ハーミット・パープルは知っている
- 2013年03月29日 22:36
- SS、ジョジョの奇妙な冒険
- 19 コメント
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- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:12:24.80 ID:TG+0vDuv0
・妄想全開。
・短編をいくつか書く予定。- 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:14:31.79 ID:TG+0vDuv0
おらは何が欲しかったんだろう。
おらは小せえ頃からみんなに『グズ』だの『バカ』だのと言われてたス。
漢字はむずかしくてあんまし書けないし、
算数もすこ~し考えるとすぐに頭がグルグルしてワケ分かんなくなっちゃうんだど。
運動だっておらはどんくさかったから、かけっこしてもいつもビリっこだったス。
鬼ごっこでおらが鬼になると『重ちーはのろまだから鬼ごっこにならないよ』とも言われたス。
そんときはおらもっとバカだったから何を言われてるか分からなかったけれども……
そんなおらでもおらのパパとママは『重ちーは優しい子だからそのままで良い』と言ってくれたど。
『優しいってなんだ?』っておらがママに聞いたら、ママはこう言ったど。
「それはね、誰かの為に一生懸命になれるということよ」
「『優しい』という字は『優れる』とも読むの。優しいあなたは誰よりも優れているのよ」
おら、やっぱりよく分からなかったス。- 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:15:05.81 ID:TG+0vDuv0
ある日、おらに一人『友達』が出来た。
そいつはすんごく頭が良くて、かけっこも速くてみんなの人気者だったど。
テストはいつも百点だし、『悪いことは大嫌い』がくちぐせだったなァ~。
おらはそいつに色んなことを教わったど。
漢字が分かんないて言えばいっしょになって書き取りをしてくれたし、
グルグルするよーな算数の勉強も『お金』に例えて分かりやすく教えてくれたど。
おら、なんでかお金の計算だけは得意だったからすごくタメになったのを覚えてるよォ。
一緒に遊んでもくれたど。
おらが『遊ぼう』というとみんなはムズかしい顔するのに、
そいつだけはイヤな顔しないで『いいよ』と笑ってくれたス。
思わず『い、いいの?』と聞いたら、『だって友達じゃあないか』とそいつは言ったど。
そんだけだけど、そんだけのことだけだったども、
おらはとても嬉しかったんだ。- 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:15:43.71 ID:TG+0vDuv0
またまたある日、そいつはムズかしい顔をしてたど。
おらが『どうしたの?』と聞くと、そいつはもっとムズかしい顔をするんだ。
「重ちー。実は……」
話を聞いたらそいつは、そいつのママが病気なんだと言ったど。
治すのがとっても大変な病気で、このまま放っとくと死んじゃうんだと言ったス。
おらにそう言った瞬間、そいつは泣いた。
ママの病気を治してあげたい、でも治すのに『お金』が足りないって。
少しでも『お金』が必要だって。
「お、おら……」
おらはそいつを助けてあげたいと思ったど。
友達の泣いてる姿を見て、カワイソーだと思ったんだど。- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:16:21.11 ID:TG+0vDuv0
「す、すこし待ってるどッ!」
おらは急いで家に戻って貯金箱をひっくり返したど。
途中でパパが『どうした、重ちー?』と聞いてきたけれども耳に入らなかったス。
そして出てきたお金をあるだけ持って、そいつに渡したんだど。
「このお金、お前にやるど」
そいつはびっくりした顔で『受け取れない』って言ってたよ。
でも、おらはムリヤリ渡したんだ。
おらはパパとママのことが大好きだど。
もし……その大好きなパパとママが病気になって死んだら……おらはきっとスゴく悲しい。
そいつだってママが死んだらきっとスゴく悲しいど。
そんなのはイヤだから。友達が悲しいと、おらも悲しいんだど……
『ありがとう、重ちー』
おら、『優しい』かな?
そいつはニコッとおらに向かって笑ってくれたど。- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:17:12.87 ID:TG+0vDuv0
「あーあ、ホント馬鹿だよなアイツ。母さんが病気~とかマジで信じてんの」
「いい金ヅルだよ。友達? ないない、ンなわけねーじゃん」
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:18:10.82 ID:TG+0vDuv0
ある時、学校のローカからたまたま聞こえてきたそいつの言葉。
その言葉は誰を指して言った言葉なのか、おらでも分かった。
「お……」
おらは何も言えなかった。
大切なお金を騙されて取られたのも悔しかったど。
でも、一番悔しくて悲しかったのは……
そいつはおらを『友達』じゃないって言ったことだったんだど。
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:20:14.15 ID:TG+0vDuv0
――――――――――
――――――――
――――――
「うん……?」
「なんだかヤな夢を見ちゃってたど……ふあ~」
『しししっ、ミツケテキタド!』
チャリーン、チャリーン!
「ししっ、さすがおらの『ハーヴェスト』。おらの言うことを聞いてくれるなあんてイイヤツだろォ~」
「君たちだけはおらを裏切らないよね?」
『ししっ!』
『ハーヴェスト』と『お金』。この二つだけはおらに正直だど。
『お金』はなんでも手にいれてくれるし、『ハーヴェスト』はその『お金』を手に入れてくれるど。
だからおらにはこれだけあればいい。
……これだけ? なんだか……空しい気分がするど。- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/26(火) 03:22:20.02 ID:TG+0vDuv0
おらは何が欲しいんだろな?
やっぱりおらはあんまし頭が良くないから分かんないなぁ~。
お金は欲しいど。いっぱいあるだけ欲しいど?
でも、おらがきっと一番欲しいのは――
「見ろっ! あの木の根元に集まっていくぜ~~~」
「気をつけろっ! 近くに『本体』がいるぜッ! たぶんッ!」
『しししっ、ミツケタゾ!』
終わり。- 23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:07:42.04 ID:DeO+ryLW0
「ブフ~……おめでとう、えーと……ナランチャ君だな君は?」
「君はライターの火を消さずに再びここに持って来ることが出来た。
君は合格だ。『組織』への入団を認めようじゃあないか」
「はいッ! これからよろしくお願いしますッ!」
ようやくだ。永かった。
オレはやっと『あの人』の役に立てるんだ。
オレは忘れない。
親友に裏切られ、母さんと同じように目の病気にかかっちまって、
レストランのゴミ箱を漁るしかなく、いつ死んじゃうかも分からない恐怖でクサってたこのオレに……
自分が食べるはずだった『スパゲティ』を差し出してくれたことを。
それは『憐れみ』なんかじゃあなかった。
その人がオレを見る目は『キタネー』でもなく『カワイソー』でもなかった。
『美味いぞ』
ただ、そう言っているようだった。- 24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:08:39.91 ID:DeO+ryLW0
ある晴れた日のこと。
オレは『組織』から『あの人』のチームに入るように指示されていた。
それは偶然なのかどーかは知らないけど、オレは飛び上がって喜んだ。
「オレはあの人の為ならなんだって出来るッ! あの人のようになりたいッ!」
オレはもうただのガキなんかじゃあない。
『組織』への『入団テスト』以来、不思議な力も使えるようになった。
この力は『あの人とその仲間達』の為に使うんだ。
そんな考えでオレの頭はいっぱいだった。
「ナランチャ」
「!」
後ろからオレの名前を呼ばれたので振り返ると、
そこには『あの人』が佇んでいた。- 25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:09:08.97 ID:DeO+ryLW0
「ナランチャお前、『組織』に入ったんだってな」
「うん! オレ、やっぱりあんたの……」
ボギャアアアッ!
すっげー痛ェー『コブシ』がオレの顔面に一発。
何が起こったのか全然分からなかったよ。鼻血もドバドバ出た。
「クソ馬鹿野郎。そして……」
「これからオレ達は『仲間』だ。宜しくな、ナランチャ」
そう言うと『あの人』は少しだけ悲しそうに笑いかけて、
ブン殴られてうずくまってるオレに手を差し伸べてくれたんだ。
「……?」
オレがその手を掴み返すと『あの人』の手がちょっとだけ、
よーく確かめねーと分からないくらいにホンのちょっとだけ手が震えているのに気づいた。- 26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:10:51.86 ID:DeO+ryLW0
直感で分かったよ。オレ。
ああ、この人はオレに、オレみたいなクソガキに、
『普通のクソガキ』でいてほしかったんだなァ……ってさ。- 27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:12:24.75 ID:DeO+ryLW0
朝起きて歯ァ磨いてパンをかじって学校に行く。
まだ眠たい目をこすりながら退屈な授業を受けて友達と遊んで昼飯のサンドイッチを食べる。
学校から帰ったらうるせー親の怒鳴り声を背中にイタズラを仕掛けに行って、
そんで暗くなって遊び疲れてヘトヘトになったら家に帰って、
『あっ、宿題あったの忘れてたなァー』なあんて思いながら夕飯のパスタをすするんだ。
きっと『あの人』は。
『ブチャラティ』はオレにそんな『クソガキ』でいてほしかったんだ。- 28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:12:50.85 ID:DeO+ryLW0
「ナランチャ、仕事だ」
「仕事ォ? それってなんだよブチャラティーッ!」
「ピザを買ってこい。五人分な。カネはそこに置いてある」
「ブチャラティ、それってさァ……仕事じゃあなくてパシリじゃんかよォ?」
「何言ってんだ、これも重要な仕事だぜ。腹が減ってちゃ力が出ないだろ」
「そーですよ、ナランチャ。ブチャラティが今までに一つでも間違ったことを言ったことがありますか?
僕のピザにはペパロニ多めでね」
「オレのピザは四切れにカットされてなきゃあ何でも良い。あ、ピストルズの分も忘れんなよ」
「チーズとサラミ。トリュフ入ってたらブッ殺す。ペッパーはブラックな」
「ちょ、ちょっと待ってよーッ! そんなに覚えらんないよォーッ!?」
「メモにでもなんでも書いてけば良いじゃあないですか……」
「そっか!」
「えーとフーゴのピザがァ……よしっ、買ってくるッ!」
「おいッ! ナランチャッ!」
「どうしました、ブチャラティ?」
「あいつ、自分で書いたメモを忘れていきやがったぞ……」
「あ……」- 29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:15:00.56 ID:DeO+ryLW0
オレは『組織』に入ったことは後悔してない。
ブチャラティには申し訳ないけど、やっぱりオレはブチャラティの役に立ちたいんだよ。
もちろん、フーゴとミスタとアバッキオの役にも立ちたい。
クソくだらねー考えってことくらい分かってる。
オレみたいなガキはギャングになるんじゃあなく学校に行くのが正しくて当然てことも分かってる。
でもさ、オレの中の大切な『根っこ』の部分にさ、
いつもあんたとあの時の『スパゲティ』が残ってるんだ。
ブチャラティ、あんたがオレに差し出してくれた……『勇気が湧いてくるような優しさ』が。- 30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:15:52.24 ID:DeO+ryLW0
「あーッ!? メモがねェーーーッ!?」
「どっかで落っことしたのかな!? 無い、無いぞォーッ!」
「うるさいなァ、ナランチャ。で、どのピザを注文するんだい?」
「やかましいーッ! 今思い出すから待ってろッ!
えっと……ミスタのが四つにカットしたペパロニチーズでェ……? ン?」
オレの目の前にどこかで見たような姿をした汚い『ガキ』が居た。
そいつはしばらく周りをウロウロしてるといきなり側にあるゴミ箱を漁り始めた。
どーやらこの辺の浮浪児みたいだ。
「ああ……あの子供は最近ここらに現れ始めてね……」
「ウワサだとあの子の両親、『麻薬』で死んじまったらしいぜ」
「!」
「引き取ってくれる親戚もいないから、時々ああやってゴミを漁りに来るのさ。
カワイソーだから俺もたまにピザの切れ端をくれてやったりしてんだけどよ」
「ふーん……オッサン、このピザをテキトーに五人分くれよ」
「毎度」- 31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:16:55.97 ID:DeO+ryLW0
「……ガツガツ、ガツガツ」
『ガキ』は一心不乱にゴミの中の食べカスを食い漁っていた。
よく見ると目にいっぱいの『涙』を浮かべて。
まるでこの世の全てに絶望しきったよーなツラをしながら。
「なあ」
「そんなモン食ってて美味いのかよ」
「……」
「よ、良けりゃあさ……このピザ一枚やるよ。オレ、カネはいっぱいあるから大丈夫なんだ」
「僕は……」- 32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:18:29.45 ID:DeO+ryLW0
「……『カワイソー』に見えますか?」
掠れた喉から聞こえるそいつの声。
その声を聞いた瞬間、オレは泣きそうになった。
こんなことがあって良いはずが無い。
なんでこの『ガキ』はこんなトコでこんなことをしてるんだ?
この『ガキ』には……『普通に生きる権利』ってのがあるはずじゃあないのか?
朝起きて学校に行って昼に友達と遊んで夜はシャワーを浴びて暖かいベッドで眠る。
父さんと母さんに叱られながら、笑い合いながら。
「……『カワイソー』だとか、そんなんじゃあねー」
ブチャラティ。オレ、少しだけ分かったような気がする。
何が分かったのかは上手く言えないんだけどさ。
「いーから、食えよピザッ! 足りなきゃ全部くれてやるッ!」
「わわっ……あ、あの……!」
「『あの』だの『でも』だのうるせーッ!」- 33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/27(水) 06:19:09.73 ID:DeO+ryLW0
「こっちの方がさ、美味いだろ」
終わり。- 44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:09:31.76 ID:FmX0ev+K0
こいつはよ、何をしても死なねーんだ。
頭を潰そうがクサレ脳みそを壁にブチまけようが心臓のド真ん中を銃で撃ち抜こうがな。
ケッ、醜いツラしやがって。
てめーのその焦点の定まってねー目を見てるとイラついて仕方がねーぜ。
そしてそんな風に思っちまうこのオレ自身にもイラつくんだ。
もしこの世に『神様』っつーのがいるんなら聞きたい。
教えてくれよ。
なんでコイツは。
このまともに喋ることも出来ねー、ただ生きてるだけの肉の塊が。
俺の『親父』なんだ?- 45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:10:12.17 ID:FmX0ev+K0
おい、何度も言っただろーが。
箱ん中のモン散らかすなってよォー。
聞いてんのか? そもそもオレの言葉が分かるのか? ええ?
「なんとか言えよ」
『親父』は何も答えやしねえ。
狂ったよーにひたすら箱をひっくり返して中身のガラクタをいじくりまわすだけ。
やめろ。
んなネジの外れたガキみてーなことしてんじゃあねーぞ。
やめろって言ってんだろーがッ!
バグォア!
嫌な感覚だ。
オレの拳が『親父』のブヨブヨした肉ん中にめり込む感覚。
きっと、コイツは痛みなんか感じてねーんだろーな。
それどころか自分が何をされたのかすらも理解してねーんだろう。- 46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:12:18.55 ID:FmX0ev+K0
人間てーのはよ、こーなっちまっても生きてると言えるのか?
少なくとも『人』としての『親父』の人生はとっくに終わってるんじゃあないのか……?
もし、終わってるんだとしたら。
コイツに縛られてるオレの人生はいつになったら始まるんだ?
「……」
ふと、視線を『親父』の手へと移す。
なんだ? 『何か』を握りしめていやがる。
オレはその『何か』を『親父』の手から無理やりひったくった。
どーせくだらねーオモチャかなんかだろうがな。後生大事そうに抱えやがってよ。
「これは……」- 47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:13:29.29 ID:FmX0ev+K0
『親父』が握りしめていたのは一枚の写真だった。
オレの『家族』の写真。
写っているのは、まだ人間だった頃の親父に美人のお袋。
その下には楽しそうに笑うオレと弟の億泰の姿があった。
「……け、け」
うめき声とも泣き声ともつかねー『親父』の声。
「け……い……ちょう……け……」
微かに聞こえた『親父』がオレの名を呼ぶ声。
なんだよ。何が言いたいんだ。
ハッキリ言ってくれなくちゃあ分からねーだろーが。
「……け……けい……あ」
オレの目の前は――真っ暗になった。- 48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:14:13.67 ID:FmX0ev+K0
ここは……どこだ?
見渡す限りの暗闇。
前も後ろも無い。右も左も無い。上も下も……無い。
全てが『黒』だ。
「プッ……クク……ククククク……!」
ああ、そうだったな。思い出したぜ。
オレはもうとっくに『死んでた』んだったなァ。
とんだお笑い草だ。
人生を始めるも何も無かった。始める前からオレの人生は終わっていたのだからな。
そーするとここは『地獄』ってヤツか?
そりゃあそーだろうな。オレは何人も『弓と矢』を使って殺してきた。
死後の世界というものがあるのならオレは間違いなく地獄行きさ。
『そうなって当然』のことをしてきたんだ。- 49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:14:53.25 ID:FmX0ev+K0
つまらねえ人生だった。
結局オレは何も出来やしなかったのか。
自分の為だけに生きることも。
大切な家族を『救って』やることも。
昔、億泰がオレにこう言ったことがある。
『いつだって兄貴の言うことはよォー、間違いねーよなァ~~~』
それは違うぜ億泰。
オレは間違わないんじゃあない。間違いの無いようにしてきたんだ。
自分の選んだことは全て正しい。そう思える『確信」が欲しくてな。- 50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:15:47.56 ID:FmX0ev+K0
でもよ、今は少し自信がねーんだ。
あの時オレがやっていたことは……オレがしてきたことは本当に正しかったのか。
なあ、教えてくれよ。
オレは何をしてやりゃあ良かったんだ。親父。億泰。
「……もう遅いか」
今更、何を考えた所で全部無駄だな。
きっとオレはこの暗闇の中を永遠にさまようのだろう。
それがオレの受けるべき罰だ。
「兄貴」- 51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:17:04.69 ID:FmX0ev+K0
誰だ? こんな所でオレを呼ぶのは。
いや、一人しか居ねえ。オレを『兄貴』だなんて呼ぶのはよ。
オレの名を呼んだそいつは、まるで迷子の子供のような顔をしていた。
母親とはぐれて不安でたまらねーってツラだ。
どうしたってんだ。お前なんかがこんな所に来るにゃあ早過ぎるんじゃあねーのか。
「どこへ行くんだ。億泰」
オレが声を掛けると、そいつは途端に嬉しそうな顔をした。
「兄貴」
「兄貴について行くよ」
『ついて行く』、か。
思い返せばお前はいつもそーだったな。
何かってーと『兄貴』『兄貴』。
物事を決める時はいつもオレに頼っていた。- 52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:18:16.56 ID:FmX0ev+K0
それが嫌だった訳じゃあねえ。
むしろ、オレの言うことを良く聞くお前はオレの最高の『駒』だった。
……『だった』んだ。
でもよ、もう違うんじゃあねーか億泰。
オレはもう居ないんだ。お前の頼りになる『兄貴』はな。
じゃあお前の隣に居るのは誰なんだ?
お前の後ろに居るそいつらは誰なんだ?
ボケっとしてんな億泰よ。
シャッキリしろ。その足りねー頭に気合い入れろ。
「お前が決めろ」
選んだ道が間違ってたって良い。
生きてりゃあいくらでもやり直せる。お前はまだ生きてるんだろ?
生きてんなら――- 53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:19:15.39 ID:FmX0ev+K0
「億泰。行き先を決めるのはお前だ」
終わり。- 54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 04:30:24.75 ID:dbKiHVM7o
乙
四部のあのページか。
- 55 :>>1 2013/03/29(金) 10:28:15.27 ID:FmX0ev+K0
これからはここにあまり来れなさそうなのでこれで一応終わりにします。
お付き合いいただきありがとうございました。
次回またスレ立てをすることがあればその時はまた宜しくお願いします。- 56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 11:23:48.19 ID:lsdq8wgGo
柱の男とかも見てみたかったけどよぉー
>>1がそういうならしょうがねぇーなぁ~- 59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 15:25:12.32 ID:/m9igmdso
面白かった
乙- 60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 16:40:27.31 ID:UgzMHBq+0
乙
これは良い妄想
素晴らしかった- 62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 21:44:39.87 ID:OZWznTpDO
乙
原作に繋がる裏話的なのは大好きだ
面白かったよ
ひとりぼっちのハーヴェスト
エアロスミスは忘れない
間違いだらけのバッド・カンパニー
転載元
ハーミット・パープルは知っている
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364235144/
ハーミット・パープルは知っている
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コメント一覧 (19)
-
- 2013年03月29日 23:16
- ディ モールト ベネ!
-
- 2013年03月29日 23:16
- こういう妄想は大なり小なり皆してるよな
って思う
-
- 2013年03月29日 23:16
- こういうのも良いな
乙、と言わせていただこう
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- 2013年03月29日 23:27
- よかった、妄想で
これがマジだったら重ちーなや生涯哀しすぎるYO
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- 2013年03月29日 23:27
- あり得たかもしれない幾つかの独白を『写し出す』、って意味で「ハーミット・パープル」なんかな。何にせよ、こういう妄想ができるのがSSのいいところだね。楽しませてもらった。
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- 2013年03月30日 00:00
- スパゲッティ食わせたのはフーゴじゃねーのか?
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- 2013年03月30日 00:25
- ジョジョSS最近多くてうれぴー限りだな
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- 2013年03月30日 00:33
- フーゴがナランチャ見つけてレストランまで連れてって
「こいつにスパゲッティを食わせてやりたいんですが云々」って主張した。
そしたら先にいたブチャが無言でスパゲッティを食わせてやった。
しかも当時眼病だったナランチャを病院に連れてって治るまで面倒見てやっ。
そんな経緯があるのでナランチャはフーゴでなくブチャを恩人として憧れるようになった
-
- 2013年03月30日 01:15
- ベネ。俺好みのキャラ達ですごくよかった。アバッキオ辺りでなんか書いておくれよ(懇願)
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- 2013年03月30日 01:30
- もうちょい続けて欲しい作品だった。素晴らしいッ!!
次3部キャラで頼む。スタンド目覚めたばっかのジョセフとかアヴドゥルと出会う時とか花京院でも書けるな。
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- 2013年03月30日 07:04
- 虹村兄弟は俺が泣くからやめろ
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- 2013年03月30日 08:05
- すごく良かった
こういうの、6部でもやってほしいな
F・Fかアナスイで
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- 2013年03月30日 08:46
- 溢れるジョジョ愛
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- 2013年03月30日 11:13
- もっと続きが見たい。そう思える作品でした
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- 2013年03月30日 18:58
- どいつもよォ~、俺が好きなキャラばかり使って妄想ぶちまけやがって~
書くんならスレが埋まるぐらい書きやがれッこの野郎ッ!
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- 2013年03月30日 21:27
- バッドカンパニーで涙腺崩壊
最ッ高ーに、乙ッ!
-
- 2013年03月31日 06:22
- いや素晴らしいわ
これぞSS冥利に尽きるな
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- 2013年04月02日 00:53
- あ、兄貴ィ―――――ッッ!!
また書いてくれ