勇者「用件を聞こうか……」大賢者「魔法学校に潜入して欲しい!」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 21:53:12.85 ID:UN3MRo920

─ 魔法学校 ─



教師「本日は、炎魔法の実習を行う!」

教師「使いこなせば非常に強力な魔法であるから」

教師「我々教師のいないところでは、決して使わないこと!」

教師「もし掟を破った場合は、懲罰房行きだ!」

「はいっ!」 「はい!」 「はいっ!」

教師「うむっ、いい返事だ!」

教師「では、この木材に向かって、炎魔法を放っていくのだ!」

「はいっ!」 「はい!」 「はいっ!」

教師「さあみんな、明日の魔法エリートを目指すのだッ!」



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 21:58:06.96 ID:UN3MRo920

< 校長室 >

校長「うむうむ……やっておるな」

校長「この特大水晶玉で見る授業風景は、また格別だわい」

校長「我が校が誇る、優秀なる生徒諸君よ」

校長「どんどん学び、どんどん魔法を覚えて、どんどん強くなりたまえ!」

校長「なぜなら……」

校長「君たちは我が校に巨万の富をもたらす、金の卵を生むニワトリなのだからな!」

校長「フフフ……」

校長「ハッハッハッハッハッハ……!」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:04:06.45 ID:UN3MRo920

『 魔 法 学 校 の 陰 謀 』



【 PART1 魔法協会本部 】



─ 北の王国 ─



北の王国は、世界で最も魔法研究の進んでいる国である……。

そのため、世界各国の魔法研究を統括する『魔法協会』の本部も、
この国の首都に置かれている……。



勇者「…………」

魔術師「待っていたよ、ミスター勇者」

護衛(この男が……世界最高のプロフェッショナル、勇者……)

勇者「魔法協会の重鎮である、アンタが依頼人ということは」

勇者「ずいぶん大きな仕事、ということか……」



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:08:16.25 ID:UN3MRo920

魔術師「いや、私は依頼人ではない」

魔術師「私はあくまで使い走りに過ぎないのだ……」

魔術師「このような方法が、君のルールにそぐわないことは重々承知しているが」

魔術師「どうかこの馬車に乗り、私とともに魔法協会本部まで来てくれないだろうか」

勇者「…………」

勇者「…………」ザッ…

魔術師「あ、ありがとう、勇者!」

護衛「…………」ヌッ

勇者「!」ピクッ

シェッ! ガシィッ!

護衛「ぐはっ!」ドサッ

護衛「──な、なにをする!」

魔術師「よしたまえ!」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:13:14.36 ID:UN3MRo920

魔術師「勇者は、音もなく背後に立たれることを極度に嫌うのだ」

魔術師「もし、彼が剣を手にしていたら、今頃君の首は飛んでいたことだろう」

護衛「…………!」ゾッ…

勇者「…………」

魔術師「すまなかった、勇者。これは我々の不注意だった」

魔術師「では私と護衛から馬車に乗らせてもらおう」スッ…

勇者「…………」スッ…

魔術師(魔法協会きっての格闘技の使い手である護衛に)

魔術師(こうもあっさり一撃を浴びせるとは……さすがは勇者といったところか)

魔術師「よし、馬車を進めてくれたまえ」

ガラガラガラガラ……!



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:18:22.29 ID:UN3MRo920

─ 魔法協会本部ビル ─



< 会長室 >

大賢者「なんじゃと……?」ジロ…

大賢者「敷地内に入ったとたん、勇者が馬車を飛び出し、行方知れずに……?」

魔術師「は、はいっ! 申し訳ございませんっ……!」

大賢者「しかし、いったいなぜ──」

大賢者「よもや我が協会を敵に回すつもりとも思えぬ、が……」

大賢者「とにかく、協会の者を総動員させて、勇者を捜索──」

勇者「俺ならば、すでに来ている……」

大賢者&魔術師「!!!」

大賢者「おおっ、おぬしが勇者か!」

勇者「…………」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:22:23.15 ID:UN3MRo920

大賢者「待っておったぞ、勇者」

大賢者「しかしなぜ、途中で案内の者をまくようなマネをしたのじゃ……?」

勇者「魔法協会には、世界でも有数の魔法使いたちが集まっている……」

勇者「そんな場所に誘われるがままに乗り込むほど、俺は自信家じゃないんでな……」

魔術師「…………!」

大賢者「さすがじゃ……。君こそ、ウワサにたがわぬプロフェッショナルじゃ!」

大賢者「ワシは確信したよ……君にならば全てを託せる、と!」

勇者「…………」シュボッ…

勇者「用件を聞こうか……」

大賢者「うむ、単刀直入にいおう」

大賢者「君に魔法学校に潜入して欲しい!」

勇者「…………」



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:28:18.86 ID:UN3MRo920

大賢者「魔法学校は元々、魔法協会の一部門が独立して生まれた全寮制の教育機関じゃ」

大賢者「紆余曲折を経て、現在はこの北の王国の隣国に居を構えておる」

大賢者「12歳から18歳までの六年間、明日の魔法エリートを目指す少年少女に」

大賢者「魔法学を始めとした高等教育を施す」

大賢者「むろん、カリキュラムは厳しくリタイアする者も多いが」

大賢者「卒業すれば、輝かしい未来が待っておる」

大賢者「我が協会にも魔法学校の卒業生が多く勤めておるし」

大賢者「南の王国で最高宮廷司祭を務める魔導師君も、魔法学校の卒業生──」

勇者「悪いが、俺は魔法学校の講釈を聞きに来たのではない……」

勇者「用件に入ってもらおう……」

大賢者「──こ、これは失礼した!」

大賢者「とにかく、それだけ教育機関としては優秀だということじゃ」

大賢者「じゃが……協会から魔法学校に潜入させていた者によって判明したのじゃが」

大賢者「この魔法学校で恐るべき計画が進行しつつあるのじゃ」

勇者「…………」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:33:23.37 ID:UN3MRo920

魔術師「これらの教科書を見てくれたまえ」

魔術師「魔法学に言語学、数学、社会学、科学……」

魔術師「全て、魔法学校で現在採用されている教科書だ」

勇者「…………」ペラ…ペラ…

勇者「…………」

勇者「なるほど……思想誘導(プロパガンダ)か」

大賢者「!」

勇者「これらの教科書は全て、読んだ者を好戦的な性格に向かわせるよう」

勇者「仕向けられているな……」

勇者「むろん、誘導は非常に緩やかなものだ……」

勇者「第三者がこの教科書を読んでも、その意図に気づくことはまずないだろう……」

勇者「これらを教材として使用すれば……」

勇者「数年もすれば、生徒たちの性質もだいぶ変わるだろう、な……」

魔術師(おおっ……我々でも気がついたのはごく最近だというのに……)

魔術師(教科書を一瞥しただけで、そこまで見抜くとは……さすがは勇者!)



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:38:14.85 ID:UN3MRo920

大賢者「みごとじゃ、勇者」

大賢者「魔法学校の校長はこれらの教材を使った授業を行い」

大賢者「生徒たちに、魔法は戦いにこそ使うものだと刷り込み──」

大賢者「強力で攻撃的な魔法使いとなった生徒たちを」

大賢者「軍事市場に、売り込もうとしておるのじゃ!」

大賢者「すでに、いくつかの国と密約ができているという情報も入っておる」

勇者「…………」

勇者「魔法協会から手を回し、学校を糾弾することはできないのか……?」

大賢者「それは、できぬ……」

勇者「なぜだ……?」

大賢者「魔法学校の教科書は、魔法学校側が作成したものを」

大賢者「我が協会で検定するという方式をとっているためじゃ……」

勇者「なるほど……これらの教科書に太鼓判を押したのは」

勇者「他ならぬ魔法協会、というわけか……」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:42:35.57 ID:UN3MRo920

大賢者「さらに、魔法学校も我が魔法協会と同様──」

大賢者「あらゆる国家・権力から自由と独立が保証された、いわば“聖域”なのじゃ」

大賢者「確たる証拠もない現状で、魔法学校を糾弾することは自殺行為に等しい……」

大賢者「つまり、我々が魔法学校の悪しき野望を摘み取るためにできることは」

大賢者「おぬしという“魔法”を使って」

大賢者「魔法学校でこれらの計画に主導する者を、葬ることしかないのだ!」

魔術師「報酬は現金(キャッシュ)で300万ゴールド用意した。どうか──」

勇者「依頼内容は理解した……」

勇者「だが……」

勇者「俺は依頼人が依頼内容で隠し事をすることを許さない……」

大賢者「!」

魔術師「!」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:47:35.13 ID:UN3MRo920

大賢者「フフ……なにもかもお見通し、ということじゃな……。分かった、話そう……」

大賢者「もし、この計画が成功し」

大賢者「魔法学校と各国軍隊との間に強力なパイプができてしまえば」

大賢者「魔法学校は魔法界において、我が協会を凌ぐ権威を振るうことになろう」

大賢者「──そんなことは断じて許せんッ!」

大賢者「魔法という至高の学問を統括するのは、あくまで魔法協会でなければならぬ!」

大賢者「頼む、ミスター勇者!」

大賢者「この老い先短い老人の頼み、どうか引き受けてはもらえまいか!」

勇者「分かった……やってみよう……」

大賢者「おおっ!」

魔術師「先ほど話した協会の潜入者は君が潜入次第、接触を試みる手はずになっている」

魔術師「優秀なエージェントだ。きっと役に立ってくれるだろう」

魔術師「あと……知っているだろうが、魔法学校に刀剣の類は一切持ち込めない」

魔術師「幸運を祈る……」

勇者「…………」



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:53:12.71 ID:UN3MRo920

【 PART2 潜入 】



─ 魔法学校 ─



< 校長室 >

校長「ふむ、君が新たな警備員か」

勇者「はい……」

校長「一時期は軍隊に所属し、ハイスクールで剣技指導をしていたのか」

校長「なかなか輝かしい経歴だね」

勇者「…………」

校長「なにしろ我が校は、魔法のエリート養成施設だからね」

校長「並の人間では、警備など務まらないのだよ。ハッハッハ」

校長「時には大魔法を使って大暴れする生徒を」

校長「我が校から支給される、警棒一本で制圧してもらわにゃならんのだからね」

勇者「…………」



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 22:57:36.06 ID:UN3MRo920

勇者「…………」チラッ

勇者「……ずいぶん大きな水晶玉ですね」

勇者「人間の身長よりも遥かに大きい……」

校長「うむ、これは学校内を監視するための特大の水晶玉だ」

校長「職員宿舎や生徒たちの寮などのプライベート空間を除き、この水晶で監視できる」

校長「もっともこの水晶を映し出せる魔力を持つのは」

校長「この校内にもワシ含め、ごくわずかしかおらんがね」

校長「さて、学校案内は教師である賢者君と女賢者君に任せるが」

校長「なにか質問はあるかね?」

勇者「質問はありませんが……」

勇者「この魔法学校は近い将来……さらに躍進することでしょうね」

校長「君もそう思うかね? ハッハッハ……」

勇者「…………」



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:00:12.57 ID:UN3MRo920

< 廊下 >

賢者「こんにちは、警備員さん。ボクは賢者です」

女賢者「私は女賢者よ」

勇者「……よろしく」

賢者「本当はもっとベテランの方々が案内した方がいいのですが」

賢者「あいにく手が空いてなくて……」

勇者「いや……かまわない」

女賢者「それじゃ、職員室から案内していくわね」

勇者「…………」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:03:36.62 ID:UN3MRo920

< 職員室 >

ワイワイ…… ガヤガヤ……

賢者「ここが職員室です」

賢者「皆さん、もちろん魔法のエキスパートばかりです」

賢者「例えば、あそこにいる教師さんと女教師さんは」

賢者「それぞれ攻撃魔法と補助魔法が得意な名コンビなんです」

勇者「…………」

教師「ほう、キサマが新しく入った警備員か」

女教師「よろしくお願いしますわ」

勇者「よろしく……」

賢者「こちらは呪術師さん。顔は少し怖いけど、魔法の腕はたしかなものです」

呪術師「ヒヒヒ……」

勇者「…………」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:07:55.78 ID:UN3MRo920

< 教室 >

女賢者「今は誰もいないけど、ここが一クラスの教室よ」

女賢者「各学年、成績順にAからEまでのクラスに分けられるの」

女賢者「成績によって、生徒たちの待遇はまるっきり変わるわ」

女賢者「普通の学校に比べて、とてもシビアなのよ」

女賢者「もっとも、魔法は恐ろしい武器にもなるから、これぐらい厳しくないとね」

勇者「…………」

賢者「特に高学年のAクラスの生徒といったら……」

賢者「教える立場であるボクですら、かなわないほどの魔力を持っていますよ」

女賢者「あら、そんな情けないこといってちゃダメよ」

賢者「ハハハ、ごめん、ごめん」

勇者「…………」



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:10:47.38 ID:UN3MRo920

< 校舎出入口 >

賢者「──とまぁ、案内はこんなところですかね」

賢者「今日のところは、このまま職員用の宿舎でゆっくり休んで下さい」

賢者「もう部屋が用意されていますので」

勇者「ありがとう……」

賢者「それじゃ、ボクは雑務があるので、これで」スッ…

勇者「…………」

女賢者「ところで、二人きりになったところで質問なんだけど──」

女賢者「この世で最も恐ろしい魔法はなにかしら?」

勇者「魔法を悪用しようとする“心”だ……」

女賢者「……アナタが協会がいっていた切り札……“勇者”ね」

勇者「…………」

女賢者「ここで立ち話もなんだし、宿舎に向かいましょうか」



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:14:13.02 ID:UN3MRo920

【 PART3 魔法学校の夜は更ける 】



─ 職員宿舎 ─



< 勇者の部屋 >

勇者「お前が……魔法協会が送り込んでいたエージェントか」

女賢者「そうよ」

女賢者「ところでさっそくだけど、せっかく魔法学校にやってきたんだから」

女賢者「アナタの“魔法”を見せてくれない?」

女賢者「もしも、お粗末な魔法だったら、承知しないわよ……?」

勇者「…………」



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:17:15.50 ID:UN3MRo920

女賢者「オオオ~ッ!」

女賢者「すごい、すごいわっ! こんなすごいの初めてっ!」

女賢者「ああもう、なんて魔法なのっ! ここまで私を乱れさせるなんてっ!」

女賢者「アアア~ッ!」

勇者「…………」

女賢者「熱い、熱くて溶けてしまいそう!」

女賢者「私を熱く煮えたぎらせてぇ~っ! アアア~ッ!」

女賢者「どんな灼熱の魔法だって、私をこんなに燃やせはしないわっ!」

女賢者「オオオオオ~ッ!」

勇者「…………」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:23:06.86 ID:UN3MRo920

女賢者「ハァ、ハァ、ハァ……」

女賢者「す、すごい……。あまりの熱さに下半身がとろけちゃってるわ……」ハァハァ…

勇者「…………」シュボッ…

勇者「魔法学校の計画に勘付いたのは、お前だと聞いているが……」

勇者「俺のような人間が送られてきた、というのがどういうことか」

勇者「分かっているな……?」

女賢者「ええ、協会は魔法学校を正攻法で糾弾することを諦め」

女賢者「非常手段を取ることを選んだ、というわけね?」

女賢者「魔法学校の生徒を軍事市場に売り込むという、一連の計画の黒幕である」

女賢者「校長を抹殺する、と……」

勇者「ああ……」

勇者「だが、黒幕は校長ではない……!」

女賢者「えっ!?」



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:27:29.21 ID:UN3MRo920

勇者「俺は校長と話した時──」

勇者「近い将来この学校はさらに躍進する、と問いかけた……」

勇者「これに対し、校長は警戒する素振りもなく、笑い返すだけだった」

勇者「あれは魔法協会にも気取られぬよう」

勇者「これほど大がかりな計画を推し進めてきた人間の反応ではない……」

女賢者(魔法学校に潜入してすぐに、そんな罠を仕掛けていたなんて……!)

女賢者「つまり、計画の首謀者は校長ではない、と……?」

勇者「黒幕が別にいるか、あるいはブレーンとなる人物がいるのはたしかだろう」

女賢者「ということは、たとえ校長を始末しても、その人物が健在ならば……」

女賢者「計画を食い止めることはできない、というわけね?」

勇者「…………」

女賢者「分かったわ! なんとかして、その人物を探し出しましょう!」

女賢者「お互いに日常業務をこなしながら、ね……」

勇者「…………」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:30:19.84 ID:UN3MRo920

【 PART4 尻尾をつかめ! 】



< 校門 >

ワイワイ……

「おはようございます」 「おはようございます!」 「おはようございます」

勇者「おはよう……」

ガヤガヤ……

生徒A「今度新しく入った警備員、すごい迫力だなぁ」

生徒B「ああ、カミソリみたいな目つきしてやがる……」

ワイワイ……

勇者「…………」



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:33:16.18 ID:UN3MRo920

< 職員室 >

ザワザワ……

女賢者「賢者君、あなたの次の授業科目はなに?」

賢者「回復魔法だよ。授業のためとはいえ、わざと動物を傷つけるのは可哀想だね」

教師「ふん、そんな甘いことをいっていては、魔法など教えられんぞ」

女教師「そのとおりですわ。我が校は、魔法のエリートを養成する機関なのですから」

呪術師「ヒヒヒ……」

バタバタ……



勇者(この中に“黒幕”もしくは“ブレーン”がいるのか……)

勇者(あるいは、いないのか……)



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:36:37.49 ID:UN3MRo920

─ 職員宿舎 ─



< 勇者の部屋 >

女賢者「ふう、この三日間改めて調査してみたけど、成果ナシだったわね」

女賢者「せめて、校長室に侵入できれば何か掴めると思うんだけど」

女賢者「あそこはめったなことじゃ入れないし……」

勇者「これほどの計画を主導する人間だ……」

勇者「この期に及んで、尻尾を出すようなマネはすまい」

女賢者「じゃあ、どうするというの……?」

勇者「…………」

勇者「とにかく今はチャンスを待つしかない」

勇者「“チャンス”を、な……」

女賢者「…………」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:40:42.81 ID:UN3MRo920

─ 魔法学校 ─



< 校長室 >

「……あの警備員、只者ではない、な」ギシッ…

校長「はぁ……そうでしょうか」

「俺には分かる……あれは“プロ”の目だ」

「現に近頃、女賢者となにかをかぎ回っているようだしな……」

校長「なんと! 女賢者と!?」

「あのメス犬め、前々から怪しんではいたが、ついに本性を表したということだ」

「で、あれば……罠にも容易く乗ってくるだろう」

「明日の放課後から、お前はこの部屋をわざと空けておけ」

校長「えっ、なぜです?」

「いいからいうとおりにするんだ……分かったな」

校長「か、かしこまりましたっ!」



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:45:21.59 ID:UN3MRo920

【 PART5 チャンスとピンチ 】



翌日──

< 職員室 >

教師「校長のご家族が……?」

女教師「ええ、気の毒ですわね」

ザワザワ……

女賢者「なんだかあわただしいけど、なにかあったの?」

賢者「うん、なんでも校長のご家族にご不幸があって」

賢者「さっき校長がしばらく学校をお休みするって帰宅されたんだ」

女賢者「ふぅ~ん……」

女賢者(これは……勇者のいっていたチャンスかもしれないわ!)

呪術師「ヒヒヒ……」



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:50:38.02 ID:UN3MRo920

< 地下室 >

校長「全ておっしゃる通りにいたしました。私はしばらくいないということに……」

「よし……これで奴らは今頃、校長室に忍び込み」

「例の計画を糾弾するに足る証拠探しに躍起になっているはずだ」

「もっとも、そんなものは校長室にありはしないがな……」

「では、“餌”に食いついた“魚”をあの二人に捕えさせろ」

校長「はっ!」

校長「しかし、ここが校長室でないのが残念ですな」

校長「あの大水晶で、マヌケな魚どもの姿を眺めることができますのに」

「フフフ、まったくだな……」



53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:55:01.74 ID:UN3MRo920

< 校長室 >

勇者「…………」ガサゴソ…

女賢者(ないわ……証拠なんてどこにも!)ガサゴソ…

ギィィ……

勇者「…………!」バッ

女賢者「!」サッ

教師「そこまでだ。この部屋をいくらあさっても、なにも出てこんぞ」

教師「さて……大人しく女教師の魔法で捕まってもらおう」

教師「さもなくば、俺の雷魔法がキサマらを撃ち抜くことになる」バリバリ…

女教師「罠にかかったスパイさんたちを、歓迎してあげなくてはなりませんわね……」

女賢者「くっ……!」

女賢者(この二人が、計画の加担者だったなんて……!)

勇者「…………」



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/04(水) 23:59:22.90 ID:UN3MRo920

< 地下室 >

校長「先ほど連絡が入りました」

校長「教師と女教師が、警備員と女賢者を捕えた、とのことです」

「やはりな……。まんまとかかったか」

「では、女賢者は俺のところに連れてこい」

「あの女の魔法の腕は、まだ使い道がある……」

校長「警備員の方は、どうしますか?」

「拷問にかけ、全てを吐き出させろ、と伝えろ」

「知っていることを全て吐かせたら、始末してかまわん、ともな」

校長「はっ!」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:07:48.69 ID:D8tCB8EQ0

【 PART6 拷問 】



< 小部屋 >

教師「キサマはいったい何者だ!?」

バチバチバチバチ……!

勇者「…………」

教師「我々の計画を暴くためにやってきた、魔法協会のイヌだろう!? 吐けっ!」

バチバチバチバチ……! バリバリバリバリ……!

勇者「…………!」

教師「ハァ、ハァ、ハァ……」

ギィィ……

女教師「どう、なにか吐いてくれて?」

教師「いや……鎖で吊るし上げ、電撃魔法をもう三時間は浴びせてるというのに」

教師「うめき声一つもらしやせん! 神経があるのかこの男は……」



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:14:07.16 ID:t3lqwCNu0

教師「ところで、女賢者はどうした?」

女教師「気絶させて、校長に預けましたわ」

勇者「!」ピクッ

勇者「……お前たちのボスは、校長なのか?」

教師&女教師「!」

教師「……やっと口を開いたか。やはり、気になるようだな!」

勇者「…………」

教師「そのとおり……といいたいが、実は校長でさえ“ある人物”の配下なのだ」

教師「この魔法学校の生徒たちを好戦的な性質に教育し」

教師「強力な魔法兵士にするという計画を立てた人物の、な」

勇者「ふむ……」

勇者「……お前たちのような下っ端では、その人物の正体すら知らんのか」

教師「な……!」

女教師「私たちが下っ端ですって!?」



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:19:41.02 ID:t3lqwCNu0

教師「いっておくがな、この学校で計画に深く関わっているのは」

教師「俺と女教師と校長だけだ!」

勇者「…………」

女教師「そのとおり! 私たちは選ばれたエリートなのですわ!」

女教師「たった三人で、この学校の生徒と職員全てを操っているのですから!」

教師「この計画が成功すれば、校長は俺たちにもその人物を紹介してくれると」

教師「約束してくれたのだ! 断じて下っ端などではない!」

勇者「…………」

勇者「なるほど、大したものだ、が……」

勇者「肝心の魔法の実力はイマイチのようだな……」

教師「なにい!?」

勇者「なにしろ、三時間かけても俺に声一つ上げさせられなかったのだからな……」

教師「キサマ……自分の立場をわきまえていないようだな?」

教師「情報など、キサマに吐かせずとも、女賢者に吐かさればよいのだ!」

教師「俺の雷魔法で、消し炭にしてくれるっ!」バリバリ…



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:24:34.04 ID:t3lqwCNu0

ピシャァンッ!

勇者「…………」グイイッ…

──パキィンッ!

教師(なっ!? こいつ、体をひねって縛っていた鎖に魔法が当たるように──)

勇者「…………」ザッ…

教師「し、しまった! うっ、うわ──」

シェッ! ベキィッ!

教師「がふっ……」ドサッ…

女教師「ひ、ひいいっ! だ、誰か──」ダッ

グイッ…… ボキィッ!

ドザッ……!

勇者「…………」

勇者(これで残る標的は、校長と……黒幕、か)



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:30:23.97 ID:t3lqwCNu0

【 PART7 操られた生徒たち 】



< 地下室 >

「あの二人から連絡がない……?」

校長「はっ……」

「──ということは、殺られたか……」

校長「…………」ゴクッ…

「ならばいっそ──生徒を使ってみるか」

校長「生徒を!?」

「いずれは軍事市場に売りに出す商品だ。ここらで試運転するのも悪くあるまい」

「Bクラスの生徒十数人に暗示魔法をかけ、あの警備員にぶつけろ」

校長「かっ……かしこまりました!」



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:36:25.42 ID:t3lqwCNu0

翌日──

< 廊下 >

賢者「昨日から、女賢者さん、教師さん、女教師さんが失踪しているとか……」

賢者「校長がおられない時に、なんてことだ……!」

勇者「…………」

勇者「!」ピクッ

ズラッ……

生徒A「…………」ザッ…

賢者「どうしたんだい、君たち? そんな大勢で集まって──」

生徒A「コロスッ!」バッ

ズガァンッ!

賢者「うわぁっ!」サッ

勇者「…………」ザウッ

勇者「どうやら、あの生徒たちの狙いは……俺のようだな……」

賢者「え!?」



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:40:18.16 ID:t3lqwCNu0

ズガァンッ! ピシャァンッ! ボワァッ!

勇者「ぐうっ……!」ドサッ…

生徒A「コロス!」

生徒B「コロス!」

生徒C「コロス!」

勇者「くっ……」ダダダッ

生徒A「マテ!」ダッ

生徒B「ニガスナ!」ダッ

生徒C「オイカケロ!」ダッ

ビュオアッ! ズガァンッ! ドゴォンッ!

賢者「…………」



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:46:09.31 ID:t3lqwCNu0

ズガァンッ!

勇者「ぐあっ……!」ドサッ…

生徒A「トドメダ」ブゥゥゥン…

生徒B「トドメダ」バリバリ…

生徒C「トドメダ」ボワッ…

勇者「…………」

シ~ン……

「うっ……?」ズキッ… 「アタマが……!」 「う~ん……」

ドササッ……!

勇者(……ようやく暗示魔法の効果時間が切れた、か……)

勇者(この生徒たちはBクラスの生徒……術の主はおそらく校長……)

勇者(黒幕はBクラスの生徒では、俺を倒すにはわずかに及ばない、と思うだろう……)

勇者(つまり、次は──)



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:52:30.81 ID:t3lqwCNu0

【 PART8 真打ち 】



< 廊下 >

勇者「!」ピクッ…

勇者(あの角で……待ち伏せしているな……)

ズガァァァンッ!!!

勇者「…………」ザウッ

ズラッ……

エリート生徒A「賊ヲ始末スル……」ザッ

エリート生徒B「賊ヲ始末スル……」ザッ

エリート生徒C「賊ヲ始末スル……」ザッ

勇者(Aクラスの生徒が15人……)

勇者(魔法はBクラスの生徒たちを遥かに上回る威力……)

勇者(暗示も……先ほどより強固になっている)

勇者(“真打ち”というわけか……!)



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 00:57:54.71 ID:t3lqwCNu0

ズガァァンッ! バリバリィッ! ボォワァァァッ!

勇者「…………」ザウッ…

ダッ!

バシッ! ベシッ! ドズッ……!

エリート生徒A「うぁっ!」ドザッ…

エリート生徒B「うぐっ……」ドサッ…

エリート生徒C「うぐっ……!」ドザァッ…

ビシッ! バチッ! ドガッ! ガッ! バシィッ! ドカッ!

ドッ! ビシッ! ドゴッ! ズガッ! ビシッ! ズドッ!

ドザザザァッ……!

勇者(これで全員気絶させた……)スッ…

勇者(今すぐ、校長室へ!)

ダダダッ!



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:06:06.08 ID:t3lqwCNu0

【 PART9 “黒幕” 】



< 校長室 >

ギィィ……!

勇者「黒幕は……お前だったということか」ザッ…

校長「!」

賢者「フフフ……」

賢者「よく、この俺までたどり着いたものだ。警備員……いやスパイ君」

賢者「俺の新米教師っぷりは、ヘタクソだったかな……?」

勇者「いや……お前の演技は完璧だった……」

勇者「だからこそ、俺もこういう手段を取らざるをえなかった……」

賢者「!」

賢者「……なるほど、そういうことか」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:12:34.94 ID:t3lqwCNu0

賢者「君が校長が操っていたBクラスの生徒に苦戦し」

賢者「時間切れまで手も足も出なかったのはフェイクか」

賢者「俺自らがAクラスの生徒を操れば、君を簡単に殺せると計算させるために……」

賢者「そして、まんまと俺は、最後の敵である君の死を大水晶玉で確認すべく」

賢者「校長室のイスで、こうしてくつろいでしまった……」ギシッ…

賢者「一方の君は、俺の暗示魔法をかけられたAクラスの生徒らを瞬時に無力化し」

賢者「俺が校長室から避難するよりも早く、ここにたどり着いたというわけだな?」

勇者「…………」

賢者「だが、まだ俺の手駒は残っているぞ? ──校長、女賢者!」パチンッ

ババッ!

校長「お任せを!」ザッ

女賢者「排除スル……」ザッ

勇者「!」



76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:19:30.30 ID:t3lqwCNu0

校長「我が校は、賢者様のもとでさらに栄えるのだッ!」ボワァッ

勇者「…………」シェッ

ベキィッ!

校長「が、はっ……!」グラッ…

ドザァッ……!

女賢者「排除スル……」バチバチ…

勇者「…………」ガシッ

ギュゥ……!

女賢者「ウゥッ……!」

ドサッ……!

勇者「…………」ザッ…

賢者「ほう……さすがだ。警棒すら持たない素手で、この二人を倒すとは……」



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:25:36.17 ID:t3lqwCNu0

賢者「校長は俺を除けば、この学校一の魔法使いだったのだがね」

賢者「どうやら、接近戦(ショートキル)で、太刀打ちできる相手ではなさそうだ」

賢者「だが、そんな君に手駒を倒され、一対一となってしまっても」

賢者「なぜ俺はこんなに余裕でいられるか、分かるかい……?」

勇者「…………」

賢者「理由は二つある」

賢者「一つは、校長らを失っても、俺の計画にまったく支障は出ないからだ」

賢者「魔法学校から各国へ軍事力として生徒を売り込む計画──」

賢者「教科書作成や各国軍幹部との交渉など」

賢者「計画の根幹を成す部分は、全て俺一人の手で行ってきた」

賢者「かくれみのに過ぎなかった校長が死んでも、計画にはなんの問題もない」

勇者「…………」

賢者「そして、もう一つは──」



79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:31:01.17 ID:t3lqwCNu0

賢者「俺はあらかじめ、強固な“防御魔法”を唱えていたからだ」ブン…

賢者「剣ならばいざ知らず、素手の君では俺にダメージを与えるなど到底不可能だ」

賢者「一方の君は、俺の大魔法を一発でも浴びればひとたまりもない」

勇者「…………」

賢者「さて……終わらせるとするか」スクッ

賢者「計画のジャマはさせん……!」

賢者「俺はこの魔法学校を利用して、さらなる高みへと羽ばたき」

賢者「魔法界の頂点でふんぞり返っている、魔法協会の無能な老人どもを」

賢者「地べたにひれ伏させてやる!」

賢者「俺こそが魔法界を統べるに相応しい人間なんだッ!」バリバリ…

勇者「…………」スッ…

賢者(水晶玉に近づいた……?)



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:36:21.47 ID:t3lqwCNu0

勇者「これほど巨大な水晶玉……いかに怪力でも動かすことは不可能だが」

勇者「もし動かせたなら……強力な武器となる」

賢者(水晶玉と台座のわずかな隙間に……なにか埋め込まれている……!)

賢者(──あれは、学校支給の警棒!?)

賢者(ま、まさか!?)

勇者「…………」グイッ…

ゴロン……!

賢者「な……!」

賢者(こいつ、“てこ”の要領で大水晶をッ!?)

ゴロン…… グオォォォ……!

賢者「くっ、来るなァッ……!!!」



ズシィンッ……!



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:42:36.17 ID:t3lqwCNu0

賢者(そっ、そうか──)

賢者「俺がわざと、お前らを校長室に、忍び込ませた時……」

賢者「お前は証拠など、探しては、いなかった……!」

賢者「あの時……お前はこの罠を作っていた、のか……ガハッ!」

賢者「……魔法界……変革ならず、か……」ガクッ…

勇者(…………)



勇者「……起きるんだ」グイッ

女賢者「ハッ──あっ、勇者! 任務は、どうなったの!?」

勇者「もう全て済んだ……」

女賢者「!」

勇者「あとはこの学校から脱出するだけ、だ……。急ぐぞ」



86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:49:20.79 ID:t3lqwCNu0

【 PART10 脱出 】



< 校門 >



女賢者「やっぱり……! 門が兵士で固められている!」

女賢者「賢者と校長は、この国の兵士にも連絡していたんだわ!」

女賢者「これじゃとても脱出は不可能よ!」

勇者「…………」

呪術師「ヒヒヒ……ようやくワタクシの出番のようですな」スッ…

勇者「ああ……」

女賢者「えっ!?」



90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 01:55:33.06 ID:t3lqwCNu0

呪術師「ヒヒヒ……ワタクシの呪術で、一時的にあなたがたを動物に変化させます」

呪術師「……そうすれば容易く脱出できましょう」

呪術師「なにしろ、そういう契約で、ワタクシもお金をいただいておりますからな」

勇者「頼んだ……」

女賢者(勇者には世界各地に協力者がいる、とは聞いてたけれど……)

女賢者(まさか、この魔法学校にまで協力者を潜ませていたなんて……!)

女賢者(しかも、勇者はこれほどの切り札を持っていながら)

女賢者(今の今まで、そんな素振りは全く見せなかった……)

女賢者(それに、黒幕の尻尾をつかめないからといって諦めず……)

女賢者(学校側が罠を仕掛けてくるという“チャンス”を生かし──)

女賢者(一気に黒幕の正体を突き止めてみせた手練手管といい、まるで“魔法”!)

女賢者(勇者……アナタこそ、世界一の魔法使いだわ……!)



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 02:00:42.27 ID:t3lqwCNu0

─ 魔法学校外の荒野 ─



女賢者(呪術師のおかげで、あっさりと学校を脱出することができた……。そして──)

女賢者「魔法学校の計画は、全て賢者がいたからこそ進められたこと……」

女賢者「あの賢者がいなくなった以上……もはや計画は崩壊したも同然だわ……」

女賢者「そして、新たに魔法協会から送り込まれる教師たちや教材によって」

女賢者「魔法学校の生徒たちの教育は、やり直されることになるのね……」

勇者「…………」

勇者「行くぞ……」ザッ…

勇者「国境を出るまでは、俺たちは夫婦ということにしてやり過ごす……」

女賢者「……ええ!」







<END>



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 02:20:34.46 ID:QT7v2nkpO

お疲れ様でした



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/05(木) 02:24:07.42 ID:RQ7bXmhJ0


また書いてくれ



転載元
勇者「用件を聞こうか……」大賢者「魔法学校に潜入して欲しい!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1386161592/l50
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         コメント一覧 (39)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 04:15
          • 1 ゴミ以下
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 04:35
          • 5 おもしろいwww
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 04:38
          • 前にもこんなのなかったっけ。続編か?
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 04:43
          • 相変わらず目から妊娠ビームだしてんな、このゴr…勇者は
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 04:50
          • 狙撃はしないのか
            いや勇者だからするわけないんだけど、なんか狙撃しそうなイメージがあるし…
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 05:05
          • 面白かったけど勇者の罠しょっぱいなw
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 05:29
          • >>1

            中身のあるコメしような。小学生じゃないんだから。
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 05:46
          • 女賢者で予想出来たけどその後のアオオオオーーッでどうしても吹く

            やっぱりカミソリみたいな目付きな辺りあの男じゃねーか!!
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 06:30
          • 水晶玉を動かすってそういう・・・
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 06:50
          • 5 まあ、ゴルゴとかコブラが出てくると大概の話は面白くならざるを得ないんだけどねw
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 07:14
          • ファンタジー版ゴr……おっと
            こういうのもいいね
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 07:28
          • どんな依頼でも確実にこなす超A級勇者!これはスクープになるわ!
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 08:11
          • その後>>12の姿を見た者はいなかった……
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 08:13
          • いかつい顔したおっさんが心中で不安を呟いたりとか、そういうのがないのだけが残念だった

            それ以外は面白かった、乙
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 08:45
          • 戦闘シーンが変な擬音だけで何やってんのかごまかしすぎ
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 08:47
          • 変な擬音ってスナイパーの方でもシェッ うぐっで済まされてるだろwww
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 08:48
          • どうしても脳内であの絵が再生される
            勇者ものにする必要があったのかは謎だが。
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 09:42
          • 前作らしきものは
            勇者「用件を聞こうか……」スライム「ア、アンタが勇者……か!」
            勇者「用件を聞こうか……」国王「おおっ、ミスター勇者!」
            かな?
            同一人物かは知らないが
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 10:10
          • お約束の拷問シーンも再現したか…

            次はゴr勇者の利き腕が動かなくなるエピソードはよ
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 10:31
          • だめだやっぱり勇者装備の松本氏想像するとシュール過ぎて吹く
          • 21. HUNTERがお送りします
          • 2013年12月05日 11:42
          • 勇者版スネークを想像すれば何とか・・・
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 12:14
          • 5 これは元ネタ知らないと楽しめないだろうね
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 12:25
          • 今回も面白かったが元エピソードがわからぬ・・・
            潜入モノって一杯あるんだよなぁゴルゴ
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 13:41
          • 4 この書き手さん、前にも書いてたなぁ。
            確かスライムが依頼人の。
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 14:07
          • 5 また勇者ゴ●ゴか
            いいぞもっとやってください
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 18:24
          • 銃器がないから勇者でなりたつ、銃器があるとただのゴルゴだからな。
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 18:38
          • ゴル○のジャンルはシュールギャグだって信じてる
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月05日 19:41
          • 話の概要が殆ど初期ゴルゴのそのままだけど
            潜入してからは結構テイストに則ってオリジナルなんだな
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月06日 00:53
          • >>12
            アニメでゴルゴの射撃シーンを撮ろうとして、最終的に消された男の話を思い出した。
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月06日 08:23
          • えるたそ~
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月06日 22:38
          • 5 どう見てもゴル…いや、なんでもない
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月07日 01:57
          • 魔物保護協会の人と同じかな
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月07日 06:48
          • 私は法律上は誰でも乗れる女性専用車に
            乗っただけで見た目が60歳ぐらいの
            自称マトリGメンの女に痴漢犯人に
            でっち上げられました。
            女と駅員との会話などをネット上で公開しました。
            宜しければYouTubeで下記の文字で検索して下さい。
                     ↓
                  痴漢冤罪四条畷vk
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月12日 09:51
          • ゴルゴがドラクエの勇者の格好してるの想像しちゃったじゃねぇかwww
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月13日 02:39
          • ファンタジーの筈なのに脳内完全にマンハッタン
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月09日 06:13
          • 34≫辞めてくれw想像してしまうだろww
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月17日 11:18
          • ※34のせいでホットカルピス吹いたwww
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月22日 21:05
          • 勇者13だな
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年01月23日 23:43
          • ※23
            いろんな話から抜き出してるから一概にどれとは言えない気がする
            でもお約束の取って付けたベッドシーンと拷問シーン(拷問者死亡含む)
            を入れてあたり、ゴルゴシリーズをよく読んでるなと思いますわ

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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