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/06(水) 00:31:53.31 ID:zEIeBwxqo

彼の目に飛び込んできたのは、撃墜された一機のヘリだった。
下方に視線をやると、城門前にいる一人の少女が空へと視線を向けている。
さらに轟音が近くで鳴り響いた。
少女の放った音速を超える弾丸が、ヘリのプロペラを打ち抜いたのだ。
内部にてパニックになっているパイロット達。
乗員の命を奪わないのは何も人道的な理由からではない。
それはつまり


騎士団長「ちっ!」


騎士団長はヘリの機体を受け止めて大地へと舞い戻った。
つまり、騎士団長は兵士の命だけでなく、宮殿内にいる人々の命を守るために、そのヘリの撃墜を食い止めなければならないのだ。
それもこれも、全てはキャーリサの策のうち。
最初から最後まで、彼女の掌から出ることは出来なかったと騎士団長は自嘲気味に笑う。


騎士団長「『軍事』のキャーリサ……こと用兵において、姉のリメエア様に引けを取らんな」


落ちていくヘリへの対応に回らざるを得ない状況を作り上げられ、騎士団長はそこでようやく完敗を受け入れることにしたのだった。


そしてヘリの内部に到着し、それを見下ろす上条とキャーリサ。


オリアナ「ふう。ワイヤーの締め付けがきつくてお姉さん興奮しちゃった」

五和「上条さん、大丈夫ですか?」

オリアナ「あ、ダメダメ」


ヘリを操縦していた五和が声をかけてくるも、オリアナが手をあげてそれを制する。
眼下に見下ろす光景。
戦場と化したバッキンガム宮殿から、戦いの音が消えていく。


キャーリサ「私達の勝ちか? とーま」

上条「そうみたいだな」


ポツリと呟いたキャーリサに、気が抜けたように応える上条。
やがて上条の手を握り、キャーリサは少女のような笑顔を浮かべて言った。




キャーリサ「―――家出してきたし」




上条「――――もう帰さねぇよ」




楽しげに言葉を交わした二人を見て、呆れたようにオリアナと五和は肩をすくめた。



217: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:09:13.82 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿  庭園 14:00


ドォォオオオオオオオオオンッッッ……!!!


シルビア「ヘリが落ちていくな……」

アックア「……我々の……いや、王女の勝ちのようであるな……」

シルビア「ああ……認めるよ」

アックア「では私も離脱させてもらうのである」

シルビア「……片手片足でここまで粘られては何も言えないよ。……時間が経てば回復することを分かっていたのか?」

アックア「言ったはずである。神の子は一度死に、蘇ったのだと。
      故に聖骸布に包まれようとそれは一時的な仮死状態に過ぎない。
      ならば、一定時間経過後に聖骸布の効果は無くなると読むのは造作も無いことである」

シルビア「ふん、好きにしろ。私はあの落下物を何とかする役目まで押し付けられたらしいからね」

アックア「貴様達がそれを放棄すれば、或いは王女を連れ戻せるかも知れないのである」

シルビア「冗談でしょ? 私はボンヌドダーム。仕えるべき主君より優先する事など無いんだよ」

アックア「そうか……ではな」

シルビア「ちっ……あれだけやってもピンピンしてるとはね……。
      にしても、あのヘリ全部受け止めるのは騎士団長と二人でもちょいと手が足りないな。
       ……あの馬鹿野郎にも付き合わせるか」



219: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:11:57.41 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿  中庭 14:00


ドォォオオオオオオオオオンッッッ……!!!


神裂「……ヘリが……?」 フラフラ…

オッレルス「うーん……これは一体どういう状況なんだ……?」

神裂「はぁ……はぁ……どうやら上手くいったようですね」

オッレルス「俺には他人をいたぶる趣味は無いんだけどな……頑丈に体が出来ているというのも困ったもんだ」

神裂「まったくです……ですがおかげで……あなたをここで食い止めることが出来ました」

オッレルス「……そのようだな。満身創痍の状態でも、目的を果たした君の勝ちだ」

神裂「そうですね。……では、後は任せます」

オッレルス「……え?」

神裂「このまま王女たちを追われても困りますから。
   では私はこれにて……御免!」 ダッ!

オッレルス「ちょっ! ……まだ随分と余裕だったな、所詮俺の『北欧王座』もこんなものか……」

オッレルス「さてと。それはそれとして……アレを俺にどうしろと言うんだ」

シルビア「おーい! 何ぼんやり突っ立ってんのオッレルスー!」

オッレルス「あ、シルビア。無事だったか」

シルビア「アンタこそくたばって地べた這いずりまわってると思ってたよ」



220: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:15:25.38 ID:3uB6ZpMQo

オッレルス「で、どうしたんだ?」

シルビア「おう。アンタちょっとあのヘリ何とかしろよ」

オッレルス「ははは、冗談きついなシルビア。俺がやるよりシルビアがやった方が確実だし、第一俺は聖人じゃないぞ。
       そんなの物理的に無理に決まって」

シルビア「このシルビア様の新作股割き三角木馬に乗るのとどっちがいい?」

オッレルス「理不尽過ぎるだろ冷血女ぁっ!! 俺だって調整しながらの『北欧王座』はきついんだぞ!」

シルビア「アンタがここでもたもたしてるからあいつら取り逃がしたんだろ!
      英国王女が駆け落ちなんて前代未聞だぞこの馬鹿!」

オッレルス「知るか馬鹿! それに王女本人が幸せならそれでいいんじゃないですかね!!」

シルビア「む……」

オッレルス「…………あ、あれ?」

シルビア「……たまにはまともなこと言うな」

オッレルス「ならたまにはまともに褒めてくれてもいいじゃないか……」

シルビア「ふん、まあ仕方ない。騎士団長ばかりに働かせるのも哀れだしな。一気に老け込んでハゲるよアレは」

オッレルス「……誰が何をやらかしたのかは知らないが、彼らの健闘を讃えて後始末くらいは引き受けてやるとしようか」

シルビア「はぁ……やっぱり来るんじゃなかったな」



221: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:18:28.38 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿  テラス 14:00


エリザード「ははははははははっっ!! あの馬鹿娘め! 本当に男作って国を出ていくとはな!
       おまけにヘリまで落とさせて私達を人質にとりやがった。
       まったく、親をなんだと思ってるんだかな、ふふっ」

リメエア「全然笑いごとではなくてよ、お母様。
      大変なのはこれからだと言うのに」

エリザード「その割には楽しそうだぞ」

リメエア「ええ。キャーリサが前例を作ってくれたおかげで、私も外出がしやすくなるというものだから」

ヴィリアン「姉君……まさか本当に駆け落ちされるだなんて……」

リメエア「うふふ、ヴィリアンは少し羨ましそうね」

ヴィリアン「い、いえ……そんなことは……。でもウィリアム……一声くらいかけていってくれてもいいじゃありませんか……」 ハァ…

リメエア「うふふふ、こちらはまだまだ時間がかかりそうね」

エリザード「まったく我が娘達ながら……いい年をして揃いも揃って破天荒が過ぎるぞ」

ローラ「甘く酸っぱし青けり春の如しね、ふふーん、実に腹立たしきことね。
     やはり見逃したるのは間違いであったかしら」

エリザード「僻むな。お前が行き遅れているのなんてとうの昔から分かってたことじゃないか」

ローラ「んなっ! い、今の発言は許せなしよ! 戦争よ! 決闘を申し込みたるわ!」

エリザード「よかろう! 古き作法に乗っ取って殺し合い……というわけにもいかんから、ここは一つ別の方法で……
       そうだな、音楽での演奏を競うというのはどうだろうか」



222: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:21:45.74 ID:3uB6ZpMQo

ローラ「音楽……? まあ良いわっ! 望みたるところよ! して、パートは何なるの!?
    この最大主教を舐めりてもらいては困りけるわよ! オルガンの演奏くらいこなせなしでは清教派の主は務まらざりけるのだから!」


エリザード「あずにゃんだ」


ローラ「……ふぇ?」

エリザード「どちらがあずにゃんに相応しいかで競い合おう」

ローラ「な、何なの、アズニャンとは……」

エリザード「はぁ……これだからエセ日本語使いは……」

ローラ「ぐっ! だ、黙りて! そのアズニャンとかいうのと日本と音楽に、一体どのような関係がありけるといふの!?」

エリザード「あずにゃんとは現在王室で流行中の日本のテレビアニメであり、娘が家出する原因の一因ともなった壮大な伏線回収がうんぬんかんぬん」

騎士団長「女王テメェ人が落下するヘリを食い止めてる時にアニメの話なんてしてんじゃねぇぞボケ馬鹿コラ!!」 ゲシッ!

エリザード「ぬぐぉ! 貴様いつ戻ったんだ!」

騎士団長「たった今です。まったく……自分の娘が異国の少年と国外逃亡を企てて、
       あまつさえそれが成功してしまったという時に」

エリザード「いいじゃないか。それもまたあの娘の人生だ、好きに生きたらいい。
       一国の王女を力づくで連れ出せる程の男と一緒ならば、どこへ行っても大丈夫だろう」

ヴィリアン「でも……姉君の本来の結婚相手である皇太子殿下は……」

エリザード「話せば分かる方だし、乗り気でないのは向こうも同様だったろう。その程度の尻拭いは母親として引き受けてやるか」

騎士団長「……それはそうかもしれませんが……」

エリザード「お前のそれはアレだろう? 『大事にお世話してきた王女をあんな男に悔しいでもビクンビクン!』ってやつだ」

騎士団長「リメエア様、ヴィリアン様、先に謝罪しておきます。女王陛下を斬り捨ててしまい大変申し訳ありません」



223: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:25:44.08 ID:3uB6ZpMQo

エリザード「分かった分かった! 今のは無しだ! 剣を抜くな! ……ゴホンッ、それで、被害状況は?」

ローラ「国が傾きたることは避けたしね」

エリザード「そこまででは無いと思うが」

騎士団長「負傷者は多数ですが、民間人や来賓のけが人はおりません。全て警備の兵士です。
       死者0。墜落したヘリの乗組員も全員脱出を確認。強奪されたヘリの乗員も倉庫で発見されました」

エリザード「あれだけ大暴れして死者0か。さすが我が娘」

騎士団長「ただバッキンガム宮殿は半壊。庭園は踏み荒らされ、正門も見るも無残な状態です」

エリザード「う」

騎士団長「ですが……これは後程ゆっくりと補修していけば良いでしょう……」

エリザード「? 騎士団長……お前……」

騎士団長「……我々より余程あの少年の方がキャーリサ様のことを理解していた。
       それ故の結果です。残念ですが、我々の完敗のようですね……」

エリザード「……ふっ、そのようだな」

リメエア「補修というレベルはとうに超えているけれど」

騎士団長「キャーリサ様がいなくなられた今、我々の為すべきことも他にありましょう」

エリザード「……そうだな。では、次は我々の番だ、騎士団長」

騎士団長「はっ。キャーリサ様があの少年といつ戻られても良いように、まずは政敵の力を削ぐところから」

エリザード「クーデター以来身動きがとりにくかったが、ようやく私達の戦いに移れそうだな」

ローラ「清教派としてこの一件は借りにしたりておくわ。三大派閥の意志が統一されておれば、容易い戦いになりけるのだろう?」

エリザード「ああ。私も娘達に負けてはおれんからな。
       キャーリサのように力づくというのもたまにはよかろう。
       ……ここが女王の国だということを分からせねばならん連中に、ようやく仕置きが出来そうだ」」



224: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:27:57.92 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿 屋根上 14:00


オルソラ「行ってしまわれましたね」

シェリー「そうね、清々するわ」

オルソラ「うふふ、シェリーさん。何だか嬉しそうなのでございますよ」

シェリー「嬉しいに決まってんだろ。ようやく騎士派のクソ共に意趣返しが出来たんだ。
      今夜は祝杯をあげるしかないわね」

オルソラ「ではお付き合いしたいのでございますよ」

シェリー「何でよ」

オルソラ「女として、あのような情熱的でドラマチックな恋模様を見せつけられたら、いてもたってもいられないのでございます。
      この興奮を誰かと共有したいのでございますよ」

シェリー「いや別に私はそういうのは興味ねぇし」

オルソラ「祝杯とおっしゃられるということは、お酒でございますね。
      私、知人に美味しいワインをいただいたのでお持ちするのでございますよ」

シェリー「話聞きやがれ!!」

オルソラ「うふふふ、今夜はあのお二人の愛の逃避行を肴に朝まで女子寮で宴会でございますね」

シェリー「……あー、もういいわよそれで……」



225: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:30:54.70 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿 庭園 14:00


アニェーゼ「いやー! 手に汗握っちまいましたね! バッキンガム宮殿庭園で英国の騎士共をちぎっては投げちぎっては投げる! 
       まだ興奮が冷めやらないです!」

アンジェレネ「あ……あううう……めちゃくちゃ怖かったです……」

ルチア「得難い経験でしたね……ここまでの乱戦はなかなか……生きているのが奇跡です。
     正直私も少しだけ怖……ゴホンッ、まあ……シスター・アニェーゼが楽しそうなので良しとしましょうか」

アニェーゼ「何辛気臭ぇ顔してんですか二人ともっ! ほら、あっちでオルソラ=アクィナスが今晩は祝勝会だっつってますよ!」 バンバンッ

アンジェレネ「な、なんでそんなに楽しそうなんでしょう……」

ルチア「部隊を率いてみて初めて分かる感覚なのかもしれません……」

アニェーゼ「祝勝会の料理にはウメーボシ入りのクリームパスタお願いしますよー!」

アンジェレネ「それは駄目ぇぇえぇええええ!!!!!」


建宮「あいつら何やってんのよ……撤退しねぇで」

浦上「ふふ、女の子としては映画にも負けない展開ですから、アニェーゼ部隊の皆さんも盛り上がってるんですよきっと」

建宮「いやそんな感じじゃないのよ……」

香焼「建宮さん、五和大丈夫っすかね?」

建宮「あん? 何がよ」

対馬「五和の操縦してるヘリには例の彼と王女様が乗ってるのよ。
   五和の精神が耐えられるかどうか……」

諫早「ヘリの操縦を謝らんかが心配だな」

牛深「っつーか五和ってヘリまで動かせたんですね……」

建宮「そのうちガンダムとかも操縦出来そうなのよ。
    ……ま、大丈夫だろ」

香焼「マジっすか? 病んで後ろから刺したり……」

野母崎「ははは、無い無い……」

浦上「そうだよ、五和に限ってそんなの。あははは……」

建宮「はははは……はは……」

対馬「アンタ達顔ひきつってるわよ」

建宮「大丈夫……よな? 五和と女教皇様……」



226: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:32:50.24 ID:3uB6ZpMQo

―――英国 バッキンガム宮殿 回廊 14:00


カツカツ… カツカツ…


土御門「お、ねーちんお疲れさん」

ステイル「……ああ、神裂か。随分ひどいやられようだな」

神裂「……放っておいてください。自分の無力さにうちひしがれているところですから」

ステイル「まあ僕もそうだけどね。最大主教が出てきた時は背筋が凍ったものだ。
      まだまだあの子を守るには力が足りない」

土御門「ありゃ仕方ないって。俺だって焦りまくったし」

神裂「インデックスは……?」

土御門「さっきアックアが連れて行ったぜい。御坂と一緒に学園都市まで帰還組だ」

神裂「え……しかし、上条当麻にはもう……」

ステイル「それはどうかな。あのドが着くお人好しの偽善者が、簡単にインデックスを放り出すとはさすがに信じがたいね。
      もっとも、そんなことをすれば僕が上条当麻を焼き殺しに行くだけだけど」

神裂「あの子の気分も複雑ではないでしょうか」

土御門「まぁ情操教育にも良くなさそうだにゃー」

神裂「それはどういう意味ですか?」

土御門「だからーカミやんとキャーリサは恋人同士なんだから毎晩ゴニョゴニョ」

神裂「ッッッッ!!! そ、それはいけません! あの子にはまだ早い!」

土御門「ねーちんだって未経験のくせにー」

神裂「るっせぇんだよド素人がっ!!!」 

土御門「ゲフッ!」

ステイル「とにかく! それを決めるのは僕らじゃないだろう……それに」

神裂「……失礼しました。……それに?」



227: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:35:12.66 ID:3uB6ZpMQo

ステイル「引き止めたけど断られたよ。皆で来たから、皆で帰るそうだ」

神裂「……そうですか」

ステイル「やれやれ。だがここからが大変だな」

土御門「だにゃー。面倒事が多く参るぜい。オレも当分学園都市にゃ帰れねえですたい」

神裂「ええ。私達も、彼らも。騎士派との遺恨は少なからず残るでしょうし、学園都市との関係がこじれなければいいのですが」

土御門「その辺は王室派、騎士派、清教派で意見が纏まっているようだし問題無さそうだぜい。
     ましばらくはカミやんイギリスに入国できねぇだろうけどにゃー」

ステイル「いや……僕が言いたいことはそうじゃないんだ」

神裂「はい?」

土御門「どうしたステイル」

ステイル「……今から8万6000枚のルーンを回収しなくちゃならない」

神裂「……それは……」

土御門「……マジか」

ステイル「……不眠不休だよ」

神裂「はりきり過ぎましたね……」

ステイル「君達こそいいのか? 一緒に日本へ着いていかなくて」

土御門「そうだぜ神裂ねーちん! カミやんを奪い取るチャンスはもう今しか無いぜい!
     今こそ『堕天使エロメイド』がここイギリスの地に舞い降りる時!
     さあ勇気を出してレッツトライだにゃー!」

神裂「そんなもの手元にあるわけないでしょう……」

土御門「どころがどっこい! オレはいつだってねーちんの味方だからちゃーんと持っtグボァッ!!」

神裂「ド、ド素人が! ななな何で持ってるんですか!」

土御門「それはもちろん……ねーちんの……ため……ガクッ」

ステイル「……同情するよ」

神裂「結構です……」



228: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:37:54.89 ID:3uB6ZpMQo

―――英国上空 ヘリ機内 14:30


バラララララララララララララ… 


オリアナ「あらそう。じゃああなたもあの坊やのことが好きだったのね」

五和「ええ……でもそれも終わっちゃいましたけどね」

オリアナ「大丈夫よ。ほら、まだ寝とったり寝取られたりっていうドロッとした展開が待っているかもしれないものね」

五和「ねとっ! そ、そそそそこまではさすがににに!!!」 グラグラ

オリアナ「ごめんなさい、お姉さんが悪かったから操縦桿はきっちり握っていてね」

五和「す、すみません……」


バンッ! ゴォォォォォオオオオオオオオオオオ……!


オリアナ「あら?」

五和「ここ空の上ですよ!? 誰が扉を開けてるんですか!?」

オリアナ「そりゃ一人しかいないでしょう」

御坂「やだぁあああああ! 落ちる落ちるー!!!」 ジタバタ

禁書「さ……寒いんだよ……温かいスープが、ううんお湯でもいいから飲みたいんだよ……」 ガタガタ

アックア「…………」 ガシッ

オリアナ「おかえりなさい。と言ってもあまり無防備にドアを開けないでね。
      飛行機だったらとんでもないことになっているわよ」

五和「そ、それより抱えられているお二人が何やら危険な様子ですが……どうやってここまで来たんですか?」

アックア「無論跳んできたのである」

御坂「バカぁああああああ!!! 今日一番の命の危機だったわよ!!」



229: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:40:17.98 ID:3uB6ZpMQo

禁書「とうま……お風呂に入らせてくれると嬉しいかも……」 ガタガタ

アックア「……高度は大したこと無いはずであるが」

五和「大したことないのはあなただけですよ」

アックア「それはすまなかったのである」

オリアナ「可哀想に。お姉さんが胸の中で温めてあげる」 ギュッ

禁書「ぎゅむっ! ……はふー……ああ、何だか肉まんに見えてきたんだよ、あむっ」

オリアナ「あんっ! お姉さん、女の子に甘噛みされて新しい性癖に目覚めてしまいそう」

御坂「目覚めんな! ったく……あれ、あいつらは?」

五和「え? ……あの……その……」 モジモジ

オリアナ「そこの後ろよ」

御坂「んー?」 チラッ


キャーリサ「とーま……とーま」

上条「な、何だよキャーリサ」

キャーリサ「いや何。お前の名前を久しく呼んでいなかったし、とーまの名前を魂に刻んでいるの」

上条「何言ってんだかな。ほら見てみろよキャーリサ。景色が綺麗だぞ」

キャーリサ「そんなものより、今はお前を見ていたいぞ」

上条「い、いやー……そりゃ照れるって」

キャーリサ「いーじゃないか……ふふっ……ほら、もっとこっち来い」 グッ

上条「わっ! キャ、キャーリサさん……くっつきすぎじゃないでせうか……」 ドキドキ



231: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:45:31.90 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「私を拉致したんだ。責任持って私の傍にいることを命ずるし」

上条「そ、そりゃまあ……もちろん」

キャーリサ「そーか……ふふふっ、嬉しーぞ。……んー」 スッ

上条「え」

キャーリサ「私に口付けることを許す。……優しく、愛おしむようにせよ」

上条「よ……よし……んー」

御坂「ちょっと待ったぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

禁書「いくら何でもそれはここではストップなんだよ!!!!!!!!!!」

五和「ああっ! 私もそっちに行きたいのに!」

オリアナ「……正直お姉さんでもちょっとムラッと、間違えちゃった。イラッときちゃったわ」

五和「……いちいち卑猥に言わなきゃ気が済まないんですか……?」

上条「あ、ああ……インデックスに御坂か、お疲れさん」

禁書「まったくとうまは! ちょっと目を離すとすぐこれなんだよ!
    もう私達のことなんて忘れてキャーリサとイチャイチャしてるんだね!
    ねぎらいの言葉くらいかけてくれても罰はあたらないと思うんだよ!」

上条「悪かった悪かった。ありがとな、インデックス、御坂」

キャーリサ「私からも礼を言わせてもらうの。ありがとー」

禁書「ん……ま、まあ上手くいって良かったんだよ」

御坂「別に大したことしてないわよ。門の前で突っ立ってただけだし」

上条「もちろん五和も、オリアナも、アックアも。
    他のみんなにもまた改めてお礼しないとな」

五和「い、いえいえ! 私は上条さんのためならこのくらいのこと全然っ!」 ガタガタッ!

オリアナ「お嬢ちゃん、もう操縦変わりましょうか……? お姉さん隣に座っててムラムr」

五和「ハラハラですね。分かってますから」

オリアナ「ああん、お姉さんのキャラクターなんだから、役はこなさないとね」

アックア「……上条当麻、一連の作戦はこれで終了であるな」



232: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:47:35.82 ID:3uB6ZpMQo

上条「ああ。アックアには特に助けられたよ。何から何まで、どう礼をすりゃいいのか……」

アックア「必要無い。言ったはずである。私は私の名に従ったのに過ぎないと」

上条「……そっか。分かった」

アックア「…………ではな」

オリアナ「ええ!? ここから飛び降りる気!?」

五和「ムラムラはしませんからね」

オリアナ「まだ何も言ってないわよ」

禁書「うう……また寒気がしてきたんだよ……」

御坂「人体ってもんを疑いたくなるわよね……」

アックア「私は傭兵崩れのゴロツキである。
      そこに戦場が無くなれば次の場所へと赴くまでのこと」


ガチャッ バンッ! ゴォォォォォオオオオオオオオオオオオ…!!!!


上条「今度は学園都市に遊びに来てくれよ。アックアなら大歓迎だ」

五和「!!?」 ガタッ!

オリアナ「あら。お姉さんそういうの大好物よ」

アックア「…………気が向いたらな」

上条「ああ、待ってるよ」

キャーリサ「ウィリアム待て……」

アックア「…………」

キャーリサ「ヴィリアンを嫁n」

アックア「……」 ダッ!

キャーリサ「おいっ! ……ちっ、姉として手助けくらいしておこうと思ったのに」

上条「まだまだ先は長そうだな」



233: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:49:33.44 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「ふん、まーいいの。なー、とーま」

上条「ん?」


チュッ


オリアナ「あらあら」

上条「」

キャーリサ「ふふ……おとぎ話のエンディングはお姫様のキスで幕を閉じるの」

上条「あ……あはは……嬉しいよ、キャーリサ」

キャーリサ「そ、そーか。嬉しいか……! ふふっ!」

禁書「と・う・まぁぁああああ?????」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

御坂「アンタねえ……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

五和「…………」 ブツブツブツブツブツ…

上条「あ、あれ? さ、三人ともどうされたんですかー?
    気の所為か上条さん……三人の背中にまっ黒いオーラが見えているのですが……」

禁書「イチャイチャしすぎなんだよっ!!!!!!!」 ガブッ!!

御坂「いい加減にしろー!!!!」 ビリビリビリビリッ!

五和「……」 ブツブツブツブツ

上条「わぁああああああ!!!! まさかの波状攻撃!!!
    助けてオリアナ、キャーリサ!!」

オリアナ「お姉さんヘリが落ちないか気になって仕方ないからそれは出来ないわ」

キャーリサ「私は寛大だから子供のじゃれ合いくらいは微笑ましく見守っていてやるの」

上条「え……ってことは……」

禁書「とうまには今日と言う今日こそお説教させてもらうんだよ」 ギラッ

御坂「まだまだ目的地にはたっぷり時間があるもんねえ」 ビリッ…

上条「ははは……は……こ、このパターンはアレですね」




禁書・御坂「「お約束ってやつよ(なんだよ)!!!」」



上条「やっぱりぃぃ!!? ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!
    不幸だぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!」



234: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:52:02.93 ID:3uB6ZpMQo

11日目


――――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 玄関前


上条「うう……全身が痛い……」

キャーリサ「おー、見事に歯型だらけだな」

上条「ついでに電撃での痺れも追加されてます」

御坂「いつまでグチグチ言ってんのよ」

上条「アホか! 飛行機に乗ってる間中ずっと悪夢にうなされた上条さんの身にもなってみろよ!」

禁書「帰りの機内食はおいしかったんだよ。まさかあんなにいい席で帰れるなんて思ってもみなかったかも」

上条「こっちはこっちですっかり忘れて良い思い出に浸ってるし……」

五和「でも確かにビジネスクラスで帰れるなんて思ってなかったです……よかったんですか?」

オリアナ「あら、問題無いわよ。諸々の経費は全て坊や持ちだから」

上条「…………はい?」

オリアナ「坊や、お姉さんのお仕事はボランティアじゃないのよ。
      報酬はきっちり請求させていただくからね。
      うふふ、成功報酬なだけ良心的でしょう?」

上条「ちょ、ちょっと待て……報酬か……そりゃそうだよな。
    運び屋だもんな……。で、い、いくらくらいかかるの?」

オリアナ「そうねぇ……誰か電卓持ってない?」

五和「携帯電話のならありますけど……」

オリアナ「ありがと。んー、まず仕事の契約料に、軍用ヘリをジャックするために用いた機材、
      お姉さんの英国までの旅費と、帰りのビジネスクラスのチケット6人分に、ここまでの電車タクシー代……それから、ここでの滞在費に危険手当でしょ。
      それからそれから……うん、ざっとこんなものかしら」 カタカタカタカタ ターンッ!

上条「どれどr」

御坂「あ、固まった。見せてみなさいよ。持ち合わせが無いなら貸してあげても……え?」



235: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:54:53.02 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「おい、私にも見せよ」

オリアナ「ふふふ、お姉さんこれでも業界では引っ張りだこの人気者なのよ」

御坂「おー……これは結構……」

キャーリサ「むー……命がかかっていると思えば妥当か……?」

五和「か、上条さん……足りなければ少しお貸ししますよ……?
    それでも全く足りないと思いますけど……」

上条「オリアナ様。どうかまけていただけないでしょうか」 ドゲザッ

禁書「とうま……情けないんだよ……」

上条「うるせえ! お前らも頭下げろ! こんな額払い終わる頃にはおじいちゃんですよ!」

オリアナ「あは、だーめ。言っておくけどお姉さんの取り立ては結構きついわよ?」

上条「く……上条さんの借金ライフの幕開けか……。そんな笑えない不幸はいらないですのことよ。
    次回からは闇金カミジョウくんが始まります」

キャーリサ「よし、ここは私が払っておこー」

上条「いや俺が勝手にやったことだしそれはいいよ」

オリアナ「ま、あなたにこれを払ってもらうことなんて初めから期待していないからいいわよ。
      上から全部見てたけど、なかなかかっこよかったわ。
      だから……」


チュッ


上条「」

キャーリサ「!」

オリアナ「うふっ……。お姫様専用の大事な唇をおすそ分けしてもらったってことにしておくわ。
      後はいつかお姉さんが困った時に助けてくれればそれでチャラにしてあげる」

上条「な……ななななっ……」

五和「あ……あんなにあっさりと……」

御坂「大人……大人だからなの!?」 ドキドキ…



236: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:56:20.19 ID:3uB6ZpMQo

禁書「あわわわわ……エ、エッチなのはいけないと思うんだよ!」

オリアナ「またお仕事があれば紹介してね。
      報酬は……」 ボソッ

上条「ん?」

オリアナ「身体でも受け付けているわよ?」 クスッ

上条「」 ボンッ

キャーリサ「こらーっ!! とーまから離れよ! それは私のものだし!!」

オリアナ「うふふ、ごめんなさい。それじゃね」

上条「あ、オ、オリアナ!!」

オリアナ「ん?」

上条「ありがとう!! またな!!」

オリアナ「……クスッ」 ヒラヒラ

キャーリサ「ぬー……なんだか釈然としないぞ。負けた気分だし」

五和「私にもあれくらいの積極性があれば……」

御坂「年上ってのはそれだけで有利なのかしら……」

禁書「とうまがデレデレしっぱなしでちっとも面白くないんだよ……」 

キャーリサ「それにしても……何だここは? 日本の、どこだったか」

御坂「神奈川よ。海水浴って季節でもないから寂れてるわねー」

禁書「とうま、ここって」

上条「ああ。『御使堕し(エンゼルフォール)』の時に来たとこだな。
    学園都市の避難場所みたいなもんなのか……?」

御坂「しばらくここに身を隠してろってことかしら」

土御門「ああ。そうだぜい」 ヒョコッ

上条「おぅわ!! い、いたのか土御門!!」



237: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:57:24.67 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「おー。お前か」

土御門「あんまりにも英国内がバタバタしててめんどくせえからねーちんに後任せて逃げてきたんだにゃー」

上条「後で酷い目にあうぞ……」

土御門「英国の土を二度と踏まない覚悟で出てきたんだぜい……」

キャーリサ「それで土御門、私達はどーすればいい?」

土御門「まあ何日かすりゃ学園都市に戻れるから、ここで爛れた生活でも送っててくれりゃいい。
     戦後処理ってやつが残ってるからにゃー」

御坂「わ、私も?」

土御門「当然。ついでに言えばオレもだ」

上条「ま、戻れるならいいか」

五和「わ、私は女教皇様に全てお任せするわけにはいかないので明日にはイギリスに戻りますね」

御坂「あ、そうなの? せっかくだからもっとゆっくりしていけばいいのに」

五和「皆あちらに残っていますから」

土御門「ま、とりあえず部屋に行こうぜい。
     部屋割りは男女別……っと、いやー。気が利かなくてすまないにゃー。
     オレは個室、女子三人は同室。そいでカミやんとキャーリサが同室でいいな」

キャーリサ「うむ。とーぜんだし」

上条「えええぇぇぇええええええ!!!!!??」

土御門「何だよカミやーん。今まで一緒の部屋で寝てたんだろ?」

御坂「ちょっと! いいわけないでしょ!!」

禁書「そうだよ! そんなの認めるわけにはいかないかも!」

五和「お、おかしな声が聞こえてきたりしてきたら私達どうすればいいんですか!」



238: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 03:59:13.83 ID:3uB6ZpMQo

御坂「えっ」

禁書「?」

五和「あ……」

土御門「五和はむっつりだにゃー。こんな声が女性陣からあがってるが、キャーリサどうする?」

キャーリサ「全て、却下だし」

五和「むっつり…………」 

土御門「よーし、行こうぜ行こうぜい」

上条「……」 ドキドキドキ…

キャーリサ「とーま、何を想像している?」

上条「ハッ……な、なんでもありませんのことよ!!」

キャーリサ「ふふっ……もはや何の憂いも躊躇いも無い関係だし。  
       お前の望むことをしてもいーんだぞ?」

御坂「はいはいそこまでにしときなさいよー」

五和「そうです! 私達の目の届くところでは好きにさせませんっ!」

禁書「貞淑は美徳なんだよ!」

キャーリサ「ふーむ……さすがに3対1はウザいな。おい禁書目録、ちょっとこっち来い」

禁書「? な、何かな。言っておくけど、私を懐柔しようったってそうは……」

キャーリサ「ゴニョゴニョゴニョ」

禁書「えっ! 御馳走!!?? お肉!??」



239: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:04:08.91 ID:3uB6ZpMQo

御坂「!」

五和「!」

上条「……まさか」

禁書「……おほんっ。二人とも! 叶わない恋なんて諦めて二人を応援するべきかも!!
    私は女の子として素直に二人の恋路を応援するつもりなんだよ!!」 ビシッ

五和「簡単に懐柔されましたね……」

御坂「変わり身がひどいわ……ってかべ、別に恋なんかじゃないわよっ!!」

上条「?」

キャーリサ「禁書目録。いや、これからは愛を込めてインデックスと呼ぶの。お前も私を姉と慕うがいーし」

禁書「お姉さまなんだよ! ご飯を食べさせてくれる女の人とは姉妹の契りを結ぶことにしてるんだよ!」

キャーリサ「そーか。しばらくとーまの家に厄介になるが構わないか。肉はもちろん食わせるが」

禁書「いいに決まってるんだよ!! そうでしょとうま!」

上条「お前はいいのかそれで……」

キャーリサ「何、心配しなくとも家と収入の宛てが見つかればどこかに部屋を借りるつもりだし、それまで置いてくれれば構わないの。
        元々お前達の居た場所だ、私が割り込むのも忍びない」

禁書「キャーリサ……」

キャーリサ「それまでは我慢してくれるか、インデックス。……この前は辛い想いをさせて悪かったの」

禁書「……ま、まあ別に辛くはなかったんけど……そこまで言うならいいんだよ」

キャーリサ「感謝するの」

上条「仲良くなった……のか?」

土御門「契約とも呼ぶにゃー……ま、これはこれでいいんじゃねえか?」

上条「だ、だな……」

キャーリサ「よし。これで戦況は膠着状態だし。
       行くぞとーま」

上条「お、おう……すごいなキャーリサ」



240: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:06:41.58 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 客室


土御門「んじゃお二人さん。ごゆっくりー、晩飯は7時半からだからにゃー。
     やるならそれまでに済ませとくんだぜい」

上条「何がだよ……」

土御門「またまたー、分かってるくせにー」

上条「もうお前帰れよ!」

土御門「ま、オレは一人のんびりさせてもらうぜい」


ピシャッ


上条「くそう……好き放題言いやがって……」

キャーリサ「ふふふ」

上条「あん? 何か機嫌良さそうだな」

キャーリサ「とーぜんよ! そらとーま! よーやく二人きりだなっ」 ギュッ

上条「おわっと!」

キャーリサ「なかなか良い部屋じゃないか。純和風というのか」

上条「どこがだよ。ボロッボロの畳に古めかしい蛍光灯、年期入った押入れとセキュリティ対策皆無な木製扉ですのことよ」

キャーリサ「んー? それを『わびさび』とか言うんじゃないの?」

上条「いや、これはただボロいだけ」

キャーリサ「ふーむ……そーか。こういう退廃的な雰囲気は嫌いでは無いのだがな」

上条「まあある意味退廃的か……。キャーリサボロっちいの大丈夫なんだな」

キャーリサ「言っておくが、年季ならうちの宮殿もそーとーなもんだし」

上条「あ、それもそうだな。でもああいうのって古い方が味があるっていうか、迫力があっていいよな。
    ハクがつくっていうかさ」

キャーリサ「私から言わせればこの古ぼけた部屋の感じも似たよーなものだし。
       まー、住みたいかと言われると話は別だが」

上条「ほらやっぱり」

キャーリサ「うるさいなー。楽しんでるんだ、水を差すな」

上条「悪い悪い、そんなつもりじゃないよ。それより、晩御飯まで何しようか」

キャーリサ「泳げるような状況じゃないしなー……これは、うん、アレだ」

上条「アレ?」

キャーリサ「ふふふ……アレと言ったら、アレしかないだろー?」

上条「キャ、キャーリサ……?」

キャーリサ「とーま……」

上条「あ……」



241: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:07:38.22 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 客室(女子部屋)


キャッキャッ ウフフ…


御坂「隣の部屋から楽しそうな声が聞こえてくるわね」

禁書「せめて部屋くらい離して欲しいんだよ……」

五和「テ、テレビでもつけましょうか」

御坂「そうね……なんか虚しくなってきたし……」

禁書「あれ? なんだか隣が静かになったんだよ?」

五和「!」

御坂「?」

五和「ま、まずいですよ……御坂さん」

御坂「まずいって、何が?」

五和「……始まっちゃったのかもしれません」

御坂「だから何がよ」

五和「そ、その……ゴニョゴニョゴニョが」

御坂「え? 何?」

五和「だ、ですから!! ●●●がです!!!!」

御坂「ええぇぇぇええぇぇええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!?????????????」



242: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:09:28.40 ID:3uB6ZpMQo

禁書「な、何を言い出すのかないつわは!!! とうまだっていくら何でも隣に私達がいるのを知っててそんなことするはずがないんだよ!」

五和「果たしてそうでしょうか……上条さんも誠実な方とは言え男性ですし、お二人は大きな障害を乗り越えて結ばれたばかりの恋人同士ですよ……?
    二人きりになったらどうなるか……少なくとも私なら押し倒します」

御坂「そ、そうなの……って言うかあんた何気にとんでもないこと言ってるわよ」

禁書「むむむー……キャーリサには邪魔するなって言われてるけど、これは捨て置くわけにもいかないかも」

五和「ど、どうしましょう……」

御坂「うーん……」

禁書「様子を見に行くべきかも!」

五和「で、でもお二人はコトの真っ最中ですし……」

御坂「ま、真っ最中って……そんなこと……」 カァァ…

禁書「まだそうと決まったわけじゃないんだよ!
    とにかく行ってみよう!」

五和「そ、そうですね……」

御坂「ほ、ほんとに行くの?」

禁書「短髪、女は度胸なんだよ! このままじゃとうまが遠い所に行ってしまうんだよ!」

御坂「あんたにそんなことで説教されたくはないけど……でもそうね!
    黙って待ってる訳にはいかないわ! 行きましょ」



243: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:11:08.69 ID:3uB6ZpMQo

スタスタスタスタ…
    

御坂「部屋の前まで来たのはいいけど……やっぱり声は聞こえてこないわね」

五和「シッ! キャーリサ様が声を押し殺しておられる可能性があります。
    意外と恥じらいのある方なのかも……」

御坂「あんた結構ノリノリね」

五和「そ、そういうわけでは……」

禁書「ラチが開かないんだよ! 強行突破するべきかも!」


ガチャッ!


御坂「あっ! ちょっ! 心の準備がまだっ!!!」

禁書「とうまー! 何してるのかな!!!」 シャー

五和「上条さんっっ!! 私も混ぜてください!!」 バッ

御坂「おい」


シーン……


禁書「……?」

五和「こんなときの為に私いつでも準備を……あれ?」

御坂「いない……わね」

五和「そのようですね……。まだ夕食まで時間もありますし、お散歩にでも行かれたんでしょうか」

御坂「な、なーんだ。どうせそんなこったろーと思ったわよ……! 考えすぎだったみたいね……」 ホッ…

五和「何か引っかかりますけど……まあ杞憂で良かったです」

禁書「ふう……さすがのとうまもお日様が出ているうちからいかがわしいことなんてしないよね」

御坂「さ、私達もじっとしてても仕方ないし、何かしよっか」

五和「あ、じゃあせっかくなので―――」



244: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:12:08.07 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 大浴場


チャプッ…


キャーリサ「ふう……なかなかいい湯加減だし。
       昼間っからのんびり風呂はいーな。この前のデートではいまいちゆっくり出来なかったが、今日はそーではないし」

キャーリサ「これと言って広くも無いが、まー充分だろ」

キャーリサ「な、とーま?」

上条「ブクブクブクブク……」

キャーリサ「おーい。何をそんな端っこでもじもじしてるの。
       もっとこっち来い」

上条「そ、そんなことしたら見えちまうだろ!」

キャーリサ「いーではないの。この前も一緒に入ったし、第一もう既に一回見てるだろー?」

上条「この前は水着着てたし、その前日キャーリサの裸見たのなんて一瞬でほとんど覚えてねぇよ!」

キャーリサ「まったく可愛いなー。ならとーま……」 チャプチャプ

上条「な、なんでせうか……」

キャーリサ「これでどーだ」 ギュッ

上条「!!!!!!!!!!」

キャーリサ「こーして後ろから抱き着いたら見たくても見えないだろー?」 ムニムニ

上条(か、代わりにもっと大変なことが起こっていますのことよ!)

上条「キャーリサは恥ずかしくないのか……?」

キャーリサ「そりゃ恥ずかしいが……お前のそーいう反応も好きだしな。
       それ以上に、お前を誘惑したい」



245: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:13:41.24 ID:3uB6ZpMQo

上条「言っちまったら悩ましさの欠片も無いぞ」

キャーリサ「それは凹むし。私にも恥じらいくらいあるぞ。知ってるだろ」

上条「堂々としすぎだっての」

キャーリサ「こらえてるの。意識してしまったら……恥ずかしくて耐えられないし……」 キュッ

上条「う……」 ドキッ

キャーリサ「ふっ、ドキッとしたか?」

上条「し……した……」

キャーリサ「そーか……」

上条「……キャ、キャーリサ!」 

キャーリサ「! な、何?  急にこっちを見るな……びっくりするし……」

上条「キャーリサ……」 スッ

キャーリサ「ぁっ……と、とーま……」

上条「誘ったのはお前だぞ……」

キャーリサ「分かってるし……優しくs」


ガララッ… ワイワイガヤガヤ…


上条「っ!」

キャーリサ「! 誰か入って来た! か、隠れろとーま!」 バシャッ!

上条「もごっ!!」 バシャバシャッ

御坂「ふーん、思ったよりは綺麗なお風呂じゃない」

五和「そうですね。潮風も心地良いですし、明るいうちから入るのも贅沢です。
    男女別れてないのが少し心配ですけど……」

禁書「おっふろーおっふろーおっふーろー♪
    泳げるくらいの大きさのお風呂なんて滅多に入れないから嬉しいんだよ!」



246: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:14:52.94 ID:3uB6ZpMQo

御坂「ほら、ちゃんとかけ湯しなさいよね。走ったらツルッと転ぶ……ってあんたここにいたのね」

キャーリサ「! ん、うむ……」

キャーリサ「(なんだこいつらだったのか……。隠れなくてよかったな)」 ヒソヒソ

上条「(むしろあいつらだからこそだろ……。バレたら上条さんどんな目に合うか……)」 ヒソヒソ

キャーリサ「(確かに。……おい、あいつらの身体見るんじゃないぞ)」

上条「(そんな余裕無いって……)」

禁書「どうしたのキャーリサ?」 チャプッ

上条「!!」

上条(ち、近い! インデックスさん、全部丸見えですのことよ!!)

キャーリサ「んー? いや何でもないし」

五和「上条さんお部屋にいらっしゃいませんでしたけど……お出かけですか?」 プルンッ

上条「!!!!!!」

上条(でかぁああああああああああああああい! 説明不要!!)

キャーリサ「いやその……土御門の奴と一緒だし」

御坂「あ、そっちだったか。どーりで静かなはずだわ」 ジャブジャブッ

上条(……これはこれでなかなか……) ゴクリッ

御坂(おかしいな……もう一人誰かいるような気がするんだけど、気の所為かしら) キョロキョロ

キャーリサ「! お、おい御坂美琴! お前何キョロキョロしてるの?」

五和「何か探し物ですか?」

御坂「あ、ううん。 違う違う。私って電磁波で人が周りにいたりすると大体分かるんだけど、
    それが今ここにいる人数より多く感じるのよねー」

キャーリサ「!」 ビクッ! バシャッ!

御坂「……?」



247: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:17:27.45 ID:3uB6ZpMQo

禁書「キャーリサ?」

キャーリサ「そ、それは便利な力だし。でも見ての通りここには4人しかいないの」

五和「もしかして幽霊とかでも分かったりするんですか?」

御坂「ゆ、幽霊!? はは……そんなのい、いるわけないじゃない」

禁書「じゃあどうして短髪は他にも誰かいるように感じたのかな」

御坂「……ま、まさか覗き、とか……?」

キャーリサ「とーまはそんなことしないの!」

五和「そうです! 上条さんだったら私覗かれてもいいですし!」

御坂「あーもう分かった分かった! 多分私の気の所為よ」

禁書「ちょっと待って欲しいんだよ。どうしてキャーリサはとうまの名前を出したのかな?
    私達誰もそんなこと言ってないんだよ」

上条「!」

キャーリサ「そ、それは……」

五和「そう言えば確かにおかしいです。キャーリサ様、先ほどからずっとそこを動きませんけど何か隠しているんじゃないですか……?」

御坂「ま、まさかあいつと一緒にお風呂に……!」

五和「そしてお風呂でいかがわしいことを……」

キャーリサ「ん、実は……」

上条「(言っちゃらめぇえええ……!!!)」

キャーリサ「(……わ、わかったの)……そ、そんな訳ないだろー! 
        夜明けの雪原のよーに無垢で清楚な淑女たる私が真昼間からそのよーな真似するか」

五和「……そ、そうですよね」

禁書「…………」 ジー

キャーリサ「ほ、ほらもーいーだろ。それより今日からしばらく何をして過ごすか話合おーじゃない」



248: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:19:15.93 ID:3uB6ZpMQo

禁書「……分かったんだよ」

御坂「ちょっと遠いけど横浜中華街でも行く?」

禁書「中華街!? 中華料理だね! 行きたいんだよ!!」

五和「あまりここを離れるのは良くないんじゃないでしょうか……」

御坂「えー、でもここじゃほんと何も無いわよ?」

キャーリサ「んー……しかしなー……むっ」

五和「え……な、なんですか?」

キャーリサ「お前……脱ぐとすごいな」

上条「ブッ!!!」

五和「も、もう! キャーリサ様何言い出すんですか!
    それにキャーリサ様だって……なんというかこう……」

御坂「日本人とはモノが違うって感じよね……すごいわ」

キャーリサ「わ、私のことはいーし!  五和、ちょっと触らせろ!」 バシャッ

五和「きゃっ! あっ!! だ、駄目ですよキャーリサ様!」

キャーリサ「よいではないかよいではないか! こーやるんだろー? 時代劇ではお代官がこーやってるのよく見たぞー」 ムギュムギュ

五和「ど、どんな時代劇見てるんですか! ぁっ! だ、だめ……!」

禁書「むー……なんか面白くないんだよ」

御坂「確かに私達じゃあんなこと出来ないわね……」

禁書「まあでも私は短髪よりは胸あるんだよ!」

御坂「っ! なっ、そ、それはとないわよ! 見なさい! 言っておくけど、これでもBはあるんだからね!」

禁書「ムキになるところが哀れなんだよ。私だってこうして寄せれば……ほら! 谷間のできあがりなんだよ!」 ズィッ!



249: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:22:24.04 ID:3uB6ZpMQo

御坂「わ、私だってそれくらい! ほらっ!!」 ムギュッ

キャーリサ「見よ五和、あれが底辺の争いというものだし。悪あがきが見てて微笑ましーな」

五和「だ、大丈夫ですよお二人とも! その年齢ならまだ成長しますから! きっとたぶんもしかしたら!」

御坂「上から目線禁止!」

禁書「大事なのは総合力なんだよ! 大きいだけじゃ下品かも!」

キャーリサ「ほほー。ではその総合力とやらを確認させてもらうとしよー。そらっ!」 バシャッ

御坂「わぷっ!!」

禁書「な、何する気!? そ、そこは触っちゃ、あっ!」

キャーリサ「ふふっ……子供のくせにいっちょまえに膨らんでいるじゃない。
        成長が楽しみだなインデックス」

禁書「そ、そんなことしちゃ……ぁっ!」

キャーリサ「よーし御坂、お前も触ってやるし!」

御坂「い、いいわよ! ちょっ! あ、駄目っ!」


アーデモナイコーデモナイ!

バシャバシャ!

キャッキャッ!


上条(ありがとうございます!!! いいもん見せて頂きました!)

上条(それにしても……いつになったら出られるんだ……頭がクラクラしてきたぞ)


禁書「うう……もうお嫁に行けないんだよ……」

御坂「黒子にしか触られたことないのに……」

五和「お、お二人とも、大丈夫ですか……?」

キャーリサ「ふむ、やはり若さだな。ハリはある……羨ましいし」

御坂「見てなさいよ! いつか目に物見せてやるから!」



250: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:23:00.91 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「ふふふっ、楽しみにしているし……っと」 フラッ…

キャーリサ(いかん……のぼせそーだし……)

五和「あ、もうこんな時間ですね」

御坂「げっ! 二時間近く経ってるじゃない。キャーリサあんた大丈夫? 顔真っ赤よ。
    私達来るより前から入ってたんでしょ?」

キャーリサ「ん……うむ……」 フラフラ

禁書「上がった方が良さそうなんだよ」

五和「私達も上がりましょうか」

御坂「そうね。言ってる間に夕食だし」

禁書「熱いんだよ……」

キャーリサ「……そーだな、出るの……」 フラフラ…

御坂「しっかりしなさいよ」

五和「あとでお水もらってきますね」


フラフラフラ… ペタペタペタ…

ガラララ… ピシャッ!


上条「…………」

上条「……なかなか素敵な光景でした……」

上条「……そして上条さんももう……駄目…………」 バシャッ!



251: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:25:08.73 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 客室


上条当麻は朦朧とする意識を覚醒させる何者かの気配を感じ、瞳を開いた。


上条「……ハッ!」


目線の先には薄汚れた客室の天井。
純和風の趣と言えば聞こえはいいが、結局のところはただの小汚い海の家の六畳一間の中だった。
本日自分たちが宿泊するその部屋の布団の中に上条は寝かされている。
むくりと体を起こすと、意識がまだ少しハッキリとせず、首元がフラつくのを感じた。


キャーリサ「とーま……大丈夫か?」


傍らから心配そうにキャーリサが顔を覗き込んでくる。


上条「うーん……まだ頭がボーっとするな……」


頷き頭を抑える仕草をして、ようやく上条は自分が風呂場で倒れて自室へ運びこまれたのだと言う事に気がついた。
誰かが着せてくれたのか、今は薄水色のパジャマを着用している。
全裸で客室まで担ぎ込まれたわけではないと知ってようやくほっと胸を撫で下ろした。


キャーリサ「なかなかあいつらが出て行かなかったしな……次からは混浴はもー少し気を付けないと」


苦笑いしながらもどこか楽しそうなキャーリサ。
彼女も自分と同じく長時間入浴していたが、特になんとも無さそうな雰囲気だった。
強いて言うならば、頬や耳にまだほんのりと赤味が差しているということくらいだろうか。


上条「懲りないところがすげえよ……で、今何時?」

キャーリサ「夕方の六時半だし。まだ夕食までは時間があるな」



252: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:27:07.74 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサは左手に着けた腕時計を見ながら言う。
風呂に入り始めたのが4時前だったから、倒れてからまださほど時間は経っていないらしい。


上条「そっか。他の連中はどうしてる?」


姦しい声やにゃーにゃーうるさい声が聞こえないので尋ねてみる。
するとキャーリサはどこか困ったような顔で笑った。


キャーリサ「部屋に帰した。お前が風呂で倒れてることに土御門が気付いた後大慌てだったの。
       ま、お前の体調に障ってもいかんしな。
       土御門もお前にとりあえず寝間着のパジャマを着せて出て行ってもらった」

上条「わかった、ありがとな。あいつらにも心配かけたし謝ってこないと……っと」


倒れている自分の周りで大騒ぎをしている一同の顔が目に浮かび、上条も苦笑い。
しかし一応何ともなかったと報告しておこうと思い、立ち上がろうとすると、キャーリサが上条のパジャマの裾をつまんで立ち上がるのを阻んだ。


キャーリサ「……」


無言でそっぽを向くキャーリサ。
先程よりも頬が赤いのは気の所為ではないだろう。


上条「な、なんでしょーか……?」

キャーリサ「……せっかく二人きりなんだ。もー少しいーだろ」


言って、上条との距離を詰めてくるキャーリサ。
風呂上がりの清潔な香りが鼻を掠めて、いらぬ妄想が頭を駆け巡っていく。


上条「と言いつつ何故に上条さんのシャツのボタンを外すんですかねぇ……」


ふと見ると、キャーリサが両手で上条のパジャマの前ボタンを一つ一つプチプチと外しているところだった。
ぎょっとする上条に、キャーリサは妖艶に微笑んで着ている赤いカットソーの襟元を掴み、そこから覗く仄かに上気した胸の谷間を見せつけてきた。


キャーリサ「私のも外せ、とーま」


淫靡に歪む薄桃色の唇に理性を持って行かれそうになるのを必死で拒みながら、視線を逸らしつつ上条は答えた。



253: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:29:23.42 ID:3uB6ZpMQo

上条「外すも何も、ボタンなんか無いぞ」

キャーリサ「だから……この中に、下着のホックがあるし……」


今度はやや強引に、体重を預けるようにして前のめりになったキャーリサがカットソーの胸元を人差し指で引っ張った。
そこにチラリと見えたのは、キャーリサのイメージとはかけ離れていながらも、清純な魅力を醸し出す白いレース。


上条「ブフォッ!! ななななっ! まだご飯も食べてないうちからそんなことを!?」


また眩暈を起こしそうな程の色気に、上条はしどろもどろになって何とか取り繕う。


キャーリサ「いーじゃない。……体も清め、食前の腹ごなしにちょっとイチャイチャしよーじゃないか」


イチャイチャとは言うが、こんな柔らかそうな白い双丘を見せつけられて、冷静でいられる自信が無い上条。
このままなし崩し的にコトに及んでしまいそうな気がして、それを意識し始めると今度はその胸元から目を離せなくなってしまった。


上条「お、おお……」 

キャーリサ「体もいい具合に火照ってるし……ふふっ、夜に備えて準備運動と行くか?」


挑発するキャーリサの表情には大人の余裕がある。
この前まで「自分を抱きたいか?」などと訊いていた人物とは思えない誘惑に、上条は生唾を飲み込みながらキャーリサを見つめ返した。


上条「キャ、キャーリサ……い、いいのか?」

キャーリサ「さーとーま……まずはどこから触って欲しーの?」 


キャーリサの繊細な指先が、はだけられた上条の胸元をスッと撫でる。
絹糸のようななめらかな感触に、上条は布団で隠れたままの自らの下半身がよろしくない状態へ変化していくのを感じていた。


上条「あ……」



254: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:31:03.30 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「私は年上のお姉さんだし……お姉さんの言う事には従え」


上条の耳元で囁きながらキャーリサは胸板を弄ぶ指先をしなやかに動かす。
やがて抱き着くような恰好となり、カットソー越しに押し付けられるキャーリサの豊かな肉が形を変える感触に上条の思考能力はどんどん奪われていった。


上条「……お、王女じゃないんですか」


苦し紛れにでも何かを口にする。
そうでなくては、上条の理性は音を立てて崩れていきそうだったから。


キャーリサ「あー……」


考え込む仕草をするキャーリサ。


上条「……?」


意外な反応に、上条は首を傾げる。
だが



キャーリサ「いや、今はただの恋人だし」



悪戯っぽく微笑んだ小悪魔のような表情に、上条はこれ以上自らを押さえつける自信を無くした。


上条「!」 


早鐘を告げる心臓の鼓動は押し付けられたふっくらとした感触の中に溶けて行きそうになり、
彼女と同じ時間と空間の中で同じ鼓動を刻みたいと言う欲求が首をもたげる。
少し体を離したキャーリサは、上条の頬を撫でながら小首を傾げて微笑を滲ませた。


キャーリサ「まったくお前は……結局風呂であいつらの裸見てたろー?
       よかったなー、若い肌はツヤがあって思わず目を奪われたか?」

上条「い、いえそんなことは……あ、ありませんですよー……?」


まともな答えなど返せない。
大浴場で見た御坂や五和達の身体は確かに青少年たる上条にとって刺激的なものではあったが、それでもこのスカイブルーの透き通った瞳には叶わない。
金糸の髪も、白磁の肌も、全てが上条を魅了するのは、他ならぬキャーリサが恋人であるから。
理性なんてさっさと失ってしまえと言わんばかりに艶めかしく誇示される肌の色と香りの中で、上条は傍らに寄り添う愛しい彼女の姿以外が視界から消えていくのを感じた。



255: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:32:36.05 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「ふふっ……だがすぐに忘れさせてやるし。
       とーま」 


キャーリサは上条の後頭部にそっと右手を添え、鼻先を近づける。
2センチにも満たない、甘い吐息のかかるその距離で、スカイブルーの瞳に上条自身が映っているのが見えた。


上条「は、はいっ!」


声をあげるだけの機械と成り果てる他無い上条を嘲笑うかのように、キャーリサは桜色の唇を艶めかしく動かして、やがて告げる。


キャーリサ「お前は私だけを見ていろ。生涯ずっとだ。
       他の女になど見惚れるな。……悲しくなるの」


勇敢で苛烈な眼差し。けれどそれは繊細で可憐な少女の口調で愛を乞う。
上条は今断言できる。
自分が見惚れるものなど今、この世に一つしかない。
そしてそれは、目の前にあると。


上条「す、すみませんでした……」

キャーリサ「いー子だ……可愛いな、お前」


心を奪われたように小さく首肯した上条に、キャーリサは世界を魅了する凄絶で艶麗な微笑を浮かべて言葉を紡ぐ。
それはまるで、奉ずるように


キャーリサ「御褒美をあげるの」 

上条「キャーリ」


上条の言葉は終ぞ世界に向けて放たれることは無く。
ただ唇に柔らかな感触と、自らの身体が背中から布団に沈み行くのを感じたところで、上条の意識はいずこかへと吹き飛んでいった。



261: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 04:59:49.52 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 女子部屋


御坂「ふぁ~あ……なんかやることないと暇ねー……」

禁書「とうまは大丈夫なのか心配なんだよ」

五和「私達が上がってから入られたのならそう長い時間じゃないですし、大丈夫ですよ」

五和(本当に上がってからなら、ですけど……そんな短時間でのぼせませんよね……?
    あのときもしかして上条さん、お風呂場にいたんじゃ……)

御坂「色々あったし疲れてたんでしょ」

五和(それもあるとは思いますけど……まあ確認することも出来ないですし、上条さんならいいんですけどね……)

禁書「お腹減ってきたかも……」

御坂「あんたさっきお風呂上りにアイス買ってあげたでしょうが。晩御飯食べられなくなるから我慢しなさい」

禁書「私がアイスの一つ二つで晩御飯が食べられないなんてありえないんだよ!」

御坂「そんなことで怒られても……知らないわよ」

五和「ガムならあったと思いますよ、食べますか?」

禁書「わーい! もちろん食べるんだよ!」

五和「ふふ、ちょっと待って下さいね。えーと……カバンの中にたしか……」 ゴソゴソ…

禁書「ガムーガムー」

御坂「ったく子供なんだから」

禁書「むっ、それはご挨拶かも! むしろガムで妥協してあげようという私の心遣いを褒めるべきなんだよ!」



262: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:00:51.16 ID:3uB6ZpMQo

御坂「あーはいはい。そういうことにしといてあげるわよ……って、五和、どうしたの?」

五和「……み、御坂さん……何か聞こえませんか……?」

禁書「?」

御坂「何かって、何よ?」

五和「こ、声みたいなものが……」

御坂「声? ……」


アッ… ンッ… 


御坂「ちょ、ちょっと……や、やめてよね。まさかほんとに幽霊とか言うんじゃないでしょうね……」

五和「そ、そうじゃありません……この声は……」


トーマァ…ァンッ


御坂「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

五和「御坂さん」 スッ

御坂「ちょ、ちょっと……何する気……」

禁書「? 二人ともどうしたの? 五和、ガムはまだなのかな?」

五和「これ、全部食べていいですよ。だからここで大人しくしててくださいね」 ドサッ

禁書「え! ほんとに! わかったんだよ!」 ガサガサ… ガムガムガムガムガムガムガム

御坂「ちょ、ちょっと五和ってば……ほんとに行くの……?」

五和「い、いえ……これはきっと、お約束でよくあるマッサージの類だと思います」

御坂「へ?」

五和「ほら、いかがわしい声が聞こえてきたと思ったら実はマッサージしてるだけだったってパターンよくあるじゃないですか。
    あれですよきっと」

御坂「な、なるほどね……確かにあいつならおおいに有り得るわ」



263: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:03:13.91 ID:3uB6ZpMQo

五和「さっきもお風呂でみんなで触り合いなんていうベタをやらかしたところですし……一応セオリーには従おうかと……だからお二人はここで待っ」

御坂「おっけー。心配かけたあいつにお説教してやんないとね! 行きましょ!」

五和「あ、あの……御坂さんはやめておいたほうがいいと思いますけど……」 ボソッ

御坂「え、何? ほらさっさと行くわよ」

五和「あ……」

五和(……私は4人同時プレイでも一向に構いませんからね、上条さん……!) グッ

御坂「ちょっと出てくるからあんたはここで待ってなさいよ」

禁書「ふぁーい、いっへらっはいなんらよ」 ガムガムガムガムガムガムガム


ガチャッ バタンッ

スタスタスタスタ…


御坂「ったく、あいつもどういう星の下に生まれてきてんだかねー。
    ラブコメかっつーの」

五和「典型的なツンデレの御坂さんには言われたくないでしょうね」

御坂「あ、あんた何か機嫌悪い……?」

五和「い、いえ別に……」

五和(正直気が気じゃないです……出来れば嘘であってほしいです)

御坂「よーし、んじゃ開けるわよー!」 ガチャッ!

五和「あっ!!」

御坂「こらー!! あんた達何やってんのよ!!!」 バーンッ!


キャーリサ「とーまぁ……もっと下も触って欲しーnえ?」 モゾモゾ

上条「こ、こうk……え?」 モゾモゾ

御坂「」

五和(お二人とも裸でお布団に……や、やっぱりそっちでしたか……。
    正直きついです……で、でも本番は阻止できましたよねっ)



265: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:05:21.55 ID:3uB6ZpMQo

御坂「え? 何? え?」

キャーリサ「お、おいっ! 取り込み中だしっ! 閉めろ!!」 ババッ

御坂「え、やだ嘘……え? 何これ? え?」

上条「ど、どどどどどうしたんですか二人ともっ! 部屋に入るときはノックをあばばばばばばばっ!!」

御坂「な……な……何してんのよ……あんた達」

キャーリサ「何って……それ言わせるの……? 
        私達は恋人同士だし……いーだろ……セックスしたって……」 カァァ

御坂「」 ピシッ!

五和「か、上条さん!」

上条「は、はい何でしょうごめんなさい!」

五和「わ、私も混ぜてください!! 私もがんばりますからっ!!!!」

上条「」

キャーリサ「アホかぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
       駄目に決まってるだろーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」

五和「いいんです! この際もう恋人になるのは諦めます! だから代わりに上条さんの子供を産んで育てますから!」

キャーリサ「さらっと恐ろしいことを言うな!! とーまの子は男女の姉妹で男はアーサー、女はアルトリアと名前も決めているし!
        ちなみに愛犬の名前はウィリアムにする!」

上条「」

御坂「」

五和「ちょっとくらいいいじゃないですか! キャーリサ様ばっかりずるい!!」

キャーリサ「ずるくないし! 私ととーまはもう将来を誓い合った仲なの!
       とーまはいずれはグラストンベリに居を構えて私と共に覇道を行くのだから邪魔をするな!」

五和「そんな獣道を上条さんに歩かせないでください!」



267: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:08:28.23 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「ええいうるさい! とーまの子種は私のものだし! 誰にも一滴たりとも渡さん!」

五和「おすそ分けしてください! か、上条さん! 失礼しますね!」 ゴソゴソ

キャーリサ「こら! とーまのパンツを下ろそうとするな! 私だってまだ何もしてないのに!」

御坂「」


ギャーギャー! アーデモナイコーデモナイ!


上条「ハッ……あ、あまりの事態に意識が飛んでたぞ。って二人とも! 上条さんのパンツのゴムなんか引っ張って何をして……」

キャーリサ「とーまは黙ってろ! お前は天井のシミでも数えていればいーし!」

五和「上条さん! 私本読んで色々勉強しましたから任せてくださいね! 色々と挟めますから!」

上条「一体そりゃ何の話……」


ガチャッ


禁書「もー、隣の部屋まで聞こえてるんだよ。何してるのか……」

土御門「カミやんまた痴話喧嘩かにゃー。いい加減にしないとオレも引き金引く指が軽くなっちまう……」

キャーリサ「どけ五和! とーまの童貞は私が年上らしく優しく狩り取るの!」

五和「じゃあ私も混ぜてくれるて約束をしてくださいね!」

禁書「な……」

土御門「にゃー……」

上条「あ……」

キャーリサ「ん?」

五和「え?」

御坂「」

土御門「……」

禁書「……」

上条「ふ、二人とも……ど、どうしたんですかー……顔が怖いですよー……?」

土御門「カーミやーん」

禁書「と・う・まぁぁぁぁぁ……」

上条「は、はひ……あのやっぱりこのパターンって……」



禁書「今回もやっぱりお約束なんだよっ!!」

土御門「ああ、ブチ殺しだにゃー」 



268: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:13:05.79 ID:3uB6ZpMQo

??「おーい当麻ー。またこの辺来てるって言うから来たぞー、元気でやってるかー?」

??「あらあら刀夜さん。何か当麻さんは取り込み中みたいですよ。あちらの部屋から大きな声が」

刀夜「はは、友達とはしゃいでるみたいだな。楽しそうでいいことじゃないか、なあ母さん」

詩菜「そうね刀夜さん」

刀夜「当麻ー、何やって……」

詩菜「あらあら……?」


禁書「大体とうまはいっつもそうなんだよ!! 少しは私のことも思い出してくれてもいいとは思わないわけ!? 
   もっと近くにいるインデックスのありがたみを分かるべきなんだよ!!」 ガジガジガジ!

上条「いでぇぇえええええ! やめろインデックス! そして土御門も銃向けるのやめろぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!」

土御門「カミやーん。射撃訓練だにゃー。連射だってしちまうぜい」 パンパンパンッ!

上条「やめれー!」


刀夜「ははは、見てみろ母さん。当麻のやつ友達と仲良くやってるみたいだな」

詩菜「うふふ。そうね刀夜さん。ところで、あの女の子達は……」


キャーリサ「五和! いい加減にしないとお前次元ごと斬るぞ!」

五和「嫌です! やっぱり上条さんを諦められません!」

キャーリサ「ええい悪あがきを!」 グィイッ!

五和「何と言われても好きなものは好きなんですっ!」 ガシィッ!

上条「キャー! エッチー! 上条さんのパンツのゴムがだるだるですのことよー!!」

御坂「セ……セック……何それおいしいのかしら……あはは……サ、サックスのことよね。
    木管楽器の……うふふふ……吹奏楽部に入っちゃおうかなー……」



269: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:14:56.38 ID:3uB6ZpMQo

詩菜「当麻さんの主に下腹部辺りに纏わりついてるみたい。
    あらあら、当麻さんたら随分と女の子に人気があるのね。
    うふふ、まるで誰かさんそっくりじゃありません?」 ゴゴゴ…

刀夜「!! か、母さん一瞬怖かったぞ。……コホンッ、おい当麻。
    せっかく来たんだから無視せずお友達を紹介してくれ。
    まあ見た事ある子が多いけど、改めて……」 スタスタスタ

キャーリサ「外野は黙っていろっ!!!」 ゲシッ!

五和「今大事な話をしていますっ!!!」 ゲシッ!

刀夜「ごはぁっ!!」  

キャーリサ「あ」

五和「あ」

御坂「あははは…………ハッ! あ、あれ……?」

詩菜「あらあら、刀夜さんたら。ベタベタね」

キャーリサ「す、すまないの、ええと……おいとーま、お前の知り合いか?」

五和「ごごごごめんなさい! つい勢い余って! あれ……上条さんに似てる……?」

上条「いてて……へ? あ」

刀夜「ははは、元気そうだな当麻……」 ヨロヨロ…

禁書「とうまぁぁああ、まだ話は終わって……あ、とうまのお父さんなんだよ」

キャーリサ「っ!」

五和「っ!?」

御坂「ああ、大覇星祭の時にちらっとお会いした……」

上条「インデックスと土御門と御坂は知ってたよな。
    キャーリサ、五和、俺の父さんと母さんで」



270: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:17:15.04 ID:3uB6ZpMQo

五和「はじめましてお義父様、お義母様。
    上条さんにはいつも  と  っ  て  も  仲良くして頂いている五和と申します。
    末永くよろしくお願いします!」 

刀夜「あ、これはご丁寧に……お、おい当麻、こちらのお嬢さんは?」

当麻「ああ、友達の五和だよ」

五和「と、友達……です」

詩菜「あらあら、うちの当麻さんがいつもお世話になってます。
    これからも仲良くしてあげてくださいね」 

五和「は、はいっ!」

土御門「ちょいと待ってくれにゃー。カミやん、せっかく両親が来てくれたんだ、立ち話も何だし座って話したらどうだ?」

上条「そ、そうだな。じゃあ、こっちに」

五和「い、今お茶をお煎れしますね!」

詩菜「あらあら、おかまいなく」

刀夜「びっくりしたぞ、急に学園都市の外にいるなんて連絡をもらったから」

上条「誰に連絡受けたんだ?」

刀夜「ああ、今朝電話で彼に……えっと確か」

土御門「土御門元春ですたい」

刀夜「そう、土御門君に」

上条「(どういうことだよ……?)」 ヒソヒソ

土御門「(おいおい感謝しろよカミやん。このどさくさに紛れてキャーリサを両親に紹介したらどうだっていう粋な計らいだぜい)」

上条「……」

土御門「(その顔は信じてないにゃー。ま、本当は念には念を入れての避難だよ。
     何かの拍子に学園都市とか英国の連中と話がこじれて人質にとられたりしても面倒だろ?)」



271: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:19:48.82 ID:3uB6ZpMQo

上条「(なるほどな。そこまでは気が回らなかったよ。ありがとな)」

土御門「(ま、多分大丈夫だけどにゃー。それよりしっかりやるんだぜい)」

上条「(お、おう。いやいやそんな緊張するようなことでもねぇだろ)」

土御門「お姫様はそうでもなさそうだけどにゃー……」

上条「え?」

キャーリサ「……」 ガチガチ

上条「めちゃめちゃ固くなってる……」

土御門「しっかりフォローしてやれよ。あ、あとこれ餞別だぜい」 スッ

上条「……? なっ! こ、これはコンド」

禁書「とうまー、そんなところで何してるの?」

御坂「そうよ、ご両親待たせてんじゃないわよ」

上条「お、おう!」

土御門「避妊はしっかりにゃー。……よーし、インデックスと超電磁砲、二人は隣でオレとトランプでもしようぜーい。
     さっきまで部屋で一人だったから寂しくて泣きそうだったにゃー」 

御坂「え、な、なんで!? っていうか自分で一人部屋選んだんじゃない!」

禁書「そうだよ! せっかくだからみんなでお話するといいんだよ!」

刀夜「そうだぞ土御門君、私達に気を遣わなくてもいいぞ」

土御門「いやー、カミやんがどうしても御両親に話したいことがあるって言うんで、親子水入らずでどうぞですにゃー。
     そら撤収撤収!」 グイグイ

御坂「ちょちょっ! 分かったから引っ張らないでよ!」

禁書「むー……お茶菓子が今から来るのにー!」

土御門「五和もこっちだから問題ないぜい」

禁書「あ、じゃあいいんだよ」

御坂「あんたってほんと扱いやすいわよね……」

禁書「そ、そんなことないんだよ! でもご飯まだまだ1時間くらいあってお腹空いてるんだよ!」


ズルズルズル… スタスタスタ… パタンッ



272: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:23:31.29 ID:3uB6ZpMQo

上条「…………」

キャーリサ「…………」

上条(さてと……どう切り出すかだな) チラッ

キャーリサ(まずいし……正直第一印象は最悪だろーな……。何せ父君に蹴りを入れてしまってるの。
       とーまとシてたから髪もボサボサだし……。
       何とか挽回をしなくては……ど、どーしよー)

刀夜「は、はは……急に静かになったな。テレビでも点けようか」 ポチッ


ヴンッ!


『こんばんは、七時のニュースです。まず最初に――――』


刀夜「もう七時か。夕食まであと少しだな」

上条「そうだな」

詩菜「当麻さん、そちらの方は?」

刀夜「も、もしかして当麻の学校の先生とかか!?
    これはひょっとして三者面談なのか!? 先生、ウチの当麻の成績が危険だということですか!
    ああやっぱり! ご迷惑をおかけして申し訳ない!」

キャーリサ「え? い、いやそうではないの……あ、ないです」

上条(キャーリサが敬語って……こりゃそうとう気ぃ遣ってるな。
    こういうときフォローしてやれってことだよな、土御門)

上条「違うって。キャーリサは俺の彼女なんだ」

キャーリサ「!」

刀夜「ははは、そうか彼j……え」

詩菜「あらあら、うふふ。やっぱりそうだったのね」

上条「キャーリサはイギリス人なんだけど、訳あって学園都市に来てたんだ。
    それでまあ色々あって付き合うことになったから紹介しておこうと思ってさ」

キャーリサ「あ……よ、よろしくお願いします……」 ペコッ



273: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:25:14.38 ID:3uB6ZpMQo

刀夜「か、彼女って当麻、お前……」

キャーリサ「!」 ビクッ

キャーリサ(やはり反対されるの……? むー……いざその場に遭遇すると萎縮してしまうな……。
       出来れば認めてもらいたかったが……とーまの教師に間違えられるほどの年の差だし仕方ない。
       下手をすれば母君と同い年ということも……というかこの母は一体いくつなの……?
       若過ぎやしないか……?) ドキドキドキ…

刀夜「申し訳ない!!!!!」

キャーリサ「!?」

キャーリサ(な、何故頭を下げられるの……? 頼むから別れてくれと言う事?
        い、嫌だ……それだけは出来ないが……父君の気持ちも分からなくは)

刀夜「当麻とお付き合いして下さっている女性に向かって大変失礼なことを言ってしまった!
    この通り! 許してください!」

詩菜「そうね、刀夜さん。全面的に刀夜さんが悪いですよ。
    ごめんなさいキャーリサさん、悪気は無かったんです」

キャーリサ「い、いえその! 気にしてないので頭を上げてください!」

刀夜「そ、そうかい? いやー……失礼した……。当麻がまさかこんなに可憐で美しい女性とお付き合いしてるとはなー。
    父さんも鼻が高いぞ」

詩菜「刀夜さん、鼻の下が伸びているわよ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

刀夜「ひっ! ん、ゴホンッ! と、とにかくうちの当麻がいつもお世話になっているようでありがとうございます。
    父の上条刀夜です。で、こちらが妻の詩菜。
    今後も当麻をよろしくお願いします、キャーリサさん」

詩菜「当麻さんが彼女を紹介してくれるなんて初めてね、しかもこんな綺麗な方だなんて、私達も嬉しいわ」

キャーリサ「あ……」



274: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:28:56.72 ID:3uB6ZpMQo

上条「そんな改まらなくていいだろ。そういうわけだから、今後会うこともあるかもしれないからよろしく頼むよ」

刀夜「ははは、もちろんだ。キャーリサさん、日本での生活で何か不便なことや困ったことがあればいつでも連絡を下さい。
    家族だと思って遠慮せずに」

キャーリサ「は、はい! ありがとーございます」 ペコッ

詩菜「うふふ、あらあら。刀夜さんが何だか嬉しそうね。
    何年か後には私もお婆ちゃんかしら」

上条「ブッ!! なんでそうなるんだよ!! 話が飛躍しすぎだろ!」

刀夜「当麻、子供は計画的にな。キャーリサさんを不幸にさせることだけは絶対に許さんぞ」

上条「い、いやだから何でもう結婚とかそういう話になってるんですかねぇっつってんだよバカ親父!」

キャーリサ「おい、私はそのつもりだぞ」

上条「!!!!!!!!」

キャーリサ「……嫌……なの?」

刀夜「こら当麻、キャーリサさん悲しそうだぞ」

詩菜「あらあら、当麻さんもそのつもりがあるから紹介してくれたんじゃないのかしら?」

キャーリサ「……」 ジー

上条「うっ……ま、まあそうなんだけど……何と言うか、実感は無いよな。
    まだ何もしてないわけだし」

詩菜「うふふ、何もしてないですってよ刀夜さん。私達が学生の頃を思い出すわね」

刀夜「ははは、そうだな母さん。いやーあれは付き合い立ての頃夏に江ノ島にいった時だったなー、母さんが夜に」

上条「でもまあ……そうだな。俺もそのつもりだよ、キャーリサ」

刀夜「おっと、スルーか当麻」

キャーリサ「とーま……」

詩菜「あらあら、こんなに綺麗なお嫁さんに来ていただけるなんて、早く孫の顔が見たいわね刀夜さん」



275: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:33:14.68 ID:3uB6ZpMQo

刀夜「ははは、そうだな母さん。まあでも私はもう一人ぐらい子供がいてもいいと思うんだが……」 チラチラッ

詩菜「あらあら、刀夜さんたら」

上条「おいこら。子供の前でやめろ」

刀夜「何だ当麻、お前だってキャーリサさんと良い雰囲気作ったじゃないか。
    父さんたちだってイチャイチャしたいぞ」

上条「親のそんなとこ見たくねえだろ普通!」

刀夜「当麻、妹と弟どっちが欲しいんだ?」

上条「だからやめろっての恥ずかしいわ!」

キャーリサ「ぷっ……ふふ……」

刀夜「ん?」

上条「あ?」

キャーリサ「ふふ……ははは……あははははははははははははは!!!!!!!!」

詩菜「あらあら」

上条「お、おいキャーリサ? 緊張に耐えきれなくて壊れちまったのか?」

キャーリサ「ふふっ……すまんすまん。あー、面白いな。
       ……父君、母君」 スッ

刀夜「は、はい」

詩菜「あらあら母君だなんて、詩菜って呼んでくださいね」

キャーリサ「至らぬ点も多く、ご迷惑をおかけすることもあると思います……。
        このよーなふつつか者ですが、今後ともよろしくお願いします」 ペコッ

刀夜「えっ、は、はいこちらこそどうも御叮嚀に!」 アセッ

詩菜「当麻さん、キャーリサさんのこと大切にするのよ」

上条「……言われなくても分かってるって」



276: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:34:21.42 ID:3uB6ZpMQo

刀夜「はは、しかしまさかこんなところで当麻の彼女と会うなんてな。
    驚いたが喜ばしいな母さん」

詩菜「そうですね刀夜さん」

刀夜「ところで当麻、キャーリサさんとはどういう経緯でお知り合いになったんだ?
   というか、どこかで見かけたことがあるような……」

詩菜「あらあら、そう言えばそうね。えーっと……どこだったかしら」

上条「げっ! あ、い、いやそれはだな……」

キャーリサ「う、うむ。き、きっと気の所為で」


『――それでは次のニュースです。イギリスの第二王女、キャーリサ王女が本日より長期の海外留学に行かれたと英国王室庁から今朝発表がありました』


上条「」

キャーリサ「」

刀夜「ん?」

詩菜「あらあら」



277: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:36:33.99 ID:3uB6ZpMQo

―――神奈川県 某海岸 砂浜


大人数での騒がしい夕食の後。
上条とキャーリサは夜の砂浜に並び腰かけて遠くの海を見つめていた。


上条「ふう……全部バレちまったな」


結局、あの後刀夜と詩菜にキャーリサの素性を全て説明するハメになり、食事中も驚きっぱなしの二人から質問攻めだったのを思い出しため息をつく。


キャーリサ「しーなが卒倒してたぞ……」


そう言って苦笑する。
ニュースでキャーリサの写真が出てきた瞬間目を回して倒れた詩菜と、てんやわんやとしていた刀夜の賑やかな様子に頬が緩むキャーリサ。


上条「そりゃびっくりするだろ。初めて見る息子の彼女が英国王女だぞ」

キャーリサ「そりゃそーか。……だが、お前のご両親は優しーな。とーやもしーなも最後は笑い飛ばしてくれたし」


もっとも、きちんと説明をすれば二人ともすぐに納得してくれた。
その辺りは幼い頃からトラブルを抱え込んでくる体質を持ち、学園都市においてもしょっちゅう病院に担ぎ込まれている上条を子に持つ親の慣れによるところが大きいだろう。


上条「あの二人俺の身の回りで起こることにそろそろ慣れ始めてんだよ」


それを口に出すと、キャーリサは肩を竦めてクスクスと笑った。


キャーリサ「理解のあるご両親だ」

上条「これで晴れて家族公認ってやつか」


小さく笑い声をあげて、上条が清々しい心持で呟く。
ようやく肩の荷が下りた気がして心が軽くなっていった。


キャーリサ「正直ほっとしたの。お前の親には嫌われたくなかったしね」



278: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:46:10.71 ID:3uB6ZpMQo

そう告げて上条の肩に頭を預けてくるキャーリサ。
そんな仕草を愛おしく思いながら、上条はまたも苦笑いを顔に浮かべた。


上条「むしろ頼むから嫁に来てやってくれって感じだろうな……」

キャーリサ「……いいの? 別に今すぐ答えを出す必要など無いし。
       そんなに重く考えることも無いの。
       駄目なら駄目でその時だ。気張らず楽しくいこーじゃない」


恋なんて言うのはそんなものだ。
いつどうなるかなんて、先の事は誰にも分からない。
キャーリサにも、これが上条にとって将来の選択に影響を及ぼす重大な出来事であることは重々承知していた。
だからこそ、上条に今回のことに囚われて欲しく無いと考えている。
上条の人生は上条のものであり、キャーリサのそれもまた同様なのだと。
それでも、上条は肩に乗せられたキャーリサの頭を撫でながらポツリと呟く。


上条「そうだな。……でも、俺は何となく大丈夫な気がしてるんだ」


その言葉に、キャーリサは一瞬だけ言葉を失ったが、やがて薄く微笑みを返して頷いた。


キャーリサ「……私もだし」


キャーリサを英国から連れ出してまで共にいたいと考えた。
その時既に、上条にとっての覚悟は終了している。
これまで命を賭して、死ねば終わりの戦場に身を投じてきた上条にとって、人生の岐路に立つことなど普段通りのことでしかない。
だから、キャーリサを選んだことに微塵の後悔などあるはずもなく、今後に待つあらゆる現実や事態において、迷いを差し挟む余地も無い。
遠くを見つめる二人の眼差しに、欠片の躊躇すらも存在しなかった。


上条「学園都市に戻ったらまずは何からすりゃいいんだろう。
   ……とりあえず小萌先生に無断欠席を土下座だな」

キャーリサ「やれやれ。後先考えずに出てきたよーだし。呆れるの」



279: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:49:07.10 ID:3uB6ZpMQo

それを見てキャーリサは首を横に振った。


上条「仕方ないだろ。本当に夢中だったんだから」

キャーリサ「ふふっ、嬉しーぞとーま。私もそれに応えねばな。
       まだ英国より連れ出してもらった礼をしていなかったし」


肩から頭をあげ、キャーリサは上条の手を握って瞳を見つめる。
欠けた月の明かりに照らされた彼女の横顔は、その端整な面立ちも相まって途方もなく神秘的で、上条の視界からキャーリサ以外の全てが消えていく。


上条「え? いいよそんなの。俺が勝手にやったことだし、散々言ってもらったろ」

キャーリサ「駄目だし。私がしたいの」


繋がれた右手から、キャーリサの温もりが伝わってくる。
余裕の笑みを浮かべた麗しの第二王女の緊張が、手汗と高い体温から伝わってくる。

上条「……そっか、じゃあ……してもらおうかな」


上条にすら伝わったそれはとても分かりやすいもので、わざとらしい建前を述べた自分に、キャーリサは無垢な少女のように微笑んだ。
スカイブルーの瞳に想いを込めて。
キャーリサは単純にして明快な告白を口にした。



キャーリサ「とーま……ありがとう。とーま……――――
      
       ――――お前を愛している」



愛している。
そんなストレートな言葉の受け止め方はまだ上条には分からない。
でも確かに理解できることは、自分はキャーリサのことが好きで、キャーリサも自分のことをそう思ってくれているということ。
だから上条は、真っ直ぐな視線で伝えられたこの上なく明快な言葉に応えるかの如く、彼女を抱き寄せて口づけた。
寄せては返す波の音だけが夜の砂浜に響く。
それはさながら海の中へと溶けていくかのようで。
『軍事』を冠された愛しい恋人の温もりによって、上条当麻の世界は支配されていく。



280: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:51:24.02 ID:3uB6ZpMQo

上条「……これからもよろしくな、キャーリサ


唇を離した彼女の頬が月明かりによって照らされている。
色は彼女に相応しい赤色。
そしてキャーリサは、恥じらうようにその色を隠すべく、もう一度上条に口づけたのだった。


御坂「おーい」


海の家から御坂がこちらを呼ぶ声が聞こえた。


禁書「とうまー、みんなで一緒にトランプでもして遊ぶんだよー!」

土御門「五和も明日で帰っちまうしにゃー、どうせ学園都市にゃしばらく戻れねえんだし、のんびり遊んでようぜい」

五和「御両親がお土産を下さったので皆さんで頂きませんかー?」


傍らにはインデックス、土御門、五和の姿もあった。
その声を聴いて、上条とキャーリサは互いに見つめ合い、笑い合う。
こんな平和で和かな時間が、これからも続けばいいと思う上条。
それはきっと、キャーリサも同じだった。


上条「行くか、キャーリサ」


立ち上がった上条はキャーリサに手を差し伸べる。


キャーリサ「そーだな、とーま」


その手を取り、ゆっくりと並び歩いていく二人。
絵本の中のおとぎ話のように、お姫様を救ったのは王子様ではなかったけれど。
結末は同じように幸福なものであると上条は確信できた。
隣で微笑むスカイブルーの瞳を持つ異国の姫君の表情に影一つ無く。
その慈愛に満ちた横顔を見つめながら、上条は彼女と過ごすこれからの日々に想いを馳せた。



―――――


――――


―――


――



281: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:54:27.54 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「おいとーま。まだか。皆を待たせているし」


小さな花束を携えて、キャーリサはやれやれと首を振りながら上条に声をかけた。


上条「あー、ごめんごめんん。ちょっとトイレ行ってたんだよ」


トレードマークとも言えるツンツンの黒髪をかきながら、上条はキャーリサに歩み寄る。


キャーリサ「まったく、そんなものあとでいいだろー。こんな大事な時に」


口ではそう言いながらもキャーリサの口元には笑みが滲んでいた。
自然な仕草で上条の腕を取り手を絡めて傍らに寄り添う。


上条「漏らしたら困るだろ……じゃ行くか」


そして、二人は並んで大きな扉の前に立つ。


禁書「もう! 遅いんだよとうま! 早く早く!」


扉の向こうから、頬を膨らませたインデックスが顔を覗かせていた。


上条「おう! 今行く!」


そう返して、上条は今一度キャーリサを視界にとらえる。


キャーリサ「何見てるの? ……ふふっ、とーま。行くぞ」


クスリと微笑んだキャーリサが、真紅のドレスの裾を揺らして、悠然と言い放ち、一歩を踏み出す。


上条「ああ、行こう」


白いタキシードに身を包んだ上条もまたそれに続き、開け放たれていく扉の向こうへと歩みを進めて行った。
その向こうから聞こえてくる、たくさんの仲間達の声。



282: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:56:14.03 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「よーやく家出が終わったな」


ポツリと呟いたキャーリサの言葉は、皆の声の中に消えていく。


上条「そうだな」


だがそれは、確かに上条の耳へと届いていた。


キャーリサ「とーま―――」


そしてキャーリサは凛然と前を見つめたまま言葉を紡ぐ。


キャーリサ「――――今日からお前と私、二人の家だものな」


空からは祝福の陽射し。
目の前に広がるのは多くの仲間達の姿。
赤いウェディングドレスを纏うキャーリサが、誓うように天高くブーケを放り投げる。
それは、少年と王女が初めて出会ってから、7年後のことだった。




―おしまい―



284: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:57:19.40 ID:3uB6ZpMQo

おまけ


―――神奈川県 某海岸 海の家『わだつみ』 客室


キャーリサ「……布団よし。ティッシュよし。うむ……完璧だし」

キャーリサ「ふ、ふふっ……いよいよ……いよいよなのだなっ」

キャーリサ(思えば今日一日邪魔が入ってばかりで結局ロクにとーまと恋人らしいことを出来なかったの) グヌヌ…

キャーリサ「しかしっ!」 グッ!

キャーリサ(ここからは大人の時間だ。
       むふふふふ……この世に生を受けて28年……私もよーやく女になるの) ドキドキ…

キャーリサ(や、やっぱり痛いんだろーか。しかしなー……学生時代の友人たちは皆とっくに済ませていたし……
       子供でも平気なんだから大丈夫だろー、うん。そーに違いないっ…………そーだよな?)

キャーリサ(そ、それよりもどーやってとーまを迎えようか。
       やはり日本式に則って三つ指ついて待っているべきか。
       いやいや……私のキャラじゃないだろ……や、やっぱりこー……しなを作って……足を開いて……)

キャーリサ「とーま、この偉大なる第二王女に子種を寄越」


ガララ…


上条「ふぅ……やっとバカ親父と土御門から解放された……あ?」

キャーリサ「せっ……」

上条「」

キャーリサ「なぁぁっ!!!!?????」 バッ!

上条「な、何やってるんでせうか……」

キャーリサ「ち、違う! これは違うの! 私はそー簡単に股を開くよーな女ではないぞ!」

上条「? いやそりゃ分かってるけど……」



285: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 05:59:28.38 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「んっ! んんっげふんごふんっ! そ、それよりとーま。もー寝るか?」

上条「んー? そだなー。何だかんだで疲れたし、今日はもう寝ようかな」

キャーリサ「ん。よしよし。布団は敷いておいたからな」

上条「……随分距離近いっすね……」

キャーリサ「……そこに気付くとは、期待してたなこのエロスめ!
       よーし、こっち来いとーま。可愛がってやるの」

上条「うわー……女の人の台詞じゃないですよ……」

キャーリサ「う、うるさいっ! いいからそこに寝ろ!」

上条「よ、よーし……上条さんももう我慢の限界ですのことよー!」 ガバッ!

キャーリサ「きゃっ! お、おい……私が上だしっ!」

上条「えっ、何で」

キャーリサ「お、お前は私の下でよがってろ。
       それにこの……カエルのよーな体勢は王女としての威厳を損なうの……」

上条「いいじゃん。今はただの恋人なんだろ?」

キャーリサ「そ、そーだが……あーもうっ! いーからお前下! 私は上! これはこの世の摂理だし!
       分かったらそこを退け!」

上条「わ、分かりましたよ……上条さん初体験なんですよー……最初は普通の体位がいいのですが」

キャーリサ「わ、私だってそーだし」

上条「じゃあやっぱりここはセオリーに倣ってだな」

キャーリサ「そこは譲らんっ!」

上条「……仕方ないな。……でもとりあえず前戯からだろ」

キャーリサ「む……そ、そーだな。よし、愛撫せよ」

上条「せよ、って……身も蓋もないな……よーし上条さんやっちゃいますよー!」 バッ!



286: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 06:01:31.07 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「んっ! こ、こら……急に触るな……」

上条「おおお……ハプニング以外でこれに触る日がこようとは……柔らかいな」 ムニムニ

キャーリサ「どーいう感動の仕方なの……んっ…ぁっ……」

上条「ぐへへ、やらしい声が出てるぜ王女様よぉ」

キャーリサ「くっ! だ、誰だお前は……」

上条「いや何となく……ん、キャーリサ……」 チュッ

キャーリサ「んっ! ……むぅ……チュプッ……ピチャッ……ふぁ……」

上条「好きだぞ……キャーリサ……」

キャーリサ「ん……はむっ……チュゥッ……わ、私も……」


アンッ…! 


上条「……ん?」

キャーリサ「……はぁ……んっ……ど、どーしたの、とーま……続きしよー」

上条「い、いや……」


アンッ! アァッ! ラメェエエエエ…!


キャーリサ「……な、何の声だ……」 アセッ

上条「…………」


アンッ! アンッ! イクッ! イッチャウゥゥウウウ…!!


キャーリサ「こ、これ……私達と同じように……」

上条「…………」 ダラダラダラダラ…

キャーリサ「お、おいとーま……?」


アハァッ! ラメェッ! トウヤサンスゴィィイッ!



287: ◆S83tyvVumI:2011/04/16(土) 06:03:09.72 ID:3uB6ZpMQo

キャーリサ「ま、まさか……」


コワレチャウゥゥゥウウウウウウ…! カアサンッ、ダスゾッ!

クダサィィッ! アツクテブットイ〇〇〇〇゚〇〇〇 ×××に ★★★シテェェェ! 

フタリメデキチャウゥゥゥウッッッ!


上条「うちの……親です」

キャーリサ「うわっ」

上条「……なんだろう……何か興奮が一気に冷めてしまった……」

キャーリサ(そりゃそーだろー……)

上条「ちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!
    あいつら隣にテメェの子供とその彼女がいるって分かってて何やってんだぁぁあああああああ!!!!!!!」

キャーリサ「うーむ……こ、これは……無理そーだな……ここが可愛くなってるぞ……」

上条「っ! ……申し訳ない。多分あの二人毎日のようにやるぞ……」

キャーリサ「い、いや……気持ちは分かる……うん。また後日でいーじゃない……私は逃げないから、な?」

上条「はい……あー……不幸だ……」



―おしまい―



332: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:40:38.43 ID:3rMTtidro

番外編

【家事】


―――学園都市 上条宅


上条「……ふう、今日から久々の学校だな」

キャーリサ「10日ぶりくらいか?」

上条「だな。上条さんもう一生分の土下座しましたのことよ」

キャーリサ「頭下げて出席何とかなるなら安いものだし」

上条「そりゃそうだ。んじゃ行ってきまーす」

キャーリサ「とーまとーま。んー」

上条「お、おいおい。あっちにインデックスいるんだぞ……」

キャーリサ「だからこっそりだろ……ん」

上条「……しょ、しょうがないな……」

キャーリサ「チュッ……ふふっ、行ってらっしゃい」

上条「あ、ああ……」

キャーリサ「うん、しっかりな」

上条「……おう。出かける時はしっかり戸締りしろよ」

キャーリサ「分かったの」

上条「んじゃな」


ガチャッ バタンッ



333: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:44:31.17 ID:3rMTtidro

キャーリサ「……ふふふ、我ながら良き妻になれそーだ」

キャーリサ「……さてと何しよー。公務も無いから暇なんだよなー」

禁書「あれ、とうまはもう学校?」

キャーリサ「うむ。とりあえず掃除でもするか? 両親公認の仲となった以上、妻として私はするが」

禁書「あ、私はスフィンクスのお世話をしてるから任せるんだよ」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「なんだ今日もか。仕方ないな、では私は掃除機掃除機……」 ガチャッ


ウィーン… ゴォォ…


キャーリサ「ぬー……学園都市と言えど全自動では無いとは。
        使用人もいないし、自分でやらないと駄目なんだな……」 ゴォォ!

禁書「おそうじろぼっとは個人じゃ高くて買えないんだって。よく分からないけど」

キャーリサ「ふむ……。おいインデックス、ちょっとそこを退け。
       スフィンクスの毛玉でえらいことになっているし」

禁書「冬の毛に生え変わったからだね。まったく、とうまもちゃんとお掃除してほしいんだよ」

キャーリサ「まったくだ……って、お前がやればいいんじゃないのか?
       どーせ日中暇だろ?」



335: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:46:53.98 ID:3rMTtidro

禁書「私はスフィンクスの相手とか、テレビを見たりゲームをしたり、ついでにお祈りをしたりで忙しいんだよ。
    申し訳ないとは思ってるんだよ」

キャーリサ「なら仕方ない……のか? 釈然としないが、動物の世話も大事な仕事か……。
       ところでゲームとはテレビゲームのこと?
       私あんまりやったことないの。日本製のは面白いらしいからな、後でやってみたいし」

禁書「ここに入ってるんだよ」 ガチャッ

キャーリサ「うーん、配線がよく分からんな……」

禁書「これをこうしてこう……それからこうなんだよ!」 サッサッ!

キャーリサ「ほーう、大したものだし」

禁書「えへんっ! ゲームを出しっぱなしにしてるととうまに怒られるからね。
    私がいつも片付けてるんだよ」

キャーリサ「そーかそーか。よし、それで?」

禁書「電源を入れるだけだよ」

キャーリサ「おおっ! 映像が綺麗だな! これはどーやって遊ぶものなの?」

禁書「これは落ちゲーだから、同じ色のぷよを並べて消せばいいんだよ」

キャーリサ「落ち……ゲー? まーいい、やってみるし」 カチカチッ

禁書「せっかくだから対戦するんだよ」

キャーリサ「おっと、いかん。掃除を先に終わらせないと」

禁書「とうまが帰ってくるまでまだ時間もたっぷりあるし、後でいいんだよ」

キャーリサ「ふむ、それもそーか。では少しだけ……」



336: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:49:31.92 ID:3rMTtidro

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーン! 

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「くっ! お、お前強いなっ!!」

禁書「ふふーん、伊達に練習してないんだよ。今やもうとうまより強いんだから」

キャーリサ「負けるのは腹立たしーしっ! もう一度だ!」

禁書「返り討ちにしてやるんだよ!」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「むー……もー一回!」

禁書「負けず嫌いなんだね。望むところなんだよ」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「な、何だ今の連鎖は! ぷよが画面外に消えてたじゃないか!」

禁書「実はあの上にもう一つ積めるんだよ。これが玄人というものなんだよ」

キャーリサ「ぐぬぬ……! もう一回!」

禁書「はいはい、何度やっても同じことなんだよ」



337: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:51:27.46 ID:3rMTtidro

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「むむー……」

禁書「あ、そろそろお昼なんだよ」

キャーリサ「食べながらでいい。もう一回だ」

禁書「え、うん」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「……」

禁書「も、もういいかな?」 ムグムグ

キャーリサ「……」 ピッ!

禁書「む、無言でリトライを押したんだよ……これはまずいかも」



338: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:54:55.96 ID:3rMTtidro

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「…………ギリッ!」 ミシッ

禁書「キャーリサ、さすがに疲れてきたんd」

キャーリサ「……」 ピッ

禁書「……はい」


カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…

カチャカチャッ! ピコピコッ! ファイヤー! アイスストーム! バヨエーン! バヨエーンバヨエーン!

ガシャーン、バタンキュー…


キャーリサ「何故勝てん……」 グスッ

禁書(な、涙目なんだよ……そろそろ接待プレイでもしてあげたほうがいいかも……)

キャーリサ「言っておくがわざと負けて私を愚弄するような真似は止めておいたほうがいーの。
        ……死ぬぞ?」

禁書「は、はい……なんだよ」 ビクッ

禁書(じゃあもうちょっと強くなって欲しいんだよ……正直センス無いんだよ……)



339: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 00:58:49.03 ID:3rMTtidro

ガチャッ!


上条「ただいまー。今日も補習で遅くなっちまって悪いな。
    ん? 二人でゲームか。上条さんも混ぜてもらおうかなーっと」

キャーリサ「ハッ! と、とーまっ!!」

禁書「とうま……おかえりなんだよ……」 ゲソッ

上条「? インデックス何かゲソッとしてるな。お前ゲソはまずいぞゲソは。色んな意味で」

禁書「気にしなくていいでゲs……いいんだよ……」

キャーリサ「しまった……結局ゲームしてただけで一日が終わってしまった……」

上条「どうしたんだキャーリサ。OTLみたいな格好して」

キャーリサ「四つん這いで誘ってるの」

上条「え」

キャーリサ「じょーだんだし……とーま、こんな駄目な私を見捨てないで欲しーの……」

上条「?」

禁書「もうキャーリサとゲームはやりたくないんだよ……」 ゲソッ



340: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:01:48.37 ID:3rMTtidro

―――よくじつ!


上条「んじゃ行ってきまーす」


ガチャッ バタンッ


キャーリサ「と言うわけで今日こそは掃除をする!!」

禁書「がんばるんだよ。応援してるんだよ」

キャーリサ「お前もやるか?」

禁書「私はスフィンクスの相手で忙しくて手伝ってあげられないんだよ。悪いとは思ってるんだよ」

キャーリサ「ふむ、なら仕方ないか……頑張るの」


ウィーン… ゴォォォオ…


『―――では続いてはアイドルの一一一さんの熱愛報道についてですが』


禁書「世の中惚れた腫れたで平和なんだよ」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「掃除機とはどーしてこーも私を振り回すのか……じゃじゃ馬め……ん? 何見てるの?」

禁書「朝のワイドショーなんだよ。これを見ないと世の中の動きについていけないんだよ」

キャーリサ「なるほど、確かにここ最近新聞もロクに読んでないし、よくない傾向だし。
       どれ……私も少し見ておくか」

禁書「あ、お茶とお煎餅がここにあるんだよ」

キャーリサ「気が利くな。もらおー」



341: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:04:29.67 ID:3rMTtidro

『―――最近流行りのスイーツランキングの紹介ではティラミスとナタデココが……』


禁書「おいしそうなんだよ……」 ジュルリ

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「う、うむ……食べてみたいし」

禁書「キャーリサも話せるクチかも」

キャーリサ「まー甘いもの普通に好きだしな」

禁書「じゃあ今度とうまにおねだりしてみるといいんだよ」

キャーリサ「しかしなー……金が無いと常日頃から嘆いてるあいつにそんなことは……。
        私の個人口座も迂闊に使うわけにもいかんし」

禁書「大丈夫なんだよ。キャーリサのお願いならきっととうまは断らないんだよ。
    だから私の分も一緒に頼んでね」

キャーリサ「そうか? ……ん、言うだけ言ってみるし」

禁書「キャーリサはお嫁さんの鑑なんだよ。表札に上条キャーリサって出すべきだね」

キャーリサ「そ、そんなに褒めるな。ほら、煎餅食べろ」

禁書「(計画通りなんだよっ!)」 ニヤッ



343: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:06:44.05 ID:3rMTtidro

『――旦那がずっと家に帰ってこなくって』

『――奥さん、そりゃあんたが悪いよ』


禁書「お昼ご飯を食べながらみのさんを見るのはもはや日本の文化と言ってもいいかも」 ズルズル

スフィンクス「ハムッ! ハフハフッ!」 ガツガツ

キャーリサ「蕎麦が美味いな。にしても、どこの国も夫婦というやつは似たよーなものだし」 ズルズル

禁書「旦那も悪いけど、奥さんも奥さんなんだよ」

キャーリサ「私はこーはならないよーにしよー」


『――この泥棒猫! あの人を返して!』

『――あんたは豚よ! この醜い豚!』


禁書「食後はゴロゴロしながら夕方までドロドロ系の昼ドラを楽しむのが正しい居候の過ごし方なんだよ」 ゴロゴロ

キャーリサ「そーかそーか。この女怖いなー。
        んー、でも何か忘れてるよーな……」 ゴロゴロ



345: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:10:00.09 ID:3rMTtidro

『――本日はご当地美味いもん特集ということで、ここ食い倒れの街大阪に』


禁書「またワイドショーで世の中の情報を集めないとね」

キャーリサ「確かにこれならば世界情勢に遅れを取ることは無いの……か?
        何か違う気がするの」

禁書「気の所為なんだよ。ほら、たこ焼きが美味しそうなんだよ!」

キャーリサ「お、これはこの前食べたの!」

スフィンクス「zzz…」


ガチャッ!


上条「ただいまー」

キャーリサ「あ」

上条「ん?」

キャーリサ「……またやってしまったの……」

上条「どうした? って、掃除機今日も出しっぱなしだぞ。掃除してくれるのはありがたいけど、ちゃんと片付けといてくれよ」

キャーリサ「すまんかった……愚かな私を殴ってくれ。あらん限りの罵倒をぶつけても構わないし」

上条「い、いやそこまでしなくても……」

禁書「おかえりーとうま。お腹が空いたんだよ」

上条「はいよ。すぐ飯作るからなー」 テキパキッ

キャーリサ「! 手慣れているの……」



346: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:11:38.77 ID:3rMTtidro

禁書「あ、キャーリサがデパ地下のスイーツが食べたいって言ってたんだよ」

キャーリサ「! い、いやそれは……違うんd」

上条「そか? また金がある時にでも買ってきてやるよ」

キャーリサ「!?」

禁書「わーい」

キャーリサ「……」 ジー

上条「ん?」

キャーリサ「……」 ジー

上条「な、なんでせうか……」

キャーリサ「尊敬の眼差しだし……惚れ直しているところだ。お前、すごい奴だったんだな……」

上条「え、えー……?」

キャーリサ「明日から本気出すし! 愛してるぞとーま!」

上条「?」



347: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:13:28.16 ID:3rMTtidro

――よくじつ!


キャーリサ「今日こそはやる! 掃除くらいこなせずして何が王女か! 何がキャーリサか!
       風呂場の排水溝まで美しく磨き上げてやるの!」 フンスッ!

禁書「キャーリサー。スフィンクスが公園に散歩に行きたいって言うから行ってくるんだよ」 スタスタ

キャーリサ「待てい」 ワシッ

禁書「わっ! きゅ、急に引っ張らないで欲しいかも……!」

キャーリサ「お前今までシレッとした顔で言ってたがおかしーぞ。
       この私が掃除に励もうと言うのだ。お前も手伝え。同じ居候だろ。
       いーか? 今日の私は本気だ! 今日こそ私と共に」

禁書「公園で近所の奥さま達と情報を交換するのも妻の役目なんだよ」

キャーリサ「なんだとっ!! ぐぬぬ……確かに姉上が市井に紛れてそんなこと言ってたな。
       で、ではその役目はお前では無く妻である私がやる。
       もう一度言うが、偉大なる妻である私がやる」

禁書「じゃあ私は室内でゴロg……スフィンクスの相手をしているからキャーリサにお任せするね」

キャーリサ「任せておけ。行ってくるし!」 ダッ!



348: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:16:10.30 ID:3rMTtidro

――学園都市 公園


キャーリサ「来たはいーが……」


少年A「わーい! 鬼さんこちらー!」

少年B「びえーん!!」

教師「はーいB君泣かないの。男の子でしょー」

幼女C「Dちゃんおままごとしましょー」

幼女D「いいわよー、あたしペット役やるー!」


キャーリサ「幼稚園児しかいないし……よく考えたら学園都市は親許を離れてきてる奴がほとんどなんだから近所の奥さま自体が稀だろー……。
        ちっ! インデックスめ、図ったな。帰って説教してやるし」

幼女E「お姉さん、こんなところで何してるの? がっこーは?」

キャーリサ「ん……?」

少年F「おーいE子何やってんだよー。あれ、このおばさんだれー?」

キャーリサ「おばっ! ……お姉さんだし。まだ一応……一応……」

幼女G「お姉さんがっこー行かなくていいの? あ、分かったちこくしたんでしょー!
     いけないんだー!」

キャーリサ「お、お姉さんは学校には行かなくていーの」



349: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:20:12.40 ID:3rMTtidro

少年H「おまえらばっかでー。このおばさんはけんきゅうしゃなんだよ。
     どう見たって大人だろー」

キャーリサ「だからお姉さんと言え。そこは譲らんぞ……絶対」

少年I「ちげーよ。きっとこれからかれしとデートなんだぜー! 
    よくうちのねーちゃんがっこうサボってデートしてたもん」

幼女E「えー! デート!? すごーい! どんなところ行くのー?!」

キャーリサ「う、うん?」

教師「ああっ! ご、ごめんなさい! ほらあなたたち、お姉さんのご迷惑でしょ。
    すみません、ちょっと目を離した隙に……」

キャーリサ「いや構わないが……この辺りの幼稚園か?」

教師「ええ、すぐそこの」

キャーリサ「そーか」

キャーリサ(……私より全然年下なのに立派に働いているとは……なんだか自己嫌悪だし……)

教師「?」

少年F「ねえねえおばさん! 今からデートなんだろー! 行かなくていいのかよー!
     おとこに逃げられちまうぜー!」

教師「こ、こらっ! す、すみません……ほらみんな行くわよ」

キャーリサ「ほー、何だ少年。 お  姉  さ  ん  に気があるの? いやまあ何だ。
       お  姉  さ  ん  は彼氏に愛されてるから逃げないの」

幼女G「すごーい! ねえねえもっとくわしく教えて!」

キャーリサ「……最近の子供はマセてるな……。
       そ、それより子供らしー遊びをしてろ!」



350: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:21:28.60 ID:3rMTtidro

幼女E「じゃあお姉さんいっしょに遊んでー!」

キャーリサ「わ、私が?」

教師「こらこら。ご迷惑でしょ。いい加減にしなさい」

キャーリサ(待てよ? 考え様によってはこれはチャンスではないの……?
       学園都市は学生の街だ。教師ともなればそれなりに情報も持っているだろーし、
       貴重な話が聴けるかもしれない……
       このまま何事も成さず帰るのもしゃくだしな……よし)

幼女G「えー、お姉さんと遊びたーい」

少年F「しかたねーからおれたちが遊んでやるよ」

教師「だーめ。お姉さんは用事があるの」

キャーリサ「あ、あの……」

教師「はい?」

キャーリサ「実は―――」



351: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:22:57.28 ID:3rMTtidro

―――学園都市 住宅街


上条「~♪」

土御門「カミやんご機嫌だにゃー。今日は補習が無いからか?」

上条「いやまあほら、アレですよ」

土御門「あ分かった。別に聴きたくは無いぜい」

上条「話ふっといてそりゃねえだろ」

土御門「オレはカミやんの惚気話にだけは耳を傾けるなって死んだ婆ちゃんの遺言で言われてるんだにゃー」

上条「よく分かったな惚気だって」

土御門「そりゃもう。で? 同棲始まってもう何日か経つけど、ヤリまくりか?」

上条「いやインデックスいるし」

土御門「いやいや、そんなのは言い訳に過ぎないぜい。やろうと思えばどこでだって出来る」

上条「どこでも……」 ゴクリ

土御門「うちの寮って壁厚かったかにゃー。声は抑え目で子作りに励むんだぜい」

上条「子作りってそんな……ん? 公園が騒がしいな」

幼女G「ママー! お腹すいたー、ご飯にしましょー」

キャーリサ「パパが帰ってくるまで待つの。お前達、お風呂が沸いているから先に入ってくるといーし」

幼女H「ママと一緒がいい!」

キャーリサ「私はパパと入るの!」



352: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:24:19.41 ID:3rMTtidro

上条「」

土御門「カミやん……いつの間にキャーリサとの間にあんなでかい子供こさえたんだ……?」

上条「し、知らん! 上条さんは身に覚えが無いですのことよ!」

キャーリサ「お、とーまか」

幼女H「ママー、あの人はー?」

キャーリサ「パパだ」

幼女G「パパー!」

幼女H「パパおかえりー!」

上条「知らない子供たちにパパって呼ばれる恐怖ハンパじゃないです……」

土御門「身に覚えがないなら平気だろ?」

上条「そうだけど、こう……周囲の視線が痛い」

キャーリサ「とーま、おかえり。今から帰るところか?」

上条「あ、ああ。お前何やってんの?」

キャーリサ「ん? 実はな、幼稚園の教師に学園都市のことを色々聴いてたんだが……
       気が付くと一日幼稚園でバイトすることになってた」

上条「あ、じゃ今のおままごとだったか……」 ホッ

土御門「そりゃそうだろ」

上条「気づいてたなら言えよ!」

土御門「フツー気付くと思うんだけどにゃー」



353: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:25:44.44 ID:3rMTtidro

幼女G「ママー、もう帰っちゃうの?」

キャーリサ「仕事は五時までだからな。お前達を寮まで届けたらさよならだし」

幼女H「また遊んでくれる?」

キャーリサ「ああいーぞ。今度はパパも一緒だ」

上条「え、上条さんも?」

キャーリサ「いやー、子供はかわいーぞー。私も子供欲しくなってきたなー」 チラッチラッ

上条「っ!」 ドキッ

キャーリサ「とーまとーま」

上条「は、はい?」

キャーリサ「(ふふっ、今夜あたり本当に作るか?)」 ヒソッ…

上条「えっ!」

キャーリサ「なんてな!」

幼女G「あー! ママがないしょ話してるー! いけないんだー!」

幼女H「なんて言ったのー! 教えて教えてー!」

キャーリサ「ふふーん、パパとママの秘密だし」

幼女G「ずるーい」

キャーリサ「ずるくない! よーし帰るぞお前達。門限の時間だし。
       ではなとーま、先に帰っていてくれ」

上条「あ、ああ……」



354: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:26:52.66 ID:3rMTtidro

幼女H「おーてーてつないでー♪」 ブンブン

幼女G「みなかえろー♪」 ブンブン

キャーリサ「カラスが鳴くからかえりましょー♪」

幼女H「あ、お姉さんそのお歌覚えたんだね!」

キャーリサ「お前達に教えてもらったからな。王女の記憶力はロイヤル級だ」

幼女G「お姉さんおひめさまなのー?」

キャーリサ「元な」

幼女H「私もおひめさまになりたーい!」

キャーリサ「お前達はそんなものよりもっといいものになれるさ」

幼女G「えーなにそれー!」

キャーリサ「お嫁さんだし!」

幼女H「なりたーい!」

キャーリサ「おーなれるとも! 私もなりたいし!」


ワイワイッ キャピキャピッ! スタスタスタ…


土御門「な……何なんだ一体」

上条「めちゃくちゃ馴染んでやがる……」

土御門「意外な特技だにゃー……」



355: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:28:51.63 ID:3rMTtidro

―――学園都市 上条宅


バンッ!


キャーリサ「また忘れていたしっっっ!!!!!」

上条「何だ突然帰って来るなり」

禁書「遅いんだよキャーリサ。どこまで行ってたの?」

キャーリサ「そもそも元はと言えばお前が! ……まーいいの。おかげでなかなか得難い体験が出来たし」

上条「お疲れさん。どうしたんだここ3日くらい変だぞ?」

キャーリサ「い、いやその……実はだな――」


かくかくしかじか!


キャーリサ「というわけで居候として本格的に世話になる訳だし、食客としてだらけているのも居心地が悪いので何かしよーかと思ったの……」

上条「キャーリサ、お前……」

キャーリサ「だが駄目だな。どうにも上手くいかなかった……」

上条「いいんだよ、キャーリサ。その気持ちだけで十分だ」

キャーリサ「とーま……」

上条「はは……ま、まあゆっくりがんばっていこうぜ。
    掃除とか洗濯やってもらえると確かに助かるしさ」

キャーリサ「うん……がんばるの……」 ギュッ



356: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:31:25.07 ID:3rMTtidro

禁書「むー……なんだかいい雰囲気なんだよ……」

上条「じゃあ明日からとりあえず掃除はキャーリサとインデックスに任せるよ」

禁書「えっ! 私も!?」

上条「当たり前だろ。お前とキャーリサは同じ居候なんだからさ」

禁書「何だか言い方に差を感じるけど……同じってことなら……まあいいんだよ」

上条「ん?」

禁書「同じ居候ってことは、私もここにいていいんだよねとうま?」

上条「? 当たり前のこと何今更」

禁書「当たり前……」

キャーリサ「何だお前、私達に気ぃ遣ってるの? 慣れないことは止せインデックス」

上条「そうだぞ。いつものふてぶてしさはどうしたんだよ」

禁書「……それは余計なひと言かも。まあでも、そこまで言うなら居てあげてもいいんだよ!」 フンスッ!

上条「その調子その調子」

キャーリサ「単純で可愛いやつだな」

禁書「むぅ……子ども扱いされてる感が否めないかも。
    よし、もう怒ったんだよ! インデックスの本気ってやつを明日から見せてあげるんだから!」

キャーリサ「望むところだし。とーま、家のことは私達に任せて安心して学校へ行くといーの」

上条「ははは、頼りにしてますよ」

上条(インデックスとキャーリサの仲がちょっと心配だったけど、これなら大丈夫そうだぞ。
    しかも家事の負担まで減ってインデックスをお手伝いに目覚めさせるなんて……小さな幸せみつけましたのことよー。
    明日から楽しみだな、うふふ)

キャーリサ・禁書「「?」」



357: ◆S83tyvVumI:2011/04/21(木) 01:33:30.66 ID:3rMTtidro

よくじつ!


上条「ただいまー! ……あれ、二人ともいないのか?」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「……」

禁書「……」

上条「あれ、二人とも風呂場で何やって……うっ!」

キャーリサ「とーま、すまんかった」

禁書「わ、悪気はなかったんだよ」

上条「こ、このガレキの山は一体……」

キャーリサ「気合を入れて掃除したら風呂場が空爆後の市街のよーになった」

禁書「が、がんばった結果なんだよ!」

上条「……」 プルプル…

キャーリサ「その……何だ。うん、ちょーど銭湯に行きたいと思ってたころなんだ」

禁書「それいいかも! 私も行きたいんだよ! そうしよう! ね! とうま!」

上条「…………」 プルプル…

キャーリサ「そ、そーだ! 混浴だ! また背中を流してやるぞとーま!」

禁書「そ、そうだね! 私も水着を着てなら構わないんだよ! だから元気出してとうま!」

上条「い、言いたいことは……それだけか……?」

キャーリサ「!」

禁書「!」

キャーリサ「あー……うん、まあアレだし」

禁書「そ、そうだね。アレなんだよ」

キャーリサ「ドンマイとーま!」

禁書「元気出すんだよ!」



上条「不幸だぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



406: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:37:53.61 ID:FN11A2vCo

―――第七学区 大通り


ワイワイワイワイ… ガヤガヤガヤガヤ…!

スタスタスタスタ…


上条「えーっと……これで大体買い物は終わったかな」

キャーリサ「うん。今日はじゃがいもが安く買えたな」

上条「キャーリサも特売戦争で安定した戦果をあげられるようになったし、買い物が楽になったよ」

キャーリサ「そ、そーか? ふふっ、私も一人前の戦士という訳だな。王女なのに」

上条「ははは、嬉しそうだな……ん? どーしたキャーリサ」

キャーリサ「ん? あ、い、いや……」

上条「あの服屋がどうかしたか?」

キャーリサ「んー、何でも無い。帰るぞとーま」

上条「見なくていいのか?」

キャーリサ「そんなものに使う金は無いだろー」

上条「いやちょっとくらいなら別に」

キャーリサ「いーったらいーの。インデックスが腹を減らして待ってるし。行くぞ」

上条「? まあいいならいいんだけど」



407: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:40:37.40 ID:FN11A2vCo

――よくじつ!!


ペラッ ペラッ


キャーリサ「……」 

禁書「~♪」

スフィンクス「ナー」

キャーリサ「……むー……」 ペラッ…

禁書「ん? ……あれ、何読んでるのキャーリサ?」

キャーリサ「あ、これか? 昨日古本屋で見つけたファッション雑誌だし。
        先月号250円だ。安いの」

禁書「お洋服がいっぱい載ってるね」

キャーリサ「そりゃファッション雑誌だからな」

禁書「とうまあんまりお洋服買ってくれないんだよ。
   まあ私はこの歩く教会があるからいいんだけど」

キャーリサ「壊れてるんだろ?」

禁書「こ、壊れてるけどシスターとして修道服は欠かせないんだよ」

キャーリサ「私もそーいうのがあればなー」

禁書「? 欲しいお洋服でもあるの?」

キャーリサ「んー……まーそーだな。どれが欲しいという訳でも無いけど」

禁書「何だかはっきりしないかも」

キャーリサ「そりゃ欲しいさ。正直買い物は好きだし、化粧品や下着類も消耗品と言っていい。
       でも、言い出せるか? とーまは学生で、両親から仕送りもらってる身だぞ?
       そんな奴に服買ってくれなんて言えるわけが無いだろー」



408: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:42:36.53 ID:FN11A2vCo

禁書「それはそうかも……だからその本ベッドの下に隠してたの?」

キャーリサ「これ見よがしに置いてたらイヤミったらしーだろ?
       別に要求してるわけじゃないのに変に気を遣われても嫌だしな」

禁書「なるほどなんだよ」

キャーリサ「別に高級なものじゃなくていーの。前一度連れていってもらったセブンスミストだっけか?
       あそこなんか安くて可愛いのがたくさんあったし……」

禁書「なかなか深刻な悩みだね。ここはシスターとして相談に乗るんだよ」

キャーリサ「お前に金の相談してもなー……」

禁書「むぅ……それは心外かも。私だって人の話を聞いて助言することくらい出来るんだから」

キャーリサ「じゃあお前が私の服買ってくれるの?」

禁書「それは……無理だけど」

キャーリサ「だろー? ……ちょっと学園都市での生活にも慣れてきたし。ここは一つアレやるか」

禁書「アレ?」




キャーリサ「バイトだし」




番外編

【バイト】



409: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:49:10.73 ID:FN11A2vCo

―――とある高校 教室


ワイワイワイ…! ガヤガヤガヤ…!

ペラッペラッ…


上条「うーん……」

姫神「上条くん。帰らないの?」

上条「あ? おう、帰る帰る」 ゴソゴソ

姫神「あれ。今のって女の子向けのファッション雑誌じゃない?」

吹寄「姫神さん、一緒に帰りましょ……って上条当麻、貴様がファッション雑誌って本当?
    槍でも降るんじゃないかしら」

上条「どうせ上条さんには似合いませんのことよ。ほら、帰ろうぜ」

姫神「誰かにプレゼントするの?」

上条「ん? 何が?」

姫神「雑誌見てたから」

上条「あー……プレゼントって言うか、やっぱ俺が稼いで買ってやらないと駄目だよなーって」

吹寄「? 何よ貴様。恋人でも出来たの?」

上条「実はそうなんだ。年上でさ」

姫神「そんなの聞いてなかった!!!!」

上条「! え? ご、ごめん……?」 

吹寄「! ……ど、どうしたの……?」

姫神「ごめんなさい。取り乱した」



411: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:51:52.49 ID:FN11A2vCo

吹寄「……ゴホンッ、じ、じゃあ貴様はその恋人に渡すプレゼントを雑誌から選ぼうとしてたってこと?」

上条「まあそうなるかな」

吹寄「本人にどれが欲しいか聞けばいいじゃない」

上条「最悪そうしようかなと思うけど、やっぱ内緒で選んだものの方が嬉しくないか?」

姫神「確かに。私のことを考えて選んでくれたんだと思えば。宝物になる」

吹寄「そう? どう使えばいいか分からないようなものを渡されるよりは、この中のどれがいい? みたいな感じで選ばせてもらったほうが嬉しいけど」

上条「かー……これだから吹寄は」

吹寄「な、何よ上条当麻! 貴様にため息つかれる謂れなんてないわよ!」

上条「わ、悪い悪い。で、ちょっと参考までに聴きたいんだけど、女の子って月にどれくらい服買うの?」

姫神「? 平均すれば3000円から5000円くらいかな。でも買わない時もあるし、冬はもう少し高くついたりすることもある」

吹寄「私もそれくらいね。服とか化粧品なんかより通販に使う方が多いけど。女子高生なら高くても10000くらいまでが一般的らしいわよ」

上条「うーん……それくらいなら何とかなるか……?」

吹寄「ちょっと待ちなさい上条当麻。貴様さっき恋人は年上だと言ったわね。その人は何歳なの?」

上条「えーっと……28歳だったかな」

吹寄「28ぃっ!? はぁっ!?」

上条「そんなに驚くことか?」

姫神「正直想像の斜め上だった」

上条「っつかお前らも一回見たろ、この前学校来てたキャーリサだよ」



412: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:54:50.81 ID:FN11A2vCo

吹寄「え、あの人なの!?」

姫神「? キャサリンって言ってなかった?」

上条「あ……ま、まあいいじゃねえか。それ間違い。キャーリサキャーリサ」

姫神「?」

上条「で、吹寄。キャーリサの年齢が何か関係あるのか?」

吹寄「おおいにあるわ。言っておくけど、今言った金額は私達女子高生の平均だからね。
    当然社会人である20代の女性ならその額は上がるのよ」

上条「あ」

吹寄「はぁ……まったく、そのくらいのことも考えつかなかったの?」

上条「ち、ちなみにいくらくらい?」

吹寄「まあ倍くらいと考えておけばいいわ。もっとも、ブランド志向の人だと金額はさらに跳ねあがるけど」

上条「やっぱ王室御用達じゃないと駄目なんだろうか……」

吹寄「どこの貴族よ」

上条「王族なんだよ」

吹寄「はぁ?」

上条「い、いや……」

姫神「上条君。さっきの雑誌見せてもらってもいい?」

上条「? ああ、いいよ」

姫神「ありがとう。……あれ。これって」



413: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:56:23.95 ID:FN11A2vCo

上条「ん?」

吹寄「なっ! これ5年も前のじゃない! 何なのこれ!」

上条「え、何か問題あったか?」

姫神「ファッションはとてもサイクルが速いの。だから去年のならまだしも。5年も前の商品を参考に選ぶなんてありえない」

上条「そ、そうなのか……」

吹寄「そもそも店頭に無いでしょ」

上条「いやだから似たようなやつをだな」

吹寄「定番化してるものはともかくとして、せめて参考くらいは新しいのにしなさい」

上条「そうだったのか……昨日キャーリサと古本屋行った時こっそり買っといたんだけど、失敗したなぁ……」

吹寄「まったく貴様は……。雑誌なら明日新しいの持ってきてあげるからそれを見なさい」

上条「マジですか」

姫神「よかったら私のも。系統や年齢によっても読む雑誌違うと思うし」

上条「難しいんだな……ま、とにかくありがとな。ちょっと考えてみるよ」

姫神「せっかくだから一緒に選んでもいいよ」

上条「お、本当か? じゃあお願いしようかな。女の子の意見聞いた方が確実だし」

姫神「任せて」



414: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 21:59:35.80 ID:FN11A2vCo

――上条宅


ガチャッ…


上条「ただいまー」

キャーリサ「おー、おかえりとーま!」

禁書「おかえりなんだよ」

上条「ん? 二人で何見てんだ?」

キャーリサ「求人情報誌(タウンワーク)だし」

上条「バイトでもすんのか?」

キャーリサ「うん。ちょっと家事にも慣れてきたしな」

上条「浴槽ぶっ壊した奴が何を言ってんだ……」

キャーリサ「そ、それは結局私じゃなくてガス管の所為だったから無料で直してもらえたじゃない……」

上条「だな。冗談だよ、ごめんごめん。ま、バイトするのは良い事だし、頑張れよ」

キャーリサ「うん。いつまでもお前に養ってもらうだけでは肩身が狭いしな」

禁書「何だか胸に刺さるんだよ……」

上条「インデックスも一緒にやったらどうだ?」

禁書「わ、私はシスターとして天にまします我らが主に生活の全てを捧げないといけないから他のお仕事は出来ないんだよ」

上条「お前が捧げてんのはテレビと飯と猫だろ」

キャーリサ「なー、それでとーま相談なんだが。私もインデックスも正直日本のバイトの待遇や条件には疎い。
       この中で私でもできそーな仕事無いか見てくれないか?」

上条「ああ、いいよ。ちょっと貸してくれ……えーと……」 パラパラ…



415: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:03:09.46 ID:FN11A2vCo

キャーリサ「給料が高くて休みが多くて残業が無くて交通費諸々支給の上、ついでに簡単な仕事がいいの」

上条「そんなもんねぇよ」

キャーリサ「分かってるの。言ってみただけだし」

上条「この前ちらっと手伝ってた幼稚園は駄目なのか?」

キャーリサ「いやー、嫌いでは無いんだが、土日も休みがほとんど無いらしーの。
       とーまと休日をゆっくり過ごしたい私としてはちょっとな……」

上条「そっか。じゃあ他の線で探すか」

キャーリサ「むー……そこはもうちょっと感動するところだし」

上条「え?」

キャーリサ「何でもないし!」

上条「?  あ、これなんかどうだ? スーパーのレジ。給料も悪くないし、もしかしたら余った惣菜とかもらえるかも。
    コンビニよりは一人で覚える仕事も少なそうだしな」

キャーリサ「ほーう、家計の助けになるならそれもいーか。よし、早速電話するし!」 ピッ

上条「おう、ってかその携帯って王室の?」

キャーリサ「そーだ。盗聴対策に加え世界中どこに居ても繋がる衛星通信。魔術的手段による電波妨害、傍受等にも対応しているの」

上条「電話代高いんじゃないか」

キャーリサ「……」

上条「やっぱそうか」

キャーリサ「啖呵をきって出てきた以上通話料も自分で払わないと駄目だな……。これは解約しよー……。
       とーま、バイト代入ったら自分で買うから電話貸してくれないか?」

上条「おう。ってか本体なら0円携帯あるから、明日それ買いに行くか」



416: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:08:29.34 ID:FN11A2vCo

キャーリサ「う、うん……では気を取り直して」 ピッ


trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr


キャーリサ「あ、タウンワークでバイト採用の情報を見た者だが、担当者はいるか」

禁書「……めちゃくちゃ偉そうなんだよ」

上条「……こりゃ駄目かも……」

キャーリサ「ん? ああ。……ああ。うむ、キャーリサだし。苗字? 
       キャーリサ=ウィンザーだ」

上条「キャーリサってそんな名前だったのか」

禁書「英国王室はとうま達みたいに一般的な意味でのファミリネームとは少し違うんだよ。
    今の王室はウィンザー朝だから、家名のことだね」

キャーリサ「うむ、英国人だが……おい、募集要項に日本人限定など書いてなかったぞ。
       そーだ、臨機応変な兵を私は重用するし。
       うむ……了解したの。ではよろしく頼むし」 ピッ

上条「何だって?」

キャーリサ「明日面接だそーだ」

上条「よくあの口調でいけたな」

キャーリサ「何だかしきりに謝られたし」

禁書「圧倒されただけのような気がするんだよ」

上条「うまくいくといいな。後せめて敬語使えよ。うちの親と喋ってた時は出来てただろ」

キャーリサ「それをお前が言うか。……まーそーだな、いまいち使い慣れないが、善処しよー」



417: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:10:19.27 ID:FN11A2vCo

――第七学区 スーパー


ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ…


キャーリサ「とーま! 何とか合格して早速働くことになったの!」

上条「そ、そうか。まさか学校帰りにスーパー寄ったら店員がキャーリサだとは……」

キャーリサ「どーだ、私のエプロン姿は。そそるか?」

上条「とても素敵です」

キャーリサ「よーしよし。お前がいー子にしてたら裸エプロンしてやるからな。
       好きだろ?」

上条「いや好きだけど恥じらいがある方がいいです……」

キャーリサ「う、うん。実際やるとなったら結構ドキドキするから安心せよ」

上条「よく分からんけど、ま、がんばれよ」

キャーリサ「おー! ではまた後でな」

上条「おう」

キャーリサ「おい店長! しっかりと私に仕事を教えよ!」

上条「……大丈夫なのかあれで……」



418: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:12:37.75 ID:FN11A2vCo

―――


店長「というわけで、キャーリサさんの教育担当になる絹旗さんだ」

絹旗「どうも、絹旗最愛です。モアイって呼んだら超殺します」

キャーリサ「おー、よろしく頼むぞモアイ」

絹旗「うがぁあ!! 何ですかこの人は!!!」

店長「は、はは……まあ仲良くね。じゃ、あとよろしく」 フラー…

絹旗「? 何だか店長元気なかったですね」

キャーリサ「あまりに非効率的な仕事をしていたから指導してやったの」

絹旗「何モンですかあなたは……」

キャーリサ「部下を持つ管理職と指揮官としての器が知れたな。
       で、モアイ、お前はこのバイトを初めて長いのか?」

絹旗「いえ? 日中超暇なので社会経験にと思って最近始めただけですよ。
    中学生雇ってくれるとこなかなかないですし」

キャーリサ「そーか。なのに教育係とは、優秀なのだな」

絹旗「というか、超すぐ人が辞めていくんですよね……。だから私も入れたんですけど」

キャーリサ「な、何故だ! 陰険なお局やセクハラ上司でもいるのか?
       軽く斬っといてやろーか?」

絹旗「いえ、その程度なら私が超ぶちのめしてます。そうじゃなくて……
    あ、いきなり驚かせるのは止めておいたほうがいいですね。
    とにかく、変わったお客が来てもめげないでください」

キャーリサ「?」

キャーリサ(確かに他のバイトの連中も研修中の札を張ってる奴ばかりだな。
        妙な客でも来るの……?)

絹旗「では早速レジの使い方から教えますよ。まずは私と一緒にレジに入って下さい」

キャーリサ「うむ、頼むし」



419: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:14:36.94 ID:FN11A2vCo

―――


絹旗「超ありがとうございましたー」

キャーリサ「また来るがいーの」

絹旗「ふう、キャーリサさんですか。あなた超物覚えがいいですね。
    もう一人でも大丈夫なんじゃないですか?」

キャーリサ「王女の学習能力を甘く見てもらっては困るし。……テレビゲームは苦手だが」

絹旗「? ただ言葉づかいもう少しどうにかなりません? 
    超外人さんなのでお客さんにも許されてるところありますけど……」

キャーリサ「いや使おうという気持ちはあるんだが……なかなかな」

絹旗「はぁ……まあ少しずつでいいので慣れて下さい。じゃあ私超休憩の時間なんで、一時間ほどお一人でお願いします。 
    何かあったらそこの内線で呼んで下さい」

キャーリサ「分かったの。感謝するし」

絹旗「ええ、では」


スタスタスタ…


キャーリサ「うーむ、なかなか小さくて愛らしい先輩だったの。後で飴でも買ってやろー」

「ォい」

キャーリサ「む、いらっしゃいませー☆」 キャピッ

「仕事中によそ見してンじゃねェぞクソったれが」

キャーリサ「ピクッ……し、失礼したの……ん? なんだこれは」

「何って、缶コーヒーだろォが」

キャーリサ「いや、だってこれ……ひぃふぅみぃ……おい、買占めは感心せんぞ」



420: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:17:18.74 ID:FN11A2vCo

「あァ? 何ですか何ですか何なンですかこの店はァ?
 客の買い物に口出そォってかァ?
 俺が別に購入制限もねェ定価のコーヒー何本買って帰ろォが勝手じゃねェか」

キャーリサ「まーそーだが……」 シブシブ

「チッ……ごちゃごちゃ言わずにさっさとしやがれババァ。後ろが詰まってンのが見えてねェのかァ?」

キャーリサ「ブチッ」

「あ?」

キャーリサ「なるほどなるほど。変わった客とはお前のことだったか……。
       おい小僧。貴様今言ってはならないことを言ったの。
       斬り捨てるし」 ブォンッ

「っ!!!??」

キャーリサ「ちっ、外したの」

「何だ今のは……」

キャーリサ「案ずるな。抵抗しなければ痛みは無いし。ちょっと薄皮と次元が斬れるだけだ」

「お、ォい……レジ」

キャーリサ「ん?」


バチバチバチ… プスプスプス…


キャーリサ「ああああぁあっ!! レジが壊れているの!?」

「オマエが斬ったンだよオマエが……」

店長「キャ、キャーリサさん……何事かな?」 ビクビク…

キャーリサ「ハッ、て、店長っ! 違うぞこれは! レジが軟弱だっただけだっ」

「どンな言い訳だ……」



421: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:20:03.64 ID:FN11A2vCo

―――


絹旗「ふぅ、休憩超頂きました。……? どうかしました?」

キャーリサ「……こっぴどく叱られて凹んでるの」

絹旗「うわ、あっちのレジ真っ二つにしたってマジだったんですか……。
    ってか一方通行相手に喧嘩売ってよく無事でいられましたね」

キャーリサ「誰だそれ」

絹旗「え゛っ!? し、知らないんですか……? あなた超大物ですね……」

キャーリサ「とーま以外の男のことなどどーでもいーし。
       一方通行? 何だその名前。なめてるの?」

絹旗「い、いや知らないならそれでいいです。一応うちのスーパーのブラックリスト入ってるんですよ。
    あの人来るといつも売り場からコーヒー超消えるんで。
    しかも口悪いからバイトの人怖がってすぐ辞めちゃうんですよね」

キャーリサ「あー、そーいや買占めて行ったな。全く、自分さえよければそれでいーとは。
       社会不適合者め」

絹旗「まああなたには言われたくないでしょうね」

キャーリサ「?」

絹旗「いえ何も。では気を取り直してミスを挽回していきましょー。
    もうレジ壊さないで下さいね」

キャーリサ「ふっ、同じミスを繰り返したことなど無いし」

絹旗「そりゃ安心です」

キャーリサ「とーぜんだ。私はアホではないぞ」

絹旗「そうですか。おっと、お客さんですよ」

キャーリサ「いらっしゃいませー☆」 キャピッ



423: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:24:06.11 ID:FN11A2vCo

絹旗「……営業スマイルが板についてます」

「はいこれね」 ドンッ

絹旗「あ、麦野」

麦野「あ? あら絹旗。アンタこんなとこでバイトしてんの?」 

絹旗「アイテムもロクに仕事回ってこなくなりましたし」

麦野「そうね。何よ、新人教育中」

キャーリサ「お前の知り合いかモアイ」

絹旗「(ええ……ちなみにブラックリストその2です。麦野が来るとお惣菜コーナーからシャケ弁が消えます。
     ついでにバイトにキレて辞めさせた回数ぶっち切り一位のDQN客なので気を付けて下さい)」 ヒソヒソ

キャーリサ「(むー……そんな風には見えないけど……)」 ヒソヒソ

麦野「プッ、モアイだって」

絹旗「がぁぁっ! いいから買ってさっさと超帰ってください!」 ピッ

麦野「はいはい。いくら?」

キャーリサ「5200円だし。よく食べるな、シャケ弁ばっかり」

麦野「シャケ弁好きなのよ」

キャーリサ「そーかそーか。美味いの?」

麦野「超美味いわよ。バイトだし安くなんないの? 帰りに買って帰れよ」

キャーリサ「そーしてみるか」

麦野「あら、素直ね。なかなか見どころあるじゃない」

キャーリサ「そーか? しかしそー言われると嬉しいの。お前とは良い友人になれるかもしれないな。
       見たところ私と同い年くらいのよーだし」

麦野「ピクッ」



424: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:28:03.50 ID:FN11A2vCo

絹旗「あ」

キャーリサ「ん?」

麦野「テメェ今なんつった」 ブルブル…

キャーリサ「ん? いや、私と同じ28歳前後かと尋ねたのだけど」

麦野「んなわけねぇだろぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!
    私はまだ華の10代なんだよぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!
    どこをどう見たらそんな老けて見えんだゴラァァァァアアアアアッ!!」

絹旗「あー……麦野、落ちつ」

キャーリサ「お前! それは暗に私が老けてると言いたいのか!? 死にたいのか貴様はぁっ!」

絹旗「何で喧嘩買うんですかこの人……。超避難しときましょう……」 コソコソ…

麦野「少なくとも私よりゃババァだろ!!!」

キャーリサ「よーし、分かったの。死にたいというのはよーく分かったの」

麦野「表出ろよババァ。テメェが小皺の数数えながら命乞いするまで遊んでやるからさぁ」

キャーリサ「王女に皺など無いし。涙で化粧落として群衆にスッピンさらすまで泣かせてやるから覚悟しておけ。
        表など出るまでも無いし、ここで跪け」

麦野「オラァッ!! ブチ殺しカクテイだよババァッ!」 ゴバァッ!

キャーリサ「お姉さんだし間抜けっ!!!」 ズバァッ!



425: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:31:11.72 ID:FN11A2vCo

―――上条宅


キャーリサ「クビになった!」

上条「でしょうね。さっきあのスーパーの前通ったら営業してなかったし」

禁書「え、どうして?」

上条「というかスーパーがあったはずの場所が瓦礫の山でした」

禁書「うわ……」

キャーリサ「うう……社会不適合者は私の方だったの……?」 orz

上条「あ、あれ、もしかして結構落ち込んでらっしゃる……?」

キャーリサ「とーま……駄目な妻ですまないの……。
       しかも一日二回もババァと言われたの……私はまだ20代なのに……」 

上条「まあまあ……っつかいつの間にか妻にクラスチェンジしてるし……。
    いやそれは置いといて、一回くらいで音をあげるなんてらしくないぞ」

キャーリサ「とーま……」

上条「失敗したらまたやり直せばいいじゃないか。
    次は同じ失敗しないようにしてさ。キャーリサは頭良いし、性格も明るいからどんな仕事だって大丈夫だよ」

禁書「同じミス繰り返した結果なんだよ……」

上条「(しっ!)」

禁書「そ、そうだよ! 元気出すんだよ! 私もたうんわーく?見るの手伝ってあげるから!」

上条「ってかお前も一緒に探せよ」

禁書「わ、私はシスターという手に職が……モニョモニョ」

上条「あー、はいはい。まあいいけどな、インデックスが働くってのも想像できないし」

キャーリサ「二人とも……。
        ……ああ、そーだな! 分かったの! めげずに探してみるし!」



426: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:32:43.16 ID:FN11A2vCo

上条「おう、応援してるからな!」

キャーリサ「ありがとー、とーま……」 モジモジ

上条「ん?」

禁書「む……」

キャーリサ「やっぱりお前が一緒にいてくれてよかったの。
       ……褒美をやろーか?」

上条「い、いやその……」

キャーリサ「とりあえず一緒に風呂に」

上条「お前はそれしかないのか」

禁書「そういうのは私のいないときにやって欲しいんだよ!
    何の為に週末気を遣って二人きりにさせてあげてると思ってるのかな!?」

キャーリサ「むー……おあずけも結構きついし」

禁書「間近で見てる私はもっときついんだよ」

キャーリサ「ならお前も一緒に入るか? 他の女ならアレだが、まーお前ならいーぞ」

禁書「え、い、いーの?」
 
キャーリサ「一つ屋根の下で暮らす家族みたいなもんだしな。
       とーまがお前に欲情してももぐだけだし」

上条「え、何を?」

キャーリサ「聞きたいの?」

上条「結構です……」

禁書「ま、まあ……一回くらいなら入っても構わないんだよ」

キャーリサ「そーか。では早速三人で入るか」

上条「ストップストーップ! さすがにそれはまずいだろ! 
    ダメダメ! そ、それより次の仕事を考えよう。きっと今回は選び方が駄目だったんだよ」



429: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:37:06.39 ID:FN11A2vCo

キャーリサ「選び方なー。しかし、私の短気が原因であって条件自体は悪くなかったと思うんだが」

上条「せっかくだからキャーリサのやりたい仕事を探してみたらどうだ?」

キャーリサ「やりたいこと……うーん、金が稼げてお前との時間を削らずに済むなら何でも構わないが……」

上条「キャーリサの得意なことから仕事を探すって言う手もあるけど」

キャーリサ「私に不可能などあるとは思えないが……」

禁書「その自信はどこから来るんだろう……と言うか今のところ不可能だらけなんだよ」

上条「ほら、キャーリサイギリス人だし、英語出来るだろ。そういうの活かしてさ!」

キャーリサ「なるほど。お前頭いーな。なら軍略に優れた私に相応しい仕事を探そー」

上条「そんな仕事あるかな……」

禁書「あ、ねぇとうま。第三学区で国際展示場の案内誘導係っていうのがあるんだよ。
    要英会話スキルだって。これならキャーリサにむいてるんじゃないかな」

キャーリサ「おー、いーなそれ。こっちにはホテルのカフェでのバイトもあるし。
       これも英語が必須だそうだ。なんだ、第三学区では語学力が求められるのか?」

上条「外からお客さんが来るとこだからな。外人も多いんだよ」

禁書「とうまとうま、第三学区はここから近いの?」

上条「いや、ほとんど埼玉だからかなり遠いな……」

キャーリサ「では駄目だな。とーまと一緒にいる時間が減るし」

上条「まあバイトだと通勤補助もあんまり無いだろうしな……。
    けど、こういう探し方は悪く無いぞ。キャーリサは英語以外にも結構色んな言葉話せるだろ」

キャーリサ「英語、フランス語からサンスクリット語やベンガル語までざっと60言語程は使えると思うの」

上条「うわ、すげぇ……何そのスペック」

禁書「私も主要な公用語はそれなりに話せると思うんだよ」

上条「自分がすげぇアホみたいだ……」

キャーリサ「ふーむ、語学か。そー意識したことは無かったが、存外役立つものだな」

上条「正直何故スーパーのレジ打ちを選んだのかが分からない……」

キャーリサ「んー……お、これなんかどーだ?」

上条「どれどれ? ……おお、これは……」

禁書「キャーリサのためにあるような仕事かも……。これにするといいんだよ!」

キャーリサ「よしよし、では早速電話を―――」



430: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:40:32.60 ID:FN11A2vCo

―――常盤台中学 某クラス


キャピキャピッ ガヤガヤガヤ ワイワイ


御坂(はぁ……ねむ……。最近あの馬鹿にも会うこと減ったし、暇ねー……)

御坂(べ……別にあいつに会いたいって訳じゃないわよ? でも普段からよく顔合わせてたし?
    ……ちょっと張り合い無いなって思ってるだけなんだから……ったく)

御坂(やっぱあのお姫様と二人で過ごしてんのかしらねー。……いいな……いやいや良くないって。
    たまには家まで押しかけてやろうかしら)

御坂(でもねー……あいつら恋人同士なんだし、部屋に行ったらたまたまベッドの上で……わー!
    ななな何考えてんのよ私は学校で!!! 落ちつけ、落ち着くのよ……!
    今さらあいつらが何してたって関係無い。そう、私には関係ないんだから!) フーフー

生徒A「御坂さん、お疲れの御様子ですね」

御坂「ふぇ!!?? ……あ、ああ……うん。暖房効いてると眠くなっちゃうわよね」

御坂(み、見られてたのかしら……?)

生徒B「うふふ、そうですわね。ところで、次の語学の授業ですけれど、講師の先生が変わられるそうですよ」

御坂「そうなの? ……まあうちの学校授業スピードが尋常じゃ無いみたいだから先生も大変なのかもね……」

生徒A「優しくて素敵な先生でしたのに、残念です」

生徒B「まあまあ。新しい講師の方もきっと素晴らしい方ですわよ。
     何でも、常盤台の講師採用試験にはマナーや身のこなし、ありとあらゆる教養が必要とされるそうですし」

御坂「あー……だといいんだけどねー」



432: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:42:11.92 ID:FN11A2vCo

キャッキャッ ウフフッ


御坂(……何か嫌な予感するのよねー……。大体こういう時の予感って当たるのよ……)

生徒A「あら御坂さん、どうかなさいました?」

御坂「あ、ううん、何でも無いの。気にしないで」


キーンコーンカーンコーン


生徒B「チャイムが鳴ってしまいましたわ。ではまた」

御坂「はーい」 

御坂(新しい講師……ねぇ。このタイミングで語学の講師なんて……)


ガララ…!


キャーリサ「皆の者、頭が高いし。王女の入室である」

御坂「うん、やっぱりそうよね」



433: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:49:39.81 ID:FN11A2vCo

キャーリサ「うん? おー! 御坂か! ここお前のクラスだったんだな!」


ザワッ!

ヒソヒソヒソ…


御坂(あの馬鹿っ! 親しげに声かけてくんじゃないわよ!
    後々面倒でしょうが! ちゃんと仕事しろっつの!)

生徒D「御坂さん、お知り合いなのですか?」

御坂「う、うん。まあちょっとね」 


キャー! ミサカサンノ オシリアイデスッテー! ステキ…!


御坂「う……周りの視線が……」

キャーリサ「おいそこ。私語を止めよ。ここからは私の時間だし。
       本日よりこの常盤台中学2年の語学を受け持つキャーリサである。
       お前達にはいつ海外へ拉致され戦火の中に放り込まれたり、異国の刺客が現れても困らないレベルの語学力を身に着けさせるつもりだし」

生徒E「あの……先生はどこの国の方なんですか?」

キャーリサ「英国だ。お前達は優秀だと聞いているから期待しているの。
        語学はいつ何時必要となるか分からないし心して学べ。
        海外旅行先でトラブルに巻き込まれて戦争なんてザラにあるからな」

生徒E「え」

御坂「ないわよそんなもん……」

キャーリサ「ではせいぜい励むよーに。早速授業を始めるの」

御坂(な……何のつもりなのよ……こいつ)



434: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:52:16.85 ID:FN11A2vCo

―――第七学区 大通り


スタスタスタ…


上条「えーと……後は牛乳買って帰るだけか」


タッタッタッ!


上条「ん?」

御坂「久々に見つけたわよー!!!」 

上条「うわっ! い、今は駄目だ御坂! 上条さんが両手に抱えてる買い物袋が見えないんですかー!?」

御坂「は? 何言ってんの?」

上条「え? いや……久しぶりにビリビリされるのかと」

御坂「今日はそれどころじゃないの!
    例のお姫様がうちの学校の講師になってんだけどどういうこと!?」

上条「早速会ったのか。どうだった? ちゃんとやってたか?」

御坂「ええ……もう初っ端から大人気だったわよ……。
    あんたの彼女女子中学生にモテまくってて引いたわ」

上条「いやいや、それどんな学校だよ」

御坂「しょうがないでしょ、男っ気が無い上にお嬢様学校なんだから。
    あんなサバけて堂々とした女は黙っててもモテるっつの。
    おまけに正真正銘の王女様だから品もあるし、一日で超有名人だったわよ。
    あれじゃ顔バレすんのも時間の問題ね」

上条「へえ。はは、人気があるのはいいことじゃねえか」

御坂「笑ってる場合か! あいつが初っ端から私に絡むから私まで質問攻めにされるし、何だってのよもう……」

上条「俺じゃなくてキャーリサに言えよ」

御坂「言ったわよ。なんかお金が欲しいんだってさ。
    後何回か教師の真似事して楽しかったんだって」

上条「そうなのか? 上条さん家いつもかつかつだからなぁ……ま、楽しんでるなら何よりだけど」

御坂「ったくしっかりしなさいよね。甲斐性無しって思われるわよ」

上条「うぐっ、そ、それはちょっと凹むな」



435: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:54:21.87 ID:FN11A2vCo

御坂「学生だから仕方ないけどね。でもやっぱり買い物とかしたいみたいよ」

上条「あー……やっぱりか。苦労させてんのかなー」

御坂「何? 知ってたの? 
   ま、あの女はあんたと違って立派な大人なんだから、働いて自分の生活費くらいどうにかすんのが当たり前でしょ。
    あんたが気にするこっちゃないと思うけど」

上条「そうだけど、そこは上条さんも男として色々と思う所があるわけですよ」

御坂「ふぅん……いっちょ前に彼氏やってんのね」

上条「え?」

御坂「何でもない!」

上条「暇だったら今からキャーリサに会ってくか? そろそろ帰ってくると思うし」

御坂「いや、これから毎日顔合わすしいいわ……。それよりあんたと二人きりで遊びに……そのゴニョゴニョ」

上条「?」

御坂「ううん、やっぱいい。それ確認したかっただけだし、またね」

上条「おう。気をつけてなー」

御坂「はいはい」 ヒラヒラ


スタスタスタ…


上条(上手くやってるみたいだなキャーリサの奴。
    うーん……でもやっぱ思った通り、服とか化粧品とか欲しいんだろうな。
    言ってくれればいいのに)

上条(いやいや、言えないよなー……上条さんだって居候の身分だったらそんなこと言えませんよ)

上条(ま、結果的にはこれで良かったのかもな。キャーリサも家にいるだけじゃつまんねぇだろうし。
    けどこうなったらプレゼントはどうするかだな……うーん……。
    最近炊飯器とか電子レンジの調子も悪いし……また次回ってことで……)

上条「……」

上条(いや、やっぱりあげよう。うん。御坂の話は聞かなかったことにするか。
    せっかく姫神や吹寄も選ぶの手伝うって言ってくれてるし。
    俺もバイトでもしたほうがいいかな……はぁ)



436: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:55:47.26 ID:FN11A2vCo

―――上条宅


ガチャッ


キャーリサ「今帰ったの! 疲れたー!」

上条「おう、おかえりー」

禁書「おかえりなんだよ」

上条「どうだった? 常盤台の講師」

キャーリサ「聞いていた通りのお嬢様学校だったし。
       あいつら全員社交界デビューでもするの? 宮内にいるよーだった」

上条「ははは、常盤台はまた特別だよ。結構楽しかったみたいだな」

キャーリサ「給料はそこそこ良いしな。これで私達の生活も多少は潤うんじゃないか」

上条「いや、それはキャーリサが稼いだ金だし、好きに使えばいいよ。
    俺は少ないけど奨学金もあるし、ギリギリ食っていけるからさ」

キャーリサ「そーはいかないし。食費と家賃くらいは収めるの。
       それよりとーま、私が今日受け持ったクラスに御坂がいたぞ」

上条「お、マジか。
    嫌そうな顔してたんじゃないか?」

キャーリサ「うん、してた」

上条「目に浮かぶな」

キャーリサ「知り合いがいたというので私もちょっと安心したの」

上条「そっかそっか。ま、仲良くやれよ」

キャーリサ「うむ。それよりとーま、腹が減ったし」

禁書「あ、私もなんだよ!」



437: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:57:17.39 ID:FN11A2vCo

上条「よしよし、すぐ飯にするからな」

キャーリサ「では私は米でも砥ぐか」

上条「よろしくー」

禁書「じゃあ私はスフィンクスと一緒にアニメ見ながら世界情勢について考えてるんだよ!」

上条「よろしくー」

キャーリサ「じゃないだろ。風呂掃除でもしてこい」

禁書「はーい。キャーリサはこっち側だと思ってたのに誤算だったかも……」

キャーリサ「妻だからな」

上条「妻好きだな……ん? あれ?」

キャーリサ「どーしたの?」

上条「いや、電子レンジのスイッチが入らなくて」 ピッピッ!

禁書「あ、それはちょっと叩くといいんだよ」

上条「え、そうなのか?」 ゲシッ

キャーリサ「おー、起動したの」

禁書「伊達にお昼ご飯をチンしてないんだよ!」

上条「最近調子悪いんだよなー。ま、動いたから良いや。
    んじゃじゃがいも投入っと」 ゴトッ

キャーリサ「…………」



438: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 22:59:04.22 ID:FN11A2vCo

一ヶ月後


―――上条宅


キャーリサ「というわけでとーま! 給料日だし! 今日の夕食は私の奢りだ! 心して食すがいーの!」 ビシッ

禁書「お……おお……これは夢にまで見たすき焼きなんだよ……!」

上条「キャーリサが家出してきた時以来か……すげぇ……今日も霜降り肉が神々しいです……。
    写メとっとこ」 パシャッ

禁書「と、とうまとうま! そんなことより早く食べたいんだよ!」

上条「そ、そうだな! キャーリサ、いいのかこんな豪華な晩飯を……!」

キャーリサ「いちいち大げさだな……。白米と卵を準備せよ。早く食べよー」

上条「はいただいまっ!!!」 ダッ

禁書「私も手伝うんだよ! とうま、ご飯大盛りにしてもいい?」

上条「好きなだけ食えインデックス!」

禁書「私十字教からキャーリサに改宗してもいいかも!」

キャーリサ「安いうえに即物的な信仰だなシスター……」

禁書「信仰じゃお腹は膨れないんだよ!」

上条「あ、あれ……?」

禁書「ん? どうしたのとうま?」

上条「炊飯器が……変わってる?」

禁書「うん、電子レンジも変わってるんだよ! お昼荷物が届いて、さっきとうまが帰ってくる前にキャーリサと一緒に設置したんだから」



439: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 23:00:24.87 ID:FN11A2vCo

上条「キャーリサ、まさか……!」

キャーリサ「…………」

上条「お、お前がこれ買ってくれたのか……?」

キャーリサ「……安物だし、気にするな」

上条「い、いやでも……お前自分の買い物するために仕事始めたんじゃ……」

キャーリサ「何だバレてたのか。でもソレだって私も使うんだから自分の買い物じゃない。
       いいからご飯を持ってくるの。空腹で倒れそーだし」

上条「キャーリサ……」

禁書「もうキャーリサに足を向けて寝られないんだよ」

キャーリサ「や、止めよそんな目は! ムズ痒いし!
       礼の一言でももらえればそれでいーの! ほ、ほらさっさと席つけ!」

上条「そ、そか……ありがとなキャーリサ」

禁書「ありがとうなんだよ」

キャーリサ「ふん……」

上条「お礼と言っちゃ何なんだけど、俺も実はキャーリサにプレゼントがあるんだけど……」

キャーリサ「え?」

上条「えーと……はいこれ」 ガサガサ

キャーリサ「? な、何なのこれ」

上条「開けてみてくれ。気に入るか分からないけど……」

キャーリサ「…………あ、服だ」

禁書「真っ赤なワンピースなんだよ」



440: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 23:02:31.71 ID:FN11A2vCo

上条「女物の服なんて全然分からないから、クラスの奴に一緒に選んでもらったんだけど、キャーリサならやっぱり赤かなって……ハハハ」 ポリポリ

キャーリサ「い、いや……でも……いーの?」 チラッ

上条「生活費と病院以外で金使うことなんてあんまり無いしな、よかったらタンスの肥やしにでもしてくれよ」

キャーリサ「いや着る! 着るぞ! 大事にするし……」 ギュッ

上条「そ、そか……」

キャーリサ「ん……ふふっ」 ギュッ

禁書「むぅ……」

上条「ん?」

禁書「キャーリサばっかりずるいんだよ! 私にも日頃の感謝の気持ちを込めた素敵な贈り物とか無いのかな!」

上条「あるぞ」

禁書「もういっつもとうまはそうやって私に意地悪を……って、え? あるの?」

上条「おう。キャーリサだけじゃ不公平だし。ほら」 ズイッ

禁書「え……? で、でも……え?」

上条「何キョトンとしてんだよ。お前が今くれって言ったんじゃねぇか」

禁書「そうだけど……私キャーリサみたいに何もしてないよ?」

上条「そんなことないだろ。最近は掃除も手伝ってくれるしな。これからも頼むぞ。
    いいから受け取っとけって」

禁書「う、うん……ありがと」

キャーリサ「よかったな、インデックス」

禁書「うん……何だろう……」 ゴソゴソ

上条(実はインデックスのは完全に姫神任せだったから何か全然知らないんだけど……でも妙に袋が小さいんだよなー……何だろう)



441: ◆S83tyvVumI:2011/04/28(木) 23:05:43.68 ID:FN11A2vCo

禁書「あ」

キャーリサ「っ!」

上条「ん? ……げっ!」

禁書「こ……これ……」

キャーリサ「下着……だな」

禁書「可愛い……のかな。よく分かんないけどいやらしいのは確かなんだよ……」

上条(姫神ぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
    やけにいい笑顔で選んできたから何かと思ったら……よりにもよって下着かよ!
    しかもエロいやつ……)

禁書「と、とうま……これは、どういう意味なのかな」 プルプル

上条「ち、違うんだインデックス! これには深いワケが!!」

キャーリサ「おい、とーまぁ……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

上条「ハッ! キャ、キャーリサ! 誤解だ! これには他意は無い!」

禁書「とうまがこれを私に……」 プルプルプル

キャーリサ「この件についてたっぷりじっくりと話を聞かせてもらう必要があるようだし。
       まず手始めにお前は飯抜きだ」

上条「なぁあああああぁああ! それは殺生ですのことよっ!! 頼むから話を聞いてくれっ!!!! 
    俺はインデックスの下着姿になんてこれっぽっちも興味は無いっ!!」

禁書「ブチッ! とうまぁぁ? 興味が無いってどういうことなのかな!
    私だって女の子なんだからそんな風にとうまなんかに眼中無し発言される謂れは無いんだよ!」

上条「ち、違っ! そういう意味じゃなくて!! 助けてキャーリサ!」

キャーリサ「問答無用!! カーテナの錆にしてくれるわっ!!!!」 ゴバァッ!

禁書「許さないんだよとうまぁあああああ!!!!!!!!!」 ガブッ!



上条「ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
    不幸だぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



491: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:04:39.50 ID:pU++ETExo

番外編



―――英国 バッキンガム宮殿 サロン


ヴィリアン(皆さんこんにちは。英国第三王女、ヴィリアンです。
       姉君のキャーリサが上条当麻と共に英国を飛び立ってからはや一月を過ぎ、
       間もなくクリスマスが訪れようとしています)

ヴィリアン(クリスマスは母君や姉君達、それから宮内の者でささやかなクリスマスパーティを内々に執り行うことが例年のならわしでした。
       しかし、今年は姉君のキャーリサは不在。
       日本ではクリスマスを友人や恋人同士で過ごすのが一般的だということですから、
       きっと姉君もあの少年と素敵なクリスマスの夜を迎えられるのでしょう……はぁ……)

ヴィリアン(失礼いたしました……思わずため息が零れてしまいましたね。
       実は、私には今悩みがあるのです。それは……)

リメエア「あら、ヴィリアン。そんなところで何をしているの?
      元気が無いようだけれど」

ヴィリアン「い、いえ……姉君こそ、お戻りだったのですね」

リメエア「外に出ようとしたら騎士団長に捕まってしまったわ。
      まあ、宮殿の修繕や事後処理で大忙しだから遊んでいる暇も無いのだけどね」

ヴィリアン「そうでしたか……」

ヴィリアン(ここ最近、姉君とは話す機会が増えたように思います。
       先日のクーデターと、結婚式への乱入。二つの事件が連続して起こったので話題にも事欠きません。
       何より、姉君のキャーリサがいなくなったことで私も姉君も寂しいのかも……)

リメエア「別に寂しくはなくてよヴィリアン」

ヴィリアン「っ! よ、よく私が考えていることが分かりましたね……」

リメエア「貴女の考えていることは手に取るように分かるわ。単純だもの」

ヴィリアン「! た、単純はやめてください……」

ヴィリアン(二人の姉君はとても意地悪です。
       子供の頃からずっとこうして私をからかってくるのです。だけど……)



492: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:07:07.80 ID:pU++ETExo

リメエア「うふふ、ごめんなさい。冗談よ」

ヴィリアン(……いつしか誰も信じなくなった第一王女リメエアと、いつしかとても冷徹だった第二王女キャーリサ。  
       お二人とこうして冗談などを交わせる仲に戻れたのは、先日のクーデターがあったからに他なりません。
       あの出来事は、決して悪い事ばかりでも無かったのかもしれませんね)

リメエア「そうね。ウィリアムにも会えたものね」

ヴィリアン「で、ですからどうして!?」

ヴィリアン(はしたなく声を荒げてしまいました……私はやはり単純なのでしょうか……)

リメエア「と言っても彼は世界中を飛び回っている身だし、そうそう会える訳では無いものね」

ヴィリアン「い、いえ別に会いたいと思っているわけでは……」

ヴィリアン(無いとは言いませんが……ウィリアムがこの世界のどこかで生きていると思うだけで私は良いのです……ええ……クスン)

リメエア「キャーリサは元気でやっているかしらね……」

ヴィリアン「……元気ですよ、きっと」

リメエア「ねえ、今からキャーリサに電話してみましょうか」

ヴィリアン「え……ええ? で、ですが……」

リメエア「姉妹の中で今恋人がいるのはキャーリサだけだもの。貴女の相談にも乗ってくれるんじゃないかと思ったのだけど……」

ヴィリアン「相談……ですか」

リメエア「そういうのって、姉妹っぽくなくて? 
      まあ私はキャーリサに腹の内を打ち明けるなんて死んでもごめんだけれどね、うふふ」

ヴィリアン「…………」



493: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:09:44.85 ID:pU++ETExo

―――バッキンガム宮殿 ヴィリアンの私室


ヴィリアン(……今は朝の10時。……日本時間で19時ですから、さすがにお休み中ということも無いでしょうけど……)

ヴィリアン(い、いえ別に相談をするとかそういうことではないのです……。
       ただ……あれほどまでに情熱的にお互いを想い合うお二人の経験を参考にさせて頂きたいだけで……ああ、どうしよう)

ヴィリアン(ま、まあ意地悪な姉君のことですから……きっとまともに取り合ってもらえませんよね。
       御様子を確認する程度に留めておきましょう。
       で、では……) ピッ


prrrrrrrrrrrrrrrrrrr… prrrrrrrrrrrrrピッ!


キャーリサ『ハロー、私だ。我が声を拝聴出来るとは幸運だな。で、誰だ? 名乗るがいーの』

ヴィリアン(相変わらず姉君は姉君で嬉しいやら心配やら……)

ヴィリアン「あ……姉君、私です。ヴィリアンです。お久しぶりですね……」

キャーリサ『ヴィリア……ン? はて、誰のことだったか……』

ヴィリアン「!!!??」

ヴィリアン(想像の斜め上でした……まさか私のことをお忘れとは……)

キャーリサ『おい、冗談だぞ。絶句するな。可愛い妹のことを忘れるわけないだろー』

ヴィリアン(今日はすこぶる機嫌がよろしいようですね……よかった……) ホッ

ヴィリアン「そ、そうですか……姉君もお人が悪いです……」

キャーリサ『すまないの。で、何の用だ? 言っておくがそっちに戻る予定は無いぞ』

ヴィリアン「い、いえそうではなく……」

キャーリサ『何だ違うの。てっきり姉上やお前が寂しくて私の顔が見たくなったのかと』

ヴィリアン「あ、それはないです」



494: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:12:18.63 ID:pU++ETExo

キャーリサ『言うよーになったな妹』

ヴィリアン「ふふ……姉君はお変わりないようで嬉しいです。
       でも父君は寂しがっておられましたよ……あの少年にも会いたがっておりました」

キャーリサ『父上は式の時国内にいなかったもんなー。最後に会ったのはお前達よりもさらに前か。
        ま、そのうちな。用はそれだけか? こっちは元気でやってるから心配ないと伝えとけ』

ヴィリアン「はい。……あの……」

キャーリサ『ん?』

ヴィリアン「あの少年とは……上条さんとは仲良く過ごしておられますか?」

キャーリサ『もちろんだし。先日ワンピースなんぞをプレゼントしてくれてな。
       着るのがもったいなくて未だに枕元で包装されたままなの』

ヴィリアン(姉君嬉しそう……やはりお二人とも互いに愛し合っておられるのですね……羨ましい)

ヴィリアン「愛に溢れておられるようで、素晴らしいことだと思います」

キャーリサ『ふふふ……どーした、照れるし』

ヴィリアン「母上が、孫の顔を早く見たいとおっしゃっていましたよ」

キャーリサ『っ! ま、孫か……んー……そーか……』

ヴィリアン「あ……姉君は……もう……その……」

キャーリサ『あー? 何なの?』

ヴィリアン「あの少年と……あの……その……」

キャーリサ『だから何だ。言いたいことがあるならはっきり喋れ愚鈍め』

ヴィリアン「か、上条さんと子作りは済ませましたか!?」

キャーリサ『!!!!!???????????』


ガタガタッ! バタンバタンッ! ワー! ドウシタ キャーリサ! ショクタク ガ メチャクチャナンダヨ…



495: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:13:55.23 ID:pU++ETExo

ヴィリアン「?」

ヴィリアン(……い、言ってしまいました……何てはしたないこと……。
       下世話過ぎたでしょうか……で、でもこれは確認しておかないと、家族が増えるかもしれませんし……。
       姉君も子供がいてもおかしくない年齢ですから……) ドキドキ

キャーリサ『んっ……んんっ! ヴィ、ヴィリアン。それは誰かに確認するよーに言われたの……?』

ヴィリアン「いえ……私の興味本位というか……その」

キャーリサ『そ、そーか……ま、まーアレだ』

ヴィリアン「アレ……とは?」

キャーリサ『そ、それは……もーヤリまくりだし! ははははっ……! 
       私はもー少しこの享楽に耽るの! あいつめ、若さに任せて一晩中だからな! 腰が痛いの! は、はは……!』

ヴィリアン「!!?」

キャーリサ『そ、そーいうことだ! 姉の偉大さが分かったか? じゃ、じゃーな!』 ピッ

ヴィリアン「あっ! 姉君……!」

ヴィリアン(す……すごい……さすが姉君です。や、やはりお二人とも……ゴクリ)

ヴィリアン(ど、どうしましょう……こんなこと……誰にも言えない……。
       結局ウィリアムのことも相談できなかったし……ああ……どうしよう……) ドキドキ…

ヴィリアン(と、とりあえず……甥或いは姪の誕生は近いかもしれませんねっ!) ドキドキドキ…



497: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:15:59.44 ID:pU++ETExo

―――上条宅


キャーリサ「ふぅ……ヴィリアンの奴め、何だ急に。性にでも目覚めたかあのムッツリが。
       思わず見栄を張ってしまったし……」

上条「どうしたんだキャーリサ……?」

禁書「テーブルひっくり返さないで欲しいんだよ……」 フキフキ

キャーリサ「す、すまん……。愚妹の所為だ」

上条「ヴィリアンからか。何だって?」

キャーリサ「ああ、それはセッk」

上条「セ?」

キャーリサ「セ……セントジェームスパークに花がたくさん咲いて綺麗だったそーだ!」

上条「どこそれ?」

禁書「バッキンガム宮殿に隣接する公園のことなんだよ」

上条「ふぅん。冬なのにたくさん花咲くのか」

キャーリサ「ま、まーな! それよりとーま、おかわり!」

禁書「私も!」

上条「はいよー」

キャーリサ(ヴィリアンめ……最近あまり考えないよーにしてたのに……何なんだ一体)

上条「はいご飯」

キャーリサ「ひゃっ!」

上条「?」

キャーリサ「う、うむ……ありがとー……」 モソモソ



498: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:18:40.42 ID:pU++ETExo

禁書「そう言えばもうすぐクリスマスなんだよ! とうま達はどこか行くの?」 ガツガツッ!

上条「あー、もう来週か……うーん、どうしようかな……」

禁書「心配しなくても私はあいさやこもえ達とパーティをすることになってるから、二人で楽しんでくるといいんだよ」 モグモグ

キャーリサ「お前いっちょ前に気なんか遣えるんだな」

禁書「当然なんだよ。もっと褒めて欲しいかも。
    まったく、日本人は浮ついてるんだよ。
    クリスマスは家族で教会に行って、粛々と過ごすのが当たり前なのに」 モグモグ

上条「はは、遊ぶには体の良い理由だもんな。
    にしても、クリスマスで神の子の生誕を祝った一週間後にはお寺の除夜の鐘を聞いてその足で神社に初詣だもんな。
    神様にも仏様にも苦笑いされそうだ」

キャーリサ「全くだし。ま、そーいう良いとこどりの感じは嫌いでは無いけど。
       しかし、そーか。インデックスはクリスマスはいないのか……」

禁書「? 居た方が良かった?」

キャーリサ「あーいや。てっきり三人で過ごすものと思っていたからな」

禁書「白状すると本当はこもえに誘われたんだよ」

上条「先生が? ああ……気ぃ遣ってくれたのかな」

禁書「とにかくその日は私はいないから、二人で過ごすといいかも」

上条「分かったよ。ありがとなインデックス」

禁書「でもプレゼントには期待してるんだよ。特に美味しいものがいいかも」

上条「分かった分かった。何か用意しとくよ」

禁書「ふふん、分かってるならいいんだよ」

キャーリサ「クリスマスか……ふむ」



499: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:21:20.49 ID:pU++ETExo

―――第七学区 学舎の園


ワイワイワイ キャッキャッ ウフフフ


キャーリサ「ふーむ……確かにこの学舎の園もクリスマスムード一色という感じだし」

御坂「あ」

キャーリサ「ん? おー、御坂か。どーしたこんなとこで」

御坂「どーしたもこーしたも。帰り道なんだからおかしいことじゃないでしょうが」

キャーリサ「そりゃそーか」

御坂「何見てんの? つかファンシーショップって……あんた年考えなさいよね」

キャーリサ「うるさいし。お前28歳になった時可愛い店に入ってただけでそんな風に言われたらどー思う?
        中学生にもなってカエルのストラップなんて年考えろって言われたらどー思う?」

御坂「……それは、殺意が沸くわね。ごめん」

キャーリサ「だろー? まーたまたま目に留まっただけなんだが」

御坂「ふーん、あいつにプレゼントでも探してるの?」

キャーリサ「それならこんな店には入らん」

御坂「そりゃそうね。なーんだ、何か深刻な顔してたから心配して損したわ」

キャーリサ「ほーう、心配してくれたの? 可愛いとこあるじゃない」

御坂「ッ! べ、別にそんなんじゃないわよ! あんたがうちの教師だから、点数稼ぎよ!」

キャーリサ「ふーん、そーかそーか。知ってるぞ、最近インデックスと一緒に見たアニメでも言ってたの。
       お前みたいのをツンドラとか言うの」

御坂「それを言うならツンデr……誰がツンデレよ! もういい帰る!」

キャーリサ「あー待て待て。お前に訊きたいことがあるの」



500: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:23:55.35 ID:pU++ETExo

御坂「何よ」

キャーリサ「お前、処女?」

御坂「なっ……えっ……ええっ……!?」

キャーリサ「あーもーいい分かった。訊くまでも無か」

白井「お姉様はヴァージンに決まってますのぁあぁあぁぁあぁああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」 シュタッ

キャーリサ「っ! な、何だ急に!! どっから湧いた!」

御坂「黒子じゃない。風紀委員はどうしたのよ」

白井「黒子イヤーは地獄耳ですのー! お姉様を発見したと思ったらいかがわしい会話が聞こえてきたので乱入させていただいたんですの!
    現在も巡回中ですわお姉様」

キャーリサ「そーいやお前学園都市に来た日に会ったな」

白井「そういう貴女は最近常盤台に来られた講師の方ですわね。
    わたくし、お姉様のパートナーにしてルームメイトにしてラブドール、一年の白井黒子ですの」

御坂「ラブッ……!?」

キャーリサ「お前らそーいう関係か……うーん、女子高とはここまで倒錯しているの?」

御坂「ち、違うわよ!」

白井「お姉様とは毎夜ベッドを共にする仲ですもの!」

御坂「あんたはちょっと黙ってなさい!」 ゴツッ

白井「あだっ! もう……ほんの冗談ですのに」

キャーリサ「お前達は悩みなんか無さそーでいいなー」

白井「んま。失礼な方ですわね、わたくし、今日のお姉様の下着の色が何なのか気になって食事もロクに喉を通りませんでしたのに。
    ではちょっと確認を」 ピラッ

御坂「ふんっ!」 ゴツッ!

白井「ぐふっ! 痛い……!」



501: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:25:58.99 ID:pU++ETExo

キャーリサ「白井黒子。お前はヴァージンか?」

白井「当然ですの。わたくしの純潔はお姉様に捧げると誓っているんですもの」

御坂「勝手に捧げんな。いらないわよ」

キャーリサ「そーか……」 ホッ

御坂「何なのよさっきから。同じ女子と言えども恥じらいってもんを持ちなさいよね。
    しかもお嬢様学校の講師が生徒に」

キャーリサ「今のは聞かなかったことにしてくれ。クビにはなりたくないし」

御坂「……? 何なのよもう」

キャーリサ「いやな……そろそろとーまと……しよーかと……」 ボソッ

御坂「!」

白井「!?」

御坂「ちょ、ちょっとあんた……!」

白井「すると言うのは……やはり」

キャーリサ「セックスだ」

御坂「」 ボッ!

白井「っ!!」

キャーリサ「最近の学生は進んでると聞くからな……ちょっと参考にしよーかと思ったの」

御坂「」

白井「あの……つかぬことをお聞きしますが……貴女もその……」

キャーリサ「処女だし……な、内緒だぞ。御坂を仲間と見込んで訊いているの。
       その愛玩人形のお前も……」

白井「お姉様の愛玩人形! ……何て素敵な響きですの……ハァハァ。 
    お姉様! この人とっても良い人ですわねっ!」

御坂「」

白井「あら?」

キャーリサ「こいつには早かったか」

白井「お姉様はウブな方ですの」

キャーリサ「どーしよー。固まって動かないぞ」

白井「黒子にお任せ下さいですの。部屋でねっとりと介抱いたしますので」

キャーリサ「そーか。では任せるし」

白井「はい。次にお会いする時は、わたくしもお姉様もヴァージンでは無いと思いますが、
    貴女もがんばってくださいまし」

キャーリサ「うむ。ではな」



502: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:28:39.63 ID:pU++ETExo

―――第七学区 大通り


スタスタスタスタ…


キャーリサ(決戦はとりあえずクリスマスか。雑誌にもこの日がねらい目とか書いてあったし。
       ……やはり経験者の話というものは聴いておきたいな。
       シモの話など正直あまり出来なかったから、知識が足りない可能性も否定できないしね)

キャーリサ(しかし周りの連中でそーいうのに詳しそーな奴なんて思い浮かばないし……)

キャーリサ(まーでも途中まではしたことあるしな……勢いに任せるのもアリか……)

キャーリサ(うーん……けど初めてだし、とーまを私の身体に夢中にさせてやりたいという気持ちも捨てきれないし……うーん……)

キャーリサ「電話で聞いてみるか」


カチャッ prrrrrrrrrrrrrrrrrrr… prrrrrrrrrrrrrピッ


『はい』

キャーリサ「五和か? 私だ、キャーリサだ」

五和『え、キャ、キャーリサ様? な、何でしょうか……?』

キャーリサ「うん。お前にちょっと訊きたいことがあってな」

五和『訊きたいこと……?』

キャーリサ「そーだ。実はそろそろとーまと……しよーと思うんだが」

五和『くぁwせdrftgyふじこlp』


プツッ…ツーツーツー…


キャーリサ「? よくあれで伝わったな……やはり発想がエロいのか……?」


prrrrrrrrrrrrrrrrrr…


キャーリサ「お、かけ直してきたか。ハロー」

五和『失礼しました……ちょっとパニックになって……』

キャーリサ「いきなり驚かせたな。で、その辺のことについてタメになる話の一つ二つでも教えてもらえないかと思って電話したの」

五和『タメになる話と言われても……』



503: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:30:33.27 ID:pU++ETExo

キャーリサ「お前エロいことばっか考えてるって土御門が言ってたしな。
       実は経験豊富なの? 是非頼む」

五和『あ、私これから包丁砥ぐので切りますね』

キャーリサ「む、忙しかったか?」

五和『土御門さんを仕留めないといけないので』

キャーリサ「う、うん? そーか、頑張れ」

五和『すみません。ちなみに私はその……未経験ですからっ!』 ピッ!

キャーリサ「……ふむ。当てが外れたな。五和も駄目か。詳しいと思ったんだけど……」

土御門「にゃー、お姫様。こんなとこで何してるにゃー?」

キャーリサ「ん? おー、土御門か。奇遇だな、今帰りか?」

土御門「そうだぜい。カミやんでも待ってるのか? だったらもうすぐクラスの女子と一緒に仲良く現れるはずだにゃー」 ニヤニヤ

キャーリサ「ほう……」 ビキッ

土御門「くくくっ、んじゃまた……」

キャーリサ「待て土御門。ちょっと連絡取って欲しい奴がいるの」 グィッ

土御門「いてっ……だ、誰ですかにゃー?……嫌な予感しかしないぜい……」

キャーリサ「大丈夫だ。どっちにしろ五和がお前を殺すし」

土御門「は?」

キャーリサ「いや何でもない。それより、アイツと連絡取ってくれ」

土御門「アイツぅ? って誰ですたい」

キャーリサ「ゴニョゴニョ……」

土御門「ふむふむ。……え、何でまた」

キャーリサ「個人的な相談だし」

土御門「……まあいいけどにゃー」

キャーリサ「頼むの。では私はとーまを粛清してくる」

土御門「ははは、カミやんざまぁだぜい」

キャーリサ「ではな土御門、来世で会おー」

土御門「?」



504: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:33:06.92 ID:pU++ETExo

よくじつ!

―――第七学区 裏路地 ダイニングバー


カラン… 


オリアナ「はぁい。お久しぶりねお姫様。お姉さんをご指名なんて嬉しいわ」

キャーリサ「うん、わざわざすまないの」

オリアナ「あなた達を送り届けてからしばらく日本にいたし、構わないわよ」

キャーリサ「そーか。……まー好きなものを頼め」

オリアナ「御馳走様。マスター、クランベリージュースを頂戴」

紳士「かしこまりました……」 カランッ

キャーリサ「……お前酒は飲めないの?」

オリアナ「お姉さんは未成年だもの」

紳士「!?」

キャーリサ「そーいやそーか」

オリアナ「それで、お仕事の話?」

キャーリサ「うん……実はな……その……耳かせ」

オリアナ「? ……あら」

キャーリサ「――ということなの……」 ソワソワ

オリアナ「ふふ、それで経験豊富そうなお姉さんにご相談ってわけね?」

キャーリサ「そ、そーだ……お前男を掌で転がしてそーだし……」

オリアナ「……うーん、どうしようかなー」

キャーリサ「そ、そこを何とか頼む!」

オリアナ「というかあなた達ってまだだったのね」

キャーリサ「何かとタイミングが無くてな……普段はインデックスがいるし、私の月のものが重なったりで……」 モジモジ

オリアナ「お姉さんは運び屋よ? わざわざ学園都市まで苦労して入ったかと思えば、そんな話だったなんて。
      ちょっと腰砕けかな」

キャーリサ「拍子抜けだろ」

オリアナ「そうとも言うわね」



505: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:37:35.82 ID:pU++ETExo

キャーリサ「……こんなことを相談できる相手などお前だけなの。頼む」

オリアナ「ふふ、いいよ。お姫様が可愛くてちょっと意地悪しちゃった。
      で、具体的には何を訊きたいの?」

キャーリサ「うむ、その……コトに及ぶための心構えとか作法とか、技術的なこととかだな…… 
       あとは……痛いのかどーか……」

オリアナ「避妊にだけ気を付けておけばいいんじゃないのかしら。
      獣のように欲望のままに貪り合うのもお姉さんは悪いことじゃないと思うし。
      もちろん優しく繊細に扱われるのも嫌いじゃないわよ」

キャーリサ「そーなのか……」

オリアナ「お姫様、もしかして怖いの?」

キャーリサ「!?」

オリアナ「心配しなくても大丈夫よ。坊やにすべて任せてしまえばいいじゃない。
      何も考えず与えられる刺激に没頭した方が余程気持ちよくなれると思うわよ」

キャーリサ「むー……」

オリアナ「お姫様恋してるのね、羨ましい」 クスッ

キャーリサ「恋か……そーだな。一回りも年下の相手にこうも心をかき乱されるとは、正直悔しいけどな」

オリアナ「そうね。坊やの若さを受け止めてあげないと。
      大丈夫よ、あの子はお姫様が傷つくようなことはしないわ」

キャーリサ「うん……が、がんばるの。とーまには一か月も我慢させてしまったからな……」

オリアナ「それはもう滾って仕方ないでしょうね、彼も男の子だし。熱い夜が過ごせそうね」

キャーリサ「ん……うん。と、とにかくお前に相談してよかったし。何か勇気が出てきたぞ!」

オリアナ「それは良かったわ。まあテクニック的なことが不安なら、資料を見てみるのもいいかも知れないわ」

キャーリサ「資料か……前に発見したとーま好みのDVD見てみるか」
       
オリアナ「あくまで参考程度にね。思いやりがあればきっと大丈夫よ。
      何にせよ、お姉さんにもお役にたてるようなアドバイスは無理かな。だって」

キャーリサ「ん?」

オリアナ「お姉さんヴァージンだから」

キャーリサ「」



506: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:41:00.67 ID:pU++ETExo

―――上条宅


キャーリサ「人は見かけによらないとはこのことだし。思わず気を失ったじゃない。
       あんなにセックスアピールの激しい見た目をしているくせに処女とは……冗談は服だけにしてほしいの……」 トボトボ…

上条「お。おかえりー」

禁書「おかえりなさいなんだよ」

キャーリサ「んー……ただいまー」

上条「遅かったな、どっか行ってたのか?」

キャーリサ「友人とお茶を飲んできた」

上条「キャーリサ友達出来たのか。よかったな」

キャーリサ「え? ああ……騙された気分だがな」

上条「?」

キャーリサ「……」 ジー

上条「どうしたキャーリサ?」

キャーリサ「……いよいよか」

上条「へ?」

キャーリサ「い、いや何でも無いし! それよりとーま、お腹が空いたの!」

禁書「私もなんだよ!」

上条「はいよ、今準備してるからもうちょっと待ってな」 トントンッ

キャーリサ(クリスマスまで後一週間か。
       とーま、忘れられない夜にしてやるから覚悟しておくことだなっ) フンスッ

上条(何だ……? 何かキャーリサが燃えてるぞ……) ゾクッ

キャーリサ(私は偉大なる英国第二王女キャーリサだしっ。全てに於いて万能だしっ!
        性行為に於いても無論隙無しよ!
        ふふふふ……見ていろとーま……私の身体に溺れさせてやるの) ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

禁書「?」

上条(そっとしとくか……)



507: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:44:52.58 ID:pU++ETExo

【ロイヤルロストヴァージン】



一週間後


――――上条宅


キャーリサ(というわけで、あっと言う間に一週間が経過してしまったの……)

キャーリサ(いよいよ本番のクリスマスだが……不安だし)


ガチャッ


上条「ただいまー」

キャーリサ「おー、おかえりとーま」

キャーリサ(ま、ここまで来たらなんとかなるか……)

上条「なんかいい匂いするな」

キャーリサ「うん、晩御飯作ってみたの」

上条「ば、晩御飯ですか……」

キャーリサ「おい。今度は失敗しないよーに本の通りに作ったし。
       余計な真似は一切しなかったんだから失敗は無いぞ」

上条「そ、それならいいんだけど……いや、確かにうまそうだな……」

上条(でもキャーリサの料理はいつも見た目だけは高級感あるし……。
    にしてもこのメニューは一体……)

キャーリサ「どーした? 感動のあまり言葉もないの? いーのいーの、さーたくさん食べろ。
       せっかくクリスマスなのだからたまには贅沢しよーじゃない」

上条「これ全部作ったのか、すごいな」

キャーリサ「学校も冬休み始まって暇だしな」

上条(肉を中心として、うなぎ、山芋、卵、チーズ、にんにく、牡蠣、根菜にチョコレート……?
    こってりしてんなー……)

キャーリサ「七面鳥は残念ながら手に入らなかった。
       今日はワインも買ってあるし。早速食事にしよー」

キャーリサ(とにかく精をつけさせねば。そして酒の力も利用させてもらうし。ここが勝負時だし!) グッ

上条「? あ、そだ。ケーキ買ってきたから後で食おう」

キャーリサ「気が利くの。では私からもクリスマスカードとプレゼントだし。
       お前靴ボロボロだからな、新しいやつだ」



508: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:49:00.89 ID:pU++ETExo

上条「マジか。そりゃありがたい。上条さんの靴底が減る速さはハンパじゃないからな。
    あ、そういやこの前あげたワンピース着てくれてるんだな」

キャーリサ「まーな。似合うか? お前結構エロイの選んだな。胸がザックリだし」

上条「い、いやそんなつもりじゃ……」
       
キャーリサ「ふふ、いーのいーの。お前に見てもらえるしな。
        それより食事にしよー。お腹空いてるだろー?」

上条「食う食う。キャーリサが来てから食生活が豊かになって幸せですのことよ」

キャーリサ「現金な奴め。インデックスのこと言えんし」

上条「いやいや、もちろんキャーリサが家にいてくれるってのが一番嬉しいけどな。
    インデックスと三人で仲良く暮らしていけてるのが上条さんのささやかな幸福なんですよ」

キャーリサ「そ、そーか。そーまで言われると嬉しいものだな……」

上条「いやー、美味そうだな」

キャーリサ「とーぜんだし。私が作ったんだからな」

上条「この前まで壊滅的だったくせに」

キャーリサ「う、うるさいし! 文句は不味かったら受け付けるの!」

上条「はは、冗談だって。いただきまーす」 パクッ

キャーリサ「…………」 ドキドキ

上条「むぐむぐ……ふんふん」

キャーリサ「ど、どーだ?」

上条「おお、美味い」

キャーリサ「そ、そーか! そーなのか! ふふふっ、やはり私ともなると、苦手なこともすぐに克服してしまうらしーな。
       見直したかとーま」

上条「惚れ直したよ」

キャーリサ「へっ!?」 

上条「な……なんてな……はは」

キャーリサ「あぅ…………」 



509: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:50:21.73 ID:pU++ETExo

上条「あ、あれ。どうしたの?」

キャーリサ「……何でもないし……馬鹿者め」 ドキドキドキ

上条「お、おう……?」

キャーリサ(うう……何か恥ずかしーの。顔が熱いし……ハッ! こ、これが料理の効果なの!?
       我が才が恐ろしーし。これからは『軍事』だけでなく『家事』のキャーリサと名乗るのもいーな……) ブツブツ… モグモグ…

上条「うめー、インデックスにも残しといてやるか」

キャーリサ「そーだな。ところでとーま。その……気分はどーだ?」

上条「気分?」

キャーリサ「そーだ。……体が火照るとか……元気が有り余る感じとか……興奮とかモニョモニョ」

上条「そりゃこんな美味いもんいっぱい出て来たら元気にもなるよ。ありがとなキャーリサ」

キャーリサ「い、いやそーじゃなくてだな」

上条「?」

キャーリサ「……むー」

上条「ど、どうしたんだよ?」

キャーリサ「もーいいし! ワイン開けるぞ!」 キュッ…ポンッ!

上条「ああ」

キャーリサ「グビグビグビ」

上条「お、おいおい……そんなに一気に飲んだら……」
       
キャーリサ「私を誰だと思っているの! 英国王女だし!
       酒に飲まれたことなど生まれてこの方一度も無いの!」 ゴキュッゴキュッ!

上条「そうか? じゃあいいけど……」

キャーリサ「っぷはー! ……お前ー、後で覚えてろよ」

上条「上条さん何かしましたか……?」

キャーリサ「これからするのっ!」 ゴキュッゴキュッ!

上条「何なんだ一体……」



510:ここからエロ注意 ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:55:35.77 ID:pU++ETExo

―――――


キャーリサ「うう……飲み過ぎたの……」


キャーリサは食後からずっとベットの上で横になって唸っていた。
原因は明らかにワインの飲み過ぎ。
一本をほぼ一人で飲みきり、食事が終わるころには視線も定まっていない状態である。
苦笑していた上条に後片付けを全て任せ、グッタリとベッドに横たわってからおよそ1時間。
上条が風呂に入っている音を聞きながら、キャーリサは自己嫌悪やこの後に待つ待望のイベントを想い、
パタパタとベットの上で忙しなく足をバタつかせている。


キャーリサ(どーする……! どーするの私っ! とーまが出てくればいよいよ決戦だし!
       ボディケアに抜かりなし……避妊の用意も問題無い)


キャーリサはもぞもぞと起き上がり、手近にあった自分の化粧ポーチから表面のパッケージに「safe sex」と書かれた4センチ四方程の薄い物体を取り出した。
所謂避妊具である。
いつ何時上条の理性が失われても構わないように、上条と生活を共にし始めた次の日には購入してポーチに入れておいたのだが、今日まで使われることは無かった。
わざわざネットカフェの個室で使い方を調べた成果を見せる時がついに来たのだと、キャーリサはそれをそっと清潔感ある白い枕の下に忍ばせておく。


キャーリサ(あいつのアレに……これを着けて……アレが私のソレに……むー)


ドキリと鼓動が跳ね上がる。
そんな場面を想像してしまうと、次から次へと妄想は加速を始めていく。
キャーリサはこれまで恋愛映画や恋愛ドラマは好きではなかった。
ヒロインに甘い言葉をかける二枚目俳優の歯の浮くような台詞に悪寒が走るから、キャーリサはそんな作品を見る時いつも鼻で笑い飛ばす。
王室で映画を鑑賞したときも、目を潤ませて感動しているヴィリアンを小馬鹿にしながら、現実の恋愛なんてもっと淡々として味気のないものだと嘯いた。
しかし。
今キャーリサの脳内に投影されているこの後に待つ行為の想像は、これまで見た映像作品のどんなそれよりも甘く熱っぽい。
深く腰掛けたベッドのシーツをキュッとつまみ、自らの頭を駆け巡っていく桃色の妄想を首を振って押しのける。
酔いの所為か時折ズキリと痛む頭と裏腹に、体はどうしようもないほど熱を帯び、ドクドクという拍動は加速を続ける一方だった。


キャーリサ(ああ~……! 悶々とするしっ! 何だこれは腹立たしーぞ!
        これじゃ私の方が期待してるみたいじゃないの……)



511: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 22:58:30.47 ID:pU++ETExo

まったくもってその通りなのだが、それを認めることはキャーリサのプライドが決して許さない。
先日上条にもらったところどころにレースがあしらわれた大人っぽい赤いワンピースを纏う体を抱くように抱き締めて、赤くなった頬を隠すように枕にポフリと顔を埋める。


上条「ふぅ……さっぱりした」


と、その時脱衣所の扉を開けて上条が室内に戻ってきた。
たまらず飛び上がるキャーリサ。掛布団を抱きかかえて、身を隠すように縮こまる。


上条「……何やってんの?」

キャーリサ「…………」


答えに詰まるキャーリサ。
心の準備が出来ていないのに、急に出て来れられても困ると、的外れな非難と困惑を表情に浮かべて上条を見上げた。


キャーリサ「……も、もーちょっと……待ってくれない?」

上条「何が?」

キャーリサ「だから……その」


何を言っているか分からないと言いたげな素振りで首を傾げる上条から、プィッと顔を背けて口ごもるキャーリサ。
彼に抱かれる覚悟も、女になる覚悟も出来ていたはずなのに。
いざこうして彼を目の前にするとどうにも心臓の動きを抑制することが出来ず、全てに身を委ねる決心がつかずにいた。


キャーリサ(とーまを困らせているかもな……と、とにかくまずは手を握るところから――――)


そんなことを考えていた矢先の出来事だった。
ふわりと、何者かに体を優しく抱きしめられる感触。
力強い温もりを与えてくるそれが誰であるかなど、答えるまでもない。


キャーリサ「とー……ま……」



512: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:04:43.04 ID:pU++ETExo

視線を逸らしたわずかな隙を利用してか、何の考えも無くただそうしたのかは分からないが、キャーリサは今、隣に腰かけた上条に抱き締められていた。


上条「期待してたのはお前だけじゃねえよ……」


ボソボソと、照れたようにぶっきらぼうな口調で上条が囁く。
その言葉に、キャーリサは驚き彼の顔を見ようとするが、それは許されずきつく抱きしめられたままだった。


上条「お前な……俺を誘ってるんですか? 
    お前いちいち可愛いんだよ……今日まで上条さんがどれだけ我慢してきたか」

キャーリサ「さ……誘ってなんか……ないし」


髪に顔を埋めたまま声を出す上条の吐息に、ピクンッと体を跳ね上げてキャーリサは小さく応えた。
風呂上がりの上条からは爽やかな石鹸の顔がふわりと届けられてくる。
その奥から仄かに香る上条自身の匂いと体温に、キャーリサは体が溶けてしまいそうなほどの熱に浮かされていくのを自覚した。
真っ直ぐに上条を見つめることが出来ない。
恥じらいと混乱で、視線は定まらず、口の動きもおぼつかない。
脳の回転などとうに支障をきたしていたのに、ただ上条に触れられた肩や背中だけが妙に熱を持っていることだけは明確に理解できた。


上条「キャーリサ……もう我慢しなくていいんだろ?」

キャーリサ「んっ……」


上条の指がそっと頬に触れた次の瞬間。
キャーリサの唇に当てられる柔らかく温かな感触。
連日インデックスの見ていない隙を見計らってしていた口付け。
少しだけ乱暴に押し当てられた唇の感触は今までにしたどのキスよりも強引で、彼に求められているという事実を明確に教えてくれた。


キャーリサ「んっ、チュッ……ふぅ、ん……」


キャーリサのグロスが引かれた薄桃色の唇を割って口内に侵入してくるヌルリとした舌先。
どこで覚えたのか、歯茎と歯の隙間を丹念に愛でるようにして撫ぜ、唇の裏側やついばむような動きはいとも簡単にキャーリサの思考能力を奪って行く。


キャーリサ「ふぁ、んっ……チュゥ……チュプッ、ぁ……」


もやがかかり痺れていく脳内とは裏腹に身体の感覚が徐々に研ぎ澄まされていくのを感じる。
上条の舌先の動きに応えるように、キャーリサもまた白い歯によって閉ざされていた口内への侵入を自らの舌で以て許す。
始めは探りあうように舌と舌でつつきあい、やがてぬるぬるとした唾液を絡めあって互いの存在を確認し合う。



513: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:07:30.77 ID:pU++ETExo

キャーリサにはもはや周囲の状況など見えてはいなかった。
瞳を閉じて、彼からの口付けをただただ受け止める。
覚悟などする必要も無かった。
どんどんと熱を帯び、留まることを知らない加速を続ける心臓の鼓動を聞きながら、上条の後頭部に手を添え優しく抱き締める。
抱き合い口付けあったまま二人は、上条がキャーリサを寝かしつけるようにしてベッドに倒れ込む。


キャーリサ「んぅ、とーま……お前、分かってるの……?」


柔らかな枕を頭の下に敷いて、キャーリサは濡れた瞳と紅潮した頬で上条を挑発するように問いかける。


上条「何がだよ……」


互いの吐息が吹きかかる距離で、いつになく真剣な表情をしながらもどこか恥ずかしそうな上条が問いを返した。


キャーリサ「……王女を押し倒してるの……お前、すごい状況だぞこれ……」


そう告げ、キャーリサは蠱惑的な微妙を浮かべて上条の髪を一撫でする。


上条「駄目か……?」


おあずけを食らった犬のような表情で、上条が再び問いを投げかけた。
それを見て言葉では言い表せぬ、切なさにも似た愛しさを感じて、キャーリサはねだるように静かに瞳を閉じる。


キャーリサ「駄目なものか。優しくしろ……命令だし……」


キャーリサの恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな己を欺きながら放たれた、まるで願うような小さなつぶやき。
互いの心臓と心臓を重ね合って、体温と体温を感じ合って溶け合うような優しさを期待して、キャーリサは彼に応える間も与えず唇に引き寄せた。



514: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:11:22.12 ID:pU++ETExo

―――


上条は人生最高潮の混乱に陥っている脳を叱咤しながら、自らの下にいるキャーリサの姿をまじまじと見つめているところだった。
普段の大きな態度と裏腹にとても繊細な首筋、華奢な肩や腰回り。
細く白い二の腕が露出された赤いワンピースの裾や袖口から覗く太股や脇の下が上条の脳髄をこれでもかと刺激してやまない。
日本人とは明らかに作りの違う完璧なまでに整ったプロポーションと豊かな胸も、上条の理性をこそぎ落としていくのに一役買っていた。


上条(と言っても……どうすりゃいいんだ?)


あまりにも完成された肉体美に、上条はこれにどう触れていけばいいのか分からなくなっていた。
きつく抱きしめるだけでポキリと折れてしまいそうな華奢な体、だが彼女が女性であることをことさらに強調する悩ましいボディラインはもはや芸術品の域にまで至っていると言えるだろう。
彼女いない歴=年齢(記憶が無いので推定)、花も恥じらうチェリーボーイたる上条は勢いに任せてキャーリサに抱き着いてしまった事の重大さに今さら打ちひしがれていた。


キャーリサ「とーま……触っていいんだぞ」


だが、もじもじと身をくねらせながら紡がれたキャーリサの優しげな声色に胸の奥から温かな感情と共に言い知れぬ興奮も湧き上がってきた。
普段就寝しているベッドの上で無防備に寝転がっているキャーリサの姿がとても煽情的に見えてくる。
ざっくりと開いた胸元から覗く谷間に、ムッチリとした脚の間に、がむしゃらに飛びつきたくてたまらなかった。


上条「さ、触るぞ」


何とかそれをこらえながらゴクリと生唾を飲み込み、柔らかく膨れている胸に服の上からそっと包み込むようにして触れる。
ゆっくりと力を込めると、ぐにゅりと形を変えて上条の指が沈み込んだ。


キャーリサ「ぁっ、ん」


可愛らしい声をあげて、ギュッと目を瞑ったキャーリサの姿を見て今度はやわやわと揉みこんでみる。
柔らかいばかりではない。
程よい弾力が指先を優しく押し返してくる。
今日までずっと誘惑されてきた諸悪の根源とも言えるこの双丘を好き放題に揉みしだけると言うだけで、上条の興奮は天井知らずの最高潮。
いやらしく形を変えていくその動きに合わせて、キャーリサの嬌声はどんどん熱を帯びていった。



515: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:16:20.85 ID:pU++ETExo

キャーリサ「ふぁ、んっぅ……ぁんっ……!」


艶めかしく身をよじらせるキャーリサの、金糸の如き髪を撫でながら上条は彼女に口づける。
紅く火照った頬と、とろけきった瞳に涙を浮かべて、ねだり乞うように舌を突き出してくる。
互いの口内に互いの唾液を塗りつけ蹂躙するかのようなねっとりとした口付けを交わしながら、キャーリサのワンピースの背中のファスナーをゆっくりと下ろしていった。


キャーリサ「と、とーま……私もお風呂入りたいんだが……」


唇を離すと、銀色の糸が二人の間にかかり、それはやがてキャーリサの口元にポタリと落ちる。


上条「駄目だ……」


この後に及んで往生際の悪いキャーリサを茶化すように笑みを返して上条がそう言った。


キャーリサ「意地悪……汗臭くても文句言うなよ……」

上条「甘くて良い匂いだから大丈夫だ」

キャーリサ「変態……」


キュッと唇を引き結び。観念したように背中を上げて服を脱ぐのを補助してくれる。
シュルシュルという衣擦れの音を鮮明に響かせ、やがて現れた下着姿のキャーリサ。
今日は大人っぽい黒のレース。
先日目の当たりにした純白も良いが、こういうシックなものも彼女にはよく似合う。
上条は、仄かに上気し桜色に色づいたキャーリサの真っ白な肌に思わず見とれた。
再び生唾を飲み込みながらそれを脱がしにかかる上条。
しかしそこで、キャーリサが恥ずかしそうに視線を泳がせながら唇を動かした。


キャーリサ「何か言う事ないの……?」

上条「か、可愛いです……」

キャーリサ「ん……上出来だし」


キャーリサが何を求めているかは表情からすぐに分かった。
この下着だって、きっと今日という日のために選んだものなのだろう。
上条に見せるために。
それは自惚れだったのかもしれないと上条は思ったが、満足げに微笑んだ彼女の表情を見ればもうどちらだってよかった。
上条は彼女の背中に手を回し、やや手こずりながらブラのホックを外すと、窮屈におしこめられていた乳房がプルンッと揺れて己を誇示する。
夢中でブラを取り払うと、そこ現れたのは大きく膨れ上がった処女雪の様な白い肌の中心に、薄桃色の突起。
きっと誰も見た事の無いキャーリサの胸。
掌に収まりきらないそのボリュームと、指を飲み込んでしまうのではないかという柔らかさ。
そして、まるで手つかずの桜色の乳首は、上条が今まで見たアダルトな写真集のどれよりも美しいものだった。



516: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:19:41.66 ID:pU++ETExo

キャーリサ「み、見すぎだし……」

上条「キャーリサの身体って綺麗だよな」

キャーリサ「嬉しーが……その、電気消してくれ……。
       ホントに恥ずかしーんだ……」


あれだけ挑発してきたくせに、いざ本番となればこんなにもしおらしい。
彼女にも色々と思うところはあるのだろうが、上条は容赦するつもりなどなかった。


上条「嫌です。それじゃキャーリサが見えないだろ。
    今まで散々からかわれて誘惑されてきたからな。
    もう今日はとことんエロい目で見てやるから覚悟しとけよ!」

キャーリサ「見るだけでいーの……?」

上条「もちろん好き放題触らせていただきますとも」

キャーリサ「んぅ……意地悪だし……ひゃぅっ!」


キャーリサの非難の視線も無視して、上条は彼女の乳首にむしゃぶりついた。
舌先で優しくねぶりながら、唾液をたっぷりと着けて唇と唇で挟み込む。
開いた手でもう片方の胸をやわやわと揉みながら、時折指の腹でそちらの乳首も刺激してやると、キャーリサは面白いように甲高い声をあげて体を跳ね上げた。


キャーリサ「ぁんっ! と、とーま……! お前調子乗りすgんぁぁっ! だ、ひゃ目っ!
       す、吸っちゃ駄目だし……!」


ビクビクと跳ねる体。柔らかな乳房に顔を押し付けるようにして体重を預け、唇で乳首をやさしく吸い上げる。
じっとりと仄かに滲む汗の所為か、手に吸い付くような胸の感触を楽しみながら、上条は開いた手で自分のパジャマのボタンを外していく。


キャーリサ「赤ちゃんみたいだし……んっ! ひぅっ……!」

上条「チュプッ……はぁ……ようやくこれを思う存分触っていいんだと思うと我慢できなくなっちまうな……はぁ……」

キャーリサ「ぁあ、ぁん……いいぞ、全部お前のものだし……好きにしていーの、はぁうっ」



517: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:23:38.15 ID:pU++ETExo

上条の下半身は痛い程隆起し、パジャマのズボンを押し上げキャーリサの太腿に擦りつけられていた。


上条「乳首気持ちいいのか? ビンビンだぞ」

キャーリサ「馬鹿ぁ……ぅんっ……! ぁ、ぁぁあ……」


その感触に彼女も気付いているのか、ときおり唇を噛んで羞恥をこらえる仕草を見せている。


キャーリサ「おい、当たってるし……」

上条「触ってくれよキャーリサ……」


パジャマのシャツを脱ぎ捨て、肌と肌を重ね合わせる心地よさに身を委ねながら、上条はキャーリサの耳元でそう囁いた。


キャーリサ「ふぁ……う、うん……」


くすぐったいのか、切なげな吐息を零すと、キャーリサは小さく首肯しそっと上条の下腹部に手を這わせる。
ズボン越しだがキャーリサの細くしなやかな指先が触れた瞬間、上条の膨張したそれはビクンと奮えて彼女の指を押し返した。


キャーリサ「すごいな……お前、興奮してるの……?」

上条「そりゃするだろ……ましてキャーリサに触られたら……」

キャーリサ「そ、そーなのか。ん……熱くて……苦しそーだし」


愛しげにそれを撫でさすりながらキャーリサは慈愛に満ちた微笑を浮かべた。


上条「こっちも触るぞ……」

キャーリサ「はァ……っ!」


じっとりと汗ばんだキャーリサの肌に指を滑らせ、やがてショーツの中へと手を差し入れていく上条。
もはやそこは未踏の地。
構造から何もかも全てが上条にとって未知なるもの。
だが、デリケートなその場所に恐る恐る滑り込ませた指先が最初に感じ取ったのは確かな湿り気とクチュリという水音だった。


キャーリサ「ぁっ……!」


身体を強張らせ、唇を固く引き結んでいたキャーリサの口から洩れた淫靡な声。
それが上条の嗜虐心に火を点ける。


上条「濡れてるな……」



518: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:28:48.11 ID:pU++ETExo

あえて口にし、キャーリサにその事実を突き付ける。
ヌルリと指先に絡みつく粘性のある液体は、彼女の秘部からにじみ出た快楽の証。


キャーリサ「言うな馬鹿っ……! し、仕方ないだろ……生理現象だし……」


必死に快感に耐えようと唇を噛む彼女の頬は紅く、どうしようもないほど抗い難い享楽にキャーリサは一筋の涙を零した。
上条はその涙が通る頬に優しく口付け、やがて唇を奪う。
再び舌と舌を絡めあいながら、下腹部に差し込んだ中指を少しずつ彼女の膣内へと侵入させていった。


キャーリサ「ぅっ……ぁ、あァッッ……!」


誰にも侵入を許したことのないキャーリサの体内への入り口は、上条の指先にてこじ開けられていく。
きゅうきゅうと指を容赦なく締め付けてくるのにたっぷりと溢れた愛液のおかげで侵入は困難ではなかった。
奥に押し進む程眉間に深く皺を寄せ、涎と熱を帯びた嬌声を口から垂れ流しながらキャーリサの身体が弓なりに反り返る。
ピンと張った足の指先がシーツに皺を作り上げ、上条の背中には真紅に彩られた爪が突き立てられた。


上条「気持ちいのか?」

キャーリサ「わざわざ訊くなぁっ……! んぁぅっ……! くぅ……んっ!」


中指の中節程まで差し込まれた膣内で指先を動かす度、クチュクチュと溢れ出す愛液が淫靡な音を立てて上条の脳髄を刺激した。
白い肌を桜色に上気させ、汗と甘い香りの混在した女の匂いが上条の理性を溶かしていく。
それは彼女にとっても同じであったようで。
だらしなく舌を突出し、偉大な王女と息巻いていた当人とは思えぬ蕩けきった表情で唾液を求めるように口内を舌先が這い回る。


上条「キャーリサって……すげぇエロいんだな……」


上条の胸板に押し付けられた実り豊かな乳房はゴムまりのように形を変え、指先の挿入された下腹部は媚びへつらうように上条の手元に擦りつけられる。
快楽に逆らいながらも受け入れようとする己へ感じる途方もない羞恥が彼女の何とも形容しがたい切なげな表情を作り上げていた。
それはもはや到底高貴な身分の女性の姿とは言えなかった。
そこにあったのは、ただ愛しい相手から与えられた快楽を全身全霊で享受する淫猥な小悪魔の姿。
そんな自分が許せないのか、キャーリサはポロポロと涙を零しながら悔しげに唇を噛んで顔を逸らした。



519: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:32:26.34 ID:pU++ETExo

キャーリサ「ハぁ……はァ……違うし、んっ! ……お前だから……お前だからこんなになってしまうのっ……!
       お前が触るからぁ……!」

上条「いいからいいから。そんなに悦んでもらえると上条さんも嬉しいですよ」

キャーリサ「悦んでなんて無いしっ……! こんなのっ! ……んぁあっ!! 駄目ぇっ……!」


言葉と裏腹にキャーリサの悦楽の表情はどう見ても快楽を貪る淫婦のそれで。
白昼に於いてはあんなにも毅然とした姿を見せていることのギャップがより一層上条の興奮に拍車をかけた。
やがて上条はキャーリサの膣内から指を引き抜いて、ギンギンに怒張している自らのソレを彼女の手に握らせた。


上条「な、なあキャーリサ……舐めてくれよ……」


ベッドに足を延ばして座りこみ、自然にそう告げる。
今日の上条は少しばかり積極的だった。
キャーリサが意外とこの行為にノリノリだということも確認できたため、上条は調子に乗ってみることにしたのだ。
一瞬驚いたように目を見開き、唇をもごもごと動かし視線を泳がせながら、数瞬後コクリと頷く。


キャーリサ「仕方の無い奴め……。私に口で奉仕させよーなんて……本来なら処刑ものだぞ……」


上条の前に膝を曲げて座り、カチャカチャとベルトを外しながらキャーリサはブツブツと文句を口にしたが、その口元には愛おしむような微笑が浮かんでいる。
完全にスイッチが入ってしまっているのか、ハァハァと呼吸も荒く、彼女の凛然と咲く薔薇のような気高さは確実に存在した性欲によって見事に掻き消えてしまっていた。
ズボンもトランクスも手早く下ろし、雄々しく聳え立つ上条の愚息が目の前に現れた時、彼女は喉を鳴らして深く息を吸い込んだ。


キャーリサ「これがお前のか……いやらしい形をしているし……」

上条「丁重に扱ってくださいよー。これからキャーリサにご奉仕する幻想殺しさんですからね」

キャーリサ「ふふっ……それはいじめがいがありそーだし……」


舌なめずりをしたキャーリサが、そっとソレに両手で触れる。
右手で包み込むようにして優しく握りしめ、左手はどこで得た知識なのか、、その下の袋に軽く添えてやわらかく揉みこみはじめた。



521: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:36:58.71 ID:pU++ETExo

上条「ぅっ……!」


その仕草だけで、上条の陰茎はより一層の硬さを増して天井に向けて起立した。
そんな上条の反応が気に入ったのか、先ほどまでの蕩けきった表情からは一転、サディスティックに唇を歪めて笑っていた。


キャーリサ「またおっきくなったし……どれどれ、早速味を見てやろー……はむっ」

上条「うぁっ……!!」


パクリと、キャーリサは小さな口でソレをほお張った。
亀頭周辺を包み込んだヌルリとして温かな感触は、上条が幾多の夜に想像した女性の口内を遥かに凌駕する心地よさだった。
それはこの世の天国と言い換えても差し支えないと、本気でそう思えた。
裏筋はザラつく舌の上に軽く乗せられ唾液がニュルニュルと纏わりつく。
頬に挟まれ唇で包まれるカリ首はもはや意識が飛びそうな程の気持ちよさ。


キャーリサ「れは……ふごふろ……」


少しだけ吸い込むように頬を窄めて亀頭を圧迫し、ニュルリと口内の奥へと上条の愚息を侵入させていく。
その刺激は、上条にとっては生まれて初めての感触であり、あまりにも強大な快楽だった。


上条「ぁっ……!」

キャーリサ「むぅっ……! ふぐっ……!」


気付いた時には遅かった。
キャーリサの口内の温かさに、上条はこらえることなど適うはずも無く強制的に射精を促されていた。
ドプドプと勢いよく彼女の口内に注がれる精液。
何が起きたのかと目を丸くするキャーリサは咄嗟に口を起立したソレから離す。
その時、口から零れた上条の濃厚な白い精液がドロリと溢れてキャーリサの口元を卑猥に彩った。


上条「ごっ……ごめんっ……!」

上条(やべぇ……思わず出しちまった……。上条さんこんなことされるの初めてなんだから仕方ないよな……。
    決して俺が早いわけじゃ……ないよな?)

キャーリサ「けほっ……んん? 何か変わった食感というか……味だな……チュプッ」


唇の周りを舌でペロリと舐めとりながら、口内で上条の精液を味わう素振りを見せているキャーリサの様子を見て枕元からティッシュを数枚引き抜いて手渡す。



522: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:46:32.42 ID:pU++ETExo

上条「ほ、ほらここに出せって。ごめんな……? 大丈夫か……?」


あまりの気持ちよさに何の前触れもなく口に出してしまったことが申し訳なくて、上条はそこに吐き出すように促した。
しかし


キャーリサ「コクッコクッ……んっ、ぷはっ」

上条「え……」


喉を鳴らし、キャーリサは嫌がる素振りなど微塵も見せずそれを飲み込んでしまった。
指先で口元を上品にぬぐいながら、キャーリサは喉の奥を通り抜けて行く初めての感触を楽しんでいるかのように満足げに微笑む。


キャーリサ「……美味くは無いけど……お前の味がするの、とーま……」

上条「!」


ドキリと、心臓を矢で射ぬかれるような錯覚に襲われた。
その一言が、上条の心に楔を打ち込む。
クラクラと眩暈がするような甘い微笑と蠱惑的な眼差しが、上条を虜にする。
微動だに出来ないでいる上条の様子が面白いのか、クスリと笑みを零してキャーリサは頬に口づけてきた。


キャーリサ「さっきはよくもやってくれたな……今度は私の番、だろー?」


ポソポソと囁く吐息と声が優しく耳たぶをくすぐり、上条の意識をドロドロとした液体のように変えていく。
このままいつまでもキャーリサと快楽に溺れていたい。
そんな風に思えてしまう程、彼女の声すらもが魔性を有して上条を誘惑してくる。


キャーリサ「若いんだからまだまだいけるな? ……ではもー一発いってみよーか。
       私の中に挿れさせて欲しければ、頑張って耐えてみせよ」


それは反逆の狼煙となった。


上条「え……ぅあっ!」


ジュプッという音と共にキャーリサは再び上条の性器を喉の奥まで咥えこむ。
臀部一体に広がっていく温かさ、最も敏感な部分から根本に懸けてのヌルヌルとした感触は、上条には刺激がいささか強すぎ、ピクピクと体を跳ね上げてされるがままとなるより他無かった。


キャーリサ「ジュプッ……ジュポッ……もーおっひくらってきはし……。ろーら? ひもふぃーか?」 

上条「き……気持ちいいです……」



523: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:49:57.06 ID:pU++ETExo

先程キャーリサにした意地悪をそっくりそのまま返されるような形とはなったが、上条はもうそれどころではなかった。
グチュグチュとかき混ぜられた唾液の音が興奮を喚起し、ニュルニュルと亀頭に纏わりつくように這い回る舌は別の生き物のように蠢動している。
目を細めて笑みを浮かべ、ギュッと歯噛みして呼吸が荒くなっていく上条の様子を満足げに見つめているキャーリサは、さらに竿の部分をキュッと握って上下にしごきあげ始めた。


キャーリサ「…………おやおや? 先程の精液の残りがまだあったよーだな。
       いただくとするの……チュルッ」


一旦顔を離し、わざとらしくそう言って、キャーリサは上条の鈴口から溢れてきた先ほどの残りの精液にキスをするように唇で触れて吸い上げた。
その行動によって、上条の身体は未だ抵抗すら許されずビクビクと跳ね上がることしか出来ない。


上条「お前……どこでそんなの覚えたんだよ……!」

キャーリサ「ジュルッ……チュプッ……お前の下半身の世話も妻の役目だし、資料を参考に勉強したの。
       その様子だと効果はあったよーだな。どーしたとーま、先ほどまでの攻めの姿勢は?
       ふふっ……挿れさせて下さいと言ってみろ。そーしたら考えてやらんこともないぞ?」


一定の速度で竿の部分をしごきながら、キャーリサが上目使いにそう言う。
いつの間にか攻守が逆転してしまっている。
強くもなく弱くもない絶妙な力加減で刺激される愚息のせいで、上条は悪態すらまともにつけない状態だった。
おまけに意図してかせずか、キャーリサは胸を寄せるような仕草で視覚にも訴えかけてくる。
ヌラリと照りつく薄桃色の先端部と、妖美に歪められた唇によって、上条の幻想殺しは先ほどにも増して硬さを強めてギチギチに聳え立つのだった。


上条「お、お前な……くっ! はぁ……ぅぅ!」

キャーリサ「ジュッポ、ジュッポ……ほらほら、もー一回イっとけ。
       言っておくが今日は朝まで搾り取ってやるし……ふふっ、何発出せば立たなくなるだろーな。
       そしたら残念だ、今日のセックスはお預けだぞ……はむっ、ジュプッ……」


ジュルジュルと音を立てて上条を挑発するようにキャーリサが囁く。
楚々としてされるがままになっているよりも、その仕草の方が余程キャーリサらしく見えた。


上条(すごい攻めだ……さっきより上手くなってるし……)


上条の思う通り、キャーリサの舌と口の動きは先ほどよりも精度を増してこちらのツボを絶妙に刺激してくる。
初め咥えられた時は歯が当たっている感覚もあったが、今はもう唇と頬の内側にてねっとりと陰茎を包み込み、舌が亀頭や裏筋の上を意志を持つかのように這い回っている。


キャーリサ「お前の好きな胸でもしてやろーか? くくっ、変態め、胸に挟まれてイくなど、馬鹿じゃないの?」



524: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:53:37.28 ID:pU++ETExo

実に楽しげな笑顔で、キャーリサは上条の陰茎をその豊満な胸でぐにゅりと挟み込んだ。


上条「あっっ!」


乳房と乳房の間に挟まれ、キャーリサの口元付近に飛び出ている亀頭を、舌を出してチロチロと舐めてくれる。
感覚としては手でしてくれるほうが気持ちよくはあったが、何よりもその視覚的な卑猥さが上条の興奮をこれまで以上に煽り、ガチガチに勃起してしまう。
その快感はチェリーボーイ上条当麻の敏感なソコで耐えきれるようなものでは無く、一切の抵抗を許される間もなく二度目の射精を促された。


上条「うっ……で、出る……!」

キャーリサ「元気だなーとーまは……チュルッ……いーぞ、出せ。
       ジュプッ、ジュプッ、ジュプッ……」


精巣から全てを搾り取るようにソコを舐り尽くすキャーリサ。


上条「うっ……!」


そして腰を突き上げるようにして上条はキャーリサの口内へドプドプと濃厚な精を解き放つ。
口の端から、陰茎を挟み込む胸元へ白い液体がトロリと零れた。
フェラチオの水音がグプリとした鈍いものに変わり、胸元の双丘へと零れ落ちた精液も指先で掬い取って舐め取る。
結局、満足そうに笑みを浮かべてその一滴をも残さず喉の奥へと飲み込んでしまったのだった。


キャーリサ「ふふっ……可愛い顔だし。ごちそーさま」

上条「はぁ……はぁ……すげぇな」

上条(こいつ絶対隠してたAV見たな……)


半ば放心状態となり、ベッドに仰向けに沈み込んで肩で息をしながらそんなことを考える。
すっかり縮こまってしまった上条の幻想殺しはキャーリサの唾液と精液でベトベトになり、力なくうなだれていた。
しかし


キャーリサ「何寝てるの。今度は私に奉仕せよ」


シュルリという衣擦れの音が聞こえて彼女に目をやると、彼女はショーツを脱ぎ捨てて上条の上に跨ってくる。
下から見上げる彼女の肢体は荘厳とすら表現出来るほどの艶美さを醸し出し、そこらの少女には決して真似することの出来ない色香を放っている。
上条を見下ろし挑発的に微笑みを浮かべたキャーリサは、愛液で溢れてぬらぬらと照りつく秘部を上条の眼前まで差し出してきた。



525: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:55:26.54 ID:pU++ETExo

キャーリサ「し、舌を突き出せ。犬のよーに舐めよ。
       こんなになったのは誰の所為だと思っているの?」

上条(ほんとノリノリだな……それは上条さんお気に入りの作品でお世話になった女優が言っていた台詞だ)


上条の顔の上に跨り、クスリと吐息を零したキャーリサ。
鼻先数センチのところに鎮座する彼女の秘部は綺麗なピンク色だった。
丁寧に処理されたヘアのやや下部、蜜を零しヒクヒクと蠢動する陰部からはむせ返るような女の香が漂ってくる。


キャーリサ「あっ、あっ!」


てらてらと厭らしく湿り気を帯びたそこに、上条は舌を指し入れ舐めまわす。
唾液をたっぷりと塗りつけるようにざらついた舌の表面をピッタリとくっつけて愛液を舐め取ると、少し塩気のある独特の風味が感じられ、その感触に異様な興奮を覚えた。


上条「ジュルッ……ジュプッ……」

キャーリサ「ふぅッ……んっ! あぁ……! くゥ……っ!!」


艶めかしく身をよじり嬌声をあげるキャーリサを逃さぬよう、彼女の張りのある丸みを帯びたお尻を鷲掴みにする。
柔らかく上条の手を受け入れた尻肉を揉みこみながら、舌による愛撫を続けた。


キャーリサ「んぅっ……! はぁっん! とーま……すごい……っ!」


だらしなく頬は弛緩し、口元から涎を垂らして悦んでいるキャーリサの姿に、上条は己の下半身が再び熱くなるのを感じ取った。
顔の上に跨るキャーリサの胸元に手を伸ばし、快感に勃起して赤く張った乳首をキュッとつねりあげると、背中を弓なりに逸らせてキャーリサは悲鳴をあげる。


キャーリサ「ふぁぁっ!! そ、そこは……だめだ……! くぅンっ!!」


乳首を刺激する上条の右手を掴み、首をぶんぶんと振って拒絶の意志を示すが、もちろん上条にやめるつもりはない。
口でそう言っているものの、涙を浮かべて快楽に溺れる一人の女の姿にしか上条には見えない
だから上条はさらに彼女を悦ばせてやろうと、その秘部の中でも最も敏感な部分に舌先を移動させていった。
彼女の入り口上部、ぬらぬらと鈍く光を反射するピンク色の性器に、隠れるように存在する小さな突起。
人体内部の桜色の粘膜そのものの、敏感で繊細なその部位。


キャーリサ「と、とーま……! ぁぁっ!! んぁっぅ!」



526: ◆S83tyvVumI:2011/05/10(火) 23:58:13.23 ID:pU++ETExo

そこを舌先で掬い上げるように舐めた途端、キャーリサは絶叫を上げてビクビクと体を震わせ、前のめりに倒れた。
それでも上条は行為を中断したりはしない。
唇で軽く挟み込むようについばみ、舌の表面で優しく多い被せるようにして愛撫を続ける。


キャーリサ「んっ! あっ! も、もー駄目だし……! とーま……とーまぁっ! あぁあっ!!」


再びガクガクと痙攣する彼女の身体。
どうやら絶頂に達してしまったらしい。つま先をピンと張り、体を弓なりに反らして甲高い嬌声をあげて身体が跳ね上がる。


上条「イッた……のか?」


女性は性行為に於いて男の射精と違い、明確に絶頂を迎えない人も多いと聞いていたが、どうやらキャーリサはかなり敏感な体質であるようだった。
肩で息をしながら、だらりと体を弛緩させ虚ろな視線で明後日の方向へ視線を送っている。


キャーリサ「ハァ……ハァ……うるさいし……それよりとーま。そろそろ……」


よがり、感じまくっていた彼女の姿を見て上条の興奮も最高潮へと達していた。
呼吸すらままならぬ快感を与えられた余韻に浸りながら、物欲しそうな表情でキャーリサがこちらを見つめてくる。
腰を上条の口に擦り付け、この行為の『先』を要求している。
上条は視線でそれに応えてやると、キャーリサはいそいそと顔の上から下りてベッドに寝転がった。


キャーリサ「……痛くするな……命令だし」


そわそわと潤んだ目で視線を泳がせ、紅潮した頬をかいて今度はこちらを見上げてくる。
その仕草がたまらなく愛おしくて、上条は彼女の上に覆いかぶさり笑みを返してやった


上条「お前は上がいいんじゃなかったのか?」

キャーリサ「……お前に譲るの。ほら、ゴム着けろ……」


いつの間に用意していたのか、キャーリサが頭に敷いた枕の下からコンドームを一つ取り出す。


上条「おっと、忘れてた……危ない危ない」


風呂に入り始めた辺りで今晩の行為への期待と不安で頭がいっぱいだった上条はそこまで考えが至っていなかった。


キャーリサ「ったく……生でしたいの? どーしてもと言うなら別にいーけど……」

上条「いやそうじゃなくて……」


キャーリサからゴムを受け取り、パッケージを破いて中身を取り出す。
ローションによるヌルヌルとした手触りと、ゴムの香が鼻をついた。



527: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:00:11.63 ID:PD/cUjBFo

キャーリサ「私は子供欲しーけどね」


悪戯っぽく笑い、陰茎を軽く撫でさすってくるキャーリサ。


上条「上条さん学生なので……」


コンドームを被せ先端の空気をしっかりと抜いて、上条は苦笑し頭を撫でてやると彼女は口元を綻ばせて破顔した。


キャーリサ「まーいい、そっちのお楽しみは後にとっとこーな。
       じゃーとーま……」


上条の首に腕を回して、真っ直ぐにこちらを見つめるキャーリサ。
潤んだ瞳。不安げな表情。わずかに開いた口の奥に覗くぬめった赤い舌。
白く艶めかしい首筋と鎖骨から下に視線をやれば見えてくる乳房と桜色の先端部。
さらに形の良い臍を通り過ぎ、ムッチリとした太股の間に鎮座する彼女の最奧。
互いに一糸纏わぬ姿となり、互いの体温を確かめあいながら、上条はゆっくりと彼女の脚を開かせ、そこに万端の準備が整った怒張する愚息を押し当てる。
ヌチャリという愛液の音は、彼女の入り口を今まさに開かんとする合図であった。


キャーリサ「とーま……私のこと、どー思う……?」

上条「何がだよ?」


少し不安げな様子でキャーリサが上条に質問を投げかけてきた。


キャーリサ「……こんなに乱れて、淫らな女だと思わないで欲しーの……。
       さっきも言ったけど、お前だからこんなに気持ち良くて……たまらなくなるんだから……。
       こんな私だけど、嫌わないでくれ……」


切なそうに眉尻を下げて、キャーリサはもごもごとそんなことを告げた。
随分とノリノリだったようだが、ここに来てふと冷静になってしまったようだ。
上条は、そんな彼女の頬を撫でて優しく唇に口づけてやった。


上条「好きだよ、キャーリサ」


その言葉に瞼をトロンと蕩けるように緩めて、キャーリサは上条を抱き寄せる。


キャーリサ「とーま。いーぞ、来い……ううん、挿れて」


スッと瞳を閉じて、キャーリサは深く息を吸い込んだ。
上条がググッと腰を推し進めていく。


キャーリサ「んっ……ぁぐっ……!」



528: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:02:33.23 ID:PD/cUjBFo

奥歯を噛み、上条に抱き着く腕にも力が籠っていった。
ギチギチと狭い彼女の中を押し広げていく感覚。
誰にも侵入を許したことのないそこは、上条の陰茎に吸い付くようにして絡みついてくる。
途方も無く温かく柔らかなその場所の奥へ進めば進むほど、上条は脳の神経が快感以外の機能を排除していくような感覚に襲われた。


上条「うっ……す、すげぇ……あったかいな」


ズプズプと厭らしい音をたてて沈み込んでいく。
時折キュッと締め付けられ、ヌルヌルと愚息を包み込む感触に全ての理性は本能によって塗りつぶされる。


キャーリサ「ひぐ……ぅんっ……ぐ……!」


苦痛そうに眉間に皺を寄せて涙を零すキャーリサ。
これだけキツればさぞ痛いだろう。
たっぷりと愛液が滲み出ていても、上条の峻立し興奮しきった愚息を受け入れるにはあまりに狭すぎる。
少しでも彼女を楽にさせてやろうと、ゆっくりと馴染ませるように腰を奥深くに沈めていく。


上条「大丈夫か? やめとくか?」


そう訊いてやると、キャーリサはブルブルと首を横に振る。
薄く涙の滲んだ瞼を開き、キャーリサは唇を動かす。


キャーリサ「やだっ……! したいの……! お前が欲しーのっ!」


一気に吐き出すように言い放ち、キャーリサは上条の身体を苦しいくらいに強く抱きしめた。
上条としても、途中でやめられるような状況では無い。
下腹部を包み込むキャーリサの膣内は奥にいけば行くほど絡みつくように締め付けてきて、少しでも気を抜けば一瞬にして精を搾り取られてしまいそうだ。
そして上条は、ギチギチと粘膜のひだをを引き剥がすように貫き処女膜をこじ開けて行く。
奥歯を噛み、全身に汗をじっとりと滲ませたキャーリサは、上条の腰がそれ以上奥へと進まなくなったところでようやく深く息を吐いて力を抜いた。


上条「奥まで当たってるか?」

キャーリサ「ん……槍で腹を貫かれるのはこんな気分なのかな……」


困惑と、痛みをこらえるような複雑な表情で、キャーリサは力なくそう言う。
上条は、枕の上に広がるプラチナの髪をさらりと撫でて笑いかけてやった。


上条「動くぞ」

キャーリサ「ああ、好きにしていーの……存分に私を使え」



529: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:04:46.78 ID:PD/cUjBFo

薄く微笑んだキャーリサを抱きしめ、上条はゆっくりと腰を引き、再び中へと沈めていく。


キャーリサ「ぅあぁ……! ぁんっ! はぁっ……んっ!!」


その動作を繰り返す度、キャーリサは甲高い嬌声をあげる。
始めは破瓜の痛みに呻くような声も混じっていたが、それが快感に変わるのにさして時間はかからなかった。
腰を打ち付けるのと同時にプルンと揺れる胸をたまらず鷲掴みにして、上条は貪るように彼女の唇へむしゃぶりついた。


キャーリサ「んぷっ……! んっ! んっ!!」

上条「はぁっ……! はぁっ……!」


ジュプジュプと愛液が上条の陰茎によって膣内でかき回され、淫猥な水音を室内に木霊させる。
それをかき消すかの如くキャーリサは唇の隙間から悦びの声をあげて上条の背中にすがりついた。


上条(すげぇっ……! キャーリサの中、めちゃくちゃ気持ちいいぞ……!)


人生で初めて他人と一つになった感触に酔いしれ、脳内からドクドクと快感を訴える細胞が放たれていくのが分かった。
0.0001mmの学園都市の科学技術の結晶たるゴム越しに感じられる彼女の温もりは、上条の下半身から脊髄、脳、そしてありとあらゆる感覚器官を通して全身へと広がっていく。
彼女の中に沈み込み溶けて一つになってしまうのではないかという柔らかさと、脳内が痺れて何も考えられなくなる程の快楽に、腰を打ち付ける以外の全ての行動が封じられる上条。


キャーリサ「ぁんっ! あぐっ……! とーまぁ……!」


キャーリサが耳の横で名前を叫ぶ。
熱を帯びた声が脳髄を蕩かして、下半身は飽くなき膨張を続ける。
血と愛液が潤滑油代わりとなり、ヌプヌプといとも簡単に膣の奥まで愚息の侵入を許すようになっている。
内部のヒダが吸い付くように締り、時折キュッキュッと不規則な圧力をかけて精巣に残る精液を枯渇するまで吸い取ろうと攻めたててくるのが感じられた。


キャーリサ「とーまっ! ンッ!とーまっ! あんっ!  すごいのっ! おかしくなるっ……! 
       ひぃっ! あぐっ! 駄目! もっとゆっくりっ! はぁんっ!!」


そんな頼みを聴けるはずがない。
もはや腰から下は自分の意志ではどうもならなかった。
高飛車で傲慢、しかし優しく毅然とした強さも持つ最愛の彼女が。
いつも自分を振り回し、輝く様な笑顔を見せてくれていたあのキャーリサが。
今自分の下で股を開いて淫靡な声をあげている。
与えられる快感を貪るように腰を振り、発情している。
こんな痴態を見せられて、冷静でいられるほど自分は達観してはいない。



530: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:09:03.02 ID:PD/cUjBFo

上条「はぁっ! はぁっ……!無理だっ! キャーリサ、すげぇ気持ちいいよ!」

キャーリサ「んぁぁっ! はぁっ! ヒッ! ひぃ、ぁ、あっ、あああぁぁ!!」


ズチュ、ヌチュ、ズチュ、ヌチュ。
厭らしい音が鼓膜を貫き体内に染み渡っていく。
それは彼女にとっても同じことだったろう。
唇を貪る度、胸の先端に甘く噛み付く度、尻に手を這わせ強く揉みこむ度、彼女の膣内からはトロリとした愛液が奥から溢れてきてシーツにシミを作り上げていく。
汗と体臭と、キャーリサの甘い香りは鼻孔をくすぐり、もっとそれを嗅ぎたくて首筋に顔を埋める。
舌を這わせて彼女を味わい、背中に突き立てられる爪の感触すらも心地よかった。


上条「チュッ……ジュゥゥゥ……」


首元に強く吸い付く。
彼女をもうどこにも行かさぬように。
こんなにも愛しく、度し難い程に天衣無縫で、自分をいつだって振り回してくれるキャーリサ。
そんな彼女を絶対に誰にも渡さないという誓いの証を刻み込む。


上条「――お前は……俺のもんだよ……」

キャーリサ「ひぁぁぁっ……!」


紅く色づいた裸体の上にポツリと赤紫の標がクッキリと。
首筋に着けられた傷痕は何よりの独占の証。
満足げにそれを眺める余裕も無く、上条は無意識に動く愚息の限界が近いことを自覚していた。


上条「キャーリサ……! もう……ヤバいっ……!」


既に2回も発射していなかったら、きっと彼女を貫いたその瞬間に果てていたことだろう。
3回目ともなれば多少もったが、それでもここらが潮時。
五感の全てで感じるキャーリサの肉体はあまりにも甘美なもので。
上条の精巣は目の前の女の子宮に子種を注ぎ込めと言わんばかりに限界を知らせてくる。


キャーリサ「うんっ! うんっ! いーぞ! んっ! イけ! 私でイけ!」


強烈な快感が彼女に呼吸も許さない。
そんな中で彼女は何度絶頂を迎えたのだろう。
快感に蕩けきった表情で、キャーリサは水面で呼吸をするように必死の声をあげた。
それと同時に無我夢中で腰を振る上条。
快楽に没頭して視界から彼女以外の何もかもが消えていく。


キャーリサ「あっ! あっ、あ、ひっぅ、ああぁああっ!!」


きゅうきゅうと締め付けてくる膣内の感触に酔いしれながら、右手で汗と唾液でベトベトになっている
乳房を揉みしだき、左手で充血し勃起したクリトリスを押しつぶすようにして彼女にとどめを試みる。
子宮の入り口をノックする凄まじい快感。
カリ首で膣内のヒダを擦りつけて、愛液を外へかきだす度に聞こえる湿り気を帯びた淫らな音。


上条「あっ! うぅあっ! あ、あ、うああっぁああぁ!!」


そして陰茎の奥から上りつめてくるような感覚が全身を走り抜けていった。


キャーリサ「ひゃめっ! それらめっ! あぁぁっ! イクっ! イっちゃうっ……! ひゃぁぁああぁあぁああ!!!!!!!!!!」



531: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:11:37.44 ID:PD/cUjBFo

キャーリサの最奥の最奥。子宮口へ押し付けるようにして腰を沈み込ませ、上条はゴムによって防がれた精を注ぐ。
腰ごと吸い込まれていくかのような感覚。
いやいやと首を振りながらガクガクと身体を痙攣させ、ぎゅぅぅうと膣内を締め上げながら絶頂に上り詰めていくキャーリサ。
焦点の合わない視線で天井を見上げ、ぐったりと言葉を忘れてしまったかの如く肩で息をする。


キャーリサ「……はぁ……はぁ……」

上条「はぁ……はぁ……」


キャーリサの上で体重を預けたまま動くことが出来ない上条。
その後頭部にそっと手が添えられ、キャーリサが黒髪をさらさらと撫でてくる。


キャーリサ「…………んっ」

上条「んっ……」


どちらともなく口付けあう。
未だ膣内に接合された愚息が膣圧で引き抜かれ、愛液がポタリとシーツに落ちた。


キャーリサ「……はぁ……すごかったの……蕩けたし」


キャーリサは上条が下りて横に寝転ぶと、ごく自然に肩の付け根付近に頭を乗せてくる。
腕枕状態のその頭を撫でてやっていると、キャーリサは余韻に浸るようにそんなことを言った。


上条「確かにすごかったです……」


もう無我夢中だった。
キャーリサの中に精を注ぐ以外のことが考えられなかった。
それを思い出して上条は苦笑する。
隣でもキャーリサがはにかむように微笑んでいた。


キャーリサ「こんなに気持ちいいものだとはな……病みつきになりそーだし」


どうやら性行為をお気に召したらしい。
つやつやとした肌で満足げに笑みを零す
果たしてこの先自分の体力が持つだろうかと不安になりながら、上条もつられて曖昧に笑い声をあげた。


キャーリサ「で、私はどーだった? よかったか?」

上条「いやそれ聞くまでもないだろ」

キャーリサ「お前の口から聞きたいの。私は身体の中までも完璧だったろー?」

上条「女の人が言うことじゃないような……」



532: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:13:27.79 ID:PD/cUjBFo

普通逆だろと思い、何だか恥ずかしくなってくる上条だったがもっと恥ずかしいことをした仲なのだからまあいいかと、目線を泳がせ頬をかきながら頷く。


上条「まあ……ロイヤル級でした。たぶん」

キャーリサ「そーかそーか。じゃーまたさせてやろー。
       ふふふ、お前のも良かったぞ、何回もイってしまったの」

上条「はは、お願いしますよっと」


軽口を叩きつつキャーリサが上条の身体にしがみつく。
先程の余韻もあってかもう可愛くてたまらない。
上条は胸の中が彼女への愛しさで満ち溢れていくのを感じた。


キャーリサ「あ、こっちは小さくなってしまったな。よしよし、よく頑張ったし」

上条「あうっ」


未だ精液が溜まったゴムが着いたままのソレを優しく撫でるキャーリサは、いつものように挑発的な微笑を滲ませた。
そんなことをされるとまた大きくなってしまうのではと思う上条。
そしてキャーリサは、もぞもぞと上条の下半身の方へと移動しそれをつんつんとつつく。


キャーリサ「ごほーびだ。綺麗にしてやるの」

上条「えっ」


そして精液の入ったコンドームをひょいと取り外し、中に入っていた精をドロリと舌の上に乗せて咀嚼し始めた。


上条「おいおい……そんなことまでしなくても……」

キャーリサ「何を言うの。せっかくの子種だし。もったいないじゃない。んー、まずい。ゴムの味だし……」


うぇっと舌を出して渋い顔をしながらもゴックンと飲み干して見せる。
あんなドレスを着るくらいだから何となく気づいていたが、今は確信して言える。
キャーリサはエロい。
おまけに今日に備えて蓄えた知識が全て上条が友人たちから借り受けたアダルトなDVDや本達なのだから、無駄に積極性に拍車がかかっている。
しかし上条としては美味しい事態なのであえて「普通はそんなことしないんだよ」とは言わないでおくことにした。
言えば何となく恥ずかしさで錯乱したキャーリサに次元ごと斬り殺されそうな気がしたから。



533: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:15:37.13 ID:PD/cUjBFo

上条「ふふ……ぅおっ!」


そんなことを考えていると、下半身にぬるりとした感触。
そちらを見ると、案の定キャーリサが上条の愚息をぱっくりと咥えていた。


キャーリサ「あむっ……んむ……ちゅぷっ……じゅるる」


精液に塗れた陰茎を丁寧に舌でお掃除し始めているキャーリサ。
「昼は淑女のように、夜は娼婦のように」とはよく言ったものだ。
愛おしげに舌を這わせて一滴の精液も逃さないと言いたげに丹念に舐め取っている。


上条(上条さんもキャーリサも、一晩でレベルアップしすぎじゃないでしょうか)


とは言うものの不満など無い。
夢中でしゃぶっているキャーリサは一生懸命で可愛いし、おまけに気持ちいい。
キャーリサへの愛で胸を一杯にしてむふーっと満足げに息を吐いていると、再び熱を取り戻していく上条の幻想殺し。


キャーリサ「ちゅぷっ……お、またおっきくなってきたし。若いなーとーま。元気過ぎだし」

上条「上条さん超健全な男子高校生ですよ。しかも今まで身の回りに誘惑が多くて……ぶっちゃけ溜まりまくってます」

キャーリサ「そーかそーか。そりゃかわいそーにな。で、どーする?」


上条の足と足の間で肘をつき手に顎を乗せて、満面の笑みを湛えた青い瞳で真っ直ぐ見つめてくるキャーリサ。
上条は瞬刻の逡巡の後、少しの申し訳なさと、多くの期待を胸に、照れ笑いを浮かべて告げた。


上条「えっと、その……もう一回いいか」

キャーリサ「仕方ないなー。次こそ私が上だぞ」


返事は、キャーリサの飛びつくような口付けとなって戻って来た。
二人の熱い夜は更けていく。
そうして次の日、妙に肌ツヤの良いキャーリサとどこかやつれた上条を見たインデックスが、彼女の首筋のキスマークを発見して一騒動起こるのだが、それはまた別のお話。



534: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:17:58.61 ID:PD/cUjBFo

―――英国 バッキンガム宮殿 ヴィリアンの私室


ヴィリアン(ふぅ……姉君のいないクリスマスは初めてでした。
       いつも騒がしいと思っていたけど、いないとやはり少々寂しいものですね……)

ヴィリアン(それにしても、日本から姉君からのプレゼントが送られてくるとは思いませんでした。
       ……私以外のみんな宛てに) クスンッ

ヴィリアン(姉君の意地悪……。プレゼントが欲しいという訳ではありませんけどそんな嫌がらせをしなくたっていいじゃありませんか……。
       あの気まずい空気……皆にも気を遣わせてしまって……はぁ)

ヴィリアン(今度お会いしたらビシッと言って差し上げないと……)


コンコンッ 


ヴィリアン「あら? 誰かしらこんな夜更けに」

ヴィリアン「はい、どなたですか?」


シーン…


ヴィリアン「?」 カチャッ

オリアナ「はぁい、お姫様。あなたのお姉さまからクリスマスプレゼントをお届けに来ちゃった」

ヴィリアン「えっ? え? あ、あの……あなたは……?」

オリアナ「うふぅん、お姉さんが誰かなんてどうでもいいの。お姉さんはただの宅配だから。
      はい、これプレゼント」

アックア「…………」

ヴィリアン「」 ピシッ

オリアナ「んもう、苦労したんだからー。中東の紛争地域まで行ったのよ。お姉さんお肌出し過ぎって怒られちゃった」

アックア「おい……」

オリアナ「はい?」

アックア「どういうことであるか。私はヴィリアン王女が王室派と王室反対派の抗争に巻き込まれる緊急事態であると聞かされていたはずであるが」

オリアナ「ええ。お察しの通り、嘘よ」



535: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:19:34.14 ID:PD/cUjBFo

アックア「……」 ゴゴゴゴゴゴ…

オリアナ「うふふふ、怖い顔しないで。男前が台無しだよ。
      それに、騎士団長さんや女王様も喜んで協力してくれたしね」

アックア「ギリッ……」

ヴィリアン「ウィリアムがどうしてここに!!」

オリアナ「あら、お目覚め? 後はお二人でごゆっくり。あ、これお姉さまからのクリスマスカード。 
      じゃあね、バァイ」 ヒラヒラ

アックア「……おい」

オリアナ「ふふっ」 ダッ!

アックア「ッ……」

ヴィリアン「……」

アックア「……夜分遅くに失礼いたしました。では……」 

ヴィリアン「ま、待ってください!」

アックア「……」

ヴィリアン「許しません……」

アックア「?」

ヴィリアン「お、王女の寝室にこんな夜更けに訪れるなんて……許せないと言ってるんです」

アックア「ごもっとも。……仕方ありません、あの男の元へ出頭しましょう」

ヴィリアン「で、ですから……命令です! 許して欲しければ、一晩私の話し相手をしなさい!」

アックア「……姫君」

ヴィリアン「た、たまには良いでしょう……あなたには言いたいことが山ほどあるのですから。
       こ、これは命令です! 私がしなさいと言ったらするんですっ!」

アックア「……」

ヴィリアン「あう……」

アックア「まったく……姉妹揃って勝手なものだ」



536: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:21:22.64 ID:PD/cUjBFo

ヴィリアン「あ……」

アックア「牢獄で無為に過ごすわけにもいかないのである。
      姫君がお休みになるまではお付き合いしましょう」

ヴィリアン「は……はいっ! で、ではこちらに! 今お茶を淹れますからね!」

アックア「……ふむ」

ヴィリアン(うふふふふ……姉君ったら、素敵なプレゼントを用意してくれてたんですね。
       先ほど悪く思ってしまったこと謝罪します。姉君、大好きです……) カチャカチャ

ヴィリアン(あ、そう言えばクリスマスカードがあったんでした。ええと……何ですか) ピラッ

ヴィリアン(『メリークリスマス、愛しい我が妹よ。お前がこれを読んでいる頃、
       私はとーまの子種を注がれていることだろー』)

ヴィリアン「は?」

アックア「……」

ヴィリアン(『この前も言ったが、お前もいつまでもカマトトぶって生娘気取ってないで男の味でも覚えとけ。
        姉は一足先に女となり、母となろー。
        まーロクな相手もいないお前があまりにも不憫だから、姉が特別にウィリアムを派遣してやるし』) ワナワナワナ…

アックア「姫君……?」

ヴィリアン(『多分きっと間違いなく凄まじいモノを持っているだろーから、せいぜい壊されんよーに気をつけることだな。
        追伸  ウィリアムをモノにしたければ生推奨。グッドラック(`・ω・´)b
        偉大なる姉、キャーリサより』)

ヴィリアン「姉君……」 プルプル

アックア「?」

ヴィリアン「大っ嫌いですっっっ!!!!!!!!!」 クシャッ



537: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:22:52.32 ID:PD/cUjBFo

―――


それから7年後。
すっかりと日の落ちた街並みの一角。
料理の香ばしい匂いを漂わせた一件の家の中から賑やかな声が聞こえてくる。


「よーし、ご飯できたぞー」


美麗な金色の髪を揺らしながら、種々様々な料理を食卓の上に並べていく青い目の女性。
隣のリビングでテレビ番組のニュースを眺めていた20代前半の黒髪の青年がゆっくりと立ち上がり、食卓に並んだ料理を見て感嘆の声をあげた。


「お、美味そうだ。腹減ったー」


皿に盛られたエビフライを一つつまみあげようとした青年の手を、女がピシャリと叩いて呆れたようにため息を漏らす。


「”全員”揃ってからだし。父親のお前がまっさきにつまみ食いしてどーするの」


30代も半ばに差し掛かった女は、かつての美貌に一切の衰えを見せることなく整った顔に苦笑を浮かべた。
キュッと締まった腰に手を当て、リビングに鎮座する”彼ら”の方を向いて言葉を放つ。


「おーい、晩御飯だぞ。お前達ニュースなんて見ても分からないだろー」


言われ、立ち上がったのは男1人、女2人の3人の子供達。
そのうち一人はまだ立ち上がれるようになったばかりなので、少女がよろよろと抱き上げて抱えてくる。
バタバタと騒がしく食卓まで駆けてきて、それぞれの席についた。


「やった、今日はエビフライだー!」

「うむ。一人3個ずつだし、ずるするなよ」

「はーい」

「パパー、マヨネーズちょーだい」

「おう」

「よし、全員そろったな。じゃ、いただきます」

「「「「「いただきまーす!」」」」」


青年と子供3人、手を合わせて食事を始める。
女は一番幼い、まだ赤ん坊と言える年齢の少女の世話をしてやりながら、他の子供達と同じようにエビフライに齧りついている青年を見て笑みを浮かべる。



538: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:24:16.48 ID:PD/cUjBFo

「な、なんだよ」

「いーや。お前子供とレベルが一緒だな。うまいか?」


口元に着いたご飯粒をとってやり、慈しむような微笑を浮かべた女が微笑んで首を傾げる。


「おう、めっちゃ美味いぞ。すっかり料理上手くなったよなー」

「パパ、ママはご飯つくるのへたくそだったの?」


一番年上の、今年6歳になる少女が口にマヨネーズを付着させたままそう言う。
日本人離れした顔立ちと金色の髪は母親譲りだった。
その口元を拭いてやりながら、青年は悪戯っぽくニッと笑って頭をくしゃくしゃ撫でてやった。


「おう、下手だったぞー。パパなんか、何度ママの料理で泣かされたか分からねえよ」

「こ、こらっ。余計なこと言うな。今は美味いんだからいいだろー!」

「やーい、ママのヘタくそーいてっ!」


今度は間もなく5歳の誕生日を迎える長男が、キャッキャッと茶化すように言う。
彼も顔は日本人離れしているが、髪の色は父親と同じ黒色だった。
言われた女は少年の額に軽くチョップを食らわしてふんと息を吐いた。


「昨日のけっこんしき?のご飯もおいしかったけど、やっぱりママのご飯がいちばんおいしーよ!」

「おー、そーかそーか。うれしーこと言ってくれるなー。よーし、デザートのイチゴを一つ増やしてやろー」

「やったー!」

「あ、ずりー! じゃオレパパのイチゴもらいー!」


ガラスの器に入った青年のイチゴを奪い取って口運んだ少年。


「げっ! なんでだよ! じゃあてめぇのよこせ!」

「あっ!」


お返しとばかりに青年が少年のイチゴを箸で突き刺し奪還する。



539: ◆S83tyvVumI:2011/05/11(水) 00:27:35.12 ID:PD/cUjBFo

「やめよ食卓で。お前達もちゃんと用意してやるから」

「ママ昨日きれーだったよ! 知らないお兄さんとかお姉さんいっぱいいたけど、みんなオトモダチなの?」


白米を貪っている少年とバツが悪そうな青年を横目に、少女が無邪気な笑顔を浮かべて尋ねる。
その問いに、食事の手が止まった青年と女が、優しい視線で互いに微笑みあった。


「ああ、みんなパパ達の友達だ。インデックスとかは会った事あるだろ?」

「うん! インデックスお姉ちゃんはおかしくれるから好きー! ねぇパパ、オトモダチの話もっと聞かせて!」

「えー、そうだなぁ……」


青年はもう一度女に視線を返す。
女はスカイブルーの目を細め、、桜色の唇に笑みを湛えてくすくすと笑う。
何から話せばいいのか、あまりにも濃厚な今日までの日々を思い返して青年も思わず笑みを零す。


「いーじゃない。話すがいーの。お前が私を攫ってくれた話を特にドラマチックにな、とーま」


女は愛を込めて名を呼ぶ。
あれから7年経った今も、二人の関係は変わりなく。
変わったことがあるとすれば、高校を卒業した青年とすぐに籍を入れ、子育ての忙しさが少し落ち着いた最近になってようやく式をあげられたということくらい。
今日まで様々なことがあったが、二人の生活はこれからも続く。
一晩では到底語り尽くせない、二人の恋物語は――




「分かったよ。じゃあまずキャーリサが家出してきたところから―――」



――まだまだ終わりそうもない







―おしまい―



628: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:28:04.78 ID:NoTDWB+Qo

―――神奈川県某所


ミーンミンミンミンミン… ジジジジジ… 

ブォォォオオ…


??「ふぅ……」

??「……」


ブォォォォォオオ…


??「日本の夏は暑いな」

??「ええ。クーラーの温度を下げましょうか・」

??「いや、大丈夫だ。しかしあの馬鹿娘に会うのも久方ぶりだな」

??「……間もなく二年ですか。今生の別れともなるかと思っていたのでむしろ早いかと思いますが?」

??「ん? うん、しかしこの手紙がなぁ……と言うか何でお前が着いてくる。
    お忍びなのだから、侍女の一人でもいれば問題無いぞ」

??「私が見張っていないと貴女は絶対にやれ京都だやれ沖縄だとここぞとばかりに日本観光を満喫し始めるでしょう。
    用件が済んだら速やかに帰国しますからそのおつもりで」

??「チッ、バカンスのつもりだったのに。で、まだ着かないのか?」

??「この近辺のはずです。日本の道は狭くて困る」

??「ふふ、しかし楽しみだ。あれからあいつらはどのように変わったのかな」



629: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:30:10.22 ID:NoTDWB+Qo

―――神奈川県某所 上条家 台所


カチャカチャカチャ…


キャーリサ「~♪」


ジャバー…

ペタペタペタペタ…


詩菜「あらあら? キャーリサさん、洗い物なんて私がやっておきますから、向こうでゆっくりしてて下さいな。
    せっかくの夏休みでしょう?」

キャーリサ「いや、充分楽をさせてもらっているし。しーなこそ、とーまやとーやと親子水入らずで休んでいるがいーの」

詩菜「あらあら、でも刀夜さんも当麻さんも、”あの子”に夢中みたいですから」 カチャカチャ

キャーリサ「まったくこれだから男は」

詩菜「私ももうおばあちゃんなのね。嬉しいような、寂しいような不思議な気分だわ」

キャーリサ「何、しーなは私から見ても腹立たしい程に若く見えるから安心しろ。
       というか少し凹むし」

詩菜「あらあらまあまあ、ありがとうキャーリサさん。
せっかくキャーリサさん達が帰ってきてくれたことだし、今晩はお寿司でも頼みましょうか。
    外人さんですけど、生のお魚は平気?」

キャーリサ「うむ、問題無いし。そーいや日本に来て一回も食べてないな」
    
詩菜「うふふ、じゃあ電話しておかないと」

キャーリサ「楽しみだし。……っと、そーいやオムツの替えが残り少なかったな。
       しーな、この辺に売っているところはあるか?」

詩菜「あらあらそれは大変。刀夜さーん、ちょっと車を出して欲しいんですけどー」 パタパタ

キャーリサ「あーいや……近くなら歩いて行ってくるし」 パタパタ…

詩菜「うふふ、いいからいいから。ついでに買ってきてもらいたいものがいっぱいあるの」



630: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:31:37.59 ID:NoTDWB+Qo

―――


上条「んじゃ行ってくるよ」

キャーリサ「頼むの」

刀夜「母さん、オムツだけじゃなかったのかい?
    何やらこのメモ……物凄く文字が書き連ねてあるような……」

詩菜「うふふ、気の所為ですよ刀夜さん。帰りにお寿司屋さんで品物を引き取るのを忘れないで下さいね」

刀夜「わ、分かった。よし当麻、行くぞ」

当麻「おう」


ガチャッ ドンッ


刀夜「おっと!」

??「おわっ!」

??「む」


ドサッ


詩菜「あらあら……」

??いつつ……」

刀夜「し、失礼! そこにおられるとは気付きませんでした。お怪我はありませんか?」

??「ああ、こちらこそ扉の前で考え事をしていたものだから。お気になさらず」

??「全くです。どんな登場がインパクトがあるかなどと思案しているから……お騒がせ致しました」

??「お前な。家臣ならもうちょっと心配しろこの馬鹿者」

??「御冗談を。自業自得ではありませんか」

キャーリサ「あ……」

上条「あ……」

刀夜「それで、うちに何か御用ですか?」



631: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:34:00.76 ID:NoTDWB+Qo

??「これは申し遅れた。ご子息と共にうちの馬鹿娘がこちらに里帰りをしていると伺ったもので、寄らせて頂きました。
    エリザードと申します、そこのキャーリサの母です」

刀夜「ははは、そうでしたか。キャーリサさんの……」

詩菜「あらあらまあまあ。それはそれは遠くから」

キャーリサ「母上、何故ここに……」

刀夜「ははは……は?」

上条「アンタも一緒か、騎士団長」

騎士団長「護衛だ、私のことは気にするな」

刀夜「母ぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!?????????????????????」

詩菜「あらあら、ワンテンポ遅いですよ刀夜さん」

刀夜「だ、だって母って……え? で、では貴女はイギリスの……」

騎士団長「女王にあらせられます。奥様、こちらは英国のお土産です、よろしければご家族でお召し上がり下さい」

詩菜「あらあらまあまあそれはご丁寧に」
    
エリザード「急に押しかけて申し訳ない。どこかへお出かけする途中でしたかな?
       でしたら日を改めますが」

刀夜「めめめめっ! 滅相も無い! どどどど! どうぞ狭い家ですが!!!」

キャーリサ「母上ー、何しに来たの? 言っておくが私を連れ戻そうなどという話なら論外だぞ」

エリザート「ああ違う違う。まあちょっとな」 チラッ

上条「…………」 コクッ

詩菜「さあさあ、立ち話も何ですし、どうぞ中へ」

エリザード「お邪魔します。良い家ですな、住む人間の愛着が感じられる」

詩菜「いえいえそんなそんな。今お茶をお持ちしますので。当麻さん、ご案内して」

上条「ああ、こっちだよ」

キャーリサ「…………?」



632: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:36:20.78 ID:NoTDWB+Qo

―――


赤子「だぅー」 ペチペチ

エリザード「おー! 可愛いなぁ! こんにちわー、おばあちゃんでちゅよー。
       何歳でちゅかー」 

赤子「あー」

キャーリサ「娘のヴィクトリアだ。今9ヶ月だし」

エリザード「いやーお前の小さいころを思い出すな。よく似てるぞ」

キャーリサ「何を言う。私はもっと美しかったぞ。ヴィリアンはぶっさいくだったけどな!」

エリザード「いや赤ん坊のころは二人とも丸々してたぞ」

上条(キャーリサが二人いるみたいだ……やっぱ親子だな)

騎士団長「少年、キャーリサ様に似てよかったな」

上条「どういう意味だよ」

騎士団長「ふっ、そういう意味だ」

上条「テメェ嫌味か……」

刀夜「お、おい当麻どういうことだ……? というか、お前はイギリスの女王様ともお知り合いなのか?
    しかも護衛の人とも知り合いだし、テレビとか来たりするのか?
    父さんポロシャツ姿で大丈夫か?
    晩御飯は近所のお寿司屋の特上程度で大丈夫なのか? これでも奮発したんだぞ?」 ヒソヒソ

上条「質問は一個にしろよ。全部大丈夫だって」

エリザード「御主人、どうぞお気になさらず。
       ああ、もしかしてこの男のスーツ姿が仰々しくていけませんか?
       確かに一家団欒の場には似つかわしくありませんな。
       おい騎士団長。お前車で待ってろ」

騎士団長「かしこまりました」 スタッ

刀夜「ああっ! いいですいいですぅっ! そのままでいてください!!」

騎士団長「はあ……分かりました」



633: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:37:54.37 ID:NoTDWB+Qo

ガララ…


詩菜「うふふ、お待たせしました」 カランッ

エリザード「おいキャーリサ、お前手伝いくらいしたらどうだ?」

キャーリサ「そ、そーだったの。すまないしーな、あ、いや母君」

詩菜「あらあら、いいんですよ。せっかくお休みで帰ってきてくれているのに、朝からずっと家事をやってもらってこちらが申し訳ないくらいですもの。
    冷たい麦茶ですけど、どうぞ」

エリザード「これはどうも。ありがたい、日本の夏の暑さにへばっていたところです。
       さあお母様もこちらへ。家事やその他の雑事はこの男に任せておけばよろしい」

騎士団長「お盆をお預かりします」

詩菜「あらあら、英国紳士さんですね」

刀夜「と、当麻……母さんちょっと嬉しそうだぞ、どうすりゃいい?」

上条「知らねぇよ。まあせっかくだから騎士団長も一緒に聞いてくれ」

騎士団長「私もか。何だ少年」

キャーリサ「とーま? どーいうこと?」

エリザード「ゴクゴク……ふう、生き返った。ん、実はなキャーリサ。私は彼に手紙で呼ばれてここに来たんだ」

刀夜「イギリスの女王様を呼び出すなんて……お前いつからそんな大物に……」 

上条「いや、俺イギリスに正規の手続きじゃ入れないだろうし」

騎士団長「そうだな。間違いなく捕縛されて面倒な事態になるぞ」

刀夜「お前は一体何をやらかしたんだ当麻……」

エリザード「まあまあご主人。私も気分転換に丁度良い機会だったので喜んで馳せ参じたのです。
       娘に子供が生まれたというのもその時伺いました。
       それで、私に話とは?」



634: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:39:19.34 ID:NoTDWB+Qo

上条「……」 グッ

キャーリサ「……?」

上条「女王様っ!」 ドゲザッ!

エリザード「む?」

キャーリサ「?!」




上条「キャーリサと結婚させてくれっ!!!」




キャーリサ「なっ!?」


詩菜「あらあらまあまあ」

刀夜「当麻、お前……」

エリザード「…………」

上条「順番が逆になっちまってるのは分かってる。
    キャーリサを無理矢理連れ出して、こんなことを頼むのはムシのいい話なのかも知れないけど、
    俺がキャーリサを絶対に幸せにするからっ!!
    だから頼む女王様っ!」

キャーリサ「とーま……」

上条「キャーリサを、俺にくれっ!!!!」

キャーリサ「―――――ッッ!?」



635: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:41:16.93 ID:NoTDWB+Qo

エリザード「……」

刀夜「……」

詩菜「……」

騎士団長「エリザード様、何か答えてやったほうがよろしいのでは?」

エリザード「ふむ……少年、面を上げよ」

上条「はい」

エリザード「お前達、今どうやって生活してるんだ?」

上条「今は学校からの紹介で、研究所で能力開発の手伝いをしてる。
    俺の右手はどんな異能の力も打ち消す力を持ってるから、それを利用して能力測定の研究で金をもらってるんだ」

エリザード「キャーリサは女学校の講師だったか?」

キャーリサ「う、うむ、時間短い割に給料良いからその辺りは心配するな母上」

エリザード「ふーむ……一応地に足を着けて生活は出来ているようだな。おい少年」

上条「……」

エリザード「お前のような男に娘はやれんっっ!!!!!!!!!!!!!!!」 ビシィッ!!

上条「ええっ!?」

キャーリサ「は、母上!」

エリザード「って言うの一回やってみたかったんだが、少し胸が痛いな」

上条「おい!」

騎士団長「テメェ! 真面目な話してんのに空気読めこの馬鹿!!」

エリザード「おわっ! じょ、冗談だ! ちょっと場を和ませようとしただけじゃないか!」

騎士団長「まったく……ご両親もいらっしゃるというのに」



636: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:43:13.97 ID:NoTDWB+Qo

エリザード「ははは、すまないすまない。構わないぞ。
       こんな行き遅れのじゃじゃ馬嫁にもらってくれるなら好きなだけ持って行ってくれ」

上条「え、じゃ、じゃあ……」

エリザード「娘を頼む。少年、いや、当麻君」

上条「――――!」

キャーリサ「とーまぁっ!」 ガバッ!

上条「おわっと!」

キャーリサ「ふふっ、そーか! ついにお前と結婚できるのだな……嬉しいし……」

上条「お、俺もだよ。ありがとう、女王様!」

エリザード「いやこのチャンス逃したらもうこいつにまともな貰い手なんて無くなりそうだしな。
       むしろお願いだからもらってやってくれと言いたいくらいだ」

キャーリサ「おい、言い過ぎだし。ま、とーまがもらってくれるからどーでもいいけどなっ」 フンスッ

詩菜「あらあら。何だかおめでたい話になったわね刀夜さん」

刀夜「そ、そうだな母さん。一体何が始まるのかと思ったけど、いやよかったよかった」
       
騎士団長「……」

エリザード「文句はあるまいな?」

騎士団長「文句など。私は一介の従僕に過ぎませんので」 スッ

キャーリサ「おい、どこへ行くの?」

騎士団長「いえ、車に忘れ物をしたので、取りに」

キャーリサ「そーか」


スタスタスタ… パタンッ



637: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:46:22.72 ID:NoTDWB+Qo

上条「なんだろ忘れ物なんて」

キャーリサ「さあ。大方ドアのロックでも気になって見に行ったんだろ。あれで気が小さいからな」

エリザード「ふふ、奴め。さてはキャーリサの結婚が嬉しいやら寂しいやらで男泣きに行ったな。
       まだまだ若造よ」


ピシャッ!


騎士団長「違いますっ!」

刀夜「は、早いですね」

詩菜「あらあら、すごい荷物」

騎士団長「キャーリサ様の嫁入り道具一式……まあ貴女の私物ですが、それをお届けに」

キャーリサ「え……」

エリザード「お前。こんなもの積み込んでたのか。空港で車を出すのにやけに手間取ってると思ったら……」

騎士団長「着の身着のまま飛び出して来られたでしょう。
       エリザード様やリメエア様達の写真一つお持ちで無いのもいかがなものかと思いましたので。
       あとは貴女のお気に入りのテディベアやシャルボネルエウォーカーのチョコレート。
       それから……」

キャーリサ「も、もーいいの。恥ずかしいだろご両親の前で」

騎士団長「失礼いたしました」

詩菜「あらあら、テディベアがお好きなのね。ただのぬいぐるみじゃないところが外国の方という感じかしら」

エリザード「そうなんですよ母君殿。この娘つい2年前まで私の夫にクリスマスプレゼントは毎年ハロッズで限定販売されるテディベアをねだっておりましてな。
       いやお恥ずかしい。いい年をした娘の趣味が熊のぬいぐるみ収集とは」

詩菜「あらあら可愛らしいじゃないですかお母様」

キャーリサ「や、やめよ! もーそんな子供では無いし!」

エリザード「じゃああれはもういらんな? 部屋も空くことだし処分しても」

キャーリサ「私のネルソンやチャーチルに手を着けたら母上でも許さんぞっ!!」

上条「え」

キャーリサ「あ……」 カァァ…



638: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:48:50.45 ID:NoTDWB+Qo

上条「な……名前着けてるんだな」

キャーリサ「いや……その」

エリザード「プッ、馬鹿者め」

上条「ぷっくく……はははははははは!」

キャーリサ「わ、笑うなとーま! ゴホンッ、と、とにかく私物を持ってきてくれたのは感謝するし。
       母上、そんな訳だ。私は嫁に行くぞ」

エリザード「うむ。子供もいることだし、しっかりな。よし、今日はめでたい日だ。
       騎士団長、宴会の手配をしろ」

騎士団長「はっ。英国から超音速旅客機でシェフとスタッフ達を呼び寄せますが、よろしいですか御主人?」

刀夜「あ、実は特上寿司の予約g」

詩菜「あらあら、もちろん構いませんよ。英国王室で振る舞われているお料理なんて楽しみね刀夜さん」 グィッ

刀夜「そ、そうだな母さん」

上条(食べたいんだな)

刀夜(食べたいんだな)

エリザード「ご両親、ふつつかな娘ですが、今後ともよろしくお願いします」

刀夜「とんでもない。こんな素晴らしい娘さんに来て頂けて光栄ですよ」

キャーリサ「とーや……い、いや、義父上……」
       
刀夜「は、はは、照れるな。こんな綺麗な人に義父さんと呼ばれるなんて」

詩菜「……刀夜さん?」 ゴゴゴゴゴ…

刀夜「か、母さんこれは違うぞ! そんなんじゃない!」

詩菜「あらあら? 私はまだ何も言ってないのに、そんなんとはどういうことかしらね刀夜さん」 ゴゴゴゴゴ…

刀夜「ひぃっ!?」

キャーリサ「とーま……これで私達は誰に何の憂いを抱くことも無く、まことの夫婦となるのだな……。
        本当に……これが現実なのだな。幻想でなく」

上条「そう……だな。はは、俺も正直実感無いな」

キャーリサ「うん……あ、あれ……あれ?」 ポロポロ



639: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:51:28.39 ID:NoTDWB+Qo

上条「お、おいおい。何泣いてんだよ……」

キャーリサ「いや違……嬉しくて、おいおい……私そんなキャラじゃないだろー……あはは、待てとーま。
      ちょっとだけこっち見るな……」 グシグシ

上条「キャーリサ……」 ギュッ

キャーリサ「ッッ!」

上条「幸せにするからな」

キャーリサ「……馬鹿者、私と婚約した時点で、お前は至上の幸福を手にしているし……お前ももっと噛みしめよ……」 グスッ

上条「大丈夫だよ。俺も今すごくドキドキしてるんだ……」

キャーリサ「……そーか」

詩菜「あらあらまあまあ」

刀夜「若いころを思い出すな母さん。どうだい今夜は一つ昔に戻って」

上条「おい。それ軽くトラウマになってんだからやめろ馬鹿親父」

エリザード「ところで式はどうする? 若いうちに挙げておいたほうがいいぞ、キャーリサ。
       写真にも残るしな」

キャーリサ「いや、それはいいの」

詩菜「あらあら、どうして? 費用なら心配しなくても大丈夫ですよ」

刀夜「そうだぞ。父さんに任せておくといい。こんなときのためにしっかりと貯えがあるからな」」

キャーリサ「ありがとー。だがそーではない。それはいずれとーまと二人で成し遂げたいの。
       今の私の人生の目標の一つだし。そー易々と達成させてなるものか」

エリザード「ふむ。そういうことなら好きにするといい。私がくたばるまでには見たいものだがな」

キャーリサ「冗談いうな、母上などその調子ならまだ倍は長生きしそーだし。
       ま、とーまも後半年で高校卒業だし、籍は早々に入れたいが」

上条「だな。まさかこの年で子供出来て結婚することになるとは……」

キャーリサ「しかもよりにもよってお前とはね。ふふ、分からないものだ」

上条「そりゃこっちの台詞だよ。
    ……さて、女王様にお許しももらえたことだし、他の連中にも報告しないと」

詩菜「まあまあ当麻さん。そんなに急がなくてもいいじゃない。
    二人ともまだしばらくお盆休みなんでしょう? せっかくだから二人で新婚旅行にでも行ってきたらどうかしら?
    ヴィクトリアちゃんの面倒なら私が見ていますから」

赤子「あぅー?」

刀夜「そりゃいい。ぜひそうしなさい。この子がもう少し大きくなったら、夫婦水入らずで旅行なんて当分出来ないぞ」



640: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:57:40.85 ID:NoTDWB+Qo

キャーリサ「いやそーいう訳には……」

上条「そうだよ。一緒に連れてきゃいいじゃねえか」

刀夜「新婚旅行は二人のものだぞ。適度にガス抜きしながらじゃないとこれからの長い子育てに疲れてしまうからな。
    特にお前達は新婚生活もままならないうちから初めての子育てだろう?
    1泊2泊なら問題ないから行ってきなさい」

上条「そういうもんかな……」

キャーリサ「まーここはご厚意に甘えよーじゃない。
       今後子供増えたら旅行どころじゃなくなるぞ」

騎士団長「そちらも手配致しましょうか?」

キャーリサ「頼むし。ただし国内でな。海外だともし何かあったら戻って来にくいの」

騎士団長「かしこまりました」

上条「ありがとな、父さん、母さん」

詩菜「うふふ、いいのよ当麻さん。ゆっくりしていらっしゃい。
    これでヴィクトリアちゃんを思う存分可愛がれるわー」

刀夜「そうだな母さん。よーし、父さんカメラ買って来ちゃうぞー」

エリザード「それはいいですな。私もよろしいですかな?」

刀夜「もちろんじゃないですかお義母さん。ささ、皆で初孫を愛でようじゃありませんか」

エリザード「よし騎士団長。本国から撮影機材とカメラマンも呼べ!
       あと夫にも連絡を。ふふ、奴め、悔しがって自分で飛行機操縦してくるぞ」

騎士団長「それに関しては既に万端整っております。カメラはこちらに」 スチャッ

上条「……なあキャーリサ」

キャーリサ「ん、うむ……」

上条「もしかして出来るだけ長く孫と戯れたいから俺達旅行に行かされるんじゃ……」

キャーリサ「うん、私もそんな気がしている」

詩菜「うふふふふ、二人とも、 ゆ  っ  く  り    してくるのよ?」

エリザード「早く二人目も見たいぞ」

騎士団長「では新婚夫婦に人気のホテルを手配致しましょう」

刀夜「なあ当麻、父さん達も学園都市に住むのって無理かな?」

上条「無理に決まってんだろ。どうしよう……この人達ノリノリだ」

キャーリサ「待て待て母上。 写真は私と共に写すがいーの!」

上条「お前もか」

エリザード「お前の写真なんぞいらん! 孫のアルバム作るんだから邪魔だぞキャーリサ!」

詩菜「あらあら」

刀夜「よし、私はカメラ買ってくるぞ!」

騎士団長「……苦労が絶えんが、そう悪くも無いと言いたげだな、少年」

上条「……はは、まーな」



641: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 04:58:59.77 ID:NoTDWB+Qo

その夜

――――神奈川県某所 上条家 寝室



上条「ふぅ……料理滅茶苦茶美味かったな……。
    最終的には近所の人まで集まってきたし。ま、何にせよ上手くいってよかったよ」

キャーリサ「そーだな。とーまのサプライズ、驚いたがとても嬉しかったの。
       ……私は、こんなにもお前に想われて、幸せ者だな……」

上条「キャーリサ……」

キャーリサ「とーま……そっち行ってもいーか?」

上条「お……おう……来いよ」

キャーリサ「ん……」 モゾモゾ

上条「……」

キャーリサ「……ふふ、久しぶりだから緊張してるの?」

上条「い、いや……まあな」

キャーリサ「とーま」

上条「ん?」

キャーリサ「二人目、いっとくか」

上条「え……」

キャーリサ「兄弟姉妹というのも、悪く無いものだぞ……?」

上条「よ、よし。……キャーリサ!」 ガバッ

キャーリサ「きゃっ! ふふ、せっかちな奴め。ヴィクトリアを起こさんよーにな」

上条「わ、分かった……」


ガタガタッ!


上条「……ん?」

キャーリサ「どーしたとーま。……焦らすな……ん?」

上条「…………」



642: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 05:00:07.23 ID:NoTDWB+Qo

ツカツカツカ… ピシャッ!


刀夜「あ」

詩菜「あらあら」

エリザード「ふむふむ」

上条「何やってんだテメェらは!」

刀夜「こら当麻。ヴィクトリアちゃんが起きてしまうから大きな声を出すな」

詩菜「大丈夫よ当麻さん。本番が始まったらちゃんと帰りますから」

エリザード「義息子よ。キャーリサはああ見えて純情だからもっと愛の言葉を囁いてやるといい。
       さ、気にせず続きを」

キャーリサ「お、おい母上」

エリザード「……ん?」

騎士団長「…………」 ゴゴゴゴゴゴ…

エリザード「む……騎士団長か。何か用うぉあ! な、何をする! 主君を引きずるとはこ、こら!
       やめろ! 民家の中で剣を抜くのはああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

詩菜「あらあら。騎士団長さんにバレてしまっては仕方ないわね。当麻さん、キャーリサさん。
    がんばってくださいね?」

刀夜「はははは、当麻。ちゃんと結果は報告するんだぞ。じゃあな、おやすみ!」

騎士団長「失礼しました……キャーリサ様。どうぞ続きを」


ピシャッ



643: ◆S83tyvVumI:2011/05/18(水) 05:01:12.28 ID:NoTDWB+Qo

上条「…………」

キャーリサ「…………」

上条「まあその……」

キャーリサ「不幸、か?」

上条「いや」

キャーリサ「ん?」

上条「キャーリサと一緒なら、いつだって幸せだよ」

キャーリサ「……そーか――」 クスッ







キャーリサ「――私もだし。とーま」



転載元
キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」 2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301595764/
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         コメント一覧 (39)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 18:40
          • キャーリサさん2X歳
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 18:53
          • 5 これまた懐かしい

            三姉妹の中でキャーリサが一番
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 20:12
          • なげーよ
          • 4. MCC
          • 2014年10月08日 20:32
          • 5 こんな神上SSがあったとは!!
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 20:34
          • もう60回ぐらい読んだけど、これだけは何時までも飽きないわ

            キャーリサ可愛いよキャーリサ
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 21:27
          • 1 誰?オリキャラ?
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 21:30
          • 相変わらず女の顔色伺うしか能がないのな
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 21:55
          • 5 キャーリサいいね
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 22:05
          • うっわ、懐かしいな…名作だよな、これ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 22:25
          • 米9
            よなwwwクソ懐かしいわwwww
            昔超楽しく読んでたwwwww
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 23:34
          • キャーリサかわええwwwwwwだがしかし、俺は三女が一番可愛い。アックアはよ認めろ。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月08日 23:41
          • つーか、これまだまとめてなかったのか
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 00:08
          • タイトルは知ってたけどこんな長かったのかこれ
            面白かったけど
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 07:31
          • ほんと懐かしい
            初めて読んだSSだったし、未だに一番好きなSSだわ
            でも今の禁書の現状(キャーリサ・オティヌスetc)考えるとありえない展開ってのが
            時間と寂しさをかんじる…
            そんな禁書最新刊は明日10月10日発売
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 08:55
          • 5 うん
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 09:53
          • 麦野「美琴、私のものになりなよ」と同じ作者だよね

            この作者のせいで今でもむぎのんとキャーリサが一番好き
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 09:56
          • 5 まとめてくれて有難う。
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 17:54
          • 5 3年も前の作品なのか。原作に対する愛を感じる。
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月09日 22:50
          • ※1
            × キャーリサさん2X歳

            ○ キャーリサさん35歳
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月10日 05:10
          • 懐かしいな
            キャーリサ可愛いよキャーリサ
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月11日 00:58
          • 5 いいssをありがとう!
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月13日 17:33
          • 5 最高だった!
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月17日 00:28
          • 長かったが読み応えあったよ!!
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月17日 10:49
          • 懐かしいな、これ
            この調子で久々にDMCとのクロスも載せちゃおうか!!
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年11月06日 20:56
          • 5 新婚さんいいなぁ
            (´∀`)
            楽しかったです
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年12月15日 18:24
          • 5 いやー何度読んでも名作。
            キャーリサ可愛すぎるわ
            あと※6氏ね
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年12月24日 16:23
          • 5 疲れた…
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年01月16日 19:23
          • これ高校の時に読んで以来だわw
            最高のssと今でも言える
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年01月17日 19:16
          • ※26
            そう言うな、※6は禁書も見たことがないにわかなんだから許してやれよ
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年01月25日 00:57
          • えんだああああああああああああああああああああああ
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年03月14日 01:37
          • 5 久しぶりに一気読みしてしまった
            キャーリサ可愛すぎ
            何度読んでも超絶名作だわ
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月31日 05:03
          • 5 よかった。ただただよかった。
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年12月14日 05:11
          • 5 久々に読み直したけどやっぱりいいなあ
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年12月30日 21:39
          • 5 またここにきてしまった…キャーリサはいいぞ
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年07月20日 10:16
          • 5 久々に禁書SS巡りしていたら出会えた名作
            今まで上裂だったけどキャーリサもいいなw
            他のも探しに行ってくるぜ!
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年11月26日 00:16
          • 3期くるときいて
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月02日 22:14
          • 5 こんなん惚れるわ!クオリティ高スギィ!
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年12月10日 12:09
          • 5 煽り抜きで今まで読んだ全てのssの中で一番好き
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年12月10日 12:10
          • 5 煽り抜きで今まで読んだ全てのssの中で一番好き

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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