P「廃村に響く」【前半】

1 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:27:57.81 ID:fJtZQ6WZ0

諸事情でこちらでラストを書かせていただきます
ここだと初めての方もいらっしゃると思うので、廃村ssリプレイとして書かせていただきます




3 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:29:24.05 ID:fJtZQ6WZ0

P「あー、随分と遅くなっちゃったな……」

響「もう日が傾きかけてるぞ。ちゃんとホテルまで戻れるのか?」

P「さあなぁ。一応9時前までにはホテルに着くハズなんだけど」

響「うぅ。僻地のロケとは聞いてたけど、まさかこんな山奥だったなんて……」

P「最寄のホテルから片道3時間って、とんでもない場所だったな」

響「それにしても薄暗いぞ。プロデューサーは運転大丈夫なのか?」

P「まあ大丈夫だよ。暗くとも山道の運転は慣れてる」

響「そっか。にしても、周りは廃墟や森ばっかりだし、ちょっと不気味だぞ……」

P「昔に廃村になったんだろうなぁ。ところどころ人の住んでた形跡も見られるし」

響「こういう場所にも人は住めるんだな」

P「まぁ、どんな僻地にも人は住んで……いや、住んでいけたものなんだよ。……おや?」 ズズ...

響「? どうかしたのか?」

P「いや。アクセル踏んでるのに段々と車のスピードが落ちてきてるんだよ……」 ズズズ...



7 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:30:33.17 ID:fJtZQ6WZ0

響「えっ。こ、故障か!?」

P「わからん。ブレーキを踏んでるわけじゃないんだが、一体どうなってんだ?」

響「えっ。えっ。こんな場所で立ち往生なんて嫌だぞ!」

P「わかってる。どこか開けた場所に停めて、様子を見てみない限りには……」

響「あ、日がもう落ちちゃう……」

P「おっ。あそこは学校跡か? ちょうどいい。あそこに停めて車の様子を見よう」

響「なんでよりにもよって廃校にー?!」

P「いくら人通りの少ない道でも、道路のド真ん中で停めるわけにはいかないだろ。――っと、ここでいいか」 キッ



10 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:32:12.54 ID:fJtZQ6WZ0

響「学校跡……。思った以上に大きいぞ」

P「造りはしっかりしてるな。思ったより近年に建てられたものなのかもな」

響「昔はここにも沢山の人が住んでいたんだね」

P「だな。さて、ちょっと車の様子見てくるから中で待っててくれ」 ガチャッ

響「あ、待って。自分も車降りる……」 イソイソ

P「ん? 別にエンジンは切らないから乗ったままでもいいんだぞ。外寒いだろう」

響「いいからっ」

P「そうか? まぁ、わかった。少し外の空気でも吸ってリラックスしてな」

響「うん……」



12 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:34:31.34 ID:fJtZQ6WZ0

P「さーてと。何が悪いんだか」 ガチャリ

P「んー? 問題なくエンジンは動いてるよなぁ。ガスも残量問題なし、と」

P「オーバーヒートしてる訳でもなしに、おっかしいなぁ。何がいけないんだ?」 ハテ?

響「日が沈んでいく。こんな場所からでも夕焼けは見えるんだな」

P「ん? そうだな。なかなか綺麗だなぁ。こんな状況じゃなきゃ写真の一枚でも撮ってるところだ」

響「でも綺麗な夕焼けなのに、今だと不吉に見えちゃうぞ……」

P「はは、心細いか?」

響「そ、そんなことないぞ! ただちょっとそう思っただけで……!」 アセアセ

P「だな。響は完璧だから怖くなんかないもんな」 ハッハッハ

響「当たり前だぞ! 怖くなんか……っぷ!」 ゴォッ

P「うわっ! すげぇ突風! やっぱ山間だと風も強いのか」 ブワワー

響「ひゃー。すごい風だったぞ。髪がぐちゃぐちゃさー」

P「だな……。ん? ありゃ?!」 バッ

響「ど、どうしたんだ? プロデューサー」

P「今のが原因か知らんが、エンジンまで止まっちまった……」



13 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:35:50.63 ID:fJtZQ6WZ0

響「えぇー!? ど、どうするんだ!?」

P「……ダメだ。エンジン廻そうとしたけど、まったく反応がない。電気系統もオシャカか」

響「そ、そんなぁ! どうするのさ、プロデューサー」

P「仕方ない。ホテルで待機してるスタッフを呼ぼう。車は置いていくことになるけど仕方ない」 ピッピッピッ

響「うん……。仕方ないけどそれしかないよね」 ホッ

P「……おかしいな。繋がらない」 ツー ツー

響「んなっ!?」

P「えーっと、圏外……か。しまったなぁ。こんなことならGPS付きの持っておけばよかった」

響「け、圏外!? 嘘っ! ……ほ、本当だったぞ」 ピッ ピッ

P「一応歩いて人家のある場所まで出るのも悪くはないかもしれないが、夜道にあの距離は流石になぁ」

響「でもここら辺に頼れる家も見つからないし……」

P「しゃーないけど、ここで一晩明かすしかないな。夜が明けたら歩いてここを抜けるしかないか」

響「こっ、こここここんなところで一晩過ごすのか!? じ、自分は嫌だぞ!」 ブルブル



15 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:37:29.11 ID:fJtZQ6WZ0

P「仕方ないだろ。こうなっちゃったんだし……」

響「で、でも……。ねぇ。何とかならないのか?」

P「うーん……。まぁ、そこまで言うなら俺一人で歩いて助けを求めに行くってのもありだけど」

響「なんだ、その手があったか……って、一人で? 一緒じゃダメなのか?」

P「そりゃダメだろ。夜にあんな悪路をお前に歩かせるわけにはいかない。怪我でもしたら大変だ」

響「で、でも一人でここに残すよりか一緒にいった方が……」

P「ここら辺は、まったく人の気配がしないし大丈夫だろ」

響「もしものこととか……」

P「その時はカギをかけて閉じこもっておけばいい。食べ物も毛布も積んであるし、安心安全だ」

響「うぅ~……。で、でも嫌だぞ! プロデューサーにもしものことがあったら大変だし」

P「しかしそうしなきゃ、ここで一晩過ごすことになるんだぞ?」

響「うぅ~……。が、我慢するぞっ!」

P「そうか? まぁ分かった。じゃあここで朝まで待とう。運がよければスタッフが気付くかもしれないし」

響「ほっ……」



19 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:39:29.87 ID:fJtZQ6WZ0

P「じゃあ、俺は使える部屋がないか学校の中を見てくる。響も車に戻ってろ」 ポンポン

響「なっ! 何で学校の中に? 車があるじゃないか!」

P「ん? あぁ、お前は車の中でいいぞ。でも俺の寝る場所を確保しなきゃならんからな」

響「うが? プロデューサーも車で寝るんじゃないのか?」

P「んなわけないだろう。車とはいえアイドルと寝る場所を共にするのは、な」

響「ででででも、緊急事態なんだし……。自分は気にしないというか……」 モジモジ

P「ははは。まぁ部屋が使えそうになければ、最終手段として、な。っと、そろそろ本格的に暗くなってきたな」

響「校舎が一層不気味に見えてきたぞ……」

P「じゃ、俺は探索にいくから、響は車で待ってろ。一応鍵はかけているんだぞ」



23 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:41:49.10 ID:fJtZQ6WZ0

響「ま、待って! 自分も行くぞ!」

P「? どうした。電灯の予備はまだあるから使っててもいいのに。もしかして怖いのか?」 ケラケラ

響「ち、違うぞ! プロデューサー鈍くさいから、転んで怪我でもしたら大変だと思って――」

P「そりゃありがと。でも俺はお前が怪我するかの方が心配だから、やっぱ車に戻ってろ。な?」

響「で、でもぉ……」

P「なぁに。ちょっと見て回るだけだから10分ほどで戻るよ」

響「本当か? や、約束だぞ!」

P「ん。約束だ。さ、身体が冷えないうちに車に入ってろ」 コツコツ

響「本当に行っちゃった……」

響「で、でも10分くらいで戻るって言ってたし、大丈夫だよね」

響「うぅー……。怖くなんかないぞ、怖くなんか……」 ブツブツ



27 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:46:12.70 ID:fJtZQ6WZ0

-10分後-

響「10分経ったぞ。プロデューサー遅いな。迷ってるのかな」

響「でもプロデューサーと約束したし……」

響「ちょっと外に出て呼びかけてみるくらいならいいよね……」 ガチャッ

響「おーい! プロデューサー! 10分経ったけどまだ戻ってこないのかー?」

響「……」

響「け、怪我でもしちゃったのかー? 助けがいるなら行くぞー!」

響「……」

響「返事がない……。ど、どうしよう」 ブルブル

響「で、でも何か中でトラブルがあったのなら大変だし、自分が何とかしなきゃ……!」

響「えっと、懐中電灯のスペアが……。あ、あったぞ」 ゴソゴソ

響「怖くなんかない……。怖くなんかない……。よしっ!」

響「プロデューサー! 自分も今からそっちに行くぞー! 約束破ったそっちが悪いんだからなー!」



30 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:48:22.66 ID:fJtZQ6WZ0

- 玄関 -

響「うぅ……。やっぱ中は暗いぞ。でも思った以上に散らかってはないみたい」

響「あ、学級新聞が張り出してある。すごいぞ、廃校後もずっと朽ちずに残ってたのか」

響「なになに? 『がっこうだより 1989年 9月号』? 25年くらい前の学校なのか……」

響「よく見ると、ところどころ落書きがしてある……。こんな場所でもやっぱ誰か人は来るんだな」

響「うー。怖くない……。怖くない……」 スーッ

響「プッ、プロデューサー! いたら返事してほしいんだぞ――」

           ガシャンッ!!!!

響「うわあああぁぁぁぁぁぁっ!」 ビクーン

響「な……なんなんだ? 誰か、プロデューサー、そこにいるのか?」 ブルブル

響「いっ。いるのなら意地悪するのはやめてほしいぞー……」 ビクビク

響「おぉーい。ぷ、プロデューサー」 チラッ



32 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:49:45.39 ID:fJtZQ6WZ0

響「あれ、誰もいない……。じゃあ今の音って一体何が――」

         ゴトッ

響「ひゅいっ!?」 ビクッ

響「こ、こここ今度は一体なにさー!? 一体なにが……」

響「……? これって、石碑? なんでこんなところに」

響「あ。よく見たら片側が欠けてる……。もしかして入ってきたときの風で倒れちゃったのかな」

響「な、なぁんだ。風かぁ! やっぱそうだよね。おばけなんていないよね」 ホッ

響「でも何の石碑だったんだろ。記念碑……じゃないよね」

響「そもそもここ玄関だし、石碑を置くにしては変だもんな……。えっと、何て書いてあるんだろ」 ナニナニ

響「『九人……犠牲……悼み……』? 暗いし読みにくいしでよくわかんないぞ」

響「そうだ。そんなことよりプロデューサーを探さなきゃ……」



33 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:50:58.29 ID:fJtZQ6WZ0

響「窓は割れてるけど、破片はあまり散らばってないなぁ。誰か掃除でもしてるのか?」

響「えっと……。あれ、案内板がある。ここ来客用の玄関だったのかな」

響「なになに……? 右が北校舎。左が職員舎。正面まっすぐで中庭、越えたら体育館か……」

響「ど、どうしよう。早くプロデューサーを見つけて戻りたいぞ……」

以下行動安価 → 正面まっすぐ行ってみる



34 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:51:41.91 ID:fJtZQ6WZ0

-中庭-

響「声が聞こえなかったのなら、きっと一番離れている体育館にいるはず……」

響「うぅ。中庭に出たけど、草生えっ放しなのか。ボーボーじゃないか」 ウプッ

響「それに北校舎の教室全部から中庭を見下ろせるから、なんだか不気味でいやだぞ……」

響「あれ。ここにも石碑が建ってる。なんなんだろ、こんなにいっぱい」

響「……やっぱ雨風に晒され続けてたのかなぁ。書いてある字が読めないや」

響「ん? あれ。よく見たら変な箱が石碑の下に挟まってる。なんだろ?」 グイッ

響「……うが。抜けないや。放置して進もうっと」 テクテク



36 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:52:55.57 ID:fJtZQ6WZ0

-中庭 渡り廊下-

響「……あれ。体育館からなんか聞こえる?」

             ...-ン ターン...

響「……ボールをつく音? もしかしてプロデューサー、一人で遊んでたのか?」

響「んもぅ! 心配して損したぞ! 怖いの我慢してここまで来たのに、まさか遊んでるなんて――」 カツカツ

響「おーい! プロデューサー! 約束守らないで遊んでるってどういう――!」 ガチン

響「……? あれ。扉が開かない。鍵かかってるのか?」

             ターン...ターン...ターン...   ピタッ

響「あ、音が止んだ……。プロデューサー! 気付いたのならここを開けるさ!」 ドンドン

響「……むぅ。全然開く気配がないぞ」

響「プロデューサーも意地悪なんだからー」 プンスコ


行動安価 → 体当たりして扉を開ける



37 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:53:43.64 ID:fJtZQ6WZ0

響「金属っぽい扉だけど、蝶番が緩んでいるのなら……!」 ドーン!

響「おっ。やったぞ! 少し凹んだ! この調子で体当たりを続ければ!」 ドーン

響「うりゃー! プロデューサー、堪忍するんだぞー!」 ドン ガシャン

響「うわっ……と。やった、開いたぞ! ……って、あれ?」

          ガラーン

響「なんで誰もいない……。も、もしかしてどこかに隠れたのか?」

響「プロデューサー! 返事してほしいぞ! 意地悪なら――っと、うわぁっ!」 ツルッ ドシン

響「痛たた……。なんだ、足に何か――」


       コロコロ....


響「あれ。これって、鞠? もしかしてさっきまでの音って鞠つきの音だったのか?」

響「……」

響「そ、そうだ。どこかに隠れてるプロデューサーを探さなきゃ」



39 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:55:08.96 ID:fJtZQ6WZ0

響「うぅーん。広すぎて流石に体育館全体を照らせないぞ……」

響「今見える範囲にあるのは――壇上の上に行く階段と舞台袖への通路」

響「それと更衣室の扉があるぞ。後は外へと続く扉が――ってあれ?」

響「……よく見たら体育館の扉って、内側から針金で固定されてたのか?」

響「じゃあプロデューサーはどうやって中に入ったんだろう……?」

響「……」

響「いやいや! おばけなんているわけないし、きっとどこかから入ったに違いないぞ!」

響「でも……そろそろ見つけたいぞ」


行動安価 → 更衣室を見てみる



42 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:57:50.03 ID:fJtZQ6WZ0

-更衣室-

響「変態なプロデューサーのことだから、きっと更衣室にいるはず!」

響「おーい、プロデューサー! いい加減にするんだぞ!」 ガラッ

響「……誰もいない」

響「変だなぁ。ここにならいると思ったのに……あれ?」

響「なんだろ。新聞の切り抜き? なんでこんなものが置いてあるんだろ」 ペラッ

『×月12日未明、西××くんが遺体で××された事件において、×村 博(37)を殺×の疑いで逮捕×た』

『容疑者××郎くんの臓器、骨×を××した後、学××人体模××よ×に組××××』

『被×者は××郎くん以外にも多数いるとみられ、警察は引きつづき×××……』

響「ところどころが読めなくなってるけど……これって……」



43 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:59:19.74 ID:fJtZQ6WZ0

響「そ、そうだ。こんな記事どうでもよくて、早くプロデューサーを見つけないと」

響「……あれ? ロッカーの片隅にも変な紙切れが……。今度はノートの切れ端?」

『も×だめだ。××先生が私を探してる。足音も×くできこえる』

『どうせ×げるなら舞台そでの方ににげ×ばよかった』

『こういし×はいってきた。ロッカーあ×られたらばれるたすけ』

響「……? かくれんぼしてた子の書置きか?」

響「うーん、薄暗くてよくわからないけど、もう人の隠れられる場所は全部見たかなぁ」

響「もうこの部屋には何も手がかりはないみたいだぞ……」

行動安価 → ロッカーを開けてみる



44 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 22:59:52.65 ID:fJtZQ6WZ0

響「念のためロッカーをもう一度開けてみるかぁ」 ガチャッ

響「……やっぱ誰もいないぞ」

響「ん? さっきは気付かなかったけど、よく見たら紙切れが落ちてた場所、ちょっと黒ずんでるぞ?」

響「なんだろ。夏休み中濡れた水着置きっぱなしにしちゃったのかな」

響「とりあえずプロデューサー探しに戻らなきゃ」

行動安価 → プール



46 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:00:16.81 ID:fJtZQ6WZ0

響「あれ。こっちの扉から向こう行けばプールがあるんだ」

響「プロデューサーがもし体育館に隠れてるのかわからないけど……」

響「でも舞台袖の扉を開けるような音は聞こえなかったし――」

響「もしかして扉を体当たりしたのを見て、不審者が襲ってきたと勘違いしたのか?」

響「それでプロデューサー怖くなってこっちに逃げちゃったとか……」

響「……ありえるぞ。もう少し穏便にあければよかったぞ」

響「とりあえずプールの方へ行ってみようっと」



48 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:00:59.11 ID:fJtZQ6WZ0

-プール-

響「……とは言っても、やっぱ誰もいないぞ。苔や変な植物まみれで入りたくないし……」

響「うーん。プロデューサー、プールに入らないで、そのままどこかへ逃げちゃったのか?」

響「……」 ウーン

響「あれ? プール脇に備え付けの倉庫っぽい場所があるぞ。入ってみよ」 ガラッ

                  シーン

響「……やっぱ誰もいない。プロデューサー、どこにいっちゃったんだろ……」 クルッ

                  ゴボッ!! ゴボボッ!!!!

響「う、うわぁ! なんだ急に!?」 ビクッ

響「……プールの方から聞こえたぞ。水音? よく分かんないけど、そんな音が……」

響「……」



50 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:02:10.68 ID:fJtZQ6WZ0

響「お、おーい、プロデューサー……。何かあったのかー?」 チラッ

               シーン...

響「別に何もないみたい……。気のせいだったのかな」

響「もしかしたらヘドロが水道に詰まってたのが、扉を開けた衝撃で動いただけなのかもしれないし――」

響「うん、気のせい気のせい!」 ウンウン

響「気のせいとわかればこんな場所に用はないぞ。早くプロデューサーを見つけなきゃ」

響「……でもどこにいるんだろ、プロデューサー……」

響「たった30分ほど会ってないだけなのに……」

響「……」

響「や、やばい。ちょっと心細くなっちゃったぞ」


行動安価 → 保健室



51 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:03:52.36 ID:fJtZQ6WZ0

響「そ、そうだ、保健室! 寝る場所確保するのなら保健室に向かうはず!」

響「ふっふっふ。やっぱり自分は天才さー! これでプロデューサーを見つけて車に戻れるぞ!」

響「……」 チラッ

響「でも結局、あそこで鞠をついてたのって誰だったのかな……」

響「いや。そんなこと気にしてる場合じゃないぞ!」

響「えっと……。保健室だから、きっと職員舎にあるよね。1階のどこかに――」 テクテク

響「おーい、プロデューサー……」 テクテク






                                  .....ゴボッ



52 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:05:25.06 ID:fJtZQ6WZ0

-保健室前廊下-

響「あったぞ。擦れてるけど、保健室って書いてある」 ホッ

響「鍵は――」 ガチャン

響「開いてないぞ。案の定というかなんというか……。中にいるのかな?」

響「おーい、プロデューサー! 中にいるのかー?」 コンコン

響「さっきは驚かせてごめんだぞー! もし中にいるならあけてほしいぞー!」 コンコンコン

響「……」

響「反応なしかぁ……。本当にいないのかな――」

                             ――ピンポンパンポン♪

響「!!!!」 ビクッ

響「ほ、放送チャイム? 何で急に――」

??『――……』 ハァー ハァー    チキチキ

??『――――! ―――……』 チャクッ   クチュッ

響「な、なんなんだ一体。変な息遣いと声が聞こえたけど」

響「も、もしかして……プロデューサー?」



53 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:06:06.92 ID:fJtZQ6WZ0

??『――……ァ』 ガポガポ...

                ――ピンポンパンポン♪

響「も、もしかして怪我してるのか? す、すぐに行かなきゃ!」

響「あ、でももしかしたらおばk……じゃなくてっ! 不審者だったら大変だし」

響「そもそもチャイムならすくらいなら、さっきの自分の呼びかけに返答すればいいだけだし――」

響「……い、いったいどうしたら」

行動安価 → 大声でPを呼ぶ



54 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:06:42.35 ID:fJtZQ6WZ0

響「そ、そうだ。こんな時に大声で呼べば判断がつくはず……!」 スゥゥゥゥッ

響「おーい!! プロデューサー!!! 何かあったら声で返事を返してくれー!!!!」

響「……」 ハァ...ハァ...

                     シーン...

響「……へ、返事がない。どうなんだろう。大声が出せないくらいの怪我をしてたら――」

響「でも、その時はもう一度チャイムを鳴らして放送で声を聞かせればいいのに」

響「うぅっ。ど、どうしよう。どうすれば……。や、やっぱ行くべき」

                                      バタンッ

響「!? 」 ビクッ

響「……い、今の音はドアを閉める音? ちょっと遠くの方で聞こえたけど」

響「いったい何が起こってるんだ? なんで自分がこんな目にあってるんだ?」 ウゥ...

響「プロデューサー……どこにいるんだ……?」 ジワッ

響「っ!! だ、だめだ。こんなんで泣いてちゃ、プロデューサーに笑われるっ!」 グシグシ

響「周りをみて行動しなきゃ。不審者だったら逃げなきゃいけないし」



55 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:07:19.01 ID:fJtZQ6WZ0

響「声は聞こえなかったし、誤作動でチャイムなったのかもしれない……」

響「扉の閉まる音も、風の勢いで閉まっただけなのかもしれない……」

響「よし。そう考えれば怖くなくなってきたぞ」 ヨシヨシ

響「目の前には施錠された保健室。右に進めば体育館とプールへの通路」

響「左は職員室と標識のない変な部屋。階段と倉庫。そこを抜ければ再び玄関ホール」

響「後ろに下がれば北校舎への道……」

響「どうしようか」


行動安価 → 一旦、車に戻る



56 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:07:51.29 ID:fJtZQ6WZ0

響「……そうだ。単に入れ違いになってるだけなのかもしれないぞ」

響「もしかしたら車に戻ってるのかもしれない」

響「もしかしたら、車に自分がいないのを見て、村の方を探しに入ってるのかもしれないし……」

響「そうだ。きっとそうに違いないぞ!」

響「うぅ……もう少し自分が辛抱して待っていれば……」 ショボン

響「と、とにかく車に戻らなきゃ。もしかしたらプロデューサーも待っててくれてるのかもしれないし」 タッタッタッ



57 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:08:51.60 ID:fJtZQ6WZ0

-玄関-

響「あった、車! ……でもここから見る限りだと車には誰もいないなぁ」

響「まぁいいぞ。懐中電灯も心許なかったし、とりあえず車に戻って休憩を――」

響「……ん?」 チラッ

響「あの壁新聞、最初見たときよりもボロボロになってるような――」

響「……」 ブンブン

響「い、今はそんなこと気にしてる暇はないぞ! 車に戻らなきゃ」 テクテク

響「ふぅ……ふぅ……」 スタスタ



58 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:09:27.40 ID:fJtZQ6WZ0

-外 車前-

響「車には――やっぱ誰もいないぞ」 ガックリ

響「どこいっちゃったんだろう、プロデューサー……」

響「とりあえず、中に入って落ち着くかぁ」 ガチャッ

響「……って、あれ? あっ! よく見たら何か置いてあるぞ!」

響「なんだろ……って、これって自分の携帯じゃないか! どうしてこんなところに……」 バッバッ

響「確かにポケットに入れておいたハズなんだけどなぁ」

響「もしかして車を出るときにポケットから落ちちゃったのかな」

響「うがー。なんてぬか喜び……? あれ?」 カチャカチャ

響「……知らない音声が録音されてるぞ。録音時刻は――2分前? ほんのついさっきじゃないか」

響「……」



60 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:10:15.74 ID:fJtZQ6WZ0

響「と、とりあえず再生して聞いてみようかな……」 カチャッ

P『あれ。確かにこっちから響の声がしたと思ったんだけどな……』 ガガガッ

響「この声! プロデューサー!? やったぞ! プロデューサー無事だったんだ!」

P『んー……。 車の中にはいないし、どこいったんだろ。とりあえず無事ならいいんだが――』

響「自分、プロデューサーに心配かけちゃってたのか……」 ウゥ...

P『とりあえず村の方をもう一度……いや、やっぱ学校の中にいるのか?』

P「もしそうなら、瓦礫とか少ないが怪我の危険もあるし、急いで見つけなきゃな」

響「……? あれ。これプロデューサー、録音しているのに気付いていないのか?」

P『怪我とかしてないだろうか。無事でいてくれよ……』 ガガガッ

                 ガガガッ     ガチャッ

響「録音が終わった……。これが2分前なのか?」



61 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:11:04.75 ID:fJtZQ6WZ0

響「2分前、ちょうど職員舎を駆け抜けてる頃合だったかな」

響「うぅ~……。本当に入れ違いだったんじゃないか」

響「で、でもこれでプロデューサーが校舎内にいることは確定したし、大声を出せば気付いてくれるかも」

響「そうと決まれば……どうしよう」

響「ここで待ってる方が一番安全だし確実だろうけど……」

響「でもあの変な録音、プロデューサーが録った物はないのなら、一体誰が……?」

響「……」 ブルブル

響「しゃ、車内はもう安全じゃないのかも……」


行動安価 → 校舎に戻る



62 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:12:08.05 ID:fJtZQ6WZ0

響「でもやっぱ録音のことが不気味すぎるぞ……」

響「こんな状況なら、できるだけ早めにプロデューサーと合流したほうが安全かも」 ガチャッ

響「とりあえず校舎に戻ろう。玄関までなら別に問題はないよね……」 テクテク

響「……」 ピタッ

響「ついでだからごはんと水も少し持っていこうかな」 クルッ    ガサゴソ

響「今度は携帯電話も忘れずに持ってっと……」

響「プロデューサー。早く会いたいぞ~」 スタスタ



63 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:12:48.78 ID:fJtZQ6WZ0

-玄関-

響「ここまで戻ってきたぞ……」

響「ここで大声を出せば気付いてくれるかな……?」

響「いや、でも本当に変質者がいたら、声に気付いて襲ってくるかもだし……」

響「うぅ……。ここでじっと待ってるのも悪くはないかもしれないけど――」

響「とりあえず行動あるのみだぞ」

行動安価 → 謎の部屋



64 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:15:02.17 ID:fJtZQ6WZ0

響「……もしかして、これはドッキリ企画で、どこか変な部屋から観察してるとか!」

響「もしそうなら、放送機材を持ち込みの手間を考えても、1階のどこかに隠し部屋があるはす!」

響「そうと決まれば探して――」

響「……」

響「……そんなわけないか。そうなら体育館のドアに体当たりした頃にストップが入るはず」

響「はぁ。どうしようかなぁ」



行動安価 → リボンを拾う



65 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:15:49.46 ID:fJtZQ6WZ0

響「……こんな所にリボンが落ちてて」

響「ミスに気付いて慌てて春香が飛び出してきて――」

響「はい、ドッキリでしたー……なんていってくれたら、どんなに楽かなぁ」

響「……だめだだめだ。プロデューサーが無事だからってなんだか変な思考になっちゃってる」

響「もう一度気を引き締めて、どう動くかを決めなきゃだぞ」

行動安価 → 放送室へ



66 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:16:17.29 ID:fJtZQ6WZ0

響「……そうだ。録音中にプロデューサーは自分の声を聞いたって言ってたぞ」

響「なら放送の内容はともかく、チャイムは耳にしたはず」

響「勝手に動くのはよくないかもだけど、いる可能性が高いのなら、こっちから様子を見てこなきゃ」

響「もし、プロデューサーがいなければ、自分がチャイムを鳴らしてプロデューサーを呼べばいいんだし」

響「鍵が空いてるかはわかんないけど……。よしっ!」 パンパン

響「いくぞぉ!」 テクテクテク



67 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:17:24.30 ID:fJtZQ6WZ0

-階段-

響「1Fになかったのなら、多分二階なんだろうなぁ」 カツン

響「造りはしっかりしてるし、崩落の危険は考えなくていいよね……」 カツン カツン

響「? お。階段の踊場にも学級新聞が貼ってあるぞ。題名は……『学級オカルト』? 昭和臭のする名前だなぁ」 ドレドレ

『新聞で目に×た生徒も×いだろうが、×月末、タイムカ×セルに詰めら×た××の遺体が見つ×った』

『犯×を×ったのは、なんと2×年前卒業した第×期卒××6-4のクラス全員! ……との噂が××ている』

『警×にはちょうど時効×に掘り出×よう計画され×と××が、警察はこの事件の真相を×××』

『実は記憶に新しい、×年度卒業した生徒×行方×明事件。筆者は××も同じように××されたと見て、×××』

『次回はその××たタイ××プセルを探し当て、事件の真相を暴××……』

響「……」

響「この学校、いろいろヤバいんじゃないだろうか……」

響「っと、早く放送室を探さなきゃ!」 カツン カツン



69 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:26:18.49 ID:fJtZQ6WZ0

-放送室前-

響「ここかな。擦れているけど、ここが放送室で間違いないぞ」

響「さて。じゃあ鍵は……。あれ、開いてる?」 クルッ

響「……これは行くしかないのかな」 ゴクッ

響「……」 ドキドキ  カチャ

響「おじゃましまーす。おーい、プロデューサー……」 キィィィィッ

響「……」

響「暗くてよく見えないぞー。誰か~……。プロデューサー……」

                     シーン...

響「……電気は点くのかな」 カチカチ

響「点かない……。チャイムが鳴らせるのなら、点くと思ったのに……」

響「人の気配も感じないけど……。一応中を見ておくぞ」 ガタン



70 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:27:24.44 ID:fJtZQ6WZ0

響「うぅ……。機材で部屋がぐちゃぐちゃだぞ……」

響「それでも何とか放送をすれば、プロデューサーに気付いてもらえるはず!」 ンショ ンショ

響「えーっと、放送機材はどこなのかなー……」 ゴソゴソ

                           ジャー  ゴボゴボゴボ...

響「!!!」 ビクッ

響「い、今の音なんだ!? ちょうど上の階から聞こえたような……」 オドオド

響「トイレの水道音に似てたけど、上の階に誰かいるのか?」

               カツ-ン    カツーン

響「足音……。階段を下りてくる?」

             カツッ コツッ  カツッ コツッ

響「うわわ、足音が近づいてくる! こ、これはプロデューサーなのか? それとも――」

             カツッ コツッ カツッ コツッ カツッ コツッ

響「わわっ。だんだん早足に……! ど、どうしよう!」


行動安価 → 飛び出して正体を確かめる



71 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:29:04.91 ID:fJtZQ6WZ0

響「おばけなんかいない……おばけなんかいない……!」

響「そうだ。おばけなら足音なんてしないはず! だって足がないし!」

響「それなら生きている人間! プロデューサーの可能性だってあるし……!」

           カツッ コツッ カツッ コツッ カツッ コツッ

響「うぅ。少し怖いけど……。このモップを持って飛び出せば……!」 カチャッ

響「……」 スーハー スーハー

響「……よしっ!」 グッ

        カツッ コツッ        ガチャッ

響「や、やあああああ!」 バッ

        ピタッ...

響「……? 足音が止まった? 誰かそこにいるんだろ? 返事してくれー」 オーイ

響「……返事がない。でも暗闇の向こうにぼんやり人影が見える……」

響「うぅ。懐中電灯の光がギリギリ届かない……。おーい、プロデューサー。プロデューサーなんだろー?」 ジリジリ



72 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:29:52.81 ID:fJtZQ6WZ0

響「んん……? 暗くてよく見えない……けどあれは――裸?」

響「も、もしかして変質者? うぅ。へ、返事をしろぉ~……」 ビクビク

響「こっちは武器だってあるんだぞー……。こ、降伏しろー!」 ジワッ

                  ガシャンッ!!!

響「うぎゃー! や、やめろー!!」 ブンブン

響「くるなー! くるなー! あっちいけー!」 ブンブン

響「ひっ……ひっ……。あ、あれ?」 グスッ

響「倒れた? も、もしかしてモップが当たっちゃったとか……」

響「おーい……。不審者さーん。大丈夫かー……」

響「……? って、あれ。倒れてるこれって……」

響「――人体模型?」



73 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:30:53.71 ID:fJtZQ6WZ0

響「ど、どういうこと? いったい何が――」

                    ピンポンパンポン♪

響「ひっ!」 ビクッ

??『―――……ァ』  ゴボゴボ...

響「な、なんで。たった今、放送室から出てきたばかりなのに……」

             ガチャッ

響「ど、ドアが……」

                    キイィィィィィィィィッ

響「う、うぅ……うわぁーっ!!」 ダダダッ

              カツッ コツッ

響「ま、また、あっあしっ……あしおとがっ……!」 ジワッ

響「や、やだぁー! やだっ! やだよぅっ! あんまー! にぃにー!」 ダダダダッ

響「ぷろでゅーさぁぁぁぁ!!!」 ビエーン



75 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:32:30.79 ID:fJtZQ6WZ0

-???-

響「うぅ……。怖いよぅ……。怖いよぅ……」 グスグス

響「寂しい、怖い……。なんで自分がこんな目に……」 グスン

響「うぅ……。プロデューサー、どこにいるんだろう」

響「こっちは、とても怖い思いしてるんだぞ。自分のプロデューサーなら、ちゃんと助けにきてくれたって……」

響「……ぐすっ。プロデューサー……」

響「プロデューサー……会いたい……会いたいよぅ……」 グスン

響「うぅ……」 ...グスン

                      ギィ...

響「!!!」 ビクッ

響「ゆ、床が、軋んだだけか」 ドキドキ

響「……」 グスッ

響「……動かなきゃ。ここ、どこか分からないけど、動かなきゃ」

行動安価 → 標識の無い部屋へ



76 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:33:13.89 ID:fJtZQ6WZ0

響「……そうだ。教員舎にあった標識のない部屋」 グスッ

響「あそこなら小窓から廊下の様子が見てとれるし、プロデューサーが来たかをちゃんと判断できる……」

響「あそこを目指すぞ。そして朝になるかプロデューサーが見つけてくれるまで篭城するんだ」 グイッ

響「……ぐすん。プロデューサー、自分の悲鳴にも気付いてくれなかったな」

響「プロデューサー。どうか無事で……」

響「とりあえず、ここがどこか確認しなきゃ……って、あれ?」 ガチャッ

響「ここって教員舎の1階廊下……。じゃあここが」

響「あの標識のない部屋?」

響「……パニックになってるうちに、ここへ逃げ込んでたのかー……」

響「……」

響「ど、どうしよう」


行動安価 → 入る



77 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:35:20.67 ID:fJtZQ6WZ0

響「……とりあえずもう一度入るぞ。中をよく見てなかったし」 ギィッ

響「カギも一応かけて、と……」 カチャリ

響「えーっと、ここは……何なんだろ? 紙がいっぱいある」 ゴソゴソ

響「……ん? あれは印刷機? じゃあここは印刷室だったのか……」

響「『がっこうだより』、『廃校のお知らせ』、『学級オカルト』……。あぁ、壁新聞やプリントの原版がいっぱいある」

響「懐かしいなぁ。……こんな状況じゃなければ、笑ってやり過ごせるのに……」 ガサガサ

響「わぁ。この『学級オカルト』ってやつ、バックナンバーまである。歴史ある壁新聞だったんだなぁ……」

響「……」 ペラペラ

響「……あれ? これ、87年に入ってからのバックナンバーがごっそり消えてる……。なんでだろ」

響「まぁ、いいか。今はそれどころじゃないし……」

響「……」

行動安価 → 新聞を読む



78 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:37:04.34 ID:fJtZQ6WZ0

響「とりあえずここに篭城するって決めたんだし、動かないでおこうっと」

響「……あんなおばけいるんじゃ、車だって無事じゃないんだろうし」

響「おばけ……。おばけ? そうだ! この新聞を読んでいけば、もしかしたらおばけに対抗できる手段が分かるかも!」

響「えーっと、とりあえず予言とかUFOとか占いとかの記事は抜かして……」

響「『学級だより』、『かっこうだより』の記事も事件性があるやつは読むとして……」

響「こんな感じか? えーっと、なになに」

『こんな事件を知ってるだろうか? ××年の×月、男×生徒(諸事情により匿名)が放送室で首を掻っ×って自殺した』

『昼休みにカッターナイフで自身の××を切り裂き、その声や様子を全校に放送したようだ』

『噂によれば、放送ではコポコポと水から空気が漏れ出すような音に混じりに、呪詛の声も聞こえていたとのこと』

『事実、その放送を聴いた生徒のうち、30人が原因不×の体調不良を訴え×……』

響「コポコポという音……。呟き声……」

響「もしかしてあの放送って……」



79 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:38:33.38 ID:fJtZQ6WZ0

『×年度の夏休み明け。最後の水泳の授業としてプールに水を入れようとした際、事件は起こった』

『大口の水×から出てきたのは清らか×水ではなく、ドス黒く濁った腐×水だったのだ』

『教員が原因を調べたところ、巨大なポンプの中に3人の腐乱×体が見つかった』

『この3人は×中学の生×で、夏×み下旬から行方が分からなく×っており、警察に届出が×されていたという……』


響「あのプール……。うぅ、近づかなくて正解だったぞ」 ブルブル


『かつてこの学校に偏執的な××を抱×た女性×師が勤めて×たことをご存知だろうか』

『病で命が長くなかった彼女は、×後の生徒であった×年××の生徒たちを違う形になって見守××に×めたのだ』

『マフラー、手毬、首飾りなど……。彼×の最期は髪、骨、×肉のほとんどを「使い切り」見るも無残な姿だっ×という』

『今それら「彼女」の行方は知るよしもないが、噂によれば手毬とネック×スはまだこの学校に残っているという』

『読者諸君も、校内でそれらしき物を見つけたら、是非×年2組の××の×まで持って×てほしい……』


響「手毬……。いや、まさかな」 ハハハ



80 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:42:45.38 ID:fJtZQ6WZ0

『中庭に一箇×だけ黒ずんだタイルがあることに×者諸君は気付いているだろうか』

『もともと中庭は、焼却炉で出た灰を埋め立てるためにあった、いわば排水溝のような場所である』

『しかし焼却炉で燃やしたとはいえ、金属やガラスなどは燃えずに残り、埋め立てた場所に蓄積する』

『軽い灰と鋭い金属。この偶然が×年前の悲劇を引き起こした』

『事件は大雨による洪水が発生したその年の6月にまで遡る。当時宿直をしていた×性教諭が洪水による鉄砲水で』

『あの場所まで押し流されてしまったのだ。さて、排水溝と事前に×が説明したのを覚えているだろうか。そう』

『あそこで鉄砲水は灰を押し流し、まるで×水溝に流れ込む水のよ×に渦を巻いて流れ始めたのだ』

『これで自然のミキサーの完成である。すり下ろされた彼女は、あの地面の×で……』


響「うぐっ。これも悲惨だなぁ。でもちょっとゴシップ臭いぞ。これ事実なのかなぁ」



82 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:45:50.84 ID:fJtZQ6WZ0

『去年、給食を上×階までに運ぶために設置された貨物運搬×エレベーター』

『これが実は9年前に、すでに同じようなエ×ベーターをすでに設置していたという事×をご存知だろうか』

『なぜそのエレベーターが使わ×なくなったのか。それはエレベーターを初×て導入した9年前に遡る』

『当時の危機管理は甘く、好奇心旺盛な生徒が×レベーターに乗ろうとしてブザーを鳴らすのが日常茶飯事だった』

『そういうこともあり、エレベーターは壊れてしまったのだろう。ある日エレ×ーターの×××××んだ1年生を乗せて』

『エレベー×ーは何度も×昇と下降を繰り返し、その生徒を×っくりと圧縮して×った』

『事件に気付いたのは、なんと×日後の昼。乗せた鍋に血と肉××っついていたことにより……』


響「うげ……。こんなん見ちゃったらご飯が食べられないぞ……」

響「これは階段に載っていた『タイムカプセル』と同じ内容だな。飛ばしておこうっと」

響「後は……ん?」


『以上、86年~現在に渡ってつづられた9の悲劇。こ×らを全て含めて――……』


響「悲劇って、この凄惨な事件なことだよな。でも9? おかしいな、8つしか見つからないぞ……?」



83 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:46:59.95 ID:fJtZQ6WZ0

響「これってやっぱ、消えている87年のバックナンバーに9つめの悲劇が書かれているんだろうかなぁ」

響「……うぅ。今まで自然に読んじゃったけど、そう考えるとすごく不気味だぞ」

響「……」

響「自分も、死んじゃったら――あんな風にずっとこの暗い校舎を彷徨っちゃうんだろうか」

響「……」 グスッ

響「……プロデューサー。早く見つけてほしいさー……」


行動安価 → Pに電話



85 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:48:21.06 ID:fJtZQ6WZ0

響「……圏外だけど、プロデューサーに繋がらないかな」 ピッピッ

響「声が聞きたい。大丈夫だって言ってもらいたい……」 ピッポッパッ

        ツー   ツー   ツー

響「……やっぱだめなのか」

響「……」 グスッ

行動安価 → 着信



87 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:50:02.69 ID:fJtZQ6WZ0

              トーリャンセー トーリャンセー♪

響「!」 ビクッ

響「なんで。携帯がなってる……? 嘘……」

響「でも、なんだこの曲。『とおりゃんせ』? こんな曲設定してないぞ」

響「着信先は……非通知。何で? どうしよう……」

響「うぅぅ……。もうおばけに居場所がバレちゃったのかな」

響「放っておいてもどうしようもないし……」

響「……」 ゴクッ

響「……よしっ」 ピッ

響「…………もしもし?」



88 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:50:51.34 ID:fJtZQ6WZ0

??『あ、響ちゃん? 今何処にいるの?』

響「えっ。その声って……は、春香か?」

春香『今、ホテルの方から連絡があって響ちゃんとプロデューサーさんに連絡が付かないって小鳥さんが――』

響「は、春香あぁぁぁぁぁ。もうダメかと思ったぞー」 グチャアー

春香『え? な、何。泣いてるの? 一体なにが?』

響「そ、それがわかんないんだぞ。廃村の近くで車が故障して、そのまま廃校に迷い込んだらオバケが出て――」 ヒック

春香『な、なんだかよくわからないけど、響ちゃんは無事なの? 』

響「ゔん……。でも゙、ブロデューザーとはなれぢゃって……。それでね」 グスッ ヒック

春香『うん……うん……』



90 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:51:53.03 ID:fJtZQ6WZ0

響「ぞれで、必死に逃げて、何とか部屋に逃げ込んで……」 グスッ

春香『分かった。とりあえず場所はロケ地途中の廃村にある廃校、でいいんだね?』

響「ゔん。このままじゃ、朝まで心が持たないぞ……。ぞれに、プロデューサーも助けてあげなきゃ」

春香『すぐ小鳥さんに伝えて迎えに行かせるよ。大丈夫だよ、ね? だから安心して。落ち着いて』 ドウドウ

響「う、うん……。ありがど。春香のおかげで、だいぶ心が楽になった」 グスッ

春香『どういたしまして。で、今響ちゃんはプロデューサーさんと逸れて――えーっと、どこに隠れてるんだっけ』

響「教員舎の1階にある印刷室……。怖いぞ、だから早く――」

春香『1階の印刷室ね……』








春香?『見つけた。そこか』 ガチャン!

響「っ!?」



92 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:53:26.26 ID:fJtZQ6WZ0

響「えっえっ!? 今の声、春香じゃなかったぞ!」 オロオロ

           バタンッ      ......ツ コツ コツ コツ コツ! コツ!!

響「あ、足音!? や、やばい! この音、真上の方から聞こえた!」

        カツン カツン   カツン カツン

響「か、階段を降りてくる! 急がなきゃ!」

響「うぅ……。助かったと思ったのに。逃げられると思ったのに……!」

響「やだ……! やだ……! こんな場所で寂しくいくなんて……! 絶対嫌だぞ……!」 ガチャッ

響「逃げなきゃ……! 誰かが追ってくる、逃げなきゃっ……!」 ダダッ


行動安価 → 逃げるとこまで逃げる



93 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:54:23.51 ID:fJtZQ6WZ0

響「うぅ! どこでもいい、どこでもいいから逃げなきゃ!」 ダダダッ

            カッカッカッカッ     ガチャッ

響「も、もしかして今あの部屋を調べてるのか? 自分が逃げているのに気付いてない?」 タッタッタッ

響「そういえば、大声を出しても気付かなかった……。あの人体模型、耳が聞こえてないのか?」 タタタッ

響「と、とにかくできるだけ遠くに逃げなきゃ!」

                     トーリャンセ トーリャンセー♪

響「!!」

響「も、もう騙されないぞ! えいっ!」 バキッ

                    コーコ ハ ドーコ ノ ホソミチ ジャー♪

響「折ったのに、まだ鳴り続けてる……。だめだ、もう捨てていくしかないぞ……」 ポイッ ガシャッ

響「……うぅ」 ポロッ

響「えぐっ……ぐすっ……」 ヒック

響「プロデューサー……! 助けてよぅ……!」 ポロポロ



95 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:55:01.56 ID:fJtZQ6WZ0

-南校舎-

響「ふぅ……ふぅ……」 ゼェゼェ

響「こ、ここまで逃げれば一先ずは何とかなるかな……」 フゥ

響「ぐすっ。もう、何も信じられない……。電話まで騙ってくるなんて」

響「……もう何時間経ったかな。プロデューサー、まだ自分のこと探してくれてるのかな」

響「……」 ズッ

響「そうだ、今の内に状況を確認しなきゃ……」

響「目の前には階段。引き返せば北校舎。それ以上は引き返せない」

響「左には2年生の教室。その先に給食室。右は校庭への道で、車はかろうじて見える程度……」

響「……どうしよう」

行動安価 → 車へ



96 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:55:34.30 ID:fJtZQ6WZ0

響「そうだ……。これが校舎内での出来事なら校舎外に出ればいいんだ」

響「闇雲に探し回るだけだと、絶対にプロデューサーは見つからない」

響「なら車……。車にさえ戻れれば、プロデューサーが見つけてくれるはず……!」

響「……」 ジャリッ

響「校庭には飼育小屋以外には変な不思議はなかったはず……。そこさえ避けていけば」

響「うぅ、割れたガラスが散らばってて、なんだか危ないぞ……」 ザリッ

響「でも、行かなきゃ。生きなきゃ……!」 ダッ



97 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:56:39.23 ID:fJtZQ6WZ0

-外 車前 -

響「ふぅ……ふぅ……。何にも出なくてよかったぞ」

響「えっと、車の中には、何もないのかな」 ガチャッ パラリ

響「――? なんだこの紙……」 パラリ

響「……これって、家族の絵? 普通の子供が書いたクレヨン画みたいだぞ。名前はないみたいだけど――」

響「あれ? 裏にも何か書いてある」


『まっすぐいってみぎ。まっすぐいってひだり。まっすぐいってひだり。もうみえない』


響「? な、なんだこれ。どうしてこんなメモが車のドアに挟まって……」

響「――ドアに挟まって?」 ハッ!

響「車の鍵は自分が持っているのに、どうやって……。まさか、ここにもオバケが出て……」 ガタガタ

響「ど、どうしよう。もし車のドアを開けられるのなら、ここで篭城なんてできないぞ」

響「……どうしよう」


行動安価 → 車を運転してみる



98 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:58:07.43 ID:fJtZQ6WZ0

響「車を……車さえ動かせればいいのに」

響「試しにキーを……。うぅ、やっぱエンジンつかないぞ」 ガチャッ

響「それ以前にプロデューサーを置いてはいけないぞ」

響「ぐぅ。こういうことなら素直にプロデューサーに怖いって言っておけば良かった……」

響「なんだか眠くなってきたし……。プロデューサーもどこかで逃げ回ってるのかな」

響「それとも、平気な顔してぐーすか寝ちゃってるのかな」

響「……」

響「後者であってくれたら、いいのになぁ…」


行動安価 → 紙の通りに移動すると何処へ行くのかを考える



99 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:58:47.97 ID:fJtZQ6WZ0

響「そうだ。この紙――」

響「オバケだろうとなんだろうと、理由無く置いていく分けないもんね。どういう意味があるんだろ」

響「まずスタート地点は校舎入り口……で、いいのかなぁ」

響「で、まっすぐ行って右。北校舎の方向……」

響「そのまままっすぐ行って左……南校舎を曲がるのか?」

響「まっすぐ行って左をもう一度。……2年の教室か、あるいはその先にあるのは給食準備室だよなぁ」

響「クレヨン画を見れば、2年の教室のどれかが正解に思えるけど、『もうみえない』ってなんだ?」

響「見えない。見えない――。いや、見えなくなった? 見えなくなって――……見失った?」

響「この筆者は何かを追って道順を覚えたけど、最後の最後で見失って道順を覚えられなかった?」

響「……ちょっと強引かもしれない。うーん、よくわからないぞ」


行動安価 → 行ってみる



100 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/24(土) 23:59:41.91 ID:fJtZQ6WZ0

響「……どうせこのまま車にいても、篭城できないんじゃ意味無いぞ」

響「行く当てもないんだし、実際にこの通りに動いてみようっと」

響「えっと、確か玄関……は通らないで直接南校舎へ行こう。アレに出くわしたら泣いちゃいそうだしな」

響「……」 ゴクッ

響「こんなとき、プロデューサーがいてくれたら何てアドバイスくれるのかな……」

響「……」

響「プロデューサー、村の方に行ってるのかな」

響「例えこれがダメだとしても、せめてもう一度だけ会いたいな……」

響「……」 ジワッ

響「……とりあえず進むぞ。この紙の示す先に行ってみよう」



101 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:00:37.91 ID:PUmdftm80

-南校舎 2年教室前-

響「ふぅ……。これで2-3も成果なし、かぁ」 ゴソゴソ

響「何かあると思ったけど、やっぱここは廃校なんだな……。崩れた瓦礫くらいしかないや」

響「次は2-4かぁ。何かあればいいけどな……」

響「……そういえばこんな山奥の学校なのに、なんでこんなにクラスがあるんだろ?」

響「まぁいいか。探索探索……って、ん? このクラスには展示物があるなぁ」


『みんなのかぞくをかいてみよう!』


響「あぁ、これ昔描いたなぁ。これはモンスター? なんだろ。ゲームのキャラなのかな」

響「次は……おー。犬を飼ってる家なのか、ここは。……あれ、ここにもいる」

響「その隣の絵が特徴的だなぁ。少女マンガっぽいタッチ――って、あれ、ここにも」

響「……ここにも。ここにもだ」

響「な、なんだこれ……偶然なのか?」

響「このクラス全員の家族の肖像画に」

響「一つ目の黒人間の絵が描かれてる……」



102 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:03:07.35 ID:PUmdftm80

響「……不気味だぞ。でも家族の肖像なら、この学校の問題には関係ないのかな……」 ウーン

響「そもそもここがこの紙が示す場所なのかな……。もう少し先に行けば階段と倉庫、その先に給食準備室……」

響「……給食準備室。たしか男の子がエレベーターにプレスされた場所……だったっけ」

響「そもそもなんでそんな事件が起きたんだろ」

響「血や肉片がつくってことは、きっと天井部分に挟まったんだろうけど……」

響「……ん? あれ?」

響「この話……よく考えてみたら、なんか変だぞ?」

響「あと少しで、もうここまで出掛かっているのに……。一体何が……」 ウ-ン

響「うがー、かわんない! とりあえず思考を元の問題に戻すんだぞ!」

響「えーっと、とりあえずここが紙の示す場所かどうかはわかんないけど、仮にここだとしたら、次はどうするんだろ」

響「逆にここが紙の示す場所じゃないなら、どこへ向かえばいいんだろ」

響「或いはもうちょっと考えてみようか……。暗い部屋で佇むのは怖いから嫌だけど」

響「どうしよ?」


行動安価 → エレベーターの上に穴でもあいてたのか?



103 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:03:53.72 ID:PUmdftm80

響「……? そういえば、血はともかくとして、肉片はどうやって鍋に張り付いたんだろ」

響「うーん……。構造次第ではつくのかな? それとも新聞記事の誇張なのかな?」

響「んー……。気になる。でもこれじゃないんだよなぁ。さっきここまで出掛かってたのって」 ウーン

響「まぁ、考えても仕方ないかなぁ。動くか、悩むか、どっちか決めよっと」


行動安価 → エレベーターに入らないように注意してエレベーターを調べに行く



104 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:04:30.13 ID:PUmdftm80

響「……ここで悩んでてもしかたないし、ちょっと先まで進むか」 ピョン   ガチャリ

響「もしかしたらここが紙の示す場所じゃないかもしれないんだし――」 テクテク

響「……エレベーター。もう25年以上前のものだろうし、動かないとは思うけど……」

響「放送室のこともあるし、慎重に調べよう」



106 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:06:02.21 ID:PUmdftm80

-給食準備室-

響「暗い……。あ、これか。給食を運んでたエレベーターって」

響「うん。やっぱ完全に壊れちゃってるか。今はただの吹き抜けっぽい」 ヨイショ

響「エレベーター自体は壊れててもうないから検証できないけど――でも見た感じ、ここが最下層……」 チラッ

響「エレベーターの隣には給食を置く棚があるなぁ。その先は北校舎へと続く廊下……」

響「ここが紙の示す場所なのか? ……うーん、それっぽくない」

響「そもそもスタート地点があの玄関でよかったのか?」

響「……根本的に間違ってるような気がするぞ。うん」

響「……ん?」

響「今、教員舎の方で光が漏れて見えたような気がしたけど――」

響「……」


行動安価 → 光の方へ行ってみる



107 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:06:34.27 ID:PUmdftm80

-西側渡り廊下-

響「光……! もしかして、もしかして――!」 ダダダッ

響「確か教員舎の3階! ちらっと、弱い光だったけど、確かに見えたぞ!」

響「あの光は、火とか反射の光じゃない! 人工の光!」 タッタッタ

響「ふぅ……ふぅ……。逃がさないぞ……! もう一度プロデューサーに会うんだ!」

響「早く行かなきゃ。また見失っちゃう……」 ハァ ハァ



108 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:07:09.71 ID:PUmdftm80

-教員舎-

響「あの人体模型……。思えばまだこのあたりを徘徊してるのかな」

響「でもプロデューサーに会えるのなら、これくらいの恐怖くらいっ!」

響「それに、アレは足音がデカい。近づいてくればちゃんと気付けるハズ!」

響「よ、よーし。行くぞー……!」 ググッ

響「……」

響「で、でも念のため慎重にを移動しようかな」 ソロソロ



109 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:07:57.92 ID:PUmdftm80

-教員舎 3F-

響「ふぅ、ふぅ……。確かここらへんで見えたんだよな……」

響「えーっと、3Fは教室が少ないなぁ。どれどれ?」

響「真正面に男性教員更衣室、少し右に女性教員更衣室。左には図工室があって、階段は屋上へと続いてるみたい」

響「ここで大声を出すのも勇気がいるし……。でもここに光があったのは間違いないし」

響「時間的にも他へ移動する余裕なんてなかったし……。きっとまだこのあたりに」

響「……でもむやみに動くのも危険なような気が」

響「ここは――」


行動安価 → 屋上へ



110 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:08:32.48 ID:PUmdftm80

響「……だめだだめだ、ここは慎重にいかなきゃ。屋上へ行って様子をみてみよう」

響「なにせ電話で春香を騙ったんだ。きっと一筋縄ではいかないはず……」

響「それに、屋上ならプロデューサーも見つけやすくなるかもしれないし――」 クルッ

響「屋上へ行こう。見た感じ、ドアは硬く施錠されてるけど、窓からなら出られそう」 ソロソロ

響「……」 クルッ

響「自分はそう簡単にはくたばらないぞ」 ボソッ

響「……」 クルリ

響「よいしょっと。ここをこじ開けてっと……」 ガチャリ

響「よっと……」 ヒョイッ



112 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:09:21.88 ID:PUmdftm80

-屋上-

響「……思った以上に綺麗だな。フェンスはボロボロだけど」

響「さて、と。これが罠だったかは分からないけど、とりあえず――」

             トーリャンセー トーリャンセー♪

響「!?」 ビクッ

響「今の音って……自分の捨てた携帯? ……ちょうど下の階から聞こえる」

         コーコ ハ ドーコ ノ ホソミチ ジャー♪         ガシャッ!!    ギィィィィッ   バタンッ!!

響「い、今の音……。どっちかの更衣室の中のロッカーの中に隠れてたのか……?」 ガタガタ

響「……こ、ここには気付かないよね」 ブルブル

            テンジン サマ ノ ホソミチ ジャー♪    カツッ コツッ カツッ コツッ....

響「足音が遠ざかっていく……。た、助かったのかー」 ホーッ

響「……じゃ、なくて。やっぱあいつ罠を張ってきたんだ……」

響「ぐぅ……。これじゃあプロデューサーを見つけ出す前に心が磨り減っちゃうぞー……」 ヘナヘナ



113 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:10:23.05 ID:PUmdftm80

響「でも、これからどうしよう……。ここで夜が明けるのを待つ?」

響「ちょうど階下に移動するにも、アイツと遭遇するかもしれないし――」

響「でもここ、あいつさえ気付かなければかなりのセーフポイント……だと思うんだよなぁ」

響「……どうしよう。ここなら少しは落ち着いて考えることも、作戦を練ることもできるかもだけど」

響「うーん……。困ったぞ。プロデューサーさえ見つかってれば、ここで篭城確定だったのになぁ……」

響「行きは何とかいった。でも帰りは安全にいけるか分からない」

響「……こんなとうりゃんせ、嫌だぞ」

響「とりあえず何か考えようかな。それとも行動しようかな……」


行動安価 → 待機する



115 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:11:53.65 ID:PUmdftm80

響「……とりあえずここで隠れていよう」

響「朝になるのを待てば――もしかしたらプロデューサーも見つかるかもしれないし」

響「うぅ、寒い……。おなかも空いたし、ちょっと休憩するぞ……」 ゴソゴソ

響「……」 モグモグ ゴクゴク

響「……流石にすぐに眠る気にはなれないぞ。暇だし、ちょっと考え事でもするか」

響「何について考えよう……」


行動安価 → 紙の示す場所について考える



117 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:12:41.03 ID:PUmdftm80

響「紙……。そう、紙の示す場所。あれは結局なんだったんだ?」

響「それにあのクレヨン画……。あきらかに2-4の絵とは違ってた。きっと別の教室の子の絵だぞ」

響「それに、あれを書いたのは何時なんだ? 絵の裏に書くくらいだから、きっとまだ学校が健在だった25年以上前……」

響「そう考えると、石碑みたいな後から建てられた場所がスタートにはなることはない」

響「普通に考えれば玄関スタートで、給食準備室あたりがそうなんだろうけど……」

響「それにもう一つ気になることは、やっぱ『もうみえない』のフレーズ」

響「『もうみえない』……。これ、文脈からリアルタイムでその状況を書いたように感じるぞ」

響「見えなくなる……。廃校前の学校……。道順……」

響「……まだ手がかりが全然足りない気がするぞ」

響「うぅ。この話題はやめよう……」

響「さて、もう休もうか。それとも別のことを考えようか……」


考察安価 → エレベーターについて



118 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:14:04.67 ID:PUmdftm80

響「さっきはエレベーターの疑問、あと少しで思い出せそうだったけど、なんだったっけ」

響「記事ではエレベーターに潜り込んだ1年が潰されて何日か後に発見された……」

響「なんか変に思ったんだよなぁ……。あの記事の内容と、あとは――」

響「そう。そうだ。南校舎に入ってから急に違和感を感じたんだ。一体なにが気にかかってたことなんだろう?」

響「うーん……」


考察安価 → 天井で潰されたとして、何で肉片が鍋に付着するのか?



119 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:15:14.33 ID:PUmdftm80

響「鍋についた肉片が……。あれ、この疑問さっきも思いついたぞ」

響「……だめだぞ。やっぱ思考が変にループしちゃってる……」

響「何かこれだっていう疑問が出てきてくれたらいいのに」

響「うぅん。やっぱ今のままじゃ頭が働かないぞ」

響「次の疑問を考えたら、少しだけ休もう……」


考察安価 → 教室の数について



120 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:16:43.45 ID:PUmdftm80

響「教室……。そうだ。この学校、こんな僻地にあるのに教室数が多すぎるぞ」

響「それに生徒数がそれくらいいたのだとして、じゃあ何故廃校になっちゃったんだろ」

響「……印刷室に廃校のお知らせっていうプリントを見かけた気もするけど、うぅん。どうにも思い出せないぞ」

響「加えてこの学校、変な事件が多すぎる」

響「もしかしたら単なる『学級オカルト』とかいう壁新聞のでっち上げかと思ったけど……」

響「確か、玄関の石碑に九人、犠牲って書かれてたよなぁ」

響「そう考えるならあの壁新聞も真実味を増すような――」

響「――ん? 九人? 犠牲? なんか変だぞ……」

響「えっと、九人と9の悲劇とでくっつけて考えてたけど、これは別々の事件のことなのか?」

響「……」 ウーン

響「うぅ……。頭が痛い。これ以上考えても無理そうだぞ……」

響「仕方ない。ちょっと休むぞ……」




126 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:21:00.91 ID:PUmdftm80

以下 廃村の中で 2



127 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:22:12.28 ID:PUmdftm80

-教員舎 屋上-

響「……」 スヤ...スヤ...

響「……んむ。眠ってたみたいだ。今何時――って」

響「あぁ。そういえば携帯、捨てちゃったんだっけ……」 ウトウト

響「……」 キョロキョロ

響「まだ月があんなに高く……。まだ夜は明けそうにないぞ……」

響「とりあえず……様子を見なきゃだな」

響「あいつはもう去ったんだろうか。慎重に進まなきゃいけないし、とりあえず周りを確認しなきゃ」

響「ここは教員舎の屋上。出口は3階へと続く階段のみ」

響「一応ここで篭城するのもありだけど……。できるならプロデューサーを見つけたいぞ」

響「行動するのもあり。考えるのもあり」

響「……どうしよう」


行動安価 → いろいろ考える



129 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:23:03.55 ID:PUmdftm80

響「……まだまわりの状況を把握できてないし、すぐに動くのは危険かも」

響「少し頭も冴えてきたし、ここでもうちょっと考えようかな」

響「正直、謎や疑問点が多くて、頭がこんがらがっちゃいそうだけど――」

響「……」 ブンブン

響「だめだだめだ! 弱気になってちゃ始まらないぞ!」

響「とりあえず何について考えるか決めなきゃ」


考察安価 → プレスされた一年生はどこからどうやってエレベーターの天井に乗ったのか



130 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:23:42.92 ID:PUmdftm80

響「考えることと言えば、あのエレベーターの違和感……」

響「……そうだ。そういえばあのエレベーターがある場所は、2年の教室だった」

響「記事には犠牲になった1年は、コンテナ上だか下だかに潜って、そこで死んじゃったんだよな?」

響「でも『乗った』っていう表現があるし……。仮に上に乗った状況を考えてみるぞ」

響「もしコンテナ上に乗るなら2階以上の階からじゃないと乗れない。それもその階にコンテナが来ていないとき」

響「加えてコンテナがその階の搬入口より下にある時にじゃないと、上には乗れないぞ」

響「そう考えると、いろいろおかしい……」

響「仮に1階で停止してるコンテナへ2階から乗り込んだとしても、1年は1階以上の高さから落下してることになるよな」

響「いくらブザーが壊れていたといっても、普通気付かないか? 音や衝撃で」



133 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:25:11.59 ID:PUmdftm80

響「上昇中に無理やり搬入口をこじ開けて乗り込んだ?」

響「でも南校舎の設計を見るに、どの階の搬入口も他学年のクラスから丸見えだぞ」

響「だからそもそもコンテナの上に乗り込むこと自体が難しいはず」

響「それに自ら乗り込んだとして、1年生自身は助けを呼ばなかったのか?」

響「記事には『×昇と下降を』ってあったけど、これ上昇と下降だよな……」

響「つまり動かしている人がちゃんとコンテナ前にいたはずなんだ。助けはすぐに呼べたはずなのに……」

響「加えて何度も何度も動かして1年生が潰れるくらいになるんだから、相当回数動かしてるはず」

響「でも天井とコンテナの間、そこに挟み込んだとすれば、『最上階』に何度もエレベーターを動かさなければいけない」

響「……給食を運ぶのに、そんな回数動かすか?」

響「なのに発覚したのは『数日後の昼』……」

響「……もしかして、他殺……なのか?」

響「……」

響「……すこし気分が悪くなってきたぞ」

響「とりあえず考えをも少し続けるか、行動をするか決めなきゃ」


行動安価 → ネックレスについて



134 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:26:14.56 ID:PUmdftm80

響「ネックレス……。そういえば『学級オカルト』には、手毬の他にもネックレスもこの学校にあるって書いてたよな」

響「ネックレスかぁ。うーん……」 ウーン

響「……人から作られてるって考えれば、やっぱ骨や髪でできてるのが濃厚なんだろうけど」

響「……」 ウーン

響「うがー! わかんない! きっとネックレスはまだ見てないんだ」

響「そうだよ。だって今まで学校で、ネックレスのような白くて連なってるような小物なんて……」

響「……あれ?」

響「いや。どこかで見たぞ? そういえば身に覚えのないものだったような――」

響「白くて……アクセサリー……連なる……小物……」

響「うぅん、あとちょっとで出てきそうなのに思い出せないぞー!」

響「……どうしよう」


行動安価 → リボンについて調べる



137 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:26:41.55 ID:PUmdftm80

響「……何か拾ったものでも見れば思い出すかも。リボンとか――」

響「……」 ゴソゴソ

響「なにやってんだ自分。リボンなんて拾ってないぞ……」


行動安価 → 図工室へ



138 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:28:33.62 ID:PUmdftm80

響「んー。思い出せないや」

響「まぁ、それも仕方ないか。手がかりが少なすぎるぞ……」

響「とりあえず、もう下からは特に物音もしなくなったし、そろそろ行動して大丈夫かな……」 ゴソッ

響「……そうだ。とりあえず図工室に行ってみよう」

響「広そうだから何とかなりそうだし、手がかりや武器が手に入るかも……」

響「そうと決まれば早速移動しなきゃ」

響「慎重に……慎重に……」 ソロソロ



139 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:29:12.67 ID:PUmdftm80

-教員舎 3F 廊下-

響「……」 キョロキョロ

響「人の気配なし、と……」 フゥ...

響「とりあえず図工室、入れるかな。耳が聞こえないだろうと思っても、音はあまりたてたくないぞ……」 ガチャガチャ

響「……だめだ。扉が閉まってる。窓からは入れそうだけど、なんかガラスが割れてて怪我しちゃいそう」

響「ライトで照らしてみた限りでは、室内は机やら瓦礫でいっぱいだな」

響「どうにかして中に入れても、あまり大規模な探索はできそうにないぞー……」

響「……」 ハァ...

響「どうしよう……」

行動安価 → 職員室で鍵束を



141 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:30:04.76 ID:PUmdftm80

響「やっぱ先立つものがないと、探索なんてできないぞ」

響「全てが鍵で施錠されてるわけじゃないだろうけど……。まずは鍵を探そう」

響「……あれ。そもそも職員室自体が鍵開いてるのかな?」

響「うー……。今考えても仕方ないか」

響「とりあえず慎重に移動しようっと……。これで一先ずは階段へ――って、あれ?」

響「……」 キョロキョロ

響「おかしいな……。そういえばこの階、アレがないぞ?」

響「だったらあの時のあれは……」

響「……」

響「いや、きっと気のせいだぞ。どこか見逃してるだけに違いない……」 コツコツ



146 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:35:17.94 ID:PUmdftm80

-教員舎 1F 廊下-

響「ふぅ。ここまで辿り着ければ安心さ。なんとか逃げ道は確保できたぞ」

響「で、肝心の職員室は開いてるのかな……」 ガチャ

響「……予想通りというか何と言うか。開いてないなぁ」

響「……ん? でもここ、上の窓が綺麗に開いてるぞ」

響「ここから何とか進入できれば……よっと」 ピョイン

響「んしょんしょ……。ふぅ、これなら中に入れるぞ」

響「……でもドアが針金や板で打ちつけたり固定されてたら、あるいは一方通行になっちゃいそうだな」

響「……」 キョロキョロ

響「人影なし……。荒れてるわけでもなし……」

響「よし、いくか!」 ピョイン



147 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:36:14.99 ID:PUmdftm80

-職員室内-

響「よっと……」 スタッ

響「ふぅ。特に問題なく入れたぞ。後は鍵を探すだけだけども……」 チラッ

響「うーん。暗闇にすっかり慣れちゃってる自分が怖いぞ……。夜目は効く方だったけど」

響「えーっと……とりあえず壁のどこかを調べれば、鍵掛は見つかるよね」 ガサガサ

響「……」 ンー

響「……」 エーット

響「……! あった! カギについてるタグはもう読めないけど、とりあえず全部持っていっておけば、何とかなるよね」

響「とりあえず目的達成、と……」

響「……」

響「で、これからどうすればいいんだろ」


行動安価 → 体育館へ



148 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:36:43.75 ID:PUmdftm80

響「うーん……。とりあえずここを出て体育館に行くかー」

響「手毬も何かのキーアイテムかもしれないし、今は手がかりを掴めるだけ掴んでおこう」

響「……えっと、職員室の出口は、と」

響「あ、よかった。普通に鍵がかかってただけか」 ホッ

響「さてと……。とりあえずここを出るぞ」 ガチャッ  ガラガラ

響「……」 クルッ

響「この学校、教員が事件に関わった回数がとても多い……」

響「きっと、またこの部屋にも来ることになるんだろうなぁ……」 バタン



149 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:37:21.99 ID:PUmdftm80

-体育館-

響「さて。もう一度ここへ来たけど……あれ?」 キョロキョロ

響「手毬がなくなってる……」

響「誰か……オバケやプロデューサーが持っていったのか? うーん……」

響「とりあえず来た限りには、何かを探索したいぞ」

響「今来たのはプール側の出口。すぐ脇には更衣室」

響「ずっと向こうには壇上へ続く階段があって、脇には舞台袖に続くであろう扉……」

響「その隣には自分がさっき壊した扉が――って、ん?」

響「よく見たら上に手すりが見える……。この体育館、2階もあるのか?」

響「うーん……。どうしよう」


行動安価 → 更衣室へ



150 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:38:16.29 ID:PUmdftm80

-更衣室-

響「……もう一度ここにきちゃったぞ」

響「今なら分かる。あの時見つけたメモと、あの黒ずんだ場所」

響「……もしかして、これが『飼育小屋』の犠牲者だったのかな」

響「いや。飼育小屋とは限らない。とりあえずもう一度ロッカーを――」

                        ガァン!!!

響「!!!」 ビクッ

響「今の音……。どこから聞こえた?! 近くから聞こえたけど、方向がよく――」 アワアワ

               ガンガンガン !!!

響「こ、これって、もしかして扉か何かを叩く音? で、でもどこにそんな扉が」 キョロキョロ

響「……!!」 ビクッ

                    ガンガンガンガンガン

響「ま、窓に人影が……!」 ガタガタ

響「に、逃げなきゃ!」 ダッ


行動安価 → 二階へ



151 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:38:44.96 ID:PUmdftm80

響「そ、そうだ。2階に逃げれば――」 ダダダッ

響「って、だめだ! 2階への道がまだ分からないぞ! 急いで別の場所に……」 ガチャガチャ

響「……?」 ガチャガチャ

響「あれ、どうして……? 扉が開かない……!」 ガチャガチャ

                   ガン!! ガン!! ガン!!

響「なんでっ? どうしてっ? ひ、開け! 開けよぉ!」 ガチャガチャ ガンガン

響「うぅぅぅ……っ! ひ、開いてってばぁ!」 ドンドンドン

響「開いてよぉーっ!」 ポロポロ

                     ガンガンガンガンガン!!!   ガコンッ!

響「う、うわぁーっ!!」 バッ



152 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:40:09.19 ID:PUmdftm80

-街角-

『――では次のニュースです。765プロ所属、アイドル。我那覇響さんと、同所属のプロデューサーである――』

女「ねぇ、知ってる?」

男「あ? 知ってるって何が?」

女「いや。今ニュースでやってる事件」

男「あぁ。あのアイドルとそのプロデューサーがどっかの廃墟で死んでたってやつな」

『直接の死因は、重い鈍器による後頭部への一撃と思われ、警察は――』

女「あれ。廃校が事件の舞台なんだけど、いろいろとあそこヤバいらしいよ?」

男「ヤバいってなにが。七不思議でもあるのか?」

女「違う違う。その学校、私立でさ。かなりヤバい事件が何度も発生してたらしいんだって」

男「ヤバい事件があったらしいって……。そんな内容もクソもない噂なんて誰が信じるかよ」

女「本当なんだって! それも村の権力かなにかで強引に揉み消してたらしいんだけどね」

男「プッ……なんだそれ。変なドラマの見すぎだろ」



153 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:40:56.30 ID:PUmdftm80

女「聞いてってば。でも87年に発生した事件はとうとう学校でも庇いきれなくなって、そのまま廃校」

女「犯人は以前逃走中なんだけど……。でも実はあの学校に住み着いて獲物を待っている……んだとか」

男「……くっだらねー。これだから女は」

女「なぁに。アンタびびってんの?」

男「そんなんじゃねーよ! だいたいなぁ――」

『では次のニュースです。高速道路の料金をめぐり――』


Bad End



157 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:58:42.02 ID:PUmdftm80

~2週目~

-屋上-

響「……う……ぅぅ……」

響「うわぁーっ!」 ガバッ

響「はぁ……はぁ……。あれ、ここは――」 キョロキョロ

響「……屋上? も、もしかして夢だったのか?」 ゼェゼェ

響「ふぅー……。夢でよかったぞ……。」

響「随分とリアルな夢だったな……。嫌な汗かいちゃったぞ」

響「うぅ……」

響「でも、夢ならよかったぞ。正夢にならないように頑張らなきゃ」

響「……とりあえずどうしようか」


行動安価 → 印刷室へ行き、廃校のお知らせを読む



158 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 00:59:07.59 ID:PUmdftm80

響「あんな夢見ちゃった以上、今は危険を冒すわけにはいかないぞ……」

響「……そろそろ印刷室付近は大丈夫なんじゃないかな」

響「読み逃した資料もあったし、情報を集めるためにももう一度あそこへ行こう……」

響「うぅ……。頭が痛いや……」 ヨロヨロ



159 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:00:34.09 ID:PUmdftm80

-印刷室付近-

響「……」 キョロキョロ

響「……よし。あたりには何もいないな」 タタタッ   ガチャッ

響「うわっ……なんだこれ。ぐちゃぐちゃに荒らされてる」

響「あの人体模型、手当たり次第に暴れたのか?」

響「うぅ……。でも遭遇しなくてよかった。今はできるだけ資料を掻き集めて退散しようっと」

響「……」 ゴソゴソ

響「よし。これくらい集めれば……っと」

響「よし、ある程度の資料を集めたぞ」

響「……でも、これからどうしよう。情報整理は安全な場所でしたいけど――」

響「うーん……」


行動安価 → 職員室へ



160 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:01:31.32 ID:PUmdftm80

-教員舎 1F 廊下-

響「ついでだから職員室も探してこようかな。鍵やプリントが見つかれば一石二鳥だし」 テクテク

響「えーっと、ドアは……。うん、予想通り開いてないや」 ガチャガチャ

響「他に出入り口は――あ、上の方の小窓があいてるぞ」

響「えいっ!」 ピョイン

響「んしょんしょ……。よっと。これで職員室の中を探索できるぞ」

響「中はやっぱ暗いけど、月明かりが射してることが少し救いになるかもなー……」 ピョイン

響「よっと……。さて、早速探索開始だぞー」 スタッ



161 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:04:53.29 ID:PUmdftm80

-職員室-

響「……」 ゴソゴソ

響「おっ! やった。これ鍵束だぞ! ……でもタグのインクが消えてもう読めないなぁ」

響「まぁ。これだけでも十分な成果だけど――」 キョロキョロ

響「思った以上に教員の机とか資料とか、置きっぱなしになってるなぁ」

響「こんなんでいいのか? 昔の人は大雑把だなー」 ヤレヤレ

響「でも、お陰で他にもいろいろと資料を見つけられそうだぞ」

響「まぁ、鍵を手に入れたんだし、他の場所を探索するのもありかもしれないけど……」

響「うーん……迷うぞー」


行動安価 → プールへ



162 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:05:43.19 ID:PUmdftm80

響「んー……。ん? あれ?」

響「そういえばプールでも事件があったんだよな。なら石碑がどこかにあるのかな?」

響「もしそうなら、少しは進展になるはず……」

響「あの時は何も考えずに行っちゃったけど、もしかしたら重要なものがあったのかも……」

響「だったらもう少し調べておくべきたったかなぁ?」

響「よしっ! そうと決まれば早速プールの方に移動してみるぞー!」 テクテク

響「っと、その前に職員室の鍵は――。あ、よかった。普通の鍵だった」 カチャ

響「……」 キョロキョロ

響「……周りに人影なし。よし、今の内に!」 タタタタッ



163 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:06:25.56 ID:PUmdftm80

-プール-

響「んー……。月はあるけど、さすがに暗すぎてわからないなぁ……」 ンー?

響「うへぇ。なんか手すりまでぬるぬるして気持ち悪いぞー……」

響「でも手がかりを見つけるまでの我慢! もう一度外周を調べて――」

響「……おっ! ビンゴだぞ! ここにも石碑があった! 小さいけど」

響「えーっと、何々?」

響「『三人……魂を……』? うー。苔にまみれて読めないぞ……」

響「でも、これでほぼ確定だな。壁新聞でいう、九の悲劇の舞台現場に石碑が建てられている可能性が高い!」

響「……ん? それじゃあ玄関にあった石碑は――」

響「最後の事件の? 事件の舞台は玄関で起こったのか?」

響「……」

響「……まだまだ手がかりが足りないぞ」


行動安価 → 家畜小屋へ



164 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:08:08.06 ID:PUmdftm80

響「……そうだ。家畜小屋に行ってみよう」

響「推理通りなら、家畜小屋にも石碑はあるだろうし、校庭は広いから襲われても逃げられるだろうし……」

響「よしっ。ちょっとは情報が集まってきたぞ! このまますんなり行けばいいんだけど……」

響「……」

響「念のため、車も見てこようかな……」 スタスタ..



165 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:08:41.32 ID:PUmdftm80

-校庭-

響「特に何事もなく……」 スタスタ

響「とりあえずまずは車の中を見てみないと……。えーっと」 ドレドレ

響「……!!」

響「これってプロデューサーの携帯?! どうしてこんな場所に!」 ガチャッ

響「……」 ピッピッピッ

響「!! 音声メモがある! 録音時刻は――1時間前? 自分が寝てたくらいか?」

響「……」

響「プロデューサー。無事なのか……?」 ジワッ

響「とりあえず、これも資料として持って行こう。車の中にあったのなら、ここも絶対安心とは言い切れないしな」

響「後ろ髪引かれる思いだけど……。今は家畜小屋に急ごう」 タッタッタ...



167 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:27:54.60 ID:PUmdftm80

-家畜小屋-

響「ここが家畜小屋……。このゲージは鶏を飼っていたのかな」

響「そしてその裏手に……。あったぞ。小屋のインテリアに偽装してるんだな」

響「むぅ……。半分地面に埋まってるのか……? 板切れで入り口を隠してある」

響「その周りには――。やっぱりあった。石碑だぞ」

響「『七……少女……忌』。読めない部分もあるけど、だいたいこんな感じかな――……」

響「さて。板切れをどけてみたら入り口が出てくるはず……。って、階段? 本当に半地下だったのか」

響「でも肝心の扉は南京錠で閉じられてる……」

響「仕方ないぞ。とりあえずこの当たりは――」

                               ガンッ!!!

響「!!!!」
                     ガンガンガン!!!!         ガン! ガシャン!!

響「なっ!? 扉が向こうから叩かれてる!? 何か中にいるのか!?」

                           ガン!! ズガン!!  バスン!!!

響「だ、だんだん叩く音が大きくなってる。どどど、どうしよう……」

行動安価 → 逃げる



168 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:28:49.90 ID:PUmdftm80

              ガスン! バスン!!

響「や、やばい。扉の部分の板が破られそう!」

響「逃げよう! ここにいたら危ない気がする!」 ダダダッ

響「ふぅ……っ! ふぅ……っ!」 ダッダッダ!

響「と、とりあえず校舎に向けて逃げちゃったけど……。ど、どこに行けばいいんだろう?」 フゥフゥ

                        ガシャン!!

響「!! 扉が破られた!? い、急がなきゃ!」


行動安価 → 全力で逃げる



169 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:30:23.75 ID:PUmdftm80

響「ど、どこでもいいから全力で逃げよう!」 ズダダダダ....



――……
――――…………


-???-

響「ふぅ……。こ、ここまで来れば安心だぞ……」

響「……って、ここどこだ!?」

響「無我夢中で走ってたから、わかんなくなっちゃったぞ……」

響「えーっと……。机があるからどこかの教室だな。後は――」

響「ん。ベランダから中庭が見える。ということはここ、北校舎なのか」

響「……うーん。周りには人の気配はないみたいだけど……」

響「……どうしよう?」


行動安価 → 自分が何処にいるか確かめて、安全確保



170 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:30:50.39 ID:PUmdftm80

以下 廃村の中で 3



171 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:31:24.88 ID:PUmdftm80

響「とりあえず正確な位置を把握しなきゃ……」 ドレドレ

響「……あれ。ここクラス書かれてないぞ?」 キョロキョロ

響「プレートが外されてる……。なんでこんなことを……」

響「……まぁ今はそれどころじゃないか。中庭の方は――」 チラッ

響「相変わらず不気味だぞー……。でも誰の気配もなし。高さからして3階かな?」

響「そう考えれば――5年生か6年生の教室なのかな」 キョロキョロ

響「展示物もなし、かぁ。これはいよいよ本当にわかんなくなってきたぞ」


行動安価 → 情報整理



172 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:32:14.20 ID:PUmdftm80

響「……まぁ、人の気配も感じないし。ちょっとここで情報整理しておくかなー」

響「まず廃校の理由を知らなきゃ。えーっと、なになに?」

『この度の発覚し×した×事××より、保護者××様に×大変な×心×××かけしたことを、心から謝×申××げ×す』

『これにより、本校、××小学×は×××生徒への××響を×え、廃校にする××に決×させていただきます』

『よって本年×××を持ちまして、××学を××……』

響「……これはひどいぞ。ぐちゃぐちゃになっちゃって、全然読み取れない」

響「でも辛うじて、何かの事件が廃校の引き金になったってことは読み取れたぞ」

響「廃校の原因って……なんだろ?」

響「……」 ウーン

響「こ、心当たりが多すぎて思いつかないぞ」



173 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:32:44.77 ID:PUmdftm80

『×××× vol.×× 今回発生したエ×ベーターの事故につ×まして』

『調査に××と、かくれんぼの最中、誤ってエレベータ××ャフト内に入×込み、そのまま落下』

『職×が気付××いまま機械を×かし、リールを巻く滑車に顔を×されたことが×因とな××……』

響「……ん? これはあのエレベーターの記事だよな。教員用の配布プリントか?」

響「どっちにしろ胡散臭いぞ……。あまりこれは信用できる内容じゃないぞ」

響「後は……そうだ。プロデューサーの携帯! あれを調べてみなきゃ!」

響「えーっと……。音声再生、これかな」 ピッ

             ガガッ           ガガガガガッ




174 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:33:46.32 ID:PUmdftm80

P『えー……。これで声取れてるのかな? よしよし』

P『おーい、響。お前は無事かー?』


響「プロデューサーの声……! じ、自分は無事だぞー! 早く助けに来て欲しいぞー!」 ウルウル


P『えーっとだな。俺も一応学校中を探してはいるんだけど、なかなかお前に会えなくてな』

P『ときどきお前の声が聞こえるから、多分この学校のどこかにいるんだろう? そうだな、響』


響「うん……うん……」 グスグス


P『で、さっきからお前を名前を叫んでいるんだが……。返事がない。何かしらの理由で聞こえていないのか?』


響「それは……きっと自分、寝てたせいだ。もう少し我慢して起きていれば」 グスン


P『だから、この音声メモをお前に残す』

P『もしお前が無事なら、これに元気な声でも録音して、また元あった場所に置いておいてくれ』

P『或いはどこかで待ち合わせ場所を入れておいてもいい』

P『とにかく、お前が心配でたまらない。怪我はしてないか? 寒くないか? 腹減ってないか?』

P『……できるだけ、車周辺にいるようにする。早く元気な姿をみせてくれ。以上だ』


響「ゔぅ゙……。プロデューザー……。自分も会いだい。会いだいぞー……」 ボロボロ



176 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:35:27.17 ID:PUmdftm80

P『じゃあな、響。そんな歳で迷子なんて格好悪いぞ』 ハハハ


響「ぐすっ……ぐすっ……。そんなんじゃないもん……」 クスン

響「でも……プロデューサー無事だったんだな。良かった、本当によかったぞ……」 ポロポロ


P『あ! そうだ。これ追伸で言うの忘れてた』


響「え……?」


P『お前のイタズラじゃなければ、この校舎。ちょっと変な奴が紛れ込んでるかもしれない』

P『というのも、教員舎の2F倉庫。あれ、最初は「倉庫」って書いてたのに、次見たら「放送室」のプレートに変わってた』

P『お前か誰か。勝手に部屋のプレートを摩り替えてるやつがいるんだな』

P『もしお前じゃないなら気をつけろよ。こんな深夜にこんなことするやつ、ちょっと変だ』

P『もし出会ったら一目散に逃げるんだ。捕まりそうになったら、今度こそ俺を大声で呼べ。すっ飛んでいくからな』

P『ま、願うならずっと出会わないままでいてくれるのが一番なんだけどな』

P『こんどこそ以上だ。それじゃ、通信終わり』 ピッ ガガガ....


響「放送室って……。え? あの部屋、放送室じゃないのか……?」

響「じゃああの時のチャイムは別の場所から……? どうして?」



177 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:36:54.80 ID:PUmdftm80

響「あの場所は本物の放送室じゃない……?」

響「摩り替えるってくらいだから、放送室には行かせたくないのかな。……オバケが?」

響「部屋のプレートを入れ替える。なんか行動がすごく人間臭いぞ……」

響「でも――。……だめだ、ちょっと考えがまとまらない」

響「いや、それよりもプロデューサーが無事だったんだ。喜ばなきゃ」

響「……偽者? いや、そんなわけないよね。あの声は確かにプロデューサーの……」

響「いや。でも印刷室でかかってきた電話。あれは春香の声に偽装してた……」

響「……どうしよう。疑心暗鬼に陥っちゃってる」

響「とりあえず何かして気を紛らわせなきゃ」


行動安価 → 倉庫の上の部屋について考える



178 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:37:35.37 ID:PUmdftm80

響「うー……。とりあえず今は保留にして、今分かってることだけを考えよう」

響「まず、倉庫の上の部屋……。水音がしたけど、あそこの上は図工室と男性教員更衣室のあたりだよな」

響「水音がするのなら、排水機能のある部屋……。トイレ、手洗い……シャワー室?」

響「無くは……ないのか。更衣室があるのなら。……でもまだこの学校に水道は通っているのか? そもそも」

響「んー。一応手持ちの鍵で、図工室に入ることもできなくはないけれど――……行く意味あるんだろうかな」

響「あの時は水道の音がして、その後に人体模型が降りてくる足音が――……あれ?」

響「……いや、でも……」

響「……」

響「ちょっと……。変な疑惑が生まれちゃったぞ……」


行動安価 → 階段周辺で車を見張る



179 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:39:06.39 ID:PUmdftm80

響「……とりあえず、プロデューサーは車の周辺にいるって言ってたぞ」

響「自分が心配なら、少なくとも隠れながら陰からこそこそ様子をみることなんてしないはず」

響「……どこかで様子を見ることはできないかな?」

響「そうだ、階段。階段から様子を見よう。それならすぐに降りることもできるし……」

響「ここが北校舎の3階なら、とりあえず廊下に出て右にあるのかな」

響「様子見がてら、周りも見ていこうっと」 ガラッ



180 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:39:46.82 ID:PUmdftm80

-北校舎 3F? 廊下-

響「……」 キョロキョロ

響「特に何があるわけでもないか――。相変わらずどの教室は不明だし」

響「……ここのクラスプレートも、例の摩り替えたおばけだか変質者さんだかが持っていったんだろうか……」

響「うー……。わかんないぞ。とりあえず移動しよっと」 スタスタ

響「正面窓からは南校舎、左手は名前の不明な教室。途中に南校舎への渡り廊下、奥に階段」

響「右手には教室と男女用トイレ。その先に階段。階段を上れば恐らく屋上」 テクテク

響「……こんなところかな。逃げる準備は万端にしとかないとね」 ヨシヨシ

響「さて。じゃあここでしばらく車を見張るぞー」



181 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:40:25.24 ID:PUmdftm80

-数分後-

響「……」

響「……誰も、車周辺に来る気配はないぞー……」

響「うー……。じゃあ本当にあれは嘘だったのかなぁ」

響「プロデューサー。声を聞いたときは嬉しかったけど――」

響「今は何を信じたらいいのか、わからないよ」 グスッ

響「……」 グシグシ

響「……こんなことが続いて、弱ってるのかな。ちょっと心が痛いぞ……」

響「……」 ボーッ

響「……ん? あれ?」

響「車の近くに誰かいる!! シルエットだけど、何か動いてる!」

響「ど、どうしよう。ここからじゃ懐中電灯の光も届かないし……」

響「ここは……」 ゴクッ


行動安価 → こっそりと後をつける



182 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:41:13.90 ID:PUmdftm80

響「と、とりあえず見失わないうちに近くにいってみよう」 ダダダッ

響「……」 フゥ...フゥ....

響「……! まだ車の傍にいる! ……けどこれ以上進んだら遮蔽物もなにもないから、あっという間にバレちゃうぞ」

響「それに後をつけるっていったってこのままずっと車から動かなければ――」

響「校舎内は安全じゃないんだし、ジリ貧にならない程度になにか行動しなきゃ!」


行動安価 → 叫んで呼んでみる



183 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:41:46.56 ID:PUmdftm80

響「そうだ……。これくらいの距離があれば……たとえ偽者でも逃げられる」

響「周りに変な気配は……なしと」 キョロキョロ

響「よぅし……」 スゥゥゥゥゥッ

響「おーい! プロデューサー!!!!!」

??『……!』 バッ

??『その声、響かー!?』

響「この声は……ぷ、プロデューサーだぁ!」

P「おーい! 響! そこにいるのかー!」 オーイ!!

響「おぉい! こっちだぞー!」 ダダダ

P「無事かー! 怪我はしてないかー!」 タッタッタッ

響「だ、大丈夫だぞー!」 ダダダダダ.....



184 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:42:18.70 ID:PUmdftm80

響「はぁっ……はぁっ……。プロデューサー!」 タッタッタッタッ

P「響! 無事だったか!」

響「本当にプロデューサーか? 本当に本当にプロデューサーなのか?」

P「なに言ってんだ。当たり前だろうが。こんなイケメンこの世に2人もいてたまるか」 ガバッ

響「ぷ……プロデューザー!」 ガバッ

P「おっとっと……。よしよし。無事か? 体調は? 怪我は? なんともないか?」

響「ゔん゙……っ! で、でも゙怖がっだよおぉぉっ!!!」 ポロポロ

P「あー、よしよし。もう大丈夫だ。落ち着け。すごい顔になってるぞ」 ヨシヨシ

響「だ、だっでも、もう。二度とぷろりゅーさーにあっ。……グスッ……会えないんだって思っでー」 ポロポロ

P「うんうん。怖かったんだな。もう大丈夫だ」 ナデナデ

響「もう何度も……だ、ダメなんじゃないかなって思って……!」 ポロポロ

P「そうか……。響は頑張ったんだな」 ヨシヨシ



186 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:43:12.84 ID:PUmdftm80

響「なっ。なんでやくぞく通りに来てくれながったんだよぉっ! プロデューサーの嘘つぎぃぃぃっ」 ポロポロ

P「あー……。ごめん。廃墟マニアの血が騒いじゃって。ゴメンな? 10分で戻れなくて」 ナデナデ

響「……プロデューサーの、ばか……」 ヒック

P「ん。そうだな、馬鹿でごめんな」

響「……グスッ。……ねぇ、プロデューサー?」

P「ん? なんだ?」

響「……もっと強くぎゅってして……」

P「ん? こうか?」 ギュッ

響「違うぞ。ぎゅーって……」 グスン

P「あぁ。こうかな」 ギュゥー

響「それでね。頭……強く撫でてほしいさ。よくやったなって……」

P「あぁ。響、よく頑張ったな。よくやった」 ナデナデ

響「ん……」 ポロポロ



187 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:44:23.76 ID:PUmdftm80

分岐安価
このPは偽者か本物か

結果 → 本物



188 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:45:22.22 ID:PUmdftm80

-数分後-

P「どうだ。落ち着いたか?」

響「うん。ちょっとテンパっちゃってた。ごめんだぞ」

P「いいさ。あんな危険人物がいる中で逃げ回ってたんだから。本当によくやったよ」 ナデナデ

響「危険人物……? そうだな。あんなオバケ、もうこりごりだぞー」

P「オバケ? ……うん。よく分からんが、もう離れないようにしよう。響もそれでいいな?」

響「うん。……ところで危険人物って? プロデューサーもオバケに追われてたんじゃないの?」

P「いや。学校でお前を探してるとき、急に後ろから殴られてな。気がついたら変な真っ暗闇にいた」

響「真っ暗闇?」

P「あぁ。とりあえず手当たり次第に殴ってたら……ほら、あそこ見えるか?」

響「あそこって……。家畜小屋?」

P「そう言うのか? その下に閉じ込められてたみたいでさ。あそこから這い出てきたんだ」

響「じゃ、じゃああの時のって……プロデューサーだったのか!」

P「は? なにが?」 キョトン



189 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:46:28.07 ID:PUmdftm80

P「殴られる直前、俺を殴ったらしいやつの靴が見えたんだ。それで変な奴がいるって分かってな」

響「靴……? 殴られて……? いろいろおかしいぞ」

P「まぁとにかくだ! お前が無事だったのなら話が早い! ちょっとこれ見てみな」 ガチャッ カチャカチャ

響「? 車がどうかした――」

           ブォン...                   ブォォォォン

響「! エンジンがかかってる!」

P「そう。どういうわけか直ってるみたいなんだよ。誰かが直してくれたのかわかんないけど、ここを脱出できるぞ!」

響「うそ……。嘘っ! ほ、本当にか!? 嘘じゃないよな!」

P「あぁ。……ただ不思議なことに、ちょっとガスが減ってるんだよなぁ。でもギリギリホテルまでは足りる距離だ」

響「やったぞ! もう怖い思いをしなくてもいいんだな!」

P「おう、そうだな。じゃあ、早速帰ろう!」

分岐安価
一旦帰るか。残るか

結果 → 帰らない



190 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:47:31.25 ID:PUmdftm80

響「……」

P「……? どうした響」

響「少し、待って欲しいぞ。何だかモヤモヤするんだ」

P「モヤモヤって……何が?」

響「誰かが修理したってことは、誰かが車を弄ったってことでしょ?」

響「なら……。その車って、例えばブレーキは効くの?」

P「ブレーキ、か。」 グイ

          ギュルルルルルッ         グォーン

P「……効いてないな。多分、ブレーキパッドを抜かれてる」

響「やっぱり……。あまりにおかしいと思ったんだ。こんなアッサリ終わるだなんて」

P「……仕方ないな。とりあえず一晩過ごして、後は救援がくるか歩いて帰るかを選ぼう」

響「……そうだな」



191 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:49:09.38 ID:PUmdftm80

-車内-

P「ふぅ……」 ガチャッ

響「どうだった?」

P「ん。綺麗に弄られてる。あのまま帰ってたら、行きつく先は天国だったろうな」

響「そっか……」

P「だがまぁ、電気系統はしっかり復活してる。これで暖房は効くし、ラジオも聞ける。少しはリラックスできるはずだ」

響「ん。それは良かったぞー……」

P「なんだ響。眠いのか? 眠いのなら寝ててもいいが――」

響「違うぞ。プロデューサーが無事で、なんだか肩の力が抜けちゃって……」

P「そうか。響は頑張ったんだな」

響「うん……」


行動安価 → 車に残したハム蔵はどうしたか、とカマをかけてみる



192 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:49:48.33 ID:PUmdftm80

響「――ねぇ、プロデューサー」

P「ん? どうした」

響「車に残してたハム蔵。どこ行ったか知らない?」

P「ハム蔵? ハム蔵は向こうに置いてきただろ。なに言ってるんだ」

響「あれ、そうだったかー? ちょっとうっかりしてたぞ」 フフフ

P「んー……。やっぱ疲れてるんじゃないか? 休んだほうが――」

響「いや。大丈夫だぞー」 ギュー

P「どうした。寒いのか?」

響「ううん。ちょっと安心しただけっ!」


行動安価 → 抱きつく



193 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:53:51.29 ID:PUmdftm80

響「ねぇ、プロデューサー。そっち行っていい?」

P「そっちって……どっちだ?」

響「プロデューサーの膝の上。やっぱりちょっと寒いから、温まりたいぞ」 モゾ...

P「……そっか。じゃあいいぞ。甘えたいだけ甘えろ。今は響の椅子になってやるから」

響「ありがと。えへへ、やっぱプロデューサーは暖かいさー……」 ギュー

P「響も暖かいぞ。懐炉代わりにちょうどいい」 ポンポン

響「ん……」

P「……」


行動安価 → 情報共有して中庭の石碑探索



194 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:55:15.87 ID:PUmdftm80

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「どうしたんだ? 眠れないか?」

響「もう。眠たくなんか無いって言ってるじゃないかー」

P「ハハハ。そうだったな。……それで、どうかしたか?」

響「プロデューサーもさ。いろいろ廃校とか探索したんだよね」

P「あぁ。まぁ大半はあの小屋の下と村の方に費やしたけどな」

響「どんなことがあったの? 何をみつけたの? いろいろ知りたいぞ」

P「知りたいって言われても……。まぁ、電話の音声メモで話したとおりのことくらいしか、なぁ」

響「あっ……。あの電話のメモ、やっぱりプロデューサーのだったんだ」

P「? やっぱりって……。そりゃそうだろ。誰かと声を間違えるほど切羽詰まってたのか?」

響「いや。そういう訳じゃないんだけどさー……」

P「? ちょっとよくわからんな。響の方の冒険は、よほど大変だったみたいだ」

響「そうさ! とっても怖くて不気味な思いをして……。あぁ、一言じゃとても言い表せられないぞ!」

P「ふん? じゃあどういうことがあったんだ?」

響「えっとだな――」



195 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:55:55.47 ID:PUmdftm80

響「――という訳さ! オバケに追いかけられて、本当に大変だったんだぞ!」

P「ふぅん。動く人体模型に追いかけられて……ねぇ」

響「あっ! その顔は信じてないな! 本当だぞ! 電話だって春香を騙ってきて、すごく怖かったし」

P「いやぁ、だってなぁ……。人体模型が動くとはとてもとても」

響「むぅー! 本当なのに」

P「いや、だってさ。そもそも人体模型って人間みたいに走る姿を、ちょっと想像できなくてな。響は見たんだっけか?」

響「そうだぞ! 人形が凄い勢いで足音……あれ?」

P「どうした響」

響「……あれ、本当だ。よく考えてみたら」

響「自分、人体模型が走ったり襲ってきたりしたところ。見てないぞ……」



196 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 01:57:21.04 ID:PUmdftm80

響「最初、人体模型を見た時は、変な音に驚いてモップ振り回したら、それが当たって倒れただけだし……」

響「そもそも印刷室では近づいてくる足音と、扉を開ける音しか聞いてない」

響「ロッカーの時もそうだ。あの足音をずっと人体模型だと思ってたけど……」

響「冷静に考えてみたら、あの足音が人体模型の追ってくる足音だなんて確証。どこにもないじゃないか……!」

P「……だが、電話を騙ってきたんだろ?」

響「そう。電話を掛けてきた、そう思ってたぞ」

響「ならあのロッカーに隠れてたやつが持ってた、自分の携帯……」

響「あれは一体誰がかけたものなんだ?」

響「これって……これは――」 ブツブツ

P「ふぅん。なるほどなぁ……。オバケでも生きた人間でも、響を追う事はできたってことか」

響「ぐぅ……。そうかもしれない」

P「でもそれなら問題は春香の声の騙りだな。それだけはちょっと分からない」

響「そ、それは確かにそうだぞ。あの声は確かに春香だった」



202 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:34:04.35 ID:PUmdftm80

以下 廃村を越えて



203 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:34:59.31 ID:PUmdftm80

P「……不思議な事件だな。それに9の悲劇ってのも何だか酷く座り心地が悪い」

響「うん。正直言って、自分もそれが気になってた。その事件がきっと今日の騒動の原点なんじゃないかな――って」

P「ふぅん……。響、やっぱお前は犯人を幽霊だと思うか?」

響「わかんない……。もしかしたらただの変質者の仕業かもしれないし、でも本当にオバケの仕業かもしれないし」

響「でも、あまりに不可解なことが多すぎて……。自分はきっと幽霊のせいだと思ったんだ……」

P「……だが仮にこれの黒幕が、本当にオバケだったとして――。何をさせたかったんだろうなー」

響「……わかんない。謎を解いてみない限りには」

P「……謎、解くか?」

響「えっ?」

P「気になって気になって仕方が無いんだろ?」

響「えっ! えっと……。う、うん」 モジ

P「正直俺も気にはなっていたんだよ。壁新聞とか見ててさ。だから俺自身はその謎を解き明かしたいと思っている」

響「プロデューサー……」



204 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:35:54.33 ID:PUmdftm80

P「でも響に危険な目に合わせたくはない、とも思っている」

響「……」

P「でも――俺の傍から絶対に離れない。そう約束してくれるのなら、もう少しだけ廃校を見てもいいかな、と思った」

響「――いいの?」

P「多分黒幕さんは俺たちが車にいるのを知ってるだろうし、最悪危害を加えてくるかもしれない」

P「でも動き回ったり逃げ回れば、或いは――ってこともありえるしな。それに――」

響「それに?」

P「幽霊が黒幕だったら、多分このまま帰っても呪い殺されそうな気がしてならないからな」 ハハハ

響「そ、そうなのか?」



205 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:36:22.80 ID:PUmdftm80

-中庭-

P「と、いう訳で最初につれてこられた場所がここか。ここに何かあるのか?」

響「えっとな。そこの石碑、見えるだろ?」

P「石碑? ……あぁ、慰霊塔な。なんか痛ましい事件があったらしいな」

響「その石碑の下、見えるか? 箱が挟まってるだろ? それを取ってみたいんだ」

P「箱って……いいのか? けっこう罰当たりな気もするけど」

響「わ、わかんない。でもずっと気になっていたから……」

P「ん……。まぁ分かったよ。どれ……」 ガシッ

響「頑張れぷろでゅーさー!」

P「フー…………うるぉあっ!」 グイィッ    スポン

響「おっ! 抜けたぞ! 中身は――」 パカッ



206 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:38:05.99 ID:PUmdftm80

響「手紙と……カギ? なんだこれ」

P「痛て……。お、なんか見つけたのか。どれどれ?」

響「えーっと……。『大丈夫。もう誰もあなたを傷つけないから。過去の罪も全部流れて――』……なんだこれ?」

P「さぁ? 誰かに当てた手紙……? にしてもなんで慰霊塔の下に……」

響「わかんないぞ。でも石碑の下にあったってことは、少なくとも廃校になってから置かれたってことだぞ」

P「でもこんな場所に置いておくだなんてなぁ……。大事にしている風にもみえないな」

響「それにこっちの鍵……。ずいぶん小さいぞ。きっと部屋とかの鍵じゃないな」

P「どれ? ……うん、確かに。引き出しや小箱の鍵って感じだ」

響「小箱……引き出し……。うーん、職員室くらいしか覚えがないぞ」

P「だなぁ……。ま、進展はあったってことで」


行動安価 → 職員室へ



207 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:39:11.77 ID:PUmdftm80

-職員室-

響「ほら、プロデューサー。行くぞー」

P「お、おう。……いつの間にこんなところを。鍵かかってたと思ってたのに」

響「こっちだってずーっと学校を探索してたんだ。これくらいのことはやってるぞー」

P「そ、そうか……。じゃあとりあえず色々な所を調べていこうか」

響「そだね。念のため、鍵をかけて、っと」

P「まずは教員の机だな。どれが誰の机だなんてわかんないから、適当になっちまうけど……」 ガチャガチャ

響「……」 ゴソゴソ

P「……」 ガサゴソ

響「何も無いなー。あ、テスト用紙なんて出てきたぞ」

P「こっちは漢字ドリルだ。いろいろと懐かしいなぁ」

響「んー……。ん? これは写真――ってうわぁ!」 ガタン

P「ど、どうしたんだ、響」



208 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:40:21.54 ID:PUmdftm80

響「な、なんか一つ目のおばけが写真に写ってる」

P「一つ目の……? ……こら、響。失礼じゃないか。これは人だよ。黒衣を着た人」

響「ひ、人?」

P「事故かなんかで怪我しちゃったんだろ。ほら、裏にも書いてある」

響「う、裏……? えーっと、『87年6月、母と共に。最期の姿  樋村』……。あ、本当だ」

P「昔のカラー写真だからな。ちょっと色あせて不気味に感じたかもしれないけど……。ここにいた先生のお母さんかな」

響「か、かもしれないぞ。うぅ、悪いこと言っちゃったかも……」

P「まぁいいさ。引き続き探索を続けよう」

響「う、うん……」



行動安価 → 教頭の机を調べる



209 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:43:24.66 ID:PUmdftm80

P「お。この机は立派だな。学年主任のかな? 或いは教頭か」

響「教頭や学年主任だから立派な机ってことはないと思うぞー……」

P「いやぁ。昔の田舎の学校はそうでもないんだぜ。それにほら、教頭って書いてある」 ゴソゴソ...

響「なんでそんなところに教頭と……。で、何か見つかったか?」

P「んにゃー、特に。何があるって訳でも――おや? これは……」

響「何か見つけたのか?」

P「えーっとだな……『タイムカプセルは絶対に暴きます。ですから、どうか今の内に自首してください』。なんだこれ?」

響「脅迫状? でもなんで教頭先生の机の中に?」

P「差出人は書かれていないな……。ていうか自首ってなんだ。物騒だな」

響「タイムカプセル? これってどっちのタイムカプセルなんだろ」

P「あぁ、そういえばそっちも気になるな。資料読んだけど、またエキセントリックな事件だったらしいじゃないか」

響「うん。でも、これは文面的に、まだ掘り当てられてないタイムカプセルのこと……だよな」

P「暴くってあるし、そうなんだろうな」


行動安価 → 中庭探索



210 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:43:51.77 ID:PUmdftm80

P「とりあえず、調べるもんは調べたな。一旦中庭まで戻ろう」

響「そうだな。まだ色々気になる場所はあるけれど……」 スタスタ

                        バタンッ!!

P「おっ?」

響「!!!!!」

P「……扉の閉まる音だな。それもかなり強く。上の階か?」

響「だだだだ誰か上の階にいるぞ、プロデューサー! に、逃げないと」

P「ま、そうするか。中庭は後回しだ」

響「と、とりあえず体育館側に! こっちには階段ないし、逃げられるかも!」 タッタッタ

P「大きな音、ねぇ……」 タッタッタッタ....



211 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:47:16.66 ID:PUmdftm80

-体育館前 渡り廊下-

響「こ、ここまでくれば一安心だぞ……」

P「ここは体育館か……。やっぱ改めてみたら大きいな――ってなんだ? 扉が壊されてる!」

響「えっ? あ、あぁ。それやったの自分だぞ」 ポリポリ

P「ん? 響が? そりゃどうして……」

響「だって、初めてここに来たとき、ボールをつくような音が聞こえたから、プロデューサーがいるのかと思って――」

P「俺が? 俺は体育館なんて入ってないぞ。鍵かかってたし」

響「じ、じゃあ、あの時の音は……。や、やっぱりこの学校にはオバケがいるんだー!」 ブルブル

P「落ち着けって……。しかしボールをつく音、か」


行動安価 → 舞台袖へ



212 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:47:44.11 ID:PUmdftm80

-体育館-

P「は? 舞台袖を見たい?」

響「う、うん。なんか前に見つけた書置きに、こっちに逃げればよかったみたいな文があって、それが気になって……」

P「んー。まぁ、逃げ道の多い場所なら、例え追ってが来ても逃げられるかもしれないし……。行ってみるか」

響「よ、よろしくだぞー」

P「なんだ? 俺が先頭か。まぁいいけど……。お、開いてる」 ガチャリ

響「な、中はどんな感じだー?」

P「ちょっとぐちゃぐちゃしてるな……。ピアノやら横断幕やらが置かれてる。物置代わりになってるのかね」

響「よいしょっと……。あ、本当だ。思った以上にごちゃごちゃしてて、あまり逃げやすい場所とは思えないかも」

P「まぁ廃校以前は綺麗だったのかも――おや?」

響「? どうした、プロデューサー」



213 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:48:31.00 ID:PUmdftm80

P「ここ、ホールの方を覗ける小窓あるじゃん」

響「あ、本当だ。真っ暗でホールの方はあまり見えないけど、入り口ははっきり見える」

P「そこん近くにこんなメモがあってさ。ホレ」

響「メモ? えーっと……。どれどれ?」


『ひだりにいってまっすぐ。みぎにいってひだり。まっすぐ。またまっすぐ。みえなくなった』


『ノゾキアナ、もうすこしおおきくしたい』


響「あれ、この字って……」

P「なにかマーチングをビデオ撮影でもしてたのかね? まぁ覗き穴ってことは、あまり褒められたことじゃないのかもな」

響「あのメモ……もしかして。でも、だから何だっていうんだ?」 ブツブツ

P「響。なにをブツブツいってるんだ」

響「あ、いや。こんな動きを逐一メモするようなことして、なんになるのかなー……って」

P「さぁな。覗き穴って書いてあるし、誰かがお宝でも埋める場所を覗いて横取りでもしようとしたのかもな」 ケラケラ

響「もう。こんなときくらい、ふざけないで欲しいさー」


行動安価 → メモと照らし合わせる



214 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:49:12.67 ID:PUmdftm80

響「まったくもう……」 ガサッ

P「ん? 響。なんだそれ。メモ?」

響「これ、ちょっと前に車のドアに挿まれていた絵だぞ。この裏の文字が、なんだかここの落書きの文字と似ていて……」

P「ふんふん。普通の家族の絵だな。絵柄的に――低学年っぽいな」

響「それはわかんない。名前も学年も書いてないから――。あ、やっぱり間違いないぞ。この字、落書きの字と同じだ」

P「ほほぅ。それはかなり奇妙な一致だな。それで――……どするんだ?」

響「……どうしよう」


行動安価 → 2階へ



215 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:49:45.34 ID:PUmdftm80

P「……じゃあ、とりあえず2階に行ってみるか」

響「2階? そんなものあるのか?」

P「あぁ。ほら、なんかガラクタで分かりにくいけど、これ階段だろ? じゃあ2階に上がれるってことさ」

響「2階……。よし、じゃあ行ってみるぞ! ……プロデューサー先頭で」

P「……まぁ、別にいいけど。よっと」

響「んしょんしょ……。なんか動きにくいぞ」

P「一面ガラクタまみれな上に、傾斜があるから。足滑らせるなよ。転んだら危険だ」

響「う、うん。大丈夫さー」 ヨイショ

P「よっと……。ここが2階か。お? ここにも覗き窓が――」

                   バンッ!!!

P「ん?」

響「!!!」

                      ガス..    ガス...

P(誰か体育館に入ってきた……?)

響「……」 ガタガタ ブルブル



217 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:50:26.77 ID:PUmdftm80

               ガシャ     ギュッ.. ギュッ.. ギュッ..

P(革靴の音……? 響が聞いた足音とは違うな。複数いるのか?)

響「ぷ、ぷろでゅーさーっ」 ギューッ

P「ん? 大丈夫。あいつはこっちに気付いてないよ。それに何があってもお前は守ってやるから。な?」 ナデナデ

響「う、うん」 ブルブルブルブル

                     ギュッ ギュッ ザリュッ          ガラガラガラ....

P(暗くてよく見えないな……。向こうのほうにある、更衣室に入ったのか?)

響「フーッ……。フーッ……」 ギュウゥゥゥゥゥッ

P(よく分からんが、友好的じゃないな。俺たちを探してるのかな) ポンポン

                ザリッ       ギュッ ギュッ ギュッ....

響「……」

P「……」

                         バタン

P「……言ったみたいだな」

響「ふ、ふわぁ~……」 ヘナヘナ



218 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:53:59.55 ID:PUmdftm80

P「大丈夫か? 何かあった?」

響「わ、わからないぞ。でもあの扉を叩くような音を聞いたら、急に足が震えてきちゃって……」

P「……ここで、探索を打ち切ろうか? あんなのがいるようじゃ、逃げられないだろ?」

響「だ、大丈夫。足は笑ってるけど、ちゃんと動くぞ。だからもう少し、もう少しだけ調べさせて欲しいさー……」

P「……わかった。でも何かあったらすぐに言うんだぞ」

響「うん……」 ガクガク

P「とりあえず、落ち着くのをまって行動しよう」


行動安価 更衣室へ



219 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:54:30.62 ID:PUmdftm80

P「更衣室に行ってみるか……」

響「えっ!? そ、それはダメだぞ!」 ガシッ

P「? 何でだ。さっきの奴が何か手がかりを残してるかもしれないじゃないか」

響「だめ……だめ……」 ガタガタ

P「……まいったな。じゃあ、響。ちょっと近くを見るだけならどうだ? 部屋に入らないで、周りを警戒しながらって感じで」

響「……」 フルフル

P「んー……。けど、やっぱあそこを調べてみない限りにはなぁ」 ポリポリ

響「でも、行ったら死んじゃう……。プロデューサー、だめだよ」

P「参ったな。響を置いていくわけにもいかないし……」



220 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:55:20.76 ID:PUmdftm80

響「ぷ、プロデューサー。なんで抱っこ……」

P「何でって……これしかなからな。格好悪いかもだけど、ちょっと我慢してくれよ」

響「で、でも……。自分、あそこに行きたくないさ……。嫌な、嫌な予感がする」 ブルブル

P「大丈夫。あの変な奴ならもういないよ。それにチラっと見るだけだから」

響「……」 ブルブル

P「ほーら震えるな。怖くない怖くない。ちゃんと俺が守ってやるから」 ヨシヨシ

響「う、うん……」 ギュゥッ

P「じゃあ、ゆっくりと中を……」

                               ドンッ!!

P「うわっ!」 ドテッ

響「うぎゃっ!」 ドサッ

                  ギィィィィッ                     ガチャン

P「痛てて……。なんだ? 誰かから押されて――。って、しまった! と、閉じ込められた!?」 バンバン

響「いっ……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



221 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:56:06.32 ID:PUmdftm80

P「くそっ……! どうなってるんだ。こんなボロボロなドアなのにビクともしない」 ガンガン

響「くる……。あ、あいつが来る……!」 ブルブル

P「来る? 誰かがここに来るのか――!!! だ、誰だ!」

??『……』 ブツブツ

響「ま、窓に人影が……。ヤだ……、ヤだ……」

??『……』 ボソボソ

P「おいアンタ! 聞いてるのか! おい!」 ガンガン

??『…………』 ブツブツ      テクテク...

P「おい! あんた、一体何処に――」

                           ガシャン!!       ジャリン!

響「!」

P「金属音……。くっ、刃物か?」



222 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:57:03.99 ID:PUmdftm80

響「い、いや……」 ガタガタ...

P「響……」

                 ガタン!    ギュッ ギュッ ギュッ ギュッ....

P「足音が……。一か八かだな」

響「うぅっ。嫌……。嫌だぞ……。もうこんな――」 ブルブル

P「響。いいか? よく聞くんだ。俺は一か八かの賭けに出る。だからお前は――」 グイッ

響「え、えっ? な、なんだ」 オロオロ

P「……ここ。ここに隠れているんだ」

響「でも、ここ……。それにプロデューサーは」

P「大丈夫。俺は大丈夫だから、お前はずっとここに隠れてるんだ。そして朝が来たら急いで道路を走ってホテルへ急げ」

響「そ、そんな。嫌だぞ。もう一人にはしないって」

P「じゃあ約束だ。今度こそ守るから、な? だから声を立てずに目を堅くつぶって、耳を塞いでるんだ。いいな?」

響「ま、待ってプロデューサー。一人に――」

P「足音が近くまで来た。じゃあな、響」 ギィィィ




P「ごめんな」 バタン






224 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:57:50.02 ID:PUmdftm80


――……
――――…………

-総合病院-

                      ガチャッ

春香「やっほー、響ちゃん! お見舞いに来たよ」

響「おー、春香じゃないか! どうしたんだ? この前も来てたじゃないか」

春香「うん。まぁ、ね。みんな響ちゃんが心配なんだよ」

響「そっかー。悪いな、変な気を使わせちゃって。でも大丈夫だぞー! ちょっと山道で転んだだけだからさ」

春香「うん。でも……」

響「ところでプロデューサー、今日も来てないのか?」

春香「!! え、えっとね。その……」

響「最近プロデューサー忙しいのかな。全然姿見ないぞ」

春香「……えっと、そう! プロデューサーさんは海外に研修へ行っててね! 当分帰ってこれないらしくて」 アハハ...

響「えーっ! そんなの聞いてないぞー! まったく、プロデューサーは勝手なんだから」 プンスコ

春香「……そうだね。勝手な人、だよね」



225 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 02:58:19.19 ID:PUmdftm80

春香「……? 響ちゃん。それって――」

響「うん? あぁ、これか? プロデューサーから貰ったんだ! いいだろー」 ヘヘーン

春香「携帯電話……なの? それをプロデューサーさんから?」

響「うん。なんか知らないうちに自分の携帯壊れちゃったから、プロデューサーがくれたの使ってるんだ」

春香「そうなんだ……」

響「ところでみんなの様子はどうなんだ? 元気してるか?」

春香「うん。みんな、みんな元気だよ……。だから……」 ジワッ

春香「早く……元気になってね。またみんなと一緒に、歌おうね……」 ポロポロ

響「そうだな! 早く怪我を治して、次会う時は」

響「みんな一緒だぞ!」



228 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:00:00.88 ID:PUmdftm80

小鳥「――以上が警察から報告だそうです」

高木「そうか……。鋭利な刃物を使って……。それで、犯人は?」

小鳥「逮捕されてます。なんでも数十年前の事件の『犠牲者』だとか。あの廃校に潜んでいたらしいです」

高木「うむ……。ところで、我那覇くんの容態は?」

小鳥「身体の傷は癒えたようですが、心の方は……」

高木「致し方ない、という他無いか。目の前で彼を――」

小鳥「社長」

高木「うむ、すまない。しかし、なんと理不尽なものなのだろうな、この世の中は……」



229 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:00:28.67 ID:PUmdftm80

- 病室 -

響「……」 カチャカチャ

響「……」 ピッ

P『とにかく、お前が心配でたまらない。怪我はしてないか? 寒くないか? 腹減ってないか?』

響「大丈夫だよ。ここは暖かいし、ごはんもあるし、みんながいるよ」

P『早く元気な姿をみせてくれ。以上だ』

響「うん。わかったぞ。元気になるから。プロデューサーも元気でね」 ピッ

響「……」

響「えへへ……」


響生存 End



240 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:13:55.93 ID:PUmdftm80

以下 廃村に迷い



241 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:15:14.84 ID:PUmdftm80

~3週目~

-体育館 2階-

P「――……い。おい、響。おい、どうしたんだ急に」

響「……えっ?」 ビクッ

P「おぉ。やっと気付いたか。どうしたんだ急に怯えだして。そんなに更衣室に行くのが嫌なのか?」

響「あれ、ここ――」 キョロキョロ

P「この窓から月光が強く差し込みすぎて、ほら。床に影を作ってる。ここに長くいると目立ってしうから――響?」

響「……なんだか夢を見てた気がするぞ。なんだか知らないけど、すごく悲しい夢……」 ポロ...

P「一体どうしたんだ。……お前、泣いてるのか?」

響「えっ? ……あっ。本当だ。何で――」 ポロポロ

P「怖い夢でも見たのか?」 ヨシヨシ

響「わ、わかんない……。でもプロデューサーの姿を見たら急に……」 グスッ

P「……ちょっと、大変なことが続いて疲れてるのかもな。とりあえず移動しようか」

響「ぐすっ……。? 移動ってどこに?」

P「いや。だからあの変な奴もいなくなったし、更衣室を――」

響「更衣室――だ、ダメっ!」 ガバッ



242 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:16:25.14 ID:PUmdftm80

P「うおっ! やっぱ反対なのか。なんでそんなに……。それじゃあ俺だけでもサッと行って、チラッと見てくるのは――」

響「だめ! それだけは絶対にだめだぞ!」 ガバッ

P「おっとっと――って、なんでだ? 例え行くのが俺だけでもか?」 ヨロッ

響「ダメ! 絶対に行かないし、それに行かせたくないぞ! じゃないとこの手は絶対離さないからな!」 ギュウウッ

P「うーん、まいったな……」

響「ぷ、プロデューサーがなんて言っても、絶対ダメだからな! 絶対、ぜったい……!」 ポロポロ

P「わ、わかったわかった。更衣室にはいかないよ」 ヨシヨシ

響「……ぐすっ。ほ、本当か?」

P「本当本当。ま、確かにまだあの変質者が更衣室周りにいるかもしれないからな。俺もちょっと急いでたかもしれん」

響「そ、そうかー……。な、ならいいんだぞ」 ホッ


行動安価 → 本物の放送室を探しに



243 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:17:32.09 ID:PUmdftm80

P「じゃあ更衣室に行かないとして――どこへ行こう。響、お前はどこか気になる場所とかないか?」

響「自分は――放送室の場所が気になるぞ。プロデューサーの言ってたことが本当なら、あそこは倉庫だったんだし」

P「放送室? ……あぁ、そういえば部屋のプレートを挿げ替えられてるっぽいこと、メッセージで残したっけか」

響「うん。やっぱ探してみて、あの放送はなんだったのかくらいは知りたいぞ」

P「了解了解。とは言っても……どこにあるかまだ分かってないんだけどな」

響「あれ? プロデューサーは放送室、知ってるんじゃないの? ほら、プレートすり替えられる前の」

P「いや。俺は2階の倉庫がいつの間にか放送室ってなってるのに気付いただけだし――」

響「そ、そうなのか……。でも多分教員舎のどこかの部屋にあるんじゃないのか? わかんないけど」

P「んー……。俺はむしろ別の場所にあると思ったんだけどなぁ……。ま、そこらへんは響の判断に従うよ」

響「そうと決まれば教員舎に……って、そうだ! 教員舎、ついさっき扉の音が聞こえて逃げてきたばかりだったんだ!」

P「んー……。まぁ、確かに扉の音がしたな。でも、お前は教員舎が怪しいと睨んでる、と。どうする?」

響「うーん……」


行動安価 → 給食準備室近くの倉庫へ



244 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:18:03.80 ID:PUmdftm80

響「と、とりあえず教員舎は後回しにするぞ。それで教員舎から一番離れてる南校舎の倉庫から調べるぞ」

P「ん。南校舎は分かるとして……倉庫を調べるのか?」

響「え? だ、だって放送室が倉庫で偽装されてたのなら、倉庫のうちどれかに本物の放送室があるじゃ――」

P「ん……。まぁそういう推理もあるか。じゃあ南校舎に行こうか」

響「そうだな! よし、じゃあ慎重にいくぞ。慎重に」 ソロソロ

P「足元気をつけろよー」

響「……」 ソロソロ   ピタッ

P「? どうした響」

響「や、やっぱプロデューサーに先行ってほしいぞ……」 ブルブル



245 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:19:24.13 ID:PUmdftm80

- 南校舎 給食準備室前 階段横 倉庫前 -

P「……」 ガチャガチャ

響「ど、どうだー? 開いたかー?」

P「……だめだな。持ってる鍵全部試してみたけど、どれも鍵が合わない」 フゥ

響「そうなのかー……。少しくらい進展が欲しかったけど、開かないのなら仕方ないぞ」

P「でもまぁ、南校舎にポツンと放送室があるとも思えないんだけどな。それも階段横には」

響「うーん……。じゃあここ中身見てないけど、普通の倉庫ってことでいいのかなぁ」

P「多分なー。俺も確信を持って言えるわけじゃないけど」


行動安価 → 北校舎と南校舎の間の空間について



246 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:20:02.44 ID:PUmdftm80

響「そういえばこの校舎と北校舎の間にある空間って、何があるんだ?」

P「ん? 中庭だな。普通の。アサガオの鉢っぽいのが転がってたし。というか知らなかったのか?」

響「知らなかったぞ。こんなに長く校内を彷徨うだなんて思ってなかったし――」

P「まぁ、確かにな。最初はほんの部屋探しで入ったつもりだったんだし」

響「……というか自分、まだこの学校の全体を把握できてないぞ」

P「あれ、そうなのか? 俺よりずっと校内を散策してるから、詳しいのかと思った」

響「詳しくなんかないぞ。基本教員舎と体育館と車の往復だったし」

P「そっか。じゃあとりあえず簡単な構造だけでも知っておくか?」

響「教えてもらえるのなら聞くぞー」



247 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:20:56.37 ID:PUmdftm80

P「まずは教員舎だな。まぁ普通に知ってるとは思うけど」

響「自分は1階と3階、屋上になら行ったぞ。部屋もある程度は覚えてるし」

P「そっか。じゃあ知らないのは2階だな」

P「教員舎の2階は、俺が最初に来たとき……まぁ寝る部屋探しでこの学校に入った時だな」

P「その時は、理科室、音楽室、理科準備室、物置、階段、家庭科室が確認できたな」

響「その中の物置がいつの間にか放送室ってなってたんだな?」

P「多分な。次は北校舎か。ここは俺もあまり見てはないんだが、基本生徒の教室舎っぽいな」

響「自分、ここの3階で篭城はしてたけど、そこが何年の教室だったかは分からなかったぞ……」

P「そうなのか。じゃあ北校舎の屋上のこととかも知らないんだな。うーん……」

響「……? 屋上になにかあるのか?」

P「? あるじゃないか。正面時計を管理してる部屋っぽい場所が。教員舎の屋上からは見えなかったのか?」

響「時計……。あっ。そういえば確かにあったぞ、そういうの。今まで気にしてなかったけど」



248 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:22:07.70 ID:PUmdftm80

P「次は今いる南校舎だな。ここの2階以上は調べたか?」

響「まだ……、だったはずだぞ。でも基本構造は北校舎と同じだよね」

P「だな。違うことと言えば、東側に給食用のエレベーターがあるくらいか。あ、それと――」

響「それと?」

P「2階。これ俺も行ってないから不確定だろうけど、2階にある北校舎との渡り廊下。あの途中に多分図書室があるぞ」

響「図書室? そんなのもこの学校にあったのか……」

P「渡り廊下間の僅かなスペースにある小さな部屋だけどな。まぁ、何があるとも思えないが」

響「うーん……。そんな構造になってたのか。他は?」

P「他? 他は――特に無いな。あとは南東の隅あたりに宿舎への道があることくらいか」

響「宿舎? 教員用の宿舎か?」

P「いや。ここの生徒のためのようだな。宿舎というより寮と言ったほうがいいかもしれん」

響「ここ、寮まで完備してる学校だったのか!? 何でそこまで……」

P「不思議だよな。寮生活までして、こんな辺鄙な場所にある学校に通うほうも、通わせるほうも」



249 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:22:35.46 ID:PUmdftm80

P「と、まぁ俺が知ってることはこれくらいだな」

響「やたら詳しいぞ。何でそんなに沢山知ってるんだ」

P「何でって――普通に玄関正面に案内板あったじゃないか。見てないのか?」

響「……そういえばあったぞ。忘れてた」

P「後は村駆け回ってる時に、通り道を見つけて――って感じだな」

響「むぅ。なんだか負けた気分だぞ……」

P「仕方ないさ。響は隠れながら慎重に移動してたんだろ? こっちは走り回ってたし、ある意味当然さ」

響(結構アグレッシブに動き回ってた気もするぞ)


行動安価 → 図書館へ



250 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:23:02.38 ID:PUmdftm80

響「んー……。それなら図書館に行ってみたいぞ」

P「ん? 放送室探しはいいのか?」

響「一旦休憩ってことだぞ。それに案内板にはあくまで校舎の構造しか書かれてなかったでしょ? だから――」

P「あぁ。もし部屋割りとかが見つかれば、本当の放送室も見つかるってことか。なるほどな」

響「図書室だから学内資料は少なそうだけど、もしかしたら何か見つかるかもしれないし……」 テクテク

P「かもな。まぁ資料探しはある意味貴重だし、いい選択かもな」 スタスタ

響「だぞー」



251 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:23:59.19 ID:PUmdftm80

-図書室-

P「……ん。開いたぞ」 ガチャッ ガララララ

響「うわっぷ! ……すごく埃っぽいぞー」 パタパタ

P「でも埃が舞うってことは、湿気は少ないってことだな。これは少しは期待できるかもしれん」 ヨイショ

響「それにこの様子じゃ、最近誰かが入ったとかそういう訳でもなさそうだぞ」

P「まぁ、鍵がかかってたしな。とりあえず念のため扉は閉めといて、いろいろ探してみるか」

響「ん……案外本が沢山残ってるぞ。驚いたかも」

P「想定外の出来事で廃校って流れだったしな。処分する暇もなかったのかもしれん……。あ、晴れときどきぶたじゃん」

響「わぁ。はだしのゲンもある。向こうの学校じゃあ、先生が『これ読め!』ってしつこいくらい勧めてたの思い出したぞー」

P「うっはー。ゲームブックあるじゃん。懐かしいなぁ、暇さえあれば持ち借りたい」

響「あ、ズッコケ三人組だ。こんな昔からある本だったのかー」

P「……」

響「……」

P「目的、ズレてるな」 ガサガサ

響「真面目に探すぞー……」 ゴソゴソ



253 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:25:35.80 ID:PUmdftm80

響「……ん? このダンボールの中身……」 ガサッ

P「どうした? 何か見つけたか」

響「壁新聞……『学級オカルト』のバックナンバー集だ。なんでこんな所に……」

P「折り目や小さな穴が開いてるな……。多分過去、壁新聞として実際に張り出されてた分だな。ここに仕舞ってたのか」

響「保存がいいから読めなかった場所まで読めるぞ。それにもしかしたら――あっ! あったぞ!」 バサッ

P「? なんだ。何か見つけたのか?」

響「87年のバックナンバーだ! ……それでも87年全部の記事はないみたい」

P「へぇ、やったじゃないか。ちょっとだけでも見てみるか」 ドレドレ


『学級オカルト 87年2月号』

『さて、長い歴史をもつ学級オカルト。今年度の内容はどうだったでしょうか』

『私は今年卒業しますが、これからも学級オカルトは、5代目をはじめとするみんなの力で続いていきます』

『なんか一部がこれからの記事を流行のエログロ路線で統一しようぜとか言ってるけど、先生の目もあるし大丈夫でしょう』

『来月で私たちの代の学級オカルトは最後になります。最後はとびっきりのネタで皆を沸かせたいと思ってます』

『次回、衝撃の裏事実を発表! 乞うご期待!』



254 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:26:16.62 ID:PUmdftm80

P「衝撃の新事実、ね。他の記事を調べてみれば面白いことが分かるかもしらんな――響?」

響「……」 キョロキョロ

P「どうしたんだ、そんなに新聞を見回して」

響「ない。ないぞ。次号であるはずの3月号のバックナンバー……。他の月のは見つかったのに」

P「もしかしたら、学校側が処分した可能性もあるな。3月号にやっぱりエログロ記事書いて先生に怒られてーってさ」

響「むぅ……。でも自分が1年手がけてきた最後の新聞を、そんなことで台無しにしたりはしないと思うぞ」

P「まぁ、確かにそうかもしれんが――。もしかしたら他のダンボールの中にあるのかもな。まだ沢山あるし」

響「かもしれない。でもこんな多くを調べるなんて、できるかなー」

P「まぁ、気のすむまで調べればいいさ。俺も見てみたいものもあるし」 ガサガサ

響「? それ自分の言ってた惨劇の記事が載ってるナンバーか?」

P「うん。響の話からの伝聞だけじゃピンとこなくてな。俺はこれを調べてみるよ」

響「ん。わかったぞー」



255 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:28:56.83 ID:PUmdftm80

響「あ、そうだ。それ以前に87年ので調べなきゃいけないことがあったはず……」 ガサゴソ パラッ

響「ノストラダムス、ネッシー、ムー大陸……。古臭いオカルト記事ばっかだけど、どこかに――!! あった!」 ガサッ

響「えーっと、なになに。『死者が黄泉がえる? 学級閉鎖の真実、11人の惨劇!』……なんだこれ?」


『学級オカルト 87年 7月号』

『先月、突如として発生した学級閉鎖。生徒全員体育館に避難して、知らぬ間に終わってしまったこの事件』

『新聞の話では、不審者が学校に侵入して、生徒を9人殺傷。そして逃亡したと言っているが、これには聊か疑問が残る』

『というのも、あの事件の後、消えてしまった生徒がどの学年にも見当たらないのだ』

『そこで我々、学級オカルトは事件の究明に奔走した』

『そこで事件を僅かながらに目撃した生徒に証言を重ねあわせていくうちに、恐るべき事実が発覚した』

『なんとあの時校庭に現れたのは不審者ではなく、過去行方不明になったはずの11人の生徒だったというのだ』

『中には凄惨な死体で見つかった生徒も混じっており、黄泉の国から蘇った彼らが学校を襲いにやってきたのだ』

『そのうち村全体の力をもって、11人中9人は土に還すことに成功したが、残り2名の行方は未だ分からないらしい』

『この現象を見るに、ブードゥーに伝わりし死者を使役する術によりゾンビーとして……』


響「これなのか……。最後の一つ。9つ目の悲劇は」



256 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:30:34.30 ID:PUmdftm80

響「でも死んだハズの人間が現れる……? そんな馬鹿なことあるはずないぞ」

響「と、思ってたけど、今のこの現象を考えるに、まさか本当なのか?」

響「だとしたら、その時に逃げた2人が今もこの廃校を彷徨っている……?」

響「ありえるぞ……。うぅ、もしそうなら、襲われたら自分もゾンビになっちゃうのかなぁ」 ブルブル

響「うぅ。嫌だぞー、そんなの」 ガタガタ

P「へぇ。面白い記事じゃないか。ゾンビ? これまた王道をいったなぁ」

響「あ、プロデューサー。もう記事は読み終わったの?」

P「おう。やっぱ胡散臭いよな、この壁新聞。どこまでが本当でどこからが誇張なんだろうか」

響「誇張……? あ、そうか。これオカルト新聞なんだし、信憑性なんてないようなものなのか」

P「そうだな。ベースが実在の事件だったとしても、面白おかしく書くために誇張している場合も考えられるからな」

響「むぅ……。そう考えると、なんだか今までの事件がとても胡散臭くなってきたぞ」



257 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:32:42.07 ID:PUmdftm80

P「そうそう。ついでだから時期をまとめといたぞ。分かるところだけだけども。なんか参考になればいいけどな」

響「お? ありがとうだぞ。……でも記事が胡散臭いなぁと思いはじめた瞬間にまとめて貰ってもなぁ」 ウーン

P「ま、お守り程度。何かに使えればいいなって程度でいいでしょ」

響「そうだけど……。えーっと、どれどれ?」 ペラッ

『監禁事件、小物事件 不明。タイムカプセル 68年。カッター自殺事件 78年。 エレベーター事件 80年』

『プール事件 86年、恐らく9月。タイムカプセルで言及されてる生徒行方不明事件 87年、恐らく3月』

『女性教諭ミキサー事件 87年6月。人体模型事件、88年9月』

響「ふぅん……。まぁ、頭の片隅には置いておくぞ。あまり関係はないと思うけど」

P「酷いなー。せっかくまとめたのに」

響「まとめるくらいなら、新しい何かを見つけてほしかったぞー!」 プンスコ

P「ま、それも一理あるけど……。しかしこの資料の山はなー」 コキコキ

響「一応成果はあったけど、まだここを調べることもできそうだな」

P「どうする? 調べるも考えるも移動するも、俺は響の意見を尊重するぜ」

響「うーん……」


行動安価 → 村について聞く



258 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:33:16.29 ID:PUmdftm80

響「そうだ。プロデューサーは長いとこ村を走り回ってたんだよね」

P「ん? あぁ。随分駆け回ったよ。村の奥の方まで行ったし」

響「そこで……何か気になることとか無かったか?」

P「村で気になること? そうだなぁ……。んー、何があるか……」

響「些末なことでもいいから!」

P「んー。本当に些末なことだけど……。ここ、元々この村は鉱山で成り立ってたみたいだな」

響「鉱山?」

P「ん。錫やら銅やらが取れてたみたいだな。でも随分昔に閉山してる。多分70年中期には」

響「随分と昔だな」

P「だろ? ……で、気になったのはその後だ。この村、どうやって食っていったんだろうなって」

響「? 食っていったってのは」

P「主要産業が潰れた村なんて、普通なら閉山と共に廃村のハズだ。でも何故かそのまま10年以上存続してるんだよな」

響「蓄えでもあったんじゃない? それに自分ならできるだけ長く自分の生まれた土地で暮らしたいぞー」



260 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:34:52.80 ID:PUmdftm80

P「住人にいたってはそうかもしれんが……。じゃあ学校はどうなる?」

響「学校?」

P「そ。鉱山で働く人の子供が通う学校ではあることは違いないと思う。でもこの学校、見た感じ改築してるんだな」

響「改築……。そういえばそうだぞ。壁新聞には20年以上前の卒業生って書いてあったし、随分古い学校のはず」

P「そんな大金、一体どこから出てきたんだ? そもそも何で鉱夫たちの子供のための小さな学校を存続させようと?」

響「それはー……」

P「金の使い方も出所も、少し変だなって、まぁそう思ったわけよ」

響「うーん……。でも村の事情とは別に、後からお金持ちの人が買い取って運営してたのかもしれないし……」 ウムム

P「だから些末なことって言ったろ? だがまぁ、これが俺の気になったことではあるな」

響「……」


行動安価 → Pの推理を聞く



261 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:35:31.24 ID:PUmdftm80

響「……プロデューサーは、さ。どう思ってるの」

P「どう、とは?」

響「いや。今まで出た疑問点を考えて、どうしてそうなったか、自前の推理とかあるなら聞きたいなーって……」

P「……かなり馬鹿げた話になるかもだけど、いいか?」

響「うん。いいぞ」

P「そうだなぁ……。まず俺が気になったことといえば、壁新聞だな」

響「壁新聞。あぁ、でもすごく胡散臭いってさっきプロデューサーが」

P「胡散臭いのは間違いないけど、0からのでっち上げってこともないだろう。恐らく何かの事件のベースはあるはずだ」

P「けど仮にこの新聞を読み解いていくとして――納得できない事件が山ほどある」

響「例えば?」

P「例えばこのエレベーターの記事。エレベーターで圧縮? 数日後発見? とても信じられないな」

響「それは、まぁ確かに自分も思ったぞ」

P「しかし前述したように、全てが嘘という訳でもないだろう。誰も信じられない記事は誰にも読まれない」

P「多少の信憑性がある。実際に事故があったってことは事実なんだろう」



262 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:37:08.82 ID:PUmdftm80

響「でもそれが実際にあったとすれば――」

P「そうだな。事故じゃなく事件。殺人か、死体遺棄かのどっちかなんじゃないかなって俺は思ってる」

響「もし……もし事件なら」

P「警察が関わってないことがおかしい。大人の目なら誰にでも変と思うこんな事件を」

響「……」

P「そしてカッター事件。これも考えてみたらおかしいよな」

響「えっ? これも?」

P「自殺した生徒はカッターで自分の喉を掻っ切ったらしいじゃないか」

響「う、うん。それで血がゴボゴボ溢れてきて、声にならない声が聞こえたって……あれ?」

P「うん。小さなカッターナイフじゃあ、せいぜい喉を突くくらいしかできない」

P「でもそれだと空気が漏れる音しかしない。よしんば血が出てゴボゴボした声が出せても、死にはしない」

響「じ、じゃあどうやったらあんな声が……」

P「簡単。舌を噛み切るか、首を一文字に切る。太い血管巻き込めば血濡れの声は出せるだろう」

P「でもカッターで、しかも自分でじゃとても無理だ。いくら子供の首でも……そうだな。出刃包丁くらいの刃物がないと」



264 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:37:52.37 ID:PUmdftm80

響「それってつまり……」

P「ん。俺は他殺で見てる。後は――そうだな。ミキサーもよく考えれば変だ」

響「あ、あぁ。そういえばそうだぞ。いくら水の力でも、人をバラバラになんてできないよな」

P「まぁ、それもあるんだが……なんでそんな死に様が分かるんだ?」

響「えっ?」

P「雨の日、しかも洪水の危険がある日だったんだろ、その日は」

P「普通なら休校。加えて宿直って書いてあるし、惨劇の舞台は夜だったはずだ」

P「こんな自然のミキサーが偶然出来て、巻き込まれてお陀仏なんて、見てないとそんなこと書けやしない」

響「いや。でもそれはゴシップ記事の誇張じゃないのか? こんな無残な方法で死んだんだーって盛り上げるために……」

P「じゃあ何で事故なんだ?」

響「え?」

P「先に言ったよな。ある程度の信憑性がないと、こんな記事誰も信じないって」

P「じゃあ中庭で女性教諭が死んでたのは間違いないだろう。多分、死に様もバラバラだったんだろうし」

P「だからこんな風な記事を書けた。でも、じゃあ何で事故扱いなんだ?」



265 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:40:54.70 ID:PUmdftm80

響「そ、それは――公式に事故死だって発表されちゃったから?」

P「多分な。でも身内の発表だろう。いくら昔の警察でも、こんな事件を事故扱いしないだろうし」

P「そもそも……警察に通報してないのかもしれないな。今までの事件を考えても」

P「人体模型、プール、タイムカプセルの3件は明らかな殺人だしな。これは結構いい線いってるんじゃないかと思う」

響「つまりプロデューサーは、この学校で――」

P「ん。殺人が結構頻繁に行われてたんじゃないかなって思った」

響「な、なんで……。何が目的でそんなことを……」

P「そこまでは知らない。ただ、思い当たる節はある」

響「思い当たる節……?」

P「なんていうかなー……。これらの惨劇、最初の監禁事件とカッター事件の2つを除いたら、さ」

響「うんうん」

P「……やっぱ止めとく。馬鹿らしすぎるわ。こんなこと」 ヤレヤレ

響「えぇーっ! ここまできといてそれはないぞー!」



266 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:41:56.88 ID:PUmdftm80

P「別にいいじゃないか、そんなこと。ていうか過去の出来事を暴いたところで何の解決にもならないんだし」

響「そ、そんなことないぞ! もしかしたら当時殺された生徒の幽霊がこの事態を引き起こしているのかもしれないし」

P「そうは言ってもなぁ。証拠も無ければ確証もない。全部俺の妄想だもん」

響「そ、そうかもしれないけどー……」 ウググ

P「まぁ、気が向いたら話すよ。そうだな、二人無事にここから出られた時」

P「もしこのことを覚えていて聞いてくるのなら、そのときに笑い話として話してやるよ」

響「むぅ。なんだか煙に撒かれたような気分だぞー……」

P「ていうか話すまでも無く、推理可能だとは思うんだけどな。単純な共通点だし」

響「共通点……? でも監禁とカッター以外の事件って、普通に生きてる人も混じってるけれども……」

P「タイムカプセルに至っては半分一致って程度だけどな――っと。さて、少しだけ休憩したら活動を再開するか」

響「休憩……わかったぞ。ちょっと動きすぎてた感じもあるし、見た感じここは安全そうだからな」

P「ん。……無事、一緒に出られるといいな」

響「……うん」



267 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:45:09.64 ID:PUmdftm80

以下 廃村で眠る



268 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:46:05.05 ID:PUmdftm80

-図書館-

響「……?」 ムクッ

P「どうしたんだ、響」

響「気のせいなのかな……。いま人の声が聞こえたような気が……」

P「えっ? 本当か?!」 キョロキョロ

響「うん……。だいぶ離れてた、けど」

P「…………何も聞こえないな。どこらへんからだ?」 ハテ?

響「こっち……北の方からだけど――。でも気のせいかもしれないし、それにオバケの声だったら気味悪いし――」

P「なんだ。お前まだこの学校に潜んでいるのが幽霊だと思ってるのか」

響「だ、だって……。実際に不思議な目にも会ったし、事実ここでは恐ろしい事件もあったみたいだし……」

P「……まぁ、誰の仕業かはともかくだ。少なくとも俺を殴った奴がどこかにいるんだ。警戒してても悪くはないだろう」

響「確かにそうだけど……。でもまさか様子を見に行くとかじゃないよね?」

P「あくまで選択肢の一つ、かな。さて、それじゃあそろそろ俺たちも活動を再開しようか」


行動安価 → 靴についての疑問と2つの録音について聞く



269 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:46:36.63 ID:PUmdftm80

響「その前に……ちょっといいか? プロデューサー」

P「なんだ?」

響「さっき、プロデューサーは『靴を履いてる人に殴られた』って言ってたよね」

P「あ? あぁ。チラッとだったが、あれはブーツだったような……」

響「でも自分の聞いた足音は、硬いものが地面とぶつかる様な音だった。ヒールとかタップシューズみたいな音だな」

P「聞いたよ。『カツッコツッ』って感じだったらしいな」

響「自分、最初は人体模型の仕業だと思って、プロデューサーの話を聞いたとき、ん? って思ったんだ」

P「そういえば首を傾げてたか。で、それがどうした?」

響「それで――……あれ? 自分、何を聞こうとしてたんだっけ? ごめん、今の質問忘れてほしいさ」

P「? そうか。変な奴だな」



270 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:47:11.81 ID:PUmdftm80

響「あ、そうだ。それとは別にもうひとつ質問いいか?」

P「この際だ。何でも聞きなよ」

響「実はさ。自分、プロデューサーの残した録音、2つとも聞いたんだけど、その時ある疑問が残って――」

P「は? 2つ? なに言ってるんだ。俺がお前に録音メモを残したのは1回きりだぞ?」

響「や、やっぱり……」

P「やっぱりって……一体何があったんだ? 録音? ちょっと詳細に聞かせてくれないか」

響「じ、実はプロデューサーを探しにここに入って、1回変なチャイムを聞いた直後だったかな?」

P「チャイム……。俺は聞いてないな」

響「もしかしたらプロデューサーが車に戻ってるかもしれないと思って車に戻ったら、自分の携帯が車内に置いてあって」

響「そこに2分前に録音完了したっていう音声メモが残っていて……」

P「ふむ……。内容はどんなのだった?」



271 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 03:48:00.21 ID:PUmdftm80

響「えっと……『こっちから響の声がしたと思ったのに』とか、『もう一度村の方を探してみようか』とかそんなの」

P「……あの時か。確か車の方から変な音と声がして、急いで車の方まで戻ってきたんだよな」

響「声? 音?」

P「あぁ。多分女性の声……。俺は響かと思ったんだけど誰もいないし、てっきり勘違いかと思ってたんだが――」

響「それは初耳だぞ。それで――変な音っでのは?」

P「ガチャンとかガンとか、そう。金属を叩くような音……あぁなるほどな」

響「なるほどって?」

P「いや。俺も疑問に思ってたんだよ。いつ車を弄られたのかを。多分その時だったのかもな」

響「車を……。で、でも姿は見えなかったんでしょ? あそこは校庭で、隠れる場所なんてどこにもないじゃないか!」

P「……一つだけあるぞ。遮蔽物が」

響「?」

P「車だよ。俺たちの乗ってきた車そのもの。例え近くにいても、車が作った死角にいたら気付けないかもしれない」

響「し、死角って……?」

P「俺の立っていた場所と対角方向。もしくは――……車の中、あるいは車の下だ」

響「車の中……。車の下……」 ガタガタ



272 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:02:02.83 ID:PUmdftm80

響「じゃ、じゃあ自分があの時車を調べていた時に、もしかしたら近くにオバケが……」 ゾーッ

P「やっぱお前にとっては幽霊なのか。……しかし声を録音? なんでそんな真似を……」 ブツブツ

響「うぅ……。でも、あれ? じゃあ何でその時、自分は襲われなかったんだろう……?」

P「……確かにそうだな。仮に女性だったとして、俺相手だと返り討ちにあう可能性はあるから分かるが……」 チラッ

響「?」 プルプル

P「こんな震えてるちっこいの。襲おうと思えば特に問題なく襲えたはず」 ポンポン

響「ち、ちっこくなんかないぞ!」

P「……殺すのが目的じゃなかった? 少なくとも、その時は」 ブツブツ

響「で、でもブレーキが壊されていたり、ガソリンを抜かれていたんでしょ? それなら――」

P「……ここ以外で、例えば事故で死ぬことを望んでいたとか? ここに警察や人が来ないように」

P「いや。でもそれなら俺たちを殺して埋めて、車は処分して隠蔽すればいいだけ……」

P「意志が一致してない。……複数いる? それも共通の意志をもっていない奴らが」 ブツブツ

響「お、おぅい。プロデューサー」



273 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:02:41.54 ID:PUmdftm80

P「あ、あぁ。すまんすまん。ちょっと考え込んでしまってた」

響「ブツブツ言ってて、端から見たらすごく不気味だったぞ……。あ、そうだ、それと2つ目の録音は」

P「2つ目……? あぁ、俺が残した音声メモのことか。あれがどうかしたか?」

響「いや。プロデューサーって殴られて監禁されてたんでしょ? それいつ録ったのかなーって……」

P「殴られる直前だな。確かあの後……あれ?」

響「どうかしたのか?」

P「いや。ちょっとその前後の記憶が曖昧で……。あれ、俺どこに行ったんだっけ、あの後」

響「お、覚えてないのか?」

P「というより思い出せん。……しくったなー。殴られた影響か?」 ウーン

響「むぅ……。でもあの録音はプロデューサーのもので間違いないってことなら、それは良かったぞ」


行動安価 → 南校舎へ



274 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:03:19.59 ID:PUmdftm80

P「南校舎? まぁ目と鼻の先だからいいけど……そこがどうした?」

響「いや。南校舎ってあまりよく知らないから……。北校舎もわかんないけど、こっちもよく調べておきたくて」

P「まぁ……別にいいか。変な声がしたってのが教員舎や北校舎の方向なら、ハチ合う可能性も少ないし」 ガチャッ

響「調べるなら今のうちだぞ!」 ガラララ

P「だな。幽霊にしろ人間にしろ、出会いさえしなきゃ問題ないし」

響「やさしいおばけだったら良かったのにな」 ガララ   ピシャッ

P「……」

響「? どうしたんだ、プロデューサー」

P「……いや、別に。ただこの学校、引き戸と普通の扉が結構混在してるんだなーって思ってな」

響「それは、まぁ確かにそうだぞ……。でもそれが?」

P「いや、なんでもない。じゃあさっそく行くか」



275 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:03:45.90 ID:PUmdftm80

- 南校舎 2F 廊下 -

響「お。ここはクラスのプレートが残ってる。……4-1、4-2、4-3と……資料室? って書いてあるのか? 読めないぞ」

P「あとは倉庫とかトイレとか、給食用のエレベーターが残るだけだな。……特に変な場所はないか」

響「まぁ、見た限りでは特に変ではないぞ。見て回る?」

P「少し教室の中を覗く程度でいいだろ。ドアも開いてっぽいし、窓もいくつも割れてるしな」

響「じゃ、全部回ってなにもなければ3階に行くぞー」



276 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:04:13.91 ID:PUmdftm80

- 南校舎 3階 -

P「2階はとくに何も無かったな。次は3階か」

響「ここは――やっぱりクラスプレートが抜き取られてるぞ。何の教室なのかわからない……」

P「でも、部屋の構造は同じだな。普通に上級生の教室だと考えて問題はないだろ」

響「2、4と来て……。じゃあここは6年生の教室なのかな?」

P「多分なー。まぁここも見て回るか。何かあるでもなさそうだけど……」 スタスタ

響「うん」 テクテク



277 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:04:53.34 ID:PUmdftm80

- 南校舎 屋上 -

P「……お。ここはすんなり開いたな」 ガチャッ

響「月が出てるぞ。はぁ、こんな時じゃなければ綺麗だなーって、思えるのに……」

P「しかし結局めぼしい成果は得られなかったな」

響「3階は荒れ放題だったから仕方ないぞー。例え重要な部屋があっても、あれじゃ調べられないし」

P「しかし……なんでクラスのプレートがないんだろうな。他の、2年と4年は普通にあったのに」

響「さぁ……。あ、でもそういえば南校舎の3階、ここも多分上級生の教室だろうけど、クラスのプレートがなかったぞ」

P「んー、何でだろうな。深い意味はないかもしれないが……。少し気にはなる」

響「……このプレートを隠したやつが、放送室のプレートを摩り替えたのかな?」

P「さあな。そこまではわからん」

響「うーん……」


行動安価 → 声のした方向へ



278 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:05:19.59 ID:PUmdftm80

P「じゃあ……そろそろ声の聞こえたほうに行ってみるか」

響「えっ!? ほ、本当に行くのか? 危険だぞ!」

P「あれから時間も経ってるし、大丈夫だろ。それにもう、遅れはとらんよ」 シュッシュッ

響「うぅー……。行きたくないぞー……」

P「まぁ、いいじゃないか。それで、北のほうってことは北校舎か?」

響「ううん。遠くから聞こえたから……教員舎だと思う。階までは分からないけど……」

P「じゃあ……とりあえず行ってみるか、教員舎」

響「うぅ~……。オバケに会いませんように」 ブルブル

P「大丈夫だって。お前は俺が守ってやるから、絶対に。だからそんなに怖がるな。な?」 ヨシヨシ

響「……うん」



279 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:06:34.21 ID:PUmdftm80

- 玄関ホール -

P「ここを抜ければ教員舎だ。誰かいるかも知れないから気を引き締めろよ」

響「う、うん。怖いけど、頑張るぞ」 ギュー

P「うし。それならオッケーだ。……あとはしがみ付かなければ100点なんだけどな」

響「そ、そんなこと言ったって……。あ、じゃあ手。手ぇ握って」

P「……ライト持ってるから、それだと両手が塞がっちゃうんだが」

響「じゃあ我慢するんだぞ!」 ギュウ

P「って、俺が我慢する側なんかい。っと、そろそろ見えてきたが、ん? 荒れている……?」

響「ん……。ん? あれ? あそこって――」



280 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:07:36.30 ID:PUmdftm80

- 教員舎 1F 廊下 -

P「あーあー。印刷室か、これ。すげぇ数のプリントが散らばってらぁ」

響「ち、違う」

P「違う? 何がだ。もしかしてここ、響の知ってる印刷室じゃないのか?」

響「違うぞ。その隣……。隣の倉庫が開いてる」

P「倉庫……? 本当だ。開いてるっていうか……なんだこれ。無理やりこじ開けたのか?」

響「さっき、職員室へ行くときにはなんともなかったのに……。あの後に何かあったのか?」

P「或いは、さっき響が聞いた声。ここが現場なのかもな。ほれ、見ろ」

響「? これ、傷……? 刃物で叩いたような」

P「まさかりか、ナタみたいなでっかい刃物だろうな。……入るぞ。響は周りを警戒しててくれ」

響「う、うん」 キョロキョロ



281 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:08:11.30 ID:PUmdftm80

-???-

P「これって……。ここは――」

響「ぷ、プロデューサー。何か見つけたのかー?」 ブルブル

P「おい響見ろ。こんな単純な場所に、目的の場所があったみたいだぞ」 スッ

響「え? 目的の場所って……。え? この機材、マイク……。これって――」

P「放送室、だな。見ろこれ。使われた形跡があるぞ」

響「使われた形跡って……。いや、でも電気がないと動かないんじゃ?」

P「それはそうだが――。とりあえず動くかどうかは確認したいな。それ次第では色々見るべきものがある」

響「じ、実際に動かしてみるのか? でももしそれがオバケが聞いてたら――」

P「ん? 何だこれ。カセットテープが入ってる」 ガチャガチャ

響「カセット?」

P「とりあえず再生してみるか」

響「さ、再生って。一応どこかに持っていって、そこで調べれば――」

                               バタン!!

響「!!!!」 ビクッ



282 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:09:01.95 ID:PUmdftm80

響「う、うぎゃー! ぷろ、プロデューサー!」 ガバッ

P「ぐおっ! ちょ、響、苦しい!」 トントン

響「いま、いま扉が開く音が! かなり近くで……に、逃げよう! 早く逃げようよう!」 グイグイ

P「お、落ち着け! 違う、違うんだよ!」

響「違うってなにが!」 ガタガタ

P「今の扉の音の発生源はここ。スピーカーからだ。だから落ち着け!」 ケホッ

響「……へ?」

P「お、これがカセットのケースか。なになに? 『演劇用 効果音 その2』。つーことは効果音その1とかもあるのか」

響「……」 ポカーン



283 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:09:52.26 ID:PUmdftm80

P「えーっと他には……。『雨の音』、『声援』、『足音』、『波の音』……。いろいろあるのか」

響「こ、効果音? いまの扉の音、ただの効果音だったのか?」

P「全部が全部って訳じゃないだろうけど――そうなんじゃないか? ほら、覚えてるか? さっきのこと」

響「さっき……。もしかして中庭に向かう途中のことか?」

P「あぁ。妙だと思ったんだよ。扉を開く、或いは閉じる音にしては、あまりに音が大きすぎるって」

響「……確かに。今思えば存在感をアピールしているような、そんな感じだったかも……」

P「古いとはいえ、階を違えているんだぞ? 窓が全開だったとしても、あまりにデカすぎた」

響「じゃあ、今まで自分が聞いた音も全部この効果音テープからの再生だった可能性も……」

P「十分ありえる。たしか響、印刷室にいたときも扉の音を聞いたんだっけ? 隣なら誰かの気配とかしなかったか?」

響「誰かの気配? それは……。いや、あの床が軋む音がもしかして……」

P「校内放送が生きているなら、スピーカーは廊下にも各部屋にもある。演出だって可能だったはずだ」

響「あのあと必死に逃げ出して、そのあと誰かがそこへ近づく足音が聞こえて、その後扉を開け……あ」

P「ん。何か気付いたか?」

響「自分、印刷室から逃げ出したとき、扉なんて閉めてない。じゃああの時の扉が開く音は――」

P「誰かが、となりの放送室の扉を開けた音だろうな。恐らくそこから移動するのに響が邪魔だったんだろう」



284 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:10:37.49 ID:PUmdftm80

響「ん……。ん、でも待ってほしいぞ! それなら電話のトリックはどうなるんだ?」

P「電話?」

響「仮に、隣から音を操ってたとしても、自分が飛び出す切欠になったのは春香からの電話だぞ」

響「あの電話が切られた瞬間に演出が入るなんて、出来すぎてるぞ!」

P「あ、そうか……。じゃあ電話の方もその放送室のやつが何らかの手段で――」

響「そんな方法あるのか?」

P「……思いつかないな。どういうことだ?」

響「わかんない。わかんないけど……まだまだ謎は沢山残ってる気がするぞ」


行動安価 → 寮へ



285 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:11:29.01 ID:PUmdftm80

P「……とりあえず移動しよう。幽霊にしろ人間にしろ、武器を持ってるのは危険すぎる」

響「でも、じゃあどこに行くんだ?」

P「寮にでも行ってみるか? もしこいつの行動範囲が廃校内だけなら、少なくともここよりかは安全かもしれん」

響「かも……って。確定じゃないのか?」

P「仲間がいるかもしれないってことだ。それにこの扉、外から無理やり壊されてる」

響「それが?」

P「つまり扉を壊した奴は正式に放送室に入る手段を持ち得なかった。なら誰が放送を行った?」

響「そ、それは……」

P「これでほぼ確定できるかもしれんな。この学校には複数の人間、或いは幽霊がいる。ま、前者だろうけどな」

響「複数の……。じゃあ複数の内の少なくとも1人はここでもう1人に襲われたのかな」

P「さぁな。2人だけとも限らんし、そもそも血痕も何も無いし、逃げおおせたか、或いは空だったのかもしれん」

響「……うぅ。複雑すぎて頭がこんがらがってきたぞ」

P「今はここから移動することに専念しよう。寮まで行けば一息つけると思うし」



289 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:28:54.72 ID:PUmdftm80

-寮への道-

P「……」 タッタッタ

響「……」 スタスタ

P「……しかし放送が生きてるってのには驚いたな」

響「だぞ。でも車を弄れるくらいなんだから、もしかしたら修理をしたのかもしれない」

P「学校中の配線を直すなんて、それこそ色々用意してなきゃ無理だろ」

響「それも……そうかー。でも思えば不審な音は全部教員舎にいる時に聞いたような気がする」

P「生きていたのが教員舎の放送だけだったのかもしれないな」

響「……でも、そうだとしても電気はどうなるんだ? ここ、流石に電気は通ってないんじゃ」

P「ま、それも思い当たる節はあるんだけど、今は移動することに専念しようか」

響「むぅ。そうだな」



290 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:29:22.76 ID:PUmdftm80

-寮-

響「ここが……寮か? ずいぶんでかいなー」

P「男女別……ではないみたいだな。昔の、かつ小学校とはいえなぁ」

響「で、どうするんだ? 見た感じ玄関は閉まってるぞ」

P「ちょっと回りを探索して、中に入れる場所が無いかを探そう。響はそっちを頼むぞ」 スタスタ

響「えっ? りょ、了解だぞ」 テクテク

P「んー……。窓の位置が低いな。さすが小学生の寮」 テクテク

響「……」 テクテク

P「中は……。うげ、結構荒れてるなぁ。窓割って入っても、移動しにくいだろうなぁ」

響「……」 テクテク

P「……で、響はいつまでついてくるんだ?」

響「だ、だって怖いんだもん」 モジモジ

P「……まぁ、万が一ってこともあるし、別にいいか」



291 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:30:07.30 ID:PUmdftm80

- 寮 裏手 -

P「ここは……。あぁ、ブランコとか遊具がある。遊び場だったのかな」

響「あ、プロデューサー。あれ」

P「ん? おぉ。荒れてない部屋が見えるな。内装からして……寮母の部屋かな?」

響「ちょうど窓も壊れてるみたいだし、中に入ってみるぞ!」

P「おう。そうだな」

響「……」

P「……」

響「……」

P「……入らないのか?」

響「……」 モジモジ

P「……分かったよ。俺から入るから、響はちょっとライトで床の方を照らしててくれ」

響「だぞ」 コク



292 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:31:46.19 ID:PUmdftm80

-室内-

P「んー……。思った以上に綺麗だな。流石に埃は溜まってるけど」

響「ここが閉じられる前に整理でもしたのかな。きっと寮母さん、慕われてたんだろうな」

P「じゃ、しばらく探し物タイムといくか。これだけ綺麗なら、楽に見つかるだろうし」

響「? ここを調べるのか? 寮は学校とはあまり関係ないと思ったけど」

P「そうでもないぞ。もしかしたら当時の学校の様子がわかるかもしれんし、何か探して損はないだろう」

響「……それもそうだな。じゃあ自分は本棚とかを調べてみるぞ。日記とかないかな」

P「じゃあ俺は机やロッカーを。資料が見つかれば、或いはなにか分かるかも」

響「寮日誌。……うーん、見た感じこれは違うかなー」 ゴソゴソ

P「思った以上に紙が多いな……。あれ、アルバムだ。一応とっておこっと」 ガサガサ

響「……お? これは個人の日記みたいだぞ。ここに置いて行っちゃって良かったのかな」

P「ん? あぁ、鍵かかってる引き出しもあるのか。これは仕方ないかな」 ガチャガチャ

響「お? ここにも絵本がある。……モチモチの木? かわいい題名だな。怖い気分を晴らすために読んでみよっと」 ペラ



293 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:32:30.20 ID:PUmdftm80

-数分後-

P「そこそこ資料が集まったな。……響、なにしてんだ。涙目だぞ」

響「挿絵が……。影絵が……」 ブルブル

P「……? よくわからんがここで少し腰をすえて見つかった情報の整理をしようか。響もそれでいいか?」

響「う、うん」

P「まずアルバムを見つけたんだが――。響、ちょっとこれを見てくれ」

響「なんだ? ……おー、集合写真だぞ。たくさんあるなー」

P「多分、卒業して寮を出るときに集合写真を撮るんだな。それで――ほら。ここ」

響「えっ? そこに一体何が……って、うわっ! こ、この人ってもしかして」

P「ん。職員室で見つけた写真に写ってた、一つ目の女性だな。ここの寮母さんだったんだ」

響「確かにここにも……。ここにもいるぞ」

P「しっかし見てみると、人の良さそうな女性じゃないか。周りの子も笑顔だしさ」

響「うぅ……。初見でおばけなんて言っちゃって心が痛いぞー……」 ズキズキ

P「えっと……。裏に名前も書いてあるようだな。えーっと、樋村 千代子……さんね」



294 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:33:12.19 ID:PUmdftm80

響「樋村千代子……。あ、じゃあこの日記、やっぱ寮母さんの日記だったのかー」

P「日記? へぇ、そんなものを見つけてたのか。どれどれ?」

響「……んー。割と普通っぽい日記だね。天気のこととか子供たちのこととか」

P「そうだな。まぁ、学校はアレでも、寮は平和だったってことか……ん?」

響「どうしたんだ?」

P「いや、この記述……。ホラ」


『連絡が来た。明日に2人、流されるとのこと。今ある分で足りるのか心配である』

『……だめなようだった。とても足りない。用意できるのは1人分だけ。あまりの無力さに打ちひしがれる』

『ペースが速くなっている。恐らく今年は年30人はいくだろう。何故この世界はこんなにも無慈悲なのか』

『足りない分を代用できないか息子に相談したが、私のは老いすぎて使えないらしい』

『何とかしてあの子たちを救いたい。もう、どうすることもできないのか』


響「……なんだこれ? 言ってることがちんぷんかんぷんだぞ」

P「……」



295 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:34:56.87 ID:PUmdftm80

『そもそも鉱山が閉鎖したあの日に、いっそ心中でもすれば良かったのだ』

『もう私には義を掲げ非を糾す権利などどこにもない。それは村全員も同じだろう』

『あの日から私たちはどうしようもなく、運命共同体でいるしかなくなったのだ』

『博だけは巻き込むまいと思ったが、いつしかあの子も、あの人と同じ夢を見るようになった』

『親子とはかくも似るものなのか。運命と言うものがあるのなら、それを呪わずにはいられない』


響「心中とか……穏やかじゃないぞ」

P「うん……。やっぱこれは――」

響「? プロデューサー、どうしたのか?」

P「いや……。ところで響、もし廃校に戻ったら探したい場所があるんだが……」

響「なんだ? どこか探したい場所が?」

P「保健室か、或いは水道施設のあると思われる場所。まぁ無理にとは言わない。覚えていたらでいい」

響「ん。わかった。頭にいれておくぞ。自分もちょっとずつ分かってきた気がするし」

P「……そうか。響が何を想像しているのかは分からないけど……。当たっていなければ、いいな」

響「そうだな……」



296 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:36:30.10 ID:PUmdftm80

以下 廃村に踊る



297 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:37:11.25 ID:PUmdftm80

P「今は……もう4時を越えたか。夜が明けるまで2時間ほど。このままここで朝を待ってもいいが――」

響「でも……。ここが安全って決まったわけじゃないんだろ?」

P「だな。一箇所でじっとしてるより、できるだけ動き回ったほうがいいかもしれん」

響「……戻るのか?」

P「さぁ。相手は刃物を持ってるんだし、正直迷ってはいる」

響「うー……。でもこのまま知らん振りして帰っても、目覚めが悪いぞー」

P「だなぁ。せめて、自分の考えがどこまで合ってて、どこまで違うのかは知りたい」

響「ん。自分も、そうかも。オバケなら成仏させてあげたいし……」

P「ん? あんな怖い目に合わされたのにか?」

響「うん。プロデューサーと逸れて、一人で廃校を歩いてたとき、思ったんだ」

響「あの学校は暗くて、冷たくて、寂しい。ずっとあの場所を彷徨っているなんて、可哀相だぞ……」

P「ふぅん……。いい子だな、響は」 ナデナデ

響「ちゃ、茶化さないで欲しいぞ!」


行動安価 → 引き出しに鍵を使う



298 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:38:42.07 ID:PUmdftm80

響「……そうだ。ここから出るにしろ出ないにしろ、ちょっと試したいことがあったぞ」

P「? 何かあったか?」

響「さっきプロデューサー、引き出しが開かないって言ってたでしょ? ほら、これ……」 チャリ...

P「あぁ。中庭の慰霊碑の下に挟んであった箱の中の……」

響「ちょっとこの鍵を試してみてほしいさ」

P「んー。どうなるのかな――っと、お? 鍵が嵌った……。もしかしてビンゴか?」 ガチャ ガラッ

響「おぉ。やっぱり当たってたか。よかったぞー! で、中身は――」 ドレドレ

P「紙の束と……また別の鍵か? 今度の鍵はやたらずっしりしてるなぁ」

響「鍵を鍵のかかった引き出しに入れるなんて……。そんなに重要な鍵なのかなぁ。それで、紙は何か?」

P「ん。今見てるとこだ……。えーっと、なになに?」


『この度の騒動について、私が全ての黒幕であると――』

『――しかし、やはり私には耐えられなかった。隙を見て助け出した――』

『もはや何も語ることはありません。私もあの子たちの元へ向かうことにします』


響「これは――」

P「……遺書か?」



299 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:39:20.38 ID:PUmdftm80

響「い、遺書!? もしかして寮母さんって自殺しちゃったのか?」

P「さぁ、分からん。でも……ここにある分は、遺書とはちょっと違うかもしれん」

響「? どういうことだ?」

P「書き損じだよ、遺書の。同じような文を書いた紙がいくつも重なってる。遺書の下書きってとこか?」

響「遺書の下書き……?」

P「ん。それにこれが寮母さんの遺書と決まったわけじゃない。名前までは書かれてないしな」

響「でも……。なんでこんなものを机の引き出しの中に?」

P「さてなぁ。もしかしたら随分と前々から遺書を書く準備してたのかもしれないな」

響「前々から……」

P「ま、正直よく分からないって話だ。本物の遺書ではなさそうなんだし。成果があったといえば、むしろこっちだな」 チャリ...

響「鍵……。これは一体なんの鍵なんだろうなー」


行動安価 → 保健室へ



300 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:50:03.72 ID:PUmdftm80

響「じゃあ、そろそろ学校に行ってみるぞ」

P「ん? 学校に戻るのか? いいのか、本当に」

響「うぅ……。そこまで言われると、ちょっと怖いけれど――」

響「でも、やっぱり過去の事件のことは気になるし、プロデューサーも調べたいこともあるみたいだし、それに――」

P「それに?」

響「……あ、危なくなっても、プロデューサーが助けてくれる、んだよね?」 チラッ

P「……はははは。そうだな。おうともさ! 刃物程度でこの俺が止められると思うなよ!」 シュッシュッ

響「えへへ。すごい自信だなー。何か格闘技とかやってたのか?」

P「おう。荒っぽいファンに備えてやってて良かったぜ。で、学校のどこに行くんだ?」

響「保健室。プロデューサー、調べてみたいんでしょ?」

P「そうだな。そこへ行ってもらえるのなら助かるよ」

響「うん。それじゃあれっつごーだぞ!」 スタスタ

P「おう! 響は絶対に俺が守るから、安心して探索しろよ!」 スタスタ

響「えへへ、頼もしいぞー。ところで格闘技は何をやってたんだ?」

P「ん? 通信空手だよ」 シュッシュッ



301 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:50:38.69 ID:PUmdftm80

-保健室前 廊下-

P「ふぅ、やっとついた……。おーい響、なんでそんなに引っ付いてるんだ。俺を信頼してくれたんじゃなかったのかよー」

響「プロデューサーを信じた自分が馬鹿だったさー! まさか通信空手だなんて……」 ブルブル

P「通信空手舐めんなよー。極めれば波動拳とか撃てる様になるってパンフ書いてあったし……。お、開いたぞ」 ガチャ

響「頼もしいのか頼もしくないのか、分かんなくなってきたぞー……」 ソロソロ

P「中は……うん。思ったより普通だな。カーテンはもうボロボロみたいだけど」

響「特に何かあるわけでも……。お? これは?」

P「絵の具……か? それに粘土、糊……」

響「なんでこんなものが保健室に? もしかしてここ、本当は図工室なんじゃ……」

P「それはないだろ。ほら、そこの棚見てみろ。薬品棚だ。ここは保健室で合ってるだろうよ」

響「むぅ……。治療第一の保健室でこんなものが見つかるなんて、ちょっと不思議だぞー」

P「ま、そうかもしれないが……。廃校になった後、誰かがここに捨てていったって可能性もあるし――おっ!」

響「? 何か見つけたのか?」

P「いや……。古くなってはいるけど、薬品の領収書か? それっぽい紙を見つけた。もうほとんど読めないけどな」

響「ふぅん……?」



302 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:51:16.38 ID:PUmdftm80

P「他は――特に無いな。水道はあるようだけど、思ってたのとは違う――って、ん?」 ピクッ

響「どうしたのか? 何かあったの――」

P「しっ! ……響、懐中電灯の明かりを落として、静かにしてるんだ」 スッ

響「?」

P「……音が聞こえる。光が漏れていなければいいが……」

響「お、音? そ、それって」

                    カラカラカラ.....  ギュッ... ギュッ...

響「!!!」

P(近いな……。カラカラいう音は、金属製の何かを引き摺ってるのか?)

           ブツブツ....        カラン   カラカラ...    ギュッ... ギュッ...

響「……」 ブルブル

P「……」 ...ゴクッ

             ギュッ...    ギュッ...   ザリュッ!    カラン

P(止まった……?)

響「……」 ガタガタガタガタ



303 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:52:05.09 ID:PUmdftm80

響「……ッ」 ダギッ

P「!!」

響「~っ」 ギュウゥゥゥッ

P「……」 ナデナデ

             ザリュッ   ギュッ... ギュッ...  カラカラ....

P(い、行ったか……。体育館の方向か? とりあえず助かったか……) ホーッ

響「~~ッ」 ブルブル  ギュウ

P「……大丈夫だ響。もう、あいつは行ったよ」 ボソボソ

響「ほ、ほんとうか?」 ブルブル

P「あぁ。……でも、よく気付かれなかったな。運が良かったのか、それとも――」

響「それで……ど、どうするの?」

P「そうだな……」


行動安価 → 不意打ちワンチャン



304 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:53:17.53 ID:PUmdftm80

P「今なら……。もしかして、やれるか?」 ザリッ

響「ぷ、プロデューサー? な、何を馬鹿なこと言ってるんだ?」 グイッ

P「あいつが来た方向は、多分この校舎の西方向……。ここに来るまで鉢合わせなかったことを考えれば上の階か」

P「そうだとしたら、ライトの明かりは少なからず扉の窓から漏れていたはずなんだ」

P「それでも見えなかったってことは……。或いは、奴は目が悪いのか、見えないのかもしれない」

P「正直、目が悪いのならこんな学校、明かりもなしに徘徊しないとは思ったが――」

P「或いは不意打ちならチャンスがあるのかもしれない……。今ならやれるかも」

響「だ、だめだぞ! もしオバケなら、不意打ちなんて通じないし、それにあの金属音、多分武器だぞ!」

P「わかってる。でもこの学校を安全に探索するにはアイツをどうにかするしかない……」

響「だからって……! だめ、だめだぞ! プロデューサー!」 ダキッ

P「大丈夫だって。言ったろ? これでも格闘技習ってるって。面向かってなら分からんが、不意打ちならなんとかなる」

響「な、なんで言うこと聞いてくれないんだ? 怖いぞ、戦っちゃだめだぞ!」 ギュウウッ

P「……」



305 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:54:31.56 ID:PUmdftm80

P「……響。もし俺が1分経っても戻らなければ、或いは悲鳴が聞こえたら。急いで一人で村の方まで逃げ――」

響「……っ!!」 ポカッ!

P「痛っ! な、何をするんだ。ひび――き?」

響「た、例え今のがッ……じょ、冗談で、でも……っ! じっ……グスッ……自分、は。ゆ、許さないぞ!」 ポロポロ

P「響……」

響「絶対……っ! 一人にし、しないって約束し、したぞっ! ぜっだい、護ってくれるって約束したぞ!」 ポロポロ

響「死ぬ気だとかっ! 一か八かだ、とか! そ、そんなの……ッ……ック……うぅ……」 グスッ ヒック

P「……そうだったな。ついさっき約束したばかりだったのに、もう破ってしまうところだったよ」

響「グスッ……ッ……」 ポロポロ

P「ごめんな、響。あんなどこぞの馬の骨のケツを追っかけるより、お前の傍にいるべきだよな」 ナデナデ

響「ぷ……プロデュ-サー……」 ダキッ

P「ん?」

響「もう、絶対に……グスッ……死ぬとか、言わないで……欲しいぞ」 グスグス

P「分かった。ちょっと俺もええかっこしいだったよ」


行動安価 → 時計を調べに行く



306 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:55:47.95 ID:PUmdftm80

-数分後-

P「……落ち着いたか?」

響「うん。殴っちゃってごめんさ……」

P「別にいいよ。お陰で目が覚めた」

響「なんだかあの時、すごく悲しい気分になって、プロデューサーがもう戻らなくなっちゃうんじゃないかって……」

響「いつかの怖い夢で見たような、そんな気になっちゃって。そしたら頭が真っ白になって……」 クスン

P「そうか……。ま、俺も格好つけすぎた感はあったよ。これからは慎重に行動しよう」

響「うん……。それで、次行く目星はどこかあるのか?」

P「とりあえず北校舎屋上まで行ってみよう。あそこなら今のヤツに会わずにすむし」

響「うん……。わかったぞ」

P「じゃ、慎重にいこうか……。それと、今回からできるだけライトは使わないように移動しよう」

響「わかった。もう暗闇にはすでに目が慣れてるし、月明かりもあるから大丈夫だぞ」

P「ん。それは良かった。じゃあ行こう」 スタスタ

響「ん」 テクテク

P(しかし……ここじゃなかったな。やっぱ俺の考えは外れてるのか……?)



307 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:56:36.51 ID:PUmdftm80

-北校舎屋上前-

P「ふぅ……ふぅ……。ここが時計の裏の操作室か……」

響「……とくに気になることはないな。他の校舎の屋上前の踊場より少し広い程度かな」

P「正面には屋上への扉、後ろは階段。右手には立ち入り禁止の文字が書かれた部屋……。多分時計関連の部屋か」

響「それと物置っぽいスペースもここにあるぞ。あとは……特に何も無いね」

P「だな。今は時計も動いてないし、何があるでもないか」


行動安価 → 鍵を使えないか



308 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:57:10.38 ID:PUmdftm80

響「そうだ。あの扉って、開けられないかな?」

P「ん? それは分からないけど……気になることでも?」

響「いや、何も無いぞ。でも、どうせここまで来たんだし、調べてみたいから……」

P「ん。それもそうだな。じゃあちょっと調べてみるか……って、鍵かかってる」 ガチャ

響「やっぱ鍵かかってたかー。はい、鍵」

P「おう、サンキュ…………」 ガチャガチャ カチャリ

響「お。開いたのか?」

P「みたいだな。どれ……」 ギィィィッ

響「……真っ暗だな。それにへんな機械だらけだぞ」

P「んー。昔の時計だからな。やっぱ歯車で動いてたのか……」 キョロキョロ

響「なにもないね」

P「みたいだな。そもそもあまり人が立ち寄らない部屋だったのかもしれない」

響「じゃあ次は……」


行動安価 → 明かりを付けて詳しく調べる



309 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:58:10.47 ID:PUmdftm80

P「やっぱ暗いから、明かりをつけなきゃ探索もなにもないな」 カチッ

響「うーん。見事なまでにがらんどうだぞー」

P「廃校になるまで、休まず動いてきただろうからな。労いも込めて誰かが掃除をしたのかもしれないな」

響「この学校、すごく黒そうな歴史があると思ってたのに、以外に暖かい一面もあるのかな?」

P「そもそも黒いと決まったわけじゃないけどな。まぁ死人は出てるから白くもないんだろうけど」

響「それもそうだなー。思えば寮母さんとの写真だって、みんな笑顔だったんだし」

P「少なくとも楽しい学校生活を送れてた面はあるってことかな……ふぅ。何も無いな。そっちは?」

響「こっちもなにもないぞー」

P「無駄足だったかな……」


行動安価 → 教員舎2階へ



310 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:58:38.70 ID:PUmdftm80

P「とりあえず教員舎の2階に行ってみるか。あそこまだ調べてなかったろ?」

響「そういえば、1度偽者の放送室に行った時以来かも……。屋上に行くときに通りはしたけど」

P「何かあるかもしれない。ちょっと調べてみるか」

響「わかったぞ。とりあえず2階廊下まで行ってみるぞ。でもその後は?」

P「んー……、とりあえず行ってから考えよう。あそこは部屋も多いし、まずは様子を見てみないとな」

響「了解だぞ」



311 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 04:59:46.43 ID:PUmdftm80

-教員舎 2F 廊下-

P「とりあえずここまで来たな……。おーおー、いろいろあるな」

響「……」 キョロキョロ

P「響、どうした?」

響「いや、確かここで人体模型に会ったんだけど……やっぱなくなってるぞ」

P「まぁ……。必要あって移動させてたのなら、持って行くのが普通だろうなぁ」

響「でも……ならどこに持っていったんだろう? それにあの時は物音がして飛び出たときには人体模型があったし――」

響「とてもじゃないけど放送室まで行って、放送をかけている暇なんてなかったはずだぞー」

P「動かしたやつが複数いるならわからんでもないが……。うぅんでも協力し合ってるとも思えないしなぁ」

響「や、やっぱ人体模型が動いていて……!」

P「そりゃないだろ。その時は――あれだ。その時聞いた音は本物だったかってことだ」

響「あの時の音は本物だったかもしれない……」

P「それで、これからどうするんだ?」


行動安価 → 家庭科室へ



312 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:00:13.08 ID:PUmdftm80

響「んー……。とりあえず、家庭科室を見てみるぞ」

P「家庭科室、か。何か武器でも……そう、包丁とかあればいいけど」

響「流石に刃物とかは置いていくはずないと思うぞー……」

P「それもそうか……っと、ここか。家庭科室。鍵は――あぁ、やっぱかかってるな」 ガチャガチャ

響「そだな。とりあえず職員室の鍵を使って――お。1発で当たったぞ」 ガチャ ガラガラガラ

P「中は……。ん、少しごちゃごちゃしてるな。壁にミシンっぽいのが置いてある」

響「他は小さな机がいくつかと……。わぁ、水道がついてるぞ」

P「だが、料理用の水道だろうな。ここも違う」

響「違うって……どうかしたのか?」

P「あぁ、いや。こっちの話。思ってるようなのが見つからないからさ。まぁこの学校にはないのかもしれないけど」

響「? よくわかんないぞー」

P「分からなくていいんだよ。それに見つからないのなら、そっちの方がいい」 ポンポン

響「?」


行動安価 → 理科室へ



313 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:00:51.09 ID:PUmdftm80

P「じゃあ……次は理科室に行くか」

響「り、理科室か? うぅ。そこは怖いぞー……。人体模型が襲ってきたら……」 ブルブル

P「あぁ、そういえばお前はまだ幽霊の仕業だと思ってたんだっけか」 カツコツ

響「だって……。もしあれが人体模型が動いてなかったのなら、あそこに模型を放置して、3階に言ったって事になるぞ」

P「んー……。そこらへんはちょっと詳しく話を聞いてみないと分からないけど……。ま、そこはおいおい」 スタスタ

響「や、やっぱ理科室に行くのかー?」 ガタガタ

P「おう。やっぱ一番調べなきゃいけない場所……だと思うしな。ついた、ここか」

響「中の様子は――うーん、見えないぞ……」

P「扉も鍵がかかってるな。えーっと鍵鍵……」 ガチャガチャ

響「うぅ……。何も出ませんように」



314 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:01:59.91 ID:PUmdftm80

- 理科室 -

P「どっこいしょっと……。おわー、暗いなー」 ガラガラ

響「でも中は思ったより荒れてないね。……ビーカーやフラスコがある。割れたのもいくつか」

P「うげっ。このフラスコ、水入ったままじゃん。すげー……中の水がすごい色になってる」

響「水道もあるけど……そういえばここまだ水がてるのかな」 キュッキュッ

                      ジャバーッ!!

響「うぎゃーっ! すごい勢いで水が出てきたぞ……って、うわぁっ! 血、血がっ!」

P「あ? 血? ……あぁ。違う違う。これ赤錆か、或いは鉄分を含んでるから赤く見えるだけだよ。普通の水だ」

響「え? そ、そうなのか。……ほっ」

P「しかしまだ水道が生きてるのか……。地下水でもくみ上げているのか?」

響「うぅん。でもそれ以外は特に……何か特別なものはないっぽいぞ」 キョロキョロ

P「ま、生徒の使う教室にあるわけないか……。お、あれは理科準備室への扉か」

響「んー。思った以上に成果が見つかってないぞー……」


行動安価 → 理科準備室へ



315 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:02:25.27 ID:PUmdftm80

P「……っと、これでもだめか」 ガチャガチャ

響「扉、開かないのかー?」

P「うーん。それ以前に随分と厳重に締められてるな。廊下のドアノブなんか針金でぐるぐる巻きにされてたぞ」

響「そんな厳重に、なのかー……。でも古くなってるし、体当たりでもして壊せば――」

P「うーん。中に何かあったら危ないし避けたいところではあるけれど――おっ! 開いた」 カチャリ

響「おぉ。開いたのか……。じゃあプロデューサー、先に頼むぞ」

P「まったく、やっぱ人体模型が怖いのか」

響「い、いいじゃんか! そんなことより早く!」 グイグイ

P「わかったわかった。どれ、中はどうなってんのかなっと」 ガチャッ



318 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:04:40.39 ID:PUmdftm80

- 理科準備室 -

P「さて中身は……!!!!」 ガタッ

響「? プロデューサー、いったいどうかしたの――わっ!」 ビクーン

P「な、なんだここ。臓物だらけじゃないか。ホルマリン……いや、これは骨格標本か? でもこの数……」

響「な、なんでこんなに一杯……。ま、まさかここが例の人体模型を作ったって男の!」

P「そう……かもしれんな。なんだこれ、本まで残ってるが――エンバーミング? プラスティネーション?」

響「? なにそれ。ちょっと格好いいかも」

P「どっちも死体処理に関する言葉だよ。前者は死体保存処理、後者は死体保存加工ってところか」

響「な、なんだそれ。それじゃあここって本当に――」

P「あぁ。ここが、例の樋村って男の根城だった場所なんだろうな。……しかしこの数、ちょっと妙だな」

響「妙でもなんでもいいぞー! こ、こんな場所にいたら頭がおかしくなっちゃいそう」 フラフラ

P「おい響、そっち危ないぞ」

響「えっ? ……うわっ!」 ガシャーン

P「言わんこっちゃない……。おい響、大丈夫か?」



319 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:07:12.69 ID:PUmdftm80

響「けほっ……! だ、大丈夫だぞ。うぅ……いろいろ崩れちゃったぞ……あれ?」

P「どうかしたのか?」

響「いや。この手帳……。普通の本に混じってたんだけど、なんか個人のものっぽいぞ」 ペラペラ

P「個人の手帳? おぉ、やったじゃないか。何があるんだ? ちょっと見せてくれ」

響「わかったぞ。はい」 ペラッ

『××の××××の×を使った。だ××陰で心臓のス×ックが切×てしまった。また×こ××ら×さねば』

『忌々×い。あれじゃあ××すぎて××に使えない! もう時××少ない××うのに。……仕×ない、母×××を×用』

『骨は×ても貴重×。×か不×か、×ょ×ど中学×の死×がある。腐ら××ば少し××てもバレや×ない』

P「……日記、というより手記だな。そして内容からしても、これは樋村とかいうやつので間違いないだろうな」

響「うぅ……。で、でもこの内容って……」

P「あまり考えるな。犯人はもう捕まっているんだ」

響「う、うん……」


行動安価 → よく調べる



320 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:07:45.46 ID:PUmdftm80

P「でも、これはある意味収穫だ。もう少し何かないか調べてみよう」

響「うぅ、気味が悪いけどわかったぞー……」 ゴソゴソ

P「……」 ガサガサ

響「そういえば、さ」 パラパラ

P「ん、なんだ?」 カシャカシャ

響「ここの準備室の扉って、全部閉まってたんだよね?」 カチャ ガサガサ

P「そうだな。どっちも鍵がかかってたし、窓も閉まってるしな」

響「じゃあ……自分が見つけた人体模型って、一体どこから出てきたんだろう」

P「……確かに。見間違いとかじゃあ――ないんだよな」

響「うん。確かにこの目でハッキリ見たし、実際殴り倒しちゃったし……」

P「実は人間で、不審者と間違えたとかは?」

響「それは――ない、と思う。確かに人間そっくりだったけど、顔半分筋肉とかいろいろむき出しだったし……」

P「ふぅん……まぁ、それもそうか。おっ!」

響「? 何か見つけたのか?」

P「樋村の手記と思わしき手帳、第二段だ。やったぜ」



321 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:08:23.99 ID:PUmdftm80

P「さーて、さっそく中身をチェックして――」

            ジャー ゴボゴボゴボ...

P「!」

響「!!」 ビクッ

P「今の音……上の階から聞こえたよな。水音? まさか放送室?」

響「い、いや。自分もこの音を聞いたことがあるぞ。それに放送室は使っても――」

P「そうだな。俺たちにすでに見つけられた可能性があるなら、こんなチープな脅しは意味が無いか……じゃあ」

響「誰かが……上の階にいる? で、でも3階や屋上には水道っぽいのは無かったし……。図工室?」

P「しっ! ……足音がする。静かにしてろ」

              カツ コツ       タン      カツコツカツコツ...

響「……」

P「……行ったみたいだな。階段を下りて行っただけか。こっちには気付かなかったみたいだな」

響「あの様子だと……別に逃げている風でもなかった。3階のどこかに用事でもあったのか?」

P「さあな。わからない」


行動安価 → プールへ



322 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:08:52.16 ID:PUmdftm80

P「……今は無視しよう。もしかしたら戻ってくる可能性もあるしな」

響「じゃあどこへ? それともここでまだ篭城を――」

P「いや、とりあえずプールに行ってみよう。というか一旦外に出よう。今気付いたが、ここじゃあ袋小路だ」

響「プール……わかったぞ。行ってみる」

P「そこに……確か倉庫もあったな。俺は見てないけど、何か見つかるかもしれん」 テクテク

響「いや、自分倉庫の中を確認したぞ。何も無かった」

P「あ、あれ。そうなのか? ……うぅん。じゃあ違うのかな……」 ブツブツ

響「行くの止めとく?」

P「……いや。さっきも言ったが、外に一度出たいし、とりあえずプールには向かおう」

響「わかった。じゃあ電気を消して、ゆっくりと……」 ソロソロ

P「ま、倉庫に何も無いんじゃ、何が見つかるというわけでもなさそうだけどな……」 スタスタ



323 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:09:24.04 ID:PUmdftm80

- 外 プール -

P「変質者は……よし、いないな」 キョロキョロ タタタッ

響「ここだぞ、プール。今はもう変な植物に覆われてて、なんとも言えないんだけども」

P「プール内部に入ることは……。まぁ不可能ではないか。でも荒れ放題でちと危険だな」

響「校舎内と違って、ずっと野ざらしだったんだから仕方ないぞー」

P「ま、それもそうだが――さて、どうしようか」


行動安価 → 手帳を読む



324 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:09:57.25 ID:PUmdftm80

響「……ここで手帳を読むのか?」

P「月明かりもあるし、よくないか?」

響「……せめて安全な場所でやるべきだぞ。なんか体育館の近くにいると、少し心が落ち着かないさ」

P「……それももうだな。ここに来てまでやることじゃないか」

響「ここらへん死角も多いし……。腰を据えて情報整理できる場所があればいいんだけどな」

P「じゃ、とりあえず移動するか、何かするかを決めようか。考察やメモの確認は後回しだ」


行動安価 → 職員室へ



325 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:10:35.32 ID:PUmdftm80

P「ま、ここでブラブラしても仕方ない。とりあえず職員室行ってみるか」

響「まぁ、外の様子が見れただけでもよしとするぞ」

P「外か。そういえばちょっと明るくなってきた感じか。えーっと……お、そろそろ5時になるのか」

響「随分長い時間、ここにいたように感じたぞ……。でももうすぐ朝なのか」

P「あぁ。朝が来ればすぐにでも人が探しに来るだろうしな。もうすぐ終わりだ」

響「うぅーん。あと少しでこことオサラバできるのなら、それはそれで嬉しいぞー」

P「ま、あと何回か探索やら何かをすれば朝が来て帰れるだろうし、ここで変質者とバッタリなんてしないようにしよう」

響「だな。……っと、職員室だぞ。って――ん?」

P「? どうした響」

響「……部屋の様子が違う。多分、あの後誰かがここに入ったんだぞ」

P「……そうか。なおさら気をつけて探索しないとな」


行動安価 → 安全確認をして手帳をチェック



326 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:12:21.58 ID:PUmdftm80

P「よし。まわりを確認したし、じゃあさっそく手帳を……」

響「……今、プロデューサー、なおさら警戒しないとなって言ってなかったか?」

P「はは、冗談だよ。確認したとは言え、流石に誰か入った形跡のある部屋で悠長に手帳は見られないな」

響「せめて部屋を隅々まで探索して、完全に安全チェックが終わってからだぞ……」

P「それもそうだな」


行動安価 → 樋村の机を探す



327 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:12:48.98 ID:PUmdftm80

P「とりあえず樋村の机でも探すか」

響「ん。あの写真が入ってた机か? それなら確かここらへんだったような……」

P「あぁここだここ。まぁ、写真があっただけで樋村の机とは限らないんだが――どれどれ?」 ガチャガチャ

響「テスト用紙とかが入ってるな……。お? これって」

P「理科のテスト……。樋村は理科の教員だったのか。まぁ、理科準備室で大体の見当はついてたけど」

響「他には――あれ? これは――」

P「これ? ……これは集合写真だな。恐らく生徒の写真だ。だが……」

響「特定の生徒の顔に赤いマルがついてる……。なにかの印?」

P「わからん。他に何か見つかればいいんだが――」 ガサゴソ



329 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:13:38.66 ID:PUmdftm80

響「……ん? これ、なんだろう」 ガサッ

P「どうした。何か見つかったのか?」

響「いや、机の下の……ここ。引き出しの裏らへんにひっかかってた。隠してあったというより、落ちてた感じだな」 ガサッ

P「紙か? えーっと、なになに……」


『最近×君の行動は目に余る。ど××て流した身体を掘り起×したり×るのだ』

『いや、掘り起こす×はまだ××。しかしあ×異様××で身体を×置していくのは×めてくれ』

『警察には×薬を嗅が×てあるが、あまりに生×の目に付××ぎると庇えるも×も庇えなくなる』

『最近では学級×カル×とかいう壁新聞が、周りを嗅ぎま×るくらいだ。もう少し穏便に×とを運んで×れることを祈る』


響「これは……」

P「真っ黒だなこれ。真っ黒すぎる」

響「でも……。これを書いたのって一体誰だろう? というか樋村以外にも人体模型のことを知ってた人がいるのか?」

P「『君』って書いてあるくらいだから目上の人だろうな。学内の人間なら――まぁ容易に想像はつくんだが」 チラッ

響「教頭……?」

P「あるいは校長……。ま、今となっては調べようもないんだけどな」



330 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:17:44.54 ID:PUmdftm80

>>329に入れ忘れ

行動安価 → Pが響に推理を打ち明ける



331 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:18:13.09 ID:PUmdftm80

P「とりあえず……樋村の机はこれくらいしか見つからなかったな」

響「うん……。でもこれって学校からの手紙なら――」

P「殺人を学校側が容認してた可能性が高いな。しかし『流す』、『掘り起こす』ときたか……」

響「『流す』って、確か寮母さんの日記にも書かれていたよね。それってやっぱ……『殺す』って、ことなのかな?」

P「かもな。掘り起こす、身体って続いてるし、まぁ息のある生き物を指す言葉ではないだろ」

響「……プロデューサーはさ。どう考えてるの?」

P「ん? どう考えている、とは?」

響「過去の事件の真相。さっき聞いたときはぐらかされたけど、あるんでしょ?」

P「んー……。まぁ、な。ただ肝心の場所が見つかってないから自信をもって言えないんだが……」

響「それって……臓器売買とか、のこと?」

P「……響もそう思ってたか」



332 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:18:53.52 ID:PUmdftm80

P「そう。それ以前にこの村、鉱山が閉鎖して、ずっと存続してる理由について考えたよな」

響「そうだな。どこからかお金が出てきて、何故かそれを学校の増築やらに費やしてるって」

P「あれって要は投資……。というか、金を生み出す装置を握ってたのが学校側だったんじゃないかって思うんだ」

響「学校側がお金を……」

P「最初は荒唐無稽だとは思った。けど、そう考えるとしっくりする場面がいくつか出てくるんだ」

P「一つは寮母の日記。『足りない分を私で代用』『老いすぎて使えない』。老いすぎてってことは身体のことだよな」

P「それを『代用』、とあれば考えられるのは一つ。臓器の代用だ」

響「それは……確かにそうかも」

P「最初は樋村が一人暴走して、その暴走を止めるために母親が身代わりになろうとしたと思ってたが――」

P「この手紙を見てハッキリした。学校が容認してるんじゃなく、学校の『流した身体』をお零れとして樋村が貰ってるんだ」

P「詰まる話、この事件の引率役は学校側。樋村はそのおこぼれに預かったついでの狂人」

P「そうなると学校が『流す』、つまり殺しているのは、寮母の日記から推察するに子供……ようは生徒」

P「そして学校が生徒を殺すことによって金を生み出せる仕組み。とくればもう臓器の売買しかないだろ」

響「……」



333 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:19:48.05 ID:PUmdftm80

P「そして2つ目は、9つの悲劇で挙げた被害者の共通項」

P「あれ……。全部身体の一部が欠損したり、もしくは死体自体が見つかっていないんだ」

響「欠損かぁ……。エレベーターは圧縮、ミキサー事故はミンチ、プールは腐乱してどろどろ……」

P「そ。加えてタイムカプセルは状況からして骨だけ。もう一つのタイムカプセルは死体自体が見つかってない」

響「9番目の悲劇も思えばそうだぞ。全部伝聞で『あったらしい』だけで、死者は土に返ったとかいう表現だけ……」

P「理科室のは言うまでもなく、狂った女性教員……多分寮母さんのことなんだろうな。あの人だってそうだった」

P「そしてこれら事件って初期のタイムカプセルと、年代不明の女性教諭の事件を除けば、80年代に集中してるんだな」

P「これは偶然か? 或いはそれ以前にも事件があったとしても、異常すぎる」

P「この手紙によれば、『埋めていた』との台詞があるし、もしかしたらそれ以前にも事件があったのかもしれない」

P「だが、これが事件の一部であろうとも、こうも身体が欠損した遺体しか出てこないのは不自然だ」

響「不自然……。まぁ、偶然にしてはできすぎてるかも」

P「まぁこれが2つ目の理由だ」



334 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:20:34.16 ID:PUmdftm80

P「3つ目は……。親の反応だな」

響「親? 保護者のことか」

P「あぁ。いくら警察に袖の下を握らせても、保護者からの声を無視することはできない」

P「今までの資料を見た感じ、相当な人数がこの学校で消えているはずだ。それなのに保護者からの反発がない……」

P「詰まる話、親も承認してこのビジネスに乗った可能性があるってことだ」

響「親も承知で……。そ、そんなのあんまりだぞ。それに普通に卒業した子だっているじゃないか」

P「それはそうだが――もしかしたら買い手がついた子から売られるシステムだったのかもな」

響「か、買い手?」

P「当時、子供の臓器がいくらで捌けたかは知らないが、決して安くはなかったろう」

P「だが小学校は成長期の子供の宝庫だ。様々なタイプの血液から、大から小までのいろんな臓器が手に入る」

P「もし重要な顧客がいれば、その中から必要な臓器を、必要なときに必要なだけ買い付けるシステムだったのかも」

響「うっ……。そんな酷いこと……」

P「あくまで想像だ。流石にそこまでのことはなかったのかもしれないがな」



335 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:21:01.99 ID:PUmdftm80

P「そして4つ目。これは別に確定要素じゃないんだが――お前、各学年のクラスを数えたか?」

響「学年のクラス? いや。だって3階のクラスプレートは全部外されてたし――」

P「うん。だから確定要素じゃないんだが――。じゃあ2年と4年のクラス数は?」

響「え? えっと、2年は4組まであって、4年は3組……あれ?」

P「そう。そして20年前、今で言うと40年以上前の学校は6-4まであった。そうだろ?」

響「う、うん」

P「当然年々入学者数が増えていった可能性はある。あるが……もし違うのなら」

P「減ってきてるんだ。人数が上の学年になる度に。もしこれで6年の教室数が2つだけとかなら完璧だったんだが」

響「で、でも今プロデューサーが言ったように、単に上の学年の人数が少ないだけなのかも」

P「そ。だから画定要素じゃない。あくまで俺の想像……。高学年のクラス数はわかんなかったしな」

響「……それで、臓器売買説、を考えたのか。プロデューサーは」

P「そうだな。まぁもちろん、確定してるわけじゃないが――」

P「少なくともこの学校では、学校主導の殺人があった可能性が高いんだ」

P「例え臓器売買でなくても、悪どいことはしてたと思うぜ」



336 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:21:29.40 ID:PUmdftm80

P「まぁ、これが今俺が考えている事件の内容だ」

響「……それじゃあ、それじゃあ今この学校を彷徨ってるのって」

P「ん? あぁ、それはない。樋村は捕まったってあるし、あれだけ事件を起こして懲役25年以下はないだろ」

響「で、でも無期懲役なら10年くらいで出られるし、精神異常を理由に精神病院に行った可能性も……」

P「何のドラマの影響だよ。どんな聖人でも無期懲役食らえば最低35年以上は出られないぞ」

響「で、でも出所の平均は15~20年だとかどこかで見たような」

P「そりゃあ、死体で出てくる奴含めたらそれくらいになるわな」

響「し、死体? 獄中死ってことか?」

P「そ。精神病院も同じだな。むしろ監獄より酷いかも知れんってあったな」

P「精神が正常になっても、誰も信じてくれなくて、無理やり精神病棟の奥に叩き込まれるとか」

P「で、治療の名の元にベッドに縛り付けて、何年もその状態で暮らさせるとか。まぁどこまで本当か分からんが」

響「うげぇ……。でもちょっと最後の方はうそ臭いぞ」

P「俺もそう思う。でも、少なくとも樋村が生きているとして、ここを徘徊している可能性はほぼゼロってことさ」



337 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:22:22.15 ID:PUmdftm80

P「まぁ、そもそも今の起こっていることと、過去の事件が関係してるかはなんて不明なんだけどな」

響「確かにそうだけど……。でもやっぱ自分はどこかで過去の事件とリンクしていると思ってるぞ」

P「まぁ、過去に大きな事件があった場所でこれだもんな。それも仕方ないか」

響「でも何か違和感があるんだよな。なんだろう……」

P「ま、そういうのは無事帰れたら考えればいいさ。さ、次はどうするかな」


行動安価 → 3階更衣室へ



338 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:23:00.21 ID:PUmdftm80

響「それじゃあ……更衣室、行ってみるか?」

P「更衣室? 体育館のか? 確かにあの変なヤツが調べてたのは気になるけど――」

響「違うぞ! 3Fにある更衣室だぞ! 水音、気になるんじゃ無かったのか?」

P「水音? ……あぁ、確かにさっき聞こえたな」

響「今まで廊下の気配を探ってたけど誰も通った様子はないし……。多分もう誰もいないと思う」

P「戻ってこないなら好都合だな。じゃあ、今の内に調べてくるか」

響「うん。でも……慎重にだぞ」 ガラッ

P「分かってる。じゃあゆっくり行くか」 テクテクテク...









                                           ガタッ   ギィィッ...



339 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:23:45.73 ID:PUmdftm80

- 3F 更衣室前 -

P「ここか……。端のほうにあるんだな」

響「うん。前、ここの屋上に行ってみたら、ここから人が出てくる気配があって……。うぅ、怖かったぞ」 ブルブル

P「図工室、女性教員用更衣室、男性教員用更衣室……。随分と部屋数が少ないな」

響「……本当だ。よく考えてみれば1階、2階と比べてかなり少ないぞ」

P「デッドスペース……。明らかに間取りに遊びがある。これはやはり……」 ガチャッ

響「ちょっ! 急に開けちゃって大丈夫なのか?」 テクテク

P「戻ってこない限り平気だろ。……ん、中は結構荒れてるな」

響「人が通れる程度の道はあるけど――ん? わっ! ひ、人!?」 ビクッ

P「どうした響。誰かいたのか?」 ダッ

響「あ、あそこ。ロッカーの中から誰かこっち見つめてる……」

P「どのロッカーだ?」 ザリッ

響「あ、あそこのロッカー。ライト照らしたら目があっちゃった……」

P「くそ……。響、俺の後ろに隠れてろ。見つかった以上戦うしか……」 ゴクッ

P「らぁっ!」 ガチャリ



340 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:24:21.53 ID:PUmdftm80

        ゴロッ           ガシャン!!

P「!!!」

響「うぎゃーっ!」 ギュウッ

P「これは、し、死体か? いや。それにしては血が出てないし、もしかしてこれ……」

響「……? あれ? こ、これって……」 チラッ

P「人体模型? 何でこんな場所に……」

響「でもこ、この人体模型。首が取れてるぞ。それにおなかも切られてる……」

P「誰かに斬られた? いや、だとしても何でこんな場所に隠す必要が……」 ブツブツ

響「……あれ? この人体模型の入ってたロッカー、中が抜け道になってるぞ?」

P「なに? ……どれ、ちょっと見せてくれ」 カチッ

響「奥に部屋が見える……。何の部屋だろう。タイル?」

P「ちょっと、見てくるよ。もしかしたらここが……」 ガチャッ    カツ コツ

響「あっ! プロデューサー! ……入って行っちゃった」



341 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:24:58.43 ID:PUmdftm80

-???-

P「……」

響「うーっ! うーっ! ……ぷは、抜けた。ちょっとプロデューサー! 置いていくなんて酷いぞー!」 プンスカ

P「ここか……。やっぱこの学校は――」

響「プロデューサー? 一体何を見て――!?」 ビクンッ

P「血のこびり付いたタイル床。防音壁。水道設備。そして刃物の並んだ棚。窓の無い小部屋」

響「こ、ここってもしかして……」

P「シャワー室じゃないことは確かだな。多分ここで、子供を解体したんだ……」

響「解体……。じゃ、じゃあさっきのプロデューサーの推理ってもしかして」

P「半分以上の確率でビンゴだ。しかしこんな部屋、こんなところに隠してあるなんてな……」



342 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:25:33.90 ID:PUmdftm80

響「うぅ……。何だか、心なしか空気が重いぞ。気持ちが悪い……」 フラフラ

P「しかしさっきの水音の発生源がここだとして……一体ここで何をしてたんだ?」

響「う……う? あれ、これなんだろ」 ヒョイッ

P「? どうした響。何か見つけたのか?」

響「えっと……。ほら、こんなの落ちてたぞ」 パッ

P「なんだ、手紙? 見た感じ、かなり新しいな。でも、うぅん。ほとんど濡れてて読めないな……。なになに?」

『×××生へ。×××××年卒×××窓会のお知らせ。×××××』

『××××××××××××にて食××××××××××××す××××』

『×の××××××××ベント××××××プセルを掘り起こ××××××××』

『××××××参加××××××さい。 ××××卒×生×同』

響「……全然読めないぞ。ぐしょぐしょだ」

P「ここに来た変質者が落としたのか? 何かの招待状みたいだが……」

響「そんなことより、早くここから出たいぞ……」 フラフラ

P「お、おう。悪いな。すぐここを出よう。もう何も得るものはなさそうだ」



343 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:26:09.48 ID:PUmdftm80

P「よいしょっと……」 ガシャッ

響「……プロデューサー。それ、何を持っているんだ?」

P「あ? 武器だよ。あそこにあった刃物を少し拝借した。錆びてはいるけど、まぁ無いよりかはマシだろう」

響「重りになるものはあまり持っていかないほうがいい気もするけどなぁ」

P「だな……。ん?」

響「どうしたのか?」

P「いま窓から……。もしかして」 ガラッ

響「お? おー! やったぞ、朝陽だ!」

P「もう朝か……。これは本当に帰れるまで秒読みになったな」

響「うぅ。こんなに朝陽がありがたい日が来るだなんて」 ウルウル

P「ま、ここで油断しないように頑張らなきゃな」

響「もう、いくつか移動すれば完全に朝陽が上りそうだぞ」


行動安価 → その場から離脱



344 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:26:38.80 ID:PUmdftm80

P「とりあえず過去の事件に対する結論が出たんだ。もうここの探索に拘る必要はない」

P「それ以上にここで変質者と出会わないことに専念すべきだ。急いでここを離れて安全な場所へ行こう」

響「そうだな。自分もなにか武器を持ってたほうがいいのかな」 キョロキョロ

P「別に構わないだろ。さ、移動するぞ。俺の後を慎重についてこい」

響「わかったぞ。でも、とりあえずどこに行くんだ?」

P「校庭だ。あそこまで出ればもう大丈夫だろう。そこから道路に出て、できるだけ早くここを抜けよう」

響「了解だぞ。よーし、あとちょっとだ!」

P「……よし、誰もいないな」 キョロキョロ

響「急いでGOだぞ!」 タッタッタ...



345 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:27:21.14 ID:PUmdftm80

- 教員舎 1F 廊下 -

P「よし、ここまで来ればあと一息だ!」 タッタッタッ

響「外……光だ! もうすぐ、もうすぐ帰れるんだ……!」 タッタッタッ

P「後少し、あと――」

                   ガシャンッ      ....ァァァァァ

響「!?」

P「な、なんだ今の音は。それに……声?」

           ...ァァァァアアアアアアアア!!!             グシャッ

響「ヒッ!」 ビクッ

P「な、なんだ急に……。人? 人が落ちてきたのか?!」 ガタッ

響「な、中庭の方で誰かが倒れてる……。お、お爺さん?」

P「……首が折れてるのか、頭が不自然に曲がってる。あの様子じゃあ、もう……」

響「うっ……」

P「響、あれを見るな! 足を止めるな! 今は走ることだけを考えろ!」 タッタッタ

響「う、うん。わかったぞ……」 タッタッタ



346 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:27:54.50 ID:PUmdftm80

- 外 校庭 -

P「ふぅ……。ここまで来れば、もう……」.

響「ハァ……ハァ……。だ、誰も追ってきてないか?」

P「あぁ。もう大丈夫みたいだ……。しかしさっきの爺さん、一体――」

      ブォン!.         ブォオォォォォォォォォ.....

響「! エンジン音!」

P「思ったより近い。もしかして救援がもう……!?」 キョロキョロ

                        ブオオオォォォォォォォォォン.....!

響「……違う。違うぞ。この音は遠ざかっていく音……」

P「な、なんだ? つまり誰かがここから車だかバイクに乗って?」

響「やっぱ2人以上、この廃校に……いた?」

P「わからん……。もう、どうしようもない。真相はつかめないんだから」

響「あ、朝陽が完全に昇って……」

P「うん。空が、青いな……。今日はいい天気になりそうだ」



347 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:28:37.15 ID:PUmdftm80

響「はぁ……。なんだか今日だけで随分と密度の濃い日を過ごした気がするぞ」

P「俺も。多分、家に帰って鏡見たら、白髪とか増えてそうだな」 ヤレヤレ

響「でも、もう危険は去ったんだよね。もう、大丈夫なんだよね」

P「そうだな。……響、よく今まで頑張ったな。えらいぞ」 ナデナデ

響「うん。……えへ、何だか目が熱いぞ」 グスッ

P「今回の件で一回りは成長できたんじゃないか? ま、もうこんな経験。二度とこりごりだけどな」

響「自分もだぞ。こんなの定期的に続けてたら、1ヶ月でお婆さんになっちゃう自身があるぞ」

          ブオォォォォォ....           オーイ オーイ!

P「おぉ! 車だ。それにあの声、ホテルで待機してたスタッフの人か。思ったより早く来たな」

響「でもこれで、ゆっくり眠れるぞ。もう、怖い思いなんてしなくて済むんだ……」

P「そうだな。はぁ……っ。肩の荷が下りた。あ、その前に警察に連絡してもらうよう言わなきゃだめか……」 ハァ...


    オーイ コッチダー!      ドウシタンデスカー! クルマ ノ コショウ デスカ-?!     ソンナトコロ   ミンナ シンパイ シテ...




――……

――――…………



348 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:29:47.44 ID:PUmdftm80

- 事務所 -

P「……――と、いう訳なんですよ。本当に死ぬかと思いました」

高木「なるほど……。それは非常に災難だったね。だが、よく無事で帰ってきてくれた。本当に嬉しいよ」

P「ははは。本当、よく帰ってこれたなぁって思います。何より響が無事でよかった……」

高木「うむ。我那覇くんは今、病院で休養を取らせてある。キミはこの後警察の事情聴取もあるから、大変だろうが……」

P「ま、頑張りますよ。それにそれさえ終わったら思いっきり休んでやりますから」

高木「ははは。じゃあ、それまで休暇の過ごし方を考えながら、もう少し頑張ってくれたまえ」

P「ありがとうございます。一応、休暇は小説でも書こうかなって思います」

高木「ほ? 小説かね」

P「えぇ。実は今話したこととは別に、こんな過去の事件について調べる機会がありましてね――」



349 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:30:31.09 ID:PUmdftm80

P「……――とまぁ、こういうことでしてね。話のタネにはなりそうかと」

高木「ふぅむ……。臓器の売買、ねぇ……」 ウウム

P「えぇ。私はそう結論付けましたが――社長、何か気になることでも?」

高木「ん。まぁ、いちゃもんのような意見ではあるんだがね。少し気になる点はあるね」

P「……例えば、それは?」

高木「まず1つ目が親御さんへの対応だ。何故親御さんはそんな危険な学校へ子供を送り込んだのか」

P「いえ、ですから子供を売り、その臓器で儲かるためじゃ……」

高木「それだと入学金や生活費で全て飛んでしまうよ。私立だったんだろう? それにもし売れなかったら大赤字だ」

P「いえ、でも……。もしかしたら入学段階で子供をお金で売り買いしてた可能性も――」

高木「それだと学校側が大赤字だ。卒業生がちゃんと出ている分、考えられにくい」

P「そ、そうですか? でもお金儲けって点なら……」

高木「それにキミは一つ忘れている。大事な要素だ」

P「忘れている? ……な、何をですか?」

高木「時代背景だよ。80年代、特に半ばから後期。この時代を人々はなんと呼んでいたか、キミは知っているだろう?」

P「80年代半ばから後期……あっ!」



350 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:33:37.98 ID:PUmdftm80

高木「そう、バブル時代だ。日本中が好景気に沸きあがり、バイト一つで遊んで暮らせた時代」

高木「そんな時代に、黒字になるかも変わらない、下手すれば赤字覚悟の危険なビジネス」

高木「……金銭目的とは、とてもじゃないが思えないね」

P「ですが……。ですがあの学校で学校主導の殺人が行われてた可能性は高いんです。臓器売買じゃなければ――」

高木「あったとしても、臓器みたいに売れるかどうか分からないビジネスではないだろう」

P「では、例を上げるとすればどのような……?」

高木「……考えたくもないが、一定数需要の見込めるスナッフビデオ、キッズポルノあたりかね」

P「キッズポルノ……。うっ……」

高木「それに第2の理由だが、臓器ってのはデリケートなものなんだ。素人が腕を突っ込んで取れるようなものじゃない」

P「つまり、清潔な環境と腕のいい医者が必要、と……」

高木「そう。キミが見つけた部屋は、血まみれで清潔感も何も無い部屋だったんだろう?」

P「確かに……あの部屋でオペなんてできるとは思えない。それに医者も……」

高木「別に100%不可能なわけじゃない。だが考えればいろいろ無理が出てくる」

高木「もしその廃村の危機を臓器売買で持ちこたえたとして、じゃあ資金が調うまで誰がオペをしたのだ?」

高木「金さえあれば、確かに闇医者として雇えるかもしれない。だが最初は70年代の寂れた鉱山の村」

高木「ここに臓器を摘出できる環境も、それができる医師もいたとは……とても思えないんだがね」

P「……」



351 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:34:06.13 ID:PUmdftm80

P「……何か、見落としていたんでしょうか」

高木「さあなぁ。私は現場を見てないし、そもそも過去の出来事だ。私たちは妄想を語ることしかできんよ」

P「何か、足りなかったのか? それとも視点が――」 ブツブツ

高木「そうさなぁ。だが――」

P「?」

高木「物事は思っている以上に単純だ。こんなもの商売にならない! と思ってるものがわりと当たる場合もある」

P「商売……?」

高木「そう。学校が行っていたことがビジネスで、保護者もグルであるのなら、当然関係はwin-winじゃなくてはならない」

高木「高い月謝を払ってまであそこに親が送り出す。詰まる話、あそこに子供を入れることが親の目的なんだろう」

高木「後は、そこで子供がどういう基準で殺されたのか。どういう基準で卒業できたのか」

高木「そこらへんを、よく考えていくのも悪くはないだろう」

P「社長……もしかしてアドバイスを?」

高木「いや、独り言だ。聞こえてたのなら『小説』の参考にしてくれればいいさ」 ハッハッハッ... ガチャン

P「ビジネス、か……」



352 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:36:22.06 ID:PUmdftm80

-病院-

響「うー……。う? ここは――」

春香「あれ、響ちゃん。もう大丈夫なの?」

響「あれ、春香? ……もしかして自分寝ちゃってたのか?」

春香「うん。随分と疲れてたみたいだね。もう15時だよ」

響「うー、そんなに……。あ、そういえばプロデューサーは?」

春香「えっとね、今警察から事情聴取を受けてるみたい。例の廃校、大変だったんでしょ?」

響「……そうだぞ。もう思い出したくないくらいさー」

春香「そっか……。あっ。じゃあ、もししんどくなったらいつでも呼んでよ! いつでも駆けつけるからさ!」

響「はは、ありがとうだぞ春香。……ところでさ、春香」

春香「なぁに? 響ちゃん」

響「春香はあの夜……自分たちが廃校に迷い込んだ夜に、自分に電話をかけてきたか?」

春香「……」

響「春香?」

春香「え? あ、ごめん。ボーッとしてた。えっと電話なら別にかけてないけれど」

響「そっか……。わかったぞ。ありがと」



353 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:37:32.48 ID:PUmdftm80

春香「どういたしまして……。あ、そうだ。忘れるところだった。はい、コレ」 スッ

響「? なんだ? これ。メモ?」

春香「えっとね。なんかさっき女の人がこれを響ちゃんって。ファンの人だったのかな? どこから病室聞いたんだろ」

響「えっと……。と、とりあえずありがとうだぞ」

春香「どういたしまして。それじゃあ、私行くね。後から千早ちゃんたちもお見舞い来るから」

響「分かったぞ。わざわざありがとうー」

春香「じゃあね。ゆっくり休んでね」 バイバイ

響「春香も帰り道に転ばないよう気をつけるんだぞー」 バイバイ

響「……」

響「行っちゃったぞ……。さて、このメモ……」

響「差出人の名前は書いてないけど、普通の便箋かな。応援メッセージだったら嬉しいんだけど、えーっと」 ピリピリ



354 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 05:39:45.61 ID:PUmdftm80

響「えーっと何々?」

響「……」 ジーッ

響「……ッ!!!」

響「こ、この手紙、差出人ってまさか……」

響「いや……でも……」

響「これが事実として……どういうことなんだ?」

響「どこかで勘違いしていた……のか? 自分たちは……」 ポロッ...


          フワッ....          パサッ...


『今も昔も、ずっとあの人は優しかった。私たちを救ってくれた』

『あの時の推理を聞いて我慢できず、この手紙をあなたに残しました』

『恐らく、もう会うことはないでしょう。ですがどうかひとつ、これだけは覚えていて下さい』

『樋村先生は、なにも悪くない。天に誓って何ひとつ』

Normal End



370 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:18:48.65 ID:PUmdftm80

以下 廃村で見つけて



371 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:20:36.04 ID:PUmdftm80

~4週目~

-教員用更衣室-

P「よいしょっと……」 ガシャッ

響「……プロデューサー。それ、何を持っているんだ?」

P「あ? 武器だよ。あそこにあった刃物を少し拝借した。錆びてはいるけど、まぁ無いよりかはマシだろう」

響「重りになるものはあまり持っていかないほうがいい気もするけどなぁ」

P「だな……。ん?」

響「どうしたのか?」

P「いま窓から……。もしかして」 ガラッ

響「うわっ。眩しいっ! も、もしかしてもう朝陽が……!」 チラッ

P「……残念ながら違ったみたいだ。月光だよ。ほら、あんなに明るい」

響「月の光、だったかぁ……。朝陽と勘違いしちゃったぞ」

P「目が慣れてしまったのも相まって、もう懐中電灯はいらないかもな。月光で校内が薄明るい」

響「でも、まだ朝じゃないのなら――」

P「ん。もう少し逃げまわるとするか」


行動安価 → 給食室



372 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:22:20.83 ID:PUmdftm80

響「そういえば、この学校って給食室ってあるのか?」

P「さぁ、そこは俺にもわからん。でも南校舎にはそれらしき建物や部屋は無かったし――」

響「外部から? トラックとかで」

P「片道なんkmもある悪路を毎日荷物積んで行き来できるとは思えないな」

響「じゃあ給食はどこから?」

P「俺の想像だが、位置的に寮にあるんじゃないか。寮ができる以前は村の炊事場を使ってたのかも」

響「ふぅん……。寮の方にかー……」

P「……行くか?」

響「いや。校内にあると思ってたから……。もしないならちょっと考えてみる」

P「そうか。ま、行くにしろ、行かないにしろ。俺は響の言うことに従うよ」


行動安価 → 響の携帯探し



373 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:23:20.78 ID:PUmdftm80

P「そういえば響。携帯を捨てたとか言ってたな。あれ、見つかったのか?」

響「け、携帯? ……そういえば、まだ見つけてないかも……」

P「どこら辺で携帯を捨てたんだ?」

響「えっと、多分北校舎から南校舎へ向かう渡り廊下の途中。ポイッて捨てちゃって、細かい場所はわかんないけど……」

P「……もし、次の動きが思いつかないのなら、ちと携帯探してみるか?」

響「えっ? で、でもなんで?」

P「携帯を探して、もし見つかったら響の携帯に着信があった謎も解けるかもしれないじゃないか」

響「で、でもどこを? 自分、教員舎であの着メロを聞いてるんだぞ。きっとオバケが持っていってるに違いないぞ」

P「まー、そうかもしれんが……。ま、万が一だ万が一。とりあえず北校舎と南校舎を結ぶ渡り廊下を見てみよう」 スタスタ

響「ん……。わ、わかったぞ」 テクテク

P「じゃあ、行くか。よっと」 ガシャ

響「やっぱそれ持って行くんだな……」



374 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:24:26.84 ID:PUmdftm80

- 南校舎 渡り廊下 -

P「ここだな。で、どこら辺でポイっと?」

響「わかんない……。走って走って、それから投げ捨てちゃったから……」

P「うーん。校庭の方向は、まぁともかく……。中庭の方へ投げ捨てたのなら探すのは酷だな」

響「草ぼーぼーだぞ。ハム蔵かいぬ美がいれば見つけてくれるかもなのに」

P「せめて響の携帯に着信がもう一度入ればなぁ」 ピッ ピッ

響「こ、怖いこというのやめて欲しいぞ。それに一応、自分壊しちゃったから、正常に動作するかは――」

P「……ん? お、あれれ?」 ピッ ピッ ピッ

響「どうかしたのか、プロデューサー?」

P「いや。今、携帯アンテナが1本立って……あ、また圏外になった」

響「えっ!? こ、ここ電波が届くのか!?」 ガタッ

P「わからん。一瞬だけだったし、不安定だったのかも……あ、ヤバい。電池が」

響「あ、スリープしちゃった……」

P「あぁクソ! もう少しでいろいろ調べられたかもしれないのに」 カチャン


行動安価 → 職員室近くに校長室がないか探索



375 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:26:21.33 ID:PUmdftm80

P「しかし、ここまでだとは思わなかった。これはちょっと無駄足だったかもな」

響「うん……。ところでプロデューサー」

P「ん? なんだ響。次に行く場所でも思いついたのか?」

響「うん。それなんだけどね。この学校、校長室ってどこにあるのかな?」

P「校長室? 校長室……。確かに見なかったな」

響「それでね。自分、職員室をもう一度調べてみたいなって思うんだ。最初薄暗くてあまりわかんなかったし……」

P「あぁ。廊下に面してないのなら、職員室に入り口がある場合。……確かにあるな」

響「うん。だから、ちょっと確認してみたいぞ」

P「わかった。じゃあ次は職員室へだな。まぁ、帳簿でも見つければ更なる根拠も見つかりそうだし、いいか」

響「臓器売買……。本当にあったのかな……」 ゴクッ

P「それはまだ分からん。でも俺はほぼコレで合ってると踏んでるな。ま、今は移動だ」

響「うん」 テクテク



376 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:27:21.94 ID:PUmdftm80

- 職員室 -

P「うお、そこそこ明るい」 ガラガラ

響「心なしか、月の光が強くなってる気がするぞ……」

P「多分月が傾いて低くなった分、光も強く感じるんだろ。今は願ったり叶ったりだが」

響「でもそれって、オバケ……不審者さんにも同じことが言えるんじゃないのか?」

P「それはそうだが……。お前の話とさっきの状況を考えるに、多分平気だと思う」

響「なんでだ?」

P「目と耳が弱い、広範囲に移動してない、動き……というか歩調が緩慢。なら不審者は高齢――ん?」

響「どうかしたのか?」

P「いや、あそこ……。ほら、教頭の机の後ろにある棚。その端の方……」

響「あ、扉! やったぞ。本当に校長室……開いてる?」

P「あぁ、扉が開いてる。もし最初から開いてたら、薄暗かったとはいえ、俺たちが気付かない訳がない」

響「なら誰かがあそこに――」

P「いるのか、いたのかは分からんが……。今はコイツもあるし、慎重に行ってみるか……」 ゴクッ ガシャッ



377 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:34:13.90 ID:PUmdftm80

- ??? -

P「……」 ギィ...   キョロキョロ

響「……」 ヒョコッ

P「……誰もいないな。そこそこ狭い部屋だけど、ソファやら絵画やらがあるな」

響「応接間? あ、でも奥に偉そうな机がある」

P「まぁ、ここが校長室で合ってるだろうな……ん? この部屋の床だけ木材を使ってるのか? 変な趣味だな」 ギィ ギィ

響「腐ってたら大変だから、あまりドタバタするのは控えるべきかもなー」

P「しかし殆ど手付かずで出て行ったのかな。やたらと綺麗だ」

響「廃校になるとき、それくらい急いでたのかもなー」

P「だが資料も当時のまま残ってるかもしれない。ま、調べるも調べないも響次第だけど」

響「ん……」


行動安価 → 手帳を読む



378 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:34:51.99 ID:PUmdftm80

響「ここ……出口が一つだけなのかー。後は窓……」

P「ま、今は手元にコイツがあるから、ここで篭城もできなくはないぞ。この部屋に隠れられそうな場所はなさそうだし」

響「ん。じゃあ手帳を読んでみるか? これ」 パサッ

P「手帳? ……あぁ、あの理科室で響が見つけたあれか」

響「うん。結局何度も読もうとして読めなかったから、読むとすれば今の内かなって」

P「だな。じゃあ俺が入り口警戒してるから、小声でいいから声に出して読んでくれ」

響「わかったぞー。えーっと、なになに……?」


『×りすぎた。バラバ×にするのはまだ×い××て、燃××のは良×ない。こ×じゃあ××用できない』

『教×が俺をキ××イ呼ばわりし××ら×い。ふん、好×合だ。お陰で××に死×も×べもしない』

『今××仕事で×、派×に臓×をブチ撒××よ×××たが、×陰で臓器××つか潰×て×まった。なんとい××とだ』

『××とグ××スクに。もっ×凄惨に。×っとバ×バラに』


響「……うぐ」

P「……聞いてる分には酷いな……。樋村って男、何か破壊衝動でもあったのかね」

響「この先もいろいろ書いてあるけど……似たようなことばかり書いてあるぞ」

P「まったくだ……。ん?」



379 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:35:45.85 ID:PUmdftm80

響「どうした、プロデューサー?」

P「いや、今の文面に何か違和感を覚えて――ちょっと手帳いいか?」

響「? 別にいいけど……気分悪くなっても知らないぞ。はい」 スッ

P「サンキュ。えーっとなになに……」 ブツブツ

響「また一人考え込んじゃったぞ……。コ○ンくんじゃないんだから、少しは考えを喋ってほしいぞー」

P「この文面……。穴埋めをすると、『お陰でろくに死体も調べもしない』……か?」

響「そこは分からないけど……だとしたら、なんなんだ?」

P「おかしいな。例え後で臓器を摘出するとして、そんな死体も調べないって本当に?」

P「それにこの日記、どれだけ凄惨に殺す……か、或いは死体をバラバラにするかだよな」

P「臓器売買を目的として、こんなの許されるのか? おもいっきり『燃やす』『潰す』みたいな事も書かれてるし――」

響「そういえばそうだぞ。……なんで?」

P「……臓器は使わない? いや、臓器は樋村が目的で、学校の目的は殺すことだけ?」 ブツブツ

響「まーた考え込んでる……」


行動安価 → 部屋を捜索



380 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:36:30.14 ID:PUmdftm80

響「プロデューサー。考えるのは――」

P「ん? お、おう。そうだな。考えるよりまず先に動かなきゃ、だな」 アセアセ

響「まったくもうっ。……とりあえずここの部屋を調べるぞ。何かあればいいけど……」

P「一応この部屋、鍵はかかるみたいだし……。そうだな、ちょっと調べてみよう」

響「だぞ。……でも思ってより本や書類がいっぱいあって、何が大事な資料のか判断するのが大変かも」

P「じゃあ、そこらへんは俺が調べるよ。響は机とかその他を調べておいてくれ」

響「了解だぞー」



382 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:39:41.21 ID:PUmdftm80

P「……」 ガサガサ

響「……」 ゴソゴソ

P「……っとっと。危ない危ない。本棚を倒すところだった……」 ガタッ

響「危ないぞー。怪我しないように注意しなきゃ」

P「悪い悪い。それもそうだな――ん? なんだ、壁と本棚の間に落ちて……なんだこれ。これは校長の手記か?」 カサッ

響「ここの学校の人、よほど手帳に書き記すのが好きなんだな――お?」

P「ん。響の方もなにか見つけたのか?」 ガタッ ガタン

響「いや、ここ……。見づらいかもしれないけど、穴が開いてる……」

P「んー? ……本当だ。えーっと、どれどれ――」 ガチャッ ガラガラ

響「どうしたのか? プロデューサー」

P「……この穴、壁の向こうからテープで部屋の中に光が漏れないように隠してる」

響「穴が開いたからの応急処置なのかな?」

P「なくはない……が、この金満学校でか? んー、どちらかといえばこの穴……。覗き穴のようにも見えるがなぁ」

響「校長室を? そんなことする意味、なにかあるのかなぁ」

P「わからん。とりあえず探索を続けようか」



383 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:43:21.80 ID:PUmdftm80

P「……ん。またそれっぽい資料見つけたが……。今度は暗号化されてるっぽいな」

響「どんなのなのか?」

P「ん? えっと、まぁこんな感じ」 ペラッ

『85' 普59、選44』

『×年×普通入×者も随分増え×きた。これも××の成果のひと×なのだろう』

『或×はこ×先、普×入学×だけでやって×ける××しれない』

『有名×学への進学も多×なってきたし、いつか本当××の日が来るの×もしれない』

響「……日記? というより誰かの感想かな」

P「場所的に校長の手書きだと思うが……。んー。見た感じ、入学者についての資料だな」

響「学校の偏差値上がって、入学者が増えたのかな。……けど、成果? 成績向上の何かでもしたのかな」

P「さぁな。裏でやってるであろう事を考えると、あまりいい意味には聞こえなさそうだが――」

響「ところで、この『普』は普通入学者って意味なのかな。じゃあ『選』ってどういう意味なんだろ」

P「……わからんな、現地点では。で、とりあえず見つかった資料はこんな感じか」

響「そこまで多くは無かったね」


行動安価 → 覗き穴をスタート地点とし、紙の指示通りに動いたケースを考える



384 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:44:00.19 ID:PUmdftm80

響「……そうだ。覗き穴、ノゾキアナだよ!」

P「ん? 覗き穴? ……あぁ、体育館のあれか。あそこに何かあるのか?」

響「違うぞ。えっと……これ! あそこに書かれていた字はこの絵の裏に書かれてる字と同じだった!」

響「だからもし、このメモがここの覗き穴から見たことを書いているのなら――」

響「この覗き穴からメモの順に移動してみた場所に、きっと何かあるぞ!」

P「ははぁ、なるほどな。じゃあ、……ちょっと試してみるか」 ガタッ

響「えーっと、ここがスタート地点だとして……最初はまっすぐ行って右」

P「テーブルとソファ前で右か」

響「次はまっすぐ行って左だな。これを二回繰り返せば……」

P「テーブルとソファをぐるっと回った格好になるな……。いや、待て」

響「? どうかしたのか?」

P「……多分そっちじゃない。テーブルを回っただけだと、多分まだあの穴からは姿が見えてる」

響「え? じ、じゃあ、えーっと」 キョロキョロ

P「そうだな。校長の机まで行って左、だろうな。ここからなら多分穴からは見えなくなる」

響「そうなるとゴールは……。ここら辺かな?」 ギシギシ



385 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:44:53.50 ID:PUmdftm80

響「? なんだかここの床、凄く軋むぞ。あんまり乗っていたくないかも……」 ギシ...

P「……そこの床板、外してみるか?」

響「え? こ、壊しちゃうのか? それって危なくないか?」

P「どうせ腐りかけた建物、床板一枚程度引っぺがしただけじゃあなんともならんだろ。それに――」

P「もしメモのことが、この床あたりを指しているのなら――ここにあるはず」

響「そうなのか? でもここにあったのがどこかに移動させられた可能性も――」

P「ほとんど時間がなくて手付かずであったろう、この部屋の様子を見てか?」

P「それに『見えなくなった』これが本当に完全に見えなくなったのなら、おそらく誰かはここでしゃがんでいたはず」

P「じゃないと身体全体が机に隠れることが出来ないし、もし少しでも見えていたのなら、もっと別の表現を使っただろう」

P「『こちらに背を向けてなにかしはじめた』だとか『何かをいじり始めた。ここからじゃ見えない』とかな」

響「……それじゃあ、本当にここになにか?」

P「だから分からん。メモが本当にこの場所を指してるか否か、だ。じゃあ、コイツを使って……!」 バキッ

響「うわっ! ら、乱暴だぞ!」

P「しゃーない。取っ手があったのかもしれんが、この状況じゃ――お?」 ガシャッ

響「お?」



387 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:45:42.58 ID:PUmdftm80

P「これは――」

響「金庫? なんだかすごく物々しいぞ……」

P「……が、これはダイヤル式ロックと鍵の両方が必要なやつだな。昔にしては随分先進的なものを……」

響「それだけ大事なものだったのかな……」

P「だが、お? これダイヤルの方のロックは外れてないか?」 カチャカチャ

響「ほへ? なんでまた中途半端な」

P「んー……。例えば、廃校になると分かり慌てて金庫の中身を取り出そうとしたけど鍵をなくしてしまって断念」

P「だから床を固めて見つからないようにして、後はそのまま――だとか?」

響「それだけ急いでたってことなのかな」

P「教頭も黒ければ、校長も黒いってか。なんなんだこの学校」


行動安価 → 手持ちの鍵を使う



388 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:49:58.77 ID:PUmdftm80

P「鍵……。そうだ、寮で見つけたデカい鍵、これに使えないか?」

響「えっ? えっと、大きい鍵、大きい……おっ。あったぞ、これだな」 ゴソゴソ パッ

P「おう。これが何で寮母の部屋にあったのかは知らんが、寮母が学校側の活動に反対だったのなら……」 ガチャガチャ

P「……おっ! ビンゴだ。やっぱこの鍵であってたか」 ガチャリ

響「やったぞ! で、中はどんななんだ?」 ヒョコ

P「こりゃ、顔出すな。今開けるから……っと」 ギィィィッ

響「どれどれ? 中身は――あれ。また書類?」

P「それと手帳だな。さっき見つけた手帳と併せれば2つか。どっちも校長の手記かな?」

響「わかんないぞ。でも、だいぶ核心に迫ってきたような……」


行動安価 → 読んでみる



389 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:51:32.01 ID:PUmdftm80

P「まぁ……。読むしかないわなぁ。せっかく安全が確保できてるのに」

響「じゃあさっそく手記を読んでいくぞ。まずはさっきプロデューサーが壁と棚の間に落ちてたのを見つけたやつだな」

P「重要そうなところだけ読んでいくか。えーっとなになに?」


『樋村××には困ったものだ。監禁事件を起×した父親と同じく、彼もどこか変態×な趣味を持ってるのだろうか』

『まあ彼は父親と違い、××予定の生徒をうっかり監禁してし×うなんてミスはないだろう。何せあの趣味×のだから』

『幸いに×々が接触する前に監禁事件を起こしたので、警察に保護さ×た後も事件になることはなかった×だが』

『お陰で彼女を××損ね、ご××は×怒する始末。本当にあの事件は思い出しただけでも背筋が凍×』

『加えて警×に手回しをするのにいくら払っ×か。まぁ今××ことを考えれば必要出×だったのか×しれんが』

『しかし彼は父親比べ×安全×いう部類にすぎず、実質あの殺×方は異常と言わざるを得ない』

『お陰で死体は常に××ゃぐちゃで凄惨だ。正直、私含めまともに目にしたく×い』

『私がこん×ことを言うのも何だが、さぞ彼ら、彼女らは苦×かったに違いない。同情するくらいに』

『もし×らせていなければ、彼らの悲鳴で一瞬でこの××は生徒たちに露見してしまった×ろう』

『樋村×生に話をつけるよう、教頭先生に伝×ておくこ×にする。これで少しはマシになればいいが……』


響「……」

P「確定だな。『殺』の文字が出てきた。『流す』は使ってないが、恐らくこれのことを指すんだろう」



390 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:52:22.91 ID:PUmdftm80

響「心のどこかで思ってたことだけど、実際にあったことが確定したと考えると、なんだかキツいぞ……」

P「仕方ないさ。……しかしこの手記を見るに、九の事件の一つを起こしたのは樋村の父親か」

響「親子2代、この村の教師だった……ってことか?」

P「学校が裏で行ってることがもし閉山直後から続いているのなら、身内を入れたほうがそりゃあいいわなぁ」

響「えっ? これが閉山直後からずっと? そんなことどこかに書かれてたのか?」

P「ん、あぁ違う。俺の妄想。でも、寮母の日記を見てると、そう考えるのが自然かなーってな」

響「そうなのか……。こんなことが以前からずっと……」

P「ま、今は感傷に浸ってる暇はない。次は金庫内の手記を調べてみるか」 パラッ



391 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:53:55.96 ID:PUmdftm80

『樋村×代子さんが亡くなった。どう×ら自×らしい。北×舎の××から飛×降りたのこと。遺書が見つかった』

『そして聞けば先の事件、彼女が起こしたものらしい。遺書にそう書かれていた。失敗を予想し自ら命を絶ったのか』

『×女が自殺した時刻、バラバラなた×に詳しくはわからないが、恐らく最後の1人を××めた前後らしい』

『そ×も×哀相なことに、最×の一人を処理した×は彼女の息子だったらしい。遺体は×型を留め×いない』

『皮肉な×のだ。生徒を×おうとして、その最後の××を自らの息×に×されてしまったのだから』

『だが、お陰で×件が公にならずにすんだ。このことは×日学校内の××事で秘×裏に処理され×だろう』

『しかしどうやって彼女は×らを生き延びさせた×だ? 協×者が? せめて過去、誰が××たのかを書いて××ば……』

『だがこれ以上の×拠を増や×わけに×いかないし、仕方のないことだ。これで事×は終わった。そう思えば』


P「これは……樋村母が死んだ日のことか。自殺?」

響「でも、これを見るとなんだか酷いぞ……。息子に最後の一人を――だって」

P「あぁ。樋村って男、よっぽど屈折した心を――ん? まだ他にもあるな。別の日に書かれたものか?」 ペラッ



392 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:57:39.87 ID:PUmdftm80

『報告が来た。××子さんの遺体×が、自殺と思え×いほど異常だっ×とのこと』

『×況はか×り×惨で、×中切り刻まれバラバラになっていた×しい』

『……間違いなく樋村先生だ。だが遺書もあるし、恐らく×び降りた後の彼×を刻んだ×だ×うと予想する』

『だがいつだ? 最後の一人を×してからは、ずっと彼×ここで事後処×を行っていた』

『……×後の一人を仕留める前に? いや、でも彼の慟哭を見れ×それはないと思×てくる』

『仕×める前に×上の遺体を見ていれば、あ×な嬉々としてかつての×徒をバラバラになん×できる訳がない』

『……いや、も×かして先ほど見た彼のあの慟哭は全て嘘で、心ではなんとも思っ×いないのかも×れない』

『そうだとし×ら、彼は×真正銘の化け物だ。×を斬るためなら肉親の×体だろうと×わない』

『恐ろ×くて×が震える。××かして手は打てな×ものか』


響「……人殺しがいっちょ前に怖がってるぞ」

P「ここまでくると腹が立ってくるな。何様のつもりかと」

響「でも、樋村は母親の遺体を切り刻んでいた可能性があることが分かったね」

P「ん……。まぁ彼の異常性は前々から知ってたつもりだが、ここまでくると本当に恐ろしく思えてくるな」



394 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 14:59:35.86 ID:PUmdftm80

P「後は大量の資料だな。こんな金庫に入れておくくらいだから、よっぽど重要なものなんだろうか」

響「んー……? いろいろ擦れてる文書もあるけど、なんだこれ?」 ペラペラ

P「なになに? 『古庄×太郎、古庄 愛子 は以下を厳守することをここにお誓い致します』。……誓約書?」

響「『1. 生徒に関して、校内で事件、事故が発生し、結果生徒が死亡してもいかなる訴えも……』。な、なんだこれ」

P「別の形のものもあるな……。『この学校内で発生した死亡事件において、学校側は……』。ふむふむ、これは――」

響「……親が裏切らないようにするための?」

P「血印書だな。親も裏切れないように、って感じかねぇ」

響「でも、あまり枚数無いな。それにこんな大事なもの、処分しなかったのか?」

P「まぁ半数以上は普通入学ってあったしな。それに処分しなかったんじゃなく、処分できなかったのかもな」

響「……時間的な都合で?」

P「それもあるが、だったら後からここへ来ていろいろすればいい。恐らくマークでもされてたんじゃないか?」

響「へ? マーク?」

P「警察に。手の及んでない……市、或いは県が乗り出したのかは分からんが――」

P「要は自由に身動きが取れない状態ってことだな。或いはもう死んでいるかのどっちかだ」

響「死んでいる……」 ゴクッ



395 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:00:19.59 ID:PUmdftm80

P「さて、これで大分過去のことは見えてきたな」

響「細かいところまではまだだけど……。確かに見えてきたかも」

P「さて。そうなると問題はこの資料だ」

響「これ? 持って行っちゃダメなのか?」

P「いやいい。だがこの部屋、さっきまで人がいたってこと。もう忘れたか」

響「あ、そういえば……」

P「誰かはわからんが、もしここにいたヤツの目的がこれなら――ここに置いたままにしておくのもありかもしれん」

響「なんでだ!? これは事件の証拠だぞ! 持ってかえって公表しなきゃ」

P「その公表を快く思わないヤツが校内を徘徊してるかもしれないってことだよ」

響「お、オバケのことか?」

P「どのオバケか知らんが……。金属製の何かを持った奴と、フットワークの軽いもう一人の、最低2人はいると思う」

P「その双方がこれを狙ってたら――。持ってる俺たちが危ない」

P「この紙を見た後でも、資料さえ手を付けなければあるいは見逃してくれるかも――」

響「……」



396 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:01:35.51 ID:PUmdftm80

響「……でも。でも、それじゃあ、この学校で殺された人たちの無念はどうなるのさ」

P「無念?」

響「こんな暗くて寂しい廃校を彷徨って……その人たちが浮かばれないぞ!」

P「いや、だからこの校内を彷徨っているのは生きた人間の可能性が――」

響「違うぞ! きっとその人たちはまだここにいる。彷徨ってる! だから救ってあげないと」

P「だからさ……。いや、例えそうだとしても、それは命を賭けてまですることか?」

響「……」

P「当然置いていったからといって見逃してくれるとは限らない。でも少しでも俺たちが無事になれるのなら――」

響「……」 ギュ-ッ

P「……」

響「うー……!」 ギューッ

P「……フー。わかったよ響。わかった。持っていっていいさ。だからあんまり紙を強く抱きすぎるな。皺になるぞ」

響「えっ? ほ、本当にか?」 パァッ

P「いいさ。ま、どうせ金庫を閉じれば、持っていったか否かなんて分からないハズだしな」

響「やった! あ、ありがとだぞ、プロデューサー!」 ダキッ



397 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:19:30.24 ID:PUmdftm80

P「しかし……。見えてきそうで見えてこないな、この事件。あと少しだとは思うんだけど――」

響「うーん。学校が悪いことして、樋村がさらに悪いことをしてたってことくらいしか……」

P「……まだ。あと少し資料が足りないな。他に気になった場所、少し探してみるか」

響「そうだな。あ、念のため板は戻しておくぞ。……綺麗に割れちゃってるけど」

P「おう。でも金庫が開いてないと思えば或いは――な。さて、どこへ行こうか」

響「んーっと、そうだなー……」


行動安価 → 寮母の流す、足りないという言葉の意味と、バラバラにする理由を考える



398 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:20:29.07 ID:PUmdftm80

響「とりあえず、自分。プロデューサーの考えを聞きたいぞ。多分、だいぶ思考の差があると思うから……」

P「おう、ここを出る前に考えを併せておきたいと。いいぞ。何でも質問してくれ」

響「まず寮母さんの手記で出てきた『流す』って言葉は――どう考えてる?」

P「殺すって意味だろうな。外でも意思疎通ができるように作った言葉だと思う」

響「そっか。そこらへんは同じだな。じゃあ『足りない分を代用~』って言葉は?」

P「そこな。臓器売買の考え、さっきも言ったろ? そこで――」

響「生徒が臓器売買されないように身代わりにって考えだったっけ」

P「なんだ、覚えてるじゃないか」

響「うん。だけど、さっき樋村の手記を見て、臓器売買の線が薄くなったとか言ってなかった?」

P「……そうなんだよなぁ。だからそれは今考え直し中。まだ証拠や根拠が足りない」

響「そっか……。じゃあ何で樋村は遺体をバラバラにしてたと思う?」

P「ん? そりゃあ……バラバラにしてこっそり臓器やらを掠め取るためじゃ? それか、そういう趣味があったか、だ」

響「うー……。なんか違うような気もするけど」

P「思考時間と資料が足りないんだ。もう少し動かないと……何も見えてこない」


行動安価 → 二枚目のメモについて



399 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:20:59.07 ID:PUmdftm80

響「そうだ。ねぇ、この2枚目のメモはどう思う?」

P「ん? あぁ、そういえば体育館でもう一枚見つけたんだっけか」

響「うん。だったらこの部屋をもう一度――」

P「多分それこの部屋じゃない。だから別にいいだろ」

響「えっ? な、何で分かるんだ?」

P「動く前に、そのメモ通りの動きを考えてみればいい」

響「『ひだりにいってまっすぐ。みぎにいってひだり。まっすぐ。またまっすぐ』……だったよね。えーっと……」

P「ま、真ん中が少し曲がってる針金みたいな形になるだろ? もしくは雷マークを横に倒したような」

響「そうだな。左側にずっと続くって感じ……あっ」

P「な? この部屋じゃ再現不可能だ。それにこれは最初と途中一度上に曲がる以外は左方向へ一直線なんだ」

響「そんな場所、学校内にあったかな……」

P「さぁなぁ。校庭くらいしか思いつかんが……その場合はなんでこんな表現にしたのかとスタートの位置が分からん」

P「或いは、体育館の小窓でどれくらいの範囲が見えるかをテストしたのをメモに書いただけなのかもしれんし」

響「むぅ……。ただのメモの可能性もあるのかー……」


行動安価 → 体育館へ



400 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:21:59.60 ID:PUmdftm80

響「むぅー……。そうなのかなぁ」

P「納得できなさそうだな……。じゃ、それを見つけた体育館、もう一度見てみるか?」

響「ん。わかったぞ。でも、あの変な靴のオバケは大丈夫なの?」

P「こっちは武器があるんだ。ゴリマッチョは難しいけど、普通の体格ならある程度は応戦できるだろ」

響「……わかった。プロデューサーのこと、一応信じてあげるぞ」

P「なんだそりゃ。まぁいっか。じゃあ、慎重に行くか」

響「うん……。あれ?」

P「どうした? 何か言い忘れたことでもあったか」

響「いや、今誰かの視線を感じたような……」

P「? とは言っても部屋は当然、窓にも人影はないし……気のせいじゃないか?」

響「……そうだな。きっと気のせいだぞ」

P「じゃ、気を取り直して、慎重に……」 ガチャ

響「抜き足差し足……」 ソロソロ   バタン


                                                 ガサッ



401 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:22:40.99 ID:PUmdftm80

- 体育館 -

P「ということで体育館来たが……。うわー、なんか不気味というか神々しいというか……」

響「2階の窓から月光が射し込んでいるんだな。なんだかライトアップされたステージ上みたいで綺麗だぞ」

P「だな……。帰ったら、こんな舞台でいっぱい踊ろうな」

響「……うん」

P「っと、なんかしんみりしちまったな。で、ここまで来て……さてどうする?」


行動安価 → 二階へ行き探索



402 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:24:06.44 ID:PUmdftm80

響「と、とりあえずもう一度2階に上がってみるぞ。上からなら全体をよく見られるし」

P「わかった。じゃあとりあえず舞台袖に入って、っと……」 ガチャッ

響「うわぁ。相変わらずぐちゃぐちゃだぞー……」

P「上りにくいんだよなぁ……。よいしょっと、響。お前は大丈夫か」

響「大丈夫だぞ。伊達に運動部やって……ないぞっ!」 ピョン

P「おっと。こら、あんまり飛び跳ねると危険――」

                                      ガララララッ

P「!」

響「!!」 ビクッ

                                       ギュッ... ギュッ... ギュッ...

響「あ、あの足音! さっきのアイツだぞ、きっと」 ブルブル

P「だな……。あの音、更衣室の方から出てきたのか」 ヨシヨシ

                                            ギュッ... ギュッ... ギュ...  ュ....

P(足音が遠ざかっていく……。音からして、扉は閉まっていたのか。じゃあ気付かれていないのか?)

響「……」 ブルブル



403 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 15:30:51.46 ID:PUmdftm80

P「……」

響「……」 プルプル

P「……行ったみたいだ。響、今度は大丈夫か?」

響「こ、今度はってなにさー……。自分、特になにも――」

P「ん。今回は大丈夫そ――と、思ったが残念。ちょっと目頭に涙たまってるぞ」 ナデナデ

響「えっ!? そ、そんなことないぞ!」 グシグシ

P「しかし……。今回もまたあいつか。教員舎や体育館周り、特に更衣室周辺をウロウロしてるのかねぇ」 ポンポン

響「……なんでだろ?」

P「さぁな。あの動きじゃあ、探し物をしてるというより、誰かが来るのを待ってる風に感じるな」

響「待ち伏せ? うぅ、なんだそれ。怖いぞ」

P「さて、今は姿が見えないが、どうしようか」


行動安価 → 2階探索続行



406 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:33:56.30 ID:PUmdftm80

P「……今の内に2階を探索するか。今なら影でバレることもない」

響「そうだな。今の内に探索を進めなきゃ……」

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……何も見つからないままぐるっと半周したな」

響「だぞ……。こっちは逆側の舞台袖へと降りる扉かなぁ」

P「だろうなぁ……。ん?」

響「どうしたプロデューサー」

P「いや、月の光が弱まってきたかなと思ってさ。結構夜明けが近いぞ」

響「そうなのか? あと少し……」


行動安価 → 反対側の舞台袖へ



407 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:34:30.99 ID:PUmdftm80

P「まぁ……。どうせだしこっちから降りてみるか」 ガチャッ

響「うん。……うわぁ、ここも中がぐちゃぐちゃだぞ」

P「下りにくいな……。荷物とか置きっぱなしにしすぎだろっと」 ズリ...ズリ...

響「んしょんしょ……」 ソロリ... ソロリ...

P「……無事降りられたな。特に何もすることはないけど」

響「んー。回りも普通のマットやらポスターやらで、目ぼしいものは何も無いぞー」 キョロキョロ

P「んー。やっぱここは何も無いか……」

響「むぅ。それならプロデューサーはどういう場所を探したいの?」

P「ん? そうだなぁ……。今欲しい情報は『樋村』、『学校の行ってたこと』、後は『九の悲劇』についてくらいだな」

P「『9の悲劇』については、『88年の最後の事件』と『タイムカプセル』、『87年3月の記事』、『ゾンビ事件の詳細』かね」

P「これらの情報が手に入るであろう場所を調べたいな。俺は」

響「そっかぁ……。どこで手に入るんだろ」

P「あぁ、それと響が不思議な体験をした場所でもいいぞ。そこには別の手がかりがあるかもしれんし」

響「うーん……」


行動安価 → プールへ



408 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:35:42.86 ID:PUmdftm80

- プール -

P「ん……。変質者はいないな」 キョロキョロ

響「この動き、前にも一回したことがあるぞ……デジャヴ?」

P「いや、実際に同じことがあったぞ、ついさっき。さて……プールは」

響「さっきと何も変わらないぞ。見回した感じ、何がありそうってこともなさそうだけど……」

P「ん? じゃあ何で来たんだ?」

響「え? だってさっきここ何もしないで帰っちゃったから……」


行動安価 → 壁新聞を調べる



409 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:36:25.56 ID:PUmdftm80

P「……何も無いな」

響「なにもないぞー。じゃあ他の場所行くかー」

P「『他の場所行くかー』じゃない! じゃあ何のために来たんだ!」 グリグリ

響「いたたたたっ! だ、だって何かあるかもしれないと思ったんだぞ」

P「まったく……。まぁ何も行くアテがないのなら仕方ないけど」

響「行くアテ……。あ、そういえば一つあるぞ! 入り口の壁新聞だ!」

P「壁新聞? ……そういえばなんか貼ってあった気がするな」

響「そうそれだぞ。最初見たときは結構新しい感じだったのに、次見たときはボロボロになってた気がして……」

P「ふむ……。それは少し気になるな。ちょっと見に行ってみるか」

響「うん」

P「それと」

響「?」

P「そっちがあるなら、最初からそっちに行けよ!」 グリグリ

響「びゃーっ! ご、ごめんだぞー!」 ジタバタ



410 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:37:53.94 ID:PUmdftm80

- 玄関 -

響「こ、ここだぞー」 ヒリヒリ

P「これか……。んー『がっこうだより 1989年 2月号』……。最終号みたいだな」

響「やっぱりボロボロになってる……。それに2月号? 自分が見たのは確かもっと先の――」

P「んなわけあるかい。89年3月で閉校したんだぞ。見間違いか何かだろ」

響「いや、でも確かに自分は――……。でも実際、最終号がここにボロボロであるのなら、見間違いだったのかな……」

P「……いや、そうでもないかもしれん」

響「? どういうことだ?」

P「これ見ろ。2月号を止めてある画鋲。この隣にそれぞれ別の画鋲が刺さってる」

P「で、その画鋲を見ると、何か破れた紙が刺さってる……。もう分かるな?」

響「誰かが2月号の上から存在しないハズの9月号を貼って、それを見た誰かが破り捨てた……?」

P「多分な。でも何で9月号なのかね。そこはわからんが……。まぁ問題は捨てられたであろう9月号の内容だな」

響「でも……どこにもそれらしき紙くずはないぞ」 キョロキョロ

P「恐らく丸めて捨てたろうから、探せば見つかるとは思うが……」


行動安価 → 体育館の舞台袖からメモ通りに動くとどうなるか考える



411 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:38:58.08 ID:PUmdftm80

響「でも……見間違いだった可能性もあるし、今は気になる事を片付けていくぞ」

P「気になる事? 何かあったっけ」

響「え? だからあの2枚目のメモだぞ。体育館の小窓付近にあったんだし、そこらへんからスタートして行けば……」

P「体育館を抜けるなら印刷室付近になるな。体育館内だと、壁にぶつかって終わり」

響「……そうなの?」

P「あぁ。それで前者は初期の地点で小窓から見える範囲を出てしまっている。だから却下」

P「そして後者はそもそも曲がるタイミングが分からないし、言ったとおり壁にぶつかって終わり。見えなくなることはない」

P「だから多分あそこの小窓からじゃないんだろう。考えるにしても、別の場所を考えよう」

響「ん……分かったぞ。って、あれ? 朝陽?」

P「ん? おっ! 本当だ! 体育館がなんか後光が射して見える!」

響「朝が来た……。これで家に帰れるのか?」

P「多分な。……後は迎えが来るまでどう持ちこたえるかだが……」

響「校庭でいいんじゃないか? あそこなら何があっても逃げ切れそうだし……」

P「だな。とりあえず外に出るか」



412 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:40:32.10 ID:PUmdftm80

-校庭-

P「ふぅー。おぉ、空がだんだん明るみ始めてきた」

響「これで迎えがすぐ着てくれたら嬉しいけどね」

P「はは、流石にそれはない……。待て、響。急いで車の中に入るんだ」 ガサッ

響「? なんで――えっ?」

                  グオォォォォォォォォン....

響「ば、バイクに乗った人が……。それに手に持ってるのは……金属バット?」

P「くそっ。こっちはブレーキ壊れてるし、篭城しても、窓を割られるか……?」

響「や、やだぞ。せっかくここまで来たのに……」

P「……くそ、何とかならないのか」

       グオン       ブオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

響「き、来たぁ!」 バタンッ

P「響、急いで中へ!」 グイッ



413 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:42:01.55 ID:PUmdftm80

                グオォォォン      ガシャアアアン!!!

響「う、うわーっ!」 ビクッ

P「くそっ! なんとか窓は割れずに済んだが……車を動かすにしても制御できなきゃ意味無いし、このままじゃ――」

響「あと……あと少しなのに。あと少しだったのに……」 ブルブル

P「……響」

響「なんで……こんな……」 ジワッ

P「……」

響「うぅっ……。もう一度会いたいよぅ。みんなぁ……」 グスッ

P「よしっ」 ポン

響「……?」 ヒック

P「響。ちょっとこれ借りるぞ」

響「プロデューサー……?」

P「俺が出たら鍵をしっかりかけているんだぞ。そして何があっても絶対に鍵を開けちゃだめだ。いいな?」 ガチャッ

響「えっ? プロデューサー……? 待って、待ってよ。今出ちゃったら……」



414 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:45:08.69 ID:PUmdftm80

P「フー……。格好つけちゃったけど、やっぱ怖ぇなあ。それにあのバット、俺を殴ったやつじゃねぇのか?」

            グオオオオオン             ブオオオオン

P「でも、あぁやってエンジン吹かして脅してるってことは、まだ交渉の余地があるってことだよな」

P「……よしっ」 ゴクリッ

P「おーい! そこのあんた! あんたが欲しいのはこれだろ? 校長室の金庫の中にあった紙切れ!」

P「目的のこれはやる。だから俺たちを見逃してくれないかー?」

?『……』   ブオン  ブオォォン

P「OK、今からそこへポーチごと置く。ここに置いて離れるから、それから取りに来て――」

                 グオン   ブオオオオオオン!!!

P「!!」


                               バキッ



.



415 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 16:48:13.25 ID:PUmdftm80

P「ってぇ!」 バッ

?『……』 キキッ    ブオォン...

P(くっ。肩だけで済んだけど、本気で殺しに来たのか? 武器は車脇に置いてきてるし……。こうなりゃ)

?『……』  ブオン   ブオオオオオオ

P「くそっ! またかよ!」 ガバッ

              ブオオン       ドゴッ

P「ぐぅっ……! くっ。ふざけんな! 響には指一本触れさせねぇぞ……!」 ハァハァ    ガシッ

?『……!』 グオン

P「おい! お前の目的がコレじゃないのなら、これは貰ってくぜ! これが欲しかったら俺を追いかけてこいや!」 ダダダッ

?『!!』   グオン  ブオォン         グオオオオオオオォォォォ....

P「こっちだ……。こっち。少しでも遠くへ行けば、響の逃げる時間も……」


         ....ォォォォォォオオオオオオオ
                                 ドコッ


.



418 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:08:16.46 ID:PUmdftm80

P(痛ぇ……。クソッ。バイクにバットとか卑怯だろ) ハァ...ハァ...

?『……』 ブオォ...

P(響、逃げられたかな……。そうじゃなくても、俺だけで満足してくれたら嬉しいな……) フゥ... フゥ...

?『……』 ブオォォォ...

P(あ、ダメだ、倒れる。這ってでも動きたいけど、足殴られたせいで動かねーや) フゥ

?『……』 ブオォォ... キッ

P(格好なんてつけるもんじゃないな……。でも誰かを護るために死ぬって悪くない最期かもしれんなー)

?『……』   カツ... コツ...

P(アドレナリン出てるんだろうなぁ……。痛みも死ぬ怖さもあんまり感じねぇや)

?『……』 コツッ...

P(でも響の前で醜態さらすよりかマシか。でも、これで終わりかぁ……) フー...

?『……』 ブオンッ

P(ごめん。響、どうか元気でな)



420 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:19:53.47 ID:PUmdftm80

??「やあああああああああああああっ!」 ガサッ    ブンッ

?『!!』 サッ

P「あ……?」

響「ぷ、ぷろでゅーざーから、は、離れろおおぉぉっ!」 ポロポロ

P「おまっ……! 何してんだ、殺されるぞ! 早く逃げろ!」 グッ...

響「や、やだっ! ぷ、ぷろでゅーざーは殺させな゙いぞ! ぜったい、ぜったいっ……!」 グスッ   ヒッグ

?『……』 ジーッ

響「絶対どかな、いぞ! ここは絶、たいに……ヒック……どかないからな!!」 ポロポロ

P「響、俺はいい! いいからここの裏手から森へ逃げろ! 森ならバイクは使えないから逃げ切れるかもしれん! 早く!」

響「やっ! やっ!!」 エグ エグ...

P「くそっ……! おいお前、響に触れるんじゃねぇぞ! 指一本でも触れやがったら絶対にお前を殺してやるからな!」

?『……』 ジーッ



421 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:22:28.93 ID:PUmdftm80

?『……』

?『……』 カツッ コツッ    ガシッ

?『……』 クルッ

?『……』  ォン... ブオォォォン!!

P「くっそ……」 ズリ...ズリ...

響「……ッ! ……ッ!」 ポロポロ

?『…………』 グオン ブオオオオオオォォォォォ....


                                オオオォォォォォォ.....


P「え……? に、逃げた? いや、助かったのか?」 キョトン

響「……ぅっ……ぅうっ……!」 ヘナ

P「そ、そうだ! 響。お前大丈夫か! どこか怪我は……痛ッ!」 ズキ

響「……ぅぇええええんっ」 ポロポロ

P「怪我はないみたい、か……。おい、響。お前何でこっちに! 約束したろ!」

響「だっでぷろ、でゅーざーが……ッ……ぷろでゅーざー、が、殴、なぐられで、こ、殺されちゃうっで」 ボロボロ

響「ぶろでゅーざーのばがぁああぁぁぁっ! 何であん、な。あんなごとじたんのざー!」 ボロボロ

P「何故ってお前……」



422 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:26:40.02 ID:PUmdftm80

響「ぜっだい! ぜっだい独りにしないっで、言ったのにっ……ッグ……約束したのにっ」

P「それは……悪かったけど、でも――」

響「でもじゃないっ!!!」 グスッ

P「……」

響「も゙うっ……二度とあんなごと、しないで。しないでよぅっ……! じゃないど、自分、壊れ、て……」 ヒック

P「響……」

響「う、うぅぅぅ……」 エグッ

P「あー……。そうだよな。お前はとっても優しい子だもんな……。耐えられるわけ、なかったよな」 ポン...

響「ヒック……ぷ、プロデューサァァァァァァァッ!」 ガバッ ビエーン

P「よしよし。もう大丈夫だから、もう……」 ナデナデ

――――…………

――……

―…




423 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:30:08.62 ID:PUmdftm80

- 数週間後 病院 -

響「プロデューサー! 元気かー? お、美希と伊織とも来てたのか」

美希「あ、響なの。ハニー今寝てるの。静かにしてね」

伊織「ま、話によれば少しは頑張ってきたっていうし? 少しは労いを込めてね」

美希「流石ハニーなの。王子様ってやっぱハニーみたいな人のことを言うんだね」 ツンツン

伊織「通信空手の頼りない王子様だけどね。ていうかアンタ、そんなツンツンしてたらこいつ起きちゃうんじゃ……」

P「ん……んん?」 ムクッ

美希「あ、起きたの。おはよーハニー」

伊織「ほら言わんこっちゃないじゃない……」 ハァ...

P「お、おうなんだお前ら。また来たのか。仕事はどうした?」

美希「今日はフリーなの。学校終わったから真っ先に飛んで来たの」

伊織「私は当番で。……この光景見てると、あまりいらないんじゃないかって思ったけどね」

響「自分はねー……えへへ。仕事あったけど、一発OKで即終わらせてきたぞ! 自分、完璧だからなー」

P「おぉ、そりゃすごい。そんなに調子がいいのか?」

伊織「そうそう。響ったら、なんだか最近妙に要領がいいのよね。何があったのかしら」

P「へぇ、そうなのか。最近聞くぞ、響が頑張ってるって。何か秘訣でもあるのか?」

響「ふふん。別に秘訣なんてないさー! 自分、いつもこれくらい完璧だぞ!」 ヘヘン



424 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:32:28.59 ID:PUmdftm80

P「はっはっは。そうか、完璧か。そうだったな」

響「それで……?」 ワクワク

P「ん? それでって……あぁ。えーっと……響、よくやったな。俺もお前が誇らしいぞ」 ナデナデ

響「えへへー」 テレテレ

美希「あー、ズルーい! ねぇ、ハニー。美希も撫でてほしいなー」 ピョーン

P「ぐえっ」

伊織「……それ、毎回やってるわよね。飽きないのかしら」

P「痛てて……。まぁ別にいいんじゃないか? ま、今は役立たずのプロデューサーからのご褒美代わりってことで」 グリグリ

響「ふふん。羨ましいだろー」 エヘヘ

美希「あーん、ズルいー! ねぇハニー。美希も頑張ったからナデナデしてー」

伊織「……ここまでベッタリだと、もう何も言う気は起きないわ」 ヤレヤレ

響「~♪」



426 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:34:10.05 ID:PUmdftm80

伊織「それじゃあ私たちは帰るわね。響、後のこと頼める?」

響「ん。構わないぞー」

美希「えーっ。美希、まだハニーといるのー」

伊織「律子から頼まれてんのよ。病院でプロデューサーと添い寝したどっかの馬鹿の世話をね!」 グイグイ

美希「あーんなの! ハニー、また来るからねー!」 バイバーイ

伊織「早いとこ傷直して復帰しなさいよー! 仕事溜まってるんだからね!」

P「おう。2人ともありがとなー」


                        バタン...


響「……えへっ。二人きりになれたね」

P「まぁなったからどうという訳じゃないけどな。……もう大丈夫なのか?」

響「うん。時々あの日の夢を見たりするけど、基本的に大丈夫だぞ」

P「そうか……」

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」



427 : ◆5foxAIkVmM 2014/05/25(日) 17:35:50.80 ID:PUmdftm80

響「本当に、よかったのかな。あれで」

P「……もう何かを悔やんでも仕方ないだろ? あれは終わったことだ」

響「だよね……。あれは終わったこと、なんだよね」

P「そうだ。だからもう全て忘れよう。見たことも、怖かったことも、全部」

響「それで、いいんだよね」 ポフ...

P「あぁ。きっと、あの子たちも許してくれるさ」

響「……そうだな。こうしてプロデューサーとまたこうして2人でいられるのなら――」

P「ん……」 ナデ...

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」


               チュッ


響「もう、絶対に一人にしないでね。ずっと……ずーっと一緒にいてね」


未解決 End


P「廃村に響く」【後半】



転載元
P「廃村に響く」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400938077/
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