橘ありす「待ってくれなかったあなたへ」
- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:31:07.48 ID:PmWHL4zHo
―沖縄では例年より1週間ほど早く桜の開花が確認され、早くもカメラを手に持った人たちが―
母「今日はそのままお仕事に行くのよね?」
ありす「はい。Pさんが迎えに来てくれます。」
母「最近お会いしてないから、よろしく言っておいてね。」
ありす「はい。」
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:31:52.20 ID:PmWHL4zHo
―先日、所属事務所のプロデューサーとの婚約が報じられた三船美優さんですが、今日新作映画の発表記者会見が有り―
ありす「…」
母「そうそう、ありすちゃん。Pさんの結婚式の服、買いに行かないといけないわね。」
ありす「いらない…卒業式の服と同じでいいです」
母「そういうわけには行かないわよ。Pさんには特にお世話になってるんだから。」
ありす「…だったら、中学の制服で。」
母「だめよ、せっかくなんだから。」
母「そうだわ、ありすちゃんが前に結婚式のお仕事で着た紫のドレス!あんなのいいと思うんだけどな。」
ありす「…っ」
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:32:44.10 ID:PmWHL4zHo
母「ねえ、あれどうかしら?思い出のお仕事だし、きっとPさんも…」
ありす「ごちそうさま。行ってきます。」
母「え?もういいの?」
ありす「うん。…それに、あれは衣装だから。」
母「え?そうね。」
これ以上冷静でいられる自信がないので足早に玄関に向かいます。
ありす「うわ…寒い…」
まだ、朝の風は冷たい。マフラーを口元まであげて、逃げ出すように学校に向かいました。
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:33:10.38 ID:PmWHL4zHo
そう―あの人は待ってくれませんでした。
いつかのウエディングのお仕事。
偶然、二人だけになった時に不意に口をついて出た言葉。
『待てますか、いいから待てるか答えてください』
私の突然の真剣な態度に戸惑いながらもうなずいてくれたPさん。
帰ってからもまだドキドキして眠れなかった夜。
明日から普通に仕事ができるだろうか。他の人達にバレないだろうか。
それなのに―
…仕方ありません。あんな抽象的な言葉で想いを伝えられるはずがなかったんです。
秘めた想いを伝えるにはあまりに唐突で、臆病な告白。
ただ、それでも。
あの人との未来を夢見ていたのは事実でした。
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:33:36.73 ID:PmWHL4zHo
晴「おっす。橘。」
桃華「ごきげんようありすさん。」
TV局の楽屋に入ると櫻井さんと結城さんが先にお菓子をつまんでいました。
ありす「…挨拶はおはようございます、じゃないんですか。」
晴「おいおいなんだよ、ありすちゃんはまーだむくれてんのか。」
ありす「別に、むくれてなんかいません。」
晴「いつまでもムカついてたってしょうがないだろ。気持ち切り替えていこうぜ。」
ありす「だから、別に怒ってなんかいません。…ただ、私も色々と思うところがあるだけです…失礼します。」
飲み物を手に取ります。本当はジュースがいいですが、二人の手前コーヒーにしておきましょう。
お砂糖は3本くらいにしておきましょう。ミルクは入れません。子どもっぽいですから。
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:34:18.77 ID:PmWHL4zHo
桃華「あら、そうですの?」
ありす「ええ、それに私は誰かさんみたいに単純ではありませんので。」
晴「ほー…単純…ねえ。」
桃華「…切り替えられない…ねえ…」
ありす「ええ。お二人には少し難しいでしょうか。」
このコーヒー…少し濃いんじゃないでしょうか。口直しにチョコレートをいただきましょう。
晴「…」
桃華「…」
晴『私のことは橘って呼んでください!』(裏声)
桃華『あの…ありすって呼んでもいいですから!』(裏声)
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:35:41.81 ID:PmWHL4zHo
ありす「っ!」ガタッ
桃華「あらあら、ごめんなさい。冗談ですわよ。」
晴「悪い悪い。まあ、ぶすっとしてるよりはいいだろ?」
ありす「…だから…別に…」ブツブツ
P「おい、準備出来たか?そろそろ行くぞ。」
桃華・晴「「はーい」」
桃華「…ほら」
ありす「…はい。」
Pさんは私のことを知ってか知らずかいつもと変わらず接してくれてます。
…まあ、どうせ後者のほうなんでしょうが。
- 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:36:24.53 ID:PmWHL4zHo
―「起立、礼、さようなら。」
「「さようなら」」
「あの…ありすちゃん。ちょっといいかな?」
カバンを持ち、待ち合わせの場所に行こうとした時、不意に呼び止められました。
ありす「なんでしょうか。」
「あのね…えっと…ちょっと話があるんだけど。」
「その、ね…ここだとちょっと困るから…中庭まで来て欲しいの。」
困りましたね…この後Pさんとレッスン場に向かう手はずになっているのですが。
「…すぐ終わるから…多分…」
まあ、いつも彼女にはお仕事で休んでいる時のノートを見せてもらったりしています。
少しくらいの無理は聞くべきでしょう。
ありす「いいですよ。時間はあまりとれませんが。」
「あ、うん…じゃあ、行こっか。」
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:37:10.28 ID:PmWHL4zHo
この学校の中庭はそれほど明るいわけでもなく、放課後にもなるとほとんど人はいません。
私が彼女と中庭についた時にはすでに4人の女子が待っていました。
容姿が華やかで、発言権もある。いわゆるリーダー格と呼ばれる子たちのグループです。
…なんとなく話の内容が想像出来ました。
私を連れてきた彼女は申し訳無さそうに首をすくめています。
…長いものには巻かれろ、という言葉がありますが…こういう時ばかりは結城さんが羨ましくなります。
「遅かったじゃん。ウチらずっと待ってたんだけど。」
「あ、ごめんね…うちのクラス帰りの会が長引いて…」
ありす「何の用でしょうか。」
「…あのさ。橘さんさ、〇〇くんのことフッたんだって?」
ありす「…?」
一瞬何のことだかわかりませんでした。その名前自体もはや記憶の片隅に追いやられていたものですから。
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:37:51.48 ID:PmWHL4zHo
ありす「何のことだか…」
「とぼけないでよ!クリスマスの時に告られたんでしょ!」
ああ、思い出しました。クリスマスの少し前にそんなことがあったような気がします。
「なんで?」
「〇〇くんさ、サッカーのエースなの知ってるでしょ?」
知りません。
「それに塾でも一番いいクラスなんだよ?〇〇中狙ってんだから。」
そうなんですか。
「そうだよ!〇〇君狙ってる子いっぱいいるんだよ!」
取り巻きの子たちが口々に囃し立てます。
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:38:25.20 ID:PmWHL4zHo
そもそも〇〇君は〇〇ちゃんとラブラブだったのに!」
「横取りするなんてずるいと思わない?」
「学年公認なんだからね!」
…頭が痛くなってきます。今までにも何度かこういうことは有りました。
だから、なるべく彼のプライドを傷つけないような断り方をしたつもりですが。
ありす「…ちょっといいですか?あの、彼が、あなた達に文句を言ってくれ、と頼んだんでしょうか?」
「はあ?そんなこと言うわけ無いじゃん!」
ありす「だとしたら、こんなことをすれば、彼のプライドが余計傷つくだけかと。」
「!」
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:39:06.30 ID:PmWHL4zHo
リーダーの子の顔がみるみる真っ赤になっていきます。
…言葉の選び方を間違えたのでしょうか。
「何よ!アイドルだからって調子のってんじゃないわよ!」
…また、このパターンですか。いい加減に慣れました。
少なくとも私がアイドルであることと、この場のこととは何も関係ないはずです。
「この際だから言ってあげるけどね。はっきり言ってアンタ才能ないよ。アイドルやめた方がいい。」
もう聞き飽きたセリフが飛び出しました。〇〇君の話はもういいんでしょうか。
おそらく次は歌かダンスをバカにするのでしょう。
「歌もダンスもひどすぎ!見れたものじゃないよ!」
両方ですか。まあ、自分の歌やダンスのことは自分が一番良くわかってます。
「大体何?カメラの前でだけブリッ子して学校ではカッコつけてさ!芸能人アピールしてんじゃないわよ!」
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:40:02.83 ID:PmWHL4zHo
「それにこの前の〇〇の時だって…昨日の歌番組もさあ…」
ネットを見ているとよくわかりますが、アンチ、と呼ばれる人たちこそ一番のファンみたいです。
私もそこまでテレビに出てる方ではないんですけどね。よく見てくれてます。
ありす「そうですか。そんなに嫌いな私のことをいつも見てくれてありがとうございます。」
「んなっ…!」
ありす「これからも応援よろしくおねがいしますね。…それでは…」
これで後は一度も振り返らないでその場を立ち去れば終わりです。
大体次の日からはもう話しかけてこなくなります。
「アンタってホントむかつく!なにそれ!」
そろそろ約束の時間ですね。急がないと。
- 15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:40:30.81 ID:PmWHL4zHo
「ま、待ってみんな!ありすちゃんにも事情があるんだよ!」
私を連れてきた子が口を開きます。
彼女なりにここに連れてきた責任を感じてのことでしょうが…正直、邪魔をしないで欲しいです。
「ほ、ほら!ありすちゃんアイドルだからさ。恋愛禁止なんだよ!ね、ね?そうでしょ?」
ありす「…そうかもしれませんね。」
「ほらやっぱり!ね?だからみんな。ありすちゃんを許してあげようよ?」
許してあげる…って。そもそも私は何か悪いことをしたのでしょうか。
ありす「もう、いいですか?失礼しますね。」
「待って。私、知ってるよ。ありすちゃんの好きな人。」
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:41:20.95 ID:PmWHL4zHo
思わず足を止めてしまいます。
取り巻きの一人。いつも他人の噂ばかりしている子が意地悪な笑みを浮かべています。
「えっ!?ウソウソ!?いるの?」
「誰々?」
くだらない。こんなあからさまなデマでよくもそこまで盛り上がれるものです。
「…あの人だよね。たまにありすちゃんを迎えに来る男の人。ね?ありすちゃん?」
ありす「っ!」
意外な言葉に少し動揺してしまいました。
「ふふ、やっぱそーなんだ。前にありすちゃんとあの人が話してるの見た時になんとなくわかっちゃったんだー」
「あの男の人にはみんなより前からありすちゃんって呼ばせてたもんね?」
…うかつでしたね。早く会いたいから学校の近くまで来てもらっていたのが仇となりました。
- 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:42:19.11 ID:PmWHL4zHo
「えー?どんな人?」
「私見たことなーい!何歳くらい?かっこいい?」
「えーとね。〇〇先生くらいかな。顔は…まあ普通じゃない?」
「えー!なにそれ!おじさんじゃーん!」
「ありすちゃんファザコンだったの?」
「違うよ!ファザコンはパパでしょ!アタシ知ってるよ。そういうのエンコーっていうんだよ!」
「エンコーって知らないおじさんとエッチなことするんでしょ!?」
「えー!」 「やだー!」 「キモーイ!」
勝手なことを…
「大丈夫?ありすちゃん?その人、ロリコンなんじゃないの?」
ありす「…プロデューサーはそんな人ではありません。」
しまった。あの人の信用を傷つけられたことについ反応してしまいました。
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:43:04.99 ID:PmWHL4zHo
「プロデューサー?…あれ?ありすちゃんの事務所のプロデューサーって…」
「確か…三船美優と結婚するんだよね?」
「うんうん。今朝もテレビでやってたよね。」
「あれ…?ひょっとしてありすちゃん。」
リーダー格の子の顔が意地悪く歪みます。
…まずい。急いで帰らないと…そう思うのに足が動きません。
「失恋しちゃったんだぁ?」
「えー!」 「ウソー!」 「アイドルでもフラレるんだ!」
素敵なおもちゃを見つけた時のようにわっと歓声が上がります。
- 19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:43:42.24 ID:PmWHL4zHo
「人気アイドルの橘ありすさん、失恋してしまった今のお気持ちをどうぞ!」
「やはり原因は年の差でしょうか!?」
「何か一言!」
「今後アイドル活動はどうされるつもりですか?」
レポーターの真似事をした彼女たちが私を取り囲み囃し立てる。
……こんなの。なんてこと、ない。
- 20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:44:31.50 ID:PmWHL4zHo
爪が食い込むくらいに握りしめた拳が熱い。
涙が出そうになるのをぐっとこらえる。
絶対涙なんて見せてやるものか。
うつむいて黙っていればそのうち飽きるはず。大丈夫…大、丈夫…
「み、みんなやめようよ…ありすちゃんふられちゃったんだよ!かわいそうだよ!」
覚えているのはそこまでで。
落ち着いた時には保健室で手当を受けながら、担任の先生の前に並んでいました。
コートもカバンも泥だらけでひどい有様です。
…もっとも、他の子達はもっとひどい有様でしたが。
- 21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:45:07.97 ID:PmWHL4zHo
―P「まったく…心配したんだぞ。」
ありす「…ごめんなさい。」
P「うん。…しかし、お前もケンカなんかするんだな。…ふふっ、あっはっは!」
ありす「…何がおかしいんですか。」
P「ああ、ごめんな。でも、お母さんも驚いてたじゃないか。こんなの初めてだって。」
ありす「…いいじゃないですか。私だって……子ども、なんですから。」
P「おっ、どうした?いつもは逆に周りの奴らを子どもだって言うのに。」
ありす「…別に、事実ですから。」
結局、この日のレッスンは取りやめになりました。
そう、私は子どもで、Pさんは大人で。それはどうしようもない事実だから。
- 22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:46:46.95 ID:PmWHL4zHo
結婚式を控えたある日のこと、事務所でPさんと美優さんの結婚をお祝いするパーティーが開かれました。
薫「せんせぇ!みゆさん!おめでとうございます!」
薫「薫はせんせぇのことも、みゆさんのことも大好きだから、大好きな二人がなかよくなってとってもうれしいです!」
それぞれに料理やお菓子を作ったり、出し物をしたり。
どうしてこんな風にお祝いできるんでしょうか。
Pさんのことが好きな人は他にもたくさんいたと思うのに。
桃華「…新婚さんもいいですが、今までどおり私達のことも大事にしてくださいましね?」
桃華「…次、あなたですわよ。」
ありす「えっ…」
小学生組は亜里沙さんの伴奏で歌を歌って、一人ずつお祝いの言葉を送ることになっていました。
- 23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:47:13.45 ID:PmWHL4zHo
ありす「あ、その…」
ありす「…」
言葉が出てきませんでした。
気の利いた嫌味の一つも言えればよかったのに。
それがダメなら「おめでとうございます」の一言で簡単に終わらせてしまえばよかったのに。
ありす「…」
どうしても言葉が出てきません。
- 24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:48:25.13 ID:PmWHL4zHo
ありす「…っ」
代わりに出てきたものは涙でした。
小さい子達がオロオロしはじめます。
未央「は、はい!亜里沙先生と子どもたちによるお祝いのコンサートでした!みなさん拍手ー!」
慌てて取り繕うように拍手が起こります。
千枝「ありすさん…大丈夫ですか?」
晴「おいおい、気持ちはわかるけどよ…」
友紀「いやー、わかる!わかるよありすちゃん!私もキャッツが逆転Vを決めた時は感激して泣いちゃったからね!」
ヘレン「語らない事もまた最高の祝辞…あなたもまた、世界に届く器ということかしら。」
卯月「未央ちゃん、次、次!」コソコソ
未央「あ、うん!えー、続いては担当アイドルに手を出したプロデューサーにお仕置きを!早苗さんによる公開取り調べのお時間でーす!」
早苗「よっしゃきたああああぁ!さあ、こっちに来なさいP君!合法的にシメてあげるわ!」
場が暗くならないように、色んな人がフォローしてくれました。
- 25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:49:24.12 ID:PmWHL4zHo
―ありす「…面白く無いですね。これ。」
今しがたタブレットにダウンロードしたゲームを削除します。
こんな、明かりもない所でタブレットをいじくってるなんて、母にバレたらきっと怒られるでしょう。
ありす「レビュー…星ひとつ…やっぱりふたつにしておきましょうか。」
お気に入りのゲームもスタミナ切れで続けられません。
ありす「…課金というのをしてみましょうか。」
…やめましょう。このタブレットを買ってもらった時の約束に反してます。
- 26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:50:09.57 ID:PmWHL4zHo
ああ、もう…何もかも面白くありません。…そうだ、掲示板に美優さんのことを書き込んでやりましょうか。
いつも服装のセンスが良いけどブランド品はあまり持っていないことがいいでしょうか。
それともテレビに出るときもほとんどノーメイクに近いことがいいでしょうか。
ああ、そうだ。クールを気取ってるけど実は子ども好きで面倒見がいいことなんかどうでしょう。
そうと決まれば検索バーをひらいて…
- 27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:50:49.78 ID:PmWHL4zHo
…何をやけになっているんでしょう。私は。
ドアの向こうからは楽しげな笑い声が聞こえてきます。
…さすがにずっと階段に座ってるとお尻が冷たくなってきます。
- 28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:52:06.92 ID:PmWHL4zHo
「ありすちゃん。」
不意に声をかけられました。
ありす「凛さん…」
凛「そろそろ戻ろうよ。さっきのことならもうみんな気にしてないよ。」
ありす「…いえ、今はこうしていたい気分なので。」
凛「…いつまでも意地はっててもしょうがないよ。」
ありす「別に、意地をはってなんかいません。」
凛「…ありすちゃんの気持ち。全部とは言わないけど。わかるよ。」
…嘘を言わないでください。
私の気持ちがわかるなら、どうしてあんな風に笑顔で祝福できるんですか。
私、凛さんのこと、少し憧れていたんですけどね。
ちょっとガッカリしました。
- 29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:53:37.16 ID:PmWHL4zHo
凛「でも、さ。本当にプロデューサーの事を考えたなら」
まゆ「…凛ちゃん」
凛「まゆ。」
まゆ「今は…そっとしておいてあげましょう?」
そういえば、この二人も急に仲良くなりましたね。
前はこれ見よがしにPさんを取り合っていたのに…
結局その程度のもの、だったんでしょうか。
二人とも男性からすごく人気がありますもんね。
私は違います。絶対に、諦めたりしない。
一緒になることは無理かもしれないけど。私の好きな人はずっと、あの人だけです。
そう、一生。
そうでないと、この気持ちが嘘になってしまうから。
- 30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:54:05.62 ID:PmWHL4zHo
まゆ「私達だって…ね?」
凛「…うん。」
凛「ごめん…ありすちゃん。…あんまり長くいると風邪ひくから。早めに戻っておいで。」
まゆ「はい、これ。」
私の肩にブランケットをかけて、二人は戻って行きました。
ありす「…なんなんですか。」
やっぱり、私は、駄々をこねてる子どもなんでしょうか―
- 32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:56:59.99 ID:PmWHL4zHo
ありす「誰もいないといいけれど…」
この前のパーティーから初めて来る事務所。正直、気後れしてしまいます。
おそるおそるドアを開けました。
美優「おはよう。ありすちゃん。」
…最悪です。
なるべく顔を合わさないようにしていたのに。
ありす「おはようございます…」
ちひろさん…はいないようですね。
ありす「…あの、私、ちょっと忘れ物を取りに来ただけなので。」
美優「待って!」
美優「…実はね。今日はありすちゃんを待っていたの。」
- 33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:57:47.77 ID:PmWHL4zHo
ありす「え?」
美優「この前のパーティーでのことが気になって…」
ありす「…すみませんでした。みっともないところをお見せして。」
美優「ううん。全然気にしてないわ。」
美優「その…ね。私、ありすちゃんに謝らないといけないと思って…」
ありす「…?」
美優「あの人と…Pさんと結婚すること…ごめんなさい。」
ありす「…」
美優「私、ちゃんとPさんと幸せになるから…だから…」
- 34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:58:13.85 ID:PmWHL4zHo
ありす「…」
美優「ありすちゃんの気持ちは知らなかった訳じゃないの。でも…」
ありす「…で、…んですか」
美優「え?」
ありす「なんで謝るんですか…」
美優「え、それは…。」
ありす「謝るくらいなら、最初から結婚なんてしなければいいじゃないですか。」
ありす「悪いと思ってるんですか?それなら今すぐ婚約解消してください。まだ間に合います。」
美優「あ、ありすちゃん…ごめんね?そういうつもりじゃなくて…」
- 35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:58:48.89 ID:PmWHL4zHo
ありす「早く記者会見を開きましょう。それともなんですか?やっぱり結婚はしたいと?」
美優「…えっと、その…」
ありす「いいですよね。そうやって私は悪くないって顔して。」
ありす「本当は私や凛さん達のことを見下してるんじゃないですか?」
言葉が勝手に出てきます。
思ってないことまで出てきます。
…いまならあの子達の気持がわかるような気がします。
ありす「さぞやいい気分でしょうね。優しい顔をしてみんなをまんまと出し抜いたんですから。」
美優「…ごめんなさい…」
ありす「別に、責めてないですよ。感想を述べてるだけです。」
- 36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 19:59:25.85 ID:PmWHL4zHo
自分がこんなに嫌な人間だとは知りませんでした。
どうして美優さんは怒らないんでしょうか。私だったらこんな生意気な子どもは許せないでしょう。
ありす「さすがは女優さんですね。そうやってPさんも騙したんですか?」
どれだけ言えばこの人は激昂するのか。意地悪な好奇心がどんどん大きくなります。
美優「ありすちゃん…あなたを傷つけたのは謝るわ…だから…」
ありす「はあ、Pさんも結構単純ですよね。普段私達に演技がどうこう言っておきながら簡単に騙されちゃうんですから。」
その時、美優さんの手が動きました。
- 37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:01:38.70 ID:PmWHL4zHo
ありす「っ!」
叩かれる!そう思って反射的に体が縮こまります。
美優さんのその手は私に向かって伸び―
美優「…そんなこと言ったらいけないわ。」
―優しく頬に当てられました。
- 38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:02:37.25 ID:PmWHL4zHo
なんて、優しい人だろう。
こんなにひどい事を言った私を。
優しい目で見つめて。
本当に
こういうところが
大嫌いです。
- 39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:03:07.44 ID:PmWHL4zHo
ありす「…」
ありす「…なんなんですか…」
ありす「なんで叩かなかったんですか!」
ありす「子どもだと思って!バカにしないで!」
美優「あ、ありすちゃん…」
ありす「そうやって子ども扱いして!私をバカにしてるんですよね!」
ありす「子どもだから!私が!子ども、だから!適当にごまかせるとおもってるんでしょう!?」
ありす「私の気持ちだって…子どもの、勘違いだって、思って、よくあることだって!そう思ってるんじゃないですか!」
美優「違、違うわ!そんなこと思ってない!」
- 40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:03:50.75 ID:PmWHL4zHo
ありす「そうですよ!子どもの恋愛ごっこですよね!いいです!その通りです!」
美優「ありすちゃん!」
ありす「そうです!私、よく考えたらPさんのことなんて全然―」
瞬間、乾いた音。
頬に痛みが走った。
ありす「……え?」
美優「……だめよ。それ以上言ったら…いけないわ。」
叩かれたんだ。
それを理解するまで少し時間がかかりました。
- 41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:04:46.85 ID:PmWHL4zHo
美優「……ありすちゃん。私、あの人を、Pさんを愛しているわ。」
熱が、頬からじんわりと広がっていきます。
美優「誰にも渡したくない。もちろん…あなたにもよ。」
美優さんがこちらを見据える。
どんなお芝居の時にも見たことがないような真剣な目でした。
ありす「……~~~~!」
私は、その目を正面から見返すことができなくて。
事務所を飛び出しました。
- 42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:05:32.00 ID:PmWHL4zHo
走って走って。気がついたら事務所から少し離れた河原まで来ていました。
いつも茜さんがランニングしたり藍子さんがお散歩したりする広くて土手が続いてる河原。
ありす「ハア、ハア…」
川岸に降りる石段に腰を下ろします。
何も言い返せなかった。怖かった。あんな美優さん、初めて見ました。
- 43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:06:00.61 ID:PmWHL4zHo
ありす「…っ」
ありす「うっ…うぅ……」
完敗でした。
悔しいのと、惨めなのと、あんなことを言ってしまった自分に嫌気が差します。
悔しい、悔しい、悔しい。
許せない。許せない。もう、何もかもが憎らしくてたまらない。
みんな嫌い。大嫌い。
お母さんも、学校も、事務所のみんなも、美優さんも、Pさんも、この世界も、私も
、
みんなみんな、大嫌い――!
- 44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:06:30.59 ID:PmWHL4zHo
――誰かが近づいてくる。
その足音を聞いて、この期におよんで、期待してしまった私がいました。
桃華「…Pちゃまじゃなくてごめんなさいね。」
ありす「あ…」
桃華「隣、よろしいかしら?」
ありす「…」
桃華「あなた、仮にもアイドルでしょう?そんな顔おやめなさいな。はい。」
白いレースのハンカチが差し出される。
桃華「…ああ、もう。」
そっと、涙がぬぐわれる。
- 45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:06:57.64 ID:PmWHL4zHo
桃華「いい天気ですわね。まるで春になったみたい。」
ありす「…見ていたんですか。」
桃華「ごめんなさいね。事務所の前まで来たらたまたま中から声が聞こえたものですから。」
桃華「向こうでしばらく見ていたんですけど、いたたまれなくなってしまいまして…ご迷惑なら帰りますわ。」
ありす「…」
桃華「まあ、私がいなくなっても、もう一人うるさいのが来るとは思いますけどね…ほら。」
晴「よ…」
ありす「…」
晴「…美優さん、すげー泣いてたぞ。Pが来たから後を頼んどいたけど…後でちゃんと謝っとけよ。」
ありす「…言われなくても。」
- 46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:07:35.22 ID:PmWHL4zHo
晴「あ、あのさ!…オレはさ、正直そういうの、よく、わかんないからさ。なんとも言えないけどさ。」
晴「こういう時は体を動かせばスッとするぞ?あそこの子らとサッカーでもしようぜ?」
ありす「…どうぞ、ご自由に。」
桃華「…ハア。ねえ、ありすさん。」
桃華「私ね、正直言って…あなたがうらやましいですわ。」
ありす「…そういう趣味の人がいるとは知っていましたが。まさかこんな身近にいるなんて思いませんでした。」
桃華「…怒りますわよ。」
- 47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:08:06.10 ID:PmWHL4zHo
ありす「…どこがうらやましいんですか。」
桃華「…そうですわね…」
桃華「あなたは…きちんと始まって…はっきりと終わらせることができましたわ。」
ありす「…」
桃華「私なんて…いつ始まったかわからないうちに終わってしまった。」
桃華「残酷ですわよね。気づいたらもう始めることすら許されないだなんて。」
ありす「…なんの話かわからないんですけど。」
桃華「素直におなりなさいな。あなただってわかってるんでしょう?」
- 48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:08:35.91 ID:PmWHL4zHo
ありす「…」
桃華「美優さんはあなたを対等に見てくれたから、はっきりと向き合ってくれた。」
桃華「子ども扱いせずにちゃんと一人の女性として答えてくれたのですわ。」
桃華「私はそれが…うらやましいのですわ。」
ありす「…わかってます。それくらい。」
美優さんは優しいから。私のために。私の気持ちを嘘にしないために真剣になってくれた。
私なんかじゃ絶対にかなわない。それを、思い知らされた。
それでも、この気持ちは。そんなに簡単には終わらせられない。
- 49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:09:15.92 ID:PmWHL4zHo
ありす「あなたは…どうするんですか。」
ありす「これから…そうやって、ずっと気持ちを隠したまま…あの人と一緒にいるんですか。」
桃華「…そんなの。決まってますわ。」
桃華「復讐するんですの。これから。あの方に。」
晴「え?おい!やめろよ!」
桃華「…何か勘違いしてらっしゃるようですけど。私はこれからもPちゃまとアイドルを続けますわ。」
ありす「?」
桃華「私ね。これでも結構頭にきてますの。ずっと蚊帳の外だったことに。」
桃華「だから、これからあの方のそばで、誰よりも素敵なアイドルになりますの。」
桃華「それこそ、Pちゃまが無視できないくらいに…」
桃華「そして、後悔するんですのよ。私を差し置いて他の方と結ばれてしまったことを。ね。」
- 50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:09:49.87 ID:PmWHL4zHo
ありす「…それが、復讐?」
桃華「ええ、素敵だと思いません?」
…もし、私がこれからもアイドルを続けて、大きくなって、中学生、高校生になって。
その頃、Pさんには子どもが生まれて、もうおじさんになって。
うちのお父さんみたいにお腹が出てきて、お仕事でクタクタになって、だらしなくなっていって。
そんなPさんに告げる
『私、昔、あなたのこと大好きだったんですよ。』
- 51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:10:26.32 ID:PmWHL4zHo
……悪くないかもしれません。
実際にはきっとあの人は素敵なままだろう。美優さんとだって、幸せなままだろう。
けれど、自分を選ばなかったことを後悔させてやる、というのは気に入りました。
ありす「…面白そうですね。」
桃華「そうでしょう?…お互い頑張りましょうね。これからも。」
ありす「ええ。よろしくお願いします。」
晴「ふーん…オレはどうすっかなあ…実はさ、オレもPの結婚でなんか気が抜けちゃったし…」
桃華「何言ってるんですの。話を聞いてしまった以上、あなたも共犯ですのよ。」
晴「は?」
桃華「あなたも私達と一緒にトップアイドルを目指すんですのよ。」
- 52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:11:03.99 ID:PmWHL4zHo
晴「いやいや、待て待て待て!そもそもオレは…」
ありす「もう遅いですよ。それに、フレッシュアイドルはるちんの活躍は始まったばかりです。」
晴「な!?おい!それは…」
桃華「そうですわよ!フレッシュはるちん!」
晴「やめろって!」
ありす「やりましょう、フレッシュはるちん!」
桃華「フレッシュはるちん!目指せ!トップアイドルですわ!」
晴「…!だーーーーー!もう!わかったよ!一緒にやる!やるからやめてくれ!」
桃華「ふふ、これからの目標も決まった所で…ようやくいらしたみたいですわね。」
桃華さんが土手の向こうに目をやる。
Pさんが慌てた様子でこちらに走ってくるのが見えた。
P「おーーい!ありす!」
ありす「…Pさん。」
桃華「さ、どうぞ。私達は邪魔しませんわ。」
- 53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:11:32.27 ID:PmWHL4zHo
P「はあ…はあ…」
ありす「あ、あの…大丈夫ですか?」
P「ああ、うん。少し、運動不足かなあ。…それより!」
ありす「きゃ!」
P「大丈夫なのか?美優…さんがお前にひどい事をしたって泣いていたから…」
ありす「え…」
P「とにかくお前のことを追いかけてくれって言うから…急いで探したんだ。」
P「…泣いていたのか?…ケンカでもしたのか?」
ありす「…」
なんて人でしょう。こういう時、普通は婚約者の方をかばうんじゃないでしょうか。
こんな生意気な子を本気で心配して。…きっと美優さんが私のことを心配してくれているからでしょう。
通じあっている、というんでしょうか。少し、悔しいです。
- 54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:12:39.06 ID:PmWHL4zHo
ありす「…平気です。悪いのは私ですから。これから事務所に帰って、きちんと謝ります。」
P「…そうなのか?…もし、何か言いにくいことがあるなら、俺から美優に、美優さんに言っておこうか?」」
ありす「…」
ありす「大丈夫じゃないです。」
P「え?」
ありす「叩かれました。」
P「え?本当か?」
ありす「はい、本当です。見てください。これ。」
ありす「もっとよく見てください。ここです。」
Pさんが私の顔を覗き込む。心配そうな表情。優しい瞳。少しだけ伸びた無精髭。私の肩に置かれた大きな手。
一瞬の隙をついて 唇を 重ねた。
- 55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:13:05.65 ID:PmWHL4zHo
P「!?」
ありす「…ごめんなさい。『ぶつかってしまいました』ね。」
P「え、いや…」
ありす「美優さんにぶたれた、っていうの、嘘です。私が失礼なことを言ってしまっただけです。」
ありす「先に事務所に戻っていますね。失礼します。」
振り向いて駆け出します。
P「お、おい!」
桃華「Pちゃま!」
P「!?」
桃華「…ありすさんは、私達で送っていきますわ。」
P「い、いや、しかし…」
桃華「Pちゃまは な る べ く! ゆっくりとおいでくださいまし。」
桃華「さ、行きますわよ晴さん。…ああ、もう!呆けてないで!」
P「え、いや、おい…」
- 56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:13:34.49 ID:PmWHL4zHo
ここまでくればもう歩いても大丈夫でしょう。
こんな時ばかりは桃華さんのおせっかいに感謝ですね。
それにしても。我ながら随分と思い切ったことをしたと思います。
でも…このくらいは、いいでしょう。
大概のミステリーでは復讐者には悲惨な最後が待っているものです。
だから、このくらいは―
待っていてくれなかったあの人への仕返し。そしてお別れの挨拶。
- 58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:14:01.12 ID:PmWHL4zHo
桃華「ハア…ハア…。…あなた。結構大胆ですのね…見直しましたわ。」
晴「…ハッ!」
晴「お、おい!い、今のってまさか、アレじゃないよな!その、キ、キ…」
桃華「キス、でしたわね。」
晴「…え!いや、待て待て待て!小学生が、そんな、しちゃダメだろ!」
桃華「もうあとひと月もすれば中学生ですけどね。」
晴「なあ!橘!口じゃないよな!な!?ほっぺただよな!な!?」
桃華「…あなた、ちょっと黙っててくださらない?」
私を挟んで二人が騒いでいます。
…いい友だちを持ちました。少しだけ、事務所にむかって歩いて行く勇気が出ます。
- 59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:14:30.16 ID:PmWHL4zHo
ああ、それにしても。
私がこんな悲壮な決意をしたというのに。
空はどこまでも晴れていて
雲がゆっくりと流れていて
歌いたくなるような素晴らしい昼下がり
それなのに
涙は
ふいてもふいても頬を伝って――
- 61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:17:17.25 ID:PmWHL4zHo
~おわり~
こんなおっさんのSSを読んでくれてありがとう。なんか感想をくれるとうれしいで。
まあ冷静に考えたらいくらありすちゃんといえどもここまで精神年齢高くないわな。
- 62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/07(水) 20:18:05.45 ID:PmWHL4zHo
ちなみにこの後中学に進学したありすちゃんは新任教師のワシと出会って、情けないワシの世話をやいてるうちに惹かれ合っていき、途中で晴ちんもおっさんの事を好きになったり色々あるけど最後は卒業式後の教室で二人は幸せなキスをして終了っていう完璧なストーリーだから安心してええで。
転載元
橘ありす「待ってくれなかったあなたへ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399458633/
橘ありす「待ってくれなかったあなたへ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399458633/
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コメント一覧 (176)
-
- 2014年05月08日 00:59
- いいシナリオだ。ありすの表情がよく想像できて読んでて楽しかった。桃華と晴とのトリオもいいな。晴が恋愛感情持ってなかったところにはなんか安心を覚えた。>>1乙
-
- 2014年05月08日 01:01
- 星いつつで。
きれいな話で、後味も悪くない。
-
- 2014年05月08日 01:05
- 最後さえなければ良かったのに・・・
-
- 2014年05月08日 01:05
- 美優さん正妻路線いいゾ~これ
-
- 2014年05月08日 01:06
- 美優さんが幸せそうで満足した
-
- 2014年05月08日 01:13
- 最後で台無しになったからこその星5つ!
-
- 2014年05月08日 01:15
- お前ら失恋話好きなんだな、俺はやはり一流の悲劇より三流の喜劇のほうが好みだ。
これが一流かどうかはさておき。
-
- 2014年05月08日 01:26
- ありすを呼び出した奴等を始末しないと(使命感
-
- 2014年05月08日 01:27
- クソすぎる後書きに草不可避
-
- 2014年05月08日 01:37
- なに怒ってんだおまえら
幸せな二人(ありすと晴)をちゃんと祝福してやれよ
-
- 2014年05月08日 01:57
- 後書き以外は非常に引き込まれる良いssだった
掛け値なしに
-
- 2014年05月08日 02:59
- イイハナシダッタノニナー
-
- 2014年05月08日 03:03
- おまえ等もありすは俺の嫁宣言していいんやで。
-
- 2014年05月08日 03:14
- 最後を額面通りに受け止めるお前らの純真無垢さ半端ないな。ここのありす達の方がどれだけ大人か
作品は素晴らしかった。俺らPが極力考えたくないモバマスの側面を、美しく突き付けてくれたと思う
でもユッキは畜生でした(諦観)
-
- 2014年05月08日 03:26
- 読後感を台無しにしてるせいで酷評多いが、文句なしに面白かったわ
ただ、この作者はエアPですらないロリコン教師らしいから通報ののち虚勢して焼却しよう
聖職者だもの、ちかたないね
-
- 2014年05月08日 04:06
-
最後の最後で草不可避すぎるわ。
SS自体はちゃんとしたもんだし、いいと思うなー。また見たいね。
-
- 2014年05月08日 05:02
- 三船さんは理想の奥さんNo.1だからちかたないね
俺も三船さん見たいに半歩下がって着いてくる美人で優しい女性と結婚したいけど今の日本にそんな大和撫子いないから無理か
-
- 2014年05月08日 05:05
- これアレだろ。ユッキと世界レベルさんは別に気を使った訳じゃないだろw
凛やまゆがあっさりしてるって意見あるけど、いいと思うけどな。
Pや他のアイドルたちの描写が少ないのも想像をかきたてられて。
-
- 2014年05月08日 05:31
- 感傷に浸ろうと思ったら最後てワロタwwwwww
SS自体は惹かれたし読みやすかった
-
- 2014年05月08日 05:38
- ※86
百合豚は人間のクズだ!!
生きていてはいけない存在なんだ!!
-
- 2014年05月08日 05:53
- そこまで怒る事だろうか
ここのコメ欄で◯◯は俺の隣で寝てるよってコメントするのと何が違うのか…
結構好きな雰囲気でした
-
- 2014年05月08日 07:01
- この手のは伸びないと思ってたけど100※超えそうなのか
-
- 2014年05月08日 08:12
- 先に後書きについて書いてあるコメントが有るから何かと思えば……別に刺されたり晴がホテルに連れていかれたりする訳じゃ無いし噛み付かなくても。あ、話は結構好みだったので個人的には良かったです。
-
- 2014年05月08日 08:12
- なんとなくだけど、Pだったらありすのケンカの理由なんか分からずにああいう事言いそうって思った。
この人上手かった、物語に入り込みやすくて感情移入しやすい。
だから最後のコメに皆反応しちゃうのかなと。
-
- 2014年05月08日 08:15
- まあ面白かったよ
ありすって最近苺スパ食わせるだけのネタキャラ化してたから少し新鮮だったわ
-
- 2014年05月08日 09:04
- コメ欄のわくわくさんに触れない優しさに脱帽
-
- 2014年05月08日 09:29
- 話自体はすごく良かった
ただいい感じの読了感に浸れそうなところでブチ壊されたからちょっと…とはなったけど
-
- 2014年05月08日 09:34
- 甘酸っぱいな!橘だけに!
-
- 2014年05月08日 09:55
-
おこなの?
-
- 2014年05月08日 10:51
- 胸糞悪くなるだけのSSだったな。作者はアンチありすなだけだろ
気分が悪くなる意外に何も感じないSSなんて「言い訳P」以来だな
-
- 2014年05月08日 11:15
- 読者様多すぎキモ
冗談も流せないとか流石やわぁ
-
- 2014年05月08日 13:00
- 文はよく書けていて雰囲気も出てるが、ダダ甘のが好きです。
-
- 2014年05月08日 13:10
- だが逆に考えてみろ
筆者は最初から最後のオチで全てを持っていくつもりで俺達が本編だと思ってたのが壮大な前ふりの可能性はないだろうか
-
- 2014年05月08日 14:21
- 失恋話にも関わらず読後感もすっきりとして良かった。ちゃまも年少組とはとても思えず、これではちゃママと言われるのも頷けてしまう。最後はしんみりとした空気を良しとしない作者なりの優しさも伝わり、できるPを感じさせる。台無しになるとは思うが、IFでありすルートも読んでみたくなった
-
- 2014年05月08日 14:36
- 本スレでは最後の後日談は照れ隠しってレスあるで。
そうカッカしなさんなよ。
-
- 2014年05月08日 15:01
- 「カッカすんな」「冗談すら〜」
おや、作者様が迷い込んでる様ですね
-
- 2014年05月08日 15:04
- 良かったけどアホな後書きでだいなしやで
-
- 2014年05月08日 15:11
- 三船さんはあずささんと同じく幸薄色気未亡人が似合うからこのPは早死にするだろう
-
- 2014年05月08日 16:10
- 作者が照れながら書いてるって情報自体どうでもいいしな・・・
スレで追ってるならまだしも、まとめサイトに載せられたら完全なノイズになるでしょうよ
-
- 2014年05月08日 17:36
- 久しぶりに100※越えてたからドキドキしながら読んだ
序盤ハラハラしたが中坊男子による酷い目とかがなくてとりあえず安心
しかし後書きに非難浴びせたくなる気持ちはそこそこ分かるけど、
言っても詮無い事やろ……ありすが可愛いのが悪いんだし(暴論)
-
- 2014年05月08日 18:10
- 冗談が通じない奴オオスギィ!
-
- 2014年05月08日 18:14
- ※84
呼び出した子もJSだろ!何故デビューさせようとしないんだ!
-
- 2014年05月08日 18:24
- 二人は幸せなキスをして終了ってので淫夢ネタだって分かるのにニュービー共が発狂してて草
-
- 2014年05月08日 18:29
- この>>1、ハゲだな(確信
-
- 2014年05月08日 18:39
- 後書きで、
「うわぁ・・・」ってなった
頭ん中に留めておけばいいものを・・・
-
- 2014年05月08日 18:49
- ※欄が悪い事にしたい作者の必死な弁明
-
- 2014年05月08日 18:55
- ネタだとか純粋すぎだとか、そういう問題じゃないでしょ
ちょっと違うかもしれんが、熱中してアニメ見てたら終わった後急に中の人のトークが始まった感じ
そこを切り離して受容できる人もいるし、そうでない人もいるってことよ
-
- 2014年05月08日 19:03
- いつものことながら安定のエレ速※欄
民度低すぎィ!
-
- 2014年05月08日 20:31
- わりと好きだよ
だから☆2つで!
-
- 2014年05月08日 21:56
- 事務所のアイドルがみんないい女だったので、みくにゃんのファン辞めます
-
- 2014年05月08日 21:57
- 自演はイズルPぐらいなもんだろ。
-
- 2014年05月08日 21:58
- ネタをネタと(ry
エレ速ホント読者様多過ぎるわwwwwwww
-
- 2014年05月08日 22:04
- そこまで噛み付く奴がいるとはたまげたなぁ
よっぽど暇なのか、好きなのかってところかね
-
- 2014年05月08日 22:06
- え、ひどくない?
-
- 2014年05月08日 22:40
- なんか別にフツー?
最後で台無しだってコメントがつくほど面白くもないよねコレ
モバマスやってないからそう思うだけなのかな
-
- 2014年05月08日 23:24
- いいじゃん最後、嫌いじゃない
SSなんだからもっと寛容になろう、うん
-
- 2014年05月08日 23:27
- 秀逸なSSからのクソすぎる後書きに草不可避
続く臭すぎる※欄で激なえしおしお丸
-
- 2014年05月08日 23:35
- 最後で台無しwww
しかし良いSS
-
- 2014年05月09日 01:12
- 相変わらず民度の低い※欄だ
-
- 2014年05月09日 03:18
- ※欄を読んであとがきに飛ぶ
→納 得!!!!!!
-
- 2014年05月09日 06:37
- ★5は自演です
すみませんでした
-
- 2014年05月09日 06:43
- 破壊力抜群の後書きだったな
-
- 2014年05月09日 07:31
- 桃ありが一番だと思うじぇ
-
- 2014年05月09日 09:40
- ※63
おい!姉ヶ崎君がまた病室を抜け出したぞ!
-
- 2014年05月09日 12:11
- このあとありすはウィクロス殺ります
-
- 2014年05月09日 20:51
- たかがまとめサイト一つに作者が必死こいて自演なんてするわけないだろ・・・
ただしイズルP、おめーのは間違いなく自演だ
-
- 2014年05月09日 22:26
- いつものコメ欄
-
- 2014年05月09日 23:03
- ネタとして流せないお子様が発狂して連投しているみたいですね
-
- 2014年05月09日 23:46
- よくできてるなーっておもったら最後でまさかの超展開
安心どころか>>1の心配してしまったわw
-
- 2014年05月10日 05:16
- この人才能あるわ~
賛否両論コメはいいSSの証ってはっきりわかんだね
-
- 2014年05月10日 07:52
- オチはともかく少なくても面白くはなかった
-
- 2014年05月10日 12:10
- ssを読んでしんみりした読者を即座に元気づける>>1は人間の鑑
-
- 2014年05月11日 14:34
- 2chじゃあるまいしたかがまとめサイトひとつに妄想全開で自演だのなんだの……キミたちもう少しTPOをだな…
-
- 2014年05月12日 13:58
- 恋愛もの → ※民には経験が一切ないので荒れる
女性一人称 → ※民には理解できないので荒れる
地の文 → ※民はまともに日本語が読めないので荒れる
照れ隠しあとがき → 種類によらず荒れる
まぁ役満に近いよな、ココに載せるSSとしては。
ありす好きとしちゃ、苺に走らずまじめに書いてくれて楽しかった。
-
- 2014年05月13日 23:50
- ※119
淫夢ネタが誰でもわかると思ってるあたり重症だねキミ
小学校の時担任の男性教諭の結婚報告で女子数名が泣いてたのを思い出した
子供は子供なりに恋愛に対して真剣なんだよね
そしてそういった子をきちんとひとりの女性として接することができる美優さんみたいな女性は本当にいい女だと思う
あ、最後のは単純に気持ち悪かったです
で、キスしたのがありすと晴くんだと普通に思い込んだ自分も気持ち悪いです
-
- 2014年05月28日 14:52
- あー
なんか高校の頃の初恋を思い出したわwww
橘さんは友人に恵まれて羨ましい
初恋の失恋って、もうどうしていいものか分からないからなぁ(笑)
-
- 2014年07月09日 18:00
- 初恋は実らないもの…
別に泣いてねぇし
-
- 2014年08月04日 22:37
- いいの読んだわ!
-
- 2014年08月07日 09:33
- よかった(小並感)
-
- 2014年08月09日 15:13
- 作品も後書きもいろんな意味で満足
-
- 2014年09月18日 21:10
- 久しぶりに読み返してしんみりした。名作だわ
後書きでも桃華に触れられていないんですがそれは…
-
- 2015年03月18日 09:15
- 良いssだった
しかし、最後の一行から早苗さんを呼ばざるおえない
-
- 2015年08月25日 02:58
- 言い話だったのに、最後で>>1を体育館裏か河川敷に呼び出して、ボコりボコられナカナカヤルナ!フッオマエモナ!をやるしかなくなった。
-
- 2015年09月30日 15:53
- しんみりしたいい話だったな、後書きのアフターケアのおかげで1を殴りに行こうと思えるくらいに元気出るしいいSSだった
-
- 2015年11月24日 05:12
- 人の幸せを願うのが愛
-
- 2015年12月02日 03:43
- よく書けてるな。おもしろかった。
-
- 2015年12月17日 17:42
- ありすの年齢じゃ、まあこういう結末になるよな…
とりあえず美優さんとのやり取りが素晴らしかった
-
- 2015年12月17日 23:38
- かなり良い雰囲気で良かった
-
- 2016年02月02日 17:31
- 久しぶりにシリアスで良いSS読んだわ
-
- 2016年02月09日 10:16
- コメント見てくと最後のネタも分からずに顔真っ赤なキッズが多いが、やっぱり※4のガキっぽさが際だつなぁ…
なによりあのコメの書き方がキモい
-
- 2016年02月23日 17:03
- 無年時空だから何年たっても成人にならないから待てないわ
-
- 2016年06月13日 06:51
- ※161
イエスかな?
-
- 2016年06月19日 01:54
- おっさんありがとう いいssだったよ
-
- 2016年09月14日 03:14
- こういうの長くなりがちだけど、ほどよくまとまってて良かった。
-
- 2017年01月08日 07:16
- 面白かった!だだ甘もよろしく。
個人的には後書きの妄想読みたいぞ。
-
- 2017年02月20日 01:11
- そんなに俺の好みではなかったけどスレ自体はよかった。後書きってのはあくまでおまけなんだからそんな噛み付くものではないよ
-
- 2017年05月03日 23:54
- タイトルもシンプルだけど良いなー。後書きはともかく内容もシリアスで素晴らしかったです。お気楽なハッピーエンドじゃないってだけで毛嫌いするなら見なきゃ良い訳だし。
-
- 2018年05月24日 01:48
- ごめん。おもんないわ。素直に感想を述べるとすればゴミ。
-
- 2018年08月23日 18:51
- 似たような米が見えすぎが、作家でも出たんですかねw 時間があふれみたいだね。連投乙ニートさんwww
-
- 2019年01月25日 01:49
- よかったわ。感情移入できる珍しいSS。