穂乃果「100万回生きたエリーチカ」
- 1 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:40:23.46 ID:GUO/TKSp0
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穂乃果「――むかしむかしのさむいところに、一匹のエリーチカがいました。」
穂乃果「白い白い雪のふる、さむいさむいところでした。」
穂乃果「エリーチカは美しい真っ白なからだをしていました。」
穂乃果「だけど残念ながら、かしこくはありませんでした。」
穂乃果「かしこくないエリーチカは、雪の中でのじょうずなえさのとりかたがわかりませんでした。」
穂乃果「やがて、こごえてしんでしまいました。だけどいちども、泣きませんでした。」
穂乃果「エリーチカはしぬときに、もっとあたたかいところがよかったわ、とおもいました。」
穂乃果「さいごまでずっと、ひとりぼっちでした。他人のあたたかさを、しりませんでした。」
穂乃果「たおれたからだに雪がふりつもり、ますます白くなりました。」 - 2 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:41:04.01 ID:GUO/TKSp0
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海未「――あるときエリーチカは、あたたかな島でうまれかわりました。」
海未「きらきらとした太陽がふりそそぐ、とてもあたたかなところでした。」
海未「まわりは海でかこまれて、波がきらきらと光っていました。」
海未「たくさんのきらきらにかこまれて、エリーチカの毛は金色に輝きました。」
海未「きらきら光る波にさそわれて、エリーチカは海にとびこみました。」
海未「しかしエリーチカはじょうずなおよぎかたがわかりませんでした。」
海未「そして海でおぼれてしんでしまいました。」
海未「エリーチカはしぬときに、もっとかしこくなりたいわ、とねがいました。」
海未「海をただようからだには、太陽の光がふりそそぎ、毛はますます金色に輝きました。」
- 3 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:41:30.58 ID:GUO/TKSp0
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ことり「――あるときエリーチカは、かしこい数学者でした。」
ことり「来る日も来る日も、計算ばかりしていました。」
ことり「地面にまぁるい図形をえがき、ほかのことには一切興味がありませんでした。」
ことり「あるひ、ひとりの兵士がエリーチカの家にやってきました。」
ことり「しかし他人に興味がなかったエリーチカは、兵士に目もくれませんでした。」
ことり「すると兵士が図形を踏み荒らしたので、エリーチカはつよく怒鳴りました。」
ことり「兵士はそんなエリーチカを激しく憎み、体を剣で貫きました。」
ことり「エリーチカはしぬときに、もっと強くなりたいわ、とねがいました。」
ことり「憎しみによって貫かれた体のあなの大きさを、さいごまで計算しながらはてました。」
- 4 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:42:00.82 ID:GUO/TKSp0
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真姫「――あるときエリーチカは、戦いの軍師でした。」
真姫「かしこいつよいエリーチカは、天才軍師とよばれ、まけしらずの連戦連勝でした。」
真姫「つよく、つよく、戦いました。勝って、勝って、まけしらずでした。」
真姫「エリーチカの心には、まだ憎しみのあながのこっていました。」
真姫「歯向かう者は容赦なくうちのめし、歯向かわない部下も容赦なくうちのめしました。」
真姫「部下たちはみんな、エリーチカがきらいでした。」
真姫「けれどもエリーチカはいっこうにかまいませんでした。」
真姫「そしてやがて部下たちは、エリーチカを焼き討ちにしました。」
真姫「エリーチカはしぬときに、もっと偉くなりたいわ、とねがいました。」
真姫「燃え上がったからだのその熱さを、つよく心に焼きつけました。」
- 5 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:42:35.49 ID:GUO/TKSp0
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花陽「――あるときエリーチカは、皇帝の娘でした。」
花陽「燃えさかる心のエリーチカは、貴族たちを掌握しました。」
花陽「権力のすべてを集め、敵対する貴族はいなくなり、贅沢の限りをつくしました。」
花陽「しかしほどなくして革命がおき、民衆たちがうごきだしました。」
花陽「民衆から憎悪のすべてを集めたエリーチカは、処刑されてしまいした。」
花陽「エリーチカはしぬときに、もっとたくさんの人に愛されたいわ、とねがいました。」
花陽「ギロチンの刃はとてもつめたいとかんじました。」
- 6 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:43:04.98 ID:GUO/TKSp0
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凛「――あるときエリーチカは、美しいバレリーナでした。」
凛「バレリーナエリーチカは、たくさんの人々から愛されました。」
凛「雪のように白い肌で、太陽のようにきらきらした髪をなびかせて踊りました。」
凛「計算されつくしたステップを踏み、コンクールではまけをしらず、人気のすべてを集めました。」
凛「たくさんの人々から愛され、たくさんの人々から求愛されました。」
凛「たくさんの人々が、エリーチカに手をさしのべました。」
凛「だけどエリーチカは、だれの手もとりませんでした。他人の手をさわりたくなかったのです。」
凛「とうぜん、ほかのバレリーナたちはおもしろくありません。」
凛「嫉妬にかられたバレリーナたちは、エリーチカのくつにがびょうをいれました。」
凛「なにもしらずにくつをはいて、エリーチカはがびょうをふんでしにました。」
凛「エリーチカはしぬときに、もうふつうの生活がしたいわ、とねがいました。」
凛「かしこさも、つよさも、人気もなにも、いらないわ。」
凛「あしのうらが、ちくちくしました。」
凛「白い肌と金色の髪だけが、のこりました。」
- 7 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:43:38.39 ID:GUO/TKSp0
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にこ「――あるときエリーチカは、ふつうの女の子でした。」
にこ「エリーチカはうまれてはじめて退屈しました。」
にこ「また戦うことにきめたエリーチカは、生徒会長になりました。」
にこ「また心が燃えさかり、だれもよりつかなくなりました。」
にこ「そしてスクールアイドルの踊りを見ました。」
にこ「バレリーナだったエリーチカには、素人にしか見えませんでした。」
- 8 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:44:08.29 ID:GUO/TKSp0
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希「――やがてエリーチカはひとりの女の子にであいました。」
希「その女の子は踊りをみせてほしい、とエリーチカにたのみました。」
希「踊ろうとしたら、エリーチカのあしのうらがちくちくしました。」
希「いたみにたえきれなくなったエリーチカは、たまらずそこから逃げ出しました。」
希「しかしちくちくは、どんどん、どんどん大きくなり、エリーチカの心にまたあながあきました。」
- 9 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 02:44:41.58 ID:GUO/TKSp0
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絵里「――エリーチカはいたくて泣きました。うまれてはじめて、泣きました。」
絵里「エリーチカはこごえてしにそうでした。いまだ他人のあたたかさをしりませんでした。」
絵里「ひとりでこごえて、ふるえていると、そこに女の子がやってきました。」
絵里「そして女の子はエリーチカに手をさしのべて、太陽のようにほほえみました。」
絵里「まわりを見ると、きらきらとした波が光っていました。」
絵里「……エリーチカは手をとりました。」
絵里「その手はもう、ふるえていませんでした。」
絵里「エリーチカははじめてひとの手のあたたかさをしりました。」
絵里「気づくともう、心のあなはふさがっていました。」
絵里「それに気づいたエリーチカは、また、声を上げて泣きました。」
ぱたん
穂乃果「おわりだよっ!」
- 16 : ◆vBUjk2/8AIoZ 2014/06/28(土) 09:45:01.95 ID:GUO/TKSp0
- あるときはツンチカ、あるときはデレチカ。
あるときは敵チカ、あるときは幼馴染チカ。
漫画チカに、SIDチカ。一期チカに、二期チカ。
あるときはかしこいエリチカ、あるときはかしこくないエリチカ。
みんなから愛される、たくさんのエリーチカ。
かしこいかわいいエリーチカ。
9人で9レスの小作品でした。
ありがとうございました。
転載元
穂乃果「100万回生きたエリーチカ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403890823/
穂乃果「100万回生きたエリーチカ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403890823/
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コメント一覧 (20)
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- 2014年06月28日 18:40
- なんだよこれセンスあんな
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- 2014年06月28日 18:55
- 雰囲気がいいね
しかもなぜか脳内再生余裕だった
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- 2014年06月28日 19:38
- ええやん!
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- 2014年06月28日 20:09
- シンプルながらなかなかくるものがあった
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- 2014年06月28日 20:14
- シンプルながらもいい話ですね
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- 2014年06月28日 20:14
- すごい(小並感)
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- 2014年06月28日 20:22
- センスあるやん、乙
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- 2014年06月28日 20:30
- 賢い!可愛い!
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- 2014年06月28日 20:54
- いい…
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- 2014年06月28日 21:44
- なんてすごいんだ…(恍惚)
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- 2014年06月28日 22:48
- 世界史上の偉人達に転成していたのか
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- 2014年06月28日 23:46
- ぅゎヶひ゛ょぅっょぃ
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- 2014年06月29日 00:11
- 画鋲を踏んで死んでしまうエリーチカ可愛い
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- 2014年06月29日 00:49
- これはかしこい
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- 2014年06月29日 12:17
- \(^o^)/ハラショー!!!
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- 2014年06月29日 13:36
- 破傷風の症状はヤバすぎてワロエナイ
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- 2014年06月29日 14:51
- 画鋲を踏んで死ぬ......感染症に罹ったんだろうけど唐突すぎて草
なんにしろ面白かった、元ネタ多少しか分からんかったけど全部分かった人はもっと面白く感じれたやろなぁ
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- 2014年07月06日 13:20
- どこぞのボスみたいに彼女はこれからも死に続けるのだろうか
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- 2015年12月14日 01:07
- 裏設定としてあっても違和感ないくらいによく出来てると思いました(小南)
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- 2016年05月30日 14:56
- かしこかわいい>>1チカ