メアリー・スー「ここが見滝原中学校ね」
- 2013年02月16日 14:36
- SS、魔法少女まどか☆マギカ
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- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:00:54.34 ID:xv2ShWMho
和子「はぁいそれじゃ、自己紹介行ってみよう!」
ほむら「……暁美ほむらです。よろしくお願いします」
今日のこの日までは、“いつも通り”だった。
退院する日も転校する日も、今までと変わらなかった。
クラスにはちゃんと、まどかも居る。
それはいつも通り。
なのに……
メアリー「初めまして、メアリー・スーです!これからよろしくお願いします!」- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:07:23.18 ID:xv2ShWMho
・
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女生徒1「ねぇねぇ!その目、カラコンじゃないんだよね?」
メアリー「うん、生まれつきこんな目なんだ」
女生徒2「右目が赤で左目が青、オッドアイってやつだよね!その髪も地毛?
銀色だなんてすごーい!しかも長くて綺麗だし、羨ましいなぁー!」
メアリー「ふふっ、ありがとう」
女生徒3「メアリーちゃんって、結構日本長いの?日本語ペラペラだよねー!」
メアリー「うーん……日本に来たのは去年くらいかな?」
女生徒4「えぇ!?1年でそんなにしゃべれるようになるんだ!」
メアリー「うん、頑張って勉強したんだ!」
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:15:51.10 ID:xv2ShWMho
さやか「っはー、今の聞いた?あの子まだ日本に来て1年だってさ!」
仁美「きっと凄く努力したんでしょうけど、頭も良いんでしょうね。
スタイルも容姿も綺麗ですし、羨ましいですわ」
さやか「身長も、もしかして仁美より……ん?」
まどか「…………」
さやか「ほほう……まどかはメアリーちゃんよりも、
暁美ほむらちゃんの方がお好みですかな?じーっと見つめちゃってさ」
まどか「えっ?」
仁美「まぁ。まどかさんは和風美人の方がお好きですのね」
まどか「ち、違うよぉ、そうじゃなくて!あの子、どこかで会ったような……あれ?」
さやか「お、なんだなんだ?和風美人がこっちに……」
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:22:38.99 ID:xv2ShWMho
ほむら「鹿目まどかさん」
まどか「……へっ?」
ほむら「あなたがこのクラスの保健係よね。
少し気分が悪くなって……連れて行ってもらえる?保健室」
まどか「えっと……う、うん」
ほむら「ありがとう。それじゃあ……」
メアリー「あっ!良かったら、私も付いて行って良いかな?」
ほむら「え……?」
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:31:39.36 ID:xv2ShWMho
女生徒1「メアリーちゃん具合悪いの?だったら私たちも一緒に……」
メアリー「ううん、大丈夫。早めに保健室の場所を確認しておいた方が良いかなって。
それに暁美さんのことも心配だから。すぐ戻って来るから、心配しないで!」
女生徒2「そう?だったら良いんだけど……それじゃあ鹿目さんよろしくね。暁美さんも、お大事に!」
ほむら「いや、あの……」
ここで誰かに付いてこられるのは困る。
まどかと2人きりになるための口実だったのに、誰かが居たのでは話しにならない。
仕方ない……こうなった以上、このメアリーという子の同行を断るのは無理だろう。
まどかとはまた後で、個人的に話そう。
まどか「え、っと……それじゃあ、案内するね」
メアリー「うん、ありがとう!」
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:38:12.00 ID:xv2ShWMho
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メアリー「暁美さん、体調大丈夫?心臓の病気だったんだよね?」
ほむら「……えぇ、大したことはないわ」
まどか「えっと……暁美さん?わたしが保健係だって、どうして……」
ほむら「…………」
“早乙女先生から聞いた”……そう答えたいのだけど。
メアリー・スーが居る以上、そんな嘘は……
メアリー「早乙女先生から聞いたの。ね、暁美さん?」
ほむら「……!」
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:46:06.51 ID:xv2ShWMho
まどか「あっ、そうなんだ」
ほむら「……えぇ、その子の言う通りよ」
どういうこと……?
そんなこと、この子も聞かされていないはず。
なのにどうして、私に都合の良いような嘘を……。
メアリー「あっ、ここが保健室だね!案内してくれてありがとう、鹿目さん」
まどか「ううん、お礼なんて。えっと……またね、暁美さん。
ゆっくり休んで、無理しないようにね。じゃあメアリーちゃんは教室に……」
メアリー「あ、ごめんね。私ちょっと、暁美さんと話したいことがあって」
ほむら「え?」
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 19:54:12.08 ID:xv2ShWMho
まどか「話したいこと?でも暁美さん、体調が……」
ほむら「……大丈夫、少し話をするくらいなら平気よ」
メアリー「授業に遅れちゃ大変だから、鹿目さんは先に戻ってて?」
まどか「そっか……それじゃ、メアリーちゃんもまたね!」
メアリー「あ、そうだ!ねぇ、鹿目さん」
まどか「?どうしたの?」
メアリー「えっとね、もし良かったら、今日一緒に帰らない?」
まどか「へっ?う……うん、良いよ、もちろん!」
ほむら「…………」
メアリー「それじゃまた後でね、鹿目さん」
- 19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:00:21.49 ID:xv2ShWMho
そうして、まどかは行ってしまった。
保健室の前には、私とメアリー・スーの2人が残される。
メアリー「鹿目さん、可愛くてとっても良い子だね。優しそう」
ほむら「……それで、話って何?」
メアリー「あ、えっとね……。魔法少女のことについて、話がしたいの」
ほむら「っ……何かおかしいと思ったら、あなたやっぱり……」
メアリー「うん、魔法少女だよ」
ほむら「……目的は?この町の縄張り?」
メアリー「そんなんじゃないよ。あなたとお友達になりたいなって。
私とあなたならね、きっと良い仲間になれると思うの」
ほむら「……そう。でも」
メアリー「“残念だけど、そう簡単にあなたを信用するわけにはいかないわ”」
ほむら「ッ!?」
メアリー「“そうやって近付いて隙を狙う魔法少女じゃないとも限らないもの”……でしょ?」
- 20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:09:07.43 ID:xv2ShWMho
ほむら「あなた……」
メアリー「あなたは私のことを信用できないかも知れないけど、私はあなたのことを信用できる。
だって、あなたの目的と私の目的は一緒なんだもん」
ほむら「…………」
メアリー「鹿目さんを守ること。それが私の目的。ここに転校してきたのも、それが理由なの」
ほむら「……あの子と会ったことがあるの?」
メアリー「ううん、今日初めて会ったよ。でも、鹿目さんを守れないとどうなるかは知ってる」
ほむら「あの子の結末を知っていて、それでもあの子を守ろうとするの?始末しようとするのではなく?」
メアリー「……うん、美国織莉子さんとは違うよ。私は、鹿目さんを守りたい」
ほむら「美国織莉子のことも知ってるの……?あなた、一体……」
メアリー「暁美さんと一緒だよ。私も、未来から来たの」
- 21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:21:58.32 ID:xv2ShWMho
ほむら「っ……!」
メアリー「私の家族はね、魔女になった鹿目さんに殺されちゃったんだ。
私ももう少しで死んじゃうところだったんだけど……ギリギリで時間を戻すことができたの」
ほむら「それじゃあ、あなたの願いは……」
メアリー「あ、ううん。魔法少女になったのはその時じゃなくて、もっとずっと前。
時間を戻す魔法を持ったのは偶然なんだ」
ほむら「……そう」
メアリー「とにかく……私は全部知ってるよ。魔法少女の秘密も、キュゥべえの正体も」
ほむら「そして“それを私が知ってる”ということも知ってるのね」
メアリー「うん。あなたの魔法のことも、全部知ってる」
ほむら「…………」
- 22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:33:00.86 ID:xv2ShWMho
メアリー「時間停止に、時間遡行……。鹿目さんを救うために、何度もやり直したんだよね」
ほむら「……一方的に知られる側って、こんな気持ちだったのね」
メアリー「ごめんね、気持ち悪いかも知れないけど……。
あなたに信用してもらうには、私が知ってることを全部言っておくべきだと思って」
ほむら「……そうね。ここまで来ると逆に信用できるわ」
メアリー「良かった、ありがとう!」
ほむら「それじゃあ、これからよろしくね。メアリー・スーさん」
メアリー「気軽にメアリーって呼んで!私もほむらって呼ぶから!」
ほむら「……これからよろしく、メアリー」
メアリー「うん、ほむら!」
- 23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:43:13.41 ID:xv2ShWMho
ほむら「ところで……あなたがさっき、まどかに一緒に帰る約束をしたのは……」
メアリー「うん、あの子をキュゥべえから守るため」
ほむら「……キュゥべえの方を監視する、という選択肢は?」
メアリー「でも、キュゥべえ攻撃しちゃうと巴マミさんと敵対するかも知れないでしょ?
それに、私の“危険性”はキュゥべえも知ってるから」
ほむら「危険性……?」
メアリー「もうはっきり、私はあなたたちの敵だって宣言しちゃってるの。
脅しもかけたし、私が鹿目さんの傍にいるだけでもそれなりに抑止力にはなると思うんだ」
ほむら「あなた……見かけによらず大胆なのね」
メアリー「そうかなぁ?ま、とにかくそういうこと。ほむらも一緒に来るでしょ?」
ほむら「でも、あの子と親しくなると」
メアリー「“私のために契約してしまう可能性が高くなる”?」
- 24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:51:37.89 ID:xv2ShWMho
ほむら「……そういうことよ」
メアリー「あのね、ほむら。はっきり言うけど……それあんまり意味ないと思うよ?」
ほむら「なんですって……?」
メアリー「あなたが鹿目さんと仲良くなろうがなるまいが、
あの子は結局あなた以外の誰かのために契約してしまう。違う?」
ほむら「っ……」
メアリー「それにあなたがいくら警告しようと、
友達でもなんでもない人の言うことを心から受け入れられるとは思えない。
それならまだ、友達から真剣に“魔法少女になるな”ってお願いされた方が効果あるんじゃない?
優しい鹿目さんのことなんだからさ、
“友達がそんなに言うなら”って感じで聞き入れてくれるんじゃないの?」
ほむら「それは……」
メアリー「大丈夫だよ、絶対にそんな状況にはならないから。私が居れば」
ほむら「…………」
メアリー「だから私を信じて、ね?」
ほむら「……わかったわ。今回はあなたというイレギュラーも居ることだし、
違う方法を取ってみるのも1つの手ね」
- 25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 20:59:42.40 ID:xv2ShWMho
ほむら「そう言えば、1つ確認しておくけど……あなた、他の魔法少女のことについても知ってるの?」
メアリー「……巴マミさんと、佐倉杏子さん?」
ほむら「やっぱり知ってるのね」
メアリー「えっと、巴マミさんは……見滝原中学の3年生。武器はリボンとマスケット銃。
佐倉杏子さんは……風見野の魔法少女で、武器は槍。……だよね?」
ほむら「えぇ、その通りよ」
メアリー「それと……巴マミさんはキュゥべえと仲が良い。騙されちゃってるんだね、あいつに」
ほむら「それだけ分かっていれば十分……本当になんでも知ってるのね。
……そろそろ教室に戻った方が良いわ。
授業が始まるわよ。私ももう少ししたら戻るから」
メアリー「うん、わかった。じゃあね、ほむら」
- 26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:09:57.28 ID:xv2ShWMho
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体育教師「はい、それじゃあ跳んでー!」
メアリー「はい!」
体育教師「……!ま、また県内記録更新……」
女生徒1「暁美さんもメアリーちゃんもすごーい!」
女生徒2「陸上部入っちゃいなよ!」
メアリー「うーん、どうしようかな。考えとくね!」
ほむら「…………」
あの子……魔法を使ってない。
たいした身体能力ね……。
これなら魔女との戦いも期待できそうだわ。
- 27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:22:44.06 ID:xv2ShWMho
さやか「いやぁー……すっごい2人が転校してきたもんだよね、ほんと」
仁美「体育もですけど、2人とも他の教科も素晴らしかったですね」
まどか「メアリーちゃんなんて、わたしが答えられなかった国語の問題、正解してたもんね……」
さやか「落ち込むなってまどかぁ。あの問題、あたしも分かんなかったんだからさ!」
仁美「それなりに難しい問題だったはずですけど……。
さすが1年で日本語を習得するだけのことはありますわね」
さやか「文武両道、才色兼備で容姿端麗……。
そんな転校生を2人も貰っちゃって、なーんか他のクラスに申し訳ないね!」
まどか「あっ、そう言えば言い忘れてたけど……今日ね、メアリーちゃんが一緒に帰ろうって」
さやか「へっ?まどかと一緒に帰りたいって?あの子が?」
仁美「まぁ……保健室へ案内したあの間に、もうそんなに親密に?」
まどか「だからね、今日はメアリーちゃんと、暁美さんもかな?
2人を入れて、みんなで一緒に帰りたいなって」
- 28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:29:43.32 ID:xv2ShWMho
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放課後
女生徒1「ねぇねぇ、暁美さんとメアリーちゃん。今日の帰り、喫茶店寄ってかない?」
メアリー「あー、ごめんね。今日はもう、予定を入れちゃってて」
ほむら「私も……ごめんなさい」
女生徒2「あれ、残念……」
女生徒3「じゃあ仕方ないねー。また今度行こう!」
メアリー「うん、それじゃ、また明日!」
ほむら「さようなら」
- 29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:36:38.95 ID:xv2ShWMho
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・
メアリー「というわけで、よろしくお願いしまーす!」
仁美「えぇ、歓迎しますわ。まさかお2人の方から声をかけていただけるなんて」
さやか「えーっと、メアリーさん?の方からまどかに声かけたんだよね。
さてはあんたもまどかの魅力に気付いちゃった?」
メアリー「ふふっ、まぁそんなところかな」
さやか「さすがあたしの嫁!この魅力はグローバルってことだね!」
まどか「も、もうさやかちゃんってば!メアリーちゃんも、そんな冗談……」
メアリー「鹿目さんの魅力に気付いたのは私だけじゃないよ?ほむらだってそう」
ほむら「えっ?」
- 30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:39:48.72 ID:xv2ShWMho
仁美「まぁ、そうですの?まどかさんってば、人気者ですのね」
ほむら「ちょっとメアリー、あなた何を……」
メアリー「ふふっ、良いじゃない。その通りでしょ?」
さやか「っていうか、あんたたちもう名前で呼び合ってるんだ。
んじゃーあたしも呼んじゃおっかな!」
メアリー「うん、もちろん良いよ!良いよね、ほむら?」
ほむら「……別に構わないけど」
メアリー「だったら私もみんなのこと名前で呼んでも良いかな?」
さやか「そりゃもちろん!じゃ早速……これからよろしくね、メアリー、ほむら!」
メアリー「うん、よろしくね!さやか、まどか、仁美!」
- 31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:46:36.38 ID:xv2ShWMho
・
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・
仁美「あら、もうこんな時間……。ごめんなさい、私そろそろ失礼しますわね」
メアリー「あれ、何か用事?」
仁美「えぇ、お茶のお稽古ですの」
メアリー「わ、仁美お茶のお稽古行ってるんだ!私も習ってたよ!」
まどか「お……お茶のお稽古してたの?メアリーちゃん」
メアリー「うん。パパとママが日本のこと好きだったから。それじゃ、頑張ってね仁美!」
仁美「ふふっ、ありがとうございますわ。では、失礼します」
- 32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 21:53:41.21 ID:xv2ShWMho
さやか「いやー、まさかメアリーがお茶のお稽古を習ってたとは。
もしかして、日本舞踊とかも習ってたりして!あはは、そりゃさすがにないか」
メアリー「あっ、習ってた習ってた!懐かしいなー」
さやか「えっ、マジ?」
まどか「お茶に、日本舞踊……す、すごいね」
ほむら「……他にも何か習ってたりするのかしら」
メアリー「後はバレエとか、ピアノとか、ヴァイオリンとか、絵とか……まぁ色々と。
どれもあんまり長い期間はやってなかったんだけどね」
さやか「もしかして、メアリーの家ってすっごくお金持ちなんじゃ……」
- 33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:01:42.80 ID:xv2ShWMho
メアリー「んー……うん、そうかも。
“すっごく”かどうかは分かんないけど、多分お金持ちってことになるんだと思う。
でも欲しいものおねだりしてもなかなか買ってもらえなかったなぁ。
習い事よりもプレゼントたくさんしてくれた方が良かったのに!なんてね」
さやか「へー、厳しかったんだねぇ。なんか、あんたの文武両道っぷりが納得できるような気がするわ」
メアリー「ふふっ、別にそんなに厳しくはなかったよ。
休日にはお稽古なかったからみんなで出かけたりしたし、
パパもママも、いつもすごく優しかった」
さやか「あ、別に厳しくはなかったんだ……やはり天才か」
ほむら「厳しすぎず、でも甘やかされず……大切に育てられてきたのね」
メアリー「……うん、そうだね」
- 34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:09:58.01 ID:xv2ShWMho
・
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・
さやか「さてと、じゃーそろそろあたしたちも帰りますか。
あ、そうだ。帰る前に、ちょっとCD屋さん寄っても良い?」
ほむら「CD屋さん……えぇ、良いわよ」
メアリー「よし、それじゃ行こ……っ……!」
まどか「?メアリーちゃん?」
ほむら「……どうかしたの?」
メアリー「……ごめん。ちょっと急に気分が……」
さやか「えっ!だ、大丈夫?」
- 36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:16:28.86 ID:xv2ShWMho
メアリー「大丈夫だとは思うけど……しばらくここで休んでも良いかな?
そしたら多分、治ると思うから……」
まどか「ほ、本当?えっと……ごめん、さやかちゃん。
わたし、メアリーちゃんと一緒に居てあげようと思うんだけど……」
さやか「うん、あたしも残るよ。CDは別に今日じゃなくても良いんだし。
それよりメアリー、本当に大丈夫?病院とか行かなくても良い?」
メアリー「ん……ありがとう。たぶん貧血か何かだから、病院に行く程じゃないと思う。
あ、でももし治りそうになかったらその時はよろしくね、なんて」
ほむら『……私も残るわね。後で理由を聞かせてちょうだい』
メアリー『うん。まぁそんなに時間は取らないよ。あと30分くらいかな』
- 37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:23:41.39 ID:xv2ShWMho
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メアリー「……ん、もう大丈夫。ありがとう、みんな」
まどか「本当に大丈夫?まだ休んでても……」
メアリー「大丈夫だよ、もう平気。ごめんね、心配かけちゃって」
さやか「だったら良いんだけど……。あ、ほむらは大丈夫?心臓の方とか……」
ほむら「えぇ、何の問題もないわ」
さやか「そっか……。まぁとにかく良かったよ。んじゃ、今日はもう帰ろうか」
まどか「そうだね。メアリーちゃん、あんまり無理しないでね?」
メアリー「うん、ありがとう。それじゃ、また明日ね。まどか、さやか」
さやか「また明日ね。ほむらもバイバイ!」
まどか「じゃあね、メアリーちゃん、ほむらちゃん!」
ほむら「えぇ……さようなら」
- 38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:32:59.18 ID:xv2ShWMho
ほむら「……それで?どうして仮病なんて使ったの?」
メアリー「とか言って。もう理由はわかってるんじゃない?」
ほむら「あいつが……キュゥべえが、狙っていたのね」
メアリー「うん。使い魔の結界を利用して、まどかたちを誘い込もうとしてた。
だから、仮病を使って引き止めたの」
ほむら「……もしかしてとは思ったけど、これで確信したわ。
あなた……自由に時間を巻き戻せるのね。好きな時に、好きな時まで」
メアリー「さすが、同じ時間遡行者だね。何も言ってないのに分かっちゃったんだ」
ほむら「あなたの魔法を何も知らなければ分からなかったでしょうけど。
それにしても便利な能力ね。私と違って制限がないなんて」
メアリー「あなたの時間停止だって便利でしょ?私の魔法は、戦いじゃあまり役に立たないもの」
- 39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:36:32.59 ID:xv2ShWMho
ほむら「……まぁ良いわ。それより、今キュゥべえはどうしてるかは分かるかしら」
メアリー「多分、巴マミさんのところじゃないかな。
“さっき”は、ちょうど良いタイミングで彼女に助けてもらってたから」
ほむら「そう……そのタイミングも、狙っていたんでしょうね」
メアリー「多分ね。それで、どうする?巴マミさん、仲間にするつもりなんでしょ?」
ほむら「えぇ。明日の昼休みにでも、会いに行きましょう」
メアリー「もしかしたら、あっちから会いに来るかもね」
ほむら「……そうね」
- 40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/07(木) 22:39:38.55 ID:xv2ShWMho
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マミ宅
マミ「もう、キュゥべえったら。勝手に居なくなるなんて。
あと少し遅かったら使い魔に襲われてたのよ?」
QB「ごめんよ、マミ。君が来てくれて助かったよ」
マミ「でも本当に良かったわ、あなたが無事で」
QB「……ところで、マミ。話しておきたいことがあるんだ」
マミ「?なぁに、どうしたの?」
QB「新しい魔法少女についてのことさ」
- 46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:07:46.51 ID:w6EOQXOWo
翌日、昼休み
さやか「まーどか、屋上行こう!あたしもうお腹ペコペコだよー」
まどか「ねぇさやかちゃん。ほむらちゃんとメアリーちゃんも誘ってあげたいんだけど、どうかな?」
さやか「おぉ、そうだね。そんじゃ早速……おーい、ほむら、メアリー!」
ほむら「?何かしら」
まどか「あのね、もし良かったら一緒にお昼どうかな、って」
メアリー「えっ!うわー……ごめんね。すごく嬉しいんだけど、
今日はちょっとやらなきゃいけないことがあるの」
さやか「ありゃ。もしかしてほむらも?」
ほむら「えぇ……ごめんなさい」
まどか「そっかぁ……残念だけど仕方ないね。今度は一緒にお昼食べようね!」
メアリー「うん、是非また誘って!」
ほむら「……それじゃ、行きましょうか」
メアリー「そうだね。それじゃ、まどか、さやか。また後でね!」
- 47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:13:07.92 ID:w6EOQXOWo
ほむら「巴マミの教室は確か……」
メアリー「……ねぇほむら。向こうから歩いてくるのって……」
ほむら「……!」
そう……巴さんだ。
彼女が向かってくるこちら側にあるのは、2年生の教室だけ。
つまり……
メアリー「やっぱり、来たね」
ほむら「……えぇ」
きっとキュゥべえから、まどかたちのことを聞かされたんだろう。
- 48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:17:07.76 ID:w6EOQXOWo
巴さんとの距離が次第に近付き、そしてすれ違うその直前。
私たちは彼女の正面で立ち止まった。
ほむら「……こんにちは」
マミ「えっ?あ、こんにちは……?」
メアリー「巴マミさん、ですよね?2年生の教室に、何か御用ですか?」
マミ「えっと、ちょっと用事のある子が居て……。それより、どうして私の名前を?」
ほむら『……キュゥべえは一緒じゃないのね』
マミ「っ……!?」
メアリー『驚かせてしまってごめんなさい。ちょっとお話、良いですか?』
- 49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:22:24.99 ID:w6EOQXOWo
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マミ「……まさか同じ学校に魔法少女が2人も居たなんてね。
キュゥべえってば、そっちの方を先に教えてくれれば良かったのに」
ほむら「キュゥべえがあなたに話したのは、鹿目まどかと美樹さやかのことだけ?」
マミ「えぇ、そう。……それであなたたちは」
メアリー「大丈夫、私たちは巴さんの敵になるつもりはありません」
マミ「!それって、つまり……チームを組んで一緒に戦う、ということ?」
ほむら「えぇ、そういうことになるわね」
メアリー「…………」
- 50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:27:32.12 ID:w6EOQXOWo
マミ「そういうことなら、断る理由なんてないわ!私も、ぜひ一緒に戦わせてちょうだい」
ほむら「良かった、それじゃあこれからよろしくね。……メアリー?どうかしたかしら」
メアリー「あ、ううん。なんでもないよ。巴さん、これからよろしくお願いしますね!」
マミ「えぇ、よろしくね。えっと、暁美さんと……スーさん?で良いのかしら。
外国の人ってどう呼ぶのが自然なのか……」
メアリー「メアリーで良いですよ!私もそっちの方が呼ばれ慣れてますから」
マミ「それじゃあ、メアリーさんの方がなんとなく呼びやすいし、そうさせてもらうわね。
……ところで、あなたの髪と目、生まれつきのもの?」
メアリー「はい、そうです」
マミ「まぁ!生まれついての銀髪とオッドアイなんて初めて見たわ!
ふふっ、とっても素敵ね。ちょっと憧れちゃうわ」
ほむら「……そろそろお昼休みが終わるわ。教室に戻りましょう」
メアリー「あ、うん。それじゃあ巴さん、また後で!」
- 51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:31:45.67 ID:w6EOQXOWo
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メアリー「……ねぇ、ほむら。ちょっと相談があるんだけど」
ほむら「何かしら」
メアリー「あのね……巴さんに、魔法少女の秘密を話してしまおうと思うの」
ほむら「……そんなことできるわけないでしょう。何を言ってるの?」
メアリー「あの人、本当に魔法少女をやりたくてやってるんじゃないよね。
きっかけは交通事故で咄嗟にだし、本音では戦いを怖いと思ってる」
ほむら「…………」
メアリー「だから、巴さんはもう魔法少女をやらなくても良いんじゃないかって、そう思うの」
- 52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:37:17.91 ID:w6EOQXOWo
ほむら「言ってる意味が分からないわね……。
それがどうして魔法少女の秘密を話すことに繋がるのかしら」
メアリー「だって、全部知っちゃえばもう無理に魔法少女続けようなんて思わなくなるでしょ?」
ほむら「……それで?魔法少女をやめたいと思わせて、何の意味があるの。
そんなことをしても、彼女はただ後悔するだけ。そしてその後悔の末にあるのは……」
メアリー「心中、自殺……でしょ?」
ほむら「わかってるのならどうして……!あなた、巴さんを殺したいの!?」
メアリー「違うよ、そんなわけない。私にはね……解決策があるの」
ほむら「……解決策?」
- 53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:42:29.41 ID:w6EOQXOWo
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放課後
メアリー「お待たせしました、巴さん」
マミ「ううん。私も今来たところだから。それじゃ、とりあえず私の家に行きましょうか。
そこでゆっくり今後のことについて話し合いましょう?」
メアリー「えぇ、そうですね。今後のことについて」
ほむら「…………」
私は結局、メアリーの提案を受け入れた。
受け入れざるを得なかった。
メアリーの言う“解決策”……それはまさに、これ以上ないくらいの解決策だったから。
- 54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 13:47:40.47 ID:w6EOQXOWo
マミ宅
マミ「はい、どうぞ。召し上がれ?」
メアリー「ありがとうございます。……わぁ、すごく美味しいですね」
マミ「ふふっ、ありがとう。それじゃあ早速だけど、今後のことについて……」
メアリー「あの、巴さん。まず初めに聞いてほしい話があります。良いですか?」
ほむら「っ……随分早速ね」
メアリー「先延ばしにするよりは良いでしょ?」
マミ「……大事な話みたいね。良いわ、聞かせてちょうだい」
メアリー「その前に……キュゥべえ、近くに居るよね?」
QB「……さすが、気付いてたんだね」
- 55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:02:57.98 ID:w6EOQXOWo
マミ「キュゥべえ!もしかして隠れてたの?」
QB「隠れてたという言い方には語弊があるけれど。まぁ、この子との接触を避けていたのは事実だ」
マミ「接触を……どういうこと?」
メアリー「キュゥべえは敵なんです。私の……いえ、私たち魔法少女全員の」
マミ「え……?」
QB「敵視されるようなことはしてないつもりなんだけどな」
マミ「そ、そうよ。キュゥべえは魔法少女の味方、パートナーでしょう?
それがどうして敵だなんて……」
メアリー「キュゥべえ、説明しなさい。あなたが隠していることをすべて。
ソウルジェムの秘密も、あなたの目的も、何もかも」
QB「やれやれ……わかったよ」
- 56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:08:42.66 ID:w6EOQXOWo
・
・
・
QB「――このくらいで良いかな、メアリー」
メアリー「うん……十分よ」
ほむら「…………」
キュゥべえは、本当に全てを話してしまった。
ソウルジェムが私たちの魂であること、いずれはグリーフシードへと変わること。
インキュベーターの正体も、目的も、全て……。
マミ「う……うそ、よね?キュゥべえ?そんな、そんなこと……」
QB「残念だけど、すべて事実だ」
- 57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:14:35.47 ID:w6EOQXOWo
マミ「ど、どうしてそんな大事なことを黙ってたの!?」
QB「訊かれなかったからね」
マミ「っ……!」
ほむら「無駄よ、巴さん……。こいつは私たちとはまったく違う価値観を持った生き物。
いくら怒りをぶつけたところで、何の意味もないわ」
マミ「そん、な……。私たち、魔女になるの?それが魔法少女の最期だって言うの……?
だったら、だったら……!」
メアリー「死ぬ必要なんてないよ!」
マミ「っ……そんなわけないじゃない……!
魔女になるくらいだったら、死んだ方が良いに決まってる……!」
メアリー「そんなことない。死ぬ必要なんてない。だって……私なら、元に戻せる」
- 58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:21:29.74 ID:w6EOQXOWo
マミ「え……?」
立ち上がり変身しようとしていた巴さんだったが、
メアリーのその言葉を聞いて、動きが止まる。
マミ「も……元に、戻せる……?」
メアリー「そう。私なら、あなたを元の人間に戻すことができる」
マミ「え、え……?」
ほむら「……信じられないのは、私も同じだったわ。でも事実なの。そうよね、キュゥべえ?」
QB「その通り……どんな不可逆をも可逆にしてしまう。
それがこの子、メアリー・スーの魔法だ」
- 59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:29:28.52 ID:w6EOQXOWo
・
・
・
数時間前
メアリー「私は……魔法少女を普通の人間に“戻す”ことができる」
ほむら「な……何を言ってるの?そんなこと、不可能に決まってる……」
メアリー「まぁ、信じられないよね。……ちょっとソウルジェム貸して」
ほむら「え……?」
メアリー「良いから良いから」
ほむら「…………」
メアリーに言われるがまま、私はソウルジェムを手渡した。
するとメアリーは変身し、私のソウルジェムを、私の胸元に近づけ……
ほむら「っ……!?」
突然、ソウルジェムと私の体が光に包まれる。
そしてソウルジェムが……私の体内へ……!?
- 60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:36:21.79 ID:w6EOQXOWo
ほむら「あ、あなた、何を……!?」
メアリー「ちょっと変身してみて」
ほむら「どういうつもり……っ……!?な、えっ……?」
へ、変身できない、どうして……!?
ソウルジェムがないから……?
違う、なんというか、魔法の力そのものを、感じない……!
メアリー「変身できないでしょ?当たり前だよ。だって、今のあなたはただの人間なんだから」
ほむら「そ、そんな……!」
まさか、本当に……!?
今の私は魔法少女じゃない……だとしたら……
ほむら「嫌……約束が、あの子との、約束が……!」
- 61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:40:56.33 ID:w6EOQXOWo
ほむら「どうして、どうしてこんなことをしたの!?私は、約束を果たさなくちゃいけないの!
まどかを守らないといけないのよ!なのに、どうして……!」
メアリー「だって、こうでもしないと信じてくれなかったでしょ?」
ほむら「っ……だからって、こんなの……あんまりよ……!」
メアリー「ふふっ……大丈夫、安心して。あなたはまた魔法少女になれるから」
ほむら「……それは、もう一度契約を……?」
メアリー「ううん、そんなことしなくても良い。もう1回“戻せば”良いんだよ。
ソウルジェムがなくなる前の状態にね」
そう言ったメアリーは、その手を私の胸元にかざし、そして……
数瞬後、私の手の中には見慣れたソウルジェムがあった。
メアリー「はい、これで“元通り”。ちゃんと今まで通りに魔法も使えるよ」
- 63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:45:28.85 ID:w6EOQXOWo
メアリー「あ、今のでちょっとソウルジェム濁っちゃったな。綺麗にしないと」
メアリーは、今度は自分のソウルジェムに手をかざす。
すると、その穢れがみるみるうちに消え、“元通り”に輝きを取り戻した。
ほむら「ぇっ……ぁ……」
……驚いて、言葉が出ない。
メアリー・スー……この魔法少女は、私の常識をすべて覆してしまった。
魔法少女を人間に戻し、そしてソウルジェムの穢れすら、自ら浄化する……。
……まさか、この子は魔女も……
メアリー「あ、グリーフシードをソウルジェムに戻すこともできるよ」
ほむら「……すごい……」
私がようやく搾り出せた言葉は、ただその一言だけだった。
- 64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:52:18.26 ID:w6EOQXOWo
・
・
・
マミ「不可逆を、可逆に……」
メアリー「簡単に言うと、“戻す”こと。それが私の魔法です。
壊れたものを直すことはもちろん、死んだ人を生き返らせることもできる。
見滝原に来る前は、何人かの魔法少女を人間に戻したり、
魔女化した子を元の魔法少女に戻してあげたりもしました」
ほむら「時間を巻き戻したというのも、その力の一部に過ぎなかったということね」
メアリー「うん、そういうこと」
QB「やれやれ……。とんでもない子と契約を結んでしまったものだよ。
どうせなら魔女を魔法少女に戻すことだけしてくれれば良いのに。
そうすれば魔女化を繰り返してエネルギーの回収も効率よく……」
メアリー「黙って。私を怒らせたいの?」
QB「おっと、分かったよ」
- 66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 14:58:09.38 ID:w6EOQXOWo
ほむら「……あなたがキュゥべえにかけている脅しというのは……」
メアリー「その気になれば、インキュベーターの存在だけを、存在する前の状態に“戻す”ことができる。
つまり、この宇宙からインキュベーターを消し去ることができる。そう脅してるの」
マミ「だ、だったら、すぐにでも実行するべきじゃないの?
目的が魔女を生み出すことだって言うのなら、キュゥべえなんて居ない方が……!」
メアリー「私も、最初はそう思いました。
でも、この世界にはやっぱり、奇跡を必要としてる子はたくさん居るんです。
奇跡にすがらないと生きていけない、そんな子が……。
私には、その子たちから希望を奪うことはできない。だから、考えたんです。
そういう子の場合は、とりあえずキュゥべえには奇跡だけ叶えさせて、
その後で元の人間に戻してあげれば良いかな、って」
QB「本当にとんでもない子だよ君は」
- 67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 15:05:52.96 ID:w6EOQXOWo
メアリー「とにかくそういうわけで……巴さん、あなたが望むのなら、
私はあなたを元の人間に戻してあげます」
マミ「わ……私、は……」
メアリー「……普通の生活に戻りたいと思うことは、悪いことじゃありません」
マミ「……!」
メアリー「あなたはそれを“逃げ出すこと”だと思って引け目を感じているのかも知れませんが……
そんなことで中途半端な正義感を持って戦い続けたところで、誰の得にもなりません。
魔女と戦う力を持っているのがあなただけであればある意味仕方ないかもしれないけど、
魔法少女は世界中に居るんです。この見滝原には、私とほむらが居ます。
つまり、あなたはもう無理に正義の味方を続ける必要はないんです」
マミ「そ、それは……」
メアリー「でもだからと言って……私はあなたの今までを否定する気はありません。
孤独や恐怖に耐えながらも、みんなのために戦い続けてきたあなたはとても立派ですから」
- 68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 15:12:42.49 ID:w6EOQXOWo
メアリー「そう、あなたはもう頑張った。十分過ぎるくらい頑張った。
だから……もう休んでも良いと思います。後は、私たちに、任せてください。
あなたの後は、私たちが引き継ぎますから」
マミ「ほ……本当に?本当に、もう良いの?もう戦わなくても良いの……?」
メアリー「えぇ、もちろん」
ほむら「…………」
マミ「っ……お願い……。私を……元に戻して……!普通の体に、戻して……!」
メアリー「ふふっ……はい、わかりました。それじゃあ、ソウルジェムをこちらへ」
メアリーは、巴さんのソウルジェムを受け取り、そして……
QB「……やれやれ」
マミ「!ソウルジェムが消えた……!」
- 69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 15:18:59.24 ID:w6EOQXOWo
メアリー「おめでとう、巴さん。今までお疲れ様でした」
マミ「ありがとう、ありがとう……!本当に、ありがとう、なんてお礼すれば良いか……!」
メアリー「ふふっ、そうですね。そしたら、また今度美味しいお茶をごちそうしてくれますか?」
マミ「うん、うん!何回でもご馳走する、何回でも……!」
メアリー「じゃあ何回でも遊びに来ますね!」
マミ「うん、もちろん……!大歓迎よ!いつでも来て!」
ほむら「…………」
巴さんのこんな姿、初めて見たわ。
そうか……彼女の“一緒に戦う仲間が欲しい”という願望は、
一人ぼっちの孤独、そして戦いへの恐怖や不安によるもの……。
メアリーは彼女を戦いから解放し、さらに交流を断たないことでその問題を解決したのね。
この子は……本当に、すごい。
- 73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:04:16.78 ID:w6EOQXOWo
・
・
・
ほむら「それにしても、本当に驚いたわ。
まさかこんな、常識がまったく通用しない魔法少女が存在したなんて」
メアリー「あははっ、よく言われるよ」
ほむら「……1つ訊きたいことがあるのだけど、良いかしら」
メアリー「良いよ、どうぞ?」
ほむら「あなたは魔女を人間に戻せるのよね」
メアリー「うん。まぁ魔女から戻す場合は、まずグリーフシードに戻してから、
ソウルジェムに戻すことになるけどね。ワンステップ踏むけど、出来るよ」
ほむら「だったら……どうして魔女になったまどかを戻してあげなかったの?」
- 74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:08:26.97 ID:w6EOQXOWo
メアリー「戻そうとしたよ。でも、物を戻すにはその対象にある程度近付かなきゃいけないの。
まどかの魔女にも近付こうとしたんだけど……その前に、私の命が吸われそうになっちゃった。
それで前も言った通り、死んじゃう直前で、仕方なく時間を巻き戻したの」
ほむら「……そう」
メアリー「とにかくそういうこと。私の魔法も万能じゃないってことね」
ほむら「それでも、近付きさえすれば何でも戻せるのでしょう?
私から見ればそれだけで十分万能よ」
メアリー「そう?まぁ1つだけはっきり言えることは……
あなたと組めば、私の魔法は本当に万能になっちゃうってことかな」
ほむら「……私が時間を止めれば、どんな物が相手でも容易く接近できる。そういうことね」
メアリー「その通り!だから、たとえあのワルプルギスの夜が相手だって敵じゃないってこと」
ほむら「……頼もしいわね、本当に」
メアリー「ふふっ、ほむらもね」
- 75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:13:35.70 ID:w6EOQXOWo
メアリー「さてと……それじゃ、パトロールに行きますか」
ほむら「えぇ、そうね。……そう言えば、あなた使い魔はどうしてるの?」
メアリー「ん、使い魔は普通に倒すよ。
生まれる前の状態に戻す……つまり消滅させても良いんだけど、
それよりは普通にやっつけちゃった方が楽だしね」
ほむら「それじゃあ、魔女は?」
メアリー「魔女は、まず生まれる前の状態、つまり……。っ!」
ほむら「言ってるそばから、魔力反応……。それもこの魔力は魔女のものね」
メアリー「近いね、急ごう。ごめん、説明はまた後で!」
- 76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:18:20.21 ID:w6EOQXOWo
結界内
ほむら「……反応が強くなってきた。そろそろね」
メアリー「うん。……居た、あそこだ」
魔女「ケケケケケケケケ!」
メアリー「早速だけど、あの方法試してみて良い?」
ほむら「えぇ……。それじゃ、私に掴まって」
メアリーは、私の差し伸べた手を取る。
そして……時間を止めた。
メアリー「へー!これが時間が止まった世界かぁ。なんか不思議な感じ!」
- 77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:22:05.41 ID:w6EOQXOWo
そうして、止まった時間の中、2人で魔女に近付く。
メアリー「よし、このくらいまで近付けば良いかな」
ほむら「……時間は止めたままで良いの?」
メアリー「うん。私が合図したら動かして」
そう言ってメアリーは、魔女に向かって手をかざした。
すると、魔女の体が淡い光に覆われ……
メアリー「良いよ、もう大丈夫」
ほむら「…………」
カチッ
魔女「……!」
時を動かしたと同時に、魔女は消滅した。
- 78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:26:43.94 ID:w6EOQXOWo
メアリー「よし、成功!」
ほむら「……すごいわね」
メアリー「グリーフシードは……ん、あったあった」
ほむら「それ、どうするの?ソウルジェムに戻すのかしら」
メアリー「うん、もちろん。……これでよし、と」
ほむら「……でも、ソウルジェムに戻したところで……」
メアリー「そうだね、体がないと意味ない。全部じゃなくて、一部だけでも……。
たとえば……遺骨とかでも、あれば良いんだけど。そうすれば、その子を生き返らせることができる」
ほむら「まさか……そのソウルジェムの持ち主の体を見つけ出すというの?
その子を生き返らせるために?
なんの手がかりもないのに見つけ出すなんて、そんなの……」
メアリー「まぁ、普通は無理だよね。でも私なら出来るよ」
- 79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:33:49.37 ID:w6EOQXOWo
ほむら「……どういうこと?」
メアリー「残ってるんだ、ソウルジェムにその子の記憶や、思いが。
残留思念、っていうらしいんだけど。私は、それを読み取ることができる」
ほむら「……!」
メアリー「それを頼りにその子の素性を探って……
そうすれば、100%じゃないけど高い確率で見付けることができるの」
ほむら「……わからないわ、あなたの魔法は“戻す”ことでしょう?
“戻す”力をどう応用すれば残留思念を読み取ることができるの……?」
メアリー「んー……えっとね、これは魔法じゃないんだ。契約する前から持ってた力なの」
ほむら「契約する前から……あなた、まさか……!」
メアリー「うん。私はもともと、超能力者だったの」
- 81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:38:00.26 ID:w6EOQXOWo
メアリー「私は生き物の思いや記憶を読むことが出来る。
物だったら、その物に残った思念を読み取ることができる」
ほむら「…………」
メアリー「“信じられないわ。本物の超能力者だなんて……”」
ほむら「っ……」
メアリー「“そんな……。今の発言は、私は言葉に出すつもりなんてなかったのに”。
うん。私があなたの発言を言い当てられるのは、時間を戻してきたからじゃない。
あなたの心を読んだからなの。あ……大丈夫だよ、常に読み続けてるわけじゃないから!
私だってそのくらいの思慮分別はついてるよ!」
ほむら「……もう、こうして言葉にして話す必要があるのかどうかも分からなくなるわね」
- 82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:44:28.14 ID:w6EOQXOWo
メアリー「そんなことないよ!コミュニケーションは大事でしょ?
さっきも言ったけど、ずっと心を読んでるわけじゃないんだから。それなりに集中力も要るし」
ほむら「……まぁ良いわ。確かにそんな力を持っていれば、
ソウルジェムの持ち主を探し出すのは可能でしょうね」
メアリー「でしょ?」
ほむら「でも、その後はどうするの?生き返った後、その子はどうやって生きていくの?」
メアリー「まずは、その子の意思を聞く。まだ魔法少女を続けたいかとか、どうやって生きたいかとか、色々。
大抵の子は、普通の人間として、家族と一緒に過ごしたいって言うけど」
ほむら「家族と過ごすって……そう簡単にはいかないでしょう。
周りの人にとってその子は一度死んだはずの人間なんだから」
メアリー「うん。だからね、その人たちの記憶をちょっと修正させてもらうんだ」
- 83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/08(金) 16:52:13.14 ID:w6EOQXOWo
ほむら「記憶を修正、ですって……」
メアリー「記憶を読む力と、“戻す”魔法を応用してね。
その人たちの記憶の中で死んだはずの少女の存在を、“戻して”あげるの。
そうすれば、記憶はその少女が死んでない状態のものに書き換わる。
まぁ本当はもっと複雑なんだけど、簡単に言うとそんな感じ」
ほむら「……まだ理解が追いつかないけど、あなたにはそれが可能ということだけは分かったわ」
メアリー「ただ、それはちょっと時間もかかるし大変だから、
一番良いのは魔女化を事前に防ぐことだけどね。それが無理でも早期発見には努めなきゃ」
……簡単に言うけれど、これが一体どれだけ大変なことなのか、私には計り知れない。
こんなことを、メアリーは見滝原に来るまでずっと続けてきたのか。
そしてきっと、これからも続けるつもり……。
この子はまさか、すべての魔法少女を救うつもりなのか。
こんな魔法少女は……今まで見たことがない。
- 99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:14:51.98 ID:Krckt64to
翌日、放課後
メアリー「まどか、さやかー。今日も喫茶店寄ってくの?」
さやか「あー、ごめんメアリー。あたし今日はちょっと用事あってさ。寄り道はできないわ」
まどか「もしかして、上条くんの?」
さやか「うん、そういうこと」
ほむら「…………」
メアリー「……ねぇ、もし良かったらさ!私たちも行っても良いかな?上条恭介くんのお見舞い!」
さやか「へっ?そりゃまぁ良いけど」
メアリー「良かったぁ。せっかく転校してきたんだし、
やっぱりクラスメイトとして挨拶はしておきたいなぁと思ってたんだ。ね、ほむら!」
ほむら「……えぇ、そうね」
まどか「上条くん、きっとびっくりするよね!転校生が2人も来てたなんて」
さやか「あははっ、そうだね。しかも1人は銀髪オッドアイのアメリカ人と来た!
んー、なんか恭介の驚く顔が楽しみになってきたなぁ。よし、そうと決まれば早速行こう!」
- 100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:18:09.63 ID:Krckt64to
病院
さやか「恭介、入るよー」
恭介「やぁ、さやか」
まどか「こんにちは、上条くん」
恭介「あれ、今日は鹿目さんも一緒なんだ。珍しいね……ん?」
ほむら「こんにちは」
メアリー「初めまして!」
恭介「?えっと……?」
- 101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:23:06.44 ID:Krckt64to
さやか「ほら、前に話したじゃん。転校生が2人も来た、ってさ」
恭介「あぁ、それじゃあ君たちがその転校生かい?」
さやか「そうそう!ね、あたしの言ってた通り、2人ともすっごい美人でしょ?」
恭介「あはは、そうだね……あれ?」
まどか「?上条くん、どうしたの?」
恭介「えっと……そっちの、背の高い子。君、どこかで会ったかな?」
さやか「え?何、メアリーあんた、恭介と知り合いだったの?」
恭介「“メアリー”?……やっぱり、どこかで……」
さやか「あぁ、そう言えば紹介がまだだったね。
えっと、こっちが暁美ほむら。それで、こっちがメアリー・スーね」
恭介「メアリー・スー……あっ!もしかして、あのメアリー・スーかい!?」
- 102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:28:16.96 ID:Krckt64to
メアリー「わぁ、私のこと知ってるの?嬉しいなぁ!」
さやか「ほ、本当に知り合いだったの?」
恭介「いや、会ったの自体は初めてだよ……だけど、名前と顔は知ってる。
アメリカの天才ヴァイオリン少女、メアリー・スー!」
まどか「て、天才ヴァイオリン少女?」
ほむら「そう言えばヴァイオリンを習っていたと言ってたわね……」
さやか「で、でもそんなに長い期間はやってなかったって言ってなかったけ。やはり天才か……」
恭介「いつか会ってみたいとは思ってたけど、まさかこんな形で会えるなんて……」
メアリー「えっ、そうなの?実は私も、上条くんに会ってみたいと思ってたんだ!」
- 103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:33:48.19 ID:Krckt64to
恭介「え?僕にかい?」
メアリー「うん、私も上条くんの話は聞いたことがあったんだ。
日本にも私と同じくらいの年の天才ヴァイオリニストが居る、って」
恭介「それは光栄だなぁ。アメリカの子にまで僕のことを知ってもらえてたなんて」
メアリー「ねぇ、今度一緒に演奏しようよ!ちゃんと日本にヴァイオリン持ってきてるから!」
恭介「うん……そうだね。この腕が治ったら、きっと……」
ほむら「…………」
さやか「恭介……」
恭介「あ……ごめん、暗くなっちゃったね」
さやか「う、ううん!大丈夫、きっともうすぐ治るよ!
それより、メアリーとの演奏あたしに聴かせて!約束だよ!」
恭介「あはは……ありがとう、さやか」
- 104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:41:29.32 ID:Krckt64to
・
・
・
メアリー「上条くんの入院……もう結構長いんだよね?」
さやか「あ、うん……。さすがに、気が滅入っちゃうみたいでさ。
時々ああやって落ち込んじゃうんだ。あたしに何か出来れば良いんだけど……。
どうやったら元気付けてあげられるかなぁ」
ほむら「……お見舞いに行ってあげてるだけでも、十分だと思うわ。
話し相手が居るって、それだけでも気持ちが晴れるもの」
まどか「あ、そっか。ほむらちゃんも、長い間入院してたんだよね」
さやか「話し相手が居るだけで、か……。だったら良いんだけど……」
メアリー「大丈夫、さやかたくさんお見舞い行ってあげてるんでしょ?
その一生懸命な気持ち、きっと報われるよ!」
- 105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:48:01.19 ID:Krckt64to
・
・
・
ほむら「あなた、もう分かっているんでしょう?」
メアリー「……うん。彼の腕は、もう治らない」
ほむら「…………」
メアリー「大丈夫だよ。私も最初からそのつもりだから」
ほむら「可能なの?」
メアリー「あはは、もう分かってるくせに!当然、できないわけがないよ!
そうだね、今日の夜にでもこっそり忍び込んで治してくるよ。上条くんの腕、元通りに」
ほむら「……そう」
メアリー「そうだ、それから……さやかの方も、なんとかしてあげたいね」
- 106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:52:23.41 ID:Krckt64to
ほむら「さすが……あの子の上条くんへの想いにももう気付いてるのね」
メアリー「あ、やっぱりそうなんだ」
ほむら「え?」
メアリー「ふふっ、さやかに関しては力は使ってないよ。
見てたらすぐ分かったもん。彼のことが好きなんだなーって」
ほむら「そうだったの……。まぁ、確かにわかりやすい子ではあるわね」
メアリー「うーん……でもあのままじゃたぶん、告白なんて出来そうにないよね」
ほむら「そうね。あの子、恋愛に関してはすごく奥手だから」
メアリー「……うん。じゃあ、ちょっとだけ背中を押してあげようかな」
ほむら「……?」
- 107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 16:58:41.29 ID:Krckt64to
翌日、病院
メアリー「上条くん、入るよ?」
恭介「!メアリーさん!今日は1人かい?」
メアリー「うん、本当はさやかと一緒に来たかったんだけど、
今日は私、この後用事があるから。1人だけ早めに来ちゃった」
恭介「そうなんだ」
メアリー「それで……怪我の具合、どう?」
恭介「それが、すごく不思議なんだけど……今朝起きたら、急に良くなってたんだよ。
それで検査したら、まるで事故にあったのが嘘だったんじゃないかってくらいに綺麗に治ってて!
先生も、奇跡としか思えないってさ。僕もまだ信じられないくらいだよ」
メアリー「そうなの!?すごい、おめでとう上条くん!」
恭介「ありがとう、メアリーさん」
- 108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:08:18.97 ID:Krckt64to
恭介「それにしても、本当に奇跡ってあるんだね」
メアリー「きっと、さやかの祈りが神様に届いたんだよ!」
恭介「さやかの……うん、そうかも知れないね。本当、さやかはよくしてくれて……感謝してるよ」
メアリー「本当に良い彼女さんだよね、あんなに尽くしてくれて」
恭介「えっ?やだなぁ、違うよ。さやかはそんなんじゃないって。ただの幼馴染だよ」
メアリー「あれ、そうだったの?うーん、端からはそうは見えなかったけどなぁ。
でも、本当にさやかが恋人になってくれたら、良いとは思わない?」
恭介「さやかが恋人に……?……あはは、やっぱりそれはないんじゃないかな。
さやかはきっと、そんなこと考えたことはないだろうしね」
メアリー「……そっか、うん」
恭介「……?」
さやか「恭介、入るよー?」
- 109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:13:13.23 ID:Krckt64to
恭介「さやか……!」
さやか「ん?何よ、そんなにびっくりしちゃって……ってあれ?め、メアリー?」
メアリー「意外と早かったね、さやか」
さやか「あんた、先に帰ったんじゃ……ここに来るためだったの?」
メアリー「うん。上条くんに会っておきたくて!」
さやか「な……なんで?何か用事があったとか?」
メアリー「んー、ううん。別に特に用事があったってわけでもないんだけど」
さやか「そ、そっか……」
メアリー「……それじゃ、さやかも来たことだし!私はそろそろ帰るね!」
- 110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:21:07.31 ID:Krckt64to
メアリー「あとはごゆっくり、お2人さん!」
恭介「あ、うん。それじゃあ……っ!?」
さやか「?恭介、どうし……っ!?」
メアリー「じゃあね、2人とも。ばいばい!」
さやか「えっ、あ、えっと……ば、ばいばい……」
恭介「さ、さようなら……」
さやか「……き、恭介……?」
恭介「な、なんだい、さやか……」
さやか「か……顔、赤いよ!だ、大丈夫?」
恭介「えっ!?ち、ちょっと、暑いかな?そ、それよりさやかこそ、真っ赤じゃないか……」
さやか「へっ!?あ、えっと……」
- 111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:26:06.07 ID:Krckt64to
・
・
・
ほむら「……どうだった?」
メアリー「うん、たぶん大丈夫だと思うよ。
上条くんも、さやかのことなんとも思ってなかったわけじゃなかったし」
ほむら「それで、具体的に何をしたのか説明してくれるかしら」
メアリー「ちょっとだけね、2人の想いをお互いに伝えたんだ。
さやかは私に嫉妬して、上条くんへの想いはいつもより強くなってたし、
上条くんも直前の私との会話でさやかのことを意識してくれてたし。
そんな2人の想いを直接頭の中に、ね」
ほむら「…………」
メアリー「まぁ、もちろん相手の気持ちが伝わってくるなんて
あの子たちにとっては訳わかんない現象だから、あれだけで付き合えるはずはないよ。
でも、そういう雰囲気にするには十分すぎるくらいでしょ?だから、後は本人たちの問題かな」
ほむら「本人たちの問題……?」
メアリー「うん。その気になれば私の力だけで2人を結ばせることも出来るんだけど、
やっぱり最後はちゃんと、自分の言葉で伝え合った方が良いよね!」
- 112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:33:16.74 ID:Krckt64to
ほむら「……変なところでロマンチストなのね、あなた」
メアリー「別にそんなんじゃないよー。恋愛ってそういうものでしょ?」
ほむら「…………」
力を行使すれば安全確実に目的を成し遂げられるのに……この子は、そうはしない。
人の心を、想いを、大切にしてる。
あんなにすごい力を持ちながら、ここまで人のことを思いやれるなんて……。
メアリー「それじゃ、そろそろパトロール行きますか!」
ほむら「えぇ、そう……っ!」
メアリー「早速だね……って、あれ?もしかしてこの反応の位置……!」
ほむら「えぇ……さっきまであなたが居た、病院ね」
メアリー「……急ごう!あの2人の邪魔はさせないんだから!」
- 113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:40:18.58 ID:Krckt64to
結界内
メアリー「……ねぇほむら。この結界の魔女のこと、知ってるんだよね」
ほむら「えぇ。……良いわ、私の記憶を読んでちょうだい。
その方が言葉で説明するより早いし確実だから」
メアリー「ん、じゃあそうさせて貰うよ」
ほむら「……どう?大体把握できた?」
メアリー「……うん。巴さんと相性が悪い魔女……なんだね」
ほむら「その通りよ。それより、どうしたの?
前の結界の時は魔女のことなんて気にしてなかったわよね」
メアリー「ん……ちょっとね。すごく、悲しい結界だなって」
- 114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:49:35.04 ID:Krckt64to
ほむら「結界からも思念を感じるの?それは、魔女の思念?」
メアリー「うん。もちろん魔女そのものからも思念は感じるし、言葉もわかる」
ほむら「……すごいわね。人だけじゃなくて、魔女の思念まで。しかも言葉までわかるなんて」
メアリー「まぁ、最初からそうだったわけじゃないんだけどね。
魔女のことが分かるのは、契約してしばらくしてから身に付いた力なんだ」
ほむら「そう……」
メアリー「ん、そろそろだね。この扉の向こうだ」
ほむら「えぇ……行きましょう」
- 115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 17:56:04.76 ID:Krckt64to
・
・
・
メアリー「……はい、もう時間動かして良いよ」
ほむら「わかったわ」
カチッ
魔女「……!」
メアリー「……これでよし、っと。良かった、誰か被害に遭う前に止められて」
ほむら「…………」
前はこの子の魔法にばかり気を取られて気付かなかったけど……。
メアリーは魔女をグリーフシードに戻す時、すごく悲しそうな顔をしていた。
きっと、魔女の思念を読み取ったんだろう。
この子は魔女のことも心の底から哀れむことができる……本当に優しい子なんだ。
メアリー「……ほむら、まだパトロールの続き行ける?」
ほむら「えぇ、平気よ。あなたと2人でなら、魔力の心配はないから。
それに……少しでも多くの子を、救ってあげないといけないものね」
メアリー「……うん。じゃ、行こっか!」
- 116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:01:04.62 ID:Krckt64to
翌日、学校
さやか「おっはよー、みんな!」
まどか「あっ、おはよう、さやかちゃん!」
ほむら「……おはよう。今朝はずいぶん元気ね」
さやか「そーぉ?そんなことないって、いつもと一緒だよー!」
メアリー「えー?何か良いことあったんじゃないの?すっごい幸せそうな顔だもん」
さやか「えへへ、やっぱ分かっちゃう?えへへへ……」
仁美「さやかさん……もしかして上条くんのことですの?」
- 117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:08:26.77 ID:Krckt64to
さやか「えっ!なんでわかったの!?まだ何も言ってないのに!」
仁美「だって……さやかさんがそんな幸せそうな顔になるなんて、彼のこと以外に考えられませんもの」
さやか「いやー実は、その……えへへ……」
まどか「さやかちゃん、じゃあやっぱり……」
さやか「昨日ね、えっと……恭介と、付き合うことになったんだ!」
ほむら「……!」
本当に、上手く行ったのね。
メアリーの考えた通りに……。
まどか「わっ、すごぉーい!おめでとう、さやかちゃん!」
メアリー「ふふっ、おめでとうさやか!」
さやか「へっ?あ、ありがとう」
- 118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:12:29.80 ID:Krckt64to
メアリー「ん?何よその反応ー。あ、もしかして私が上条くんのこと好きだとか思ってたり?」
さやか「えっ!?あ、あははは!違うよ、違う違う!そんなことないってー!
うん、ありがとう、2人とも!あはははは!」
仁美「……さやかさん」
さやか「?何、仁美?」
ほむら「…………」
そう……この展開で1つだけ問題を挙げるとすれば、この子。
志筑さんも、上条くんに想いを寄せていた。
この失恋がどう影響するか……。
仁美「……おめでとうございますわ!私も、心から祝福しますわね!」
ほむら「っ!」
さやか「えへへ、ありがとう仁美!」
- 119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:18:08.68 ID:Krckt64to
・
・
・
ほむら「……あなた、気付いてるわよね?」
メアリー「仁美のこと?うん、気付いてたよ」
ほむら「何も……問題はないの?」
メアリー「うん。確かにあの子も、上条くんのことが好きだった。でも、半分諦めちゃってたの」
ほむら「諦めてた……?」
メアリー「なんていうのかな。あの子、想いの強さでさやかに負けを認めてた。
自分よりもさやかの方が上条くんのことを強く想ってる、って。
だから自分は身を引くべきなんだ、って」
ほむら「…………」
メアリー「想いの強さに優劣をつけるのも変かも知れないけど……
実際そうだったんだよ。さやかの方が、付き合いが長いからかな。
上条くんのことをずっと大切に感じてた。
愛したいっていう気持ちも、愛されたいっていう気持ちも、さやかの方が上だったんだ」
- 120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:22:12.74 ID:Krckt64to
ほむら「……それだけの理由で、あなたが志筑仁美の想いを無下にするとは思えないのだけど」
メアリー「まぁ、ね。これだけなら確かに、
さやかの方を応援してあげたいとは思っても、手助けはしなかったと思う」
ほむら「だったらどうして……」
メアリー「あたしがさやかの手助けをしたのは……仁美がね、さやかの幸せを願ってたからなんだ」
ほむら「……!」
メアリー「他の時間軸では彼の退院がきっかけで自分の想いを我慢できなくなったみたいだけど、
それでも、さやかに先を譲ろうとしてた。あの子は心の底で、本当に思ってたんだよ。
誰よりも上条くんのことを想ってるさやかが幸せになれないなんておかしいって。
だからさやかに上条くんと結ばれて欲しい、って。
そんな想いが、彼への恋心と同じくらい大きかった」
ほむら「つまりあなたは……志筑さんの願いを1つ諦めさせる代わりに、
もう1つの願いを叶えた……そういうこと?」
- 121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:27:51.34 ID:Krckt64to
メアリー「そういうことに、なるのかな。自分が上条くんと結ばれたいっていう願いと、
さやかに結ばれて欲しいっていう願い……。この2つはどうしたって両立できないから」
ほむら「じゃあ、今の志筑さんは……」
メアリー「うん。やっぱり失恋はちょっと悲しいみたいだけど、
さやかが上条くんと結ばれたことについては、本当に心の底から喜んでくれてるよ」
ほむら「……まさかそこまで考えていたなんて」
メアリー「どうしても無理な時もあるけど……やっぱり私は、みんなに笑顔で居て欲しいから、ね」
……この子は、常に私の想像の上を行く。
私の考えの及ばないところまで思考を凝らして、本当にみんなが幸せになるよう、尽力してる。
本当に……優しい子。
- 123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:33:20.38 ID:Krckt64to
・
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・
放課後
まどか「さやかちゃん、今日は喫茶店どうする?」
さやか「ごめーん、今日はちょっと、直接病院に……」
仁美「あら、早速ラブラブですのね……ふふっ」
さやか「えへへっ、まぁね」
メアリー「じゃあ今日は寄り道せずに、直接……っ……!」
ほむら「……メアリー?」
メアリー「ねぇさやか!1つ提案なんだけど、今からみんなでプレゼント選びに行かない?
もうすぐ退院でしょ?だから、そのお祝いにさ!」
- 124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:40:17.42 ID:Krckt64to
仁美「まぁ、良いですわね!賛成ですわ」
さやか「確かに、それは考えてなかったなぁ。さすがメアリー!」
まどか「何が良いかな?やっぱり、音楽関係?」
メアリー「うーん、そうだね。まずはそっちの方向で考えてみよっか。CD屋さんとか行ってみる?」
さやか「よし、そうと決まれば早速行こー!」
メアリー「ほら、ほむらも早く!」
ほむら「えぇ……」
ほむら『……もしかしてあなた、また時間を?』
メアリー『うん。理由はプレゼント選びが終わったら話すよ』
ほむら『わかったわ。……ありがとう、また助けてくれて』
メアリー『ううん、お礼なんて。それより、ほむらもちゃんとプレゼント選び真剣に考えてよ?』
- 125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:45:34.04 ID:Krckt64to
・
・
・
さやか「そんじゃみんな、今日はここで解散ってことで!ばいばーい!」
メアリー「うん、みんなまた明日ね!」
ほむら「さようなら。もう遅いから、気をつけて」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん。それじゃ、またね!」
仁美「失礼しますわ。お疲れ様でした」
メアリー「……ふー。大体方向性が決まって良かったね。これなら間に合いそう」
ほむら「えぇ、そうね。……それで、理由を聞かせてもらえる?」
メアリー「あ、うん。えっとね……あのまま寄り道せずに帰ってたら、佐倉杏子さんに会ってた」
ほむら「……!あの子がもう、この町に……」
- 126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:52:44.30 ID:Krckt64to
メアリー「それで、まどかたちも居るのにそのままケンカに……」
ほむら「そう……キュゥべえは脅して抑止できても、
やっぱりまどかたちを魔法少女に無関係で居させるのは難しいみたいね」
メアリー「だね。それで、またこんなことにならないように、早めに手を打っておきたいんだけど」
ほむら「……こちらから佐倉杏子に会いに行く、ということ?」
メアリー「うん。出来ればそのまま説得するか……普通の女の子に戻してあげるか。
そういう展開になってくれれば良いなって」
ほむら「説得というのは、杏子を仲間にするということ?」
メアリー「それが一番良いかな。あの子も1人で戦うよりはそっちの方が安全だし」
ほむら「杏子の性格は分かってるわよね……?」
メアリー「あなたの記憶から分かる程度に、だけどね。ま、とりあえずは会ってみないと」
ほむら「……そうね」
- 127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 18:57:35.76 ID:Krckt64to
・
・
・
魔女「ギャァアアアアアアアアア……!」
杏子「へへっ、いっちょあがりっと」
QB「まさか君がこの町に来るなんてね」
杏子「風見野が最近不景気でねー。獲物がなかなか出やしないんだよ。
それに比べて、やっぱここは良いね。そこらじゅうに居やがる。ほんと、絶好の狩場だ」
QB「そうかい。でも気を付けた方が良いよ。この町には既に魔法少女が居るんだから」
杏子「わかってるって、マミの奴だろ?へっ、もうあんな甘ちゃん、敵じゃないっての」
QB「違うよ。この町に居る魔法少女は、暁美ほむら、そしてメアリー・スーの2人だけだ」
杏子「……はぁ?」
- 128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 19:02:28.63 ID:Krckt64to
杏子「何よ、その……暁美ほむらとメアリー・スーってのは。1人は外人かい?」
QB「そうだね、メアリーはアメリカ人だ」
杏子「それで?そいつら2人に、マミの奴はやられちまったってことか?」
QB「やられたという表現が適切かどうかはわからないけど、
メアリー・スーの魔法で魔法少女マミが居なくなってしまったことは確かだね」
杏子「……ちっ。何やってんだよ、あの馬鹿」
QB「…………」
杏子「おいキュゥべえ。今そいつらはどこに居る?」
- 129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/09(土) 19:06:28.75 ID:Krckt64to
QB「それを聞いてどうするつもりだい?」
杏子「ちょっと挨拶に行ってやるよ。マミをやった魔法少女の顔、拝んでみたいしね」
QB「……メアリー・スーは元より、暁美ほむらもかなりのイレギュラーだ。
彼女たちの行動は、僕にも予測できない」
杏子「ん……?何よあんた。まさか、あたしが負けるとでも思ってるわけ?」
QB「実力としては、たとえ君でもそう簡単に勝てる相手じゃないよ」
杏子「はっ!上等じゃん。良いから教えなよ、そいつらの居場所……ん?」
ほむら「…………」
メアリー「初めまして、佐倉杏子さん」
杏子「……あんたら、もしかして」
QB「どうやら居場所を教える必要はなくなったみたいだね」
- 133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 17:45:39.48 ID:FGd/V5woo
杏子「へぇ……わざわざそっちから出向いてくれるとはね」
ほむら「あなた、私たちのことを……?」
メアリー「……ほむら。この子、キュゥべえに余計なことを吹き込まれてる」
ほむら「っ……キュゥべえ、今すぐここから消えなさい」
QB「やれやれ、わかったよ」
杏子「見た目からして……そっちの銀髪がメアリー・スーか。で、黒髪が暁美ほむらだね。
キュゥべえから聞いたよ。あんたたち、マミをやったんだって?」
メアリー「……ほむら、下がってて」
ほむら「え?」
杏子「ま、邪魔者を1人消してくれたのはありがたいけどさ。
でも……あいつの敵になったってことは、この町の縄張りが目当てだったわけでしょ?
ってことは当然……あたしの敵にもなるってことだよねぇ!」
- 134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 17:50:02.30 ID:FGd/V5woo
そう言うと杏子は突然武器を構え、こちらに向かって跳躍する。
そして武器を振り上げ、
ほむら「ッ……!」
危なかった……!
不意打ちだったせいで時間停止が間に合わなかった。
もしメアリーの言う通りに少し後ろに下がって居なければ、
きっと無傷では済まなかっただろう。
そしてメアリーは……
杏子「……へぇ。今のを避けるんだ。さすが、マミをやっただけはあるね」
メアリー「佐倉さん、私はあなたと戦うつもりは……」
杏子「なんだよ、来ないのかい?だったらまだ攻めさせてもらうよ!」
- 135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 17:54:19.68 ID:FGd/V5woo
杏子は、まるで聞く耳を持ってない。
もう少し冷静な子だと思っていたけど……
巴さんを倒した魔法少女だと聞いて、平常心を失っている……?
槍を自在に操り、次々と攻撃を繰り出す杏子。
だけど……それらはすべて、メアリーにかわされている。
当然だ。
あの子には、人の考えが読めるのだから。
杏子「ちっ!逃げ回ってんじゃねえよ!たまには攻撃したらどうだ!」
メアリー「だから、私は戦うつもりはないんだって」
杏子「あぁ!?マミをやったってのにあたしとは戦わないってか!?
ふざけんじゃねえ!じゃあなんでマミをやりやがったんだよ!?」
メアリー「……多分言葉で話しても無駄だから、見せてあげるね」
杏子「何を見せるって……ッ!?」
- 136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 17:59:34.29 ID:FGd/V5woo
ほむら「メアリー、あなた何を?」
メアリー「私の記憶を、直接見せてあげてる。これで誤解が解けるはずだよ」
杏子「……うそ、だろ……?」
ほむら「……杏子」
杏子「マミが、魔法少女をやめた、だって……?そ、そんなこと、あるはずない」
メアリー「……信じられないの?」
杏子「だってあいつは、正義の魔法少女なんだぞ!?みんなを助けるんだ、って……!
そうやって馬鹿みたいに、毎日毎日張り切って!
そんなあいつが!戦いが怖いからって正義の味方をやめるわけないだろ!
自分の使命を忘れて、逃げ出すなんてことがあるわけ……!」
メアリー「それ……あなたのせいなんだって、分かってる?」
- 137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:05:18.18 ID:FGd/V5woo
杏子「……は……?」
メアリー「佐倉さんと一緒に戦ってた時は、きっと巴さんはあなたの言う通り、
人のために戦う正義の味方だったんだと思う。
何も恐れずに、使命に燃えて、戦うことが出来てたんだと思う。
でもそれは……仲間が、あなたが居たから」
杏子「なっ……」
メアリー「あなたが一緒だったから、巴さんは戦えた。正義の魔法少女で居られた。
でも……あなたは去ってしまった。
それからの巴さんは……もう彼女にとって戦いは辛く苦しいものでしかなくなった。
あなたとの思い出がある分、余計に戦いを辛く感じたの。
人々を助けるため、正義のためだって言い聞かせながらも、
あなたを失った辛さ、戦いの辛さだけは、どうしようもできなかった」
杏子「……あたしが、あいつを弱くしちまったって言いたいのか」
- 138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:12:27.21 ID:FGd/V5woo
メアリー「言い換えればそう言うことだね」
杏子「じゃあ……どうすれば良かったんだよ。正義の味方続ければ良かったってのか!?」
メアリー「そうだよ」
杏子「簡単に言うんじゃねえよ!あんたに何がわかる!?
他人のために動いた結果、大事なもんを何もかもなくしちまって……!
自分も周りも不幸にしちまって……!
それでもまだ他人を思いやれってのか!?できるわけねえだろうが!!
何もわからねえ癖に適当なこと言ってんじゃねえよ馬鹿が!!」
メアリー「……わかるよ」
杏子「はぁ!?何がわかるって!?」
メアリー「私も、同じだよ。あなたと、同じ」
ほむら「えっ……?」
杏子「同じって……何がどう同じだってんだよ……!」
メアリー「……見せてあげるね。私の、昔を」
- 139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:23:14.66 ID:FGd/V5woo
・
・
・
私は、12歳までは普通の女の子だった。
家は裕福だったけど、別に名門の学校に通ったりだとかそんなこともない、普通の女の子。
普通の学校に通って、友達とも普通に仲が良くて……まぁお稽古の数はちょっと多かったけど、
それでも、少なくとも週に1回は放課後に友達と遊べるくらいには時間もあったし、
お稽古も楽しかったし、好きだったから全然辛くはなかった。
パパもママもすごく優しくて、私はそんな毎日が幸せだった。
でも、私の13歳の誕生日のこと。
突然、何の前触れもなくすごい高熱が出て、私は寝込んでしまった。
意識は朦朧としてたけど、みんなすごく心配してくれたのは覚えてる。
それで、1週間後の朝。
熱は嘘みたいに引いて、意識もはっきりして、
あんなに苦しかったのが夢だったみたいに元気になってた。
- 140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:31:35.82 ID:FGd/V5woo
横に居たママは、目を覚ました私に気付いたら、急に泣き出した。
すぐにパパも部屋に駆け付けてきてくれて、目を覚ました私を見た瞬間、ママと同じように泣き出してしまった。
その時だった。
突然、何かが私の頭の中に流れ込んできた。
次の瞬間、私はすべて理解した。
私が寝込んでいる間、パパとママがどれだけ心配してくれてたか。
仕事を休んでまで私の看病をしてくれてたこと、毎晩私の横に居てくれてたこと、
神様に私の回復を祈り続けてくれてたこと……。
父「ああ、メアリー!良かった、お前が無事で……!」
母「良かった、本当に良かった……!愛してるわ、メアリー!私たちの大切なメアリー!」
そして何より一番はっきりわかったのは、パパとママの愛情。
それがわかった瞬間、目頭が熱くなってきて、私も泣き出してしまった。
メアリー「うん、うん……!私も大好き、パパ、ママ、大好き……!」
- 141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:38:52.40 ID:FGd/V5woo
私が自分の力を自覚したのは、それから3日後。
授業で、先生に当てられた時だった。
先生「じゃあこの問題を……順番で言うとスーなんだが、君はしばらく休んでたしな。
知識問題だが、わかるかい?」
メアリー「えーっと……」
一応熱が引いた次の日に、友達が持ってきてくれたプリントで勉強はしてた。
その時に確かにこの問題の答えは見たはず。
でも、なかなか思い出せなくて……がんばって思い出そうとした。
その時突然、
『んー、答えは○○なんだが少し難しかったな。やっぱり飛ばしてやったほうが良かったか』
メアリー「えっ……?せ、先生、今何か?」
先生「?なんだ、どうした?やっぱり難しいか?だったら飛ばして……」
メアリー「……○○です」
先生「おぉ、知ってたか!正解だ、座っていいぞ」
メアリー「は……はい」
- 142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:44:36.13 ID:FGd/V5woo
さっきの声、なんだったんだろ……。
確かに先生の声だったと思うんだけど、でも……
『メアリーすごいなぁ、学校休んでたのに分かっちゃうんだ』
メアリー「っ……!」
その時聞こえたのは、前の席に座ってる友達の声。
でも授業中にそんなにはっきり聞こえるはずがないし、
その友達は前を向いたまま、少しも動いてなかった。
じゃあ今の声は、何?
……もしかして……心の、声……?
“人の心の声が聞こえるようになったんじゃないか”
思いつきだったけど、そう考えたら私は試さずには居られなかった。
1日いろいろと試した結果、私は確信した。
私は、人の考えていることや、記憶を知ることができるんだ……って。
- 143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:50:45.03 ID:FGd/V5woo
すごい、すごいすごい!
これって、超能力ってやつだ!
そっか、きっとあの日からだ!
あの高熱がきっかけで、私には超能力が芽生えたんだ!
そんな風に、私はすごく興奮した。
だって、そうだよね。
13歳の女の子がそんな力をいきなり手に入れたら、落ち着いてなんか居られないもの。
だから私が、その年頃の少女にありがちな考え方に至ったのも、きっと自然なこと。
この超能力を使って、正義の味方になるんだ。
この力を使って、悪者をやっつけて、みんなを助けるんだ、って。
そうやって張り切るようになった。
- 144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 18:57:01.44 ID:FGd/V5woo
それから、数週間。
警察「居たぞ、あそこだ!通報にあった通りだ!」
空き巣「なっ……う、嘘だろ!?まだ入ったばっかだぞ!?」
警察「現行犯で逮捕する!来なさい!」
空き巣「くそっ!なんでバレたんだ……!」
メアリー「…………」
私は町を歩く人の頭の中を読んで、悪いことを考えてる人を見つけることを日課にしてた。
見つけたらその人の頭の中をもっと詳しく探って、本当に犯罪を起こすつもりかどうか調べる。
起こすつもりなら、日時までしっかり調べて、そのタイミングを狙って通報して、逮捕してもらう。
万引きなんかの場合は、お店の人に伝える。
それを毎日繰り返して、私はそれなりの成果をあげていた。
- 145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:04:19.57 ID:FGd/V5woo
悪い人が掴まるのを見るたびに、私は達成感を感じていた。
これでまた、平和に一歩近付いた、って。
こうやって、みんなを幸せにしようって。
そうすることが正義で、みんなのためになるんだって、私は信じてた。
でも……そんなある日、事件は起こった。
いつも通り、家族みんなで楽しく夕食を食べていた時のこと。
インターホンが鳴った。
母「あら?こんな時間に珍しいわね、誰かしら?」
父「郵便か何かかな。ちょっと行ってくるよ」
パパは席を立ち、玄関へと向かう。
……そして、しばらくして戻ってきた。
ただし戻ってきたのはパパじゃなくて……4~5人の知らない男の人たちだった。
- 146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:09:58.16 ID:FGd/V5woo
メアリー「え、えっ?だ、誰?」
母「な、なんですかあなたたち……ひっ!?」
男の1人が手に持っていたもの、それは……血で真っ赤になった刃物。
よく見るとその服も、血でべっとりと濡れていた。
母「め、メアリー!逃げなさい!警察に……ぁぐうっ!?」
メアリー「ママぁ!!」
ママは、首を刺されてそのまま倒れる。
そしてその男の人は、倒れたママに圧し掛かって、何度も、何度も刃物を突き立てた。
メアリー「や、だ……嫌、いやぁ……!」
次の瞬間、いつの間にか後ろに居た別の人に、私は取り押さえられた。
メアリー「やだ!離して!離してぇえ!!」
男「……のせい……せいだ……」
- 148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:28:17.04 ID:FGd/V5woo
その男は、何かぶつぶつと呟いていた。
……その男だけじゃない。
他の人たちもみんな、何か呟いてる。
そしてよく聞けば……それは全部、同じ内容だった。
「お前のせいだ……お前のせいだ……」
メアリー「え……?」
次の瞬間、その人たちの記憶が流れ込んできた。
そう……彼らはみんな、私が通報して捕まった人たち。
そしてその時を境に、人生が狂ってしまった人たちだった。
家族に、友人に見放され、孤立して、何もかも失った人たち……。
「お前のせいで……俺は、俺は……」
……悪いことをしたのだから自業自得。
そう考える人も居るだろうけど……私には、出来なかった。
- 149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:34:25.18 ID:FGd/V5woo
どうしようもなく追い詰められて、最後の最後に、罪を犯すことを決意“してしまった”。
その時そこに居た人は、みんなそんな風にして……そして、捕まった人たちだった。
私は……罪を犯す人はみんな悪い人だと思ってた。
多分それは間違ってないし、犯罪は悪いことだって、今でも思う。
でも……もっと他に良い方法があったんじゃないのか。
捕まえるより、他に方法があったんじゃないのか。
心を読む力をもっと上手く使えば、そもそも彼らが犯罪に走る前に止められたんじゃないのか。
そうしていれば少なくとも……パパもママも死なずに済んだ。
こんなことにはならなかった。
私は悪者を捕まえて世の中を良くするんだって、みんなを幸せにするんだって、張り切って……。
でもみんなを幸せにするどころか、救えたはずの人たちを不幸にして……。
私のせいで不幸にして……。
「へ、へへ……もう、良い……もうどうでも……」
「全て失ったんだ……もうどうだって良い……何したって……」
「お前だけは許さない……苦しめてやる……俺たち以上に……」
「ああ、やろう……やっちまおう……犯っちまおう……」
- 152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:40:41.51 ID:FGd/V5woo
……何もかも無駄だった。
私がこの力を使ったことは、人を幸せになんかしなかった。
もちろん、何人か救いもしたとは思う。
でも……それ以上に酷い不幸を撒き散らしてしまった。
私は……私のしてきたことは……。
メアリー「っ……ぅ、えっ……ぇぐっ……」
「ざまぁ見ろ……ざまぁ見ろ……」
「穢してやった……へ、へへへ……」
「もう、良いよな、お前ら……」
「ああ……もう良い……もう終わりにしよう……」
……きっと私は殺されるんだ。
これが私に与えられた罰なんだ。
そう覚悟して、目を閉じた。
でも……いつまで経っても、何も起きなかった。
恐る恐る目を開けると、そこには……男の人たちの死体があった。
みんな、自分で自分を刺して、死んでた。
メアリー「っ……ぅあぁあああ……うああぁああああぁああん!!」
私は大声で泣いて、泣いて、泣いて……。
次に気が付いたのは、病院のベッドの上だった。
- 153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:45:22.79 ID:FGd/V5woo
メアリー「……私……」
看護士「……!気が付いたのね」
メアリー「ぅ、うぅっ……」
看護士「辛かったでしょう……可哀想に。
でもきっと、お母様は天国でずっとあなたのことを見ていてくださるわ」
メアリー「ぐすっ……ひぐっ……」
看護士「お父様もきっと、また元気になってくれるから……」
メアリー「え……?い、生きてるんですか?パパ、生きてるんですか……!?」
看護士「……えぇ。でも……」
メアリー「会わせてください!パパに、会わせてください!」
- 154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:50:04.60 ID:FGd/V5woo
そうして、私はパパに会わせてもらえた。
確かに、パパは生きてた。
意識もあった。
でも……
父「…………」
メアリー「パパ……私だよ、メアリーだよ」
父「……うー……」
メアリー「ねえ聞こえる?私の声がわかる……?」
父「……あー……?」
医師「……どうやら、脳に深刻なダメージを負ったようで……。
我々も最善を尽くしますが、これからの回復はかなり難しいとお考えください……」
メアリー「っ……」
- 155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 19:55:16.68 ID:FGd/V5woo
結局それから、私はパパと何も話せず退院した。
学校ではみんな事件のことを大まかに聞いたらしく、すごく優しくしてくれた。
放課後は、みんな遊びに誘ってくれた。
でも断った。
やっぱり、遊ぶ気分にはなれなかった。
みんなそれを察して、しつこくは誘わなかった。
それで、放課後……私はなんとなく、本当になんとなくぶらぶらと歩き回った。
特に何を考えてたわけでもない。
でも気付けば、ある場所に立ってた。
そこは……私が“悪者探し”をしてた場所。
そこに立てば、たくさんの人の頭の中を見るのに便利だった。
気付けば私は、その場所にまた立ってた。
そして……多分これも無意識だったと思う。
日課にしてたせいで体に染み付いてたのか……私は1人、通行人の頭の中を……
『やってやるさ……やってやる。簡単だ、誰にも見付からずに……』
- 156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:01:12.11 ID:FGd/V5woo
メアリー「ッ……駄目ぇええぇえッ!!」
男「なっ……!?」
メアリー「やめてください、やめてください!!お願いします、やめてください……!」
男「お、おい!?なんだ、お前、何を……!」
メアリー「悪いことしないでください!お願いですから、悪いことしないでください!」
「なんだ、どうした……?」
「悪いこと?何かあったの……?」
「な、なんかただ事じゃなさそうだが……」
男「っ……い、いや違う!俺は何もしてない!誤解だ!この子がいきなり……!」
メアリー「なんでもします!なんでも手伝います!私にできることならなんでもしますから!
だから、悪いことしないでください……!お願いします……!」
男「くっ……くそ!なんなんだ一体……!」
メアリー「ま、待って!行かないで!」
男「な……なんだよ、もう!わかったよ、付いて来い!とにかくここから離れるぞ!」
- 157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:07:22.43 ID:FGd/V5woo
そうして私は、その人と喫茶店に入った。
しばらく沈黙が続いて……その間に私はかなり落ち着けた。
メアリー「……さっきは、ごめんなさい」
男「もう良いよ……それより、何なのお前?いきなり悪いことするなとかなんとか……」
メアリー「……私……悪い人を、捕まえたことがあって……。
罪を犯す人は悪い人だから、捕まえた方が世の中のためだ、って、そう思って……」
男「…………」
メアリー「でも……その人には、罪を犯すまで追い詰められたわけがあって……。
それも知らずに、捕まえて……そしたら、その人、すごく不幸になって……。
他の人もたくさん、不幸になって……。そのこと、思い出しちゃって……」
男「……それで、捕まえるよりまずその本人に“悪いこと”をやめさせようと」
メアリー「……咄嗟に、つい……」
- 158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:11:31.54 ID:FGd/V5woo
男「で?なんで俺が悪いことしようとしてると思ったんだよ」
メアリー「それは……その……」
男「……ちっ。そんな悪人面してたか?俺……」
メアリー「え、えっと……」
男「はぁ……別に本気で何かしようなんて思ってなかったっての」
メアリー「え……?」
男「じゃ、俺もう行くわ。飲みもんの金は置いとくから払っといてくれ。じゃあな」
メアリー「あ、待っ……」
その時、咄嗟にまたその人の頭の中を見てしまった。
そしたら……最初に見た時には本気で犯罪を考えてたはずの彼は、もうそんなことは考えてなかった。
- 159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:15:53.87 ID:FGd/V5woo
悪いことするの、やめてくれた……。
……そうだ。
最初からこうすれば良かったんだ。
こうすれば、誰も不幸になんてならない。
さっきの人は、一時の気の迷いで犯罪に手を出そうとしてたのかもしれない。
でも、そんな1回の間違いが、大きな不幸を生み出すかもしれない。
だから……そんな間違いは、起きる前に修正しなきゃいけないんだ。
私は間違ってた。
この力の使い方を間違ってた。
でも……もう間違えない。
今度こそ、今度こそ必ず、この力でみんなを幸せにしてみせる。
悪い人を捕まえて、良い人を幸せにするんじゃない。
悪い人を、悪い人になんてしない。
私は、みんなを幸せにする。
この手の届く限り、出来るだけたくさんの人を救う。
それが私のこの力の、本当の使い方だったんだ……!
- 160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:20:58.41 ID:FGd/V5woo
メアリー「……パパ」
父「…………」
メアリー「ごめんなさい……私が力の使い方を間違えたせいで、こんな目に遭わせてしまって」
ママも、ごめんなさい。
私が不幸にしてしまった他の大勢の人たちも、ごめんなさい。
こんなことじゃきっと償いにはならないけど……
でもせめて、これから救える人たちのことは救おうと思います。
それが私に与えられた力の、本当の使い方。
私はみんなを救いながら生きていきます。
今度こそ、みんなを幸せにしてみせます。
メアリー「だからどうか……応援していてください」
- 161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:27:28.02 ID:FGd/V5woo
そうして……また数週間が流れた。
パパはやっぱり、元には戻らない。
でも私は毎日、パパに話しかけに病院に通った。
メアリー「あのね、パパ。今日やっと、この前話したおじさんの借金の問題、解決したんだ!
最初は相手を殺しちゃおうとか考えてたおじさんだけど、これでもう安心!
ちょっと大変だったけど、相手の人もわかってくれたし、本当に良かったよ!」
父「…………」
メアリー「それからね、小さなことだけど、万引きも何件か止められたんだ!
万引きがバレていじめられるっていうこともあったりするから、こういうのも見逃せないよね!」
父「…………」
メアリー「あ、そうそう、いじめと言えば……っ……と、ごめんね。
ちょっとクラっとしちゃって。でもこのくらいでへこたれたりなんかしないよ!」
父「…………」
- 163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:33:56.31 ID:FGd/V5woo
メアリー「あ、ご飯はちゃんと食べてるから安心して!それより私はパパの方が心配だよ。
前よりずっと痩せちゃったよね?まぁ、点滴だけだと仕方ないのかなぁ」
看護士「あら、メアリーちゃん……今日も来てくれてたの?」
メアリー「こんにちは!いつも父がお世話になってます」
看護士「まぁ、しっかりしてるわね。あ、そうそう。
もうすぐ時間だから、帰る準備よろしくねって言いに来たの」
メアリー「そうでしたか。すみません、すぐ支度しますね」
看護士「そんなに急がなくても良いのよ?」
メアリー「いえ、お仕事の邪魔になっちゃ悪いですし。
……それじゃパパ、また明日ね。ばいばい」
- 164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:38:32.82 ID:FGd/V5woo
病院を出て、少し歩いたところで……私は、忘れ物に気付いた。
きっと急いで身支度を整えたせいだ。
私はすぐにUターンし、再び病院に入っていく。
そしてパパの居る病室に入り、忘れ物を……
メアリー「……パパ?」
……居ない。
ベッドの上に居るはずのパパが、居ない。
自分で動ける状態じゃないはずだ。
見ると、点滴の針も抜けて放置されている。
と、その時。
どこからか、声が聞こえた。
まさか……いや、間違いない。
パパの声だ……!
- 165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:45:17.41 ID:FGd/V5woo
廊下に出て、耳を澄ます。
すると、階段の方から声がかすかに聞こえた。
その声を頼りに、私は階段を駆け上がる。
上だ……まだ上、もっと上……。
そしてとうとう、屋上まで着いた。
扉を開け、外に出る。
するとそこには……
父「あはははっ、おいおいメアリー。そんなに走っちゃ危ないぞ?」
メアリー「っ!?パパ、どうして……!」
父「ほら、ママのところまで行っておいで!
……え?パパも一緒にかい?よーし、じゃあ2人でママのところまで競争だ!」
パパは居た。
……屋上の、フェンスの向こう側に。
- 166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 20:50:39.06 ID:FGd/V5woo
メアリー「あ、危ないよ、パパ……。早く、こっちに戻ってきて……」
父「おぉ!すごいじゃないかメアリー!100点満点だなんて!
よーし、特別だ!プレゼントに何か……えっ、妹?
あ、あはは……それはちょっとママと相談かなぁ」
メアリー「パ、パ……」
父「コンクール入賞おめでとうメアリー!本当にお前は自慢の娘だよ。な、ママ!」
メアリー「っ……う、ぇっ……ひぐっ……」
パパは……幸せの中に居るんだ。
あの幸せだった日々の中に、今も、ずっと……。
もう失われた幸せを、いつまでも夢見て、ずっと、ずっと……。
父「よーし、今日はメアリーが元気になったお祝いだ!
どこか美味しいものでも食べに行くか!でも本当に、メアリーが元通り元気になって、良かった……」
メアリー「っ……」
父「……愛してるよ、メアリー」
次の瞬間……パパは姿を消した。
- 167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 21:03:26.24 ID:FGd/V5woo
パパは……夢の中に居たまま、死んだ。
もう取り戻せないあの幸せな日々を夢見て……幻を見ながら、死んでいった。
それで、幸せだったの……?
辛く苦しい現実に居るよりも、夢の中で生きて、そのまま死んだ方が、幸せ……?
もしかしたら、そうなのかもしれない。
パパはそれで、幸せだったのかも知れない。
でも、でも……
メアリー「いやだ……こんなの、いやだよ……」
分かってる……あの日々はもう帰ってこない。
それは、分かってる……。
失われた日々は、幸せは、もう二度と取り戻すことはできない……。
だから、幻の幸せの中で生きて、死ぬのが……幸せ……?
そんなの、あんまりだよ……酷すぎるよ……!
QB「こんな運命を変えたいかい?それなら、僕が力になってあげられるよ」
- 169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 21:07:59.93 ID:FGd/V5woo
突然現れた不思議な生き物、キュゥべえ。
キュゥべえは呆然とする私に、魔法少女のことや、魔女のこと、願い事のこと……いろいろ話した。
それはどれも信じがたいことばかり。
だけど、その時の私にとってはまさに、救いの言葉だった。
メアリー「ほ、本当なの?本当に、どんな願い事でも叶うの?」
QB「もちろんさ。君に魔女と戦う運命を背負う覚悟があるのなら、今すぐにでも叶えられる」
メアリー「私……戦う。魔法少女になる……!」
QB「そうか。なら願い事を言うと良い。君はどんな祈りで魂を輝かせるのかい?」
メアリー「私は……幸せを取り戻したい……!
私のせいで不幸になったみんなの日々を、すべてを!元通りに戻したい!!」
QB「良いだろう、契約は成立だ。さあ受け取ると良い。それが君の運命だ」
- 170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 21:13:07.43 ID:FGd/V5woo
次の瞬間、目の前が真っ白になって……眩しくて私は思わず目を閉じた。
そしてちょっと経って、恐る恐る目を開けると……
メアリー「……え……?」
母「おはよう、メアリー。体の調子はどう?」
メアリー「あ……ママ……?」
母「?もしかして、まだ少し悪い?もう1日休みましょうか?」
メアリー「あ、う、ううん!大丈夫、ちょっと寝ぼけちゃってただけだよ!」
母「そう?だったら良いんだけど、無理はしないでね?」
メアリー「うん!」
- 171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/10(日) 21:18:37.26 ID:FGd/V5woo
父「おっ、起きてきたかい、メアリー。本当に今日から学校に行ける?」
メアリー「おはようパパ!平気だよ、大丈夫!」
父「あははっ、本当に元気そうだね。良かった、安心したよ」
居る、居る……!
2人とも居る、元気なままで居る!
本当だったんだ、本当に叶ったんだ!
本当に、元通りになったんだ!
今日は私の熱が引いて、学校に行けるようになった日。
ということは、私が“悪者探し”を始める前。
……やり直せる……。
これなら、もうあの人たちのことも不幸にせずに済む!
本当に、元通りにできるんだ!
今度こそ本当に、この力でみんなを救うことができるんだ!
それだけじゃない、魔女を倒してみんなを救うこともできる。
魔法を使えば、今までより、もっともっとたくさんの人を救うことができる!
- 177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:23:30.91 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
ほむら「……これが、あなたの過去……」
メアリー「これで……分かってくれた?私が、佐倉さんと同じだ、って……」
杏子「……違うだろ……。確かにあんたは、自分のせいで家族を失った……。
だけど、今は違う……生き返ってるじゃないか……!」
ほむら「佐倉杏子……あなただってもう、分かってるはずよ」
杏子「っ……」
ほむら「この子は、家族を生き返らせる前から決めていた。
今度こそみんなを幸せにするんだ、って。
自分が犯した罪を、周りを不幸にしたという現実を受け止めた上で、乗り越えたの。
少しでも罪を償うため、必死に生きることを決意したの。
あなたとの違いはそこでしょう……?今は家族が生きてるとか、そんなことじゃない」
杏子「……なんでだよ。なんで……なんで諦めずに居られたんだよ……!?
なんで他人のことを思い続けていられるんだよ!?」
- 178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:27:52.69 ID:x7SWxYWvo
杏子「家族が死んで、大勢不幸になって、自分自身もあんな目に遭って!
ぜんぶ他人のために動いた結果だろ!?そのせいで最悪の結末を迎えたってのに……
なんでそれでも、自分の生き方を変えずにいられたんだよ!?」
メアリー「……みんなに、笑顔で居て欲しかったから」
杏子「ッ……そのために頑張った結果が、アレだったんだろうが……!なのに、なんで……」
メアリー「私は……ただ、忘れないで居られただけだよ。最初の想いを、願いを。
だから、今度こそは、次こそは、って……頑張り続けることができたの。
あなただって……今は忘れちゃってるだけ。ううん、忘れたフリをしてるだけ」
杏子「な、にを……」
メアリー「思い出して。あなたの、最初の気持ちを……」
杏子「っ……!」
- 179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:35:48.05 ID:x7SWxYWvo
メアリーが杏子の頭に手をかざしと、淡い光が杏子を包み込む。
そして、一瞬後。
杏子の目から、一筋の雫がこぼれた。
杏子「……もう、遅いんだ……」
メアリー「…………」
杏子「あたしは、人を救いたかった……。
父さんを、母さんを、モモを……みんなを、幸せにしたかった……。
だけど、もう遅いんだよ……!あたしは救えなかった……!」
ほむら「……杏子」
杏子「あたしは、あんたとは違う!あんたみたいに強い人間じゃないんだ!
怖いんだよ……!何をしたってまた、他人を不幸にしちまうだけなんじゃないかって……」
メアリー「……それがあなたの、本当の気持ちなんだよね」
杏子「自分の行動が裏目に出るのが、怖くて堪らないんだ……!
また間違えるかもしれない。誰かのためにしたことが、傷付けるだけなのかも知れない……。
もうそんな思いをしたくなくて、逃げて、逃げて……。
助けを呼ぶ声に、耳をふさいで、目を背けて……」
メアリー「……ちょっと、付いて来てもらっても良いかな。あなたに……会わせたい人が居る」
- 180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:41:22.47 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
メアリーは何も言わず、私たちの先頭を歩き続ける。
しばらく歩くうち……まず杏子が、気が付いた。
杏子「……おい、あんたこの道……」
メアリー「……うん」
杏子「……どういう、つもりだよ……」
メアリー「そこじゃないと、会わせられないから」
杏子「…………」
さらにしばらく歩き、そして……着いた。
ここは、私も見覚えがある。
そう……杏子のお父さんの、教会だ。
- 181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:46:12.78 ID:x7SWxYWvo
杏子「……ここで、誰と会うってのさ」
メアリー「ちょっと待ってね。今呼ぶから」
杏子「…………」
そうしてメアリーは、魔法少女姿に変身する。
人を呼ぶのに、わざわざ変身を……?
どうしてそんな……っ!
ほむら「メアリー、あなたまさか!」
次の瞬間、私たちの目の前が、ぼんやりと光りだす。
そしてその光は次第にその形を……まるで、人の姿のように変えた。
3人の、人の姿。
大人が2人と、子どもが1人……。
杏子「う……うそ、だろ……?」
- 182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 12:54:03.00 ID:x7SWxYWvo
杏子の反応を見て、確信した。
そう、この人たちは……
杏子「と……父さん。母さん、モモ……?」
杏子父「杏子……」
杏子「は、はは……なんだよ、これ。夢か……?あたし、夢でも、見てるのか……?
それともまさか、あたしの魔法で……?無意識のうちに、幻惑の魔法を……」
杏子母「いいえ、杏子……。私たちは、確かにここに居るわ。魂だけだけど……」
モモ「もー、おねえちゃんひどーい。モモたちはほんものだよー?」
杏子「ど、どういうことだよ……!魂だって?なんで、みんなの魂が……!」
杏子父「そこの子……メアリーという子のおかげだ。
その子の魔法で、私たちは杏子の前に姿を現すことができたんだよ」
- 183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:03:51.48 ID:x7SWxYWvo
杏子「じ、じゃあ、本当に……」
杏子父「ああ……元気そうで良かった、杏子」
杏子「っ……父さん、父さぁん……!ごめんなさい、ごめんなさい……!!
母さんも、モモも!あたしのせいで、あたしのせいで……!」
杏子父「違う、杏子……。お前は何も悪くない。悪かったのは、すべて私だ」
杏子「父さん……でも……!」
杏子母「死んでから気付いたわ……あなたが私たちのためにどれだけ頑張ってくれたのか。
杏子、あなたは本当に良い子に育ってくれてた……私たちの、自慢の娘よ」
杏子「か、母さん……」
杏子父「なのにお前には本当に、辛い思いをさせてしまった。本当に……すまなかった」
- 184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:11:26.34 ID:x7SWxYWvo
杏子父「杏子……お前のやってたことは、何も間違っていない。
間違っていたのは、私だったんだ。お前は正しいことをしてくれていた」
杏子「た……正しい、こと……」
モモ「おねえちゃん、せいぎのまほうしょうじょなんだよね!
すごいな、かっこいーなー!」
杏子母「もう、モモったら……。杏子、確かにあなたは正義の魔法少女として、頑張ってくれてたわ。
それはとても素晴らしいこと……。でも……やっぱり心配なの。
本当は……もう、魔法少女じゃなくて普通の女の子として、生きて欲しい」
杏子「え……」
杏子父「杏子、もうあまり時間がないから、大切なことを言っておくよ。
魔法少女には、お前の知らない秘密がまだある。
そこに居る2人の子はそれを知っているから、教えてもらいなさい。
それを聞いた上で、これからの生き方をよく考えて決めなさい」
杏子「こ、これからの生き方……?」
杏子父「そう……魔法少女を続けるか、やめるか。後悔のないように決めるんだよ」
- 185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:17:29.58 ID:x7SWxYWvo
杏子「魔法少女を……っ!と、父さん、体が!」
杏子父「おや……もう時間が来たみたいだね。少し名残惜しいけれど、私たちはもう行くよ」
杏子「っ……」
杏子父「最後にもう一度言っておくよ。杏子……お前は本当に、素晴らしい子だ。
私たちの、自慢の娘だ。愛してるよ、杏子」
杏子母「私もよ。だから杏子、決してかつての自分を卑下しないで。
あなたは何も間違ってはいなかったのだから」
モモ「またね、おねえちゃん!モモ、おうえんしてるからねー!」
杏子「と……父さん!母さん!モモ!ありがとう!あたしも大好きだよ!あたしも、みんな……!」
そうして……杏子の家族の魂は再び、天へと帰っていった。
- 186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:24:24.16 ID:x7SWxYWvo
メアリー「……ごめんね、少ししか会わせてあげられなくて。
もし佐倉さんが望むのなら……体も元に戻して、完全に生き返らせ……」
杏子「いや、良い……。十分だよ、これで。それにきっと、父さんは反対するだろうしさ」
メアリー「……そっか」
杏子「それより、教えてくれ。魔法少女の秘密ってのはなんなんだ?」
ほむら「……少し、刺激の強い話になるわ」
杏子「ああ……覚悟はできてる」
メアリー「うん……それじゃあ、説明するね」
- 187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:33:30.03 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
杏子「……あの野郎、ふざけやがって……!人類は家畜じゃねえぞ、くそっ!」
メアリー「それで……どうする?魔法少女をやめるか、それとも続けるか……」
杏子「……2つほど、頼んでも良いかい」
メアリー「ん、言ってみて?」
杏子「まず1つは、あたしをあんたの仲間に入れてくれ」
ほむら「……じゃあ、続けるつもりなのね。魔法少女……」
杏子「ああ。それから、もう1つの頼みなんだが……。
もしもの時は、あんたたちがあたしのソウルジェムをぶっ壊してくれ」
ほむら「っ……!あなた……」
杏子「へっ……正義の味方が魔女になるなんて、ごめんだからね。
どうせ死ぬなら潔く、正義の魔法少女のままで死ぬよ」
- 188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:39:50.66 ID:x7SWxYWvo
メアリー「残念だけど……2つめのお願いは聞けないかな」
杏子「……そうか。まぁ、確かに人殺しってのは気がとがめるかもね。
わかったよ、そうなったら出来るだけ自分でソウルジェムを……」
メアリー「ううん、違うの。そもそも、そんなことする必要がないんだよ」
杏子「……?どういうことだよ?」
メアリー「ほら見て、私のソウルジェム、今結構濁っちゃってるでしょ?でもこうすれば……」
杏子「……!」
メアリー「ね?もし危なくなったら、2人のソウルジェムも私が綺麗にしてあげる。だから、大丈夫なの」
杏子「……まじかよ。すごいな、おい……」
メアリー「ふふっ、ありがとう。それから、私たちの戦い方についても、説明しておくね」
杏子「戦い方……?」
- 190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:49:36.51 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
杏子「……なるほどね。魔女をソウルジェムに戻す、か……」
ほむら「思ったより驚かないのね」
杏子「いやー……たぶん感覚が麻痺しちまってるんだろうね。
死者の魂を呼び戻したりだとか、ソウルジェムを綺麗な状態に戻したりだとか……。
それが出来るなら、魔女をソウルジェムに戻すのも、まぁ出来るだろ……ん?
待てよ、ちょっと疑問があるんだが……。
使い魔が育った魔女のグリーフシードも、ソウルジェムに戻せるのかい?」
メアリー「ううん……残念だけど、それは無理。
というより、そもそも使い魔が育った魔女は、戻してもグリーフシードにはならないから。
ただ使い魔に戻るだけ。ソウルジェムに戻せるのは、大元になった魔女のグリーフシードだけなの」
杏子「……そうか」
メアリー「でもね、その使い魔を利用すれば……元になった魔女を見付けることができる」
- 191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 13:57:59.33 ID:x7SWxYWvo
メアリー「使い魔の思念を読めば、その使い魔を生んだ魔女の居場所も分かるから。
そうやって辿って行けば、大元になったオリジナルの魔女を見付け出せるの」
杏子「もしオリジナルがもう他の魔法少女にやられてた場合は……?」
メアリー「その時は、使い魔の魔力から大元の魔女を蘇らせる。
オリジナルがもう居ないってはっきり分かってから、だけどね。
そうじゃないと、オリジナルの魔女が……つまり同じ魂が増えちゃうことになるから」
杏子「……ははっ、じゃあなんだ。
あんた、その気になれば全ての魔女を元の人間の魂に戻せるってことじゃんか」
メアリー「うん、それが私の目標なんだ。ちょっと時間はかかっちゃうけどね」
杏子「ほんと……すごいな、あんた。なんか他にもまだ能力持ってそうだよね」
メアリー「ふふっ、そんなことないよ。基本的には思念を読む力と、“戻す”力だけ」
ほむら「……その力の応用の幅が広すぎるのよね、この子の場合」
杏子「ほんとにね。まぁとにかく頼もしいよ。……あんたたちに会えて良かった。
そんじゃ、これからよろしくね。メアリー、ほむら!」
メアリー「うん!よろしくね、杏子!」
- 192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 14:03:50.70 ID:x7SWxYWvo
翌日
ほむら「ごめんなさい、待たせてしまったかしら」
杏子「まー、ちょっとだけね」
メアリー「ごめんね、ちょっと話が盛り上がっちゃって……」
杏子「ははっ、良いよ別に。んじゃ、早速パトロール行こうぜ!」
ほむら「随分張り切ってるわね」
杏子「そりゃそうさ。なんせ久しぶりだからね。こうして誰かとパトロールするなんて」
ほむら「そう……まぁ、張り切り過ぎて無茶しないようにね」
メアリー「大丈夫!杏子の無茶は、私がカバーするよ!」
杏子「へっ、心配いらないって!魔女はあんたたちが魔法でなんとかしてくれるんだし、
あたしの仕事は使い魔退治だろ?そのくらいで無茶も何もないっての!」
- 193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 14:07:24.90 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
ほむら「ここで間違いなさそうね」
杏子「これは……使い魔の結界だね。へへっ、さっそくあたしの出番ってわけか!」
ほむら「まぁ、私たちも当然戦うのだけど。……とにかく、入りましょう」
メアリー「!早速お出ましみたいだよ」
ほむら「……数が多いわね」
杏子「ふん!使い魔が何匹いたって変わらないっての!」
メアリー「それじゃ……早く倒しちゃおう。誰かが襲われる前に!」
ほむら「えぇ……!」
- 194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 14:13:17.59 ID:x7SWxYWvo
杏子「あ……あいつ、すごいな……」
ほむら「私も初めて見た時は驚いたわ」
経験豊富な杏子でさえも、メアリーの戦いぶりには圧倒されるらしい。
メアリーの戦闘スタイルは、杏子以上の近接系。
肉体強化のみで、素手で戦うスタイル。
ただし、そのスピードとパワーが尋常じゃない。
もし私があの子と戦えば、不意打ちでなくても時間停止を使えもせずに負けるだろう。
それほどまでに、あの子のスピードは速すぎる。
目で追うのがやっと……一瞬でも瞬きすればたちまちに見失ってしまうほど。
一撃の攻撃力も、パンチの余波だけで何匹かの使い魔を巻き添えにするほどのもの。
そんな速さで次々と使い魔を潰していくものだから、初めて見た時は、
使い魔の思念を読み取りながら戦っているとはとてもじゃないけど思えなかった。
多分……思念を読み取ることを考えなければ、今のスピードやパワーよりももっと……。
あの子の全力は、私には計り知れない。
- 195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:26:26.27 ID:x7SWxYWvo
使い魔「ギャァアアアアアアアア……!」
メアリー「うん、今ので最後だったみたいだね」
杏子「おいおい……あんた1人でほとんど倒しちまったじゃないか。
あたしの仕事これしかないんだからさ、もうちょい残してくれても良いだろ?」
メアリー「あはは。ごめんね、つい」
杏子「まぁ確かに少しでも早く倒すに越したことはなんだけどさ……」
ほむら「それで、どうだったの?今の使い魔たちを生んだ魔女はどこに居るのかしら」
メアリー「それがね。あの使い魔たち、1つの魔女から生まれたんじゃなくて、
いろんな個体から生まれたのが1つの結界に集まってたんだ。
だから、1つ1つ潰して行くしかないかな。何日かに分けないといけないかも」
杏子「そっか……。ま、地道に行くしかないな」
- 196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:31:25.73 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
数日後
魔女「…………!」
メアリー「これでよし、っと」
杏子「それで、今のはどうだったんだ?今度こそオリジナルの魔女か?」
メアリー「ううん……。残念だけど、使い魔が育ったやつだった。
でも、やっと分かったよ。今のを産んだのが、大元の魔女だ」
杏子「ほんとか!」
メアリー「うん。まだ生きてるし、居場所も大体分かった。ここからそんなに離れてないよ」
ほむら「あの一瞬で、そこまで読み取れるのね」
杏子「ていうかあたしは、魔女の頭ん中を読めるってのが不思議な感じだよ。
どんな風に読み取れるんだ?ちゃんと人間の言葉になってんの?」
メアリー「んー……人間の言葉ではないんだけど、でも分かるの。
上手く言えないけど……私も初めてやった時は不思議な感じだったよ」
- 197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:35:23.79 ID:x7SWxYWvo
杏子「へえ……たまに魔女が声出したりする時もあるけどさ、ああいうのも何言ってるか分かるわけ?」
メアリー「うん……わかるよ」
ほむら「……例えば、どんなことを言ってるの?」
メアリー「いろいろ……。でも、当たり前だけどどれも悲しい言葉。
後悔、怒りや憎しみ、絶望……そんな悲しい想いを言葉にして、叫び続けてるの」
杏子「……それが聞こえるってのも、辛いだろうな」
メアリー「ううん……辛くなんかないよ。辛いのは私じゃない、その子たちなんだから。
だから私は、頑張れるの。そんな子達を、少しでも早く、多く救ってあげたいから」
ほむら「そう、ね……。だったら、私たちものんびりはしていられないわ。
早くさっきの魔女のオリジナルを見付けましょう。場所の検討はもう付いているんでしょう?」
メアリー「うん。それじゃ、案内するね。付いてきて!」
杏子「あぁ!」
- 198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:41:14.48 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
杏子「……ここで間違いなさそうだな。さっきと同じ魔力だ」
ほむら「思念は……どう?」
メアリー「……うん、間違いない。ここに居るのが、大元の……っ!?」
ほむら「……メアリー?」
メアリー「大変……!結界に誰か飲み込まれてる!
それも1人じゃない、2人……ううん、3人!」
杏子「なっ……!?ま、まだ無事なんだよな!?急ごう!」
ほむら「2人とも、私の手に掴まって!」
メアリー「うん!」
- 199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:46:43.05 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
メアリー「ここ、左に曲がって!」
ほむら「えぇ……!」
杏子「しかし、なんだって3人も同時に……」
メアリー「……もうすぐ、見えるはず」
杏子「っ!居た、あそこ……え?」
メアリー「……やっぱり……!」
ほむら「……そんな」
3人は、多分私たちと同じくらいの歳の、女の子。
そのうち2人は、見たことのない子だった。
でも1人は……
ほむら「巴、さん……!」
- 200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:52:36.18 ID:x7SWxYWvo
杏子「くそっ……!マミはもう魔法少女じゃないってのに、なんで結界なんかに……」
ほむら「運が悪かったか、それともまさか……」
メアリー「……今はとにかく、あの魔女を“戻して”あげよう」
魔女は、巴さんたちの正面に居た。
つまり、あと少し到着が遅れれば彼女たちは全員死んでいたことになる。
メアリーの魔法なら生き返らせられるとは言っても……あまりに酷い。
せっかく普通の女の子に戻れたのに、そのせいで魔女に殺されてしまうだなんて。
……見たところ、ここにキュゥべえは居ない。
いつものあいつなら、危機にかこつけて契約を迫るはず。
なのにここには居ないということは多分……巴さんを犠牲にするつもりだったんだろう。
そして、私たちに揺さぶりをかけようと……。
確証はないけれど、あいつならそのくらいのことはやりかねない。
でも……残念ねキュゥべえ。
あなたの思い通りにはいかなかったわ。
- 201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 16:57:54.64 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
魔女「…………!」
メアリー「……よし」
マミ「あ、えっ……!?あ、あなたたち……!?」
女生徒1「な、なに、何が、えっ……?」
女生徒2「さっきのお化けは、あれ……?えっと、その……あなたたちは……?」
メアリー「……2人とも、今のは悪い夢です。だから全部……忘れてください」
女生徒1「え?あ…………」
女生徒2「……すぅ……すぅ……」
- 202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:04:59.76 ID:x7SWxYWvo
ほむら「……この人たちに何を?」
メアリー「脳を、結界に飲み込まれる前の状態に“戻して”おいた。
言い換えれば、結界での記憶を消したの」
杏子「はー……便利だね、ほんと」
マミ「え、えっと、その……さ、佐倉、さん?」
杏子「ん……久しぶりだね、マミさん」
マミ「あ、あなた、どうしてここに……?」
杏子「まぁ、いろいろあってね。それより……無事で、良かった」
マミ「……佐倉、さん……」
- 203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:10:15.90 ID:x7SWxYWvo
杏子「その……ごめん」
マミ「え……?」
杏子「昔さ、あたしマミさんに酷いこと言っちゃっただろ?
あたしのせいで、マミさんのこと傷付けて……本当、ごめん」
マミ「っ……」
杏子「聞いたよ……マミさん、魔法少女引退したんだよね?
メアリーに元の人間に戻してもらって……」
マミ「わ、私……」
杏子「こんなこと言って、信じてもらえるか分かんないけど……。
実はさ、あたしまた昔みたいに正義の味方やってんだよ。
もう一緒には戦えないけど……マミさんの後は、きっちり引き継ぐ。だから……」
マミ「ま、待って……!」
杏子「……え?」
マミ「佐倉さん……それに、メアリーさんと暁美さん……。
私、みんなに話しておきたいことがあるの……」
- 204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:15:47.11 ID:x7SWxYWvo
メアリー「…………」
マミ「私……もう一度、魔法少女になろうと思うの……!」
ほむら「……!?」
杏子「ま、マミさん!?なんで……!」
マミ「普通の人間に戻ってから……私は本当に、魔女とは何の関わりもない生活を続けてた。
キュゥべえも来なくなって、放課後に町をパトロールする必要もなくなって。
クラスの子と、放課後に寄り道したりもするようになった。
最初は、そんな楽しい日々を取り戻せたことが嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
だけど……何日か経ったある日ね、夕飯のお買い物をしてたら小さな子どもが事故に遭ったの」
ほむら「……それって……」
マミ「それが魔女の仕業かどうかは、魔力を探知できなくなった私にはわからない。
ただ分かったのは……その子がかなりの重症だったこと。
私はすぐに駆け寄ったわ。見たら、全身が傷だらけで、呼びかけても返事がなくて。
だから、私……咄嗟に、魔法で治そうとしたの」
- 205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:22:43.97 ID:x7SWxYWvo
マミ「当たり前だけど……治せなかった。だって、もう私はただの人間だったんだから。
私はただ、今にも死んじゃうかも知れない小さな子を抱きかかえることしかできなくて……。
救急車で運ばれていくその子を、見ていることしかできなくて……」
杏子「で、でもそんなの、仕方ないじゃん!マミさんが責任感じることなんか……!」
マミ「うん……仕方ないことなのかもしれない。交通事故なんて、この世にはありふれてる。
私が知らないところでも、たくさんの人が交通事故で亡くなってる。
それは事実だと思う。でも……私の目の前で事故に遭った子は、
もし私が魔法少女のままなら確実に助かった。それも紛れもない事実……」
ほむら「巴さん……」
マミ「……悔しかった……。目の前で苦しんでいる人が居るのに助けられないことが、
悔しくて悔しくて堪らなかった……!救えたはずなのに、救えなかった……!」
- 206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:31:48.19 ID:x7SWxYWvo
マミ「その日から私は、キュゥべえを探すようになった。
とは言っても、ほとんど無意識みたいなもの。ふと気付けば探してた、っていう感じかな。
外で友達と遊んでる時も無意識に周りを見回して……。
探してどうするのか、会って何をするつもりなのか。そんなことも決まらないまま……。
でも……今日、さっき……私の心は決まったの」
杏子「……友達が、魔女に襲われて……」
マミ「そう……私は今度は、友達を見殺しにするところだった。
魔女と戦う力があるのに、人を救える力があるのに、それを捨てたせいで……。
大切な友達を救えずに、見殺しにするところだった……。
だから私は……力を取り戻したい。みんなを救える力を取り戻したい!
みんなのことを、この手で救いたい!それが今の私の、心の底からの本当の気持ち……!」
メアリー「……巴さん、あなたは……」
マミ「メアリーさん、あなたには本当に感謝しているわ。
私のことを案じて人間に戻してくれたこともだけど、
私に、自分の本当の気持ちに気付かせてくれて、ありがとう……」
- 207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:41:34.87 ID:x7SWxYWvo
マミ「でも私がまた契約するということは、あなたの行為を無駄にするということ……。
だから、あなたには謝っておかないといけないと思って……」
メアリー「……ううん、謝る必要なんてありません。巴さん、私はあなたのことを尊敬します」
マミ「えっ?」
メアリー「一度は不安と恐怖に押し潰されそうになって……いえ、押し潰されてしまっていたかもしれない。
それなのに、あなたは再び立ち上がってきた。不安を、恐怖を乗り越えてきた。
それは、なかなか出来ないこと。だから私は……そんなあなたと、一緒に戦いたい」
マミ「っ……メアリーさん……!」
メアリー「だけど、巴さん。あいつと契約する必要なんて、ありません。
私がもう一度……あなたに力を“戻し”ますから」
マミ「それって……っ……!」
- 209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:51:57.15 ID:x7SWxYWvo
メアリー「……これで元通りです。みんなを守るための力が、再びあなたに戻りました」
マミ「ソウル、ジェム……これが、私の魂なのよね……」
メアリー「……はい」
マミ「あの、ね。1つ、お願いがあるの。
もし私のソウルジェムが限界を迎えたと思ったら……その時は……」
ほむら「……考えることはみんな同じみたいね、杏子」
杏子「ははっ、そうだね」
マミ「え……?」
杏子「大丈夫だよ、マミさん。そんなことする必要、ないから」
マミ「ひ、必要ないって……」
メアリー「私の魔法、忘れちゃいました?
じゃあ説明し直すついでに……私たちの戦いの方針についても、説明しますね」
- 210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 17:59:25.26 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
マミ「……すごい……」
メアリー「手伝ってくれますか?使い魔を倒すことと、魔女を救うこと……」
マミ「え、えぇ、もちろん!使い魔だけを倒すというのがなんだか不思議な感じだけど。
人も魔女になった子もみんな救う……そんなすごいことを手伝えるなんて嬉しいわ……!」
メアリー「良かった、ありがとうございます」
マミ「なんていうか……佐倉さんが昔に戻ってくれたのも、納得しちゃうわね。
メアリーさんみたいな人に出会えたのなら……」
メアリー「いえ……私は、何もしてません。
ちょっと昔の気持ちを思い出すのを手伝ってあげただけですから。
また正義の魔法少女を目指すようになったのは、杏子が自分で決めたことです」
- 211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 18:03:34.02 ID:x7SWxYWvo
杏子「いや、どう考えてもあんたのおかげだよ。
メアリーが、みんなに会わせてくれたからあたしは……」
マミ「みんな……?」
杏子「うん……あたしの、家族さ」
マミ「えっ……!?でも、佐倉さんのご家族は……」
ほむら「メアリーの、“戻す”魔法で……彼らの魂を一時的にこの世界に呼び戻したの」
マミ「っ……死んだ人の魂を、呼び戻せる……?もう一度、話が、できるの……?」
メアリー「……はい、できますよ」
マミ「わ……私……」
メアリー「大丈夫、わかってます。それじゃ……少し移動しましょう。
巴さんのご両親の、思念が強いところへ」
- 213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 18:07:57.74 ID:x7SWxYWvo
・
・
・
ほむら「……メアリー。巴さんは?」
メアリー「うん。3人だけで話がしたいって」
杏子「マミさん、後悔してたからね。自分だけが奇跡で助かったこと……」
ほむら「……本当に、3人だけにして大丈夫?」
メアリー「心配性だね、ほむらは。大丈夫だよ。今の巴さんは、あなたが思ってるよりずっと強い人だから」
ほむら「そう……だったら、良いの」
それから少しして、巴さんは戻ってきた。
目が少し赤くなってたけど……本当にメアリーの言うとおり、何も心配はなさそうだった。
- 214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/12(火) 18:14:33.61 ID:x7SWxYWvo
マミ「……ありがとう、メアリーさん。
またお父さんとお母さんと話ができて……とても幸せだったわ」
ほむら「……話しただけで、良かったの?」
マミ「うん……。しばらく会えないのはやっぱりちょっと寂しいけど……。
ちゃんと会うのは、私が自分のやることをしっかり限界まで頑張ってから。
そしたら胸を張って、2人のところに行けるかな、って。
ふふっ、さっきは謝ってばっかりだったから。今度こそは、ね?」
杏子「そっか……」
マミ「それに2人とも応援するって言ってくれたし、頑張らなくちゃね!」
杏子「マミさん……!」
マミ「改めて、みんなこれからよろしくね!」
メアリー「はい!よろしくお願いします、巴さん」
- 222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:25:29.70 ID:xvUQ4prEo
・
・
・
その日から、見滝原の魔法少女は4人になった。
4人で協力して結界を探して、使い魔を倒し、魔女を救う。
こんな、魔法少女全員が揃って共闘できるなんて……。
そしてそれだけじゃない。
魔法少女という繋がりだけでなく……
ほむら「……まどかとさやかを、巴さんの家に?」
メアリー「うん。いろいろ考えたんだけど……これが一番良いんじゃないかな」
ほむら「……ただみんなでお茶を飲むため、というわけではないのよね?」
メアリー「さすが、察しが良いね」
ほむら「魔法少女のことを……話してしまうつもりなんでしょう?」
メアリー「うん……。キュゥべえは多分、私が近くに居る限りはまどかとは契約しない。
だって、私が魔法少女を元に戻せることを知ってるんだから。
でも……ワルプルギスの夜が来る日、きっとあいつは何か行動を起こす」
- 223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:28:33.32 ID:xvUQ4prEo
メアリー「不安を煽られて、契約して……最悪の場合、
私たちがワルプルギスの夜を救うより先に、倒しちゃうかもしれない」
ほむら「……もしそうなれば、そのままあの子は……」
メアリー「……うん。そんなの、嫌だ。戻せるからって、魔女化をみすみす見逃すわけにはいかないもの」
ほむら「だから……そんなことにならないように、私たちで先手を打っておく、ということね」
メアリー「そういうこと。あいつに余計なことを吹き込まれるより先に、
私たちで全部話してしまった方が良いかな、って」
ほむら「全部というのは……魔法少女の秘密も、全部?」
メアリー「うん、そのつもり」
ほむら「……そう、ね。その方が、良いかも知れないわね」
メアリー「それじゃあ、巴さんと杏子にも伝えておくね。
……大丈夫。きっと上手くいくよ。2人の精神状態には細心の注意を払うからさ」
ほむら「えぇ……信用してるわ」
- 224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:33:24.66 ID:xvUQ4prEo
・
・
・
さやか「おじゃましまーす!」
まどか「わぁ、素敵なお部屋……!」
マミ「ふふっ、ありがとう。それじゃ、4人とも座って待ってて?すぐお茶とお菓子を準備するわね」
メアリー「あっ、私も手伝いますね!」
杏子「まどかと、さやかだっけ?マミさんのお茶とお菓子、楽しみにしてろよな!
すっごく美味いんだぞ!へへっ!」
ほむら「どうしてあなたが自慢げなのかしら」
さやか「いやー、大切な話だって言うから緊張してたけど、
まさかお茶とお菓子をごちそうになれるとは!」
まどか「わ、わたしはまだちょっと緊張してるけど……」
ほむら「まぁ……あまり構えないで居てもらった方が
こちらとしても話しやすいわ。リラックスしててちょうだい」
- 225:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:37:37.79 ID:xvUQ4prEo
・
・
・
さやか「はー、美味しかった!」
まどか「マミさん、ごちそうさまです。ありがとうございました!」
マミ「どういたしまして。さて、それじゃあ……本題に入りましょうか」
まどか「あっ、はい……!」
マミ「……この宝石、何か分かる?」
さやか「うわぁ、すっごく綺麗……。これ、みんな持ってるの?」
杏子「あぁ、そうだよ。あたしたちはみんな、この宝石……ソウルジェムを持ってる」
まどか「ソウルジェム……。それで、この宝石が何か……?」
メアリー「まぁ百聞は一見にしかずってことで……」
- 226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:42:11.54 ID:xvUQ4prEo
さやか「……なっ、え、はっ……?」
まどか「……!?っ……?……!?」
2人とも、すごく混乱している。
まどかに至っては声すら出ていない。
……それも当たり前だろう。
目の前で突然、人の体が光って変身したのだから。
ほむら「……やっぱり、いきなり変身っていうのは刺激が強すぎたんじゃ……」
マミ「2人とも、目の前で起こったことが理解できないという感じね……」
杏子「よし、メアリー後は頼んだ」
メアリー「うん。まどか、さやか。いきなりこんなの見せられても訳分かんないと思うから……
直接見せて、説明してあげるね。私たちのことについて」
- 227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:48:10.67 ID:xvUQ4prEo
そう言ってメアリーは、また杏子の時のように自分の記憶を直接まどかたちに見せた。
全てを理解させるには、言葉で説明するよりもこれが一番効果的。
メアリーだからこそできる方法だ。
まどか「……そう、だったんだ……みんな、今までそんな……」
さやか「す、すごい……。こんな正義の味方が、身近に居たなんて……!」
ほむら「……まさかとは思うけど、魔法少女に憧れたりはしていないでしょうね?
自分も魔法少女になって戦いたいとか、そんな風に思ったりは……」
さやか「あ、いや……。本当にすごいし、かっこいいし、尊敬できるとは思うんだけど……
あ、あたしには、マネできないって言うか……。
その……魂をかけてまで叶えたい願い事っていうのも、あたしにはないし……」
メアリー「……まどかは?」
まどか「わ、わたしは……。ん……」
- 228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:53:15.73 ID:xvUQ4prEo
ほむら「……まどか、あなたは……」
メアリー「あのね、まどか。あなた、こう考えてるよね?
“みんな命がけで戦ってくれてるのに、わたしだけ普通に暮らしてて良いのかな”
“守られてばっかりじゃなくて、もしわたしも誰かを守れたら”……って」
まどか「っ……!あ、あの、その……」
ほむら「そんなこと気にする必要なんてない。あなたは、あなたのままで居れば良い……」
まどか「ほむらちゃん……う、うん……。そう、だよね……」
メアリー「ほむら……それ、違うよ」
ほむら「……え?」
メアリー「その言葉は、確かにあなたの優しさからきた言葉。でも……まどかはそんなこと望んでない。
優しさが人を傷付けることもあるって、あなたはよく知ってるはずでしょ?」
ほむら「っ……何が、言いたいの……?」
- 229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/13(水) 23:57:10.59 ID:xvUQ4prEo
メアリー「まどかはね、本気で悩んでるんだよ。
得意なことがなくて、今まで何回も誰かに助けてもらって……
そんな風に、人に守ってもらってばかりの自分が嫌で仕方ないって、本気でそう思ってるの。
そんなまどかに“今のままで居ろ”なんて言うのがどんなに残酷なことか、分からない?
“あなたは何もしなくて良い。ただ守られていれば良い”だなんて……。
ほむらはそうやって、まどかのことを傷付けたんだよ」
ほむら「わ、私は……」
メアリー「それからさやか、あなたもそう」
さやか「えっ……!?」
メアリー「あなた、まどかのことを“弱い子”だって思ってるでしょ?
“まどかは弱いんだから、あたしが守ってあげなきゃいけない”って」
さやか「っ……」
メアリー「それもあなたの優しさなのは分かる。でも、そうやって今まで行動し続けてきたせいで、
余計にまどかの劣等感を煽ってたことに気付かなかった?」
- 230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:02:29.99 ID:RRG3eijao
メアリー「この際だから、はっきり言うよ。あなたたち……まどかのこと、何も分かってない。
勝手にまどかにレッテルを貼って、自分が守らなきゃって思い込んで……。
この子の気持ちを、悩みを、理解してあげようとしなかった」
まどか「め、メアリー、ちゃん……」
メアリー「ほむら……。あなたには言ってなかったんだけどね。
私は、本気でまどかが魔法少女になりたいって思うなら、反対するつもりはないの」
ほむら「っ……!?メアリー、それは……!」
メアリー「でも……あのね、まどか。1つお願いがあるんだ」
まどか「お、お願い……?」
メアリー「もし契約するとしても、それはワルプルギスの夜を越えてからにして欲しいの」
ほむら「……!」
- 231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:08:30.87 ID:RRG3eijao
メアリー「ワルプルギスの夜を救うことと、見滝原のみんなを救うこと。
これを両方成し遂げられるのは私とほむらだけ。
だから、まどかは焦って契約する必要なんてない。もっとじっくり考えて、
その結果、魔法少女になりたいと思ったら……その時は私に教えて?」
まどか「う……うん、わかった……!」
メアリー「ありがとう、まどか。それから、巴さんと杏子にもお願いがあるの。
2人には、まどかたちを守っていて欲しい」
マミ「……キュゥべえから、ね?」
杏子「っ!そっか、あいつのことだ。
ワルプルギスの夜にかこつけて、まどかたちに契約を迫るに決まってるもんな」
メアリー「うん、そういうこと。2人とも、お願いできますか?」
杏子「あぁ分かった!こいつらのことは、あたしたちに任せてくれ」
マミ「えぇ。キュゥべえなんかの思い通りにさせてたまるもんですか!」
- 234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:12:52.93 ID:RRG3eijao
・
・
・
メアリー「……ごめんね、ほむら。まどかの契約、反対しないなんて言っちゃって……」
ほむら「いいえ……気にすることはないわ。
ワルプルギスの夜を越えた後なら、あなたが居る限り魔女化の危険性はほぼないのは事実だし……。
……むしろ、あなたには感謝してるくらい」
メアリー「……ほむら……」
ほむら「契約はワルプルギスの夜を越えてからにして欲しいと言ったのは、
もちろん魔女化を危惧してのこともあるでしょうけど……私のためでもあったんしょう?」
メアリー「……ほむらの願いは、まどかを守ること。
そのために、ワルプルギスの夜を越えようと今までずっと頑張ってきた。
そんなあなたの頑張りを、想いを、無駄にしたくなかったから……」
ほむら「やっぱり……。だから、私にワルプルギスの夜を越える手伝いをさせてくれるのね。
あくまでもメアリーと私で協力する、ということにして。
本当は私なんか居なくても、あなた1人でも可能なはずなのに……」
- 235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:16:59.30 ID:RRG3eijao
メアリー「……それはちょっと違うかな」
ほむら「え……」
メアリー「確かにその気になれば、私1人でもワルプルギスの夜は“戻せる”かも知れない。
でも、100%じゃない。何か予想もできないような偶然が起こって、
私が死んじゃうような可能性が、万が一にでも起こらないとも限らない。
だけどあなたの魔法なら、そんな万が一を排除できる。
死角からの攻撃だってなんだって、あなたの時間停止の前では無意味。
あなたが居れば、100%確実に、ワルプルギスの夜も街の人たちも救えるの」
ほむら「……!」
メアリー「私にはあなたが必要。ワルプルギスの夜を救うために、あなたが必要なの。
だから……“自分は必要ない”なんて言わないで」
ほむら「メアリー……。……ごめんなさい、分かったわ。
もう変なことは考えない。2人で……いえ、4人で協力して、
ワルプルギスの夜も、まどかたちも、街の人たちも、みんな救いましょう」
メアリー「うん!頑張ろうね、ほむら!」
- 236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:21:30.79 ID:RRG3eijao
・
・
・
当日、避難所
マミ「……そろそろね。何事もなく終わると良いけど」
杏子「ああ……ま、いつも通り一瞬で片を付けてくれるだろ。あの2人が組めば間違いなく無敵だよ」
さやか「だよね!心強いよ、ほんと!」
まどか「うん……!ほむらちゃん、メアリーちゃん、頑張って……!」
QB「本当に上手くいくと良いけどね」
マミ「キュゥべえ!」
杏子「てめぇ……やっぱり出やがったな」
QB「やれやれ……そんなに目の敵にしなくても良いじゃないか」
さやか「するに決まってんじゃん!何しに来たのよ!」
QB「一応、確認をしておこうと思ってね。
君たちはもしメアリーに何かあった時どうするつもりなのかをね」
- 237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:25:37.29 ID:RRG3eijao
まどか「……どういうこと?」
QB「そのままの意味だよ。例えばそうだね。
メアリーがワルプルギスの夜に負けて死んでしまった場合。君たちはどうする気だい?」
杏子「はっ、考えるだけ無駄だよ。あいつらが負けるはずがない」
マミ「そんなことを聞くためにここに来たの?」
QB「まぁ確かに可能性はほぼないと言って良いだろうね。だけど答えるだけ答えてくれても良いだろう?」
さやか「ふん……その時はあたしが契約して、メアリーを生き返らせるよ」
まどか「じゃあわたしは、ワルプルギスの夜の魂を救うっていう願いで契約する……!」
杏子「ははっ、そりゃ良いね!それなら何もかも解決だ」
QB「……そう答えると思ってたよ。それが聞ければ十分だ。
それじゃ、僕は彼女たちの様子を見てくるよ。そろそろワルプルギスの夜が現れるだろうし。
何かあればテレパシーで報告するからね」
マミ「……報告が来ないことを祈ってるわ」
- 238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:30:01.56 ID:RRG3eijao
・
・
・
メアリー「……そろそろだね。思念を読み取らなくても分かる。強い魔力だ」
5
ほむら「メアリー……あなたに会えて、本当に良かったわ。
こんな気持ちでワルプルギスの夜を迎えるなんて、初めて」
4
メアリー「ん?あははっ、やめてよ!そういうの死亡フラグって言うんだからね!」
3
ほむら「……ふふっ、そうね。言いたいことはたくさんあるけど、全て終わってからにするわ」
2
メアリー「それもまた死亡フラグな気がするけど……ま、いっか」
1
ほむら「っ!来た……!」
ワルプルギス「アハハハハハハ!ウフフフ、アハハ、ウフ、アハハハハハハハ!」
- 239:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:35:19.92 ID:RRG3eijao
ワルプルギス「アハ、ウフフフ、アハハハハハハハ!」
メアリー「ッ……!」
ほむら「それじゃあ時間を……メアリー?」
様子に違和感を覚え、横を見る。
するとメアリーの目には……涙が浮かんでいた。
ほむら「……あなた、ワルプルギスの夜の思念を……」
メアリー「……私って、もらい泣きしやすいタイプなんだ」
ほむら「もらい泣きって……」
ワルプルギス「ウフフ、アハ、アハハハハハハハ!アハハハハハハ!」
- 240:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:39:39.46 ID:RRG3eijao
……私には、笑ってるようにしか聞こえない。
でも、メアリーは魔女の言葉が、気持ちがわかる。
それじゃあ、あれは笑い声じゃなくて……
メアリー「泣き叫んでる……。救ってあげなきゃ、あの子のこと。こんな悲しみから、絶望から……!」
ほむら「……えぇ。それじゃ、行きましょう」
カチッ
時を止め、ワルプルギスの夜に近付く。
そしていつも通りに、メアリーが魔法を発動する。
メアリー「……うん、もう大丈夫。良いよ、ほむら」
ほむら「えぇ」
メアリーの合図で、時を動かす。
そして、いつもと変わらず……ワルプルギスの夜が、消えていく。
- 241:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:43:00.90 ID:RRG3eijao
ワルプルギス「…………!」
ほむら「……終わったのね。これで、全部……」
メアリー「うん!やったねほむら……2人で、まどかを救えたよ!」
そう、まどかを救えた。
やっとまどかを救えたんだ。
これで、やっと……。
一気に、体の力が抜ける。
そうだ、メアリー……。
メアリーに、お礼を言わないと。
そう思い、メアリーに顔を向けた……次の瞬間。
急に目の前が暗くなり、強い衝撃が私を襲った。
- 242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:47:25.09 ID:RRG3eijao
ほむら「っ……え……!?」
気付けば私は、多分地面に倒れていた。
なに、何が起こったの……?
体の上には、何かが覆いかぶさっている。
それを除けようと、手で押すと……。
……柔らかい。
これは、何?
これは……
メアリー「…………」
ほむら「め……メアリー……?」
そう。
私に覆いかぶさっていたのは、目を閉じたままぐったりとしたメアリーだった。
- 243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:55:35.56 ID:RRG3eijao
私は慌てて体を起こす。
するとメアリーは、そのまま力なく地面に倒れた。
ほむら「ど……どうしたの、しっかりして、メアリー!?」
呼びかけても体を揺さぶっても、返事がない。
そして異変はそれだけじゃない。
……変身が、解けている。
これは、まさか、いや、そんな、でも、いや、そんな……。
その時、ふと視界に何かが映った。
メアリーの体の傍に転がり落ちていたそれは……紛れもない。
メアリーの、ソウルジェム。
ただしそれは……無残に割れていた。
- 244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 00:58:33.46 ID:RRG3eijao
避難所
マミ『――うそ……』
QB『嘘なんかじゃないさ。メアリーはたった今、その命を失った』
杏子『な、なんでだよ!?だって、ワルプルギスの夜の魔力は消えてるじゃないか!
成功したんじゃないのかよ!?』
QB『そう、ワルプルギスの夜をグリーフシードに戻すこと自体は成功したよ。
彼女が死んだのは、その直後だ』
まどか『そ……そん、な……』
さやか『っ……あんた、て、適当なこと、言ってるんじゃ……!』
QB『嘘だと思うならその目で見てみれば良いじゃないか。
もうワルプルギスの夜は居ないんだし、外に危険はない。
マミと杏子に連れて行ってもらえば、すぐに真実が分かるはずだよ』
- 245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 01:02:41.79 ID:RRG3eijao
・
・
・
ほむら「う……うそ、そんな……。め、メアリー、目を覚まして?
ほら、あなた……死んだ人も、生き返らせることができるじゃない……。
だからあなたなら、自分の命だって、魔法で、戻すことが……」
しかし、メアリーは動かない。
そうだ……わかってる。
確かにメアリーの魔法は、死人を蘇らせることができる。
でもそれは……魔法を使えれば、の話だ。
メアリー自身が死んでしまえば……もう魔法は使えない。
つまりメアリーは、もう、生き返れない……。
どうして……どうして、こんなことになったの?
あの一瞬、何が起こったの……?
突然目の前が暗くなった……それはどうして……。
ほむら「あ…………」
その時になって、ようやく気付いた。
今自分が居るその場所の、状況に。
- 246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 01:07:29.87 ID:RRG3eijao
周囲の建物が、広範囲に渡って崩壊している。
あの衝撃を受ける前は、こんなことにはなってなかった。
これが何を意味しているのか。
これは、つまり……ワルプルギスの夜は自分が消滅する寸前に、
魔力を放って広範囲を攻撃したんだ。
あの衝撃の正体は、ワルプルギスの夜の、最後の攻撃だったんだ。
そしてメアリーはその攻撃から私を庇って……ソウルジェムを砕かれた。
この子のスピードなら、一瞬でワルプルギスの夜の攻撃範囲から抜け出すことくらい造作もないはず。
でも、しなかった。
私を守るために。
……私が気を張っていれば、ワルプルギスの夜の最後の攻撃に気付けたはず。
そうすれば、時間停止で2人とも無事、生還できたはず。
でも、私は気付けなかった。
気を抜いたせいで、気付けなかった。
そのせいで、メアリーは死んだ。
私のせいで、メアリーは……
ほむら「ぅ……ぁああっ……あぁあああぁあああッ……!」
- 247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 01:12:34.10 ID:RRG3eijao
・
・
・
マミ「っ……居た!暁美さん!」
杏子「おい、ほむら!メアリーは……っ!?」
さやか「う、うそ……メアリー、起きて!メアリー!」
まどか「メアリーちゃん、メアリーちゃぁん!」
杏子「マミさん、メアリーは……!」
マミ「っ……ソウルジェムが、割れてる……つまり、本当に……!」
杏子「くそっ……!おい、ほむら!何があったんだ!なんでメアリーは……」
ほむら「私のせい……私のせいで……メアリーは……私のせいで……」
マミ「あ、暁美さん!ソウルジェムが……!」
まどか「どんどん黒く……!?こ、このままじゃ……!」
- 248:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 01:16:32.12 ID:RRG3eijao
さやか「き……キュゥべえ!どこに居るのよ!?契約する!契約するから早く来て!」
杏子『キュゥべえ!聞こえねえのか!おい!キュゥべえッ!!』
さやか「ま、まさかあいつ……メアリーを生き返らせたくないから……!」
杏子「ッのやろぉ……!!」
まどか「ほむらちゃん、駄目!しっかりしてぇ!ほむらちゃぁあん!」
ほむら「メアリー……私のせいで……私のせいで……」
杏子「っ……マミさん、グリーフシードは!?使い魔あがりの魔女を倒した時のやつが確か……!」
マミ「もう使ってる!でも、穢れが取れないの……!」
杏子「なっ……!?ほむら、おいしっかりしろ!このままじゃあんた、魔女になっちまうぞ!!」
さやか「わ、ワルプルギスの夜のグリーフシードを使えば……!どこかに落ちてるはず……」
マミ「だ、だめ……もう、間に合わない……もう……!」
- 249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/14(木) 01:21:10.52 ID:RRG3eijao
ほむらのソウルジェムが黒く染まり、次の瞬間にグリーフシードに変わる……。
誰もがそう思った、その時。
マミ「……え……?」
杏子「な、なんだ、どうなって……」
突然、穢れが綺麗になくなった。
まるで……元の綺麗な状態に“戻った”かのように。
その現象に目を奪われ、全員が一瞬気付くのが遅れたが……
先ほどまで地面に倒れていたはずのメアリーの体が、なくなっていた。
いや、なくなったわけではない。
メアリーは、魔法少女たちの頭上に浮き……穏やかな顔で、みんなを見下ろしていた。
まどか「め……メアリー、ちゃん……?」
- 253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 17:36:53.80 ID:Fio21N8jo
メアリー「……ごめんね。ちょっとびっくりさせちゃったかな」
メアリーは今、完全にその意識を取り戻していた。
しかしその姿は、少し違う。
全身が淡く光り、皮膚には幾何学的な模様が浮かび上がり、その目は、色が反転していた。
さやか「め、メアリー……あんた、なんで……」
メアリー「うん、訊きたいことはたくさんあると思うけど……その前に」
宙に浮いていたメアリーは地面に降りてきて、そして、まだ俯いているほむらの頭に手をかざす。
ほむらの体は淡く光り、そして……
ほむら「……あ、え……?」
メアリー「心配かけてごめんね、ほむら」
ほむら「っ……メアリー!そうだ、私……!」
- 254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 17:42:53.92 ID:Fio21N8jo
ほむら「ご、ごめんなさい……!本当にごめんなさい、メアリー……!
私が、私がもっと気を張っていれば、あなたは……!」
メアリー「そんなの気にしないで。私だって気を抜いちゃってたんだし……。
それに、こうして無事に生きてるんだからさ」
ほむら「そ、そう、あなた、どうして生きて……!?確かにあなたのソウルジェムは……!」
そう言ってほむらは、再び視線を地面に落とす。
すると、確かにそこには、割れたソウルジェムが変わらずあった。
マミ「もしかして、これはあなたのソウルジェムじゃなかった……?」
メアリー「いえ、それは間違いなく、私のソウルジェムです」
杏子「じゃ、じゃあなんで、あんた生きてんだよ?
魂が砕かれて生きてるなんて、そんなの……」
メアリー「うん……実を言うと私の今の今まで忘れてたんだけど……思い出したよ。
自分のこと、全部。だから教えるね……私の、最後の秘密」
まどか「メアリーちゃんの、最後の秘密……?」
メアリー「私ね……半分、魔女なんだ」
- 255:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 17:47:20.67 ID:Fio21N8jo
ほむら「……え……?」
マミ「は、半分、魔女……?」
メアリー「契約からしばらくした後、私、一度魔女化しちゃってるの。
その時は自分の魔法でソウルジェムを浄化できるなんて気付かなかったし、
それに魔女化のことも知らなかったから、浄化をそこまで重要に考えてなくて……。
それである日、いつも通り魔女と戦って、その魔女を倒したのと同時に……私は、魔女になった」
まどか「えっ……!それじゃあ、もしかして……」
メアリー「うん。魔女になった後……私は、魔法を発動した。
魔女の本能としての発動だったけど……その魔法はやっぱり、“元に戻す”魔法だったの。
そのおかげで、私は魔法少女に戻った。でも……やっぱりそこは魔女の魔法。
多分魔女としての本能が、完全に魔法少女に戻ることを許さなかったんだと思う。
だから私は完全には元通りにならなくて……魔女の力が一部残ったの」
- 256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 17:51:37.89 ID:Fio21N8jo
さやか「じ、じゃあもしかして……魔女の言葉が分かったりするっていうのは……」
メアリー「そう。私が半分魔女だから」
ほむら「……魔法少女になってしばらくしてから分かるようになったと言ってたけど、
それは鍛錬や経験からでなくて……あなたに残った魔女の力のおかげだったのね」
メアリー「そういうこと、だね」
杏子「ってことは……ソウルジェムを砕かれても生きていられるのは……」
メアリー「うん。私には、命が2つある。魔法少女としての命と、魔女としての命。
今は魔女としての命で動いてるってことになるのかな。
意識はちゃんと、私としての意識だけどね」
まどか「……それじゃあ、メアリーちゃんはこれから、ずっと……?」
メアリー「ううん。言ったでしょ、魔女としての私の魔法も、“戻す”魔法だって。だから……」
メアリーがそう言うのと同時に、地面に落ちた彼女のソウルジェムが浮き上がる。
そしてメアリーの手の中におさまり、割れた破片が集まり……
メアリー「これで元通り。ね?」
- 259:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 17:56:10.93 ID:Fio21N8jo
その瞬間、メアリーの体が、一際その輝きを増す。
まるで、失われた力を取り戻したかのように。
いや……実際に彼女の魔力が増したのを、魔法少女の3人は感じていた。
杏子「おいおい……嘘だろ?なんだよ、これ……」
マミ「メアリーさんの魔力……以前の何倍も……!」
ほむら「まさか、魔女の力を思い出したから……!?」
メアリー「うん……多分そういうことだと思う。
今までは魔法少女の力だけしか使ってなかったけど、
今の私は魔法少女の力と魔女の力、両方使えるってことで……。
自分で言うのもなんだけど、すごい力だね、これ!
単純に魔力2倍ってわけでもないみたい。これなら……」
そう言うとメアリーは、片手を頭上に掲げる。
すると……辺り一体が、光に覆われた。
- 260:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:01:01.32 ID:Fio21N8jo
その範囲は、半径100mや200mではおさまらない。
1km、2km?
わからない……わからないけど、もっと広い範囲が、優しい光に包まれる。
そして数秒もしないうちに……ワルプルギスの夜によって荒廃した街は、完全に元通りになった。
まどか「こ、こんなにたくさんの建物を、あっという間に……」
さやか「す……すごい!メアリー、あんたこんなことも出来たんだ!」
メアリー「ううん。前までは、ある程度近付かないと“戻せ”なかった。
それに、あんまりたくさんのものを一度に“戻す”のも無理だった」
マミ「それじゃあ、魔女の力と魔法少女の力を複合して……」
ほむら「遠くの物も戻せるし、一度にたくさんの物も戻せるようになった……」
杏子「ははっ……おいおい、一瞬で街全体を治すなんて……!」
メアリー「それだけじゃないよ……聞こえる?この声」
ほむら「え……?」
- 261:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:07:39.78 ID:Fio21N8jo
『えっ……?ソウルジェムが、突然綺麗に……!』
『良かった……!もう、駄目かと思った……!』
『奇跡だよ、奇跡が起こったんだ!』
マミ「こ、これって、もしかして……!」
メアリー「うん。世界中の魔法少女のソウルジェムも、浄化しちゃった」
さやか「世界中って……えぇ!?」
まどか「そ、それじゃあ!メアリーちゃんが居れば、もう絶対に魔女は生まれたりしないってことだよね!」
メアリー「ふふっ。うん、そういうことだね」
杏子「なんつーかもう……すごいとしか言えねえよ!」
ほむら「ほ……本当に、そう……。メアリー、あなた、本当に、すごすぎるわ……!」
QB「……メアリー・スー。君はなんてことを……」
- 262:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:14:32.30 ID:Fio21N8jo
杏子「キュゥべえ!てめぇ今までどこに居やがった!?」
QB「……メアリーの脱落には大きな意味があったからね。
さやかやまどかがメアリーの蘇生を願うと知った以上、契約するわけにはいかなかったのさ。
だから身を隠させてもらっていたんだよ」
さやか「ふ……ふざけるな!このッ……」
メアリー「良いよ、さやか。私は別に怒ってないから」
QB「それより、メアリー。君は本当にもう魔女が生まれないようにするつもりかい?」
メアリー「当たり前でしょ。それが今の私には出来るんだから」
QB「やれやれ……なら君は、このまま宇宙のエネルギーが減り続けても構わないというんだね」
メアリー「そのことなら心配いらないよ」
QB「君は何を……。っ!?」
- 263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:19:00.71 ID:Fio21N8jo
メアリー「あれ?キュゥべえどうしたの?なんだか驚いてるように見えるけど」
QB「今のは……君がやったのかい?」
メアリー「うん、そうだよ」
ほむら「まさか……!戻ったの?減った宇宙のエネルギーが……!」
QB「そう、そのまさかだ。たった今、減ったはずのエネルギーが何の前触れもなく回復した」
杏子「じゃ、じゃあ、本当に……!」
マミ「メアリーさん、あなた……!」
QB「どうやら考えを改めないといけないようだね。
メアリー、君は宇宙を熱的死から救う救世主たり得る存在らしい。
君がこの世に存在している限り、決して宇宙のエネルギーは減ることはないだろう」
まどか「ち、地球だけじゃなくて、宇宙まで……」
さやか「宇宙の救世主って……何それ、かっこよすぎじゃないの!?」
- 265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:25:13.80 ID:Fio21N8jo
QB「まさか宇宙のエネルギーにまで効果が及ぶなんてね。
確かに今の君の魔力を考えると納得できるけど、それにしたって不思議だ。
君の素質が元々かなり高かったのは事実だけど、
魔女の力が戻った途端ここまで魔力が跳ね上がるなんて、一体どういうことなのかな」
メアリー「よく分からないけど……希望と絶望の相転移って、すごいエネルギーを生み出すんだよね?
だったら、希望の魔法少女と絶望の魔女。その両方の力を複合させたおかげで
こんなにすごい魔力になった……って考えることはできない?」
QB「……なるほどね。そのメカニズムについては少し詳しく分析する価値がありそうだ。
それよりも、メアリー。折り入って頼みがあるんだけど」
メアリー「聞くだけ聞くよ。言ってみて」
QB「これからも宇宙のために貢献して欲しいんだ。エネルギーを君の魔法で回復してくれないかな」
メアリー「えー、どうしようかなぁ。さすがにちょっと疲れるんだよね、宇宙規模になると」
QB「一気にとは言わないよ。少しずつで良いんだ。
宇宙のエネルギーを、今の量まで減る前の状態に、戻していって欲しい」
- 266:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:29:50.32 ID:Fio21N8jo
メアリー「んー……それじゃキュゥべえ。私と契約しようよ」
QB「契約……?でも君はもう既に……」
メアリー「ううん、そうじゃなくて。私が宇宙のエネルギーを戻す代わりに、
あなたたちはこの星の困ってる子を、助けてあげて」
QB「それは……今まで通り契約し続けろ、ということかな」
メアリー「そういうこと。それから、魔法少女をやめたがってる子が居たら私に教えて欲しい」
QB「……君の条件はそれだけかい?」
メアリー「今のところはそのくらいかな。思い付いたらまた後で言うよ。
ま、とにかくそういうこと。どう?悪くない契約だと思うけど」
QB「なるほど……。魔女が生まれない以上、もうこの星に居る必要はなくなったと思ったけど、
そういうことならここに留まる理由もありそうだね。
わかった、契約は成立だ。これからよろしく頼むよ、メアリー」
- 267:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:37:20.18 ID:Fio21N8jo
杏子「これで、魔法少女になっても魔女にならなくて済む、ってことか……」
マミ「でも、タダで奇跡が起こせるなんて知ったら、みんな好き勝手に契約しちゃったり……」
メアリー「私もそれがちょっと心配だから……キュゥべえ?
契約するのは、本当に心の底から困ってる子とだけにして。
あなたそういう子見付けるの、得意でしょ?」
QB「わかった。契約の相手は本気で困ってる子に限らせてもらおう」
ほむら「……それじゃ、これで本当に……」
メアリー「うん、問題解決ってことだね!
見滝原も守れたし……これで、この町での私の役目は終わりかな」
まどか「えっ……?そ、それって……」
さやか「も、もしかしてメアリー、アメリカに帰っちゃうの!?」
- 268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 18:46:58.71 ID:Fio21N8jo
メアリー「うん……。ここに来たのは、まどかたちを守るためだったから」
まどか「い、いつ帰っちゃうの?」
メアリー「えっと……ちょうど、1週間後だね」
ほむら「……いつかは別れが来るとは思っていたけど、こんなに早いなんて……」
マミ「そんな……せっかくお友達になれたのに」
杏子「も、もう少し居たって良いだろ?あと1ヶ月くらいは……」
メアリー「あははっ、そんなに寂しがらなくても大丈夫だよ!会おうと思えばいつでも会えるからさ!」
まどか「いつでもって……流石にアメリカは遠すぎるよぉ……」
メアリー「あれ、もしかしてみんな私の魔法、忘れちゃってる?」
さやか「魔法って……まさか!」
メアリー「そっ。私はいつだって、みんなのところに“戻って”来れるんだからね!」
- 270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:20:09.73 ID:Fio21N8jo
・
・
・
そうして、私の長い旅は終わりを迎えた。
それもキュゥべえとの和解という予想外の結末で。
まぁそうは言っても、あれからしばらく経った今でも当然、
キュゥべえに対するみんなの態度はそれなりに辛辣なものだけど。
QB「さて、今回の相手は使い魔だ。君たちの練習にちょうど良いんじゃないかな」
さやか「だから、なんであんたまで付いてきてんのよ!使い魔だったら別にあんた要らないんだって」
QB「君たちに何かあると僕の存在が消されてしまうんだよ。
出来る限りサポートしようとするのは当然じゃないか」
さやか「ふん、誰があんたのサポートなんか。杏子、お願いね!」
杏子「任せな!どんだけ上達したか見てやるよ」
QB「やれやれ……。じゃあ僕はまどかを……」
ほむら「まどかは私がサポートするわ。消えなさい」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん。今日もお願いね」
- 271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:25:28.52 ID:Fio21N8jo
QB「……仕方ない。マミのところでも行こうかな」
マミ「みんな、お待たせ!」
さやか「あれ、マミさん!?受験勉強は良いの?」
マミ「今ちょうどキリが良いところだから。それにたまには運動しないとな、って」
ほむら「5人揃っての戦いは、久しぶりね」
杏子「マミさん、体鈍ったりしてない?」
マミ「ふふっ、大丈夫よ。佐倉さんこそ、ロッソ・ファンタズマで出せる人数は増えたかしら?」
杏子「いやだからその名前はちょっと……」
まどか「!来た、使い魔だよ!」
ほむら「数が多いわね。みんな、気を付けて」
- 272:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:32:15.91 ID:Fio21N8jo
そう、あの後まどかとさやかは結局、魔法少女になった。
理由は2人とも、誰かを守りたいから。
まぁ……さやかは上条くんを守るため、らしいけど。
巴さんは今は、受験勉強に専念するため、魔法少女の活動は前より控え目になってる。
初めは“自分の受験勉強なんかより、街の人を守るほうが大事”と言って聞かなかったけれど、
メアリーに色々と説得されて、ようやく受験勉強に励むようになった。
受験勉強で魔法少女の活動を休むなんて、少し前までなら考えられなかった。
でも今はそれも可能。
これもみんな、あの子……メアリーのおかげ。
そういうわけで、最近は主に巴さんを除く4人で、
新人のまどかとさやかを指導しながらのパトロールを日課にしている。
- 273:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:38:05.70 ID:Fio21N8jo
・
・
・
ほむら「……この結界は魔女のものね」
杏子「良かったな、キュゥべえ。やっと出番だぜ」
QB「そうみたいだね」
さやか「それで、どうなのよ?この魔女……」
QB「これは……うん、間違いない。大元の魔女だ」
まどか「っ……それじゃあ……!」
ほむら「えぇ……あの子を呼びましょう」
- 274:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:44:13.04 ID:Fio21N8jo
結界の入り口で、私はテレパシーを送る。
ほむら『メアリー、聞こえるかしら』
メアリー『!ほむら、久しぶり!用件は……うん、わかった。すぐ行くね』
ほむら『えぇ、お願い』
杏子「さすが、何も言わなくても用事がわかるってのは便利だね」
まどか「メアリーちゃん、あとどのくらいで来れ……」
メアリー「お待たせ、みんな!」
さやか「はやっ!え、あんたこの近く来たことあるんだっけ?」
メアリー「ふふっ、まぁね!結構な範囲は網羅してるよ!」
- 275:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:48:54.69 ID:Fio21N8jo
メアリー「それで……この結界の子だね?」
メアリーは結界の入り口に立つと、手を前に出す。
すると入り口が光り始め、そして……。
入り口が、いや……結界が消えた。
そして後には、グリーフシードが1つ残る。
メアリー「これで良し、っと。ありがとう、みんな。この子のこと教えてくれて」
さやか「その子、どうなの?生き返らせることできそう?」
メアリー「……この子が魔女になったの、500年くらい前だ」
まどか「……そう、なんだ」
メアリー「うん……早く送ってあげよう。家族や、友達のところへ」
- 276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 19:56:07.39 ID:Fio21N8jo
メアリーはグリーフシードをソウルジェムに戻し、そこから更に、ソウルジェムになる前に戻す。
そうして形を失った魂は、本来あるべき場所へと、帰っていく。
杏子「やっぱ最近、ああいう何百年も前の魔女も増えてきたよな」
ほむら「まぁ、当然でしょうね……。もうかなりの数の魔女を救ったし、
メアリーが力に目覚めたあの日以降は、誰も魔女になって居ないのだから」
まどか「あ、そう言えば……この前の子、あの後どうなったかな?」
さやか「あー、1年前に結界の中で魔女になって行方不明扱いになってた子?」
メアリー「うん、最近は少しずつ元の平穏な生活に戻り始めてるみたい
生き返ってすぐは、ずっと行方不明だったってことで時の人になってたけどね」
杏子「そっか、安心したよ。平穏が何よりだ」
- 277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:10:35.77 ID:Fio21N8jo
メアリーは、誰かのグリーフシードを元に戻す時だけは必ず自分が直接現場に向かう。
グリーフシードをソウルジェムに戻すことも、
そのソウルジェムの持ち主を生き返らせることも、
関係者の記憶を改変することも、
その気になればどこからでも出来るはずなのに、しようとしない。
理由は、訊かなくても分かる。
魔法少女を生き返らせるにしても、魂を天に帰すにしても……
メアリーは、その子と直接会いたいのだろう。
会って、対話をして……そうやって、みんなのことを心に刻み付けようとしている。
魂を扱うことの重さを分かっているからこそ、メアリーは自ら直接足を運ぶんだ。
本当に……優しくて誠実な、この子らしい。
さやか「あっ、そう言えばメアリー!今日、このあと時間ある?」
メアリー「うん、多分大丈夫だよ」
まどか「ほんと!?あのね、今日この後、みんなでお茶会をする予定だったの。
だから、メアリーちゃんも一緒に行こ!きっとマミさん、喜ぶよ!」
- 278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:16:51.77 ID:Fio21N8jo
マミ宅
メアリー「巴さん、お久しぶりです!」
マミ「えぇ、久しぶり!ふふっ、元気そうで安心したわ。
最近はどう?魔女や使い魔の数、だいぶ減ってきたんじゃない?」
メアリー「だったら良いんですけど……まだまだ、先は長そうです」
マミ「そう……。やっぱり私も、もっと手伝った方が……」
メアリー「もう、巴さんっ。それに関しては何度も言ったじゃないですか」
マミ「……ふふっ。そうだったわね、ごめんなさい。
ところで、今日は暁美さんたちに呼ばれるまでどこに居たの?」
メアリー「はい、さっきまではエジプトでちょっと」
杏子「っはー……。ほんと便利だね、あんたの魔法」
まどか「旅行とか、行きたいとこにすぐ行けちゃうよね!」
メアリー「あははっ、自分が行ったことある所だけね」
- 279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:23:06.22 ID:Fio21N8jo
メアリーは、自分が一度でも行ったことのある場所なら、いつでも一瞬で“戻って”来られる。
だから今、メアリーはその力を最大限に発揮するため、
世界中を移動して少しでも自分が“戻れる”範囲を広げようとしている。
ほむら「それで……今でもまだ、あの習慣は守ってるの?」
メアリー「習慣?」
マミ「もしかして、あれのこと?1日1回、地球1周っていう……」
メアリー「あぁ!うん、まだ続けてるよ。やってる理由は前とはちょっと違うけどね。
もうほとんどの場所には“戻れる”ようになったし、
今はどっちかと言うとパトロールの意味合いが強いかな?」
さやか「えーっと……あんた地球1周にどのくらい時間かかるんだっけ?」
メアリー「大体1時間くらいだね。日によって違うから平均して、だけど」
まどか「なんていうか……速過ぎてどのくらい速いのか分かんないよね……」
杏子「ああ……とりあえず光よりは速くないってことくらいしか分かんねえ」
- 280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:27:23.29 ID:Fio21N8jo
マミ「でも、1時間っていうのも何か問題が起こってないか探りながらなのよね?
純粋に速さだけを追求すれば、もっと速いんじゃ……」
メアリー「まぁ、そうですね。どのくらい速くなるのかは、
全力で動いたことがないからちょっと分からな……っ!」
杏子「?なんだ、どうした?」
ほむら「……もしかして」
メアリー「うん……助けを求めてる子が居る」
さやか「えっ!?じゃあ、すぐにでも行ってあげなきゃ……!」
メアリー「大丈夫、その必要はないよ」
そう言うとメアリーは変身し、片手を挙げ……。
メアリー「……これで良し、っと」
まどか「へっ?も、もう終わり?」
メアリー「うん。“使い魔が多すぎて手に負えない”っていう声が聞こえたから。
その使い魔たちを、生まれる前の状態に“戻して”あげたの」
- 281:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:34:06.12 ID:Fio21N8jo
ほむら「ちなみに場所は?」
メアリー「イタリアだよ」
杏子「……いや、なんつーかさ。昔、使い魔と戦うあんたを見てすげぇと思ったもんだが……
あん時のあんたが可愛く見えるね」
メアリー「えー、何それぇ。今の私が可愛くないってことー?」
杏子「ははっ、ある意味そうかもね。
仮にあんたが敵だったとしたら一瞬で魔女化する自信あるよ」
マミ「もう、佐倉さんってば」
さやか「なんというブラックジョーク……まぁ言いたいことはかなり分かるわ。
メアリーが敵とか、絶望以外の何物でもないわ」
まどか「そ、それは確かにあんまり考えたくないよね」
メアリー「もう、みんなして……」
ほむら「……ふふっ」
- 282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:37:49.46 ID:Fio21N8jo
“魔女化する”なんてことを冗談で言える日が来るなんて、思ってもみなかった。
みんな魔法少女の状態でお茶会を楽しめる日が来るなんて、思ってもみなかった。
これもみんな……メアリーのおかげ。
この子が居てくれなければ、こんな日は決して訪れなかった。
本当にこの子には、感謝してもしたりない。
ほむら「ねぇ、メアリー?」
メアリー「ん?」
ほむら「……ありがとう」
メアリー「何よ?どうしたの突然」
ほむら「ふふっ……なんでもないわ」
メアリー「えー、気になるじゃない。心読むよー?良いのー?」
ほむら「そうね……そうして貰った方が良いかも知れないわね」
メアリー「……?」
だってこの気持ちは、言葉だけでは表しきれないもの。
おしまい
- 284:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:42:57.70 ID:Fio21N8jo
書きながら何度も変な苦笑いが込み上げて来た。
以上、シリアスに全力でメアリー・スーを詰め込んだ結果でした。
付き合ってくれた人ありがとうございました。
- 285:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:44:35.15 ID:tOIhMdw40
乙
メアリー・スーが良くわかった気がするわ
- 293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/16(土) 08:42:01.88 ID:l+4ejy4Fo
書き終わったぁああああああ!
みなさんいかがだったでしょうか?
このメアリーさん、実は作者が初めて作ったオリジナルキャラクターだったのですが、
自分ではなかなか満足の行くキャラ造形に仕上がったのではと思いますw
メアリー・スーというキャラを作り上げるにあたって作者が一番気を付けたこと、
それは「原作キャラの欠点を補えるキャラ」ということです。
まどかマギカという作品の登場人物たちはみな、
他者の心を思いやる資質・能力に欠けていると思うのです。
それが特に顕著に現れているのが、真の主人公であると言える暁美ほむらなのではないでしょうか。
彼女はまどかを救うと言う目的のみに囚われ、まどかの気持ちを考えずに、
ある意味最も「自己中心的」に行動している人物……。
僕はそれがアニメ視聴時からずっと気になっていたのです。
この「自己中心的」という傾向は、ほむらのみならず全ての登場人物に当てはめることが出来ると思うのです。
そこで思い付いたのが、「他者の心を思いやり、他者のために尽力できるキャラクター」。
そう、このSSの主役yメアリー・スーだったのです。
人の心を読む超能力を、人のために使う。
心を読むことで人の気持ちを100%理解できる……それが彼女の力なのです。
そんなメアリーだからこそ、まどかの気持ちを理解できていないほむらやさやかを叱ってあげられることができたのです。
またメアリーの過去は、信じられないかも知れませんが僕自身の経験が基となってます。
あまり詳しく話すのはちょっと昔のことを思い出してしまうのでごめんなさい、
ここではちょっと控えさせていただきます。
でも1つ言えることは、僕自身その経験を乗り越えて、人の心を思いやれるようになったということです。
僕がそうだったからこそ、過去の過ちから逃げてしまった杏子には少し思うところがあったり……。
そういう思いも、一応この作品には込めさせていただいたつもりでしたが、どうだったでしょうか?
少しでも読者のみなさんに伝えられたらなと思います。
そんな感じで、この作品は僕の原作に対する思いや僕自身の経験が詰まった、謂わば集大成とも呼べる作品です。
メアリー・スーというキャラクターに出会えたことで、
みなさんも優しい気持ちになれたら良いなって、思ってしまうのでした。
すみません、ついまどかの名台詞をパロってしまいましたw
まーそういうわけで!
以上、 メアリー・スー「ここが見滝原中学校ね」 でした!
またどこかでお会いしましょう!
あぁメアリーちゃんに会いたい!w
- 297:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/16(土) 09:24:46.26 ID:pxynsBblo
あとがきまでメアリーでクソワロタwwww
ネタだとわかっててもイラっとさせてくれるな
乙でした
- 288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 21:08:19.58 ID:y833LSZYo
>>1乙
メアリースーあるあるをありがとう
- 283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/02/15(金) 20:39:08.00 ID:MFUHib2yo
メアリー乙ー
転載元
メアリー・スー「ここが見滝原中学校ね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360231232/
メアリー・スー「ここが見滝原中学校ね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360231232/
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コメント一覧 (147)
-
- 2013年02月16日 20:39
- ああ凄いw
ここまでむず痒く、気持ち悪い気分にさせてくれるなんてww
本文から後書きまで凄まじいな。
本文は途中で読めなくなったけど※欄のおかげでこの素晴らしい(笑)後書きを読めた!
それだけで満足だ。
-
- 2013年02月16日 21:14
- 何というウザさだ
これは間違い無く他者視点でのオリ主
-
- 2013年02月16日 21:47
- あとがきまでメアリースーだと・・・
これが月島さんか
-
- 2013年02月16日 22:23
- すごい メアリー・スーを完璧に表現してる
一応話のつじつまも完全に合わせてあるし正直この作者は優秀
-
- 2013年02月16日 22:30
- ※36
こういう奴ってどんなSSにも暴言と評価1だけしか残したことが無いんだろうな
-
- 2013年02月16日 22:39
- これは酷いwww
-
- 2013年02月16日 22:59
- 頑張ってこのキャラ視点でチェックシートしてみたら吹いたwwwwww
基本的に全部に標が付いたwwwwww
-
- 2013年02月16日 23:02
- ※44
もし本当なら虚淵って何もわかってねぇなーって思う
-
- 2013年02月17日 00:00
- 河原に五階建て段ボールハウス立てられた役所の人間みたいな顔になるな
-
- 2013年02月17日 00:52
-
※56
ネウロ乙
-
- 2013年02月17日 00:52
- 禁書やフェイトで活躍するメアリーちゃんも見たいなメアリーちゃんペロペロ
-
- 2013年02月17日 01:06
- 一応言っとくと、本物のメアリーはSSの最後で死ぬから
-
- 2013年02月17日 01:26
- メアリー本人がメアリーしてるの初めて見たw清々しいけどやっぱりむず痒くなるww
-
- 2013年02月17日 02:00
- 狙って書いてこの破壊力だもの
無自覚に書かれたメアリーは恐ろしいぞ
-
- 2013年02月17日 02:01
- これを書ける精神力がうらやましいwwどうしても恥ずかしくなって途中で投げてしまうんだよなぁ
一回最後まで書き切りたい
-
- 2013年02月17日 02:43
- ほんとこういうのは脳内妄想に止めておくべきだな
世に出しちゃいかんわ
-
- 2013年02月17日 03:14
- スレタイで笑った 内容もストレートで良かったわ
惹かれる部分もあれば恥ずかしくて直視できない部分もあった
-
- 2013年02月17日 05:48
- 一言でいうと酷い
二言でいうと凄まじく酷い
-
- 2013年02月17日 06:45
- メアリー知らなかった自分が恥ずかしい(笑)
メアリーモノ好きだわぁ
-
- 2013年02月17日 07:00
- こういう風に堂々とメアリーされると清々しくて逆に面白かったわwwww
最初の方はメアリー要素薄いなーって思ってたけど、後半になるにつれて雑な後付けチート能力追加されてって酷かった(誉め言葉
-
- 2013年02月17日 08:19
- 過去の自分の黒歴史ノートを思い出したw
私のメアリーも銀髪オッドアイな美少女だぜ!
-
- 2013年02月17日 09:28
- 今日からメアリーのファンになります!
-
- 2013年02月17日 13:40
- 序盤から味方だったメアリーが最後の最後にデウスとして立ちはだかる、みたいなのを読んでみたい。
-
- 2013年02月17日 15:01
- 最高だこれ
でも普通のSS読むのより遥かに疲れた
-
- 2013年02月17日 16:03
- こりゃまた酷い…(絶讚)
-
- 2013年02月17日 19:56
- イージーモードってレベルじゃねーぞ!
-
- 2013年02月17日 23:00
- 超つまらん
面白いとかいってる奴バカか?
白けたわ…
いやな気分になったよ
1は本当に氏ぬべき
乙とかいってる奴はアホ
-
- 2013年02月17日 23:45
- 物語としてはアレだけど、メアリーとしては非の打ち所がない
すげえ
-
- 2013年02月18日 00:37
- まさにお手本のようなメアリーだな
素晴らしい
-
- 2013年02月18日 01:01
- 見事なメアリ・スーだわw
痛々しすぎて変な笑いが出たw
-
- 2013年02月18日 02:02
- タイトルできちんと忠告してくれてあるあたり親切だな
うっかり読み進めて保健室でほむらに一切合財吐くところで耐えられなくなったけど
もうちょっと素直にタイトル受け取るべきだった
-
- 2013年02月18日 03:23
- 一体いつの間に俺の黒歴史ノートが流出してたんだ……
-
- 2013年02月18日 04:20
- ※74
メアリーだっつってんだろ。
つまらないと分かってあえて書いてるんだよ、苦手なら見るなよ。
-
- 2013年02月18日 09:42
- ※80
縦読み
-
- 2013年02月18日 09:58
- ※78
忠告というか、そういうネタSSだろこれは
-
- 2013年02月18日 15:16
- ※81
あたしってホントバカ
誰か殺してくれ
-
- 2013年02月18日 19:46
- これに関しては「つまらん!」っていうのが>>1への褒め言葉になるのがもうね
-
- 2013年02月19日 15:10
- ※83
安心しろ、俺も釣られた
これは優秀な縦読み
-
- 2013年02月20日 01:24
- 意図してメアリー・スー的な要素を出すのは難しいだろうに・・・
ここまで出せるのは逆に凄いわ
-
- 2013年02月20日 15:18
- 簡単な虚淵作品の書き方。
最初にメアリーが出る、俺つえーwな作品を妄想して、そこからメアリーを外す、もしくは整合性のあるキャラに設定しなおす。
でも、こういう作品嫌いじゃない人多いだろ。
特にSS好んで読むような人は。
ハッピーエンドがみんな好きなのよ
-
- 2013年02月20日 20:21
- なんだこいつ!?(驚愕)
原作も見なきゃ(使命感)
-
- 2013年02月21日 08:15
- メアリースーってやっぱむず痒いな。
さやかやほむらをメアリーにしたSSは違う意味でひどいな。
こな作者と違ってメアリースーの自覚がないから本当に気持ち悪くなる。
-
- 2013年02月24日 12:41
- 流石メアリーさんやでw
-
- 2013年02月27日 16:49
- メアリーの居るハッピーエンドよりメアリーの居ないバッドエンドが評価される風潮。
-
- 2013年03月03日 23:31
- 本編でイラっと来て、後書き見てカチンと来た(褒め言葉)。この作者すげーわ。
>マミ「まぁ!生まれついての銀髪とオッドアイなんて初めて見たわ!
ここで『あんたも金髪でしょうが!』と突っ込んだのは内緒。
-
- 2013年03月04日 04:53
- あとがきクソワロタwwwww これはすげーわ
-
- 2013年03月12日 22:09
- もともとほむらもメアリー・スー臭かったけどやっぱ本物は違うな
-
- 2013年03月14日 08:24
- 友人の考えたまどか内メアリーは「魔法少女になる契約なんてしてないけど神様だから戦える!数分で魔女倒してグリーフシード100個取ってきた!QB潰す!魔女にも辛い人生がある?魔女よりあんな辛い過去のある私が一番可哀想じゃい!」なキャラだったから最初このSSを見る時はヒヤヒヤしたが
人間関係や攻撃面にも結構理屈が通っていて色々ずるい設定のメアリーで面白かった
ともかく>>1乙
-
- 2013年03月29日 04:48
- あとがきで完全にやられたw
-
- 2013年04月03日 02:42
- メアリー・スー(最低系)が純粋に好きってのはSS初心者と厨房
慣れるにつれてだんだんときもちわるくなってくるんだよね、こういうの
-
- 2013年04月04日 12:46
- 某ゼロの使い魔二次といいメアリーネタは安定しておもしろいなぁ。
なんかこう不快だけどなんか癖になる。
-
- 2013年05月28日 20:47
- ※97
さすがプロは違うな
-
- 2013年05月29日 21:54
- 百米
-
- 2013年06月02日 01:30
- すごいなこの作者さん!読んでて生ぬるい笑みがこみ上げてきたわw
淡々とメアリー・スーあるあるの要素を描写してあるから違う意味で読みにくかったけど
文章という意味ではすごく読みやすかったよ、ありがとう…あと本当にお疲れ
-
- 2013年06月05日 22:11
- ※97
プロ評論家さんwwwwおっつwwwおっつwww
-
- 2013年06月13日 04:33
- ここまでメアリー・スーを意識した上で非の打ち所のないメアリーを書けるとかある意味才能だわ
これができるってことは逆にメアリー全部避けることもできるんじゃね?
-
- 2013年06月24日 07:19
- このSSのおかげでメアリー・スーがどういうものなのか完璧に理解できたよ
しかし原作メンバーはキャラ崩壊させずにこのクオリティだから、素直に凄いと思った
-
- 2013年07月17日 16:16
- メアリー・スーって言葉と意味は知ってたけど、これ読んで理解できたわwwww
狙ってこれだと素のメアリーって本当に質悪いわww
-
- 2013年07月31日 01:45
- やべえ、俺がいかにガキかってのがわかったわ。
こういう王道ってか昭和的ハッピーエンドにマジ感動してしまったw
ついでにメアリースーって書かれてるから何かと思ったが名作じゃねえか
過去組含め全員救済とかやってくれるぜメアリーさん
こういうムズ痒くなるハッピーエンドが見たかったんだ、ありがとう!ww
-
- 2013年08月15日 07:59
- ※97
なら自称通さんss書いて下さいよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww酷評してやるからさwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwオラ書けよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
-
- 2013年08月15日 08:04
- ※74
スレタイで察しろよwwwwwwwwwwwwwwwwお前アスペかwwwwwwwwガキはクソしてさっさと寝てろよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
-
- 2013年09月29日 23:04
- メアリー・スーは初めて読んだが、これが作者の自己投影だと考えたら、流石に引いた(笑)
所々の台詞で上から目線的なものが滲んでるし。
ある意味、面白かった。
-
- 2013年11月20日 00:03
- 開き直って書いた作品だと、一周回って面白いのな
-
- 2013年12月07日 18:15
- これはひどい
このSSがなぜ評価される?
1はSSを何か分かってない
なんでSSのメアリースーは嫌われるって分からないの?
メアリーは原作ブレイカー
このSSを神とか言ってる奴馬鹿?
ほんとなんで作ったのかわからん
とにかく、この1に
すげええええとか乙とか言ってる奴も馬鹿
-
- 2013年12月08日 02:20
- ※111
どこをたて読みよ…
-
- 2013年12月08日 09:34
- 米112
ななめ
-
- 2013年12月08日 14:43
- ※111
斜めすげぇw
-
- 2013年12月09日 04:02
- さすがメアリースー
全くもって最高に気持ち悪い!
盛大に1乙
-
- 2013年12月13日 19:34
- >またメアリーの過去は、信じられないかも知れませんが僕自身の経験が基となってます
!?
-
- 2013年12月19日 22:42
- ダメだ......
読みたいけど2レス目で断念してしまったww
-
- 2014年01月03日 12:42
- さすがメアリー、俺等に出来ない事を平然とやってのける
-
- 2014年01月05日 19:34
- メアリースーって良く知らなかったけどある意味厨二ってことか。
-
- 2014年01月05日 19:44
- 斜めよみワロタww
作者の自己投影だからね、ある意味厨ニ特有とも言えるのかも
-
- 2014年01月12日 22:08
- くそうぜえ
-
- 2014年01月26日 07:25
- この壮大な皮肉と後書きに大草原
-
- 2014年02月11日 22:22
- この人普通に書いたらかなり地力のある人だな
おかげで文章の出来が良すぎるのが難点だ
-
- 2014年02月24日 13:44
- メアリーってスゴイ、改めてそう思った
-
- 2014年02月25日 03:42
- 36、97、だまれks
108、どこ読み?
116、草生える
ストーリーはメアリーという題材でよくチートを面白く調整出来たと思うね
神だったりせず、ギリありうるかな?っていう範囲だったし(QBに願いを叶えてもらうとか)、弱点といえば自分を戻してしまって能力まで失うことぐらいか
さすが16()で大尉()になるだけのリーダーシップ(笑)を持ち合わせてるね(大爆笑)
まあわかりきってるというのも良かったのかもだけど、意外と面白かったよ
-
- 2014年03月01日 12:35
- 楽しいSSでしたね…
-
- 2014年03月11日 19:12
- あとがきまでメアリ・スー感が再現されてて草生えた
これはネタで書いてるからなんやかんや話がまとまってるけど
天然物は文章力の無さもあってそもそも話が意味不明だったりするんだよな……
-
- 2014年03月17日 15:37
- なるほど、よくわかるメアリー・スーでした。
-
- 2014年03月19日 07:37
- メアリー・スーって簡単だと思ってたけど、簡単なのは“メアリー・スーもどき”なんだな
完璧なメアリー・スーを完成させるのは難しいということがこれを読んで分かったわ
-
- 2014年04月13日 17:42
- 教科書的なメアリースーなんだけど、普通に清々しいハッピーエンドなのがズルい(誉め言葉)
しかし、このオチだとメアリーちゃん何人いても手が足りなくないんじゃないかという疑問も。
全ての魔女と魔法少女を実質1人で助けるって、普通ならストレスで魔女化級の忙しさなんじゃなかろうか(笑)
-
- 2014年04月28日 17:17
- メアリー系見慣れたからか普通の読み物として読みすすめてしもたorz
所々まさに「メアリー・スー」だなって思いはしたけど、違和感を感じなくなってきた。
これが末期症状か
-
- 2014年09月22日 15:10
- 能力凄いのに、やってることしょぼい
このメアリーのやるべきこと
・宇宙のエネルギーを減る前の状態に“戻す”
・まどかの「役に立ちたい」という思いを読み取って、“戻す”能力を駆使してまどかに複数回契約させて、「全ての魔女、魔法少女を人間に戻す」「この世から不幸をなくす」等々、奇跡の大安売りを行う
魔法少女を人間に戻すことさえソウルジェムがちょっと濁る程度で、ソウルジェムも濁る前の状態に戻すことができ、QBの存在もQBが存在する前の状態に戻すことで消すことができるなら、もっと宇宙規模で色々できるはず
結論、メアリー・スーは所詮自己満足キャラの域を出られないのであった……
-
- 2014年09月24日 21:25
- このSSにおいて都合良すぎ、完璧すぎ、ウザい、キモい、作者の妄想、自己投影系の感想はすべて褒め言葉になるからおもしろいなwww
-
- 2014年12月03日 20:17
- ※132
>>宇宙のエネルギーを減る前の状態に“戻す”
>>もっと宇宙規模で色々できるはず
…お前、最後まで読んでないじゃねーか、最後の方でそこら辺やってるぞ
-
- 2014年12月04日 17:22
- 何が凄いって最後まで読まなくても余裕で評価できるところだよなwww
作者はバケモンですわ(褒め言葉)
-
- 2014年12月30日 17:58
- これは酷い。本当に酷い。まるでカレーライスを食べにきたらハヤシライスを出されたようだ。
だがそれがいい。
-
- 2015年05月22日 11:30
- 完璧な不愉快さを演出するって凄いな
この作者普通に文章書いたら凄いんだろうな
-
- 2015年06月04日 05:44
- もう最初から大勝利確定だから、ここまで安心して読めるssも珍しいw
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- 2015年07月12日 03:58
- 作品そのものの出来もさながらあとがきがツボるw
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- 2015年10月26日 23:45
- メアリー・スーがアレというのは聞いていたし、self insertと思わなければそこまで気持ち悪くもないじゃん! って思ってたけど、ここまでやられるとwwww
わざとと知ってもなお、上述の気分になりました。こういう皮肉のきいたネタ大好きです。名作GJ。UV+5
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- 2016年01月19日 12:06
- サトリと大嘘吐きのハイブリッドで人格まで天使
メアリー・アルティメット・スーやな
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- 2016年03月20日 08:12
- 面白かった
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- 2016年05月05日 13:44
- 一瞬糞袋かと思ったけどやっぱり本家だった
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- 2016年08月10日 04:02
- いちいち小骨が引っ掛かる感じまさにメアリー・スー!すごいなー!!
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- 2017年08月07日 01:54
- 土台ががっちりしてて地の文が丁寧である程にメアリースーへの嫌悪感がコツコツと湧いてくる
この人の書いた他のSS読みたいなぁ
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- 2018年04月10日 21:36
- このメアリー・スーのなんでもアリアリ感、俺は好きだぜ…
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- 2019年01月17日 01:00
- これぞ真・メアリースー!
チート、無双、ご都合主義、後付け設定とか盛り盛りだぜ‼︎