スネーク「こちらスネーク、八十稲羽市への潜入に成功した」【前編】

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/09(火) 23:33:34.37 ID:CkNxad1c0


大佐【相変わらず時間通りだな、スネーク】

スネーク「前置きはいい、任務の詳細を話してくれ」

大佐【分かった。…君が潜入したのは日本の八十稲羽市と呼ばれる場所だ。本来なら何の変哲もない片田舎なのだが…】

スネーク「何かがあるから俺が呼ばれたんだろう」

大佐【まあ、そんなところだ。実は今その町では、連続失踪事件と連続殺人事件は並立して起きている】

スネーク「日本は平和が取り柄だと聞いていたが」

大佐【まあそう言うな…何やら現地諜報員の話によれば、人知を超えた要素が絡んでいるという話だそうだ】

スネーク「…俺がいい加減オカルト要素に慣れてきたことへの当てつけか?」

大佐【そうとも言う。あのサイコマンティスさえ攻略した君ならば、この町の事件も解決の糸口を見つけられるのではないかと思ってな】

スネーク「まったく…そんな下らん要件で俺は呼び出されたのか…」



2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/09(火) 23:43:46.42 ID:CkNxad1c0


大佐【下らないとはなんだ、仮にも人間が死んでいるんだぞ?】

スネーク「それは…ご愁傷様だったな」

大佐【とにかく。君にはその町の一般人を装いつつ、連続失踪及び連続殺人事件の手がかりを知る者とコンタクトを取ってもらいたい」

スネーク「…で、またその『手がかりを知る者』とやらを俺に探せと?」

大佐【そうだ。今度は『情報の現地調達』といったところか】

スネーク「毎度ながら笑えんジョークだな」

大佐【ジョークのつもりはない。…この任務は戦場が舞台じゃないんだ、それなりに気軽に臨めるんだからいいだろう」

スネーク「手を抜いていいのか?」

大佐【手を抜いていいと言ったのではない。死ぬことはまずないだろうと言っただけだ】

スネーク「連続殺人の調査でもか?」

大佐【…戦場の手練れならともかく、一般社会にいる人殺し程度に君が負けるはずがあるまい】

スネーク「…嬉しくない買いかぶりだ」



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 00:00:42.74 ID:N/6abggt0


大佐【だが…少なくとも衣食住くらいは支援してやれるから安心しろ】

スネーク「無いほうが驚きだがな」

大佐【アパートが借りてあるから君にはそこで過ごしてもらう。また、君には例のフェイスカムを被って高校生活を送ってもらうぞ】

スネーク「高校生活だと…!?俺が今いくつだと思ってるんだ」

大佐【だからフェイスカムだと言っているだろう】

スネーク「それに、俺は身長が182cmもある訳で…こんな奴が高校にいたらどう考えても浮くと思うんだが」

大佐【大丈夫だ。君の転入先の高校では、高校一年にして183cmの不良とやらがいるらしいからな】

スネーク「…さぞかし老けた生徒なんだろうな…」



大佐【まあそういう訳で…君には『アパート住まいの高校生』という設定で任務をしてもらうから、心得ておくように】

スネーク「…こんなバカバカしい任務は、後にも先にも一度きりにしてもらえるか」

大佐【…それとなく上層に伝えておこう】

スネーク「分かった。…それじゃ任務に取り掛かる。オーバー」

大佐【了解だ。事件に関する情報は無理だが現地情報に関しては提供できるからな、用があったらまた連絡をくれ。オーバー】



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/10(水) 00:10:04.41 ID:DpVeyz630

まさかの高校入学www



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 08:38:49.07 ID:KrU5yH5IO

非常勤講師とか堂島さんの同僚とか、他にも色々あっただろうに、あえての高校生か



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 20:09:21.17 ID:N/6abggt0


スネーク「さて、ここがアパートだな」

スネーク「冷蔵庫に食糧がたっぷりと…学校の制服と普段着が段ボール二箱分くらいか」

スネーク「そういえば高校というのは弁当制だったか。どうしたものか…」

スネーク「…まあいい、適当に冷蔵庫のレーションでも持っていこう」

スネーク「あとは授業の用意だな。明日の時間割は…現文・歴史・数学・体育・音楽・LHRか」

ガサゴソ

スネーク「よし、終わった」

スネーク「そして…何より重要なフェイスカムだ」

スネーク「フェイスカムなのはいいが、一体誰の顔で行けというんだ?」

スネーク「メモリーには……一通り俺の仲間の顔が入ってはいるが」

スネーク「仕方ない、雷電の顔を借りるとするか」



スネーク「……大体こんなものか、準備としては」

スネーク「それじゃ寝るとするか」

スネーク「…なんだか新鮮だな…こんなごく普通の生活が任務とは…」



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 20:25:37.44 ID:N/6abggt0


翌日

スネーク「……朝か……」

スネーク「さて、支度をしなければ」

スネーク「顔を洗って、朝飯を食って、歯を磨いて、着替えて…」

スネーク「…よし、完了だ。学校へ行くとしよう」



スネーク「…これより、八十稲羽連続失踪及び連続殺人事件の調査任務を開始する!」

  METAL GEAR PERSONA  テッテーン



17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 20:36:11.43 ID:N/6abggt0


登校道中

スネーク「…………」スッ… スッ…



女生徒A「うわ何あの人、歩き方おかしくない?」

女生徒B「うん、なんか忍者みたいな…そういう系の頭おかしい人なのかもよ」

女生徒A「あー分かる、いるよねそういう人って」

女生徒B「でももったいないよねー、顔はめちゃくちゃイケメンなのに」

女生徒A「言われてみれば…確かに超イケメンなのにね、もったいなーい」



スネーク「…………」スッ… スッ…

??「なあ、そこの君」

スネーク「ん?俺か?」

??「なんでそんな歩き方をしてるんだ?」

スネーク「歩き方?」

??「どう考えてもまともじゃない歩き方だったから、つい気になって」

スネーク(そうだ、ここは戦場じゃないんだった…!つい癖でストーキング歩行を…!)

スネーク「…すまない、そういう映画が好きなものでな」



18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 20:40:31.18 ID:N/6abggt0

??「そういう映画?」

スネーク「ああ、なんというか…アレだよほら、ジェームズボンドみたいな」

??「高校生がジェームズボンドとは…」

スネーク(…まずい、今時の高校生らしくなかったか…?登校早々に変な反応をされると困るが…)





??「…ハイカラですね」



20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 21:02:34.95 ID:N/6abggt0


スネーク「…何?」

??「俺はいいと思うよ、ジェームズボンド」

スネーク(なんだ…今時の高校生はボンド観てるのか?)

スネーク「そ、それはよかった」

??「ああ。…それで本題なんだけど、君って転校生?」

スネーク(…これは…さっそく知り合いを増やせるチャンスか)

スネーク「そうだ。今日から…ええと、八十神高校に転校することになった者だ」

??「学年とクラスは?」

スネーク「確か…二年二組だったと思う」

??「奇遇だな、俺と同じクラスみたいだ」

スネーク「おおそうか、それはよかった」

??「それで早速だけど…名前を聞かせてくれないか?」

スネーク(……どう名乗るべきか……まあいいか、スネークで)

スネーク「ソリッド・スネークだ」

??「ソリッド・スネークか。外人っぽいとは思ってたけど、いい名前だな」

スネーク「あんたの名前は?」

鳴上「俺は……鳴上悠だ。よろしく、スネーク」

スネーク「こちらこそよろしく頼む、鳴上」



21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 21:32:48.83 ID:N/6abggt0


スネーク(こうして知り合った鳴上と一緒に転校した…)





八十神高校 二年二組教室

柏木「はぁい皆さ~ん、今日はとってもイケメンな転校生の子が来てくれたわよぉ~。今年はイケメンの転校生が多くて良い年よねぇ~」

スネーク「どうも、ソリッド・スネークです。みんなよろしく」



雪子「うわ、顔すごいイケメンなのに声が一段と渋い…」

陽介「くっそー、悠に続いてあんなのがまた来たんじゃ俺の春は遠のく一方だなぁ」

千枝「鳴上君来てからいいとこ取られっぱなしだもんねー、花村」

鳴上「悪いな陽介」



柏木「それじゃスネーク君は…あの花村君の横の席にでも座ってもらおうかしら」

スネーク「分かりました」

スタスタ スチャ

陽介「よっ、転校生君。登校すがら悠と知り合ったんだって?」

スネーク「ああ。正直道もよく分からなかったんで助かった」

千枝「外人さんみたいだけど、留学か何かなの?」

スネーク「…まあ、そんな感じだ」

雪子「ここ、田舎で何も無い場所だけど…町の人とか親切でいい場所だから。気に入ってくれるといいな」

スネーク「俺にとっては、ただ平和ってだけで十分いい場所だがな」

鳴上「……それじゃ、案内も兼ねながら今日の放課後はみんなでスネークと一緒に散策でもしないか?」

陽介「おお、いいじゃねーの!」

千枝「あたしもあたしも!」

雪子「私も行かせて!」

鳴上「よし、満場一致だな。昼休みに一年トリオも誘っておこう」




25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 21:47:45.43 ID:N/6abggt0


スネーク(午前の授業が終わり…昼休みになった)





昼休み 校舎屋上

完二「ちーっス先輩、今日は捜査隊全員で昼メシっスか?」

りせ「先輩が呼んでくれるの分かってたら、もっとちゃんとしたお弁当作ってきてたのになー」

直斗「それで、僕らに紹介したい人というのは…?」


陽介「おっ、来たな」

スネーク「君達が一年トリオとやらか」

完二「…誰だ?」

雪子「また私達のクラスに転校生がやってきたんだ。それで、みんなにも紹介しとこうと思って」

千枝「…で、その転校生君の名前は…ソリッドスネーク君ですっ!キャーパチパチパチ」

りせ「ソリッドスネーク…ってことは、外国の人なの?」

スネーク「そんなところだな。まあ何にせよ、よろしく頼む」


直斗「…………」


鳴上「直斗?どうしたんだ、難しい顔をして」

直斗「……いえ、何でもありません」


直斗(まさか…あのナイフをくわえた狐のエンブレムは…)



26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) 2012/10/10(水) 21:54:14.91 ID:FgiHveT4o

直斗くんFOX知ってる感じか



28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 22:06:38.02 ID:NbamP4J2o

直斗君は探偵やってるからな



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 22:12:08.82 ID:N/6abggt0


陽介「とりあえずメシ食おーぜメシ、もう腹減っちまったぜ」

完二「そっスね」


スネーク(…くっ、みんな普通の弁当箱を持ってきている…!)

スネーク(一応ナフキンに包んではいるが…手を抜いてレーションというのはまずかったか…!)


りせ「スネーク先輩、どうしたの?お弁当食べないの?」

スネーク「いや…ええと…」

千枝「ほいっ、隙あり!弁当拝見!」

スネーク「あ、ちょっ…!!」






千枝「……これ……缶詰……?」

スネーク「…すまん。弁当というのを作ったことがなくてだな…」

陽介「それで、この缶詰ってか?」

スネーク「…これが一番食い慣れているものでな」

完二「それにしたってなぁ。もっと他の選択肢は無かったんスか、コンビニで弁当買うとか」

鳴上「でも…いいんじゃないか、たまにはこういう奇をてらった弁当も」

スネーク「いや、そういうつもりは無いんだが」

雪子「とりあえず開けてみたら?意外とおいしかったりして」

スネーク「…味も正直…」



31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 22:30:30.78 ID:N/6abggt0


千枝「じゃあ開けてみよっか」パカッ





完二「なんだこりゃ、チョコに肉炒めにシーチキンに…」

雪子「めちゃくちゃなメニューだね…」

りせ「ものすごいカロリー高そう…」


鳴上「…こんなものを食べ慣れてるのか、スネーク」

スネーク「ああ」

千枝「なんというか…よほどソーゼツな人生を歩んできたんだね、スネーク君」

スネーク「…次はまともな弁当を持ってくるように気をつける」





スネーク(…どうにかレーションを笑いのネタにすり替え、昼食の時間は過ぎていった…)



32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 22:42:33.46 ID:N/6abggt0


放課後

陽介「おっしゃー、授業終わり!それじゃ行こうぜみんな!」

千枝「うん、行こ行こ!」

完二「うーっス先輩ら、来たっスよ」


鳴上「全員揃ったな。それじゃ……まずはどこへ行こうか」


雪子「やっぱり商店街じゃない?」

りせ「あ、雪子先輩にさんせー。ウチのお豆腐屋を覚えてもらって贔屓にしてもらおっかな」

スネーク(豆腐か…そういえば日本にはそんな食べ物があるとか聞いたな)


鳴上「特に異論はな無いな。それじゃ商店街に行こうか」



33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/10(水) 22:58:03.41 ID:N/6abggt0


稲羽市中央通り商店街

スネーク「ここが商店街か…」

鳴上「そこが本屋で、あれが加工屋だいだら.。あとは…」

スネーク「おい待て、こんな町中に加工屋ってのはどういうことだ。何を加工してるんだ?」

鳴上「…ちょっと、な」

スネーク「ちょっと…?」

鳴上「また後で入ってみるといい。面白いものが置いてあるよ」

スネーク(なんだ…何かいわくでもあるのか、あの店…)


千枝「で、あそこが四六商店ね。いわゆる駄菓子屋みたいな感じ。……あ、駄菓子屋って言ってもわからないかな?」

スネーク「いや、駄菓子くらいは知っている」

りせ「それでねそれでね、このお豆腐屋が私の家なの。よかったらお豆腐買っていってね!」

スネーク「そうだな…俺も豆腐とやらを一度食ってみるとしようか。一つもらおう」

りせ「毎度あり~!おばあちゃーん、お豆腐一丁お願い!」


完二「りせの奴、ちゃっかりしてやがんな…」

鳴上「はは、いいじゃないか」



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 19:55:05.38 ID:pFKf9cT80


雪子「……うっ、あれは……」



陽介「天城?」

雪子「あのテレビクルーの人達、まだ帰ってなかったんだ…」

千枝「ああ、前にさんざ意味分かんない質問を雪子にぶっつけてた連中ね」

陽介「待ち伏せでもしてやがったのか…」

鳴上「……まずいな、場所を変えるか」

スネーク「どうしたんだ?」

鳴上「ちょっと厄介なのがいるんでね」

スネーク「…あのテレビの取材みたいな奴らか」

鳴上「そうだ。どうするかな…」



陽介「…うわやべ、目が合った…!」

千枝「ちょ、何やってんのよ花村!」

陽介「何ってお前、普通に見てたら目ぇ合っちまったんだからしょーがねえだろ!」

雪子「こっち来る…!」






カメラマン「あれー、そこの君は例の女子高生女将じゃない!奇遇だねー!」

陽介「何が奇遇だっつーの…」ボソッ

スタッフ「やっぱり俺ら、君の旅館の取材の件が諦めきれないっていうかさー。お願いだからまた取材させてくれないかなー」

雪子「…前も言いましたけど、お断りです」

カメラマン「だからさぁ、テレビ出たら全国区だって何度も言ってるじゃん。どう考えても出た方がいいと思わない?」



38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 20:05:25.31 ID:pFKf9cT80


雪子「結構ですから、ほんとに…」

カメラマン「……いい加減に取材させろっつってんだよ。受けないってんならこっちにも考えがある」

カメラマン「『天城屋旅館はサービス最悪、料理は最低、部屋は汚くて泊まれたもんじゃない』とかいう触れ込みで特集組んで流してやろうか?なあオイ」

雪子「そ、それは…」





スネーク「……どこの国でも変わらんな、マスコミの弱い者いじめというのは」





スタッフ「誰だてめえ」

スネーク「オタコン共々、フィランソロピーが濡れ衣を着せられて犯罪組織呼ばわり呼ばわりされていたのが懐かしいな…」

スタッフ「何言ってやがんだ?」



39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) 2012/10/11(木) 20:09:16.92 ID:UZEcPbvgo

それを言ったら身元がバレるだろ...



40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 20:13:29.28 ID:pFKf9cT80

>>39
日本だからおk 多分



42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 20:25:20.39 ID:pFKf9cT80


スネーク「何にせよ、せっかく知り合えた同級生がマスコミにいじめられているのは気分が良くないんでな」

カメラマン「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえぞ、邪魔しようってんならお前も……」

スネーク「……歪曲報道の餌食にしてやる、とかか?別に構わんぞ」

スタッフ「何だと!?」

スネーク(…雷電には悪いがな)





スタッフ「いいじゃねえか……だったら一発ぶん殴らせろやオラァァ!」

スネーク「甘いな」

シュッ ドサッ

スタッフ「うわっ!」

スネーク「…一般人の拳なんぞ、CQCを使うまでもない。お前に俺は殴れんよ」

カメラマン「へへ、引っかかったなバカが!お前がスタッフを組み伏せた一部始終はカメラに収めたぜ…!」

スネーク「…………」

カメラマン「せいぜいこの数日間のニュースを楽しみにしとくこったなぁ!行くぞオラ、スタッフ!」

スタッフ「チッ…くそったれが、目にもの見せてやるからな!」





千枝「…逃げてったね、テレビクルーの連中」



44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 20:37:03.50 ID:pFKf9cT80


陽介「すげー…よくもまああそこまで張り合えるもんだな」

雪子「…ありがとう、スネーク君」

スネーク「礼を言われるほどのもんじゃないさ」

千枝「あの身のこなし…スネーク君が只者じゃないのが伝わってきたね、うん」

スネーク(…少し調子に乗りすぎたか…)





鳴上「なんだか嫌な雰囲気になってしまってすまないな、スネーク」

スネーク「気にするな」

陽介「…今日の所は仕切り直しにしねーか?なんかムード悪ぃしさ」

鳴上「そうだな…」





陽介(…悠。もしあのテレビクルーの連中の言ってた通りになるとしたら…)

鳴上(ああ…スネークの周辺には気をつけるようにしないと)



46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 20:47:16.07 ID:pFKf9cT80


鳴上「とりあえず、今日は解散にしよう。また明日ジュネスにでも行くとしようか」

雪子「うん…」

千枝「分かった…」

りせ「あいつらのせいで…ほんとサイアク」

完二「…うっス」





スネーク(どうやら解散の運びとなったようだ。…今日は学校の知り合いを作れただけでよしとするか)

直斗「……スネークさん」

スネーク「ん?君は…」

直斗「折り入って話があるのですが、このあと少しお時間をいただけませんか」

スネーク「…ああ、構わんが」

スネーク(……嫌な予感がするな)



47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 21:03:59.34 ID:pFKf9cT80


辰姫神社

直斗「この辺でいいでしょう」

スネーク「で、話というのはなんだ」

直斗「あなたの服からのぞいている、そのエンブレムについてです」

スネーク「エンブレム…?」

スネーク(……おいおい、なんでこんなものがついてるんだ…言われて気づいた俺も俺だが…)

直斗「そのエンブレムは…僕の記憶が正しければ、数十年前にアメリカで結成された特殊部隊のマークですよね」

スネーク「…ああ」

直斗「ストレートに聞きましょう。……なんでそれを?」

スネーク「…………」





スネーク(どう答えたものかな、これは…)



48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 21:16:20.31 ID:pFKf9cT80


スネーク「…ファンの一人でな」

直斗「ファン?」

スネーク「ああ、昔からそういう軍関係のファンなんだ。それで…まあ、エンブレムを自作してみた」

直斗「…………」

スネーク(…まだ疑っている目つきだな…)

直斗「ではもう一つの質問です。あなたがさっき言った『フィランソロピー』という言葉ですが」

スネーク(…チッ、日本でもさすがに知っている人間くらいいたか…)

直斗「『フィランソロピー』。日本ではあまり有名ではありませんが、NPOながらも過激派カルト組織という噂を聞いたことがあります」

直斗「それの濡れ衣がどうとか…あなたはそう言いましたよね?」



49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 21:53:21.56 ID:pFKf9cT80


直斗「…正直に言います。先輩達と仲良くしていたとはいえ、僕はあなたに多少の胡散臭さを禁じ得ません」

スネーク(やれやれ…この小僧、見た目の割になかなか突っ込んでくるな)

スネーク(頭はきれる奴のようだし…仕方ない、一人くらい協力者を作っておくとするか)





スネーク「分かった。俺も正直に話そう」

直斗「…………」

スネーク「お察しの通りだ。あるツテからの依頼でな、この町の連続殺人を調査しにきたんだ」

直斗「…ではやはりあなたは『フォックスハウンド』なんですか?」

スネーク「いや、そこは随分前に除隊したよ」

直斗「じゃあ…『フィランソロピー』?」

スネーク「そこでもない」

直斗「…なら一体どこの所属なんですか」

スネーク「どこの所属でもないさ。部隊なんかに入ってたら、いつあの連中にイタズラされるか分からんからな」

直斗「あの連中?」

スネーク「…この際だ、名前を言ってしまっても問題ないか」

スネーク「あの連中…『愛国者達』に居場所を悟られる可能性があるからだ」





直斗「らりるれろ…?」



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/11(木) 22:22:55.15 ID:pFKf9cT80


スネーク「……!!」





直斗「その『らりるれろ』というのは?」

スネーク「…いや…」

スネーク(まさか…俺がここに来るのを先回りされていたのか…!?)





スネーク「…すまん、急に変な名前を出して悪かった」

直斗「いえ。それでその『らりるれろ』とやらはこの事件に関係が?」

スネーク「関係は…無いだろう」

直斗「…そうですか」

スネーク「さて…話が逸れたな。この町の連続殺人事件についてだが」

直斗「…その件については、おそらくあなたもこれから巻き込まれることになると思います」

スネーク「何?」

直斗「あなたがさっきマスコミの反感を買ったことで、おそらくこれからテレビで報道されることになるでしょう」

スネーク「…それがなんだ」

直斗「…話すと長くなるのですが、今この町で誰かがテレビ報道されると、その人物が危険な目に遭う事例が続いています」



65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 21:28:42.66 ID:TPcUpo0c0


スネーク「危険な目に遭う…?」

直斗「はい。それが今この町で起きている『連続殺人事件』の大まかな流れ…といったところでしょうか」

スネーク「つまり、テレビに映ると殺人犯に狙われるということか?」

直斗「大体はそんな感じですね。だからスネークさんも、今後は身の回りに……」



スネーク「それは都合がいい。向こうから狙ってきてくれるなら願ったり叶ったりだ」



直斗「えっ」

スネーク「君もフォックスハウンドを知っているのなら、その隊員がどういう訓練を受けるのかも知っているだろう?」

直斗「……近接戦闘術『CQC』……冷戦時代、特殊部隊の母『ザ・ボス』とその弟子『ビッグボス』によって編み出された格闘術……でしたか」

スネーク「その通り」

直斗「…確かに、あなたが本当にフォックスハウンドの退役軍人だというのなら…にわか仕込みの殺人など通用しないかもしれませんね」

スネーク「そうだ。驕るわけじゃないが、そこらの人殺しのナイフ程度なら容易に太刀筋は見切れるさ」





直斗「ですが。もしその『殺し方』が…あまりに非現実的なものだとしたら、あなたは対応できるでしょうか?」



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 21:48:01.80 ID:TPcUpo0c0


スネーク「……どういうことだ?」

直斗「実はこの殺人事件、『殺す手段』が少々変わっていましてね…」

スネーク「変わっている?」



直斗「スネークさん。あなたは…『テレビに人が入り込める』と言ったら、それを信用しますか?」



スネーク「テレビに…人が入る、だと?」

直斗「ええ。そしてそれこそが、この殺人事件における『殺す手段』なんですよ」

スネーク「…さすがに理解が追いつかんな。テレビに人を入れて殺す…?」

直斗「そうです。…信じられないとは思いますが、順を追って説明しましょう」





スネーク(この少年、白鐘直斗に事件のあらましの説明を受けた…)

スネーク(どうやらこの町には『テレビの中の世界』とやらが存在し、そこには異形の怪物が蠢いているらしい。そしてそれを知っているのはごく限られた少数…)

スネーク(どういう理屈かは分からないが、テレビ報道で取り上げられた人物はその殺人犯に狙われてテレビの中に入れられてしまうのだとか)

スネーク(テレビの中に入れられてしまった人間は、その怪物共に襲われて死ぬ。そして後日、現実世界で死体となって出てくるらしい)

スネーク(あと、さらにもう一つ…どうやら俺が今日知り合ったメンバーはその事件を追っているとのことで、『テレビの中の世界』を知っているごく限られた少数…というのは、どうやら彼らのことらしい)

スネーク(そして、これまでテレビに入れられてしまった人間を幾度となく救ってきたのだと…)





67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 22:03:56.04 ID:TPcUpo0c0


スネーク「……なるほどな、理解した」

直斗「…バカな。この内容を疑いもせずに…?」

スネーク「俺もそういうのには慣れてるんでな。この世界もPS2だが…ここではメモカで読心するボスはいないようだし」

直斗「…は?」

スネーク「脳天撃ち抜かれて生き続ける奴もいれば、銃弾が一切当たらない女神とやらもいた。…テレビに入れるくらいのことで驚くタマじゃあない」

直斗「…あなたが歩んだ経歴、今度じっくり調べてみたいですね」

スネーク「ああ、それについてなんだが…君には俺の正体を知っておいてもらいたいと思う」

直斗「正体?」

スネーク「そうだ、正体…というより、素顔といった方が正しいか」


シュッ バサッ


直斗「!! その顔は…」

スネーク「…こっちが俺の本当の顔だ。悪いな、こんなオヤジが高校生のふりしてて」



71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 22:21:24.48 ID:TPcUpo0c0


直斗「それじゃあ…そのマスクは?」

スネーク「フェイスカム、と言ってな。メモリーに記憶すれば…ほら」

直斗「うわ、僕の顔…!」

スネーク「ハハハ、どうだ。便利なもんだろう」

直斗「そんなものがあるんですか、今は…」





スネーク「ま、そういう訳だ。このマスクの方の顔でこれからも任務を続けなきゃならないから、一人くらい協力者を作っておきたくてな」

直斗「…分かりました、正体がばれそうになったらカバーすればいいですか」

スネーク「そうだな。よろしく頼む」

直斗「はい」

スネーク「君もまだ警戒心はあるかもしれないが、お互い目的が同じだと分かった以上は是非とも協力し合おうじゃないか」

直斗「そうですね。僕も…あなたの正体についてだんだん思い出してきましたし」

スネーク「何…?」

直斗「随分前に読んだ本…『シャドーモセスの真実』に、ソリッド・スネークという名前があったのを思い出しました」



72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 22:34:37.85 ID:TPcUpo0c0


スネーク「…読んだのか、その本を」

直斗「はい」



直斗「まさかあなたが…一アメリカ中を騒がせたあの『シャドーモセス事件』の最重要人物だったとは」



スネーク「…………」

直斗「…あなたがどういう人物であるかはよく分かりました。ですからこれ以上の詮索はしません」

スネーク「…助かるよ」

直斗「ひとまず、お互いが協力関係を築ける間であるというのは理解できました。…また明日、学校で会いましょう」

スネーク「ああ。かならず勝とうじゃないか、その殺人犯とやらにな」

直斗「ええ、必ず勝ちましょう。では…ベンセレーモス!」



73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 22:37:10.01 ID:TPcUpo0c0


スネーク「ああ、ベンセレーモス!」




スネーク(…さあ、今日のところはアパートに戻るとしよう)

スネーク(フッ…白鐘の奴、どこであんな言葉を知ったんだかな)



75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 23:02:22.77 ID:TPcUpo0c0


夕方 アパート

スネーク「アパートに戻ってきたが…特にやることは無いな」

スネーク「…そうだ、大佐に文句を言ってやななければ」


ピピピピピピ ピピピピピピ


スネーク「こちらスネーク、どうにか初日を終えた」

大佐【そうか、経過はどうだ?】

スネーク「なんとか高校のお友達…という名の情報網を得ることができた」

大佐【高校の友達…?そんな奴らを捕まえて殺人事件の情報が出てくるのか?】

スネーク「この事件、大佐の言った通り一筋縄ではいかない内容のようでな。…それよりアンタに言いたいことがある」

大佐【なんだ?】

スネーク「…どうして俺の制服にフォックスハウンドの刺繍なんか入れたんだ?」

大佐【…何?】

スネーク「何、じゃないだろう。これがついてたせいでフォックスハウンドを知ってる奴に目をつけられて大変だったんだからな」

スネーク(…まあ、結果的には良い方向に転んだんだが)

大佐【…バカな。そんなものを入れるはずがないのだが…】

スネーク「だが入っていたんだ。このアパートの準備をした奴に文句を言っておいてくれ」

大佐【待て、そこの準備をしたのはオタコンなんだぞ】

スネーク「何だって…?オタコンだと!?」




76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) 2012/10/12(金) 23:05:07.74 ID:XKpfwqxao

何かネイキッドとソリッドが混じってる気が……



77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/12(金) 23:08:36.62 ID:TPcUpo0c0

>>76
ベンセレーモスは中の人ネタでやってみたかっただけ すまん



80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 00:01:21.04 ID:7l6zILTZ0


大佐【そうだ。オタコンも現地補助として行ってもらう約束を取りつけたのでな、ついでにアパートの整理も頼んだ】

スネーク「…で、そのオタコンは今どこに?」

大佐【彼は君とは逆に、高校教師としての立場で生活してもらうことになっているのでな。まだ学校で仕事をしていると思われる】

スネーク「教師だと…!?なんで俺をそっちの担当にしてくれなかったんだ!」

大佐【いや、まあ…なんとなく】

スネーク「高校生と話題を合わせなきゃならん俺の身にもなってくれないか…」

大佐【…すまん】

スネーク「まったく…で、オタコンもこのアパート住まいなのか?」

大佐【ああ】

スネーク「後で文句を言ってやらなければな」





スネーク「…まあ、言いたいことはそれだけだ。コールしたが特に用は無い」

大佐【他に報告は無いのか?】

スネーク「報告か…そうだ、そのフォックスハウンドを知っていた奴についてだが」

大佐【誰だ?】

スネーク「白鐘直斗という…何やら見た目はチビッコなんだが、知識と洞察力はなかなかの奴がいてな」

大佐【白鐘だと…?君はあの白鐘を訪ねたというのか?】

スネーク「あの白鐘?」

大佐【白鐘といえば、日本の私立探偵では抜群の知名度を誇る名門だ】

スネーク「…探偵だったのか、あいつは…」

大佐【白鐘とコネクションを築いたのは良い判断だな。今後の捜査で協力してもらうといい】

スネーク「そのつもりだ。……あとは……そうだ、俺がテレビ報道される…かもしれないらしい」

大佐【テレビ報道だと?】



81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 00:27:58.38 ID:7l6zILTZ0


スネーク「知り合った友人がマスコミの粘着取材に迷惑していたんで助けたんだが、どうにもそいつらを組み伏せた部分を録られてしまったらしい」

大佐【…………】

スネーク「任務に支障が出るかもしれんが…悪いことばかりでもない。どうやらこの町ではテレビ報道されると、例の殺人犯に狙われるという流れが続いているようなんだ」

大佐【…それで、君が囮になるというのか】

スネーク「そうだ。どこから来るかは分からんがな、気配は察せるだろう」

大佐【一応は気をつけるんだぞ】

スネーク「了解だ。さて、試しにテレビをつけてみるか…」


ピッ


『…では、次のニュースです。本日未明、某県稲羽市にて暴行事件が発生しました』

『通行人の男性がいきなり高校生の少年に掴みかかられ、暴行を受けたとのことです。では映像をどうぞ』


スネーク「さっきの今でもう報道されているとは……編集も見事だ、あきれて物も言えん」

大佐【君が報道されているのか?】

スネーク「ああ。殴りかかってきたのはあいつらなのに、上手いこと俺が先手を打ったような映像になってるよ」

大佐【それはそれは…】

スネーク「…さて、これで条件を満たしたわけだが。いつ頃殺人犯が来るんだろうな」

大佐【殺気を感じ取るのは君の得意分野だからな】

スネーク「喜べない特技だがな…」

大佐【まあ頑張ってくれ、君なら死ぬことはないと信じているよ。オーバー】

スネーク「了解、オーバー」



82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 00:46:13.69 ID:7l6zILTZ0


数時間後

スネーク「…………」

スネーク「…さすがに眠くなってきた」

スネーク「まさかこんな町中で狙撃銃なんか使われるわけでもないだろうしな…寝るか」


ピンポーン


??「すみませーん、宅配便でーす」

スネーク「…なんだ、こんな夜中に…」

スネーク「はい、今出ます」


ガチャ…



89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 14:18:13.14 ID:7l6zILTZ0


??「夜分に申し訳ありません、今日中の宅配だったもので。サインを頂けますか?」

スネーク「…………」

??「あの、サインいいですか?」

スネーク「…その箱の中身は何だ」

??「え?ええと…割れ物でしょうか」

スネーク「そうか」

??「とにかくサインをお願いします」

サラサラサラ

??「はいどうも、それではまた」

バタン

スネーク「…この状況では疑わざるを得ないな、この届け物」

スネーク「ここで開けるのは躊躇われる…とりあえず外に置いておこう」

スネーク「さて…寝るか」







スネーク「……zzz」

ギィィ…

??「…………」

??「よし…寝ている…」



90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 14:31:40.18 ID:7l6zILTZ0


??「早くしなければ…!」





スネーク「やめておけ」





??「!」

スネーク「…やはり、テレビに映った俺を狙いに来た奴だったか」

??「貴様…起きていたのか…!」

スネーク「そもそも、家の鍵が閉まってない時点で怪しく思うべきだと思うがな。お前の頭が回らなくて助かった」

??「くそ、こうなったら…うおおおおおおおおおおっ!」

スネーク「甘い!」

ドサッ

??「ぐ、うわっ…」

スネーク「経緯を話すつもりはないが、少なくともお前では俺を殺すことはできん。おとなしく降伏しろ」

??「何…殺すだと…?」

スネーク「そうだろう。テレビに映ったこの町の人物は殺される…そう聞いたが。それで俺を狙いに来たんだろう」

??「ち、違う!俺はあんたを…救いに…」

スネーク「寝言は寝て言え。人の家に入り込んでおいて『救い』だと?」

??「そうだ、あんたをテレビの中に入れさえすれば…あんたは…死なずに済むんだ!」



91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/13(土) 15:52:32.20 ID:7l6zILTZ0


スネーク「テレビの中…?」

スネーク(…白鐘の言っていた…)

??「テレビに映った人間は死ぬ…だから、テレビの中なら安全なんだ…!」

スネーク「おい待て、話が噛み合わん…テレビの中なら安全だと?」

??「そうだよ、現に俺が今までテレビの中に入れてきた連中は全員助かってるんだ!」

スネーク(どういうことなんだ…?テレビに入ると死ぬんじゃなかったのか)





スネーク(この男と白鐘…どちらかが嘘をついているのか?)

スネーク(…いずれにせよ、そのテレビの中の世界というのが気になるな)





スネーク「おい、お前はそのテレビの中に入れる力とやらを持っているのか」

??「ああ、そうだが…」

スネーク「お前の言う事を信用したわけじゃないが、俺も調査で来てるんでな。調べておきたい」

??「どういうことだ…?」

スネーク「鈍い奴だな。……俺をそのテレビの中の世界とやらに連れていけと言ってるんだ」

??「あんた…分かってくれたのか!ありがとう、恩に着る!」

スネーク「だから同意したわけじゃないと言っている。調べるだけだ」

??「どっちでもいい、とにかくあんたがその気になってくれて助かった…さっそく入れてやろう、こっちへ来てくれ」





スネーク(宅配業者の男に手伝ってもらい、『テレビの中の世界』とやらに入り込んだ…)

スネーク(…さて、何が待ち構えているやら)



97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/14(日) 01:02:42.98 ID:xCFNwS7L0


テレビの中

スネーク「なんだここは…霧が深くてよく周りがよく見えんな」

スネーク「…とりあえず進んでみるとしようか」


スタスタ…


スネーク「…何やら広い場所に出たようだ。あそこに見える建物は…」





スネーク「…バカな!なぜこんなところに…」

スネーク「なぜ…シャドーモセスのヘリポートがあるんだ…!?」

スネーク「見間違えるはずがない、ここはあのヘリポートだ。搬入ドックのエレベータ、サーチライト、監視カメラ付き倉庫…」

スネーク「…………」

スネーク「…テレビの中の世界とやら、なかなか侮れんようだな」

スネーク「何が起きても不思議じゃない…そういうことか」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/14(日) 01:10:23.18 ID:xCFNwS7L0


スネーク「人のいる気配はない…だが白鐘の言っていた『怪物』とやらの話が本当だとすれば、気をつけて進まなければ」

スネーク「だが人がいない分、今回は堂々と正面入り口から入れるな」

スネーク「丸腰であることも留意しつつ、慎重に中を探ってみるとしよう…」



99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/14(日) 01:36:01.10 ID:xCFNwS7L0


同時刻 堂島宅

鳴上「…まさかこんなすぐにスネークの件が報道されるとは」

鳴上「もうかれこれ五件目だ、犯人の行動も迅速になってきていると考えるべきだろう」

鳴上「今晩は雨が降っている…時間が来たらマヨナカテレビを確認してみるとしようか」






午前零時

鳴上「マヨナカテレビは…くそ、やはり映ってしまったか…!」

鳴上「映っているのは…スネーク、じゃないな。この中年の男は誰だ…?」




スネーク?『待たせたな。ショータイムだ!』

スネーク?『今回のショーでは……なんとかつて俺が挑んだ任務「シャドーモセス事件」の完全再現をして見せよう!』

スネーク?『懐かしいな、最後にREXの上でリキッドと殴りあったあの決闘…』

スネーク?『だが今はもうリキッドはいない。ではリキッド役はどうするか?』

スネーク?『……それこそがこのショーの最大の見せ場、となるかもしれんな』

スネーク?『さあ、またこのREXの格納庫まで奴はたどり着けるかどうか…』

スネーク?『そしてまた、あの拳での語り合いを再現するとしよう…ククク…』




鳴上「…終わった、か」

鳴上「結局あの男は誰だったんだ…?」

pipipi pipipi

鳴上「着信…陽介からだ」


ピッ


陽介【おい相棒、見たよなさっきの】

鳴上「ああ」

陽介【なんつーか…誰なんだ?あのオッサン】

鳴上「俺も分からない」

陽介【俺はてっきりスネークが映っちまうのかと思ってたんだが…いざ見てみると知らねえ奴が出てきたってオチだ】

鳴上「…………」

陽介【まだスネークの安全が決まったわけじゃねえんだし、明日またスネークも含めた捜査隊メンバーで集まろうぜ】

鳴上「…そうだな」



112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/15(月) 00:07:50.71 ID:XarzOntc0


翌日 八十神高校 二年二組教室

陽介「うっす相棒、先来てたのか」

鳴上「ああ。…里中と天城も来たな」

雪子「おはよう」

千枝「おーっす」

雪子「…みんな、昨日のマヨナカテレビは見たよね?」

千枝「見た見た。スネーク君が報道されてたからてっきりスネーク君が映っちゃうんだとばかり思ってたんだけど」

鳴上「実際には違う人物が映った…と」

千枝「そーなんだよね。てか誰なの、あのオッサン?」

陽介「それが分からねえんだよな、俺も悠も心当たりねえし…里中と天城は?」

雪子「私はさっぱり…」

千枝「あたしも皆目見当つかないんだよね…」

陽介「やっぱりか……」

陽介「……ていうか、もうそろそろHRだけどスネークが来ねえな」

鳴上「…………」

千枝「まさか…違うよね?だって映ったのスネーク君じゃないし…」

鳴上「…とにかく分からないことが多すぎる。また昼休みに完二とりせと直斗も呼んで話しあおう」

雪子「うん、そうだね」



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/15(月) 00:33:19.85 ID:XarzOntc0


キーンコーンカーンコーン…

柏木「さあさ、今日はホームルームの前に全校集会があるわよぉ。新しい非常勤の先生が来るからその着任式みたいね」





陽介「昨日の転校生に続いて、今度は新しい先生か」

千枝「たまには面白い先生がいいなー、ウチの学校の先生って正直アレな人ばっかだし…」

雪子「どんな先生なんだろうね?」

鳴上「昨日の今日でこの学校に新しく二人の人間がやってきた…もしかしたらスネークの知り合いだったりしてな」





体育館

校長「えーでは、新任の先生を紹介します…」

校長「この学校もかねてから採用を検討していた『パソコン技術』担当の先生として…ええと、ハル先生でしたかな」

??「ええ」

校長「ではハル先生、挨拶をしていただけますかな」

??「はい。皆さんこんにちは、ご紹介に預かりましたハルです。コンピュータを使った授業の担当としてやってきました」

校長「これから我が校も本格的にパソコンの授業を展開していく所存であり、そのためにハル先生のお力添えが……」



千枝「また校長の長話が始まった…」

陽介「しっかしまぁ、昨日のスネークに続いてまたあの先生も外国人っぽいな」

雪子「うちの高校も、世界を見据えた人材集めに目覚めたみたいだね」

鳴上「だったらさっさと正式な英語の教師を採用すべきだと思うんだが…」



校長「……ということで、今度ともハル先生には活躍していただきたく存じます」

校長「では、私の話はこれで終わります」



114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/15(月) 03:18:26.76 ID:npYXkYZqo

オタコンキター!www



115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/15(月) 20:54:08.49 ID:XarzOntc0


鳴上(周囲は新任の先生の話題で持ちきりだったが、俺達はそうはいかない)

鳴上(学校に来ていないスネークの件について、昼休みにまた一年メンバーを呼んで話し合いの場を設けた…)





昼休み 校舎屋上

鳴上「…よし、みんな集まったな」

陽介「一年三人も見ただろ、昨日のマヨナカテレビ。映ってた奴についての心当たりを聞きてえんだけどさ」

直斗「それについてですが、僕から皆さんに言うことがあります」


直斗(昨日の約束を今日破る形になってしまうけど…彼の命には代えられない、正体をみんなに話すしかないな)

直斗「……報道されたスネークさんが映らず、皆さんの知らない中年男性が映った理由は……」


千枝「えっ、じゃあスネーク君って」

雪子「あの顔は覆面だったってこと…?」

直斗「ええ。僕も驚きましたが、あの青年のような顔は覆面なんです。素顔はまさに昨日のマヨナカテレビに映ったものと同じ…」

りせ「でも、なんであんなおじさんがわざわざ高校生のふりなんかしてたの?」

直斗「…彼との約束であまり詳しくは言えませんが、どうやら彼は何処からかの密命を帯びてここにいるようです」

完二「密命だと?」

直斗「そうです。僕と同じような経緯でこの町の殺人事件を調べに来た…とでも言いましょうか」

陽介「で、また直斗みたいに自分で囮捜査したらテレビに入れられちまったわけか」

直斗「恐らくはそんな感じでしょうね…」

鳴上「…とにかく、マヨナカテレビに映ったのがスネークだというのならもう問題は無い。俺達で助けに行くだけだ」

千枝「だね、スネーク君がどこの誰だろうと助けてあげなくっちゃ!」





??「あーいたいた、おーい君達ー」

完二「ん?あれは……新任の」

雪子「ハル先生?どうしてこんなところに」

ハル「君達、昨日転校してきた生徒と一緒に遊んでたメンバーだよね?」

千枝「え、なんでそれを」

ハル「実は僕、あの転校生とちょっと知り合いでね…彼、今日学校に来てないよね?」

りせ「そうみたいですけど…」

ハル「住んでるアパートも同じなんだけど、朝に玄関をノックしたら反応が無くて。それで昨日、一緒に町を歩いているのを見かけた君達に話が聞きたかったんだ」

鳴上「それについては……とりあえず今日の学校が終わったらみんなで探そうってことになってますから、大丈夫ですよ」

ハル「そうかい?町中を探すなら僕も手伝うからさ、これを渡しておくよ」

陽介「このメモは…携帯の番号っすか?」

ハル「うん、放課後になったら連絡もらえるかな。それじゃ…僕も次の時間の準備があるからこの辺で」





鳴上(ハル先生は戻っていった…)




116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/15(月) 23:15:26.66 ID:XarzOntc0


同時刻 テレビの中 マガツシャドーモセス

スネーク「外見こそシャドーモセスだったが、内部は随分装いが違っているな」

スネーク「派手な赤と黒のコントラストが目に悪い…しかも建物内部なのに霧も深い」

スネーク「……そして何より、白鐘の言っていた通り……」

スネーク「……そこら中にうようよしている、得体の知れない怪物どもが悩みのタネだ」

スネーク「動く天秤、巨大な口、バネ人間、戦車もどき、カンテラカラス、人面岩…まるでサーカスだな」

スネーク「だが、要は相手が人間から怪物に変わっただけの話…」

スネーク「気づかれずに進む。舞台と役者は違えど、これもまたスニーキングミッションのようなものか」





スネーク「さて、入ったはいいがどこから調べればいいものか」

スネーク「あの時は回り道の連続だったからな…地雷原に毒ガスエリア、赤外線感知装置、果ては溶鉱炉の出っ張りを歩いたり…」

スネーク「所詮相手は怪物だ、まさかそういった装置が使えるわけじゃあるまい」

スネーク「色々な部屋を調べて回るとするか…」



117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/15(月) 23:41:54.39 ID:XarzOntc0


数時間後 八十神高校

鳴上(授業が終わった…)

鳴上(今日はさっそく、スネークを探しにみんなでテレビに入る予定になっている)

鳴上(ジュネスに急ごう…)





放課後 ジュネス フードコート

千枝「おっ、来たねリーダー」

クマ「センセイ!今日はまた探索クマか?」

鳴上「そうだ、またテレビの中に人が入れられてしまったみたいだからな」

クマ「それはクマも気配を感じてたクマ。これでもう五人目クマね…」

陽介「だからこそ、時間かけずにさっさと助けださなくちゃな」

りせ「でも、きっと敵も強くなってきてると思う。みんな油断はしないでね」

雪子「うん、気を引き締めて行こ」

完二「ああ。……んじゃ、行くとしましょうや」

直斗「ええ、必ずスネークさんを助け出しましょう」



陽介「…あとさ、昼休みにハル先生から連絡くれって言われてた件なんだけど…」

千枝「あ、そういえば」

完二「あの人が知り合いってのは分かったけど…さすがにテレビの中に連れてく訳にはいかねえんじゃないスか」

鳴上「だな。…ハル先生には悪いが、今日はあえて連絡を保留しておこう」

雪子「そうだね…」

鳴上「とにかく今はスネークの救出だ。早いとこ救出して、ハル先生に知らせてやろう」

直斗「そうですね、急ぎましょう」



118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/16(火) 00:09:28.70 ID:+4HVhwoZ0


テレビの中

鳴上「さて。それじゃりせ、スネークのいる場所のサーチを頼む」

りせ「うん、ちょっと待っててね……」





陽介「これで五回目か、もう俺もだいぶ慣れてきた感じがするな」

直斗「逆に僕はこれが初めてですけどね」

クマ「考えてみたら、ナオチャンだけ自分以外のシャドウを見てないクマね…」

陽介「そういう意味ではもったいねーよな、完二のアッチ系シャドウとか天城の鳥籠シャドウとか……あ、ヤベ」


完二「…花村先輩…そのネタ蒸し返すなって言ったよな…?」ゴゴゴゴゴ

雪子「…花村君…後でちょっと用があるからつきあってね…?」ゴゴゴゴゴ


陽介「……スンマセン……」

直斗「…『ジライヤ』の名は伊達じゃありませんね」

陽介「え…?何か言った?」

直斗「いえ、何でも」





りせ「……見つかったよ、みんな!」

千枝「おお、お待ちかね!」

りせ「ちょっと遠いけど、あっちの方角にスネーク先輩の気配を感じる。シャドウの気配も…」

鳴上「…それじゃ、早速向かうとしよう」



120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/16(火) 22:06:10.81 ID:+4HVhwoZ0


マガツシャドーモセス 入口前

千枝「ここが…」

完二「スネーク先輩のダンジョン、ってか」

雪子「なんだか直斗君の時と似てるね」

陽介「だよな、また関係者認証がどうとかで寄り道しなきゃなんねーダンジョンはごめん被りたいけど」

りせ「しかもここ、また地下に潜っていくタイプのダンジョンみたい…ほんと直斗の時そっくりだね」

直斗「そんなのだったんですか、僕の時って…」

クマ「とにかく、中に入ってみるクマよ!」

鳴上「ああ、行こう」





マガツシャドーモセス 1F

陽介「なんかいきなり広い場所に出たな…」

千枝「うん、なんか戦車とか置いてあるし」

完二「ご丁寧に監視カメラまで設置されてやがる…まさか飾りだよな?」

直斗「…万が一の場合も考えて、一応カメラの視界から外れたルートを通った方がいいでしょうね」

雪子「そうだね…」

クマ「シャドウもいっぱいいるクマ…またレベル上げも頑張らないとイカンクマね!」

りせ「ここのシャドウ、今の私達よりちょっと強いくらいの奴が多いみたい。クマの言う通りレベル上げといた方がいいかも」

鳴上「…まずはいつも通り、レベル上げをみんなで頑張るとしようか」



122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/16(火) 23:08:01.63 ID:+4HVhwoZ0






スネーク?『レベル上げだと?悪いがこの「MGS」にはレベルの概念というものは存在せんぞ』





鳴上「誰だ!」

りせ「この声…スネーク先輩!?」

スネーク?『そう、スネークだ。だがお前達の追っているスネークではない』

雪子「それはつまり…」

千枝「…スネーク君のシャドウ!」

影スネーク『ご名答。これからお前達には、この「MGS」の世界にのっとったルールの元でダンジョンを進んでもらうぞ』

クマ「めたるぎあそりっど…?」

影スネーク『そうだ。ターン制のバトルしかできないお前達のような甘ちゃんに、はたしてこのダンジョンをクリアできるかどうか…実に楽しみだ』

完二「テメェ、舐めた口きいてんじゃねえぞ!」

影スネーク『いきがるのはプレイしてからにした方がいい。さて、ここを「MGS」とする以上…お前達の武器は没収させてもらおう』

鳴上「なっ……俺達の武器が消えた……!」

影スネーク『武器も情報も現地調達。それがこの世界「MGS」の掟だ』

陽介「おい、ふざけんじゃねえよ!武器も無しにどうやって戦えってんだ!」

影スネーク『武器はそこら中に落ちてるさ、拾って使えばいい。だが…それを持っているのはシャドウだがな』

直斗「ペルソナ能力だけでシャドウを倒せというのか?」

影スネーク『そうではない。俺はシャドウを「倒せ」と言うつもりはないぞ』

完二「ならどうしろってんだ、あぁ!?」

影スネーク『それはお前達が考えることだ。ともかく、俺から言える内容はこれだけだな。あとはお前達次第…』

影スネーク『……しいて最後のアドバイスをするとすれば……』





影スネーク『……この世界は、「敵と戦わないことを前提とした」ダンジョンであるということだな』





千枝「敵と戦わないって…どういうことよ!?武器持ってるのはシャドウだってあんたが言ったんでしょーが!」

影スネーク『それをどうするか考えるのはお前達の役目だ、と言ったはずだ』

陽介「くそ、あのヤロー上手いこと煙に巻いたつもりか…!?」

影スネーク『…あまり長話もしていられない、俺はそろそろ行かせてもらう。あいつにも合わなければならんのでな』

鳴上「あいつだと…?スネークのことか!」

影スネーク『お前達が知る必要はない。では…せいぜい足掻くがいい、クックック』



130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/16(火) 23:58:13.06 ID:+4HVhwoZ0


マガツシャドーモセス 渓谷

スネーク「ここは…レイブンが操る戦車と戦った場所だな」

スネーク「しかし思い返してみれば、生身で戦車と対決という手段を迷いなく選ぶとは…俺も若かった」





影スネーク『しかし、今はもうその若さも衰えかけている…と』





スネーク「…誰だ」

影スネーク『誰かだと?俺の顔を見れば言うまでもないだろう』

スネーク「!!」

影スネーク『初めまして…いや、この挨拶はおかしいな。久しぶりとでも言っておこうか』

スネーク「……お前のその顔は……また俺の『兄弟』とやらの一人なのか?」

影スネーク『兄弟か。それは限りなく似た別人同士を呼ぶ言葉だな』

スネーク「何だと…!?」

影スネーク『俺は、お前だ。「恐るべき子供達」なんてチャチなものじゃない。お前そのものなんだよ、俺はな』

スネーク「お前が…俺…?」



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 00:12:03.87 ID:V4bBO5G/0


影スネーク『その通りだ。……おっと、ここから先はまだここで言わせるにはもったいない』

スネーク「何を言っている?」

影スネーク『お前が昨日知り合った「お友達」…どうやらお前を助けにこのダンジョンへ来てくれているようだぞ』

スネーク「まさか…鳴上達のことか!?」

影スネーク『戦うことで道を切り開いてきた連中から戦いを取り上げた時、そこには果たしてどんな物語が生まれるのか…実に楽しみだと思わないか?』

スネーク「貴様…!」

影スネーク『…どうやらお前はもう武器を拾っているようだな、助けにいってやったらどうだ?奴らの始末を見届けてからでも、お前から否定の言葉を引きずり出すのは遅くはないからな』

スネーク「…鳴上達はどこにいるんだ!?言え!!」

影スネーク『少なくともまだ入ってきたばかりだ、お前がこのまま来た道を引き返せば会えるだろう…多分な』

スネーク「…チッ、急がなければ!」


タッタッタッタ…


影スネーク『…さて、俺はREXの格納庫で奴らの到着を待つとしよう。がっかりさせないでほしいものだがな、どうなることやら…ククク…』



132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 00:33:21.96 ID:V4bBO5G/0


マガツシャドーモセス 戦車格納庫

陽介「ちっくしょ…どうしろってんだよ、あのヤロー!」

雪子「戦ったらダメだなんて急に言われても…」

千枝「戦いまくってどんどん先に進んでた訳だからね、あたし達…」

完二「…チッ、ウダウダ言っててもラチ明かねぇっスよ!あんな奴の言う事なんざ気にせずに突っ込みましょうや先輩!」

クマ「カンジの言う通りクマ!こそこそ進むなんてクマ達には似合わんクマよ!」

完二「へへ、たまには話が合うじゃねえかクマ公。……そんじゃ、いっちょやってやろうじゃねえか!」

クマ「おっけークマ!やったるでぇぇぇぇぇぇぇぇ!」



鳴上「おい待てクマ!完二!」

りせ「もー!あのバカコンビ、勝手に突っ走ってっちゃった…!」

直斗「まずいかもしれないですね…」



完二「だらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!覚悟しやがれクソシャドウ共がぁぁぁぁぁぁ!!」

クマ「ギッタンギッタンにしてやるクマァァァァァ!!」



133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 00:45:20.65 ID:V4bBO5G/0


シャドウ「……?」クルリ



                 [!]

                 [ALERT 99:99]




鳴上「な、なんだ…?変な音が…」

千枝「ちょっ…部屋中のシャドウが一気にこっち見た…!」



シャドウ「……グァァァァァァァァァァ……」



陽介「…やべえぞ、こっち向かってきやがる!」

雪子「そんな…嫌あああああああああああああっ!来ないでええええええええええええっ!」

鳴上「まずい、とにかくみんな逃げるんだ!!」

直斗「そんなこと言っても、どこに逃げたら…!」

鳴上「どこでもいい!とにかく走るんだ!」

りせ「あんのバ完二にアホクマ、戻ったら絶対許さないんだからぁぁぁぁっ!」






鳴上「とにかく逃げるんだ!!みんな走れ!!」



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 19:45:42.32 ID:p2COeGmF0




雪子「こっち来ないでえええええええええええっ!!」タッタッタッタ



陽介「うわわわわ、ちょちょちょちょそんな一気に俺んとこ来るんじゃねーっつの!!」タッタッタッタ



千枝「なんであたしも追いかけられてんのよー!!」タッタッタッタ



りせ「もう嫌ああああああああああっ!!」タッタッタッタ



直斗「くそ、とにかくどこか安全な場所へ…!!」タッタッタッタ



完二「軍勢がなんぼのモンじゃああああああああああ!!行くぜオラァァァァァァァァァ!!」タッタッタッタ



クマ「百匹でも二百匹でもかかってきやがれクマァァァァァ!!」タッタッタッタ



鳴上「まずい、みんな別々の方向に逃げていく…だが俺も四の五の言っていられない、とにかく逃げなければ…!」タッタッタッタ





142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 20:58:54.06 ID:p2COeGmF0


数分後…
マガツシャドーモセス 戦車格納庫

スネーク「くそ、鳴上達はどこにいるんだ…!」

スネーク「……あそこを走っているのは……鳴上か!?」





鳴上「ハァ…ハァ…!」

スネーク「おい待て、鳴上!」

鳴上「えっ……その顔は、スネーク……!?」

スネーク「……そういえばフェイスカムを忘れていたっけな……だが待て、なぜ俺の素顔を知っている?」

鳴上「直斗に教えてもらったんだ、テレビに入れられた以上は秘密にしておけないってね」

スネーク「何だと?まったく、白鐘の奴…」

スネーク「…だがまあいい、見つかってよかった。お前以外に他の連中も来ていると聞いたがどこにいるんだ?」

鳴上「みんなとは…はぐれてしまったみたいだ」

スネーク「はぐれただと…!?」

鳴上「急に大量のシャドウが俺達に気づいて、変な音が鳴ったかと思ったら集団で襲いかかってきて…」

スネーク「シャドウ?」

鳴上「この辺りにいる化け物のことだ」

スネーク「ああ、あいつらのことか…」

鳴上「シャドウに見つかって困ることなんて、先制攻撃されるかどうかくらいのものだったんだけど…あんな反応は今までに見たことがない」

スネーク「どういうことだ」

鳴上「なんというか…見つかることそのものがタブーのような…」

スネーク「…………」

鳴上「…スネークのシャドウが言っていた言葉の通り、なのかもしれないな」

スネーク「俺の…何だって?」

鳴上「シャドウ。この世界に人間が入ると、その人間のもう一つの人格…シャドウが現れるんだ」

スネーク「もう一つの人格だと?」

鳴上「ああ。その人間と同じ姿をしたシャドウは、自分が唯一の存在となるために否定の言葉を引きずり出そうとする」

スネーク「……もしかしたら、俺はそいつに会っているかもしれん」

鳴上「会ったのか?」

スネーク「さっきそこの渓谷でな。…それにしても、まったく意味の分からん世界もあったもんだな…」



143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 21:45:19.42 ID:p2COeGmF0


スネーク「あと、そのもう一人の俺とやらが言っていた通りというのはどういう意味だ?」

鳴上「スネークのシャドウは言っていた…この世界は敵と戦わないことが前提のダンジョンだと」

スネーク「……なるほどな。実にもう一人の俺らしい考えだ」





スネーク「鳴上、よく聞け。この場所では敵と戦うことを考えるな。やり過ごすことを考えるんだ」

鳴上「やり過ごす…?」

スネーク「そうだ。中国のことわざには『匹夫の勇、一人に敵するものなり』というものがあってだな…」

スネーク「…無暗に戦おうとする愚か者は、一人の敵を相手にするのが精一杯ということだ」

スネーク「分かるな?俺の言いたいことは」

鳴上「ああ。今まではやたらめったら敵を倒すことでどうにか進んできたんだが…このダンジョンばっかりはそうはいかないらしいな」

スネーク「その通りだ。……さっき俺が倒した化け物が持っていた高周波ブレードだ、お前に預けよう」

鳴上「これは…刀?」

スネーク「ただの刀じゃないぞ。文字通り高周波、鉄でも何でも斬れる刀だ。かつて俺と一緒に戦った奴も使っていた」

鳴上「刀か…刀なら俺でも扱いは慣れているから任せてくれ」

スネーク「よし。なるべく交戦することは無いように動くが、もしもの時は頼むぞ」

鳴上「ああ」



145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 22:35:30.00 ID:p2COeGmF0


鳴上「それじゃ、まずはみんなを探さないと」

スネーク「そうだな…だがどこへ行ったかの手がかりも無いとなると、さすがに厳しいぞ」

鳴上「しらみ潰しに探すしかないかもな…」

スネーク「…仕方ないな、それで行こう」










マガツシャドーモセス 拷問部屋

陽介「ハァ…ハァ…がむしゃらに突っ走ったら変なとこに出てきたな」

陽介「ん、なんだこれ?平らな機械に四か所の拘束具、ってことは……」

陽介「これ…いわゆる拷問器具ってやつか…?」

陽介「……ううっ、なんかビビったら漏れそうになってきた……」

陽介「どうせ誰もいなさそーだし…ちょっとそこらの物陰で失礼して」



??「!!」



陽介「え、ちょっ…なんでお前がここに!?」




~天の声~
番長と別れたメンバーはこれより二人ペアになって行動します
よって、安価でペアを決定するのでご協力ください

陽介と同じ場所に逃げ込んでいたのは…>>147
①千枝
②雪子
③完二
④りせ
⑤直斗
⑥クマ



146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 22:37:51.48 ID:OzfM7MXs0




147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) 2012/10/17(水) 22:39:53.65 ID:BFXAuk910



148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:00:27.50 ID:p2COeGmF0


陽介「お前…直斗じゃねーか!」

直斗「花村先輩…!」

陽介「……あ、いや、これは違うよ!?ちょっとチャック下がりかけてるけどそういう意味じゃないよ!?」

直斗「…分かりましたから、さっさとチャックを上げてください」

陽介「うう…泣きたい…」





直斗「では、気を取り直して行きましょう」

陽介「取り直せるかよ…見られたのに…」

直斗「…他の皆さんには黙っておいてあげますから」

陽介「そういう問題じゃねえと思うんだが…お前、仮にも女の子だろーがよ…」

直斗「だからこそ、そういう物を見ても動じないよう心掛けていますからね」

陽介(悠にはデレデレするクセに…)

直斗「…とにかく、早くここを移動しましょう。他の皆さんと一刻も早く合流しなければ」

陽介「…そうだな、いつまでもグズグズしてらんねぇか…」



149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:14:45.71 ID:p2COeGmF0


マガツシャドーモセス 核保存棟1F

千枝「あー疲れた…毎日ランニングしててもこのダッシュはさすがにしんどい…」

千枝「で、なんだか怪しげな場所に辿り着いたワケだけど」

千枝「…なにこれ、ミサイル!?しかも何本も…!」

千枝「明らかに自衛隊とかが使うやつっぽいなぁ…なんでこんなのが…」

千枝「…あれ、あそこに人影…?ちょっと探ってみよう」


??「!!」


千枝「ああっ!なんでこんな所に…!?」





千枝と同じ場所に逃げ込んでいたのは…>>152
①雪子
②完二
③りせ
④クマ



150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) 2012/10/17(水) 23:15:52.70 ID:0oH5TSeX0




151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:30:59.36 ID:H5nHuQk0o

1



152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:32:02.17 ID:nR8lIDcuo



153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:41:27.28 ID:p2COeGmF0


千枝「りせちゃん…!?」

りせ「千枝先輩…!?」

千枝「りせちゃん、なんでこんな所に?」

りせ「分からない…ただとにかく走ってたらここにいて、とりあえず隠れてたんだけど…」

千枝「そっか…あたしと同じような感じだね」

りせ「…これからどうしよっか」

千枝「まずはみんなとまた合流しないとね。りせちゃんはあたしの後ろでサポートお願い」

りせ「でも、ここって戦うのがダメなんじゃ…」

千枝「あ、そうだった…くっそー、やりにくいなあもう!」





千枝「…なんだか…こうしてりせちゃんと二人きりになるのって新鮮だね」

りせ「…ふふ、私もちょうど同じこと考えてた」

千枝「たまには色々お喋りしようよ、この辺見て回りながらでいいからさ」

りせ「うん、そうだね」



154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 23:51:25.14 ID:p2COeGmF0


マガツシャドーモセス 雪原

雪子「……はあ……はあ……」

雪子「つ、疲れた…もう走れない…」

雪子「ここ、どこだろう…みんなともはぐれちゃったし…」

雪子「…寒い…テレビの中なのになんでこんな一面雪景色が…」

雪子「…そうだ、コノハナサクヤのアギダインで焚火しようかな」

雪子「まずは薪を集めないと…その辺の木の枝でいいよね」

雪子「木の裏とかに落ちてないかな…」


??「!!」


雪子「…えっ、なんでこんな所に…!?」



雪子と同じ場所に逃げ込んでいたのは…>>156
①完二
②クマ



155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) 2012/10/17(水) 23:51:57.91 ID:xDA+Z2gB0




156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2012/10/17(水) 23:53:09.27 ID:8yTN+5Q3o



157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 00:26:17.19 ID:ONwuyAXB0


雪子「クマさん…?」

クマ「…ゆ、ユキチャンクマか…?」

雪子「クマさん、どうしてこんな所に…?」

クマ「あのあとカンジと一緒に戦ってたけど…やっぱりヤバくなってきて、逃げたんだクマ。それでそのうちカンジともはぐれて…」

雪子「それでここに?」

クマ「そうだクマ。一人ぼっちで寂しんボーイだったクマよ~」

雪子「…それはいいけど、抱きつくのはやめて」バシッ

クマ「うごふ!」

雪子「じゃ、まずはみんなと合流しないとね」

クマ「痛いクマ…スナップ利きすぎクマ…」

雪子「この雪原自体は広いけど、四隅に扉があるみたい…行ってみようよ」



159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 00:40:40.93 ID:ONwuyAXB0


マガツシャドーモセス 地下倉庫

完二「ちっくしょ、さすがにあの数は無理だったか…クマ公ともはぐれちまったし…」

完二「…つか、ここいくらなんでも寒すぎんだろ!なんでこんな所に迷い込んじまったんだよ、ったく…!」

完二「コンテナみてーなのがいっぱい置いてあんな…まるで迷路だぜ」

完二「…とりあえず、みんなと合流しねえとな。扉はあっちか…」





ズバババババババババババババババババババ!!





完二「うおっ、なんだこれ…銃声か…!?」

??『…どうやら、ネズミが一匹入ってきてしまっているようだな』

完二「あれは…またなんか知らねえ野郎が出てきやがったな…」

??『ようこそ、招かれざる客よ。ここへ入ったからには生きて帰れると思うなよ』

完二「誰だテメエ?バカみてえにデカいバルカン砲ぶら下げて何のつもりだ」

??『名乗る必要はない。なぜならお前はここで死ぬからな』

完二「こっちの質問に答えやがれ!」

??『…うるさいガキだ。早いところ蜂の巣にしてやるとしよう』

完二「やれるもんならやってみろよ、デカブツ。だがこっちだってタダじゃくたばらねえぜ」

??『ほう、ならばやってみるがいい。貴様はどうやら日本人のようだが…日本人といえば軟弱なことで有名な人種だ、このイヌイットの血を引く俺様の相手ではないだろうな』

完二「ほざいてやがれ!」



完二「来い、タケミカヅチ!」カッ



162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 01:09:02.15 ID:ONwuyAXB0


マガツシャドーモセス 拷問部屋





??『おい待て、そこの小僧二人』





陽介「!?」

??『この拷問部屋に自ら入るとは…余程の物好きか、あるいは…』

直斗「…お前は誰だ」

??『俺か?俺の名は、シャラシャーシカ』

陽介「シャラシャーシカ…?」

??『そしてまたの名を…』

??『リボルバー・オセロット』

直斗「リボルバー……オセロット……?」



直斗(聞いたことがあるぞ、リボルバー・オセロットという名前…)

直斗(ソ連のアフガン侵攻で飛び抜けた能力を発揮し、敵軍から『シャラシャーシカ』の名で怖れられた男…)

直斗(そして何より拷問好き、他にはマカロニウェスタンのマニアでもあるとか…)



??『この部屋に入ってきたのが運の尽きだったな。もう俺のSAAの射程からは逃げられんぞ』

陽介「…おお、こりゃすげえ!拳銃がくるくるくるくる…」

直斗「見とれてる場合ですか!」

??『貴様らはどうやら丸腰のようだな。つくづく運の無いことだ』

直斗「…僕も銃にはそれなりに知識があるが、このご時世にSAAなんか使うというのはどういうつもりだ?」

??『言うまでもない。これが最も俺の手に馴染む銃だからだ。そして何より…リロードの快感!』

直斗「…?」

??『マグチェンジでは到底味わえない…リロードタイムのあの息吹!筆舌に尽くしがたい快感だ!』

直斗「…バカバカしいですね。そんな非効率に快感を覚えるあなたの神経を疑います」

??『お前のような小僧には理解できんだろうな。……無駄話が過ぎた、そろそろ始めるとしようか』

直斗「…来ますよ、花村先輩。ペルソナで応戦です」

陽介「え?お、おう!」



直斗「来い、スクナヒコナ!」カッ

陽介「行け、ジライヤ!」カッ



163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 01:56:48.11 ID:ONwuyAXB0


マガツシャドーモセス 核保存棟1F





??『……さて、この辺でよかろう。そろそろ本当の部屋に戻してやろうか』





千枝「今、声が…?」

りせ「…何これ…!?部屋の内装が変わっていく…!」

マガツシャドーモセス 所長室

??『どうだ?お気に召したかな、俺のサイキック能力は』

りせ「誰…!?」

??『俺は世界最高のサイキック能力を操る者…サイコ・マンティスだ』

千枝「うわ、変なガスマスク…」

??『幻覚、幻聴、読心まで意のままに操れるこの能力をもって、今からお前達を葬ってやるとしよう』

りせ「葬るですって…?」

??『そうだ。だがただ殺すのでは面白くない。ここはひとつ、お前達の心の中でも読んでみるとしようか』

りせ「心を読むって、そんなバカなこと…」



??『……ううむ……見える、見えるぞ……お前達の心の中が……』

??『……どうやらお前達二人は恋い慕っている男は共通しているようだな……しかもその男、恋愛に関してかなりの手練れ……』

??『……なるほど、その男は二周目だったか……ステータスもオール5……道理で人付き合いを難なくこなしていく訳だ……』



りせ「…さっきから何言ってんの、この人」

千枝「さあ?アレだよね、モロキン殺した男の子みたいな…頭がちょっといっちゃってる系の人じゃない?」

りせ「かもね…」

??『さて、お遊びはこの辺にしておこう。それではそろそろお前達の命をいただくとしようか』

千枝「…で、こんな狂った奴なんかに殺されるわたしじゃないって話だけど」

りせ「同感。こいつなら戦っても問題無さそうだし、さっさと片づけちゃおうよ」

千枝「そうだね。…じゃ、ペルソナ出しますか」

りせ「うん、まずは私がステータス調べるね」


千枝「守って…トモエ!」カッ

りせ「ヒミコ!」カッ


りせ「さーて、あいつのステータスはどうなってるのかなっと…」







??『……ブラックアウト!!』


                   [ヒデオ]



174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 23:46:39.01 ID:ONwuyAXB0


マガツシャドーモセス 雪原





??『ようこそ、私の領域へ。ここへ来たからには生きて返しはしないわよ』





雪子「この声は…!?」

クマ「ムム、この声は…クマのビジンさんセンサーがビンビン反応してるクマ!」

??『私の覗くスコープの視界に入ること、それは即ち死を意味するわ。…さあ、せいぜい逃げ惑うがいい!』

雪子「声だけでどこにいるか分からない…あなたは誰なの!?」

??『私が誰か…もし私を見つけ出せたら教えてやろうじゃないか』


バン!


雪子「きゃっ!」

クマ「ゆ、ユキチャン!?」

雪子「っ……耳の横を……何か通り過ぎた……!」

??『それは挨拶を兼ねたプレゼントよ。本物は、きっちりあなた達の心臓に届けてあげるわ!』

雪子「さっきのはもしかして…弾丸…!?ってことは、私達狙撃されてるの…!?」

クマ「ソゲキって何クマ?」

雪子「…クマさん、早く木の裏に隠れて!」

クマ「え?うわおおおおおおお引きずらないでクマあああああああ」





雪子「…狙撃っていうのは、遠くから銃で狙われてることなの。分かる?」

クマ「遠くから銃で…って、そんじゃ撃たれたら大変クマよ!」

雪子「そう。だから何とかして向こうの位置が分からないと反撃できないんだけど…」

クマ「それはマズイクマね…とりあえずペルソナ出しとくクマ、応戦方法はそっから考えるクマよ」

雪子「そうだね…」


雪子「おいで、コノハナサクヤ!」カッ

クマ「ゴー、キントキドウジ!」カッ



175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 23:54:59.49 ID:ONwuyAXB0


マガツシャドーモセス 所長室

りせ「…きゃあっ!」

千枝「どうしたのりせちゃん!?」

りせ「な、なにこれ…アナライザーの画面が急に真っ暗に…」


??『無駄だ。お前ごときに俺の精神を読むことはできんぞ』


りせ「それって…まさかアンタ、私のペルソナに細工でもしたの…?」

??『ペルソナ?そんなものは知らんが、俺の精神を探ろうとする波長があったからシャットアウトしただけだ』

千枝「こいつ、見た目の割にそんなことできるんだ…」

りせ「…なんか悔しいな、もう一回試してみる!」

千枝「りせちゃん頑張って!」


りせ「もう一回…ヒミコ!」カッ


??『諦めの悪い連中だ。無駄だと言っているのが分からんか…』

??『…ブラックアウト!!』




                   [ヒデオ]





りせ「…うっ、また画面が真っ暗に…!」

??『いい加減に理解しろ。お前程度の読心能力では俺の精神を探ることなどできはしない』

千枝「くっそー、ならもうがむしゃらに攻撃してやるっつーの!おりゃあっ!」

??『…無駄だ』

千枝「あり?あちゃー、外したか…ならもう一発!」

??『…諦めろ、お前の攻撃程度なら俺にはたやすく軌道が読める。いくら攻撃しようと無駄なことだ』

千枝「…くっそ、また避けられた…!」

??『お前達二人が束になろうと俺には勝てん。いい加減に諦めて死を受け入れるがいい』



千枝「なんでよ、もう…!りせちゃんのアナライズは妨害されるし、あたしの攻撃はみんな避けられちゃうし…!」

りせ「どうすればいいの…!」



180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/19(金) 18:32:18.27 ID:/+12Potc0


マガツシャドーモセス 地下倉庫

??『これはこれは…なかなか殺し甲斐のありそうなモンスターがおいでなすった』

完二「バルカン砲でもガトリング砲でも関係ねえ、俺のペルソナはそんなもんで怯むほどヤワじゃねえぜ。舐めんなよ!」

??『…見ているか、同胞達よ。奴から出てきたあのモンスター、我らの相手として申し分ない』


カァ… カァ… カァ…


完二「…何だこりゃ、カラス…?」

??『喜べ。鴉(レイブン)達はお前の戦士としての実力を見定めたいと言っているようだ』

完二「はぁ?お前…そういう幻聴とか聞こえるタイプの頭いかれた奴なのか?」

??『幻聴か。聞こえん者にはそう見えるのだろうな』

完二「…あーくそ、こういう一人で物事を完結するヤローは特にムカつくぜ」





??『さて。それでは早速……』

??『……貴様と貴様が飼い慣らすそのモンスターの力、見せてもらうとしようか!』

完二「上等だゴラァ!かかってきやがれ!」

??『行くぞ…蜂の巣になるがいい!』


ズババババババババババババババ!!


完二「防げ、タケミカヅチ!」


ガガガガガガガガガガガガガガガガ


??『…ほう、全弾受け止めたか。見た目通りの堅さだな』

完二「余裕こいてんじゃねえぞ!今度はこっちの番だ!」


完二「食らいやがれ、マッドアサルト!」


??『ぐっ…!』

完二「へっ!どうだ、利いたかよ!?」

??『…なかなかやるな。だがまだまだ…』

??『…こちらの銃撃もまだ終わりではない!』


ズバババババババババババババババ!!


完二「う、ぐぁっ…!」

??『どうだ?今度はある程度被弾したようだな』

完二「チッ…くそったれが…!」



182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/19(金) 20:44:19.16 ID:/+12Potc0


マガツシャドーモセス 拷問部屋

??『さあ、俺の弾丸から逃げられるか!?』

陽介「構えた…!来るぞ、直斗!」

直斗「分かってます!」

陽介「一応かけとくぜ、マハスクカジャ!」

直斗「…回避率が上がっても油断はできません、何とか当たらないように立ち回らなければ…」

陽介「とりあえず物陰に隠れんぞ!」





??『無駄なことを…』


バン!


陽介「うわっ!な、なんでだよ…隠れてんのに…!」

直斗「これは…跳弾か!」

陽介「チョウダン?」

直斗「ええ。角度を計算して打つことで、壁を跳ねた弾が対象に当たるよう発砲する…」

陽介「おいおい、そんなんやられたら隠れる意味ねえじゃんかよ!」

直斗「それをどうにか凌ぐ手だてを考えなければ…僕達は負けます」





??『隠れていても無駄だぞ、この部屋に俺の跳弾が届かないゾーンは存在しない』

陽介「クソ、とにかく動き回るしかねえか…!」

直斗「どうにかして反撃の糸口を見つけなければ…」

直斗(……待てよ、確か奴はさっき……)

直斗(SAAのリロードがどうとか言っていた……もしかしたら、そこが隙になるか……!?)

直斗「…花村先輩、あいつの銃弾をあと五発凌いだら反撃です」

陽介「五発?なんでまた…」


バン!


陽介「うおっ!…ったく、作戦立ててる間くらい待ってろっつーの…!」

直斗「あいつの銃はリボルバーです、一度撃ち切れば装填に多少なりの時間はかかるはずだ…そこを突きましょう!」

陽介「…そうか、なるほどな…!」



183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/19(金) 21:13:11.50 ID:/+12Potc0


マガツシャドーモセス 雪原

??『どうした、隠れてばかりじゃ私は見つけられないぞ!?それともこの私に忍耐勝負で勝つつもりか!?』





クマ「もう突撃したいクマ…!キンダンショージョーが出そうクマ、ユキチャンお願い!突撃させてくれクマー!」

雪子「ダメだって言ってるでしょ!」バシッ

クマ「うわおうふ!」

雪子「…なんとか撃たれずに出て行く方法を探さないと…このままじゃ時間ばっかり削られちゃう…!」

クマ「その前に、クマのホッペが削られちゃうクマ…」





??『…そうか。私と我慢比べがしたいという訳だな。ならば受けて立とう!』

??『私は狙撃銃を構えたまま二週間は飲まず食わずで姿勢を保ち続けることができる…お前達に勝ち目はないぞ!』





雪子「そんな…張り合える訳ないじゃない…!」

クマ「どうすればいいクマ…!二人とも回復役ってのがこういう時にツラいクマね…」

雪子「…これはかなり可能性の低い賭けだけど、やってみよう…クマさんも一緒に来て」

クマ「何をするクマか?」

雪子「私が空中に向かってアギダインを撃つから、それを目くらましにして木と木を縫うように移動して距離を詰めるの。かなり厳しいかもしれないけど…」

クマ「ムム…よく分からんけど分かったクマ!クマ、ユキチャンを信じる!」

雪子「ありがと、クマさん…!」

雪子「…それじゃ行くよ、せーのっ…!」



雪子「…アギダイン!」ボッ!



クマ「ほいっ、今だ走るクマー!」

雪子「うん、急いで!」



184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/19(金) 21:40:10.08 ID:/+12Potc0


マガツシャドーモセス 地下倉庫

??『……倒れたか。まあ所詮は生身の人間、一発でも被弾すればダメージは相当なものだろうからな』

完二「ぐ…っ…」

??『そのまま地面を這っていろ…すぐに楽にしてやる』

??『お前の亡骸は鴉達によって食され、より高尚な存在へと昇華されるだろう。光栄に思うがいい』





完二「……クソが……誰がカラスのエサなんかになるかよ……!!」





??『…まだ喋る余裕があるのか。苦しかろう、今楽にしてやる…』

完二「俺は……最初に言ったよな……?舐めんじゃねえってよ……」

??『自分の状況を顧みてから言うんだな』

完二「へッ、悪ぃな……どう考えても……ぐっ……俺が勝ちそうな状況にしか見えねぇよ……!!」

??『哀しいものだな…それがお前の最期の言葉か』

完二「……タケミカヅチ……まだ動けんだろ、俺のペルソナなら……こんな所で沈むんじゃねえぞ……!!」

??『…何?あのモンスターがまた動きだしただと…!?』

完二「ヘヘ、上出来だ……さあ、そのデカブツを……捕まえろっ!!」


ガッ!


??『ぐっ、油断したか…!』

完二「漢・巽完二……たかが銃弾の一発や二発でくたばりゃしねえんだよ、覚えとけ!!」

??『…バカな…!』





完二「行くぜ、俺の一撃必殺……『漢の花道・友情編』!!食らいやがれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/19(金) 22:56:45.59 ID:/+12Potc0


マガツシャドーモセス 所長室

??『…さあ、私には手も足も出ないことがいい加減理解できただろう。諦めはついたか?』





千枝「はぁ、はぁ…なんで…どうして…全然攻撃が当たんないじゃんよ…!」

りせ「千枝先輩…」

千枝「もう体力がキツい…りせちゃんの癒しの波動も回復量には限度があるし…」

りせ「ごめん、千枝先輩…役に立てなくて…」

千枝「りせちゃんのせいじゃないよ…」



??『もう動く気力も無いか…ならばこの念力で浮かせた机をお前達の脳天に叩き落とし、幕引きとしよう』



千枝「うわ、机が…!」

りせ「千枝先輩、動ける!?掴まって!」

千枝「うん、ありがと…」



??『逃げられんぞ?』



りせ「机がこっちに飛んでくる…!」

千枝「……あはは……もう、ダメかもね……」





バァン!!





??「…やれやれ。まさかこんな奴まで出てくるとはな…どこまで馬鹿げた世界なんだ、ここは」

りせ「……これ、ショットガン……!?机が一瞬で粉々に……!」

千枝「それに、この声……」

??『お前は……!!』





スネーク「待たせたな。そして……久しぶりだな、マンティス」



191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 00:34:54.28 ID:+h11tGIU0


??『ソリッド・スネーク……!!』

スネーク「こんないたいけな女子高生にあの手段をを使うとは…情けないと思わんのか」

??『何のことだ?』

スネーク「何のことか、こうすれば分かるだろう。……ふっ!」


ドゴッ


??『ぐあっ!?』

千枝「えっ…スネーク君のパンチが当たった…!?」

りせ「千枝先輩の攻撃は全部避けられてたのに、どうしてあんな簡単に…」

スネーク「マンティス、お前に攻撃を当てるための方法はもう何年も前からタネは割れているんだ」

??『ば、バカな…なぜ…!?』

スネーク「お前は恐らくこの理解不能な世界が生み出した幻…幻が真実を知らないのも無理はない」





スネーク「俺の心が読めない理由。なんのことはない、今の俺が2コン操作だからだ」





千枝「え?」

りせ「にこん…そうさ…?」

スネーク「…ぼさっとしてないで、二人も早く立つんだ。二人の分も俺がコントローラーを差し変えておいた」

千枝「さっきからスネーク君、何言ってるかよく分からないんだけど…」

スネーク「分からなくていい。…君達の世界にこういう要素は無いからな、知るとちょっとまずい」

りせ「こういう要素って?」

スネーク「…あまり詮索しないでほしいんだが…とにかく、もう一回君達のペルソナとやらを出してみろ」

りせ「そのペルソナが使いものにならなくなっちゃって困ってたんだけど……あっ!」

千枝「りせちゃん?」

りせ「……見える、あいつのステータスが見えるようになってる!」

千枝「ホントに!?」

りせ「うん、何でかよく分からないけど……とにかくあいつ、さっきのパンチで弱ってるみたいだから決めるなら今だよ!」

千枝「やった、それならいけるね!」

スネーク「…さあ、これで形勢逆転だ。里中も攻撃は通じるようになっている、一緒にとどめを刺すぞ!」

千枝「私もか…よーし、それじゃいっちょやりますかぁ!スネーク君、一緒に回し蹴り決めようよ!」

スネーク「いいだろう、きついのを二発お見舞いしてやろうじゃないか」





スネーク「行くぞ…………ふんっ!!」

千枝「準備よーし…………どーん!!」



195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 11:05:57.19 ID:+h11tGIU0


マガツシャドーモセス 雪原

??『くっ、こざかしい真似を…!』





雪子「だいぶ近づいてきたみたい、声が近い…!」

クマ「もう少しクマ…!」

??『……舐めるなよ、たかが爆炎ごときでいつまでも私の照準をごまかせると思うな!』


バン!


雪子「う…っ!!」

クマ「ユキチャン!?」

雪子「…足に…弾が…」

クマ「大丈夫クマか…!?」





雪子「許さない……!!あの野郎、八つ裂きにしてやるわよっ!!」

クマ「…ユキチャンが激昂状態に突入しちゃったクマ…」

雪子「狙撃がなんぼのもんよ!!考えてみたら、この辺り一帯を焼き尽くせば探す必要も無いでしょ!!」

クマ「え…」

雪子「クマさん、先に謝っておくけど巻き添えにしちゃったらごめんね」





雪子「食らいなさい……!!」

雪子「アギ!マハラギ!アギラオ!マハラギオン!アギダイン!マハラギダイン!」

雪子「最後のとどめよっ!!私の一撃必殺……『華焔』!!」





??『バカな、炎が辺り一面に……きゃあああああああああああああああっ!!』

クマ「ギャ――――――――――――――ス!!」



197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) 2012/10/21(日) 11:40:22.54 ID:kRQhg3rAo

クマwwwwww



198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) 2012/10/21(日) 12:08:30.41 ID:CbqThPHHo

クマアァアアアアァァァァア



199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 12:08:40.94 ID:+h11tGIU0


マガツシャドーモセス 拷問部屋

直斗「……よし、これで全弾撃ち切ったはずだ!」

陽介「おっしゃ、突っ込むか!」

直斗「ええ!」





??『さあ、リロードタイムといこう…俺のリロードはレボリューションだ!』

陽介「何抜かしてやがんだ?戦況はこっち有利だぜ、オッサン!」

直斗「舐められているようですね…ならばそれに応えてあげましょう、デスバウンド!」

陽介「おうよ!ガルダイン!」

??『…甘い!』

陽介「…くっ、避けられたか…!」

直斗「リロードしながらあの動きができるなんて…!」

??『俺のリロード速度を見くびってもらっては困る、お前達に反撃の機会などくれてやるはずが無かろう。…では、第二幕と行こうじゃないか』

陽介「おいおい、これじゃまた振り出しじゃねえか…!」

直斗「くそっ…どうすれば…!」





シュパッ





??『何……ぐああああああああああああああああっ!!』

直斗「えっ…」

陽介「な…何が…?」

??『くそっ、腕が…!』

陽介「…あいつの右腕、切り落とされてる…!」

直斗「いつの間に…!」





??「……間に合ったみたいだな。陽介、直斗」

陽介「…お前…どうしてここに…!」

直斗「しかも、その変な刀は…?」





鳴上「スネークから渡された、高周波ブレードとかいう刀だ。道中のシャドウもこいつにかかれば単なる雑兵だったよ」



203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 14:08:33.90 ID:+h11tGIU0


陽介「スネークって…お前、スネークに会えたのか!?」

鳴上「ああ。その後で、はぐれたみんなを探すために一旦二手に分かれたんだ」

直斗「でも、生身の人間がこの世界を一人でうろついたら…!」

鳴上「それについては大丈夫だ。拳銃一丁で並み居るシャドウを蹴散らしてたから、少なくともすぐ殺されるような一般人って訳じゃないらしい」

陽介「でもよ…!」

鳴上「…とにかく、今はそこの奴をどうにかするのが先決じゃないのか。話はその後だ」





??『…ぐっ…』

??『……邪魔が入ったようだな……仕方ない』

??『……また会おう!』





陽介「あれ?あいつ逃げちまったぞ…」

直斗「助かった…のかな」

鳴上「銃を持っていた方の腕を落としたからな、利き腕が無くなれば戦いも続行できないということか…」

陽介「…まぁ、とりあえずよしとするか」

直斗「あいつがもっていた銃…一応もらっておこうかな」

陽介「げっ、そんな切り落とされた腕が握ってるような銃なんか拾わなくても…」

直斗「そうは言っても、やはり武器は必要ですから」

陽介「マジかよ…俺だったら気味悪くて使えねえぜ、度胸あんなぁ」

鳴上「…とにかく、次はみんなを探さないとな」

直斗「そうですね。まだこの先に何が待ち構えているか分かりません、慎重に進まなければ…」



208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 23:19:37.32 ID:+h11tGIU0


マガツシャドーモセス 地下倉庫

完二「っつ……へへ、俺の勝ちだ!」

??『…………』


シュウウウウウウウ…


完二「なんだ…?あいつが消えていく…」

完二「…人間臭え喋りと見た目でも、やっぱ正体はシャドウだったって訳か」

完二「とにかく倒したんだ、先に進まねえとな」

完二「…強がってみても、やっぱ撃たれた辺りがズキズキしやがる…」

完二「どうにかみんなと合流するまで耐えなきゃならねえか…」



209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/21(日) 23:55:51.32 ID:+h11tGIU0


マガツシャドーモセス 雪原

雪子「はぁ…はぁ…これでもう隠れる場所も無いでしょ!!出てらっしゃい!!」

??『…………』


シュウウウウウウウ…


雪子「えっ…消えた…?」

雪子「……とりあえず、勝ったってことなのかな……ねえ、クマさん?」



クマ「」チーン



雪子「ああ、そういえば巻き添えにしちゃったんだっけ」

雪子「まあいいや、サマリカーム……ほら起きてクマさん」

クマ「…ここは…あの世クマか…」

雪子「違うよ、私がちゃんと復活させたから生きてるの」

クマ「…そうだクマ!クマはユキチャンのブチギレ火炎スキルのとばっちりを食らって…!」

雪子「うん…ちょっとやり過ぎてクマさんも巻き込んじゃった、ごめんね」

クマ「もうこれっきりにしてほしいクマよ…それよりユキチャン、足の撃たれたところは?」

雪子「あ、そうだった…怒りで痛みが無くなってたから忘れちゃった」

雪子「足の撃たれた部分を…ディア!」

雪子「よし、治療オッケー。先に進もう、クマさん」

クマ「ほい、了解クマー。……それにしてもユキチャン、ちょっとやり過ぎクマ……雪原が焼け野原になってるなんて……」



210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/22(月) 00:30:05.67 ID:Qj7luU1v0


マガツシャドーモセス 所長室

スネーク「……決まったな」

千枝「うんうん、二人合わせて二倍分の回し蹴り!こりゃ利いたでしょ!」

??『…………』


シュウウウウウウウ…


りせ「あれ…消えちゃった…?」

スネーク「どういうことだ…?」

千枝「やっぱ、こいつもシャドウだったってことじゃない?」

りせ「…そうかもね…」

スネーク「…まあ、それならいいんだが。倒したのなら先へ進むとしよう」

千枝「そうだね、みんなと早く合流しないと」

りせ「それじゃ、私がみんなの現在位置を調べるから……ちょっと待っててね」



211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/22(月) 00:39:28.05 ID:Qj7luU1v0


マガツシャドーモセス 地下基地指令室

影スネーク『ほう…奴ら、俺が配置したフォックスハウンド部隊のシャドウを全員倒したようだな』

影スネーク『まあ、そうでなくてはこちらとしても面白くない。ここまでは所詮予定通りだ』

影スネーク『…早く来い、もう一人の俺よ…』



213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/22(月) 23:44:27.68 ID:Qj7luU1v0


マガツシャドーモセス 某所

完二「さーて、通路を抜けたらどっちへ進むかな」

完二「…ん?なんだありゃ」

完二「雑誌か?こんなところになんでまた…」

完二「…ちょっと拾ってみるか」





完二「…………」

完二「こ、こいつは…」

完二「……エロ本……!!」

完二「な…ななななななんでこここここんな所に」


ブホッ


完二「…うっ、クソ!なんで鼻血なんか出やがる…!」

完二「俺ァもう女なんか怖くねえんだっつーの!こんな本でいちいち興奮なんかしねーぞゴラァ!」

完二「…あ、いやでもそういう意味じゃねーぞ!女じゃ興奮しないとかそういう意味じゃねーかんなマジで!」

完二「……ってか、何で俺はこんなでけぇ声で独り言喋ってんだよ……アホ丸出しじゃねえか……」

完二「まあいいや…先進むか」


ガラガラガラガラ!!


完二「ん?何の音だ…?」





                [!]
              [ALERT 99:99]





完二「うおっ、この音は…!」

完二「さっきシャドウに見つかった時の…!っつーことは…!」

完二「でもなんで…」

完二「……ああっ!あのエロ本に……ヒモみてーなのがくっついてやがる!」

完二「鳴子っつったっけか、ヒモのついたブツを動かすとでけえ音が鳴る仕組みの…」

完二「…クソッタレ、なんでこんなトラップが仕掛けられてやがんだよ!?」

完二「……シャドウも向こうから軍団で来やがった……武器も無えし……」

完二「…また逃げるしかねえのかよ、クソがぁぁぁ!」



214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 00:15:15.02 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

りせ「……うーん、みんな居場所がバラバラで上手く位置が特定できないな……」

スネーク「元より楽して進むつもりはない。みんなに会うためにも、今はとにかく先へ進もうじゃないか」

千枝「そうだね…」

スネーク「…それで、進行に際してなんだがな。二人にはこれを渡しておこう」

りせ「…何これ、ダンボール?」

千枝「こんなもの渡されても…」

スネーク「ダンボールを甘く見るなよ?こいつを被れば、屋内で敵の目を欺くのに最高の道具となる」

千枝「相手がシャドウじゃ意味無くないかな…」

スネーク「そんなことはない。とにかく被ってみてくれ、そうすればダンボールの頼もしさが実感できるだろう」





千枝「スネーク君の言う通り、ダンボール被って歩いてる訳だけど…なーんか変な感じ」

りせ「これ、外から見たらどう考えても不自然でしょ…ダンボールが三個並んで動いてるなんて」

スネーク「まだ疑っているのか。安心しろ、今の俺達は完全に背景と同化しているから問題ない」

千枝「どう考えてもおかしいって、この状況…」

りせ「……あっ、向こうからシャドウが近づいてくる……!」

スネーク「…これは都合がいい。さっそくダンボールの力を証明できるチャンスだな」

スネーク「二人とも、一度通路の隅で動きを止めるんだ。そうすれば間違いなくやり過ごせるだろう」

千枝「大丈夫かなぁ…」





シャドウ「…………」





千枝(かなり慎重に探し回ってんね、あのシャドウ…)

りせ(…あっ、こっち来た!)

スネーク(うろたえるな。自分は完全にダンボールなんだと信じ込み、息を殺すんだ)

千枝(でも…!)

りせ(……っ……嫌……覗かないで……!)

千枝(……もうダメ……!)





シャドウ「…………」クルリ





千枝(…あれ?シャドウが…引き返してく…)

りせ(…やり過ごせたってこと…?)

スネーク(…どうだ、二人とも。これでダンボールの有用さが分かっただろう)



215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 00:42:01.70 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

雪子「さっきからずっと歩いてるけど、なんだか一向にみんなと会えそうな気配が無いね…」

クマ「うむむ…足も疲れてきたクマ…」

雪子「もうちょっと進んだら休もっか」

クマ「うん、どっかで休憩したいクマ」





雪子「…あれ、なんだろここ」

クマ「床が…変な感じになってるクマね」

雪子「床?」

クマ「ほら、そこの通路が…」

雪子「…別に変だとは思わないけど」

クマ「なんちゅーか、変な気配がするみたいな…?」

雪子「…全然分かんない。クマさん、こっちの世界の生き物だからね…私には分からない何かが感じ取れるのかな」

クマ「クマの思い過ごしかね?それならいいんだけどクマ…」

雪子「大丈夫でしょ?とりあえず進もうよ」





バチバチバチバチバチ!!





雪子「きゃあああああああああああああああっ!!」

クマ「ユキチャン!?」

雪子「肩こりがあああああああああああああっ!!」

クマ「カタコリ…?」


プスプスプス…


雪子「…………」

クマ「な、なんぞこれ…ユキチャンが歩き出したら…」

雪子「……ふざけんじゃないわよおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

クマ「…まーたユキチャンが激昂状態に…」

雪子「なんで床に電流が流れてんのよ!!」

クマ「クマ、一応進む前に言ったから攻めないでね…」

雪子「まったくもう…!!」

クマ「い、一応ディアラハンかけとくクマよ…」



216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 01:26:15.07 ID:foysUneJ0


陽介「…なんだか、さっきみんなで大慌てして逃げ出したのがアホらしく思えてきたな」

直斗「僕も正直、銃を拾った意味が無いというか…」





鳴上「ふっ!はっ!でやぁっ!」

シャドウ「グァァァァァァァァァァ…!」





陽介「…相棒の戦力が凄まじすぎて、もうシャドウに見つかっても大した問題はねえっつーか…」

直斗「鳴上先輩があんな武器を使ったら、文字通り鬼に金棒ですからね」

陽介「…ま、楽に進めるに越したことはねーんだけどさ」

直斗「そうですね…」





鳴上「……ふう。これで片付いたな」

陽介「相棒、お疲れさん」

直斗「お疲れ様です、先輩」

鳴上「ああ。…それにしてもすごいな、この刀…こう言うのもなんだが、だいだら.の武器じゃ出せないような威力を秘めてるみたいだ」

直斗「高周波ブレード…大したシロモノですね」

陽介「俺も武器があればなぁ…ああ、戦いてーぜ…」





カラン





陽介「ん?あれは…」

陽介「…おっ、クナイじゃねーか!へへ、ラッキー!」

鳴上「でも、戦力的には俺だけで行けるけどな」

陽介「うっ…それを言うなよ…」

鳴上「はは、ウソだって。援護頼むよ、陽介」

陽介「まぁ、お前とその刀ほどは活躍できねーかもしれねえけど…武器が手に入った以上が頑張らせてもらうぜ!」

直斗「…………」





直斗(二人は気付いてないみたいだけど…僕には確かに見えた)

直斗(素早くクナイを置いて死界に消えた人影…)

直斗(だが、誰なんだ…?まさか第三者…?)

直斗(…まあいいか。いざとなったらみんなで戦えば勝てるだろう…)



217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 01:49:27.51 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

完二「ちっくしょ、いつまで追いかけてきやがんだアイツら…!」





ガラッ





完二「…おっ、あそこに落ちてんのは…!」

完二「…うっしゃあ、パイプ椅子ゲット!なんだか知らねーがツイてるぜ!」

完二「さあて……武器が手に入った以上は、もう逃げる必要もねえよなぁ……!」





完二「行くぜ……!!覚悟しやがれ、ザコシャドウ共がぁぁぁぁぁぁぁ!!」



218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 02:25:38.10 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

クマ「この通路、どうしたもんクマかね…」

雪子「…引き返そっか?」

クマ「でも、ここくらいしか先に進めそうな道は無かったクマよ」

雪子「そっか…ううん、どうしようかな…」





ズドォォォォォォン!!





雪子「きゃっ!」

クマ「な、何の音クマか…!?」

雪子「……クマさん、あれ見て」

クマ「…?」

雪子「そこの透明なガラスの向こうにある配電盤みたいなのが壊れちゃってる…あれが爆発したのかも」

クマ「…でも、どうして爆発したクマ?」

雪子「それは分からないけど…」





カラン





クマ「…あっ!」

雪子「どうしたの?」

クマ「ほらあそこ、通路の先に…!」

雪子「通路の先…?あっ!」

クマ「クマの鉤爪とユキチャンの扇子が落ちてるクマ!」

雪子「ほんとだ!…あれ、でもさっきまであんなの無かったような…」

クマ「そんなのどうでもいいクマ!そこにある以上は先に拾ったもん勝ちクマよー!」ダッ

雪子「クマさん、そこ電流が!」

クマ「あ…」





クマ「…………」

雪子「…あれ?」

クマ「電流…流れてないクマね」

雪子「どうして…?」

クマ「…とにかく、電流が流れてないなら今のうちクマ!ユキチャンも早く向こうまで走り抜けるクマよ!」

雪子「う、うん、そうだね…!」



219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 02:51:00.09 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

千枝「…ふぅー、なんとかやり過ごせたね」

スネーク「どうだ、これでダンボールの実力が分かっただろう」

りせ「こんな古典的な手段でやり過ごせるなんてね…シャドウもバカっていうか何ていうか…」

スネーク「…それじゃ、このままダンボールに身を隠しながら進むぞ。俺についてこい」





カラン





スネーク「ん…?」

千枝「…あっ!あそこに落ちてるの、あたしの戦闘用の靴じゃん!」

りせ「どうしてこんな場所に…?」

千枝「良かったー、代わりに学校のローファー履いてたけどやっぱ心許なかったんだよね…これで攻撃力も元通り!」

りせ「…とりあえず、千枝先輩の蹴りは戦力の要だし結果オーライってことでいいかな…」





スネーク(…今、里中の靴を置いて逃げて行った人影は…)

スネーク(…まさかな…)



227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 22:44:10.68 ID:foysUneJ0


マガツシャドーモセス 某所

完二「へっ、ようやくザコ共が片付いたな」

完二「さて…進むとするか」





マガツシャドーモセス 地下基地

完二「おお、なんか広い場所に出たな…」

完二「……なんだありゃ!?えらくデカいロボットみてえなのが…!」





陽介「完二!?」

完二「この声は…花村先輩!?」

直斗「巽君!」

鳴上「完二!無事か!」

完二「直斗に鳴上先輩まで…!」

陽介「完二お前、その腹の傷は…?」

完二「…ああ、これっスか。ちっとシャドウに遅れをとっちまったもんで」

直斗「…まずいですね、今ここに回復スキルが使える人は…」





雪子「…あっ、みんないた!」

クマ「ほんとクマ!?」

雪子「うん、ほらあそこ!」

クマ「あれは…ヨースケにセンセイ!ナオチャンとカンジも!」





陽介「天城!クマ!」

クマ「やっとみんなに会えたクマ…感動でむせび泣きそう…!」

陽介「うわ、抱きつくなっての!」

雪子「良かった…クマさんと二人だと戦闘向きの人がいないから大変だったよ」

完二「ちょうどよかったっス、天城先輩!すんませんけど俺の傷治してもらえませんかね…痛っつ」

雪子「うわ、痛そう…治してあげるね、メディア!」

完二「……うっス、これで元に戻ったっスね!サンキューっス!」



228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 23:09:49.88 ID:foysUneJ0






千枝「あーっ!みんないたー!」

りせ「やっと会えた…せんぱーいっ!」





鳴上「里中!りせ!」

雪子「千枝、無事だった!?」

千枝「うん、どうにかこうにか…」

直斗「久慈川さんも大丈夫ですか?」

りせ「大丈夫。…でも、あんまり千枝先輩の役には立てなかったけど…」

陽介「…てか、なんでお前らそんなダンボールなんか持ってんだ?」





スネーク「俺が勧めたからだよ」





直斗「スネークさん…!」

スネーク「潜入任務に必須の道具として、俺がダンボールに身を隠す方法を進めたんだ」

陽介「ダンボールに隠れる…?」

千枝「そうそう、スネーク君たらダンボールのことになるとシャドウそっちのけで熱弁振うからさぁ…もうコリゴリだよあたし」

りせ「でも…そのダンボールが意外と敵の目をやり過ごせるのがまた、何とも言えないんだよね」

スネーク「久慈川はよく分かっているな。里中は…あれだけダンボールに助けられておいてまだ文句があるのか?」

千枝「いや、文句って訳じゃないけど…もっと他にマシな隠れ方があったんじゃないかなー的な…」

鳴上「…まあ、雑談はその辺にしよう。とにかくこれで全員集まったみたいだな」

完二「そうっスね」

鳴上「それで、みんなも分かってはいると思うけど…」





鳴上「……そこに、そびえ立つように存在している大型ロボットについてだが」

スネーク「やはり…か」

鳴上「え?」

スネーク「もう一人の俺とやら…まさかこんな厄介な代物の幻まで生み出すとはな」

千枝「スネーク君、この変なロボット知ってるの?」

スネーク「知ってるなんてもんじゃない。こいつは、俺の因縁の……」






影スネーク『……因縁の、核搭載型二足歩行兵器「メタルギアREX」……』



229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/23(火) 23:47:33.78 ID:foysUneJ0


雪子「この声…!」

直斗「…スネークさんのシャドウ!」

スネーク「…………」





影スネーク『よくぞここまで辿り着いた…と言いたいところだが、まずお前達に聞きたいことがある』

鳴上「聞きたいことだと?」

影スネーク『お前達の武器は俺がすべて没収したはずだが…どこでそんな武器を手に入れた?』

陽介「武器…って、なんつーか…拾ったんだよな」

完二「花村先輩もっスか?俺も道すがらで拾ったんスよね」

雪子「私も、通路を進んでたら扇子が落ちてて…」

千枝「あたしもなんか途中で拾ったんだよね…」

クマ「クマもユキチャンと一緒に拾ったクマよ~」

影スネーク『……バカな。俺がシャドウ共に持たせたのは「MGS」に出てくる重火器だけだったはずだ』

クマ「持ってるもんはしょーがないでしょーが!プンスカ!」

影スネーク『…まあいい。元々お前らに武器があろうがなかろうが、俺の勝ちは揺るがんからな』





影スネーク『では、機動するとしようか…』

影スネーク『…REX!』





ギィィィィィィィィィィ…!!





陽介「クソ、あのロボットが動き出した…!」

りせ「こっち向いた…!来るよ、構えて!」

鳴上「みんな……やるぞ!!」



231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 00:11:05.48 ID:K2xuvcNq0


直斗「来い、スクナヒコナ!」カッ


クマ「ゴー!キントキドウジ!」カッ


りせ「ヒミコ!」カッ


完二「来い、タケミカヅチ!」カッ


雪子「おいで、コノハナサクヤ!」カッ


千枝「守って…トモエ!」カッ


陽介「行け、ジライヤ!」カッ


鳴上「イザナギ!」カッ





スネーク「これがみんなのペルソナか…壮観だな」

影スネーク『ぼさっとしている暇は無いぞ?連中はREXに気をとられている、これで俺達は一対一だ』


ガッ


スネーク「…なるほど、さすがに俺を名乗るだけのことはあるな。いいCQCだ」

影スネーク『同じ能力の者同士…ならば勝敗の分かれ目がどこにあるか、お前は知っているか?』

スネーク「何だと?」

影スネーク『俺とお前で決定的に違うもの…それは、「諦め」だ』

スネーク「諦め…?」

影スネーク『そうだ。お前は諦めきれていない…生きることへの渇望をな』

スネーク「…そんなものを持った覚えはない」

影スネーク『誤魔化すな。お前は心の底で臨んでいるんだ、本当ならまっとうな人間と同じような人生を歩みたかったと』

スネーク「…くどい!」

影スネーク『…どうした、語気を荒くなっているぞ?お前らしくもない』

スネーク「……」



235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 01:31:53.59 ID:K2xuvcNq0


影スネーク『恐るべき子供達…伝説の英雄…』

影スネーク『お前を知る者は皆、お前のことをこう思っている。「物事に動じず、どんな状況でも頼れる男」と』

影スネーク『そんな周りからの期待に、お前は辟易しているんだ』

影スネーク『モセスでは年端もいかない小娘に振り回され…ビッグシェルでは半人前のエージェントをサポートし…』

影スネーク『…そんな行動を繰り返すうち、お前は戦士として過大に頼られるようになっていった』

影スネーク『本当はまともな人生を送りたい…だが、自分のDNAに刻まれた宿命がそれを許さない…』

影スネーク『恐るべき子供達として生まれ、伝説の英雄として祀り上げられたお前は…もう戦う以外の生き方を選べない』

影スネーク『銃弾の雨あられが降り注ぐ戦場より、ごく普通の一般人として生きていきたい…』

影スネーク『兵士である自分と、一人の人間である自分。その板挟みに苦しみ続けてきた…それがお前の真実だ』





スネーク「……」

影スネーク『「勝手なことをぬかすな」……そう言いたそうな目だな』

影スネーク『だが、これがお前の本心だ』

影スネーク『俺は…「まともに生きることを諦めたお前」だ。未だにまともであることに執着しているお前程度では…』


ガッ!


スネーク「…ぐっ!」

影スネーク『…俺に勝つことはできん!』



239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 06:47:04.21 ID:o0fo8HdDO

今更なんだけど、このスネークって時間は何時頃?皆がスネークの素顔をオッサン呼ばわりするってことは少なくとも4以降ではないよな?あの頃はもうオッサン通り越して爺さんだし



242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 09:01:09.44 ID:L4NkgBJDO

P4の事件が2011年なので、ビッグシェル事件から二年後になる
MGS4は2014年だからまたオールドではない

顔は…2の蛇がちょっと老けたくらい
スマブラのスネークくらいの顔を想像してもらえればいいかも



243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 11:46:08.82 ID:v5z0o+tIO

急激な老化を起こす前ぐらいか
何気にギリギリな状況で立ち回ってるんだな



244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 19:31:35.67 ID:K2xuvcNq0


影スネーク『俺は、お前。お前が押し殺している本心のお前だ』

スネーク「……っ」

影スネーク『認めたくないだろう?冷静を装うことで、本心と向き合うことから逃げ続けてきたお前には……』

影スネーク『……俺という存在を、許す訳にはいかないだろうなぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

スネーク「……黙れ!!」

スネーク「……お前が……お前のような奴が……」





スネーク「……俺と同じ存在のはずがない!!」





影スネーク『ククク……ハッハッハッ……フッハハハハハハハハハ!!』

影スネーク『そうとも!!俺はお前とは違う……俺は、俺だ!!』





千枝「…ああっ!」

陽介「里中、どうした!?」

千枝「スネーク君のシャドウが…!」

直斗「まずい…僕達がこのロボットに気を取られてる間に…!」

鳴上「スネークのシャドウが…暴走を始めてしまったのか!」

完二「おいおい、しかもあの野郎…またとんでもねえロボットに姿を変えやがったぞ!」

りせ「今戦ってるロボットだって大変なのに…!」

クマ「こんなドデカいのが二体なんてずるいクマ!勝てっこないクマよ~!」

雪子「どうすればいいの…!」





影スネーク『我は影…真なる我…』





影スネーク『REXはそこのシャドウで事足りる。ならば俺は…RAYだ!』

影スネーク『さあ、来るがいい!すぐにでも殺して楽にしてやるぞ…!』





完二「クソったれ、こんなデケェのが二体かよ…!」

千枝「ヤバいかもね…」

直斗「…とにかく、今はスネークさんを!」

雪子「スネーク君、大丈夫!?」

スネーク「…ああ、多少面食らったが…」

鳴上「ゆっくりしてる暇はない、スネークは下がっててくれ!俺達で必ず倒してみせる!」



247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 21:19:51.39 ID:K2xuvcNq0


スネーク「待て、鳴上」

鳴上「なんだ?」

スネーク「…俺を戦えないと決めつけるな。道中で手に入れた重火器がある、戦力に加えてくれ」

千枝「でも、スネーク君まだペルソナも無いのに…!」

スネーク「ペルソナは無いかもしれんが、俺はあのロボット共の倒し方を知っている。戦力になれるはずだ」

陽介「倒し方って…あいつ、ただ単に攻撃してるだけじゃ倒せねえのか?」

スネーク「この世界の仕組みはよく分からんが…あの姿をしている以上はな」

りせ「スネーク先輩の言う通り、あのロボットには物理無効がついてるみたい。他の属性もほとんど耐性がついてるし…」

鳴上「…事情は分かった。スネークにも手伝ってもらおう」

完二「本気っスか、先輩…!?」

スネーク「ありがとう、鳴上。それじゃさっそく…」





影スネーク『何をゴチャゴチャ喋っている!?虫ケラ共が作戦会議をしようと無駄なことだ、諦めてくたばるがいい!』





陽介「うわ、なんだありゃ!?」

雪子「背中の部分からミサイルがたくさん…!」

スネーク「まずい…みんな遮蔽物に隠れるんだ!」

鳴上「…いや、その必要は無い」

スネーク「何を言っている、鳴上!お前も急いで隠れないと…!」





鳴上「…ヨシツネ!」カッ





鳴上「ミサイルの多さに動じることはない…すべて叩き落とせばいいだけだ!」

鳴上「……八艘跳び!!」


シュッ スパパパパパパパパ


完二「す、すげえ…!」

直斗「あれだけの数のミサイルが…全部真っ二つに…!」



248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 22:53:06.79 ID:K2xuvcNq0


スネーク「おお…」

鳴上「スネーク、あのロボット二体を分担して倒そう。一度に相手にしていたら効率が悪い」

スネーク「分かった。それじゃ、あの丸い円盤が左肩についてる方のロボットは俺が倒す。お前らは俺のシャドウを倒してくれ」

陽介「おい、それって…スネーク一人で戦うってことかよ!?」

スネーク「そうなるな。…安心しろ、俺は過去にこういった手合いのロボットを幾度となく破壊してきた。世界は変われどREXはREXだ、必ず破壊して見せる」

千枝「だからそれが無茶だって…!」

鳴上「…頼むぞ、スネーク」

スネーク「了解だ」

千枝「鳴上君!なんでキミはさっきからそんなスネーク君を…」

鳴上「途中まで一緒に進んでたからな、スネークの戦闘能力が折り紙つきなのはよく知ってるんだ」

雪子「でも…」

スネーク「心配はいらない。…みんな、俺のシャドウをしっかり躾けてやってくれよ」

鳴上「ああ。……それじゃ、行くぞ!」



253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 23:35:23.24 ID:K2xuvcNq0


スネーク「さあ、こいつと戦うのも何年振りだろうな…」

REX『ほう、俺の相手はお前か!兄弟!』

スネーク「この声は…リキッド!?」

REX『いや、俺はただのシャドウさ。お前の記憶から生まれたシャドウに過ぎない…だが!』

REX『俺の素性などどうでもいい!目的は一つ…六年前の雪辱を晴らすこと!それだけだ!』

スネーク「…やれやれ、俺もはた迷惑な記憶が残っていたものだ…」

REX『行くぞ!モセスの瓦礫となれ、スネェェェェェェェェェク!』




スネーク「まずは…スティンガーでレドームを破壊だったな」

REX『何をぼさっとしている!?踏み潰されたいか!』

スネーク「まずは、踏みつけを避けて…」


ドシン!


REX『チィ、避けられたか…!』

スネーク「…すかさずスティンガーを叩き込む!」


ズドン!


REX『ぐおっ!』

スネーク「…フッ、まさにシャドーモセスの再現だな」



254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/24(水) 23:49:08.84 ID:K2xuvcNq0


REX『おのれ…!』

スネーク「まだまだ終わらんぞ、追加でさらに連射だ!」


ズドドドドドドドドドドドドドド!!


REX『ぐあああああっ!』

スネーク「…おかしい、本来のREXに比べてあまりに弱すぎる」

スネーク「俺が慣れたからか…?いずれにしろ、勝てるならそれでいいんだが…」





REX『ぐっ…』

スネーク「チェックメイトだ、諦めろ。紛い物のREXで勝てるほど俺は甘くないぞ」

REX『……スネェェェェェェェェク!まだだ!まだ終わってない!』

スネーク「…まだやるつもりか?」

REX『この機体がただのREXだと思うなよ、スネーク!』

スネーク「なら、どういう機体だというんだ?」

REX『俺はシャドウ…使える攻撃手段はREXのものだけではない!』





REX『くたばるがいい……』

REX『……メギドラオン!!』



255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 00:08:43.08 ID:QmX50ewu0


スネーク「…っ!なんだあれは…!」

スネーク「……まずい、避けるしかない!」


ズドォォォォォォォォォォォン!!


REX『どうだ!?REX本来の重装甲に加えてスキルをも使いこなす!これぞまさに、REXを超えるREX!』

スネーク「…何なんだ、あの爆発した紫の光は…!?」

REX『メギドラオンでございます!』

スネーク「…は?」

REX『だから、メギドラオンだと言っている!知らんのか!』

スネーク「…すまんが聞いたことは無い」

REX『無知は罪だな、スネーク!では…もう一発いってみるとしようか!』





スネーク「くっ…あの爆発する光をどうにか避けながらダメージを与えなければ」

スネーク「レドームはもう壊れかけだ、そろそろコックピットが開くだろう…」





REX『次は単発ではないぞ!機銃掃射とメギドラオン…避けられるか、スネーク!?』

スネーク「…避けなければ死ぬだろうな」

REX『フン、その余裕もいつまでもつか…食らえぇぇぇぇぇぇぇい!!』



261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 19:52:38.06 ID:QmX50ewu0


スネーク「あのメギドラオンとやら、地面で爆発する前にRPG7で相殺できそうだな…やってみるか」





REX『メギドラオン!』

スネーク「来たな…!」

スネーク「構えて……照準よし、ファイヤー!」


ボッ!


スネーク「いけるか…!?」


ズドォォォォォン!!


REX『どうだ!今度こそメギドラオンの爆風に巻き込まれて……』

スネーク「……巻き込まれてはいないぞ。悪いが着弾する前にロケットランチャーで撃墜させてもらった」

REX『なんだと!?おのれぇぇぇ…!ならば機銃掃射だ!』

スネーク「レドームはもう壊れているだろう、レーダー無しで俺が見えるのか?」

REX『…チッ、やはり気づいていたか』

スネーク「メギドラオンは加害範囲の広さでどうにかなっただろうが、機銃ならコックピットを開かなければ狙えないはずだ」

REX『…貴様の挑発に乗る形になるのは気に食わんが、よかろう!受けて立つ!』

スネーク(…しめた)



262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 20:23:50.94 ID:QmX50ewu0


ガチャッ

影リキッド『スネェェェェェェェェェェク!!』





スネーク「…ありがたい、これで狙い撃ちだ」

影リキッド『舐めるな!火力ではこちらが上だ!』

スネーク「火力が上か。それでもあの時、お前は俺に勝てなかった訳だが」

影リキッド『揚げ足取りは俺を倒してからにするんだな!』

スネーク「倒せる確信があるから言ってるのが分からんか?」

影リキッド『…チッ、減らず口も達者になったな…!御託はもういい、機銃の雨を浴びるがいい!』


バババババババババババババババババババ


スネーク「六年前と何ら変わらない…対応を変える必要もない、一気に決着をつけてやる!」

スネーク「機銃の掃射方向は一直線、横っ飛びに避ければなんのことはない…」

スネーク「…終わりだ!スティンガーの雨を浴びろ、リキッドォォォォォォォォ!」





影リキッド『くっ…またしても…!』

影リキッド『……ぐおおおおおおおああああああああああああああっ!!』



264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 21:00:42.98 ID:QmX50ewu0


鳴上「みんな気をつけろ!あのスネークのシャドウなんだ、一筋縄じゃいかない!」

完二「トビウオみてえなカッコしやがって…実力はどんなもんか、試させてもらおうじゃねえか!」





影スネーク『行くぞ、小僧共!』

雪子「上等よ、かかってきなさい!」

影スネーク『まずはミサイルでも発射しておこうか…そして、マハラギダイン!』

陽介「うおっ!二連発はズルいだろ!」

鳴上「…ミサイルはもう利かないのが分からないか?八艘跳び!」


スパパパパパパパパパパパ


直斗「…まだマハラギダインが来ますよ!」

鳴上「分かってる!みんなガードだ!」


ボッ!!


千枝「…っつ、まあ痛くはない方だね。それじゃ反撃だよ!」

りせ「待って!あいつ、物理無効がついてる!」

千枝「えっ、マジで…!?あたしの出番無い系!?」

りせ「それだけじゃない、四属性もすべて無効…光と闇まで耐性が…」

完二「おいおい、とんでもねーな…」

陽介「そんなんじゃ倒せねーじゃねえかよ!」

鳴上「…仕方ない、各種ガードキルで対抗しよう。持ってるメンバー、頼めるか?」

雪子「分かった。私の火炎ガードキルで…!」

完二「俺も電撃ガードキルでぶっ潰してやるっスよ!」

クマ「クマも氷結ガードキル持ってるクマ!」

陽介「んじゃ、俺が疾風ガードキルだな!」

鳴上「ああ、四人とも頼む!」





雪子「火炎ガードキル!」

完二「電撃ガードキル!」

クマ「氷結ガードキル!」

陽介「疾風ガードキル!」





影スネーク『…フッ、無駄なことだ。このRAYの正当な弱点を知らんうちは勝ち目はない…!』



266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 21:56:32.79 ID:QmX50ewu0


鳴上「行くぞみんな!四属性で攻撃だ!」





クマ「チエチャン、一緒に氷結スキルでボッコボコにするクマよ~!」

千枝「おっけー!それじゃ、せーのっ……」

クマ&千枝「「ブフダイン!!」」


直斗「僕は元々無属性だ、重い一撃をお見舞いしてやる…!」

直斗「…メギドラオン!」


雪子「我は汝…はいっ!」

雪子「渦巻け、アギダイン!」


陽介「よっしゃあ、決めてやるぜ!」

陽介「食らえ、ガルダイン!」


鳴上「コウリュウ!」カッ

完二「先輩、一緒にどギツいのを一発ぶちかましてやりましょうや!」

鳴上「よし、やるか!行くぞ……」

完二&鳴上「「ジオダイン!!」」





陽介「どうだ!こんだけ食らって痛くねーとは言わせねえぞ!」

影スネーク『…ふん、少しはやるらしい…』

千枝「うわ、ピンピンしてる…あーもームカツく!」

りせ「嘘でしょ…これだけ食らわせても与えられるダメージがこの程度なの…!?」





影スネーク『お前達の攻撃は終わりか?ならば次はこちらの番だな』

影スネーク『真っ二つにしてやろう…!』





陽介「何だあれ…水しぶき?」

千枝「…いや、違うよ!あれは…!」

直斗「地割れ…!?」

鳴上「水しぶきがレーザーになって、地面を割きながら進んでいる…!」



267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 22:22:00.83 ID:QmX50ewu0


影スネーク『高水圧レーザー…生身の人間なら当たった瞬間に真っ二つだ。避けないと死ぬぞ?』





陽介「なんだよそれ…!」

鳴上「くっ…みんな避けるんだ!」


ビビビビビビビビビビビビビ


完二「うおわっ!あ…危ねぇ…!」

クマ「オヨヨ~…避けきれなかったクマの鉤爪が真っ二つにぃぃぃ…」

千枝「攻撃がいちいちヤバすぎでしょ…!」

影スネーク『お前達に勝ち目はない。諦めて死を受け入れろ!』

直斗「くそ!どうすれば…!」





スネーク「みんな、膝を攻撃するんだ!」





鳴上「…スネーク!?」

スネーク「待たせたな」

千枝「どうしてこっちに……うわっ、もうあのロボット倒しちゃったの!?」

スネーク「昔戦った時と同じ感覚で戦ったら、あまりにも呆気ないもんだったよ」

影スネーク『ほう、REXを倒したか…だが俺は甘くないぞ!』

スネーク「甘くないだと?それは今から俺達に弱点を突かれてから言うべきだな」

直斗「スネークさん、あいつの弱点を知ってるんですか…?」

スネーク「ああ。今も言ったが、まず膝を攻撃するんだ」

雪子「膝…?」

スネーク「膝を攻撃すると、コックピット部分の口が開く。そが弱点だから集中攻撃するんだ」

鳴上「そうだったのか…」



268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 22:58:19.54 ID:QmX50ewu0


完二「そうと分かりゃ、実践あるのみだ!」

スネーク「俺がスティンガーで奴の膝を攻撃する。みんなは奴が怯んだ隙にしこたま攻撃を食らわせてやれ!」

鳴上「分かった!」





影スネーク『チッ、知っている人間がでしゃばってきたか…!』

スネーク「逃がさんぞ!スティンガーの準備よし……発射!」


ボッ!


影スネーク『ぐおっ!』

クマ「お口が開いたクマ…!」

りせ「ほんとだ…口が開いたら全部の耐性が消えた…!」

スネーク「今だ、鳴上!」

鳴上「ああ!みんな、総攻撃チャンスだ!」





陽介「おらおらおらおらぁぁぁぁ!!」

千枝「観念しろぉ―――――――っ!!」

雪子「これでお終いよっ!!」

完二「まとめて全部ブッ飛ばしてやらぁ!!」

クマ「ボコボコにしたるクマ~!!」

直斗「終わりにしてやるっ!!」



269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 23:09:07.25 ID:QmX50ewu0


完二「ゼェ…ゼェ…どうだ!ちったぁ利いただろ!」

陽介「これならまだいけそうだな…相棒、とどめを頼むぜ!」

鳴上「任せろ!」





鳴上「ベルゼブブ!」カッ

鳴上「コンセントレイト…!」





完二「…おい待て、ベルゼブブでコンセントレイトっつーことは…」

千枝「まさか…メギドラオン!?」

クマ「あれ?クマ、な~んかこの展開にデジャヴーが…」

雪子「基地の中で…メギドラオン…」

りせ「それってまさか…!」

陽介「…やべえ!!みんな伏せろおおおおおおおおおおおおおっ!!」





鳴上「終わりだ……メギドラオンッ!!」


ズドォォォォォォォォォォォォォン!!


影スネーク『バ…カな…』

影スネーク『……ぐあああああああああああああああああああっ!!』



271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 23:40:01.89 ID:QmX50ewu0


ガラガラガラガラ…!!





陽介「…ったく、まーたダンジョンが崩壊しちまったか。相棒のやつ限度ってもんをだな…」

完二「ま、なんとかなったみてえだからいいじゃないスか。スネーク先輩、無事っスか?」

スネーク「ああ。しかしとんでもんない攻撃力だな、あのハエのような…」

千枝「とにかく、スネーク君のシャドウは倒したみたいだから結果オーライでいいんじゃん?」

りせ「そうだね…」

雪子「…あっ、スネーク君のシャドウが元の姿に…!」





影スネーク『…………』

スネーク「なんだ…?急におとなしくなったが…」

鳴上「…スネーク」

スネーク「どうした」

鳴上「そこのもう一人の自分に…なにか『自分が認めたくない』ようなことを言われなかったか?」

スネーク「どうしてそれを…」

陽介「…俺らも前にさ、こういう感じのが出てきたんだ」

スネーク「こういう感じの?」

千枝「そう。思わず目を逸らしたくなるような、とても直視できない自分の本当の姿…」

雪子「…でも、私達はみんなそういう自分と向き合ってきたの」

スネーク「…………」

完二「スネーク先輩…なんつーか、その…やっぱさ、嫌なことから逃げてばっかじゃどうしようもねえと思うんスよ」

りせ「目を逸らさないで…そこにいる自分を、受け入れて」

直斗「僕らとスネークさんでは人生経験に雲泥の差があるかもしれませんが…自分を認めることの意義については誰よりも深く理解しています。だから、認めてあげてください」





スネーク「…なるほどな」

影スネーク『…………』

スネーク「…お前の言い分、あながち間違いじゃないかもしれん」

スネーク「アラスカで隠遁生活を送っていた頃を、懐かしく思わないといえば嘘になる」

スネーク「戦場で命のやり取りをすることにも疲れてきた…正直に言えばそんな気持ちもあるさ」

スネーク「…だがな、だからといってそれを止めるわけにはいかないんだ」

スネーク「『俺達は政府や誰かの道具じゃない。戦うことでしか自分を表現できなかったが、いつも自分の意思で戦ってきた』…」

スネーク「…もう一人の俺なら知っているだろう?この言葉の主をな」

スネーク「つまりは、そういうことだ」

スネーク「平和に憧れていること、それは認める。そして…自分の意思で戦場いることも真実」

スネーク「お前の言い分は正しい。そして、俺の言い分も間違っていない」



272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/25(木) 23:56:39.72 ID:QmX50ewu0


スネーク「つまり…」

スネーク「…俺はお前で、お前は俺ということだ」

影スネーク『…………』コクン





自分自身と向き合える強い心が“力”へと変わる…

ソリッド・スネークは、もう一人の自分…
困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ“ヤマタノオロチ”を手に入れた!





スネーク「…これが、俺のペルソナか。蛇はどこまでいっても蛇…という訳か」

鳴上「よし。これでスネークも俺達と同じ、ペルソナ使いの仲間入りだ」

陽介「…ま、これでなんとか今回も任務完了ってことだな!」

りせ「だね、みんなお疲れ様!」

完二「ようやく終わったか…マジ、今までのダンジョンと違う内容だらけで疲れがハンパねーぜ」

千枝「だよねー、シャドウに見つかったらダメとか意味不明なルール設けられるし…」

クマ「それに武器まで取られちゃうなんて…もう一時はダメかと思ったクマよ」

雪子「…そういえば、みんな武器は拾ったんだよね?」

直斗「僕は途中で現れたシャドウのものを拝借したんですけどね…皆さんは拾ったようですが」

鳴上「…しかし、考えてみれば妙だ。スネークのシャドウは重火器しか用意していないと言っていたが…」

陽介「まぁまぁ、倒せたんだからいいじゃねーか!細かいこと気にしてたらキリねぇって!」

完二「そうっスよ!勝ちは勝ちっス、今日は戻って愛屋でパーッとやりましょうや!」

鳴上「まぁ…そういうことにしておこうか。いいよな、スネーク?」

スネーク「…ここで水を差すほど野暮じゃないさ」

千枝「よーし、今日くらいの運動量なら愛屋のスペシャル肉丼も完食できるかも…!それじゃみんな、戻ろっか!」





スネーク(かくして、俺はペルソナを手に入れた…)

スネーク(…これで、殺人事件の調査は大きく進展を見せたことになるだろう)

スネーク(だがまだ真犯人が分かった訳ではない)

スネーク(今後もまた学生として、鳴上達と戦っていく必要があるだろうな…)

スネーク(…さあ、今日のところはもう細かいことを気にするのはよそう)

スネーク(どうやら全員で定食屋へ向かうようだ。久々にたらふく食べるとしようか…)



273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/26(金) 00:04:38.92 ID:92Sq515u0


テレビの中 某所

??『さて』

??『いい加減、この金色のアイコンタクトと…』

??『…声にエコーをかける機械も鬱陶しくなってきたところだ。外すとしよう』


ガラッ バサッ


??「…しかし、まさかあんな小僧に腕を取られるとはな」

??「俺も焼きが回ったか…まあいい、腕などまた移植すればいいだけの話だ」

??「…さて、そろそろ『連絡』を入れておかねばな。この世界から出るとしよう」





稲羽市 某所

??「まずはあいつに電話しなければ…」


ピッポッパッポッ トゥルルルルルルル…


??「…もしもし、私だ。シャラシャーシカだ」

??「ああ、そうだ。例の件についてだが…」

??「すまんが遅れをとった。連中はまた被害者を助け出したようだ」

??「…そう憤るな。どの道お前が掴まる訳ではなかろう」

??「この事件の犯人はミスター・ナマタメ…それがお前のシナリオなのだろう?」

??「ならば泰然としていろ。私は引き続き連中の密偵を続ける」

??「…ああ、また何か連絡事項があれば電話する。それでは」





??「……ミスター・アダチ……」



275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/26(金) 00:13:00.77 ID:92Sq515u0


ピッ

??「…さて、もう一人だな…」


ピッポッパッポッ トゥルルルルルルルル…


??「…もしもし、私です。オセロットです」

??「連中は今回もまた救出に成功したようです」

??「…はい、ソリッド・スネークは救出されました」

??「シャドウについてですが…何やら全員の武器を没収するという能力を持っていたようでして…」

??「…ええ、そうです。私が予め用意しておいた武器を連中の進む道に置いて回りました」

??「ギリギリでしたが…どうにか連中の救出を成功させることができました」

??「…はい、私の正体はあなたが力を与えた三人のいずれにも知られていません」

??「…ええ、では引き続き連中の監視を続けます。それでは」





??「……ミス・イザナミ……」



279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/26(金) 00:24:24.42 ID:92Sq515u0


??「…さて、これで最後だ」


ピッポッパッポッ トゥルルルルルル…


??「…もしもし、私です。アダムスカです」

??「…ええ、『八十稲羽市連続殺人事件』のキーマン達との接触に成功しました」

??「ソリッド・スネークもまだ私の存在には気づいていません」

??「…そうです、奴は自分の協力者の中にも私達の手先がいることすら知らないようです」

??「あと、この町で起きている非現実的な現象の正体についてですが…」

??「…はい、情報をまとめた文章をそちらにお送りします」

??「あと…すみません、一つ申し上げておきたいのですが」

??「こちらで接触したミス・イザナミという人物…どうやら奴は人間ではないようです」

??「…ええ、上手くいけば我々の力をより強固にするのに役立つかと」

??「もちろん、そのミス・イザナミに私の正体は知られていません。もう一人のキーマン、ミスター・アダチにも」

??「…はい、奴らは気付いていません」





??「私が三重スパイ…トリプルクロスであることは…」





??「…ええ、では引き続き日本での調査、及びソリッド・スネークの監視を続けます」

??「…はい。我々『愛国者達』にさらなる繁栄があらんことを…」

??「…ではまた後ほど」





??「……ミスター・ゼロ……」



292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/27(土) 11:20:23.67 ID:+Kpe0/+80


数時間後 愛屋

スネーク「…まあ、なんだ。俺の正体が中年オヤジであることがみんなには知られてしまった訳だが」

スネーク「俺もまだ任務を続けなきゃならんのでな。できれば今まで通り接してもらえるとありがたい」

陽介「へへ、当たり前だろ!水臭えことは言いっこなし、これからも頼むぜスネーク!」

千枝「そうそう、同じペルソナ使いとして年上も年下も関係ないのだ!なーんて」

鳴上「よろしく頼むよ、スネーク。あれほど場馴れしたメンバーが加わってくれれば俺達も百人力だ」

スネーク「…ありがとう、みんな」





あいか「へ~い、肉丼8人前とスペシャル肉丼お~まち」

完二「おお、来たな!」

雪子「それじゃ、食べよっか」

クマ「ムホホー!いただきまーすクマ!」

千枝「今日こそ…このスペシャル肉丼を完食してみせるぞよ!」

スネーク「おいおい里中、なんだそれは…もう丼ってレベルじゃないな」

鳴上「愛屋の特別メニュー『スペシャル肉丼』だ。里中ほどの食客を含めても、未だに完食できた奴はいないらしい」

直斗「相変わらず里中先輩はよく食べますね…」

りせ「直斗は逆に食が細すぎると思うけどね?」

直斗「いや、久慈川さんだって人のこと言えないと思いますが」

りせ「私はそこそこ食べるもん!…っていうか、よくそんな小食なのに成長したよね。直斗のあれ」

直斗「……!」

スネーク「直斗のあれ…?」

直斗「な、なんでもありません!なんでもないですからねスネークさん!」

スネーク「あ、ああ…」

直斗「久慈川さんも変なこと言わないでください!」

りせ「ごめ~ん。てへっ」



陽介「みんなの気が散ってるうちに…へへ、里中の肉もーらい!」

千枝「ああっ!何すんのよ花村!」

陽介「いいじゃねーか、そんだけ肉あんだからちょっとくらい分けたって減りゃしねえよ」

千枝「ふざけんな!あたしの肉返せー!」


ギャーギャー ワイワイガヤガヤ


完二「相変わらず仲いいなぁ、花村先輩と里中先輩…」

雪子「うん、ケンカするほど仲がいいってまさにあの二人のことだよね」

完二「そうっスね。さて、俺も食うか」

雪子「私も。…うう、やっぱりここの肉丼はお肉多すぎるなあ。完二君少し食べる?」

完二「おっ、マジっスか。ありがたくいただくっス」



293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/27(土) 11:38:08.80 ID:+Kpe0/+80


クマ「あ、そうだ。スネークの分のメガネ作っといたクマ、ほい!」

スネーク「メガネ…?」

鳴上「そのメガネをかけると、向こうの世界の霧が晴れて見えるんだ。向こうでみんなメガネかけてただろ?」

スネーク「そういえば…みんなかけていたな、メガネ」

クマ「スネークのハードボイルドなお顔に合わせて、メガネをサングラスタイプにしといたクマ!どう、クマってセンスあるっしょ!」

スネーク「サングラスか…これで髪を後ろに束ねられればな」

鳴上「…?」

スネーク「とにかく、ありがとなクマ」

クマ「そりゃもう、メイドインクマですからね?ヒンシツはホショーつきクマよ!」

スネーク「どれ、ちょっとかけてみるか…」

スネーク「…どうだ、俺のサングラスもイカすだろ?」

鳴上「ああ、似合ってるな。迫力が凄まじい」

スネーク「それは…褒め言葉なのか?」

鳴上「半分くらいはな」

スネーク「…フッ、お前も面白い奴だな。鳴上」





スネーク(みんなとの賑やかな夕食の時間は流れていき…今日のところは解散となった)

スネーク(また明日から学校だ。犯人が分かるまでの間、せっかくの一般人としての生活を存分に満喫させてもらうとするか…)



300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/28(日) 00:07:35.76 ID:Frhly5ka0


夜 アパート

スネーク「…ああ疲れた。さっさと風呂に入って寝るとするか…」


コンコン


スネーク「なんだ…また夜中に来客とは」

スネーク「はい、今出ます」


ガチャ


オタコン「スネーク!いたのなら出てきてくれよ、こっちに来て早々に行方不明になるから心配したよ」

スネーク「オタコン…!?」

オタコン「メイリンから聞いてるだろ?僕もサポートとしてこっちに来ることになったんだ」

スネーク「メイリン…?メイリンも今回の任務に参加しているのか?」

オタコン「そりゃそうだよ、今回の任務だってメイリン経由で入ってきたんだから」

スネーク「…どういうことだ?俺は大佐からの連絡を受けてここへやってきたんだが」

オタコン「大佐って…キャンベルのこと?むしろ僕はキャンベルが関わってるっていう情報が初耳だけど」

スネーク「おい待て、情報が噛み合わんぞ…これはどういうことだ」

オタコン「なんなら、今君がキャンベルにコールして聞いてみればいいんじゃない?」

スネーク「そうだな…ちょっとコールしてみるか」





ピピピピピ ピピピピピ


大佐【私だ。どうだスネーク、事件の経過は?】

スネーク「その前に大佐、あんたに聞きたいことがある」

大佐【どうした?】

スネーク「今ようやくオタコンと会ったんだが、どうも情報が噛み合わない」

大佐【噛み合わない…?】

スネーク「オタコンは今回の任務がメイリン経由で入ってきたものだと言っている。それに、あんたが今回の任務に参加していることを知らなかったとも」

大佐【…………】

スネーク「おかしいだろう、あんたがオタコンに現地サポートを依頼したんじゃなかったのか?」

大佐【…言葉が足りなかったようだな。メイリン経由のものを君に伝える役割が私だったのだ、すまない。オタコンに直接依頼したのはメイリンだ】

スネーク「おいおい、しっかりしてくれ大佐。情報の行き違いは任務に重大な支障を及ぼす。指揮官たるあんたならよく知っているだろう」

大佐【私ももう歳だからな。少しはこんなこともある】

スネーク「まったく……とにかく、そういう事情ならいい。それが聞きたかっただけだ」

大佐【悪かった、今度からは気をつけよう。オーバー】

スネーク「ああ。オーバー」



301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/28(日) 00:39:27.46 ID:Frhly5ka0


スネーク「……とまあ、そういう訳だそうだ」

オタコン「キャンベルもややこしい言い方するね…」





スネーク「まあいい。……そうだ、お前に文句を言わなければならんことがある」

オタコン「え?」

スネーク「お前、俺の学校の制服にフォックスハウンドの刺繍を入れるというのはどういう了見だ?」

オタコン「フォックスハウンドの刺繍…?」

スネーク「お前が俺のアパートの荷物を運んだんだろう?これがついていたせいで、フォックスハウンドを知っている奴に問い詰められて大変だったんだぞ」

オタコン「そんなバカな…というか、僕は荷物を運んだだけで中身なんて見てすらいないよ」

スネーク「何だと?」

オタコン「第一、そんなものが入ってるのを知ったら取り除くに決まってるじゃないか。僕がそんなことする訳ないだろう」

スネーク「…言われてみれば、まあ」

オタコン「僕はメイリンに指定された荷物を運んだだけだよ。誰がその荷物をまとめたかなんて知る由も無いだろう」

スネーク「…ううむ…」




オタコン「…それより君、学生生活を送るのに雷電の顔を使ってるみたいだね」

スネーク「それは…仕方ないだろう、まさかこの顔で学生なんて言って通用すると思ってるのか?」

オタコン「それはそうだけどさ。なんというか…君、雷電の顔を使って女子生徒をたらしこもうとか思ってないよね?」

スネーク「…………」

オタコン「目が露骨に泳いでるよ、スネーク」

スネーク「…俺だって、たまにはごく普通のスクールライフというものを満喫してみたい。少しくらい見逃してくれ」

オタコン「後で雷電に文句言われても知らないよ、僕」

スネーク「文句を言われたら謝ればいいさ」

オタコン「…ま、考えてみれば雷電もそんなことじゃ怒らないかな。それとさ」

スネーク「何だ?」

オタコン「君、もう学校で友達できたの?この前、七人くらいのグループと一緒に街中歩いてたよね」

スネーク「ああ、鳴上達か…」

オタコン「そうそう、鳴上君って言ったっけ。僕もこの前の昼休みに会ったんだけど、約束破られちゃってさ」

スネーク「約束?」

オタコン「君が行方不明になってから、放課後に君を一緒に探すから連絡くれって言ったんだ。だけどいざ放課後になったら連絡は来なくてね。どうしてたんだか、彼らは…」

スネーク(…鳴上達も、まさか『これからテレビの中に探しに行きます』なんて言えなかったんだろうな…)





オタコン「…まあ、そういう訳で。知ってると思うけど、僕は先生役としてこの町では生活してるからよろしくね」

スネーク「大佐にも文句を言ったが…できれば俺が先生役をやりたかったんだがな」

オタコン「いいじゃないか、憧れのスクールライフが満喫できてるんだろ?生徒役だって悪いことばかりじゃないと思うよ」

スネーク「いい歳こいて高校生のフリをするのも…なかなかしんどいんだぞ、これでも」

オタコン「ははは、カムフラージュは君の得意技じゃないか」



302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/28(日) 00:47:44.28 ID:Frhly5ka0


スネーク「それとこれとは話が違うだろう…!」

オタコン「いずれにせよ、もう役割分担は変えられないよ。甘んじて受けることだね」

スネーク「…チッ、つくづく俺はビンボーくじを引かされやすい体質のようだな…」





オタコン「それじゃ。今日はもう遅いから早く寝るんだよ、スネーク君」

スネーク「…お前、一応俺より年下だろう。まさかお前を先生として持ち上げろとでも言うつもりか?」

オタコン「その通り。学校ではもう『ハル先生』の名前で通ってるから、よろしくね」

スネーク「そのまんまだな…」

オタコン「意外と悪くないと思うんだけどね。…じゃ、おやすみ」

スネーク「ああ、おやすみ」



303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/28(日) 01:13:51.81 ID:Frhly5ka0


翌日 八十神高校

スネーク「みんな、おはよう」

鳴上「おはよう、スネーク」

千枝「おはよー!」

雪子「おはよう、スネーク君」

陽介「おはようさん!…ってか考えてみりゃ、その顔は覆面なんだよな…しっかしまあよく出来た覆面だなぁ」

スネーク「花村、あまり大きな声で言わないでくれ…」

陽介「おっと、こりゃすまねえ」

千枝「…そういえば、もうそろそろ中間なんだよねー。また勉強漬けウィークが来るのかなぁ…ああ嫌だ嫌だ」

陽介「うわ、そういやそうだった…あーくそ、やりたくねえ!」

鳴上「スネークはこっちに来て間もないけど、勉強とか大丈夫なのか?」

スネーク(…高校程度の勉強を俺が解けないはずがあるまい、とは口に出せないよな)

スネーク「まあ、少しは頑張れると思うが」

鳴上「そうか。ちょっと心配だったからさ」

千枝「ねーねー、またみんなで勉強会しようよ!……っていうか勉強会してください!教えてください!お願いします!」

陽介「俺もお願いします!ほんとマジで!」

雪子「それじゃ、一年のみんなも誘ってまたジュネスで勉強会する?」

鳴上「そうだな。ちょうどスネークにはまだジュネスも紹介してなかったところだし」

スネーク「ジュネス?」

陽介「そう、俺の親父が店長やってるデパートなんだけどさ。今日、勉強会入る前にちょっくら案内してやるよ!」

雪子「…でも、今度はそのままの流れで勉強会がお遊びになったりとかは無しだからね?」

陽介「うっ…気をつけます、ハイ…」





スネーク(放課後に特別捜査隊のみんなで勉強会をすることになった…)

スネーク(正直言って、俺は勉強する必要が皆無なんだが…まあこれも付き合いだ)

スネーク(危なそうな里中や花村に教えてやるとするか…)



312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/28(日) 23:43:57.23 ID:Frhly5ka0


放課後 ジュネス 食品売り場

スネーク「なるほど、なかなか面白いデパートだな」

陽介「だろ?商店街の人達からは目の敵にされてるけど…品揃えは自信あるからさ、買い物あったらぜひともウチをご贔屓にな!」

スネーク「ああ、たまには普通の食品でも買わせてもらいに来よう」

鳴上「弁当のおかずとかな」

スネーク「…そのことは突っ込むな」

千枝「もう缶詰なんか持ってきちゃダメだよ?スネーク君」

雪子「スネーク君も大変だね…それじゃ、あんまりお遊びムードにならないうちにフードコートで勉強会にしよっか」





ジュネス フードコート

鳴上「みんな集まったな。じゃあ、勉強会を始めるとしよう」

千枝「ううー…いざ教科書を開いてみたら、分からないことしか書いてなくてヤバい…」

陽介「俺も…壊滅的すぎる教科が多すぎて直視できない…」

りせ「私もやばいかも…」

完二「…そうだ!スネーク先輩、英語とかどうなんスか?もしかしてペラペラだったり…」

スネーク「ああ、俺からすれば高校英語なんて勉強ですらない」

完二「マジっスか!すんません、ちょっと英語教えてもらえないスかね」

千枝「あー、完二君だけずるい!あたしもあたしも!」

陽介「俺も頼む、スネーク!」

りせ「私も教えて!」

スネーク「いいだろう、全員まとめてかかってこい。どこが分からないんだ?」





直斗「…さすがに母国語の人間からしたら簡単すぎるんですかね、高校英語は」

鳴上「だろうな」

雪子「鳴上君、いつもはみんなに教える係なのに今日はスネーク君に出番取られちゃってるね」

鳴上「さすがに本場の人間にはな…俺も勝てる気がしないよ」





スネーク「……まあ、大体こんなところだ。役に立てたか?」

千枝「そりゃもう!」

陽介「へー、この接続詞が来たら目的語はこれなのか」

完二「なるほどなぁ、この単語がこういう使い方で…」

りせ「sinceと現在完了の関係がこれ…と」

スネーク「また後で聞きたいことが出てきたら言ってくれ、なんでも答えてやろう」

陽介「おう、サンキュー!」



329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 03:19:26.07 ID:GYDdcBZX0


スネーク(まあ、俺が教えてやるべき面子には一通り教えてやれただろうか…)

スネーク(あとは、テスト本番でそれぞれどの程度の仕上がりになるかだな)





スネーク(その後もちょくちょく勉強会が開かれ、一週間が経過した)

スネーク(……さあ、いよいよ今日はテスト本番だ)

スネーク(日本はとりわけ世界と比べて学習内容が簡単だと聞いているからな…まあ解けるだろう)





朝 八十神高校

陽介「ようスネーク、おはようさん!」

スネーク「ああ、おはよう」

鳴上「おはようスネーク、いよいよテストだな」

千枝「だねー…うう、今から武者震いが」

雪子「千枝、ちゃんと家でも勉強した?」

千枝「うーむ…今回は頑張れた方なんじゃないかと」

陽介「俺も結構勉強したぜ。特に英語はスネークにとことん教えてもらったからな、自信ありまくり!」

千枝「あたしも英語は今回いけそうなんだよね。花村、勝負しない?」

陽介「おう、イイぜ。負けた方がフードコートのビフテキ奢りだかんな!」

千枝「マジで!?花村、あとで後悔しても知らないよ~?肉がかかったあたしの執念深さは知ってるでしょうに!」





スネーク「…あの二人、英語もいいが他の教科の心配をすべきなんじゃないのか?」

鳴上「いつものことだ」

スネーク「…なるほど」

雪子「スネーク君がどれくらいの点数を取るのかな…私も負けないようにしなくちゃ!」

スネーク「見た感じ、鳴上と天城は上位争いの常連らしいな。俺もやるからには負けんぞ」

鳴上「俺も負けるつもりはない。歳の差は気にせずに全力で挑ませてもらうぞ、スネーク」

スネーク「いいだろう、全力でぶつかってこい。俺とてお前達が年下だからと手を抜くつもりはないからな」



柏木「それでは皆さぁん、テストを始めるわよぉ~。出してる教科書は全部しまってねぇ~」



スネーク(いよいよか…)

スネーク(…年甲斐もなく興奮しているようだ。ここはひとつ、学年トップでも狙ってみるとするか)



331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) 2012/10/31(水) 19:54:14.49 ID:E4rZT4Vao

転校生2人でトップ争いか…



333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 21:37:43.42 ID:GYDdcBZX0


スネーク(最初は…生物か。どんな問題があるやら)


『問・接触形態形成の代表的なものといえば?』


スネーク(…これは簡単だな。『触れると成長が早くなる』だったか)

スネーク(音楽を聴かせたりとかでも成長が促進されると聞いたな…まあそんなことはどうでもいいが)

スネーク(さて、次の問題だ)


『問2・涙を流すときに使用している神経を答えなさい』


スネーク(これも言うまでもない…交感神経と副交感神経だ)

スネーク(緊張の交感神経と休息の副交感神経、戦場でのメンタル維持に重要な内容としてこの程度は朝飯前だ)

スネーク(…勢いがついてきたな、このままどんどん解いてやろう)


『問3・鮭の赤身は何の色?』


スネーク(鮭の赤身…何だったかな)

スネーク(…………)

スネーク(…そうだ、思い出した。食べているエサの色素だったっけか。これも昔勉強した覚えがある)

スネーク(俺は生魚をそのまま食うような人間じゃないからな…もしそういう奴がいたら、簡単に分かっただろうな)





スネーク(その後も順調に問題をこなしていき…)

スネーク(…よし、生物はもう問題ないだろう。次は明日の世界史だ)

スネーク(世界史ならまあ、生物よりは簡単に分かるだろうな)



335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 22:09:10.79 ID:GYDdcBZX0


翌日 八十神高校

祖父江「それでは皆さん、今日のテストを始めるとしようかの。出している教科書はしまうのじゃ」





スネーク(今日は世界史だ。また全問解いてみせよう)

スネーク(どれ、どんな問題だ…?)


『問・人類初の地球周航に成功した人物といえば?』


スネーク(…なんだ、こんなものか。マゼラン…と)

スネーク(これくらいは一般教養だ。知らん方がおかしい)

スネーク(現代で考えればたかが地球一周だが…当時は立派な功績だったんだろうな)

スネーク(さて、次は…)


『問2・ルイ14世の別名を答えよ』


スネーク(これは…太陽王、だったな)

スネーク(…王権か。今にも愛国者達のそれが始まりかけているかと思うと、笑えん問題だ)

スネーク(次の問題へ行こう…)


『問3・ルイ14世の身体的特徴といえば?』


スネーク(身体的特徴…いくつかあるが、とりあえず一番メジャーなのを書いておくか)

スネーク(ルイ14世といえば、身長が低いのが最も有名だろうな)

スネーク(他には…歯を全部抜いている、というのもある)

スネーク(当時の医者が言った『すべての病気は歯から来る』とかいうよく分からん理屈に従ったらしいが…)





スネーク(…さあ、世界史もこんなものだろう。答案用紙から全問正解の気配がひしひしと伝わってくるな)

スネーク(明日は…古典・数学・体育だったか)

スネーク(また明日も頑張るとしよう…)



336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 22:52:14.11 ID:GYDdcBZX0


翌日 八十神高校

近藤「グッモォニィン!みんな、直前の詰め込みタイムは終わりだぞー!教科書しまえー!」





スネーク(今日は古典・数学・体育だ)

スネーク(ここまできたらもうトップは目前だな。さっさと片づけてやろう)

スネーク(古典の問題は…と)


『問・小春日和の時期は?』


スネーク(…フッ)

スネーク(前日に一応、古典だけは復習しておいたのが生きてきたな…)

スネーク(春といえば四月頃を指すが、この場合は十一月から十二月を指す)

スネーク(春という言葉に引っかからないよう注意せよ、と参考書に書かれていたのを妙にはっきり覚えている)

スネーク(さて、次は数学だ。古典よりは楽か…)


『問・一円玉を作成するのにいくらかかるか答えよ』


スネーク(一円玉だと…!?まずい、日本の硬貨がどうこうなんてさすがの俺でも知らんぞ…!)

スネーク(答えは…ダメだ、分からん!)

スネーク(冷静に考えろ…答えの三択は『0円』『1円』『2円』だが…)

スネーク(まず『0円』はあり得ん。『1円』か『2円』だな)

スネーク(恐らくだが、一円を作る対価が一円というのはあり得んだろうな。硬貨鋳造はただでさえ金がかかる)

スネーク(そう考えると、『2円』というのが一番しっくりくるんだが…)

スネーク(チッ、運をあてにするのは気に入らんがな。今回だけは仕方がない…『2円』と書いておこう)

スネーク(…さて、気分入れ替えだ。次は体育の問題か)


『問・ドッヂボールの「ドッヂ」とはどういう意味?』


スネーク(なんだこれは?実質的に英語の問題じゃないか)

スネーク(まあ、楽な分ありがたいが…)

スネーク(ドッヂの意味…『避ける』と)





スネーク(…ふう。これで今日の分も終わったな)

スネーク(数学が思わぬ大穴だったが…合っていることを祈ろう)



339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 23:13:43.32 ID:GYDdcBZX0


スネーク(その後も、たまに日本独特の問題が出て悩まされたりしたが…)

スネーク(…なんとか捌いていき、ようやくテスト最終日が来た)

スネーク(今日は英語だ。里中と花村が張り切っていたな)

スネーク(俺も英語なら心配する必要はない。気楽にテストを受けるとしよう)





テスト最終日 八十神高校

細井「よーし、今日はテスト最終日やでー。プリント配るから、みんな早く教科書しまってなー」





スネーク(さあ、最後の仕上げだ…)


『問・【fast】の意味を答えよ』


スネーク(簡単だな、これは断食だ)

スネーク(そういえば日本では『ランチ』と『ディナー』が妙に公用語化しているが、ブレックファストはさっぱりだな…)

スネーク(…それじゃ、次だ)


『問・禁煙を現さない語は?』


スネーク(禁煙を現さない…この選択肢の中では【smoking-allowed】だな)

スネーク(…禁煙か。そういえばこの町に来てから吸ってないな…)

スネーク(日本のメーカーは吸ったことがなかったから丁度いい、この機会に色々味わっておくとしよう)

スネーク(…さて、問題もあらかた片付いてきたな)

スネーク(次の問題で最後だが…)





『問・次の英単語の意味を答えなさい。【patriots】』





スネーク(……まさか)

スネーク(まさかな……そんなはずは……)

スネーク(……一応、答えておくが……)



348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 23:35:46.28 ID:GYDdcBZX0


スネーク(最後の最後で妙な問題が出てきたが…どうにかテストは終了した)

スネーク(鳴上達にも手ごたえを聞いてみるとするか)





スネーク「どうだ、みんな。テストの手ごたえは」

花村「英語はいけたんだけどなー…やっぱ他の教科のツメが甘かったわ…」

千枝「あたしも英語だけはバッチリなんだけどね…他がヤバいや、あはは」

雪子「私は結構できたかな…?」

鳴上「俺は上々だったよ。スネークはどうだ?」

スネーク「俺も上々さ」

鳴上「そうか。…楽しみだな、結果発表が」

スネーク「そうだな。…負けんぞ、鳴上」

鳴上「望むところだ」

花村「スネークと鳴上はさっそくトップ争いか…ったく、なんで同じ転校生なのに俺だけこうも成績が悪ぃんかね」

千枝「アンタが勉強不足なだけじゃん?」

花村「うぐ…里中サン、いきなり核心を突くのはちょっと…」


ガラガラガラ…


雪子「あ、一年の三人も来たね」

りせ「せんぱーい!テストの仕上がり、どうだった!?」

鳴上「よくできたよ。三人はどうだ?」

完二「スネーク先輩のおかげで、英語だけはバッチリっス!」

直斗「…英語だけは、ね」

完二「ちょ、それを言うんじゃねえよ!」

りせ「私もスネーク先輩が教えてくれたおかげで、英語はバッチリだよ!」

直斗「…そういえば、スネークさん」

スネーク「どうした?」

直斗「僕達の学年の英語で、問題用紙の最後に出てきたんですが…」





直斗「…【patriots】という単語の意味を描く問題が出てきました」

直斗「【patriots】…日本語に言い直すと『らりるれろ』です」

直斗「あなたが前に言っていた『らりるれろ』とやらを、妙に思い出してしまいましてね」





千枝「え、そっちの学年でもその問題出たの?」

直斗「そっちの学年でも…って、もしかして二年の皆さんも?」

千枝「うん、その問題出たよ。あたしにしては一発で解けたからさー、印象深いんだよね!」



351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/31(水) 23:46:28.55 ID:GYDdcBZX0


千枝「【patriots】…それはつまり、『らりるれろ』!」



陽介「おっ、里中もやっぱその問題解けた?俺も一発で分かったんだよなー、『らりるれろ』!」



雪子「よかった、今回は千枝も花村君も解けてるみたいだね。『らりるれろ』」



完二「『らりるれろ』っスか、俺もそれは一発でいけたんスよね!」



りせ「あれ、もしかしてみんなも簡単に『らりるれろ』解けちゃったの?自慢しようと思ったのに…ざーんねん」



直斗「スネークさん、他の皆さんにも『らりるれろ』を教えたんですか?」



鳴上「『らりるれろ』か。まあ、問題の中では簡単な方だったけどな」



352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/31(水) 23:50:13.35 ID:4rHSe4Lxo

どうあがいてもらりるれろ……



354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 00:09:55.10 ID:kTzivHht0


スネーク「!!」

千枝「ん?どうしたの、スネーク君?」

スネーク「いや…」





スネーク(これは…一体どういうことだ…!)

スネーク(白鐘の時もだが、どうしてこんな場所で…)

スネーク(…ナノマシンを注入された人間がいるんだ!?)





スネーク「……みんな、一つ聞きたいことがある」

鳴上「…?」

スネーク「みんなは、なんというか…ここ最近注射を打ったりしたことはなかったか?」

雪子「注射?」

陽介「ああ、そういえば…直斗の勧めで俺ら全員が健康診断受けたとき、血液採取か何かでやったような」

スネーク(やはりか…!)

完二「それがどうかしたんんスか?」

スネーク「…………」

りせ「どうしたの?スネーク先輩、何か変…」

スネーク「…すまない、少し頭が痛くなってきた。俺は先に帰らせてもらう」


スタッ ガラガラガラ…


千枝「あっ、スネーク君!……もー、行っちゃったよ」

陽介「どうしたんだ、スネークの奴?」

完二「さあ…」





鳴上(…せっかく仲間になれたのに、壁を作られるのはまずいな)

鳴上(この際だ…スネークにもコミュがあるだろう、今後レベルを上げながら話を聞いてみるとするか)



355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 00:16:04.78 ID:kTzivHht0


稲羽市 某所


トゥルルルルルルルルルルル…

ピッ


オセロット「……もしもし、私です」

オセロット「…ええ、稲羽市民全員にナノマシンを注入する計画は滞りなく…」

オセロット「特にソリッド・スネークが関わっている、ペルソナ使いの小僧共に関しても同じく…」

オセロット「その中の一人が健康診断をしようと言い出したらしいので、先回りしてナノマシンを仕込みました」

オセロット「…はい、ナノマシンによる稲羽市民のデジタル統制計画は順調に推移しています」





オセロット「では、取り急ぎ経過報告だけ…また後ほど」



356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 00:33:18.87 ID:kTzivHht0


夜 アパート

スネーク「オタコン、いるか?ちょっと話がある」


コンコン ガチャ


オタコン「…どうしたんだい?悪いけど、テストの成績をどうにかしてくれとか言われてもできないよ」

スネーク「そんなことじゃない。鳴上達について言っておきたいことがある」

オタコン「鳴上君達が、どうかしたの?」

スネーク「オタコン、お前英語の答案用紙は見たか?」

オタコン「英語…は見てないなあ。テストの監視員で色々回ったけど、英語の時は休憩もらってたから」

スネーク「そうか。じゃあ言っておこう」





スネーク「今日の英語のテストに、【patriots】という単語の日本語訳を書かせる問題が出てきた」





オタコン「えっ…!?」

スネーク「…そう、『愛国者達』だ。そして鳴上達は、その日本語訳を『らりるれろ』と言っていた」

オタコン「そんな…バカな!」

スネーク「ぼやぼやしていられなくなってきたぞ。早くこの町の殺人事件を解決しなければ…」

オタコン「でも、手がかりはまだ全然無いんだろう?」

スネーク「それは…そうなんだが」

オタコン「まずいね…」

スネーク「…ひとまず、俺は今日のことを大佐に報告する。邪魔したな」

オタコン「うん、それじゃ。今後も気を付けてね、スネーク」

スネーク「ああ、分かってる」



357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 00:48:24.64 ID:kTzivHht0


ピピピピピピピ ピピピピピピピピ

大佐【私だ】

スネーク「大佐か?大変なことになった」

大佐【どうしたんだ?】

スネーク「…こっちで付き合いを始めた人間の中に、『らりるれろ』という言葉を口にする人間が出てきた」

大佐【それは…】

スネーク「知ってるだろう、『愛国者達』だ」

大佐【…どうしたものかな、それは】

スネーク「俺も分からん。だからコールしたんだが」

大佐【…私から話せる情報は、特に無い】

スネーク「無いのか?何でもいいんだ、愛国者達が動いた形跡とか…」

大佐【無いな】

スネーク「…大佐、即決しないで少しは考えてくれ。こっちだって大変なんだ」

大佐【しかし、無いものは無いんだ。勘弁してくれ】

スネーク「…くっ、なら仕方ないか…」

大佐【すまないな】

スネーク「分かった。今度はまともな情報を仕入れておいてくれ、オーバー」

大佐【オーバー】



359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 00:55:00.38 ID:kTzivHht0


スネーク「…………」

スネーク「どうしたものか…」

スネーク「…まあいい、ナノマシンを注入されてもあからさまな実害がある訳じゃない」

スネーク「今日は少し無愛想な別れ方をしてしまったからな…次に学校へ行ったら、みんなにしっかり謝らなければ」





スネーク「しかし…まさか『愛国者達』とはな…」

スネーク「…今日はもう疲れた。寝るとしよう」



364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 23:05:10.04 ID:kTzivHht0


翌日 日曜日 朝

スネーク「朝か…」

スネーク「…今日は日曜だ。何をするかな」

スネーク「鳴上達のナノマシンのことも気になるが…現段階ではどうにもできんしな」

スネーク「たまには町をぶらついてくるとするか」

スネーク「顔は…そのままでいいな、知られていない顔の方が好きなことをしやすいだろう」

スネーク「さて、出かけよう」





稲羽市中央通り商店街

スネーク「確か、前に鳴上達に店を紹介してもらったっけな」

スネーク「まずは本屋か。『四目内堂書店』」

スネーク「本など随分読んでないからな…何か買ってみるか」

男性「おっ、そちらの外人さん。本を買うのかい?」

スネーク「うむ、何か一冊買ってみようかと…」

男性「なら、色々シリーズがあるから教えてあげよう」

スネーク「それはありがたい。どんなものがあるんだ?」

男性「勇気が上がる『漢』シリーズ、寛容さが上がる『弱虫先生』シリーズ、そしてさらに…」

男性「…流通ルートが特殊な『THE』シリーズがある」

スネーク「THEシリーズ?」

男性「そう。僕も前に持ってたんだけどね、とある少年との物々交換であげてしまったんだ。持ってれば見せてあげたんだけど…」

スネーク「それは面白そうだな。俺もそのうち探してみるとしよう」

男性「そうかい?興味を持ってもらえたのならよかった」

スネーク「ああ、色々教えてもらってどうもな。それじゃ…」

スネーク「…『勇気』はもううんざりするほどあるからな。『寛容さ』でも上げるとするか」

スネーク「すみません、この『弱虫先生シリーズ』をください」





雪子「あれ、スネーク君?」

スネーク「お前は…天城か」

雪子「…顔、そのままで大丈夫なの?」

スネーク「ああ。あの覆面もずっとつけてると意外に窮屈なんでな」

雪子「そうなんだ…それにしても、スネーク君も本とか買ったりするんだね。そういうの読まないのかなって想像してたんだけど」

スネーク「想像は外れていないがな。日本の文学くらい触れておこうかと」

雪子「うふふ、存分に日本の文化を楽しんでいってね」

スネーク「そのつもりだ。…で、天城は何を買いに?」

雪子「私?私は、ちょっと資格の本を買いに」

スネーク「資格?」



365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/01(木) 23:56:16.43 ID:kTzivHht0


雪子「うん」

スネーク「…そういえば、天城は実家の旅館を継ぐとか継がないとかで大変だそうだな。だから資格なのか?」

雪子「そうだったんだけど…私、天城屋は継ぐことにしてるの」

スネーク「なら、資格なんかいらないんじゃないのか?」

雪子「ううん、それでもやっぱりひとつの努力の形として取ろうと思ってるんだ」

スネーク「そうなのか…努力家だな、天城」

雪子「そんなことないよ。それに天城屋を継ぐ決心をしたのだって、私一人じゃできなかったし」

スネーク「継ぐ決心…?」





雪子「そう。鳴上君に相談に乗ってもらってね…それで、なんだか心のもやもやが晴れたんだ」





スネーク「…そうか。鳴上か」

スネーク「テレビの中でも思っていたが、鳴上はやはりみんなに頼られる存在のようだな」

雪子「うん、どうしてか分からないけど…鳴上君と話すと、胸の中がすっきりするの。みんな言ってる」

スネーク「大したもんだな、鳴上もあの歳でそういった才覚を…」

雪子「…あっ、もちろんスネーク君とも話してて楽しいからね!?」

スネーク「フッ、無理するな。俺はもう年頃の娘に気を使われるような歳じゃない」

雪子「ごめん…」

スネーク「…とりあえず、本は帰ったら読ませてもらう。そろそろお暇するとしようか」

雪子「このあとはどこか行くの?」

スネーク「街中をブラブラするつもりだ」

雪子「そう…多分町中にみんなもいると思うから、いたら話しかけてあげてね」

スネーク「心得た」

雪子「それじゃあね、スネーク君」

スネーク「ああ、それじゃ」



366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/02(金) 00:14:33.15 ID:lgfe3UGS0


スネーク(天城と別れた…)

スネーク「…さて、次は」

スネーク「そうだ、この『金属加工だいだら.』とやらがあったな」

スネーク「鳴上に何やら含みのある紹介をされたからな…気になっていたところだ」

スネーク「入ってみるとするか…」




金属加工 だいだら.

オヤジ「…いらっしゃい。あんた、この辺じゃ見ねえツラだな」

スネーク「ちょっと外国からな。この店が気になったんで入ってみたんだが」

オヤジ「ここはワシのアート工房だ。最近じゃ、地元高校の小僧っ子連中が何故だかしょっちゅう買い物に来やがる」

スネーク「それは…鳴上達のことか?」

オヤジ「鳴上…ああ、そういえばそんな名前だったか」

スネーク「で、棚に陳列されているのは…」

スネーク「…おいおい、これ本物の刀じゃないのか!?しかも銃に双刀、護身用の鎧まで…!」

オヤジ「ワシのアートだからな」

スネーク「日本は銃刀法があったんじゃなかったか…?」

オヤジ「そんなもんは知らん。ワシ、ホーリツとかあんま詳しくないもん」

スネーク「そういう問題じゃ…」





千枝「あれ、スネーク君?」

スネーク「…里中?」

千枝「スネーク君も、さっそく鳴上君にここのこと聞いたんだ?」

スネーク「いや、聞いた訳じゃないが…町をブラブラしてて気になったから入ったんだが」

千枝「そう?でも、いずれにせよちょうどよかった!」

スネーク「何がだ?」

千枝「何がって、装備品の調達に決まってるじゃん」

スネーク「装備品…?」

千枝「スネーク君もペルソナを手に入れたんだから、今後またテレビの中に入るときのために装備を揃えとかないと!」

スネーク「…そうか、考えてみればそうだな。そういう理由でお前達はここを使っていたのか…」

千枝「スネーク君はやっぱ銃が武器なの?」

スネーク「そうなるな。あと、できれば小型ナイフも欲しい」

千枝「小型ナイフ…?なんでまた」

スネーク「拳銃とナイフを構えることで、遠から近距離まですべての距離をカバーできる…『CQC』のためだ」

千枝「『CQC』…って、ああ!」

スネーク「知ってるのか?」

千枝「うん、この前スネーク君がテレビクルーを撃退したでしょ?あの体術のことを直斗君が『CQC』って呼んでたから」




368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/02(金) 01:22:31.47 ID:lgfe3UGS0


スネーク「そうか…」

千枝「とにかく、せっかく来たんだから装備品買っとけば?」

スネーク「いや、俺はもう自分で調達したものがある。ナイフだけ買えればいい」

千枝「え、自分で…?武器と防具とアクセサリー全部?」

スネーク「そうだ。武器はソーコム、防具はスニーキングスーツがある」

千枝「アクセサリーは?」

スネーク「無限バンダナだ」

千枝「え…?」

スネーク「無限バンダナ、SP版だ」

千枝「…ごめん、言ってる意味が分からないんだけど」

スネーク「今はまだ分からなくていいさ」

千枝「スネーク君、時々意味不明なボケかますのやめてもらえないかな…ツッコミが追い付かぬ」

スネーク「…ま、そういう訳だ。オヤジさん、小型ナイフを一本だけもらえるか」

オヤジ「あいよ。ちょっと待ってな」

千枝「話を進めないでってば!」

スネーク「まあ…簡単に説明すれば、SP無限だよ。名前で大体分かるだろう?」

千枝「うっそ、マジで…!?」

スネーク「本来この世界には存在しないアクセサリーだからな」

千枝「へぇ~…スネーク君、すごいもの持ってるねえ」





千枝「…ところでさ、さっきの『CQC』についてなんだけど」

スネーク「それがどうした?」

千枝「もしよかったら、あたしにも『CQC』教えてもらえないかなーなんて…」

スネーク「そういえば里中は体術主体だったか…いいだろう、今後のためにも教えてやる」

千枝「ほんと!?」

スネーク「ああ。オヤジさんからナイフを受け取ったら、どこか広い場所へ行くか」

千枝「うん、行こ行こ!」



369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/02(金) 03:13:52.98 ID:lgfe3UGS0


鮫川河川敷

千枝「ここが、いつものあたしの特訓場所!」

スネーク「ここか…ここなら確かにスペースは確保できるな」

千枝「でしょ?前に鳴上君にも特訓に付き合ってもらったりしたんだよねー」

スネーク「鳴上に?」

千枝「うん。なんでだか、鳴上君と特訓するといつもより張り切れるというか…」

スネーク「ほう、その顔は…若いっていいもんだな、里中」

千枝「え?…あ、いや違うよ!?鳴上君が気になるとかそういうんじゃないからね!?」

スネーク「自分で言ってれば世話ないな」

千枝「ぐうっ…!」

スネーク「…鳴上には黙っておいてやるよ」

千枝「アリガトウゴザイマス…」





スネーク「それにしても、よほど鳴上はみんなに頼られているらしいな」

千枝「うん、なんてったってあたし達のリーダーだから!」

スネーク「なるほどな」

千枝「…あたしも鳴上君みたいな頼られる存在になりたいからさ、そのために特訓してるんだ!」

スネーク「いい心がけだ」

千枝「あたし、捜査隊の中じゃ特にかわいくない女だからさ…せめてみんなを守るくらいはできるようになりたい」

スネーク「そうか?里中だって平均以上だと思うが」

千枝「えっ、そう…かな…」

スネーク「自分に自信を持て。もしかしたらどこかの色男がお前に好意を抱いているかもしれんぞ?」

千枝「そんな、まさか…」

スネーク「ともかく、そんな自分を卑下することはないということだ」

千枝「そう、だね…そういえば…」





千枝「鳴上君にも言われたっけ、そんなようなこと…」





スネーク「鳴上にも…?」

千枝「うん、スネーク君の言葉で思い出した。鳴上君のその言葉のおかげで、あたしも自信が持てるようになったんだ」

スネーク「おい、今さっき自信が無いって自分で言ったんじゃないか」

千枝「そうじゃなくて!なんていうか…みんなを守りたいっていう意思の自信なんだけど…」

スネーク「…そうか。そういう意味か」

千枝「前にカツアゲを怒鳴り散らして追い払ったことがあるんだけど、そんな女にも鳴上君は優しく接してくれるから…」

スネーク「…好きになってしまった、と」

千枝「ちょっ…だからその話はもういいでしょ!」



374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/03(土) 00:50:21.94 ID:TMYmr8mi0


スネーク「はは、すまんな。ついからかいたくなる」

千枝「もう…!」

スネーク「…ま、鳴上の男らしさはよく分かった。そろそろCQCの特訓を始めようか」

千枝「相変わらず話がスネーク君主導で進む…まあいいけど」

スネーク「行くぞ。構えろ、里中」

千枝「了解!」






スネーク(ひとまず、里中にCQCのさわりの部分だけ教えてやった)

スネーク(若いから飲み込みも早い。足技は元々かなりのものだったから、あれで手も使いこなせれば一級品になるだろう)





スネーク「それで、相手にこう掴みかかられたら…」

千枝「…その勢いを利用して、逆に相手の腕を捌くんだね。おっけーおっけー」

スネーク「なかなか調子がいいな」

千枝「そりゃもう、運動神経があたしの一番の取り柄だもん!」

スネーク「その意気だ。それじゃ、次のステップに行こうか」

千枝「アイアイサー!」





スネーク(…小一時間ほど経っただろうか。今日はこの辺で終わりにしよう)





千枝「ふぃ~、疲れた…」

スネーク「筋は悪くないな。上手く使いこなせるようになれよ」

千枝「おいっす!…それじゃ、そろそろお昼だしどこか食べに行かない?」

スネーク「そうだな。また愛家でいいか?」

千枝「うーん、愛家もいいんだけど…スネーク君に紹介がてら『惣菜大学』行ってみない?」

スネーク「惣菜大学?」

千枝「そう、この町で一番ホットなお総菜屋さん!あそこのビフテキ串は一回食べたらもうヤミツキだよ!」

スネーク「そんな店があるのか…せっかくだ、案内してもらおう」

千枝「任せといて!」






スネーク(里中と一緒に惣菜大学へ向かった…)



375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/03(土) 01:14:04.41 ID:TMYmr8mi0


惣菜大学

スネーク「ん?あそこで買い物してるのは…」

完二「お、スネーク先輩に里中先輩。おはよーござやっス」

千枝「完二君じゃん、お昼ご飯のおかず買い出し?」

完二「そんなトコっスね、おふくろが腰痛めて昼飯作れなかったみてえなんで」

千枝「相変わらずお母さん想いだねー、完二君」

完二「まぁ、親はやっぱ立てないとっスから。俺も少しは丸くならねぇと」



pipipi pipipi


千枝「あれ、着信だ…」

千枝「…お母さん?あ、ヤバッ!買い物頼まれてるの忘れてた!」

完二「里中先輩も相変わらずっスね…」

千枝「ごめんスネーク君!誘っておいて悪いんだけど、あたしちょっと帰んないとマズイんで…!」

スネーク「ああ、分かった」

千枝「今日はありがと!また今度ねー!」タッタッタッタ





完二「行っちまった…」

スネーク「…さて。巽はもう買ったのか?」

完二「いえ、今頼んで揚げてもらってるっス」

スネーク「そうか。俺も頼んでおこう、ビフテキ串三本お願いします」

店主「はーい、ちょっと待っててねー」

完二「…そういえばスネーク先輩、里中先輩と何してたんスか?」

スネーク「ちょっとな。俺の知る格闘術を教えてやっていた」

完二「格闘術?」

スネーク「そうだ。…聞けば巽も、昔は随分腕っぷしで鳴らしたそうだな」

完二「まぁ、そういう青かった時代もありましたけどね…今は結構おとなしめっスよ、自分で言うのもアレだけど」

スネーク「今はもうケンカはしないのか?」

完二「ケンカはもうしないようにしてるっス。その分、テレビん中でシャドウ共をブッ飛ばせてるんで」

スネーク「そういう理屈か…」

完二「…昔の、ケンカを逃げ道にしてた俺とはもう決別したんス」

スネーク「ケンカを、逃げ道…?」

完二「はい。周りに拒絶されるのが怖くて…それで自分から近寄んなオーラ出して…不良気取ってただけのチキン野郎だったんだ、俺ぁ」

スネーク「そういう理由で不良に…?」

完二「そうっス。…スネーク先輩はもう俺らの仲間っスからね、打ち明けとくっス。これ見てください」ガサゴソ

スネーク「これは…キーホルダー?しかも随分可愛らしい…」

完二「…それ、俺が作ったんスよ」



376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/03(土) 01:42:50.99 ID:TMYmr8mi0


スネーク「これを…巽が?」

完二「…俺ぁ、可愛いモンが大好きだ。それを隠す必要はねぇって、ようやく覚悟決まったんスよ」

スネーク「…………」

完二「どうっスかね、スネーク先輩。気持ち悪けりゃ笑ってくれて構わねえっス」

スネーク「…いや。笑わないよ、俺は」

完二「……スネーク先輩」

スネーク「苦しかっただろう。そういうことを打ち明ける覚悟がある人間を、俺は笑う気にはならない」

スネーク「…それに、人を見た目で判断するのは俺の最も嫌いな行為だからな」

完二「…あざやっス!」

スネーク「この趣味を特別捜査隊のみんなも知っているのか?」

完二「ええ。もうあの全員にはカミングアウト済っス」

スネーク「そうか…それであの仲の良さか。良い奴なんだな、みんな」

完二「もちろん、スネーク先輩もな」

スネーク「俺も?」

完二「はい。…打ち明けてすぐに受け入れてくれたのに、良い奴じゃねえはずがねえからな」

スネーク「…フッ」





完二「まるで…鳴上先輩みたいっス。話しても変な顔せず、すぐに受け入れてくれたのは」





スネーク「鳴上も?」

完二「そうっス。あの人も俺の趣味にイヤミ一つ言わねえどころか、手芸屋の買い出しまで付き合ってもらったりして…」

スネーク「…鳴上、良い奴だよな」

完二「はい。なんつってもあの人は、俺らのリーダーっスから」

スネーク「そうだな」

完二「…あ、そうだ。よかったらその『あみぐるみ』あげるっスよ。もらってください」

スネーク「あみぐるみ…ああ、このキーホルダーか」

完二「仲間の印っス。大事に扱ってくださいね!」

スネーク「了解した。学校のカバンにでもつけさせてもらおう」

完二「はいっス!」





店主「そこのお二人さん、頼まれてたのが出来上がったわよ。持っていって」

スネーク「おお、ちょうどいいな」

完二「んじゃ、俺は揚げもんをおふくろに届けてくるんで…なんか成り行きっスけど、話聞いてもらってあざっした!」

スネーク「ああ、俺もお前と話ができてよかった」

完二「うっス!そんじゃまた!」

スネーク「またな」



377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/03(土) 02:48:48.66 ID:TMYmr8mi0


スネーク(巽は帰っていった…)

スネーク(そこの簡易テーブルでビフテキ串を食べ終えたら、少し休んでまた町中散策を続けるとしよう)





スネーク「…ふう、食ったな」

スネーク「さて、また商店街を回ってみるとするか」

スネーク「そういえばだいだら.の先にも駄菓子屋があったんだっけな…行ってみるか」





四六商店

おばちゃん「いらっしゃい。おや、見ない顔だねえ」

スネーク「この前越してきたんだ」

おばちゃん「そうかいそうかい。見たところ外人さんみたいだけど、駄菓子屋に興味があるなんて珍しいね」

スネーク「異文化交流というやつだな」

おばちゃん「異文化…?おばちゃん難しいことはよく分からないけど、お菓子はどれもおいしいからね。買っていってちょうだいな」

スネーク「ああ。さて、どれを買おうか…」





りせ「あれ、スネーク先輩?」

スネーク「久慈川?」

りせ「スネーク先輩が一人でこんなとこ来るなんて…なんだか新鮮」

スネーク「外人はいたらまずいか?」

りせ「そうじゃないけど…」

スネーク「久慈川は何しに?」

りせ「え?私はちょっと、午後のお菓子の買い出しに」

スネーク「ならちょうどいい。おすすめのお菓子でも教えてくれないか」

りせ「おすすめかぁ…スネーク先輩ってどういう味が好きなの?」

スネーク「味か…」

スネーク(…レーション慣れのせいで、正直何を食っても美味いんだが)

スネーク「そうだな…甘い系とかだな」

りせ「甘い系かー、だったらこの白桃の実とかどう?」

スネーク「これは…おお、甘い匂いが」

りせ「おいしいよ?」

スネーク「そうだな。これを頂こうか」

りせ「なら、私も白桃の実にしちゃおっかな」

スネーク「よし。せっかくだ、一緒にどこかで食べないか?」

りせ「いいよ!それじゃ、お金払ったら高台行こっか」

スネーク「高台…?そんな場所もあるのか」

りせ「あれ、スネーク先輩行ったことない?この町が一望できるの。すごくいい眺めだよ!」



384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 00:49:02.67 ID:wuWyxOvV0


高台

スネーク「ここか」

りせ「いい眺めでしょ?」

スネーク「そうだな。あの辺が商店街で、俺のアパートがあの辺りか」

りせ「ジュネスがあの辺りで、鮫川があそこかな」

スネーク「…なかなかいい場所を教えてもらった。眺めながら白桃の実を食べようか」

りせ「そう?それじゃさっそくお菓子開けよっか」





りせ「…それにしても、スネーク先輩と二人きりかぁ」

スネーク「すまんな、こんな中年と二人で。俺がもう少し若ければな」

りせ「そ、そういうのじゃないけど…誰かとこの高台で二人きりなんて、悠先輩に相談したときくらいだったから」

スネーク「鳴上に?」

りせ「うん、アイドルとしての自分と本当の自分とのギャップに苦しんでた時…ここで悠先輩に思う存分胸の内を聞いてもらったの」

スネーク「…大変だろうな、ただでさえアイドルは外面を取り繕う仕事だ」

りせ「スネーク先輩、アイドルとか詳しいの?」

スネーク「いや、詳しくはないが…テレビなんてそういうもんだろう。万人受けする仮面を被らなければならない、窮屈な世界という印象を持っている」

りせ「そう…そういう感じなんだよね、アイドル業界も。どれだけ苦しくてもスケジュールは休憩を許してくれない…」

スネーク「ストーカーもいたりするのか?」

りせ「そんなの、もう数えきれないくらい」

スネーク「そうか…」

りせ「…でも、そんなアイドルとしての自分も『自分』なんだって…悠先輩のおかげで気づいたんだ」

スネーク「アイドルとしての自分も…?」

りせ「私がアイドルを休業する前、今にも売れ出しそうな後輩の子がいたの。その子、私が止めたら急に人気を伸ばしてきて…」

スネーク「…嫉妬、か?」

りせ「あはは、やっぱ分かっちゃう?」

スネーク「歳の功というやつだ」

りせ「まぁ、嫉妬ってほどのものじゃないけど…かすかに悔しい気持ちが湧いたんだ。でも、初めはそれに気づかなかった」

スネーク「気づかなかった?」

りせ「うん…今思えば、気づきたくなかったんだと思う。アイドルとしての『りせちー』は捨てたはずなのに、って」

スネーク「…それを、本当は捨てきれていなかった?」

りせ「そうなるかな…そんな思いを悠先輩に打ち明けていくうちに、私にとっての『りせちー』がどういうものなのかが分かってきたの」





りせ「今の『久慈川りせ』も私で…アイドルとしての『りせちー』も私。悠先輩は、それに私より先に気づいてた」






スネーク「当事者より先にか…」

りせ「そう。悠先輩って、妙にそういうのを察するのが早いの」



387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 01:13:18.60 ID:wuWyxOvV0


スネーク「…さすがは我らのリーダーだな。相手の本心を相手より先に見抜くとは」

りせ「でしょ?私の本心…それは『私』。『本当じゃない自分』なんてどこにもいないって、気づけたから」

スネーク「大したものだ、その歳でそれを悟るとは」

りせ「えへへ、そうかな…?なんだかスネーク先輩にホメられると嬉しいな…」

スネーク「久慈川は鳴上一筋じゃないのか?」

りせ「そのつもりなんだけどね、なんだかスネーク先輩が聞き上手っていうか…悠先輩に話を聞いてもらってるときと同じような心地良さがあるの」

スネーク「こんな中年相手でもか?」

りせ「…スネーク先輩、さっきから自分を年寄り扱いしすぎじゃない?今でも十分かっこいいと思うな、私」

スネーク「お世辞はいい」

りせ「お世辞じゃないよ、顔の造りはかなりいけてると思う。ズバリ!若い頃はかなり女の子と遊んでたでしょ?」

スネーク「…ザンジバーでは、そんな女もいたがな。結局は食事をすっぽかしてしまった」

りせ「ザンジバー?」

スネーク「昔の話だ」

りせ「でも、やっぱり私の読みは的中してたでしょ?」

スネーク「…少しはな」




りせ「…あれ、話しながら食べてたらお菓子も無くなっちゃったね」

スネーク「そうだな。やはりお菓子を食べながら女子高生とお喋りするというのはいいものだ」

りせ「あはは、オジサンくさーい」

スネーク「現にオジサンだからな」

りせ「ふふ……あっ、そろそろ三時回っちゃう」

スネーク「残念だな、お時間か?」

りせ「そうだね…三時からお店の手伝いしないといけないから、残念だけどこの辺でね。バイバイ、スネーク先輩!」

スネーク「ああ、またな」



388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 01:44:37.79 ID:wuWyxOvV0


スネーク(久慈川と別れた…)

スネーク(流れでお菓子を頬張ってしまったが、昼の分と合わせるとだいぶ腹が重いな)

スネーク(街へ降りて、少し歩き回るとするか…)





稲羽市中央通り商店街

スネーク「また町へ降りてきたが、どこを見て回ろうか」

スネーク「…お、タバコの自販機があるな」

スネーク「顔は素のままだし…大丈夫だろう、ちょっと日本製を吸ってみるか」

スネーク「どれどれ、セブンスターにマルボロにキャビンに…」





??「おい、買わないんならどいてくれ」





スネーク「ん?…おお、失礼」

??「あんた、この辺じゃ見ない顔だな」

スネーク「この前引っ越してきた者だ」

??「引っ越し?そういえば、悠が外国人の転校生が来たとかいってたが…息子さんがいたりするのか、あんた?」

スネーク「そんなものはいない。それに悠って…鳴上のことか?」

??「なんだ、あんた悠の知り合いか」

スネーク「知り合い…といえばそうなるが。あんたは?」

堂島「俺か?俺は、悠を預かってる堂島という者だが」

スネーク「堂島…ああ、あんたがあの堂島さんか。話は鳴上からよく聞いている」





??「堂島さ~ん、タバコ買うのにいつまでかかってんですか~?早くしてくださいよ~!」





スネーク「…向こうから走ってくるあいつは?」

堂島「ああ、あれは俺の部下だ。足立という」

スネーク「…言っちゃ悪いが、かなり頼りなさそうな面構えだな」

堂島「やっぱり分かるか…まぁご想像通りの男だよ、あいつは」

足立「ちょっと堂島さん、いつまで……あれ?そこの外人さんは?」

堂島「おお、この人は悠の知り合いの…そういえば名前を聞いてなかったな。名前は何て?」

スネーク「スネークだ。ソリッド・スネーク」

足立「…!!」

堂島「スネーク?確か転校生もスネークだと聞いたような…ああそうか、アメリカではファーストネームが後ろだったな」

スネーク「そうだ。おそらくそのスネークというのは俺の親族の奴だろうな」



389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 02:08:36.47 ID:wuWyxOvV0


堂島「そうかそうか。まあよろしく頼む」

足立「…………」

堂島「足立?どうした、眉間にシワ寄せて」

足立「…いえ、ちょっと」

堂島「とにかく、タバコはもう買ったから大丈夫だ。行くぞ」

足立「…はい」

堂島「スネークさん、だったか。悠には会ったら言っておこう」

スネーク「ああ」

堂島「よかったら今度遊びに来い、悠の知り合いなら歓迎だ」

スネーク「いいのか?それじゃ、機会を見て悠に話しておくよ」

堂島「それで…できたら菜々子の遊び相手も頼みたいんでな」

スネーク「菜々子?」

堂島「俺の娘だ。女房はずっと前に事故で死んでしまってな、いつも仕事ばかりでかまってやれなくて…」

スネーク「片親か…大変だな」

堂島「今はほとんど悠やその友達に遊び相手をしてもらってしまってるんでな…」

スネーク「そうか…俺でよければ手を貸そう、いつでも言ってくれ」

堂島「ありがたい。そのうちお願いするよ」

足立「…堂島さん、話が長いですよ。さっさと行きましょう」

堂島「おお、そうだな…それじゃあな、スネークさん」

スネーク「うむ、鳴上によろしく言っておいてくれ」



390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 22:00:26.41 ID:wuWyxOvV0


スネーク(堂島さんと足立さんは行ってしまった…)

スネーク(あの人が堂島さんか)

スネーク(…考えてみれば俺は、鳴上達と友人として付き合っているとはいえ実年齢が奴らの保護者並みだからな…)

スネーク(…それに、あの足立とかいう頼りなさげな男が話の途中で目つきを変えたのも気になる)

スネーク(まぁ…気にしてもどうにもならんか、会ってすぐの相手なんて)

スネーク「…さて、俺も適当に何箱か買うか」

スネーク「一応ライターを持ち歩いといてよかったな」


ジュボッ


スネーク「フー…」

スネーク「…む、なんだかあまり味が無いな」

スネーク「日本のは口当たりがよほど軽いらしいな…ヘビースモーカーには向かんようだ」





直斗「スネークさん」

スネーク「ん?おお、白鐘か」

直斗「散歩していたらあなたを見かけたのですが…そうですよね、考えてみたらあなたはもうタバコが吸えるんですよね…」

スネーク「吸ってみるか?ほれ、一本」

直斗「い、いえっ!僕はまだそういうのは…!」

スネーク「ハッハッ、本気にするな。冗談だ」

直斗「だったら渡さないでくださいよ…!」

スネーク「悪いな。生真面目そうな人間はからかいたくなるタチなんだ」

直斗「悪趣味な…」

スネーク「頭の回転が早いのは結構だが、それゆえ頭でっかちでは本末転倒だぞ?」

直斗「…それくらい、自分でも分かってます」

スネーク「『単純軟弱石頭』…お前を見ていると、あいつを思い出す」

直斗「た、たんじゅんなんじゃく…!?」

スネーク「これは別にお前のことを言ってる訳じゃないぞ、昔の知り合いに俺がつけたあだ名だ」

直斗「でも、今思いっきり『僕を見てると思い出す』っていいましたよね…!?」

スネーク「似てる部分がなきにしもあらず、という意味だよ」

直斗「…あなたという人は、本当に読めない人間だ…」



391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/05(月) 22:30:07.75 ID:wuWyxOvV0


スネーク「会話の主導権も握りやすい…ますますあいつ似だな」

直斗「…あ、あなただって!嘘つきの捻くれ者の、カッコつけのスカした…!」

スネーク「…反論までそっくりとはな。ますます他人とは思えん」

スネーク「冷静なようでいて、いざとなるともろい。言葉を額面通り受け取りがちで、意外に人付き合いが不得手…」

直斗「うっ…」

スネーク「…顔だけは妙に整ったところなんかもそっくりだな」

直斗「顔…?」

スネーク「そうだ。俺は今言ってるのは…俺が学校へ行くときに被ってる覆面の顔の奴のことなんだよ」

直斗「それって…あの金髪の?」

スネーク「そう、名を雷電と言ってな。俺の知り合いでは一番若く見えそうな顔だから使ってたんだ」

直斗「雷電さん、ですか…?」

スネーク「知りもしない奴をさん付けするのか?面白い奴だな」

直斗「ええ、まあ…」

直斗「…それにしても、今のあなたの言葉…まるで心の中を覗き見られているかのような感覚でした」

スネーク「フッ、そこまで当たっていたか?」

直斗「ええ。受け入れたつもりでも、いざ他人に言われてみるとショックは多少なりあるものですね…」

スネーク「受け入れた…というのは?」

直斗「そのままの意味ですよ。僕は…そういう固い考えしかできない人間だったんです」



392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/06(火) 02:29:13.65 ID:K2j//39A0


直斗「スネークさんの言う通り、僕は少し前までこんなに多くの人と仲良くなれるなんて思ってもみなかった」

直斗「なんでも一人でこなそうとして…とにかく事件を解決することしか頭になくて…」

直斗「それで、解決すればきっと警察の人は僕を認めてくれるだろうって…誰かに必要とされたくて…」

スネーク(…やはり、賢そうに見えても心はまだ子供か…)

直斗「…そんな気を張り続けた捜査の最中に、特別捜査隊の皆さんと出会いました」

スネーク「休める場所が…見つかったんだな」

直斗「はい。…僕自らを囮として犯人をおびき寄せたのはよかったんですが、まさかあんな『殺し方』だとはまだ知らなかったので…」

スネーク「さすがに驚いた、と」

直斗「そうですね…それで、テレビの中でもたもたしていたら…皆さんが助けに来てくれたんです」

直斗「理屈抜きで僕がいていい場所…僕が欲しかったものを、皆さんは無償で与えてくれた」

直斗「ペルソナを得て、事件の真相に向けて全員で団結して…」

スネーク「…かけがえのない絆を手に入れた、ってところか」

直斗「僕の柄じゃありませんけど…そういう感じですね、有り体に言えば」

スネーク「本心は寂しがり屋なのに、それを打ち明けられない…か」

直斗「…それもまた、雷電さん似ですか?」

スネーク「ああ。奴も本当は一人でいるのが寂しいくせに、他人を寄せつけるのを怖がっていた」

スネーク「そのせいで、今はかつての恋人と不仲になっているらしいが…」

直斗「…………」

スネーク「…おっと、辛気臭い話になってすまんな」

直斗「いえ。…恋人、ですか」

スネーク「そうだ。…探偵とはいえお前もティーンエイジャーだろう、彼女はいたりするのか?」

直斗「…………」

スネーク「どうした?」

直斗「…この際です。もうスネークさんは僕らの仲間ですから…後から入ったスネークさんだけ知らせないのはダメですよね」

スネーク「何のことだ…?」





直斗「僕は……女なんです」





スネーク「…何?」

直斗「言った通りですよ。僕は、女です」

スネーク「お…女!?」

直斗「ええ。他の皆さんには、僕がペルソナを得る過程でなし崩し的に知られてしまったのですが…」

スネーク「だが、その服装やら言葉づかいやらはどういう…!?」

直斗「それが…僕が今乗り越えなければならない課題、ですかね」



398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/06(火) 22:10:47.03 ID:K2j//39A0


直斗「…少し前までは、男性に支えられて生きるような女性としての生き方が嫌いでした」

直斗「ですが、あの人が…鳴上先輩が教えてくれた…」





直斗「男だとか女だとか、そんなこと関係ない。支えられて生きることは、人として当たり前のことなんだって…」





スネーク「支えられて生きる…か」

直斗「…実を言うと、僕のお祖父様が仕組んだ謎解きがきっかけでした。それを鳴上先輩と一緒に解いていって…」

直斗「…それを通じて、僕に友人ができるようにって…」

スネーク「気の利いたおじいさんじゃないか」

直斗「ええ、僕もお祖父様にはいつも裏をかかれてばかりで…今回もそうでした」

直斗「そうしていって、鳴上先輩と一緒に謎を解くという行為に…心を躍らせている自分がいることに気づいたんです」

スネーク「…それは、果たしてどっちの感情かな」

直斗「どっちの、って…?」

スネーク「単純に友情か…はたまた男女の愛情か」

直斗「…………」

スネーク「まぁ、深くは聞かんさ」

直斗「…後者である可能性を、否定はしませんよ」

スネーク「そうか…頑張れよ。前途は多難かもしれんがな」

スネーク(…倍率的な意味で、な)

直斗「ありがとうございます。僕もこれから考えてみます、そういうことにどう向き合っていくか…」




400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/07(水) 00:32:48.40 ID:h+Mdc/ek0


直斗「…フフ、らしくないな…いつもの僕ならこんなに自分のことを打ち明けるなんてしなかったはずなのに」

スネーク「お前は変われた、ということだろう」

直斗「自分以外の人に言われると、なんだかむず痒いですね…でも、不思議と悪い気はしないや」

スネーク「仲間だからな。これからも、困ったことがあったらいつでも頼ってくれよ」

直斗「ええ、今度の機会に射撃訓練でもお願いしようかな。退役軍人に指導してもらえれば百人力だ」

スネーク「いいだろう。脇の閉め方からツーハンドホールドの指の位置まで、きっちり教えてやるさ」

直斗「フフッ…ありがとう。スネークさん」

スネーク「…笑った顔がかわいいな。さすがは女の子、といったところか」

直斗「え…っ」

スネーク「今度は冗談じゃないぞ?」

直斗「そ、それは…!その…!」

スネーク「おいおい、そう顔を赤くするな。最後までからかい甲斐のある奴だな、まったく」

直斗「……意地悪……」

スネーク「イジワルもコミュニケーションの一つ、と言ってな」

直斗「…ハハッ。本当に読めない人だ、あなたは…」





直斗「それでは…そろそろお暇しましょうか。あなたと色々話ができてよかった」

スネーク「ああ、俺もお前に関して色々知れてよかったよ」

直斗「…それ、変な意味にも受け取れるんですけど」

スネーク「ご想像に任せよう」

直斗「なら、まともな意味であることを祈りますよ。…また明日学校で会いましょう、スネークさん」

スネーク「ああ、また明日」



401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/07(水) 00:57:30.89 ID:h+Mdc/ek0


スネーク(白鐘と別れた…)

スネーク「…おっと。話しながら吸っていたらもうこんな本数を…」

スネーク「それに…そろそろ夕方だ、どこかで夕飯を買って帰るか」

スネーク「この辺のスーパーは…」

スネーク「…そうだ、この前紹介されたジュネスにでも行ってみるか。品揃えが豊富だったからな、惣菜もたくさんあるだろう」










ジュネス八十稲羽店 食品売り場

スネーク「…改めて見渡すと、随分広いな。安いし品揃えも豊富…これじゃ町の商店街も廃れる訳だ」

スネーク「さて、適当に惣菜をいくつか買って帰るか」

スネーク「…ん?あそこにいるのは…オタコンか?」





オタコン「野菜が安いなー、さすが地元商店街を席巻したスーパーだね」

オタコン「トマトにナスにレタスにカボチャに…」

オタコン「…お、キャベツが半額だ。この一玉が最後の一個か…買っとこ」


ギュッ


オタコン「ん?…君は…?」

??「…そのキャベツ、さっきから取ろうとしてたんだけど手が届かなかったの」

オタコン「ああ、君が先に取ろうとしてたのかい?それじゃしょうがないね、ほら」

??「…ありがとう、おにいさん!」

オタコン「いやいや、困ったときはお互い様だよ。それじゃあね」





スネーク「オタコンの奴、あんな小さい女の子に鼻の下伸ばして何をやってるんだ…」

陽介「あれっ?スネークじゃねえか、そこにいんの」

スネーク「お前…花村。ああそうか、ここはお前のテリトリーだったな」

陽介「テリトリーって言い方はどうよ…まあいいや、買いに来てくれたんだな!ちょうど今夕方のタイムセール中だからさ、色々見てってくれよ!」

スネーク「ああ、そのつもりだ。惣菜とかで安いのはないか?」

陽介「惣菜かぁ…んじゃちょっくらチーフに頼んで、割引シール貼るの前倒しにしてきてやるよ!ちょっと待ってろよな!」

スネーク「よろしく頼む」



402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/07(水) 21:52:58.15 ID:h+Mdc/ek0


スネーク(花村は走っていった)

スネーク「…さて、オタコンはと」





??「おにいさん、がいこくのひと?目の色があおいんだね」

オタコン「うん、仕事でちょっと日本にね。地元の八十神高校って所で教師をしてるんだけど」

??「やそがみこうこう…あっ、それ菜々子のお兄ちゃんが行ってるがっこうだよ!」

オタコン「お兄ちゃん?」

菜々子「うん、『なるかみゆう』っていうの!」

オタコン「鳴上悠…ああ、君はあの鳴上君の妹さんだったんだね。僕も知ってるよ、鳴上君」

菜々子「ほんとに?それじゃ帰ったら、お兄ちゃんにおにいさんのこと話しておくね!」

オタコン「僕も先生だからね、なるべく印象良く話してもらえると嬉しいな」

菜々子「はーい!キャベツを取ってくれた親切なひとって言っておくからね!」

オタコン「はは、そりゃいいな。…ところで、君は一人で買い物に?」

菜々子「うん、お父さんとお兄ちゃんが帰ってくる前にゆうはんのおかずを買っておこうと思って」

オタコン「偉いね。その歳でもう家事の手伝いを?」

菜々子「…菜々子のお母さん、事故で死んじゃったの。だから、菜々子がしっかりしないといけないから」

オタコン「そ…それは、なんというか…変なこと聞いちゃって悪かったね」

菜々子「ううん、気にしてないからいいよ。もうなれちゃった」

オタコン「…歳とは裏腹にしっかり者なんだね。僕の妹を思い出すよ」

菜々子「おにいさんにも、いもうとさんがいるの?」

オタコン「いた、と言う方が正しいんだけどね…数年前に死んでしまったんだ。でも、自慢の妹だった」

菜々子「…ごめんなさい、思い出したくなかったよね…」

オタコン「いや、気にしないでくれ。それに僕だって…その、君のお母さんのことを聞いてしまったからね、おあいこってことで」

菜々子「うん…」

オタコン「…だめだめ、せっかく可愛い顔をしてるんだからそんな暗い表情しちゃ。もっと笑わなきゃ、菜々子ちゃん」

菜々子「え、菜々子…かわいい…?」

オタコン「うん、将来はきっと美人さんになるよ。だからほら、スマイルスマイル!」

菜々子「う…うん、スマイルスマイル!」



403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/07(水) 22:54:09.78 ID:h+Mdc/ek0


スネーク「…おいオタコン、さすがにそんな小学生くらいの女の子を口説くのはまずいんじゃないか」

オタコン「あれ、スネークも来てたのか」

菜々子「おじさん、だれ?」

スネーク「俺はスネークだ。…話の内容は俺の地獄耳が捉えていた、君は鳴上の妹だそうだな」

菜々子「うん。おじさんもお兄ちゃんの知り合い?」

スネーク「ああ。それに昼間、君のお父さんにも会った」

菜々子「お父さんにも?」

スネーク「そうだ、タバコを自販機で買おうとしたら偶然な」

菜々子「スネークおじさんもタバコ吸うの?なんだかお父さんそっくり」

スネーク「風体はな。俺も思った」

オタコン「菜々子ちゃんのお父さん…ということは、例の鳴上君を預かってる叔父さんのことだね」

スネーク「そうだ。もう少し喋りたかったんだが、一緒にいた刑事が何やら急かしていて話せなかった」

オタコン「そのお父さん、君と同じくらい…って訳でもないか。君の老化を考えると…」





陽介「おーいスネーク、少しだけど惣菜に値引きシール貼ってもらったぜー!…っと、菜々子ちゃんじゃねえか」

菜々子「あっ、陽介お兄ちゃん!」

陽介「あれ、しかもハル先生まで?」

オタコン「こんにちは、花村君。実家の手伝いかい?」

陽介「はい、今タイムセール中なんで!バンバン買ってってくださいね!」

オタコン「言われなくても、もうカゴが野菜でいっぱいだよ。ははは」

陽介「それで…おい、スネーク」

スネーク「どうした?」

陽介(…お前、菜々子ちゃんとハル先生の前で素顔晒して大丈夫なのかよ?)

スネーク(菜々子ちゃんに関しては…少し難はあるが、オタコンに関しては大丈夫だ)

陽介(オタコン?)

スネーク(…そうか、オタコンは生徒にハル先生と呼ばせているとか言っていたな。あいつをハル先生なんて呼ばなくていい、オタコンと呼んでやれ)

陽介(オタコンて…元ネタが分かんねーよ)

スネーク(ともかく、オタコンは俺の正体を知っている人間だ。詳しくは話せんが…察してもらえるとありがたい)

陽介(…そうか。なら深くは聞かねーさ)

オタコン「二人とも、何ヒソヒソ話してるんだい?」

陽介「あ、いや別に何でもないっす!オタ……じゃなくてハル先生!」

オタコン「…………」

菜々子「…おにいさん?なんだか顔がこわいよ…」

オタコン「…スネーク」

スネーク「どうした」

オタコン「吹き込んだね…?」

スネーク「何のことやら」



413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/08(木) 01:14:50.45 ID:3KYPSoef0


オタコン「…花村君」

陽介「え…そ、そんなマジな顔しないでくださいよ…」

オタコン「僕を『オタコン』とは呼ばないようにね?あくまで僕は『ハル先生』です」

陽介「そのメガネクイッがなんか怖ぇ…」

オタコン「返事は!?」

陽介「は、ハイッ!」

スネーク「…この二人は置いといて…時間がもう遅い、菜々子ちゃんは帰った方がいいぞ。お父さんが心配する」

菜々子「え?う、うん…そうだね」





オタコン「…ということで、スネークも余計なこと言わないようにしてくれよ!」

スネーク「まぁ…気をつける」

オタコン「花村君も!鳴上君達に言ったりしないように!」

陽介「う、うっす…」

スネーク「で、菜々子ちゃんが一人で帰るには暗い訳だが…オタコン、お前家まで送っていってやれ」

オタコン「まったく、すぐ話を逸らす…」

陽介「そうだな…前に悠が、菜々子ちゃんと夜に出かけて堂島さんに怒られたとか言ってたし」

スネーク「鳴上がオタコンは知ってるから、怪しい者とは思われないだろう。ほら早く、遅くならないうちに行け」

オタコン「しょうがないな…それじゃ菜々子ちゃん、一緒に帰ろうか」

菜々子「うん、よろしくね!」

スネーク「…ただ、オタコン。変な気は起こさないようにな。堂島さんに殺されるから」

オタコン「バカ言うなよ」



416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/08(木) 19:22:53.83 ID:3KYPSoef0


スネーク「…さて、オタコンと菜々子ちゃんは帰ったようだな」

陽介「スネーク、さっきも言ったけど惣菜に値引きシール貼ってもらってあるぜ」

スネーク「ありがとう、さっそく見にいってみる」

陽介「……あのさ、スネーク。このあとちょっといいか?」

スネーク「このあと?まあ別に用事は無いが…お前は仕事があるんじゃないのか?」

陽介「今は一時間休憩もらってる最中からさ、仕事は大丈夫なんだ」

スネーク「そうか。…で、何の用だ?」

陽介「用、っつーか…話を聞いてほしいんだよな」

スネーク「俺にか?」

陽介「ああ」

スネーク「相談されるのは悪い気はしないが…もっと腹を割って話せるお前の相棒がいるだろう。俺のような親父が相談に乗ってやれるかどうか」

陽介「いやいや、人生経験あるからいいんだって!そういう方面でちょっと聞いてほしいことがあったもんで…」

スネーク「…そうか」

陽介「…それに…その相談ってのが、悠に関することだからさ」

スネーク「鳴上の?」

陽介「そう、悠に関する…なんつーか、まあ…」

スネーク「…こんな場所で立ち話もなんだ、どこか落ち着ける場所へ行こうじゃないか」

陽介「お、おう、そうだな。んじゃ…フードコートでも行くとするか」



422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/09(金) 02:38:25.89 ID:d7uaZD3b0


ジュネス フードコート

スネーク「で、相談とはなんだ」

陽介「…俺さ、悠の相棒ってことでみんなには把握されてんだけど」

スネーク「それがどうした」

陽介「俺…拭えねえんだ、どうしても自分が相棒より劣ってる気がして…」

陽介「みんなを上手くまとめる力も無いし、いざという時にあいつほど冷静じゃいられないし…」

スネーク「自分に自信が持てない、と」

陽介「まぁ…いざ言われてみると結構グサッとくるな、それ…」

陽介「…本当に肩並べられてんのか、俺には分かんねえんだ。それで大人から見た意見が欲しくて…」

スネーク「…お前達と付き合いだして日が浅いから多くは言えんが、傍目には息が合っているように見えるんだがな」

陽介「そう…かな?」

スネーク「そうだ。戦場で背中を預るほどの仲というのは、得てしてオーラが違うものだ」



426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/09(金) 23:41:30.72 ID:d7uaZD3b0


陽介「戦場?スネークって、元軍人…かなんかなのか?」

スネーク「当たらずとも遠からず、だな」

陽介「そうか…ところで話変わるけど、スネークにも今までの人生で相棒って呼べる奴とかいたのか?」

スネーク「相棒、か…」

陽介「おう、やっぱ風体からして海千山千の気配がスゲーし」

スネーク(…単独潜入は自分だけの力で生き抜くのが当たり前だ。そんなものがいるはずもない)

スネーク(…と、思っていたんだが。考えてみれば俺もだいぶ助けられていたのが真実だ…)





『ん?もしやここまでこれたのは自分一人の力だと思っているのか?』

『見ていられないぞスネーク。歳をとったな』

『スネーク、そこは防弾ガラスだ!通常兵器では爆破できない!今から扉のロックを解除する、待っててくれ!』

『すまなかった。メリルの命と引き換えに協力を強いられていたのだ。…さあ、爆撃中止命令を出そう。これで後戻りはできんな…』





スネーク(…………)

スネーク(…助けあって生きる、か)

陽介「…スネーク?眉間にシワ寄ってるぜ」

スネーク「む…すまん」

陽介「それで、いるのか?」

スネーク「…相棒というほどではないが、背中を預けた奴ならいる。お前も見たことのある顔さ」

陽介「え、俺も…?」

スネーク「俺が学校へ行くときに被っている覆面があるだろう?あの顔さ」

陽介「あの顔…ああ、あれか」

スネーク「奴はまだひよっ子だったが、自分なりに頑張って俺についてきていた」

スネーク「奴も…苦しい過去を背負った男だった。その過去と決着をつけるために、命をかけて戦っていた」

陽介「過去…」

スネーク「自分が何者なのか分からず、苦しみながらの戦いだったようだ。そんな中でも決意だけは一人前だったのをよく覚えている」

スネーク「愛した女性さえ信じられなくなりながらも、未来を見据えて諦めることだけはしなかった」

陽介「…なんだかその人、俺に似てんな。過去…愛した人…自分の本当の姿…」





『私、ずっと花ちゃんのこと…ウザいと思ってた。仲良くしてたの、店長の息子だから都合いいってだけだったのに』

『てか、何もかもウザいと思ってんのは自分のほうだっつーの…ハハッ!』

『商店街もジュネスも全部ウゼーんだろ!?そもそも、田舎暮らしがウゼーんだよな!?』

『…こんな田舎でつまんねー生活送ってる自分を…忘れたかった。事件に飛びついて、俺は見ようとしなかった…』





陽介「……小西先輩……それに、俺のシャドウが言ってたことも……」



427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/10(土) 00:06:33.60 ID:yF+/EoRH0


陽介「過去のことも小西先輩のことも……分かったつもりで何も分かっちゃいなかった」

陽介「だから俺は、相棒のことを……」

陽介「……相棒?」

陽介「……そうか、だから俺は……」





陽介「……俺は、誰よりも相棒に認められたかったんだ……」





スネーク「…フッ。表情が吹っ切れたな」

陽介「ああ。スネークと…その人のおかげだよ」

陽介「その人もつらかっただろうな…俺も分かるんだ、好きになった人とすれ違うことの苦しさ…」

陽介「…でも、その人は俺よりマシだ。それを見つめて歩き出せたんならさ」

陽介「俺は…それを見ようともしなかった。なのに悠の相棒なんか気取って、万能なあいつのそばにいるのを誇ってた」

陽介「誰かの“特別”で初めて…自分に意味があると思ってたから」

スネーク「…だが、それは少し違うとお前は感じている」

陽介「えっ…」

スネーク「人は皆、生きていれば気付かないうちに誰かの“特別”になっているものだ。それがまさしく、お前と鳴上の関係のように」

陽介「…へへ、さすがに歳重ねてるだけあんな」

スネーク「俺も…生まれた瞬間から業を抱えて生きている身だからな。あの男との“特別”…いや“宿命”を」



433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/10(土) 21:02:13.46 ID:yF+/EoRH0


スネーク「大切にしろよ、花村。自分の出自をな」

陽介「ああ。住んでる場所は関係ねえ、俺にはもうこの町にかけがえの無い仲間がいて…この絆は一生モンだ」

陽介「……俺、分かった気がするよ」

陽介「あいつと…相棒と肩並べるにはどうすればいいのか」

陽介「今度、あいつを鮫川にでも呼んで頼んでみる」

スネーク「頼む…?」

陽介「…殴ってもらいてえんだよ、相棒に」

陽介「俺ん中のぐちゃぐちゃしたモン全部ふっ飛ばすために、あいつに殴ってもらえば…なんか掴める気がするんだ」

スネーク「殴ってもらう…なるほどな」

スネーク「俺もかつて、ある男と殴り合いをしたことがある。そいつは昔信頼していた上司で…今度は敵同士として会いまみえてしまったがために」

陽介「スネークも?」

スネーク「だが、心は妙に清々しかった。敵と味方の垣根を越えた何かが俺達を突き動かしていたんだ」

スネーク「…地雷原の中であるというのに、そんなことすら気にならないほどに夢中で殴り合った」

スネーク「殴り合いが終わったあと、奴はとても晴れやかな顔をしていたよ」

スネーク「…拳で語る、という言葉もある。時には理屈ではなく、そういった行為の先に掴める何かがあるというのは…俺もよく分かる気がするんだ」

陽介「すげぇ殴り合いしたんだな…」

陽介「でも…スネークもそういう経験があるってんなら、尚更だぜ」

陽介「屁理屈こねる前に、まずは一回相棒にぶん殴られてくる。それで初めて…俺は相棒と対等だ」

スネーク「…いい目だな、花村」



434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/10(土) 22:21:08.21 ID:yF+/EoRH0


陽介「おうよ!……話、聞いてもらってありがとな。マジ感謝してる」

スネーク「大した事は言っていないさ。お前が自分で気づいたことだ」

陽介「それでも、な。なんつーか…スネークの言う言葉の一つ一つがスゲー重みがあるから」

スネーク「買いかぶり過ぎだな」

陽介「んなことねぇよ。生きてる時間の長さがどれだけ重要か、って…俺もようやく分かってきたからさ」





陽介「…さて、日も暮れてんのに長々と悪かったな。俺おごるからさ、よかったらここで晩メシにビフテキ食ってってくれよ!」

スネーク「おいおい、せっかく惣菜に値引きシールを張ってもらったのに俺に買わせなくていいのか?」

陽介「あ、そうだったっけ……まあいいじゃねーか、俺がおごりたい気分だからってことで!」

スネーク「…そうか。ならお言葉に甘えるとしよう」

陽介「うっし!じゃ、俺はビフテキの金払いながら仕事戻るからよ、出来上がったらあそこで受け取って食ってくれよな」

スネーク「了解した。お前も仕事頑張れよ」

陽介「おう!スネークも夜道だから帰り気をつけろよ、襲われるなんてあり得ねぇと思うけど」

スネーク「奇襲には慣れている。心配には及ばん」

陽介「へへ、面白れー奴だな。…んじゃまたな、スネーク!」



435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/10(土) 23:05:56.68 ID:yF+/EoRH0


スネーク(…花村は仕事に戻ったようだ)

スネーク(花村におごってもらったビフテキを食べ終え、今日は帰路についた…)





夜 アパート

スネーク「…今日は、ずいぶんいろんな奴と話ができた」

スネーク「あの歳で、みんなそれぞれが自分の人生とはどういうものかを真剣に考えているようだな」

スネーク「それに、全員が口を揃えて相談した相手…」

スネーク「鳴上…俺も興味が湧いてきた。明日にでも少し話を聞いてみるとするか」


ドンドン!!


スネーク「うおっ、なんだまた…オタコンか?ノックくらいもっと静かにできんのか」

オタコン「スネーク、大変だ!」

スネーク「菜々子ちゃんのことで堂島さんにドヤされたか?」

オタコン「ふざけてる場合じゃない!ほんとに重要なんだ、中で話させてくれ!」

スネーク「おいおい、なんだっていうんだ…」


ガチャ


オタコン「ハァ…ハァ…!」

スネーク「どうした、息なんか切らして」

オタコン「堂島さんの家から走って帰ってきたからだよ!もうほんと、驚いた…!」

スネーク「驚いた?」

オタコン「…スネーク、落ち着いて聞いてくれ」

オタコン「さっき菜々子ちゃんを送りにいったら、鳴上君も堂島さんもいたんだ」

オタコン「それで、学校の先生ってことで堂島さんと玄関先で話をしていたんだけど…」

オタコン「…流れで聞いたんだ。どうやら今日、稲羽署で臨時の健康診断があったらしい」

オタコン「そしてその診断内容には、注射を使用するものもあったみたいなんだ」

スネーク「……まさか」

オタコン「そう。鳴上君達の話を聞いてから『注射』って聞いて嫌な予感がしたんだ…」

スネーク「まさか…堂島さんも?」





オタコン「その通り。気になって『愛国者達』と言ってもらったら…やはり『らりるれろ』と口にした」

スネーク「…くそっ!どうなっているんだ!?」



436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/10(土) 23:22:46.05 ID:yF+/EoRH0


オタコン「それだけじゃない。思い返してみれば、僕が八十神高校に来る以前の予定表に『職員健康診断』という項目もあった」

スネーク「ということは…」

オタコン「…八十神高校の職員も、全員ナノマシンが入っていると考えるべきだろうね」

スネーク「…………」

オタコン「君達の英語のテストであんな問題が出たのも、『愛国者達』の一種の挑発か何かだと考えれば合点がいく」

スネーク「…だが、奴らは何が目的だというんだ?こんな日本の、しかもかなりの田舎の…」

オタコン「こんな土地の住民をナノマシン統制…確かに何がしたいのかは分からない」

オタコン「けど、奴らが関わっている以上はただじゃ済まない。それだけは確かだ」

スネーク「ああ。とにもかくにも、真犯人をさっさと見つけださなければ…!」

オタコン「今後もまたこの町で健康診断が行われるかもしれない。あるいはすでに行われているか…明日、僕はその辺りの情報を徹底的に洗ってみる」

スネーク「ああ、頼む。俺は…またとりあえず大佐に状況を報告するとしよう」



438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/11(日) 01:47:07.98 ID:ZHWbohWw0


ピピピピピピピ ピピピピピピピピ

大佐【私だ】

スネーク「大佐、またしてもこっちでナノマシンを注入された人間が出てきた」

スネーク「そっちでは本当に何も情報が無いのか?こっちで明らかになる情報が多すぎるぞ…」

大佐【ナノマシンの件だな、それについてはこちらにも情報が入ってきている】

大佐【そのナノマシンは医療用だ。近頃そちらでは急に深い霧が出る日があり、その霧を浴びると身体の具合を悪くする者が出るらしい】

大佐【その霧の対策として町の役所が導入したものだ。『愛国者達』の関与は無い】

スネーク「バカな、日本の片田舎にあるような役所がナノマシンなど知るはずがないだろう」

大佐【そんなことはない。ナノマシンは様々な方面で役に立つことから、今や世界規模で利用者が増えているのだ】

スネーク「戦争経済が激化してきている途上国でなら分かるが、日本でか…?」

スネーク「…それに、事実として俺の学友が『らりるれろ』と発音しているんだ。それはどう説明する?」

大佐【ナノマシンはアメリカが製造している以上、初めからその言語統制が組み込まれているのは仕方がないことだ】

スネーク「おいおい、それでよく『愛国者』達の関与が無いと言い切れたもんだな…」

大佐【しかし個人の情報が愛国者達のAIに流れることはない、と解析されている。これを解析したのはメイリンだ】

美玲【スネークったら、私が調べた情報なのに信用してくれないの!?】

スネーク「メイリン!?いたのか!」

美玲【当たり前でしょ、オタコンから私のこと聞いてなかったの?】

スネーク「いや、それは聞かされていたんだが…」

美玲【だったら信じてよ!データアナリストとしての私の腕前は知ってるでしょ?】

スネーク「それは…そうなんだが…」

美玲【私の作ったソリトンレーダーが無かったら、シャドーモセスであなたはどうなってたのかな~?】

スネーク「…分かった分かった」

大佐【安心しろ、スネーク。もし万が一『愛国者達』の関与が判明したらすぐにコールする。君は任務に集中してくれ】

スネーク「…なんだか腑に落ちんが…まあいい、そういうことなら頼んだぞ。大佐、メイリン」

美玲【任せといて!】

大佐【心得た。それでは引き続き頼むぞ、スネーク。オーバー】

スネーク「ああ、オーバー」



440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/11(日) 05:49:04.05 ID:eHK7qqfQo

怪しい匂いがプンプンする



448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/12(月) 01:14:56.18 ID:jjSX/beK0


スネーク「…おかしい。口には出さずとも、今の内容を信じろというのは正直言って難しい話だ」

スネーク「オタコンにでも相談してみるか…外に出よう」


コンコン


スネーク「おいオタコン、開けてくれ」

オタコン「何だい、まだ話でも?」

スネーク「ああ。大佐とメイリンのことについてだが」

スネーク「…どうもおかしいんだ。この町での健康診断には医療用のナノマシンが使われてるとか、『愛国者達』の関与はあり得ないとか言っているもんでな」

オタコン「ナノマシンが医療用…?それに『愛国者達』の関与が無いなんて、そんなはずないじゃないか」

スネーク「それは俺も言ったんだ。だがまあ、なんだ…メイリンの勢いに負けてしまってな」

オタコン「メイリンまでそんなことを…」

オタコン「…なんか既視感があるね、その通信は」

スネーク「…やはりか…俺もそうではないかとは思っていたが…」






オタコン「…ビッグシェルで雷電を指揮していた『大佐』。あれを奴らが性懲りもなくまた引っ張りだしてきたのかもしれない」

スネーク「考えたくはなかったがな…」

スネーク「…仕方がない。今後はもう『大佐』へのコールはしないようにする」

オタコン「それが賢明だね」

スネーク「だが…そう考えると、俺達はまんまと奴らの思惑通りに動いたことになるぞ」

オタコン「…『大佐』と『メイリン』によって、僕らはこの町に呼び出された…」

スネーク「そうだ。そしてそこではナノマシンを注入された人間が数を増やしつつある」

オタコン「…住民を操って、総出で僕らを殺しに来させるとか?」

スネーク「無きにしもあらずだが、それならもっと選定された人間を寄越すだろう」

オタコン「それもそうか…」

スネーク「ともかく、奴らの狙いがよく分からん。ここからどう動くべきか考える必要があるな」

オタコン「…まさかアメリカに逃げ帰る訳にもいかないしね。この町を『愛国者達』絡みに巻き込んでしまった以上、しっかり決着をつけてから帰るのがせめてもの礼儀かな」

スネーク「そうだ。それに、今の俺には見捨てたくない奴らがいる」

オタコン「…君の口からそんな言葉が出るなんて…」

スネーク「鳴上達…あいつらの人生に興味が湧いた。今までは他人の人生に興味を持ったことなど無かったんだがな」

オタコン「そのスネークに興味を持たせるなんて…彼ら、将来は大物になるかもね」

スネーク「自分の中の苦しいことから逃げない。見つめて、共に歩む。そんじょそこらの大人よりよっぽど肝の据わった連中さ」

スネーク「あいつらのためにも、そしてあいつらが大事にしている住民のためにも…俺はこの町を『愛国者達』のくびきから解き放つ」



450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/12(月) 02:06:42.10 ID:jjSX/beK0


スネーク「…そうだ、お前にも存在だけは教えておこう。『テレビの中の世界』について」

オタコン「テレビの中だって?」

スネーク「俺が転校してすぐに行方不明になったのは、そのテレビの中に入っていたからなんだ」

オタコン「…君、頭だけ急速に老化が進んでるとかじゃないよね?」

スネーク「ふざけて言ってるんじゃない。本当にテレビの中に『入れる』んだ。ペルソナという能力を覚醒させた者なら、この町のテレビの中に入ることができる」

スネーク「…そこにテレビがあるな。実際に見せた方が早い、俺の手に注目していろ」


スッ…


オタコン「うわ…な、なんだこれ!?」

スネーク「だから言っただろう。テレビの中に『入れる』と」

オタコン「そんなバカな…!」

スネーク「バカもアホもない。今お前が見ている光景は事実だぞ」

オタコン「…君もつくづく、こういうオカルトテイストの濃い事件と縁があるね。目の当たりして尚信じられないよ」

スネーク「それは自分でも思った」

オタコン「はぁ…まあいいや、とりあえずその『テレビの中の世界』とやらは理解したよ」

スネーク「よし。では次の段階だ」

オタコン「次…って、まだ何かこういう手品の類でも見せてくれるのかい?」

スネーク「そうじゃない。この『テレビの中の世界』が、この町の連続殺人にどう関わっているかという話だ」

オタコン「連続殺人と…何か関係が?」





スネーク(オタコンにこの『テレビの中の世界』と連続殺人の関連性を簡単に説明した…)





オタコン「…この『テレビの中』に人を入れると、その人物のシャドウとやらが出てくる」

オタコン「それを悪用する奴がいて、入れられた被害者達はシャドウに対して身を守る術もなく、最初の二人は殺されてしまった…と」

オタコン「そして鳴上君達は、そんな被害者を助けるためにペルソナ能力を使って何人もの被害を未然に防いできた」

オタコン「で…この前も、スネークは鳴上君達に助けられたってことだね」

スネーク「大体そんな感じだな。…考えてみれば、俺は犯人に会っているんだな」

オタコン「君、犯人と話を…!?」

スネーク「そうなんだが…なんと言えばいいのか、あの男から純然たる悪意を感じなかったんだ。そういうのを感じ取るのは俺の得意とするところなんだが…」

オタコン「よくいるだろ、そういう犯罪者は。自分は正しいことをしてると信じて疑わない類の奴さ」

スネーク「テレビに入れているのは間違いなくあいつだが…なんだ、この違和感は…」

オタコン「というか、だったら顔も覚えてるんだろ?町中を片っ端から探したらどうなんだい」

スネーク「それはそうなんだが…」



451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/12(月) 02:28:42.85 ID:jjSX/beK0


オタコン「…でもまあ、顔見られちゃったんじゃ犯人も町から姿を隠してるだろうけど」

オタコン「殺人事件の犯人を見つけるのも大事だけど、『愛国者達』の真意を掴むのも忘れないようにしてくれよ」

スネーク「うむ…」

オタコン「とりあえずお互い明日は学校がある身だ。今日は休もう」

スネーク「…そうだな。ナノマシンの新しい注入を防ぐことと、犯人をまた見つけて追いつめることが課題か」

オタコン「そうなるね。…じゃ、僕は布団敷いて寝るから。ほら早く、帰って帰って」





スネーク(自室に戻り、今日のところは寝ることにした…)



452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 00:58:02.25 ID:csc5RK/k0


翌日 八十神高校

スネーク(…気がかりが多すぎて授業が頭に入らん)

スネーク(まあ元々聞く必要もないんだが)

スネーク(どうしたものか…やはり連続殺人と『愛国者達』には何らかの繋がりがあると考えるべきだろうか)

スネーク(…………)

スネーク(…そうこうしている間に、時間はもう昼休みだな)





昼休み

スネーク「昼飯か…弁当を作る余裕もなくて、結局はコンビニで買って済ませてしまったな」

鳴上「スネーク」

スネーク「…鳴上か」

鳴上「今日は弁当を自作してきたんだが、よかったら一緒に屋上で食べないか?」

スネーク「ほう、それはいいな」

鳴上「…なんだ、缶詰を卒業したかと思ったら今度はコンビニ弁当なのか。よかったら俺のを少し分けてあげるよ」

スネーク「それはありがたい、これだけじゃ足りそうにないと思っていたところだ」

鳴上「よし。じゃあ屋上へ行こう」





屋上

鳴上「スネークが好きそうなのを個人的に想像して、カリフォルニアロールを作ってきてみた」

スネーク「カリフォルニアロール?…ああ、日本の『スシ』をアメリカが見よう見まねで作ったというアレか」

鳴上「かなりいい出来だと思うんだ。食べてみてくれ」

スネーク「では、お言葉に甘えて……」

スネーク「……む。これは……」

スネーク「……美味い!いけるなこれは!」


ピロリロリン


スネーク「ん?今、頭の上に何かが…」

スネーク「…まあいい、とにかく美味い!全部食べてしまいそうだ…!」

鳴上「ははっ、俺の分も2、3個残しておいてくれよ」

スネーク「む、済まん…ちょっと調子に乗り過ぎた」

スネーク「…しかしまあ、お前は本当に万能人間だな。料理は美味くてリーダーシップがあり、成績優秀で色男…」

鳴上「お褒めに預かり光栄だ」

スネーク「それに、特別捜査隊のみんなもお前に支えられている部分がかなり大きい。昨日聞いた話では…」

鳴上「昨日、みんなに会ったのか?」

スネーク「ああ。それぞれが抱える自分の中の葛藤との戦いに、お前が幾度となく道を示してくれたと」

スネーク「お前と話すことで、道が開ける。そんなようなことをみんなが言っていた」

スネーク「…大したもんだ。人を導く能力…人を統率する能力…そういう力がその歳にして備わっているとは」



458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/14(水) 00:24:02.61 ID:KNldgASi0


鳴上「そんな大層なものじゃない。俺はただ一言二言の助言をしてやっただけだよ」

鳴上「…なあ、スネーク。よかったらスネークのことも聞かせてくれないか」

スネーク「俺のこと?」

鳴上「ああ。こうして仲間になったんだ、いろいろと相手のことを知っておきたいからさ」

スネーク「…………」

スネーク「……お前は、クローン生物というものを知っているか?」

鳴上「クローン?細胞から生物を人工的に作り出すっていう、あの…?」

スネーク「そうだ、そのクローンだ」

鳴上「知ってるよ。クローン羊のドリー、だっけ?有名じゃないか」

スネーク「…だが、そのドリーより先に。歴史には記録されず、人知れずクローンとして生み出された生物がいた」

鳴上「…………」

スネーク「そのクローンは…よりにもよって『人間』だった」

スネーク「滑稽な話だろう?未だ禁忌とされている『人間のクローン』が、事実上この世界で初めて誕生したクローンだったんだ」

鳴上「…まさか、スネーク…」

スネーク「察しがいいな」





スネーク「俺は…クローン人間だ。かつて『恐るべき子供達』という、最強の兵士を生み出す計画があった」





スネーク「鳴上、『ビッグボス』という名前を聞いたことはあるか?」

鳴上「ビッグボス…覚えがある。アメリカで『英雄』、一方では『狂人』とも呼ばれた伝説の傭兵…」

スネーク「…俺は、そのビッグボスのクローンなんだ」

スネーク「最強の兵士になるべく生み出された俺は、今まで数多くの戦場を潜らされてきた」

スネーク「死にかけたことも一度や二度じゃない。だがその都度、何とか生還を果たしてきたよ」

鳴上「…………」

スネーク「…どうだ、荒唐無稽だと思うか?」

鳴上「いや…信じるよ。目が嘘をついてない」

スネーク「大概、お前も変わり者だな」

スネーク「まあ…そういう出自なもんでな。俺は今まで、自分の人生というものを客観的にしか見てこなかった」

スネーク「だが、お前達を見てからそれに疑問が生じるようになったよ」

スネーク「俺は…人と干渉しないことで自分を守ってきたつもりだった。だが、それとは正反対の生き方をしているのがお前達だったんだ」

スネーク「関わらないことで自分を守るのではない。繋がることによって、支え合いながら全員で守り合って生きていく…」

鳴上「…人は、一人じゃ生きていけない。それは俺もこの町に来てから学んだよ」

鳴上「自分じゃできないことをしてくれる仲間がいて、仲間にできないことをしてやれる自分がいる…」

鳴上「弱いことを隠す必要はない。それと向き合えるかどうか、それこそが『人の可能性』ってものだと思うんだ」

スネーク「可能性…か」

スネーク「自分で抱え込むだけが全てじゃない。苦労を分かち合える仲間がいてこそ、という訳か…」

スネーク「…フフッ。なんだかお前を目の前にすると、不思議としゃべるつもりのないことまでペラペラ口から出てしまうな」



459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/14(水) 00:46:19.10 ID:KNldgASi0


鳴上「よく言われるよ」

スネーク「そうか。…これが、お前の人を導く能力の片鱗ということか」

スネーク「…なぜだか気分が晴れやかだ…礼を言っておこう、鳴上」





鳴上(スネークとの間に、ほのかな絆の芽生えを感じる…)

鳴上(…よし、これでスネークコミュの開始だな。対応するアルカナは…)

鳴上(…『世界』?)

鳴上(…………)

鳴上(『世界』…そういえば『世界』のペルソナなんて見たことがない。ペルソナ全書にも項目すら無かった)

鳴上(これは…どういう…)





スネーク「…さあ、そろそろ昼休みも終わりだ。そろそろ教室へ戻ろう」

鳴上「え?あ、ああ…」

スネーク「どうした、考え事か」

鳴上「まあ、ちょっとね」



469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/14(水) 22:40:36.04 ID:KNldgASi0


放課後 教室

スネーク「さて、オタコンからの連絡はまだない。鳴上達にも言っておきたいが…」

鳴上「スネーク、放課後空いてたりするか?一緒に買い食いでもどうかな」

スネーク「おお、鳴上。買い食いか…たまにはいいな、そういう高校生らしいのも」

スネーク(オタコンの連絡は、帰ってからアパートで聞けばいいだろう…)

鳴上「じゃあ…そうだな、惣菜大学でもどうだ?」

スネーク「いいだろう、行こうか」





惣菜大学

スネーク「…しかしなんだ、ここの店はかなりスジの多い牛肉を使っているな…」

鳴上「噂じゃ、そもそも牛肉じゃないとかいう話も聞くけどね」

スネーク「それは…大したもんだな、いろんな意味で。田舎だから安価なだけで売れるのは分かるが」

鳴上「確かに肉はアレかもしれないが、ここの特製コロッケは本物だよ」

スネーク「特製コロッケか、いつも売り切れで滅多に買えないらしいな」

鳴上「俺も何回か買えたけど、雨の日なんかが狙い目だな。スネークも今度買ってみたらどうかな」

スネーク「雨の日とはな…外に出るのが億劫そうだが、今度買いに来てみるか」

鳴上「…………」

スネーク「…………」

鳴上「……なあ、スネーク」

スネーク「何だ」

鳴上「スネークは、これまでの人生で…一人でいる時間の方が多かったんだよな?」

スネーク「…そうなるな」

鳴上「その時、一人でいる自分を顧みて……」





鳴上「……自分が、空っぽな存在だと思ったりしたことはないかな?」





スネーク「空っぽ…?」

鳴上「…俺も、この町へ来る前はかなり虚無的な人生観をしていたんだ」

鳴上「でも、ここのみんなと出会って…変われた。気付いた。人と繋がることで、こんなにも心が満たされるものなのかって…」

鳴上「だから……俺は……」

鳴上「……未だに怖いんだ。みんなと楽しく過ごせるのは、この一年間だけなんだと思うと……」

スネーク「…悲観することはない。お前を慕うみんなの姿を見ていて、たかだか距離の差で薄れるような絆じゃないのは俺もよく知っている」

鳴上「そうかもしれない。でも、俺は前にそういう幻覚をシャドウに見せられたことがあって…」

鳴上「…絶望的だった。仲の良かった人間と疎遠になることを、極端に恐れている自分に気付かされた」

鳴上「その時はなんとか、一緒に戦っていたみんなのおかげで幻覚から抜け出せたけど…この焦燥感だけは消えないまま残ってる」



470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/15(木) 00:08:25.38 ID:99hmFTwK0


鳴上「『君は一人』…あのシャドウの言った言葉が忘れたくても忘れられなくて…」

スネーク「…鳴上。お前に一つだけ言っておいてやろう」





スネーク「言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ」





鳴上「言葉の…持つ意味…?」

スネーク「ああ。この世に数多溢れる甘言や欺瞞…それらは断片的な『言葉』の群れでしかない」

スネーク「それに、誰も自分が何者であるかなんて答えられはしないさ」

スネーク「お前が…お前自信が信じたもの。大切だと思えること」

鳴上「俺が、大切だと思えること…?」

スネーク「そうだ。そしてそれを、自分で選び取るということ。誰かが決めるもんでもない」

スネーク「正しいかどうかではない。正しいと信じる、その想いこそが未来を創るんだ」

鳴上「正しいと信じる…想い…」

スネーク「お前には仲間がいる。結んだ絆がある。それはきっと…どんな嘘や虚飾をも振り払い、真実を照らし出す力を秘めているはずだ」

鳴上「…そうか。そうだよな」

鳴上「…大切だと思えることを、正しいと信じる想い…」

鳴上「…ありがとう、スネーク。忘れかけていた何かを思い出せた気がする」

スネーク「お前の役に立てたのなら、幸いだ」

鳴上「…不思議な感覚だな。こんなに自分のことを誰かに話したのは初めてかもしれない」

鳴上「誰かの話を聞いてあげることはあっても、自分の話を聞いてもらうことなんてなかった…」

スネーク「…お前は、頼られる存在だ。苦しくなったら誰かを頼れ。俺でも、お前の相棒でも…誰でもいい」

スネーク「お前が言ったんじゃないか。『人は一人では生きられない』…とな」

鳴上「ああ。そうだったな…」

鳴上「…スネークも、なかなか人を導く能力があるみたいじゃないか」

スネーク「…お前が行った言葉をそのまま返そう。『俺はただ、一言二言の助言をしただけさ』」

鳴上「ははっ…似た者同士なのかもな、俺達って」

スネーク「そうかもしれんな」



471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/15(木) 02:19:57.31 ID:99hmFTwK0


鳴上(スネークとの絆が、また少し深まった気がした…)

鳴上(…………)

鳴上(…なっ!?これは…!)

鳴上(どういうことだ…!?今の会話でコミュがMAXに…!)

鳴上(スネークのペルソナは進化していないし…)

鳴上(…うっ!なんだ…頭が…!)





ベルベットルーム

鳴上「…ここは、ベルベットルーム…?」

イゴール「手荒な招き方になってしまい申し訳ございません。お客様に一つ、ご忠言しておくことがございましてな」

イゴール「今、あなたは『世界』コミュという本来なら存在し得ないコミュニティを育んでおられる」

鳴上「存在し得ない…?」

イゴール「…この先、お客様が歩まんとする旅路に『未知の要素』が加わろうとしております」

イゴール「あくまで人間の域を出ない。なのにも関わらず、我々でさえその全体像を計りかねる『強大な何か』が」

マーガレット「…だからこそ、その『世界』コミュを司る人物。大切にすることね」

マーガレット「その人物こそが、主の仰った『強大な何か』に抗うための鍵になると…占いには出たわ」

鳴上「強大な何か…?それに、スネークが鍵って…」

マーガレット「…その人物は、すでに『自分が何者であるか』という問いに答えが出ている人間なの」

マーガレット「だからあなたの相談を待たずしてコミュニティが最大になったのよ」

マーガレット「全てを悟った人間は、わずかな言葉で相手の何もかもを理解する…そんなところかしら」

マーガレット「それに、彼のペルソナは進化しないのではないわ。障壁はとうの昔に乗り越えているから…ペルソナを発現した時点で、すでに上位形態だったというだけの話よ」

マーガレット「それだけに留まらず、あなたの悩みにまで道を示してみせた…本当に面白い人間だわ。ソリッド・スネーク」

イゴール「これ、マーガレット。余計なお喋りは慎みなさい」

イゴール「…さて。急なお呼び立てにも関わらず伝えられる内容がこの程度で申し訳ありませんが…」

マーガレット「…ここから先は、あなたの手で答えを導き出してちょうだい」

イゴール「では…お客様のご健闘をお祈りしつつ、意識を元に戻させていただくとしましょう」





鳴上「…………」

スネーク「おい、鳴上。大丈夫か?」

鳴上「え!?…あ、ああ…」

スネーク「眠っているというか気を失っているというか…そんな表情で硬直したから、こっちも驚いたぞ」

鳴上「すまない」

スネーク「思いの丈を吐き出して疲れたか?無理はするな、今日は帰って休んだらどうだ」

鳴上「…悪いけど、そうさせてもらおうかな」

スネーク「分かった。また明日学校で会おう、それじゃあな」

鳴上「ああ。またなスネーク」



475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/15(木) 23:09:45.13 ID:99hmFTwK0


夜 アパート

スネーク「鳴上…万能なように見えて、あいつもやはり人の子だったということか」


コンコン


オタコン「スネーク、いるかい?」

スネーク「ああ、入っていいぞ」

オタコン「それじゃ、お邪魔します」


ガチャ


オタコン「…スネーク、例の健康診断の件についてだけど」

スネーク「何か分かったことはあるか?」

オタコン「幸いにも稲羽署・八十神高校職員の健康診断以外にそれらしい情報は無かった」

スネーク「…そうか。だがもう手がかかっている以上、半端なままで済むはずはないぞ」

オタコン「そうだろうね…今後また健康診断が行われそうになったら、なんとか屁理屈こじつけてでも止めさせないと」

スネーク「それが厳しい所だがな。どう言えば関係機関を説き伏せられるのやら」

オタコン「ネックなんだよね、そこがほんとに…事実を言って信用されるはずもないし…」

スネーク「しかしまあ、ひとまず予定が無いのならいいだろう。こっちとしても焦らなくて済む」

オタコン「それもそうだね…」

オタコン「…ところでさスネーク。八十神高校では近々『文化祭』が開かれるらしいけど、スネークはどうするんだい?」

スネーク「文化祭…?」

オタコン「そっちのクラスでは出し物とか決めてないの?職員室はその話題で持ちきりだったよ、特に柏木先生がミスコンミスコンうるさくてもう…」

スネーク「柏木って…俺の担任の?」

オタコン「そうみたいだね。『ミス八高コンテスト』…水着姿で男子の観客相手に審査会だってさ」

スネーク「あの女、どう見ても四十前後だと思うんだが…そんなのに出るつもりなのか?」

オタコン「…まあ、僕もあのはしゃぎ方はどうかと思ったけど。せっかくのお祭りなんだしいいんじゃない?」

オタコン「それに女子のミスコンだけじゃなくて、男子のミスコンもあるらしいよ」

スネーク「だ、男子のミスコン…!?」

オタコン「そう、その名も『ミス?八高コンテスト』。まだ参加者は集まってないらしいけどね」

スネーク「当たり前だ、誰がそんな下らん出し物に好き好んで出場するもんか」

オタコン「そう言わずにさ。ちょっと雷電の顔で出場してみたらどうだい?話のタネになると思うよ」

スネーク「…他人事だと思ってるな、その顔は」



476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/15(木) 23:29:26.83 ID:99hmFTwK0


オタコン「まあ、正直言うと僕が見てみたいからってだけの話なんだけどね」

スネーク「…お前にこれ以上揚げ足取られるネタが増えるのは御免被る」

オタコン「残念だなー。面白いと思うんだけど」

スネーク「面白いのはお前だけだろ…とにかく、俺はそんなもんに出るつもりはない」

オタコン「仕方ないな。じゃあとりあえずミスコンの話を置いといて、文化祭そのものはどうするんだい?」

スネーク「…特に用も無いが」

オタコン「多分明日くらいにクラスで出し物決めが始まると思うから、楽しみにしときなよ」

スネーク「まともな出し物になればいいがな…」

オタコン「もしかしたら、花村君辺りが超変化球な案を出してくるかもね」

スネーク「そうなったら全力で阻止する」

オタコン「ハハ、せいぜい頑張ってね。…じゃ、僕はそろそろ自分の部屋に戻るよ」


バタン


スネーク「ハァ…健康診断に関する情報も無いらしいしな…」

スネーク「…仕方ない、暇潰しにその文化祭にでも付き合うとしよう」

スネーク「こういう時、十代のテンションについていけてない自分を実感するな…」



477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/16(金) 00:09:03.26 ID:cSms8G3A0


翌日 八十神高校 ホームルーム

男子生徒「えー、知っての通り来週末は文化祭です」

男子生徒「そして知っての通り、うちのクラスはまだ出し物が決まっていません」

スネーク(案の定か…)

男子生徒「もー、みんなやる気無いでしょー?」

女子生徒「今出てる案から決めちゃうから、各自一票投票してくださーい」

女子生徒「読み上げまーす。『休憩所』、『ビデオ上映室』、『自習室』…」

千枝「うわ、ほんとにウチのクラスやる気ないんだね…」

陽介「ま、楽な分いいんじゃねーの?」

女子生徒「最後…『合コン喫茶』」

スネーク「…!!」

陽介「おいおい、誰だよ提案したの。里中辺り?」

千枝「違うっての!何を根拠に言ってんのよ、ったく…」

雪子「合コン喫茶、って何…?」

千枝「知らんけど…まあ誰も投票しないっしょ。ウチのクラス、こう見えて根はマジメな人多いし」

陽介「そうそう、あくまでネタだって。1つキワモノ混ぜとくのってお約束じゃん?」

千枝「それ…入れたのお前かよ!」

鳴上「…意外と当たりかねない気もするが」

スネーク「花村…お前…」

女子生徒「じゃ投票用紙回しまーす。一個だけに丸つけてねー」





スネーク(誰が合コン喫茶など選ぶものか…!)

スネーク(どう考えても全会一致で『休憩所』だ、そうに決まっている!)

スネーク(…くそ、これだから高校生の考えることは…!)





男子生徒「えー、それじゃ投票用紙集まったんで開票しまーす」

男子生徒「1票目!合コン喫茶」

スネーク(くそっ…!)

男子生徒「2票目…合コン喫茶」

男子生徒「あ、ありゃ…マジで…?」

男子生徒「3票目、ビデオ上映室…4票目、合コン喫茶…」

男子生徒「合コン喫茶、自習室、合コン喫茶、合コン喫茶、合コン喫茶…」

陽介「げ…」

男子生徒「…えー、非常に悲しい結果となりました」

男子生徒「合コン喫茶…得票数一位です」

陽介「ちょ…おいおいおい、どうすんだよこれ…」

千枝「お前のせいだろっ!」



479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/16(金) 00:30:00.98 ID:cSms8G3A0


千枝「てか、入れた奴らも何考えてんだか…自分らでやるってこと分かってんのかな」

雪子「私、合コンって行ったことなかったから興味あったっていうか…」

千枝「うお、入れた人!?」

鳴上「実は俺もだ」キリッ

千枝「え、鳴上君まで…!」

千枝「…そ、そうだ!スネーク君はまさか投票なんかしてないよね!ね!」

スネーク「当たり前だ!お前らよくも…!」

陽介「ちょ、そんなキレんなよ!…大丈夫だって、やればなんとかなるだろ!」

スネーク「…やりたくなかった」

雪子「そんなこと言わないの!スネーク君、お互い頑張ろうね!」

スネーク「天城、合コンの意味くらい調べておけ…」

千枝「はあ…常識人はあたしら二人だけかぁ」

男子生徒「とりあえず投票の結果、出し物は『合コン喫茶』に決まりました…」

男子生徒「てか、これ本当に大丈夫なのか…?選んだからにはちゃんとみんな手伝えよー」





スネーク(…不本意ながら、どうやら俺のクラスの出し物は『合コン喫茶』に決まってしまった)

スネーク(…………)

スネーク(はぁ…もう溜め息しか出んぞ…)





昼休み

スネーク「…鳴上、お前正気か」

鳴上「割と正気だ」

スネーク「真顔で言うか…」

鳴上「…お、あれは」

スネーク「…掲示板?」

女子生徒「うわ、柏木ってミスコン出んの!?マジひくわー」

男子生徒「アイツが主催引き受けてた理由、これだったんだな…」

鳴上「…ミスコンの参加者が張り出されてるみたいだな」

スネーク「…………」

鳴上「見に行こう、スネーク」

スネーク(…本当は行きたくない)

鳴上「どれどれ、参加する女子は…」

鳴上「…なっ!?」

スネーク「どうした?…お、おい!こいつは…!」

スネーク「『参加者一覧・里中千枝、天城雪子、久慈川りせ、白鐘直斗』だと…!?」



480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/16(金) 00:57:50.46 ID:cSms8G3A0


女子生徒「うわ、あの久慈川さん出んの!?マジで芸能人空気読めよ…」

男子生徒「あ、天城が出るのか…天城の水着姿…」

男子生徒「へー、里中も出んのか。あいつも何気にかわいいからなー」

女子生徒「白鐘直斗…白鐘君ってなんだか男だか女だか分かんない感じだったけど、これ出るんだねー」

スネーク「みんな、思い思いのコメントをもらっているようだな…」

鳴上「ああ」

スネーク(…オタコンがニヤニヤしながら観覧する様が目に浮かぶな)

陽介「おっす二人とも!…ん、ミスコンの出場者が発表されてるみてーだな」

陽介「てかそんなことよりさ。さっき里中達から、男子全員で屋上来いってメール来たんだけど…」

スネーク「何?…ああ、確かに来てるな」

陽介「割とマジな文面だったんだよな…何かあったのかな?」

陽介「とりあえず完二とかにも声かけといたから、早く行っとこうぜ」





屋上

千枝「どーいうことか、説明してほしいんだけどっ!?」

陽介「え、ちょ、何が…」

千枝「あたしらの名前!勝手にミスコンの出場者にエントリーしたでしょ!」

陽介「その…それは…」

陽介「…い、嫌なら辞退すればいいだろ!ネタで済むんだし…!」

千枝「それが出来ないから怒ってんだっつの!主催の柏木の判断で、他薦でも一度エントリーしたら辞退できないの!」

陽介「え、マジで…?さすがにそういう細かいレギュレーションは見落としてたかも…」

千枝「どーしてくれんの!これでもう出場確定しちゃったじゃんよーっ!」

雪子「花村君…覚悟、決めてね」

直斗「花村先輩、どうしてこうも大事な局面でやらかすんでしょうか」

りせ「…ふふ、ミスコンかぁ」

りせ「ねえ、先輩達は私達にミスコン出てほしい?」

鳴上「そりゃあもう」

りせ「スネーク先輩は?」

スネーク「…あまり気は進まん」

りせ「えー、どうして?」

スネーク「性欲を持て余す」

完二「サラッと下ネタ挟んだな…」



481:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/16(金) 01:15:36.30 ID:x9sSZq8vo

ここでそれ言うかスネークwww



483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/16(金) 23:37:46.88 ID:cSms8G3A0


陽介「とにかくさ、この学校のアイドル天城にトップアイドルのりせ、それに探偵王子だっているんだぜ?」

陽介「これが全員不参加じゃ、ミスコンなんてあり得ねーだろ!な!?」

千枝「ならあたしは関係ないじゃん!」

千枝「……ん……?」

千枝「悪かったぁね、関係なくて!」ドッ

陽介「うごっ!?」

スネーク(…いいコンビだ)

陽介「…痛っつ…それにホラ、あれだ…完二も出てほしいよな!?」

完二「あぁ?別に俺ぁ、んなもん興味ねっス……よ……」

完二「……///」

直斗「?」

陽介「…タツミクンは是非、ナオトクンに出てほしいってさ」

完二「なっ…んなこと言ってねーだろゴラァ!」

千枝「さっきから話逸らしてんじゃないの!あとでキッチリ詫び入れてもらうかんね、花村!」

陽介「ぐお…くっそ、こんな予定じゃ…」

鳴上「いいから出ろ、お前達」

千枝「…え?」

鳴上「いいか、ミスコンというのはだな…!」





スネーク(…鳴上が珍しく声を張り上げている)

スネーク(いかにミスコンに出てほしいかを一通り力説し、鳴上はまた真顔に戻った…)





鳴上「…という訳で、いいから出ろ!!」

千枝「…………」

雪子「…………」

スネーク「鳴上…お前って時々壊れるんだな」

鳴上「それほどでも」

スネーク「褒めてない」

千枝「…あんたらさ、地味に花村に乗っかろうとしてない…?」

りせ「いいじゃん千枝先輩。期待してくれてる人がいるんだから、女の子なら頑張らなきゃ」

りせ「久々に張り切っちゃお。事務所とかはこの際ムシで!」

陽介「そ、そうそう!やっぱそうこなくちゃな!」

千枝「りせちゃん、あんたね…」

陽介「それにさ、クマもこの文化祭楽しみにしてるし」

陽介「てか、元はと言えばクマなんだぜ。俺に女子全員の出場プッシュしたの」

千枝「クマきちもグルか…」



484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/16(金) 23:46:20.91 ID:cSms8G3A0


陽介「スネークもほら、何かこいつらに言ってやってくれよ。性欲持て余してんだろ~?」

スネーク「…まあさっきのは冗談だが、適当に頑張ったらどうだ」

陽介「おいおい、なんだよその素っ気の無さ…」

直斗「…とにかく、決定事項だというのならどうしようもありませんね」

千枝「もー!マジ最悪…!」

雪子「嫌だな、水着なんて…」

りせ「ほらほら先輩達、そんなこと言わないで!一緒に頑張ろ!」

千枝「りせちゃんはスタイルいいから心配ないかもしれないけどさー…」

陽介「詫びならあとでしてやっからさ!ここはひとつ、八高を盛り上げるために頼むよ!」

千枝「はぁ…もうどうにでもなれって感じ…」





スネーク(なんだかんだで女子は全員折れたようだ…)

スネーク(しかし考えてみたら、特別捜査隊の女子勢は妙に顔の整った奴が多いな)

スネーク(ミスコンに出ても差し障りないというのは、本人達にとって幸か不幸か…)



485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/17(土) 00:29:06.12 ID:4bGPTBI30


翌日 昼休み

スネーク「あいつらが出ることになったのはまあ…いいとして」

鳴上「合コン喫茶だな、問題は」

スネーク「ああ…クラスのみんなはろくに準備もしてないし、大丈夫なのかあれ」

鳴上「文化祭なんてそんなもんじゃないか?間際で焦るのも楽しみの一つさ」

スネーク「楽しいのか、それ…?」

スネーク「……む。また掲示板に人だかりができているな」

鳴上「まだ昨日のネタで盛り上がってるのか…ちょっと覗いてみよう」





男子生徒「おっ、噂をすればなんとやらだな!」

女子生徒「鳴上先輩にスネーク先輩、頑張ってくださいね!」

スネーク「頑張る、って…何を…」

男子生徒「なーに言ってんだよ!お前出るんだろ、ミス?コンにさ!」

スネーク「それは…まさか、オタコンが言っていた…!」

女子生徒「スネーク先輩の顔なら、きっと女装したらすごいかわいくなりますよ!」

スネーク「おい待て、俺は出るなんて一言も言ってないぞ!」

男子生徒「だーかーらー、ここの『ミス?コン出場者』にお前達の名前が書いてあるのが見えないのかー?」

スネーク「何だと…!?」

鳴上「『ミス?コン出場者・鳴上悠、花村陽介、巽完二、ソリッドスネーク』…」

スネーク「バカだろ…てかバカだろ…」

陽介「よう二人とも!…おっ、今年も女装コンの発表きてんな。こんなん毎年よくやるもんだよなぁ」

鳴上「…陽介、参加者の欄を見ろ」

陽介「あん?…お、おいおい!なんだよこれ!?」

スネーク「花村…女子に続いて俺達まで巻き込むとはいい度胸だな。そこに直れ、首折りのCQCを食らわせてやる」

陽介「ちょ、こんなの俺知らねえって!第一それだったら自分の名前まで書くワケねーだろ!」

鳴上「それもそうか…」

陽介「俺らが自分からこんなん名乗り出るかっつーの!」

陽介「…待てよ、だったらこれ書いたのって…」

スネーク「まさか…」

陽介「…里中の奴、書きやがったなぁぁぁぁぁぁ!!」



486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/17(土) 01:49:54.19 ID:4bGPTBI30


教室

陽介「おい里中!お前、俺らの名前書いただろ!?」

千枝「え、何が?」

陽介「何がじゃねーよ、女装コンだよ女装コン!」

千枝「ああ、あれね。りせちゃんが『みんなでやった方が楽しいんじゃない?』っていうからさー、つい書いちゃった」

陽介「ついじゃねーよ、オイ…!」

千枝「てか、元はと言えばあんたが勝手にあたしらをミスコンに出すのが悪いんじゃんよ!」

スネーク「里中…書くなら花村だけにしてくれ、なんでよりにもよって俺達まで…」

雪子「でもほら、スネーク君もその覆面の顔なら結構いい成績取れると思うよ?」

スネーク「成績がどうとかじゃなくてな…!」

千枝「男子だって花村にのっかる気だっただしょ、これでおあいこだよ」


ガラッ


完二「ちょっと先輩ら、掲示板のアレはどーいうことっスか!?」

陽介「お前も見ちゃったか…」

完二「よりにもよってあんなのに…俺があんなの出れる訳ねーだろ!」

雪子「大丈夫、ばっちりドレスアップしてあげるから」

陽介「だからそういう問題じゃねーんだよ!」

鳴上「…仕方ない。やるからには全力でやらせて頂こう」

陽介「は…!?」

千枝「おー、鳴上君ノッてきたね。衣装の目利きは大丈夫だって、りせちゃんもいるんだし」

スネーク「おい、鳴上…!」

鳴上「意外と面白そうじゃないか、こういうのも」

完二「面白いかどうかじゃねー!男のプライドの問題でしょーが!」

千枝「はいはい、そのプライドとやらも規則の前では無意味でーす」

完二「しゃらくせえ!だったら柏木に直接言ってやめさせてやんぜ!」

雪子「…完二君、今年は出席が危ないんだよね?先生は怒らせない方がいいと思うな」

完二「う…それを言われると、ちょっと…」

千枝「花村もさ、来年完二君と一緒に授業受けたくなかったら盾突かない方がいいと思うよー?」

陽介「ぐっ…ちっくしょ…!」

千枝「もちろんスネーク君もね。…実は女装コンの名簿出しに行くとき、職員室でハル先生に会っちゃって」

スネーク「オタコン…あいつ…!」

千枝「スネーク君が女装コン出るっていったら、ハル先生ものすごく嬉しそうな顔してたよ」

スネーク「後で締め上げてやる…」



490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/17(土) 15:28:49.09 ID:4bGPTBI30


スネーク(…くそっ!これだけは出るまいと思っていたのに…!)

千枝「とりあえず男子の女装コンも確定ってことで、よろしくねー」

陽介「マジかよ…どーすりゃいいんだよこれ…」

完二「クソ、出るしかねえのかよ…!」

鳴上「頑張ろうな、みんな」

スネーク「だからなんでお前はそうも乗り気なんだ…?」





スネーク(ちょっとした波乱と共に文化祭準備の期間は過ぎていき…)

スネーク(…いよいよ文化祭の開催日がやってきた)

スネーク(オタコンがミスコンを見に来る気まんまんだったのが気に入らんが)

スネーク(…はぁ。仕方ない、学校へ向かうとするか…)





文化祭当日 教室

陽介「…………」

千枝「…………」

スネーク「…………」

陽介「…客、誰もこねぇな」

千枝「そりゃまあ…当初から予想はできてたことでしょ」

陽介「入口で客引きに天城と悠出してるけど、そもそも人通りが少ねーしな…」

雪子「ご、合コンやってまーす…///」

鳴上「合コンやってまーす!」

スネーク「…シュールすぎやしないか、あの二人の客引きって…」

陽介「仕方ねえ、客呼び込むためにサクラでもやるか」

千枝「マジで?」

陽介「おーい、悠と天城もこっち来いよ。一緒にサクラ手伝ってくれ」

雪子「サクラ…?」

陽介「俺らで合コンやってるフリして、客引き込むんだよ」

スネーク「サクラか…だが待て、ここにいるのは男子3に女子2だが」


ガラッ


完二「うース先輩ら、様子見に来た…っス……よ………?」

千枝「…何このすげータイミング」

陽介「ちょうどよかった、完二もサクラ手伝ってくれ!」

雪子「でも、これじゃ男子4の女子2じゃないの?」

スネーク「そうだな…誰か一人を女子にでも回すか」



492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 00:57:00.94 ID:Py3GNh5B0


完二「……」ジー

鳴上「……」ジー

陽介「……」ジー

スネーク「お、おい。なんでお前ら俺を見るんだ」

完二「…こん中じゃ、顔が一番中性的なのはスネーク先輩じゃないスか?」

陽介「だよな」

スネーク「だからこれは覆面で…というか、この声で女の側に回ったら相当ひどいことになる気がするんだが」

鳴上「ハスキーボイスな女も意外といいもんだ」

陽介「意外といいもんだ」

スネーク「こういう時だけお前らの息は合うな…」

千枝「じゃー、スネーク君が女役ってことで。ほら座って座って」

スネーク「おい待て、俺はいいとは言ってないぞ!」

雪子「いいからいいから、意外な結果になりそうで面白いじゃない?」

スネーク「天城…完全に人ごとだと思ってるな…」

スネーク「…仕方ない、一回だけやってやる。だがこれっきりにしてくれよ」

陽介「うっし、じゃあ決まりだな!さっそく始めよーぜ」



494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 01:23:38.84 ID:Py3GNh5B0


スネーク(全員が着席…したのはいいが)

千枝「…………」

雪子「…………」

完二「…………」

鳴上「…………」

陽介「お、おいおいみんな。せっかくの合コンなんだから話そーぜ」

スネーク「明らかに話のネタが無いんだが…」

陽介「合コンのネタ…っつったらまあ、軽くジャブ的な所からだな。まずは趣味とかだろ」

陽介「ほら、女性陣から先に頼むよ」

千枝「なんであたし達から…まあいいや、あたしの趣味はカンフーでーす。あ、観る方ね」

雪子「私は…シャドウ退治、とか?」

完二「いや、それ趣味って呼ばなくねえスか…?」

鳴上「じゃあ次、スネークちゃん…いや、これだとヒネリがないな。スネー子ちゃんでいこう」

スネーク「…は?」

陽介「おお、いいなそれ!ほらスネー子ちゃん、趣味言ってくれよ趣味」

スネーク「お前ら…!」

雪子「ぷっ……スネーク君が、スネー子ちゃん……ふふ、ふふふ」

雪子「…あっははははははははははは!!す、スネー子ちゃん…あははははははははっ!!」

千枝「こんなところで雪子のスイッチが…」

鳴上「スネー子ちゃん、ぜひとも君の趣味が聞きたい」

スネーク「……しゅ、趣味は……潜入です」

陽介「もっと女っぽく!」

スネーク「しゅ…趣味は、潜入でーす」

完二「もっと声を高く!」

スネーク「趣味はぁ、せんにゅうでーす!みたいな?」

鳴上「OK!最高のボイス頂きました!」

陽介「最高の変声だな!」

完二「値打ちモンっスね!」

千枝「ぷっ…さすがにあたしも今のは笑いが…!」

雪子「あははははははは!み、『みたいな』って…ネタ古すぎ…あっははははははははっ!!」

スネーク「……お前ら、後で覚えてろ……」



495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 02:33:04.72 ID:Py3GNh5B0


翌日 文化祭二日目

スネーク(昨日は散々だったな…)

スネーク(結局客は一人も来ず、俺が醜態を晒すだけの結果になった)

スネーク(…だが、今日のはそれ以上になるかもしれんな)

スネーク(ついに来てしまったミスコンの開催日…ああ、本気で出たくない…)





教室

陽介「…かー、マジで来ちまったかこの日が…」

りせ「男子のメイクアップは私達に任せて!とってもかわいくしてあげる!」

千枝「覚悟しろよー?」

完二「ああ…帰りてぇ…」

スネーク「俺も帰りたい…」

雪子「大丈夫、痛くしないから」

鳴上「よろしく頼むぞ、バッチリ仕上げてくれ」

直斗「…スネークさんと巽君辺り、ご愁傷様です…」



496:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/18(日) 02:52:47.46 ID:ln4yWt9Do

しかしこの番長、ノリノリである



497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 02:59:16.16 ID:Py3GNh5B0


クマ「クマもクマも!クマもこのミスコン、野望のために参加することになりました!」

スネーク「クマ…!?いつの間に…!」

陽介「こいつも暇そうだったから、飛び入りで女装コンに参加させといた」

千枝「アンタ、道連れ増やして…」

千枝「…まぁいいか、申し込んじゃったならどうしようもないよね~」

りせ「それじゃさっそく、みんなのメイクアップに取り掛かろー!」





スネーク(…女性陣にメイクアップを施された)

スネーク(それにしても、このメイドのようなコスプレはなんなんだ…)

スネーク(雷電…すまん…)





体育館 ミスコン会場

司会「レディースエーンジェントルメン!文化祭二日目の目玉イベント、『ミス?八高コンテスト』を開始しまーす!」

司会「ではさっそく、今回の参加者達を紹介していきましょう!」

司会「稲羽の美しい自然が生み出した暴走特急、破壊力は無限大!一年三組、巽完二ちゃんの登場だぁ!」

完二「うっス!よろしく頼むっス!」

女子生徒「うっわ、キモッ…!」

女子生徒「何あれ、モンロー気取ってんの?」

男子生徒「これはひどい…ひどすぎる…」

司会「さー、僕も近づくのが恐ろしいんですが…チャームポイントなどはありますか?」

完二「…目、とか?」

司会「おーっと、意外にスタンダードだぁ!」

司会「…しかし、一番手がこれじゃ二番手がかすんでしまいそうで怖いですねー!そんな訳で崖っぷちの二番手をご紹介!」

司会「ジュネスの御曹司にして爽やかイケメン!口を開けばガッカリ王子!二年二組、花村陽介ちゃんの登場だっ!」

陽介「ど、どもー…」

女子生徒「やっばい!」

女子生徒「花村先輩、いい線行くと思ってたのにー!」

男子生徒「や、これ意外といそうで怖いわー」

司会「さー、気合が入った服装ですが…普段からこんな感じで?」

陽介「んなワケねーだろ!」

陽介「……あ、いや……ねーですわよ?」

完二「何スかこれ、ただの見世物じゃねえスか!」

陽介「それ以外の何だと思ってたんだよ…」



498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 03:19:45.91 ID:Py3GNh5B0


司会「僕ももう、おなかいっぱいになってまいりました!続いて三番手、この人の登場です!」

司会「都会の香り漂うビターマイルド、泣かせた女は星の数!?二年二組に舞い降りた転校生、鳴上悠ちゃん!」

鳴上「どうも。スケ番長です」

女子生徒「や、やめてー!」

女子生徒「なんで先輩こんなの出ちゃうのー!?」

男子生徒「うおっ、先輩ってもっとクールな人だと思ってたのに…」

司会「さー、物議を醸す出場ですが…自分で参加を?」

鳴上「当然です」キリッ

陽介「お前なぁ…!」

司会「さあさあ、実に個性的なメンバーが揃って参りました!そんな中での四番手…この人です!」

司会「アメリカから来たイケメン転校生!でも声はハードボイルド!ソリッドスネークちゃんの登場だぁっ!」

スネーク「…ど、どうも…」

女子生徒「おおっ、これは…!」

女子生徒「スネーク先輩、かなり似合ってるー!」

男子生徒「スネーク先輩もかよ…!」

オタコン「ヒューヒュー、いいぞーっ!メイドコス最高ー!」

スネーク(くっ、案の定オタコンも見に来ていたか…)

スネーク(というかあいつ…カメラを撮ってる!?)

スネーク(…帰ったら絶対に叩き壊してやるからな…)

司会「さあ、注目株のスネーク選手!どうやったらそんなイケメンで渋い声になれるんですかー?」

スネーク「そ、それは…トップシークレットだ」

司会「なんと、トップシークレット!?これは残念!」



501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/18(日) 23:45:25.29 ID:Py3GNh5B0


完二「お、スネーク先輩結構イイ感じじゃないスか?」

スネーク「これがイイ感じなのか…!?」

鳴上「白熱した勝負になりそうだな」

スネーク「…お前はまずその竹刀を下ろせ」

司会「さあさあ、最後は飛び入り参加!出場者達のお仲間が登場です!」

司会「自称“王様fromテレビの国”、キュートでセクシーな小悪魔ベイビー!その名も熊田ちゃんだぁ!」

クマ「ハートを、ぶち抜くゾ?」

スネーク「く…クマ…!?」

完二「なんだありゃ…!」

女子生徒「えええ、あれ男の子!?」

女子生徒「か…かわいい…!」

男子生徒「…俺、あれならイケる気がする」

司会「おおっと、スネークちゃんに続いて今度の熊田ちゃんもなかなかの反響っぷりです!」

司会「…ではでは、参加者が全員出揃ったということで!お待ちかねの投票タイムです!」





スネーク(投票が行われた…)

スネーク(…果てしなくどうでもいい待ち時間が過ぎ、開票タイムがやってきた)





司会「さあ、開票も終わったようです!」

司会「今年の『ミス?八高グランプリ』!スポットライトを浴びる優勝者は…」

司会「…大きな支持を集めました、飛び入り参加の熊田ちゃんに決定だぁっ!」

クマ「うひょっほーい!」

スネーク「まぁ、妥当か…」

陽介「惜っしいなー、俺的にはスネークが選ばれてほしかったんだけど」

完二「やっぱそうっスよねー」

スネーク「…俺はお前らに選ばれてほしかったがな」

司会「では、優勝した熊田さん!今のお気持ちを一言!」

クマ「サイコークマ!」

司会「うーん、シンプルイズベストな一言です!優勝の熊田さん、ありがとうございました!」

司会「…さて、『ミス?八高コンテスト』もこれにて閉幕!午後からは本番の『ミスコン』が始まります!」

司会「ではこれにて、午前の部は終了となります!ひとまず解散でーす!」



502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/19(月) 00:20:47.71 ID:getElXwmo

クマの水着審査ぶちあげが無いだと……?



504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/19(月) 00:41:53.56 ID:Tm35450b0

>>502
水着審査のくだり忘れててオタコンに水着審査あるって先に言わせてしまったもんで…orz



503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/19(月) 00:40:43.87 ID:Tm35450b0


教室

スネーク「ああ、やっと終わった…」

鳴上「優勝はクマか。残念だな」

陽介「とにかくよ、なんとか凌いだんだからいいだろ。これで次は女子のミスコンだぜ!」

完二「…な、直斗も水着着るんスかね…」

陽介「それも含めて、午後はじっくりあいつらの水着を拝ませてもらおうじゃねーか」


ガラッ


オタコン「スネーク!見させてもらったよー、かなりいい線いってたね!」

陽介「ハル先生?」

スネーク「オタコン…お前、俺が舞台に上がった時にフラッシュ焚いたのが見えたぞ」

オタコン「そりゃそうでしょ、あんな姿を写真に収めない訳にはいかないよ。後でメイリンやキャンベルにも見せないとね」

スネーク「それだけはやめろ、割と本気で…!」

完二「ハル先生も見てたんスか、女装コン?」

オタコン「そりゃね、みんなの晴れ舞台だから」

鳴上「ということは、俺達の写真も…?」

オタコン「うん。撮ってあるよ」

完二「えっ、ちょ…ふざけないでくださいよ!なんで勝手に撮ってんスか!?」

陽介「完二の言う通りっすよ、俺らの許可も無く…!」

オタコン「ごめんごめん、ちょっとついでに撮っただけだよ。データは削除して残しとくのはスネークのだけにするから」

スネーク「俺のも消せよ…」



506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/20(火) 00:36:51.36 ID:I3kM5XDw0


午後 体育館 ミスコン会場

司会「文化祭二日目のメインイベント!正真正銘の“ミス八高グランプリ”!」

司会「審査が続いています!聞こえますか、この歓声が!」

司会「では次の方!二年二組、里中千枝さん!どうぞ!」

千枝「ど、どもー。里中千枝でーす」

司会「では、自己PRをどうぞ!」

千枝「性格は、おとなしくって…えーと、好きな食べ物はプディングでーす!」

陽介「ウソつけ、肉だろ…」ボソッ

スネーク「あまり言ってやるな、花村…」

司会「ありがとうございましたー!続きましては同じく二年二組、天城雪子さんの登場です!」

雪子「こ、こんにちは。天城雪子です」

雪子「えっと、家は旅館を経営しています。天城屋旅館です。近くへお越しの際はぜひお立ち寄りください」

雪子「日帰り入浴もできますので、何とぞごひいきに…」

司会「はーい、ありがとうございましたー!」

陽介「おお、さすが天城…たたずまいはやっぱ里中の比じゃねえな…!」

オタコン「美人だよねー、天城さん。里中さんもかわいいし甲乙つけがたいなあ」

スネーク「…おい、仮にもお前教師だろ…」

司会「続いてこの方!ご存じ『りせちー』こと、一年二組の久慈川りせさんです!」

りせ「こんにちは!久慈川りせでーす!」

りせ「この町に来て日は浅いけど、とってもいいとこでりせちー幸せだよっ!」

りせ「アイドル、休業中でゴメンね!りせちーも頑張るから応援よろしく!」

完二「…なんであいつ、あんな騒がれるんスかね」

スネーク「それはお前…あいつがアイドルだからだろう」

完二「アイドルか…やっぱ俺にはよく分かんねぇな」

スネーク「…前から思っていたが、お前久慈川にだけ態度が妙に素っ気ないな」

司会「いっやー、生りせちーですよ!ありがとうございましたーっ!」



507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/20(火) 01:24:52.19 ID:I3kM5XDw0


司会「続きましては噂の転校生!一年一組、白鐘直斗さん!」

鳴上「完二、ついに直斗の番だぞ」

完二「ちょ、しー!静かに!」

直斗「し、白鐘直斗…です…」

直斗「こんなコンテストで壇上に上がることになるなんて…その、夢にも思ったことがなくて…」

直斗「何と言えばいいのか…こ、困ったな…///」

完二「お…おお…」

スネーク「巽…お前、久慈川と白鐘で露骨に反応が違うな…」

クマ「ちょっとワケありなのよね、カンジの場合」

オタコン「ワケあり…?」

鳴上「まあ、それはおいおいな…」

司会「それでは、柏木先生・大谷花子さん・里中千枝さん・天城雪子さん・久慈川りせさん・白鐘直斗さん…」

司会「…この個性豊かな6名で競っていただきます!」

司会「今はまだ私服ですが、これから水着に着替えて再び壇上に上がってもらいます!」

司会「それでは、参加者の皆さんが水着に着替えるまで今しばらくお待ちくださーい!」





オタコン「…お、着替え終わったみたいだね」

陽介「くぅ~、早く天城とりせちーの水着姿を拝みてぇ…!」

司会「では、水着に着替えた出場者達に再び登場してもらいましょう!まず一番手、柏木先生!」

柏木「おーっほっほっほ!どうかしらあなた達、この私の水着姿をとくと目に焼きつけなさいな!」

鳴上「うっ…これは…」

スネーク「…きついな、さすがに四十過ぎの水着は」

陽介「え、柏木ってマジで四十超えてたのか…!?」

スネーク「見れば分かるだろう…化粧でごまかせるのは三十までだ」

司会「はい、ありがとうございましたー!では続きまして二番手、大谷花子さんの登場です!」

大谷「どうもぉ、大谷花子でぇす。よろしくねぇ~」

オタコン「…は、吐き気が…」

クマ「クマも吐き気が…」

完二「ちょ、二人ともこんな場所でうずくまんなよ!トイレ行けトイレ!」

スネーク「…しかし、よくあの体格でミスコンに出ようと思ったもんだな…」

陽介「物体Xを完食するツワモノだからな、あの人…」

司会「ありがとうございましたー!では次、ようやくマシな…じゃなかった、三番手の里中千枝さんの登場でーす!」

千枝「あ、あはは…ども…///」

陽介「ほっほー、まあなかなか…」

完二「おっさんかよアンタ」

完二「けど…確かに里中先輩、かわいいっスね…」



508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/20(火) 02:13:30.32 ID:I3kM5XDw0


司会「ありがとうございました!では四番手、天城雪子さんでーす!」

雪子「す、すみません…なんかこんな格好で…///」

陽介「いやー、むしろありがたいよな」

オタコン「天城さん…黒髪が素敵だ…」

スネーク「だからお前な…!」

クマ「ハルセンセーとはいい酒が飲めそうクマね…ノフフ…」

司会「ありがとうございまーす!続々出てくる中での五番手、久慈川りせさんの登場です!」

りせ「やっほー!りせちーだよー!」

陽介「おっ、来た来た!」

完二「何がっスか?」

陽介「りせちーに決まってんだろ!お前は黙っとけ!」

鳴上「…さすがは場数踏んでるだけあって、喋りも流暢だな」

スネーク「この反響はまあ、予想通りだよな…」

オタコン「やっぱりアイドルだけあるねー。写真、保存しとこっ」

司会「ではでは、最後にこの方!六番手の白鐘直斗さんです!」





司会「…あれ?白鐘さーん?」

司会「出て来ませんね…ちょっと様子を見に行ってきます」

陽介「…こうなるか、やっぱり」

鳴上「予感はあったけどな…残念だったな、完二」

完二「え?いやその、まぁ…別に…」

オタコン「巽君、正直に言えばいいのに」

完二「え、いや別に…ほんとマジでその、なんつーか…!」

陽介「キョドりすぎだろ…」

司会「…えー、残念ですが白鐘さんは急きょ棄権ということになりました」

柏木「まーいいわよ棄権しても。ライバルが減るのはいいことよねぇ」

完二「…で、でもまぁホラ。一次審査に出ただけでも頑張った方じゃないスか、あいつ」

スネーク「そうだな」

スネーク「…さて、投票タイムか。お前達は誰に入れるんだ?」

陽介「どうすっかなぁ、天城かりせで悩むぜ…!」

クマ「クマも悩むクマ…みんなかわいくて…!」

完二「…な、直斗に入れてもいいんだよな、これ…」

オタコン「里中さんのボーイッシュな感じもいいし、天城さんのしとやかさも捨てがたい…久慈川さんの明るい雰囲気も…」

スネーク「みんな悩んでいるな…お前はどうだ、鳴上?」

鳴上「誰がいいかな…スネークは?」

スネーク「俺は…そうだな、里中辺りか。なかなかイイと思うぞ」

鳴上「里中か…じゃあ俺は直斗にでも入れてみようかな」



509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/20(火) 02:34:47.50 ID:I3kM5XDw0


司会「…えー、お待たせしました!集計の結果が出たようです!」

司会「集計結果ですが…男子は大きく票が分かれました!ご意見も、それぞれにの参加者に熱いコメントが送られています!」

司会「一方の女性票ですが、こちらが『ある参加者』に集中!これによりその人物がトップに躍り出た!」

司会「優勝は……白鐘直斗さんですっ!!」

司会「彼女の中性的な魅力が、女性票のハートを掴んで離さなかったようですねー!」

司会「では、白鐘さんの表彰をと行きたいところなんですが…白鐘さんは現在、まだ席を外しております」

千枝「あはは、出ないのに優勝とはね…なんか笑える」

りせ「直斗に負けちゃうなんてね…女子の票が必要なら仕方ないかな」

りせ「でもま、あの人達には私達が勝ったってことでよしとしましょうよ。先輩」

柏木「うぅ…この私が…この私が、美しさで負けるなんてぇ…!」

大谷「柏木先生…アタシ、悔しいぃぃぃぃぃぃっ!」

柏木「私もよぉ!大谷さぁんっ!」

大谷「か、柏木先生ぇっ!」

スネーク「…やれやれ、これであの二人も自分達の程度が分かっただろう」

オタコン「いきがりババアと勘違いデブス…ひどいもんだね」

スネーク「…変な言葉覚えたな、お前も…」

陽介「ま、あいつらの水着が見れたから満足だけどな。ああでも完二は満足いってねーかな?」

完二「いや、だからそれは…その…!」

鳴上「…その辺にしといてやれ、陽介」

クマ「終わりクマか…もっとじっくりこってり目に焼きつけたかったクマ」

オタコン「それなら大丈夫、ほら。今度はフラッシュ消してデジカメで撮ってあるから」

クマ「ほ、ほんとクマか!?オヨヨ…ハルセンセぇ~!」





スネーク(かくして、波乱と共に男女ミスコンは終了した…)

スネーク(このあとは普通に文化祭を巡回できるらしい)

スネーク(捜査隊全員で回るようだ。オタコンも連れて露店でも見て回ろうか…)


スネーク「こちらスネーク、八十稲羽市への潜入に成功した」【後編】



転載元
スネーク「こちらスネーク、八十稲羽市への潜入に成功した」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349793214/
このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 今週の人気記事
  • 先週の人気記事
  • 先々週の人気記事

        記事をツイートする

        記事をはてブする

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ