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男「合わせ鏡の世界って知ってるか?」女「…え?」【前半】

1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:41:59 ID:FFqkI2CI

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モブ女1「…ねえ、合わせ鏡の噂って知ってる?」

モブ女2「…合わせ鏡?」

モブ女3「知ってるそれ~!都市伝説のやつでしょ!?」

モブ女1「うん!それそれ!」

モブ女2「…都市伝説?」

モブ女3「何かね~、鏡をたくさん重ねて夜中にそれに覗きこむと何かが起こるとかいうやつ!」

モブ女2「ふ~ん。…で、その合わせ鏡の噂がどうしたの?」

モブ女1「うん。…これはね、この前聞いた噂話なんだけど、その合わせ鏡の噂が…どうやらマジモノらしいの!」

モブ女3「うそ~!?」



2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:42:55 ID:FFqkI2CI

モブ女1「ほんとほんと!…でも、私が聞いた話はその有名な都市伝説とはかなり内容が違ってくるんだけどね。」

モブ女2「…どういうこと?」

モブ女1「私が聞いた話によると、とある鏡の前で、もう1枚鏡を重ねて…つまり合わせ鏡の状態にして、それを覗きこむと…」

モブ女2・3「覗きこむと…?」

モブ女1「…その鏡の中に引きずりこまれるんだってー!!」

モブ女3「…ぷっ!あはははは!」

モブ女1「ちょ、ちょっとぉ!!笑わないでよ!!」

モブ女3「はははっ…っ、ご、ごめん…あまりにも…くくく…あはははは!」

モブ女2「ふふふっ」

モブ女1「ちょと!モブ女2まで~!!」

モブ女3「ははは…でも鏡の中に引きずり込まれるなんてそんな漫画みたいな!そもそも何で合わせ鏡!?…っ…ぷはははっ!」

モブ女1「…も~…モブ女3ったら~…」

モブ女3「くくく…だ、だってぇ」



3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:43:23 ID:FFqkI2CI

モブ女2「…で、その話はそれで終わりなの?」

モブ女1「…! ううん!まだ続きがあるの!これ聞いたら二人とも絶対ビックリするよ!」

モブ女3「…へ~、そんなに自信あるのなら続きを聞こうじゃない!」

モブ女2「ふふ、そうだね。」

モブ女1「ふふん!聞いてビックリしないでよ!?」

モブ女1「…実はね、その『とある鏡』ってのはね…」

モブ女2・3「うんうん」

モブ女1「うちの学校の北校舎の…」

………………
………


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4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:44:03 ID:FFqkI2CI

―2012年/2月/14日/香川――――――――――――----

男「屋上なんかに呼び出してどうしたの女?」

女「うん…ごめんね、急に。」

男「はは…まさか俺にチョコを渡すために?」

女「ま、まぁそれはですね…」

男「でも去年とかは普通に教室で渡してくれたじゃん?」

女「…も~!!空気読みなさいよ!!!」

男「な、何だよ急に…」

女「…ねぇ、男。」

男「…ん?」

女「…私たちここずっと仲良かったじゃない?」



5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:44:47 ID:FFqkI2CI

男「うん、そうだな。」

女「それでね、このままじゃ駄目かな~っていうか、進展させたいな~って思って…」

男「…って思って?」

女「…もう!! …だから…その…」

男「…」

女「…私、男のことが好きなの!中学のときからずっと好きだった!付き合ってください!」

男「…女。」

女「…だめ…かな?」

男「…あはは。駄目なわけないだろ。…俺も好きだよ、女。付き合おう。」

女「…ほ、ほんと!?」

男「もちろん。」

女「そ、そっか~!男も私のこと好きだったんだ~!ま、まぁ分かってたけどね!」

男「あはは、さっきまでビクビクしてた奴がいえるセリフじゃなくないか?」



6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:45:56 ID:FFqkI2CI

女「…ビ、ビクビクなんてしてないよ!…まぁ、緊張はしてたけど」ボソッ

男「ま~、とにもかくにも、これからよろしくな女。」

女「…! うん!よろしくね男!」ニコッ

男「おう!」

女「えへへ。 …あ!これ、順番が逆になっちゃったけど…」ゴソゴソ

女「…はい!…そのぉ…いわゆる本命チョコってやつ!」スッ

男「おお~!毎年義理以上の質のチョコくれてたけど今年はさらに凄そうだな~!」

女(…毎年本命だったんだけどなぁ…)アハハ

男「ありがとうな女!今食べたほうがいい!?」

女「あっ、別に今じゃなくてもいいよ。家に帰ってからゆっくり食べて。」

男「あっ、そう?それは助かる!」

女「助かる?」



7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:46:32 ID:FFqkI2CI

男「いや、実はさ、今日、姉さんが京都の下宿先から家に引越してくるというか、帰ってくるというか、その手伝いに行かないといけなくて。」

女「…あっ、そうだったんだ。…ご、ごめんね、時間取っちゃって」

男「いや、こっちこそごめんな。でも、せっかく女がくれた本命のチョコを慌てて食べたくないというか、家でゆっくり堪能したくてさ!」

女「…/// そ、そう言ってもらえたら作った甲斐があったよ///」

男「あはは、照れてる照れてる。でもせっかく付き合えたっていうのに一緒に帰れなくてゴメンな…」

女「…! ううん。気にしないで!それにこれからはずっと一緒に帰れるじゃない!」

男「まあ、そうなんだけど… …あっ!よし!それじゃあ明日早速デートに行こう!」

女「…デート?」

男「ああ、デート!明日はうちの高校の創立記念日で休みだし!」

女「…え?引越しのお手伝いは明日はないの?」



8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:47:24 ID:FFqkI2CI

男「ああ!手伝いって言っても、トラックから姉さんの家具とかを家に運ぶだけだし今日中には終わるからさ!だから明日遊ばない!?」

女「そ、それじゃあ… …遊んじゃう!?」ニコッ

男「おう!デートだデート!そんじゃ、明日駅前の公園に朝の10時に待ち合わせでいい?」

女「うん! でも、どこ行こっか?」

男「そうだな~…無難に遊園地とかどう?」

女「行く行く!!私、遊園地大好き!!」

男「それは良かった。…あ、俺そろそろ行かなきゃ!それじゃあ、詳しくはまたメールででも!」



9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:48:16 ID:FFqkI2CI

女「うん。あっ、ごめんね、時間取らせちゃって。」

男「気にしない気にしない。…でも、女と付き合えることになって、俺本当に嬉しいよ」ニコッ

女「!! わ、私も!!すごく幸せだよ!!」ニコッ

男「うん!それじゃあまた今晩メールするよ。バイバイ!」

女「あ、ばいばーい!」

タッタッタッタ

女「…明日、男とデートかぁ…」ニヤニヤ



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10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:48:50 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

女母「…どうしたのよ、女。今日はやけに嬉しそうな顔してるじゃない?」

女「え?そうかな~?」ニヤニヤ

女母「そうよ~」

女「あっ、お母さんおかわり!」サッ

女母「はいはい…」ガタッ

女「あ~今日の味噌汁美味しいな~」ズズッ

女母「…あんた、もしかして…男くんと付き合った?」

女「ブフォッ!? …え!?ななな何で分かったの!?」

女母「いや、誰だって分かるわよ今のあんたを見てたら…。はい、ごはん。」コトッ

女「そ、そうかな!?」



11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:49:46 ID:FFqkI2CI

女母「それに今日はバレンタインデーだし…しかもあんた昨日夜遅くまでずっと台所でチョコ作ってたじゃない。」

女「あ、ばれてた?」

女母「ばれてるわよ。もちろんお父さんにもね。お父さん楽しみにしてたわよ~。『女、明日俺にどんなチョコくれるんだろ~』って。もちろんお父さんの分も作ってるんでしょうね?」

女「………あっ」

女母「…はぁ…だろうと思ったわ。あ~あ、お父さんかわいそ~。」

女「…も、もぉ~!昨日はいつも以上に必死になってたんだから仕方ないじゃない!」

女母「ふふ。『いつも以上に』か~。へ~そうなんだ~。まあ、お父さんのことはどうでもいいとして良かったじゃない。男くんと付き合えて。前から『男がー、男がー』って言ってたもんね。男くんって確か男姉ちゃんの弟でしょ?」

女「…あ、ありがと/// ん?お母さん、男のお姉ちゃんのこと知ってるの?」

女母「知ってるわよ。だって男姉ちゃんは女兄の同級生だったから。」

女「あ~、男姉さんはお兄ちゃんと友達だったんだもんね。…あっ、そういえば男姉さんは下宿先から今日帰ってくるらしいんだけどお兄ちゃんはいつ帰ってくるの?もう大学の授業も終わってるはずだよね?」



12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:50:22 ID:FFqkI2CI

女母「それがあの子、『卒業式までは大学の友達と遊びつくすから帰らない』ってさ。まぁ、あの子、就職先が東京だし、神戸の下宿先から家具とかも東京にそのまま持って行くことになったからねぇ。」

女「え~、じゃあ、お兄ちゃんそのまま東京に行っちゃうんだ~、香川と神戸なんて橋渡ったらすぐなのに~」

女母「あっ、でも確か来月にこっちで高校の同窓会があるからそのときに一度帰ってくるって言ってたわ。日付は確かカレンダーに…」ガタッ

スタスタッ ペラッ

女母「…え~っと、そうそう、3月の21日、祝日の春分の日に同窓会って言ってたから、その日らへんで帰ってくるわ。」

女「そっか~、まぁそのときは色々お兄ちゃんに文句言ってやらないとね。『お兄ちゃんのせいで家計が火の車だったんだよ!』って。」

女母「ふふ、そうね。まぁ、生活費はこの3年半は自分で稼いでたみたいだし許してあげたら?」

女「え~、でもお兄ちゃんったら5年前にうちがこのマンションを買ってからローンとかで色々と大変だったのに1回生の秋に急に『神戸で一人暮らしする』って言い出して…そのおかげで私たちも色々と大変だったじゃない!」

女母「でも香川から神戸まで半年、毎日通うのは大変だったと思うわよ。女兄も頑張ったほうよ。」

女「ええ~、でも言ってバスとか乗り継いだら3時間で済むじゃない…」



13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:50:57 ID:FFqkI2CI

女母「も~。過ぎたことをいつまでもぎゃーぎゃー言わないの。まあ、一人暮らしの甲斐があってかは分からないけど有名企業に就職できたんだしお母さんとしては女兄に下宿させて良かったって思ってるわよ。」ニコッ

女「ま~、そうなんだけどね~」

女母「そうよ。まぁ~でも、だから女兄がいっぱい稼げるようになったときにはたくさんお金をたかってやりなさい。」二ヤッ

女「おっけー!そうする~!」ニヤッ

女母「ふふ。…それで、男くんとはこれからデートとか行かないの?」

女「行くよ!明日!さっきメールでレ○マワールドに行こうって決めたの!」

女母「え、このすごく寒い時期にレ○マワールドに行くの?」

女「え?まぁ~うん。」

女母「寒い時に乗るジェットコースターは地獄よ~明日はすごく冷え込むみたいだし。」

女「た、確かに…でもな~他に行くところなんてな~」



14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:51:37 ID:FFqkI2CI

女母「あっ、そういえば近くの水族館で最近たくさんの新しいお魚やペンギンとかが集まってて盛況らしいわよ?女、確か水族館とかも好きだったんじゃないの?」

女「え!?そうなの!?行きたい行きたい!!遊園地も好きだけど水族館も大好き!」

女母「水族館なら屋内だしね。あんた、寒いところにずっといたらすぐ風邪引いちゃう体質なんだし、男くんに迷惑掛けないためにもお母さんは水族館をお勧めするわ。」

女「うう…さすがお母さん。私のことをよく分かってらっしゃる。」

女母「当たり前よ。あと、その水族館はここんとこ土日は人がいっぱいで混雑してるみたいなのよね~。でもあんたたちは明日は創立記念日でしょ?そして世間では平日なわけだから、明日行っておいたほうがお得よ。平日だから空いてるだろうし。」

女「お~!なるほど!さすが主婦!それじゃあ、お母さんの言う通り明日は水族館に行ってみようかな!?」

女母「あ、ちゃんと男くんに了承を取りなさいよ。」

女「も~分かってるよ~!今から男にメールを…」ピッ

女母「こ~ら。そういう急な予定変更の時は電話にしなさい。まだ20時ぐらいだし、そんな迷惑な時間帯じゃないでしょ?」

女「え~…でも恥ずかしいよ~…今まで男との連絡はずっとメールだったんだし。」



15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:52:05 ID:FFqkI2CI

女母「付き合ったんならもっと積極的にコミュニケーション取っていきなさい。それに、男くんも女から電話をもらったら絶対に嬉しいと思うわよ。男女の付き合いは最初が肝心。最初からそんな遠慮のし合いをしてたら上手くいかないわよ。」

女「…うっ…お母さんのその一言一言が胸にズキズキと…。でも確かにそうだね。…よし、それじゃあ男に電話してくる!」

女母「そうよ。電話なんて告白に比べたら簡単なものじゃない。」

女「あはは、確かに!それじゃ自分の部屋で電話してくるね!」タッタッ

女母「いってらしゃい」ニコッ

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16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:52:38 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

prrrrrr prrrrr

男『はい、もしもし』

女「もしもし?男?」

男『お~、どうしたの女?』

女「えっとね…あ、あの~」

男『…ん?あ~、もしかして、初電話で緊張してるの?』

女「も、も~う!からかわないでよ~!!」

男『あはは、ごめんごめん』

女「…それでね、…あっ、今時間大丈夫?忙しくない?」

男「大丈夫だよ。今は自分の部屋でのんびりしてたところだったし。」

女「そ、そっか!…ねえ、明日のデートなんだけど…水族館に行かない!?」

男『水族館?」



17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:53:33 ID:FFqkI2CI

女「うん!水族館!最近近くの水族館が最近すごく盛況らしくてね!土日じゃ混んでるみたいなんだけど明日は平日だから快適だと思うの。それで、やっぱり遊園地よりも水族館に行きたいな~って… …だめ…かな?」

男『あ~!あそこの水族館ね!いいじゃんいいじゃん!行こうよ!明日は今日のお詫びのためのデートでもあるんだし女が行きたいところに行こう!』

女「ほ、ほんと!?良かった~!!それじゃあ、私が水族館までの行き方とか調べておくね!」

男『あ、ほんとに?気が利くな~女。それじゃあお言葉に甘えてお願いしようかな。』

女「うん!任せて!それじゃあ、明日、公園に朝10時待ち合わせね。」

男『了解。それじゃあおやすみ、女。』

女「うん、おやすみ、男。」

ピッ

女「ふ~…」

女母「ふふ、もっと喋らなくて良かったの~お姉さん?」ニヤニヤッ



18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:54:07 ID:FFqkI2CI

女「きゃ!? お、お母さん!?いつからこの部屋に!?」

女母「ん~、あんたが『ほ、ほんと!?良かった~!!』って言いながらニヤニヤしてたところから。」ニヤニヤッ

女「も、も~///、盗み聞きなんて趣味悪いよおかあさん!」

女母「だって、水族館までの行き方をPCで調べて印刷してきたから、電話が終わる前に渡してあげようとここに来たのよ。まー電話もう切っちゃってるけど、はいこれ。良かったわね、調べる手間が省けて。」パサッ

女「…あ、そうだったんだ、ありがと。…で、でも、部屋に入るときはノックしてよね!」

女母「はいはい。それじゃあ明日のためにも早くお風呂に入ってとっとと寝なさいよ~」

女「は~い」


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19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:54:40 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

もぞもぞ

女(…ん~…緊張して寝れないよぉ…)

女(…明日、楽しみだな…)

女(…中学の時に男と出会ってから色々あったなぁ…)

女(…中1の時に私が男に一目惚れしたんだよね…)

女(…男ってちょっとインテリぶってるところがたまに鼻に付くけど、根は優しいし、何より本音で色々話してくれるし…)

女(…それにしても男と付き合えるまで長かったな~)

女(…他にも男のことを好きな子何人かいたもんな~)

女(…それを考えるとちょっと申し訳ない気持ちに…)

女(…ま~、何はともあれ男と付き合えたんだし、これから高校卒業まであと1年とちょっと、男とたくさん思い出作らなきゃ!)

女(…そして明日はその最初の思い出となるであろう初デート♪)

女(…遅刻しないためにも早く寝ないと!そして早起きして準備準備!)



20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:56:03 ID:FFqkI2CI

女(…あ、そういえば…)

ゴソゴソッ

女(…危な~い、目覚ましのセットが朝の7時のまんまだった…)

女(…いや、7時でもいいかな?早く起きて準備万端にしておきたいし。)

女(…うん!明日は7時起き!よし!寝る!)

………
………………

----―――――――――――――――――――――――



21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:56:32 ID:FFqkI2CI

―2012年/2月/15日/香川――――――――――――----

………………
………


ジリリリリリリリリ

もぞもぞ

カチッ

女「…う~ん。まだ7時~?…待ち合わせは10時だからぁ…もう少しだけ寝よっかなぁ…」ふぁ~

女「…zzZ。」


………
………………

----―――――――――――――――――――――――



22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:57:01 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

トントン

ガチャッ

女母「女~、もう9時だけど起きなくていいの~?待ち合わせは何時なの~?」

女「…ん~…まだ大丈夫~…」むにゃむにゃ

女母「…遅刻しても知らないわよ~…」

バタンッ

----―――――――――――――――――――――――



23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:57:40 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

………………
………



女「もおおおお!何でお母さん起こしてくれないのよおおお!!!」

女母「起こしたわよ~。それでも起きなかったあなたが悪いんでしょー。」

ガチャッ

女「行ってきまああああす!!」

女母「は~い、行ってらっしゃい。」

女「やばいやばい!!男との初デートなのに遅刻なんて!!しかもろくにお化粧も出来無かったよ~!!」タッタッ

タッタッ…ポチッ

女「…あああ~!何でこんな時に限ってエレベーターが二つとも1階にいるのよ!早くエレベーター上がってきて~!!」



24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:58:12 ID:FFqkI2CI

ゴオオオオオ…

女「…も~!相変わらずこのマンションのエレベーター遅いのよ!!」

…オオオン

ウィーン

女「よし!!」タッ

----―――――――――――――――――――――――



25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:59:05 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

ゴオオオオオ…

女(ふう…あっ、髪の毛ぐちゃぐちゃのまんまだった…)

女(エレベーターに鏡が無かったら気付かないままだった、危ない危ない。)

女(とりあえず、櫛で整えないと…持ってきたかなぁ…)ガサゴソ

女(…あった!これで髪を梳いてっと。)サッサッ

サッサッサ…グッ

女(…あれ、後ろ髪で櫛が引っ掛かるなぁ…)グイグイッ

女(…もしかして変な寝癖でもついてるのかな…もしそうだったら最悪…)

女(…これだからショートって嫌なんだよなぁ…これからはセミロングぐらいまで伸ばそうかな…)



26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 22:59:48 ID:FFqkI2CI

女(…とりあえず、どうなってるか確認しないと…ん~…見えない…)

女(…あ。手鏡も持ってきてるから、それとエレベーターの鏡を重ねて後ろ髪を見れるかな?)ガサゴソ

女(…あったあった!これを…開いて…)パカッ

女(…そして、エレベーターの鏡に背を向けて…手鏡を前に掲げて…2枚をこう重ねて、合わせ鏡の状態にしt…



?『この時を待ってたよ。』



女「え?」


フッ



………
………………

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28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:00:39 ID:FFqkI2CI

―2012年/2月/15日/香川/ @ 1週目―――――――――――----

【-裏々の世界-】

………………
………






女(…あれ?何今の?)

女(…どこからか声が聞こえて…それで意識が一瞬…)

女(…ん?エレベーターの中ってこんなに暗かったっけ?)

女(…気のせいかな…?)


ゴオオオオン…

ウィーン

女(…! とりあえず寝癖を直しながら急がないt……っ!?)



29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:01:46 ID:FFqkI2CI

スタスタッ

女(…ん? 気のせいかな?体が…)スタスタッ

女(…!? 気のせいじゃない!?…体が…体が…勝手に動いてる!?)スタスタッ

スタスタッ ウィーン

女(…!?)

女(…どうしてまだ朝なのに…今日は晴れなのに…)

女(…どうしてこんなに暗いの!?)



女『…うわーやっぱりこっちは明るいね!』


女(…え!? 『明るい』? 私、今、勝手にしゃべった!?)


女『…ふふ。でも、まさかこんな偶然があるとはね。…それじゃあ、裏々の世界で色々楽しんでね。…“表の世界の私”。』ニコッ


女(表の世界?裏々の世界?どういうこと?それに何で私、そんなことを勝手に…)



30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:02:23 ID:FFqkI2CI

女(………っ!?)

女(…私、今、喋れろうとしてるのに…)

女(…『喋れ』と脳から口に命令してるはずなのに…)

女(…どうして…)

女(…どうして、私は今、自分の意志で喋ることが出来ないの!?)

----―――――――――――――――――――――――



31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:03:21 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

タッタッタッタ

女(本当にどういうことなんだろう…)タッタッタ

女(私は今、男との待ち合わせの場所に向かって走ってる。)タッタッタ

女(走りながら、寝癖も丁寧に直した。)タッタッタ

女(待ち合わせ場所まで走ることと、寝癖を直すことは、私がエレベーターから降りてやるつもりだったことで、実際にそその2つを行っている。)タッタッタ

女(…でも、そこに私の意志は無かった。『勝手』にそれらが行われた…。)タッタッタ

女(そして、マンションから出る直前、私は喋ることが出来なかった。)タッタッタ



32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:03:56 ID:FFqkI2CI

女(…私であるようで、私ではない…そんな感じ…)タッタッタ

女(…ただ、今、走っていることによる疲れや、寝癖を直すときの感覚…というか痛覚はいつもと同じ…。)タッタッタ

女(走っててすごくしんどいし、寝癖を直そうとして髪の毛を引っ張った時に痛みを感じたし…)タッタッタ

女(…あと、おかしいことと言えば…やっぱり周りが暗い。この暗さは、晴れた日の朝の明るさのそれじゃない…その半分ぐらいの…)タッタッタ

女(…私、どうなっちゃったんだろ…)タッタッタ

女(…それに、さっき私の口から突然出た言葉の『表の世界』や『裏々の世界』ってのはいったい…)タッタッタ

女(…! もうそろそろ男との待ち合わせ場所の公園だ。)タッタッタ

----―――――――――――――――――――――――



33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:04:41 ID:FFqkI2CI

―――――――――――――――――――――――----

男「…お!来た来た!ぎりぎりだな女!」

女(…男。)

男「…ん?どうしたんだよ女?表の世界のお前が行きたがってた水族館に今から行くって言うのに。」

女「…え?表の世界ってどういうk…」

女「……っ!?」

女「…あれ!?私今喋れてる!?」

男「…はい?」

女「私は今喋れてるかってことを聞いてるの!」

男「おいおい、そんなの当たり前だろ?ここの公園には鏡もガラスもないんだし。」

女「…鏡とガラス?」



34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:05:25 ID:FFqkI2CI

男「…? はは、どうしたんだよ女。もしかして初デートだから気が動転してるのか?」

女「…っ!? …そんなの…そんなの動転するに決まってるじゃない!!!!!」

男「…お、女?」

女「…さっきから急に体が動くし、勝手に変なことを口にするし…でもさっきまで喋れなかったし…それに周りはすごく暗いし…男もこの暗さに疑問を感じないの!?」

男「…!? …お前、もしかして…」






男「…『表の世界』の女か?



35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:06:17 ID:FFqkI2CI

女「!? …その『表の世界』って言葉!私が勝手に口にした…」

男「…やっぱりそうか…。 …あいつ、やりやがったな…」

女「…『あいつ』?…あいつって…」

女「……っ!?」スタスタッ

女「ま、また体が勝手に!?」スタスタッ

男「安心して女。おそらく電車に乗るまでは、まだ『喋ること』は出来るから。」スタスタッ

女「で、電車に乗るまでってどういうこと?」スタスタッ

男「電車には窓ガラスがあるからな。そこでは喋れなくなるんだ。」スタスタッ

女「…言ってる意味が分からないんですけど…」スタスタッ

男「…はは。そうだな。…それじゃ今から駅に着いて電車に乗るまでの…15分ぐらいかな?その15分ぐらいで今、お前に起きていることとこの世界についてを簡単に説明するよ。」スタスタッ

女「…この…世界?」スタスタッ

男「…ああ。」スタスタッ



36 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/12(水) 23:07:20 ID:FFqkI2CI

男「…女、合わせ鏡の世界って知ってるか?」スタスタッ

女「…え?…合わせ鏡の世界?何それ?」スタスタッ

男「…じゃあ入学当初に旧校舎の噂は聞いたことないか?」スタスタッ

女「旧校舎…あっ!知ってるそれ!確か旧校舎の鏡に近づいたらその中に引きずりこまr…!! …まさか!?」スタスタッ

男「…ああ。詳しくは、うちの高校の北側にある旧校舎の東側の、そのまた2階と3階を結ぶ階段の踊り場にある鏡、その鏡の前で合わせ鏡をするとその鏡の中に引きずりこまれるという話だ。」スタスタッ

女「…!? それじゃあ私は…」スタスタッ

男「…ああ。お前は…」スタスタッ





男「……合わせ鏡の世界に引きずり込まれたんだよ。」


----―――――――――――――――――――――――



41 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:22:25 ID:4tZIT026

―――――――――――――――――――――――----

女「…そんな…。そんなことがありえるの!?」

男「ありえるんだから仕方ない。今はとにかく合わせ鏡の世界に引きずり込まれたってことを受け入れろ。…まあ、正しくは『入れ替わった』んだけどな。」

女「…『入れ替わった』?」

男「…ああ。まあ、それも後でちゃんと説明する。…とりあえず、ここが普通の場所ではないということを受け入れてくれ。」

女「…もし私を驚かそうとしてこんな冗談を言ってるのなら本気で怒るよ?」

男「冗談なんて言うかよ。しかもおまえ自身今の状況がおかしいってことに気付いてるだろ?だから、とりあえずは俺の話を聞いてみてそれから、冗談かどうかを判断しろ。いいな?」

女「……うん、分かったわよ。…でも何なの合わせ鏡の世界って?鏡の世界とは違うの?」



42 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:23:08 ID:4tZIT026

男「鏡の世界の一種であることは間違いないんだけど、ちょっと違うんだよな。その違いの証拠は目の前にたくさんあるだろ?」

女「…目の前?」

男「もし鏡の世界なら全てのモノが『反転』しているはずだろ?」

女「…あっ!」

男「…そう、この世界では『反転』してないんだ。何故なら合わせ鏡だからな。」

女「…合わせ鏡だから『反転』していない?」



43 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:23:41 ID:4tZIT026

男「ああ。…そうだなー。それじゃ、ここでちょっとした理科のクイズを出そう。」

女「クイズ?」

男「ああ。中1レベルの問題だ。まず、自分自身の目の前に全身が映るくらい大きな鏡があるとしよう。この鏡に映っている自分の『像』は反転しているか、してないか、どっち?」

女「それは…反転して…る?」

男「正解。それじゃあ、さらに自分の隣に同じぐらいの大きさの鏡をもう一つ置いたとしよう。そして『自分』『目の前の鏡』『隣の鏡』をV字に配置させて合わせ鏡の状態にするんだ。イメージできる?」

女「…え~っと、例えば自分が左にいて、鏡が目の前と右隣りにあるって感じ?」



46 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:29:29 ID:4tZIT026

―【イメージ図】―――――――――――――――----

    鏡A
  ______

    ?  ?

  ●   __ 
  女   鏡B

----―――――――――――――――――――――――


男「ああ、そのイメージでオッケー。V字に配置することで、その隣の鏡にも目の前の鏡を経由して自分の姿が映るよな。」

女「うん。…てか、昔トリビアの実験でやってたような感じ?」

男「そう!トリビアでも昔合わせ鏡の実験をしてたな。とりあえずイメージ出来たな?」

女「出来たよ。V字になってるのよね。」



47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:30:18 ID:4tZIT026

男「ああ。そして、ここで問題だ。自分の隣にある鏡には今、どんな『自分の像』が映っている?」

女「…ええ~、目の前の鏡には反転した像が映っていて、その像が反射して隣の鏡に映るんだから……あっ!そういうことか!」

男「うん。反転した像が更に反転するんだから…『反転していない像』が映っているんだ。」

女「なるほど! …ん~、でも『反転していない像』ってのがいまいちイメージ出来ない…」

男「あはは。そのまんまだよ。例えば、女が何か文字が書かれたものを持ったままその実験をしたら、隣の鏡に映っているその文字は反転してないからちゃんと読めるわけ。まあ、言うなれば、隣の鏡には女と『向きが全く同じ女の像』が映っているってこと。」

女「あー、なるほど。」

男「そう。『合わせ鏡』…つまり『2枚目の鏡の世界』では目の回りのモノは反転しないんだ。」

女「そっか。それで…」



48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:31:00 ID:4tZIT026

男「…そして、この合わせ鏡の状態を作り、あと『3つ』の条件を満たすことで、『合わせ鏡の世界の住人との入れ替わり』が発生する。」

女「…3つの条件?入れ替わり?」

男「ああ。お前は入れ替わったんだ。もともとこの合わせ鏡の世界に居た『お前』と。」

女「…! 待って!それってこの合わせ鏡の世界にいた『もう一人の私』と入れ替わったってこと?」

男「ああ。」

女「そんなことってあるの!?もう一人の私が存在してたって言うの!?」

男「そうだよ。彼女はこの世界で存在し、生きていた『お前』なんだ。」

女「そんな…じゃあ、その『もう一人の私』が私と…」



49 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:31:32 ID:4tZIT026

男「…そう、入れ替わったんだ。まあ、入れ替わったとは言っても、入れ替わったのは『意識』だけで肉体ごと入れ替わったんじゃないんだけどな。」

女「…『意識』だけ?」

男「ああ。肉体はそのままで意識だけ鏡を経由して入れ替わったんだ。」

女「噂で聞いた話では体ごと引きずりこまれるってことになってたのにそれとは違うんだ。」

男「ああ。あの学校での噂とこれとは異なる点がかなり多いんだ。」

女「…それで、入れ替わりのための『3つ』の条件って何?」

男「一つ目は『場所』、二つ目は『閏年』、三つ目は『意志』だ。」

女「『場所』と『閏年』と…『意志』?」



50 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:32:13 ID:4tZIT026

男「ああ。まず『場所』について。合わせ鏡による入れ替わりはどこでも出来るというわけではない。いわゆる『パワースポット』『心霊スポット』と呼ばれる場所にある鏡であることが条件だと考えられる。旧校舎の鏡がそれに属するみたいだ。」

女「…え、でも私旧校舎なんかに行っt…」

男「気になることもあると思うが説明を続けるぞ。次は『閏年』についてだ。女、今年は西暦何年だ?」

女「…え?…2012年でしょ?」

男「そう。そして今年2012年は4年に1度の閏年。この閏年の年にのみ、入れ替わりを起こすことが出来る『時期』がある。何故、閏年なのかは話が長くなるから今はやめておく。」

女「…『時期』?」

男「ああ。そして閏年だとしても1年中入れ替わりが出来るとは限らないんだ。閏年の『1月1日』から『3月21日』までの期間にのみ入れ替わりが行える。」



51 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:32:54 ID:4tZIT026

女「…何で3月21日?」

男「そこらへんの説明はまた今度だ。それよりも伝えるべきことが沢山ある。」

女「…うん。分かった。」

男「次は『意志』についてだ。今まで話した条件が揃っていたとしても、当の『本人たち』に『意志』が無ければ入れ替わりは起きない。つまり、入れ替わりの対象になる2人のどちらかに『入れ替わりたい』という『意志』があった場合に入れ替わりが発生するってことだ。」

女「…じゃあ、私の場合は、元々この世界にいた『この世界の私』が入れ替わりたいと思ったから……」

男「…そう…なるな。」

女「…。」



52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:33:40 ID:4tZIT026

男「…話を続けるぞ。次はこの世界についてだ。お前がもともといた世界を『表の世界』と呼び、今、俺たちがいるこの合わせ鏡の世界を『裏々の世界』と呼んでいる。」

女「表と…裏々?」

男「ああ。詳しく説明すると、お前がもともと居た世界を『表の世界』とし、それを基準に1枚目の鏡の世界を『裏の世界』、2枚目の鏡の世界を『裏々の世界』と区別して呼んでいるんだ。」

女「…1枚目が裏で、2枚目が裏々。 …っ!! ちょっと待って!!それじゃあ『裏の世界』も存在するってこと!?」

男「ああ、存在するよ。小説や漫画とかでよくある、俗に言う『ミラーワールド』ってやつだ。『裏の世界』ではもちろん全てが反転した世界になっている。」

女「…そうなんだ。」



53 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:34:24 ID:4tZIT026

男「それだけじゃない。3枚目の鏡の『裏々々の世界』、4枚目の鏡の世界の『裏々々々の世界』といったように合わせ鏡の世界は半永久的に続き、そして存在しているんだ。ちなみに『合わせ鏡の世界』っていうのは『裏々の世界』、『裏々々の世界』などそれ以降の合わせ鏡によって出来る鏡の世界のことの総称だからごっちゃにしないようにな。」

女「…待って。それじゃあ、もしかしてそのたくさん存在するっていうそれぞれの鏡の世界ごとに…私も…」

男「ああ。鏡の世界の数だけ、『鏡の世界のお前』も存在し、生きているんだ。」

女「そんな…」

男「まあ、驚くわな、こんな話をいきなりされたら。…さて、話は変わるんだが、女。お前、さっき『何でここはこんなに暗いの?』って言ったよな。」

女「…! …うん。」

男「この世界が暗い理由は、反射物の特性ゆえなんだ。」

女「…反射物の…特性…?」



54 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:34:58 ID:4tZIT026

男「ああ。鏡やガラスといった反射物は光を反射するが、全ての光を反射しきれるわけじゃないんだ。」

女「…あ。確か鏡って光を反射するたびに暗くなっていくんだっけ?それのことを言ってるの?」

男「そう。反射物が反射できる率のことを『反射率』というんだが、その反射率が100%ではない限り、光は鏡に反射されていく度に光量が減り、その明度が小さくなっていく。つまり暗くなっていくってわけだ。」

女「なるほど。じゃあ、この裏々の世界が暗いのは…」

男「ああ。鏡を2枚経由しているわけだから、光量が表の世界よりも減っている。だから暗いんだ。」

女「なるほどね…」



55 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:35:47 ID:4tZIT026

キィーーーーーン

女「!? えっ!?なn…!?」

女(…急に耳鳴りがしたと思ったら…また喋れなく…!?)

女『…あははっ、ねえ、私たち学校とかじゃあんまり会わないようにしようよ~。』

男『え?何で?』

女(…!? 私も男も急に脈路もないことを…!?)

女『だって、皆に付き合ってるってばれたらめんどくさいじゃない。』

男『ん~別に良くない? まあ、女がどうしてもって言うなら…てか、お互い部活が忙しいからどうせあんまり会えないかもな。』



56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:36:35 ID:4tZIT026

フッ

女「…あっ、また喋れるようになった。」

男「…! …ああ、あれか。あの道端のカーブミラーに一瞬、俺たちが映ってたから喋れなくなって、『表の世界』にいる俺とお前の話した内容が俺たちにも反映されたんだ。」

女「…? カーブミラー? 反映?」

男「カーブミラー自体に深い意味は無いよ。『映ってた』ことに意味がある。…よし、それじゃ、次はこの世界での『体について』説明するよ。」

女「…『体』?」



57 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:37:24 ID:4tZIT026

男「ああ、体だ。まず、もう分かっているだろうけど、この世界では『体の自由がほとんど効かない』。」

女「っ! …うん、そうみたいだね。」

男「何故なら体の『行動権』は『表の世界』の『主』にあるからな。」

女「…?」

男「『裏』であろうと『裏々』であろうと鏡の中の世界にいる俺たちはこの世界では自分の思い通りに体を動かすことは出来ない。表の世界にいる『主』が絶対的な存在であって、その『主』の行動が鏡の世界の人間にも反映されるんだ。」

女「…主…の行動。」



58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:38:03 ID:4tZIT026

男「…だけど、俺たちにも唯一体の自由を許された『部分』が2つある。」

女「……部分?」

男「ああ。それは『脳』と『口』だ。」

女「…脳…と…口………あっ!」

男「気付いたか?体は動かなくても、今は考えることが出来て、話すことも出来ているだろ?つまりこの『考えること』と『話すこと』が鏡の世界の住人に許された数少ない自由なんだ。」

女「…数少ない自由…かぁ。 …っ! で、でもさっきみたいに急に喋れなくなって、勝手に自分の考えたこととは全く違うことを喋りだしたのは何で!?」

男「それは『表の世界』にいる『主』が反射物に映ったからだ。」

女「…どういうこと?」



59 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:38:56 ID:4tZIT026

男「考えてみろ。もし、お前が『表の世界』にいるときにふと鏡を見て、鏡の中の自分の像が急に動き出したらどうだ?」

女「どうだ?って…そりゃビックリするわよ。」

男「だろ?そして鏡の中の自分の像が勝手に動き出したところを見たことなんてないだろ?つまりそういうことだ。表の世界の主が反射物に映っている時、鏡の中の住人の動きは表の世界の主と全く同じになる。」

女「…」

男「それは『口』も同じだ。鏡の中の自分が口だけ勝手に動いてるなんてことも絶対に起こらない。つまり、表の世界の自分が反射物に映っている時は鏡の世界の住人は『口』も自分の意志では動かせなくなる。また、表の世界の主が反射物に映っている時は『表の世界の主の口の動き』と『喋っている内容』が鏡の世界の人間にも反映されるんだ。」

女「…なるほど。だからさっき道端のカーブミラーに映ってたときに私たちは喋られなくなって、そして表の世界の自分が喋った内容が私たちにも反映されたってことね。…じゃあ、あの耳鳴りは何なの?」

男「あれは合図だ。」

女「合図?」



60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:39:44 ID:4tZIT026

男「ああ。あの耳鳴りは表の世界の主が反射物に映ることを知らせてくれる合図みたいなもんだ。だいたい5秒くらい前に鳴り響く。」

女「…へえ…でも何のために?」

男「さあ…それは分からん。…まあ、鏡の世界からのせめてもの優しさの表れなんじゃないかな?耳鳴りのおかげで喋れなくなることが事前に分かるし。はは。」

女「…いらないわよそんな優しさ。」

男「はは、違いない。」

女「…でも、さっきの耳鳴りが今後も続くって思うと鬱になりそう…」

男「…ん? もしかして耳鳴りは今のが初めてだったのか?」

女「…え?そうだけど…?」



61 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:40:41 ID:4tZIT026

男「旧校舎前にたくさん窓ガラスあるんだし、さすがに1度は耳鳴りがしただろ?…ん?そもそも、お前何でデートの前にわざわざ旧校舎に行ったんだ?」

女「…え? い、行ってないわよ旧校舎なんか!」

男「…はい?じゃあ、お前どこで入れ替わったんだよ?」

女「私が異変を感じたのはさっきうちのマンションのエレベーターの中で合わせ鏡をしちゃってからだよ!」

男「…!? エレベーターの中?でもお前ん家のマンションって5年ぐらい前に出来たばっかりだよな…いわくつきのエレベーターか何かなのか?」

女「…さあ…変な噂は聞いたことないけど…。」

男「…そうか。でもまさか旧校舎以外にも入れ替わりが出来る場所があるとは…てか何でエレベーターの中で合わせ鏡をしたんだ?」

女「…うっ。…そ、それは…。」

男「…それは?」



62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:41:37 ID:4tZIT026

女「…後ろ髪の寝癖を…見ようと…」ボソッ

男「…? …! …ああ~…なるほど…それで…」

女「…うん。」

男「…でも何で家で寝癖を直さなかったの?」

女「…そ、それは…」

男「…ん?」

女「…今日のデートが楽しみで昨日寝つけなくて…それで…ね、寝坊…しちゃって///」

男「…あははは!やっぱりお前は表の世界の女だな!」

女「ちょっと!バカにしないd…ん?『やっぱり』ってどういうこと?」

男「あははっ…なあ、女、俺って『誰』だと思う?」

女「…? …誰って…あなたは男でしょ?」



63 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/13(木) 22:42:39 ID:4tZIT026

男「そうじゃなくて…俺はどの世界の『男』だと思う?」

女「…! …それはもちろん…この『裏々の世界』の男でしょ?」

男「あはは、普通そう思うよな。」

女「……どういうこと?」

男「…俺は…この『裏々の世界の男』じゃないんだ。」

女「…? …っ! …ま、まさか!?」

男「…ああ。 …俺もお前と同じ…」





男「『表の世界』の男だ。」

----―――――――――――――――――――――――



72 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:22:00 ID:KboOGec2

―――――――――――――――――――――――----

女「…ど、どういうこと!?じゃあ…じゃあ男も合わせ鏡で…!?」

男「…まあ…『色々』とあってな。」

女「…『色々』…って?」

男「それに関してもまた追々話す。…っと、もう駅に着いたみたいだぞ。これからは電車に乗るからほとんど喋れなくなるからな。」

女「あっ、ずっと話に夢中だったから気付かなかった…。電車で喋れなくなるのは窓ガラスに私たちが映るからってことだったよね。」

男「ああ。その通り。だから、電車を降りるまではまたしばらく我慢タイムだ。」

女「分かった。また電車から降りたら色々教えてよ!」

男「了解。」


----―――――――――――――――――――――――



73 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:22:43 ID:KboOGec2

―――――――――――――――――――――――----

○○エキ~ ○○エキ~ 
オオリノサイハ ゴチュウイクダサイ

スタスタスタッ

男「…よし、『口』に自由が戻った。予定通り、表の世界の俺たちはここの駅から歩いて水族館に行くみたいだな。…ん?どうした女?」

女「…楽しそうだったね…電車の中での表の世界の私たち。会話もすごく盛り上がってたし。」

男「…! …まあな。初デートなんだしお互い楽しいだろうな…」

女「…でもあの2人はどっちも裏々の世界にいた私たちなんだよね。」

男「…ああ。」

女「…て、ことは私が昨日告白した男は…」

男「…裏々の俺だな…」



74 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:23:21 ID:KboOGec2

女「…だよね…。 …なんか複雑。 …男はいつこっちに入れ替わってきたの?」

男「…2週間前だ。」

女「…そっか…。結構最近なんだね…」

男「…まあな。」

女「…ねえ、男?」

男「…ん?」

女「…私たち、どうなっちゃうの?このままこんな不自由な世界でずっと生きていかないといけないの?」

男「…それは…」

女「…どうして…どうしてこんなことになっちゃったんだろ…」

男「…女。」

女「…悲しいのに涙出ないんだね…これも鏡の世界だからなのかな…」

男「…女、そんな落ち込むな。ちゃんと表の世界に戻る方法はある。」

女「…! ほんと!?」



75 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:24:03 ID:KboOGec2

男「…ああ。だけど、その戻る方法を教える前に、お前にはまずこの鏡の世界についてしっかりと理解してもらう必要がある。」

女「…! うん、分かった。…確かに今はまず、この世界について理解することが先だよね。…あっ、ねえ男、ふと不思議に思ったことがあるんだけど聞いていい?」

男「何だ?」

女「この裏々の世界には私たち以外にも、今周りにたくさん人がいるじゃない?電車の乗客や駅員さん、あとほら、そこの私たちと同じように水族館に向かって歩いてる他のカップルや家族連れとか。」

男「ああ。」

女「その人たちの会話を聞いてたらさ、ごく普通の会話と言うか…表の世界の人たちとなんら変わらなさそうな会話をしてるみたいなんだけど…ほら!そこの親子、今赤ちゃんに高い高いしてあげてるでしょ?それで、あのお父さんは高い高いの動きをしながら『たかいたかい~い』って言ってて、私たちと違って口と体の動きが一致してるというかなんというか…」

男「ああ、そういうことね。あの親子は『自我』を持っていないだろうからな。だから、反射物に映っていないところでも、表の世界の自分と全く同じ行動になっているんだ。」

女「…『自我』?」



76 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:24:47 ID:KboOGec2

男「ああ、『自我』だ。鏡の世界では『脳』と『口』が唯一許された自由だってことはさっき話したよな?」

女「うん。」

男「でも、それは『自分が鏡の世界の住人だということを自覚した上』での自由なんだ。だから、それを自覚できない限り、脳と口が使えることに気付けない。」

女「鏡の世界の住人だという自覚?」

男「ああ、自分が鏡の世界という異端な世界の住人で、表の世界の自分とはまた別の存在だということに気付けば、脳と口が使えることに気付ける。そしてそれに気付いた人間は反射物に映る直前に耳鳴りがなるようになる。っていうわけだ。」

女「…ここが鏡の世界の中だということに気付けば表の世界の自分とは別の思考が出来るようになって、それによって『自我』が生まれるっていうことね…するとあの親子は?」

男「…あの親子は自分たちが鏡の世界の住人だということに気付いていないから自我も持っていないのだろう。だから、表の世界の自分と同じ言動になっているんだ。」

女「…そっか。…そうなんだ。」



77 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:25:41 ID:KboOGec2

男「…女、お前もしかして今あの親子のことを哀れんだか?」

女「…え!? …それは…まあ…。…だって鏡の世界だとしても自我を持てば、少しだけ自由がもらえるんだし…」

男「…気持ちは分からんでもないが、真実に気付かないほうが幸せなこともあるんだぞ、女。」

女「…どういうこと?」

男「もし、今からあの親子にこの世界の真実や表の世界の存在について教え、自我を持ったらあの親子はどうなると思う?」

女「…え?どうなるって…?」

男「『私たちも表の世界に行きたい』って思うようになるだろ?そしてあわよくば入れ替わりを試みようとするだろうな。」

女「…あっ」

男「そして、『表の世界』のあの親子が『俺たちと同じ状況』に巻き込まれるんだ。」

女「…。」



78 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:26:29 ID:KboOGec2

男「しかもそれだけじゃない。その小さな『自由』を得ることが大きな『不自由』を抱えることにも繋がる。」

女「『不自由』?」

男「ああ。もしも自我を持ってしまったら、体が自分の意志で動かすことが出来ないことにも気付くだろ?」

女「…!」

男「それまでは自分の意志で動かしていたと思っていたものが本当は『表の世界の自分』のコピーでしかなかったなんて夢にも思わないだろう。その『意志』と『体』の不一致によって以前よりも不自由に感じてしまう。」

女「…それが『小さな自由が大きな不自由』ってこと…」

男「そう。だから、この世界の人々は真実を知らないほうがいいんだ。『表の世界の自分自身』のためにも、そして『自分自身』のためにも。」

女「…でも……だけど…」

男「…。」



79 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:27:29 ID:KboOGec2

女「…ううん、ごめん。何でもない。…でも、この世界に自我を持っている人はどれぐらいいるの?」

男「…さあな、俺も詳しくはまだ分かってないが…『ほとんどいない』と言っていい。」

女「…え?ほとんど?」

男「ああ。俺の知る限り、この裏々の世界で自我を持つことに成功したのは『俺とお前』、そして元々この世界にいた『裏々の俺とお前』だけだ。」

女「…そんな。…それは本当なの?」

男「…ああ。 …あと…。」

女「…ん?」

男「…あっ、いや、やっぱり何でもない。」

女「…? …ん?待って。元々この裏々の世界にいた裏々の私と男は自我を持っていたから入れ替われたんだよね?」



80 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:28:18 ID:KboOGec2

男「ああ。そうなるな。自分たちが裏々の世界の住人だと気付き、自我が生まれ、さっき話した入れ替わりの条件が揃ったから入れ替わりが出来たんだ。」

女「じゃあ、裏々の私と男はどうやって、自分たちが鏡の世界の住人と気付き、自我を持つことが出来たの?」

男「…おそらく、2人とも『自力』で自我をもったんじゃない。」

女「…自力じゃなかったらどうやって?」

男「…鏡の世界の住人が、自分自身が鏡の住人だと気付き、そして自我を持てるようになるための方法が2つある。」

女「2つ?」

男「ああ、一つ目が『自我を持っている人間に教えてもらう』という方法。例えば今の俺やお前が、あの親子にこの世界のことを教えてあげることによって、あの親子は自我を持つことが出来る…みたいにな。」

女「それがさっき言ってたやつだよね。」

男「ああ。そして2つ目は…『表の世界のオリジナルが鏡の世界のことの存在を知る』という方法だ。」



81 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:29:29 ID:KboOGec2

女「…オリジナル?オリジナルって何?」

男「『オリジナル』ってのは俺やお前みたいに、表の世界で生まれ育った者のことを指す。」

女「『主』とは違うの?」

男「ああ。『主』は『今現在、表の世界に居る者のこと』を指すんだ。」

女「…じゃあ、私と男は『オリジナル』で、今表の世界に居る裏々の私と裏々の男が『主』ってこと?」

男「そうだ。『主=オリジナル』という状態が普通なんだが、俺たちみたいに入れ替わった場合、その『主』の立場も入れ替わる。」

女「…そうなんだ。」

男「話を戻すぞ。表の世界のオリジナルが、鏡の世界の存在や今まで俺が話したような鏡の世界のルールを知ることによって、その知識は裏、裏々、裏々々といったそれぞれの鏡の世界に存在する自分自身に連動的に共有される。それによって得た知識から、彼らは『自分は鏡の世界の住人だ』と気付き、そして自我を持てるようになるんだ。」

女「…なるほど。…でも、私は表の世界にいた時に鏡の世界のことなんて全く知らなかったから、『裏々の私』は誰かから教えてもらって自我を持ったんだよね?」

男「…そうなるな。」

女「…でも、誰n…男「裏々の俺だよ。」

女「…!?」

男「『裏々の俺』が『裏々のお前』に鏡の世界のことを教え、自我を持たせたんだ。」



82 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:30:19 ID:KboOGec2

女「…! …裏々の男…が?でも、その裏々の男はどうやって自我を…」

男「…それは…。」

男「…俺が表の世界にいた時に…正確には半年前に鏡の世界のことを知ったからだ。」

女「…!? …半年前に男が?」

男「ああ。俺は『とある出来事』によって鏡の世界の存在やその世界の住人との入れ替わりの方法を半年前に知った。その情報を知ったことによって、この裏々の世界、いやそれだけじゃなくて『全ての鏡の世界の俺』に自我を持たせることに繋がってしまったんだ。」

女「…そう…なんだ…。 …私ね、ずっと疑問に思ってたことがあったの。『どうして男はこんなに鏡の世界の仕組みとかについて詳しいのだろう』って。」

男「…。」

女「つまり男はその『とある出来事』によって鏡の世界についての知識を得たからこんなに詳しいってことなの?」

男「ああ。」



83 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:30:59 ID:KboOGec2

女「でもその『とある出来事』って一体なんなの!?」

男「…それもまたまた追々話すよ。」

女「…!? …また『追々』…かあ。」

男「…すまん。話すべき時期が来たら必ず話すから。」

女「…うん、分かった。 …とにかく、『裏々男』がその出来事によって『自我』を持つことになって、2週間前に入れ替わりのための『意志』や他の条件が『裏々男』に揃ったから男との入れ替わりが起きてしまった…ってこと?」

男「…いや、入れ替わったのは…」

男「…俺自身の意志だ。」

女「…!? 男自身の!?」

男「…俺自身がその『とある出来事』によって鏡の世界に興味を持ち、鏡の世界に行ってみたいと考え、そして俺は2週間前に学校の旧校舎の鏡で入れ替わりを自分の意志でしてしまったんだ。」

女「…。」



84 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:31:49 ID:KboOGec2

男「…今思えば、俺のその行為はあまりにも愚かだった。そして、その行為は更に最悪なことに女も巻き込む結果になってしまった。…女に入れ替わりが起きたのも俺のせいだ。本当にすまない。」

女「…男。」

男「…でも…いや、だからこそ…俺にお前を何が何でも表の世界に戻す責任がある…女、お前だけでも絶対に表の世界に戻す、だから安心してくれ。」

女「…男。 …ううん!戻る時は2人一緒だよ!絶対に2人で戻ろうね!」

男「…女…。 …ああ、そうだな、二人で戻ろう!」


男「…っと、もう水族館に着いたみたいだな。これからしばらくはあまりしゃべれないと考えた方がいいな。水槽のガラスが反射体になっているから。」

女「ほんとだ。…ねえ、そういえば、その反射体ってのは鏡や窓ガラスだけなの?」

男「いや、俺が言っている反射体ってのはあくまで『反射率』が高いものを言っているんだ。反射率ってのはその文字通り、光を反射する率のこと。つまりこの反射率が高ければ高いものほど、光を多く反射する。つまり、より一層像がくっきりする。分かるか?」

女「うん。」



85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:32:22 ID:KboOGec2

男「でも、地球上の多くの物質は光を反射する性質を持っているんだ。そこらへんの石ころも木もアスファルトも。一応反射率が何%かあるんだ。でも、俺たちは今それらに囲まれていてもしゃべれているだろ?」

女「うん、確かに。」

男「つまり、反射率が低いものに映ったとしても喋っていられるんだ。じゃあ、その喋れるか、喋られないかの境い目はどこかといったら、アバウトになるがおそらく反射物に映った自分の像が自分の顔などがくっきり映っているかどうかというところがポイントになるだろうな。」

女「…本当にアバウトなんだね。」

男「あはは。まあ、たとえば光沢のある黒いタイルとかの前に立ったらそのタイルに自分の像がぼやぁっと映るけど、ぼやぁっとしてるだけで自分の姿はくっきりと見えないよな。つまり、この場合だと喋れる。」

女「なるほどね。まー、とにかくよく光を反射するものじゃなかったら喋っていられるってことね。」

男「ああ。そんな認識でオッケーだ。…っと、チケットを買い終えて今から水槽のほうへと行くみたいだな。」

女「…みたいね」

男「今からしばらくはまた我慢タイムだ。それじゃあ、また後でな、女。」

女「うん」

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86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:32:59 ID:KboOGec2

―――――――――――――――――――――――----

女『ねえ!男見て!あの魚、かわいいよ!』

男『そうか~?不細工じゃないか?』

女『え~、ブサかわいいじゃな~い!』

男『あははあ、なんだそれ』

女『ふふ!』

女(…二人とも楽しそうだなぁ…)

女(…私はこうやって見てることしかできないのかな…)

女『…あっ!ねえ見て見て男!あの魚まるで…』

女(…あっ、あの魚、まるで…物理の…)

女『物理の先生みたいな顔してない!?』

女(…!? …私と全く同じ感想を…)



87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:33:45 ID:KboOGec2

男『…いやいや、似てないだろ…』

女『え~、嘘~!似てるよ~!』

男『…似てるところって体が細いところだけじゃん。』

女『えへへ、まあそうなんだけどね~。』

男『あはは、適当だな~女。』



女(…そっか、『裏々の私』も『私』であることには変わらないんだ…。だから、さっきみたいな感性だったり、言動もいつもの私とほとんど変わらないんだね…)

女(…しかも、私は男が2週間前から『裏々の男』に変わっていることに気付くことが出来なかった。)

女(…そう。今、表の世界にいる『裏々の私と男』は私たちとは『別の存在』だけど、紛れもなく『私』と『男』なんだ。)


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88 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:34:25 ID:KboOGec2

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スタスタスタッ

男「楽しかったな~、水族館」

女「…いやいや、表の世界の2人が盛り上がってただけじゃない。」

男「まあ、女。時には『割り切る』ことも大切だぞ。」

女「『割り切る』って…私、こっちの世界に来てまだ1日も経ってないんですけど…」

男「あはは、確かに。」

女「それに、暗くてよく見えなかったし…魚。こんなことになるんだったら遊園地にしとけば良かった。」

男「はは、違いない。遊園地だったら周りに反射物が少ないだろうから俺たちも喋れたのにな。」

女「…ねえ、男。」

男「ん?」

女「男は2週間前に入れ替わったんだよね?」

男「…ああ。」



89 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:35:05 ID:KboOGec2

女「…じゃあ、今、表の世界にいる『裏々の私』とも2週間はある程度喋ったことがあるんじゃないの?」

男「……ああ、あいつとも何回か喋ったよ。」

女「やっぱり…。どんな子だった?」

男「どんな子って…お前であることには変わらないよ。」

女「そう…だよね。 じゃあ、その子と鏡の世界のこととかについてとかの話をしなかったの?」

男「ほとんど話さなかったな。あいつも俺が表の世界から来た男ってことに気付いてなかったみたいだし。」

女「…え?『気付かなかった』? じゃあ、男からも『俺は表の世界から来た』ってことを言わなかったの。」

男「ああ、言ってない。もし言ったら、裏々の女が『じゃあ私も』ってことで入れ替わりに躍起になってしまうかもしれないし、もしそうなったらお前に迷惑がかかると思ってな。」

女「そう…。」



90 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:35:46 ID:KboOGec2

男「だから、俺はあいつに入れ替わりを勧めるようなことはしてないんだ。あいつはおそらく半年前に裏々の俺から鏡の世界のことを教えてもらい、自我が生まれた。その時に入れ替わりの方法についても知ったはずだ。でも入れ替わりについては半信半疑だったんだろう。けど、今朝、たまたま入れ替わりのチャンスがめぐってきて、そしてやってみたら偶然にも成功した…って流れだろうな。」

女「…そういえば、あの子、『まさかこんな偶然があるとはね』って入れ替わった直後に…」

男「…あいつもそう言ってたのか。とにかく俺はあいつは鏡の世界についてなどは一切話さなかったよ。あいつとは『表の女がね~』とか他愛もない話とかばっかりしてたわ、あはは。」

女「…そう…。 …でも…。」

男「…ん?」

女「…でも、不安じゃなかったの男は!?こんな世界に一人で迷い込んで、自由もほとんど効かないこの世界に戸惑わなかったの!?」

男「…それは勿論最初は戸惑ったさ。でも俺には元々予備知識があったし…それに裏々の女もいたしな…」

女「…裏々の私…。 …ねえ、男。」

男「ん?」

女「もしかして『裏々の私』のほうが…好きだったり…するの?」



91 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:36:30 ID:KboOGec2

男「…! …あはは、そうだな。まあ確かにお前もあいつも『女』であることには違いないし、最近一緒に過ごしてたのはあいつだ。」

女「…。」

男「…でも、俺が好きなのは中学からずっと『表の世界』で一緒に過ごしてきたお前だよ。」

女「…お、男。」ホッ

男「じゃあ、逆にお前はどうなんだよ?」

女「…へ?私?」

男「うん。お前、昨日、『表の世界』で『裏々の俺』に告白してたけど、どっちが好きなんだよ?」

女「…! …そ、それは///」

男「ん?」

女「…た、確かに私が告白したのは裏々の男だったけど、私も男と同じで、好きなのはずっと『表の世界』で一緒だった男よ!///」

男「…そっか、それ聞いて安心したよ。」ニコッ



92 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:37:04 ID:KboOGec2

女「…男。 …あっ、もう電車に乗るみたいだよ。」

男「おっと、ほんとだ。このままあいつら帰るのかな?」

女「だとしたら…今日はもう…」

男「昼飯も水族館で食ったし、時刻ももう15時ぐらいだしな…まあ向こうの駅に着いてからも家に帰るまではある程度一緒だろうから安心しな。」

女「…だといいんだけど…。」



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93 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:37:55 ID:KboOGec2

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スタスタスタッ

女「どうやらこの道順は今から公園に行くみたいだね。」

男「みたいだな。」

女「あ、お昼の話に戻るんだけど、お昼ご飯の時は違和感が凄かった…ご飯食べる時は『自分で』噛まなくてもいいんだね。というか、反射物に映ってないのに勝手に口が動くなんて…」

男「あはは、まあな。あくまで『口』の自由ってのは『話す』ことにのみ自由が効くみたいで、ご飯だとか飲み物を口に入れるときは自由が効かなくなるな。でも視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感はちゃんと働くから味は分かっただろ?」

女「うん。…でも、何で『口』と『脳』だけ自由なんだろ…どうせなら手足も自由にしてくれたらいいのに…」

男「あはは、そんなことしたら鏡の世界の住人が動き放題になってしまうじゃんか。」

女「いいじゃない、動き放題になっても。」



94 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:38:55 ID:KboOGec2

男「そんなことになったら、表の世界のやつが驚くだろ?鏡、もしくは合わせ鏡に『自分の姿が映ってない!!』って。」

女「まあ…そうだけどさ。」

男「もし、『足』や『手』が動かせることになってしまったら鏡の世界の住人が『鏡に映らずにどかに行ってしまう』ということになってしまう。でも人は『口』と『脳』だけでは体をその場から動かすことが出来ない。だから『口』と『脳』だけがある程度自由なんだろうな。」

女「ふ~ん…なるほどね。 …あっ、公園に着いたみたい。」

男「…お、ベンチに座るのかな?…よっこらしょっと。ってあっちの俺も言ってるかな?」ストンッ

女「…ふふ、今の男、おじさんみた~い」

男「え?そうか?」

女「そうよ~」



95 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:39:35 ID:KboOGec2

男「…でも良かった。」

女「え?何が?」

男「…女、今日初めて笑ったな。」

女「…え? …嘘、今私、笑ってるの?表情もほとんど自由が効かないんでしょ?」

男「…まあ、表の世界にいる『裏々女』の笑っている表情が反映されてるってのもあるけど、今の女の口調は楽しそうだったよ。まるで笑ってるみたいだった。」

女「…そう…。でも、今男も笑ってるよ。まあ正確には表の世界にいる『裏々男』が笑ってるんだろうけど…。」

男「あはは、だろうな。くそー、あいつら楽しそうに会話してるんだろーなー。」

女「…だろうね…。 …ねえ、男。」

男「ん?」

女「…私も今すぐに笑いたい。」

男「…!」



96 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:40:22 ID:KboOGec2

女「今すぐにでも男と一緒に自由に笑いたい!笑い合いたい!」

男「…。」

女「…だから…だからそろそろ教えて!表の世界に戻る方法を!!」

男「…女。」

男「…ああ、分かった。教えるよ。…実は『表の世界』に戻る方法は『2つ』ある。」

女「…2つ!?」

男「ああ。その2つはどちらも『入れ替わり』による方法なんだ…でも、今すぐには出来ない。」

女「え?どういうこと?」

男「実は一度入れ替わりをしたら、『1週間』入れ替わりが出来なくなるんだ。」

女「…1週間?」



97 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:40:58 ID:KboOGec2

男「ああ。入れ替わりは連続して出来ない。おそらく入れ替わりの乱発を防ぐためのブランク的なものだろう。」

女「…1週間のブランク…じゃあ私が次に入れ替わりが出来るのは?」

男「…来週の『2月22日の午前10時』頃になるな。」

女「…そんな。」

男「…そう、だから今焦っても入れ替わりが出来るのは来週になるんだ。それまではこの裏々の世界で過ごさないといけない。それを覚悟してくれ。」

女「…1週間も。」

男「…それじゃあ、本題の『表の世界』に戻る方法についてだが…」

女「…うん。」

男「まず、一つ目は『合わせ鏡による入れ替わり』だ。これは分かるな?」

女「…! …私が『やられた方法』だよね?」



98 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:41:49 ID:KboOGec2

男「ああ。朝にも話したが、合わせ鏡の状態で『場所』『閏年』『意志』などの条件が揃った場合にのみ起きる現象だ。」

女「…」

男「…でもこの『合わせ鏡による入れ替わり』の方法の成功率は限りなくゼロに近いな。」

女「…え!?どうして!?」

男「やっとの思いで、『裏々の世界』から『表の世界』にやってこれた奴がそんなシチュエーションを創り出すと思うか?」

女「…! …そっか。」

男「おそらく今の表の世界にいる裏々女、あと勿論裏々の俺もこの『合わせ鏡の入れ替わり』の状態を創り出さないように細心の注意を払っているはずだ。」

女「…普通考えればそうだよね…。じゃあ、その方法は厳しいか。」

男「ああ。」

女「…じゃあ、もう一つの方法は何なの!?」

男「…2つ目の方法は実は『合わせ鏡による入れ替わり』よりもかなり簡単なんだが…」



99 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:42:37 ID:KboOGec2

女「…え?簡単なの!?」

男「…でも、問題もあるんだ…」

女「…問題?…とにかくその方法っていったい何なの!?」

男「…それは…」







女「…………待って男。」

男「…ん?どうした女?」

女「私たちの顔、さっきからどんどん近づいてない?」

男「…! …言われてみれば…話に夢中だったから…」



100 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:43:12 ID:KboOGec2

女「…! …ちょっと!?急に真っ暗になったんですけど!?」

男「おい!お前目瞑っちゃってるよ!!」

女「ねえ!もしかしてこの雰囲気って!?」

男「…あれしかねーだろ…」

女「ちょっと本気なの『あの子たち』!!」

男「あっ!やばい!女!覚悟を決めろ!」

女「へ!?…んっ/////」


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101 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:44:36 ID:KboOGec2

―――――――――――――――――――――――----

男「…大丈夫か?女?」

女「…体の自由は効かないくせにストレスは溜まるのね…」

男「…は、ははは……。」

女「…私の…私のファーストキスが…」

男「…でも、まあ相手は俺だったんだしいいじゃんか、な?」

女「そういう問題じゃないの!!!!!」

男「…ご、ごめん…。」

女「…ったく…ムードもへったくれもないわよ…」

男「…まあ…確かに…。」



102 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:45:11 ID:KboOGec2

女「…! …やばい!そろそろうちのマンションだから別れるみたい!」

男「…あっ…ぐだぐだと話してたら…」

女「ちょっと!『ぐだぐだ』ってキスのこと!?」

男「…あっ、いや、別にそういう意味では… …とにかく、表の世界に戻る方法についてはまた次に会ったときに話すよ。」

女「…分かってるわよ。」

男「あと、むやみやたらに家族に話しかけるなよ!ちょっとした会話でも『自我』を生み出すきっかけになるかもしれない!『表の世界』の『裏々の女』に会話を合わせろよ!」

女「…分かった。 …ん?ちょっと!『あの子』と会話を合わせるってどうやるのよ!?」

男「なあに、『裏々女』もお前なんだから、いつもどおりお前で話したらいいんだよ!まあ、多少会話がずれても大丈夫だ!」

女「でも…」

クルッ

男「…おっと、表の世界では話が終わったみたいだ!それじゃあな女!!」タッタッタ

女「ちょっと男!!」

タッタッタッタ

女「…行っちゃった…。」

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103 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:46:08 ID:KboOGec2

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スタスタッ

女(あっ…マンションに着いたみたい。)

キィーーーーーン

女(…耳鳴り!? …! …そっか、うちのマンション玄関がガラス張りだから今朝、エレベーターから降りた後も少しの間、喋ることが出来なかったのか、そして今も…)

女(…でもこのままエレベーターに行ってくれればもしかしたらチャンスが…)

女(…! 駄目だ!やっぱり『この子』階段に向かってる…っ!)

女(…ってことはあのエレベーターでの入れ替わりは無理と考えたほうがいいか…)

女(…でもこれからしばらく毎日ずっと階段になるのかぁ…うちの部屋は10階だから相当ヘビーだよぉ…しんどさも反映されるんだからこっちのことも考えてよね…)

女(…まあ、ダイエットになるからいっか…って何のん気なこと考えてるのよ私…)



104 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:46:45 ID:KboOGec2

管理人『あっ、1002号室の女ちゃんじゃないか。お帰り~。』

女(…あっ!管理人のおじいさん!?あいさつしないと…って、今はガラス張りの玄関の前だから私は喋れないのか…)

女『こんにちは、管理人さん。』

管理人『あれ、今日は階段で上がるのかい?しんどくないかい?』

女『えへへ…実は最近そっちの左側のエレベーターが気味悪くて…。』

女(…気味が悪い…かぁ…)

管理人『ん?気味が悪い?おばけでも出たのかい?』

女『出てはないんですけど…なんかこう…薄気味悪いというか…』

管理人『へ~、そうなのかい。…あ、そういえば、他の人も今の女ちゃんみたいなこと言ってたな~。誰かに見られてるような気がするとか何とか…。』

女(…! …じゃあやっぱりあのエレベーターには何か霊的な…)



105 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:47:20 ID:KboOGec2

女『それ!それなんです私も!あのエレベーター絶対に何かおかしいですよ~!』

管理人『はっはっは。私はまあこのマンションはまだ建ってから5年ぐらいしか経ってないし幽霊がいるなんてことはあんまり信じられないけどね。』

女『こういうのは理屈じゃないんですよ!管理人さん!』

管理人『はいはい。まあ、階段での上り下りは女ちゃんにとってはダイエットにもなるだろうし調度いいんじゃないかい?』

女『ちょっと管理人さん!女の子にそういうこと言うのは失礼ですよ!』

管理人『あはは、すまないすまない。まあ、無理はしないようにね。』

女『は~い。それじゃあ管理人さん、さよ~なら~!』

管理人『はい、さようなら。』


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106 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:48:11 ID:KboOGec2

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ガチャ

女(うちの玄関には反射物はないから自分で言わないと…)

女「…ただいまー」

スタスタッ

母「おかえりなさ~い。どうだったのデート?」

女(…お母さんに自我を持たせるわけにはいかない。いつもどおりの『私』で話さないと…)

女(…思い出せ、今日のデートを。水族館や電車の中での『あの2人』の会話を…)

女(それをいつもの『自分の口調』で話すんだ。『私』ならおそらく…)

女「…すごく楽しかったよ~!水族館も空いてて快適だった!」

母「ふふ、良かったわね。それじゃあ、もう夕飯用意出来てるから部屋に荷物置いてらっしゃい。」

女「は~い」



107 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:48:46 ID:KboOGec2

スタスタッ

女(よし!自分の部屋に向かってる!今の会話で問題なし!)

ガチャッ

女(…でも、これからもこれが続くと思うと…)

ガサゴソ

女(…ん? バッグから何探してるんだろ『この子』?)

キィーーーーーン

女(…耳鳴り!? もしかして…手鏡!?)

ヒョイッ

女(…やっぱりそうだ!でも手鏡なんてもってどうするの『この子』…)


女『…安心してね。』


女(…安心? どういうことだろう…)



108 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:49:28 ID:KboOGec2

スタスタッ

ガチャッ

女(リビングに入った…)

コトッ

女(…!? リビングの角に鏡を!?)

女(これじゃあ、リビングにいる限り私は…)

女『ね~、お母さん、ここに鏡置いてい~い?』

母『ん?別にいいけど何で?』

女『最近朝弱いからさ~、もしもの時のために朝、ここでご飯食べながら髪の準備とかするため!』


女(…本当にそれが理由なの…?)



109 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:50:12 ID:KboOGec2

母『あんたが早く起きればそんなもん置く必要ないじゃない。』

女『ま~、そうなんだけどさ~、でもいいでしょ?』

母『別にいいわよ~。…あ、朝と言えば、今日間に合ったの?』

女『うん!ギリギリ!』ニヤッ

母『も~、あんまり男くんに迷惑掛けるんじゃないわよ~』

女『分かってるよ~。あっ、あとお母さん、玄関にも姿見様の鏡置いてよ~!』


女(…玄関にも!? …っ! もしかして…)



110 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:50:44 ID:KboOGec2

母『え~?姿見の鏡は確か押入れにあったと思うけど…でも何で?』

女『え~、玄関にも鏡があったほうが便利じゃない?』

母『ま~、昔は玄関に置いてたしね~…まあ女の好きにしなさい。』

女『やった~!ありがとうお母さん!』

母『はい、それじゃあ夕飯冷めちゃうから食べましょ。女もいつまでも立ってないで座りなさい。』

女『は~い』ガタッ

女・母『いただきま~す』



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111 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:51:21 ID:KboOGec2

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女『ごちそうさま~』

スタスタッ

ガチャ バタンッ

スタスタッ

ガチャ バタンッ

女(…私の部屋に戻ってきた。)

女(私の部屋には鏡とかないからちょっとは自由に…)

スタスタッ

女(…! どうしたんだろ『この子』、窓辺に近づいt…まさか!?)

キィーーーーーン

女(…耳鳴りってことは!?)



112 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:52:30 ID:KboOGec2

シャーッ

女(…!? …やっぱり『この子』、カーテンを…)

女『ふふ、夜の窓は光をよく反射するからね。てか、今朝、寝坊したからってカーテンを閉めっぱなしにしておくのはどうかと思うよ。』

女(…!?)

女『ふふ。リビング、玄関、洗面所、自室、これで、この家の中であなたが喋れる場所はほとんど無くなった。どう?『喋る自由』もない苦しみは?』

女(…っ。)




女『…な~んてねっ! ふふっ!ビックリした?』ニコッ

女(…! …やっぱり『この子』…)



113 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:53:52 ID:KboOGec2

女『まあ、オリジナルの『あなた』なら気付いてるか~。リビングや玄関に鏡を設置させたのは『私』と『あなた』の『喋り』を合わせるためってことに。』

女(…。)

女「さすがに元『主』でかつオリジナルの『あなた』でも、私と一字一句『喋り』を合わせることは出来ない。その『ずれ』によってお母さんたちが自我を持つことになってしまうかもしれないしね。だから、鏡を各所においてこっちから強制的に同じことを話させるために、そして『裏々の世界』のお母さんやお父さんに自我を持たせないためにリビングと玄関に鏡を置かせてもらったの。』

女(…確かに私が両親と会話をする場所はリビングと玄関ぐらいだもんね。)

女『…まあ、『裏の世界』や他の鏡の世界の人たちからしたら凄く迷惑かもしれない、それは本当にゴメン…』

女(…他の鏡の世界の人たち? もしかして他にも自我を持った私がいるっていうの!?というか、こんなに鏡の世界のことについて連発して言ったら、たとえ自我を持っていない『他の私』でもこれをきっかけに自我を持ってしまうんじゃ…!?)

女『…でも。』



114 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:54:46 ID:KboOGec2

女(…?)

女『…それでも、やっぱり私の本当のお母さんとお父さんは『裏々世界の2人』だから…。』

女(…! …やっぱり『この子』も『私』なんだ… …お母さんとお父さんが大好きなんだよね。 …でも、じゃあ何で…)

女『…じゃあ何で両親を放って、自分だけ抜け駆けしたの?…って思ってるでしょ?』

女(…!)

女『まあ、それだけはオリジナルのあなたには分からないだろうな~。いや、ちょっとは分かるかもしれないけど、根本からは理解できないと思うよ。今の時点じゃ。』

女(…今の時点?)

女『まあ、お話はここまで!…あ!さすがにこの部屋でも自由が無いのは鏡の世界のみんなに申し訳ないからカーテンはこれからはずっと閉めておきま~す!だから安心してね!』

女(…! でもそれじゃあ…)



115 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:55:20 ID:KboOGec2

女『…あっ!それと、もしこの部屋にお母さんが来ても、すぐに予備の鏡を出せるように準備しておくから安心してねオリジナルの私!それで会話がずれることは多分ないから!』

女(…お見通しかぁ…)

女『それじゃあね~!』

シャァーーッ

女「…! 口に自由が… でも口が自由になっても…」


女「…『話し相手』がいないんじゃなぁ…。」


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116 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:56:00 ID:KboOGec2

―2012年/2月/16日/香川/ @ 1週目―――――――――――----


スタスタッ

女(…昨日はなんとか切り抜けられたけど今日からどうしよう…)

女「はぁ…」

オ~イ!!

女「ん?男の声?」

タタタッ

男「よ~、女。昨日はよく眠れたか?」



117 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:56:41 ID:KboOGec2

女「不安で眠れなかったわよ!!…って言いたいところだけど、ぐっすり眠れたわ。」

男「あはは、やっぱりそうか。」

女「こっちが頭の中で色々考え事してるのに、強制的に眠らされるのね…」

男「まあな。表の主が眠くなればそれが鏡の世界の住人にも連動するからな。」

女「やっぱりそうなんだ。」

男「…で、昨日家に帰ってからはどうだった?」

女「それが…」

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118 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:57:23 ID:KboOGec2

―――――――――――――――――――――――----

男「…なるほど。『裏々女』も気がきくじゃんか。」

女「まあ、そうなんだけどさ…」

男「まあ。そこまでしなくても大丈夫だと思うんだけどな。まあ、念には念をってことなんだろう。」

女「…?」

男「まあ、とは言っても、とりあえずいつも通りの自分でいけよ。」

女「でも、表の世界の自分と話を合わせるなんて難しいよ…。」

男「まあ、コツとしては『何も考えない』ことだな。考えすぎると逆に喋りづらくなる。それに、ちょっと、会話がずれたぐらいで自我は生まれないから安心しろ。」

女「…でも、例えば、『主』が『そこにあるペンを取って』って友達に言うとするじゃない?それに私が会話を合わせられなかったとしたら、その『裏々の友達』は私に何も言われてないのに『ペンを取る』という行動をとっちゃうんじゃないの?その『裏々の友達』は絶対にキョトンってなるよ。」

男「ああ。それは十分にあり得る。そうなった場合は、その後に『ごめん、ペンを取ってって言ったんだ~』とか言ってアフターフォローで頑張るしかない。」

女「アフターフォローって…」



119 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:58:12 ID:KboOGec2

男「だーかーら、あんまり考え過ぎんな。お前と裏々の女は『99%』同じなんだ。こう言うのも何だか変だが『自分』を信じろ、な?」

女「はあ…」

男「おっと、俺の教室は1階だし、そろそろお別れだな。そんじゃあな!」

女「あっ!男! …はあ、やっていけるのかな私…。あっ、そういえば、入れ替わりのもう一つの方法を男に聞くの忘れてた…。」

女「…もう嫌…。」

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120 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 22:59:09 ID:KboOGec2

―2012年/2月/21日/香川/ @ 1週目―――――――----

【-女の自室-】

女(…この1週間、『主』と会話を合わせるってのは何とかやって来れた…)

女(…『裏々の私』も他人と喋るのを控えてくれてるみたいだし…)

女(…でも、結局あれからはろくに男と喋れてない…)

女(…学校の中でもあんまり会えないし、会えたとしてもうかつに鏡の世界のこととか学校の中で喋れないだろうし…

女(土日もお互い部活で会えなかったし…)

女(…そういえば、15日に『裏々の私と男』が『あんまり会わないでおこう』って言ってたなぁ…)(>>55)

女(携帯での連絡もメールだけだし…電話をしてさえくれれば…)

女(とにかく、明日で『あの入れ替わり』から1週間が経つのに…明日から入れ替わりが可能だっていうのに……どうしたら…)



121 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:00:23 ID:KboOGec2

女(…早く…)

女(…早く戻りたいのに…)

女(…早く表の世界に戻りたいのにっ!!)

prrrrrr prrrrrr

女(…!? 男から電話だ!!)

女(…でも鏡の世界で電話って繋がるのかな?)

女「…はい、もしもし」

男『あ、女か。』

女「…表にいる『裏々男』じゃないよね?」

男『はは。違うよ、こっちに今いる『オリジナルの男』だよ。』



122 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:01:03 ID:KboOGec2

女「…そっか、なら良かった。でも鏡の世界でも電話って繋がるんだね。」

男『まあな。いやあ、それにしても『裏々の俺』がお前に電話かけてくれて助かった。』

女「そうだね。…そういえば男の部屋には反射物はないの?」

男『ああ。反射物はないからこうやって喋れてるんだ。』

女「そっか。ラッキーだね。」

男『ははは、ラッキーだな確かに。…ところで、お前がこっちに来てから明日で1週間経つよな。』

女「…! …うん。」

男『この前言いそびれたもう一つの『入れ替わりの方法』を『あいつら』が電話を終えるまでに伝えておく。次、いつこうやって電話できたり、会えたりできるか分からないからな』

女「…そうだね。」

男『それじゃあ、言うぞ、もう一つの入れ替わりの方法は…』

女「…うん。」



123 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:01:53 ID:KboOGec2

男『…っと、その前に、女、お前、こっちに来てから反射物を見たことはあるよな?』

女「…はい? それがどうしたのよ、そんなことより早く入れ替わりの方法を教えてよ。時間ないでしょ?」

男『それを教えるために確認しないといけないんだよ。…で、見たことはあるよな』

女「…そりゃあるわよ、当たり前じゃない。毎日、洗面台の鏡の前で『あの子』が髪とかセットするんだし」

男『あはは、だろうな。それで、お前が反射物を見ていたその時、その目の前の反射物には『誰』が映っていたと思う?』

女「…誰がってそりゃあ今、『表の世界』にいる『裏々の私』じゃないの?」

男『…目の前の反射物の像は反転してるのにか?』

女「…! 確かに…反射物には反転した私の姿がいつも映ってる…じゃ、じゃあ誰なのあれは?」

男『それは『裏の世界』のお前だ』

女「え、裏の?」



124 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:02:46 ID:KboOGec2

男『ああ。実は、こっちの『裏々の世界』の反射物には裏の世界の像が映し出されていているんだ。』

女「そうなんだ…反射物には裏の世界の私が映っているってことは分かったけど、それが入れ替わりと何の関係が?」

男『…実は元々表の世界にいた、つまりオリジナルの人間には『特権』というものがある。』

女「特権?」

男『ああ、『オリジナルが表の世界以外にいる場合、反射物に対して念じれば、表の世界に近い世界へと移動できる』という『特権』がな。』

女「…それって!?」

男『ああ。つまり、鏡の前で念じるだけで俺たちは今より表の世界に近い世界、つまり『裏の世界』に行ける。』

女「でもそれも旧校舎とかの特別な鏡じゃないと出来ないんじゃないの?」

男「いや。これの場合はどんな反射物でも出来る。」



125 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:04:03 ID:KboOGec2

女「え!? それじゃあ、そこらへんにある鏡とかでも出来るってこと!?」

男「ああ。」

女「…そうなんだ。でも、裏の世界になんか行っても…」

男『…じゃあ、『裏の世界』の反射物にはどの世界が映り、どの世界に繋がっていると思う?』

女「…!? …もしかして!?」

男『ああ。『裏の世界』の反射物には『表の世界』が映り、そして繋がってもいるんだ。』

女「…じゃあ、裏の世界に行って、1週間待ってから鏡に念じたら…」

男『ああ。表の世界に帰れる。つまり裏々→裏→表と、一方通行ではあるが反射物を通して移動できる『特権』を俺たちオリジナルは持っているってわけだ。』

女「…でも何でオリジナルにはそんな『特権』が?」

男『おそらく、『世界を元に戻そうとする外的な力』が働いているからだな。』

女「…がい…てき?」



126 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:04:55 ID:KboOGec2

男『俺たちオリジナルはこの『鏡の世界』にとってはイレギュラーな存在だ。だからこそ、そのイレギュラーな存在を出来るだけ迅速に表の世界に戻そうと外的な力が働いてるのかもしれない。そして、そのイレギュラーな存在を表の世界に戻すための一つの手段としてこの『特権』が生まれたんだろう。まあ、これはあくまで俺の推論だ。』

女「…なるほどね…でも、この方法なら合わせ鏡とかのややこしい条件を揃えなくても簡単に表の世界に戻れるってことだよね?」

男『ああ。だから言ったろ?簡単だって。』

女「ほんと!すごい簡単!じゃあ、早速明日しないとね!!」

男『待って女、でも実はこれには問題もあr…』

ピッ

女「…あっ、切れた…タイミング悪すぎ…。男、最期に何を言いかけたんだろ。聞き取れなかったな…まあ明日聞けばいっか!」

女「でもこの方法なら早くて来週の29日には表の世界に帰れるってことだよね!」

女「な~んだ、そんなに悲観する必要もなかったじゃない、ふふ。」

----―――――――――――――――――――――――



127 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:05:43 ID:KboOGec2

―2012年/2月/21日/香川/ @ 1週目―――――――----

【-教室-】

女(今日も登校中に男に会えなかったなぁ…)

女(昨日の話の続きを聞きたかったんだけど…)

女(…え~っと、確か1週間前はエレベーターの中で9時50分ぐらいに入れ替わったんだよね…)

女(その時間は授業中か~、今は9時。10時30分からの2時間目後の休み時間にトイレに行ってくれればすぐにでも出来るのに…)

----―――――――――――――――――――――――



128 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:07:02 ID:KboOGec2

―2012年/2月/22日/香川/ @ 2週目――――――――----

ジャー

女(ふ~…)

女(よし、私が望んだ通り2時間目後の休み時間にトイレに来てくれた。)

女(あとは、洗面台の鏡の前に立ったときに…)

女(…男には結局言って無いけどいいよね。)

女(…男も多分後から来るだろうし。)

女(…ん?でも何で男はこの3週間『特権』を使わなかったんだろ…それに、男、昨日の電話の最後に何か言いかけてたな…)

スタスタッ

キィーーーーーン

女(…!? そろそろ鏡に映るみたい!)



130 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:08:36 ID:KboOGec2

女(…よし!鏡の前に立った!あとはこの鏡に向かって念じるだけ!)

女(…でも、ちょっと不安になってきた。やっぱり、男ともう一度話してから…でも出来るだけ早く戻りたいし…)

女『…ふふ。ちょうどあれから1週間経つね。『特権』を使うのかな?オリジナルの私は?』ニヤッ

女(…!? 完全に見透かされてる!? …でも、この自信は何? 『自分』はもしかしたらあと1週間後には『主』じゃなくなるかもしれないっていうのに!?)

女『でも、やっぱり、ビビってるんだろうな~、何せ『私』なんだから。ふふ。』

女(…っ! …ビビってなんかないわよ!!)

女(…いいわ…やってやるわよ!!私は『あなた』と違うんだってところを見せてやるんだからっ!!)

女(鏡よ…)

女(私を…)



女(私を『裏の世界』へ……!!)


フッ


………
………………
----――――――――――――――――――【起】――



131 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:14:14 ID:KboOGec2

―【鏡の世界でのルール(No.1)】―――――――――----

● 体について
① 体の自由はほとんど効かない。表の世界にいる『主』が絶対的な存在であり、その『主』の行動が鏡の世界の住人にも反映される。(>>57)
② 表の世界で『行動権』を持つ者を『主』、表の世界で生まれ育った者を『オリジナル』という。(>>81)
③ 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感は働く。(>>93)
④ 鏡の世界では『考えること』と『喋ること』が出来る。(>>58)
⑤ 鏡やガラスといった光を反射させるもの(反射物)に表の世界の『主』が映っている場合は鏡の世界の住人は『喋ること』が出来なくなる。『考えること』は可。(>>59)
⑥ 『主』が反射物に映っている時は『主』の『喋る』内容が鏡の住人にも反映される。(>>59)
⑦ 飲食時は反射物に映っていない時でも、表の世界の『主』の口の動きと同化する。(>>93)
⑧ 反射物に、自分の像が映し出されるその5秒前に、脳に合図が走り、『喋ること』ができなくなる。ただし、これは自我を持った人間のみに起きる現象である。(>>60)

● 自我について
① 鏡の世界の人間が自我を持つためには、鏡の世界の人間自身が『鏡の世界の人間』だと自覚する必要がある。(>>76)
② 自我を持つことによって鏡の世界の住人は『考えること』と『喋ること』が出来るようになる。(>>76)

④ 鏡の世界の住人が自我を持つためには『他に自我を持った人間から鏡の世界についてを教えてもらう』もしくは『表の世界のオリジナルが鏡の世界のことの存在を知る』必要がある。(>>80)

----―――――――――――――――――――――――



132 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:15:22 ID:KboOGec2

―【鏡の世界でのルール(No.2)】――――――――----

● 鏡の世界の特徴について
① 鏡の世界は半永久的に存在する。(>>53)
② 鏡の世界は、裏の世界、裏々の世界、裏々々の世界と、表の世界から遠ざかっていくにつれて、明度が小さくなっていく。(>>54)
③  
④  



● 入れ替わりについて
① オリジナルが表の世界以外にいる場合、反射物に対して念じれば、表の世界に近い層へと移動できる。(『特権』による入れ替わり)(>>124)
② 2枚での合わせ鏡の状態を創り出した時、表の世界と裏々の世界の人間が入れ替わりを起こすことが出来る。(合わせ鏡による入れ替わり)(>>48)
③ 入れ替わるのは、あくまで『意識』のみであり、肉体はそのままである。(>>49)

⑤ 入れ替わりは連続して行うことが出来ず、1週間のブランクを必要とする。(>>96)
⑥ 入れ替わりにはどちらかにその『意志』があることが必要となる。(>>51)
⑦ 入れ替わりは閏年の一時期に行える。(2012年は3月21日まで)(>>50)
----―――――――――――――――――――――――



133 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/15(土) 23:16:10 ID:KboOGec2

―【鏡の世界でのルール(No.3)】―――――――――――----






● ○○○○○○○○○○○○○○


③  
④  






○○ ○○○○○ ○○ ○○○○○○○ ○○○ ○○○…
----―――――――――――――――――――――――



140 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:31:17 ID:.QbIjIek

―2012年/2月/22日/香川/ @ 2週目―――――――----

?『私の事は気にしないで…』

………………
………


【-裏の世界-】

女(…!? …意識が戻った。)

女(…!? すごい!本当に反転してる!)

女(…それに裏々の世界よりも明るい!)

女(…よし、とりあえず、私はこっちにこれた。とりあえず男に一度会わないと…)

女(…それにしても…)

女(…さっきの声ってもしかして…)

キンコンカンコーン

女(…っと、チャイムだ。教室に戻らないと…3時間目は物理だっけ…)

スタスタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



141 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:32:24 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

【-教室-】

女(…ヤバい…。文字が全部反転してるから混乱する…。)

女(…思ってた以上にキツいねこれ…授業の内容、ほとんど頭に入ってこないや…)

女(…それにしても、今日の物理の先生、すごいエネルギッシュだなあ…いつもはクールな感じの先生なのに…)

物理「…ってわけだからここの法則は絶対に頭に叩き込んどけよ~、いいな~?」

モブ男「せんせぇ~、こんな授業しなくても『オリジナル』の自分が勝手に覚えてくれるんだからいいじゃないですか~。」

女(…? 今、『オリジナル』って言った? 何でモブ男君がそんなことを?)

女(それに、モブ男君っていつもおとなしい感じの人で、先生とかにタメ口なんてきかないのに…)



142 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:33:13 ID:.QbIjIek

先生「まあそう言うなってモブ男。俺も一応これが仕事なんだし。それに、ずっとぼ~ってしてても暇だろ?」

モブ男「はは、違いないや。」

アハハハハ

女(…!? みんな、今の2人の会話に違和感を感じてない!?何で!?)

女(それにみんな『口』だけ笑ってる…)

女(もしかして…)

女(もしかしてみんな…)

女(…自我を…持っているっていうの!?)

----―――――――――――――――――――――――



143 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:34:03 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

【-昼休み-】

スタスタスタッ

女(…3時間目、4時間目とみんなの様子を見てたけど、やっぱりあれは自我を持っているとしか考えられない…)

女(…誰かに、理由を聞いてみた方が…)

女(…でも、もしそれで自我を持っていなくて、私が自我とかの事を聞く事が、彼らに自我を持たせるきっかけになるかもしれないし…)

女(…だけど、どう考えたってあれは…)

女(…それにみんなの性格も何だかおかしい。いつもおとなしい人がすごいやんちゃで、逆にいつもやんちゃな人がおとなしく…)

女(…まるで…性格が…)

女(…反転してしまったような…)

女(…それにしても、お弁当忘れるなんて最悪。『裏々の私』が寝坊なんてするから…)

女(…はあ…購買にパンまだ残ってるかなあ)



144 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:34:38 ID:.QbIjIek

スタスタッ

女(…ん?あれは…男だ!体操服を着ているってことは体育の後なのかな?)

女「男ー!!」

男「…!? …僕の事を呼び捨て? …もしかして」

女「男!私こっちに来れたよ!でも、色々大変だね裏の世界って。」

男「…君は…もしかしてオリジナルの女か?」

女「!? …え、もしかして、あなた…」

男「…僕は」

男「…この裏の世界の男だよ。」

----―――――――――――――――――――――――



145 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:35:19 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----
(以下『男』→『裏男』に名称変更)

女「!? …え、それじゃあまだ男、こっちに来て…」

裏男「…はあ。何てことだ。『彼女』が言ってたことが本当だったなんて…」

女「…彼女?」

裏男「…君はオリジナルの女で、裏々の世界から『特権』を使ってこの『裏の世界』に来た…ってことでいいよね?」

女「え…う、うん。」

裏男「はぁ…やっぱりそうか…先週から『もしかしたら入れ替わるかもしれない』とは言ってたけど…今、裏々の世界にいる『僕』は何してるんだよ…この子に『特権』を使わせるなんて…」

女「え、え…ど、どういうこと…?」

裏男「…君、こっちに来たのはいつだい?」

女「…2時間目の後の…休み時間…。」



146 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:36:26 ID:.QbIjIek

裏男「…そうか。…それで、入れ替わったときに彼女は何て言ってた?」

女「…え?彼女? …誰、彼女って…」

裏男「…この『裏の世界』に元々いた『裏の女』のことだよ。」

女「…!? …じゃあ、あの時の声って…」(>>140)

裏男「…で、何て言ってか覚えてるかい?」

女「…え、うん。『私の事は気にしないで』…って。」

裏男「…!! …あの子は…全くどうしていつも…。」

女「…男?」

裏男「…僕の事は『裏男』って呼んでくれていい。そっちの方が君も区別しやすいだろ。そして、僕も君の事を『表女さん』って呼ばせてもらう。」

女「…!? …わ、分かった。」



147 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:36:59 ID:.QbIjIek

裏男「…そろそろ表の世界の二人の会話も終わりそうだから、最後にこれだけは言っておくよ。」

女「…?」



裏男「僕は君の事が嫌いだ。」

女「…え?」

裏男「それじゃあね。」スタスタッ

女「…嫌いって…あっ、待って男!!」

男「…。」スタスタッ



女「…どういうことよ、男…」

----―――――――――――――――――――――――



148 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:37:48 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

【-体育館-】

女「はあはあ」ダンダンッ

部員1「女!こっち!」

女「…っ!はいッ!」シュッ

部員1「ナイスパス!」パスッ

ダンダンダンッ

女(…っ!左側のモブ部員2のマークが薄い!)

女「部員1!左にパス!」

部員1「へ?」シュッ

部員2「ナイス!部員1!」パスッ

部員2「ほいっ」シュッ

パスンッ

ナイッシュー!!

ピーッ ゼンハンシューリョー



149 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:38:43 ID:.QbIjIek

女「ふう…」

部員1「女~」

女「ん?何モブ部員1?」

部員1「あんた、さっきのプレーで何で『左』って言ったの?」

女「…へ? …っ!」

女(…あっ…そうか…。『こっち』は反転してるんだから、『左』の場合は『右』って言わないといけないのか…)

女(今の場面、『表の世界』ではモブ部員2は『右』にいたんだ。でも『裏の世界』では反転してるから『左』にいた。だから、私からはさっき『左』って言ったけど、裏の世界の人達にとっての『左』は私にとっての『右』であって、あの場面じゃ『右』って言わないといけなかったんだ…ここはとりあえず誤摩化さないと…)

部員1「…女?」

女「…はは、ちょっと間違えちゃって…」



150 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:39:26 ID:.QbIjIek

部員1「そう…。まあ、『表の私』がちゃんと『右』にパスしてくれたから別に良かったんだけどね~。」

女(…『表の私』ってことは、やっぱりモブ部員1も自我を…)

部員1「それにあんた、プレー中でも絶対に誰にでも『さん付け』するのにさっきは呼び捨てだったし…」

女(…『さん付け』…?)

部員1「…もしかしてあんた…」



部員1「…オリジナル?」

女「…っ!?」

女(ばれた!? …ん? でも、別にバレたところで何のデメリットも…よし、こうなったら…)

女「…あ、あのね…じ、実は…」



部員1「…な~んてね、オリジナルがここにいるわけないか!」



151 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:40:04 ID:.QbIjIek

女「…っ!」

部員「冗談だよ冗談!まあ、本当にあんたがオリジナルなら『引っ叩いてやりたい』ところだけど…あ、でも体の自由は効かないから無理か!あはは!」

女「…っ!?」

部員1「さあ、そろそろ後半も始まるし、行こうか!」

女「…うん。」

タッタッタッ

----―――――――――――――――――――――――



152 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:40:43 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

【-女の自室-】

女「…はぁ。」

女(…『引っ叩いてやりたい』…か。)

女(…裏男にも『君の事が嫌いだ』って言われたし…。)

女(…こっちじゃ『オリジナルの私』は嫌われているのかな…)

女(…でも、何で嫌われているんだろう…)

女(…それに、やっぱり、みんなの『性格』がおかしい…)

女(…あと、裏男も自分の事を『僕』って言って…いつもは『俺』なのに…)

女(…そもそも何でみんな自我を持ってるのよ…)

女(…もう何が何だか…)



153 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:41:40 ID:.QbIjIek

prrrrrr prrrrrr

女(…っ!? …男からの電話だ!)

女(…もう、男こっちに来てるかな? でも、もしまだ裏男だったら気まずいなぁ…)

ピッ

女「…もしもし。」

裏男「…表女さんかい?」

女(…!? …『表女さん』ってことは裏男…)

女「…うん。…裏男…だよね?」

裏男『うん。本当は君のことは嫌いだから喋りたくないんだけど、表の『主』が今、君に電話してるから仕方なく僕も今こうやって喋っている次第だよ。』

女(…何なのよコイツ。そんな、堂々と『嫌い』って言わなくてもいいじゃない…でも、今はコイツから色々と聞き出さなきゃ…)



154 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:42:32 ID:.QbIjIek

女「…ねぇ、裏男。私こっちに来てから分からないことばかりで…だから色々と教えてくれない…かな?」

裏男『…『色々』ねぇ…まあ、いいよ。どうせ今暇だから教えてあげる。』

女(…『どうせ今暇』とかいちいち一言多いし、ムカつくのよコイツ…)

裏男『…でもその前に、僕から質問をさせてくれ。』

女「…? …な、なに?」

裏男『…君は何でこの『裏の世界』に来たんだ?』

女「何でって…それは『表の世界』に戻るために…」

裏男『…裏々の世界にいる僕は君に、君にその入れ替わり方法を教えた後に言わなかったかい?『特権』による入れ替わりによる問題点についてを。』

女「…問題? 問題なんて… …っ!」

―――――――――――――――――――――――----
男『待って女、でも実はこれには問題もあr…』
----――――――――――――――【回想】(>>126)――

女「…そうだ…あの時…。」

裏男『…どうやら訳ありのようだね…』

女「…実は…」

----―――――――――――――――――――――――



155 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:43:20 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

裏男『…成る程。…で、君は裏々の世界にいる僕からのその『問題』を聞かず、そして表の『主』からの挑発に乗って『特権』による入れ替わりをしてしまった…と。』

女「…うん。…じゃあオリジナルの男も『問題』があるって分かってからこの3週間、『特権』を使わなかったんだ…」

裏男『…オリジナルの男? 今、裏々の世界には『オリジナルの僕』がいるのかい?』

女「…? そうだよ、私も男も裏々の世界に押し込まちゃって…」

裏男『…君だけじゃなく『オリジナルの男』も?』

女「うん。え? 3週間前に旧校舎で合わせ鏡をして入れ替わったんじゃないの?」

裏男『…! …そういえば、旧校舎で合わせ鏡をしたな。やっぱりあれで入れ替わっていたのか。』

女「…みたいだよ。 …でも、その問題って何なの?」



156 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:43:54 ID:.QbIjIek

裏男『…なあ、表女さん。…君がこっちに来たことで、『元々こっちにいた女』はどうなったと思う?』

女「…『裏の私』のこと?」

裏男『ああ。彼女は君との入れ替わりによって裏々の世界へと飛ばされてしまったんだ。それを分かっているのかい?』

女「…あっ。」

裏男『裏々の世界はこの裏の世界よりも明度が低い、そして反転している。』

女「…反転?」

裏男『僕らにとってはこの裏の世界が『基準』なんだ。僕らからしたら表や裏々の世界は反転した世界なんだよ。』

女「…あ、そうか…」

裏男『…君も今日1日苦労したはずだ。本来とは『逆』なこの世界に。』

女「…うん。」

裏男『そして、君はこのまま1週間経って、再び『特権』を使えば、表の世界に戻れる。でもね、『彼女』は今後一生『裏々の世界』で生きていかなくちゃいけないんだよ。』

女「…っ!」

裏男『僕らはこっちで平和に暮らしていたのに…君たちの『いざこざ』に巻き込まれてしまったがために…』

女「…そんな…でも私だって…」



157 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:44:40 ID:.QbIjIek

裏男『…『私だって被害者だ』とでも言いたいのかい? まあ、君も確かに『被害者側』であることは間違いない。でもね、何の関係もない『裏女』を巻き込んでしまった君も僕らからしたら、裏々の女と同じ『加害者側』なんだよ。』

女「それは…」

裏男『そもそも、オリジナルの僕からその『問題』を聞かなくても、『入れ替わり』なんだから『裏女』が『裏々の世界』に飛ばされることぐらい普通気づくだろ?それを君は『早く表の世界に戻りたい』という自分勝手な欲求を優先させて…。』

女「…。」

裏男『…ほんと…相変わらず、早とちりで、傲慢で、自己中心的な性格だな君は…。まあ、そのおかげで裏女は謙虚で心やさしい女の子だったんだけど…』

女『…え? …それってどういうこと?』

裏男『…どうせ、オリジナルの僕から『裏の世界』についての話を聞いてないんだろう?』

女「…うん。ここ最近喋れる時間がなかったから…」

裏男『まあね。先週のデートの日と昨日の電話の時しかろくに話す時間がなかったからね。仕方ないか。それじゃ、教えてあげるよ、この世界について。』

女「…ごめん、おねがい。」



158 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:45:43 ID:.QbIjIek

裏男『オッケー。と言ってもまあ、『裏の世界』と『裏々の世界』との違いは3つだけなんだけどね。』

女「3つ?」

裏男『1つ目は、『明度の違い』だ。』

女「あ、それは分かる。こっちの方が裏々の世界よりも明るい。」

裏男『うん。まあ、裏の世界の方が表の世界に近いからね。だから明るいんだ。』

女「みたいだね。」

裏男『2つ目は『自我』を持っているかどうかだ。』

女「…!」

裏男『オリジナルの僕から『自我』についての説明は軽く受けたかい?』

女「うん。…でも、こっちに来てびっくりした…こっちではみんな自我を持っているの?」

裏男『…やはり『自我』については全部聞いてないみたいだね。…ああ。こっちの『裏の世界』では…というか『偶数世界』の人間はほぼ全員が自我を持っているんだ。』

女「偶数…世界?」



159 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:46:27 ID:.QbIjIek

裏男『何だ、それもまだ教えて貰ってないのかい?まあいいや、教えるよ。『表の世界』を含める全ての世界は『奇数世界』と『偶数世界』に分けられているんだ。』

女「奇数と偶数…」

裏男『ああ。表の世界を『1』と基準して、裏々、裏々々々、裏々々々々々、といった奇数番目の世界は、『奇数』の世界と定義される。』

裏男『また、裏の世界を『2』と基準して、裏々々、裏々々々々、裏々々々々々々、といった偶数番目の世界は、『偶数』の世界と定義され、これらの世界では、君たちに奇数世界の人間にとっては全てのモノが反転して見える。』

女「そうなんだ…じゃあ、その『偶数世界』の人達はみんな『自我』を持っているってこと?」

裏男『その通り。』

女「…でも、何でその偶数世界ではみんなが『自我』を持ててるの?」

裏男『それは偶数世界の『特性』の影響だね。『偶数世界』では君たちオリジナルの人間がすむ『表の世界』からしたら『目に見えるモノ』が全て反転している。でも、偶数世界では反転しているのは『目に見えるモノ』だけじゃない。『性格』も反転しているんだ。』

女「…!? そう…やっぱり性格も…」



160 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:47:30 ID:.QbIjIek

裏男『おや、性格が反転していることには気づいてたのかい?』

女「うん。みんないつもと違うし…」

裏男『まあ、オリジナルの君からしたら違和感ありまくりだろうね。そりゃ気付くか。てか気づかなかったら相当のバカだね。』

女(…何でコイツはこんなムカつく口の聞き方しかできないのよ… …んっ?)

女「…でも、『性格が反転していること』と『偶数世界の人がみんな自我を持てること』と何の関係があるの?」

裏男『関係ありまくりだよ。性格が反転していることによって、自分がオリジナルの自分とは違う存在なんだってことに気付けるからね。』

女「…? よくわかんない…。」

裏男『人間は生まれてすぐ『性格』が形成されるわけではない。日々の成長の中で徐々に徐々に形成されて行くんだ。その形成の過程で偶数世界の人間は、オリジナルの自分とは真逆の性格が形成されていく。そして、いつの日か気付くんだ。『何かがおかしい』と。』

女「…。」

裏男『その『おかしい』と思った時点で鏡の世界の住人にはもう『自我』が生まれているんだ。そして、その時から『脳』と『口』の自由を得るってこと。分かったかい?』

女「う~ん…まあなんとか。」



161 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:48:25 ID:.QbIjIek

裏男『まあ、でも他の偶数世界は知らないけど、実はこの『裏の世界』では幼い頃に保護者から自分がそのことを教えてもらって徐々に理解していくってのが慣習としてあるんだ。だから、みんな幼い頃から、自分がオリジナルではないこと、性格が反転する事を保護者から教えてもらって理解しているし、それを承知した上で成長して行くんだ。まあ、無理矢理オリジナルの自分と性格を矯正しようとする人も稀にいるけどね。まあ、ということで、この『明度』と『自我』、『性格』の3つがその違いだ。』

女「…へえ。…でも、そんな慣習がこの裏の世界にはあるんだ。」

裏男『そうだよ。ずっと、ず~っと昔から口伝いで伝えられてきたんだ。確かにこっちは『口』と『脳』しか自由がない。でも、それでも、この『裏の世界』にしかない慣習だってあるし、コミュニティだってある。』

女「…そう。…ん? …でも、ちょっと待って。幼い頃からそうやって『自我』を持っているってことは分かったんだけど、そうやって幼い頃から『自我』を持ってしまったら反射物がないところで口伝いに身につけた『知識』にばらつきや差が生まれてしまうんじゃないの?」

裏男『お、鋭いじゃないか表女さん。そう、『自我』を持ってしまったら鏡の世界の住人は反射物のないところでの『主』たちの会話などがさっぱり分からなくなってしまう。そして、それによって身に付く知識とか記憶も『主』とは全く違ったものになってしまう…って普通思うよね?でも、実は、その心配は全くないんだ。』

女「…え、何で?」

裏男『何故なら『自我』を持った鏡の世界の住人は『主が反射物に映るごとに、主が新しく所得した知識や記憶が共有される』からね。』

女「…知識と記憶の共有?」



162 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:50:23 ID:.QbIjIek

裏男『ああ。例えばとある人物『A』の『主』が反射物がないところで『魑魅魍魎』という四字熟語の読み方をとある人物『B』から『口伝い』で覚えたとしよう。『口伝い』だとそれは『視覚的』な情報じゃなく『音』による情報になるから『自我』を持った鏡の世界の人間は知ることが出来ないよね?』

女「うん。」

裏男『でも、その後に『A』の『主』が反射物に映った瞬間、その『主』がさっき覚えた『魑魅魍魎』についての読み方の『ちみもうりょう』という知識はもちろんのこと、その反射物に映るまでの表の世界での『B』との会話の記憶が一字一句全て、『自我』を持った鏡の世界の『A』に共有されるんだ。』

女「…なるほど。じゃあ、あなたも反射物に映るごとに…?」

裏男『ああ。僕の場合、今、表の世界にいる『裏々男』の『新しい記憶』が反射物に映るたびに頭の中に流れ込んで来る。』

女「そうなんだ。…ん?ちょっとまって!私が反射物に映っても今の『主』の『裏々女』の記憶が共有されてないよ。」

裏男『それは君がオリジナルだからだ。』

女『オリジナル…だから?』



163 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:51:51 ID:.QbIjIek

裏男『オリジナルは本来、こっちの世界にいてはならないイレギュラーな存在だろ?だから、鏡の世界からしたらとっとと『表の世界』に帰ってほしいわけだ。だから、オリジナルには記憶の共有の権利を与えず、それによって焦らせ、早く表の世界に帰りたいと思わせるのが狙いだ。…っていうのが『僕のオリジナル』の考え。まあ、こればっかりはこの鏡の世界の創造主にでも聞かないと分からないよ。』

女「そっか…」

裏男『まあ、だから君の行動は正しいっちゃ正しいんだよ。オリジナルが早く表の世界に戻るための行動としては。』

女「…。」

裏男『でも、『奇数世界』同士でのいざこざをこっちにまで持ち込まないで欲しいっていうのが僕たち裏の世界の住人の本音。僕たちは何も悪い事してないんだぜ?なのにオリジナルのせいで裏々の世界に飛ばされるかもしれないっていう理不尽な立場にいるんだ。』

女「…。」

裏男『現に裏女は君たちのせいで裏々の世界に飛ばされてしまった。裏々の世界はこっちよりも暗いし反転もしているってことはもちろんのこと、周りがほとんど『自我』をもっていない。そんな環境で彼女は今後一生、生きていかないといけないんだぞ。その罪の重さを理解しているのか君は?』

女「…。」

裏男『まあ、いいよなー、君は。来週にまた『特権』を使えば表の世界に戻れるんだし。ほんっと不平等だよ…。』

女「…も、元の…裏々の世界に戻る方法はないの?」



164 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:52:52 ID:.QbIjIek

裏男『ん?何だ?今頃、罪の意識を感じたのか?『残念』だけど無いね。『特権』はあくまで『表の世界』に戻るための方法だし、『逆行』することなんて出来やしない。』

女「そんな…」

裏男『まあ、もし裏々の世界に戻る方法があったとしても君はどうせ使わないだろ?何せ君は自己中心的な人間なんだし、とっとと表の世界に帰りたいってのが本音なんだろ?』

女「…ち、違うわよ!!」

裏男『いいや、違わなくないね。君の性格は十二分に理解している。『君の性格』に対して悩んでた裏女とこれまでずっと一緒にいたんだから、それぐらい分かる。』

女「…悩んで…た?」

裏男『…裏女はいつも悩んでた。君の傲慢で常に自分を優先させるようなその性格に。』

女「…?」

裏男『君、表の世界でオリジナルの僕に告白したらしいけど、その際に他にもオリジナルの僕のことを好きだった他の女の子たちのことを覚えているかい?』

女「…!?」



165 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:55:01 ID:.QbIjIek

裏男『その中の一人から相談されたらしいじゃないか?『男くんに告白したいから手伝って』って。でも、君はそこで困ったわけだ。何故なら君もオリジナルの僕のことが好きだったからね。』(>>19)

女「…。」

裏男『君はそのとき、自分がオリジナルの僕の事を好きだという事を誰にも話さずにいた。まあ、それによって、その女の子からしたら君は『男くんと仲の一番いい存在』だと思われたから相談されたんだろうけど。』

女「…。」

裏男『さあ、困った表女さんは考えた。もしこの子が私よりも先にオリジナルの僕に告白し、そして付き合ったらどうしよう…と。そして、君が悩んだあげくとった行動は…』

女「…。」

裏男『…まあ、君もある程度自覚しているようだからそのことについては今、とやかく言わないけどさ。とにかく、そういった君の性格に彼女は悩んでた。彼女は君の性格の反対なんだから『謙虚』で『思いやり』のある優しい子なんだ。そんな子がオリジナルのそんな『行為』を目の当たりにしたらどうなると思う?』

女「…。」

裏男『しかも彼女は『そんな君』に対しても入れ替わりのときに『気にしないで』と言ってみせた。自己犠牲を惜しまない姿勢を彼女は見せただろ?』

女「…。」



166 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:55:57 ID:.QbIjIek

裏男『そんな心優しい子をこの僕から…いやこの裏の世界から君は奪った。だから僕は君の事が大嫌いなんだよ。』

女「…。」

裏男『…おっと、そろそろ電話を『主』たちが切るみたい。それじゃあね、『表女さん』。』

女「…あっ。」

ピッ

女「…。」

女(…はは。言われっぱなしだったな私…。)

女(…あそこまで…あそこまで言わなくたって…)

女(…でも、裏男の言う通り、私のせいで『裏女ちゃん』が…)

女(…今、裏々の世界にいる男も、『こうなること』が分かってたから『特権』を使わずにいたのかな…)

女(…1週間後にまた『特権』を使えば、私は表の世界に戻れるけど…)

女(…でも、男に何も言わず一人で表の世界に行くのは…それに…裏女ちゃんのことも考えると…)

女(…私…どうしたらいいの…)

----―――――――――――――――――――――――



167 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:57:00 ID:.QbIjIek

―2012年/2月/24日/香川/ @ 2週目―――――――----

【-登校中―】

スタスタッ

女(…この『裏の世界』に来て2日が経った。)

女(…あの電話以来、裏男とは会ってもないし、電話で喋ってもない。)

女(…そして、私は未だに周りに自分がオリジナルだって事をカミングアウトしていない。裏男も黙っててくれてるみたい…。)

女(…もしカミングアウトしてしまったら、すごく責められるだろうし…)

女(…って、何考えてるのよ、私。)

女(『責められる』のが恐いからカミングアウトしない? …やっぱり私は自分が可愛いだけじゃない!!)

女(…これじゃあ、裏男に傲慢だとか自己中心的だとか言われても仕方ないや…)

女(…はあ…)

スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



168 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:57:54 ID:.QbIjIek

―――――――――――――――――――――――----

【-4時間目-】

ココモオボエトケヨー

女(…ん~、まだ反転した文字に慣れないや。)

女(…というか一生無理な気がする。)

女(…裏女ちゃんも今、裏々の世界で私と同じように反転した世界に苦しんでるんだろうな…いや、私以上に…)

女(…男、ちゃんとフォローしてあげてるかな…。)

キィーーーーンッ

女(…ん?耳鳴り?でも、教室には反射物なんか…窓のカーテンもしまってるし…)



169 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/17(月) 22:58:42 ID:.QbIjIek

物理『…え~っとですね。実は思った以上に授業の進行ペースが早くてですね。今日の残り時間は息抜きがてらにちょっとしたお遊びをしたいと思います。そのお遊びとは…これです。』コトッ

女(物理の先生の口調が『いつもの』に戻ってる…? …それに、あれは…?)

センセー ナンデスカーソレー

物理『はい、説明しますね。これは…』



物理『魔法鏡(マジックミラー)です。』



女(………マジック……ミラー?)

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176 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:20:28 ID:dT.WQf1s

―――――――――――――――――――――――----

物理『魔法鏡とは、片方が鏡で、片方が窓ガラスになっているもののことです。』

物理『魔法鏡は映画やドラマ等でよく使われています。例えば、取調室の壁が魔法鏡で、隣の部屋からその取調室の中の様子を他の刑事さん等が観察している場面とかありますよね。なので皆さんも少しはマジックミラーとうものをそういった映像を通じて見た事があると思います。』

物理『…ですが、以外と魔法鏡について皆さん『ちゃんと』は理解してないと思うので、今日はこの残り時間で、色々と実験をしながら魔法鏡について学んで行きたいと思います。』

物理『魔法鏡は、入射した光の一部を『反射』し、一部を『透過』させる性質を持っています。これは皆さんご存知ですよね?じゃあ、ここで問題です。魔法鏡には『裏表』が存在するでしょうか?』

ソリャー、ソンザイスルンジャナインデスカー

物理『…と思いますよね、普通。…でも、実は魔法鏡には『裏表』が存在しないんです。』

女(…?)



177 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:22:35 ID:dT.WQf1s

エー ナンデデスカー

物理『何故なら魔法鏡は『光量の差によって光を反射する面が変わるから』です。』

女(…光量…?)

物理『魔法鏡を明るい部屋と暗い部屋の間に置いたとしましょう。すると、明るい側からの光の一部が反射することによりそちらからは『鏡』に見え、暗い側からは『半透明な窓』に見えるんです。』

物理『そして、次は魔法鏡の面の向きは変えずに、先ほど明るかった部屋を『暗く』、そして先程暗かった部屋を『明るく』します。そうすると、先程と同じように明るい部屋ではその魔法鏡は『鏡』に見え、暗い部屋では『半透明な窓』に見えるんです。』

物理『まあ、構造上では『裏表』が一応あるにはあるのですが、基本、魔法鏡は光の量を調節する事によって光を『反射する面』と『透過する面』を変えることができるんです。』

ヘー、シラナカッター

物理『だと思います。魔法鏡について誤解したままの人がほとんどだと思いますので。まあ、夜の窓ガラスと同じ原理です。』

ヨルノマドガラス?

物理『はい。例えば、夜に部屋の電気が付いた家があるとします。外からは窓ガラス越しに部屋の中がよく見えますよね。一方、部屋の中から窓ガラス越しに外の景色は光が反射して見にくいっていう経験を皆さん一度はしたことがあるはずです。』

女(…あ、1週間前の私の部屋での状況のようなことかな…)(>>112)



178 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:23:08 ID:dT.WQf1s

物理『そして、この魔法鏡(マジックミラー)という『名前』についてですが、日本ではこの『magic mirror』の名前で定着しているのですが、これはあくまで和製英語なんです。正しい英訳は『one-way mirror』といいます。』

モブ男『でも、先生。それだと『一本道の鏡』って意味になりませんか?』

物理『そうなんです。今現在、確かにこの魔法鏡は『one-way mirror』と呼ばれることが比較的に多いですし、辞書にもこう書いているのですが、モブ男君の言う通り、これだと『一本道の鏡』になってしまいます。なので、この英訳は『厳密』には間違いなんです。』

物理『何かしらの誤解があって『one-way mirror』という名前が付いたという風に聞いています。そして、魔法鏡の本当に正しい英訳は『two-way mirror』といいます。『two-way mirror』…つまり『二つの道がある鏡』という意味ですね。』

女(…!? …二つの…道…。)

物理『もう皆さん分かってくれていると思いますが、『一つ目の道』は『反射』のことです。そして、『二つ目の道』は『透過』のことを指しています。『反射』と『透過』…はたから見たら全く『逆』の現象ですが、それを二つとも起こす性質を持ったもの、それが『魔法鏡』なんですね。それでは今からこの魔法鏡を使って実験を…』

女(…『魔法鏡』…『二つの道を持つ鏡』…)

----―――――――――――――――――――――――



179 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:24:42 ID:dT.WQf1s

―――――――――――――――――――――――----

【-女の自室-】

prrrrrr prrrrrr

裏男『もしもし…』

女「あ、裏男?…ごめんね、私の『主』があなたの『主』に電話をかけたみたいで…」

裏男『みたいだね…まあ、そろそろ電話が来る頃だと思ってたよ。』

女「そう…」

裏男『ちなみに僕から君に『裏の世界』についてで教えられることは前回の電話でほとんど伝えたからね。それでも聞きたい事があるのなら聞いてあげてもいいけど。』

女「…じゃ、ちょっと聞きたい事があるから聞いてもいいかな?」

裏男『何だい?』

女「あのね…魔法鏡で『特権』による入れ替わりをしたらどうなるの?」

裏男『…魔法…鏡?』

女「うん。今日、物理の授業で先生が魔法鏡について紹介してくれて…」

裏男『……ふぅん。』



180 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:25:23 ID:dT.WQf1s

女「魔法鏡って『反射』と『透過』の『逆の性質』をあわせ持っているらしくて、それに魔法鏡を英語に直すと『two-way mirror』…『二つの道を持つ鏡』だって意味らしくて…それで、もしかしたら…」

裏男『…『裏々の世界に行けるのではないかと考えた』…ってことかい?』

女「…うん。 …無理…かな?」

裏男『…魔法鏡と『特権』の応用か…考えた事もなかった。』

女「…。」

裏男『…ん、待って。表女、君、さっき『逆の性質』って言ったかい?』

女「…え、うん。…先生が言ってた事をまんま引用しただけだけど…」

裏男『…『逆の性質』…『二つの道』…それに…っ!!』

女「…裏男?」

裏男『…表女さん!次の物理の授業でも先生は魔法鏡を持ってくるって言ってたかい!?』

女「…え、うん。…結局、実験が最後まで終わらなかったから、次の授業の冒頭でやります…って。」

裏男『…次の物理の授業日はいつだい!?』



181 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:26:07 ID:dT.WQf1s

女「え?…えっ~と確か…あ、次の水曜日の3時間目だよ。」

裏男『…水曜…日…。』

女「うん。一昨日、入れ替わった後が物理だったからよく覚えてる。」(>>140)

裏男『…っ! …来週の…来週の水曜日って何日だい!?』

女「…何日?…え~っと、一昨日が22日だったから…」

女「…『29日』じゃないの?」


裏男『…っ!?』


女「…裏男…? 」





裏男『…………『閏日』だ。』



182 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:26:49 ID:dT.WQf1s

女「…え? …『閏日』?」

裏男『来週の29日は4年に1度の『閏日』の日だ。そして…』

女「…? そして…?」

裏男『…表女さん、君は表男から『入れ替わりが出来るのが閏年の3月21日まで』の理由は聞いたかい?』

女「…え? それはまだ聞いて…ないかも。でも、それ気になってたの、何で3月21日なの?」(>>50)

裏男『…表女さん。3月21日がとある人物の『命日』だってことを知っているかい?』

女「…とある人物? 誰、そのとある人物って?」

裏男「それは…」



裏男「…『弘法大師』だ。」

女「…っ!?」





女「…誰? 『弘法大師』って?」



183 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:27:36 ID:dT.WQf1s

裏男『…っておいおい、弘法大師を知らないのかい?日本史で習ったろ?』

女「…だって私一応理系コースだし…」

裏男『…いや、それは知ってるけど…。まあいいや…弘法大師は『空海』の諡号(しごう)だ。』

女「…へ? しご…う?」

裏男『諡号とは、主に貴人の死後に奉る、生前の事績への評価に基づく『贈り名』のことだよ。』

女「はあ…でも空海のことは知ってるよ。え~っと確か、何かの宗教をはじめた…何て宗教だっけ…」

裏男『真言宗。』

女「そうそれ!…でも、空海の命日と入れ替わりの最終日って何の関係があるの?」

裏男『表女さん、『お遍路』は知ってるよね?』

女「お遍路?お遍路って私たちが住んでる四国にあるお寺とかを巡ることでしょ?」

裏男『その通り。その空海は讃岐の国、つまりここ香川の出身でね。『お遍路』は四国にある88か所の『空海』のゆかりの札所を廻ることなんだ。そして、この四国八十八箇所を巡拝することを四国遍路、四国巡拝などとも言う。』

女「へぇ…」



184 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:28:15 ID:dT.WQf1s

裏男『遍路の巡礼者は札所に到着すると、本堂と大師堂に参り、およそ決められた手順に従い般若心経などの読経を行い、その証として納札を納める。境内にある納経所では、持参した納経帳、または掛軸か白衣に3種の朱印と、寺の名前や本尊の名前、本尊を表す梵字の種字などを墨書してもらう。まあ、つまり現代で言う、スタンプラリーみたいなものさ。』

女「はあ…」

裏男『この四国遍路には様々な廻り方があるんだけど、札所を決められた順番を『時計回り』に廻ることを『順打ち』というんだ。』

女「ふぅん…」

裏男『さらに、決められた順番を『逆向き』、つまり『反時計回り』で廻る『逆打ち』というものがある。』

女「逆打ち?」

裏男『この『逆打ち』は特殊でね、『逆打ちを閏年に行うと御利益がある』と言われているんだ。』

女「……閏年!?」

裏男『ああ。…さらに、『逆打ち』をすることによって「生まれ変われる」とか「死者に会える」とさえも言われている。』

女「…!?」



185 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:28:58 ID:dT.WQf1s

裏男『まあ、とにかく昔からこの『逆打ち』には何かしらの『力』が働いていると考えられているんだ。』

女「…つまり、裏男は『閏年』の『逆打ち』に働くその『力』の影響によって、『入れ替わり』が出来る…って言いたいの?」

裏男『その通り。…表女さん。毎年、3月21日に行われる『大窪寺』でのお祭りは知ってるかい?』

女「…? 『大窪寺』って近所のあの?」

裏男『ああ。このお祭りは『春分祭』として催されているが、実はその『起源』に深い理由が込められていると考えられるんだ。』

女「…深い理由?」

裏男『大窪寺は『お遍路』の『88番目』…つまり『最後』の札所なんだ。更にこの大窪寺の宗派は『真言宗』で、空海の『錫杖』というものも納められている。これは、空海が『唐』から持ち帰った三国伝来のものと伝え、本尊とともに祀られているんだ。』

女「…へえ。」

裏男『そもそも逆打ちの『力』は四国圏内でしか働かない。何故ならその逆打ちの力はこの『大窪寺』から発信されているからね。』

女「…どういうこと?」



186 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:30:19 ID:dT.WQf1s

裏男『逆打ちの『力』の源は『約3年9ヶ月分』の巡礼者の『願い』の凝縮されたエネルギーなんだ。』

女「…『願い』?」

裏男『ああ、『願い』だ。巡礼者は閏年以外はオーソドックスな廻り方の『順打ち』で1番目の『霊山寺』から順に88カ所の札所を廻って行き、巡礼者は各札所を廻る度にそれぞれの札所から『印』(>>184)をもらうんだけど、この『印』には『念力』が込められているんだ。』

女「…念…力。」

裏男『ああ、念力だ。巡礼者は四国を一周し『印』とともにその『念力』も集めて行き、そして最後の札所である『大窪寺』で『結願』をするんだ。大窪寺は『結願所』とも言われているからね。『結願』とはその文字通り『願いを結ぶ』ことだ。』

女「…。」

裏男『そして、巡礼者は溜めた『念力』を大窪寺で『願い』というカタチで『結ぶ』。…でも、表女さん。この『願い』を『結ぶ』って表現に違和感を感じないかい?』

女「…え?」

裏男『『願い』って『結ぶ』ものじゃなくて『叶える』ものだろ?』

女「…!? …確かに言われてみれば…」

裏男『そう。『願い』を『結ぶ』という日本語はちょっとおかしい。…でも実はこの『願い』を『結ぶ』ってのは『正しい』んだ。何故なら、本当に『願い』を『結ぶ』んだからね。』

女「…どういうこと?」

裏男『何故なら巡礼者の溜めた『念力』は『願い』となり、その『願い』は大窪寺に祀られている空海の『錫杖』に『結合』されるからだ。』

女「…!? …『錫杖』ってさっき話していた…」



187 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:31:16 ID:dT.WQf1s

裏男『そう。まあ、『結合』って言い方じゃ分かりにくいと思うから『結合』=『吸収』と考えてくれていいよ。』

女「吸収…」

裏男『そうやって『約3年9ヶ月分』の巡礼者の『願い』は叶えられることなく『錫杖』にエネルギーとして吸収され、閏年の時期に『凝縮』された『力』として『放出』される。』

女「…」

裏男『更にこの大窪寺から放出される『力』は四国全土に『反時計回り』…つまり『逆打ち』の方向に放出される。『逆打ち』は88番目の大窪寺をその出発点とする。『逆打ち』によって『御利益がある』だとか『生まれ変わる』、『死者にあえる』という伝承も、この大窪寺から反時計回りに放出される『力』によるものだと考えられるんだ。』

女「…なるほど。」

裏男『…だけど、『凝縮』された状態で放出されるがためにその『力』は長くは保たない。そして、その『エネルギー』の放出が途切れる最後の日が…』




女「…3月21日。」



188 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:32:33 ID:dT.WQf1s

裏男『そういうこと。その『力』は『お遍路』の象徴的人物である『空海の命日』まで続く。大窪寺の『春分祭』も本来は空海の『慰霊祭』と、『力の放出期間』が終わるその『締め日』を兼ねた祭事だったと考えられる。』

女「…つまり、それが『閏年』の『3月21日』まで…ってことの理由?」

裏男『ああ。しかも僕たちの住むこの町はその『大窪寺』に近い場所に位置している。よってその『大窪寺』からの『力』を『モロ』に受けている。だから、『入れ替わり』というものが出来るんだ。』

女「…それじゃあ、四国でも、この香川…というか『この付近』の方が…」

裏男『うん。『力』の発信地から近い分、『入れ替わり』が起きやすい。他の四国の県でも出来るかもしれないけど、成功率は下がると思うよ。』

女「…なるほど。…でも、その期間に特別な『力』が働くってのは分かったんだけど、それと『鏡による入れ替わり』に何の関係があるの?今までの話を聞いてる限りじゃ、『鏡』とは何の関係も…」

裏男『…実は、関係なくもないんだよ、それが。』

女「…え?」



189 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:33:11 ID:dT.WQf1s

裏男『まず、この『お遍路』は別名、『うつし』とも呼ばれている。』

女「…うつし…?」

裏男『そう。歴史上の記述ではその『うつし』の意味を、『写経』の『写し』、もしくは『移動』の『移し』という意味で解釈されているんだが…実はそれが『鏡に映す』の『映し』のほうではないかとも考えられているんだ。』

女「…!?」

裏男『それだけじゃない。四国遍路の87番目である『長尾寺』のことを知っているかい?』

女「『長尾寺』って確か…『鏡餅』のお祭りで有m…っ!?」

裏男『その通り。『長尾寺』では毎年150キロもの重さの『大鏡餅』をいかに速く運ぶかというお祭りがある。『かがみもち』って『鏡を持つ』…つまり『鏡持ち』っていうふうにも解釈できるよね?』

女「…確かに。」

裏男『そう…実はあの祭りは昔は『大きな鏡を持ち運ぶ行事』だったとも考えられているんだ。今ではもうその面影は『かがみもち』という名前にしか残っていないが、当時は『鏡』をそれだけ特別視していたんだ。』

女「…。」

裏男『また、空海は『文鏡秘府論』という当時の中国の『唐』の詩文の創作理論を取りまとめたものを遺している。内容は別として、注目すべきはその『題名』だ。当時は『文字』にはそれを遺した人物の魂が宿るだとか特別な力が働くだとか信じられていて、特に書物の『題名』をつけるのはみんな慎重だったんだ。そんな時代に空海は『鏡』という文字を書物の『題名』としてわざわざ遺した。まあ、空海がどういう意図でこの文鏡秘府論に『鏡』という文字を遺したのかっていうところまでは分からないけど、『鏡』に対する何かしらの『意味』が込められているはずだ。』

女「…。」



190 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:34:30 ID:dT.WQf1s

裏男『こういった様々な背景から、オリジナルの僕は『お遍路』と『鏡』、そして『空海』というこの3つの間には、何かしらの『特別な関係性』があると考えた。…まあ、根拠づけがまだちょっと弱い気がするけどね。』

女「なるほど…」



裏男『…とまあ、ここまで長々と話したけど、これらはあくまで『オリジナルの僕』の推論であって、僕は『あいつ』からもらった知識を元に話しているに過ぎないから、あまり鵜呑みにはしないでくれよ。』

女「…うん、分かった。」

裏男『よし、ここで、話を『閏日』に戻そう。『閏日』は『閏年』の象徴的な日なんだ。この『閏日』の『2月29日』は、その『逆打ち』の効力が最も高まる日とされ、それに伴って、所謂『逆』の『行為』に対しての『力』も大きくなる日なんだ。』

女「…!? …『逆』の…力…。」



191 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:35:07 ID:dT.WQf1s

裏男『更に話を『魔法鏡』に戻すよ。物理の先生が言うには、魔法鏡には『2つの道』があるみたいだね。一つは『反射』、もう一つは『透過』だったよね?』

女「うん。先生がそう言ってたよ。」

裏男『よし。…そして、本来、鏡による入れ替わりは、『鏡の反射』という現象に反応して起きる。だけど、『閏日』に『魔法鏡』で『特権』による入れ替わりをすれば…?』

女「……『逆』の『行為』に『力』が働くから、『反射』の『逆』の現象である『透過』に『力』が働く…ってこと!?」

裏男『その通り!『特権』による入れ替わりは『一方通行』ではあるけど、『裏々の世界』から『裏の世界』に来れたわけなんだから、その『道』はあるはずなんだ!その『道』を『閏日』の魔法鏡による入れ替わり…つまり、『反射』の『逆』の性質である『透過』の性質を利用して『逆行』することが出来るかもしれない!』

女「…ということは、私が来週の閏日に魔法鏡によって入れ替わりをすれば…?」

裏男『ああ。君は…』





裏男『裏々の世界へ行けるかもしれない。』

----―――――――――――――――――――――――



192 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:35:50 ID:dT.WQf1s

―2012年/2月/29日/香川/ @ 2週目―――――――----

【-登校中-】

スタスタスタッ

裏男「表女さん。」タッタッタ

女「あ、裏男…。」

裏男「とうとう、今日だな…。」

女「…うん。」

裏男「…それじゃあ、念のために今日の君のやるべき事をもう一度整理するぞ。」

女「…そうだね。」

裏男「いいかい?チャンスは1度だけだ。それは今日の3時間目の物理の授業中。君は幸運な事に先週、2時間目後の休み時間に入れ替わりをしたから、その3時間目が始まる前にはそのブランクの期間が終えているはずだ。」

女「うん。」

裏男「3時間目になったら物理の先生が教室に魔法鏡を持ってくる。そして、耳鳴りがなる…つまり魔法鏡に映ることが確定した瞬間から念じる準備を怠らないように。そして、魔法鏡に映ったら…」

女「…『裏々の世界の裏女ちゃんと入れ替われ!』…と念じる…だよね?」

裏男「そう。」



193 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:36:23 ID:dT.WQf1s

女「…うん。大丈夫!タイミング次第だけどなんとかなると思う!」

裏男「…そっか…。」

女「でも、これって魔法鏡じゃないとやっぱりだめなの?夜の窓ガラスとかも魔法鏡と同じようなものだって先生が言ってたよ。」

裏男「それでも出来るかもしれないが成功の確率が減るだろうね。窓ガラスはあくまで『ガラス』だし。『鏡』として作られている『魔法鏡』の方が成功する確率が高いと思う。」

女「そっか…」

裏男「表女さん…」

女「…ん?何、裏男?」

裏男「本当にいいのかい?このまま『表の世界』に行かなくて…。」

女「…うん。いいの。この4日間しっかり考えた上で出した結論だから。」

裏男「…確かに、僕は先週、君には裏女を裏々の世界に追いやった罪があるといったことを言ったが、君にはオリジナルとして表の世界に帰る自由もあるし、権利もある。それでも裏々の世界に行くのかい?」

女「ふふ。急にどうしたの?…今日の裏男、何だかすごい優しいね。まるで私のことを気遣ってくれてるみたいで。」



194 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:37:09 ID:dT.WQf1s

裏男「…!? …それは…。…僕は先週、裏女を奪われたことにすごく怒りを感じて正直冷静に君と話を出来ていなかったと思う…。君が傷つくようなことも沢山言ってしまったし…」

女「ううん、いいのいいの別に。先週、裏男が私に言ってくれたことは全部正しかったと思う。私のせいで、裏女ちゃんを裏々の世界においやってしまったんだから、私はその責任を取らなくちゃいけない。」

裏男「…。」

女「それに…」

裏男「…?」

女「『私たち』決めてたの!『二人で一緒に表の世界』に帰ろう!って。だから、『男』を裏々の世界に置いて、一人だけで表の世界になんて帰れない!だから私はまた男と合流するために裏々の世界に行く!」

裏男「…そっか。 …でも、裏々の世界に戻ってからどうするんだい?」

女「それなんだよね~…まあ、オリジナルの男もいるわけだし何とかなると思う!」

裏男「…何とかって…はは、君は相変わらず『傲慢』で『自己中心的』で『適当』な性格だね。」



195 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:37:47 ID:dT.WQf1s

女「ちょっと!!何か増えてない!?しかも今の内容に『傲慢』とか『自己中心的』な要素があった!?…『適当』な部分はあったと自分でも認めるけど。」

裏男「はは、ないけどね。」

女「…!? …あんた…相変わらずムカつく性格してるわね…」

裏男「…でも、僕は君のことを誤解してたみたいだ。」

女「…え?」

裏男「君は確かに『傲慢』で『自己中心的』で『適当』な性格の人間かもしれない。でも、その性格のおかげで君は誰にも負けない『強さ』を持っている。」

女「…強さ…?」

裏男「その『強さ』を上手く使いこなすんだ。そして、常に先を見通して行動することを忘れるな。そうすれば『見えないモノ』も見えてくるはずだ。」

女「…見えない…モノ?」

裏男「…そして…それでも…その君の『強さ』が発揮されないまま、もし『特権』による入れ替わりのタイムミリットの『3月14日』までに表の世界に戻る方法が見つからなければ、君と『オリジナルの僕』と二人一緒に『特権』を使ってくれ。」

女「…!? …え、それってどういう…こと?」

裏男「そのまんまの意味だよ。タイムリミットになったら『特権』を使ってくれてもいい。14日と21日に『特権』を使う事によって君たちはギリギリタイムリミット内に表の世界に戻れるはずだ。」

女「…そんな…でも、特権を使ったらあなたと裏女ちゃんが…」



196 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:38:28 ID:dT.WQf1s

裏男「…まあ、『一人』で裏々の世界に行くのは確かに寂しいけど、『君たち』と一緒で『僕たち二人』で一緒なら『裏々の世界』でもやっていける気がするんだ。それに僕たちは君たちよりも鏡の世界に慣れているしね。」

女「…でも…。」

裏男「まあ、裏女がいないところで勝手に僕が決めるのも何だか悪い気がするけど、あの子なら絶対に『こう言わないと』怒ると思うし。」

女「…信頼し合ってるんだね、お互い。」

裏男「当たり前だよ。何せ、僕たちが付き合ったのは『中学の頃』からだぜ?」

女「…へ? …今何て?」

裏男「だから、僕たちが付き合ったのは中学の時からって言ったの。」

女「…う…そ…。 …じゃあ、もう2年近く…?」

裏男「そうだよ。中3のときに僕から告白したんだ。だから、実のところ、君たちオリジナルが一向に付き合ってくれなくて結構焦ってたんだぜ?」

女「…何よ、あんたたち、ただのバカップルじゃない…。」



197 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:39:00 ID:dT.WQf1s

裏男「おいおい、僕たちのどこがバカップルなんだよ。…まあ、そういうことだから、僕たちの事は心配しなくてもいい。だから、心置きなく『特権』を使ってくれ。…あっ、でも、君たちが表の世界に戻ってから『破局』しないでくれよ!そんなことになったら、僕たちまで離ればなれになってしまうからね。」

女「あっ、そうか…もし、私たちが表の世界で別れたら、裏男たちもそうなるのか…ふふ、まあ心配しないで!私たちなら大丈夫だと思う!」

裏男「…そっか、ならいいんだけどね。」

女「…それに…もう『特権』は絶対に使わないから安心して!」

裏男「…! …でも。」

女「絶対大丈夫!だって私には裏男お墨付きの『強さ』があるんだから!」

裏男「…! …ああ、そうだったね。」

女「あと、私も裏女ちゃんみたいに『謙虚』で『思いやり』のある心優しい女の子になれるように頑張るね!」

裏男「!? …それは絶対駄目だよ表女さん!」

女「え?何でよ?」



198 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:39:38 ID:dT.WQf1s

裏男「偶数世界の住人の性格は『表の主』の性格と反転しているって言っただろ?実はこれは『反比例の関係』にもなってるんだ。」

女「え?反比例?」

裏男「そう!だから君がもし『表の世界』に帰れた後に、『心優しい』性格になってしまったら裏女は…」

女「…『傲慢』で『自己中心的』で『適当な』性格に変わってしまうってこと?」

裏男「そう!だから君はそのまま『傲慢』で『自己中心的』で『適当な』性格のまま突っ走ってくれ!裏女のためにも!」

女「…ええええええ!?何よそれ!?私に悪い性格を極めろってことを言いたいの!?」

裏男「う~ん。まあそうなるね。」

女「何よそれ!!それって完全にあんたのためみたいなものじゃない!『傲慢』で『自己中心的』な性格なのはあんたじゃない!」

裏男「まあ…確かに僕も『傲慢』で『自己中心的』な性格かもね。『適当』ではないけど。」

女「…今日、あなたの事を一瞬でもすごくいい人だと思ったのが間違いだった!!やっぱりあなたのこと嫌い!!大嫌い!!」

裏男「はは、逆に僕は君の事、好きになってきたけどね。…それと何故だろう…。何だか、またいつの日か君と再び会うような気もするよ…。」



199 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:41:12 ID:dT.WQf1s

女「無い無い。絶対に無い。もう来ないわよ『こっち』には!」

裏男「はは。 …おっと、そろそろ僕の教室だからお別れだ。…なんだかんだで、君に会えてよかったよ。」

女(…『なんだかんだ』とか一言余計なのよあんたは…。)

裏男「あと、あっちの僕にもよろしく言っておいてくれ。」


女「…分かったわよ。」

裏男「…あと、表女さん。」

女「…ん?何?」

裏男「…これは裏の世界の僕から君への最後のメッセージだ。」

女「…メッセージ?」

裏男「ああ。」





裏男「…『線路』だ。…『線路』がいるかもしれない。」


女「…? …『線路』?」



200 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/20(木) 22:42:03 ID:dT.WQf1s

裏男「…ああ。」

女「…『線路』が何に必要なの?」

裏男「…向こうに行ったら表の世界に戻る方法を考えることを優先してくれ。これについてはその後にでも考えてくれたらいいから。」

女「…意味が分からないんだけど…。」

スタスタッ

裏男「…おっと!もう本当にお別れみたいだ!それじゃあ!」

女「あっ、ちょっと!!!」

女(…『線路』が必要?…『線路』が何のために必要なのかな…うちの近くに一応電車は走っているけど…)

女(…表の世界に戻るための手段の一つなのかな…)

----―――――――――――――――――――――――



205 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:20:53 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

キンコンカンコーン

女(今からの15分の休み時間が終われば3時間目…)

女(…う~ん、緊張するな~、もしかしたら失敗するかもしれないし…)

女(…そもそも本当に魔法鏡での入れ替わりが出来るのかどうかさえ分かんない訳だし…)

部員1「お~い、女~」

女「…あ、部員1…さん?」

部員1「いや~、『表の私』があんたに今日の放課後の部活の事について話があるみたいでね。」

女「あっ…そうなんだ…」

部員1「…なあ、女。」

女「ん? …何?」




部員「…あんた、やっぱりオリジナルでしょ?」



206 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:21:25 ID:3zzmL9BY

女「…!?」

部員「どうにもおかしいんだよね、先週からあんたの様子が。」

女「…。」

部員1「…否定しないってことは…。」

女「…………うん。…今まで隠しててゴメンなさい。」






部員1「…いや~やっぱりそうだったのか!聞いてみて良かった良かった!」

女「…怒ら…ないの?」



207 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:22:04 ID:3zzmL9BY

部員「ん?何で怒らないといけないのよ?まあ、そりゃ、裏女を裏々の世界に飛ばしたのはあんただけどさ、まああんたも被害者の訳なんだし。」

女「でも部員1さん、この前…『オリジナルだったら引っ叩いてやりたい』って…」(>>151)

部員1「ああ、あれ?あの『引っ叩いてやりたい』ってのはあんたの『後押し』をしてやりたいっていう意味の誇張表現というか…」

女「後押し?」

部員1「そう!実はあんたがこっちに来る前に、私、裏の女から頼み事をされていたの。」

部員1「頼み事?」

部員1「うん。あの子は『もしかしたら自分は裏々の世界に行く事になるかもしれないけど、もしそうなったとしてもオリジナルの私を責める事はしないで、表の世界に行く手助けをして欲しい』ってね。」

女「…!?」

部員1「その役は本当は裏男の方が適任のがはずなんだけど、あいつって『あんな性格』でしょ?もし、裏女がいなくなったと分かったら、たとえ裏女から『責めないであげて』って言われても絶対責めるだろうし…ってことで、あの子は私に頼んできたの。」

女「そうだったんだ…。」

部員1「…で、実際に裏男に結構色々と責められたんじゃないの!?」

女「…うん。そりゃあもう完膚なきまでに…。」



208 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:22:48 ID:3zzmL9BY

部員1「はは、だろうと思った。私がもっと速くフォローしてあげれば良かったんだけどね。予想以上にあんたと喋る機会が無くて…まあ、そもそもあんたがオリジナルだってことを確信出来たのが一昨日ぐらいだったからね…。」

女「そう…。」

部員1「どうせ裏男のやつ、あんたのこと『傲慢』で『自己中心的』な性格だとか言ってたでしょ?」

女「え…う、うん。」

部員1「あんなの裏男のいつもの『口癖』だから気にしなくていいよ。私や裏の女はそんな風には全く思っていないからさ。」

女「え…でも、私は確かに自己中というか…その性格のせいで裏女ちゃんを悩ませたとか…」

部員1「…まあ、悩んでたってのは本当だけどね。でも、それ以上に裏の女はあんたのことを尊敬もしていたんだよ。」

女「…え? …私の事を…?」

部員1「そうだよ。あんたの『強さ』にね。」

女「…!?」



209 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:24:51 ID:3zzmL9BY

部員1「あんたって、確かに自己中な部分がちょいちょいあるかもしれないけど、それをカバーするほどの『強さ』と『ポジティブさ』を持っているじゃない。」

女「…。」

部員1「まあ、あの子って確かに謙虚で優しいけど、本当に『優しすぎる』のよ…。だから、あの子は自分が持っていない、そんなあんたの強みに憧れていたし、尊敬もしていたのよ。」

女「…そうなんだ。」

部員1「あと、あんたも裏男から、あの子の話を聞いて、あの子の性格のことを羨ましいとか尊敬するな~って思った事あるんじゃないの?」

女「…え、…う、うん。」

部員1「でしょ?結局、人間って『無い物ねだり』するものなんだと思う。そして、あんたら二人はお互いの性格のことを羨ましくも思っているし、尊敬もしている。…そんな『無い物ねだり』し合える素晴らしい関係じゃない。」

女「…ふふ、そうかもね。」



210 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:25:18 ID:3zzmL9BY

部員1「…あとね、実は私もあんたにはすごく感謝してるんだよ。」

女「え?」

部員1「私のオリジナルって、いっつもオドオドしてるだろ?まあ、『あの子』があんなんだから私はこういう性格でいられるんだけど。」

女「…ふふ、みたいだね。」

部員1「そんな私のオリジナルを引っ張って行ってきてくれたのは他でもない、『あんた』じゃないか。特に部活ではオリジナルの私に丁寧にサポートしてくれたり、話を聞いてあげたりと…」

女「そんなの当たり前じゃない…部活の仲間なんだし。」

部員1「まあ、あんたからしたらそれは当たり前のことかもしれない。でも、『あの子』は本当に心の奥底からあんたに感謝しているんだ。反射物に映る度に『あの子』のそういったあんたに対する『感謝』の気持ちも流れ込んできてさ。まあ、『あの子』すごく恥ずかしがり屋だからさ、今ここで『あの子』の代わりに言わせて!」




部員1「…ありがとう!」

女「部員1…」



211 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:25:53 ID:3zzmL9BY

部員1「…さてと、私の話はここらへんにしといて…で、女は『表の世界』には行くの?」

女「…! …それが」



----―――――――――――――――――――――――



212 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:26:28 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

部員1「へえ…裏の世界から裏々の世界に行く方法があったなんて…裏男もたまには役に立つじゃない。ただのウンチクと文句をたらすだけの野郎だと思ってたけど…」

女「ふふ。…部員1も『入れ替わり』のこととか知ってたんだね。」

部員1「まあね。でも、『入れ替わり』についての知識を持っているのは裏男の周りにいる私たちしかいないよ。」

女「え?そうなの?」

部員1「うん。裏の世界の住人は『鏡の世界』についての仕組みとかについては知っているけど、『入れ替わり』についてはほとんどの人達が知らないと思う。私は裏男から半年前に教えてもらったから知ってたんだけどね。」

女「そうだったんだ…」

部員1「裏男は自分のオリジナルが『鏡の世界』と『入れ替わり』について知ってしまったから、もしかしたら自分が『オリジナルの特権で入れ替わられるかもしれない』ってことで危機感を覚えて、それで『もしも』の時のためにってことで、周りの信頼出来る子達に『入れ替わり』の知識を教えたみたい。」

女「なるほど…」



213 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:26:52 ID:3zzmL9BY

部員1「…でも、あんた、本当にいいの? 表の世界に戻らないで…。」

女「…うん。やっぱり、裏女ちゃんを裏々の世界においやったまんま自分だけ表の世界になんて戻れないよ。それに、裏々の世界にはオリジナル男が残ったまんまだし。」

部員1「え!?オリジナルの男も裏々の世界にいるの!?」

女「…うん。」

部員1「…知らぬ間にすごく複雑な状況になっていたのね、あんたたち…」

女「はは…まあね…。」

部員1「じゃあ、裏々の世界に行くっていう決心はもうついているんだ。」

女「うん。まあ、あっちに行ってからどうなるかは分からないけど…まあ何とかなると思う!!」

部員1「…あはは。その『適当』でポジティブなところはやっぱりあんたオリジナルの女だな!」

女「も~!『適当』は余計だよ~!」

部員1「はは!」



214 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:27:17 ID:3zzmL9BY

キンコンカンコーン

部員1「あっ、チャイムだ。自分の教室に戻らないと…それじゃあ、女!頑張りなよ!」

女「うん!」

部員1「…あっ、そうだそうだ。…女、最後に伝言頼んでもいい?」

女「…伝言?」

部員1「うん。あんたが表の世界に戻ったら『私のオリジナル』に伝えてくれない?」

女「…! いいよ!何?」



部員1「…『もっとシャキっとしなさいよ!』って!」

女「…!」



女「…ふふ、了解! 絶対に…絶対に伝えるからね!」

部員1「うん!絶対だよ!あんたなら絶対に表の世界に戻れる!信じてるからね、私!」

----―――――――――――――――――――――――



215 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:28:02 ID:3zzmL9BY

―2012年/2月/29日/香川/ @ 3週目―――――――----


物理『…それでは、先週の実験で使った魔法鏡を端っこから回していきますので、皆さんもこの『魔法鏡』に直に触れてみたり、覗いてみたりしてみてください。黒板の方ではもう1枚用意したこの魔法鏡を参考にしながら、先週の実験の図解等を書いて行きますので、それをノートにとるように。』

女(…! 先生ナイス!これで私の元に魔法鏡が回ってくる!)

物理『…で、こういったことから…』


女(早く…)

女(早く…!!)








ハイ オンナサン

スッ

女(…来た!!!!)



216 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:28:32 ID:3zzmL9BY

キィーーーーン

女(…!! 耳鳴りも鳴った!!5秒後に…映る!!)

スッ

女(…『裏々の私』が魔法鏡を自分に向けるぞ……っ!!)

女(…今だッ!!)

女(魔法鏡よ!!)

女(私を…)

女(私を『裏々の世界』へ!!!!)



フッ


………
………………

----―――――――――――――――――――――――



217 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:28:54 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----








裏女『…ありがとう。』



----―――――――――――――――――――――――



218 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:29:23 ID:3zzmL9BY

―2012年/2月/29日/香川/ @ 3週目―――――――----

【-裏々の世界-】

………………
………


女(…意識が戻った。)

女(…っ!)

女(…暗い、そして反転していない。)

女(よし!…魔法鏡での入れ替わり…成功だっ!!)

女(…入れ替わったときのあの声って…やっぱり裏女ちゃんだよね…)

女(…入れ替わりのときにちょっとコミュニケーション取れるのかな…)

女(…私も何か言えば良かった…)

女(…でも、あの子何で『ありがとう』って…)

女(…もしかして…入れ替わる前から私が魔法鏡で入れ替わろうとしてたことを…判ってた?)



219 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:29:57 ID:3zzmL9BY

女(…とりあえず、それらを確認するためにも男と話をしないと…)

女(…でも、今日、会えるかな…)

女(…まあ、会えなくてもいつかは『主』のどっちかが電話するだろうし。)

女(…あと、裏々の世界から表の世界に帰る方法を考えないと…)

女(…いざ、こっちに来れたはいいものの、全くそれについては考えてなかったからなぁ…)

女(…やっぱり『合わせ鏡』での入れ替わりしか方法はないよなぁ…)

女(…でも、こっちは体の自由が効かないのにどうやって合わせ鏡をすればいいのか…)

女(…他に何か方法はないかな…)

女(…と言っても、他の方法としては『特権』しか残ってないんだけど…)

女(…ん? …待ってよ。)



220 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:30:33 ID:3zzmL9BY

女(…こうして…こうして…)

女(…それで…あっちで…ああして…そうしたら…)

女(…あっ。)

女(…あああああああああああああ!?)

女(…もしかして…)

女(…もしかして、私…)




女(…ミスっちゃった!!!!????)


----―――――――――――――――――――――――



221 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:31:04 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

【-放課後-】

スタスタッ

女(…。)

女(…あっ! 前に歩いてるのは!)

女「男!!」

男「…!? 俺のことを呼び捨てにするってことは…表女か!?」

女「うん、私、裏の世界から戻って来たの!」タッタッタ

男「…そっか…良かった…」

女「…あのね!私…」

男「魔法鏡で入れ替わったんだよな?」

女「…え!?知ってたの!?」



222 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:31:48 ID:3zzmL9BY

男「ああ。裏女が教えてくれたんだ。『もしかしたら、魔法鏡で女ちゃんがこっちに戻って来るかもしれない』って。」

女「…!? でも、何でそれを!?」

男「多分お前と同じだよ。お前も物理の授業で魔法鏡のことを知ったんだろ?」

女「あっ、そうか。じゃあ、女ちゃんも…」

男「ああ。あの子が俺に聞いてきたんだ。『魔法鏡で特権を使ったらどうなりますか?』って。」

女「…私と同じだ…。」

男「それで、俺は自分が持っていた『知識』と魔法鏡の性質を照らし合わせて、もしかしたら魔法鏡で入れ替わりが出来るかもしれないと考えた。」

女「…それも全く同じだ…」

男「ん?てことは裏の俺から、その入れ替わりの根拠…というか『空海』のこととか色々聞いたのか?」

女「うん。色々と難しい話を…でも、あれって男が調べたことなんだよね?」

男「まあな。…でも、お前、そのまま表の世界に行こうと思わなかったのか?」

女「…え? それは…裏女ちゃんのことが心配だったし…それに…」

男「…?」

女「私たち『一緒に表の世界に戻ろう!』って決めてたじゃない!だから、男を置いて一人で行けるわけないじゃない!」

男「……女。 …そうだな!決めたもんな俺たち!」



223 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:32:29 ID:3zzmL9BY

女「そうよ男! …あ、でも、男が裏の世界に来なかったのって、裏男に配慮してってことなんだよね?」

男「…ああ。裏の世界ではもとから皆自我を持っているってことは知っていたし、自分勝手な事情で、そんな裏の世界の自分に迷惑を出来るだけ与えたくなかったからな。」

女「…そっか。」

男「でも、裏女ちゃんからは早く『特権を使ってあげてください』ってすごくお願いされたんだよ。『自分や裏男のことはいいから』って…」

女「…!? …裏女ちゃん…。」

男「でも、お前が入れ替わった2日後に魔法鏡のことが分かって、何とか俺は『特権』を使わずに済んだんだ。」

女「そっか…」

男「まあ、俺の話もまたするから、先に女から『裏の世界』での話を聞かせてくれないか?」

女「あ、うん。分かった。」

----―――――――――――――――――――――――



224 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:32:57 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

男「あはは、裏の俺ってそんな奴なのか!」

女「そうなの!意地悪で嫌みばっか言ってくる超イヤな奴!!…で、裏女ちゃんはどんな子だった?」

男「ああ、すごく良い子だったよ。文句のつけようの無いほどに。」

女「…そっか。…本当にあの子には悪いことしちゃったな…。」

男「…。 …で、他にも裏男から何か色々聞いたのか?」

女「…うん。3月21日の理由とか、偶数世界だとか、あと自我についての詳しい事も。」

男「…そうか。それじゃあ、俺が説明する手間が結構省けたな。あはは。」

女「…あ、あと、裏男が最後に…」

男「…ん?」

女「…『線路』が必要だとかなんとか…」

男「…線路?」

女「…うん。多分、私たちが表の世界に戻るためのヒントなんだと思うんだけど…男はどう思う?性格が反対だとはいえ、知識や思考は裏男とあんまり変わらないんだから分かるんじゃない?」

男「…いや、表の世界に戻るために線路が必要だなんて俺も初めて聞いたぞ。そもそもどっから線路が出てきたんだか…近所に電車は走ってはいるけども。」

女「だよねぇ…」



225 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:33:44 ID:3zzmL9BY

男「まあ、その裏男からのアドバイスについては今後一緒に考えていこう。」

女「うん! …あ、それでね、男…私、もしかしたら…」





女「…ミスっちゃったかもしれない…。」

男「…ミス?」

女「あのね…『特権』と『合わせ鏡』を組み合わせたら、元通りになるんじゃないの!?」

男「…!」



226 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:35:14 ID:3zzmL9BY

女「まず、私が裏の世界にいる時は『表』に裏々女。『裏々』に裏女ちゃんがいるでしょ?それで、今日また私が『特権』を使っていれば、表に私、『裏』に裏々女、『裏々』に裏女ちゃんがいることになる。」
―――――――――――――――――――――――----
      2/22  → 2/29 
『表』  裏々女     女
『裏』   女     裏々女
『裏々』  裏女     裏女
----―――――――――――――――――――――――

女「それで、次に3月7日に私が『表の世界』でまた『合わせ鏡』での入れ替わりをするの。それで、『表』に裏女ちゃん、『裏』に裏々女、『裏々』に私がいることになる。」
―――――――――――――――――――――――----
      2/29  → 3/07 
『表』   女     裏女
『裏』  裏々女    裏々女
『裏々』  裏女     女
----―――――――――――――――――――――――

女「…で、私が『裏々』に行ってから3月14日と3月21日に連続して特権を使えば…裏女ちゃんを裏々の世界に押し込めることなく、元通りになるでしょ!?」
―――――――――――――――――――――――----
      3/07  →  3/14  → 3/21 
『表』   裏女     裏女     女
『裏』  裏々女     女     裏女
『裏々』  女     裏々女    裏々女
----―――――――――――――――――――――――

男「…あ~…まあ…な。」

女「でしょ!? それで私、ミスったって思って…私が今日魔法鏡での入れ替わりをせずにそのまま『特権』を使っていれば…」

男「…女。実はその方法は不可能なんだよ。」



227 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:36:13 ID:3zzmL9BY

男「何故なら『偶数世界』の住人は『主』になることは出来ないからな。」

女「…!? な、何で!?」

男「その原因は…『性格』だ。」

女「性格?」

男「おそらく『主』になれるのは『主』と性格の酷似した『奇数世界』の住人だけなんだ。オリジナルと性格が近ければ近いほど、『主』になりやすいし、オリジナルと性格が違えば違うほど『主』にはなれない。」

女「…!?」

男「そして、何故、わざわざ『合わせ鏡にしないと入れ替わりが出来ない』のか…それの理由もこれと同じで、『主』になるためにはオリジナルと性格が酷似した奇数世界の人間でないといけないからだってことなんだ。」

女「なるほど…だから『合わせ鏡』だったんだ…。」

男「ああ。…まあ、そういうわけで、その方法は不可能なんだ。…それに、もしその方法が可能だったら俺や裏男が気付かないはずないだろ?」

女「…あ…それは…まあ…」



228 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:37:01 ID:3zzmL9BY

男「まあ、他の方法を考えるしかないな…」

女「…でも、それじゃあもう残された方法は…」

男「…ああ、『合わせ鏡』での入れ替わりにかけるしかないな。」

女「…!? …でも、そんなのどうやって…」

男「…俺も、裏女からお前がこっちに戻ってくるかもしれないと聞いてからずっと考えていたんだけど…」

女「…けど…?」

男「…すまん、何も思いつかなかった…。」

女「…!? …そっか…。」

男「…だけど…」

女「…?」

男「…この現状を打開するための『ヒントを得られる方法』はある。」

女「…ヒント? どういうこと?」



229 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:37:48 ID:3zzmL9BY

男「…出来るだけこれはやりたくなかったんだが…もうこれしかないな…。」

女「…?」

男「…『第3者』に協力を仰ぐぞ。」

女「…? …『第3者』? 第3者って裏男や裏女ちゃんのこと?」

男「…違う。…この『裏々の世界』にいる人間のことだ。」

女「…? …この世界? え、でもこっちの『裏々の世界』にいる人で今、自我を持っているのは私と男だけって言ってたじゃない?」

男「…いや、俺はこの前『ほとんどいない』と言っただけで、『一人もいない』とは言ってない。」(>>79)

女「…!? …嘘…。 …じゃ、じゃあ、誰なの? 他にも自我を持っているっていう人は!?」

男「それは…」








男「俺の姉さんだ。」

----―――――――――――――――――――――――



230 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:38:25 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

女「…男の…お姉さん?」

男「…ああ。俺の姉さんがこの裏々の世界で3人目の自我を持っている人間だ。」

女「そんな…でも、何で男のお姉さんが!?」

男「…おっと、『主』たちは公園によっていくみたいだな。」

女「…!ほんとだ。」

男「その話は公園のベンチに座りながらゆっくり話すよ。」

女「…わかった。」

----―――――――――――――――――――――――



231 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:39:06 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

男「ふう…」ドサッ

女「…早速さっきの話の続きなんだけど、男のお姉さんは何で自我を…もしかして裏々女みたいに男から!?」

男「…いや、違う。」

女「じゃあ、どうやってお姉さんは自我を…」

男「…女、3週間前に俺、話したよな。俺は『とある出来事』をきっかけにこの鏡の世界のことを知った…と。」(>>82)

女「…え…う、うん。」

男「あと、俺が半年前、夏休みに一人で京都に観光に行ってたのを覚えてるか?」

女「…あ、そういえば…確か、抹茶のシュークリームのお土産をくれたよね?」

男「…ああ。そのとき、俺は姉さんの下宿先に泊めさしてもらったんだ。そして、そのときに俺はそこで『あるもの』を見つけた。」

女「あるもの?」

男「…鏡の世界のルールが書かれた紙だ。」

女「…!?」



232 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:39:55 ID:3zzmL9BY

男「そこには、俺がお前に教えた『鏡の世界についてのルール』のほとんどが書かれていた。」

女「…。」

男「…俺が鏡の世界のことを知ったのはこのときだ。」

女「…そう…だったんだ。」

男「その紙を見つけてから、今までのこの半年間、俺はその情報を基に色々と調べた。『3月21日』の理由等は俺が自分で調べ上げたものだ。お前に説明するときに『~だと考えられる』とかの表現を何回か使っていたが、それらも、『その紙』に書かれたものじゃなくて自分の憶測にしか過ぎなかったらそういう風な表現の仕方をしていたんだ。」

女「…なるほど。…でも、男、家でお姉さんとあってるよね?自我を持っているのなら、こっちでの会話が…」

男「…いや、姉さんは家の中では表の世界の自分と合わせた会話をしている。」

女「…!?」

男「…でもそれは演技だろう」

女「…けど、それが演技って分かってたなら、何で今まで本人に確認しなかったの?お姉さんって3週間前に京都の下宿から帰ってきてたんでしょ?」(>>7)

男「…やっぱり今まではやましい気持ちがあったからな。勝手に姉さんの『モノ』を覗いてしまったという。」

女「…。」

男「…あと、できるだけ俺と女以外の人を巻き込みたくはなかったから…二人で何とかしようと考えていたけど、もうそんなこと言ってられなくなった。」



233 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:41:00 ID:3zzmL9BY

女「…でも、お姉さんだって、自我を持っているとしてもこの鏡の世界じゃ体の自由が効かないわけだし…」

男「確かにそうだ。でも、今回の女が裏の世界から戻って来れたことで俺は確信した。」

女「…確信? 何の?」

男「鏡の世界にはまだ俺たちの知らない『ルール』があるということに。」

女「…!?」

男「俺が手に入れた情報には今回の『魔法鏡』での入れ替わりのことは書かれていなかった。だから、他にも何か違った入れ替わりの方法があるかもしれないと思ってな。」

女「…なるほど。」

男「俺がこっちにきてからは自力でどうにかしようと俺自身考えていたが、女と一緒に表の世界に戻ると決めたんだ。そのためにも…」

女「男…。…でも、どういう風にお姉さんに話すの?」

男「…今日は幸運なことにも『主』たちは公園に来てくれた。」

女「…?」

男「そして今は夕方の6時前、この時間に姉さんは犬の散歩で必ずこの公園に寄る。」

女「…!?」



234 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:42:13 ID:3zzmL9BY

男「だから、もしタイミングがよけれb…」

トントンッ

男「…!?」

女「…え?どうしたn…!?」

男姉「よっ!何してるのお二人さん♪」

犬「わんわん!」

女(…まさか、こんなタイミングでお姉さんが…)

男「…願っても無いチャンスだ。」

女(…!? 男、もしかして本当に!?)



235 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:43:37 ID:3zzmL9BY

男姉「…ん?どうしたの二人とも?」

男「…なあ、姉さん。」

男姉「ん?」

男「…『鏡の世界』について教えてくれないか?」

女「…っ。」






男姉「…………『鏡の世界』? 何それ? 小説かなにかの題名?」



236 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:44:27 ID:3zzmL9BY

男「…とぼけないでくれ、姉さん。『表の世界』の姉さんは鏡の世界のことを知っていた。なら、『あなた』も自我を持っているはずなんだ。」

女「…。」




男姉「…。」





男姉「…ちょっと、男。それについてはまた後で話そうか。…ごめんね、女ちゃん、うちの弟が変な話をして♪」

女「…!?」

男「…無駄だよね姉さん。女も既に自我を持っている。というか、俺たちはどっちも…オリジナルだ。」

女「…。」



237 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:45:12 ID:3zzmL9BY

男姉「…!?」



男姉「…………女ちゃん、本当なの?」

女「…はい。」

男姉「…はあ。 …どうして『あなた』まで…。」

男姉「…! …もしかして男。あんた、半年前に私の下宿に来たときに…あれを見たの?」

男「…ごめん。」

男姉「…はぁ、なるほど…そういうことね。 …今、表の世界の3人も話し込んでるみたいでもうちょっと時間があるから、とりあえずこれまでの経緯を『簡潔』に私に話しなさい。」

男「…分かった。」

男「実は…」

----―――――――――――――――――――――――



238 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:45:54 ID:3zzmL9BY

―――――――――――――――――――――――----

男姉「…なるほどね~、それで裏の世界から、女ちゃんが鏡戻って来れた…と。」

女「…はい」

男姉「…そしてこれから、どうやって表の世界に戻ろうと。」

男「…うん。俺たちのどっちかが戻ることが出来れば、あとのもう一人は無理矢理合わせ鏡をさせてらなんとかなると思うんだけど…」

男姉「無理矢理…ねぇ…」

男「…で、姉さん。単刀直入で申し訳ないんだけど、『合わせ鏡』と『特権』の入れ替わり以外に表の世界に戻る方法はないの?」

男姉「ん?」





男姉「ないよ?そんなの。」



239 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:46:38 ID:3zzmL9BY

女「…え!?ないんですか!?」

男姉「ないない。入れ替わりの方法はその2つだけだよ。」

男「…。」

女「そんな。 …! …じゃあ、お姉さん。『線路』って何だかご存知ですか?」

男姉「線路?」

女「私が裏の世界にいたときに裏男がメッセージとして『線路』が要るって言ってきたんですけど。」

男姉「…ふ~ん。線路ねえ…。」

女「何か…関係ないんですか?」




男姉「…さあ、私も分かんない。」



240 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:47:17 ID:3zzmL9BY

女「…! …そんな…じゃあ、やっぱり私たち、もう表の世界に戻るためには…」

男姉「うん。『元通り』の状態にしたいのなら『合わせ鏡』しかないね。」

男「…。」

女「…そんな。」

男「…また、振り出し…か…」

女「…」

男姉「…ちょ、ちょっと、そんな暗いオーラ出さないでよ。只でさえ、この世界は暗いのに…。」



241 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:47:57 ID:3zzmL9BY

男・女「…………。」




男姉「…はあ。」








男姉「…分かったわよ。私が手伝ってあげる。」

男「…?」

女「…手伝う?」

男姉「あんたたちが表の世界に戻るための手助けをしてあげるって言ってんの。」

女「…お姉さんが?」



242 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:49:16 ID:3zzmL9BY

男姉「そう。…まあ、この事態に巻き込まれているのが男だけなら『自力』でなんとかしろって言ってるところなんだけど、女ちゃんまで巻きもまれてるんじゃね。」

男「…。」

女「わ、私?」

男姉「うん。まあ、女ちゃんがこんな事態に巻き込まれたのは男のせいだけど…そもそもその男にきっかけを作ったのが私自身なんだし…あと、女兄くんの可愛い妹をこのままにしておけないでしょ?」

女「あ、お兄ちゃんのこと覚えてくれたんですね?」

男姉「うん。まあ、そこそこ仲良かったからね、あなたのお兄ちゃんとは。まあ、というわけだからこの私が協力してあげる。」

女「あ、ありがとうございますお姉さん! …ん? …で、でも、表の世界に戻るためには合わせ鏡をしないと…」

男姉「すればいいじゃない。『合わせ鏡』を。」

男「…!? でもどうやって…?」

男姉「だから、そのシチュエーション作りを手伝ってあげるって言ってんの。」

女「…『シチュエーション作り』?」



243 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:50:09 ID:3zzmL9BY

男姉「うん♪ …え~っと、今日は閏日だから29日だっけ?」

男「あ…うん。」

男姉「よしよし♪ そんじゃ~…あっ♪良いこと思いついた~♪」

女「良い事?」

男姉「…よし♪決行は今日からちょうど2週間後の3月14日♪」

男「…『決行』って何を決行するの、姉さん?あと、何で3月14日なんだ?」

男姉「ふふ♪ 3月14日って何の日でしょう?」

男「何の日…?」

女「あっ…」



女「…ホワイトデー。」



244 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:50:58 ID:3zzmL9BY

男姉「そう、ホワイトデー♪ あんたたち今付き合ってるんでしょ?」

女「…え、は、はい。…一応。」

男姉「よしよし♪」

男「…でも、ホワイトデーと入れ替わりに何の関係が?」

男姉「…ん?特に関係はないわよ。」

女「…え、『関係ない』? じゃあ何で…」

男姉「…ん?それは『釣りやすい』から。」

男「…釣りやすい?」

男姉「…そう。ホワイトデーに『あの子たち』を釣ってみせるわ。」









男姉「この私がね」

----――――――――――――――――――【承】――



245 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:51:42 ID:3zzmL9BY

―【鏡の世界でのルール(No.1)】―――――――――----

● 体について
① 体の自由はほとんど効かない。表の世界にいる『主』が絶対的な存在であり、その『主』の行動が鏡の世界の住人にも反映される。(>>57)
② 表の世界で『行動権』を持つ者を『主』、表の世界で生まれ育った者を『オリジナル』という。(>>81)
③ 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感は働く。(>>93)
④ 鏡の世界では『考えること』と『喋ること』が出来る。(>>58)
⑤ 鏡やガラスといった光を反射させるもの(反射物)に表の世界の『主』が映っている場合は鏡の世界の住人は『喋ること』が出来なくなる。『考えること』は可。(>>59)
⑥ 『主』が反射物に映っている時は『主』の『喋る』内容が鏡の住人にも反映される。(>>59)
⑦ 飲食時は反射物に映っていない時でも、表の世界の『主』の口の動きと同化する。(>>93)
⑧ 反射物に、自分の像が映し出されるその5秒前に、脳に合図が走り、『喋ること』ができなくなる。ただし、これは自我を持った人間のみに起きる現象である。(>>60)

● 自我について
① 鏡の世界の人間が自我を持つためには、鏡の世界の人間自身が『鏡の世界の人間』だと自覚する必要がある。(>>76)
② 自我を持つことによって鏡の世界の住人は『考えること』と『喋ること』が出来るようになる。(>>76)
③ 自我を持った鏡の住人は、反射物に自身の姿が映る度に表の世界の『主』の記憶が共有されるようになる。ただし、オリジナルには共有されない。(>>161) ←New!!
④ 鏡の世界の住人が自我を持つためには『他に自我を持った人間から鏡の世界についてを教えてもらう』もしくは『表の世界のオリジナルが鏡の世界のことの存在を知る』必要がある。(>>80)

----―――――――――――――――――――――――



246 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:53:03 ID:3zzmL9BY

―【鏡の世界でのルール(No.2)】――――――――----

● 鏡の世界の特徴について
① 鏡の世界は半永久的に存在する。(>>53)
② 鏡の世界は、裏の世界、裏々の世界、裏々々の世界と、表の世界から遠ざかっていくにつれて、明度が小さくなっていく。(>>54)
③ 表の世界を『1』として、裏々、裏々々々といった奇数番目の世界は、『奇数世界』と定義される。(>>159) ←New!!
④ 裏の世界を『2』として、裏々々、裏々々々々といった偶数番目の世界は、『偶数世界』と定義され、これらの世界では、全てのモノが反転している。(>>159) ←New!!
⑤ 偶数世界では、ほとんどの者が自我を持っており、その『性格』はオリジナルのものとは反転したものになっている。(>>159) ←New!!
⑥ 偶数世界の鏡の住人が『主』になることは出来ない。(>>227) ←New!!

● 入れ替わりについて
① オリジナルが表の世界以外にいる場合、反射物に対して念じれば、表の世界に近い層へと移動できる。(『特権』による入れ替わり)(>>124)
② 2枚での合わせ鏡の状態を創り出した時、表の世界と裏々の世界の人間が入れ替わりを起こすことが出来る。(合わせ鏡による入れ替わり)(>>48)
③ 入れ替わるのは、あくまで『意識』のみであり、肉体はそのままである。(>>49)
④ 入れ替わる時に、一瞬だがお互いにコミュニケーションが取れる。(>>218) ←New!!
⑤ 入れ替わりは連続して行うことが出来ず、1週間のブランクを必要とする。(>>96)
⑥ 入れ替わりにはどちらかにその『意志』があることが必要となる。(>>51)
⑦ 入れ替わりは閏年の一時期に行える。(2012年は3月21日まで)(>>50)
----―――――――――――――――――――――――



247 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/23(日) 22:53:35 ID:3zzmL9BY

―【鏡の世界でのルール(No.3)】―――――――――――----






● ○○○○○○○○○○○○○○


③  
④  






○○ ○○○○○ ○○ ○○○○○○○ ○○○ ○○○…
----―――――――――――――――――――――――



258 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:21:35 ID:HM7Lgrds

―2012年/2月/29日/香川/ @ 3週目―――――――----

女「…釣るって…でも、どうやって!?」


男姉「…そのことについて話す前に、あなたたちに約束してほしい事があるの。」

男「…約束?」

男姉「そう、約束。…いや、約束というよりは『条件』と言った方が正しいかな?この『条件』を飲んでくれない限り私はあなたたちに手助けしてあげないからね。」

女「…!?」

女(…お姉さんの雰囲気が…急に変わった…)

男「…何なの?その条件って?」

男姉「…その『条件』とは…あなた達が表の世界に無事に戻れたら、それ以降、『鏡の世界に付いて絶対に鏡の世界に関わらない事』。それと、『鏡の世界についてこれ以上調べない事』の二つよ。」

男・女「…!?」



259 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:22:05 ID:HM7Lgrds

男姉「この『条件』を飲む事が出来るのであれば私はあなた達の手助けをするわ。」

女「な、何で鏡の世界に関わったら駄目なんですか!?」

男姉「何でって、そりゃこれはあなたたちのためよ。」

女「私たちの…ため?」

男姉「そう、あなたたちのため。…あなたたちも実体験してるから分かってると思うけど…鏡の世界ってロクでもない場所でしょ?」

女「…!? …ええ、まあ。」

男「…。」

男姉「でしょ? こんな世界、関わらない方が絶対に幸せなのよ。関わったらロクなことが起きない。だから、あなたたちを鏡の世界に今後関わらせないためにもこの条件を私は提示したのよ。」

女・男「…」

男姉「まあ、今すぐ答えを出しなさいとは言わないわ。でも悩む必要は無いと思うけどね、私は。表の世界に戻れて、尚かつ、鏡の世界に関わることも私によって禁止され、危険な目に遭わなくてすむようになるんだから。」



260 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:23:11 ID:HM7Lgrds

女(…お姉さんの言う通りだ。鏡の世界に関わることはすごく危険なことだと思うし…それに表の世界に戻るためにもお姉さんの手助けは絶対に欲しい。…だから私はお姉さんの条件を呑みたい…。)

女(…でも、男はどうなんだろ…)チラッ

男「…」

女(…男は自分で鏡の世界に興味を持った上で調べてたりしてたわけだし、『調べるな』っていう条件がもしかしたらネックになっているかもしれない…だって、あんなに詳しく調べてたんだから最後まで突き詰めて調べたかっただろうし…)

女(…どうしたら…。)



男「…姉さん、その条件、呑ませてもらうよ。」

女「…!?」

男姉「…いいのかい?」



261 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:23:49 ID:HM7Lgrds

男「ああ。姉さんももう気付いていると思うけど、俺は『あの紙』をもとに鏡の世界について色々調べていたし、これからももっと調べたいと考えていたよ。でも、そんな『情報』よりも表の世界に帰りたいという『願望』の方が圧倒的に強い。それに女とも約束したしな。表の世界に一緒に帰る…って。…な?女?」

女「…男。」

男「ごめんな、女。お前、俺に気を使って今も条件を呑むか悩んでたんだろ?もうそんなこと気にしなくていいから安心してくれ。」

女「…男。…うん、分かった!」

男姉「…どうやら二人とも答えは決まったようね。」

男「ああ、姉さん。俺と女は姉さんのその条件を呑むよ。…だから、表の世界に戻るための手助けを…頼む!」

女「お願いします!」



男姉「…よ~し、了解した。…さあ!二人の気持ちが固まったところで、それじゃあ早速ホワイトデーの作戦について軽く説明しておこうか♪」

女(…あ、また明るい感じのお姉さんに戻った…)



262 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:24:23 ID:HM7Lgrds

男「…でも姉さん。さっき姉さんはあの二人を『釣る』って言ってたけど、どうやって釣るんだい?こっちの裏々の世界じゃ体を動かせないんだぜ?」

男姉「そうね。確かにこっちじゃ体は動かせない。…けど、『動かすつもりもない』わ。動いてもらうのは『あっち』。」

女「…? …『あっち』って『主』たちのことですか?」

男姉「そう。」

女「…じゃ、じゃあどうやって『あっち』の体を動かすんですか!?」



男姉「…実は私には表の世界の『主』と連絡をとる『手段』があるの。」

女「…!?」

男「…表の『主』と?」



263 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:25:27 ID:HM7Lgrds

男姉「そう。だから、私が練った『作戦』を表の世界の『主』に伝え、そしてその『作戦』をあっちで実行してもらって、あの二人を釣る…っていう流れになるって考えておいて。」

男「…そうか。つまり、姉さんがさっき言ってた『こっちは動かず、あっちに動いてもらう』っていうのは、姉さんが考えた作戦を姉さんの『主』が実行して、それで俺たちの『主』を動かすってことか。」

男姉「そういうことよ。」

女「なるほど…。 …でも、お姉さんはその『主』にどうやって連絡するんですか?『主』が鏡を通して鏡の世界の住人にメッセージを一方的に送るのは可能だと思いますが、鏡の住人から『主』に連絡をすることなんて…」

男姉「ふふ♪ それはねぇ」



男姉「…って言いたいところだけどそれは内緒♪」

女「…!? な、何でですか?」



264 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:26:11 ID:HM7Lgrds

男姉「まあ、あんたたちにその方法を教えたところで、それが役に立つとは思えないけどね。」

男「…! …あ、確かに。」

女「…? どういうことですか?」

男姉「知ったところで、あんたたちには何も有効な活用はないと思うよ。「どうか合わせ鏡をそっちにしてください」って頼んで効く相手ならまだしも、そうもいかなさそうでしょ?」

女「…! あっ、そっか…。言われてみればそうです。…あっちと連絡とったところで…」

男姉「でしょ?しかも、もしその方法を教えて、私が考えた作戦を実行する際に、もしあんたたちのどっちかがむこうにそれを漏らしてしまったら元も子もないでしょ?」

女「…! …そんなことは絶対にないですよ。」

男姉「物事には絶対は無いのよ、女ちゃん。そういう危険性もあるってことは間違いないんだから、出来るだけその危険を避けられる道を選ばなきゃ。そういった恐れもあるっていうことで教えられない。…分かってくれた?」

女「…はい。」


男姉「男もその『連絡手段』について知りたいだろうと思うけど、さっきの『表の世界に戻ったら鏡の世界に関わらないという条件』を呑んでもらった以上、これ以上知ったところで無駄でしょ?…っていうわけだから教えない。いいわね?」

男「…ああ。分かった。」



265 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:26:55 ID:HM7Lgrds

男姉「さあ~ってと、それじゃ『作戦』の本題に…」

犬「わんわん!」

男姉「…っと、ごめんごめん、あんたのことすっかり忘れていたわ。お~よしよし♪ …あ、まずいな。多分、私の『主』はこのタイミングで帰ろうとすると思うから今日のお話はここまでね。」

女「…え、でもこのままお姉さんとはぐれたらその作戦を聞けなく…」

男姉「安心して。必ずあなた達と会う機会を作ってみせるから。まあ、もし無理だとしても最悪、男に作戦を伝えておけば、2週間以内には女ちゃんには伝わるだろうから。」

女「わ、わかりました。」

男姉「それと、女ちゃん。」

女「…はい?」

男姉「あなたと男はこの私が絶対に表の世界に戻してあげるから安心しておいて。私に任せなさい。」

女「お姉さん…」



266 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:27:30 ID:HM7Lgrds

男姉「それじゃあ、男。私は先に帰ってるわよ~。」

男「ああ。」

男姉「それじゃあね、女ちゃん」

女「…お、お姉さん!!」

男姉「…ん?」

女「…最後に…最後に聞いてもいいですか?」

男姉「…な~に?」

女「…お姉さんは…」





女「…今、ここにいるお姉さんは『どの世界』のお姉さん…なんですか?」

男「…!?」

男姉「…」



267 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:28:12 ID:HM7Lgrds

男姉「…それはね…」





男姉「内緒♪」

女「…!!」



男姉「それじゃ~ね~♪」スタスタッ

男姉「じゃあ行くわよ~、犬~。」

犬「わんわん」

----―――――――――――――――――――――――



268 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:29:44 ID:HM7Lgrds

―――――――――――――――――――――――----

女「…行っちゃったね、お姉さん。…『主』との連絡手段…か…。男はその連絡手段とやらは知らないんだよね?」

男「…ああ。俺もさっき知ったよ。…でも、これではっきりしたな。」

女「…?」

男「やっぱり鏡の世界にはまだ俺たちの知らない秘密があるってことに。」

女「…! …そうだね。でも、これ以上調べることは…」

男「…! …ああ。そうだな。」

女「…男、もしかして後悔してるの?」



269 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:30:14 ID:HM7Lgrds

男「いや、そういうわけじゃないんだ。でも、もし、姉さんの作戦とやらが失敗したら…」

女「…! …そうだね…もしホワイトデーに失敗したら、入れ替わりの最終日まで1週間しか無いもんね…。」

男「まあ、まずは姉さんの作戦を聞いてみないとな。」

女「…ん? でも、これからどうすればいいの? 14日までにお姉さんに会えることなんて本当にあるのかな?」

男「まあ、そこらへんについては俺が家に帰って姉さんに聞いてみる。最悪、姉さんが言ってたように、俺が姉さんから全部話を聞いて女に伝えるよ。」

女「分かった、お願いね。」

男「おう。」

----―――――――――――――――――――――――



270 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:30:42 ID:HM7Lgrds

―2012年/3月/14日/香川/ @ 4週目―――――――----

女『行ってきま~す。』ガチャ

バタンッ

女「ふぅ…」

スタスタッ

女(…とうとう、この日が来た。)

カンカンッ

女(…うまくいけば…)

女(…こうやって階段で上り下りするのも…)

女(…)

女(…これで最後だっ!)

----―――――――――――――――――――――――



271 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:31:37 ID:HM7Lgrds

―――――――――――――――――――――――----

スタスタッ

女「…」スタスタッ

女母「女~」タッタッタ

女「…!? …お、お母さん?」

女母「あれ?私の方が後から出たのにまだマンション前で会うってことは…あんた、もしかして階段で降りてきたの?」

女「え…あ~…うん。ちょっとダイエットがてらに…ね?」

女(まずいな~…よりによって家の外でお母さんと話をすることになるとは…自我を持たせないように気をつけないと…)

女「…でも、お母さんどうしたの?出かける用事でもあるの?」

女母「何言ってるのあんた?さっき、朝食の時に『今日はPTAの用事でお母さんもちょっと遅れて学校に行くからね』って言ったでしょ?」

女「あ…」

女(…しまった。リビングは裏々女の置いた鏡があるし、自分で会話しなくていいからってことで、今朝はずっと『これからの事』を考えてしまっていたから、今朝のお母さんとの会話がほとんど頭に入ってない…)

女母「お母さんの方がちょっと遅れて行く予定だったけど、まあこうやってばったり会ったんだし一緒に学校に行きましょうか。」

女「う、うん。」

----―――――――――――――――――――――――



272 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:32:21 ID:HM7Lgrds

―――――――――――――――――――――――----

女(…今、おそらく『表』では全く違う会話をしていたはず。会話の内容を修正していかないと…)

女(…でも、今、『表』の二人はいったいどんな話をしてるんだろう…)

女(…駄目、全く思いつかない…)

女(どうすれば…このまま、もし変な事を言って『こっちのお母さん』に自我を持たせてしまったら…)

女母「…女?」

女「…! …ご、ごめん。ちょっと考え事をしてて。」

女母「そうなの?何か悩み事でもあるの?」

女「いや、別にそんなの無いよ!」

女(…とっさに『無い』って答えたけど…)



273 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:33:22 ID:HM7Lgrds

女母「…そう。それじゃあ、お母さんの悩みを聞いてもらおうかな!?」

女「…お母さんの…悩み?」

女母「……お母さん、最近変なの。」

女「…! …変?」

女母「…ええ。最近…よく耳鳴りがするの。」

女「…!? …耳…鳴り?」

女母「…そうなの。それで、その耳鳴りが鳴った後は急に喋れなくなって…」

女「!?」

女(…まさか…)

女(…まさか!?…)

女(…お母さんも既に自我を…!?)

女母「…女?どうかしたの…?」

女(…これは…もう話した方が…こんなふうに『こっち』のお母さんと話せる機会も、もうないだろうし…)

女「…あのね、お母さん…」

----―――――――――――――――――――――――



274 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:34:11 ID:HM7Lgrds

―――――――――――――――――――――――----

女母「なるほど…ここは鏡の世界で…それで、私は鏡の世界の住人ってことね。」

女「…うん。」

女母「そして、あんたはここの世界の人間じゃない…っていことなんだよね?」

女「…うん。あくまで簡単に説明しただけだけど…」

女母「はぁ、とてもじゃないけど、そんな話信じられないわ。」

女「…だよね。」

女母「…でも、信じざるを得ないわね、この状況は。」

女「…!」

女母「…で、あんたはいつからこっちに来たの?」

女「…1ヶ月ぐらい前。」

女母「1ヶ月前…ああ、もしかしてバレンタインデーの次の日かい?」

女「…!? 何で分かったの?」

女母「あの日のことや、その前日の事はよく覚えてるのよ。色々とあったから。」

女「…いろ…いろ?」



275 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:36:13 ID:HM7Lgrds

女母「バレンタインデーの日の夜にあんた、男くんと付き合ったっていう話を私としてたでしょ?」(>>10)

女「…う、うん。」

女母「…で、『こっち』でも、その話を『あの子』としてたわけ。もちろんこっちもその時はすごく盛り上がったわ。」

女「…そうなんだ。」

女母「それでね、ずっとその話をしてたら…急に女が携帯を持ちながら立ち上がって部屋に行ったの。」

女「…え?」

女母「女はその時に『ちょっと電話しないといけないを思いついたから』と言ってたけど、あきらかにあれはおかしかったというか…」

女(もしかして…表の世界の私たちの会話と違っていた…ってこと?)



276 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:37:54 ID:HM7Lgrds

女母「で、その後、私の体も急にお父さんの書斎に向かったの。」

女「…お父さんの書斎?」

女母「お父さんの書斎にはPCがあるでしょ?」

女「…あっ!」

女母「で、お父さんの書斎には鏡もあるでしょ?だから、その書斎の鏡に映ったときに、『あっちの私とあんた』のその直前の会話が頭に流れ込んできたの。で、その時初めてあっちの私はあっちの女と水族館に行こうって話をしてたんだって気付いててね。」

女「…」

女(…そうか。お母さん達は水族館にデート変更っていう話の流れにならなかったんだ。(>>14) それで、表の世界の私が男に電話を掛けようと自分の部屋に移動した時に裏々の私とお母さんが違和感を感じたんだ…。)



277 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:39:16 ID:HM7Lgrds

女母「でね、その時にもう一つ気付いたことがあったの。」

女「…もう一つ?」

女母「『こっち』の女も、もしかしたら私とおなじような状況なんじゃないかってことに。」

女「…!」

女母「普通、体が急に動き出したら驚くでしょ?でも、女はその時に『ちょっと電話をしないといけない用事を思い出したからって』って言ってその状況に対応してたわ。でも、その対応の仕方はどう見ても急場凌ぎのものだったし」

女「…」

女母「で、鏡に私が映って『あっち』の会話が流れ込んできた後に、私は水族館までのアクセスをプリントアウトして女の部屋にもって行ったわ。(>>18) そして、私は電話が終わったと同時に女の部屋に入ったの。すると、あの子すごくビックリしててさ。」

女「そういえばあの時は私もすごくビックリしてたね。」

女母「うん。あなたがビックリしてたのもあったと思うけど…『こっちのあの子』も相当驚いてたわ。だって私がいきなり水族館までのアクセスのプリントを持って現れたんだから。」



278 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:40:47 ID:HM7Lgrds

女「…その時はどんな会話をしたの?」

女母「私は、『今、水族館が盛況みたいだし、もし良ければ明日のデートの参考にして。』とだけ言って、あの子は…『ありがとう。』とだけ言ってたわ。」

女「そうだったんだ…。」

女母「…で、これはもう女に話すしか無いなと思ってあんたがデートから帰ってきたら思い切って相談しようと思ってたの。でもあんた、あの日、帰ってきてすぐリビングや玄関に鏡を置き始めたでしょ?」(>>108)

女「…それは、わたしじゃなく『あの子』がやったことだよ。」

女母「…やっぱりそうだったのね。どうりでおかしいと思ったのよ。そのおかげで、家であんたと話すことが出来なくなっちゃったから相談することが出来なかったのよ。じゃあ、やっぱりあの日のデートの時に入れ替わったのね、あんた達。」



279 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:41:22 ID:HM7Lgrds

女「…うん。 …でも、そもそも何で会話がそんなにずれちゃったんだろ…表の世界でも裏々の世界最初は同じ話題だったはずなのに…」

女母「…ん?何?こっちの世界のことを『裏々の世界』っていうの?」

女「…え、うん。まあ…。」

女母「ふぅん。で、あんたさっきの説明のときに『あっち』の人と『こっち』の人の性格は全く同じって言ってたけど、どれくらい一緒なの?」

女「…え?確か男が言うには99%って…」

女母「じゃあ完全に一緒ではないわけだ?」

女「…?」

女母「99%同じでも、1%同じでないのならそれはもう『別人』よ。」

女「……別人…。」

女母「そう、別人。確かにある程度の趣味趣向は同じかもしれないけど、それでも1%は違うわけなんだし、そこに絶対に異なった個性が存在するはずよ。」

女「…違う個性…。」



280 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:42:14 ID:HM7Lgrds

女母「例えば…ほら、『あっち』の私ってちょっとズボラじゃない?」

女「…ぷっ! …ふふ、そうかなぁ?」

女母「絶対そうよ!…まあ、なんだか自分の悪口を言ってるようで嫌だけど…まあ、でも実際に会話にこうやってズレが生じている以上、あっちとこっちじゃ別人だってこと。別人だってことはあっちとこっちじゃ会話がずれるということ。そういうことなんじゃないの?」

女「…うん。そうだね。私も『こっち』で会話を合わせるのにすごく苦労したし。他にも『心境』や『状況』が全く違うことで会話の内容にズレが生じてくるだろうし。」

女母「確かに。お母さんもそのバレンタインデーの日はまだかなり混乱していたからね。頻繁に起こる変な現象に。まあ、それが鏡の世界の影響だっていうことがこうやってあんたに教えてもらうことでわかったんだけど。…そんな心に余裕が無い状態だったから、『水族館を勧める』というあの子への配慮に至らなかったのかもしれないわ…。」

女「…そっか。…ねえ、もしかして…お父さんも自我を持っていたりするの?」

女母「ん~、どうだろうね。多分持ってないと思うよ。」

女「そ、そっか。…良かった。」ホッ



281 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:43:38 ID:HM7Lgrds

女母「このことはお父さんには相談してないからね。あと、あんた、ここんとこお父さんとあんまり喋ってないでしょ?」

女「…え。…そ、そうかな?」

女母「そうよ。お父さん寂しがってたわよ。まあ、お父さんとはあんまり喋らず、私とよく喋っていたからこそ私がその自我とやらを持つことになったんだろうけどね。」

女「…!」

女母「『あの子』はいつ頃から自我を持っていたの?」

女「…おそらく半年くらい前から。」

女母「そっか。半年前か。まあ、『あの子』とは毎日のように喋ってたんだから、半年もあれば、私にもその影響が来るわね。」

女「…そうだね。」

女(…お母さんの言う通りだ。半年もあれば、裏々女との会話のズレに違和感を感じてそこから自我が生まれるのも十分考えられること。)

女(…そう考えるともしかしたら他にも…特に学校で私の身の回りにこの裏々の世界で自我を持ってしまった人が居るかもしれないな…大丈夫かな…)



282 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:44:22 ID:HM7Lgrds

女母「…で、あんたはどうするんだい?」

女「…え?どうするって?」

女母「このままこっちの世界にいるつもりなのかい?戻りたいんでしょ?あっちの世界に。」

女「…!? …実はね…今日、わたし、表の世界に戻れる…かもしれないの。」

女母「…!? そうなの?」

女「うん。男や男のお姉さんが協力してくれて。」

女母「…男くんのお姉さんって男姉ちゃんのこと?」

女「うん。お兄ちゃんの同級生だった人。」

女母「へえ~、そうなんだ。でも良かったじゃない。あっちに戻れるんだから。」

女「…うん。でもまだ、本当に戻れるかどうか分からないけどね…。」

女母「まあ、戻れなかったとしても大丈夫よ。私がいるんだから安心しなさい!」

女「…ふふ。そうだね」



283 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:44:56 ID:HM7Lgrds

女母「…あ、でも今のうちには鏡だらけだから会話出来ないのよね。というか、あれもあの子の仕業なのよね?」

女「…うん。さっきも言ったけど、そうだよ。」

女母「ったく、あの子ったら…。」

女「お母さん…でも、あれはね、裏々女がお母さんやお父さんが自我を持たないようにするために置いたの。鏡を置けば会話が表の世界とリンクするから自我を持たせるリスクを減らせるっていう理由で。」

女母「…! …そうだったんだ。…まあ、でも、あの時点で既に私は自我を持っていたから、あの子の取り越し苦労になっちゃったわけだけど。…でも、そっか。…あの子。」

女「…お母さん。」

女母「…女。私、さっきあんたに『戻れなかったとして大丈夫よ』って言ったけどそれ撤回!」

女「え?」



284 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:45:24 ID:HM7Lgrds

女母「…絶対に…絶対にあっちの世界に戻りなさい!戻れなくてもお母さんがいるから大丈夫だとか、甘ったれた考えは捨てなさい!!」

女「…え…ええ~」

女母「…それで。」

女「…?」

女母「…それで、絶対にあの子をこっちに戻してちょうだい。あの子はやっぱり私の娘なんだし、私の娘だからこそ、あんたをこんな大事に巻き込んだことを叱ってやらないといけない。」

女「…! …お母さん。」

女母「もちろん、あんたも私の娘よ。でも私はあんたの本当のお母さんじゃないし、あんたの本当のお母さんはあっちにいる。だから、あんたにはあっちの世界に戻ってもらわないと!『あっちの私』のためにも!」

女「…うん!そうだね! …私、絶対に戻ってみせる!」

女母「ええ、その意気よ!」



285 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:46:02 ID:HM7Lgrds

女「…でも、お母さん。 お母さんは表の世界に行ってみたいとは思わないの?」

女母「…ん?私?」

女「うん。普通は表の世界に行ってみたいと思うのが普通なんだと思うんだけど…。」

女母「…う~ん、どうだろうね。確かにあっちの世界にはちょっと興味あるけど。でも、私はこの世界に生まれてこの世界でここまで育ってきたんだから、これからも私はこの世界で生きて行くわ。」

女「そっか…」

女母「でも、今のままじゃ楽しめないかもね。やっぱり『あの子』に帰って来てもらわないと。」

女「…! …任せといてお母さん!私が必ずあの子をこっちの世界に戻してくるから!」

女母「ふふ、頼んだわよ、女。…ごめんね、さっきは『あなたは私の本当の娘じゃない』って言い方しちゃったけど、あなたも紛れもなく…私の娘よ。」

女「…お母さん。」

女母「っと、もう学校に着いたわね。それじゃあ、私はこっちだから。頑張るのよ女。それとあの子のこと…お願いね。」

女「うん!任せておいて!」


----―――――――――――――――――――――――



286 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:46:43 ID:HM7Lgrds

―――――――――――――――――――――――----

キンコンカンコーン

女(…よし、4時間目が終わった…)

女(…予定通りなら…)

女(…そろそろ…)

女(…あのメールが…)



ブーン ブーン



女(…! …来た!!)パカッ



287 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/02(金) 23:47:33 ID:HM7Lgrds

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

From:男
件名:Re;
本文:



10分後に旧校舎の音楽室まで来て。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






女(…よし!予定通り!)



………
………………

----―――――――――――――――――――――――



291 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:01:51 ID:B2S0wCzg

―【回想~1週間前~】――――――――――――----


男姉「あの後、男に詳しく聞いたわ。あんたたちの置かれた現状について。で、それに基づいて、作戦の内容を考えたわ。そして、今日、あんたたちが一緒に帰るってことを男から聞き、そしてそれを『表の私』に伝えてばったり遭遇するようにしてもらい、そして今に至るって感じね。」

男「上手くいったね、姉さん。」

女「でも、今日もこの前みたいに長話出来るとは限らないんじゃ…」

男姉「そこんとこは大丈夫。ちゃんとあっちでも話を長引かせるように『あっちの私』に言っておいたから。…とは言っても、何が起きるか分からないからさっさと説明を始めるわよ。」

女・男「はい」

男姉「まず、決行は予定通り3月14日のホワイトデー。ここに変更点はなし。」

男姉「ホワイトデーはバレンタインデーにチョコを貰った男の子が女の子にお返しをする日。そのイベントを利用するわ。」

男姉「先に『釣る』標的は『裏々女』ちゃん。女の子はこういうイベントにはすごく弱いもの。もしかしたら、何かすごいサプライズがあるんじゃないかって、期待に心を膨らませる日…それがホワイトデー。…だよね~?女ちゃん?」

女「…え。…あ…は、はい。」

男姉「…そして、そんな期待とメルヘンチックな気持ちで充ち満ちた乙女心に大きな隙があるわ。…ってなわけで『裏々女』ちゃんを釣るための説明をしていくわよ。」



292 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:02:36 ID:B2S0wCzg

男姉「まず最初に、女ちゃんに男から『プレゼントがあるから昼休みに会おう』というメールをホワイトデーの『前日』に送らせる。」

男姉「もちろん男にはプレゼントを準備させるわ。まあ、メールを送るようには促すけど、プレゼントの内容には『表の私』から干渉はしないつもり。」

女「…え?何でですか?」

男姉「プレゼントの内容はこの作戦には無関係だしね。それに、女ちゃんも男がどんなプレゼントを用意するか楽しみでしょ?まあ、男は男でも『裏々男』なんだけど。」

女「…まあ、そうですね。」

男「…なんかごめんな、女。」

女「…! 気にしないで男! …あ!じゃあ、もし表の世界に戻れたら改めて何かちょうだい!」

男「…女。 …ああ、分かった!」

男姉「…お熱いとこ申し訳ないけど、話の続きをしてもいいかな?」

女「…! ご、ごめんなさい。」

男「続けてくれ、姉さん。」



293 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:03:05 ID:B2S0wCzg

男姉「…よし。で、ホワイトデー当日の昼休みが終わる直前に『あっちの私』が動くわ」

女「…動くって…もしかしてお姉さんも学校に来るんですか?」

男姉「もちろん。じゃないとこの作戦は不可能だからね。」

女「でも、『昼休みが終わる直前』に『あっちのお姉さん』は何をするんですか?」

男姉「…その『昼休みが終わる直前』に『あっちの私』には…男の携帯を盗んでもらう。」

女「…盗む? …盗むって、あっちのお姉さんが、裏々男から携帯を盗むってことですか?」

男姉「そう♪」

女「でもどうやって…それに何のために…?」



294 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:03:32 ID:B2S0wCzg

男姉「男、あんた14日、というか水曜日の4時間目は体育なのよね。」

男「ああ。」

女(あ、そういえば、この前の水曜の昼休み体操服を着てたな…)(>>144)

男姉「よしよし。…で、体育の時、教室の戸締まりはどうなっているんだっけ。そこんとこ改めて説明してくれる?」

男「うちの高校では体育の時は男子と女子、別々の教室で着替えるんだけど、その日の日直が貴重品を袋に集めて、それを職員室に預けた上で教室の鍵を閉める。」

男「…でも、そのルールはもう『男子』ではほとんど守られてないというか…みんな財布とかの貴重品は預けるんだけど、教室の鍵は閉めなくなってる。『財布以外盗まれるもんなんてないだろ』っていうふうに皆思っているから。」

男姉「まあ、男子ってそんなもんよね。私があの高校にいた時も男の子たちは結構適当だったわ。」



295 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:04:06 ID:B2S0wCzg

男姉「よし、話を戻すわよ。…つまり、男のクラスが体育の時、男の教室には鍵はかかっていない。そして、携帯は学生服のズボンか鞄に入れたまんまってこと。あと、男の教室は中校舎の1階だったわよね?」

男「うん。」

男姉「よしよし♪ これだけの条件が揃っていれば携帯一つ盗む事なんて簡単。そういえば、あんた、携帯にパスワードはつけてるの?」

男「あ…一応。」

男姉「よし、後で教えなさい。」

男「…!? …え、本当に教えないといけないの…?」

男姉「あたりまえじゃない。パスワードが分からなかったら携帯のロックを解除出来ないじゃないの。」

男「いや…それは…まあ、そうなんだけど…」

男姉「……はは~ん、あんた、もしかして携帯に何か『やましい』ものでも入ってるんでしょ~?」



296 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:05:00 ID:B2S0wCzg

男「…!? …そ、そんなんじゃないよ!!」

男姉「ふふ、そんなに必死に否定するってことは図星ね~」

女「……へぇ~…。」

男「…! …だ、だって俺も一応男子高校生なんだし仕方ないだろっ!」

男姉「認めたわね~♪」

女「…。」

男「…あっ…。いやっ…その…。」

男姉「ふふ♪ まあ、仕方ないわよね、あんたも『男の子』なんだし♪ まあ、あんたのお姉ちゃんは『卑猥なもの』があったとしてもそれを口外するようなことはしないから安心しなさ~い♪」

男「…いや…全く安心出来ないんだけど…」

男姉「…まあ、男をいじるのはここまでにしておいて…そういう手順で『あっちの私』が男の携帯を手に入れる。そしてその後に、裏々女ちゃんにメールを送らせるわ。」

女「…! …メールにはどんな文章を?」



297 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:05:39 ID:B2S0wCzg

男姉「メールの文章は『旧校舎3階の音楽室前に来て』っていう文章を送るつもりよ。」

女「3階の音楽室?」

男姉「そう。旧校舎の『あの鏡』は旧校舎東側階段の2階と3階の間の踊り場にあるでしょ?『そこ』を通らすためには3階での待ち合わせにしないといけないからね。」

女「…! …そうか、音楽室を待ち合わせ場所にするのは『あっちの私』を旧校舎の鏡に誘導するためなんですね。」

男姉「ええ。」

男「…でも、姉さん。そのメールの内容だとちょっと危険じゃないか?そんな『旧校舎に来てくれ』とだけの文章だと『あっちの女』もかなり警戒してしまうんじゃないかな?『あっちの女』も旧校舎の鏡が入れ替わりの出来る鏡だということを『こっち』にいた時点で既に知っているわけだし。」

男「それよりも『ホワイトデーのプレゼントを渡したいから旧校舎に来てくれ』っていうふうにもうちょっと柔らかい感じの文章にしたら、まだちょっとは誤摩化せるんじゃないかと思うけど…」

男姉「…はぁ。 …男。あんた、『乙女心』というものを何にも分かってないわね。」

女「…ですね。」

男「…へ?」



298 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:06:13 ID:B2S0wCzg

男姉「前にも言ったでしょ?女の子は『サプライズ』といった類いが大好きなんだって。」

男「はぁ…」

男姉「そんな、『プレゼントがあるから来てくれ~』…何て言われてわくわくする!?それよりもちょっと謎めいたメールの方が『え、何があるんだろう!?わくわくしちゃう!!』…ってなるでしょ?」

男「…はぁ、そんなもんなんすかね…。」

女「…でもお姉さん。男の言ってることもすごく分かります。絶対に『あっち』だって旧校舎に対して警戒しているだろうし、そう上手く旧校舎まで誘い出せるとは…」

男姉「…ふふ。大丈夫よ、あの子は絶対に来るわ。」

女「…どうしてそう断言出来るんですか?」

男姉「…あなたたちにとって今回、『幸運』とも言えることが一つある。」

女「…幸運?」

男姉「それは『あっち』のあんたたちがお互いに『元鏡の世界の住人』、つまり『オリジナルではない』ということに気付いていない事。」

女・男「…!」



299 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:06:52 ID:B2S0wCzg

女「…そういえば、反射物の前での会話とかを聞いてる限り、『あっち』では鏡の世界の話題を聞いたことがない…。」

男「まあ、俺は女よりさきにこっちに来たけど、俺は裏々女に俺がオリジナルだということを伝えなかったからな。」

女「…! そういえば、そんなこと言ってたね。」(>>89)

男「だから、裏々女は『あっちの俺』がオリジナルだと思い込んでいる。裏々男の方ももちろん、裏々女が『自分も裏々の世界から来た』ってことを申告してない訳だから当然『あっちの女』をオリジナルだと思い込んでいる。…ってことだな。」

男姉「そういうことよ。『お互いに気付いていない』、そして『お互いに申告していない事によって鏡の世界の話もしていない』…この『状況』はかなり使えるわよ~。」

男姉「もし、『裏々女ちゃん』がそのメールを男から受け取って、『旧校舎』に対して疑問に思ったとしても、それを男にその疑問をぶつけることは絶対にない。」

男姉「もし、そんなことをしたら、『裏々男』は『何故女が旧校舎の鏡の危険性を知っているんだ?』ってなる。『裏々男』は『オリジナルの女ちゃん』がそのことを知っているはずがないと思い込んでるだろうからね。」

男姉「そして、『裏々女ちゃん』も、『あっちの男』がオリジナルだと思い込んでいるから、もしそんなことを聞いて男に自分が『オリジナルではないこと』がバレたら、あきらかに不利な状況になる。もし、『オリジナルの男』に知られたら、男が『オリジナルの女を返せ』と無理矢理合わせ鏡をしてくるかも知れないからね。」

男姉「だから、裏々女ちゃんはそのメールを受け取り、それを疑問に感じたとしてもその疑問を解消する術は無く、また、そのメールを無視して旧校舎に行かなかったら『男との関係が気まずくなってしまうのでは』という不安にかられ、そして最終的にあの子は必ず足を旧校舎に向ける。…これが私が『断言出来る』といった理由よ。」



300 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:07:44 ID:B2S0wCzg

女「…なるほど。」

男姉「それと、念のために保険を掛けておいたわ。」

男「…保険?」

男姉「そう。実は今、『表の世界』では『あっちの私』から、『あっちのあんたたち』に『私が高校生のときは音楽室前でプレゼントの受け渡しをするのが流行だった』っていう話をしているはずよ。」

女「…流行?」

男姉「そうよ。これは本当の話でね。旧校舎って来週から取り壊し工事が始まるから今はもう立ち入り禁止になっているらしいけど、私が高校生の時はまだ使われててね。…でも、旧校舎に立ち入る人自体少なくなっていたから、プレゼントの受け渡しだとか告白のスポットとして流行っていたの。」

男「…へぇ。」

女「…! 今のお姉さんの『立ち入り禁止』ってとこで気付いたんですけど、上手く裏々女を旧校舎に誘い出したとしても立ち入り禁止じゃ中に入れないんじゃないですか?」

男姉「それは大丈夫よ。…ね?男?」

男「ああ。…実は旧校舎の東側の入り口近くの窓は壊れていて、そこから中に入れるんだ。」

女「え?」



301 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:08:13 ID:B2S0wCzg

男「俺が入れ替わりを旧校舎でしたときもそこから旧校舎に侵入したんだ。しかも、そこの鍵が壊れていることを教師連中も知らない。」

女「…そうだったんだ。 …! …でもその『壊れた窓』のことを裏々女は知らないんじゃ…」

男「いや、あいつも知っているはずだ。裏々女と1度だけ旧校舎のことを話したことがあったんだが、その会話のときにあいつは『壊れた窓』のことも自分で口にしていたからな。おそらく俺が『こっち』に来る前に裏々男から教えてもらったんだろ。」

女「…なるほど。」

男姉「まあ、男が言っている通り、旧校舎に入れるかどうかの問題は大丈夫なはずよ。まあ、もしものために『あっちの私』が当日の朝にその『壊れた窓』の確認をするわ。最悪の場合はもうドアの鍵を壊しておくから安心しなさい。」

男「…姉さん、さすがにそれはやりすぎじゃ…」

男姉「どうせ来週には取り壊される建物なんだし今更大丈夫でしょ?」

男「…まあ、それは…。」



302 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:08:47 ID:B2S0wCzg

女「…で、お姉さん。話は戻るんですけど、その『音楽室での流行』のことをあっちの私達に話すことが何で『保険』になるんですか?」

男姉「実はね、この話には続きがあって、そのプレゼントや告白が『男の子』側からのものなら、その日を境にそのカップルはずっと幸せになれるっていうメルヘンチックなお話があるの。」

女「へぇ~…素敵ですね。」

男姉「その話を聞くのと聞かないのとでは、旧校舎に対する警戒心も大きく変わるでしょ?」

女「…! …確かに。私、そういう話にすごく弱くて…私が弱いのであれば裏々女も弱いかも…」

男姉「あっちの私がこの話を今することによって裏々女ちゃんの旧校舎に対するイメージがそっちの方に大きく様変わりするはず。そして、ホワイトデーに男から旧校舎に来てというメールを受け取っても『旧校舎は危ない』っていう『警戒』ではなく、『男があのお姉さんの話を体現しようとしているのかもしれない』という『期待』に変わるはずよ。」

女「なるほど。」



303 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:09:30 ID:B2S0wCzg

男姉「まあ、そうやって、裏々女ちゃんを旧校舎に誘導し、音楽室に行くためには階段を上ってもらう。そして、裏々女ちゃんが音楽室までの道程にある『あの鏡の前を通るその瞬間』が入れ替わりのチャンスよ。」

女・男「…!」

女「でも、どうやってそれを…」

男姉「『あっちの私』が事前にその踊り場の『例の鏡』の反対側にもう1枚鏡をセットしておくわ。」

女・男「…!」

男姉「そして、裏々女ちゃんがその踊り場を通れば…」

男「入れ替わりが…起きると?」

男姉「そうよ。もちろん裏々女ちゃんがそこを通った瞬間に入れ替わりが起きるよう角度もちゃんと調整するわ。あとは、合わせ鏡になった瞬間に女ちゃんが入れ替われと念じさえすれば入れ替わり完了よ。」

女・男「…」

男姉「以上が第一段階の裏々女ちゃんを釣るための作戦。どう、簡単でしょ?」



304 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:10:06 ID:B2S0wCzg

女「…確かに、それなら入れ替わりは可能だと思います。…でも、繰り返しになっちゃうかもしれないんですけど、本当にそんな上手くんですかね…」

男「…女の言う通りだ。もし裏々女にその『もう1枚の鏡』を見つけられたら…」

男姉「…まあ、あんたたちの言うことも分からんでもわ。」

男姉「でもまあ、私も繰り返しになるけど、この作戦で絶対に上手く行くから『安心しなさい』。」

女・男「はぁ…」

男姉「よし、それじゃあ、第二段階の裏々男を釣る話なんだけど………

----――――――――――――――――【回想終了】―



305 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:10:40 ID:B2S0wCzg

―――――――――――――――――――――――----

………………
………




女(とりえず、予定通りメールは来た)

女(問題はここから。この子がこのメールの通り、旧校舎に行ってくれるかどうか…)

女(一応、表の世界の方のお姉さんが『音楽室前でのプレゼントの受け渡し』の話をしてくれたはずだから…)

女(…でも、この子は旧校舎で入れ替わりをしたわけではないけど、自我を持った際に裏々男から旧校舎の鏡のことを聞いたみたいだし、旧校舎自体に対してはかなりの警戒心は持っていることも間違いない…)



女(さあ…どう動く!?)



306 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:11:31 ID:B2S0wCzg

スタスタッ


女(…動いた!?教室から出たぞ…)スタスタッ


女(…ここは中校舎の3階…)スタスタッ


女(…旧校舎に行くには東側の階段で降りて…)スタスタッ



スタスタッ


女(この進路は…)スタスタッ


女(ビンゴ!東側の階段に向かってる!!)スタスタッ



女(…このまま…)スタスタッ


女(このまま…!!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



307 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:12:33 ID:B2S0wCzg

―――――――――――――――――――――――----


スタスタッ


女(よし、中校舎を出た。このまま北側の旧校舎へ…ん?…あれは?)


タッタッタッ


女(…! 裏々女も気付いたみたいね。)タッタッタ


タッタッタ


女「お母さん!お姉さん!」




女母「…あ、女じゃないの。」

男姉「あら、女ちゃん」



308 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:13:10 ID:B2S0wCzg

女「2人一緒でどうしたの?」

女母「いやね、実はさっきのPTAの会議で男姉ちゃんと偶然会ってね。それで会議が終わった後もこうやって外で話してるのよ。ほんと偶然すぎてビックリしたわ~。」

男姉「ふふ、私もビックリしましたよ。いきなり『実は私、自我を持っているんです。今日は娘のためにもよろしくお願いします』って仰られるんだから。」

女「…え?」

女母「ふふ、今朝、女からあなたに協力してもらうってことは教えてもらってたからね。」

男姉「まあ、でも今の会議の時間を使って私からお母さんにはこの世界のことや女ちゃんの詳しい状況のことは説明しておいたからね。」

女母「ほんと助かったわ男姉ちゃん。これでもやもやしてたものが取れたというか。」

女「そっか…ありがとうお姉さん。…でもいったい何の会議だったんですか?PTAの会議のはずなのに何でお姉さんが?」



309 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:13:50 ID:B2S0wCzg

女母「今日は旧校舎取り壊し工事の最終確認のための会議だったの。私はもちろんPTA役員としてで。…で、男姉ちゃんは…」

男姉「私は代理として来てたのよ。」

女「代理…ですか?」

男姉「そうよ。もともとこの学校はね、とある地主から土地を借りて、そしてその人の援助によって創られたの。で、その地主も今回の会議で出る予定だったんだけど、今日はどうしてもはずせない用事があるということで、その人の知り合いであるこの私が代理人として出席することになったの。」

女「へぇ…でもお姉さん、地主とし知り合いとかすごいですね。」

男姉「ん~、まあちょっとね。でも偶然お母さんと席も隣だったから、会議そっちのけでお母さんにこの世界のことについて話してたから、参加してた意味は全くなかったけど。」

女母「ふふ、そうね。…女、聞いたわよ。今からが『勝負』なんでしょ?」

女「…! …うん。」

女母「頑張りなさいよ!」

女「うん!…まあ、でも私はただ状況が過ぎていくのを見ているしかできないんだけど…」

男姉「ふふ、確かにそうかもしれないわ、女ちゃん。でも、そんな弱気だったから勝てる試合も勝てないわよ?あなたもん部活しているんだからそれぐらい分かるでしょ?」

女「…! …はい、そうですね。」



310 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:14:25 ID:B2S0wCzg

男姉「旧校舎での『入れ替わりのシチュエーション』はあっちの私が今朝バッチシ準備しておいたから、大丈夫よ。だから、自信を持って『相手にのまれないように』入れ替わる『その時』をあなたは待っておきなさい。…ふふ、まあ『最初』はちょっと驚くかもしれないけどね。」

女「…最初?」

男姉「…さて、ここで女ちゃんを長居させるわけにいかないってことを『あっちの私』も分かっているだろうから、そろそろお別れよ。…それじゃあ、頑張ってね女ちゃん。」

女母「…私は今朝あなたに伝えたいことは十分伝えたし、それ以上言うことも無いわ。でも、やっぱりお別れって寂しいわね。…短い間だったけど楽しかったわ。…頑張ってらっしゃい、女。」

女「お姉さん…お母さん…」

スタスタッ

女(…! 体が動き出した!)

女「お姉さん!お母さん本当にありがとう!…さようなら!」


スタスタッ


----―――――――――――――――――――――――



311 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:15:14 ID:B2S0wCzg

―――――――――――――――――――――――----


スタスタッ

ピタッ

女(…よし、旧校舎前についた。)

女(…あとは、あの『壊れた窓』に…)


スタスタッ


女(よし!『壊れた窓』にまで来てくれた!)

ガラララッ

女(窓に鍵は掛かってない!中に入るぞ!)

----―――――――――――――――――――――――



312 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:16:31 ID:B2S0wCzg

―――――――――――――――――――――――----


スタンッ


女(…よし、旧校舎の中に入れた…)

女(…ここは1階のどこかの教室…かな?)


スタスタッ


女(…どうやら廊下に出るみたいね。)


ガララッ


女(よし、教室のドアの鍵は空いてるみたい!)


スタスタッ ピタッ


女(いいぞいいぞ。それで、このまま東側の階段へ…)



313 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:17:15 ID:B2S0wCzg

クルッ


女(…ん? …待って…。 …何で西側を向くの?)


スタスタッ


女(…!? …ちょ、ちょっと!東側の階段は反t…!?)スタスタッ



女(…………しまった!この子もしかして…)スタスタッ




女(…西側の階段に向かってる!?)スタスタッ



314 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:18:14 ID:B2S0wCzg

女(…あの鏡があるのは東側の階段…)スタスタッ

女(…これじゃあ…入れ替わりが…)スタスタッ


女(…どうすれば…)スタスタッ



女(…どうすればいいの!?)スタスタッ


スタスタッ


ピタッ



女(…!?)



315 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:20:25 ID:B2S0wCzg

女(…え!?何これ!?)

女(…西側の階段が…)

女(…たくさんの荷物で埋め尽くされている!?)

女(…体育祭とかで使う大玉やイスや大道具が…)

女(…こんな大きな荷物を女の子一人でどけるなんて不可能だわ。こっちからじゃ上にあげれそうにない。……!!)

女(…もしかしてこれ、お姉さんが!?)

女(…絶対にそうだ。さっきお姉さんが言ってた『最初は驚くかもしれないけど』ってのもこのことだったのか…)(>>310)

女(…何はともあれ、こっちからじゃ上には上がれないよ裏々女!!)



女(…さあ、どう動く!?)



316 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:21:03 ID:B2S0wCzg

スタスタッ


女(…!! …動き出した!!)スタスタッ


女(…よし!東側へと向かってる!!)スタスタッ


女(…『壊れた窓』のある教室を通り過ぎれば…)スタスタッ


女(…よし、通り過ぎた!旧校舎から出る気配はない!このまま、このまま順調に行けば…っ!!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



317 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:23:51 ID:B2S0wCzg

―――――――――――――――――――――――----

女(東側の階段に着いた…)

女(…あとはこれを上っていって、そして2階と3階の間の踊り場にあるあの鏡の前まで行けば…)


ギィ ギィ


女(…! …上り始めた!)ギィ ギィ


ギィ ギィ


女(…それにしても、一段上がる度に階段の軋む音がすごい…私達が入学した頃にはもうここは立ち入り禁止になっていたし、やっぱり相当古いんだなこの校舎…)ギィ ギィ


ギィ ギィ


女(…よし、まずは1階と2階の間の踊り場まで来たぞ。…それにしても階段の周辺やここの踊り場に色々と物が散乱してるけど、これは何なんだろ…)



318 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:24:37 ID:B2S0wCzg

ギィ ギィ


ギィ ギィ


女(もお、物が邪魔だな…)


ギィ ギィ


ギィ ギィ


女(…2階まで来た…)


女(…いよいよだ!)



319 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:25:38 ID:B2S0wCzg

ギィ ギィ


ギィ ギィ


女(よし、もうちょっと…)


ギィ ギィ


女(…あ、踊り場が上に見えてきた!!)


ギィ ギィ


女(…!? ここの踊り場にも物が散乱してる……。)

女(…でも、『もう1枚の鏡』はいったいどこに………っ!!)

女(…そうか。もしかしてさっきから物が散乱してるのもお姉さんの手回しなんじゃ…わざと東側の階段に色んなものを散乱させておいて肝心の『もう1枚の鏡』が見つからないようにカモフラージュしてるんだ…。)

女(…!! …あの古びた段ボール…こっちからじゃ普通の段ボールに見えるけど、もしかしたらあの中に鏡があって、それで例の鏡の方向に穴が空いていてるのかもしれない。角度的にもあれの中に入ってる可能性が高い!)



320 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:26:34 ID:B2S0wCzg

キィーーンッ


女(…!! 耳鳴りだ!これで5秒後に『例の鏡』か『もう1枚の鏡』のどちらかに映ることは確定した!)

女(あとは上手い具合に向かい側にあるこの2つの鏡が合わせ鏡の状態になれば…)


ギィ ギィ


女(…よし、踊り場に着いた!『例の鏡』も目の前にある!あとはもう数歩進んでくれれば、あの段ボールの中の鏡と…!!)


スタッ


女(…よし!)


スタッ


女(…あと2歩前へ!!)



321 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/11/07(水) 00:27:56 ID:B2S0wCzg

スタッ


女(…や、やった!!これで私達の…)














女『「勝ち」…とでも思った?』ニヤッ


----―――――――――――――――――――――――



331 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:29:49 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女(…!?)

女『でも、ば~ればれ。あの段ボールの中に鏡が入っていることなんて。…私が気付かないとでも思った?その段ボールの中に鏡が入っていることに…』

女(…そんな!?)

女『まあ、あと一歩進んでたら危なかったかもしれないわね。まあ、とりあえずあの段ボールの中を確認してみましょうか。映らないように気をつけながら近づかないとね。』クルッ


スタスタッ

ヒョイッ

女(…! …鏡が。)

女『…ふふ、ほ~らね。段ボールを持ち上げてみたら鏡があった♪ これを被せてカモフラージュしたつもりだったんでしょうけど残念だったわね。』

女『それじゃあ、申し訳ないけどこの鏡は伏せさせてもらうわよ。』パタッ

女(…! …これじゃ合わせ鏡に…。)

女『…やっぱり、東側の階段に散乱していたモノもこれに気付かれないようにしたものなんでしょうね。』

女(…。)



332 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:30:40 ID:ojjwBoFY

女『ふふっ…でも、一体誰がこんなことをしたんだろうね。』

女『…男かな? 男が私がオリジナルじゃないと気付いて…。 …いや、男ならこんな回りくどいことしなさそうだし…』

女『…って考えると』

女『…やっぱりお姉さんかな?』

女(…!? お姉さんに協力してもらったってことに気付かれた!?)

女『ここ2週間で、お姉さんとぐらいしか男以外とは綿密に絡んでないし。それにさっきもお姉さん学校にいたしね。』

女(…。)

女『旧校舎でのプレゼントの受け渡しとかの話とかをお姉さんに聞いたときからちょっと怪しいとは思ってたんだよね。いや~、でも危なかった危なかった。』

女『ん~、でもお姉さんにどうやって協力してもらったのかしら?さっきの男からのメールもお姉さんの仕業なんでしょ?どうにも、そこんとこがよくわかんないのよね~…』

女(…! …そうか、裏々女は『お姉さんが自我を持っていること』や『鏡の世界に詳しいこと』、そして『表の世界との連絡手段を持っているってこと』を知らないんだ。)

女『…っと、これが噂の『旧校舎の鏡』かぁ。段ボールの方にばっか気を取られてたから気付くのが遅れたけど、ずいぶんと立派な鏡ね。』

女(…確かに。…凄く立派な鏡…)



333 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:31:18 ID:ojjwBoFY

女『…ふふ。ちょっとおしゃべりしましょうか?』

女(…!)

女『あなたには色々と言いたいこともあったし、この際に…ね。まあ、おしゃべりと言っても私が一方的にこっちから話すだけなんだけどね。』

女(…おしゃべり…か。…でも、この間に…)

女『…この間にお姉さんが来てくれればまだチャンスはある!…とでも思ってるんでしょ?』

女(…!)

女『ふふ、もしお姉さんが来る気配がしたらそりゃもちろんすぐ退散させてもらうわ。』

女『あなたもさっき気付いたと思うけどここの階段ってすごく古くて軋む音がすごかったでしょ?(>>317)だから、たとえ、どんだけ抜き足で下の階から上ってきたとしてもすぐ分かる。』

女『もし、お姉さんが来たら力ずくで逃げさせてもらうわ。何たって私にはあなたがバスケで鍛え上げてくれたこの『脚』があるんだから。』

女(…これじゃあどうしようも…)

女『…ふふ。まあ、何はともあれ、あなたにはこれでもう入れ替わりのチャンスは無くなったわ。今日を以て、私がこの旧校舎に近づくことなんて絶対にない。当然マンションの鏡も現在進行形で近づくことはない。』

女(…っ。)



334 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:32:07 ID:ojjwBoFY

女『…まあ、でも今日中にあなたが『オリジナルの特権』を使って、裏の世界に行き、そして来週の3月21日にもう1度特権を使えばこっちに戻って来れるわよね?でも、あなたは絶対にそれはしない。…でしょ?』

女(…。)

女『私も『半年前』まではあなただったから分かる。あなたは一見、図々しいように見えるけど『根』はとても優しい子。だから、裏女を裏々の世界に押し込んでしまうことになる特権での入れ替わりは絶対にしない。』

女(…。)

女『特権のことを聞いた時、あなたは不思議に思ったはずよ。『裏々女はどうしてこんなに余裕でいられるのか』…と。』

女(…! …あの時のことか。)(>>130)

女『ふふ…まあ、もし、あなたが自分のことばかり優先するような人間ならば、2週間で私は裏々の世界へと戻されてしまうわけだし、その2週間でめいいっぱい表の世界を楽しもうと思ってたわ。』

女『…でも、あなたは『私が思った通りの子』だったわ。だから、余裕を持っていられたのよ。』

女(…じゃあ、あなたも…根が優しいのではないの?)

女『…「あなたも私と一緒で根が優しいのなら、何故自分のことを優先させるようなことをしてるの?」と思ってるでしょ?』

女(…! …また見透かされた…)

女『…確かにそうよね。おかしいわよね。…でもね、1ヶ月前、私があなたと入れ替わる前の時点で、あなたには無くて、私にしかないものが既に有ったの。』

女(…私には無くて、裏々女には有ったもの?)

女『…それは「嫉妬心」よ。』

女(…!)



335 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:32:43 ID:ojjwBoFY

女『入れ替わった初日に窓越しで私からあなたに伝えたメッセージを覚えてる?「オリジナルのあなたには私の気持ちなんて理解出来ない」って言ったこと。』(>>114)

女(…!?)

女『…私は羨ましかった。…私と同じ性格の『もう一人の私』が鏡のむこうで楽しそうに自由に生きていることに対して。』

女『…正直、自我を持ってからの『そっち』での生活は苦痛でしかなかったわ。それまで『自分の意志』で動かしてたと思っていた体が、ただの『思い込み』の上で動かしていたに過ぎなかった。』

女『そんな不自由な私とは一方的に、表の世界で自由気ままに、そして幸せそうにあなたは生きていた。…だから私は『オリジナルのあなた』を羨み、そして…妬むようになったのよ。』

女(…。)

女『…あなたもこの1ヶ月間、そっちで暮らしてみて分かったでしょ?裏々の世界がどれだけ不自由で息苦しい世界か?そっちの男も自我を持っていると言っても、裏の世界のように自我を持っている人が他にもいるわけでもないし、孤独な世界に変わりはない。』

女(…それは…)

女『そして、そんな裏々の世界で過ごしたあなたにも生まれたはずよ。私に対する『嫉妬心』がね。』

女(!?)

女『この1ヶ月、私が羨ましかったでしょ?妬ましかったでしょ?憎かったでしょ? そんな嫉妬心以上の複雑でモヤモヤした気持ちがあなたを今の心の中を支配しているはずよ。私が1ヶ月前そうだったように。』

女(違う! …そんなこと…)

女『ふふ…確かにあなたは根は優しいわ。…でもね、あなたの「本性」はそんな嫉妬心に従順であり、自分が不利な状況になれば自分自身を優先させる…そんな人間なのよ。今回の「コレ」だって、自分が表の世界に戻り、自分を陥れたこの私を裏々の世界に押し込めたいがためにしたんでしょ?』

女(…!! …そんな…そんなことない!! 私は…私は…!!)



336 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:33:25 ID:ojjwBoFY

女『…ねぇ、そういえば覚えてる?…3ヶ月前の「あの出来事」を。』(>>165)

女(…!?)

女『あなた…っていうか私達ってすごく明るいから相談とかされやすいもんね。そんなあなたの魅力に引かれて、その子もあなたに相談した訳だけど。』

女『…「男くんが好きなんだけどどうしたらいい?」っていう相談をね。』

女(…。)

女『でも、あなたは、その子に相談される前の時点で、男と自分が両思いかもしれないということを友達伝いで知っていた。そして不幸なことにその子はそのことを知らなかった。』

女(…)

女『でも、あなたはその「両思いかもしれない」ことをその子に伝えなかった。まあ、それを伝えちゃ気まずくなるもんね。その子もまさか、相談相手が恋敵であることなんて思いもしないだろうし。』

女『…そんな、気まずさからあなたはそのことをその子に伝えられなかった。そして、あなたはあの子に男のことを諦めさせたんだよね。『男には好きな人がいるらしいよ。』と伝える事によって。』

女(…)

女『まあ、あなたは別に嘘は言ってないわよね。男には本当に好きな人がいたんだから。ただ、その好きな人は『あなた』のことで、そのことまではあの子に教えなかったんだけど。』

女(…)



337 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:34:11 ID:ojjwBoFY

女『まあ、そうやってあの子に、男に告白しても成功する見込みは薄いよということを分からせることによってあの子が告白するのを防いだ。まあ、いくらあなたと男が両思いだったとしても、この世の中何が起きるか分からないしね。男がもしかしたら心変わりをしてあの子の告白を受け入れたらどうしようと考えていたからこその行動だったのよね?』ニヤニヤ

女(…そ、それは…!!)

女『あと、あなた、私にも感謝してよね?』

女(…感謝?)

女『あなたと入れ替わった後すぐに、男と付き合っている事を周りにバレないように出来るだけ配慮してあげたんだから、この私がね。』(>>55)

女(…!!)

女『ふふ。男と付き合ったってのが彼女に知られたら流石にまずいもんね。だから、私が男と付き合っているのがバレないようにしてあげたのよ?まあ、あのまま私とあなたが入れ替わらなくてもあなた自身もそうしてたと思うけど。』

女(…そんなことしないわよ私は!!)

女『…まあ、つまりあなたは…いや、『私たち』は周りからは思った事をすぐに口にするタイプの元気な女の子だと思われているみたいだけど、『本性』は自分が一番可愛くて、自分が不利となるようなことだけは絶対にしない・口に出さない、『傲慢』で『自己中心的』で『陰険な女』なのよ。』

女(ち、違う!! 私は…私は…)



338 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:34:48 ID:ojjwBoFY

女『ふふ、でも私、この性格嫌いじゃないわよ。だってすごく『便利』じゃない?今後も色んな状況で上手く立ち回っていけるような、そんな性格だと思うわ。』

女(私は…私は…)

女『まあ、そんな性格のまま、これからは私がこの表の世界で生きていくからね。あなたはそっちでただただ眺めていればいいわ、私の人生を。『勝ち組』の人生をね。』

女(…っ。)

女『ふふふ…あははははは!!』







マァ、ナガメルコトニ、ナルノハ、アナタノホウナンダケドネ



339 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:35:22 ID:ojjwBoFY

女『…っ!?』バッ

女(…後ろから声が!? それにこの声って…!?)

女『…な!? …な、何で後ろに…』

女『…目の前に鏡が!?』

イマヨ!!

女(…!! 鏡よ!!!)

女『…し、しまっt』

女(私を表の世界へ!!!)

フッ


………
………………
----―――――――――――――――――――――――



340 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:35:56 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

裏々女「…あの声はおそらく…あ~あ、やっぱりお姉さんに協力してもらってたか~。とっととあそこから離れておけばよかったわね。」

裏々女「…ん?何で裏々の世界に戻らないの?入れ替わりが起きたのに…それにここって…」

……々女!

裏々女「…ん?この声って…」

女「裏々女!」

裏々女「…!? あ、あなた、とっととあっちに行かないと危ないわよ。ここは表と裏々との狭間の空間みたいだからで何が起きるか分からないし。」

女「…どうしてもあなたに言いたい事があって、今留まっているの。入れ替わる時にお互いにコミュニケーションは出来る(>>218)って知ってたから、もしかしたら私がこの空間に留まっていればあなも連動してここに留まるんじゃないかって思って。」

裏々女「!? …ふ~ん、そういうことか。で?私に言いたい事って何?」

女「…まず…まず先に…。」

女「……お母さんのことよ。」

裏々女「…お母さん?」



341 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:36:31 ID:ojjwBoFY

女「知ってる?…あなたのお母さん、自我を持っているのよ。それも1ヶ月以上も前から。」

裏々女「え…?」

女「…あなたが表の世界に行く前からお母さんは自我をもう既に持っていたの!この半年間のあなたとの会話によってお母さんにも自我が生まれたのよ!!」

裏々女「そん…な。」

女「無駄だったのよ、あなたが表の世界でやったお母さんたちに自我を持たせないためにやった対策(>>113)もね。むしろ、それによってあなたのお母さんは家の中で自由を奪われることになってしまったのよ。」

裏々女「…う…そ。…わたしの…せいで…」

女「…でもね、あなたのお母さんはそれに関しては何も起こってなかったわよ!むしろ勝手に表の世界に行ったことに怒ってた!!『早く帰ってきなさい、馬鹿娘!あなたは私の娘なんだから!』って。」

裏々女「…そんな…わたし…わたし…」

裏々女「………お母さん…わたし…。」

女「…。」



342 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:37:20 ID:ojjwBoFY

裏々女「………はぁ…そっか。…そうだったんだ。…でも確かに入れ替わるあの前日におかしいと思ったんだよね。」(>>275)

女「…。」

裏々女「…はぁ、なんかそれを聞いたら表の世界とかもうどうでも良くなってきちゃった。…はやく私、お母さんに謝りに行かなきゃ。」

女「…裏々女。」

裏々女「この1ヶ月間で十分表の世界を楽しんだしね。…悪い事したね、女。…本当にゴメン。」

女「…! …ううん、いいの。私も鏡の世界での生活を経験したからさっき裏々女が言ってた「嫉妬心」とかも全部分かる。」

裏々女「…そう。…で、他にはもう言う事無いの?無いのならもうあっちに行くけど。」

女「…! …あのね、裏々女。私、さっき裏々女に色々言われてさ、すごく考えたの…これからどうすれば『あんなこと』を起こさずに済むのかと…それでね私…」

裏々女「…私?」

女「…私…変わる。変わってみせる。」

裏々女「…変わる? 変わるって性格を変えるってこと?」



343 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:37:57 ID:ojjwBoFY

女「そうじゃない。性格は変えない。この性格こそ私の個性であり、強みなんだから。それを自ら壊すような事はしない。」

女(…私の性格が変わったら裏女ちゃんの性格まで変わっちゃうもんね。)(>>198)

裏々女「…じゃあ、どう変わるって言うのよ?」

女「変わるって言い方はおかしかったかな。…私はもっと強くなる。人間的にもっと成長する。」

裏々女「ふーん。…強く…ねえ。…じゃあ、もしこれから『あの出来事』みたいなことに…自分にとって不利な状況に陥ったときにはどうするのよ?その強さでなんとかなるの?むしろその強さが周りを傷つけることになるんじゃないの?」

女「…そう。そんな状況に陥らないためにも、不利な場面に見舞われないようにするためにも強くなるの!」

裏々女「…?」

女「恋愛も…勉強も…スポーツも、遊びも!仕事も!これからの人生すべてが自分にとって最高の道筋をなぞっていけるような…不利な状況になんか一度も見舞われないくらい強くなる!」

裏々女「…っぷ!あははははは!何よそれ!?スーパーマンにでもなるつもり?」

女「ふふ、まあ…そんな感じかな? …そう、周りから見ても清々しいくらい自分勝手で…でもむしろそれが尊敬されるような…そんな魅力たっぷりの完璧な人間に私はなりたい!」

裏々女「…ふふ、いいよ。…いいよ!すごくいいよそれ!気に入った!!そうよね、私達みたいな性格の人間は『攻め』あるのみ!『前進』あるのみ!『能動的』であるのみ!むしろそれらを私たちから取ったら何も残らないしね。」

女「でしょ?」



344 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:38:37 ID:ojjwBoFY

裏々女「強くなりなさい!なってみせなさい女!周りから有無も言わせないくらいの強い女に!やりたいこと全てが上手くいくようなそんなサクセスストーリーを続けていきなさい!」

女「ええ、言われずとも!」

裏々女「ふふ、面白くなってきたわね。…それじゃあ、そんなあなたが成長していく姿を私はあっちの世界で…いや、違うわね。」

女「…違う?違うって何が?」

裏々女「…私も…私もあなたと一緒にそんあ人間に成長しないとね?」ニコッ

女「…!! うん…うん!そうだね!一緒に…一緒に強くなろう!!」

裏々女「ふふふ。」

女「あはは。…あ、でももう入れ替わりはこりごりだからね!?」

裏々女「う~ん、どうかな~?もしも隙やチャンスがあればやっちゃうかもよ~?」ニヤニヤ

女「…!! もう駄目!!絶対に駄目だからね!!」

裏々女「ふふ、冗談よ冗談!」

女「なら、いいんだけど。」



345 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:39:58 ID:ojjwBoFY

裏々女「…ふう。さあ、そろそろ行きなさい。これ以上この空間にいたら危険よ。」

女「…! …そうだね。」

裏々女「でも、まさかあなたとこんなに話が盛り上がるとは…仲が良くなるとは思ってもいなかったわ。」

女「ふふ、私も。まあ、私たち『似た者同士』だもんね!」

裏々女「『似た者同士』か…。ふふ、間違いない。決して『全く同じ』ではないもんね。」

女「そうよ!みんなそれぞれが『自我』を持っている以上、全く同じ人間なんているわけない!だから私とあなたは『似た者同士』!」

裏々女「ええ、その通りだわ。…私は『私の人生』をこれから裏々の世界で歩んでいく。お母さん達とともに。そしてあなたはあなたで表の世界であなたの人生を歩んでいってね。」ニコッ

女「…ええ!…あっ、あと、あっちのお母さんによろしくね。」ニコッ

裏々女「…! ええ、絶対に伝えておく。お母さんのことも本当にありがとう。…あなたとこうやって会話出来るのはもうこれで最後だけど話せて本当に良かったわ。やっぱり話さないと分からないこともあるのね。」

女「…私も裏々女と話せて本当に良かった!」

裏々女「…。」

女「…。」

裏々女「…それじゃあ。」

女・裏々女「さようなら!」

----―――――――――――――――――――――――



346 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:40:41 ID:ojjwBoFY

―2012年/3月/14日/香川/ @ 5週目―――――――----
………………
………


【表の世界】

女「…あれ!?私…戻れてる!?」

女「手も…足も…自分の意志で動かせる!!」ヒョイヒョイ

女「…私…戻って来れたんだ!!」

ギィ ギィ

男姉「…ふ~、上手くいったわね。」ギィ ギィ

女「…!! お、お姉さん!?」

男姉「やあ、女ちゃん。よかったね、こっちに戻って来れて。」

女「あっ、はい!ありがとうございますお姉さん!…でもお姉さん、今のは一体何が起きたんですか? それに何で…」

女「何で3階から今、『降りて』きたんですか!? というか…もしかしてずっと3階に『居た』んですか!?」



347 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:41:21 ID:ojjwBoFY

男姉「ええ、そうよ。…まあ、色々と混乱していると思うけど…まず何から聞きたい?」ニコッ

女「…! お姉さんの仰る通り今、『何が何だか』状態なんですが…じゃ、じゃあまずこれを教えて下さい!『一体何が起きたんですか!?』」

男姉「ふふ、了解。…ただ、まあ『何が起きた?』って言われても、『入れ替わりが起きた』っていうのが答えなんだけどね。」

女「そ、それは分かっているんですけど、確かあの時、後ろから急にお姉さんの声がしたんです。で、振り返ってみると…そこにはお姉さんの姿は無くて…というかお姉さんがもし背後に居たら目の前あるこの『旧校舎の鏡』で丸わかりなんですけど。」

男姉「ふふ、でしょうね。ここは足音もすごくするからバレるでしょうしね。」

女「…はい。…でも、お姉さんの代わりにあるものが目の前に浮いてたんです…『鏡』が。」

男姉「その鏡ってのはこれのこと?」ヒョイッ

女「…! …それは…??」

男姉「ふふ、これって何だと思う?」

女「…!? …それは…」

女「…釣り…竿?」



348 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:42:15 ID:ojjwBoFY

男姉「正か~い♪ まあ、これはこの旧校舎にあった体育祭の棒引き用の『棒』と音楽室にあった『ピアノ線』、そして女ちゃんが見たこの『手鏡』で繕った手作りバージョンの釣り竿だけどね。」ニコッ

女「…棒と…ピアノ線?」

男姉「この釣り竿はね、この棒の先端にピアノ線を結びつけて、上からテープも貼ってほどけないようにしてあるの。更に、ピアノ線の棒に結びつけてない片方の先端側とこの『手鏡』をこれまた外れないようにテープで固定してあるの。」

男姉「ちなみにこの棒の先端から手鏡までのピアノ線の長さは約2,5メートル。ちょうど3階から女ちゃんの目線の高さまでの長さになっているわ。で、このピアノ線を棒の先端にこうやって…ぐるぐるまいたら準備完了。ふふ、それじゃあ、今からもう一度やってみせるね。ちょっと3階に上るわよ。女ちゃんはそこに居てね。」

女「あ、はい。」

ギィ ギィ

ギィ ギィ

男姉「よし着いた。それじゃあ始めるね。まず、ここ3階から棒を私が女ちゃんの立ち位置まで伸ばした状態を維持したまま、こうやって棒をゆっくり回す。」クルクルッ

男姉「棒をまわすことによって棒に巻き付いていたピアノ線が伸びていき、同時にピアノ線の先端に取り付けていた鏡も下がっていく。」

男姉「…で、裏々女ちゃんに気付かれないぐらいのギリギリの場所まで下ろしておいて…」

男姉「…そしてタイミングを見計らって、いっきに鏡を下ろす!」パッ



349 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:43:03 ID:ojjwBoFY

男姉「最後に一気に下ろしたのは裏々女ちゃんの背後に下ろすまで、いつまでもちょろちょろ下ろしてたら鏡を見ている裏々女に気付かれる可能性があるからよ。」

女「…なるほど。…ん?でもそれじゃあお姉さんはやっぱりずっと3階に至って事ですよね?でもあの時の『声』は確かに背後から…」

男姉「ふふ、女ちゃん。その『手鏡』の裏を見てみなさい。」

女「…裏?」ヒョイ

女「…!! …スマートフォン!?っというかこれって確か…!?」

男姉「ええ、それは私が昼休みに盗んでおいた男の携帯よ。さっきの入れ替わりのために有効活用したの。」

女「そうだったんですね…確かにあの時お姉さんの声はしたんですけど、『普通の声』とはちょっと違うとは思ってたんです…まさか電話越しの声だったとは。…ん?でも何でお姉さんはこんなことをしたんですか?携帯を鏡の裏に取り付けることに一体なんの意味が?」

男姉「だって私が3階から声を掛けたら、裏々女ちゃんは3階の方を見ちゃうじゃない?」

女「…どういうことですか?」

男姉「裏々女ちゃんには『真後ろ』をみてもらう必要があったからね。」

女「…真後ろ?何で真後ろを向く必要が…?」

男姉「ふふ、ごめんね。それは『教えられない』の。」

女「…!? 教えられないってどういうことですか?」



350 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:43:40 ID:ojjwBoFY

男姉「…察しなさい。」ニコッ

女「察しろって………っ!!」

女(…お姉さんが『教えられない』ということは、『鏡の世界』の秘密に関わる事に触れようとしている事か…あっちのお姉さんは『鏡の世界』に関わる事について追求しないことを条件に協力してくれたわけだし…)

女(…ん? …『あっち』の…お姉さん? …っ!!)

女「…すみません、お姉さん。今、気付いたんですけど…もしかして…今、私の目の前に居る『お姉さん』は…」

男姉「…ふふ、気付くのが遅かったわね。」

女「…!!」

男姉「『久しぶり』ね、女ちゃん。私がこの『表の世界』の…『オリジナル』の男姉よ。」ニコッ

女「…!? あなたがオリジナルの? それじゃあやっぱり、あっちの…裏々の世界にいたお姉さんは…」

男姉「ええ。あの子は裏々の世界の私よ。」

女「そうだったんですか…え、でも何でそれを教えてくれるんですか?『あっち』のお姉さんは自分がどの世界出身かを教えてくれなかったのに…」

男姉「ふふ、別にあの子も悪気があったわけではないのよ。まあ、ちょっといたずらが過ぎたというか。だから、あなたがこっちに戻ってきたらこっちにいる私が『オリジナル』であっちが『裏々』だということをちゃんとカミングアウトするように裏々の私からも頼まれてたし。それに…」

女「…それに?」



351 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:44:20 ID:ojjwBoFY

男姉「私がオリジナルだということが分かった方が安心するでしょ?」

女「…! …はい、確かにそうですね。もし、今目の前に居るのがオリジナルのお姉さんではなく他の鏡の世界のお姉さんだったとしたら…ちょっと複雑な気持ちになるというか…あっちのお姉さんも優しかったんですけど…何と言うか…すみません…上手く言い表せないんですけど…」

男姉「分かるわよ、その感覚。居るべき人がここに居ない。在るべきものがそこに無い、という状況は不安要素にしかならないからね。」

女「でも、入れ替わる直前のあの電話越しのお姉さんの声って、どっちのお姉さんだったんですか?あ、でも鏡の世界では喋る事や電話での会話は可能だからあの声は『あっち』のお姉さんだったのかな?…もしそうだとしたらすごい連携プレーでしたね。」

男姉「ふふ、どうやら『あっち』の私も上手くやってくれたようね。この計画でも一番不安だったのがそこだったのよ。まあ、私がもう1枚鏡を持って自分自身を映した状態にすれば電話越しの声を連動させることも出来てタイミングを合わせることも簡単にはなったんだけど、もし『あっち』で不測の出来事が起きた場合に『あっち』の私に対応させる必要があったからそれはしなかったのよ。」

女「…不測の出来事…ですか。まあ私にとって、この2~30分は不測の出来事しか起きていないんですけど…」

男姉「あははは、そうでしょうね。」

女「…そうだ、不測の出来事といえば、お姉さんは何で3階に居たんですか!?西階段は大荷物で封鎖されていたし…というかあの大荷物はお姉さんが仕掛けたことですよね!?」

男姉「ええ、もちろん。西階段を裏々女ちゃんに使わせないために私が事前に仕掛けたものよ。」

女「じゃあ、お姉さん西階段は使えないはずですよね?…でも、お姉さんは3階に居た…というか、私よりも先に3階に潜んでいたとまで言ってましたよね?」

男姉「ええ。」

女「お姉さんは私が旧校舎に入る直前までお母さんと中校舎の前に居た。なのにどうやったら私よりも先に…」

男姉「…ふふ、あったじゃない?」



352 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:45:16 ID:ojjwBoFY

女「…『あった』って何がですか?」

男姉「あなたよりも先に3階に上がれるタイミングが。」

女「…私よりも先に上がれるタイミング?」

女「…タイミング……。」

女「………………あっ!」

男姉「気付いた?」

女「も、もしかして『私たち』が…西階段に向かっていた時に…!?」

男姉「ふふ、正解♪」

女「じゃ、じゃああのタイミングでお姉さんは!?」

男姉「ええ。実は裏々女ちゃんと中校舎で別れた後に私もすぐに旧校舎に向かったのよ。で、裏々女ちゃんが旧校舎に入り、西階段に向かうのを確認して私は出来るだけ音を立てないように旧校舎に入り、そして東階段を上って3階で待機してたのよ。」

女「今の言い方ですと、まるで裏々女ちゃんが西階段に行く事が最初から分かってたみたいですけど…」

男姉「ええ、もちろん。というか、あの子が3階の音楽室に行くために東階段ではなく西階段を経由しなければこの計画は成功しなかったんだけどね。それと、中校舎前にあなたのお母さんと居たのも『ワザト』なんだけどね。」

女「…!? どういうことですか?」



353 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:46:04 ID:ojjwBoFY

男姉「女ちゃんの教室は中校舎で、旧校舎に行くためには必ず私とあなたとお母さんが居た場所を必ず通るはずだから、私はあそこであなたのお母さんと一緒にいたのよ。まあ、その時『こっち』では世間話をしただけで特にたいした会話はしてないんだけどね。」

女「…でもあそこにお姉さんが居たことに一体何の意味が…?」

男姉「それは裏々女ちゃんに油断させるため。そして心的優位に立たせるためよ。」

女「…心的…優位?」

男姉「裏々女ちゃんはここ最近の私からのアプローチを受ける事を通じて少なからず私に対して警戒心を持っていたはず。…だから、あそこで私の姿を見せる必要があったの。」

女「…でも、待って下さい。それだと逆効果じゃないですか?裏々女が旧校舎に行く前にお姉さんが姿を見せてしまったら、油断どころか逆に警戒心が高まるはずだったと思うんですけど…」

男姉「ふふ、その通りよ。当然裏々女ちゃんは私を見たことによって警戒を強めたはずよ。『もしかしたら、この人何か企んでるんじゃないのか』と。そして、警戒心マックスの状態であの子は西階段、そして東階段へと向かい、そして…」スタスタッ

男姉「これを見破った。」ヒョイ

女「…! …それは…」

男姉「そう。このバッレバレの段ボールの箱を。これはもともと見破ってもらうようにこんな分かりやすい場所に置いておいたの。…女ちゃん、私はあのときには既に3階に潜んでて見えなかったんだけど、あの時の裏々女ちゃんの様子はどうだった?」

女「…『どうだった』?」

男姉「すごい勝ち誇った顔をしてたんじゃないの?」

女「…! …はい、確かに。」



354 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:46:57 ID:ojjwBoFY

男姉「まあ、誰だってトラップを未然に防ぐ事が出来たら嬉しくなるわよね。さらに『あなたたち』の性格を考えたらその感情を表現せずにはいられない。そんな時に目の前に鏡がある。敵である『あなた』に対して勝利のメッセージを届けられる環境が整っている。そりゃあ、もう『あの子』は喋られずにはいられないわよね。」

女「…! それがお姉さんがさっき言ってた『心的優位に立たせる』ってことですか?」

男姉「そういうこと。更に西階段は封鎖されていて、私は中校舎の前にいた。だから『3階にお姉さんがいるはずがない』…と思い込んだ。まあ、もし、下から私が来ても階段の上から逃げるのと階段の下から捕まえるのじゃあ、絶対に前者のほうが優勢だしね。そもそも私はろくに運動もしてない大学生だし、現役運動部の子を捕まえるのはなかなか厳しいしね。」

女「…」

男姉「そういった状況があの子を油断させた。『まあ、ちょっとぐらい敗戦相手と喋ってもいいか』と。」

女「それじゃあ中校舎前でのお姉さんたちとの遭遇も、西階段封鎖も、このトラップも全て…」

男姉「ええ。それら全ては、裏々女ちゃんを油断させ、心的優位にたたせる、『その状況を創りだすこと』…それが私の今回の目的だったのよ。そしてその隙に私がこの釣竿で釣る。…『あっち』で『あっちの私』が言ってたでしょ?『私が必ず釣ってみせる』って。」(>>244)

女「…! あれってそういうことだったんですか…でも、何で事前に教えてくれなかったんですか!?」

男姉「こんなの事前に全部教えてたら時間がかかりすぎて怪しまれるでしょ?それに女ちゃんにもちょっとしたスリルを味わってもらいたくってね♪」ニコッ



355 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:47:25 ID:ojjwBoFY

女「スリルって…本当にどうなるかと思いましたよ… でも、今回の作戦の目的が裏々女を油断させる事ってのは分かったんですけど、さっきのこの段ボールに隠した鏡によるトラップにもし裏々女が気付かなかったら、普通に成功してましたよね?」

男姉「…それは、無理よ。」

女「…無理?」

男姉「それじゃあ入れ替わりは『起きない』のよ。」

女「…! それってどういう…」

男姉「…おっと、さすがに話すぎたわね。もう30分も経ってるじゃない。」

女「え!? …うわ!ほんとだ!!昼休みあと15分しかないですよ!!」

男姉「それじゃあ、今から第二段階へと移る事にしましょうかね。」

女「あ、でもお姉さん、その第二段階って…」

女「…一体何をするんですか? 確か1週間前…」


………
………………

----―――――――――――――――――――――――



356 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:47:59 ID:ojjwBoFY

―【回想~(>>304)の続き~】―――――――――----

男姉「よし、それじゃあ、第2段階の裏々男を釣る話なんだけど、それは第1段階が成功した後のお楽しみということで♪」

男「…えっ!? な、何でだよ姉さん!?」

男姉「これ以上、『あっち』で『あっちの私』が話込みすぎたら怪しまれるだろうし、そろそろ時間切れなのよ。それと、この第2段階…というか第1段階についてもだけど、男に話したところで『何にもならない』のよ。だって、あなたはずっと見ていることしか出来ないからね。」

男「…!? いや、それは何となく気付いてたけどさ…でも『心の準備』っていうもんが必要じゃないか?」

男姉「そんなもん必要ないわよ。あんたはただ入れ替わりのチャンスが来るのをただ待っていればいいのよ。」

男「え~…」

女「お、お姉さん、さすがに言い過ぎじゃ…というか本当に大丈夫なんですか?今の時点で第2段階の作戦を私達が知っておかなくて…」

男姉「大丈夫よ。第1段階が終わったら女ちゃんには電話、もしくは直接それを伝えるから、それまでは第1段階のことだけを考えていなさい。」

女「は、はぁ。」

男姉「…ふふ、男。まあ、この私を信用しなさい。この私を誰だと思ってるの?」

男「…ああ、そうだな姉さん。姉さんはいつも『有言実行』出来なかった事なんて無かったもんな。…俺はただひたすら『その時』を待っている。…それでいいんだな?」

男姉「そういうこと♪」

----――――――――――――――――【回想終了】―



357 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:49:26 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----
………………
………


女「っていう感じで、第2段階についてはまだ私は聞いてないんですけど…」

男姉「らしいわね。『裏々の私』から第2段階について話してない事は聞いてるわ。…それじゃあ話すわね。」

女「…お願いします。」

男姉「…実のところ第2段階については何にも考えていません♪」

女「……え?」

男姉「だから、考えてないの♪」

女「…えええええええ!? そ、それってどういうことですか!?」

男姉「ふふ♪ だから、自分の力でなんとかしてみなさい、女ちゃん♪」

女「…! …自分の…力…?」

男姉「ええ、そう、自分の力。…だって、あなたたち『二人の力で戻ってみせる』って決めたんでしょ?」

女「…! …はい。」



358 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:50:01 ID:ojjwBoFY

男姉「でしょ? さっきまでは『何が何だか』な状態だったかもしれないけど、今からは『何が何でも』男を取り戻すことだけを考えて行動しなさい♪」

女「…! …『何が何でも』…。…はい。そうですよね、最後くらい自分たちで!…それに最後までお姉さんに迷惑を掛けるわけにもいけませんし…」

男姉「ふふ、別に迷惑だなんて思ってないけどね。それにさっきはああ言ったけど最低限のサポートとアドバイスはしてあげるわよ。」

女「サポートとアドバイス?」

男姉「ちょっと待っててね」ピッ ピッ ピッ

女「?」

prrrrr prrrrr

男姉「…あ、もしもし。男姉です。ええ、こっちの方はもう済んだので旧校舎前に…そうですね5分後に来るように伝えてくれますか?…ふふ、本当にありがとうございました。…あ、はーい。ではでは。」ピッ

女「…誰に電話してたんですか?」

男姉「ふふ、女ちゃんのお母さんによ。」

女「…!? お、お母さんに!?でも何で??」

男姉「実は今、お母さんと男は一緒にいたのよ。」



359 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:50:30 ID:ojjwBoFY

女「…! でも何で男とお母さんが??」

男姉「だって男、今携帯持ってないでしょ??」

女「…! …そういうことですか。」

男姉「男の携帯は今ここにあるからね。そして、男の携帯がここにあるということは『裏々男』との連絡もとれないということ。だから、『裏々男』との連絡手段として、そして『裏々男』が変な動きをしないよう監視してもらうためにもあなたのお母さんに協力してもらったの。もちろん『こっち』のあなたのお母さんには鏡の世界について等は話してないわよ。『私が女ちゃんとちょっとお話があるから、その間、男の相手をして下さい』っていう風な頼み方をしたわ。」

女「なるほど…じゃあ、今の電話は?」

男姉「うん。こっちの話が終わったから男に旧校舎まで行くように誘導してほしいとお願いしたの。」

女「そうだったんですか…」

男姉「さあ!準備は整ったわよ!男が旧校舎前に来る前までにちゃんと旧校舎から出ておかないとね!じゃないと怪しまれるかもしれないし。」

女「…! …そ、そうですね!…でも、私一体どうしたら…」

男姉「大丈夫よ女ちゃん。…それじゃあ、さっき言ってたアドバイスをあげるわね。」

女「アドバイス?」



360 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:51:36 ID:ojjwBoFY

男姉「女ちゃん、『女の子』にとっての『最強の武器』って何だと思う?」

女「…女の子の最強の武器??」

男姉「ふふ、それは『色気』よ♪」

女「…! い、いいい色気!?」

男姉「ええ。あんな童貞野郎、女ちゃんがハニートラップを仕掛けてやったら一発よ♪そうやって隙を創りだしてその隙に力ずくで入れ替わりをしてやんなさい♪」

女「そそ、そんなの無理ですよ!!/// 色気だなんて…///」

男姉「ふふ、何とかなるわよ!さあ、早く行きなさい!男先に来ちゃうわよ!…あと、これ持っていきなさい!」ヒョイ

女「…!」パスッ



361 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:52:05 ID:ojjwBoFY

女「あ、これってさっきの釣り竿もどきの手鏡…?」

男姉「ええ。それが無いと合わせ鏡出来ないでしょ?」

女「…あ、そうですよね。 そ、それじゃあ行ってきます!」

男姉「いってらっしゃい♪ …ちゃんと私との会話を反芻しながらシチュエーションを作るのよ。」

女「…え?」

男姉「も~早く行きなさい!」

女「あ、はい!」タッ

タッタッタッ

----―――――――――――――――――――――――



362 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:52:46 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

タッタッタ

女(よ、良かった。まだ、裏々男来てない。あの壊れた窓から出たところも見られてないよね。 でも、これからどうしたら…)

女(お姉さんはああ言ってたけど…私に色気なんか…『そういう経験』も全くな、無いし…///)

女(…そもそもどうやって『あの鏡』の前まで裏々男を連れて行けば…)

オーイ

女(…! き、来た!)

男「ごめんごめん」

女「…や、やあ男!」

女(…この子が…裏々男…。)

男「てか、お前どこ行ってたんだよ。お前のお母さんと一緒に探してたんだぞ?」

女「え!? あ、それはですね…」

女(え、何?お母さんは、私がお姉さんと一緒にいること知ってたはずだから…あ、そういう設定になってるのか。)

女「いや~、ちょっと…ね」



363 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:53:16 ID:ojjwBoFY

男「しかも姉さんと一緒にいたんだろ?何してたんだよ?」

女「い、いや~、ちょっとガールズトークをですね、ははは。」

男「ふ~ん。まあ、でも俺の方こそゴメンな。体育終わったら携帯が無くなっててさ…いったいどこにいったんだろ…」

女「へ、へ~そうだったんだ…」

女(お姉さんが携帯を盗んだなんてとても言えないわね…)

男「…まあ、そんなことはいいとして、姉さんはどうしたの?」

女「…! …お、お姉さんは…か、帰ったよ!何でも用事があるとか何とかで…」

男「そっか。まあ、あの人いつも忙しそうだからな~。でも何でお前、旧校舎前に来てって言ったんだ?」

女「…! …い、いや、それは…」

男「…まあ、どうせこの前、姉さんが言ってた『ホワイトデーの旧校舎でプレゼントの受け渡し』の話を聞いて、それを俺にさせるためなんだろ?お前はプレゼントを貰う側なのに欲張りな奴だよな~まあ、女らしいけど!あはは!」

女(……な、なんか傷つく…で、でもこれに乗じれば…)



364 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:53:42 ID:ojjwBoFY

女「そ、そうなの!どうせプレゼントを貰うのなら旧校舎がいいと思って!」

男「はは、そっかそっか。まあ、俺ももともと旧校舎で渡すつもりだったしね。よし、それじゃあ中に入ろうか!」スタスタッ

女「あ、うん。…あ、でも」スタスタッ

男「『どうやって中に入るの?』だろ? はは、実はね旧校舎には壊れた窓が一つあってね、そこから入れるんだぜ。」スタスタッ

女「へ、へぇ~、そうなんだ。」スタスタッ

男「…お、やっぱりまだここは壊れたまんまだ。それじゃあ中に入ろうか。人に見られないうちに早くしないとな。」

女「あ、うん。わかった。」

----―――――――――――――――――――――――



365 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:54:09 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

スタッ

男「…よっと。大丈夫、女?」

女「うん。」スタッ

女(まあ、入るのは2回目だしね)

男「うわ、相変わらずホコリっぽいな中は…そんじゃ3階の音楽室の前まで行こうか。」スタスタッ

女「…。」

----―――――――――――――――――――――――



366 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:54:43 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

男「よし、廊下には出れたし、3階に上がろうか。」

女「うん。」

男「それじゃあ、行こう。」スタスタッ

女「…! 男、そっちの方は西階段だけど…」

男「え?」

女「…確か旧校舎の音楽室って東階段から上った方が早いらしいけど…」

男「あ、いや、それは…」

男「…き、旧校舎って来週には取り壊されるだろ?だから、せっかくだし、探索しながら3階にあがろうぜ!」

女(…間違いない。この子、あきらかに東階段を避けようとしている…)

女(…けど、ここは拒否反応せずにこの子の意見に従っておいた方がいいかも。まあ、西階段はどうせ封鎖されてることだし…)

女「…そうね、せっかくだし遠回りしながら行きましょうか。」

----―――――――――――――――――――――――



367 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:55:43 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

男「…おいおい、何だよコレ。」

女「…これじゃあ、階段上れないね…」

女(…さあ、どうする!?)

男「…なあ、女。…もうプレゼントここで渡してもいいんじゃね?」

女「!? …ど、どうして!?」

男「いや、だって…もしかしたら東側の階段もこうなってるかもしれないし…」

女「そ、そんなのまだ分かんないじゃない!それに、せっかく来たんだし、3階まで行こうよ!!」

男「…わ、分かったよ。」

女「ほら!それじゃあ行くよ!」グイッ

男「あ、ちょ、ちょっと女!そんなに引っ張るなって!」スタスタッ

女(…なんとか『旧校舎から出る』という最悪の状況は切り抜けられた…)スタスタッ

女(…あとは『あの鏡の前』で力ずくでもいいから合わせ鏡をしてやれば…!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



368 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:56:14 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女「…」ギィ ギィ

男「こっち側の階段は色々とモノが散乱してるな…」ギィ ギィ

女「…。」ギィ ギィ

男「…女?」ギィ ギィ

女「…! …ええ、そうね。…さあ、時間も無いんだし、早く行くよ!」グイッ

男「だ、だからそんな引っ張るなって!」タタタッ

女(もう今の時点で2階近くまで上ってきた…)ギィ ギィ

女(もう少しで『あの鏡』がある踊り場に着く。)ギィ ギィ

女(あの踊り場に着いてから…私はどうすればいいんだろ…)ギィ ギィ

女(お姉さんは、は、ハニートラップを仕掛けろとか言ってたけど、そんなのどうやってやるのよぉ…)ギィ ギィ

女(…ハニートラップ以外に何か…っ!)ギィ ギィ

女(…そういえばお姉さん、最後に言ってたな…『私との会話を反芻しなさい』って…でも、結構長い時間話していたし…)ギィ ギィ



369 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:58:23 ID:ojjwBoFY

女(…ただ、お姉さんとのさっきの会話の中で未だに解消出来ていない疑問がいくつかある…)ギィ ギィ

女(…お姉さんは『何で入れ替わりの際に私を後ろに向かせたのか』(>>349)、『何でそれの理由を教えられないのか』(>>349)、そして『何であらかじめ仕掛けておいたトラップでは入れ替わりは出来ないと言ったのか』(>>355)…)ギィ ギィ

女(…!! もしかしてこの3つの疑問は全て繋がっている!?)ギィ ギィ

女(…っ! そ、そうか…も、もしかしたら…! …いや、絶対にそうだ!!…だとしたら、『それ』を踏まえた上でやらなくちゃ …っ! 考えてたらもう踊り場に…!?)ギィ ギィ

ピタッ

女(…ど、どうしよう…)

男「…? …どうしたんだ女?急に立ち止まって?…って、ここは…」

女(…ええーい!!なるようになれッ!!)クルッ

グイッ

男「ちょ、ちょっと女!急に引っ張るなっt…」タタタッ

ガバッ

男「…!? ど、どうしたんだよ女!き、急に抱きついてきて…///」



370 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:59:08 ID:ojjwBoFY

女「…ご、ごめんね… …でも、どうしても…こ、こうしたかったの…/// 男とは学校とかじゃあんまり会えてなかったし…それに…き、キスも最初のデート以来してなかったし…///」グッ

男「お、女…///」

男「…うん、そうだよな…何かゴメンな、そこんとこ気付いてやれなくて…」ギュッ

女「…。」

男「はは、ずっとこうしてたい気分だな…」

女「…ええ。」

男「…でも、まあすぐそこに音楽室があるんだし、とりあえず音楽室前まで行こうか。今、俺の真後ろに鏡があるだろ?それって実はあの噂の…」

女「…男。」

男「…ん?何だ?」

女「………………………ごめんなさい。」ガサッ



371 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 16:59:54 ID:ojjwBoFY

グイッ

男「…!? …お、お前…何で手鏡なんか!?」

女「今よ!!男!!」

男「…ッ!?」


男「………………ふぅ。上手くいったみたいだな。」

女「ええ。予想以上に上手くいったわ。」

男「意外とあっけないもんなんだな…。」

女「まあ、いいんじゃない?こういうのも?」

男「はは、そうだな。」

女「ふふ…おかえり、男!」

男「…ああ。」




男「ただいま、女。」



372 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:00:32 ID:ojjwBoFY

男「ていうか、お前もちゃんと帰って来れたんだよな?」

女「ええ。…まあ、お姉さんが1週間前に伝えてくれた計画とはかなり違った事になったけどね…。」

男「…? そうなのか?まあ、戻って来れたんだし良かったじゃないか。」

女「ふふ、まあそうなんだけどね。」

男「ただ、結局俺はお前や姉さんにやってもらうことしか出来なかったな…何だか不甲斐ないや…」

女「いいじゃない別にそんな事!…まあ、でも『感謝』はしてほしいわよね♪」

男「はは、感謝してるよほんと。でも、お前が急に抱きついてくるんだからマジでビックリしたぜ。あれは裏々男を油断させるためだったんだろ?」

女「自分でもビックリしてるわよ。まあ、油断させるためでもあったし、あと立ち位置の調整と入れ替わりの条件を満たすように手鏡の角度やその他諸々のためよ。」

男「そっか…でも本当に助かったよ…ありがとうな女!」ギュッ

女「ちょ/// お、男!?///」

女「…も~、男ったら…///」ギュッ



男姉「ひゅーひゅー!熱いねー!青春してるねー!少年少女よ!」ギィ ギィ



373 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:01:12 ID:ojjwBoFY

女「…!? …って、おおおおお姉さん!?」バッ

男「ね、姉さん何でここにいるんだよ!?」

男姉「え?何でって私ならずっと3階にいたわよ?」

女「え?今回も3階に居たんですか??」

男姉「ええ。もし女ちゃんがしくじったときのために今回も3階でスタンバってたのよ。まあ、その必要はなかったみたいね。いや~、女ちゃん、なかなかの演技だったよ。そしてさすが童貞。『ただ抱きついただけ』なのにモノの見事に隙だらけになってくれて。」

男「ま、まあ、俺なら引っかからなかったけどね。」

女「ふふ、どうだか。」

男姉「そうよ、あんたもあいつと一緒なんだから引っかかるに決まっているじゃない。」

男「そ、そんなわけないよ!」

男姉「ふふ、まあ何はともあれ無事戻って来れてよかったわね。女ちゃん、本当によくやったわね。」

女「いや、私は別に大した事は…」

男姉「いいえ、あのことに『気付けた』ことは本当にファインプレーだったわよ。」

女「…!?」

男「…あのこと?」



374 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:02:02 ID:ojjwBoFY

キンコンカンコーン

男姉「あら、昼休みが終わったみたいね。さあ、予鈴もなった事だしとっとと戻りなさいあなたたち。」

女「あ…はい。」

男「…あ、俺、っていうか裏々男のやつ、次の数学の宿題してなかったっけ!早く戻らないと!行こう女!」

女「あ、うん!」

男姉「あ、ちょっとだけ待ちなさい、二人とも。」

男・女「?」

男姉「あなたたち、『私たち』との約束のこと忘れてないわよね?」

女「…! …はい、もちろんです。」

男「…ああ。」

男姉「第1段階でどういうことがあったのか…といったことについてはまあ、女ちゃんから男に話しても構わないわ。男も第1段階でどんなことがあったのかって気になってると思うしね…でも、話してもいいのはそれだけ。今後は鏡の世界について一切関わらないこと。そしてお互いにそのことについての話題も絶対にしない事。いいわね?」

女・男「はい。」



375 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:02:41 ID:ojjwBoFY

男姉「よろしい。それじゃあ行きなさい♪さあ、5時間目遅刻しちゃうわよ!」

男「あ、宿題!行こう女!それじゃあ姉さんまた!」タッ

女「あ、待って!…お姉さん、本当にありがとうございました!」タッ

タッタッタ









男姉「…。」

----―――――――――――――――――――――――



376 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:03:20 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

男「やべ~、数学の先生、宿題のことについては厳しいからな~」タッタッタ

女「ふふ、ドンマイ男」タッタッタ

女「…あ、そう言えば…ねえ男!」タッタッタ

男「んん~??」タッタッタ

女「今、私へのプレゼント持ってるんじゃないの!?」タッタッタ

男「プレゼント?…ああ、裏々男が用意したやつの事か?」ピタッ

女「そうそうそれ! ねえ見してよ!」

男「え、何で?『あっち』で言ったろ?俺が改めて用意して渡すって。」(>>292)

女「いいじゃない!裏々男が私にどんなプレゼントを用意してくれたのか気になって!別にそれを頂戴って言ってるわけでもないし!」

男「…ったく。こっちは数学のことで頭がいっぱいだっていうのに。」ガサゴソ

女「やった~、見せて見せて~♪」

男「ほい。」



377 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:03:46 ID:ojjwBoFY

女「…へ~、奇麗な箱だね。開けてもいい?」

男「…好きにしろよ。まあ、俺は中身はもう知ってるけど。」

女「それじゃあ開けま~す。」パカッ

女「…これって…ネックレスだ…うわぁ~奇麗…」

男「…ったく、俺がそれよりももっといいものをプレゼントしてあげるよ。」

女「え、ほんと?…ふふ、楽しみにしてるね!…でも男もそうやって嫉妬することもあるんだね~?意外~」ニヤニヤ

男「ばっ…/// 別に嫉妬なんかしてないって!もともとそういう約束だっただろ!?」

女「ふふ、そうだったね。…はい、それじゃあこれは一応返しておくね。」ヒョイ

男「おう。…さあ、早く行こう!」

----―――――――――――――――――――――――



378 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:04:22 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

男「それじゃあな、女。また放課後の部活が終わった後に!またその時に今日何があったのか教えてくれよ。」タッタッタ

女「うん、わかった!またね!」ふりふり

女「さてと…私も教室に戻るか」スタスタッ

女(…ここ30分ぐらい激動の時間がずっと続いてたからあまり実感が無かったけど…)

女(…こうやって一人になってから実感がわいてきた…)

女(…私、本当に、自分の意志で今、体を動かせてるんだ…)



女(…私、本当に、表の世界に戻って来れたんだ!!!!!)


----―――――――――――――――――――――――



379 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:04:51 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

キンコンカンコーン

女(…さあ、授業も終わった事だし、部活に行くか。)

女(…でも、表の世界での…というか『自分の意志』で運動するのはちょうど1ヶ月振りだからちょっと不安だな~)

女(…いや、違う。部活に行くのは『後』だ。それよりも先に私は会わないといけない人が『二人』いる。)

部員1「女ちゃん、部活行こ~」

女「…! 部員1…」

部員1「…? どうしたの女ちゃん?固まっちゃって。」

女「…っ」ガバッ

部員1「え、えええ!?お、おお女ちゃんどうしたの急に抱きついたりして!?/// み、みんな見てるよ!?///」

女「しばらくこうさせて…」

部員1「…女ちゃん?」



380 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:05:16 ID:ojjwBoFY

女「…私ね、もう一人のあなたにすごく勇気をもらったのよ…」(>>210)

部員1「へ?もう一人の私???」

女「本当にありがとう…」グスッ

部員1「…よ、よく分かんないけど、泣かないで女ちゃん。」

女「…ふふ、ありがと。…あ、それでね、実は『もう一人のあなた』からあなた宛に伝言を預かってるの。」

部員1「…伝言?」

女「…『もっとシャキっとしなさいよ!(>>214)』ってね!」ニコッ

部員1「…へ?」

女「それじゃあ、私行かないと行けない場所があるからちょっと行ってくるね!だから部活は遅刻しちゃうかも!」タッタッタ

部員1「え、あ、わ、分かった。」

女「また後でね!部員1!」タッタッタ

部員1「…行っちゃった、女ちゃん。」ふりふり

部員1「でも、一体何だったんだろ?」

----―――――――――――――――――――――――



381 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:05:51 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女「はあはあはあ」タッタッタ

女(…そうだ。表の世界での生活を始める前に、私には会わないと…謝らないといけない人がいる!)タッタッタ

女(…私自身がこれから先に進むために…成長していくためにも…!!)タッタッタ

女「はあはあはあ…っ!! 居た!!」タッタッタ

女「待って!!!」



女「女友!!」

女友「…あ、女ちゃん?」



382 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:06:12 ID:ojjwBoFY

女「はあはあ…よかった…まだ帰ってなくて…」

女友「…どうしたの?そんなに息を切らせて…」

女「はあはあ…どうしてもあなたに言わないといけないことがあって…」

女友「…」スタスタッ

女「…女友?」

女友「とりあえずこのベンチに座らない?」ニコッ

女「…うん。」

スタスタ

----―――――――――――――――――――――――



383 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:06:52 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女友「こうやって女ちゃんと一緒に話すの久しぶりだね。」

女「うん…。」

女友「…どうしたの?そんな暗い顔してる女ちゃん初めて見たよ?」

女「…! …ご、ごめんね。」

女友「…ゆっくり。」

女「…え?」


女友「ゆっくりでいいんだよ。」ニコッ

女「…ゆっくり?」

女友「焦る必要なんて何も無いじゃない?女ちゃんが言いたい一つ一つの言葉をゆっくりと焦らず紡いでいって。紡ぎ終わるまで私、ずっと待っててあげるからね。」ニコッ

女「…女友。」

女友「ふふ」ニコッ

女「…ふぅ…ありがとう、女友。女友のおかげで大分落ち着けた。」

女友「そう?」



384 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:07:32 ID:ojjwBoFY

女「…ねえ、女友。」

女友「な~に?」

女「…私、女友に謝らないといけない。」

女友「何で?」

女「…私、男が好きなの。」

女友「…。」

女「…ずっと前から好きだったの。女友に『男のことが好き』ってことを相談された時よりも前から好きだったの。」

女友「…。」

女「…それで…実は男もその時点で私の事が好きで…それで私達、1ヶ月前から付き合ってるの。」

女友「…そうなんだ。」

女「…そう、だから私、女友に最低な事を…ぐすっ…したの…。私も男のことを好きなのに安易に女友の相談に…乗っちゃって…ぐすっ…」ポロポロッ

女友「…。」

女「…そ、それで男も私の事が好きだという事を知っていたにも…か、関わらず…ぐすっ…それを女友に伝えなかったり…」ポロポロッ



385 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:07:59 ID:ojjwBoFY

女友「……………泣いたら…」

女「…っ?」ポロポロッ

女友「…泣いたら許されるとでも思ってるの?」

女「…っ!」

女友「…許さない…絶対に許さない…っ。」

女「…! ……………女友…わたし…」








女友「…な~んてね」ニコッ



386 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:08:21 ID:ojjwBoFY

女「…へ?」

女友「どう?私の演技上手かった??」

女「…え? え?」

女友「ふふ、私、女ちゃんが男くんのことを好きなのを知ってたよ。」

女「…え!? い、いつから!?」

女友「女ちゃんに相談した一番最初の時。」

女「…最初?」

女友「うん。私が女ちゃんに男くんが好きだってことを打ち明けた時、女ちゃんの様子が明らかにおかしかったんだもん。」

女「!?」

女友「で、その時の反応から、『あ、女ちゃんも男くんのこと好きなんだな』…って気づいたの。」

女「…。」

女友「…私ね、それまで誰かを好きになった事なんてあんまりなかったからよく分かんなかったの。」

女「…何が分からなかったの?」

女友「好きになった人との接し方。」

女「…接し方?」



387 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:08:51 ID:ojjwBoFY

女友「うん。…私、男くんのことを好きなったのはいいけど、恥ずかしくて全然接することが出来なくて…でも、女ちゃんは私とは『逆』で沢山男くんと接してたでしょ?」

女「う、うん。」

女友「私も本当にその時は無知でさ…女ちゃんも男くんのことが好きなら『私みたいに恥ずかしくなるはずだ』…って思ったの。でも、女ちゃんは当たり前のように男くんと絡んでたから…でも、本当に女ちゃんってすごいよね。好きなひと相手にあんなに…」

女「…まあ、私からアグレッシブさを除いたら何も残らないしね…。…そっか、だから私に相談したんだね。」

女友「うん…でも、一番最初に相談した時の女ちゃんは明らかに動揺しててさ…その時に私、とんでもないことをしちゃったんじゃないのかって思って…」

女「…」

女友「…だけど、私も言い出しちゃったもんだから、あとに引けなくなってしまって。女ちゃんも私の相談に全力で答えてあげようとその後振る舞ってくれたから断る事も出来なくて…」

女「…そうだったんだ。」

女友「…だから、謝らないといけないほうは私なの。…本当にゴメンね…女ちゃん。」



388 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:09:23 ID:ojjwBoFY

女「…! な、何で女友が謝るのよ!謝らないといけないのは私なのに!」

女友「ううん。私が謝らないといけない。だって私、男くんが女ちゃんのことを好きなのも知ってたんだもん。」

女「え?」

女友「私も男くんが好きだったからさ、男くんの方によく目が向いてしまっていたんだけど、男くんの目線の先にはいつも女ちゃんがいたの。…それで、男くんも女ちゃんのことが好きなんだな…ってわかって。」

女「…。」

女友「それにね、その時にもう一つ気付いた事があったの。」

女「…気付いた事?」

女友「私が好きな男くんはね、女ちゃんと楽しそうにしている男くんだってことに。」

女「…!」

女友「私には女ちゃんの代わりになれないってことは十分に分かってたし、それに何よりもその男くんと女ちゃんの関係を壊したくなかった。…それぐらい女ちゃんと男くんが二人で居る様子は微笑ましかったの。」

女「…。」

女友「それで、告白するのをやめたの。だからね、あきらめはすぐについてたんだよ!…でも、それをなかなか言い出す事が出来なくて…」

女「そう…だったんだ…」

女友「…本当にゴメンね…ぐすっ…女ちゃん。もっと早く男くんに…ぐすっ…自分の想いを伝えたかったはずなのに…こんな…こんな私のせいで…」ポロポロッ

女「そ、そんなことない!そんなことないよ女友!!」ジワッ



389 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:09:59 ID:ojjwBoFY

女友「…でもね、私、さっき本当に…ぐすっ…ホッとしたんだ。女ちゃんと男くんが付き合ったって聞いて…本当に…本当に良かった…私が大好きな二人が結ばれたって分かって…」ポロポロッ

女「…女友。」ポロポロッ

女友「………っ。」ゴシゴシッ

女友「…女ちゃん…男くんと幸せになってね!」ニコッ

女「…! …女友。…うん!約束する!私、絶対に幸せになる!!でも女友も幸せにならなきゃ!」

女友「…ふふ、そうだね。まずは新しく好きな人を作らないとね♪」

女「ふふ、男よりもいい奴なんてこの世の中にはいっぱい居るわよ!」

女友「はは、いいの?自分の彼氏のことをそんな風に言っちゃって?」

女「いいのよあんな奴!」

女・女友「…っぷ。あははははは」

----―――――――――――――――――――――――



390 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:11:42 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

ただいま~

女母「あら?おかえりなさい。…あら?目元赤いわよ?」

女「…ちょとね♪」

女母「…? それにしても遅かったじゃない?」

女「うん。ちょっと男と長話しててさ。」

女母「そうだったの?あ、私も今日、お昼に男くんと喋ったわよ。」

女「みたいだね」

女母「何だかよく分かんなかったけど、男姉ちゃんに『女ちゃんと話さないといけないことがあるから、女ちゃんを捜すフリをしながら男を足止めしておいてもらえますか?』って言われたもんだから一応その通りしたけど…あんた男姉ちゃんと何話してたのよ?」

女「…う~ん、まあ色々と…ね。」

女母「色々…ねえ。まあ、でもその間男くんと話してたわけだけど、あの子やっぱり良い子ね!今度うちに連れておいで。」

女「ふふ、了解。男がそれを聞いたら喜ぶと思う。」

女(…まあ、お母さんが今日話してたのは裏々男なんだけど。)

女(…! …そうだ、やることやっておかないと。)



391 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:12:08 ID:ojjwBoFY

スタスタッ

女母「…?どうしたの女?」

女「お母さん、やっぱり玄関やリビングに置いてる鏡のけよう。」

女母「…? まあ、元はあなたが言い出しっぺだし、のけてくれても全然いいけど、急にどうたの?」

女「…もう必要ないかな…って思って。」

女母「まあ、あんたがそう言うなら…さあ、とにかく荷物を自分の部屋に置いてきなさい。ご飯はもう出来てるんだから。」スタスタッ

女(…もう必要ないよね? 裏々女。)

女(…あなたはそっちの世界でそっちのお母さんと一緒にあなた達だけの人生を歩んでいくんだから。だから、鏡なんてもう要らないわよね。)

女(…ねえ、裏々女。私、女友と仲直り出来たよ。むしろ前よりもすごく仲良くなれた気がする。裏々女が私にああやって言ってくれなかったら、私、女友に話しかけること出来なかったと思う…。これで私、またちょっと成長出来たかな?)

女(…これからも、私もっともっと強くなる!そして幸せになってみせる!)

オンナー ナニシテンノー ハヤクオイデー

女「…! はーい!今行くー!お母さーん!今日のご飯何ー!?」

タッタッタ


----―――――――――――――――――――――――



392 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:13:40 ID:ojjwBoFY

―2012年/3月/20日/香川/ @ 5週目―――――――----

校長「ええ~、今年もあっという間に…」

女「ふぁあ~…」

女(…長くなりそうだな~、終業式の校長先生の話。…でも本当にあっという間だったな、今年は…)

校長「二年生は三年に、一年生は二年生にとなるわけですが、生徒の皆さんは…」

女(…特にこの1ヶ月はほんと大変だった…色々と起きっぱなしで…)

校長「また、明後日から旧校舎の取り壊し工事が始まり…」

女(…まあ、何はともあれこにて一件落着だよね。)

校長「それに伴い、校内に建材を運び込むためにトラックや作業員の方々が校内を行き来することに…」

女「…でも何だろう…この違和感…」

校長「…ですので部活等で学校に来る生徒はケガのないように細心の注意を…」

女「…何か」


女「…何か…忘れているような…」

―――――――――――――――――――――――----



393 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:14:45 ID:ojjwBoFY

―2012年/3月/21日/香川/ @ 最終週―――――――----

女母「女!いい加減起きなさい!今日は昼から部活でしょ!?」

女「ん~…今何時~??」

女母「もう12時前よ!!」

女「12時~? 部活は~確か12時半かr…あああああああ!!」ガバッ

女母「とっとと仕度しなさい!!」

女「もお!お母さん何で起こしてくれないのよ!!」

女母「起こしたわよ!!何度も!!」

女「嘘だー!!」アタフタ

女母「嘘じゃないわよ!一応部下行く前にご飯食べていきなさいよ!ご飯食べないと力でないでしょ?それじゃあお母さん台所で準備してるから。」スタスタッ

女「は~い!やばいやばい!早く仕度しないと!!」



394 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:16:20 ID:ojjwBoFY

prrrrr prrrrr

女「…! もう何よこんな時に一体誰よ。」パカッ

女「…ん? 見た事無い番号だけど誰だろう……?」ピッ

女「もしもし?」

男姉『もしもし、女ちゃん?』

女「…!? …お、お姉さんですか??」

男姉「ええ。1週間ぶりね。男から…というか男の携帯を盗んだときに女ちゃんの番号を控えておいてね。」

女「は、はあ。…でも、どうしたんですか急に…?」

男姉「…女ちゃん、あなたが裏の世界で裏男から言われたこと覚えてる?」

女「…! 裏男から言われたこと? ……っ!」



395 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:16:57 ID:ojjwBoFY

―【回想(>>199)】――――――――――――――----
裏男「…『線路』だ。…『線路』がいるかもしれない。」
----―――――――――――――――――――――――


女「…『線路』がどうとかって私が言われたことのやつですか?」

男姉「…ええ、そうよ。それをあなた『裏々の私』に『線路』について知ってるかってことを聞いたらしいわね?(>>239) だから、私も『裏々の私』からそのことは一応聞いてたの。」

女「そうだったんですか…」

女(…そうだ…ここ最近私の中でずっと引っかかってたのはそれだ。裏男からのその言葉の意味が分からないままだったことに違和感を感じてたんだ…でも…)

女「…でも、お姉さん、何で急にそのことを?…それに、お姉さん約束させたじゃないですか私達に。もう鏡の世界には関わるな…って。」

男姉「あら、そうだったわね。まあ、今回に限ってそれは見逃してあげるということで♪」

女「……どういうことですか?」



396 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:17:45 ID:ojjwBoFY

男姉「その話は一度置いておきましょう…で、女ちゃん。もう一度聞くけど、裏男は『線路がいる』って言ったのよね?」

女「え、はい。でも、線路が一体何に必要なんですか…」

男姉「…その前後に裏男は何か言ってなかった?」

女「前後に?」

男姉「ええ。その時の会話を出来るだけ忠実に思い出してみなさい。」

女「…ん~、確かあの時…」

―【回想(>>199)】――――――――――――――----

裏男「…これは裏の世界の僕から君への最後のメッセージだ。」

女「…メッセージ?」

裏男「ああ。」



裏男「…『線路』だ。…『線路』がいるかもしれない。」

----―――――――――――――――――――――――

女「…確か『線路』について言い出す前に『これは裏の世界の僕からのメッセージ』だとか言ってた気がします。」



397 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:18:34 ID:ojjwBoFY

男姉「…それよ、女ちゃん。」

女「…それって何がですが?」

男姉「よく考えなさい、その文章に込められた意味を。」

女「…? 考えろって、何の意味も込められてないと思うんですけど。…も、もしかしてお姉さんには分かったんですか!?」

男姉「…大丈夫。あなたなら『気付ける』わ。それの本当の意味について。」

女「本当の…意味…?」

男姉「…それじゃあね。…頑張りなさい。」ピッ

女「…あ!お姉さん!? …駄目だ、切れちゃった…。」


女(…『線路』…)

女(…でも近所に線路なんて無いし…)

女(…『これは裏の世界の僕からのメッセージ』には何の意味が…)

女「…ん?待って。」



398 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:19:04 ID:ojjwBoFY

女(…何で裏男は『メッセージ』っていう言葉を選んだろう…もしもああいうう状況で何かを助言したいときは『メッセージ』じゃなくて『アドバイス』って言葉を使うんじゃ…)

女(…つまり、『線路』っていうのは『助言』じゃなくて、私に対しての『伝言』的な何かだということ。)

女(…っ! …それに裏男は『僕からのメッセージ』ではなく『裏の世界の僕からのメッセージ』と、わざわざ『裏の世界』という言葉を付け加えていた…。)

女(裏の世界…裏の世界の特徴は『反転』、『逆』、『自我を持っいる』…)

女「…っ!! 待って!!『線路』って確か!!」タタタッ

女「ええ~っと、確かここに…」ガサゴソッ

女「…! あったあった!ええ~っと…」ピラッピラッ

女「…これだ! ………。」

女「……っ!!」

女「…そうか…そういうことだったんだ。」

女「…でも」

女「…でもこれって…」



女「…どういうことなの!?」

----―――――――――――――――――――――――



400 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:19:34 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女(…裏男の伝えたかったことは分かった。でもその『伝えたかった事自体』の意味が分からない…)タッタッタ

女「…ってそんなこと考えてないで急がないと!このままじゃ間違いなく遅刻だぁ~!!」タッタッタ

オ~イ

女「…ん?何だか聞き覚えのある声が…」ピタッ

オンナ~

女「あっ…!あれは!!」

女「お…」



女「…お兄ちゃん!!」



401 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:20:37 ID:ojjwBoFY

女兄「いや~、久しぶりだな~、女~」

ドゴォッ

女兄「かはっ!?な、なんで…いきなり腹パン?」ピクピクッ

女「あ~、すっきりした~。あ、今のは今までのお兄ちゃんに対する恨みの分の腹パンだから。」(>>12)

女兄「い、いや…だとしても不意打ちはマジで勘弁…」

女「そういえばお兄ちゃん同窓会か何かで帰ってくるんだったね。」(>>12)

女兄「う、うん。…ああ、まだ痛みが…」

女「で、お兄ちゃんいつまでこっちいんの?」

女兄「ん~、俺?俺は今日の夕方から同窓会でそのままオールの予定。そんで明日の朝にそのまま家に帰らず神戸の下宿に帰るよ。」

女「え!?何で!? 2、3日泊まっていかないの!?」

女兄「いや~それはだな~」

女「お兄ちゃん春からは東京に引っ越すんでしょ!?だとしたらまた当分かえって来れないじゃない!?」(>>12)

女兄「…」



女兄「…嫌なんだ。」



402 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:21:20 ID:ojjwBoFY

女「…え?」

女兄「俺、この町にいるのが嫌なんだ…」

女「お兄…ちゃん?」

女兄「…な~んてな!!実のところ、大学の友達と明日の昼から旅行の予定だからとっとと帰らりゃなならんのよ!だからすまんな妹よ!!あっはっは!!」

女「…! …ったく、だろうと思ったわよ~、急にお兄ちゃんがシリアスなこと言い出してびっくりしたじゃない。」

女兄「あはは、演技上手いだろう俺って! あっ、そういえばさっき部活帰りの男に会ったぞ~」

女「え?男に? というか何で男のこと知ってるの?」

女兄「まあ、あいつは少年野球やってたころに知り合ったけど、まさかあいつとお前が付き合う事になるとはな~。」

女「へ~、お兄ちゃん。男のこと知ってたんだ。って何で私達が付き合ってる事知ってるのよ!?」

女兄「それもあいつから聞いた♪」ニヤッ

女「ったく、男のやつぅ…」



403 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:21:47 ID:ojjwBoFY

女兄「ははは!それだけじゃないぜ!お前たちが最初に水族館にデートに行った事やそこの公園でファーストキスをしたことも聞いたったぞ~」ニヤニヤッ

女「…!? 男のやつ…よりにもよって何でお兄ちゃんに…」プルプルッ

女兄「あっはっは!いいじゃんかいいじゃんか!熱いね~!!」

女「…お兄ちゃん、それ以上からかったらまた殴るよ?」

女兄「…ちょ!ご、ごめんって!…でも、女。ちょっと暴力的になったな…」

女「ん~何か言った~お兄ちゃん?」ニコニコッ

女兄「いえ、何も!」

女「ったく…」

女兄「…ん? それはそうと、お前部活だろ?早く行かなくていいのか?」

女「…あっ! そ、そうだったんだ!もおおお!お兄ちゃんのせいで大遅刻じゃない!!」ドコォ!!

女兄「かはっ!? な、何でまた…腹…パン……」ガクッ

女「それじゃあねお兄ちゃん!」タッタッタ

女兄「お、おう…またな~」ふりふり

----―――――――――――――――――――――――



404 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:22:18 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

タッタッタ

女「はあはあはあ」タッタッタ

女(…お兄ちゃんったら…本当に相変わらずなんだから…おかげでさっきから全力するはめになったじゃない…)タッタッタ

女(…そういえば、あの時も…最初に鏡の世界に行った日もこうやって走ってたな…)タッタッタ

女(…そして公園で最初に男に…)タッタッタ

女(…………っ!!)ピタッ

女(…そうだ……)はあはあ

女(…確か…)はあはあ


女(…確かあの時…)はあはあ

----―――――――――――――――――――――――



405 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:23:18 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

prrrrrr prrrrrr

男『…もしもし?』

女「ねえ男!?ごめんだけど今から会えないかな!?」

男『今から? 俺はちょうど部活終わって今帰ってきたところだけど、今日女バスは昼から部活なんじゃ?』

女「…分かったのよ!」

男『…分かったって何が?』

女「鏡の…鏡の世界の秘密が!」

男『…!? 鏡の世界の秘密って…でもお前、俺たちはもうこれ以上鏡の世界には関わるなって姉さんと…』

女「そんなこと言ってる場合じゃないの!とにかく今すぐ旧校舎前まで来て!」

男『…!? …分かったよ。旧校舎前に行けばいいんだな!?』

女「うん!私も今、向かってるから。」

男『了解。すぐ行く。それじゃあまた後で。』

女「うん、また後で。…よし。私も急がなきゃ!」タッタッタ

----―――――――――――――――――――――――



406 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:23:48 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

女「…。」

オ~イ

女「…男!」

男「ごめん!遅くなった!」タッタッタ

女「ううん、私もさっき来たところだから。」

男「はあはあ…そっか。…でも、本当なのか?鏡の世界の秘密が分かったって!?」

女「…うん。そして、それを確認するためにも…入るわよ。」

男「…? 入るってどこに?」

女「旧校舎に決まってるじゃない。」

男「!?」

女「さあ、行くわよ、男。」スタスタッ

男「ちょ!? 待てって女!」スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――



407 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:25:07 ID:ojjwBoFY

―――――――――――――――――――――――----

ギィ ギィ

男「おい女。いい加減教えてくれよ。一体鏡の世界のどんな秘密を知ったんだよ?」ギィ ギィ

女「…ああ、そんなこと言ってたわね。」ギィ ギィ

男「…はい?」ギィ ギィ

女「…ごめんなさい、さっきの秘密が分かったってのは…嘘なの。」ギィ ギィ

男「…!? ちょっとお前何ふざけたこと言ってんだよ!?」ギィ ギィ

女「…さあ、着いたわよ。…『あの鏡』のある踊り場に。」ピタッ

男「おい女!どういうことなのか説明しろよ!!」



408 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:26:01 ID:ojjwBoFY

女「…嘘をついてたことには謝るわ。でも、あなたが『やってきたこと』に比べたらとっても小さな『嘘』じゃない?」

男「…俺が『やってきたこと』?」

女「…とぼけるのもいい加減にしなさいよ、男。」

女「いや…」









女「…………裏々男!!!!」

----――――――――――――――――――【鋪】――



409 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:26:26 ID:ojjwBoFY

―【鏡の世界でのルール(No.1)】―――――――――----

● 体について
① 体の自由はほとんど効かない。表の世界にいる『主』が絶対的な存在であり、その『主』の行動が鏡の世界の住人にも反映される。(>>57)
② 表の世界で『行動権』を持つ者を『主』、表の世界で生まれ育った者を『オリジナル』という。(>>81)
③ 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感は働く。(>>93)
④ 鏡の世界では『考えること』と『喋ること』が出来る。(>>58)
⑤ 鏡やガラスといった光を反射させるもの(反射物)に表の世界の『主』が映っている場合は鏡の世界の住人は『喋ること』が出来なくなる。『考えること』は可。(>>59)
⑥ 『主』が反射物に映っている時は『主』の『喋る』内容が鏡の住人にも反映される。(>>59)
⑦ 飲食時は反射物に映っていない時でも、表の世界の『主』の口の動きと同化する。(>>93)
⑧ 反射物に、自分の像が映し出されるその5秒前に、脳に合図が走り、『喋ること』ができなくなる。ただし、これは自我を持った人間のみに起きる現象である。(>>60)

● 自我について
① 鏡の世界の人間が自我を持つためには、鏡の世界の人間自身が『鏡の世界の人間』だと自覚する必要がある。(>>76)
② 自我を持つことによって鏡の世界の住人は『考えること』と『喋ること』が出来るようになる。(>>76)
③ 自我を持った鏡の住人は、反射物に自身の姿が映る度に表の世界の『主』の記憶が共有されるようになる。ただし、オリジナルには共有されない。(>>161)
④ 鏡の世界の住人が自我を持つためには『他に自我を持った人間から鏡の世界についてを教えてもらう』もしくは『表の世界のオリジナルが鏡の世界のことの存在を知る』必要がある。(>>80)

----―――――――――――――――――――――――



410 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/23(日) 17:26:48 ID:ojjwBoFY

―【鏡の世界でのルール(No.2)】――――――――----

● 鏡の世界の特徴について
① 鏡の世界は半永久的に存在する。(>>53)
② 鏡の世界は、裏の世界、裏々の世界、裏々々の世界と、表の世界から遠ざかっていくにつれて、明度が小さくなっていく。(>>54)
③ 表の世界を『1』として、裏々、裏々々々といった奇数番目の世界は、『奇数世界』と定義される。(>>159)
④ 裏の世界を『2』として、裏々々、裏々々々々といった偶数番目の世界は、『偶数世界』と定義され、これらの世界では、全てのモノが反転している。(>>159)
⑤ 偶数世界では、ほとんどの者が自我を持っており、その『性格』はオリジナルのものとは反転したものになっている。(>>159)
⑥ 偶数世界の鏡の住人が『主』になることは出来ない。(>>227)

● 入れ替わりについて
① オリジナルが表の世界以外にいる場合、反射物に対して念じれば、表の世界に近い層へと移動できる。(『特権』による入れ替わり)(>>124)
② 2枚での合わせ鏡の状態を創り出した時、表の世界と裏々の世界の人間が入れ替わりを起こすことが出来る。(合わせ鏡による入れ替わり)(>>48)
③ 入れ替わるのは、あくまで『意識』のみであり、肉体はそのままである。(>>49)
④ 入れ替わる時に、一瞬だがお互いにコミュニケーションが取れる。(>>218)
⑤ 入れ替わりは連続して行うことが出来ず、1週間のブランクを必要とする。(>>96)
⑥ 入れ替わりにはどちらかにその『意志』があることが必要となる。(>>51)
⑦ 入れ替わりは閏年の一時期に行える。(2012年は3月21日まで)(>>50)
----―――――――――――――――――――――――


男「合わせ鏡の世界って知ってるか?」女「…え?」【後半】



転載元
男「合わせ鏡の世界って知ってるか?」女「…え?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1347457319/
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