サシャ「隠し味なんてどうでしょう?」

1 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:41:36 ID:VJymVjfI

サシャ「それが醍醐味なんですよ」の続きです



2 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:42:16 ID:VJymVjfI

―― 深夜 女子寮 ユミルたちの部屋

サシャ「……」ジーッ...

ユミル「おいサシャ」

サシャ「はーい、なんですかー?」

ユミル「いや『なんですかー?』じゃなくてさ。さっき部屋に帰ってきてからず――――――っと外見てるけどよ、それって楽しいのか?」

サシャ「楽しいですよ?」

ユミル「雪降ってるだけだろ」

サシャ「雪って、少し風が吹けば落ちる方向が変わるじゃないですか。雨と違って降り方が一定じゃないので、見てて楽しいんですよね」

ユミル「ふーん……それは、毛布にくるまって、机の上に座って、窓に張りついてまでして見るものなのか?」

サシャ「そうでーす」パタパタ

ユミル「クリスタなんかとっくに寝たぞ? 寝ないと身長伸びないぞ?」

サシャ「私も寝たいことは寝たいんですけど、どうも空腹で眠れそうにないんですよね。何か持ってません?」グー キュルルルルルル...

ユミル「ない」

サシャ「そうですか。残念です」



3 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:43:08 ID:VJymVjfI

ユミル「取り敢えず机の上から降りたらどうだ? はしたないぞ」

サシャ「だって、ここが一番見やすいんですもん。ベッドの上からだと、窓の外なんて全然見えませんし」

ユミル「だったらせめて椅子に座れよ。落ちたら痛いぞ」

サシャ「落ちませんよ。子どもじゃないんですから」

ユミル「……」

サシャ「……」ジーッ...

ユミル「なあサシャ」

サシャ「はーい、なんですかー?」





ユミル「お前、いつになったらあいつとくっつくんだ?」

サシャ「」ズルッ ボタッ



4 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:43:56 ID:VJymVjfI

ユミル「よし、落ちたな」

サシャ「……………………え、あの、くっつくってどういう……?」ヒリヒリ

ユミル「んなこと今更言わなくてもわかるだろ。――で、どうなんだ? その気はあるのか?」

サシャ「そりゃあ、ないわけじゃない、です、けど…………」

ユミル「そうかそうか、そりゃあよかった。――それで? 細かい日時はお決まりですか?」

サシャ「えーっと……もうちょっとしたら、です」

ユミル「だからそれはいつだよ」イライラ

サシャ「……えと、卒団する時とか」

ユミル「……」

サシャ「……」

ユミル「遅ぉいっ!! 遅すぎるっ!!」バンッ!!

サシャ「ユミル静かに! クリスタはもう寝てるんですから!」シーッ



5 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:44:41 ID:VJymVjfI

ユミル「もし仮にだぞ? お前、十番内に入れなかったらどうするつもりだ? 憲兵団に入ったあいつと遠距離恋愛でもすんのか? あ?」

サシャ「え? えーっと、そうなるんでしょうか……?」

ユミル「なるんでしょうかじゃねえよ私が知るか。――第一、お前はあいつとどうなりたいんだ? はっきり言えはっきり」

サシャ「そりゃあ……隣にいたい、とは思ってますけど」

ユミル「だからぁ、お前がどうなりたいのかじゃなくて、あいつとどうなりたいのか私は聞いてるんだよ」

サシャ「そんなこと言われても……」



6 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:45:32 ID:VJymVjfI

ユミル「お前まさか、あいつから言ってくれるのを待ってんじゃないだろうな?」

サシャ「ちっ……! 違いますよ、そういうわけじゃないです! ……ちゃんと、自分で言います」グー

ユミル「ああそうかい。――今のうちに忠告しておくけどな、ライナーからお前に伝えることはまずありえないぞ。絶対とは言わねえが」

サシャ「……なんでユミルにそんなことがわかるんですか?」グーググー

ユミル「悪いが、情報の出処はまだ明かせない。だがまあ……女の勘みたいなもんだな」

ユミル「それで、どうするんだ? このまま手遅れになるまで待つのか?」

サシャ「それは、その……」グーグー

ユミル「……」

サシャ「……」グーグー

ユミル「その緊張感をガンガン削る腹の音をなんとかしろぉっ!! うるっせえ!!」ダンッ!!

サシャ「じゃあ何か食べるものをくださいよぅ!!」グーグーグーグー



7 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:48:36 ID:VJymVjfI

ユミル「取り敢えずだな、お前はもうちょい女らしくしろ」ペシッ

サシャ「あうっ。……一応これでも気にしてるつもりなんですが」

ユミル「手鏡で身だしなみを気にするようになったのはいい傾向ではあるけどな。もうちょい危機感持ったほうがいいぞ。どうせお前なんか飼い犬くらいにしか思われてないだろうし」

サシャ「いっ、いぬぅっ!?」

ユミル「ああ。スキンシップ過多の食い意地の張った犬な」

サシャ「私が……いぬ…………? 人ですらないなんて……――でっ、でもかわいいって前に言ってくれましたよ!?」

ユミル「飼い犬を褒めない飼い主がどこにいる?」

サシャ「」



8 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:49:18 ID:VJymVjfI

サシャ「……」

ユミル「おい大丈夫か? 座ったまま気絶してるんじゃないだろうな?」

サシャ「……ユミル、決めました」

ユミル「? 何を?」



サシャ「私、明日からおしとやかに生きます……!」グッ



ユミル「おう、無理だろうけど頑張れー」

ユミル(……ま、これくらい発破かけときゃ、サシャも多少は焦るだろ)



9 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:50:23 ID:VJymVjfI

―― 深夜 女子寮 ユミルたちの部屋



                          \グーグー キュルルルルル.../



ユミル(……ああもう、うるさいな。いつまで腹鳴らしてんだサシャの奴)

ユミル「……」

ユミル(お菓子、あったかな)ガサゴソ

クリスタ「――ユミル、ユミル。起きてる?」ヒソヒソ ツンツン

ユミル「なんだよクリスタ。夜這いか?」ゴロン

クリスタ「そうだよ。だから一緒に寝よう?」

ユミル「……珍しいな、クリスタから来るなんて」

クリスタ「ちょっとね。入るよ……よいしょっと」ゴソゴソ



10 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:51:07 ID:VJymVjfI

ユミル「ほら、寒いからちゃんと肩まで毛布かけろ」バサッ

クリスタ「うん。ありがと、ユミル」モゾモゾ

ユミル「こうしてわざわざ来たってことは……さっきの話聞いてたな?」

クリスタ「サシャが机から落ちた音で起きちゃったんだよね。それに、もし喧嘩になるようだったら止めに入ろうと思ってたから」

ユミル「……心配かけて悪いな」

クリスタ「いいよ、かけても。――私たち、友だちでしょう?」

ユミル「……ん」



11 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:51:47 ID:VJymVjfI

クリスタ「ねえ、さっき話してた『女の勘』っていうのは、私にも教えてもらえないの?」

ユミル「ああ。……ごめんな」

クリスタ「ううん、いいよ。隠し事は誰にだってあるもんね」

ユミル「……まだあいつには早かったかなー。こういう話」ゴロン

クリスタ「そうだなぁ……サシャにはサシャのやりかたとかペースがあるからね」

クリスタ「でも、ユミルの言い分も私にはわかるし、サシャだってちゃんとわかってると思うよ?」

ユミル「わかってるかぁ? ずっと腹鳴らしてたあいつがぁ?」ゴロゴロ

クリスタ「わかってるよ。ユミルがいじわるで言ってるわけじゃないってことも、ユミルがサシャのことを心配してるってことも、ちゃんと通じてるよ。一緒に生活して、もう三年にもなるんだもん」

ユミル「ああそっか……お前らとも、結構長い付き合いになるんだな」



12 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:52:27 ID:VJymVjfI

クリスタ「……実はね。さっきの話聞いてて、ちょっと羨ましかったんだ。サシャとユミルのこと」

ユミル「羨ましい? なんで」

クリスタ「ユミルはさ、私やミカサと言い争いするサシャを見たことある?」

ユミル「……そういやないな」

クリスタ「だよね」ニヤニヤ

ユミル「なんだよ、変な笑い方して」

クリスタ「ふふふっ、なんだか嬉しいなーって」

ユミル「嬉しい?」

クリスタ「ユミルに、私以外のお友達ができたんだなって思ってさ」

ユミル「……生意気だぞ、クリスタ」グニッ

クリスタ「いひゃいよ、ゆみうー」

ユミル「さっさと寝ろ。お肌に悪い」ペチンッ

クリスタ「あうっ……もう、照れ屋さんなんだから」ボソッ



13 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:53:07 ID:VJymVjfI

―― 数時間前 男子寮 エレンたちの部屋

ライナー「ただいま……なんだ、みかん臭いな。この部屋」ガチャッ

マルコ「やあライナー、おかえり」ムキムキ

ジャン「邪魔してるぞー」モグモグ

エレン「ライナーも食べるか? みかん」シュッ

ライナー「おっと。――投げるなよ、危ないぞ」パシッ

アルミン「そうだよエレン。衝撃を加えたらおいしくなるって言ったけど、落としたら元も子もないよ?」

エレン「ライナーはそんなヘマしねえから大丈夫だよ。――しっかし、不思議だよな-。投げたり揉んだりすりゃ甘くなるなんてさ」モグモグ

アルミン「……調べてこようかな。仕組み」スクッ

エレン「やめとけって。第一、とっくの昔に資料室は閉まってるぞ」ガシッ



14 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:53:49 ID:VJymVjfI

ライナー「このみかんはコニーのだよな? ……で、コニーとベルトルトは机に向かって何やってるんだ?」

アルミン「お勉強」モグモグ

コニー「おうライナー、机借りてるぞ!」フリフリ

ライナー「別に構わんが……教えてるのはベルトルトなのか?」

マルコ「僕やアルミンが代わるって言ったんだけどね、なんだかベルトルトに変なスイッチ入っちゃったみたいで」

アルミン「ベルトルトは怖い話の時も熱心だったからね、ハマるとすごいのかも」

エレン「普段おとなしい奴ほど何をやらかすかわからないって言葉があるからなー」

ジャン「……そりゃちょっと意味が違うだろ」モグモグ



15 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:54:41 ID:VJymVjfI

ライナー「……」ジーッ...

マルコ「……? ライナー、みかん食べないの? みんなで投げて遊んだ後だから結構甘くなってると思うよ?」

ライナー「投げて遊んだ後のみかんだったのか、これ。……食いたいのは山々だが、夕飯なしの奴に悪いと思ってな」

アルミン「それなら大丈夫だよ。明日、女子にもちゃんと配るってさ」

コニー「おう! その通りだ!」

ジャン「集中しろよ、コニー。ベルトルトがキレるぞ」

コニー「そうだった、悪いなベルトルト」カキカキ

エレン「ミカサとユミルの部屋の奴らに、それぞれ分けてやるってよ」

ライナー「そうか。なら食っちまうか……お、うまいなこれ」モグモグ



16 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:55:41 ID:VJymVjfI

エレン「なあライナー。食堂の後始末してたにしちゃ帰りが遅かったよな。何してたんだ?」

ライナー「! ――そうだみんな、喜べ。調べてきたぞ」ドヤァ

マルコ「調べてきたって……何を?」

ライナー「おいおいお前ら、もう忘れたのか? 昼間にあんなに熱く語ってたじゃないか」

アルミン「ああー……胸の話、ね」チラッ

ジャン「……あれなぁ。あったなそんな話」チラッ

マルコ「あれ……あれの話か、うん」チラッ

アルミン「……」

ジャン「……」

マルコ「……」

アルミン「……エレンとライナー以外集合」クイッ

ジャン「おう」

マルコ「うん」



17 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:56:25 ID:VJymVjfI

―― 部屋の隅っこ

マルコ「……まさかこんなに早いとは」

アルミン「その日のうちに調べてきちゃったね……」

ジャン「ああ。……即日とは恐れ入ったぜ」

マルコ「……で、聞く?」

ジャン「? なんだよ、せっかく調べてきてもらったのに聞かないのか?」

アルミン「だってさ、調べてきたってことは――」



18 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:57:20 ID:VJymVjfI

エレン「……なあ、あいつらに教えるのはやめといたほうがいいんじゃねえか? ライナー」

ライナー「お前だって昼間のあいつらを見ただろ? ――ここで退いたら男じゃない」キリッ

エレン「いや……あのさ、ライナーがどうやって調べてきたのかは聞かねえけどよ」



エレン「お前が喋っちまったら、俺らの胸の柔らかさの共通認識が、さ、サシャの胸ってことに、なるんじゃないのか……?」



ライナー「……」



19 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:57:57 ID:VJymVjfI

アルミン「あのさライナー、せっかく調べてきてもらったところ悪いんだけど――」

ライナー「アルミン」

アルミン「なっ、何?」ビクッ

ライナー「……この話はこれっきりでいいな」

マルコ「いい、いいよ、うん、なんかごめん」ブンブン

アルミン「知らない方が幸せって言うか、知ったら楽しみが半減しちゃうからさ。大人になるまで取っておくよ」ブンブン

ジャン「そうだな、隠しておいた方が幸せってこともあるもんな」ブンブン



20 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:58:45 ID:VJymVjfI

コニー「なあ、さっきからお前ら何の話してるんだー?」ギーコギーコ

ベルトルト「コニー! 集中して! ちゃんと椅子に座って!!」ユサユサ

エレン「胸の話だよ。……いいからお前は課題片付けちまえよ。ベルトルト涙目になってるじゃねえか」



コニー「胸……? ――ああ、乳の話な!」ニカッ



アルミン「」

マルコ「」

ジャン「」

ライナー「」

エレン「」

ベルトルト「コニー、前を見て! お願い!! 時間がなくなっちゃうよ!」ユサユサユサユサ



21 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 21:59:31 ID:VJymVjfI

ジャン「おっ、おまっ、お前ぇぇええ……っ!!」プルプルプルプル

アルミン「ち、ち、ち……っ!?///」カアアアアアッ

マルコ「こっ、コニー……コニー! もうちょっと遠回しな表現でお願い!」

コニー「はぁ? 乳は乳だろ」ギーコギーコ

アルミン「僕たちが悪かったから! ごめん! 本当にごめん!!」

コニー「そんなに慌てることか? 乳くらい誰だって揉んだことあるだろ」

ジャン「!? ちっ、ちちち、乳を……だとぉ……っ!?」

マルコ「まさかコニーが……!?」

ライナー「おい相手は誰だ」



22 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:00:15 ID:VJymVjfI

コニー「ついでに言うとだな。――出産にも何度か立ちあったことがある」キリッ

アルミン「えっ」

マルコ「ごめんそれは重い」

ジャン「……ちょっと待て。そりゃ人間の話か?」

コニー「んなわけねえだろ。隣村のおじさんが育ててるヤギの話だよ」

マルコ「……ヤギ?」

アルミン「なーんだぁ……ヤギかぁ」ホッ

ジャン「だよなーそういうオチだよな!! あーよかったびっくりしたー!」

ライナー「……」ホッ



23 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:01:17 ID:VJymVjfI

コニー「たまたま隣村のおじさんのところに行ったらさ、ちょうどヤギのお産がはじまってて――」

マルコ「いいかいみんな、この話は金輪際しないことにしよう! わかった人は手をあげて!!」バンザーイ

アルミン「はーいっ!!」バンザーイ

ジャン「はーいっ!!」バンザーイ

マルコ「はい、賛成多数で可決されました! この話は終わり!!」パンッ

コニー「なんだよ、もういいのか? 一日がかりの死闘の話はいらねえのか?」

マルコ「勘弁してください」ペコペコ

ジャン「許してください」ペコペコ

アルミン「お腹いっぱいです」ペコペコ



24 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:02:19 ID:VJymVjfI

―― 翌日 朝 女子寮 ユミルたちの部屋

ユミル「……」ウロウロ

クリスタ「ユミル? どうして部屋の中でウロウロしてるの? 何か探し物?」

ユミル「サシャがいない」ウロウロ

クリスタ「……? 走りに行ったとかじゃなくて?」

ユミル「昨日のはあくまで例外だろ? それに、晩飯抜きだったのに朝から走るわけねえし。どっちみち営庭には雪が積もっちまったからまともに使えねえけどな」

クリスタ「雪かぁ……積もったよね」

ユミル「なーんか忘れてる気がするんだよなー……雪が降ってて、ミカサが猫で、サシャが犬で……」

クリスタ「……サシャは喜び庭駆け回り?」

ユミル「ミカサは部屋で丸くなる……」



ユミル・クリスタ「……」



25 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:03:24 ID:VJymVjfI

―― 同刻 とある廊下

ベルトルト「ああ、ちゃんと課題仕上げられたのかな。コニー……」ソワソワ

ライナー「心配しすぎじゃないか? 今日提出できなくても罰則があるわけじゃないんだろ?」

ベルトルト「そうなんだけどね、あそこまで面倒見たらやっぱり気になるよ。君がサシャのことをほっとけないって意味を、僕は身をもって体験してるよ……どうしよう、部屋まで見に行こうかな……」ソワソワソワソワ

ライナー「もう少しコニーを信じてやれよ。あいつだって頑張ってるんだぞ?」

ベルトルト「頑張ってるのは認めるんだけどね……」ハァ

サシャ「あっ、おはようございまーす」タッタッタッ

コニー「はよーっす」タッタッタッ

ライナー「おう、おはよう」

ベルトルト「おはよう」



26 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:04:20 ID:VJymVjfI

ライナー「……」

ベルトルト「……」

ライナー「ベルトルト」

ベルトルト「何?」

ライナー「俺はどうも目が悪くなったらしい」

ベルトルト「疲れ目じゃないかな。もしくは寝ぼけてるとか」

ライナー「今、コニーとサシャが通ったような気がするんだが」

ベルトルト「気のせいだって。考えすぎだ」

ライナー「だよな。こんな寒いのに半袖半ズボンなわけがないよな」

ベルトルト「お互い疲れてるんだよ。昨日は身体も頭も動かしっぱなしだったし」アハハ

ライナー「そうだな。お前も慣れないことしたもんなぁ」ハハハ



27 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:05:19 ID:VJymVjfI

ジャン「おーいライナー、ベルトルト!」タタタッ

クリスタ「サシャとコニーを見なかった!?」タタタッ

ユミル「だからクリスタ!! 寝癖は直してから行けよ! あと顔はせめてタオルで拭いてくれ!!」ゴッシゴッシ

クリスタ「んんー……っ! ……ぷはっ」ブンブン

ベルトルト「あ、ジャンとクリスタとユミルだ。おはよう」

ライナー「廊下を走るなよ、危ないぞ」

ジャン「そんなことはどうでもいいんだよ! サシャとコニーは見てねえか!?」

ベルトルト「見てないよ。全然見てない」

ライナー「ああ。全く見てないな」

ジャン「あれー? ……っかしいな、絶対こっちだと思ったんだが」ブツブツ

クリスタ「営庭にはいなかったから別のところにいるのかな……でも、他に心当たりないし……」ウーン...

ユミル「クリスタ、髪がはねてるぞ。スプレーかけるから動くなよ」シュッシュッ



28 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:06:28 ID:VJymVjfI

ベルトルト「ところで、なんでジャンとクリスタは毛布とタオルを持ってるの?」

ジャン「これか? 馬鹿二人を捕まえるためだよ」

クリスタ「毎年だったのにすっかり忘れてたんだよね」

ジャン「ある意味この季節の風物詩なんだけどな。油断してたぜ」

ベルトルト「毎年?」

ライナー「風物詩?」

ユミル「そっか、お前らは知らないのか。……ま、部屋も違うから当然っちゃあ当然だけどよ」



29 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:07:23 ID:VJymVjfI

マルコ「ジャン! 兵舎裏にコニーがいたよ! サシャも一緒だ!」

ジャン「よっしゃ確保ぉっ!」ダッ

クリスタ「今年こそ自力で捕まえてみせるんだから!」ダッ

ユミル「だああああクリスタ! まだ寝癖直ってないって!」ダッ



ライナー「……行っちまったな」

ベルトルト「そうだね」

ライナー「見に行ってみるか?」

ベルトルト「朝ごはんまでまだ時間あるし、そうしようか」



30 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:08:28 ID:VJymVjfI

―― 兵舎裏手

ライナー「……」

ベルトルト「……」

ライナー「……マルコ」

マルコ「何?」

ベルトルト「あれは……あそこにいる二人組は、誰……?」

マルコ「コニーとサシャだよ」

ライナー「半袖半ズボンに見えるんだが」

マルコ「うん。間違ってないよ」

ベルトルト「あの二人、何してるの……?」

マルコ「雪原ダイブ」

ライナー「……」

ベルトルト「……」

マルコ「第104期訓練兵団・冬の風物詩だよ。はじめて雪が降った次の日の朝、できるだけ薄着で雪の中に飛び込んで、冬の到来を祝うんだ。まあコニーとサシャしかやってないんだけどね」



31 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:09:12 ID:VJymVjfI

ジャン「くっそ、足の速さじゃ敵わねえ……!」ゼエハア

クリスタ「去年はお菓子準備してたから楽だったけど、今年はすっかり忘れてたよ……ユミル、何か食べるものない?」ゼエハア

ユミル「年代不明のこんぺい糖一粒ならベッド下から見つけたんだけどな。ばっちいから捨てたぞ。……クリスタ、アホ毛が飛び出してる。直すぞ」サササッ

クリスタ「そっか、年代不明じゃ仕方ないね……」

ジャン「くそったれ、なんで俺は野郎とこんな朝早くから追いかけっこしてるんだ……? しかも三年連続なんて、せめて相手がミカサならよかったのに……!!」ブツブツ

ユミル「いや、いくらなんでもミカサは無理だろ……おっ、ライナーにベルトルさん、冷やかしに来たのか?」

ライナー「いいや。――交替しにきた」バサッ

ベルトルト「三人とも、お疲れさま。後は僕たちが引き受けるよ」ポン



32 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:10:12 ID:VJymVjfI

ジャン「……おー、四人とも走ってる走ってる」

クリスタ「ねえねえユミル! あれって、川辺でよく見かける『私を捕まえてごらんなさーい』だよねっ?」キラキラキラキラ

ユミル「いいや違うな。あれは『お風呂から上がった後は身体を拭きなさい! 冷えるでしょ!』だ」

マルコ「……なんで寒いのに脱ぐのかな。あの二人」

ジャン「さあなー、狩猟で食ってきた奴の理屈はわからん」

マルコ「狩猟、関係ある?」

クリスタ「そういえば、去年聞いた時は『こうすることで自然と一体になるんですよ』ってサシャが言ってたよ。雪の上に大の字になって」

マルコ「自然と一体っていうか……犬っぽいよね」

クリスタ「うん。犬だね」

ジャン「犬だな」

ユミル「ああ、そうだ、そうだった……私はアレを見て、あいつが犬だと確信したんだった…………おい見ろ、ベルトルさんたちが捕まえたみたいだぞ」



33 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:11:21 ID:VJymVjfI

コニー「今年はライナーとベルトルトかぁ……」

サシャ「掴まっちゃいましたねー……」

ベルトルト「全く、手こずらせてくれたね……」ハァ

ライナー「何か言いたいことはあるか? 二人とも」

コニー「今年の雪は」

サシャ「しっとりしてます」

ベルトルト「誰も感想は聞いてないよ」

コニー「楽しいのになー」

サシャ「ですよねー」

ライナー「こんな朝っぱらから二人揃って大騒ぎとはな。狩猟民族にはそういう風習でもあるのか?」

サシャ「えっ、コニーの村にはそんなものがあるんですか?」

コニー「俺の村にはねえなぁ。サシャの村にはあるんじゃねえの?」

サシャ「いいえ、初耳ですね……ライナーはいつの間に調べたんです?」

ライナー「……」

ベルトルト「ライナー、気をしっかり持って! 頑張って!」ユサユサ



34 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:12:13 ID:VJymVjfI

ベルトルト「ねえコニー。課題は? 終わったの?」

コニー「雪が俺に遊べと囁いている」キリッ

ベルトルト「囁いてないよ。何言ってるの君」

サシャ「お天道様は言いました。――自然に還り、存分に遊びなさいと」ドヤァ

ライナー「それはただの幻聴だ。大体コニーはともかくだ、お前は女なんだから少し慎みを持て!」ガミガミ

サシャ「慎み……」ハッ

ライナー「年頃の女がそんな冷える格好するもんじゃないぞ? 寝る時もそんな格好してるのか? 風邪を引いたらどうするんだ?」ブツブツ クドクド



35 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:13:02 ID:VJymVjfI

マルコ「始まったね。ベルトルトママとライナーパパのお説教だ」

ユミル「悪い遊びを覚えた娘と息子を、お父さんとお母さんが叱っているようにしか見えないな」

ジャン「でかい家族だなー」

クリスタ「なんだか見てて微笑ましいねえ」

マルコ「とことん緊張感がないよね、あそこ」

ジャン「色気もないな」

ユミル「サシャは元々、色気より食い気だしなー」

マルコ「……あれ? 何か様子がおかしいよ?」

ジャン「サシャが苦しみだしたぞ。なんか悪いモンでも食ったのか?」

クリスタ「むしろ何も食べてないから苦しいのかも……大変!」

ユミル(あの悶え方は……さては、私が昨日言ったことを思いだしたか)



36 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:13:59 ID:VJymVjfI

サシャ「ぐあああ……っ!!」ジタバタジタバタ

コニー「お、おいどうしたサシャ。腹でも痛いのか?」オロオロ

サシャ「私は……なんてことを……!」ガクッ

ライナー「すまん、そこまで強く責めるつもりはなかったんだ。反省してるならいいんだぞ?」オロオロ

ベルトルト「大丈夫? 背中さする?」オロオロ

サシャ(初雪で浮かれていたとはいえ、昨日の晩に言われたことすら忘れていたなんて……!)

サシャ「……みなさん、折り入ってお伝えしたいことがあります」





サシャ「私は……馬鹿です……」ギリッ...





ライナー・ベルトルト・コニー「知ってる」



37 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:15:04 ID:VJymVjfI

コニー「まあ、サシャのことだからメシでも食ったら気が晴れるだろ」

ライナー「そうだな。……サシャ、今日の朝はパンを分けてやってもいいぞ」

サシャ「えっ、本当ですか?」パァッ!

ライナー「ああ。昨日頑張ったからな」

サシャ「やったーありがとうございます!」ワーイ

ベルトルト(サシャ、切り替え早いなぁ……さっきの苦しみ方はなんだったんだろう……?)

サシャ「今日はたっぷり運動しましたし、朝ごはんはおいしく食べられそうですね!」

コニー「そうだな、早く食堂に戻って温かいスープでも頂こうぜ!」



ミーナ「――おーい、ライナー!」タタタッ



38 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:15:56 ID:VJymVjfI

ミーナ「ふぅ、探したよ。こんなところにいるんだから」

ライナー「ミーナか。どうした?」

ミーナ「あのね、これから第二会議室で室長会議だって。マルコとユミルとミカサはもう行ったよ」

ライナー「会議? こんな朝っぱらからか?」

ミーナ「うん、私が知らせて回ってるの。昨日の大雪でトロスト区中の流通がストップしちゃってね。今日の午前中は駐屯兵団と協力して除雪作業をするんだって」

ライナー「わかった、第二会議室だな? 行ってくる」ダッ

サシャ「いってらっしゃいませー」

ベルトルト「がんばってねー」

コニー「いってらー」

ミーナ「行ってらっしゃーい。――あとね、室長以外の訓練兵は食堂で待機だから。サシャたちもこのまま向かってくれる?」



39 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:17:19 ID:VJymVjfI

ベルトルト「食堂で……待機?」

ミーナ「そう。訓練兵は朝食抜きだよ」

サシャ「ないんですか!?」ズイッ

コニー「マジかよ!?」ズイッ

ミーナ「わっ! ――う、うん。大きな道路がいくつか塞がっちゃったみたいだから、今日届くはずの物資がまだ来てないの。あらかじめ備蓄してある食料は一般の人に分配するって話だし」

サシャ「そ、そんなぁ……ごはん……」ガクッ

ミーナ「サシャ、お腹が空いてるの?」

サシャ「昨日晩ごはん抜きだったんです……ミーナ、何か食べるもの持ってませんか?」ガジガジ

ミーナ「私は持ってないけど、アニならハチミツ持ってるんじゃないかな。昨日二人で食べたから」

サシャ「おおっ、なるほど! じゃあ後でアニに聞いてみます!」



40 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:18:03 ID:VJymVjfI

―― 午前 営庭端

クリスタ「おおーっ……」ツンツン

クリスタ(雪って、ふわふわしててわたあめみたい……)ジーッ...

ユミル「サシャ、いい加減その辛気くさい顔をやめろ。こっちまで気が滅入る」ザクザク

サシャ「食べ物」

ユミル「ない」ザクザク

サシャ「……朝食抜きだなんてあんまりです」ザクザク

ユミル「へいへい、みんな抜きだっつの。我慢しろ」ザクザク

サシャ「私は晩ごはんも抜きだったんですよぅ……? うふふふ……」グーググー



41 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:18:59 ID:VJymVjfI

ユミル「お前さぁ、昨日の晩に私が言ったこともう忘れたのか?」

サシャ「うぐっ……ちゃんと覚えてますよ」

ユミル「今は、な。……寝て起きたら忘れてるってどんな幸せな思考回路してやがるんだ」

サシャ「ううっ、言わないでくださいよ……自分の情けなさは自覚してるんですから……」

ユミル「そう思うなら今からでも心がけとけ。女らしくしろ」

サシャ「わかりました。――私、今日はもうお腹の音は鳴らしません!」グー

サシャ「……」グーキュルルルル...

ユミル「腹の音がなんだって?」

クリスタ「今のサシャにはハードルが高いから、『ライナーの前で』っていう一言を付け足したほうがいいと思うなぁ」

サシャ「……そうですね」キュー...

サシャ(お昼ごはん食べるまでは、あまり近づかないようにしましょう……)



42 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:19:59 ID:VJymVjfI

ユミル「腹が減ったからって雪は食うなよ。サシャ」

サシャ「土臭いですし食べませんよ。雪なんて口に入れたらただの氷の塊ですからね。かえって喉が渇くので食べても得がないです」キリッ

ユミル「なんでそういうところだけしっかりしてんだ……おいクリスタ、お前も食うなよ?」

クリスタ「!? ――たっ、食べないよ! 食べないもん!」ブンブン

ユミル「必死になって否定するところが怪しい」

サシャ「やめといたほうがいいですよ、お腹壊しますからね」

クリスタ「……砂糖かけてもダメ?」

サシャ「ダメです」

クリスタ「そっかぁ……」ショボーン...



43 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:20:59 ID:VJymVjfI

クリスタ「ところで、ユミルは会議には行かなくてよかったの? 室長会議の後に班長会議もあったんでしょう?」

ユミル「マルコがまとめて聞いてきてくれるって言ったから任せてきたんだよ。まあ、班割りは夏の大掃除と同じだから何も考えなくていいのは気楽だよな」

ユミル「しっかし、こんなちゃちいスコップで営庭の雪かきなんてなー。上官方ももうちょっと色々考えてほしいもんだよ」ザクザク

クリスタ「スコップ? シャベルじゃないの?」

ユミル「どっちでもいいだろ。しかも全然整備されてねえしよ。サシャの持ってるスコップなんかキノコが生えてきそうじゃねえか」

サシャ「……木って食べられますかね」

ユミル「やめろ。人間は捨てるな」ガシッ

サシャ「味とかしませんかね」

クリスタ「身体によくない薬品が塗ってあるかもしれないからダメだよ」

サシャ「拭いたらどうでしょう」

ユミル「とっくの昔に中に染み込んじまってるだろうから、今更拭いても取れねえよ。……ん?」ザクザク



44 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:21:56 ID:VJymVjfI

ユミル(スコップの柄と、手袋に雪がついちまったな……まあいいか)ザクザク

ユミル「……」ザクザク

ユミル(あーダメだ。コブになって邪魔だな。手袋についた雪だけでも取るか)

ユミル「……」ブンッ

ユミル(……取れん)

ユミル「……」ブンブン

ユミル「……」

ユミル「……」ブンブンブンブンブンブンブンブン ...ポロッ

ユミル「と、取れた」ゼエハア

サシャ「木製のスコップと毛糸の手袋だとどうしても雪のコブができるんですよねー」ザクザク

クリスタ「だからサシャは素手でやってるの? 寒くない?」

サシャ「これくらいの寒さならへっちゃらです。お腹は空きましたけど」ザクザク グー



45 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:22:59 ID:VJymVjfI

サシャ「……お昼ごはんも抜きだったらどうしたらいいんでしょう」

ユミル「馬鹿よせ、余計なこと考えるんじゃねえよ」

サシャ「今日の晩ごはんも抜きだったら……私……私……」ガタガタガタガタ

ユミル「おいサシャ目を覚ませ。どうせメシって言ったってしょぼいスープと固いパンだぞ?」

サシャ「例えかみ砕けないほど固く引き締まったパンや! 野菜クズしか浮いていないうっすい冷めたスープであろうとも! 今日の私にとってはご馳走だったんですよぉっ!!」ダンッ!!

サシャ「今朝は遊ばなきゃよかったです……失敗しました……」

クリスタ「サシャ、目が虚ろだよ? 大丈夫?」

ユミル「お前、そのテンションの落差なんとかしろよ……見てるこっちが疲れるぞ」

サシャ「私だってなんとかしたいと思ってますけど、お腹が空いて歯止めが効かないんですよ……ああっ、おしとやかが遠ざかる……」

ユミル「そんなに腹減ったんなら他の奴らに何か持ってないか聞いて来いよ。水汲みと引き替えならなんかもらえるだろ」

サシャ「! そういえば、アニがハチミツ持ってるってミーナが言ってたんですよね……ちょっと行ってきます!」ダッ

クリスタ「行ってらっしゃい。転ばないでねー」フリフリ

ユミル「アニがハチミツぅ? ……ふーん」ニヤリ



46 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:24:10 ID:VJymVjfI

―― ユミル・クリスタ地点から少し離れたところ 営庭中央部

ミーナ「よーいしょっと!」ブンッ

アニ「……ミーナ、声出しながら雪を飛ばすのって年寄り臭いよ」

ミーナ「だ、だってこっちのほうがよく飛ぶ気がするんだもん!! アルミンもそう思うよね?」

アルミン「えっ? ……うーん、そうだね。立体機動で模型のうなじを削ぐ時も、大きな声を出してる人って結構いるし、あながち間違ってはないかも」

ミーナ「でしょでしょ? ほらアニ、アルミンがこうやって言うんだから声を出した方が飛ぶんだよ! ――というわけでほいっ!」ブンッ

アニ「……」ブンッ

アルミン「……」ブンッ

アルミン(……僕がこの三人の中で一番飛んでないや)ショボン...



47 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:24:54 ID:VJymVjfI

ミーナ「でも、楽なところを割り振られてよかったよね」ザクザク

アルミン「……楽?」ピクッ

アニ「そうだね。ほとんどの班はトロスト区の街中に割り振られてるんだっけ」ザクザク

ミーナ「そうそう。雪かきした後に邪魔な雪をここまで運んでこなくちゃいけないんだよ? その点、私たちは訓練所の外から営庭までの道を作るだけだからすっごい楽――」

アルミン「いや、大変になるのはこれからだよ。何せトロスト区中の雪がここに運ばれてくるんだからね。道を作るのもそうだけど、考えて積んでいかなきゃ後で困るよ」



48 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:25:44 ID:VJymVjfI

ミーナ「そうなの? ……じゃあ、適当に雪を飛ばしててもダメかぁ」ウーン...

アニ「そもそもなんでここに運んでくるわけ? 川に捨てればいい話じゃない?」

アルミン「ここの営庭に運んでくるのは、雪を捨てる土地が他にないからだよ。元々トロスト区にはそんなに雪が降らないし、雪を捨てるためだけの土地なんて無駄すぎるからね」ペラペラ

ミーナ「う、うん。そうなんだ」

アルミン「川に捨てないのは、捨てた雪のせいで川がせき止められて氾濫する可能性があるからだよ。今の時期は雪を溶かせるほど水温が高いわけじゃないし」ペラペラ

アニ「……アルミン、もういいよ。わかった。ありがとう」

アルミン「土地はそれでいいとして、今度は輸送の問題になるんだよね。長期輸送の手段としては馬車は有効だけど、短距離で少ない量を運ぶ方法としてはやはり人力のほうが効率的に――」ペラペラペラペラ

ミーナ「あ、アルミン? 聞いてる? もういいよ?」

アニ(……ダメだこりゃ)



ライナー「……始まったな」

ジャン「ああ。この前も引っかかってたよな、ミーナ」

エレン「今回はアニもか。……俺、止めてくるわ」スタスタ...



49 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:26:28 ID:VJymVjfI

ミーナ「……エレンがアルミン連れて行っちゃった」

アニ「もう一人連れてってくれたらよかったのに」チラッ

ミカサ「……」ホカホカ

アニ「ねえミカサ。いい加減私の背中にぴったりつくのはやめてくれない? フード被りたいんだけど」

ミカサ「ふむ。なるほど……ならば、私が頭の上に登ればいい?」

アニ「なんでそういう発想になるの。邪魔だからどこか行ってよ」

ミカサ「嫌」

アニ「……今、エレンがアルミンを連れてったんだから一緒に行けばよかったのに」

ミカサ「エレンは仕事中。邪魔をしてはダメ」

アニ「私も仕事中だよ。ついでに言えばあんたも仕事中だ」

ミカサ「私は仕事をしている」

アニ「そうは見えないけど」

ミカサ「アニを暖めている」

アニ「……」イライラ



50 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:27:15 ID:VJymVjfI

ミーナ「ちょっとミカサ、アニを暖めるのは私の仕事だよ?」

ミカサ「アニのマフラーは私で充分。ミーナの入る余地は……ない!!」

アニ「あんたそれでマフラーのつもりだったんだ」

ミーナ「じゃあ私はアニの手袋になる!」ガシッ

アニ「……」

ミカサ「ああっ、寒空の下のフードがこんなにあたたかいなんて……」ホクホク

ミーナ「アニ、雪かきしてた割に手が温かいねー」ムギューッ

アニ「……雪かきできない」

ミカサ「それは大変」

ミーナ「そうだねぇ。困った困った」

アニ「……ねえミーナ。今度のお休みの日、二人で町に行こうか」

ミーナ「わぁっ、アニから誘ってくるなんて珍しいね? 嬉しいけどさ!」

アニ「早いうちにマフラーと手袋を買わないとね」

ミカサ「アニのマフラーは私。だから必要ない」

アニ「私は私の言うことを聞く防寒具が欲しいんだよ。あんたは失格」



51 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:28:02 ID:VJymVjfI

サシャ「アニ! ちょっとお願いしたいことが――って、三人で何してるんですか?」タタタッ

アニ「……雪かき」ムスッ

ミーナ「サシャもやる? 今なら耳当ての位置が空いてるよ!」

サシャ「いえ、今の私だとアニの耳を食べちゃいそうなのでやめときます。――というわけでアニ、何か食べ物持ってませんか? 具体的に言うとハチミツとかハチミツとかハチミツとか」

アニ「ハチミツなら昨日ミーナと二人でお茶に入れて飲んじゃったからもうないよ。ごめん」

サシャ「そうですか……」ショボーン...

ミーナ「あれ? 昨日ので最後だったの? 瓶にちょこっとだけ残ってたよね?」

アニ「ティーセットを洗った時に、ついでだから一緒に洗ったんだよ。残ってたのはヘラで掬って食べた」

ミカサ「後ろにいたので私ももらった」

サシャ「そんな……ずるいですよ! 私にはないんですか!?」

アニ「ないよ」

サシャ「もう瓶の中には残ってないんですか!?」

ミカサ「ない」

サシャ「うううっ、そうですか……」ショボーン...



52 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:29:31 ID:VJymVjfI

ライナー(サシャの奴、腹が減ったからって手当たり次第に声をかけてるんじゃないだろうな……?)

ライナー「……」チラチラ

ベルトルト「見過ぎだよ、ライナー」ハァ

ライナー「なっ、何のことだ? 心当たりがないな」ギクシャク

ベルトルト「僕じゃなくたってわかるくらいだよ」

ライナー「……ならお前だってそうだろ」

ベルトルト「えっ? さっ、さあ、何のことやら」ギクッ

ライナー「なあベルトルト。……女子って密着度が高いよな」

ベルトルト「そうだね。男子が同じことしたらすぐ気持ち悪いとか言われるのにね」

ライナー「理不尽だよな。男のほうが脂肪の量が少ないんだから、ずっと寒いはずなのによ」

ベルトルト「えっ、ライナーは男同士でくっつきたいの……?」ササッ

ライナー「本気に取るな」



53 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:30:45 ID:VJymVjfI

ベルトルト「……」ゼエハア

ライナー「……」ゼエハア

ベルトルト「あのさ。こんな遠くから見てないで、近くに行ってきたら?」

ライナー「……そうだな、そうする」スタスタ...

ベルトルト「はいはい、行ってらっしゃい」フリフリ

ベルトルト(……全く、身体は大きいのに妙なところで奥手なんだから)

アルミン「やあベルトルト、進んでる? ――あれ? ライナーは?」キョロキョロ

ベルトルト「ちょっとね。……アルミンこそ、エレンはどうしたの? さっき連行されていったよね?」

アルミン「エレンはあっちで作業してるよ。……軽くお説教されちゃった」ショボン...

ベルトルト「……雪かきしながらでよかったら、僕がさっきの話の続き聞いてあげるよ」

アルミン「本当にっ?」



54 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:31:26 ID:VJymVjfI

アルミン「――でね、シャベルみたいに雪を崩すことができて、それでいて人の力だけで大量の雪を一気に運べる器具があったらいいなって思うんだよね」ブンッ

ベルトルト「うんうん、それでそれで?」ブォンッ

アルミン「雪を運ぶだけならソリがあればいいんだろうけどね。それにどうやってシャベルみたいな刃先を付けて、なおかつ柄を取り付けるのかってのが――」ブンッ

ベルトルト「……」ブォンッ

アルミン「……」

ベルトルト「……? アルミン、どうかした?」

アルミン「ベルトルトはかなり雪を遠くに飛ばしてるよね。やっぱり腕の長さと力の差なのかな」



55 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:32:05 ID:VJymVjfI

ベルトルト「腕? ……ああ、それだけじゃなくてさ、放り投げる時に捻りを加えたらいいよ。さっきよりも飛ぶはずだ」

アルミン「捻り……??」

ベルトルト「えっとね……まず、柄の部分を広めに持つ」グッ

アルミン「うんうん」ガシッ

ベルトルト「それで雪を掬って……腰に捻りを加えて、遠心力を利用して飛ばすんだ」ブォンッ

アルミン「よーし……えいやぁっ!」ブォンッ

アルミン「!! ――飛んだ! 飛んだよベルトルト!! 見た? 見た!?」パアッ!!

ベルトルト「見てたよ。よかったね、アルミン」

アルミン「うん、ありがとうベルトルト!! ――よし、この調子でもっとやるぞー!」エイエイオー



56 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:32:42 ID:VJymVjfI

アルミン「えいやっ!」ブォンッ

ベルトルト「……」

アルミン「とうっ!」ブォンッ

ベルトルト「……アルミン、声は出さなくても大丈夫だよ」

アルミン「えっ? ……声出てた?」

ベルトルト「思いっきり出てたよ」

アルミン「ごめん、声を出したほうが遠くに飛ぶ気がして……」テレッ

ベルトルト「アルミンがやりやすいようにやればいいよ」

アルミン「……声出してても、気にしないでね」ボソッ

ベルトルト「うん。気にしない気にしない」

アルミン「………………っしょっ」ブォンッ

ベルトルト(あ、なるべく声出さないようにしてる……気にしないって言ったのにな。やっぱり恥ずかしいのかな)



57 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:33:30 ID:VJymVjfI

ユミル「よお、アーニちゃんっ」ニヤニヤ

アニ「……ユミルか。あんたは何の用?」

ユミル「なあ、クリスタに聞いたんだけどよ。お前がハチミツ持ってたって本当か?」

ミーナ「本当だよー」

ミカサ「本当。私も昨日分けてもらった。おいしかった」

アニ「何? なんか文句ある?」

ユミル「……アニちゃんはヘラをぺろりんちょと舐めてこう言いました」

アニ「……」

ユミル「『わぁい、このはちみつおいちい』――おっと危ねえ」ヒョイッ

アニ「ユミル、知ってるかい? 美容雑誌によるとさ、とあるツボを一定の強さで刺激すると、そばかすが消えてなくなるらしいよ」

ユミル「へえ、そいつはすげえや。ぜひそのツボとやらを教えてくれよ」

アニ「私が直接身体に教えてあげるよ」ジリジリ...

ユミル「ひゅーっ、アニちゃんやっさしーい」ジリジリ...



58 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:34:07 ID:VJymVjfI

ミーナ「ちょっと二人とも、喧嘩はやめようよ……ミカサ、二人を止めて!」

ミカサ「アニ、喧嘩はよくない。私とミーナが振り解かれてしまう」

アニ「そんなの知らないよ」ゴゴゴゴ...

ミカサ「ごめんミーナ。無理だった」

ミーナ「諦めるの早いよ!?」

ミカサ「寒いので、これ以上は無理」

ミーナ「ええーっ……? ――あっ、ベルトルト! アルミン! こっち来てこっち!」チョイチョイ

ベルトルト「何? どうしたの?」スタスタ...

アルミン「何の騒ぎ?」スタスタ...

ミーナ「アニとユミルが大変なの!」



59 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:34:46 ID:VJymVjfI

アニ「あんたは手を出すんじゃないよ、ベルトルト……」ジリジリ...

ユミル「そうそう、これは女の戦いだからな」ジリジリ...

ベルトルト(……何この修羅場)

アルミン(アニとユミルが喧嘩なんて珍しいなぁ。あまり一緒にいる印象もないのに)

ミーナ「全くもう、ユミルもアニと仲良くなりたいなら素直にそう言えばいいのに……」ボソッ

ユミル「なんか言ったかミーナ」ギロッ

ミーナ「なんでもありません。……それで、なんとかできそう? ベルトルト、アルミン」

ベルトルト「えっ、僕たちがなんとかするの?」

ミーナ「うん、お願い!」

ベルトルト(お願いって言われても、流石にあの二人を相手にするのは骨が折れるな。かといってアルミンをアテには――)

アルミン「わかった。僕に任せて」スタスタ...

ベルトルト「!? ちょっ、アルミン!?」



60 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:35:33 ID:VJymVjfI

アルミン「ねえ二人とも、殴り合いはやめなよ」

アニ「悪いけど聞けないね。先に売ってきたのはユミルのほうだよ。ここで退いたら女が廃る」

ユミル「そうそう。軽い冗談も受け流せないのはアニのほうだしな。平和主義者の優等生はさがってな、怪我するぞ」

アルミン「勘違いしないでくれるかな。――僕は、殴り合いはやめてって言ったんだ。喧嘩をすることは止めないよ」

ユミル「……何?」

アニ「どういうこと?」

アルミン「見ててよ、二人とも。――やぁっ!」ブォンッ

ユミル(……雪が飛んだ)

アニ(あ、さっきよりも遠くに飛んでる)

アルミン「どう? アニ、ユミル。――僕よりも、それにお互いよりも遠く雪を飛ばせる?」フフンッ

アニ「……」チラッ

ユミル「……」チラッ



61 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:36:07 ID:VJymVjfI

―― 営庭端 兵舎付近

エレン「飛んでるなー。雪」

サシャ「飛んでますねー。雪」

エレン「一番はりきってるのは……アニとユミルか。あいつらこういうこと面倒くさがりそうなのに珍しいな」

サシャ「何か心境の変化でもあったんじゃないですか?」

サシャ(中心にいるのは……ベルトルトとアルミンですかね)

サシャ(……あれ? ライナーはベルトルトと一緒じゃないんでしょうか)キョロキョロ

サシャ「……」

サシャ(ぐああああ……朝のこと思い出しちゃいましたよ!! はしゃいでたとはいえ、なんで朝からあんな姿見せちゃったんでしょうかね私は……!)ガクッ

エレン「? ……おいどうしたサシャ、ついに燃料切れか?」

サシャ「……少し自己嫌悪中です。気にしないでください」

エレン「そうか。じゃあ気にしねえわ」ザクザク



62 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:36:44 ID:VJymVjfI

サシャ(そうですよ、『隣にいたい』とかのんきに言ってる場合じゃないですよ……! せめてさっき立てた目標ぐらいは達成しないと!)グッ

サシャ(腹の虫も今のところ治まってますし、あまり食べ物のことを考えないように――)

サシャ「……この雪全てが砂糖だったらいいのに、神様は気が利きませんよね」ボーッ...

エレン「食糧難も一気に解決……は、無理かぁ」ザクザク

サシャ「満杯の雪……満杯の砂糖……たくさんの飴玉……降り注ぐ飴玉……雨……」ブツブツブツブツ

サシャ(空から、食べ物降ってきませんかねー……)ボンヤリ

サシャ(ああ、空が青い……)グラッ ――ポスッ

サシャ(……ん? 後ろに壁?)



ライナー「おい、大丈夫か?」

サシャ「……」



63 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:37:22 ID:VJymVjfI

サシャ「まっ、前から、突然……た、大変……失礼、しました……」ボソボソ

ライナー「おう。気にするな」

サシャ「あ……あの、ライナー……いつの間に……?」

エレン「『この雪全てが砂糖だったらいいのに』ぐらいからいたぞ」

サシャ「教えてくださいよぉっ!!」クワッ!!

エレン「えっ? わ、悪い……」ビクッ

サシャ(ああもう、近くに行くどころかこっちに来てるじゃないですか!! ――とにかく、お腹の音は聞かれないようにしないと……)ドキドキ



64 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:38:02 ID:VJymVjfI

ライナー「……? サシャ、お前顔赤いんじゃないか? やっぱり朝のアレで風邪引いたんだろ」

サシャ「へっ? ――いえっ、引いてません、全然引いてませんからっ」ブンブン

ライナー「……本当かぁ?」ジーッ...

サシャ「あ、あの、なんですか? 顔が近いですよ?」ススッ

ライナー「……」ピトッ

サシャ「ひゃっ……」

サシャ(て、て、手……っ!! 手が額に……っ!!)

ライナー「……作業で手が冷えちまったからな、わかりにくいな」ウーン...

エレン「なら、額と額をくっつけてみたらどうだ? 俺もたまにミカサにやってるし」

ライナー「そうだな。――どれ」ゴツンッ

サシャ「」



65 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:38:58 ID:VJymVjfI

サシャ「……あ、あの」カチンコチン

ライナー「少し熱いな。やっぱり風邪ひいたんじゃないのか?」

サシャ「ちがっ、違うんです、これは、あううう」オロオロ





ジャン「……口から砂糖が出そうだ」ギリッ...

コニー「えっ、マジかよジャン……!? 売れば儲かりそうだな! 塩とか胡椒は出ないのか?」

ジャン「そうだな……そろそろ目から塩水が出るかもな」

コニー「塩だって!? 塩って確か黄金と同じ価値があるんだろ? 高く売れるな……!!」

ジャン「ちきしょう、なんで俺は朝も昼もこんな小坊主とセットで作業しなきゃなんねえんだ……! なんでお前はミカサじゃねえんだよコニー!!」

コニー「モノマネでもやるか?」

ジャン「やめてくれ」



66 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:39:31 ID:VJymVjfI

エレン「ライナー、脈を測ってみろよ」

ライナー「脈?」

エレン「ああ。昔親父から聞いたことがあるんだけどさ、運動した後じゃなくても熱があれば心拍数があがるらしいんだ。心拍数ならちょうどこの前の訓練で測ったばかりだろ? あれより高かったら熱があるって証拠だ」

ライナー「なるほどな……よしサシャ、腕を出せ」スッ

サシャ「……いっ、嫌です」ブンブン

ライナー「出せ」

サシャ「やっ、やだ……嫌ですってば……」

ライナー「風邪を引いてたら午後の訓練もできなくなるだろ」

エレン「そうだぞサシャ。風邪は初期対応が肝心なんだからな」

サシャ「だ、だって……」

サシャ(今測ったら、絶対に風邪にされちゃいますし……)



67 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:40:15 ID:VJymVjfI

エレン「よく見たら、足元もふらついてるし顔も真っ赤だ」

ライナー「……重症だな」

サシャ「足がふらついてるのはごはんが二回抜きだったせいですよ、食べれば治りますから!」

エレン「……」

ライナー「……」

サシャ「………………すいませんでしたぁっ!!」ダッ

ライナー「あっ! ――こら逃げるな!」ダッ

エレン「風邪引いてるのに走るなよ!」ダッ

サシャ「引いてませんってばぁっ! なんで二人で追ってくるんですかお腹空いてるのにぃっ!!」ダダダッ



68 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:40:56 ID:VJymVjfI

サシャ(エレンもライナーもどうして私を風邪に仕立てあげようとするんですかもう!! お腹空いてるだけなのに!! ――あっ、あそこにいるのは……!)ゼエハア

サシャ「マルコー!! 助けてください!」

マルコ「サシャ? 何かあったの?」

サシャ「何か食べるものください!」

マルコ「ないよ?」

サシャ「じゃあ私をここ以外の場所に連れてってください! 今すぐ!!」

マルコ「なら、屋根の上にあがってくれる? 男子寮の雪下ろしを頼まれてるんだ」

サシャ「だっ、男子寮!? 女子でも大丈夫なんですか!?」

マルコ「中に入るんじゃなくて屋根の上に登るからね、女子でも問題ないよ」

サシャ「じゃあ行きます!! 先に行きますね!」ダッ

マルコ「後で他の人も行かせるから、はしごで登るのはちょっと待っててねー」



69 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:41:43 ID:VJymVjfI

ライナー「おいマルコ、今ここにサシャが来なかったか!?」ゼエハア

マルコ「サシャなら男子寮の屋根の雪下ろしに行ったよ」

エレン「ゆ、雪下ろし……? なんだその楽しそうな響きは!」ワクワク

マルコ「エレンも行く?」

エレン「行きたい!」キラキラキラキラ

マルコ「はい、了解。――先に行ってるサシャと合流して」

エレン「わかった!」ダッ

ライナー「あっ、おいエレン! ――マルコ、俺も行くぞ!」

マルコ「いや、ライナーとベルトルトとミカサはダメだよ。僕もだけどね。――おーいみんなー、屋根の雪下ろしやりたい人いるー?」スタスタ...



70 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:42:28 ID:VJymVjfI

コニー「雪下ろし!? 俺! 俺行く!」ハイッ

アルミン「僕はパスかな……流石に体力が保たないや」

ベルトルト「僕もやめとくよ。他に行きたい人がいるみたいだし」チラッ

ミカサ「さっきエレンが雪下ろしに向かうのを見た。ので、私は行く。もちろん本体であるアニも一緒」スッ

アニ「本体じゃないし行かないよ。あんた一人で行きな」

ジャン「(ミカサが行くなら)俺も行く!」ハイッ

マルコ「えーっと……アニは行きたくないんだよね?」

アニ「うん。面倒くさい」

ミカサ「アニはツンデレだから大丈夫。私と一緒ならアニだって満足する」

アニ「しないよ」

アルミン「無理強いさせちゃダメだよ、ミカサ」



71 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:43:15 ID:VJymVjfI

マルコ「アニが行かないから、えっと……コニーとジャンは行っていいよ。ミカサはダメ」

ミカサ「……なんと」

ジャン「えっ? ミカサは行かねえのか? おいマルコ、やっぱり俺もパス――」

コニー「よーし行くぞジャン! 雪下ろしだー!」ガシッ

ジャン「引っ張るんじゃねえよ服が伸びるだろうが! おい! 放せえええええええええ!!」ズルズル...

ミカサ「マルコ。どうして私は行ってはダメなの? アニがいないから?」

アニ「さりげなく私のせいにしないで」

マルコ「違うよ。アニがいてもミカサは登れないんだ」

ミカサ「ちゃんと説明してほしい。このままでは納得できない」

ライナー「女子が行っちゃいけないなら、サシャだって行けないはずだろ。何か理由があるんだよな?」



72 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:44:04 ID:VJymVjfI

マルコ「……」

アルミン「? マルコ? どうしたの?」

ベルトルト「もしかして、言いづらいこと?」

マルコ「……男子寮は、古いんだ。もう随分と手が入ってない」

アニ「いきなり何の話?」

マルコ「隙間風は入るし雨漏りはするし、寮の至る所で軋む音が聞こえるけど、寝るには不都合がないんだから別にいいじゃないかって、予算はいつも駆逐されてきた」

ライナー「なんだマルコ、はっきり言え」

マルコ「僕が言ったんじゃないんだ。僕のせいじゃないんだ、全部教官のせいなんだ。それをわかった上で聞いてほしい」

ミカサ「マルコ。言って」





マルコ「……重量制限だ」ボソッ



73 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:44:48 ID:VJymVjfI

ミカサ「……」

ミカサ「……」ジワッ...

ライナー「おっ、おいミカサ? どうした?」オロオロ

アニ「ちょっと大丈夫?」オロオロ

ミカサ「……平気。気にしてない。これは魂の汗。大丈夫」

ベルトルト「魂の汗っていうか……なんていうか……」

アルミン「みっ、ミカサ、ちょっとあっち行こうか。あったかいし」

ミカサ「気にしてない……ので、平気…………………………」グスッ

アルミン「ほ、ほら、あっちでクリスタとミーナが火をおこしてるからさ、行こうよ。ねっ? あったまりに行こう? 僕が右手繋いであげるから」グイッ

アニ「そうだよ、私もついてってあげるから。ほら行こう? 私は左ね?」グイッ

ミカサ「……うん」ズルズル...



74 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:45:28 ID:VJymVjfI

ライナー「……」

ベルトルト「……」

マルコ「……」

ライナー「マルコォッ!! お前頭がいいんだからもうちょっと言い様があっただろう!?」

ベルトルト「そうだよ!! いくらミカサでも傷つくよ!!」

マルコ「そんなこと言われたって、他になんて言えばよかったんだ!!」

ライナー「身長制限とかもう少し他のぼかし方があるだろうが!」

マルコ「ダメだよ、それだとジャンも行けなくなっちゃうだろ!?」

ベルトルト「ジャンはミカサが行けないって知ったら嫌がってたじゃないか! どうして無理矢理行かせたの!?」

マルコ「じゃあ逆に聞くけどさ。――ジャンがいないと、屋根の上はどうなると思う?」

ライナー「……あー、なるほど」

ベルトルト「そういうことね」



75 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:46:08 ID:VJymVjfI

―― 男子寮 屋根の上

エレン「うっ、うおおおおおお……!」ワクワクワクワク

コニー「屋根の上って見晴らしいいなー! すげー!」

ジャン「これくらいの高さなら、いつも立体機動で飛んでんだろうが」

サシャ「ジャンはわかってませんねえ、この視点で訓練所を見下ろすっていうのがまた新鮮でいいんですよ!」

ジャン「ああそうかよ。――それよりお前ら命綱結んだか? 今のうちに確認しとけよ」ゴソゴソ

コニー「結んだ!」

サシャ「結びました!」

エレン「準備万端だぜ! ――よしっ、下ろすか!」

コニー「おうっ!」

サシャ「やりましょう!」

ジャン「ちょっと待て。……この中で雪下ろしやったことある奴はいるか?」



76 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:46:53 ID:VJymVjfI

サシャ「……」チラッ

コニー「……」チラッ

エレン「……」チラッ

ジャン「おいおい……エレンもねえのかよ」ハァ

エレン「シガンシナ区じゃそんなに雪降らなかったからな。開拓地は屋根の高い建物なんてなかったしよ」

ジャン「トロスト区だって滅多にここまで降らねえよ。……仕方ねえな、俺も見よう見まねで覚えたからあまり詳しくねえが――」

サシャ「積もりましたもんねー」ヒョイ

コニー「だよなー。山の中みてえ」ヒョイ

ジャン「だあああああっ!! 馬鹿二人危ねえよ、端に行き過ぎだ!」グイッ



77 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:47:43 ID:VJymVjfI

ジャン「ったく、いいか? まず雪下ろしをする時は『上から下に』が基本だ。必要以上に軒先に近づくな」

コニー「どこから下ろしても同じじゃねえの?」

ジャン「低い場所から始めたら、万が一落ちた時地面に叩きつけられることになるだろ。上からやればそれまで下ろした雪がクッションになる。最悪滑って落ちても骨折くらいで済むかもな」

エレン「おおー……頭いいな、ジャン」

ジャン「……馬鹿にしてんのか?」

エレン「いや、普通に感動した」

ジャン「……今日は晴れてるからな。午前中とはいえ雪が緩んでるかもしれねえ。ちゃんと足元の音を聞け。特にそこの馬鹿二人は耳はいいんだからよ」

サシャ「はーい」

コニー「おう、聞く聞く」

ジャン「それと、全部下ろすんじゃなくて少しだけ残して足場にしろ。そのほうが滑りにくいからな」

サシャ「少しってどれくらいですか?」

ジャン「今やってやるからちゃんと見てろ」ザクザク



78 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:48:46 ID:VJymVjfI

―― たき火近く

クリスタ「……ジャンが何か説明してる」

ユミル「キルシュタイン先生の青空教室だなー」ケケケ

アニ「女子でもう一人くらい登ったほうがよかったかもね。……私は嫌だけど」

ミーナ「うーん……私はどちらかと言えば行きたかったんだけど、他の人たちの足引っ張っちゃいそうなんだよねー」

ユミル「私はパス。下手に登って怪我したくねえし。クリスタは保護者権限で拒否権発動だ」

クリスタ「私は行きたいって言ったのに、ユミルってば」ブーブー

ミカサ「――私は、行きたかった」

一同「……」

ミカサ「とても、行きたかった……」グスッ

アルミン「ほらミカサ、一緒にエレンを応援しよ? ね?」ナデナデ



79 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:49:31 ID:VJymVjfI

―― 男子寮 屋根の上

エレン「教官の闇討ちがないから気楽にできていいよな。雪下ろしって」ザクザク

ジャン「教官が『やれ』って言ったのに邪魔してきたら理不尽すぎるだろ」ザクザク

サシャ「でも、なんで雪かきとか雪下ろしって必要なんですかねー」ザクザク

コニー「だよなー。俺の村じゃやらなかったぞ」ザクザク

ジャン「山の中だって多少はやるだろうが。雪で道が塞がって、近くの村や町と連絡が取れなくなったらまずいだろ?」

サシャ「確かに冬の備蓄の燻製だけじゃ口が寂しいですもんね。パンは定期的に買いに行かないと手に入りませんし」グー...

ジャン「そうだな。お前の腹もそう言ってるしな」

サシャ「……あっ」

サシャ(あああああ、また食べ物の話題……! しかもお腹の音とセットだなんて、恥ずかしい……!)ザクザクザクザク

コニー「おーっ、サシャ早いなー。よーし俺も負けねえぞ!」ザクザク

エレン「俺もだ! やるぞぉー!」ザクザク



80 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:50:11 ID:VJymVjfI

―― たき火近く

ミカサ「ああっ、エレン……! そんなに軒先に近づいては危ない……!」ドキドキ

ベルトルト「コニー、本当に大丈夫かな……」ハラハラ

ライナー「そんな端に立つんじゃない、サシャ……!」アセアセ

マルコ「ジャン、頑張って……!」グッ

ユミル「子どもを心配する親かお前らは」

ライナー「ならユミル。……あそこにクリスタが登ってると考えてみろ」

ユミル「クリスタが……?」

ユミル「……」

ユミル「クリスタぁっ! 今行くぞ待ってろぉっ!!」ダッ

クリスタ「ユミル!? 私ここだよ!?」ダッ



ミーナ「あったかいねー」ホカホカ

アニ「……ね」ホカホカ



81 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:50:58 ID:VJymVjfI

―― しばらく後 男子寮 屋根の上

ジャン「よーし、こんなもんだろ」

エレン「結構時間かかったな。そろそろ昼だ」

コニー「思ったより範囲広かったからなー。……あー、腹減った」

ジャン「そろそろ下に降りるか。お前ら先に行っていいぞ」

コニー「おう! じゃあ俺いっちばーん!」

エレン「じゃあ次は俺が降りるな。……今日は色々教えてくれてありがとな、ジャン」

ジャン「……」

エレン「? なんだよ、変な顔して」

ジャン「……お前からそんなこと言われると気持ち悪いな」

エレン「あぁっ? んだよ、人がせっかく礼言ってるのに!」イラッ

ジャン「第一お前のためなんかじゃねえよ、全部ミカサのためだからな! ――訓練ならともかく、雪下ろしで死んだら馬鹿らしいしよ」



82 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:51:38 ID:VJymVjfI

コニー「そうだサシャ、降りたら寮からみかん取ってきてやるよ。本当は夜の自由時間に持ってこうと思ってたんだけど、ちょうど今全員いるしな」

サシャ「……どうも」

ジャン「なんだ、嬉しくねえのか? ていうか座り込んでないでとっとと降りろよ」

サシャ「お腹が空いて動けません……」グッタリ

ジャン「……お前さっきまで走り回ってただろうが」

エレン「ジャン、サシャは風邪引いてるんだ。無理させちゃいけねえよ」

ジャン「風邪っぴきなら雪下ろしなんて重労働に志願してんじゃねえよ。それこそ一番に降りろ」

サシャ「……私、最後に降ります」

ジャン「ああ?」

サシャ「今……ちょっと、下に行きづらいので」

ジャン「……コニー、エレン。先行ってていいぞ」

エレン「おう、じゃあまた後でな」



83 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:52:31 ID:VJymVjfI

―― たき火近く

コニー「あっちー、疲れた疲れた!」バッサバッサ

ベルトルト「コニー、ほらタオルだよ。上着は預かっててあげるから、これで身体拭いて」

コニー「おう、ありがとなー。……ん? クリスタとユミルは?」フキフキ

マルコ「そういえば、まだ戻ってきてないな……コニーは二人とすれ違ったりしなかった?」

コニー「いいや、見てないぜ。……あっ、そうだアルミン、黄金って売りさばくにはどうしたらいいんだ? 市場にそのまま持っていけばいいのか?」

アルミン「市場にそのまま持って行っちゃえば混乱すると思うけど……なんでクリスタたちの話から突然黄金の話になったの?」

コニー「それはな――ジャンの目から黄金が出るからだ!」キリッ

ミカサ「……それは病気なのでは?」

アルミン「コニー、脈絡って言葉を知ってる?」

アルミン(目から黄金かぁ……いったい何の話を勘違いしたのかな……)



84 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:53:37 ID:VJymVjfI

エレン「おーっす、みんなお疲れー」パタパタ

ミーナ「お疲れさまー」

ミカサ「エレン、まずは上着を脱いで汗を拭いて。そしてこの白湯を飲むといい。少し冷ましておいたからすぐ飲めると思う」テキパキテキパキ

エレン「いいって、自分でやるよ。タオル寄こせ」

アニ「……ねえ、ジャンとサシャは? いないみたいだけど」キョロキョロ

エレン「あいつらならまだ上で何か話してるぞ。二人きりで」

ライナー「……ほう」

コニー「あっ、そうだ! 俺みかん取ってこないと」ダッ

ベルトルト「コニー! タオルは上着と交換するために渡したんじゃないよ! 上着は着てよ! ねえ!!」ダッ



85 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:54:38 ID:VJymVjfI

―― 同刻 男子寮 屋根の上

ジャン「……」

サシャ「……」

ジャン「降りろ」

サシャ「嫌です。ジャンがお先にどうぞ」

ジャン「断る。お前を置いて俺が先に降りたら、俺がお前の保護者連中に袋叩きにされちまうからな」

サシャ「それは……かわいそうですね。ジャンが」

ジャン「そう思うなら下に行けよ」

サシャ「それは……その……」モジモジ

ジャン「……あのなぁ、そうやって先延ばしにしておいてもいいことなんかねえぞ。本当に降りられなくなっちまう前にさっさと行けって」

サシャ「……でも」

ジャン「でもじゃねえよ。うだうだしてるとタイミングを逃しちまうぞ。……いっそ言っとけばよかったって、俺は今まで何度思ったことか」

サシャ「……ジャンだって、タイミング逃してばっかりじゃないですか」



86 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:55:23 ID:VJymVjfI

ジャン「俺のことは別にいいんだよ。どうせ無理だってとっくの昔にわかっちまったし……高望みはしてねえよ」

ジャン「俺はミカサの笑う顔が見られるなら、それで充分だ。……本当は俺が笑わせられたら一番なんだけどな」

サシャ「……ミカサは幸せ者ですね」

ジャン「お前もある意味幸せ者だろ。なんでもかんでも食い物に繋げちまう思考はお花畑そのものだよな」

サシャ「……それを直したいんですよ」ボソッ

ジャン「らしくねえことはやめとけよ。……ほら、コニーがみかん引っ提げて下で待ってるぞ」

サシャ「そうでした!! みかん!!」スクッ

ジャン「やっぱり直す気ねえだろ、お前」

サシャ「……ああーっ!」ジタバタジタバタ

ジャン「……面倒くせえな。俺は先に降りるから、気が済んだら戻って来いよー」スタスタ...



87 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:56:01 ID:VJymVjfI

―― 男子寮 屋根の下

ジャン「あーあ、いらねえ世話焼いちまったなー……」ブツブツ

ミカサ「……ジャン。ちょっといい?」タタタッ

ジャン「! ……ミカサか。どうした?」

ミカサ「エレンに雪下ろしのやり方を教えてくれてありがとう。タオルと白湯を用意しておいたので、よかったらどうぞ」スッ

ジャン「……お、おお、おう、ありがとよ」

ジャン(手渡し……!! ミカサが、俺のためだけに用意してくれたタオルを、手渡し……!!)ドキドキ

ミカサ「……」ジッ...

ジャン「……? なんだミカサ、何か他に用でも――」

ミカサ「東洋には、『病は気から』ということわざがある。どんな病でも、気の持ちようで改善することがある」

ジャン「? それがどうした?」

ミカサ「私は心配しかできないけれど……お大事に。それだけ」

ジャン「?? おう、どうも……?」



88 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:56:45 ID:VJymVjfI

ライナー「お疲れ、ジャン。――サシャは?」

ジャン「ライナーか。……まだ上にいるぞ。降りたくねえんだと」

ライナー「……連れ戻してくるか」ハァ

コニー「おーい、みかん持ってきたぞー! ――ん? サシャはどこ行った?」キョロキョロ

ミカサ「まだ上にいる。……らしい」

コニー「なんだよ、せっかくみかん持ってきたのによー」ブーブー

ライナー「コニー、よかったら一つもらってもいいか? サシャに渡してくる」

コニー「あいよ。――ほれっ」シュッ

ライナー「よっと。……ん? コニー、俺は一つって言ったんだが」パシッ

コニー「ああ、間違ってねえよ。一人一つだろ?」

ライナー「……なるほどな。ありがたくもらっとく」

コニー「おう! サシャが降りてきたら後で宝探しやろうぜ! ここで待ってるからよ!」フリフリ



89 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:57:40 ID:VJymVjfI

―― 男子寮 屋根の上

サシャ「……」グ-

サシャ(お腹空いた……)ガジガジ

ライナー「――おい、シャベルは食うなよ」

サシャ「! ……ライナー」

ライナー「よお。屋根の上は風が強いな」スタスタ...

サシャ「……」

ライナー「膝抱えてどうした? 動けないのか?」

サシャ「……もうちょっと、立ち直るまで時間ください」

ライナー「そうか、わかった。……隣いいか?」

サシャ「……どうぞ」

ライナー「どうも」スッ



90 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:58:56 ID:VJymVjfI

ライナー「お前、よくこんな寒いところに黙っていられるな」ブルッ

サシャ「……寒いの、得意なので」

ライナー「得意なのはわかった。だが、汗も拭かないでこんなところにいるのは感心しないな」

サシャ「……ごめんなさい」

ライナー「いや、俺もタオル持ってきてやるの忘れたからな。おあいこって言えばそうなんだが――」チラッ

サシャ「……」

ライナー「……あー、まあなんだ。冷える前に下に降りないか?」

サシャ「……」

ライナー「……」ボリボリ

サシャ「……ライナーは、自分がなんなのかわからなくなる時ってありますか?」

ライナー「……たまにあるな」

サシャ「私、今はそういう状態です」



91 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 22:59:31 ID:VJymVjfI

サシャ「……私は、犬じゃありません」

ライナー「そうだな、そりゃそうだ。見ればわかるぞ」

サシャ「さっきまで、私も思ってました。でも今は自信がないです」

ライナー「なんだそりゃ。誰かにそうやって言われたのか?」

サシャ「……私、口を開けば食べ物の話ばかりだって、最近気がつきました」

ライナー「それくらい、腹が減ってたら当たり前だろ」

サシャ「人間誰しもお腹が空くんです。でもそういうの、我慢できる人は世の中にたくさんいます。我慢できないのは人じゃなくて獣です」

ライナー「そうか、犬なのか……」

サシャ「私、なんでいつもこうなんでしょう……」

ライナー「……」

サシャ「……」

ライナー「お手」スッ

サシャ「……わん」ポン

ライナー「よしよし、いい子だな」ナデナデ



92 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:00:12 ID:VJymVjfI

ライナー「いい子には褒美をやらんとな。ちょっと待ってろ」ゴソゴソ

サシャ「……ライナー。私の話、ちゃんと聞いてました?」

ライナー「聞いてたぞ。犬なんだよな?」

サシャ「私は、犬なのが嫌だって言ったんです。なんでそんな話をした矢先に犬扱いするんですか。私だって傷つきますよ」

ライナー「そうか、そりゃ悪かった。――ほら、やるよ」スッ

サシャ「!! み、みかん……!? どうしたんですか? コニーからもらってきたんですか!?」

ライナー「ああ。ここに登ってくる前に下で会ったんだ。……食べたいか?」

サシャ「食べたいです!!」

ライナー「よし、じゃあちょっと待ってろ」ムキムキ

サシャ「えっ、剥いてくれるんですか?」

ライナー「飼い犬のごはんは飼い主が用意しないとな」

サシャ「だから犬じゃないって――ああっ、スジは取っちゃダメですよ栄養があるんですから!」

ライナー「おっと、すまん」



93 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:01:08 ID:VJymVjfI

ライナー「よーし、剥けたぞ」ヒョイッ

サシャ「……一房ずつ?」

ライナー「長く楽しめるほうがいいだろ。――ほれ、食べるか?」スッ

サシャ「ください!」カパッ

ライナー「……」

サシャ「……」アーン

ライナー(右……)ササッ

サシャ「あー……あーっ、あー……」

ライナー(左、っと……)サササッ

サシャ「……あー……ああーっ……」

ライナー(……面白いな)ニヤニヤ

サシャ「……」ジロッ...

ライナー(……あっ、やべっ)

サシャ「…………………………………………手ごと食べますよ?」

ライナー「さあ、たんとお食べ」サッ



94 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:01:54 ID:VJymVjfI

サシャ「ああっ、甘くておいしいぃ……!」モッキュモッキュ

ライナー「顔、緩みまくってるぞ。そんなにおいしいか?」

サシャ「はい! 空腹と運動は極上のスパイスです」キリッ

ライナー「……そういうのが、お前らしくていいと思うけどな」

サシャ「私らしい……?」

ライナー「何か食ってる時とか、食い物の話をする時に、楽しそうに笑うだろ。そういうところが好――」

サシャ「……す?」

ライナー「す………………素直でいいと、思うぞ。俺は」

サシャ「そうですか、いいんですか…………へへっ」ニヘラ



96 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:02:53 ID:VJymVjfI

サシャ「……なんかもう、犬でもいい気がしてきました」

ライナー「なんだ、随分簡単に解決したな」

サシャ「まあ、ちょっとは人間扱いに未練もありますけどね。元々向いてなかったんですよこういうの。だからこのままでいいです」

ライナー「――してほしいのか? 女の子扱い」

サシャ「……え?」

サシャ(あれ? ライナーって、こんな近くに座ってましたっけ……?)

ライナー「あれだけ色々してやってるのに、まだ足りねえのか」ジリッ...

サシャ「……え、あの、ちょっとライナー近くないですか? もう少し離れません?」ササッ

ライナー「おい、逃げるなって」ガシッ

サシャ「ひゃっ」ビクッ



ライナー「……お前な。この逃げ場のない状況で『女の子扱いしろ』って言葉の意味、わかってるのか?」



97 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:04:00 ID:VJymVjfI

ライナー「――なんてな。冗談だ」パッ

サシャ「……」

ライナー「……お手」スッ

サシャ「……わん」ポン

ライナー「よっと」グイッ

サシャ「わわ……っと!」ヨロッ

ライナー「よし、ようやく立ったな。下に降りるぞ」

サシャ「……やられました」

サシャ(ほっぺたと耳、熱い……)パタパタ



ライナー「そういや、コニーからもう一つみかんもらってあるからな。下に戻ったらそれもやるよ」

サシャ「降りましょう! 今すぐに!!」ダッ

ライナー「おい屋根の上で走るな!! 危ないだろ!!」



98 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:04:58 ID:VJymVjfI

―― 男子寮 屋根の下

コニー「おかえりー」モグモグ

ミカサ「おかえりー」モグモグ

ジャン「おかえり」モグモグ

ライナー「なんだお前ら、三人で待ってたのか?」

コニー「俺が待ってるって言ったら、ミカサも待つって言い出してさ」

ミカサ「アニが先に食堂に行ってしまったので、サシャを湯たんぽにして帰る。ので、待っていた」

ジャン「俺が残った理由はわかるだろ?」キリッ

ライナー「……ジャンが一番わかりやすいと言えばわかりやすいな」



99 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:05:34 ID:VJymVjfI

ミカサ「サシャ、みかんは食べたの? 満足した?」

サシャ「はい、とっても!」フーッ

ライナー「おっとそうだ。もう一つやらないとな。約束だ」スッ

サシャ「そうですよ、みかん! 約束してたんですからください!」グルンッ

コニー「まあ待てよサシャ。せっかくだからそのみかん使って宝探ししようぜ」

サシャ「宝探し?」

コニー「ああ。俺の村に伝わる伝統的な遊びだ。――というわけでライナー、それ貸してくれ」

ライナー「宝探し……ってことは、このみかんを探すんだよな? 今から埋めてくるのか?」

コニー「違う違う。こうやってやるんだよ。――そーれ取ってこーい!」ブンッ

サシャ「へっ?」



100 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:06:19 ID:VJymVjfI

ミカサ「……飛んだ」

ジャン「飛んだなぁ」

サシャ「…………コニー?」

コニー「ほいサシャ、行ってこいよ。制限時間とかはないからさ、気楽に探して――」

サシャ「なんってことするんですかぁぁああっ! みかああああぁぁん!!」ダッ

ライナー「!? 待てサシャ、お前みかん一個しか食べてないんだぞ! その状態で営庭探すのは無茶だ! おい!」ダッ

コニー「昔よく父ちゃんにやられたんだよなー。あー懐かしい」

ジャン「お前……結構ひどいことするのな。コニー」

コニー「何言ってんだ、俺なんかこの三倍広いとこ探し回ったことあるんだぞ」

ミカサ「でも、そろそろお昼ごはん。もしかしたら、サシャはもう一回くらい食いっぱぐれるかも」

コニー「……やべっ、忘れてた。――で、でもよ、ライナーがついてるから大丈夫だろ? たぶん」

ジャン「……俺、ライナーのメシ確保しとく」スタスタ...

ミカサ「私も。寒いけれど、先にサシャのごはんを取っておこう」スタスタ...

コニー「……俺も手伝うわ」スタスタ...



101 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:07:59 ID:VJymVjfI

―― 昼 食堂

アルミン「ミカサ、ジャンと一緒だなんて珍しいね。どうしたの?」

ミカサ「……ちょっと深い事情がある。アルミン、悪いけどエレンと二人で食べていて」

アルミン「それは別に構わないけど……コニーが沈んでるのはなんで?」

ジャン「食堂でメシの匂い嗅いで、やっと罪の重大さに気づいたんだと」

アルミン「罪? コニーは何をやったの?」

ミカサ「触れないであげて、アルミン」

ジャン「!! ミカサ、ライナーたちが来たぞ!」ガタッ



サシャ「……」ドヨーン...

ライナー「そう気を落とすな。な? パンとスープ分けてやるから――」



102 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:08:39 ID:VJymVjfI

ジャン「おいライナー、こっちだこっち! メシは取っといたぞ!」

ライナー「……ジャンか。すまないな」

ミカサ「サシャ、みかんは……」

サシャ「……見つかりませんでした」フルフル

ミカサ「……そう」

サシャ「……私のみかん」

コニー「すまん、サシャ。……お前の体力と腹具合をすっかり忘れてた」

サシャ「……みかん」

コニー「俺は、化石作りさせるつもりはなかったんだ……悪い」



103 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:09:19 ID:VJymVjfI

サシャ「いいですよ。今日の訓練終わったらまた探しに行きますから……

コニー「そうか……そうだな、俺も手伝う!」ガタッ

ライナー「当然俺も行くぞ!」ガタッ

アルミン「ライナーは無理だよ。今日の訓練の後、臨時の室長会議があるらしいから」

ライナー「……すまん、サシャ」

サシャ「いいですよ。一人でも……やりますから…………」

コニー「いいや、お前は一人じゃない! 俺も手伝うぞ!」

サシャ「こ、コニー……!」ジーン...

アルミン「あのねサシャ。――言いにくいんだけどね、午後はトロスト区中の雪が運び込まれるらしいから、みかんはきっと埋もれちゃうと思うよ……」

サシャ「……」

ジャン「詰んだな。ご愁傷さん」モグモグ



104 : ◆H4iwFNXQsw 2013/11/07(木) 23:10:20 ID:VJymVjfI

サシャ「……」

ミカサ「サシャ、元気を出して」ナデナデ

サシャ「みかん……私のみかん……」ブツブツ

ミカサ「料理には、隠し味はつきもの」





ミカサ「ひと冬隠れ続けたら、おいしくなると思う」

サシャ「……隠し味ってそういうのじゃないです」







おわり



109 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/11/08(金) 09:12:56 ID:/djKuIgQ


ジャンがちょっと幸せでよかったよ
そして寒がりミカサが相変わらずかわいい



転載元
サシャ「隠し味なんてどうでしょう?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1383828096/
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          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 14:18
          • 結構です
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 14:48
          • またこいつかwww
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:01
          • サシャ「興味ないです」
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:07
          • おばか二人が可愛いなー
            保護者ポジのみんなが好きだ
            作者乙乙!
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:11
          • ジャン良かったジャン
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:11
          • 5 まってた♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
            だいすき!笑笑
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:11
          • 夜にまた※欄見に来るわノシ
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:14
          • こんなものを続けられる作者の精神に乙!!
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:17
          • コニーひでぇw
            和んだよ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:31
          • 全く読む気のないオレに
            誰か3行でまとめてくんない?
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 15:43
          • 気になるなら読めば良いじゃん。
            素直じゃないねえ。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 16:18
          • ※10
            ほのぼの
            激甘
            読め
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 16:25
          • ところで何でこのシリーズ叩かれてるん?

          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 16:35
          • ※13
            長いから
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 16:50
          • ※13
            タイトルがイラッ☆とくるから
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 16:54
          • ※13
            2、3人の腐が叩いてるだけ。
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 17:17
          • SSってショーとストーリーの略だよな?
            このシリーズ一体何作続いてんの ハリーポッターと肩並べそう
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 17:31
          • 作者がドMなんだろきっと
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 17:33
          • 1 このシリーズ大好きです!
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 18:38
          • 5 楽しいわ・・・・・


            批判に負けないで欲しい・・・・・
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 18:43
          • 5 なぜ、皆叩くの?

            私はこのシリーズ大好きです!

            毎週の楽しみにしてるくらい…🎵

            次もはやくみたい。

            そしてはやくヤッてほしー
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 18:46
          • いやショートストーリーがたくさんあるんだから典型的なSSだろ
            一つ一つの長さは読みやすくてなかなかいいと思うがね
            毎回2ページくらいで終わるし
            10ページ超えのやつは見習って欲しい
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 18:49
          • まだやってたのか…(困惑)
            あと100年ぐらいは続きそう
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 19:48
          • ミカサw重量制限w
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 19:51
          • ※欄酢臭い
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 19:58
          • これのせいで進撃の巨人嫌いになる人がいたら作者のせい。
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 20:08
          • ※26
            その程度なんだな
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 20:11
          • ※16
            俺腐豚だったんだ…ショックだわ…。

            ※13
            本編で恋愛のレの字も無い女キャラを誰得な謎カップリングでビッチにしたらそりゃ叩かれるだろ

            それも単発ならまだしも延々と。

            よっぽど恋愛脳で作品とキャラに思い入れ無い馬鹿じゃないと受け付けない。

          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 20:16
          • ※28
            二次創作なんだから割り切ろうぜ
            気に入らないならそっとじしろ
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 20:20
          • 雪合戦見たかった
            冬編まだやるかなー
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:04
          • そんなことより下痢勉の話ししよーぜ
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:15
          • ヤギのお産のとこ好きw
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:16
          • 下利便ニキーッ!早く来てくれーッ!!
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:28
          • 今回も皆可愛かった
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:30
          • また君か壊れるなぁ
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:51
          • エレンとアルミンとの立体機動一騎打ちの所が緊迫感があって良かった
            感動したわ
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 21:56
          • ミカサがw
            ジャンは幸せそうですねw
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 22:09
          • 保護者の方々が可愛い
            次回も期待
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月08日 23:21
          • ワイはこんなSS読みたくないんや!下利便ニキの排便音が聞きたいんや!
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 01:46
          • 下痢勉音って実は今な…禁止ワードになってるんだぜ…
            まぁオーソドックスな奴でなくオリジナル下痢勉音にすれば平気だろうが、下痢勉をすればするほど禁止ワードの下痢勉レパートリーも増えていってるみたいだぜ…(ブリリルュプスッ)
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 02:21
          • 4 ユミルが可愛い
            アニとの絡みまた見たいです

            屋根の上でのライサシャのやりとりはテンション上がった
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 02:23
          • じゃあ下痢便じゃなくて硬便とかどうスか
            ミチミチミチィ… みたいな
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 04:30
          • ちょっとライナーさん、本当の気持ちを伝えるなんてダメですよ

            この作者はちゃんとそのキャラクターを理解しつつキャラ崩壊させてるからいいと思う
            キャラクターを把握してない事の言い訳にキャラ崩壊とか言い訳する奴はだめだわ
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 04:39
          • 盲目すぎる擁護は逆効果
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 06:00
          • 5 三行かぁ…。

            内容(本編)
            ※欄(本編)
            シリーズ総コメ数、千超え
            ※欄も本編だから、読みきるのは大変やね。
            下手したらまおゆうより長い。
            つか原作より長いかも。
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 13:12
          • コメントだけ読みに来ました
            今んとこ面白くないからまた来ます

            本編は読んでねえ
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 13:31
          • 読んでないけどつまらないオ○ニー作品
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 15:33
          • タイトル見て爆笑→本編一文字も見る事なく※欄へ→自演擁護コメ見てまた笑う

            この流れだよな
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 17:28
          • ジジババは何回も同じコメントをしていくねw
          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月09日 23:13
          • 三行だと

            サシャ
            サシャ
            ライナー
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月10日 00:08
          • ベルトルさんまですっかり保護者ポジに……(笑)。

            ライサシャってカプからしてそうだけど、他であまり見ない絡みを書いてくれる時があって嬉しい。
          • 52. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月10日 00:49
          • 重量制限で屋根に上るなと言われたライナーがサシャを迎えに行く(屋根に上る)ことに誰も突っ込み入れないのか
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月10日 06:32
          • ※52
            雪下ろした後だし、エレンとコニーとジャンが降りた後だから大丈夫なんじゃないの?
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月10日 10:36
          • 続き過ぎ。これのせいでサシャ嫌いになった。
          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月10日 15:17
          • 今回は目をひくとこなかったな。
            ※欄も賑わせられなくなってきて、いよいよ無価値だな。
          • 56. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月11日 00:27
          • 安心安定の定番もの。
            私は好きなので、焦らずじっくり続いて欲しいです。楽しかった~。
          • 57. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月12日 00:39
          • 3 雰囲気は好きなんだけどな~
            進展しないね
          • 58. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月18日 02:30
          • 5 とっても面白い作品です!毎回楽しみにしてます!頑張ってください!応援してます!
          • 59. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月18日 21:34
          • 気になるなら読めばいいって言うが、じゃあ気になったから読むかってなる程短い作品かね?
            一話一話は無駄に短いけどね。
            下痢便兄貴も離れてったみたいだし、もうダメだなこりゃ。
          • 60. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月20日 21:37
          • 今更気付いたけど深夜の方に
            ポッキーの日SSあげてたんだな
            ニヤケた
          • 61. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月20日 21:57
          • 5 ※54

            いや、気に入らないなら読むなよ

            そしてご丁寧にコメント欄に書き込むなよ
          • 62. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月23日 13:37
          • 5 続きはまだかね?
          • 63. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月28日 01:13
          • 続きが待ち遠しいですなぁ。
          • 64. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月29日 16:52
          • 5 続き待ってます!

            今回も面白かったぁ~




          • 65. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月02日 15:21
          • このシリーズってこれで終わっちゃったの?それともまだまとめられてないだけ?
          • 66. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月07日 11:09
          • 続きまだ?
          • 67. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月07日 12:07
          • まとめられてないだけで続き来てるよ
          • 68. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月25日 18:20
          • この後の続きのタイトルは
            サシャ「じっくり吟味しましょうか」
            サシャ「中味が大事なんですよ」

            管理人さん頼むから最後まで付き合ってあげて
            捜すのに苦労するから
          • 69. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月09日 23:01
          • 進撃の需要なくなったと判断したのか一気にまとめなくなったね
          • 70. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月10日 14:44
          • サシャ味は荒れるからな
            ひっそりとあっちで読んでるのがいい
          • 71. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月26日 12:06
          • 5 このシリーズのお陰で、ライサシャに目覚めました!!
          • 72. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月06日 19:08
          • サシャ可愛かった。
            楽しみにしてます‼︎
          • 73. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年03月18日 17:51
          • 5 毎回楽しませてもらってます!
            キャラもみんなかわいくて大好きです♪
            荒らしコメなんかに負けないでこれからも頑張ってください!
            続き楽しみにしてます(^^♪
          • 74. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年05月13日 12:59
          • この続きってまだまとめられてないの?

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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