TOP

まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」【その3】

関連記事:まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」【その2】






まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」【その3】





845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 21:58:21.32 ID:k+xrQ6cbo

#24『答え③なんて、あるわけない』


方向感覚や土地勘に自信があるとは言えない。

それでも、学校で迷子になるということは普通ありえない。

ましてや少なくとも一年も通った学校で迷うことは絶対にない。

別のクラスの友人達と一緒に歩いていたはずだった。

自分の教室へ行き、三人の友人に会おうと思っていたところだった。

志筑仁美は今、たった一人、廊下をさまよっている。

常に小走りだったため、息が切れ始めた。


仁美「はぁ……はぁ……」

仁美「な、何……何なの……!?」

仁美「どこに行ったの!?梨央さん!花都さん!」



846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 21:59:36.64 ID:k+xrQ6cbo

いつの間にか、自分の両隣にいた友人が消えた。

仁美は自分で自分の状況を整理して、頭がますます混乱する。

階段を上っていたと思っていたら、いつの間にか下りていた。

二階から三階へ向かっていたのに、いつの間にか一階にいた。

上っていくと天井につきあたる階段。床に立ったドア。

段数が十三になった階段を途中三回曲がって上らされると、最後の一段は高さが三メートル。

夢でも見ているのではないか。だとすれば悪夢が過ぎる。

疲れているんだ。そう思った。

仁美は空間に孤立させられた。

「もう一人の自分」のスタンド、ティナー・サックスの迷宮によって……。




847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:02:12.00 ID:k+xrQ6cbo

「お姉ちゃん迷子?」

仁美「……え?」

仁美「あ、あなたは……?」


幼い印象を受ける可愛らしい声が、背後から聞こえた。

小学生くらいの童女がいる。

緑色のツインテール。猫の耳を象ったようなカチューシャ。

フリルのついた可愛らしい服装。

ニコニコと微笑んでいる。そしてこの子には左腕がない。

隻腕の子どもがそこにいる。

「名前は『ゆま』って言うの。よろしくね。仁美お姉ちゃん」

童女は名乗った。千歳ゆまの概念『Yuma』だった。

この結界の使い魔が、仁美と出会ってしまった。



848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:04:18.73 ID:k+xrQ6cbo

仁美「へ……?」

仁美「どうしてあなた……私の名前を……」

Yuma「これが迷子の理由だよ」

仁美「……?」

Yuma「仁美お姉ちゃんはHitomiお姉ちゃんの能力ではぐれさせられたの」

Yuma「Hitomiお姉ちゃんの能力……『ティナー・サックス』は幻覚の能力」

Yuma「そういうことができて、見失わせることができる能力」

仁美「私の……能力?」

Yuma「あ、ううん……違うよ。『違うヒトミお姉ちゃん』だよ」

Yuma「ちなみにあなたの担任の眼鏡のせんせーはもう死んじゃったのかな?」

仁美「……え?」

Yuma「えい!『猫さぁん』ッ!」



849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:05:34.98 ID:k+xrQ6cbo

ペイッ

Yumaは右手に持っていた「何か」を仁美に向けて放り投げた。

銀色のそれはくるくると回転する。

仁美は反射的に手を出し、顔に向かって飛んでくる物体を掴んだ。


仁美「きゃっ!」

仁美「……?」

仁美「……百円玉?」

仁美「え、えーっと……ゆまちゃん……でしたっけ?」

仁美「人に物を……お金を投げちゃいけませんわ……」


どこかで拾ったのか、ピカピカした真新しい百円玉。

製造年は去年。生暖かい小銭。



850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:07:43.74 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「『キラークイーン』の特殊能力……それは……『触れたもの』は『どんなもの』でも……」

Yuma「『爆弾』に変えることができる……たとえ百円玉であっても……」

Yuma「フフ、どんなものであろーとね」

仁美「……!?」

仁美「……ハッ!」


仁美は、不意に氷で背筋を撫でられたかのようにビクリと体を強ばらせた。

嫌な予感がした。生命の大車輪が仁美の第六感を後押しした。

「す、捨てなくては!」

よくわからないが、この百円玉が危険なものだと思った。

仁美はそれを放り投げようとした。

カチリ

Yumaのスタンド能力。キラークイーンが触れた物体は爆弾となる。

遅かった。

百円玉は仁美のすぐ側で爆発した。

爆風が仁美の体を包んだ。



851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:08:26.71 ID:k+xrQ6cbo

爆発の煙がもくもくと揺れる。

仁美は廊下に、仰向けに倒れた。廊下は赤く濡れた。

目で見て致死量だとわかるくらいの血を流し、ピクリとも動かない。


Yuma「…………」

Yuma「ふふーん。やったね」

Yuma「これでYumaのチームはプラス一点だね!ルンルン!」

Yuma「んー、今はあまりお腹空いてないからなぁ」

Yuma「爆発させちゃおーかな?」

Yuma「いや、でも勿体ない……」

Yuma「だけど殺さないわけにはいかない」

Yuma「同じ次元に同じ概念はあってはならないの」

Yuma「…………」

Yuma「ッ!」



852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:09:32.75 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「猫さんッ!」

ガッ!

Yumaは勢いよく振り返り、キラークイーンは拳を繰り出した。

魔法少女と使い魔の中間だからこそわかる、獲物と天敵の気配を感じとった。

スタンドの手の甲は、背後から近づいた敵の『剣撃』を防御した。


Yuma「さ……『さやか』ッ!」

さやか「……くっ!防御、されたか……いい勘してる」


白いマントが揺れる。

青い魔法少女は苦虫を噛みつぶしたような表情をしている。

魔法武器の剣、その刀身が鏡のように光った。

キラークイーンが手首の角度を曲げて剣を掴もうとする前に、さやかは剣を引いた。



853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:10:29.18 ID:k+xrQ6cbo

さやか「仁美ィッ!」

Yuma「むむむ……!」


さやかは仁美が倒れた瞬間を目撃していた。

全力で走ったが、間に合わなかった。

Yumaの横をすり抜け、敵への警戒を維持したまま仁美の方へ走り寄る。

仁美は百円玉の爆発を喰らったことで腕が千切れかけ、

腹部が裂け、顔の肉の一部が抉れ吹き飛んでしまっていた。

血の詰まった風船が割れたかのようだった。

さやかは吐き気を催した。

単にグロテスクだからだけではなく、それが親友であるから。


さやか「……くっ」

さやか「仁美……」

さやか「……今、治してあげるからね」



854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:11:54.73 ID:k+xrQ6cbo

さやかは感じていた。仁美のかすかな生命の鼓動を。

仁美が百円玉爆弾を投げ捨てた第六感による行動は早かったのだ。

今なら治癒魔法で傷を治せる。

しかし、命を狙われている結界の中、生き返らせて何になろう。

死の恐怖を再び味わうだけだ。


さやか「……望みは捨てない」

さやか「また、怖い思いをさせるだろうけど……」

さやか「親友には、生きていてほしい」

さやか「ほんの僅かな可能性さえあれば……」

さやか「例えもう死なせてくれと懇願されたとて、あたしは治せるものは治す」

さやか「それが……好きな人に死なれて残された者の気持ちなんだ……」



855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:14:24.45 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「いいの?さやか……治しちゃうなんて」

Yuma「死なせちゃった方がよかったんじゃなぁい?」

Yuma「それにしても生きてたなんて……当たりどこがよかったのかな?」

Yuma「シニゾコナイってやつだね」

さやか「…………」


さやかは手を仁美にあて、魔力を仁美に込める。

傷がみるみると塞がっていき、抉れた肉が再生する。

失った血も補完され、その内失った意識も取り戻される。

ウェーブがかった髪にへばりついた血の汚れまでは落とせない。

裂けた制服までは直せない。肌に塗りたくられた血は消せない。

血みどろの布きれを羽織った半裸の仁美が今、目を開けた。



856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:17:37.19 ID:k+xrQ6cbo

仁美「……ん」

仁美「……え」

仁美「さ、さやかさん……?」


視界がハッキリしてきた。

心配そうな顔をした親友が、手を差しのばしている。

そういえば熱した鉄を抱きかかえたような痛みが消えていた。

上体を起こせる。瞬きができる。首が動く。

指が曲げられる。息が吸える。心臓の鼓動を感じる。

肌寒い。痛くない。熱くない。苦しくない。

死にそうと思ったことが夢の話かのようだった。

死ぬほど苦しかったということは夢の話ではないようだった。

仁美は、理解不能な状況に置かれ、理解不能な事象に襲われている。

脳内を巡り巡る電気信号が、ある答えと行動を導く。



857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:18:56.44 ID:k+xrQ6cbo

仁美「…………」

さやか「大丈夫?仁美……」

さやか「……正体がバレちゃったね」

さやか「だけど、あたしは正義の味方だよ。でもクラスのみんなには内緒ね」

さやか「立てる?本当は一緒についてってやりたいとこだけど……」

さやか「残念ながら、今はそうはいかない」

さやか「この『化け猫』の相手をしなくちゃならないんでね」

さやか「あんたを庇いながら逃げながらあいつとやれるほど、私は器用でないんだ……」

さやか「あたしの見える位置にいてね」

さやか「こんな迷路、一人で放ってはおけないからさ」

仁美「…………」

さやか「……混乱する気持ちもわかるけど、ほら、手を」



858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:19:50.49 ID:k+xrQ6cbo

仁美の目の前にある光景。

何があったのかはわからないが、死にかけた。

致命傷を負わせたのは、そこにいる猫の耳を象ったカチューシャをした童女。

それを治癒した親友であるさやか。

童女から早乙女先生が死んだということを突きつけられた。

親友は何でも切り裂いてしまいそうな凶器を握っている。

今はすっかり消えた、焼け死ぬかのような痛みが脳裏に浮かぶ。


さやか「どうしたの?仁美。まだどっか痛む?」

仁美「……の」

さやか「……ん?」

仁美「け……の……!」

さやか「……仁美?」

仁美「…………」

仁美「『ばけ』……『もの』……!」




859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:21:04.71 ID:k+xrQ6cbo

さやか「…………」

さやか「え?」

仁美「ば……『化け物』ぉっ!」


自分を殺しかけたのは得体の知れない、魔女のような恐ろしい力を持った、

人の姿をした恐ろしい「化け物」だ。

そして死にかけたところ、親友の姿が、得体の知れない力で治療した。

それは同じような能力だと思った。そうに違いないと決めつけた。

同じ能力を持つということは、同類に違いない。

目の前の親友の姿もまた「化け物」に違いない。


仁美「ち、近づかないでェッ!」

仁美「いや!いやぁ!」

さやか「…………」

仁美「いいいぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!」



860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:22:20.40 ID:k+xrQ6cbo

パッシィァ!

仁美はさやかに差し出された手を払いのける。

仁美は震えてうまく動かせない足を必死に持ち上げ、半ば強引に立ち上がる。

そして驚いた猫のように身を翻し、不格好なフォームで駆けていった。

恐怖に支配された少女は悲鳴をあげながら全力で脚を動かした。

途中で転びそうになるも、なんとか転ぶまいともがき、必死に逃げていった。

廊下に響いた悲鳴はだんだんと小さくなり、いずれ聞こえなくなった。


さやか「…………仁美」

さやか(……そうか。化け物、か……)

さやか「…………」

Yuma「間違ってはいないよね。魔法少女ってゾンビみたいなものだから」

さやか「…………」



861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:23:49.79 ID:k+xrQ6cbo

その気になれば、痛みを消すことができる。

肩を抉られても、顔面を引っ掻かれても、鳩尾を刺されても、

その気にさえなれば、どんな痛みも感覚を遮断できる。

しかし、たった今、仁美に叩かれた手が……とても痛かった。

今までの人生で最も痛く感じた。さやかはそう思った。


Yuma「ある種の事柄は死ぬことより恐ろしい……人間面して生きるより、死なせてあげるのがYuma達の優しさだよ」

さやか「…………」

さやか「……ふふ。あれだけ元気ならきっと生き延びるでしょ」

Yuma「……強がらなくてもいいよ?」

さやか「強がってなんか……いないっつの」

さやか「あたしだって……こんなシチュエーション。負傷を一瞬で治されたら化け物だって言うわ」

さやか「仁美のリアクションは当然だよ。そりゃ当然」

Yuma「へぇ……」



862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:25:10.32 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「Yumaね……」

Yuma「さやかが助けている時……なんてこともなく背後から近づいて……」

Yuma「キラークイーンでさやかのソウルジェムを蹴り割っていれば……それで終わってたよ?」

さやか「…………」

Yuma「それをしなかったのは……これからの長い人生、さやかなんていうチンケな概念に隻腕にさせられたという汚点を背負って生きたくなかったからだよ」

Yuma「それを払拭するには、さやかを『正々堂々』と真っ向から戦って、殺すこと」

Yuma「これは儀式なんだよ。Kyokoの死を弔い、未来を生きる決意の表れ……」

Yuma「フェアがいい。お姉ちゃんみたいなことを言うようだけど」

さやか「…………」

Yuma「キラークイーン。生前は猫さんと呼んでいたし、今も呼ぶ」

Yuma「猫さんはゆまが好き」

Yuma「でも……さやかには見えない能力があるって時点で左腕がなくてもフェアとは言えないかな?」



863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:26:13.01 ID:k+xrQ6cbo

さやか「…………いいや」

Yuma「……?」

さやか「あたしには……『見える』よ……」

Yuma「……え?」

さやか「あたしには……『キラークイーンが見えている』んだ」

Yuma「何を、言ってるの?」

Yuma「ど、どうせ言うならもっと面白いジョークを言ってね」

さやか「…………」


Yumaは悟る。……見えている。ハッタリではない。

さやかは明らかに、背後のスタンドの顔を見ている。そういう視線をしている。

Yumaの背後に、質量感はないが圧倒的存在感を放つ人型の影。

薄いピンク色の猫っぽい頭をしている「キラークイーン」がいる。




864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:27:23.94 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「……!」

さやか「理由はわからないが……何故か見えている」

さやか「殺人鬼みたいな目をしている……能力は凶悪で……そう思えばルックスもおぞましい」

Yuma「ど、どうして……?」

Yuma「どうして、さやかに……スタンドが……?」

Yuma「ほむほむならまだしも……」

Yuma「だって、だって……スタンドを発現させる……引力の魔女レイミはいない……」

Yuma「なのに……何でスタンドが……」

Yuma「Yumaみたいに……スタンドが欲しいって契約を……?」

Yuma「いや、違う……さやかは治す魔法がちゃんと使えてる……それはない。……何で?」

さやか「……あたしもわからない。でも、見えているよ」



865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:28:24.70 ID:k+xrQ6cbo

Yumaの背後には、人型の、猫のような頭をした半透明の像がいる。

キラークイーン。それが名前。

病院に生じた結界にて、さやかはYumaの左腕を切断したため、

その腕が再び生えているということがなかったため、スタンドの左腕もない。

さやかは、スタンドが見えていることに、不思議と心は落ち着いていた。

しかしさやかはまだ、厳密にはスタンド使いではない。

スタンドが見えることと、使えることは話が違う。


Yuma「えーい!もうなんだっていい!」

Yuma「バラバラにして殺してあげちゃうんだから!」

さやか「…………」



866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:32:21.55 ID:k+xrQ6cbo

さやか「そうはいかないよ」

さやか「キラークイーンとやらは、そう遠くまでいけない」

さやか「ほむらという経験者がいるからね……みんな知っているよ」

さやか「触れた物を爆弾にする能力……」

さやか「その射程距離はせいぜい1メートルか2メートル」

さやか「加えて格闘能力はそれ程強くはない……」

さやか「左腕がないことで、左手から出る『魔力を探知して自動追尾する爆弾戦車』は既に使えない」

さやか「それくらいであんまり図に乗っちゃいけない」

Yuma「…………」

Yuma「ほむほむのことは好きだけど……お喋りなのはいただけないなぁ」

Yuma「……スタンドが見えるさやか。一方Yumaは隻腕」

Yuma「ひょっとしてYumaの方がアンフェアになっちゃった?いいや、何も問題ないね」



868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:36:20.47 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「どうせ近づかなきゃさやかはYumaを倒せないよ。剣だもんね」

Yuma「それに、スタンドには目覚めたかもしれないけど使い方がわかっていないよね」

Yuma「使えるなら既に何らかの形で使ってるはず」

さやか「…………」


さやかは剣を持った手を突き出し、

剣先でYumaの額を指した。

そして、さやかは宣言をする。


さやか「あんたは……恭介の仇で、あんたの保護者はマミさんの仇だ……」

さやか「あたしの名は、美樹さやか」

さやか「我が心の師、マミさんの魂の名誉のために!」

さやか「我が友、恭介の心のやすらぎのために……」

さやか「このあたしがあんたを消滅させてやる!」



869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:36:49.38 ID:k+xrQ6cbo

さやか「…………」

さやか(……と、まぁ、意気込んでは見せてみたものの……)

Yuma「Yumaの能力は、即死の能力」

Yuma「体が爆発すれば、当然体に埋め込まれたソウルジェムは破壊される」

Yuma「Yumaには勝てないよ。あっかんベー」

さやか(……まぁ、確かに難しいだろう)

さやか(相手は近づかれないと爆弾にできない)

さやか(しかし近づかないとあたしは攻撃できない……)

さやか(隻腕とは言え……触れられた時点で負けだなんてハードすぎる!)

さやか(ただ……理由は全くわからないけど、見えないはずのスタンドが見えているというのは有利なことだ)

さやか(あたしにも……十分勝機はある)



870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:37:31.94 ID:k+xrQ6cbo

……そこで問題だ!

この最強レベルの超能力に対してどうやって勝つか!


3択――ひとつだけ選びなさい

答え①美少女のさやかちゃんは突如突破のアイデアがひらめく

答え②仲間が来て助けてくれる

答え③勝てない。現実は非常である


……あたしが○(まる)をつけたいのは答え②だけれども期待はできない。

都合の良いタイミングに杏子やほむら、キリカさんが少年漫画のヒーローのように、

 ド ン ! と登場して「待ってました!」と間一髪助けてくれるってわけにはいかない……。

逆に既に苦戦をしているところかもしれないと言うのに……!



871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:38:09.98 ID:k+xrQ6cbo

さやか「やはりここは①しかないッ!」

さやか「うおおおおおッ!」

Yuma「来た来た来た来た来たァァァ――ッ!」

Yuma「猫さんッ!」


さやかは剣を構え力強く踏み込んだ。

剣は相手を斬るためにある。

斬るには、届かなければならない。

例え恐ろしい近距離武器を相手が持っていようとも、

近づかないことには何も始まらない。

やれることはやるべきだ。

――半透明の像はさやかの方へ突っ込んでいく。



872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:38:57.09 ID:k+xrQ6cbo


左腕がないとはいえ、キラークイーンは強かった。

残った右腕で、いとも容易く剣を掴まれてしまう。

剣を握っても指は切れない。スタンドはスタンドでしか傷つかない。


さやか「う、うぅ!」

Yuma「剣を止めた!そして――!」

『しばッ!』

キラークイーンは体勢を低くし、左脚を振り上げた。

腹部のソウルジェムにつま先が届く位置。剣を掴まれているため、

武器を捨てない限り回避は不可能。武器を手放すわけにはいかない。

さやかは体を捻らせる。標的を逸らし脇腹に当てさせることにした。

足で触れても爆弾にすることはできないのは知っている。あくまで注意すべきは手。




873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:40:10.14 ID:k+xrQ6cbo

ガスッ!

さやか「グッ!……ぐふっ!」

Yuma「剣を爆弾にしても意味がない……」

Yuma「猫さん!今だよ!」

ガシィィッ!

キラークイーンは剣から手を離し、蹌踉めいたさやかの手首を『掴』んだ。

キラークイーンはさやかに触れられてしまった。


さやか「……!」

さやか「う、腕を掴まれたッ!」

さやか(触ったら爆弾に……恭介のように……)

さやか「くっ……!」」

Yuma「触らないと効果は発揮できない!」

さやか「うおおおおおッ!」


肉体の爆弾化が進行する。

さやかは咄嗟に剣を左手に持ち替えた。

さやかの右腕の皮膚が裂け煙が噴出し爆発する数秒前。



874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:41:13.30 ID:k+xrQ6cbo

キラークイーンはさやかから手を離し、

人差し指についた『起爆スイッチ』にその親指が触れた。

カチリ

Yuma「負けて死んじゃえ!猫さん!」

さやか「うおああああぁぁぁッ!」

Yuma「ッ!」


さやかの右腕の肉が割れ始める。

右腕から、スタンドの爆発エネルギーの熱風が飛び出す。

爆発した。

さやかは爆風に巻き込まれる。

衝撃で空気が振動する。

白い煙がもくもくと立ちこめた。



875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:41:52.63 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「…………」

Yuma「……Yumaは」

Yuma「Yumaは……確かに……」

Yuma「確かに、さやかに触った……」

Yuma「なのに……何で……!?」

Yuma「ゲボ……ガボッ!」

Yuma「生き……てる」


ベロンッ

突如、Yumaの首の肉がパックリと裂けた。

体液がだくだくと流れ出る。

気道に体液が流れ込み、喉の中、口内に液体があふれる。


さやか「う、うぅ~ん……!」


さやかは生きていた。顔に火傷を負い、額から血が流れている。

そして、右腕がなくなっている。魔法で断面を止血をする。



876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:43:01.05 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「……『Yumaを斬った』の?さやか……ガボッ、いつ……?」

さやか「…………」

Yuma「うぅ……痛い……ゴボゴボ、ものすごく痛いよ……涙まで出てくるよ……ゴボ」

Yuma「でも……Yumaは強い子だもん」

Yuma「Yumaも泣かないもんっ!」


Yumaは血という概念の体液を油粘土のような塊に変化させて傷を塞いだ。

さやかは立ち上がる。

右腕があった場所からドバドバと血が流れ出る。


さやか「へ、へへ……や、やらせていただきましたァん!」

さやか「爆弾にされる前に……『腕を斬り落とした』」

さやか「スピードには自信があるんだ……」

さやか「あたしの体が爆弾になる前に……左手で右腕を斬り落として……爆弾女化を回避した」



877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:43:34.78 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「…………」

さやか「右腕爆弾の威力は強烈だったけど……」

さやか「爆発をくらいつつ、バックステップしつつ、そのまま左手の剣であんたの首を斬った!」

さやか「ダメージを軽減できたし、耐えき、……った」

Yuma「……でも後ろに下がったから傷はそう深く斬れていない。大したダメージじゃないもん」

Yuma「惜しかったねぇ……もう一歩でも前に踏み込んでいれば首を落とせてたものを」

さやか「う……」


さやかは切断した腕を魔法で治療した。腕が再生する。

――キラークイーンに爆発される瞬間、さやかは自らの腕を切り離していた。

それにより、爆弾化の対象が「さやか」ではなく「腕」に転移し、

爆弾の腕を体から離し、爆風を浴びながら相手を斬る。

直情タイプのさやかだからこそできるシンプルで強引な一矢。

それが、美少女のさやかちゃん苦肉の策だった。後ろに下がった故に、爆死を避けられたが与えた傷も浅かった。



878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:44:21.03 ID:k+xrQ6cbo

さやか「はぁ……はぁ……」

さやか「くそっ……」

さやか(ほむらからの情報……ソウルジェムは首の後ろ)

さやか(あと少しだったのに……くっ!)

さやか(もうちょいで……ソウルジェムごと首を断てたのに!)

Yuma「……それでなに?さやか」

Yuma「これが、Yumaとキラークイーンを倒す策?」

Yuma「キラークイーンへの防御策?」

Yuma「同じ手が通用するほど、Yumaも子どもじゃないよ」

Yuma「猫さんは腕以外に触れればいいんだよ。さやかは自分の首を切り落とせる?」

Yuma「Yumaもこれ以上痛いのは嫌だから……次が最後で最期にする。でも、それは今じゃない」

Yuma「タイミングはさやかが決めていいよ。いつでもおいで。逃げるならそれはそれで構わないけど……?」

さやか「…………」



879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:44:56.62 ID:k+xrQ6cbo



答え③


――答え③

――――答え③


さやか(あぁ……)

さやか(もう……ダメかもしれない)

さやか(勝てるはずがない……あんな……とんでもない能力に……)

さやか(逃げるなんてありえない。逃げようとしたら何らかを拾って爆弾にして、投げつけてくるに違いない。逃げながらでは避けれる自信がない)

さやか(蛇に睨まれた蛙の気分だ……)

さやか(……勝てない。こいつには勝てない)

さやか(そうか……それじゃあ、あたし……死ぬのか。ここまでなのか)

さやか(…………残念だけど、仕方がない)



880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:45:38.72 ID:k+xrQ6cbo

さやか(……あたしの自業自得だ)

さやか(あたしがほむらの意見に反対しないで、一緒にいてたら……)

さやか(仁美がこいつと会う前に、魔女を殺せて一掃できた可能性があったのなら……)

さやか(あるいは、魔女を護衛するってんで使い魔達が魔女んとこに集まって仁美と出くわさずに済んだかもしれなかったなら……)

さやか(あたしは……勝手なことをして、勝手に殺されるだけじゃあないか)

さやか(あたしって、ほんとバカ……)

さやか(……思えば今までの人生振り返って……楽しいこともそれはそれでたくさんあったけど……)

さやか(シケた一生だったな……)

さやか(さようなら……みんな……勝利を願ってるよ)

さやか「……こうなりゃ、自爆でもしてやろうか」

さやか「案外それが一番の得策だったりして……さやかちゃん爆弾で道連れに……」



881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:46:19.65 ID:k+xrQ6cbo

『その必要はないわ』


さやか「…………?」

さやか(……え?い、今……何か聞こえたような……)

『美樹さやか。助太刀する』

さやか(……この、声)

さやか(テレパシー……!)

さやか(あ、あたしは……あたしは!)

さやか(あたしはこの声を知っている!)

『やっと"見つけた"わ……よく今まで生きていてくれたわ』

『あなたみたいな直情タイプは放っておきたい気持ちもなきにしもあらずだったけど……勝手に死なれても困るからね』

『どうやらキラークイーンと交戦しているようね……ハッキリ言わせてもらうけど、あなたではキラークイーンに対して勝機はない』

さやか『あ、あんたは……』


さやか『ほむらッ!』



882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:48:23.07 ID:k+xrQ6cbo

厳しくも優しさを感じる声が脳に響いた。

Yumaはさやかをにんまりと笑みながら見ている。

さやかがほむらとテレパシーをしているとは到底思っていない。

さやかはほむらとの通信を続ける。

絶望の状況からの救いの声。

地獄で歩いているところに天から垂らされた蜘蛛の糸を見つけたかのような気持ちになる。


ほむら『いちいち言わなくてもわかるでしょう?』

さやか『ほむら!ど、どこかで見ているの!?いつの間に!?』

ほむら『視覚ではわからない。音よ』

さやか『音?』

ほむら『いつからかと言うと、Yumaがいつでもかかって来いと言った辺りから』

さやか『じゃあたった今……』

ほむら『いいからそのままテレパシーを続けて。今はYumaを殺すのが先決』

さやか『わ、わかった……!』

ほむら『……いい?私は今、訳あって身動きが取れない』



883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:49:34.36 ID:k+xrQ6cbo

ほむら『別の場所にいるけど、あなたがいる場所と状況はついさっき"見つけた"』

さやか(見つけた……?)

ほむら『こればかりは爆発の振動と相手が子どもであることに感謝しなければならないわ。それはさておき』

ほむら『……いい?二秒だけよ』

さやか『二秒?』

ほむら『二秒だけ、あなたは時間を止めることができる』

さやか『えぇッ!?な、何を言ってるの?!』

ほむら『私は誰かに触れた状態で時間停止をすると、その人も止まった時の世界で動けるようにできる』

ほむら『あなたには教えてなかったかしら』

さやか『さ、触ったって……!?』

ほむら『ネタ晴らしをすると、私の糸のスタンドであなたに触れている』

さやか『い、糸……ストリート・ファイターズだっけ?』

ほむら『ストーン・フリーよ』



884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:50:34.43 ID:k+xrQ6cbo

ほむら『丁度、ストーン・フリーはあなたの脚に触れているはず。右か左かはわからないけど』

さやか(……む)


さやかはYumaに悟られないよう、自分の脚に意識を集中した。

見ることはできないが……言われてみれば、わかる。

何かが触れている。巻き付いている。

『感覚で触られていることがわかる』

スタンド使いになったようだから、その正体を見ようと思えば見えるが……

それはできない。不審な動きをするわけにはいかない。


さやか(ひ、必死になってて気付かなかった……)

さやか(ほむらがどこかから『糸』を伸ばしている!)

さやか(それであたしと接触を……!)

さやか(ほむらに触れていれば……時間の止まった世界に……)

さやか(答えは……答え②だったッ!)




885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:51:35.05 ID:k+xrQ6cbo

ほむらは今、どこかにいる。

そして、抜き差しならない状況にいる。

にも関わらず、あたしを助けてくれるというのか……。

どこかから、糸を伸ばして……その糸であたしを探しだして……。

音って言うことは、糸は音を伝って離れた場所の状況を聴くことができるんだ。

そして、あたしを助けてくれるなんて……。

それなのにあたしは……ほむらの制止を振り切って、勝手にくたばりそうになって……。


ほむら『いい?あなたのかけ声……まぁテレパシーだけど、それと同時に二秒間だけあなたを時の止まった世界に入門させる』

ほむら『私の状況が状況だから二秒だけ。これ以上は無理。それ以下になることはあるかもしれないけど』

ほむら『その二秒で、必ずYumaの葬るのよ。わかってると思うけどソウルジェムは首の後ろよ』

さやか『……わかった!』

Yuma「……ん?」



886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:53:00.91 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「さ、さやかッ!?」

さやか「ッ!?」

Yuma「その足に伸びているのは何ッ!?」

さやか「マ、マズイ……!」

さやか『糸に気付かれたッ!』

ほむら『報告しなくていい!早く!』

さやか「う……」

さやか「うおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!」

Yuma「え!?え、えーっと!?えっと!?」

Yuma「な、何かわかんないけどくらえッ!」

Yuma「キラークイーンッ!さやかを爆散させちゃえぇぇぇッ!」

さやか『今だほむらッ!ザ・ワールド!』



887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:54:04.81 ID:k+xrQ6cbo

――奇妙な感覚だった。

一瞬にして辺りは静寂になる。

前方に童女の姿が制止している。

さやかはまず、足下を見た。左の脛に『糸』が一周巻き付いている。

それが滑らかな手触りであることは見て分かる。色や太さは違うが、ほむらのサラサラした長髪を連想させる。

時には実感が必要。これでさやかは、ほむらと繋がっていることを実感でき、勇気が湧いた。

ほむらのテレパシーは聞こえない。

話何かしてないで早くしなさいということだろう。


さやか「……ほむら。本当にあんたは頼りになるヤツだ」

さやか「あんたがいなかったら、あたしは死んでいたよ」

さやか「この絶望的な状況を打開する答えは……②の『仲間が来て助けてくれる』だった」

さやか「答え③なんて、あるわけない」



888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:54:43.62 ID:k+xrQ6cbo

剣の射程距離。

Yumaとキラークイーンは何もない宙を見ている。


さやか「こうして見る分には可愛い子だな……」

さやか「……使い魔と言えど幼女の姿を斬るのはチト抵抗がある」

さやか「しかし、やらねばならないね……こいつは恭介の仇」

さやか「このさやかちゃん、容赦せん」

さやか「罪悪感なんて、感じちゃあいけない」

さやか「後悔なんて、あるわけない」

さやか「……『斬首』の刑だッ!」


ガシャンッ!

さやかは一文字に剣を振った。

剣はYumaの首を、首の後ろのソウルジェムごと断ち切った。

Yumaの首が宙に浮き、固定される。同時に、キラークイーンの首に線が走る。

二秒経過。



889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:56:04.65 ID:k+xrQ6cbo

時間は再び動き出した。

ボトリ、と嫌な音がした。

使い魔と言えど、やはり童女の生首はできるだけ見たくない。

さやかは音の方向を振り返り確認することをしない。


ほむら『何って何を?』

さやか『え?』

ほむら『あ、ごめんなさい。テレパシーと間違えたわ』

さやか『?……どうしたのほむら』

ほむら『こっちのことよ。気にしないで』

ほむら『それより何?ザ・ワールドって』

さやか『べ、別に……』



890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:57:34.01 ID:k+xrQ6cbo

ほむら『この様子だと……勝てたようね』

さやか『うん!……あ、あのさ……ほむら』

ほむら『悪いけど、これ以上話せない』

さやか『あっ、ほ、ほむら!ほむらー!』

さやか「…………」

さやか「返事がないな……もう!」

さやか「ありがとうくらい言わせてくれてもいいじゃんか……」

さやか「…………」


脛に巻かれていたストーン・フリーの糸はなくなっていた。

糸を回収したらしい。

ほむらはほむらで、戦わなければならないのだ。

何やら後方で使い魔がぶつぶつ言っている。



891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:58:28.38 ID:k+xrQ6cbo


ボトリ

Yuma「――痛ッ!?」

Yuma「いたた……顔、打っちゃった……。……あれ?」

Yuma「Yuma……何で転んじゃったの?」

Yuma「Yuma……何が起こったの……?」

Yuma「あ、あれ……?え……?何……?これ……Yumaの体?」

Yuma「な、何でYumaの隣に……Yumaの体が……さやかもでっかくなって……何で……世界が……横……に……」

さやか「…………」


今にしてYumaは理解した。自分の頭と体が分離した。

ソウルジェムも破壊されている。キラークイーンは頭のないマネキンのようにその場で固まっている。

使い魔にとって、ソウルジェムは生命維持装置のようなもの。

維持ができないだけで、即するわけではない。しかし、どう足掻いてもすぐに死ぬ。


Yuma「う、そ……Yuma……死ん……じゃう、の?」

Yuma「そん……な……嫌……」


さやか「……グリーフシードで浄化……しないと」

さやか「ちょっと、使いすぎたかな……?」



892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 22:59:54.41 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「い、いやぁ……そんな……!」

Yuma「Yuma……死にたくな……い……」

Yuma「Yumaは……大人にぃ……」

Yuma「…………」

Yuma「――ハッ!」


死が確定したYumaの心に絶望が襲った。

そしてその時、Yumaの脳裏にある声が巡った。


『だがッ!あたしら魔女アーノルド親衛隊"ヴェルサス"の他のヤツならッ!』

『仕留め損ねた獲物を前にしてスタンドを決して解除したりはしねぇッ!』

『たとえ腕を飛ばされようが脚をもがれようともな!』


病院にて交わした、Kyokoとの最後の会話。

その後、Kyokoは敗北し消滅した。

不意にあの光景が思い出された。



893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:01:23.98 ID:k+xrQ6cbo

Yuma(Yumaは……魔法少女じゃない……)

Yuma(Yuma達……『ヴェルサス』……魔法少女と使い魔の中間の生命体にとって……)

Yuma(ソウルジェムは……生命維持装置のようなもの)

Yuma(ギロチンで斬首された後その生首に意識があることがあるらしいってSayakaが昨日言ってた……)

Yuma(それみたいに……それよりちょっと長く、魔女の端くれとしての……猶予がある!)

Yuma(魔女に近ければ近いほど……それは長い)

Yuma(Kyokoは……使い魔としては産まれたてだったのに……)

Yuma(ソウルジェムを砕かれたら十秒も持たないのに……シビル・ウォーの本当の力を使おうとして死んだ)

Yuma(Orikoお姉ちゃんだって……ほむほむにスタンドが目覚めたことをテレパシーで伝えてから死んだ)

Yuma(Yumaも……Yumaも何かやらなきゃ……かっこ悪い……!)

Yuma(大丈夫……)

Yuma(死ぬのは『二度目』だから怖くなんかない!)



894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:02:03.24 ID:k+xrQ6cbo

Yuma「キ……」

Yuma「キラァァァァァァァァァァァクイィィィィィィィィッ!」


さやか「ッ!?」

さやか「ま、まだスタンドが使えるのかッ!?」


Yumaの生首は叫んだ。

胴体、肺がなくとも喋れるのは、魔女という概念に進化しつつあったため。

『首のない』隻腕のキラークイーンは動き出す。

キラークイーンはYumaの首を拾い上げた。

『Yumaの生首』に触れる。

「本体を爆弾」にして、さやかに『投げ』つけた。


Yuma「一人でも殺して!ヴェルサスのためにィィィィィィッ!」

さやか「う、うおおおぉぉぉぁぁぁッ!?」



895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:03:30.10 ID:k+xrQ6cbo

叫ぶYumaの生首が浮き、向かって飛んでくる。

さやかはグリーフシードを片手に、完全な「浄化モード」に入っていた。

生首が最期の一矢を報いるとは、油断していた。勝ったと思っていた。

カチリ

不意を突かれたさやかが防御の姿勢を取ると同時に、Yumaの顔に亀裂が走り、爆発した。

焼けただれそうな熱と爆発の突風。

吹き飛ぶ生首の衝撃が「また」襲いかかる。


Yuma「GABAAHHHッ!」

さやか「うがああああああぁぁぁああぁぁぁッ!」


グリーフシードを持っていた左腕が拉げる。

脚の骨が砕け折れる。顔が焼け、部分部分の肉が剥がれた。



896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:05:54.30 ID:k+xrQ6cbo

Yumaの体は黒い煙となって消滅した。

さやかは熱風に押され、体を廊下に叩き付けた。


さやか「か……ガハッ……」

さやか「ま……まさか……最期の最期、で……」

さやか「ぐふっ……ゲホッ!」

さやか「何て……ヤツ……だ……」

さやか「だ、だが……あたしは……」

さやか「あたしは……生き延びた……ぞッ!」

さやか「ど、どうだ……まいっ……たか……!ゲホッ」

さやか「う……ぐ……くっ」



897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:06:30.92 ID:k+xrQ6cbo

さやか「グ、グリーフ……シード……」

さやか「くそっ……どっか……落とし……ちゃっ……た」

さやか「傷を……治癒しなくては……」

さやか「グリーフシードで……浄化……しなければ……」


さやかはグリーフシードを使おうとした瞬間に、Yumaの不意打ちを食らってしまった。

ソウルジェムの防御はできたが、その際、グリーフシードごと左腕を吹き飛ばしてしまった。

魔法武器の剣もどこかへ飛んでいったが、自分の意識は飛ばずに済んだ。

左腕以外にも、脚や肩や顔の肉は抉れ、肋や股関節も破壊されてしまった。

さやかは右腕だけの力で体を引きずり、左腕――握っているグリーフシードの方向へ。


さやか「くそっ……体が……重、い……」

さやか「ハァ、ハァハァ……」

さやか「行かなく……ては……!」



898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:07:31.89 ID:k+xrQ6cbo

さやか「……ほむらの……ところへ……」

さやか「いや……先に杏子の……とこのがいい、か……?」

さやか「とにかく、行かなく……ちゃ……」

さやか「……あたしの体……あと少しでいい……動いて……くれ……」

さやか「約束……したんだ」

さやか「杏子と……一緒……に……暮らすって」

さやか「す……救うって……ほ、むらを……助けるって……心に、誓っ……たんだ……」

さやか「それなのに……ほむらはあたしを助けられて……」

さやか「ほむらに……ありがとうって……言わなくちゃならない……!」

さやか「あたしが……あたし達が……!」

さやか「この街を守るんだ……!ほむらの願いを……叶えるんだ!恩を……報いて……!」



899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:08:16.85 ID:k+xrQ6cbo

さやか「そんで……杏子と遊びに行って……キリカさんと、もっと仲良くなって……」

さやか「まどかの笑顔を拝んで……仁美に、恭介のことを伝えるんだ……!」

さやか「そうしなくてはならないッ!」

さやか「あと……あと……数メートル……」

さやか「グリーフ……シー……」

さやか「ド……」


後少し、後少しで血みどろの左手におさまったグリーフシードに手が届く。

そうすれば、魔力を使って体の治癒ができる。

魔力の残りが少なくなり、自然と痛覚を遮断する魔法も解除されていく。

じわじわ全身が焼けるほどに熱くなるも、それを我慢する。

涙をポロポロと流しながら右腕で体を引いた。

そして、右手の指先が左腕に触れ――


『見ツケタゾ!』




900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:11:20.84 ID:k+xrQ6cbo

『シシッ!』


しかし、グリーフシードはさやかの左腕から『飛び出し』た。

グリーフシードはそのまま転がることもなく、

十センチ程宙に浮いて、手の中から飛び出した。

二足で立ち、四本の腕を持つ、虫のような物体がそこにいる。

アーノルドの使い魔の一匹が持つスタンド。

『ハーヴェスト』が、そこにいた。

前の時間軸の上条恭介のスタンド。

恭介の概念の使い魔が既に産まれていた。

そして、活動をしていた。

ハーヴェストはグリーフシードを抱えている。

能力は、この小さい体と広い射程距離で物を集めること。

そして群体型という特徴を持つ。



901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:12:44.80 ID:k+xrQ6cbo

小さなスタンドは、グリーフシードを抱えて方向を転換した。

さやかの動きが止まる。

ここで逃してしまえば、自分は死ぬ。

……いや、ソウルジェムが穢れきり魔女となる。

しかし、ズタズタに裂けた筋肉繊維。もう指一本動かせない右腕。

吹き飛んだ左腕。抉れた体。さやかの魂は最早限界にあった。

心に抱いているのは失意や絶望はない。

それを吹き飛ばす別の感情がさやかにはあった。


さやか「………………」

さやか「…………杏、子」

さやか「…………ごめん」

さやか「……一緒に……いようって……約、束……したのに……」



902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:13:56.81 ID:k+xrQ6cbo

痛覚を遮断するまでもなく、何も感じなくなってきた気がする。

そのままソウルジェムが穢れきるのを待つしか、ただ静かに自分の最期を待つしかない。

謝罪と感謝の言葉を口にすることができただけ、まだ安らかな気持ちを持てる。

計り知れないほどの多くを妥協したが、満たされている。と思った。

悔いは残るが、仕方がない。死ぬことに、恐怖はそれほど感じない。

そう思った。


『――ギッ!』

さやか「……ん?」


薄れ行く意識の中、

さやかの耳に不快な音……鳴き声が聞こえた。

瞼がストーンと重くなっているが、何とかさやかは目をあけた。

視界はぼやけている。



903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:17:25.29 ID:k+xrQ6cbo

さやか「あ……れ?」

さやか「…………」

さやか「こ、これ、は……!」

さやか「ぐくっ……う?」


掠れた視界の中、明らかに違和感がある。

自分の右腕が、『色褪せた銀色』に変化していた。

正確に言えば、その色が右腕に重なっていた。

何回か瞬きをしたら、視界がいくらかマシになっていく。

さやかの右腕が『甲冑』になっている。

正確に言えば、その像が右腕に重なっている。

そして、その質量感のあるヴィジョンの右手から、弾丸の軌跡のような細く真っ直ぐな線が走っている。

それは『レイピア』だった。




904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:18:33.10 ID:k+xrQ6cbo

鋭いレイピアがグリーフシードを抱えたスタンドを貫いている。

ハーヴェストが浮いている。

そのまま小さなスタンドは地面に落とした陶器のようにバラバラに崩壊した。

そして、コツンとグリーフシードも落下した。


さやか「この……この『甲冑』……」

さやか「あたしに……一体、何が……?」

さやか「……も、もしかして……」

さやか「これが……まさか……」

さやか「……間違いない、と思う」

さやか「これが……ほむらの言っていた……アレ……?」

さやか「あたしの『スタンド』……?」



905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:20:34.10 ID:k+xrQ6cbo

キラークイーンは見えていた。

それはつまり、スタンド使い予備軍ということを表している。

そのスタンドが、覚醒し発現したらしい。

さやかは心の中で「あれ取って」と念じた。

するとタンスと壁の間に落ちたマグネットを拾うかのように、

甲冑の右腕はレイピアで「それ」をピシッと弾いた。

そしてグリーフシードは丁度、さやかの鼻の先に転がってきた。

さやかは力を振り絞り、重い体を支えてグリーフシードを自分の魂に宛った。

力が抜けていく。軽い力で体が支えられるようになったためである。


さやか「偉いぞ……あたしの……スタン、ド……」

さやか「このさやかちゃんが……『名前』つけてあげちゃう」

さやか「……浄化してケガを治してから……ね」




906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:21:41.12 ID:k+xrQ6cbo

『完治』したさやかは「よいせっ」というかけ声と共に立ち上がった。

立って、改めで自分のスタンドを呼び出した。

「現れろ」と願うと出てくる。今度は全身が現れた。

負傷を治したためか魂を浄化したためか、色褪せていたように見えた甲冑は新品の銀食器のように光沢を放っている。

博物館に展示されていそうな中世騎士の甲冑がそのまま命を持って動き出したかのような姿。

右手には裁縫針がそのまま剣になったかのような細く鋭いレイピア。


さやか「これがあたしのスタンドか……」

さやか「うーん……」

さやか「美少女なさやかちゃんのスタンドにしちゃーちょっとゴツいかな」

さやか「ねぇ、あんた。何か出してみてよ。目からビームとか出せないの?」

さやか「このレイピアを振ると真空波みたいのを放つとか!?」

さやか「……あ、そうでもなさそう」

さやか「スタンドは精神力……何となく、こいつの力が頭に流れ込んでくるような……」



907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:25:10.18 ID:k+xrQ6cbo

さやか「……あたしにスタンドか……いつどこで何で発現したかは全く分からないな」

さやか「あのロリ使い魔も言ってたけど、レイミってのがいないのに……スタンドを発現する要因がない……よね……」

さやか「……うだうだ考えるの面倒くさい」

さやか「今はまず……誰かしらと合流しなくては……」

さやか「どこへ行けばいいんだ……?あたしは……」

さやか「ほむらには、悪いことを言ったからな……謝りたいし、お礼も言わなくちゃだし……」

さやか「……仁美は、避難できたのかな。心配」

さやか「……あ、そうだ。マイスタンド。あんたに名前付けるって言ったよね」

さやか「やっぱ後でいい?いいよね。思いつかないのん」


走っている内に、いつか何かしら起こるだろう、思いつくだろうという単純な思考があった。

――甲冑を着た中世の騎士のような、銀色のスタンド。

そこで、この能力の名前は「銀」という言葉と使おうと考えている。

さやかは銀色のスタンドを持ってして次の戦いのために、心の準備を構えた。



908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/28(木) 23:25:51.25 ID:k+xrQ6cbo

キラークイーン 本体:Yuma

破壊力-A スピード-C  射程距離-E
持続力-D 精密動作性-C 成長性-B

触れた物を爆弾にする能力(一度に一つだけ)。その性質は「護身」
キラークイーンが触れた物は小石でも人体でも爆弾にして爆発させられる。
爆発のタイミングは本体の任意、または爆弾が触れられること。
爆弾にする能力ばかりに依存しているためか、格闘性能はさほど優れていない。
左手の甲から、魔力を探知して自動追尾する爆弾戦車「猫車」を出すことができる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 21:59:27.60 ID:JsgoKJgvo

#25『それはきっとうまくいく道しるべ』


魔法少女と使い魔の殺し合いが行われている頃、

今ここでも、スタンド使いの魔法少女と使い魔が対峙する。

電子機器の埋め込まれている白板。転がる遺体。

ガラス張りの教室。規則的に並んだ机と椅子。

そこに、無言で床を見るほむらと腕を組み敵を見つめるMamiがいる。

突如、Mamiは体を強ばらせ、そしてほむらに対して見つめるから睨むへ変換した。


Mami「――ッ!」

Mami「あなた!今何をしたッ!?」

ほむら「……何って、何を?」

ほむら「言ったでしょう?私は今、精神統一をしてるから静かにって……」

Mami「あなたは今ッ!」

Mami「二秒ほど『時を止めた』わッ!感覚でわかる!」



915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:01:09.26 ID:JsgoKJgvo

時系列は、ほむらが自身、机の脚、床の溝といった死角をつき、

ストーン・フリーの糸を伸ばしてさやかの援護を、たった今終えた時。

Mamiはリボンで左腕を縛ることでほむらに触れていた。

そのためMamiもまた、時間の止まった世界に入ったことが感覚でわかる。


ほむら「…………」

ほむら「自惚れが強い」

Mami「……は?」

ほむら「私が巴さんに抱いている悪い方のイメージの一つよ」

Mami「何か言いたいことでもあるの?」

ほむら「要するに、あなたは油断したと言いたいのよ」

ほむら「私の沈黙が精神統一なんて嘘っぱちで、てっきり次の策を考えているものだと勘違いした」

Mami「…………」



917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:03:09.74 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ストーン・フリーとこの時を止める能力……」

ほむら「相性ははっきり言って良くないわ」

ほむら「触れられちゃ困るというのに体を糸にして表面積を増やすとか最悪」

ほむら「でも、スタンドは使いよう……」

ほむら「あなたが呑気に私を待ってくれると言うのでストーン・フリーで糸を伸ばした。あなたの死角を縫って……」

ほむら「そして『美樹さやか』を探し、繋がって……お手伝いをしたわ」

Mami「今の時間停止がそれなのね……?」

Mami「美樹さんがあなたの糸に触れた……ということは今、美樹さんも二秒だけ、時が止まった世界に……!」

ほむら「その通り。今のでYumaを葬ったはずよ」

Mami「……ッ!」

Mami「何……ですって……!?」



918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:04:15.73 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ちなみに静かにしろと言ったのは、このストーン・フリーの糸……」

ほむら「糸電話のようにピンと張る必要はないけど……振動を伝わらせることで遠くの音を聞くことができる。だからよ」

ほむら「私はそれで、美樹さやかを見つけだし、状況を聴きつつテレパシーと合わせて援護した」

ほむら「後はあなたの言った通り」

ほむら「私の時間停止能力は、発動前に私に触れていることで時の止まった世界に入門できる」

ほむら「ストーン・フリーの糸に触れさせたことで、美樹さやかを時の止まった世界へ……」

ほむら「美樹さやかは二秒だけ時を止めることができた」

ほむら「だからスタンド使いでない美樹さやかがキラークイーンを突破できた」

ほむら「あなたはまんまと私に騙されたのよ」

Mami「…………」

Mami「よくも……Yumaちゃんを……我らがヴェルサス希望の星を……」

Mami「そしてよくも……!よくもこの私を騙してくれたわね!」

Mami「何が尊敬する先輩への躊躇がどうこうよッ!」



919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:04:58.50 ID:JsgoKJgvo

ほむら「こんな状況。決闘だ交渉だなんて綺麗事」

ほむら「汚いと思うかしら?卑劣と罵るかしら?」

ほむら「そういうのは、ゆまちゃんのような子どもを無慈悲に殺すようなヤツに言う言葉!」

Mami「…………」

Mami「立ちなさいッ!」

Mami「今ッ!決闘を開始するッ!」

ほむら「……五分経ってないわ」


巴マミという人間は、戦闘において天才的なセンスを持っている。

ほむらはマミと知り合ってから今まで、ずっと揺るがずそう思ってはいる。

しかし、プライドが高い、油断しやすい等、戦闘においてはマイナスとなる性格的欠点を持つ。

ほむらは、目の前にいるMamiが酷く頭が悪そうに見えた。

それはそういう性格が原因でもある。

さらに使い魔としての本能が中途半端に混ぜ込まれ、尚更醜い。

「ヤツを巴マミと思うのは、巴さんへの冒涜である」……ほむらはそう思った。



920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:05:32.59 ID:JsgoKJgvo

Mami「私の譲歩に付け入ってこんな味なことをして!」

Mami「あなたは私が倒すッ!食べなくちゃならない!」


Mamiはそう叫び、リボンからマスケット銃を生成した。

中途半端に正々堂々な性格が祟り、当然のようにリボンを解いた。

ほむらの左腕が自由になる。


ほむら「決闘開始?」

Mami「そうよ!」

ほむら(……リボンを離したわね)

ほむら(そのまま縛っておけば時間停止を防げたものを……)

ほむら「じゃあ遠慮なく」

カチッ



921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:06:42.82 ID:JsgoKJgvo

ほむらは時間を停止させた。

銃を持ったMamiがピタリと止まる。


ほむら「……やれやれだわ」

ほむら「こんなのが前の時間軸の巴さんでもあるだなんて、悲しいわ」

ほむら「本物の巴さんなら、きっと……もっと『良い方法』というものを考えてたでしょうに」

ほむら「使い魔故のか、あるいはこれがスタンドの与えた性質への影響か……」


Mamiのソウルジェムを撃つことにする。

これで勝利。


ほむら「そのまま、頭を撃つ」

ほむら「悪いけど、私には時間がないのよ」

Mami「…………」

ほむら「……さような――」



922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:07:36.49 ID:JsgoKJgvo

Mami「……フフ」


ほむら「――ッ!?」

Mami「ティーロッ!」

ほむら「なッ!?」

ガァン――!

ほむら「ガッ……!あぁッ……!?」


ほむらが盾から銃を取り出そうと、目を離した瞬間、

Mamiは「時の止まった世界」で銃を構え、撃った。

ほむらは咄嗟に防御の体勢をとるも、

左腕の肘から先が、盾ごと吹き飛ばされてしまった。

撃ち断たれた左腕は床にベタンと音をたてて落下した。

盾を失ったことで時間停止魔法が強制的に解除された。



923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:09:15.77 ID:JsgoKJgvo

ほむら「な、何……ッ!?」

Mami「ベネ。これで盾を奪った」

Mami「これで時間は止められないわね」

ほむら「う、うあああ……ああ……!」

ほむら「う、腕が……!私の……腕……!?」

ほむら「な、何で…………!」

Mami「Orikoから聞いているわ。あなたと対峙した時のこと……」

Mami「いざというときは時間を止めれば大丈夫、と高を括ってその油断を突かれて負けたそうね」

Mami「何も成長していないわね。時を止めるタイミングが遅い」

Mami「そして詰めが甘い。甘すぎる」

ほむら「と、時は止まっていた……なのに……なのに……」

ほむら「撃たれた……!」



924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:10:31.96 ID:JsgoKJgvo

左肘からボタボタと鮮血が流出する。

信じられない。リボンは解かれたはずだ。何故だ。

ほむらはそういう表情でMamiを見た。

Mamiは得意気な顔をして言う。


Mami「ふふ……時の止まった世界に入門した」

ほむら「どういうこと……!?私は……触れられていなかった!」

Mami「簡単なことよ……」

Mami「時間停止した時……あなたに『触れて』いたから、私も動けたのよ」

ほむら「私に……触れていた……?」

Mami「そう。スタンドでも、触れたと認識されるわ。そういうものなんでしょ?」

ほむら「…………」

ほむら(前の時間軸、巴さんのスタンドは結局、見れていないが……)

ほむら「触れられた……だと……!?」



925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:12:04.48 ID:JsgoKJgvo

ブシッ!

ほむら「痛ッ!?」

Mami「耳たぶを撃った。この機会にピアスでも通してみたら?うふふ……」

ほむら「う、撃った……!?」


突然の激痛と共に、耳から血がダラダラと流れ出る。

「肩に何かいる」――違和感に気付いた。

ほむらはその原因を探るべく、肩を見る。ほむらが見た物体。

それは小銃を構えた『玩具の人形』のような姿をしていた。

肩に乗られていても気付かなかった程小さい。推定十センチ。

半透明の像。

正体は見慣れている。これは明らかにスタンドだった。

手に持った小銃で撃ったらしい。



926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:12:45.04 ID:JsgoKJgvo

タァンッ!

小人のスタンドは再び小銃を構え、発砲した。二発目。

スタンドエネルギーの弾丸は、ほむらの頬を少しだけ抉り、

ピンを突き刺したかのように、頬の肉に小さな穴をあけた。

小さい故に、魔法少女にしてみればそこまで大したダメージではない。


ほむら「グッ……!」

ほむら「こ、この安物のフィギュアのようなのがスタンドか!」

ほむら「破壊しろ!ストーン・フリー!」

「オラァッ!」

隻腕となったストーン・フリーは、右腕を振るい、対象を殴る。

小人のようなスタンドは四肢が砕けされバラバラに破壊された。


ほむら「や、やった!叩き潰した!」



927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:13:42.61 ID:JsgoKJgvo

ほむら(これがMami……もとい、前の時間軸の巴さんのスタンド!)

ほむら(さっきは死角から攻撃されたから驚いたが、見えたらほんのちょっと安心……)

ほむら(何てコトもない小さな……)

Mami「あーあ……勿体ない」

ほむら「……!」

ほむら「き、効いて、いない」

ほむら「スタンドが破壊されたのに……」

ほむら(……いや、違う。効いていないのではない)

ほむら(こんな小さくて弱いスタンドを……近距離パワー型スタンドを持つ私の肩に乗せる……)

ほむら(何故こんな近くにおくのか、そして何故存在を主張させたのか)

ほむら(まるで潰させるために現れたかのような……)

ほむら(潰されても構わないスタンドがいるはずがない)



928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:15:34.61 ID:JsgoKJgvo

ストーン・フリーの拳を受け、それはバラバラに破壊された。

スタンドが傷つくと本体も傷がつく。ダメージはフィードバックする。

それは基本的なスタンドのルール。その内の一つ。


ほむら「ダメージがない……ということは……」

ほむら「……い、いや、まさか……」

ほむら「スタンドは、一人一能力……」

Mami「いいえ、多分あなたの推測の通りよ」

ほむら「ッ!」

Mami「集合!」


Mamiは声を張る。

すると、机の陰、遺体の中、体の死角、

様々な場所から殴り潰したものと全く同一の小人が現れる。



929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:16:56.21 ID:JsgoKJgvo

パタパタと小人の群衆が動き回る。

小人は蝶の死骸に群がる蟻のようにMamiの足下に集まり、

それぞれがぶつかり合わずそれでいて統率の取れた動きで整列した。

軍事訓練を上空から見るかのようだった。

一体一体が全て共通した背格好で、小銃を持っている。


ほむら「ば、バカな!複数体のスタンドだなんて……!」

Mami「それは、嫌な予感が的中しての動揺?まさか想像つかなかったからってことはないでしょう?」

Mami「……それはまぁいいでしょう」

Mami「マスケット銃を装備した、小さな銃士隊……総百体の歩兵達!」

Mami「これが私のスタンド『バッド・カンパニー』よ!」

Mami「使い魔として産まれ変わってやっと名前が付いた……正確には『姉』に付けてもらった」

Mami「あなたは今、一体潰したから残りの兵隊の数は99……中途半端でイラつくわ」

Mami「でも……その数を聞いて軽く絶望しているんじゃなくって?」

ほむら「くっ……!」



930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:17:47.04 ID:JsgoKJgvo

時の止まった世界で動けたのは、ストーン・フリーでさやかを援護したのと同じ理由。

バッド・カンパニーの一体がほむらに触れていたためである。いつの間にか、ほむらの肩に乗っていたのだ。

Mamiは時間が止まったフリをし不意打ち。そして左腕を撃ち断ち、盾を分離した。

時間停止が使えない。銃もない。ストーン・フリーは隻腕。

ほむらは一瞬にして、圧倒的な不利に追い込まれた。


Mami「あなたもまた油断していた。時間の止まった世界にそんな方法で入ってくるなんてって……フフ」

Mami「我がバッド・カンパニーに狙われた盾のないあなたなんて、檻の中の灰色熊同然!」

Mami「そのまま生きたまま蜂の巣になるがいいわッ!」

ほむら「…………」

Mami「全隊ィ~!構え!」

ジャキィィッ!

99体のスタンド銃士隊が一斉にほむらに銃口を向ける。

先程ほむらを撃ったのは、銃撃一回の威力を知らしめるため。

先程の攻撃の、単純に99倍の攻撃を喰らうとなるとかなり危険であることをほむらは理解した。



931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:18:41.99 ID:JsgoKJgvo

左腕――盾がないので時間の停止もサブマシンガンを使うこともできない。

ほむらにあるのは隻腕のスタンド。

両拳ならば、弾丸をある程度は殴り弾くことができる。

そういうことができるパワーとスピードがある。

しかし、右腕だけではその限りでない。

人の形に既に編んである故、今更糸に戻す暇は恐らくないしする意味もない。

絶体絶命とはこのことだとほむらは思った。

しかし、ほむらは敗北をするためにここにいるのではない。

ほむらには、勝利の感覚が見えている。



932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:19:57.01 ID:JsgoKJgvo

ほむら「あなたの次のセリフは『盾のないあなたを殺すのは赤子を殺すより楽な作業ね』……よ」

Mami「盾のないあなたを殺すのは赤子を殺すより楽な作業ね」

Mami「――ハッ!?」

ほむら「誰が言った言葉……だったかしら」

ほむら「相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している」

ほむら「残念ながら、あなたの敗北はまだ決まったわけではない」

Mami「な、何を言って……」

ほむら「これは私の体験談と言ってもいい」

ほむら「あなたは、本当につくづく油断する人よ」

ほむら「左腕を吹き飛ばして……それで私を封じたつもりになっていた」

ほむら「油断したから……スタンドを整列させた……」



933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:21:01.91 ID:JsgoKJgvo

ほむら「勝利のためには敵の行動を読まなければならない。一手も二手も先を……」

ほむら「群体型とわかった時点で……あなたはこうすると思ったわ」

Mami「いいからとっとと何が言いたいのかを言いなさいッ!」

ほむら「左腕を撃つことじゃあない。こうやって、力を見せびらかすために一カ所に集めるといったことをするのはすぐにわかったというのよ」

ほむら「悔しいけど、ピンと来てしまう……これが何度も巴マミという概念の後輩をやった性か……」

Mami「……ま、まさかッ!?」


Mamiもまた、暁美ほむらという概念の先輩をやった性からか、

咄嗟にある事象を思い、横を見た。自分が吹き飛ばした「獲物」を確認するために。

――しかし、見当たらない。

床にはほむらの左腕が落ちているはずだった。


Mami「……ハッ!」

ほむら「『全隊退避』と命令する」

Mami「バッド・カンパニー!全隊退――ハッ!」

ほむら「今だ!ストーン・フリーッ!」



934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:21:47.34 ID:JsgoKJgvo

床に転がっていたはずの左腕は溶けたかのように消えていた。

実際にはほむらがストーン・フリーのスタンドパワーで、

断たれた左腕を既に解(ほど)き、糸にしていた。

Mamiの足下、床にその糸が広がっている。

糸となった左腕は魔力とスタンドパワーで動き、Mamiの死角を縫い、スタンド群にその先端を伸ばしていた。

バッド・カンパニーの銃士隊、一体一体の足に結びついていた。

音もなく、そして注意がほむらに向けられていたため気が付かなかった。

ストーン・フリーは右腕を大きく振ると、糸の結界が白板の方向へ引っ張られる。

糸が引かれ、バッド・カンパニーは白板に叩き付けられた。

白板には『網』が巻き付けられていた。既に張られていた。


Mami「し、しまったッ!?」

ほむら「またまたやらせていただいたわ」

ほむら「既に『糸』は蔦のように這わせておいた」

ほむら「そしてスタンドの足下に『糸の結界』を作った」

ほむら「99体!確かに掴んだわッ!ストーン・フリー!」



935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:22:26.66 ID:JsgoKJgvo

白板に張られた網に、足が糸で結ばれた銃士隊を絡みつけさせる。

Mamiは99分割された自分が均等に足を捕縛されたため、足に違和感を覚えた。

一方ほむらは失った左腕をぬいぐるみを作るかのように「編」み、再生させた。

糸の分だけ体の体積が減った程度で、そのダメージをほぼなかったことにした。


ほむら「見ての通り……糸で網を作っていた」

ほむら「そしてその網を引き、一カ所にかき集めさせてもらったわ」

ほむら「要するに磔……スタンドのブービートラップよ」

Mami「…………」

Mami「無駄話している間に?」

ほむら「ええ」

ほむら「あなたは……自信家なところがある。油断をしやすい」

ほむら「あなたは左腕のない私は簡単に倒せると思った」

ほむら「だからあなたは、左腕の挙動も、白板に網を仕掛けていたことにも気付かなかった。プラス、白板が保護色となって糸の網を気付かせなかった」



936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:23:36.36 ID:JsgoKJgvo

Mami「……既に、ということね」

ほむら「本当なら飛ばさせた左腕を投網なり手錠なりにしてあなたを捕まえたかったけど……」

ほむら「群体型スタンドだとわかったから急遽、こういう磔作戦を決行した」

ほむら「群体型なら前の時間軸の上条恭介がそういうスタンドを持っていたということを聞いてはいたからね。対策は既に考えてあっただけのこと」

Mami「……飛ばさせた左腕?」

Mami「何よそれ……まさか、最初から左腕を差し出すつもりだったというの?」

ほむら「その通り」

Mami「どういうことか……聞かせなさい」

ほむら「今の私は人慣れしていない猫よりも警戒心が強い」

ほむら「あなたが私を幻覚を使ってまでここに呼び寄せた時点で、私は、時間停止能力の対策ができていると踏んでいたというのよ」

ほむら「何らかの方法で時の止まった世界を動いて騙す術があるのだと」

ほむら「そして、過程はどうあれとにかく左腕を撃ち落とすだろうということも読んでいた」

ほむら「……さっきも似たようなことを言ったけど、癪ながらあなたが巴さんでもあるから……巴さんの性格を知っているからピンと来たということもある」




937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:24:29.62 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ともかく私は、黙って左腕を吹き飛ばしていただいたわ。そしてあなたは左腕がない私に対しての警戒が緩まった」

ほむら「まぁ、魂を敢えて差し出すなんて無茶なことはしたくないから、ちょっと細工はしたけどね」

Mami「……細工?」

ほむら「そう……ストーン・フリーは体を糸状にして、自在に操作することができる能力」

ほむら「つま先の血液を心臓に運ぶように……指の肉を足に移動させることができる。『肉の移動』……糸の体ならそれが可能」

ほむら「左手に埋め込まれたソウルジェムを体内に取り込んで一時的に移動させることなんて、そう難しいことではない」


左腕が糸になって解けた。

しかし、それならソウルジェムが床に転がっているはずである。

脳や心臓を糸にできないように、ソウルジェムは糸にできない。

ほむらは「編んで」作った左手の甲をMamiに向けた。

ポッカリと穴があいている。

そして、その穴を埋めるように紫色の宝石が「生え」てきた。

魂が収まるべき場所に戻った。そして盾が再生成される。

ソウルジェムは糸の体内を通して心臓のそば、肋の内側に移動させていた。

全ては左腕を切断されることを読んでの行動。



938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:25:58.41 ID:JsgoKJgvo

Mami「……気持ち悪いわね。あなたの腕」

Mami「ハリガネムシみたい。反吐が出るわ」

ほむら「……この作戦は」

ほむら「こうすることは……巴さんの遺した手首を見て思いついた」

Mami「は?……手首?」

ほむら「病院であなたが巴さんを殺した時……」

ほむら「巴さんは自ら左腕を切断した。彼女の遺産よ」

ほむら「あなたのスタンドで穴だらけになった左手首……」

ほむら「巴さんはリボンで敢えて、自らの左手を切り落としてから絶命した」

ほむら「何故?と思った……」

ほむら「しかし……だからこそ私は今みたいに『敢えて左腕を切り落とす』という発想を得た」



939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:27:14.16 ID:JsgoKJgvo

Mami「何を言っているの?『私』が左手を切り落としたから何だというの。こじつけが過ぎる」

ほむら「都合の良い解釈だと言いたそうね……」

ほむら「死人に口なし。果たして巴さんの行動にどういう意図があったのか……最早確認しようがない……」

ほむら「巴さんは私の糸の能力を知っていた。私のソウルジェムが左手にあることを知っていた。ただそれだけのこと」

ほむら「私は『それ』から正解の解釈ができたのかもしれないし、違ったのかもしれない」

ほむら「あるのは過程から得た結果だけ」

ほむら「私が巴さんから受け取った最期の『過程』から、この発想を導いたという『結果』だけがある」

ほむら「大切なのは結果よ。こじつけでも間違いにしても、この際何でもいい」

Mami「……随分とまぁ、回りくどいことを」

ほむら「とは言え魂をみすみす手放すのははっきり言って怖い……」

ほむら「そこで私は『物を体内に隠す』という技も思いついた」

ほむら「私は巴さんから、一つの作戦を託され、二つの策を発想させた」



940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:28:00.93 ID:JsgoKJgvo

ほむら「あなたを倒すのは私ではなく、私と巴さんであるということよ」

Mami「…………」

Mami(私が全体を整列させた理由は……)

Mami(暁美さんの言う通り。概ね合っている)

Mami(左腕を奪い、武器と時間停止を奪い、パワー型スタンドの片腕を奪った……)

Mami(そんな相手に、銃撃のできるバッド・カンパニーの前では、もう何も怖くないと思っていたからだ)

Mami(かつ、私はこのスタンドに絶対的な自信があった。離れた位置から一方的に撃ち殺せる……)

Mami(これほどの優勢。誰だって油断する。私もそーする)

Mami(私の銃士隊を一体の漏れなく捕獲する静なるスピード、私と交渉をして時間稼ぎをするメンタル)

Mami(相手の性格を読んで行動を先読みする判断力、そして私に勝ち誇らせるため本気で戸惑っているように見せかけた演技力)

Mami(油断していたとは言え……今の彼女からは、あらゆる力を奪っても切り札を持っていそうな『凄味』を感じる)

Mami(何てこと……全然成長していないどころか……)

Mami(私は今!使い魔人生最大の山場を迎えている!)



941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:28:55.90 ID:JsgoKJgvo

Mami「あなた……そんなにクレバーな子だったかしら……?」

Mami「失礼な言い方だけど、私の知ってるあなたはドジっ子というものよ」

ほむら「……否定はしないわ」

ほむら「実はこれでもたまにピーラーで指切ったり、何もないところで躓いたり……実はそんな根底は変わってない」

ほむら「巴さんはこの私に言ったわ。無理に変わろうとしてボロが出てるってね」

Mami「…………」

ほむら「スタンドとは精神の覚醒。精神が成長して戦闘の『勘』が冴えるようになったといったところかしら」

Mami「……あなたに成長していないと言ったのを謝罪せねばならないわね……ごめんなさい」

Mami「敬意を表すわ……あなた、やっぱりものすごい成長を成し遂げてるわ……あの泣き虫さんが……ふふ」

ほむら「…………」

Mami「正直に告白するわ。それは油断だった……。盾のないあなた……時を止められないあなた程度……と」



942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:30:12.85 ID:JsgoKJgvo

Mami「群体型スタンドを集合させて見せびらかしたのも、勝ったも当然と思ったから。カッコイイと思ったからよ」

Mami「可愛い後輩に、カッコイイ先輩の姿を『最期に見るもの』にしてあげたかった」

Mami「まさか、左腕を……ソウルジェムを手放してまでそんなことをするなんて、巴マミという概念には絶対できない発想だわ。実際はちゃっかりソウルジェムを防御していたようだけど」

Mami「ふふふ、確かに……私は油断をしやすい……ふふふ……」

Mami「私ってダメね……戦は数。群体型という強みを一瞬にして奪われちゃうなんて」

Mami「……さて、あなた。左腕を修繕したようだけど……いいこと?」

Mami「あなたは、私……もとい、バッド・カンパニーに触れている。ストーン・フリーの糸で縛り付けている」

Mami「つまり結局の所、時間停止は使えない。時間停止をする時に触れられていたら、それの時間も動く」

ほむら「……そうかもね。そういう意味で魔法少女としてはまだ未熟かもしれない」

ほむら「しかし、少なくともスタンド使いとしてはあなたより高みにいるという自信がある」

Mami「ここに来てまだ挑発してくれちゃうのね。まぁいいわ」

Mami「どちらにせよ、私の兵隊の両腕は自由なまま。あなたが兵隊の足を掴んだに過ぎないから」



943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:32:11.93 ID:JsgoKJgvo

ほむら「当然よ……腕を掴んで狙撃を妨害するような真似をすれば気付かれる」

Mami「そう。しかしそれが故に……この状態でもあなたを撃てる」

ほむら「軌道が分かっている銃撃を弾くことはそう難しくないわ」

ほむら「数の都合上全ては無理でも……私が倒れるより早く全滅させる」

Mami「99体を潰される前にあなたを殺す。あなたを喰い殺す」

Mami「…………」

ほむら「…………」


白板に磔にされた銃士隊を潰すことがストーン・フリーの目的。

同僚が潰されながらも撃ち続け、押し勝つことがバッド・カンパニーの目的。

ほむらは勝利することが目的。Mamiも同じ。

二人のスタンド使いの、互いの命を賭けたウチ合いが始まろうとしている。

打つ方か、撃つ方か、最後に立っている方が勝者となる。



944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:33:36.25 ID:JsgoKJgvo

Mami「ねぇ、あなた……私に、その貧相な胸のことを言われるのは嫌いかしら?

ほむら「……けなしてみなさいよ……試しにね」

Mami「その必要はないわ。何故なら私は、その胸に風穴をあけると予告するからよ」

Mami「私はあなたの左腕にダメージを与える。盾を奪いガードと銃器を使えなくする」

Mami「次に脚を狙う。膝の関節を砕き、転倒させる。これで逃れることはできなくなるわ」

Mami「そして万全を期して、発動こそ遅いが威力の高い、巴マミという概念の魔法少女人生を象徴する大技……」

Mami「『ティロ・フィナーレ』でその胸もろとも心臓をブチ抜くことを予告する」

ほむら「なるほど。完璧な策ね……不可能という点に目を瞑れば」

Mami「几帳面な性分でね……この順番にやると言ったらやるわ」

ほむら「なら私は、あなたに勝利すると予告しましょう」

Mami「……試してみる?私の内なる意思の銃と、あなたの黄金に輝く拳。どっちが先に感覚と魂魄をタナトスへ還す

か」

ほむら「…………」

Mami「…………」



945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:35:16.99 ID:JsgoKJgvo

糸と兵が対峙する。

娘と人外が対峙する。

後輩と先輩が対峙する。

沈黙を最初に破ったのは、

闘志を燃やしているほむら。

ほぼ同時に叫ぶ黄色の使い魔。


ほむら「ストーン・フリーッ!」

Mami「バッド・カンパニーッ!」


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァッ!」

ほむらは三歩踏み出し、拳の射程距離内に敵を入れた。

そしてストーン・フリーは白板に磔となったバッド・カンパニーを殴る。

その間にもMamiの銃士隊はストーン・フリーへ一斉射撃をする。



946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:37:17.94 ID:JsgoKJgvo

バッド・カンパニーのスタンド弾は、力強く素速いストーン・フリーの拳のラッシュに何発か弾かれる。

スタンドの声と、発砲音と、弾く音と、弾かれた弾丸が床や机や強化ガラスにぶち当たる騒音が響く。

弾ききれない弾丸は拳と拳の合間を抜けて、ストーン・フリーにビスビスと銃弾が埋まる。

ほむらの顔と体に点々と赤点の傷を描き、血が噴き出る。

白と紫を基調とした魔法少女の衣装が赤黒く染まっていく。

しかし決して怯まない。

ストーン・フリーは依然、弾丸を弾きながら拳のラッシュを続ける。

一撃一撃がバッド・カンパニーを確実に叩き潰す。白板が破壊され内部の電子機器がブチ撒けられた。

白い破片や割れた基盤等に紛れてスタンド銃士の四肢がボロボロと床に落ちる。

残された外枠に張られている網にかかった銃士隊は、吊されながらも撃ち続ける。

ほぼ宙に浮いている状態であろうが、バッド・カンパニーの銃士一体一体は確実に潰されていく。

Mamiは血を吐いた。骨が折れ筋肉が裂けてきている。

それでも気高く燃える闘志はぶつかり合う。



947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:42:11.60 ID:JsgoKJgvo

ほむら「うおおおォォォォォァァァァァッ!」

Mami「はああああァァァァァァァァァァッ!」


少女の姿から出てはいけないような雄叫びがあがる。

ほむらは少女としての形振りを構っていられない。

Mamiは巴マミとしての見栄を気取っている場合でない。

体力と精神が削れる音と発砲音が響き合う。


Mami(くっ!す、ストーン・フリー……!)

Mami(このままでは私は押し負ける……しかし、これくらいの強さは予想通り!)

Mami(左腕を敢えて差し出したということには意表が突かれたが……)

Mami(何をしでかすかわからないということもあるから……やはり左腕を奪うことは重要!)

Mami(ここで武器を出されたら当然マズイからだ!予定通り撃つッ!)

Mami「ティーロッ!」



948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:43:13.39 ID:JsgoKJgvo

ガァン!

Mamiは間接的に体を砕かれながらマスケット銃を生成し、狙撃した。

ほむらはストーン・フリーの操作、Mamiの間接的殺害に集中していたためか、本体には一切目を向けていなかった。

ほむらは左肘を撃たれた。再び、左腕を吹き飛ばされてしまう。

同時に、ストーン・フリーの左腕の糸が千切れ落ちた。左腕は、宙を舞う。


ほむら「ッ!」

ほむら「グゥゥッ……!クッ!う……」

Mami「左腕を撃ち落としたッ!これで火器とスタンドを封印した!」


ストーン・フリーは両腕でバッド・カンパニーへの攻撃とその攻撃からの防御を担っていた。

片腕が無くなれば、単純に攻撃の手数と防御の面積は半減する。

このまま殴り続ければ隻腕のほむらに勝機はない。

盾を失った。武器は扱えない。

絶体絶命の状況に再び追い込まれる。


しかし――、



949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:46:35.51 ID:JsgoKJgvo

ほむらは思った。


『一人の囚人は壁を見ていた』

『もう一人の囚人は鉄格子からのぞく星を見ていた』

……私はどっちだ?

もちろん私は星を見るわ……。

『夜』を越えた後の、翌日の暁に思いをはせながら……

星の光を見ていたい。


左腕が吹き飛んだが……「それでいい」

希望がある。暗闇なんかじゃあない……。

ヤツを倒すのに……これは、最後に残った道しるべ。

それはきっとうまくいく道しるべ。


『この時を待っていた』




950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:47:07.66 ID:JsgoKJgvo

ほむら(……この時!今しかない!)

ほむら(だからこそ私は!)

ほむら(私はッ!『覚悟』を決めたんだッ!)

ほむら「うおおおおおォォォォォァァァァァァァッ!」

「ウオオオオオオォォォォォォォォォォッ」

Mami「ッ!」

Mami「暁美……ほむらッ!」


ストーン・フリーが叫ぶ。ほむらが叫ぶ。

ストーン・フリーはバッド・カンパニーの塊への攻撃をやめた。

ほむらは攻撃と防御を捨て、上体を前に倒し走り出した。

Mamiに向けて、ほむらとストーン・フリーが鬨の声と共に突っ込む。

左腕がないため体のバランスが取りづらく、走りにくい。




951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:48:49.77 ID:JsgoKJgvo

Mami「やぶれかぶれになって突っ込んできたか!」

Mami「だけども!ストーン・フリーがこっちに突進をしてくる可能性……読んでいたわ!」

Mami「防御を放棄した突進ッ!」

Mami「脚への攻撃はこれで確実に遂行される!」

Mami「バッド・カンパニーはッ!予告通り脚を撃ち砕くッ!」


ストーン・フリーの射程距離が使い魔に到達するまで……約九メートル。

白板に吊された、半数以上が殉死した銃士隊は一瞬で標的のスピードを計算し、

先読みをして、発砲を行った。ほむらは立ち止まらない。

スタンドエネルギーの弾がほむらの膝に命中。関節が破壊される。


ほむら「ガァァ……ッ!グッ……!」

Mami「そして倒れたところを、ティロ・フィナーレ!これで終わりッ!」

ほむら「グ……く……ス……!」




952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:49:25.49 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ストォォォォォンフリイィィィィィィ――ッ!」

ほむら「脚を!膝を『縫い』なさいッ!」

Mami「……ッ!」

Mami「な、何を……!?」

ほむら「うおォォォアアアア゙ア゙ァァァァァァッ!」

Mami「バ、バッド・カンパニー!もっと!もっと撃つのよッ!」


喉が潰れるくらいの大声をあげながら、ほむらはずらぼろの脚で地面を蹴った。

肉や骨、神経が糸に変化し縫い合わって膝を「修繕」する。

立て続けに発砲されながら、筋肉繊維が断たれる度に縫い、骨が砕ける度に編んだ。

一歩、二歩、関節を治しながら接近する。


Mami「バ、バッド・カンパニィィィッ!何とかヤツを倒しなさいッ!」

Mami「撃って撃って撃ちまくるのよッ!何としてでも転倒させてッ!」



953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:50:08.69 ID:JsgoKJgvo

普通、足をすくわれたら倒れまいとする。

あるいは反射的に顔を守るため、仰け反ったり、体を曲げたりする。

突っ込もうとするなら尚更のこと。

そうして体勢を崩した所に、さらに追い撃ちをして脚にダメージを与える。

バッド・カンパニーの一斉射撃で、ほむらを転倒させることが前提だった。

しかし、ほむらは逆にもっと前のめりになり、膝を破壊されながらも走った。

銃弾で千切れそうになる膝の肉と骨と神経を、糸で縫い補修する。

破壊されながら物理的に治療する。

想定外のことだった。予定が狂った。

このまま近づくようであれば、ティロ・フィナーレが間に合わない。

リボンや銃を再生成する暇はないと判断したMamiは、

がむしゃらにバッド・カンパニーに攻撃を続けさせる。



954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:51:57.18 ID:JsgoKJgvo

Mami「倒れて……倒れろ!倒れなさいッ!」

ほむら「グッ……く!」

ほむら(も、もう……脚が……)

ほむら「く、ぅ……」

ほむら「届、けエエェェェェェェッ!」


――ドフッ

ほむらは力を振り絞りMamiの胸に飛び込んだ。膝の関節は最早機能しない。

ストーン・フリーの治癒能力よりもバッド・カンパニーの手数が勝った。

ブチブチと音をたて、バッド・カンパニーを束縛していた糸が千切れる。

最早右腕くらいしかまともに動かせる部位のない隻腕のほむら。

唯一の腕でMamiの胸ぐらを必死に掴み、崩れ落ちそうな体を支えている。

解放されたバッド・カンパニーがほむらの背後に集合する。

生き残った銃士隊の全銃口はほむらに向けられた、絶体絶命の状況。



955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:53:08.15 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ふぅ……!はぁ、はぁはぁ……!ぐく……クッ!」

Mami「がふっ……あ、あらあら……甘えんぼ、さんね……抱きついてくるなんて」

Mami「ストーン……フリーの射程……ね……ゲホッ」

Mami「ま、まさか……膝を砕いたのに走ってくるだなんて……」

Mami「前の時間軸で呉さん……もとい、Kirikaの膝を砕いた時は……ちゃんと転倒してくれたのに」

Mami「……予想以上の根性ね。敬意を……表してあげましょう」

Mami「しかし……あなたの体力は……最早限界……」

Mami「バッド・カンパニーを束縛した糸はボロボロに切れていってるわよ……」

ほむら「ハァ……!ハァ……!」

Mami「私のスタンドの弾速……この距離なら、ボロボロのあなたのスタンドパンチよりも速く右腕を断てる」

ほむら「…………」

Mami「床に熱いキッスをさせてから殺すつもりだったけど……どっちみち……私の勝ち……よ!」

Mami「殴ってみなさい……打たせてあげる……!拳が届く前に……殺す」



956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:55:15.91 ID:JsgoKJgvo

ほぼ壊滅状態の銃士隊は引き金に指をかけている。

狙うは……ほむらの延髄と右肩の関節。

Mamiは勝利を確信した。

脳を破壊し、ストーン・フリーの姿が見えなくなった瞬間に喰う。

喰って完結。


ほむら「…………」

Mami「…………」

Mami「何よ……その不敵な表情は」

ほむら「…………」

Mami「何故そうも不敵な目ができるの?」

Mami「私の知ってるあなたなら涙をポロポロ流しながら命乞いをするんじゃあないかしら」

Mami「まぁ……その先入観のせいで私はここまで苦戦をしたのだけれど……」



957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:56:45.07 ID:JsgoKJgvo

ほむら「……たよ」

Mami「……何か、言ったかしら?」


ほむらは呟いた。

血まみれで小刻みに震えるその状態からは想像できないような、力のこもった声でほむらは呟く。

Mamiはほむらの目を見る。その目には敗北の色がない。不敵な目。

メラメラと燃える漆黒の炎を宿しているかのような、それでいて冷静さを兼ね備えた瞳。

何故そんな目ができるのか。Mamiは問う。


ほむら「……あなたよ、と言ったの」

Mami「……私?」

ほむら「あなたがやったのよ」

ほむら「私の左腕は、あなたが吹き飛ばした」

Mami「何……?」

Mami「あなた……何を言っているのかしら……?」




958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 22:59:03.72 ID:JsgoKJgvo

ほむら「あなたがもう一度、私の左腕を撃ち断つことを読んで……」

ほむら「それを『待って』私は……あなたに飛びついたのよ」

ほむら「その妬ましい豊満な胸にね」

Mami「あなたという人は……!」

ほむら「魔法少女は魂さえ無事なら死にはしない」

ほむら「哲学みたいな言い方だけど……魂がある限り肉体は、精神は滅びない」

ほむら「死なないと思い込めば……『これくらい』で死にはしないわ」

Mami「……!」

Mami「な……何……!?」

ほむら「……気が付いた?」

Mami「こ……この『感触』は……!」



959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:01:17.48 ID:JsgoKJgvo

袖の中で、ほむらはの右腕が解けている。

裂けた衣装の合間から見える、糸状のほむらの腕。

その糸の中に、黒い塊が『埋め』込まれている。

それが、Mamiの丁度両胸の間に当たっている。

Mamiは知っている。この硬さと形状を。

前の時間軸の巴マミという概念は、それの正体を知っている。


Mami「ま、まさか……これは……!」

ほむら「前の時間軸で私がこれを使っているの……何度も見てきたわよね」

ほむら「体を糸にして『爆弾』を腕の中に取り込んでおいた。ぬいぐるみの中にスピーカーや盗聴器をしかけるように……」

ほむら「既に……よ。お腹から取り込んでおいた爆弾を……体内で繊毛運動のように腕へと運ぶのは、そう難しいことでなかった」

ほむら「一応、ソウルジェムで一度やったから……布石というか、ヒントは与えてしまっていたけれど……」

ほむら「うまくいったようね。袖の中での作業だったから、左腕を奪ってやっぱり油断したから気付かなかった」



960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:02:38.89 ID:JsgoKJgvo

Mami「あ、あなた……!」

ほむら「既に、私の勝ちは決まった。私が最終的にやりたかったのはこれ……あなたと抱きつくこと」

ほむら「あなたが左腕を吹き飛ばしてくれて……『避難』させてくれた私の『魂』……」

ほむら「爆弾は今!それ以外を吹っ飛ばす!」

Mami「暁美さん……あなたは!まさかッ!」

Mami「や、やめ……!」

ほむら「覚悟はいい?私はできてる」

Mami「バッド・カン――」


右腕からカチリと音が聞こえた。

Mamiは悲鳴をあげようとした。

銃士隊の銃から、エネルギー弾が発射された。

それよりも前に、着弾する前に、

ほむらは体内に埋め込んだ爆弾により『自爆』をする。



961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:03:31.70 ID:JsgoKJgvo

教室に轟音が鳴り響いた。

右腕が高熱と共にはじけ飛ぶ。

炎がMamiの胸と首にかかり、ほむらの顔にぶちまけられる。

ひび割れていたガラスは爆発による空気の大きな振動で砕け、電灯も粉々になった。

ほむらは勢いに飛ばされ、背中を思い切り床に叩き付けた。

水の詰まった風船が破裂したかのように、多量の血が飛び散る。

しかし、死にはしない。

魔法少女は魂をソウルジェムに置換されているというシステムがある。

魂が無事なら余程のことでもない限りどんな負傷を負っても戦える。

強いて言えば脳あたりを守れればいい。

ほむらのソウルジェムは、スタンド同士のぶつかり合いの最中、

Mamiの狙撃により左腕ごと吹き飛んでいた。

ほむらの魂は、爆発の影響を受けなかった。

それがほむらの策。力ずくという言葉を好きになるしかない。



962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:05:10.47 ID:JsgoKJgvo

ほむら「ゲホ……ごぼっ……!」

ほむら「い、糸で……」

ほむら「糸で……ス、ストーン・フリー……!」

ほむら「傷を……『縫う』のよ……!」

ほむら「ぐ……グフッ!うぅ……くっ!」

ほむら「なるほど……結果的には……予告通り……」

ほむら「今の爆弾で……私の胸が……グッ……」

ほむら「風穴とは言わないにしても……がっつり抉れたわ……思い通りに……ゲボッ」


ほむらの体表……その殆どが血の赤で覆われている。

右腕は当然バラバラに吹き飛んでしまった。

上腕と肩や頬の肉も抉れ、爆弾の破片が喉にめりこんだ。

顔の肉が抉れて醜い顔になっていることだろう、とほむらは思った。

裂けた肉同士を繋げ、別の部位から寄せ集めた『肉の糸』を使って吹き飛んだ部位を編む。



963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:06:02.00 ID:JsgoKJgvo

ほむら(この能力のおかげで傷を物理的に小さくできる……)

ほむら(故に……元々不得意な治癒魔法も……簡単な処置で済む。魔力の節約にもなる……)

ほむら「しかし……やれやれ、だわ」

ほむら(如何せん……傷を縫う肉の糸が少ない……)

ほむら(太りたい訳ではないけど、私の肉の少なさには心底うんざりする)


『肉の糸』が明らかに足りないため、ほむらは一部の内臓も糸にして使用した。

胃が頬を縫い、肝臓が肩を作った。

――自分がもし魔法少女でなかったら、

肉も内臓もその気になれば再生できる体でなかったら、

こんな無茶な真似はできなかっただろう。

ほむらはそう思った。




964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:06:48.57 ID:JsgoKJgvo

ほむら「はぁ……はぁ……」

ほむら「くっ……」

ほむら「……あ、後は……ケホッ」

ほむら「グリーフシードで……浄化で……」

ほむら「…………」

ほむら「……さて、と」

ほむら「使い魔……」

ほむら「私はこの通り……元気ピンピンだけど……」

ほむら「まだ、生きていたのね。あなた」

Mami「…………」

ほむら「こういうしぶといのは嫌いじゃないわ」



965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:08:48.02 ID:JsgoKJgvo

ほむらはMamiを葬るために、髪飾りのソウルジェムを破壊するために、

爆弾をMamiの胸に押しつけて爆発させた。

そのためにMamiの首は千切れ、頭と胴体が二分していた。

それらは黒い煙を、火を消したロウソクの煙程度の量出している。

しかし、結果的に肝心のソウルジェムは無事だった。

偶然だった。計算では爆発した後のことまでは読めない。

Mamiの生首は、ゆっくりと瞬きをしている。

死にかけてはいるが、殺せていない。


Mami「気にすることは……ないわ」

ほむら「…………」


ほむらの脳に言葉が聞こえる。

いつも聞く、テレパシーの声だった。

声は出せないらしい。



966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:09:53.24 ID:JsgoKJgvo

Mami「もう……テレパシーするだけで精一杯……歩兵一人も動かせない……」

ほむら「でしょうね」

Mami「まさか……あなた……」

Mami「そんな……『自爆』するなんて」

Mami「私自身……一瞬のことで、何が何だか……よくわからない……」

Mami「私は……私は何故負けたの……?」

ほむら「おさらいしたいの?」


鼓膜が機能しているのかわからないため、ほむらもテレパシーで応じる。

ほむらは削った内臓を魔力で再生しながらMamiに教えることにした。

治癒と、体力を回復させる時間稼ぎも兼ねている。



967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:12:49.86 ID:JsgoKJgvo

ほむら「結論から言うと……私は左腕、もといソウルジェムを放棄してあなたに突っ込んだ」

ほむら「あなたが私の左腕を撃つことはわかっていた……」

ほむら「むしろ、撃たせるためにバッド・カンパニーを捕縛し殴ってたと言ってもいいでしょう」

ほむら「過程はどうあれ、私は自爆するために左腕を『避難』させるつもりだったのよ」

ほむら「あなたが予告してくれた時『よっしゃ』と思ったわ」

Mami「…………」

ほむら「そしてあなたは予告を遂行するために、バッド・カンパニーの標的を私に向けたままだった」

ほむら「私は足の負傷も糸で治療しつつ、右腕に埋め込んだ爆弾と共に意地でもそのまま接近し、自爆した」

ほむら「ソウルジェムはあなたに吹き飛ばされたから……ソウルジェムさえ無事なら安心して自爆ができる」

ほむら「あなたは私の胸を撃ち抜くと予告したから、予定通りにやろうと執着したから負けた」

Mami「……だ、だったら……!」

ほむら「もし、そのまま左腕のソウルジェムを撃ち砕いていればと思った?」

ほむら「でも残念。あなたが予告通りのことをしないパターンも考慮しておいた」



968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:14:14.25 ID:JsgoKJgvo

ほむら「左腕は吹き飛ばされた時点で『変形』させていたのよ」

ほむら「あなたは突っ込んできた私に気を取られて気付かなかったようだけど……」

Mami「へ、変、形……?」

ほむら「そう。こうやってね」


ほむらの左腕の断面から糸が伸びる。

その糸の先と到達点が結びつく。

切断された左腕を、糸を戻して回収。

ストーン・フリーは相手を殴ることも得意だが、

裂けた体を縫ったり、切断された部位を繋ぐことも得意とする。

肉の糸で筋肉繊維同士神経同士を繋げ合わせることを知ったのはつい最近のこと。



969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:17:22.26 ID:JsgoKJgvo

Mami「……!」

ほむら「『既に』よ。既にこういう工作をさせていただいたわ」


回収された左腕、正確には左腕だった物は『球の形状』をしていた。

ほむらは治癒したばかりの右手の指でそれを突いてみせた。

かなりの硬さがあるらしく、コツコツと音がする。

『これ』がほむらの左手。

コルクに糸を何重にも巻き付けた野球の硬式ボールの中身のように、

ソウルジェムに肉の糸を何重にも巻き付けた硬い球状の肉。


ほむら「結構な硬度でしょう?」

ほむら「左腕の体積全てが糸となって巻き付けたから……結構な大きさと重さがあるわ」

Mami「……なるほどね」

Mami「左腕の糸で……魂の防御を……」




971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:18:12.32 ID:JsgoKJgvo

ほむら「あなたのスタンドは一体一体の攻撃が小さい」

ほむら「だから左腕がこうなった以上……」

ほむら「仮に撃たれたとて、ソウルジェムまではなかなか行き届かないわ」

ほむら「あなたのマスケット銃で撃たれたら貫通するかもしれない」

ほむら「でももとより、左腕の球を撃つために二丁目の銃を生成するような……」

ほむら「そんな暇はなかったものね」

ほむら「だからどうでもいいわよね」

Mami「……そうね。愚問だったわ」


Mamiの生首はにやりと笑った。

自嘲の微笑。

ほむらは続ける。



972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:19:25.54 ID:JsgoKJgvo

ほむら「あなたが左腕を吹き飛ばすことはわかっていた」

ほむら「例え一度吹き飛ばした際に痛い目を見ても……あなたは私の左腕を吹き飛ばさざるをえなかった」

ほむら「だから私は、敢えて腕を差し出すという、当然の選択をした。バッド・カンパニーの数も減っていたしね」

ほむら「なんであろうとも……ソウルジェムのない私はただ爆弾を持って特攻すればいい」

ほむら「勝利には、常に相手の一手も二手も先に進まなければならないし、保険をかけられればさらに良し」

ほむら「もっとも私は元々そこまでクレバーではないから……」

ほむら「もう少し時間があればもっとまともな方法はあったかもしれないけどね」

ほむら「でもどっちみちあなたに勝利はない。体力的にも精神的にも、そして性格的にもね」

Mami「………………」

Mami「ふふ……ふふふ」

Mami「なるほど……ちょっと悔しいけど……認めざるをえないわね」




973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:21:05.50 ID:JsgoKJgvo

Mami「私の『完全敗北』よ。おめでとう」

ほむら「それはどうも」

Mami「……ねぇ、暁美さん」

ほむら「……何かしら」

Mami「私は……前の時間軸の巴マミ……つまり、眼鏡っ娘のあなたを知っている……」

Mami「このMami……アーノルドの使い魔ではあるけど……巴マミとしての記憶もある……」

Mami「だから後輩であるあなたへの愛もある。ゆまちゃんと『私自身』を殺しといて何を言ってるんだとは思うだろうけど……」

Mami「あなたの五分間だけ待ってという交渉も……そういう理由で聞いたと言ってもいい……別にただの負け惜しみと思ってくれて構わない」

ほむら「…………」

Mami「実を言うとね……私、嬉しくもあるのよ」

Mami「成長したあなた、強くなったあなたを見ることができて」

Mami「内向的で、自分に自信を持てなかったあなたが……この私を……超える瞬間」

Mami「人間をやめた、後輩と戦うことへの躊躇のない、使い魔となった、Mamiが考える最高のポテンシャル。そんな私を超えたその瞬間に立ち会えて……」



974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:22:25.42 ID:JsgoKJgvo

Mami「あなたの成長に敬意を表して……ちょっとしたアドバイスをあげる……」

Mami「Kirikaのスタンド……『クリーム』についてよ」

ほむら「…………」

Mami「クリームは私の知る限り究極のスタンド」

Mami「その対処法……と言っても、私が一度使っただけのものだけど……」

Mami「役に立つかは知らない……Kirikaは既に対策してるかも。でも、それをあなたに……」

ほむら「……それを私に教えると?」

ほむら「巴さんの姿をしているからと言って、使い魔の言葉を信用すると?」

Mami「私はただあなたに助言をしたくなっただけ……私の教えることを、どう解釈しても構わない。使おうが、使わなかろうが……」

Mami「……別にクリームに殺された腹いせってわけじゃあないのよ」

ほむら「……そう。それじゃあ、聞いておこうかしら。一応」

Mami「賢明ね。……まず、私は――」



975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:23:51.14 ID:JsgoKJgvo

ほむらは、頭だけとなったMamiが一瞬だけ「巴さん」に見えた。

しかし、すぐに「巴さん」を侮辱していると考え、思い直す。

同じ概念であると言えど、目の前にいるのはあくまで自分の敵。

憎むべき敵。本物の巴さんの仇。ゆまちゃんの仇なのだ。

今、クリームと対峙した際の話をする巴マミという概念は、

これから殺すのは使い魔。偽物に過ぎない。


Mami「……こんな、ところかしら。有力情報だったかしら?」

ほむら「ぼちぼちね。話している間にも傷は完治したし」

Mami「あぁ、そう……ちゃんと聞いてた?ふふ。別にそれでもいいけどね」

Mami「ねぇ……暁美さん」

Mami「最期に……一つお願いしてもいいかしら。情報提供の報酬として……お情けちょうだい」

ほむら「……何かしら」



976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:24:26.42 ID:JsgoKJgvo

Mami「私を殺す際……」

Mami「『さようなら、巴さん』って言ってほしいの」

Mami「たった一言、そう呟いてから殺して」

ほむら「…………」

Mami「あなたにとってはくだらないことかもしれない」

Mami「あるいは……巴マミという概念を侮辱する行為かもしれない」

Mami「でも前の時間軸の概念でもある、私にとっては……」

Mami「とっても重要なこと。だから……どうか、お願い」

ほむら「…………」

ほむら「……わかったわ」



977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:25:36.53 ID:JsgoKJgvo

ほむら「さようなら。……巴さん」

Mami「……ありがとう」

Mami「もう、話すこと話したわ」

Mami「それじゃ、どうぞ……殺してちょうだい」

ほむら「……ストーン・フリー」

Mami「悔いはないわ」

Mami「私は、成長したあなたと出会うために使い魔として産まれ変わったの、かもしれない……」

「オラァッ!」

Mami「……さよ……なら。ほ……む……」


ストーン・フリーは髪飾りのソウルジェムを打ち砕いた。

Mamiの頭が黒い煙となって消えていく。「残骸」も同様にして消えた。



978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:26:37.15 ID:JsgoKJgvo

ほむら「…………」

ほむら「……くっ」


足に力が入らない……。膝を……ついてしまった。

……傷は完治したが、体力的な疲労が癒えているわけではないからだ。

決して、巴さんの姿を殺したことに後ろめたさを感じているわけではない。

使い魔ごときに敬意を抱いているわけなんか決してない。あり得ない。

ただただ疲れただけだ。感傷の類は一切ないんだ……。

ほむらは自分に言い聞かせる。


ほむら「…………」

ほむら「決着ゥゥ―――――――ッ!」


ほむらは、勝利した。

不意に大声を出したくなり、思い切り叫んだ。

悲しみもなければ達成感もない。

何も残すもののない虚しい勝利宣言だった。



979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:27:35.08 ID:JsgoKJgvo

バッド・カンパニー 本体:Mami

破壊力-B スピード-B 射程距離-B
持続力-B 精密動作性-B 成長性-B

銃を持った小さな歩兵百体の群体型のスタンド。その性質は「統率」
兵隊は狙撃か銃剣で刺すといった攻撃をする。一体一体の力は弱い。
組織を結成したいという欲求と、几帳面な性分が反映したとされる。
ちなみに群体型スタンドの所有者は心に決定的な欠落があるらしい。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:44:32.28 ID:JsgoKJgvo

#26『未来へ立ち向かう力』


Yumaという使い魔を倒したさやかは、

きょろきょろと辺りを見回しながら廊下を歩いている。

途中で魔女に会うならそれはそれで構わない。

スタンド使いの使い魔でも構わない。

何故なら、自分にもスタンドがあるためである。

レイピアを持った、銀色の甲冑のようなスタンド。

名前は既に決めてある。


さやか「うーん……どこに行けばいいんだろう」

さやか「みんな無事かな」

さやか「仁美は避難できたかな……」



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:45:21.97 ID:JsgoKJgvo

テレパシーで呼びたいのは山々だけど……。

ほむらはあたしを助けてくれた。それはつまり、現在絶賛バトル中って可能性が高い。

杏子とキリカさんは今何してるかわからない。

下手に呼びかけて邪魔するような……KYな結果になったら嫌だ。

それに……考えたくないことだけど……あり得ないことではないけど……

呼ぶのが怖い。

もし杏子やキリカさんに呼びかけて返事が返ってこなかったなら……

シーンとした静寂だけだったらって思うと……それが恐ろしい。

負けるはずがないって思うと同時に、もしかしたらって思うと……

だから呼べない……。

万が一があったら……受け入れられるか断言できない。



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:45:58.80 ID:JsgoKJgvo

――敵は後、何体いるか。

不安な気持ちを紛らわすために、さやかは考える。

ほむらから聞いた情報。

前の時間軸でほむらが知っているスタンド使い。

まどか、自分、マミ、杏子、ゆま、織莉子、キリカ、

恭介、仁美、M市の魔法少女。

M市の魔法少女がアーノルドになったという。

そして、迷宮化した学校は元に戻っている。それはHitomiが死んだということを表す。

つまり、それらの内この時間軸で使い魔として産まれ、

さやかがわかる範囲で存在しない概念は――

杏子、織莉子、仁美、ゆま、M市の魔法少女……

もとい、シビル・ウォー、リトル・フィート、ティナー・サックス、キラークイーン、水を熱湯に変えるスタンドである。

あくまでほむらが知っている範囲であるから他にもいるだろうけど……と、さやかは思った。



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:46:42.59 ID:JsgoKJgvo

さやか「…………」

さやか「……ティナー・サックスとやらがいなくなったのはいいけど……参ったな」


アーノルドの結界は空が黒くなるという特徴がある。

しかしティナー・サックスにより、漆黒の空は誤魔化されていた。

空が黒くなっている。

幻覚が消えたためである。

学校を迷宮にしておいて今更誤魔化す必要はあったのか、とさやかは思ったが、

今はそれよりも意識すべきは、この異常性に気付いた一般人のパニックである。

放課後故に人数そのものはそれほどでもないが、

残っていた生徒職員が混乱し、逃げまどっているらしく、騒がしい。

さやかには、どうすることもできない。



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:47:46.35 ID:JsgoKJgvo

「……うっ、ひぐっ」


さやか「……ん?」

「うくっ……うぇっ、ぐすっ」

さやか「……泣き声?」


歩き回っている内に、さやかは図書室の前に辿り着いていた。

内部から、とても懐かしく思える声が聞こえた。

「偽物」はもういないはずなので「本物」である。


さやか「……『仁美』」

さやか「図書室に……逃げ込んだのか」

さやか「…………」

さやか(……化け物、か)

さやか(…………)



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:48:34.61 ID:JsgoKJgvo

逃げ回っている内に、足首を怪我してしまった。

足首を捻り転倒した際、何故か五寸釘が落ちていて……刺さってしまった。

ジンジンと痛み、走れない。

痛みと恐怖に堪えながら、足を引きずり、たまたま近かった図書室に逃げ込んだ。

隠れる場所があるからだ。仁美は本棚の陰に隠れ、すすり泣きながらずっと膝を抱えていた。

突然学校が迷路のようになり、隻腕の子どもに出会った。

その子どもは『化け物』だった。化け物のせいで訳も分からず謎の苦痛に襲われ、

そして親友の姿をした同類であろう化け物が苦痛を消した。

理解が追いつかない。


仁美「うっ、うぅ……うぐっ、ひぐっ……」

仁美「誰か……誰か助けて……お父様……お母様ぁ……」

仁美「もぉいやだよぉ……いやぁ……!」



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:49:56.20 ID:JsgoKJgvo

仁美「死にたくない……ぐすっ」

仁美「死にたくないよぉ……」

「……仁美!」

仁美「!」


体がビクリとする。思わず身構える。

「化け物」と同じ声がした。


さやか「大丈夫!?」

仁美「…………」

仁美「さやかさん……!」


服が違う。『本物』だ。

白と水色の、剣を持った化け物はいなかった。

そこにいるのはいつも見る制服を着た親友だった。



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:51:36.19 ID:JsgoKJgvo

仁美「…………」

さやか「仁美!怪我はない!?」


血が染みたズタボロの制服のせいで、顔や体は血で汚れている。

固まった血で髪はゴワゴワで、ほとんど半裸の自分。

そんな状況の自分に、一切不気味がることなく心配してくれている。


仁美「うぅぅ……」

仁美「……さやかさぁぁぁぁん!」

さやか「うわっと!」

仁美「さやかさん!さやかさん!うぐっ、ぐすっ、さやかさん!さやかさん……!」

仁美「怖かった!怖かったよぉ……!さやかさん……!あうぅ……ひぐっ」

さやか「……仁美」

さやか「……大丈夫!大丈夫だからね!」



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:52:18.76 ID:JsgoKJgvo

仁美は思わずさやかに抱きついた。

寂しく、怖かった。心が救われた気持ちになる。

ハッキリ言って自分の姿は汚い。

しかしさやかは、むしろ抱きしめ返してくれた。

涙と鼻水が止めどなく溢れてくる。

自身の制服が体液で汚れることに一切気に留めていない。


仁美「さやかさん……ぐしゅ、さやかさん……!」

さやか「…………」


仁美……。ごめんね。

変身を解いて接するなんて……

自分を隠すなんて、ずるいよね。

だけど……あたしも怖かったんだ。

魔法少女の姿で会って、あんたに怖がられるのが……。



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:53:49.56 ID:JsgoKJgvo

何分くらい経ったか――

あるいは長く感じただけで実際には数十秒しか経っていないかもしれない。

仁美はずっとさやかを抱きしめていた。

さやかはそれに応え、強く抱きしめ返していた。


さやか「……落ち着いた?仁美」

仁美「…………」

さやか「……仁美?」

仁美「…………んぅ」

さやか「…………」

さやか「……あはは、寝てらぁ。こいつ」

さやか「安心……したんだね」

さやか「こんな状況で寝れるなんて……あんたもあんたで肝が据わってるよ」

さやか「…………」



12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:56:05.30 ID:JsgoKJgvo

仁美は体力的にも精神的にも疲労困憊の状態にあった。

不可抗力で肌を露出していたためか、さやかの体温をより感じることができた。

安心感、柔らかい感触と、温かい心地。

瞼を閉じたらいつの間にか意識をなくしてしまった。

すぅ、すぅ、と寝息を立てている。

普段はほむらと別のベクトルで落ち着いていて、

中学生にしては大人びた性格と態度をしている。

しかし、今の仁美は母親に抱かれた幼子のように、

安らかで庇護欲をかきたてられるような寝顔をしている。

さやかは、仁美の足首を手で触れる。魔力を与え、傷を治すために。


さやか「仁美は……」

さやか「……仁美は渡さないからな」



13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:57:13.30 ID:JsgoKJgvo

さやか「あんたが『アンダー・ワールド』なんだね」

「…………」


『そいつ』は全長約2m。顔があり、肩があり、四肢がある。

左右の、目があるべき部分からゴムチューブのようなものが生え、

背中にかけて伸びている。悪趣味な魔改造をされたマネキンのようだった。

さやかは立ち上がり、制服の上着を脱ぐ。

脱いだ制服を寝息をたてている仁美にかけ、変身した。

さやかは剣先を、魔女アーノルドのスタンドに向けた。

アンダー・ワールドは機械音声のような声で喋る。


「アト一匹で……モウ一匹産メルんダ。折角ダカラ」

さやか「……このドグザレが」



14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:58:03.20 ID:JsgoKJgvo

こいつを殺せば……全てが終わる。

こいつを殺せば……今までに死んだ人たちの仇がとれる。

マミさん、恭介、他たくさんの人々。

みんなの魂の名誉のためにも、こいつは殺さなければならない。


さやか「あたしのスタンドで……針串刺しの刑に処してやる」

「…………」


さやかの姿がブレ、銀色の甲冑が現れる。

さやかのスタンドはレイピアを構える。

このレイピアは突くだけでなく、斬ることもできる。

剣の達人のスタンド。

二種の剣が、スタンドを狙う。



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:59:19.61 ID:JsgoKJgvo

このスタンドには表情というものがない。

アンダー・ワールドは淡々と話す。


「アンダー・ワールド……僕ノ『本来』の能力ヲ……知ってイルノカイ?」

さやか「……本来の能力?」

さやか「そんなもん、知る前に刻んでやる」

「イイヤ……僕モ死ヌ訳ニャイカン……」

さやか「奇遇だね。あたしも殺させる訳にゃいかないんだよ!」


アンダー・ワールドはその場でしゃがみ、床に手で触れながら喋る。

銀色の甲冑はレイピアを、さやかはカットラス風の剣を構え、

諸悪の根元に一歩分近づいた。



16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/30(土) 23:59:57.30 ID:JsgoKJgvo

『魔法武器が何でできてるか知らねーけどよぉ……』

さやか「……は?」

さやか「何だ……今の声」

『鋼の融点は……炭素の含有量によってそれは下がるが……およそ1600℃くらいだそうだ。学校で習っただろう』

さやか「な……!?」

さやか「あ、あんた……い、いつの間に……!」

「僕の能力ダ……地面……モトイ『床の記憶ヲ掘リ起こしタ』……ツイサッキのコトサ!」

さやか「……『杏子』ッ!」


赤銅色のポニーテールをした、魔法少女がそこにいる。

しかし、実際ここにいるわけではない。

図書室で使い魔を対峙していた『少し前』の「佐倉杏子」の事実。

過去の事実を掘り出す。それがアンダー・ワールド本来の能力。

その能力が魔女の力と共鳴した結果が、ヴェルサスという使い魔群である。



17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:04:04.23 ID:/o0UpxMNo

『今からあたしは2000℃の炎であんたを燃やしてやる!』

『あんたをスタンドごと体ごと焼き尽くす!』

さやか「杏子が……ここにいたんだ……!これは杏子の過去!」

さやか「それに……す、スタンドだって!?」

さやか「杏子もスタンドに目覚めたのか!」

さやか「くそぅ!一番聞きたかった声をこんな形で聞くことになるとは……!」

さやか「――ハッ!や、ヤツはッ!?」

さやか「し、しまった!気を取られて……!」


アンダー・ワールドは消えていた。

佐倉杏子がいた事実を掘り起こしただけで去っていった。

アンダー・ワールドは戦闘向きのスタンドではない。

加えて、既に結界を維持するためにスタンドエネルギーを使っている最中でもある。

圧倒的に不利だったため、逃げた。


さやか「逃げられたか……」

さやか「こ、『これ』はどうすればいいんだ!?」



18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:04:50.79 ID:/o0UpxMNo

『そんなの、佐倉杏子が許さん!』

さやか「う、うぅ……!」


佐倉杏子の事実は片膝をつき、祈るような手の形を作った。

顔が清らかに見えた。普段の態度からは想像もできない。

そして背後にいる『鳥人型スタンド』は構える。


さやか「な、なんだ……!空気が……」

さやか「暑い……いや!熱すぎる!」

さやか「これは……!」

『クロス・ファイヤー・ハリケーン!』


それは『炎』だった。

『佐倉杏子が操る炎のスタンドが、美樹さやかという概念を焼いた』

――という事実が襲いかかる。



19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:05:28.56 ID:/o0UpxMNo

赤色のスタンドは両手を交差して炎の塊を生成した。

その炎は巨大な『十字架』の形をしている。

炎の塊が迫れば迫るほど、空気が熱くなる。

その勢いに、さやかは気圧された。

まるで炎上している納屋に放り込まれたかのような恐怖心。


さやか「こ、これは!ヤ、ヤバイ!」

さやか「この炎!ヤバすぎる!」

さやか「し、しかし……!」

さやか「ここで避けたら仁美が……!」


仁美は、寝苦しそうに眉を潜めている。暑いからだ。

ここで横に避ければ、その炎は仁美に衝突する。そういう軌道。

加えて下手に目を覚まさせてこの姿を見せるわけにはいかない。



20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:07:11.24 ID:/o0UpxMNo

さやか「…………」

さやか「そうか……杏子は炎のスタンドか」

さやか「家族を火事で亡くしたって聞いてたのに……」

さやか「克服したんだね。杏子。過去を……」

さやか「だったら、あたしもこんなところで臆病風に吹かれてる場合じゃあないね」

さやか「気合入れろよぉ~……あたしのスタンド!」


銀色の甲冑はさやかの目の前に立ち、身構える。

十字架型の炎を、スタンドで『受け止める』つもりでいる。

炎を受け止めて、仁美を守る。

スタンドが傷つくと本体にもダメージが及ぶ。

さやかの体はただでは済まないだろう。

しかし、逆を言えば……本体にダメージを受けるとスタンドも傷つく。

それのさらに逆を言えば――



21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:08:15.44 ID:/o0UpxMNo

十字の炎がさやかに迫る。

まず熱風がさやかを包み、次いで灼熱が襲う。

2000℃の炎がやさかとスタンドを覆った。


さやか「ぐぅぅあああぁぁぁぉぉぉぉぉッ!」

さやか「よ、予想以上……だ!予想以上のエネルギー!」

さやか「し、しかし……!銀色の!」

さやか「あんたの火傷はあたしが『治して』やる!」

さやか「気合で止めろ!根性で何とかするんだ!」

さやか「仁美を守ってやるんだッ!」


そう!逆を言えば……本体が治れば、スタンドも治る!

例えあたしのスタンドの『防御甲冑』が溶けようとも、溶けるダメージがあたしに及ぼうとも!

あたしが治癒魔法で治れば、甲冑も直るはずだ!


さやかは、数学の授業で似たようなものを聞いた記憶があった。

あの時、数学教諭は裏だか逆だか対偶だか言っていた気がする。



22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:09:54.55 ID:/o0UpxMNo


SayakaとHitomi、二体の使い魔を倒した杏子は、

一切の迷いなく見慣れぬ校内を歩く。

途中で魔女に会うならそれはそれで構わない。

スタンド使いの使い魔でも構わない。

何故なら、自分にもスタンドがあるためである。

炎のヴィジョンをした熱を操る、赤い鳥獣の亜人型スタンド。

名前は既に決めてある。


杏子「……この廊下の先に誰かいるな」

杏子「さやかか、ほむらか、あるいはキリカ……」

杏子「……『図書室』だな……そこは確か」



23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:10:51.42 ID:/o0UpxMNo

杏子は「炎」と並行して歩いている。

六つの炎の塊で構成された「それ」は「魔力探知機」である。

風で炎が揺れるように、探知機は魔力の波長を感じ取り、居場所を知ることができる。

炎の揺れ方で、場所に加えてそれが魔法少女か魔女か使い魔かの判別が可能。

「前方」の炎が揺れている。

魔法少女がいる。

これが誰か、考えるまでもない。

この魔力の波長は、絶対に間違えない。


杏子「…………」

杏子「……無事でいてくれよ」



24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:12:26.24 ID:/o0UpxMNo

図書室に辿り着いた。ここに『仲間』がいる。

ついさっき、ここで二匹の使い魔を倒したが……、

まさかこんなすぐに戻ってくるとはな……杏子はそう思った。

そこには、白いマントと青空のような髪をした魔法少女がいる。

偽物の方ではない。「そっち」はもう滅ぼした。

仮に魔女が同一の使い魔を「もう一つ」作れるのなら既にもうやっている。

故に、そこにいるのは偽物なんかではない。


杏子「さやか!」

「……あ!」


杏子は友の名を叫んだ。その声に反応し、さやかは振り返った。

自分の姿をした使い魔は、ほむらとキリカが既に葬った。

即ち、同じ理由で自分の偽物はいないとわかってくれるはずである。



25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:14:42.80 ID:/o0UpxMNo

さやか「あんこ!」

杏子「誰があんこだ!」

さやか「無事だったんだね!」

杏子「ああ」


何やら室内が焦げ臭いのは気になるが、

さやかは無事のようだった。

前髪が少し縮れているのは気になるが、

さやかは温かい気持ちになれる笑顔を見せてくれた。

無傷に見えるが、一応聞いておかなければならない。


杏子「あんたも無事だっ――」

杏子「……!」

さやか「ん?どったの?」

杏子「な……」



26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:16:26.10 ID:/o0UpxMNo

杏子「なんじゃぁぁぁぁ!?」

さやか「うお!?何だいきなり。頭でも負傷したか?」

杏子「さやか!何だよ!あんたの後ろにいるお化けは!」

さやか「お化けェ!?あんたにはこれがお化けに見えんのか?」


気付かなかった。さやかのすぐ側に、半透明の物体がある。

『銀色の甲冑』がある。

まるで高級な博物館から抜け出してきたかのように、ピカピカと光沢を放っている。


さやか「あんたと同じだよ!あたしもスタンドに……」

杏子「さ、さやかもなのか!?さやかもスタンドに!?」

杏子「っていうか何であたしにもスタンドが目覚めたって知ってんだよ」

さやか「いやぁ、ちょっと色々あってね」

杏子「?」



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:19:13.93 ID:/o0UpxMNo

杏子「まぁ、とりあえずお互い落ち着こう……な?」

さやか「杏子が勝手に騒いだだけじゃんか」

杏子「それは言うな」

さやか「いやぁ……杏子にもスタンドが目覚めてたってのは意外だーって思ってはいるけど……なんだろう」

杏子「正直、衝撃が薄いわ。あたし」

さやか「あたしはさておき、あんたもか……」

杏子「……まるで、あたし達がスタンドを持つことが運命で定められているとかそんな感じ」

さやか「あー、わからないでもない。まるであたしのスタンドと杏子の鳥人間が元から友達だったかのような」

杏子「鳥人間言うなこの博物館」

さやか「博物館ンン?甲冑だから?」

さやか「まぁそれはさておき……不思議だね。これが引力ってヤツか」

杏子「は?何が引力だよ。解説しろ」

さやか「引力なら仕方ない」



28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:21:46.63 ID:/o0UpxMNo

さやか「しっかしやれやれだ。自慢してやろうと思ってたのに」

杏子「ほむらならご期待通りのリアクションが期待できそうだが」

さやか「確かに。あのクーデレをビックリさせるのが楽しみだね」

杏子(クーデレって何だ……?外国語か?)

杏子「ところで、あんたのスタンドはどんな能力だ?あたしのは炎のスタンドなんだが」

さやか「あたし?あたしは……うーん。なんだろう」

さやか「……レイピアをすごい巧みに振り回す能力?」

杏子「何じゃそりゃ」

さやか「……あ!じゃあ、レイピアなのに斬れる能力!」

杏子「じゃあって何だよ」

さやか「甲冑がすごい能力」

杏子「何がどうすごいんだよ」


さやかと杏子は互いにあったできごと。

戦った相手。知りうる互いのスタンドについて、

そして倒した敵のことを話した。



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:22:45.43 ID:/o0UpxMNo

杏子「……それにしても」

さやか「ん?」

杏子「何であたしらにもスタンドが発現したんだろうな」

さやか「あたしが知るかっての」

杏子「……本当に、何も考えてないのか?」

さやか「へ?」

杏子「……実は、あたしな」

さやか「…………」

杏子「ある可能性を考えてる」

さやか「……可能性?」



30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:23:19.45 ID:/o0UpxMNo

杏子「……まどかが『契約』したんじゃないか、とあたしは思っている」

さやか「え!?」

杏子「だってよぉ、スタンド発現させる魔女はいないんだぞ」

杏子「ほむらは前の時間軸とやらで発現して、それが継承していると考えるにしても……」

杏子「あたしらが新しく目覚めるなんて考えられない」

杏子「アーノルドにもスタンドを発現させる力がある、という可能性も否めないが……」

杏子「契約が、最も考えやすいんだよ」

さやか「…………」

さやか「まどかは……あたしの親友だ」

さやか「だからまどかのことはよくわかる。あいつは契約なんてしない」

杏子「わからないぞ。人間、窮地に追い込まれれば追い込まれる程わからない」

杏子「最近キュゥべえも見てないしな」

さやか「…………」



31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:24:38.65 ID:/o0UpxMNo

話題を変えたい。そう思った。

さやかは、杏子にある事柄を尋ねる。


さやか「……ねぇ、杏子」

杏子「何さ」

さやか「仁美……どうすればいいかな」

杏子「仁美?……あぁ」

杏子「『こいつ』のことか……息はしてるようだが」

さやか「疲れて寝ちゃったんだ」

杏子「おいおい……こんなとこでよく寝れるな」

さやか「無理もないよ」



32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:25:51.56 ID:/o0UpxMNo

杏子は、制服がタオルのようにかけられ、寝息をたてている少女を指さす。

髪が固まった血でゴワゴワで、失礼だとは理解していながらも、小汚いと思った。


杏子「怪我……してんのか?」

さやか「いいや……。あたしが治したんだ」

杏子「…………」

さやか「仁美を避難させること……できないかな?」

杏子「悪いが……今からこいつを抱えて結界を出てもう一度入ってくるっていう余裕はない」

さやか「それは……わかってるけど……」

杏子「……だが、言えることがある」

さやか「?」

杏子「これだ」

杏子「出せ。あたしのスタンド」



33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:26:56.26 ID:/o0UpxMNo

杏子は鳥獣の亜人型を背後から召喚した。

そして、スタンドは手の平から炎のオブジェを生成した。


さやか「図書室に入ってくる時にも同じの見えた気がしたけど……」

さやか「これ何?」

杏子「これな?簡単に言うと、魔力探知装置だ」

杏子「炎の揺れ方で魔力を探知するんだ。だからあたしは図書室に来た」

さやか「な。なるほどよぉー。何で炎が六つくっついてる?」

杏子「それぞれが上下左右前後を表している」

杏子「で、どうやらこの探知機によると魔女は『屋上』にいるらしい」

さやか「屋上!そんなとこに……!」



34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:29:15.25 ID:/o0UpxMNo

杏子「しかも……使い魔が全員屋上に集まっている。そういう『揺れ』をしてる」

さやか「な、何だって!?ど、どういうことよ!」

杏子「その方角以外に、使い魔か魔女の『揺れ』がないんだ」

さやか「いや、そうじゃなくて……」

杏子「……あたし達がスタンド使いであることが割れたからだろう」

杏子「魔女の護衛に全戦力を注ぎ込むってことらしい」

さやか「……な、なるほど。じゃあ……それって……」

杏子「仁美が使い魔に襲われる心配は全くないとは言えないが……仁美を狙ってる余裕はあっちにはないと思われる」

さやか「……ホッ」

杏子「無責任に安心しろとは言えないがね」

杏子「……さて、今すぐ行きたいのは山々だが……まずやることがある」

さやか「……うん。そうだね」



35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:30:16.13 ID:/o0UpxMNo

――五分くらいは休憩していたいところである。


Mamiを撃破して、その疲労が引きずっている。

しかし生憎その余裕はない。

ほむらは教室を出た。空が黒い以外は違和感のない普通の世界。


ほむら「…………」

ほむら「幻覚が消えている……」

ほむら「と、いうことは……ティナー・サックスを殺した、ということね」

ほむら「……呉キリカはまどかを避難できたかしら」

ほむら「幻覚が消えた今こそ……魔女のところへ行けるはず」

ほむら「どこにいるのかわからないが……」

ほむら「……ひとまず、誰かしらと合流したいところではある」



36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:31:22.02 ID:/o0UpxMNo

ほむらは不安を抱いている。

さやかは助けることができたが、杏子とキリカはスタンド使い相手に渡り合えるかどうか……。

スタンドが見えるのは……スタンド使いの自分だけだからだ。


ほむら「この状況……呉キリカや美樹さやか、佐倉杏子……この三人なら、何やらおちゃらけたことを言いそうね」

ほむら「私も……タフなセリフを吐きたい……」

ほむら「少なくとも美樹さやかには……テレパシー、通じるかしら……?」


『ほむらァァァッ!』


ほむら「きゃっ!?」

ほむら「て、テレパシー……しかも、この声は……」

ほむら『……さ、佐倉杏子』

杏子『おお!通じた!』

ほむら『呼びかけの声が大きすぎるわよ。ビックリするじゃない』



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:32:14.53 ID:/o0UpxMNo

ほむら『それで?テレパシーをしてきて、さらにティナー・サックスの幻覚が解けているということは……』

杏子『ああ。SayakaとHitomiを倒した』

ほむら『……よくやってくれたわ。まさか二体も倒すなんて……』


ホッ、息を吐いた。

ほむらは安堵した。


『あたしはYumaを倒したよ!』

ほむら『……美樹さやか。どうやらキラークイーン相手に生き延びたようね』 

さやか『うん!』

さやか『ねぇ……ほむら』

ほむら『何?』

さやか『……その、ありがとう!』

さやか『あたしを……あたしなんかを助けてくれて』

ほむら『…………』



38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:33:13.64 ID:/o0UpxMNo

ほむら『あなたに死なれても困るからよ……志筑仁美に伝えてもらわなくちゃならないことがある』

さやか『はは……うん。そうだね』

杏子『ほむら。あたし達はあたし達で既に合流している』

杏子『そして調べた結果、屋上に魔女がいることがわかったぜ』

ほむら『屋上……?』

ほむら(……調べたって、どういう意味だ?)

さやか『これからあたし達は屋上に行くつもりだ』

ほむら『わかったわ。待ちあわせをしましょう』

杏子『いや、ほむら。あんたは"体育館"に行け』

ほむら『……なんですって?』

杏子『体育館にキリカがいる』



39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:34:48.35 ID:/o0UpxMNo

ほむら『呉キリカが体育館に……?』

ほむら『……どういうこと?』

杏子『わからん。わからんが……そこにいるんだ』

さやか『体育館に、キリカさんが何故か一切移動せずいる』

さやか『理由はわからないけど……キリカさんは体育館で立ち往生してるっぽいんだ』

ほむら『…………』

ほむら『わかったわ……私は体育館へ向かう』

杏子『おう。あたしとさやかは屋上で、魔女と戦う』

さやか『さやかちゃんとあんこちゃんに任せなさいよー!』

杏子『誰があんこだ!クドいぞ!』

ほむら『……わ、わかったわ』


危険だからやめろと言いたいところだが、声の調子でわかる。

止めても無意味だ。ここは何も言わず、二人に任せよう……。



40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:35:39.94 ID:/o0UpxMNo

テレパシーは途絶えた。

二人はこれから、屋上へ行き、魔女アーノルドと対峙する。

全ての元凶――できることなら、加勢したいところではある。

しかし、ティナー・サックスの迷宮で自分がいつの間にか三年生の教室にいたように、

キリカが体育館に誘い込まれたのだとすれば……、

まどかの避難ができなかったとすれば……、

まどかがそこにいる可能性がゼロでない限り、ほむらは行かないわけにはいかない。


ほむら「…………」

ほむら「……体育館」

ほむら「何故、そこで止まっているの……呉キリカ」

ほむら「……動けない理由があるというのね」


ほむらは、駆け足で体育館へ向かった。

動くに動けない理由。一つだけ『心当たり』がある。

それが的中しないことを祈りたい。



41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:36:35.30 ID:/o0UpxMNo

屋上。

さやかは今でも思い出される。

青空の下、今は亡き先輩との初対面の場所。

幼なじみと三人でベンチに座り、弁当を食べた。

暖かい日差しと、爽やかなそよ風。今でも覚えている。

その思い出の場所が、最終決戦の舞台だ。

空はベタ塗りされたかのような漆黒。

寒くも暑くもない生温い空気。


その屋上に、さやかと杏子は辿り着いた。

杏子の「探知機」の通り、そこに敵がいた。

ジシバリの魔女アーノルド。

そして、その使い魔の集団。



42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:37:41.22 ID:/o0UpxMNo

『オイ、オイ、オイ……』

『見テヨ。アノヒョロイガキ共、ヤル気ダヨ』

『困ッタネ。"アノコ"は今イナイノニ』

『ボクは戦闘タイプのスタンドジャないカラネ』

『アト一匹喰エテレバなぁー』


ジシバリの魔女、アーノルドの横に立つ人型のエネルギー像。

アンダー・ワールドはそう言った。

アンダー・ワールドと魔女を庇うように、既に何体かの使い魔が戦闘態勢をとっている。

スタンド使いが主を全力で護衛する。

そこに、赤と青のスタンド使いが対峙する。



43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:38:21.43 ID:/o0UpxMNo

杏子「あいつを殺せば全てが終わるんだな……」

さやか「そうだね。見えるよ。あれがアンダー・ワールド」

杏子「あいつら全員スタンド使いだぜ」

さやか「そうね……こりゃ骨が折れるよ」

杏子「……逃げるなら今の内だぞ?」

さやか「バカ言わないでよ」

杏子「そうかい」


杏子は、さやかに右拳をつきつけた。

さやかはその意味を悟る。

左拳を、杏子の右拳にコツンとあてる。


杏子「勝ったらうまい飯でも奢れよ」

さやか「断る!」



44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:40:26.15 ID:/o0UpxMNo

杏子は思う。


これで……下手したら三度目になるかもしれない。

あたしの大切な存在を失うのは……な。

でも、さやか。今のあんたは強い。スタンド使いだ。

そしてあたしもスタンド使い。

自信過剰は御法度なことだが……とても気が楽だよ。

……なぁ、さやか。あたしはあんたと友達になれて、正直、心が満たされているという感じがある。

これから、ずっと一緒にいてくれる人ができたと思えて……いや、思うじゃない。

これからもずっと一緒なんだよな。さやか。

あんたといると……誇り高い気持ちになれるんだよ。あんたは希望。

あんたは一生かかってもマミの代わりにもゆまの代わりにもなれない。

さやかはさやかだからだ。あたしが大好きになったさやかなんだ。



45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:41:24.20 ID:/o0UpxMNo

さやかは考える。


この戦いで、杏子にもしものことがあったら……何度目になるだろう。

杏子を……あたしの大切な存在を失ったりするのは……そういう可能性、ないこともない。

あるいは……あたしが死ぬこともありえるんだ。

でも、あたし達は強い。負ける気がしない。気がベリッシモ楽だね。

……杏子。あたし、あんたと友達になれて嬉しいと思ってるよ。

あたしは……マミさん、恭介、たくさんの大切な人を失って、

失意のどん底の中、これからもずっと一緒にいてくれるって言ってくれてさ……。

杏子は恭介の代わりにもマミさんの代わりにもなれない。

杏子は杏子だからね。あたしの新しい嫁だ。まどかはほむらに取られちゃったようなもんだし。

……自分で言うのも何だけど、こういうこと考えると死亡フラグみたい。

スタンドがある以上……そうはいかねーけどね!フラグはへし折るもの!



46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:41:50.83 ID:/o0UpxMNo

ジシバリの魔女、アーノルド。

犬のような姿をした魔女は、首から溢れる粘液を撒き散らしながら牙を剥く。

上条恭介の姿をした使い魔、童女や少女、青年や中年といった人間型の使い魔が集まる。

全てスタンド使いである。前の時間軸に死んだ概念。

その中の一体、松葉杖をついている少年の姿がそれらのセンターに位置している。


Kyosuke「さやかのおかげで僕はこの通り……左腕が自由になった」

Kyosuke「どうせなら脚も治しといてくれればよかったのに……それはまぁいいとして」

Kyosuke「さやかは『彼女』の仇だ。ハーヴェストで目玉を抉ってやろう」

「イーかい、今ハ、君ガ、リーダーナンダ。僕達を守ッテオクレヨ」

「Mamiチャンが死ンデ、臨時のリーダーヨ」

Kyosuke「任せてよ……『母』さん」

Kyosuke「それにしても……」

Kyosuke「親孝行が死んだ後にできるとは思わなかったね。全く」



47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:44:00.00 ID:/o0UpxMNo

さやか「さぁ、あたし達の、新しい領域……」

杏子「未来へ立ち向かう力……『スタンド』を見せてやる!」

杏子「ところで、そこにいるのはあんたの好きな坊やの姿だが……」

杏子「斬れるのか?」

さやか「し、心配性だなぁ……大丈夫だよ」

杏子「どうだかねぇ……あんたは『アレ』のために魔女になってんだぞ」

さやか「べっ、別の世界は別の世界!今は今!」

杏子「スタンドがなければどっちみち『アレ』のせいで魔女になってただろうがね」

さやか「うるせぇうるせぇ!とっととスタンドを出しなさいよ!」

杏子「あいあいさー」



48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:44:43.05 ID:/o0UpxMNo


二人は、自身のスタンドに名前をつけた。


杏子はマミから与えられた技の名前、ロッソ・ファンタズマ……『赤い幽霊』からヒントに、

亜人型のスタンドに「赤」という色を使うことにした。

そして……ゆまの生前のことだった。

杏子はゆまに初めて魔法を見せた時、ゆまはこう言った。

「手品みたい!キョーコすごい!」

ゆまが死んで以降、あの時の笑顔はいつでも思い浮かばれる。

このスタンドの能力は炎を自在に、それこそ魔術師のように操ること。

手品と魔術師ではニュアンスは違うが、英語では同じである。

過去を受け入れ未来へ雄飛する決意の名前は、それらから取ることにした。



49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:45:32.39 ID:/o0UpxMNo

さやかは、銀色の甲冑という特徴から「銀」という色を使うことにした。

杏子と友達になったあの夜、キリカからほむらの過去を聞いた時のことだった。

自分は魔女になると、巨大な車輪のようなものを投げつける攻撃をするらしい。

「どういう理由で車輪なんだ。車椅子とかそこら辺か?CDなんかはちょっと近いかな?」

と、さやかはその時思った。

そこで、スタンドの名前は銀と「車輪」から取ることにした。

このスタンドは、そういう魔女にならないという誓い。と、さやかは考えるようにした。

かつてテレビで見た「アレキサンダー」という映画を連想した。途中で寝てしまったが。

それに登場した『戦闘馬車』が、戦士と車輪の組み合わせに丁度良いと思った。

消耗した精神を持ち直した克服の証の名前は、それらから取ることにした。




50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:47:32.41 ID:/o0UpxMNo

スタンド使いであり、魔法少女の二人は、

自身にとっては全ての元凶である、ジシバリの魔女アーノルド。

そしてそのスタンド使いの使い魔群、ヴェルサスに対し、

仇を打ち砕くために己の精神力を高ぶらせる。

過去を受け入れた杏子。

恐怖を乗り越えたさやか。

互いが互いの精神力を高め合う。

今の二人は、どんな敵が相手でも……ワルプルギスの夜だって倒せる――そう、思っている。

初めてその名を呼ぶスタンドと共に、

二人は、同時に敵勢に突っ込んでいった。


杏子「マジシャンズレッド!」

さやか「シルバーチャリオッツ!」



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 00:48:33.82 ID:/o0UpxMNo

マジシャンズレッド 本体:佐倉杏子

破壊力-B スピード-B  射程距離-E
持続力-B 精密動作性-C 成長性-B

炎のヴィジョンをした熱を操る亜人型スタンド。その性質は「雄飛」
スタンドの口や手から炎を放出し、形状や温度を自由自在に操ることができる。
本能にインプットされているかのように、炎の扱い方は「何となく」で理解している。
スタンド自体の射程距離は短いものの、炎による中距離攻撃が可能。
火事で失った過去を受け入れ克服したことで、炎の能力を得たのだと杏子は考えている。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


シルバーチャリオッツ 本体:美樹さやか

破壊力-C スピード-A  射程距離-E
持続力-C 精密動作性-B 成長性-B

レイピアを装備し、銀色の甲冑のような姿をしたスタンド。その性質は「克服」
純粋なパワーはさほど強くないが、高速で力強い剣捌きが最大の武器。
甲冑による防御力に、本体の治癒魔法が加わり屈指のタフさを誇る。
失意に陥っていた精神状態、逆境から乗り越えたことでこの能力の素質を孕み、発現した。
それらは他者によって克服したため、他者を思う心が己を雄飛させる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:50:44.51 ID:/o0UpxMNo

#27『もう何があっても挫けない』


キリカ「ハァ……ハァ……!」

キリカ「……何だよっ!」

キリカ「どうなってるんだ!?」

キリカ「どうして私達は『体育館』に来てしまったんだ!?」

キリカ「外に……外に出たかったのに!」

キリカ「体育館に……誘い込まれて……」

キリカ「ど、どうすればいいんだよ……全く!」


キリカは今、力無くぐったりとしているまどかを抱きかかえている。

教室にて、ほむら達と合流しまどかの護衛を任された後、

キリカは和子の姿をした使い魔、スケアリー・モンスターズという能力の使い手と対峙した。



63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:52:13.31 ID:/o0UpxMNo

能力は「恐竜化」と称される「動体視力を身体能力の強化」をするスタンド

キリカはまどかを結界の外へ一秒でも早く避難させたかったため、

時間を遅くする能力を使い、Kazukoの首と切り落とし殺害した。

それを見たまどかは、気を失ってしまった。

使い魔と言えど、担任の教諭の首が飛んだのを目の当たりにしたのだ。

その直前にKazukoから、本物の和子、その他同級生達の死を伝えられた。

まどかは精神的に限界を超え、耐えられなくなり気絶した。

キリカは学校の外へ向かっていた。そのまどかを避難させるためである。

しかし、二階へ行く階段を下ると四階にいて、踊り場が家庭科室となっていた。

教室に入るとそこはトイレで、床にドアがある。

そういった奇妙な光景に飲み込まれてしまっていた。

そして気が付くと、キリカとまどかは『体育館』にいたのだ。



64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:53:13.26 ID:/o0UpxMNo

キリカは今、これまでの人生最大の警戒心を持ち、その場で待機している。

下手に動くと危険であると感じたためである。

これは、Hitomiによるティナー・サックスの幻覚であり、

幻覚の世界にキリカは飲み込まれてしまった。

距離感も、方向感覚も、記憶力も、その他五感の全てで騙された。

幻覚の校内は、本体の死によって既に解けたのであるが、

キリカはそのことを知らない。

状況が理解できていない。

この体育館も、本物かどうか判別ができない。



65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:56:09.94 ID:/o0UpxMNo

キリカ「ヤ……ヤバイ!何かヤバイっ!」

キリカ「本当にここは体育館なのか……?」

キリカ「体育館に見えているだけで……別の場所なのか!?」

キリカ「ここを出てったとて……」

キリカ「次は……次はどこに飛ばされるんだ……!?」

キリカ「う、うぅっ……こ、こうしてる間にも……」

キリカ「何故……何故敵は襲ってこないんだ……!?」

キリカ「私をわざわざどうして体育館に誘い込んだんだ……!」

キリカ「ど、どうしたら……どうすればいい……!」


「呉キリカッ!」



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:57:20.07 ID:/o0UpxMNo

体育館の入り口から、力のこもった声が聞こえる。

振り返ると、そこには黒い長髪をした魔法少女がいた。


キリカ「!」

キリカ「恩人!どうしてここが……!」

ほむら「あなたがここにいるってわかったからよ」

ほむら「まどかを抱えているということは……避難すらできてなかったのね。やっぱり」

キリカ「うぅ……ゴメン。不甲斐ないよ」

ほむら「無理もないわ……ティナー・サックスの術中に嵌ったのでしょう」

ほむら「……まどかは無事でしょうね」


キリカの腕には、目を閉じているまどかがいる。

呼吸はしているが、その表情はどこか曇っている。



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 21:59:54.61 ID:/o0UpxMNo

キリカ「あぁ……この通り、気を失っているだけさ」

キリカ「無理もない。同級生や早乙女先生が死んだって聞いて……」

キリカ「その上私が早乙女先生の姿をした使い魔の首を切り落としたからな」

キリカ「担任の先生の首が飛ぶ様を見たからね……軽くて助かるが」

ほむら「……そう」


ほむらはキリカに歩み寄り、まどかの頬に触れる。

こんな小さな体で、たくさん人の死と出会ってしまった。

つくづく、魔法少女に関わらせたくない存在だ。

ほむらはそう思った。

気絶することで思考を放棄したまどか。

悲しい気持ちになる。



68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:00:37.35 ID:/o0UpxMNo

キリカ「さやかと杏子は?」

ほむら「……魔女と交戦中よ」

ほむら「あなたを助け出して、まどかの避難を確認したら屋上へ向かうつもり」

キリカ「屋上にいるのか……」

ほむら「……それより、ここにあなたの使い魔がいるはずよ」

キリカ「……あぁ、そうなんだろうね……私を誘い込むということは……」


Kirika――スタンド名。クリーム。

愛する織莉子を殺した、憎き使い魔。

織莉子を愛するキリカの概念が、織莉子を殺したという皮肉。

廊下や教室には一つも「クリームの軌跡」はなかった。

まだ校舎内で現れていないということは、ここにいる可能性が高い。



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:01:37.73 ID:/o0UpxMNo

キリカ「あるいは……君を誘き寄せる作戦である可能性も否めなくはない」

ほむら「落ち着きなさい」

キリカ「落ち着いているさ……あぁ。落ち着いてるよ」

キリカ「よく君が来るまで生きていられたもんだと自分でも感心するくらい落ち着いている」

キリカ「何故生かしているのか……アプローチを仕掛けてこないのかはわからないけどさ」

ほむら「時間を止めて逃げること、それ自体は簡単なことだけど……」

ほむら「ヤツをここに足止めさせてアーノルドへの加勢を防ぐという意味でも……」

ほむら「ヤツは私達がどうにかして始末するべき」

キリカ「そう言うと思ったよ恩人」

キリカ「それで……ヤツのスタンドは……どうすればいい」



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:03:38.65 ID:/o0UpxMNo

ほむら「…………」

キリカ「君から聞いた話から判断するに……」

キリカ「『クリーム』はかなりヤバイスタンドなんだよね。大丈夫?」

ほむら「……対策は、ないこともない」

キリカ「本当?」

ほむら「ストーン・フリーッ!」


ピシィィッ

ほむらの手から、糸が縦横無尽に勢いよく飛び出す。

糸はバスケットゴールや天井等様々な場所に結びつき、糸同士は絡み合い、

体育館全体にあやとりのような景色を作り出す。

そして盾からライフル銃を取り出した。




71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:04:34.86 ID:/o0UpxMNo

ほむら「……前の時間軸の巴さんの概念から学んだ、クリームの探知法よ」

ほむら「ただし……躱せるかはわからない」

ほむら「クリームは何かを飲み込みながらでないと移動ができない」

ほむら「しかし今『糸の結界』を張った……あなたには見えないでしょうけど」

ほむら「糸の結界が切れた瞬間。そこがクリームの居場所ということよ」

キリカ「で、でも……糸が切れるということは……」

ほむら「えぇ、私の筋肉も切れる……でもその程度の傷、何てこともない」

キリカ「……それで、その糸の結界とやらで居場所がわかったところでどうするの?」

ほむら「ヤツは暗黒空間という概念に姿を隠しているけど……本体も相手も互いに干渉ができない」

ほむら「だから必ずヤツは……獲物を確認するため、姿を見せてくる」

ほむら「その瞬間を狙撃する。それしかない」

キリカ「……私にはスタンドのことわからないから君に従うしかできない」



72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:05:12.58 ID:/o0UpxMNo

ほむら(そう……これしかない)

ほむら(顔を出した瞬間に時を止めて、狙撃する)

ほむら(しかし……呉キリカという概念、そのソウルジェムは背中側の腰の位置にある)

ほむら(ヤツがわざわざ自分の弱点を外に出すとは思えない)

ほむら(頭を単に撃ち抜くだけでは勝てない)

ほむら(ならば……『エキスプロッシブ弾薬』……弾丸の先端に爆薬が仕込んである炸裂弾)

ほむら(これを喉に撃ち込めれば……この弾薬が爆裂する)

ほむら(爆発エネルギーがKirikaの体内を通れば……暗黒空間の内部に干渉できるかもしれない)

ほむら(今のところ……策はこれだけだ)


ほむらは狙撃銃を構え、天井を見上げる。

糸の結界に注視する。




73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:07:53.87 ID:/o0UpxMNo

「決意」のあるその目、遠くを見る凛々しい表情。

外見から既に、今までの人生で出会った誰もかもを超越した精神力を感じる。

織莉子以外の人間を純粋な気持ちから「一番だ」と称える日が来るとは思わなかった。

「恩人……この精神力なら無事に生き延びる」キリカはそう思った。

そして「勿体ない」と思った。


キリカ「…………」

キリカ「なぁ、恩人……」

ほむら「……ん?」

キリカ「……ちょっと、聞いてもいいかな」

ほむら「何?」

キリカ「ずっと……聞きたかったんだ」

キリカ「君は……本当に、戦うつもりなのかい?」

ほむら「……何?」



74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:09:22.50 ID:/o0UpxMNo

キリカ「こういう時に聞くなって言いたくなるだろうけど……」

キリカ「こういう時だからこそ聞かなきゃならないと思うんだ」

ほむら「だから、何よ」

キリカ「君は……ワルプルギスの夜に、勝てるのかい?」

ほむら「……何が言いたいのかわからない」

キリカ「ワルプルギスの夜がどれほどのものかわからないけどさ……」

キリカ「恩人ほどの実力者が何度も勝てなかったと言うなら……勝機は薄いと思うんだ」

ほむら「……そんなもの、やってみなくてはわからないじゃない」

ほむら「私には、スタンドがいる。ストーン・フリーがいる」

ほむら「新しい武器と新しい力がある。人数は関係ない。希望がある」

ほむら「だから私は諦めない」




75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:11:30.96 ID:/o0UpxMNo

キリカ「…………」

キリカ「そうか……それは立派だね」

キリカ「でも、ワルプルギスを越えたとして……」

キリカ「まどかは『幸せ』にはなれないよ」

ほむら「…………」

キリカ「言いにくいけど断言させてもらう。まどかは幸福にはなれない」

キリカ「巴マミという尊敬する人間が死んだ」

キリカ「早乙女先生は死んだ。私のクラスメートも死んだ。仁美っていう友達はわからないけど……ともかく結果的に、たくさんの人が死んだ」

キリカ「さやかと杏子(私もいるけど)だって今後の戦いでどうなるかわかったもんじゃない」

キリカ「まどかは……人の死を直に感じ過ぎだ」

ほむら「…………」




76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:12:24.31 ID:/o0UpxMNo

キリカ「織莉子やゆまという子ども、私とはそんな関わりがないからさておき……」

キリカ「顔見知りが次から次と死んでしまうんだ」

キリカ「まどかのような優しい性格の少女が塞ぎ込まないはずがない」

キリカ「そんな状態で、彼女は誰かを愛せるのだろうか」

キリカ「もちろん、いつかは時間という万能薬が解決してくれるかもしれない」

キリカ「ただね……まどかにはいともたやすく奇跡を起こせるんだ。全て無かったことにできる」

キリカ「契約さえすれば全てを取り戻せる。無力な自分を変えられる」

ほむら「まどかは自分が世界を滅ぼす魔女になりうるということを知っている。魔法少女の真実を知っている」

ほむら「するはずがない」

キリカ「あぁ、そうだ。しないかもしれない」




77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:14:40.31 ID:/o0UpxMNo

キリカ「それもそうだし……何より契約をしちゃえば君を悲しませることを知っている」

キリカ「さらに君に守られる価値が消えて見捨て……いや、その前に私に殺されるだろう」

キリカ「私が言いたいのはこういう場合『できること』そのものが厄介なんだ。それがさらに彼女を追いつめる」

キリカ「新しい能力を手に入れたのなら、それをもってリセットした方が賢明ではあると思うな。私は……」

ほむら「…………」

キリカ「レイミとか言ったっけ?それもアーノルドも存在しない未来作り……」

キリカ「どっち道、この状態のまどかを救うと言うんじゃもう……ダメだよ」

キリカ「まどかには心の傷が大きすぎる」

ほむら「……何よそれ」

ほむら「文句があるならハッキリと言いなさい」

キリカ「ハッキリ言ってるつもりだよ。私は」



78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:16:07.30 ID:/o0UpxMNo

キリカ「まどかを思うなら、もうチェスや将棋でいう『詰み』なんだ」

キリカ「まどかは君が思っている以上に弱い。第三者の視点だからこそわかる」

キリカ「契約をすれば取り戻せる。契約をしたら君に見捨てられる。しろまるはきっと勧誘をし続ける。契約をしたら私に殺される」

キリカ「仮にさやかと杏子が生き延びたとしても……二人は魔法少女の真実を知っている以上、まどかに『契約していーよ』とは言わないだろう」

キリカ「その気になれば全てを取り戻せる力があるのに……」

キリカ「葛藤とチラつく希望……両者の摩擦ですり減る精神」

キリカ「最早まどかに『日常』はない。いつか壊れる」

ほむら「勝手なこと……言わないで」

ほむら「それじゃあ何よ!一人も犠牲者を出さずに勝てというの!?あなた達がまどかを殺すというのに!」

ほむら「あるいはまどかを魔法少女にさせることを容認しろというの!?まどかとの約束を!私の決意を破棄してまで!」

ほむら「ふざけたことを言わないで!」



79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:16:56.58 ID:/o0UpxMNo

キリカ「……当人でない私だから、所詮勝手なことでしかないさ。時間遡行の苦しみなんて全く想像できない」

キリカ「落ち着いてくれ。激昂する気持ちはわかる。私も君を侮辱する発言だと重々承知の上さ」

キリカ「もし私が君と同じ立場なら、まどかを織莉子に例えれば……」

キリカ「私もきっと……いや、間違いなく織莉子のために単身でもワルプルギスの夜に挑むだろうし、一握りでも可能性があればリセットなんて考えないと思う」

キリカ「そしてこんな感じのシチュエーションで無理だ何だ言われたらふざけんなと言うだろう」

キリカ「しかし、他人事だからこそ、確実な手を取るべきだとドライな物言いができるのもまた事実」

キリカ「君には強くてニューゲームが認められているんだ」

ほむら「…………」

キリカ「……ねぇ、恩人。君のことを否定するようなこと言ったのは謝る」

キリカ「ただ、第三者の意見を言わせてもらえば、わた――」


ガォン



80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:18:53.28 ID:/o0UpxMNo

ほむら「…………」

ほむら「……え?」

ボトッ ボトッ

――何かが落ちた。

見覚えがある。上履きだ。

まどかを抱えていたキリカが立っていた場所。

そこに『円の穴』があいている。

コルク栓を抜いたような穴の縁に、鹿目まどかの上履きが『中身』ごと、二足分。

ほむらは、状況を理解する前に自分の細胞全てが静止したかのような錯覚を覚えた。

理解した。織莉子の時と同じ。


『まどか』と『キリカ』が『たった今』『ここ』で『死んだ』





81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:22:10.33 ID:/o0UpxMNo

「ビンゴォ!飲み込んだぞ!」


後方より、聞き覚えのある……つい先程まで聞いていた、味方と同じ声。

ほむらは硬直した体に力を込め、

ゆっくりと振り返り、その方向を見る。

そこにいた「もの」を見て、足が震え出した。

体感温度が急激に低下し、寒気がする。

髑髏を象ったフードを被ったキリカの上半身が浮いている。

そして、ニヤニヤとした顔をしてほむらを見ている。

それは呉キリカの概念『Kirika』

頭のフードはスタンド『クリーム』


Kirika「地面の中をモグラみたいに飲み込みながら移動していた」

Kirika「なるほど糸の結界か……Mamiから聞いたのか?それとも君が考えたのか……」

Kirika「何にしてもだね、そういうことをされた経験があるんだ。だからそうした。無駄無駄……」



82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:23:35.58 ID:/o0UpxMNo


……う、嘘……?


まどか……?呉キリカ……?

嘘、でしょ……?

まさか……そんな……

『死んだ』……?

クリームに飲み込まれて……

嘘……嘘だ、そんなの……

床の下から……クリームが出てきて……

呉キリカが、抱えられていたまどかが……消えた。

……そんな。

そんな!そんなッ!ついさっきまで、すぐ側にいたのにッ!

あっけなさ過ぎる!




83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:25:27.39 ID:/o0UpxMNo

ほむらは、少なからずとも、キリカに友情を感じていた。

感傷を持たない決意故に、意識して「呉キリカ」と呼び一線を引いていた。

しかし『キリカ』と呼びたかった。できなかった。

後悔した。

……そして『この』まどかと最期に交わした会話。

それはまどかを悲しませるようなことだった。突き放すような言い方だった。

キリカに任せた後、落ち込んでいたまどかに一言も声をかけずに、

そのまま一人で教室を出て……Mamiと対峙した。

まどかに謝りたかった。

突き放すようなことを言ってごめんなさい……と、謝罪をしたかった。

しかしどちらもできず、二人は死んだ。暗黒空間に粉微塵にされた。

防衛のための闘いもできずに、生きることを止められた。



84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:26:20.16 ID:/o0UpxMNo

ほむら「う、うぅぅ……うぁぁ……!」

ほむら「ああああ……!ああ……!」


ようやく声が出るようになった。

糸の結界は精神的動揺によりいつの間にか解除されていた。

無意識的に体が動く。

ストーン・フリーの拳を振るわせ、Kirikaに特攻する。


ほむら「うぅぅぅおおおおおあああああああああッ!」

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

Kirika「おっと危ない」

ほむら「ああああああああああああああッ!」

「オラオラァ!オラオラオラオラオラオラオラ!」



85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:27:53.27 ID:/o0UpxMNo

Kirikaは体重を後背に置き、暗黒空間に身を隠す。

ガォンッ!

ストーン・フリーの左拳がその暗黒空間に飲み込まれ、粉々になった。

同時にほむらの左手がバラバラに分離していく。

血を吹き出し、細く白い指が宙を舞った。

甲に埋め込まれているソウルジェムが宙に浮く。


ほむら「あああああああああッ!」

ほむら「ス、ストーン・フリー!」


手首から糸を伸ばし、床に落ちる前にソウルジェムを巻き付ける。

糸でソウルジェムを包み、左手を『編ん』で修復した。

スタンドの左手も治る。



86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:28:36.39 ID:/o0UpxMNo

ほむら「ハァ……ハァ……!」

ほむら「そんな……そんな……!」

Kirika「……ふふ」

ほむら「ま、まどか……!呉……キリカ……!」


ほむらの心に、絶望の感情がハッキリと浮かんだ。

目に涙を浮かべ、ガチガチと歯を鳴らす。

対照的に余裕の表情をしたKirikaは暗黒空間から再び全身を出す。

黒い眼帯。髑髏を象った黒いフード。

優勢と劣勢がハッキリと二分化した空気。

ほむらの息が荒くなる。

心臓も肺も血管も萎縮したかのような息苦しさを覚える。

頭痛と吐き気がする。



87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:30:06.06 ID:/o0UpxMNo

Kirika「……何故『私』とまどかを生かしていたと思う?」

Kirika「何故今、私が君を狙わなかったと思う?」

Kirika「私は床下で君達の気配を読んでいたにもかかわらず、君を飲みこまなかった……」

Kirika「そういうこともできたはずだった。二人一辺に飲み込めて合理的だったという理由もあるし、恋人の仇ということもなくもない」

Kirika「何故、わざわざ君を殺さなかったのか……わかるかい?」

ほむら「ハァ……!ハァ……!」

Kirika「まず、あの二人を生かしていたのは、君をここに呼ぶためだ。そのためにHitomiにちょいと頼み込んだがね」

Kirika「こっちの呉キリカがテレパシーで君に助けを呼ぶと思ったんだ」

Kirika「ともかく私は……君に用がある」

Kirika「母親のピンチなんてどーでもいい。そろそろ親離れしそうだからね。私……」


使い魔の言う親離れ。

それは使い魔から魔女へ成長することを意味する。

Kirikaは成長するエネルギーを十分保持している。



88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:31:23.41 ID:/o0UpxMNo

Kirika「まぁさておき、私の言いたいことをさっさと素直に言おう……『矢』だ」

ほむら「……矢?」

Kirika「そう。矢だよ。暁美ほむら」

Kirika「スタンド使いはスタンド使いと引かれ合うという言葉、身に覚えはあるかな?」

Kirika「君から感じる、君の持つ矢から……私達は引力を感じたんだ」

Kirika「そして、私は理解した……SayakaとHitomiとYumaの死を経て、気が付いた」

Kirika「それは……『スタンドを発現させる矢』だ」

ほむら「……え?」

Kirika「もう一度言う。その矢は『スタンドを発現させる』ことができる」


……何を、言っているんだ。

あの矢は、いつの間にか盾の中に入っていた、気が付いたら拾っていたものだ。

そんなものが……魔女と一切関係ないはずの矢が、そんなことが……。

引力を感じるって……そんなことがあるはずがない!



89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:32:08.82 ID:/o0UpxMNo

Kirika「さやかと杏子にスタンドが発現した……だから私の仲間は死んだんだ」

ほむら「ッ!?」

Kirika「それが何なのか、本当にわけがわからないけど……まぁいい」

Kirika「私達は、それのおかげで産まれた」


み……美樹さやかと佐倉杏子にスタンド!?

ますます意味がわからない……。

確かに二人にはあの矢を見せた。でも、それが何だというんだ。

まどかと呉キリカが死んで……そんなこと言われて……。


ほむら「…………」


いや……待てよ……?

あの矢にスタンド……?スタンドが発現……と、いうことは……

それって……それって……!



90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:33:29.28 ID:/o0UpxMNo

ほむら「そ、そんな……それじゃあ……」

ほむら「それじゃあ……私は……!」

Kirika「そうだね……君がその矢をとある魔法少女に見せびらかして、その魔法少女にスタンド与えたんだ」

Kirika「スタンド使いが魔女になり、アンダー・ワールドが君達を滅ぼすんだ」

Kirika「その矢が一体何なのかはわからないが……」

ほむら「うぅ……ぐ……うぅ……!」

Kirika「要するに……結局は『また』君のせいでこうなったんだ」

Kirika「運命はよくできた物語だ……『君』が『アンダー・ワールドを生み出した』んだ」

ほむら「そ……そんな……!」

Kirika「『君』が『マミとゆまを殺した』んだッ!」

ほむら「そんなのって……そんなのって……!」

Kirika「さぁ……その矢、君はどうする?我々としては、欲しいなぁーって思うんだけど」



91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:34:55.34 ID:/o0UpxMNo

まどかとキリカが目の前で死んだ。

その無力感。

そしてクリームという能力に対する恐怖。

その絶望感。

思わぬところで判明した矢の正体。

混乱が襲う。

M市の魔法少女にその矢を見せたから、その矢でアンダー・ワールドを生ませてしまった。

自分が、この状況を作ってしまったのだ。

自分が、マミとゆまを殺した。

矢を手に入れてしまい、それを気まぐれでずっと持っていたから、

早乙女先生も、上条恭介も、その他大勢が死んでしまったのだ。

そして、私がまどかとキリカを殺した。

Kirikaはほむらの目の前に立ち、手を伸ばす。

差し出した手の平に矢を置け、という意味らしい。



92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:35:45.29 ID:/o0UpxMNo

「怖い」「辛い」「悲しい」「私のせい」

スタンドという呪いを断ち切れなかった、予告されたレクイエムという恐怖。

尊敬していて「好き」だったマミの死、愛らしかくて「好き」だったゆまの死、

「好き」になりかけていたキリカの死、命を賭すほど「好き」なまどかの死。

そしてそれが自分の行動のせいだった。

弱い自身を隠した冷徹の仮面の崩壊。

感傷を無理矢理縛り付けた感情の緒が切れた。

まどかは、担任の姿をした使い魔の首が切断され、それを目の当たりにした。

それがトリガーとなり、今まで押し殺していた悲しみや恐怖の感情が、そのキャパシティを超えてしまった。

精神衛生上自己防衛のための気絶。

そしてほむらもまた、まどかとキリカの死が引き金となり、その限界に到達した。

気絶はしない。

ほむらは精神的に『弱い自分』に戻ってしまっていた。



93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:36:26.81 ID:/o0UpxMNo

――「弱いほむら」は思った。


し……死んじゃう。

逃げなきゃ……ここは退かなくちゃ!

死ねないから……私は死ねない!死ぬわけにはいかない!

生きなくちゃ……逃げなくちゃ……ジシバリのいない遠くへ……。

逃げて……前の時間軸みたいに……また離れるんだ……遠くへ行かなくては!

私が死んだらそれで終わってしまう!

死にたくない……絶対に死にたくない!

私が死んだら……まどかを救えない……!

まどかを救わなくちゃいけないのに!

殺されるわけにはいかない!

生きて逃げて、次へ行かなくちゃいけない!



94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:37:22.42 ID:/o0UpxMNo

ほむら「わ……渡す……」

Kirika「お」

ほむら「渡す……『矢』は渡すから……!」

ほむら「わ、私は死ねない……だから、こ、殺さないで……!」

ほむら「お願い……」

ほむら「この矢を……」

ほむら「だから……だからお願い……」

ほむら「助けて……」

ほむら「見逃して……!私を……助けて……!」

ほむら「こんな矢……いらない……!」

ほむら「お願い……命だけは……!」



95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:38:14.45 ID:/o0UpxMNo

ほむらは目からボロボロと涙を零し、盾から矢を取り出した。

そして神に貢ぎ物をするかのように矢を差し出した。

その腕はがくがくと震えている。

Kirikaは一歩前に出て、矢をひょいと取り上げる。

満足げな表情をして、矢をまじまじと見つめる。

対照的に、ほむらは紅潮した頬と歪んだ口で助けを乞う


Kirika「はい。預かりましたよっと」

Kirika「カッコワルイねぇ。ボス戦してるさやか杏子に示しがつかないよ」

Kirika「……では」

Kirika「大人になる最後の一歩を、君で成し遂げる!」

ほむら「!?」



96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:39:23.34 ID:/o0UpxMNo

Kirika「君を食べて完結だ」

ほむら「そ、そ、そんな……や、約束……が……!」

Kirika「ハハハハハハ!混乱のあまり、使い魔風情に交渉が成り立つと思っちゃったのかい!?」

Kirika「こいつは傑作だ!アハハハハハ!ハハハハハ!」

Kirika「君は使い魔に命乞いをした上に、騙されたって逆上するんだ!?」

ほむら「う、うぅ……!」

Kirika「フヒャヒャハハハ――!アケミィッヒヒィィ――ン!」

Kirika「ふぅ」

Kirika「あー、面白かった」

Kirika「Kyokoが言わなかったかい?」

Kirika「魔法少女は絶望しかけが一番『美味い』って」



97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:40:33.11 ID:/o0UpxMNo

Kirikaの態度はほむらの恐怖をさらに煽る。

逃げなければならない。恐怖で脚が動かない。

時間を止めることも、抵抗することも忘れた。

狙撃銃がある理由もわからない。


ほむら「あ……ああ……!」

Kirika「あと一人喰えば、私は魔女になれる」

Kirika「能ある鷹は爪を隠す……最も魔女に近いのは甘やかされたYumaではない。このKirika」

Kirika「魔女になった暁には……我がスタンド、クリームに肖り……」

Kirika「私のことを『クリームヒルト』とでも呼んでおくれ」

Kirika「ドイツの女性名だよぉ、確か……多分。アーノルドは明らかに男の名前だからねぇ……」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:42:39.37 ID:/o0UpxMNo

ほむらは震える手の力だけで下半身を引きずり、

後ろへ、少しでもKirikaから離れようとした。

Kirikaはゆっくりと一歩、二歩、と歩きその距離を詰める。

逃げると言うことは、生存を諦めていないということ。

絶望で魂を穢れる前に、前の時間軸で世界を滅ぼすと予知されたレクイエム、

その誕生を防ぐためにも殺さなければならない。魔女化のギリギリを計る。


ほむら「い、いや……いやぁ……」

Kirika「と、言ってもそんな名前を呼んでくれる人は誰もいないだろーけどね……」

ほむら「いやぁぁぁぁぁ……ぁぁぁ……!」

ほむら「いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

Kirika「ええい、やはり気になる。最期くらい黙って逝け。時間を遅くする」

Kirika「…………これで落ち着く」



99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:43:16.35 ID:/o0UpxMNo

時間の遅くなった世界。その気になればほぼ無音の世界。

Kirikaは、両手で顔を覆い、ゆっくりと前屈みになり泣きわめくほむらの顔を見て、

『ツボ』に入り、少し笑った。満足した後、そっと首筋に指を近づける。

首に指を突き刺し、ゆっくりと味わいながら吸い取る。

生きたまま喰われていく、恐怖に歪む獲物の顔を鑑賞しながら喰う。

これがKirikaの最も好む食べ方。「支配」したという実感が快感。


Kirika「では、いただきま――」

Kirika「……ん?」

Kirika「あれ……?」


Kirikaは指の動きを止めた。

ほむらから取り上げた矢。

その矢に違和感を覚えた。

正確には、矢を持った自分の手に違和感を覚えた。



100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:44:16.97 ID:/o0UpxMNo


――『温かい』


Kirika「……なんだ?」

Kirika「……ッ!?」

Kirika「矢……矢に……」

Kirika「『糸』が……?」


目視して気付く。

ほむらの左中指に描かれた紫の菱形から、糸が伸びている。

ストーン・フリーの『糸』が『矢』に巻き付いている。

ついさっきまではなかった。

正確には気付かなかった。笑っていた間のことか、

その矢には確かに、糸が巻き付いている。

細い糸が矢で切れた。



101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:45:11.58 ID:/o0UpxMNo

よく見ると、糸の断面から淡い光が放たれている。その光が遠赤外線のように温かい。

断面から中指へ、ほむらの体に『淡い薄紫色の光』が到達した。

矢に伸ばした糸。それはほむらの無意識の行動だった。

矢から離れた紫色の光の糸が、ふわふわと揺れている。

その間に、紫の糸の先が、引き寄せられているかのように盾に伸びていく。

理解不能。時の遅くなった世界に光の線をKirikaは見た。


Kirika(な、なんだこれは……!?)

Kirika(時間を遅くしたのに……スーって糸が……)

Kirika(時間を遅くしてるのにこの速度ということか!?)

Kirika(いや……これは、まさか……『魔法の影響を受けていない』……!?)

Kirika(こ、これは……!これは何かがヤバイ!)



102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:45:48.72 ID:/o0UpxMNo

光の糸は、時間が遅くならない。

目の前の異様な光景に、躊躇し体が動きを静止させた。

得体の知れない『糸』の先端は、ほむらの盾に触れた。

左指と『砂時計』が、光の糸で繋がった。


Kirika「こ、これは……この『糸』は……!?何だ!これは……!」

Kirika「な、な……」

Kirika「何かわからんがくらえッ!死ねい!ほむらッ!」


間食は取りやめた。すぐにほむらを殺さなければならない。

急いでほむらのソウルジェムを砕かなければならない気がする。

即死させなければならない。

Kirikaの手がほむらの魂に触れそうになる。

その一瞬のことだった。



103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:47:45.47 ID:/o0UpxMNo

バグォォッ!

Kirika「うげッ!?」

Kirika「え……あ……ぅ?」

Kirika「何だ……今の……は……」

Kirika「……い」

Kirika「ギ……グガ……!?」

Kirika「OGOOAAAAAAAAAHHHHHHA!?」

Kirika「なっ、なっ、な!なぁぁんだアァァァァァァァァッ!?」

Kirika「私の!私の『指』がァァッ!?」


時の遅くなった世界に悲鳴が響いた。突然、Kirikaの右手が砕けた。

指が砕け折れ吹き飛んだ。千切れた指は「物体」となったため、ゆっくりと霧になりながら宙に舞う。

そして、光る糸よりも異様な光景をKirikaは目撃した。

目の前の魔法少女、ほむらの左手の前に、

黒く濁りつつある魂に触れるのを遮るように『得体の知れない腕』が現れた。



104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:49:49.81 ID:/o0UpxMNo

丸い鋲の装飾がされた黒いグローブ。

古代の拳闘士を思わせる力強そうな腕。

さらに異様なのは、それがほむらの『盾』から『飛び出し』ているということ。

時間が遅くなっていたにも関わらず、指を破壊されたことに気付くのが遅れた。

光の速さを超えたかのような、時間でも止められたかのような。

突然腕が盾から現れ、Kirikaの手を破壊した。

ストーン・フリーではない。


Kirika「なん……だと……!?」

Kirika「こ、こいつは……ほむらの……」

Kirika「い、いや、違う……『違う能力』……!」

Kirika「こいつは『何者』なんだ……!?」



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:51:46.46 ID:/o0UpxMNo

Kirika「スタンドは一人一能力……!」

Kirika「何が起こったというんだ……!?」

Kirika「た……盾から……」

Kirika「ヤツの『盾』から『知らない拳』が飛んできただとッ!」

Kirika「時間を遅くしたのに、」

Kirika「……ヤ、ヤバイ!」

Kirika「逃げなくてはッ!何かヤバイッ!」

Kirika「クリーム!暗黒空間に身を潜めろォォォ――――ッ!」


ほむらの盾から紫色の光の糸が靡いている。

そして盾の陰から半透明の腕とは別に、細く小さい、

飛び出した腕とは正反対のような子どもらしい『手』が現れた。

手首にその光の糸が巻き付いている。細い指がゆっくりと動いている。

時間が遅くなっているため、光の糸や謎の腕とは違ってじわじわと、

半透明の腕の『持ち主』が『この世界』に現れようとしている。




106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:52:49.99 ID:/o0UpxMNo

Kirikaは使い魔としての本能から息の詰まるような恐怖を覚えた。

逃げなければならない。逃げるしかない。

そう思った。

クリームの暗黒空間にその身を隠した。

Kirikaが暗黒空間に逃れたため、時を遅くする魔法の効果が切れる。

時は普段通りに動き出す。


ほむら「あああああぁぁぁぁぁッ!」

ほむら「ハァ……ハァ……!」

ほむら「……あ?」

ほむら「ハァ、ハァ……き、消えた……」

ほむら「何……!?何が……?」



107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:54:45.08 ID:/o0UpxMNo

Kirikaが消えていた。

ほむらは涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭う。

何故消えたのか、ほむらには理解ができていない。

まどかとキリカの死に錯乱し、絶望を突きつけられた。

ほむらは取り乱した心を落ち着かせ、状況を確認する。

床に穴があいて、まどかの足首がある。

それを認識し、そこで初めてほむらはあることに気付いた。

『盾』から『淡い紫色の光を発する糸』が出ている。

ストーン・フリーの糸ではない。ストーン・フリーが消えた。

しかし、これはストーン・フリーと同じ『何か』を感じる。

光の糸は無風の空間でゆらゆらと揺れている。



108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:55:16.52 ID:/o0UpxMNo

盾から出ている紫色の光は、視界の外へ伸びている。

その糸を目で追う。それは自身の背後に伸びている。

糸の先には『人』がいた。

錯乱していたとは言え、気配を感じなかった。

自分以外の人間がいるはずがないということは、自分自身でよくわかっている。

まして『既に死んでいる者』がいるはずがない。

心臓が止まるような、肺が萎縮するような感覚を覚える。


ほむら「そんな……嘘……」

ほむら「あり得ない……だって……だって!」

ほむら「だって……あなたは……!」


ほむら「ま……『まどか』ッ!?」





109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:56:20.46 ID:/o0UpxMNo

「魔法少女」という言葉が具現化したかのような、

できることならば二度と見たくはないと思っていた桃色の衣装。

かつて憧れた、優しさと凛々しさを兼ね、含まれている瞳。

見間違えるはずがない。

そこに『鹿目まどか』がいる。

幼い妹をあやすような、穏やかな笑顔をしている。

その顔を見ただけで、心が洗われたような気持ちになる。

そして、まどかの背後に『何か』が見える。

『……ほむらちゃん』

頭の中に優しい声が響く。テレパシーと同じ調子。

いつでも、いつまでも聞いていたい大好きな声。


ほむら「あ、あなたは……どうして……」

まどか『頑張ったね。お疲れさま……』



110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:57:14.07 ID:/o0UpxMNo

……頭が混乱している。

目の前に『まどか』がいる。

それも魔法少女の姿をしている。

この時間軸では契約していないはずだし、そもそも目の前で死んだはずだ。

ここにいるのはあり得ない。

ましてや、私を助けるなんて……絶対に、あり得ない。

……そして、ストーン・フリーがいない。どこかへ消えた。

その代わり、盾から……正確には砂時計から『紫の光を放つ糸』が伸びている。

この光に、既視感を覚えたと思ったら……そうだ。

魔法少女のまどかが射る、魔法の矢……その閃光にちょっと似てる。

しかし光の調子は淡く、何より色が違う……。



111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 22:58:23.41 ID:/o0UpxMNo

そしてそれは、目の前にいるまどかの手首に巻き付いている。

繋がっている。ほむらとまどかだ。

まどかの背後にいるのは……半透明の人の像。

精神のエネルギー……スタンド。

靡く黒い髪。

ミケランジェロの彫刻のような圧倒的な存在感。

初めて見るが、知っている。

間違いない。確信を持って断言できる。

これはまどかのスタンド、

『スタープラチナ』そのものだった。



112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:00:12.76 ID:/o0UpxMNo

ほむら「まどか……まどか、だよね……」

まどか『ほむらちゃん……やっと名前で呼んでくれたね』

まどか『嬉しいな……とっても嬉しい』

ほむら(間違いない……前の時間軸の『まどか』だ……)

ほむら(感覚でわかる。私を助けるために死んだ、スタープラチナを得たまどか本人だ)

ほむら(でも……前の時間軸、まどかは契約はしていないはずだ……)

ほむら(そして、アンダー・ワールドの使い魔でもない……)

ほむら(どういうことなの……私、夢でも見ているの……?)

ほむら「ど、どうして……」


そして「何故魔法少女の姿なのか」「何故この時間軸にいるのか」

二重の意味を含めて投げかけた「どうして」の答えを待った。



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:05:13.47 ID:/o0UpxMNo

まどか『……あなたは何となくわかってると思う』

まどか『スタープラチナを見て確信を持ってるだろうけど……』

まどか『わたしは……"前の時間軸"の鹿目まどかだよ』

まどか『勿論……アーノルドという魔女とは関係ない』

ほむら「ど、どういう……こと……?」

まどか『……正確には、わたしは鹿目まどかという概念。幽霊みたいなものかな?』

ほむら「概、念……」

まどか『ほむらちゃんはこれまでにこれの"片鱗"を見ていたと思うよ』

まどか『今のわたしにはね、この時間軸の全てが見えていたの』

まどか『だからね、全部わかってたよ。この時間軸でもほむらちゃんがわたしのために頑張ってくれたことも』

まどか『マミさんが、ゆまちゃんが死んじゃったことも……』



114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:05:57.88 ID:/o0UpxMNo

悲しそうな目で、静かな口調でほむらに言う。

ほむらは、今の状況に既視感を覚えた。

夢の中で、会ったような……いつのことだったか思い出せない。


まどか『今まで助けることができなくてごめん……ごめんね』

まどか『今という時をずっと待っていた。あなたが私を"呼び出して"くれることを』

ほむら「まどか……何を言ってるのか……よくわからないよ……」

ほむら「何が……何がどうなっているの……?」

ほむら「私のストーン・フリーはどうなっちゃったの……?」

まどか『…………』

ほむら「ねぇ……まどか……」

まどか『さて……まずはクリームから逃げなくちゃいけないよね』

まどか『どうしよっか?見えないんだよね』



115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:06:46.75 ID:/o0UpxMNo

答えてくれなかった。

結局ほむらは何も理解していない。

何故まどかがいるのか、ストーン・フリーはどうなってしまったのか、

この光の糸は何なのか、自分に何が起こったのか。

自分の感情の整理もできない。

喜べばいいのか、悲しめばいいのか、誇ればいいのか、

どういう顔をすればいいのか全くわからない。

ほむらの感情が不明確のまま、まどかは宙を見つめる。

クリームを探している。

クリームは今、この世界には存在しない。

ストーン・フリーによる糸の結界を貼り直すよう暗に指示しているのかと思ったが、

そのストーン・フリーはどこかへ消えた。その代わりに紫の糸がある。

しかもそれはどう扱えばいいのかわからない。



116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:07:24.11 ID:/o0UpxMNo


『……です』


ほむら「……ん?」

ほむら「……まどか、今何か言った?」

まどか『ううん。何も?』

『2メートル、直進です』

『2メートル、直進、して、ください』

ほむら「……え?ほら、また……」


誰かが、直接脳内に話す声がする。

聞き覚えがないが、上品な印象を受ける落ち着いた声。

ずっと前に聞いたことがあるような、そんな声。

普通、この状況で聞き慣れない声を聞けば警戒しなければならないが、

ほむらは不思議と焦燥感を覚えなかった。



117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:10:12.06 ID:/o0UpxMNo

まどか『2メートル直進だって。ほむらちゃん』

ほむら「あ、あの……まどか?」

まどか『2メートルだってば』

ほむら「え、えっと……どうすればいいの……?」


まどかもその声が聞こえている。

聞こえて当然かのように、普通に振る舞っている。

まどかの知り合いの声らしい。

そんな声の人がいただろうか……ほむらは思ったが、心当たりがない。


まどか『だから、2メートル直進だってば。はいっ』

ほむら「……う、うん」


まどかは手を差し伸ばしてくれた。

ほむらは、その手に手を伸ばす。

まどかはほむらの手をギュッと握り、軽い力で引いた。



118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:11:08.72 ID:/o0UpxMNo

……!?

ま、まどかの手……もとい、グローブ……布の感覚がしない。

触れている感覚そのものはある……だけど……『ない』

まるで、ストーン・フリーの糸に触れているような……、

触れているけどその感覚がない……。実像がない。

これは……『実物』じゃあない。

そして……この、私の手を引っ張る感覚……。

懐かしい……とても、懐かしい。

どうしよう……また、泣きそうだ……。

でも、泣いている場合ではない。

泣いちゃダメ。

何が起こっているのか理解できてないけど、今はとにかく――



119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:12:41.38 ID:/o0UpxMNo

ガォン!

削るような、飲み込むような、破壊するような音がした。

振り返ると、先程までほむらが立っていた場所……、

親友と戦友の死に動揺し床に落としてしまった狙撃銃が消えていた。

そして、円の穴があいている。クリームの痕跡。


ほむら「ッ!?」

ほむら「まどか!?あ、穴が!銃が!」

ほむら「Kirikaがそこにっ!」

まどか『うん。そうだね。そこにいるんだ』

ほむら「あ、後少しでもそこにいたらやられてい――」


『Uターンしてください』


ほむら「ま、またあの声……!」

まどか『ほむらちゃん。こっち見て』

ほむら「あっ……」

ほむら「……ッ!?」



120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:13:52.44 ID:/o0UpxMNo

ほむらは、スタンドのようなまどかが指す方向を見る。

目の前の光景に、ほむらは固まった。

やはり理解が超えている。

まどかとキリカが死に、それが矢を拾った自分のせいであることを知る。

前の時間軸のまどかが側にいて勇気づけてくれている。

ストーン・フリーが淡紫色の色に変化した。

追い打ちをかけるかのように、理解不能は立て続けに訪れる。

『Kirikaが浮いている』


ほむら「ど、どういう……こと?」

ほむら「何で……何でここにKirikaが……!?」

ほむら「暗黒空間に隠れているはずのKirikaが何故私に『見える』のッ!?」

まどか『落ち着いて。ほむらちゃん。とにかく"それ"を避け続けるの』

ほむら「私……頭がごちゃごちゃしてるよ……」



121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:15:01.64 ID:/o0UpxMNo


『数字を表示した小さな液晶が額にあるKirika』


それが空中で片膝をついてゆっくりと浮上している。

非常にシュールな光景であり、不気味な光景。

ほむらは頭が破裂するのではないかと思った。

取りあえず、謎の声の指示通りに移動する。


ガォンッ!

再び、床に穴があいた。

『Kirika』が通り過ぎて少しのタイムラグ、その後のことだった。

Kirikaと暗黒空間を分離したかのような感覚だった。

そしてそれは、ほむらに一つの結論を導かせた。



122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:16:10.37 ID:/o0UpxMNo

ほむら「こ、これは……」

ほむら「……『クリームのルート』ッ!?」

ほむら「この『Kirika』が通った後に、実際にクリームが通過している!」

まどか『そう……正解だよ』

まどか『わたしと、あの予知は……クリームのルートからあなたを避難させている』

ほむら「……予知?」

ほむら「…………」

ほむら「……『予知』ッ!?」

ほむら「まさか……まさかッ!」

まどか『そう……そのまさかだよほむらちゃん』

ほむら「『美国織莉子』ッ!?」


『 YES I AM! 』




123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:17:03.03 ID:/o0UpxMNo

背後から声がした。

振り向くと、まどかの時と同様にいつの間にか、側に、人がいた。

頭を飲まれ、結界の奥に消えていった存在。

『美国織莉子』がそこにいた。

イギリス近衛兵を思わせる形状の、白い帽子。

白いカーテンを纏ったかのような衣装。

そしてまどかと同じように、その手首に盾から伸びた『紫色の光』が巻き付いている。


まどか『織莉子さん……今のって……』

織莉子『ひ、久しぶりの"現世"だからちょっと張り切っちゃったわ……お恥ずかしい』

まどか『ィエッス!アイアムッ!』

織莉子『真似しないで!』

ほむら「ど、どうして……!どうしてあなたがここに!」

ほむら「あの声は……そうだ、思い出した……あなたの声だった!」

ほむら「あなたは死んだはず!死んだはずのあなたが何故ッ!」




124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:21:28.98 ID:/o0UpxMNo

盾から二本の糸が伸びている。

時間軸を超越した、前の時間軸のまどか。

結界に消えた、この時間軸の織莉子。

紫の光は、二人の死者と繋がっている。

織莉子は微笑みと共に答える。


織莉子『"ムーディ・ブルース" AND 予知能力。それが答え』

ほむら「ム、ムーディ……?」

織莉子『私の"スタンド"よ』

ほむら「あなたの……スタンド?」

ほむら「で、でも……あなたのはリトル・フィートだったはずじゃ……」


どうやら今床をすり抜けていくKirikaの姿は、織莉子のスタンドらしい。

織莉子は解説を続ける。



125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:22:59.77 ID:/o0UpxMNo

織莉子『ムーディ・ブルースは"過去の事実を再生"する……DVDのようなスタンド』

織莉子『皮肉にもアンダー・ワールドと少し似たような能力に思えるけどそれはさておき……』

織莉子『それに私の"未来予知"の能力が共鳴した!スタンドと魔法の共鳴!』

織莉子『あなたが見えているキリカは使い魔のキリカの"20秒後"……未来の姿よ』

織莉子『外界からシャットアウトしているクリームは……』

織莉子『まさか自分の未来を"先行上映"されているとは到底思わないでしょう』

ほむら「未来を……『予知を再生』している……ということ?」

織莉子『そう。正確には"再"生とは違うけど、ともかく。見えなくなっている本体を……暗黒空間の中身を再生しているわけ』

織莉子『要するに、ムーディ・ブルースを避ければ敵も避けられる』

織莉子『もっとも短い時間しか先行上映できないけれどね』

織莉子『私にしか見えなかった予知を、"映像"として他者と共有できるというのが利点であり……』

織莉子『欠点よ。相手にも見えてしまうから。見られた以上予知通りに行くはずがないもの』



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:24:55.53 ID:/o0UpxMNo

織莉子『でも、クリームは暗黒空間に隠れて干渉ができない。予知が見られることはない』

まどか『三分か、四分か……あるいは五分。ずっと飛び回っているわけにもいかない』

まどか『必ず、暗黒空間から顔を出して外を確認しなければならない』

織莉子『そのタイミングも、ムーディ・ブルースで"予習"できる』

ほむら「そ、それって……」

まどか『そう……ほむらちゃん。今言えること……」

まどか『クリームから顔を出す瞬間。そこしか、わたし達が暗黒空間に干渉できる隙がないっていうこと』

織莉子『……外界を覗く時しかチャンスはない。待つしかないのよ』

まどか『だからそれまで、少しお話しようか』

まどか『どうせいつ出てくるか予知でわかるんだし』

まどか『本当は、さやかちゃんと杏子ちゃんのところへ行きたいけど……Kirikaは葬らなければならない』

織莉子『何より、私のキリカの仇討ちよ』

ほむら「…………」



127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:26:49.73 ID:/o0UpxMNo

ほむら「あなた達は……」

まどか『ん?』

ほむら「あなた達は一体何なの?」


こればかりは、答えてもらわなければならない。

何故、前の時間軸のあなたがこの時間軸にいるのか。

何故、死んでこの世界からいなくなったあなたがここにいるのか。

ストーン・フリーに何が起こったのか。

まどかと織莉子、二人は顔を見合わせる。


まどか『んー……』

織莉子『どこから話せばいいのかしら』

まどか『…………"矢じり"だよ』

ほむら「……矢じり?」

ほむら「それって……もしかしてあの『矢』のこと?」



128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:28:17.36 ID:/o0UpxMNo

まさか……と思った。

いつの間にか盾の中に入っていた、石の矢。

その矢は、スタンドを発現させる力があると、使い魔は言った。

それを踏まえ、前の時間軸。

魔法少女でなかったはずのまどかは今、魔法少女の姿で現れている。

得体の知れない矢と魔法少女。二つの事象。

それらから導き出された推測と同じことを、まどかはいともたやすく言う。


まどか『あの矢は……わたし……もとい、前の時間軸の鹿目まどかの願い』

まどか『わたしは、あなたに力を託したいと願った……』

まどか『ほむらちゃんにスタンドを発現させたかった』

まどか『スタンドは魔女の呪いじゃあない……絶望に抗い、立ち向かう力……』

まどか『あの矢は、わたしの契約で作り出されたスタンドを発現させる道具』

まどか『次元を越えてあなたと共に時間遡行をした、わたしの、未来への遺産』



129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:29:24.93 ID:/o0UpxMNo

ほむら「じゃ、じゃあ、ストーン・フリーは……!ムーディ・ブルースは……!」

まどか『そう。わたしが望んだから生まれたんだよ』

まどか『引力の魔女レイミとは別の……そっちが黒なら、これは白のスタンド!』

まどか『ちなみにスタープラチナは、わたしに巻き付いた因果律の力で白となったスタンド』

まどか『この現象の片鱗として……わたしと織莉子さんの魂は盾の中にいることしかできなかった。夢の中で言うことしかできなかった』

ほむら「…………」

まどか『……誤解を招かせちゃって、辛い思いをさせちゃってごめんね。でも、これしかなかった』

まどか『ほむらちゃん。あなたは希望。あなたなら……みんなを救済できる』

まどか『わたしは、あなたにわたしだけでなく、みんなを救って欲しかった……だから矢を託したの』

まどか『……申し訳ないと思っているよ。自分勝手なこと言っちゃって。願っちゃって。片鱗を見せる程度しか、してあげられなくて』

ほむら「まどか……」

まどか『スタンドは……確かに魔女の呪いだったかもしれない』

まどか『でも、わたしにとっては、強さであり、勇気の具象であり、誇りだった』




130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:30:16.90 ID:/o0UpxMNo

まどか『だから、ほむらちゃんに持ってほしかった』

まどか『これは……わたしの願い。わたしの力』

織莉子『ただ……長所と短所は表裏一体……』

織莉子『その矢で知らない内に誰かを傷つけてしまい、その人が魔女になってしまって、スタンドが暴走をしてしまった……』

織莉子『それがアンダー・ワールド……キリカを殺めた憎き概念』

まどか『わたしは……そのリスクに気付けなかった』

まどか『マミさん達を死なせてしまったのは……本当は"わたしのせい"なの』

まどか『……本当にごめんなさい』

まどか『でも、わたしはどうしてもこの"レクイエム"に目覚めてほしかった。理解してほしかった』

ほむら「レ、レクイエム……!?」


心臓がしゃっくりをするような感覚。

『レクイエム』という言葉をまどかが言い、ビクリとなった。

そして……疑惑が実感となった。



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:30:53.02 ID:/o0UpxMNo

ほむら「じゃあ、まどか……この……この『紫色の糸』は……!」

織莉子『そう……レクイエムよ』

まどか『前の時間軸……織莉子さんは、ほむらちゃんのレクイエムが世界を滅ぼすと予知した』

織莉子『鹿目さんの望むスタンドと、引力の魔女が孕ませるスタンドは別のもの……レクイエムも同じ』

まどか『わたしの矢で発現したストーン・フリーが、その矢を取り込んだ……』

織莉子『"スタンド"が"矢"を得ることで踏み込む"新たな領域"……レクイエム』

まどか『この糸がほむらちゃんのレクイエム!』

織莉子『ストーン・フリー・レクイエム!』

まどか『名を冠するなら"コネクト"ッ!』


ほむら「『コネクト』……!」




132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:31:48.15 ID:/o0UpxMNo

まどか『勿論由来は"connect"……直訳で"繋がる"という意味』

まどか『コネクトの能力……前の時間軸の概念、死んだ概念……"次元を越えて繋がる能力"ッ!』

織莉子『あなたの願いと魔法。そしてレクイエムの共鳴』

ほむら「私の……私の願いと……能力」

まどか『ほむらちゃんが……わたしと一緒にいたいと願ってくれた、心底からの願い』

織莉子『そして、時間軸という次元を越えるその魔法、共に次元を突き抜けるレクイエムのパワー』

まどか『これらが共鳴し覚醒した……わたし達、"他の概念"をつれてくる能力』

織莉子『これはこれでアンダー・ワールドと少し似ているわね』


次元を越える砂時計から伸び、前の時間軸の概念と死んだ概念と繋がっている糸。

ストーン・フリー……暁美ほむらのレクイエム。

淡紫色の糸は依然優しい光を放ち、重力の干渉を受けずに揺れている。


ほむら「私の……私の能力……レクイエム」

ほむら「私が……あなた達を連れてきた……」




133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:32:21.11 ID:/o0UpxMNo

まどか『そうだよ。ほむらちゃん。そして……そろそろだよ』

織莉子『ヤツが出てくるわ』


宙を浮き漂っていたキリカの姿は静止した。

そして、ムーディ・ブルースは姿勢を変えて、こちらを見下ろす。

即ち、今から20秒後に、そこでKirikaは暗黒空間から顔を出す。


ほむら「あそこに……!」

織莉子『ムーディ・ブルースを解除するわ』

まどか『あんなとこに顔を出すんだね』


ムーディ・ブルースは織莉子の元へ戻ってきた。

Kirikaの形は歪み、姿を変える。

ラバースーツを着たマネキンのような姿になった。

スピーカーのような形状をした両目、額には未来のKirikaと同じように液晶が埋め込まれている。

それが、ムーディ・ブルース本来の姿。



134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:32:57.92 ID:/o0UpxMNo

まどか『それじゃ……行ってくるよ』

ほむら「まどか……」

まどか『スタープラチナッ!』

『オラァッ!』


スタープラチナは床を強く蹴り、ジャンプした。

スタープラチナが持つ強力なパワーは、跳躍力14メートル以上を可能にする。

まどかの概念と繋がるコネクト。

盾の砂時計から伸びる淡紫色の糸。

ほむらの盾とまどかの手首を繋ぐ、緩やかな線が描かれた。



135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:33:38.58 ID:/o0UpxMNo


まどか『スタープラチナ!"時は止める"ッ!』


スタープラチナ。

力強く、素早く精密な動きが出来る、最高レベルのポテンシャルを誇る。

かつて、スタープラチナはまどかの精神力に伴っていなかったため、その力を出し切れていなかった。

それは前の時間軸の話。まどかは契約したことで、素質と成長がその差を克服し、力を引き出すことに成功した。

その結果、スタープラチナは『数秒だけ時間を止める』ことができるようになったのだ。

まどかは時間停止能力は『ほむらへの憧れ』が反映されたものだと思い込み、そうだと信じている。

時の静止した世界に、暗黒空間から出てきたKirikaの上半身が浮かんでいる。


まどか『……やれやれだよ』

まどか『スタープラチナ!引きずり出して!』

『オラアァァ――――ッ!』



136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:34:38.98 ID:/o0UpxMNo

時の止まった世界で、スタープラチナは暗黒空間から身を乗り出したKirikaの胸ぐらを掴む。

そして力強く引き、Kirikaを暗黒空間から引っ張り出した。

触れても止まった世界に入門させることはない。

落下はしない。Kirikaの全身は空中に静止する。


まどか『……やっぱり止められる時間はこれくらいが限界かな』

まどか『そして時は動き出す』

Kirika「さぁ、今やつらはど」

Kirika「こに――ッ!?」


ふと気が付くと――

Kirikaは驚愕した。暗黒空間から半身を出しただけのつもりが、何故か自分の体、その全身が『外』にいる。

宙に浮いているだったにも関わらず、同じ目線の高さに『まどか』がいる。

何故か、まどかの概念の使い魔は産まれなかった。

いるはずがない存在が、いつの間にか現れ、突如目の前に現れた。

理解不能。


まどか『捕らえたよ……キリカさん……いや、Kirika』

Kirika「な……!?え……!?」



137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:36:59.54 ID:/o0UpxMNo

Kirika「な、何で私は……暗黒空間の外に……!?」

まどか『暗黒空間から無理矢理引きずり出した!』

Kirika「鹿目まどかッ!?」

Kirika「ク、クリーム!暗黒空――」

まどか『スタープラチナ!』

『オラァッ!』

ガスゥッ!

スタープラチナは左手でKirikaの延髄にあたる箇所に手刀をあてた。

使い魔である以上、延髄を狙った所で失神させるような意味は為さない。

位置はどこでもよかった。『床に叩き落とすこと』に意義がある。


Kirika「どっげェ――――ッ!?」

ドグチァッ!

Kirika「グピィッ!」




138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:37:36.79 ID:/o0UpxMNo

床に叩き付けられたKirikaは全身の肉が裂け、

体のあちこちから品質の悪い油絵の具のような体液を流す。


Kirika「ぐぅ……クカハッ……うげぐ」

Kirika「何……なん……だ……!?クッ!」


Kirikaは追い打ちを受けないためにもすぐに立ち上がる。

右脚が千切れそうではあったが、状況を確認する。

十数メートル先に、ほむらがいる。

そして、使い魔はたった今気付く。

ほむらの横に人がいる。『もう一人』増えている。

さらに『もう一人』上にいる。


Kirika「ゴボ……ガボッ……な、何故……だ……!?」

Kirika「何故……いるんだ……『織莉子』……!」



139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:38:44.50 ID:/o0UpxMNo

その姿を知っている。

あの姿は愛している。

この姿とキスだってした。

だが……『それ』は死んだはずである。


Kirika「そんな……まさか。……死んだはずだ……ぞ!」

Kirika「まどかも……そう!だけどもッ!」

Kirika「死んだヤツが何故ここにいる!しかもまどかはスタンド使いじゃなかったはずだ!契約すらしてなかった!」

Kirika「アーノルドが産んだヤツじゃあない!私はついさっき殺したぞ!何者だ!?」

織莉子『…………』

まどか『…………』

Kirika「答えろ!貴様らッ!むしろ貴様が答えろッ!暁美ほむらッ!」

ほむら「…………」

ほむら「さぁ……何のことだか……わからないわ」



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:39:46.35 ID:/o0UpxMNo

Kirika「お、おのれェ……!」

Kirika「ほむらの能力は時間停止!スタンドは糸がくるくるしてるだけ!」

Kirika「そんな……死んだ命を蘇生するような能力なんて……」

Kirika「……ッ!」

Kirika「ま、まさか……まさかッ!」


Kirikaの心底からある推測が浮上した。

認めたくはない。しかし、それ以外にあり得ない。

『それ』なら全て『そういうことだった』で説明がついてしまう。


まどか『ン……ソウルジェムを叩き付けた際に破壊したつもりだったんだけど……』

織莉子『えぇ、生きてるようね……確かに魔女になりかけというヤツね』


まどかは、コネクトが自重をなくしているかのようにふわふわと降りてきた。

織莉子は、相手がキリカの姿であるにも関わらず、その目に寸分の慈愛がない。

ほむらは、まだその顔に混乱が見える。考える時間が欲しいと言わんばかりの表情。



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:40:53.83 ID:/o0UpxMNo

Kirika「そんな……そんなことが!それ以外にない!」

織莉子『生き残るのは……この世の"真実"だけ……真実から出た"真の行動"は、決して滅びはしない』

まどか『わたし達とみんなの行動と意志は滅んでいない……』

織莉子『あなたは果たして滅びずにいられるのかしら?』

まどか『自称クリームヒルト……!』

Kirika「『レクイエム』だッ!」

Kirika「ス、ストーン・フリー……レクイ、エム」

Kirika「馬鹿な……予知と違うぞ……!『異なるレクイエム』だぞ……!」

Kirika「前の時間軸の予知では!地球上の生命を吸収する能力!」

Kirika「異なるレクイエムが!死者を蘇らせたのか!?」

ほむら「正直未だに状況が完全に飲み込めていない、そんな自分も存在しているけど……感覚でわかる」

ほむら「このレクイエムはコントロールできている……!」

ほむら「世界を滅ぼしたりなんかしない!コネクトは私のレクイエム!」

ほむら「レイミが発現させるスタンド、矢が発現させるスタンドは違う!レクイエムもその然り!」



142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:43:12.95 ID:/o0UpxMNo

ほむらの前に、まどかと織莉子の概念が立ちふさがっている。

Kirikaの心に絶望が訪れた。一対三。圧倒的不利。

……しかし、すぐに改める。

絶望なんてものが、あるはずない。まだ希望がある。

ポイントは射程距離。Kirikaは諦めない。


Kirika「う、ウグォォ……!お、おのれ……!」

Kirika「ふざけやがって……!この死に損ない共がァァァ……!」


――Kirikaは考える。

そうか……アーノルドが前の時間軸のまどかを産まなかった理由……

作らなかったんじゃなかったんだ。作れなかったんだ。既に鹿目まどかという概念がいたからだ。

同じ概念は三つ以上この世界にあってはならないんだ!多分そういうことなんだろう。

まどかのスタンド……スタープラチナは恐ろしすぎる能力だ。射程距離的にこの距離で十分か……それとももう数メートル離れるか?

何にしても、予知で暗黒空間から外へ出るタイミングを読まれてしまったんだろう。



143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:44:33.93 ID:/o0UpxMNo

だから、私は捕まった……だが!だが『なんてことない』ッ!

暗黒空間にそのまま逃げればいい!

外に出なければいい!この際そのまま逃げたって構わない!

我がクリームは無敵!暗黒空間に隠れさえすれば、勝つかは別として、負けはしない!

ほむらの魔法、ソウルジェムが真っ黒であるから時間を止めることはもう『できない』……!

まどかの能力、スタープラチナは『数秒程度だけ時を止める』ことができる。生前のOriko情報、そして今実際に体験して理解した……。

時が止まっているのに数秒と数えるのも変な話だが……数秒だけなら!

この距離!射程距離!問題はない!叩き付けられた場所と奴らの場所がこれだけ離れていれば!

ストーン・フリーは存在しない!そして織莉子のスタンドは追い打ちをしてこなかったことから戦闘型でない!

もしそうなら既に、床に叩き付けられた時点で追い打ちをしていたはずだからだ!

どれもこれも、暗黒空間に孤立する私には乗り越えられないことではないッ!

隠れさえすればッ!隠れて!ここから逃げて!さやかと杏子を飲み込み、やっぱりアーノルドを救おう!

ここは退くんだ!ここで退くことは敗北ではない!




144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:45:34.36 ID:/o0UpxMNo

ほむら「ま、まどか!」

まどか『なぁに?ほむらちゃん』

ほむら「や、ヤツが暗黒空間に消えちゃう!」

織莉子『……かもしれないわね』

ほむら「ストーン・フリーとスタープラチナの射程距離ではあそこまでは……」

ほむら「それに、ムーディ・ブルースは戦闘型じゃなさそうだし……」

ほむら「そもそもストーン・フリーは今別の姿になってる」

ほむら「このままだと暗黒空間に再び隠れられて手が出せないよ!?」

ほむら「ど、どうするの!?二人とも!私はコネクトで何をすればいいの!?」

ほむら「何故まどかは距離を空けて叩き付けたの!?」

織莉子『落ち着いて。暁美さん』

まどか『……何の問題もないよ。ほむらちゃん』

ほむら「へ……?」



145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:48:08.89 ID:/o0UpxMNo

織莉子『慌てる必要は何もない』

ほむら「な、何を言って……」

織莉子『暁美さん。ムーディ・ブルースは私のスタンドではあるけど……』

織莉子『こればっかりはあなたが言わないとスッキリしないわ』

ほむら「な、何……?」

織莉子『私が代わりに言うのは不格好だと言うのよ。あなたが言うの』

ほむら「な……何を言って……?」

織莉子『飲み込みが悪いのね。"5分17秒前"よ』

ほむら「ご、ごふん……?」

織莉子『これが、ムーディ・ブルース本来の能力……』

織莉子『5分17秒前を"再生"する』

ほむら「……そ、それって……それってもしかして……!」



147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:51:16.76 ID:/o0UpxMNo

織莉子がほむらを落ち着かせている頃、

Kirikaはクリームを使い、暗黒空間の入り口を生成した。

中に入ったもの全てを破壊する暗黒空間。

そしてそれに干渉できるのは『そういう能力』を持った自身のみ。

無敵の空間であり、この距離なら、入るだけなら近づかれようとも間に合わない。

狙撃をするにもトリガーを引く前には消えているだろう。


Kirika(この便所に吐き出されたタンカスどもがッ!貴様らはいつか必ず殺すッ!)

Kirika(ブチ殺してやるッ!絶対に暗黒空間にバラ撒いてやるからなッ!)

Kirika「クリームッ!暗黒空間に身を――」


まどか『ほむらちゃん!織莉子さん!』

織莉子『再生(リプレイ)が開始されるわ!』

ほむら「す……」


ほむら「ストーン・フリーッ!」



148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:51:47.22 ID:/o0UpxMNo

「オラァッ!」

バキィィッ

Kirika「グベッ!」

Kirika「ブ……ゲッ!?」

Kirika「……え?」


Kirikaは、暗黒空間に入る寸前に突如として真横から「何か」に殴られた。

しかも、たった今ほむらが叫んだ言葉と、オラァの声を知っている。

声の主は、女性的な体格をしている。

有名な彫刻のような存在感があり、 所々が解れている。

糸の拳は様々なものを砕きそうな、頑丈さを見て取れる。

『ストーン・フリー』がそこにいる。



149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:55:20.48 ID:/o0UpxMNo

ほむら「す……ストーン・フリー……」

織莉子『ムーディ・ブルースを一時停止する』


織莉子がそう呟くと同時に、Kirikaは自身を殴った相手をもう一度確認する。

ストーン・フリーがそこにいる。見間違いではない。

彫刻のように、その場で動かない。

ここにある事実。

離れた位置に敵。すぐそこに、その敵のスタンド。

額には、タイマーのようなものがついている。


Kirika「ゲボ……ス、ストーン・フリー……?」

Kirika「ば、バカな……いつの間に……!」

Kirika「ストーン・フリーは、人型では、射程距離が……短いはずだ!」

Kirika「何故私の側にいる!何故離れた位置にいるッ!?何故レクイエムに進化したのに『進化前』が残っている!」

『この距離ならさ……』

Kirika「――ハッ!」

『お互いに外しっこはなしだよ』



150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:56:38.80 ID:/o0UpxMNo

声が聞こえる。

目の前にいるストーン・フリー。そして挟むようにまどかがいた。

不意打ちを喰らい動揺をした隙に接近を許してしまった。

まどかの隣にはほむらと織莉子。

スタープラチナの射程距離。ストーン・フリーの射程距離。

挟まれた。

ストーン・フリーの過去は、スタープラチナの方を向いている。

Kirikaは、自分がチェスや将棋でいう「詰み」の状況にあることを悟った。

スタープラチナのスピードは熟知している。

ストーン・フリーのパワーは思い知らされた。

だからこそ、逃れられないという確信と恐怖がある。



151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:57:13.10 ID:/o0UpxMNo

織莉子『これが……我がムーディ・ブルース"本来"の能力』

織莉子『私のムーディ・ブルースは、先程暁美さんが、この世界のキリカと鹿目さんが殺されて、半狂乱にラッシュした"ストーン・フリー"を"再現"した』

織莉子『鹿目さんがスタープラチナで吹き飛ばしたその座標……』

ほむら「……!」

織莉子『完璧ではない、いまいち気に入らない位置ではあるけど……』

織莉子『そこが、ストーン・フリーが"いた"場所よ』

ほむら「私の……ストーン・フリーの、過去……」

ほむら「時間を『録画』する能力……!」


まどかは……それを計算に入れていたんだ……。

やっぱり……やっぱりまどかはすごい。

どうしよう……さっきから、何度目だろう。

涙が滲んでくる。ジーンってしちゃう。



152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:58:16.84 ID:/o0UpxMNo

一緒に戦えて嬉しいと思うと同時に、私は感動している。

でも……でも今は、我慢しなくちゃ。倒した後なら……泣いても許されるはずだよね。


まどか『ほむらちゃんのスタンドと、一度一緒に戦ってみたかったんだぁ』

織莉子『それでは、暁美さん。もう一度かけ声をしましょうか。一時停止を解きますから』

Kirika「あ、ああ……そ、そんな……そんな……!」

ほむら「う、うん」

まどか『それじゃ、ほむらちゃんっ。準備いい?』

ほむら「……うん!」

Kirika「う、うあ……おあぁ……い、いやだ……いやだッ!やめて……!」

織莉子『ちなみに"リピート再生"っていうのもあるわ』

Kirika「う……」



153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/31(日) 23:59:29.72 ID:/o0UpxMNo

ほむら「ストーン・フリーッ!」

まどか『スタープラチナッ!』

Kirika「うおおおおおあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


    オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!

  オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
オラアアァァッ!   オラオラオラオラオラオラーッ!

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
    オラオラァ! オラオラオラオラオラオラオラ!

オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
    オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
 
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!   オラアアァァッ!
       オラオラオラオラ!   

 オラオラオラオラオラオラーッ!





154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:00:08.18 ID:HHsj6dnpo

二体の近距離パワー型スタンド、同時に放たれる拳のラッシュ。

ストーン・フリーの拳が叩き込まれ、Kirikaは体勢を崩す。

スタープラチナの的確な角度と強さでの打撃でKirikaの態勢を無理矢理調整させる。

体の向きを調整されて即、ストーン・フリーのもう一打。

ストーン・フリーに合わせて精密に殴るスタープラチナ。

全ての骨を生きたまま砕くかのような力と速さ。

あまりにも多くの手数により、Kirikaの足は床につかない。

Kirikaは最早、呉キリカの姿をしていない。

拳と拳に顔面が挟まれる。眼球が潰れた。

骨格が崩れ顔の形は壊れ指や肩が砕け内臓は破裂した。

まどかは集中力を極限まで高めスタープラチナに殴らせる。

ほむらは本当に自分でストーン・フリーを操っている錯覚を覚えた。

織莉子はムーディ・ブルースに『もう一周』一心不乱にさせた。



155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:00:47.21 ID:HHsj6dnpo

ストーン・フリーは攻撃をやめ、静止した。

二回リピート再生をさせた。

Kirikaの体は宙を舞い、スタープラチナの『丁度良い』位置へ。

『オラァァァァッ!』

スタープラチナは締めの一撃を放つ。

拳を肉塊に叩き付ける。


Kirika「ヤッダァァァァァァァバァァァァァァァァァッ!」


床に穴をあけ、Kirikaは『底』へ落ちた。


Kirika「WRRRRRR……RRYYYY……」

Kirika「……グブゥッ」

Kirika「あ゙……あ゙ア゙……ガ……」

Kirika「NUUUAAA……MMMNN……!」




156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:01:20.94 ID:HHsj6dnpo

Kirika「イ゙……今だ……隠れるんだ……」

Kirika「暗黒空間に……隠れるんだ……クリームは発動するんだ……!」

Kirika「ヴェルサ、スは……し……幸せ……に、なるんだ……!」

Kirika「しあ……わ、せ」

Kirika「――ガフッ!」


使い魔は、黒い煙となる。

魔女と魔法少女の中間となった概念は、ソウルジェムの弱点を克服する。

魔法少女のタフさと魔女の生命はたった今、死亡した。

ジシバリの魔女アーノルドの使い魔群、スタンド使い部隊、ヴェルサス。

その中で最も魔女に近かったKirikaは塵と化す。



157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:04:10.73 ID:HHsj6dnpo

使い魔だった黒い煙は、穴から出て宙に舞う。

黒い煙は周りの空気と混ざり合い、少しずつ色が抜けていく。


――ほむらには、見えていた。

その色の抜けた『透明な煙』が見えている。

白とも灰色とも、桃色とも言わない透明な煙。

コネクトの淡い光にあてられてか、

透明の煙は微かに紫色を帯びた。

そして、形を変えていく。

雲が生き物の形に見える時があるように、

「それ」と同じような現象かと、最初、ほむらはそう思った。


淡い紫の煙は『二人』に見えた。




158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:05:03.81 ID:HHsj6dnpo

ほむら「あ……」

ほむら「ま……『まどか』ッ!キ……『キリカ』ッ!」


まどかの姿が見えた。キリカの姿が見えた。

二人の姿が空へ浮上していく。それが幽霊か何かに思えて仕方がなかった。

「…………」

二人の煙と目が合った気がした。ほむらはその煙に向かって足を踏み込む。


ほむら「ああっ!」

ズテンッ!

しかし、膝に力が入らずほむらは転倒した。頬を地面に打ちつけてしまう。

前の時間軸のまどかは思わず一歩前に出そうになったが、織莉子が止めた。

このまどかと織莉子は確かに見えていた。

コネクト、ほむらのレクイエムが……『もう二本』

光の糸が空に向けて伸びつつあったのを。

ほむらの無意識の行動であった。



159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:06:24.67 ID:HHsj6dnpo

ほむら「グッ!……ハッ」

ほむら「…………」

ほむら「うぅ……」


ほむらは上体を起こし、天井を見た。

まどかとキリカの姿に見えた「何か」は既に消えていた。

そして、気が付けば――

ジシバリの魔女の結界は『解けて』いた。

空が明るい。

たった今解けたのか、それとも既に解けていたのか。

窓から差し込む爽やかな太陽がほむらを照らした。

ジシバリの魔女、アーノルド。その全ての因縁はたった今途絶えた。

さやかと杏子が撃破したのだ。

そしてふと、その二人もスタンド使いであることを思い出す。



160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:07:52.09 ID:HHsj6dnpo

ほむら「げ……幻覚……だったの……それとも……」

まどか『…………』

織莉子『幻覚ではないわ』

ほむら「……え?」

まどか『そう……レクイエムは魂を支配する能力……』

織莉子『きっと、彼女達の魂がコネクトと共鳴して……見えたのよ』

ほむら「魂……?」

ほむら「何で……何でわかるの?あなた達に……そんなことが……」

まどか『……うーん、何て言えばいいんだろう』

織莉子『あなたのスタンド……いえ、レクイエム。もとい、コネクト』

織莉子『それに触れられた時、その性質を理解したわ』

まどか『うん。うん』

ほむら「……どういうこと?」

まどか『それはね、ほむらちゃん。自然に理解できるはずだよ』

ほむら「…………」



161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:09:59.68 ID:HHsj6dnpo

まどか『さて、そろそろわたし達も消えようか』

織莉子『そうね』

ほむら「え、消える……?」

ほむら「いなくなっちゃうの……二人とも……?」

ほむら「そんなの……そんなの嫌だよ……!」

ほむら「二人とも、行っちゃヤダ……」

ほむら「行かないで。寂しいよ……」

まどか『でも……いつまでもいられないよ……』

織莉子『気持ちはわからないでもないけど……それは仕方がないこと』

ほむら「うぅ……」

まどか『わたしはほむらちゃんに託した希望が叶って、名前で呼んでくれただけで十分過ぎるくらい幸せだったよ』

まどか『わたし、ほむらちゃんに会えて……本当に楽しかった』



162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:10:59.65 ID:HHsj6dnpo

まどか『あなたは……わたしの最高の友達』

まどか『だから、ほむらちゃん。次……"わたし"を迎えに来てほしいなって』

ほむら「……迎え?」

まどか『次の時間に遡行する時……あなたと"この"わたしの魂がそれを望むと思うから……』

織莉子『コネクトは次元と次元を繋ぐ』

織莉子『別の私と、また会いましょう。あなたが望むならの話だけれど』

まどか『えへへ、絶対に迎えに来てね?約束だよ』

ほむら「じ、次元……?それに、迎えって……?」

織莉子『レクイエムは魂を支配する能力……精神に直接干渉できる力』

まどか『ほむらちゃんのコネクトは……精神の概念を、あなたの誓いを繋ぎ止める』

ほむら「まどか……?織莉子……?」

ほむら「ねぇ、何を言ってるの……?」



163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:12:51.62 ID:HHsj6dnpo

ほむら「よくわからないよ……つまり、どういうことなの?」

ほむら「どういう、意味……」

ほむら「……な……の?」

ほむら「…………」

ほむら「い……『いない』……?」


声が聞こえない。姿が見えない。

しかし、前の時間軸のまどか。この時間軸の織莉子……、

二つの概念が完全に消えたという実感だけがあった。恐らくもう二度と会えない。

そして、この時間軸のまどか。この時間軸のキリカ。

この二人が死んだという喪失感が改めて心を突っつく。

しかし――希望はある。


ほむら「天国……とでも言えばいいのかな」

ほむら「行ってしまったんだね……導かれて」

ほむら「二人とも……」

ほむら「…………」



164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:13:25.46 ID:HHsj6dnpo

ほむら「……ん」

ほむら「矢が……」

ほむら「……ストーン・フリー?」

ほむら「………………」


カチャン、と音をたてて矢じりが落ちてきた。

石の矢。とても輝いて見える。

スタンドを発現させ、ストーン・フリーを新たな力に進化させた道具。

まどかから託された希望の具体。ほむらはそれを拾う。


ほむら「……この矢」

ほむら「前の時間軸のまどかが……契約してまで承継してくれたもの……」

ほむら「全ては、この時のために……私のために……まどか」



165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:14:16.25 ID:HHsj6dnpo

ほむら「去ってしまった……人達から受け継いだ……ものは……さらに先に……進めなければ、ならない」

ほむら「この矢は、盾の中に入れて……おこう。きっと……また一緒に……来てくれる」

ほむら「そして……また……必要な、時、に……」


ほむらは、盾に希望を収めつつ、前の時間軸のまどかとこの時間軸の織莉子の言葉を思い出す。

『自然に理解できるはずだよ』『精神の概念を、あなたの誓いを繋ぎ止める』

『コネクトは次元と次元を繋ぐ』『彼女達の魂がコネクトと共鳴して……見えたのよ』

――たった今、一つの推測が立てられた。コネクトの真の能力。

それが正解であることをほむらは心の底から期待した。

ドサッ

途端、ほむらは全身から力が抜け、その場で倒れてしまった。

精神的にも肉体的にも、疲労がピークに達したため意識が飛んでしまったのだった。


その数分後、肩を組み合い、疲労により覚束ない足取りで歩く二人の仲間が体育館に辿り着いた。

そしてほむらを介抱した。



166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 00:14:49.09 ID:HHsj6dnpo

スタープラチナ・ザ・ワールド 本体:鹿目まどか(前の時間軸)

破壊力-A スピード-A 射程距離-E
持続力-C 精密動作性-A 成長性-A

数秒だけ時間を止めることができるスタンド。その性質は「勇気」
大切なものを守れる自分になりたい、という思いから発現した。
パワー、スピード、精密動作に優れ、最強レベルのポテンシャルを誇る。
ほむらのストーン・フリーと似た波長を持っている。
まどかは「ほむらに託す」ことを契約して『矢』を創った。
まどかの因果と魔力の一部を内包するその矢は時間軸を超え、未来への遺産。希望となる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



ムーディ・ブルース 本体:美国織莉子

破壊力-C スピード-C 射程距離-C
持続力-C 精密動作性-C 成長性-C

『矢』で指を傷つけたことで発現したスタンド。その性質は「真実」
「この時間軸」の織莉子のスタンド能力。真実へ向かおうとする意志が反映された。
過去の出来事を録画したDVDのように再生・早送り・巻き戻し・停止して観ることのできる能力。
対象に変身して「再生」するが、対象によってはムーディ・ブルース以上の力が出せる。
則ち、再生中に限り成長性以外のステータスはAにもEにもなりうる。
また織莉子の未来予知の能力と共鳴し、未来の「先行上映」が可能。
しかし予知と同じように、上映された出来事が真実になるとは限らない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:16:19.25 ID:HHsj6dnpo

#エピローグ『再会の物語』


――数日が経過した。


見滝原中学校にて、教諭と生徒合わせて三六名が行方不明となる事件が発生した。

保護された職員生徒の多くが「おかしな証言」をしている。

警察は精神が錯乱しているとして回復を待つとともに、

見滝原病院で発生した失踪事件との関連を調べている。

某県教育委員会は見滝原中学校を無期限的な休校とする対処を取り、

後日保護者に向けた説明会を開催すると発表した。


――事件の真相。

魔法少女とスタンドという事情を知らない者からすれば、

誰であっても説明することのできない出来事である。

世界の暗転。殺戮。『人が化け物に喰われた』と説明して誰が納得できようか。



176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:18:08.46 ID:HHsj6dnpo

事件の生き残り、その内の魔法少女。

暁美ほむら。美樹さやか。そして佐倉杏子。

三人は今、見滝原駅にいる。天気は晴れ。

ほむらは、いざというときまどか以外を見捨てる覚悟の他にもう一つ決意していたことがあった。

それは「目的を果たすまで両親に会わないこと」である。

メール等による最低限の返信や定期連絡を除いて両親と関わらないことを決めていた。

『感傷』に繋がるためである。感傷は前の時間軸の敗因だったからだ。


――当駅から出発する東京行きの新幹線。

ほむらは、それに乗って東京へ帰ることにした。

両親に会うために。

さやかと杏子はその見送りである。



177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:27:00.34 ID:HHsj6dnpo

見滝原中学校は現在、無期限の休校中。

再開する日は未定だが、必ずその間にワルプルギスの夜は見滝原に到来する。

まどかのいない世界に、ほむらは残る理由がない。

この世界の残り時間は、ほむらは東京で家族と過ごし……

再び砂時計が回転し時間遡行ができる時を待つことにした。

正確には、さやかと杏子にそうするよう勧められ……いや、強制させられた。

グリーフシードをいくつか、餞別として押しつけられた。

残された見滝原、風見野は、さやかと杏子が守ると誓ってくれた。


ほむら「本当に……見滝原に帰らなくていいの?」

杏子「構わないさ。あんたには帰る場所がある。家族水入らずで過ごせばいい」

さやか「あたし達がこの街とみんなを守っちゃいますよォ~」




178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:31:46.98 ID:HHsj6dnpo

新幹線が見滝原駅に到着する時刻まで、予約した時間までまだ余裕がある。

ほむらは、三人で会話するこの状態がずっと続けばいいと思った。

同時に、早く次の時間軸に行きたいという矛盾した思いがある。


ほむら「でも……」

杏子「気にするな。ほむらがいようがいなかろうがワルプルギスの夜が来るのは決まっている」

さやか「だからほむらはほむらの目的に集中すればいい。誰があんたを見捨てるだなんだ攻めようか」

ほむら「本当に……あなた達、たった二人でワルプルギスに挑もうと言うの?」

ほむら「確かに、この時間軸にいる意義はない……それでも、私はこの街を……」

杏子「スタンドが通用するか試したいってとこだろ?そりゃ困る」

さやか「お試しでワルプルをやられちゃーたまったもんじゃないからね。それにうっかり死なれたら全てがパーよ」

杏子「スタンド使いのあたし達がいれば簡単に倒しちまうからよ。一度勝たれたらあんたは油断するだろうからな」

ほむら「そ、そんなことは……」



179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:37:09.24 ID:HHsj6dnpo

さやか「だからぁ、もうこの街はあたし達のテリトリーなの!」

杏子「好き勝手されちゃぁたまんねーわけよ」

杏子「エイミーだかスイミーだか知らないが、例の黒猫の世話はちゃんとやるよ」

さやか「ちゃんと責任を持って愛でるから何の心配もない!」

ほむら「…………」

ほむら「二人とも……」


もしや……と思った。

油断がどうこうでワルプルギスの夜と戦わせたくないのではない。

少しでも私と一緒にいれば……感傷とでも言えばいいのか、

別れが辛くなる。必ずいなくなってしまうのだから。

だから見滝原から追い出すような形になってでも……そうしようとしているのではないか。

……自意識過剰かもしれない。だけど、そう思うことにした。


ほむら「…………」

ほむら「ふふっ……何よそれ」



180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:40:28.22 ID:HHsj6dnpo

久方ぶりに笑った気がする。

それどころかこの時間軸で初めて笑ったような気がする。

無愛想な戦友の笑顔を初めて見た二人は、

ほむらってこんな可愛い顔をするんだ。……と思った。


さやか「……ねぇ、ほむら」

ほむら「何?」

さやか「別れ際に言うのもなんだけど、頼まれてほしいことがあるんだ」

杏子「三つ、あたし達の願いを聞いてくれよ。礼を言われる程なんだからいいだろ別に」

さやか「まぁぶっちゃけるとこっちが礼を言う側だろーけど、聞いてよ」

ほむら「……願い?」

杏子「そうだ」

さやか「うん」



181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:45:41.34 ID:HHsj6dnpo

杏子「一つ目は、次の時間軸とやらで、なるべく早くゆまを助けてやってほしいんだ」

杏子「あいつは親から虐待を受けていたんだ。救って、魔法少女と関わらない幸せな人生を歩ませてやってほしい」

杏子「具体的に何をすりゃいいのかあたしにゃ検討もつかんが……」

杏子「あんたならそれなりに上手くやれるだろ。施設にぶち込むなり誘拐するなり、方法は任せる」

さやか「二つ目は、向こうのさやかちゃんを救ってほしいということ」

さやか「ほら、あたしはご存じの通りバカなヤツだからさ……恭介に好きだなんて契約しようがしなかろうが関係なく多分言えない」

さやか「恋を成就させろとまでは言わないけどさ……向こうのあたしに後悔のない選択をさせてほしい」

杏子「三つ目はあたしを何とかしてくれ。あたしもあたしでこの通り素直になれねーヤツなんでな」

杏子「今だから言えるが、本当はあたし、マミが好きなんだ」

杏子「マミが生きてたらそんなことぜってー言えないが……」

杏子「あたしとマミの仲を取り持つなりしてくれたらそれはとっても嬉しい」

さやか「杏子はツンデレさんだからね」



182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:48:23.46 ID:HHsj6dnpo

ほむら「…………」

ほむら「……えぇ」

ほむら「わかったわ。二人とも」

ほむら「ゆまちゃんも、あなた達も、救えるよう努力するわ」

杏子「頼むぞ」

さやか「うん。よろしーく」

杏子「……あ、ちょっと待った」

ほむら「?」

杏子「四つにしてくれ」

ほむら「四つ?」

杏子「頼まれ事を四つにしてくれってことだ。忘れてた。もう一つは……」



183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:50:32.73 ID:HHsj6dnpo

杏子「ほむら。幸せになってくれ」

ほむら「杏子……」

さやか「あぁー、一番肝心なこと忘れてたよ」

さやか「あたしもさ。あたし達はあんたの幸せを一番に望むよ」

ほむら「さやか……」

ほむら「……えぇ。わかったわ。努力する」

ほむら「幸せになってやろうじゃないの」

杏子「おう、なりやがれ」

さやか「頑張りなさいよ」

ほむら「…………」

さやか「…………」

杏子「…………」




184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:54:26.44 ID:HHsj6dnpo

ガシィッ!

三人は両隣の「仲間」の肩に手を置き円陣を組んだ。

三人のスタンド使いは笑顔を見せているが、その目には涙を浮かべている。

ほむらは、この二人と二度と会うことはないだろう。

さやかと杏子は、このほむらと永遠の別れとなるだろう。

別れを惜しんでいる訳ではない。感極まっているわけでもない。

悲しくも感動でもなく何故涙が出るのか、誰も説明はできない。


さやか「それじゃあね!しみったれた小娘!長生きしろよ!」

さやか「そしてこのあたしのことを忘れんなよ!」

杏子「次でまた会おうッ!」

杏子「あたしのことが嫌いじゃあなけりゃあな!……マヌケ面ァ!」

ほむら「忘れたくてもそんなキャラクターしてないわよ……!あなた達は……」

ほむら「……元気でね」



185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 22:56:40.28 ID:HHsj6dnpo

新幹線到着予定時刻十二分前。

ほむらは振り返り、改札へ向かった。

それとほぼ同時に、さやかと杏子も振り返り、見滝原駅を後にした。

三人はお互い、手を振る等といった、これ以上の別れの言動をとるつもりはない。

今の円陣が三人にとっての儀式であり、正式な別れを表す。

ほむらは改札機を通過した。

さやかと杏子は駅前のコンビニを通過した。


杏子「……腹、減ったな。さやか。折角だからどっかで飯にしよう」

さやか「いいねぇ。でも金はあんの?」

杏子「ほむらから餞別としていくらかせびっちゃったもんねー。イタリア料理を食べに行こう」

さやか「うわ、あんた……色々台無しなヤツだな」



186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:00:06.76 ID:HHsj6dnpo

杏子「うっせぇ。剣振り回すしか能がないスタンドのくせに」

さやか「はぁ!?」

杏子「それしかできないってことは、単純な性格ってことだろ?スタンドは精神力」

さやか「それは聞き捨てならないねぇ!あたしのスタンドを馬鹿にすんなよ!?」

さやか「あたしのスタンドはあんたの炎を耐えられる甲冑がある!」

さやか「その気になればあたしの剣で二刀流なんてのもできるだろうし!」

杏子「チッチッ、甘い甘い。あたしのク炎はまだまだそんな甘くはないぞ」

さやか「あたしのスタンドは杏子のより断然素速いのよ」

杏子「速さはそうかもしれないが、何にせよあたしのスタンドと比べたら大したことないな」

さやか「あたしのスタンドのが強い」

杏子「いいやあたしのスタンドのが強い」



187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:03:23.24 ID:HHsj6dnpo

さやか「こっちのが強いわ!」

杏子「いいやこっちのだね!」

さやか「あたしのスタンドの方が強い!絶対強い!」

杏子「いいやあたしのスタンドの方だね!パワーもある!」

さやか「シルバーチャリオッツのが強い!」

杏子「マジシャンズレッドの方が強いね!」

さやか「わー!やんのかコラァ!」

杏子「はっ!やってみなくても結果は見えてるぜー!」


互いに自分のスタンドには自信がある。

そしてワルプルギスの夜という伝説級の魔女に対し、

絶対に負けないという自信と負けられないという意地がある。



188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:09:26.75 ID:HHsj6dnpo

「ああ、ここにおれの進むべき道があった!ようやく掘り当てた!」

こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなた方は初めて心を安んずる事ができるのだろう。

――夏目漱石「私の個人主義」より抜粋。


杏子は、さやかに進むべき道を見出した。

さやかは、暗闇の荒野を杏子と手を繋いで歩くことにした。

二人の心は安らいでいる。互いが生き甲斐となって癒している。

幼なじみのまどかや片思いの恭介、尊敬するマミ慕っていた早乙女先生。

戦友のキリカや妹同然だったゆま、仲直りしたかったマミ。

大きすぎて多すぎるものを失ったのも事実ではあるが、

二人はそれを受け入れ、未来を死ぬまで生き続ける。

その先にあるもの。それは誰にもわからない。

さやかと杏子は人目も気にせず言い争いを始めた。

二人は心の底から今の時間を楽しいと感じているのだ。



189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:12:11.16 ID:HHsj6dnpo

新幹線は滑るように走る。

ノートパソコンを眺めるスーツの男性客や、

本を読みふける女性客がいる。中は静寂を保つ。

ほむらは指定席にて、窓から流れる景色を静かに眺めていた。


ほむら「…………」

ほむら(……帰るって連絡したら、お母さんすっごく喜んでくれてたな)

ほむら(弱いあの頃の私から……かなり変わっちゃったから、お父さんびっくりするだろうな)


両親が感傷に繋がると考えたのは、ほむらが両親を深く思っているためである。

今のほむら――感傷を弱点と考えなくなったほむらは、すぐにでも両親に会いたいと、無性に思う。

『この時間軸の両親』とはお別れをしなくてはならないが、とにかく、会って話がしたいと考えている。



190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:21:31.24 ID:HHsj6dnpo

――すてきな青空だった。


青空を背景に、普段は見られない視点から見る見滝原の街並み。

この平和な景色は、いずれワルプルギスの夜に破壊されるのだ。

スーパーセルという災害として扱われる。

この災害によりまどかの両親を含め、多くの人が亡くなってしまう可能性がある。

あくまで可能性。

二人の仲間は、ワルプルギスの夜と戦うつもりらしいが……、

その戦果を知る頃には、自分はもうこの時間軸にいないだろう。

知る術はない。別に知りたいとは思わない。

それは決してネガティブな意味合いを持ち合わせてはいない。

だかと言って、勝てるだろうという考えがあるわけでもない。




191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:25:52.84 ID:HHsj6dnpo

ほむら「…………」

ほむら(さやか……杏子……)

ほむら(任せたわよ……『この』見滝原は)

ほむら(あなた達の願いは聞き入れる)

ほむら(あなた達はあなた達で幸せになって欲しい……私の願いはそれくらい……かな)

ほむら(……まどか)

ほむら(前回は逆に守られて……今回は守れなかったね)

ほむら(情けないよね……ほんと。私ってば……)

ほむら(いつになったら、私はあなたを守る私になれるのかな)

ほむら(まどか。次こそ私はあなたを……)

ほむら(……ううん。みんな)



192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:29:35.39 ID:HHsj6dnpo

ほむら(私は……全てを救いたい)

ほむら(キリカ……あなたと友達になりたい)

ほむら(ゆまちゃん……あなたの笑顔がまた見たい)

ほむら(さやか……あなたに後悔をさせたくない)

ほむら(織莉子……あなたに生きる目的を示してあげたい)

ほむら(杏子……あなたを素直にさせてあげたい)

ほむら(巴さん……あなたにまた甘えさせてほしい)

ほむら(まどか……あなたと交わした約束は決して忘れない)

ほむら(みんな……私、頑張るからね)



193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:33:09.16 ID:HHsj6dnpo

ほむら(もう何があっても挫けない)

ほむら(私は、まどかとの約束を果たすし……)

ほむら(同時に、みんなを救ってみせる)

ほむら(まどかがくれた未来への遺産……みんなから受け継いだ人間の魂を持ってして……)

ほむら(全員がワルプルギスの夜を越えて、未来へ……!)

ほむら(一緒に、因縁を断ち……黄金のように輝く道を歩もう)

ほむら(そこから……私の、私達の人生、未来が始まる)

ほむら(あなたという未来に幸運を……)

ほむら(貫いた想いが未来を拓くんだ)

ほむら(……だよね?)


ほむら(コネクト。『あなた達』の魂が望むのなら――)




194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:36:09.37 ID:HHsj6dnpo







――これは再会の物語











195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:36:35.64 ID:HHsj6dnpo

文字通り私が再び大切な人と出会うことになるいきさつ……

そして思い返せば繰り返される一ヶ月の間はずっと祈り続け……

この力と技術による死闘も「祈り」の旅でもあった。


心の平和を「祈り」

明日、知り合いが笑っていることを「祈り」

仲違いをすれば理解し合えることを「祈り」

新しい出会いを「祈る」

そのあたりまえのことを繰り返しながら――

友と世界の平穏を祈る。


そしてひとつひとつの山を越える。


今――また山を越えることになる。



197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:40:36.14 ID:HHsj6dnpo


――古びた廃ビルに、少女がいた。


彼女の住所はこの街ではないが、ある理由で見滝原に来ている。

そこで、魔女に出くわした。

彼女は死力を尽くして戦った。

魔女を倒すことで少しでも世界に平和と誇りを取り戻せることを信念としている。

その結果は――。


「……やめときゃ……よかった、かな」

「よその……テリトリーの魔女に……手を出すだなんて」

「私は……」

「死ぬ、んだ……」

「…………」

「やぁ。何日ぶりになるのかな」

「……あなたは」

「でも残念ながら、君はここまでのようだね」

「……キュゥ、べえ」


敗北した彼女にとって……目の前の白い小動物は、

奇跡をもたらしてくれた、願いを叶えてくれた尊き存在。



198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:42:32.03 ID:HHsj6dnpo

「ってことは……やっぱ私、もうダメなのね……」

「体は動かないし……ソウルジェムも真っ黒……挙げ句に魔女には逃げられて……」

「私は……もう死ぬのね」

「ああ、そうなるね」

「あなた……私なら……とても強くなれるって言ったのに……」

「強いことと負けることは違うよ」

「…………」

「君は頑張った方だ。僕に君を助ける術がないのはとても悔やまれる」

「…………」


キュゥべえはピョンと身を翻し姿を消した。

廃ビルに残された少女は、ただ自分が魔女になるのを待つしかない。

自分の魂が忌むべき魔女になるということを知らないまま逝けるだけ、まだ幸福な死ではある。

ガラスのない窓から入り込んでくる雨で、寝そべっているコンクリートはとても冷たかった。



199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:43:46.81 ID:HHsj6dnpo

「……どうして、こんなところに」


声が聞こえる。

薄れいく意識の中、その声の調子が驚愕か悲哀か、どんな感情が込められているのかさえわからない。

霞んでいく景色に、鮮やかな色のブーツが見えた。

その足で、その人物が魔法少女であることがわかった。

テリトリーに無断で入ったのは自分の方。自業自得である。

助けを乞わないにしても、伝言を託したい。それくらいの慈悲に期待する。


「目が霞んでよく見えないけど……あなたは、ここの魔法少女?」

「ごめんなさい……勝手に、テリトリーに入って……勝手に死んで……」

「そこに私のカバンが落ちてるでしょ……?」

「その中に、身分証明書がある……そこの住所を辿れば、ある魔法少女が見えてくると思う」

「それで……伝えて欲しいの……私の死を……私の友達に……」



200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:44:21.29 ID:HHsj6dnpo

「…………」

「お願い……伝えて……」

「……その必要はないよ」

「……え?」


現れた少女は、倒れている少女の魂にグリーフシードを宛った。

魂が浄化され、敗戦した少女の体が軽くなる。

視界が回復し、その少女の顔を視認できるようになった。


「……あ」

「こんな所にいたんだね」

「あ、あなたは……」

「何で見滝原なんかに……」


そこにいたのは、首に切り傷のある少女。

彼女の親友であり、家族同然と言っても相違ない大切な存在である。



201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:45:29.30 ID:HHsj6dnpo

「あなた……どうして、ここに……」

「ある人がね……僕の前に現れて教えてくれたんだ。おまえさんは見滝原のこの廃ビルにいるって」

「ある人……?」

「名前は知らない」

「……そう。それで、迎えに来てくれたのね」

「何がくれたのね、だっての……僕を置いて勝手に死にかけるだなんて……」

「……ごめんなさい」

「まぁ、過ぎたことはいいとしよう……ところでさぁ」

「何かしら?」

「……『レイミ』と『アーノルド』って言葉に覚えある?」

「レイミ?アーノルド?」



202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:46:31.49 ID:HHsj6dnpo

「知らないわ」

「その人は僕のことを『アーノルド』おまえさんのことを『レイミ』だとか何やら言ってたんだけど」

「…………」

「本当に知らない?っていうか僕のは明らかに男性名だぞ」

「……本人がいない以上、確認しようないわね」

「うん。まぁ独り言ってことにしとこう」

「そうね」

「……ねぇ。僕、もう一つ聞いたいことがあるんだ」

「今回は何?」

「真の『幸せ』って……考えたことある?本当の『幸せ』を……」

「……幸せ?どうしたの、またそんないきなり」



203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:48:05.75 ID:HHsj6dnpo

「僕はこう考える。……『幸せ』っていうのは『思い出』を誰かと共有すること」

「共有……」

「そう。独りじゃあないんだ。一緒に行った場所、一緒に観たこと、ちらりと聞いたこと、戦ったこと、泣いたこと、思ったこと……」

「それを共有するっていうのが、あなたの言う『幸せ』なのね?」

「そう。僕は……今、僕の目の前にいる人が大好きなんだ」

「…………」

「いつも『思い出』と一緒にいたい。共有したいんだ。たくさん……いっぱい……」

「……うん。そうね。私も……そうしたい」

「嬉しいな……」

「……ありがとう」

「僕の方こそありがとうだよ」



204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:49:16.54 ID:HHsj6dnpo

「……『祈って』おこうかしら」

「……祈る?」

「そう……私を救ってくれた、あなたにここを教えた人に」

「何て?」

「知らない人だし、特に何ってこともないけど幸せになってとかそんな感じで……それじゃ、ボチボチ帰りましょう」

「……うん。帰ろうか。レイミ。僕達の町に……」

「……えぇ。アーノルド」

「やっぱ僕、男性名で呼ばれるの嫌だ」

「ふーん。そう……フフ」


ピンクのマニキュアをした少女と、首に切り傷のある少女は、一本のビニール傘に、肩を並べて歩く。

得体の知れない少女に導かれ、再会した二人は帰るべき場所へ帰っていったのだった。



205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:49:43.40 ID:HHsj6dnpo

――放課後。


空は雲に覆われている。

天気予報によれば、夕方から明日の早朝にかけて雨が降るらしい。

見滝原中学校校舎入り口に、三人の女子生徒がいる。

鹿目まどか。美樹さやか。志筑仁美。


さやか「やっと授業終わったよぉ~」

仁美「お疲れさまですわ」

まどか「さやかちゃんまた数学の時間寝ちゃったね」

さやか「体育があったから仕方ない」

まどか「体育がある日は必ずそうなるの?」

さやか「まどかもあんまり人のこと言えないよ」

まどか「そ、そんなことないもんっ。さやかちゃんよりは起きてるもん」

仁美「…………」



206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:50:46.40 ID:HHsj6dnpo

まどか「そ、それはそうと雨降るかなぁ?」

仁美「今にも降りそうですわね……」

さやか「仁美傘持ってないけど大丈夫?」

仁美「折り畳みがカバンに入ってますわ」

まどか「さやかちゃん、学校に行く時は持ってなかったけど……」

さやか「置き傘だよん」

まどか「でも折り畳み傘だよね」

さやか「置き折り畳み傘だよん」

仁美「持ち歩かなきゃ折り畳みの意味がありませんわ」

まどか「この前持って帰るの忘れちゃった傘だよね。それ」

さやか「はい」



207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:51:47.22 ID:HHsj6dnpo

さやか「仕方ないって。雨降るって言って降らなかった天気予報が悪いんだって」

さやか「30%とか自信満々に言っといてそれだもん。あたし気象予報士嫌い」

仁美「そんないわれもない……」

まどか「あ、あはは……」

さやか「ねぇ、まどか。これから何か予定ある?」

まどか「え?特にないけど……」

仁美「私には聞かないんですの?」

さやか「どうせお稽古でしょ?」

仁美「まぁそうなんですけどね」

仁美「やっぱりまどかさんだけに聞いてたら寂しいじゃないですか」

さやか「仁美ってたまに子どもっぽいよね」



208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:52:35.19 ID:HHsj6dnpo

さやか「仁美って大人な雰囲気醸し出してるけど……あ、やっぱ同級生なんだなって思えて安心するよ」

仁美「そうですか?」

まどか「うん。わかるわかる。仁美ちゃんって年上っぽいもん」

さやか「まどかはまだ小学生な気がする」

まどか「えっ!?」

まどか「そ、そんなことないもん!子ども扱いしないでよぉ!」

仁美「そうやってムキになるところがますます……」

まどか「ひ、仁美ちゃんまで!」

さやか「だって……ねぇ?」

仁美「ですわ」

まどか「む、むむむ……確かにわたしは童顔かもしれない……」

仁美「童顔も何も……」



209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:53:23.97 ID:HHsj6dnpo

さやか「……で、予定ないんだよね。脱線してしまった」

まどか「うん」

さやか「ちょっと買い物に付き合ってよー」

まどか「うーん……お買い物……」

まどか「できれば雨降る前に帰りたいんだけど……宿題も早く終わらせたいし」

さやか「えぇー、いいじゃん。何のための傘だよー」

仁美「さやかさん。無理強いはよくありませんわ」

さやか「むぅー」

まどか「ごめんね?」

さやか「仕方ないなー。いつかその埋め合わせをしてもらうからね!」

さやか「……ってあれ?今日宿題なんて出てたっけ?」

仁美「…………」

まどか「…………」




210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:54:09.90 ID:HHsj6dnpo

今日もまた、日常の一部を満喫してまどかは帰宅した。

玄関を開けると、いつもとは違う気配を感じる。

父親と弟は今、家にいないという気配。

そして、母親がいるという気配。

まどかの勘の通り、母親――鹿目詢子は既に帰宅していた。

頬杖をついてテレビを見ている。


まどか「ただいまどかー」

詢子「ん?今のはまどかのギャグか?かなり大爆笑」

まどか「早いねママ」

詢子「おう、何か気が乗らないからちゃっちゃか逃げてきたよ」

まどか「に、逃げたって……」



211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:55:10.88 ID:HHsj6dnpo

相変わらず、ワイルドというか自由というか……

こういうところもカッコイイにはカッコイイんだけど。

――と、まどかは思った。


まどか「そんなのダメだよ。ちゃんとお仕事しなくっちゃ」

詢子「いいのいいの」

まどか「よくないよ……パパとタツヤは?」

詢子「お出かけ。私と入れ違っちゃったみたい」

まどか「そっか……それで帰って早々お酒?」

詢子「いいじゃん!ちょっとくらい!」

詢子「それはさておき、まどか。ついさっきニュースでさ、娘虐待して捕まった親のニュースやってたよ」

まどか「へ?テレビ?」



212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:56:28.81 ID:HHsj6dnpo

テレビは今、一昨日にあすなろ市で犬猫二十数匹が仲良く走り去ったという

楽しそうだが少し不気味なニュースを放映している。

詢子は缶をチャポチャポと鳴らしている。


詢子「風見野だってさ。近いねぇ」

まどか「虐待……」

まどか「……それで、その子はどうなったの?」

詢子「保護されたよ。親戚とかがいるならそっちに行くだろうけど、いないなら施設に行くか……」

詢子「その辺はどこも報道しないんだよな。プライバシーの保護とか多分なんかそんなんだろう」

まどか「……酷いよね。虐待なんて」

詢子「腹痛めて産んだ子にそんなことするなんざ想像もつかないね。いや連れ子とかかもしれんけど」

まどか「わたし、パパとママの娘で良かったな」

詢子「そうかい。嬉しいこと言ってくれるじゃあないか」




213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:57:06.21 ID:HHsj6dnpo

詢子「親ながら、良くできた子だよあんたは」

まどか「そ、そんなこと……」

詢子「それでさ、その保護された子」

まどか「?」

詢子「ちょっと面白い……と言うのは不謹慎かな、何か奇妙なこと言っててさ」

まどか「奇妙なこと?」

詢子「その子が『お姉ちゃんが窓から逃がしてくれた』みたいなことを警察とか医者に延々と話してるらしい」

まどか「……逃がした?」

詢子「知らないお姉ちゃんが窓から逃がしてくれて、病院に連れて行ってもらって、初めて虐待が発覚したとか。一人っ子だそうだし」

まどか「えーっと……?」

詢子「言ってしまえば、そのお姉ちゃんとやらは不法侵入したってことになる」

まどか「…………」



214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:57:58.77 ID:HHsj6dnpo

詢子「虐待ってのはなかなかわからないもんでさぁ」

詢子「疑いのある家に行こうにも民事介入だ何だって難しいらしいんだ」

詢子「そのお姉ちゃんとやらが何のために不法侵入したかは知らないが……」

詢子「その子を救うためだったら、カッコイイよなァ~」

まどか「……そうだとしたら、すごい行動力だね」

詢子「……どうした?まどか」

まどか「あっ、ううん……わたしには真似できそうにないなって……そんな勇気ないし……」

詢子「…………」


言ってしまえば赤の他人のことであるが、まどかは虐待を受けた子どもに、本気で心を痛めている。

そして、もしかしたらただのこそ泥だったのかもしれないお姉ちゃんとやらに、劣等感を抱いている。

そういう優しさを持っている。そういう気の弱さを持っている。

母親だからわかる。まどかは『そういう子』であり、自慢の娘なのだ。



215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/01(月) 23:59:54.66 ID:HHsj6dnpo

詢子「行動力が全てじゃないぞ。まどか」

詢子「そういうことをできるのが勇気ってわけじゃない」

詢子「まどかにはまどかの良さがあって、まどかなりの勇気の形ってもんがある」

詢子「逆に、あんたが子どもを助けるために無茶して怪我したなんてなったら私の方がヤバイ」

詢子「そもそもあんたはまだまだ思春期の子ども……成長の余地がある」

まどか「こ、子ども……ママまでわたしを子ども扱いするんだ」

詢子「あんたは私の娘だ。いい勇気に育てよー。よぉ~しよしよしよし」


詢子はまどかを抱き寄せ頭に手を乗せた。

そしてわしゃわしゃと髪をかき乱す。


まどか「ま、ママっ!髪が、髪がボサボサになっちゃうよ!」

詢子「何だよ。ちょっと前までは喜んでただろーが。えへへーつってよォー。なでなでー」

まどか「いつまでも子ども扱いしちゃヤだよっ!」



216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:04:11.22 ID:bzQvDm3vo

母親と娘の他愛ない会話とやり取り。

まどかは、この日常がいつまでも続くことを望んでいる。

まどかは普通の人々と同じように……、

家族を愛し友人を愛し国を愛し学業に勤しむ。

ただの中学生。少し、自分に自信の持てないただの中学生。

平穏な日常が当たり前で、とても望ましい。


すると、鹿目家のインターホンが鳴った。

いつも聞き慣れた、来客を表す音。


詢子「おっ、誰か来た。まどか行ってきてよ」

まどか「こ、こんなボサボサな髪じゃ恥ずかしいよぉ!」

詢子「悪かったって……私が行くよ」

まどか「もう……」

まどか「……髪とかそうっと」



217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:06:01.62 ID:bzQvDm3vo

まどかはカバンをテーブルの上に置き、洗面所へ向かった。

洗面台は、父親がこまめに掃除をしてくれているため、いつもピカピカである。

鹿目家が誇る明鏡には、いつもの自分が映っている。

まどかはリボンを解き、愛用の櫛を通す。

実際で見てみれば、想像以上に乱れていた。


まどか「もー。ママったら……一切加減なしだよ」

まどか「……酔ってるのにお客さん応対させてよかったのかな」

まどか「あっ」

まどか「これは……ママに買ってもらった新しいリボンだ」


洗面台に、ビニールの包装がされた二本組のごく細い赤リボン。

母親のインスピレーションを突き動かしたという実績のあるリボン。



218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:08:11.53 ID:bzQvDm3vo

今度、それを着けて学校へ行こうと考えていた。

まどかは、何気なしに包装の接着剤を剥がし装飾品を手に持つ。

絹のような肌触りがした。

そして、髪を左右にまとめ、試しに着けてみる。

蝶の羽のような形になる。


まどか「ん~……」

まどか「……ちょ、ちょっぴり」

まどか「……いや、思った以上に派手かな?」

詢子「まどかー」

まどか「ママ」

詢子「お、新しいリボン」

まどか「髪をとかすついでにつけてみちゃった。どう?」



219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:09:18.53 ID:bzQvDm3vo

詢子「あぁ。似合ってる似合ってる」

詢子「やっぱり私の目に狂いはなかった」

まどか「でも、少し派手じゃないかな?」

詢子「ふっ、いいじゃん。これならまどかの隠れファンもメロメロ間違いなしさ」

まどか「ふぁ、ファンだなんて……」

詢子「それよりまどか。お客さんだ」

まどか「え?わたしに?」

詢子「うん」

まどか「……誰だろう?さやかちゃん?」

詢子「いや、知らない。でも多分クラスメート」

まどか「……?」

まどか「まぁいいや。行ってくるね」



220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:09:50.20 ID:bzQvDm3vo

詢子「よし、早速おニューのリボンを見せてやれ」

まどか「な、何だか恥ずかしいかも……」

詢子「大丈夫だって。この私が似合ってるって言うんだ。誇れ誇れ。ドヤ顔で応対しろ」

まどか「う、うん。ドヤ顔はしないけど」

詢子「……なぁ、まどか」

まどか「何?」

詢子「あんた……学校で何かあった?」

まどか「え?」

詢子「その、ケンカとか……」

まどか「……ケンカ?」

詢子「……とにかく、行ってこい」

まどか「?」



221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:11:39.85 ID:bzQvDm3vo


まどか「お待たせ……しました」

まどか「……えーっと」

「…………」


まどかはドアを開くと同時に来訪者と目が合った。

そこには、見滝原中学校の制服を着た少女が立っている。年齢は自分と同じくらい。

華奢な体格。肌の色は健康的とはほど遠い。

さらっとした芯の強そうな黒い長髪。

そして、ライトパープルのリボンを髪に結んでいる。

そのリボンが自分が着けたリボンの色違いであることに気付くに時間は要さなかった。

まどかは母親が『ケンカ』という単語を出した理由がわかった。

目の前の少女が怒っているように見えたのだ。

それでいて、その瞳から冷たさだけでなく温かさも感じた。

二つの対照的な感想を同時に得るという『矛盾』があった。



222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:12:24.47 ID:bzQvDm3vo

まどか「その……」

まどか「ど、どなた……ですか?」


まどかはおそるおそる尋ねた。

もし、会ったことはあるが覚えていないだけであれば失礼に値する。

しかし、実際に知らない、あるいは覚えていない。初対面。

ただし……見覚えがないわけではない。ただ、それがいつでどこでのことかはわからない。

問われた少女は沈黙している。


「…………」

まどか(な、何で黙ってるんだろう……お客さんだよね?わたしに用があるんだよね?)

まどか「…………」

まどか(それにしても……綺麗な子だなぁ。ちょっと怖そうな部分もあるけど、どことなく懐かしい気がする)

まどか(それに……あのリボン。わたしのと色違いだ)

まどか(すごい偶然。結構有名なのかな。あのリボン)



223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:14:07.67 ID:bzQvDm3vo

まどか「…………」

まどか(なんて、考えてる時とは違うね……)

まどか「……その……あの」

「…………」

まどか「も、もしかして、ですけど……」

まどか「わたし……」

まどか「あなたと会ったこと……あります?」

まどか「お、覚えてないだけだったら……その、ごめんなさい」

「…………」

まどか「え、えっと……」

まどか「……お、おそろいのリボンですね」

まどか「もしかして……このリボンって流行ってるんですか?」


思わず敬語で話してしまう。

仁美とは別の方向性で大人びている。上級生かもしれない。



224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:15:00.78 ID:bzQvDm3vo

「…………」

まどか「あ、あのぉー……」

「……っ」

ガシッ

まどか「えっ!?ちょっ……!」


黒髪の少女は、まどかの手首をいきなり掴んだ。

まどかは有無を言わさず、急に手首を掴まれた。

蝶の羽ばたきのように、速いようで静かな動きだった。

その力は、絶対に離させない強さと、痛くないようにという気遣いの弱さ。

まどかは、突然手首を掴まれて驚きはしたが不思議と怖いとは思わなかった。

それどころか、滑らかな肌の感触がどことなく懐かしい気持ちにさせる。


「…………」

まどか「あ、あの……」



225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:16:47.98 ID:bzQvDm3vo

シュルッ

そして、その少女はリボンを片手で解いた。

淡い紫の線はふわりと浮いた。


まどか「あ……」

まどか(似合ってたのに……)

「…………」

まどか「あっ……な、何を……」


少女は依然答えず、そのリボンをまどかの手に握らせた。

絹のような肌触りと仄かな石鹸の香りを感じた。

自分が着けているものと色違いに過ぎないはずなのに、

何故だかそのリボンがとても高級なものに思えた。



226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:19:58.67 ID:bzQvDm3vo

まどか「あの……」

「……わかる?」


少女は、やっとまどかに口を聞いた。優しい声だった。

不思議と脳に直接その声が響いたかのような、そんな感想を抱く。


まどか「わ、わかるって……」

「これが、私の能力よ……『コネクト』は次元を越える」

まどか「え……?」

まどか「こ、こねく……?えぇっと……あの、その、ご、ごめんなさい」

「あなたと……いえ、あなたの概念と約束をした。あなたの魂を連れてくると……」

「そして、迎えに行くって……まどか」

まどか「い、いきなりそんなこと言われ……あれ?今……わたしの名前……」

まどか「どうしてわたしの名前を……初対面、だよね……?」

まどか「何を言っているのか……わたし、全然わか、ら……」

まどか「……な……い」

まどか「……!」



227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:21:18.82 ID:bzQvDm3vo

言葉が止まった。不意に言葉が出なくなった。

突如脳裏に、何やら妙な光景が浮かび上がった。

――黒のショートボブの少女と肩を並べて、学校の体育館をふわふわと浮いていた。

そして、床に倒れている少女から、『何かが伸びてくる』

『淡紫色の糸』だった。そして光り輝く糸が、自分とその少女と『繋がっ』た。

そういう光景を、その目で見たことがある気がする。

夢の中か何かで見た気がする。


「……まどか」


少女は再び、まどかの名を呼ぶ。

そう言えば……と、まどかは思った。

突如浮かんだ映像の中で、光の糸を伸ばしている少女と……

目の前にいる少女。……どこか『似て』いる。



228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:22:30.39 ID:bzQvDm3vo

まどか「――ッ!」


背筋に電流が走ったかのような衝撃を、まどかは感じた。

痛みはない。熱さも冷たさもない、鋭くも鈍くもない衝撃。

呼吸が一瞬止まった。心臓がしゃっくりをした。

体から力が抜けるような、それでいて逆に何かが入ってくるような感覚。

――今、まどかは理解した。


まどか(……ある)

まどか(わたしは……『ある』)

まどか(この人に『会ったことがある』……)

まどか(そうだ……『思い出し』た!この人は!)

まどか(わたしはこの人を知っている!いや、このまなざしと、リボンの理由を知っている!)

まどか(この人は、わたしに会いに……いや、『迎え』に来てくれたんだッ!)

まどか(わたしに『思い出させる』ために!見覚えのある見滝原中学の制服姿で!そして――)

まどか(紫のリボンをつけて……!)



229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:25:12.59 ID:bzQvDm3vo

まどかの頭に流れ込んでくる光景。

体は覚えていないが魂が覚えている体験。

夢で見た景色のようで、実際に歩んだ世界。

自分は「前の世界」の鹿目まどかではない。

それは間違いない。正真正銘、その確信がある。

しかし「前の世界」の鹿目まどかの記憶がある。


まどか(確かわたしは『死んだ』んだ……)

まどか(それで、そのあと……死んだはずなのに、感覚があったんだ)

まどか(紫色の淡い光……『彼女』の心と心、精神と精神、魂と魂が繋がったような……温かい感覚)

まどか(紫色の淡い光……『コネクト』……次元を乗り越えて……)

まどか(『前』のわたしの魂がそれを望んだからだ……一緒にいることを)



230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:27:25.39 ID:bzQvDm3vo


まどかは思い出した。


思い出した、というよりも――

脳の奥に潜在されていた記憶が呼び覚まされたかのような、

記憶を本に例えると、そのページの余白にたった今書き込まれたかのような、

体験していない事柄を事実として頭が受け入れる。

わたしは、いつだったか――『前の時間軸』で粉微塵になって死んだんだ。

でも、そのまま消えるだけだったその魂を、精神の一部を、目の前の女の子が……

友達が『持ってきて』くれたんだ。

『前の世界』のわたしの記憶。

この世界のわたしの記憶と、前の世界のわたしの記憶が繋ぎ止められた。


思い出させてくれた……。呼び覚ましてくれた……。


書き込んでくれた……!受け入れさせてくれた……!



231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:28:33.13 ID:bzQvDm3vo

まどか(全て……ではないけど……そうだ。理解した)

まどか(わたしのためだったんだ……)

まどか(『この人』は……わたしのために……)

まどか(何度も命の危機に晒され、悲しみ、苦しみ、憎み……辛い思いをしてくれた)

まどか(わたしなんかのために……想像も絶する勇気と覚悟を抱いてくれたんだ)

まどか(わたしを救うって誓ってくれた……)

まどか(わたしのために戦ってくれてたんだ……!)

まどか(……魔法少女)

まどか(魔女、ソウルジェム、ワルプルギスの夜)

まどか(さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん、ゆまちゃん、キリカさん、織莉子さん)

まどか(スタンド、ストーン・フリー、石の矢)

まどか(そして……コネクト)



232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:31:00.24 ID:bzQvDm3vo

まどか(交わした約束は忘れない……!)

まどか(わたしは……わたしは……!)

まどか(わたしはこの人の親友だったんだ!)

まどか「……うぅ」

「…………」

まどか「わたし……『思い出し』た……!」

「……!」

まどか「思い出せた……」

まどか「思い出せたよ……うぅ」

まどか「思い……ぐすっ、出せたよぉ……!」

まどか「うっく……ひぐっ」

「……なにを泣いているの?」



233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:32:48.01 ID:bzQvDm3vo

涙をポロポロと零すまどかに少女が問う。

親友がどういう表情をしているのか、涙でよく見えない。

しかしまどかは、彼女に何を言うべきかを既に理解している。


まどか「この涙は……幸せの涙だよ……」

まどか「あなたが……ここにいることの……」

「…………」


まどかの紅潮した頬に涙が伝う。

体が震えている。

リボンを手渡した少女の手を、離れないように強く握る。

とても温かい。

少女はまどかの言葉、その意味を心で理解している。


「……それは私も同じよ」




234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:33:17.06 ID:bzQvDm3vo

「心が暗く冷えてしまっていた時……」

「温かくしてくれたのはあなたなのだから」

まどか「……ありがとう」

まどか「思い出させてくれて……ここに来てくれて……グスッ、わたしに、会いに来てくれて……」

まどか「ほんとに……ほんとにありがとう……!」

まどか「ありがとう……それしか言う言葉が見つからないよ……!」

まどか「わたし……嬉しいよ……」

まどか「あなたに『また』会うことができて……」

まどか「わたし……わたし……!」

まどか「とっても嬉しい……!」

「まどか……」



235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:35:11.39 ID:bzQvDm3vo

「……ごめんなさい。あなたを守れなくて」

「それにわたし……あなたに冷たいことを言った……」

「覚えてる?あなたの大切な人の死を……私は『仕方ない』と言った」

「あなたを突き放すようなことを言って……」

「それが最期の会話になるだなんて思わなかった」

「だから、第一に謝りたかった……ごめんなさいって言いたかった」

まどか「ううん……」

まどか「何も……謝ることなんてないよ……!」

「……まどか」

まどか「謝るのはわたしの方……わたしの方こそ……ごめんね……!」

まどか「本当に……ごめんね……!」


詢子「…………」




236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:35:52.15 ID:bzQvDm3vo

詢子「あー、その……和解した?ところ申し訳ないが……」

まどか「ぐすっ……あ、ママ」

詢子「まどか……その子はお友達かい?」

詢子「あーっと……なんだ。子どものケンカに首を突っ込むのは野暮ってもんだが……」

詢子「野次馬精神で聞いてみたいところもある。空気読めてないと言われるのも承知の上」

詢子「よかったらこの酔っぱらいにそこのべっぴんさんを紹介してくれないかい?」

まどか「ケンカなんかじゃないよ……ママ」

まどか「この子はね……」

まどか「わたしの……わたしの、最高の友達……!」

詢子「友達ィ?」

まどか「ずっと前に知り合って……色々……本当に、色々あって……」

まどか「そして『再会』できた……!」




237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:36:32.73 ID:bzQvDm3vo

詢子「……話が読めんのだが」

詢子「あんたが何で泣いてんのかはさておき……制服のその子と『再会した』ってつうことは……」

詢子「和子から転校生を受け持つって話を聞いてたが、もしかしてこの子のことか?」

まどか「うん……!」

詢子「そ、そうか……この子が……ずっと前に別れた友達ってことかい……」

詢子(……涙目になるほどなのか?そんなにか?そんなになのか?)

詢子(まどかがそんな大切に思う子、私が話に聞かないはずないんだが……)

詢子(再会ってなると、引っ越したとかそういうことだろ?小学生時代か園児時代か……)

詢子(いや、記憶にない……)

詢子(まさか……私が覚えてないだけ?)

詢子「……な、なぁ、まどか。私、この子に会ったことあった?」

まどか「……うん……ね?」

「えぇ……」

詢子「……私ィ?」




238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:37:35.27 ID:bzQvDm3vo

詢子「えっと……すまん。全く覚えがない」

まどか「だってママとは事実上『初対面』だから……」

詢子「は?」

まどか「あ、ううん。何でもない」


……あぁ、何を言ってるのかさっぱりだ。

理解不能なのはお酒のせいか?そんなに頭回らないほど飲んじゃあいないぞ。

まぁいいか。それにしても、再会したとやらの子の顔……。

玄関で応対したその時、怒っているように見えたのは私の間違いだった。

あの表情は、この子の「緊張」な気持ちの表れだったんだ……。

ずっと前とやらに別れて……まどかに覚えてもらえているかどうか、否か、を。

今は目に涙をうっすら浮かべて、あんなに可愛らしく微笑んでいる!

まるでこの子にとってまどかは「心」を注いだ存在であるかのように……!


少女の輝きのある、愛くるしい微笑みを見てそう感じた詢子は……

『将来この子、きっと幸せになるわ』

……と思った。



239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:38:16.92 ID:bzQvDm3vo

本当に……。

本当に、廻り道だった……。

本当に本当に……なんて遠い廻り道……。


詢子「それで……あんた、名前は?」

「…………」

詢子「ところでさっきから震えているけど……ひょっとして寒いのかい?」

詢子「そういや雨が降ってきたな……ウチにあがりなよ」

「……ほむら」

詢子「え?」


だけど、今……ここにいる。会いに来てくれた。

わたしの大好きな親友。わたしの最高の友達。

夢の中で会った……


「ほむら。私の名前は……」



240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:39:20.20 ID:bzQvDm3vo







「私の名前はほむらです」








――まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」 (完)



241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:40:59.64 ID:bzQvDm3vo

おまけ:解説まとめ

ちなみに登場したスタンドは前作、名前だけで登場した分を含めるとこのようになります。

3部:スタープラチナ クリーム ティナー・サックス マジシャンズレッド シルバーチャリオッツ
4部:キラークイーン ハーヴェスト バッド・カンパニー スタープラチナ・ザ・ワールド
5部:リトル・フィート ドリー・ダガー(小説) ムーディ・ブルース
6部:水を熱湯に変えるスタンド ストーン・フリー アンダー・ワールド
7部:シビル・ウォー チューブラー・ベルズ スケアリー・モンスターズ




242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:42:37.10 ID:bzQvDm3vo

Raymea(レイミ)

引力の魔女。その性質は「伝承」
別の世界からスタンドという概念を引き入れた、
あるいはその概念を創造したとされる魔女。
立ち向かう力は必ず良き未来へと繋がっていくと思い続けている。
使い魔を使って、日々誰かにスタンドという力を伝える。
それがいつかこの世界に平和と誇りを取り戻すものだと信じて。


Sabbath(サバス)

引力の魔女の手下。その役割は「選別」
結界内の廃墟に引きこもる黒いマントを羽織ったマネキンような姿。
結界に迷い込んだ者へ、向かうべき二つの道を与える。
一つは生きて選ばれる者への道。
もう一つは、さもなくば死への道。


Cavenome(カヴェノメ)

引力の魔女の手下。その役割は「発現」
断層に空いた『穴』そのものがその姿。
Cavenomeに触れた者は、噛みつかれてしまう。
その歯形をつけられた者はスタンドという能力を発現する。
人によっては高熱を伴い、また人によってはスタンドを発現せずに死ぬ。



Arnold(アーノルド)

ジシバリの魔女。その性質は「因縁」
犬のような姿をしていて、スタンドという能力を持つ魔女。
めぼしい相手から記憶を読みとり、自身の記憶と共有することを趣味とする。
アンダー・ワールドの能力と共鳴し、掘り出した過去をそのまま結界とすることができる。
その結界は空の色がアイボリーブラックである以外は精密。
また、アンダー・ワールドで生み出した事実を使い魔として『固定』できる。


Versace(ヴェルサス)

ジシバリの魔女の手下達。その役割は「追想」
アンダー・ワールドで生まれ使い魔となった存在の『総称』である。
掘り出された過去の概念に寄生する形で生きている。
意志があり、外見は瓜二つだがその性格は正確でない。
魔法少女の概念を兼ねる個体はソウルジェムに相当する部位が弱点となる。


アンダー・ワールド 本体:ジシバリの魔女 Arnold(アーノルド)

破壊力-なし スピード-C  射程距離-結界内
持続力-A   精密動作性-C 成長性-A

「過去の事実」を『掘り起こす』能力。その性質は「追憶」
掘り起こされた事実は運命のように変えることはできない。
しかし、魔女の力によりその事実は『過去の概念』として、
使い魔として生まれ変わりその運命から解放される。
過去とは、ほむらの時間遡行能力で言う「前の時間軸」を指す。
失った時間、概念への執着から発現したと考えられる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:43:44.69 ID:bzQvDm3vo

リトル・フィート 本体:Oriko

破壊力-D スピード-B  射程距離-E
持続力-B 精密動作性-C 成長性-C

人差し指に鋭い爪のあるロボット風のデザインをしたスタンド。その性質は「瑣末」
その爪で傷つけられたものは小さくなる。また、自分自身も小さくできる。
縮んでいくスピードは魔力依存。魔力を込めれば込める程早く縮ませる。
OrikoはKirikaを小さくして小動物のように撫でるのが好き。
逆に自身が小さくなってKirikaの指にしがみつくというのも悪くない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


クリーム 本体:Kirika

破壊力-なし スピード-C  射程距離-E
持続力-C 精密動作性-C 成長性-E

「暗黒空間」という概念を創造・干渉する能力。その性質は「孤立」
フードのような姿をしている。それを被ることで暗黒空間を創る。
その中に隠れることで姿を消し、浮遊して移動ができる。
移動中に触れたものは暗黒空間へ飲み込まれて粉微塵にされる。
暗黒空間に隠れている間は何者からの干渉を受けず、Kirikaもまた干渉できない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


キラークイーン 本体:Yuma

破壊力-A スピード-C  射程距離-E
持続力-D 精密動作性-C 成長性-B

触れた物を爆弾にする能力(一度に一つだけ)。その性質は「護身」
キラークイーンが触れた物は小石でも人体でも爆弾にして爆発させられる。
爆発のタイミングは本体の任意、または爆弾が触れられること。
爆弾にする能力ばかりに依存しているためか、格闘性能はさほど優れていない。
左手の甲から、魔力を探知して自動追尾する爆弾戦車「猫車」を出すことができる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:44:10.80 ID:bzQvDm3vo

バッド・カンパニー 本体:Mami

破壊力-B スピード-C 射程距離-B
持続力-B 精密動作性-C 成長性-B

銃を持った小さな歩兵百体の群体型のスタンド。その性質は「統率」
兵隊は狙撃か銃剣で刺すといった攻撃をする。一体一体の力は弱い。
組織を結成したいという欲求と、几帳面な性分が反映したとされる。
ちなみに群体型スタンドの所有者は心に決定的な欠落があるらしい。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


シビル・ウォー 本体:Kyoko

破壊力-なし スピード-C 射程距離-B
持続力-A  精密動作性-C 成長性-D

過去に「捨てたもの」を支配する空間を創造する能力。その性質は「浄罪」
「捨てたもの」の幻覚を見せつける。その幻覚は相手に直接襲いかかる。
図書室や廃教会等の屋内に「結界」を設定し、その結界に入り込んだ相手に作用する。
結界内で本体が殺された場合、殺した相手に「捨てたもの」を押しつけて生き返るという能力もある。
しかしKyokoは使い魔なので、罪悪感というものがない。
故に押しつける罪も清める罪もないため、罪を押しつけることはできず、殺されると死ぬ。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


ドリー・ダガー 本体:Sayaka

破壊力-A スピード-A  射程距離-C
持続力-A 精密動作性-C 成長性-C

魔法武器の剣に取り憑いているスタンド。その性質は「転嫁」
自身に受けるダメージの「七割」を刀身に映りこんだ相手に転移する。
三割は喰らうが、Sayakaの治癒能力と半自動カウンター能力は相性抜群。
Sayakaは常に魔法少女の姿をしているため、24時間スタンド剥き出しである。
光の反射を利用した能力であるため、暗闇では発動しない可能性がある。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:45:27.53 ID:bzQvDm3vo

ストーン・フリー 本体:暁美ほむら

破壊力-A スピード-B  射程距離-E
持続力-A 精密動作性-B 成長性-C

一言で言えば糸のスタンド。その性質は「覚悟」
引き裂かれてしまいそうだった心を繋ぎ止めるかのように発現した。
自分の体を解いて糸状にし、その糸を自在に操ることができる。
スタンドの糸を集めて人型にすることで、力が集中しパワー型スタンドになれる。
力が強く丈夫だが、その代わりに射程距離が二メートル程度となる。
糸で「編む」または「縫う」ことによってある程度の傷の治療が可能。
糸は石鹸のような香りがするらしい。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


シルバーチャリオッツ 本体:美樹さやか

破壊力-C スピード-A  射程距離-E
持続力-C 精密動作性-B 成長性-B

レイピアを装備し、銀色の甲冑のような姿をしたスタンド。その性質は「克服」
純粋なパワーはさほど強くないが、高速で力強い剣捌きが最大の武器。
甲冑による防御力に、本体の治癒魔法が加わり屈指のタフさを誇る。
失意に陥っていた精神状態、逆境から乗り越えたことでこの能力の素質を孕み、発現した。
それらは他者によって克服したため、他者を思う心が己を雄飛させる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある


マジシャンズレッド 本体:佐倉杏子

破壊力-B スピード-B  射程距離-E
持続力-B 精密動作性-C 成長性-B

炎のヴィジョンをした熱を操る亜人型スタンド。その性質は「雄飛」
スタンドの口や手から炎を放出し、形状や温度を自由自在に操ることができる。
本能にインプットされているかのように、炎の扱い方は「何となく」で理解している。
スタンドの射程距離は短いものの、炎による中距離攻撃が可能。
火事で失った過去を受け入れ克服したことで、炎の能力を得たのだと杏子は考えている。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:45:58.16 ID:bzQvDm3vo

スタープラチナ・ザ・ワールド 本体:鹿目まどか(前の時間軸)

破壊力-A スピード-A 射程距離-E
持続力-C 精密動作性-A 成長性-A

数秒だけ時間を止めることができるスタンド。その性質は「勇気」
大切なものを守れる自分になりたい、という思いから発現した。
パワー、スピード、精密動作に優れ、最強レベルのポテンシャルを誇る。
ほむらのストーン・フリーと似た波長を持っている。
まどかは「ほむらに託す」ことを契約して『矢』を創った。
まどかの因果と魔力の一部を内包するその矢は時間軸を超え、未来への遺産。希望となる。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



ムーディ・ブルース 本体:美国織莉子

破壊力-C スピード-C 射程距離-C
持続力-C 精密動作性-C 成長性-C

『矢』で指を傷つけたことで発現したスタンド。その性質は「真実」
「この時間軸」の織莉子のスタンド能力。真実へ向かおうとする意志が反映された。
過去の出来事を録画したDVDのように再生・早送り・巻き戻し・停止して観ることのできる能力。
対象に変身して「再生」するが、対象によってはムーディ・ブルース以上の力が出せる。
則ち、再生中に限り成長性以外のステータスはAにもEにもなりうる。
また織莉子の未来予知の能力と共鳴し、未来の「先行上映」が可能。
しかし予知と同じように、上映された出来事が真実になるとは限らない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある



247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 00:46:24.36 ID:bzQvDm3vo

コネクト 本体:暁美ほむら

破壊力-なし スピード-なし  射程距離-なし
持続力-なし 精密動作性-なし 成長性-なし

「一緒にいたい」という心底からの願いから発現したレクイエム。
ストーン・フリーが矢を取り込み、紫色に光り輝く糸のような姿に変化した。
浄土から地獄へと繋ぐ蜘蛛の糸のように、砂時計から並行世界の次元をも越える糸を伸ばす。
糸は『別次元の概念』や『死亡した概念』を盾の中へ連れてくることができる。
時間遡行の能力と共鳴してその他者の精神(記憶)の一部を、次の時間軸へ持ち越し承継させた。
受け継がれた人間の魂。勇気と覚悟、誇りと絆がある限り、交わした約束を忘れない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ



マギア 本体:此岸の魔女 Homulilly(ホムリリー)

破壊力-なし スピード-なし  射程距離-なし
持続力-なし 精密動作性-なし 成長性-なし

前々回の時間軸でほむらが発現するかもしれなかったスタンドの先の領域。レクイエム。
レクイエムとは全ての魂を支配するエネルギーのことである。
マギアは地球上の全生命の魂を十日以内に『消滅』させる。
魔女を殺さない限りレクイエムの活動は続くが、魔女に干渉しようとすると魂は消滅する。
このレクイエムはその時間軸の織莉子が予知で見た可能性の一つに過ぎない。

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ



248 : ◆H5Ebiy6tLDQ1 2013/04/02(火) 00:48:25.38 ID:bzQvDm3vo

これにて全四作に渡ったまどか×ジョジョクロスのシリーズ完結になります。お疲れさまでした。
ある意味でリボほむエンド。タイムリープで他人の記憶を引き継がせるとかチートもいいとこです。

それでは、長くなりましたが最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/02(火) 05:16:12.40 ID:nIBtTBnbo

完結乙
面白かった



転載元
まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361546925/
まどか「夢の中で会った……」ほむら「私の名前はほむらです」 ACT2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364654387/
このエントリーをはてなブックマークに追加

        • 月間ランキング
        • はてぶ新着
        • アクセスランキング

        SSをツイートする

        SSをはてブする

         コメント一覧 (46)

          • 1. 天才
          • 2013年04月09日 00:14
          • 3 うん、普通。
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 02:40
          • ※1
            天才のお前が言うならそうなんだろうな

            スゲーな
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 03:16

          • いや待て。天才から評価星を三つ貰うのって凄い事じゃね?

            普通人の普通と天才の普通じゃ平均値が違うからこれは良い評価だ。
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 06:06
          • 5 杏子厨が来るぞぉぉぉわぁぁぁぁ!

            波紋と鉄球は全体的に明るかったのにスタンド編は暗かったな……まどかの雰囲気が前面に押し出されてる感じ
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 09:14
          • メガほむ→クーほむ→リボほむでほむら三段活用を網羅しててワロタ
            戦闘シーンがいいね
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 12:11
          • クソつまんねーのにスペース取り過ぎだろ
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 12:40
          • 面白かった(小並感)
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 14:29
          • おまえの次のセリフは作者に敬意を表す、みたいな感じのことだ!

            地の文主体じゃここの連中にはウケが悪いだろうなと思った
            スレを荒らしまくった杏子厨は書き込まないでね
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 15:07
          • 地の文付きは状況がわかりやすいからもっと増えてほしいんだが、上手い地の文書くの難しいんだろうなぁ…
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 15:34
          • 長すぎるけど楽しめた
            まどかがほむらの手を褒めたらへんで、一瞬この時間軸のまどかは殺人鬼なのかと思ったw
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 17:34
          • 前作みたいにコメ欄が荒らされそうだ。作者に見てもらいたいものではあったけど。

            お前ら、醜い争いを見たくなければとっとと逃げろ…!

            早くせんと前作のコメ欄の荒らし共がくるぞ!!
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 19:21
          • 長そうだからコメ見て読むか決めようかと思ったんだけどどうなのこれ
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 19:26
          • 長いけど戦闘シーンが熱くて面白い
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月09日 22:24
          • 次は短くて分かりやすいストーリーがいいかなって
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月10日 02:38
          • 戦闘シーンがすごく熱くて最高だった。荒らしがいる中、完結してくれてありがとう
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月10日 03:17
          • 4 読みごたえあったぞ。
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月10日 03:48
          • 5 読み応え抜群でした
            素晴らしかったです
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月10日 18:17
          • 5
             映 画 化 決 定 ( 俺 の 脳 内 で )
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月10日 22:38
          • 5 これをよんでたら時間が消し飛ばされてたんだがお前らの誰かキンクリ使った?
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月11日 00:56
          • 杏子厨さん来ないでね
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月11日 02:11
          • さやかは心の中で「あれ取って」と念じた。

            銀チャリはもう許してあげてください・・・
            けど前作から全編にかけてブラックだったからか終盤の勝利ムードが異様なほど気持ち良かった
            ディ・モールトいい!
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月11日 17:31
          • よかったまだ杏子厨は来てないみたいだ。頼むからくるなよ〜〜……!!
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月11日 19:23
          • すごい! 平和だ!
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月12日 20:08
          • ※23
            前作の※欄からは想像もつかないよな。この※欄の平和を維持できるか、それはいかにしてアンチや杏子厨にこのSSの存在がバレないかにかかっている。
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月12日 22:27
          • 5 単に期間が空いて飽きたとかじゃないの

            魔法とスタンドの共鳴ってのは面白い着眼点だし、時間停止のチート能力をうまく抑えてたと思う
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月14日 11:01
          • やっと読み終えたぜ…かなり暗い雰囲気だったけど誰が死ぬかわからない緊張感とかあって良かったよ
            作者はお疲れ様でした
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月16日 23:40
          • 前作のトラウマ抉って魔女養殖してる杏子はかなり好みだったんだが。
            そうか、そんな連呼するほど荒れてたのか。
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月20日 19:34
          • 5 素晴らしかった。ボリュームと前回の荒れっぷりに引いてる奴、読まないの勿体無いぞ
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月28日 12:51
          • 5 このシリーズはジョジョクロスSS最高傑作やでぇ…
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月01日 21:42
          • 俺のSSとほぼ同時期に連載されてたけどスレについたレスやここの反応を見た限りやはり俺のジョジョクロスの方が格が上だよな

            ざまあああああ
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月01日 21:45
          • ※30
            同意。こんなん長いだけのゴミ
            上のジョジョクロスは神
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月02日 12:02
          • とうとう杏子厨が来たか
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月02日 22:21
          • ただ単に無駄に長いのが嫌なだけだろ。
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月03日 13:00
          • これで無駄に長いってどんだけ活字に拒否反応起こしてんだよ
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月06日 12:51
          • 5 ヒント:時間

            グーよ。グー!
            結局スタンドは波紋や鉄球のツェペリみたいにジョジョの世界から来たってことなのかね
            いろいろ考察しがいがありそうだな。しないけど
            そういやさすがに前作の米欄は封鎖されてたか
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月28日 04:08
          • 5 前作から読んできたけどナイスよナイス!ヴェエエリィイイナイス
            個人的にはコネクトで記憶が繋がったまどかとキリカと協力してマミさんやさやか、杏子達と協力して
            全員生還のハッピーエンドを迎えるストーリーを読むことができたら、それはとっても嬉しいなって思ってしまうのでした
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年06月18日 00:02
          • 5 ディ・モールト グラッツェ
            最高に熱い話でした!言い回しといい、セリフの引き出しといい全て素晴らしかったです!

            まさに成長の物語
            なかでも、さやかちゃんVSYumaはドキドキしっぱなしでした。
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年07月08日 10:37
          • 5 SSに優も劣もなし………


            作品なんて、個人の感覚で決まるしね!

            オレ個人としては、最高のSS だと思います。


            作者さん乙!グラッツェ!!
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月04日 15:34
          • 5 面白かったなー。最後はワルプルに勝って締めにして欲しかったが。でも充実感がパないっす。
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月05日 01:32
          • やれやれだよ
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月24日 17:17
          • 5 30-31
            おい自演バレバレやで



            コメント時間みてみろ、な?(もちろんグローバルIPみりゃ一発かもしれんが)



            ちなこの作者はジョジョもまどかもよく見てるので文句はねえな・・・
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年04月08日 23:43
          • 5 長さを感じさせないくらい面白かった。
            ジョジョネタの多さに驚いたぜ!
            ちなみに、私はあんこちゃん派です。
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年02月23日 23:50
          • バトル描写が緻密で良かった
            能力を出し惜しみせず最善の方法で戦うジョジョ本編の戦い方を感じた
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月05日 15:37
          • 5 ところどころどこかで聞いたことあるセリフやバトル描写がとても良かった。よく練られて作られた作品だと思う。ジョジョとのクロスは他にもいくつかあるけどこれはトップクラスだ。
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年03月01日 19:36
          • 5 長かった。それ以上に面白さがあった。
            ssごときでこんなに燃えるとは思わなかった
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年10月05日 20:58
          • 心が痛むのに読み進めてしまう、
            泣けたSSって久し振りかも。

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        画像・動画
        • 【僕の心のヤバイやつ 】山田「市川最近図書室来ないな…」
        • 【遊戯王】デスガイド「ドラグーン死ね」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • バーン「ハドラーよ、2020春アニメのオススメは何だ?」
        • 久々に会った友人「ハサウェイって知ってる?」
        • 幼ワイ「マッマの誕生日なに渡そうかなぁ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        • 彡(゚)(゚)「あー…帰りにアレ買わないとな、覚えとこ」
        新着コメント
        最新記事
        読者登録
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ