格闘家「世界最強格闘トーナメント開幕……ッ!」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:24:35.43 ID:8q0/aa9b0

求めるものは強さのみ──

性欲、食欲、睡眠欲の三大欲求ですら、

我が身を焦がす「強くなれ!」という声の前には路傍の石にも等しい。



格闘家「強く……ッ!」

格闘家「より強く……ッ!」

格闘家「もっと強く……ッ!」

格闘家「誰よりも、何よりも、強く……ッ!」



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:29:21.30 ID:8q0/aa9b0

バキィッ!

武術家「ぐへぇっ!」ドサッ

ドゴォッ!

軍人「ご、ふっ……!」ドザッ

ドゴォッ!

ライオン「グルオオォォォ……!」ドズンッ



強くなるには、より強い相手を打ち倒すに限る。

世界中を放浪し、あらゆる強者を打ち倒してきた。

千の技を持つという武術家も、千人殺したという軍人も、

血に飢えた人喰いライオンでさえも──



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:33:27.57 ID:8q0/aa9b0

しかし、足りない!

いくら強者を打ち倒しても、まるで足りない!

内なる声はさらにボリュームを上げ、「強くなれ」「強くなれ」と叫ぶのだ!



格闘家「試合を申し込むッ!」

道場主「ぬう、道場破りかァッ!」



ただひたすらに、強者を狩り続ける終わりなき修羅の道。

そして、いつしかたどり着いた……。

世界最強の八名が集うといわれる、世界最強格闘トーナメント!



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:37:22.57 ID:8q0/aa9b0

格闘家(ここでなら……)

格闘家(このトーナメントを戦い抜けば──)

格闘家(きっと私は我が修羅道に終止符を打つことができるッ!)ザンッ





一人目──

【格闘家】
身長 187cm
体重 102kg
ファイトスタイル 我流格闘技



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:43:29.65 ID:8q0/aa9b0

スパパパパァンッ!

パパパァンッ!

パパパパパパパァンッ!

記者「は、速い……ッ!」

記者「速すぎて、拳が全く見えない……!」

会長「それより見て下さい、あのサンドバッグを」

記者「サンドバッグ……? あ、まったく揺れていない! 微動だにしていない!」

会長「そう、ヤツのパンチが速すぎて揺れることができないんです」

会長「右に揺れようとすると右からパンチが、という具合にね」

会長「そしていつしか、溜まりに溜まったストレスは──爆発する!」

ドッバァァァンッ!

記者「サンドバッグが……破裂した……!」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:47:22.98 ID:8q0/aa9b0

ボクサー「ホラ、よくいうっしょ」

ボクサー「ボクサーはパンチしかないから、路上や総合のリングじゃ通用しないって」

記者「ええ、よく聞きますね」

ボクサー「ボクね、あれが許せんのですよ」

ボクサー「ボクらは他の格闘技と違い、とことんパンチとフットワークを極めるわけ」

ボクサー「他の技──キックやらなんやらは、やらないし、いらないんだよ」

ボクサー「ホラ、たまに自キャラのパラメータを振り分けるゲームとかあるけどさ」

ボクサー「ああいうのも、極端に振り分けた方が強いんよ」

ボクサー「たとえキックや寝技を練習してなくても──」

ボクサー「超精度を誇るパンチさえあれば、他の格闘技にだって十分勝てる」シュシュッ

記者「…………」ゴクッ…

記者「先ほどの練習風景を見た後だと、今のお言葉……とても否定できませんね」

ボクサー「ハハッ」



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:51:22.92 ID:8q0/aa9b0

ボクサー「──で、なんだっけ」

ボクサー「世界最強格闘トーナメント?」

記者「はい」

ボクサー「出るよ」

ボクサー「そして、勝つよ」

ボクサー「もちろん、パンチだけでね」ニッ

記者「あなたなら……本当にやってしまいそうだ」

記者「何でもアリ、ノールールの格闘大会を、パンチだけで制覇という快挙……!」

ボクサー「快挙なんかじゃねえさ」

ボクサー「出来て当然のことをするだけさ」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 00:54:23.70 ID:8q0/aa9b0

ボクサー(拳以外の攻撃手段に走った浮気性ども……)

ボクサー(今日この場で、お前たちのひん曲がった根性──)

ボクサー(叩き直してやるよ!)ダッ





二人目──

【ボクサー】
身長 181cm
体重 79kg
ファイトスタイル ボクシング



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:00:28.28 ID:8q0/aa9b0

手にするのはナイフ一本で十分。

薙ぐ、刺す、投げる──いずれにせよ、1アクションで人は簡単に死ぬ。

たとえ銃相手であろうとな──



殺し屋「へへへ……」

銃士「止まれっ!」チャッ

スパンッ!

銃士「なっ……銃が斬れ──」

サクッ

銃士「うげぇぇ……っ!」ドサッ

殺し屋「さぁ~て、標的の部屋はもうすぐだ」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:04:30.83 ID:8q0/aa9b0

殺し屋「お?」

殺し屋「なんだてめぇは、護衛か?」

暗殺者「いや……護衛ではない」

暗殺者「この屋敷の主人を狙う殺し屋を殺せ、と依頼された者だ……」

殺し屋「ふぅ~ん」

殺し屋(両手に武器は無し……おそらく暗器を隠し持ってやがるな)

殺し屋(だが、俺のナイフの方が絶対に速い!)

暗殺者「そういえば、キサマはナイフ一本で多くの標的を殺してきたことに」

暗殺者「誇りを持っているとか──」

殺し屋「シャッ!」ビュッ



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:08:32.70 ID:8q0/aa9b0

殺し屋「刺さっ──」

殺し屋(え、消え!?)

暗殺者「だが、俺にいわせれば──」

殺し屋(後ろ!?)

ガシィッ!

殺し屋「ぐえ……っ!」

暗殺者「ただの無謀だ」

暗殺者「刃物などというか弱いものに、己の命を預けているのだから」

ボキィッ!

殺し屋「が……っ!」ドサッ…

暗殺者「刃物だけではない……ピストルも機関銃も、みんなか弱い」

暗殺者「さて、次の依頼はあるトーナメントに参加し、優勝して」

暗殺者「必ず優勝者の前に現れるであろう主催者を殺せ、だったな」



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:11:23.48 ID:8q0/aa9b0

暗殺者(俺にとって己の肉体とは──)

暗殺者(人を殺すための手段に過ぎない)

暗殺者(さて……今日もいつものように仕事をこなすか)スッ…





三人目──

【暗殺者】
身長 174cm
体重 77kg
ファイトスタイル 暗殺術



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:17:33.34 ID:8q0/aa9b0

ガツガツ…… ムシャムシャ……

レスラー「ふう、ごちそうっさんッス」

スポンサー「いやぁ、よく食うね~」

スポンサー「さすが、プロレスではなく真剣勝負なら」

スポンサー「世界最強間違いなしといわれる男だ。食いっぷりも世界一だね」

レスラー「とんでもないッス」

スポンサー「さっき君が見せてくれた」

スポンサー「マンホールの蓋を腕力だけで曲げるパフォーマンスもすごかった」

スポンサー「君ぐらいの怪力だと、物相手じゃないととても全力を出せないだろうね」

レスラー「いや、そんなことないッスよ」



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:21:29.70 ID:8q0/aa9b0

レスラー「だって、アレはせいぜい七割ぐらいの力でやったッスから」

レスラー「全力じゃないッス」

スポンサー「ホ、ホントかい……!」

レスラー「試合はウソばっかッスけど、こういうウソはつかない主義ッス」

スポンサー(七割の力でマンホールの蓋を曲げただと……!?)

スポンサー(まさに重機……!)

スポンサー(この男こそ、人類史上最強のモンスターだ!)

レスラー「ちなみに腹の方も、せいぜい腹五分ってとこッス」ニッ

スポンサー(燃費の悪さがタマにキズだがね……)



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:25:24.96 ID:8q0/aa9b0

レスラー「──で、なんでしたっけ」

レスラー「世界なんたらトーナメントでしたっけ?」

スポンサー「世界最強格闘トーナメント」

スポンサー「君が公に“全力”を出すことを許される大会だ」

レスラー「へぇ……」

レスラー「投げ飛ばして、叩きつけて、へし折って、ひん曲げていいんスか」

レスラー「丸めて、絞って、ちぎって、バラ撒いていいんスか」

スポンサー「なにをやっても構わない」

スポンサー「負けること以外はね……」ニッ…

レスラー「やっべ、ちょっと燃えてきたッスね」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:28:20.71 ID:8q0/aa9b0

レスラー(さぁ~て、人間相手に本気出すなんて初めてッスね)

レスラー(すっげーワクワクしてきたッス)

レスラー(一生に一度のストレス大解消ッス!)ドスンッ





四人目──

【レスラー】
身長 205cm
体重 151kg
ファイトスタイル プロレス



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:34:33.79 ID:8q0/aa9b0

生まれついての超天才──

成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗──

「神に愛された」どころか「神に贔屓されすぎた」と称される男がいた。



なにをやっても完璧(パーフェクト)──

なにをやっても勝利(ヴィクトリー)──



どこかの夢想気味の漫画家が描いた主人公が、

漫画(カートゥーン)の中から飛び出してきたのでは?

と揶揄されるほどの反則的性能──



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:38:37.32 ID:8q0/aa9b0

パシャッ! パシャシャッ! パシャッ!

「トーナメント出場は本当ですか!?」

御曹司「本当さ」

「勝算はありますか!?」

御曹司「もちろん、100%ボクが優勝だよ」

「なにか秘密のトレーニングなどは、されているのですか?」

御曹司「トレーニング? そんなもの必要ないさ」

御曹司「なんたってボクは、天才なんだからさ」



執事「…………」

しかし、一人の老執事だけは知っている。



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:42:25.54 ID:8q0/aa9b0

御曹司「ふんっ……! ふんっ……!」グッ…

執事「坊ちゃま、床一面が汗まみれになってしまいました」ビチャッ…

執事「そろそろトレーニングを終わりにしましょう」

御曹司「ああ、そうだな」

執事「…………」



私は坊ちゃまほど才能に恵まれた人間を知らない。

そしてそれ以上に、坊ちゃまほど努力をしている人間を知らない──

スポーツから勉強、女の口説き方に至るまで、

坊ちゃまが結果を出せたのは、類稀な才能とそれを支える努力があったからこそ。

もちろん格闘技とて例外ではない!

坊ちゃまに敗北はありえない!



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:45:24.48 ID:8q0/aa9b0

御曹司(さて、と)

御曹司(今日、また1ページボクの伝説が生まれてしまうな)

御曹司(世界最強格闘トーナメント優勝、というね)ニッ





五人目──

【御曹司】
身長 185cm
体重 92kg
ファイトスタイル 総合格闘技



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:51:30.06 ID:8q0/aa9b0

柔術界の絶対王者と呼ばれる男がいた。

公式戦300戦無敗──まさに無敵である。



王者「…………」ススッ…

柔術家「…………」ジリッ…

王者(ここでタックル!)バッ

柔術家「は、はやっ──」ドザァッ

王者(バックを取って、チョークスリーパー!)バババッ ギュゥ…

柔術家(何されてるのか、全然わかんねえ!)

柔術家「う、ぐ……っ!」パンパンッ

コーチ「ようし、いいぞ! よくやった!」



王はこう語る。



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:55:29.17 ID:8q0/aa9b0

王者「え、私がここまで強くなった理由ですか?」

王者「そりゃもちろん、コーチの優れた指導があってのことですよ~」

コーチ「ハハハ、そのとおり! 私のおかげだ!」

王者「そこは『王者の実力だ』っていって下さいよ、コーチ~!」

コーチ「そうだな、すまん! ハハハ」

王者「ハハハ……!」



王者「──なぁ~んて具合にインタビューでは、いつもコーチと笑ってましたけどね」

王者「ここだけの話、私は──」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 01:59:30.75 ID:8q0/aa9b0

王者「練習で、コーチに一度も勝ったことがありません」

王者「ええ、ただの一度もです」

王者「もちろん、いつも本気──というか殺すつもりでやってますよ」

王者「なのに、惜しい、善戦、といえるような試合すらない」

王者「しかも、多分コーチは私相手に本気を出したことはないでしょう」

王者「そりゃ強くなりますよ」

王者「あんな怪物といつも練習してりゃ、そこらの柔術家ぐらいわけなく倒せる」

王者「コーチに一勝するより、公式戦で1000勝する方が遥かにラクですよ」

王者「でもま……やっぱり分かる人には分かるんでしょうね」

王者「主催者から世界最強格闘トーナメント出場の資格が与えられたのは──」

王者「柔術界の絶対王者である私ではなく、コーチだったんですから」

王者「ま、私があのトーナメントに出たところで」

王者「一回戦でよくて再起不能、悪くて原型をとどめず死亡ってとこでしょうがね」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:02:27.65 ID:8q0/aa9b0

コーチ(やれやれ……もう現役は引退したはずなんだがなぁ)

コーチ(まぁいい、久しぶりに披露するとしようか)

コーチ(かつて“獣術”と恐れられた、私の柔術を──)コキッ





六人目──

【コーチ】
身長 177cm
体重 85kg
ファイトスタイル 柔術



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:08:24.19 ID:8q0/aa9b0

“ケンカだけで世界中を渡り歩き、食っていく”



ある日、君の知人がこんな宣言をしたとしよう。

おそらく君はこうアドバイスするだろう。

「バカなことを考えるな」

「やめておけ」

「そんなことできるわけないだろ」



そのとおり、君のアドバイスは正しい。

しかし、世の中は広い。

そんな正しいアドバイスに耳を貸さず、バカなことを実践している大バカがいるのだ。

もちろん、真似しようなどと考えてはいけない。



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:12:30.52 ID:8q0/aa9b0

番長「ヒャッホーッ!」

ドゴォッ! バキィッ! ドカッ!

敵兵A「ぐは……っ!」ドサッ

敵兵B「ゲフッ……!」ドザッ

敵兵C「ク、クレイジーボーイ……」ガクッ



番長「なんだ~もう終わりかよ? だらしねえな」

番長「しっかし、戦場はいいぜ!」

番長「なんたって、ここならケンカする相手に困らねえもんな!」

番長「ヒャッホーイ!」ダダダッ



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:16:32.25 ID:8q0/aa9b0

兵士「まったく……君ほど強く、そしてアホな戦士は初めて見るよ」

番長「そうか? 褒めてくれてありがとよ、ヒャッホー!」

兵士「しかし、いくらケンカ好きとはいえ、戦場になんか来るかい? フツー」

番長「だって、戦争っつったら国同士のケンカだろ?」

番長「ケンカは祭り! 参加しない手はねえぜ!」

兵士「ふぅ……君は我が国と向こうの国がなぜ戦争してるかも知らんだろう?」

番長「宗教対立を隠れみのにした、石油利権の奪い合いだろ?」

兵士「!」ギクッ

兵士(アホだけど、決して無知ではないんだな……このボーイは)

番長「でもよ、しばらくこっちのケンカはお休みさせてもらうぜ」

番長「なんか……世界最強を決める大会のお誘いを受けちまったからよ!」

番長「売られたケンカは絶対買うってのが、俺の信条だ!」

番長「ヒャッホーイ!」



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:19:32.83 ID:8q0/aa9b0

番長(こんなワクワクするケンカは久々だな!)

番長(戦場よりずっとピリピリしたもんを感じるぜ!)

番長(ヒャッホー、ケンカだケンカだ!)ズンズン





七人目──

【番長】
身長 192cm
体重 108kg
ファイトスタイル ケンカ



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:39:51.75 ID:8q0/aa9b0

ある精神病院の院長が、“患者”についてこう述べている。



院長「彼がこの病院を脱走してからたった一週間で──」

院長「すでに40人もの尊い命が失われたとか……」

院長「まったく……痛ましいことです」

院長「しかも遺体は全て人の形をしておらず──」

院長「中にはプロ格闘家や警察官、現役の軍人もいらっしゃったとか……」

院長「私も、大変責任を感じております」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:42:26.42 ID:8q0/aa9b0

院長「彼の生い立ちですか?」

院長「実に“普通”という言葉が似合いますよ」

院長「普通の両親を持ち、普通に愛情を注がれ、普通に幸せだったはず」

院長「そして、彼自身も普通に成長するはずだったのに──」

院長「どういうわけか“発病”して、あんな風になってしまった」

院長「まさに“気が付いたら”という言葉が当てはまりますな」

院長「神か悪魔か、あるいはもっとおぞましい何かが──」

院長「普通だった彼を、異次元の生命体に作り変えてしまったのです……」



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:45:24.83 ID:8q0/aa9b0

院長「基本的には、彼は“妄想”をして生きております」

院長「ある時は大統領に──」

院長「またある時は神に──」

院長「またある時は地獄の支配者に──」

院長「時には宇宙人に──」

院長「どれもこれも突拍子もない妄想ばかりです」

院長「ただし、彼の妄想の中で、一つだけ妄想とはいえないものがあります」

院長「それは──」

院長「自分こそが世界最強である、という妄想です」

院長「私は、長年彼を見てきた人間として断言できます」

院長「おそらく闘争で、彼に敵う人間はこの世にはいないでしょう……」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:48:24.15 ID:8q0/aa9b0

病人(ウフ、ウフフ……)

病人(ボクチンガ、サイキョウ……)

病人(セカイ、デ、イチバン、サイキョウ……)ジュル…





八人目──

【病人】
身長 165cm
体重 61kg
ファイトスタイル 不明



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 02:55:39.77 ID:8q0/aa9b0

秘書「ボス、全出場者が会場に揃いました」

主催者「フフフ、そうかね」

主催者「格闘家! ボクサー! 暗殺者! レスラー!」

主催者「御曹司! コーチ! 番長! 病人!」

主催者「彼ら八名は、だれもが世界最強を名乗る資格のある存在だ!」

主催者「しかし、名乗れるのはたった一人だけ……」

主催者「さて、宴を楽しむとしようか……」

主催者「ソファに座り、膝に猫を抱いて、ワインをくゆらせながら、ね」

秘書「ベタすぎです、ボス」

主催者「ハーッハッハッハッハッハ……!」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 03:00:28.05 ID:8q0/aa9b0

ついに!

ついに!!

ついにッッッ!!!

今宵、世界最強が決定(きま)る!





最強の人類八名による『世界最強格闘トーナメント』が幕を開けようとしていた──





                               <   完   >



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 03:00:44.71 ID:8q0/aa9b0

ご愛読ありがとうございましたッッッッッ!!!!!



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/13(火) 03:09:40.54 ID:OG4OSuug0

先生の次回作はまだですか!?



転載元
格闘家「世界最強格闘トーナメント開幕……ッ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376321075/
このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 今週の人気記事
  • 先週の人気記事
  • 先々週の人気記事

        記事をツイートする

        記事をはてブする

         コメント一覧 (37)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:18
          • スクロールバー見て不安になったがやっぱりこういうことかよ
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:19
          • 戦えよ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:28
          • やっぱりか。
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:51
          • いいところで終わるのがいいなw
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:53
          • 喧嘩商売かよwwww
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 16:54
          • 喧嘩商売がこのパターンになると思ってたがまさかの連載再開
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 17:02
          • バーチャファイターかと思ったら違った
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 17:11
          • 壮大になにもおこらないw
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 17:13
          • なかなか良い獣臭…ッッ

            とか思ったら終わりかよwwww
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 17:26
          • 終わるのかよwwwww
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 18:07
          • ズコ-
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 18:17
          • 目突きあり噛みつきありや武器ありも含めて、試合形式が
            決まった時点でルールが定まった競技になりそれに適した動きや崩しをできる
            やつが勝つという構造が解明されて、それさえ利用して武術の復活が模索されているのが
            現在の格闘技、武術界、これからはこういう作品はそれは違うよといわれていくんだろうな~
            雰囲気は大好きなんだけどね
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 18:24
          • 1 こんなに短くするなら武闘会を舞踏会と間違えるような、ベタでも何かオチが欲しかった。
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 18:44
          • 範馬勇次郎がアップを始めたようです
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 19:39
          • 妄想が捗るなぁ
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 20:16
          • ?「邪ッッッ!!!!!」
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 20:37
          • 随分古いのまとめたな
            こういうのわくわくするね
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 20:54
          • トーナメント本編が来たのかと思ったら違った…
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 21:03
          • この身長体重さては室伏か
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月26日 21:11
          • 続きかと思ったら違った
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 00:36
          • 盛大な何かを作り損ねた何かって感じ
            読んだけど、湧き上がらない
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 00:37
          • 次は高校生がボクサーに喧嘩売るところから再開ですね!
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 00:43
          • 終わり…だと!?
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 01:04
          • 先生!打ち合わせと違うじゃないですかッッッ!!
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 01:10
          • 病人の戦いが是非見たかった
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 06:31
          • 梁山泊にはかなわぬきゃら
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 06:57
          • 今ナウなヤングにバカウケなのはケンガンアシュラ
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月27日 20:22
          • 壮大な下準備であった
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 01:28
          • うーんこの刃牙臭さがたまんねぇ!
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 14:27
          • エヴァの最強SS思い出した
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 14:28
          • これ、実際に作品で始まると、あれがあれに負けるの? みたいな展開ばっかりで大変
            修羅の門や刃牙トーナメントがいかによく出来てた部類か思い知る
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 14:50
          • 主催者が8人ボコるのが想像できた。
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 15:04
          • 知ってた
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 15:32
          • 病人はあれか、人類最強コピペを途中でくじけずに貫いた結果か
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月28日 22:27
          • いややれよw
            中々上手くて期待してたのに
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月05日 23:45
          • これみたいにプロローグだけで終わる
            SSあったな
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年05月06日 19:00
          • 5 くそわろた

            こういうの嫌いじゃない

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ